Whey product and a method of manufacturing the same

申请号 JP2007548120 申请日 2005-12-23 公开(公告)号 JP2008525019A 公开(公告)日 2008-07-17
申请人 フォンテラ コ−オペレイティブ グループ リミティド; 发明人 ガオ,ホンピン; シン,ハージンダー; ハベア,パラタサ;
摘要 本発明は、乾燥加工 乳清 タンパク濃縮物を製造する方法を提供する。 全固形分が5%未満、カルシウムおよびマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kg未満であり、pHが6.0〜7.5である乳清タンパク溶液を用いる。 これを70℃より高温で最長60分間加熱して、乳清タンパクを変性させる。 その後溶液を40〜60℃に冷却し、次いで噴霧乾燥する。 なお、表面かき取り式熱交換器を用いて加熱を行う場合には、全固形分の初期濃度が高いものを用いてもよい。
权利要求
  • (a)全固形分が5%未満であって、カルシウムとマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kg未満であり、pHが6.0〜7.5である乳清タンパク溶液を調製すること、
    (b)得られた溶液を70℃より高温に最長60分間熱処理して乳清タンパクを変性させること、
    (c)この加熱した溶液を40〜60℃に冷却すること、
    (d)噴霧乾燥して乾燥物を調製することを含む、改質乳清タンパク濃縮物の製造方法。
  • (a)における乳清タンパク溶液の全固形分が3%未満である、請求項1に記載の方法。
  • 乳清タンパク溶液出発物質が、少なくとも10%(w/v)の全固形分からなる乳清タンパク濃縮物の限外ろ過によって調製される、請求項1または2に記載の方法。
  • 前記乳清タンパク溶液が、4.0〜6.0の範囲のpHで限外ろ過される、請求項3に記載の方法。
  • 熱処理される前記乳清タンパク溶液のpHが、6.5〜7.5の範囲内である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  • 熱処理される前記乳清タンパク溶液のpHが、6.5〜7.0の範囲内である、請求項5に記載の方法。
  • 熱処理される前記乳清タンパク溶液のカルシウムとマグネシウムの合計濃度が、乾燥重量基準で50mmol/kg未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  • 熱処理に続いて、加熱された溶液を45〜55℃に冷却する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 冷却に続いて、冷却された溶液を全固形分が10%(w/v)より多くなるまで濃縮する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  • 冷却に続いて、冷却された溶液を全固形分が18%(w/v)より多くなるまで濃縮する、請求項に9記載の方法。
  • カルシウムとマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kg未満である乳清出発物質の調製に、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  • (a)全固形分が約10〜30%(w/w)であって、カルシウムとマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kg未満であり、pHが6.5〜7.5である乳清タンパク溶液を調製すること、
    (b)表面かき取り式熱交換器(SSHE)を用いて、70℃より高温で最長60分間熱処理して乳清タンパクを変性させること、
    (c)この加熱した溶液を40〜60℃に冷却すること、
    (d)噴霧乾燥して乾燥物を調製することを含む、乳清タンパク濃縮物の製造方法。
  • 前記加熱した溶液を45〜55℃まで冷却する、請求項12に記載の方法。
  • 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により改質乳清タンパクを調製し、この改質乳清タンパクを食品製造の原料として用いることを含む、食品を製造する方法。
  • 前記食品がヨーグルト、インスタントヨーグルト、アイスクリームおよびインスタント乳製品デザートから選ばれる、請求項14に記載の方法。
  • 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法によって調製された、乳清タンパク濃縮物。
  • 说明书全文

    本発明は、未変性乳清タンパクを含む乳清タンパク濃縮物と比較して、温または冷水を添加することによって粘性溶液を形成しうる変性乳清タンパクを含む乳清タンパク濃縮物に関する。

