低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物

申请号 JP2014526966 申请日 2013-07-24 公开(公告)号 JP6301252B2 公开(公告)日 2018-03-28
申请人 株式会社明治; 发明人 柏木 和典; 土江 愛和; 大久保 幸三; 金谷 由佳; 市場 智子;
摘要
权利要求

ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、脂肪代替物として含んでなる、低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物であって、 該気泡含有乳化物を液状としたときのpHが6.42〜7.0であり、 該気泡含有乳化物が、アイスクリーム類、氷菓、フローズンヨーグルト、ホイップクリーム、ホイップデザート、マーガリン、スプレッド、およびホイップタイプソフトチーズからなる群より選択される1つの食品であり、 食品が、アイスクリーム類、氷菓またはフローズンヨーグルトである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜5重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップクリームである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜30重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップデザートである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜5重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、マーガリンである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜60重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、スプレッドである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が0.5〜60重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップタイプソフトチーズである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜20重量%または0.5重量%未満である 低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物。加熱処理の条件が、75〜85℃で5〜10分である、請求項1に記載の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物。ホエイタンパク質溶液に含まれる固形分濃度が、5〜20重量%である、請求項1または2に記載の気泡含有乳化物。ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物ととを含んでなる混合物を準備し、 該混合物を撹拌して気泡を形成させることを含んでなる、低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法であって、 該気泡含有乳化物を液状としたときのpHが6.42〜7.0であり、 該気泡含有乳化物が、アイスクリーム類、氷菓、フローズンヨーグルト、ホイップクリーム、ホイップデザート、マーガリン、スプレッド、およびホイップタイプソフトチーズからなる群より選択される1つの食品であり、 食品が、アイスクリーム類、氷菓またはフローズンヨーグルトである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜5重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップクリームである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜30重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップデザートである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜5重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、マーガリンである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜60重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、スプレッドである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が0.5〜60重量%または0.5重量%未満であり、 食品が、ホイップタイプソフトチーズである場合、該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜20重量%または0.5重量%未満である、製造方法。ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物と水とを含んでなる混合物を準備し、 該混合物を撹拌および凍結して、気泡を形成させることを含んでなる、低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類、氷菓またはフローズンヨーグルトである食品の製造方法であって、 該食品を液状としたときのpHが6.42〜7.0であり、 該食品に対して、乳脂肪分を含む脂肪分が、0.5〜5重量%または0.5重量%未満である、製造方法。前記気泡を形成させる温度が、−2.5℃以下である請求項5に記載の方法。ホエイタンパク質凝集物を乾燥させることなく、脂肪代替物として用いる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。

说明书全文

関連出願の参照

本特許出願は、先に出願された日本国特許出願である特願2012−164013号(出願日:2012年7月24日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体を参照することによりここに組み込まれる。

発明の背景

技術分野 本発明は、ホエイタンパク質凝集物を含んでなる低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物、およびその製造方法に関する。

背景技術 近年、消費者の健康志向が高まっており、低カロリーで、脂肪分の少ない飲食品が好まれる傾向にある。しかしながら、アイスクリーム類などの気泡含有乳化物では、気泡含有乳化物に含まれる脂肪分が風味や物性に大きく影響するため、脂肪分を少なくすると、嗜好性の観点から消費者に受け入れられにくい。特に、オーバーラン(OR)、すなわち空気の巻き込み(空気の含有量)を十分に確保できず、最終製品(単に「製品」ともいう)としたときに保形性(保型性ともいう)が維持できないといった問題があった。

そこで、低脂肪(タイプ)のアイスクリーム類では、物性を維持したまま脂肪分を減らすため、様々な安定剤や乳化剤を添加することによってオーバーランを高めている。しかしながら、これら安定剤や乳化剤を含むアイスクリーム類では、口溶けの悪さ、苦味の原因となるなどの安定剤や乳化剤に由来する人工的な風味や食感を生じることがあった。

安定剤の使用を必要としないアイスクリーム類の製造方法として、例えば、特開平08−107759号公報(特許文献1)には、加熱により凝固しないタンパク質濃度でホエイタンパク質溶液を加熱することにより得られた加熱変性ホエイタンパク質を、組織安定剤として使用するアイスクリーム類およびその製造方法が開示されている。しかしながら、この文献で例示されるアイスクリーム類には乳脂肪が12%含まれており、脂肪分の少ない気泡含有乳化物については一切検討されていない。

一方、低脂肪素材であるホエイタンパク質を脂肪代替物として、アイスクリームミックスに添加することで、脂肪分を8〜10%程度で含むアイスクリームと同等のクリーミーな風味と物性を有する脂肪分の少ないアイスクリーム類の製造方法が開発されている。例えば、特開平02−255046号公報(特許文献2)には、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)を、安定剤や乳化剤を含む無脂肪のアイスクリームミックスに添加して冷菓を調製する方法が開示されている。また、特公平07−071448号公報(特許文献3)には、ホエイタンパク質濃縮物を加熱し、乳酸菌、酵母およびグルコノラクトンからなる群より選択される少なくとも一種を用いて緩慢に酸性化することにより得られるホエイサワーゲルを用いたノンファットアイスクリームおよびその製造方法が開示されている。さらに、特公平07−110204号公報(特許文献4)には、ホエイタンパク質濃縮物を加熱した後凍結して得られる凍結ゲルを用いた、アイスクリーム類の製造方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、安定剤や乳化剤の添加が必須であるため、これらの方法により得られるアイスクリーム類は、安定剤や乳化剤に由来する人工的な風味や食感を残すものであった。また、前記ホエイタンパク質濃縮物を添加する方法では、加熱殺菌時に増粘が起こり、殺菌機への焦げ付きや配管内圧を高めることから、効率的な連続生産には適さなかった。さらに、前記ホエイサワーゲルや凍結ゲルを用いる方法では、発酵工程や凍結工程を必要とするため、製造方法が煩雑になることが懸念されている。

特表平06−509475号公報(特許文献5)には、乾燥微粒子タン白球状凝集体が脂肪代替物となりうることが開示されている。しかしながら、この文献では、アイスクリームなどの気泡含有乳化物への利用について一切検討されておらず、また、脂肪分の少ない気泡含有乳化物のオーバーラン特性についても何ら記載されていない。

