リグナン類化合物含有O/W/O型エマルション及びそれを含有する組成物

申请号 JP2008515776 申请日 2007-10-02 公开(公告)号 JPWO2008044550A1 公开(公告)日 2010-02-12
申请人 サントリーホールディングス株式会社; 发明人 俊宏 西海; 俊宏 西海; 佳子 小野; 佳子 小野; 菜美乃 冨森; 菜美乃 冨森; 中原 光一; 光一 中原;
摘要 内油相にリグナン類化合物の一種以上が溶解されている、O/W/O型エマルション組成物、及びこのような組成物は、下記の工程:1)リグナン類化合物の一種以上を油脂に溶解し、リグナン類化合物溶解液を得る工程;2)前記リグナン類化合物溶解液を 水 相に乳化させてO/W型エマルションを形成させる工程;及び3)前記O/W型エマルションをさらに油相に乳化させて、O/W/O型エマルションを得る工程;を含む製造方法により製造可能であることが開示されている。この組成物は、リグナン類化合物の体内吸収量を高めたリグナン類化合物を含有する組成物である。
权利要求
  • 内油相にリグナン類化合物の一種以上が溶解されている、O/W/O型エマルション組成物。
  • リグナン類化合物が、セサミン及び/又はエピセサミンである、請求項1に記載のO/W/O型エマルション組成物。
  • 内油相、水相及び/又は外油相の少なくとも一つに、乳化上有効量の界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載のO/W/O型エマルション組成物。
  • 内油相の平均粒子径が、1000nm以下(好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下)である、請求項1〜3のいずれかに記載のO/W/O型エマルション組成物。
  • 請求項1〜4のいずれかに記載の水中油滴型エマルションを含む、食品組成物又は経口用医薬組成物。
  • リグナン類化合物の一種以上を含有する内油相を水相に乳化させたO/W型エマルション組成物を、さらに外油相に乳化させたO/W/O型エマルション組成物。
  • 内油相に臨床上有効量のリグナン類化合物の一種以上を溶解した、乳化上有効量の界面活性剤を含有してもよい、O/W/O型エマルション組成物であって、経口投与した場合に、同量のリグナン類化合物の一種以上を内油相と同じ油脂に溶解して経口投与した場合より大きい血中濃度−時間曲線下面積(AUC)でリグナン類化合物の吸収を可能にする、O/W/O型エマルション組成物。
  • 下記の工程:
    1)リグナン類化合物の一種以上を油脂に溶解し、リグナン類化合物溶解液を得る工程;
    2)前記リグナン類化合物溶解液を水相に乳化させてO/W型エマルションを形成させる工程;及び
    3)前記O/W型エマルションをさらに油相に乳化させて、O/W/O型エマルションを得る工程;
    を含む、リグナン類化合物含有組成物の製造方法。
  • リグナン類化合物が、セサミン及び/又はエピセサミンである、請求項9に記載の製造方法。
  • 下記の工程:
    1)リグナン類化合物の一種以上を油脂に溶解し、リグナン類化合物溶解液を得る工程;
    2)前記リグナン類化合物溶解液を水相に乳化させてO/W型エマルションを形成させる工程;及び
    3)前記O/W型エマルションをさらに油相に乳化させて、O/W/O型エマルションを得る工程;
    を含む、リグナン類化合物の体内吸収量を向上する方法。
  • リグナン類化合物が、セサミン及び/又はエピセサミンである、請求項10に記載の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、リグナン類化合物を含有するO/W/O型エマルション及びそれを含有する組成物に関し、詳細にはリグナン類化合物の体内吸収量を改善した組成物に関する。

    リグナン類化合物について種々の生体内作用が報告されており、例えば、USP4427694には、セサミンがアルコール中毒やアルコールや喫煙の禁断症状の緩和に有効であること、また特開平2−138120号公報には、セサミノールやエピセサミノールが気管支喘息等のアレルギー症の治療・予防に有効であることが開示されている。 本出願人らも、リグナン類化合物の種々の生理作用を確認しており、現在までに血中コレステロール低下作用(特許3001589号)、Δ 5 −不飽和化酵素阻害作用(特許3070611号)、肝機能改善作用(特許3075358号)、コレステロール降下(特許3075360号)、悪酔防止作用(特許3124062号)、コレステロール及び胆汁酸の代謝阻害、コレステロール低下作用(特許3283274号)、発癌抑制作用(特許3183664号)、乳癌抑制作用(特開平05-043458号)や、過酸化脂質生成抑制作用(特開平05-051388号)、活性酸素除去作用(特開平06-227977号)等の効果を明らかにしている。

    しかしながら、リグナン類化合物はには殆ど溶解しない上、医薬用又は食用に使用可能な有機溶媒に対してある程度溶解するだけである。 このような難溶性の物質は、生体内で吸収されにくいという問題を有している。

