印字装置およびそれを用いた印字方法

申请号 JP2010505330 申请日 2009-03-23 公开(公告)号 JPWO2009119061A1 公开(公告)日 2011-07-21
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 式井 愼一; 愼一 式井; 水内 公典; 公典 水内; 愼一 門脇; 愼一 門脇; 古屋 博之; 博之 古屋; 山本 和久; 和久 山本;
摘要 印字装置は、被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、前記第1レーザ光を出射する 光源 と、前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に 水 分を含み、前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である。
权利要求
  • 被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、
    前記第1レーザ光を出射する光源と、
    前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、
    前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、
    前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に水分を含み、
    前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である印字装置。
  • 前記光源は、横モードがシングルモードである基本波を出射するファイバーレーザと、前記基本波を第二高調波に波長変換する波長変換素子とを含み、
    前記第1レーザ光は前記第二高調波である請求項1に記載の印字装置。
  • 前記光源は、波長が1μm以上かつ20μm以下の第2レーザ光を出射する第2レーザ光出射部をさらに含み、
    前記第1レーザ光の照射と同時または前記第1レーザ光の照射の直前に、前記第2レーザ光を、前記被印字体における前記第1レーザ光の照射部位に照射する請求項1または2に記載の印字装置。
  • 前記光源は、前記第2レーザ光を第二高調波に波長変換する波長変換素子をさらに含み、
    前記第1レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第二高調波である請求項3に記載の印字装置。
  • 前記光源は、前記第2レーザ光を、バイアス時とパルス発振時とで異なる波長で発振するようなバイアスを有するパルス光に変調して前記波長変換素子に入射させ、
    前記波長変換素子は、前記第2レーザ光のパルス発振時の波長で位相整合する位相整合温度を有する請求項4に記載の印字装置。
  • 前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部をさらに含み、
    前記被印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きい請求項1ないし3の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記第3レーザ光のパワー密度は、前記第1レーザ光のパワー密度より小さい請求項6に記載の印字装置。
  • 前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部を含み、
    前記印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きく、
    前記第3レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第三高調波、または前記第1レーザ光と前記第2レーザ光との和周波である請求項3に記載の印字装置。
  • 前記被印字体の印字領域に配される、少なくとも水分を含む水冷部材をさらに含み、
    前記水冷部材を介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射する請求項1ないし8の何れか1項に記載の印字装置。
  • 位相マスクをさらに含み、
    前記位相マスクを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することで、前記被印字体の前記印字領域において干渉パターンを形成する請求項1ないし9の何れか1項に記載の印字装置。
  • GPSセンサをさらに含み、
    前記被印字体に印字する情報は、前記GPSセンサで検出した現在位置情報を含む請求項1ないし10の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記被印字体を水の中に設置するための水槽をさらに含み、
    前記第1レーザ光を、前記水槽内の前記被印字体に照射する請求項1ないし11の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記水槽内に所定方向の水流を発生させる水流発生部をさらに含み、
    前記水流に沿って流される前記被印字体に対して、前記第1レーザ光で印字を行う請求項12に記載の印字装置。
  • 前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅および高さは、それぞれ、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向の長さよりも短い請求項13に記載の印字装置。
  • 前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅は、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の幅の二倍より小さく、
    前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の高さは、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の高さの二倍より小さい請求項13または14に記載の印字装置。
  • 前記第1レーザ光は、単一偏光であり、前記水槽の表面の法線に対してブリュースター角で入射する請求項12ないし15の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記被印字体が、卵である請求項1ないし11の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記被印字体が、魚介類である請求項1ないし16の何れか1項に記載の印字装置。
  • 前記被印字体が、野菜または果物からなる生鮮食料品である請求項1ないし11の何れか1項に記載の印字装置。
  • 請求項1ないし19の何れか1項に記載の印字装置を用いた印字方法であって、
    前記被印字体の印字領域に、少なくとも水分を含む被膜または水冷シートを配置する工程と、
    前記被膜または水冷シートを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射する工程と、を含む印字方法。
  • 说明书全文

    本発明は、生鮮食料品等の被印字体に賞味期限や産地表示などの情報のマーキングをレーザ光により直接行う印字装置およびそれを用いた印字方法に関する。

    近年の健康志向の高まりから、一般消費者は生鮮食料品などの鮮度や産地などにこだわる傾向が強くなっている。 このため、生鮮食料品に製造年月日や賞味期限あるいは産地や製造者などの情報を付加して鮮度などを明確化することが要求されている。

    従来、このような情報を付加するために生鮮食料品などのパッケージに所定の情報を印字する、または所定の情報を付加したラベルなどを貼付することが行われている。 しかしながら、パッケージやラベルを使用すると余計なコストがかかり、また、印字のためのインクやラベルを貼付けるための接着剤などは食品ではないため、これらの一部が生鮮食料品などに付着することは問題であった。

    そこで、パッケージやラベルを用いずインクや接着剤を用いない方法として、レーザ光を、直接、生鮮食料品に照射して生鮮食料品の表面に印字する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 例えば、波長10μm前後のCO レーザ光をポリゴンミラーにより生鮮食料品に走査して、生鮮食料品の表面に直接マーキングを行っている。

    また、内部に可食物を詰めたソフトカプセルの表面に波長1.06μmのNd:YAGレーザにより内容物の特定と製造年月日等の履歴がわかるように記号、絵または図形をマーキングした例も示されている(例えば、特許文献2参照)。

    さらに、チョコレートなどの表面に凹凸がある菓子などを対象として、YAGレーザなどにより常に表面にレーザ光の焦点を合わせながら可食体からなるマーキング層を形成して所定の情報を印字している例も示されている(例えば、特許文献3参照)。 このようにすると、印字のためのパッケージやラベルが不要で、印字したマーキング層が可食体からなるため衛生上も問題となることが無い。

    しかし、上記で説明した従来技術においては、生鮮食料品などの分を含む被印字体の表面の一部にレーザ光を絞り込んで照射するため、被印字体に大きいダメージを与えることが多かった。 このダメージが生じる原因としては、生鮮食料品などの被印字体に含まれる水分にレーザ光が吸収されて水蒸気爆発が生じることが挙げられる。 このことにより、被印字体の一部が破壊されて外観を損なう問題を生じる。 特に、生鮮食料品は、温度が上昇するとタンパク質が変質する。 この変質部分に細菌が繁殖すると変質部分を中心にタンパク質の分解が発生し、腐敗が進行する。 このため鮮度の低下、保存期間の短縮といった商品価値自体が低減するといった問題があった。

    特開2000−168157号公報

    特開2004−8012号公報

    特開2005−138140号公報

    本発明は、レーザ光が被印字体に含まれる水分に吸収されることによる被印字体の印字領域の温度上昇を抑え、被印字体の表面のみに高精細で明確なマーキングを施す印字装置を提供することを目的とする。

    上記目的を達成するために、本発明の一局面に係る印字装置は、被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、前記第1レーザ光を出射する光源と、前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に水分を含み、前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である。

    上記の構成によれば、レーザ光が水分に吸収される割合を低減させ、レーザ光の吸収による発熱を抑制することができる。 したがって、水分を含む被印字体にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる。

    本発明のさらに他の目的、特徴、及び優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。 また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。

    本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    図2Aは、本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。 図2Bは、図2Aの印字装置における集光光学系の概略構成を示す説明図である。

    本発明の一実施の形態に係る印字装置により印字された被印字体の印字領域の拡大図である。

    光の波長に対する水の吸収係数の変化を示す説明図である。

    レーザ光におけるウエスト位置近傍でのビームの拡がりを説明するための説明図である。

    図6Aは、本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。 図6Bは、図6Aの印字装置における水槽にレーザ光が入射する様子を示す説明図である。

    図7Aは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の水槽の概略構成を示す斜視図である。 図7Bは、図7Aの水槽の概略構成を示す平面図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す平面図である。

    本発明の一実施の形態に係る、干渉パターンの印字について示す模式図である。

    図10Aは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す斜視図である。 図10Bは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す斜視図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明の他の実施の形態に係る赤外レーザ光と可視レーザ光を分離して被印字体に照射する構成の説明図である。

    図13Aは、本発明の他の実施の形態に係るレーザ光源における波長変換素子へ入射する基本波の強度波形を示す波形図である。 図13Bは、図13Aの基本波が波長変換素子で第二高調波に変換されたときの当該第二高調波の強度波形を示す波形図である。 図13Cは、図13Aの基本波が波長変換素子で第二高調波に変換されずに波長変換素子を透過したときの当該基本波の強度波形を示す波形図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置の、同一レーザ光を分離する概念図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る赤外レーザ光と可視レーザ光と紫外レーザ光とを分離して被印字体に照射する構成の説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置における被印字体表面でのビーム形状の関係を示す説明図である。

    (実施の形態1)
    以下、本発明の実施の形態にかかる印字装置について、図面を参照しながら説明する。 なお、図面で同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合もある。

    図1に本発明の一実施の形態に係る印字装置10の概略構成を示す。

    本実施の形態の印字装置10は、表面(印字面)に水分を含む被印字体11にレーザ光を照射して被印字体11の表面に情報を印字するものである。 印字装置10は、波長が350nm以上かつ550nm以下のレーザ光13を出射するレーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光13を被印字体11の表面11aに集光する集光光学系14と、被印字体11の表面上でレーザ光13を走査する走査ユニット15とを備えている。 ここで被印字体11として、例えば魚などの魚介類を図1に示している。

    次に、印字装置10の動作の仕組みを説明する。 レーザ光源12から出射されたレーザ光13は、まず集光光学系14に入射する。 集光光学系14は、被印字体11の表面にレーザ光13を正確に集光するための集光レンズ等を含んでいる。 集光光学系14を通過したレーザ光13は、次に走査ユニット15に入射する。 ここで、走査ユニット15は、矢印15aの方向に回転してレーザ光13を水平な方向に走査するポリゴンミラー15bと、この走査方向に垂直な方向にレーザ光13を移動させる可動反射ミラー15cとを含んでいる。 走査ユニット15に入射したレーザ光13は、先ずポリゴンミラー15bで一次元走査され、さらに可動反射ミラー15cでポリゴンミラー15bの走査方向に対して直方向に走査されることにより、被印字体11上で二次元的に走査されることになる。

    レーザ光源12および走査ユニット15は、制御部16により、電気的かつ機械的に制御されている。 印字する文字等の情報が制御部16により決められると、制御部16は、走査ユニット15の動作に同期して、被印字体11上に記載すべき情報に応じてレーザ光13を変調制御する。 これにより、被印字体11上に所望の情報が印字される。

    また、本実施の形態の印字装置10は、GPS(Global Positioning
    System)センサ17を搭載している。 図1に示すように、GPSセンサ17を制御部16に接続し、当該制御部16の制御により被印字体11に対する印字内容にGPSセンサ17で得られた位置情報を含めることで、収穫場所や水揚げ場所を被印字体11に直接的に記録することが可能になる。 こうすることで、密漁や産地偽装に対する対策につながり、さらには本印字装置10で印字した魚のブランド価値の向上にもつながり、購入者に対して安心感を与えることができる。

    ここで、図2Aに示す印字装置のように、集光光学系14も制御部16に接続し、当該制御部16の制御により被印字体11の表面上にレーザ光13の集光点が来るように、集光光学系14に含まれるレンズ等の位置をリアルタイムに調整することで、より高精細な印字を行うことが出来るようになる。 例えば図2Aでは、投影装置117から被印字体11に所定のパターン(ここでは格子パターン)を照明し、その画像をカメラ18で撮影して制御部16で画像処理することで、どの走査位置の時にどの高さにレーザ光13を集光すればよいかを決定することができる。 得られた最適集光位置情報に応じて、例えば図2Bに示すように、集光光学系14を構成する複数のレンズ14a・14bの内、レンズ14bの位置を光軸方向に調整することで、リアルタイムに被走査体11上での光軸方向の集光位置を調整することが出来る。 例えば図2Bの場合、レンズ14bを光軸上後方14fに移動させることにより、集光位置をより前方に移動させることが出来る。 このようにすることで、被印字体11の形状によらず、被印字体11の表面11a上に常に集光位置を合わせることが可能になる。 尚、図2Aおよび図2Bに示した方法は、レーザ光13の焦点位置を被印字体11の形状に応じて調整する一例であり、他の方法でも実現することが可能である。 例えば、被印字体11の表面に照明するパターンは線状光を走査しても構わないし、他にもステレオカメラで被印字体11を撮影して画像処理により被印字体の形状を求めても構わない。

    図3に、印字装置10により情報が印字された被印字体11の表面11a近傍の拡大図を示す。 同図に示すように水分を含む被印字体11の表面11aにおける所定の印字領域11bに、ここでは産地、魚種、魚が獲れた年月日の例「大阪湾 黒鯛 08.01.01」が印字されている。 すなわち、この魚が大阪湾で2008年1月1日に獲れた黒鯛であることを示している。 なお、被印字体11は、図1および図2Aに示す載置台11cの上に載置され保持されている。

