スクロール型流体機械

申请号 JP2012273926 申请日 2012-12-14 公开(公告)号 JP6125216B2 公开(公告)日 2017-05-10
申请人 サンデンホールディングス株式会社; 发明人 ▲高▼井 和彦; 松本 康臣;
摘要
权利要求

渦巻き状のラップがそれぞれ形成された固定スクロール及び可動スクロールを互いの前記ラップを対向配置し、前記固定スクロールの渦巻きラップと前記可動スクロールの渦巻きラップとの間に、作動流体を膨張させる膨張部及び作動流体を圧縮する圧縮部を形成するスクロールユニットと、前記可動スクロールを前記固定スクロールに対して公転旋回運動可能に支持する支持部とを備え、前記膨張部で回収された動によって前記圧縮部を駆動するスクロール型流体機械であって、 前記膨張部における前記固定スクロールのラップと前記可動スクロールのラップとの間の最小クリアランスは、前記圧縮部における前記固定スクロールのラップと前記可動スクロールのラップとの間の最小クリアランスより小さく設定され、 前記膨張部を形成する可動スクロールと前記圧縮部を形成する可動スクロールとが同一部材の同一面上に形成される、 スクロール型流体機械。前記最小クリアランスは、前記スクロールユニットの径方向及び軸方向の少なくとも一方のクリアランスである、請求項1に記載のスクロール型流体機械。

说明书全文

本発明は、スクロール型流体機械に係り、詳しくは、圧縮機一体型膨張機として用いて好適なスクロール型流体機械に関する。

従来のスクロール型流体機械として、例えば、特許文献1に記載されたスクロール型流体機械が知られている。特許文献1に記載されたスクロール型流体機械は、渦巻き状のラップが形成された可動スクロールと、この可動スクロールのラップと噛合う渦巻き状のラップが形成された固定スクロールと、可動スクロールを固定スクロールに対して公転旋回運動可能に支持する支持部とを備え、この固定スクロールの渦巻きラップと可動スクロールの渦巻きラップとの間の作動室を仕切り壁により仕切って圧縮部と膨張部とを形成して構成されている。

このスクロール型流体機械は、例えば、冷凍回路に接続され、この冷凍回路から膨張部に取り込んだ高圧作動流体の膨張エネルギーによって可動スクロールを公転旋回駆動させ、冷凍回路から圧縮部に取り込んだ低圧作動流体を上記公転旋回駆動によって圧縮し、この圧縮した作動流体を冷凍回路側に別に設けた主圧縮機へ吐出させている。このようにして、作動流体を膨張させて動力を回収し、この回収動力を利用して作動流体を圧縮している。

特開2012−52527号公報

ここで、この種のスクロール型流体機械において、上記のように作動流体を膨張させて動力を回収し、この回収動力を利用して作動流体を圧縮する場合、膨張部における膨張比が高いため、膨張部における可動スクロールのラップと固定スクロールのラップとの間のシール部クリアランス(以下において、「最小クリアランス」と言う)が動力回収効率に与える影響が大きくなり、動力回収効率に悪影響を及ぼすおそれがある。

本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、膨張部における最小クリアランスの動力回収効率への影響を低減したスクロール型流体機械を提供することを目的とする。

このため、本発明に係るスクロール型流体機械は、渦巻き状のラップがそれぞれ形成された固定スクロール及び可動スクロールを互いの前記ラップを対向配置し、前記固定スクロールの渦巻きラップと前記可動スクロールの渦巻きラップとの間に、作動流体を膨張させる膨張部及び作動流体を圧縮する圧縮部を形成するスクロールユニットと、前記可動スクロールを前記固定スクロールに対して公転旋回運動可能に支持する支持部とを備え、前記膨張部で回収された動力によって前記圧縮部を駆動するスクロール型流体機械であって、前記膨張部における前記固定スクロールのラップと前記可動スクロールのラップとの間の最小クリアランス、前記圧縮部における前記固定スクロールのラップと前記可動スクロールのラップとの間の最小クリアランスより小さく設定され、前記膨張部を形成する可動スクロールと前記圧縮部を形成する可動スクロールとが同一部材の同一面上に形成される、構成とする。

