Food compositions using bile salt-activated lipase

申请号 JP29344788 申请日 1988-11-18 公开(公告)号 JP2592939B2 公开(公告)日 1997-03-19
申请人 オクラホマ メディカル リサーチ ファウンデーション; 发明人 JOODAN JEI ENU TAN; CHIISUN WAN;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】第1のソース(source)に由来する栄養ベース(base)であって、脂質を含有し、かつ、胆汁酸塩活性化リパーゼ(bile salt−activated lipase;以下BA
    Lという)に乏しい該ベース;および第2のソースに由来する効果的な量のBALを含有する食品組成物であって、該第2のソースが膵臓または乳である、食品組成物。
  • 【請求項2】前記第1のソースが牛乳を含有する請求項1の食品組成物。
  • 【請求項3】前記第2のソースがヒト乳である請求項1
    または2の食品組成物。
  • 【請求項4】前記第2のソースがヒト膵臓である請求項1または2の食品組成物。
  • 【請求項5】特定の動物の種の新生児用配合物であって、該特定の動物の種以外の種の乳;および該乳が由来する動物の種以外の種の膵臓または乳に由来する効果的な量のBALを含有する、配合物。
  • 【請求項6】前記BALが前記特定の動物の種由来である請求項5の配合物。
  • 【請求項7】前記特定の動物の種がヒトである請求項6
    の配合物。
  • 【請求項8】ウシ以外の動物の種の膵臓または乳に由来するBALの効果的な量を牛乳に添加することを包含する牛乳の強化方法。
  • 【請求項9】前記BALが由来する種がヒトである請求項8の強化方法。
  • 【請求項10】BALに乏しくかつ脂質を含有する新生児用配合物の強化方法であって、該配合物に膵臓または乳に由来するBALの効果的な量を添加することを包含する強化方法。
  • 【請求項11】前記新生児用配合物が牛乳を含有する請求項10の強化方法。
  • 【請求項12】前記BALがヒト乳由来である請求項10または11の強化方法。
  • 【請求項13】前記BALがヒト膵臓由来である請求項10
    または11の強化方法。
  • 【請求項14】前記新生児用配合物が乳を含まない請求項10の強化方法。
  • 【請求項15】膵臓BAL欠乏症の対象生体(subject)を処置するための組成物であって、脂質;および該対象生体による該脂質の消化を改善するに十分な量の、膵臓または乳に由来するBALを含有する組成物。
  • 【請求項16】前記BALがヒト膵臓由来である請求項15
    の組成物。
  • 【請求項17】前記BALがヒト乳由来である請求項15の組成物。
  • 【請求項18】脂質を含有する第1のソースに由来の食品ベース;および、該ベース中の脂質の該新生動物による消化を改善するのに十分な量の、第2のソース由来の
    BALを含有する、新生動物へ栄養を与えるための組成物であって、該第2のソースが膵臓または乳である、組成物。
  • 【請求項19】前記食品ベースが牛乳を含有する請求項
    18の組成物。
  • 【請求項20】前記新生動物がヒトであり、かつ前記BA
    Lがヒト乳由来である請求項18または19の組成物。
  • 【請求項21】前記新生動物がヒトであり、かつ前記BA
    Lがヒト膵臓由来である請求項18または19の組成物。
  • 【請求項22】牛乳;および膵臓または乳に由来するBA
    Lを含有する食品組成物。
  • 【請求項23】前記BALがヒト乳由来のものである請求項22の組成物。
  • 【請求項24】摂取に適切な賦形剤中にBALを有し、該B
    ALは膵臓または乳に由来しかつ摂取脂質2000mg当たり少なくともBAL1mgの投与量となるように存在する、摂取脂質の吸収または消化を改善するための組成物。
  • 【請求項25】前記BALが摂取脂質200mg当たり少なくともBAL1mgの投与量となるよう存在する請求項24の組成物。
  • 【請求項26】前記BALが、ヒト乳BAL、ゴリラ乳BAL、
    イヌ乳BAL、ネコ乳BAL、および膵臓カルボキシルエステラーゼからなる群から選ばれた請求項24または25の組成物。
  • 【請求項27】更に前記BALをカプセル化する腸溶性コーティングを含む請求項24から26までのいずれかの組成物。
  • 【請求項28】前記BALが1ml賦形剤当たり0.1mgを上回る濃度に濃縮された請求項24から27までのいずれかの組成物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は食品組成物一般に関し,更に詳しくは胆汁酸塩活性化リパーゼ(Bile salt−Activated Lipase;以下
    BALという)を用いた食品組成物と方法に関するものである。

