Shelf-stable concentrated dairy liquid and method for forming the same

申请号 JP2009254076 申请日 2009-11-05 公开(公告)号 JP2010110323A 公开(公告)日 2010-05-20
申请人 Kraft Foods Global Brands Llc; クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー; 发明人 KIMMEL JENNIFER LOUISE;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a shelf-stable concentrated dairy product such as concentrated milk with improved flavor, color and mouthfeel, and a method for producing the same. SOLUTION: The method eliminates any thermal treatment prior to and during concentration which may substantially cross-link casein to whey, and preferably utilizes microfiltration to produce the stable concentrated dairy liquid with reduced amounts of whey and lactose. The resulting product has a sterilization value F o of at least 5 and is also resistant to gelling and browning during high temperature sterilization and also resistant to gelling during long-term preservation. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • ラクトースと、カゼインタンパク質および乳清タンパク質を有する乳タンパク質とを含有する、出発時の乳製液を提供するステップと;
    前記出発時の乳製液からの、カゼインタンパク質を濃縮し、乳清タンパク質およびラクトースを枯渇させて、カゼインタンパク質と乳清タンパク質との比が少なくとも約90:10でありラクトースが約1%未満である、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液を形成するステップと;
    前記カゼインタンパク質と前記乳清タンパク質との間に架橋が実質的に生じないような温度以下に、濃縮の前および間、前記出発時の乳製液を維持するステップと;
    安定化剤および口当たりを高める物質を、前記乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液に添加して、中間体の濃縮乳製液を形成するステップと;
    前記中間体の濃縮乳製液を、少なくとも5のF oを有する安定な濃縮乳製液を得るのに十分な温度および時間で滅菌するステップと を含み;
    前記安定な濃縮乳製液が、約25から約30%の全固形分と、少なくとも約90%がカゼインタンパク質であり約10%未満が乳清タンパク質である約9から約13%の全タンパク質と、約1%未満のラクトースとを含み;
    前記中間体の濃縮乳製液が、滅菌中にゲル化し難く、前記安定な濃縮乳製液が、周囲条件下での少なくとも約9カ月間の貯蔵でゲル化し難い ことを特徴とする安定な濃縮乳製液を作製する方法。
  • 前記安定な濃縮乳製液の全タンパク質は、約93から約95%のカゼインタンパク質と、約5から約7%の乳清タンパク質とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記濃縮ステップの前および間の温度は、出発時の乳製液が少なくとも約90%の4.6pH可溶性タンパク質を有するように、約90℃よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記温度は約70℃よりも低いことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  • 前記温度が約55℃よりも低いことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  • 前記安定な濃縮乳製液中の全タンパク質は、約93から約95%のカゼインタンパク質と約5から約7%の乳清タンパク質をと含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  • 前記安定な濃縮乳製液は、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択された安定化剤を、約0.2から約0.4%含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記安定化剤は、リン酸二ナトリウムであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  • 前記安定な濃縮乳製液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択された口当たりを高める物質を、約0.4から約0.6%含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記安定な濃縮乳製液は、リン酸二ナトリウムを約0.2から約0.4%、塩化ナトリウムを約0.4から約0.6%、および甘味料を約4.5から約6%含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記濃縮ステップは、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを形成するための、透析濾過を伴う精密濾過であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • カゼインタンパク質および乳清タンパク質を有する第2の出発時の乳製液を提供するステップと、pH4.6の可溶性タンパク質の低減を行うのに十分な前記第2の出発時の乳製液を予備保温するステップと、限外濾過を使用して前記第2の出発時の乳製液を濃縮することにより、前記第2の出発時の乳製液よりも多量のカゼインタンパク質および乳清タンパク質を有する第2の濃縮乳製液リテンテートを形成するステップと、前記第2の濃縮乳製液リテンテートを乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液とブレンドするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記第2の濃縮乳製液リテンテートは、カゼインタンパク質が約80から約83%であり乳清タンパク質が約17から約20%である、ある量の乳タンパク質を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  • 前記第2の濃縮乳製液リテンテートは、pH4.6の可溶性タンパク質によって決定される、カゼインタンパク質に架橋した乳清タンパク質を少なくとも約70%有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
  • 全固形分を約25から約30%と;
    少なくとも約90%のカゼインタンパク質および約10%未満の乳清タンパク質を含む総乳タンパク質であって、
    前記カゼインタンパク質と前記乳清タンパク質との間には実質的に架橋がなく、総乳タンパク質が、濃縮される前に少なくとも約90%のpH4.6可溶性タンパク質を有している総乳タンパク質を約9から約13%と;
    ラクトースを約1%未満と;
    滅菌中および約70から約75°Fで少なくとも約9カ月貯蔵する間、前記乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液が貯蔵安定なままであるように十分な量の、少なくとも1種の安定化剤および少なくとも1種の口当たりを高める物質と を含むことを特徴とする乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 前記総乳タンパク質は、少なくとも約95%のカゼインタンパク質および約5%未満の乳清タンパク質を含有することを特徴とする請求項15に記載の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 約8から約12%のカゼインタンパク質および約1%以下の乳清タンパク質を含むことを特徴とする請求項15に記載の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 前記総乳タンパク質は、前記カゼインタンパク質と前記乳清タンパク質との間に実質的に架橋が生じないように、濃縮の前および間に約90℃を超えない温度に曝された乳供給源から供給されることを特徴とする請求項15に記載の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 前記乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液は、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択された安定化剤を、約0.2から約0.4%を含むことを特徴とする請求項15に記載の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 前記安定な濃縮乳製液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択された口当たりを高める物質を、約0.4から約0.6%含むことを特徴とする請求項15に記載の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液。
  • 说明书全文

    本発明は、濃縮乳製液およびその形成方法に関する。 より詳細には、本発明は、枯渇レベル(depleted level)の乳清タンパク質およびラクトースを有する、濃縮乳などの、ゲル化せず、褐変せず、感覚受容的に好ましい濃縮乳製液に関する。

    ミルクなどの液状乳製品は、その安定性を増大させるため、熱で加工してもよい。 残念ながら、ミルクの熱処理は、加工または長期保存中に、色の変化および/またはゲル化をしばしばもたらす。 例えば、高温に加熱されたミルクのラクトースは、タンパク質と相互に作用しやすく、見掛けが悪い褐色をもたらす。 この望ましくない状態を、しばしば褐変、またはメイラード反応と呼ぶ。 一方、ゲル化については完全に理解されておらず、文献には、乳清およびカゼインタンパク質によって形成された3次元タンパク質マトリックスとして、ある条件下でゲルが形成され得ることが示唆されている。 例えば、非特許文献1を参照されたい。 ゲル化および褐変は、共に不快な感覚受容特性を与えるので、ミルクには望ましくない。

    ミルクの濃縮は、より少ない量で貯蔵し輸送することが可能になり、それによって貯蔵および配送コストの低下をもたらし、より効率的な方法でのミルクの包装および使用を可能にすることができるので、しばしば望まれる。 しかし、感覚受容的に好ましい、高度に濃縮されたミルクの生成は、ミルクの濃縮によってさらにより顕著なゲル化および褐変の問題が生じるので、難しくなる可能性がある。 例えば、少なくとも3倍に濃縮されたミルクは、その熱加工中にタンパク質のゲル化および褐変をさらに大きく受ける傾向にある。 さらに、そのような濃縮乳は、その製品が古くなるにつれ、経時的に分離しゲルを形成する傾向も高くなり、それによって、一般に製品の使用可能な保存期間が限定される。 その結果、濃縮乳は一般に、全固形分の濃度が約25%よりも低く、タンパク質レベルが約7%よりも低く、保存期間は6カ月未満に限定される。

