伝動ベルトの製造方法及び伝動ベルト

申请号 JP2015562711 申请日 2015-01-09 公开(公告)号 JPWO2015122113A1 公开(公告)日 2017-03-30
申请人 バンドー化学株式会社; 发明人 宮田 博文; 博文 宮田; 聡一郎 中根; 聡一郎 中根; 央 泉; 央 泉;
摘要 伝動ベルトの製造方法は、ベルト長さ方向に延びる心線112が埋め込まれたエンドレスの抗張体層111の成形及び加硫を行う工程と、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの成形及び加硫を行う工程と、加硫された抗張体層111と、加硫された圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着する工程とを備えている。
权利要求

ベルト長さ方向に延びる心線が埋め込まれたエンドレスの抗張体層の成形及び加硫を行う工程と、 圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程と、 加硫された前記抗張体層と、加硫された前記圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着する工程とを備えている伝動ベルトの製造方法。前記接着する工程は、遊離基開始剤により活性化した表面同士を圧着する工程を含む、請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法。前記接着する工程は、接着剤を用いて接着する工程を含む、請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法。前記接着する工程は、前記抗張体層と前記圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着ゴムシートを介在させて接着する工程を含む、請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法。前記圧縮ゴム層用ゴム部材は、押出成形により成形する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝動ベルトの製造方法。前記接着する工程において、前記圧縮ゴム層用ゴム部材の長さ方向の両端部を互いに接着する、請求項5に記載の伝動ベルトの製造方法。前記接着する工程よりも前に、前記圧縮ゴム層用ゴム部材の長さ方向の両端部を互いに接着する工程をさらに備えている、請求項5に記載の伝動ベルトの製造方法。前記抗張体層と、前記圧縮ゴム層用ゴム部材とは互いに異なる条件で加硫する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の伝動ベルトの製造方法。前記圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程は、第1の圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程と、第2の圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程とを含み、 前記接着する工程は、前記抗張体層の内周側に前記第1の圧縮ゴム層用ゴム部材を接着し、前記抗張体層の外周面に前記第2の圧縮ゴム層用ゴム部材を接着する工程である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の伝動ベルトの製造方法。前記第1の圧縮ゴム層用ゴム部材と、前記第2の圧縮ゴム層用ゴム部材とは互いに異なる条件で加硫する、請求項9に記載の伝動ベルトの製造方法。請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により製造した伝動ベルト。ベルト長さ方向に延びる心線が埋め込まれたエンドレスの抗張体層と、 前記抗張体層に接着された圧縮ゴム層とを備え、 前記圧縮ゴム層は、ベルト長さ方向の端部同士を接着した接着部を有している、伝動ベルト。

说明书全文

本開示は伝動ベルトの製造方法及び伝動ベルトに関する。

伝動に用いる伝動ベルトは、一般にベルト長さ方向に沿って心線が埋め込まれた抗張体層と、ベルト長さ方向に伸びるリブ部又はベルト長さ方向に所定間隔で設けたコグ部が設けられた圧縮ゴム層とを有している。

伝動ベルトの心線は、同一平面に均等な間隔で配置されていることが理想である。伝動ベルトは、プーリに沿うように巻かけられ、プーリとプーリとの間において略直線上に引っ張られた状態で走行する。心線が同一平面に配列されている場合には、各位置において心線に均等に張力が加わる。しかし、心線のベルト厚さ方向の並びが乱れている場合には以下のような問題が生じる。例えば、心線に外周方向にずれて配置された部分があると、ベルト内周側が接するようにプーリに巻き掛けられた場合には、その部分が大きい曲率半径で巻かれるため、余分に引っ張られた状態となる。また、ベルト外周側が接するようにプーリに巻き掛けられた場合には、その部分が小さい曲率半径で巻かれるため、緩んだ状態となる。

また、心線を埋め込む際に、下地が円錐台状になっていると、一方の側において、他方の側よりも心線が大きな曲率半径で巻かれる。このような状態のベルトをプーリレイアウトに取り付けると、曲率半径の小さい側において非常に強い張力が心線に加わり、曲率半径の大きい側において心線が大きく緩んだ状態となる。

このように、心線の厚さ方向の並びが乱れ、同一平面上に存在していない場合には、心線に対して均等に張力が加わらず、ベルトがゆがんでしまう。これにより、ベルトの蛇行やプーリからの脱落が生じてしまう。また、強い張力が加わった部分において心線が早期に切断されてしてしまう恐れがある。心線が切断されると、その箇所を起点としてベルトが破断するという不具合が生じる。

