適応型の発射方向および/または位置を用いた原子干渉計

申请号 JP2013023447 申请日 2013-02-08 公开(公告)号 JP6072558B2 公开(公告)日 2017-02-01
申请人 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド; 发明人 ロバート・コンプトン; ケネス・サリット;
摘要
权利要求

原子干渉計内で原子を発射する方法であって、 前記原子に対する総実効加速の方向を確定するステップと、 前記総実効加速力の前記方向に基づいて前記原子干渉計内の測定のために前記原子の発射の方向を制御するステップであって、前記総実効加速力は、前記原子に対する重力の力および任意の他の加速力を含む、ステップと、 前記原子から測定結果を取得するステップと を含む方法。原子の発射の前記方向を制御するステップが、発射の前記方向を、前記総実効加速力の前記方向と実質的に直交して設定するステップを含む、請求項1に記載の方法。原子干渉計内で原子を発射する方法であって、 発射後の前記原子干渉計内の測定のために原子の予測軌跡を確定するステップと、 前記予測軌跡に基づいてラマンレーザビームの体積内で前記原子の発射の位置を制御するステップであって、発射の前記位置を、前記原子の前記予測軌跡の方向と実質的に反対の前記ラマンレーザビームの前記体積の端部のより近くに設定するステップを含み、前記原子の前記予測軌跡の方向は、前記原子に対する総実効加速力の方向および前記原子の発射の方向に基づき、前記総実効加速力は、前記原子に対する重力の力および任意の他の加速力を含む、ステップと、 前記原子から測定結果を取得するステップと を含む方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 [0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2012年2月17日に出願した米国仮出願第61/600,274号の利益を主張するものである。

[0002]原子干渉計は、加速度計およびジャイロスコープの両方を含む高精度慣性センサの基礎として用いることができる。高い安定性は、原子がトラッピングフィールドから解放され、自由空間内に展開されるときに得ることができ、そこで原子は操作され、レーザ光によって周期的にプロービングされる。原子の解放は本明細書では原子の発射(launch)または投下(drop)とも呼ぶ。

原子干渉計内で原子を発射する方法を提供する。

[0003]本明細書で述べられる実施形態は、原子干渉計内で原子を発射する方法を提供する。方法は、原子に対する総実効加速の方向を確定するステップと、総実効加速力の方向に基づいて原子干渉計内の測定のために原子の発射の方向を制御するステップと、原子から測定結果を取得するステップとを含む。

[0004]本明細書で述べられる他の実施形態は、原子干渉計内で原子を発射する他の方法を提供する。この方法は、発射後の原子干渉計内の測定のために原子の予測軌跡を確定するステップと、予測軌跡に基づいてラマンレーザビームの体積内で原子を発射する位置を制御するステップと、原子から測定結果を取得するステップとを含む。

[0005]図面は例示的実施形態のみを示し、したがって範囲を限定すると見なされるものではないとの理解のもとに、添付の図面を用いてさらに具体的にかつ詳細に例示的実施形態について説明する。

[0006]小型原子干渉計の動作の例を示す図である。

[0007]重力場内に静止した原子干渉計内の原子の例示の発射を示す図である。

[0008]加速度を受け、かつ重力場内にある原子干渉計内の原子の例示の発射を示す図である。

[0009]原子に対する総実効加速力と実質的に直交する方向での原子の例示の発射を示す図である。

[0010]原子の発射方向が適応的に制御される原子干渉計を含む例示のシステムのブロック図である。

[0011]非原子タイプジャイロスコープを含む相補型慣性測定ユニットの一部である、原子干渉計ジャイロスコープを含む例示のシステムのブロック図である。

[0012]原子干渉計内の原子の発射の方向が相補型慣性測定ユニットからの出力測定結果に基づいて制御される、非原子タイプ加速度計を含む相補型慣性測定ユニットの一部である原子干渉計を含む例示のシステムのブロック図である。