特開平08−107759号公報

特開平02−255046号公報

特公平07−071448号公報

特公平07−110204号公報

特表平06−509475号公報

このように様々な加工処理を施したホエイタンパク質が存在するが、乳化剤や安定剤を添加しなくても、高いオーバーランを確保できるような脂肪分の少ない低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物については一切記載されていない。実際に、本発明者らは、加工処理を施したホエイタンパク質として、ホエイタンパク質濃縮物と、乾燥微粒子タン白球状凝集体の市販品として公知のシンプレス100(直径:約0.1〜3.0μm、平均1μm)(Products シンプレス100(Simplesse(商標)100)、URL:http://www.sameigenffi.co.jp/indexa/hyd3.html参照)とを用いて脂肪分の少ないアイスクリーム類を製造したところ、前者では、加熱殺菌時において極度に増粘することを確認し(後述する実施例の例6参照)、後者では、所望のオーバーランを確保できないことを確認した(後述する実施例の例2(2)参照)。

本発明者らは、今般、従来では知られていなかった加工処理、すなわち、ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付す処理により得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、脂肪分の少ないアイスクリームミックスに加えたところ、従来では必要とされてきた安定剤や乳化剤を添加しなくても、高いオーバーランを確保し、最終製品として保形性も維持できることを予想外にも見出し、その結果、良好な風味や食感を有する低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類を製造することに成功した。また、ホエイタンパク質凝集物は、加熱殺菌工程において増粘を引き起こさず、アイスクリーム類の効率的な連続生産にも成功した。本発明は、これら知見に基づくものである。

よって、本発明は、安定剤や乳化剤を実質的に用いる必要なく、高いオーバーランを確保し、良好な風味および食感を有する低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物を提供することを目的とする。

本発明の一つの態様によれば、本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物は、ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、脂肪代替物として含んでなる。

本発明の好ましい態様によれば、前記したホエイタンパク質凝集物の調製条件として、加熱処理の条件が75〜85℃で5〜10分である。

本発明の好ましい態様によれば、前記したホエイタンパク質溶液に含まれる固形分濃度は、5〜20重量%である。

本発明の好ましい態様によれば、前記した気泡含有乳化物は食品である。

本発明の好ましい態様によれば、前記した食品は、アイスクリーム類、氷菓、フローズンヨーグルト、ホイップクリーム、マーガリン、スプレッド、およびホイップタイプソフトチーズからなる群より選択される一つである。

本発明の一つの態様によれば、ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、に混合し、 該混合物を撹拌して気泡を形成させることを含んでなる、低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、水に混合し、 該混合物を撹拌および凍結して、気泡を形成させることを含んでなる、低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類、氷菓またはフローズンヨーグルトの製造方法が提供される。

本発明の好ましい態様によれば、前記した気泡を形成させる温度は、−2.5℃以下である。

本発明の好ましい態様によれば、前記した製造方法において、ホエイタンパク質凝集物は、乾燥させることなく、脂肪代替物として用いられる。

本発明によれば、安定剤や乳化剤を実質的に用いなくても、脂肪分の少ない気泡含有乳化物において、高いオーバーランを確保し、最終製品として保形性も維持でき、良好な風味および食感を有する低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物、ならびにその製造方法を提供することができる。また、本発明に用いるホエイタンパク質凝集物は、加熱殺菌工程においても増粘を引き起こさないため、気泡含有乳化物の効率的な連続生産方法を提供することができる。さらに、本発明のホエイタンパク質凝集物は、天然食品原料を主体とし、pH調整剤などを使用することなく加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すという簡便な処理により調製されるため、安定剤や乳化剤だけでなく他の合成添加物を実質的に含まないナチュラルイメージの高い製品として提供することができる。

図1は、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII Model 2.5、プライミクス社製)の回転部分の模式図を示す。

図2は、例2(1)に記載のホエイタンパク質凝集物(MP)を配合(添加)した無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性(OR%)を示すグラフである。

図3は、例2(1)に記載のMPを様々な濃度で配合した無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性を示すグラフである。

図4は、例2(2)に記載の様々な種類のホエイタンパク質を配合した無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性を示すグラフである。

図5は、例2(3)に記載の無脂乳固形分(SNF)を様々な濃度で配合したMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性を示すグラフである。

図6は、例2(4)に記載の様々なpHで調製されたMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性を示すグラフである。

図7は、例3に記載のホエイタンパク質凝集物(MP)を様々な濃度で配合した低脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性を示すグラフである。

図8は、例4に記載のホエイタンパク質凝集物(MP)を配合した低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類の溶解性試験の結果を示す写真である。

図9は、例6に記載の様々な種類のホエイタンパク質を配合したアイスクリームミックス(混合液)の耐熱性比較試験の結果を示すグラフである。

発明の具体的説明

低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物 本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物は、ホエイタンパク質溶液を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、脂肪代替物として含んでなる。

本発明に用いられるホエイタンパク質溶液は、ホエイタンパク質濃縮物を水に混合し、溶解および/または分散することにより得られる。ここで、水は、水分を多く含む乳や他の乳製品で代用しても、これらを併用してもよく、この場合、実際に得られるホエイタンパク質凝集物の脂肪分を少なく調整できる点で、脱脂乳が好ましい。

ホエイタンパク質濃縮物(WPC)とは、乳清タンパク質濃縮物とも呼ばれる、ホエイタンパク質を膜処理などによって設計上の所定濃度まで濃縮したものを意味する。本発明に用いられるWPCとして、チーズホエイ由来WPC、乳酸ホエイ由来WPC等が挙げられるが、その由来やタンパク質の含量(濃縮度)などは、特に限定されない。また、WPCの代わりに、より精製度の高いホエイタンパク質精製物(WPI)を用いてもよい。これらは、定法に従って製造してもよいし、市販品であってもよい。

