評価プログラム、評価方法および評価装置

申请号 JP2016073316 申请日 2016-03-31 公开(公告)号 JP2017178287A 公开(公告)日 2017-10-05
申请人 富士通株式会社; 发明人 齊藤 孝広;
摘要 【課題】衝突リスクの高い危険箇所を 精度 良く検出できる評価プログラム、評価方法および評価装置を提供する。 【解決手段】評価プログラムは、コンピュータに、航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値未満となり、かつ、2船の少なくとも一方が航路を逸脱する航跡を有する 船舶 の海域における航行記録を抽出する処理を実行させる。評価プログラムは、コンピュータに、抽出された航行記録に基づき、海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する処理を実行させる。 【選択図】図9
权利要求

コンピュータに、 航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値未満となり、かつ、前記2船の少なくとも一方が前記航路を逸脱する航跡を有する船舶の前記海域における航行記録を抽出し、 抽出された前記航行記録に基づき、前記海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する 処理を実行させることを特徴とする評価プログラム。前記抽出する処理は、前記2船が針路と速度を維持した場合の前記2船が最接近する距離が前記所定の値未満に低下した後、前記所定の値より大きい所定の第2の値以上に変化する期間に、前記2船の少なくとも一方が前記航路の中心線から離れる航跡を、前記航路を逸脱する航跡と判定する ことを特徴とする請求項1に記載の評価プログラム。前記抽出する処理は、前記2船が針路と速度を維持した場合の前記2船が最接近する距離が前記所定の値未満に低下した後、前記所定の値より大きい所定の第2の値以上に変化する期間中の所定の第1タイミングでの前記航路の中心線に対する当該2船の少なくとも一方の船の針路のなすが、前記期間より前の所定の第2タイミングでの前記航路の中心線に対する当該一方の船の針路のなす角より大きく、且つ、所定閾値以上である航跡を、前記航路を逸脱する航跡と判定する ことを特徴とする請求項1または2に記載の評価プログラム。前記抽出する処理は、前記2船のうち航路上を航行する船については、航路に沿って航行するものとして前記2船間の距離を予測する ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の評価プログラム。コンピュータに、 航路の幅が広いほど、または、航路の終端に近いほど前記所定の値を大きく変更する 処理を実行させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の評価プログラム。コンピュータが、 航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値未満となり、かつ、前記2船の少なくとも一方が前記航路を逸脱する航跡を有する船舶の前記海域における航行記録を抽出し、 抽出された前記航行記録に基づき、前記海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する 処理を実行することを特徴とする評価方法。航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値未満となり、かつ、前記2船の少なくとも一方が前記航路を逸脱する航跡を有する船舶の前記海域における航行記録を抽出する抽出部と、 前記抽出部により抽出された前記航行記録に基づき、前記海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する評価部と、 を有することを特徴とする評価装置。

说明书全文

本発明は、評価プログラム、評価方法および評価装置に関する。

船舶の航行においては、他のエリアよりも衝突事故や事故回避行動が多く見られる危険箇所が存在する。そこで、船舶間の相対距離に基づいて船舶の航行の危険判定を行う技術が存在する。

特開2004−178258号公報

特開平10−250681号公報

しかしながら、船舶間の相対距離に基づいて船舶の航行の危険判定を行っても、衝突リスクの高い危険箇所を精度良く検出できない場合がある。例えば、港における航行では、港の施設への入港と、港内の航路の継続した通行が混在する。このため、船舶間の相対距離に基づいた危険判定では、航路から目的地の埠頭へ進入するための針路変更を回避行動と誤って検出してしまう場合がある。

一つの側面では、衝突リスクの高い危険箇所を精度良く検出できる評価プログラム、評価方法および評価装置を提供することを目的とする。

第1の案では、評価プログラムは、コンピュータに、航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値未満となり、かつ、2船の少なくとも一方が前記航路を逸脱する航跡を有する船舶の前記海域における航行記録を抽出する処理を実行させる。評価プログラムは、コンピュータに、抽出された航行記録に基づき、海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する処理を実行させる。

