基板接合装置および基板接合方法 |
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申请号 | JP2016515231 | 申请日 | 2015-04-24 | 公开(公告)号 | JPWO2015163461A1 | 公开(公告)日 | 2017-05-25 |
申请人 | 須賀 唯知; 唯知 須賀; ボンドテック株式会社; | 发明人 | 須賀 唯知; 唯知 須賀; 山内 朗; 朗 山内; | ||||
摘要 | 基板 接合装置(100)は、 真空 チャンバ(200)と、第1基板(301)および第2基板(302)の接合面を活性化させる表面活性化処理部(610)と、2つの接合面を 接触 させることにより、基板(301,302)を接合するステージ移動機構(403,404)とを備える。真空チャンバ(200)内において接合面を活性化させる際には、接合面を活性化させる粒子ビームの照射と共に、シリコン粒子が接合面に照射される。これにより、基板(301,302)の接合強度を向上することができる。 | ||||||
权利要求 | 基板接合装置であって、 真空チャンバと、 前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させ、少なくとも一方の接合面に前記粒子ビームの照射と並行してシリコン粒子を照射する表面活性化処理部と、 前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、 を備える。 請求項1に記載の基板接合装置であって、 前記表面活性化処理部が、粒子ビーム源として高速原子ビーム源またはイオンビーム源を含み、前記粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、シリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 請求項2に記載の基板接合装置であって、 前記放電室において放出孔に対向する部位が、シリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 請求項2または3に記載の基板接合装置であって、 前記放出孔の穴表面がシリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 請求項2ないし4のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記放出孔を形成する部材の内側が緻密化されたカーボンで形成される。 請求項2ないし5のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記放電室が、 シリコンよりイオン化率が高い材料からなる筐体と、 前記筐体の内面上に張り合わされたシリコン部材またはシリコンを含む部材と、 を備える。 請求項2ないし6のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記放電室の内面の少なくとも一部が、緻密化されたカーボンで形成される。 請求項2ないし7のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記放電室の内面の少なくとも一部が、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属で形成される。 基板接合装置であって、 真空チャンバと、 前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、 前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、 を備え、 前記高速原子ビーム源の陽電極となるロッドの表面が、金属により形成される。 請求項1に記載の基板接合装置であって、 前記表面活性化処理部により、前記少なくとも一方の接合面と共にシリコン部材に前記粒子ビームが照射される。 請求項1ないし10のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記表面活性化処理部による処理後に、前記2つの接合面に対して親水化処理を行う親水化処理部をさらに備える。 基板接合装置であって、 真空チャンバと、 前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、 前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、 を備え、 前記表面活性化処理部が、粒子ビーム源として高速原子ビーム源またはイオンビーム源を含み、 前記粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、緻密化されたカーボンで形成される。 基板接合装置であって、 真空チャンバと、 前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、 前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、 を備え、 前記表面活性化処理部が有する粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属で形成される。 基板接合装置であって、 真空チャンバと、 前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる高速原子ビーム源と、 ビーム源移動機構と、 前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、 を備え、 前記高速原子ビーム源が、 上下に放出孔を有する放電室と、 前記放電室内に配置された陽電極と、 を備え、 前記2つの基板の2つの接合面が、前記真空チャンバ内にて対向し、 前記ビーム源移動機構が、前記高速原子ビーム源を、前記2つの接合面の間にて前記2つの接合面に平行に移動する。 請求項14に記載の基板接合装置であって、 前記放電室の内面の少なくとも一部が、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属にて形成される。 請求項14または15に記載の基板接合装置であって、 前記放電室の内面の少なくとも一部が、緻密化されたカーボンにて形成される。 請求項14ないし16のいずれかに記載の基板接合装置であって、 前記放出孔を含む部材が、シリコンまたはシリコンを含む材料にて形成される。 請求項17に記載の基板接合装置であって、 前記放出孔の穴表面がシリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 請求項17または18に記載の基板接合装置であって、 前記放出孔を形成する部材の内側が緻密化されたカーボンで形成される。 基板接合方法であって、 a)真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させ、少なくとも一方の接合面に前記粒子ビームの照射と並行してシリコン粒子を照射する工程と、 b)前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する工程と、 を備える。 請求項20に記載の基板接合方法であって、 前記a)工程において、前記少なくとも一方の接合面と共にシリコン部材に前記粒子ビームが照射される。 請求項20または21に記載の基板接合方法であって、 前記a)工程の後、かつ、前記b)工程の前に、前記2つの接合面に対して親水化処理を行う工程をさらに備える。 基板接合方法であって、 a)真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させ、連続して真空チャンバ内において b)前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を直接接合する工程と、 を備え、b)の工程において、3E-6Paより大気圧に近い真空度で接合が行われる。 基板接合方法であって、 a)真空チャンバ内において、2つの接合面が対向する2つの基板の間にて、放電室の前記2つの接合面にそれぞれ対向する2つの部位に放出孔を有する高速原子ビーム源を、前記2つの接合面に平行に移動することにより、粒子ビームを前記2つの接合面に同時に照射して前記2つの接合面を活性化させる工程と、 b)前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する工程と、 を備える。 請求項24に記載の基板接合方法であって、 前記放電室の内面の少なくとも一部が、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属にて形成される。 請求項24または25に記載の基板接合方法であって、 前記放出孔を含む部材が、シリコンまたはシリコンを含む材料にて形成される。 請求項26に記載の基板接合方法であって、 前記放出孔の穴表面がシリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 請求項26または27に記載の基板接合方法であって、 前記放出孔を形成する部材の内側が緻密化されたカーボンで形成される。 |
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说明书全文 | 本発明は、基板を接合する技術に関する。 エレクトロニクスの分野では、デバイス実装の更なる高密度化と効率化が求められている。 そこで、既に半導体集積回路や電気配線が形成された基板を他の同様の基板と接合する三次元実装と呼ばれる接合技術が注目を集めている。 この方法により、COC(チップオンチップ)、COW(チップオンウエハ)、WOW(ウエハオンウエハ)とチップレベルからウエハレベルまでの3次元実装があるが、ウエハオンウエハ(WoW、Wafer−On−Wafer)またはウエハレベルパッケージング(WLP、Wafer−Level Packaging)呼ばれるようなより面積の大きいウエハに適用することで、ウエハの面に垂直方向に電気素子や回路を積層することが可能になる。 また、ウエハの面方向に一度に、片方の基板上に形成された電気回路または電気配線を、他の基板上の対応する電気回路または電気配線と接合することができる。 したがって、この技術により、半導体集積回路の3次元実装と製造方法の効率化との両方が同時に可能になる。 ウエハの表面には上記電気回路等と電気的に接続された、または、接続される金属領域が設けられており、接合工程でこれらの金属領域間で電気的接続が確立されることで、ウエハ間での電気的接続が確立される。 一般的に、接合工程においては、まず、接合されるウエハの、対応する金属領域間で、ウエハ面方向の位置合わせがなされる。 次に、金属領域が互いに接触するようにウエハ同士が近づけられ、さらにウエハ面垂直方向に力が加えられる。 そして、比較的高温に加熱されることにより、金属領域間で原子の拡散が生じて電気的接続が確立される。 ところで、高温下での接合は、薄いウエハや熱膨張率が異なる異種材料間での接合には不向きである。 そこで、イオンビームや高速原子ビームを接合面に照射して金属領域に表面活性化処理を行った後に、金属領域同士が接触するようにウエハの接合面同士を貼り合わせて加熱することにより、比較的低温にてウエハを接合する技術が提案されている。 一方、表面活性化接合技術は、酸化珪素、窒化珪素、クオーツ等のイオン性結晶の部材の接合には適していない。 そこで、特開2004−337927号公報(文献1)では、不活性ガスイオンビームまたは不活性ガス中性原子ビームと共に、金属イオンビームまたは金属中性原子ビームを照射することにより、基板の接合面上に金属薄膜を形成して、イオン性結晶の部材であっても表面活性化により接合を行う技術が開示されている。 金属イオンビームまたは金属中性原子ビームの照射は、ビーム源のグリッドを金属により形成することにより、実現している。 特開2007−324195号公報(文献2)では、真空チャンバや基板を支持するステージをステンレス鋼により形成し、イオンガンからの荷電粒子がこれらの部材に衝突することにより、接合面の表面活性化時に、活性表面に複数種類の金属を含める技術が開示されている。 特開2008−62267号公報(文献3)では、複数種類の金属を効率よく活性表面に含めさせるためのターゲットの配置が開示されている。 なお、国際公開第2012/105474号(文献4)には、シリコンターゲットをスパッタすることにより、基板の接合面上にシリコン薄膜を形成し、シリコン薄膜を利用して基板同士を接合する技術が開示されている。 文献1ないし4に例示されるように、表面活性化を利用する様々な接合方法が提案されている。 本発明は、基板接合装置に向けられており、基板の接合強度を向上するさらに新規な手法を提供することを目的としている。 本発明の好ましい一の形態に係る基板接合装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させ、少なくとも一方の接合面に前記粒子ビームの照射と並行してシリコン粒子を照射する表面活性化処理部と、前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構とを備える。 基板接合装置では、表面活性化時に接合面にシリコン粒子を照射することにより、基板の接合強度を向上することができる。 また、真空度が悪化しても接合強度を維持することができる。 好ましくは、前記表面活性化処理部は、粒子ビーム源として高速原子ビーム源またはイオンビーム源を含み、前記粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、シリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 さらに好ましくは、前記放電室において放出孔に対向する部位が、シリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 さらに好ましくは、前記放出孔を形成する部材の内側が緻密化されたカーボンで形成される。 