弱酸性乳飲料の製造方法

申请号 JP2014228914 申请日 2014-11-11 公开(公告)号 JP2016086789A 公开(公告)日 2016-05-23
申请人 株式会社明治; 发明人 今澤 武司; 林 諭;
摘要 【課題】 風味および食感が良好であり、品質および物性が安定した、弱酸性の乳飲料を製造することができる方法を提供する。 【解決手段】 弱酸性乳飲料の製造方法であって、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、上記乳原料または上記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、上記乳原料および上記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、および殺菌した上記乳原料と殺菌した上記酸原料とを混合して、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む。 【選択図】 なし
权利要求

弱酸性乳飲料の製造方法であって、 乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、 前記乳原料または前記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、 前記乳原料および前記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに 殺菌した前記乳原料と殺菌した前記酸原料とを混合して、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、製造方法。前記配合工程において、前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩は前記酸原料に配合される、請求項1に記載の製造方法。前記弱酸性乳飲料の平均粒径が10μm以下である、請求項1または2に記載の製造方法。前記弱酸性乳飲料のpHが5.0以上5.3以下であり、 前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上である、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記弱酸性乳飲料のpHが4.6以上5.0未満であり、 前記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が0.5重量%以下のとき、前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上である、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記弱酸性乳飲料のpHが4.8以上5.0未満であり、 前記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%以下のとき、前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上であり、 前記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%より多いとき、前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.2重量%以上である、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。前記弱酸性乳飲料のpHが4.6以上4.8未満であり、 前記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%以下のとき、前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.2重量%以上であり、 前記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%より多いとき、前記弱酸性乳飲料における前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.3重量%以上である、 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集を抑制する方法であって、 乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、 前記乳原料または前記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、 前記乳原料および前記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに 殺菌した前記乳原料と殺菌した前記酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、方法。弱酸性乳飲料の平均粒径を10μm以下に制御する方法であって、 乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、 前記乳原料または前記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、 前記乳原料および前記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに 殺菌した前記乳原料と殺菌した前記酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、方法。請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造され、pHが4.6〜5.3であり、かつ平均粒径が10μm以下である、弱酸性乳飲料。

说明书全文

本発明は、弱酸性乳飲料の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、タンパク質の凝集が抑制され、風味および食感が良好であり、品質および物性が安定した弱酸性乳飲料の製造方法に関する。

pH:5付近の弱酸性の乳飲料では、他の乳飲料に比べて、風味面で優位性が確認されている。しかし、従来の製造方法では、タンパク質の凝集が顕著に生じることがあり、安定した製品の供給が確立されていなかった。

たとえば、特許文献1には、乳成分を殺菌し、別途、酸性香味成分を殺菌し、これらを混合し、容器に充填する、乳成分含有飲料の製造方法が記載されている。本文献には、この方法を用いれば、pH調整剤等の乳成分の安定剤を添加する必要がなく、本来の風味を保持することができることが記載されている。しかし、この方法を用いて、pH:5付近の弱酸性の乳飲料を製造すると、カゼインの等電点(pH:4.6)に近いため、乳タンパク質の凝集を生じてしまい、安定した品質を得ることができない。

また、特許文献2には、乳タンパク質成分含有飲料中に炭酸塩及び/またはクエン酸塩を添加して、飲料のpHを元のpHからアルカリ性側に調整して中性域からアルカリ性域にした後、該飲料中に酸性の添加物を加えて弱酸性域のpHとし、その後均質化処理を行う、弱酸性乳タンパク質含有飲料の製造方法が記載されている。この方法であれば、弱酸性の乳飲料において、乳タンパク質の凝集を抑制することができるが、炭酸塩やクエン酸塩を添加するため、風味面、特に塩味の調整が困難である。

特開2000-139342号公報

特開2006-333719号公報

本発明は、風味および食感が良好であり、品質および物性が安定した、弱酸性の乳飲料を製造することができる方法を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、以下の点に深く考慮することにより、本発明を完成させた。

本発明者らは、乳成分を含む原料液(原料乳)と酸成分を含む原料液(酸溶液)とを別々に調製し、これらの原料乳または酸溶液にカルボキシメチルセルロースを少量で配合した。次いで、これらの原料乳と酸溶液とを別々に加熱殺菌してから冷却した後に、これらの原料乳と酸溶液とを混合した。その結果、この方法であれば、タンパク質の凝集を抑制(防止)しながら、弱酸性(pH:5付近)の乳飲料(弱酸性乳)を安定して製造できることを見出した。

