カゼイノマクロペプチドを含有する組成物を製造する方法

申请号 JP2015542277 申请日 2013-11-15 公开(公告)号 JP6396309B2 公开(公告)日 2018-09-26
申请人 アーラ フーズ エエムビエ; Arla Foods amba; 发明人 クリステンセン,イェスパー; ホルスト,ハンス ヘンリク;
摘要
权利要求

低いフェニルアラニン(Phe)含有量を有するカゼイノマクロペプチド含有組成物を製造する方法であって、前記組成物が当該組成物のタンパク質総量に対して最大0.5%(w/w)のPheを含み、前記方法が、 a)カゼイノマクロペプチド(CMP)と少なくとも1種の追加的なタンパク質とを含んでなり、最大で4のpHを有する、ホエー由来供給物を提供するステップと、 b)単量体CMPを通過させる限外濾過フィルターを使用して、前記ホエー由来供給物を限外濾過し、それによってCMPに関して富化されたUF透過液と、UF残余分とを提供するステップと、 c)前記UF透過液に由来する第1の組成物をカチオン交換材に接触させるステップと、 d)前記カチオン交換材と結合しない前記第1の組成物の画分を収集し、それによって前記CMP含有組成物を得るステップと を含んでなることを特徴とする方法。請求項1に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、チーズホエーまたはその濃縮物に由来することを特徴とする方法。請求項1または2に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、レンネット凝固カゼインまたはカゼイネートから得られるホエーまたはその濃縮物に由来することを特徴とする方法。請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、タンパク質総量と比較して、少なくとも1%(w/w)のCMP総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、タンパク質総量と比較して、1%〜60(w/w)の範囲のCMP総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、前記少なくとも1種の付加タンパク質が、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質を含んでなることを特徴とする方法。請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法において、前記少なくとも1種の付加タンパク質が、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも2種のタンパク質を含んでなることを特徴とする方法。請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、タンパク質総量と比較して、最大で3%(w/w)のカゼインの総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、前記乳清由来供給物重量と比較して、少なくとも0.2%(w/w)のタンパク質総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、前記乳清由来供給物重量と比較して、0.2〜20%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法において、前記乳清由来供給物が、pH1〜4の範囲のpHを有することを特徴とする方法。請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法において、前記限外濾過フィルターが、5〜300kDaの範囲の名目上の分画分子量を有することを特徴とする方法。請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法において、前記UF透過液が、タンパク質総量と比較して、少なくとも55%(w/w)のCMP総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至13の何れか一項に記載の方法において、前記UF透過液が、500nmで最大0.1AUの吸光度を有することを特徴とする方法。請求項1乃至14の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、タンパク質総量と比較して、少なくとも55%(w/w)のCMP総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至15の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、タンパク質総量と比較して、55%〜95(w/w)の範囲のCMP総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、前記第1の組成物重量と比較して、最大で0.5%(w/w)のカゼイン総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至17の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、少なくとも0.1%(w/w)のタンパク質総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至18の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、0.1〜20%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有することを特徴とする方法。請求項1乃至19の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、pH2〜5の範囲のpHを有することを特徴とする方法。請求項1乃至20の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物が、1〜8mS/cmの範囲の導電率を有することを特徴とする方法。請求項1乃至21の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物との接触時に、前記カチオン交換材がカラムに充填されていることを特徴とする方法。請求項1乃至22の何れか一項に記載の方法において、前記第1の組成物との接触時に、前記カチオン交換材が易流動性粒子として、前記第1の組成物に懸濁されていることを特徴とする方法。請求項1乃至23の何れか一項に記載の方法において、前記収集された画分を濃縮するステップをさらに含んでなることを特徴とする方法。請求項1乃至24の何れか一項に記載の方法において、前記収集された画分を噴霧乾燥するステップをさらに含んでなることを特徴とする方法。

说明书全文

本発明は、非常に低いフェニルアラニン(Phe)レベルを有するカゼイノマクロペプチド(CMP)を含有する組成物を、高収率で製造する方法に関する。より正確には、方法は、ホエー由来供給物を、限外濾過と引き続くカチオン交換クロマトグラフィーの組み合わせの対象とすることを伴う。

CMPは、ガラクトサミン、ガラクトース、およびo−シアル酸による多様なグリコシル化パターンと、異なる程度のグリコシル化のために、非常に不均一なペプチドである。この理由からCMPは、単一電荷を有しないが、事実上、荷電分布が存在する。

CMPは、Pheを含有しない、ユニークな天然起源ペプチドである。CMPは、例えばチーズの製造中に、キモシンがκ−カゼインを105から106アミノ酸残基の間で特異的に切断する際に、形成される。パラκカゼイン(残基1〜105)が凝析して、チーズカードを形成する一方で、CMP(残基106〜169)はホエー中に残留する。CMPは、甘性ホエー中で、β−ラクトグロブリン(BLG)およびα−ラクトアルブミン(ALA)に次ぐ、3番目に最も豊富なタンパク質である。

Pheの欠如は、CMPを、フェニルケトン尿症(PKU)に罹患している人々のための興味深いタンパク質源にする。

ホエーからCMPを単離するいくつかの試みが、先行技術に記載されている。

米国特許第5,278,288号明細書は、チーズホエーをカチオン交換し、引き続いて非結合画分を低pHで限外濾過し、それによって単量体CMPおよびその他の不純物を限外濾過透過液中に単離する、CMPを製造する方法を開示する。得られた透過液のpHを最終的にpH7に調節して、CMPオリゴマーの形成をもたらし、CMPオリゴマーは限外濾過によって濃縮される。得られた組成物のPhe含有量は、米国特許第5,278,288号明細書では言及されない。

国際公開第99/18808号パンフレットは、CMPを回収する別の方法を開示する。より具体的には、国際公開第99/18808号パンフレットは、チーズホエーを、順次実施される逆極性の二段階イオン交換の対象とする方法を記載する。上述の米国特許第5,278,288号明細書は、国際公開第99/18808号パンフレットの背景技術セクションで考察され、米国特許第5,278,288号明細書の方法のCMP回収は、不経済に低いと言及されている。

国際公開第98/14071号パンフレットは、CMP組成物を製造する方法を開示する。この方法は、チーズホエーをアニオン交換処理し、引き続いてカチオンまたはアニオン交換処理であってもよい第2のイオン交換処理を実施することを伴う。得られたCMP組成物は、塩酸によるタンパク質加分解後に測定されたアミノ酸総量と比較して、最大で0.5%(w/w)のPhe含有量を有するとされている。

当該技術分野の一般的理解(例えば国際公開第99/18808号パンフレットの2頁を参照されたい)に反して、本発明者らは、限外濾過とカチオン交換の組み合わせが、ホエー由来供給物からCMPを分離する経済的方法をもたらし得ることを発見した。しかしこれは、カチオン交換ステップと、それに続く限外濾過ステップを開示する米国特許第5,278,288号明細書とは異なり、カチオン交換ステップの前に限外濾過ステップを実施することを要する。