これにより、パーティクルの発生を低減することができる。 好ましい一の形態では、前記放電室は、シリコンよりイオン化率が高い材料からなる筐体と、前記筐体の内面上に張り合わされたシリコン部材またはシリコンを含む部材と、を備える。 好ましくは、前記放電室の内面の少なくとも一部は、緻密化されたカーボンで形成される。 これにより、パーティクルの発生を低減することができる。 好ましくは、前記放電室の内面の少なくとも一部は、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属で形成される。 基板接合装置は、好ましくは、前記表面活性化処理部による処理後に、前記2つの接合面に対して親水化処理を行う親水化処理部をさらに備える。 本発明の好ましい他の一の形態に係る基板接合装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、を備え、前記高速原子ビーム源の陽電極となるロッド表面が、金属により形成される。 本発明のさらに好ましい他の一の形態に係る基板接合装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、を備え、前記表面活性化処理部が、粒子ビーム源として高速原子ビーム源またはイオンビーム源を含み、前記粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、緻密化されたカーボンで形成される。 本発明の好ましいさらに他の一の形態に係る基板接合装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる表面活性化処理部と、前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、を備え、前記表面活性化処理部が有する粒子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属で形成される。 本発明の好ましいさらに他の一の形態に係る基板接合装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内において、2つの基板の2つの接合面に粒子ビームを照射して前記2つの接合面を活性化させる高速原子ビーム源と、ビーム源移動機構と、前記2つの接合面を接触させることにより、前記2つの基板を接合する基板移動機構と、を備え、前記高速原子ビーム源が、上下に放出孔を有する放電室と、前記放電室内に配置された陽電極と、を備え、前記2つの基板の2つの接合面が、前記真空チャンバ内にて対向し、前記ビーム源移動機構が、前記高速原子ビーム源を、前記2つの接合面の間にて前記2つの接合面に平行に移動する。 粒子ビーム源が、上下に放出孔を有するため、粒子ビーム源の製造コストを削減することができる。 本発明は、基板接合方法にも向けられている。 上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。 本願において、ウエハ(以下、「基板」という。)は、板状の半導体を含むが、これに限定されない。 「基板」は、半導体以外にも、ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等の材料、または、これらの材料のうち複数の材料を利用した複合材料により形成されてもよい。 基板の材料には、剛性が高い材料も低い材料も含まれる。 「基板」は、円形、長方形等の種々の形状に形成される。 上記基板は、例えば、接合面に金属領域が形成された基板でもよく、あるいは、接合面に金属領域等が設けられないベアガラスやベアSi基板でもよい。 接合面に金属領域が設けられた一対の基板が、貼り合わせにより接合される場合、例えば、一方の基板の金属領域と他方の基板の金属領域とは、互いに対応する位置関係を有するように形成されている。 双方の基板の金属領域同士が接合されることにより、基板間で電気的接続が確立され、所定の機械的強度が得られる。 また、接合面には、接合に寄与しない金属領域があってもよく、他の基板の非金属領域と接合される金属領域があってもよい。 また、「基板」は、複数のチップが2次元的に配置された集合体、例えばウエハからダイシングされ粘着シート上に配置されたものも含む。 さらには、「基板」は、1つのチップまたは複数の層のチップが接合されることで形成されたチップと基板とを含む構造体も含む。 ここで「チップ」とは、半導体部品を含む成型加工半導体の板状部品、パッケージされた半導体集積回路(IC)等の電子部品等を示す広い概念の用語として与えられる。 「チップ」には、一般に「ダイ」と呼ばれる部品や、基板よりも寸法が小さくて、複数個を当該基板に接合できるほどの大きさを有する部品または小型の基板も含まれる。 また、電子部品以外に、光部品、光電子部品、機械部品も「チップ」に含まれる。 図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板接合装置100の構成を示す正面図である。 図1では、基板接合装置100の内部の概略構造を示す。 なお、以下の各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示す。 なお、Z方向を便宜上、上下方向とも呼ぶが、Z方向は必ずしも上下方向に一致する必要はない。 <第1の実施の形態> 表面処理部600は、Z方向において互いに対向して支持された基板301,302の表面に対して表面処理を行う。 以下、基板301,302をそれぞれ、「第1基板301」および「第2基板302」とも呼ぶ。 図1では、第1基板301が第2基板302の下方((−Z)側)に配置されるが、第1基板301は第2基板302の上方((+Z)側)に配置されてもよい。 コントローラ700は、上述の各構成と接続され、これらの構成からの情報を受信し、演算し、各構成に指令を出すように、プログラムを搭載するコンピュータである。 真空チャンバ200は、基板支持部400の後述のステージ401,402と表面処理部600とを収容する。 また、真空チャンバ200は、内部を真空引きするための真空引き部として、真空ポンプ201を備える。 当該真空ポンプ201は、排気管202と排気弁203とを介して真空チャンバ200内の気体を外部に排出するように構成されている。 真空ポンプ201の吸引動作に応じて真空チャンバ200内の圧力が低減(減圧)されることにより、真空チャンバ200内の雰囲気は真空または低圧状態にされる。 また、排気弁203は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ200内の真空度を制御および調整することができる。 真空ポンプ201は、真空チャンバ200内の気圧を1Pa(パスカル)以下にする能力を有する。 真空ポンプ201は、以下で説明する表面処理部600が作動する前のバックグラウンド圧力を、1×10 −2 Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。 真空ポンプ201は、表面処理部600の後述するライン式粒子ビーム源601が1eVから2keVの運動エネルギーを有する粒子(エネルギー粒子)を放射する場合には、1×10 −5 Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。 これにより、ライン式粒子ビーム源601による基板301,302の表面活性化処理の際に、雰囲気中に存在する不純物の量を低減させ、表面活性化処理後に、新生表面の不要な酸化や新生表面への不純物の付着等を防止することができる。 さらに、ライン式粒子ビーム源601は、比較的高い加速電圧を印加することができるので、比較的高い真空度では、高い運動エネルギーを粒子に付与することができる。 したがって、効率良く表面層の除去および新生表面のアモルファス化を行い、基板301,302の表面を活性化することができると考えられる。 真空ポンプ201の作動により比較的高い真空に引くことで、粒子ビームの照射により基板表面の表面層から除去された物質が効率良く雰囲気(真空チャンバ200)外へと排気される。 すなわち、露出された新生表面へ再び付着し汚染するような、望ましくない物質が雰囲気外へ効率良く排気される。 基板支持部400は、基板301,302を支持するステージ401,402と、それぞれのステージを移動させるステージ移動機構403,404と、Z軸方向に基板同士を加圧する際の圧力を測定する圧力センサ408,411と、基板を加熱する基板加熱部420とを備える。 ステージ移動機構403,404は、基板301,302を移動する基板移動機構である。 第2ステージ移動機構404は、XY方向並進移動機構405、Z方向昇降移動機構406およびZ軸周り回転移動機構407を備える。 基板301,302は、ステージ401,402の支持面に取り付けられる。 ステージ401,402は、機械式チャック、静電チャック等の保持機構を有し、これにより基板を支持面に固定して保持し、または、保持機構を開放することで基板を取り外すことができるように構成されている。 以下、ステージ401,402をそれぞれ、「第1ステージ401」および「第2ステージ402」とも呼ぶ。 図1において下側の第1ステージ401は、スライド式の第1ステージ移動機構403に接続される。 これにより、第1ステージ401は、真空チャンバ200に対して、または、上側の第2ステージ402に対してX方向に並進移動することができる。 図1において上側の第2ステージ402は、アライメントテーブルとも呼ばれるXY方向並進移動機構405に接続される。 アライメントテーブル405により、第2ステージ402は真空チャンバ200に対して、または、下側の第1ステージ401に対して、XY方向に並進移動することができる。 Z方向昇降移動機構406は、アライメントテーブル405に連結される。 Z方向昇降移動機構406により、第2ステージ402は、上下方向(Z方向)に移動し、両ステージ401,402間のZ方向の間隔を変え、または、調節することができるように構成されている。 また、両ステージ401,402は、保持する基板301,302の対向する接合面同士を接触させ、または、接触後に加圧することができる。 Z方向昇降移動機構406には、そのZ軸に係る力を測定するZ軸圧力センサ408が配置され、これにより加圧下で接触している接合面に垂直方向に係る力を測定し、接合面に係る圧力を計算することができる。 Z軸圧力センサ408には、例えばロードセルを用いてもよい。 アライメントテーブル405と第2ステージ402との間には、3つのステージ圧力センサ411と、各ステージ圧力センサ411においてZ軸方向にピエゾアクチュエータ412とが設けられている。 各ステージ圧力センサ411とピエゾアクチュエータ412の組は、第2ステージ402の基板支持面上の非同一線上の異なる3つの位置に配置されている。 より詳細には、3つのステージ圧力センサ411と、3つのピエゾアクチュエータ412とにより構成される各組は、略円柱状の第2ステージ402の略円形上面内の外周部付近において略等角度間隔で配置されている。 また、3つのステージ圧力センサ411は、対応する各ピエゾアクチュエータ412の上端面とアライメントテーブル405の下面とを接続している。 これにより、ステージ圧力センサ411により基板の接合面に掛かる力、または、圧力の分布を測定することができる。 そして、ピエゾアクチュエータ412を互いに独立にZ方向に伸縮させることで上記力、または、圧力の分布を微細または正確に調節し、あるいは、基板の接合面に掛かる力または圧力を、接合面に亘って均一、または、所定の分布にするように制御することができる。 Z軸周り回転移動機構407は、第2ステージ402をZ軸周りに回転させることができる。 Z軸周り回転移動機構407により、第2ステージ402の第1ステージ401に対するZ軸周りの相対的な回転位置θを制御して、両基板301,302の回転方向の相対的位置を制御することができる。 基板接合装置100は、基板301,302の相対的位置関係を測定するための位置測定部500として、窓503と、光源(図示せず)と、複数のカメラ501,502とを備える。 窓503は、真空チャンバ200に設けられる。 複数のカメラ501,502は、光源から発せられ両基板301,302のマークが設けられた部分(図示せず)および上記窓503を通過して真空チャンバ200の外部に伝播する光と、上記マークの影とを撮像する。 位置測定部500は、Z方向に伝播する光をXY面方向に屈折させるミラー504,505を有し、カメラ501,502はY方向に屈折した光を撮像するように配置されている。 この構成により、Z軸方向の装置の大きさを小さくすることができる。 図1では、カメラ501,502は、それぞれ、同軸照明系を有している。 光源は、第1ステージ401の上側に設けられてもよく、また、カメラ501,502側からその光軸を進む光を発するように設けられてもよい。 なお、カメラ501,502の各同軸照明系の光としては、基板301,302のマークが附された部分および両ステージ等の光が通過すべき箇所を透過する波長領域(例えば基板がシリコンで出来ている場合には、赤外光)の光を用いる。 本基板接合装置100は、上記位置測定部500と、ステージの位置決めをするステージ移動機構403,404と、これらに接続されたコントローラ700とを用いて、水平方向(XおよびY方向)並びにZ軸周りの回転方向(θ方向)について、基板301,302の各々の真空チャンバ200内の位置(絶対的位置)、または、基板301,302間の相対的位置とを測定および制御することができるように構成されている。 基板301,302には、測定用の光が通過する箇所が規定されており、ここにマークが附されていて、通過光の一部を遮断または屈折させる。 