さらに、心線のベルト幅方向の並びが乱れ、幅方向の間隔が不均等である場合には、心線に加わった張力がゴム部材を介してプーリに伝わり、プーリを引っ張る力となる。このため、心線の間隔が密集している部分では、ゴム部材に過大な力が加わり、心線とゴムとの剥離や、ゴムの割れが早期に生じる。

このような、ベルトの早期の破損を避けるためには、心線が円筒金型上に略等間隔に巻かれていることが望ましい。平ベルトの場合には、このような理想的な構成を比較的容易に実現できる。しかし、Vベルト及びVリブドベルト等の場合には、平ベルトと異なり、心線を理想的な状態とすることは困難である。

特開2005−125742号公報

例えば、特許文献1には、以下のようなVベルトの製造方法が記載されている。まず、円筒ドラム上に装着された可撓性ジャケットの上に、背面帆布及び未加硫接着ゴムを巻き付け、その上に心線をスピニングする。この後、未加硫圧縮ゴムシートを順次無端状に巻き付け、未加硫の積層体を形成する。この後、ジャケットを膨張させて、積層体をV型突起を有する外型に押しつけ、未加硫圧縮ゴムシートを外型に沿った形状として加硫成形する。この方法においては、未加硫状態で心線が理想的に巻かれていたとしても、ジャケットを膨張させる際に、積層体が変形し、幅方向においても、厚さ方向において心線の並びが乱れてしまう。また、V型突起を有する外型に、積層体を押しつけて、未加硫圧縮ゴムシートを変形させる。このため、未加硫圧縮ゴムシートの下の心線の並びが乱れてしまう。

また、ラップドベルトの場合には以下のような製造方法も検討されている。まず、円筒金型上に未加硫圧縮ゴムシートを巻き付ける。次に、心線を略等間隔に巻き付ける。さらに未加硫ゴムシートを巻き付ける。次に、所定の幅にカットして未加硫の積層体とする。続いて、積層体の下側を一部切り欠かし、補強布を巻く。補強布を巻いた積層体を、金型に入れて最終的な伝動ベルトの形状に加硫成形する。

未加硫ゴムをカットする際には、刃物のカット抵抗により、ゴムが変形する。このため、未加硫ゴムをVベルトの所定の度にカットすることは困難である。従って、未加硫の積層体の形状は、通常は金型の形状と同一ではない。このため、積層体を金型に入れる際に、ゴムが動いてしまう。これにより、心線の並びが乱れてしまう。

もし、未加硫の積層体を金型と同一の形状にカットすることができたとしても、心線を並べてから金型に押し込むまでの工程において、積層体は何度も曲げられるため、心線の並びが乱れてしまう。

円筒金型の上に、未加硫ゴムシートと心線とを積層した後、そのまま外圧を加えて加硫し、V型断面にカットしてVベルトに仕上げる方法や、所定の形状に切削してVリブドベルトに仕上げる方法もある。この場合には、心線を巻いた上に、多層の未加硫ゴムシートを積層する。このため、未加硫ゴムシートの厚さの誤差が集積され、加硫後のベルト全体の厚さが不均一になりやすい。従って、ベルト中の心線の並びが乱れてしまう。

本開示は、心線の並びに乱れが生じにくい伝動ベルトの製造方法を実現できるようにすることを目的とする。

本開示の伝動ベルトの製造方法の一態様は、心線が埋め込まれたエンドレスの抗張体層の成形及び加硫を行う工程と、圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程と、加硫された抗張体層と、加硫された圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着する工程とを備えている。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、接着する工程は、遊離基開始剤により活性化した表面同士を圧着する工程を含んでいてよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、接着する工程は、接着剤を用いて接着する工程含んでいてよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、接着する工程は、抗張体層と圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着ゴムシートを介在させて接着する工程含んでいてよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、圧縮ゴム層用ゴム部材は、押出成形により成形することができる。

伝動ベルトの製造方法の一態様は、接着する工程において、圧縮ゴム層用ゴム部材の長さ方向の両端部を互いに接着することができる。

伝動ベルトの製造方法の一態様は、接着する工程よりも前に、圧縮ゴム層用ゴム部材の長さ方向の両端部を互いに接着する工程をさらに備えていてもよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、抗張体層と、圧縮ゴム層用ゴム部材とは互いに異なる条件で加硫してもよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程は、第1の圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程と、第2の圧縮ゴム層用ゴム部材の成形及び加硫を行う工程とを含み、接着する工程は、抗張体層の内周側に第1の圧縮ゴム層用ゴム部材を接着し、抗張体層の外周面に第2の圧縮ゴム層用ゴム部材を接着する工程としてもよい。

