乳糖分の少ない発酵乳及びその製造方法

申请号 JP2011501501 申请日 2010-02-24 公开(公告)号 JPWO2010098086A1 公开(公告)日 2012-08-30
申请人 株式会社明治; 发明人 堀内 啓史; 啓史 堀内;
摘要 【課題】本発明は,乳酸菌や酵素の状況によらず,風味や品質を一定に維持できる発酵乳の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は,酵素を含む原料乳を発酵させる発酵工程と,発酵前に行う脱酸素処理工程とを含む発酵乳の製造方法に関する。そして,酵素は,活性の至適pHが中性領域であり,かつ酸性領域で失活する酵素であって,活性状態において,原料乳に含まれる乳糖を分解できるものである。実施例により実証されたとおり,発酵される前に脱酸素処理を施すことで,乳酸菌や酵素の状況によらず,発酵乳の風味や品質を一定に維持できる。【選択図】図3
权利要求
  • スターター及び酵素を含む原料乳を発酵させる発酵工程を含む発酵乳の製造方法であって,
    前記酵素は,
    活性の至適pHが中性領域であり,かつ酸性領域で失活する酵素であって,活性状態において,前記原料乳に含まれる乳糖を分解できるものであり,
    前記発酵工程の前に,原料乳を脱酸素処理する脱酸素処理工程を含む,
    発酵乳の製造方法。
  • 前記酵素は,クルイベロミセス・ラクチス由来のラクターゼである,請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記発酵工程は,
    前記原料乳に含まれる乳糖が分解されることにより,前記酵素が失活する,請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記発酵工程は,
    前記原料乳の乳糖分解率を75重量%以上90重量%以下とする工程である,請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  • 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造された発酵乳。
  • 说明书全文

    本発明は,脱酸素処理を行った原料乳を用いることで,乳酸菌や酵素の活の変化によらず,風味や品質を安定させることができる発酵乳の製造方法,及びその方法により製造された発酵乳に関する。

    特許第3389377号公報(特許文献1)には,至適pHが中性であり,酸性領域で失活する酵素(ラクターゼ)を用いた発酵乳の製造方法が開示されている。 特許文献1に記載の発酵乳の製造方法は,ラクターゼにより乳糖を分解させながら,原料乳を発酵させて酸性度を低くすることにより,ラクターゼを失活させる。

    特許第3389377号公報

    一方,乳酸菌の活力により発酵速度は異なり,酵素の活性により乳糖の分解能は異なる。 このため,特許文献1に記載の発酵乳の製造方法では,乳酸菌や酵素の活力が変わると,原料乳が発酵する時間や乳酸の分解に要する時間が一定にならないので,風味や品質を一定に保つことができないという問題がある。 また,特許文献1に記載の発酵乳の製造方法によって発酵乳を製造した場合,同一条件であっても,ロットにより風味や品質が異なるという問題がある。

    そこで,本発明は,乳酸菌や酵素の状況によらず,風味や品質を一定に維持できる発酵乳の製造方法を提供することを目的とする。

    本発明は,基本的には,酵素を含む原料乳を発酵させる前に脱酸素処理することで,乳酸菌や酵素の状況によらず,発酵乳の風味や品質を一定に維持できるという知見に基づく。

    すなわち,本発明の第1の側面は,酵素を含む原料乳を発酵させる発酵工程と,発酵前に行う脱酸素処理工程とを含む発酵乳の製造方法に関する。 そして,酵素は,活性の至適pHが中性領域であり,かつ酸性領域で失活する酵素であって,活性状態において,原料乳に含まれる乳糖を分解できるものである。 実施例により実証されたとおり,発酵される前に脱酸素処理を施すことで,乳酸菌や酵素の状況によらず,発酵乳の風味や品質を一定に維持できる。 本発明の第1の側面の好ましい態様は,酵素として,クルイベロミセス・ラクチス由来のラクターゼを用いるものである。 そして,発酵工程では,原料乳に含まれる乳糖が分解されることにより,酵素が失活するものであり,原料乳の乳糖分解率を75重量%以上90重量%以下とする工程である。

