Carrier for combinatorial compound library

申请号 JP2000585186 申请日 1999-11-30 公开(公告)号 JP2002531424A 公开(公告)日 2002-09-24
申请人 ザ・ユニバーシティ・オブ・クイーンズランド; 发明人 エドワード ブライアント ダリン; ジーン バタースビー ブロンウィン; トラウ マット;
摘要 (57)【要約】 化合物をその上で合成し得る担体の不均一集団から識別するのに充分な情報を予め符号化された担体が開示される。 この担体は一体的に担体と関連している二つの属性を持っており、その属性は該化合物の合成中に検出可能及び/又は定量可能であり、該合成の前、間、及び後において担体を同定する符号を規定するものであるが、該属性の一つが該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とする。 本発明は上記のように予め符号化された複数の担体をも包含し、そしてこのような担体を用いるコンビナトリアルライブラリーを合成し解読する方法をも包含する。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 その上で化合物を合成できる担体であって、該担体がそれと一体的に関連している少なくとも二つの属性を持っており、その属性は該化合物の合成中に検出可能及び/又は定量可能であり、かつ、該合成の前、間、及び後において該担体を同定する符号を定めるものであるが、該属性の一つが該担体の形状、又は表面変形以外のものである担体。
  • 【請求項2】 該属性の少なくとも一つが該担体の内部に(within or inte
    rnally) 含まれるものである、請求項1記載の担体。
  • 【請求項3】 該属性の少なくとも一つが電磁放射関連属性である、請求項1記載の担体。
  • 【請求項4】 該電磁放射関連属性が、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収、及び電気インピーダンスから成る群より選択されるものである、請求項3記載の担体。
  • 【請求項5】 該電磁放射関連属性が、一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することにより検出できる光の放射、光の透過又は光の吸収の属性である、請求項3記載の担体。
  • 【請求項6】 それと一体的に関連している少なくとも3種の検出可能な及び/又は定量可能な属性を有する請求項1記載の担体。
  • 【請求項7】 該電磁放射関連属性が蛍光色素を含むものである請求項3記載の担体。
  • 【請求項8】 該担体がコロイド粒子である請求項1記載の担体。
  • 【請求項9】 該担体が小球、円板、毛細管、中空繊維針、ピン又は小片の形態のコロイド粒子である、請求項1記載の担体。
  • 【請求項10】 該コロイド粒子が重合体粒子又はセラミック粒子である、
    請求項9記載の担体。
  • 【請求項11】 該セラミック粒子がシリカ粒子である請求項10記載の担体。
  • 【請求項12】 該セラミック粒子が約0.01μmから約150μmまでの直径を有するものである、請求項10記載の担体。
  • 【請求項13】 球状、立方体、直角柱、角錐、円錐、卵型、シート型又は円筒型から成る群より選択される形状を有する、請求項1記載の担体。
  • 【請求項14】 該担体が−NH 2 、−COOH、−SOH、−SSH及び硫酸塩から成る群より選択される官能基を含むものである、請求項1記載の担体。
  • 【請求項15】 検出可能なように異なっている担体の集団を含み、その上で複数の異種化合物が合成され得る複数の担体であって、該担体のそれぞれが該合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体と区別して同定する符号を持ち、且つ、該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能及び/又は定量可能な属性により特徴付けられるものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とするものである複数の担体。
  • 【請求項16】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが該担体の内部に含まれるものである、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項17】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが電磁放射関連属性である、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項18】 該電磁放射関連属性が、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収、及び電気インピーダンスから成る群より選択されるものである、請求項17記載の複数の担体。
  • 【請求項19】 電磁放射関連属性が一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することにより検出できる光の放射、光の透過又は光の吸収の属性である、請求項17記載の複数の担体。
  • 【請求項20】 それぞれの担体が少なくとも三つのそれと一体的に関連する検出可能及び/又は定量可能な属性を有するものである、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項21】 それぞれの担体の電磁放射関連属性が蛍光色素を含むものである、請求項17記載の複数の担体。
  • 【請求項22】 各担体がコロイド粒子である、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項23】 該担体が球状、立方体、直角柱、角錐、円錐、卵型、シート型又は円筒型から成る群より選択される異なる形状を持つものである、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項24】 該担体が小球、円板、毛細管、中空繊維針、ピン又は小片から成る群より選択される異なる形態を有するものである、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項25】 該担体が異なるサイズを持つものである、請求項15記載の複数の担体。
  • 【請求項26】 該コロイド粒子が重合体粒子又はセラミック粒子である、
    請求項22記載の複数の担体。
  • 【請求項27】 該セラミック粒子がシリカ粒子である、請求項26記載の複数の担体。
  • 【請求項28】 該担体が約0.01μmから約150μmまでから選択される異なる直径を持つセラミック粒子を含むものである、請求項26記載の複数の担体。
  • 【請求項29】 それぞれの担体が−NH 2 、−COOH、−SOH、−S
    SH及び硫酸塩から成る群より選択される官能基を含むものである、請求項15
    記載の複数の担体。
  • 【請求項30】 検出可能なように異なっている担体の集団を含む複数の担体を製造する方法であって、下記の工程、すなわち (a)異なる符号を持つ複数の担体を調製する工程であって、各符号がそれぞれの担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられるものである工程、 (b)各担体の該属性を検出及び/又は定量する工程であって、それにより各担体に対し符号を割り当てる工程、 (c)特有の符号を持つ担体を同定する工程、 (d)類似の符号を持つ担体を同定する工程、及び (e)特有の符号を持つ担体を特有でない符号を持つ担体から区別する工程であって、それにより検出可能なように異なっている符号を持つ集団を含む複数の担体を提供する工程、 を含む方法。
  • 【請求項31】 工程(a)において、該担体が分割−処理−再混合操作により調製されることを特徴とする、請求項30記載の方法。
  • 【請求項32】 工程(a)において、それぞれの担体の該少なくとも二つの属性が分割−処理−再混合操作から得られることを特徴とする、請求項30記載の方法。
  • 【請求項33】 工程(a)において、それぞれの担体の該少なくとも二つの属性の一つ以上が該担体の上に重層されていることを更に特徴とする、請求項32記載の方法。
  • 【請求項34】 工程(b)において、それぞれの担体の少なくとも三つの異なる検出可能な及び/又は定量可能な属性が符号記録のために検出及び/又は定量されることを特徴とする、請求項30記載の方法。
  • 【請求項35】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが該担体の内部に含まれるものである、請求項30記載の方法。
  • 【請求項36】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが電磁放射関連属性である、請求項30記載の方法。
  • 【請求項37】 工程(b)において、電磁放射関連属性が、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収、及び電気インピーダンスから成る群より選択されるものであることを更に特徴とする、請求項36記載の方法。
  • 【請求項38】 工程(b)において、該電磁放射関連属性が一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することにより応答することを更に特徴とする、請求項36記載の方法。
  • 【請求項39】 コンビナトリアルライブラリーを合成しそして解読する方法であって、下記の工程、すなわち (a)その上で複数の異なる化合物を合成できる複数の担体を複数の反応容器の中に推計学的方法で配分する工程であって、該複数の担体が検出可能なように異なっている担体の集団を含み、そのそれぞれの担体は該合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体から区別して同定し且つ該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる符号を有するものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とする工程、 (b)該複数の反応容器の中の特定の反応容器中への、検出可能なように異なっている担体の個々の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を決定し記録する工程であって、該符号が工程(d)の前に決定されるものである工程、 (c)各反応容器の中の担体を一つのシントンと反応させる工程、 (d)各反応容器からの担体を集める工程、 (e)複数の反応容器の間に推計学的方法で担体を配分する工程、 (f)各反応容器の中の担体を別の一つのシントンと反応させる工程、 (g)該複数の反応容器の中の特定の反応容器への、検出可能なように異なっている担体の個々の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を記録する工程であって、該符号が工程(e)又は工程(f)の後に記録されるものである工程、 (h)各反応容器からの担体を集める工程、及び (i)必要なときは工程(e)から工程(h)までを繰り返してコンビナトリアル化合物ライブラリーを作成する工程であって、該ライブラリーの構成化合物が検出可能なように異なっている担体と関連するものであり、該検出可能なように異なっている担体の受ける反応の順序を同定するため、該記録工程により提供される追跡データを用いることにより、該検出可能なように異なっている担体の符号が解読されるものである工程、 を含む方法。
  • 【請求項40】 複数の担体の該符号が工程(d)の前に決定されるものである、請求項39記載の方法。
  • 【請求項41】 工程(b)及び工程(g)において、それぞれの担体の少なくとも三つの異なる検出可能な及び/又は定量可能な属性が符号記録のために検出され及び/又は定量されることを更に特徴とする、請求項39記載の方法。
  • 【請求項42】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが該担体の内部に含まれるものである、請求項39記載の方法。
  • 【請求項43】 それぞれの担体の該属性の少なくとも一つが電磁放射関連属性である、請求項39記載の方法。
  • 【請求項44】 工程(b)及び工程(g)において、電磁放射関連属性が、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収、及び電気インピーダンスから成る群より選択されるものであることを更に特徴とする、請求項43記載の方法。
  • 【請求項45】 工程(b)及び工程(g)において、電磁放射関連属性が一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することにより応答することを更に特徴とする、請求項43記載の方法。
  • 【請求項46】 少なくとも工程(g)及び工程(e)がフローサイトメータ中で行われるものである、請求項39記載の方法。
  • 【請求項47】 請求項39〜請求項46いずれか1項に記載の方法により製造されるコンビナトリアル化合物ライブラリー。
  • 【請求項48】 (a)複数の異種化合物を含むコンビナトリアル化合物ライブラリーであって、各化合物が少なくとも一つの複数担体に結合し、該複数担体は検出可能なように異なっている担体の集団を含み、その担体それぞれは対応する化合物の合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体から区別して同定し、且つ該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる特有の符号を持つものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とするライブラリー、
    及び (b)それぞれの検出可能なように異なっている担体が受けた反応の順序を同定するための特有の符号それぞれに関する追跡データ、 を含むキット。
  • 【請求項49】 それぞれの担体の少なくとも一つの該属性が該担体の内部にあるものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項50】 それぞれの担体の少なくとも一つの該属性が電磁放射関連属性である、請求項48記載のキット。
  • 【請求項51】 該電磁放射関連属性が、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁拡散、光透過、光吸収、及び電気インピーダンスから成る群より選択されるものである、請求項50記載のキット。
  • 【請求項52】 該電磁放射関連属性が、一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することに検出できる光放射、光透過又は光吸収という属性である、請求項50記載のキット。
  • 【請求項53】 それぞれの担体がそれと一体的に関連する少なくとも三つの検出可能な及び/又は定量可能な属性を有するものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項54】 それぞれの担体の電磁放射関連属性が蛍光色素を含むものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項55】 それぞれの担体がコロイド粒子である、請求項48記載のキット。
  • 【請求項56】 該担体が球状、立方体、直角柱、角錐、円錐、卵型、シート型又は円筒型から成る群より選択される異なる形状を持つものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項57】 該担体が小球、円板、毛細管、中空繊維針、ピン又は小片から成る群より選択される異なる形態を有するものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項58】 該担体が異なるサイズを持つものである、請求項48記載のキット。
  • 【請求項59】 該コロイド粒子が重合体粒子又はセラミック粒子である、
    請求項55記載のキット。
  • 【請求項60】 該セラミック粒子がシリカ粒子である、請求項59記載のキット。
  • 【請求項61】 該担体が約0.01μmから約150μmまでの直径から選択される異なる直径を持つセラミック粒子を含むものである、請求項59記載のキット。
  • 【請求項62】 それぞれの担体が−NH 2 、−COOH、−SOH、−S
    SH及び硫酸塩から成る群より選択される官能基を含むものである、請求項48
    記載のキット。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 発明の分野本発明は一般的にコンビナトリアル化合物ライブラリーに関する。 具体的には本発明はコンビナトリアル化合物の合成に使用する特有の符号を持つ担体並びにこれらの担体を用いて製造されるコンビナトリアル化合物ライブラリーに関する。 さらに、本発明はコンビナトリアルライブラリー構成化合物の構造の新規な解読方法に関する。

    【0002】 発明の背景最近、極めて多様な分子ライブラリーを合成するための容易なコンビナトリアル技術を考案することに大きな関心が払われてきた。 このようなライブラリーの主要な有用性は、新規なリード化合物の追求の中で様々な生物学的、薬理学的又は化学的活性についてこれらのライブラリーをスクリーニングすることができることにある。 コンビナトリアル技術は、本質的には、化学的、生物学的又は生合成的手順を用い、化学的構築材料即ちシントンを多数組合せて収集したものの体系的集合に基づいている。 このような集合によって作られる個々の異なるライブラリー構成化合物の潜在的数「N」は、各工程「b」に対し利用可能な異なるシントンの数及び反応スキームにおける合成工程の数「x」の関数として、次の式、即ち、N
    =b xに従って計算することができる。 こうして、20の異なるアミノ酸(即ち、シントン)を用いて構築された9ぺプチドのライブラリーは20 9即ち、5.
    1×10 11もの異なるライブラリー構成化合物を含み得るであろう。

    【0003】 同様な手順はオリゴヌクレオチドライブラリーの作成についても上記のギャロップら,1994に記述されている。

    【0004】 コンビナトリアルライブラリーは多数の方法により作成しうる。 例えば、フルカら, (1988, 14the Int. Congr. Biochem., Prague, Czechoslovakia 5: 47, 1
    991 、Int. J. Pept. Protein Res. 37 : 487-493 ) 及びラムら,(1991, Natur
    e 354: 82-84) により最初に記述された「分割−処理−再混合」法又は「分割合成」法があり、そしてアイヒラーら, (1995, Medicinal Research Reviews 15( 6) : 481-496)及びバルケンホールら, (1996, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 35 :
    2288-2337)により後に論じられている。 この分割合成法は、ポリマービーズなどの複数の固体支持体を合成の各工程に対し利用可能なシントンの数を表すn個の等画分(例えば、20個のL−アミノ酸、4個の異なるヌクレオチドなど)に分割する工程、それぞれのシントン1個を対応する画分の各ポリマービーズに結合させる工程、及び次に全ての画分のポリマービーズを混ぜて徹底的に混合する工程を含む。 このプロセスは全部でxサイクル繰り返すとN Xまでの異なる化合物の推計学的集合ができる。 こうして、結合がアミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質又は複素環化合物等の付加反応を含み、シントンが天然型、合成化合物、又はそれらの組合せである場合、この合成により、膨大な数の分子的に多様な化合物を合成することができる。

    【0005】 従って、このように作製された分子ライブラリーは、目的の受容体ターゲットと相互作用する新規なリガンドの同定用にスクリーニングされうる。 ライブラリーのサイズと構造的多様性が増大するにつれ、任意の所与の受容体ターゲットに対して、随意に分子レパートリーをスクリーニングする工程により、有なリガンドを首尾よく同定する確率は疑いなく増大するであろう。 しかしながら、このタイプの大きなライブラリーを作製することにともなう固有の難題は任意の選択されたコンビナトリアルライブラリー構成化合物の反応履歴を決定し、それによりその構造を解読する能力にある。 固体支持体が多数そして工程及び/又は処理方法が多数の場合、この「解読」手法は特に困難である。 高い処理量及び迅速な分析が要求される多くの実例において、この問題は従来の方法では処理し難い。

    【0006】 目的のコンビナトリアルライブラリー構成化合物を検出し単離したい場合、従来の分割合成技法は上記の難題にぶつかる。 この点については、質量分光法又はHPLCなどの技法により構成化合物を同定する前にまずこの固体支持体から該構成化合物を切断することが必要である。 これは時間がかかりそして煩雑であり、時には切断が不可能である。

    【0007】 幾つかのグループが、コンビナトリアルライブラリー構成化合物の合成で使用されるものと異なり直交する反応に依存する化学符号を用いて、これらの先行技術の欠陥を克服しようと試みてきた。 例えば、ヤンダ(1994, Proc.Natl.Acad.S
    ci.USA 91:10779-10785 )は、コンビナトリアルライブラリー構成化合物の各合成工程後に同定用タグを固体支持体に独立に結合する方法を記載している。 一続きの連続的な化学工程を通して、同定用タグの配列が固体支持体上で、合成された化合物と平行して構築される。 コンビナトリアル合成が完了すると、任意の各個体支持体が受けた操作の順序はこのタグ配列を個々に分析することにより遡って追跡できる。 従って、この様式における同定用タグを使用すれば、コンビナトリアルライブラリー構成化合物の合成において個々の固体支持体がどのシントン反応を受けたかを同定できる方法が提供される。 この同定用タグは、その一連の合成において固体支持体が特定のシントン反応を受けたその工程をも記録する。
    この点については、国際公開公報WO93/06121を参照しうる。 該公報でドーヴァーらは固体支持体上でコンビナトリアル化合物ライブラリーを合成するための一般的な推計学的方法を開示する。 そのライブラリーの構成化合物は該支持体から切断され可溶性のライブラリーを提供しうる。 該同定用タグは、付随粒子を用い又は用いずにライブラリーの構成化合物に、又は該構成化合物に付着したリンカーに、又はその上で該構成化合物が合成される固体支持体に、又は該構成化合物を担う粒子に付着させた第二粒子に直接付着させてもよい。

    【0008】 ドーヴァーら(前出)はコンビナトリアルライブラリーの形成で利用されうる同定用タグの非常に広いタイプに言及しているが、彼らが提供する唯一の実験的証拠は、配列決定又はハイブリダイゼーションにより同定可能なタグとしてのオリゴヌクレオチドの使用である。 彼らは、微量のオリゴヌクレオチドしか分析用に利用できない場合、オリゴヌクレオチドのタグをPCRにより増幅することにも言及している。 しかし、このような同定方法は多大の時間を要し非効率的であることが理解されよう。 例えば、PCRの使用はPCR産物の汚染につながるおそれがあり、ドーヴァーら(前出)により記載されているこの問題を克服するためにさらなる測定を導入する必要が生ずる。 増幅されたDNAを配列決定する必要もあり、これは該同定手法にさらなる工程を加えることになる。

    【0009】 米国特許第5,721,099 号において、スティルらは化合物の複雑なコンビナトリアル化学ライブラリーを構築するプロセスを開示しており、このプロセスで、各化合物は一つの反応シリーズにより作製され、個々の固体支持体と結合し、該支持体には互いに異なる四つの識別可能な同定因子の組合せが結合している。 この組合せは、分析可能なタグ成分、及び選択的に切断されて該タグ成分を解離できる連結成分を含む固有の方法を提供する。 各同定因子又はその組合せは、該固体支持体に結合した化合物に対する該反応系列における個々の工程での情報を符号化する。 該同定因子は互いに組合わせて用いられ、比較的多数の反応産物を符号化するために比較的少数の同定因子の使用を可能とする二次以上の符号化システムを形成する。 しかしながら、スティルら(前出)の方法は該固体支持体上の該タグ成分を直接同定するものではない。 この点で、コンビナトリアルライブラリーの分析前に各々のタグ成分が支持体から切断されることが不可欠であり、従って時間がかかり且つ非効率的な少なくとも一つのさらなる工程が生ずることになる。 ゆえに、ドーヴァーらの方法に関連する同様な不都合がスティルらの方法にも当てはまる。

    【0010】 上述した不都合に加えて、ユンダ(1994、前出)、ドーヴァーら(前出)及びスティルら(前出)により記載されている技法等の化学的符号化法は、同定用タグの平行した直交的合成に依存し、該合成はコンビナトリアル合成の完了にかかる時間を実質的に増やし且つ該合成を妨げる可能性を有する。

    【0011】 固体支持体を分析用分光計に直接据えることによりライブラリー構成化合物を解読することができる分光学的符号化法も記載されている。 これは化学的な切断工程を必要としない。 例えば、ゲイセンら(1996,Chem.Biol.3:679-688)は、反応履歴を符号化するために同位体の異なるタグを用いる方法を記載している。 質量分光計を用いて、多重に同位体標識されたタグにより供される比率用シグナルを測定することにより該反応履歴を解読する。 この方法の不都合は、多重に同位体標識された市販の試薬が比較的数少ないことである。

    【0012】 固体支持体の吸収又は蛍光放射スペクトルが測定される光学的符号化法も記載されている。 例えば、ペプチドのコンビナトリアル合成におけるビーズの標識化のために発色団タグ及び/又は蛍光タグの両方の使用を記載しているセバスチャンら(1993, Pept. 1992 Proc. 22nd Eur. Pept. Symp. 63-64)、カンピアンら(1994, In Innovation and Perspectives on Solid Phase Synthesis Epton, R
    ., Birmingham: Mayflower, 469-472 )及びイグナーら(1997, Chem. Commun.
    735-736 )が参照されうる。 この使用はビーズの吸収又は蛍光放射スペクトルを単に読み取ることによりライブラリー構成化合物の構造を解読するという利点を提供するが、大きなライブラリーの符号化には多数の発色団又は蛍光団の使用を要し、おそらくスペクトルの重なりが障害となろう。