    脂溶性物質の体内吸収性を向上させる方法として、脂溶性物質のミセルを微細化(微粒子化)する方法が提案されている。 これは、消化管吸収性の点で、脂溶性物質の粒子径が小さいほど有利な性質を利用したものである。 具体的には、例えば、特開2004−196781号には、コエンザイムQ10と、特定のポリグリセリン、脂肪酸モノエステル等とからなる組成物で、平均粒子径を110nm以下とすることにより生体内吸収性が顕著に改善されたコエンザイムQ10含有水溶性組成物が開示されている。 また、特開平9−157159号には、カロチノイド類を油脂に溶解した油相を、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン及び多価アルコールを含む水相に乳化させた組成物で、前記油相の平均粒子径が100nm以下とすることにより難溶性物質であるカロチノイドの体内吸収性を改善したカロチノイド類含有組成物が開示されている。

    他方、風味・呈味の向上や、脂溶性物質の劣化抑制のために、二重乳化(O/W/O;油中水中油型エマルション)という手段が採られることがある。 具体的には、例えば、特開平5−130843号には、卵黄を配合した従来のO/Wエマルションの問題(油っぽい)を改善しうるものとして、水相に卵黄と糖類を配合した油中水中油型乳化油脂組成物が開示されている。 また、特開平7−313055号には、酸化劣化を受けやすいDHAについて、O/W/O型エマルションの内油相にDHAを配合させることにより、乳化相の膜で覆われてDHAの品質劣化を抑制でき、風味・呈味の良好な製品を得ることができると記載されている。 さらに、特開2004−97113号には、脂溶性ビタミン類のO/W/O型エマルションにより、ビタミン類の活性が長期間の保存においても維持できることが記載されている。

    USP4427694

    特開平2-138120号

    特許3001589号

    特許3070611号

    特許3075358号

    特許3075360号

    特許3124062号

    特許3283274号

    特許3183664号(特開平04-159221号)

    特開平05-043458号

    特開平05-051388号

    特開平06-227977号

    特開2004-196781号

    特開平9-157159号

    特開平5−130843号

    特開平7−313055号

    特開2004−97113号

    本発明者らは、リグナン類化合物の体内吸収性を高めるための研究を行ってきた。 そして、まず、リグナン類化合物を溶解した油相を水相に乳化させて得られる水中油滴型エマルションを経口投与すると、単に油脂に溶解した場合と比較して、最高血中濃度到達時間(Tmax)が著しく速くなることを見出した(PCT/ JP2006/306845)。 このような体内吸収速度の向上は、リグナン類化合物の効果が摂取後速やかに発揮されることが望ましい場合、例えば、悪酔い防止効果や活性酸素除去効果を期待する場合に、特に有用である。

    その一方で、本発明者らの検討によると、上述の手段は、体内吸収速度を向上する点では優れていたが、体内吸収量を向上するものではないことが分かった。 すなわち、リグナン類化合物を水中油滴型エマルションとして経口投与した場合と、単に油脂に溶解して経口投与した場合とでは、血中濃度−時間曲線下面積(area under the blood concentration-time curve、AUC)においては同一であった(本願明細書の[参考例]参照)。

    したがって、本発明は、リグナン類化合物の体内吸収量に特に着眼し、これを従来より高めることを課題とした。

    本発明者らは、リグナン類化合物の体内吸収量を高めるべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、リグナン類化合物をO/W/O型エマルションの内油相に溶解させたものを経口投与すると、従来より体内吸収量を向上できることを見出した。 従来、二重乳化の目的は、風味・呈味の向上、または脂溶性物質の劣化抑制であり、脂溶性物質の体内吸収が向上できることはこれまで一切知られていなかった。

    すなわち本発明は、二重乳化リグナン類化合物、より詳細には内油相にリグナン類化合物の一種以上が溶解されているO/W/O型エマルション組成物、及びそのような組成物によるリグナン類化合物の体内吸収量を向上させる方法を提供する。

    本発明はまた、経口投与した場合に、同量のリグナン類化合物の一種以上を内油相と同じ油脂に溶解して同様の条件で経口投与した場合より大きいAUCで(好ましくは、1.13倍以上、より好ましくは1.25倍以上、より好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.6倍以上のAUCで)リグナン類化合物の吸収を可能にする、O/W/O型エマルション組成物及びその製造方法も提供する。

    あるO/W/O型エマルション組成物(試験製剤)のAUCが基準製剤より大きいかどうかを確認するための試験は、当業者であれば、試験等を加味し、適宜設計することができる。

    本発明と比較例の組成物を投与したラットの血中のセサミン濃度およびエピセサミン濃度の総和(セサミン+エピセサミン濃度)の経時変化を示すグラフである。

    本発明と比較例の組成物を投与したラットの体内吸収量(AUC)を示すグラフである。

    本発明のエマルション(平均粒子径≒100nm)と比較例の組成物を投与したラットの血中のセサミン濃度及びエピセサミン濃度の総和(セサミン+エピセサミン濃度)の経時変化を示すグラフである。

    発明を実施するための形態

    このような組成物は、以下の工程:
    1)リグナン類化合物の一種以上を油脂に溶解し、リグナン類化合物溶解液を得る工程;
    2)前記リグナン類化合物溶解液を水相に乳化させてO/W型エマルションを形成させる工程;及び
    3)前記O/W型エマルションをさらに油相に乳化させて、O/W/O型エマルションを得る工程;
    を含む方法により、製造することができる。