ホエイの原料や製品、調製方法などにより、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)の成分の組成は変動しうる。本発明に用いられるWPCでは、本発明の目的とする最終製品(最終物)が低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物である点で、脂肪分が5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の成分の組成となる。また、本発明に用いられるWPCでは、WPCに含まれる乳糖がホエイタンパク質の粒子化を抑制する働きを有する点で、乳糖分が90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下の成分の組成となる。本発明に用いられるWPCでは、例えば、タンパク質の含量が全体の34重量%まで濃縮されて脱塩されたWPC(以下「WPC34」ともいう)が挙げられるが、本発明に用いられるWPCは、これに限定されるものではい。

ホエイタンパク質溶液を調製するために、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)を水に混合し、溶解および/または分散する工程では、WPCと水との混合物について溶解効率および/または分散効率を高める目的で、55℃未満の加熱処理、および必要に応じて、攪拌装置、ミキサー、パウブレンダー等の機械的な剪断処理に付してもよい。

また、本発明に用いられるホエイタンパク質溶液は、ホエイタンパク質を濃縮する前の、ホエイタンパク質を含有する乳製品、例えば、ホエイパウダー(ホエイ粉)、粉末化していない液状もしくは糊状のホエイ、または濃縮したホエイを用いてもよい。

ここで、ホエイタンパク質溶液中の固形分濃度として、例えば、タンパク質の含量(濃度)と乳糖の含量を脱脂粉乳に相当するように調整して噴霧乾燥した、タンパク質が34重量%、乳糖が55重量%のWPC粉(WPC34)を用いる場合、5〜20重量%が適用でき、好ましくは7〜20重量%、より好ましくは7〜18重量%、さらに好ましくは8〜18重量%、さらにより好ましくは9〜18重量%である。ここで、固形分とは、ホエイタンパク質溶液に含まれる水以外の成分を意味し、具体的には、乳成分を意味する。乳成分は、無脂乳固形分(SNF)と脂肪分とで構成される。本発明に用いられる固形分は、本発明の目的とする最終製品(最終物)が低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物である点で、脂肪分が5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の成分の組成となる。固形分濃度が25重量%以上になると、ホエイタンパク質凝集物が得られなかったり(非凝集)、実際に得られるホエイタンパク質凝集物に含まれる粒子の50%平均粒子径が小さくなる傾向がある。

また、ホエイタンパク質溶液中のタンパク質の含量(濃度)として、0.5〜20重量%が適用でき、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2.5〜6.5重量%、さらに好ましくは3〜6重量%、さらにより好ましくは1〜5重量%である。ここで、タンパク質の含量は、例えば、公知の情報に基づいて算出してもよく、また、ケルダール法などの公知や慣用の方法により測定して算出してもよい。

ホエイタンパク質溶液中のタンパク質の含量(濃度)と乳糖の含量(濃度)の比率として、好ましくは1〜9:9〜1、より好ましくは2〜6:8〜4である。ここで、乳糖の含量は、例えば、公知の情報に基づいて算出してもよく、また、液体クロマトグラフィーや酵素キットなどの公知や慣用の方法に従って測定して算出してもよい。乳糖の含量よりもタンパク質の含量の比率が高いと、単位あたりのホエイタンパク質の凝集物の収率が低くなり、一方、タンパク質の含量よりも乳糖の含量の比率が高いと、ホエイタンパク質の凝集物の凝集が急激に起こる傾向にある。

本発明に用いられる加熱処理は、機械的な剪断処理と同時に加熱できる方法であれば、特に限定されず、食品加工技術で用いられる一般的な加熱処理装置を用いることができる。このような装置として、例えば、ジャケット付きのタンク、プレート式の熱交換器、チューブ式の熱交換器、掻き取り式の熱交換器、スチームインジェクション式の加熱装置、通電式の加熱装置などが挙げられる。加熱処理の温度には、55℃以上が適用でき、好ましくは55℃〜100℃、より好ましくは70〜90℃、さらに好ましくは75〜85℃、さらにより好ましくは75〜80℃である。加熱処理の時間には、例えば、加熱処理の温度を75〜85℃として5〜20分間が適用でき、好ましくは5〜15分間、より好ましくは5〜10分間である。

本発明に用いられる機械的な剪断処理は、加熱処理と同時に剪断処理できる方法であれば、特に限定されず、食品加工技術で用いられる一般的な機械的な剪断処理装置を用いることができる。このような装置として、例えば、ターボミキサー(スカニマ社製)、ホモミキサー(プライミクス社製)などが挙げられる。機械的な剪断処理の剪断には、例えば、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII Model 2.5、プライミクス社製)を用いた場合、粒子径が小さくなりすぎない点で、回転数(回転速度)として、100〜10000rpmが適用でき、好ましくは200〜8000rpm、より好ましくは250〜5000rpmである。ここで、ホモミキサーの回転数で、100〜10000rpm、200〜8000rpm、250〜5000rpmは、剪断力(剪断応力)で、それぞれ1.9〜190Pa、3.7〜150Pa、4.7〜94Paに相当する。すなわち、機械的な剪断処理の剪断力には、1.9〜190Paが適用でき、好ましくは3.7〜150Pa、より好ましくは4.7〜94Paである。なお、機械的な剪断処理の剪断力は、実際に用いる剪断処理装置の種類(機種)とその能力(操作条件)の設定により大きく異なるため、当業者は、その機種や操作条件などを適宜変更することで、本発明の効果を得てもよい。

本発明において「同時に付す」とは、加熱処理と機械的な剪断処理とが同時に行われていることを意味する。

本発明において「ホエイタンパク質凝集物」とは、ホエイタンパク質溶液に対して、上記の加熱処理と機械的な剪断処理とを同時に付すことによって得られる、ホエイタンパク質を主成分とする粒子の凝集体であって、該粒子の50%平均粒子径が2〜10μmであるものを意味する。

ここで、50%平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて測定することができる。本発明では、50%平均粒子径を簡便で安価に測定でき、汎用性も高い点で、例えば、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置LS230(ベックマン・コールター社製)やレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2001システム(株式会社島津製作所製)を用いることが好ましい。本発明において「50%平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて測定した分散体の粒度分布の結果における積算値で50%の粒子径を意味し、具体的には、粒度分布で粒子径の小さい順から粒子数(個数)を加算していき、全部の粒子数の50%に到達した点における粒子径を意味する。

