DNAコード化ライブラリを作製およびスクリーニングする方法

申请号 JP2011550313 申请日 2010-02-16 公开(公告)号 JP5770641B2 公开(公告)日 2015-08-26
申请人 エックス−ケム インコーポレイテッド; 发明人 ワグナー リチャード ダブリュ.;
摘要
权利要求

DNAコード化化合物ライブラリをタグ付けする方法であって、 (a)イニシエーターオリゴヌクレオチドの5'端に二官能性リンカーの第一の官能基を結合させる段階であって、前記二官能性リンカーに結合した前記イニシエーターオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する、段階;および、 (b)該二官能性リンカーの第二の官能基を該化合物ライブラリの成分に結合させる段階を含み、 該二官能性リンカーまたは該イニシエーターオリゴヌクレオチドが、有機条件下で該DNAコード化化合物ライブラリのメンバーの溶解度を上昇させるように修飾される、方法。前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが第一の識別子領域を含む、請求項1記載の方法。前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが、該イニシエーターオリゴヌクレオチドの前記第一の識別子領域にハイブリダイズする第二の識別子領域を含む、請求項2記載の方法。前記二官能性リンカーが、有機条件下で前記DNAコード化化合物ライブラリのメンバーの溶解度を上昇させるように修飾される、請求項1記載の方法。前記修飾された二官能性リンカーが、アルキル鎖、ポリエチレングリコール単位、正電荷を有する分岐種、または疎性環構造を1つまたは複数含む、請求項4記載の方法。前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが、有機条件下で前記DNAコード化化合物ライブラリのメンバーの溶解度を上昇させるように修飾される、請求項1記載の方法。前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが第一の識別子領域および第二の識別子領域を含み、該第一の識別子領域または該第二の識別子領域が、有機条件下で前記DNAコード化化合物ライブラリのメンバーの溶解度を上昇させるように修飾される、請求項6記載の方法。前記修飾されたイニシエーターオリゴヌクレオチドが、疎水性成分を有するヌクレオチドまたは疎水性成分を有する挿入を1つまたは複数含む、請求項6記載の方法。前記修飾されたイニシエーターオリゴヌクレオチドが、疎水性成分を有する前記ヌクレオチドを含み、該疎水性成分がC5位置の脂肪族鎖である、請求項8記載の方法。前記修飾されたイニシエーターオリゴヌクレオチドが、疎水性成分を有する前記挿入を含み、該疎水性成分がアゾベンゼンである、請求項8記載の方法。前記DNAコード化化合物ライブラリの前記メンバーが、1.0〜2.5のオクタノール:水係数を有する、請求項1記載の方法。

说明书全文

発明の背景 膨らむ一方である新薬開発費用のために、効がより大きく毒性がほとんど〜全く無い分子を発見するための、可能な限り安価により大きな化合物空間をスクリーニングする新規方法の探索が進められている。1980年代のコンビナトリアルケミストリーアプローチは、当初、新薬開発のパラダイムを超える方法として歓迎されたが、その多くはライブラリサイズが不十分であったためおよび逆重畳法が不適切であったため失敗した。近年、低分子のDNAディスプレイコンビナトリアルライブラリを用いることが、治療用リード化合物のスクリーニングに関する新しいパラダイムシフトとなっている。

Morgan et al.(米国特許出願公開第2007/0224607号(特許文献1)、参照により本明細書に組み入れられる)は、新薬開発にDNAディスプレイコンビナトリアルアプローチを用いる場合の主要な課題を明らかにしている:(1)十分な複雑性を有するライブラリの合成;および(2)用いられるスクリーニングにおいて活性な分子の同定。加えてMorgan et al.は、ライブラリの複雑性の程度が大きくなればなるほど、すなわちライブラリに存在する別個の構造の数が多くなればなるほど、ライブラリが関心対象の活性を有する分子を含有する確率がより高くなると述べている。このように、ライブラリ合成において使用される化学は、妥当な時間枠内で膨大な数の化合物を産生することができなければならない。このアプローチは一般に、多様な化学型および高い親和性を有する分子の同定に成功している。しかし、膨大な複雑性を有するライブラリを作製することおよび記述されている規模でシーケンシング結果を評価することに関して、多くの問題に直面している。たとえば、多数の化学的変換(たとえば通常、3または4段階)および生物学的変換(たとえば、DNAタグの酵素的ライゲーション)後のライブラリの精製は厄介であり、かつそれによって、分子の不完全な合成またはライゲーション段階での誤ったタグ付けのいずれかのために、ライブラリに有意な量の「ノイズ」が生じる。さらに、選択された集団を調べるために必要なシーケンシングの量は著しく、通常「次世代」のシーケンシング法を必要とする。後者は、ノイズを篩い分けしてライブラリにおけるヒットを同定するためには、「次世代」のシーケンシング結果を分析するためのバイオインフォーマティクスアルゴリズムと共に、ライブラリのDNA部分に埋めこまれる高度な遺伝子タグ付けスキームが必要であるという事実による。結果として、これらの方法論によってさえ、シーケンシングはなおも、所定のスクリーニングから(真のヒットと「ノイズ」の双方に相当する)配列の多様性を完全に捕捉するほど十分発展していない。

コンビナトリアル低分子ライブラリのDNAディスプレイは、ライブラリの多段階スプリット&プール合成と、合成段階および用いたビルディングブロックの双方をコード化するDNAタグの酵素的付加との組み合わせに依る。典型的に、いくつか(たとえば、3または4個)の合成段階が行われてコード化され、これらには、たとえばアミンまたはカルボキシレート官能基を有するビルディングブロックを、付着したビルディングブロックを規定方向に提示する化合物骨格上に結合させることによって形成されたものなどの、多様性位置(本明細書においてA、B、およびCと記述される(図1))が含まれる。コンビナトリアルライブラリにおいてしばしば用いられる骨格(S)の一例はトリアジン成分であり、これをその環構造のまわりの3つの位置で直交的に誘導体化することができる。

ライブラリ形成プロセスは時間がかかり得、産物の精製はしばしば効率が悪く、その結果、DNAに付着した望ましくないおよび/または不明な分子が生じる道の反応が起こる可能性がある。さらに、ライブラリの精製が不完全であることにより、ライゲーション段階の際にタグのクロスコンタミネーションが起こり、それによって誤ったタグ付けが起こりうる。そのためライブラリからのヒットをスクリーニングおよびシーケンシングする場合の結末とは、意図されない分子(たとえば、未反応産物または副産物)または誤ってタグ付けされた分子に付着したDNAの双方の固有の「ノイズ」のために、大規模な同時シーケンシングを使用しなければならないことである。このように、シーケンシングの効率は失われる。

いくつかの例において、そこから低分子ライブラリが構築されるイニシエーターオリゴヌクレオチドは、共有結合により閉鎖した二本鎖オリゴヌクレオチドの形で、ポリメラーゼ増幅(たとえば、PCR)のためのプライマー結合領域を含有する。この構築物は、二重鎖を融解させることおよびプライマーオリゴヌクレオチドを結合させて重合を開始させることの難しさにより、ポリメラーゼ反応の実施に関して非常に問題が多く、そのため反応は効率が悪く、収率は1/10〜1/1000またはそれ未満まで低下する。

効力がより大きく毒性がほとんど〜全く無い低分子をスクリーニングおよび同定するための、より段階的なアプローチが必要である。

米国特許出願公開第2007/0224607号

本発明は、合成段階がより少なく(たとえば、酵素的ライゲーションを行わない、または共有結合により閉鎖された開始二本鎖オリゴヌクレオチドを含まない)、かつしたがってコード化されるオリゴマー(本明細書において「識別子領域」と呼ばれる)を分析する際の「ノイズ」が実質的に少ない、単純化されたDNAコード化ライブラリを作製およびスクリーニングする方法を特徴とする。したがって、コード化領域の増幅によって導入されうる、データ解釈を混乱させる可能性のある固有のバイアスを考慮に入れれば、シーケンシングがずっと効率的になるか、またはマイクロアレイ分析が可能となる。本発明者らはまた、DNAコード化ライブラリをライブラリ合成のその後の段階のためにより疎性かつ有機溶媒中で可溶性にするために、単に水性条件に限定されるものよりも大きな多様性を有する化学反応を生じる方法を同定した。この様式において、潜在的に収率がより高く、ビルディングブロックの多様性がより大きく、かつ化学反応の忠実度が向上した、化学反応を行うことができる。