伝動ベルトの製造方法の一態様において、第1の圧縮ゴム層用ゴム部材と、第2の圧縮ゴム層用ゴム部材とは互いに異なる条件で加硫してもよい。

本開示の伝動ベルトの第1の態様は、本開示の伝動ベルトの製造方法により製造される。

本開示の伝動ベルトの第2の態様は、ベルト長さ方向に延びる心線が埋め込まれたエンドレスの抗張体層と、抗張体層に接着された圧縮ゴム層とを備え、圧縮ゴム層は、ベルト長さ方向の端部同士を接着した接着部を有している。

本開示の伝動ベルトの製造方法によれば、心線の並びに乱れが生じにくく、容易に伝動ベルトを製造することが可能となる。

(a)及び(b)は一実施形態に係る伝動ベルトを示す図である。

(a)及び(b)はそれぞれ一実施形態に係る伝動ベルトの製造方法の一工程を示す図である。

(a)及び(b)はそれぞれ一実施形態に係る伝動ベルトの製造方法の一工程を示す図である。

抗張体層を示す断面図である。

抗張体層の製造方法の一工程を示す図である。

抗張体層の変形例を示す断面図である。

圧縮ゴム層用ゴム部材の製造に用いるロートプレスを示す図である。

圧縮ゴム層用ゴム部材の変形例を示す断面図である。

(a)及び(b)はそれぞれ一実施形態に係る伝動ベルトの製造方法の変形例の一工程を示す図である。

一実施形態に係る伝動ベルトの製造方法の変形例を示す図である。

(a)〜(c)はそれぞれ圧縮ゴム層の接着部を示す図である。

(a)は従来のVリブドベルトの製造方法の問題点を示す図であり、(b)は一実施形態に係る方法により製造されたVリブドベルトを示す図である。

一実施形態に係る伝動ベルトの製造方法の変形例を示す図である。

一実施形態に係る伝動ベルトの変形例を示す断面図である。

一実施形態に係る伝動ベルトの変形例を示す斜視図である。

図1に示すように、本実施形態の伝動ベルトは、抗張体である心線112が埋め込まれた層である抗張体層111と、プーリと接触する伝動面を有する層である圧縮ゴム層121とを有している。本実施形態の伝動ベルトは、図2、図3に示すように、それぞれ予め成形して加硫された、抗張体層111と、圧縮ゴム層となる圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着することにより形成することができる。具体的には以下のようにして形成することができる。

<抗張体層> 図4に示すように、抗張体層111は、ベルト長さ方向に延び且つベルト幅方向に所定のピッチとなるように螺旋状に配置された心線112が埋め込まれた、エンドレスの平ベルト形状である。図4においては、抗張体層111が接着ゴム層115とカバーゴム層116とを有している例を示している。抗張体層111の断面は台形状となっていてもよい。

抗張体層111の成形及び加硫の一例を以下に示す。図5に示すように、表面が平滑な円筒状の成形ドラム211の外周面にカバーゴム層116となる第1の未加硫ゴムシート213を巻き付ける。次に接着ゴム層115となる第2の未加硫ゴムシート214を巻き付ける。次に前処理した心線112を一定ピッチで螺旋状にスピニングする。さらに接着ゴム層115となる第3の未加硫ゴムシート215を巻き付け、円筒状の積層体を作製する。金型上の積層体にゴムスリーブをかぶせた後、加硫する。これにより、円筒状のスラブが得られ、これを幅切りして図4に示すような、エンドレスの抗張体層111が得られる。

この方法においては、心線112を円筒状の成形ドラム211の外周にスピニングする。このため、心線を同一平面で且つ等間隔に配置することが容易である。また、心線112をスピニングしてから加硫が終了するまでの間に、積層体を変形させるような力が加わることがない。従って、成形中に抗張体層111の厚さ方向及び幅方向に心線の並びが乱れる恐れがない。従って、同一平面で且つ等間隔に心線が配置された抗張体層111を容易に実現することができる。

積層体の加硫は、例えば、積層体を加硫缶内で加熱及び加圧して、積層されたそれぞれの未加硫ゴムシートを一体化させればよい。加硫温度は100℃〜180℃程度、圧力は0.5MPa〜2.0MPa程度、時間は10分〜60分程度とすることができる。

第1から第3の未加硫ゴムシート213〜215は、例えば、ニーダー、又はバンバリーミキサ等を用いて所定の配合でゴム組成物を混練した後、カレンダ成形又は押出成形等を行うことにより作製することができる。未加硫ゴムシートの厚さは、特に限定されないが0.1mm〜1mm程度とすることができる。

第1から第3の未加硫ゴムシート213〜215の原料ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマ等が挙げられる。