[0013]発射時のラマンレーザビームの体積内の原子の位置が適応的に制御される、原子の例示の発射を示す図である。

[0014]発射時のラマンレーザビームの体積内の原子の位置が適応的に制御される、原子の別の例示の発射を示す図である。




[0015]慣例に従って、様々な説明される特徴は、原寸に比例して描かれてなく、例示的実施形態に関わる特定の特徴を強調するように描かれている。 [0016]図1は、小型原子干渉計の動作の例を示す図である。このような原子干渉計の動作に際して、原子101は、原子101の拡散ガス内の各原子の質量中心速度を減少させるレーザ冷却技術によって用意される。結果として1組の重なり合うレーザビームの中心に低温の原子101の小さな雲(cloud)を生じる。レーザ冷却技術は、磁気光学トラップおよび光モラセス(optical molasses)の両方を含むことができる。


[0017]原子101が冷却されると、ラマンレーザビーム104が活動化状態のときに伝播する体積102内にある場所から、原子101を発射することができる。発射段階では、雲の内部の個々の原子の相対速度を変化させずに、原子の雲の全体の質量中心を加速させることができる。一例では、単一のラマンレーザビーム104は、原子101のすべてのインテロゲーション(interrogation)を行い、3回パルス駆動される。発射後にラマンレーザビーム104は1回目のパルス駆動をされて原子101内の各原子の半分に運動量を付与する。発射後に第1の期間(τ)の経過が許される。第1の期間(τ)は、第1の期間の2倍の後に原子101が依然として体積102内にあるように選択することができる。第1の期間(τ)の終わりにラマンレーザビーム104は再びパルス駆動されて(第2のパルス)、各原子101の運動量を反転させる。第2のパルスの後に、第1の期間に等しい第2の期間(τ)の経過が許される。第2の期間の後にラマンレーザビーム104は、3回目のパルス駆動をされて原子101を再結合する。再結合された原子101の相は、分割された間に原子101に影響を及ぼす慣性効果(たとえば回転、加速度)の示度(reading)を取得するために読み出すことができる。


[0018]センサが重力または他の加速度を受けているときは、原子101は原子干渉計の壁面に対して進行することになり、インテロゲーションのために利用可能な時間が制限される。さらにこの壁面に対する進行は、レーザ光に対する原子101の整列が十分に保たれないので、バイアスおよびスケールファクタ誤差が導入されることになる。具体的にはインテロゲーションのために利用可能な時間は、原子101がラマンレーザビーム104の体積102内に存在する時間に基づいて制限される。多くの例ではラマンレーザビーム104の体積102は、直径が数ミリメートルであり、それによりインテロゲーション時間は数十ミリ秒に制限される。


[0019]一例では、原子101の発射の方向は、原子干渉計に対する総実効加速力の方向に基づいて制御される。具体的には原子101の発射の方向は、所与の瞬間での原子干渉計に対する総実効加速力の方向に基づいて適応的に選択することができる。


[0020]たとえば、原子101の発射の方向は、原子干渉計内の原子101に対する総実効加速力の現在の方向と実質的に反対になるように適応的に選択することができる。原子101の発射の方向を総実効加速力の現在の方向と実質的に反対に設定することにより、インテロゲーションのための期間を長くするのに役立つことができる。原子101のインテロゲーションのための期間が長くなることは、期間が長いと結果として原子干渉計の感度がより大きくなることができるので望ましい。原子101を原子101に対する総実効加速力の方向と実質的に反対の方向に発射することにより、総実効加速力は原子101を減速し、したがって原子101がラマンレーザビーム104の体積102内に存在する時間が長くなる。


[0021]他の例では、原子101の発射の方向は、原子101に対する総実効加速力と実質的に直交するように適応的に選択することができる。原子101の発射の方向を総実効加速力の現在の方向と実質的に直交するように設定することで原子干渉計の感度を向上させるのに役立つことができる。これは原子101が総実効加速力に直交して発射された場合は、加速力は原子101に対する横方向効果が最も大きくなるからである。


[0022]一部の従来型の原子干渉計は、一般に重力と反対の方向に発射するように構成される。しかし、このような従来型の原子干渉計は固定された装置であり、干渉計に影響を及ぼす重力の方向が予め分かっている。したがってこれらの従来型の原子干渉計は一定のやり方で配置され、一般に重力と反対の方向に発射するように構成することができる。