    次に、本実施の形態において、レーザ光13の波長に関し、350nm以上かつ550nm以下の範囲の波長帯域を用いる効果を、図4を用いて説明する。 図4は、光の波長に対する水の吸収係数の変化を示している。 従来の技術において印字装置のレーザ光には、いずれも波長が1μm以上の、Nd:YAGレーザ(吸収係数0.1cm −1 )、Er:YAGレーザ(吸収係数10000cm −1 )またはCO レーザ(吸収係数500cm −1 )が使用されている。 このような従来のレーザ光を使用すると、水に吸収される吸収係数が大きいため、印字装置で印字を行うときに被印字体に含まれる水分が加熱されすぎて水蒸気爆発が発生する。 被印字体に含まれる水分による水蒸気爆発は、被印字体の印字面にダメージを与えることとなる。 もし被印字体の細胞にダメージを与えてしまうと、空気中の細菌がダメージ部分を中心に繁殖し、細胞の鮮度が急速に低下する。

    図1および図2Aに示す本実施の形態1に係る印字装置10、20では、波長が350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光13を印字体11への印字に使用する。 この波長帯域は、図4に示すように、水の吸収係数が0.001cm −1以下の最も吸収係数が低い領域である。 この波長帯域の吸収係数は、従来のNd:YAGレーザと比較して2桁以上、Er:YAGレーザやCO レーザと比較して6桁以上低い値である。 本実施の形態の印字装置10、20は、水の吸収係数が0.001cm −1以下となる波長帯域のレーザ光13を印字に使用するので、被印字体11の表面11a近傍の内部の水分を過度に加熱して水蒸気爆発などを生じさせることがない。 このように、実施の形態の印字装置10、20は、レーザ光13の水分による吸収を小さくすることができるので、被印字体11に含まれる水分によるレーザ光13の吸収に起因する発熱を抑制することができる。 このため、水分を含む被印字体11にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる。 さらには、水分による吸収が少ないため、より少ないパワーで同様な印字が可能になり、印字に必要な電を低減することが出来る。

    尚、本実施の形態において、走査ユニット15は、ポリゴンミラー15bと可動反射ミラー15cとを含む構成であるが、レーザ光13を被印字体11に対して相対的に二次元走査できれば、その他の構成であってもよい。 例えば、二次元MEMSミラー等を用いても構わないし、被印字体11を図示しないステージ等の上に配置し、レーザ光13を走査せずにステージを二次元的に動かしても構わない。

    尚、本実施の形態の図1や図2Aにおいて、被印字体11の印字領域11bとして、魚の腹部を図示しているが、他の部分でも構わない。 特に、魚の尾ひれ等のひれの部分に印字することは、魚へのダメージがさらに軽減され、例えば生態調査等で捕獲した魚にマーキングして放流する場合等では、マーキング後の魚の生存率の低下を防ぐことができるため、有効である。

    次にレーザ光源12に関して説明する。 レーザ光源12の波長は、350nm以上550nm以下であり、この波長領域において、高出力が得られる形態として、赤外レーザ光を波長変換することで得られる波長変換レーザ光が考えられる。 この場合、周期状の分極反転構造からなる非線形光学素子(波長変換素子)を用いるのが好ましい。 波長変換素子の結晶としてはMgO:LiNbO 、Mg:LiTaO 、KTPを用いることができ、その結晶構造としてはコングルエント組成、ストイキオメトリック組成、水晶、フッ化物結晶などがある。 例えば、基本波として波長1064nmのYAGレーザ等をこれらの波長変換素子に入射することで、波長532nmの緑レーザ光を第二高調波として得ることが出来る。 この場合、波長変換素子に入射する基本波としては、シングルモードのファイバーレーザから出射された基本波を用いることが望ましい。 例えば、コアの部分に希土類元素Ybなどがドープされ、両端にファイバーグレーティングにより共振器が形成されたダブルクラッドのファイバーレーザに対して、波長915nmや975nmの励起光を入射することで、横モードが本質的にシングルモードでありながら、ワットレベルの高出力な基本波を得ることが出来る。 そして、この基本波を波長変換素子に入射して得られる第二高調波もやはり横モードがシングルモードとなる。 例えば、基本波として波長1064nmの赤外光が得られる様にファイバーグレーティングを設定することで、第二高調波として532nmで横モードがシングルモードの高品質なビームが得られる。

    一般に、あるビーム径にレーザ光を集光する場合、そのビームウエスト位置から遠ざかるにつれて、レーザ光は拡がる特性を持っている。 その拡がり角は、波長が短いほど小さく、ビーム品質が良いほど小さい。 ビーム品質はM という値で定量化され、横モードがシングルモードのレーザ光のM は略1であり、モードが増えてビーム品質が劣化するに伴い、M 値は大きくなる。 前述の横モードがシングルモードであるファイバーレーザから出射された基本波を波長変換して得られた第二高調波は、横モードがシングルモードであるために、M 値は略1であるが、従来加工用で用いられていたCO レーザ等では、M 値は通常1.4程度の値を有しており、横モードはシングルモードではない。 例として、図5には、波長532nmでM =1.1のレーザ光、M =1.1のCO レーザ光(波長10.6μm)、M =1.4のCO レーザ光に関し、ビームウエスト径(直径、1/e )がそれぞれ100μmとなるまで各レーザ光を集光し、ビームウエスト近傍でレーザ光が拡がる様子を示した。 同じM 値であっても、波長532nmと波長10.6μmとでは、波長532nmの方がはるかに拡がりは小さい。 また、同じ波長であっても、M =1.4よりもM =1.1のレーザ光の方が拡がり角は小さいことがわかる。 よって、被印字体11の印字領域11bに多少凹凸があったとしても、波長532nmで横モードがシングルモードのレーザ光を用いたほうが、前記の各CO レーザ光を用いるよりも明らかに高精細に印字することが出来る。

    また、横モードがシングルモードであるファイバーレーザから出射された基本波を波長変換して得られた第二高調波(波長350nm以上550nm以下)を用いた場合、被印字体11の印字領域11bの凹凸が±20mm以下であって、印字するレーザ光のビーム径が200um以下の条件が許容されるのであれば、集光光学系14のレンズ14bの位置をフォーカス状態に応じて調整するような機構は不要となり、極めて簡便かつ低コストに印字装置10を構成することが可能になる。 一方で、M =1.1のCO レーザ光では凹凸が±2mmあるだけでもすでにビーム径は200μmを超えてしまい、M =1.4のCO レーザ光に至っては、±1mmの凹凸でもビーム径は200μmを超えてしまい、ピント位置を調整しないことには、凹凸のある被印字体に高精細な印字を行うことは出来ない。

    尚、ここでは、被印字体11は水分を含んでいるとしているが、上述した拡がり角を小さくする効果は、もちろん被印字体が水分を含んでいるか否かに関わらず有効であり、どのような被印字体であっても同様の効果を有する。

    ここで、レーザ光13は、CW(Continuous Wave)であっても構わないが、パルス光であると、より高精細に印字できる効果を有する。 パルス光による極短時間での照射により、レーザ光13が照射された位置での熱の発生を最小限に抑えることができるため、印字スポットサイズを最小現に抑えることが出来るのである。

    図6Aおよび図6Bは、本発明の実施の形態1に係る他の印字装置30の概略構成を示している。 図6Aに示す印字装置30は、図1や図2Aに示す印字装置10、20と略同様の構成であるが、被印字体11が載置台11cの代わりに水槽21に満たされた水22の中に置かれているところが異なる。 すなわち、印字装置30は被印字体11を水22の中に設置する水槽21をさらに備え、レーザ光13は、水22を介して被印字体11に照射される。 このような構成であっても、レーザ光13の波長が350nm以上かつ550nm以下のレーザ光であれば、水22による吸収がほとんどないために、水槽21に入射したレーザ光13のほとんどが被印字体11に到達することになる。 このため、エネルギーのロスが少なく、低消費エネルギーの印字装置を構成することが出来る。 図4に示したように、水22の吸収係数は波長532nmに対しては0.001cm −1であるが、YAGレーザ(波長1064nm)に対しては1cm −1 、CO レーザ(10.6μm)に対しては1000cm −1にもなる。 このため、同一光量のレーザ光であっても、532nmの波長のレーザ光では水中を1000cmも透過できるのに対し、YAGレーザでは1cm、CO レーザでは0.001cm程度しか透過できない。

    また、例えば水中で飼育していた魚を水中から取り出して印字すると、表面に水滴が付着している。 このため、印字するレーザ光がその水滴に入射すると、水滴がレンズの様に作用し、さらに水滴の収差により被印字体の表面でビームを集光することが困難な場合がある。 これに対して、本実施の形態の印字装置30のように、水槽21内に満たした水22の中に被印字体を配置した場合、印字に使用されるレーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下であるため、こういった水滴によるレーザ光の集光特性の悪化もなく、高精細な印字が出来るという利点がある。

    また、前述の通り、レーザ光13がパルス光であると、より高精細に印字できるが、この様に水中の被印字体11に対して印字することで、水22により冷却が促進されるため、さらに高精細に印字できるという利点もある。 例えば、被印字体11の非常に小さな領域に目立たないようにバーコード等を印字することも可能である。

    なお、このような印字装置30においては、水槽21の中をゆっくり泳いでいる魚類、蟹やエビなどの甲殻類、貝類などの生きている被印字体11に瞬時に温度上昇を伴わずに産地や捕獲の年月日などの記録を行うこともできる。 印字装置20の水槽21以外の構成要素の動作の説明については実施の形態1に係る印字装置10と同様であるので説明は省略する。

    また、図6Bに示すように、レーザ光13は、水槽21の底面21aおよび側面21bのうちのいずれかの面から水槽21に入射し、例えば側面21bの法線13dに対してブリュースター角θbで入射している。 レーザ光13が単一偏光で側面21bに対してP偏光で入射している場合、側面21bに対してこのようにブリュースター角θbの近傍の角度でレーザ光13を入射させると、側面21bでの反射をなくすことが出来る。 一方、印字用のCO レーザはランダム偏光で出射されているものがあり、その場合S偏光成分が必ず水槽への入射面で反射するため、たとえブリュースター角で水槽の表面に入射しても入射面での反射光は抑えられない。 これに対し、波長変換により得られた高調波は単一偏光であるため、水槽21の表面に対してP偏光でブリュースター角θbをもって入射することで、水槽21への入射面での反射を抑えることが出来る。 なお、ブリュースター角θb近傍以外の角度でレーザ光13を水槽21の表面に入射する場合、例えば側面31bに垂直に入射すると水槽表面から4%の反射光が生じることとなり、印字装置30を操作する人の眼の安全性などを確保するために特別な機構等を必要とする場合がある。 しかしながら、上述のようにブリュースター角θb近傍の角度でレーザ光13を水槽21の表面に入射することで、目にも安全で、かつ、ロスもなく高効率な印字装置30を構成することが出来る。 尚、水槽21の屈折率を1.5、水22の屈折率を1.33とすると、空気から水槽21に入射する場合のブリュースター角θbは56°に相当し、このブリュースター角θbで空気から水槽21に入射したレーザ光13は、水槽21内の水に対して、33°の角度で入射する。 このとき、水槽21と水の界面でのP偏光反射率は0.1%以下と、極めて低い反射率である。

    次に、印字スループットを向上させる方法を、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。 図7Aは水槽21の斜視図であり、図7Bは図7Aの水槽21の平面図である。 図7では、水槽21の中の水22を一方向(ここでは図中X方向)に強制的に流し、その中に被印字体11(ここでは魚)を流している。 その際、魚がX方向とは逆方向に向きを変えて泳がない様に、水槽のX方向(水流方向)に垂直な断面における幅Wおよび高さHを、魚のX方向の長さLよりも短くしておく。 こうすることで、魚は逆流することなくX方向に流されることになるため、この状態で次々に魚を水槽21中に入れ、水22に流される魚に対して印字することで、魚に連続的に印字することが可能になり、印字スループットを飛躍的に向上させることが出来る。 さらには、水槽21の幅Wを被印字体11の幅Dの2倍以下にしておくことで、被印字体11が二匹同時に流れることを防ぐことが出来るため、印字抜けをなくすことが出来る。 同様に、水槽21の高さHに関しても、被印字体11の高さの2倍以下にしておくことで、被印字体11が二匹同時に流れないように出来る。

    次に、図8は、本発明の実施の形態1に係る他の印字装置の要部を示す平面図である。 図8に示すように、被印字体11の表面11aに、少なくとも水分を含む水冷シート23(水冷部材)または水分を含む被膜をさらに配置し、レーザ光13を、この水冷シート23または被膜を介して被印字体11に照射する。 このような構成とすることにより、レーザ光13によって被印字体が発熱するのを防止することができる。 水による吸収係数の小さな可視レーザ光13を用いることで、水または水分を含む冷却シート23を介して被印字体11にレーザ光13を照射しても、途中の水分や冷却シート23に光が吸収されることがないため、レーザ光13のロスを受けること無く印字が可能となる。 さらに、冷却シート23の加熱や破損もないため、繰り返し冷却シート23を利用できるという利点もある。