    乳清タンパクは、チーズまたはカゼイン沈殿物を製造する際に得られる副生成物である。 乳清は、水以外にラクトース、ミネラルおよび乳清タンパクを含む。 チーズおよびその他の乳製品を製造する際には、多量の乳清が生成される。 乳清タンパク濃縮物(WPC)および乳清タンパク分離物(WPI)等の乳清タンパク製品は、その他の多くの成分を除去し主成分として乳清タンパクを残すことによって生成される。 WPCのタンパク質含有量は通常85%以下であるが、WPIのそれは通常90%以上である。 限外ろ過、ダイアフィルトレーションおよびイオン交換などの確立された技術を適用することにより、タンパク質含有量を高めることができる。 タンパク質は栄養価が高いため、これらの製品は食品添加物として有用である。

    これらは加工肉、パンおよび乳製品等の多くの食品中で機能性原料として用いられている(Kinsella,J. E. & Whitehead, D. M.Proteins in whey: chemical, physical, and functional properties. Advances in Food Nutrition Research, 33, 343−438, 1989)。 しかし、組成および加工の不一致により、これらの機能特性のバリエーションが予測できないため、WPCの工業的使用は限られている(Xiong, Y. L., Influences of pH and and ionic environment on the thermal aggregation of whey proteins. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 40, 380−384, 1992)。 ゲル化剤として使用するには、乳清タンパクは多糖類と組み合わせてもよい(例:米国特許第6,497,915号)。 乳清成分単独では十分なゲル化機能を発揮しない場合は、他の親水コロイドを乳清タンパクと組み合わせて用いる。

    米国特許第6,139,900号には、炭水化物親水コロイドと同程度に低粘度の乳清タンパク分散物を製造する方法が記載されている。 その方法は、
    (a)少なくとも約2%の乳清タンパクを含み、pHが少なくとも約8.0である乳清タンパク溶液を生成すること、
    (b)前記乳清タンパク溶液を第一加熱工程で加熱すること、
    (c)前記乳清タンパク溶液を冷却すること、
    (d)前記乳清タンパク溶液のpHを約8.0未満に調整すること、
    (e)前記乳清タンパク溶液を第二加熱工程で加熱して、乳清タンパク製品を製造することを含む。

    この方法には、乳清タンパク分離物を用いたアルカリ熱処理工程が用いられるという欠点がある。 アルカリpHでの加熱は、いくつかの乳製品に見られる望ましくない味を誘発することが知られており、乳清タンパク分離物を用いると、変性乳清タンパク製品を経済的に製造することができない。 このアルカリ熱処理には、ゲル形成せずに長期間安定する傾向があるジスルフィド結合タンパク質凝集体を形成するという、有利な効果がある。

    英国特許公開第2055846号には、乳清タンパクのゲル化温度を低下させる方法が記載されている。 この方法は、0.5〜10%w/vのタンパク質濃度を有する全乳清タンパクの水溶液を、タンパク質が変性するよう少なくとも70℃の高温に一定時間、pH7.5〜9.0に保つことからなる。 同特許には、冷却前に乳清をpH6.0〜7.5で加熱する従来技術も記載されている。 これにより得られた製品は泡立てに適しているが、卵白の熱硬化性または凝固特性(すなわちゲル化)が求められる食品系において、卵白の代替としては適していない。 この特許のすべての実施例において、乳清タンパクはpH8.0で加熱されている。

    米国特許第6,451,371号にも、WPIから調製された2〜4%の乳清タンパク溶液を同様の条件下(pH8.0、75℃以上)で一定期間加熱する、同様の方法が記載されている。

    米国特許第6,767,575号には、平均粒径が1μm以上4μm以下である、変性乳清タンパク凝集体の濃縮液の調製方法が記載されている。 この方法は、pH5.0〜7.0、最大タンパク質含有量4%w/wまで富栄養化された水溶液を75〜150℃で一定時間加熱し、タンパク質の80〜90%を変性させることからなる。 製品は変性乳清タンパク濃度5〜20%まで濃縮される。 この発明では富栄養化していない乳清ストリームを出発原料として用いる。 加熱した製品は脂肪代替物として用いられる。