    リグナン類化合物
    本発明で使用するリグナン類化合物としては、セサミン、セサミノール、エピセサミン、エピセサミノール、セサモリン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、2,6−ビス−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、又は2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,7−ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン等を挙げることができ、これらを単独で、又は混合して使用することができる。

    上記リグナン類化合物は、その形態や製造方法等、何ら制限されるものではない。 例えば、ごま油から公知の方法(例えば、ごま油に熱メタノールを加えて抽出し、メタノールを除去後、残渣にアセトンを加えて抽出する方法(特開平4−9331号公報に記載))によって抽出したもの(リグナン類化合物高含有の抽出物または精製物)を用いることもできるが、市販のごま油(液状)をそのまま用いることもできる。 しかしながら、ごま油を用いた場合には、ごま油特有の風味が官能的に好ましくないと評価されることもあることから、ごま油から抽出された無味無臭であるリグナン類化合物高含有の抽出物または精製物を用いることが好ましい。 また、ごま油を用いた場合、リグナン類化合物の含有量が低いため、好ましい量のリグナン類化合物を配合しようとすると、処方されるリグナン類化合物含有水中油滴型エマルションを含有する組成物の摂取量が多くなり過ぎるため、摂取に不都合を生じることがある。 したがって、摂取量が少なくてよいという観点からもごま油からのリグナン類化合物高含有抽出物または単離精製されたリグナン類化合物の精製物を用いることが好ましい。 なお、リグナン類化合物高含有の胡麻種子等からの抽出物は、香ばしい胡麻の香りを有するものであるため、本発明の動物用飲食物に用いれば、胡麻の香りをも付加することも可能である。

    また、合成によりリグナン類化合物を得ることもできる。 その方法としては、例えば、セサミン、エピセサミンについては、Berozaらの方法(J. Am. Chem. Soc., 78, 1242(1956) )で合成できる他、ピノレシノールはFreundenbergらの方法(Chem. Ber., 86, 1157(1953))によって、シリンガレシノールはFreundenbergらの方法(Chem. Ber., 88, 16(1955))によって合成することができる。

    さらに、リグナン類化合物は、配糖体の形で使用することもできる上、これらを単独で、又は適宜組み合わせて組成物の成分とすることもできる。

    O/W/O型エマルション組成物
    本発明により、リグナン類化合物を含有するO/W/O型エマルション組成物が提供される。 リグナン類化合物は、少なくとも内油相に溶解している。 リグナン類化合物は、内油相及び外油相に溶解させることができる。

    本明細書で「内油相」というときは、特別な場合を除き、O/W/O型エマルション組成物における最も内側の油相をいう。 内油相は、一般には「最内油相」と表現されることもある。 本発明における「内油相」の具体的として、ごま油、ごま油に溶解したままの状態であるごま油からのリグナン類化合物高含有抽出物(ごま油濃縮物)の他、胡麻抽出物、精製されたリグナン類化合物等の粉状(固体状)のリグナン類化合物を油脂に溶解させて調製したものを挙げることができる。

    ここで、リグナン類化合物を溶解させる油脂は、食品又は医薬品に添加できる油脂で、リグナン類化合物を溶解できるものであれば、特に制限されずに用いることができ、1種単独又は複数種混合して用いることができる。 具体的には、アーモンドオイル、サフラワー油、アプリコットカーネルオイル、アボガドオイル、月見草オイル、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ウォールナッツオイル(クルミオイル)、オリーブ油、キャスターオイル(ひまし油)、ククイナッツオイル、グレープシードオイル、ココアバター、ココナッツオイル、大豆油、菜種油、落花生油、米油、胡麻油、パーム核油、パームオイル、ホホバオイル、マカダミアナッツオイル、シアバター、マンゴーバター、コクムバター、鯨油、イワシ油、イカ油等の天然油脂、マーガリン等の合成油脂を例示でき、上記オリーブ油等に含まれるジアシルグリセロールを主成分とする油脂やパーム核油等に含まれる中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を主成分とする油脂等を用� ��ることもできるが、中でも、飽和脂肪酸を多く含む油脂が酸化されにくいことから好ましい。 また、常温で液状である油脂だけでなく、半固体状または固体状のラード、脂、水素添加魚油、マーガリン、ショートニングなどと混合したものも使用することができる。 リグナン類化合物及びリグナン類化合物高含有の抽出物の油脂へ溶解する際は、必要に応じ加熱溶解等を行ってもよい。

    本明細書で「水相」というときは、特別な場合を除き、O/W/O型エマルション組成物における水相をいう。 「水相」としては、水系溶媒であれば特に限定されるものではなく、水又は水溶液の他、ジュース飲料、炭酸飲料、牛乳、豆乳、穀物飲料、コーヒー、緑茶等の一般飲料、及びアルコール飲料をはじめとする種々の水性飲料を例示できる。

    また、内油相の含有率を高める目的で、水相に溶解補助剤を添加してもよい。 かかる溶解補助剤としては、例えば、プロピレングリコール、エタノール、モノ−及びジ−サッカリド及び糖アルコール(例えばソルビトール、キシリトール及びマンニトール)が挙げられる。