    (発明の概要) 本発明は,脂質を含みかつBALの乏しい,第一の材料源由来の栄養ベースを有する食品組成物に関する。 この組成物はさらに第二の材料源由来の有効量のBALを有する。 本発明はまた,第一の種(species)の動物の乳と,第一の種の動物とは異なる種の動物由来のBALの有効量とを含む,第二の種の動物用の新生児用配合物を包含する。

    本発明はさらに乳を強化する方法を包含する。 牛乳に有効量のBALが加えられる。 このBALはウシ以外の動物に由来する。

    本発明によれば,脂質を含有しBALに乏しいその他の新生児用配合物も同様にBALの有効量を加えることにより強化される。

    本発明は更に,膵臓でのBALの生産が十分でない患者(subject)の処置方法を含んでいる。 患者に対して脂質摂取に関連して患者の脂質の消化を改善するのに必要な量のBALが投与される。

    最後に本発明は,幼動物(infant)に食事として与える方法を包含する。 脂質を含む食品ベースが幼動物に与えられる。 これと関連してBALが,ベース中の幼動物の脂質の消化を改善するのに必要な量だけ投与される。

    温血動物において脂質が適切に消化されるには,リパーゼと呼ばれる一群の消化酵素が必要である。 リパーゼはいろいろな形で存在しており,いくつかの消化器官,
    例えば膵臓,胃,小腸により生産される。 本発明はリパーゼのサブクラスの一つでBALと呼ばれるものに関する。 BAL,即ち胆汁酸塩活性化リパーゼという名称は,この酵素が不活性型で分泌され,小腸内で胆汁酸塩の存在下で活性化されることから来ている。

    BALは2つの形で存在している。 その内の一つは膵臓で生産され,膵臓BAL(pancreatic bile salt−activat
    ed lipase)又は膵臓カルボキシルエステラーゼ(pancr
    eatic carboxylesterase)と呼ばれている。 もう一方は乳中に見い出され,乳BAL(milk bile salt−activated
    lipase)と呼ばれている。 これら2つのBALは機能上及び化学的に類似しているがゆえに,一組のアイソザイムである。 また,これらのBALは同じ基質,即ち脂肪酸エステルを消化するが,消化管中へは互いに独立して分泌される(Wang and Kloer:Biochim.Biophys.Acta, 754 :14
    2−149(1983))。

    乳BALは限られた動物種,即ちヒト,ゴリラ,ネコ,
    イヌ,の乳中にのみ見い出されており(Freed,et al.,B
    iochim.Biophys.Acta, 878 :209−215(1986)),ウシ,
    ウマ,ラット,ウサギ,ヤギ,ブタ,及びミドリゲザルは産生しない(Blackberg,et al.,FEBS Lett. 112 :51−5
    4(1980),Freudenberg Experientia 22 :317(196
    6))。

    乳BALとそのアイソザイムである膵臓カルボキシルエステラーゼに対しては相当に詳細な研究がなされているが,これらの酵素の生理学的な意味は現在に至るまで明らかにされていなかった。 本発明はBALが幼動物の成長速度の決定に主要な役割を担うという事実の発見に基づくものである。 したがって,本発明は,育児用配合物などの食品組成物に,乳BAL又は膵臓カルボキシルエステラーゼを補充することに関する。 また本発明は,嚢胞性腺維症(cystic fibrosis)などの膵臓不全を伴う症病状態の患者に対して,脂質との関連でこれらの酵素を投与して処置する方法も包含している。

    本発明によると,第1のソース由来の食品ベースが選ばれる。 該ベースの組成,即ち蛋白質,炭化物,ビタミン等のバランスは,該ベースを摂取する者の栄養学的な必要を満たすように組み立てられる。 該ベースは成分として,脂質或いはトリグリセリドが含まれる。 脂質源は,食品組成物の使用目的及び摂取者に応じて適宜変えられる。 例えば育児用配合物の場合は,脂質としては通常乳脂質が用いられる。