    【0013】 ヤマシタとヴァインストック(国際公開公報WO95/32425)は、コンビナトリアルライブラリーを符号化するために、(i)少なくとも2の因子により異なる強度を有する蛍光標識されたタグ及び/又は(ii)様々な比率で使用できる複数の異なる蛍光タグのビーズへの結合を開示している。 このようなビーズは、分割合成法により一連のコンビナトリアルライブラリーを構築するためにフローサイトメトリーとともに使用されうる。 この点で、第一コンビナトリアルライブラリーは、コンビナトリアル合成の第一ステージにおけるシントンのそれぞれについての選択を符号化するために(i)及び(ii)に従ってタグ化されたビーズ上で特定の一式の反応順序を実施することにより調製される(「ステージ」という用語はコンビナトリアルライブラリー構成化合物の一連の合成の一工程に対応する)
    。 第二コンビナトリアルライブラリーは、第一ライブラリーと実質的に同一の特定の一式の反応順序から調製される。 ここで、タグ化ビーズは第一反応の前に混合しそして分離し、第二ステージにおけるシントンの各選択を符号化するために第二反応順前に該ビーズを区分けする。 該区分け工程の特徴は、該ビーズが同様にタグ化されるビーズの群に区分けされることである。 別のライブラリーは、該区分け工程が該コンビナトリアル合成における異なるステージの前に実施されることを除いて、第二ライブラリーの調製に従って調製される。 従って、該シリーズで構築されるライブラリーの数は、該コンビナトリアル合成におけるステージの合計数に等しい。 ここで、異なるステージが各ライブラリー中で符号化される。 合成が終了した後、各ライブラリーは生物学的活性について試験され、種々のシントンのどれが活性に重要でありどれが重要でないかを明らかにするために構造活性相関(SAR)研究に類似する集合分析が各ライブラリーについて実施される。 この方法はリード構造の提供に関して利点を有するが、該コンビナトリアル合成に使用されるステージ数に匹敵する多数のライブラリーを構築し分析する必要があり、これは煩雑で時間がかかる。

    【0014】 ケイとトレーシー(国際公開公報WO97/15390)は、化学的に不活性な固体粒子が独特の機械読み取り可能な符号でそれぞれ標識されている物理学的符号化システムを記述している。 該符号は二進数符号でありうるが、二進数以上の符号及び文字と数字の組合せ符号も意図される。 該符号は、ピット、穴、くぼみ、溝、もしくは刻み目、又はこれらの任意の組合わせを含む表面変形から成りうる。 このような変形はミクロ機械加工によって付加される。 別法としては、該符号は該粒子自体の形状に存してもよい。 コンビナトリアル合成の第一相及び機械読み取り可能な符号を含む第二相を含む固体粒子が例として挙げられ、該第二相は第一相上に重ね合わされうるか又は第一相の内部に包み込まれうる。 粒子上の微細な符号には信号を送り、顕微鏡に基づく画像の取込み及び処理システムを用いて該符号を読取る。 ケイとトレーシーの符号化システムは、機械読み取り可能な符号がコンビナトリアル合成の処理工程間で「進行中に」を読取られうるため、各ビーズについて該処理順序又は検査痕跡を記録することができるという点で利点がある。 しかしながら、このシステムには、該固体粒子を作製し該符号を読取るために特殊な目的で構築された機械が必要とされる点で幾つかの不都合がある。 例えば、該固体粒子上への符号の変形を行うには、高価なマイクロ機械技術、必要な粒子の外面的形態を設計するための計算機援用設計(CAD)手段、並びに該粒子の形状を描くための適切な写真平板マスクの製造を必要とする。 さらに、所与の符号を正確に決定し証明するために、幾つかの異なる方向から粒子を観察するための特殊な画像処理システム及びソフトウェアを利用する必要がある。

    【0015】 上述した既知の方法の多数の不都合並びに該方法では応じられない多数の要望が本発明で取り組まれ、以下の本明細書でより詳しく記載するように本発明は上述した方法を凌ぐ多くの利点を提供する。

    【0016】 本発明の概要本発明の一側面によれば、その上で化合物を合成できる担体が提供される。 該担体はそれと一体的に関連している少なくとも二つの属性を持っており、該属性の一つが該担体の形状、又は表面変形以外のものであるという条件付きで、該属性は該化合物の合成中に検出可能及び/又は定量可能であり、かつ、該合成の前、間、及び後において該担体を同定する符号を定めるものである。

    【0017】 該属性の少なくとも一つは該担体の内部に(within or internally)含まれることが好ましい。

    【0018】 該属性の少なくとも一つは電磁放射関連属性であることが好ましい。

    【0019】 該電磁放射関連属性は、蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収、並びに電気インピーダンスから成る群より選択されるものであることが好ましい。

    【0020】 該電磁放射関連属性は、一つ以上の選択された波長又は一つ以上の選択されたベクトルの入射光で担体を照射することにより検出できる光を放射し、光を透過し又は光を吸収する属性であることが好ましい。

    【0021】 別の一側面において、本発明は、検出可能なように異なっている担体の集団を含み、その上で複数の異なる化合物が合成され得る複数の担体を提供する。 該担体のそれぞれは、該合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体と区別して同定し且つ該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる符号を持つものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とする。

    【0022】 さらなる別の一側面において、本発明は、検出可能なように異なっている担体の集団を含む複数の担体を製造する方法に存する。 該方法は、下記の工程、すなわち (a)異なる符号を持つ複数の担体を調製する工程であって、各符号がそれぞれの担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられるものである工程、 (b)各担体の該属性を検出及び/又は定量する工程であって、それにより各担体に対し符号を割り当てる工程、 (c)特有の符号を持つ担体を同定する工程、 (d)類似の符号を持つ担体を同定する工程、及び (e)特有の符号を持つ担体を特有でない符号を持つ担体から区別する工程であって、それにより検出可能なように異なっている符号を持つ集団を含む複数の担体を提供する工程、 を含む。

    【0023】 さらなる別の一側面において、本発明は、広く上述した方法から得られる検出可能なように異なっている符号をもつ複数の担体に存する。

    【0024】 さらなる側面において、本発明は、コンビナトリアルライブラリーを合成し解読する方法を提供する。 該方法は、下記の工程、すなわち (a)その上で複数の異なる化合物を合成できる複数の担体を複数の反応容器の中に推計学的方法で配分する工程であって、該複数の担体は検出可能なように異なっている担体の集団を含み、そのそれぞれの担体は該合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体から区別して同定し且つ該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる符号を有するものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とする工程、 (b)該複数の反応容器の中の特定の反応容器中への、検出可能なように異なっている担体の個々の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を決定し記録する工程であって、該符号が工程(d)の前に決定されるものである工程、 (c)各反応容器の中の担体を一つのシントンと反応させる工程、 (d)各反応容器からの担体を集める工程、 (e)複数の反応容器の間に推計学的方法で担体を配分する工程、 (f)各反応容器の中の担体を別の一つのシントンと反応させる工程、 (g)該複数の反応容器の中の特定の反応容器への、検出可能なように異なっている担体の個々の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を記録する工程であって、該符号が工程(e)又は工程(f)の後に記録されるものである工程、 (h)各反応容器からの担体を集める工程、及び (i)必要なときは工程(e)から工程(h)までを繰り返してコンビナトリアル化合物ライブラリーを作成する工程であって、該ライブラリーの構成化合物が検出可能なように異なっている担体と関連するものであり、該検出可能なように異なっている担体の受ける反応の順序を同定するため、該記録工程により提供される追跡データを用いることにより、検出可能なように異なっている担体の符号が解読されるものである工程、 を含む。

    【0025】 本発明はさらなる側面において前記の方法により作製されるコンビナトリアル化合物ライブラリーに関する。

    【0026】 本発明は、さらなる側面において、 (a)複数の異なる化合物を含むコンビナトリアル化合物ライブラリーであって、各化合物が少なくとも一つの複数担体に結合し、該複数担体は検出可能なように異なっている担体の集団を含み、その担体それぞれは、対応する化合物の合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体から区別して同定し且つ該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる特有の符号を持つものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とするライブラリー、及び (b)検出可能なように異なっている担体それぞれが受けた反応の順序を同定するための特有の符号のそれぞれに関する追跡データ、 を含むキットに存する。

    【0027】 発明の詳細な説明

    【0028】 1 定義本明細書で用いられるとき「担体」という用語は、化合物合成に適した部位をもつ固体支持体を含み、そして幾つかの実施態様ではタグの付着をも包含する。
    該担体は任意の適切なサイズ又は形状又は組成を有しうる。 担体は、サイズ、形状、又は組成が不均一であることが好ましい。 一般的に、該担体のサイズは約1
    nmから1mmの間の範囲にある。 該担体は球状、立方体、直柱、角錘、円錐、卵型、シート型又は円筒型に形状化されうる。

    【0029】 本明細書で用いられるとき「化合物」という用語は、一連のシントンを含む分子を指し、該シントンは既知の又は考えられる合成操作により形成されうる及び/又は組立てられうる任意の構造単位を含む。 従って、本発明の化合物はシントンの化学的付加又は酵素的付加から形成される。 このような化合物には、例えば、核酸、多糖類、リン脂質、及び例えばα−、β−、若しくはω−アミノ酸を含むペプチドの、直鎖状、環状、及び分枝状のオリゴマー又はポリマーであって、
    例えば既知の薬物が上記のいずれかに共有結合しているヘテロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレン スルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート若しくは本開示を検討する際当業者には容易に明らかな他のポリマーが含まれる。 例示した数及び列挙した化合物の型は単なる例示であってこれらに限定するものではない。

    【0030】 「担体と一体的に関連している特性」又は「それと一体的に関連している特性」は、担体の特性並びに/又は担体に付着した一つ以上の元素、分子、基、タグ等の特性を意味する。

    【0031】 「マーカー」とは、形状、サイズ、色、光学密度、示差吸光度若しくは光の放射、化学的反応性、磁気的若しくは電子的に符号化された情報、又は任意の他の識別可能な属性を含むがこれらに限定されない一つ以上の識別可能な属性を有する任意の分子又は分子の群を意味する。

    【0032】 本明細書で用いられるとき、「シントン」には、互いに結合して所望の化合物を形成しうる一連の分子の任意の構成化合物が含まれる。 例えば、シントンは、
    アミノ酸、カーボネート、スルホン、スルホキシド、ヌクレオシド、炭化物、
    尿素、ホスホン酸塩、脂質及びエステルを含みうる。 また、シントンは、例えばケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩等の無機単位を含みうる。 従って、本発明に有用のシントンには、例えばペプチド合成の例では、一式のL−アミノ酸、D−アミノ酸又は合成アミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。 シントンの異なる基本セットが本発明の化合物の合成における連続工程で使用されうることも理解されよう。

    【0033】 本明細書及び添付の特許請求の範囲を通して、文脈が他の意味を要求しない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises )」及び「含む(compriisng)
    」という用語は、記載の個体若しくは工程又は個体群若しくは工程群を包含することを意味するが任意の他の個体若しくは工程又は個体群若しくは工程群を除外することを意味するわけではないことが理解されよう。

    【0034】 2 本発明の担体本発明は、少なくとも部分的に、その上で化合物を合成できる担体であって、
    該担体がそれと一体的に関連している少なくとも二つの属性を持っており、その属性は該化合物の合成中に検出可能及び/又は定量可能である担体に存する。 該属性は、化合物の合成の前、間、及び後において該担体を同定する符号を定めるものであるが、該属性の一つが該担体の形状、又は表面変形以外のものであることを条件とする。 検出可能及び/又は定量可能な複数の属性、好ましくは光学的に検出可能及び/又は定量可能な属性の使用により、本発明の担体は、先行技術の他の担体と比較してより多くの「予め符号化された」情報を提供するので、符号化できるより大きなサイズのコンビナトリアルライブラリーを提供する。 この「予め符号化された」情報は、従来のフローサイトメーターによって読取られ得るものであり、そしてこの情報は以下の本明細書で記載するように、コンビナトリアル工程における個々の担体の合成の履歴を追跡するために使用できる。 本発明者らは、検出可能な及び/又は定量可能な担体の属性の多様性が大きければ大きいほど、担体の大集団における担体の解読又は解像の程度が高くなることを見出した。 この点について、検出可能な及び/又は定量可能な担体の個々の属性は、該担体を他と区別して同定するために必要な情報の少なくとも一部を提供する。 このような属性の数が多いほど、所与の担体について収集可能な情報をより詳細に同定でき、これは他の担体と該担体を識別するために使用されうる。

    【0035】 本発明は、上記の予め符号化された集団を含む複数の担体も包含する。 従って、この集団の個々の担体は、該合成の前、間、及び後において各担体を区別して同定し且つ該担体と一体的に関連している少なくとも二つの検出可能及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる符号を有する。 ただし、該属性の一つは該担体の形状、又は表面変形以外のものであることを条件とする。 従って、担体の該集団の多様性は、相互に関して検出可能な属性の異なる組合わせを有する該集団の担体に帰し、そしてこの属性は該担体の各々に対し特有の符号を提供するために用いられる。

    【0036】 本発明の担体は、分割−処理−再混合法を含まないコンビナトリアル化学的手法などの多くの適用に用いられうる。 しかしながら、このような集合は、分割−
    処理−再混合法を含むコンビナトリアル化学に用いることが好ましい。

    【0037】 該担体はコンビナトリアル合成用の基剤を提供できる任意の固体材料を含みうる。 例えば、該担体はポリマービーズなどのポリマー支持体であってもよく、該ビーズは1〜5%のジビニルベンゼンで架橋させたポリスチレンから形成されることが好ましい。 ポリマービーズは、ヘキサメチレンジアミン−ポリアクリル樹脂、並びに関連樹脂、ポリ[ N−{2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル}]
    アクリルアミド(即ちワンキュウ)、シリカ、セルロースビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリ(ハロメチルスチレン)ビーズ、ポリ(ハロスチレン)ビーズ、ポリ(アセトキシスチレン)ビーズ、ラテックスビーズ、ポリエチレングリコール/ポリスチレン等のグラフト共重合体ビーズ、孔の制御されたガラスビーズ等の多孔性ケイ酸塩、ポリ(アクリロイルサルコシンメチルエステル)ビーズ等のポリアクリルアミドビーズ、N, N' −ビス−アクリロリルエチレンジアミンで随意に架橋させたジメチルアクリルアミドビーズ、剛体若しくは半剛体の表面をもつ材料を与える架橋ポリスチレン又はフッ化エチレンポリマーを含む疎水性ポリマーで被覆されたガラス粒子、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)樹脂、Wang
    (商標)樹脂、パム樹脂、Merrifield(商標)樹脂、PAP及びSPAREポリアミド樹脂、アクリル酸で官能基をつけたポリエチレン、珪藻土/ポリアミド(
    ペプシンK)、PolyHipe(商標)、PS/ポリジメチルアクリルアミド共重合体、CPG、PSマクロビーズ及び Tentagel 商標)、PEG−PS/DVB共重合体から形成されてもよい。

    【0038】 該ポリマービーズは、例えばゴルドンら(1994, J.Med.Chem. 37(10):1385-14
    01)に論じられているような当分野で既知のピン又は小片等の他の適切な支持体と取り替えられうることも理解されよう。 該ビーズは、当分野で知られる小球、
    円盤、毛細管、中空繊維又は針も含みうる。 参照により本明細書にインコーポレートされる国際公開公報WO93/06121を参照してもよい。 該公報には本発明で使用する担体を構成しうる広い範囲の支持体が記載されている。 例えば、これらの担体は、ラテックス、ガラス、金又は他のコロイド金属粒子等を含む適切な材料から形成されうる。 適切な担体の例を開示している国際公報WO95/25737又はWO97/1
    5390を参照してもよい。 これは参照により本明細書にインコーポレートされる。

    【0039】 本発明の複数の担体は任意の適切な方法により調製されうる。 ポリマー粒子及びセラミック粒子を含むコロイド粒子が担体として使用される場合、このような担体のコロイド分散液は安定化されていることが好ましい。 コロイド安定化をもたらす典型的な方法は、例えばハンター,アール・ジェイ(1986、「コロイド化学の基礎」、オックスフォードユニバーシティープレス、メルボルン)及びナッパー,ディー・エイチ(1983、「コロイド分散液のポリマー安定化」、
    アカディミックプレス、ロンドン)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書にインコーポレートされる。 この点で、コロイド安定性に最も広く利用される非イオン性ポリマーの作用は立体的安定化であり、この安定化は、該コロイド粒子の表面上に吸着又は付着したポリマー分子により付与される。 当業者は、異なる安定化機構の組合わせにより安定性を付与することが可能であることを認めるはずである。 例えば、該粒子上の表面電荷は静電安定化によりコロイドの安定性を付与でき、そして付着した高分子電解質は静電機構及び立体機構の組合わせ(「電気立体的安定化」)により安定性を付与できる。 溶液中にある遊離のポリマーもコロイド安定性に影響を及ぼし得る。 遊離ポリマーによる安定化はよく立証されており(ナッパー、1983、前出)、「枯渇安定化(depletion
    stabilisation)」と呼ばれる。

    【0040】 コロイド分散液の立体的安定化を利用することが好ましい。 この点について、
    立体的安定化は、静電安定化を凌ぐ幾つかの特有な利点を供するため広く利用されている。 例えば、一つの利点は、非イオン性連鎖の寸法が該電解質の濃度によってほとんど変化しないため、水溶性の立体的に安定化された分散液は電解質の存在に比較的鈍感であることである。 これは、イオン強度に強く依存する電気的二重層の空間的伸長と明らかに対照をなす。 約 10 -2 mol/ dm -3より大きなイオン強度で、電気的二重層の厚さは静電反発力がもはやファンデルワールス引力より影響力が小さくなる程度まで縮んだことは明らかである。 これは電解質添加直後に起こる静電気的に安定化された分散液の凝固の原因となる。 他の利点は水性及び非水性の分散媒体の両方で等しく効果があることである。 これは、無極性の分散媒体で比較的効果のない静電安定化と対照をなす。 さらに、立体的安定化は分散相の大容量画分及び小容量画分の両方で等しく効果があり、大容量画分の分散液は比較的低い粘度を示す。 立体的に安定化された分散液の他の利点には、幾つかの適用において望ましい属性でありうる良好な凍結−解凍の安定性、並びに静電気的に安定化された分散液には一般的でない可逆的な凝集能が挙げられる。

    【0041】 任意の適切な安定化部分は、コロイド分散液を安定化するために使用されうる。 コロイド安定化に影響を与える典型的な安定化部分は表Aに示す。

    【0042】

    【表A】

    【0043】 先行技術を凌ぐ本発明の重要な前進は、少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性の組合わせをもつ担体であって、該属性の一つが該担体の形状、又は表面変形以外のものである担体を提供することである。 該属性は、例えば以下の本明細書に記載される方法により該担体が受ける複数の反応工程を容易に解読できる符号を特徴付ける。 好ましい実施態様において、該属性の少なくとも一つは該担体の内部に含まれる。 これは、該担体上の化合物合成に必要な溶媒に該属性を曝すことを低減するため、該属性に対応する符号化情報はより安定であり、該符号のより高い再現性をもたらす。

    【0044】 担体の属性の少なくとも一つは、原子又は分子の蛍光放射、ルミネセンス、燐光発光、赤外線放射、光散乱及びX線散乱を含む電磁散乱、光透過、光吸収並びに電気インピーダンスから成る群より適切に選択される電磁放射関連属性であることが好ましい。

    【0045】 蛍光放射は、該担体と付着した又は該担体内に含有される一つ以上の蛍光マーカーの励起に起因しうる。 二つ以上の蛍光マーカーが利用される場合、該マーカーは同一であってもよく、その場合該マーカーは様々な量の蛍光団を含むため強度で識別される。 また、該マーカーは異なってもよく、その場合マーカーは1:
    1の比率若しくは様々な比率で存在する。 この点でヤマシタら(国際公開公報WO
    95/32425)を参照してもよく、これは参照により本明細書にインコーポレートされる。

    【0046】 本発明に従って使用されうる蛍光団の典型には、ドーヴァーら(参照により本明細書にインコーポレートされる国際公開公報WO93/06121)によって論じられたものが含まれる。 好ましくは蛍光色素が使用される。 本発明の担体へ組入れるために任意の適切な蛍光色素が使用されうる。 例えば、多数の蛍光色素を記載している米国特許第5,573,909 号(シンガーら、参照により本明細書にインコーポレートされる)及び第5,326,692 号(ブリンクレイら、参照により本明細書にインコーポレートされる)を参照してもよい。 米国特許第5,227,487 号、第5,274,11
    3 号、第5,405,975 号、第5,433,896 号、第5,442,045 号、第5,451,663 号、第
    5,453,517 号、第5,459,276 号、第5,516,864 号、第5,648,270 号及び第5,723,
    218 号に記載される蛍光色素を参照してもよく、これらは全て参照により本明細書にインコーポレートされる。

    【0047】 一つ以上の蛍光色素は、ポリマー微粒子又はセラミック微粒子などの微粒子に組入れられることが好ましい。 このような微粒子は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされる同時係属中の国際出願PCT/AU98/00944
    でトラウとブライアントにより開示されているように、コロイド相互作用の使用により該担体に付着されうる。 蛍光性のポリマー又はセラミック微粒子はコンビナトリアル合成用の担体を含むことが好ましい。

    【0048】 該ポリマー微粒子は、スチレン、アクリル酸塩、並びに不飽和の塩化物、エステル、酢酸塩、アミド及びアルコールを含む種々の重合可能なモノマー、ポリスチレン(臭化ポリスチレン等の高密度ポリスチレンラテックスを含む)、ポリメチルメタクリレート及び他のポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、
    ポリビニルピリジン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルトルエン、ポリビニリデンクロライド、並びにポリジビニルベンゼンから調製できるが、これらに限定されない。 該微粒子はスチレンモノマーから調製されうる。 セラミック微粒子はシリカ、アルミナ、チタニア又は任意の他の適切な透明物質から構成されうる。 シリカ粒子を使用することが好ましい。 シリカ微粒子を作製する適切な方法は、例えばラルフ・ケイ・イラー、1955年による「シリカ及びケイ酸塩のコロイド化学」(コーネルユニバーシティープレス)及び米国特許第5,439,62
    4 号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書にインコーポレートされる。

