突極形回転子および突極形回転子の製造方法

申请号 JP2014089928 申请日 2014-04-24 公开(公告)号 JP6333044B2 公开(公告)日 2018-05-30
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 大井手 政人; 伊藤 慎一; 鬼橋 隆之; 中野 裕大; 相川 和輝;
摘要
权利要求

径方向に突出する胴部を有する突極部が周方向に複数個配置された界磁鉄心と、前記胴部に巻装されるとともに前記界磁鉄心の軸方向両端部から突出し冷却風の通路となる隙間が形成されたコイルエンドを有する界磁巻線とを備えた突極形回転子であって、前記界磁鉄心に支持されるとともに前記コイルエンドを外周側から支持する支持棒と、前記コイルエンドと前記支持棒との間に配置され前記支持棒に嵌め込まれる窪みを有した絶縁部材と、前記コイルエンドと前記支持棒および前記絶縁部材とを一体に固縛する絶縁性の固縛部材とを備えていることを特徴とする突極形回転子。前記絶縁部材には軸方向端部に前記支持棒の先端面と対向する樹脂壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の突極形回転子。前記絶縁部材は前記固縛部材による固縛位置を決める突起部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の突極形回転子。前記界磁鉄心の胴部の軸方向両端部に装着され前記界磁巻線が巻装される巻線ガイドと、前記巻線ガイドと接触することにより前記支持棒の周りを回転移動するのを抑制する突起部を有する前記絶縁部材とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記絶縁部材は前記界磁鉄心の胴部の軸方向両端部に装着され前記界磁巻線が巻装される巻線ガイドと一体に成形されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記巻線ガイドには前記界磁巻線の材料であるコイル材の巻装ピッチに合わせた溝が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の突極形回転子。前記巻線ガイドには前記界磁巻線の巻装位置を決めるガイドが形成されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記巻線ガイドには中央部に強度を向上させる突起部が形成されていることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記支持棒にはネジ加工が施されており、前記界磁鉄心を貫通してナットにより締結固定されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記突極部の先端には前記胴部よりも周方向の幅が広い先端部を有しており、前記界磁巻線と前記先端部との間の軸方向両端部に配置された絶縁板と、両端部に配置された前記絶縁板の間に配置され前記界磁巻線と前記先端部との間の隙間を埋める金属板とを備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の突極形回転子。前記界磁巻線はワニスを含浸して形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の突極形回転子。径方向に突出する胴部を有する突極部が周方向に複数個配置された界磁鉄心と、前記胴部にコイル材が巻装されて形成されるとともに前記界磁鉄心の軸方向両端部から突出し冷却風の通路となる隙間が形成されたコイルエンドを有する界磁巻線と、前記界磁鉄心の胴部の軸方向両端部に装着され前記コイル材が巻装される巻線ガイドとを備えた突極形回転子の製造方法であって、前記巻線ガイドを前記界磁鉄心の胴部の軸方向両端部に装着する工程と、内ガイドと外ガイドを貫通する隙間空け棒を有する巻枠治具のうち、前記内ガイドを前記巻線ガイドの内周側に固定するとともに前記外ガイドを前記巻線ガイドの外周側に固定する工程と、前記内ガイドと前記外ガイドの間の前記巻線ガイドに前記コイル材を所定回数巻回して前記界磁巻線のコイルエンドの一部を形成する工程と、前記内ガイドと前記外ガイドを貫通して前記巻枠治具に前記隙間空け棒を取付ける工程と、前記内ガイドと前記外ガイドの間の前記隙間空け棒上に前記コイル材を所定回数巻回して前記界磁巻線のコイルエンドの残部を形成する工程と、前記界磁巻線の巻装作業完了後に前記巻枠治具を取り外す工程と、前記コイルエンドを外周側から支持する支持棒を前記界磁鉄心に取付けるとともに、前記コイルエンドと前記支持棒との間に配置される絶縁部材を前記支持棒に嵌め込み、前記コイルエンドと前記支持棒および前記絶縁部材とを絶縁性の固縛部材で一体に固縛する工程とを備えていることを特徴とする突極形回転子の製造方法。