また、pH:4.6付近では、脂質を有する原料(たとえば乳)とカルボキシメチルセルロースとを混合すると耐熱性が著しく悪化して、加熱殺菌工程において凝集や焦げ付きが生じてしまうという問題があったが、上述した方法において、酸溶液にカルボキシメチルセルロースを配合することにより、pH:4.6付近の乳飲料であっても安定して製造できることを見出した。

本発明は、弱酸性乳飲料の製造方法であって、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、上記乳原料または上記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、上記乳原料および上記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに殺菌した上記乳原料と殺菌した上記酸原料とを混合して、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記配合工程において、上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩は上記酸原料に配合される、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記製造方法において、上記弱酸性乳飲料の平均粒径が10μm以下である、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記弱酸性乳飲料のpHが5.0以上5.3以下であり、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上である、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記弱酸性乳飲料のpHが4.6以上5.0未満であり、上記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が0.5重量%以下のとき、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上である、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記弱酸性乳飲料のpHが4.8以上5.0未満であり、上記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%以下のとき、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.1重量%以上であり、上記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%より多いとき、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.2重量%以上である、製造方法を提供する。

また、本発明は、上記弱酸性乳飲料のpHが4.6以上4.8未満であり、上記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%以下のとき、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.2重量%以上であり、上記弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量が1.3重量%より多いとき、上記弱酸性乳飲料における上記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の配合量が0.3重量%以上である、製造方法を提供する。

また、本発明は、弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集を抑制する方法であって、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、上記乳原料または上記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、上記乳原料および上記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに殺菌した上記乳原料と殺菌した上記酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、方法を提供する。

また、本発明は、弱酸性乳飲料の平均粒径を10μm以下に制御する方法であって、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、上記乳原料または上記酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、上記乳原料および上記酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに殺菌した上記乳原料と殺菌した上記酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む、方法を提供する。

また、本発明は、上記製造方法のいずれかを用いて製造され、pHが4.6〜5.3であり、かつ平均粒径が10μm以下である、弱酸性乳飲料を提供する。

本発明であれば、乳原料または酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースを配合し、これらを別々に殺菌した後に混合して弱酸性に調整するため、製造過程および製造後のタンパク質の凝集を抑制することができる。また、pHを一旦アルカリ性側に調整するために、炭酸塩やクエン酸塩などを添加する必要がないため、良好な風味を得ることができる。したがって、タンパク質の凝集がなく、風味および食感が良好であり、品質および物性が安定した乳飲料を提供することができる。

〔弱酸性乳飲料の製造方法〕 本発明は、弱酸性乳飲料の製造方法を提供する。本明細書において、「弱酸性」とは、カゼインの等電点〜中性の範囲のpHであること、たとえば、pHが4.6〜6.3であることをいう。本発明における弱酸性乳飲料のpHは、弱酸性であればよく、4.6〜6.3の範囲内、好ましくは4.6〜5.3の範囲内であってもよい。「弱酸性乳飲料」とは、生乳、牛乳または乳製品などを主原料とし、酸性材料(酸原料)と混合されることで、弱酸性に調整された飲料である。

本発明はまた、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料の製造方法を提供する。本明細書において「タンパク質の凝集が抑制されている」とは、目視したときに凝集物が見られず、外観が良好であることをいう。

本発明はまた、平均粒径が10μm以下である弱酸性乳飲料の製造方法を提供する。本発明における平均粒径は、弱酸性乳飲料に含まれるタンパク質および/または脂肪によって構成される粒子の粒径の平均値である。タンパク質および/または脂肪によって構成される粒子は、たとえば、カゼインミセルおよび脂肪球などである。平均粒径は、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、最も好ましくは1μm以下である。弱酸性乳飲料の平均粒径が10μm以下であれば、製造直後においてタンパク質が凝集していないだけでなく、その後の貯蔵、輸送および販売などの期間(たとえば消費期限または賞味期限までの間)においても、タンパク質の凝集を抑制することができる。平均粒径が10μm以下であることは、風味および品質などが長期間にわたって安定して維持されていることを示す指標として利用することができる。さらに、弱酸性乳飲料の平均粒径が1μm以下であれば、その後の貯蔵、輸送および販売などの期間(たとえば消費期限または賞味期限までの間)においても、タンパク質の凝集による、わずかな沈殿も生じず、風味および品質などが極めて安定している。