    【0049】 蛍光色素は、例えばシンガーら(前出、本明細書で引用される参照文献を含む)、カンピアンら(1994年、「固相合成における革新及び展望」、イプトン, アール、バーミンガム:メイフラワー、469 −472 、参照により本明細書にインコーポレートされる)及びイグナーら(1997年、Chem.Commun.735-736 、参照により本明細書にインコーポレートされる)に開示されているように、重合可能なモノマー及び色素含有コモノマーの共重合又は適切な有機溶媒中にある適切な色素誘導体の懸濁水溶液への添加など、当分野で周知の任意の適切な方法により微粒子に組入れられうる。 また、蛍光性の球面領域を少なくとも一つ有する蛍光微粒子が作製されうる。 このような粒子は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされる米国特許第5,786,219 号(ザングら)に記載されたように調製されうる。 好ましい実施態様において、一つ以上の蛍光色素が一つの微粒子内に組入れられる。 蛍光色素の表面付着と比較して、微粒子内への色素の組入れは、コンビナトリアル合成で使用される種々の溶媒への該蛍光色素の物理的接触を少なくするので、担体−蛍光色素複合体の安定性を高める。

    【0050】 異なるポリマー材料及び/又は異なるセラミック材料を含む微粒子も調製されうる。 例として、このような微粒子は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされるカルソら(1998, J. Am. Chem. Soc. 120: 8523-8524)に記載されるように、一つ以上の異なるポリマーの複数の層を含みうる。 異なる屈折率又は不透明度を有するこの型のポリマー粒子が調製されてもよく、これは本発明により検出可能な属性として使用されうる。 または、微粒子は、複数の層を含みうる。 好ましくは、例えば参照により本明細書にインコーポレートされるファンブラデレンら(1992, Langmuir 8 : 2921-2931 )に記載されるようなセラミック材料の複合多層を含みうる。 異なるセラミック材料の原子比率は、本発明の検出可能な及び/又は定量可能な属性として使用されうる。 この点について、米国特許第
    5,439,624 号を参照してもよく、これは波長分散分光法による粒子のSi/Al
    比の測定を開示している。

    【0051】 蛍光放射を分析する任意の適切な方法が本発明に包含される。 この点で、本発明は、例えばラコヴィックら(1997, Biophys. J., 72: 567、参照により本明細書にインコーポレートされる)により開示されているような2−光量子及び3−
    光量子時間分解能蛍光分光法、例えばエリクソンら(1993, Biophys. J., 2 : 64
    、参照文献により本明細書にインコーポレートされる)により開示されているような蛍光寿命画像化法、及び例えばユヴァンら(1997, Biotechnology et alia 3: 1-18 )により開示されているような蛍光共鳴エネルギー移動法を含む技法を意図するが、これらに限定されない。

    【0052】 ルミネセンス及び燐光発光は、当分野で知られる適切なルミネセンス標識又は燐光発光標識からそれぞれ生じうる。 この点で、このような標識を同定する任意の光学的手段が用いられうる。

    【0053】 赤外線放射は適切な赤外線色素から生じうる。 本発明で使用されうる赤外線色素の例としては、参照により本明細書にインコーポレートされるルィスら(1999
    , Dyes Pigm. 42( 2): 197 )、タワら(1998, Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 4
    88(有機固相材料の電気的、光学的及び磁気的性質IV)、885-890 )、ダネシュヴァールら(1999, J. Immunol. Methods 226( 1-2): 119-128 )、ラパポートら(1999, Appl. Phys. Lett. 74 (3): 329-331)及びデュリックら(1993, J. R
    aman Spectrosc. 24 (5): 281-5)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。 該赤外線色素に信号を送るため任意の適切な赤外線分光法が使用されうる。 この点で、例えば、ラマンら(1998, J. Org. Chem., 63: 6196 、
    参照により本明細書にインコーポレートされる)により記載されるフーリエ変換赤外分光法が使用されうる。

    【0054】 電磁散乱は、好ましくは光及びX線を含む入射電磁放射の回折、反射、偏光又は屈折から生じうる。 この点について、該担体は、例えば前述したように異なる屈折率などの種々の散乱特性を持つ一連の担体を提供するため異なる材料から形成してもよい。 電磁散乱を検出及び/又は定量する任意の適切且つ認知された技術方法が利用されうる。 この点で、本発明は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされるファン・ヘルデンとブリジ(1980, Journal of Colloidal a
    nd Interface Science 76: 419-433)に記載された光散乱におけるコントラスト変化率を使用する方法も意図する。

    【0055】 電磁放射関連属性以外の属性を利用してもよいことは当然である。 このような属性には該担体の大きさ及び形状が含まれる。 例えば、担体、好ましくは粒子、
    より好ましくは微粒子は球状、立方体、直角柱、角錐、円錐、卵型、シート型又は円筒型に形状化されうる。 微粒子が使用される場合、典型的には約0.01μmから約150 μmの直径を有することが好ましい。 この点で、担体を横切る電気インピーダンスを測定し該担体の体積(クールター体積)を評価することができる。

    【0056】 また、該担体の検出可能な及び/又は定量可能な属性は、ピット、穴、くぼみ、溝、もしくは刻み目、又はこれらの任意の組合わせを含む一つ以上の該担体における表面変形を含みうる。

    【0057】 該属性は発色団標識にも存在する。 このような発色団を含む適切な担体は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされるテントリオら(1980, Journa
    l of Colloidal and Interface Science 77: 419-426)に記載されている。 ラマンマイクロプローブ、マイクロ蛍光光度計、又は顕微吸収分光光度計を用いる有機色素及び染料の非破壊的分析のための適切な方法は、例えば参照により本明細書にインコーポレートされるギニュー,ビイ(1989, Cent. Rech. Conserv. Doc
    uments Graph., CNRS, Paris, Fr. Stud. Conserv 34 (1): 38-44)に記載されている。

    【0058】 また、該属性は、鉄及び磁鉄鉱を含む磁気材料、若しくは当分野で知られる音響後方散乱により検出可能な属性を含みうる。

    【0059】 異なる検出可能な符号を有する担体の数は、該担体と一体的に関連している検出可能な及び/又は定量可能な異なる属性の数に依存することは上記から理解されよう。 例えば、符号の異質性は、単に異なる形状及び/若しくは大きさの担体の使用、並びに/又は上記の異なる材料から形成された担体の使用によって達成されうる。 または、該符号の異質性は、それと一体的に関連している異なるマーカー及び/又は異なるマーカーの組合わせを有する担体の使用により促進されうる。 符号の異質性は、二つ以上の連結した固体支持体(例えばビーズ又は粒子)
    を有する担体の使用によっても増大しうる。

    【0060】 本発明の担体は、固体支持体上で実施できる任意の化学反応型に適用できる。
    このような化学反応には、例えば 1 ブタジエンの捕捉を含む[ 2+2] 付加環化; 2 イソオキサゾリン、フラン及び改変ペプチドの合成を含む[ 2+3] 付加環化; 3 ジオール、アルデヒド及びケトンの固定を含むアセタール形成; 4 アルデヒドの誘導、プロパンジオール類の合成を含むアルドール縮合; 5 アルデヒドの誘導を含むベンゾイン縮合; 6 ベンゾジアゼピン及びヒダントイン、チアゾリジン、ターン擬似体(-turn
    mimetics)、ポルフィリン、フタロシアニンを含む環縮合; 7 ジエステルの環化を含むディークマン環化; 8 アクリル酸の誘導を含むディールス−アルダー反応; 9 アルケンへのアルコールの付加を含む求電子付加反応; 10 アルデヒドの誘導を含むグリニャール反応; 11 二置換アルケンの合成を含むヘック反応; 12 インサイチュでの酸化ニトリルの合成を含むヘンリー反応([ 2+3] 付加環化を参照); 13 フェロモン及びペプチドの合成を含む接触水素化(アルケンの水素化); 14 スルファニルケトン、ビシクロ[2.2.2] オクタンの合成を含むミハエル反応; 15 アリールエーテル、ペプチジルホスホン酸塩、及びチオエーテルの合成を含むミツノブ反応; 16 キノロンの合成を含む求核芳香族置換; 17 アルデヒド及びケトンの合成を含む酸化; 18 ペンチノールとのノルボルナジエンの環化を含むパウゼン−カンド(Paus
    en-Khand) 環化付加; 19 ヘリセンの合成を含む光化学環化; 20 アルデヒド及び塩化アシルの誘導を含む有機金属化合物との反応; 21 カルボニル基、カルボン酸基、エステル基及びニトロ基の還元を含むSn
    化合物及び複合水素化物での還元; 22 カルボキシル基の還元を含むソオアイ(Soai)反応; 23 ビフェニル誘導体の合成を含むスティル(Stille)反応; 24 置換シクロヘキサノンの合成を含むストルク(Stork) 反応; 25 キノロンの合成を含む還元的アミノ化; 26 フェニル酢酸誘導体の合成を含むスズキ(Suzuki)反応;及び 27 アルデヒド、フェロモン及びスルファニルケトンの反応を含むウィッティッヒ、ウィッティッヒ−ホルナー反応 が含まれる。

    【0061】 N−置換されたグリシン、ポリカルバメート、メルカプトアシルプロリン、ジケトピペラジン、HIVプロテアーゼ阻害剤、1−3ジオール、ヒドロキシスチルベンゼン、B−ラクタム、1,4 −ベンゾジアゼピン−2−5−ジオン、ジヒドロピリジン及びジヒドロピリミジンの製造又は合成を記載しているパーテルら(
    1996年4月、DDT 1(4) : 134-144 )を参照してもよい。

    【0062】 例えばローア(1995, Angew. Int. Ed. Engl. 34 : 881-884 )で論じられているポリケチドの合成を参照してもよい。

    【0063】 本発明の化合物ライブラリーの化学合成又は酵素合成は担体上で行われる。 従って、当業者は、該担体を構築するために用いられる材料が主として幾つかの化学反応基の何れかに付着するように誘導するための受容力並びに化合物合成の化学との両立性により制限されることを理解するであろう。 他に特筆しない限り、
    このような担体が誘導されうる化学反応基は、各化合物の固相合成に通常使用されるものであるので、当業者にはよく知られている。 例えば、これらの担体材料は、−NH2、−COOH、−SOH、SSH、又は硫酸塩基などの官能基又はリンカーを含むように誘導されうる。

    【0064】 担体と共に用いるリンカーは、フルッチテルら(1996年、前出、この全開示は参照により本明細書にインコーポレートされる)の表2に記載される塩基に安定なアンカー基又はフルッチテルら(1996年、前出)の表3に記載される酸に安定なアンカー基から選択されうる。 適切なリンカーは、参照により本明細書にインコーポレートされる国際公開公報WO93/06121にも記載されている。

    【0065】 一般的に、ペプチド化学用に開発されたアンカーは塩基か又は弱酸に安定であるが、大部分はカルボン酸の固定化用のみに適している。 しかしながら、特定の官能基の可逆的付着のためには既知のアンカーが誘導化され最適化されなければならず、必要ならば全く新しいアンカーが開発されなければならない。 例えば、
    アルコールの固定化用のアンカー基は(6ヒドロキシメチル)−3,4ジヒドロ−2H−ピランであり、それによりそのナトリウム塩は求核置換反応によりクロロメチル化 Merrifield (商標)樹脂に共有結合する。 アルコールは、ジクロロメタン中のピリジニウムトルエン−4スルホン酸塩(PPTS)の存在下において求電子付加により該支持体に結合する。 得られるテトラヒドロピラニルエーテルは塩基に安定であるが95%トリフルオロ酢酸によるエーテル交換反応により切断され得る。

    【0066】 ハロゲン化ベンジルは光に不安定なスルファニル基で置換されたフェニルケトンアンカーに結合しうる。

    【0067】 本発明の担体及び/又は工程を用いて調製された化合物は、当分野で周知の方法により目的の活性についてスクリーニングされうることも理解されよう。 例えば、このようなスクリーニングは、例えばニーデルら(1993, Proc.Natl.Acad.S
    ci.USA 90: 10700-10704、参照により本明細書にインコーポレートされる)、ドーヴァーら(前出)、及びケイとトレーシー(国際公開公報WO97/15390、参照により本明細書にインコーポレートされる)により記載されたようにフローサイトメトリーにより達成されうる。

    【0068】 このようにスクリーニングされうる化合物には、細胞膜受容体に対するアゴニスト及びアンタゴニスト、毒素、毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン、糖、補因子、ペプチド。 酵素基質、麻酔剤及びステロイドを含む薬物、抗体、モノクローナル抗体、特異的抗原決定基に反応する抗血清を含むタンパク質、核酸、レクチン、多糖類、細胞膜並びに細胞小器官が含まれる。

    【0069】 本発明は、化合物としてハイブリダイゼーションによる配列(SBH)又は遺伝子発現分析のための複数の特有なポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドも包含する。 当業者は、SBHがより長いターゲットのDNA鎖についての相補鎖を探索するために一式の短い特定配列のオリゴヌクレオチドプローブを用いることを認識するはずである。 このハイブリダイゼーションの様式は該標的DNA配列を再構築するために使用される。 従って、本発明の文脈において、未知配列の蛍光標識一本鎖DNA(ssDNA)の水溶液を、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの化合物ライブラリーと接触させる、すると該ssDNA上の配列と相補的なポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの配列を含む担体上でのみ該ssDNAの吸着(ハイブリダイゼーション)が生じる。 これらの担体は、例えばフローサイトメトリー、蛍光光学顕微鏡又は任意の他の適切な技法により同定されうる。

    【0070】 ひとたび所望の活性を有する化合物が得られると、その上で該化合物が合成された担体の受けた反応工程の順序は、例えば以下の本明細書に記載されるように単に該担体の追跡データを分析することにより解読されうる。 従って、目的の化合物を定めるシントンの配列が確かめられうる。 この配列を含む分子は、当分野で知られる常套手段(例えば、アミノ酸合成又はオリゴヌクレオチド合成)により合成できる。

    【0071】 3 特有に符号化された担体の濃縮さらなる別の側面において、本発明は、検出可能なように異なっている担体を有する担体の集合を含む複数の担体を製造する方法に存する。 本方法は、(a)
    異なる符号を持つ複数の担体を製造する工程であって、各符号がそれぞれの担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられるものである工程、(b)適切な検出手段及び/又は定量手段を用いて各担体の該属性を検出する工程であって、それにより各担体に対し符号を割り当てる工程、(c)該検出手段及び/又は定量手段により検出可能に及び/
    又は定量可能に解読又は解像できる特有の符号を持つ担体を同定する工程、(d
    )類似の符号又は特有でない符号を持つ担体を同定する工程、並びに(e)特有の符号を持つ担体を特有でない符号を持つ担体から区分けする工程であって、それにより検出可能なように異なる符号を持つ集団を含む複数の担体を提供する工程を含む。

    【0072】 検出可能な複数の特有な担体の提供は、該検出手段及び/又は定量手段により検出可能な及び/又は定量可能なパラメータの数、並びにその検出及び/又は定量の解像度によって決まる。 本発明者らは、この点で、検出可手段及び/又は定量手段により検出及び/又は定量できる属性の数が多くなればなるほど、検出可能なように異なる符号を有する担体の数が多くなり且つ符号化されうるライブラリーが大きくなることを見出した。 言い換えれば、検出手段及び/又は定量手段により検出可能な及び/又は定量可能なパラメータの数が多くなるほど、各担体について得られる情報が多くなるので、該手段により識別可能な又は解読可能な特有の符号の数が多くなる。 従って、検出工程及び定量工程(工程(b))は、
    各担体の少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つ、より好ましくは少なくとも五つ、並びに最も好ましくは少なくとも六つの異なる属性が符号の記録のために検出及び/又は定量されることをさらに特徴とすることが好ましい。

    【0073】 該同定工程(工程(c)及び工程(d))は、担体の該検出可能な及び/又は定量可能な属性を分析するための任意の適切な方法又は装置の使用により達成される。 これらの工程は、通常光学パラメータを検出するフローサイトメトリーによって達成することが好ましい。 例えば、フローサイトメーターは前方散乱(これは担体の大きさを測定する)、側方散乱(これは粒子の屈折率及び大きさに感度がある(シャピロ、1995年、「実践的フローサイトメトリー」、第三版、
    ブリスバン、ヴィレー−リス))、並びに蛍光放射を測定するために使用されうる。

    【0074】 当分野で知られるように、フローサイトメトリーは臨床及び研究の用途で高処理量の技法であるが、コンビナトリアル化学には関係がない。 フローサイトメトリーは、細胞又は他の粒子が水流体に懸濁され一つ以上のレーザービームの通路を横切るとき、これらの物理的特性及び化学的特性を迅速に分析するものである。 個々の細胞又は粒子は該レーザービームを遮るので、個々の細胞又は粒子により放射された散乱光及び蛍光が例えば以下の本明細書に記載される任意の適切な追跡アルゴリズムを用いて検出され記録される。

    【0075】 最新のフローサイトメーターの図を図1に呈示する。 最新のフローサイトメーターはこれらの作業を3000細胞/粒子s -1まで実行でき、より最新のフローサイトメーターは100,000細胞/粒子s -1を処理できる。 フィルター及び二色鏡の光学配列を使用することにより、蛍光の異なる波長を同時に分離し検出できる。 さらに、異なる励起波長をもつ幾つかのレーザーが使用されうる。 そのため、例えば個々の細胞の細胞内特性及び細胞外特性を標的とし研究するために、種々の蛍光団が使用できる。 散乱光の測定により、目的の特異的集団に属する個々の細胞の大きさ、形状、及び粒度も分類できる(シャピロ, 1995,前掲) 。

    【0076】 本発明の方法で使用されうる適切なフローサイトメーターは、単一の励起レーザー、通常は488nmのスペクトル線上で15mWで操作するアルゴンイオン空冷レーザーを用いて、五つの光学パラメータ(表Bを参照)を測定しうる。 より最新のフローサイトメーターは、アルゴンイオンレーザー(488 nm又は514 nm
    )に加えてHeNeレーザー(633 nm)又はHeCdレーザー(325 nm)などの複数の励起レーザーを用いることができる。 異なる光学的に検出可能な及び/又は定量可能な属性に対応する担体の光学パラメータは、フローサイトメーターにより測定され、定性的情報及び/又は定量的情報のマトリックスを提供し、該担体の符号(又は多元空間におけるアドレス設定能)を提供しうる。

    【0077】

    【表B】

    【0078】 例えばビゴスら(1999, Cytometry 36: 36-45) は、三つの励起レーザーを用いる11パラメータのフローサイトメーターを構築し、細胞を免疫表現決定する( すなわち分類する) 目的で前方散乱および側方散乱測定に加えて、識別可能な九つの蛍光団が使用できることを証明した。 現在、商業的に利用可能なパラメータの最大数は、前方散乱、側方散乱、及びそれぞれが五つの蛍光検出器を持つ三つの励起レーザーの17である。 全てのパラメータが適切に使用できるか否かは、吸収係数、量子収量、及び全ての蛍光団間のスペクトルの重なりの量に大きく依存する( メールメッドら、1990年、「フローサイトメトリー及びソーティング」、第ニ版、ニューヨーク、ヴィレー−リス) 。 しかしながら、本発明は特定のフローサイトメーター又は特定のパラメータ群に制限されないことが理解されよう。 この点について、本発明は、従来のフローサイトメーターの代わりに、例えばフーら (1999, Nature Biotechnology 17: 1109-1111) により開示され且つ参照により本明細書にインコーポレートされる微細製造されたフローサイトメーターを使用することも意図する。

    【0079】 フローサイトメーターのさらなる利点は、不均一集団の細胞及び/又は粒子から目的の細胞又は粒子を物理的に分離できる能力にある。 これは、目的外の細胞及び/又は粒子は廃棄容器へ流し続けながら、電気的手段又は機械的手段によってレーザービームより下流の点で所望の細胞及び/又は粒子を回収することで達成される。 この区分け能力を有するフローサイトメーターは、蛍光標示式細胞分取器(FACS)として知られている。 従って、検出可能な特有の担体の集合を得る本方法における区分け工程は、蛍光標示式細胞分取(FACS)等のフローサイトメトリー技法により達成されうる。 しかし、本発明に関して、FACSは、より正確にいえば「蛍光標示式の担体又は固体支持体の分取」( 例えば、「細胞生物学の方法」、33巻(ダルジンキヴィッツ, ゼットとクリスマン,エイチエイ編集、アカデミックプレス)及びダングルとヘルゼンバーグ、J. Immunol. Methods 52 :
    1-14(1982)、両者は参照により本明細書にインコーポレートされる) である。

    【0080】 任意の適切なアルゴリズムは、個々の検出可能な特有の担体を追跡及び/又は区分けするために使用されうる。 好ましくは、実時間アルゴリズムが用いられる。 例えば、実時間アルゴリズムは、本明細書で以下に定義する「パラメータ空間」を予め定義されたより小さなグリッド空間に分割しうる。 ここで全てのグリッド空間は空と記録されている。 試料集団から得られる担体は単独ファイルでフローサイトメーターを横切るため、個々の担体に帰属する検出可能な特性の組合わせは特定のグリッド空間に対応する。 ゆえに以下の二つの結果が生じる。 (a)グリッド空間が空で記録されている場合、該担体はフローサイトメーターによって区分けされそして回収され、グリッド空間は詰まったと記録される。 (b)グリッド空間が既に詰まったと記録されている場合、該担体は拒絶される。