    本明細書で「油相」というときは、特別な場合を除き、O/W/O型エマルション組成物における最も外側の油相をいう。 油相は、一般には「最外油相」と表現されることもある。 本発明における「油相」としては、食品又は医薬品に添加できる油脂で、内油相を乳化させた水相(O/W型エマルション)を乳化できるものであれば、特に制限されずに用いることができ、1種単独又は複数種混合して用いることができる。 具体的には、上記の「内油相」の説明で述べた種々の油脂を用いることができる。

    本発明のリグナン類化合物含有O/W/O型エマルション組成物の製造法としては、内油相にリグナン類化合物が溶解していれば、公知のいずれの方法も用いることができるが、二段階乳化法によるのが好ましい。 油相となる油脂中に、予め常法により調製しておいた内相O/W型エマルションを再乳化することにより、O/W/O型エマルション組成物を得ることができる。 以下、この二段階乳化法によるO/W/O型エマルション組成物の製造法について説明する。
    [第一段階の乳化処理 : O/W型エマルション]
    本発明のリグナン類化合物含有O/W/O型エマルション組成物を調製するには、まず、第一段階の乳化処理を行い、O/W型エマルションを調製する。

    第一段階の乳化処理に際しては、まず、リグナン類化合物の溶解液(内油相)を調製する。 上記のとおり、ごま油等の溶解液をそのまま用いてもよいし、粉末状のリグナン類化合物を、溶剤となる油脂に添加して混合し、好ましくは加温下で攪拌することにより充分に溶解させて調製することができる。 リグナン類化合物と油脂との配合比は、リグナン類化合物の種類及び溶剤となる油脂によって異なることを考慮して適宜設定することができるが、一般には、リグナン類化合物と油脂との配合比(重量比)は、リグナン類化合物:溶剤=1:15〜2000、好ましくは1:15〜100程度であれば、リグナン類化合物は充分溶解する。

    この内油相と水相とを混合して均質化を施すことによって乳化させ、水中に油滴が分散されたO/W型エマルションを得る。

    内油相と水相との混合比率(重量比)は、適宜設定することができるが、例えば、内油相:水相=100:2〜200とすることができ、また100:5〜50とすることができる。

    均質化のための物理的手法としては何ら制限されないが、例えば、多孔質膜を用いた膜乳化法や、撹拌乳化機、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、ウルトラミキサー、コロイドミル等の装置を用いた攪拌法を例示することができる。 また、本発明者らの検討によれば、均質なエマルションが形成されていない、すなわちエマルション中の油滴の分散安定性が悪いとAUCが低減することもある。 均質なO/W型エマルションを得るには、水相及び/又は内油相に界面活性剤を添加するとよい。 界面活性剤は、リグナン類化合物及び油脂の種類や量に応じて適宜選択すればよいが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソブチレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ダイズサポニン、レシチン、小麦蛋白分解物、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、アラビノガラクタン、デキストリン、カゼイン、カゼインナトリウムなどを単独で又は混合して用いることができる。 発明者らは、グリセリン脂肪酸エステル、酵素分解大豆レシチンを用いてO/W/O型エマルション組成物が得られること、特にモノラウリン酸デカグリセリンエステルを用いた場合に、均質なO/W/O型エマルション組成物が得られることを確認している。 [実施例1参照]
    内油相の油滴の平均粒子径は、経口投与した場合に、同量のリグナン類化合物の一種以上を内油相と同じ油脂に溶解して経口投与した場合より大きいAUCでリグナン類化合物の吸収を可能にするのに有効であれば、特に限定はないが、本発明者らの吸収速度に関する検討によれば、100nm、130nm、250nmの平均粒子径を有するいずれのエマルションおいても良好な吸収が観察された。 また、二段階乳化法によるO/W/O型エマルション組成物の調製に際しては、最初の乳化系を充分安定なものにしておくことが重要である。 このためには、最初の乳化系での内油相の油滴の平均粒子径を1000nm以下とするとよい。 さらに、再乳化の際に用いる多孔質膜の孔径よりも内油相の油滴の平均粒子径が小さくなるように調製するのが好ましい。 また、一般に、粒子径が減少するに伴い表面積が拡大するため、静電的安定性が増し、分散安定性が向上することが知られている。 したがって、均質なエマルションを得るには、分散相である油滴の粒子径を小さく(微細化)するのも有効である。 具体的には、油滴の平均粒子径が1000nm以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下にするとよい。 300nm以下にすると、室温で2日間放置した場合にも油相の分離が生じず、良好な分散安定性を示す。

    第一段階のO/W型エマルションは、内油相と水相とを混合して均質化を行うことにより製造できるが、上記油滴の平均粒子径が1000nm以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下の微細化された油滴を含有するエマルションを製造するには、均一な孔径を有する多孔質膜を用いた膜乳化法によるか、油相と水相とを混合して予備乳化を行った後、さらに油滴の平均粒子径が上記サイズになるまで乳化する(本乳化)手段を施すことにより製造できる。

