測定方法、測定装置及び測定プログラム

申请号 JP2012252602 申请日 2012-11-16 公开(公告)号 JP6095955B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 ルネサスエレクトロニクス株式会社; 菅原 光俊; 发明人 石原 範和; 毛利 勇喜; 菅原 光俊;
摘要
权利要求

アナログ信号とデジタル信号間のデータ変換を行うデルタシグマ型のデータ変換器の測定方法であって、 所定間隔の入電圧値に基づき生成されたランプ波形の入力に基づいて前記データ変換器によるデータ変換を経由して出力される出力デジタル値を連続して取り込み、 前記出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとし、 前記組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行い、 前記統計処理の結果から非直線性の誤差を算出する 測定方法。前記出力デジタル値に対応する入力電圧値に基づいて、前記値の大きさごとに出力デジタル値における入力電圧値の第1の推定値を算出し、 前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値における前記第1の推定値の差分を算出し、 前記第1の推定値の差分に対して前記統計処理を行う、 請求項1に記載の測定方法。前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分を算出し、 前記一対の出力デジタル値の差分に基づいて前記統計処理を行う 請求項1に記載の測定方法。前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分の逆数を算出し、 前記一対の出力デジタル値の差分の逆数に基づいて前記統計処理を行う 請求項1に記載の測定方法。前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値に基づいて非直線性の仮の誤差を算出し、 前記仮の誤差に対して前記統計処理を行う 請求項1に記載の測定方法。前記出力デジタル値の大きさ順における位置に応じて前記統計処理の結果を累算して第2の推定値を算出し、 前記第2の推定値を用いて前記非直線性の誤差を算出する 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の測定方法。前記出力デジタル値の出力範囲を所定数の区間に分割した場合の区間ごとに、前記統計処理を行う 請求項2に記載の測定方法。前記統計処理は、区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算のいずれかである 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の測定方法。前記所定間隔は、前記出力デジタル値の1LSB(Least Significant Bit)より大きい 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定方法。アナログ信号とデジタル信号間のデータ変換を行うデルタシグマ型のデータ変換器の測定装置であって、 所定間隔の入力電圧値に基づき生成されたランプ波形の入力に基づいて前記データ変換器によるデータ変換を経由して出力される出力デジタル値を連続して取り込み、前記出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとし、前記組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行う統計部と、 前記統計処理の結果から非直線性の誤差を算出する誤差算出部と、 を備える測定装置。前記統計部は、 前記出力デジタル値に対応する入力電圧値に基づいて、前記値の大きさごとに出力デジタル値における入力電圧値の第1の推定値を算出し、 前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値における前記第1の推定値の差分を算出し、 前記第1の推定値の差分に対して前記統計処理を行う、 請求項10に記載の測定装置。前記統計部は、 前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分を算出し、 前記一対の出力デジタル値の差分に基づいて前記統計処理を行う 請求項10に記載の測定装置。前記統計部は、 前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分の逆数を算出し、 前記一対の出力デジタル値の差分の逆数に基づいて前記統計処理を行う 請求項10に記載の測定装置。前記統計部は、 前記組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値に基づいて非直線性の仮の誤差を算出し、 前記仮の誤差に対して前記統計処理を行う 請求項10に記載の測定装置。前記統計部は、 前記出力デジタル値の大きさ順における位置に応じて前記統計処理の結果を累算して第2の推定値を算出し、 前記第2の推定値を用いて前記非直線性の誤差を算出する 請求項11乃至14のいずれか1項に記載の測定装置。前記統計部は、 前記出力デジタル値の出力範囲を所定数の区間に分割した場合の区間ごとに、前記統計処理を行う 請求項11に記載の測定装置。前記統計部は、 区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算のいずれかにより、前記統計処理を行う 請求項10乃至16のいずれか1項に記載の測定装置。前記所定間隔は、前記出力デジタル値の1LSB(Least Significant Bit)より大きい 請求項10乃至17のいずれか1項に記載の測定装置。

说明书全文

本発明は、測定方法、測定装置及び測定プログラムに関し、例えば、アナログ信号とデジタル信号間のデータ変換を行うデルタシグマ型のデータ変換器の測定方法、測定装置及び測定プログラムに関する。

近年、計測用にΔΣ方式の16ビット以上の高精度なAD変換器又はDA変換器(以下、総称して「データ変換器」という。)が普及している。例えば、16ビットのAD変換器を測定する場合、20ビット程度のDA変換器を用いて入電圧を与える。具体的には、当該DA変換器は、0から1048575(10進)まで順次対応するアナログ電圧出力を、測定対象の上記AD変換器に順次与える。そして、測定装置は、測定対象の上記AD変換器の出力デジタル値を取り込み、レジスタ又はメモリに一時的に保存し、直線性等の演算に供する。ここで、出現回数の計測や、乗除算などの演算はストアードプログラム方式のマイクロコンピュータで処理することが一般的である。尚、簡易的には高精度プログラマブル電源装置(DA変換器に相当)とパーソナルコンピュータとを組み合わせて測定装置を構成できる。また、工業的に大量生産する場合には、これらの機能を備えたミックスドシグナルLSI(Large Scale Integration)テスタと呼ばれる装置を使うことが一般的である。

関連する技術が非特許文献1に開示されている。非特許文献1には、ヒストグラム法を用いたAD変換器の測定方法が開示されている。ヒストグラム法は、被測定AD変換器に対して、時間とともに電圧が順次上昇または下降するランプ波形を入力し、AD変換器の出力のデジタル値を取り込み、ゼロスケールからフルスケールまでのデジタル値毎にその出現回数を積算した数列を作り、それらに総出現回数で除し、フルスケール値を乗じた第二の数列を、各デジタル値の推定変換電圧とする手法である。その他、関連する技術として、特許文献1〜4がある。