    図9は、本実施の形態1に係る他の印字装置の要部を示す構成図である。 図9に示すように、レーザ光13を位相マスク24に通過させて、その干渉パターン26を対物レンズ25により縮小して被印字体11の表面11aにマーキングする。 このような構成により、被印字体11の表面11aに干渉パターン26による多彩な情報を記録することができる。 光の干渉により印字するので2次元のパターンを同時に印字することができる。 なお、位相マスク24の代わりに光学素子を使用してレーザ光13を分岐させることにより被印字体11の表面11aにおいて干渉パターン26を形成し、この干渉パターン26を表面11aに転写してマーキングを行っても構わない。

    図10Aは、図1や図2に示す印字装置10、20の載置台11cの上に果実であるりんごが被印字体11dとして置かれている場合の斜視図を示している。 また、図10Bは、図1や図2に示す印字装置10、20の載置台11cの上に卵が被印字体11eとして置かれている場合の斜視図を示している。

    一般的に魚介類の水分含有率は20%〜80%であって、甲殻類の甲羅等は20%程度と少ないものもあるが、魚類においては80%程度の水分を含有する。 また、りんご等の果物では水分を80%以上含有し、ピーマン等の野菜でも70%以上の水分を含有する。 また、卵の殻等であったとしても、0.2%程度の水分を含有している。 被印字体11は、少なくとも印字領域11bに水分を含んでおればよく、0.1%以上の水分含有率でも充分に本実施の形態の効果(水分を含む被印字体11にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる等の効果)を奏する。 被印字体11の水分含有率が20%以上となればその効果はより高まり、さらに水分含有率が70%以上となればその効果は顕著となる。 このように、魚介類が被印字体11の場合と同様に、被印字体11が卵、魚介類、肉類、野菜、果物など、鮮度が要求される生鮮食料品などの場合でも、鮮度や品質を損なうことなく、これらの印字領域11bに産地や製造年月日などのマーキングを行うことができる。

    (実施の形態2)
    図11に本発明の実施の形態2に係る印字装置40の概略構成を示す。 印字装置40は、実施の形態1の印字装置10と同様であるが、レーザ光源12が波長の異なる複数の光源12a、12bを含んでおり、光源12a、12bから出射された各レーザ光は、ダイクロイックミラー31にて合波された後、印字装置10と同様の経路を経て被印字体11上に照射される。 ここで、複数の光源12a、12bのうちひとつを赤外レーザとした場合の利点を説明する。

    光源12aは波長350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光13aを出射し、光源12b(第2レーザ光出射部)は波長1um以上かつ20um以下の赤外レーザ光13bを出射する。 赤外レーザ光13bを可視レーザ光13aと同時または直前に照射することは、被印字体11の表面クリーニングに有効である。 被印字体11の表面が水分で覆われていて、水分が水滴となって付着していると、印字するレーザビームの集光スポットが変形するため印字精度が劣化するという問題が生じる。 このため、赤外レーザ光13bであらかじめ印字する部分の表面の水分を蒸発させておけば、被印字体11の表面クリーニングとなり印字精度が向上する。 また、印字する表面近傍の組織に水分を含む被印字体11の場合、水分量のバラツキにより印字の品質がばらつくという問題が生じる。 これを防止するには、水による吸収係数の高い赤外レーザ光13bを被印字体11の表面に照射して、この部分の水分量を低下させることで表面状態を均一化するという方法が取り得る。 同時に、表面近傍の水分量を低減させることで印字速度を向上させることができる。 このように、赤外レーザ光をレーザ印字の前処理として利用することで印字精度、印字スピードの向上、印字品質のばらつきの低減が可能となる。

    なお、赤外レーザ光を印字の前処理に使用する場合、赤外レーザ光13bの被印字体11上でのビーム径を、可視レーザ光13aの被印字体11上でのビーム径より大きくしておくことが望ましい。 これは、赤外レーザ光による表面クリーニングの範囲を印字範囲より広くとっておくことで、印字する表面を確実にクリーニングすることが出来るためである。

    また、図11に示す様に、例えば制御部16に接続された二次元温度センサ27で被印字体11の印字領域11bの温度を観測し、赤外レーザ光13bを照射した場所の温度が所定温度以上になる様に、制御部16を通して赤外レーザ光13bの出力を調整することで、印字する可視レーザ光13aが照射される場所の水分を確実に除去しておくことが出来る。 こうすることで、水滴や水分による印字品質の悪化を確実に防止し、情報を被印字体11に高精細に記録することが出来る。 図11では、二次元温度センサ27を用いた例を示したが、これに限定されない。 例えば、二次元温度センサ27の代わりCCDカメラ等で印字痕を観測し、印字痕の太さに応じて赤外レーザ光13bの出力を調整しても良いし、それ以外の方法を用いても構わない。

    また、実施の形態1で述べたような周期状の分極反転構造を持つ波長変換素子を用いて、赤外レーザ光を波長変換して得られた第二高調波を可視レーザ光として用いた場合、印字に用いる可視レーザ光と同軸上に、波長変換されなかった赤外光が存在するような構成を取ることが出来る。 一般的に、波長変換素子において波長変換すると基本波と高調波の出射方向が異なるが、周期状の分極反転構造を有する波長変換素子を用いれば、基本波と高調波の出射方向を同軸にすることが可能となる。 この場合、波長変換素子で波長変換されずに残った赤外光を前述の表面クリーニングに用いることが出来るというメリットもある。

    例えば、基本波として1064nmの赤外光を用いた場合、波長変換素子で波長変換された532nmの可視レーザ光13aで印字し、波長変換されずに残った1064nmの基本波(赤外レーザ光13b)で表面クリーニングを行うことが考えられる。 この場合に、印字の直前に赤外レーザ光13bを照射するためには、図12に示すように、レーザ光源(図示せず)と被印字体11との間に、プリズム32と対物レンズ33を設けた構成が考えられる。 この構成では、プリズム32の各レーザ光に対する屈折率差によりレーザ光13を可視レーザ光13aおよび赤外レーザ光13bに分岐させて、対物レンズ33により各レーザ光13a、13bを被印字体11の表面11aに集光する。 そして、矢印34に示す方向にレーザ光13a、13bを走査することで、先ずは赤外レーザ光13bにより印字する領域の表面11aの水分を蒸発させ、その後に可視レーザ光13aにより被印字体11に印字を行うようにすることが出来る。 こうすることで、図11の様に可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとを発生するために個別に光源を準備する必要がない。 また、波長変換素子を用いた構成においては本来廃棄していた赤外レーザ光を無駄にせずに用いることができる、電力的にもロスが少ない。 さらに、可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとを合波する必要もないため、可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとの位置を調整する必要もなく、コスト的にも有利である。 尚、赤外レーザ光13bと可視レーザ光13aとを同時に照射する場合は、図12に示すプリズム32や対物レンズ33は不要である。

    また、上述の通り、赤外レーザ光13bの被印字体11上でのビーム径は、可視レーザ光よりも大きいことが望ましい。 波長変換を行った場合、波長は基本波の方が第二高調波よりも二倍長いが、ファーフィールドでの基本波のビーム径は、第二高調波のビーム径に対して約√2倍の大きさであるため、ウエスト位置近傍でも、基本波のビーム径の方が約√2倍大きくなる。 よってこの観点からも、波長変換レーザは本構成にとって望ましい光源であると言える。

    ここで、可視レーザ光は前述の通りパルス光であることが望ましいが、赤外レーザ光はCW発振であることが望ましい。 これは、赤外レーザ光をパルスにすると、被印字体にダメージを与えてしまうためである。 よって、波長変換素子を用いたレーザ光源12の場合、基本波である赤外レーザ光13bはCWのまま、得られる第二高調波である可視レーザ光13aのみをパルス化することが望ましい。 この場合、第二高調波のみをパルス化するためには、以下に述べる様な波長変換のスイッチを利用することができる。

    第二高調波のみをパルス化する変調方法の一例として、波長変換素子に電圧を印可して位相整合状態をスイッチングする方法がある。 すなわち、波長変換素子に電圧が印可された時のみ位相整合条件が成立するようにし、電圧の印加状態と非印加状態とを周期的に切り換えることにより、第二高調波をパルス状にすることができる。 この場合、第二高調波の出力波形のduty比は数%以下であるため基本波は実行的にCW光に近い形で発生することになる。

    第二高調波のみをパルス化する他の方法としては、基本波の発振波長を変調することで第二高調波の出力をパルス化することが考えられる。 ファイバーレーザは発振波長のスイッチングが可能なため、基本波の発振波長を変調することで、第二高調波をスイッチングできる。 具体的には、ファイバーレーザで共振器を形成しているファイバーグレーティングのグレーティングのピッチを、アクチュエータ等で伸縮させて変調することで、発振波長をスイッチングすることが可能である。

    第二高調波のみをパルス化するさらに他の方法としては、基本波の強度を変調することが考えられる。 すなわち、図13Aに示すように、波長変換素子に入射する基本波にバイアスをかけて変調する。 基本波がパルス発振している状態において、基本波の波長はバイアスのみの発振時と比較してわずかに長波長側にシフトする。 このため、パルス光発生状態に位相が整合するように波長変換素子の位相整合温度を制御しておけば、図13Bに示すように、基本波がパルス発振するときにのみ第二高調波が発生することになる。 一方、波長変換素子を透過した基本波は、パルス発振時のみ波長変換されるため、図13Cに示すように、CWに近い形で発振する。 この波長変換素子を透過した基本波を用いて被印字体の前処理が可能となる。

    (実施の形態3)
    図14に本発明の実施の形態2に係る印字装置50の概略構成を示す。 図11の印字装置40と同じく、レーザ印字を行う波長350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光源12aを有するが、もうひとつ、波長400nm以下の紫外レーザ光13cを出射する紫外レーザ光源12c(第3レーザ光出射部)を有する点が、図11の印字装置40とは異なる。 波長400nm以下の紫外光には、殺菌効果があるため、動植物における細菌の繁殖を低減する効果がある。 よって、波長400nm以下の紫外光を、印字を行うレーザ光の照射と同時または直後に、被印字体11に照射することで、レーザ印字部分を細菌の繁殖から防止できるというさらなる効果を有する。

    被印字体上で印字する可視レーザ光13aのビーム径に対して、殺菌に用いる紫外レーザ光13cのビーム径の方が大きいことが望ましい。 これは、印字部分の周辺までの雑菌を消滅させることで、印字部分での雑菌の低減効果が強化できるためである。

    また印字する可視レーザ光13aに対する紫外レーザ光13cのパワー密度は、1%以下に限定することが好ましい。 紫外レーザ光が印字するレーザ光強度の1%以上になると、紫外レーザ光13cにより被印字体11の変質が起きる場合がある。 この場合、印字される変色部分のラインの見栄えが悪くなるが、上記の通り印字する可視レーザ光13aに対する紫外レーザ光13cのパワー密度を1%以下に抑えることで、このような不都合を回避することが出来る。

    また、印字に用いる可視レーザ光源12aとして、波長405nmや375nmの半導体レーザ光源を用いても構わない。 波長375nmの場合であれば、殺菌効果も有するため、殺菌用の紫外レーザ光源12cと共通化することも出来る。 この場合、例えば図15の様に、ガラス板28を用いて単一の光源を分岐して、印字用と殺菌用に使い分けることが出来る。 ガラス板28の入射面28aに対して斜めに、集光されながら入射したレーザ光13は、その大部分がガラス板28の出射面28bから出射し、被印字体11の表面11aに入射して印字に用いられる。 ここで、出射面28bにAR(Anti-Reflection)コート等を施していない場合、約3%が出射面28bで表面反射して、図15の様にガラス板28内を逆向きに伝播する。 出射面28bで表面反射したレーザ光13が再び入射面28aに到達する位置に、反射率30%以下のコート29を施しておくと、入射面28aに到達したレーザ光13の30%以下が反射し、印字するレーザ光の1%以下のレーザ光が、広がった状態で印字光の近傍に入射することになる。 この状態で、図15中の矢印X方向に走査することで、印字した直後に殺菌可能となり、簡便かつコストにほとんど影響なく、単一の光源を使って印字と殺菌の両方を行うことが出来る。

    また、単一光源でパワーが不足している場合には、図16に示す印字装置60の様に、複数の可視レーザ光源12aをファイバ37にバンドルすることで高い出力になり、高速に印字することが可能である。

