粉体中の特定成分を濃縮する方法 |
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申请号 | JP2016531311 | 申请日 | 2015-06-25 | 公开(公告)号 | JPWO2016002621A1 | 公开(公告)日 | 2017-05-25 |
申请人 | 株式会社日清製粉グループ本社; | 发明人 | 秋彦 江間; 秋彦 江間; 健司 直原; 健司 直原; | ||||
摘要 | 2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体に機械的な乾式処理を行って、粉体の粒子内部より特定成分を多く含む表面を削り取り、微粉状の削片を生成し、削片を含む微粉と粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉とを分級して、特定成分を多く含む微粉を回収することにより、粉体中の特定成分を濃縮する方法を提供する。 | ||||||
权利要求 | 機械的な乾式処理を行う乾式処理装置を用いて、2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体中に存在する1種以上の特定成分を濃縮する方法であって、 原料として前記粉体を前記乾式処理装置に供給する工程と、 前記乾式処理装置に供給された前記粉体に前記乾式処理を行って、前記粉体の粒子より前記1種以上の特定成分を多く含む表面を削り取り、微粉状の削片を生成する工程と、 生成された前記削片を含む微粉と前記粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉とを分級する工程と、 分級された前記削片を含む前記微粉を回収する工程と、を有することを特徴とする濃縮方法。 前記乾式処理装置は、分級室を備える気流式分級機であり、 前記気流式分級機で、前記分級室内に供給された前記粉体を旋回気流に載せて前記粉体の粒子表面を削り取ることによって前記削片を生成し、生成された前記削片を含む前記微粉を分級することにより、前記削片の生成工程と、前記削片を含む前記微粉の分級工程とを同時に行う請求項1に記載の濃縮方法。 前記削片の生成工程における前記削片の生成量は、前記気流式分級機に供給される前記粉体の供給速度および風量、並びに前記気流式分級機内のロータの回転数の1つ以上を制御することにより制御される請求項2に記載の濃縮方法。 前記削片を含む前記微粉の分級工程における前記削片を含む前記微粉と前記粗粉とを分級する分級点は、前記気流式分級機に供給される前記粉体の供給速度および風量、並びに前記気流式分級機内のロータの回転数の1つ以上を制御することにより制御される請求項2に記載の濃縮方法。 前記乾式処理装置は、粉砕機と、分級機と、を含み、 前記削片の生成工程は、前記粉砕機で、前記粉体の表面を削り取って前記削片を生成する工程であり、 前記削片を含む前記微粉の分級工程は、前記分級機で、生成された前記削片を含む前記微粉と前記粗粉とを分級する工程である請求項1に記載の濃縮方法。 前記粉砕機は、気流式粉砕機、摩砕式粉砕機、衝撃式粉砕機、およびボール式粉砕機の中から1つ以上選択される粉砕機であり、 前記分級機は、気流式分級機、および振動篩装置の中から1つ以上選択される分級機である請求項5に記載の濃縮方法。 前記粉体は、溶解特性の異なる2種以上の成分を含む溶液をスプレードライ法にて粒状化したものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の濃縮方法。 さらに、前記微粉を回収する工程で回収された前記削片を含む前記微粉を、前記原料として、再度、前記乾式処理装置に供給する工程と、 前記供給された前記削片を含む前記微粉に前記乾式処理を行って、前記微粉の粒子表面を削り取り、より微細な微粉状の削片を生成する工程と、 生成された前記より微細な微粉状の前記削片を含むより微細な微粉を、残りの表面が削り取られた微粉から分離する工程と、 分離された前記より微細な微粉を回収する工程と、 を繰り返して、前記微粉中の1種以上の特定成分を濃縮する請求項1〜7のいずれか1項に記載の濃縮方法。 