本発明のスクロール型流体機械によれば、膨張部における固定スクロールのラップと可動スクロールのラップとの間の最小クリアランス、圧縮部における固定スクロールのラップと可動スクロールのラップとの間の最小クリアランスより小さく設定されているので、作動流体の膨張エネルギーを利用して作動流体を圧縮するスクロール型流体機械において、膨張比の大きい膨張部における最小クリアランスの動力回収効率への影響を低減することができる。また、スクロールユニットは、膨張部を形成する可動スクロールと圧縮部を形成する可動スクロールとが同一部材の同一面上に形成される、単板型スクロールユニットとしたので、例えば、膨張部を形成する可動スクロールと圧縮部を形成する可動スクロールとがそれぞれ別の部材上に形成され、各部材の背面(つまり、非ラップ形成面)を対向させて配置する、いわゆる背面型スクロールユニットと比べて、ユニットをコンパクトにすることができる。

本発明の一実施形態におけるスクロール型流体機械の縦断面図である。

本実施形態の固定スクロールを可動スクロール側からみた平面図である。

本実施形態の可動スクロールを固定スクロール側からみた平面図である。

本実施形態の偏心ブッシュの斜視図である。

本実施形態の膨張部側における可動スクロール及び固定スクロールの組合わされた状態を示した横断面図である。

図5に示すスクロールユニットの径方向の最小クリアランスを説明するための図で、(A)は図5に示すA部の部分拡大図であり、(B)は図5に示すB部の部分拡大図である。

本実施形態の膨張部における可動スクロール及び固定スクロールの組合わされた状態を説明するための図であり、図5に示したA部の部分縦断面図である。

本実施形態の圧縮部における可動スクロール及び固定スクロールの組合わされた状態を説明するための図であり、図5に示したB部の部分縦断面図である。

以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。 図1は、本発明が適用されたスクロール型流体機械の第1実施形態である圧縮機一体型膨張機100の縦断面図である。 図1において、圧縮機一体型膨張機100は、図示省略した冷凍回路(蒸発器及び凝縮器)に接続され、取り込んだ高圧冷媒の膨張エネルギーによって、可動スクロールを固定スクロールに対して公転旋回駆動させ、この発生させた旋回駆動力によって、冷凍回路から取り込んだ低圧冷媒を圧縮して、冷凍回路の主圧縮機へ圧縮した冷媒を吐出するものであり、作動室としての膨張部1及び圧縮部2を備え、膨張部1で回収された動力によって圧縮部2を駆動するように構成されている。この膨張部1及び圧縮部2については、後に詳述する。

図1に示すように、圧縮機一体型膨張機100はハウジング10を備え、このハウジング10内には、主に、固定スクロール3及び可動スクロール4を備えたスクロールユニット20と、可動スクロール4を支持する支持部30とが配設されている。

前記ハウジング10は、固定スクロール3を固定支持するメインフレーム11と、メインフレーム11の上部を閉止するキャップ状のトップシェル12と、メインフレーム11の下部を閉止するキャップ状のボトムシェル13とを備え、トップシェル12とボトムシェル13との間にメインフレーム11を挟み込むようにしている。

前記トップシェル12側には、図1に模式的に示すように、冷凍回路からの冷媒を膨張部1内へ流入させる膨張側吸入管14と、膨張部1で膨張された冷媒を冷凍回路に向けて吐出する膨張側吐出管15と、圧縮部2で圧縮された冷媒を冷凍回路に向けて吐出する圧縮側吐出管16とが配置されている。膨張側吸入管14、膨張側吐出管15は、固定スクロール3に形成された、膨張側吸入室3d、膨張側吐出室3eにそれぞれ接続され、圧縮側吐出管16は、トップシェル12とメインフレーム11との間に形成された圧縮側吐出室12aに接続されている。また、メインフレーム11の外周部側には、冷凍回路から取り込んだ冷媒を圧縮部2内へ流入させる圧縮側吸入管17が配置され、この圧縮側吸入管17は、固定スクロール3に形成された圧縮側吸入室3fに接続されている。

前記スクロールユニット20は、渦巻き状のラップ3L,4L(図2及び図3参照)がそれぞれ形成された固定スクロール3及び可動スクロール4を、互いのラップ3L,4Lを後述する最小クリアランスを確保するように対向配置して備えている。スクロールユニット20は、固定スクロール3のラップ3Lと可動スクロール4のラップ4Lとの間に作動流体の作動室を構成する膨張部1及び圧縮部2(図1参照)を形成している。