本発明を使用することで、非常に高い収率と非常に低いPhe含有量の双方で、CMPを経済的に単離してもよい。

したがって本発明の態様は、低いフェニルアラニン含有量を有するカゼイノマクロペプチド含有組成物を製造する方法に関し、方法は、 a)カゼイノマクロペプチド(CMPと少なくとも1種の追加的なタンパク質とを含んでなり、最大で4のpHを有する、ホエー由来供給物を提供するステップと、 b)単量体CMPを通過させる限外濾過(UF)フィルターを使用して前記ホエー由来供給物を限外濾過し、それによってCMPに関して富化されたUF透過液と、UF残余分とを提供するステップと、 c)前記UF透過液に由来する第1の組成物をカチオン交換材に接触させるステップと、 d)カチオン交換材と結合しない第1の組成物の画分を収集し、それによってCMP含有組成物を得るステップと を含んでなる。

本発明の文脈で、「カゼイノマクロペプチド」または「CMP」という用語は、例えばチーズ製造中に、例えばキモシンへの曝露時に、κ−カゼインから遊離してもよいペプチドに関する。CMPという用語は、CMPのグリコシル化および非グリコシル化形態の双方を包含する。学術文献では、CMPは、時にカゼイノグリコマクロペプチド(cGMP)またはグリコマクロペプチド(GMP)とも称される。

低いpHでは、CMPは、「単量体CMP」とも称される単一CMP分子として存在する。より高いpHでは、単一CMP分子は凝集し始め、したがってCMP二量体(2つの単一CMP分子の複合体)またはCMPオリゴマー(2つを超える単一CMP分子の複合体)を形成する。

本発明の文脈で、低いフェニルアラニン(Phe)含有量を有する組成物は、組成物のタンパク質総量に対して最大で0.5%(w/w)のPheを含有する。本明細書に記載されるように、さらにより低いPhe含有量が好ましいこともある。組成物のPhe含有量は、ISO 13903:2005(動物飼料−アミノ酸含有量判定)に従って判定される。

図1は、UF透過液(3)が第1の組成物として使用される、本発明の実施形態の概略図である。

図2は、UF透過液(3)が第1の組成物として使用され、UF残余分(2)が水(5)で希釈されて、限外濾過システムへの供給物(5)として再循環される、本発明の実施形態の概略図である。

図3は、本発明の実施形態の概略図であり、3つのUFユニットが順に配列されて、最初にホエー由来供給物が濾過され(1)、次に第1のUFユニットからのUF残余分(2)が水(5)で希釈され、最後に第2のUFユニットからのUF残余分(2’)もまた水(5)で希釈される。3つのUFユニット(3、3’、および3’’)のUF透過液は、合わされて第1の組成物として使用される。

本発明の態様は、低いフェニルアラニン含有量を有する、カゼイノマクロペプチド含有組成物を製造する方法に関し、方法は、 a)カゼイノマクロペプチド(CMPと少なくとも1種の追加的なタンパク質とを含んでなり、最大で4のpHを有する、ホエー由来供給物を提供するステップと、 b)単量体CMPを通過させる限外濾過フィルターを使用して、前記ホエー由来供給物を限外濾過し、それによってUF透過液と、CMPに関して富化されたUF残余分とを提供するステップと、 c)前記UF透過液に由来する第1の組成物をカチオン交換材に接触させるステップと、 d)カチオン交換材と結合しない第1の組成物の画分を収集し、それによってCMP含有組成物を得るステップと を含んでなる。

ホエー由来供給物は、限外濾過の対象となる液体供給物である。ホエー由来供給物は、例えばホエーの処理中に典型的に得られる、プロセスストリームの1つであってもよい。

本発明の文脈で、「ホエー」という用語は、例えばレンネットベースのチーズ製造中に生じる、特にκ−カゼインであるカゼインの酵素的切断によって、カゼインが凝固する際に得られる液体画分に関する。

ホエー由来供給物中では、総タンパク質の少なくとも50%(w/w)がホエーに由来する。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエー由来供給物の総タンパク質の少なくとも90%(w/w)、好ましくは実質的に全てが、ホエーに由来する。

ホエーは、例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、ラクダ、ラマ、ウマおよび/またはシカからのミルクなどの好ましくは哺乳類ミルクのホエーである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエー由来供給物は乳に由来する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエー由来供給物は、チーズホエーまたはその濃縮物に由来する。ホエー由来供給物は、例えばチーズホエーまたはそのタンパク質濃縮物からなってもよい。

本発明の文脈で、液体の「タンパク質濃縮物」という用語は、元の液体のタンパク質の実質的に全部を含有するが、より少量の水および任意選択的により少量の塩、炭水化物、およびその他の小型分子を含有する、液体組成物または粉末組成物に関する。タンパク質濃縮物は、例えば蒸発によって、または低分子カットオフ膜を使用する限外濾過によって調製してもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、ホエー由来供給物は、β−ラクトグロブリン低下供給物、またはそのタンパク質濃縮物に由来する。

本発明のその他の好ましい実施形態では、ホエー由来供給物は、レンネット凝固カゼインまたはカゼイネートから得られるホエー、またはその濃縮物に由来する。ホエー由来供給物は、例えばレンネット凝固カゼインまたはカゼイネートからのホエー、またはその濃縮物からなってもよい。このようなホエーは、例えばミルクの代わりにカゼインミセル単離物をベースとするチーズ製造中に得られる。

ホエー由来供給物のCMP含有量は変動してもよく、どの特定ホエー由来供給物が使用されるかに左右される。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、少なくとも1%(w/w)の量のCMPを含有する。例えばホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、少なくとも5%(w/w)のCMPを含有してもよい。好ましくはホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、少なくとも10%(w/w)の量のCMPを含有する。ホエー由来供給物は、例えばタンパク質総量と比較して、少なくとも15%(w/w)の量のCMPを含有してもよい。

ホエー由来供給物は、例えばタンパク質総量と比較して、1〜60%(w/w)の範囲の量のCMPを含有してもよい。例えばホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、5〜50%(w/w)の範囲の量のCMPを含有してもよい。好ましくはホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、10〜40%(w/w)の範囲の量のCMPを含有する。ホエー由来供給物は、例えばタンパク質総量と比較して、15〜30%(w/w)の範囲の量のCMPを含有してもよい。

例えばホエー由来供給物または関連製品などの組成物のCMPの量および総タンパク質の量は、好ましくはThomae et al(Thomae,C.,Krause,I.and Kulozik,U.(2006).Precipitation behaviour of caseinomacropeptides and their simultaneous determination with whey proteins by RP−HPLC.International Dairy Journal,16,285−293)に記載されるようにして判定される。

既述したように、ホエー由来供給物は、少なくとも1種の追加的なタンパク質、典型的には少なくとも数種の追加的なタンパク質を含有する。追加的なタンパク質は、常態でホエー中に固有に存在するタンパク質を含んでなる。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1種の追加的なタンパク質は、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質を含んでなる。

CMPもまたカゼインに由来するにもかかわらず、本発明の文脈では、「カゼイン由来ペプチド」という用語は、CMPを包含しないことに留意すべきである。

例えば少なくとも1種の追加的なタンパク質は、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも2種のタンパク質を含んでなってもよい。

ホエー由来供給物は、塩、脂肪、乳糖およびその他の炭水化物などの、常態でホエーに見られるその他の成分をさらに含有してもよい。

一般に、ホエー由来供給物は、少量のカゼインのみを含有することが好ましく、好ましくは実質的にカゼインを全く含まない。

本発明のいくつかの実施形態では、ホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、最大で3%(w/w)のカゼイン総量を含有する。

例えばホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、最大で1%(w/w)の量のカゼインを含有してもよい。好ましくはホエー由来供給物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.1%(w/w)の量のカゼインを含有する。ホエー由来供給物は、例えばタンパク質総量と比較して、最大で0.01%(w/w)の量のカゼインを含有してもよい。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、少なくとも0.2%(w/w)のタンパク質総量を含有する。例えばホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、少なくとも0.8%(w/w)のタンパク質総量を含有してもよい。好ましくはホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、少なくとも2%(w/w)のタンパク質総量を含有する。ホエー由来供給物は、例えばホエー由来供給物の重量と比較して、少なくとも5%(w/w)のタンパク質総量を含有してもよい。

本発明のいくつかの実施形態ではホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、0.2〜20%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有する。例えばホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、0.8〜15%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有してもよい。好ましくはホエー由来供給物は、ホエー由来供給物の重量と比較して、2〜14%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有する。ホエー由来供給物は、例えばホエー由来供給物の重量と比較して、例えば4〜8%(w/w)の範囲などの、4〜10%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有してもよい。

ホエー由来供給物は、オリゴマーCMP複合体の単量体CMPへの分離に有利に働くpHを有することが好ましい。ホエー由来供給物は、例えばpH1〜4の範囲のpHを有してもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、ホエー由来供給物は、1.5〜3.8の範囲のpHを有する。例えばホエー由来供給物は、2.0〜3.6の範囲のpHを有してもよい。ホエー由来供給物は、例えば2.8〜3.2の範囲などの、例えば2.5〜3.5の範囲のpHを有してもよい。

それが特に明記されない限り、本明細書で言及されるpH価は、12℃で測定される。

既述したように、ステップb)は、単量体CMPを通過させる限外濾過フィルター使用して、ホエー由来供給物を限外濾過し、それによってCMPに関して富化されたUF透過液と、UF残余分とを提供することを伴う。

UF透過液は、UF透過液中のタンパク質総量と比較したCMPの重量百分率が、ホエー由来供給物よりも高いという意味で、CMPに関して富化される。UF透過液中のCMPの絶対濃度が、ホエー由来供給物中のCMPの絶対濃度よりも低いこともあり得るが、限外濾過フィルターが、CMPでない別のタンパク質のより大きな百分率を保持しさえすれば、これは問題ではない。

例えば限外濾過工程の実装例は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に援用する、欧州特許第1037537B1号明細書に見られる。

ステップb)は、最初のUF残余分のいわゆる透析濾過をさらに伴って、残余分中に残留するCMPのより多くを洗い出してもよい。透析濾過は、タンパク質を実質的に含有しない液体で、最初のUF残余分を希釈することを伴う。このような液体の有用な例は、例えば水、ホエーまたはミルクのナノ濾過透過液、ホエーまたはミルクのCMP非含有UF透過液などの液体である。代案としては、希釈のために使用される液体は、逆浸透透過液であってもよい。逆浸透透過液は、例えばミルク、ホエー、ミルクUF透過液、またはホエーUF透過液の逆浸透から得られてもよく、主に水および小型の一価のイオンを含んでなる。

次に、最初のUFステップで必要とされるのと同一または類似条件下で、同一または類似UFフィルターを使用して、希釈液体を限外濾過する。必要ならば、希釈残余分のpHを最大でpH4のpHに調節すべきである。最初のUF透析濾過ステップは、第1のUF透析濾過透過液および第1のUF透析濾過残余分の形成をもたらす。

この工程は、前回の残余分を毎回希釈し、必要ならばpHを調節して、次に新規供給物を限外濾過して、1回または複数回繰り返してもよく、それはさらなるCMP富化UF透析濾過透過液と、さらなるCMP低下UF透析濾過残余分の形成をもたらす。

第1のおよびさらなるUF透析濾過透過液は、好ましくは最初のUF透過液と合わせて、第1の組成物の一部を形成する。

限外濾過フィルターは、フィルターの供給物側により大型の分子を保持して、より小型の分子を通過させる構成要素である。限外濾過フィルターは、例えば特定孔径分布を有する孔を含有する薄膜であってもよい。

限外濾過フィルターは、好ましくは、操作中に、フィルターに単量体CMPを通過させるように、そしてβ−ラクトグロブリン好ましくは類似ホエータンパク質もまた保持できるように、選択される。当業者には理解されるように、限外濾過フィルターの分離特性は、その物理および化学構造の双方、供給材料の特性、および限外濾過が実施される工程パラメータに左右される。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、限外濾過フィルターは、5〜300kDaの範囲の名目上の分画分子量を有する。例えば限外濾過フィルターは、10〜150kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。好ましくは、限外濾過フィルターは、20〜100kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。限外濾過フィルターは、例えば35〜60kDaの範囲などの、例えば30〜80kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。

例えば限外濾過フィルターは、5〜100kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。好ましくは、限外濾過フィルターは、10〜70kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。限外濾過フィルターは、例えば20〜40kDaの範囲などの、例えば15〜50kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。代案としては、限外濾過フィルターは、10〜50kDaの範囲の名目上の分画分子量を有してもよい。

限外濾過フィルターの名目上の分画分子量は、典型的に、フィルター製造会社によって提供される。「名目上の分画分子量」は、90%の溶質がフィルターによって保持される、最低分子量溶質(ダルトン単位)と定義される。「名目上の分画分子量」は、ASTM規格E 1343−90に従って判定される。

限外濾過は、例えば十字流濾過のために配置されたフィルターを含む限外濾過システムを使用して、実施してもよい。有用なフィルター配置の非限定的例は、渦巻形限外濾過システム、中空糸膜システム、および管状膜システムである。

いくつかの好ましい実施形態では、限外濾過フィルターは限外濾過膜であり、好ましくは高分子膜である。代案としては、膜は、金属膜またはセラミック膜であってもよい。

有用な限外濾過フィルターのより多くの例は、”Membrane filtration and related molecular separation technologies”,APV Systems,Nielsen W.K.(Ed.),Silkeborg Bogtrykkeri A/S(2003),ISBN 8788016757−9788788016758に見られる。

限外濾過中のホエー由来供給物の温度は、広範囲で変動してもよいが、典型的に温度は、5〜60℃の範囲内であることが好ましい。例えば限外濾過中のホエー由来供給物の温度は、6〜40℃の範囲、好ましくは7〜30℃の範囲、なおもより好ましくは8〜20℃の範囲であってもよい。

現在のところ、ホエー由来供給物の温度を上述の間隔の下端に保つことが好ましい。したがって本発明のいくつかの好ましい実施形態では、限外濾過中のホエー由来供給物の温度は、5〜20℃の範囲、好ましくは7〜16℃の範囲、なおもより好ましくは8〜12の範囲である。

限外濾過中に使用される圧は、使用されるUFフィルターの特定タイプおよびデザインに応じて変動してもよい。典型的に、0.2〜10バールのフィルター差圧が使用される。フィルター差圧は、例えば1〜8バールの範囲であってもよい。代案としては、フィルター差圧は、例えば2〜6バールの範囲であってもよい。例えばフィルター差圧圧力は、例えば約4バールなどの3〜5バールの範囲であってもよい。