    膜乳化法とは、多孔質膜を挟んで分散相(内油相)となる液体(a)と連続相(水相)となる液体(b)が存在し、液体(a)を、膜を通して液体(b)内に窒素ガス等により圧入する方法により調製する方法である。 多孔質膜は、均一な孔径(ここで「均一な孔径」とは、多孔膜体の孔径が、相対累積細孔分布曲線において、細孔容積が全体の10%を占めるときの孔径(φ10)を、細孔容積が全体の90%を占める時の孔径(φ90)で除した値が1〜1.5程度の範囲内にある場合をいう。)を有しているものであれば無機質又は有機質のいずれであってもよく、例えば、特公昭62-25618号公報に開示されたCaO-B 2 O 3 SiO 2 -Al 2 O 3系多孔質ガラス、特開昭61-40841号公報(米国特許第4,657,875号明細書)に開示されたCaO-B 2 O 3 -SiO 2 -Al 2 O 3 -Na 2 O系多孔質ガラス及びCaO-B 2 O 3 -SiO 2 -Al 2 O 3 -Na 2 O-MgO系多孔質ガラス、特開2002-302414号公報に開示されたミクロポーラスガラス(SPG膜;CaO-Al 2 O 3 -B 2 O 3 -SiO 2系多孔質ガラス膜)等を用いることができる。 膜乳化法では、用途に合わせて粒子の大きさを設計することが知られていることから、本発明においては好適に用いることができる製造法である。 なお、膜乳化法において、円筒状のガラス多孔質膜を多孔質膜として用いた場合には、円筒の内側で液体(b)を循環させておき、外側から液体(a)を窒素ガス等により圧入する方法により、O/W型エマルションを調製することもできる。

    細孔の平均径は、得ようとするO/Wエマルション粒子の平均粒径に応じて適宜選択できるが、通常0.1〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μm程度、さらに好ましくは0.1〜0.3μm程度である。 また一般に、生成するエマルションの粒子径は膜の細孔径×3.25となることを考慮してもよい。

    多孔質膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜1.5mm程度である。 膜乳化法において、液体(a)を圧入する際の圧は、分散相(内油相)の種類、連続相(水相)の種類、界面活性剤の種類及び濃度等に応じて適宜設定することができるが、通常、20kPa〜5MPa程度である。

    膜乳化は、好ましくは加熱下で行うとよい。 例えば、本発明においては、孔径約0.1〜0.2μmのSPG膜を用意し、この一側に水相成分を加熱しながら流動させる一方、リグナン類化合物を含有する油相成分(内油相)を約80〜90℃に加熱し、この加熱油相成分に圧力を加えながら、約80〜90℃で加熱したSPG膜に圧入させることによって、粒子径がおよそ0.3〜0.8μmの0/W(水中油型)エマルションを得ることができる。 なお、このリグナン類含有エマルションは、エマルション粒子が結晶化したり、粒子同士が結合して粒子径が変化するなどの経時的変化がなく極めて経時的安定性に優れたものである。

    撹拌法においては高速に攪拌できるものであれば特に制限せず使用することができ、具体的には、前記の均質化処理と同様、撹拌乳化機、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、ウルトラミキサー、コロイドミル等の装置を例示することができる。 攪拌は、装置の種類や形状、攪拌する被対象物(油相と水相の混合物)の性質や量により適宜設定すればよいが、通常、5000〜30000rpm、好ましくは、6000〜20000rpmで、10〜30分程度である。

    また、高圧ホモジナイザーによる方法では、例えば、9.8MPa(100kgf/cm 2 )以上の高圧でホモジナイズできるホモジナイザー[例えば、マイクロフルイダイザー(商品名)みずほ工業社製、ゴーリンホモジナイザー(商品名)等]を用いて行うことができる。 これらの装置を用いてO/W型エマルションを調製する際の条件は適宜選定されるが、例えば、9.8〜245MPa(100〜2500kgf/cm 2 )程度、好ましくは49〜196MPa(500〜2000kgf/cm 2 )程度の圧力にて、室温にて、又は必要に応じて加熱しながら調製することが望ましい。

    [第二段階の乳化処理 : O/W/O型エマルション組成物]
    本発明のリグナン類化合物含有O/W/O型エマルション組成物を調製するには、まず、第一段階の乳化処理に続いて、第二段階の乳化処理を行い、O/W/O型エマルションを調製する。

    第二段階の乳化処理においては、第一段階で得られたO/W型エマルションと油相とを混合して均質化を施すことによって乳化させ、油中にO/W型エマルション滴が分散された O/W/O型エマルション組成物を得る。

    O/W型エマルションと油相との混合比率(重量比)は、適宜設定することができるが、例えば、O/W型エマルション:油相=100:10〜1000とすることができ、また100:25〜500とすることができる。

    均質化のための物理的手法としては何ら制限されないが、例えば、撹拌乳化機、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、ウルトラミキサー、コロイドミル等の装置等による攪拌法の他、連続相(外油相)となる液体(c)中に、膜乳化法で乳化させることによりO/W/O型エマルションを調製することができる。 ここで、外油相となる液体(c)には、油脂の他に、リグナン類化合物、その他の添加剤等が添加されていてもよい。 膜乳化法では、予め調製したO/W型エマルションを液体(c)内に上記したような多孔質膜を通して圧入することにより、エマルション粒子の粒径が均一なO/W/O型エマルションが得られる。 この際、上記したような均一な孔径を有する多孔質膜を用いることができるが、膜としてガラス多孔質膜を用いる場合、ガラス多孔質膜は元来親水性であるため、O/W/O型エマルションを調製する際は、通常、種々の表面処理を施すことによりその表面を疎水性として使用する。