さらに、前記粒子表面が削り取られた粒子を含む前記粗粉を回収する工程を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の濃縮方法。 さらに、前記粗粉を回収する工程で回収された前記粒子表面が削り取られた粒子を含む前記粗粉を、前記原料として、再度、前記乾式処理装置に供給する工程と、 前記供給された前記粒子表面が削り取られた粒子を含む前記粗粉に前記乾式処理を行って、前記微粉の粒子表面を削り取り、さらに微粉状の削片を生成する工程と、 生成された前記削片を含む微粉と残りのさらに表面が削り取られた粗粉とを分離する工程と、 分離された微粉を回収する工程と、 を繰り返して、前記微粉中の1種以上の特定成分を濃縮する請求項9に記載の濃縮方法。 前記2種以上の成分は、タンパク質、ミネラル及び乳糖の少なくとも1つを含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の濃縮方法。 前記粉体は、ホエイパウダーであり、前記1種以上の特定成分は、タンパク質及びミネラルを含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の濃縮方法。 前記粉体は、ホエイパウダーであり、 前記1種以上の特定成分は、タンパク質、ミネラル及び乳糖であり、 前記粒子表面が削り取られた粒子を含む前記粗粉は、前記粒子表面が削り取られ、乳糖成分を含む粒子を含む前記粗粉である請求項9〜12のいずれか1項に記載の濃縮方法。 請求項1〜13のいずれか1項に記載の濃縮方法によって1種以上の特定成分が濃縮された微粉からなる中間製品を原料として用い、さらに湿式操作にて1種以上の特定成分を濃縮するプロセスを含むことを特徴とする特定成分の濃縮方法。 前記1種以上の特定成分はタンパク質である請求項14に記載の特定成分の濃縮方法。 前記1種以上の特定成分はミネラルである請求項14に記載の特定成分の濃縮方法。 請求項9〜13のいずれか1項に記載の濃縮方法によって1種以上の特定成分が濃縮された粗粉からなる中間製品を原料として用い、さらに湿式操作にて1種以上の特定成分を濃縮するプロセスを含むことを特徴とする特定成分の濃縮方法。 前記1種以上の特定成分は乳糖である請求項17に記載の特定成分の濃縮方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体における、粉体中に存在する特定成分の濃縮方法に関し、詳しくは、機械的な乾式処理装置を用いて乾燥状態のまま、粉体中に存在する少なくとも1つの特定成分を濃縮する方法、及びこうして乾燥状態のまま少なくとも1つの特定成分が濃縮された粉体をさらに湿式操作に特定成分を濃縮する特定成分の濃縮方法に関する。 ホエイは、乳清とも呼ばれ、チーズを製造する過程で副産物として大量に発生する。 チーズを製造する工程では、乳に対し菌や酸などを投入し反応させ、カゼインタンパク質の塊であるカードと呼ばれる固形分と、主にホエイタンパク質からなるタンパク質、ミネラルと乳糖などからなるホエイと呼ばれる液体部分とに分離される。 ホエイは、その栄養価の高さから品質が劣化しやすく、水分をなくした状態の粉末状のホエイパウダーとして流通している。 特許文献1には、ホエイ中のタンパク質を分画するために、ホエイまたはホエイを限外ろ過して得た濃縮ホエイを、そのpHを調整せずに、そのまま陰イオン交換体を充填したカラムに通液し、陰イオン交換体に吸着させ、塩溶液で吸着したβ−ラクトグロブリンを溶出させる技術が開示されている。 特許文献1に開示の技術を用いた場合、ホエイに対して陰イオン交換膜を使用してタンパク質の吸着、溶出を繰り返す必要があり、大変複雑であり工程が煩雑であった。 