【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は可変速動力伝達装置アセンブリに関する。 【0002】 【従来の技術】より詳細に言えば、本発明は、主動力入力軸および主動力出力軸と、これら両軸の間の2つの並列な動力経路とを有する英国特許第2,025,545 号明細書(フィアット:Fiat)に記載される如き可変速動力伝達装置アセンブリに関する。 一方の動力経路は、可変速動力伝達装置を介して通常の「増速走行(アップ・アンド・ランニング)」状態のためのものである。 他方の動力経路は、固定動力伝達装置を介して始動及び一般に高トルクが必要とされる低出力速度の走行のためのものである。 動力は、高い初期トルク及び大きな減速比を提供するトルクコンバータを介して固定動力伝達装置に伝達され、上記減速比は、極力1:1に近づくまで徐々に小さくりその段階で可変速動力伝達装置を介して動力を伝達するようクラッチが制御される。 【0003】そのような可変速動力伝達装置アセンブリには、可変速動力伝達装置が固定動力伝達装置に取って代わった時に、変速機(アセンブリの入力及び出力の間で相対的な可変速比を制御する)が主動力入力軸から与えられる総ての動力を受け持たなければならないという欠点があった。 変速機は比較的効率が悪いので、かなりの動力損失が生ずる。 【0004】英国特許GB2,113,324明細書(IDC)は、動力を供給するヒートエンジン及びフライホイールと、流体圧変速機とを有する動力伝達装置アセンブリを開示している。 ある作動モードにおいては、 ヒートエンジン及びフライホイールからの動力が結合され、全動力の流れが出力軸と変速機との間で分割される。 別の作動モードにおいては、フライホイール及びヒートエンジンから別個の動力の流れが存在し、フライホイールからの動力は出力軸への途中にある変速機を介して伝達される。 そのようなアセンブリは、変換機を介して過剰の動力が流れるので、始動時等における高トルク作動においては効率的ではないであろう。 また、このアセンブリは複雑であり、ヒートエンジン及びフライホイールからの動力の流れが別々に維持されている第2の作動モードにおいては特に多くの要素を介して動力が伝達される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、改善された効率を有する可変速動力伝達装置アセンブリを提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明によれば可変速動力伝達装置アセンブリが提供され、この可変速動力伝達装置アセンブリは、主動力入力軸と、主動力出力軸と、 変速機を有すると共に上記主動力入力軸と主動力出力軸との間に接続された可変速動力伝達装置と、上記主動力入力軸と主動力出力軸との間で上記可変速動力伝達装置に並列に接続された固定動力伝達装置と、上記固定動力伝達装置と可変速動力伝達装置との間で動力を切り替える手段と、一般に始動及び低出力速度において主動力入力軸から固定動力伝達装置へ動力を出すように設けられたトルク増大手段と、上記可変速動力伝達装置に設けられ、上記変速機と上記主動力出力軸との間で入力動力を分割し、これにより上記変速機が上記可変速動力伝達装置の作動の間に入力動力の一部だけを受け持つようにする手段とを備えている。 【0007】上記入力動力を分割する手段は、差動歯車アセンブリであるのが好ましい。 【0008】本発明の一実施例においては、差動歯車アセンブリは遊星差動歯車である。 この遊星差動歯車は、 上記主動力入力軸に接続された遊星歯車キャリアと、上記変速機の入力軸に接続された太陽歯車と、上記主動力出力軸に接続された円環とを備えるのが好ましい。 【0009】一実施例においては、変速機はベルト/プーリ型である。 また変速機を油圧作動型のものとすることもできる。 この後者の実施例においては、変速機は車両の経済巡航速度において効果的にロックアップするための手段を備えるのが好ましい。 【0010】他の実施例においては、油圧作動型の変速機は、互いに別個であるポンプ及びモータを有している。 【0011】可変速動力伝達装置は、経済巡航状態においてポンプの入力軸をロックし、またモータを解放して油圧作動型の変速機を不作動とさせるクラッチ手段を有するのが好ましい。 【0012】可変速動力伝達装置は、油圧作動型の変速機が不作動となった時にオーバドライブ比を提供する固定ギアを備えると理想的である。 