Δσ type a / d converter

申请号 JP2009247694 申请日 2009-10-28 公开(公告)号 JP5358829B2 公开(公告)日 2013-12-04
申请人 ルネサスエレクトロニクス株式会社; 发明人 陽史 松本; 敏夫 熊本; 孝 奥田;
摘要 A delta-sigma A/D converter having plural input channels comprises a first quantizer which quantizes and outputs a received signal; a first D/A converter which converts an output signal of the first quantizer into an analog signal, and outputs the converted analog signal; a first operation unit which outputs a signal indicative of a difference of the first analog input signal and an output signal of the first D/A converter; a first integrator which integrates an output signal of the first operation unit and outputs the integrated signal; a first dither circuit which generates a first dither signal; and a second operation unit which adds the first dither signal to the output signal of the first integrator and outputs the added signal to the first quantizer.
权利要求
  • 第1のアナログ入力信号を第1のディジタル信号に変換し、第2のアナログ入力信号を第2のディジタル信号に変換するためのΔΣ型A/D変換器であって、
    受けた信号を量子化して出力するための第1の量子化器と、
    前記第1の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第1のディジタル信号として出力するための第1のフィルタと、
    前記第1の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第1のD/A変換器と、
    前記第1のアナログ入力信号と前記第1のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第1の演算器と、
    前記第1の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第1の積分器と、
    第1のディザ信号を生成するための第1のディザ回路と、
    前記第1の積分器の出力信号に前記第1のディザ信号を加算した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第2の演算器と、
    受けた信号を量子化して出力するための第2の量子化器と、
    前記第2の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第2のディジタル信号として出力するための第2のフィルタと、
    前記第2の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第2のD/A変換器と、
    前記第2のアナログ入力信号と前記第2のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第3の演算器と、
    前記第3の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第2の積分器と、
    前記第1のディザ信号と異なる第2のディザ信号を生成するための第2のディザ回路と、
    前記第2の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力するための第4の演算器とを備え
    前記第1のディザ回路および前記第2のディザ回路は、同じ極性であって互いに電圧レベルの異なる直流電圧を前記第1のディザ信号および前記第2のディザ信号としてそれぞれ生成するΔΣ型A/D変換器。
  • 前記ΔΣ型A/D変換器は、さらに、
    前記第2の演算器の出力信号を積分した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第3の積分器と、
    前記第4の演算器の出力信号を積分した信号を前記第2の量子化器へ出力するための第4の積分器とを備える請求項 に記載のΔΣ型A/D変換器。
  • 第1のアナログ入力信号を第1のディジタル信号に変換し、第2のアナログ入力信号を第2のディジタル信号に変換するためのΔΣ型A/D変換器であって、
    受けた信号を量子化して出力するための第1の量子化器と、
    前記第1の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第1のディジタル信号として出力するための第1のフィルタと、
    前記第1の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第1のD/A変換器と、
    前記第1のアナログ入力信号と前記第1のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第1の演算器と、
    前記第1の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第1の積分器と、
    第1のディザ信号を生成するための第1のディザ回路と、
    前記第1の積分器の出力信号に前記第1のディザ信号を加算した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第2の演算器と、
    受けた信号を量子化して出力するための第2の量子化器と、
    前記第2の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第2のディジタル信号として出力するための第2のフィルタと、
    前記第2の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第2のD/A変換器と、
    前記第2のアナログ入力信号と前記第2のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第3の演算器と、
    前記第3の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第2の積分器と、
    前記第1のディザ信号と異なる第2のディザ信号を生成するための第2のディザ回路と、
    前記第2の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力するための第4の演算器とを備え、
    前記第1のディザ回路および前記第2のディザ回路は、複数のタイミングで互いに値の異なるディジタル信号のアナログ変換信号を前記第1のディザ信号および前記第2のディザ信号としてそれぞれ生成す るΔ Σ型A/D変換器。
  • 前記ΔΣ型A/D変換器は、さらに、
    前記第1の積分器の出力信号を積分した信号を出力するための第3の積分器と、
    前記第2の積分器の出力信号を積分した信号を出力するための第4の積分器とを備え、
    前記第2の演算器は、前記第3の積分器の出力信号に前記第1のディザ信号を加算した信号を前記第1の量子化器へ出力し、
    前記第4の演算器は、前記第4の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力する請求項 に記載のΔΣ型A/D変換器。
  • 第1のアナログ入力信号を第1のディジタル信号に変換し、第2のアナログ入力信号を第2のディジタル信号に変換するためのΔΣ型A/D変換器であって、
    受けた信号を量子化して出力するための第1の量子化器と、
    前記第1の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第1のディジタル信号として出力するための第1のフィルタと、
    前記第1の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第1のD/A変換器と、
    前記第1のアナログ入力信号と前記第1のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第1の演算器と、
    前記第1の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第1の積分器と、
    第1のディザ信号を生成するための第1のディザ回路と、
    前記第1の積分器の出力信号に前記第1のディザ信号を加算した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第2の演算器と、
    受けた信号を量子化して出力するための第2の量子化器と、
    前記第2の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第2のディジタル信号として出力するための第2のフィルタと、
    前記第2の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第2のD/A変換器と、
    前記第2のアナログ入力信号と前記第2のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第3の演算器と、
    前記第3の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第2の積分器と、
    前記第1のディザ信号と異なる第2のディザ信号を生成するための第2のディザ回路と、
    前記第2の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力するための第4の演算器とを備え、
    前記第1のディザ回路は、直流電圧を前記第1のディザ信号として生成し、
    前記第2のディザ回路は、値が変化するディジタル信号をアナログ変換した信号を前記第2のディザ信号として生成す るΔ Σ型A/D変換器。
  • 前記ΔΣ型A/D変換器は、さらに、
    前記第2の演算器の出力信号を積分した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第3の積分器と、
    前記第2の積分器の出力信号を積分した信号を出力するための第4の積分器とを備え、
    前記第4の演算器は、前記第4の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力する請求項 に記載のΔΣ型A/D変換器。
  • 第1のアナログ入力信号を第1のディジタル信号に変換し、第2のアナログ入力信号を第2のディジタル信号に変換するためのΔΣ型A/D変換器であって、
    受けた信号を量子化して出力するための第1の量子化器と、
    前記第1の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第1のディジタル信号として出力するための第1のフィルタと、
    前記第1の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第1のD/A変換器と、
    直流電圧を第1のディザ信号として生成するための第1のディザ回路と、
    前記第1のアナログ入力信号に前記第1のディザ信号を加算し、かつ前記第1のD/A変換器の出力信号を減算した結果を示す信号を出力するための第1の演算器と、
    前記第1の演算器の出力信号を積分した信号を前記第1の量子化器へ出力するための第1の積分器と、
    受けた信号を量子化して出力するための第2の量子化器と、
    前記第2の量子化器の出力信号の周波数帯域を制限し、制限された信号を前記第2のディジタル信号として出力するための第2のフィルタと、
    前記第2の量子化器の出力信号をアナログ信号に変換して出力するための第2のD/A変換器と、
    前記第2のアナログ入力信号と前記第2のD/A変換器の出力信号との差を示す信号を出力するための第2の演算器と、
    前記第2の演算器の出力信号を積分した信号を出力するための第2の積分器と、
    電圧レベルの変化する第2のディザ信号を生成するための第2のディザ回路と、
    前記第2の積分器の出力信号に前記第2のディザ信号を加算した信号を前記第2の量子化器へ出力するための第3の演算器とを備えるΔΣ型A/D変換器。
  • 前記第2の演算器は、前記第2のアナログ入力信号に前記第1のディザ信号を加算し、かつ前記第2のD/A変換器の出力信号を減算した結果を示す信号を出力する請求項 に記載のΔΣ型A/D変換器。
  • 说明书全文

    本発明は、ΔΣ型A/D変換器に関し、特に、アナログ入信号をディジタル信号に変換するためのチャネルを複数備えるΔΣ型A/D変換器に関する。

    従来からΔΣ(デルタシグマ)型A/D変換器について様々な技術が提案されている。 たとえば特許文献1には、量子化ノイズシェイプ中の零点を、精度よくかつ使用プロセスの最小寸法を考慮する必要なしに制御することが可能な技術が記載されている。 また特許文献2には、直流(DC)のディザ信号(DC加算電圧)を利用して、ΔΣ型A/D変換器で発生するアイドルトーンの悪影響を抑制する技術が記載されている。 ここで、アイドルトーンとは、ΔΣ型A/D変換器へのアナログ入力信号が無い場合、あるいは当該アナログ入力信号が微小な場合に、ΔΣ型A/D変換器の積分回路とフィードバックループによって生じる周期的なノイズ信号である。 アイドルトーンの詳細については、たとえば非特許文献1に記載されている。

    特開平6−120837号公報

    特開2003−163596号公報

    Richard Schreier, Gabor C. Temes 著、和保孝夫,安田彰監訳、「ΔΣ型アナログ/ディジタル変換器入門」、丸善株式会社、平成19年10月10日、pp. 34〜37

    さて、オーディオ用のΔΣ型A/D変換器のように、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルを複数備えるΔΣ型A/D変換器においては、上記の特許文献2の技術のような直流ディザ信号、すなわちDC加算電圧を単に利用したとしても、チャネル間の相互干渉によって、各チャネルにおいてアイドルトーンの悪影響を十分に抑制できない。

    この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルを複数備えるΔΣ型A/D変換器において、アイドルトーンの悪影響を各チャネルで低減することが可能なΔΣ型A/D変換器を提供することである。

    本発明の一実施例の形態のΔΣ型A/D変換器は、要約すれば、積分器の出力段または量子化器の入力段においてディザ信号を加算する。 また、各チャネル間で異なるディザ信号を加算する。

    本発明の一実施例の形態によれば、各チャネルにおいて異なるディザ信号が重畳されるため、各チャネルにおいてアイドルトーンの周波数を所望の周波数帯域よりも高域側に移動させることができる。 よって、各チャネルにおいてアイドルトーンの悪影響を抑制することができる。

    各実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器の比較例の構成を示す図である。

    ΔΣ変調器1L,1Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器1の前段部分の回路構成を示す図である。

    ΔΣ変調器で発生するアイドルトーンを説明するための図である。

    ΔΣ変調器で発生するアイドルトーンを説明するための図である。

    DC加算電圧を供給しない場合の1チャネルのΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示す図である。

    DC加算電圧を供給した場合の1チャネルのΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示す図である。

    DC加算電圧を供給した場合の1チャネルのΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示す図である。

    DC加算電圧を供給しない場合の2チャネルのΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示す図である。

    チャネル間で同一のDC加算電圧を供給した場合の2チャネルのΔΣ変調器の出力信号における理想的な周波数特性を示す図である。

    チャネル間で同一のDC加算電圧を供給した場合の2チャネルのΔΣ変調器の出力信号における実際の周波数特性を示す図である。

    チャネル間で異なったDC加算電圧を供給した場合の2チャネルのΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示す図である。

    (a)〜(d)は、ΔΣ型A/D変換器200の入力電圧範囲が制限される理由を説明するための図である。

    ΔΣ型A/D変換器200の入力電圧範囲の制限による出力電圧の歪みを示す図である。

    ΔΣ型A/D変換器の入力レベルとSNDRとの関係を示す図である。

    本実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器の構成を示す図である。

    ΔΣ変調器11L,11Rの構成例を示すブロック図である。

    ディザ回路の構成の一例を示す図である。

    ディザ回路の構成の他の例を示す図である。

    本発明の実施の形態1に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。

    本発明の実施の形態1に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の構成を詳細に示す図である。

    ディザ信号用のD/A変換器の構成を概念的に示す図である。

    ディザ信号用のD/A変換器のサンプルモードにおける動作を説明するための図である。

    ディザ信号用のD/A変換器のホールドモードにおける動作を説明するための図である。

    ディザ信号用のD/A変換器の構成を示す図である。

    ディザ信号用のD/A変換器の変形例の構成を概念的に示す図である。

    ディザ信号としてDC加算電圧を出力するD/A変換器の構成を示す図である。

    ディザ信号として方形波またはのこぎり波を出力するD/A変換器の構成を示す図である。

    D/A変換器6に与えられる方形波を示す図である。

    D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aが受ける信号を示す図である。

    D/A変換器6に与えられるのこぎり波を示す図である。

    D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aが受ける信号を示す図である。

    ΔΣ変調器12L,12Rの構成例を示すブロック図である。

    本発明の実施の形態2に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。

    本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器における量子化器の前段における加算器の構成およびサンプルモードにおける動作を示す図である。

    本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器における量子化器の前段における加算器の構成およびホールドモードにおける動作を示す図である。

    ΔΣ変調器13L,13Rの構成例を示すブロック図である。

    本発明の実施の形態3に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。

    ΔΣ変調器14L,14Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器15L,15Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器16L,16Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器17L,17Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器18L,18Rの構成例を示すブロック図である。

    ΔΣ変調器19L,19Rの構成例を示すブロック図である。

    以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    [比較例(ΔΣ型A/D変換器200)]
    図1は各実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器の比較例の構成を示す図である。

    図1を参照して、ΔΣ型A/D変換器200は、たとえば、オーディオ用のオーバーサンプリング型A/D変換器である。 ΔΣ型A/D変換器200は、たとえば、CPUなどの他の回路とともに単一の半導体基板上に形成され、当該他の回路とともに半導体装置を構成する。