よって、本発明は、ヘアピン構造を形成するイニシエーターオリゴヌクレオチドの5'端に二官能性リンカーの第一の官能基を結合させること、および該二官能性リンカーの第二の官能基をDNAコード化化合物ライブラリの成分に結合させることによって、該DNAコード化化合物ライブラリをタグ付けする方法を特徴とする。イニシエーターオリゴヌクレオチドには、第二の識別子領域が第一の識別子領域にハイブリダイズするように、第一の識別子領域および第二の識別子領域が含まれてもよい。第二の識別子領域には、蛍光タグ(たとえば、蛍光体またはGFP)またはビオチン標識が含まれてもよい。加えて、第二の識別子領域は、選択段階後の分析の前には増幅されない。

もう1つの態様において、本発明は、(a)第一の多様性ノード(node)を作製する段階、(b)別個の容器において該第一の多様性ノードをコード化する段階、(c)該第一の多様性ノードをプールする段階、および(d)プールされた該第一のノードを第二セットの別個の容器に分割する段階であって該第一の多様性ノードが第二の多様性ノードを形成するように反応する段階、によって、DNAコード化ライブラリを作製する方法を特徴とする。ある態様において、第二の多様性ノードはコード化もされず、プールもされない。

もう1つの態様において、本発明は、収率がより高く、ビルディングブロックの多様性がより大きく、かつこれまでに得られたよりも多くのDNAタグ付コンビナトリアルライブラリを作製するために用いることができる化学反応の回数がより多い、半水性または非水性(たとえば、有機)化学反応を用いて、ライブラリを作製する方法を特徴とする。

概して、本発明の方法は、高い収率で効率的に作製することができ、たとえば1つまたは2つの多様性位置に存在する好ましい個々のビルディングブロックまたはビルディングブロックの組み合わせを同定するためにスクリーニングすることができ、かつ改善された特性を有する分子を作製するためにたとえば第二、第三、および/または第四の多様性位置で繰り返し多様化することができる、たとえば1つまたは2つの多様性位置を化合物骨格上に含有するライブラリの組を提供する。その上、本明細書において記述される方法により、所望の生物学的特性を有する選択された化合物の広範かつ大量の分析を行うことができ、それにより周知の構造的相関(たとえば、構造-活性相関)を有する関連化合物を同定することができる。

「骨格」は、特定の特殊な幾何学の多様性ノードを示す化合物成分を意味する。多様性ノードは典型的に、ライブラリ合成の際に骨格に付着するが、いくつかの場合において、1つの多様性ノードをライブラリ合成の前に骨格に付着させることができる(たとえば、識別子領域の付加)。いくつかの態様において、骨格は、それがライブラリ合成の際に直交的に脱保護されて、次に異なる多様性ノードと反応するように誘導体化される(たとえば、各段階で識別子のタグ付けを用いて)。

「識別子領域」は、ライブラリへのビルディングブロック付加をコード化するライブラリのDNAタグ部分を意味する。

「イニシエーターオリゴヌクレオチド」は、多様性ノードまたは骨格を付加するための共有結合したリンカーおよび機能的成分も含有する、ライブラリ合成のための開始オリゴヌクレオチドを意味する。該オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖でありうる。該オリゴヌクレオチドは天然または修飾塩基からなりうる。

「機能的成分」は、任意の低分子から選択しても、あるいは、たとえば、溶解度、水素結合ドナーおよびアクセプターの利用可能性、結合の回転自由度、正電荷、負電荷等の所望の特徴に基づいて設計および構築してもよい、1つまたは複数のビルディングブロックを含む化合物成分を意味する。機能的成分は、ヘッドピースと反応するように、化学修飾と適合性でなければならない。ある態様において、機能的成分は、二官能性または三官能性(またはそれより多くの官能性)の実体としてさらに反応することができる。機能的成分にはまた、多様性ノードまたは多様性位置のいずれかで用いられるビルディングブロックも含まれうる。ビルディングブロックおよびコード化用(encoding)DNAタグの例は、表1および2において見いだされる。たとえば参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第2007/0224607号を参照されたい。

「ビルディングブロック」は、他の化学構造単位に連結される、または他のそのような単位に連結することができる化学構造単位を意味する。機能的成分がポリマーまたはオリゴマーである場合、ビルディングブロックは、ポリマーまたはオリゴマーの単量体単位である。ビルディングブロックにはまた、それに対して1つまたは複数の追加の構造(たとえば、末梢ビルディングブロック)が付着するまたは付着することができる骨格構造(たとえば、骨格ビルディングブロック)が含まれうる。ビルディングブロックは、相補的である(すなわち、ビルディングブロックは共に反応して、2つまたはそれより多くのビルディングブロックを含む構造を形成することができなければならない)任意の化学的化合物でありうる。典型的に、用いられるビルディングブロックは全て、少なくとも2つの反応基を有するが、用いられるビルディングブロックのいくつかは、各々唯一の反応基を有するであろう。2つの異なるビルディングブロック上の反応基は相補的であるべきであり、すなわち共に反応して共有結合を形成することができるべきである。

「リンカー」とは、機能的に提示された種にライブラリの核酸部分を連結させる分子を意味する。そのようなリンカーは当技術分野において公知であり、ライブラリ合成の際に用いることができるリンカーには、5'-O-ジメトキシトリチル-1',2'-ジデオキシリボース-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;9-O-ジメトキシトリチル-トリエチレングリコール、1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト;および18-O-ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール、1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイトが含まれるがこれらに限定されるわけではない。そのようなリンカーは、互いに縦列で異なる組み合わせで付加され、異なる所望の長さのリンカーを生成することができる。「分岐リンカー」とは、ライブラリの2つまたはそれより多くの同一の機能的種にライブラリの核酸位置を連結させる分子を意味する。分岐リンカーは、当技術分野において周知であり、例は、対称または非対称ダブラー(1)および(2)または対称トレブラー(3)からなりうる。たとえば、Newcome et al., Dendritic Molecules: Concepts, Synthesis, Perspectives, VCH Publishers (1996);Boussif et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 92: 7297-7301 (1995);およびJansen et al., Science 266: 1226 (1994)を参照されい。

本明細書において用いられるように、「オリゴヌクレオチド」という用語はヌクレオチドのポリマーを指す。オリゴヌクレオチドには、合成することができ、塩基対認識のために用いることができるDNAまたは当技術分野において公知の任意のその誘導体が含まれてもよい。オリゴヌクレオチドは、近接塩基を有する必要はないが、リンカー成分がそのあいだに散在することができる。オリゴヌクレオチドポリマーには、天然のヌクレオシド(たとえば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(たとえば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、C5-プロピニルシチジン、C5-プロピニルウリジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、化学修飾塩基、生物修飾塩基(たとえば、メチル化塩基)、インターカレート塩基、修飾糖(たとえば、2'-フルオロリボース、リボース、2'-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、および/または修飾リン酸基(たとえば、ホスホロチオエートおよび5'-N-ホスホルアミダイト連結)が含まれてもよい。

「機能的に連結した」とは、2つの化学構造が、それらが受けると予想される様々な操作を通しても連結したままであるように互いに連結していることを意味する。典型的に、機能的成分およびコード化オリゴヌクレオチドは、適当な連結基によって共有結合により連結される。たとえば、連結基は、コード化オリゴヌクレオチドの付着部位と機能的成分の付着部位とを有する二官能性成分であってもよい。

「低分子」は、分子量約1000ダルトン未満を有する分子を意味する。低分子は、有機または無機分子であってもよく、たとえば化合物ライブラリもしくは天然起源から単離されてもよく、または公知の化合物の誘導体化によって得られてもよい。