【0013】ある実施例においては、変速機はオーバードライブ比を有している。 【0014】 【実施例】本発明は、図面を参照して単なる例として示す幾つかの好ましい実施例に関する以下の記載からより明瞭に理解されるであろう。 【0015】図面、特に図1及び図3、を参照すると、 その全体を参照符号1で指示された本発明の可変速動力伝達装置アセンブリが示されている。 このアセンブリ1 は、車両のエンジンに接続するための主動力入力軸2 と、車輪に接続するための主動力出力軸3とを備えている。 【0016】主動力入力軸2はトルクコンバータ6に接続されており、このトルクコンバータは固定動力伝達装置4、すなわち固定ギア列7及びスプラグ・ギア8、に接続されている。 スプラグ・ギア8の出力は主動力出力軸3に接続されている。 【0017】アセンブリ1は、固定動力伝達装置と並列な関係にされた可変速動力伝達装置5、すなわち動力分割差動装置9、減速ギア10及び変速機11、を備えている。 動力分割差動装置9からの一方の出力は主動力出力軸3に直接接続され、一方第2の出力は、変速機11 に接続された減速ギア10に接続されている。 変速機1 1の出力は主動力出力軸3に接続されている。 【0018】運転開始及び低い車輪速度における操作の際には一般に、トルクコンバータ6が主動力入力軸2のトルクを増大させて固定ギア列を駆動する。 スプラグ・ ギア8はこの動力を主動力出力軸3に出力する。 このように、トルクコンバータ6及び固定動力伝達装置4は、 図2に示すように動力の総てを取り扱う。 【0019】主動力出力軸3の速度が増加すると、トルクコンバータ6のトルク倍率は徐々に減少する。 同時に、変速機11の出力速度が増加すると、固定ギア列7 の出力がスプラグ・ギア8によりアイドリングの状態にある段階に到達し、図3に示すように可変速動力伝達装置5を介して動力が伝達される。 しかしながら、可変速動力伝達装置5が総ての動力を伝達している時であっても、動力のほんの一部が変速機11を介して伝達される。 その理由は、差動装置が主動力出力軸3と変速機1 1との間に動力を分割するからである。 従って、変速機における動力損失はかなり低減されるので、アセンブリ1の効率は大幅に改善される。 更に、中間の速度及び高速度においては変速機11は動力の一部だけを取り扱い、勿論低速度においては動力を何ら取り扱わないので、変速機11の摩耗及び断裂が大幅に低減される。 【0020】図4を参照すると、アセンブリ1がより詳細に描かれている。 トルクコンバータ6は、ロックアップ・クラッチ(6a)と、クラッチ6(c)で終端となる出力軸(6b)とを備えている。 出力軸6(b)はクラッチを介して、スプラグ・ギア8上のギア7(b)とかみ合う前進ギア(7a)に接続可能である。 トルクコンバータの出力軸6(b)もクラッチにより後進ギア7 (c)に接続可能であり、この後進ギアはアイドルギア7(d)とかみ合い、このアイドルギアは軸16に固定されたギア7(e)とかみ合う。 【0021】動力分割差動装置9は、太陽歯車9Sと、 遊星歯車キャリア9PCおよびこれに関連する遊星歯車と、円環9Aとを備えた遊星歯車ユニットである。 変速機11は、ベルト及びプーリから成る型式である。 【0022】スプラグ・ギア8の出力は、主動力出力軸3に固定されたギアとかみ合うギア13に固定されている。 動力分割差動装置9の円環9Aはギア13とかみ合うギア14に固定されており、これにより円環が主動力出力軸3を直接駆動することを可能としている。 太陽歯車9Sの軸及び出力ギアは、変速機11の入力軸15上に固定された減速ギア10とかみ合っている。 変速機1 1の出力軸16は、主動力出力軸3を駆動するギア13 に固定されている。 【0023】運転開始及び低い車輪速度における前進運動の作動の際には一般に、トルクコンバータ6、出力軸6(b)、前進ギア7(a)を介し、更にスプラグ・ギア8を介して動力が主動力出力軸3に伝達される。 始動の際に、トルクコンバータ6は2.68:1のトルク倍率を与え、また前進ギア7(a)及びギア7(b)は更に2:1のトルク倍率及び減速比を与え、これにより始動時に5.36:1の全トルク倍率を与える。 車両が加速すると、トルク倍率の必要性が徐々に減少し、これによって、トルクコンバータの接続速度に達するまで、軸6(b)の速度が主動力入力軸2に対して相対的に増加することを可能とする。 