電磁クラッチおよびその製造方法

申请号 JP2014007892 申请日 2014-01-20 公开(公告)号 JP6229507B2 公开(公告)日 2017-11-15
申请人 株式会社デンソー; 发明人 福村 佳紀; 田渕 泰生;
摘要
权利要求

通電時に電磁吸引を発生する電磁コイル(36)と、 駆動源からの回転駆動力を受けた際に回転中心線(O)を中心に回転するとともに、前記回転中心線(O)の軸線方向において互いに離間した第1の面(13a)および第2の面(13b)を有し、前記第1の面(13a)および前記第2の面(13b)が、前記軸線方向に直交する方向に延設されているロータ(10)と、 従動側機器(2)の回転軸(2a)に連結可能であって、前記電磁コイル(36)の通電時に前記電磁吸引力によって前記ロータ(10)の前記第1の面(13a)に吸着されるとともに、前記電磁コイル(36)の非通電時に前記ロータ(10)の前記第1の面(13a)から切り離されるアーマチュア(20)と、 前記軸線方向において前記ロータ(10)の前記第2の面(13b)に対向して配置され、かつ、前記第2の面(13b)との間に空間(60)を形成するとともに、前記第2の面(13b)側に開口部(30a)を有し、前記開口部(30a)に連なる内部空間(300)に前記電磁コイル(36)を収容するステータ(30)と、 前記ステータ(30)の前記開口部(30a)を塞ぎ、前記電磁コイル(36)を前記ステータ(30)の前記内部空間(300)内に封止する樹脂部材(37)と、 前記ステータ(30)の前記開口部(30a)に位置する前記樹脂部材(37)の一部によって保持され、所定温度以上となった時に溶断して前記電磁コイル(36)への電流の供給を遮断する温度ヒューズ(35)とを備え、 前記樹脂部材(37)は、前記第2の面(13b)側に位置する前記樹脂部材(37)の表面のうちの前記温度ヒューズ(35)に隣接する所定の位置に設けられた凹部(40、41)を有することを特徴とする電磁クラッチ。前記凹部(40、41)は、前記樹脂部材(37)の前記表面において、前記温度ヒューズ(35)の一方の側および他方の側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。前記ロータ(10)は、前記第1の面(13a)と前記第2の面(13b)との間を貫通して延びるスリット(13c、13d)を有し、 前記温度ヒューズ(35)の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、前記スリット(13c、13d)と前記温度ヒューズ(35)の断面の中心(C)とを最短距離で結ぶ仮想線(L1、L2)に対し、前記凹部(40、41)の外縁部(40a、41a)は、前記仮想線(L1、L2)の反第2の面(13b)側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)は、前記凹部(40、41)と前記温度ヒューズ(35)との間に位置する前記樹脂部材(37)の薄膜部(37b)で覆われていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)は、熱によって溶断する可溶材(352)と、前記可溶材(352)を収容するケース(351)とを有し、 前記ケース(351)は前記薄膜部(37b)から露出した露出部(35a)を有し、 前記ケース(351)の前記露出部(35a)は、前記ケース(351)と比較して輻射熱の波長域における吸光度が高い塗装皮膜(35c)で覆われていることを特徴とする請求項4に記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)の外周面(350)の周方向における範囲のうちの少なくとも半分は、前記樹脂部材(37)から露出し、前記温度ヒューズ(35)の露出部(35a)を形成していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)は、熱によって溶断する可溶材(352)と、前記可溶材(352)を収容するケース(351)とを有し、 前記ケース(351)は前記樹脂部材(37)から露出した露出部(35a)を有し、 前記ケース(351)の前記露出部(35a)は、前記ケース(351)と比較して輻射熱の波長域における吸光度が高い塗装皮膜(35c)で覆われていることを特徴とする請求項6に記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、前記凹部(40、41)は、少なくとも前記温度ヒューズ(35)の断面の中心(C)の位置に対応する深さまで凹設されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)の反第2の面(13b)側に配置された支持部(34b、44)を備え、 前記支持部(34b、44)は、前記温度ヒューズ(35)に向かって突出する第1の支持アーム(34b1、44b1)および第2の支持アーム(34b2、44b2)を有し、 前記第1の支持アーム(34b1、44b1)および前記第2の支持アーム(34b2、44b2)は、互いに離間する方向にそれぞれ弾性変形可能であり、 前記温度ヒューズ(35)の外周面(350)のうちの一部は、前記第1の支持アーム(34b1、44b1)および前記第2の支持アーム(34b2、44b2)の間に形成された収容溝(340、440)に収容されており、 前記収容溝(340、440)の断面は、前記温度ヒューズ(35)から離間する方向に向かった先細りになっており、 前記収容溝(340、440)の底部(340c、440c)と、前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)との間には、空間(360)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)の周方向における範囲のうちの少なくとも半分は、前記収容溝(340、440)から露出されていることを特徴とする請求項9に記載の電磁クラッチ。前記温度ヒューズ(35)の反第2の面(13b)側に配置された支持部(44、64、74)を備え、 前記支持部(44、64、74)は、エラストマーから形成され、前記温度ヒューズ(35)の外周面(350)の一部を支持することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電磁クラッチ。請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電磁クラッチの製造方法であって、 前記電磁コイル(36)と、円柱形状に形成された前記温度ヒューズ(35)とを前記ステータ(30)の前記内部空間(300)に配置することと、 金型(50)を前記温度ヒューズ(35)上に配置し、前記金型(50)の凸部(52、53)から凹設され、前記温度ヒューズ(35)の外周面(350)の曲率半径以上の曲率半径を有する円弧状の曲面をなす前記金型(50)の凹面(51a、54a)を、前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)に当接させることと、 溶融状態にある樹脂材料を前記ステータ(30)の前記内部空間(300)に充填し、前記金型(50)の前記凸部(52、53)によって形成される前記凹部(40、41)を有する前記樹脂部材(37)を成形することとを、順に行うことを特徴とする電磁クラッチの製造方法。前記金型(50)の前記凹面(51a、54a)を前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)に当接させることは、前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)の曲率半径より大きい曲率半径を有する前記金型(50)の前記凹面(51a、54a)を、前記温度ヒューズ(35)の前記外周面(350)に当接させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の電磁クラッチの製造方法。