ここで、50%平均粒子径は、乳や乳飲料などの乳製品において、平均脂肪球径と称されることもあり、本発明において「50%平均粒子径」には、平均脂肪球径という表現も意味として包含される。

本発明に用いられるホエイタンパク質凝集物では、粒子径が1μm以下の粒子を多く含むものであると、実際に得られる気泡含有乳化物のオーバーランの安定性が悪く、保形性を維持できない。

このような粒子の50%平均粒子径が2〜10μmであるホエイタンパク質凝集物は、例えば、ホエイタンパク質溶液を75〜85℃の加熱処理と、機械的な剪断処理とに、5〜10分間で同時に付すことにより調製することができる。例えば、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII Model 2.5、プライミクス社製)を用いた場合、好ましくは、ホエイタンパク質溶液を75〜85℃の加熱処理と、100〜10000rpmの回転数の機械的な剪断処理とに、5〜10分間で同時に付すことにより調製することができる。

また、このようなホエイタンパク質凝集物では、ホエイタンパク質溶液のpHが5.5〜7の範囲で調製されることが好ましく、pHが6〜7の範囲で調製されることがより好ましい。つまり、このようなホエイタンパク質凝集物は、pHの中性領域で調製されることが望ましい。

本発明に用いられるホエイタンパク質凝集物では、液状のままであってもよく、真空蒸発法や凍結濃縮法により濃縮した液状やゲル状であってもよく、噴霧乾燥法や凍結乾燥法などにより乾燥した粉末状であってもよく、その形状・性状は、特に限定されない。ただし、このようなホエイタンパク質凝集物では、それら凝集物を乾燥(例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥)させることなく、ホエイタンパク質溶液に由来する水分を含む液状のままが望ましい。

本発明に用いられるホエイタンパク質凝集物は、脂肪代替物として用いることができる。本発明において「脂肪代替物」とは、脂肪のような機能を有するものを意味する。脂肪のような機能として、例えば、高いオーバーランを確保させ、製品の保形性を維持すること、脂肪特有の良好な食感を付与すること、または、脂肪特有の良好な風味、すなわち、生クリームをイメージする濃厚感を付与することなどのように、脂肪一般に想定される食感や風味の効果が含まれる。また、本発明の脂肪代替物は、本来の脂肪の持つ機能よりも、高い機能を有していてもよい。つまり、本発明の脂肪代替物は、気泡剤、保形安定剤、風味改良剤などとしても用いることができる。

ここで、オーバーランとは、空気の巻き込みを意味し、式1:OR(%)={(気泡含有乳化物の容積[ml]/気泡含有乳化物の質量[g])−1}×100で表される。オーバーランが低いと、食感が悪くなり、特にアイスクリーム類のように、凍結しながら気泡を形成する気泡含有乳化物の場合、安定的に均一に凍結することができない。高いオーバーランとは、気泡を形成する一定時間において、特に立ち上がりにおいて、通常の脂肪分を有する気泡含有乳化物と同程度またはそれより大きいオーバーラン特性を示すことを意味する。例えば、アイスクリーム類では、脂肪分が8.0%以上の通常のアイスクリームと同程度またはそれより大きいオーバーラン特性を有すること、すなわち、アイスクリーム製造用のフリーザー(例えば、−20℃)で、原料乳(アイスクリームミックス)を撹拌しながら凍結した場合、60分後にORが15%以上、120分後にORが20%以上となることを意味する。また、製品の保形性を維持するとは、製品の気泡を長期にわたって、安定的に維持できることを意味する。

本発明において「気泡含有乳化物」とは、理論的に限定されるものではないが、分散媒が水または油であり、気泡の周りを脂肪由来の脂肪球の代わりに、ホエイタンパク質凝集物の粒子が取り囲むことで、オーバーラン状態を確保している、気泡を含む乳化物を意味し、本発明の属する技術分野では、起泡性水中油型乳化物あるいは起泡性油中水型乳化物ということもある。

本発明の好ましい態様によれば、本発明の気泡含有乳化物は食品である。具体的には、アイスクリーム類、氷菓、フローズンヨーグルト、ホイップクリーム、ホイップデザート、マーガリン、スプレッド、およびホイップタイプソフトチーズなどが挙げられ、好ましくは、アイスクリーム類、氷菓、ホイップクリーム、ホイップデザートである。

本発明において「アイスクリーム類」とは、乳またはこれらを原料として製造した食品を加工し、または乳またはこれらを主要原料とし、その原料液に気泡を形成させながら凍結したものを意味し、乳固形分(乳成分)を3.0重量%以上で含有するものを一般的に意味するが、これと類似するものも含まれることは言うまでもない。本発明において「氷菓」とは、アイスクリーム類以外のものとして、糖液もしくはこれに他の食品を混和し、その原料液に気泡を形成させながら凍結したもの、または食用氷を粉砕し、これに糖液もしくは他の食品を混和し、その原料液に気泡を形成させながら再凍結したもので、凍結状のまま食用に供するものを意味する。本発明において「フローズンヨーグルト」とは、アイスクリーム類以外のものとして、ヨーグルトを主原料とした冷菓を意味する。

本発明において「ホイップクリーム」とは、乳タンパク質を含むものであり、乳脂肪の一部または全部を、乳脂肪以外の油脂(例えば、植物性油脂)によって代替した、クリームと類似した形状、色彩、物性のものをホイップしたものを意味する。

本発明において「ホイップデザート」とは、乳タンパク質を含むものであり、乳脂肪の一部または全部を、乳脂肪以外の油脂(例えば、植物性油脂)によって代替した、ゲル化剤などで固めたミルクプリンなどのミルク系デザートであって、ホイップしたものを意味する。

本発明において「マーガリン」とは、一般的や業界的にマーガリンと称されているもの、およびマーガリンに類似するマーガリン様食品である。本発明において「スプレッド」とは、一般的や業界的にスプレッドと称されているもの、およびスプレッドに類似するスプレッド様食品である。本発明において「ホイップタイプソフトチーズ」とは、軟らかいチーズ類に気泡を含ませて食感を改良したチーズ、およびチーズ様食品を意味する。