本発明の一の実施態様によれば、衝突リスクの高い危険箇所を精度良く検出できるという効果を奏する。

図1は、支援システムの概略的な構成の一例を示す図である。

図2は、評価装置の概略的な構成を示す図である。

図3は、誤って回避行動と検出される一例を示す図である。

図4は、誤って回避行動と検出される他の一例を示す図である。

図5は、DCPAの変化の一例を示す図である。

図6は、航路の中心線に対する船舶の針路のなすの一例を示す図である。

図7は、回避行動と検出される一例を示す図である。

図8は、回避行動と検出される他の一例を示す図である。

図9は、評価処理の手順の一例を示すフローチャートである。

図10は、船舶が航路に沿って航行するものとしてDCPAを算出する一例を説明する図である。

図11は、船舶の回避行動の一例を説明する図である。

図12は、船舶の回避行動の一例を説明する図である。

図13は、航路の終端付近を航行する船舶のDCPAの一例を説明する図である。

図14は、評価プログラムを実行するコンピュータを示す図である。

以下に、本発明にかかる評価プログラム、評価方法および評価装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。以下では、船舶の航行を支援する支援システムに適用した場合を例に説明する。

[システム構成] 最初に、実施例1に係る支援システム10の一例を説明する。図1は、支援システムの概略的な構成の一例を示す図である。支援システム10は、船舶の航行を支援するシステムである。

図1には、2隻の船舶11と陸上施設13とが示されている。船舶11は、AIS装置12が搭載されている。例えば、特定の船舶は、法律等により、AIS装置12の搭載が義務付けられている。特定の船舶は、国際航海に従事する300総トン以上の全ての船舶、国際航海に従事する全ての旅客船、および、国際航海に従事しない500総トン以上の全ての船舶が該当する。なお、特定の船舶以外の船舶も、AIS装置12を搭載してもよい。

AIS装置12は、搭載された船舶11に関する各種の情報を含んだAIS情報を無線通信で周期的に送信する。AIS情報には、例えば、緯度および経度による位置や、船名、時刻、船舶11の船首方向、MMSI番号(Maritime Mobile Service Identity)などの船舶11の識別符号、船舶11の長さ、幅などの情報が含まれている。AIS情報は、他の船舶11や陸上施設13で受信可能とされている。他の船舶11や陸上施設13は、受信したAIS情報を基に、船舶11の位置や、船名、時刻、船舶11の船首方向、船舶11の識別符号、船舶11の長さ、幅などの各種の情報を把握できる。

陸上施設13は、例えば、海上保安庁の海上交通センターや港内交通管制室など、各船舶11の航行管制を行う施設である。陸上施設13は、各船舶11から受信したAIS情報やレーダで検出された情報などを基に、各船舶11の位置を把握し、各船舶11に対し、海上交通に関する各種の情報を提供する。

[評価装置の構成] 次に、実施例1に係る評価装置20の構成について説明する。図2は、評価装置の概略的な構成を示す図である。評価装置20は、陸上施設13に設けられ、船舶の航行を支援する装置である。例えば、評価装置20は、サーバコンピュータなどのコンピュータである。評価装置20は、1台のコンピュータとして実装してもよく、また、複数台のコンピュータにより実装してもよい。なお、本実施例では、評価装置20を1台のコンピュータとした場合を例として説明する。

ここで、例えば、運輸安全委員会は、船舶事故が過去に発生した位置を示した船舶事故ハザードマップを提供している。しかし、船舶事故は発生していないものの、事故回避行動が多く見られる危険箇所が存在する。すなわち、船舶事故ハザードマップでは、今まで船舶事故が発生していないが潜在的な危険性がある危険箇所を示すことができていない。そこで、本実施例では、評価装置20が、海域の衝突リスクを評価し、衝突リスクの高い危険箇所を示したハザードマップを生成する場合を例に説明する。