    濃縮乳を生成する典型的な方法では、多数の加熱ステップを、ミルクの濃縮と組み合わせて行う。 例えば、濃縮乳を生成するのに使用される1つの一般的な方法では、まずミルクを、固形分と脂肪との所望の比に規格化し、次いでミルクを予備保温して、後で行われる滅菌中にミルクカゼインが凝固する危険性を低下させる。 その方法では、予備保温によって、滅菌前の貯蔵中に生じる凝固の危険性も低下させ、初期生物負荷をさらに低下させることができる。 次いで予備保温したミルクを、蒸発、限外濾過、またはその他の適切な方法によって所望の濃度に濃縮する。 ミルクは、均質化し、冷却し、再規格化し、包装することができる。 さらに、高温または貯蔵中に生じる可能性があるミルク凝固の危険性を低下させるのを助けるため、安定化剤の塩を添加してもよい。 包装の前または後に、生成物を滅菌する。 滅菌は、通常、比較的低い温度で比較的長時間にわたり(例えば、約90から約120℃で約5から約30分)、または比較的高い温度で比較的短時間にわたり(例えば、約135℃以上で数秒間)、行われる。

    濃縮乳を生成するための様々な手法が、文書化されている。 例えば、Wilcoxの特許文献1は、予備保温、低温殺菌、および濃縮後の高温短期滅菌を使用して、濃縮乳を生成する方法を開示している。 Wilcoxは、濃縮前の約115℃(240°F)で約2分間の予備保温、濃縮後の93℃(200°F)で約5分間の予熱、および約127から132℃(261から270°F)で1から3分間の滅菌を使用した、固形分約26%までのミルクの濃縮を教示する。

    Reavesの特許文献2(2003年、3月20日)は、30から45%の無脂肪乳固形分を有する超高温乳濃縮物を生成する方法を開示する。 Reavesは、65℃(150°F)で10分間ミルクを予熱して、予熱された乳出発生成物を生成し、次いで82℃(180°F)で16から22秒間殺菌し、高い殺菌温度(即ち、真空中で、62℃(145°F)で10分間)で蒸発させることにより、中間体である凝縮した液状乳を生成することを開示する。 ヘキサメタリン酸ナトリウムやカラゲナンなどのクリームおよび安定化剤を、中間体の乳に添加し、次いでこれを、第1の段階が82℃(180°F)で30から36秒間であり、第2の段階が143℃(290°F)で4秒間である2段階で、超高温殺菌する。 得られた乳濃縮物に関し、30日から6カ月の保存期間が報告されている。

    Caleの特許文献3(2007年、7月26日)は、まず乳製液を、少なくとも約60℃の温度で、pH4.6の可溶性タンパク質の低減を行うのに十分な時間、予備保温することによって、熱安定な濃縮乳生成物を生成する方法を開示する。 約60℃の低い予備保温温度で、Caleは、数時間の予備保温を行うことについて述べている。 より高い温度では、Caleはより少ない時間について述べている。 例えば、約70℃から約100℃の予備保温は、約0.5から約20分を必要とすると述べている。 次いでさらなる濃縮を、透析濾過を伴うまたは伴わない限外濾過によって実施する結果、少なくとも約8.5%の全タンパク質を有する中間体の乳製液が得られる。 次いで安定化剤および口当たりを高める物質を、中間体の乳製液に、滅菌前に添加する。 この組成物は、滅菌中にゲル化および褐変し難く、周囲条件下で少なくとも約6カ月間はゲル化および褐変し難い。

    Caleにより記述されるように、一般に、予備保温は、乳濃縮物の長期保存期間を実現するために必要なプロセスステップであると考えられる。 Caleは、未処理の乳生成物(カゼインおよび乳清タンパク質の両方を有する)が、予備保温などの熱処理に曝される場合、乳清タンパク質が、ミルクのカゼインミセルの外面に存在するカゼインタンパク質(即ち、κ−カゼイン)と架橋すると考えられると述べている。 Caleは、そのような架橋が少なくとも2つの作用を実現すると説明する。 第1に、相互作用によって、溶液から乳清タンパク質の多くが除去されるが、これは、乳清タンパク質が、滅菌の際に受けるような高温において非常に反応性があるので重要であると記載されている。 第2に、カゼインミセルが血清または乳清タンパク質で被覆されるにつれ、カゼイン間の相互作用は減少するか、または最小限に抑えられる可能性があり、これにより、熱によって誘発されるミルクゲルの形成する傾向を低下させ易くなると記載されている。

    ミルクに関するその他のタイプの濃縮技法が知られているが、各技法は一般に、貯蔵安定なまたは感覚受容的に好ましい濃縮物の首尾よい実現が限られていた。 例えば、Tziboulaらの非特許文献2は、スキムミルクの精密濾過を対象とした材料および方法について記述している。 Tziboulaは、乳生成物の精密濾過によって、カゼインおよび乳清の両方を有するリテンテート(retentate)を生成することについて述べているが、リテンテートおよび透過液中の乳清は同量であることも示している。 しかしTziboulaは、得られたリテンテートが、一般に、透過液または出発時の乳供給源に比べて熱処理にそれほど耐えられないと結論付けている。 Tziboulaは、リテンテートからのラクトースの除去について、まったく述べていない。

    米国特許第2860057号明細書

    米国特許出願公開第2003/0054079号明細書

    米国特許出願公開第2007/0172548号明細書

    米国特許出願第11/186543号明細書

    米国特許第7026004号明細書

    米国特許出願第10/763680号明細書

    Datta et al., " Age Gelation of UHT Milk - A Review, " Trans. IChemE, Vol. 79, Part C, 197-210 (2001) Tziboula et al., " Microfiltration of milk with ceramic membranes: Influence on casein composition and heat stability, " Milchwissenschaft, 53(1): 8-11, 1998 Jay, " High Temperature Food Preservation and Characteristics of Thermophilic Microorganisms, " in Modem Food Microbiology (DR Heldman, ed.), 1998, Ch. 16, New York, Aspen Publishers J. Agric. Food Chem. 1996, 44, 3955-3959 Int. J. Food Sci. Tech. 2000, 35, 193-200

    本発明のプロセスは、ある量のカゼインタンパク質と低減した量(reduced amount)の乳清タンパク質、ラクトース、およびミネラルとを有する、濃縮乳などの安定な濃縮乳製液の形成方法に関する。 この方法の一態様では、出発時の乳製液の予備保温またはその他の加熱が除外され、および/または濃縮前および濃縮中の出発時の乳製液の温度曝露は、カゼインと乳清タンパク質との間のすべての架橋が最小限に抑えられるように、好ましくはなくなるように構成されたレベルよりも、一般に低く維持される。 別の態様では、その後、濃縮物中の乳清タンパク質およびラクトースの両方の量を枯渇する濃縮技法が使用される。 その結果、十分な量の乳清タンパク質が、最終の滅菌ステップの前に濃縮物から除去され、それによって、そのような低レベルの乳清が高い滅菌温度に曝されるので、最終飲料中に残存するすべての乳清タンパク質とカゼインタンパク質との架橋が最小限に抑えられ、好ましくはなくなる。 そのような乳清およびラクトースの枯渇と濃縮前の温度の管理は、最終濃縮飲料で少なくとも約9カ月、好ましくは少なくとも約12カ月以上という、従来の乳濃縮物より優る保存期間の改善に関係すると考えられる。