说明书全文

この発明は、例えば回転界磁形同期発電機などに使用される突極形回転子に関するものである。

一般に、回転界磁形同期発電機などに用いられる突極形回転子は、界磁鉄心の周方向に複数個配置された突極部に界磁巻線が巻装されており、界磁巻線を界磁電流により励磁した状態で例えばエンジン等の外部動により回転する。このため界磁巻線は突極形回転子が回転した際に生じる外周方向の力(遠心力)を受ける。特に界磁鉄心の突極部の軸方向両端部から突出した界磁巻線のコイルエンドは、遠心力によって外周側に変形する方向の力を受ける。この遠心力によるコイルエンドの変形を抑制するため、コイルエンドの外周側に高剛性の支えを設ける必要がある。また、界磁巻線は界磁電流により発熱して温度が上昇する。界磁巻線の温度が上昇するとコイル抵抗の増加による機能の低下や絶縁素材の劣化による品質の低下が生じるため、製品の機能や品質に悪影響を及ぼすことになる。このため遠心力に耐える機械的強度と放熱性を両立する突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分の構造が従来から考えられており、例えば、界磁鉄心にコイル支持バーを貫通固定して、該コイル支持バーに案内されて側面コ字形の巻線ガイド絶縁部材を装着して界磁コイルを巻回した後、さらに巻線ガイド絶縁部材を積み重ねて、界磁コイルに所定の間隔を持たせて分割巻きする構造が提案されている。(例えば、特許文献1)

実開平6−41363号公報

従来の突極形回転子においては、巻線ガイド絶縁部材を積み重ねて界磁巻線のコイルエンドに所定の間隔を持たせて分割巻きする構造であるため、巻線ガイド絶縁部材のある部分での放熱面積が減少して界磁巻線の放熱性能が悪化する。このため、例えば発電機の出力が制限されるなど、性能や信頼性が低下してしまうという課題があった。また、巻線ガイド絶縁部材を複数個必要とするため、コストが上昇するものであった。

この発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構造で界磁巻線のコイルエンドが遠心力に耐える機械的強度と放熱性能を共に確保できる突極形回転子を提供することを目的とする。

この発明に係る突極形回転子は、径方向に突出する胴部を有する突極部が周方向に複数個配置された界磁鉄心と、前記胴部に巻装されるとともに前記界磁鉄心の軸方向両端部から突出し冷却風の通路となる隙間が形成されたコイルエンドを有する界磁巻線とを備えた突極形回転子であって、前記界磁鉄心に支持されるとともに前記コイルエンドを外周側から支持する支持棒と、前記コイルエンドと前記支持棒との間に配置され前記支持棒に嵌め込まれる窪みを有した絶縁部材と、前記コイルエンドと前記支持棒および前記絶縁部材とを一体に固縛する絶縁性の固縛部材とを備えていることを特徴とするものである。

この発明の突極形回転子によれば、界磁鉄心に支持されるとともに冷却風の通路となる隙間が形成されたコイルエンドを外周側から支持する支持棒と、前記コイルエンドと前記支持棒との間に配置され前記支持棒に嵌め込まれる窪みを有した絶縁部材と、前記コイルエンドと前記支持棒および前記絶縁部材とを一体に固縛する絶縁性の固縛部材とを備えているため、コイルエンドに形成された冷却風の通路となる隙間を確保した状態で支持棒によりコイルエンドを支持できることとなり、簡易な構造で界磁巻線のコイルエンドが遠心力に耐える機械的強度と放熱性能を共に確保できる突極形回転子を得ることができる効果がある。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の概略構成を示す斜視図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子を示す断面正面図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子を示す断面側面図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁鉄心の軸方向両端部に取り付けられる巻線ガイドを示す斜視図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒とコイルエンドとの間に配置される絶縁部材を示す斜視図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分を示す部分詳細図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分を示す部分詳細図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒と絶縁部材の設置方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒と絶縁部材の設置方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒と絶縁部材の設置方法を説明する説明図である。