第1から第3の未加硫ゴムシート213〜215には、例えば、架橋剤(例えば、硫黄、有機過酸化物)、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、カーボンブラックなどの補強材、及び充填材等を配合することができる。第1から第3の未加硫ゴムシート213〜215には、短繊維が配合されていてもよいが、心線との接着性の点から、少なくとも接着ゴム層となる第2の未加硫ゴムシート214及び第3の未加硫ゴムシート215は、短繊維が配合されていないことが好ましい。

第2の未加硫ゴムシート214と第3の未加硫ゴムシート215とは、厚さ及び組成が同じであっても、異なっていてもよい。また、第1の未加硫ゴムシート213と第2の未加硫ゴムシート214及び第3の未加硫ゴムシート215とは、厚さ及び組成が同じであっても、異なっていてもよい。

心線112は、必要とするベルトの特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、若しくはレーヨン繊維などの有機繊維、又はガラス繊維、若しくはスチールなどの無機繊維等をコード状に結束したもの等を用いることができる。

心線112の前処理は、例えば、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理液に心線を浸漬して焼き付けを行った後、必要に応じてゴム糊に浸漬して加熱乾燥すればよい。RFL処理液への浸漬及び焼き付けは、必要に応じて複数回繰り返すことができる。ゴム糊は、接着ゴム層を構成するゴム組成物に用いられているゴムと同様のゴムをトルエン等に溶解したものとすることができる。

なお、抗張体層111は、心線112を同一平面で且つ等間隔に配置できれば、上記の方法に限らず、どのような方法により成型及び加硫してもよい。また、図6に示すように、抗張体層111の背面に帆布114が加硫接着された構成とすることもできる。

<圧縮ゴム層用ゴム部材> 圧縮ゴム層121となる圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの成形及び加硫の一例を以下に示す。まず、所定の組成で混練されたゴム組成物をペレット状又はリボン状にしてゴム用押出機に供給する。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの断面形状に応じた口金を用いて目的の形状の未加硫ゴム部材を連続的に押出成形する。次に、この未加硫ゴム部材を加硫する。これにより、オープンエンドの圧縮ゴム層用ゴム部材121Aが得られる。

未加硫ゴム部材の加硫は、例えば図7に示すような装置(ロートプレス)により行うことができる。図7において、金属ドラム232の外周表面円周方向には、未加硫ゴム部材251がちょうど収まる形状の溝が形成されている。金属ドラム232の溝に未加硫ゴム部材251を連続して供給する。金属ドラム232とプーリ233に掛け渡されたスチールバンド240で未加硫ゴム部材251を挟み込み所定の温度と圧力で連続的にプレス加硫する。加硫温度は例えば100℃〜180℃程度、成形圧力は例えば0.5MPa〜2.0MPa程度、加硫時間は例えば10分〜60分程度とすることができる。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aは、必要とするベルトの特性に応じた組成とすればよい。原料ゴム成分として、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマ等を用いることができる。配合剤として、例えば、架橋剤(例えば、硫黄、有機過酸化物)、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、カーボンブラックなどの補強材、充填材、及び短繊維等を用いることができる。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aに用いるゴム組成物に配合する短繊維としては、例えば、ポリアミド短繊維、ビニロン短繊維、アラミド短繊維、ポリエステル短繊維、及び綿短繊維等が挙げられる。短繊維は、例えば、長さが0.2〜5.0mm、及び、繊維径が10〜50μmである。短繊維は、例えば、RFL水溶液等に浸漬した後に加熱する接着処理を施した長繊維を、長さ方向に沿って所定長に切断して製造すればよい。短繊維は必要に応じて配合すればよく、配合しなくてもよい。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを押出成形する場合においても、短繊維量の調整等を行うことにより、必要とする方向に短繊維を配向させることができる。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを押出成形し、連続して加硫することにより、形状及び特性が揃った圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを容易に得ることができる。しかし、他の方法により加硫してもよい。例えば、未加硫ゴム部材を予め所定の長さに切断した後、通常の平面プレスにより加硫してもよい。また、押出成形以外の方法により圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを形成してもよい。図8に示すように、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面に帆布124が接着されている構成とすることもできる。

オープンエンドの圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを形成する例を示したが、オープンエンドの未加硫ゴム部材を加硫する際に長さ方向の端部同士を加硫接着し、加硫が終わった状態でエンドレスの形状とすることもできる。また、予めエンドレスの形状に成形及び加硫して圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを形成することもできる。

<抗張体層と圧縮ゴム層用ゴム部材との接着> 抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着することにより、抗張体層111と圧縮ゴム層121とを有する伝動ベルトが得られる。抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着は以下のようにして行うことができる。

−遊離基開始剤の使用− 抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面を活性化し、活性化した表面同士を圧着することにより、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着できる。表面の活性化には遊離基開始剤を用いることができる。