このような状態になると、ロックアップ・クラッチ(6a)が自動的に係合してエンジンがロックアップ・クラッチ(6a)を介して軸6 (b)を1:1の直接的な関係で駆動する。 この段階において、クラッチ6(c)が自動的に係合し、従って動力が可変速動力伝達装置5に伝達される。 この時に変速機はその最も低い比(2.4:1)にあり、2つの出力ギア13及び14は、ギア7(b)及びスプラグ・ギア8の速度と同期する。 主動力入力軸2及び軸16とギア13との間の速度比はこの時点において2:1である。 変速機の比はこの時点において自動的に増大し、従って可変速動力伝達装置5が総てのエンジン動力の伝達を受け持ち、ギア列7はスプラグ・ギア8においてアイドリング状態に維持される。 【0024】この段階において、総てのエンジン動力は、動力分割差動装置9に対する入力として遊星歯車キャリア9PCで受けられる。 この入力動力は、太陽歯車9Sと円環ギア9Aとの間に分割される。 太陽歯車9S は、減速ギア10を介して変速機11の入力を駆動する。 変速機11の出力は、軸16及びギア13を介して主動力出力軸3に与えられる。 これと並行して、円環ギア9Aもギア14および13を介して主動力出力軸3を駆動する。 従って、変速機11は全入力動力の一部のみを取り扱うことを必要とされる。 また、可変速動力伝達装置5は、妥当な出力速度に到達した時にだけ受け持つために持変速機11の初期入力速度は比較的低く、更に減速ギア10が入力速度を減少させる。 変速機をその最も低い比から最も高い比へ変更かつ制御することにより、動力伝達装置全体を、可変速比装置が受け持つ点から最も高いギアモードへ自動的に制御する。 【0025】図5の表は、本発明により達成される効果を示している。 出力トルク比が16:1乃至6:1の範囲となることができる最も苛酷である始動状態において、変速機11がトルクを取り扱わないことが直ちに明らかになるであろう。 変速機の入力により取り扱われる入力トルクの最大の割合は57%である。 また、変速機の入力あるいは出力の最大速度はエンジン速度の120 %を決して越さず、またこの値は最も高いギアモードにおける変速機入力での48%まで徐々に減少する。 更に、最も高いギアモードの間には、エンジン動力の僅か27%だけが変速機を介して伝達される。 従って、変速機11が全動力のうちのこの割合だけを取り扱うために、低減された寸法の変速機を用いることができる。 更に、変速機11により必要とされる速度及びトルクが比較的小さいために、ベルト及びプーリの摩耗が少なく、 従ってアセンブリの耐久性が大幅に改善される。 変速機11が経済走行速度オーバードライブ比を与えるために、燃料の経済性も改善される。 トルクコンバータ6は低速の間にだけ作用するために、連続的な作動が必要とされず、これにより、連続的な運転には適さないであろう簡単な設計のトルク増加ユニットで十分であると予期される。 【0026】また、流体圧作動型の接続装置、電気的な接続装置あるいはいかなる他の適宜な装置をも用いることができることが予期される。 【0027】本発明のアセンブリが可変速比動力伝達装置アセンブリにおいて一般に生ずる2つの主要な問題を同時に解消することが図5の表を参照することにより理解できるであろう。 1つの問題は、変速機の過負荷を一般に生ずる始動時及び低速時における高トルクを必要とすることであり、特にVベルト型の変速機においてはベルトのスリップが生ずることである。 この問題は、固定動力伝達装置を用いることにより解決される。 第2の問題は、変速機のかなりの摩耗を生ずる高い車両速度における変速機の高速の作動である。 この後者の問題は、変速機と主動力出力軸との間で動力を分割しこれにより車両速度と変速機入力速度との間に逆転した関係を作り出すことによって解決される。 また、変速機を介する動力が経済巡航速度における全動力の27%まで低下するために、効率も勿論かなりの程度改善される。 従って、本発明のアセンブリが従来技術に比較して大幅な改善を示しまた従来技術のアセンブリの利点を合わせ持つというよりもその利点を効果的に倍加することが理解されよう。 これは、かなりの時間にわたって有用であった要素を用いることにより簡単な方法で達成されており、本発明の非自明性を示すものである。 