Compounds and methods for labeling and affinity selection of protein molecules

申请号 JP2011502485 申请日 2009-04-02 公开(公告)号 JP2011519021A 公开(公告)日 2011-06-30
申请人 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ; 发明人 エーフ エイチ シー ディルクセン; ラルフ ホフマン; エドウィン ピー ロメイン;
摘要 本発明は、タンパク分子の同位体/同重体標識化及びその後の親和性選択及び解析のためのキット及び方法に関する。 特に、本発明は、タンパク分子の標識化のための、組み合わせによる複数の標識化試薬を含むキットオブパーツであって、各標識化試薬は、同重体標識成分、同位体標識成分及びタンパク分子と反応することができる反応基を含み、同位体標識成分が親和性タグでもある、キットに関する。 本発明は更に、タンパク分子の解析のための対応する方法であって、ここに規定されるキットオブパーツを用いることによって存在するタンパク分子の少なくとも1のサブセットを標識化し、その後、標識に含まれる親和性タグを介して親和性精製によって標識化された分子を分離することを含む方法に関する。 最後に、本発明は、タンパク質発現プロファイリング又はプロテオーム解析のためのこのような方法の使用に関する。
权利要求
  • タンパク分子を標識化するための組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含むキットであって、各標識化試薬は、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)親和性タグでもある同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、整数nは、n≧4であり、それぞれ異なって標識化される同重体標識成分の数を表し、整数mは、m≧2であり、それぞれ異なって標識化される同位体標識成分/親和性タグの数を表す、キット。
  • 前記同位体標識/親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、c−mycタグ、HAタグ、FLAGタグ、VSV−Gタグ、HSVタグ、V5タグ、ビオチン及びその誘導体、炭水化物及びグリカンを含むグループから選択される、請求項1に記載のキット。
  • 前記同位体標識/親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ及び(Leu) タグを含むグループから選択される、請求項2に記載のキット。
  • 前記標識化試薬は、前記同位体標識成分/親和性タグが前記同重体標識成分と前記反応基との間に配される構造を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキット。
  • 前記標識化試薬は、前記同重体標識成分が前記同位体標識成分/親和性タグと前記反応基との間に配される構造を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキット。
  • 前記反応基は、アミノ反応基、スルフヒドリル反応基及びカルボキシル反応基を含むグループから選択される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のキット。
  • 1又は複数のサンプル中の1又は複数のタンパク分子の解析方法であって、
    (a)組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のキットを準備するステップと、
    (b)前記1又は複数のサンプルの各々を、前記n・m標識化試薬の異なるものと個別に接触させることによって、前記1又は複数のサンプルに含まれるタンパク分子の少なくとも1のサブセットを標識化するステップと、
    (c)前記1又は複数のサンプルを混合するステップと、
    (d)前記標識に含まれる親和性タグを介して親和性精製によって前記標識化されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分離するステップと、
    (e)前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを解析するステップと、
    を含む方法。
  • 前記方法は、M・Nサンプルに関して実施され、整数Mは、サンプル群の数を表し、整数Nは、各サンプル群の個別のメンバの数を表し、N=n及びM=mである、請求項7に記載の方法。
  • 前記ステップ(b)を実施する前に、前記タンパク分子をペプチドに開裂するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
  • 前記ステップ(e)を実施する前に、前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分別するステップを更に含む、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットの解析は、質量分析によって実施される、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記1又は複数のサンプルの各々について前記ステップ(e)で得られた解析の結果を比較するステップを更に含む、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法は、高スループットフォーマットで実施される、請求項7乃至12のいずれか1項に記載の方法。
  • タンパク質発現プロファイリングを実施するための又はプロテオーム解析を実施するための請求項1乃至6のいずれかの1項に記載のキットの使用。
  • 说明书全文

    本発明は、タンパク分子の同位体及び同重体二重標識化を、同位体標識成分としても働く親和性タグによる次の親和性精製につなげることによって、複雑なサンプルからタンパク分子を分離し、その後解析するための化合物、好適にはこのような化合物を含むキット、及び方法に関する。

    複雑なサンプルからの特定のタンパク質又はタンパク質のサブセットの識別、分離及び解析は、生物学的プロセスがどのように分子レベルで生じるか、又はタンパク質がさまざまな細胞型の間で又は生理的状態の間でどの程度異なるのかを解明するために非常に有益である。

    今日の生物学における主要な取り組みは、生物によってコード化されるタンパク質の組全体の発現、機能及び規則を理解することに関し、この技術分野は、一般にプロテオミクスとして知られている。 しかしながら、タンパク質を増幅することは可能ではなく、相対的にシンプルな原核生物の細胞抽出物は、非常に広い濃度レンジを含む多くのタンパク質を含むので、この分野の研究は、概してかなり時間がかかる。 従って、このような作業は、今日のいかなる単一解析方法の能をも越える。

    従って、方法論的な制約により、プロテオーム解析は、タンパク質を識別し定量化する方法に依存するだけでなく、それらの構造及び/又は機能的な特性に従って、それらの正確な信頼できる分離を可能にする方法に大きく依存する。 これらのサブセットは、更なる解析にとってより良好にアクセス可能である。

    プロテオームは、外部刺激又は細胞環境の変化に応じて、タンパク質合成の変化、活性化及び/又は翻訳後修飾を伴う、動的な性質をもつ。 従って、プロテオーム固有の複雑さは、ゲノム又は細胞のトランスクリプトーム、mRNA相補体の複雑さを上回る。

    このようなプロテオーム研究において処理される甚大なデータ量のため、タンパク質/ペプチド識別プロセスは、強大な分解力を要求する。 このような高度に複雑な混合物を分解するために一般に使用される2つの方法は、二次元ゲル電気泳動(2D−GE;例えばO'Farrell, PH (1975) J. Biol. Chem. 250, 4007-4021参照)及び(2次元)液体クロマトフラフィ((2D)−LC;例えばLipton, MS他, (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11049-11054参照)である。 2D−GE又は2D−LCによって単離されるペプチド及びタンパク質は、通常、質量分析によって、又はアミノ酸組成及び/又はアミノ酸配列を決定することによって、識別される。