評価装置20は、外部I/F(インタフェース)部21と、入部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。

外部I/F部21は、例えば、他の装置と各種の情報を送受信するインタフェースである。外部I/F部21は、陸上施設13に設けられたアンテナなどの無線通信装置13Aを介して、各船舶11と無線通信が可能とされており、各船舶11と各種の情報を送受信する。例えば、外部I/F部21は、無線通信装置13Aを介して、各船舶11からAIS情報を受信する。

入力部22は、各種の情報を入力する入力デバイスである。入力部22としては、マウスやキーボードなどの操作の入力を受け付ける入力デバイスが挙げられる。入力部22は、各種の情報の入力を受け付ける。例えば、入力部22は、各種の処理の開始を指示する操作入力を受け付ける。入力部22は、受け付けた操作内容を示す操作情報を制御部25に入力する。

表示部23は、各種情報を表示する表示デバイスである。表示部23としては、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの表示デバイスが挙げられる。表示部23は、各種情報を表示する。例えば、表示部23は、操作画面など各種の画面を表示する。

記憶部24は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部24は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。

記憶部24は、制御部25で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部24は、後述する評価処理を実行するプログラムを記憶する。さらに、記憶部24は、制御部25で実行されるプログラムで用いられる各種データを記憶する。例えば、記憶部24は、AIS蓄積データ30と、航路情報31と、危険箇所情報32とを記憶する。

AIS蓄積データ30は、各船舶11から受信されたAIS情報を蓄積したデータである。

航路情報31は、陸上施設13が航行管制の対象とする対象範囲に存在する航路に関する情報を記憶したデータである。例えば、航路情報31には、対象範囲に存在する航路の領域の境界の位置の情報が記憶されている。

危険箇所情報32は、衝突リスクの高い危険箇所に関する情報を記憶したデータである。

制御部25は、評価装置20を制御するデバイスである。制御部25としては、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。制御部25は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部25は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部25は、格納部40と、抽出部41と、評価部42と、出力部43とを有する。

格納部40は、無線通信装置13Aを介して、各船舶11から受信されるAIS情報をAIS蓄積データ30に格納する。

抽出部41は、AIS蓄積データ30に基づいて、潜在的な危険性がある危険箇所を抽出する。例えば、抽出部41は、AIS蓄積データ30に基づいて、船舶の衝突回避行動を検出し、回避行動が検出された箇所に関して各種の情報を抽出する。

ここで、本実施例が対象とする回避行動について説明する。回避行動は、以下の条件1、条件2を満たすものとする。

条件1:衝突リスクを低減する操船行動である。 条件2:衝突の回避を目的(意図)とした操船行動である。

衝突リスクは、例えば、2つの船舶が針路と速度を維持した場合の当該2つの船舶が最接近する距離(DCPA:Distance of Closest Point of Approach)により評価する。

ここで、条件1を満たす箇所のみでは、回避行動を精度良く検出できない場合がある。すなわち、衝突リスクが低減しているのみでは、回避行動を精度良く検出できない場合がある。

図3は、誤って回避行動と検出される一例を示す図である。図3には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。ここで、航跡とは、船舶の位置の軌跡である。船舶11Aは、航路に沿って航行している。船舶11Bは、航路に進入するため、範囲A1で右に回頭している。範囲A1に示された船舶11Bの右への回頭によって、船舶11Aと船舶11Bの衝突リスクは、低減している。しかし、図3の例では、船舶11Bは、航路に入るための回頭であり、回避行動を目的とした回頭ではないと推定される。