この発明の実施の形態2における突極形回転子の概略構成を示す斜視図である。

この発明の実施の形態2における突極形回転子の巻線ガイドと絶縁部材を一体に形成した場合を示す内周側から見た斜視図である。

この発明の実施の形態2における突極形回転子の巻線ガイドと絶縁部材を一体に形成した場合を示す外周側から見た斜視図である。

この発明の実施の形態3における突極形回転子の概略構成を示す斜視図である。

この発明の実施の形態3における突極形回転子の支持棒とコイルエンドとの間に配置される絶縁部材を示す斜視図である。

この発明の実施の形態4における突極形回転子の概略構成を示す斜視図である。

この発明の実施の形態4における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分を示す部分詳細図である。

この発明の実施の形態4における突極形回転子の界磁鉄心の軸方向両端部に取り付けられる巻線ガイドを示す斜視図である。

以下、この発明の実施の形態について説明するが、各図において同一、または相当部分については同一符号を付して説明する。 実施の形態1. 図1はこの発明の実施の形態1における突極形回転子の概略構成を示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1における突極形回転子を示す断面正面図、図3はこの発明の実施の形態1における突極形回転子を示す断面側面図、図4はこの発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁鉄心の軸方向両端部に取り付けられる巻線ガイドを示す斜視図、図5はこの発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒とコイルエンドとの間に配置される絶縁部材を示す斜視図、図6aおよび図6bはこの発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分を示す部分詳細図、図7aから図7fはこの発明の実施の形態1における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンドの形成方法を説明する説明図、図8aから図8cはこの発明の実施の形態1における突極形回転子の支持棒と絶縁部材の設置方法を説明する説明図である。

図1および図2に示すように、突極形回転子は、周方向に4個の突極部が配置された薄鋼板を軸方向に複数枚積層して構成された界磁鉄心1と、界磁鉄心1の突極部の軸方向両端部に取り付けられる巻線ガイド2と、表面に絶縁が施された線状の導体であるコイル材3を巻線ガイド2を介して界磁鉄心1の突極部に巻装して形成された界磁巻線4とを備えている。

界磁鉄心1は、図3に示すように径方向に突出する4個の突極部を備えており、突極部は、巻線ガイド2が取り付けられコイル材3が巻装される胴部1aと、胴部1aよりも周方向幅が広い先端部1bで構成されている。また、界磁鉄心1には、ボルト6が貫通する貫通穴1dと、支持棒7が貫通する貫通穴1eが設けられている。さらに、界磁鉄心1の中央にはシャフト(図示せず)を貫通させる貫通穴1cが設けられている。

界磁巻線4は、界磁鉄心1の突極部間の隙間に挿入される収納部4aと、収納部4a同士を連結し界磁鉄心1の軸方向両端面から軸線方向にそれぞれ伸びるコイルエンド4bとで構成されている。コイルエンド4bには冷却風路となる隙間4cが形成されている。また、界磁巻線4はワニスを含浸することで絶縁性能を確保するとともにコイルエンド4bの剛性を向上させている。さらに、巻装されたコイル材3同士の隙間や界磁鉄心1の突極部と界磁巻線4の隙間をワニスで埋めることにより伝熱性能を向上させている。なお、界磁鉄心1の突極部と界磁巻線4の隙間には紙またはシートもしくはフィルム等の薄形絶縁材(図示せず)が保持されており、この薄形絶縁材により界磁鉄心1と界磁巻線4の絶縁を確保している。

絶縁物で成形された巻線ガイド2は、図4に示すようにコイル材3が巻装される際に径方向端部位置を矯正する内周側ガイド2aおよび外周側ガイド2bと、巻装されるコイル材3のピッチ(外形寸法)に合わせた溝2cとを巻方向の両端部に備えている。また、支持棒7を通過させる切欠き2dが設けられている。このように形成された巻線ガイド2を使用して、内周側ガイド2aおよび外周側ガイド2bと溝2cに沿ってコイル材3を巻装することで、巻装作業時のコイル材3のずれやみだれを抑制して界磁巻線4を高密度化できる。なお、外周側ガイド2bの高さはコイル材3の線径よりも低くなっている。これは、巻装作業時にコイル材3のずれや乱れを抑制する機能と、突極形回転子が回転した際にコイルエンド4bを形成するベースとなる最下層が遠心力で動いてコイルエンド4b全体が崩れることを防止するとともに、後述する絶縁部材8とコイルエンド4bを確実に接触させるためである。また、巻線ガイド2は溝2cが形成された両端部に対して中央がへこんだ凹形状をしている。この凹形状により巻装作業終了後にコイルエンド4bと巻線ガイド2の間に冷却風路となる隙間が形成される。