    この発明における栄養ベースはBALに乏しく,小腸内で胆汁酸塩に曝されたときに脂質の最適な加水分解を起こすには不十分な量しか含まれていない。 実際のところ,殆どの栄養ベースはBALを全く含んでいないのである。

    本発明の重要な応用は,ヒト乳児の強化育児用配合物である。 それゆえ本具体例における好ましい栄養ベースは通常牛乳を含有し,牛乳はBALを含んでいない。 この適用例において好ましい栄養ベースは,市販牛乳及び牛乳を含有している市販の育児用配合物である。 好ましい育児用配合物としては,インディアナ州エバンスビル(Evansville)のミード・ジョンソン社(Mead−Johnso
    n&Company)が販売しているエンファミル(Enfamil:商標)や,オハイオ州コロンブス(Columbus)のロス・ラボラトリーズ(Ross Laboratories)が販売しているシミラック(Similac:商標)が挙げられる。

    栄養ベースとして乳を含んでいない方が好ましい場合が数多くある。 例えば食品組成物が乳不耐性の乳児向けの育児用配合物の場合である。 そのような場合,栄養ベースは乳不含で通常大豆蛋白質を含んでいる育児用配合物である。 その実例としてミード・ジョンソン社が販売しているプロソビー(ProSobee:商品名)やロス・ラボラトリーズが販売しているイソミル(Isomil:商品名)
    が挙げられる。

    食品組成物の適切な栄養ベースが選択されたならば,
    次いでBALを調製する。 BALとしては,乳BAL或いは膵臓カルボキシルエステラーゼが使用される。 後述するように,この酵素は天然のソース(source)から精製するか若しくは遺伝子工学技術によって製造されうる。 これら酵素のアミノ酸配列,又はその機能断片が同定されれば,人工的にBALを合成したり活性部分の断片を合成することができる。 以上のような様々な技術を用いることにより,機能的には類似しているが構造は同一ではない酵素を生産することが可能であることが理解されよう。

    従って本明細書で用いられている“BAL"という用語の意味するところは,膵臓カルボキシルエステラーゼ及び乳BALのみならず,これらと機能的に均等な酵素と該酵素断片をも含み,その由来(source)や製造方法は問わない。 ある酵素や酵素断片が,胆汁酸塩によって活性化され,かつ,脂肪酸エステルを加水分解する働きがあるという特徴を持っているならば,該酵素や該酵素断片は機能的に均等である。 同様に,本明細書の中で「・・・
    は,これらの酵素に由来する」とか,「・・・は,これらの自然の素材,例えば膵臓組織,膵臓分泌液,乳に由来する」という語句の意味するところは,精製等により直接生産すること及び遺伝子工学,蛋白質合成等により間接的に生産することの両者を包含するものである。

    食品組成物で使用されるBALの由来は,該組成物を摂取する対象(subject)と同じ動物種であることが好ましい。 例えば,対象としてヒトを念頭においているならば,BALの由来はヒト由来のもの・・・ヒト乳,ヒト膵臓カルボキシルエステラーゼなど・・・が好ましい。 しかしながら上述したように乳BALはヒト以外に少なくとも三つの動物種,即ちゴリラ,イヌ,ネコの乳にも含まれており,しかも以下の実施例に記載されているように,
    ネコBALとヒトBALとは機能的に類似しておりかつ種間で高い免疫化学的交差反応性を示す。 それ故,BALの由来は,該組成物を摂取する対象と同じ動物種であることが好ましいとはいえ,別の動物種由来のBALを使用しても問題がないと考えられる。

    BALは本発明に従って乳より単離され使用のために精製されうる。 乳からのBALの単離方法は,好ましくはWan
    gとJohnsonの記載した方法(Anal.Biochem., 133 :457−4
    61(1983))によるのがよい。 この方法ではキレートセファロースを支持体とするアフィニティクロマトグラフィーを使用して集められる。 次いでヘパリンセファロースによりラクトフェリン(lactoferrin)を除去する。
    本方法を用いることにより,450mlのヒト脱脂乳から約30
    mgの精製酵素が得られる。 最終産物は凍結乾燥しておくことが好ましい。 後で使用する際は粉末の状態で或いは再溶解して用いる。 溶液の状態で保存する場合は冷蔵しなければならない。

