乳脂肪クリームおよびその製造方法

申请号 JP2016055173 申请日 2016-03-18 公开(公告)号 JP2017163952A 公开(公告)日 2017-09-21
申请人 雪印メグミルク株式会社; 发明人 小杉 達也; 花澤 智仁; 黒岩 由来子; 久保内 宏晶;
摘要 【課題】 本願発明は凍結耐性と、凍結解凍処理後のホイップ性を兼ね備えた乳脂肪クリームとその製造方法の提供を課題とする。 【解決手段】 乳脂肪球のメディアン径を3.3μm以上4.0μm以下とする均質化工程と、0℃から−5℃となるまでの時間が9分間以上30分間以下となるように冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする凍結乳脂肪クリームの製造方法。 【選択図】なし
权利要求

乳脂肪球のメディアン径を3.3μm以上4.0μm以下とする均質化工程と、0℃から−5℃となるまでの時間が9分間以上30分間以下となるように冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする凍結乳脂肪クリームの製造方法。前記冷却工程が−20℃以下まで冷却する工程であることを特徴とする請求項1に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。獣乳からクリームを分離する工程と、前記分離したクリームを殺菌する殺菌処理工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。請求項1から請求項3に記載の凍結乳脂肪クリームを解凍する解凍工程を含むことを特徴とする乳脂肪クリームの製造方法。凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン系が10μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の乳脂肪クリームの製造方法。30重量%以上50重量%以下の乳脂肪を含み、乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上4.0μm以下であり、温度が−20℃以下であることを特徴とする乳脂肪クリーム。

说明书全文

本発明は、乳脂肪クリームおよびその製造方法に関する。

一般に、クリームと呼ばれるものには、乳から乳脂肪分以外の成分を除去して得られるクリームのほか、乳脂肪と乳化剤や安定剤を含むもの、植物性脂肪と乳化剤や安定剤を含むもの、乳脂肪と植物性脂肪の混合脂肪と乳化剤や安定剤を含むものがある。 わが国の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令代52号、以下「乳等省令」という。)では、生乳、乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものが「種類別 クリーム」、その他の乳化剤、安定剤、食品等を加えたものが「乳又は乳製品を主要原料とする食品」と定義されている。

本願発明は、牛、牛、羊、山羊、馬等の獣乳から乳脂肪分以外の成分を除去して得られるクリーム、から選択される1つ又は複数の混合物を対象とする。以下、本願発明ではこれらを「乳脂肪クリーム」と記載する。

製菓、製パン、デザートの製造において、乳脂肪クリーム、乳又は乳製品を主要原料とする食品はいずれも使用されているが、近年は添加物を一切使用しないという点から乳脂肪クリームが好まれる傾向がある。しかし、乳脂肪クリームを新鮮な状態で長期間保存することは困難である。

乳脂肪クリームの保存期間を延ばす手段として凍結保存がある。しかし、従来の乳脂肪クリームは凍結処理時に生成する氷結晶により、分散している脂肪球の界面が破壊される、あるいは氷結晶の成長により脂肪球が凍結濃縮されることにより、脂肪球同士の凝集や合一が生じ、これにより解凍の際に、脂肪球径や粘度が大幅に変化し、凍結前と同様の液状状態には戻らず、凍結耐性がなかった。 凍結耐性が付与されていない乳脂肪クリームは、凍結解凍処理後にホイッピングしてもホイップできない、あるいはホイップできたとしても粗悪な組織となる。

これを解決するために、液体窒素を冷媒とした特殊な冷凍機を用い、中心温度が0℃から−5℃までの間を8分間以下で通過し、かつ、−5℃から−20℃までの間を9分間以下で到達するようにクリームを急速に凍結する方法(特許文献1)、高速高せん断機を用い、クリームに微細気泡を含有させる方法(特許文献2)、乳化剤等を添加した後、回転式乳化機を用いて、クリームを30〜45m/s以上の高周速で均質化処理し、さらに乳化物を加圧しスリットを抜ける際のせん断を利用して油滴を小さくする方法(特許文献3)が開示されている。 しかし、より簡便に凍結耐性とホイップ性を付与した乳脂肪クリームの製造方法が求められている。