界磁鉄心1には界磁巻線4の収納部4aをガイドするL字形状のプレートであるコイルガイド9が取り付けられる。界磁巻線4の収納部4aは、界磁鉄心1の胴部1aと先端部1bとによって2面を囲まれるが、残り2面はこれを支えるものがなく、巻装作業後に界磁巻線4の収納部4aに巻装されたコイル材3が崩れる懸念がある。このためコイルガイド9を取り付けて界磁巻線4の収納部4aを支えることにより、巻き崩れを防止している。なお、界磁巻線4の収納部4aの全域にわたりコイルガイド9を配置すると、界磁巻線4の収納部4aの放熱を妨げるため、コイルガイド9は軸方向に数箇所のみ局所配置している。また、界磁巻線4とコイルガイド9の間には、紙またはシートもしくはフィルム等の薄形絶縁材(図示せず)が保持されており、これにより絶縁を確保している。

界磁鉄心1のシャフト用の貫通穴1cの周囲に配置されるボルト6は、積層された薄鋼板および界磁鉄心1と略同形状で界磁鉄心1の軸方向両端面に配設される短絡板5をナット6aにより締結固定している。 一般に突極形回転子が回転すると、界磁巻線4のコイルエンド4bは遠心力により外周側(突極部の先端部1b側)方向に力を受ける。この際に界磁鉄心1の先端部1bの部にて界磁巻線4を傷つけ絶縁性能が低下する懸念がある。このため図6aに示すように、絶縁板11によってこれを保護する。界磁鉄心1の先端部1bと界磁巻線4の収納部4aとの隙間全域に絶縁板11を設けると、界磁巻線4と先端部1bとの間の熱抵抗が悪化する。そこで、界磁鉄心1の先端部1bの軸方向両端部にのみ絶縁板11を配置し、かつ、軸方向両端部に配置された絶縁板11の間を絶縁板11と略同一厚みで例えば材質がステンレス鋼などの非磁性の金属板12で埋めることにより熱抵抗を低減している。絶縁板11と金属板12は両面テープまたは接着剤を使用して先端部1bに固定される。なお、界磁巻線4と金属板12の間には紙またはシートもしくはフィルム等の薄形絶縁素材(図示せず)が保持されており、これにより絶縁を確保している。

界磁鉄心1の突極部を貫通して設置された支持棒7は、例えば鉄材で作られた金属製の棒であり、貫通穴1eに挿入されることにより界磁鉄心1に支持されている。貫通穴1eは1か所の突極部に対して2か所設けられており、本実施の形態では合計8本の支持棒7が挿入されている。支持棒7の長さは、界磁鉄心1の軸方向長さよりも長くなっており、界磁鉄心1の軸方向両端面から支持棒7の両端部を突出させている。支持棒7の軸方向両端部には、絶縁樹脂等で形成され中央に支持棒7を嵌め込む窪みを設けた絶縁部材8が設置されており、さらに、支持棒7と絶縁部材8および界磁巻線4のコイルエンド4bとが絶縁性の紐またはテープ等の固縛部材10により固縛されている。突極形回転子が回転すると、界磁巻線4のコイルエンド4bは遠心力により外周にたわむ方向の力を受けるが、支持棒7にて絶縁部材8を介してコイルエンド4bを支持することで、絶縁性能を確保しつつコイルエンド4bの変形を防いでいる。