    BALは上記の(乳から生産する)方法とは別に,今や確立した技術である組換DNA技術によって生産することが出来,そしてこの方法の方が好ましい。 この人工的に
    BALを合成する手法は,天然ソースから精製するよりもコストが低く,しかも効率的である。 これにはいくつかのやり方が取り得る。 例えば,ヒトBALの相補性DNAを分離し,発現ベクターに組み込んで,生物や哺乳類その他のセルラインにてその酵素を合成させうる。 ヒトBAL
    のmRNAの採取源としては,ヒト乳腺セルライン株ATCC N
    o.HBL−100を,メアリーラング州ロックビル(Rockvill
    e)にあるATCC(American Type Culture Collection)
    から入手することが出来る。 ヒトBALのmRNAの採取源をもう一つ挙げると,λファージ(λgt10およびλgt11)
    中に作成した授乳期ヒト乳房組織のcDNAライブラリーである。 なおλファージは,カルフォルニア州パロアルト(Palo Alto)のクローンテック・ラボラトリーズ社(C
    lontech Laboratories,Inc.)から入手できる。

    天然に存在するBALが既に単離されているので,これから抗BAL抗体を作成し,該抗体を用いて蛋白質発現系のライブラリー中でBALを発現しているクローンを捜し出すことが出来る。 別の方法としては,精製BALの部分構造を決定し,その構造に基づいてヌクレオチドプローブを作成し,該プローブによりBALを発現しているクローンを見い出すことが出来よう。

    E.coli,酵母,その他の微生物において機能する発現ベクターやプロモーターは適宜入手可能であり,これらによりBALを合成することができる。 同様に,ウイルスプロモーターや哺乳動物プロモーターと哺乳動物セルラインなどの蛋白質発現系も市販されていて自由に入手でき,これによってBALの発現系を他のセルラインで構築することが出来る。

    更にトランスジェニック(transgenic)動物技術を用いたもう一つのBALの合成方法を挙げることが出来る。
    まずゲノムDNAからヒトBAL遺伝子をクローニングし,次いで他の動物或いは哺乳動物セルラインに導入して酵素を合成させる。 ヒトのゲノムDNAライブラリーは市販されているし,大抵の研究室で容易に調製できるものである。 ヒトBALのcDNAを叙上の方法に従って分離し,ゲノムDNAライブラリー中のBAL遺伝子を見つけ出すのにこれをプローブとして使用する。 遺伝子の導入は公知の方法で行うことが出来る。 例えば,マウスやその他の動物への遺伝子の導入は,マイクロインジェクションにより外来遺伝子を受精卵に注入すればよい。

    このようなトランスジェニック技術により,他の動物,例えばウシにヒトBALを含有する乳を分泌させるようにすることが可能である。 この場合,ウシは多量のBA
    Lを生産するばかりでなく,BALを乳ベースに産生することになる。 本発明の食品組成物がこのようにして製造される場合,(BALを含んでいる)この乳は熱,即ち50℃
    以上に曝してはならないことが理解されよう。 熱により酵素の活性が低下するからである。 この乳を調製するのに,特に煮沸殺菌操作のような通常の操作を通してはならない。

    膵臓カルボキシルエステラーゼは,膵液からWangとKl
    oerが記載した方法(Biochim.Biophys.Acta, 754 :142−1
    49(1983))により、アフィニティクロマトグラフィーを用いて単離することが出来る。 しかしながら乳BALの場合と同様に,上述した組換えDNA技術やトランスジェニック技術で合成した方が,より大量かつ低いコストで酵素を得ることが出来るであろう。

    BALを実質的に純粋な状態で得られたならば,該BALを栄養ベースに加える。 好ましいベースは液状,即ち乳や育児用配合物であるから,BALはベース中に粉末状で添加されうる。 或いはBALを水若しくは非酸性溶液に溶解し,そしてベースと混合してもよい。

    BALは栄養ベース中の脂質を対象が加水分解するのを改善するに十分な量加えられる。 食品組成物を与えられる対象の種(species)が乳中にBAL含む種(例えばヒト)である場合は,加えるBALの量は該種の乳中に通常含まれている量が目安となる。 例として,ヒト乳は,ヒト脱脂乳1ml中約0.1mgのBALを含むことが示されている。 従って本発明の食品組成物1ml中の好ましいBAL濃度は少なくとも約0.001mgであり,更に好ましくは少なくとも約0.05mgであり,最も好ましくは約0.1mgである。
    或いは組成物に含まれるべき量は組成物中の脂質の量に対して,少なくとも1:2000(重量比)であり,より好ましくは少なくとも1:1000であり,最も好ましくは1:200
    である。 即ち好まいいBALの量は,組成物中の200mgの脂質当たり1mgである。