    従来の方法で実現された乳清とカゼインタンパク質との架橋は濃縮物に初期安定性をもたらすが、これらの架橋は、一部の状況下で経時的に劣化するようであり、最終的には数カ月の庫内貯蔵(shelf storage)後に不安定になる濃縮物が得られると考えられるので、本明細書の乳清およびラクトースの枯渇方法と組み合わせた濃縮前の温度管理は、従来の濃縮方法に優る利点をもたらす。 例えば現在、保存期間後の、予備保温された従来の濃縮物の乳清とκ−カゼインとの間の従来の架橋は弱くなる可能性があり、乳清−カゼインミセル構造は、一部の条件下で劣化する可能性があると考えられている。 理論に拘泥するものではないが、経時的に、架橋した乳清は、カゼインミセルから解離する可能性があり、それと同時にκ−カゼイン分子を、それを有するカゼインミセルから除去する可能性があると考えられる。 そのような分離が生じる場合、κ−カゼインが、カゼインミセルの外面にもはや存在せずまたは低減した量で存在するならば、カゼインミセルは、その他のカゼインミセルと相互に作用する高い可能性を有する傾向があり、その結果、長期にわたる貯蔵期間後に相分離および/またはゲル化をもたらし得ることが、さらに考えられる。

    本明細書の新しい方法では、安定な濃縮乳製液は、まず、ラクトース、カゼインタンパク質、および乳清タンパク質を含有する乳製液ベースを提供することによって形成される。 次に、カゼインタンパク質を濃縮し、かつ乳製液ベースからの乳清タンパク質、ラクトース、およびミネラルを枯渇させるよう構成されたプロセスで、精密濾過技法などを用いて、乳製液ベースを濃縮し、それによって、一般に、乳清およびラクトースが枯渇した濃縮乳製液リテンテートが形成される。 好ましくは、精密濾過ステップからのリテンテートは、出発時の乳供給源に対して、少なくとも約13から約17%の全タンパク質と、低減した量のラクトースおよび乳清タンパク質とを有する。 一般に、濃縮前には乳製液ベースの予備保温またはその他の加熱処理ステップがなく、精密濾過中または前の温度は、乳清がカゼインと架橋し得る曝露時間および温度よりも低く維持される。 1つの手法によれば、例えば、精密濾過の前および間の乳製液ベースの温度は、約90℃よりも低く、好ましくは約70℃よりも低く、場合によっては約55℃よりも低く維持される。

    精密濾過の後、有効量の安定化剤および口当たりを高める物質を、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートに添加して、中間体の濃縮乳製液を形成することができる。 次いで中間体の濃縮乳製液を、少なくとも約5のF oを有する結果的に安定な濃縮乳製液を得るのに十分な時間温度で滅菌することができる。 中間体の濃縮乳製液は、乳清が枯渇する前はその温度が管理され、乳清が枯渇した後に初めて高温に曝されるので、中間体の濃縮乳製液は、一般に滅菌中はゲル化し難く、得られた安定な濃縮乳製液は、少なくとも約9カ月(好ましくは、少なくとも約12カ月)の周囲条件下での貯蔵期間中にゲル化し難い。

    一般に、得られた安定な濃縮乳製液は、約25から約30%(好ましくは、約28から約30%)の全固形分を有し、約9から約13%の全タンパク質(濃縮物は、好ましくは約8から約12%のカゼインタンパク質および約1%以下の乳清タンパク質を含む)と、一般に約1%未満のラクトースとを含む。 得られた安定な濃縮乳製液中の全タンパク質の組成には、少なくとも約90%のカゼインタンパク質と、約10%未満の乳清タンパク質(好ましくは、少なくとも約95%のカゼインタンパク質および約5%未満の乳清タンパク質)が含まれる。 言い換えれば、最終濃縮物中に得られるカゼインタンパク質と乳清タンパク質との比は、ある場合には、少なくとも約90:10であり、その他の場合には、少なくとも約95:5である。 この比は、出発時の乳供給源での、および乳清が枯渇しない従来の濃縮物での、約80:20というカゼインと乳清との比とは、対照的である。

    本明細書に記述される方法で得られた安定な濃縮乳製液は、安定化剤および/または口当たりを高める物質を含めたその他の成分を含んでもよい。 例えば、安定な濃縮乳製液は、安定化剤を約0.2から約0.4%(好ましくは、約0.25から約0.33%)含んでもよい。 安定な濃縮乳製液は、口当たりを高める物質を約0.4から約0.6%含有してもよい。 最後に、安定な濃縮乳製液は、砂糖などの甘味料を約4.5から約6%含有してもよいことが考えられる。

    別の手法によれば、本明細書に開示される方法は、得られた安定な濃縮乳製液が、限外濾過され予備保温された乳製液と、上述の乳清およびラクトース枯渇方法により濃縮された乳製液とのブレンドを含んでよいことも示す。 例えば、第2の出発時の乳製液は、カゼインタンパク質および乳清タンパク質を有するものが提供され、乳清およびカゼインを架橋するのに十分な時間および温度で予備保温され、次いで限外濾過技法を使用して濃縮することにより、第2の濃縮乳製液リテンテートを形成してもよい。 第2の濃縮乳製液リテンテートは、第2の出発時の乳製液に対し、カゼインタンパク質および乳清タンパク質の両方を多量に有してもよい。 1つの手法によれば、第2の濃縮乳製液は、約80から約83%のカゼインタンパク質と、約17から約20%の乳清タンパク質とのタンパク質組成物を有してもよく、この乳清タンパク質の少なくとも約70%はカゼインタンパク質に架橋している。 次いで第2の濃縮乳製液リテンテートを、上述の乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートとブレンドして、様々な量の乳清およびカゼインタンパク質と様々な量の架橋した乳清およびカゼインとを有する濃縮物を形成してもよい。

    乳製液を濃縮する概略的な方法を例示する、フローチャートである。

    乳製液を濃縮する好ましい方法を例示する、フローチャートである。

    精密濾過および限外濾過した乳製液をブレンドする、濃縮乳製液を調製する任意選択の方法を例示する、フローチャートである。

    一般に、予備保温またはその他の予備濃縮熱処理が存在しない状態で得られる、低減した量の乳清およびラクトースを有する、貯蔵安定な濃縮乳製液を調製する方法が提供される。 一態様では、この方法は、まず、濃縮の前および間の出発時の乳製液供給源の温度曝露を、乳清がカゼインと架橋しやすくなる温度および曝露時間よりも低い温度および曝露時間に限定する。 別の態様では、この方法は、濃縮乳製液を高温に曝す前に、乳清、ラクトース、およびミネラルを枯渇させる濃縮技法を用いる。 その結果、濃縮の前および間に乳清含有乳製液が曝される温度および/または曝露時間を最初に管理することによって、乳清とカゼインタンパク質との間の架橋を減少させることができ、場合によってはなくすことができると考えられる。 次いで、液体を高温および/または滅菌温度に曝す前に、濃縮物中の乳清およびラクトースの量を枯渇させる濃縮技法を用いることにより、高温に曝されたときの最終生成物中のカゼインと架橋する乳清(いくらか存在する場合)が少なくなる。 その結果、予備濃縮温度管理手順と組み合わせた、そのような乳清およびラクトースの枯渇は、最終的な濃縮飲料の貯蔵安定性を少なくとも約9カ月、好ましくは12カ月以上に改善することに関係すると考えられる。