特開2006−319750号公報

特開2005−354617号公報

特開2004−088515号公報

特開平11−261417号公報

Joey Doernberg et al., "Full−Speed Testing of A/D Converters", IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, 1984, VOL.sc−19, NO.6, pp.820−827

しかしながら、上述したΔΣ方式のデータ変換器に対して非特許文献1に開示された測定方法を適用した場合、測定精度を保つためには、測定時間に長時間を要するという問題点がある。

その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。

一実施の形態によれば、出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとし、前記組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行い、前記統計処理の結果から非直線性の誤差を算出するものである。

前記一実施の形態によれば、ΔΣ方式のデータ変換器に対して、測定精度を保ちつつ、測定時間を短縮できる。

本実施の形態1にかかるデータ変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。

本実施の形態1にかかる測定処理の流れを示すフローチャートである。

本実施の形態2にかかるΔΣ型AD変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。

本実施の形態2にかかる測定装置の構成の一例を示すブロック図である。

本実施の形態2にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。

本実施の形態3にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。

本実施の形態4にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。

本実施の形態5にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。

関連技術により約2500データを測定した場合の積分直線性グラフである。

本実施の形態5により約2500データを測定した場合の積分直線性のノイズ圧縮グラフである。

本実施の形態5により約250データを測定した場合の積分直線性のノイズ圧縮グラフである。

図9〜図11を重ね合わせて比較するための図である。

本実施の形態6にかかるΔΣ型DA変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。

以下では、上述した課題を解決するための手段を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。

以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。

さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。

<実施の形態1> 図1は、本実施の形態1にかかるデータ変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。図1は、入力波発生器11と、データ変換器12と、測定装置13とを含む。尚、入力波発生器11と測定装置13とをまとめて測定装置と呼んでも構わない。入力波発生器11は、少なくとも所定間隔の入力電圧値に基づきランプ波形を生成する。データ変換器12は、アナログ信号とデジタル信号間のデータ変換を行うデルタシグマ型のデータ変換器である。データ変換器12は、デルタシグマ型のAD変換器又はDA変換器のいずれかである。そのため、データ変換器12がAD変換器である場合、入力波発生器11には、ランプ波形をアナログ信号に変換してデータ変換器12へ出力するDA変換器(不図示)を含むものとする。また、データ変換器12がDA変換器である場合、入力波発生器11は、デジタル信号であるランプ波形をデータ変換器12へ出力する。この場合、測定装置13には、AD変換器(不図示)が含まれるものとする。つまり、データ変換器12は、入力波発生器11により生成されたランプ波形の入力に基づいてDA変換又はAD変換のいずれかのデータ変換を行い、当該データ変換後の出力信号を測定装置13へ出力する。

測定装置13は、統計部131と、誤差算出部132とを備える。統計部131は、入力波発生器11により生成されたランプ波形の入力に基づいてデータ変換器によるデータ変換を経由して出力される出力デジタル値を連続して取り込む。尚、出力デジタル値は、出力範囲に含まれる各コード値のいずれかをその値とする。つまり、統計部131は、時系列に従って出力デジタル値を取り込む。

ここで、データ変換器12がAD変換器である場合、統計部131は、データ変換器12から出力される出力デジタル値を取り込む。また、データ変換器12がDA変換器である場合、データ変換器12から出力されるアナログ信号を測定装置13が内蔵する上記AD変換器がデジタル信号へ変換し、統計部131へ出力する。統計部131は、測定装置13が内蔵するAD変換器からの出力デジタル値を取り込む。

そして、統計部131は、出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとする。例えば、(説明を簡単にするため10進数で表記すると、)取り込まれた出力デジタル値が取り込み順で"5,5,6,5,6,6,5,6,6,7,6"であった場合、統計部131は、"5"と"6"の組合せと、"6"と"7"の組合せとを生成する。これらは、「異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する」一対の組合せといえる。一方、この場合、統計部131は、"5"と"7"の組合せといった「値の大きさ順で隣接しない組合せ」は生成しない。また、統計部131は、"5"と"5"の組合せといった「同じ値同士の組合せ」も生成しない。その後、統計部131は、組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行う。ここで、所定の統計処理とは、出力デジタル値のノイズが圧縮されるような各種演算処理である。例えば、各種演算処理として、区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算処理を用いても構わない。また、「各組合せに属する出力デジタル値に対応する入力電圧値」とは、特定の出力デジタル値に対応する入力電圧値であるか、又は、特定の出力デジタル値が複数存在する場合には、それらに対応する入力電圧値に対する統計処理を加えた値であっても構わない。例えば、上述の例では、コード値が"5"である出力デジタル値が4つあるが、これらの出力デジタル値に対応する入力電圧値の平均値等を用いても構わない。誤差算出部132は、統計処理の結果から非直線性の誤差を算出する。

図2は、本実施の形態1にかかる測定処理の流れを示すフローチャートである。まず、統計部131は、所定間隔の入力電圧値に基づき生成されたランプ波形の入力に基づいてデータ変換器12によるデータ変換を経由して出力される出力デジタル値を連続して取り込む(S11)。次に、統計部131は、出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとする(S12)。そして、統計部131は、組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行う(S13)。その後、誤差算出部132は、統計処理の結果から非直線性の誤差を算出する(S14)。

上述したように、ΔΣ方式のデータ変換器に対して、非特許文献1にかかるヒストグラム法を用いたAD変換器の測定方法を適用した場合、ある程度の測定精度を保つためには、測定時間に長時間を要するという問題点がある。その理由は、ランダムノイズの変化の幅が大きいためである。それ故、ある程度の測定精度を保つためには、ノイズの変化の幅に比べてランプ波の増減の最小単位を10分の1程度小さくしなければならず、測定回数が多くなる。これに伴い、測定時間に長時間を要することとなる。これは、DA変換器を測定する場合にも同様である。