    細孔の平均径は、得ようとするO/W/O型エマルション粒子の平均粒径に応じて適宜選択することができるが、通常0.15〜30μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度、さらに好ましくは0.5〜3μm程度である。 また、一般に生成するエマルションの粒子径は膜の細孔径×3.25となることを考慮してもよい。

    [他の添加剤等]
    本発明のO/W/O型エマルション組成物には、上記リグナン類化合物、油脂、水系溶媒、界面活性剤の他、酸化を防ぐ目的で、ビタミンC、ビタミンE、d−α−トコフェロール、エラグ酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸ナトリウム、フェロールなどの酸化防止剤を混合してもよい。 さらに、必要に応じて甘味料、調味料、酸味料、pH調整剤などを添加することもできる。

    本発明のO/W/O型エマルション組成物においては、油相に高融点の油脂を用いることにより、保型性に優れた組成物が得られ、内油相に高融点の油を使えば、内油相の味・臭い等を抑えた組成物とすることができる。

    用途
    本発明により、生体内におけるリグナン類化合物の吸収性が向上する。 したがって、本発明のO/W/O型エマルション組成物は、リグナン類の吸収量の向上が好ましい結果を生じうる種々の食品組成物又は経口用医薬組成物の形態で用いることができる。 本発明の食品組成物は、飲料の形態であるものも含む。 本発明の食品組成物は、栄養機能食品、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品、ドリンク剤、ソフトカプセル等とすることができる。

    本発明のO/W/O型エマルション組成物の食品組成物又は経口用医薬組成物への配合比率(重量比)は、リグナン類化合物を目的の濃度・量で含有させるために適宜設定することができるが、例えば、1〜100重量%程度である。 また、本発明の食品組成物又は経口医薬組成物には、許容される種々の添加物、例えば、附形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤を用いることができる。

    本発明の医薬組成物において、有効成分であるリグナン類化合物の量、投与期間、間隔は、目的、症状、対象者の年齢、体重等に応じて適宜とすることができる。

    本発明の食品組成物又は経口医薬組成物の対象は、ヒト又は動物である。 動物とは、産業動物、ペットおよび実験動物を表し、具体的には、産業動物とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ等の家畜、ニワトリ、アヒル、ウズラ、七面鳥、ダチョウ等の家禽、ブリ、ハマチ、マダイ、マアジ、コイ、ニジマス、ウナギ等の魚類など産業上飼養することが必要とされている動物をいい、ペットとはイヌ、ネコ、マーモセット、小鳥、ハムスター、金魚などのいわゆる愛玩動物、コンパニオン・アニマルをいい、実験動物とはラット、モルモット、ビーグル犬、ミニブタ、アカゲザル、カニクイザルなど医学、生物学、農学、薬学等の分野で研究に供用される動物を表す。

    評価方法
    リグナン類化合物を本発明により経口投与した場合、リグナン類化合物を単に油脂に溶解して同様の条件で投与した場合に比較して、AUCの向上が観られる。 このような体内への吸収性の向上は、血中のリグナン類化合物濃度を経時的に測定することによって評価することができる。

    血中のリグナン類化合物濃度は、血液を採取して遠心分離操作により血漿サンプルを得、内部標準(例えば、フナコシ株式会社製のユーデスミン)を添加して固相抽出用ポリマー充填剤(例えば、Waters Corporation製のOasis HLB)で固相抽出し、抽出液を減圧濃縮後、メタノールで懸濁し、フィルターろ過してLC−MS/MSに付し、リグナン類化合物の定量を行うことで求めることができる。

    複数のリグナン類化合物が用いられている場合には、総和の血中濃度を時間に対してプロットし、AUCを求め、評価することができる。 AUCと同時に、Cmax及びTmaxを求めてもよい。

    なお、本明細書において平均粒子径というときは、特別な場合を除き、メディアン径(ふるい上分布曲線の50%に対応する粒子径。中位径、または50%粒子径ともいう。)をいい、光散乱式粒度分布測定法で測定することができる。 動的光散乱式粒度分布測定法で測定してもよい。

    以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。

    O/W/O型エマルション組成物の製造 セサミン(竹本油脂製;セサミン:エピセサミン=51.1:48.2)0.1362gを80℃に熱したオリーブ油100mLに懸濁し、20分間攪拌することでセサミンを均一に溶解した。 次に、セサミンを溶解したオリーブオイル12mL(分散相)を、界面活性剤を1.0wt%溶解させた純水20mL(連続相)に、親水性シラス多孔質ガラス(SPG)膜(SPGテクノ株式会社製、細孔径0.2μm)を用いて膜乳化法により連続的に乳化し、セサミン含有水溶性乳化組成物(O/Wエマルション)を得た。 この時、押し出し圧力は0.6MPaとした。 さらに、得られたセサミン含有水溶性乳化組成物15mL(分散相)を、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンエステル(サンソフトNo. 818SK;太陽化学(株)製)を1.0wt%溶解させたオリーブオイル15mL(連続相)に疎水性SPG膜(SPGテクノ社製、細孔径1.3μm)を用いて膜乳化法により連続的に乳化し、セサミン含有油溶性乳化組成物30mLを得た。 この時、押し出し圧力は0.4MPaとした。 なお、ここで用いたSPG(Shirasu Porous Glass)は、シラス火山灰で作られた多孔質ガラスであり、細孔が絡み合う独特の多孔構造からなる。 その細孔径は均一で、しかもその細孔径をコントロールすることができるという特徴を有しているものである。 また、分散相の乳化に用いた界面活性剤の種類は、モノラウリン酸デカグリセリンエステル(サンソフトQ-12S)、モノミリスチン酸デカグリセリンエステル(サンソフトQ-14S)、モノオレイン酸ペンタグリセリンエステル(サンソフトA-171E)、酵素分解大豆レシチン(サンレシチンA-1)の4種類であり、いずれも太陽化学(株)より入手可能である。