遊離基開始剤は、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの少なくとも一方に塗布すればよい。抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面同士を圧着することにより抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着することができる。圧着の際に熱を加えてもよい。

遊離基開始剤には、例えば、トリクロロイソシアヌル酸などのハロゲン−ドナー化合物又は有機過酸化物等を用いることができる。ハロゲン−ドナー化合物及び有機過酸化物としては、例えば特開昭63−86730号公報に記載のグリコールウリルクロラミン、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3,5−トリクロロ−2,4−ジオキソヘキサヒドロトリアジン、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド、シアナミド誘導体、N−クロロアミノ縮合生成物、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、及びN−クロロスルホンアミド等が挙げられる。N−クロロアミノ縮合生成物としては、例えばジクロロアゾジカルボンアミジンとN−クロロメラミンが挙げられる。N−クロロスルホンアミド及びその関連化合物としては、例えばクロラミン−T等のハロゲン−ドナー化合物、及びペルオキシド又はヒドロペルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばジ−第三ブチルペルオキシド、第三ブチルクミルペルキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(第三ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ−(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、第三ブチルペルオキシーイソプロピルカーボネート、及び1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。

−接着剤の使用− 抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとは接着剤により接着することもできる。例えば、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの少なくとも一方に接着剤を塗布する。この後、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面同士を圧着することにより抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着することができる。圧着の際に熱を加えてもよい。

接着剤としては例えば、ポリ尿素系の接着剤(例えば、特表2010−507689号公報等を参照。)、シランカップリング剤を含む接着剤(例えば、特開平9−240217号公報等を参照。)、アクリル変性シリコーン樹脂、常温湿気硬化型弾性接着剤(例えば、セメダイン株式会社より市販されているスーパーXシリーズ等)、ポリウレタン接着剤(例えば、J Adhes VOL.50 No.1 Page.25-42(1995.05)等を参照。)、エポキシ化合物を含んだ接着剤、加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体からなる接着剤、及びイソシアネート含有ゴム組成物からなる接着剤(例えば、特開2001−316656号公報等を参照。)等を用いることができる。

加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体の例としては、鐘淵化学工業社製のSMAP(カネカテレケリックポリアクリレート)SA100S、SA110S、SA120及びSA200SX、並びにカネカMSポリマーS943等を挙げることができる。これらのポリマーを主成分とする接着剤は、他の成分を含んでいてもよい。例えば、カーボンブラック、シリカ及び炭酸カルシウムの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、シランカップリング剤を含んでいてもよい。一般的な硬化剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、チクロトロピー性付与剤、老化防止剤、帯電防止剤及び接着性付与剤等の少なくとも1つを含んでいてもよい。

イソシアネート含有ゴム組成物からなる接着剤としては、イソシアネートを含むゴム組成物を溶剤へ溶かして用いることができる。溶剤としては特に限定されず、例えば、炭化水素類、塩素化炭化水素類、ケトン類、及びエステル類等を挙げることができる。湿度の影響を考えると水との相溶性の小さい方が好ましい。湿度及び温度等に影響受けにくくするために溶剤のSP値が18.4([J/cm3]1/2)以下であるものがより好ましい。SP値が18.4([J/cm3]1/2)以下である化合物としては、例えば、n−ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、酢酸エチル、ミネラルスピリット、石油エーテル、及びエチルエーテル等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

イソシアネートを含むゴム組成物に、ゴム配合剤が配合されていてもよい。ゴム配合剤としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、及びタルク等の補強剤又は充填剤、t−ブチルフェノール樹脂、クマロン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ロジン誘導体、及び石油系炭化水素樹脂等の粘着付与剤、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等の老化防止剤、並びにMgO、ZnO、及びPbO等の加硫剤等を挙げることができる。

イソシアネート含有ゴム組成物からなる接着剤を抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの少なくとも一方に塗布して乾燥した後、温度が20℃〜30℃程度で、湿度が65%程度の条件で圧着することにより抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを強固に接着させることができる。

接着剤として、未加硫のゴム組成物を用いることもできる。具体的には、ゴム組成物を溶媒に溶解又は分散媒に分散させたものを接着剤とすることができる。接着用のゴム組成物の組成は、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの組成に応じて適宜選択すればよい。例えば、主成分であるゴムとして、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、並びにエチレンプロピレンゴム及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマ、並びにこれらのラテックス等を用いることができる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。

接着用のゴム組成物には加硫剤、加硫促進剤、補強材、充填剤、可塑剤(軟化剤)、老化防止剤、及び加工助剤等の配合剤を添加してもよい。

加硫剤としては、特に制限はなく、一般的なゴム加硫剤を用いることができる。例えば、イオウ系架橋剤、有機過酸化物架橋剤、金属酸化物、キノンジオキシム化合物、イソシアネート化合物、及びニトリルオキシド化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