限外濾過の実用的な実装および操作に関する詳細は、書籍、”Membrane filtration and related molecular separation technologies”,APV Systems,Nielsen W.K.(Ed.),Silkeborg Bogtrykkeri A/S(2003),ISBN 8788016757−9788788016758に見られる。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、UF透過液は、タンパク質総量と比較して、少なくとも55%(w/w)のCMP総量を含有する。例えばUF透過液は、タンパク質総量と比較して、少なくとも60%(w/w)のCMP総量を含有してもよい。UF透過液は、例えばタンパク質総量と比較して、少なくとも65%(w/w)のCMP総量を含有してもよい。

UF透過液は、好ましくは低いタンパク質凝集体含有量を有する。タンパク質凝集体はより高い分子量を有し、したがって単一タンパク質分子よりも低い拡散係数を有し、したがって非CMPタンパク質を結合させるために使用される、引き続くカチオン交換ステップ中で除去するのは、困難である。

本発明の文脈で、「タンパク質凝集体」という用語は、凝集タンパク質分子の粒子に関し、その粒子は少なくとも10nmの典型的な平均流体力学直径を有する。

UF透過液中のタンパク質凝集体含有量は、500nmの波長を有する光を生じる、タンパク質凝集体の散乱レベルの測定によって定量化してもよい。散乱レベルは、標準的1cmキュベットをはじめとする、標準的吸光度測定設定を使用して判定される。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、UF透過液は、500nmにおいて、最大で0.1AUの吸光度を有する(1cmの光路長)。例えばUF透過液は、500nにおいて、最大で0.05AUの吸光度を有してもよい。好ましくはUF透過液は、500nmにおいて、最大で0.01AUの吸光度を有する。なおもより好ましくは、UF透過液は、500nmにおいて、最大で0.001AUの吸光度を有する。

理想的には、UF透過液は、500nmにおいて、検出可能な吸光度を全く有しない。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、UF透過液は、UF透過液中のタンパク質総量と比較して、最大で1%(w/w)のタンパク質凝集体を含有する。例えばUF透過液は、タンパク質総量と比較して、最大で0.1%(w/w)のタンパク質凝集体を含有してもよい。好ましくは、UF透過液は、タンパク質総量と比較して、最大で0.01%(w/w)のタンパク質凝集体を含有する。なおもより好ましくは、UF透過液は、UF透過液のタンパク質総量と比較して、最大で0.001%(w/w)のタンパク質凝集体を含有する。

既述したように、ステップc)は、前記UF透過液に由来する第1の組成物をカチオン交換材に接触させることを伴う。

本発明の文脈で「第1の組成物」という用語は、ステップc)でカチオン交換される、CMP含有供給物に関する。第1の組成物は、好ましくは液体水性組成物である。第1の組成物は、第1の組成物のCMPの少なくとも50%(w/w)が、UF透過液に由来するという意味で、UF透過液に由来する。ステップb)が最初のUF残余分のUF透析濾過をさらに伴う場合、第1の組成物は、第1の組成物のCMPの少なくとも50%(w/w)が、最初のUF透過液と、1つまたは複数の引き続くUF透析濾過透過液とに由来するという意味で、UF透過液に由来する。

例えば第1の組成物のCMPの少なくとも75%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来してもよい。好ましくは第1の組成物のCMPの少なくとも90%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来する。なおもより好ましくは、例えば全てのCMPなどの、第1の組成物のCMPの少なくとも90%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物はUF透過液である。

しかし本発明の別の実施形態では、UF透過液は、第1の組成物の形成をもたらす、追加的な工程段階の対象になってもよい。このような追加的な工程段階は、例えば温度調節、濃縮、pH調節、および/またはさらなる分画を伴ってもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、第1の組成物の準備は、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液のpH調節および濃縮を伴う。

本発明の別の実施形態では、第1の組成物の準備は、例えばあらゆる追加的なUF透析濾過透過液と混合されたUF透過液の濃縮、および合わせた透過液のpHおよび導電率に関する調節を伴う。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、少なくとも55%(w/w)のCMP総量を含有する。例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、少なくとも60%(w/w)のCMP総量を含有してもよい。第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、少なくとも65%(w/w)のCMP総量を含有してもよい。

第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、55〜95%(w/w)の範囲のCMP総量を含有してもよい。例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、60〜90%(w/w)範囲のCMP総量を含有してもよい。第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、65〜80%(w/w)の範囲のCMP総量を含有してもよい。

既述したように、第1の組成物は、少なくとも1種の追加的なタンパク質、典型的には少なくとも数種の追加的なタンパク質を含有する。追加的なタンパク質は、常態でホエー中に本質的に存在するタンパク質を含んでなる。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1種の付加タンパク質は、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質を含んでなる。

例えば少なくとも1種の付加タンパク質は、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、ウシ血清アルブミン(BSA)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、βカゼイン、カゼイン由来ペプチド、乳脂肪球皮膜(MFGM)タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも2種のタンパク質を含んでなってもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、第1の組成物の追加的なタンパク質の総量の少なくとも50%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来する。例えば第1の組成物の少なくとも75%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来してもよい。好ましくは第1の組成物の少なくとも90%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来する。なおもより好ましくは、例えば第1の組成物の全ての追加的なタンパク質などの、追加的なタンパク質の少なくとも90%(w/w)が、UF透過液と、あらゆる追加的なUF透析濾過透過液とに由来する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で45%(w/w)の追加的なタンパク質総量を含有する。例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で40%(w/w)の追加的なタンパク質総量を含有してもよい。第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、最大で35%(w/w)の追加的なタンパク質総量を含有してもよい。

第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、5〜45%(w/w)の範囲の追加的なタンパク質総量を含有してもよい。例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、10〜40%(w/w)の範囲の追加的なタンパク質総量を含有してもよい。第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、20〜35%(w/w)の範囲の追加的なタンパク質総量を含有してもよい。

第1の組成物は、塩、脂肪、乳糖およびその他の炭水化物などの常態でホエーに見られるその他の成分をさらに含有してもよい。

一般に、第1の組成物は、少量のカゼインのみを含有することが好ましく、好ましくは実質的にカゼインを全く含まない。

本発明のいくつかの実施形態では、第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.5%(w/w)のカゼイン総量を含有する。

例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.1%(w/w)の量のカゼインを含有してもよい。好ましくは第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.01%(w/w)の量のカゼインを含有する。第1の組成物は、例えばタンパク質総量と比較して、最大で0.001%(w/w)の量のカゼインを含有してもよい。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、少なくとも0.1%(w/w)のタンパク質総量を含有する。例えば第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、少なくとも0.2%(w/w)のタンパク質総量を含有してもよい。好ましくは第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、少なくとも0.5%(w/w)タンパク質総量を含有する。例えば第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、少なくとも1%(w/w)のタンパク質総量を含有してもよい。

本発明のいくつかの実施形態では第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、0.1〜20%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有する。例えば第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、0.2〜15%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有してもよい。好ましくは第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、0.5〜10%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有する。第1の組成物は、第1の組成物重量と比較して、例えば1〜2%(w/w)の範囲などの、例えば1〜5%(w/w)の範囲のタンパク質総量を含有してもよい。