    図1に示されるように、ΔΣ型A/D変換器200は、左側用のアナログ入力信号AINLをディジタル信号に変換するためのLチャネルLchと、右側用のアナログ入力信号AINRをディジタル信号に変換するためのRチャネルRchとを備えている。 LチャネルLchにはΔΣ変調器1Lが設けられており、RチャネルRchにはΔΣ変調器1Rが設けられている。 そして、LチャネルLch及びRチャネルRchにはディジタル回路2、参照電圧生成回路3及び基準電圧生成回路4が共用で設けられている。

    参照電圧生成回路3は、アナログ回路用の電源電圧AVdd及び接地電圧AVssに基づいてプラス側参照電圧vrpとマイナス側参照電圧vrnを生成する。 そして、参照電圧生成回路3は、生成したプラス側参照電圧vrp及びマイナス側参照電圧vrnをともにΔΣ変調器1L,1Rのそれぞれに出力する。 基準電圧生成回路4は、電源電圧AVdd及び接地電圧AVssに基づいて基準電圧VCOMを生成する。 そして、基準電圧生成回路4は、生成した基準電圧VCOMをΔΣ変調器1L,1Rのそれぞれに出力する。

    ΔΣ変調器1L,1Rのそれぞれは、電源電圧AVdd及び接地電圧AVssに基づいて動作を行なう。 ΔΣ変調器1Lは、ディジタル回路2から出力される、オーバーサンプリング用のクロック信号CLK2Lに基づいて、左側用のアナログ入力信号AINLをオーバーサンプリングする。 そして、ΔΣ変調器1Lは、得られたサンプリング信号と、ディジタル形式の自身の出力信号MOLをアナログ形式に変換した信号との差分を積分し、得られた積分信号を量子化して出力信号MOLとして出力する。

    同様に、ΔΣ変調器1Rは、ディジタル回路2から出力される、オーバーサンプリング用のクロック信号CLK2Rに基づいて、右側用のアナログ入力信号AINRをオーバーサンプリングする。 そして、ΔΣ変調器1Rは、得られたサンプリング信号と、ディジタル形式の自身の出力信号MORをアナログ形式に変換した信号との差分を積分し、得られた積分信号を量子化して出力信号MORとして出力する。

    ΔΣ型A/D変換器200は、LチャネルLchおよびRチャネルRch用のDC加算電圧をそれぞれ生成するディザ回路115L,115Rを備えている。 このDC加算電圧は、ΔΣ変調器1L,1Rで発生するアイドルトーンの悪影響を抑制するために使用される。

    オーバーサンプリング用のクロック信号CLK2L,CLK2Rのそれぞれの周波数は、たとえば、本来のサンプリング周波数fsの64倍に設定される。 つまり、ΔΣ変調器1L,1Rでのオーバーサンプルレートは64倍に設定されている。

    ディジタル回路2は、電源電圧DVdd及び接地電圧DVssに基づいて動作する。 ディジタル回路2は、入力されるシステムクロック信号CLK1を分周してクロック信号CLK2L,CLK2Rを生成し、それらを出力する。 ディジタル回路2はデシメーションフィルタ2aを備えている。 デシメーションフィルタ2aは、出力信号MOLに対してフィルタリング処理と間引き処理を行なう。 これにより、アナログ入力信号AINLに対するサンプリング周波数が本来のサンプリング周波数fsまで低下する。 そして、デシメーションフィルタ2aは、得られたバイナリコードの信号をディジタル出力信号DOUTLとしてシリアル出力する。 このディジタル出力信号DOUTLが、左側用のアナログ入力信号AINLをディジタル信号に変換した結果である。

    また、デシメーションフィルタ2aは、出力信号MORに対してもフィルタリング処理と間引き処理を行なう。 これにより、アナログ入力信号AINRに対するサンプリング周波数が本来のサンプリング周波数fsまで低下する。 そして、デシメーションフィルタ2aは、得られたバイナリコードの信号をディジタル出力信号DOUTRとしてシリアル出力する。 このディジタル出力信号DOUTRが、右側用のアナログ入力信号AINRをディジタル信号に変換した結果である。

    たとえば、電源電圧AVdd,DVddとプラス側参照電圧vrpとが互いに同じ正の値(たとえば+5V)に設定されており、マイナス側参照電圧vrnが接地電圧AVss,DVssと同じ値(0V)に設定されている。 そして、基準電圧VCOMは、たとえば、電源電圧AVddと接地電圧AVssとの中間電圧、言い換えれば、プラス側参照電圧vrpとマイナス側参照電圧vrnの中間電圧に設定されている。

    図2はΔΣ変調器1L,1Rの構成例を示すブロック図である。 ΔΣ変調器1L,1Rの構成は互いに同じである。 以後、ΔΣ変調器1L,1Rを総称して「ΔΣ変調器1」と呼ぶ。 また、ディザ回路115L,115Rの構成は互いに同じである。 以後、ディザ回路115L,115Rを総称して「ディザ回路115」と呼ぶ。 また、アナログ入力信号AINL,AINRを総称して「アナログ入力信号AIN」と呼び、出力信号MOL,MORを総称して「出力信号MO」と呼び、クロック信号CLK2L,CLK2Rを総称して「クロック信号CLK2」と呼ぶ。

    図2に示されるように、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれのΔΣ変調器1は、たとえば3次の変調器であって、ゲイン段101,102と、加算器103と、積分回路120と、量子化器113と、ディザ回路115と、D/A変換器116とを備えている。 ディザ回路115が出力するDC加算電圧DDを利用することによって、ΔΣ変調器1で発生するアイドルトーンの悪影響を抑制する。

    ゲイン段101は、アナログ入力信号AINが入力される入力ラインILの信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。 ゲイン段102は、D/A変換器116から出力されるフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBBとして出力する。 加算器103は、ゲイン段101の出力信号と、ゲイン段102から出力される反転フィードバック信号FBBとを加算して出力する。 つまり、加算器103からは、ゲイン段101の出力信号と、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。 入力ラインILにアナログ入力信号AINが入力されている状態では、加算器103からは、アナログ入力信号AINとフィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    ここで、入力ラインILから加算器103までの信号ラインは、LチャネルLchあるいはRチャネルRchにアナログ入力信号AINが入力されると当該アナログ入力信号AINを伝搬する信号ラインである。 したがって、加算器103では、LチャネルLchあるいはRチャネルRchにアナログ入力信号AINが入力されると当該アナログ入力信号AINを伝搬する信号ラインの信号とフィードバック信号FBとの差分が得られることになる。

    ディザ回路115は、DC加算電圧DDを生成し、これを加算器103で得られた差分信号に重畳する。 積分回路120は、3段の積分器104,106,107と、加算器105,112と、ゲイン段108〜111とを備えており、加算器103で求められた差分信号、より正確にはDC加算電圧DDが重畳された当該差分信号を積分して出力する。

    積分器104は、加算器103で得られた差分信号にDC加算電圧DDが重畳されて得られた信号を積分して出力する。 加算器105は、積分器104の出力信号と、ゲイン段108の出力信号とを加算して出力する。 積分器106は、加算器105の出力信号を積分して出力する。 積分器107は、積分器106の出力信号を積分して出力する。 ゲイン段108は、積分器107の出力信号を、その信号レベルを−g1倍(g1は正の値)して出力する。 ゲイン段109は、積分器106の出力信号を、その信号レベルをa3倍(a3は正の値)して出力する。 ゲイン段110は、積分器104の出力信号を、その信号レベルをa2倍(a2は正の値)して出力する。 ゲイン段111は、D/A変換器116から出力されるフィードバック信号FBを、その信号レベルをa1倍(a1は正の値)して出力する。 加算器112は、積分器107の出力信号と、ゲイン段109〜111の出力信号とを加算して出力する。

    量子化器113は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器112の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MOとして出力する。 D/A変換器116は、1ビットのディジタル信号である出力信号MOをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    以上のような構成を有するΔΣ変調器1では、アナログ入力信号AINがオーバーサンプリングされるため、出力信号MOに含まれる、所望の周波数帯域内の量子化誤差の信号レベルが大きく低減される。 さらに、ΔΣ変調器1は、図2の白抜きの矢印で示されるように、出力信号MOを入力側に戻すフィードバックループを有しているため、出力信号MOに含まれる量子化誤差は高い周波数に偏って分布するようになる。 したがって、出力信号MOを、後段のディジタル回路2においてローパスフィルタに通すことによって、量子化誤差を大きく低減することができる。 このように、量子化誤差を高い周波数に偏って分布させることを「ノイズシェーピング」という。

    図3はΔΣ変調器1の前段部分の回路構成を示す図である。 アナログ入力信号AINは、互いに相補的な一対の入力信号vin,vipから成る差動信号である。 入力信号vip,vinのそれぞれの信号レベルは基準電圧VCOMを中心にして変化し、入力信号vinは、基準電圧VCOMを基準として入力信号vipを反転させた信号である。 アナログ入力信号AINの信号レベルは、入力信号vipの信号電圧から、入力信号vinの信号電圧を差し引いた値となる。

    アナログ入力信号AINが差動信号となっていることに対応して、ΔΣ変調器1を構成する各要素の入力信号及び出力信号(ただし、ディジタル形式の出力信号MOを除く)は差動信号となっている。 たとえば、DC加算電圧DD及び反転フィードバック信号FBBのそれぞれが差動信号となっている。 また、アナログ入力信号AINが入力される入力ラインILは、一対の信号ラインILp,ILnで構成されている。 なお、ΔΣ変調器1内の各信号をシングルエンド信号としても良い。

    DC加算電圧DDは、互いに相補的な一対の直流信号ddn,ddpから得られる差動信号である。 直流信号ddpの信号レベルは基準レベル(たとえば基準電圧VCOM)に対して正であって、直流信号ddnの信号レベルは基準レベル(たとえば基準電圧VCOM)に対して負である。 DC加算電圧DDの信号レベルは、直流信号ddpの信号レベルから直流信号ddnの信号レベルを差し引いた値に対応する値となる。 また、反転フィードバック信号FBBは、互いに相補的な一対の信号fbbn,fbbpから成る差動信号である。 反転フィードバック信号FBBの信号レベルは、信号fbbpの信号レベルから信号fbbnの信号レベルを差し引いた値に対応する値となる。

    図3に示されるように、ゲイン段101は、スイッチ素子S1n〜S4n,S1p〜S4pと、キャパシタC1n,C1pとを備えるスイッチトキャパシタ回路で構成されている。 また、積分器106は、差動出力オペアンプ106aとホールドキャパシタ(積分容量)C10n,C10pとを備えている。

    積分器106では、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子と、ホールドキャパシタC10pの一端とが接続されている。 ホールドキャパシタC10pの他端は、差動出力オペアンプ106aの反転出力端子と、ΔΣ変調器1における2段目の積分器107以降の回路200に接続されている。 ホールドキャパシタC10nの一端は、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子に接続されており、その他端は、差動出力オペアンプ106aの非反転出力端子と、ΔΣ変調器1における2段目の積分器107以降の回路200に接続されている。 そして、差動出力オペアンプ106aには基準電圧VCOMが動作基準電圧として供給されている。

    ゲイン段101では、スイッチ素子S1pの一端には、入力信号vipが入力される信号ラインILpが接続され、スイッチ素子S1pの他端には、キャパシタC1pの一端と、スイッチ素子S2pの一端とが接続されている。 キャパシタC1pの他端には、スイッチ素子S4pの一端と、スイッチ素子S3pの一端とが接続されており、スイッチ素子S3pの他端には、積分器106の差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S2pの他端と、スイッチ素子S4pの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S1nの一端には、入力信号vinが入力される信号ラインILnが接続され、その他端には、キャパシタC1nの一端と、スイッチ素子S2nの一端とが接続されている。 キャパシタC1nの他端には、スイッチ素子S4nの一端と、スイッチ素子S3nの一端とが接続されており、スイッチ素子S3nの他端には、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S2nの他端と、スイッチ素子S4nの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S1n,S4n,S1p,S4pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 一方で、スイッチ素子S2n,S3n,S2p,S3pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φバー(図中ではφの上に横線を引いてφバーを表している)でオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 位相φと位相φバーとは逆相の関係、つまり180°異なった関係にある。

    以上のような構成を有するゲイン段101では、スイッチ素子S1p〜S3pのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、信号ラインILpに入力された入力信号vipがサンプリング周波数fsのたとえば64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号vipの信号レベルが調整される。 また、ゲイン段101では、スイッチ素子S1n〜S3nのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、信号ラインILnに入力された入力信号vinがサンプリング周波数fsの同じく64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号vinの信号レベルが調整される。

    D/A変換器116は、ゲイン段101と同様にスイッチトキャパシタ回路で構成されており、スイッチ素子S5n〜S9n,S5p〜S9pと、キャパシタC2n,C2pとを備えている。 図3に示されるD/A変換器116は、上述のゲイン段102の機能も備えている。

