電磁石用リード線のシール構造

申请号 JP2016075699 申请日 2016-04-05 公开(公告)号 JP2017187103A 公开(公告)日 2017-10-12
申请人 小倉クラッチ株式会社; 发明人 黒須 義弘; 山口 崇; 後出 治彦;
摘要 【課題】 励磁コイルのリード線が貫通する部分のシール性が高い電磁石用リード線のシール構造を提供する。 【解決手段】コイル収容溝27を有する環状のヨーク22と、励磁コイル38のリード線42が通される配線用の孔51と、この孔内に配置されたシール部材32と、励磁コイル38を封止する絶縁樹脂39とを備える。配線用の孔51は、装置外面に開口するケース24の貫通孔35(第1の孔部)と、ヨーク22の凹陥部33(第2の孔部)とを有する。絶縁樹脂39は、凹陥部33内に先端面56aが 位置 する突出部56を有する。シール部材32は、柱状部61と、凹陥部33内に位置するフランジ部62(板状部)とを有する。フランジ部62は、ケース24の装置内面24aと絶縁樹脂39の先端面56aとによって挟まれて圧縮されている。 【選択図】 図12
权利要求

励磁コイルが収容される環状溝が形成された環状のヨークと、 前記ヨークの軸線方向に延びて前記環状溝の底に一端が開口するとともに他端が装置外面に開口し、前記励磁コイルに接続されたリード線が通される配線用の孔と、 弾性材によって形成され、前記リード線が液密に嵌合した状態で前記配線用の孔内に配置されたシール部材と、 前記励磁コイルおよびこの励磁コイルと前記リード線との接続部を封止する絶縁樹脂とを備え、 前記配線用の孔は、 前記装置外面に開口する第1の孔部と、 前記第1の孔部における前記環状溝に近接する一端に接続され、前記第1の孔部より開口幅が広く形成された第2の孔部とを有し、 前記絶縁樹脂は、前記環状溝内から前記第2の孔部まで延びて先端面が前記第2の孔部内で前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる突出部を有し、 前記シール部材は、 前記第1の孔部に挿入された柱状部と、 前記第2の孔部内で前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる板状部と、 これらの柱状部および板状部を貫通するリード線用の貫通孔とを有し、 前記板状部は、第1の孔部と第2の孔部との境界から前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる孔壁面と、前記突出部の先端面とによって挟まれて圧縮されていることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。請求項1記載の電磁石用リード線のシール構造において、 前記配線用の孔は、前記ヨークと、このヨークが取付けられる装置のケースとを貫通し、 前記第1の孔部は、前記ケースに形成され、 前記第2の孔部は、前記ヨークに形成されて前記環状溝に連通孔を介して連通され、 前記絶縁樹脂は、前記環状溝内と、前記連通孔と、前記第2の孔部内の一部とに充填され、 前記板状部は、前記ヨークが前記ケースに取付けられた状態で前記突出部の先端面と前記ケースの装置内面とによって挟まれて圧縮されていることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。請求項2記載の電磁石用リード線のシール構造において、 前記第2の孔部の前記軸線方向に延びる孔壁面は、前記絶縁樹脂によって覆われていることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。請求項1記載の電磁石用リード線のシール構造において、 前記配線用の孔は、前記ヨークにおける前記環状溝の底を構成する壁のみに形成され、 前記絶縁樹脂は、前記環状溝に挿入可能な環状に形成され、 前記ヨークにおける前記環状溝の開口縁部には、前記環状溝内に収容された前記絶縁樹脂の端部に前記環状溝の底とは反対側から接触するかしめ片が設けられていることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の電磁石用リード線のシール構造において、 前記シール部材の前記板状部は、 前記柱状部に接続され、前記柱状部より前記軸線方向とは直交する方向に突出する円板部と、 前記円板部の外周部に全周にわたって設けられ、前記円板部の厚みより外径が大きい断面円形状のシール部とを有していることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。請求項1ないし請求項5のうちいずれか1つに記載の電磁石用リード線のシール構造において、 前記シール部材における前記リード線が貫通する貫通孔は、前記軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の緊縛部を有し、 前記緊縛部は、前記リード線が圧入状態で嵌合するリング状に形成されていることを特徴とする電磁石用リード線のシール構造。