    しかしながら、これらの識別技法は、多くのアプリケーションにとって有用であるが、非常に複雑なサンプルが調査されなければならないプロテオーム研究に関して、大きな欠点を有する。 例えば、疎メンブレンタンパク質、高度に塩基性の又は酸性のタンパク質、非常に大きい又は非常に小さいタンパク質は、多くの場合、2D−GEを介して不十分に分解される。 更に、これらの方法の検出(感度)限界及び標識化技術の欠点は、例えば、異なる疾患群、疾患の異なる進行ステージの間及び疾患ステージ対健常対照群の間で相対タンパク質レベルを比較するために、又はタンパク質表現プロファイリング又はタンパク質バイオマーカの識別のような高スループットスクリーニング解析を実施するために、複数のサンプルの信頼できる並列解析を可能にしない。

    今日、所与のサンプル中の特定のタンパク質の識別及び特性評価を可能にする例えば質量分析のような利用可能ないくつかの技法がある。 しかしながら、包括的なプロテオーム研究は、一般に、制限された検出感度により妨げられる。 従って、他の解析と干渉しうる付加の分別、濃縮又は選択(例えば親和性精製による)ステップが、サンプルの複雑さを低減するために必要とされる。 統計的に有意なアッセイ結果を決定する際の別の問題は、複数のサンプル間のタンパク質発現の差の相対定量化である。 従って、上述の制限を克服し、異なる個別サンプルの間の方法論的な変動性を低減するために、複数の複雑なサンプルの並列処理を可能にし、こうして、得られるアッセイ結果の統計的有意性を増大させる方法を開発することが非常に望ましい。

    最近、タンパク質標識化のための2つの異なるアプローチが、この目的に対処するために開発された。

    第1の技法は、同位体コード化親和性タグ(ICAT)技術と呼ばれ、関連するタンパク質混合物のさまざまな異なる同位体タグ付けに基づいて定量的プロテオーム解析を可能にする(Gygi他, (1999) Nat. Biotechnol. 17, 994-999参考)。 すなわち、この標識化方法は、同じ化学式を有するが、1又は複数の原子に存在する同位体の数及び/又はタイプが互いに異なり、その結果、質量差を与える、標識の組を用いる。 記述されるICAT試薬は、3つの機能エレメントを使用する:還元されたシステイン残基の選択的標識化のためのチオール反応基、システイン標識化されたペプチドの選択的単離を可能にするビオチン親和性タグ、及び「軽い」(非アイソトープ)又は「重い」( H又は13 Cを利用する)形式の2つの同位体形式に合成される同位体タグ。 所与のサンプル中の比較的適度な数のタンパク質のみが、その一次配列にシステイン残基を含むので、その結果、サンプルの低減された複雑さをもたらし、ゆえに、その後のサンプル処理の信頼性を容易にする。

    代替のアプローチは、相対及び絶対定量化のために同重体タグと呼ばれる同重体標識化試薬を使用する(iTRAQ;Ross, PL他, (2004) Mol. Cell. Proteomics 3, 1154-1169参照)。 このアプローチは、4つの異なるiTRAQ試薬を用い、各試薬は、レポータ基、バランス基、及び一次アミン基と反応するペプチド反応基と反応する。 レポータ基は、各試薬中の12 C/ 13 C及び16 O/ 18 Oの異なる同位体の組み合わせに依存して、114、115、116又は117Da(ダルトン)の質量を有する。 バランス基は、レポータ基の組み合わせられた質量を保証するために、31乃至28Daの間で質量が変化し、バランス基は、4つの試薬について一定(145Da)のままである。 従って、これらの試薬の各々による同じペプチドの標識化は、同重体であってゆえにクロマトグラフィ的に互いに区別がつかないペプチドを生じさせる(すなわち、全てが、MS解析において観察されCIDのために使用される1つのイオン種に寄与する)。 しかしながら、MS/MSタンデム質量分析の間、少なくとも個々のレポータ基は、衝突誘起解離(CID)に応じてリリースされ、114乃至117Daの別個の質量を示す。 これらのフラグメントの強度は、単一試験において個別のタンパク質及び/又はペプチドの定量化ために使用されることができる。 この結果は、信号強度を増加させるとともに、ペプチド、特に少量のペプチド、を正しく識別するための蓋然性を増大させる。

    上述したICAT及びiTRAQ技法は、2(ICAT)又は最大4(iTRAQ)の個別サンプルの多重化を可能にするとともに、それらを同時に処理することを可能にし、それによって技術的な多様性を最小限にする。 それにもかかわらず、これらのアプローチは共に大きな制限を有する。

    タンパク質発現差の高速スクリーニングを可能にするにもかかわらず、ICATアプローチは、たった2つのサンプル、例えば2つの疾患群、の検査に制限され、これは通常、疾患に関連する群(例えば疾患の異なる進行ステージ)の全スペクトルを表現しない。 従って、3以上の群の検査を可能にする利用可能な技法を有することが有利である。

    他方、複数のサンプルの解析を可能にするiTRAQ技術は、それが、信号の相対定量化のために、(標識化されない及び標識化されたタンパク質及び/又はペプチドの両方の)各々のMS信号についてMS/MSスキャンを実施することを必要とするという明白な不利益を有する。 実際、これは、開始材料が例えばヒト血清又は他の体液のように高い複雑さをもつ場合には、解析に非常に時間がかかるので、実現可能でない。

    従って、タンパク分子のためのこのような標識化試薬を含む改善された標識化試薬及びキット、及び上述の制限を克服し、複数の複雑なサンプルの並列処理を可能にする対応する標識化方法の持続するニーズがある。 特に、標識化されたタンパク分子のその後の選択的精製及び解析をも可能にする標識化方法を提供することが望ましい。

    本発明の目的は、複雑なサンプルからのタンパク分子の標識化及びその後の分離及び解析のための新しい化合物及び対応する方法を提供することである。 より具体的には、本発明の目的は、このような解析を並列に実施する方法を提供することである。