[0023]本明細書で述べられ特許請求される主題はこれと異なり、所与の瞬間での原子干渉計に対する総実効加速力に基づいて原子101の発射の方向を適応的に制御することを可能にする。これは、原子干渉計が様々な方向のうちの1つに置かれる場合があるなど、重力が原子干渉計に影響を及ぼす方向が事前に分からない場合に有利である。また、原子干渉計が航空機上にあるときなど、原子干渉計が重力以外の加速度、または重力に加えて加速度を受ける場合にも有利である。また、正確な局部的な重力の方向が考慮されるなど、非常に高精度の測定が望ましい場合にも有利となり得る。


[0024]図2は、原子干渉計での原子101の例示の発射を示す図である。図2は、原子干渉計が重力場内で静止している場合を示す。図示のように原子干渉計は静止しているので、原子101に対する総実効加速力Feffの方向は重力mgの方向に整列する。図示のように原子101は、総実効加速力の方向と実質的に反対の方向に発射される。この例では、重力だけが加速力であり(すなわち原子干渉計は加速度を受けていない)、したがって発射の方向は重力の方向と実質的に反対である。発射後に重力の力は原子101を減速し、それによって原子101がラマンレーザビーム104の体積102内に存在する時間を長くする。


[0025]図3は、加速度を受け、かつ重力場内にある原子干渉計内の原子101の例示の発射を示す図である。図示のように原子101は、重力の力(質量×重力、mg)、および加速度からの力(質量×加速度、ma)を受ける。ここに示され本明細書で述べられる加速度の力maは、原子干渉計の本体に関する原子101に対する実効的な力である。言い換えれば、原子101に対する実効加速力maを得るには、原子干渉計の本体は、図3に示される大きさがaに等しくベクトルmaと反対の方向に加速している。


[0026]原子101に対する総実効加速力Feffは、重力の力mgと加速度からの力maの和に等しい。したがって総実効加速力Feffの方向は、重力mgの方向、および原子101に対する加速力maの方向に基づく。図示のように原子101は、総実効加速力と反対の方向に発射される。総実効加速力Feffは原子101を減速し、それによって原子101がラマンレーザビーム104の体積102内に存在する時間が長くなる。


[0027]図4は、原子が、原子101に対する総実効加速力と実質的に直交する方向に発射される、原子101の例示の発射を示す図である。図示のように原子101は、重力の力(質量×重力、mg)、および加速度からの力(質量×加速度、ma)を受ける。総実効加速力Feffは、重力の力mgと加速度からの力maの和に等しい。この例では原子101の発射の方向は、総実効加速力の方向と実質的に直交する。


[0028]図5は、原子101の発射方向が適応的に制御される原子干渉計502を含む例示のシステム500のブロック図である。この例ではシステム500は、原子101に対する総実効加速力の方向を確定するために、原子干渉計502と同じ入力運動を受ける非原子タイプ加速度計504を含む。非原子タイプ加速度計504から示度を取得することができ、この示度は、制御電子回路506に供給され得る。


[0029]制御電子回路506は、非原子タイプ加速度計504の示度から求められる総実効加速力に基づいて原子101の発射の方向を制御することができる。たとえば、原子101の発射の方向は、上記のように非原子タイプ加速度計504によって検出された加速力の方向と反対にまたは直交するように設定することができる。非原子タイプ加速度計504は、原子干渉計502より高い帯域幅を有することができるので、非原子タイプ加速度計504からの示度に基づいて方向を確定することにより、総実効加速力の変化の迅速な推定を可能にすることができる。原子干渉計502からの示度は、それから出力測定結果(たとえば加速度または回転)を求めるために測定ユニット508に送ることができる。原子干渉計502は、(加速度計として)加速度、または(ジャイロスコープとして)回転に対応する示度を取得するように構成することができる。非原子タイプ加速度計504は、微小電気機械システム(MEMS)振動構造加速度計(たとえばプルーフマスをベースとする加速度計)、または他の非原子タイプ加速度計を備えることができる。単一の原子干渉計502および単一の非原子タイプ加速度計504が示されるが、所与のシステムは本明細書で述べられるものと同様なやり方で動作する複数の原子干渉計502および/または複数の非原子タイプ加速度計504を含み得ることを理解されたい。一部の例では制御電子回路506および測定ユニット508またはそれらの一部分は、同じハードウェアおよび/またはソフトウェア内に実装することができる。