说明书全文

本発明は、電磁石のコイルを封止する絶縁樹脂と、電磁石用リード線が貫通するシール部材とを有する電磁石用リード線のシール構造に関する。

従来、潤滑用のオイルが供給される機械装置の内部に電磁石を配置するにあたっては、電磁石のリード線にオイルが付着することを防ぐシール構造が必要である。この理由は、リード線の絶縁被覆がオイルによって劣化するからである。

電磁石が内部に設けられた従来の機械装置としては、例えば特許文献1に記載されているデファレンシャル装置がある。このデファレンシャル装置においては、オイルが供給される部品と、電磁石を有する作動制限用の湿式電磁クラッチとが同一のケース内に収容されている。オイルが供給される部品とは、作動歯車機構やメインクラッチ、ボールカムおよびベアリングなどである。

特許文献1に開示された電磁石は、円環状のヨークと、このヨークの環状溝に収容された励磁コイルとを備えている。ヨークは、環状溝の底となる底壁がデファレンシャル装置のケースに接触する状態でこのケースに取付けられている。環状溝内には、コイルを外部に対して絶縁するための絶縁樹脂が充填されている。コイルは、この絶縁樹脂によって環状溝内で封止された状態でヨークに固定されている。

励磁コイルには2本のリード線が電気的に接続されている。これらのリード線は、ヨークの底壁とケースとを貫通して装置外に引き出されている。ヨークのリード線引出口には、リード線が圧入されたゴム製のシール部材が設けられている。このシール部材は、オイルや雨等がリード線引出口を通って環状溝内に浸入することを防止する。このようなシール部材を有する従来のシール構造は、例えば図15に示すように構成することができる。

図15に示す電磁石用リード線のシール構造1は、電磁石2のリード線3が機械装置(図示せず)のケース4を貫通する部分をシールするシール部材5を備えている。電磁石2は、環状のヨーク6を備えている。ヨーク6は、図15において左右方向を軸線方向とする環状に形成されている。このヨーク6は、環状のコイル収容溝7が形成されており、このコイル収容溝7の底となる環状壁8がケース4の装置内面4aと接触する状態でケース4に取付けられている。

コイル収容溝7内には、励磁コイル9および環状の樹脂プレート10がコイルボビン11とともに挿入されている。励磁コイル9の巻き始め端部と巻き終わり端部は、圧着端子(図示せず)を介してリード線3に接続されている。このリード線3は、コイルボビン11のリード線保持部12を通されてコイルボビン11から導出され、ヨーク6の挿入孔13を通してヨーク6の外に延びている。この挿入孔13の一端はコイル収容溝7の底に開口し、他端は、ヨーク6のケース側端部に形成された凹陥部14に開口している。凹陥部14は、ヨーク6の端部に切削加工によって形成されている。

コイル収容溝7内と挿入孔13内には絶縁樹脂15が充填されている。励磁コイル9と上述した圧着端子は、この絶縁樹脂15によって封止されている。 リード線3におけるコイルボビン11のリード線保持部12から導出された部分は、弾性材からなるシール部材5を貫通している。リード線3は、このシール部材5に圧入状態で嵌合している。

シール部材5は、ケース4の貫通孔16に挿入された柱状部17と、ヨーク6の凹陥部14内に収容された板状部18とによって構成されている。板状部18は、ヨーク6の凹陥部14の底面と、ケース4とによって挟まれて圧縮されている。板状部18の外縁部分には、断面円形のシール部19が設けられている。 このように構成された従来のシール構造1によれば、ヨーク6のリード線引出口(凹陥部14)がシール部材5によってシールされるために、ケース4内の潤滑用のオイルや、ケース外の雨水が圧着端子部分や励磁コイル9内に浸入することを防止でき、腐食により絶縁不良が生じることを防止できる。