具体的に説明すると、上記ヒストグラム法を用いたAD変換器の測定又はDA変換器の測定では、いずれの場合も、入力をゆっくりと単調に増加している。一方で、いずれの場合も、1LSB(Least Significant Bit)=1/216=1/65536=0.000016である。そのため、フルスケールが1Vの場合、1LSBがわずか16μVに当たる。よって、ほぼノイズレベルに相当している。ここで、ノイズによって、出力は期待値前後の10LSB程度の幅の値がランダムに変化するのが一般的である。そのため、ヒストグラム法を用いてノイズを考慮した測定を行う場合には、測定回数を多くする必要があり、結果として測定時間が長くなる。

そこで、本実施の形態1にかかる測定装置13により、取り込まれた出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で最も近い値同士を組合せとして、当該組合せ単位で所定の統計処理を行うことで、ランダムノイズを除去することができる。それ故、入力電圧の所定の間隔を通常より広く取ったとしても精度を落とさない。よって、デルタシグマ方式のデータ変換器の測定において、測定精度を落とさずに、データ変換器の測定時間を短縮することができる。

<実施の形態2> 本実施の形態2は、上述した実施の形態1の一実施例である。本実施の形態2では、出力デジタル値の出力範囲を所定数の区間に分割した場合の区間ごとに、統計処理を行うものである。これにより、出力デジタル値のノイズの圧縮を行ってもアナログ歪みを保持できるため、測定精度を維持できる。

また、本実施の形態2では、出力デジタル値に対応する入力電圧値に基づいて、値の大きさごとに出力デジタル値における入力電圧値の第1の推定値を算出し、組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値における第1の推定値の差分を算出し、第1の推定値の差分に対して統計処理を行うものである。例えば、測定対象のデータ変換器は、デルタシグマ型であるため、隣接する種類の出力デジタル値の差分は1LSBであり、1LSBにおける電圧の幅は共通であるため、第1の推定値の差分を圧縮することで、ランダムノイズを圧縮できる。そのため、例えば、入力電圧値の幅を所定間隔より広くし、出力される複数種類の出力デジタル値の総数を少なくしても、ランダムノイズの影響が少なくなり、測定精度を保つことができる。

さらに、本実施の形態2では、出力デジタル値の大きさ順における位置に応じて統計処理の結果を累算して第2の推定値を算出し、第2の推定値を用いて非直線性の誤差を算出することが望ましい。これにより、所望の誤差を容易に算出することができ、測定結果の柔軟な分析を行うことができる。

さらにまた、本実施の形態2では、統計処理は、区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算のいずれかを用いることができる。によって、ノイズを低減することが統計できる。

また、本実施の形態2では、所定間隔は、出力デジタル値の1LSB(Least Significant Bit)より大きくしてもよい。これにより、取り込む出力デジタル値を少なくすることで、測定時間を短縮できる。

図3は、本実施の形態2にかかるΔΣ型AD変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。図3は、ランプ波形発生器21と、DA変換器22と、T−ADC23と、測定装置24とを含む。ランプ波形発生器21は、順次増加もしくは減少するデジタル値をランプ波形として供給する。DA変換器22は、ランプ波形発生器21から供給されるランプ波形を順次増加もしくは減少するアナログ値に変換する基準の高精度のDA変換器である。T−ADC23は、DA変換器22からのアナログ値を入力とする16ビットのΔΣ型AD変換器である。そして、T−ADC23は、測定装置24による測定対象のデータ変換器である。測定装置24は、T−ADC23からの出力デジタル値を入力とする演算装置である。

T−ADC23は、減算器231と、積分器232と、二値化233と、デジタルフィルタ234とを備える。減算器231は、入力電圧に基づくDA変換器22からのアナログ信号から帰還信号を減算する。積分器232は、減算器231の減算結果を積分する。二値化233は、積分器232からの出力を二値化する。二値化233による出力を前記帰還信号とする。

ここで、帰還されるのは、入力に依らず常に1ビットの値(0か1の二値のいずれか)のみである。そのため、何クロックにも渡り積分された結果と入力とが比較され、二値化出力が反転する。そして、入力電圧情報が、反転するまでのクロック数に変換される。デジタルフィルタ234は、積分要素を含む二値化結果をフィルタし、多値化デジタル値に変換した後、測定装置24へ出力する。

測定装置24は、出力デジタル値に対応する入力電圧値に基づいて、出力デジタル値の大きさごとに出力デジタル値における入力電圧値の第1の推定値を算出する。例えば、(説明を簡単にするため10進数で表記すると、)測定装置24は、コード値が"5"である出力デジタル値が複数取り込まれている場合、これらにおける入力電圧値を用いて第1の推定値を算出する。また、測定装置24は、コード値が"6"である出力デジタル値についても同様に、第1の推定値を算出する。そして、測定装置24は、組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値における第1の推定値の差分を算出する。例えば、コード値が"5"と"6"である一対の出力デジタル値の組合せについて、測定装置24は、コード値が"5"である出力デジタル値における第1の推定値と、コード値が"6"である出力デジタル値における第1の推定値との差分を算出する。同様に、測定装置24は、他の出力デジタル値の組合せについても第1の推定値の差分を算出する。また、測定装置24は、出力デジタル値の出力範囲を所定数の区間に分割した場合の区間ごとに、第1の推定値の差分に対して統計処理を行う。そして、測定装置24は、出力デジタル値の大きさ順における位置に応じて統計処理の結果を累算して第2の推定値を算出し、第2の推定値を用いて非直線性の誤差を算出する。例えば、(説明を簡単にするため10進数で表記すると、)取り込まれた出力デジタル値の大きさとして"1"、"2"、"3"、"4"、"5"、"6"、"7"、・・・があった場合、測定装置24は、コード値が"5"である出力デジタル値における第2の推定値を、コード値が"1"から"5"までに対応する統計処理の結果を合計することにより算出する。