    乳清タンパク濃縮物または分離物、あるいは乳清タンパクを変性させるために加熱された乳清には、急速にゲル化する傾向があるため、冷却ゲル化WPCを作成することは困難であった。 噴霧乾燥に先立って乳清タンパクの脱水を行うのに十分な時間をとるためには、ゲル化の遅延が必要であるため、この急速なゲル化は好ましくない。 工業的方法では、乳清タンパク溶液を加熱容器の外へ輸送する際に、十分な時間が経過する。 全固形分が5%(w/v)未満である乾燥乳清タンパク溶液を噴霧するのは経済的でないため、希釈乳清タンパク溶液を濃縮する必要がある。 また、満足できる乾燥ゲル化WPCを生成する場合は、この輸送中のゲル化は避けなければならない。

    本発明の目的は、乾燥して粘度増強剤またはゲル化剤として用いることのできる乳清タンパク濃縮物の、改善された製造方法を提供することである。

    本発明は一形態において、
    (a)タンパク質が5%未満、好ましくは3%未満であって、カルシウムとマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kgw/w未満、好ましくは60mmol/kg未満、最も好ましくは50mmol/kg未満であり、pHが6.0〜7.5、好ましくは6.5〜7.5である乳清タンパク溶液を調製すること、
    (b)得られた溶液を70℃より高温で最長60分間熱処理して乳清タンパクを変性させること、
    (c)前記加熱溶液を40〜60℃、好ましくは45〜55℃に冷却すること、
    (d)噴霧乾燥させて乾燥物を調製することを含む、改質乳清タンパク濃縮物の製造方法を提供する。

    (a)で定義される上記タンパク質溶液の調製には、タンパク質が1%未満でpHが約4.6である原料乳清を用いることができる。 限外ろ過によってラクトースおよびミネラルが除去され、フリーカチオン、特に二価のイオン[カルシウム(Ca 2+ )およびマグネシウム(Mg 2+ )]のレベルが低い残余ストリームが生成される。 これらのイオンは、加熱すると乳清タンパクの凝集およびゲル形成を促進することが示されている(Kuhn, P. R. & Foegeding, E. A., Mineral salt effects on whey protein gelation, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 39, 1013 − 1016, 1990; Xiong, Y. L., Influences of pH and and ionic environment on the thermal aggregation of whey proteins. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 40, 380 − 384, 1992; Havea, P., Singh, H., Creamer, L. K., Heat − induced aggregation of whey proteins: comparison of cheese WPC with acid WPC and relevance of mineral composition, 50, 4674 − 4681, 2002)。 これらカチオンの濃度が低いため、タンパク質溶液は加熱されうるが、ゲル形成が遅れてさらなる濃縮が起こり製品ストリームの処理が進行する。 濃縮工程は典型的には限外ろ過または蒸発で行うことができ、約45〜55℃で行われる。 溶液のpH調整は、好ましくはKOHまたはNaOHを用いて、最も好ましくは溶液中で行われる。 pHは6.0〜7.5、好ましくは6.5〜7.5、より好ましくは6.5〜7.3、さらに好ましくは6.7〜7.0、最も好ましくは6.9に上昇される。 この方法のいかなる工程においても、タンパク質は好ましくは8より高いpH、より好ましくは7.5より高いpHで処理しない。 pHが高くなると味の効果が不利なものとなる。

    出発溶液は、上記(a)で定義された適切なレベルのカルシウムおよびマグネシウムの組み合わせを有する、WPC粉末の再構成によって調製することができる。 この溶液は次いで加熱され、さらなる濃縮に先立ち乳清タンパクが変性される。

    少なくとも10%(w/v)の全固形分からなる乳清タンパク濃縮物は、典型的には限外ろ過によって調製され、その後加熱工程に先立って希釈される。 ここでの限外ろ過に特に好ましいのは、pHが低いことであり、好ましくはpH4〜6、より好ましくは4〜5、最も好ましくは4.6である。