本発明の他の特徴および長所は、以下の詳細な説明、図面、実施例、および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。 [請求項1001] DNAコード化化合物ライブラリをタグ付けする方法であって、イニシエーターオリゴヌクレオチドの5'端に二官能性リンカーの第一の官能基を結合させ、該二官能性リンカーに結合した該イニシエーターオリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成する、段階;および、該二官能性リンカーの第二の官能基を該化合物ライブラリの成分に結合させる段階を含む、方法。 [請求項1002] 前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが第一の識別子領域を含む、請求項1001記載の方法。 [請求項1003] 前記イニシエーターオリゴヌクレオチドが、該イニシエーターオリゴヌクレオチドの前記第一の識別子領域にハイブリダイズする第二の識別子領域を含む、請求項1002記載の方法。 [請求項1004] 前記第二の識別子領域が蛍光タグまたはビオチン標識を含む、請求項1003記載の方法。 [請求項1005] 前記第二の識別子領域が、選択段階後の分析の前には増幅されない、請求項1004記載の方法。 [請求項1006] 前記二官能性リンカー、前記イニシエーターオリゴヌクレオチド、前記第一の識別子領域、または前記第二の識別子領域が、有機条件下で前記DNAコード化化合物ライブラリのメンバーの溶解度を上昇させるように修飾される、請求項1001〜1005のいずれか1項記載の方法。 [請求項1007] DNAコード化ライブラリを作製する方法であって、 (a)第一の多様性ノード(node)を作製する段階; (b)別個の容器において該第一の多様性ノードをコード化する段階; (c)該第一の多様性ノードをプールする段階;および (d)プールされた該第一の多様性ノードを第二セットの別個の容器に分割する段階であって、該第一の多様性ノードが第二の多様性ノードを形成するように反応する、段階 を含む、方法。 [請求項1008] 前記第二の多様性ノードがコード化もされず、プールもされない、請求項1007記載の方法。

多様性位置A、B、およびCを例証する図である。

様式1のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、識別子領域で相補的なヘアピン構造が含まれ、AおよびB多様性ノードに反応しているイニシエーターオリゴヌクレオチドを部分的に示す。Bの識別子領域が付加されている。この図において、「C」多様性ノードは、B識別子領域の付加後に付加される追加の多様性位置のための潜在的位置である。

様式1のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、増幅のためのプライマー結合領域として役立ちうる配列がヘアピン構造のループ領域に含まれるイニシエーターオリゴヌクレオチドを部分的に示している。

様式1のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、重合または酵素的ライゲーションのいずれかのために第二の識別子領域に結合するために役立ちうる非相補的配列が分子の3'端に含まれるイニシエーターオリゴヌクレオチドを部分的に示している。

様式1のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、イニシエーターオリゴヌクレオチドのループ領域とループ領域の3'側の少なくとも識別子領域とが、同様に第二の識別子領域を含有する相補的オリゴヌクレオチドとハイブリダイズするために役立ちうる、イニシエーターオリゴヌクレオチドを部分的に示している。

図5に表されるヘアピンモデルのPCR増幅の図である。

様式2のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、リンカーに対して遠位端で共有結合により閉鎖する(たとえば、ヘアピンによってまたは化学的に)ヘアピンオリゴヌクレオチドを示す。

様式2のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、追加の多様性ノードを含めることを示す。

様式2のDNAコード化化合物ライブラリメンバーの図であり、ライブラリをスクリーニングする段階および識別子領域を逆重畳する方法を示す。

ライブラリ合成に用いられるオリゴヌクレオチドを示す図である。ヘッドピース(HP)はIDT DNAにより合成され、HPLC精製された。矢印は、BbvCI制限部位(下線)またはNb.BbvCIもしくはNt.BbvCIニッキング酵素消化部位を示す。DNAタグA1、B1、およびC1(上および下の鎖)、5'および3' PCRプライマー、ならびにHPの3'端の配列も同様に示す。

その合成の異なる段階でのヘッドピースの電気泳動ゲル(TBE-尿素(15%)ゲル電気泳動;TLCプレート上でのUVシャドウイング)の図である。ヘッドピースHP(IDT DNA)をFmoc-アミノ-PEG2000-NHS(JenKem Technology USA)によってアシル化した。レーン1はHP(IDT DNA)オリゴヌクレオチド(42ヌクレオチド)である。レーン2は、Fmoc-アミノ-PEG2000-NHSによってアシル化されたHPである。Tris HCl付加後、Fmocのいくつかの脱保護が観察される。レーン3は、ピペリジンとの粗反応物であり、Fmocの完全な脱保護を示す。レーン4は、NAP-5カラムでの脱塩および凍結乾燥後のレーン3と同じである(XC:キシレンシアノール(60ヌクレオチドのDNAとして移動する);BPB:ブロモフェノールブルー(15ヌクレオチドDNAとして移動する))。

モデルライブラリ合成における段階を示す図である。DTAFを第一段階においてアミノ-PEG修飾ヘッドピース(HP-1)にコンジュゲートさせた。この段階後、HP-1-DTAFの一部をペンチルアミノ-ビオチンによってさらにアシル化した。

図13Aは、DNAタグのライゲーションの図である。図13BはDNAタグライゲーションの異なる段階でのHP-1-DTAF-ビオチンライブラリの4%アガロースゲルの図である。M:マーカー;レーン1:HP-1-DTAF-ビオチン;レーン2:1+タグAのみ;レーン3:1+タグA、B、およびCのみならず、3'端オリゴをライゲートした。矢印は明るい緑色蛍光(DTAF)を示す。ゲル上で実質的な分離は観察されない。図13Cは、ライゲーション反応物のPCR増幅(24サイクル)を例示する。M:マーカー(最も下のバンドは100);レーン1:図14Bのレーン1からの緑色蛍光バンドのPCR増幅(HP-1-DTAF-ビオチン+タグA);レーン2:図13Bのレーン2からの緑色蛍光バンドのPCR増幅(HP-1-DTAF-ビオチン+3つ全てのタグおよび3'端オリゴ);レーン3:粗ライゲーション反応物のPCR増幅HP-1-DTAF-ビオチン+3つ全てのタグ;レーン4:テンプレート対照なし。

XChemモデル化合物の精製およびモデル選択を示す1組の電気泳動ゲルである(XChemモデル化合物のビオチン成分とストレプトアビジンとの結合相互作用による)。ゲルは、MESランニングバッファーによる4〜12%SDS NuPageゲルである。ゲルを450 nmレーザーを用いて緑色蛍光に関してスキャンした。図14Aは、合成および精製段階を示すゲルである。試料をローディングバッファーと混合して沸騰させた。M:マーカー;レーン1:HP-1+DTAF;レーン2および2a:HP-1-DTAF+ビオチン(2つの独立した反応);レーン3〜6(ストレプトアビジンDynalビーズを用いた精製/モデル選択段階);レーン3:フロースルー;レーン4:最後の洗浄(80℃の水によって10分間洗浄);レーン5および5':90℃での25 mM EDTAによる溶出(1回目および2回目);レーン6および6':90℃での25 mM EDTAおよび5 mM NaOHによる溶出(1回目および2回目)。図14Bは、ストレプトアビジンに対するHP-1-DTAF-ビオチン(「1のライブラリ」)の結合を示すゲルである。試料をゲルローディングバッファーと混合して、沸騰させずにゲルに直接ロードした。図14Aのゲルと同様に、試料を50 mM NaCl/10 mM Tris HCl、pH 7.0中で過剰量のストレプトアビジンと共に10分間インキュベートした。「S」は、ストレプトアビジンの添加を示す。試料5および6を共にプールした。レーン1:HP-1-DTAF;レーン1S:HP-1-DTAF+ストレプトアビジン;レーン2:HP-1-DTAF-ビオチン(脱塩);レーン2S:HP-1-DTAF-ビオチン+ストレプトアビジン;レーン4:最後の洗浄(80℃の水によって10分間洗浄);レーン4S:最後の洗浄試料+ストレプトアビジン;レーン5+6:プールした試料5、5'、6、および6'(ストレプトアビジンビーズからの溶出分画、精製して選択されたHP-1-DTAF-ビオチン);レーン5+6S':精製して選択されたHP-1-DTAF-ビオチン+ストレプトアビジン。「1のライブラリ」の異なる合成段階のあいだで移動に顕著な差がないことに注目されたい。図14Cは、DTAFと反応させたヘッドピース(Trilink)HP-Tの4%アガロースゲルである。レーン1:マーカー;レーン2:DTAF;レーン3:HP-T-DTAF。左のパネル:ゲルのUV可視化(エチジウムブロミド染色);右のパネル:励起波長450 nmで蛍光(緑色、フルオレセイン)に関してスキャンした同じゲル。図14Dは、ストレプトアビジンに対するHP-T-DTAF-ビオチンの結合を示すMESランニングバッファーによる4〜12%SDS NuPageゲルである。試料をゲルローディングバッファーと混合して、沸騰させずにゲルに直接ロードした。図14Aのゲルと同様に試料を、50 mM NaCl/10 mM Tris HCl、pH 7.0中で過剰量のストレプトアビジンと共に10分間インキュベートした。レーン1:DTAF;レーン2:HP-T-DTAF;レーン3:HP-T-DTAF+ストレプトアビジン;レーン4:HP-T-DTAF-ビオチン(脱塩);レーン5:HP-T-DTAF-ビオチン+ストレプトアビジン;レーン6:プールした試料5、5'、6、および6'(ストレプトアビジンビーズからの溶出分画、精製して選択されたHP-1-DTAF-ビオチン);レーン7:精製および選択されたHP-1-DTAF-ビオチン+ストレプトアビジン。