    さらに、実施の形態1で述べた波長変換素子によって1064nmの基本波を532nmの第二高調波に変換すると、1064nmと532nmの和周波、もしくは1064nmの第三高調波によって355nmの紫外レーザ光が発生する。 このとき、実施の形態2の赤外レーザ光13bと可視レーザ光13aとの光軸関係と同様に、355nmの紫外レーザ光13cと532nmの可視レーザ光13aとは同軸上に出力させることが出来る。 この時発生した355nmの紫外レーザ光13cを殺菌に、532nmの可視レーザ光13aを印字に用いることで、特別な光学系がなくとも、532nmの可視レーザ光13aで印字した箇所を355nmの紫外レーザ光13cで殺菌することが出来る。 さらには、この構成においては、実施の形態2で述べたとおり、1064nmの基本波(赤外レーザ光13b)も存在するため、印字領域の表面クリーニングも併せて行うことが出来る。 ここで、532nmの可視レーザ光13aによる印字に対して、1064nmの赤外レーザ光13bによる表面クリーニングを直前に、355nmの紫外レーザ光13cによる殺菌を直後に行うためには、図17に示す通り、図12と同様にプリズム32と対物レンズ33を透過させた状態でレーザ光を矢印34に示す方向に走査すればよい。

    上述の通り、被印字体11の表面でのビーム径は、印字に用いる可視レーザ光13aよりも紫外レーザ光13cの方が大きいことが望ましいが、光源に波長変換レーザを用いた場合、単純に同軸にある可視レーザ光13aと紫外レーザ光13cをレンズで集光すると、紫外レーザ光13cの方が、波長が短いために小さく集光される。 一般に、第三高調波もしくは和周波のウエスト径は、第二高調波のウエスト径に対して√(2/3)になる。 この様な同軸にある可視レーザ光13aと紫外レーザ光13cに対して、ビーム径を個々に調整するには、光ディスク(CD/DVD/BD等)のピックアップで用いられる、レンズ表面にレリーフホログラムを設けた二波長レンズの使用が有効である。 図17の対物レンズ33としてこの二波長レンズを用いることで、異なる波長のレーザ光に対して、それぞれ異なる収束特性を持たせることができ、光軸上の異なる位置にウエスト位置を配置できるため、被印字体11の表面にて、可視レーザ光13aに対して紫外レーザ光13cの方が大きいビーム径を持たせることが可能である。

    また、波長変換素子としては、実施の形態1と同様に、周期状の分極反転構造からなる非線形光学素子を用いるのが好ましい。 波長変換素子の結晶としてはMgO:LiNbO 、Mg:LiTaO 、KTPを用いることができ、その結晶構造としてはコングルエント組成、ストイキオメトリック組成、水晶、フッ化物結晶などがある。 周期状の分極反転構造を有する非線形光学結晶を用いる利点は、二つある。 一つ目の利点は、可視レーザ光と紫外レーザ光の強度を分極反転の周期構造により設計できることである。 前述したように、可視レーザ光に対して、紫外レーザ光の強度を押さえることが望ましい。 また印字する材料によって、可視レーザ光と紫外レーザ光の強度比を制御する必要がある。 この場合、周期状の分極反転構造の周期を設計することで可視レーザ光と紫外レーザ光の強度を設計することが可能となる。 例えば結晶の前半部分に可視レーザ光を発生する周期の分極反転を形成し、後半部分に紫外レーザ光を発生する周期の分極反転構造を形成することで、可視レーザ光と紫外レーザ光を同時に発生させることが可能となる。 もう一つの利点は、複数の波長のレーザ光の光軸を同一にできるノンクリティカルな位相整合が可能な点である。 実施の形態2でも述べたとおり、一般的に、波長変換素子において波長変換すると赤外レーザ光、可視レーザ光、紫外レーザ光の出射方向が異なる。 これを同軸にするには結晶の複屈折率を制御する必要があるため難しい。 これに対して、周期状の分極反転構造の波長変換素子を用いれば、赤外レーザ光、可視レーザ光、紫外レーザ光を同軸に発生させることが可能となる。 このため、本実施の形態の印字装置において、可視レーザ光と紫外レーザ光とを同軸で集光して印字する構成には有効である。

    なお、紫外レーザ光の波長としては、殺菌作用の大きな400nm以下が好ましいが、300nm〜400nmの範囲の波長がより好ましい。 図4に示したように、この範囲の波長は水の透過率が高いため、水分を含む被印字体の内部まで透過しやすく殺菌作用を及ぼす範囲が広がる。 これによって、生鮮食料品の鮮度低下を防止する効果がより高くなる。

    なお、本実施の形態では紫外光を発生させるものとしてレーザ光源を用いたが、LEDを使用することも可能である。 LEDランプでマーキング部分を照射しながら印字を行うことでも、殺菌作用が得られる。

    なお、本実施例では、印字に用いる可視レーザ光の集光スポットに対し、紫外レーザ光の集光スポットの方が大きくなるように各レーザ光を照射することで、印字しながら殺菌効果を持たせたが、図18に示すように、可視レーザ光ビーム形状34に対して紫外レーザ光ビーム形状35の方がビーム断面が大きい楕円形状とすることで、高速な印字に対応できる。 ビームの走査速度が速くなると紫外レーザ光が照射される時間が短くなり、殺菌作用が弱くなる。 しかし、殺菌作用を高めるために紫外レーザ光の強度が高くすると被印字体の変質、変色等が発生するという問題が発生する。 そこで、図18に示すように、紫外レーザ光ビーム形状35を、ビーム走査方向36に長軸を有する楕円形状とすることで、紫外レーザ光の強度を抑えた状態でその照射時間を長くすることが可能となり、高速な印字に対応できるのである。

    本発明の一局面に係る印字装置は、被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、前記第1レーザ光を出射する光源と、前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に水分を含み、前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である。

    上記の構成によれば、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域の第1レーザ光を、印字領域に水分を含む被印字体に照射し、被印字体に情報を印字する。 ここで、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域は、水の吸収係数が0.001cm −1以下であって、従来から印字に使用されている波長帯域と比較して2桁〜6桁以上も低い値である。 よって、被印字体の水分によるレーザ光の吸収を大幅に抑えることが出来る。 このため、被印字体に含まれる水分を過度に加熱して水蒸気爆発などを生じさせることがない。 したがって、被印字体にダメージを与えることなく、高精細な印字を施すことが出来る。 さらには、水分による吸収が少ないため、従来よりも小さいパワーで印字が可能になり、印字に要する電力を低減することも出来る。

    上記の構成において、前記光源は、横モードがシングルモードである基本波を出射するファイバーレーザと、前記基本波を第二高調波に波長変換する波長変換素子とを含み、前記第1レーザ光は前記第二高調波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記光源は、高出力な基本波を生成することが出来るファイバーレーザと波長変換素子を含み、横モードがシングルモードである基本波を第二高調波に波長変換する。 これにより、前記第1レーザ光のビーム品質を各段に向上させることができる。 すなわち、基本波を波長変換して得られる第二高調波は、横モードがシングルモードである高品質なビームとなる。 印字に供される第1レーザ光がこのような高品質な第二高調波であるため、拡がり角が小さく、より高精細な印字が可能となる。 さらに、高品質で拡がり角が小さい第1レーザ光を印字に用いるので、フォーカス調整を不要にすることも可能になり、低コストに印字装置を構成することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、波長が1μm以上かつ20μm以下の第2レーザ光を出射する第2レーザ光出射部をさらに含み、前記第1レーザ光の照射と同時または前記第1レーザ光の照射の直前に、前記第2レーザ光を、前記被印字体における前記第1レーザ光の照射部位に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体の印字領域に付着している水滴等を除去する表面クリーニングが、第1レーザ光の照射と同時またはその直前に可能になる。 すなわち、波長1um以上かつ20um以下の第2レーザ光は、水による吸収係数が高く、被印字体の印字領域に付着している水滴等の水分を蒸発させる。 もしも被印字体の印字領域に水滴等が付着していると、水滴によるレーザ光の集光特性が悪化したり、水分量のバラツキにより印字の品質にばらつきが生じたりする。 そこで、第2レーザ光による表面クリーニングにより被印字体の表面状態を均一化することで、印字精度および印字スピードの向上が図れるとともに、印字品質のばらつきの低減を図ることが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、前記第2レーザ光を第二高調波に波長変換する波長変換素子をさらに含み、前記第1レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第二高調波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第2レーザ光を波長変換素子で波長変換して第1レーザ光を生成するので、第1レーザ光と第2レーザ光とを発生させるための個別のレーザ光源を用意する必要がない。 さらに、第1レーザ光と第2レーザ光とを同軸上に出射することが出来るので、両レーザ光を合波する部材が不要である。 よって、低コストに印字装置を構成することが出来る。 さらに、前記第1レーザ光に波長変換されずに残った第2レーザ光を無駄なく表面クリーニングに使用することができるので、電力ロスの少ない高エネルギー効率の印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、前記第2レーザ光を、バイアス時とパルス発振時とで異なる波長で発振するようなバイアスを有するパルス光に変調して前記波長変換素子に入射させ、前記波長変換素子は、前記第2レーザ光のパルス発振時の波長で位相整合する位相整合温度を有することが好ましい。

    上記の構成によれば、第2レーザ光のパルス発振時にのみ第二高調波である第1レーザ光を発生させることが出来る。 一方、波長変換されずに波長変換素子を透過した第2レーザ光は略CW(Continuous Wave)となる。 このように、第1レーザ光のみをパルス発振させることができるため、被印字体での熱の発生を抑制して高精細な印字が可能になり、被印字体が略CWの第2レーザ光でダメージを受けることもない。

    上記の構成において、前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部をさらに含み、前記被印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きいことが好ましい。

    波長400nm以下の第3レーザ光には、殺菌効果がある。 よって、上記の構成によれば、被印字体の印字領域で、第3レーザ光のビーム径を第1レーザ光のビーム径よりも大きくすることで、被印字体の印字領域を確実に殺菌可能であり、細菌の繁殖を防止することができる。

    上記の構成において、前記第3レーザ光のパワー密度は、前記第1レーザ光のパワー密度より小さいことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体がダメージを受けることなく、印字領域を殺菌することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部を含み、前記印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きく、前記第3レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第三高調波、または前記第1レーザ光と前記第2レーザ光との和周波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第3レーザ光と、第1および第2のレーザ光とを同軸に出射することが出来るため、各レーザ光を合波する部材が不要である。 よって、低コストに印字装置を構成することが出来る。 さらに、第1レーザ光や前記第2レーザ光を利用して第3レーザ光を生成するので、電力ロスの少ない高エネルギー効率の印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、前記被印字体の印字領域に配される、少なくとも水分を含む水冷部材をさらに含み、前記水冷部材を介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、水による吸収係数の小さな波長帯域の第1レーザ光を印字に用いるので、水分を含む水冷部材を介して被印字体に第1レーザ光を照射しても、水冷部材に第1レーザ光が吸収されることがない。 このため、被印字体を水冷部材で冷却しながら印字することができるため、印字領域の発熱を押さえ、被印字体に与えるダメージを抑制することが出来る。

    上記の構成において、位相マスクをさらに含み、前記位相マスクを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することで、前記被印字体の前記印字領域において干渉パターンを形成することが好ましい。

    上記の構成によれば、簡便に二次元のパターンを記録することが出来る。

    上記の構成において、GPSセンサをさらに含み、前記被印字体に印字する情報は、前記GPSセンサで検出した現在位置情報を含むことが好ましい。

    上記の構成によれば、密漁や産地偽装に対する対策につながり、さらには印字装置で印字した被印字体のブランド価値の向上につながり、購入者に対して安心を与えることができる。

    上記の構成において、前記被印字体を水の中に設置するための水槽をさらに含み、前記第1レーザ光を、前記水槽内の前記被印字体に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第1レーザ光は、水による吸収が極めて少ないため、水槽内に設置された水中の被印字体に対しても印字することができる。 この場合、水槽外に取り出して記録したときの様に、水滴によるレーザ光の集光特性も悪化もなく、高精細な印字が出来る。

    上記の構成において、前記水槽内に所定方向の水流を発生させる水流発生部をさらに含み、前記水流に沿って流される前記被印字体に対して、前記第1レーザ光で印字を行うことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体を水流に沿って流しながら連続的に印字することが可能になり、印字スループットを飛躍的に向上させることが出来る。

    上記の構成において、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅および高さは、それぞれ、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向の長さよりも短いことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体が水流に逆らって逆向きに水槽内を流れることを防止できるため、印字スループットの向上を図ることが出来る。

    上記の構成において、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅は、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の幅の二倍より小さく、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の高さは、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の高さの二倍より小さいことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体が二つ同時に水槽内を流れることを防止できるため、印字抜けをなくすことが出来る。

    上記の構成において、前記第1レーザ光は、単一偏光であり、前記水槽の表面の法線に対してブリュースター角で入射することが好ましい。

    上記の構成によれば、水槽の表面での第1レーザ光の反射を抑えることができ、安全かつロスのない高効率な印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、上記前記被印字体が、卵、魚介類、肉類、野菜、果物など、鮮度が要求される生鮮食料品であることが好ましい。

    上記のような卵、魚介類、肉類、野菜または果物からなる生鮮食料品を被印字体とすれば、印字後も生鮮食料品に殆どダメージを与えることなく商品価値の低下を招来することがないので、効果的である。

    本発明の他の局面に係る印字方法は、上記の何れかの構成の印字装置を用いた印字方法であって、前記被印字体の印字領域に、少なくとも水分を含む被膜または水冷シートを配置する工程と、前記被膜または水冷シートを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射する工程とを含んでいる。