加硫促進剤としては、特に制限はなく、一般的なゴム加硫促進剤を用いることができる。例えば、チアゾール化合物、グアニジン化合物、チウラム化合物、ジチオカルバミン酸塩化合物、アルデヒド−アミン化合物、チオウレア化合物、スルフェンアミド化合物、キサントゲン酸塩化合物、有機アミン、ヘキサメチレンテトラミン、ポリ−p−ジニトロシベンゼン、並びにN,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

補強材としてはカーボンブラック、シリカ、及び短繊維等の公知の材料を用いることができる。充填剤、可塑剤、老化防止剤、加工助剤、その他配合剤についても公知の材料を用いることができる。

接着用のゴム組成物を溶解させる溶媒又は分散させる分散媒として、脂肪族及び脂環式炭化水素、芳香族化合物、及びアルコールなどの有機溶剤、水、並びにこれらの混合物等を用いることができる。

接着用のゴム組成物からなる接着剤を、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの少なくとも一方の表面に塗布する。溶媒又は分散媒を蒸発させた後、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを圧着し、室温〜180℃程度の所定の温度を加えることにより、接着することができる。

−接着ゴムシートの使用− 接着用のゴム組成物により形成した接着ゴムシート122Aを用いて抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着してもよい。例えば、図9(a)に示すように、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの間に、接着ゴムシート122Aを配置した状態で圧着し、室温〜180℃程度の所定の温度を加える。これにより、図9(b)に示すように抗張体層111と圧縮ゴム層121との間に加硫された接着ゴムシート122が介在する伝動ベルトが得られる。

接着ゴムシート122Aは、先に示した接着用のゴム組成物と同様の配合のゴム組成物により形成することができる。所定の配合のゴム組成物をニーダー、又はバンバリーミキサ等を用いて混練した後、カレンダ成形又は押出成形等を行うことにより0.1mm〜1mm程度の厚さのシートとすればよい。

本実施形態において示した抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着方法は、複数を組み合わせてもよい。例えば、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面に遊離基開始剤と接着剤とを塗布して圧着することにより、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着してもよい。また、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面に遊離基開始剤を塗布して表面を活性化した後、表面を活性化した抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの間に接着ゴムシート122Aを配置して圧着し、さらに所定の温度を加えることにより抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着してもよい。遊離基開始剤に代えて抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの表面に接着剤を塗布してもよい。また、遊離基開始剤と接着剤とを併用してもよい。

抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着する際に、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの少なくとも一方の表面に表面処理を行ってもよい。例えば、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射、又は機械的バフ等による処理を行うことができる。ジカルボン酸の溶液を用いた表面処理を行うこともできる。これらの表面処理は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。

抗張体層と圧縮ゴム層用ゴム部材との接着は、切断等により予め所定の幅にしてから行うことができるが、幅広の抗張体層と圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着した後、所定の幅となるように切断してもよい。

<圧縮ゴム層用ゴム部材の両端部の接着> 加硫された圧縮ゴム層用ゴム部材121Aをオープンエンドの紐状に形成した場合には、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの長さ方向の両端部を接着してエンドレス形状とする。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの両端部の接着は、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着と同様に、遊離基開始剤を用いる方法、接着剤を用いる方法、若しくは接着用の接着ゴムシートを用いる方法、又はこれらを組み合わせる方法等により行うことができる。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの両端部を接着するための遊離基開始剤、接着剤及び接着ゴムシートには、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着するための遊離基開始剤、接着剤及び接着ゴムシートを同様に用いることができる。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの両端部の接着は、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着と同じ方法で行ってもよく、異なる方法により行ってもよい。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの両端部の接着は、図3(a)及び(b)に示すように、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着と同じ工程において行うことができる。但し、図10に示すように、抗張体層111と圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとの接着よりも前に行い、エンドレス形状となった圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを抗張体層111に接着してもよい。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aが加硫した状態でエンドレスとなっている場合には、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの長さ方向の両端部を接着する工程を行わなくてよい。

圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの両端部を接着する際にも、接着面に表面処理を行うことができる。例えば、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射、又は機械的バフ等による処理を行うことができる。ジカルボン酸の溶液を用いた表面処理を行うこともできる。これらの表面処理は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。