図15Aは、T7 RNAP細胞内送達実験のための構築物の合成スキームである。V

H dsDNAクローンをPCR増幅して、T7プロモーターの上流の5'端でBsmI部位を付属させた。制限消化および精製後、構築物をHP-1-DTAF-R7(DTAFおよび(-Arg-εAhx)

6-Argペプチドによって修飾したヘッドピース)にライゲートした。図15Bは、ライゲーション反応物の電気泳動ゲルである。レーン1および2は、V

Hにライゲートした異なるHP-1試料を示す;レーン3は、非ライゲートV

H PCR産物を示し;およびMはマーカーである。図15Cは、T7プロモーター活性のバリデーションを示す電気泳動ゲルである。ゲルは、図15Bのレーン1〜3の試料を用いるT7 Megascript(Ambion, Inc.)反応を示す。

ライブラリ10×10合成における段階のアガロースゲル電気泳動である。図16Aは、タグAをライゲートしたヘッドピース(Trilink)HP-Tの4%アガロースゲルである。レーン1:マーカー;レーン2:HP-T;レーン3:アニールしたタグA;レーン4:タグAをライゲートしたHP-T;レーン5:タグAをライゲートして、Zebaカラムにおいて脱塩したHP-T。図16Bは、12個の異なるタグBとのHP-T-Aライゲーションの2%アガロースゲルである。レーンM:マーカー;レーン1および9:HP-T-A;レーン3、4、5、6、7、8、11、12、13、14、15、および16:タグB1〜B12とのHP-T-Aライゲーション。図16Cは、タグAおよびB1〜B12をライゲートして、塩化シアヌールおよびアミンB1〜B12との反応後のプールしたライブラリ(ライブラリB)の4%アガロースゲルである。レーン1:マーカー;レーン2:HP-T-A;レーン3:プールしてZebaカラムにおいて脱塩したライブラリ-B。

発明の詳細な説明 本発明は、生物学的標的に結合する1つまたは複数の化合物を同定するための多数の方法を特徴とする。方法には、1つまたは複数の多様性位置を有する機能的成分を含有する化合物のライブラリを合成する段階が含まれる。化合物の機能的成分は、機能的成分の構造を識別するイニシエーターオリゴヌクレオチドに機能的に連結される。要約すると、様式1は、化学反応段階の際に重要であり、2つまでの多様性ノードを作製するために用いることができる(図2〜6に示されるように)dsDNAの二本鎖特徴をライブラリ合成の際に保存するための多数の方法を提供する。様式2(図7〜9)は、1つの多様性ノードを予測して、リンカーに対して遠位端で共有結合により閉鎖される(たとえばヘアピンによってまたは化学的に)ヘアピンオリゴヌクレオチドを用いる。様式3は、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くの多様性ノードを有するライブラリを作製する方法を提供する。様式1、2および3を以下に詳細に記述する。

様式1 本発明は、生物学的標的に結合する1つまたは複数の化合物を同定する方法を特徴とする。方法には、2つ以下の多様性位置を有する機能的成分を含有する化合物のライブラリを合成する段階が含まれる。化合物の機能的成分は、Aイニシエーター化合物を含有する溶液を提供することによって、機能的成分の構造を識別するイニシエーターオリゴヌクレオチドに機能的に連結される。

イニシエーターオリゴヌクレオチドには、1またはそれより大きい整数のリンカーL(たとえば、ポリエチレングリコール)が含まれ、イニシエーターオリゴヌクレオチドは、Lに付着して、Aが2またはそれより大きい整数であるA反応器に分離されるAビルディングブロックが含まれる機能的成分を含有し、機能的成分はAビルディングブロックを識別するイニシエーターオリゴヌクレオチドに機能的に連結される。

いくつかの態様において、共通のノードSを通して、Aビルディングブロックをさらに誘導体化することができる。他の態様において、次にAは、さらなる多様性導入ノードを可能にする骨格分子であるSによって変換される。いくつかの態様において、1つの多様性ノードを表すA-Sを直接スクリーニングすることができる。他の態様において、A-S反応器(たとえば、開始材料からA-Sの精製が最初に含まれてもよい)を共に混合して、Bが1またはそれより大きい整数であるB反応器に等分して、Bビルディングブロックの1つと反応させる。なおB反応器に存在するA-S-Bは、いくつかの場合において、Cが1の整数であるCビルディングブロックと反応して、精製され、配列が異なりBビルディングブロックを識別するBプライマーを用いて重合またはライゲーション反応に供される。

ある態様において、A-Sは1の整数でありうる。1つの態様において、A-SをBイニシエーターオリゴヌクレオチドに直接連結することができ、Bビルディングブロックの反応後、B反応物を混合する。ある態様において、Bが唯一の多様性ノードを表す、1つの多様性ノードを表すA-S-B混合物を、直接シーケンシングする。他の態様において、Bが唯一の多様性ノードを表すA-S-B混合物を、次にC反応器に等分して、Cビルディングブロックと反応させて、配列が異なりCビルディングブロックを識別するCプライマーを用いて第二鎖の重合またはライゲーション反応に供する。

ある態様において、Bは1の整数でありえて、A-Sは1より大きく、この場合、Bによって誘導体化されたA-SをC反応器に等分して、Cビルディングブロックと反応させて、配列が異なりCビルディングブロックを識別するCプライマーを用いて第二鎖の重合反応に供する。この戦略概要を拡大して、追加の多様性ノード(たとえば、D、E、F等)を含めることができ、それによって第一の多様性ノードが、ビルディングブロックおよび/またはSと反応して、最初のオリゴヌクレオチドによってコード化され、混合され、反応器に再度等分にされ、次いで、重合またはライゲーション反応のために用いられるプライマーによってコード化されるその後の多様性ノードが、ビルディングブロックによって誘導体化される。

ある態様において、Aは1の整数であり、Bは1の整数であり、Cイニシエーターオリゴヌクレオチドを用いる。Cイニシエーターオリゴヌクレオチドに付着したA-S-Bが、C反応器において形成されてCビルディングブロックと反応し、これを直接スクリーニングする。

ある態様において、Sを最初にイニシエーターオリゴヌクレオチドに反応させて、次いでA、B、および/またはC(たとえば、またはD、E、F等)を反応させる。

ある態様において、A、B、またはC(たとえば、またはD、E、F等)は、追加の多様性ノードのための部位を含有することができる。この場合、追加の多様性ノードを導入するためにSを用いても用いなくてもよく、または必要であってもなくてもよい。

1つの態様において、イニシエーターオリゴヌクレオチドには、識別子領域で相補的なヘアピン構造が含まれる(図2)。識別子領域は、たとえば長さが2〜100塩基対、好ましくは長さが5〜20塩基対でありえて、最も好ましくは長さが6〜12塩基対でありうる。イニシエーターオリゴヌクレオチドにはさらに、増幅のためのプライマー結合領域として役立ちうる配列がヘアピン構造のループ領域に含まれ(図3)、それによってプライマー結合領域は、その相補的プライマー(たとえば、隣接する識別子領域が含まれうる)のために、識別子領域単独より高い融解温度を有する。

1つの態様において、ループ領域には、非修飾塩基より高い親和性の二重鎖形成を形成することができる修飾塩基が含まれてもよく、そのような修飾塩基は当技術分野において公知である(図3)。イニシエーターオリゴヌクレオチドにはさらに、重合または酵素的ライゲーションのいずれかのために第二の識別子領域に結合するために役立ちうる非相補的配列が分子の3'端で含まれうる(図4)。1つの態様において、たとえばソラレンを用いて、鎖をその後クロスリンクすることができる。