ここで、統計処理は、例えば、区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算が挙げられる。但し、統計処理は、任意の演算処理であっても構わない。つまり、測定装置24は、順次取り込んだデジタル値の生じた位置もしくは回数に応じて前記各取り込んだデジタル値から統計処理を行い、前記統計処理の結果を各デジタル値まで累算したものをかかるデジタル値に対応した推定値としてこれを用いて各出力値を推定して非直線性誤差等を演算するようにしてもよい。

図4は、本実施の形態2にかかる測定装置の構成の一例を示すブロック図である。測定装置24は、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ32と、IF(InterFace)部33と、HDD(HardDisk Drive)34とを備えるコンピュータ装置である。

HDD34は、不揮発性記憶装置である。HDD34は、OS(不図示)及び測定プログラム35を記憶する。測定プログラム35は、本実施の形態2にかかる測定処理(例えば、図5の処理)が実装されたコンピュータプログラムである。

CPU31は、測定装置24における各種処理、RAM(Random Access Memory)等を含むメモリ32、IF部33及びHDD34へのアクセス等を制御する。IF部33は、T−ADC23〜出力されるデジタル値の取り込みを含む外部との通信を行う。

測定装置24は、CPU31が、メモリ32又はHDD34に格納されたOS、測定プログラム35等を読み込み、実行する。これにより、測定装置24は、本実施の形態2にかかる測定処理を実現することができる。尚、測定装置24は、CPU、データメモリ、測定手順を記述したインストラクションメモリ、及び制御回路等により実現しても構わない。尚、ランプ波形発生器21、DA変換器22及び測定装置24を併せて本実施の形態2にかかる測定装置としてもよい。また、測定装置24は、テスタの一部として含まれる場合もある。

図5は、本実施の形態2にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、ランプ波形発生器21は、ランプ波の入力デジタル信号源Viを、DA変換器22を介してT−ADC23へ供給する。ここで、ランプ波形発生器21は、出力デジタル値における1LSBの幅と同程度の間隔によりランプ波を生成するものとする。そして、測定装置24は、T−ADC23からの出力デジタル値Voを取り込む(S21)。

次に、測定装置24は、出力デジタル値の大きさごとに第1の推定値を算出する(S22)。すなわち、測定装置24は、ステップS21より得られた出力デジタル値Voの値と、入力デジタル信号源Viの値から出力デジタル値Voの値毎に、その対応する入力デジタル信号源Viの値の平均値を求める。そして、当該平均値を、出力デジタル値Voの値(コード)毎の変換電圧の第1の推定値とする。言い換えると、測定装置24は、出力デジタル値Voに対応する入力デジタル信号源Viに基づいて、コード毎に出力デジタル値Voにおける入力デジタル信号源Viの第1の推定値を算出する。尚、第1の推定値を算出する手段としては発生頻度のみに着目するヒストグラム法等でも良い。

例えば、測定装置24は、取り込んだ出力デジタル値のうち、最上位ビットが"1"で他のビット(下位15ビット)が全て"0"である出力デジタル値(32768:10進数)について、入力デジタル信号源Viの値の平均値を求める。以下、同様に各出力デジタル値Voの値毎にその対応する入力デジタル信号源Viの値の平均値を求める。

続いて、測定装置24は、差が1である出力デジタル値同士の組合せごとに、第1の推定値の差分を算出する(S23)。尚、「差が1である出力デジタル値同士の組合せ」は上述した「異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値」の「一対の組合せ」の一例といえる。具体的には、まず、測定装置24は、ステップS21で取り込まれた全ての出力デジタル値Voのうち、異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣り合う値である一対の出力デジタル値を組合せとする。そして、測定装置24は、当該組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値における第1の推定値の差分を算出する。

例えば、出力デジタル値"n"と"n+1"との組合せを対象とする。この場合、測定装置24は、出力デジタル値"n"についてステップS22で算出された第1の推定値と、出力デジタル値"n+1"についてステップS22で算出された第1の推定値との差分を算出する。同様に、全ての組合せについて第1の推定値との差分を算出する。

続いて、測定装置24は、出力デジタル値の出力範囲を複数の区間に分割し、区間ごとに第1の推定値の差分の平均値を算出する(S24)。すなわち、測定装置24は、第1の推定値の差分に対して統計処理を行う。例えば、測定装置24は、まず、出力デジタル出力値の取り得る範囲を所定数の区間に分割する。そして、測定装置24は、分割した区間ごとに第1の推定値の差分の平均値を算出する。ここで、当該平均値は、いわば区間の代表値といえる。

その後、測定装置24は、出力デジタル値ごとに第2の推定値を算出する(S25)。すなわち、測定装置24は、出力デジタル値の大きさ順における位置に応じて統計処理の結果を累算して第2の推定値を算出する。言い換えると、測定装置24は、ステップS24で算出された第1の推定値の差分の平均値である各1LSB値を、所望の値まで累算する。当該累算値が測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23の第2の推定値である。例えば、全コード分の第2の推定値を求めてもよい。または、必要分のみ第2の推定値を求めてもよい。

そして、測定装置24は、第2の推定値を用いて非直線性誤差を算出する(S26)。例えば、測定装置24は、第2の推定値から微分非直線性と積分非直線性を算出するとよい。尚、非直線性誤差の算出方法は公知なものであるため、具体的な説明を省略する。または、ステップS23で求めたそれぞれの1LSB値から、理論上の1LSB値を引いたものが微分直線性そのものである。尚、理論上の1LSB値は、それぞれの1LSB値の全平均として求めても良い。

ここで、測定対象のΔΣ型AD変換器であるT−ADC23では、1LSBの幅は全てのコードで同じである。また、ステップS23により算出された第1の推定値の差分は、理論的には常に1LSBの幅である。本願出願人は、第1の推定値の差分には、ランダムノイズと、積分器やアナログフィルタのアナログ歪が含まれていることを発見した。ここで、アナログ歪は出力デジタル値のコード毎に大きく変動するものではなく、出力デジタル値の取り込み順に応じて、滑らかに変動する性質を持つものである。そこで、本実施の形態2では、ランダムノイズを圧縮し、アナログ歪については圧縮しないという処理を行うものとした。