    本発明により,牛乳を強化する方法が提供される。 ウシ以外の動物種に由来するBALを効果的な量の牛乳に加える。 このBALは上記のゆに得られもしくは調製されうる。 上述したように,効果的な量とは,牛乳がヒト乳児などの対象により摂取されるときその乳中の脂質の加水分解を向上させるのに少なくとも十分な量である。 対象がヒトであるとき,好ましいBALはヒト膵臓カルボキシルエステラーゼもしくはヒト乳BALを含有し,最も好ましくはヒト乳BALを含有する。 好ましいBAL濃度は乳1ml
    当り約0.1mg,もしくは脂質200mg当り約1mgである。

    同様に本発明は,BALに乏しい脂質含有育児用配合物を強化する方法を提供する。 該配合物は好ましくは牛乳を含むが,乳をベースとしない配合物であってもよい。 BA
    Lは叙上した効果的な量を添加する。 BALは好ましくは与えようとする幼動物の種と同じ種由来のものが好ましい。 あるいは,膵臓カルボキシエステラーゼも使用することができ,その場合も配合物を摂取する幼動物の種と同一の種由来のものが好ましい。

    本発明は更に,膵臓のBAL,とりわけ膵臓カルボキシルエステラーゼの産生が不十分な患者(subject)を治療する方法を包含する。 このような症状は膵臓病或いは外傷によって脂質の吸収が減少している患者に起こるものである。 又,嚢胞性腺維症の様な遺伝病(genetic diso
    rder)は膵臓による酵素産生,引いては脂質吸収に影響を与える。

    本発明の方法はこれらの疾病に治療法を提供する。 本発明の方法によれな,患者の脂質摂取と関連してBALが投与される。 BALは膵臓カルボキシルエステラーゼでも乳BALでもよく,投与形態は粉末状でも液状でもよい。 B
    ALを患者の食物や飲物と混合してもよいし,腸溶性カプセル(enteric coated capsule)や錠剤にして与えてもよい。 投与のタイミングは食事の直前,直後或いは食事と同時のいずれでもよい。

    BALは患者が摂取した脂質の吸収や消化を改善するに十分な量投与する。 この治療法が必要な患者の膵臓機能のレベルには幅があることに注意しなければならない。
    それゆえ、一人一人の患者の脂質吸収の試験をやっておくことが望ましく,それにより最適の脂脂吸収を得るのに必要なBALの量を更に正確に決めることが出来る。

    上述した(脂質の吸収や消化が不全の)疾病の中には,胆汁酸塩の産生が無い,或いは欠乏している場合があることが考えられよう。 そのような場合,本発明に従って治療を行なうにはBALと共に胆汁酸塩を投与することが必要となるかもしれない。 このような投与法が必要な際は,胆汁酸塩とBALとが患者が摂取する前に脂質と反応しないようにしなければならない。 両者が反応すると不快な臭いを生じるからである。

    確立された知見ではないが,ヒト新生児,とりわけ未熟児は膵臓の発達が不完全であり,そのために酵素の分泌が出生時は不十分であると考えられている。 ヒト乳に
    BALが含まれているのはこのような新生児の未熟な膵臓機能を補うためであろうとされている。 しかしながら多くのヒト新生児は母乳栄養で育てられておらず,しかも最も普及している育児用配合物は乳BALを含まない牛乳を成分としているのである。

    それゆえ,本発明は新生児によりよい栄養摂取を提供する。 第1のソースに由来し,脂質を含む食品ベースが新生児に与えられる。 このベースは好ましくは牛乳を含むもの,若しくは牛乳を含む育児用配合物である。 しかしながら必要ならば乳を含まず必要な脂質は含有している配合物を用いてもよい。