[0030]図6は、相補型慣性測定ユニットの一部である原子干渉計ジャイロスコープ602を含む例示のシステム600のブロック図である。例示の相補型慣性測定ユニットは、「Closed Loop Atomic Inertial Sensor(閉ループ原子慣性センサ)」という名称の米国特許出願整理番号H0034858で述べられている。相補型慣性測定ユニットは、原子干渉計602と共に同じ入力運動を受ける非原子タイプ慣性センサ603を含む。相補型慣性測定ユニットはまた、原子干渉計602および非原子タイプ慣性センサ603の両方からの示度に基づいて出力測定結果を計算するための適当な測定ユニット608を含む。相補型慣性測定ユニットは、複数の原子干渉計ジャイロスコープおよび加速度計、ならびに複数の非原子タイプジャイロスコープおよび加速度計を含むことができる。簡単にするために図6は、ジャイロスコープとして回転に対応する示度を取得するように構成された単一の原子干渉計602と、相補型慣性測定ユニットの一部であり同じくジャイロスコープである非原子慣性センサ603とを示す。相補型慣性測定ユニットには、他のジャイロスコープおよび加速度計を含むこともできる。非原子タイプ慣性センサは、MEMS振動構造慣性センサ(たとえば音叉型、圧電型、またはワイングラス型ジャイロスコープ、またはプルーフマスをベースとする加速度計)、光慣性センサ(たとえば、リングレーザジャイロスコープ、共振器光ファイバジャイロスコープ(resonant fiber optic gyroscope:RFOG)、干渉計光ファイバジャイロスコープ(interferometer fiber optic gyroscope:IFOG))、または他の非原子タイプ慣性センサを含むことができる。


[0031]相補型慣性測定ユニットは、ダイナミックレンジと高安定性のバランスをとるために用いることができる。これは、非原子タイプ慣性センサ603が、数百ヘルツの帯域幅を有する連続した出力を供給できるからである。しかし、原子干渉計602に対する測定サイクルは、用意され、発射され、操作され、最後にプロービングされる原子101のサンプルを使用し、1サイクルが数十ミリ秒以上も続き得る。このような原子干渉計602の感度は、発射と最後の読出しプロービングの間の時間に基づいて求めることができる。相補型慣性測定ユニット内に非原子タイプ慣性センサ603を原子干渉計602と統合することにより、低安定性、高帯域幅の非原子タイプ慣性センサ603を、高安定性、低帯域幅の原子干渉計602によって周期的に安定化させることができる。加えて原子干渉計602は、原子干渉計602と同じ入力運動を受けるが相補型慣性測定ユニットの一部ではない、非原子タイプ加速度計604からの示度に基づくなど、本明細書で述べられたいずれかのやり方で制御電子回路606を用いて原子101の発射の方向を制御することによってさらに安定化させることができる。一部の例では、制御電子回路606および測定ユニット608またはそれらの一部分は、同じハードウェアおよび/またはソフトウェア内に実装することができる。


[0032]図7は、相補型慣性測定ユニットの一部である原子干渉計加速度計702を含む例示のシステム700のブロック図であり、原子干渉計702内の原子101の発射の方向は、相補型慣性測定ユニットからの出力測定結果に基づいて制御される。相補型慣性測定ユニットとして、原子干渉計702と非原子タイプ加速度計704は、同じ入力運動にさらされる。単一の原子干渉計702および単一の非原子タイプ加速度計704のみが示されるが、相補型慣性センサは複数の原子干渉計ジャイロスコープおよび加速度計、ならびに複数の非原子タイプジャイロスコープおよび加速度計を含むことができる。非原子タイプ加速度計704は、MEMS振動構造加速度計(たとえばプルーフマスをベースとする加速度計)、または非原子タイプ加速度計を備えることができる。


