発明の詳細な説明 [背景] 空気混和したヨーグルト製品などの空気混和したミルク組成物は、当技術分野において既知である。 空気混和は、軽いふわふわした質感などの望ましい特性を与えることができる。 空気混和した生成物は物理的及び化学的不安定性の影響を受けやすく、したがって時間とともに不安定化する場合があることも当技術分野において既知である。 空気混和したミルクをベースとする生成物におけるこのような不安定性の問題に対する1つの解決法は、空気混和前に、既に培養した乳製品に含水乳化剤を加えることを含む(例えば、米国特許第7,005,157号明細書(以下「'157特許」)を参照されたい)。 具体的には、'157特許は、このような成分は、発酵時間などの処理問題に悪影響を与えることがあるため、発酵の前にその成分をミルクブレンドに直接加えないことを教示している。 '157特許は、発酵後に含水乳化剤を添加することによって発酵時間の不利な延長が回避され、一方安定性に寄与すると教示している。 凍結乾燥は、食品業界において周知の工程である。 このように得られた生成物が消費者にとって重要な知覚特質を保持することは、空気混和した生成物をさらに乾燥させる際には重要である。 '157特許において教示されている発明を使用して、凍結乾燥前の空気混和した生成物の水和は、物理的安定性にひどい悪影響を及ぼす場合がある。 例えば、水和し空気混和した生成物は、凍結乾燥した場合、生成物の輸送及び取り扱いの間の脆弱性を増す結果となることがある。 さらなる例として、溶解性は、凍結乾燥した生成物において重要な問題である。 具体的には、空気、窒素又は他の気体で乾燥及び処理された空気混和した生成物は、消費にあたって香味が消費者の味蕾に伝達されるような速度で、容易な溶解性をそれでも保持しなければならない。 さらに、生成物は、経口の運動能力又は消化機能が制限された又は発達不十分な消費者の窒息の危険のリスクを減少させるため、容易に溶解できるべきである。 既知の解決法として、空気混和を増加させることによって、溶解性を改善することができる。 しかし、空気混和を増加させることは、最終生成物の硬度を減少させるという悪影響を有する。 硬度が特定のレベルを超えて減少した場合、生成物の物理的安定性が損なわれる場合がある。 したがって、改善された物理的安定性及び改善された溶解性を有する、凍結乾燥し空気混和した生成物が求められている。 [概要] 本発明は、乳又は乳代替成分、乳化剤を含む、凍結乾燥し空気混和した乳又は乳代替組成物(前記乳又は乳代替組成物は、低温殺菌されている)、及びその作製方法を含む。 [詳細な説明] 全体を通して使用されるように、範囲は、範囲内のありとあらゆる値を記載するための省略表現として使用される。 範囲内の任意の値は、範囲の終端として選択することができる。 使用される場合、「の少なくとも1つ」という語句は、個々の任意の1つのメンバー又はメンバーの任意の組合せの選択を意味する。 接続詞「及び」又は「又は」は、メンバーの一覧において使用することができるが、「の少なくとも1つ」という語句は、支配言語である。 例えば、A、B、及びCの少なくとも1つは、A単独、B単独、C単独、A及びB、B及びC、A及びC、又はA及びB及びCの省略表現である。 「凍結乾燥」は、材料を凍結させ、次いで周囲の圧力を減少させて、材料中の凍結水が固相から気体に直接昇華することを可能にすることによって作用する脱水工程である。 「空気混和」は、空気を導入して、液体中の気体濃度を増加させる工程である。 空気混和は、表面吸収を増加させるために、液体を通して気体を泡立て、液体を気体中に噴霧し、又は液体を撹拌することによって行うことができる。 「溶解性」は、乾燥から湿潤状態へと移行する生成物の硬度の変化として定義される。 「硬度」は、材料が破壊される前のピーク応力として定義される。 Instron(Canton、MA)によって製造された100Nのスタティックロードセルを有する万能試験機モデル4465を使用する。 試験のために使用するプローブは、圧縮アンビル#2830−011である。 プローブのスピードの初期設定は、約90%圧縮に対し1mm/秒であった。 スピードは、J. Texture Studies、36(2005)、ページ157〜173における学術論文、「Effects of Sample Thickness of Bite Force for Raw Carrots and Fish Gels」に基づいた。 各変量について10〜15個の反復試験試料で試験を繰り返す。 「粘度」は、流れに対する物質の抵抗の測定値と定義される。 粘度は、組成物を空気混和する前に、F−Tバーを有するヘリパス(Helipath)(登録商標)スタンドを備えたBrookfield粘度計を使用して測定する。 粘度は、空気混和及び堆積の間の物質の形状の保持を助長する。 