    別の態様においては、その他のカルシウム除去法を用いてもよい。 例えば陽イオン交換クロマトグラフィーやエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等のキレート剤の添加が挙げられる。

    変性したタンパク質を熱処理中に凝集させるには、希釈工程が必要である。 タンパク質濃度が低い場合、小さい凝集体が形成される。 タンパク質濃度が高い場合は、変性したタンパク質は、処理中に限外ろ過システムをブロックすることができる大きな凝集体またはゲルを、短時間で形成する。

    乳清タンパク溶液を熱処理するためには、pH調整もまた必要条件である。 イオン強度が低く、pHが高く、タンパク質濃度が低い場合、乳清タンパク溶液を熱処理すると、低分子量(例えば二量体および三量体)のジスルフィド結合タンパク質凝集体が形成される(図5参照)。 これらの凝集体は、ゲルを形成することなく長期間安定な傾向がある。

    乳清タンパクの大部分を十分に継続して変性させるには、熱処理が必要である。 熱処理は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上で最長40分または60分間行われる。 加熱は、プレートまたはチューブ熱交換器、表面かき取り式熱交換器(SSHE)の使用を含む種々の方法、または直接水蒸気圧入(DSI)によって行われる。

    溶液を熱処理すると、乳清タンパクの変性および凝集が起こる。 タンパク質濃度が低いため、熱処理によって、低分子量の凝集体の形成に限定して凝集工程が行われる。 乳清タンパク溶液の熱処理における温度と時間の組み合わせは、目的とするタンパク質の変性度合いによって変えられる。 タンパク質変性度合いの異なるWPCは、種々の食品および工業的用途に用いることができる異なる機能特性をもたらす。

    熱処理に続いて、加熱溶液を45〜55℃まで冷却することが好ましい。 一度冷却した後、好ましくは限外ろ過によってさらに水を除去する。 結果として得られた残余は、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらに好ましくは18%より多くの、それ以上に好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも22%の全固形分を含む。 濃縮された溶液は、標準的な方法で効果的に均質化してもよい。 乳清の乾燥は、例えば噴霧乾燥等の従来の方法で行うことができる。

    蒸発または限外ろ過工程によって、製品ストリームの全固形分濃度はさらに増加する。 製品を常に約50℃に保っておくことが重要である。 これにより製品のゲル形成が回避される。 低温では、残余は短時間でゲル網を形成する。 高温の場合もまた、残余は短時間でゲル網を形成する。 本発明者らは、乳清ゲル形成のためのゲル化運動は、中間温度で最小になることを発見した。

    乾燥工程は通常、脱水工程の後に行われる。 これによりアクセス水が除去され、最終生成物である粉末には、約3〜4%の水分と80%以上のタンパク質が含まれる。

    出願人は(学説にとらわれることなく)、この新しい手法の鍵は加熱条件を設定することであり、これによりゲル網形成前の一定期間安定である、特定のタンパク質凝集体(低分子量凝集体)が形成されると考える。 このゲル形成の遅延により、蒸発および乾燥工程はゲル形成前に完了する。 条件は、低タンパク質濃度、低イオン強度および高pHの組み合わせであった。

    本発明の製品は典型的には、標準WPCと比べて高タンパク質、高脂肪、低鉱物、低ラクトースを有する。 含有するタンパク質の大部分は熱変性している(下記表1参照)。 所望であれば、脂肪は種々の方法(例:精密ろ過)で除去することができる。

    異なるレベルの変性は、加熱温度または加熱時間を変えることによって達成できる。

    別の態様では本発明は、
    (a)全固形分約10〜30%(w/w)、カルシウムとマグネシウムの合計濃度が乾燥重量基準で70mmol/kgw/w未満、好ましくは60mmol/kg未満、最も好ましくは50mmol/kgw/w未満、pH6.5〜7.5である乳清タンパク濃縮物を調製すること、
    (b)表面かき取り式熱交換器(SSHE)を用いて70℃より高温で最長40分間加熱して乳清タンパクを変性させること、
    (c)前記加熱溶液を45〜55℃に冷却すること、
    (d)噴霧乾燥させて乾燥物を調製することを含む方法を提供する。