特開平6−58347号公報

しかしながら、図15に示すようなシール構造1では、特許文献1に記載されているようなデファレンシャル装置の湿式電磁クラッチのフィールドに用いると、次のような問題が生じるおそれがあった。デファレンシャル装置は、振動する装置である。この振動がシール構造1に伝達されてシール構造1が長期間にわたって振動すると、ヨーク6のコイル収容溝7の内壁面や挿入孔13の孔壁面から絶縁樹脂15が剥離することがある。

絶縁樹脂15がヨーク6から剥離すると、絶縁樹脂15とヨーク6との間に微小な隙間が生じ、この隙間にケース4内のオイルが浸入する。このオイルは、剥離部分の隙間を通って凹陥部14側に染み込み、絶縁樹脂15を伝って凹陥部14内からリード線3に達する。そして、このオイルは、リード線3の被覆部外周面と絶縁樹脂15との間を通って励磁コイル9側に染み込む。このため、励磁コイル9において、腐食により絶縁不良が発生するおそれがある。

一方、ケース4内のオイルは、ヨーク6とケース4との合わせ部分からも凹陥部14内に浸入する。凹陥部14が機械加工によって形成されている場合は、この浸入経路を通って凹陥部14内に浸入したオイルをシール部材5の板状部18でシールすることは難しかった。機械加工によって形成された凹陥部14の底面は、微小な凹凸を有する切削面である。このような切削面に板状部18が密着したとしても、隙間を完全に無くすことはできない。このため、ケース4とヨーク6との合面を通って凹陥部14内に浸入したオイルが板状部18と凹陥部14の底面との間を通ってリード線3側に漏洩し、上記と同様に励磁コイル9側に染み込んでしまう。 板状部18の外縁部に断面円形のOリング状のシール部19を設けたとしても、期待したほどシールの効果は得られず、耐湿性や防水性において改善が必要であった。

本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、励磁コイルのリード線が貫通する部分のシール性が高い電磁石用リード線のシール構造を提供することを目的とする。

この目的を達成するために、本発明に係る電磁石用リード線のシール構造は、励磁コイルが収容される環状溝が形成された環状のヨークと、前記ヨークの軸線方向に延びて前記環状溝の底に一端が開口するとともに他端が装置外面に開口し、前記励磁コイルに接続されたリード線が通される配線用の孔と、弾性材によって形成され、前記リード線が液密に嵌合した状態で前記配線用の孔内に配置されたシール部材と、前記励磁コイルおよびこの励磁コイルと前記リード線との接続部を封止する絶縁樹脂とを備え、前記配線用の孔は、前記装置外面に開口する第1の孔部と、前記第1の孔部における前記環状溝に近接する一端に接続され、前記第1の孔部より開口幅が広く形成された第2の孔部とを有し、前記絶縁樹脂は、前記環状溝内から前記第2の孔部まで延びて先端面が前記第2の孔部内で前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる突出部を有し、前記シール部材は、前記第1の孔部に挿入された柱状部と、前記第2の孔部内で前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる板状部と、これらの柱状部および板状部を貫通するリード線用の貫通孔とを有し、前記板状部は、第1の孔部と第2の孔部との境界から前記ヨークの軸線と直交する方向に延びる孔壁面と、前記突出部の先端面とによって挟まれて圧縮されているものである。

本発明は、前記電磁石用リード線のシール構造において、前記配線用の孔は、前記ヨークと、このヨークが取付けられる装置のケースとを貫通し、前記第1の孔部は、前記ケースに形成され、前記第2の孔部は、前記ヨークに形成されて前記環状溝に連通孔を介して連通され、前記絶縁樹脂は、前記環状溝内と、前記連通孔と、前記第2の孔部内の一部とに充填され、前記板状部は、前記ヨークが前記ケースに取付けられた状態で前記突出部の先端面と前記ケースの装置内面とによって挟まれて圧縮されていてもよい。

本発明は、前記リード線のシール構造において、前記第2の孔部の前記軸線方向に延びる孔壁面は、前記絶縁樹脂によって覆われていてもよい。

本発明は、前記電磁石用リード線のシール構造において、前記配線用の孔は、、前記ヨークにおける前記環状溝の底を構成する壁のみに形成され、前記絶縁樹脂は、前記環状溝に挿入可能な環状に形成され、前記ヨークにおける前記環状溝の開口縁部には、前記環状溝内に収容された前記絶縁樹脂の端部に前記環状溝の底とは反対側から接触するかしめ片が設けられていてもよい。