    【0081】 担体が複数のグリッド空間に重なる範囲を有することを回避するために、個々のグリッド空間のさらなる微細な区分けが用いられることが好ましい。 従って、
    内部の区分け領域が個々のグリッド空間内に設置され、それは個々のパラメータに必要な下方範囲のrl及び上方範囲のrhによって定義される緩衝領域に囲まれる。 個々のグリッド空間の内部区分け領域に落下する場合にのみ担体は回収されうる。 この方法で、検出可能なユニークな担体集団が素集団から区分けされ得る。

    【0082】 適切には、区分け工程( 工程(e))は、検出可能なユニークな担体集団が工程(e
    ) から生じる複数の担体の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、
    より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%
    を構成するという点で特徴付けられる。

    【0083】 上記から、検出可能なユニークな担体の集団が、好ましくはフローサイトメトリー技法を用いて担体の素集団から作成し得る。 この集団はコンビナトリアル合成で用いるために予め符号化されている。

    【0084】 4 コンビナトリアル化合物ライブラリーの合成及び解読本発明はコンビナトリアルライブラリーの合成しそして解読する方法にも存する。 本方法は、(a)その上で複数の異なる化合物を合成できる複数の担体を複数の反応容器の中に推計学的方法で配分する工程であって、該複数の担体は検出可能なように異なっている担体の集団を含み、そのそれぞれの担体は該合成の前、間及び後でそれぞれの担体を他の担体から区別して同定し、且つ、該担体と一体的に関連する少なくとも二つの検出可能な及び/又は定量可能な属性により特徴付けられる符号を有するものであるが、該属性の一つは該担体の形状又は表面変形以外のものであることを条件とする工程、(b)該複数の反応容器の中の特定の反応容器中への個々の担体の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を決定し記録する工程であって、該符号が工程(d)の前に決定されるものである工程、(c)各反応容器の中で担体を一つのシントンと反応させる工程、(d)
    各反応容器から担体を集める工程、(e)複数の反応容器の間に推計学的方法で該担体を配分する工程、(f)各反応容器の中で該担体を別の一つのシントンと反応させる工程、(f)該複数の反応容器の中の特定の反応容器への個々の担体の移動を追跡するために、該複数の担体の符号を記録する工程であって、該符号が工程(e)又は工程(f)の後に記録されるものである工程、(g)各反応容器からの担体を集める工程、及び必要なときは工程(e)から工程(h)までを繰り返してコンビナトリアル化合物ライブラリーを作成する工程であって、該ライブラリーの構成化合物が検出可能なように異なっている担体と関連するものであり、検出可能なように異なっている担体の符号が該検出可能なように異なっている担体の受ける反応の順序を同定するため該記録工程から提供される追跡データを用いることにより解読されるものである工程を含む。 該符号はフローサイトメトリー技法により決定されることが好ましい。

    【0085】 より詳細には、複数の担体の符号は第一反応工程前に決定されることが好ましいが、符号は第一回収工程(工程(d))前の任意の時間に決定されてもよい。
    複数の担体が反応容器に配分されるたびに、該容器の各々を分析し、検出可能なように異なる担体のどれが各反応容器内にあるかを決定することが好ましい。 従って、全ての担体のデーターベース(即ち、対応するグリッド空間、前出)が更新され、各担体上で合成された化合物の合成履歴を示すことができる。

    【0086】 反応工程中、各反応容器内の該担体は、特定化合物を組立てるために必要なシントンと反応する。 多数の型のシントンから化合物を組立てるには一定セットのシントンに対して適切な結合化学を用いることが必要である。 着実な様式で互いに付着し得る任意のセットのシントンはシントンセットとして有用であり得る。
    この付着は、化学的、酵素的、若しくは他の手段、又はこれらの組合わせによって媒介されうる。 得られる化合物は、直鎖状、環状、分枝状であり、又は当業者には明白な他の種々のコンフォメーションを取り得る。 例として、ポリペプチドの固相合成法が例えばメリーフィールド(1963, J. Amer. Chem. Soc. 35 : 2149
    -2156 )に記載されている。 ペプチド結合化学は、参照により本明細書にインコーポレートされる「ペプチド」、1巻(グロス,イーとジェイ,マインホッファー編)、アカデミックプレス、オーランド(1979)にも記載されている。

    【0087】 該化合物を合成するために、多数の該担体が幾つかの反応容器内に配分される。 各反応において、異なるシントンが伸長中のオリゴマー鎖に結合する。 該シントンは、化学結合に適するように活性化され得る任意の型、又は酵素結合を受け入れる任意の型であってもよい。 該反応物は別々の反応容器内に含まれうるため、異なる結合化学をもつシントンでさえもオリゴマー化合物を組立てるために使用できる(「ペプチド」を参照、前掲)。 一部のシントンセットでは結合時間が長くてもよい。 このため、好ましい配置はシントン反応が平行して行われるものである。 各結合工程後、その上で該ライブラリーのオリゴマー又は化合物が合成される担体は、回収され混合された後、次の結合工程用に各容器へ再配分される。 このシャフリングプロセスは多くのオリゴマー配列の組合わせをもつ担体を作成する。 各合成工程が高い結合効率を有する場合、一つの担体上にある実質的に全てのオリゴマーが同一の配列を有することになる。 この配列は合成経路(該担体が受けたシントン反応及び反応順序)により所与の担体について決定される。
    該オリゴマーの最大長は、長さ約20のシントンで、好ましくは約3から8でありうる。 10から12の残基の長さが好ましい場合もある。 擬似結合を防ぐために、当業者に知られる保護基を使用してもよい(「ペプチド」、3巻、(グロス,イーとジェイ,マインホッファー編)、アカデミックプレス、オーランド(1
    981)、これは参照により本明細書にインコーポレートされる)。

    【0088】 充分な担体及び効率的な結合により、必要ならば、あるオリゴマーの完全なセットを作成できる。 該担体の適切な大きさは、(1)所望されるオリゴマー合成部位の数;(2)合成される個々の化合物の数(及びスクリーニングに必要な各オリゴマーを保持する担体の数);並びに(3)特定のスクリーニング法(例えば蛍光標示式細胞分取器(FACS)が用いられる)での該担体の大きさの効果によって決まる。 本発明が容易に理解され実用効果を果たすために、下記の非限定的な実施例により具体的な好ましい実施態様が以下に記載される。

    【0089】 実施例 実施例1 本発明によるコンビナトリアル反応ヒストリーのフローサイトメトリック測定の 要約工程1、工程2、・・・工程mの工程を意味するm回の工程及び工程i(i=
    1、2、・・・、m)でのn(i)個の処理を含む分割−処理−再混合手順は以下のように定義される。 i=1、2、・・・mについて、工程iでのn(i)個の処理をP1(i)、P2(i)、・・・Pn(i)(i) としよう。 i=1
    、2、・・・mの各工程において、 ・ 担体は、無差別ではあるがおそらく特異的割合で、n(i)個の部分集合S
    1(i)、S2(i)、・・・Sn(i)(i)に分割され、 ・ j=1、2、・・・n(i)に対して、部分集合Sj(i)中の担体に対して処理Pj(i)が行われ、 ・担体は再混合される。

    【0090】 この手順の図式的表示を図2及び3に示す。

    【0091】 このような処理の例としては、オリゴヌクレオチド鎖やオリゴペプチド鎖のコンビナトリアル合成が挙げられる。 これらの例では、不溶性のポリマービーズ(
    通常直径1〜1000μmのコロイド粒子)を担体として使用し、その上に核酸モノマー又はアミノ酸モノマーを付着させそして逐次成長させる。 多数の担体についてこの分割−処理−再混合手順を繰り返し行うことにより、極めて多様な無差別に形成されたオリゴヌクレオチド配列又はポリペプチド配列を合成することができる。 こうして各担体には独特の配列を持つポリマーが付着しており、この配列はこの担体が受けた処理事象の順序(すなわち、図3における担体がたどる特定の経路)により規定される。

    【0092】 前記観点から本発明は、分割−処理−再混合手順に関与する担体のそれぞれに適用される処理の順序を決定する新規かつ便利な方法に関する。 この手順は、i
    =1、2、・・・mに対し、そしてj=1、2、・・・n(i)に対して、部分集合Sj(i)における担体がフローサイトメーターを通過させ部分集合に存在する各担体の特性または符号を得る工程を含む。 各担体の符号は前記担体の特性の組み合わせにより決定されることになる。 この符号データは各担体に適用される処理の順序(すなわち、担体の反応履歴)を決定するために保存される。

    【0093】 処理の履歴を必要とする特定の担体の符号は、各部分集合Sj(i)について保存された符号のリストに対してチェックされる。 特定の担体の符号が生じる部分集合Sj(i)の集合は、担体について実施された処理Pj(i)の集合を決定し、従って全処理履歴を決定する。

    【0094】 従って、いかなる担体の符号も再現可能であり、分割ー処理ー再混合手順に用いられる他のいかなる担体の符号とも識別されうることが望ましい。 これに関し、極めて膨大な識別されうる粒子の効率的な生産を容易にするため、分割ー処理ー再混合手順を担体の製造に採用しうる。 好ましい実施態様では、フローサイトメトリー技術を用いて識別不能な担体の小集団を区分けし、除去する。 しかしながら求められている処理の履歴の部分的又は完全な決定は、完全な符号の識別及び再現の可能性がなくとも得られるであろう。 例えば、仮に二つの粒子が10工程の分割合成のうちの7工程でで識別不能であると検出されれば、そのときは、
    いずれかの粒子の8−10の工程を用いてこれらの粒子の反応履歴を帰納すればよい。

    【0095】 好ましい担体として微小球を参考に、以下の実施例を考察する。

    【0096】 実施例2 符号化ストラテジー光学的にユニークな微小球 その光学特性を測定して集団において所与の微小球を陽性と同定するには、所与の微小球が該集団における他の全微小球とは異なるユニークな光学的特性のセットを持つことが要求される。 2つの微小球が光学的に異なるためには、その光学特性の一つが異なる必要があるだけである。 つまり、一つの識別されうる相違を除いて、それらの各光学特性の全てが同じであることがあろう。

    【0097】 フローサイトメーターで各光学特性即ち「パラメータ」を測定する際には、対応する光電子増倍管からの電流出力は、1024の分解能で直線モードで機器を操作すると0と1023の間の整数となる、関連する値、すなわち「チャンネル数」に変換される。 従って、唯一の光学特性、例えば90℃での光散乱度、を用いれば、ユニークな微小球の可能な最大数は1024となろう。

    【0098】 さらなる光学特性を得ることができるならば、もとの各1024のユニークな値は1024新しい値のいずれかと対をなし、1024 2の可能な組み合わせとなる。 従ってκ個の測定可能な光学パラメータの合計に対して、光学的にユニークな組み合わせの最大数は1024 kとなるであろう。

    【0099】 集合論(フルバセックとイエック,1984「集合論入門」第2版,ニューヨーク,エム・デッカー)を用いると、これは次式のように表される。 すなわち、i番目の光学特性に対して可能な値の集合、R iは、

    【0100】

    【数1】

    【0101】 上式中、Z +はゼロを含む全ての正の整数の集合である。 最大値は機器の分解能に等しく、それは本研究を通じて1024であった。

    【0102】 仮に機器がk個の独立の光学特性を測定すると、次に該集団における各微小球は、 提供された微小球についてのk個の光学特性の順序集合=S 1 =<r1,r2,
    r3,・・・,r k > (2.2) (式中、r1εR1、r2εR2、r3εR3などである)により表されうる。
    微小球の非順序回収については、 n個の微小球の集合=P={S 1 ,S 2 ,S 3 ,・・・,S n } (2.3) (式中、S i =S jは2個の微小球、Si及びSjがフローサイトメーターにより測定されるκ光学属性から光学的に識別され得ない(本研究を通して、フローサイトメーターにより測定された光学特性、k、の数、は5であり(表Bを参照)、典型的な総集団サイズは約10 5個の微小球であった)を意味する。このように集団における光学的にユニークな微小球の数、Pは

    【0103】

    【数2】

    【0104】 である。

    【0105】 光学多様性システムにおけるユニークな微小球の数を最大化するために、光学多様集団を合成する必要がある。

    【0106】 光学多様性はいくつかの独立した光学パラメータの測定に基づく帰納的用語である。 パラメータ群の一つについて同じ値を有する微小球の小集団が、総集団と共に残りの(すなわち、k−1個の)パラメータのみを用いて測定するとき集団合計から識別され得ない場合、その微小球の集団はk個のパラメータ全体について「光学多様」であるとみなす。

    【0107】 このように、微小球の光学多様集団は、

    【0108】

    【数3】

    【0109】 式中、R 1x2x3・・・xkはk光学パラメータについてのパラメータ空間である。 必ずしも全ての集団が光学多様であるわけではないので、PはDの部分集合である。 このパラメータ空間は全多様集団内で光学的に識別され得ない微小球の可能性を許すDの部分集合でもある。

    【0110】 光学多様微小球の予備スクリーニング前記議論は2つの重大な仮説、すなわち 1. 所与の微小球はその内在性光学特性のいずれにおいても変化せず、且つ、 2. 各微小球の検出では変化しない、 を前提とする。

    【0111】 殆どの研究(シャピロ,エイチ.エム.,1995,前記、メラメドら,1990,前記、ケットマンら,1998,Cytometry, 33: 234-243) は、これらの仮説の両方が蛍光体に及ぼす光分解、溶媒極性及びpHの効果といった因子により実効性がないことを示唆し、いかなる光学検出システム及び/又は電子工学検出システムに固有のエラーにも言及しない。

    【0112】 しかしながら、前記議論は唯一の数値の代わりに数値の「範囲」として提供される微小球の各光学特性を記載することによりさらに精密化できる。 数値の範囲はフローサイトメーターにより同じ微小球の反復測定における変化の可能性を表す。

    【0113】 次に、唯一の光学特性を用いたユニークな微小球の最大数は範囲により分割される機器の分解能に等しくなる。 この範囲はチャンネル数で表される。

    【0114】 このように、k個の測定可能な光学特性について、ユニークな微小球の最大数は下記の式に等しくなるであろう、すなわち

    【0115】

    【数4】

    【0116】 式中、v iはそのi番目の光学パラメータの範囲である。

    【0117】 前記範囲の範囲のコンセプトを用いて光学的にユニークな微小球を得るための二つのアルゴリズム、取得後アルゴリズム及び実時間アルゴリズムを考えた。 これらの両アルゴリズムは実施例5でさらに検証されるが、取得後アルゴリズムは実施が極めて簡単であるが、下記の実時間アルゴリズムの|U|の理論上のサイズ限界を有することが明らかである。 従って、実時間アルゴリズムが好ましいアルゴリズムである。

    【0118】 実時間アルゴリズムは、パラメータ空間を、より小さい予め決定されたグリッド空間に分割する(図4参照)。 まず全てのグリッド空間を空と標識する(ゼロで表す)。 試料集団からの微小球は一のファイルのフローサイトメータを通過するとき、各微小球に属する光学特性の組み合わせは特定のグリッド空間に対応することになる。 次に、二つの考えられる結果、すなわち (a)グリッド空間が空と標識されている場合は、微小球はフローサイトメータにより区分けされ且つ収集され、そしてグリッド空間の標識は詰まった(1
    で表す)に変化する、 (b)グリッド空間が既に詰まったと標識されている場合は、微小球は拒絶される(各グリッド空間の集団の合計は決して1を越え得ない) が起こりうる。

    【0119】 この処理の1例を図5に記載する。 微小球とグリッド空間の間には1対1の関係があるので、各微小球はそれが占めるグリッド空間により表現できる。

    【0120】 各グリッド空間のさらなる精密化のために、好ましくは複数のグリッド空間に重なる範囲を有する微小球の存在を避けることが要求される。 こうして、内部区分け領域が各グリッド空間内に設定される。 この内部区分け領域は各パラメータについて必要とされる下方の範囲rl及びより上方の範囲rhにより定義される緩衝領域に囲まれる(図6を参照)。 微小球が各グリッド空間の内部区分け領域に入る場合は、該微小球を回収すればよいだけである。 このように、光学的にユニークな微小球の集団を未処理の集団から抽出することができる。

    【0121】 コンビナトリアル合成を通じての微小球の追跡実時間アルゴリズムを用いて未処理の集団から光学的にユニークな微小球の集団がつくられると、この集団はここでコンビナトリアルな分割及び混合合成に用いるために予備的に符号化される。

    【0122】 該集団をm個のバッチに分割する度に、バッチのそれぞれをフローサイトメータを用いて分析し、光学的にユニークな微小球のどれが各バッチにあるかを決定する。 このようにして、全ての微小球(又は対応するグリッド空間)のデータベースが更新され、各微小球上で合成される化合物の合成履歴を示すことが可能となる。

    【0123】 内部区分け領域はもはや要求されないことに注意する。 各微小球はその割り当てられたグリッド空間の境界内に残るはずである。 従って、所与のバッチ内の全ての微小球が取得後に同定できる。 実際、完全なコンビナトリアル合成の全サイクルの全バッチからの記録された全データを編集することにより、全微小球の全合成履歴が後の段階で決定できるであろう。

    【0124】 この段階で、実験的に要求されるものが何かが明確となる。 第一に、光学的に多様な微小球の集団が合成されなければならない。 第二に、各パラメータについてのrl及びrhの大きさが機器を用いて決定し、信頼できるグリッド空間サイズを確立することが必要であり、かつ最後にソフトウェアを開発して実時間区分け及び追跡のアルゴリズムを開発し処理しなければならない。

    【0125】 実施例3 シリカ微小球導入 コロイド粒子のモデルとしては、シリカ微小球または粒子がIler(Iler,
    RK, 1979, 「シリカの化学: 溶解性、重合性、コロイド及び表面特性、及び生化学」ニューヨーク,ウィリーアンドサンズ)及びその他(ベルグナ, エイチ.
    イー., 1994,「シリカのコロイド化学」ワシントンDC, アメリカ化学会) の研究によりよく研究されている。 初期合成処理では、珪酸ナトリウムの希釈溶液を水素イオン交換樹脂床に通し、次にアルカリを加えてpH8−9に上げることにより、シリカのコロイドゾルを調整する。 この溶液の一部を100℃に温め、加熱した部分が蒸発してより濃縮されるにつれゆっくりと溶液の残り部分を加えることによるこの処理を用いれば、直径10−130nmの安定なゾルが調製されるであろう。 加熱部分の粒子(4−6nm)は溶液の残りの粒子(2−3nm)より大きいので、より小さい粒子(<3nm)は全て溶解し、Ostwald熟成に記載される処理で、均一な割合でより大きい粒子上に沈殿した。 可溶性塩の除去によるゾル安定性を改良するためイオン交換樹脂又は長い透析による精製が要求された(Iler,1979,前記)。

    【0126】 より最近では、サイズ800nmまでの単分散シリカ粒子がボグシュ(1988,
    J. Non-Cryst. Solids, 104: 95-106)により加水分解から、及びストーバーら(
    1968, J. Colloid. Int. Sci., 26: 62)により最初に実証されたアルコール−アンモニア−水系でオルト珪酸テトラエチル(TEOS)の沈殿により調製された。 ボグシュら(1988,前記)は反応物質濃度の知識から、最終粒子サイズd(n
    mで)の非機械的経験式、

    【0127】

    【数5】

    【0128】 (式中、

    【0129】

    【数6】

    【0130】 及び

    【0131】

    【数7】

    【0132】 )をも提供した。

    【0133】 この方程式は、0.1−0.5M TEOS、0.5−17.0MのH 2 O及び0.5−3.0MのNH 3にわたる濃度範囲、25℃で調製した100試料について測定した直径の±20%内を正しく予測することを示した。

    【0134】 Stober合成での粒子核生成はアンモニア塩基触媒の存在のもと二段階の反応、すなわち 加水分解: Si(OC 25 )4+4H 2 O→Si(OH) 4 +4C 25 OH (3.2) 濃縮: Si(OH) 4 →SiO 2 (S)+2H 2 O (3.3) を介して起こる。

    【0135】 粒子の成長を説明する2つのモデルが開発された。 マツオカら(1991, J. Col
    loid Int. Sci., 145: 557) のモデル粒子核形成及び2つの加水分解したモノマー間の反応としての成長では、このように粒子はモノマー添加により成長すると考えられるのみである。 彼らは、加水分解の一次速度定数が粒子成長についての一次速度定数に等しいことを発見し、従って粒子成長は加水分解により限定される速度であると結論づけた。 ズコスキーら(1991,J. Colloid Int. Sci., 142: 17)により開発された第2のモデルは、ナノメーターサイズの小粒子の凝集をコントロールとして粒子核生成を記載している。 システムのpH(pH>10)で、シリカ粒子は表面のシラノール基の解離により陰性に電荷している。 一旦凝集物がDLVO理論(ハンター,RJ,1987, 前記)に記載されるある一定の臨界半径に達すると、凝集物はコロイド状に安定となり、静電気反発により、より大きい粒子を伴うさらなる凝集が妨害される。 このように粒子は全反応を通して一定に生産されるより小さい粒子との凝集により成長し続ける。 ズコスキーら(19
    91,前記)はTEOSは全て最初の数分以内に加水分解されると主張し、凝縮経路の段階を加水分解よりかなり限定される速度と見なしている。

    【0136】 バン・ブラーデレン(1992,J. Colloid Int. Sci., 154: 481)も13 C・NM
    R及び静的光散乱のそれぞれを用いて加水分解及び粒子成長の速度定数を調べ、
    粒子成長は加水分解により速度が限定されるというマツオカ(1991, 前記)に賛成している。 彼らは、凝縮は最初はコロイド状の安定な粒子の形成に応答するものであるというズコスキーら(1991,前記)に賛成しているが、最終的な粒子サイズの増大を引き起こすTEOSの添加の前、塩の添加に先立ち、コロイド状の安定な粒子がすでに形成された(すなわち、濁りが増大することについて)後、
    LiNO 3の添加により最終的粒子サイズは影響されないことを見いだした。 彼らはこの結果から、反応媒質のイオン強度及び粒子表面電荷が強い影響を受ける短い導入時間の後、粒子数は一定となり、粒子成長はモノマーの添加により引き起こると結論づけた。 コロイドの安定性に対し臨界半径が大きければ、小数の粒子のみが形成され、最終的粒子サイズは大きくなるであろう。