絶縁部材8の構造を図5にもとづき説明する。絶縁部材8は、例えば樹脂またはゴム等の絶縁材料で形成されており、円筒を半割りした略半円形状となっている。中央には支持棒7が嵌め込まれる窪み8aが設けられている。また、絶縁部材8の軸方向端部の一方には、窪み8aの端部を塞ぎ支持棒7の軸方向の位置決め機能を持つ天板部8bを備えており、他方には巻線ガイド2と接触して絶縁部材8の回転移動防止機能を持つ回転止め突起部8cが2か所設けられている。さらに、絶縁部材8の半円形状端面からは、後述する紐またはテープあるいは結束バンド等の固縛部材10の位置決め機能を持つ位置決め突起部8dを4か所備えている。

絶縁部材8の周辺構造を図6aおよび図6bにもとづき説明する。絶縁部材8は略半円形状の外側がコイルエンド4bの外周側と対向し、内側の窪み8aが支持棒7に嵌め込まれるように配置される。これによりコイルエンド4bと支持棒7の間に絶縁部材8が介在されるため、絶縁性を確保できる。また、絶縁部材8の軸方向端部には支持棒7の先端面と対向する位置に樹脂壁による天板部8bを有しているため、支持棒7の軸方向先端面の絶縁性も確保できる。なお、天板部8bは絶縁部材8の強度を向上する機能も備えている。さらに、回転止め突起部8cが設けられているため、絶縁部材8が支持棒7の周りを回転移動して支持棒7のコイルエンド4b側が露出することを抑制できる。

絶縁部材8は略半円形状となっており、コイルエンド4bには冷却風の通路となる隙間4cが形成されているため、支持棒7と絶縁部材8およびコイルエンド4bを、例えば紐やテープまたは結束バンド等の絶縁性の固縛部材10により一体に固縛できる。これにより支持棒7にて絶縁部材8を介してコイルエンド4bを確実に支持することが可能となり、遠心力によるコイルエンド4bの外周方向への変形を抑制することができる。また、図6aに示すように位置決め突起部8dを利用して固縛箇所の位置を決めたり、図6bに示すように位置決め突起部8dに固縛部材10を引っ掛けることにより、固縛部材10の位置ずれを抑制することもできるため、固縛作業の作業性を改善することができる。さらに、支持棒7と絶縁部材8およびコイルエンド4bを固縛部材10で一体に固縛することにより、支持棒7や絶縁部材8の固定手段を固縛部材10にて兼ねることが可能となり、例えば支持棒7を固定するための固定部材が不要となる。また、コイルエンド4bに形成された隙間4cには固縛部材10が通されるのみであるため、隙間4cによるコイルエンド4bの冷却面積を広く確保できる。

次に、界磁巻線4のコイルエンド4bに冷却風の通路となる隙間4cを形成する巻装作業方法(製造方法)について、図7aから図7fにもとづき説明する。図7aにおいて、界磁鉄心1の胴部1aの軸方向両端部に巻線ガイド2を装着する工程と、巻線ガイド2の内周側ガイド2aに合わせて巻枠治具の内ガイド治具13を固定するとともに、巻線ガイド2の外周側ガイド2bに合わせて巻枠治具の外ガイド治具14を固定する工程とが示されている。(以下、各図で示す作業工程に対する「工程と」の記述は省略する)内ガイド治具13および外ガイド治具14には後述する隙間空け棒15を挿入する挿入孔13a,13b,14a,14bが設けられている。なお、内ガイド治具13と外ガイド治具14および隙間空け棒15により巻枠治具が構成されている。

図7bにおいて、内ガイド治具13と外ガイド治具との間の巻線ガイド2上に所定数だけコイル材3を巻装してコイルエンド4bの一部を形成する。図7cにおいて、内ガイド治具13の挿入孔13aと外ガイド治具14の挿入孔14aに隙間空け棒15を挿入する。図7dにおいて、内ガイド治具13と外ガイド治具との間の隙間空け棒15上に所定数だけコイル材3を巻装した後、内ガイド治具13の挿入孔13bと外ガイド治具14の挿入孔14bに隙間空け棒15を挿入する。図7eにおいて、内ガイド治具13と外ガイド治具14との間の隙間空け棒15上に所定数だけコイル材3を巻装してコイルエンド4bの残部を形成する。図7fにおいて、内ガイド治具13と外ガイド治具14および隙間空け棒15で構成された巻枠治具を取り外すことで、隙間4cを設けたコイルエンド4bが形成され、界磁巻線4の巻装作業が完了する。