本実施形態の伝動ベルトの製造にオープンエンドの圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを用いた場合には、図1(a)に示すように、圧縮ゴム層121に接着部121aが認められる場合がある。圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの長さ方向の両端部は、接着できればどのようになっていてもよいが、互いに一致するように斜めにカットされた形状とすることができる。この場合、図11(a)に示すように、圧縮ゴム層121の接着部121aは、伝動ベルトの長さ方向に対して斜めになる。これにより、接着面積を大きくすると共に、接着ヶ所に段差等が生じにくくすることができる。接着部121aのジョイント角度θは限定されないが、例えば45°とすることができる。また、図11(b)に示すように両端部に互いに嵌め合うことができる凹凸を設けた、フィンガージョイントとすることもできる。また、接着用の接着ゴムシートを用いて圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを接着する場合には、図11(c)に示すように加硫された接着ゴムシート123が介在する構成となる。

なお、先に説明したように圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとしてエンドレスの状態に成形して加硫したものを用いることもできる。この場合には、圧縮ゴム層121に接着部121aが認められない伝動ベルトが得られる。

以上説明したように、本実施形態の伝動ベルトの製造方法は、加硫した抗張体層111と加硫した圧縮ゴム層用ゴム部材121Aとを接着する。このため、抗張体層と圧縮ゴム層とを一体成形する場合と異なり、接着時に圧力を加えたとしても抗張体層に埋め込まれた心線の厚さ方向及び幅方向の並びが乱れることがない。また、種々の伝動ベルトにおいて抗張体層111を共通とすることができ、伝動ベルトの製造コストを大幅に削減することができる。圧縮ゴム層121となる圧縮ゴム層用ゴム部材121Aを押出成形により形成した場合には、コスト削減及び寸法精度の向上も期待できる。また、伝動ベルトの長さが異なっていても圧縮ゴム層用ゴム部材を共通とすることができる。抗張体層と圧縮ゴム層となる圧縮ゴム層用ゴム部材とを別々に加硫することができるため、それぞれに最適な加硫を行うことができる。

本実施形態はVベルトを例に説明したが、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aの形状を変更することにより、共通の抗張体層111を用いて種々の伝動ベルトを形成することができる。例えば、長さ方向に複数の溝を設けることによりVリブドベルトとすることができる。

Vリブドベルトの製造方法として、例えば、以下のような方法がある(例えば、特開2009−36302号公報を参照。)。まず、ゴムシートと心線とを積層した積層体を形成する。続いて、図12(a)に示すように、積層体270を溝261を有する外金型260に押圧して凹凸を形成し、押圧した状態で加硫する。この場合、溝261側のゴムを変形させて凹凸を形成するため、周辺のゴム積層部にも変形が及ぶ。このため、溝261の間の位置においてはゴムが左右に押し広げられると共に心線271側に押し上げられる。このため、溝261の間の位置において心線271の上下位置及び水平位置が変化し、溝261の位置においては心線271の間隔が拡がり、上下位置の乱れも生じる。また、溝261の間の位置においては心線271の間隔が縮む。このように、従来のVリブドベルトの製造方法においては、ゴムシートと心線とを積層した状態において心線の厚さ方向及び幅方向の並びに乱れがなくても、凹凸を形成する際に心線の厚さ方向及び幅方向の並びが乱れてしまう。

心線の厚さ方向及び幅方向の並びが乱れたVリブドベルトは、心線同士の間の張力がプーリ上及びプーリ間において大きく変動する。このため、最も張力が高い部分から切断が生じやすくなり、ベルトの寿命が短くなる。一方、本開示の方法によれば、抗張体層111及び圧縮ゴム層用ゴム部材121Aは、加硫された後、接着される。このため、抗張体層111に未加硫の状態で心線112の並びを乱すような力が加わることがない。このため、心線112の並びに乱れが生じにくく、図12(b)に示すように心線112の厚さ方向及び幅方向の並びが揃ったVリブドベルトを実現することが容易にできる。

また、圧縮ゴム層用ゴム部材121Aに規則的な凹凸を設けてコグドベルトとすることができる。さらに、図13に示すように、抗張体層111の内周面と外周面との両方に圧縮ゴム層が設けられたダブルコグドベルトとすることもできる。この場合、内周面に接着する第1の圧縮ゴム層用ゴム部材125と外周面に接着する第2の圧縮ゴム層用ゴム部材126とは異なる形状とすることができる。また、第1の圧縮ゴム層用ゴム部材125と第2の圧縮ゴム層用ゴム部材126とは、異なる配合組成とすることができる。第1の圧縮ゴム層用ゴム部材125と第2の圧縮ゴム層用ゴム部材126とは異なる条件で加硫されていてもよい。これにより、例えば、ダブルコグベルトを容易に形成することができる。

本実施形態の伝動ベルトは、ローエッジベルトとすることができるが、抗張体層111と圧縮ゴム層121とを接着した後、外皮帆布127で覆うことにより、図14に示すような、ラップドベルトとすることもできる。