平均粒径は、任意の粒度分布測定方法を用いて測定した粒度分布の平均値であることができ、たとえば、島津製作所社製のSALDシリーズなどのレーザ回折式粒度分布測定装置において測定および算出した平均粒径であってもよい。

本発明の製造方法は、以下に詳述する調製工程、配合工程、殺菌工程および混合工程を含む。

(調製工程) 調製工程は、乳原料および酸原料を別々に調製する工程である。本明細書において「別々に調製する」とは、乳原料と酸原料とを互いに分離した環境で(たとえば、別の容器またはタンク等で)調製することをいい、互いに同時並行で調製してもよいし、互いに異なる時期に調製してもよい。

乳原料は、乳成分を含む原料である。乳成分は、乳タンパク質および/または乳脂肪を含むものであり、たとえば、生乳、牛乳、脱脂乳、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、加糖脱脂練乳、無糖脱脂練乳、乳清(ホエイ)、ホエイパウダー、脱塩ホエイ、脱塩ホエイパウダー、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、乳タンパク質濃縮物(MPC)、カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、クリーム、バター、バターオイル、発酵バター、発酵クリーム、コンパウンドクリーム、バターミルクパウダーおよびクリームパウダーなどであってもよい。

乳原料は、乳成分だけを含んでもよいし、弱酸性より高いpHが維持される範囲で、その他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分には、たとえば、、糖類、香味成分、香料、色素、ミネラル(塩類)、ビタミンおよびその他の食品用添加物などが含まれる。

乳原料を調製する方法は、特に限定されないが、たとえば、乳成分およびその他の任意の成分を配合して混合してもよく、たとえば、加温(たとえば、約50〜60℃)してから混合してもよい。

酸原料は、乳飲料のpHを弱酸性に調整するための原料であり、酸性の成分(酸成分)を含む原料である。酸成分は、溶液中で酸として働く、飲食品に使用可能な物質であればよく、たとえば、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸および乳酸などのpH調整剤であってもよい。また、酸成分は、酸性を呈する香味成分であってもよく、たとえば、イチゴ、ブドウ、パイナップル、リンゴ、柑橘類、ベリー類、バナナ、およびマンゴーなどの果汁類;コーヒー、ココア、紅茶、抹茶および緑茶などの茶類;トマト、ニンジンおよびほうれん草などの野菜汁類;並びに上述した果汁類、茶類および野菜汁類のエキスおよびフレーバーなどを含む。

酸原料は、酸成分だけを含んでもよいし、酸性のpHが維持される範囲で、その他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分には、たとえば、水、糖類、食物繊維、ミネラル(塩類)、ビタミン、ポリフェノール、コラーゲン、セラミド、香料、色素、およびその他の食品用添加物などが含まれる。

酸原料を調製する方法は、特に限定されないが、たとえば、酸成分およびその他の任意の成分を配合して混合してもよく、たとえば、加温(たとえば、約50〜60℃)してから混合してもよい。

その他の成分として、糖類には、たとえば、単糖類、二糖、オリゴ糖類およびデキストリンなどが含まれる。

食物繊維として、難消化性デキストリン、グルコマンナン、アルギン酸、フコンダイン、グアーガムおよびコンドロイチンなどが含まれる。

また、その他の成分として、ミネラル(塩類)には、たとえば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、銅、亜鉛およびリンなどが含まれ、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩および酒石酸塩などが含まれる。クエン酸塩として、たとえば、クエン酸ナトリウムを用いることができる。

また、その他の成分として、ビタミンには、たとえば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、パントテン酸、ビタミンC、コリン、コエンザイムQ、ルテインおよびカルニチンなどが含まれる。