カメラ501,502が通過光を受光すると、明視野像である撮影画像内でマークは暗く現れる。 マークは、好ましくは、基板に複数個、例えば基板の対向する2つの角に設けられている。 これにより、複数個のマークの位置から、基板301または基板302の絶対的位置を特定することができる。 図1のステージ401,402は、それぞれ基板加熱部420として、ヒータ421,422を内蔵している。 ヒータ421,422は、ステージ401,402に支持されている基板301,302を、ステージ401,402を介して加熱する。 ヒータ421,422を制御することにより、基板301,302の温度や基板301,302の接合面の温度を調節し制御することができる。 表面処理部600は、表面活性化処理部610と、親水化処理部620とを備える。 なお、後述するように、基板接合装置100では、親水化処理部620を利用しない動作が行われてもよい。 表面活性化処理部610として、例えば、イオンや中性原子の粒子ビーム源を採用することができる。 これにより、基板301,302の接合面を形成する物質を物理的に弾き飛ばす現象(スパッタリング現象)を生じさせ、表面層を除去することができる。 表面活性化処理には、表面層を除去して接合すべき物質の新生表面を露出させるのみならず、所定の運動エネルギーを有する粒子を衝突させることにより、露出された新生表面近傍の結晶構造を乱し、アモルファス化する作用もあると考えられている。 アモルファス化した新生表面は、原子レベルの表面積が増え、より高い表面エネルギーを有するため、その後に親水化処理が行われる場合は、単位表面積当たりの水酸基(OH基)の数が増加すると考えられる。 なお、従来のウェット処理による表面の不純物の除去工程後に化学的に親水化処理する場合には、所定の運動エネルギーを有する粒子の衝突に起因する新生表面の物理的変化がないので、上述の表面活性化処理に続く親水化処理は、この点で従来の親水化処理とは根本的に異なると考えられる。 ここで、「アモルファス化した表面」または「結晶構造が乱れた表面」とは、具体的に表面分析手法を用いた測定により存在が確認されたアモルファス層または結晶構造が乱れた層を含むとともに、粒子の照射時間を比較的長く設定した場合、または、粒子の運動エネルギーを比較的高く設定した場合に想定される結晶表面の状態を表現する概念的な用語であって、具体的に表面分析手法を用いた測定によりアモルファス層または結晶構造が乱れた表面の存在が確認されていない表面をも含むものである。 また、「アモルファス化する」または「結晶構造を乱す」とは、上記アモルファス化した表面、または、結晶構造が乱された表面を形成するための動作を概念的に表現したものである。 表面活性化処理に用いる粒子として、例えば、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガスまたは不活性ガスを採用することができる。 これらの希ガスは、比較的大きい質量を有しているので、効率的に、スパッタリング現象を生じさせることができ、新生表面の結晶構造を乱すことも可能になると考えられる。 親水化処理を行う場合は、表面活性化処理に用いる粒子として、酸素や窒素のイオン、原子、分子等を採用することもできる。 酸素イオンを用いて表面活性化処理を行うことで、表面層を除去した後に新生表面上を酸化物の薄膜で覆うことが可能になる。 新生表面上の酸化物の薄膜は、その後の親水化処理における、水酸(OH)基の結合または水の付着の効率を高めると考えられる。 表面活性化される接合面に衝突させる粒子の運動エネルギーは、1eV〜2keVであることが好ましい。 上記の運動エネルギーにより、表面層におけるスパッタリング現象が効率良く生じると考えられる。 除去すべき表面層の厚さ、材質等の性質、新生表面の材質等に応じて、上記運動エネルギーの範囲から所望の運動エネルギーの値を設定することもできる。 表面活性化される接合面に衝突させる粒子を接合面に向けて加速することにより、当該粒子に所定の運動エネルギーを与えることができる。 図2は、表面活性化処理部610の斜視図である。 図1および図2に示す例では、表面活性化処理部610は、ライン式粒子ビーム源601と、遮蔽部材602と、ビーム源移動機構603とを備える。 ビーム源移動機構603は、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを、基板301,302の接合面(すなわち、表面活性化処理の対象となる対象面)に略平行に移動する。 ビーム源移動機構603は、ライン式粒子ビーム源601および遮蔽部材602を、基板301,302の間の空間へと挿入し、また、当該空間から退避させる。 また、ビーム源移動機構603は、ライン式粒子ビーム源601および遮蔽部材602を、ライン式粒子ビーム源601等のライン方向(X方向)周りに揺動する。 図2に示すように、ライン式粒子ビーム源601は、ライン方向または長手方向がX方向に平行になるように配置されている。 ライン式粒子ビーム源601は、中性原子である粒子に所定の運動エネルギーを与え、当該粒子を基板301,302の接合面に向けて放射する。 遮蔽部材602は、長方形の板状に形成され、ライン式粒子ビーム源601のライン方向と平行に、X方向と平行になるように配置されている。 遮蔽部材602の長手方向の長さは、ライン式粒子ビーム源601の長手方向の長さとほぼ同じである。 ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、ビーム源移動機構603により、そのY方向の間隔を一定に保ちつつ、両者の長手方向にほぼ垂直方向であるY方向に並進移動する。 ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との間のY方向の間隔を一定に保つために、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを機械部材で連結してもよい。 また、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを同じ速度で移動させることにより、Y方向の間隔を一定に保ってもよい。 Y方向に張られた複数のリニアガイド604,605,606は、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との長手方向の両端を支持しつつ、Y方向に所望の距離を並進移動させ、または、所望の位置に位置決めさせることができる。 リニアガイド604は、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのそれぞれの一端をY方向に移動可能に支持している。 このリニアガイド604は、Y方向に延びるネジ604aと、ネジ604aの長手方向の回転により動くナット604bと、ネジ604aを回転させるサーボモータ604cとを備える。 ナット604bは、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とをX方向の各回転軸周りに回転可能に、かつ、XYZ方向に固定して支持している。 ナット604bは、図2においては、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との間のY方向の間隔または距離を一定に保つ機能も有している。 リニアガイド605,606は、Z方向にずれて平行に配置されていて、それぞれ、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との他端をY方向に移動可能に支持している。 さらに、リニアガイド605,606は、回転式リニアガイドであり、それぞれの長手軸方向の軸周りに回転可能であり、当該回転を、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのライン方向(X方向)の回転軸609a,609b周りの回転運動に変換して伝達する機構を有している。 具体的には、各回転式リニアガイド605,606は、Y方向に平行移動可能な回転ギア607L,608Lを有し、それぞれ、ライン式粒子ビーム源601に連結された回転ギア607Gと遮蔽部材602に連結された回転ギア608Gと歯車で連結されている。 回転ギア607L,608L,607G,608Gは、傘歯車であり、噛み合う回転ギア間で回転運動を垂直回転軸周りの回転運動に変換して伝達することができる。 これらのギアには、傘歯車を用いているが、これに限られない。 例えばウォームギアを採用してもよい。 表面活性化処理部610では、回転式のリニアガイド605,606をY方向軸周りに回転または揺動させ、この回転角によって、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのX方向軸周りの揺動を制御または設定することができる。 また、回転式のリニアガイド605,606は、それぞれ個別にライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とに連結され、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのX方向軸周りの回転角を独立に制御または設定することができるように構成されている。 ライン式粒子ビーム源601は、回転軸609a周りで基板301の接合面に対して所定の角度を保ったまま、粒子ビームBを放射しつつ、基板301上をY方向に並進移動することができる。 ある時刻において、ライン式粒子ビーム源601は、基板301上のX方向に伸びた帯状のビーム照射領域Rを粒子ビームBで照射しており、Y方向の並進移動にともない、照射領域Rは基板301の接合面をスキャンする。 遮蔽部材602は、ライン式粒子ビーム源601とのY方向の上記所定の間隔を有して配置される。 遮蔽部材602は、ライン式粒子ビーム源601のビーム照射により基板301から飛散するスパッタ粒子を遮蔽するように、回転軸609b周りで基板301の接合面に対して所定の角度を保ちつつ、ライン式粒子ビーム源601と共にY方向に並進移動する。 粒子ビームBの放射条件を一定に保ったまま一定速度でスキャンをすることにより、基板301の接合面全面に亘って、極めて均一な条件で粒子ビーム照射を行うことができる。 粒子ビームBの基板上の単位面積当たりの照射量は、粒子ビーム源601の基板301に対するスキャン速度によっても調整することができる。 上述のように、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、それぞれ回転軸609a,609b周りに回転可能に構成されている。 したがって、図3Aおよび図3Bに示すように、第1基板301に対して粒子ビームBの照射スキャンを行った後に(図3A)、第2基板302に対しても、基板301と同様の工程を実行することができる(図3B)。 第1基板301に対して粒子ビームBの照射スキャンを行う場合(図3A)と、第2基板302に対して粒子ビームBの照射スキャンを行う場合(図3B)との各々に応じて、遮蔽部材602とライン式粒子ビーム源601とは、向きが、それぞれ所定の向きに設定できるように構成されている。 図3Aに示すように、第1基板301に対して粒子ビームBの照射スキャンを行う場合には、遮蔽部材602の遮蔽面611をほぼ第1基板301に向け、ライン式粒子ビーム源601からの粒子ビーム照射によるスパッタで第1基板301から飛散するスパッタ粒子Pを当該遮蔽面611で遮断する。 これにより、対向して配置された他方の基板である第2基板302には、第1基板301からのスパッタ粒子Pが付着しないようにし、または、その付着量を最小限に抑制することができる。 そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、上記の向きに保たれたまま、第1基板301上を走査(スキャン)される。 これにより、ビーム照射領域R1が第1基板301上をスキャンして、第1基板301の接合面全体に亘って均一にビーム照射を行うことができる。 基板接合装置100では、図3Aに示すように、第2基板302にスパッタ粒子Pが付着することを回避または最小限に抑えつつ、第1基板301に対する粒子ビーム照射をスキャンすることができる。 したがって、その後、第2基板302に対する粒子ビーム照射をほぼ理想的に行うことができる。 すなわち、第1基板301に対する粒子ビーム照射中に第2基板302上にスパッタ粒子Pが付着してしまうと、これを除去するために第2基板302のみの処理に比べて粒子ビームBの照射時間を長く設定することが必要となる。 あるいは、望ましくない不純物が第2基板302上に付着している場合には、粒子ビーム照射による原子の衝突により当該不純物が第2基板302内に潜り込み、または、混合(ミキシング)が生じるため、第2基板302の表面近傍を改質する必要が生じ得る。 基板接合装置100では、このような不具合を回避または最小限に抑制することができる。 また、基板接合装置100では、図3Bに示すように、第2基板302のビーム照射領域R2に粒子ビーム照射を行う際に、第2基板302から飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽部材602の遮蔽面611でブロックすることができる。 したがって、粒子ビーム照射を完了した第1基板301の領域R1へのスパッタ粒子Pの付着を回避または抑制することができる。 換言すれば、第2基板302に対して、第2基板302の接合面に対する粒子ビーム照射をスキャンして実行しつつ、これに併せて第2基板302から飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽して第1基板301に付着するのを防止することができる。 これにより、粒子ビーム照射で得られた第1基板301の領域R1の所定の性質を維持することができる。 