もう1つの態様において、ループ領域およびループ領域の3'側の少なくとも識別子領域は、第二の識別子領域を同様に含有する相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするために役立ちうる(図5)。多数のビルディングブロックおよび対応するタグ(たとえば、タグ100個)を用いる場合、必要な数のタグを作製するためにオリゴヌクレオチド合成段階の際にミックス&スプリット戦略を用いてもよい。DNA合成に関するそのようなミックス&スプリット戦略は当技術分野において公知である。1つの態様において、たとえばソラレンを用いて鎖をその後クロスリンクすることができる。得られたライブラリメンバーをPCRによって増幅した後、関心対象標的に対する結合体を選択することができる(図6)。

たとえば、イニシエーターオリゴヌクレオチドが含まれるヘッドピースを、リンカーと、たとえば異なる1000個の変種が含まれるAとに反応させてもよい。各々のAビルディングブロックに関して、DNAタグAをライゲートしてもよく、またはプライマーをヘッドピースに伸長させてもよい。これらの反応は、たとえば、1000ウェルプレートまたは10×100ウェルプレートにおいて行ってもよい。反応物を全てプールして、任意で精製し、第二の組のプレートに分割する。次に、同様にたとえば異なる1000個の変種が含まれるBビルディングブロックについて同じ技法を行ってもよい。DNAタグBをヘッドピースにライゲートして、反応物を全てプールしてもよい。AとBとの1000×1000個の組み合わせのライブラリ(すなわち、1,000,000個の化合物)を、1,000,000個の異なるタグの組み合わせによってタグ付けする。変種C、D、E等を加えるために同じアプローチを拡大してもよい。次に、生成されたライブラリを用いて標的に結合する化合物を同定してもよい。濃縮された化合物を同定するために、ライブラリに結合する化合物の組成を、DNAタグのPCRおよびシーケンシングによって評価することができる。

様式2 もう1つの態様において(図7)、方法には、2つ以下の多様性位置を有する機能的成分を含有する化合物のライブラリを合成する段階が含まれる。化合物の機能的成分は、Aイニシエーター化合物を含む溶液を提供することによって、機能的成分の構造を識別する独自の遺伝子配列を含有するイニシエーターオリゴヌクレオチドに機能的に連結されて、Lは1またはそれより多い整数であり、イニシエーター化合物には、たとえばAが2またはそれより大きい整数であるA反応器に分離されるAビルディングブロックを有する機能的成分が含まれ、機能的成分はAビルディングブロックを識別する最初のオリゴヌクレオチドに機能的に連結される。いくつかの態様において、Aビルディングブロックは共通のSによって予め誘導体化される。他の態様において、Aは次に、さらなる多様性導入ノードを可能にする骨格分子であるSによって変換される。次に、A-S反応器(最初に開始材料からのA-Sの精製が含まれてもよい)を共に混合して、Bが1またはそれより大きい整数であるB反応器に等分して、Bビルディングブロックの1つと反応させる。なおもB反応器に存在するA-S-Bは、いくつかの態様において、Cが1の整数であるCビルディングブロックと反応して、精製され、スクリーニングのためにB容器中で個別に維持される。いくつかの態様において、A-Sは1の整数である。1つの態様において、A-Sは、Bイニシエーターオリゴヌクレオチドに直接連結して、Bビルディングブロックの反応後、B反応物を混合してC反応器に等分して、Cビルディングブロックと反応させて、スクリーニングのためにC容器中で個別に維持する。他の態様において、Bは1の整数であり、A-Sは1より大きく、この場合、Bによって誘導体化されたA-SをC反応器に等分して、Cビルディングブロックと反応させて、スクリーニングのためにC容器中で個別に維持する。この戦略概要を拡大して、追加の多様性ノード(たとえば、D、E、F等)を含めることができ、それにより第一の多様性ノードをビルディングブロックおよび/またはSと反応させて、イニシエーターオリゴヌクレオチドによってコード化して、混合して反応器に再度等分した後、次いで次の多様性ノードをビルディングブロックによって誘導体化して、スクリーニングのためにその各々の反応器で維持する(図8)。

たとえば、様式1に記述されるように、イニシエーターオリゴヌクレオチドが含まれるヘッドピースを、リンカーと、たとえば異なる1000個の変種が含まれるAビルディングブロックとに反応させてもよい。各々のAビルディングブロックに関して、DNAタグAをライゲートしてもよく、またはプライマーをヘッドピースに伸長させてもよい。反応物をプールしてもよい。次に、Bビルディングブロックについて同じ技法を行ってもよいが、Bに関してはDNAタグを付加しない。Bはコード化されないことから、「B」反応物を全てプールしてもよく(たとえば、反応物1000個)、選択段階を行って、未知のBビルディングブロックとの所望の結合効果を生じる全てのAビルディングブロックを同定してもよい。選択段階において同定されたAビルディングブロック(たとえば、10個のAビルディングブロック)のライブラリを、同じ1000個のBビルディングブロックと反応させて、それによって10,000個またはそれ未満の化合物のスクリーニングを得てもよい。このラウンドにおいて、BのためのDNAタグを加えてもよく、たとえば10個のAビルディングブロックと組み合わせて所望の結合効果を生じるBビルディングブロックを同定することができ、それによってたとえば1,000,000個の化合物の初回ライブラリの段階的重畳積分が得られる。これらの最終化合物の組を個々に試験して、最善の、たとえば結合剤、活性化剤、または阻害剤を同定してもよい。

B合成後の全ての反応物をプールすることを回避するために、たとえばBIND Reader(SRU Biosystems)を用いてハイスループットフォーマット(たとえば、384ウェルプレートおよび1536ウェルプレート)でセンサー表面上の結合をモニターしてもよい。たとえば、AビルディングブロックをDNAタグによってコード化してもよく、Bビルディングブロックを位置でコード化してもよい。結合剤を、BINDセンサー、Aタグのシーケンシング、およびマイクロアレイ分析または制限消化物分析を用いて同定することができる。この分析によって、所望の分子を産生するAおよびBビルディングブロックの組み合わせが同定される。たとえばELISAが含まれる、当業者に公知の結合をモニターする他の方法を用いてもよい。

様式1および2 様式1および2のイニシエーターオリゴヌクレオチドは、識別子領域で相補的なヘアピン構造を含有してもよい。イニシエーターオリゴヌクレオチドはさらに、増幅のためのプライマー結合領域として役立ちうる配列をヘアピン構造のループ領域に含有し、それによりプライマー結合領域は、その相補的プライマー(隣接する識別子領域が含まれうる)のために、識別子領域単独より高い融解温度を有する。

1つの態様において、イニシエーターオリゴヌクレオチドには、ビルディングブロックと機能的に反応することができるリンカー分子が含まれる。リンカー分子は、当技術分野において公知の方法を通してオリゴヌクレオチドの5'端に直接付着させるか、もしくは分子内で、たとえば誘導体化塩基(たとえば、ウリジンのC5位置)から離れて埋めこむことができ、またはリンカーは、当技術分野において公知の標準的な技術を用いてオリゴヌクレオチドの中央部に配置することができる。

イニシエーターオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってもよい。二本鎖オリゴヌクレオチドの形成は、オリゴヌクレオチドのヘアピン形成を通して、または当技術分野において公知であるように、たとえばソラレン成分を用いるクロスリンクを通して達成されてもよい。

イニシエーターオリゴヌクレオチドは、ビルディングブロックをコード化する識別子領域のいずれかの側に2つのプライマー結合領域(たとえば、PCR反応を可能にするため)を含有してもよい。または、イニシエーターオリゴヌクレオチドは、5'端で1つのプライマー結合部位を含有してもよい。他の態様において、イニシエーターオリゴヌクレオチドはヘアピンであり、ループ領域はプライマー結合部位を形成するか、またはプライマー結合部位はループの3'側の識別子領域とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを通して導入される。イニシエーターオリゴヌクレオチドの3'端と相同な領域を含有し、その5'端にプライマー結合領域(たとえば、PCR反応を可能にするため)を有するプライマーオリゴヌクレオチドを、イニシエーターオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせてもよく、多様性位置の1つで用いられるビルディングブロックをコード化する識別子領域を含有してもよい。プライマーオリゴヌクレオチドは、バイオインフォーマティック分析のために含まれる無作為なヌクレオチド領域、たとえば長さが2〜16ヌクレオチドの領域などの追加の情報を含有してもよい。