说明书全文

本発明は、電磁クラッチおよびその製造方法に関するものである。

特許文献1には、温度ヒューズを備える電磁クラッチが開示されている。温度ヒューズは、圧縮機のロック時にアーマチュアの摩擦面とロータの摩擦面との間に発生する摩擦熱によって溶断することで、電磁コイルへの電流の供給を遮断して電磁クラッチを動遮断状態とするためのものである。

特許文献1の電磁クラッチでは、温度ヒューズは、ステータの内部に配置され、ステータの開口部を封止する樹脂部材に覆われている。この樹脂部材によって温度ヒューズがステータの内部に固定されている。

特開平10−89385号公報

上記した従来技術では、後述する比較例のように、温度ヒューズを覆う樹脂部材の表面はロータの回転中心線に垂直な平坦面であるので、温度ヒューズを覆う樹脂部材は、ロータの回転中心線の軸線方向では薄くても、回転中心線に対して斜めの方向では厚くなっている。このため、回転中心線に対して斜めの方向から温度ヒューズの中心に向かって樹脂部材に入射する輻射熱は、温度ヒューズに伝わり難い。このような理由により、上記した従来技術では、温度ヒューズの応答性が低い。

本発明は上記の点に鑑みて、改善された応答性を有する温度ヒューズを備えた電磁クラッチと、その製造方法とを提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明における電磁クラッチは、電磁コイルと、ロータと、アーマチュアと、ステータと、樹脂部材と、温度ヒューズとを備える。電磁コイルは、通電時に電磁吸引力を発生する。ロータは、駆動源からの回転駆動力を受けた際に回転中心線を中心に回転するとともに、回転中心線の軸線方向において互いに離間した第1の面および第2の面を有し、第1の面および第2の面が、軸線方向に直交する方向に延設されている。アーマチュアは、従動側機器の回転軸に連結可能であって、電磁コイルの通電時に電磁吸引力によってロータの第1の面に吸着されるとともに、電磁コイルの非通電時にロータの第1の面から切り離される。ステータは、軸線方向においてロータの第2の面に対向して配置され、かつ、第2の面との間に空間を形成するとともに、第2の面側に開口部を有し、開口部に連なる内部空間に電磁コイルを収容する。樹脂部材は、ステータの開口部を塞ぎ、電磁コイルをステータの内部空間内に封止する。温度ヒューズは、ステータの開口部に位置する樹脂部材の一部によって保持され、所定温度以上となった時に溶断して電磁コイルへの電流の供給を遮断する。そして、本発明では、樹脂部材は、第2の面側に位置する樹脂部材の表面のうちの温度ヒューズに隣接する所定の位置に設けられた凹部を有することを特徴としている。

また、請求項12に記載の発明における電磁クラッチの製造方法では、電磁コイルと、円柱形状に形成された温度ヒューズとをステータの内部空間に配置する。次いで、金型を温度ヒューズ上に配置し、金型の凸部から凹設され、温度ヒューズの外周面の曲率半径以上の曲率半径を有する円弧状の曲面をなす金型の凹面を、温度ヒューズの外周面に当接させる。その後、溶融状態にある樹脂材料をステータの内部空間に充填し、金型の凸部によって形成される凹部を有する樹脂部材を成形することを特徴としている。

請求項1、12に記載の発明では、樹脂部材の表面に凹部を形成することで、温度ヒューズの隣に空間を形成して、輻射熱が伝わり易い経路を確保している。このため、これらの発明によれば、上記した従来技術と比較して、回転軸に対して斜めの方向から入射する輻射熱が温度ヒューズに伝わりやすくなるので、温度ヒューズの応答性を向上できる。

第1実施形態における電磁クラッチの構成を示す断面図である。

図1のステータをアーマチュア側から見た正面図である。

図2の領域IIIの一部拡大図である。

図1の領域IVの一部拡大図である。

樹脂部材で封止する前の状態の第1実施形態のステータの正面図である。

(a)は、第1実施形態の樹脂部材の樹脂成形に用いる金型の断面図であり、(b)は、図3のVIB−VIB線における断面図であり、(c)は、(b)のコイルスプールの台座の部分断面図である。

比較例における電磁クラッチの部分断面図である。

第2実施形態における樹脂部材のうち温度ヒューズを覆う部分の正面図である。

(a)は、第2実施形態の樹脂部材の樹脂成形に用いる金型の断面図であり、(b)は、図8のIXB−IXB線における断面図である。

(a)は、第2実施形態の樹脂部材の樹脂成形に用いる金型の断面図であり、(b)は、図8のXB−XB線における断面図である。

第3実施形態における樹脂部材のうち温度ヒューズを覆う部分の正面図である。

(a)は、第3実施形態の樹脂部材の樹脂成形に用いる金型の断面図であり、(b)は、図11のXIIB−XIIB線における断面図である。

(a)は、第1−第3実施形態の台座の第1の変形例を示す部分断面図であり、(b)は、第1−第3実施形態の台座の第2の変形例を示す部分断面図であり、図13(c)は、第1−第3実施形態の台座の第3の変形例を示す部分断面図である。