具体的には、一旦粒子ビーム照射により表面活性化された第1基板301の接合面は、第2基板302の接合面の表面活性化処理の間も、その活性度を維持することができる。 したがって、交互に基板表面を活性化しても接合強度が高く、不純物の混入が少ない固相接合界面を形成することができる。 ライン式粒子ビーム源601は、例えば1x10 −5 Pa(パスカル)以下等の、比較的高い真空中で作動するため、表面活性化処理後に、新生表面の不要な酸化や新生表面への不純物の付着等を防止することができる。 さらに、ライン式粒子ビーム源601は、比較的高い加速電圧を印加することができるため、高い運動エネルギーを粒子に付与することができる。 したがって、表面層の除去、および、新生表面のアモルファス化を効率良く行うことができると考えられる。 図3Aおよび図3Bのように、ライン式粒子ビーム源601と板状の遮蔽部材602とは、X方向に平行な回転軸周りに回転可能であるので、互いに近接して配置されてもよい。 例えば、板状の遮蔽部材602が基板面に平行な状態で、第1基板301に対するビーム照射が終わった後に、ライン式粒子ビーム源601のみを第2基板302に向けて回転させると、ライン式粒子ビーム源601が遮蔽部材602に衝突または接触する程度に近接して配置されていてもよい。 このような場合には、遮蔽部材602のライン式粒子ビーム源601側の辺が第1基板301側に近づくように遮蔽部材602を回転させ、次に、ライン式粒子ビーム源601を第2基板302に向けて回転させる。 これにより、遮蔽部材602に接触することなく、第2基板302に向くようにライン式粒子ビーム源601の姿勢を変更することができる。 その後、第2基板302へのビーム照射のために、遮蔽部材602を回転して基板301,302の接合面に平行な位置に位置決めすることができる。 なお、図3Bでは、ライン式粒子ビーム源601は第2基板302に対して図中の左から右(+Y方向)へ移動しているが、右から左(−Y方向)に移動しつつ粒子ビーム照射を行ってもよい。 ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを第1基板301に対して左から右へ移動させて粒子ビーム照射を行い、第2基板302に対して右から左へ移動させて粒子ビーム照射を行ってもよい。 これにより、いずれの基板にも同じ方向(例えば、図中の左から右)に移動させて粒子ビーム照射を行う場合よりも、ライン式粒子ビーム源601の移動距離を短くすることができるため、プロセス効率が向上する。 ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との間隔は常に同じである必要はない。 例えば、スパッタ粒子の飛散方向が、スキャン方向の相違などにより、第1基板301と第2基板302とで異なる場合には、上記間隔を変えてもよい。 すなわち、遮蔽部材602は、粒子ビーム照射の各条件で、飛散するスパッタ粒子を効率よく遮蔽して、他の基板へ到達することを回避または最小限に抑制する寸法、形状または姿勢となるように構成されていればよい。 例えば、所定のプロセスまたはスキャン毎に、ライン式粒子ビーム源601の基板表面に成す角度、粒子ビーム(エネルギー粒子)の種類や運動エネルギー、基板表面の材料、表面形状や結晶方向等々のビーム照射の条件に応じて、スパッタ粒子の飛散方向や飛散角度が変わり得る。 したがって、所定のビーム照射の条件に応じて、飛散するスパッタ粒子を効率良く遮蔽するように、遮蔽部材602の角度や大きさ、ライン式粒子ビーム源601や基板301,302に対する位置または姿勢等を変更することができるように装置が構成されてもよい。 なお、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、基板301,302間を接合面に平行に移動するように構成されているが、これに限られない。 基板301,302が2次元的に平坦ではない場合等、種々の場合に応じて、ライン式粒子ビーム源601および遮蔽部材602が基板301,302間で適切な移動をするように装置が構成されてもよい。 また、図2に示す例では、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、長手方向をライン方向(X方向)にほぼ平行に配置され、ライン方向(X方向)にほぼ垂直方向(Y方向)に並進移動するように構成されているが、これに限られない。 ライン式粒子ビーム源601等の長手方向は、並進移動方向に対して垂直(90度)でなくてもよく、例えば、所定の角度(60度、45度)を成すように装置が構成されてもよい。 当該所定の角度は、スキャン毎に可変であるように装置が構成されてもよい。 図3Aおよび図3Bに示す例では、表面活性化処理部610は、単一のライン式粒子ビーム源601により両基板301,302に対してビーム照射ができるように構成されているが、これに限られない。 例えば、表面活性化処理部610は、複数のライン式粒子ビーム源601を備えていてもよい。 例えば、図4Aおよび図4Bに示すライン式粒子ビーム源601は、第1ライン式粒子ビーム源6011と第2ライン式粒子ビーム源6012とを有し、2つの対向する基板301,302間に配置される。 第1ライン式粒子ビーム源6011は第1基板301に対してビーム照射を行い、第2ライン式粒子ビーム源6012は第2基板302に対してビーム照射を行う。 この場合、遮蔽部材602は、基板301,302間に配置され、両基板301,302から飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽する。 すなわち、遮蔽部材602の第1基板301に向いた面6021は、第1基板用ライン式粒子ビーム源(第1ライン式粒子ビーム源)6011のビーム照射により第1基板301から第2基板302に向けて飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽して、当該スパッタ粒子Pが第2基板302に付着することを回避または最小限に抑えるように構成されている。 一方、遮蔽部材602の第2基板302に向いた面6022は、第2基板用ライン式粒子ビーム源(第2ライン式粒子ビーム源)6012のビーム照射により第2基板302から第1基板301に向けて飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽して、当該スパッタ粒子Pが第1基板301に付着することを回避または最小限に抑えるように構成されている。 当該遮蔽部材602は、略板状に形成されている。 両基板301,302の対向する表面が平行である場合には、板状の遮蔽部材602は、その主面が両基板301,302の表面に平行となるように配置される。 この構成により、効率良い基板表面処理を行うことができるとともに、基板表面処理装置を小さく構成することができる。 ライン式粒子ビーム源6011,6012を作動させて基板301,302に対して粒子ビーム照射を行いつつ、両ライン式粒子ビーム源6011,6012および遮蔽部材602をY方向または基板面に平行な方向に並進移動させることにより、両基板301,302に対する粒子ビーム照射処理を同一スキャンで行うことができる。 したがって、効率良く、清浄な表面活性化処理が可能になる。 2つの対向する基板301,302が平行に配置されている場合には、図4Aおよび図4Bに示すように、両基板301,302の対称中心面に対して鏡面対称となるように、両ライン式粒子ビーム源6011,6012および遮蔽部材602を配置することが好ましい。 この構成で、両ライン式粒子ビーム源6011,6012および遮蔽部材602を基板301,302に対して、同一速度でスキャンし、あるいは、それらの間の相対的位置関係を維持しつつスキャンすることができる。 これにより、両基板301,302に対して同時にビーム照射を行い、かつ、ビーム照射により各基板301,302から飛散するスパッタ粒子Pを同時に遮蔽することができる。 したがって、両基板301,302に対して清浄な表面活性化処理を同時に、極めて効率良く行うことが可能になる。 図4Aに示す構成では、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、遮蔽部材602に対して進行方向側に配置され、Y方向から向きが逆でほぼ同じ角度だけ傾いた状態で配置される。 両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012は、それぞれ基板301,302のほぼ同じY方向位置のビーム照射領域R1とR2とにビーム照射を行うことができる。 板状の遮蔽部材602は、適切な形状を有し、両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012に対して適切なY方向位置に配置されることで、両基板301,302から飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽することができる。 なお、図示しないが、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、その両方が、遮蔽部材602に対して進行方向と逆側に配置されていてもよい。 図4Bに示す構成では、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、それぞれ、遮蔽部材602に対して進行方向側と進行方向の逆側とに配置されている。 この場合、両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012は、遮蔽部材602の長手方向軸を中心にほぼ回転対称に配置されている。 遮蔽部材602は、両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012のほぼ中心に位置しており、適切な形状を有することで、両基板301,302から飛散するスパッタ粒子Pを遮蔽することができる。 ライン式粒子ビーム源601としては、例えば、高速原子ビーム源(FAB:Fast Atom Beam)を用いることができる。 高速原子ビーム源(FAB)は、典型的には、希ガスのプラズマを発生させ、このプラズマに電界をかけて、プラズマから電離した粒子の陽イオンを摘出し負極側となる照射口へ加速させ電子雲の中を通過させて中性化する構成を有している。 例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)が利用される場合、高速原子ビーム源(FAB)への供給電力を、1.5kV(キロボルト)、15mA(ミリアンペア)に設定してもよく、あるいは0.1W(ワット)から500W(ワット)の間の値に設定してもよい。 例えば、高速原子ビーム源(FAB)を100W(ワット)から200W(ワット)で稼動してアルゴン(Ar)の高速原子ビームを2分ほど照射すると、接合面の上記酸化物、汚染物等(表面層)は除去され、新生表面を露出させることができる。 ライン式粒子ビーム源601として、例えば、イオンである粒子を基板301,302の接合面に向けて放射するイオンビーム源(イオンガン)が利用されてもよい。 当該イオンビーム源は、例えば110V、3Aで稼動し、アルゴン(Ar)イオンを加速して基板301,302の接合面に600秒ほど照射するように使用されてもよい。 また、他の条件として、加速電圧1.5kV〜2.5kV,電流350mA〜400mAを採用してもよく、さらに他の条件として、加速電圧1.0kV〜2.0kV,電流300mA〜500mAを採用してもよい。 イオンビーム源として、冷陰極型、熱陰極型、PIG(Penning Ionization Gauge)型、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型の粒子ビーム源、あるいは、クラスターイオン源などが採用されうる。 ライン式粒子ビーム源601から基板の接合面に粒子ビームを照射することにより、表面活性化処理を行うことができる。 表面活性化処理により、基板の接合面同士を常温または非加熱で固相接合させることができる。 ライン式粒子ビーム源601によるその他のビーム照射条件として、真空チャンバ200内のバックグラウンド圧力を10 −6 Pa(パスカル)の状態から、ガスとしてArを100sccmの流量で流し、真空チャンバ200内の圧力を10 −3 Pa(パスカル)以下として、ライン式粒子ビーム源601を2kV、20mAで作動し、ライン式粒子ビーム源601の基板301,302に対するスキャン速度を10mm/sとすることもできる。 上述の各ビーム照射条件は、例示を目的とするものであり、これに限定されない。 ビーム照射条件は、各装置構成、ビーム照射条件、基板等の処理対象の物性等に応じて適宜変更することができる。 ライン式粒子ビーム源601は、長手方向に関して複数の部位に分かれていてもよい。 各部位を個別に能動化することにより、大きさの異なる基板の接合面に対して効率よく表面を活性化することができる。 すなわち、小さい基板に対する処理の際には、基板上を通過する一部の部位だけが能動化される。 また、基板表面領域以外の箇所へのビーム照射による、不要な物質の雰囲気への放射を抑制し、清浄な処理雰囲気を保つことができる。 図5Aは、ライン式粒子ビーム源601として利用可能な高速原子ビーム源の断面図である。 高速原子ビーム源は、放電室711と、放電室711内に配置される電極712と、電源713と、ガス導入部714とを備える。 本明細書では、原則として、放電室711は、高速電子ビーム源の筐体である。 ただし、筐体に他の部材を取り付けたものを放電室と呼ぶ場合は、放電室と筐体とは区別される。 放電室711は、中性原子を放出する放出孔715を有する。 放電室711の内面の少なくとも一部は、シリコンにより形成される。 例えば、内面の全部または一部にシリコンがコートされる。 内面は広く解釈されてよく、例えば、放電室711の内壁にシリコン部材が配置されることにより、放電室711の内面の一部がシリコンに形成されていると捉えられてもよい。 