[0033]この例では、総実効加速力の方向を確定するために、非原子タイプ加速度計704からの(1つまたは複数の)現在の示度は、測定ユニット706によって原子干渉計702(および相補型慣性測定ユニットの他のセンサ)からの1つまたは複数の以前の示度と組み合わせることができる。このような示度の組合せは、図6に関して上述したように相補型慣性測定ユニットのやり方で原子干渉計702の1つまたは複数の以前の示度に基づいて、非原子タイプ加速度計704のスケールファクタおよびバイアスに対して調整することができる。すなわち総実効加速力の方向を確定するために、非原子タイプ慣性センサによって第1の時点で採取された示度は、原子干渉計による示度(たとえば最新の示度)、または第1の時点より以前の(1つまたは複数の)時点で採取された示度と組み合わせることができる。測定ユニット706からの出力測定結果は、それに基づいて原子101の発射の方向を制御するために制御電子回路708に送ることができる。一例では、原子101の発射の方向は、このような相補型慣性測定ユニットからの最新の加速力推定の方向と反対にまたは直交するように設定することができる。一部の例では、制御電子回路708および測定ユニット706またはそれらの一部分は、同じハードウェアおよび/またはソフトウェア内に実装することができる。


[0034]他の例では、総実効加速力の方向は、非原子タイプ加速度計からの示度を用いずに、原子干渉計の以前の示度から求めることができる。この例は、原子干渉計が相補型慣性測定ユニットの一部でないときに用いることができる。たとえば現在の総実効加速力として、原子干渉計からの最新の示度を用いることができる。それに従って原子101の発射の方向は、原子干渉計からの最新の示度の方向と反対にまたは直交するように設定することができる。


[0035]動作に際しては、総実効加速力を求めることができ、原子干渉計(502、602、702)内の原子101の発射は、制御電子回路(506、606、708)によって適応的に制御することができる。たとえば、総実効加速力の第1の方向の第1の確定を第1の時点で行うことができる。このような第1の確定は上記のように、非原子タイプ慣性センサからの示度に基づいて、および/または原子干渉計からの示度に基づいて行うことができる。


[0036]総実効加速力の第1の方向の第1の確定に基づいて、原子干渉計は、総実効加速力の第1の方向と反対または直交する方向に原子101の第1の発射を行うことができる。第2の時点で原子干渉計は、総実効加速力の第2の方向の第2の確定を行うことができる。このような第2の確定は、上記のように、非原子タイプ慣性センサからの示度に基づいて、および/または原子干渉計からの示度に基づいて行うことができる。


[0037]この総実効加速力の第2の方向の第2の確定に基づいて、原子干渉計は、総実効加速力の第2の方向と反対または直交する方向に原子101の第2の発射を行うことができる。原子干渉計に対する加速力は、時間と共に変化し得るので、総実効加速力の第2の方向は、総実効加速力の第1の方向とは異なり得る。したがって、原子干渉計は、原子101の発射の方向を調整することによって総実効加速力の方向の変化に適応することができる。それにより原子干渉計は、総実効加速力の方向が変化する場合でも、原子101が体積102内にある時間を長くすることができる。一例では、原子干渉計は、総実効加速力の現在の方向に基づいて各発射に対する原子101の発射の方向を調整することができる。


[0038]原子101の発射の方向は、発射時に原子101を取り囲む1組の光モラセスレーザ202によって制御することができる。光モラセスレーザ202は、異なる光モラセスレーザ202が異なる方向から原子101に入射できるように、原子101の周りに戦略的に配置することができる。原子101に入射する光モラセスレーザ202の方向に基づいて、異なる光モラセスレーザ202からの光照射野(light field)を調整することによって、原子101の発射の方向を制御することができる。一例では、これらの光モラセスレーザ202は、発射の前に原子101を冷却するために用いられるのと同じレーザとすることができる。光モラセスレーザ202は、ビームの波長がわずかに異なるようにチューニングすることができる対向伝播ビームの対を含むことができる。この波長の違いにより、原子101に運動量を伝達させることができ、結果として対向伝播ビームの方向に沿ってゼロでない速度が生じることになる。このようにして光モラセスレーザ202を用いて、総実効加速力の方向に基づく方向に原子101を発射することができる。一例では、光モラセスレーザ202の各対が、反対の方向を向く2つのレーザを有するように原子101を取り囲む3対(合計6つ)の対向伝播ビームがあり、光モラセスレーザ202の各対は原子101の周りの3軸の1つに方向付けられる。それにより3軸の6つの直交する方向のそれぞれに向いたレーザがある。ビームの各対は、その対に対する周波数差に応じて、原子101に加速度の成分を付与することができる。3対の組合せによって、任意の方向に力を付与することが可能になる。