図4は、誤って回避行動と検出される他の一例を示す図である。図4には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。船舶11Aは、航路に沿って航行し、航路の途中の範囲A2で回頭して左の埠頭へ針路を変えている。船舶11Bは、航路に沿って航行し、航路の途中の範囲A3で回頭して右へ針路を変えている。この場合も、船舶11Aの範囲A2での回頭や、船舶11Bの範囲A3での回頭によって、船舶11Aと船舶11Bの衝突リスクは、低減している。しかし、図4の例は、船舶11A、11Bは、それぞれ目的地へ向かうための回頭であり、回避行動を目的とした回頭ではないと推定される。

このように衝突リスクが低減しているのみを判定基準とすると、回避行動を精度良く検出できない場合がある。

そこで、抽出部41は、航路が存在する海域で、2つの船舶間の距離が所定の第1の閾値未満となり、かつ、2つの船舶の少なくとも一方が航路を逸脱する航跡を有する船舶を検出することによって、回避行動を行った船舶を検出する。例えば、抽出部41は、航路情報31を参照して、陸上施設13が航行管制の対象とする対象範囲に存在する航路の境界の位置の情報を取得する。また、抽出部41は、AIS蓄積データ30を参照して、複数の船舶の時刻ごとの位置を示す位置情報を取得する。なお、本実施例では、評価装置20の記憶部24にAIS蓄積データ30および航路情報31を記憶している場合を説明するが、AIS蓄積データ30および航路情報31は、ストレージ装置など外部の記憶装置に記憶されていてもよい。この場合、抽出部41は、外部の記憶装置から、航路情報31、および、複数の船舶の時刻ごとの位置を示す位置情報を取得する。そして、抽出部41は、取得した複数の船舶の時刻ごとの位置を示す位置情報を用いて、2つの船舶の組み合わせごとに、2つの船舶の間の距離を求める。例えば、抽出部41は、時系列順に、同じ時刻に存在する各船舶について2つの船舶の組み合わせごとに、2つの船舶の間の距離を求める。

抽出部41は、回避行動が行われる可能性がある2つの船舶の組を抽出する。例えば、抽出部41は、回避行動が行われる可能性がある2つの船舶として、2つの船舶の間の距離が第1の閾値未満となる2つの船舶を抽出する。なお、抽出部41は、実際の最接近時の距離が第1の閾値未満となる2つの船舶を抽出してもよい。また、陸上施設13が航行管制の対象とする対象範囲を区分した海域ごとに、同一時刻において、同一の海域に存在している船舶の集合から2つの船舶の組み合わせごとに、2つの船舶の組を抽出してもよい。

抽出部41は、抽出した2つの船舶のそれぞれの時刻ごとの位置の軌跡(航跡)から、各時刻における衝突リスクを算出し、衝突リスクが低減しているような船舶の組のみに絞り込む。例えば、抽出部41は、各時刻における衝突リスクとして、各時刻で2つの船舶がそれぞれ針路と速度を維持した場合の2つの船舶が最接近する距離(DCPA)を算出する。そして、抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した後、第1の閾値より大きい所定の第2の閾値以上に変化する2つの船舶を抽出する。

図5は、DCPAの変化の一例を示す図である。図5の例は、2つの船舶が実際に最も近い距離となる時刻の所定時間前から、各時刻で2つの船舶がそれぞれ針路と速度を維持した場合のDCPAの変化が示されている。抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した後、第1の閾値より大きい所定の第2の閾値以上に変化する2つの船舶を抽出する。第1の閾値は、例えば、100mとし、第2の閾値は、例えば、200mとするが、これに限定されるものではない。第1の閾値および第2の閾値は、外部から変更可能としてもよい。例えば、表示部23に第1の閾値および第2の閾値の設定画面を表示させ、入力部22からの入力により変更可能としてもよい。また、第1の閾値および第2の閾値は、2つの船舶の種類や大きさにより変更してもよい。例えば、2つの船舶のうち一方が、危険性が高い荷物を積んだ船舶である場合、第1の閾値および第2の閾値を大きな値に変更してもよい。危険性が高い荷物であるかは、例えば、AIS情報に含まれる航海関連情報から判別できる。また、例えば、船舶の長さが長いほど第1の閾値および第2の閾値を大きな値に変更してもよい。

抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した後、2つの船舶のDCPAが第2の閾値以上に変化する2つの船舶を抽出する。また、抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した時刻T1と、2つの船舶のDCPAが第2の閾値以上となった時刻T2を特定する。

抽出部41は、抽出した2つの船舶のそれぞれの時刻T1〜時刻T2の期間に、当該2つの船舶のどちらかが航路内であるか判定する。抽出部41は、時刻T1〜時刻T2の期間に、2つの船舶のどちらかが航路内である場合、時刻T1〜時刻T2の期間に、2つの船舶の少なくとも一方が航路逸脱方向へ航行したか否かを判定する。例えば、抽出部41は、時刻T1〜時刻T2の期間に、2つの船舶の少なくとも一方が航路の中心線から離れる航跡である場合、航路逸脱方向へ航行したと判定する。中心線から離れる航跡は、中心線と船舶との距離に基づいて判別してもよい。また、中心線から離れる航跡は、中心線と船舶の進行方向との角度に基づいて判別してもよい。例えば、抽出部41は、時刻T1〜時刻T2の期間中の所定の第1タイミングでの航路の中心線に対する2つの船舶の少なくとも一方の船舶の針路のなす角を求める。また、抽出部41は、時刻T1〜時刻T2の期間より前の所定の第2タイミングでの航路の中心線に対する当該一方の船舶の針路のなす角を求める。抽出部41は、第1タイミングでのなす角が、第2タイミングでのなす角より大きく、且つ、閾値以上である場合、航路逸脱方向へ航行したと判定する。第1タイミングは、時刻T1であってもよく、時刻T2であってもよく、DCPAが最も小さい時刻であってもよい。第2タイミングは、例えば、時刻T1の5分前とするが、これに限定されるものではなく、船舶が針路を変える前のタイミグと見なせる時刻であれば何れであってもよい。第2タイミングは、例えば、時刻T1の直近の2つの船舶のDCPAが第2の閾値となる時刻であってもよい。

図6は、航路の中心線に対する船舶の針路のなす角の一例を示す図である。図6には、時刻T1〜時刻T2の期間中の第1タイミングとした時刻T0における船舶11の針路と、航路中心線上の最も近い点における航路中心線となす角θが示されている。また、図6には、時刻T1〜時刻T2の期間より所定時間(例えば、5分)前の第2タイミングとした時刻T3における船舶11の針路と、航路中心線上の最も近い点における航路中心線とのなす角Φが示されている。抽出部41は、なす角θがなす角Φより大きく、且つ、なす角θが閾値Th以上である場合、船舶11が航路逸脱方向へ航行したと判定する。閾値Thは、船舶が航路を進行していると見なす値に定める。閾値Thは、例えば、5度とする。図6の例は、なす角θがなす角Φより大きく、且つ、なす角θが5度以上であるため、航路逸脱方向へ航行したと判定される。

抽出部41は、航路逸脱方向へ航行したと判定された船舶を、回避行動を行った船舶と検出する。図7は、回避行動と検出される一例を示す図である。図7には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。船舶11Aは、上側から航路に進入しており、船舶11Bと接近したため、範囲A4で左に回頭している。船舶11Bは、下側から航路に進入しており、船舶11Aと接近したため、範囲A5で右に回頭している。船舶11A、11BのDCPAは、接近により衝突リスクが高まり、船舶11A、11Bの回頭によって低減しており、範囲A4に示す船舶11Aの左への回頭により、航路の中心線から離れる航跡であるため、航路逸脱方向へ航行したと判定される。