本発明の目的は、取扱いが簡単で劣化しにくい粉末状のホエイパウダーを乾燥状態のまま処理して、ホエイパウダー中のタンパク質を濃縮する方法、及びこの方法で乾燥状態のままタンパク質が濃縮されたホエイの微粉をさらに湿式操作にてタンパク質を濃縮するタンパク質の濃縮方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、スプレードライ法で作られたホエイパウダーに機械的な乾式処理を行い、ホエイパウダーの粒子表面を削り、微粉状のホエイ削片を生成させて分級して回収することでホエイパウダー中のタンパク質を濃縮することができることを知見し、本発明に至ったものである。 すなわち、本発明の濃縮方法は、機械的な乾式処理を行う乾式処理装置を用いて、2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体中に存在する1種以上の特定成分を濃縮する方法であって、原料として粉体を前記乾式処理装置に供給する工程と、乾式処理装置に供給された粉体に乾式処理を行って、粉体の粒子より1種以上の特定成分を多く含む表面を削り取り、微粉状の削片を生成する工程と、生成された削片を含む微粉と粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉とを分級する工程と、分級された削片を含む前記微粉を回収する工程と、を有することを特徴とする。 ここで、乾式処理装置は、分級室を備える気流式分級機であり、気流式分級機で、分級室内に供給された粉体を旋回気流に載せて粉体の粒子表面を削り取ることによって削片を生成し、生成された削片を含む前記微粉を分級することにより、削片の生成工程と、削片を含む前記微粉の分級工程とを同時に行うことが好ましい。 また、削片の生成工程における削片の生成量は、気流式分級機に供給される粉体の供給速度および風量、並びに気流式分級機内のロータの回転数の1つ以上を制御することにより制御されることが好ましい。 また、削片を含む微粉の分級工程における削片を含む微粉と粗粉とを分級する分級点は、気流式分級機に供給される粉体の供給速度および風量、並びに気流式分級機内のロータの回転数の1つ以上を制御することにより制御されることが好ましい。 また、乾式処理装置は、粉砕機と、分級機と、を含み、削片の生成工程は、粉砕機で、粉体の表面を削り取って削片を生成する工程であり、削片を含む微粉の分級工程は、分級機で、生成された削片を含む微粉と粗粉とを分級する工程であることが好ましい。 また、粉砕機は、気流式粉砕機、摩砕式粉砕機、衝撃式粉砕機、およびボール式粉砕機の中から1つ以上選択される粉砕機であり、分級機は、気流式分級機、および篩の中から1つ以上選択される分級機であることが好ましい。 なお、乾式処理装置を構成する装置や機器は、粉砕機あるいは分級機に限定されるわけではなく、表面を削り取って削片を生成する機能を持つ装置あるいはそのような操作を行う機器と、その削片を分離回収する機能を持つ装置あるいはそのような操作を行う機器であればよい。 また、これらの機能を併せ持つ装置あるいはそれらの両操作を行う機器であっても良い。 また、粉体は、溶解特性の異なる2種以上の成分を含む溶液をスプレードライ法にて粒状化したものであることが好ましい。 またさらに、微粉を回収する工程で回収された削片を含む微粉を、原料として、再度、乾式処理装置に供給する工程と、供給された削片を含む微粉に乾式処理を行って、微粉の粒子表面を削り取り、より微細な微粉状の削片を生成(製造)する工程と、生成されたより微細な微粉状の削片を含むより微細な微粉を、残りの表面が削り取られた微粉から分離する工程と、分離されたより微細な微粉を回収する工程と、を繰り返して、微粉中の1種以上の特定成分を濃縮することが好ましい。 さらに、粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉を回収する工程を有することが好ましい。 