    SSHEでは、高タンパク質濃度および高粘度のタンパク質ストリームを用いることができるため、この方法によれば、希釈および第二の限外ろ過工程を省略できる。

    冷却後、冷却されたタンパク質溶液は、噴霧乾燥前に任意で濃縮してもよい。 噴霧乾燥に先立って、前記冷却溶液は効果的に均質化してもよい。

    前述した好ましい条件(例えばpH条件および温度条件)は、本発明の適用可能なこの態様においても好ましい。

    本発明のさらに別の態様では、本発明の方法の別の生成物を提供する。

    本発明の製品は、広範囲で利用することができ、粘度およびタンパク質含有量の増加が望まれる用途に用いることができる。

    本発明は前記のごとく構成され、またその構成は下記の実施例のみに限定されるものではない。

    以下の実施例により、本発明の実施についてさらに述べる。
    図1〜図4は、本発明の方法を概略で示す。

    例1:加熱時の低分子量凝集体の形成の実証 タンパク質約1%、pH約4.6の原料乳清を、10%硫酸を加えることにより、スキムミルクからのカゼインの酸沈殿物から取り出した。 これを全固形分が約20%になるまで限外ろ過した。 残余を純水で希釈し、タンパク質2%である希釈残余を得た。 10%KOH(w/v)を用いてpHを7.0または7.5に調整した。 pH調整した希釈残余を80℃で30分間加熱した。 サンプルを取り出しNative-PAGE処理した(Havea, P., Singh, H., Creamer, L. K. & Campanella, O, H. Electrophoretic characterization of the protein products formed during heat treatment of whey protein concentrate solutions. Journal of Dairy Research, 65, 79−91, 1998)。 これらの結果は、β−ラクトグロブリンおよびα−ラクトアルブミンの量が加熱時間とともに減少し(減少するバンド強度によって示されている)、Xで標識された低分子量凝集体の量(バンド強度)の増加を伴うことを示した(図5)。

    例2:本発明が、タンパク質変性のレベルが異なるWPCを提供する可能性の実証 図2に示される工程に続く工程では、タンパク質約1%、pH約4.6の原料乳清を、5%硫酸を加えることにより、スキムミルクからのカゼインの酸沈殿物から調製した。 清澄の後、全固形分が約20%になるまで乳清を限外ろ過した。 残余を水で希釈し、タンパク質2%である希釈溶液を得た。 その後10%KOH(w/v)を用いてpHを6.9に調整した。

    希釈乳清タンパク溶液を2つのストリームに分離し、2つの異なるレベルで加熱した(ストリーム1:74℃、20分、ストリーム2:82℃、21分)。 加熱した乳清ストリームをその後50℃に冷却し、限外ろ過して全固形分が20%以下である第二の残余ロットを得た。 これらの残余ストリームをその後噴霧乾燥した。 最終的に得られた粉末を分析し、市販の標準未加熱酸WPC粉末(対照)と比較した。 タンパク質変性のレベルをHaveaらが記載したように(Havea, P., Singh, H., Creamer, L. K. & Campanella, O, H. Electrophoretic characterization of the protein products formed during heat treatment of whey protein concentrate solutions. Journal of Dairy Research, 65, 79−91, 1998)、Nativeポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native−PAGE)を用いて評価した。 変性した乳清タンパク溶液(熱処理したWPC粉末より調製)におけるタンパク質バンド(β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミンおよびBSA)の複合強度を、未加熱乳清タンパク溶液(未加熱限外ろ過残余より調製)中の同じタンパク質の複合バンド強度と比較した。