    スイッチ素子S5pの一端にはプラス側参照電圧vrpが供給され、その他端には、キャパシタC2pの一端と、スイッチ素子S6pの一端とが接続されている。 キャパシタC2pの他端には、スイッチ素子S7pの一端と、スイッチ素子S8pの一端と、スイッチ素子S9pの一端とが接続されている。 スイッチ素子S8pの他端は、積分器106の差動出力オペアンプ106aの反転入力端子に接続されており、スイッチ素子S9pの他端は、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子に接続されている。 そして、スイッチ素子S6pの他端と、スイッチ素子S7pの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S5nの一端にはマイナス側参照電圧vrnが供給され、その他端には、キャパシタC2nの一端と、スイッチ素子S6nの一端とが接続されている。 キャパシタC2nの他端には、スイッチ素子S7nの一端と、スイッチ素子S8nの一端と、スイッチ素子S9nの一端とが接続されている。 スイッチ素子S8nの他端は、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子に接続されており、スイッチ素子S9nの他端は、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子に接続されている。 そして、スイッチ素子S6nの他端と、スイッチ素子S7nの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S5n,S7n,S5p,S7pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 一方で、スイッチ素子S6n,S6pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φバーでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 また、クロック信号CLK2の各周期の位相φバーにおいて、スイッチ素子S8n,S8pのそれぞれは、量子化器113から出力される出力信号MOが論理ハイレベルを示す信号Dである場合にはオン状態となり、スイッチ素子S9n,S9pのそれぞれは、出力信号MOが論理ローレベルを示す信号Dバー(図中ではDの上に横線を引いてDバーを表している)である場合にはオン状態となる。 また、クロック信号CLS2の各周期の位相φにおいて、スイッチ素子S8n,S8p,S9n,S9pのそれぞれはオフ状態となる。

    以上のような構成を有するD/A変換器116においては、量子化器113からの出力信号MOがアナログ形式の差動信号に変換されて、当該差動信号を構成する一対のアナログ信号のそれぞれが反転する。 これにより、反転フィードバック信号FBBを構成する一対の信号fbbn,fbbpが得られる。 クロック信号CLK2の位相が位相φバーとなると、信号fbbn,fbbpは、ゲイン段101のスイッチ素子S3n,S3pからの出力信号にそれぞれ加算される。 このようにして、クロック信号CLK2の周期ごとに、ゲイン段101の出力信号とフィードバック信号FBとの差分信号が得られる。

    ディザ回路115は、ゲイン段101及びD/A変換器116と同様にスイッチトキャパシタ回路で構成されており、スイッチ素子S10n〜S14n,S10p〜S14pとキャパシタC3n〜C5n,C3p〜C5pとを備えている。 スイッチ素子S10pの一端には、プラス側参照電圧vrpが供給され、その他端には、スイッチ素子S11pの一端と、キャパシタC3pの一端とが接続されている。 キャパシタC3pの他端には、キャパシタC4pの一端と、キャパシタC5pの一端と、スイッチ素子S14pの一端とが接続されており、キャパシタC5pの他端には、スイッチ素子S12pの一端と、スイッチ素子S13pの一端とが接続されている。 スイッチ素子S13pの他端には差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S11pの他端と、キャパシタC4pの他端と、スイッチ素子S12pの他端と、スイッチ素子S14pの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S10nの一端には、マイナス側参照電圧vrnが供給され、その他端には、スイッチ素子S11nの一端と、キャパシタC3nの一端とが接続されている。 キャパシタC3nの他端には、キャパシタC4nの一端と、キャパシタC5nの一端と、スイッチ素子S14nの一端とが接続されており、キャパシタC5nの他端には、スイッチ素子S12nの一端と、スイッチ素子S13nの一端とが接続されている。 スイッチ素子S13nの他端には差動出力オペアンプ106aの反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S11nの他端と、キャパシタC4nの他端と、スイッチ素子S12nの他端と、スイッチ素子S14nの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S10n,S12n,S14n,S10p,S12p,S14pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 一方で、スイッチ素子S11n,S13n,S11p,S13pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φバーでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。

    以上のような構成を有するディザ回路115において、スイッチ素子S11p〜S13pのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段101のスイッチ素子S3pからの出力信号とD/A変換器116からの信号fbbpとの差分信号に対して、スイッチ素子S13pから出力される直流信号ddpが重畳される。

    また、ディザ回路115において、スイッチ素子S11n〜S13nのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段101のスイッチ素子S3nからの出力信号とD/A変換器116からの信号fbbnとの差分信号に対して、スイッチ素子S13nから出力される直流信号ddnが重畳される。

    スイッチ素子S3nの出力信号と信号fbbnとの差分信号、およびスイッチ素子S3pの出力信号と信号fbbpとの差分信号は、クロック信号CLK2の周期ごとに生成され、直流信号ddn,ddpもクロック信号CLK2の周期ごとに生成される。 したがって、ゲイン段101の出力信号とフィードバック信号FBとの差分信号にDC加算電圧DDが重畳された信号は、クロック信号CLK2の周期ごとに、より具体的には、クロック信号CLK2の各周期の位相φバーごとに積分器106に入力されることになる。 したがって、積分器106は、クロック信号CLK2の周期ごとに、ゲイン段101の出力信号とフィードバック信号FBとの差分を積分することになる。

    ここで、ディザ回路115で生成される直流信号ddpの信号レベルは、キャパシタC3p〜C5pから成る合成キャパシタの容量値に依存する。 そして、たとえば、電源電圧AVddを5Vとすると、直流信号ddpの信号レベルは数mV〜数十mVという非常に小さい値に設定される。 したがって、キャパシタC3p〜C5pから成る合成キャパシタの容量値は小さい値に設定される。

    一方で、キャパシタC3p〜C5pのそれぞれの容量値が小さくなると、スイッチ素子S10p〜S13pのスイッチング動作時に発生する、これらの容量値のミスマッチによる直流信号ddpの誤差が大きくなる。

    ディザ回路115では、キャパシタC3p,C5pの容量値が互いに同じであり、キャパシタC4pの容量値が、キャパシタC3p,C5pの容量値のK倍(K≧1)となっている。 そして、キャパシタC3p〜C5pがT字型に接続されている。 このようなキャパシタC3p〜C5pの合成キャパシタの容量値は、キャパシタC3p,C5pの容量値を「C」とすると、C/(k+2)となる。 この式からも理解できるように、ディザ回路115では、キャパシタC3p〜C5pのそれぞれの容量値を大きくとりながら、キャパシタC3p〜C5pから成る合成キャパシタの容量値を小さくすることができる。 したがって、スイッチ素子S10p〜S13pのスイッチング動作時に発生する、容量値のミスマッチによる直流信号ddpの誤差を抑制しつつ、微小な直流信号ddpを実現することができる。

    同様に、ディザ回路115では、スイッチ素子S10n〜S13nのスイッチング動作時に発生する、容量値のミスマッチによる直流信号ddnの誤差を抑制しつつ、微小な直流信号ddnを実現することができる。

    次にΔΣ変調器1で発生するアイドルトーンについて説明する。 図4,5はアイドルトーンを説明するための図である。 図4はΔΣ変調器1に比較的小さな直流信号が入力された場合のアイドルトーンの発生イメージを破線で示しており、図5はΔΣ変調器1に比較的大きな直流信号が入力された場合のアイドルトーンの発生イメージを破線で示している。 図4,5に示す実線は、アナログ入力信号AINがΔΣ変調器1に入力されていない場合の量子化器113への入力信号を示している。 ただし、説明を簡素化するために、図4,5では、量子化器113への入力信号がシングルエンド信号である場合の当該入力信号の波形を示している。 図4,5に示される太い実線は、クロック信号CLK2の1周期の間に、ΔΣ変調器1に入力された直流信号が積分回路120で積分された量を示している。

    図4,5に示されるように、ΔΣ変調器1に意図的に印加された直流信号、あるいはΔΣ変調器1で自動的に生じたDCオフセット(直流信号)が積分回路120で積分されることによって、量子化器113への入力信号のレベルが上昇して、量子化器113のしきい値を超えると、量子化器113からは論理ハイレベルの出力信号MOが出力され、当該出力信号MOは入力側に負帰還される。 その結果、積分回路120への入力信号のレベルが低下し、量子化器113への入力信号のレベルが所定量だけ低下する(減算−1)。 このとき、積分回路120への入力信号には、ΔΣ変調器1に入力された直流信号が重畳されていることから、この直流信号の積分回路120での積分量(太い実線)の分だけ、量子化器113への入力信号のレベルが上昇する。

    量子化器113への入力信号のレベルが減少して、量子化器113のしきい値未満になると、量子化器113からは論理ローレベルの出力信号MOが出力され、当該出力信号MOは入力側に負帰還される。 その結果、積分回路120への入力信号のレベルが上昇し、量子化器113への入力信号のレベルが所定量だけ上昇する(加算+1)。 このとき、積分回路120への入力信号には直流信号が重畳されていることから、この直流信号の積分回路120での積分量(太い実線)の分だけ、量子化器113への入力信号のレベルが上昇する。

    ΔΣ変調器1では、クロック信号CLK2の周期ごとに、直流信号が積分されるとともに、「減算−1」あるいは「加算+1」が行われる。 その結果、図4,5に示されるように、量子化器113への入力信号には破線で示されるような三波のアイドルトーンが含まれるようになる。 その結果、量子化器113の出力信号MOにもアイドルトーンが発生する。 アイドルトーンの周波数は、図4,5に示されるように、ΔΣ変調器1に入力される直流信号のレベルが大きくなるほど高くなる。 これは、直流信号のレベルが大きくなると、クロック信号CLK2の1周期における当該直流信号の積分量が大きくなり、量子化器113への入力信号のレベルが量子化器113のしきい値を超えてから再び当該しきい値未満になるまでの時間が短くなるからである。

    なお、図4,5では、ΔΣ変調器1に入力される直流信号が、量子化器113の入力信号に与える影響を理解しやすいために、出力信号MOが入力側に負帰還されることによって量子化器113の入力信号が変化するタイミングと、ΔΣ変調器1に入力される直流信号が積分されることによって量子化器113の入力信号が変化するタイミングとをずらして示している。 しかしながら、ΔΣ変調器1の実際の動作においては、出力信号MOの入力側への負帰還と、ΔΣ変調器1に入力される直流信号に対する積分とはほぼ同時に行われることから、量子化器113への入力信号は、出力信号MOの負帰還によって変化した後に直流信号の積分量だけ変化するようなことは無く、出力信号MOの負帰還による変化量(加算+1あるいは減算−1)に直流信号の積分量を加算した分だけ一気に変化することになる。

    以上のように、ΔΣ変調器1に入力される直流信号が大きくなることによってアイドルトーンの周波数が大きくなることから、上述のように、積分回路120の入力信号に対してDC加算電圧DDを重畳することによって、アイドルトーンの周波数を所望の周波数帯域よりも高域側に移動させることができる。 ΔΣ型A/D変換器200のように、オーディオ用のΔΣ型A/D変換器の場合には、アイドルトーンの周波数を可聴域よりも高域側に移動させて、不要な音が人に聞こえることを防止することができる。

    ただし、DC加算電圧DDによってアイドルトーンの周波数が移動するという現象は、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルが一つしか存在しないΔΣ型A/D変換器では生じるが、ΔΣ型A/D変換器200のように、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルを複数備えるΔΣ型A/D変換器においては、単にDC加算電圧DDを利用するだけでは、チャネル間の相互干渉によって必ずしも生じるとは言えない。 なお、この内容については後で詳細に説明する。

    図6〜8は、ΔΣ型A/D変換器200において、仮に、LチャネルLch及びRチャネルRchのうちのどちらか一方のチャネルを削除した場合における他方のチャネルのΔΣ変調器1の出力信号MOの周波数特性を示す図である。 つまり、図6〜8は、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルが一つしか存在しないΔΣ型A/D変換器におけるΔΣ変調器の出力信号の周波数特性を示している。

    図6〜8は、ΔΣ変調器1にアナログ入力信号AINが入力されていない場合の出力信号MOの周波数特性を示している。 なお、後述の図9〜11,13に示される出力信号MOの周波数特性についても同様である。

    図6はDC加算電圧DDが積分回路120の入力信号に重畳されていない場合の出力信号MOの周波数特性を示しており、図7はDC加算電圧DD=Vdc1(>0V)の場合の出力信号MOの周波数特性を示しており、図8はDC加算電圧DD=Vdc2(>Vdc1)の場合の出力信号MOの周波数特性を示している。

    図6に示されるように、DC加算電圧DDが使用されていない場合には、積分回路120への直流信号の入力によって、可聴域内の周波数を有するアイドルトーンがΔΣ変調器1に発生している。 このようなΔΣ変調器1においてDC加算電圧DDを使用すると、図7に示されるように、アイドルトーンの周波数は高域に移動する。 そして、さらにレベルの大きいDC加算電圧DDを使用すると、大部分のアイドルトーンの周波数が可聴域の高域側に移動するようになる。

    これに対して、LチャネルLchとRチャネルRchの2チャネルを備えるΔΣ型A/D変換器200では、チャネル間の相互干渉により、LチャネルLchのΔΣ変調器1LでのDC加算電圧DDの信号レベルと、RチャネルRchのΔΣ変調器1RでのDC加算電圧DDの信号レベルとを互いに一致させると、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいて、アイドルトーンの周波数があまり移動せず、アイドルトーンの周波数を可聴域の高域側に移動させることができないという現象が確認される。 以下にこの現象について説明する。