またさらに、粗粉を回収する工程で回収された粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉を、原料として、再度、乾式処理装置に供給する工程と、供給された粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉に乾式処理を行って、微粉の粒子表面を削り取り、さらに微粉状の削片を生成(製造)する工程と、生成された削片を含む微粉と残りのさらに表面が削り取られた粗粉とを分離する工程と、分離された微粉を回収する工程と、を繰り返して、微粉中のタンパク質を濃縮することが好ましい。 上記2種以上の成分は、タンパク質、ミネラル及び乳糖の少なくとも1つを含むことが好ましい。 またさらに、本発明の特定成分の濃縮方法は、上記粒状化した粉体中に存在する1種以上の特定成分を濃縮する方法によって1種以上の特定成分が濃縮された微粉からなる中間製品を原料として用い、さらに、湿式操作にて1種以上の特定成分を濃縮するプロセスを含むものである。 本発明によれば、取扱いが簡単で劣化しにくい粉末状のホエイパウダーに機械的な乾式処理を行い、乾燥状態のままタンパク質を濃縮することができる。 以下に、本発明の溶解特性の異なる2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体中に存在する特定成分を濃縮する方法の好適な一実施形態である、ホエイパウダー中のタンパク質を濃縮する方法の一例について、添付の図面の好適実施形態に基づいて詳細に説明する。 本実施形態においては、スプレードライ法により粒状化したホエイパウダーを使用し、ホエイパウダー中のタンパク質を濃縮する方法を説明するが、2種以上の成分を含む溶液を粒状化した粉体であれば、これに限定されず、スプレードライ粉体として、例えば、脱脂粉乳、インスタントコーヒー等にも用いることができる。 まず、本発明の一実施形態に係るホエイパウダー中のタンパク質を濃縮する方法(以下、単にタンパク質の濃縮方法ともいう)を説明するに先立ち、本発明の一実施形態にかかる方法において原料として用いられるホエイパウダーについて説明する。 スプレードライ法で作られたホエイパウダーは、その製造時において、ホエイパウダーに含まれる複数種類の成分の溶解特性の違いから、成分ごとに偏析が生じる。 そのため、乳糖はホエイパウダーの中心部近くに、タンパク質が多い部分はホエイパウダーの表面近くに偏析する傾向にある。 つまり、このホエイパウダーの表面は、中心部近くに偏析する乳糖を取り囲むように存在するタンパク質の濃度が高い傾向がある。 図1は、本実施形態に係るホエイパウダー中のタンパク質の濃縮方法の一例のフローを示すフローチャートである。 本実施形態においては、まず、ステップS10の原料を供給する工程において、原料としてホエイパウダーを、乾燥状態のまま、機械的な乾式処理を行う乾式処理装置に供給する。 ここで、供給方法は、特に限定的ではなく、どのようなものでも良いが、スクリューフィーダ、振動フィーダ等を用いた供給のように、原料としてのホエイパウダーが一定速度で供給されることが好ましい。 次に、ステップS12のタンパク質を多く含む粒子表面を削り取り微粉状のホエイ削片を生成する工程では、乾燥状態のまま、機械的な乾式処理を行う乾式処理装置で処理を行い供給された原料であるホエイパウダー粒子表面を削り、ホエイ削片を生成させる。 ステップS14の粗粉と微粉とに分級する工程では、タンパク質を多く含む微粉状のホエイ削片を含む微粉と、粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉とを分級することで、微粉と粗粉に分ける。 この時、気流式分級機のように分級機能を持っているものであれば、ステップS12の微粉状のホエイ削片を生成する工程とステップS14の粗粉と微粉とに分級する工程を同時に行うことができるが、そうでない場合には、独立して粒子の大きさによって分級できる装置(気流式分級機、振動篩装置など)を使用してもよい。 ステップS16の分級した微粉を回収する工程では、ステップS14の粗粉と微粉とに分級する工程で分離した微粉を回収する。 