図8は、回避行動と検出される他の一例を示す図である。図8には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。船舶11Aは、航路に沿って航行しており、航路内の範囲A6で蛇行している。船舶11Bは、右側から航路を横断している。船舶11A、11BのDCPAは、接近により衝突リスクが高まり、船舶11Aの範囲A6での蛇行によって低減しており、範囲A6に示す船舶11Aの蛇行した際の回頭により、航路の中心線から離れる航跡であるため、航路逸脱方向へ航行したと判定される。

抽出部41は、回避行動を行った船舶の航行記録を抽出する。例えば、抽出部41は、AIS蓄積データ30から、回避行動を行った船舶の回避行動を行った際の時刻および位置を抽出する。

評価部42は、抽出された航行記録に基づき、海域の複数の地点における危険性を評価する。例えば、評価部42は、海域の一定範囲ごとに、回避行動を行った船舶が検出された回数をカウントする。そして、評価部42は、回避行動を行った船舶が所定回以上検出された範囲を衝突リスクの高い危険箇所として、危険箇所ごとに、危険箇所の位置と、回避行動を行った船舶の情報など、各種の情報を危険箇所情報32に格納する。なお、危険性を評価の手法は、一例であり、これに限定されるものではない。例えば、評価部42は、回避行動を行った船舶が検出された位置を、危険箇所として全て危険箇所情報32に格納してもよい。

出力部43は、各種の出力を行う。例えば、出力部43は、危険箇所情報32に記憶された衝突リスクの高い危険箇所の位置を海域上にプロットしたハザードマップのデータを生成し、ハザードマップを画面、外部装置に出力する。これにより、危険箇所を特定できる。

[処理の流れ] 次に、本実施例に係る評価装置20が、衝突リスクの高い危険箇所を評価する評価処理の流れを説明する。図9は、評価処理の手順の一例を示すフローチャートである。この評価処理は、所定のタイミング、例えば、処理開始を指示する所定操作を受け付けたタイミングで実行される。

図9に示すように、抽出部41は、航路情報31を参照して、陸上施設13が航行管制の対象とする対象範囲に存在する航路の境界の位置の情報を取得する(S10)。抽出部41は、AIS蓄積データ30を参照して、複数の船舶の時刻ごとの位置を示す位置情報を取得する(S11)。

抽出部41は、回避行動が行われる可能性がある2つの船舶の組を抽出する(S12)。例えば、抽出部41は、回避行動が行われる可能性がある2つの船舶として、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満となる2つの船舶を抽出する。

抽出部41は、抽出した2つの船舶のそれぞれの時刻ごとの位置の航跡から、各時刻における衝突リスクを算出し、衝突リスクが低減しているような船舶の組のみに絞り込む(S13)。例えば、抽出部41は、各時刻における衝突リスクとして、各時刻で2つの船舶のDCPAを算出する。そして、抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した後、2つの船舶のDCPAが第2の閾値以上に変化する2つの船舶を抽出する。

抽出部41は、抽出した各2つの船舶から航路逸脱方向へ航行した船舶を判定する(S14)。例えば、抽出部41は、2つの船舶のDCPAが第1の閾値未満に低下した時刻T1と、2つの船舶のDCPAが第2の閾値以上となった時刻T2を特定する。抽出部41は、時刻T1〜時刻T2の期間に、2つの船舶の少なくとも一方が航路の中心線から離れる航跡がある場合、航路逸脱方向へ航行したと判定する。

抽出部41は、航路逸脱方向へ航行したと判定された船舶を、回避行動を行った船舶と検出する(S15)。抽出部41は、回避行動を行った船舶の航行記録を抽出する(S16)。例えば、抽出部41は、AIS蓄積データ30から、回避行動を行った際の2つの船舶の時刻および位置を抽出する。

評価部42は、抽出された航行記録に基づき、海域の複数の地点における危険性を評価する(S17)。例えば、評価部42は、海域の一定範囲ごとに、回避行動を行った船舶が検出された回数をカウントする。そして、評価部42は、回避行動を行った船舶が所定回以上検出された範囲を衝突リスクの高い危険箇所として、危険箇所ごとに、危険箇所の位置と、回避行動を行った船舶の情報など、各種の情報を危険箇所情報32に格納する。