以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。

(第1実施形態) 図1に示す第1実施形態の電磁クラッチ1は、車両走行用駆動力を出力する駆動源としてのエンジンから回転駆動力を得て、圧縮機構を回転駆動させる圧縮機2のクラッチ機構に本発明の原理を適用したものである。したがって、本実施形態では、エンジンが駆動源であり、圧縮機2が従動側機器である。

圧縮機2は、冷媒を吸入して圧縮するものであり、圧縮機2からの吐出冷媒を放熱させる放熱器、放熱器からの流出冷媒を減圧膨張させる膨張弁、および、膨張弁にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器とともに、車両用空調装置の冷凍サイクル装置を構成する。

電磁クラッチ1は、エンジンからの回転駆動力を受けた際に回転中心線Oを中心に回転する駆動側回転体を構成するロータ10と、圧縮機2の回転軸2aに連結された従動側回転体を構成するアーマチュア20とを有する。このロータ10とアーマチュア20とを連結したり、切り離したりすることで、エンジンから圧縮機2への回転駆動力の伝達を断続する。なお、図1は、ロータ10とアーマチュア20とを互いに切り離した状態を示している。

つまり、電磁クラッチ1がロータ10とアーマチュア20とを連結すると、エンジンの回転駆動力が圧縮機2に伝達されて、冷凍サイクル装置が作動する。一方、電磁クラッチ1がロータ10とアーマチュア20とを切り離すと、エンジンの回転駆動力が圧縮機2に伝達されることはなく、冷凍サイクル装置も作動しない。なお、電磁クラッチ1は、冷凍サイクル装置の各種構成機器の作動を制御する空調制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。

以下、電磁クラッチ1の具体的な構成について説明する。図1に示すように、電磁クラッチ1は、ロータ10、アーマチュア20およびステータ30を備えている。

ロータ10は、アーマチュア20から離れた側である反アーマチュア20側が開口した断面U字形状の二重円筒構造である。すなわち、ロータ10は、外側円筒部11と、この外側円筒部11の内周側に配置される内側円筒部12と、外側円筒部11および内側円筒部12のアーマチュア20側の端部同士を結ぶように回転中心線Oに直交する方向に広がる端面部(壁部)13とを有している。外側円筒部11、内側円筒部12および端面部13は、鉄等の磁性体で構成されている。

外側円筒部11および内側円筒部12は、圧縮機2の回転軸2aに対して同軸上に配置されている。すなわち、図1に示す回転中心線Oは、外側円筒部11および内側円筒部12の回転中心線であるとともに、回転軸2aの回転中心線でもある。外側円筒部11の外周側には、Vベルトが掛けられるV溝11aが形成されている。内側円筒部12の内周側には、ボールベアリング14の外側レースが固定されている。

ボールベアリング14は、圧縮機2の外殻を形成するハウジングに対して、ロータ10を回転自在に固定するものである。そのため、ボールベアリング14の内側レースは、圧縮機2のハウジングに設けられたハウジングボス部2bに固定されている。

壁部としての端面部13は、回転中心線Oの軸線方向における一方の側および他方の側にそれぞれ配置された一方の端面(以下、摩擦面と称する)13aおよび他方の端面13bを有し、これらの端面13a、13bは、軸線方向において互いに離間するとともに、軸線方向に直交する方向にそれぞれ延設されている。端面部13には、軸線方向から見たときに径方向に2列に並んだ円弧状の複数の断磁スリット13c、13dが断磁スリット形成部13c1、13d1によって形成されている。この断磁スリット13c、13dは、端面部13を軸線方向に貫通して延びている。別の言い方をすれば、断磁スリット13c、13dは、端面部13の一方の端面、すなわち、摩擦面13aと他方の端面13bを貫通している。端面部13の一方の端面、すなわち、摩擦面13aは、アーマチュア20に対向しており、ロータ10とアーマチュア20が連結された際に、アーマチュア20と接触するロータ10の摩擦面となる。端面部13の摩擦面13aおよび端面13bは、本発明における第1の面および第2の面をそれぞれ構成している。

本実施形態では、端面部13の摩擦面13aの一部に、端面部13の摩擦係数を増加させるための摩擦部材15を配置している。この摩擦部材15は、非磁性材で形成されており、具体的には、アルミナを樹脂で固めたものや、アルミニウム粉末等の金属粉末の焼結材を採用できる。

アーマチュア20は、鉄等の磁性材で構成されている。アーマチュア20は、回転中心線Oに直交する方向に広がるとともに、中心部にその表裏を軸線方向に貫通する貫通穴が形成された円板状部材である。このアーマチュア20の回転中心は、圧縮機2の回転軸2aに対して同軸上に配置されている。すなわち、アーマチュア20の回転中心線は、回転中心線Oと一致している。

アーマチュア20には、ロータ10の端面部13と同様に、軸線方向から見たときに円弧状の複数の断磁スリット20cが形成されている。この断磁スリット20cは、アーマチュア20の一方の端面(以下、摩擦面と称する)20aと他方の端面20bを貫通している。この断磁スリット20cは、端面部13の径方向内側の断磁スリット13cと端面部13の径方向外側の断磁スリット13dとの間に位置付けられている。

また、アーマチュア20の一方の端面、すなわち、摩擦面20aは、ロータ10の摩擦面13aに対向しており、ロータ10とアーマチュア20が連結された際に、ロータ10と接触する摩擦面を形成している。さらに、アーマチュア20の他方の端面20bには、略円盤状のアウターハブ21が固定されている。