前記固定スクロール3は、図1に示すように、ラップ形成面側を下方に向けて、メインフレーム11に形成された段付き状凹部11aの最上部座面11a1に固定されている。図2に示すように、固定スクロール3には、渦巻き状のラップ3Lとしての内側ラップ3La及び外側ラップ3Lbが形成されると共に、環状の中間仕切り壁3a及び外側仕切り壁3bが立設されている。内側ラップ3Laは中間仕切り壁3aよりも中心側に立設され、外側ラップ3Lbは中間仕切り壁3aと外側仕切り壁3bとの間に立設される。また、固定スクロール3には、シールリング5(図1参照)が嵌挿される環状溝3c(図2参照)が中間仕切り壁3aの端面に形成されている。

また、固定スクロール3には、図2に示すように、膨張側吸入室3dが膨張部1の内周端である中心部に形成され、膨張側吐出室3eが中間仕切り壁3aの内側の膨張部1の外周端に形成され、圧縮側吸入室3fが外側仕切り壁3bの内側の圧縮部2の外周端に形成され、中間仕切り壁3aの外側の圧縮部2の内周端に圧縮側吐出孔3gが貫通して形成されている。

前記可動スクロール4は、オルダムリング等の自転阻止機構50により自転を阻止された状態で、ラップ形成面側を上方に向けてメインフレーム11の中間台座面11a2に載置されつつ、支持部30により後述する固定軸6の軸心周りに公転旋回運動可能に支持されている。可動スクロール4には、図3に示すように、渦巻き状のラップ4Lとしての内側ラップ4La及び外側ラップ4Lbが形成されている。内側ラップ4Laの壁面は、固定スクロール3の内側ラップ3Laの壁面と対向し、外側ラップ4Lbの壁面は、固定スクロール3の外側ラップ3Lbの壁面と対向し、各ラップ4La,4Lbは相反する渦巻の方向で立設されている。また、可動スクロール4のラップ形成面とは反対面には、図1に示すように後述する偏心ブッシュ31が可動スクロール4に対して相対回動可能に内挿される凹部4aが形成されている。

これらの固定スクロール3及び可動スクロール4を、図1に示すように各ラップの壁面を対向させて組み合わせて、固定スクロール3の内側ラップ3Laと可動スクロール4の内側ラップ4Laとの間で膨張部1を形成し、固定スクロール3の外側ラップ3Lbと可動スクロール4の外側ラップ4Lbとの間で圧縮部2を形成する。このように、本実施形態のスクロールユニット20は、膨張部1を形成する可動スクロール4と圧縮部2を形成する可動スクロール4とが同一部材の同一面上に形成される、いわゆる単板型スクロールユニットである。

前記支持部30は、固定軸6に回動可能に軸支され、可動スクロール4を固定軸6の軸心X1周りに公転旋回運動可能に支持するものである。支持部30は、具体的には、偏心ブッシュ31と、ニードルベアリング32と、ラジアルベアリング33、スラストベアリング34とを備えて構成される。

前記偏心ブッシュ31は、固定軸6の軸心X1に対して偏心して回動可能に固定軸6に軸支され、可動スクロール4に形成される凹部4aに、可動スクロール4に対して相対回動可能に内挿されている。

具体的には、偏心ブッシュ31は、図4に示すように、可動スクロール4の凹部4aの内径より大きく拡径された鍔部31aと、鍔部31aから立設される円柱部31bと、鍔部31aの外周部の一部に一体形成されるバランスウェイト31cとを備える。円柱部31bは、この円柱部31bの軸心X3に対して偏心されて固定軸6の軸心X1と一致する中心軸を有する孔部31dを有し、固定軸6の軸心X1に対し偏心して組み付け可能に形成されている。この孔部31dに固定軸6の軸部6a(図1参照)がニードルベアリング32を介して嵌挿され、偏心ブッシュ31が固定軸6に回動可能に軸支される。円柱部31bは、ラジアルベアリング33を介して可動スクロール4の凹部4aに内挿される。鍔部31aと、固定軸6の基部6b(図1参照)との間にはスラストベアリング34が配設される。