    この目的及び下記の記述から明らかになるであろう他の目的は、独立請求項の発明の主題によって達成される。

    本発明の好適な実施形態のいくつかは、従属請求項の発明の主題によって規定される。

    第1の見地において、本発明は、タンパク分子の標識化のための標識化試薬であって、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、同位体標識成分が親和性タグでもある、標識化試薬に関する。

    好適な実施形態において、本発明は、タンパク分子の標識化のための組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含むキットオブパーツであって、各々の標識化試薬が、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)親和性タグでもある同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、整数nはn≧2であり、それぞれ異なって標識化される同重体標識成分の数を表し、整数mはm≧2であり、それぞれ異なって標識化される同位体標識成分/親和性タグの数を表す、キットオブパーツに関する。 特に好適には、整数nは、n≧2であり、整数mは、m≧2である。 好適な実施形態において、同位体標識/親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、c−mycタグ、HAタグ、FLAGタグ、VSV−Gタグ、HSVタグ、V5タグ、ビオチン及びその誘導体、炭水化物及びグリカンを含むグループから選択され、特に、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ及び(Leu) タグを含むグループが好適である。

    別の好適な実施形態において、標識化試薬は、同位体標識成分/親和性タグが同重体標識成分と反応基との間に配される構造を有する。

    他の代替の実施形態において、標識化試薬は、同重体標識成分が同位体標識成分/親和性タグと反応基との間に配される構造を有する。

    他の好適な実施形態において、反応基は、アミノ反応基、スルフヒドリル反応基及びカルボキシル反応基を含むグループから選択される。

    第2の見地において、本発明は、1又は複数のサンプル中の1又は複数のタンパク分子の解析方法であって、
    (a)ここに規定されるキットオブパーツを準備するステップであって、キットオブパーツは、組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含む、ステップと、
    (b)1又は複数のサンプルの各々を、n・m標識化試薬の異なるものと個別に接触させることによって、1又は複数のサンプルに含まれるタンパク分子の少なくとも1のサブセットを標識化するステップと、
    (c)1又は複数のサンプルを混合するステップと、
    (d)標識に含まれる親和性タグを介して親和性精製によって、標識化されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分離するステップと、
    (e)分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを解析するステップと、
    を含む、方法に関する。

    好適な実施形態において、方法は、M・Nサンプルを用いて実施され、ここで、整数Mはサンプルの群の数を表し、整数Nは、各サンプル群の個別のメンバの数を表し、N=n及びM=mである。

    一実施形態において、方法は更に、ステップ(c)を実施する前に、タンパク分子をペプチドに開裂するステップを含む。

    別の実施形態において、方法は更に、ステップ(f)を実施する前に、分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分別するステップを含む。

    本発明の方法の好適な実施形態において、分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットの解析は、質量分析によって実施される。

    別の好適な実施形態において、方法は更に、1又は複数のサンプルの各々について、ステップ(f)において得られた解析の結果を比較するステップを含む。 特に好適には、方法は、高スループットフォーマットで実施される。

    最後の見地において、本発明は、タンパク質発現プロファイリングを実施するための又はプロテオーム解析を実施するための、ここに規定されるキットオブパーツの使用に関する。

    本発明の他の実施形態は、以下の詳細な説明から明らかになる。

    ここに規定されるキットオブパーツに好適に含まれる本発明の標識化試薬の2つの代表的な構造の概略図であって、構造(a)では、同位体標識成分/親和性タグが、同重体標識成分と反応基との間に配され、構造(b)では、同重体標識成分/親和性タグが、同位体標識成分/親和性タグと反応基との間に配されている、図。

    2つの異なるサンプル群(例えば疾患ステージ及び健常対照を表す)を解析するための本発明の方法のアプリケーションを概略的に示す図。

    本発明の標識化試薬及び好適にはキットオブパーツにおいて同位体標識/親和性タグとして用いられるべき代表的なオリゴヒスチジン(His)化合物を表す図であって、1又は複数の原子の異なる同位体を使用して合成されることができる(His)

    (7)、(His)

    (8)及び(His)

    (9)化合物の化学構造を示す図。

    図3Aに関して、合成経路の最初のステップとして、ヒスチジン側鎖のメチル化を示す図(Recueil Trav. Chim. Pays-Bas (1978) 97, 281参照)。

    図3Aに示される3つの化合物の合成経路を概略的に示す図。

    本発明の標識化試薬及び好適にはキットオブパーツにおいて同位体標識/親和性タグとして用いられる代表的なオリゴロイシン(Leu)化合物を表す図であって、1又は複数の原子の異なる同位体を使用して合成されることができる(Leu)

    (24)、(Leu)

    (25)及び(Leu)

    (26)化合物の化学構造を示す図。

    図4Aに示される3つの化合物の合成経路を概略的に示す図。

    図4Aに示される(Leu)

    化合物の化学合成(合成プロトコルは例1に概説される)のための詳細な反応ステップのステップ(1)−(3)を示す図。

    図4Aに示される(Leu)

    化合物の化学合成のための詳細な反応ステップのステップ(4)−(6)を示す図。

    図4Aに示される(Leu)

    化合物の化学合成のための詳細な反応ステップのステップ(7)−(9)を示す図。

    図4Aに示される(Leu)

    化合物の化学合成のための詳細な反応ステップのステップ(10)−(11)を示す図。

    ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するために図5において合成された(Leu)

    化合物を使用したパイロット試験を示す図。

    ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するために図5において合成された(Leu)

    化合物を使用したパイロット試験を示す図。

    ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するために図5において合成された(Leu)

    化合物を使用したパイロット試験を示す図。

    ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するために図5において合成された(Leu)