    本発明の第2の側面は,上記の製造方法を用いて得られた発酵乳に関する。

    本発明によれば,原料乳を脱酸素処理することで,乳酸菌や酵素の状況によらず,風味や品質が均質な発酵乳を得ることができる。

    図1は,GODO−YNL10000(ラクターゼ)を常温にて1時間加熱し,加熱したGODO−YNL10000をスターターと同時に添加した際の発酵乳の乳糖分解率の経時変化と酸度の経時変化を示すグラフである。

    図2は,GODO−YNL10000(ラクターゼ)を常温にて1時間加熱し,加熱したGODO−YNL10000をスターターと同時に添加した際の発酵乳の乳糖分解率の経時変化と酸性度(pH)の経時変化を示すグラフである。

    図3は,得られた発酵乳の乳糖分解率の測定データを示すグラフである。

    本発明の第1の側面に関する発酵乳の製造方法は,原料乳を脱酸素処理する脱酸素処理工程と,原料乳を発酵させる発酵工程を含む。 発酵工程では,酵素が乳糖を分解する。 このため,発酵工程における原料乳は,酵素を含む。 酵素は,脱酸素処理工程の前に添加されても,脱酸素処理工程の後に添加されてもかまわない。

    発酵乳を製造するための原料,装置,及び製造条件は,例えば,特開2004−180526号公報,特開2005−176603号公報,特開2006−288309号公報,米国特許第6025008号明細書,米国特許第5482723号明細書,米国特許第5096731号明細書,米国特許第4938973号明細書(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)などに開示されており,適宜採用することができる。

    本明細書において「発酵乳」とは,ヨーグルト,乳等省令で定義される「発酵乳」,「乳製品乳酸菌飲料」,及び「乳酸菌飲料」の何れであっても良い。 本発明の製造方法により得られる発酵乳は,ある程度の硬度を有することが期待されるので,本明細書おける「発酵乳」として,セットタイプヨーグルト(固形状発酵乳),ソフトヨーグルト(糊状発酵乳)又はドリンクヨーグルト(液状発酵乳)があげられる。 本発明における好ましい発酵乳は,プレーンヨーグルトなどのセットタイプヨーグルトである。 一般に,プレーンヨーグルトは,容器に原料を充填させ,その後に発酵させること(後発酵)により製造される。 一方,ソフトヨーグルトやドリンクヨーグルトは,発酵させた発酵乳を微粒化処理や均質化処理した後に,容器に充填させること(前発酵)により製造される。

    脱酸素工程 脱酸素工程は,例えば,原料乳に不活性ガスを混入するか,低圧や真空で脱気して,原料乳中に存在している酸素を取り除くための工程である。 この工程により,酸素が除かれる他,タンパク質が保護されると推測される。

    「原料乳」は,ヨーグルトなどの発酵乳の原料となるもので,ヨーグルトミックスや発酵乳ミックスなどともよばれる。 本発明では,公知の原料乳を適宜用いることができる。 原料乳には,殺菌前のものも,殺菌後のものも含まれる。 原料乳の具体的な原料として,,生乳,殺菌処理した乳,脱脂乳,全脂粉乳,脱脂粉乳,バターミルク,バター,クリーム,ホエータンパク質濃縮物(WPC),ホエータンパク質単離物(WPI),α(アルファ)−La,β(ベータ)−Lgなどがあげられる。 あらかじめ温めたゼラチンなどを適宜添加しても良い。 あらかじめ酵素を添加して,乳糖を適宜分解しても良い。 原料乳は,公知であり,公知の方法に従って調製すれば良い。

    脱酸素工程では,例えば,原料乳中の溶存酸素を不活性ガスにより置換するための公知の装置を適宜用いることができる。 具体的には,例えば,特開2001−78665号公報,特開2001−9206号公報,又は特開2005−110527号公報(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)に開示される装置を適宜用いて不活性ガスにより原料乳中に溶解している酸素を追い出せば良い。 「不活性ガス」は,ヘリウム,ネオン,アルゴン,キセノンなどの希ガスの他,窒素などのガスであっても良い。

    なお,不活性ガスを混入する代わりに,原料乳中に溶解している酸素を脱気により取り除いても構わない。 このような脱気装置として,特開2002−370006号公報,又は特開2005−304390号公報(これらの文献は,参照することにより本明細書に取り入れられる。)に開示される装置を適宜用いることができる。