また、全面をシリコンとしてもよい。 また、照射口(すなわち、放出孔715)と対向する内面の底面だけをシリコンにすることもできるが、側部もシリコンにすることが好ましい。 また、側部の底面側半分だけをシリコンにすることでもよい。 また、両端側部は電極棒が取りつく側になるためプラズマの磁界上シリコンにしなくても良い。 また、放射口の穴の内面をシリコンにすることで、不活性ガスイオンが放射口を通る時に内面に接触してシリコン粒子を放出する構造とすることもできる。 これは放射口の面の材料を全てシリコンで製作することもできるが、放射口の穴領域だけをシリコンとしてカーボンと組み合わせることでカーボンの低抵抗を維持できるのでより有効である。 放電室711の内面の少なくとも一部を形成するシリコンには、放電室711の内面の抵抗を下げて粒子放出性能を向上するために、ボロンやリン等の不純物がドープされることが好ましい。 また、放電室711の内面は、その少なくとも一部がシリコンを含んでもよい。 例えば、放電室711を構成する部材にシリコンを浸透させたり、シリコン粒子を打ち込むことにより、放電室711の内面の一部または全部がシリコンを含むようにしてもよい。 また、シリコンを含浸させたカーボンを使用することでも有効である。 また、内面をカーボンに維持したままカーボンの上にシリコンを張り付けることでもカーボンの低抵抗を維持したまま対応できる。 高速原子ビーム内面をシリコンとすると、他の離れたところにターゲットを置きそれへ向けて照射するスパッタ方式より、プラズマ化したArイオンが加速されてシリコンに衝突するまでの距離が短く、密度が高く非常に効率よくシリコン粒子を放出できる有効な方法である。 シリコンを放電室711の内面または内部に配置することにより、放電室711内にもシリコンがスパッタされて付着するが、内面についてはArイオンでも叩かれるためシリコンの堆積が増加してくることはない。 陽電極となる電極712であるロッドにはArイオンは衝突しないため、従来のように電極712の材質をカーボンとすると、シリコンが付着して堆積する。 しかし、シリコンとカーボンとは密着性が低いため、このような状態を放置すると、電極712からシリコンのパーティクルが発生し、基板の接合面にパーティクルが付着して未接合領域となる大きなボイドが発生する虞がある。 その結果、量産上の問題が発生する。 そこで、本実施の形態では、電極712を金属で形成している。 これにより、シリコンと電極との密着性が改善され、シリコンを電極712上に剥離することなく堆積させることが実現される。 電極712は、例えば、チタンで形成することが効果的であることが確認されている。 なお、電極712を金属で形成することにより、一般的に、従来の放電室内面にカーボンを利用する高速原子ビーム源において、電極712からのパーティクルの発生を低減することができる。 すなわち、放電室におけるシリコンの利用の有無に関わらず、電極からカーボンを含むパーティクルの発生を低減することができる。 基板接合装置において、表面活性化処理部である高速原子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、カーボンを含む場合において、陽電極となるロッドが、金属により形成されることが好ましい。 また、陽電極は低抵抗でないと熱を発生するためカーボンの外皮に金属をスパッタなどで付着させることが好ましい。 このように、好ましい形態では、陽電極となるロッドの表面は、金属により形成される。 但し、Arガス純度が不足しArガス中に酸素が含まれる場合は、堆積してもすぐにはがれてしまいパーティクルとなるため、ロッドをカーボンとする方が好ましい場合もある。 ガス導入部714からは、図5Aの例の場合、アルゴンガスが放電室711内に導入される。 既述のように、他の様々なガスが利用可能である。 電源713により、放電室711と電極712との間に高電圧が印加されると、放電室711内に流入したアルゴンガスは、電界により高速運動している電子と衝突し、プラズマ化してアルゴンイオンとなり、マイナス面である放電室711の内面や放出孔715を有するカソード面に高速に引き寄せられる。 一部のアルゴンイオンは放電室711の内壁に衝突する。 カソードの放出孔715に向かうアルゴンイオンは、放出孔715を通り抜ける際に電子を受け取り、中性原子となって高速に放出される。 一方、電極間に生じるプラズマ源から放電室711の内壁に衝突するアルゴンイオンは、スパッタリングにより内壁の原子を放電室711内の空間へと放出させる。 その結果、シリコン粒子も放出孔715から放出される。 もちろん、放電室711の内面の一部に炭素や金属が露出している場合は、炭素や金属の粒子も放出される。 これらの導電材料の放出が好ましくない場合は、放電室711の内面の全体(実質的に全体であればよい。)が、シリコン、または、シリコンを主要構成要素として含む材料にて形成されることが好ましい。 上述のように、基板接合装置100に用いられる高速原子ビーム源では、表面活性化用の高速原子ビームと共に、シリコン粒子を放出する。 放電室711の内面のうち、放出孔715に対向する部位716は、シリコン粒子の放出に大きく寄与する。 したがって、この部位716がシリコンにより形成される、または、シリコンを含むことが好ましい。 例えば、シリコン部材が、放電室711の奥に取り付けられる。 これにより、効率よくシリコン粒子を放電室711から放出することができる。 好ましくは、放出孔715の穴表面はシリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 他の好ましい例として、放出孔715を形成する部位の内側、すなわち、放出孔715における放電室711内面が、緻密化されたカーボンにて形成される。 緻密化されたカーボンとしてはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)が好ましい。 内側を緻密化されたカーボンで覆うことでパーティクルが出にくくなる。 かつ、内側にシリコンが存在しないため、内面がシリコンでスパッタされない。 その結果、シリコンのパーティクルが出ることを防ぎつつ、シリコン粒子を放出孔715から放出することが可能となる。 図5Bは、高速原子ビーム源の好ましい他の例の断面図である。 図5Bの高速原子ビーム源では、放電室711は、筐体731と、筐体731の内面に張り合わされた部材732とを備える。 筐体731は、シリコンより抵抗率が低い材料にて形成される。 部材732は、シリコン部材またはシリコンを含む部材である。 高速原子ビーム源の他の構造は、図5Aと同様である。 筐体731は、例えば、金属やカーボンにより形成される。 これにより、筐体731内に強い電解が発生し、物質が効率よくプラズマ化される。 一方、プラズマイオンが衝突する内面は、シリコンまたはシリコンを含む材料からなるため、金属粒子やカーボン粉等のパーティクルの流出を防止することができる。 図5Bの場合も、高速原子ビーム源からシリコン粒子が放出されるため、基板の接合強度を向上することができる。 図5Bでは、部材732を3面全体に配置しているが、エッチングされたシリコン粒子がカソードの放出孔715から流出する経路を考慮すれば、側面の部材732は、底面から側面の半分程度までのみに設けられてもよい。 放電室711の内面の少なくとも一部をカーボンにて形成する場合、好ましくは、表面が緻密化されたカーボンを採用することが好ましい。 これにより、放電室711の内面から出るゴミ、パーティクルを削減することができる。 放電室711の内面には、プラズマ化に必要な電子を供給すべくイオン化率が高い材料が必要である。 そのため、イオン化率が高い材料として、カーボンが従来使われている。 なお、イオン化率が高い材料は、一般的に低抵抗材料である。 しかし、通常のカーボンではカーボン粒子は緻密でなく、空隙を含む状態であるため、Arイオンでカーボンが叩かれることにより、カーボンのゴミ、パーティクルが発生して基板に照射される。 そこで、本実施の形態では、放電室711の内面の少なくとも一部にカーボンが利用される場合、内面は緻密化されたカーボンで形成される。 すなわち、カーボンを緻密化した材料や緻密化カーボンをコーティングした材料が利用される。 その結果、ゴミ、パーティクルの発生が防止されることが確認されている。 緻密化カーボンとしては、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングまたはこれに類似するコーティングが効果的である。 上記基板接合装置において、高速原子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部を、緻密化されたカーボンで形成することは、放電室の内面におけるシリコンの利用の有無に関わらず、パーティクルの低減を実現する。 既述のように、シリコンよりイオン化率が高い材料が、放電室711に利用されることが好ましい。 具体的には、放電室711が、シリコンよりイオン化率が高い材料からなる筐体731と、筐体の内面上に張り合わされたシリコン部材またはシリコンを含む部材とを備えることが好ましい。 イオン化率が高い材料としては、チタン、タンタル、モリブデンを挙げることができる。 また、このような材料は合金であってもよい。 すなわち、高速原子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、イオン化率が高い材料として、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属(チタン、タンタルまたはモリブデンのみの場合を含む。以下同様)で形成される。 チタンはイオン化率が高いのみならず、メタルコンタミの出にくい金属であり、ビーム源での使用に適している。 特に、半導体ウエハの接合では、パーティクルとメタルコンタミの発生は大きな問題となる。 従来、高速原子ビーム源ではカーボンのパーティクルが問題となり、イオンビーム源のような金属の放電室を有するビーム源ではメタルコンタミが問題となり実用化が難しかった。 しかし、チタンはパーティクルを発生させず、メタルコンタミの少ない材料であり、かつ、イオン化率も高いため、高速原子ビーム源の放電室にも採用可能である。 また、高速原子ビーム源に限らず、図6を参照して後述するイオンビーム源の放電室に使用することにも適している。 すなわち、粒子ビーム源の放電室にチタンが使用されることが好ましい。 タンタル、モリブデンも同様である。 放電室の内面の少なくとも一部がシリコンにより形成され、シリコンに抵抗値を低下させる不純物がドープされてもよい。 シリコンのイオン化率を見かけ上、高くする材料がシリコンにドープされてもよい。 ドープされる材料としては様々な材料が利用されてよい。 好ましくは、シリコンにドープされる材料はチタンである。 タンタル、モリブデンでもよい。 放電室をシリコンのみで形成するとプラズマが発生しにくい。 そこで、従来、カーボンを利用しているが、既述のように、内面がアルゴンイオンでスパッタされることにより、カーボンとシリコンとが陽電極に堆積すると、パーティクルが発生する。 しかし、陽電極を金属で形成する場合、放電室の内面の一部にチタン、タンタルまたはモリブデンを利用することにより、陽電極に堆積したカーボンやシリコンの密着性が向上し、パーティクルの発生が低下する。 もちろん、放電室の内面にカーボンを利用せずに、シリコンおよびチタン(チタン合金やチタンを含む材料を含む。)を利用することにより、パーティクルの発生をさらに低減することができる。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用しても同様である。 カーボンに代えて放電室内部にチタンを利用することにより、プラズマを良好に発生しつつ、メタルコンタミを少なくすることができ、パーティクルやゴミを皆無とすることができる。 特に、放電室において照射口側は底部と同様に、アルゴンイオンの照射密度が高いため、照射口をチタンやチタン合金で形成することが好ましい。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用しても同様である。 上記基板接合装置において、高速原子ビーム源の放電室の内面の少なくとも一部が、カーボンを含む場合、内面の一部がシリコンにて形成されるか否かに関わらず、内面の少なくとも他の一部がチタンを含む金属で形成されることが好ましい。 図6を参照して後述するイオンビーム源においても同様である。 すなわち、粒子ビーム源の放電室の少なくとも一部が、カーボンを含み、放電室の少なくとも他の一部がチタンを含む金属で形成されることが好ましい。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用しても同様である。 また、上記基板接合装置100において、高速原子ビーム源の放電室の内面全てをチタンを含む金属で形成されることもできる。 そうすることでよりカーボンのゴミを押さえることができる。 さらに、陽電極もチタンにより形成されてもよい。 また、高速原子ビームに限らず、図6を参照して後述するイオンビーム源においてもプラズマで叩かれる放電室をチタンとすることで、従来のメタルコンタミの問題も解決し、同様な効果が達成できる。 すなわち、粒子ビーム源の放電室全体が、チタンを含む金属で形成されることが好ましい。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用しても同様である。 図6は、ライン式粒子ビーム源601として利用可能なイオンビーム源の断面図である。 イオンビーム源は、アノード721と、グリッド722と、電源723と、ガス導入部724と、磁石725と、筐体720とを備える。 図5Aの場合と同様に、イオンビーム源は紙面に垂直な方向に長く、左右方向に移動す。 電源723は、アノード721およびグリッド722に接続される。 