出力部43は、評価結果を出力し(S18)、処理を終了する。例えば、出力部43は、危険箇所情報32に記憶された衝突リスクの高い危険箇所の位置を海域上にプロットしたハザードマップのデータを生成し、ハザードマップを画面に出力する。

[効果] 本実施例に係る評価装置20は、航路が存在する海域で、2船間の距離が所定の値(第1の閾値)未満となり、かつ、2船の少なくとも一方が航路を逸脱する航跡を有する船舶の前記海域における航行記録を抽出する。評価装置20は、抽出された航行記録に基づき、海域に含まれる複数の地点における危険性を評価する。これにより、評価装置20は、衝突リスクの高い危険箇所を精度良く検出できる。

また、本実施例に係る評価装置20は、2船が針路と速度を維持した場合の2船が最接近する距離が所定の値未満に低下した後、所定の値より大きい所定の第2の値(第2の閾値)以上に変化する期間に、2船の少なくとも一方が航路の中心線から離れる航跡を、航路を逸脱する航跡と判定する。これにより、評価装置20は、衝突の回避を目的とした操船行動により、航路を逸脱する航跡を精度よく検出できる。

また、本実施例に係る評価装置20は、2船が針路と速度を維持した場合の2船が最接近する距離(DCPA)が所定の値未満に低下した後、所定の値より大きい所定の第2の値以上に変化する期間中の所定の第1タイミングでの航路の中心線に対する当該2船の少なくとも一方の船の針路のなす角が、前記期間より前の所定の第2タイミングでの前記航路の中心線に対する当該一方の船の針路のなす角より大きく、且つ、所定閾値以上である航跡を、航路を逸脱する航跡と判定する。これにより、評価装置20は、衝突の回避を目的とした操船行動により、航路を逸脱する航跡を精度よく検出できる。

さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、開示の技術は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。

例えば、上記の実施例では、衝突リスクとして、2つの船舶が針路と速度を維持した場合の2つの船舶が最接近する距離(DCPA)を算出する場合を例に説明したが、開示の装置はこれに限定されない。DCPAは、次のように算出してもよい。例えば、2つの船舶のうち航路上を航行する船舶については、航路に沿って航行するものとしてDCPAを算出してもよい。例えば、抽出部41は、2つの船舶のうち航路上に位置し、船舶の針路と航路の中心線の角度が閾値Th以内である場合、航路の中心線と船舶との距離を保ったまま航路に沿って航行する位置を予測して、2つの船舶のDCPAを算出してもよい。これにより、評価装置20は、航路の向きが変わる場合でも、航路に沿って船舶が航行する場合の衝突リスクを算出できる。

図10は、船舶が航路に沿って航行するものとしてDCPAを算出する一例を説明する図である。図10には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。船舶11Aは、航路に沿って航行している。航路は、船舶11Aの前方で方向が変化する。船舶11Bは、船舶11Aの前方で航路を横切る。この場合、抽出部41は、船舶11Aが航路の中心線と船舶との距離を保ったまま航路に沿って航行する位置を予測して、船舶11A、11BのDCPAを算出してもよい。

ところで、航路は、狭い海域では幅が狭く、広い海域では幅が広い。船舶の回避行動は、航路の幅によって異なる。図11および図12は、船舶の回避行動の一例を説明する図である。図11および図12には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。図11は、航路の幅が狭い場合の回避行動が示されている。図12は、航路の幅が広い場合の回避行動が示されている。図11に示すように、航路の幅が狭い場合、船舶11A、11Bは、航路に沿うことを優先するため、回避行動が小さくなる。一方、図12に示すように、航路の幅が広い場合、船舶11A、11Bは、航路を逸脱しない範囲で回避行動が行えるので、回避行動が大きくなる。