    脱酸素工程は,例えば,原料乳に溶解している酸素の量(溶存酸素濃度,DO)が,5ppm以下,好ましくは3ppm以下,より好ましくは2ppm以下となる程度まで脱酸素を行えば良い。

    発酵工程 発酵工程は,原料乳を発酵させるための工程である。 発酵工程は,2段階の発酵などであっても構わない。 発酵工程を経ることで,商品価値のある発酵乳を得ることができる。 本発明においては,好ましくは原料乳にスターターを混合し,発酵する。 そして,発酵工程における原料乳は,酵素を含む。

    「スターター」として,公知のスターターを適宜用いることができる。 好ましいスターターとして乳酸菌スターターがあげられ,乳酸菌スターターとして,ラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus),ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus),ラクトバチルス・ラクティス(L.lactis),ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の他,発酵乳の製造に一般的に用いられる乳酸菌や酵母の中から1種又は2種以上を用いることできる。 これらの中では,コーデックス規格でヨーグルトスターターとして規格化されているラクトバチルス・ブルガリカス(L.bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)の混合スターターをベースとするスターターが好ましい。 このヨーグルトスターターをベースとして,更に得ようとする発酵乳に応じて,ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)やビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)などの他の乳酸菌を加えても良い。 スターターの添加量は,公知の発酵乳の製造方法において採用されている量などを適宜採用すれば良い。 スターターの接種方法は,発酵乳を製造する際に用いられる公知の方法に従って行えば良い。

    本発明の酵素は,活性の至適pHが中性領域であり,かつ酸性領域で失活する酵素であって,活性状態において,乳糖を分解できるものである。 このような酵素の例は,特許文献1に開示されたラクターゼである。 ラクターゼは,たとえば細菌又は酵母由来のものがあげられる。 そして,活性の至適pHとして6.3〜7.5かつ失活pH6.0〜4.0があげられる。 また,ラクターゼとしては,クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces Lactis)由来のラクターゼ又はクルイベロマイセスフラギリス(Kluyveromyces Fragilis)由来のラクターゼが好ましい。 クルイベロミセス・ラクチス由来のラクターゼは,クルイベロミセス・ラクチスそのもののほか,クルイベロミセス・ラクチスから派生したラクターゼが含まれる。

    発酵温度などの発酵条件は,原料乳に添加された乳酸菌の種類や,求める発酵乳の風味などを考慮して適宜調整すれば良い。 具体的な例として,発酵室内の温度(発酵温度)を30℃以上50℃以下に維持するものがあげられる。 この温度であれば,一般的に乳酸菌が活動しやすいので,効果的に発酵を進めることができる。 このときの発酵温度として,より好ましくは40℃以上45℃以下,更に好ましくは41℃以上44℃以下があげられる。

    発酵時間は,スターターや発酵温度などに応じて適宜調整すれば良く,具体的には1時間以上5時間以下があげられ,2時間以上4時間以下であっても良い。

    通常であれば,細菌汚染のリスクを低減する観点から,低温で乳糖分解後に加熱殺菌を行って酵素を死滅させる。 その後,発酵を進める。 一方,本発明において,発酵工程は,ヨーグルトミックス(原料乳)にスターターと酵素を混入し,酵素が活性を有している状態のものを発酵しても良い。 そして,原料乳に含まれる乳糖などが分解されることにより,酸が生じ,酵素が失活するようにしても良い。 後述する実施例により実証されたとおり,このような処理を行うことで,乳糖分解率を効果的に高めることができる。 また,高温加熱殺菌を施す前に,酵素を添加して酵素反応を進行させる必要がなくなるため,発酵乳の製造工程を簡略化できると共に,発酵乳本来の風味を最大限に生かすことができるようになることもある。 さらに,このような処理を行うと,乳糖分解率を効率的に高めることができるようになるため,乳糖分解率と発酵の程度(酸度の変化)を個別に管理し続ける必要がなくなり,製品管理が極めて容易になる。

    乳糖分解率は,65重量%以上であれば風味の良い発酵乳を得ることができる。 乳糖分解率として75重量%以上がさらに好ましく,75重量%以上90重量%以下でも良く,80重量以上90重量%以下でも良い。