    【0137】 多くの科学者がさらなる成長実験のための種粒子としてストーバー合成を介して形成された粒子を用いてきた。 フィリップス(1994,Langmuir, 10 : 4451-445
    8)及びバン・ブルッゲン(1998, Langmuir, 14 : 2245-2255)は、珪酸ナトリウムの析出をコントロールして数ナノメータ深さで、ベーマイト針(AlOOH)をシリカ層で被覆し、陽性に荷電した針の凝集を避けた。 一旦シリカで被覆すると、次にこれらの針はStober合成でのさらに大きな成長のための種粒子として用いることができる。

    【0138】 pHのコントロールについてはpH9−10.5を維持することが重要である。 pHが9より低ければ、シリカの二次的均一核生成が起こる。 より小さい二次核は沈降及び濾過により除去することが難しく、かつそれらの表面積の合計はより大きい種粒子よりずっと大きく、二次核は大量のモノマーを消費するのでこれは望ましくない。 凝縮のため利用される表面積を増大することによる二次的核生成を抑制するのに、特に不均一核生成についての自由エネルギーは同種核形成についてのエネルギーより低いので、大きい種粒子の濃度も役立つ(ハンター, アール.ジェイ. 1987, 前記)。 種粒子の濃度はあまり高くなり得ないが、シリカの凝縮は、凝集を生じさせる1秒当たりの粒子間の衝突を多数起こすことができる(フィリップスら,1994, 前記)。

    【0139】 種を入れた成長を用いて、パン・ブラーデレンら(1992, Langmuir, 8: 292
    1-2931) 及びファーヘーグら(1994, Langmuir, 10 : 1427-1438)は、共モノマー、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)のシリカ粒子の核及び/又は二次殻のどちらか又は両方への取り込みを実証した。 この共モノマーは図7にある反応を介していずれかのイソチオシアン酸塩、又はいずれかのスクシニミジルエステルまたは他のアミン反応誘導体に共有結合することができる。 幾つかの別の蛍光殻及び非蛍光殻を含有するシリカ粒子もこの方法により合成した。 イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)を含有する蛍光殻について、粒子をエタノールに比べてDMFに分散する際は、蛍光を523nmから534nmまで赤色シフトしたが、蛍光殻の上に保護的非蛍光シリカ殻を合成した際にはこの赤色シフトは起こらなかった(518及び519nm)。 TEOS及び色素結合A
    PSを少量添加するだけで、凝縮速度が加水分解速度をまだ越えない短い導入期間に加水分解されたTEOSの濃度増大により引き起こされるイオン強度の増大による凝集を避けることが可能であった。

    【0140】 実験 設計コンビナトリアルライブラリーのための固体支持体として実際に使用するため、サイズ既知の市販のシリカ微粒子を購入した。 次に、適当な発蛍光団をvan
    Blaaderenら(1992,前記)に実証された方法を用いて取り込んだ。 可能な特定の微小球の数、従ってコンビナトリアルライブラリーの可能なサイズを最大にするために、最終的コンビナトリアルライブラリーの合成に要求される合成とは明確に異なるコンビナトリアル合成を設計し、光学多様なシリカ微小球の集団を合成した。

    【0141】 このコンビナトリアル合成は、各バッチの発蛍光団濃度は異なる種微小球のバッチを分けることについての、同じ発蛍光団を含有する殻の種晶の成長を含む。
    次に、バッチを再度集め、図2及び3のように新しいバッチに無作為に分け、これにより各バッチの微小球について別の成長殻として異なる濃度の新しい発蛍光団が合成される。 適切な選択及び発蛍光団の濃度により、フローサイトメータについての各蛍光パラメータの全範囲が利用でき、このようにしてこのコンビナトリアル合成は、フローサイトメータの全パラメータ空間がアクセスされるようにする。 凝集物、埃及び他の破片から、これらの目的の微小球だけを選択するため、コントロールパラメータとして前方散乱および側方散乱を選んだので、それらは光学多様性のこのコンビナトリアル合成には含まれなかった。

    【0142】 フローサイトメータを用いてユニークな微小球を特定するので、微小球のサイズは実用上の検出限界値より大きくなければならず、最大のフローサイロメータは約1μmである。

    【0143】 材料用いたモノマーはオルト珪酸テトラエチル(TEOS,アルドリッチ)及び色素結合剤3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS,アルドリッチ)であった。 用いた色素は、Alexa430(A430,モレキュラー・プローブズ)、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC,シグマ)及びキノリジノ置換フルオレセインイソチオシアン酸塩(QFITC,シグマ)であった。 各実験の直前に、アルコール−アンモニア−水溶媒系として変性エタノール、アンモニア溶液(25%,BDH)及びMilliQ(商標)濾過水を調製した。 購入した市販のシリカ微小球は2.5μmの非蛍光(バングズ・ラボラトリーズ)並びに4μmの青−緑F、4μmの青−赤F、4μmの青 赤F、4μmの青−緑−赤F、10μmの緑F、10μmの赤F、12μmの赤−緑F及び15μmの赤F
    (全てミクロモドより)であった。 各実験は13.5mLパイレックス(登録商 標)スクリューキャップのテフロン(登録商標)被覆ガラス製バイアル内で実施 した。 使用の前に、各ガラス製バイアルを少なくとも2時間濃硝酸を用いて洗浄 し、MilliQ(商標)水で徹底的にリンスした。 他の全ての試薬は受け取っ たままのものを用いた。

    【0144】 蛍光色素の結合図7に示す反応により蛍光色素をAPSに結合させた。 各色素につき、エタノール1mL中で、色素5μmolをAPS250μmolと反応させた。 反応は2時間、光退色を妨げるため暗条件下撹拌しながら行った。 チオウレアの高不溶性により、静置時に形成した過剰の色素−APSの橙色沈殿を遠心分離により除去した。

    【0145】 蛍光殻の合成バン・ブラーデレンら(1992, 前記)に記載された方法を適応して市販のシリカ微小球上に蛍光殻を合成した。 2.5μmの非蛍光微小球を用いて三つの試料を調製した。 各試料につき、微小球20mgを変性エタノール2.5ml及びM
    illiQ(商標)水2.5ml(二次的核生成を阻害すると見いだされた割合)を入れたガラス製バイアルに再懸濁した。 2分間音波処理(バン・ブラーデレンらは単分散コロイドのためのコロイド結晶層の形成を報告している)した後、
    光学顕微鏡による視覚判断ではもとの市販合成から存在する幾つかの二量体及び三量体が見られたが、重要な凝集塊は全く見られなかった。 この懸濁液に、換気装置内でアンモニア溶液200μLを加え、よく撹拌した。 100μLのTEO
    S、次いで特定の色素−APS溶液(表C(S1−3)参照)10μLを各試料に直ちに加え、ガラス製バイアルを振とうし、密封し、アルホイルで覆い、反応中微小球の沈降を防ぐ自動回転クランプに設置した。 ガラス壁にはいくらか核生成が存在したが、溶液中に凝集は見られなかった。

    【0146】 4μmの青−緑F及び4μmの青−赤Fの蛍光微小球を用いて9試料を調製した。 反応スキームは微小球2.5μmの場合と同様であり、表C(R1−R8及びG1−3)に示す。 各試料について、1つを除く全ての試薬を一定に保ち、粒子の安定性、殻の蛍光度及び二次的核生成の度合いについて、各試薬の濃度を二倍又は半分にして効果を調べた。

    【0147】

    【表C】

    【0148】 反応を完了するため少なくとも12時間おき、各試料を清潔なガラス製バイアルに移し、次の6回の洗浄手順、即ち1000rpmで5分間の遠心分離、上清の除去、5mLMilliQ(商標)水への再懸濁及び音波処理(2.5μmの非多孔性微小球について2分間、4μmの多孔性微小球について15秒間)に供した。 各試料から除去した最初の上清は取っておき、二次的核生成がないか調べた。 R4及びR6からの上清は他の試料より明らかに濁っていた。 12試料全てからの最初の上清も明らかに蛍光性を有していたが、次の上清は全て澄んでいた。

    【0149】 蛍光シリカ粒子のコロイド分散物のコンビナトリアル合成粒子の多様な集合を合成するため、コンビナトリアルな分割及び混合技術を用いた。 分割及び混合の各サイクルで、同じ発蛍光団を含むが、各部分について発蛍光団の濃度が異なる殻の種成長に微小球の別別の部分を提供した。 分割及び混合の各サイクルで異なる発蛍光団を用い、かつ1サイクルの間の各反応で異なる濃度の発蛍光団を用いることにより、粒子の光学多様な集合を合成できる。

    【0150】 コンビナトリアル合成のサイクル1は、未処理のシリカ核粒子の三つの異なるバッチをよく混合する工程を含む。 その各バッチは異なるサイズ範囲の粒子を含む。 混合後、粒子を三部に分割する。

    【0151】 サイクル2は、第一部の粒子上には低蛍光度の蛍光赤殻を、第二部の粒子上には中蛍光度の蛍光赤殻を、かつ第三部の粒子上には高蛍光度の蛍光赤殻を反応させる工程を含む。 次に、粒子を混合し、三部に分割する。

    【0152】 サイクル3は、第一部の粒子上には低蛍光度の蛍光緑殻を、第二部の粒子上にば中蛍光度の蛍光緑殻を、かつ第三部の粒子上には高蛍光度の蛍光緑殻を反応させる工程を含む。 次に、粒子を混合し、三部に分割する。

    【0153】 サイクル4は、第一部の粒子上には低蛍光度の蛍光青殻を、第二部の粒子上には中蛍光度の蛍光青殻を、かつ第三部の粒子上には高蛍光度の蛍光青殻を反応させる工程を含む。 全ての部分を混合した後に、粒子の光学多様な集団が存在する。

    【0154】 より詳細には、バン・ブラーデレンら、1992、前記に記載された方法を適用してシリカ微小球上に蛍光殻を合成した。 用いたモノマーは、オルト珪酸テトラエチル(TEOS,アルドリッチ)及び色素結合剤3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS,アルドリッチ)であった。 用いた色素は、Alexa4
    30(青)(A430,モレキュラー・プローブズ)、イソチオシアン酸フルオレセイン(緑)(FITC,シグマ)及びキノリジノ置換フルオレセインイソチオシアン酸塩(赤)(QFITC,シグマ)であった。 各実験の直前に、アルコール−アンモニア−水溶媒系として変性エタノール、アンモニア溶液(25%,
    BDH)及びMilliQ(商標)濾過水を調製した。 各実験は13.5mLパイレックススクリューキャップ付きのTeflon(商標)被覆ガラス製バイアル内において実施した。 使用の前に、各ガラス製バイアルを少なくとも2時間濃硝酸を用いて洗浄し、MilliQ(商標)水で徹底的にリンスした。 他の全ての試薬は受け取ったまま用いた。

    【0155】 バン・ブラーデレンら、1992、前記に記載された反応により、蛍光色素をAPSに結合させた。 各色素につき、エタノール1mL中で、色素5μmolをAPS250μmolと反応させた。 反応は2時間、光退色を妨げるため暗条件下撹拌しながら行った。

    【0156】 サイクル1で用いた核粒子は、3つの異なるサイズ範囲(0.50−0.99
    μm、1.00−2.49μm及び2.50−5.00μm)の未処理シリカ微小球(バングズ・ラボラトリーズ)である。

    【0157】 各サイズ範囲からの粒子20mgを容器内でよく組み合わせ、得られた混合物を重量が等しくなるよう(20mg)に分割する。

    【0158】 サイクル2では、ガラス製バイアル内で変性エタノール2.5mL及びMil
    liQ(商標)水2.5mLに微小球20mgの各部を再懸濁する。 各部をバス・ソニケータで2分間音波処理する。 各懸濁液に、アンモニア溶液200μLを加え、かつよく混ぜる。 第一部の微小球を即座にTEOS100μL及びQFI
    TC APS溶液5μLと混合し、第二部の微小球をTEOS100μL及びQ
    FITC−APS溶液10μLと混合し、かつ第3部の微小球をTEOS100
    μL及びQFITC−APS溶液20μLと混合する。 各部を含むガラスバイアルを振とうし、密封し、アルホイルで覆い、そして電動回転クランプ中に置いて反応の間微小球が沈殿するのを防止する。

    【0159】 少なくとも12時間後、各試料を清潔なガラス製バイアルに移し、1000r
    pmで5分間の遠心分離、上清の除去、5mLMilliQ(商標)水への再懸濁及び2分間の音波処理で6回洗浄する。 各試料から最初の上清を除去し、二次的核生成がないか蛍光顕微鏡により調べる。 部分をよく混合し、次に三つの等部分に分割する。

    【0160】 サイクル3では、ガラス製バイアル内で変性エタノール及びMilliQ(
    商標)水の最終5mL溶液(1:1割合)に微小球の各部を徐々に移す。 各部をバス・ソニケータで2分間音波処理する。 各懸濁液に、アンモニア溶液200μ
    Lを加え、かつよく混ぜる。 第1部の微小球を即座にTEOS100μL及びF
    ITC−APS溶液5μLと混合し、第2部をTEOS100μL及びFITC
    −APS溶液10μLと混合し、かつ第3部をTEOS100μL及びFITC
    −APS溶液20μLと混合する。 各部を含有するガラス製バイアルを振とうし、密封し、アルホイルで覆い、反応中微小球の沈降を防ぐ電動回転クランプに設置した。

    【0161】 少なくとも12時間後、各試料を清潔なガラス製バイアルに移し、1000r
    pmで5分間の遠心分離、上清の除去、5mLMilliQ(商標)水への再懸濁及び2分間の音波処理で6回洗浄する。 各試料から最初の上清を除去し、二次的核生成がないか調べる。 部分をよく混合し、次に三つの等部分に分割する。

    【0162】 サイクル4では、ガラス製バイアル内で変性エタノール及びMilliQ(商標)水の最終5mL溶液(1:1割合)に微小球の各部を徐々に移す。 各部をバス・ソニケータで2分間音波処理する。 各懸濁液に、アンモニア溶液200μL
    を加え、かつよく混ぜる。 第1部の微小球を即座にTEOS100μL及びAl
    exa430−APS溶液5μLと混合し、第2部をTEOS100μL及びA
    lexa430−APS溶液10μLと混合し、かつ第3部をTEOS100μ
    L及びAlexa430−APS溶液20μLと混合する。 各部を含有するガラス製バイアルを振とうし、密封し、アルホイルで覆い、反応中微小球の沈降を防ぐ電動回転クランプに設置した。

    【0163】 少なくとも12時間後、各試料を清潔なガラス製バイアルに移し、1000r
    pmで5分間の遠心分離、上清の除去、5mLMilliQ(商標)水への再懸濁及び2分間の音波処理で6回洗浄する。 各試料から最初の上清を除去し、二次的核生成がないか調べる。 これらの部分をよく混合する。

    【0164】 次に、光学多様な粒子を望むものとして用いる準備をする。 粒子は、外殻をT
    EOS及びAPS(色素なし)を用いて合成することにより、例えばNH 2基で官能基を付加することができる。

    【0165】 この手順の変形には、色素−APSなしにTEOSを用いた蛍光殻間での非蛍光殻合成が含まれる。 蛍光核粒子はコンビナトリアル分割及び混合の開始に用いてもよい。

    【0166】 顕微鏡フィルターU−MWU(励起波長λ EX =330−385nm、放射波長λ EM
    420nm)、U−MWB(λ EX =450−480nm、放射波長λ EM >515
    nm)及びU−MWG(λ EX =510−550nm、放射波長λ EM >590nm
    )を備えた蛍光顕微鏡(オリンパスIX−70)にCCDカメラ(ダイアグノスティック・インストルメンツ)を用いて蛍光顕微鏡写真を撮影した。

    【0167】 IR調製キャビネットで乾燥し、Ptで被覆した試料2μLを用いてJEOL
    6400上で走査型電子顕微鏡写真を撮影した。 平均粒子サイズをImage−
    Pro−Plus(商標)4.0を用いて決定し、電子顕微鏡写真から10μm
    のスケールバーを用いて計算した。

    【0168】 結果及び考察 単一の蛍光殻前記のように徹底的に清浄した後もなお、試料R1−8及びG1−3は蛍光を有していた。 試料S1及びS2の蛍光顕微鏡写真を図8に示す。 非蛍光2.5μ
    mの微小球の蛍光は無視してもよかった。 両サイズのため、U−MWBフィルター及びU−MWGフィルターをそれぞれ用いると、FITC被覆微小球及びQF
    ITC被覆微小球は明るく蛍光を発していた。

    【0169】 方程式3.1(d<6nm)で予測されたように、R2([H 2 O]=30.
    35M)における水の濃度は核生成を阻害することが示された。 R4及びR6におけるNH 3及びTEOSのより高い濃度はそれぞれ、種微小球間の凝集及び二次核の存在という結果を生じた。 これは加水分解したTEOSの増大が、モノマーの急速な析出を惹き起こしそして同質の核生成を生じさせることによる。 異なる濃度の蛍光団−APS(G1−3に加えてR1、R7及びR8)は全体として種成長には影響しないと思われ、得られた蛍光度は蛍光団−APS濃度に比例することが示された(詳細については、実施例4「蛍光被覆微小球の測定」を参照)。 これらの蛍光「殻」の存在を説明する四つの可能性が存在する。 すなわち 1. 蛍光団−APSは各微小球の表面に単に吸着する、 2. 蛍光団−APSはシリカマトリックスを通って拡散し、かつ内部を染色して留まる、又は 3. 蛍光団−APSはバン・バラーデレンらにより示唆されたように種成長殻中に取り込まれる。

    【0170】 吸着の可能性を排除するため、非APS結合QFITCを、TEOS又はAP
    Sの非存在下ではあるが、他の試料と同じアルコール−水−アンモニア系を用いて、非被覆4μm青−緑F微小球に、添加した。 初期蛍光とはいえ、さらなる清浄後、これらの微小球は蛍光定量法及びフローサイトメーターにより確認されたように、もはや蛍光を発しなかった。

    【0171】 ギーシュら(1991, Dyes and Pigments, 17: 323-340) はアシッドブルーやメチルレッドといった発蛍光団に結合する前にシリカ粒子の表面をアミノ修飾した。 飽和濃度でのこれらの発蛍光団の表面積は、分子あたり110−140であることが分かった。 従って、これらの大きな芳香族分子は表面上に平らに位置することが、ギーシュら(1991, 前記)により示唆された。 FITC及びQFITC
    は同様に平面性多芳香族分子であるので、シリカマトリックスを通って蛍光団−
    APSが拡散することはなさそうである。

    【0172】 被覆していない微小球およびQFITC被覆した微小球の2.5μm及び4μ
    mのSEM顕微鏡写真を図9に示す。 被覆した微小球上に見られる小さい粒子は乾燥時に微小球に付着しただけの二次核の凝集による。 被覆していない微小球と被覆した微小球の間には表面形態の変化に関し他の証拠はない。 方程式3.1を用いた、これらの試料について試薬濃度(すなわち、[TEOS]=0.166
    M,[NH 3 ]=0.496M,[H 2 O]=27.26M)での任意の二次核の最終粒子サイズは6.7nmであろう。 これらのサイズでは、種微小球とのいかなる物理的付着も凝集となろう。 これらの顕微鏡写真からの粒子サイズ解析では、被覆していない2.5μm微小球に比べてFITC又はQFITCで被覆した2.5μm微小球のサイズに明確な増大は示されなかった。 微小球(約30n
    m)の平均半径増大があるとはいえ、これらの測定に伴う標準誤差では有意な結果は得られない(表D)。 Giescheらは、シリカ上のアミノシランの種成長について20−25nmの粒子サイズでの同様の増大を観察した。

    【0173】

    【表D】

    【0174】 多重蛍光殻様々な蛍光強度そして異なる組み合わせの蛍光色素を持つ殻を有する微小球を調製するためのコンビナトリアルな手順は、前記の通りである。 サイズ及び形の違う異質の微小球を殻形成のための核として用いると、非常に多様な集団の微小球が生じ、その多様性はコンビナトリアル化合物合成において個々の微小球を追跡するために用いることができることになる。

    【0175】 結論凝集機構によるか又はモノマー付加機構により、蛍光団−APSは微小球に永久に結合する。 三つの発蛍光団をこれらの実験に取り込むことに成功したが、いかなるアミン反応性発蛍光団をも用いうるであろう。 粒子半径に増大は見られず、殻の厚さは30nm未満であることを示す。 被覆していない微小球の表面特性を複製するため、蛍光団−APS被覆微小球の表面を適切な基、例えば立体安定剤で修飾することにより、次の種成長実験での凝固を避けてもよい。

    【0176】 実施例4 フローサイトメトリー測定 緒論フローサイトメータで測定される最も普通の光学特性は、前方光散乱、側方光散乱および異なる励起波長及び放射波長での蛍光強度である。 UV、可視又は近赤外スペクトルから得られる広範囲に利用できる発蛍光団により、これらの光学特性のうち蛍光は微小球を符号化するのに最も有効である(ホーグランド,アール.ピー.1996,前記)。 各発蛍光団は同様の試薬及び合成を用いて微小球に共有的に取り込まれるので、符号化ストラテジーはさらなる発蛍光団を含むよう格上げすることができる。