そこで、抽出部41は、航路の幅に応じて第1の閾値および第2の閾値を変更してもよい。例えば、抽出部41は、2つの船舶のどちらかが航路内に位置する場合、船舶が位置する航路の幅を求める。なお、2つの船舶がそれぞれ航路内に位置する場合は、2つの船舶が位置する航路のうち、幅が小さい方の航路の幅を求める。抽出部41は、航路の幅が広いほど、第1の閾値および第2の閾値を大きく変更して、航路を逸脱する航跡を有する船舶を検出してもよい。これにより、評価装置20は、航路の幅に応じて、回避行動を行った船舶を精度よく検出できる。

また、航路内は制限速度が設けられている。しかし、航路の終端付近では、加速する船舶が多い。DCPAは、速度を維持した場合の最接近距離であり、航路終端付近では実際に発生する最接近距離とのズレが大きくなる可能性が高い。

そこで、抽出部41は、船舶の位置が航路の終端付近であるかに応じて第1の閾値および第2の閾値を変更してもよい。例えば、抽出部41は、船舶の位置が航路の終端に近いほど、第1の閾値および第2の閾値を大きく変更して、航路を逸脱する航跡を有する船舶を検出してもよい。これにより、評価装置20は、航路の終端に近い部分を航行する船舶の回避行動を精度よく検出できる。

図13は、航路の終端付近を航行する船舶のDCPAの一例を説明する図である。図13には、2つの船舶11A、11Bの航行した航跡と、航路が示されている。船舶11Aは、航路の終端付近を航行しており、速度を加速している。船舶11Bは、船舶11Aの前方で航路を横切る。DCPAは、速度を維持した場合の最接近距離であり、航路終端付近では実際に発生する最接近距離とのズレが大きくなる可能性が高い。この場合でも、抽出部41が、船舶の位置が航路の終端に近いほど、第1の閾値および第2の閾値を大きく変更して、航路を逸脱する航跡を有する船舶を検出する。評価装置20は、船舶11Aが航路の終端付近で速度を加速した場合でも、回避行動を精度よく検出できる。

また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、格納部40、抽出部41、評価部42および出力部43の各処理部が適宜統合又は分割されてもよい。例えば、抽出部41の処理機能は、複数の処理部に適宜分かれて処理機能が実現されてもよい。また、各処理部にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。

[評価プログラム] また、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。図14は、評価プログラムを実行するコンピュータを示す図である。

図14に示すように、コンピュータ300は、CPU310、HDD(Hard Disk Drive)320、RAM(Random Access Memory)340を有する。これら310〜340の各部は、バス400を介して接続される。

HDD320には上記実施例の各処理部と同様の機能を発揮する評価プログラム320aが予め記憶される。例えば、上記実施例の格納部40、抽出部41、評価部42および出力部43と同様の機能を発揮する評価プログラム320aを記憶させる。なお、評価プログラム320aについては、適宜分離しても良い。

また、HDD320は、各種データを記憶する。例えば、HDD320は、OSや各種データを記憶する。

そして、CPU310が、評価プログラム320aをHDD320から読み出して実行することで、実施例の各処理部と同様の動作を実行する。すなわち、評価プログラム320aは、実施例の格納部40、抽出部41、評価部42および出力部43と同様の動作を実行する。

なお、上記した評価プログラム320aについては、必ずしも最初からHDD320に記憶させることを要しない。例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、Compact Disk Read Only Memory(CD−ROM)、Digital Versatile Disk(DVD)、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。

さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータ(又はサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。

10 支援システム 11 船舶 12 AIS装置 13 陸上施設 20 評価装置 24 記憶部 25 制御部 30 AIS蓄積データ 31 航路情報 32 危険箇所情報 40 格納部 41 抽出部 42 評価部 43 出力部

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