特許第4906979号

特許第5146894号

特願2008-274194

本願発明は凍結耐性と、凍結解凍処理後のホイップ性を兼ね備えた乳脂肪クリームとその製造方法の提供を課題とする。

上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。 (1)乳脂肪球のメディアン径を3.3μm以上4.0μm以下とする均質化工程と、0℃から−5℃となるまでの時間が9分間以上30分間以下となるように冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする凍結乳脂肪クリームの製造方法。 (2)前記冷却工程が−20℃以下まで冷却する工程であることを特徴とする(1)に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。 (3)獣乳からクリームを分離する工程と、前記分離したクリームを殺菌する殺菌処理工程と、を含むことを特徴とする(1)又は(2)のいずれか1つに記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。 (4)(1)から(3)に記載の凍結乳脂肪クリームを解凍する解凍工程を含むことを特徴とする乳脂肪クリームの製造方法。 (5)凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン径が10μm以下であることを特徴とする(4)に記載の乳脂肪クリームの製造方法。 (6)30重量%以上50重量%以下の乳脂肪を含み、前記乳脂肪の乳脂肪球のメディアン径が3.5μm以上4.0μm以下であり、温度が−20℃以下であることを特徴とする乳脂肪クリーム。

本願発明は凍結耐性と、凍結解凍処理後のホイップ性を兼ね備えた乳脂肪クリームとその製造方法を提供するものである。

本発明の乳脂肪クリームおよびその製造方法について以下に詳細に説明する。 本願の乳脂肪クリームの原材料について詳細に説明する。 本願の乳脂肪クリームに用いる原材乳は牛、水牛、羊、山羊、馬等の獣乳であればどのようなものでもよく、これらのうちの1種類あるいは複数の混合物を用いることができる。 上記した乳から常法により分離した脂肪分が30重量%以上50重量%以下のクリームを原料として用いる。原料とするクリームは異なる獣乳のクリーム、異なる脂肪分のクリームから選択される複数を混合して用いてもよい。

本願の乳脂肪クリームの脂肪分は上記したように30重量%以上50重量%以下が好ましく、35重量%以上50重量%以下がさらに好ましい。脂肪分は、乳脂肪クリームの分離工程での調整、あるいは異なる脂肪分のクリームや生乳を混合することで調整すればよい。

本願の乳脂肪クリームの製造方法について詳細に説明する。 原料とするクリームを60℃程度に加温した後、処理後の乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上、好ましくは3.5μm以上4μm以下となるように調製する。調製はどのような方法でもよいが、均質機を用いる方法を例示できる。均質機はホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイダイザーはマイクロフルーイディクス インターナショナル コーポレイションの登録商標)、コロイドミル等の通常のクリームの製造に使用されるものであればどのようなものでも使用することができる。

生物の管理等のために、乳脂肪クリームを常法により加熱殺菌処理することができる。加熱殺菌処理は、乳脂肪クリームを凍結解凍処理する前における均質化処理の前でも後でもよい。また、凍結解凍処理した乳脂肪クリームを加熱殺菌することもできる。

均質化処理、又は均質化処理と加熱殺菌処理した乳脂肪クリームを凍結する。凍結処理は、乳脂肪クリームの中心温度が0℃から−5℃となるまでの時間が9分間以上30分間以下となるように冷却する。冷却方法は、この冷却条件が可能なものであればどのような方法でもよいが、−30℃に冷却したエタノールに浸漬する方法を例示できる。冷却に供する乳脂肪クリームは5℃程度で24時間程度保存したものが好ましい。−5℃より低温における冷却条件には特に制限がなく、0℃から−5℃の間と同様の冷却条件とすることもできるし、これよりも緩慢な冷却条件、又は急激な冷却条件の1つ又は複数とすることもできる。

凍結保存した乳脂肪クリームの解凍条件は、特に制限はないが、凍結解凍処理後の微生物の制御等の点から、5℃雰囲気温度下に静置する方法を例示できる。

以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

原料乳を60℃まで加温した後、遠心分離機を用いて脂肪率が、35重量%、40重量%、47重量%のクリームを分離した。 遠心分離により得られた各脂肪率のクリームをプレート式殺菌機に通液し、120℃、2秒の条件で殺菌処理後、約50℃まで冷却した。

殺菌冷却後のクリームを表1に示す条件で均質化処理に供した。均質化処理には均質機を用いた。均質化処理後のクリームを1L容量のパウチに700g採取し、実施例品2、実施例品3、実施例品4、実施例品5、実施例品7、実施例品8、実施例品10、実施例品11、及び比較例品1から比較例品9を得た。表1の均質工程条件に「−」と記載されている実施例品1、実施例品6、実施例品9は、均質機に通液せずに1L容量のパウチに700gを採取した。

実施例品1から実施例品11と比較例品1から比較例品6は、5℃冷蔵庫で24時間保存した後、表1に示した条件で凍結解凍処理に供した。 凍結処理は、5℃冷蔵庫で24時間保存した乳脂肪クリーム500gを570ml容量のステンレス容器に充填した後、ステンレス容器を−30℃に冷却したエタノールに浸漬し、試料の中心温度が0℃となった時点から−5℃となるのに要する時間が9分以上30分以下となる条件で冷却後、さらに−20℃以下まで冷却することにより行なった。 解凍処理は、−30℃冷凍庫内に保管した実施例品1から実施例品11と比較例品1から比較例品6を、5℃冷蔵庫に24時間静置することにより行なった。