    図9は、ΔΣ型A/D変換器200において、ΔΣ変調器1L,1RのそれぞれにおいてDC加算電圧DDが使用されていない場合でのΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOの周波数特性を示す図である。 図9に示される上側及び下側の波形がΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOをそれぞれ示している。 なお、後述の図10,11,13においても、上側及び下側の波形がΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOをそれぞれ示している。

    図9に示されるように、LチャネルLchのΔΣ変調器1Lの出力信号MOと、RチャネルRchのΔΣ変調器1Rの出力信号MOには、アイドルトーンが似たような周波数で発生している。 これは、LチャネルLchでの回路のレイアウトパターンと、RチャネルRchでの回路のレイアウトパターンとがほぼ同じように構成されているからである。

    ΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOが図9に示されるような周波数特性を有するΔΣ型A/D変換器において、仮にチャネル間の相互干渉が全く生じない場合には、ΔΣ変調器1L,1Rで同じ信号レベルのDC加算電圧DDを発生させると、図10に示されるように、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいてアイドルトーンの周波数を可聴域の高域側に移動させることができる。

    しかしながら、アナログ入力信号をディジタル信号に変換するためのチャネルを複数備えるΔΣ型A/D変換器200においては、実際には、チャネル間の相互干渉が生じることになる。 ΔΣ型A/D変換器200を製造する際には、装置の構造を簡素化するために、LチャネルLchの回路と、RチャネルRchの回路とは同一の半導体基板上に形成される。 また、図1に示されるように、参照電圧生成回路3や基準電圧生成回路4はLチャネルLchとRチャネルRchで共用されており、ΔΣ変調器1L,1Rには共通の電源電圧AVdd及び接地電圧AVssが供給されている。 したがって、LチャネルLchとRチャネルRchの間にはどうしても配線の共通インピーダンスが存在する。 よって、LチャネルLchとRチャネルRchとの相互干渉は避けがたく、LチャネルLchの回路と、RチャネルRchの回路とが結合し、LチャネルLchの信号がRチャネルRchに回り込んだり、RチャネルRchの信号がLチャネルLchに回り込んだりする。

    このようにチャネル間の相互干渉が存在するΔΣ型A/D変換器において、ΔΣ変調器1L,1Rで同じ信号レベルのDC加算電圧DDを発生させた場合には、ΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOの周波数特性は、図10のような理想的な特性には成らず、図11のような特性を示すことが確認される。

    LチャネルLch及びRチャネルRchにおいて、DC加算電圧DDが使用されるようになると、各チャネルにおいて、図9のように互いに異なる周波数に存在していた複数のアイドルトーンが、図11に示されるように、可聴域内のある周波数に集まるようになり、DC加算電圧DDのレベルを大きくしたとしてもアイドルトーンはその周波数からほとんど移動しない。

    このように、LチャネルLch及びRチャネルRchに同じDC加算電圧DDを使用した場合には、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいて、アイドルトーンの周波数はほとんど移動せず、アイドルトーンの周波数を所望の周波数帯域よりも高域側へ移動させることが困難になる。 これは、LチャネルLchおよびRチャネルRchのそれぞれで発生しているアイドルトーンの周波数はDC加算電圧DDによって高域に移動させられるが、相互干渉によってこれらの周波数の差に相当する周波数のアイドルトーンが発生するためである。

    チャネル間で基板、電源ラインあるいはグランドラインを分離したり、電源ラインやグランドラインを強化するなどの対策を行なうことによって、LチャネルLchとRチャネルRchとの相互干渉を低減することが可能であり、これによって、相互干渉によって発生するアイドルトーンのレベルを下げることが可能である。 しかしながら、このような干渉防止対策を行なうと、回路のレイアウトパターンが複雑化し、ΔΣ型A/D変換器を小さく作りこむことが困難になるとともに、装置のコストアップを招来する。

    そこで、ΔΣ型A/D変換器200では、LチャネルLchに設けられたΔΣ変調器1LでのDC加算電圧DDの信号レベルと、RチャネルRchに設けられたΔΣ変調器1RでのDC加算電圧DDの信号レベルとを互いに異なるようにする。 たとえば、電源電圧AVddを5Vとすると、ΔΣ変調器1LでのDC加算電圧DDの信号レベルと、RチャネルRchに設けられたΔΣ変調器1RでのDC加算電圧DDの信号レベルとの差を、数mV〜数十mVに設定する。

    図12は、DC加算電圧DDを仮に使用しない場合に図9に示される特性を有するΔΣ型A/D変換器において、ΔΣ変調器1L,1RでのDC加算電圧DDの信号レベルを異なった値に設定した場合でのΔΣ変調器1L,1Rの出力信号MOの周波数特性を示す図である。

    図9と図12から、LチャネルLch及びRチャネルRchに異なったレベルのDC加算電圧DDを発生させると、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいて、アイドルトーンの周波数が移動していることが理解できる。

    ΔΣ変調器1LでのDC加算電圧DDの信号レベルと、ΔΣ変調器1RでのDC加算電圧DDの信号レベルとを互いに異なるようにするためには、ΔΣ変調器1L及びΔΣ変調器1Rの間において、キャパシタの容量値を異なるようにすれば良い。 たとえば、キャパシタC4p,C4nのそれぞれの容量値をΔΣ変調器1L,1Rで異なるようにする。

    以上のように、ΔΣ型A/D変換器200では、LチャネルLch及びRチャネルRchにおいて、異なったDC加算電圧DDが使用されるため、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいて、アイドルトーンの周波数を、所望の周波数帯域よりも高域側に移動させることができる。 よって、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれにおいて、アイドルトーンの悪影響を抑制することができる。

    前述のように、ΔΣ型A/D変換器では、帰還ループを形成していることによって生じるアイドルトーン(パターンノイズ)が問題となる。 特に、オーディオ用の高精度なA/D変換器においては、可聴帯域のアイドルトーンは、聴感上の不具合となる。 アイドルトーンの対策としては、ディザ回路を用いることが広く知られている。

    しかしながら、2チャネルのΔΣ型A/D変換器を用いる場合には、チャネル間相互干渉によってもトーンが生じ、従来のディザ回路ではこのトーンを除去できなかった。 そこで、ΔΣ型A/D変換器200では、異なる電圧レベルを有するDC加算電圧を各チャネルの入力部に与えている。

    図13(a)〜(d)は、ΔΣ型A/D変換器200の入力電圧範囲が制限される理由を説明するための図である。

    図13(a)を参照して、DC加算電圧を与えるディザ回路をΔΣ型A/D変換器が備えない場合、ΔΣ型A/D変換器の入力電圧範囲は、コモン電圧VCM1を基準として、ΔΣ型A/D変換器におけるアンプおよびその他のシステム構成によって決まる。 ここで、ΔΣ型A/D変換器200において、コモン電圧VCM1は基準電圧VCOMに相当する。

    図13(b)を参照して、DC加算電圧を与えるディザ回路をΔΣ型A/D変換器が備える場合には、入力信号のオフセット電圧が増加する、すなわちコモン電圧がVCM1からVCM2へ上昇する。 これにより、ΔΣ型A/D変換器の入力電圧範囲はDC加算電圧分狭くなる。

    図13(c)を参照して、ΔΣ型A/D変換器200において、LチャネルLchおよびRチャネルRchに与えるDC加算電圧をそれぞれV1およびV2とする。 V1およびV2が互いに逆の極性を有する場合には、各チャネルに与えられるDC加算電圧分、各チャネルの入力電圧範囲が狭くなるだけですむ。 すなわち、LチャネルLchでは、コモン電圧がVCM1からVCMLへ上昇し、LチャネルLchの入力電圧範囲はLチャネルLchに与えられるDC加算電圧分だけ狭くなる。 また、RチャネルRchの入力電圧範囲は、コモン電圧がVCM1からVCMRへ上昇し、RチャネルRchに与えられるDC加算電圧分だけ狭くなる。

    しかしながら、アイドルトーンの抑制効果は、「V1とV2の差」に対応するのではなく、「V1の絶対値とV2の絶対値の差」に対応する。 したがって、V1およびV2を同等の大きさで逆極性に設定するとアイドルトーンを抑制できなくなる。

    そこで、ΔΣ型A/D変換器200では、図13(d)に示すように、V1およびV2を同じ極性に設定する。 この場合、アイドルトーンの抑制効果は、「V1とV2の差」に対応するのではなく、「V1の絶対値とV2の絶対値の差」に対応することになる。

    したがって、ΔΣ型A/D変換器200では、チャネル間相互干渉によるトーンを除去するために十分大きなDC電圧を加算しなければならない。 たとえば、Rチャネルに与えるDC加算電圧は、Lチャネルに与えるDC加算電圧よりも十分大きくしなければならなくなる。 そうすると、コモン電圧VCMRが増加してRチャネルRchの入力信号のオフセット電圧が増加し、ΔΣ型A/D変換器全体として入力電圧範囲が狭くなってしまう。

    図14は、ΔΣ型A/D変換器200の入力電圧範囲の制限による出力電圧の歪みを示す図である。

    図14を参照して、入力電圧範囲の広いシステム(ΔΣ型A/D変換器)では出力信号に歪みの生じない入力電圧であっても、入力電圧範囲の狭いシステムでは、出力信号に歪みが生じてしまう。

    図15は、ΔΣ型A/D変換器の入力レベルとSNDRとの関係を示す図である。
    図15を参照して、入力電圧範囲の広いシステムでは入力レベルLV2を超えてからSNDR(Signal to Noise and Distortion Ratio)が劣化する(グラフG1)。 これに対して、入力電圧範囲の狭いシステムでは、入力レベルLV2より低い入力レベルLV1を超えるとSNDRが劣化してしまう(グラフG2)。

    上記のようなΔΣ型A/D変換器200の問題点を解決するために、本発明の一実施の形態においては、要約すれば、複数チャネルの各々において積分器と量子化器とを備えたΔΣ型A/D変換器であって、各チャネルの積分器の出力段または量子化器の入力段にディザ信号が加算されるが、チャネル間では異なるディザ信号が加算されるΔΣ型A/D変換器が提供される。

    各チャネルにおいて直列に接続された複数の積分器を有する場合には、これら複数の積分器の各々の出力段のうちの少なくとも一つにディザ信号が加算され、チャネル間では異なるディザ信号が加算される。 ほとんどの場合、チャネル間で同じ数の積分器が直列に接続される。 チャネル間で同じN個の積分器が直列に接続される場合、回路レイアウトの設計のし易さの観点から、直列接続の先頭の積分器を第1番目としたとき、チャネル間で同じ第k番目(kは1乃至Nのいずれか)の積分器の出力にディザ信号が加算されることが望ましい。

    上述のディザ信号としては、DCディザ、ランダムディザ、方形波ディザ、のこぎり波ディザ等が例示される。 各チャネルにDCディザが印加される場合、ある電圧レベルのDC信号が加算されるが、DC信号のレベルをチャネル間で相違させる。 各チャネルにランダムディザが印加される場合、擬似ランダム信号(デジタル信号)を発生させ、当該ランダム信号をスイッチトキャパシタ等によってD/A変換したものが加算されるが、同時に発生する擬似ランダム信号のデジタルパターンをチャネル間で相違させる。 各チャネルに方形波ディザが印加される場合、ある振幅およびある周波数を有する方形波信号が加算されるが、この方形波信号の振幅もしくは周波数をチャネル間で相違させる。 各チャネルにのこぎり波ディザが印加される場合、ある振幅およびある周波数を有したのこぎり波信号をD/A変換したものが加算されるが、チャネル間ではのこぎり波信号の振幅もしくは周波数を相違させる。

    さらに別の一実施の形態によれば、複数のチャネルのうちの一つのチャネルにおいては、アナログ信号が入力される最初の積分器の入力段に第1のディザ信号(例えばDCディザまたは方形波ディザ)が加算され、別のチャネルにおいては、ΔΣ型A/D変換器内のいずれかの積分器の出力段に第1のディザ信号とは異なる第2のディザ信号(DCディザ、ランダムディザ、方形波ディザ、のこぎり波ディザ、等の任意のディザ)が加算される。

    以下、本発明の各実施の形態について詳述する。
    <第1の実施の形態>
    [ΔΣ型A/D変換器201]
    次に、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器について図面を用いて説明する。 なお、本発明の実施の形態1において、ΔΣ型A/D変換器200と同一または相当部分にはΔΣ型A/D変換器200と同一符号を付してその説明は繰り返さない。 すなわち、以下で説明する内容以外はΔΣ型A/D変換器200と同様である。

    図16は、本実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器の構成を示す図である。
    図16を参照して、ΔΣ型A/D変換器201は、ΔΣ型A/D変換器200と比べて、ディザ回路115Lおよび115Rの代わりにディザ回路21Lおよび21Rを備え、ΔΣ変調器1Lおよび1Rの代わりにΔΣ変調器11Lおよび11Rを備える。

    図17はΔΣ変調器11L,11Rの構成例を示すブロック図である。 本実施の形態1では、ΔΣ変調器11L,11Rの構成は互いに同じである。 以後、ΔΣ変調器11L,11Rを総称して「ΔΣ変調器11」と呼ぶ。 また、ディザ回路21L,21Rを総称して「ディザ回路21」と呼ぶ。

    図17に示されるように、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれのΔΣ変調器11は、たとえば3次の変調器であって、ゲイン段101,102と、加算器103と、積分回路131と、量子化器113と、ディザ回路21と、D/A変換器116とを備えている。