1つの態様において、イニシエーターオリゴヌクレオチドは、PCRプライマー結合部位を含有しない。

もう1つの態様において、化合物のライブラリまたはその一部を、化合物のライブラリの少なくとも1つのメンバーが標的に結合するために適した条件下で生物学的標的に接触させた後、標的に結合しないライブラリメンバーを除去して、識別子領域または複数の領域を分析する。例示的な生物学的標的には、たとえば酵素(たとえば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、プロテアーゼ、およびDNA修復酵素)、タンパク質:タンパク質相互作用に関係するタンパク質(たとえば、受容体のリガンド)、受容体標的(たとえば、GPCRおよびRTK)、イオンチャンネル、細菌、ウイルス、寄生虫、DNA、RNA、プリオン、または糖質が含まれる。

1つの態様において、化合物のライブラリまたはその一部を、化合物のライブラリの少なくとも1つのメンバーが標的に結合するために適した条件で生物学的標的に接触させ、次に標的に結合しないライブラリメンバーを除去し、その後当技術分野において公知の方法によって識別子領域の増幅を行い、次に当技術分野において公知の方法によって識別子領域または複数の領域を分析する。

1つの態様において、識別子領域の増幅方法には、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、直鎖増幅反応(LCR)、ローリングサイクル増幅(RCA)、または核酸配列を増幅するために当技術分野において公知の他の任意の方法が含まれうる。

さらなる態様において、化合物のライブラリは、ビルディングブロック付加の最終段階後にプールされず、プールは、標的に結合する化合物を同定するために個々にスクリーニングされる。

もう1つの態様において、標的に結合する分子は増幅に供されず、直接分析される。分析方法には、たとえば識別子領域を逆重畳するためのマイクロアレイ分析またはビーズに基づく方法が含まれる(図9)。スクリーニング段階の際に結合する分子をまた、無標識フォトニック結晶バイオセンサーによって検出してもよい。

1つの態様において、イニシエーターオリゴヌクレオチドおよび/またはプライマーオリゴヌクレオチドは、たとえば蛍光タグ、Qドット、またはビオチンによるその検出を可能にする機能的成分を含有する。

1つの態様において、マイクロアレイ分析は、たとえば近接場共鳴フォトニック結晶などの進歩した検出能を使用する。

1つの態様において、増幅方法には、マイクロリアクターの少なくとも1つが標的に結合する化合物のライブラリの少なくとも1つのメンバーを有し、1つのビーズが標的に結合する化合物のライブラリの少なくとも1つのメンバーのコード化オリゴヌクレオチドに結合することができ、および増幅反応溶液が核酸増幅を行うために必要な試薬を含有する、複数の水性マイクロリアクターを作製するために油中水型エマルションを形成する段階、コード化オリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを形成するためにマイクロリアクターにおいてコード化オリゴヌクレオチドを増幅する段階、およびマイクロリアクター内でのビーズにコード化オリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを結合させる段階が含まれる。

関心対象標的に結合する第一のライブラリからのビルディングブロックが同定されると、1つまたは2つの追加の多様性ノードが付加される繰り返しによって第二のライブラリを調製してもよく、ライブラリを作製して、本明細書において記述されるように多様性ノードを採取する。このプロセスを、所望の分子特性および薬学的特性を有する分子を作製するために必要な回数繰り返すことができる。

例示的なAビルディングブロックには、たとえばアミノ酸(αアミノ酸に限定されない)、アミンとのクリックケミストリー反応体(たとえば、アジドまたはアルキン鎖)、またはチオール反応体が含まれる。Aビルディングブロックの選択は、たとえばリンカーに用いられる反応基の性質、骨格成分の性質、および化学合成のために用いられる溶媒に依存する。たとえば、表1を参照されたい。

(表1)例示的な位置Aビルディングブロック

例示的なBおよびCビルディングブロックをそれぞれ、表2および3に記述する。PCRおよび対応する制限酵素の1つによる制限消化を行うことによって最終産物を分析および選択するために、たとえばBまたはC位置に制限部位を導入してもよい。

(表2)位置Bのビルディングブロックおよびコード化用DNAタグの例

(表3)位置Cのビルディングブロックおよびコード化用DNAタグの例

様式3 本明細書において記述される様式のいずれかにおいて(たとえば、様式1および2)、半水性または非水性(たとえば、有機)条件での溶解度を支持するためにヘッドピースオリゴヌクレオチドを修飾してもよい。ある態様において、ヘッドピースには識別子領域が含まれる。他の態様において、リンカーを有するヘッドピースを最初にビルディングブロック(たとえば、機能的成分)または骨格によって誘導体化することができ、次に識別子配列を付加する。

たとえばTまたはC塩基のC5位置を脂肪族鎖によって修飾することによって、その相補的塩基に対する水素結合能を有意に破壊することなく、ヘッドピースのヌクレオチド塩基をより疎水性にすることができる。修飾塩基の例に関しては、たとえば表4を参照されたい。そのほかに、ヘッドピースのオリゴヌクレオチドのあいだに、有機溶媒での溶解度を促進する修飾を散在させることができる。たとえば、アゾベンゼンホスホルアミダイトをヘッドピース設計の疎水性成分に導入することができる。ヘッドピースへの疎水性アミダイトのそのような挿入は、分子のどこでも起こりうる。しかし、挿入は、ライブラリ合成の際の追加のDNAタグを用いるその後のタグ付け、選択が完了した後に続くPCR反応、またはタグの逆重畳のために用いる場合のマイクロアレイ分析を妨害してはならない。本明細書において記述されるヘッドピース設計に対するそのような付加により、ヘッドピースはたとえば15%、25%、30%、50%、75%、90 %、95%、98%、99%、または100%有機溶媒中で可溶性となるであろう。このように、ヘッドピース設計に疎水性残基を付加すると、ヘッドピースを核酸タグ付けにとって適任にしながら、半水性または非水性(たとえば、有機)条件下での溶解度を改善する。さらに、続いてライブラリに導入されるDNAタグもまた、それにより、ライブラリ合成のその後の段階のためにライブラリがより疎水性となって有機溶媒に溶解するように、TまたはC塩基のC5位置で修飾することができる。

(表4)例示的な修飾ヌクレオチド塩基

ヘッドピースと低分子ライブラリのあいだのリンカー分子は、有機溶媒中でのヘッドピースの溶解度を上昇させるように変化させることができる。ヘッドピースを低分子ライブラリに結合させることができる広く多様なリンカーが市販されている。リンカーは、ライブラリを有機溶媒、たとえば15%、25%、30%、50%、75%、90%、95%、98%、99%、または100%有機溶媒中で合成することができるように、所定の低分子ライブラリ設計(骨格およびビルディングブロック)に関して経験的に選択される。有機溶媒中でヘッドピースを可溶化する適当な鎖長を選択するために、ライブラリ合成の前にモデル反応を用いて、リンカーを変化させることができる。そのようなリンカーには、たとえば増加したアルキル鎖長、増加したポリエチレングリコール単位、正電荷を有する分岐種(ヘッドピースにおけるリン酸塩負電荷を中和するために)、または増大した疎水性(たとえば、ベンゼン環構造の付加)を有するリンカーが含まれてもよい。