すなわち、回収された微粉について、ステップS18のさらに濃縮が必要であるか判断する工程において判断を行い、回収された微粉がさらなる濃縮が不要であると判断された場合には、本実施形態の濃縮方法を終了し、ステップS16で回収された微粉は、そのまま製品とすることができる。 なお、こうして回収された微粉は、タンパク質が濃縮されたホエイパウダーであるので、この濃縮ホエイパウダーを溶解し、従来技術のような湿式法に適用してタンパク質を更に種々の種類に分画するために用いても良い。 一方、ステップS20の分級した粗粉を回収する工程では、ステップS14の粗粉と微粉とに分級する工程で分離した粗粉を回収する。 回収された粗粉には、乳糖成分が多く含まれているので、乳糖成分を抽出するために用いることができる。 一方、ステップS22の判断工程で、さらにタンパク質の回収が必要であると判断された場合には、ホエイパウダー中のタンパク質の回収率を上げるために、ステップS10の原料を供給する工程に戻り、回収された粗粉(1次粗粉)を原料として乾式処理装置に供給し、ステップS12において乾式処理装置に供給された1次粗粉に再度機械的な乾式処理を行って、さらに表面を削り、微粉状のホエイ削片を生成し、ステップS14においてホエイ削片からなる微粉(粗微粉)と、残りのさらに表面が削り取られた粗粉(2次粗粉)とを分離し、ステップS16においてステップS14で分離された粗微粉を回収するとともに、ステップS20においてステップS14で分離された2次粗粉を回収することを、ステップS22においてタン� ��ク質の回収が不要と判断されるまで繰り返す。 例えば、本実施形態の濃縮方法においては、図4に示すように、タンパク質を13.2wt%含有するホエイパウダー原料(RM)(図5(a)および(b)参照)に対して1回目の乾式処理を行って、タンパク質含有量21.6wt%の微粉(1次微粉F)28.7wt%と、タンパク質含有量9.9wt%の粗粉(1次粗粉C)71.3wt%とを分離して得ることができる。 なお、本実施形態において、ステップS12のホエイパウダーに乾式処理を行って、タンパク質を多く含む表面を削り取り、微粉状のホエイ削片を生成するとは、原料としてのホエイパウダーの粒子表面を削り取りまたは剥がし取り、微粉状のホエイ削片またはホエイ剥片を含む微粉(例えば、図8(a)および(b)参照)が生成することをいう。 また、その結果、ホエイパウダーの粒子表面が削り取られた粒子(例えば、図9(a)および(b)参照)を含む粗粉も同時に生成される。 本実施形態において、タンパク質の濃縮とは、タンパク質を多く含む表面を削り取った微粉状のホエイ削片を含む微粉を生成し、粗粉と分離して回収することであるので、タンパク質を多く含む表面を削り取る強さ、すなわち微粉状のホエイ削片を生成する強さと、微粉と粗粉を分級する分級点を変化させることにより、タンパク質の濃縮(濃縮度)を制御することができる。 ところで、本発明の発明者らがさらに鋭意研究を重ねたところ、本実施形態の機械的な乾式処理にかかる濃縮方法によれば、タンパク質とともに複数種のミネラルも濃縮することができることを知見した。 図10(a)は、スプレードライ法により製造されたホエイパウダー(RM)の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)で撮影した図面代用写真であり、図10(b)は、EDS(日本電子株式会社製 JED−2300F型)により検出した、そのEDSスペクトルを示す図である。 図11(a)は、図10(a)を拡大した図であり、図11(b)は、EDS(日本電子株式会社製 JED−2300F型)により検出した、そのEDSスペクトルを示す図である。 図12は、図11に示すホエイパウダーの断面のEDSマッピング像であり、(a)は、Naの元素マッピング図を示し、(b)は、Kの元素マッピング図を示し、(c)は、Caの元素マッピング図を示す。 図中、黄はNaを示し、赤はKを示し、青はCaを示す。 図10(b)及び図11(b)に示すEDSスペクトル分析から、ホエイパウダーに、複数種のミネラルが含まれることがわかる。 