UF透過液と同様に、第1の組成物は、好ましくは低いタンパク質凝集体含有量を有する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、500nmにおいて、最大で0.1AUの吸光度を有する(1cmの光路長)。例えば第1の組成物は、500nにおいて、最大で0.05AUの吸光度を有してもよい。好ましくは第1の組成物は、500nmにおいて、最大で0.01AUの吸光度を有する。なおもより好ましくは、第1の組成物は、500nmにおいて、最大で0.001AUの吸光度を有する。

理想的には、第1の組成物は、500nmにおいて、検出可能な吸光度を全く有しない。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、第1の組成物中のタンパク質総量と比較して、最大で1%(w/w)のタンパク質凝集体を含有する。例えば第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.1%(w/w)のタンパク質凝集体を含有してもよい。好ましくは第1の組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.01%(w/w)のタンパク質凝集体を含有する。なおもより好ましくは、第1の組成物は、第1の組成物のタンパク質総量と比較して、最大で0.001%(w/w)タンパク質凝集体を含有する。

第1の組成物は、典型的に、pH2〜5の範囲のpHを有する。

本発明のいくつかの実施形態では、第1の組成物は、pH2.3〜4.6の範囲のpHを有する。例えば第1の組成物は、2.6〜4.2の範囲のpHを有してもよい。第1の組成物は、例えば3.0〜3.7の範囲などの、例えば2.8〜4.0の範囲のpHを有してもよい。

第1の組成物は、例えば2.5〜4.8の範囲のpHを有してもよい。例えば第1の組成物は、3.0〜4.6の範囲のpHを有してもよい。第1の組成物は、例えば3.6〜4.2の範囲などの、例えば3.4〜4.4の範囲のpHを有してもよい。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、12℃で1〜8mS/cmの範囲の導電率を有する。

水溶液の「導電率」(時に「比導電率」と称される)は、溶液が電気を伝導する能力の尺度である。導電率は、例えば2枚の電極間の溶液のAC抵抗の測定によって判定されてもよく、結果は、典型的に1cmあたりのミリジーメンス(mS/cm)単位で示される。導電率は、例えばEPA(米国環境保護庁)法第120.1号に従って評価されてもよい。

例えば第1の組成物の導電率は、12℃で1.5〜7mS/cmの範囲であってもよい。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物の導電率が、12℃で2〜5mS/cmの範囲であることがさらにより好ましくあってもよい。

第1の組成物は、例えば12℃で0.5〜5mS/cmの範囲の導電率を有してもよい。例えば第1の組成物は、例えば12℃で0.6〜4mS/cmの範囲の導電率を有してもよい。代案としては、第1の組成物は、例えば12℃で0.8〜2mS/cmの範囲の導電率を有してもよい。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、12℃で1〜8mS/cmの範囲の導電率と、12℃でpH2〜5の範囲のpHを有する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、12℃で1.5〜6mS/cmの範囲の導電率と、12℃でpH2.5〜3.9の範囲のpHを有する。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の組成物は、12℃で2〜5mS/cmの範囲の導電率と、12℃でpH3.0〜3.8の範囲のpHを有する。

例えば、第1の組成物は、12℃で0.5〜5mS/cmの範囲の導電率と、12℃でpH3.0〜4.8の範囲のpHを有してもよい。

代案としては、第1の組成物は、12℃で0.7〜3mS/cmの範囲の導電率と、12℃でpH3.5〜4.5の範囲のpHを有してもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、第1の組成物との接触時に、カチオン交換材がカラムに充填される。

カチオン交換材は、第1の組成物との接触時に、例えば易流動性粒子として第1の組成物に懸濁されてもよい。

本発明のいくつかの実施形態では、カチオン交換材は、固相と、カチオンに結合できる1つまたは複数のアニオン性基とを含んでなる。

好ましくは、アニオン性基の少なくとも一部は、固相に付着する。

本発明のいくつかの実施形態では、カチオン交換材の固相は、複数粒子、フィルター、およびメンブランからなる群から選択される、1つまたは複数の構成要素を含んでなる。

固相は、例えば多糖類を含んでなってもよく、またはそれから本質的になってさえよい。架橋多糖類が、特に好ましい。有用な多糖類の例は、セルロース、アガロース、および/またはデキストランである。

代案としては、固相は、非炭水化物ポリマーを含んでなってもよく、またはそれから本質的になってさえよい。有用な非炭水化物ポリマーの例は、メタクリレート、ポリスチレン、および/またはスチレン−ジビニルベンゼンである。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、アニオン性基は、例えばスルホン酸基などの、例えば強力なカチオン交換基を含んでなってもよく、またはそれから本質的になってさえよい。代案としては、またはそれに加えて、アニオン性基は、例えばカルボン酸基などの、例えば弱いカチオン交換基を含んでなってもよく、またはそれからなってさえよい。

サイクルあたりの最適タンパク質装填量は、カチオン交換クロマトグラフィー工程のデザイン、およびカチオン交換材の特性に左右される。

圧力などをはじめとする、カチオン交換クロマトグラフィー中の工程条件は、実際の工程実装、使用機器、および使用カチオン交換材に左右される。

ステップc)における第1の組成物の温度は、典型的に、生物成長を最小化して、タンパク質およびカチオン交換材の熱損傷を回避するのに十分低いが、第1の組成物の許容できる粘度を提供するのに十分高い。

本発明のいくつかの実施形態では、ステップc)における第1の組成物の温度は、2〜40℃の範囲である。好ましくは、ステップb)における第1の組成物の温度は、4〜20℃の範囲、なおもより好ましくは6〜15℃の範囲である。

カチオン交換クロマトグラフィーと、その工業的実施に関する詳細は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に援用するScopesにある。

ステップd)は、カチオン交換材と結合しない第1の組成物の画分を収集し、それによってCMP含有組成物を得ることを伴う。

収集された画分は、そのままCMP含有組成物として使用してもよく、または代案としては、それを例えば組成物の脱塩および濃縮などの追加的工程段階の対象とし、引き続いて粉末に転換してもよい。

したがって本発明のいくつかの好ましい実施形態では、収集された画分は、加熱処理、濃縮、脱ミネラル化、溶媒蒸発、噴霧乾燥、およびタンパク質結合カチオン置換からなる群から選択される、1つまたは複数の工程段階をさらに受ける。

例えば、収集された画分を濃縮してもよい。

代案としては、またはそれに加えて、収集された画分を、例えば単量体CMPを保持する限外濾過フィルターを使用する透析濾過によって、脱ミネラル化してもよい。

濃縮または透析濾過前に、収集された画分のpHを、例えば少なくともpH5を超えるpHなどの、pH4を超えるpHに調節してもよい。pH上昇は、単量体CMPのオリゴマーへの結合をもたらし、それより大型の孔径を有する膜を使用した濃縮および/または透析濾過を可能にする。

代案としては、またはそれに加えて、収集された画分を蒸発ステップの対象としてもよい。

代案としては、またはそれに加えて、収集された画分を噴霧乾燥ステップの対象としてもよい。

本発明のいくつかの好ましい実施形態では、収集された画分を以下のステップの対象とした: i)例えば限外濾過、ナノ濾過、または逆浸透による濃縮、 ii)例えば水中での透析濾過、 iii)任意選択的に、例えば蒸発による、別の濃縮ステップ、 iv)低温殺菌、および v)低温殺菌組成物を粉末に転換するための噴霧乾燥。