リンカー分子は、ヘッドピースDNAと化合物ライブラリのメンバーとのあいだの適当なスペーサーを提供してもよい。たとえば、二官能性リンカーを用いてもよい。ある態様において、二官能性リンカーには、たとえば3つの部分が含まれてもよい。部分1は、たとえば好ましくはDNA上のアミノ基(たとえば、アミノ修飾dT)と反応するようにN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)エステルによって活性化されるカルボン酸、一本鎖DNAヘッドピースの5'または3'端を修飾するためのアミダイト(標準的なオリゴヌクレオチド化学によって達成される)、クリックケミストリーペア(Cu(I)触媒の存在下でのアジドアルキン環状付加)、またはチオール反応基などのDNAと共有結合を形成する反応基であってもよい。部分2もまた、位置Aのビルディングブロックまたは骨格成分で化合物ライブラリと共有結合を形成する反応基であってもよい。そのような反応基は、たとえば水性反応の場合のアミン、チオール、アジド、もしくはアルキンでありえて、または有機反応の場合には多数の他の反応基でありうる。部分3は、部分1および2のあいだに導入される多様な長さの化学的に不活性なスペーサーであってもよい。そのようなスペーサーは、エチレングリコール単位(たとえば、異なる長さのPEG)の鎖、アルカン、アルケン、ポリエン鎖、またはペプチド鎖でありうる。リンカーは、有機溶媒中でのヘッドピースの溶解度を改善するための疎水性成分(たとえば、ベンゼン環など)のみならず、ライブラリ検出目的のために用いられる蛍光成分(たとえば、フルオレセインまたはCy-3)を有する分岐またはインサートを含有することができる。

市販のリンカーの例には、たとえば、アミノ-カルボン酸リンカー(たとえば、ペプチド(たとえば、Z-Gly-Gly-Gly-OsuまたはZ-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Osu)、PEG(たとえば、Fmoc-アミノPEG2000-NHS、またはアミノ-PEG(12-24)-NHS)、またはアルカン酸鎖(たとえば、Boc-ε-アミノカプロン酸-Osu))、クリックケミストリーリンカー(たとえば、ペプチド(たとえば、アジドホマラニン(azidohomalanine)-Gly-Gly-Gly-OSuまたはプロパルギルグリシン-Gly-Gly-Gly-OSu)、PEG(たとえば、アジド-PEG-NHS)、またはアルカン酸鎖(たとえば、5-アジドペンタン酸、(S)-2-(アジドメチル)-1-Boc-ピロリジンまたは4-アジド-ブタン-1-酸N-ヒドロキシスクシニミドエステル))、チオール反応性リンカー(たとえば、PEG(たとえば、SM(PEG)nNHS-PEG-マレイミド)、アルカン鎖(たとえば、3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-プロピオン酸-Osuまたはスルホスクシニミジル6-(3'-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)))、オリゴヌクレオチド合成のためのアミダイト(たとえば、アミノ修飾剤(たとえば、6-(トリフルオロアセチルアミノ)-ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト)、チオール修飾剤(たとえば、S-トリチル-6-メルカプトヘキシル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト、またはクリックケミストリー修飾剤(たとえば、6-ヘキシン-l-イル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト、3-ジメトキシトリチルオキシ-2-(3-(3-プロパルギルオキシプロパンアミド)プロパンアミド)プロピル-1-O-スクシノイル、長鎖アルキルアミノCPG、または4-アジド-ブタン-1-酸N-ヒドロキシスクシニミドエステル))が含まれる。

ヘッドピース設計における疎水性残基を、有機溶媒中でのライブラリ合成を容易にするためにリンカー設計によって変化させてもよい。たとえば、ヘッドピースおよびリンカーの組み合わせは、オクタノール:水係数(Poct)がたとえば1.0〜2.5である適当な残基を有するように設計される。

以下の実施例は本発明を例証すると意図される。それらは本発明をいかなるようにも制限することを意味しない。

実施例1.ヘッドピース(変種1)の調製 以下の配列を有するリン酸化オリゴヌクレオチドヘッドピース(オリゴHP)は、IDT DNAによって合成され、HPLC精製された。

オリゴヌクレオチドはオーバーハングを有するようにヘアピンに折り畳まれ(図10)、制限酵素BbvCI、または上下いずれかの鎖を切断することができるこの酵素のニッキング型Nb.BbvCIもしくはNt.BbvCI(New England BioLabs)の切断部位(CCTCAGC)を含有する。ヘアピンループの中央部で、側鎖C5-アミノ修飾dTを挿入して(dT-C6-NH;「C6」は炭素6個のリンカーを指す)、これをアミノ-PEGリンカー(PEG2000、およそ45エチレングリコール単位)の結合のために用いた。DNAタグA、B、およびCの上下の鎖は、IDT DNAによって合成および精製され、標準的な脱塩によって精製された。3'端およびPCRプライマーなどのより長いオリゴヌクレオチドは、IDT DNAによって合成され、HPLC精製された。

オリゴHP 10ナノモルを水50μlに溶解した。20倍モル過剰量のFmoc-アミノ-PEG2000-カルボキシル-NHSエステル(JenKem Technology USA)をジメチルホルムアミド(DMF)50μlに溶解して、室温で2時間のあいだ2回に分けてオリゴヌクレオチド溶液に加えた(最終溶媒組成は50%DMF/50%水)。次いで、1 M Tris HCl、pH 7.0 60μl(終濃度200 mM)を加えて、過剰量のNHSエステルを反応停止させて、溶液を室温でさらに30分間インキュベートした。得られた反応混合物を水500μl中に希釈して、NAP-5カラム(Sephadex-25, GE Healthcare)の中に通すことによって脱塩した。

得られた材料を凍結乾燥して、水100μlに溶解した。ピペリジン20μl(終濃度20%)を加えて、室温で2時間インキュベートした。アミンの脱保護および水に不溶性のFmoc基の放出により曇った沈殿物が形成された。次に反応物を0.2μmスピンフィルター(Millipore)を通して濾過して、3倍量のエタノールの添加によって300 mM酢酸ナトリウムを用いて沈殿させた。修飾オリゴヌクレオチドのFmoc-保護型は、エタノールおよびイソプロパノール中で可溶性であることが見いだされた。高い結合効率により、得られたヘッドピース(HP-1)をさらに精製することなく用いた(図11)。

実施例2.ヘッドピース(変種2)の調製 以下の配列を有する完全なヘッドピース(HP-1)は、先に記述された技法と類似の技法に従ってTrilink, Inc.によって調製されて、RP-HPLC精製された。 式中Xは、アミノ-PEG2000を表す。

実施例3.モデルライブラリメンバーの合成 段階1:DTAFの結合 「1のライブラリ」を調製するために、モデル化合物、5-(4,6-ジクロロトリアジニル-アミノフルオレセイン)(DTAF;Anaspec)(図12)をHP-1のアミノ基に結合させた。DTAFは構造的に1つのアミノ化合物が結合されたトリクロロトリアジン骨格を表す。ライブラリを形成するために、トリクロロトリアジン骨格を、3つの塩素位置の各々で多様なビルディングブロックによって誘導体化することができる。DTAFはまた、モデルライブラリに蛍光標識を提供する。反応(10μl)を以下のように設定した。水に溶解した400μM HP-1 5μlに、750 mMホウ酸バッファー、pH 9.5 2μlおよびDMF 1μlを加えた。DTAFをDMF中で50 mMとなるように溶解して、2μlを反応に加えた。HP-1およびDTAFの終濃度はそれぞれ、200μMおよび10 mMであり、このように、50倍過剰量のDTAFを生成する。DMFの終濃度は30%であった。HP-1は90%までのDMFにおいて可溶性のままであることが認められ、これが有機溶媒、たとえばDMF中で可溶性であることを証明した。反応を4℃で16〜20時間進行させた。反応混合物を水で30〜50μlに希釈して、Zebaスピンカラム(Pierce)において脱塩した。この時点ではさらなる精製を行わなかった。

段階2:アミノ-ビオチンの結合 DTAFをHP-1に結合させた後、骨格分子上のさらに1つの反応基を、修飾のためになおも利用可能である。本発明者らは、モデル結合化合物(図12)を生成するためにこの位置で結合させるために、アミノ-ビオチンアナログであるEZ-Linkペンチルアミン-ビオチン(Pierce)を選択した。反応を以下のように設定した:反応混合物20μlは、150 mMホウ酸バッファーpH 9.5に溶解したHP-1-DTAF(段階1)およそ200 pmolおよびペンチルアミン-ビオチン10 nmolを含有した。反応を75℃で4〜12時間進行させた。次に反応物を、上記のように、Zebaスピンカラムにおいて脱塩することによって精製した。

段階3:HP-1-DTAF-ビオチンに対するDNAタグのライゲーション リン酸化DNAタグ(3'端プライマー領域ならびに5'および3' PCRプライマー)は、IDT DNAによって合成された。オリゴヌクレオチド配列(図13)は以下のとおりである。