アウターハブ21は、後述するインナーハブ22とともに、アーマチュア20と圧縮機2の回転軸2aとを連結する連結部材を構成している。アウターハブ21とインナーハブ22は、それぞれ回転中心線Oの軸線方向に延びる円筒部21a、22aを有しており、アウターハブ21の円筒部21aの内周面およびインナーハブ22の円筒部22aの外周面には、弾性材料(エラストマー)からなる弾性部材である円筒状のゴム23が加硫接着されている。

さらに、インナーハブ22は、圧縮機2の回転軸2aに設けられたネジ穴にボルト24によって締め付けられることによって固定されている。すなわち、インナーハブ22は圧縮機2の回転軸2aに連結可能に構成されている。

これにより、アーマチュア20、アウターハブ21、ゴム23、インナーハブ22、および圧縮機2の回転軸2aが連結される。そして、ロータ10とアーマチュア20が連結されると、アーマチュア20、アウターハブ21、ゴム23、インナーハブ22、および圧縮機2の回転軸2aがロータ10とともに回転する。

また、ゴム23は、アウターハブ21に対してロータ10から離れる方向に弾性力を作用させている。この弾性力により、ロータ10とアーマチュア20が切り離された状態では、アウターハブ21に連結されたアーマチュア20の摩擦面20aとロータ10の摩擦面13aとの間に予め定めた所定間隔の隙間が形成される。

ステータ30は、ロータ10の外側円筒部11、内側円筒部12および端面部13によって囲まれたロータ10の内部空間600に配置されている。このため、ステータ30は、端面部13の他方の端面13bに対向しており、端面部13の他方の端面13bとの間に空間60を形成している。ステータ30は、鉄等の磁性体で構成されており、内部に電磁コイル36を収納している。

ステータ30は、端面13b側(すなわち、摩擦面13a側)に開口部30aを有する断面U字形状の二重円筒構造である。具体的には、ステータ30は、外側円筒部31と、この外側円筒部11の内周側に配置される内側円筒部32と、外側円筒部31および内側円筒部32のロータ10の摩擦面13aから離れた側の端部同士を結ぶように回転中心線Oに直交する方向に広がる端面部33とを有している。

ステータ30の開口部30aに連なるステータ30の内部空間300には、円環状のコイルスプール34と温度ヒューズ35が収容されている。コイルスプール34は樹脂材料(ポリアミド樹脂等)から形成されている。コイルスプール34上に、電磁コイル36が巻回されている。

温度ヒューズ35は、ステータ30の開口部30a側に配置されている。本実施形態では、温度ヒューズ35は、コイルスプール34の内周部に設けられた凹所に配置されている。この凹所は、コイルスプール34のアーマチュア20側の側壁部34aの段付き形状によって構成されている。

さらに、ステータ30の開口部30a側に、電磁コイル36を封止する樹脂部材37が設けられている。これにより、図2に示すように、ステータ30の開口部30aが樹脂部材37によって塞がれている。また、図1に示すように、温度ヒューズ35は、開口部30aに位置する樹脂部材37に保持されている。樹脂部材37は、ポリアミド樹脂等で構成されており、黒色である。

また、ステータ30の端面部33の外側(図1の右側)には、ステータプレート38が固定されている。このステータプレート38を介して、ステータ30は、圧縮機2のハウジングに固定されている。

次に、ステータ30における温度ヒューズ35の固定構造について詳細に説明する。温度ヒューズ35は、圧縮機2の回転軸2aのロック時に、アーマチュア20の摩擦面20aとロータ10の摩擦面13aの滑りによって発生する摩擦熱で溶断し、電磁コイル36への電流の供給を遮断するためのものである。このため、図3、4に示すように、樹脂部材37は、ロータ10の高温部からの輻射熱が温度ヒューズ35に到達しやすい構造となっている。

温度ヒューズ35は、外形が円柱形状であり、円筒形状のケース351と、ケース351の内部に収容された可溶材352とを有している。本実施形態では、ケース351はセラミックス製であり、可溶材352は低融点合金である。ケース351自体の色が白色である。

温度ヒューズ35は、後述する図5に示すように、円柱形状をなす温度ヒューズ35の軸線方向(すなわち、温度ヒューズ35の長手方向)がステータ30の周方向に沿うように配置されている。このため、図4や後述する図6(b)に示すように、ステータ30の周方向に垂直な断面を見たとき、温度ヒューズ35のケース351は断面円形状である。ケース351は、それ自体が白色であるが、その表面(外周面)351aに黒色の塗装皮膜35cが形成されている。塗装皮膜35cはシリコン樹脂等で構成されたものである。

図4に示すように、コイルスプール34の内周角部には、温度ヒューズ35の載置場所となる支持部としての台座34bが形成されている。台座34bは、断面V字形状である。この台座34bに温度ヒューズ35が載置されている。

そして、樹脂部材37は、台座34bに載置された温度ヒューズ35を覆っている。ステータ30の径方向における温度ヒューズ35の両隣の位置(温度ヒューズ35の一方の側および他方の側の所定位置)において、樹脂部材37は、ロータ10の他端面13b側(すなわち、摩擦面13a側)の表面に凹部40、41を有する。なお、図4の上下方向がステータ30の径方向である。凹部40、41の底部40b、41bは、回転中心線Oの軸線方向において温度ヒューズ35の断面の中心Cと同じ位置もしくはそれよりも摩擦面13aから離れた側である反摩擦面13a側に位置する。別の言い方をすれば、温度ヒューズ35の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、凹部40、41は、少なくとも温度ヒューズ35の断面の中心Cの位置に対応する深さまで凹設されている。