    【0177】 光散乱測定球形ミクロメーターサイズの細胞又は粒子の前方光散乱測定は、散乱のMie
    理論を用いて予測することができ、細胞又は粒子サイズの推定のために頻繁に用いられる。 前方光散乱は生細胞からダメージをうけた細胞を区別するために用いられたが、表面形態や、照射波長での屈折率及び吸収の変化への散乱強度の依存性は独立した再現可能なパラメータとしてその有用性を限定する(シャピロ,19
    95,前記)。 さらに、前方散乱測定は流体力学的に焦点を絞られた試料流の流速、直径及び組成といった機器的パラメータにも依存している(ケットマンら,19
    98, 前記)。

    【0178】 反対に、側方散乱は粒子の屈折率及びサイズに非常に感受性であるが、これらの機器的因子の殆どと無関係である。 フォーティンら(1999,Cytometry, 36: 2
    7-35) は、モノクローナル抗体で被覆した小さい非蛍光ポリスチレン微小球(0
    . 1−0.5μm)を用いて試料細胞の表面上の特定の抗原の存在を検出した。
    細胞表面上のそれらの特異的抗原への結合の際、被覆した微小球は側方散乱測定でよく定義されているシフトを導いた。 最も興味あることには、ケットマン(19
    98, 前記)は側方散乱測定を慣用し、それらの微小球に基づく免疫アッセイにおいて破片、埃及び凝集塊から単一の微小球を特定している。 従って、各微小球を光学符号化する多くの蛍光パラメータが得られるが、前方散乱及び側方散乱は目的とするそれら微小球のみを選択するためのコントロールパラメータとして最適である。

    【0179】 蛍光測定入射光子の吸収の際、発蛍光団は基底状態から励起一重項状態への遷移を受ける。 次に、発蛍光団はフローサイトメトリー測定にとって重要な三つの主な経路を介して基底状態に脱活性化される。

    【0180】 蛍光 :発蛍光団の蛍光強度は励起波長でのその吸光係数、その量子収率(大抵環境感受性)及びその濃度に関連する。 ホーグランド(Cell Biology, 42 , 1994
    , Methods, Chapter 37 "Spectra of fluorescent dyes used in flow cytometr
    y",アカデミック・プレス,インク.)は、多くの有機色素は対称的な吸収スペクトルを有し、その吸光係数は吸収ピークから±10−20nmでは50%以下及び±20−40nmでは90%以下減少すると記載している。従って、フローサイトメータで用いられる励起レーザー近くを吸収する発蛍光団を選択することが重要である(他のレーザーも利用できるが、通常488nmアルゴンイオン又は633nm赤色HeNeレーザー)。

    【0181】 フローサイトメトリーでは、発蛍光団間のスペクトル重なり量も重要である。
    各励起レーザーについて、五つの検出器まであってもよく、それぞれ光学装置の配列で用いられる光学フィルター及び二色鏡により指示される特異的範囲の波長を測定する。 発蛍光団は通常、(a)励起波長で強く吸収し、かつ(b)提供される検出器により測定される放射波長範囲に特異的であると選択される。 有機色素は典型的には広い放射を有するので(フォーティン,1999, 前記)、他の多数の発蛍光団は提供される検出器により測定される総強度に寄与するであろう。 その放射スペクトル間の最小の重なりを有する発蛍光団を選択することが望ましいが、5つの検出器が同じ励起レーザーで用いられる場合には特に、まれではあるが可能である。

    【0182】 しかしながら、一つの発蛍光団のみを含む微小球を分析し、該発蛍光団から他の検出器への「過剰」な蛍光量を測定する、「蛍光補正」として知られる処理、
    を行うことによりスペクトルの重なりを補正することが可能である。 その狙いは(該発蛍光団のための)正しい検出器により測定される蛍光強度の百分率であって、ゼロ強度に等しくするため他の検出器それぞれから減ずる必要がある量を見いだすことである。 これは、アナログ補正を用い操作時間に行っても、又はソフトウェアデジタル補正を用いて測定後に行ってもよいが、操作時間内にデジタル補正を実施することは未だ可能でない(ビゴスら,1999, Cytometry, 36: 36-45
    ) 。 利用できるパラメータ空間を可能な限り利用するための、有効な蛍光補正、
    好ましくは操作時間デジタル補正には、提唱した符号化ストラテジーが必要不可欠である。

    【0183】 蛍光共振エネルギー移転 :スコットら(1997, Bioorg. Medical Chem. Lett., 7 (12): 1567-1572)はポリスチレンに基づく微小球が発蛍光団、ダンシルに共有結合することを実証しているが、蛍光強度は低レベルの負荷(<1%)の場合各微小球上に負荷されるダンシル量に直接比例し、5%を越える負荷の蛍光強度では急に減少する。 この効果は蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)により引き起こされる。

    【0184】 FRETは非発光性プロセスであり、このプロセスで、2分子間の距離の6乗に逆比例する双極子−双極子結合により、微小球の一つの部位に付着した励起した供与分子が第2の部位に付着した受容分子にエネルギーを移転する(セルビン,1999, "Applied fluorescence in chemistry, biology and medicine", 19 章
    , W Rettig, ニューヨーク,スプリンガー)。 エネルギー移転の効率、Eは、エネルギー移転速度定数、kT、の全プロセスの速度の総和に対する割合により与えられ、これにより供与分子はその基底状態に戻ることができる(クレッグ,R
    M,1996, "Fluorescence resonance energy transfer", Chapter 7 in Fluores
    cence imaging spectroscopy and microscopy (ワング,XF編集) 。

    【0185】

    【数8】

    【0186】 式中、Rは2分子間の距離であり、R 0は有効なエネルギー移転についての臨界距離であり、E=0.5(すなわち、R=R 0 )により与えられる。 R 0は典型的には有機色素につき20−50Åである。 スコットらもR 0が供与分子と受容分子の間のストーク・シフトが増大すると共に増大することを見いだした。

    【0187】 このように、FRETは所与の微小球上に負荷されうる発蛍光団の濃度の上限を設定する。 すなわち、より高濃度の発蛍光団は蛍光強度の増大には至らないが、実際には測定される強度の減少を引き起こすであろう。

    【0188】 光分解 :発蛍光団が励起される度に、それが変化を受け、非蛍光性となる一定の確率がある。 これは発蛍光団と分子状酸素やフリーラジカルといった他の反応性分子との間の化学反応か、又は発蛍光団自体の直接的光化学反応により起こり得る(国際出願番号PCT/AU98/00944)。 発蛍光団は通常フローサイトメータのレーザーにより短時間(試料流速および照射するレーザービームの幅に依存して約10−20μs)励起されるのみであるが、これにより約100
    回の励起−放射サイクルが起こる。 フルオレセインなどの発蛍光団は光分解を受けることがよく知られ、分解前に10 4 −10 5励起−放射サイクルを受けることができる(メラメドら,1990, "Flow Cytometry and Sorting",第2版,ニューヨーク,ウィリー−リス)。 提唱される符号化ストラテジーでの微小球は、予備符号化及び最終スクリーニング分析に加えて、分割及び混合処理の各サイクルにおいて、フローサイトメーターにより再分析される必要があるので、その蛍光強度の大きさに基づき各微小球を確実に符号化するために、微小球に取り込まれた発蛍光団は比較的光に安定であることが不可欠である。

    【0189】 実験 機器 525、575及び650nmの検出器を備え、CellQuest(商標)
    ソフトウェアを用いて獲得したBecton Dickinson FACSo
    rt(商標)(BD FACS)フローサイトメータ(15mW、488nmアルゴンイオンレーザー)により試料を流し、そしてCellQuest(商標)
    ソフトうえあ用いてデータを得た。 データ解析は、WinMDI(商標)2.7
    及びFCS Expressを用いて実施した。 線形前方光散乱(FCS)、側方光散乱(SSC)及び蛍光(FL1、FL2及びFL3)を、MEDフロー速度を用い、各事象について記録した(表C参照)。

    【0190】 較正目的の微小球を検出する際のフローサイトメータの正確さを評価するため、
    Coulter Flow−Check(商標)の微小球6μmの溶液(既知濃度の1.0x10 6個の微小球/mL)の八つの異なる希釈物を試料とし2分間用いた。 (FL1及びFL3の二変数プロットについての多角形ゲートを用いて)検出した微小球の総カウントは、1:1000−1:1範囲の希釈に直線的に依存している(R 2 =0.9996)ことが分かった(図10参照)。

    【0191】 集団分類及び区分け三つの異なる微小球の集団を、それぞれMilliQ(商標)水2mLに10
    μm緑Fの1.0mg、10μm赤Fの1.3mg、12μm赤−緑Fの1.1
    mg微小球(全てMicromod)を分散させて調製した。 次に、10μm緑F、10μm赤F及び12μm赤−緑Fの懸濁液からそれぞれ700μL、65
    0μL及び800μLをBD・FACS試料管中で混合し、10分間音波処理した。 同様な混合物を調製し、これを、区分けした細胞を集めるために用いるBD
    FACSバイアル中のMilliQ(商標)水50mLに加えた。

    【0192】 FL1及びFL3について適切なPMT電圧に設定することにより、三つの異なる微小球をそれぞれ異なる集団に分類することが可能であった(図11)。 次に、ゲートを用いて10μm緑F集団から100000個の微小球をそして12
    μm赤−緑Fから100000個の微小球を、別のBD FACS 50mLバイアルに集めた(図12及び図13)。

    【0193】 三つの50mL溶液(もとの混合物、10μm緑F及び12μm赤−緑F)を手動の60mLシリンジを用いて0.8μmのミリポアフィルターに通した。 次に、各フィルターの蛍光顕微鏡写真を撮影し、もとの混合物と比較して区分け物の純度を可視的に決定した(図14)。 濾過物には微小球は観察されず、0.8
    μmのミリポアフィルターは調査目的のために微小球を濃縮する有効な方法を提供することが示された。 興味深いことに、微小球はフィルター上にあるインクのグリッドに強いアフィニティーを示した。

    【0194】 蛍光的に被覆された微小球の測定試料S1(FITC)、S2(QFITC)(表Cを参照)及び被覆していない2.5μm微小球の分散液(全てMilliQ(商標)水に分散している)をFL1及びFL3を用いて分析し、被覆していない微小球と被覆した微小球のそれぞれとの間に測定可能な差異があるか否かを決定した。 FL1及びFL3を用いた三つの全ての集団の間に明確な差があった(図15)。 FL1についてのS
    1及びFL3についてのS2のヒストグラムは、被覆していない微小球よりも有意に高い平均値を持つ蛍光強度の分布を示す(図16を参照)。

    【0195】 試料R1、R7及びR8(表C)並びに被覆していない4μm青−緑F微小球の分散液(全てMilliQ(商標)水に分散している)も、FL1及びFL3
    を用いて分析し、QFITCの濃度に対する平均蛍光強度の変化を測定した。 より高濃度のQFITCで非直線性が存在したならば、蛍光共鳴エネルギー転移の存在も明らかであろう。 全4試料についてのFL1及びFL3の二変量プロットを図17に示す。 加えたQFITC量(μL)に対する、FL1強度に対するF
    L3強度の割合のグラフを図18に示す。 グラフの直線(R 2 =0.9753)
    は、エネルギー転移が起こっていないことを示唆する。

    【0196】 精度の測定実験的にrl及びrhの値を(実施例2で「光学多様な微小球の予備符号化」
    に定義されている)三つのパラメータ(FS、SS及びFL3)について直線値(log値は実施例5で開発されたソフトウェアと互換性なし)を用いて決定するため、Coulter Flow−Check(商標)の6μm微小球の集団を区分けしそして再分析した。 パラメータはダブルゲートアプローチを用いて対で評価した。 微小球は最初、評価の際よく定義されたゲートが二つのパラメータ(例えば、FS及びSS)について確立されるまでは、評価されていないパラメータについて(例えば、FL3)、広いゲートで制御された。 このため1個の微小球だけが回収された。 凝集は望ましくなかった。 何故なら、再分析の際、微小球が球状であるのに対し、凝集物はレーザービームに関して異なる方向を持つ可能性があるからである。 200000個の微小球の二つの集団をそれぞれ、50
    mLのBD・FACSバイアルに集め、一つにはよく定義されたFS及びSSゲートを用い、他方にはよく定義されたSS及びFL3ゲートを用いた(図19(
    a))。

    【0197】 FACSort(商標)は機械的区分けを用いるので、区分けされた微小球を高程度に希釈した(1:5000以下)。 その溶液50mLを八つのより小さい培養管に分割し、<1000rpmで5分間遠心分離し、各培養管に約0.25
    mLだけが残るように上清を注意深く除去することにより、0.5mLに再び濃縮した。 充分に形成された微小球のペレットは、ちいさいものの、各培養管ではっきり見ることができた。 これらの培養管全てから残りの溶液を洗浄し、1本のBD FACS管(ここで全容量は3mL)に混合した。 この管も<1000r
    pmで5分間遠心分離し、約0.5mLが残るように注意深くその上清を除去した。 次に、適用されるゲートがないことを除き最初に区分したときと同じ機器設定を用いてこの用量のその全体を分析し、全ての事象を記録した。 2回の再分析の二変量プロットを図19(b)に示す。

    【0198】 データ解析はMicrosoft Excel(商標)を用いて実施し、各パラメータにつきもとのよく定義されたゲートの下方又は上方の各微小球(チャンネル数として表される)の偏差の頻度ヒストグラムを構築した。 次に、FS、S
    S及びFL3についてのrl及びrhの値(表E)を、戻された全微小球のうち>99.9%を含む最大偏差を見いだすことにより、決定した。

    【0199】 データ解析はMicrosoft Excel(商標)を用いて実施し、各パラメータにつきもとのよく定義されたゲートの下方又は上方の各微小球(チャンネル数として表される)の偏差の頻度ヒストグラムを構築した。 次に、FS、S
    S及びFL3についてのrl及びrhの値(表E参照)を、戻された全微小球のうち>99.9%を含む最大偏差を見いだすことにより、決定した。

    【0200】

    【表E】

    【0201】 考察 光学的多様性異なる濃度の所与の発蛍光団の場合、放射スペクトルの最大強度は変化しうるが、放射スペクトルの形は低濃度の発蛍光団に対して一定を維持することになる。 従って、二つの異なる波長又は領域の蛍光強度の割合は一定を維持することになる。 このことは、図12及び20の同じ集団からの微小球間の相関関係に見ることができる。 全蛍光パラメータについての前方光散乱と蛍光強度の間にも強い相関関係がある(すなわち、低い蛍光強度を持つ微小球は低い前方散乱強度を有する)、従って前方散乱は独立したパラメータではない。

    【0202】 反対に、図17は赤及び緑の蛍光が互いに関し独立したパラメータであることを実証する。 図18の緑蛍光に対する赤蛍光の割合と加えたQFITC−APS
    量の間の直線関係は、用いたQFITC濃度では、蛍光共鳴エネルギー転移は無視してよい程しか起こっていないことを示唆する。 蛍光殻での各発蛍光団の固定した位置も、供与分子と受容分子の有効な配向を妨げうる。 従って、被覆していない4μm青−緑F及び4μm青−赤F微小球の平均傾斜により定義される二つの限界の間で緑蛍光に対する赤蛍光の望ましい平均的割合を有する微小球集団を合成することが可能である。

    【0203】 FL1(緑)とFL3(赤)の間の蛍光補償はBD BACS上では不可能である。 全パラメータ間の有効な蛍光補償の必要を説明するため、図17のこれらの制限する傾斜の外側にある赤及び緑の蛍光の組み合わせを考えよう。 符号化されうるユニークな微小球の数を最大とするためには、全パラメータ空間を利用すべきである。 これには、参照により本明細書にインコーポレートされるレーデラーら(1997,Cytometry, 29 ,328−339)及びビゴスら(
    1999,前記)に記載されたように用いられた全ての発蛍光団の蛍光補償マトリックスの使用が要求されるであろう。

    【0204】 分解能フローサイトメータの分解能及び各微小球に取り込まれた発蛍光団の安定性は、各微小球について光学パラメータの再現可能な測定をするためには重要な因子である。 図10は、検出した微小球の数が試料集団における微小球の数に直接比例し、従って各微小球の検出は、35±5μL/分の試料流速で、調べた濃度範囲内(すなわち、1x10 6微小球/mL)の集団濃度によっては影響を受けないことを実証している。 従って、各微小球の検出は分けて考えることができる。

    【0205】 各微小球の光学パラメータの測定における測定における変動の起こりうる原因は、例えばレーザーパワーの変動、光学照準、電子ノイズといったフローサイトメータから生じるか、又は例えば発蛍光団に対する光分解、溶媒極性及びpHの効果といった微小球自体から生じる。 他の重要な因子には、コンビナトリアル合成に要求される有機溶媒中でのコロイドの不安定性による微小球の凝集並びに、
    微小球表面上に合成される化合物(例えば、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド)により誘導される散乱強度又は蛍光強度の変動が挙げられる。

    【0206】 (a)光子の蛍光放射、及び(b)検出器中での光電子の遊離といった確率的(すなわち、時間的に無作為な)プロセスが、約1%という理論的最小CVに相当する(セルビンら,1999,前記)。 確かに、図19(b)の再分析された集団はこの分解能に近づけないが、データの分析からさらに洞察が与えられる。
    主要なノイズはFL1及びFL3についての多角形ゲートにより除去でき、泡や破片の存在はわずかに蛍光性であるので、これらにより起こるノイズを濾過により除外する(これは図19(b)の赤蛍光の「微小球」集団の低い強度から明らかである)。 凝集(例えば、二量体及び三量体)は実際の再分析に要求される5
    0mLから0.5mLへの区分けされた微小球の容量減少に必要な遠心分離により引き起こされた。 この遠心分離、及び引続き起こる凝集は機械的区分け機よりもむしろ電子的小滴区分け機を用いて避けることができる。 しかしながら、FL
    1及びFL3についてだけでなく、FS及びSSについての凝集集団をゲートにより制御することにより、凝集物を濾別することができる。 このように、図12
    及び13で用いられるようなゲートの使用により、破片や凝集物は除去することができ、単一の微小球のみを分析することができる。

    【0207】 表EのFS、SS及びFL3について得られたrl及びrhの値は、再分析の際、より低い値への明確なシフトを示す。 FL1及びFL2は特異的に評価していないとはいえ、光学収集システム、検出器及び電子機器はFL3について用いたものと非常に類似している。 FL3についての下方シフトは光分解によるものと予測されたが、前方散乱及び側方散乱はより高い値とより低い値の両方にシフトすると予測された。 この全体的な下方シフトは、微小球の長期保存に用いられる界面活性剤溶液から、区分け後の被覆溶液(すなわち、MilliQ(商標)
    水)で十分に希釈された溶液への溶媒の変化を考慮すると説明できる。 集団をさらに再分析しても溶媒のこの初期変化の後の下方シフトは持続しないと予測される。

    【0208】 結論光学多様に接近するQFITC被覆微小球の集団はフローサイトメトリーを用いて分析された。 エネルギー転移は用いた濃度では起こらないので、QFITC
    −APS微小球や4μm青−緑F微小球を用いる緑蛍光に対する赤蛍光の任意の望ましい割合を有する微小球集団を合成することが可能である。

    【0209】 実施例5 ソフトウエア開発緒論 高速フローサイトメーター(例えば、100,000事象/s)により提供される速度で微小球を処理するため、二つの重要な課題を達成できるアルゴリズムを設計せねばならなかった。 すなわち 1. 各微小球に対するパラメータ値を得、そしてそのパラメータ値に基づいて所与の微小球を集め又は排除することの決定をすること 2. 分割−そして−混合のコンビナトリアル処理を通して微小球の合成履歴を記録すること である。

    【0210】 二つのアルゴリズム、すなわち、取得後アルゴリズム及び実時間アルゴリズムを開発し、これらの課題を処理するためプログラムした。 両アルゴリズム共実施例2(「光学多様微小球の予備符号化」)で定義したグリッド空間の概念を利用した。 取得後アルゴリズムはグリッド空間の動的配分を使用する静止アルゴリズム(すなわち、時間依存性がない)であるのに対し、実時間アルゴリズムはグリッド空間の静的配分を使用する動的アルゴリズム(すなわち、時間依存性)である。 最も困難なのは、それぞれのアルゴリズムの動的側面である。

    【0211】 方法表Dにおける試料集団のFCS2.0 ファイルデータ(ディーンら,1990,Cyto
    metry, 11: 321-322) は実施例4(「蛍光被覆微小球の測定」) に記述した方法を用いて得た。 総数100000の事象を各試料について記録した。 理想的光学多様を持つ集団をシミュレートするため、通常の Microsoft Excel(商標)を用いて多数の無作為データファイルをも作成した。

    【0212】 このアルゴリズムを用いてフローサイトメトリーのデータを分析するため、 F
    CS Express(商標)を用いてFCS2.0 ファイルの全てのパラメータ値を抽出し、 Microsoft Excel(商標)中に取り込んだ。 これにより、ヘッダーなしにタブを定めたテキストファイルとしてデータを保存でき、そして該データを所望の任意のパラメータについて昇順に整理することもできた。

    【0213】 Cプログラム言語(ケリーとポール,1995,"A book on C", 第 3版, ニューヨーク,アジソン−ウエスレー)を用いて両アルゴリズムをプログラミング、gc
    c for DOS コンパイラーを用いてコンパイルした。

    【0214】 アルゴリズムのスピードの測定は、Dell 400 MHz PC 上で、システムコール・
    ツー・ザ・DOSコマンド・タイムを用いて行った。 各アルゴリズムの能力に関するさらなる情報を得るため、必要なときは、各アルゴリズムに対しては小さな改変も行った。