また、ポリフェノールとは、1分子内に2つ以上のフェノール性ヒドロキシ基を持つ化合物の総称をいう。その他の成分として、ポリフェノールには、たとえば、フラボノイド、フェノール酸、エラグ酸、リグナン、クルクミンおよびクマリンなどが含まれる。また、その他の成分として、コラーゲンには、たとえば、哺乳類由来、魚類由来および植物由来のコラーゲン、並びにコラーゲンペプチドなどが含まれる。また、その他の成分として、セラミドには、たとえば、動物由来、植物由来および生物由来のセラミドなどが含まれる。

また、その他の成分として、香料には、たとえば、イチゴ、ブドウ、パイナップル、リンゴ、柑橘類、ベリー類、バナナ、およびマンゴーなどの果汁、エキスもしくはフレーバー;コーヒーのエキスもしくはフレーバー;ココアのエキスもしくはフレーバー;紅茶、抹茶および緑茶などの茶葉、エキスもしくはフレーバー;トマト、ニンジンおよびほうれん草などの野菜汁、エキスもしくはフレーバーなどが含まれる。また、色素として、飲食品に使用可能な任意の色素を用いることができる。

また、その他の成分として、食品用添加物には、たとえば、重曹などのpH調整剤、色素、香味成分、乳化剤、酸化防止剤および甘味料などが含まれる。

(配合工程) 配合工程は、乳原料または酸原料のいずれかに、安定剤としてカルボキシメチルセルロースまたはその塩(以下、単に「カルボキシメチルセルロース」または「CMC」ともいう。)を配合する工程である。配合工程は、調製工程後に行ってもよいし、調製工程中に行ってもよい。すなわち、カルボキシメチルセルロースは、調製工程後に配合してもよいし、調製工程中に乳原料または酸原料を調製する他の成分と同時に配合してもよい。

カルボキシメチルセルロースは、セルロースの誘導体であり、セルロースの骨格を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシ基の一部にカルボキシメチル基(-CH2COOH)を結合させたものである。カルボキシメチルセルロースの塩には、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムなどが含まれる。そして、分散性や風味の観点から、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。

カルボキシメチルセルロースは、乳原料および酸原料のいずれに配合してもよいが、酸原料にカルボキシメチルセルロースを配合すれば、タンパク質の凝集をより安定して抑制することができる。本発明の方法では、乳原料または酸原料の一方のみにカルボキシメチルセルロースを配合し、他方には配合しなくてもよいが、乳原料および酸原料の両方にカルボキシメチルセルロースを配合する態様を排除するものではない。

(殺菌工程) 殺菌工程は、調製工程後および配合工程後の乳原料および酸原料を別々に殺菌する工程である。本明細書において「別々に殺菌する」とは、乳原料と酸原料とをそれぞれ別の工程において(たとえば、別のタンクまたは設備等で)殺菌することをいい、互いに同時並行で殺菌してもよいし、互いに異なる時期に殺菌してもよい。

殺菌する方法として、特に限定されないが、たとえば、加熱殺菌する方法および高圧殺菌する方法などを利用することができる。加熱殺菌する場合には、食品分野において通常で用いられる方法や設備により加熱殺菌することができ、たとえば、低温保持殺菌法(LTLT)、高温保持殺菌法(HTLT)、高温短時間殺菌法(HTST)および超高温瞬間殺菌法(UHT)などの方法を用いることができ、間接加熱式殺菌機(プレート式殺菌機およびチューブ式殺菌機等)、直接加熱式殺菌機(スチームインジェクション式殺菌機およびスチームインフュージョン式殺菌機等)、通電加熱式殺菌機、レトルト殺菌機、撹拌・調温の機能付きのタンクおよび撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンクなどの設備を用いることができる。

(混合工程) 混合工程は、殺菌工程後に、殺菌した乳原料と殺菌した酸原料とを混合して、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を調製する工程である。この混合工程では、酸原料により乳原料が弱酸性に調整されるが、乳原料または酸原料にカルボキシメチルセルロースが配合されているため、乳原料に含まれるタンパク質の凝集が抑制される。また、殺菌工程後に混合するため、混合物を殺菌のために加熱等する必要がなく、タンパク質の凝集をさらに抑制することができる。したがって、この混合工程により、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を得ることができる。

混合する方法としては、食品分野において通常で用いられる方法や設備により混合することができ、たとえば、撹拌の機能付きのタンク(撹拌・調温の機能付きのタンク、撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンクなどを含む)、インラインミキサー(スタティックミキサーなどを含む)などの設備を用いることができる。