ステップS24では、出力デジタル値の出力範囲を所定数の区間に分割した場合の区間ごとに、統計処理を行うことで、ランダムノイズに対する圧縮が行われる。ステップS24のように、第1の推定値の差分を区間ごとに単純に平均することで、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23の1LSBが求まる。

ここで、上記ランダムノイズを圧縮する方法を例示する。簡単には前記差について単純平均を取れば、それが測定対象のAD変換器の1LSBといえる。ランダムノイズの標準偏差は、16ビットの測定対象のΔΣ型AD変換器であるT−ADC23の場合、1/65536の平方根である約1/256に圧縮される。そのため、ステップS24で求められた1LSBは、ほとんどランダムノイズを含まない。統計学による信頼性区間推定が標準偏差に比例することは広く知られており、当該方法によって標準偏差を約1/256に圧縮した1LSBの値は真値にきわめて近い値ということが出来る。

一方、ステップS24では、例えば、65536個のコードを1024区間に分割し、それぞれの区間毎にそれぞれ64コード分の前記差の平均をこの区間の代表値とするものである。これによりランダムノイズ標準偏差は各区間で1/8に圧縮される。ここで、アナログ歪は、各区間の代表値の階段波形として、または、代表値を結んだ折線もしくは滑らかな曲線で表現される。そのため、ステップS24により全区間において、ランダムノイズを圧縮し、かつ、アナログ歪を残すようにそれぞれの1LSB値を求めることができる。

また、本実施の形態2では、例として、全コードで65536個のコードを1024区間に分割し、それぞれの区間毎にそれぞれ64コード分の第1の推定値の差分の平均を、この区間の代表値としてとる場合を挙げる。ここで、実際の測定では、ステップS21において、ランダムノイズにより所定の取り込み期間内に、特定の出力デジタル値が1回も出現しない「ミッシングコード」と称される場合も散見される。ミッシングコードに当たる出力デジタル値は、ステップS23で差分を算出できない。そのため、差分は区間当たり63組以下になってしまう。仮にランダムノイズが大きいためにミッシングコードとなり、50組の差しか得られない場合でも、標準偏差は約1/7に圧縮できる。そのため、上記のランダムノイズ圧縮効果と真値の範囲の圧縮効果は充分あると言える。

そこで、この効果に基づき応用した場合、ランプ波の入力デジタル信号源Viの傾きを、例えば従来の8倍、つまり測定対象のAD変換器であるT−ADC23のDUT(Device Under Test)の分解能である1LSB毎に1回強でAD変換されるように選ぶ。

上述したヒストグラム法のみを用いた場合には、同一コード内で8回の測定を行わなければ、ある程度の測定精度を維持できない。一方、本実施の形態2を適用して実測した際には、同一コード内で1回の測定を行えば、50組以上の差が得られた。そのため、圧縮効果は充分、実用に耐え得るといえる。この場合、測定時間が従来の1/8になり、かつノイズが1/7になるという利点をもたらす。

尚、ステップS23及びステップS24において、隣り合うデータ、つまり、コード順で隣接する出力デジタル値の組合せにおいて、組合せに属する一対の出力デジタル値に対応する各第1の推定値の差分の平均を求めている。ここで、当該平均値の算出については、計算量の削減が可能である。

例えば、隣り合うデータの差分について区間ごとの合計を求めた場合、区間の両端のデータを除き相殺される。つまり、隣り合うデータの差分の区間合計は、単に両端だけの差分に等しい。そして、当該差分を個数で割ったものが平均である。区間平均の代わりに移動平均を用いても良い。これにより、それぞれの1LSB値は直接滑らかな曲線として得られる。

また、ステップS25における演算についても同様の工夫が可能である。前記の通り、平均が、両端の差を個数で割ったものであるから、それを累算していく場合、結局、累算する区間の一つ前までは、全区間の両端以外は概略相殺される。従って、実際の計算は、相殺されなかった項のみで済ませることが出来る。

また、移動平均の場合、差の移動平均が両端の差を個数で割ったものであるため、その累算結果は、同様に大部分の項が相殺され、結局最後の移動平均が残る。よって、移動平均のみを算出してもよい。

<実施の形態3> 本実施の形態3は、上述した実施の形態1の一実施例である。本実施の形態3では、実施の形態2との違いとして、組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分を算出し、一対の出力デジタル値の差分に基づいて統計処理を行うものである。これにより、入力電圧値の幅を1LSBより大きくし、取り込まれる出力デジタル値のうち隣接する値同士の差分が2LSB以上となっても、入力電圧値の幅を当該差分により除算することにより、1LSB当たりの入力電圧値を算出できる。同等の測定精度を維持しつつ、さらに、測定時間を短縮できる。

例えば、ランプ波の入力デジタル信号源Viの傾きを、測定環境と、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23に応じて適宜選択することで、実施の形態2に比べて測定時間をさらに短くすることが出来る。

その他については、実施の形態2と同様の構成が可能であり、同様の効果を奏することができる。よって、以下では、実施の形態2と同様のものについては図示及び説明を省略する。

図6は、本実施の形態3にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、ランプ波形発生器21は、1LSB以上の間隔の入力電圧値に基づくランプ波を、DA変換器22を介してT−ADC23へ供給する。そして、測定装置24は、T−ADC23からの出力デジタル値Voを取り込む(S31)。これにより、測定点数をさらに減らすことが出来る。この場合、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23の出力として取り込めるデジタルコードのうち、コード順で隣り合うものはもはや1LSBではない。