本発明は、凍結乾燥し空気混和した生成物の調製に有用な乳又は乳代替組成物を含む。 組成物の第1の構成成分は、乳又は乳代替成分を含む。 乳又は乳代替成分は、当技術分野において通常既知の任意の乳又は乳代替成分から選択される。 具体的には、乳成分は、それだけに限らないが、ミルク、粉ミルク、ヨーグルト、スキムミルク及びミルクタンパク質、並びにこれらの組合せを含めた群から選択される。 乳代替成分は、それだけに限らないが、大豆タンパク質及び米タンパク質、並びにこれらの組合せから選択される。 乳又は乳代替成分は、組成物の50%〜98%、好ましくは60%〜90%、最も好ましくは70%〜85%の量で存在する。 本組成物の第2の構成成分は、乳化剤を含む。 理論に束縛されるものではないが、乳化剤は気液界面の表面張力を減少させ、その結果粘稠液体マトリックス中での気泡の安定的な分散を可能にすると考えられる。 乳化剤は、好ましくは乳酸モノ及びジグリセリドである。 乳酸モノ及びジグリセリドは、これらだけに限定されないが、モノ及びジグリセリドの乳酸及びクエン酸エステル、蒸留モノグリセリド、並びにこれらの組合せからなる群から選択される。 理論に束縛されるものではないが、起泡剤の乳酸部分は、水相及び疎水性相の界面において水相中にあり、一方モノ及びジグリセリドは、ホイップした乳製品の泡の疎水性相中にあると考えられる。 乳酸モノ及びジグリセリドは、組成物の0.001〜1%、好ましくは0.01〜0.5%、最も好ましくは0.1〜0.4%の量で存在する。 本発明の乳酸モノ及びジグリセリド構成成分は、最終的な空気混和した組成物の安定化を促進すると考えられる。 次いで、第1の構成成分及び第2の構成成分の組合せを、当業界で通常使用されている手順によって低温殺菌する。 低温殺菌は、170F〜210F、好ましくは180F〜205Fで1〜10分間行うことができる。 本発明の組成物は、デンプン(それだけに限らないが、コーンスターチ、米デンプン(天然、物理的又は化学的に改質した)及びタピオカデンプンが挙げられる);糖/甘味料、安定剤、香料、着色剤、果物ピューレ、プレバイオティクス、プロバイオティクス、野菜ピューレ、繊維、強化剤(DHAなど)、ミネラル及びビタミン、並びにゼラチン(ブタ、魚及びウシなど)などの任意選択の成分をさらに含むことができる。 硬度、溶解性及び粘度 本発明の最終生成物についての消費者の好みは、硬度、粘度及び溶解性などの物理的特性に基づいていると考えられる。 各特性は重要である一方、3つの構成成分の間の正しいバランスは、本発明の最終生成物を最適化するために望ましい。 粘度は、流れに対する物質の抵抗の測定値として定義される。 粘度は、組成物を空気混和する前に、F−Tバーを有するヘリパス(登録商標)スタンドを備えたBrookfield粘度計を使用して測定する。 粘度は、空気混和及び堆積の間の物質の形状の保持を助長する一方、硬度は、物理的安定性を助長すると考えられる。 また硬度の測定値である溶解性は、乾燥から湿潤状態へと移行する生成物の硬度の変化である。 溶解性を助長する空気混和の増加により、硬度が悪影響を受ける場合がある。 本発明の組成物及び方法は、物理的に安定でかつ消費者に受け入れられる生成物を提供するための、粘度、硬度及び溶解性の間の最適なバランスを予想外に発見した。 本発明の組成物は、0.5〜8ポンドフォース、好ましくは1.5〜5.5ピーク負荷の硬度値を有する。 ピーク負荷力は、100Nのロードセル及び#2830−011圧縮アンビルを取り付けたInstron Universal試験機を使用して測定することができる。 移動は、最初の小片破砕が起こるまで1mm/秒のスピードである。 本発明の組成物は、0.1〜8の範囲のピーク負荷、好ましくは0.1〜30ポンドフォースの溶解性を有する。 本発明の組成物は、温度及び粘度を測定するために使用される粘度計のスピードに応じて、1,000〜150,000cpの粘度を有する。 好ましい実施形態では、湿潤組成物の粘度は、Brookfield粘度計において10RPMのスピードのスピンドル6で30,000〜60,000cpの範囲である。 最も好ましい範囲は、35,000〜50,000cpである。 代替の実施形態では、本発明は、温度及び粘度を測定するために使用される粘度計のスピードに応じて、1,000〜700,000cpの粘度を有する。 代替の実施形態のための好ましい実施形態では、湿潤組成物の粘度は、Brookfield粘度計において5RPMのスピードのスピンドル6で100,000〜400,000cpの範囲である。 代替の実施形態のための最も好ましい範囲は、200,000〜350,000cpである。 粘度はRPMに基づいて調節することができ、溶解性及び安定剤によって変わることに留意すべきである。 