    このようにして得られたセサミン含有油溶性乳化組成物の均質性を顕微鏡にて確認した結果、いずれの界面活性剤を用いた場合も、O/W/O型エマルションの形成が確認できた。 特に、界面活性剤としてモノラウリン酸デカグリセリンエステルを用いた場合において、粒径が小さく、均一性の高いO/W/O型エマルションが得られた。

    O/W/O型エマルションのセサミン体内吸収性試験 実施例1で製造したO/W/O型エマルションのうち、モノラウリン酸デカグリセリンエステルを界面活性剤として製造したセサミン含有O/W/O型エマルションを用いて、セサミンの体内吸収性試験を行った(試験試料)。

    比較例として、セサミン(竹本油脂製)0.1gを80℃に熱したオリーブ油99.9gに懸濁し、20分間攪拌し、セサミンを均一に溶解した溶解液を用いた(比較試料)。

    SD(IGS)系雄性ラット(9週齢)を日本チャールスリバー社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。 一晩絶食させたラットを各群6匹からなる2群に分け、試験試料の微細化リグナン類含有水溶液または比較試料のセサミンのオリーブ溶解油脂を、9mg/10ml/kgの用量で、ゾンデを用いて経口投与した。 投与開始後、1、3、5、7、9時間後及び24時間後に尾静脈よりヘパリン採血管に血液を採取し、遠心分離操作(8,000rpm、10min)により血漿サンプルを得た。 内部標準を添加してOasis HLBで固相抽出し、抽出液を減圧濃縮後、メタノールで懸濁し、フィルターろ過してLC−MS/MSに付してセサミンおよびその異性体であるエピセサミンの定量を行った。 セサミンおよびエピセサミン量は、常法に従い、セサミンおよびエピセサミンのピーク面積と、内部標準として用いたユーデスミン(フナコシ株式会社)のピーク面積との比により決定した。 LC−MS/MS分析条件を以下に示す。
    (HPLC)
    カラム:Develosil C30-UG-5(5μm、2.0 Φ × 50 mm、野村化学社製)
    移動相:A;蒸留水、B;メタノール、D;100 mM 酢酸アンモニウム水溶液 流速 :0.25 mL/min
    グラジエント:B液が55%、D液が10%で2分間、その後、3分間でB液が55%から 60%、D液が10%、2分間でB液が60%から85%、D液が10%となるリニアグラジエント(MS/MS)
    測定モード:選択反応モニタリング 検出 :セサミン(保持時間約5.0分);前駆イオンm/z=372([M+NH4]+)、生成イオンm/z=233
    :エピセサミン(保持時間約5.4分);前駆イオンm/z=372([M+NH4]+)、生成イオンm/z=233
    :ユーデスミン(保持時間約2.6分);前駆イオンm/z=369([M+NH4]+)、生成イオンm/z=298
    イオン化法:ESI法 図1に、血中のセサミン濃度およびエピセサミン濃度の総和(セサミン+エピセサミン濃度)の経時変化を示す。 血中のセサミン+エピセサミン濃度の最大値(Cmax)は、比較試料摂取群では20 ng/mLであるのに対し、試験試料摂取群では35 ng/mLであった。 最大値(Cmax)までに要する時間(Tmax)は、試験試料摂取群、比較試料摂取群とも約5時間であった。 さらに、図1から体内吸収量(AUC)を求めると、試験試料摂取群は、比較試料摂取群に対して約1.6倍上昇した。

    以上より、試験試料(本発明の組成物)摂取群では、セサミンの吸収性が高まり効率よくセサミンを摂取できることが示唆された。
    [参照例:吸収性試験−1]
    試料
    セサミン(竹本油脂製;セサミン:エピセサミン=51.1:48.2)1gを80℃に熱したオリーブ油50gに懸濁し、20分間攪拌し、セサミンを均一に溶解した。 この溶液を約70℃まで冷却し、酵素分解レシチン(サンレシチンVA−1;太陽化学(株)製;有効成分33.3%;原料 大豆)25gを70℃に加温した水1000mLに混合溶解した水溶液に撹拌注加し、ディストロミックス(エーテックジャパン(株)製)で6000rpm、15分間乳化処理を行った。 さらに、この乳化液を50〜60℃に保温し、高速攪拌乳化機(エムテクニック(株)製クレアミックスダブルモーション)でローター部20000rpm、スクリーン部12500rpmで40分間処理して、セサミンを含有する水溶性乳化組成物(セサミン含有水中油滴型エマルション)を得た(試料1)。 また、得られたセサミン含有水中油滴型エマルションの平均粒子径は堀場製作所株式会社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−550によって測定し、その結果は97.8nmであった。