    1つの手法によれば、このプロセスは、まず、従来の濃縮物のカゼインミセル中のκ−カゼインタンパク質と乳清タンパク質とを架橋しやすくするよりも低い温度および時間まで、濃縮の前および間の出発時の乳製液の熱曝露を抑制する。 背景技術で述べたように、そのような架橋は、濃縮乳飲料で長期にわたる保存期間を実現するのに必要であると、以前は考えられていた。 本明細書の方法は、そのような架橋および加熱ステップをなくす。 例えば、本明細書の方法は、一般に、濃縮の前および間の出発時の乳製液の温度および曝露時間を、約90℃以下に、場合によっては約70℃以下よりも低く、その他の場合には約55℃よりも低く維持し、それによって、乳製液が、濃縮中の乳清枯渇の前にカゼインと乳清との間の架橋が実質的になくなるようには最小限に抑えられるようにする。 以下により詳細に論じるように、カゼインと乳清との間の架橋の量は、液体中のpH4.6の可溶性タンパク質の量によって、測定することができる。 本明細書において、カゼインと乳清との間の架橋が実質的になくまたは最小限に抑えられている状態は、濃縮前の乳製液中に、少なくとも約90%以上のpH4.6の可溶性タンパク質があることを意味する。

    別の手法によれば、乳製液は、その後、透析濾過を伴いまたは伴わずに、カゼインタンパク質と枯渇レベルの乳清タンパク質、ラクトース、およびその他のミネラルとを濃縮する精密濾過技法などの濃縮技法を使用して濃縮され、その結果、カゼインと乳清との比が少なくとも約90:10であり、好ましくは少なくとも約95:5である、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートが生成される。 次に、有効量の安定化剤および口当たりを高める物質を、滅菌前に乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートに添加して、滅菌中のゲル化および褐変に耐性のある組成を有する中間体の濃縮乳製液を生成してもよい。 次いで中間体の濃縮乳製液を、滅菌値F oが少なくとも約5である(好ましくは少なくとも約6.5以上、より好ましくは少なくとも約7.5である)安定な濃縮乳製液を実現する滅菌技法を使用して滅菌する。 得られた安定な濃縮乳製液は、周囲条件下で少なくとも約9カ月間、好ましくは約12カ月の貯蔵の間、ゲル化および褐変に耐性がある。

    より具体的には、安定で感覚受容的に好ましい乳製液は、所望の滅菌値および製品安定特性を実現する多段階ステップのプロセスを通して形成される。 図1は、安定な濃縮乳製液を生成する、例示的な概略的方法を示す。 まず、出発時の乳製液または乳製液ベースを、任意選択で均質化する。 次に、出発時の乳製液を所望のレベルまで濃縮して、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを形成する。 濃縮の前および間は、出発時の乳製液中のカゼインと乳清タンパク質との架橋が実質的に形成されやすくなる予備保温またはその他の熱処理がないことが好ましい。 一般に濃度は(追加補充(addback)前)、乳清、ラクトース、およびミネラルも枯渇させるために、精密濾過タイプの技法を単独でまたは透析濾過技法と組み合わせて使用して、全固形分が約24から約25%までである。 精密濾過を透析濾過と組み合わせる場合、透析濾過は、精密濾過の間または後に実施されるべきである。 次いで濃縮ステップ後、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを均質化する。 次いで安定化剤や口当たりを高める物質など、有効量の補助剤(adjunct)を、均質化した濃縮乳製液に添加してもよい。 次いで好ましくは約9%超の全タンパク質(最も好ましくは、約12から約13%のタンパク質)を有する、最終の安定な濃縮乳製液を、包装し、5よりも大きいF oに滅菌することにより、安定な濃縮乳製液が得られる。

    図2は、安定な濃縮乳製液を生成するための、より好ましい実施形態の一例を例示する。 まず、2%の乳を均質化し、次いで精密濾過技法および透析濾過を使用して濃縮することにより、全タンパク質が少なくとも約16から約17%、脂肪が約13から約14%、ラクトースが約1%未満、および全固形分が約24から約25%である目標の組成(追加補充(addback)前)を有する乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを実現する。 乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートは、一般に、少なくとも約90%のカゼイン(約93から約95%のカゼイン)および約10%未満の乳清(約5から約7%未満の乳清)を含有する全タンパク質分も有する。

    濃縮前に、乳清とカゼインとが架橋しやすくなる2%の乳の予備保温ステップまたはその他の熱処理はない。 2%の乳は、一般に、濃縮の前および間は約90℃以下の温度で、好ましくは約70℃以下、最も好ましくは約55℃以下の温度で、そのような架橋を最小限に抑え、好ましくはなくす曝露温度で維持される。 次いで濃縮後、形成された乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを、均質化してもよい。

    次に、補助剤または追加補充剤(addback)を、リテンテート中にブレンドしてもよい。 1つの手法によれば、追加補充剤には、少なくとも1種の安定化剤(例えば、約0.2から約0.4%のクエン酸三ナトリウムまたはリン酸二ナトリウム)、少なくとも1種の口当たりを高める物質(例えば、約0.2から約0.6%の塩化ナトリウム)、および任意選択の添加剤(例えば、約0.01から約0.02%の香料および約4から約6%の甘味料)を含めてもよい。

    次いで得られた生成物を、包装し、滅菌(例えば、レトルト処理)することにより、少なくとも5のF oが実現され、結果的に安定な濃縮乳製液が提供される。 1つの手法によれば、最終的なまたは結果的に安定な濃縮乳製液は、少なくとも約90%がカゼインであり(好ましくは、約93から約95%のカゼイン)、約10%未満が乳清である(好ましくは、約5から約7%の乳清)全タンパク質が約9から約13%、脂肪が約6から約8%、ラクトースが約1%未満、および全固形分が約25から約30%の目標組成を有する。

    滅菌の程度または滅菌値(F o )は、乳生成物が特定の温度に曝される時間を基にしており、加工中に生成物が遭遇するすべての熱処理の結果である。 その結果、所望の滅菌値は、様々な加工条件を通して実現することができる。 典型的には、濃縮乳は、少なくとも5のF oに、好ましくはさらにより高いレベル(例えば、15以上)に滅菌される。 残念ながら、上記にて論じたように、所望の滅菌値を実現するために従来の滅菌方法で一般に必要とされているような、高温または高温への長時間の曝露は、ゲル化または褐変を誘発することにより、濃縮乳、特にタンパク質が約7%超の濃縮乳の長期間にわたる安定性にも悪影響を及ぼす。

    滅菌プロセスの滅菌値は、熱加工での食品の最も遅い加熱点速度曲線の中の、時間−温度データの図式積分を使用して、測定することができる。 この図式積分によって、製品に与えられる全致死率が得られる。 図式法を使用して、所望のF oを実現するのに必要とされる加工時間を計算するために、食品の最も遅い加熱部位での、熱透過曲線(即ち、時間に対する温度のグラフ上のプロット)が必要となる。 次いで加熱プロットを、小時間増分に細分し、各時間増分ごとの算術平均温度を計算し、これを使用して、下式により各平均温度ごとの致死率(L)を決定する:
    L=10 (T-121)/z
    (式中:
    T=小時間増分に関する算術平均温度(単位:℃);
    z=特定の微生物に関して標準化された値;および L=温度Tでの特定の微生物の致死率)。