比較例品7から比較例品9は、5℃冷蔵庫で24時間保存した比較例品7から比較例品9の500gを570ml容量のステンレス容器に充填した後、ステンレス容器を約−196℃の液体窒素に浸漬し、試料の中心温度が0℃となった時点から−5℃となるのに要する時間が8分以下となる条件で冷却し、−20℃以下まで冷却し凍結した。 凍結した比較例品7から比較例品9は、−30℃の冷凍庫内で保管し、その後5℃冷蔵庫に24時間静置して解凍した。

実施例品1から実施例品11と比較例品1から比較例品9の乳脂肪クリームを対象に、凍結処理前および解凍処理後の脂肪球のメディアン径と粘度を測定した。また、解凍後の乳脂肪クリームを対象に外観評価、加温時のオイルオフ発生、ホイップ性及び風味を評価した。

乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(Microtrac MT3000、日機装製)を用いた。メディアン径は、体積基準での積分分布曲線の50%に相当する粒子径とした。

乳脂肪クリームの粘度測定は、B型粘度計(TOKIMEC VISCOMETER、東京計器株式会社製)を用いて、ローターNo.2、ローター回転速度30rpm、測定時間30秒間、測定時クリーム品温5℃の条件での値を粘度(mPa・s)とした。

凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの外観評価は、官能評価により○、×の2段階で評価した。評価は、凍結解凍処理後のクリームにおける固化、増粘、凝集物発生について以下の基準で評価した。 ○:固化および増粘がほとんどなく、凝集物もない ×:固化あるいは増粘があり、凝集物がある

凍結解凍処理後の乳脂肪クリームのオイルオフ発生は、凍結解凍処理後のクリームを60℃で1時間加熱処理した後のオイルオフ(クリームからの油脂の分離・浮上)について以下の基準で評価した。 ○:オイルオフがない ×:オイルオフがある

凍結解凍処理後の乳脂肪クリームをミキサー(GENERALELECTRIC製)でホイップした際のホイップ後のクリームの硬度を、レオメーター(CR−200D、サン科学製)を用いて、プランジャー直径20mm、侵入深度10mm、架台スピード60mm/minの条件で測定した。硬度25g以上をホイップ終点とした。

また、ホイップ終点に到達したホイップ後のクリームのオーバーランを、ホイップ前後で一定容積のクリーム重量を測定し、次式により求めた。 オーバーラン=((W1−W2)/W2)×100(%) W1:一定容積のホイップ前のクリーム重量 W2:一定容積のホイップ後のクリーム重量

ホイップ性の評価は、オーバーラン、硬度、ホイップ後の組織を総合して○、×の2段階で実施した。具体的には、オーバーランが80%以上、硬度が25g以上、ホイップ後の組織中に凝集物がなく、なめらかな組織であるものを○とし、これらの条件のうち、1つでも満たさないものを×とした。

凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの風味評価は、食べた際に乳化破壊による脂質劣化臭がないこと、凝集物によるざらつきのないこと、口溶けがよいことを満たすものを○とし、これらの条件のうち、1つでも満たさないものを×とした。

以上の評価結果を表1に示す。 凍結処理前の脂肪球のメディアン径を3.3μm以上4.0μm以下とした実施例品1から実施例品11は、0℃から−5℃となるまでの時間が9分間以上30分間以下となるように冷却することで、解凍後のメディアン径が4.83μm以上7.19μm以下であり、脂肪球同士の凝集や合一は認められず、凍結耐性が付与されていた。凍結耐性が付与された実施例品1から実施例品11は、凍結解凍処理後の外観に問題はなく、オイルオフは生じず、ホイップ性を有し、風味も良好であった。 一方、均質圧を高くし凍結処理前の脂肪球のメディアン径を3.3μm未満とした比較例品1から比較例品6は、実施例品1から実施例品11と同一の冷却工程で冷却した場合でも、解凍後のメディアン径が最も小さいものでも32.50μmとなり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、凍結耐性はなかった。凍結耐性がない比較例品1から比較例品6は、外観が悪く、オイルオフが生じ、ホイップ性はなく、風味も悪かった。 また、凍結処理前の乳脂肪径が3.3μm未満とした比較例品7から比較例品9は、0℃から−5℃となるまでの時間が0.3分間以内で急速に冷却した場合においても、解凍後のメディアン径が最も小さいものでも22.45μmとなり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、凍結耐性はなかった。

このように、急速凍結処理をしなくても、脂肪球径と冷凍条件の制御により乳脂肪クリームの凍結保存が可能であることを見出した。

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