    比較例として、セサミン(竹本油脂製;セサミン:エピセサミン=51.1:48.2)50mgを80℃に熱したオリーブ油50mLに懸濁し、20分間攪拌し、セサミンを均一に溶解した溶解液を用いた(比較試料)。

    セサミン体内吸収性試験
    SD(IGS)系雄性ラット(9週齢)を日本チャールスリバー社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。 一晩絶食させたラットを各群4匹からなる2群に分け、試料1のセサミン含有水中油滴型エマルション又は比較試料のセサミンのオリーブ溶解油脂を、10mg/10mL/kgの用量で、ゾンデを用いて経口投与した。 投与開始後、1、3、5、7、9時間後及び25時間後に尾静脈よりヘパリン採血管に血液を採取し、遠心分離操作(8000rpm、10min)により血漿サンプルを得た。 内部標準を添加してOasis HLBで固相抽出し、抽出液を減圧濃縮後、メタノールで懸濁し、フィルターろ過してLC−MS/MSに付してセサミン及びその異性体であるエピセサミンの定量を行った。 セサミン及びエピセサミン量は、常法に従い、セサミン及びエピセサミンのピーク面積と、内部標準として用いたユーデスミン(フナコシ株式会社)のピーク面積との比により決定した。 LC−MS/MS分析条件を以下に示す。

    (HPLC)
    カラム:Develosil C30-UG-5(5μm、2.0Φ×50mm、野村化学社製)
    移動相:A;蒸留水、B;メタノール、D;100mM 酢酸アンモニウム水溶液 流速 :0.25mL/min
    グラジエント:B液が55%、D液が10%で2分間、その後、3分間でB液が55%から60%、D液が10%、2分間でB液が60%から85%、D液が10%となるリニアグラジエント (MS/MS)
    測定モード:選択反応モニタリング 検出 :セサミン(保持時間約5.2分);前駆イオンm/z=372([M+NH4]+)、生成イオンm/z=233
    :エピセサミン(保持時間約5.6分);前駆イオンm/z=372([M+NH4]+)、生成イオンm/z=233
    :ユーデスミン(保持時間約2.8分);前駆イオンm/z=404([M+NH4]+)、生成イオンm/z=249
    イオン化法:ESI法 図3に、血中のセサミン濃度及びエピセサミン濃度の総和(セサミン+エピセサミン濃度)の経時変化を示す。 血中のセサミン+エピセサミン濃度の最大値(Cmax)は、試料1摂取群では48ng/mLであるのに対し、比較試料摂取群では20ng/mLであった。 また、最大値(Cmax)までに要する時間(Tmax)は、試料1摂取群では約1時間、比較試料摂取群では約9時間であった。 さらに、図3から体内吸収量(AUC)を求めると、吸収量には差がなかった。

    処方例(製剤例1)カプセル剤ゼラチン 60.0 %
    グリセリン 30.0 %
    パラオキシ安息香酸メチル 0.15 %
    パラオキシ安息香酸プロピル 0.51 %
    水 適量 セサミン(竹本油脂製;セサミン:エピセサミン=51.1:48.2)1.362gを80℃に熱したオリーブ油100mLに懸濁する以外は実施例1記載の試料調製方法に従い、1%のセサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン)30mLを得た。 これを上記成分からなるソフトカプセル剤皮のなかに常法により充填し1粒250mgのソフトカプセルを得た。 このようにして得られたソフトカプセルはセサミンを一粒2.5mg含有する。
    (製剤例2)マヨネーズ卵黄 10 個塩 16 g
    マスタード 25 g
    胡椒 3 g
    酢 150 cc
    上記成分を十分に攪拌させたのち、0.1%のセサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン)1000ccおよび食用食物油500ccを水相に攪拌滴下し、さらに攪拌機を用いて均質化させ、セサミン含有マヨネーズを得た。
    (製剤例3)バター
    1%セサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン) 5 g
    バター脂肪 95 g
    酢酸トコフェロール 1.2 g
    バター製造工程の攪拌操作(チャーニング)でバターミルクが除かれたバター脂肪95gに1%のセサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン)を5g、さらに酢酸トコフェロールを1.2gを加えて練圧操作(ワーキング)を行い均等な組織として本発明組成物含有のバターを得た。
    (製剤例4)マーガリン植物油脂(大豆油の硬化油、綿実油の混合物) 72重量%
    1%セサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン) 10重量%
    グリセリン脂肪酸エステル 0.2重量%
    脱脂粉乳 0.5重量%
    水 17重量%
    食塩 0.8重量%
    融解させた植物油脂に、1%のセサミン含有油溶性乳化組成物(O/W/Oエマルジョン)とグリセリン脂肪酸エステルを添加して攪拌した後、脱脂粉乳と食塩を水に溶解させたものを徐々に加えて、50〜60℃で加温しながら攪拌し混合した。 急冷可塑化を行い、本発明の組成物を含有したマーガリンを得た。

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