    次に、各小時間増分ごとに上記にて計算された致死率の値と、その時間増分とを掛け合わせ、次いで下式を使用して合計することにより、滅菌値(F o )が得られる:
    o =(t T1 )(L 1 )+(t T2 )(L 2 )+(t T3 )(L 3 )+. . .
    (式中:
    T1 、t T2 、. . . =温度T1、T2、. . . での時間増分;
    1 、L 2 、. . . =時間増分1、時間増分2、. . . での致死率の値;および F o =微生物の、121℃での滅菌値)。

    その結果、透過曲線が生成されたら、任意の温度での加工時間の長さを基準温度121℃(250°F)での同等の加工時間に変換することによって、プロセスに関する滅菌値F oを算出することができる。 滅菌値の計算は、一般に、その全体が本明細書に組み込まれている非特許文献3に記載されている。

    本明細書において、「血清タンパク質」は、カゼイン以外の乳漿のタンパク質分を指す(即ち、血清タンパク質は、乳清タンパク質分を指す)。 「乳漿」は、脂肪分の除去後に残存する生乳の一部である。 「カゼイン」は、一般に、カゼインそのもの(即ち、酸カゼイン)またはその溶性塩、例えばカゼイン酸塩(例えば、カゼイン酸カルシウム、ナトリウム、またはカリウム、およびこれらの組合せ)を包含する。 本明細書に記述されるカゼインの量およびパーセンテージは、一般に、存在するカゼインおよびカゼイン酸塩の総量(その金属陽イオンの量は除く)を基にして報告される。 カゼインは、一般に、乳中のリンタンパク質のいずれかまたはすべてに関し、またそれらのいずれかの混合物にする。 カゼインの重要な特徴は、天然に生ずる乳中にミセルを形成することである。 限定するものではないがα−カゼイン(α s1 −カゼインおよびα s2 −カゼインを含む)、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼイン、およびそれらの遺伝的変異を含めた多くのカゼイン成分が、明らかにされてきた。

    「減脂肪」乳は、脂肪が約2%の乳を意味する。 「低脂肪」乳は、脂肪が約1%の乳を意味する。 「無脂肪乳」または「スキムミルク」は共に、脂肪が約0.2%未満の乳を意味する。 「全乳」は、脂肪が約3.25%以上の乳を意味し、規格化しても規格化しなくてもよい。 「バター乳」は、乳またはクリームをバターに生成した後に残る残留生成物を意味し、3.25%以上の脂肪を含有する。 「生乳」は、まだ熱加工されていない乳を意味する。 使用される乳または乳製品は、規格化されても規格化されなくてもよい。 好ましい乳は、ウシから得られ;ヒトが消費するのに適したその他の哺乳類の乳は、望みに応じて使用することができる。

    「保存期間」または「貯蔵安定な」は、一般に、不快な香りや外観、味、コンシステンシー(consistency)、口当たりなどの、不快な感覚受容的特性を呈することなく、約70°Fから約75°Fで乳製品を貯蔵することができる期間を意味する。 さらに、所与の保存期間を持つ感覚受容的に許容される乳製品は、不快な香り、不快な風味、または褐色への着色を有することがなく、凝集性、粘着性(ropy)、またはぬるっとした(slippery)質感を持つことがなく、ゲル化しないままになる。 「安定な」または「貯蔵安定な」は、所与の時間にある乳製品が、上記にて定義された不快な感覚受容的特性を持たず、感覚受容的に許容され、多数の相(即ち、脂肪、クリーム、血清、および/または沈降物)に分離せず、均質な乳状液としてあり続けることを意味する。

    「総乳固形分」または「全固形分」は、脂肪および無脂固形分(SNF)含量の合計を指す。 「SNF」は、タンパク質、ラクトース、ミネラル、酸、酵素、およびビタミンの全重量を指す。

    本質的に任意の乳製液を、本発明の方法で使用することができる。 好ましくは、乳製液は、任意の乳を分泌する家畜動物から得られ、その乳は、ヒトの食品の供給源として有用なものである。 そのような家畜動物には、非限定的な例として、ウシ、バッファロー、その他の反芻動物、ヤギ、およびヒツジなどが含まれる。 しかし一般に、乳が出発材料として好ましい。 使用される乳は全乳、減脂肪乳、低脂肪乳、またはスキムミルクであってもよい。

    牛乳は、ラクトース、脂肪、タンパク質、ミネラル、および水、ならびにより少量の酸、酵素、気体、およびビタミンを含有する。 多くの因子が生の牛乳の組成に影響を及ぼす可能性があるが、一般にこの牛乳は、約11から約15%の全固形分と、約2から約6%の乳脂肪と、約3から約4%のタンパク質と、約4から約5%のラクトースと、約0.5から約1%のミネラルと、約85から約89%の水とを含有する。 乳は多くのタイプのタンパク質を含有するが、これらのタンパク質は一般に、2つの概略的な種類:カゼインタンパク質と乳清タンパク質とに分類することができる。 乳塩(milk salt)または灰分(ash)としても知られるミネラルは、一般に、主成分として、カルシウム、ナトリウム、カリウム、およびマグネシウムを含み;これらの陽イオンは、乳中のリン酸塩、塩化物、およびクエン酸塩と結合することができる。 乳脂肪は、ほとんどが、トリグリセリドとより少量の様々なその他の脂質とからなる。 ラクトースまたは乳糖(4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコース)は、生乳中に存在する還元性二糖である。

    このプロセスのさらなる詳細に戻ると、本明細書の方法は、出発時の乳製液を、カゼインと乳清タンパク質との間にかなりの架橋をもたらす可能性がある温度に、濃縮する前または間に曝露時間の間、予備保温せずまたはその他の方法で曝さない。 特にこの方法は、出発時の乳供給源を、濃縮する前または間に約90℃よりも高い温度に曝さないことが好ましく、ある場合には、温度曝露を約70℃以下に限定し、その他の場合には、濃縮する前および間は約55℃以下に限定する。 理論に拘泥するものではないが、そのような温度に出発時の乳製ミルクを曝さないことにより(または架橋しないと考えられるごく短い時間の、そのような温度)、乳清とκ−カゼインとの間の架橋の量は減少し、またはある場合には、すべてなくなると考えられる。 出発時の乳製液は、数秒間または数分間だけ(即ち、一般に約1から約2分未満)、90℃よりも高い温度で殺菌されまたは温められてもよいが、そのような温度および時間の曝露は、一般に、カゼインと乳清とを任意の有意な量で架橋するのに不十分であることが理解される。

    カゼインと乳清タンパク質との間の架橋は、液体中のpH4.6の可溶性タンパク質の量を測定することによって、決定することができる。 pH4.6の可溶性タンパク質の分析は、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン血清タンパク質の定量化に特異的なものである。 pH4.6の可溶性タンパク質の量を測定するのに適切な方法の例は、特許文献4に示されており、非特許文献4および5に公表されておりかつHPLC質量分光分析に修正可能にする変更が加えられた方法に基づいている。 pH4.6の可溶性タンパク質の定量化に関する、これら3つの参考文献のセクションは、参照により本明細書に組み込まれている。 この場合、濃縮の前および間の液体は、少なくとも約90%以上のpH4.6の可溶性乳清タンパク質を有することが予測され、これは、乳清枯渇ステップの前は、カゼインと乳清との間に架橋がごく最小限でしか存在せず、または実質的に存在しないことを示すと考えられる。