    ゲイン段101は、アナログ入力信号AINが入力される入力ラインILの信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。 ゲイン段102は、D/A変換器116から出力されるフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBBとして出力する。 加算器103は、ゲイン段101の出力信号と、ゲイン段102から出力される反転フィードバック信号FBBとを加算して出力する。 つまり、加算器103からは、ゲイン段101の出力信号と、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。 入力ラインILにアナログ入力信号AINが入力されている状態では、加算器103からは、アナログ入力信号AINとフィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    ここで、入力ラインILから加算器103までの信号ラインは、LチャネルLchあるいはRチャネルRchにアナログ入力信号AINが入力されると当該アナログ入力信号AINを伝搬する信号ラインである。 したがって、加算器103では、LチャネルLchあるいはRチャネルRchにアナログ入力信号AINが入力されると当該アナログ入力信号AINを伝搬する信号ラインの信号とフィードバック信号FBとの差分が得られることになる。

    積分回路131は、3段の積分器104,106,107と、加算器105,112と、ゲイン段108〜111,121,123とを備えており、加算器103で求められた差分信号を積分して出力する。

    より詳細には、積分器104は、加算器103で得られた差分信号を積分して出力する。 ゲイン段121は、積分器104の出力信号を、その信号レベルをb2倍(b2は正の値)して出力する。

    ディザ回路21は、ディザ信号Dを生成し、これをゲイン段121の出力信号に重畳する。 加算器105は、ゲイン段121の出力信号と、ゲイン段108の出力信号と、ディザ信号Dとを加算して出力する。 積分器106は、加算器105の出力信号を積分して出力する。 積分器107は、積分器106の出力信号を積分して出力する。 ゲイン段108は、積分器107の出力信号を、その信号レベルを−g1倍(g1は正の値)して出力する。 ゲイン段123は、積分器107の出力信号を、その信号レベルをb4倍(b4は正の値)して出力する。 ゲイン段109は、積分器106の出力信号を、その信号レベルをa3倍(a3は正の値)して出力する。 ゲイン段110は、積分器104の出力信号を、その信号レベルをa2倍(a2は正の値)して出力する。 ゲイン段111は、D/A変換器116から出力されるフィードバック信号FBを、その信号レベルをa1倍(a1は正の値)して出力する。 加算器112は、ゲイン段123の出力信号と、ゲイン段109〜111の出力信号とを加算して出力する。

    量子化器113は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器112の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MOとして出力する。 D/A変換器116は、1ビットのディジタル信号である出力信号MOをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    以上のような構成を有するΔΣ変調器11では、アナログ入力信号AINがオーバーサンプリングされるため、出力信号MOに含まれる、所望の周波数帯域内の量子化誤差の信号レベルが大きく低減される。 さらに、ΔΣ変調器11は、図17の白抜きの矢印で示されるように、出力信号MOを入力側に戻すフィードバックループを有しているため、出力信号MOに含まれる量子化誤差は高い周波数に偏って分布するようになる。 したがって、出力信号MOを、後段のディジタル回路2においてローパスフィルタに通すことによって、量子化誤差を大きく低減することができる。

    図18は、ディザ回路の構成の一例を示す図である。 図18を参照して、ディザ回路21Lは、擬似ランダム信号生成部5Lと、D/A変換器6Lとを含む。 ディザ回路21Rは、擬似ランダム信号生成部5Rと、D/A変換器6Rとを含む。

    本実施の形態1では、D/A変換器6L,6Rの構成は互いに同じである。 以後、D/A変換器6L,6Rを総称して「D/A変換器6」と呼ぶ。

    擬似ランダム信号生成部5Lは、ディジタル信号である擬似ランダム信号を生成してD/A変換器6Lへ出力する。 擬似ランダム信号生成部5Rは、ディジタル信号である擬似ランダム信号を生成してD/A変換器6Rへ出力する。 これらの擬似ランダム信号は異なる信号である、すなわち、複数のタイミングで互いに値の異なるディジタル信号である。

    D/A変換器6Lは、擬似ランダム信号生成部5Lから受けた擬似ランダム信号をアナログ信号に変換し、変換した信号をディザ信号D1としてΔΣ変調器11Lへ出力する。 D/A変換器6Rは、擬似ランダム信号生成部5Rから受けた擬似ランダム信号をアナログ信号に変換し、変換した信号をディザ信号D2としてΔΣ変調器11Rへ出力する。

    擬似ランダム信号生成部5Lおよび5Rは、たとえばM系列パルス発生器である。 複数のM系列パルス発生器で異なる擬似ランダム信号を生成する場合には、たとえば、M系列パルス発生器におけるシフトレジスタの初期値、またはシフトレジスタの段数をチャネル毎に異ならせればよい。 なお、擬似ランダム信号生成部5Lおよび5Rは、M系列パルス発生器に限らず、どのような方法で擬似ランダム信号を生成してもよい。

    図19は、ディザ回路の構成の他の例を示す図である。 図19を参照して、ディザ回路21Lおよび21Rは、擬似ランダム信号生成部5を共有している。 また、ディザ回路21Lは、D/A変換器6Lを含む。 ディザ回路21Rは、D/A変換器6Rを含む。

    擬似ランダム信号生成部5は、ディジタル信号である擬似ランダム信号を生成してD/A変換器6LおよびD/A変換器6Rへ出力する。

    D/A変換器6Lは、擬似ランダム信号生成部5から受けた擬似ランダム信号をアナログ信号に変換し、変換した信号をディザ信号D1としてΔΣ変調器11Lへ出力する。 D/A変換器6Rは、擬似ランダム信号生成部5から受けた擬似ランダム信号をアナログ信号に変換し、変換した信号をディザ信号D2としてΔΣ変調器11Rへ出力する。

    D/A変換器6Lおよび6Rは、互いに異なる変換ゲインを有する。 たとえば、D/A変換器6Lおよび6Rにおける電荷転送用のキャパシタの容量が互いに異なるように設定される。 あるいは、擬似ランダム信号のビットシフトが行なわれる、たとえば、擬似ランダム信号がそのままD/A変換器6Lに与えられる一方で、擬似ランダム信号をビットシフトさせた信号がD/A変換器6Rに与えられる。

    なお、ディザ回路21Lおよび21Rは、図18および図19に示すような構成に限らず、複数のタイミングで互いに値の異なるディジタル信号のアナログ変換信号をディザ信号D1およびディザ信号D2としてそれぞれ出力する構成であればよい。

    図20は、本発明の実施の形態1に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。 図21は、本発明の実施の形態1に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の構成を詳細に示す図である。

    図20および図21を参照して、ゲイン段121の入力信号は、互いに相補的な一対の入力信号sin,sipから成る差動信号である。 入力信号sip,sinのそれぞれの信号レベルは基準電圧VCOMを中心にして変化する。 入力信号sinは、基準電圧VCOMを基準として入力信号sipを反転させた信号である。 ゲイン段121の入力信号の信号レベルは、入力信号sipの信号電圧から、入力信号sinの信号電圧を差し引いた値となる。

    ディザ信号Dは、互いに相補的な一対のアナログ信号dn,dpから得られる差動信号である。 アナログ信号dpの信号レベルは基準レベル(たとえば基準電圧VCOM)に対して正であって、アナログ信号dnの信号レベルは基準レベル(たとえば基準電圧VCOM)に対して負である。 ディザ信号Dの信号レベルは、アナログ信号dpの信号レベルからアナログ信号dnの信号レベルを差し引いた値に対応する値となる。 また、ゲイン段108の入力信号sbp、sbnは、互いに相補的な一対の信号から成る差動信号である。 ゲイン段108の入力信号の信号レベルは、入力信号sbpの信号レベルから入力信号sbnの信号レベルを差し引いた値に対応する値となる。

    ゲイン段121は、スイッチ素子S11n〜S14n,S11p〜S14pと、キャパシタC11n,C11pとを備えるスイッチトキャパシタ回路(SC回路)で構成されている。 また、積分器106は、差動出力オペアンプ106aとホールドキャパシタ(積分容量)C10n,C10pとを備えている。

    積分器106では、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子と、ホールドキャパシタC10pの一端とが接続されている。 ホールドキャパシタC10pの他端は、差動出力オペアンプ106aの反転出力端子に接続されている。 ホールドキャパシタC10nの一端は、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子に接続されており、その他端は、差動出力オペアンプ106aの非反転出力端子に接続されている。 そして、差動出力オペアンプ106aには基準電圧VCOMが動作基準電圧として供給されている。

    ゲイン段121では、スイッチ素子S11pの一端には、積分器104の出力ノードの一方が接続され、スイッチ素子S11pの他端には、キャパシタC11pの一端と、スイッチ素子S12pの一端とが接続されている。 キャパシタC11pの他端には、スイッチ素子S14pの一端と、スイッチ素子S13pの一端とが接続されており、スイッチ素子S13pの他端には、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S12pの他端と、スイッチ素子S14pの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S11nの一端には、積分器104の出力ノードの他方が接続され、その他端には、キャパシタC11nの一端と、スイッチ素子S12nの一端とが接続されている。 キャパシタC11nの他端には、スイッチ素子S14nの一端と、スイッチ素子S13nの一端とが接続されており、スイッチ素子S13nの他端には、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S12nの他端と、スイッチ素子S14nの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S11n,S14n,S11p,S14pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 一方で、スイッチ素子S12n,S13n,S12p,S13pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φバー(図中ではφの上に横線を引いてφバーを表している)でオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 位相φと位相φバーとは逆相の関係、つまり180°異なった関係にある。

    以上のような構成を有するゲイン段121では、スイッチ素子S11p〜S13pのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段121の入力信号sipがサンプリング周波数fsのたとえば64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号sipの信号レベルが調整される。 また、ゲイン段121では、スイッチ素子S11n〜S13nのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段121の入力信号sinがサンプリング周波数fsの同じく64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号sinの信号レベルが調整される。

    ゲイン段108は、スイッチ素子S15n〜S18n,S15p〜S18pと、キャパシタC15n,C15pとを備えるスイッチトキャパシタ回路で構成されている。

    ゲイン段108では、スイッチ素子S15pの一端には、積分器107の出力ノードの一方が接続され、スイッチ素子S15pの他端には、キャパシタC15pの一端と、スイッチ素子S16pの一端とが接続されている。 キャパシタC15pの他端には、スイッチ素子S18pの一端と、スイッチ素子S17pの一端とが接続されており、スイッチ素子S17pの他端には、差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S16pの他端と、スイッチ素子S18pの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S15nの一端には、積分器107の出力ノードの他方が接続され、その他端には、キャパシタC15nの一端と、スイッチ素子S16nの一端とが接続されている。 キャパシタC15nの他端には、スイッチ素子S18nの一端と、スイッチ素子S17nの一端とが接続されており、スイッチ素子S17nの他端には、差動出力オペアンプ106aの反転入力端子が接続されている。 そして、スイッチ素子S16nの他端と、スイッチ素子S18nの他端には基準電圧VCOMが供給される。

    スイッチ素子S15n,S18n,S15p,S18pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φでオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 一方で、スイッチ素子S16n,S17n,S16p,S17pのそれぞれは、クロック信号CLK2の各周期の位相φバー(図中ではφの上に横線を引いてφバーを表している)でオフ状態からオン状態となり、所定期間オン状態を維持する。 位相φと位相φバーとは逆相の関係、つまり180°異なった関係にある。

    以上のような構成を有するゲイン段108では、スイッチ素子S15p〜S17pのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段108の入力信号sbpがサンプリング周波数fsのたとえば64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号sbpの信号レベルが調整される。 また、ゲイン段108では、スイッチ素子S15n〜S17nのそれぞれがクロック信号CLK2に基づいて規則的なスイッチング動作をすることによって、ゲイン段108の入力信号sbnがサンプリング周波数fsの同じく64倍の周波数でサンプリングされ、かつサンプリングされた入力信号sbnの信号レベルが調整される。

    図22は、ディザ信号用のD/A変換器の構成を概念的に示す図である。 図22は、擬似ランダム信号が8ビットのディジタル値である場合の、D/A変換器の構成の一例を示している。

    図22を参照して、D/A変換器6は、スイッチ部SU1〜SU3と、キャパシタC1〜C8とを含む。 スイッチ部SU1は、スイッチS31〜S38を含む。 スイッチ部SU2は、スイッチS41〜S48を含む。 スイッチ部SU3は、スイッチS51〜S58を含む。 スイッチS31〜S38は、第1端と、プラス側参照電圧vrpの供給されるノードに接続された第2端と、マイナス側参照電圧vrnの供給されるノードに接続された第3端とを有する。 スイッチS41〜S48は、キャパシタC1〜C8の第2端にそれぞれ接続された第1端と、基準電圧VCOMの供給されるノードに接続された第2端と、スイッチS31〜S38の第1端にそれぞれ接続された第3端とを有する。 スイッチS51〜S58は、キャパシタC1〜C8の第1端にそれぞれ接続された第1端と、基準電圧VCOMの供給されるノードに接続された第2端と、次段の積分器の入力ノードに接続された第3端とを有する。

    スイッチS31〜S38の各々は、擬似ランダム信号生成部から受けた擬似ランダム信号に基づいて、第1端および第2端を接続するか、第1端および第3端を接続するかを切り替える。 スイッチS41〜S48およびS51〜S58の各々は、たとえばクロック信号CLK2であるシステムクロックSCLKに基づいて、第1端および第2端を接続するか、第1端および第3端を接続するかを切り替える。