[0039]他の例では、原子101の発射の方向は、磁気光学トラップによって制御することができる。磁気光学トラップでは、磁気的に感受性のある原子は、磁界内の低い点にトラップされ、これは、空間内にゼロ磁界または低磁界点、たとえば四重極場を結果として生じるアンチヘルムホルツコイルまたは他のコイルの組合せによって生成することができる。空間内で一様なもう1つの磁界を四重極場に重畳することによって、一様な磁界ベクトルの軸に沿って低磁界点をシフトすることができる。原子の雲の質量中心はゼロ磁界点に追従するようになる。一様な磁界の強さを変えることによってゼロ磁界点、したがって原子の質量中心の場所を、原子の雲の相対平均速度を増加せずに(原子はこの作用によって加熱されない)、ゼロでない速度を原子の質量中心に付与できるように、動的に制御することができる。これは、干渉法を実行する前に原子を発射する代替手段をもたらす。異なる直交軸に沿った一様な磁界を組み合わせることで、発射方向に対する任意の制御をもたらすことができる。


[0040]図8は、発射時のラマンレーザビーム104の体積102内の原子101の位置が、上述の例示のシステム500、600、700のいずれかの制御電子回路(506、606、708)によって適応的に制御される、原子101の例示の発射を示す図である。一例では、原子101の発射の方向を制御することに加えて原子干渉計は、発射後の原子101の予測軌跡に基づいて発射時の原子101の位置を制御することができる。具体的には発射時の原子101の位置は、発射後の原子の予測軌跡の方向と実質的に反対のラマンレーザビームの体積の端部のより近くに設定することができる。


[0041]予測軌跡は、原子干渉計に対する総実効加速力に基づいて求めることができる。たとえば、原子干渉計が加速度を受けているおよび/または重力の影響を受けている場合は、予測軌跡は総実効加速力の方向となることが予想される。したがって原子101がラマンレーザビーム104の体積102内に留まる時間をさらに長くするために、ラマンレーザビーム104の体積102の「下側」端部により近い位置から原子101を発射することができ、ここで下側とは総実効加速力の方向に対してである。すなわち原子101の位置は、図8の総実効加速力の方向にあるラマンレーザビームの体積の端部のより近くに設定することができる。それにより総実効加速力と反対の方向に発射された場合は原子101は、体積102の中心で発射されるのと比べて、ラマンレーザビーム104を横切って進行する直線距離がより長くなる。原子101の位置は、上記の発射の方向に対する適応制御と同様に適応的に制御することができる。すなわち原子101の位置は、総実効加速力の現在の方向に従って原子101が体積102の「下側」端部のより近くになるように、各発射に対して設定することができる。


[0042]図8に示される例では、原子干渉計は、重力の力(質量×重力、mg)と、加速度からの力(質量×加速度、ma)とを受ける。総実効加速力Feffは、重力の力mgと加速度からの力maの和に等しい。この例では原子101の発射の方向は、重力の方向と実質的に反対であり、発射時の原子101の位置は、原子101が総実効加速力の方向の体積102の端部のより近くにあるように制御される。


[0043]図2に示される例では、総実効加速力の方向は紙面において下向きである。このような例では、原子101は、図2の例では紙面において上向きである、総実効加速力の方向と反対に発射することができる。原子101はまた、発射の方向と反対であるラマンレーザビーム104の体積102の端部のより近くに配置することができる。すなわち発射の方向を基準として用いることで原子101は、発射の方向の後方にあるラマンレーザビーム104の端部近くに配置することができ、これは、図2の例であれば、図2に示される体積102の底部近くとなる。