    上記の構成によれば、被印字体を水冷部材で冷却しながら印字することができるため、印字領域の発熱を押さえ、被印字体に与えるダメージを抑制することが出来る。

    本発明のさらに他の局面に係る印字方法は、上記の何れかの構成の印字装置を用いた印字方法であって、前記第1レーザ光の光路内に位相マスクを配置する工程と、前記位相マスクを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することで、前記被印字体の前記印字領域において干渉パターンを形成する工程とを含んでいる。

    上記の構成によれば、簡便に二次元のパターンを記録することが出来る。

    本発明は、レーザ光が被印字体に含まれる水分に吸収されることを抑制することにより被印字体の印字領域の温度上昇を抑えて、被印字体の表面のみに高精細なマーキングを施す印字装置を提供するものであり、食品全般に有用なマーキングを簡単に低コストで施すことができる。 したがって、食品の出所や製造年月日および賞味期限の表示などの品質管理に活用することができ有用である。

    なお、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。

    本発明は、生鮮食料品等の被印字体に賞味期限や産地表示などの情報のマーキングをレーザ光により直接行う印字装置およびそれを用いた印字方法に関する。

    近年の健康志向の高まりから、一般消費者は生鮮食料品などの鮮度や産地などにこだわる傾向が強くなっている。 このため、生鮮食料品に製造年月日や賞味期限あるいは産地や製造者などの情報を付加して鮮度などを明確化することが要求されている。

    従来、このような情報を付加するために生鮮食料品などのパッケージに所定の情報を印字する、または所定の情報を付加したラベルなどを貼付することが行われている。 しかしながら、パッケージやラベルを使用すると余計なコストがかかり、また、印字のためのインクやラベルを貼付けるための接着剤などは食品ではないため、これらの一部が生鮮食料品などに付着することは問題であった。

    そこで、パッケージやラベルを用いずインクや接着剤を用いない方法として、レーザ光を、直接、生鮮食料品に照射して生鮮食料品の表面に印字する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 例えば、波長10μm前後のCO レーザ光をポリゴンミラーにより生鮮食料品に走査して、生鮮食料品の表面に直接マーキングを行っている。

    また、内部に可食物を詰めたソフトカプセルの表面に波長1.06μmのNd:YAGレーザにより内容物の特定と製造年月日等の履歴がわかるように記号、絵または図形をマーキングした例も示されている(例えば、特許文献2参照)。

    さらに、チョコレートなどの表面に凹凸がある菓子などを対象として、YAGレーザなどにより常に表面にレーザ光の焦点を合わせながら可食体からなるマーキング層を形成して所定の情報を印字している例も示されている(例えば、特許文献3参照)。 このようにすると、印字のためのパッケージやラベルが不要で、印字したマーキング層が可食体からなるため衛生上も問題となることが無い。

    特開2000−168157号公報

    特開2004−8012号公報

    特開2005−138140号公報

    しかし、上記で説明した従来技術においては、生鮮食料品などの水分を含む被印字体の表面の一部にレーザ光を絞り込んで照射するため、被印字体に大きいダメージを与えることが多かった。 このダメージが生じる原因としては、生鮮食料品などの被印字体に含まれる水分にレーザ光が吸収されて水蒸気爆発が生じることが挙げられる。 このことにより、被印字体の一部が破壊されて外観を損なう問題を生じる。 特に、生鮮食料品は、温度が上昇するとタンパク質が変質する。 この変質部分に細菌が繁殖すると変質部分を中心にタンパク質の分解が発生し、腐敗が進行する。 このため鮮度の低下、保存期間の短縮といった商品価値自体が低減するといった問題があった。

    本発明は、レーザ光が被印字体に含まれる水分に吸収されることによる被印字体の印字領域の温度上昇を抑え、被印字体の表面のみに高精細で明確なマーキングを施す印字装置を提供することを目的とする。

    本発明の一局面に係る印字装置は、上記目的を達成するために、被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、前記第1レーザ光を出射する光源と、前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に水分を含み、前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である。

    上記の構成によれば、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域の第1レーザ光を、印字領域に水分を含む被印字体に照射し、被印字体に情報を印字する。 ここで、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域は、水の吸収係数が0.001cm −1以下であって、従来から印字に使用されている波長帯域と比較して2桁〜6桁以上も低い値である。 よって、被印字体の水分によるレーザ光の吸収を大幅に抑えることが出来る。 このため、被印字体に含まれる水分を過度に加熱して水蒸気爆発などを生じさせることがない。 したがって、被印字体にダメージを与えることなく、高精細な印字を施すことが出来る。 さらには、水分による吸収が少ないため、従来よりも小さいパワーで印字が可能になり、印字に要する電力を低減することも出来る。

    本発明によれば、レーザ光が水分に吸収される割合を低減させ、レーザ光の吸収による発熱を抑制することができる。 したがって、水分を含む被印字体にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる。

    本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    図2Aは、本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。 図2Bは、図2Aの印字装置における集光光学系の概略構成を示す説明図である。

    本発明の一実施の形態に係る印字装置により印字された被印字体の印字領域の拡大図である。

    光の波長に対する水の吸収係数の変化を示す説明図である。

    レーザ光におけるウエスト位置近傍でのビームの拡がりを説明するための説明図である。

    図6Aは、本発明の一実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。 図6Bは、図6Aの印字装置における水槽にレーザ光が入射する様子を示す説明図である。

    図7Aは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の水槽の概略構成を示す斜視図である。 図7Bは、図7Aの水槽の概略構成を示す平面図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す平面図である。

    本発明の一実施の形態に係る、干渉パターンの印字について示す模式図である。

    図10Aは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す斜視図である。 図10Bは、本発明の他の実施の形態に係る印字装置の要部を示す斜視図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明の他の実施の形態に係る赤外レーザ光と可視レーザ光を分離して被印字体に照射する構成の説明図である。

    図13Aは、本発明の他の実施の形態に係るレーザ光源における波長変換素子へ入射する基本波の強度波形を示す波形図である。 図13Bは、図13Aの基本波が波長変換素子で第二高調波に変換されたときの当該第二高調波の強度波形を示す波形図である。 図13Cは、図13Aの基本波が波長変換素子で第二高調波に変換されずに波長変換素子を透過したときの当該基本波の強度波形を示す波形図である。

    本発明の他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置の、同一レーザ光を分離する概念図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置の概略構成を示す説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る赤外レーザ光と可視レーザ光と紫外レーザ光とを分離して被印字体に照射する構成の説明図である。

    本発明のさらに他の実施の形態に係る印字装置における被印字体表面でのビーム形状の関係を示す説明図である。

    (実施の形態1)
    以下、本発明の実施の形態にかかる印字装置について、図面を参照しながら説明する。 なお、図面で同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合もある。

    図1に本発明の一実施の形態に係る印字装置10の概略構成を示す。

    本実施の形態の印字装置10は、表面(印字面)に水分を含む被印字体11にレーザ光を照射して被印字体11の表面に情報を印字するものである。 印字装置10は、波長が350nm以上かつ550nm以下のレーザ光13を出射するレーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光13を被印字体11の表面11aに集光する集光光学系14と、被印字体11の表面上でレーザ光13を走査する走査ユニット15とを備えている。 ここで被印字体11として、例えば魚などの魚介類を図1に示している。

    次に、印字装置10の動作の仕組みを説明する。 レーザ光源12から出射されたレーザ光13は、まず集光光学系14に入射する。 集光光学系14は、被印字体11の表面にレーザ光13を正確に集光するための集光レンズ等を含んでいる。 集光光学系14を通過したレーザ光13は、次に走査ユニット15に入射する。 ここで、走査ユニット15は、矢印15aの方向に回転してレーザ光13を水平な方向に走査するポリゴンミラー15bと、この走査方向に垂直な方向にレーザ光13を移動させる可動反射ミラー15cとを含んでいる。 走査ユニット15に入射したレーザ光13は、先ずポリゴンミラー15bで一次元走査され、さらに可動反射ミラー15cでポリゴンミラー15bの走査方向に対して直角方向に走査されることにより、被印字体11上で二次元的に走査されることになる。

    レーザ光源12および走査ユニット15は、制御部16により、電気的かつ機械的に制御されている。 印字する文字等の情報が制御部16により決められると、制御部16は、走査ユニット15の動作に同期して、被印字体11上に記載すべき情報に応じてレーザ光13を変調制御する。 これにより、被印字体11上に所望の情報が印字される。

    また、本実施の形態の印字装置10は、GPS(Global Positioning System)センサ17を搭載している。 図1に示すように、GPSセンサ17を制御部16に接続し、当該制御部16の制御により被印字体11に対する印字内容にGPSセンサ17で得られた位置情報を含めることで、収穫場所や水揚げ場所を被印字体11に直接的に記録することが可能になる。 こうすることで、密漁や産地偽装に対する対策につながり、さらには本印字装置10で印字した魚のブランド価値の向上にもつながり、購入者に対して安心感を与えることができる。

    ここで、図2Aに示す印字装置のように、集光光学系14も制御部16に接続し、当該制御部16の制御により被印字体11の表面上にレーザ光13の集光点が来るように、集光光学系14に含まれるレンズ等の位置をリアルタイムに調整することで、より高精細な印字を行うことが出来るようになる。 例えば図2Aでは、投影装置117から被印字体11に所定のパターン(ここでは格子パターン)を照明し、その画像をカメラ18で撮影して制御部16で画像処理することで、どの走査位置の時にどの高さにレーザ光13を集光すればよいかを決定することができる。 得られた最適集光位置情報に応じて、例えば図2Bに示すように、集光光学系14を構成する複数のレンズ14a・14bの内、レンズ14bの位置を光軸方向に調整することで、リアルタイムに被走査体11上での光軸方向の集光位置を調整することが出来る。 例えば図2Bの場合、レンズ14bを光軸上後方14fに移動させることにより、集光位置をより前方に移動させることが出来る。 このようにすることで、被印字体11の形状によらず、被印字体11の表面11a上に常に集光位置を合わせることが可能になる。 尚、図2Aおよび図2Bに示した方法は、レーザ光13の焦点位置を被印字体11の形状に応じて調整する一例であり、他の方法でも実現することが可能である。 例えば、被印字体11の表面に照明するパターンは線状光を走査しても構わないし、他にもステレオカメラで被印字体11を撮影して画像処理により被印字体の形状を求めても構わない。

    図3に、印字装置10により情報が印字された被印字体11の表面11a近傍の拡大図を示す。 同図に示すように水分を含む被印字体11の表面11aにおける所定の印字領域11bに、ここでは産地、魚種、魚が獲れた年月日の例「大阪湾 黒鯛 08.01.01」が印字されている。 すなわち、この魚が大阪湾で2008年1月1日に獲れた黒鯛であることを示している。 なお、被印字体11は、図1および図2Aに示す載置台11cの上に載置され保持されている。

    次に、本実施の形態において、レーザ光13の波長に関し、350nm以上かつ550nm以下の範囲の波長帯域を用いる効果を、図4を用いて説明する。 図4は、光の波長に対する水の吸収係数の変化を示している。 従来の技術において印字装置のレーザ光には、いずれも波長が1μm以上の、Nd:YAGレーザ(吸収係数0.1cm −1 )、Er:YAGレーザ(吸収係数10000cm −1 )またはCO レーザ(吸収係数500cm −1 )が使用されている。 このような従来のレーザ光を使用すると、水に吸収される吸収係数が大きいため、印字装置で印字を行うときに被印字体に含まれる水分が加熱されすぎて水蒸気爆発が発生する。 被印字体に含まれる水分による水蒸気爆発は、被印字体の印字面にダメージを与えることとなる。 もし被印字体の細胞にダメージを与えてしまうと、空気中の細菌がダメージ部分を中心に繁殖し、細胞の鮮度が急速に低下する。

    図1および図2Aに示す本実施の形態1に係る印字装置10、20では、波長が350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光13を印字体11への印字に使用する。 この波長帯域は、図4に示すように、水の吸収係数が0.001cm −1以下の最も吸収係数が低い領域である。 この波長帯域の吸収係数は、従来のNd:YAGレーザと比較して2桁以上、Er:YAGレーザやCO レーザと比較して6桁以上低い値である。 本実施の形態の印字装置10、20は、水の吸収係数が0.001cm −1以下となる波長帯域のレーザ光13を印字に使用するので、被印字体11の表面11a近傍の内部の水分を過度に加熱して水蒸気爆発などを生じさせることがない。 このように、実施の形態の印字装置10、20は、レーザ光13の水分による吸収を小さくすることができるので、被印字体11に含まれる水分によるレーザ光13の吸収に起因する発熱を抑制することができる。 このため、水分を含む被印字体11にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる。 さらには、水分による吸収が少ないため、より少ないパワーで同様な印字が可能になり、印字に必要な電力を低減することが出来る。