本発明において「低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物」とは、通常の気泡含有乳化物に含まれる脂肪分を減少させた、または脂肪分を限りなく0に近付けた気泡含有乳化物を意味する。本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物では、具体的な脂肪の含量(濃度)は気泡含有乳化物の種類によって異なる。例えば、アイスクリーム類、氷菓、フローズンヨーグルトなどのような凍結品の場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、気泡含有乳化物に対して、乳脂肪分を含む脂肪分として、0.5〜5重量%が適用でき、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、気泡含有乳化物に対して、乳脂肪分を含む脂肪分として、0.5重量%未満が適用できる。ホイップクリームの場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、気泡含有乳化物に対して、乳脂肪分を含む脂肪分として、0.5〜30重量%が適用でき、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは0.5〜10%重量であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、気泡含有乳化物に対して、乳脂肪分を含む脂肪分として、0.5重量%未満が適用できる。ホイップデザートの場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、気泡含有乳化物に対して、乳脂肪分を含む脂肪分として、0.5〜5重量%が適用でき、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5重量%未満が適用できる。

マーガリンの場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5〜60重量%が適用でき、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは0.5〜20重量%であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5重量%未満が適用できる。スプレッドの場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5〜60重量%が適用でき、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは0.5〜20重量%であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5重量%未満が適用できる。ホイップタイプソフトチーズの場合、低脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量には、0.5〜20重量%が適用でき、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%であり、無脂肪の気泡含有乳化物の脂肪の含量は、0.5重量%未満が適用できる。

本発明の気泡含有乳化物は、ホエイタンパク質凝集物以外に、必要に応じて、乳もしくは他の乳製品、糖類、加糖卵黄、香料、塩類(例えば、食塩)、結晶セルロース、油脂および色素から選択される1種または2種以上を、さらに含んでいてもよい。

本発明に用いられる乳または他の乳製品は、気泡含有乳化物を所望の脂肪の含量(濃度)に調整することができれば、特に限定されない。本発明に用いられる乳または他の乳製品は、気泡含有乳化物の脂肪の含量を低減することができる点で、好ましくは、例えば、脱脂濃縮乳、無糖脱脂練乳、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、低脂肪乳、無脂肪乳などの乳脂肪分の一部または全部を脱脂した脱脂乳であり、より好ましくは、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳である。そして、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

本発明に用いられる糖類は、食品分野で一般的に用いられる糖類であれば、特に限定されず、例えば、ブドウ糖、果糖、砂糖、還元麦芽糖、グラニュー糖、異性化糖、高果糖液糖、水飴、粉飴、高甘味度甘味料(例えば、キシリトール、ステビア抽出物、パラチノース、アスパルテーム、アセスルファムK、ステビア、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース)、糖アルコール(例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、イソマルチトール)が挙げられる。本発明に用いられる糖類は、風味やボディー感を良好に付与することができる点で、好ましくは、例えば、砂糖、水飴、粉飴である。そして、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

本発明に用いられる油脂は、気泡含有乳化物を所望の脂肪の含量(濃度)に調整することができれば、特に限定されない。本発明に用いられる油脂は、気泡含有乳化物の脂肪の含量を低減することができる点で、好ましくは、例えば、植物性油脂である。

製造方法 本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物は、ホエイタンパク質凝集物を、水と混合し、必要に応じて、乳もしくは他の乳製品、糖類、加糖卵黄、香料および色素から選択される1種または2種以上と混合し、該混合物を撹拌して気泡を形成することにより得られる。すなわち、本発明の一つの態様によれば、本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法は、ホエイタンパク質濃縮物を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、水と混合し、該混合物を撹拌して気泡を形成させることを含んでなる方法である。本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法では、ホエイタンパク質凝集物は、脂肪代替物として用いることができる。

このような方法で製造された低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物は、安定剤や乳化剤を実質的に含まない。ここで、本発明において「安定剤や乳化剤を実質的に含まない」や「安定剤や乳化剤を実質的に用いる必要なく」とは、安定剤や乳化剤をそれぞれが有する効果を奏する量(有効量)で添加しない、または含まないことを意味する。

本発明に用いられるホエイタンパク質凝集物を混合する水は、ホエイタンパク質凝集物そのものが溶液として十分な水分を含んでいれば、特に必要ないし、水分を多く含む乳や他の乳製品などで代用しても、それらを併用してもよい。

本発明の気泡含有乳化物に対する、ホエイタンパク質凝集物の添加濃度は、乾燥粉末の状態で換算して、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。

本発明において「撹拌して気泡を形成させる」とは、ホエイタンパク質濃縮物の混合物について、剪断力を与えて泡立てる(ホイップする)ことを意味する。このような気泡を形成できる装置として、例えば、ホイップミキサー、連続式ホイッパー、アイスクリーマー、バッチフリーザーに代表されるアイスクリーム製造用のフリーザーなどが挙げられる。

また、本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法は、必要に応じて、混合、加温、融解、濾過、均質化、加熱殺菌、冷却、凍結、エージングなどの通常の気泡含有乳化物を製造する際に適用できる処理を、さらに含んでいてもよい。

本発明の好ましい態様によれば、本発明の低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物の製造方法は、その製造工程において、ホエイタンパク質凝集物を乾燥させることなく、脂肪代替物として用いるものである。ここで、本発明において「乾燥させることなく」とは、ホエイタンパク質溶液から得られたホエイタンパク質凝集物を、噴霧乾燥法や凍結乾燥法などで乾燥処理することなく、ホエイタンパク質溶液に由来する水分を含む状態のままで用いることを意味する。この方法により得られる水分を含む状態のホエイタンパク質凝集物は、乾燥処理したホエイタンパク質凝集物よりも、実際に得られる低脂肪または無脂肪の気泡含有乳化物を良好な物性に調整することができる。

本発明の好ましい態様によれば、本発明の低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類、氷菓またはフローズンヨーグルトの製造方法は、ホエイタンパク質濃縮物を加熱処理と機械的な剪断処理とに同時に付すことにより得られる、50%平均粒子径が2〜10μmである粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、水に混合し、該混合物を撹拌および凍結して気泡を形成させることを含んでなる方法である。ここで、本発明のより好ましい態様によれば、前記気泡を形成させる温度は、所望のオーバーランを確保できる点で、−2.5℃以下である。