次に、測定装置24は、取り込まれた出力デジタル値のうち隣接する値の差分を算出する(S32)。ここでは、実施の形態2と比べて測定点数が少ないため、一つのコード値の大きさ当たり複数の出力デジタル値が取り込まれない可能性もある。さらに、取り込まれた出力デジタル値の大きさの差が2以上ある可能性もある。続いて、測定装置24は、隣接する出力デジタル値の差分から、1LSB当たりの電圧値を算出する(S33)。具体的には、測定装置24は、(ランプ波の1ステップ電圧値)/(取り込んだデータの隣り合うデジタルコードの差であるデジタル値)を演算して、1LSB当たりの電圧値を求める。ここで、ランプ波の1ステップでこのコード差に対応する電圧値がえられる。尚、「ランプ波の1ステップ電圧値」は定数であるため、まとめて後から処理をしても良い。

その後、測定装置24は、出力デジタル値の出力範囲を複数の区間に分割し、区間ごとに1LSBあたりの電圧値の平均値を算出する(S34)。以降、図5のステップS25及びS26と同様にステップS35及びS36を処理する。

例えば、ステップS31では、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23が16ビットの場合で、測定点数としてわずか300点程度の粗いステップ(つまり、1LSBより大きな間隔)のランプ波を入力すると、65536/300≒218コードおきのコードを取り込むこととなる。実際には、これにランダムノイズとアナログ歪の影響が加わったコードを取り込むことになる。

そして、ステップS32及びS33では、上述したように1LSBあたりの電圧値を算出する。ステップS34では、全ての出力デジタル値において、例えば14区間に分割し、それぞれ16個の1LSBあたりの電圧値の区間平均を算出する。ステップS25では、各区間の平均値より各出力値の第2の推定値を算出し、ステップS26では、この各推定出力値よりステップS11で非直線誤差の算出を行う。尚、区間平均に変えて、単に16個ずつの移動平均を算出するか、近似係数の算出を行っても構わない。

これにより、これらの平均値に含まれるノイズの標準偏差は1/16の平方根である1/4に圧縮できる。測定点数がわずか300点という従来の1/2184の計測時間にもかかわらず、ノイズを従来の1/4程度に出来る上、アナログ歪も表現できるという、極めて優れた効果がある。

<実施の形態4> 本実施の形態4は、上述した実施の形態1の一実施例であり、実施の形態3の変形例である。本実施の形態4では、組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値の差分の逆数を算出し、一対の出力デジタル値の差分の逆数に基づいて統計処理を行うものである。これにより、入力電圧値の幅を1LSBより大きくしても、測定精度を維持し、さらに、統計処理の演算を簡略化し、統計処理の高速化を図ることができる。特に実施の形態3に比べてさらなる計算処理の高速化を実現できる。

また、実施の形態3と同様に、ランプ波の入力デジタル信号源Viの傾きを、測定環境と、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23に応じて適宜選択することで、実施の形態2に比べて測定時間をさらに短くすることが出来る。

その他については、実施の形態2と同様の構成が可能であり、同様の効果を奏することができる。よって、以下では、実施の形態2と同様のものについては図示及び説明を省略する。

図7は、本実施の形態4にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS41及びS42は、上述したステップS31及びS32と同等である。ここで、まず、1LSBの逆数のディメンジョンを導入する。実施形態3における1LSB当たりの電圧値の逆数は、1/(1LSB)=(取り込んだデータの隣り合うコードの差)/(ランプ波の1ステップ)である。ここで、「ランプ波の1ステップ」は定数であるため、後からまとめて計算することが可能である。よって、図7では単に、ステップS42により、ランプ波の1ステップに(取り込んだデータの隣り合うデジタルコードの差)のデジタル値を計算する。つまり、図6におけるステップS33を省略することが可能である。これにより、実施の形態3に比べて、除算が省略でき、計算量をさらに減らすことができる。

尚、本質的に1LSBの値は変わらないので、1/(1LSB)の値もほとんど等しい。また、1LSB真値からの誤差をxとすると、1/(1+x)≒1−xと近似できる。つまり、1LSBの逆数のディメンジョンでは、1LSBの誤差の符号が反転するだけである。

続いて、測定装置24は、出力デジタル値の出力範囲を複数の区間に分割し、区間ごとに隣接する値の差分に基づく平均値を算出する(S44)。つまり、1LSBの逆数のディメンジョンに比例する各平均を求める。そして、測定装置24は、その逆数を取って1LSBのディメンジョンに直して、第2の推定値を計算する(S45)。または、逆数を取ることなく、単に誤差の符号が反転するだけという理解のまま、累算して第2の推定値としてもよい。この場合、ステップS46で非直線性誤差を求める際にも、その符号が反転しているが、通常その絶対値の最悪値をもって非直線性誤差値としているので、結局符号は無視できる。

<実施の形態5> 本実施の形態5は、上述した実施の形態1の一実施例であり、実施の形態4の変形例である。本実施の形態5では、組合せごとに、各組合せに属する一対の出力デジタル値に基づいて非直線性の仮の誤差を算出し、仮の誤差に対して統計処理を行うものである。これにより、入力電圧値の幅を1LSBより大きくしても、測定精度を維持し、さらに、統計処理の演算を簡略化し、統計処理の高速化を図ることができる。特に実施の形態3及び4に比べてさらなる計算処理の高速化を実現できる。ここで、仮の誤差は、例えば、上述したヒストグラム法等の公知技術により算出したものであっても構わない。そして、仮の誤差とは、例えば、図2のステップS14で算出する誤差のような最終的に算出される誤差ではなく、一時的に算出される誤差をいうことができる。または、仮の誤差とは、最終的な誤差を算出するための中間値ともいえる。また、本実施の形態5では、ある意味、非直線性の誤差を二段階で算出するものである。つまり、一段階目では、既存の手法を用いて従来通りに非直線性の誤差を仮の誤差として算出し、その後、仮の誤差に基づいて最終的な非直線性の誤差を算出するものということができる。