図8aから図8cにもとづき、支持棒7および絶縁部材8の取付作業方法について説明する。図8aにおいて、界磁巻線4の巻装作業を終えた状態の界磁鉄心1を平方向に横たえて置いた状態で、界磁鉄心1の貫通穴1eに支持棒7を挿入する。図8bにおいて、支持棒7の一端に絶縁部材8の窪み8aを嵌め込み取付ける。この際、支持棒7の軸方向端部と天板部8bを接触させた状態で、絶縁部材8を界磁鉄心1の方向に端面が短絡板5に当接するまでコイルエンド4bの間に押し込むことで、絶縁部材8と支持棒7の位置が決まる。また、回転止め突起部8cを巻線ガイド2に接触させることで、絶縁部材8の回転移動を抑制できる。図8cにおいて、他方の絶縁部材8を支持棒7とコイルエンド4bとの間に挿入する。なお、他方の絶縁部材8の天板部8bと支持棒7の端部には若干の隙間ができるように支持棒7の長さを調整している。このため、他方に設置の絶縁部材8の端面を確実に短絡板5に当接させることが可能になるとともに、絶縁部材8を複数種類用意する必要もなくなる。なお、固縛部材10による固縛作業については、片側の絶縁部材8を挿入した都度実施してもよいし、全ての絶縁部材8を設置してから固縛作業を実施してもよい。また、界磁巻線4の収納部4aに対するコイルガイド9の取付作業もこれらの作業と一緒に実施される。

コイルガイド9の取付作業やコイルエンド4bの固縛作業がすべて完了すると、突極形回転子にワニスを含浸する。ワニスを含浸することにより、絶縁性能を確保しつつコイルエンド4bの剛性を向上させている。また、固縛部がワニスで固められるため、遠心力によるコイルエンド4bの変形をより確実に抑制することができる。さらに、界磁巻線4を形成しているコイル材3同士の隙間や界磁鉄心1の突極部と界磁巻線4の収納部4aとの間の隙間をワニスで埋めることにより伝熱性能を向上させている。

以上説明した実施の形態1の効果について、以下に纏めて記入する。 界磁巻線4のコイルエンド4bに冷却風路となる隙間4cが形成されており、隙間4cには固縛部材10が通されるのみであるため、隙間4cによるコイルエンド4bの冷却面積を広く確保できるため、コイルエンド4bの冷却性能が向上し、突極形回転子の性能および品質が向上する。 界磁鉄心1により支持された金属製の支持棒7とコイルエンド4bが絶縁部材8を介して固縛部材10により固縛されており、コイルエンド4bを絶縁部材8を介して確実に支持棒7で支えることができるため、コイルエンド4bの絶縁性を確保しつつ遠心力による外周方向への変形を抑制することが可能となり、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。さらに、支持棒7を固定するための固定部品が不要となり、部品点数が低減するため、突極形回転子の生産性が向上するとともにコストが低減する。

絶縁部材8は円筒を半割りした略半円形状となっているため、絶縁部材8を形成するための材料使用量を削減でき、突極形回転子のコストが低減する。 絶縁部材8には支持棒7が嵌め込まれる窪み8aが設けられているため、絶縁部材8と支持棒7の組み付けが容易となり、突極形回転子の生産性が向上する。 絶縁部材8の端部には窪み8aを塞ぐ天板部8bが設けられているため、絶縁部材8の強度が向上し、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。また、天板部8bに支持棒7の軸方向端部を当てることで支持棒7の位置が決まるため、突極形回転子の生産性が向上する。さらに、天板部8bによりコイルエンド4bと支持棒7の軸方向端部の絶縁性も確保できるため、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。