    変性WPC製品は、熱処理のレベルに応じてタンパク質変性のレベルが異なっていた。 これらの製品は一般に、標準酸WPCと比べてタンパク質と脂肪のレベルが高く、ラクトースと鉱物のレベルが低かった。 これは主に、変性WPCの製造に用いた限外ろ過処理の程度が高いためであった。

    例3:加熱残余を40〜60℃に保つことの重要性の実証 前記例2のストリーム2よりバケツ(1L)二杯の加熱残余(全固形分約20%)を得た。 一方のバケツを20℃で、もう一方は50℃で保持した。 20℃で保存したバケツ中のタンパク質溶液は、1時間以内に非常に厚いゲルの形成を開始した。 このタンパク質溶液はその後の処理を行うには厚すぎると考え、処分した。 50℃で保持したバケツ中のタンパク質残余は、3時間以上経過しても溶液のままであった。 この時間の遅延により溶液は、ゲル形成前に工業条件下で、その後の処理を行うことができた。

    例4:加熱中の低タンパク質レベルの重要性の実証 タンパク質80%を含む市販の酸WPC粉末(例2の2%溶液と同等の相対組成)を再構成することにより、5%WPC溶液を調製した。 この溶液はタンパク質を約4%(w/v)含み、カルシウムを乾燥重量で約70mmol/kg含んでいた。 これを75℃で20分間加熱した。 溶液を50℃の限外ろ過により濃縮した。 残余の全固形分が約7%まで増加し始めた時、ポンプ圧が著しく急激に増加したため、実験を停止した。 限外ろ過膜は著しく汚れていた。 この結果から、タンパク質濃度が約5%の乳清溶液を熱処理すると、乾燥前の濃縮工程中に汚れやゲルとなる、大きいタンパク質凝集体が形成されることが分かった。 対照的に、例2からの2%タンパク質で熱処理された溶液は、乾燥前の濃縮工程で20%まで濃縮することができた。

    例5:カルシウム濃度の重要性の実証 3%のタンパク質および濃度約82mmol/kg(乾燥重量)のカルシウムからなる乳清タンパク溶液を、チーズ乳清から調製した。 この溶液を78℃で20分間加熱し、その後限外ろ過で濃縮した。 例4で示したのと同様に、膜汚れによって圧が著しく上昇したため、実験設備を停止しなければならなかった。 対照的に、例2からの2%タンパク質で熱処理された溶液および例6からの3%溶液(カルシウム濃度70mmol/kg)は、乾燥前の濃縮工程で20%まで濃縮することができた。

    例6:別の熱処理方法の使用の実証 図3および図4に示した方法に従って、乳清タンパク粉末を製造した。 CaCl 2およびレンネット添加のもと、新鮮な殺菌全乳にチーズスターターを植菌し、35℃で約40分間凝固させた。 その後カードを分離し、乳清を清澄した。 限外ろ過の前に、清澄した乳清のpHを5%(w/v)硫酸を用いて4.6に調整し、約15%タンパク質の残余を得た。 その後この溶液を水で希釈し、3%タンパク質溶液を得た。 DSIを用いた加熱(105℃以下、20分)の前に、10%KOHを用いてpHを7.0に調整した。 加熱後、溶液を約43℃に冷却し、15%のタンパク質濃縮物になるまで限外ろ過で濃縮した。 その後残余を噴霧乾燥した。