また、図12から、ミネラルが、ホエイパウダーの内側に少なく、外側に多く存在し、パウダー表面を覆うように偏析していることがわかる。 例えば、図4に示す本実施形態の濃縮方法によれば、表1に示すように、複数のミネラルを4.1wt%含有するホエイパウダー原料(RM)に対して、上記の本実施形態に係る乾式処理を同様に行って、ミネラル含有量9.5wt%の微粉(2次微粉FF)を分離して得ることができる。 なお、本実施形態の機械的な乾式処理にかかる濃縮方法により濃縮されたミネラルは、上述したタンパク質と同様に、従来技術の湿式法を利用して、さらに濃縮することもできる。 以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明を実施する装置の一実施形態を詳細に説明する。 原料フィーダ20は、図1のステップS10の原料供給工程を実施するためのもので、原料であるホエイパウダーを気流式分級機30に供給する。 本発明においては、原料フィーダ20は、所定量のホエイパウダーを気流式分級機30に供給することができれば、特に制限的ではなく、公知の原料フィーダを用いることができるが、例えば、一定量の原料を供給することができる容積型フィーダであるのが好ましい。 すなわち、原料フィーダ20としては、図示例のように、原料フィーダモータ22によって回転駆動されるスクリュー24によってホッパ26内の原料粉末(ホエイパウダー)を一定量ずつ切り出して、排出口28から一定量のホエイパウダーを気流式分級機30に供給するスクリューフィーダを用いることが好ましい。 気流式分級機30は、本発明のホエイパウダーの乾式処理装置を構成し、図1のステップS12のホエイ削片の生成工程および図1のステップS14の分級工程を実施するためのものである。 図2(a)に示す気流式分級機30には、気流式分級機モータ32により回転するロータ34が内蔵されている。 すなわち、気流式分級機30内において、旋回気流により原料粉末(ホエイパウダー)が受ける衝撃力や、原料粉末間の接触等や、原料粉末と装置内壁面との接触等によって原料粉末が受ける剪断力で、原料であるホエイパウダー粒子の表面が削られ、ホエイ削片が生成される。 ところで、図2(b)に示すように、ホエイパウダーの粒子500(ホエイ削片を含む微粉や粒子表面が削り取られた粒子を含む粗粉をも含む)は、この回転によりロータ34の回転軸から見て外側向きの力である遠心力550を受ける。 さらに、ファン50によって発生する吸引気流による抗力560は、ロータ34の回転軸へ向かう方向の力になるように設計されている。 この時、粒子500は、質量が大きいほど、遠心力550を大きく受け、断面積が大きいほどファン50によって発生する気流による抗力560の影響を大きく受ける。 その結果、微粉状のタンパク質(及びミネラル)を多く含むホエイ削片を含む微粉は、ファン50の発生する気流に乗りバグフィルタ40へ移動する。 一方、粗粉は、ファン50の発生する気流に乗り切れず、気流式分級機30から排出される。 バグフィルタ40は、気体と共に流入した粉体を気体から分離して粉体を回収するためのもので、特に制限的ではなく、公知のバグフィルタを用いることができる。 バグフィルタ40に気流と共に移動した微粉は、バグフィルタ40の中で、図示しないフィルタにより、微粉と気体に分離される。 バグフィルタ40内で気体と分離された微粉は、バグフィルタ40の下方に設けられた微粉回収バルブの開放により微粉回収器100に回収される。 こうして、図1に示すステップS16の微粉回収工程が実施される。 本発明においては、微粉の回収後、図1に示すステップS18の判断工程で微粉中のタンパク質のさらなる濃縮が必要であると判断された場合には、微粉回収器100に回収された微粉を、原料粉末として原料フィーダ20のホッパ26に充填するのが良い。 上述した例では、本発明の乾式処理装置として、ホエイ削片の生成と分級とを同時に行う気流式分級機30を用いているが、本発明はこれに限定されず、それぞれを異なる装置で行うようにしても良い。 