また、殺菌した乳原料と殺菌した酸原料とを混合する速度は、特に限定されず、任意の速度で混合することによって、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を得ることができる。殺菌した乳原料と殺菌した酸原料とを混合する温度は、特に限定されないが、3℃〜50℃であれば、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料を安定して得ることができる。

本発明の製造方法では、混合工程において得られる弱酸性乳飲料においてタンパク質の凝集が抑制されているため、均質化する必要がない。したがって、従来の方法より簡単な設備を用いて、弱酸性乳飲料を製造することができる。

(カルボキシメチルセルロースの配合量) 配合工程におけるカルボキシメチルセルロースの配合量は、弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量およびpHを考慮して、タンパク質の凝集を抑制するように適宜設定することができる。

たとえば、本発明の製造方法によって製造される弱酸性乳飲料のpHが5.0以上5.3以下である場合、タンパク質含量が好ましくは2.0重量%以下のとき、CMCの配合量が0.1重量%以上であれば、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および品質が安定して維持される弱酸性乳飲料を得ることができる。

たとえば、本発明の製造方法によって製造される弱酸性乳飲料のpHが4.6以上5.0未満である場合、タンパク質含量が好ましくは0.5重量%以下のとき、CMCの配合量が0.1重量%以上であれば、タンパク質が凝集していない弱酸性乳飲料を得ることができる。

たとえば、本発明の製造方法によって製造される弱酸性乳飲料のpHが4.8以上5.0未満である場合、タンパク質含量が1.3重量%以下のとき、CMCの配合量が0.1重量%以上であり、タンパク質含量が1.3重量%より多く、好ましくは2.0重量%以下のとき、CMCの配合量が0.2重量%以上であれば、タンパク質が凝集していない弱酸性乳飲料を得ることができる。

また、本発明の製造方法によって製造される弱酸性乳飲料のpHが4.6以上4.8未満である場合、タンパク質含量が0.5重量%より多く1.3重量%以下のとき、CMCの配合量が0.2重量%以上であり、タンパク質含量が1.3重量%より多く、好ましくは2.0重量%以下のとき、CMCの配合量が0.3重量%以上であれば、タンパク質が凝集していない弱酸性乳飲料を得ることができる。

また、タンパク質含量が上述した条件より多い場合には、CMCの配合量をさらに多くすれば、タンパク質の凝集を抑制することができる。このようなCMCの配合量は、適宜設定することができる。

カルボキシメチルセルロースの配合量は、特に限定されないが、風味を良好にするために、弱酸性乳飲料の1.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることができる。

〔弱酸性乳飲料〕 本発明はまた、本発明の製造方法を用いて製造された弱酸性乳飲料を提供する。また、本発明の弱酸性乳飲料は、本発明の製造方法を用いて製造された、pHが4.6〜5.3である弱酸性乳飲料をも包含する。また、本発明の弱酸性乳飲料は、本発明の製造方法を用いて製造された、タンパク質の凝集が抑制されている弱酸性乳飲料をも包含する。また、本発明の弱酸性乳飲料は、本発明の製造方法を用いて製造された、平均粒径が10μm以下である弱酸性乳飲料をも包含する。

本発明の弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量は、特に限定されないが、たとえば0.1重量%以上であってもよく、その上で、たとえば5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下であってもよい。本発明の弱酸性乳飲料における脂肪含量は、特に限定されないが、たとえば0.3重量%以上であってもよく、その上で、たとえば5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下であってもよい。

本発明の弱酸性乳飲料は、任意の容器に充填して密封され、容器詰飲料の形態とすることができる。本発明では、乳原料と酸原料とを別々に殺菌するため、高温で加熱殺菌した場合にも、タンパク質の凝集を抑制することができる。また、乳原料または酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースを配合することにより、製造後の弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集が十分に抑制され、弱酸性乳飲料の風味や品質などを良好に維持することができる。したがって、本発明では、弱酸性乳飲料を長期間に亘って冷蔵保存することができる。

〔弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集を抑制する方法〕 本発明はまた、弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集を抑制する方法を提供する。本発明の方法は、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、乳原料または酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、乳原料および酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに殺菌した乳原料と殺菌した酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む。調製工程、配合工程、殺菌工程および混合工程は、本発明の製造方法において上述したように行うことができる。