本発明の進歩性は更に、フィアット及びIDCの従来技術のアセンブリが1 980年及び1983年に刊行されているという事実によっても証明され、本発明の主要な効果に鑑み本発明者等は、本発明が自明なものであるならば本発明が199 0年よりも前に実施されていた筈であると確信するものである。 事実、フィアット型の動力伝達装置において変速機に入力する前に動力を分割することに対して技術的な偏見があったように見受けられ、その理由は、IDC のスペックに記載されているように、ヒートエンジン及びフライホイール等の多数の入力がある比較的複雑なアセンブリに対してのみそのような動力を分割する構成が有用であると見なされていたからである。 フィアット及びIDCのスペックには本発明に対する示唆あるいはヒントが何ら示されておらず、これもまた本発明の非自明性を証明するものである。 【0028】次に図6を参照すると、本発明のアセンブリ20が示されており、このアセンブリは、英国特許第765,081号明細書(バダリーニ:Badalin i)に記載され以下バダリーニ変速機と呼称するものと同様な油圧作動型の変速機21を備えている。 中速及び高速の車両速度に対するこのアセンブリの動力経路が図7に示されている。 これ以前の図面を参照して説明したものと同様な部品には同様の参照符号を付してある。 動力分割差動装置9は、円環9Aの出力側のクラッチ22 と、遊星歯車キャリア9PCの入力側のクラッチ23とを有している。 円環9Aは、斜板カム24を有する可変速モータに固定されており、また太陽歯車9Sは固定斜板カム油圧ポンプ25のロータに連結されている。 油圧ポンプ25のロータは、油圧モータ26のロータの本体であるハウジングの中で回転する。 遊星歯車キャリア9 PCと円環9Aとの間にもクラッチ27が接続されている。 【0029】作動の際に、太陽歯車9Sの回転によりオイルが油圧モータ26に圧送される。 ロータの反動トルクが、差動装置9の遊星歯車を介してポンプモータにフィードバックされる。 このトルクは円環9Aに伝達される。 高トルクが必要とされる最初の始動時には、斜板カム24の角度はその最も大きな値に設定されており、これにより、モータ26がその最も高いトルク値で作動することができる。 従って、モータ26はポンプロータ2 5よりも遅い速度で回転する。 出力軸速度を増加させるために斜板カム24の角度を小さくし、これによりモータ26のピストンのストロークを小さくする。 この状態になると、モータのロータはポンプ25により圧送されているオイル量を処理することができず、従ってポンプ25とモータ26との間に油圧が形成されるにしたがってより早く回転させられる。 従って、ポンプ25において形成された圧力は特別なトルクとして円環9Aに伝達され、更に太陽歯車9Sから遊星歯車を介して主動力出力軸3へ伝達される。 更に、太陽歯車9S及びポンプ2 5の速度は、円環9A及び主動力出力軸3の速度が増加するにしたがって減少する。 斜板カム24の角度を徐々に小さくすることにより、主動力出力軸3の速度はトップ速度比に到達するまで徐々に増加する。 この点において、モータのピストンのストロークはゼロまで減少され、これによりポンプ25を効果的にロックアップ(拘束)する。 この状態においてポンプ25及びモータ26 は一体に回転するが、これは、動力分割差動装置9がロックアップされまた出力軸が入力軸と同一の速度で回転することを意味する。 【0030】従って、経済巡航状態の間には変速機には何ら動力損失がなく、これによりアセンブリ20の効率が更に改善される。 この状態においてクラッチ22及び23を解放しクラッチ27を係合させることにより、経済巡航状態の間に変速機21を可変速動力伝達装置から解放することができる。 【0031】次に図8を参照すると、アセンブリ20の作動を示す表が示されている。 中速領域から高速領域への初期の切り替えにおいて、変速機21は、入力トルクのわずか37%及び入力動力のわずか58%しか取り扱う必要がないことが分かるであろう。 また、高速モードにおいては、変速機を介して何ら動力が伝達されない。 【0032】次に図9を参照すると、別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機31を備えたアセンブリ30が描かれている。 このアセンブリにおいても、これ以前の図面を参照して説明した部品には同一の参照符号を付してある。 油圧作動型の変速機31 は、動力分割差動装置9の太陽歯車9Sにより駆動される一定容積型のポンプ32を有している。 