また、凹部40、41の外縁部40a、41aは、温度ヒューズ35の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、ロータ10の断磁スリット13c、13d(具体的には、断磁スリット13c、13dのステータ30側開口部の内周縁)と温度ヒューズ35の断面の中心Cとを最短距離で結んだ仮想線L1、L2よりも、反端面13b側(すなわち、反摩擦面13a側)に位置している。凹部40、41の外縁部40a、41aとは、凹部40、41を構成する部分のうち温度ヒューズ35から離れた側の部分である。このため、この仮想線L1、L2上には樹脂部材37が存在していない、もしくは薄くなっている。

具体的には、温度ヒューズ35よりもステータ30の径方向外側に位置する凹部40の外縁部40aは、温度ヒューズ35の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、温度ヒューズ35よりもステータ30の径方向外側に位置する断磁スリット13dと温度ヒューズ35の断面の中心Cとを最短距離で結んだ仮想線L1よりも、反端面13b側(すなわち、反摩擦面13a側)に位置している。

同様に、温度ヒューズ35よりもステータ30の径方向内側に位置する凹部41の外縁部41aは、温度ヒューズ35の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、温度ヒューズ35よりもステータ30の径方向内側に位置する断磁スリット13cと温度ヒューズ35の断面の中心Cとを最短距離で結んだ仮想線L2よりも、反端面13b側(すなわち、反摩擦面13a側)に位置している。

また、凹部40、41の外縁部40a、41aは、圧縮機2の回転軸2aの回転中心線Oに平行ではなく、ロータ10の摩擦面13aから離れるにつれて、外縁部40a、41aが徐々に温度ヒューズ35に近づくようなテーパ形状となっている。

そして、温度ヒューズ35は、凹部40、41と温度ヒューズ35との間に位置する樹脂部材37の薄膜部37aに覆われている。本実施形態では、温度ヒューズ35の軸線方向中央部と端部で、薄膜部37aの厚さを略同じとしている。すなわち、薄膜部37aの厚さは、温度ヒューズ35の全長にわたって略同じである。また、本実施形態では、温度ヒューズ35の外周面350のうちのアーマチュア20側(すなわち、端面13b側)の一部が樹脂部材37から露出し、露出部35aを形成している。

このような構造を有する樹脂部材37は次のようにして形成される。

まず、図5に示すように、ステータ30の内部空間300に電磁コイル36が巻かれたコイルスプール34と温度ヒューズ35とを配置する。このとき、図6(b)および図6(c)に示すコイルスプール34の台座34bに温度ヒューズ35を載せる。具体的には、温度ヒューズ35を、台座34bの温度ヒューズ35に向かって突出する第1の支持アーム34b1および第2の支持アーム34b2の間に形成された収容溝340に収容し、第1の支持アーム34b1の第1の支持面340aと、第2の支持アーム34b2の第2の支持面340bとによって支持する。この際、温度ヒューズ35の外周面350の周方向における範囲のうちの少なくとも半分(すなわち、外周面350のうちの周方向における少なくとも180度の角度範囲)は、収容溝340から露出されている。そして、温度ヒューズ35の端子部35bを電磁コイル36と電気的に接続する。

続いて、図6(a)に示す金型50を温度ヒューズ35上に配置し、金型50で温度ヒューズ35を押さえた状態で、ステータ30の内部に樹脂部材37を成形する樹脂成形工程を行うことで、図6(b)に示す構造の樹脂部材37が得られる。

このとき用いる金型50は、温度ヒューズ35を押さえる押さえ部51が、樹脂部材37の2つの凹部40、41に対応した形状をそれぞれ有する2つの凸部52、53を有する形状のものである。この凸部52、53は、温度ヒューズ35に対向する部位が、温度ヒューズ35の外周面350の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する断面円弧形状である。具体的には、押さえ部51は、温度ヒューズ35の外周面350に当接する凹面51aを有する。凹面51aは、2つの凸部52、53の間において、該凸部52、53から凹設され、温度ヒューズ35の外周面350の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する円弧状の曲面をなしている。

本実施形態では、温度ヒューズ35の電磁コイル36側の外周面350の一部を収容する台座34bの収容溝340の断面は、図6(b)および図6(c)に示すようにV字形状に形成され、温度ヒューズ35から離間する方向に向かって先細りになっている。第1の支持面340aおよび第2の支持面340bに支持された温度ヒューズ35と、収容溝340の底部340cとの間には、空間360が形成されている。空間360は、収容溝340に収容された温度ヒューズ35を金型50の押さえ部51で押圧した際に、温度ヒューズ35が収容溝340の底部340cに向かって移動することを可能にする。なお、収容溝340の断面の形状は、V字形状に限定されるものではなく、温度ヒューズ35から離間する方向に向かって先細りなっていれば、他の形状でもよい。V字形状の収容溝340は、金型50で温度ヒューズ35を押さえる際に、図6(b)における温度ヒューズ35の上下左右方向の位置決めを行う。また、台座34bの収容溝340をV字形状にすることにより、金型50で温度ヒューズ35を押さえる際に、台座34bの第1の支持アーム34b1および第2の支持アーム34b2が図6(b)および図6(c)の左側および右側にそれぞれ弾性変形して撓むので、温度ヒューズ35が押し潰されることを防止できる。