アノード721は、イオン粒子の放射方向に向かって漸次広がる放電室726を有する。 グリッド722は、イオン粒子を放出する多数のグリッド開口である放出孔727を有する。 グリッド722は、カソードとして機能する。 放電室726の内面728上には、シリコン部材729が配置される。 筐体720は、アノード721および磁石725を覆う。 放電室726の内面の少なくとも一部が、シリコンにより形成される、または、シリコンを含むことが好ましい。 シリコン部材729は、放電室726において放出孔727に対向する部位である。 より好ましくは、放出孔727に対向する部位は、シリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 好ましくは、放電室726の内面の少なくとも一部は、チタン、タンタルおよびモリブデンの少なくとも1つを含む金属で形成される。 磁石725は、放電室726に磁界を形成する。 グリッド722から放出された電子の一部は、上記磁界にトラップされる。 これにより、ガス導入部724から磁界内に導入されたガス(不活性ガス、たとえばアルゴン)はプラズマ化され、放電室726に破線にて示すように、プラズマ玉が形成される。 ガスの陽イオンは、電源723によりアノード721に掛けられた電圧による電界中で、放電室726から粒子ビーム源601の外部へ加速される。 グリッド722から放出された電子は、粒子ビームと同じ方向にも飛ぶことにより、粒子ビームまたは粒子ビームが衝突する基板の接合面の電荷を中和する作用をも有する。 ここで、アルゴンイオンは、放電室726にてシリコン部材729に衝突することにより、シリコン部材729からシリコン粒子が放出される。 そして、アルゴンイオンと共にシリコン粒子は放出孔727から基板に向けて放射される。 このように、基板接合装置100にて用いられるイオンビーム源では、表面活性化用のイオンビームと共に、シリコン粒子を放出する。 シリコン部材729は、イオンビーム源の放電室726の周囲に配置されてもよい。 すなわち、放電室726もしくはその周囲の部材が、シリコンにより形成される。 または、放電室726もしくはその周囲の部材が、シリコンを含んでもよい。 例えば、放電室726やグリッド722の全部または一部がシリコンにより形成されてもよく、シリコン部材が放電室726やグリッド722近傍に配置されてもよい。 放電室726やグリッド722の全部がシリコンにて形成される場合は、シリコンの抵抗を下げるために不純物がドープされることが好ましい。 放電室726やグリッド722がシリコンによりコートされてもよい。 あるいは、放電室726やグリッド722を構成する部材にシリコンを浸透させたり、シリコン粒子を打ち込むことにより、これらの部材の一部または全部がシリコンを含むようにしてもよい。 好ましくは、放出孔727の穴表面はシリコンにより形成される、または、シリコンを含む。 なお、グリッド722が設けられない、すなわち、放出孔727が存在しない場合もある。 他の好ましい例として、放出孔727を形成する部位の内側、すなわち、放出孔727における放電室726側の面が、緻密化されたカーボンにて形成される。 緻密化されたカーボンとしてはDLCが好ましい。 内側を緻密化されたカーボンで覆うことでパーティクルが出にくくなる。 かつ、内側にシリコンが存在しないため、内面がシリコンでスパッタされない。 その結果。 シリコンのパーティクルが出ることを防ぎつつ、シリコン粒子を放出孔727から放出することが可能となる。 アノード721やグリッド722の一部に炭素や金属が露出している場合は、炭素や金属の粒子も放出される。 これらの導電材料の放出が好ましくない場合は、これらの部材全体(実質的に全体であればよい。)が、シリコン、または、シリコンを主要構成要素として含む材料によって形成されることが好ましい。 表面活性化処理部610では、表面活性化に用いられる粒子は、中性原子やイオン以外に、ラジカル種でもよく、またさらには、これらが混合した粒子群でもよい。 粒子ビームには、アルゴン(Ar)等の不活性ガス以外に、例えば、窒素、酸素または水が用いられてもよい。 図1に示す基板接合装置100では、表面活性化処理部610による基板301,302の表面活性化処理が終了した後に、親水化処理部620による親水化処理も可能である。 これにより、清浄化または活性化された基板301,302の接合面に水酸基(OH基)が結合されると考えられる。 さらには、水酸基(OH基)が結合された接合面上に水分子が付着する。 基板301,302の親水化処理は、表面活性化された接合面に水を供給することにより行われる。 当該水の供給は、上記表面活性化された接合面の周りの雰囲気に、水(H 2 O)を導入することで行うことができる。 水は、気体状で(ガス状で、または、水蒸気として)導入されても、液体状(霧状)で導入されてもよい。 さらに、接合面に対する親水化処理の他の態様として、ラジカルやイオン化されたOHなどを付着させてもよい。 接合面に対する親水化処理の方法はこれらに限定されない。 親水化処理部620では、例えば、液体状の水の中に窒素(N 2 )、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、酸素(O 2 )等のキャリアガスを通過させること(バブリング)で、気体状の水がキャリアガスに混合されて、表面活性化された接合面を有する基板301,302が配置された真空チャンバ200内に導入されることが好ましい。 図1に示す例では、親水化処理部620は、ガス供給源621と、流量制御バルブ622と、ガス導入部623とを備える。 ガス供給源621は、上述のバブリングにより生成されたキャリアガスと水(H 2 O)との混合ガス(すなわち、水分子を含むガス)を、ガス導入部623を介して真空チャンバ200内へと供給する。 流量制御バルブ622は、ガス供給源621から真空チャンバ200へと供給される混合ガスの流量を制御する。 基板接合装置100では、表面活性化された接合面の周りの雰囲気の湿度を制御することにより、親水化処理の工程を制御することができる。 当該湿度は、相対湿度として計算しても、絶対湿度として計算してもよく、または、他の定義を採用してもよい。 真空チャンバ200内の湿度の制御は、ガス供給源621で生成される混合ガスの湿度、流量制御バルブ622により制御される混合ガスの真空チャンバ200への導入量、真空ポンプ201による真空チャンバ200内のガスの排出量、および、真空チャンバ200内の温度等を調節することにより行うことができる。 真空チャンバ200内の湿度は、両基板301,302の接合面の少なくとも一方または両方の周りの雰囲気における相対湿度を10%以上かつ90%以下となるように制御することが好ましい。 親水化処理部620では、例えば、窒素(N 2 )または酸素(O 2 )をキャリアガスとして気体状の水を導入する場合、真空チャンバ200内の全圧を9.0x10 4 Pa(パスカル)、すなわち0.89atm(アトム)とし、真空チャンバ200内での気体状の水の量を、容積絶対湿度で8.6g/m 3 (グラム/立方メートル)または18.5g/m 3 (グラム/立方メートル)、23℃(摂氏23度)の相対湿度でそれぞれ43%または91%となるように制御することができる。 また、チャンバ内の酸素(O 2 )の雰囲気中濃度を10%としてもよい。 親水化処理部620では、親水化処理を行うために、所定の湿度を有する真空チャンバ200外の大気を、真空チャンバ200内に導入してもよい。 大気を真空チャンバ200内に導入する際には、望ましくない不純物の接合面への付着を防ぐために、当該大気が所定のフィルタを通過するように構成することが好ましい。 所定の湿度を有する真空チャンバ200外の大気を導入して親水化処理を行うことにより、接合面の親水化処理を行う装置構成を簡略化することができる。 また、親水化処理部620では、水(H 2 O)の分子やクラスター等を加速して、基板301,302の接合面に向けて放射してもよい。 水(H 2 O)の加速に、上記表面活性化処理に用いるライン式粒子ビーム源601等を使用してもよい。 この場合、上述のガス供給源621で生成したキャリアガスと水(H 2 O)との混合ガスを、ライン式粒子ビーム源601等に導入することにより、水の粒子ビームを発生させ、親水化処理すべき接合面に向けて照射することができる。 また、親水化処理は、接合面の近傍の雰囲気中で、水分子をプラズマ化して、これを接合面に接触させることにより行われてもよい。 基板301,302の接合面の親水化処理として、基板301,302の表面活性化処理の後に、基板301,302からのパーティクル(汚染粒子)等の除去を兼ねた水洗浄が行われてもよい。 当該水洗浄により、上述の親水化処理と同様の効果を得ることができる。 当該水洗浄は、例えば、超音波を付与された水流を基板301,302の接合面に向けて噴射することにより行われてもよい。 親水化処理は、真空チャンバ200に隣接し、他の真空チャンバとしても機能するロードロックチャンバ(図示省略)にて行われてもよい。 水洗浄は、通常、真空チャンバ200やロードロックチャンバでは行われず、これらの外で行われる。 基板301,302の接合面の親水化処理として、同種または異種の親水化処理が複数回行われてもよい。 また、親水化処理と並行して、あるいは、親水化処理の後に、上記水洗浄のように接合面に強制的に水分子を付着させてもよい。 これにより、接合面上の水分子の量を増やし、または、制御することができる。 図1に示す例では、基板301,302に対する表面活性化処理と親水化処理とは、1つの真空チャンバ200内にて連続して行うことが可能である。 したがって、表面活性化処理された基板301,302の接合面を大気に曝すことなく、当該接合面の親水化処理を行うことができる。 これにより、基板301,302の接合面の望ましくない酸化や、接合面への不純物等の付着を防止することができる。 また、親水化処理をより容易に制御することができ、表面活性化処理の後に親水化処理を続けて効率良く実行することができる。 図7は、第1基板301と第2基板302との接合の流れを示す図である。 まず、真空チャンバ200内において、第1基板301の接合面に粒子ビームが照射され、当該接合面に対して表面活性化処理が行われる。 このとき、図5A、図5Bや図6に例示される粒子ビーム源が用いられることにより、粒子ビームの照射と並行してシリコン粒子が接合面に照射される。 その結果、接合面にシリコン粒子が打ち込まれる、または、接合面に強く結合するようにして導入される。 換言すれば、表面活性化とシリコン粒子の導入とが並行して行われる。 粒子ビーム照射による表面活性化の作用が大きいため、接合面上にはシリコン粒子の照射によるシリコン層は形成されない。 次に、真空チャンバ200内において、第2基板302の接合面に粒子ビームが照射され、当該接合面に対して表面活性化処理が行われる(ステップS11)。 このとき、ステップS11と同様に、粒子ビームの照射と並行してシリコン粒子が接合面に照射され、接合面にシリコン粒子が導入される。 第1基板301への粒子ビームの照射と第2基板302への粒子ビームの照射との順序は逆でもよく、並行して行われてもよい(図4Aおよび図4B参照)。 親水化処理が行われない場合、ステージ移動機構403,404により位置合わせが行われた上で、真空チャンバ200内の高真空状態が維持されたまま、すなわち、表面活性化時の真空チャンバ200内の状態が維持されたまま、第1基板301の接合面と第2基板302の接合面とを接触させることにより、第1基板301と第2基板302とが接合される(ステップS13)。 表面活性化と同時にシリコン粒子を接合面に導入することにより、親水化処理が行われない場合であっても、良好な接合強度を得ることができる。 親水化処理が行われる場合、ステップS11の後に、上述の処理により、真空チャンバ200内において、両基板301,302の接合面が親水化される(ステップS12)。 これにより、基板301,302の接合面に水酸(OH)基が結合する。 親水化処理後の接合には、大きく分けて3つの方式がある。 第1の方式では、親水化処理後の真空チャンバ200内の条件を維持しつつ、第1基板301と第2基板302とが接合される。 第2の方式では、親水化処理後に両基板301,302は真空チャンバ200外の大気中に取り出され、真空チャンバ200外の基板移動機構により大気中にて接合される。 真空チャンバ200外の接合装置の構造は、表面活性化処理部610が存在しない点を除いて、基板移動機構を含む図1の基板支持部400や位置測定部500と同様の構造を有する。 接合が大気中で行われる場合、接合前に上記水洗浄が行われてもよい。 第3の方式では、親水化処理後に両基板301,302は真空チャンバ200外に取り出されて一度大気に触れ、その後、真空チャンバ200内に戻されて真空中で接合される。 この場合も、大気中に出された後に接合面に水洗浄が行われてよい。 大気中に出して大気中の水分子を接合面に付着させ、または、水洗浄により水分子を強制的に付着させ、真空中で接合を行うことにより、水分子の補助を利用しつつ接合部にボイドが残留することが防止でき、強固な接合が実現される。 基板は低圧のロードロックチャンバ内で親水化処理を受けた後に、ロードロックチャンバ内が大気圧にされ、基板が湿度の高い空気に触れるようにしてもよい。 親水化処理後のいずれの接合方式においても、基板が加熱されて水分子が除去される際に、酸素原子を介する共有結合による強固な接合が得られる。 また、表面活性化と並行してシリコン粒子が接合面に導入されるため、さらに高い接合強度が得られる。 図8Aないし図8Cは、親水化処理後の基板301,302の接合時における接合面の状態を概念的に示す図である。 図8Aに示す多数の水酸(OH)基が結合された基板301,302の接合面が接触すると、図8Bに示すように、水酸(OH)基同士の水素結合が生じる。 