前記固定軸6は、図1に示すように、上端側の軸部6aと、メインフレーム11の底部に貫通して形成される孔部11cに嵌挿される基部6bと、下端側に拡径されて形成された鍔部6cとを有し、軸部6aと基部6bは同軸(X1)で形成されている。固定軸6は、例えば、孔部11cに基部6bを嵌挿させて、鍔部6cをメインフレーム11の下面にボルト止め等することにより、その軸心X1を固定スクロール3の中心軸X2とほぼ一致させて、メインフレーム11に固定される。つまり、固定軸6は、偏心ブッシュ31を回動可能に支持するだけであり、自身が回転することはない。

このように、偏心ブッシュ31、ニードルベアリング32、ラジアルベアリング33及びスラストベアリング34から成る支持部30は、固定軸6にニードルベアリング32を介して軸支される偏心ブッシュ31の円柱部31bを固定軸6の軸心X1に対して偏心させ、その円柱部31bを可動スクロール4の凹部4aに、可動スクロール4に対して相対回動可能に、ラジアルベアリング32を介して内挿させることにより、可動スクロール4を軸心X1周りに公転旋回運動可能に支持する。

次に、本実施形態における固定スクロール3のラップ3Lと可動スクロール4のラップ4Lとの間の最小クリアランスについて説明する。 図5に示すように、スクロールユニット20は、固定スクロール3のラップ3Lと可動スクロール4のラップ4Lとを噛合わせて組合せて構成されている。ここで、可動スクロール4の公転旋回中に固定スクロール3と可動スクロール4との間の作動室としての膨張部1及び圧縮部2の気密を維持させる必要があるため、膨張部1及び圧縮部2のそれぞれにおいて、可動スクロール4のラップ4Lと固定スクロール3のラップ3Lとが最も接近する間隔を極力小さく設定する必要がある。この間隔を最小クリアランスと呼ぶ。最小クリアランス(言い換えると、シール部クリアランス)内には、潤滑用の油膜が形成されて、作動室としての膨張部1及び圧縮部2がそれぞれシールされている。

上記最小クリアランスは、スクロールユニット20の径方向と、軸方向(各ラップの高さ方向)とでそれぞれ設定されている。そして、径方向の最小クリアランスCは、膨張部1側と圧縮部2側とでそれぞれ設定されており、図5に示したA部及びB部の部分拡大図である図6(A)及び図6(B)に示すように、膨張部1側の径方向最小クリアランスCexpは圧縮部2側の径方向最小クリアランスCcompより小さく設定されている。また、軸方向最小クリアランスCZ(つまり、ラップの先端とラップを形成する溝底との間のクリアランス)についても、膨張部1側と圧縮部2側とでそれぞれ設定されており、図5に示したA部及びB部の拡大縦断面図である図7及び図8に示すように、膨張部1側の軸方向最小クリアランスCZexpは圧縮部側2の軸方向最小クリアランスCZcompより小さく設定されている。 このように、膨張部1側の径方向及び軸方向の最小クリアランス(Cexp及びCZexp)のいずれも、圧縮部2側の最小クリアランス(Ccomp及びCZcomp)より小さく設定している。