さらに、本実施形態では、温度ヒューズ35よりも大きな曲率半径を有する押さえ部51の凹面51aで温度ヒューズ35を押さえることにより、金型50と温度ヒューズ35との位置合わせが容易となる。また、このような押さえ部51の凹面51aで温度ヒューズ35を押さえることにより、平坦な面を有する押さえ部で温度ヒューズ35を押さえる場合と比較して、押さえ部51の凹面51aと樹脂部材との接触面積を大きくでき、押さえ部51を介しての温度ヒューズ35や樹脂部材37からの成形熱の逃がしが可能となる。

押さえ部51の凹面51aを温度ヒューズ35の外周面350に当接させた後、溶融状態にある樹脂材料(ポリアミド樹脂等)をステータ30の内部空間300に充填し、金型50の凸部52、53によってそれぞれ形成される凹部40、41を有する樹脂部材37を成形する。成形完了後、金型50を樹脂部材37から離間させる。これにより、温度ヒューズ35のうちアーマチュア20側の一部が樹脂部材37から露出した露出部35aが形成される。露出部35aは、温度ヒューズ35の外周面のうちの図6(b)に示す周方向範囲Sにわたって樹脂部材37から露出されている。

次に、上記構成の電磁クラッチ1の作動について説明する。電磁コイル36の通電時では、電磁コイル36が発生する電磁吸引力によって、アーマチュア20がロータ10の摩擦面13aに吸着され、ロータ10とアーマチュア20とが連結する。これにより、エンジンからの回転動力が圧縮機2へ伝達される。

一方、電磁コイル36の通電が遮断されると、すなわち、電磁コイル36の非通電時では、ゴム23の弾性力によって、アーマチュア20がロータ10の摩擦面13aから切り離される。これにより、エンジンからの回転動力は圧縮機2へ伝達されない。

次に、本実施形態の効果について説明する。図7に示す比較例は、本実施形態と異なり、温度ヒューズ35を覆う樹脂部材37の表面に凹部40、41が形成されていないものである。この比較例では、温度ヒューズ35の近傍において、樹脂部材37の表面は回転中心線O(図1参照)に直交する方向に平坦である。その他の構成は本実施形態と同じである。

このため、温度ヒューズ35を覆う樹脂部材37は、温度ヒューズ35の断面の中心Cを通り回転中心線Oに平行な線上では、存在していない、もしくは、薄くなっている。しかし、温度ヒューズ35の断面の中心Cを通り回転中心線Oに対して斜めの線上では、樹脂部材37は厚くなっている。例えば、温度ヒューズ35の軸線方向に直交する方向に延びる仮想面において、断磁スリット13c、13dと温度ヒューズ35の断面の中心Cとを最短距離で結んだ仮想線L1、L2上では樹脂部材37は厚くなっている。

ここで、温度ヒューズ35は、圧縮機2の回転軸2aのロック時に、ロータ10の摩擦面13aで生じる輻射熱を吸熱し、所定温度以上になると溶断する。輻射熱は、電磁波の一種であり、空気中や物質中を伝搬する。空気中は輻射熱が伝搬し易いが、反射特性や吸収特性が高く、透過特性が低い物質中は輻射熱が伝搬し難い。また、0.1μm〜0.1mmの輻射熱の波長域における吸収スペクトル値が大きい色ほど、吸収特性が高くなる。例えば、物質の色が黒色に近いほど吸収スペクトル値は大きく、輻射熱の吸収特性が高くなる。反対に、物質の色が白色に近いと、輻射熱の反射特性が高くなる。図7の比較例の樹脂部材37は、黒色であるため、輻射熱の吸収特性が高い。しかし、樹脂部材37が厚いため、樹脂部材37の表面から温度ヒューズ35までの伝熱が遅くなる。

このことから、回転中心線Oの軸線方向において温度ヒューズ35の断面の中心Cに向かう輻射熱は、温度ヒューズ35に伝わり易いが、回転中心線Oに対して斜めの方向において温度ヒューズ35の断面の中心Cに向かう輻射熱は、厚い樹脂部材37が存在するために、温度ヒューズ35に伝わり難い。従って、図7に示す比較例では、温度ヒューズ35に迅速に到達可能な輻射熱の入射角度が小さい。入射角度は、回転中心線Oの軸線方向と輻射熱の入射方向とがなす角度である。

これに対して、本実施形態では、樹脂部材37の表面に凹部40、41を形成することで、温度ヒューズ35の隣に空間を形成して、輻射熱が伝わり易い経路を確保するとともに、温度ヒューズ35を覆う樹脂部材37の厚さを図7の比較例よりも薄くしている。ここでいう樹脂部材37の厚さとは、温度ヒューズ35の断面の中心Cを通り回転中心線Oに対して斜めの線上での薄膜部37aの厚さである。

このため、本実施形態によれば、図7の比較例と比較して、回転中心線Oに対して斜めの方向から入射する輻射熱が温度ヒューズ35に伝わり易くなっている。よって、本実施形態によれば、温度ヒューズ35に迅速に到達可能な輻射熱の入射角度を増加できる。

特に、本実施形態では、凹部40、41の外縁部40a、41aが仮想線L1、L2よりも反端面13b側(すなわち、反摩擦面13a側)に位置している。スリット形成部13c1、13d1は、断磁スリット13c、13dをなす空間に面する表面部であり、ロータ10の摩擦面13aから空間を伝搬する輻射熱を受熱するため、ロータ10の中で温度が高い部分である。これにより、ロータ10の高温部の温度ヒューズ35に最も近い部位から温度ヒューズ35までの輻射熱の伝搬経路を確保している。