    化合物を使用したパイロット試験を示す図。

    図2は、2つの異なるサンプル群(例えば疾患ステージ及び健常対照を表す)を解析するための本発明の方法のアプリケーションを概略的に示す。 各々のサンプル群は、4つのメンバ(例えば異なる患者及び健常被検者をそれぞれ表す)を含む。 8つの個別のサンプルは、S1乃至S8と示される(S1乃至S4は第1のサンプル群を表し、S5乃至S8は第2のサンプル群を表す)。 サンプル処理(例えば多量タンパク質の除去(depletion)及び/又はタンパク分解性開裂)の後、各サンプルは、本発明の異なる標識化試薬によって標識化される。 第1のサンプル群については、同位体標識1(「IT1」)が使用され、第2のサンプル群については、同位体標識2が使用される(「IT2」)。 重要なこととして、IT1及びIT2は、親和性タグでもある。 2つのサンプル群は、質量分析(MS)解析において特徴的な質量差によって判別されることができる。 サンプル群内の個別のメンバは、それぞれ、異なる同重体標識(「IB1」乃至「IB4」と示される)によって標識化される。 従って、各々のサンプル群の4つのメンバは、タンデムMS/MS解析において判別されることができる。 その後、個別のサンプルが混合され、標識化されたタンパク質及び/又はペプチドが、親和性クロマトグラフィによって、標識(すなわちIT1及びIT2)に含まれる親和性タグを介して精製される。 精製されたタンパク質及び/又はペプチドは、分離され、任意には、分別され、質量分析によって解析される。 2つのサンプル群の結果を比較することによって、タンパク質発現の差が、決定されることができる。

    図6は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するために図5において合成された(Leu) 化合物を使用したパイロット試験を示す。 図6Aは、反応基としてのNHS−エステルに加えて、同重体標識成分のバランス基及びリポータイオンの両方を含む(Leu) 化合物を示す。 BSAの標識化及びトリプシン消化は、例2に従って実施される。 品質制御として、標識化された断片リリースが、MALDI MS/MS解析によって解析された(図6B)。 ペプチド識別のために、消化されたBSAペプチドが、逆相液体クロマトグラフィ−エレクトロスプレーイオントラップ質量分析(LC−MS;図6Cの上図参照)を使用して分別された(すなわちソートされた)。 象徴的なLC−MSピークは、MSを使用して更に解析された(図6C、中央図)。 その後、標識化されたペプチドに対応する象徴的なMSピークが、MS/MS解析を受けた(図6C、下図)。 結果として得られたMS/MSスペクトルは、mgf−ファイル(Mascot Generic Format)に変換され、mgf−ファイルは、マスコットソフトウェアを使用してスイスプロットデータベースに対して検索された。 最後に、解析されたペプチドのアミノ酸配列(一文字表記)は、CCTKPESER(図6D)であると決定された。

    本発明は、各標識化試薬が同重体標識成分及び同位体標識成分を組み合わせたものであり、同位体標識成分が親和性タグとしても機能する、該標識化試薬の使用及び好適にはこのような標識化試薬を含むキットオブパーツが、タンパク質及び/又はペプチドについてシンプルなワンステップ標識化プロトコルを可能にし、更に、その後の、複雑なサンプルからの標識化されたタンパク分子の選択的な親和性精製を可能にするという、予期しなかった発見に基づく。

    ここで使用される標識化試薬の特定の設計、すなわち共通の同位体標識/親和性タグ成分を有する標識化試薬は、簡略化された化学構造を有するとともに、独立した付加のエンティティとして親和性タグを含むそれらの個々の対応物と比較してかなり小さい分子量を有する分子を生じさせる。 更に、この設計は、タンパク質/ペプチド精製後に親和性タグを開裂するための開裂可能なリンカを省くことを可能にし、更に、標識化試薬のより低い複雑さをもつ費用対効果が優れた合成を生じさせる。

    以下に説明的に記述される本発明は、ここに具体的には開示されない任意の1又は複数のエレメント、1又は複数の制限がない場合に、適切に実施されることができる。

    本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図面を参照して記述されているが、本発明は、それらに限定されず、請求項のみに限定される。 記述される図面は、概略的であり、非限定的である。 図面において、構成要素のうち幾つかのサイズは、説明の便宜上誇張されており、一定の縮尺で描かれていない。

    「comprising」なる語が、本記述及び請求項において使用されているが、この語は、他の構成要素又はステップを排除しない。 本発明の目的のために、「consisting of」なる語は、「comprising of」なる語の好適な実施形態であると考えられる。 以下、群は、少なくとも或る数の実施例を含むものと規定されるが、これが更に、これらの実施例のみを好適に含む群を開示するものと理解されるべきである。

    例えば「a」、「or」、「an」、「the」のような不定冠詞又は定冠詞が、単数名詞に言及する際に使用されているが、これは、特記がない限り、その名詞の複数を含む。

    本発明のコンテクストにおいて「約(about)」なる語は、当業者が当該フィーチャの技術的効果を確実にするために理解するであろう正確さの間隔を示す。 この語は一般に、示される数値からの±10%、好適には±5%の偏りを示す。

    更に、明細書及び請求項における第1、第2、第3(first、second、third)等の語は、同様の構成要素の間の区別を行うために使用されるものであり、必ずしも順次の又は経時的な順序を記述するためのものではない。 このように使用される語は、適当な環境下で交換可能であり、ここに記述される本発明の実施形態は、ここに記述され又は図示されるものとは別のシーケンスで動作することが可能であることを理解すべきである。

    語の他の規定は、以下、その語が使用されるコンテクストにおいて与えられる。

    1つの見地において、本発明は、タンパク分子の標識化のための標識化試薬であって、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、同位体標識成分が親和性タグでもある、標識化試薬に関する。

    好適な実施形態において、本発明は、タンパク分子の標識化のための組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含むキットオブパーツであって、各標識化試薬が、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)親和性タグでもある同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、整数nはn≧2であり、それぞれ異なって標識化される同重体標識成分/親和性タグの数を表し、整数mは、m≧2であり、それぞれ異なって標識化される同位体標識成分の数を表す、キットオブパーツに関する。

    特に好適には、キットオブパーツは、組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含み、整数nはn≧4であり、整数mはm≧2である。 ここで使用される「タンパク分子」なる語は、ペプチド結合を介して接続される複数の天然の又は修飾されたアミノ酸を含む、任意の天然に存在する又は合成の(例えば化学合成又は組み換えDNA技術によって生成される)巨大分子をさす。 このようなタンパク分子の長さは、2乃至数千のアミノ酸に及ぶことがある(アミノ酸なる語は、ペプチド及びタンパク質と一般に呼ばれるものを含むだけでなく、オリゴペプチドと一般に呼ばれるものも含む)。 概して、「タンパク分子」なる語は、20より多いアミノ酸長を有するタンパク質に関する。