以下に、膨張部1及び圧縮部2における固定スクロール3のラップ3L(3La,3Lb)及び可動スクロール4のラップ4L(4La,4Lb)の、径方向についての位置関係を、図4、図7及び図8を参照して詳述する。 まず、膨張部1側について説明する。図7に示すように、膨張部1における固定スクロール3及び可動スクロール4の各ラップ3La,4LaのピッチをPexpとし、膨張部1における固定スクロール3及び可動スクロール4の各ラップ3La,4Laの壁厚をtexpとする。また、図4に示すように、円柱部31bの軸心X3に対する孔部31dの中心軸(図4ではX1、X2)の偏心距離をクランク半径PORとする。なお、図7及び図8に示すように、可動スクロール4のラップ4L(4La,4Lb)は、固定スクロール3のラップ3L(3La,3Lb)を形成する溝内でスクロールユニット20の径方向についてクランク半径PORの2倍の距離分だけ移動可能となる。このクランク半径PORは、下記の式(1)で示される。 POR=Pexp/2−Cexp−texp・・・(1) 一方、圧縮部2側については、図8に示すように、圧縮部2における固定スクロール3及び可動スクロール4の各ラップ3Lb,4LbのピッチをPcompとし、膨張部1における固定スクロール3及び可動スクロール4の各ラップ3Lb,4Lbの壁厚をtcompとしたとき、クランク半径PORは、下記の式(2)で示される。 POR=Pcomp /2−Ccomp−tcomp・・・(2) ここで、膨張部1及び圧縮部2におけるクランク半径PORは同じであるため、上記式(1)及び式(2)より、下記の式(3)の関係式が成立する。 Pexp/2−Cexp−texp=Pcomp /2−Ccomp−tcomp・・・(3) また、上記式(3)より、下記の式(4)の関係が成り立つ、 Ccomp−Cexp=(Pcomp /2−tcomp )−(Pexp /2−texp )・・・(4) ここで、上記式(4)において、Ccomp−Cexp>0(つまり、Ccomp > Cexp )となるためには、下記の式(5)を満足する必要がある。 Pcomp /2−tcomp >Pexp /2−texp・・・(5) このように、径方向の最小クリアランス(Cexp及びCcomp)については、具体的には、式(5)を満足するように、各ピッチ(Pcomp及びPexp)と各壁厚(tcomp及びtexp)を設定すればよい。例えば、各ピッチ(Pcomp及びPexp)を一致させると共に、膨張部1側の壁厚texpを圧縮部2側の壁厚tcompより厚く形成したり、各壁厚(tcomp及びtexp)を一致させると共に、膨張部1側のピッチPexpを圧縮部2側のピッチPcompより短く形成したりすればよく、また、上記式(5)を満たせば、各ピッチ(Pcomp及びPexp)又は各壁厚tcomp及びtexp)を膨張部1側と圧縮部2側とで一致させなくてもよい。なお、各ピッチ(Pcomp及びPexp)及び各壁厚(tcomp及びtexp)それぞれの寸法公差の上限及び下限値は、その公差範囲のいずれの寸法であっても、上記式(5)を満足するように設定されている。

次に、膨張部1及び圧縮部2における固定スクロール3のラップ3L(3La,3Lb)及び可動スクロール4のラップ4L(4La,4Lb)の、軸方向についての位置関係を詳述する。 図7及び図8に示すように、膨張部1における固定スクロール3のラップ3L(内側ラップ3La)を形成する溝深さをDexpとし、膨張部1における可動スクロール4のラップ4L(内側ラップ4La)の高さをhexpとし、圧縮部2における固定スクロール3のラップ3L(外側ラップ3Lb)を形成する溝深さをDcompとし、圧縮部2における可動スクロール4のラップ4L(外側ラップ4Lb)の高さをhcompとしたとき、下記の式(4)及び式(5)の関係式が成立する。 CZexp=Dexp−hexp・・・(6) CZcomp=Dcomp−hcomp・・・(7) ここで、上記式(6)及び式(7)より、CZcomp>CZexpとなるためには、下記の式(8)を満足する必要がある。 Dcomp−hcomp >Dexp−hexp・・・(8) このように、軸方向の最小クリアランス(CZexp及びCZcomp)については、具体的には、式(8)を満足するように、固定スクロール3の各溝深さ(Dcomp及びDexp)と可動スクロール4の各ラップ高さ(hcomp及びhexp)を設定すればよい。例えば、各溝深さ(Dcomp及びDexp)を一致させると共に、膨張部1側の可動スクロール4のラップ高さhexpを圧縮部2側の可動スクロール4のラップ高さtcompより高く形成したり、可動スクロール4の各ラップ高さ(hcomp及びhexp)を一致させると共に、膨張部1側の固定スクロール3の溝深さDexpを圧縮部2側の溝深さDcompより浅く形成したりすればよく、また、上記式(8)を満たせば、各溝深さ(Dcomp及びDexp)又は各ラップ高さ(hcomp及びhexp)を膨張部1側と圧縮部2側とで一致させなくてもよい。なお、各溝深さ(Dcomp及びDexp)及び各ラップ高さ(hcomp及びhexp)それぞれの寸法公差の上限及び下限値は、その公差範囲のいずれの寸法であっても、上記式(8)を満足するようにそれぞれ設定されている。