本実施形態の伝動ベルトの製造方法により、図15に示す歯付ベルト等を形成することもできる。また、本開示は、以上の実施形態に限定されることなく、種々の伝動ベルトに適用することが可能である。

(一実施例) 以下に本開示について実施例を掲げて詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例としてVリブドベルトを示す。

<抗張体層> 表面が平滑な円筒状の成形ドラムの外周面にカバーゴム層となる第1の未加硫ゴムシートを巻き付け、次に接着ゴム層となる第2の未加硫ゴムシートを巻き付け、次に前処理した心線を螺旋状にスピニングし、さらに接着ゴム層となる第3の未加硫ゴムシートを巻き付け、円筒状の積層体を作製した。金型上の積層体にゴムスリーブをかぶせた後、加硫缶内で加熱(160℃)及び加圧(1.0MPa)し、未加硫ゴムシートを一体化させて、エンドレスの抗張体層を作製した。

カバーゴム層となる第1の未加硫ゴムシート及び接着ゴム層となる第2及び第3の未加硫ゴムシートは、それぞれ表1及び表2に示す配合とした。混練にはバンバリーミキサを用いた。カバーゴム層となる第1の未加硫ゴムシートの厚さは0.5mm、接着ゴム層となる第2及び第3の未加硫シートの厚さは0.4mmとした。未加硫ゴムシートは、それぞれカレンダにより形成した。

心線は、ポリエチレンテレフタレートとした。心線は、RFL処理液に浸漬して焼き付ける工程を複数回繰り返し、この後、ゴム糊に浸漬して加熱乾燥した後、巻き取って使用した。ゴム糊は、表2に示す組成のゴム配合物をトルエンに溶解して用いた。

<圧縮ゴム層用ゴム部材> 表1の組成のゴム配合物をバンバリーミキサを用いて混練した後、混練したゴム配合物をペレット状にした。ペレット状のゴム配合物を、抗張体層の成形幅と同じ幅のリブ溝形状の口金を有する一軸ベント付き押出機に供給し、リブ溝形状の未加硫ゴム部材を押出成形した。次に、図7に示すロートプレスを用いて連続的に加硫した。具体的には、外周表面円周方向にリブ形状に合わせた溝を有する円筒状の金属ドラムに、未加硫ゴム部材をリブ部を合わせて連続して供給した。金属ドラムとスチールバンドにより未加硫ゴム部材を挟み込み、所定の温度と圧力で連続的にプレス加硫しリブ形状の圧縮ゴム層用ゴム部材を得た。加硫温度は160℃程度、圧力は1.0MPa程度、時間は30分程度とした。

<接着> 抗張体層と圧縮ゴム層用ゴム部材との接着及び圧縮ゴム層用ゴム部材の端部同士の接着は、接着ゴムシートを用いて行った。接着ゴムシートは、表3に示す組成とした。接着ゴムシートは、バンバリーミキサを用いて混練した後、カレンダにより厚さが0.3mmのシート状に形成した。

円筒状金型表面上において加硫成形された抗張体層の上に接着ゴムシートを巻き付けた。次に、所定の周長に合わせて超音波カッターでカットしたリブ形状にプレス加硫した圧縮ゴム層用ゴム部材を、接着用ゴムシート上に貼り合せた。圧縮ゴム層用ゴム部材の長さ方向の両端部は互いに一致するように斜め45°にカットした。このカット面にも未加硫の接着ゴムシートを張り付けて端面同士を突き合わせた。次に、この成形体の表面にゴム製のスリーブを装着して、加熱及び加圧して、抗張帯層と圧縮ゴム層用ゴム部材とを接着した。接着は、加圧オーブンにより、温度を120℃とし、圧力を1.0MPaして、4時間行った。この後、所定のリブ数(幅)にカットしてVリブドベルトを製作した。

本開示の伝動ベルト伝動ベルトの製造方法は、心線のピッチに乱れが生じにくく、伝動ベルトの製造方法等として有用である。

111 抗張体層 112 心線 114 帆布 115 接着ゴム層 116 カバーゴム層 121 圧縮ゴム層 121A 圧縮ゴム層用ゴム部材 121a 接着部 122 接着ゴムシート 122A 接着ゴムシート 123 接着ゴムシート 124 帆布 125 第1の圧縮ゴム層用ゴム部材 126 第2の圧縮ゴム層用ゴム部材 127 外皮帆布 211 成形ドラム 213 第1の未加硫ゴムシート 214 第2の未加硫ゴムシート 215 第3の未加硫ゴムシート 232 金属ドラム 233 プーリ 240 スチールバンド 251 未加硫ゴム部材 260 外金型 261 溝 270 積層体 271 心線

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