    D/A変換器6は、2つのモードを有する。 D/A変換器6は、たとえば、システムクロックSCLKが論理ハイレベルのときにサンプルモードとなり、システムクロックSCLKが論理ローレベルのときにホールドモードとなる。

    図23は、ディザ信号用のD/A変換器のサンプルモードにおける動作を説明するための図である。

    図23を参照して、サンプルモードにおいて、キャパシタC1〜C8の第1端は、基準電圧VCOMの供給されるノードにスイッチS51〜S58を介して接続される。 キャパシタC1〜C8の第2端は、プラス側参照電圧vrpの供給されるノードまたはマイナス側参照電圧vrnの供給されるノードにスイッチS31〜S38およびスイッチS41〜S48を介して接続される。

    スイッチS31が擬似ランダム信号の最上位ビット(MSB)に対応し、スイッチS38が擬似ランダム信号の最下位ビット(LSB)に対応する。 ここでは、擬似ランダム信号が'10110010'の場合を説明する。 たとえば、擬似ランダム信号のMSB='1'であるため、スイッチS38の第1端はプラス側参照電圧vrpの供給されるノードに接続される。 また、擬似ランダム信号のLSB='0'であるため、スイッチS38の第1端はマイナス側参照電圧vrnの供給されるノードに接続される。

    すなわち、擬似ランダム信号のあるビットが'1'の場合には、そのビットに対応するキャパシタにはQn=(Cn×(VCOM−Vrp))の電荷が充電され、'0'の場合には、Qn=(Cn×(VCOM−Vrn))の電荷が充電される。 ここで、nは1〜8のいずれかの整数であり、QnはキャパシタCnに蓄えられる電荷である。

    図24は、ディザ信号用のD/A変換器のホールドモードにおける動作を説明するための図である。

    図24を参照して、ホールドモードにおいて、キャパシタC1〜C8の第1端はスイッチS51〜S58を介して次段の積分器の入力ノードに接続され、第2端はスイッチS41〜S48を介して基準電圧VCOMの供給されるノードに接続される。 このとき、積分器におけるアンプの仮想接地によってアンプ入力ノードの電圧が基準電圧VCOMであれば、キャパシタC1〜C8に蓄えられていた電荷は積分器の積分容量Cに転送される。 積分容量Cに初期電荷がなく、D/A変換器6以外から積分器への入力がない場合には、この積分器の出力電圧Voは、積分容量Cの容量値をCとすると以下の式で表される。

    Vo=VCOM−(Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6+Q7+Q8)/C
    なお、ディザ回路21では、ホールドモードにおいて擬似ランダム信号の値が更新される。

    ここで、擬似ランダム信号は、サーモメータコードすなわち'1'の個数で値を表わしたコードであってもよいし、バイナリコードであってもよい。

    VCOM−Vrp=vp、VCOM−Vrn=vnとする。 擬似ランダム信号='10110010'の場合を考える。

    擬似ランダム信号がサーモメータコードの場合には、Cn=Cs(n=1〜8)すなわちキャパシタC1〜C8の容量値はすべてCsに設定される。 そして、積分器の出力電圧Voは以下の式で表される。

    Vo=VCOM−(Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6+Q7+Q8)/C
    =VCOM−(Cs×vp+Cs×vn+Cs×vp+Cs×vp+Cs×vn+Cs×vn+Cs×vp+Cs×vn)/C
    したがって、D/A変換器6は9階調のD/A変換器となり、容量値Csのキャパシタは合計8個必要となる。

    一方、擬似ランダム信号がバイナリコードの場合には、キャパシタC1〜C8の容量値は、Cn=(2 (n-1) )×Cs(n=1〜8)に設定される。 そして、積分器の出力電圧Voは以下の式で表される。

    Vo=VCOM−(Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6+Q7+Q8)/C
    =VCOM−(Cs×(2 0 )×vp+Cs×(2 1 )×vn+Cs×(2 2 )×vp+Cs×(2 3 )×vp+Cs×(2 4 )×vn+Cs×(2 5 )×vn+Cs×(2 6 )×vp+Cs×(2 7 )×vn)/C
    したがって、D/A変換器6は2 8階調のD/A変換器となり、容量値Csのキャパシタは合計(2 8 −1)個必要となる。

    図18に示すように、擬似ランダム信号生成部を別個に設けることによって異なる擬似ランダム信号を得る場合には、擬似ランダム信号はサーモメータコードおよびバイナリコードのいずれでもよく、各D/A変換器間で容量値Csは同じであってもよい。

    図19に示すように共通の擬似ランダム信号生成部を設ける場合には、擬似ランダム信号はサーモメータコードおよびバイナリコードのいずれでもよいが、各D/A変換器間で容量値Csを異ならせることにより、各チャネルで擬似ランダム信号のレベルを異ならせる必要がある。 また、擬似ランダム信号のビットシフトおよびビット拡張を行なうことによって異なるレベルの擬似ランダム信号を得る場合には、擬似ランダム信号はサーモメータコードおよびバイナリコードのいずれでもよいが、各D/A変換器へ入力される擬似ランダム信号の'1'の個数が同じであるため、サーモメータコードの場合には各D/A変換器間で容量値Csを異ならせる必要がある。 一方、バイナリコードの場合には、各D/A変換器間で容量値Csは同じであってもよい。

    図25は、ディザ信号用のD/A変換器の構成を示す図である。 図25は、図22に示したD/A変換器を図21に示すような差動型の積分器106に適用した構成の一例を示している。 図25では、nビットの擬似ランダム信号によって制御される場合のD/A変換器を示しており、また、擬似ランダム信号の第1ビットが'1'であり、第nビットが'0'である状態を代表的に示している。

    図25を参照して、D/A変換器6におけるnビット分のn個の回路は同じ回路構成を有している。 D/A変換器6におけるnビットの回路の各々は、スイッチ部SU11〜SU13と、キャパシタCp,Cnとを含む。 スイッチ部SU11は、スイッチS131,S132を含む。 スイッチ部SU12は、スイッチS141,S142を含む。 スイッチ部SU13は、スイッチS151,S152を含む。

    スイッチS131,S132の各々は、第1端と、入力ノードXすなわち差動出力オペアンプ106aの非反転入力端子に接続された第2端と、入力ノードYすなわち差動出力オペアンプ106aの反転入力端子に接続された第3端とを有する。 スイッチS141,S142の各々は、キャパシタCp,Cnの第1端にそれぞれ接続された第1端と、基準電圧VCOMの供給されるノードに接続された第2端と、スイッチS131,S132の第1端にそれぞれ接続された第3端とを有する。 スイッチS151,S152の各々は、キャパシタCp,Cnの第2端にそれぞれ接続された第1端と、基準電圧VCOMの供給されるノードに接続された第2端と、プラス側参照電圧vrpおよびマイナス側参照電圧vrnの供給されるノードにそれぞれ接続された第3端とを有する。

    スイッチS131,S132の各々は、擬似ランダム信号生成部から受けた対応ビットの擬似ランダム信号に基づいて、第1端および第2端を接続するか、第1端および第3端を接続するかを切り替える。 スイッチS141,S142およびS151,S152の各々は、システムクロックSCLKに基づいて、第1端および第2端を接続するか、第1端および第3端を接続するかを切り替える。

    サンプルモードすなわちシステムクロックSCLKが論理ハイレベルの場合には、キャパシタCp,Cnの第1端は、基準電圧VCOMの供給されるノードにスイッチS141,S142を介して接続される。 キャパシタCp,Cnの第2端は、プラス側参照電圧vrpの供給されるノードまたはマイナス側参照電圧vrnの供給されるノードにスイッチS151,S152を介して接続される。 このとき、キャパシタCp,Cnに充電される電荷は、それぞれCp×(VCOM−Vrp),Cn×(VCOM−Vrn)である。

    ホールドモードすなわちシステムクロックSCLKが論理ローレベルの場合には、キャパシタCp,Cnの第1端はスイッチS141,S142およびS131,S132を介して次段の積分器106の入力ノードに接続され、第2端はスイッチS151,S152を介して基準電圧VCOMの供給されるノードに接続される。 ここで、擬似ランダム信号によって制御されるスイッチS131,S132により、キャパシタCp,Cnの第1端がそれぞれ接続されるノードX,Yが選択される。 このとき、積分器106における差動出力オペアンプ106aの仮想接地によって入力ノードX,Yの電圧が基準電圧VCOMとなる場合には、キャパシタCp,Cnに蓄えられていた電荷は積分器106の積分容量に転送される。 積分容量C10p,C10nの容量値をそれぞれCとする。 積分容量C10p,C10nに初期電荷がなく、D/A変換器6以外から積分器への入力がない場合には、積分器106の出力電圧Vodiffは以下の式で表される。

    Vodiff=Cn×Vrn/C−Cp×Vrp/C
    上記は擬似ランダム信号が'1'である場合であり、擬似ランダム信号が'0'である場合には、積分器106の出力電圧Vodiffは以下の式で表される。

    Vodiff=Cp×Vrp/C−Cn×Vrn/C
    このようにして、D/A変換器6は、nビットのD/A変換器として動作する。

    また、擬似ランダム信号がサーモメータコードの場合には、第1〜第nビットの回路間でキャパシタCnの容量値は同じに設定される。 これは、キャパシタCpについても同様である。

    一方、擬似ランダム信号がバイナリコードの場合には、第1〜第nビットの回路間でキャパシタCnの容量値を異ならせてもよい。 これは、キャパシタCpについても同様である。 また、同一ビットの回路においては、キャパシタCnの容量値とキャパシタCpの容量値とは同じに設定される。

    ΔΣ型A/D変換器201では、たとえば図21を用いて説明したように、加算器の後段に設けられた積分器が、当該加算器の役割を果たす。

    たとえば、図17に示す積分器106の前段の加算器105は、ディザ回路21の出力信号、ゲイン段121の出力信号およびゲイン段108の出力信号の3つの信号の加算を行なう。 ΔΣ型A/D変換器201では、図21で示すようなゲイン段108、ゲイン段121およびD/A変換器6の各々で用いられているスイッチトキャパシタ回路の出力方式が前述のような電荷転送方式であることを利用して加算を行なう。 すなわち、積分器106の入力ノードX,Yの電位が仮想接地によって基準電圧VCOMとなる場合には、ゲイン段108、ゲイン段121およびD/A変換器6が転送する電荷は積分器106の積分容量にそれぞれ転送され、加算される。

    なお、SC回路で構成されるゲイン段およびD/A変換器等のゲインは、各SC回路のサンプリング容量と積分器の積分容量の比で決定される。

    図26は、ディザ信号用のD/A変換器の変形例の構成を概念的に示す図である。
    図26を参照して、このD/A変換器は、電流源IS1〜IS8と、スイッチ部SU21とを含む。 スイッチ部SU21は、スイッチS161〜S168を含む。

    スイッチS161〜S168は、M系列パルス発生器などで生成した擬似ランダム信号に基づいて、電流源IS1〜IS8から受けた電流を積分器へ出力するか否かを切り替える。 たとえば、擬似ランダム信号のあるビットが'1'のときに、スイッチ部SU21における対応のスイッチがオンする。

    各電流源が流す電流をIとし、各スイッチがオンする時間をtonとし、8ビットの擬似ランダム信号の'1'の数をNとすると、積分容量Cに流れ込む電荷は以下の式で表わされる。

    Q=I×ton×N
    本実施の形態1では、ランダムディザの一種である擬似ランダム信号をΔΣ変調器11に与えている。 したがって、量子化器113の入力信号に含まれるアイドルトーンにもランダムディザが重畳されるようになる。 図4,5の破線で示されるようなアイドルトーンにランダムディザが重畳されると、アイドルトーンの周期性が崩れて、周期的なノイズ信号のレベルが低減される。 よって、アイドルトーンの悪影響を抑制できる。

    ここで、ΔΣ型A/D変換器200のような2チャネルのΔΣ変調器を考える。 各チャネルのΔΣ変調器に印加されるDCディザによって、各ΔΣ変調器で発生するアイドルトーンは高周波領域に移動する、すなわち可聴域等の所望の帯域内から除去することが可能となる。

    しかしながら、高周波領域に移動した各チャネルのアイドルトーンの周波数が互いに近い場合には、各アイドルトーンは互いに干渉して低周波領域に「相互干渉によるトーン」が発生する。 この「相互干渉によるトーン」の周波数は、各ΔΣ変調器において発生していたアイドルトーンの周波数の差の成分に相当する。 ここで、各ΔΣ変調器を全く同じように設計しても、実際には素子のばらつき等により各ΔΣ変調器におけるアイドルトーンの周波数には差が生じる。

    そこで、ΔΣ型A/D変換器200では、一方のΔΣ変調器に印加するDCディザを大きくする。 これにより、各ΔΣ変調器で発生するアイドルトーンの周波数の差が大きくなるため、相互干渉によって生じるトーンの周波数も高くなり、所望の帯域内から除去することが可能となる。