タグと3'端オリゴヌクレオチドの上下の対の等量を水に溶解して、200 mM NaCl、50 mM Tris HCl、pH 7.0バッファー中で、85℃まで加熱した後に4℃まで急激に低下させることによってアニールさせた。

最初に、二本鎖A1タグをヘッドピースにライゲートした。ライゲーション反応(20μl)は、1×T4 DNAリガーゼバッファー中で2.5μM HP-1-DTAF-ビオチンおよび2.5μM二本鎖A1タグ、ならびにT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs)60 Weiss unitを含有した。反応を16℃で16時間インキュベートした。得られた産物は、異なる百分率のTBE-尿素、NativePage、SDS-PAGE、または2%および4%アガロースE-ゲル(Invitrogen, Inc.)が含まれる試験したゲルのいずれにおいても分離しなかった。PEGリンカーおよびDTAF-ビオチンによって修飾したオリゴヌクレオチドの移動度は、DNAそのもの(データは示していない)よりむしろこれらの基の存在によって大きく左右された。ライゲーション効率を試験するために、本発明者らは、全てのタグおよび3'端オリゴヌクレオチドをライゲートして、ライゲーション効率を確認するために得られた構築物のPCRアッセイを行った。ライゲーション反応(70μl)は以下を含有した:2.5μM HP-1-DTAF-ビオチン;2.5μMの各アニールした二本鎖DNAタグ(A1、B1、およびC1)と共に3'端タグ;1×T4 DNAリガーゼバッファー;およびT4 DNAリガーゼ210 Weiss unit。反応を16℃で20時間インキュベートした。

反応混合物を4%アガロースゲル上にローディングして、蛍光バンドをゲルから抽出した。この材料を、上記のようにプライマー5'および3'を用いて24サイクルの試験PCR増幅のために用いた。結果を図13に要約する。

段階4.ストレプトアビジンビーズ上でのHP-1-DTAF-ビオチンの精製およびストレプトアビジンとの反応 ストレプトアビジン(SA)Dynal磁気ビーズM-280(Invitrogen)上でのHP-1-DTAF-ビオチンの精製は、DNAタグ付き化合物ライブラリに関するアフィニティ選択のモデルとして役立つ。SAビーズを、0.05%Triton X-100を含有する2×PBSバッファーによって予め平衡にした。HP-1-DTAF-ビオチン50 pmolを、予め洗浄したSAビーズ25μlに室温で15分間転がしながらロードした。フロースルーを回収してビーズを同じバッファー1 mlによって3回30分間洗浄した。最終の洗浄は、水30μlによって80℃で10分間行った(回収した)。ビーズを25 mM EDTAおよび5 mM NaOH 30μlによって90℃で10分間溶出させた後、1 M Tris HCl、pH 7.0 3μlを添加することによって溶出液を直ちに中和した。

ストレプトアビジン結合実験に関して、溶出試料5μlを、50 mM NaCl/10 mM Tris HCl、pH 7.0中で過剰量のストレプトアビジンと共に10分間インキュベートした。試料を、沸騰させずにゲルローディングバッファーと共に混合して、MESランニングバッファーを用いて、4〜12%SDS NuPageゲル(Invitrogen)上で分離した。結果を図14に要約する。

実施例4.HP-1-DTAFへのH(-Arg-εAhx)6-Arg-OHペプチドの結合 本発明者らは、トリアジン骨格上で最後の反応基のためのもう1つの修飾として用いるために、アルギニンに富むペプチドR7、H(-Arg-εAhx)6-Arg-OH(Bachem)を選択した。これは、細胞内化合物送達のために用いられるアルギニン-アミノヘキサン酸細胞膜透過性ペプチドである。反応を上記の反応条件と類似に設定した:反応物20μlは、150 mMホウ酸バッファーpH 9.5に溶解したHP-1-DTAF(段階1)およそ200 pmolおよびR7ペプチド10 nmolを含有した。これらの条件下で、アルギニンの側鎖は反応せず、ペプチドにおける唯一の反応性アミンはN-末端である。反応を75℃で12時間進行させた後、Zebaスピンカラムにおいて脱塩することによって精製した。

実施例5.細胞内T7 RNAP送達検出実験のためのDNA構築物 「1の化合物ライブラリ」細胞内送達実験のために用いられるDNA構築物を、分子の5'端でT7プロモーター領域を特徴とし、分子の3'端近くで短い抗体定常Cμ領域を特徴とする約400 bpのVH DNA単クローンのPCR産物から調製した。DNA構築物を、モデル化合物ライブラリの修飾ヘッドピースに連結させるために、BsmI制限部位を、クローンのPCR増幅によってT7プロモーター領域の上流に付属させた。BsmI制限消化によって、3' GGオーバーハングを生じ、これによってヘッドピース(3' CCオーバーハング)へのライゲーションが可能となった。BsmI部位(下線)を有する5'プライマーはIDT DNA, Incによって合成された。

PCR増幅後、DNA構築物をPCR精製キット(Invitrogen)を用いて精製して、得られたDNAを250 U BsmI(New England BioLabs)によってNEBバッファー4中で65℃で2時間消化した。DNAを2%アガロースゲルにおいて精製した。ライゲーション反応(30μl)は、BsmIによって消化した各VH DNA構築物2 pmolのみならず、1×T4 DNAリガーゼバッファー中でHP-1-DTAF-R7(アルギニン-アミノヘキサン酸ペプチド)およびT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs)60 Weiss unitを含有した。反応物を16℃で20時間インキュベートした。ライゲーションの高い効率により、材料を、さらに精製せずに細胞内送達/T7 RNAP実験のためにさらに用いた。結果を図15に要約する。

実施例6.10×10ライブラリの合成 段階1.ヘッドピースHP-TへのタグAのライゲーション この例示的なライブラリにおいて、位置BおよびCのみを用いた。1つのタグAをHP-Tにライゲートした。タグは以下の配列を有する。

HP-T 30 nmolを、1×T4 DNAリガーゼバッファー中で各タグA1上およびタグA1下のオリゴ45 nmolと混合して、95℃で1分間加熱した後に0.2℃/秒で4℃まで冷却することによってアニールした。次に、試料を16℃にした。T4 DNAリガーゼ300 Weiss unitを加えて、試料を16℃で16〜20時間インキュベートした。ライゲーションの後、HP-T-AをZebaカラム(Pierce)を用いて脱塩した。たとえば図16Aを参照されたい。

段階2.タグB1〜B12およびCタグのライゲーション 12個のライゲーション反応を上記のライゲーション反応と類似のように設定した。12個の試験管の各々において、B1〜B12の上下オリゴの対5 nmolを1×T4 DNAリガーゼバッファーに加えて、上記のようにアニールした。HP-T-Aを1×T4 DNAリガーゼバッファーに溶解した。HP-T-A 2.5 nmolをこれらの12本の試験管に等分した。T4 DNAリガーゼ30 Weiss unitを各試験管に加えて、反応を16℃で20時間進行させた。インキュベーション後、各反応混合物を0.5 ml Zebaスピンカラム上で個々に脱塩して、150 mMホウ酸バッファーpH 9.0によって平衡にした。各試験管に、アセトニトリルに溶解した20倍過剰量の塩化シアヌール(50 nmol)を加えて、4℃で1.5時間インキュベートした。このインキュベーション後、アセトニトリルまたはDMFに溶解した100倍過剰量(250 nmol、すなわち塩化シアヌールに対して5倍過剰量)のアミンB1〜B12を、ライゲートしたB1〜B12タグに一致するように加えた。アミンとの反応を4℃で20時間進行させた。この反応後、ライブラリをプールして、2 ml Zebaカラムにおいて2回脱塩して、凍結乾燥した。たとえば、図16Bおよび16Cを参照されたい。

上記の反応と同様に、Cタグおよびアミンを、上記の反応と類似の反応条件を用いて添加する。

他の態様 上記の明細書において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の記述の方法およびシステムに関する様々な改変および変更が当業者に明らかとなるであろうが、それらも本発明の範囲および趣旨に含まれるであろう。本発明を特定の態様に関連して記述してきたが、添付の特許請求の範囲によって請求される本発明は、そのような特異的態様に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際に、本発明を実行するために記述の様式の様々な改変が当業者に明らかであるが、それらも本発明の範囲内であると意図される。他の態様は添付の特許請求の範囲内である。

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