    本発明において解析されるべき「タンパク質」は、約30乃至約2500アミノ酸長を有し、又は約50乃至約1000アミノ酸長を有し、又は約100乃至約1000アミノ酸長を有することができる。

    ここで使用される「ペプチド」なる語は、1又は複数のペプチド結合の開裂後に得られる上述の「タンパク分子」の任意の断片をさす。 ペプチドは、本発明において使用されるとき、その大きさ又は性質に関していかなる形であれ制限されない。 一般に、本発明において解析されるべきペプチドは、約2乃至約20アミノ酸長を有し、又は約3乃至約18アミノ酸長を有し、又は約5乃至約15アミノ酸長を有することができる。

    ここで使用される「標識化」なる語は、本発明において使用されるタンパク分子に対する「標識」(すなわち検出可能なマーカ)の(化学的)アタッチメント又は組み込みを示す。

    ここで使用される「標識」なる語は、化学反応、物理反応又は酵素反応において検出可能な化合物又は信号を直接的又は間接的に生成する、1又は複数の適当な化学物質又は酵素(ここで「標識成分」と示される)を含む任意のモイエティをさす。 少なくとも2の標識成分が所与の標識中に存在する場合、その特定の特性に基づいて、各々の標識成分は、それぞれ別々に検出可能でありうる。 本発明の範囲内で、「標識」なる語は、タンパク分子に結合されるモイエティをさすことが理解されるべきである。 タンパク分子に結合する前のモイエティは、ここで「標識化試薬」と示される。

    標識化試薬及び好適には本発明のキットオブパーツにおいて使用される標識は、共有結合又は非共有結合を介してタンパク質及び/又はペプチドのアミノ酸残基にアタッチされることができる。 一般に、結合は、共有結合である。 本発明によれば、この結合は、タンパク分子と反応することができる、標識化試薬に含まれる化学機能である「反応基」を介して達成される。 好適な実施形態において、反応基は、アミノ反応基(すなわちNH アミノ基と反応する化学基)、スルフヒドリル反応基(すなわちSHスルフヒドリル基と反応する化学基)、及びカルボキシル反応基(すなわちCOOHカルボキシル基と反応する化学基)を含むグループから選択される。

    本発明の標識/標識化試薬及び好適にはキットオブパーツは、一般に、同重体標識成分及び同位体標識成分である2つの標識成分をそれぞれ含み(すなわち「二重標識化」されており)、ここで、同位体標識成分は、親和性タグでもある。 しかしながら、使用される標識/標識化試薬が、1又は複数の付加の標識成分を含むこともまた、本発明の範囲内である。 これらの1又は複数の付加の標識成分は、同様に、同重体標識成分及び/又は同位体標識成分でありえ、又は当技術分野において知られている、とりわけ酵素標識、着色標識、蛍光標識、色素標識、ルミネセント標識、放射性標識、ハプテン、ビオチン、金属錯体、金属及びコロイド金を含む任意の他の標識成分であってもよい。

    場合によって、1又は複数のこのような付加の標識成分が、本発明において使用される標識化試薬に存在し、前記標識化試薬は、標識化されたタンパク分子を更なる解析に従属させる前に、1又は複数の付加の標識成分を特異的に開裂切断し/除去するために、開裂可能なモイエティを更に含むことができる。 開裂可能なモイエティは、酸不安定モイエティ、塩基不安定モイエティ、UV照射によって開裂可能なモイエティ、マイクロ波照射によって開裂可能なモイエティ、電位の変化によって開裂可能なモイエティ、酸化処理によって開裂可能なモイエティ、還元によって開裂可能なモイエティ、オレフィン複分解によって変えられることができるモイエティ及びジスルフィド交換によって変えられることができるモイエティ(すなわちジスルフィドモイエティ)含むグループから選択されることができる。 好適な実施形態において、開裂可能なモイエティは、ジスルフィドモイエティ及び酸不安定モイエティから選択される。

    本発明は、例えば4、8、16又はそれ以上のサンプルの多重解析を並列に実施する多重化タンパク質解析又はなお高スループットのアッセイを可能にするための、同位体標識成分及び同重体標識成分を組み合わせた標識化試薬の使用に基づく。 上述で概説されるように、同位体標識の単なる使用は、2つのサンプルの並列処理を可能にするだけである。 特に、同位体及び同重体標識成分を用いるこのような組み合わせられた標識化ストラテジは、それぞれ異なるサンプル間の相対タンパク質レベルの比較を提供する。 従って、差発現レベルが観察されるタンパク質及び/又はペプチドのみが、例えばタンデムMS/MS解析によって特異的に解析されることを必要とし、より高速で、より複雑さの低いサンプル解析を与える。

    ここで使用される「同重体標識成分」(「同重体タグ」とも呼ばれる)なる語は、同じ構造及び同じ質量を有する検出可能なモイエティの組を示し、かかるモイエティの組は、断片化に応じて、同重体標識内の同位体の異なる分布により、同じ構造を有するが質量の異なる特定の断片をリリースする。 同重体標識は、一般に、レポータ基及びバランス基を含み、それらは、断片化に応じて分離され、同位体の異なる分布を示す。 質量分析において、レポータ基は、衝突誘起解離(CID、すなわち断片リリース)の際、強いシグネチャイオンを生成する。 シグネチャイオンは、1又は複数の同位体(例えば12 C/ 13 C、 14 N/ 15 N、 16 O/ 18 O)の異なる出現の結果として、同重体標識成分の組の中で質量が異なる。 バランス基は、レポータ基及びバランス基の組み合わせられた質量が異なる同重体標識について一定であることを確実にするように、特定の補償的な数の同位体を含む。 バランス基は、CIDに応じて、標識からリリースされることができ又はリリースされることができない。 本発明の同重体標識成分の分子量は、20Da乃至2500Daであり、好適には50Da乃至2000Daであり、最も好適には100Da乃至1500Daである。