本方法は、バッチプロセスまたは半バッチプロセスとして実施してもよい。

本発明のCMP含有組成物は、非常に高いCMP純度と、非常に低いPhe含有量の双方を有する。

本発明の好ましい実施形態では、方法は、組成物のタンパク質総量と比較して、少なくとも92%(w/w)のCMP純度を有するCMP含有組成物を製造するための方法である。例えば方法は、組成物のタンパク質総量と比較して、少なくとも95%(w/w)のCMP純度を有するCMP含有組成物を製造するための方法であってもよい。好ましくは、方法は、組成物のタンパク質総量と比較して、例えば少なくとも98%(w/w)などの少なくとも97%(w/w)の、または約100%(w/w)にさえ至る、CMP純度を有するCMP含有組成物を製造するための方法である。

本発明の方法の例示的実施形態は、図1に概略的に図示される。ホエー由来供給物(1)をUFユニットに誘導し、限外濾過する。UFステップは、UF残余分(2)、すなわちUFフィルターによって保持される画分と、UFフィルターを透過した画分であるUF透過液との形成をもたらす。この実施形態では、UF透過液(3)が第1の組成物として使用され、カチオン交換クロマトグラフィーの対象となる。第1の組成物の非CMPタンパク質不純物は、カチオン交換材(図示せず)と結合して、精製CMP含有組成物(4)が収集される。

方法の別の例示的実施形態は、図2に概略的に描写される。図1の工程と同様に、ホエー由来供給物を限外濾過した。得られたCMP濃縮UF透過液(3)は、第1の組成物として使用され、カチオン交換クロマトグラフィーの対象となる。カチオン交換材と結合しないタンパク質画は、CMP含有組成物として収集される。しかし図2の方法では、UF残余分は水(5)でさらに希釈されて、UF工程への供給物として再循環され、それによって元のホエー由来供給物のCMPのより多くの部分が洗い流されて、UF透過液中で回収される。

本発明のさらに別の例示的な実施形態は、図3で概略的に例証される。ここでは、一連の3つの限外濾過ユニットが、ステップb)で使用される。ホエー由来供給物(1)は、第1のUFユニットに供給されて、第1のUF残余分(2)と第1のUF透過液(3)が得られる。最初のUF残余分(2)は、水(5)と混合されて第2のUFユニットに供給され、第2のUF残余分(2’)および第2のUF透過液(3’)が得られる。第2のUF残余分(2’)は、水(5)と混合されて第3のUFユニットに供給され、第3のUF残余分(2’’)および第3のUF透過液(3’’)が得られる。第1、第2、および第3の透過液(3、3’、および3’’)は、合わされて第1の組成物として使用され、カチオン交換クロマトグラフィーの対象となる。

本発明の別の態様は、説明される方法によって得られるCMP含有組成物に関するその中で。

CMP含有組成物は、好ましくはタンパク質総量と比較して、最大で0.5%(w/w)のフェニルアラニンを含有する。例えばCMP含有組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.4%(w/w)のフェニルアラニンを含有してもよい。好ましくは、CMP含有組成物は、好ましくはタンパク質総量と比較して、最大で0.3%(w/w)のフェニルアラニンを含有する。なおもより好ましくは、CMP含有組成物は、タンパク質総量と比較して、最大で0.1%(w/w)フェニルアラニンなどの、好ましくはタンパク質総量と比較して、最大で0.2%(w/w)のフェニルアラニンを含有する。

本発明の好ましい実施形態では、CMP含有組成物は、組成物のタンパク質総量と比較して、少なくとも92%(w/w)のCMP純度を有する。例えばCMP含有組成物は、組成物のタンパク質総量と比較して、少なくとも95%(w/w)のCMP純度を有してもよい。好ましくは、CMP含有組成物は、組成物のタンパク質総量と比較して、例えば少なくとも98%(w/w)などの少なくとも97%(w/w)の、または約100%(w/w)にさえ至る、CMP純度を有する。

本発明について、特定の実施形態を参照して上で説明した。しかし上述した以外のその他の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。それが特に明記されない限り、本発明の異なる特徴および様々な実施形態および態様のステップは、本明細書に記載されるもの以外の方法で組み合わされてもよい。

実施例1:発明のプロセス変形型 限外濾過I−分離: 30%の乾燥物質および24%のタンパク質を含有する12000リットルのホエータンパク質濃縮物(WPC)をミネラル除去冷水で希釈して、乾物含量10%およびタンパク質含有量8%にした。pHが2.8になるまで、12Mの塩酸を添加した。31ミルのスペーサーがあり名目上のカットオフ値が50,000ダルトンである、Synder Filtration,Vacaville,California,USからのタイプBN6338の6”渦巻形膜を使用して、溶液を濾過した。総膜面積は、3072m2であった。濾過は、以下の条件で実施した:温度を10℃に維持し、3.5バールの送り圧力で、平均圧を4.5バールに維持した。12M塩酸を使用してpHを2.8に維持し、透過液が除去されるのと同じ流れで、限外濾過II(下記参照)からの透過液を添加した。ループ内の再循環流は180m3/hであり、供給タンク上の再循環はおよそ10m3/hであった。10時間の濾過後に、限外濾過IIからの透過液の添加を停止した。平均流束は、8L/m2hと測定された。

限外濾過II−残余分の透析濾過および透過液濃度: 限外濾過Iからの透過液を限外濾過IIへの供給タンク内に収集し、6%水酸化ナトリウムを使用してpHを継続的に6.0に調節した。限外濾過Iと同時に、31ミルのスペーサーがあり名目上のカットオフ値が50,000ダルトンである、Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのタイプHFK−328 6338の6”渦巻形膜を使用して限外濾過IIを実施した。総膜面積は、2304m2であった。濾過は、以下の条件で実施した:温度を10℃に維持し、透過液が限外濾過Iから除去されるのと同じ流れで、透過液を限外濾過Iに供給するために、平均圧を1.0〜5.0バールに維持した。10時間の濾過後に、すなわち限外濾過Iの停止後に、残余分を収集した。引き続いて残余分を透析濾過し、濾液が除去されるのと同じ流れで、70,000リットルの水道水を添加した。透析濾後過、残余分中のタンパク質含有量が12%になるまで、残余分を濃縮した。残余分の最終容積は、3450リットルであった。濾過条件は、上と同じであった。残余分中のCMPの純度は、HPLC分析に基づいて79%(100gのタンパク質あたり79gのCMP)と判定された。

カチオン交換クロマトグラフィー: 1日間の製造で、650リットルの限外濾過IIからの最終残余分を、脱ミネラル冷水で1.24%のタンパク質含有量(100g溶液あたり1.24gのタンパク質)に希釈した。42%w/wのクエン酸を使用して、溶液のpHを3.50に調節し、2MのNaClと2MのKCl溶液とを使用して、導電率を2.0mS/cmに調節した。GE Healthcare,Uppsala,Swedenからの116リットルの食品等級Sepharose Big Beadsで充填されたカラムを使用して、725リットルの調節されたタンパク質溶液をカチオン交換クロマトグラフィーの対象とした。