その後、基板301,302に加えられる圧力や熱等により、図8Cに示すように、水(H 2 O)が基板301,302間から離脱し(すなわち、脱水し)、水素結合が共有結合へと変化することにより、基板301,302同士の接合強度が向上する。 ステップS13終了後の基板301,302同士の接合強度は、例えば、約1.0J/m 2 〜2.5J/m 2である。 上記実施の形態では、粒子ビーム源から表面活性化用の粒子ビームと共にシリコン粒子を放射することにより、接合面に効率よくシリコン粒子が照射されるが、シリコン粒子は、粒子ビーム源以外から接合面に照射されてもよい。 このような手法であっても、基板同士の接合強度を向上することができる。 例えば、基板301,302を支持するステージ401,402を基板301,302よりも大きくし、ステージ401,402の表面をシリコンにて形成する。 すなわち、ステージにおいて基板よりも大きいエリアをシリコン部材とする。 なお、基板よりも外周部分のみがシリコン部材であってもよく、この場合は、ステージが、基板の側方にシリコン部材を支持していると捉えることができる。 これにより、接合面およびステージ401,402に同時に粒子ビームが照射されると、ステージからシリコン粒子が叩き出され、周囲の構成要素にて反射したシリコン粒子、特に、ステージに対向する遮蔽部材602に衝突して反射したシリコン粒子が接合面に入射する。 ステージをシリコン部材とすることに代えて、ステージ上において基板の側方にシリコン部材が支持されてもよい。 この場合も、シリコン部材から放射されるシリコン粒子が遮蔽部材602に衝突して接合面に効率よく照射される。 もちろん、シリコン部材はステージ上に支持される必要はなく、粒子ビームが照射される範囲内の他の位置に配置されてもよい。 接合面と共にシリコン部材に粒子ビームが照射されることにより、簡単な構造で接合面にシリコン粒子を照射することができる。 また、遮蔽部材602は板状である必要はなく、遮蔽する機能を有する部材であれば様々な形状が採用されてよい。 遮蔽部材602は独立した部材として明確に存在する必要はなく、装置を構成する部品の一部が遮蔽部材として機能してもよい。 例えば、ライン式粒子ビーム源が2つ設けられる場合、一方のライン式粒子ビーム源の一部が、他方のライン式粒子ビーム源の遮蔽部材として機能してもよい。 遮蔽部材は、シリコン部材からのシリコン粒子を反射して接合面に導く向きに配置されることが好ましい。 なお、シリコン粒子の照射は、別の粒子ビーム源からシリコン部材に粒子ビームを照射することにより行われてもよい。 この場合、シリコン粒子の接合面への照射量を容易に調整することができる。 図9は、基板接合装置の他の好ましい例を示す正面図である。 図9に示す基板接合装置100aでは、図1に示す基板接合装置100の真空チャンバ200(以下、「第1真空チャンバ」という。)からライン式粒子ビーム源および遮蔽部材が省略される。 図9では、真空チャンバとしても機能するロードロックチャンバ250(以下、「第2真空チャンバ」という。)および基板搬送機構270も示している。 親水化処理部620は、第2真空チャンバ250に設けられる。 第2真空チャンバ250にはプラズマ処理装置としてRIE(Reactive Ion Etching)機構613が表面活性化処理部610として設けられる。 RIE機構613は、第2真空チャンバ250内にて基板を保持するステージ251に設けられた陰極614と、第2真空チャンバ250に反応ガスを供給する反応ガス供給部615とを備える。 反応ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)、窒素(N 2 )、酸素(O 2 )等が利用される。 このプラズマ処理を用いることで原子ビームやイオンビーム処理と同様な本発明の処理を行うこともできる。 本請求でいうエネルギー粒子や粒子ビーム処理とはプラズマ処理も含む。 RIE機構613は、反応ガス供給部615から第2真空チャンバ250内に供給された反応ガスに電磁波等を付与することにより当該反応ガスをプラズマ化する。 また、RIE機構613は、基板を支持するステージ251に設けられた陰極614に高周波電圧を印加する。 これにより、基板とプラズマとの間に自己バイアス電位を生じさせ、プラズマ中のイオンやラジカル種を基板に向けて加速して衝突させる。 これにより、上述のステップS11における基板の接合面に対する表面活性化処理が行われる。 基板接合装置100aでは、基板搬送機構270により基板301,302が1枚ずつ第2真空チャンバ250に搬入され、基板301,302に対する表面活性化処理が順に行われる。 基板接合装置100aでは、RIE機構613による基板301,302の表面活性化処理が行われた後、必要に応じて、第2真空チャンバ250においてステップS12の親水化処理が行われる。 その後、第1真空チャンバ200内にて基板移動機構(すなわち、ステージ移動機構403,404)によるステップS13が行われる。 基板接合装置100aでは、RIE機構613において、基板を支持するステージ251は、基板よりも大きいエリアがシリコン部材である。 なお、基板よりも外周部分のみがシリコン部材であってもよく、この場合は、ステージ251が、基板の側方にシリコン部材を支持していると捉えることができる。 これにより、第2真空チャンバ250内において、各基板の接合面にプラズマによるエネルギー粒子を照射して接合面を活性化させる際に、ステージ251から放射されるシリコン粒子が、基板の接合面に照射される。 その結果、図1の基板接合装置100の場合と同様に、接合強度を向上することができる。 なお、ステージ251をシリコン部材とするのではなく、ステージ251がシリコン部材を支持してもよい。 基板接合装置100aにおける表面活性化処理では、例えば、気圧が約30Pa(パスカル)とされた第2真空チャンバ250に、反応ガス供給部615から20sccmにて反応ガスが供給され、100WのRIEプラズマ処理が約30秒行われることにより、基板301,302の表面活性化処理が行われる。 基板接合装置100aでは、基板301,302の表面活性化処理がプラズマにより行われるため、当該表面活性化処理が行われる空間の真空度を比較的低くすることができる。 したがって、基板接合装置100aの構造を簡素化することができ、基板接合装置100aの製造コストを低減することができる。 一方、基板301,302の接合面が金属と絶縁物の混合材料により形成されており、RIE機構613により接合面における不純物や材料同士の混合が懸念される場合等、上述の粒子ビーム照射による表面活性化処理が好ましい場合もある。 プラズマによる基板301,302の表面活性化処理は、基板301,302に対する親水化処理が行われる空間(例えば、第2真空チャンバ250)とは異なる空間にて行われてもよい。 例えば、図10に示すように、プラズマチャンバ617と、電極ステージ618とを備えるプラズマ処理部616が表面活性化処理部610として設けられてもよい。 電極ステージ618の基板301,302(図10では、基板301)が載置される上部にはシリコン部材618aが設けられる。 シリコン部材618aは基板301,302よりも大きい。 プラズマ処理部616では、例えば、基板301,302に対する表面活性化処理のみが行われる。 電極ステージ618は高周波電源に接続され、プラズマチャンバ617は設置される。 電極ステージ618とプラズマチャンバ617とは、ガラス等の絶縁体619により電気的に絶縁される。 基板301,302は、プラズマチャンバ617内において電極ステージ618上に保持される。 電極ステージ618に高周波電圧を印加することにより、上述のRIE機構613と同様に、基板301,302の接合面に対する表面活性化処理およびシリコン粒子の照射が行われる。 プラズマ処理部616では、プラズマチャンバ617の上部に、プラズマチャンバ617の内部空間にプラズマを供給するラジカルダウンフロー機構が設けられてもよい。 この上部電極側に一部をシリコンとすることでシリコン粒子を照射する構造とすることもできる。 そうすることで下部の電極でArイオンを引き込み照射し、上部電極から同時にシリコン粒子を照射することも可能となる。 電極ステージ618をシリコン以外の材料にて形成し、電極ステージ618が基板の側方にシリコン部材を支持するようにしてもよい。 表1は、アルゴンの高速原子ビームを利用して様々な条件下で表面活性化を行った後、SiO 2 (酸化珪素)基板同士を接合した場合の接合強度を示す。 ケース11ないし16は、親水化処理を行って大気中で接合した場合を示し、ケース21ないし26は、表面活性化後、親水化処理を行わずに常温接合した場合を示す。 表1中の2列目の「ステージ材料」は、基板よりも大きいステージを形成する材料を示す。 3列目の「遮断部材」は、表面活性化時の遮断部材の有無を示す。 4列目は、高速原子ビーム源の構造の条件を示し、「内面カーボン」は放電室の内面がカーボンにて形成される場合を示し、「底面Si」は、放電室の内面のうち、放出孔に対向する面にシリコン部材が取り付けられた場合を示し、「3面Si」は、放電室の内面のうち、放出孔に対向する面を含む3つの面にシリコン部材が取り付けられた場合を示す。 5列目の「接合強度」は、接合後の基板同士の接合強度を示す。 ケース11とケース12とを比較することにより、また、ケース21とケース22とを比較することにより、親水化を行う場合および行わない場合において、ステージをシリコンにて形成することにより、接合強度が飛躍的に向上することが判る。 ケース12とケース13とを比較することにより、また、ケース22とケース23とを比較することにより、親水化を行う場合および行わない場合において、表面活性化時に遮断部材を設けることにより、接合強度がさらに向上することが判る。 ケース14とケース15とを比較することにより、また、ケース24とケース25とを比較することにより、親水化を行う場合および行わない場合において、放電室の奥の面にシリコン部材を配置することにより、接合強度が飛躍的に向上することが判る。 ケース15とケース16とを比較することにより、また、ケース25とケース26とを比較することにより、親水化を行う場合および行わない場合において、放電室の内面の多くの領域にシリコン部材を配置することにより、接合強度がさらに向上することが判る。 接合強度の一般的な判断として、1J/m 2未満は不十分な接合、1〜2J/m 2は良好な接合、2J/m 2以上は十分な強度を有する接合と判断した場合、ステージをシリコンで形成したり、高速原子ビーム源からシリコン粒子を放出することにより、良好または十分な接合強度が得られるといえる。 表1は、SiO 2基板同士の接合結果を示すものであるが、SiO 2の概念には、熱酸化膜、CVDによる酸化膜、ガラス等も含まれる。 なお、表面活性化処理が高速原子ビーム源以外の上述の方法(例えば、イオンビーム源やプラズマ)により行われた場合も、表1と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、SiO 2基板以外の酸化膜などの酸化物からなる基板、シリコンナイトライドなどの窒化物からなる基板、シリコンカーバイドなどの炭化物からなる基板、Ln(ニオブ酸リチウム)やLt(タンタル酸リチウム)、サファイヤなどイオン結晶性材料からなる基板、また、シリコン、シリサイドからなる基板、Ge、GaAsなどの化合物半導体からなる基板についても、表1と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、いかなる組み合わせでも同様な傾向であった。 <第2の実施の形態> なお、表面活性化処理が高速原子ビーム源以外の上述の方法(例えば、イオンビーム源やプラズマ)により行われた場合も、表2と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、Ln(ニオブ酸リチウム)基板以外のLt(タンタル酸リチウム)やサファイヤなどイオン結晶性材料からなる基板、また、シリコン、シリサイドからなる基板、Ge、GaAsなどの化合物半導体からなる基板、SiO 2や酸化膜などの酸化物からなる基板、シリコンナイトライドなどの窒化物からなる基板、シリコンカーバイドなどの炭化物からなる基板についても、表2と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、いかなる組み合わせでも同様な傾向であった。 また、SiO 2の概念には、熱酸化膜、CVDによる酸化膜、ガラス等も含まれる。 次にSi同志の接合において実験をしてみたところ表2に示すようにSi同志であっても内面カーボンで1.5J/m 2であったものが、底面をシリコンに変更した高速原子ビームで同条件処理をしたところ接合強度が2.5J/m 2以上とバルク破壊する強度が得られた。 これは前述のイオン結晶性のような表面をイオンビーム粒子で活性にしても接合しづらい材料に対してシリコンが有効に働くこととは異なり、例え表面がシリコンであっても強度をアップさせることが可能になる有効な手法であることが分かる。 また、第2の実施の形態で使用する粒子ビームによる活性化処理後の真空中直接接合方法においては、粒子ビームのイオン衝撃により界面をエッチング除去するだけでなく、分子の結合を外すことで結合手となるダングリングボンドを露出した状態で、相手側のダングリングボンドとの間でファンデルワールス力に接合する方法であると考えられている。 その原理から、本方式では、真空度が良くなるに従い、接合強度が上がる傾向がある。 これは真空といえどもチャンバー中に浮遊する分子が存在し、接合表面のダングリングボンドを結びついて活性力を低下させるためと考えられている。 表3に真空度の比較において本発明の効果を実験した結果を示す。 Siと化合物半導体(Ln)の接合において、通常の内面カーボンの原子ビーム処理においては9E-7Paにおいて初めて2.5J/m 2以上のバルク破壊する強度が得られた。 