よって、本実施形態によれば、図7の比較例と比較して、温度ヒューズ35の内部が所定温度に達するまでの時間を短縮でき、温度ヒューズ35の応答性を向上できる。

ところで、一般的な温度ヒューズは、そのケースの色が金属色や白色であるため、輻射熱の反射特性が高い。このため、このような色の温度ヒューズを樹脂部材37から単に露出させるだけでは、輻射熱の吸収特性が良くないため、温度ヒューズの応答性を大きく向上させることはできない。

これに対して、本実施形態では、露出部35aを除く温度ヒューズ35表面を黒色の薄膜部37aで覆っている。さらに、温度ヒューズ35のうちの少なくとも薄膜部37aから露出した露出部35aの表面を、黒色の塗装皮膜35cで覆っている。別の言い方をすれば、ケース351の露出部35aは、ケース351と比較して輻射熱の波長域(0.1μm〜0.1mm)における吸収スペクトル値(吸光度)が高い黒色の塗装皮膜35cで覆われている。このように、温度ヒューズ35の表面を温度ヒューズ35のケース351よりも吸収スペクトル値の高い樹脂や、塗装皮膜で覆うことにより、輻射熱に対する吸収特性を改善している。

これにより、本実施形態によれば、薄膜部37aを形成せずに、温度ヒューズ35を樹脂部材37から露出させ、露出した部分における温度ヒューズ35のケース351の色が金属色や白色である場合と比較して、温度ヒューズ35の応答性を向上できる。

また、樹脂部材37は、黒色であるため輻射熱の吸収特性が高いが、輻射熱の全てを吸収するのではなく、輻射熱の一部は樹脂部材37の表面で反射される。そこで、本実施形態では、樹脂部材37の凹部40、41の外縁部40a、41aにテーパをつけることにより、外縁部40a、41aで反射した輻射熱を温度ヒューズ35の方向に向かわせている。これによっても、温度ヒューズ35の内部が所定温度に達するまでの時間を短縮できる。

(第2実施形態) 第1実施形態では、温度ヒューズ35の長手方向中央部と端部で、温度ヒューズ35を覆う樹脂部材37の薄膜部37aの厚さが略同じであったが、第2実施形態では、薄膜部37aの厚さが異なっている。

図8、9(b)に示すように、温度ヒューズ35の長手方向中央部では、温度ヒューズ35の外周面350のうちの端面13b側(すなわち、アーマチュア20側)の表面全域が薄膜部37aで覆われている。薄膜部37aの厚さは、温度ヒューズ35の長手方向中央部の全域にわたってほぼ均一である。

一方、図8、10(b)に示すように、温度ヒューズ35の長手方向端部では、第1実施形態と同様の方法で温度ヒューズ35の一部が薄膜部37aに覆われている。すなわち、温度ヒューズ35の露出部35aを除く、温度ヒューズ35の外周面350のうちのアーマチュア20側の表面が薄膜部37aで覆われている。薄膜部37aの厚さは、温度ヒューズ35の露出部35aから離れるにつれて徐々に厚くなっている。

このような薄膜部37aの厚さの相違は、図9(a)、図10(a)に示すように、金型50の押さえ部51の高さH1、H2を異ならせることで得られる。

本実施形態によれば、温度ヒューズ35の長手方向中央部では、温度ヒューズ35を露出させずに薄膜部37aで覆っているので、温度ヒューズ35の露出部35aが樹脂部材37から露出する場合と比較して、薄膜部37aによる輻射熱の吸収量を増大できる。

(第3実施形態) 第3実施形態では、図11、図12(b)に示すように、温度ヒューズ35の樹脂部材37から露出した露出部35aが第1実施形態よりも広くなっている。

すなわち、図12(b)に示すように、温度ヒューズ35は、両隣に形成された凹部40、41の内部空間に面することにより、温度ヒューズ35の外周面350のうちのうち少なくとも端面13b側(すなわち、摩擦面13a側)の半分の領域(すなわち、外周面350のうちの周方向における少なくとも180度の角度領域)が、樹脂部材37から露出し、露出部35aを形成している。

これは、図12(a)に示すように、金型50の押さえ部51に弾性材料(エラストマー)からなる弾性部材54を取り付けることにより実現される。すなわち、樹脂成形時に温度ヒューズ35と押さえ部51の弾性部材54の凹面54aとの間に隙間が無い状態とする。これにより、温度ヒューズ35の外周面350の周方向における範囲のうちの少なくとも半分が、樹脂部材37から露出し、露出部35aが形成される。弾性部材54の凹面54aは、円弧状の曲面であり、温度ヒューズ35の外周面350の曲率半径より僅かに大きい曲率半径を有するか、温度ヒューズ35の外周面350の曲率半径と略同じ曲率半径を有する。別の言い方をすれば、弾性部材54の凹面54aの曲率半径は、温度ヒューズ35の外周面350の曲率半径以上である。

本実施形態においても、第1実施形態と同様に、温度ヒューズ35の外周面350のうち少なくとも樹脂部材37から露出した露出部35aに、黒色の塗装皮膜35cを形成している。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。

さらに、本実施形態では、テーパ形状を有する凹部40、41の外縁部40a、41aに、白色の塗装皮膜42、43が形成されている。これにより、外縁部40a、41aで温度ヒューズ35に向かって反射する輻射熱の反射量を増大できる。

なお、塗装皮膜42、43は、白色に限られず、樹脂部材37よりも輻射熱の反射特性が高い色であれば良い。

また、本実施形態では、樹脂部材37を輻射熱の吸収特性が高い黒色としたが、輻射熱の反射特性が高い白色等にしても良い。この場合、塗装皮膜42、43の形成が不要となる。