本発明の弱酸性乳飲料におけるタンパク質の凝集を抑制する方法によれば、風味および食感が良好であり、品質および物性が安定した弱酸性乳飲料を提供することができる。

〔弱酸性乳飲料の平均粒径を10μm以下に制御する方法〕 本発明はまた、弱酸性乳飲料の平均粒径を10μm以下に制御する方法を提供する。本発明の方法は、乳成分を含む乳原料および酸成分を含む酸原料を別々に調製する調製工程、乳原料または酸原料のいずれかにカルボキシメチルセルロースまたはその塩を配合する配合工程、乳原料および酸原料を別々に殺菌する殺菌工程、ならびに殺菌した乳原料と殺菌した酸原料とを混合して、弱酸性乳飲料を調製する混合工程を含む。調製工程、配合工程、殺菌工程および混合工程は、本発明の製造方法において上述したように行うことができる。

本発明の弱酸性乳飲料の平均粒径を10μm以下に制御する方法によれば、風味、食感、品質および物性が長期間にわたって安定して維持される弱酸性乳飲料を提供することができる。

以下に実施例を示し、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

(安定剤) 本実施例では、安定剤として、安定剤A:カルボキシメチルセルロース(CMC)(MG-1(T.P.T)、日本製紙ケミカル社)、安定剤B:カラギナン重合体(p-Hive、三栄源エフエフアイ社)および安定剤C:ペクチン(KMS 200、CP Kelco)を用いた。

(外観の評価) 本実施例において、酸性乳(弱酸性乳飲料)の外観は、目視して凝集が見られないときに「良好」、存在したときに「不良」と評価した。

(平均粒径) 本実施例において、酸性乳に含まれるカゼインミセルおよび脂肪球の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布計(SALD-2200、島津製作所社)で測定した。そして、測定値が10μm以下のときに「良好」、10μmより大きいときに「不良」と評価した。

〔試験例1〕 安定剤として安定剤A〜Cを用い、以下の方法により、原料乳(乳原料)に安定剤を配合して製造した酸性乳(弱酸性乳飲料)A1〜A3および酸溶液(酸原料)に安定剤を配合して製造した酸性乳(弱酸性乳飲料)B1〜B3を得た。また、原料乳および酸溶液のいずれにも安定剤を配合せずに製造した酸性乳(弱酸性乳飲料)Cを得た。

(酸性乳A1) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を14.8重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.1重量部、水を49.9重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳A1を製造した。

(酸性乳A2) 安定剤として安定剤Bを用いた点以外は、酸性乳A1と同様にして、酸性乳A2を製造した。

(酸性乳A3) 安定剤として安定剤Cを用いた点以外は、酸性乳A1と同様にして、酸性乳A3を製造した。

(酸性乳B1) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、水を15.0重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.1重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を49.7重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳B1を製造した。

(酸性乳B2) 安定剤として安定剤Bを用いた点以外は、酸性乳B1と同様にして、酸性乳B2を製造した。

(酸性乳B3) 安定剤として安定剤Cを用いた点以外は、酸性乳B1と同様にして、酸性乳B3を製造した。

(酸性乳C) 酸性乳B1と同様にして、原料乳を調製し、酸性乳A1と同様にして、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳Cを製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表1に示すように、酸性乳A1およびB1〜B3において、外観が「良好」であり、凝集が見られなかった。また、酸性乳A1およびB1〜B3において、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、安定剤としてCMCを配合した場合には、原料乳および酸溶液のいずれに配合した場合にも、タンパク質が凝集せず、良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得られることが示された。一方、安定剤としてカラギナン重合体またはペクチンを配合した場合には、酸溶液に配合した場合には凝集が見られず、かつ平均粒径が良好であったが、原料乳に配合した場合には凝集が見られた。

〔試験例2〕 pHの影響を調べるために、pHを4.7〜5.4の間で変化させた酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(酸性乳D1) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を14.8重量部で配合して加温(約50 ℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.10重量部、水を49.9重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳D1を製造した。