    第2のソース由来のBALを,新生児の摂取した配合物中の脂質の消化を改善するに十分な量新生児に与える。
    そして最も好ましくはベース中の脂質200mg当たり1mgの割合でBALを与える。 好ましくはこのBALは新生児の種と同じ種に由来し,それゆえ,ヒトのBAL,好ましくは乳BA
    Lを,ヒト新生児に与える。 BALはベースと一緒に或いは直前若しくは直後に与えられる。

    (実施例) 実施例1(ヒト及びネコの乳のBALの活性) 最近Freedらは,ネコ及びイヌの乳にBALが存在することを報告している(Biochim.Biophys.Acta, 878 :209−21
    5(1986))。 本発明者らはこの研究結果を確認する実験を行った。

    ネコ乳は,4匹の通常のネコから採取した。 乳はMcKenz
    ie及びAnderson(J.Dairy Sci., 62 :1469−1470(197
    9))が記載している子ネコ授乳用器具と同様のものを用いて搾乳した。 産後15日目のヒト乳試料は,オレゴン健康化学センター(Oregon Health Science Center)で採取され,ドライアイスで冷却して運送されて来たものを用いた。

    ヒト乳及びネコ乳試料に含有されているリパーゼ活性は,トリオレオイルグリセロール(trioleoylglycero
    l)を基質として,Wangらの方法(Clin.Chem., 27 :663−6
    68(1981))により測定した。 測定は全てpH8.5のNH 4 OH
    −HCl緩衝液中で行った。 基質の濃度は10μmol/mlであり,これに0.1μCi/molの標識基質,即ちグリセロールトリ[ 14 C]オレイン酸(イリノイ州アーリントン・ハイトのアマーシャム社製)を加えた。 ウシ血清アルブミンの濃度は60mg/ml,アクチベーターであるタウロコール酸(胆汁酸)の濃度は20mMであった。 なお測定混合液の最終容量は1.0mlであった。

    上記混合液を37℃のシェーキング・ウォーター・バス中で1時間インキュベートした後,イソプロパノールと
    1.5MH 2 SO 4の混合液(40:1,V/V)4mlを加えて反応を停止させた。 混合後,更に水2mlとヘキサン5mlとを加え,
    ボルテックスで攪拌して脂質画分を抽出した。 分離したヘキサン層3mlを取って,更に1mlの0.2MのKOHを加えることによっえ脂肪酸を抽出した。 水層のKOH溶液から0.5
    mlを取ってシンチレーションカウンターにかけ,常法により放射能を測定した。 なお,37℃で1時間当たり1μm
    olの脂肪酸の遊離を触媒する酵素の量を活性1ユニットと定義した。 結果を表1に示す。

    表1のデータからBALについての先の報告が正しかったことが確認された。 また,ネコ乳においてBALの平均活性が,乳汁分泌期間が長くなるほど低下することが示された。 しかしながら,測定された動物間で酵素活性のばらつきが大きいため,この低下は統計的には有意であるとは言えない。 ヒト乳はネコ乳の約2倍の酵素活性を有している。

    実施例2(ヒト乳とネコ乳の免疫化学的比較) ネコBALとヒトBALが機能的に類似している,即ち,両酵素とも脂質を加水分解することは,既に報告されている(Freed,et al.,Biochim.Biophys.Acta., 878 :209−21
    5(1986))。 しかしながらこれらの酵素の免疫化学的類似性ひまだ確認されていなかった。 そこで本発明者らは,抗体阻止試験を用いて,ヒトBALとネコBALの交差反応性を調べた。

    ヒトBALに対する抗体はウサギから調製した。 ウサギの抗血清中の抗体を集め,アフィニティクロマトグラフィーで精製した。 特にアフィニティカラムについては,
    精製ヒトBALとセファロース4Bを共有結合させたビーズを詰めたものを用いた。 吸着された抗体を溶出させるのには3MのNaSCNを使用した。 次いで,単一特異性を有する抗体を用いてリパーゼアッセイ法により,該抗体のヒト乳BAL及びネコ乳BALとの反応性を試験した。 結果は表2に示す。

    表2が示すように,ヒト乳BALに対する抗体は,ネコ乳及びヒト乳中の酵素活性を阻害した。 しかしながらト酵素抗体のネコ酵素に対する反応性は,ヒト酵素に対する反応性の約70%に過ぎなかった。 この知見から本発明者らは,ヒトBALとネコBALとは種を越えて強い交差反応を示すが,同一物質ではないと結論した。