    【0215】 取得後のアルゴリズム目的このアルゴリズムの主要な目的は微小球の集団の光学データを得ること、及び該集団内の光学的にユニークな微小球のリストを作成することである。 この研究に使用した装置は改変に利用できなかったので、該アルゴリズムは該装置の改変が一切不要であるように作成した。

    【0216】 理論微小球,M iは下記の式を満足するときは光学的にユニークであるようであった。

    【0217】

    【数9】

    【0218】 上式中、M jは該集団中の任意の他の微小球であり、pは該装置により測定される任意のパラメータであり、M(p)は特定の微小球に対するパラメータpの値であり、そしてE Pは該パラメータに対する同一集団の反復測定の精度に基づいて使用者が決める値である。

    【0219】 要件取得後アルゴリズムは4パラメータのデータで使用するためにのみ開発した。
    該データはまず第一のパラメータについて(アルゴリズム効率を高めるため)昇順に区分けし、そしてヘッダー情報はすべて除去せねばならない。 データは下記のフォーマットでタブを定めたテキストファイルとしても保存せねばならない。

    【0220】

    【外1】

    【0221】 最初の整数は該装置により記録された順序で各微小球に与えられる数であり、
    その後の4個の整数は4個のパラメータ値のそれぞれに対応する。

    【0222】 記述取得後アルゴリズムは所与の集団に対するデータを得た後に実施される。 それは該集団で記録された最初の微小球で開始し、方程式5.1を用いて光学的にユニークかどうかを決定する。 もし所与の微小球が光学的にユニークであれば、それは「マスター」リストとして知られる別のリンクしたリストに加えられる。 このマスターリストは該集団の部分集合の中にユニーク微小球が存在すればそれをユニーク微小球として同定することができる。

    【0223】 もし所与の微小球が光学的にユニークでないときは、それ及びそれと光学的に識別し得ない他のすべての微小球は複製として標識される。 複製は、微小球が該集団から排除されないことをはっきりさせることが重要であるとしても、ユニーク微小球のリストには加えられない。 複製微小球は、その合成履歴が取得後アルゴリズムにより記録されないとしても、該集団中のユニーク微小球と共にコンビナトリアル合成を受け続ける。

    【0224】 他方、ユニーク微小球は分割−及び−混合プロセスを通って進んでいく。 ユニーク微小球のどれが該分割−及び−混合プロセスの所与のサイクルの間どのバッチにあるかを決定するため、微小球のバッチのそれぞれをフローサイトメーターで再分析し、各バッチについて「正確に」同じ装置条件の下でデータを記録する。

    【0225】 各バッチから得られるデータを取得後アルゴリズムを用いて処理するとき、該新規なデータをマスターリストと比較する。 次いでこのアルゴリズムを逆に用いて、新規なデータのどの微小球がマスターリストの中のそれと光学的に「識別し得ない」かを決定する。 マスターリストはユニーク微小球のみを含むので、もし新規なデータの微小球がマスターリストの微小球と光学的に識別し得ないときは、それが同じ微小球であるという高度の蓋然性がある。 ついで、このマスターリストを、該分割−及び−混合プロセスの所与のサイクルの間、この特定のバッチに該微小球が存在したことを示すように更新する。 このようにして、光学的にユニークな微小球はコンビナトリアル合成を通して追跡され得る。

    【0226】 光学的にユニークな微小球と光学的に識別し得ないと記録される誤った微小球に対して但し書きをせねばならない。 この場合、どれが誤った微小球であるかを示すことはできないから、ユニーク微小球をマスターリストから除去する。 従って、使用者が定める精度値、E Pの正確な割当てがこのアルゴリズムの有効性にとって不可欠となる。

    【0227】 結果マスターリストの作成の間アルゴリズム処理時間と集団サイズの間の関係を決定するため、 CreateMaster (商標)中の主要ループの時間測定を行った。 この関係は、各微小球は集団中の他の微小球それぞれと比較されねばならないから、
    O(n 2 )、すなわち処理時間は集団サイズの二乗に比例することが量のオーダーから予測された(スタッブら,1993,"Data structures with abstract data t
    ypes", ボストン, PWS)。図21は異なる集団サイズの無作為データについての測定の結果である。予測されたように、アルゴリズム処理時間は集団サイズの二乗に比例し、R 2 =0.9998の曲線に二項適合する。

    【0228】 さらに、集団サイズの関数としての集団におけるユニーク微小球の数は図22
    に示してある。 各パラメータに対しE P =50という値を用いると(「実時間アルゴリズム」に関する「理論」を参照)、約12000の微小球が処理された後ユニーク微小球の最大数が約4700であることが明瞭に示される。

    【0229】 この効果は、しかしながら、予想されるべきであり、このアルゴリズムを用いて所与の集団から得ることが可能なユニーク微小球の最大数の理論的限界を表すものである。 この限界は、最初は殆ど直線的関係が存在する(すなわち、処理される新規な微小球のそれぞれがユニークである)が、約1000微小球が処理された後は、さらなる微小球はいずれも先のユニーク微小球とは光学的に識別し得ないという確率が増大し、その結果約12000微小球が処理された後には顕著に減少するという事実から生ずる。

    【0230】 結論−取得後アルゴリズム取得後アルゴリズムは装置の改変を一切必要とせず、テストされ、そして微小球集団からマスターユニークリストを首尾よく作成することが示された。 さらに、ユニーク微小球はコンビナトリアル合成の間、次のバッチに存在するとして同定され得る。 アルゴリズム処理時間と集団サイズの間のO(n 2 )という関係は、大きな集団サイズ(100000微小球より大)に対する関係を意味するものではあるが、該処理時間は禁止的となる。 しかしながら、それは動的アルゴリズムではなく静的アルゴリズムであるので、迅速な処理時間は不可欠ではない。 より制限的要因は該アルゴリズムの自己制限的性質であり、それによりユニーク微小球の数は集団サイズが最適サイズを越えて増加するにつれ(E Pの値に依存して)減少する。

    【0231】 実時間アルゴリズム 目的このアルゴリズムの主要な目的は、所望の光学的性質に基づき区分けすることにより集団から光学的にユニークな微小球を抽出することであった。 大きなコンビナトリアルライブラリーの合成に使用するため、それは取得後アルゴリズムの限界、即ち、O(n 2 )関係及び自己制限的性質、をも克服せねばならなかった。

    【0232】 理論取得後アルゴリズムと異なり、実時間アルゴリズムは予め−定められたグリッド空間を作成し、次いでパラメータ値がこれらのグリッド空間内に分配される微小球を選別する。 該アルゴリズムの二つの異なる使用は、(a)光学的にユニークな微小球集団を作成すること、及び(b)この集団中の「全ての」微小球の合成履歴を記録することである。

    【0233】 (a)に対してのみ、内部区分け領域が要求される(図6参照)。 グリッド空間及びその内部区分け領域を作成しそして微小球の集団が分析される前は空と標識化する。 次いで、微小球のパラメータ値が空と標識されているグリッド空間に対応するときは、該微小球を光学的にユニークとみなす。 このグリッド空間はその後詰まったと標識される。 より完全な定義のためには、WriteArray( 商標) の主要ループを参照すること。

    【0234】 このアルゴリズムは、どの微小球がどのグリッド空間に対応するかを容易に決定するため「整数分割」をも利用する。 整数分割は正規分割に類似するが、回答が最近の整数、例えば213/100=2又は14/15=0に丸められる点が異なる。

    【0235】 要件実時間アルゴリズムは任意の数のパラメータを用いて使用するように開発された。 現在、本研究で利用可能な5個のパラメータについて実行される。 ヘッダー情報はすべて除去されねばならず、データは下記のフォーマットでタブが定められたテキストファイルとしても保存されねばならない。

    【0236】

    【外2】

    【0237】 上式中、各整数は特定のパラメータに対する数値である。 取得後アルゴリズムと異なり、最初の整数に対する識別番号は必要でない。 各微小球から得られるデータは内部に保存されないからである。 さらに、未だ満たされていないが、実時間アルゴリズムを行うコンピュータを経てフローサイトメーターを区分けする機構の要件が実時間制御に提供されるべきである。

    【0238】 記述 微小球の予備符号化実時間アルゴリズムは微小球集団の分析の間適用される。 整数の配列を作成するため、パラメータの数と各パラメータについてのグリッド空間の幅を選択する入力が使用者に要求される。 実施例2(「光学的多様微小球の予備的符号化」)
    に記述したように、全てのグリッド空間は最初空であり、従って該配列におけるそれらの対応する整数は等しくゼロである。

    【0239】 各微小球が検出されフローサイトメーターにより分析されるにつれ、実時間アルゴリズムはどのグリッド空間にそれが対応するかをそのパラメータ値の整数分割を用いて決定し多次元配列に索引を付ける。 もしそれが対応するグリッド空間の内部区分け領域内にありそしてグリッド空間が空と標識されている(即ち、ゼロ)ときは、該微小球を収集するよう区分け決定がなされる(従って区分け機構の実時間制御の必要がある)。 次いで該グリッド空間の標識は詰まった状態(すなわち、1)に変化する。 もし内部区分け領域の外にある又は該グリッド空間が既に詰まった状態と標識されているときは、該微小球を排除するよう区分け決定がなされる。 このようにして、光学的にユニークな微小球のみが微小球の全集団から集められる。 この区分け決定をする時間は微小球が観察点から滴下点まで移動する時間よりも短くなければならないことに留意すべきである。

    【0240】 微小球の合成履歴の記録コンビナトリアル合成を通してこれらのユニークな微小球の追跡を持続するために、実時間アルゴリズムは、各バッチがフローサイトメーターにより再分析される時に適用される。 内部区分け領域は光学的にユニークな集団を作成するためにのみ必要であったから、このアルゴリズムは所与の課題バッチに対しどの微小球がどのグリッド空間に対応するかを決定することだけが必要である。 グリッド空間の配列と1対1の対応を有する長さnの文字列(ここでnは分割−及び−混合プロセスのサイクル数であり、各文字は特定の試薬を表す)が次に各微小球の合成履歴を含むように更新される。 しかし、これらの課題は分析の後に行うことができ、分析の間に行う必要はない。

    【0241】 結果各微小球の処理時間が一定であったか否か、従って集団サイズに無関係であったか否かを決定するため、WriteArray (商標) の主要ループの時間測定を行った。 それは、処理時間と主要ループの反復数(集団サイズと等価である)の間の関係がO(n)であるという量のオーダー(スタッブズら,1993, 上掲)を用いて予測された。 図23は異なる数のパラメータに対する異なる数の反復を用いた測定の結果である。 予測された通り、アルゴリズム処理時間は反復数に比例し、R 2 =0.9981という線形適合又は異なるパラメータ数のそれぞれに対しより良好な適合を示した。

    【0242】 パラメータの数に対し図23からのスロープをプロットすると、第二のプロットが得られ(図24)、これは「1回の」反復に対する時間のための方程式を与える。 すなわち y=0.419x+0.0023 (5.2) ここで、yは1回の反復のためのマイクロ秒で表した時間であり、xはパラメータの数である。 こうして、17個のパラメータ(市場で入手可能な最大数)に対して、1回の反復に対する総時間は一定の7.125μsである。 この数は高速フローサイトメーター分配機(例えば、Coulter Elite (商標)では6.5μs
    )で要求される区分け決定時間にうまく匹敵する。

    【0243】 このアルゴリズムの唯一の理論的限界は全パラメータ空間内に存在できるグリッド空間の最大数である。 これは図25に示す。 図25には無作為に作成された集団からのユニーク微小球の数が集団サイズに対してプロットされている。 この曲線の一般形は次式で与えられる、すなわち

    【0244】

    【外3】

    【0245】 上式中、Aは利用可能なグリッド空間の総数に等しく、この事例では、4パラメータで与えられ、その各々は10の領域に再分割される(10 4 =10000
    )。

    【0246】 実施例4由来のQFITC−被覆4μm青−緑色F微小球の光学多様混合物(
    図26を参照)のデータを2パラメータ・シミュレーションで予備符号化し、実時間アルゴリズムのデモンストレーションを行った。 各パラメータに沿って8個の区画を用い、rl=rh=30チャンネル数の使用者決定値を用いて、該パラメータ空間をそれぞれ128×128チャンネル数の幅のグリッド空間に分割し(即ち、1024/8=128)、内部区分け領域を68×68チャンネル数とした。 QFITC−被覆微小球はFL1及びFL3の光学多様性のみであるから、残りのパラメータ(FS、SS及びFL2)は、その影響を無効にするため、
    各微小球に対して同一とされた。 従って、ユニーク微小球の最大数は64である。 実時間アルゴリズムは、光学的にユニークな微小球のパラメータデータをテキストファイルに保存するために改変された。 それは後にプロットされ、グリッド空間の図式表示に重ねて示された(図27)。 該グリッド空間の利用可能な64
    個の内部区分け領域のうちの56個は実時間アルゴリズムを用いて全集団から抽出された各1個の微小球により巧く占有された。

    【0247】 結論−実時間アルゴリズム実時間アルゴリズムは大きなコンビナトリアルライブラリーのために要求される巨大な数の微小球を処理する能力を持っている。 それは、集団サイズに無関係でありそしてパラメータの数にのみ依存する、方程式5.2により与えられる一定の区分け決定時間を提供する。 17個のパラメータに対してさえも該区分け決定時間は高い区分け速度で処理することができる(7.125μs/微小球)。
    さらに、ユニーク微小球の最大数は利用可能なグリッド空間の数に等しい。 利用可能なグリッド空間が占める容積は全パラメータ空間に等しい。 従って、これは最大可能数である。

    【0248】 しかし、このアルゴリズムを完全に実施するためには、フローサイトメーター・エレクトロニクスとコンピュータの間にインターフェイスを設定する必要がある。 これらの必要性は高度に専門的であるが、ドボラックら(1991, J Microcom
    puter Appl., 14: 327-341) 及びリアリーら(1993, 米国特許第5199576 、1993
    , 米国特許第 5204884、1997,Cytometry, 27: 233-238、1997, Proc SPIE: Int
    Soc Opt Eng, 2982 : 342-352)による最近の研究が有用であることが明らかである。 ドボラックら(1991, 上掲)は、フローサイトメーターとマイクロコンピュータの間の電子インターフェイスを記述し、非商業的使用のための完全な作業用図面を供給することを提案する。 これは区分け決定時間を決定し、将来支援ソフトウエアを開発するのに有用であろう。 リアリーら(1993-1997,上掲)は、所与の保証レベル、例えば95%内に所与の稀な細胞(例えば、10 6個に1個の出現)を得るために、滴下遅延やパルス積分時間などの至適区分け特性を選択するように動的に「訓練されている」改変高速区分け機を開発し、特許を得た。 この改変高速区分け機の一部の詳細な機構は援助可能として供給もされている(ドボラックら,1991, 上掲、リアリーら,1993,上掲)。 また、ケットマンら(1998
    , 上掲) 及びビゴスら(1999,上掲) の両者はその特殊な必要性を満たすためフローサイトメーターの電子機器を首尾よく改変した。

    【0249】 結論要約すると、取得後アルゴリズムは、コンビナトリアル合成を通して光学的にユニークな微小球を追跡するためにフローサイトメーターに如何なる改変も加えることなく使用することができる。 処理時間と集団サイズの間のO(n 2 )関係及びアルゴリズムの自己制限的性質のため、巨大なコンビナトリアルライブラリーの処理への意図的適用には不適当であると推奨される。

    【0250】 一般的結論本方法は、少なくとも一部には符号化できる最大ライブラリーサイズについて及び試料処理量(即ち、一日に処理される試料の数)について記述される。 集団サイズの関数として抽出される光学的にユニークな微小球の数は図25に類似の漸近曲線に従う。 1秒当たり検出される微小球の数がほぼ一定値になると、その集団サイズは代わりに時間の単位で表すことができる。 時間の関数として集団から抽出された光学的にユニークな微小球の数、U、に対する予測方程式が開発されており、下記の一般式を持つ、すなわち

    【0251】

    【数10】

    【0252】 この方程式の変数は全て本研究で定義された方程式及び関係式から得ることができる。 方程式5.4は方程式5.3の一般形に基づき、従ってNは方程式2.
    6の僅かな改変により与えられる利用可能なグリッド空間の総数に等しい。

    【0253】

    【数11】

    【0254】 上式中、pは利用可能なパラメータの数に等しく、v iはi番目のパラメータに対するグリッド空間それぞれの幅である。 各グリッド空間の幅は次式に等しい。 v i =rl i + rh i + w i (5.6) 上式中、rl i及びrh iは実施例2で定義された(そして実施例4で実験的に求められた)下方範囲及び上方範囲であり、w iはi番目のパラメータに対するグリッド空間それぞれにおける内部区分け領域の幅である。

    【0255】 w iの値も、内部区分け領域が占めるグリッド空間それぞれの百分率を表すα
    の計算に重要である。 図25では、rlとrhは等しくゼロであり、従ってα=
    1である。 これは最大の場合を表し、空のグリッド空間を占める微小球すべてが抽出される。 より現実的シナリオでは、α<1の場合、空のグリッド空間の内部区分け領域を占める微小球だけが抽出される。 従って、αは下記の式により与えられる乗数である。 即ち

    【0256】

    【数12】

    【0257】 βの値は1秒間に処理される微小球の数に等しく、従ってβtは集団サイズに等しい。 βの最大値は方程式5.2の逆数、即ち実時間アルゴリズムを用いて1
    秒間に処理される微小球の数により与えられる。

    【0258】 指数係数、k、は光学多様、微小球の集団のσに正比例し、Nに逆比例する。
    即ち

    【0259】

    【数13】

    【0260】 上式中、無作為データ(最大可能な光学多様)に対してはσ=1であり、QF
    ITC被覆微小球と非被覆4μm青−緑色F微小球の混合物に対してはσ=0.
    28である(Nを変えることにより実験的に求められた)。

    【0261】 この一連の方程式は所与の時間期間に対する光学的にユニークな微小球の数を予測させる。 これは、(ユニークな微小球の数に比例する)最大ライブラリーサイズを方程式5.4に関与する変数を変えることにより最適化することを可能とするので、貴重な関係である。 さらに、変数、例えばrl、rh、β、pのそれぞれは本研究で述べた概念及び実験を用いて測定し又は評価することができる。

    【0262】 従って、提案されたストラテジーの実施可能性は方程式5.4を用いて予測することができる。 ビゴスら(1999, 上掲)の蛍光パラメータの数を用いてp=9
    、一方これらの蛍光団に対するrl及びrhの値を表Eから評価でき、rl=5
    0、及びrh=10となる。 市販のフローサイトメーターの現在の最大区分け速度が約25000微小球/sであるとしても、方程式5.2により与えられる9
    個のパラメータに対するβの値は265000微小球/sであり、従ってβ=2
    5000微小球/sである。 QFITC被覆微小球に対するk=0.28Nの値は実施例3における合成法を用いて達成し得る光学多様の代表である。 α及びN
    は内部区分け領域の幅、w iに依存するから、図28はユニーク微小球の数、U
    、をw iの関数として表す。 tの値は単純化のため24時間であると考えられる。

    【0263】 従って、上記の条件に対するUの最大値は110の内部区分け領域幅に対応する。 w i =110からw i =111までの鋭い減少に注目する。 図28に存在する不連続は方程式32で要求された整数分割によるものである。 w i =110を用い、ユニーク微小球の数を図29で24時間にわたり時間の関数として表している。 従って、24時間後に、7.02×10 6個のユニーク微小球が抽出され得るであろう。 24時間の間25000微小球/sでフローサイトメーターを維持することの実施可能性は克服することは困難であろう。 例えば被覆流及び試料の一定供給が要求されるからである。 しかしながら、2.00×10 6個のユニーク微小球が僅か4.5時間、遙に現実的な時間枠のうちに抽出され得るであろう。 さらなる分析全ての時間は、全ての微小球が集められるのでU/β秒に等しい。 従って提案されたストラテジーの律速段階は予備的符号化段階である。

    【0264】 2百万個の光学的にユニークな微小球は8個のヌクレオチド長の可能総数65
    536のオリゴヌクレオチドのコンビナトリアル合成を許容するであろう。 このライブラリーは次にハイブリダイゼーションによるDNA配列決定に使用できるであろう。 複数の又は縮重した微小球の存在は提案されたストラテジーの全体的エラー強さを改善する。 何故なら、同じ化合物を持つ縮重した微小球は全て最終スクリーニングプロセスで類似の結果を返すはずだからである。 最大ライブラリーサイズを増加させるため、rl及びrhの値をより小さくし並びに光学多様の程度をより高くすることが必要となるであろう。 これは、より効果的な蛍光補償、及び最初の区分け後に全てのパラメータに対する最初の下方シフトを避けるために被覆流として使用される同じ溶媒中での微小球の再分散により達成され得るであろう。

    【0265】 実施例6 同一試料の7部分の実施の間の再現性 MilliQ (商標) 水に分散させた15μm蛍光シリカ微小球の試料( ミクロモド、
    カタログ番号40-15401、10μg/ mL、NH 2官能基化)を調製し、FACSCali
    bur(商標) フローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン)を通過させた。
    100万事象に対する領域内(図30)の散乱シグナル及び蛍光シグナルを記録した。 これは各実施の間を10秒開けて同一試料でさらに6回繰り返した。 FL
    3(赤色蛍光)、前方散乱及び側方散乱の平均値を7回のデータから決定した。
    平均の側方散乱は387(標準偏差=23.6%)、平均の前方散乱は3003
    (標準偏差=153.5%)及び平均FL3値は301(標準偏差=31.10
    %)であった。 これらの結果は選択された試料から得られた散乱シグナル/蛍光シグナルの平均値に小さな変動があることを示す。