まず、原料フィーダ20は、原料であるホエイパウダーを粉砕機1060に供給して、図1のステップS10の原料供給工程を実施する。 振動篩機1030は、図1のステップS14の分級工程を実施するためのもので、図示しない振動源を内蔵し、供給された混合粉体を載せた篩(図示せず)を振動させることによって、篩の篩目によって微粉状のタンパク質(及びミネラル)を多く含むホエイ削片を含む微粉と粒子表面を削り取られた粒子を含む粗粉とをそれぞれ篩下と篩上とに分級する。 こうして、振動篩機1030によって、図1のステップS14の分級工程が実施される。 本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。 先ず、原料サンプル(RM)のタンパク質の含有量は、13.2wt%であった。 タンパク質の含有量は、TruMac N(Lecoジャパン社製)にて、原料サンプル中の窒素元素の質量を測定し、五訂食品成分表2004(女子栄養大学出版部 2004年1月)P. 14 表7 窒素―たんぱく質換算係数 13乳類記載の換算係数6.38を採用して換算をおこなった。 また、本明細書中では、特に断りのない限り、含有割合(含有量)は、水分の影響を排除した乾燥重量基準の質量割合である。 このような原料サンプル(RM)0.85kgに対し、気流式分級機ターボクラシファイアTC−15(日清エンジニアリング社製)を機械的な乾式処理を行う本発明の乾式処理装置として利用して、機械的な乾式処理を行い、本実施形態のホエイパウダー中のタンパク質(及びミネラル)の濃縮方法を実施した。 本実施形態のホエイパウダー中のタンパク質(及びミネラル)の濃縮方法の第1回目の実施では、図5(a)、(b)に示す原料サンプル(RM)に対して機械的な乾式処理を行って濃縮処理し、図6(a)、(b)に示す微粉(1次微粉)(F)を0.23kg(28.7wt%)、図7(a)、(b)に示す粗粉(1次粗粉)(C)を0.58kg(71.3wt%)得た。 この時のターボクラシファイアTC−15の運転条件は、原料供給速度が5.8kg/h、回転数が1500rpm、風量が2.5m 3 /minであった。 次に、第1回目の実施で作成した1次微粉(F)と1次粗粉(C)とのそれぞれに対して、さらにターボクラシファイアTC−15を利用して、機械的な乾式処理を行い、第2回目のタンパク質(及びミネラル)の濃縮方法を実施した。 1次微粉(F)に対して、再度、機械的な乾式処理を行って第2回目の濃縮方法を実施した。 この時のターボクラシファイアTC−15の運転条件は、原料供給速度が5.8kg/h、回転数が4000rpm、風量が2.5m 3 /minであった。 一方、1次粗粉(C)に対して、再度、機械的な乾式処理を行って第2回目の濃縮方法を実施した。 この時のターボクラシファイアTC−15の運転条件は、原料供給速度が5.4kg/h、回転数が1200rpm、風量が2.5m 3 /minであった。 また、上記に示される原料サンプル(RM)、2次微粉(FF)及び2次粗粉(CC)100g中に含まれる乳糖量をそれぞれ高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、乾式処理前の原料サンプル(RM)の乳糖含有量は、71.1gであり、乾式処理後の2次微粉(FF)の乳糖含有量は、35.6gであり、乾式処理後の2次粗粉(CC)は、78.2gであった。 つまり、原料サンプル(RM)中の乳糖量よりも2次微粉(FF)中の乳糖量が減少しているのに対して、2次粗粉(CC)中の乳糖量は増加していた。 ここで、図5(a)は、原料として使用したホエイパウダー(RM)のSEM写真であり、図5(b)は、図5(a)に示すホエイパウダー(RM)をさらに拡大したものである。 粒子表面は、なめらかで欠損はほとんどないことがわかる。 図6(a)は、1次微粉(F)のSEM写真であり、図6(b)は、図6(a)に示す1次微粉(F)をさらに拡大したものである。 