(他の実施形態) 本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。

(1)上記各実施形態では、樹脂部材37の表面のうち温度ヒューズ35の両隣の位置に凹部40、41を形成したが、温度ヒューズ35の片側の隣の位置のみに、凹部を形成しても良い。この場合であっても、温度ヒューズ35の隣に、輻射熱が伝わり易い経路を確保しているので、図7の比較例と比較して、温度ヒューズ35の応答性を向上できる。

(2)上記各実施形態では、凹部40、41の外縁部40a、41aが仮想線L1、L2よりも、反端面13b側(すなわち、反摩擦面13a)側に位置していたが、反端面13b側に位置していなくても良い。この場合であっても、図7の比較例と比較して、回転軸の回転中心線Oに対して斜めの方向から入射する輻射熱が温度ヒューズ35に伝わり易くなり、温度ヒューズ35の応答性を向上できる。

(3)上記各実施形態では、凹部40、41の外縁部40a、41aをテーパ形状としたが、他の形状としても良い。例えば、外縁部40a、41aを圧縮機2の回転軸に平行な平面としても良い。

(4)第1、第2実施形態では、樹脂部材37の薄膜部37aおよび塗装皮膜35cを黒色としたが、温度ヒューズ35のケース351よりも輻射熱の波長域における吸収スペクトル値が大きい色であれば、他の色としても良い。第3実施形態の塗装皮膜35cも同様である。

(5)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。

(6)上記各実施形態では、台座34bを備えるコイルスプール34を、弾性変形可能なポリアミド樹脂から形成している。しかし、弾性変形可能な材料であれば、台座34bを備えるコイルスプール34を他の材料で形成してもよい。また、本実施形態では、台座34bは、コイルスプール34の材料と同一の材料で、コイルスプール34に継ぎ目無く一体に設けられているが、弾性変形可能な材料から形成された台座34bをコイルスプール34とは別体で形成し、後からコイルスプール34に結合してもよい。

(7)上記各実施形態におけるポリアミド樹脂から形成された台座34bに代えて、ポリアミド樹脂よりも弾性率の低いゴム等の弾性材料(エラストマー)から形成された台座をコイルスプール34および温度ヒューズ35の間に介在させてもよい。図13(a)〜(c)は、図6(c)の台座34bの部分断面図に相当する断面図であり、上記各実施形態の台座34bの第1〜3の変形例をそれぞれ示す。

図13(a)の第1の変形例では、台座34bに代えて、弾性材料(エラストマー)から形成された台座(支持部)44を使用している。台座44の接続面44cは、コイルスプール34の接続面34cに接着剤等で結合されている。なお、台座44とコイルスプール34との間の接続は、接着剤等による結合に限定されるものではない。例えば、コイルスプール34に設けた凹部に台座44を圧入して固定してもよい。また、上記各実施形態同様に、台座44は、第1の支持面440aを有する第1の支持アーム44b1と、第2の支持面440bを有する第2の支持アーム44b2とを有する。第1の支持アーム44b1と、第2の支持アーム44b2との間には、収容溝440が形成されている。温度ヒューズ35は、第1の支持アーム44b1の第1の支持面440aと、第2の支持アーム44b2の第2の支持面440bとで支持される。温度ヒューズ35を収容溝440に収容した状態では、温度ヒューズ35と、収容溝440の底部440cとの間には、図6(b)に示す空間360のような空間が形成される。上記各実施形態で説明した金型50の押さえ部51の凹面51a、54aで温度ヒューズ35を押圧した際、第1の支持アーム44b1および第2の支持アーム44b2は、弾性変形して図13(a)の左側および右側にそれぞれ撓むとともに、図13(a)の下方向にも弾性変形して、金型50から加わる圧力を吸収する。このため、温度ヒューズ35が金型50によって押し潰されることを効果的に防止できる。

また、図13(b)に示す第2の変形例では、図13(a)の台座44に代えて、弾性材料(エラストマー)から形成された台座(支持部)64を使用している。台座64の接続面64aは、コイルスプール34の接続面34cに接着剤等で結合されている。温度ヒューズ35を収容する台座64の収容溝640の内面640aは円弧状の曲面であり、温度ヒューズ35の外周面350より僅かに大きい曲率半径を有する。内面640aを曲面とすることにより、金型50の押さえ部51の凹面51a、54aで温度ヒューズ35を押圧した際、温度ヒューズ35の外周面350と、台座64の内面640aとの間の接触面積を上記各実施形態の台座34bの場合と比べて大きくし、金型50から温度ヒューズ35に加わる圧力を台座64の内面640aに沿って効果的に分散し、吸収することが可能になる。これにより、温度ヒューズ35が金型50によって押し潰されることを効果的に防止できる。また、収容溝640は、温度ヒューズ35の位置決めにも使用される。

さらに、図13(c)に示す第3の変形例では、図13(a)の台座44に代えて、弾性材料(エラストマー)から形成された台座(支持部)74を使用している。台座74の接続面74aは、コイルスプール34の接続面34cに接着剤等で結合されている。温度ヒューズ35を載置する台座74の載置面74bは、平面である。このように収容溝を備えない台座74の場合にも、金型50から温度ヒューズ35に加わる圧力を、弾性材料(エラストマー)から形成された台座74の弾性変形によって効果的に吸収することが可能である。

1 電磁クラッチ 2 圧縮機 10 ロータ 13a ロータの一方の端面(摩擦面) 13b ロータの他方の端面 20 アーマチュア 30 ステータ 35 温度ヒューズ 36 電磁コイル 37 樹脂部材 37a 薄膜部 40 凹部 41 凹部

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