本発明は、前記電磁石用リード線のシール構造において、前記シール部材の前記板状部は、前記柱状部に接続され、前記柱状部より前記軸線方向とは直交する方向に突出する円板部と、前記円板部の外周部に全周にわたって設けられ、前記円板部の厚みより外径が大きい断面円形状のシール部とを有していてもよい。

本発明は、前記電磁石用リード線のシール構造において、前記シール部材の柱状部における前記リード線が貫通する貫通孔は、前記軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の緊縛部を有し、前記緊縛部は、前記リード線が圧入状態で嵌合するリング状に形成されていてもよい。

本発明において、絶縁樹脂の突出部の先端面は、型を使用して平坦に形成することができるから、シール部材と液密に接触可能である。この絶縁樹脂の先端面にシール部材の板状部が密着することにより、絶縁樹脂に沿ってリード線に達するオイルや水の浸入経路が絶たれる。 したがって、本発明によれば、励磁コイルのリード線が貫通する部分のシール性が高く、通電部分が絶縁不良を起こすことがない電磁石用リード線のシール構造を提供することができる。

第1の実施の形態による電磁石用リード線のシール構造を採用した電磁石の背面図である。

電磁石の縦断面図である。

要部を拡大して示す断面図である。

コイルボビンの背面図である。

図4におけるV-V線断面図である。

コイルボビンのリード線保持部を拡大して示す背面図である。

図6におけるVII-VII線断面図である。

樹脂プレートの背面図である。

シール部材の背面図である。

図9におけるX-X線断面図である。

ヨークに金型を取付けた状態を示す断面図である。

電磁石をケースに取付けた状態を示す断面図である。

第2の実施の形態による電磁石用リード線のシール構造を示す断面図でえある。

第3の実施の形態による電磁石用リード線のシール構造を示す断面図である。

従来の電磁石用リード線のシール構造を示す断面図である。

(第1の実施の形態) 以下、本発明に係る電磁石用リード線のシール構造の一実施の形態を図1〜図12によって詳細に説明する。この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造は、特許請求の範囲の請求項1、請求項2、請求項5および請求項6に記載された発明を構成するものである。

図1に示す電磁石21は、円環状のヨーク22に後述する構成部品を組み付けて構成されている。この実施の形態による電磁石21は、機械装置としてのディファレンシャル装置(図示せず)に取付けられた湿式電磁クラッチのフィールドを構成するものである。この電磁石21は、図12に示すように、ヨーク22の軸線方向(図12においては左右方向)の一端部が機械装置23のケース24に取付けられた状態で使用される。ヨーク22は、ケース24の装置内面24aに固定される。機械装置23は、図示してはいないが、装置内部に潤滑用オイルが供給されるものである。電磁石21は、機械装置23内でオイルが飛散する環境に設置されている。

この電磁石21をケース24に取付けるためのボルト(図示せず)は、ヨーク22の内周部に設けられた複数のねじ孔25(図1参照)に螺着される。これらのねじ孔25は、円環状のヨーク22における軸線方向の一端部に位置する環状壁26に形成されている。 ヨーク22は、機械構造用低炭素鋼などの磁性材料によって形成されており、図2に示すように、軸線Cと同一軸線上に位置する環状のコイル収容溝27を有している。このコイル収容溝27は、ヨーク22の軸線方向の他端部(図2においては右側の端部)に開口している。この実施の形態においては、このコイル収容溝27が本発明でいう「環状溝」に相当する。

ヨーク22の環状壁26には、図1に示すように、この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造31の一部を構成するシール部材32が装着されている。このシール部材32は、詳細は後述するが、環状壁26に形成された凹陥部33に挿入されている。凹陥部33の開口形状は円形である。この凹陥部33は、図3に示すように、挿入孔34を介してコイル収容溝27に連通されている。挿入孔34は、ヨーク22の軸線方向に延びている。挿入孔34の一端はコイル収容溝27の底に開口し、他端は凹陥部33の底に開口している。この挿入孔34の開口形状は、ヨーク22の軸線方向から見て円弧状である。