斜板カム34 を有する別個の可変速モータ33も設けられていて円環9Aの動力を補っている。 モータ32の出力はクラッチ35を介して主動力出力軸3に接続されている。 開回路型の油圧システムを用い、これにより、ポンプ32が貯蔵タンクからの流体を受け、またモータ33がこの流体をタンクに戻すようになっている。 クラッチ36が太陽歯車9Sの出力側に接続されている。 【0033】バダリーニ型の油圧作動型の変速機を用いた場合の如く、作動においては、動力伝達装置の可変速度は、ほぼ最大ギア比(一般に完全なトップギアの80 %乃至90%)に達するまで、斜板カム34の傾斜を変えることにより制御される。 この段階において、クラッチ36を係合させこれと同時にクラッチ35を解放することにより、ポンプ32及び太陽歯車9Sがロックアップされる。 これにより、ポンプ及びモータは動力を何等伝達せずに静止した状態にある。 この状態において、円環9Aが1対1.587(6(b)対9A)のオーバドライブ比で非常に効率的に全動力を伝達しているので、 動力伝達装置アセンブリはその最大ギアモードで作動し、これにより燃料経済性を更に改善する。 【0034】次に図11及び12を参照すると、参照符号40及び50によりそれぞれその全体を示す本発明の代替的なアセンブリの一部が描かれている。 これらアセンブリにおいても、これ以前の図面を参照して説明した同様の部品には同一の参照符号を付してある。 図11には、斜板カム44を有するモータ43に接続されたポンプ42を有する油圧作動型の変速機41が示されている。 アセンブリ30と40との間の主要な相違は、アセンブリ40が閉回路型の油圧システムで作動され、モータ42から出た油圧が直接ポンプ43に入る点にある。 メークアップポンプ45が設けられており、このポンプはこの閉回路に漏れが生ずるとこの漏れを補充する。 【0035】図12において、アセンブリ50は、斜板カム53を有する斜板カム可変容積型のポンプ52をそなえた油圧作動型の変速機51を備えている。 このポンプ52は、斜板カム55を有するモータ54に接続されている。 【0036】一般には油圧作動型の変速機を用いることにより、より小さな変速機を用いて与えられたトルク及び動力を伝達する必要があることが理解されよう。 また、油圧作動型の変速機の制御はかなり簡単である。 【0037】バダリーニ型の油圧作動型の変速機を用いた場合、ポンプ及びモータが動力を何ら伝達していない高速ギアモードにおいては、ポンプ及びモードは一緒に回転しており従ってロックアップされている。 これにより、変速機は固定の動力伝達装置として作用するので、 効率を大幅に改善する。 【0038】しかしながら、別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を用いた場合、ポンプ及びモータユニットはアセンブリからクラッチを切られて静止状態にあり、これにより可変速動力伝達装置は効率的な機械的オーバドライブ・ユニットとして作動する。 適宜なギア比を選択することによりオーバドライブを達成することができるので、経済巡航状態における効率はバダリーニ型の油圧作動型の変速機を用いた場合よりもかなり良好である。 この状況を図13に示す。 可変速動力伝達装置への伝達においては入力トルクの僅か3 7%だけが変速機により取り扱われていることが理解できよう。 アセンブリ30、40及び50の重要な利点は、僅か0.87Tの最大トルク能を有するモータしか必要としないことである。 これは、「動力分割伝達への移行段階」に対する図13のT”欄の「動力伝達装置出力」から明らかである。 これは、移行段階において可変速動力伝達装置により1.5Tのトルクが伝達されることを示している。 各アセンブリにおける差動装置の円環は0.63Tを与え、これはモータがその最大トルク値で作動している時でもこのモータは僅かに0.87Tを伝達するだけでよい。 また、経済巡航状態において変速機はいかなるトルクをも取り扱わない。 更に、高速ギアモードでは入力速度の159%が達成されるが、これに対してバダリーニ変速機では100%であることが分かるであろう。 これが可能な理由は、別個のポンプ及びモータを用いて、より広いギア比の範囲でオーバドライブが提供され、これによってより大きな最大駆動減速比(4:1;これに対してVベルトでは3:1またバダリーニ型では2.5:1である)が可能であるためである。 