    また、ΔΣ型A/D変換器201でも、各ΔΣ変調器に対して全く同じディザ信号を与えると、上述したような高周波領域に移動したアイドルトーンどうしの干渉と同様のトーンが生じる。 このトーンは、可聴域における高周波領域においてもアイドルトーンが観測されなくなるようなランダムディザを用いた場合でも生じる。 これは、各ΔΣ変調器の出力が周期性を持っていなくても、干渉によって生じる信号が周期性を持つためである。

    ΔΣ型A/D変換器200およびΔΣ型A/D変換器201のように、各ΔΣ変調器に異なるディザを与えることで、干渉によって生じる信号の周期性を崩すことができるため、干渉によるトーンの除去が可能となる。

    しかしながら、ΔΣ型A/D変換器200では、アナログ入力信号の入力部である加算器103においてDC電圧を加算している。 このため、前述のように入力電圧範囲が狭くなってしまうことから、低電圧動作、小面積化、およびさらなる高性能化を図る上で問題が生じる可能性がある。

    これに対して、ΔΣ型A/D変換器201では、ΔΣ変調器11における積分器の出力段においてディザ信号を加算する。

    このような構成により、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    なお、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器では、ディザ回路21は、擬似ランダム信号のアナログ変換信号をディザ信号として生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。 ΔΣ型A/D変換器200と同様に、ディザ回路21Lおよび21Rが、同じ極性であって互いに電圧レベルの異なる直流電圧をディザ信号D1およびディザ信号D2としてそれぞれ生成する構成であってもよい。 さらに、ディザ信号は、方形波およびのこぎり波であってもよい。

    図27は、ディザ信号としてDC加算電圧を出力するD/A変換器の構成を示す図である。

    図27を参照して、このD/A変換器6は、図25に示すD/A変換器6と比べて、スイッチ部SU11を含まない構成である。

    DC加算電圧を出力するD/A変換器は、図25に示すD/A変換器6において擬似ランダム信号が固定値の場合、すなわち擬似ランダム信号によって制御されるスイッチが存在しない場合と等価である。 この場合、積分器106の積分容量C10p,C10nに転送される電荷は常に一定となり、積分器106の出力電圧Vodiffは直流電圧となる。

    このように、ディザ信号をDC加算電圧とすることにより、擬似ランダム信号生成部等が不要となるため、ランダムディザとする場合と比べてディザ回路の簡易化および設計の容易化を図ることができる。

    また、図17に示すように、ΔΣ変調器11における3段の積分器のうち、最初の積分器104の出力信号にDC加算電圧を重畳する構成により、ΔΣ変調器11におけるレベル調整をより容易に行なうことができる。

    一方、ランダムディザを与える場合には、DCディザを与える構成と比べて、ΔΣ変調器11の動作可能な信号レベル範囲を広くすることができる。

    また、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器では、LチャネルLchおよびRチャネルRchの2チャネルを備える構成であるとしたが、3つ以上のチャネルを備える構成であってもよい。

    また、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器では、ディザ回路21Lおよび21Rは、同じ種類のディザ信号をΔΣ変調器11Lおよび11Rにそれぞれ与える構成であるとしたが、これに限定するものではない。 たとえば、LチャネルLchにはランダムディザを与え、RチャネルRchにはのこぎり波のディザを与えるなど、ディザ回路21Lおよび21Rは、異なる種類のディザ信号をΔΣ変調器11Lおよび11Rにそれぞれ与える構成であってもよい。 異なる種類のディザ信号を用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    また、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器では1つのΔΣ変調器11において1箇所にディザ信号を重畳する構成であるとしたが、これに限定するものではなく、複数箇所にディザ信号を重畳する構成であってもよい。

    図28は、ディザ信号として方形波またはのこぎり波を出力するD/A変換器の構成を示す図である。

    図28を参照して、このD/A変換器6は、図25に示すD/A変換器6の1ビット分の回路を含む構成である。

    図29は、D/A変換器6に与えられる方形波を示す図である。 図30は、D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aが受ける信号を示す図である。

    D/A変換器6におけるスイッチ部SU11に図29に示すような方形波が与えられる場合には、D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aの一方の入力端子に、図30の実線に示すような波形の信号が与えられ、他方の入力端子に、図30の破線に示すような波形の信号すなわち実線の波形の位相が180度ずれた信号が与えられる。

    図31は、D/A変換器6に与えられるのこぎり波を示す図である。 図32は、D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aが受ける信号を示す図である。

    D/A変換器6におけるスイッチ部SU11に図31に示すようなのこぎり波が与えられる場合には、D/A変換器6における差動出力オペアンプ106aの一方の入力端子に、図32の実線に示すような波形の信号が与えられ、他方の入力端子に、図32の破線に示すような波形の信号が与えられる。

    なお、差動出力オペアンプ106aに与えられる信号の周期または振幅は、各チャネル間で異なるように設定される。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第2の実施の形態>
    本実施の形態は、第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてディザ信号を加算する位置を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器202は、ΔΣ型A/D変換器201と比べて、ΔΣ変調器11L,11Rの代わりにΔΣ変調器12L,12Rを備える。

    図33はΔΣ変調器12L,12Rの構成例を示すブロック図である。 図34は、本発明の実施の形態2に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。 本実施の形態2では、ΔΣ変調器12L,12Rの構成は互いに同じである。 以後、ΔΣ変調器12L,12Rを総称して「ΔΣ変調器12」と呼ぶ。

    図33および図34に示されるように、ΔΣ型A/D変換器202では、ΔΣ変調器12における量子化器の前段においてディザ信号を加算する。 すなわち、LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれのΔΣ変調器12において、ディザ回路21は、ディザ信号Dを生成し、これをゲイン段123の出力信号に重畳する。 加算器112は、ゲイン段123の出力信号と、ゲイン段109〜111の出力信号と、ディザ信号Dとを加算して出力する。

    図35は、本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器における量子化器の前段における加算器の構成およびサンプルモードにおける動作を示す図である。 図36は、本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器における量子化器の前段における加算器の構成およびホールドモードにおける動作を示す図である。

    図35および図36を参照して、量子化器113は、積分器ITを含む。 積分器ITは、差動出力オペアンプGと、スイッチSA,SBと、キャパシタCA,CBとを含む。 差動出力オペアンプGは、キャパシタCAの第1端およびスイッチSAの第1端に接続された非反転入力端子と、キャパシタCBの第1端およびスイッチSBの第1端に接続された反転入力端子と、キャパシタCAの第2端およびスイッチSAの第2端に接続された反転出力端子と、キャパシタCBの第2端およびスイッチSBの第2端に接続された非反転出力端子とを有する。

    量子化器113の前段の加算器112は、量子化器113における積分器ITの積分容量すなわちキャパシタCA,CBに蓄えられた電荷をリセットするスイッチSA,SBを設けることで実現できる。

    図35に示すように、ディザ回路21のSC回路およびゲイン段109〜111,123のSC回路がサンプルモードである期間、スイッチSAおよびSBをオンすることにより、積分容量CA,CBの電荷をリセットする。

    そして、図36に示すように、ディザ回路21のSC回路およびゲイン段123のSC回路がホールドモードになる直前に、スイッチSAおよびSBをオフすることにより、ディザ回路21およびゲイン段109〜111,123が転送する電荷は積分器ITの積分容量CA,CBにそれぞれ転送され、加算される。

    なお、SC回路で構成されるゲイン段およびD/A変換器等のゲインは、各SC回路のサンプリング容量と積分容量の比で決定される。

    その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    したがって、本発明の実施の形態2に係るΔΣ型A/D変換器では、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    また、ディザ信号がたとえば擬似ランダム信号のアナログ変換信号である場合には、ΔΣ変調器12における3段の積分器のうち、最後の積分器107の出力信号に擬似ランダム信号のアナログ変換信号を重畳する構成、すなわち量子化器113の前段において擬似ランダム信号のアナログ変換信号を重畳する構成により、ΔΣ変調器12におけるレベル調整をより容易に行なうことが可能となる。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第3の実施の形態>
    本実施の形態は、第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてディザ信号を加算する位置を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態3に係るΔΣ型A/D変換器203は、ΔΣ型A/D変換器201と比べて、ΔΣ変調器11L,11Rの代わりにΔΣ変調器13L,13Rを備える。

    図37はΔΣ変調器13L,13Rの構成例を示すブロック図である。 図38は、本発明の実施の形態3に係るΔΣ変調器におけるディザ信号の入力部の概略構成を示す図である。 本実施の形態3では、ΔΣ変調器13L,13Rの構成は互いに同じである。 以後、ΔΣ変調器13L,13Rを総称して「ΔΣ変調器13」と呼ぶ。

    図37に示されるように、ΔΣ変調器13は、ΔΣ変調器11と比べて、さらに、ゲイン段122と、加算器117を含む。 LチャネルLch及びRチャネルRchのそれぞれのΔΣ変調器13において、ゲイン段122は、積分器106の出力信号を、その信号レベルをb3倍(b3は正の値)して出力する。 ディザ回路21は、ディザ信号Dを生成し、これをゲイン段122の出力信号に重畳する。 加算器117は、ゲイン段122の出力信号と、ディザ信号Dとを加算して積分器107へ出力する。

    その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    したがって、本発明の実施の形態3に係るΔΣ型A/D変換器では、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第4の実施の形態>
    本実施の形態は、第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてΔΣ変調器の積分次数を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態4に係るΔΣ型A/D変換器204は、ΔΣ型A/D変換器201と比べて、ΔΣ変調器11L,11Rの代わりにΔΣ変調器14L,14Rを備える。

    図39はΔΣ変調器14L,14Rの構成例を示すブロック図である。
    図39に示されるように、ΔΣ変調器14Lは、たとえば3次の変調器であって、加算器151,154と、2段の積分器152,155と、ゲイン段153,159,160と、量子化器158と、遅延回路161と、D/A変換器162とを備えている。

    ゲイン段159は、D/A変換器162から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBB1として出力する。

    加算器151は、アナログ入力信号AINLと、ゲイン段159から出力される反転フィードバック信号FBB1とを加算して出力する。 つまり、加算器151からは、アナログ入力信号AINLと、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    積分器152は、加算器151で得られた差分信号を積分して出力する。 ゲイン段153は、積分器152の出力信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。

    ゲイン段160は、D/A変換器162から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c2倍(c2は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBB2として出力する。

    ディザ回路21Lは、ディザ信号D1を生成し、これをゲイン段153の出力信号に重畳する。 加算器154は、ディザ信号D1と、ゲイン段153の出力信号と、ゲイン段160から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器154からは、ゲイン段153の出力信号にディザ信号D1を加算し、かつフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    積分器155は、加算器154で得られた差分信号を積分して出力する。 量子化器158は、たとえば1ビットの量子化器であって、積分器155の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MOLとして出力する。 D/A変換器162は、遅延回路161を介して受けた1ビットのディジタル信号である出力信号MOLをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    ΔΣ変調器14Rは、たとえば3次の変調器であって、加算器171,174と、2段の積分器172,175と、ゲイン段173,179,180と、量子化器178と、遅延回路181と、D/A変換器182とを備えている。

    ゲイン段179は、D/A変換器182から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBB1として出力する。

    加算器171は、アナログ入力信号AINRと、ゲイン段179から出力される反転フィードバック信号FBB1とを加算して出力する。 つまり、加算器171からは、アナログ入力信号AINRと、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    積分器172は、加算器171で得られた差分信号を積分して出力する。 ゲイン段173は、積分器172の出力信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。

    ゲイン段180は、D/A変換器182から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c2倍(c2は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBB2として出力する。

    ディザ回路21Rは、ディザ信号D2を生成し、これをゲイン段173の出力信号に重畳する。 加算器174は、ディザ信号D2と、ゲイン段173の出力信号と、ゲイン段180から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器174からは、ゲイン段173の出力信号にディザ信号D2を加算し、かつフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    積分器175は、加算器174で得られた差分信号を積分して出力する。 量子化器178は、たとえば1ビットの量子化器であって、積分器175の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MORとして出力する。 D/A変換器182は、遅延回路181を介して受けた1ビットのディジタル信号である出力信号MORをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    このように、2次のΔΣ変調器を用いる構成であっても、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    なお、本発明の実施の形態1において述べたように、ディザ信号D1,D2はDCディザ、ランダムディザ、方形波およびのこぎり波のいずれであってもよいが、本発明の実施の形態4においてDCディザとする場合には、ΔΣ変調器14L,14Rにおける2段の積分器のうち、前段の積分器の出力信号にDC加算電圧を重畳する構成により、ΔΣ変調器14L,14Rにおけるレベル調整をより容易に行なうことができる。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第5の実施の形態>
    本実施の形態は、第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてディザ信号を加算する位置を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態5に係るΔΣ型A/D変換器205は、ΔΣ型A/D変換器204と比べて、ΔΣ変調器14L,14Rの代わりにΔΣ変調器15L,15Rを備える。

    図40はΔΣ変調器15L,15Rの構成例を示すブロック図である。
    図40に示されるように、ΔΣ変調器15Lは、ΔΣ変調器14Lと比べて、さらに、ゲイン段156と、加算器157とを備えている。

    加算器154は、ゲイン段153の出力信号と、ゲイン段160から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器154からは、ゲイン段153の出力信号にフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    ゲイン段156は、積分器155の出力信号を、その信号レベルをb2倍(b2は正の値)して出力する。

    ディザ回路21Lは、ディザ信号D1を生成し、これをゲイン段156の出力信号に重畳する。 加算器157は、ディザ信号D1と、ゲイン段156の出力信号とを加算して出力する。