カチオン交換クロマトグラフィーの各サイクルにおいて、以下の条件が使用された:カラムを流速1300L/hで、290リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。上記の725リットルの供給液(調節されたタンパク質溶液)を流速1050L/hで、カラムにポンプで送り込み、通過画分(非結合物質)を製品タンク内に収集し、これはCMP溶液とも表記される。カラムをそれぞれ流速1050L/hおよび1300L/hで、それぞれ232リットルおよび58リットルの脱ミネラル水でフラッシュした。同時の溶出および定置洗浄ステップは、流速943L/hで580リットルの0.5M水酸化ナトリウムをカラムにポンプで送り込むことで実施した。カラムをそれぞれ流速943L/hおよび1300L/hで、それぞれ290リットルおよび580リットルの脱ミネラル水でフラッシュした。カチオン交換クロマトグラフィーの1サイクルの時間は、2.6時間であった。カチオン交換クロマトグラフィーステップのCMPの相対収率は、92%(供給物中の100gのCMPあたり通過画分中の92gのCMP)であった。

毎日8サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、製品タンク内のCMP溶液を濃縮するための、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)がそれに続いた。限外濾過前に、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液によって、製品タンクのpHを6.5に調節した。合計32サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、その後、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)によって、CMP溶液をさらに濃縮した。標準的噴霧乾燥機を使用して濃縮CMP溶液を噴霧乾燥し、196kgの粉末を得た。粉末の組成は、選択されたパラメータと共に表1に記載される。

実施例2−発明のプロセス変形型 限外濾過IおよびIIは、実施例1に記載されるのと同様の方法で実施した。最終限外濾過II残余分中のCMP純度は、HPLC分析に基づいて80%(100gタンパク質あたり80gのCMP)と判定された。

カチオン交換クロマトグラフィーは、以下を除いて、実施例1に記載されるのと同様の方法で実施された:希釈溶液のpHを3.37に調節して、合計47サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施した。カチオン交換クロマトグラフィーステップのCMPの相対収率は、90%(供給物中の100gのCMPあたり通過画分中の90gのCMP)であった。標準的噴霧乾燥機を使用して濃縮CMP溶液を噴霧乾燥し、357kgの粉末を得た。粉末の組成は、選択されたパラメータと共に表1に記載される。

実施例3−発明のプロセス変形型 限外濾過IおよびIIは、実施例1に記載されるのと同様の方法で実施した。最終限外濾過II残余分中のCMP純度は、HPLC分析に基づいて83%(100gタンパク質あたり83gのCMP)と判定された。

カチオン交換クロマトグラフィー: 1日間の製造で、450リットルの限外濾過IIからの最終残余分を、脱ミネラル冷水で0.66%のタンパク質含有量(100g溶液あたり0.66gのタンパク質)に希釈した。30%w/wの塩酸を使用して、溶液のpHを3.25に調節し、2MのNaClと2MのKCl溶液とを使用して、導電率を2.0mS/cmに調節した。GE Healthcare,Uppsala,Swedenからの80リットルの食品等級Sepharose Big Beadsで充填されたカラムを使用して、1000リットルの調節されたタンパク質溶液をカチオン交換クロマトグラフィーの対象とした。

カチオン交換クロマトグラフィーの1サイクルにおいて、以下の条件が使用された: カラムを流速1300L/hで、300リットルの脱ミネラル冷水、300リットルの0.50%w/w酢酸、および200リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。上記の1000リットルの供給液(調節されたタンパク質溶液)を流速1300L/hで、カラムにポンプで送り込み、通過画分(非結合物質)を製品タンク内に収集し、これはCMP溶液とも表記される。

カラムを流速1300L/hで、200リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。同時の溶出および定置洗浄ステップは、流速700L/hで400リットルの1.0M水酸化ナトリウムをカラムにポンプで送り込むことで実施した。カラムをそれぞれ流速700L/hおよび1300L/hで、それぞれ200リットルおよび400リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。カチオン交換クロマトグラフィーの1サイクルの時間は、2.7時間であった。カチオン交換クロマトグラフィーステップのCMPの相対収率は、77%(供給物中の100gのCMPあたり通過画分中の77gのCMP)であった。毎日8サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、製品タンク内のCMP溶液を濃縮するための、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)がそれに続いた。限外濾過前に、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を使用して、製品タンクのpHを6.5に調節した。合計20サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、その後、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)によって、CMP溶液をさらに濃縮した。標準的噴霧乾燥機を使用して濃縮CMP溶液を噴霧乾燥し、78kgの粉末を得た。粉末の組成は、選択されたパラメータと共に表1に記載される。

実施例4−発明のプロセス変形型 限外濾過IおよびIIは、実施例1に記載されるのと同様の方法で実施した。最終限外濾過II残余分中のCMP純度は、HPLC分析に基づいて79%(100gタンパク質あたり79gのCMP)と判定された。

カチオン交換クロマトグラフィー: 1日間の製造で、278リットルの限外濾過IIからの最終残余分を、脱ミネラル冷水で0.68%のタンパク質含有量(100g溶液あたり0.68gのタンパク質)に希釈した。30%w/wの塩酸を使用して、溶液のpHを3.75に調節し、5MのNaCl溶液を使用して、導電率を4.0mS/cmに調節した。GE Healthcare,Uppsala,Swedenからの80リットルの食品等級Sepharose Big Beadsで充填されたカラムを使用して、1000リットルの調節されたタンパク質溶液をカチオン交換クロマトグラフィーの対象とした。

カチオン交換クロマトグラフィーの1サイクルにおいて、以下の条件が使用された: カラムを流速1300L/hで、300リットルの1M NaCl、300リットルの脱ミネラル冷水、300リットルの0.25%w/w酢酸、および200リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。上記の1000リットルの供給液(調節されたタンパク質溶液)を流速1300L/hで、カラムにポンプで送り込み、通過画分(非結合物質)を製品タンク内に収集し、これはCMP溶液とも表記される。カラムを流速1300L/hで、200リットルの脱ミネラル冷水、300リットルの1MのNaCl(溶出)、および200リットルの脱ミネラル冷水でフラッシュした。定置洗浄ステップは、流速700L/hで400リットルの1.0M水酸化ナトリウムをカラムにポンプで送り込むことで実施した。カラムをそれぞれ流速700L/hおよび1300L/hで、それぞれ200リットルおよび400リットルの脱ミネラル水でフラッシュした。カチオン交換クロマトグラフィーの1サイクルの時間は、3.3時間であった。カチオン交換クロマトグラフィーステップのCMPの相対収率は、90%(供給物中の100gのCMPあたり通過画分中の90gのCMP)であった。毎日5サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、製品タンク内のCMP溶液を濃縮するための、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)がそれに続いた。限外濾過前に、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液によって、製品タンクのpHを6.5に調節した。合計10サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施して、その後、標準的限外濾過(Koch Membrane Systems,Wilmington,Massachusetts,USからのHFK−328メンブレン)によって、CMP溶液をさらに濃縮した。標準的噴霧乾燥機を使用して濃縮CMP溶液のほぼ半分を噴霧乾燥し、24kgの粉末を得た。粉末の組成は、選択されたパラメータと共に表1に記載される。