(酸性乳D2) 酸溶液におけるクエン酸を0.12重量部とした点以外は、酸性乳D1と同様にして、酸性乳D2を製造した。

(酸性乳D3) 酸溶液におけるクエン酸を0.14重量部とした点以外は、酸性乳D1と同様にして、酸性乳D3を製造した。

(酸性乳E1) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、水を15.0重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.10重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を49.7重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳E1を製造した。

(酸性乳E2) 酸溶液におけるクエン酸を0.13重量部とした点以外は、酸性乳E1と同様にして、酸性乳E2を製造した。

(酸性乳E3) 酸溶液におけるクエン酸を0.15重量部とした点以外は、酸性乳E1と同様にして、酸性乳E3を製造した。

(酸性乳F1〜F3) 安定剤として安定剤Bを用いた点以外は、酸性乳E1〜E3と同様にして、酸性乳F1〜F3を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表2に示すように、酸性乳D1〜D3、E1〜E3、F1およびF2において、外観が「良好」であり、凝集が見られなかった。また、酸性乳D1〜D3、E1〜E3およびF1において、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、原料乳にCMCを0.2重量%配合した場合には、pHが4.8以上のとき、タンパク質が凝集していない酸性乳を得ることができ、良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。また、酸溶液にCMCを0.2重量%配合した場合には、pHが4.8以上のとき、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。また、酸溶液にカラギナン重合体を0.2重量%配合した場合には、pHが5.0以上のとき、タンパク質が凝集していない酸性乳を得ることができ、pHが5.1以上のとき、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。

〔試験例3〕 4つの異なる混合条件に基づき、酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(混合条件1) 原料乳および酸溶液をそれぞれ約10℃に調整し、原料乳を撹拌翼で混合しながら、そこに酸溶液を長時間かけて徐々に滴下(緩慢混合)した。

(混合条件2) 原料乳および酸溶液をそれぞれ約10℃に調整し、原料乳を撹拌翼で混合しながら、そこに酸溶液を短時間で一気に滴下(急速混合)した。

(混合条件3) 原料乳および酸溶液をそれぞれ約40℃に調整し、原料乳を撹拌翼で混合しながら、そこに酸溶液を長時間かけて徐々に滴下(緩慢混合)した。

(混合条件4) 原料乳および酸溶液をそれぞれ約40℃に調整し、原料乳を撹拌翼で混合しながら、そこに酸溶液を短時間で一気に滴下(急速混合)した。

(酸性乳G1〜G4) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、水を55.0重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA -TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.12重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を9.7重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

上記混合条件1〜4に基づき、原料乳を撹拌翼で混合しながら、そこに酸溶液を添加し、酸性乳G1〜G4をそれぞれ製造した。

(酸性乳H1〜H4) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、水を35.0重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA -TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.12重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を29.7重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

酸性乳G1〜G4と同様にして、上記混合条件1〜4に基づき、酸性乳H1〜H4を製造した。

(酸性乳I) 牛乳を30重量部、砂糖を5重量部、水を15.0重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.12重量部、安定剤Aを0.2重量部、水を49.7重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

酸性乳G1〜G4と同様にして、上記混合条件1〜4に基づき、酸性乳I1〜I4を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表3に示すように、酸性乳G1〜G4、H1〜H4およびI1〜I4の全てにおいて、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、pHが5.0以上の酸性乳において、CMCを酸溶液に0.2重量%配合した場合には、良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得るために、原料乳および酸性乳の混合条件を柔軟に選択することができることが示された。

〔試験例4〕 pH5.2の弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量の影響を調べるために、異なるタンパク質含量を有する酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(酸性乳J1) 牛乳を10重量部、砂糖を5重量部、水を55重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA社)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、原料乳を調製した。

クエン酸(結晶クエン酸、磐田化学工業社)を0.10重量部、安定剤Aを0.1重量部、水を29.8重量部で配合して加温(約50℃)してから、分散機(ULTRA-TURRAX、IKA)で混合(約1分間)し、オートクレーブで加熱(110℃、約1分間)した後に冷却(約5℃)して、酸溶液を調製した。