また、実施の形態3又は4と同様に、ランプ波の入力デジタル信号源Viの傾きを、測定環境と、測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23に応じて適宜選択することで、実施の形態2に比べて測定時間をさらに短くすることが出来る。

その他については、実施の形態2と同様の構成が可能であり、同様の効果を奏することができる。よって、以下では、実施の形態2と同様のものについては図示及び説明を省略する。

図8は、本実施の形態5にかかる測定処理の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS51は、上述したステップS31及びS41と同等である。次に、測定装置24は、取り込まれた出力デジタル値から仮の非直線性誤差を算出する(S52)。つまり、ランダムノイズが含まれる出力デジタル値から既存の手法を用いて中間値としての仮の非直線性誤差を算出する。そして、測定装置24は、出力デジタル値の出力範囲を複数の区間に分割し、区間ごとに仮の非直線性誤差に基づく移動平均を算出する(S54)。つまり、ステップS54において、平均化等の統計処理を行い、ランダムノイズを圧縮する。以降、ステップS25及びS26と同様に、ステップS55及びS56を処理する。

ここで、ステップS52及びS54の処理が、ステップS42及びS44と等価であることを以下に説明する。前述のように、微分非直線性誤差は、隣り合うデータの差分から、1LSBを示す一定値を引いたものである。従って、「{(隣り合うデータの差)−(一定値)}の平均」と、「(隣り合うデータの差の平均)−(一定値)」とは、計算順序が異なるだけで、全く等しい。従って、図7と図8は等価である。

また、積分非直線性誤差は、コード毎に、(ランプ入力電圧)−(取り込んだコードの理想入力電圧)で与えられる。ここで、この区間の移動平均を考える。理想入力電圧は、コードの一次関数で与えられるので、その平均は常にその中央値となり、定数である。「ランプ入力電圧」の移動平均は、前述した実施の形態2における移動平均と等価である。

つまり、先に、仮の非直線性誤差の計算をしてから、移動平均を取る方法でも、図6及び図7と同様に、測定点数がわずか300点という計測時間で、平均値に含まれるノイズの標準偏差を従来の1/4程度に出来る上、アナログ歪も維持して表現できるという、極めて優れた効果が得られる。

上述したヒストグラム法のみでは、16ビットのAD変換器の場合の全てのコードである65536コードに対して、各10回程度の測定が必要なため、理論的には測定回数として655360回の測定が必要になるのに対して、本実施の形態5では、ヒストグラム法のみに比べて、約1/2000の回数で実現できる。

図9〜図12は、実測定値をグラフで示したものである。図9〜図12は、いずれも横軸には入力ステップ電圧、縦軸は理想値との誤差を算出してADの特性を示した例である。図9は、非特許文献1にかかる技術により約2500データを測定した場合の積分直線性グラフである。ここでは、ランダムノイズを含んでおり、非特許文献1の手法は、このランダムノイズを含んだ出力データから積分非直線性を求めていたことを示す。

図10は、本実施の形態5により約2500データを測定した場合の積分直線性のノイズ圧縮グラフである。つまり、約2500データの積分直線性のノイズ圧縮した図である。ステップS54の出力で、ランダムノイズを圧縮したものである。各点はランダムノイズの中央に位置し、ノイズが無い場合の真値に近い点を示している。

図11は、本実施の形態5により約250データを測定した場合の積分直線性のノイズ圧縮グラフである。つまり、2500データの内の約250データだけを使って、ステップS52とステップS54を実行したものである。

図12は、図9〜図11を重ね合わせて比較するための図である。図11の結果は、図10の2500データの場合と遜色なく、同様にランダムノイズの無い場合の真値に近い点を示している。

以上のことから、非特許文献1の例では、全コード(65536コード)内で14コードおきの2500ポイントの積分非直線性を示している。つまり、全コードで求めた結果と基本的は同じになる。従って、図10及び図11では本実施の形態5の方法として測定回数を250回で実施しても、精度よくランダムノイズのない真値に近いものとなっていることを示している。このことから測定時間の短縮が可能である。そして、本実施の形態5の方法を用いると、わずか250点の測定で、アナログ歪を維持して表現できるという、極めて優れた効果が得られている。そのため、測定精度を維持できる。

図8では、非特許文献1にかかるヒストグラム法によるデータ変換器の非直線性誤差を求める方法に、ランダムノイズを低減するための移動平均等の統計処理を追加したものである。ここで、AD変換器又はDA変換器の測定方法としてこのような処理を採用すると、非直線性誤差自体も圧縮されるため、一般的には測定精度が悪くなることが知られている。しかしながら、上述した通り、ΔΣ型のデータ変換器においては、図8と図7とが等価である。そして、ランダムノイズは圧縮し、非直線性誤差は圧縮されないという意味のある有効な方法である。よって、本実施の形態5にかかる測定方法では、ΔΣ型のデータ変換器においては、測定精度を維持しつつ、測定時間を短縮することができる。

<実施の形態6> 本実施の形態6は、上述した実施の形態1の一実施例であり、本実施の形態2の変形例である。具体的には、ΔΣ型DA変換器を測定するものである。この場合においても本実施の形態2〜5と同等の効果を奏することができる。

図13は、本実施の形態6にかかるΔΣ型DA変換器の測定装置を含む全体構成を示すブロック図である。図13は、ランプ波形発生器61と、T−DAC62と、AD変換器63と、測定装置64とを含む。図13は、図1のDA変換器22が図13の測定対象のΔΣ型DA変換器のT−DAC62となり、図1の測定対象のΔΣ型AD変換器のT−ADC23が基準の高精度な図13のAD変換器63となったものである。つまり、構成上は図1と図13のAD変換器とDA変換器のどちらを測定対象の用と基準用と考えるかの違いである。