3E-6Paにおいては1.2J/m 2へと低下し、5E-6Paでは0.6J/m 2と1J/m 2を切る値となってしまう。 本接合材料において通常良品とされる接合強度の指標として1J/m 2であるがこれを下回ってしまう。 そこで底面をSiに変更した高速原子ビームで同条件処理をしたところ、3E-6Paまで2.5J/m 2以上のバルク破壊強度を維持し、5E-6Paにおいても2J/m 2を7E-6Paにおいても1.5J/m 2をキープした。 また、1E-5Paあたりまで良品とすることができた。 また、高速原子ビームの照射条件をさらに最適化したところ5E-5Paにおいても1J/m 2以上の値をキープした。 従来、超高真空中の粒子ビーム照射による表面活性化後の直接接合では結合手となるダングリングボンドが他の分子と結合することが無いように、特に水分子が減少する2E-6Paより真空度を良くする必要があったが、本発明においてはそれよりも悪い真空度で接合が可能になるため、装置の簡略化、コストダウンや到達真空度を待つ時間の短縮から量産性を改善でき、非常に有効な方法である。 5E-6Paのみを比較したとしても従来0.6J/m 2であったものが2J/m 2へと強度アップしており、半ケタあたりの真空度の悪化にも強度を維持できることが分かる。 この3E10-6Paあたりを狭間にチャンバー内の水分子の影響が大きく寄与しており、イオンでない水分子はイオンポンプでは除去できなく、高価なクライオポンプを使用したり、ガスを放出しない部材でチャンバ内を構成したり、真空度を良くするには難しい領域である。 本発明を使用することで3E-6Paより悪い環境においても1J/m 2以上の十分な接合強度を得ることができたことは非常に有効な効果である。 なお、表面活性化処理が高速原子ビーム源以外の上述の方法(例えば、イオンビーム源やプラズマ)により行われた場合も、表3と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、Ln基板以外のLt(タンタル酸リチウム)やサファイヤなどイオン結晶性材料からなる基板、また、シリコン、シリサイドからなる基板、Ge、GaAsなどの化合物半導体からなる基板、SiO 2や酸化膜などの酸化物からなる基板、シリコンナイトライドなどの窒化物からなる基板、シリコンカーバイドなどの炭化物からなる基板についても、表3と同様の傾向を示す結果が確認された。 また、いかなる組み合わせでも同様な傾向であった。 また、SiO 2の概念には、熱酸化膜、CVDによる酸化膜、ガラス等も含まれる。 図11は、基板接合装置に用いられる粒子ビーム源の他の例を示す縦断面図である。 図11の粒子ビーム源75は高速原子ビーム源である。 図12は、粒子ビーム源75の平面図である。 図11および図12では、粒子ビーム源75の周辺の構成も示している。 基板接合装置の他の構成は、図1や図9と同様であってよい。 装置の動作も図7と同様である。 図11および図12に示すように、粒子ビーム源75は、真空チャンバ761内において上下のステージ401,402の間に位置する。 また、粒子ビーム源75は、ステージ401,402の間において矢印75Aにて示すように水平方向に移動可能である。 すなわち、粒子ビーム源75は、上下に互いに対向する基板301、302の接合面の間において接合面に平行に移動可能である。 粒子ビーム源75は、放電室(筐体)751と、放電室751内に配置された1対の電極(電極棒)752とを備える。 放電室751および電極752は移動方向75Aに垂直かつ基板301,302に平行な方向に長い。 1対の電極752は移動方向に配列される。 放電室751は、移動方向75Aに垂直な側壁753,754と、下側のステージ401に対向する部材である下板755と、上側のステージ402に対向する部材である上板756とを含む。 電極752は、1対の側壁753,754の間、かつ、下板755と上板756との間に位置する。 下板755および上板756は、移動方向75Aに垂直な方向に配列された複数の放出孔757(すなわち、照射口)を有する。 図示省略の電源により、放電室751と電極752との間に高電圧が印加されると、放電室751内に流入したアルゴンガスは、電界により高速運動している電子と衝突し、プラズマ化してアルゴンイオンとなり、マイナス面である放電室751の内面や放出孔757を有するカソード面である下板755および上板756に高速に引き寄せられる。 一部のアルゴンイオンは放出孔757を通り抜ける際に電子を受け取り、中性原子となって高速に放出される。 既述のように、真空チャンバ761内では、2つの基板301,302の2つの接合面が対向するように基板301,302が支持される。 下板755の放出孔757から放出されたアルゴン原子は下側の基板301に照射され、上板756の放出孔757から放出されたアルゴン原子は上側の基板302に照射される。 粒子ビーム源75が矢印75Aにて示す方向へ移動することにより、上下の基板301,302の接合面全体に同時に粒子ビームが照射される。 1つの粒子ビーム源75の上下に放出孔757を設けることにより、粒子ビーム源75の製造コストを削減することができる。 また、陽電極の2本のロッドと垂直方向の上下に強い照射が出るため上下を照射口とすることで、底板を余計に削り取ってパーティクルの原因とすることなく、効率的に照射することができる。 また、スペース上も有利である。 図12に示すように、粒子ビーム源75には2つのアーム762が接続される。 アーム762が図示省略のビーム源移動機構により進退することにより、粒子ビーム源75は移動する。 ビーム源移動機構としては、図2中に符号603にて例示したものが採用されてもよい。 真空チャンバ761のアーム762が挿入される開口にはベローズ763が取り付けられ、開口は外部から隔離される。 粒子ビーム源75の冷却水は一方のアーム762の内部を通って粒子ビーム源75に供給され、他方のアーム762の内部を通って外部へと導き出される。 アルゴンガスは一方のアーム762の内部を通って放電室751内に供給される。 アーム762内には、電気配線等の他の構成要素も配置される。 放電室751および電極752は様々な材料にて形成されてよいが、好ましくは、図5A、図5B等を参照して説明した材料および構成が採用される。 より好ましくは、下板755および上板756はシリコンにて形成される。 側壁753,754および電極752はチタンまたはチタンを含む金属にて形成される。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用してもよい。 上述のように、放電室751の内面の少なくとも一部は、シリコンにより形成される、または、シリコンを含むことが好ましい。 放電室751の内面上にシリコン部材またはシリコンを含む部材が張り合わされてもよい。 このとき、好ましくは、放電室751は、シリコンより抵抗率が低い材料またはシリコンよりイオン化率が高い材料にて形成される。 放電室751の内面の少なくとも一部がシリコンにより形成され、シリコンに抵抗値を低下させる不純物がドープされてもよい。 放電室751の内面の少なくとも一部は、チタンまたはチタンを含む金属で形成されることが好ましい。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用してもよい。 放電室751の内面の少なくとも一部がカーボンで形成される場合は、緻密化されたカーボンで形成されることが好ましい。 放電室751の少なくとも一部がカーボンを含み、放電室751の少なくとも他の一部がチタンまたはチタンを含む金属で形成される構成が採用されてもよい。 さらには、放電室751全体がチタンまたはチタンを含む金属で形成されてもよい。 放出孔757を含む部材は、シリコンまたはシリコンを含む材料にて形成されることが好ましい。 電極752はカーボンで形成されてもよいが、好ましくは金属にて形成される。 チタンに代えてタンタル、モリブデンを利用しても同様である。 なお、ステージ401,402上にシリコン部材が支持されてもよく、ステージ401,402を基板301,302よりも大きくしてステージ401,402をシリコンにて形成しもよい。 いずれの構造が採用される場合においても、粒子ビームの照射と並行して2つの基板301,302の接合面にシリコン粒子が照射されることが好ましい。 2つの基板301,302は互いに対向するのではれば、水平に支持される必要はない。 放電室(筐体)751には2つの接合面にそれぞれ対向する2つの部位に放出孔757が設けられる。 図13は、図11の粒子ビーム源75の好ましい構造を例示する縦断面図である。 図11と同様の構成要素には同符号を付している。 放電室751の側壁753,754は、チタンにて形成される。 下板755および上板756は、シリコンにて形成される。 下板755および上板756は、アルゴン原子が放出される複数の放出孔757(すなわち、照射口)を有する。 放電室751の内面の全体には、DLCにて形成されたコーティング758が設けられる。 電極752はカーボンにて形成される。 カーボンは低抵抗であるため、電流を流す電極752のロッドに使用されることが好ましい。 DLCでは、コーティング時に、CVD、PVD、イオン注入法等が使用されるため、原子レベルでカーボンが付着して緻密化しており、Arイオンで叩かれて原子レベルで剥がれても、通常のカーボンのようにパーティクルのような塊となって剥がれることはない。 通常のカーボンの場合、緻密化されていないため大きなかたまりがすかすかな状態で密着している。 これをArで叩くとはがれる時は大きなかたまりがはがれてしまうためパーティクルとなって接合部にボイドができたり接合不良を起こす。 それに対し、緻密化されたカーボンでは原子レベルで成膜されているためArでたたかれても原子や分子レベルの大きさのものはエッチングされてはがれても大きなかたまりではがれることはない。 そのため、膜厚さえコントロールすればパーティクルの出ないカーボンとして選択でき有効である。 また、DLCはSiと同等の10 6 Ω・cm台程度から10 −3 Ω・cm台のような低抵抗のものも選択可能である。 厚さも5000nm程度まで可能であり、例えば、1ショットで1nm減少しても5000回使用することができる。 図14は、放出孔757近傍を拡大して示す図である。 放出孔757の穴表面はシリコンにより形成される。 放出孔757を形成する部材である上板756の内側は緻密化されたカーボンで形成される。 そのため、放電室751内においてシリコンのパーティクルが上板756から発生することが防止される。 下板755に関しても同様である。 通常のカーボンが放電室751の内面を覆う場合に比べて、緻密化されたカーボンを利用することにより、放電室751内にてパーティクルが発生するまでの放電回数が大幅増加し、かつ、パーティクルの発生量が大幅に低減される。 アルゴンイオンが放出孔757内を通過する際に放出孔757の内面に衝突することにより、シリコン原子が放出孔757から放出される。 シリコン原子の放出を効率よくするために、放出孔757の直径Aに対して、シリコンの上板756の厚さtは大きい方が好ましい。 すなわち、t/Aは大きいほど好ましい。 また、多くの放出孔757が設けられることが好ましい。 放電室751の内面は、全体が緻密化されたカーボンにて覆われることが好ましい。 放電室751の内面全体が緻密化されたカーボンにて覆われる場合、側壁753,754はチタン以外の金属にて形成されてもよい。 他の好ましい材料として、タンタル、モリブデンを挙げることができる。 また、これらの金属原子が界面に存在すると接合強度が増し接合に優位となる。 半導体で使われる接合部の材料の中で接合しづらい材料、例えばアルミニウムなどを少なくとも片側に有する接合に有効である。 特にチタンはメタルコンタミとなりにくく半導体でも使える材料である。 また、先の緻密化カーボンを表面にコーティングしたり、カーボンからなる筐体内の一部を金属化することで、下地の金属や一部の金属部位からも微量に金属が混ざって照射されることで、メタルコンタミや導通してしまう問題を回避しながら、優位に接合することができる。 上述の基板接合装置では、様々な変更が可能である。 例えば、表面活性化処理部610の粒子ビーム源601は、ライン式には限定されず、非ライン式の粒子ビーム源が利用されてもよい。 シリコン粒子の照射は、第1基板301の接合面と、第2基板302の接合面の一方のみであってもよい。 すなわち、表面活性化処理部610は、少なくとも一方の接合面に、表面活性化と並行してシリコン粒子を照射する。 例えば、一方の基板がシリコン基板であり、他方の基板の接合面が酸化膜(酸化珪素)である場合、酸化膜の接合面のみにシリコン粒子が照射されてもよい。 上述の基板の接合では、ステップS13と並行して、あるいは、ステップS13よりも後に、基板301,302が加熱されてもよい。 基板301,302の加熱は、ステージ401,402から熱伝導には限定されず、例えば、基板301,302の接合面に光を照射することにより行ってもよい。 既述のように、基板の材料としては様々なものが採用される。 両接合面において接合される材質は、様々なものであってよい。 例えば、シリコンに代表される半導体、銅、アルミニウム、金等の金属、酸化珪素、窒化珪素、樹脂等の絶縁物であってもよい。 基板接合装置100では、様々な材料間で接合を行うことができるため、基板同士の接合の際に、封止剤を用いることなく回路を封止することが実現される。 さらには、面接合による基板の積層や大型の基板同士の面接合も実現される。 上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。 発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。 したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。 100,100a 基板接合装置 200 真空チャンバ(第1真空チャンバ) |