    以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。 本発明は,以下の実施例に限定されるものではない。 乳(87重量部),脱脂粉乳(2重量部),水道水(13重量部)を溶解して,原料乳を調製した。 原料乳を95℃,2分間にて殺菌した。 原料乳を40℃に冷却した。 その後,原料乳を脱酸素処理した。 脱酸素処理した原料乳にラクターゼ(酵素)を0.02重量部,及び明治ブルガリアヨーグルト(登録商標)用のスターター(乳酸菌)を2重量部にて添加した。 その後,原料乳を40℃で,pHが約4.7になるまで発酵(反応)させた。 このようにして発酵乳を得た(実施例1〜4)。

    対照のため,脱酸素処理をしなかった以外は,上記実施例と同様にして発酵乳を得た(比較例1及び2)。 また,酵素を添加せず,脱酸素処理をしなかった以外は,上記実施例と同様にして発酵乳を得た(比較例3)。

    発酵乳の風味と品質を調べるため,実施例1〜4の発酵乳(本発明の発酵乳)と,比較例1及び2の発酵乳の風味,乳糖の分解率,発酵時間(発酵温度40℃にて酸度が0.7%に到達するまでの時間)を求めた。 表1は,本発明の発酵乳と比較例の発酵乳の風味,乳糖の分解率,発酵時間を示す。

    乳糖濃度の測定には,HPLCとして,糖分析用の順相カラムAsahipak NH2P−50,4.6×250mm(Shodex社製)と,ガードカラムAsahipak NH2P−50G 4A,4.6×10mm(Shodex社製)を使用した。

    表1に示されるとおり,実施例1〜4の乳糖の分解率は,平均値が81.8[%],標準偏差が3.4[%]であり,発酵時間は,平均値が3時間,標準偏差が5分間であった。 一方,比較例1及び2の乳糖の分解率は,平均値が88.3[%],標準偏差が8.3[%]であり,発酵時間は,平均値が3時間15分,標準偏差が15分間であった。 表1から,本発明の発酵乳では,風味(酸味と甘味のバランス)が常に同等で安定していることがわかる。 一方,比較例では,同一条件で製造したにもかかわらず,風味が一定にならないことがわかる。 また,表1から,本発明の発酵乳では,品質(乳糖の分解率)と発酵時間がほぼ一定であったのに対して,比較例の発酵乳では,品質と発酵時間にばらつきがあることがわかる。 すなわち,比較例1及び2の方法で発酵乳を製造した場合,風味や品質を一定に制御することができないことがわかる。 なお,比較例3は,発酵乳を製造する際に広く用いられている方法である。 比較例3では,ラクターゼが添加されていないので,実施例1〜4に比べて多くの乳糖を含んでいると考えられる。

    次に,硬度(カードテンション)を求めた。 カードテンションは,ネオカードメーターM302(アイテクノエンジニアリング社製:旧・飯尾電機社製)を使用して評価した。 このカードメーターでは,100gの重りをつけたヨーグルトナイフで,発酵乳の侵入度を測定し,この測定値を曲線で表現する。 この際,ナイフの高さを縦軸をとし,100gに更に加えた加重を横軸とする。 そして,縦軸の10mmと横軸の10gとを同じ距離とする。 その侵入角度曲線の破断に至るまでの距離が硬度(硬さ,弾力性)(g)の指標である。

    表2は,各条件で得られた発酵乳の硬度を示す表である。

    本発明の発酵乳では,硬度が比較的高く,通常品である比較例3の発酵乳と同等であった。 一方,比較例1及び2により得られた発酵乳では,本発明や比較例3の発酵乳と比べて,硬度が20%以上も低くなっていた。

    [実施例5] 酵素・スターター同時添加方式の検証(最適温度)
    酵素として,GODO−YNL10000を用いた。 GODO−YNL10000(10,000 U/g)は,クルイベロミセス・ラクチス由来のラクターゼを含み,GODO−YNLを,グリセリンで5倍に希釈したものである。 よって,GODO−YNL10000の反応至適温度,pH,及び失活条件は,GODO−YNLと同様である。 すなわち,GODO−YNL10000による分解反応は,35〜45℃,中性域が至適である。 一方,GODO−YNL10000は,50℃を超える環境下で徐々に失活する。 また,GODO−YNL10000は,pH5以下の酸性状態におかれると徐々に失活する。 GODO−YNL10000は,酵素をグリセリンで保護している。 このため,GODO−YNL10000は,グリセリンを含むことで耐熱性が向上している。 GODO−YNL10000原液の耐熱性を検証するため,GODO−YNL10000を下記表3に示される温度で1時間加熱し,加熱したGODO−YNL10000とスターターとを同時に添加した以外は実施例1と同様にして発酵乳を製造した。 発酵終了後の乳糖分解率をFキット(F−Kit)にて測定した。 その結果を表3に示す。