    【0266】 実施例7 フローサイトメーターから集められ、フローサイトメーターを再通過させた非蛍 光微小球は再現性のある散乱値を示す 10.2μmポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7510A、CV=14.7%、
    10μg/mL水)の試料をフローサイトメーターに通過させた。 二つの領域を設定した。 領域1の微小球は事象として検出された(図31、パネルA)が、領域2の微小球を除き、すべて実施後廃棄した。 領域2の内部の微小球を集め、サイズ5のフィルター(孔サイズ4−10μm)で濾過して再濃縮し、領域2のゲートを除去した後、フローサイトメーターを再通過させた(図31、パネルB)
    。 次いでこの微小球を領域1内のどこにでも自由に移動できるようにした。 この図のパネルBに示すように、この微小球は領域2が除去された場所に再び現れた。

    【0267】 実施例8 フローサイトメーターから集められ、フローサイトメーターを再通過させたポリ スチレン10.2及び21μm微小球混合液は再現性のある散乱値及び蛍光値を 示す 10.2μmポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7510A、CV=14.7%、
    10μg/mL水)及び21μmポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7520A、C
    V=14.7%、10μg/mL水)を含む混合液をフローサイトメーターに再通過させた。 二つの領域を設定した。 領域1の微小球は事象として検出された(
    図32、パネルA、B)が、領域2の微小球を除き、全て実施後廃棄した。 領域2の内部の微小球を集め、サイズ5のフィルター(孔サイズ4−10μm)での濾過により再濃縮し、領域2のゲートを除いた後、フローサイトメーターを再通過させた(図32、パネルC、D)。 次いで、この微小球を領域1の内部に自由に入れるようにした。 図32のパネルBに示すように、この微小球は領域2が除去された場所に再び現れた。 これら結果は、属性として光散乱を用いて再現性良く微小球をフローサイトメーターから集め、フローサイトメーターを再通過させることができることを示す。

    【0268】 実施例9 フローサイトメーターから集めフローサイトメーターを再通過させた蛍光緑色ポ リスチレン微小球は再現性良く散乱値及び蛍光値を示す蛍光性緑色ポリスチレン微小球(6μm,ベクトン・ディッキンソン,カリブライト微小球)の試料をフローサイトメーターに通した。 二つの領域を設定した。 領域1の微小球は事象として検出した(図33、パネルA及びB)が、領域2
    の微小球を除き、全て実施後廃棄した。 領域2内の微小球を集め、サイズ5のフィルター(孔サイズ4−10μm)での濾過により再濃縮し、領域2のゲートを除いた後、フローサイトメーターを再通過させた(図33、パネルC、D)。 次いでこの微小球を領域1の内部に自由に入れるようにした。 パネルCに示すように、この微小球は領域2が除去された場所に再び現れた。 このことは、蛍光を属性として用いて、微小球を再現良くフローサイトメーターから集め、フローサイトメーターを再通過させることができることを示す。

    【0269】 実施例10 DMF中で3時間膨潤させた後ミリキュー水に戻した非蛍光ポリスチレン/ジビ ニルベンゼン(DVB)微小球はDMFに曝されなかったものに類似の散乱値を 示す 10.2μmポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7510A、CV=14.7%、
    10μg/mL MilliQ(商標) 水)の試料をフローサイトメーターに通し、領域1内の10000事象の側方散乱及び前方散乱を記録した(図34、パネルA)
    。 平均側方散乱値は1194であり、平均前方散乱値は316であった。

    【0270】 10.2μmポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7510A、CV=14.7%)
    の第2の試料を純DMF中で3時間攪拌した後、 MilliQ(商標) 水に徐々に戻した。 この試料(10μg/mL水)をフローサイトメーターに通過させ、領域1
    内の10000事象の側方散乱及び前方散乱を記録した(図34、パネルB)。
    その平均側方散乱値は1224であり、平均前方散乱値は316であった。

    【0271】 両試料に対する平均前方散乱値は同一であった。 平均側方散乱値は、対数スケールを用いたことそして1試料の複数回実施で起こる正常な変動範囲であることを考慮すると、良く一致していた。

    【0272】 実施例11 DMF中で3時間膨潤させた後ミリキュー水に戻した蛍光赤色シリカ微小球はD MFに曝されなかったものに類似の散乱値及び蛍光値を示す 15μm蛍光シリカ微小球(ミクロモド、カタログ番号40-15401、10μg/
    mL水、NH 2官能基化)の試料をフローサイトメーターに通し、領域1内の1
    0000事象の側方散乱及びFL3(赤色蛍光)を記録した(図35、パネルA
    )。 微小球合成の間にローダミンB色素をシリカ微小球の中に組み込んだ。 FL
    3(赤色蛍光)の平均値は376であり、側方散乱の平均値は253であった。

    【0273】 15μm蛍光シリカ微小球(ミクロモド、カタログ番号40-15401、10μg/
    mL水、NH 2官能基化)の第二の試料を純DMF中で3時間攪拌した後、 Mil
    liQ(商標) 水に徐々に戻した。 この試料(10μg/mL水)をフローサイトメーターに通過させ、領域1内の10000事象の側方散乱及び前方散乱を記録した(図35、パネルB)。 FL3(赤色蛍光)平均値は379であり、側方散乱の平均値は218であった。

    【0274】 実施例12 アミノ酸結合を受けたポリスチレン/DVB微小球は該結合を受けなかったもの に類似の散乱値及び蛍光値を示す MilliQ(商標) 水中の20μmテンタゲル微小球(ラップ・ポリメーレGmb
    H、テンタゲルM−NH 2 、カタログ番号M30202 、10mg)の試料を調製した。 この微小球をDCM中で10分間第1回目の音波処理を行い、それを徐々にDMF中に移した後、徐々に MilliQ(商標) 水中に移した。 この方法は微小球の凝集を防止した。 該試料をフローサイトメーターに通し、領域1内の微小球を集めた(図36、パネルA)。

    【0275】 20μmテンタゲル微小球(ラップ・ポリメーレGmbH、テンタゲルM−N
    2 、カタログ番号M30202 、10mg)の第二の試料をアミノ酸結合に付し、
    次いでフローサイトメーターを通過させた。 この試料を調製するため、該微小球をDCM中で10分間音波処理を行い、徐々にDMFに移した。 微小球へのアミノ酸結合は普通のFmoc化学(150mgのFmoc−グリシン−OH(ノバビオケム)、1mLのHBTU及び120μLのDIEAと共に10分間)を用いて行った。 この微小球をDMFで洗浄し、徐々にミリキュー水に移した。 同一の装置設定を用いフローサイトメーターを通過させたとき、該微小球は領域1内部に再び現れた(図36、パネルB)。

    【0276】 20μmテンタゲル微小球(ラップ・ポリメーレGmbH、テンタゲルM−N
    2 、カタログ番号M30202 、10mg)の第三の試料を三つのアミノ酸結合に付し、次いでフローサイトメーターを通過させた。 この試料を調製するため、該微小球をDCM中で10分間音波処理を行い、徐々にDMFに移した。 微小球へのアミノ酸結合は普通のFmoc化学(150mgのFmoc−グリシン−OH
    (ノバビオケム)、1mLのHBTU及び120μLのDIEAと共に10分間)を用いて行った。 この微小球をDMFで洗浄し、ピペリジン/DMF(1:1
    )の6分間を用いてFmoc保護基を該微小球から除去した。 DMFで洗浄した後、通常のFmoc化学(160mgのFmoc−アラニン−OH(ノバビオケム)、1mLのHBTU及び120μLのDIEAと共に10分間)を用いて第2のアミノ酸結合を行い、その後DMFで洗浄した。 ピペリジン/DMF(1:
    1)を用いる脱保護を繰り返した後、第3回目の結合を行った(150mgのF
    moc−グリシン−OH(ノバビオケム)、1mLのHBTU及び120μLのDIEAと共に10分間)。 DMFで洗浄した後、該微小球を MilliQ(商標) 水に徐々に移し、フローサイトメーターを通過させた。 同一の装置設定を用いてフローサイトメーターを通過させたとき、該微小球は再び領域1内に現れた(図3
    6、パネルC)。

    【0277】 実施例13 回収し、アミノ酸と反応させ、フローサイトメーターを再通過させた蛍光赤色シ リカ微小球は結合の前後で側方散乱値及び赤色蛍光値を示す MilliQ(商標) 水中の15μm蛍光シリカ微小球(ミクロモド、カタログ番号
    40-15401、10μg/mL水、NH 2官能基化)の試料を調製し、フローサイトメーターを通過させた。 100万事象に対する領域1(図37、パネルA及びC
    、microcapsglyrerun とmicrocapsglyrerunfs )内部の散乱シグナル及び蛍光シグナルを記録し、これらの粒子を50mL遠心分離管に回収した。 該微小球をサイズ5のフィルター(孔サイズ4−10μm)を通す濾過により濃縮し、徐々にDMFに移した。 微小球へのアミノ酸の結合は通常のFmoc化学(150mg
    のFmoc−グリシン−OH(ノバビオケム)、1mLのHBTU及び120μ
    LのDIEAと共に10分間)を用いて行った。 この微小球をDMFで洗浄し、
    徐々に MilliQ(商標) 水に移した。 この微小球は、同じ装置設定を用いるフローサイトメーターを通過させたとき、領域1内部に再び現れた(パネルB及びD)

    【0278】 実施例14 担体に小さな蛍光微小球を永続的に結合させることにより光学多様性を増加させ る方法ポリスチレン/ジビニルベンゼン微小球(10.2μm,デューク・サイエンティフィック・コーポレーション、カタログ番号7510A、CV=14.7%
    、10μg/mL MilliQ(商標) 水)を緑色蛍光微小球(0.2μm、モレキュラー・プローブズ、ラテックス、20μL)と混合する。 この赤色微小球はより大きな微小球に付着し、そして過剰の小微小球は MilliQ(商標) 水(5×20m
    L)で洗浄することにより除去される。

    【0279】 付着を増強するために、該蛍光微小球を、10.2μmの担体と混合する前に高分子電解質の多層で被覆する。 微小球の被覆手順にはポリエチレンイミン(陽に荷電した高分子電解質)の1%溶液中に24時間浸漬する工程、 MilliQ(商標
    ) 水で洗浄する工程、ポリアクリル酸(負に荷電した高分子電解質)の1%溶液中に24時間浸漬する工程、及び洗浄する工程が含まれる。

    【0280】 小さな蛍光粒子が付着した担体をフローサイトメーターに通し、FL1(緑色蛍光)及び前方散乱を測定する(図38、パネルA)。 もし橙色又は赤色の蛍光微小球を緑色の代わりに使用すると、該担体のFL1値は変化する(図38、パネルB及びC)。

    【0281】 本明細書を通して、その目的は、本発明を特定の実施態様または特定の特徴の集まりに限定することなく、本発明の好ましい実施態様を記述することであった。 従って、当業者は本開示に照らして、本発明の範囲を逸脱することなく例示された特定の実施態様における様々な改良及び変更をなし得ることを認めるはずである。 このような改良及び変更は全て付属の請求の範囲のうちに含まれるものと意図される。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、最新のフローサイトメーターの図式的表示である。 この中核(試料)
    流は、観察点でレーザービームを遮断する前に流体力学的に集束される。 MilliQ
    (商標)水は本研究で被覆流として使用した。 該レーザービーム、中核流及び光学的配列は観察点で互いに直交している。 ビームの絞りは透過光を排除するために該FS検出器の前に据えられる。

    【図2】 図2は、例えば、ペプチドライブラリーの合成に関して先行技術で論じたような、分割−処理−再混合手順における一つの工程の図式的表示である。

    【図3】 図3は、図1で述べた分割−処理−再混合手順の全体的反復の図式的表示である。

    【図4】 図4は、二次元パラメータ空間をグリッド空間に区分する図式的表示である。

    【図5】 図5は、光学的に特有な微小球を選別するための実時間アルゴリズムの一例である。 パネル(a)では、五つの微小球がすでに回収されたため対応するグリッド空間の標識は充分に標識されている。 パネル(b)では、新しい微小球が空のグリッド空間を占めパネル(c)で区分けされる。 パネル(d)では、別の新しい微小球が詰まったグリッド空間を占有できるように、パネル(e)でシステムから排除される。

    【図6】 図6は、光学的に特有な微小球を選別する緻密な方法の図式的表示である。 内部の区分け領域を占有する微小球のみが回収される。 微小球は緩衝領域からは回収されない。

    【図7】 図7は、第一級アミンへのイソチオシアン酸塩の結合についての反応スキームである。

    【図8】 図8は、(a)FITC被覆された2.5μm の微小球(S1)及び(b)QF
    ITC被覆された2.5μm の微小球(S2)の蛍光顕微鏡写真を示す。 二つの顕微鏡写真は、U−MWBフィルターを用いる六回の遠心分離−再分散サイクル後のものである。 本来は市販の合成品として入手できる二量体及び三量体が存在する。

    【図9】 図9は、(a)被覆されていない2.5μm の微小球、(b)FITC被覆された2.5μm の微小球(S1)、(c)被覆されていない4μm の青−緑色F
    微小球、及び(d)QFITC被覆された4μm の青−緑色F微小球(R7)の走査型電子顕微鏡写真を示す。

    【図10】 図10は、Flow-Check(商標)微小球を用いるフローサイトメーターの較正を表すグラフである。 それぞれ希釈された試料(総量1mL)はMED流速(3
    5±5μL/分)で2.00分間走行した。 微小球の算出濃度は1.03x10 6微小球/
    mLである。

    【図11】 図11は、10μmの緑色F、10μmの赤色F及び12μmの赤−緑色Fの微小球の混合物における三つの異なる集団を示すグラフである。

    【図12】 図12は、10μmの緑色F集団のみを回収するための多角形のゲートを示すグラフである。 50mLの被覆流(MilliQ(商標)水)中に回収された1000
    00個の微小球。

    【図13】 図13は、12μmの赤−緑色F集団のみを回収するための多角形のゲートを示すグラフである。 50mLの被覆流(MilliQ(商標)水)中に回収された10
    0000個の微小球。

    【図14】 図14は、元の三つの異なる微小球の混合物の蛍光顕微鏡写真である。 緑色、
    赤色及びオレンジ色(赤−緑色)の微小球が識別可能でありよく分散している。

    【図15】 図15は、蛍光被覆された試料のS1(FITC)、S2(QFITC)及び無蛍光の被覆されていない 2.5μmの微小球の混合物のグラフ表示である。 緑色蛍光に対する赤色蛍光の比率は、所与の蛍光団に対して低濃度で固定されるため、試料内で相関する。

    【図16】 図16は、無蛍光(黒色)及びS1(緑色)についてのFL1値(a)のヒストグラムを示す。 25番目から75番目の百分位数は無蛍光及びS1についてそれぞれ21〜30個及び438〜877個のチャンネル数である。 (b)無蛍光(黒色)及びS2(赤色)についてのFL3値。 25番目から75番目の百分位数は無蛍光及びS2についてそれぞれ7〜47個及び73〜162個のチャンネル数である。

    【図17】 図17は、被覆されていない4μmの青−緑色F微小球及び三つの異なる濃度のQFITC被覆微小球(R1、R8、R9)についてのFL1及びFL3の二変量プロットである。 4マイクロメーターの青−赤色F微小球が含まれており緑色蛍光を含まないQFITC被覆微小球を表す。 この微小球の混合物は光学的多様性に近くなる。

    【図18】 図18は、添加されたQFITC−APSの量が増すにつれ赤色蛍光強度が増大するグラフである。 グラフの直線性は、FRETがこれらの濃度では生じないことを示している。

    【図19(a)】 図19(a)は、明確な区分けゲートの二変量プロット、及び次のFlow-Check
    (商標)微小球を用いる二つの精密実験(表E及び図23も参照)についての再分析を示す。 密集した集団は、区分けされた微小球を50mLから0.5mLに濃縮するために必要な1000rpm未満の遠心分離により生じた。 最初の20
    0000個の区分けされた微小球から回収された集団の大きさは10〜20%である。

    【図19(b)】 図19(b)は、明確な区分けゲートの二変量プロット、及び次のFlow-Check
    (商標)微小球を用いる二つの精密実験(表E及び図23も参照)についての再分析を示す。 密集した集団は、区分けされた微小球を50mLから0.5mLに濃縮するために必要な1000rpm未満の遠心分離により生じた。 最初の20
    0000個の区分けされた微小球から回収された集団の大きさは10〜20%である。

    【図20】 図20は、FL3についてのrlを決定するために用いられる頻度ヒストグラムの一例である。 フローシステムにおける乱流がrl値に与える影響に留意したい。 まず記録された最初の5000の事象を廃棄することにより、乱流データを除去した。 残りの単微小球の99.9%以上は、最初の区分け(即ち423個)
    における最小のチャンネル数から47未満のチャンネル数の偏差しか示さず、従ってrl=47であるのに対して、乱流データが除去される前はrl>75であった。

    【図21】 図21は、捕捉後アルゴリズムについての処理時間及び集団のサイズの関係を示すグラフである。

    【図22】 図22は、特有な微小球の最大数についての理論的限界を示すグラフである(
    Ep=50)。

    【図23】 図23は、実時間アルゴリズムについての処理時間と反復数の関係を示すグラフである。

    【図24】 図24は、所与のパラメータの数に対する実時間アルゴリズムの一反復の時間を示すグラフである。

    【図25】 図25は、無作為データについての集団サイズの関数として得られる特有な微小球の数を示すグラフである。 利用できるグリッド空間の総数は10000である。

    【図26】 図26は、前符号化前の二つのパラメータ(FL1及びFL3)についてのQ
    FITC被覆された4μmの青−緑色F微小球の光学的に多様な集団のグラフのプロットである。

    【図27】 図27は、図29の集団から抽出された56個の光学的に特有な微小球のグリッド空間の図式的表示である(rl=rh=30)。

    【図28】 図28は、上述の条件を用いてUに対するw iの最適値が110であることを示すグラフである。

    【図29】 図29は、方程式5.4による所与の時間後に抽出されうる光学的に特有な微小球の数の予測を示すグラフである。

    【図30】 図30は、蛍光シリカ粒子の分散/蛍光シグナルの平均値の再現性を示す。 七つの二変量プロットは、微小球の同一試料の等部分の、七回のフローサイトメーター通過に対応して示される。

    【図31】 図31は、回収され且つフローサイトメーターを再通過させた無蛍光の10.
    2μmの微小球が再現性ある分散値を示すことを示す。 二つの二変量プロットは、明確な区分けゲート及び引き続いて行われたゲート制御された無蛍光微小球の再分析を示す。

    【図32】 図32は、回収され且つフローサイトメーターを再通過させた無蛍光の10.
    2μm及び21μmの微小球の混合物が再現性ある分散値を示すことを示す。 四つの二変量プロットは、明確な区分けゲート及び引き続いて行われたゲート制御された無蛍光微小球の混合物の再分析を示す。

    【図33】 図33は、回収され且つフローサイトメーターを再通過させた蛍光緑色ポリスチレン微小球が再現性ある分散値及び蛍光値を示すことを示す。 四つの二変量プロットは、明確な区分けゲート及び引き続いて行われたゲート制御された蛍光緑色微小球の再分析を示す。

    【図34】 図34は、3時間DMF中で膨張させミリキュウ水に戻した無蛍光ポリスチレン/ジビニルベンゼン(DVB)微小球がDMFに曝さなかったものと同様な分散値を示すことを示す。 ゲート制御された蛍光ポリスチレン微小球の二つの二変量プロット、即ち、対照を表す集団(パネルA)及びDMF処理に曝した微小球を表す集団(パネルB)が例示される。

    【図35】 図35は、3時間DMF中で膨張させミリキュウ水に戻した蛍光赤色シリカ微小球を示し、DMFに曝さなかったものと同様な分散値及び蛍光値を示す。 ゲート制御された蛍光シリカ微小球の二つの二変プロット、即ち、対照を表す集団(
    パネルA)及びDMF処理に曝した微小球を表す集団(パネルB)が示される。

    【図36】 図36は、ゲート制御された蛍光テンタゲル微小球の二つの二変量プロット、
    即ち、対照を表す集団(パネルA)及び微小球に結合させた一つのアミノ酸を有する微小球を表す集団(パネルB)を示す。

    【図37】 図37は、ゲート制御された蛍光シリカ微小球の四つの二変量プロットを示し、一つの集団(パネルA、赤色蛍光及び側方散乱;パネルC、赤色蛍光及び前方散乱)を回収し、グリシンを微小球に結合させ、続いてフローサイトメーターを通過させる(パネルB、赤色蛍光及び側方散乱;パネルD、赤色蛍光及び前方散乱)。

    【図37続】 図37続は、ゲート制御された蛍光シリカ微小球の四つの二変量プロットを示し、一つの集団(パネルA、赤色蛍光及び側方散乱;パネルC、赤色蛍光及び前方散乱)を回収し、グリシンを微小球に結合させ、続いてフローサイトメーターを通過させる(パネルB、赤色蛍光及び側方散乱;パネルD、赤色蛍光及び前方散乱)。

    【図38】 図38は、ゲート制御された蛍光緑色(パネルA)、蛍光オレンジ色(パネルB)及び蛍光赤色(パネルC)の10.2μmの高分子電解質被覆微小球の三つの二変量プロットを示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 マット トラウ オーストラリア国、クイーンズランド 4171、バルモラル、バノワング ストリー ト 59番地 Fターム(参考) 4H045 AA50 EA50 EA60 FA34

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