本発明のより好ましい態様では、本発明の低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類の製造方法は、ホエイタンパク質凝集物を、水に混合し、該混合物を加温溶解および/または分散させてから濾過し、均質化および加熱殺菌した後に、エージングし、該混合物を撹拌および凍結(フリージングともいう)して、気泡を形成させることを含んでなるものである。

本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本実施例では、アイスクリーム類についてのみを記載しているが、当業者であれば、アイスクリーム類と同じ気泡含有乳化物に属する氷菓、フローズンヨーグルト、ホイップクリーム、ホイップデザート、マーガリン、スプレッドおよびホイップタイプソフトチーズへ容易に適用することができることは言うまでもない。

例1:ホエイタンパク質凝集物の調製(製造) (1)ホエイタンパク質凝集物の調製条件の検討(ラボスケール) ホエイタンパク質凝集物の調製条件を検討した。

i)固形分濃度の検討 タンパク質の含量を34重量%に調整して噴霧乾燥したホエイタンパク質濃縮物(以下「WPC34」ともいう)(固形分濃度:97重量%(無脂乳固形分:96重量%、脂肪分:1重量%)、株式会社明治より入手した)を142.7gと、水を657.3gで、加温・攪拌溶解タンクが搭載されたホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII Model 2.5、プライミクス社製)に入れて、55℃まで加温しながら、4000rpmで攪拌・溶解(分散)して、機械的な剪断処理に付した(固形分濃度:17.3重量%(無脂乳固形分:17.1重量%、脂肪分:0.2重量%))。この得られたホエイタンパク質溶液のpHは6.3であった。

ホエイタンパク質溶液の温度が55℃に到達した後、75℃に到達するまで、加温を継続しながら、ホエイタンパク質溶液を、ホモミキサーの撹拌機能を用いて、4000rpmで機械的な剪断処理に付した。ホエイタンパク質溶液の温度が75℃に到達した後、75℃で5分間の機械的な剪断処理を継続して、ホエイタンパク質を加熱凝集させた。その後、4000rpmで機械的な剪断処理を継続して、40℃に到達するまで冷却を継続して、ホエイタンパク質凝集物(MP、加熱剪断液)を得た(サンプル1)。

この得られたホエイタンパク質凝集物について、凝集性を確認し、ホエイタンパク質凝集物に含まれる粒子の50%平均粒子径を測定した。50%平均粒子径は、粒度分布計LS230(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。具体的には、実際に得られた粒度分布のグラフから、積算値で50%の粒子径となるもの(50%粒子径)を算出した。結果を表1に示す。

ホエイタンパク質溶液の固形分濃度を表1の濃度になるように、WPC34(固形分濃度:97重量%)の含量を調整し、必要に応じて、pH調整剤(塩酸または水酸化カリウム水溶液)を用いて、ホエイタンパク質溶液のpHを6.3に調整した以外は、上記と同様の方法に従って、ホエイタンパク質凝集物(MP)を調製した(サンプル2〜5)。これら得られたホエイタンパク質凝集物について凝集性を確認し、それら凝集物に含まれる粒子の50%平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。

また、例2のオーバーラン特性の結果から、50%平均粒子径が2μm以上の粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物を、本発明に好適な凝集物として評価した。結果を表1に示す。

ii)pHの検討 pH調整剤(塩酸または水酸化カリウム水溶液)を用いて、ホエイタンパク質溶液のpHを、4.5、5.4、6.0、6.3、7.2または8.0に調整した以外は、例1(1)のi)のサンプル1と同量および同様の方法に従って、ホエイタンパク質凝集物を調製した。その結果、pHが5.4以下およびpHが7.2以上のホエイタンパク質溶液を用いたものでは、ホエイタンパク質凝集物に限らず凝集物がほとんど得られなかった(非凝集)。一方、pHが6.0およびpHが6.3のホエイタンパク質溶液を用いたものでは、好適な50%平均粒子径の粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物が得られた。

iii)剪断力(回転数)の検討 ホエイタンパク質溶液の温度が55℃に到達した後に、機械的な剪断処理におけるホモミキサーの回転数[rpm]を、0、2000、4000、8000または12000に調整し、必要に応じて、pH調整剤(塩酸または水酸化カリウム水溶液)を用いて、ホエイタンパク質溶液のpHを6.3に調整した以外は、例1(1)のi)のサンプル1と同量および同様の方法に従って、ホエイタンパク質凝集物を調製した。その結果、ホモミキサーの回転数[rpm]が0および12000で機械的な剪断処理したものでは、ホエイタンパク質凝集物に限らず凝集物がほとんど得られなかった(非凝集)。一方、ホモミキサーの回転数[rpm]が2000〜8000で機械的な剪断処理したものでは、好適な50%平均粒子径の粒子を含んでなるホエイタンパク質凝集物が得られた。なお、ホモミキサーの回転数[rpm]で、0、2000、4000、8000または12000は、それぞれ剪断力(剪断応力)[Pa]で、0、38、75、150または220に相当する。

ここで、剪断力(剪断応力)は、剪断速度[m/s]を回転数[rpm]とホモミキサーの撹拌翼長から下式2を用いて算出し、該剪断速度と間隙と液粘度とから下式3を用いて算出した。ホモミキサーの回転部分を模式化したものを図1に示す。

ホモミキサーの回転数と剪断応力の結果を表2に示す。

(2)ホエイタンパク質凝集物の調製条件の検討(パイロットプラントスケール) WPC34(株式会社明治より入手した)を7134.0gと、水を32866.0gで、ターボミキサー(スカニマ社製)に入れて、55℃程度まで加温してから、2500rpmで攪拌・溶解(分散)して、機械的な剪断処理に付した。この得られたホエイタンパク質溶液のpHは6.3であった。ホエイタンパク質溶液の温度が75℃に到達するまで、加熱処理と機械的な剪断処理とを同時に継続した。ホエイタンパク質溶液の温度が75℃に到達した後、75℃で5分間の機械的な剪断処理を継続して、ホエイタンパク質を加熱凝集させた。その後、加熱処理を止め、2500rpmに機械的な剪断処理を継続しながら40℃以下に到達するまで冷却し、40℃に到達した後、機械的な剪断処理を止めて、ホエイタンパク質凝集物(MP、加熱剪断液)を得た。