    次に、温度管理された出発時の乳製液の濃縮は、乳清、ラクトース、およびミネラルを枯渇させるために、透析濾過を伴いまたは伴わない精密濾過技法によって完了することが好ましい。 乳製液は、少なくとも約2.7倍(好ましくは少なくとも約3倍、より好ましくは少なくとも約4倍)濃縮して、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートが形成されるように、約9%超の全タンパク質(好ましくは約13から約17%)と約1%未満のラクトースとを有する(追加補充前)濃縮乳製液を形成することが好ましい。 濃縮乳製液リテンテートの固体含量は、少なくとも一部は、濃縮度に左右されることになる。

    精密濾過を使用することにより、かなりの量(一般に、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約95%)のラクトースおよびミネラルが、濃縮ステップ中に除去される。 さらに、精密濾過を使用することにより、乳清が、出発時の乳製液よりも枯渇する。 一般に、精密濾過は、出発時の乳供給源に対して、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも90%の乳清または血清タンパク質を除去する。 したがって、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテート(追加補充前)は、好ましくは、約93から約95%のカゼインタンパク質および約5から約7%の乳清タンパク質を含有する少なくとも約13から約17%の全タンパク質と、約1%未満のラクトースとを含有する。 濃縮後、乳製液は、任意選択でほぼ周囲温度(例えば、約20から約25℃など)に冷却してもよい。

    示されるように、濃縮ステップは、リテンテートが本質的にすべてのカゼインタンパク質および脂肪分を含む状態で、乳清タンパク質、ラクトース、およびミネラルの一部を透過液としての水と共に孔内を通過させるのに十分大きい膜孔径を使用する、好ましくは透析濾過を伴う精密濾過技法を使用して実施される。 例えば乳は、カゼインタンパク質に富むリテンテートを、ラクトースおよび乳清に富む透過液から分離するために、膜分離処理にかけることができる。 この方法により加工される乳のタイプは、特に限定されず、例えば全乳、スキムミルク、減脂肪乳、低脂肪乳、バター乳、およびこれらの組合せを含む。

    一実施形態では、使用される膜濾過手順のパラメータには、平均孔径が約0.2マイクロメートル以下(好ましくは約0.1マイクロメートル)、均一経膜圧が約0.1から約0.5バール、および加工温度が約50から約55℃である、セラミック膜フィルタを備えた従来の精密濾過装置を使用することが含まれる。 一実施形態では、乳清タンパク質、ラクトース、およびミネラルは、約50%の分離比で膜を通過し、リテンテートは、供給流に対して、出発時の乳供給源により提供された脂肪およびカゼインタンパク質を100%、ラクトースを約50%、および遊離ミネラルを約50%含む。 好ましい実施形態では、希釈液が透析濾過システムに供給されること以外、精密濾過ステップで使用されるものと同じフィルタおよび条件を使用する透析濾過も好ましい。 透析濾過および精密濾過ステップは、中断することなく同じステムで行われることが好ましい。 透析濾過は、全タンパク質に対して、リテンテート中のラクトース濃度を4%よりも低く、また乳清タンパク質を約5から約7%よりも低く保つ役割をする。

    濃縮および任意選択の冷却の後、有効量の安定化剤、口当たりを高める物質、および/または香料を、得られる濃度が滅菌中および長期にわたる保存期間中に流体であり続けるよう有効な量で、乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートに添加してもよい。 安定化剤は、カオトロピック剤、カルシウム結合緩衝液、または、貯蔵中の濃縮乳製液のゲル化もしくは分離が防止されるようカルシウムを効果的に結合するその他の安定化剤であってもよい。 理論に拘泥するものではないが、特許文献5に詳述されるように、カルシウム結合安定化剤は、後に行われる滅菌の前の任意の貯蔵中に、乳製液がゲル化または分離するのを防止すると考えられる。 カルシウムに結合する任意の緩衝液またはカオトロピック剤または安定化剤を、使用してもよい。 カルシウム結合緩衝液、安定化剤、およびカオトロピック剤の例には、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、およびEDTAなどのクエン酸およびリン酸緩衝液、ならびにこれらの混合物が含まれる。 カオトロピック剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および尿素が含まれる。 好ましいカルシウム結合緩衝液または安定化剤は、リン酸二ナトリウムである。

    適切な、口当たりを高める物質には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物が含まれる。 好ましい、口当たりを高める物質には、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、ならびにこれらの混合物が含まれ;塩化ナトリウムが最も好ましい口当たりを高める物質である。 砂糖、甘味料(天然および/または人工)、乳化剤、脂肪模倣体、マルトデキストリン、繊維、デンプン、ガムと、酵素処理し、培養した、天然および人工の香料または香料抽出物などの、香料およびその他の添加剤は、安定性または口当たりの特性に著しく有害な影響を及ぼさない限り、添加することができる。

    有効量の安定化剤および口当たりを高める物質は、一般に、特定の出発時の乳製液、所望の濃度、および使用される特定の安定化剤のカルシウム結合能に左右される。 しかし一般に、2%の乳および精密濾過を使用して出発する場合、リン酸二ナトリウム約0.1から約1%、塩化ナトリウム約0.1から約1%、砂糖約1から10%、およびその他の香料約0.01から0.3%が、安定な流体濃縮物を形成するのに牛乳が出発時の乳製液である本発明の方法で、有効と考えられる。

    次に、追加補充を伴う乳清およびラクトース枯渇濃縮乳製液リテンテートを滅菌して、結果的に安定な濃縮乳製液を形成する。 好ましくは、滅菌は、レトルト処理条件を使用して実施される。 任意選択で、濃縮乳製液が目標濃度を満たすのに希釈される必要がある場合、その希釈は、滅菌前に実現されるべきである。 好ましくは乳製液は、包装され、密封され、次いで任意の適切な装置で滅菌温度に曝される。 滅菌は、少なくとも5のF oを実現する時間および温度条件下で実施される。 一般に、滅菌プロセスは、上昇または加熱時間、保持時間、および冷却時間からなる。 上昇時間中、約118から約145℃の温度は、約1秒から約30分で実現される。 次いで温度は、約118から約145℃で約1.5秒から約15分間維持される。 次いで温度は、約10分以下の時間内で、約25℃よりも低い温度に冷却される。 好ましくはサンプルは、「スキン」形成を最小限に抑えるために、滅菌中は穏やかに撹拌される(例えば、容器を回転させる)。

    全体的な処理(即ち、精密濾過、安定化剤および口当たりを高める物質の添加、滅菌)は、周囲条件下で、少なくとも約5のF oおよび少なくとも約9カ月、好ましくは少なくとも約12カ月の保存期間を提供しながら、約9%超の、好ましくは約12から約13%の全タンパク質分を有する、最終的に安定な濃縮乳製液を生成するように制御される。 好ましくは、濃縮前に、緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液など)、ミネラル結合剤(例えば、カルシウム結合剤など)、またはその他の安定化剤を添加する必要がないが、それは温度管理および乳清/ラクトース枯渇によって、そのような追加の安定性増強剤を必要とすることなく十分な安定性が、得られる濃縮物に与えられるからである。 さらに、特に濃縮前の温度管理と組み合わせた場合には、安定な濃縮物を形成するために精密濾過を使用して、十分な濃縮を完了することができるので、乳清およびラクトース枯渇濃縮リテンテートの2次的な濃縮(限外濾過、蒸発、精密濾過、またはその他の手法)の必要がないことも好ましい。