実施例5−発明のプロセス変形型 限外濾過I−分離: 23%の乾燥物質、20%のタンパク質を含有して、CMP純度がおよそ24%(100gのタンパク質あたり24gのCMP)である、600リットルのβ−ラクトグロブリン低下WPC濃縮物を脱ミネラル冷水で希釈して、乾物含量11%およびタンパク質含有量8.9%にした。pHが2.2になるまで、30%w/w塩酸を添加した。31ミルのスペーサーがあり名目上のカットオフ値が50,000ダルトンである、Synder Filtration,Vacaville,California,USからのタイプBN6338の6”渦巻形膜を使用して、溶液を濾過した。総膜面積は、64m2であった。濾過は、以下の条件で実施した:温度を10℃に維持し、送り圧力3.0バールで、平均圧を(2つのフィルター構成要素にわたり)2.0バールに維持した。30%w/wの塩酸を使用してpHを2.2に維持し、透過液が除去されるのと同じ流れで、限外濾過IIからの透過液を添加した。ループ内の再循環流は30m3/hであり、供給タンク上の再循環はおよそ5m3/hであった。8.5時間の濾過後に、限外濾過IIからの透過液の添加を停止した。平均流束は、22L/m2hと測定された。

限外濾過II−残余分の透析濾過および透過液濃度: 限外濾過IIのために、限外濾過Iからの透過液を供給タンク内に収集した。限外濾過Iと同時に、31ミルのスペーサーがあり名目上のカットオフ値が3,000ダルトンであるSynder Filtration,Vacaville,California,USからのタイプVT6338の6”渦巻形膜を使用して限外濾過IIを実施した。総膜面積は、64m2であった。濾過は、以下の条件で実施した:温度を10℃に維持し、送り圧力0.5〜1.0バールで、平均圧を(2つのフィルター構成要素にわたり)1.0〜1.5バールに維持した。限外濾過Iから透過液が除去されるのと同じ流れで、透過液を生成するために、圧力条件を調節した。8.5時間の濾過後に、すなわち限外濾過Iの停止後に、上記と同じ条件を使用して残余分を濃縮し、600リットルの残余分を得た。引き続いて4%水酸化ナトリウムを使用して残余分をpH6.3に調節し、透析濾過し、濾液が除去されるのと同じ流れで、3,300リットルの水道水を添加した。濾過条件は、上と同じであった。乾物含量3.4%およびタンパク質含有量2.9%の、820リットルの残余分が得られた。残余分中のCMPの純度は、HPLC分析に基づいて72%(100gのタンパク質あたり72gのCMP)と判定された。

カチオン交換クロマトグラフィー: カチオン交換クロマトグラフィーは、以下を除いて、実施例1で示される説明と同様に実施された:限外濾過IIからの最終残余分を脱ミネラル冷水で希釈して、タンパク質含有量1.14%(100gの溶液あたり1.14gのタンパク質)にして、希釈溶液中のpHを3.47に調節し、導電率を2.3mS/cmに調節した。各サイクル中に805リットルの供給液をカラムにポンプで送り込み、合計2サイクルのカチオン交換クロマトグラフィーを実施した。カチオン交換クロマトグラフィーステップのCMPの相対収率は、80%(供給物中の100gのCMPあたり通過画分中の80gのCMP)であった。噴霧乾燥機を使用して濃縮CMP溶液のほぼ半分を標準的噴霧乾燥し、6kgの粉末を得た。粉末の組成は、選択されたパラメータと共に表1に記載される。

実施例6−先行技術との比較 米国特許第5,278,288A号明細書は、CMPを製造するために、カチオン交換クロマトグラフィーと限外濾過を記述される順序で組み合わせる方法を開示する。例えば第1のカチオン交換ステップでは、チーズホエーをカチオン交換樹脂に接触させ、非吸着物質を収集する。引き続いてカットオフ値が10,000〜50,000ダルトンである膜を使用して、非吸着物質を4未満のpHで限外濾過し、それによって濾液中にCMPを得た。最後に濾液のpHを調節して、噴霧乾燥前にCMP溶液を濃縮するために、標準的限外濾過を実施した。したがって2つの重要な分離ステップは、記述される順序でのカチオン交換クロマトグラフィーと、pH<4における限外濾過である。本発明では、2つの分離ステップの順序が逆転される。本発明では、最大で4のpHにおける限外濾過を最初に実施して(実施例中の「限外濾過I」)、非吸着物質(「通過画分」または「非結合物質」としても示される)中にCMPが得られる、カチオン交換クロマトグラフィーがそれに続いた。本発明の分離ステップの順序は、米国特許第5,278,288A号明細書で示される分離ステップの順序と比較して、いくつかの利点を有する。

本発明の第1の利点は、本発明の方法を使用した最終生成物中のCMPの純度(総タンパク質の%CMP)が、米国特許第5,278,288A号明細書で得られるCMP純度と比較して、はるかにより高いことである。米国特許第5,278,288A号明細書には、80%〜88%の純度が示される。本発明の方法によって、およそ98%以上の純度を達成し得る。本発明によって得られるCMP製品の非常に高い純度のために、製品は、フェニルケトン尿症に罹患している患者のための栄養成分として適切であり、これは製品中に存在するフェニルアラニンの非常に低いレベルによっても示唆される。米国特許第5,278,288A号明細書からの方法によって得られる製品中の80%〜88%のCMP純度は、フェニルケトン尿症患者にとって高すぎるフェニルアラニン含有量と相関する。

本発明の第2の利点は、それが、米国特許第5,278,288A号明細書の方法、または同等の高純度CMPを提供する先行技術のあらゆるその他の方法よりも、1kgの単離CMPあたりより少ないイオン交換材を使用することである。本発明に従って、第1の限外濾過ステップは、非CMPホエータンパク質の大部分を除去する。したがって、カチオン交換クロマトグラフィーステップへの供給液中の非CMPホエータンパク質とCMPの重量比は、米国特許第5,278,288A号明細書よりもはるかに低く、したがって全ての非CMPホエータンパク質と結合するために、CMPの質量単位あたり、はるかにより低い容積のカチオン交換樹脂が必要とされる。

本発明の第3の利点は、本発明の方法を使用したCMPの全収率(出発原料中のCMP質量と比較した、最終製品中のCMPの%質量)が、米国特許第5,278,288A号明細書で得られるCMPの全収率と比較して、はるかにより高いことである。米国特許第5,278,288A号明細書の実施例2を使用して、ゴーダホエー中のタンパク質含有量を6.2g/L、総タンパク質含量に対するCMP含量を18%と仮定すれば、最終生成物中で得られた81mgのCMPに基づいて、総CMP収率は0.73%と計算され得る。本発明の実施例2を使用して、出発原料中の総タンパク質含量に対するCMP含量を18%と仮定すれば、総CMP収率は50%と計算され得て、これは限外濾過ステップからの63%の収率と、最終粉末製品へのカチオン交換クロマトグラフィーステップを包含する80%の収率を組み合わせることで得られる。

本発明の第4の利点は、米国特許第5,278,288A号明細書と比較して、イオン交換樹脂のバッチが、消耗するまでに耐えられるイオン交換サイクルの回数を増大させることである。イオン交換クロマトグラフィーは比較的高価な単位操作であり、イオン交換樹脂の経費は、全体的な加工経費のかなり大きい部分である。したがってイオン交換材の寿命を延長させることは、高純度CMP含有製品製造の全体的な加工経済性を改善するための興味深いアプローチである。

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