この得られたホエイタンパク質凝集物に含まれる粒子の50%平均粒子径は、3μmであった。

例2:無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性 (1)ホエイタンパク質凝集物の含量(濃度)とオーバーラン特性 表3および表4の配合で、定法に従って、アイスクリーム類を製造した。具体的には、原材料を65〜70℃で混合・溶解(分散)して、調合液を調製し、これを濾過(40メッシュフィルター、岩井機械工業株式会社製)し、65〜70℃で均質化(1段目:100kg/cm3、2段目:50kg/cm3)してから、85〜90℃に15〜30秒間で保持して殺菌した後、10℃以下に冷却した。そして、この得られた殺菌液(混合液)を10℃以下でエージング(例えば、撹拌保持)した後、−3〜−6℃でフリージング(例えば、撹拌凍結)した。

ここで、ホエイタンパク質凝集物(MP)は、例1(2)で得られたもの(50%平均粒子径:3μm)を用いた。このホエイタンパク質凝集物の固形分濃度は17.3重量%(無脂乳固形分:17.1重量%、脂肪分:0.2重量%)、タンパク質の含量は6.0重量%であった。脱脂濃縮乳(株式会社明治より入手した)(無脂乳固形分:33重量%、タンパク質:11.6重量%)は、それぞれの例における総タンパク質の含量が同等になるように配合(添加)した。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を評価した。ここで、オーバーラン(OR)は、バッチフリーザー(例えば、大東食品機械株式会社製)を用いてフリージングする前の原料乳(アイスクリームミックス)の体積を0%とし、フリージングしてから経過した時間におけるアイスクリームの体積の増加率を指標として算出した。結果を図2および図3に示す。

図2に示されるように、試験例1では、比較例1に比べて、オーバーラン特性が適当で良好であり、無脂肪ながらも従来のアイスクリームと同等の食感が実現できることを確認した。また、図3に示されるように、オーバーラン特性がホエイタンパク質凝集物の濃度に依存することを確認した。

(2)ホエイタンパク質の種類とオーバーラン特性 表5の配合で、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。また、ホエイタンパク質濃縮物には、例1で用いた加熱処理と機械的な剪断処理する前のWPC34(未処理のWPC34、タンパク質:34重量%)を用いた。さらに、シンプレス100には、市販品(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社より入手した)(タンパク質:5.9重量%)を用いた。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を、例2(1)の方法に従って評価した。結果を図4に示す。

図4に示されるように、ホエイタンパク質凝集物を用いた試験例1では、オーバーラン特性が適当で良好であり、次いで、市販品(シンプレス100)を用いた比較例3、ホエイタンパク質凝集物を用いない比較例1の順で良好となった。したがって、本発明のホエイタンパク質凝集物では、市販品(シンプレス100)に比べて、オーバーラン特性が適当で良好であった。

(3)無脂乳固形分(SNF)の濃度とオーバーラン特性 表6の配合で、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。また、無脂乳固形分の供給源として、脱脂濃縮乳(タンパク質:11.6重量%)を用いた。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を、例2(1)の方法に従って評価した。結果を図5に示す。

図5に示されるように、オーバーラン特性は無脂乳固形分の濃度に依存することを確認した。このとき、アイスクリーム類の無脂乳固形分が5重量%以上であれば、ホエイタンパク質凝集物を配合(添加)することで、従来のアイスクリームと同等の食感を実現できることを確認した。

(4)原料乳(アイスクリームミックス)のpHとオーバーラン特性 表7の配合で、原材料を混合・調合し、これら得られた原料乳(混合液、調合液、アイスクリームミックス)にクエン酸を添加して、pHを4、5および6に調整した。これらpHが4、5および6の原料乳を用いて、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を、例2(1)の方法に従って評価した。結果を図6に示す。

図6に示されるように、原料乳(アイスクリームミックス)のpHが4以上では、ホエイタンパク質凝集物を配合(添加)しても、オーバーラン特性に影響しないことを確認した。

(5)ホエイタンパク質凝集物の平均粒子径とオーバーラン特性 表8の配合で、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物(50%平均粒子径:3μm)には、例1(2)で得られたものを用いた。また、ホエイタンパク質凝集物(50%平均粒子径:5μm)には、例1(2)において、75℃に到達した後の75℃の加熱処理と機械的な剪断処理の保持時間を5分間から10分間に延長し、かつ、機械的な剪断処理の回転数を2500rpmから4000rpmに変更した以外は、例1(2)の方法に従って調製して得られたものを用いた。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を、例2(1)の方法に従って評価した。

試験例1および試験例9では、比較例1に比べて、オーバーラン特性が適当で良好であり、無脂肪ながらも従来のアイスクリームと同等の食感が実現できることを確認した。

例3:低脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン特性 表9の配合で、例2(1)の方法に従って、低脂肪のアイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。また、ホエイタンパク質濃縮物には、例1で用いた加熱処理と機械的な剪断処理する前のWPC34(未処理のWPC34、タンパク質:34重量%)を用いた。さらに、脂肪分には、植物性油脂を用いた。

これら得られたアイスクリーム類におけるオーバーラン(OR)特性を、例2(1)の方法に従って評価した。結果を図7に示す。

図7に示されるように、オーバーラン特性がホエイタンパク質凝集物の濃度に依存することを確認した。

例4:低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン安定性 (1)低脂肪または無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン安定性(オーバーラン:70%の場合) 例2の試験例1〜3(すなわち、30、10および20重量%のホエイタンパク質凝集物(MP)を配合した(MP配合の)無脂肪のアイスクリーム類)および比較例1(すなわち、MPを配合しない(MP無配合の)無脂肪のアイスクリーム類)ならびに試験例10〜12(すなわち、10、20および30重量%のMPを配合した低脂肪のアイスクリーム類)および比較例4(すなわち、MPを配合しない低脂肪のアイスクリーム類)の配合で、例2(1)の方法に従って、それぞれのアイスクリーム類を製造した。フリージングする際に、それぞれのアイスクリーム類のオーバーランが70%の状態になるように設定し、これらアイスクリーム類を紙カップに充填して、−30℃以下で硬化処理した。