この挿入孔34の開口幅(ヨーク22の周方向の幅および径方向の幅)は、凹陥部33の内径より小さい。この凹陥部33の内径(開口幅)は、図12に示すように、ケース24における凹陥部33と隣接する位置に穿設された貫通孔35の孔径より大きい。凹陥部33は、ケース24の貫通孔35における、コイル収容溝27に近接する一端に接続される。

コイル収容溝27の内部には、図3に示すように、コイルボビン36と、このコイルボビン36の中に設けられた樹脂プレート37および励磁コイル38などが収容され、封止用の絶縁樹脂39が充填されている。 コイルボビン36は、図4および図5に示すように、円環状に形成されており、このコイルボビン36の軸線方向の一端部から軸線方向に突出するリード線保持部41を有している。このリード線保持部41は、後述するリード線42(図3参照)を保持するためのものである。 コイルボビン36は、図5に示すように、環状凹部43を有している。環状凹部43は、コイルボビン36の他端部(図5においては右側の端部)に開口している。環状凹部43の底であって、リード線保持部41と対応する部分には、リード線導出用の穴44が形成されている。

リード線保持部41は、図6および図7に示すように、コイルボビン36の一端部から突出する断面L字状の突片によって構成されている。リード線保持部41の突出側端部には、U字状の切欠き45が設けられている。この切欠き45は、リード線42が着脱自在に嵌合する形状に形成されている。 コイルボビン36の中に配置された樹脂プレート37は、図8に示すように、円環状に形成されており、コイルボビン36の環状凹部43内に嵌合している。コイルボビン36の内部は、図3に示すように、この樹脂プレート37によって、軸線方向の他端側に位置するコイル収容空間46と、軸線方向の一端側に位置する配線空間47とに分けられている。 この実施の形態による樹脂プレート37は、厚みが相対的に厚い厚肉部37aと、相対的に薄い薄肉部37bとを有している。薄肉部37bは、樹脂プレート37を周方向に6等分する位置にそれぞれ設けられている。

励磁コイル38は、コイルボビン36がヨーク22に挿入される以前にコイルボビン36のコイル収容空間46内で巻線されて形成されている。この励磁コイル38の巻き始め端部と、巻き終わり端部は、それぞれ圧着端子(図示せず)によってリード線42に接続されている。リード線42は、コイルボビン36内の配線空間47を経てリード線保持部41まで配線され、リード線導出用の穴44とリード線保持部41の切欠き45とに通されてコイルボビン36の外に導出されている。

リード線42は、図12に示すように、電磁石21とケース24とに設けられた配線用の孔51に通されて機械装置23の外に導出されている。この実施の形態による配線用の孔51は、ケース24の貫通孔35と、ヨーク22の凹陥部33と、この凹陥部33とコイル収容溝27とを連通する挿入孔34とによって構成されている。この実施の形態においては、ケース24の貫通孔35が本発明でいう「第1の孔」に相当し、凹陥部33が「第2の孔」に相当し、挿入孔34が「連通孔」に相当する。

コイルボビン36は、図2および図3に示すように、リード線42が凹陥部33と挿入孔34とに通されるとともに、リード線保持部41が挿入孔34に挿入される状態で、ヨーク22のコイル収容溝27に収容されている。 絶縁樹脂39は、励磁コイル38を収容したコイルボビン36がコイル収容溝27内に挿入された状態で、コイル収容溝27内にインジェクションモールド法(射出成型法)によって充填されている。この絶縁樹脂39の充填は、図11に示すように、ヨーク22の凹陥部33を金型52によって閉塞した状態で実施される。

金型52には、リード線42を通すための孔53と、凹陥部33内に嵌合する円板状の突起54とが設けられている。突起54の先端面54aは、ヨーク22の軸線方向とは直交する方向に延びる平坦面である。この突起54の突出高さは、凹陥部33の開口縁から予め定めた長さだけ凹陥部33内に挿入され、凹陥部33内に絶縁樹脂成形用の空間55が形成される高さである。