絶縁部材8の天板部8bと反対側の軸方向端部には回転止め突起部8cが設けられており、巻線ガイド2に回転止め突起部8cを接触させることで、絶縁部材8が支持棒7の周りを回転移動して支持棒7のコイルエンド4b側が露出するのを防止できるため、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。 絶縁部材8の半円形状端面には、固縛部材10による固縛箇所の位置決め機能を持つ位置決め突起部8dを備えているため、固縛箇所の位置を決めることができる。さらに、位置決め突起部8dに固縛部材10を引っ掛けることにより、固縛部材10の位置ずれを抑制し固縛作業の作業性を改善することができるため、突極形回転子の生産性が向上する。

界磁鉄心1の胴部1aの軸方向両端部に装着される巻線ガイド2には、コイル材3が巻装される際に径方向端部位置を矯正する内周側ガイド2aおよび外周側ガイド2bと、巻装されるコイル材3のピッチ(外形寸法)に合わせた溝2cとが形成されており、巻装作業時のコイル材3のずれやみだれを抑制して界磁巻線4を高密度化できるため、コイルエンド4bの剛性が向上するとともにコイル材3同士間の熱抵抗が低減して、突極形回転子の性能および品質が向上する。 巻線ガイド2の外周側ガイド2bの高さはコイル材3の線径よりも低くなっているため、コイルエンド4bを絶縁部材8を介して支持棒7で確実に支持できるとともに、コイル材3の巻装乱れを抑制することができるため、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。 巻線ガイド2は溝2cが形成された両端部に対して中央がへこんだ凹形状をしており、巻装作業終了後にコイルエンド4bと巻線ガイド2の間に冷却風路となる隙間が形成されるため、コイルエンド4bの冷却性能が向上し、突極形回転子の性能および品質が向上する。

内ガイド治具13と外ガイド治具14を設置して巻装作業を実施することで、巻装作業時のコイルエンド4bの巻乱れを抑制できるため、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。 界磁巻線4の収納部4aにコイルガイド9を軸方向に複数個配置してガイドしているため、収納部4aの冷却性能を確保したうえで巻き崩れを防止できるため、突極形回転子の性能および品質が向上する。

界磁鉄心1の先端部1bと界磁巻線4の収納部4aとの間には、軸方向両端部に設置された絶縁板11、および、その間に金属板12を併用して配置しているため、遠心力による界磁巻線4の絶縁破壊を抑制しつつ伝熱性能を確保しているため、突極形回転子の性能および品質が向上する。 金属板12は非磁性の材質のものを使用しているため渦電流の発生が抑制され、突極形回転子の性能および品質が向上する。 界磁巻線4にワニスを含浸することにより、界磁巻線4の剛性を向上させるとともに絶縁性能を確保し、さらに、コイル材3同士間の隙間およびコイル材3と界磁鉄心1間の隙間をワニスで埋めて伝熱性能を向上させることができるため、突極形回転子の性能および品質が向上する。

なお、上記実施の形態1では界磁鉄心1の突極部の数が4極の場合について説明したが、突極部の数はこれに限定されるものではない。また、界磁巻線4のコイル材3のコイル径や巻数は適宜設定されるものであり、これに限定されるものではない。また、コイルエンド4bに冷却風の通路となる隙間4cを2か所設けているが、隙間の数はこれに限定されるものではない。また、全てのコイルエンド4bに隙間4cを設ける必要はなく、例えば、軸方向のどちらか一方にのみ隙間4cを設けてもよい。また、支持棒7の数を2か所としているが、支持棒7の数はこれに限定されるものではない。また、支持棒7の位置も本実施の形態に限定されるものではない。また、固縛部材10による固縛部の位置や固縛形状および固縛箇所についても、本実施の形態に限定されるものではない。また、絶縁部材8の形状を略半円形状としたが、絶縁部材8の形状はこれに限定されるものではなく、例えば四角形状(コの字形状)であっても問題はない。

実施の形態2. 図9はこの発明の実施の形態2における突極形回転子の概略構成を示す斜視図、図10aおよび図10bはこの発明の実施の形態2における突極形回転子の巻線ガイドと絶縁部材を一体に形成した場合を示す内周側および外周側から見た斜視図である。上記実施の形態1では、巻線ガイド2と絶縁部材8がそれぞれ個別に形成されている場合について説明したが、実施の形態2では、図10aおよび図10bに示すように、巻線ガイド2と絶縁部材8を一体成形して形成した場合について説明する。なお、他の部分については上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。