    上述のように、最終的に安定な濃縮乳製液中の全タンパク質の組成は、カゼインタンパク質が少なくとも約93から約95%と、一般に乳清タンパク質が約5から約7%未満である。 その結果、これらの濃縮物は、典型的には、約93:7から約95:5に及ぶカゼインタンパク質と乳清タンパク質との比を有する。 この比は、カゼインと乳清との比が約80:20である、乳清が枯渇されない出発時の乳製液および従来の濃縮物とは、対照的である。 一般に、得られた安定な濃縮乳製液は、周囲温度で約70から約1300cP、好ましくは約100から約1500cPの粘度も有する(2分間の剪断後、室温で、100rpmでスピンドルNo.27を使用するブルックフィールド粘度計を使用した粘度測定)。

    理論に拘泥するものではないが、まず、精密濾過を通して乳製液から乳清タンパク質を減少させまたはなくす前に、熱処理を限定することによって、乳清タンパク質とカゼインミセルとの間の架橋を減少させる(場合によっては、なくす)ことになると考えられる。 さらに、やはり理論に拘泥するものではないが、濃縮リテンテートは枯渇した量の乳清タンパク質を含むので、そのような架橋も、後の滅菌段階で減じられる(好ましくは、なくなる)。 したがって、乳清タンパク質とカゼインミセルの表面のκ−カゼインとの間の架橋結合は減少し、一般には回避されるので、背景技術で概略的に述べたようにミセル表面のκ−カゼインを除去する傾向にあった、カゼインミセルから解離する架橋乳清タンパク質が存在しないことにより、濃縮生成物の安定性は増大し得ると考えられる。 むしろ、本明細書の方法は、κ−カゼインに架橋した乳清を伴わないか、または非常に少ない乳清を伴うκ−カゼインタンパク質に取り囲まれた未変化のカゼインミセルを有する濃縮物を形成すると考えられる。 そのような構造は、カゼインミセル同士の相互作用を最小限に抑える傾向にあり、その結果、κ−カゼインはカゼインミセルと共に未変化のままである傾向にあったので、従来の濃縮方法を通して調製された従来の濃縮物よりも保存期間が延びた濃縮物になると考えられる。

    上述のように濃縮乳製液は、包装前(追加補充剤の添加前または後)に均質化することができる。 一般に均質化は、存在する場合には乳脂肪分を破壊し乳製品全体に分散させて、滑らかで均一な質感をより良く確実にするのを助けるために、所望の乳組成物が調製された後、および包装前の、任意の時点で実施してもよい。 均質化を用いる場合、この均質化は、1段階または多段階で行ってもよい。 例えば、1つの非限定的な実施形態では、工業規格のホモジナイザで、第1の均質化段階を約1500psiで行うことができ、第2の段階を約500psiで行うことができる。 均質化物は、包装操作にすぐにかけない場合には、冷却してもよい。 例えば均質化物は、標準的なホモジナイザのプレート熱交換機の再生および冷却セクション内を流動するときに、冷却してもよい。 乳製品に適用可能なその他の均質化スキームを、使用してもよい。

    使用される包装技法は、乳製品の適用可能な保存期間に十分な乳製品の完全性が保存される限り、特に限定されない。 例えば、乳濃縮物は、ガラス瓶またはゲーブルトップカートンなどで滅菌しまたはレトルト処理することができ、これらは充填され、密封され、次いで内容物が熱加工される。 乳製品は、より大量に、従来のバッグインボックス容器やトートなどで包装することもできる。 一実施形態では、滅菌前の瓶またはホイルで裏打ちされたゲーブルトップカートン材料を、使用してもよい。 長保存期間(ESL)または無菌の包装システムと呼ばれる食品包装システムを使用してもよいが、その方法および製品は、これらに限定するものではない。 有用な食品包装システムには、流動性食品、特に乳製品およびフルーツジュースに適用されまたは適用可能な従来のシステムが含まれる。 好ましくはサンプルは、「スキン」形成を最小限に抑えるために、滅菌中に穏やかに撹拌される(例えば、容器を回転する)。 乳製品は、タンカートラックまたは鉄道車両タンカーを介して、バルク形態で投入し輸送してもよい。

    好ましい形をとる安定な濃縮乳製液は、任意の数の飲料調製機で使用されるカートリッジまたはポッドに密封されてもよい感覚受容的に好ましい乳である。 好ましい使用および飲料調製機の例は、2004年1月23日に出願され本明細書と同じ譲受人が所有する特許文献6に見出すことができる。 ここにちょうど特定した特許出願を、参照により本明細書に組み込む。 乳の濃縮は、少量の液体が入ったより小さなパッケージを貯蔵することが可能になると同時に、より大量の乳を飲料調製機から定量吐出することが可能になるので有益である。

    例えば、濃縮乳のカートリッジは、カプチーノスタイルの飲料で、消費者に望まれる本格的な外観の泡立った乳ベースの泡を生成するために使用してもよい。 安定な濃縮乳のカートリッジは、約2バールよりも低い圧力しか使用しない、特許文献6に記載されている低圧調製機およびカートリッジを使用する起泡にも適している。

    さらに、乳飲料は、安定な濃縮乳を使用して形成してもよい。 例えば飲料は、安定な濃縮乳と水性媒体とを混合することによって形成してもよい。 乳飲料は、希釈によって飲料が形成されるようカートリッジに水性媒体を通すことによって、特許文献6にも記載されているように、安定な濃縮乳が入っているカートリッジから定量吐出してもよい。 濃縮乳は、好ましくは、約1:1から約6:1の間の比で、水性媒体と混合しまたは希釈してもよい。

    図3に戻ると、安定な濃縮乳製液を生成する代替のプロセスが、示されている。 このプロセスでは、限外濾過および予備保温した乳(カゼインに架橋した乳清を有する)を、上述の予備濃縮温度管理および乳清/ラクトース枯渇方法が行われた濃縮乳製液とブレンドする。 この代替プロセスは、濃縮物中の乳清の量を必要に応じて高レベルの乳清を用いて調整することができ、このとき追加の乳清をカゼインミセルに架橋させて安定性を改善することができるので、有利である。

    1つの手法によれば、第2の出発時の乳製液を任意選択で均質化し、次いで予備保温して、乳清およびカゼインタンパク質を架橋させる。 例えば、第2の出発時の乳製液は、pH4.6の可溶性タンパク質を少なくとも約25%、場合によっては少なくとも約50%から約90%、その他の場合には少なくとも約70から約90%減じるのに有効な、時点および温度で予備保温してもよい。 予備保温は、約60℃で、場合によっては約70℃から約100℃で、約0.5から約20分間実施し、それによって、可溶性タンパク質の低減を行ってもよいが、これは乳清およびカゼインが架橋することを示している。 次に、乳製液を、限外濾過および透析濾過を使用して濃縮することにより、約80:20から約83:17のカゼインと乳清との比を有し、かつ約1%未満がラクトースである濃縮物を形成する。 限外濾過した乳を調製するための、1つの例示的なプロセスは、参照により本明細書に組み込まれている特許文献3に記載されている。

    次いで濃縮物を均質化し、次いで上述の乳清およびラクトース枯渇濃縮リテンテートとブレンドしてもよい。 ブレンドは、約25から約75%の精密濾過した濃縮物と、約25から約75%の限外濾過した濃縮物とに及ぶことができる。 ブレンドしたら、上述の追加補充剤を添加することができ、液体を滅菌して、代替の安定な濃縮乳製液を形成することができる。