    尚、本実施の形態において、走査ユニット15は、ポリゴンミラー15bと可動反射ミラー15cとを含む構成であるが、レーザ光13を被印字体11に対して相対的に二次元走査できれば、その他の構成であってもよい。 例えば、二次元MEMSミラー等を用いても構わないし、被印字体11を図示しないステージ等の上に配置し、レーザ光13を走査せずにステージを二次元的に動かしても構わない。

    尚、本実施の形態の図1や図2Aにおいて、被印字体11の印字領域11bとして、魚の腹部を図示しているが、他の部分でも構わない。 特に、魚の尾ひれ等のひれの部分に印字することは、魚へのダメージがさらに軽減され、例えば生態調査等で捕獲した魚にマーキングして放流する場合等では、マーキング後の魚の生存率の低下を防ぐことができるため、有効である。

    次にレーザ光源12に関して説明する。 レーザ光源12の波長は、350nm以上550nm以下であり、この波長領域において、高出力が得られる形態として、赤外レーザ光を波長変換することで得られる波長変換レーザ光が考えられる。 この場合、周期状の分極反転構造からなる非線形光学素子(波長変換素子)を用いるのが好ましい。 波長変換素子の結晶としてはMgO:LiNbO 、Mg:LiTaO 、KTPを用いることができ、その結晶構造としてはコングルエント組成、ストイキオメトリック組成、水晶、フッ化物結晶などがある。 例えば、基本波として波長1064nmのYAGレーザ等をこれらの波長変換素子に入射することで、波長532nmの緑レーザ光を第二高調波として得ることが出来る。 この場合、波長変換素子に入射する基本波としては、シングルモードのファイバーレーザから出射された基本波を用いることが望ましい。 例えば、コアの部分に希土類元素Ybなどがドープされ、両端にファイバーグレーティングにより共振器が形成されたダブルクラッドのファイバーレーザに対して、波長915nmや975nmの励起光を入射することで、横モードが本質的にシングルモードでありながら、ワットレベルの高出力な基本波を得ることが出来る。 そして、この基本波を波長変換素子に入射して得られる第二高調波もやはり横モードがシングルモードとなる。 例えば、基本波として波長1064nmの赤外光が得られる様にファイバーグレーティングを設定することで、第二高調波として532nmで横モードがシングルモードの高品質なビームが得られる。

    一般に、あるビーム径にレーザ光を集光する場合、そのビームウエスト位置から遠ざかるにつれて、レーザ光は拡がる特性を持っている。 その拡がり角は、波長が短いほど小さく、ビーム品質が良いほど小さい。 ビーム品質はM という値で定量化され、横モードがシングルモードのレーザ光のM は略1であり、モードが増えてビーム品質が劣化するに伴い、M 値は大きくなる。 前述の横モードがシングルモードであるファイバーレーザから出射された基本波を波長変換して得られた第二高調波は、横モードがシングルモードであるために、M 値は略1であるが、従来加工用で用いられていたCO レーザ等では、M 値は通常1.4程度の値を有しており、横モードはシングルモードではない。 例として、図5には、波長532nmでM =1.1のレーザ光、M =1.1のCO レーザ光(波長10.6μm)、M =1.4のCO レーザ光に関し、ビームウエスト径(直径、1/e )がそれぞれ100μmとなるまで各レーザ光を集光し、ビームウエスト近傍でレーザ光が拡がる様子を示した。 同じM 値であっても、波長532nmと波長10.6μmとでは、波長532nmの方がはるかに拡がりは小さい。 また、同じ波長であっても、M =1.4よりもM =1.1のレーザ光の方が拡がり角は小さいことがわかる。 よって、被印字体11の印字領域11bに多少凹凸があったとしても、波長532nmで横モードがシングルモードのレーザ光を用いたほうが、前記の各CO レーザ光を用いるよりも明らかに高精細に印字することが出来る。

    また、横モードがシングルモードであるファイバーレーザから出射された基本波を波長変換して得られた第二高調波(波長350nm以上550nm以下)を用いた場合、被印字体11の印字領域11bの凹凸が±20mm以下であって、印字するレーザ光のビーム径が200um以下の条件が許容されるのであれば、集光光学系14のレンズ14bの位置をフォーカス状態に応じて調整するような機構は不要となり、極めて簡便かつ低コストに印字装置10を構成することが可能になる。 一方で、M =1.1のCO レーザ光では凹凸が±2mmあるだけでもすでにビーム径は200μmを超えてしまい、M =1.4のCO レーザ光に至っては、±1mmの凹凸でもビーム径は200μmを超えてしまい、ピント位置を調整しないことには、凹凸のある被印字体に高精細な印字を行うことは出来ない。

    尚、ここでは、被印字体11は水分を含んでいるとしているが、上述した拡がり角を小さくする効果は、もちろん被印字体が水分を含んでいるか否かに関わらず有効であり、どのような被印字体であっても同様の効果を有する。

    ここで、レーザ光13は、CW(Continuous Wave)であっても構わないが、パルス光であると、より高精細に印字できる効果を有する。 パルス光による極短時間での照射により、レーザ光13が照射された位置での熱の発生を最小限に抑えることができるため、印字スポットサイズを最小現に抑えることが出来るのである。

    図6Aおよび図6Bは、本発明の実施の形態1に係る他の印字装置30の概略構成を示している。 図6Aに示す印字装置30は、図1や図2Aに示す印字装置10、20と略同様の構成であるが、被印字体11が載置台11cの代わりに水槽21に満たされた水22の中に置かれているところが異なる。 すなわち、印字装置30は被印字体11を水22の中に設置する水槽21をさらに備え、レーザ光13は、水22を介して被印字体11に照射される。 このような構成であっても、レーザ光13の波長が350nm以上かつ550nm以下のレーザ光であれば、水22による吸収がほとんどないために、水槽21に入射したレーザ光13のほとんどが被印字体11に到達することになる。 このため、エネルギーのロスが少なく、低消費エネルギーの印字装置を構成することが出来る。 図4に示したように、水22の吸収係数は波長532nmに対しては0.001cm −1であるが、YAGレーザ(波長1064nm)に対しては1cm −1 、CO レーザ(10.6μm)に対しては1000cm −1にもなる。 このため、同一光量のレーザ光であっても、532nmの波長のレーザ光では水中を1000cmも透過できるのに対し、YAGレーザでは1cm、CO レーザでは0.001cm程度しか透過できない。

    また、例えば水中で飼育していた魚を水中から取り出して印字すると、表面に水滴が付着している。 このため、印字するレーザ光がその水滴に入射すると、水滴がレンズの様に作用し、さらに水滴の収差により被印字体の表面でビームを集光することが困難な場合がある。 これに対して、本実施の形態の印字装置30のように、水槽21内に満たした水22の中に被印字体を配置した場合、印字に使用されるレーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下であるため、こういった水滴によるレーザ光の集光特性の悪化もなく、高精細な印字が出来るという利点がある。

    また、前述の通り、レーザ光13がパルス光であると、より高精細に印字できるが、この様に水中の被印字体11に対して印字することで、水22により冷却が促進されるため、さらに高精細に印字できるという利点もある。 例えば、被印字体11の非常に小さな領域に目立たないようにバーコード等を印字することも可能である。

    なお、このような印字装置30においては、水槽21の中をゆっくり泳いでいる魚類、蟹やエビなどの甲殻類、貝類などの生きている被印字体11に瞬時に温度上昇を伴わずに産地や捕獲の年月日などの記録を行うこともできる。 印字装置20の水槽21以外の構成要素の動作の説明については実施の形態1に係る印字装置10と同様であるので説明は省略する。

    また、図6Bに示すように、レーザ光13は、水槽21の底面21aおよび側面21bのうちのいずれかの面から水槽21に入射し、例えば側面21bの法線13dに対してブリュースター角θbで入射している。 レーザ光13が単一偏光で側面21bに対してP偏光で入射している場合、側面21bに対してこのようにブリュースター角θbの近傍の角度でレーザ光13を入射させると、側面21bでの反射をなくすことが出来る。 一方、印字用のCO レーザはランダム偏光で出射されているものがあり、その場合S偏光成分が必ず水槽への入射面で反射するため、たとえブリュースター角で水槽の表面に入射しても入射面での反射光は抑えられない。 これに対し、波長変換により得られた高調波は単一偏光であるため、水槽21の表面に対してP偏光でブリュースター角θbをもって入射することで、水槽21への入射面での反射を抑えることが出来る。 なお、ブリュースター角θb近傍以外の角度でレーザ光13を水槽21の表面に入射する場合、例えば側面31bに垂直に入射すると水槽表面から4%の反射光が生じることとなり、印字装置30を操作する人の眼の安全性などを確保するために特別な機構等を必要とする場合がある。 しかしながら、上述のようにブリュースター角θb近傍の角度でレーザ光13を水槽21の表面に入射することで、目にも安全で、かつ、ロスもなく高効率な印字装置30を構成することが出来る。 尚、水槽21の屈折率を1.5、水22の屈折率を1.33とすると、空気から水槽21に入射する場合のブリュースター角θbは56°に相当し、このブリュースター角θbで空気から水槽21に入射したレーザ光13は、水槽21内の水に対して、33°の角度で入射する。 このとき、水槽21と水の界面でのP偏光反射率は0.1%以下と、極めて低い反射率である。

    次に、印字スループットを向上させる方法を、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。 図7Aは水槽21の斜視図であり、図7Bは図7Aの水槽21の平面図である。 図7では、水槽21の中の水22を一方向(ここでは図中X方向)に強制的に流し、その中に被印字体11(ここでは魚)を流している。 その際、魚がX方向とは逆方向に向きを変えて泳がない様に、水槽のX方向(水流方向)に垂直な断面における幅Wおよび高さHを、魚のX方向の長さLよりも短くしておく。 こうすることで、魚は逆流することなくX方向に流されることになるため、この状態で次々に魚を水槽21中に入れ、水22に流される魚に対して印字することで、魚に連続的に印字することが可能になり、印字スループットを飛躍的に向上させることが出来る。 さらには、水槽21の幅Wを被印字体11の幅Dの2倍以下にしておくことで、被印字体11が二匹同時に流れることを防ぐことが出来るため、印字抜けをなくすことが出来る。 同様に、水槽21の高さHに関しても、被印字体11の高さの2倍以下にしておくことで、被印字体11が二匹同時に流れないように出来る。

    次に、図8は、本発明の実施の形態1に係る他の印字装置の要部を示す平面図である。 図8に示すように、被印字体11の表面11aに、少なくとも水分を含む水冷シート23(水冷部材)または水分を含む被膜をさらに配置し、レーザ光13を、この水冷シート23または被膜を介して被印字体11に照射する。 このような構成とすることにより、レーザ光13によって被印字体が発熱するのを防止することができる。 水による吸収係数の小さな可視レーザ光13を用いることで、水または水分を含む冷却シート23を介して被印字体11にレーザ光13を照射しても、途中の水分や冷却シート23に光が吸収されることがないため、レーザ光13のロスを受けること無く印字が可能となる。 さらに、冷却シート23の加熱や破損もないため、繰り返し冷却シート23を利用できるという利点もある。

    図9は、本実施の形態1に係る他の印字装置の要部を示す構成図である。 図9に示すように、レーザ光13を位相マスク24に通過させて、その干渉パターン26を対物レンズ25により縮小して被印字体11の表面11aにマーキングする。 このような構成により、被印字体11の表面11aに干渉パターン26による多彩な情報を記録することができる。 光の干渉により印字するので2次元のパターンを同時に印字することができる。 なお、位相マスク24の代わりに光学素子を使用してレーザ光13を分岐させることにより被印字体11の表面11aにおいて干渉パターン26を形成し、この干渉パターン26を表面11aに転写してマーキングを行っても構わない。

    図10Aは、図1や図2に示す印字装置10、20の載置台11cの上に果実であるりんごが被印字体11dとして置かれている場合の斜視図を示している。 また、図10Bは、図1や図2に示す印字装置10、20の載置台11cの上に卵が被印字体11eとして置かれている場合の斜視図を示している。

    一般的に魚介類の水分含有率は20%〜80%であって、甲殻類の甲羅等は20%程度と少ないものもあるが、魚類においては80%程度の水分を含有する。 また、りんご等の果物では水分を80%以上含有し、ピーマン等の野菜でも70%以上の水分を含有する。 また、卵の殻等であったとしても、0.2%程度の水分を含有している。 被印字体11は、少なくとも印字領域11bに水分を含んでおればよく、0.1%以上の水分含有率でも充分に本実施の形態の効果(水分を含む被印字体11にダメージを与えることなく高精細なマーキングを施すことができる等の効果)を奏する。 被印字体11の水分含有率が20%以上となればその効果はより高まり、さらに水分含有率が70%以上となればその効果は顕著となる。 このように、魚介類が被印字体11の場合と同様に、被印字体11が卵、魚介類、肉類、野菜、果物など、鮮度が要求される生鮮食料品などの場合でも、鮮度や品質を損なうことなく、これらの印字領域11bに産地や製造年月日などのマーキングを行うことができる。