    表3からGODO−YNL10000は,45℃付近が反応至適温度であることがわかる。 乳糖分解率が65%以上の場合に,風味の良好な発酵乳を得ることができる。 よって,表3から,GODO−YNL10000を用いた場合,常温以上55℃以下で良好な発酵乳を得ることができることがわかる。 また,通常,発酵乳を製造する際には,低温で乳糖分解したヨーグルトミックスを加熱殺菌後に,発酵の至適温度となるように調整する。 この場合,酵素は加熱殺菌により失活する。 そして,通常の発酵乳の製造方法における乳糖分解率は,最大でも70%程度である。 一方,表3に示されるように,GODO−YNL10000とスターターとを同時に添加した場合には,80%を越える乳糖分解率を得ることができた。 なお,酵素と乳酸菌とをヨーグルトミックスへ同時に添加した場合には,発酵工程で乳糖が分解されたことにより生ずる酸により酵素が失活すると考えられる。

    図1は,GODO−YNL10000(ラクターゼ)を常温にて1時間で保持し,その保持したGODO−YNL10000をスターターと同時に添加した際の発酵乳の乳糖分解率の経時変化と酸度の経時変化を示すグラフである。 図中の丸印は,乳糖分解率を示し,四角印は酸度を示す。 図2は,GODO−YNL10000(ラクターゼ)を常温にて1時間で保持し,その保持したGODO−YNL10000をスターターと同時に添加した際の発酵乳の乳糖分解率の経時変化と酸性度(pH)の経時変化を示すグラフである。 図中の丸印は,乳糖分解率を示し,四角印は酸性度を示す。 図1から発酵が進行して乳糖が分解されると,酸度が向上することがわかる。 また,図2から発酵が進行して乳糖が分解されると酸性度の値が低下することがわかる。

    [実施例6] 酵素・スターター同時添加方式の検証(添加量)
    次に,酵素の添加量に関して検討した。 GODO−YNL10000(ラクターゼ)を38℃にて1時間で保持し,その保持したGODO−YNL10000を表4に示される添加率(重量%)でスターターと同時に添加した以外は,実施例4と同様にして発酵乳を製造した。 その結果を表4に示す。 表中,F−kitはFキットによる測定結果を示し,HPLCは高速液体クロマトグラフによる測定結果を示す。

    表4から,ラクターゼを0.05重量%程度しか添加しなくても良好な乳糖分解率を得ることができることがわかる。 また,ラクターゼを0.1重量%以上で添加した場合には,高い乳糖分解率を得ることができることがわかる。 すなわち,通常の発酵乳の製造方法では,例えば,メディセーフ(登録商標)を用いて,乳糖分解率を常に測定して,発酵乳の品質を管理していた。 一方,表4に示されるとおり,酵素(ラクターゼ)と乳酸菌(スターター)とをヨーグルトミックスへ同時に添加することで,極めて高い乳糖分解率を得ることができる。 このため,酵素と乳酸菌とをヨーグルトミックスへ同時に添加した場合には,酵素の添加量を管理すれば,良好な発酵乳を得ることができるといえる。 よって,酵素と乳酸菌とをヨーグルトミックスへ同時に添加することで,製品管理が極めて容易となり,生産性が向上する。

    [実施例6] 酵素・スターター同時添加方式の検証(ばらつき検証)
    実施例4において常温状態で酵素による乳糖分解を行わせたものを10ロット用意し,得られた発酵乳の乳糖分解率をFキットにて測定した。 その結果を図3に示す。 図3は,得られた発酵乳の乳糖分解率の測定データを示すグラフである。 図3から,得られた発酵乳の乳糖分解率は,高い値で安定しているといえる。

    本発明は,食品産業において用いられうる。

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