[0044]図9は、発射時にラマンレーザビーム104の体積102内の原子101の位置が適応的に制御される、原子101の他の例示の発射を示す図である。一部の例では、発射の方向に加えて他の要素を用いて原子101の予測軌跡を求めることができ、したがって発射時の原子101の位置を確定することができる。たとえば原子101が、図9に示されるように総実効加速力の方向と直交する方向に発射されるときは、発射の方向は、原子101に対する予測軌跡の方向と反対(すなわち後方)の体積102の端部近くに設定することができる。このような例では、発射後の原子101の予測軌跡は、総実効加速力の方向と発射の方向の間のベクトルに沿ったものとなり得る。したがって発射時の原子101の位置は、このような予測軌跡のベクトルとは反対の体積102の端部近くに設定することができる。


[0045]一例では、不均一な光照射野による誤差などの誤差を低減するように発射時に原子101を位置決めするために予測軌跡を用いることができる。ラマンレーザビーム104はガウス強度プロファイルを有するので原子101は、光軸からのそれらの半径方向距離に応じて異なる光強度を受け取ることができる。発射後の原子101の軌跡は、原子干渉計に対する総実効加速力、および一部の例では上記のように発射方向に基づいて予測することができる。予測軌跡に基づいて原子101の発射の場所を選択して、ラマンレーザのパルスが発生するときの原子101の場所を制御することができる。たとえば原子101は、発射の瞬間後に予測軌跡の方向に対して上側端部近くに原子101があるように発射することができる。このような上側端部近くのラマンレーザビームの体積102内で、原子101の位置は、ラマンレーザの第1の(π/2)パルスが発生するときに原子101が体積102の半径の1/e2近くにあるように選択することができる。第2のパルスは、第2の(π)パルスが発生するときに、原子101が下側端部(上側端部と反対)上の体積102の半径の1/e2近くにあるようにタイミング設定することができる。次いで原子101は、最後の(π/2)パルスが発生するときには上側端部上の半径の1/e2近くに戻るはずである。このようして原子101は、ラマンレーザパルスからおよそ同じ強度を受けることになる。


[0046]一例では、原子101の位置は、上述のいずれかのやり方で適応的に制御され、原子101の発射方向は総実効加速力に基づいて適応的に制御されない。このような例の一実装形態では、原子101の発射方向は異なる発射にわたって一定のままとすることができ、一方、発射時の原子101の位置は総実効加速力または発射後の原子の予測軌跡に基づいて適応的に制御することができる。


[0047]一例では、原子101の位置は、磁気光学トラップによって制御することができる。このような磁気光学トラップは、アンチヘルムホルツ磁界の磁界ゼロ(magnetic zero)に原子101を保持する。原子101の位置は、磁界ゼロの場所を調整するように磁界を適切に制御することによって制御することができる。


[0048]一例では、原子101がラマンレーザパルスから一様の光強度を受けるのを補助するために、予測軌跡に基づいてラマンレーザビーム104の強度を変えることができる。


例示的実施形態 [0049]例1は、原子干渉計内で原子を発射する方法を含み、方法は、原子に対する総実効加速力の方向を確定するステップと、総実効加速力の方向に基づいて原子干渉計内の測定のための原子の発射の方向を制御するステップと、原子から測定結果を取得するステップとを含む。


[0050]例2は、例1の方法を含み、総実効加速力は、原子に対する重力の力および任意の他の加速力を含む。 [0051]例3は、例2の方法を含み、原子に対する他の加速力は、原子干渉計の本体に対する力である。


[0052]例4は、例1から3のいずれかの方法を含み、総実効加速力の方向を確定するステップは、微小電気機械システム(MEMS)振動構造加速度計からの示度を用いて総実効加速力の方向を確定するステップを含む。


[0053]例5は、例4の方法を含み、総実効加速力の方向を確定するステップは、MEMS振動構造加速度計および原子干渉計からの示度の組合せに基づいて総実効加速力の方向を確定するステップを含む。


[0054]例6は、例1から5のいずれかの方法を含み、方法は、方向を確定する動作を繰り返すステップと、原子の発射の方向を制御するステップと、原子干渉計に対する総実効加速力の現在の方向の推定に基づいて原子発射の方向が適応的に決定されるように、後続する原子発射に対する測定結果を取得するステップとを含む。