    本発明において使用される好適な同重体標識成分は、特に、相対及び絶対定量化(iTRAQ)標識成分のための同重体タグを含む(Ross, PL他, (2004) Mol. Cell. Proteomics 3, 1154-1169参照)。 この標識化アプローチは4つの異なるiTRAQ試薬を用い、各試薬は、レポータ基、バランス基、及び一次アミン基(例えば、リシンアミノ酸残基のεアミノ基)と反応するペプチド反応基を含む。 レポータ基は、各々の試薬の12 C/ 13 C及び16 O/ 18 Oの異なる同位体の組み合わせに依存して、114、115、116又は117Daを有する。 バランス基は、レポータ基及びバランス基の組み合わせられた質量が4つの試薬について一定(145Da)のままであることを確実にするように、28Da乃至31Daの異なる質量をもつ。 従って、これらの試薬の各々による同じペプチドの標識化は、同重体であって、ゆえに例えば液体クロマトグラフィにおいて共溶離し、結果的にクロマトグラフィにより互いに区別できないペプチドを生じさせる。 しかしながら、質量分析の間、少なくとも個々のレポータ基は、CIDに応じてリリースされ、114乃至117Daの異なる質量を示す。 これらの断片の強度は、単一実験において個別のタンパク質及び/又はペプチドの定量化のために使用されることができる。

    ここで使用される「同位体標識成分」(「同重体タグ」とも呼ばれる)なる語は、同じ化学式を有するが互いに1又は複数の原子に存在する同位体の数及び/又はタイプが異なり、その結果、例えば質量分析を介して検出されることができる標識化されたタンパク分子の質量の差を生じさせる、検出可能なモイエティの組を示す。 言い換えると、他のやり方で、異なる同位体標識(例えば、 12 C/ 13 C、 14 N/ 15 N、 16 O/ 18 O)によって標識化される同一のタンパク質及び/又はペプチドは、質量の差に基づいて、そのようなものとして区別されることができる。 同重体標識(上記参照)は、原則的に、本発明のコンテクストにおいて同位体標識の特定のタイプを構成する一方、同位体標識なる語は、同重体でないが、それらの分子量に基づいてそのようなものとして区別されることができる標識をさすために使用される。

    本発明の範囲において、同位体標識成分は、親和性タグでもある。 ここで使用される「親和性タグ」なる語は、特定のマトリックス(例えば、固体支持体、クロマトグラフィ樹脂、マトリックス又は抗体)のその(可逆的な)結合親和性のため、それが親和性精製方法(下記参照)によって、分子にアタッチされている該分子の分離を可能にする任意の化学モイエティを示す。 従って、言い換えると、本発明の同位体標識成分は、1又は複数の原子においてそれぞれ異なる同位体を含む親和性タグである。 従って、本発明において使用される同位体標識成分は、それらが独立した付加のエンティティとして親和性タグを含まないという点で、例えば既知の同位体コード化親和性タグ(ICAT)標識と異なる(Gygi, SP他, (1999) Nat. Biotechnol. 17, 994-999参照)。

    一般に、本発明において使用される同位体標識成分は、2つの同位体形式、すなわち「軽い」形式(例えば12 C、 14 N又は16 Oを利用する)及び「重い」形式(例えば13 C、 15 N又は18 Oを利用する)で合成される。 本発明の同位体標識成分の分子量は、100Da乃至3000Daであり、好適には100Da乃至1500Daである。

    任意の親和性タグが、本発明において使用される同位体標識成分の合成のために用いられることができる。 このような親和性タグの例は、とりわけ小さい化合物(例えばビオチン及びその誘導体)及び短いアミノ酸配列を含み、一般に2乃至20アミノ酸長であり、好適には4乃至12アミノ酸長である(例えば(His) タグ、(Leu) タグ、FLAGタグ又はC−mycタグ)。 すべてのこれらの親和性タグは、従来技術において良好に確立されており、商業的に入手可能である。

    本発明の標識化試薬及び好適にはキットオブパーツの好適な実施形態において、親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、c−mycタグ、HAルタグ、FLAGタグ、VSV−Gタグ、HSVタグ、V5タグ、ビオチン及びその誘導体、炭水化物及びグリカンを含むグループから選択される。 特に本発明の好適な親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ及び(Leu) タグを含むグループから選択される。

    等しい質量差をもつ同じ分子構造のいくつかの同位体変種を生成するために、潜在的に異なる機能基及び反応メカニズム、異なる純度又は同位体交換の可変的な原子濃縮を有する合成経路の異なる構築ブロックを使用する必要がありうる。 これは、このような標識成分の合成を、面倒で、時間がかかり、更にかなり高価なものにする多くの異なる反応ステップを必要とする。

    従って、本発明の特定の実施形態において、前駆体として使用される共通構築ブロックから始まり、標識成分の所望の長さのサイズに依存して数回同じ反応スキームを繰り返すことによって合成される同位体標識成分が、用いられる。 このような構築ブロックの例は、特に、高い純度で且つ高い原子濃縮による異なる同位体変種で商業的に入手可能であるアミノ酸及び砂糖分子を含む。 前駆体としてこのような構築ブロックを用いる場合、本発明による同位体標識成分の組の合成は、非常に簡略化された、ゆえにより高速でコスト削減された反応スキームを与える。 このようにして準備されることができる本発明の好適な同位体標識成分は、(His) タグである。

    同様に、本発明の同重体標識成分は、共通構築ブロックを用いることによって合成されることもできる。 レポータ基は、例えばNメチルピペラジンに基づくことができ、バランス基は、例えばアミノ酸又は砂糖分子に基づくことができる。

    本発明の標識化試薬の異なる成分及び好適にはキットオブパーツは、反応基がタンパク分子に結合することを可能にする任意の構造で構成されることができる。 個別の成分(すなわち同重体標識成分、同位体標識成分/親和性タグ及び反応基)は、互いに直接的に接続されることができ、又はリンカ配列によって隔てられることができる。 それらは、図1に概略的に示される2つの実施形態によって例示されるように線形的に構成され、又はブランチ形式で構成されることもできる。

    好適な実施形態において、標識化試薬は、同位体標識成分/親和性タグが同重体標識成分と反応基との間に配される(図1(a)参照)、(線形)構造を有する。 別の好適な実施形態において、標識化試薬は、同重体標識成分が、同位体標識成分/親和性タグと反応基との間に配される(図1(b)参照)、(線形)構造を有する。