この金型52をヨーク22に装着した状態でコイル収容溝27内に絶縁樹脂39が充填されることにより、図3に示すように、絶縁樹脂39にコイル収容溝27から挿入孔34を介して凹陥部33内に至る突出部56が形成される。この突出部56の先端面56aは、凹陥部33内でヨーク22の軸線方向とは直交する方向に延びて凹陥部33の実質的な底面を構成している。この先端面56aには、後述するシール部材32の一端部が接触する。

シール部材32は、電磁石21のリード線引出口をシールするためのもので、図9および図10に示すように、相対的に外径が小さい円柱状の柱状部61と、この柱状部61の一端部から径方向の外側に延びる「板状部」としてのフランジ部62とによって構成されている。これらの柱状部61とフランジ部62は、耐油性および耐水性を有する合成ゴムなどの弾性材によって一体に形成されている。

柱状部61は、ケース24の貫通孔35(図12参照)に挿入可能な大きさの円柱状に形成されており、2本のリード線42を通すための2つの貫通孔63が設けられている。これらの貫通孔63は、柱状部61とフランジ部62とをヨーク22の軸線方向に貫通している。また、これらの貫通孔63は、図10に示すように、リード線42の長手方向(ヨーク22の軸線方向)に所定の間隔をおいて並ぶ複数の緊縛部64をそれぞれ有している。これらの緊縛部64は、リード線42が圧入状態で嵌合するリング状に形成されている。

フランジ部62は、柱状部61に接続された円板部62aと、この円板部62aの外周部に設けられたシール部62bとを有している。円板部62aは、柱状部61より径方向(ヨーク22の軸線方向とは直交する方向)の外側に突出している。円板部62aとシール部62bとを含めたフランジ部62の外径は、図3および図12に示すように、ヨーク22の凹陥部33の内径より小さく、かつケース4の貫通孔35の孔径より大きい。 シール部62bは、断面円形状に形成されて円板部62aに全周にわたって接続されており、円板部62aを径方向の外側から囲んでいる。

断面円形状を呈するシール部62bの円形断面の外径D(シール部62bの厚み)は、円板部62aの厚みtより大きい。この実施の形態においては、シール部62bがヨーク22の軸線方向において、円板部62aの両側に突出している。シール部62bの外径Dは、図3に示すように、ヨーク22の凹陥部33の実質的な深さより大きい。ここでいう「実質的な深さ」とは、突出部56の先端面56aと凹陥部33の開口縁との間の長さである。 このシール部材32は、貫通孔63にリード線42が圧入され、フランジ部62が突出部56の先端面56aと対向する状態で電磁石21に装着される。この装着状態においては、貫通孔63の緊縛部64が自らの弾性でリード線42に密着し、シール部材32にリード線42が液密に嵌合する。

このように構成された電磁石21は、図12に示すように、リード線42とシール部材32の柱状部61とがケース24の貫通孔35に挿入された状態でケース24に取付けられる。この取付作業は、作業者(図示せず)が取付用ボルト(図示せず)をケース24のボルト用貫通孔(図示せず)に通し、ヨーク22のねじ孔25にねじ込むことによって行われる。電磁石21がケース24に取付けられることにより、シール部材32のシール部62bが絶縁樹脂39の突出部56の先端面56a(凹陥部33の実質的な底面)と、ケース24の装置内面24aとによって挟まれて圧縮される。この実施の形態においては、ケース24の装置内面24aが「第1の孔部と第2の孔部との境界からヨークの軸線と直交する方向に延びる孔壁面」に相当する。

絶縁樹脂39における突出部56の先端面56aは、金型52を使用して平坦に形成されているから、シール部62bと液密に接触可能である。この先端面56aにシール部材32のシール部62bが密着することにより、絶縁樹脂39に沿ってリード線42に達するオイルや水の第1および第2の浸入経路57,58が絶たれる。第1の浸入経路57は、振動で絶縁樹脂39がヨーク22から剥離することにより、コイル収容溝27に沿って形成される。装置内部のオイルは、この第1の浸入経路57に染み込んで凹陥部33内の微小な隙間Sに浸入する。 第2の浸入経路58は、ヨーク22とケース24との合わせ部分に生じる微小な隙間によって形成される。