図5(a)と図6(a)、図5(b)と図6(b)とは、それぞれ、同じ拡大率であるが、図6(a)および(b)には、図5(a)および(b)でみられた種々のサイズの粒子の内の、大きな粒子の粒子表面から削り取られた破片であるホエイパウダー表面微粉と、微細粒子と、微細粒子よりすこし大きく、削り取られて粒子表面が残る微粒子破片とを含む微粉であることがわかる。 次に、図7(a)は、1次粗粉(C)のSEM写真であり、図7(b)は、図7(a)に示す1次粗粉(C)をさらに拡大したものである。 図7(a)および(b)から、粒子表面は欠損が見受けられるものの、原料である図5(a)および(b)と大きく粒子構成が変わらないことがわかる。 また、図8(a)は、2次微粉(FF)のSEM写真であり、図8(b)は、図8(a)に示す2次微粉(FF)をさらに拡大したものである。 原料(RM)を示す図5(a)および1次微粉(F)を示す図6(a)と図8(a)、図5(b)および図6(b)と図8(b)とは、それぞれ、同じ拡大率であるが、図8(a)および(b)には、図5(a)、(b)、図6(a)および(b)でみられた粒子は、ほとんどなく、ほぼ破片であるホエイパウダー表面微粉を含む微粉であることがわかる。 次に、図9(a)は、2次粗粉(CC)のSEM写真であり、図9(b)は、図9(a)に示す2次粗粉(CC)をさらに拡大したものである。 図9(a)および(b)から、粒子表面は欠損が見受けられるものの、原料である図5(a)、(b)、図7(a)および(b)と大きく粒子構成が変わらないことがわかる。 図13(a)〜(g)は、それぞれの原料、微粉および粗粉の各サンプルの粒度分布を示すものである。 本明細書において、粒度分布は、Microtrac MT3300(日機装社製)にて、レーザ回折・散乱法にて測定を行った。 次に、図13(d)および(f)は、1次微粉(F)に対して、それぞれ、再度、すなわち第2回目の機械的な乾式処理して分級した2次微粉(FF)および粗微粉(FC)の粒度分布を示す。 図13(b)と図13(f)とを比べると、1次微粉(F)に対する第2回目の機械的な乾式処理においても、第1回目の機械的な乾式処理と同様に、第2回目の機械的な乾式処理前の微粉(F)と第2回目の機械的な乾式処理後の粗粉(FC)の最頻度粒径は、変わっておらず、ほとんど粉砕されずに、表面だけ削り取られていることがわかる。 次に、図13(e)および(g)は、1次粗粉(C)に対して、それぞれ、再度、すなわち第2回目の機械的な乾式処理して分級した微粗粉(CF)および2次粗粉(CC)の粒度分布を示す。 図13(c)と図13(g)とを比べると、1次粗粉(C)に対する第2回目の機械的な乾式処理においても、第1回目の機械的な乾式処理と同様に、第2回目の機械的な乾式処理前の粗粉(C)と第2回目の機械的な乾式処理後の2次粗粉(CC)の最頻度粒径は、変わっておらず、ほとんど粉砕されずに、表面だけ削り取られていることがわかる。 以上の結果から、本実施形態のホエイパウダー中のタンパク質の濃縮方法においては、乾式処理装置の機械的な乾式処理として、ホエイパウダーの粒子表面を削りまたは剥がすことによって発生したホエイ削片やホエイ剥片等のホエイパウダーの表面微粉を回収することで、ホエイパウダー中に存在するタンパク質を乾式のまま濃縮することができる。 本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。 以上、本発明の一実施形態であるホエイパウダー中のタンパク質の濃縮方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態や実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。 10 タンパク質(及びミネラル)の乾式濃縮装置 20 原料フィーダ 22 原料フィーダモータ 24 スクリュー 26 ホッパ 28 排出口 30 気流式分級機 32 気流式分級機モータ 40 バグフィルタ 42 微粉回収バルブ 50 ファン 100 微粉回収器 200 粗粉回収器 500 粒子(原料、微粉、粗粉) |