    (実施の形態2)
    図11に本発明の実施の形態2に係る印字装置40の概略構成を示す。 印字装置40は、実施の形態1の印字装置10と同様であるが、レーザ光源12が波長の異なる複数の光源12a、12bを含んでおり、光源12a、12bから出射された各レーザ光は、ダイクロイックミラー31にて合波された後、印字装置10と同様の経路を経て被印字体11上に照射される。 ここで、複数の光源12a、12bのうちひとつを赤外レーザとした場合の利点を説明する。

    光源12aは波長350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光13aを出射し、光源12b(第2レーザ光出射部)は波長1um以上かつ20um以下の赤外レーザ光13bを出射する。 赤外レーザ光13bを可視レーザ光13aと同時または直前に照射することは、被印字体11の表面クリーニングに有効である。 被印字体11の表面が水分で覆われていて、水分が水滴となって付着していると、印字するレーザビームの集光スポットが変形するため印字精度が劣化するという問題が生じる。 このため、赤外レーザ光13bであらかじめ印字する部分の表面の水分を蒸発させておけば、被印字体11の表面クリーニングとなり印字精度が向上する。 また、印字する表面近傍の組織に水分を含む被印字体11の場合、水分量のバラツキにより印字の品質がばらつくという問題が生じる。 これを防止するには、水による吸収係数の高い赤外レーザ光13bを被印字体11の表面に照射して、この部分の水分量を低下させることで表面状態を均一化するという方法が取り得る。 同時に、表面近傍の水分量を低減させることで印字速度を向上させることができる。 このように、赤外レーザ光をレーザ印字の前処理として利用することで印字精度、印字スピードの向上、印字品質のばらつきの低減が可能となる。

    なお、赤外レーザ光を印字の前処理に使用する場合、赤外レーザ光13bの被印字体11上でのビーム径を、可視レーザ光13aの被印字体11上でのビーム径より大きくしておくことが望ましい。 これは、赤外レーザ光による表面クリーニングの範囲を印字範囲より広くとっておくことで、印字する表面を確実にクリーニングすることが出来るためである。

    また、図11に示す様に、例えば制御部16に接続された二次元温度センサ27で被印字体11の印字領域11bの温度を観測し、赤外レーザ光13bを照射した場所の温度が所定温度以上になる様に、制御部16を通して赤外レーザ光13bの出力を調整することで、印字する可視レーザ光13aが照射される場所の水分を確実に除去しておくことが出来る。 こうすることで、水滴や水分による印字品質の悪化を確実に防止し、情報を被印字体11に高精細に記録することが出来る。 図11では、二次元温度センサ27を用いた例を示したが、これに限定されない。 例えば、二次元温度センサ27の代わりCCDカメラ等で印字痕を観測し、印字痕の太さに応じて赤外レーザ光13bの出力を調整しても良いし、それ以外の方法を用いても構わない。

    また、実施の形態1で述べたような周期状の分極反転構造を持つ波長変換素子を用いて、赤外レーザ光を波長変換して得られた第二高調波を可視レーザ光として用いた場合、印字に用いる可視レーザ光と同軸上に、波長変換されなかった赤外光が存在するような構成を取ることが出来る。 一般的に、波長変換素子において波長変換すると基本波と高調波の出射方向が異なるが、周期状の分極反転構造を有する波長変換素子を用いれば、基本波と高調波の出射方向を同軸にすることが可能となる。 この場合、波長変換素子で波長変換されずに残った赤外光を前述の表面クリーニングに用いることが出来るというメリットもある。

    例えば、基本波として1064nmの赤外光を用いた場合、波長変換素子で波長変換された532nmの可視レーザ光13aで印字し、波長変換されずに残った1064nmの基本波(赤外レーザ光13b)で表面クリーニングを行うことが考えられる。 この場合に、印字の直前に赤外レーザ光13bを照射するためには、図12に示すように、レーザ光源(図示せず)と被印字体11との間に、プリズム32と対物レンズ33を設けた構成が考えられる。 この構成では、プリズム32の各レーザ光に対する屈折率差によりレーザ光13を可視レーザ光13aおよび赤外レーザ光13bに分岐させて、対物レンズ33により各レーザ光13a、13bを被印字体11の表面11aに集光する。 そして、矢印34に示す方向にレーザ光13a、13bを走査することで、先ずは赤外レーザ光13bにより印字する領域の表面11aの水分を蒸発させ、その後に可視レーザ光13aにより被印字体11に印字を行うようにすることが出来る。 こうすることで、図11の様に可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとを発生するために個別に光源を準備する必要がない。 また、波長変換素子を用いた構成においては本来廃棄していた赤外レーザ光を無駄にせずに用いることができる、電力的にもロスが少ない。 さらに、可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとを合波する必要もないため、可視レーザ光13aと赤外レーザ光13bとの位置を調整する必要もなく、コスト的にも有利である。 尚、赤外レーザ光13bと可視レーザ光13aとを同時に照射する場合は、図12に示すプリズム32や対物レンズ33は不要である。

    また、上述の通り、赤外レーザ光13bの被印字体11上でのビーム径は、可視レーザ光よりも大きいことが望ましい。 波長変換を行った場合、波長は基本波の方が第二高調波よりも二倍長いが、ファーフィールドでの基本波のビーム径は、第二高調波のビーム径に対して約√2倍の大きさであるため、ウエスト位置近傍でも、基本波のビーム径の方が約√2倍大きくなる。 よってこの観点からも、波長変換レーザは本構成にとって望ましい光源であると言える。

    ここで、可視レーザ光は前述の通りパルス光であることが望ましいが、赤外レーザ光はCW発振であることが望ましい。 これは、赤外レーザ光をパルスにすると、被印字体にダメージを与えてしまうためである。 よって、波長変換素子を用いたレーザ光源12の場合、基本波である赤外レーザ光13bはCWのまま、得られる第二高調波である可視レーザ光13aのみをパルス化することが望ましい。 この場合、第二高調波のみをパルス化するためには、以下に述べる様な波長変換のスイッチを利用することができる。

    第二高調波のみをパルス化する変調方法の一例として、波長変換素子に電圧を印可して位相整合状態をスイッチングする方法がある。 すなわち、波長変換素子に電圧が印可された時のみ位相整合条件が成立するようにし、電圧の印加状態と非印加状態とを周期的に切り換えることにより、第二高調波をパルス状にすることができる。 この場合、第二高調波の出力波形のduty比は数%以下であるため基本波は実行的にCW光に近い形で発生することになる。

    第二高調波のみをパルス化する他の方法としては、基本波の発振波長を変調することで第二高調波の出力をパルス化することが考えられる。 ファイバーレーザは発振波長のスイッチングが可能なため、基本波の発振波長を変調することで、第二高調波をスイッチングできる。 具体的には、ファイバーレーザで共振器を形成しているファイバーグレーティングのグレーティングのピッチを、アクチュエータ等で伸縮させて変調することで、発振波長をスイッチングすることが可能である。

    第二高調波のみをパルス化するさらに他の方法としては、基本波の強度を変調することが考えられる。 すなわち、図13Aに示すように、波長変換素子に入射する基本波にバイアスをかけて変調する。 基本波がパルス発振している状態において、基本波の波長はバイアスのみの発振時と比較してわずかに長波長側にシフトする。 このため、パルス光発生状態に位相が整合するように波長変換素子の位相整合温度を制御しておけば、図13Bに示すように、基本波がパルス発振するときにのみ第二高調波が発生することになる。 一方、波長変換素子を透過した基本波は、パルス発振時のみ波長変換されるため、図13Cに示すように、CWに近い形で発振する。 この波長変換素子を透過した基本波を用いて被印字体の前処理が可能となる。

    (実施の形態3)
    図14に本発明の実施の形態に係る印字装置50の概略構成を示す。 図11の印字装置40と同じく、レーザ印字を行う波長350nm以上かつ550nm以下の可視レーザ光源12aを有するが、もうひとつ、波長400nm以下の紫外レーザ光13cを出射する紫外レーザ光源12c(第3レーザ光出射部)を有する点が、図11の印字装置40とは異なる。 波長400nm以下の紫外光には、殺菌効果があるため、動植物における細菌の繁殖を低減する効果がある。 よって、波長400nm以下の紫外光を、印字を行うレーザ光の照射と同時または直後に、被印字体11に照射することで、レーザ印字部分を細菌の繁殖から防止できるというさらなる効果を有する。

    被印字体上で印字する可視レーザ光13aのビーム径に対して、殺菌に用いる紫外レーザ光13cのビーム径の方が大きいことが望ましい。 これは、印字部分の周辺までの雑菌を消滅させることで、印字部分での雑菌の低減効果が強化できるためである。

    また印字する可視レーザ光13aに対する紫外レーザ光13cのパワー密度は、1%以下に限定することが好ましい。 紫外レーザ光が印字するレーザ光強度の1%以上になると、紫外レーザ光13cにより被印字体11の変質が起きる場合がある。 この場合、印字される変色部分のラインの見栄えが悪くなるが、上記の通り印字する可視レーザ光13aに対する紫外レーザ光13cのパワー密度を1%以下に抑えることで、このような不都合を回避することが出来る。

    また、印字に用いる可視レーザ光源12aとして、波長405nmや375nmの半導体レーザ光源を用いても構わない。 波長375nmの場合であれば、殺菌効果も有するため、殺菌用の紫外レーザ光源12cと共通化することも出来る。 この場合、例えば図15の様に、ガラス板28を用いて単一の光源を分岐して、印字用と殺菌用に使い分けることが出来る。 ガラス板28の入射面28aに対して斜めに、集光されながら入射したレーザ光13は、その大部分がガラス板28の出射面28bから出射し、被印字体11の表面11aに入射して印字に用いられる。 ここで、出射面28bにAR(Anti-Reflection)コート等を施していない場合、約3%が出射面28bで表面反射して、図15の様にガラス板28内を逆向きに伝播する。 出射面28bで表面反射したレーザ光13が再び入射面28aに到達する位置に、反射率30%以下のコート29を施しておくと、入射面28aに到達したレーザ光13の30%以下が反射し、印字するレーザ光の1%以下のレーザ光が、広がった状態で印字光の近傍に入射することになる。 この状態で、図15中の矢印X方向に走査することで、印字した直後に殺菌可能となり、簡便かつコストにほとんど影響なく、単一の光源を使って印字と殺菌の両方を行うことが出来る。

    また、単一光源でパワーが不足している場合には、図16に示す印字装置60の様に、複数の可視レーザ光源12aをファイバ37にバンドルすることで高い出力になり、高速に印字することが可能である。

    さらに、実施の形態1で述べた波長変換素子によって1064nmの基本波を532nmの第二高調波に変換すると、1064nmと532nmの和周波、もしくは1064nmの第三高調波によって355nmの紫外レーザ光が発生する。 このとき、実施の形態2の赤外レーザ光13bと可視レーザ光13aとの光軸関係と同様に、355nmの紫外レーザ光13cと532nmの可視レーザ光13aとは同軸上に出力させることが出来る。 この時発生した355nmの紫外レーザ光13cを殺菌に、532nmの可視レーザ光13aを印字に用いることで、特別な光学系がなくとも、532nmの可視レーザ光13aで印字した箇所を355nmの紫外レーザ光13cで殺菌することが出来る。 さらには、この構成においては、実施の形態2で述べたとおり、1064nmの基本波(赤外レーザ光13b)も存在するため、印字領域の表面クリーニングも併せて行うことが出来る。 ここで、532nmの可視レーザ光13aによる印字に対して、1064nmの赤外レーザ光13bによる表面クリーニングを直前に、355nmの紫外レーザ光13cによる殺菌を直後に行うためには、図17に示す通り、図12と同様にプリズム32と対物レンズ33を透過させた状態でレーザ光を矢印34に示す方向に走査すればよい。

    上述の通り、被印字体11の表面でのビーム径は、印字に用いる可視レーザ光13aよりも紫外レーザ光13cの方が大きいことが望ましいが、光源に波長変換レーザを用いた場合、単純に同軸にある可視レーザ光13aと紫外レーザ光13cをレンズで集光すると、紫外レーザ光13cの方が、波長が短いために小さく集光される。 一般に、第三高調波もしくは和周波のウエスト径は、第二高調波のウエスト径に対して√(2/3)になる。 この様な同軸にある可視レーザ光13aと紫外レーザ光13cに対して、ビーム径を個々に調整するには、光ディスク(CD/DVD/BD等)のピックアップで用いられる、レンズ表面にレリーフホログラムを設けた二波長レンズの使用が有効である。 図17の対物レンズ33としてこの二波長レンズを用いることで、異なる波長のレーザ光に対して、それぞれ異なる収束特性を持たせることができ、光軸上の異なる位置にウエスト位置を配置できるため、被印字体11の表面にて、可視レーザ光13aに対して紫外レーザ光13cの方が大きいビーム径を持たせることが可能である。