ケース24の装置外面に雨水などの水が掛けられた場合、この水がケース24の貫通孔35からケース24の装置内面24aを伝って凹陥部33の微小な隙間Sに浸入することも考えられる。 しかし、これらの第1の浸入経路57と第2の浸入経路58とがシール部62bと先端面56aとの密着部分で絶たれているから、微小な隙間Sに浸入したオイルや水が先端面56aを伝ってリード線42側に染み込むことはない。

ケース24の外面に掛けられた雨水等は、ケース外に導出されているリード線42の外表面を伝ってシール部材32の貫通孔63に浸入する。しかし、貫通孔63内は、複数の緊縛部64で防水が図られているから、この水がリード線42を伝って励磁コイル38の内部に染み込むことはない。このため、このシール部材32を使用することにより、電磁石21の耐湿性も向上する。 したがって、この実施の形態によれば、励磁コイル38のリード線42が貫通する部分のシール性が高く、通電部分が絶縁不良を起こすことがない電磁石用リード線のシール構造を提供することができる。

この実施の形態による配線用の孔51は、ケース24の貫通孔63(第1の孔部)と、ヨーク22の凹陥部33(第2の孔部)および挿入孔34(連通孔)とによって構成され、ケース24とヨーク22とを貫通している。絶縁樹脂39は、コイル収容溝27内と、挿入孔34と、凹陥部33内の一部とに充填されている。シール部材32のフランジ部62(板状部)は、ヨーク22がケース24に取付けられた状態で絶縁樹脂39の先端面56aとケース24の装置内面24aとによって挟まれて圧縮されている。 このように構成されたシール構造31は、ヨーク22をケース24に取付けることによってシール状態になる。このため、作業者は、電磁石21をケース24に取付ける際に、絶縁樹脂39とケース24とでフランジ部62を締め付けるを意識しなくてもシール構造31が確実にシール状態になる。したがって、この実施の形態によれば、シール性が高いばかりでなく、組立作業が容易な電磁石用リード線のシール構造を提供できる。

この実施の形態によるシール部材32のフランジ部62は、柱状部61の径方向に延びる円板部62aと、この円板部62aの外周部に全周にわたって設けられたシール部62bとを有している。シール部62bは、円板部62aの厚みより外径が大きい断面円形状に形成されている。 シール部材32のフランジ部62は、主にシール部62bにおいて絶縁樹脂39の先端面56aに接触する。このため、この実施の形態によれば、シール部材32と絶縁樹脂39との接触圧力が高くなるから、シール性が更に高くなる電磁石用リード線のシール構造を提供できる。

この実施の形態によるシール部材32におけるリード線42が貫通する貫通孔63は、軸線方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の緊縛部64を有している。これらの緊縛部64は、リード線42が圧入状態で嵌合するリング状に形成されている。このため、装置外からリード線42を伝って電磁石21内に浸入する水の浸入経路が緊縛部64によって遮断される。したがって、この実施の形態によれば、防水性も高くなる高い電磁石用リード線のシール構造を提供できる。

(第2の実施の形態) 本発明に係る電磁石用リード線のシール構造は、図13に示すように構成することができる。図13において、図1〜図12によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造は、特許請求の範囲の請求項3と請求項5および請求項6とに記載された発明を構成するものである。 図13に示す電磁石用リード線のシール構造71は、第1の実施の形態で示したシール構造31とは絶縁樹脂39の突出部56が異なるだけで、その他の構成は同一である。

この実施の形態によるヨーク22の凹陥部33の内周面(第2の孔部の軸線方向に延びる孔壁面)は、絶縁樹脂39の突出部56に設けられた円筒72によって覆われている。この円筒72は、絶縁樹脂39をコイル収容溝27に充填する工程で突出部56と一体に成型されている。この円筒72の先端は、ヨーク22の端面と同一平面上に位置付けられている。このため、電磁石21がケース24に取付けられた状態においては、円筒72の先端面が装置内面24aに密着する。