【0039】油圧作動型あるいはベルト/プーリ型の変速機の代わりに、別個の発電機及びモータを有する電気的な変速機を用いることが考えられ、この場合には、最高速ギアモードにおいて太陽歯車及び発電機の軸は静止し、またモータは不作動となる。 また、発電機及びモータを1つのユニットに組み込むこともできる。 最高速ギアモードにおいては、発電機及びモータユニットはロックアップされて一体になって回転するであろう。 この構成が油圧作動型の変速機の対応するタイプに類似していることは理解されよう。 【図面の簡単な説明】 【図1】可変速動力伝達装置アセンブリを概略的に示す図である。 【図2】低出力速度におけるアセンブリの動力経路を示す図である。 【図3】中間出力速度及び高出力速度に対する動力経路を示す図である。 【図4】図1に概略的に示した可変速動力伝達装置アセンブリを詳細に示す図である。 【図5】図4のアセンブリの作動を示す表である。 【図6】バンダリーニ型の油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの中間出力速度及び高出力速度に対する動力経路を概略的に示す図である。 【図7】バンダリーニ型の油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリを詳細に示す図である。 【図8】図7に示すアセンブリの作動を示す表である。 【図9】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリ用の動力経路を概略的に示す図である。 【図10】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図11】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図12】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図13】図10、図11及び図12のアセンブリの作動パラメータを示す表である。 【符号の説明】 1 可変速動力伝達装置アセンブリ 2 主動力入力軸 3 主動力出力軸 4 固定動力伝達装置 5 可変速動力伝達装置 6 トルクコンバータ 7 固定ギア 8 スプラグ・ギア 9 動力分割差動装置 10 減速ギア 11 変速機 【手続補正書】 【提出日】平成5年9月28日 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】図面の簡単な説明 【補正方法】変更 【補正内容】 【図面の簡単な説明】 【図1】可変速動力伝達装置アセンブリを概略的に示す図である。 【図2】低出力速度におけるアセンブリの動力経路を示す図である。 【図3】中間出力速度及び高出力速度に対する動力経路を示す図である。 【図4】図1に概略的に示した可変速動力伝達装置アセンブリを詳細に示す図である。 【図5】図4のアセンブリの作動を示す図表である。 【図6】バンダリーニ型の油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの中間出力速度及び高出力速度に対する動力経路を概略的に示す図である。 【図7】バンダリーニ型の油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリを詳細に示す図である。 【図8】図7に示すアセンブリの作動を示す図表である。 【図9】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリ用の動力経路を概略的に示す図である。 【図10】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図11】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図12】別個のポンプ及びモータユニットを有する油圧作動型の変速機を組み込んだアセンブリの代替的な構造を詳細に示す図である。 【図13】図10、図11及び図12のアセンブリの作動パラメータを示す図表である。 【符号の説明】 1 可変速動力伝達装置アセンブリ 2 主動力入力軸 3 主動力出力軸 4 固定動力伝達装置 5 可変速動力伝達装置 6 トルクコンバータ 7 固定ギア 8 スプラグ・ギア 9 動力分割差動装置 10 減速ギア 11 変速機 |