原料乳を撹拌翼で混合しながら、酸溶液を添加し、酸性乳J1を製造した。

(酸性乳J2) 原料乳において牛乳を30重量部とし、水を35重量部とした点以外は、酸性乳J1と同様にして、酸性乳J2を製造した。

(酸性乳J3) 原料乳において牛乳を50重量部とし、水を15重量部とした点以外は、酸性乳J1と同様にして、酸性乳J3を製造した。

(酸性乳K1〜K3) 酸溶液における安定剤Aを0.2重量部とした点以外は、酸性乳J1〜J3と同様にして、酸性乳K1〜K3を製造した。

(酸性乳L1〜L3) 酸溶液における安定剤Aを0.3重量部とした点以外は、酸性乳J1〜J3と同様にして、酸性乳L1〜L3を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表4に示すように、酸性乳J1〜J3、K1〜K3およびL1〜L3の全てにおいて、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、pHが5.2付近の酸性乳において、乳タンパク質含量が1.65重量%以下のとき、CMCを0.1重量%以上配合すれば、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。

〔試験例5〕 pH5.0の弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量の影響を調べるために、異なるタンパク質含量を有する酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(酸性乳M1〜M3) クエン酸を0.12重量部とした点以外は、酸性乳J1〜J3と同様にして、酸性乳M1〜M3を製造した。

(酸性乳N1〜N3) クエン酸を0.12重量部とした点以外は、酸性乳K1〜K3と同様にして、酸性乳N1〜N3を製造した。

(酸性乳O1〜O3) クエン酸を0.12重量部とした点以外は、酸性乳L1〜L3と同様にして、酸性乳O1〜O3を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表5に示すように、酸性乳M1〜M3、N1〜N3およびO1〜O3の全てにおいて、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、pHが5.0付近の酸性乳において、乳タンパク質含量が1.65重量%以下のとき、CMCを0.1重量%以上配合すれば、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。

〔試験例6〕 pH4.8の弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量の影響を調べるために、異なるタンパク質含量を有する酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(酸性乳P1〜P3) クエン酸を0.14重量部とした点以外は、酸性乳J1〜J3と同様にして、酸性乳P1〜P3を製造した。

(酸性乳Q1〜Q3) クエン酸を0.14重量部とした点以外は、酸性乳K1〜K3と同様にして、酸性乳Q1〜Q3を製造した。

(酸性乳R1〜R3) クエン酸を0.14重量部とした点以外は、酸性乳L1〜L3と同様にして、酸性乳R1〜R3を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表6に示すように、酸性乳P1、P2、Q1〜Q3およびR1〜R3において、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、pHが4.8付近の酸性乳において、乳タンパク質含量が0.99重量%以下のとき、CMCを0.1重量%以上配合し、乳タンパク質含量が0.99重量%より多く1.65重量%以下のとき、CMCを0.2重量%以上配合すれば、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。

〔試験例7〕 pH4.6の弱酸性乳飲料におけるタンパク質含量の影響を調べるために、異なるタンパク質含量を有する酸性乳(弱酸性乳飲料)を製造した。

(酸性乳S1〜S3) クエン酸を0.16重量部とした点以外は、酸性乳J1〜J3と同様にして、酸性乳S1〜S3を製造した。

(酸性乳T1〜T3) クエン酸を0.16重量部とした点以外は、酸性乳K1〜K3と同様にして、酸性乳T1〜T3を製造した。

(酸性乳U1〜U3) クエン酸を0.16重量部とした点以外は、酸性乳L1〜L3と同様にして、酸性乳U1〜U3を製造した。

(外観および平均粒径) 製造した酸性乳の外観および平均粒径を評価した。その結果、表7に示すように、酸性乳S1、T1、T2およびU1〜U3において、外観および平均粒径がいずれも「良好」であった。

したがって、pHが4.6付近の酸性乳において、乳タンパク質含量が0.33重量%以下のとき、CMCを0.1重量%以上配合し、乳タンパク質含量が0.33重量%より多く0.99重量%以下のとき、CMCを0.2重量%以上配合し、乳タンパク質含量が0.99重量%より多く1.65重量%以下のとき、CMCを0.3重量%以上配合すれば、タンパク質が凝集せず、さらに良好な風味および安定した品質などが維持される酸性乳を得ることができることが示された。

本発明の製造方法によれば、風味および食感が良好であり、品質および物性が良好に安定している弱酸性乳飲料を製造することが可能であるため、種々の乳飲料の製造に好適に利用することができる。

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