この実施の形態によれば、円筒72の分だけ、機械装置23内のオイルが凹陥部33内の微小な隙間Sに染み込む際に通る第1および第2の浸入経路57,58の全長が長くなる。したがって、この実施の形態によれば、シール性がより一層高い電磁石用リード線のシール構造を提供できる。

(第3の実施の形態) 本発明に係る電磁石用リード線のシール構造は、図14に示すように構成することができる。図14において、図1〜図12によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造は、特許請求の範囲の請求項4と請求項5および請求項6とに記載された発明を構成するものである。 この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造81は、機械装置23の構成部材を使用することなく実現できる。

この実施の形態による配線用の孔51は、ヨーク22におけるコイル収容溝27の底を構成する環状壁26のみに形成されている。この配線用の孔51は、第1の孔部としてのヨーク22の貫通孔82と、第2の孔部としての凹陥部83とによって構成されている。貫通孔82は、ヨーク22の軸線方向に延びてヨーク22の外面(装置外面)と凹陥部83の底面とに開口している。この貫通孔82の孔径は、シール部材32の柱状部61を圧入可能な孔径である。凹陥部83は、コイル収容溝27の底に開口している。

この実施の形態によるシール部材32の柱状部61は、リード線42が貫通した状態で貫通孔82に凹陥部83側から圧入されている。このため、シール部材32のフランジ部62は、凹陥部83の底面と対向している。

この実施の形態による絶縁樹脂39は、専用の金型(図示せず)を使用して、コイル収容溝27に挿入可能な環状に成型されている。この絶縁樹脂39の内部には、励磁コイル38およびこの励磁コイル38とリード線42との接続部が埋設されている。このため、この実施の形態による絶縁樹脂39は、内部の励磁コイル38とともにコイル組立体を構成している。ヨーク22の軸線方向における絶縁樹脂39の一端部には、凹陥部83内に挿入される突出部56が形成されている。この突出部56の先端面56aは、ヨーク22の軸線とは直交する方向に延びる平坦面である。

図14に示すヨーク22におけるコイル収容溝27の開口縁部には、コイル脱落防止用の複数のかしめ片84が設けられている。これらのかしめ片84は、ヨーク22の一部に施されたプレス加工によって、ヨーク22の一部が塑性流動して形成されたものである。これらのかしめ片84は、コイル収容溝27内に収容された絶縁樹脂39の他端部にコイル収容溝27の底とは反対側から接触している。

この実施の形態による絶縁樹脂39の突出部56は、かしめ片84が形成される際にコイル組立体に加えられた押圧力によって、シール部材32のフランジ部62に押し付けられている。このため、シール部材32のフランジ部62のシール部62bは、凹陥部83の底面と、絶縁樹脂39の突出部56とによって圧縮されて変形し、突出部56の先端面56aに密着している。

したがって、この実施の形態においても、絶縁樹脂39を伝ってリード線42まで染み込むオイルや水の浸入経路がシール部62bによって遮断されるから、シール性が高く、通電部分が絶縁不良を起こすことがない電磁石用リード線のシール構造を提供することができる。 この実施の形態によるヨーク22には、コイル収容溝27内に収容された絶縁樹脂39の端部にコイル収容溝27の底とは反対側から接触するかしめ片84が設けられている。 この実施の形態による電磁石用リード線のシール構造81は、機械装置23のケース24を用いることなく電磁石単体で実現可能である。このため、このシール構造81を採用した電磁石21は、機械装置23のケース24に簡単に取付けることができるものとなる。

上述した各実施の形態においては、シール部材32のフランジ部62に断面円形のシール部62bを設ける例を示した。しかし、シール部材32のフランジ部62は、このようなシール部62bを有していない平板状に形成することができる。

21…電磁石、22…ヨーク、24…ケース、24a…装置内面、26…環状壁、27…コイル収容溝(環状溝)、31,71,81…シール構造、32…シール部材、33…凹陥部(第2の孔部)、34…挿入孔(連通孔)、38…励磁コイル、39…絶縁樹脂、42…リード線、51…配線用の孔、56…突出部、56a…先端面、61…柱状部、62…フランジ部(板状部)、62a…円板部、62b…シール部、63…貫通孔(第1の孔部)、64…緊縛部、72…円筒、84…かしめ片。

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