これら得られたアイスクリーム類について、オーバーラン安定性を評価した。これらオーバーラン安定性の評価では、紙カップに充填したアイスクリーム類を−18℃に調温してから、紙カップを剥いて常温(約25℃)に静置し、溶解していく状態を目視で観察した。これら得られたアイスクリーム類のオーバーラン安定性では、具体的に静置から3時間後のアイスクリーム類の状態で評価した。

その結果、図8に示されるように、試験例1(30重量%のMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類)では、気泡(オーバーランの状態)が安定的に保持されていて、滑らかな物性であることが目視の観察から示唆された。これに対して、比較例1(MPを配合しない無脂肪のアイスクリーム類)では、アイスクリーム類が溶解していくにつれ、大きな気泡が表面に見られて、気泡が不安定であることが目視の観察から示唆された。また、試験例12(30重量%のMPを配合した低脂肪のアイスクリーム類)では、気泡が安定的に保持されていて、滑らかな物性であることが目視の観察から示唆された。これに対して、比較例4(MPを配合しない低脂肪のアイスクリーム類)では、アイスクリーム類が溶解していくにつれ、大きな気泡が表面に見られて、気泡が不安定であることが目視の観察から示唆された。すなわち、MPを配合したアイスクリーム類では、無脂肪および低脂肪の何れにおいても、気泡が安定的に保持されており、滑らかな物性を有していた。

(2)無脂肪のアイスクリーム類のオーバーラン安定性(オーバラン:60%の場合) フリージングする際に、それぞれのアイスクリーム類のオーバーランが60%の状態になるように変更した以外は、試験例1〜3(すなわち、30、10および20重量%のホエイタンパク質凝集物(MP)を配合した(MP配合の)無脂肪のアイスクリーム類)および比較例1(すなわち、MPを配合しない(MP無配合の)無脂肪のアイスクリーム類)の配合で、例4(1)の方法に従って、それぞれのアイスクリーム類を製造した。そして、これら得られたアイスクリーム類について、オーバーラン安定性を評価した。

その結果、試験例1(30重量%のMP配合無脂肪のアイスクリーム類)では、気泡(オーバーランの状態)が安定的に保持されていて、滑らかな物性であったが、試験例2(10重量%のMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類)、試験例3(20重量%のMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類)および比較例1(MPを配合しない無脂肪のアイスクリーム類)では、気泡が不安定であった。したがって、30重量%以上のMPを配合した無脂肪のアイスクリーム類では、オーバーランの安定性が向上し、アイスクリームとして適当で良好な物性となることを確認した。

例5:アイスクリーム類の官能評価試験 (1)低脂肪のアイスクリーム類の官能評価試験 i)官能評価試験 表10の配合で、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。このとき、試験例13の脂肪分は1重量%であり、比較例5の脂肪分は10重量%であった。なお、比較例5は、試験例13の固形分の配合率と同等になるように調製した。

これら得られたアイスクリーム類について、官能評価試験を実施した。これら官能評価試験では、熟練パネルの5名により、アイスクリーム類の「クリーム感」について評価した。

その結果、試験例13(MPを配合した脂肪分が1重量%のアイスクリーム類:低脂肪のアイスクリーム類)では、比較例5(脂肪分が10重量%のアイスクリーム類:従来のアイスクリーム類)と同等のクリーム感を有していると、熟練パネルの5名中の5名(全員)が評価した。

ii)溶解性試験 表10の配合で、例2(1)の方法に従って、アイスクリーム類を製造した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。

これら得られたアイスクリーム類について、溶解性を評価した。これら溶解性の評価では、紙カップに充填したアイスクリーム類を−18℃に調温してから、紙カップを剥いて常温(約25℃)に静置し、溶解していく状態を目視で観察した。

その結果、試験例13(MPを配合した脂肪分が1重量%のアイスクリーム類:低脂肪のアイスクリーム類)では、比較例5(MPを配合しない脂肪分が10重量%のアイスクリーム類:従来のアイスクリーム類)と溶解性が同等であることを確認した。

(2)無脂肪のアイスクリーム類の官能評価試験 例2(1)で得られた試験例1と、比較対象として例2(1)で得られた比較例1について、官能評価試験を実施した。これら官能評価試験では、熟練パネルの5名により、アイスクリーム類の「クリーム感」について評価した。

その結果、試験例1(MPを配合した無脂肪のアイスクリーム類)では、比較例1(MPを配合しない無脂肪のアイスクリーム類)と比べて、クリーム感が向上していると、熟練パネルの5名中の5名(全員)が評価した。

例6:原料乳(アイスクリームミックス)の耐熱性比較試験 表11の配合で、原材料を混合・調合し、これら得られた原料乳(混合液、調合液、アイスクリームミックス)を小型ビン(容量:約20ml)に充填してから、オイルバス中にて90℃まで加熱して振とうしながら保持し、ホエイタンパク質凝集物に限らず凝集物が発生する時間を目視の観察で確認して、耐熱性を評価した。ここで、ホエイタンパク質凝集物には、例1(2)で得られたものを用いた。また、ホエイタンパク質濃縮物には、例1で用いた加熱処理と機械的な剪断処理する前のWPC34(未処理のWPC34、タンパク質:34重量%)を用いた。結果を図9に示す。

図9に示されるように、試験例1では、比較例2と比べて、耐熱性が良好であり、加熱(殺菌)処理における増粘や熱交換器(殺菌機)などへの焦げ付きの危険性(リスク)が低く、連続的な加熱(殺菌)処理にも適していることを確認した。

原料乳(アイスクリームミックス)のpHを7に調整する以外は、上記と同様の方法に従って、試験例1と比較例2の耐熱性を評価した。その結果、試験例1と比較例2について、図9と同様の傾向の結果が得られた。

原料乳(アイスクリームミックス)のpHを6以下に調整する以外は、上記と同様の方法に従って、試験例1と比較例2の耐熱性を評価した。その結果、試験例1と比較例2の何れのでも、耐熱性が悪かった。

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