    市販の標準チーズWPCと、上で得られた製品との比較分析を以下に示す(表2)。

    変性チーズWPC80(WPCDC60)のカルシウム濃度は、本発明で定義したレベルであり、製品は室温で強固なゲルを形成することができた(下記実施例参照)。

    例7:変性WPC粉末の冷却肥厚化特性の実証 WPC溶液(5%、10%および15%w/w、pH6.9)をWPCDA80から調製し、5℃で1時間、5時間または24時間培養した。 各溶液の粘度を、PARR PHYSICA US200レオメーターを用いてcubおよびbobコンフィグレーションにおいて5℃で測定した。 剪断速度は0から1032s -1まで増加し(黒塗りの記号)、その後1032から0s -1まで減少した(白塗りの記号)。 結果を図6に示す。 5%および10%溶液の粘度は、5℃での1時間から5時間の培養、次いで5時間から24時間のすべての剪断速度での培養により、著しく増加した。 この結果から、15%WPC溶液の粘度は、10%または5%WPC溶液の粘度の何倍も高いことも分かる。 標準酸WPCから調製され同一条件下で保存された15%WPC溶液の粘度は、5%変性WPC溶液の粘度と同程度であった。 市販の未変性酸WPC粉末から調製した、同じ濃度のWPC溶液(5%、10%および15%w/w、pH6.9)は、比較的粘度が低く(0.01〜0.05)それらの間にはわずかな違いしかなかった(結果は示されていない)。

    さらなる実験では、5℃、20℃、40℃で1〜24時間培養した時の、WPCAD80から調製した10%WPC溶液の粘度の変化を測定したところ、時間の経過および温度の減少とともに増加することを示した(図7)。 この結果から、変性WPCは低温で高粘性溶液を形成することができ、食品工業で多くの用途に使用できることが分かった。

    例8:WPC粉末の冷却ゲル化能の実証 WPCDC60(100ml、12%w/w、pH7.0)から調製したWPC溶液の室温(20℃以下)でのゲル形成能力を、10mM、15mM、20mM、または25mMのCaCl 2を加えて評価した。 これらの溶液を、ビーカー内で室温に一夜保存した。 翌朝これらの溶液は、様々な硬度のゲルを形成しており、加えたCaCl 2の増加レベルに伴ってゲル硬度が増加していることが分かった。

    95℃に調整された水浴に25分間ビーカーを浸すことによって、これらのゲルを加熱した。 ゲルは加熱によって溶解せず、「ゆでた卵白」のように硬くなった。

    これらの結果から、WPCD60はCaCl 2を加えることにより、室温でゲルを形成しうることが分かった。 また、ゲルは熱安定性であり食品工業の様々な用途に用いられることも示している。

    本明細書および請求項で用いられる「を含む」という表現は、「少なくともその一部を構成する」、つまり本明細書中のこの表現を含む文を訳す場合、各文中この表現の後に記載されている構成要件はすべて存在する必要があるが、その他の要件も存在しうるということを意味する。

    上記の実施例は、本発明の実施形態を表すものである。 本発明は無数の変更および差異で実施しうることが、当業者には認識されるであろう。 例えば、出発物質として使用される材料は処理時間によって異なり、温度も同様に変化しうる。

    本発明に係る方法のフローチャートである。

    スキムミルクを出発物質とする、本発明の方法に係る例のフローチャートである。

    変性WPCを製造する、本発明に係る別の方法のフローチャートであって、この方法では加熱工程がSSHEシステムによって行われ、希釈工程および第二の限外ろ過工程が効果的に省略される。

    図3に示された本発明に係る別の方法の例のフローチャートであって、全乳を出発物質とし、変性WPCを製造するためのチーズ乳清を提供するチーズ工程である。

    希釈残余(タンパク質2%)の典型的なNative-PAGEであり、(a)pH7.0、(b)pH7.5、(I)80℃、(II)95℃で最長30分間加熱したものである。 減少するバンド強度で示されるネイティブタンパク質[BSA、β−ラクトグロブリン(β−Lg)、α−ラクトアルブミン(α−la)]の消失により、Xで標識された低分子量凝集体が大量に形成されたことが分かる。

    WPCDA80(例2)から調製した変性WPCの粘度を、剪断速度の関数として示すグラフである。 剪断速度は0から1032s

    -1まで増加させ、その後1032から0s

    -1まで減少させた。

    5℃、20℃、40℃で1〜24時間培養した時の、10%熱変性WPC溶液(図2に示す方法により製造)の粘度の変化を示すグラフである。 剪断速度は15.15s

    -1で測定した。

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