    本発明の標識化試薬及び好適にはキットオブパーツにおけるブランチ構造の例は、同重体標識成分がリンカ配列を介して反応基に接続され、リンカ配列に同位体標識成分/親和性タグがアタッチされる、構造である。 このようなブランチ構造の別の例は、同重体標識成分が、リンカ配列にアタッチされ、リンカ配列が、同位体標識成分/親和性タグ及び反応基を接続する、逆の構造である。 このようなブランチ構造の第3の例は、同重体標識成分が、リンカ配列を介して、同位体標識成分/親和性タグに接続され、反応基がリンカ配列にアタッチされる、構造である。

    本発明のキットオブパーツは、ここに規定されるような組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含み、整数nは、n≧2であり、それぞれ異なって標識化される同重体標識成分/親和性タグの数を表し、整数mは、m≧2であり、それぞれ異なって標識化される同位体標識成分の数を表す。

    ここで使用される「組み合わせによる複数のn・m標識化試薬」なる語は、複数の標識化試薬が、nの異なる同位体標識成分/親和性タグ及びmの異なる同重体標識成分を組み合わせることによって達成される最大数の組み替えを含むことを示す。

    例えば、4つの異なる同重体標識成分、IB1、IB2、IB3及びIB4(すなわちn=4)を、2つの異なる同位体標識成分/親和性タグIT1及びIT2(すなわちm=2)と組み合わせる場合、ここに規定される組み合わせによる複数のn・m標識化試薬は、4・2=8の異なる組み合わせを含む:IT1/IB1、IT1/IB2、IT1/IB3、IT1/IB4、IT2/IB1、IT2/IB2、IT2/IB3及びIT2/IB4。

    特に好適な実施態様において、組み合わせによる複数のn・m標識化試薬は、少なくとも4つの異なる同重体標識成分(すなわちn≧4)及び少なくとも2つの異なる同位体標識成分/親和性タグ(すなわちm≧2)を含む。 従って、本発明のキットオブパーツは、例えば4、8、12又は16の異なる同重体標識成分を、2、3、4、又は6の異なる同位体標識成分/親和性タグと組み合わせることによって達成される組み合わせによる複数の標識化試薬を含むことができる。

    他の見地において、本発明は、1又は複数のサンプル中の1又は複数のタンパク分子を解析する方法であって、
    (a)ここに規定される、組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含むキットオブパーツを準備するステップと、
    (b)1又は複数のサンプルの各々を、n・m標識化試薬の異なるものと個別に接触させることによって、1又は複数のサンプルに含まれるタンパク分子の少なくとも1のサブセットを標識化するステップと、
    (c)1又は複数のサンプルを混合するステップと、
    (d)標識に含まれる親和性タグを介した親和性精製によって、標識化されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分離するステップと、
    (e)分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを解析するステップと、
    を含む。

    2つの異なるサンプル群(例えば疾患ステージ及び健常対照を表す)を解析するための本発明による方法のアプリケーションの概略的な図が、図2に示されている。 各々のサンプル群は、4のメンバ(例えばそれぞれ異なる患者及び健常被検体を表す)を含む。

    ここで使用される「サンプル」なる語は、本発明の方法を実施する前の任意の処理ステップを必ず含み又は排除することを意図しない。 サンプルは、未処理の(「天然の」)サンプル、抽出されたタンパク質/ペプチドフラクション、精製されたタンパク質/ペプチドフラクション等でありうる。 例えば、用いられるサンプルは、(高度に)多量のタンパク質の1又は複数のサブセットの免疫除去(immunodepletion)によって前処理されることができる。 適切なサンプルは、原核生物(例えば、細菌、ウイルスサンプル)又は真核生物の複製起点(例えば、菌類、酵母植物、無脊椎動物、哺乳動物及び特にヒトサンプル)のサンプルを含む。

    ここで使用される「複雑なサンプル」なる語は、本発明の方法を用いて解析されるサンプルが、一般に、異なる濃度で存在する異なるタンパク質及び/又はペプチド(又はこのようなタンパク質及び/又はペプチドの異なる変種)の多数を含むことを示す。 例えば、本発明の範囲内の複雑なサンプルは、少なくとも約500、少なくとも約1000、少なくとも約5000、又は少なくとも約10000のタンパク質及び/又はペプチドを含むことができる。 本発明において使用される一般的な複雑なサンプルは、特に、原核生物又は真核生物の複製起点の細胞抽出物又は溶解物、及び全血、血清、血漿サンプル等のヒト又は非ヒト体液を含む。

    方法は、単一サンプルを用いて実施されることができるが、一般には、2又はそれ以上のサンプルが、並列に処理される。 ある実施形態において、方法は、M・Nサンプルを用いて実施され、ここで、整数Mは、サンプル群の数(例えば疾患ステージ及び健常対照、又は疾患の異なる進行ステージ)を表し、整数Nは、各々のサンプル群の個別のメンバの数(例えば異なる患者又は健常被検体からのサンプル)を表し、ここで、N=n及びM=m(上記参照)である。

    好適な実施形態において、方法は更に、タンパク分子を標識化プロトコルにゆだねる前に(すなわち、本発明による方法のステップ(b)を実施する前に)、タンパク分子をペプチドに開裂するステップを含む。 タンパク質のこのような開裂は、化学的に(例えば、ブロモシアン、2−(2'−ニトロフェニルスルフォニル)−3−メチル−3−ブロモ−インドレニン(BNP)、ギ酸、ヒドロキシルアミン、ヨード安息香酸及び2−ニトロ−5−チオシアンベンゾイド酸のような化学物質を用いる酸又は塩基処理を介して)、又は(特にトリプシン、ペプシン、トロンビン、パパイン及びプロテイナーゼKを含む)プロテアーゼを介して酵素によって、達成されることができる。 これらのプロシージャは双方とも当技術分野において知られている。