作製方法 凍結乾燥し空気混和したミルク生成物の調製方法は、(a)乳又は乳代替ブレンドを用意するステップと、(b)乳化剤を加えるステップと、(c)乳又は乳代替ブレンドを熱処理するステップと、(d)ブレンドを発酵させるステップと、(e)気体をブレンドと混合するステップと、(f)気体と乳又は乳代替ブレンドとを同時に空気混和し、空気混和した生成物を形成させるステップと、(f)生成物を冷却するステップと、(g)生成物を凍結乾燥させるステップとを含む。 ヨーグルト生成 1. 低温殺菌したローファットミルクを、タンカートラックから大きな保持タンクに移す。 2. 全ての乾燥成分(糖、ゼラチン、デンプン、脱脂ドライミルク、乳化剤、及びプレバイオティクスなどの機能性成分)を、高剪断ブレンダー(Bredo Liqwifierなど)への添加によってミルクに混和し、均質な分散及び最初の水和を行う。 3. 全ての乾燥成分が混和されたら、混合物を35〜38°Fで30分間攪拌する。 4. 撹拌に続き、混合物を、熱処理のためにHTSTプレート熱交換器に移す。 使用する熱処理条件は、4.5分の保持時間の終わりに全てが191°Fの最低温度を達成及び維持することを必要とする。 この温度及び保持時間は、工程の手順に応じて変化してもよく、例えば、温度が僅かに高くなることや、7分又は8分の保持時間を有することが可能である。 5. 配合成分及び空気混和の一貫性を最適化するための任意選択のステップとして、混合物の均質化を行うことができる。 典型的な均質化圧力は、第1の段階で2000〜2500psiであり、第2の段階で200〜600psiである。 6. 191°Fでの保持時間の後、混合物を100〜112°Fに冷却し、培養バットに移す。 この時点で、ヨーグルト培養物を加える(例えば、Danisco Ingredients、又は他の供給業者によって供給される凍結乾燥培養物、ABY−2C)。 培養物を低温殺菌した混合物と30〜60分間ブレンドし、混合を停止し、バットを104〜107°Fに4〜6時間保持する。 ヨーグルトをpH4.5〜4.6に酸性化し、次いで撹拌し(崩し)、培養タンク中で60°Fに冷却する。 最終pHは、4.1〜4.4の範囲である。 7. ヨーグルトを、温度を37〜45°Fに下げるクーリングプレスを通してポンプで注入することによって250ガロンの混合タンクに移す。 低温殺菌した果物ピューレ、香料及び任意の所望の着色剤を加える。 混合物を、10〜15分間穏やかに撹拌及び再循環させながらブレンドする。 ブレンドした果物ヨーグルトを275ガロンの容器に移す。 凍結したヨーグルトドロップの生成 1. ヨーグルトを、275ガロンの容器(34〜40°Fで予め保存した)からエアレーター(他のブランドがあるが、この場合、Mondomixエアレーター)に搬送/ポンプで注入する。 2. 窒素ガスを、Mondoミキサー(ミクシングヘッド温度を35〜45°Fに維持するためのプラント氷水循環システムに連結している)によってヨーグルトと混合する。 生成物のオーバーランは、20%〜80%の範囲とすることができる。 しかし、好ましくは、オーバーランの目標は、30%〜50%、最も好ましくは35%〜45%である。 この工程は、連続的に起こる。 3. 空気混和したヨーグルトを、充填機のマニホールドへとポンプで注入し、加圧下にて38〜50°Fで保持し、そこで複数のノズルへと分配し、定量ポンプを介して、適切な形状にされた充填物形態を生じさせる(この場合、大きなチョコレートチップの形状であるが、他の形状/形態は可能)。 現在の目標形状は、13〜22mmの直径(理想は15〜20mmである)、7〜12mmの高さ(理想は8〜10である)、及び0.8〜1.3グラムの重量(理想は1.0〜1.1gである)を有する。 4. 無垢ステンレス鋼フリーザーベルト(この場合、ベルト及びフリーザーのメーカーは、Sandvikである)上に、ドロップを堆積させる。 5. フリーザートンネルの空気温度は、高速空気循環を伴い約−20〜−30°Fである。 トンネル中の滞留時間は、3〜5分の範囲であってよい。 凍結した小片は、24〜28°Fの内部温度でトンネルから排出される。 6. 生成物をフリーザーベルトから取り出し、塊ケースパッカーに運び、そこで20〜30lbのプラスチック袋で裏打ちされたケース中に充填する。 ケースを閉じ、テープを貼り、OFDへの出荷まで−20°Fで保存する。 下記の本発明の組成物を調製することができる。 一覧表示した割合は、組成物の全重量に基づいている。 実施例1:香味付けされていないヨーグルト
実施例2
実施例3
上記の組成物は、本明細書に記載の方法を使用して作製される。 本発明は、上記の特定の実施形態に限定されないが、下記の特許請求の範囲によって定義される変形形態、修正形態及び同等な実施形態を含むことを認識されたい。 |