次に、本実施形態の圧縮機一体型膨張機100の動作について、図1を用いて概略説明する。

膨張側吸入管14から吸入された高圧の冷媒は、膨張側吸入室3dを経て膨張部1に取り込まれる。膨張部1は、各スクロール3,4の間の容積を増大させ、冷媒の膨張エネルギーによって可動スクロール4を固定スクロール3の軸心X1周りに継続して公転旋回運動させる。可動スクロール4の公転旋回運動に供した冷媒を、膨張側吐出室3e及び膨張側吐出管15を介して冷凍回路に向けて吐出させる。一方、圧縮側吸入管17から吸入された低圧の冷媒は、圧縮側吸入室3fを経て圧縮部2に取り込まれる。圧縮部2は、可動スクロール4の公転旋回運動により各スクロール3,4の間の容積を減少させ、これに伴い取り込んだ冷媒を圧縮する。そして圧縮した冷媒を、圧縮側吐出孔3g、圧縮側吐出室12a及び圧縮側吐出管16を介して冷凍回路の主圧縮機へ向けて吐出する。このように、膨張比の大きい膨張部1で冷媒を膨張させ、その膨張エネルギーを利用して冷媒を圧縮比の小さい圧縮部2で圧縮する。

かかる本実施形態の圧縮機一体型膨張機100によれば、膨張部1側の最小クリアランス(Cexp及びCZexp)を、圧縮部2側の最小クリアランス(Ccomp及びCZcomp)より小さく設定するので、作動流体の膨張エネルギーを利用して作動流体を圧縮するスクロール型流体機械において、膨張比の大きい膨張部1におけるクリアランスの動力回収効率への影響を低減することができ、膨張エネルギーを効率的に回収して冷媒を圧縮することができる。

また、本実施形態においては、膨張部1側の径方向及び軸方向の最小クリアランス(Cexp及びCZexp)のいずれも、圧縮部2側の最小クリアランス(Ccomp及びCZcomp)より小さく設定したため、膨張部1において確実なシールを行うことができる。なお、これに限らず、圧縮部2側より膨張部1側を小さく設定する最小クリアランスは、径方向及び軸方向の少なくとも一方のクリアランスであればよい。

そして、本実施形態においては、スクロールユニット20は、膨張部1を形成する可動スクロール4と圧縮部2を形成する可動スクロール4とが同一部材の同一面上に形成される、単板型スクロールユニットとしたので、例えば、膨張部1を形成する可動スクロール4と圧縮部2を形成する可動スクロール4とがそれぞれ別の部材上に形成され、各部材の背面(つまり、非ラップ形成面)を対向させて配置する、いわゆる背面型スクロールユニットと比べて、ユニットをコンパクトにすることができる。

なお、本実施形態では、可動スクロール4と偏心ブッシュ31との間には、単にラジアルベアリング33を設けた場合で説明したが、これに限らず、例えば、更にスラストベアリングを、凹部4aを形成するボスの端面と偏心ブッシュ31の鍔部31aとの間に設けるように構成してもよい。

また、本実施形態では、偏心ブッシュ31と、凹部4a及び軸部6aとの間には、ニードルベアリング32及びラジアルベアリング33を設けた場合で説明したが、これに限らず、これらベアリング32,33を設けずに、偏心ブッシュ31自体を可動スクロール4及び軸部6aの互いの相対回転を受容する滑り軸受としても良い。

さらに、本実施形態では、固定軸6は、その軸心X1を固定スクロール3の中心軸X2とほぼ一致させて、メインフレーム11に固定される場合で説明したが、これに限らず、軸心X1を固定スクロール3の中心軸X2とずらして固定するようにしてもよい。

また、本実施形態においては、支持部30は、メインフレーム11に固定された固定軸6に軸支される構成の場合で説明したが、これに限らず、図示省略するが、回転可能な軸に軸支されるように構成してもよい。また、スクロールユニット20は、単板型スクロールユニットの場合で説明したが、これに限らず、図示省略するが、上述の背面型スクロールユニットであってもよい。この場合、例えば、膨張部1を形成する可動スクロール4と圧縮部2を形成する可動スクロール4とは、両面にスクロールを設けた一体の部材で構成しても良いし、別体の部材とする場合は、両可動スクロールを連結し、作動流体の膨張により膨張部1で発生する回転駆動力を圧縮部2に伝達する連結軸を設けて構成してもよい。

以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。

100・・スクロール型流体機械 1・・・・膨張部(作動室) 2・・・・圧縮部(作動室) 3・・・・固定スクロール 3L・・・渦巻き状のラップ 4・・・・可動スクロール 4L・・・渦巻き状のラップ 6・・・・固定軸 20・・・スクロールユニット 30・・・支持部 X1・・・固定軸の軸心 X2・・・固定スクロールの中心軸

QQ群二维码
意见反馈