T−DAC62は、減算器621と、積分器622と、二値化623と、アナログフィルタ624とを備える。ΔΣ型DA変換器であるT−DAC62も、原理的にはT−ADC23と同等であり、1LSBの値はどこでも同じ値である。よって、測定装置64は、ランダムノイズとアナログ歪が加算された出力デジタル値を取り込むこととなる。

デジタルコードがランプ波形発生器61に与えたデジタル値、電圧値がAD変換器63の出力する電圧値として、図5〜図8のフローチャートに示す処理を行うことで、ランダムノイズを低減し、測定時間を短縮できる。

<その他の実施の形態> 上述した本実施の形態1乃至6のいずれかを適用したデータ変換器の測定装置及び測定方法によれば、測定時のランダムノイズを大幅に減らすことが出来る。そのため、ランダムノイズを圧縮した極めて高精度な測定が出来る。そして、測定点数を減らした場合でも通常よりもランダムノイズを圧縮できるので、測定時間を短縮することができる。よって、LSI生産時の試験等で大変有用である。また、近年増加している補正回路を含むデータ変換器の補正のためのデータの測定に適用すれば、高精度かつ高速に測定できる利点がある。

また、上述した実施の形態では、ΔΣ型AD変換器とΔΣ型DA変換器を測定する場合について示したが、以下に他の例を示す。例えば、1LSBの値がほぼ等しいAD変換器やDA変換器として、抵抗ストリング型や、単位定電流型、単位容量型等がある。これらはそれぞれほぼ等しい物理量、すなわち抵抗値、電流値又は容量値をコードの示す数だけ順次加算するタイプである。各物理量の誤差は、その1個分つまり1LSB分より充分小さいので、ほぼ等しいと言える。従って、上記各実施の形態で述べた手法をそのまま適用することで、1LSBを超えるような大きなノイズを圧縮することが出来る。つまり、様々な種類のAD変換方式とDA変換方式に適用可能であり、また、様々な物理量に対して適用可能である。また、例示に限定することなく、広く適用できることは言うまでもない。

このように本実施の形態では、測定対象のデータ変換器の単位物理量に相当する差分を統計処理することで、ノイズによるばらつき成分を圧縮するものであり、極めて広く応用が可能である。

その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。 (1)測定方法は、 順次増加又は減少するデジタル値が入力電圧として与えられたDA変換器と、 前記DA変換器の出力電圧をデジタル値に変換するAD変換器と、 前記AD変換器の出力デジタル値を順次取り込み、当該取り込んだ出力デジタル値を演算する演算装置と、を用いて、 前記DA変換器又は前記AD変換器のいずれかのデータ変換の精度を測定する測定方法であって、 前記順次取り込んだ出力デジタル値の生じた位置又は回数に応じて、前記各取り込んだ出力デジタル値における変換電圧の第1の推定値を算出し、 前記出力デジタル値が1異なる対における各出力デジタル値に対応する前記第1の推定値の差を統計処理し、 各出力デジタル値について、前記統計処理の結果に基づいて前記出力デジタル値の大きさ順における位置まで累算した値を、第2の推定値として算出する。 (2)他の測定方法は、 順次増加又は減少するデジタル値が入力電圧として与えられたDA変換器と、 前記DA変換器の出力電圧をデジタル値に変換するAD変換器と、 前記AD変換器の出力デジタル値を順次取り込み、当該取り込んだ出力デジタル値を演算する演算装置と、を用いて、 前記DA変換器又は前記AD変換器のいずれかのデータ変換の精度を測定する測定方法であって、 前記順次取り込んだ出力デジタル値のうち値の大きさ順において隣り合う異なる出力デジタル値の対の差又は当該差の逆数を統計処理し、 各出力デジタル値について、前記統計処理の結果に基づいて前記出力デジタル値の大きさ順における位置まで累算した値を、推定値として算出する。 (3)さらに他の測定方法は、 順次増加又は減少するデジタル値が入力電圧として与えられたDA変換器と、 前記DA変換器の出力電圧をデジタル値に変換するAD変換器と、 前記AD変換器の出力デジタル値を順次取り込み、当該取り込んだ出力デジタル値を演算する演算装置と、を用いて、 前記DA変換器又は前記AD変換器のいずれかのデータ変換の精度を測定する測定方法であって、 前記順次取り込んだ出力デジタル値から第1の非直線性誤差を算出し、 前記第1の非直線性誤差を統計処理したものを第2の非直線性誤差とする。 (4)(1)から(3)のいずれかの測定方法において、 前記統計処理は、区間平均、移動平均又は近似式に基づく演算のいずれかである。 (5)測定プログラムは、 アナログ信号とデジタル信号間のデータ変換を行うデルタシグマ型のデータ変換器の測定処理をコンピュータに実行させる測定プログラムであって、 所定間隔の入力電圧値に基づき生成されたランプ波形の入力に基づいて前記データ変換器によるデータ変換を経由して出力される出力デジタル値を連続して取り込み、 前記出力デジタル値のうち異なる値同士であり、かつ、値の大きさ順で隣接する出力デジタル値を選択して一対の組合せとし、 前記組合せごとに、各組合せに属する出力デジタル値又は当該出力デジタル値に対応する入力電圧値を用いて所定の統計処理を行い、 前記統計処理の結果から非直線性の誤差を算出する 処理を前記コンピュータに実行させる測定プログラムである。

さらに、本願は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。そのため、上述した処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。

上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。

以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。

11 入力波発生器 12 データ変換器 13 測定装置 131 統計部 132 誤差算出部 21 ランプ波形発生器 22 DA変換器 23 T−ADC 231 減算器 232 積分器 233 二値化 234 デジタルフィルタ 24 測定装置 31 CPU 32 メモリ 33 IF部 34 HDD 35 測定プログラム 61 ランプ波形発生器 62 T−DAC 621 減算器 622 積分器 623 二値化 624 アナログフィルタ 63 AD変換器 64 測定装置 Vi 入力デジタル信号源 Vo 出力デジタル値

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