[0055]例7は、例1から6のいずれかの方法を含み、原子の発射の方向を制御するステップは、発射の方向を総実効加速力の方向と実質的に反対に設定するステップを含む。 [0056]例8は、例1から7のいずれかの方法を含み、原子の発射の方向を制御するステップは、発射の方向を総実効加速力の方向と実質的に直交して設定するステップを含む。


[0057]例9は、例1から8のいずれかの方法を含み、方法は、ラマンレーザビームの体積内の原子を発射する位置を、発射後の原子の予測軌跡に基づいて原子の予測軌跡の方向と実質的に反対のラマンレーザビームの体積の端部のより近くになるように制御するステップを含む。


[0058]例10は、例9の方法を含み、原子の予測軌跡の方向は、原子の発射の方向および総実効加速力に基づく。 [0059]例11は、例9または10のいずれかの方法を含み、原子を発射する位置を制御するステップは、原子の位置を、ラマンレーザの第1のパルスが発生するときにラマンレーザビームの体積の半径の1/e2近くに設定するステップを含む。


[0060]例12は、原子干渉計内で原子を発射する方法を含み、方法は、発射後の原子干渉計内の測定のために原子の予測軌跡を確定するステップと、予測軌跡に基づいてラマンレーザビームの体積内で原子を発射する位置を制御するステップと、原子から測定結果を取得するステップとを含む。


[0061]例13は、例12の方法を含み、原子を発射する位置を制御するステップは、発射の位置を原子の予測軌跡の方向と実質的に反対のラマンレーザビームの体積の端部のより近くに設定するステップを含む。


[0062]例14は、例13の方法を含み、原子の予測軌跡の方向は、原子に対する総実効加速力の方向および原子の発射の方向に基づく。 [0063]例15は、例14の方法を含み、総実効加速力は、原子に対する重力の力および任意の他の加速力を含む。


[0064]例16は、例13から15のいずれかの方法を含み、原子を発射する位置を制御するステップは、原子の位置を、ラマンレーザの第1のパルスが発生するときに、ラマンレーザビームの体積の半径の1/e2近くに設定するステップを含む。


[0065]例17は、慣性センサを含み、慣性センサは、原子を発射し、そこから示度を取得するように構成された原子干渉計と、原子干渉計と同じ入力運動を受ける非原子タイプ加速度計と、制御および測定電子回路であって、非原子タイプ加速度計からの示度に基づいて原子干渉計内の原子に対する総実効加速力の方向を確定し、総実効加速力の方向に基づいて原子干渉計内の原子の発射の方向を制御し、原子干渉計からの示度に基づいて出力測定結果を取得するように構成された、制御および測定電子回路とを備える。


[0066]例18は、例17の慣性センサを含み、原子干渉計は、加速度または回転の1つに対応する示度を取得するように構成されている。 [0067]例19は、例17または18のいずれかの慣性センサを含み、慣性センサは、原子干渉計と同じ入力運動を受ける非原子タイプジャイロスコープを備え、制御および測定電子回路は、原子干渉計および非原子タイプジャイロスコープからの示度の組合せに基づいて出力測定結果を取得するように構成される。


[0068]例20は、例17から19のいずれかの慣性センサを含み、制御および測定電子回路は、原子干渉計および非原子タイプ加速度計からの示度の組合せに基づいて出力測定結果を取得するように構成され、原子干渉計は、加速度に対応する示度を取得するように構成されている。




101 原子 102 ラマンレーザビームの体積 104 ラマンレーザビーム 202 光モラセスレーザ 500 システム 502 原子干渉計 504 非原子タイプ加速度計 506 制御電子回路 508 測定ユニット 600 システム 602 原子干渉計ジャイロスコープ、原子干渉計 603 非原子タイプ慣性センサ 604 非原子タイプ加速度計 606 制御電子回路 608 測定ユニット 700 システム 702 原子干渉計加速度計、原子干渉計 704 非原子タイプ加速度計 706 測定ユニット 708 制御電子回路



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