    また、波長変換素子としては、実施の形態1と同様に、周期状の分極反転構造からなる非線形光学素子を用いるのが好ましい。 波長変換素子の結晶としてはMgO:LiNbO 、Mg:LiTaO 、KTPを用いることができ、その結晶構造としてはコングルエント組成、ストイキオメトリック組成、水晶、フッ化物結晶などがある。 周期状の分極反転構造を有する非線形光学結晶を用いる利点は、二つある。 一つ目の利点は、可視レーザ光と紫外レーザ光の強度を分極反転の周期構造により設計できることである。 前述したように、可視レーザ光に対して、紫外レーザ光の強度を押さえることが望ましい。 また印字する材料によって、可視レーザ光と紫外レーザ光の強度比を制御する必要がある。 この場合、周期状の分極反転構造の周期を設計することで可視レーザ光と紫外レーザ光の強度を設計することが可能となる。 例えば結晶の前半部分に可視レーザ光を発生する周期の分極反転を形成し、後半部分に紫外レーザ光を発生する周期の分極反転構造を形成することで、可視レーザ光と紫外レーザ光を同時に発生させることが可能となる。 もう一つの利点は、複数の波長のレーザ光の光軸を同一にできるノンクリティカルな位相整合が可能な点である。 実施の形態2でも述べたとおり、一般的に、波長変換素子において波長変換すると赤外レーザ光、可視レーザ光、紫外レーザ光の出射方向が異なる。 これを同軸にするには結晶の複屈折率を制御する必要があるため難しい。 これに対して、周期状の分極反転構造の波長変換素子を用いれば、赤外レーザ光、可視レーザ光、紫外レーザ光を同軸に発生させることが可能となる。 このため、本実施の形態の印字装置において、可視レーザ光と紫外レーザ光とを同軸で集光して印字する構成には有効である。

    なお、紫外レーザ光の波長としては、殺菌作用の大きな400nm以下が好ましいが、300nm〜400nmの範囲の波長がより好ましい。 図4に示したように、この範囲の波長は水の透過率が高いため、水分を含む被印字体の内部まで透過しやすく殺菌作用を及ぼす範囲が広がる。 これによって、生鮮食料品の鮮度低下を防止する効果がより高くなる。

    なお、本実施の形態では紫外光を発生させるものとしてレーザ光源を用いたが、LEDを使用することも可能である。 LEDランプでマーキング部分を照射しながら印字を行うことでも、殺菌作用が得られる。

    なお、本実施例では、印字に用いる可視レーザ光の集光スポットに対し、紫外レーザ光の集光スポットの方が大きくなるように各レーザ光を照射することで、印字しながら殺菌効果を持たせたが、図18に示すように、可視レーザ光ビーム形状34に対して紫外レーザ光ビーム形状35の方がビーム断面が大きい楕円形状とすることで、高速な印字に対応できる。 ビームの走査速度が速くなると紫外レーザ光が照射される時間が短くなり、殺菌作用が弱くなる。 しかし、殺菌作用を高めるために紫外レーザ光の強度が高くすると被印字体の変質、変色等が発生するという問題が発生する。 そこで、図18に示すように、紫外レーザ光ビーム形状35を、ビーム走査方向36に長軸を有する楕円形状とすることで、紫外レーザ光の強度を抑えた状態でその照射時間を長くすることが可能となり、高速な印字に対応できるのである。

    本発明の一局面に係る印字装置は、以上のように、被印字体に第1レーザ光を照射して、該被印字体の印字領域に情報を印字する印字装置であって、前記第1レーザ光を出射する光源と、前記第1レーザ光を前記被印字体の印字領域に集光する集光光学系と、前記第1レーザ光を走査する走査ユニットと、を含み、前記被印字体は、少なくとも前記印字領域に水分を含み、前記第1レーザ光の波長が350nm以上かつ550nm以下である。

    上記の構成によれば、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域の第1レーザ光を、印字領域に水分を含む被印字体に照射し、被印字体に情報を印字する。 ここで、350nm以上かつ550nm以下の波長帯域は、水の吸収係数が0.001cm −1以下であって、従来から印字に使用されている波長帯域と比較して2桁〜6桁以上も低い値である。 よって、被印字体の水分によるレーザ光の吸収を大幅に抑えることが出来る。 このため、被印字体に含まれる水分を過度に加熱して水蒸気爆発などを生じさせることがない。 したがって、被印字体にダメージを与えることなく、高精細な印字を施すことが出来る。 さらには、水分による吸収が少ないため、従来よりも小さいパワーで印字が可能になり、印字に要する電力を低減することも出来る。

    上記の構成において、前記光源は、横モードがシングルモードである基本波を出射するファイバーレーザと、前記基本波を第二高調波に波長変換する波長変換素子とを含み、前記第1レーザ光は前記第二高調波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記光源は、高出力な基本波を生成することが出来るファイバーレーザと波長変換素子を含み、横モードがシングルモードである基本波を第二高調波に波長変換する。 これにより、前記第1レーザ光のビーム品質を各段に向上させることができる。 すなわち、基本波を波長変換して得られる第二高調波は、横モードがシングルモードである高品質なビームとなる。 印字に供される第1レーザ光がこのような高品質な第二高調波であるため、拡がり角が小さく、より高精細な印字が可能となる。 さらに、高品質で拡がり角が小さい第1レーザ光を印字に用いるので、フォーカス調整を不要にすることも可能になり、低コストに印字装置を構成することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、波長が1μm以上かつ20μm以下の第2レーザ光を出射する第2レーザ光出射部をさらに含み、前記第1レーザ光の照射と同時または前記第1レーザ光の照射の直前に、前記第2レーザ光を、前記被印字体における前記第1レーザ光の照射部位に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体の印字領域に付着している水滴等を除去する表面クリーニングが、第1レーザ光の照射と同時またはその直前に可能になる。 すなわち、波長1um以上かつ20um以下の第2レーザ光は、水による吸収係数が高く、被印字体の印字領域に付着している水滴等の水分を蒸発させる。 もしも被印字体の印字領域に水滴等が付着していると、水滴によるレーザ光の集光特性が悪化したり、水分量のバラツキにより印字の品質にばらつきが生じたりする。 そこで、第2レーザ光による表面クリーニングにより被印字体の表面状態を均一化することで、印字精度および印字スピードの向上が図れるとともに、印字品質のばらつきの低減を図ることが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、前記第2レーザ光を第二高調波に波長変換する波長変換素子をさらに含み、前記第1レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第二高調波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第2レーザ光を波長変換素子で波長変換して第1レーザ光を生成するので、第1レーザ光と第2レーザ光とを発生させるための個別のレーザ光源を用意する必要がない。 さらに、第1レーザ光と第2レーザ光とを同軸上に出射することが出来るので、両レーザ光を合波する部材が不要である。 よって、低コストに印字装置を構成することが出来る。 さらに、前記第1レーザ光に波長変換されずに残った第2レーザ光を無駄なく表面クリーニングに使用することができるので、電力ロスの少ない高エネルギー効率の印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、前記第2レーザ光を、バイアス時とパルス発振時とで異なる波長で発振するようなバイアスを有するパルス光に変調して前記波長変換素子に入射させ、前記波長変換素子は、前記第2レーザ光のパルス発振時の波長で位相整合する位相整合温度を有することが好ましい。

    上記の構成によれば、第2レーザ光のパルス発振時にのみ第二高調波である第1レーザ光を発生させることが出来る。 一方、波長変換されずに波長変換素子を透過した第2レーザ光は略CW(Continuous Wave)となる。 このように、第1レーザ光のみをパルス発振させることができるため、被印字体での熱の発生を抑制して高精細な印字が可能になり、被印字体が略CWの第2レーザ光でダメージを受けることもない。

    上記の構成において、前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部をさらに含み、前記被印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きいことが好ましい。

    波長400nm以下の第3レーザ光には、殺菌効果がある。 よって、上記の構成によれば、被印字体の印字領域で、第3レーザ光のビーム径を第1レーザ光のビーム径よりも大きくすることで、被印字体の印字領域を確実に殺菌可能であり、細菌の繁殖を防止することができる。

    上記の構成において、前記第3レーザ光のパワー密度は、前記第1レーザ光のパワー密度より小さいことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体がダメージを受けることなく、印字領域を殺菌することが出来る。

    上記の構成において、前記光源は、波長が400nm以下の第3レーザ光を出射する第3レーザ光出射部を含み、前記印字体の印字領域での前記第3レーザ光のビーム径が、前記第1レーザ光のビーム径よりも大きく、前記第3レーザ光は、前記第2レーザ光を波長変換して得られた第三高調波、または前記第1レーザ光と前記第2レーザ光との和周波であることが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第3レーザ光と、第1および第2のレーザ光とを同軸に出射することが出来るため、各レーザ光を合波する部材が不要である。 よって、低コストに印字装置を構成することが出来る。 さらに、第1レーザ光や前記第2レーザ光を利用して第3レーザ光を生成するので、電力ロスの少ない高エネルギー効率の印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、前記被印字体の印字領域に配される、少なくとも水分を含む水冷部材をさらに含み、前記水冷部材を介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、水による吸収係数の小さな波長帯域の第1レーザ光を印字に用いるので、水分を含む水冷部材を介して被印字体に第1レーザ光を照射しても、水冷部材に第1レーザ光が吸収されることがない。 このため、被印字体を水冷部材で冷却しながら印字することができるため、印字領域の発熱を押さえ、被印字体に与えるダメージを抑制することが出来る。

    上記の構成において、位相マスクをさらに含み、前記位相マスクを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することで、前記被印字体の前記印字領域において干渉パターンを形成することが好ましい。

    上記の構成によれば、簡便に二次元のパターンを記録することが出来る。

    上記の構成において、GPSセンサをさらに含み、前記被印字体に印字する情報は、前記GPSセンサで検出した現在位置情報を含むことが好ましい。

    上記の構成によれば、密漁や産地偽装に対する対策につながり、さらには印字装置で印字した被印字体のブランド価値の向上につながり、購入者に対して安心を与えることができる。

    上記の構成において、前記被印字体を水の中に設置するための水槽をさらに含み、前記第1レーザ光を、前記水槽内の前記被印字体に照射することが好ましい。

    上記の構成によれば、前記第1レーザ光は、水による吸収が極めて少ないため、水槽内に設置された水中の被印字体に対しても印字することができる。 この場合、水槽外に取り出して記録したときの様に、水滴によるレーザ光の集光特性も悪化もなく、高精細な印字が出来る。

    上記の構成において、前記水槽内に所定方向の水流を発生させる水流発生部をさらに含み、前記水流に沿って流される前記被印字体に対して、前記第1レーザ光で印字を行うことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体を水流に沿って流しながら連続的に印字することが可能になり、印字スループットを飛躍的に向上させることが出来る。

    上記の構成において、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅および高さは、それぞれ、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向の長さよりも短いことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体が水流に逆らって逆向きに水槽内を流れることを防止できるため、印字スループットの向上を図ることが出来る。

    上記の構成において、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の幅は、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の幅の二倍より小さく、前記水槽における前記水流の方向に直交する断面の高さは、前記水流に沿って流される前記被印字体における前記水流の方向に直交する断面の高さの二倍より小さいことが好ましい。

    上記の構成によれば、被印字体が二つ同時に水槽内を流れることを防止できるため、印字抜けをなくすことが出来る。

    上記の構成において、前記第1レーザ光は、単一偏光であり、前記水槽の表面の法線に対してブリュースター角で入射することが好ましい。

    上記の構成によれば、水槽の表面での第1レーザ光の反射を抑えることができ、安全かつロスのない高効率な印字装置を実現することが出来る。

    上記の構成において、前記被印字体が、卵、魚介類、肉類、野菜、果物など、鮮度が要求される生鮮食料品であることが好ましい。

    上記のような卵、魚介類、肉類、野菜または果物からなる生鮮食料品を被印字体とすれば、印字後も生鮮食料品に殆どダメージを与えることなく商品価値の低下を招来することがないので、効果的である。

    本発明の他の局面に係る印字方法は、上記の何れかの構成の印字装置を用いた印字方法であって、前記被印字体の印字領域に、少なくとも水分を含む被膜または水冷シートを配置する工程と、前記被膜または水冷シートを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射する工程とを含んでいる。

    上記の構成によれば、被印字体を水冷部材で冷却しながら印字することができるため、印字領域の発熱を押さえ、被印字体に与えるダメージを抑制することが出来る。

    本発明のさらに他の局面に係る印字方法は、上記の何れかの構成の印字装置を用いた印字方法であって、前記第1レーザ光の光路内に位相マスクを配置する工程と、前記位相マスクを介して、前記第1レーザ光を前記被印字体に照射することで、前記被印字体の前記印字領域において干渉パターンを形成する工程とを含んでいる。

    上記の構成によれば、簡便に二次元のパターンを記録することが出来る。

    なお、発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。

    本発明は、レーザ光が被印字体に含まれる水分に吸収されることを抑制することにより被印字体の印字領域の温度上昇を抑えて、被印字体の表面のみに高精細なマーキングを施す印字装置を提供するものであり、食品全般に有用なマーキングを簡単に低コストで施すことができる。 したがって、食品の出所や製造年月日および賞味期限の表示などの品質管理に活用することができ有用である。

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