    さらに、本明細書に記述されるプロセスの利点および実施形態を、以下の実施例によってさらに例示するが、これらの実施例で引用される特定の条件、フロースキーム、材料、およびその量、ならびにその他の条件および詳細は、本発明の方法を必要以上に限定するものではないと解釈すべきである。 パーセンテージは、他に記載のない限り、重量パーセントである。

    実施例1
    濃縮乳サンプルを生成して、長期間にわたる保存期間後の、特許文献3のプロセスにより作製された濃縮物(「比較例のサンプル」および「第'548号公開」)と、本明細書に開示される方法により作製された濃縮物(「本発明」または「乳清枯渇サンプル」)との安定性を比較した。

    比較例のサンプルを、3.3倍の乳濃縮物を形成する第'548号公開のプロセスを使用して生成した。 比較例のサンプルは、まず、2%の生乳を500psiで均質化し、均質化した乳を約90℃で約300秒間予備保温し、次いで約50から約55℃で、予備保温した乳を、10000kDaの分子量カットオフを有する中空繊維膜を使用した透析濾過を伴う限外濾過を使用して濃縮することにより調製した。 濃縮は、約25%の全固形分を達成するまで行った。 透析濾過水を使用して、濃縮物中のラクトース含量を約1%よりも低く減少させた。 濃縮後、第2の均質化ステップを1500/150psiで実施した。 均質化後、約4.5%のスクロース、約0.25%のクエン酸三ナトリウム、および0.4%の塩化ナトリウムを、約69.3%の濃縮物および約25.5の水と合わせて、最終的な比較例の濃縮物を形成し、次いでこれを、約1秒から約30分で得られる約118から145℃の温度でのレトルト処理条件で滅菌し、この温度を約1.5秒から約15分間維持し、次いでサンプルを、約10分以下で室温に冷却した。

    乳清枯渇サンプルは、まず、2%の殺菌乳を1500/500psiで均質化し、均質化した乳を、孔径が0.1マイクロメートルのセラミック膜を使用した、透析濾過を伴う精密濾過を使用して濃縮することにより調製した。 濃縮は、全固形分約31%が得られるまで行った。 透析濾過を使用して、濃縮物中のラクトース含量を約1%よりも少なくなるまで減少させた。 濃縮後、第2の均質化ステップを、約4000/500psiで実施した。 この第2の均質化後、約54.3%の濃縮物、40.5%の水、約4.5%のスクロース、約0.25%のクエン酸三ナトリウム、および約0.4%の塩化ナトリウムを合わせて、最終的な濃縮物を形成し、これを、上述の条件と同じ条件下で滅菌した。 乳清枯渇サンプルに添加されたわずかに異なる量の濃縮物および水が、濃縮後の固形分%の差の原因となり、したがって最終的な濃縮物は、比較例のサンプルと同様の組成を有するようになる。

    両方の最終的な濃縮物のサンプルは、以下の表1に示すように、脂肪、全タンパク質、ミネラル、およびラクトースのレベルに関して同様の組成を含んでいた。 両方のサンプルは、同様の全タンパク質含量を有していたが、本明細書に記述された方法によって作製されたサンプル(即ち、乳清枯渇サンプル)は、実質的に少ない乳清タンパク質(即ち、比較例のサンプルよりも約73%少ない乳清タンパク質)を有していた。 次いでサンプルを、約8カ月間、約70から約75°Fで静かに貯蔵し、その後、目視観察をした。

    約8カ月後、この研究の配合および条件における比較例のサンプルは、3つの異なる相を示した。 クリーム層がサンプルの最上部に上昇し、一方、ゼラチン状の沈殿物層は、底部に沈降した。 さらに、不透明な水相を、クリームと沈殿物層との間に見ることができた。 これとは対照的に、本明細書に記述されるプロセスを使用して生成された乳清枯渇サンプルは、連続した単相に見え、目に見えるクリームまたは水層は存在しなかった。 さらに観察すると、少しの取るに足らない量のサンプルが沈殿していたが、全体的には実質的に連続的な流体であることが分かった。

    同様のサンプルを構成して、何倍にも濃縮した乳固形分および代替の補助剤、リン酸二ナトリウムの作用を比較した。 これらのサンプルも、以下の表2に示される濃縮物を調製するために、上述と同じ方法を使用して調製した。 約70から約75°Fで約8カ月貯蔵した後、この研究の配合および条件で生成したより高い固形分の比較例サンプルは、沈降物および薄い水層(目に見えるクリーム層はない)を両方とも含有しており、一方、本明細書に記述されるプロセスを使用して生成された、より高い固形分の乳清枯渇サンプルは、相分離がまったくない状態で非常に均質であった。 比較例のサンプルでは、約91.8%の濃縮物、約1.3%の水、約6.0%のスクロース、約0.33%のリン酸二ナトリウム、および約0.55%の塩化ナトリウムを組み合わせた。 本発明の乳清枯渇サンプルでは、約72.1%の濃縮物、約21.1%の水、約6.0%のスクロース、約0.33%のリン酸二ナトリウム、および約0.55%の塩化ナトリウムを組み合わせた。 この場合も、差は、以下に示すように同様の組成を有する最終的な濃縮物を目標とするための、濃縮後の濃縮物の全固形分に起因していた。

    実施例2
    第'548号公開のプロセス(即ち、限外濾過、つまりUFサンプル)、または本明細書に記述される乳清およびラクトース枯渇プロセス(即ち、精密濾過、つまりMFサンプル)から生成した濃縮2%乳をブレンドしてサンプルを生成し、UFおよびMFサンプルをブレンドすることによって最終濃縮物中の乳清の量を様々変えることによる滅菌安定性に対する影響を測定した。 UFサンプルは、予備保温の使用も含めた第'548号公開のプロセスにより作製されたので、これらのサンプルは、カゼインに架橋したその乳清を少なくとも約70%有していた。

    最終的なサンプルを、図3に概略的に示されるように、100%UF(比較例)と、100%MFリテンテートと、UFおよびMFサンプルのブレンドの比が75%UF:25%MF;50%UF:50%MF;および25%UF:75%MFであるものも含めて生成した。 約6%のスクロース、約0.55%の塩化ナトリウム、約0.33%のリン酸二ナトリウムを、各サンプルに、滅菌前に添加した(他に指示しない限り)。 すべてのサンプルは、滅菌後には事実上流体であり、より高いパーセンテージの精密濾過濃縮乳を含有するほど、サンプルは粘度がより高い状態であった。 正規化した粘度の値を比較(粘度を、サンプルの全固形分で割った)すると、限外濾過に対して精密濾過を使用して生成した濃縮物はより高い値を示したが、通常は許容可能であった。

    周囲温度(約70から約75°F)で約7カ月貯蔵した後の結果を、以下の表4に示す。 試験をしたサンプルの全固形分を正規化しなかったので、いくつかのサンプルは、より高い全固形分を有しており、その結果、庫内貯蔵後に流体ではない濃縮物が形成する傾向にあった。

    当業者なら、添付される特許請求の範囲に表された具体的な方法の原理および範囲内で、方法および得られる濃縮物の性質を説明するために本明細書に記述され例示されたプロセス、配合物、およびその成分の詳細、材料、および配置構成に、様々な変更を加えることができることが理解されよう。

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