図10aおよび図10bにおいて、巻線ガイド2と絶縁部材8は絶縁物を一体成形した構成としている。このように構成することで、図9に示すように界磁鉄心1に支持棒7を挿入してから界磁鉄心1の胴部1aの軸方向両端に、一体の巻線ガイド2と絶縁部材8を設置した後、界磁巻線4の巻線作業を実施する。このため巻線作業時に絶縁部材8がガイドとなり、コイルエンド4bを形成しているコイル材3の位置ずれや乱れを抑制することが可能であり、突極形回転子の品質および信頼性が向上する。また、このように巻線ガイド2と絶縁部材8を一体に成形することで、部品点数が減少して組立工数が削減できるため、突極形回転子の生産性が向上してコストも低減できる。

実施の形態3. 図11はこの発明の実施の形態3における突極形回転子の概略構成を示す斜視図、図12はこの発明の実施の形態3における突極形回転子の支持棒とコイルエンドとの間に配置される絶縁部材を示す斜視図である。上記実施の形態1では、積層された薄鋼板の界磁鉄心1とその軸方向両端面に配設された短絡板5とをボルト6およびナット6aにより締結固定した場合について説明したが、実施の形態3では、図11に示すように界磁鉄心1と短絡板5とを支持棒7とナット7aで締結固定している。この場合には絶縁部材8は図12に示すように窪み8aの入口端にナット7aに当たらないように広い窪み8eを設けている。なお、当然のことではあるが、支持棒7の少なくとも両端部分にはナット7aを締結するネジが施されている。また、他の部分については上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。

このように界磁鉄心1と短絡板5とを支持棒7とナット7aで締結固定することにより、界磁鉄心1のシャフト用の貫通穴1cの周囲に配置されていた貫通穴1dとボルト6およびナット6aが不要となり、部品点数および組立工数が削減されるため、突極形回転子の生産性が向上してコストも低減できる。また、貫通穴1dによって生じていた磁気抵抗が低減するため、突極形回転子の性能が向上する。 支持棒7はナット7aによって界磁鉄心1に固定されるため、支持棒7を固縛にて位置保持する必要はない。このため絶縁部材8を例えば円筒や四角形などの筒状の形状にしてコイルエンド4bと絶縁部材8のみを固縛しても問題ない。

実施の形態4. 図13はこの発明の実施の形態4における突極形回転子の概略構成を示す斜視図、図14はこの発明の実施の形態4における突極形回転子の界磁巻線のコイルエンド部分を示す部分詳細図、図15はこの発明の実施の形態4における突極形回転子の界磁鉄心の軸方向両端部に取り付けられる巻線ガイドを示す斜視図である。上記実施の形態1では、界磁鉄心1の突極部の軸方向両端部に巻線ガイド2を取り付け、巻線ガイド2を介してコイル材3を界磁鉄心1の突極部に巻装して界磁巻線4を形成する場合について説明したが、巻線ガイド2は、巻装作業でコイル材が巻かれると、両端から締め付けられて圧縮荷重を受ける。また、巻装作業後にワニスを硬化させるために高温環境下に放置すると、界磁鉄心1やコイル材3の熱膨張による荷重を受ける。これらの荷重により、巻線ガイド2はたわみもしくは破損する可能性がある。このため実施の形態4では、図13から図15に示すように巻線ガイド2の略中央部分に突起部2eを設けている。このように、巻線ガイド2の中央部に突起部2eを設けたことにより、巻線ガイド2の強度が向上するため、圧縮力や熱膨張などによる巻線ガイド2の変形や破損を抑制できて、突極形回転子の品質が向上する。なお、他の部分については上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。

なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

1 界磁鉄心、2 巻線ガイド、3 コイル材、4 界磁巻線、5 短絡板、6 ボルト、7 支持棒、8 絶縁部材、9 コイルガイド、10 固縛部材、11 絶縁板、12 金属板

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