    量子化器158は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器157の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MOLとして出力する。

    ΔΣ変調器15Rは、ΔΣ変調器14Rと比べて、さらに、ゲイン段176と、加算器177とを備えている。

    加算器174は、ゲイン段173の出力信号と、ゲイン段180から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器174からは、ゲイン段173の出力信号にフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    ゲイン段176は、積分器175の出力信号を、その信号レベルをb2倍(b2は正の値)して出力する。

    ディザ回路21Rは、ディザ信号D2を生成し、これをゲイン段176の出力信号に重畳する。 加算器177は、ディザ信号D2と、ゲイン段176の出力信号とを加算して出力する。

    量子化器178は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器177の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MORとして出力する。

    その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    したがって、本発明の実施の形態5に係るΔΣ型A/D変換器では、本発明の実施の形態4に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    なお、本発明の実施の形態1でも述べたように、ディザ信号D1,D2はDCディザ、ランダムディザ、方形波およびのこぎり波のいずれであってもよいが、本発明の実施の形態5においてランダムディザとする場合には、ΔΣ変調器15L,15Rにおける2段の積分器のうち、後段の積分器の出力信号にランダムディザを重畳する構成により、ΔΣ変調器15L,15Rにおけるレベル調整をより容易に行なうことができる。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第6の実施の形態>
    本実施の形態は、第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてディザ信号を加算する位置を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態6に係るΔΣ型A/D変換器206は、ΔΣ型A/D変換器204と比べて、ΔΣ変調器14L,14Rの代わりにΔΣ変調器16L,16Rを備える。

    図41はΔΣ変調器16L,16Rの構成例を示すブロック図である。
    図41に示されるように、ΔΣ変調器16Lの構成はΔΣ変調器14Lと同様である。 ΔΣ変調器16Rは、ΔΣ変調器14Rと比べて、さらに、ゲイン段176と、加算器177とを備えている。

    加算器174は、ゲイン段173の出力信号と、ゲイン段180から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器174からは、ゲイン段173の出力信号にフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    ゲイン段176は、積分器175の出力信号を、その信号レベルをb2倍(b2は正の値)して出力する。

    ディザ回路21Rは、ディザ信号D2を生成し、これをゲイン段176の出力信号に重畳する。 加算器177は、ディザ信号D2と、ゲイン段176の出力信号とを加算して出力する。

    量子化器178は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器177の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MORとして出力する。

    その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    本発明の実施の形態6に係るΔΣ型A/D変換器のように、各チャネルでディザ信号を重畳する位置が異なる場合でも、本発明の実施の形態4に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第7の実施の形態>
    本実施の形態は、第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べて入力部にDCディザ信号を加算する構成としたΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態7に係るΔΣ型A/D変換器207は、ΔΣ型A/D変換器204と比べて、ディザ回路21Rを備えず、ディザ回路22をさらに備え、ΔΣ変調器14L,14Rの代わりにΔΣ変調器17L,17Rを備える。

    ΔΣ型A/D変換器207において、ディザ信号D1は、DC加算電圧ではなく、擬似ランダム信号のアナログ変換信号等のランダムディザ信号である。

    図42はΔΣ変調器17L,17Rの構成例を示すブロック図である。
    図42に示されるように、ディザ回路22は、DC加算電圧であるディザ信号DDを生成し、これをアナログ入力信号AINLおよびAINRに重畳する。

    ΔΣ変調器17Lにおいて、加算器151は、アナログ入力信号AINLと、ゲイン段159から出力される反転フィードバック信号FBB1と、ディザ信号DDとを加算して出力する。 つまり、加算器151からは、アナログ入力信号AINLにディザ信号DDを加算し、かつフィードバック信号FBB1を減算した結果を示す信号が出力される。

    ΔΣ変調器17Rにおいて、加算器171は、アナログ入力信号AINRと、ゲイン段179から出力される反転フィードバック信号FBB1と、ディザ信号DDとを加算して出力する。 つまり、加算器171からは、アナログ入力信号AINRにディザ信号DDを加算し、かつフィードバック信号FBB1を減算した結果を示す信号が出力される。

    加算器174は、ゲイン段173の出力信号と、ゲイン段180から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器174からは、ゲイン段173の出力信号にフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    ΔΣ型A/D変換器207では、各チャネルにおけるアイドルトーンはアナログ信号の入力部に与えるDCディザ信号DDによって高周波領域に移動する。 このDCディザ信号を与えるだけの構成では、各チャネルのアイドルトーンの周波数が近いため、相互干渉により発生するトーンの周波数が比較的低くなることから、可聴域等の所望の帯域の低域側にトーンが発生してしまう。

    しかしながら、ΔΣ型A/D変換器207では、一方のチャネルにのみランダムディザ信号をさらに与える。 これにより、相互干渉により発生するトーンを所望の帯域内から除去することが可能となる。

    また、ΔΣ型A/D変換器207では、各チャネルにおけるアナログ信号の入力部にDCディザ信号DDを与えることによりアイドルトーンを除去できるため、ランダムディザ信号を両チャネルに与える必要はないことから、たとえばディザ回路21Rを備えない構成とすることができる。

    さらに、ΔΣ型A/D変換器207では、ΔΣ型A/D変換器204等と同様にΔΣ変調器における積分器の出力段(量子化器の前段であってもよい)においてランダムディザ信号を与える。 また、各チャネルに共通のDCディザ信号DDを与えているので、DC加算電圧のレベルが各チャネルで同じである。 したがって、ΔΣ型A/D変換器の入力電圧範囲が狭くなることを防ぐことができる。

    その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第8の実施の形態>
    本実施の形態は、第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べて入力部にDCディザ信号を加算する構成としたΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態8に係るΔΣ型A/D変換器208は、ΔΣ型A/D変換器204と比べて、ディザ回路21Lを備えず、ディザ回路22をさらに備え、ΔΣ変調器14L,14Rの代わりにΔΣ変調器18L,18Rを備える。

    ΔΣ型A/D変換器208において、ディザ信号D2は、DC加算電圧ではなく、擬似ランダム信号のアナログ変換信号等のランダムディザ信号である。

    図43はΔΣ変調器18L,18Rの構成例を示すブロック図である。
    図43に示されるように、ディザ回路22は、DC加算電圧であるディザ信号DDを生成し、これをアナログ入力信号AINLに重畳する。

    ΔΣ変調器18Lにおいて、加算器151は、アナログ入力信号AINLと、ゲイン段159から出力される反転フィードバック信号FBB1と、ディザ信号DDとを加算して出力する。 つまり、加算器151からは、アナログ入力信号AINLにディザ信号DDを加算し、かつフィードバック信号FBB1を減算した結果を示す信号が出力される。

    加算器154は、ゲイン段153の出力信号と、ゲイン段160から出力される反転フィードバック信号FBB2とを加算して出力する。 つまり、加算器154からは、ゲイン段153の出力信号にフィードバック信号FBを減算した結果を示す信号が出力される。

    また、ΔΣ変調器18Rの構成はΔΣ変調器14Rと同様である。 なお、ΔΣ変調器18Rにおける量子化器の前段においてランダムディザ信号D2を与える構成であってもよい。

    ΔΣ型A/D変換器208では、LチャネルLchにおけるアイドルトーンはアナログ信号AINLの入力部に与えるDCディザ信号DDによって高周波領域に移動する。 また、RチャネルRchにおけるアイドルトーンはΔΣ変調器18Rにおける積分器の出力段または量子化器の前段において与えるランダムディザ信号によって高周波領域に移動する。

    そして、LチャネルLchに与えるディザ信号およびRチャネルRchに与えるディザ信号が異なることにより、相互干渉により発生するトーンを所望の帯域内から除去することが可能となる。

    また、LチャネルLchにおけるアナログ信号AINLの入力部にDCディザ信号DDを与えることによりアイドルトーンを除去できるため、ランダムディザ信号をLチャネルLchに与える必要はないことから、ディザ回路21Lを備えない構成とすることができる。

    さらに、ΔΣ型A/D変換器208では、ΔΣ型A/D変換器204等と同様にΔΣ変調器における積分器の出力段または量子化器の前段においてランダムディザ信号を与える。 また、DC加算電圧をLチャネルLchにのみ与える。 したがって、ΔΣ型A/D変換器の入力電圧範囲が狭くなることを防ぐことができる。

    その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。 なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

    <第9の実施の形態>
    本実施の形態は、第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と比べてΔΣ変調器の積分次数を変更したΔΣ型A/D変換器に関する。 以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様である。

    本発明の実施の形態9に係るΔΣ型A/D変換器209は、ΔΣ型A/D変換器201と比べて、ΔΣ変調器11L,11Rの代わりにΔΣ変調器19L,19Rを備える。

    図44はΔΣ変調器19L,19Rの構成例を示すブロック図である。
    図44に示されるように、ΔΣ変調器19Lは、たとえば1次の変調器であって、加算器51,54と、積分器52と、ゲイン段53,57と、量子化器55と、D/A変換器56とを備えている。

    ゲイン段57は、D/A変換器56から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBBとして出力する。

    加算器51は、アナログ入力信号AINLと、ゲイン段57から出力される反転フィードバック信号FBBとを加算して出力する。 つまり、加算器51からは、アナログ入力信号AINLと、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    積分器52は、加算器51で得られた差分信号を積分して出力する。 ゲイン段53は、積分器52の出力信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。

    ディザ回路21Lは、ディザ信号D1を生成し、これをゲイン段53の出力信号に重畳する。 加算器54は、ディザ信号D1と、ゲイン段53の出力信号とを加算して出力する。 つまり、加算器54からは、ゲイン段53の出力信号にディザ信号D1を加算した結果を示す信号が出力される。

    量子化器55は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器54の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MOLとして出力する。 D/A変換器56は、1ビットのディジタル信号である出力信号MOLをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    ΔΣ変調器19Rは、たとえば1次の変調器であって、加算器61,64と、積分器62と、ゲイン段63,67と、量子化器65と、D/A変換器66とを備えている。

    ゲイン段67は、D/A変換器66から受けたフィードバック信号FBを、その信号レベルを−c1倍(c1は正の値)し、それを反転フィードバック信号FBBとして出力する。

    加算器61は、アナログ入力信号AINRと、ゲイン段67から出力される反転フィードバック信号FBBとを加算して出力する。 つまり、加算器61からは、アナログ入力信号AINRと、フィードバック信号FBとの差分信号が出力される。

    積分器62は、加算器61で得られた差分信号を積分して出力する。 ゲイン段63は、積分器62の出力信号を、その信号レベルをb1倍(b1は正の値)して出力する。

    ディザ回路21Rは、ディザ信号D2を生成し、これをゲイン段63の出力信号に重畳する。 加算器64は、ディザ信号D2と、ゲイン段63の出力信号とを加算して出力する。 つまり、加算器64からは、ゲイン段63の出力信号にディザ信号D2を加算した結果を示す信号が出力される。

    量子化器65は、たとえば1ビットの量子化器であって、加算器64の出力信号を1ビットで量子化し、得られた量子化信号を出力信号MORとして出力する。 D/A変換器66は、1ビットのディジタル信号である出力信号MORをアナログ信号に変換し、それをフィードバック信号FBとして出力する。

    その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るΔΣ型A/D変換器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。

    このように、1次のΔΣ変調器を用いる構成であっても、本発明の実施の形態1に係るΔΣ型A/D変換器と同様に、アイドルトーンの除去が可能となるとともに、入力部にはディザ信号が加算されないため、入力電圧範囲が狭まることを防ぐことができる。 また、各チャネル間で相関のない擬似ランダム信号をディザ信号として用いることにより、チャネル間相互干渉によるトーンの抑制が可能となる。

    今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。 本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

    2 ディジタル回路、2a デシメーションフィルタ、5,5L,5R 擬似ランダム信号生成部、11L〜19L,11R〜19R ΔΣ変調器、21,21L,21R,22,115,115L,115R ディザ回路、51,54,103,112,117,151,154,157,171,174,177 加算器、52,62,104,106,107,152,155,172,175,IT 積分器、55,65,113,113,158,178 量子化器、61,64,105,112 加算器、106a 差動出力オペアンプ、53,57,63,67,101,102,108〜111,121〜123,153,156,159,160,173,176,179,180 ゲイン段、120,131 積分回路、161,181 遅延回路、56,66,6L,6R,116,162,182 D/A変換器、200〜209 ΔΣ型A/D変換器、C 積分容量、C1,C10n,C10p ホールドキャパシタ、CA,CB,Cp,Cn,C1n,C1p,C11n,C11p,C15n,C15p,C2n,C2p,C3n,C3p,C4p,C4n,C5p,C5n キャパシタ、IS1 電流源、Lch,Rch チャネル、S1n,S4n,S1p,S4p,S5n,S7n,S5p,S7p,S10n,S12n,S14n,S2n,S3n,S2p,S3p,S6n,S6p,S8n,S8p,S9n,S9p,S10p,S12p,S14p,S11n,S13n,S11p,S13p,S15n,S18n,S15p,S18p,S16n,S17n,S16p,S17p スイッチ素子、SA,SB,S31,S38,S41,S51,S131,S132,S141,S142,S151,S152,S161 スイッチ、SU1,SU2,SU3,SU11,SU12,SU13,SU21 スイッチ部。

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