    実施例3(生育に関する比較実験) 以上の実験によりネコ乳はBALを含んでおり,且つ,
    ヒトBALはネコBALに免疫化学的に類似していることが確認されたので,精製ヒトBALを用いてBALの消化機能を研究するのに,子ネコを動物モデルとすることにした。 通常品種の3匹の妊娠ネコを選び,正常分娩させた。 産子数は一腹6匹づつであった(そのうち2匹は死亡した)。 産後48時間は全ての子ネコに,生残させるために母乳を飲ませた。 この新生児期の母乳摂取期間の終了後,5日間にわたる栄養実験を開始した。

    3つの同腹子群それぞれから,4匹(雄2匹,雌2匹)
    づつの子ネコを適当に選び出した。 これら各々一群4匹のうち,雄雌1匹づつは対照として用いた。 そして各群の残りの雄雌1匹づつを実験に供した。 上記の各同腹子群から4匹づつの選択からもれた残りのネコには,5日間の実験期間中母乳栄養を与え続けた。 但し,母乳を与え続けたこれら6匹の子ネコのうち2匹は死亡したため,
    母乳摂取群は4匹となった。

    対照群の6匹の子ネコには,市販の子ネコ育児用調製乳(商品名ボーデン・リキッドKMR,子ネコ用ミルク代替品,イリノイ州ハンプシャーのPet−AG,Inc.製)と市販のビタミン添加ホモジェナイズド牛乳(商品名ボーデン・ホモジェナイズド・ビタミンD牛乳)を3:1の比に混合したものを与えた。 実験群の6匹の子ネコには,対照群に与えたものに加えて更に精製ヒトBALを最終濃度が
    0.1mg/mlとなるように添加したのを与えた。 なおここで使用されたBALは,Wangらの方法(Anal.Biochem., 133 :45
    7−461(1983))によって精製されたものである。

    上記調製乳は5日間1時間毎に2mlづつ各子ネコに人手により与えた。 上記調製乳は新鮮なものを毎日調製した。 子ネコは全て毎日ほぼ同じ時刻に体重を測定し,それを記録した。 表3に結果を示す。

    表3のデータが示すように,母乳栄養で生育した子ネコは平均13.3±2.0g/日の早さで成長した。 実験群(酵素を添加した調製乳を与えられる群)は,母乳栄養群とほぼ同じ早さ,即ち11.4±0.6g/日の割合で成長した。


    他方,対照群(酵素を添加していない調製乳を与えられた群)の成長は,母乳栄養群の半分以下の6.5±1.0g/日に留まった。 以上の結果から,本発明者らは,BALが脂質吸収における主要な律速印紙,即ち子ネコの成長の律速因子であるものと結論した。 既に確立されている事実である,ヒトBALとネコBALとが免疫化学的類似性を考え合わせ,本発明者らはBALがヒト乳児の成長においてもネコの場合と同様に重要な役割を持っているものと結論した。

    以上述べたことから,本発明は簡便,安価にして入手容易な食品添加物を提供するものであって,脂質の消化及び全身的栄養状態の改善に寄与するものであることが理解されよう。 本発明は様々なことに適用され得るが,
    就中好ましい実施態様は,ヒト乳児の調製粉乳及びヒト乳児へ栄養を与える方法に関するものである。

    本願の特許請求の範囲で定義される本発明の技術思想と範囲から逸脱しない限り,本願明細書に記載された,
    性質,組成,手法,及び様々な要素,ステップ並びに方法の順序の変更は,本発明に含有されるものである。

    (開示の要約) 本発明はBALで強化された食品組成物,特に牛乳をベースとする新生動物用調製乳に関する。 また本発明は新制動物及び未熟出生動物にBALを与えて脂質の消化を改善し,引いては成長速度を早める方法を与えるものである。 更に,膵臓の酵素の分泌が不足している対象生体(subject)に,BALと脂質とを与える処置方法に関する内容も開示される。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 チースン ワン アメリカ合衆国 オクラホマ 73162 オクラホマ シティ,オールドウィック サークル 11813 (56)参考文献 特開 昭61−162130(JP,A) 特公 昭55−42613(JP,B2) 特公 昭41−17619(JP,B1) 特公 昭42−22193(JP,B1) 実公 昭44−10754(JP,Y1)

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