    解析されるべき個別のサンプルは、各サンプルの特異的な標識化を確実にするために、各サンプルを、本発明のキットオブパーツに含まれる本発明のそれぞれ異なる標識化試薬と別個に接触させることによって標識化される。 標識は、少なくとも標識化試薬に含まれる反応基を介して、1又は複数のサンプルに含まれるタンパク分子のサブセットにアタッチされる。 その後、1又は複数のサンプルが、更なる解析のために混合される。

    ここで使用される「タンパク分子の少なくとも1のサブセット」なる語は、それが−サンプル処理、特定の標識化プロトコル等に依存して−所与のサンプル又はその特定の部分に存在するタンパク分子の全体に関連しうるように、理解されるべきである。

    その後、混合されたサンプルに含まれる標識化されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットが、タンパク分子にアタッチされた標識に含まれる親和性タグを介して、親和性精製によって分離される。 ここで使用される「親和性精製」なる語は、静止材料(固相)に固定化されるマトリックスとの結合相互作用の違いに基づいて、サンプル中のタンパク分子(移動相)を分離する任意の精製方法(例えば、親和性カラムクロマトグラフィ又は対応するバッチセットアップ)をさす。 マトリックスに対するタンパク分子の選択的な結合は、一般に、マトリックスに関して特異的な結合活動を示す標識(すなわち親和性タグ)を介して、達成される。 一般に、親和性マトリックスとして使用される材料は、ターゲット分子が見つけられる系において不溶性である。 適切なマトリックスの例は、特に、アビジン又はストレプトアビジン(場合によって、ビオチンは、親和性タグとして使用される)、Ni 2+キレート化NTA(場合によって、(His) が、親和性タグとして使用される)、又はサポート(例えば、アンチFLAG抗体、アンチ(His)抗体、アンチ(Leu)抗体)に結合されることができるアンチタグ抗体(すなわち免疫親和性クロマトグラフィ)である。 すべてのこれらの親和性マトリックス(すなわち樹脂及び/又はアンチタグ抗体)は、従来技術において良好に確立されており、商業的に入手可能である。

    最後に、分離された標識化されたタンパク分子は、更なる定性的及び/又は定量的解析(すなわちタンパク質/ペプチドの識別、及び解析された1又は複数のサンプル中のそれらの絶対及び/又は相対濃度の決定)を受ける。

    ある実施形態において、分離された(標識)タンパク分子の少なくとも1のサブセットは、更なる解析の前に(すなわち、本発明による方法のステップ(e)を実施する前に)、更に分別される。

    ここで使用される「分別(fractionation)」なる語は、サンプル中に特定の量存在するタンパク質及び/又はペプチドが、例えば分子量、それらのサイズ及びそれらの全体のネット電荷のようなそれらの物理化学特性の任意の差に従って、より小さい量の多数の部分(すなわちフラクション)に分割される(すなわちソートされる)任意のタイプの処理ステップをさす。 分別の共通の特徴は、収集されたフラクションの量と各フラクション中の所望の純度との間の最適条件を見つける必要である。 分別は、単一ランにおいて混合物中の3以上の成分を分離することを可能にする。 この特性は、他の分離技法からそれを引き離す。

    当技術分野において良好に確立されているタンパク質及び/又はペプチドを分別するいくつかの方法があり、方法は、古典的SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)、二次元ゲル電気泳動法、サイズ排除クロマトグラフィ、(2次元)液体クロマトグラフィ及び等電点電気泳動法を含み、特に等電点電気泳動法が好適である。 分別が行われた後のタンパク分子の解析、特に可視化、の方法は、当技術分野において良好に確立されている。 分別の他の方法及びそれらの組み合わせもまた企図されうる。 こうして、分別/再分別は、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ及び/又は親和クロマトグラフィに依存しうる。

    他の実施形態において、解析が2以上のサンプルに関して実施される場合、本発明の方法は更に、個別のサンプル間の相対的な(タンパク質発現)差を決定するために、1又は複数のサンプルの各々について得られた解析の結果を比較することを含む。

    好適な実施形態において、分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットの解析は、質量分析、すなわちイオンの質量電荷比を測定するために使用される分析技法、によって実施される。 適用される特定の質量分析は、それぞれ異なるサンプルにおいて決定されるタンパク質及び/又はペプチド発現のレベルに依存しうる。 ある実施形態において、本発明の方法は、高スループットフォーマットで実施される。

    他の実施形態において、本発明は、タンパク質発現プロファイリングを実施するための又はプロテオーム解析を実施するための、ここに記述される標識化薬剤、キットオブパーツ及び/又は方法の使用に関する。

    上述の発明は、その好適な実施形態の幾つかに関して記述されているが、これは、本発明の範囲を決して制限するべきでない。 当業者であれば、なお本発明の範囲内にある、他の実施形態及び上述の実施形態の変更を明確に認識する。

    例 例1−(Leu) 標識化化合物の合成。

    図4A及び図6Aに示される(Leu) 標識化化合物は、以下のプロトコルに従って化学的に合成された。 個別の合成ステップは、図5に表される反応スキームに対応する。

    ステップ(1):開始材料(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミド)−4−メチルペンタン酸、(S)−メチル−2−アミノ−4−メチルペンタノエートハイドロクロライド、1−(ビス(ジメチルアミノ)メチレン)−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イウム−3−オキシドヘキサフルオロホスフェイト(V)及びN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミンが、ジクロロメタン(150ml)に溶解され、2.0mlのDMFが加えられ、混合物は、2時間撹拌された。 その後、Boc保護されたアミンが消失した(TLC溶離剤 EtOAc/ヘプタン1:1)。 150mlの飽和塩化アンモニウムが加えられ、粗生成物が、ジクロロメタン(8×30ml)によって抽出された。 有機層が、硫酸ナトリウムを通じて乾燥され、減圧下で濃縮された。 粗生成物は、溶離液としてヘプタン中40%EtOAcを使用して、シリカゲルによりガラスフィルタを通じて精製された。 これは、純生成物(S)−メチル−2−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−メチルペンタンアミド)−4−メチルペンタノエートの1.96g(84%)を産生した。

    ステップ(2):ステップ(1)のBoc保護されたジペプチドが、DCM/TFA(44:11ml)に溶解され、1.5時間攪拌された。 ワークアップ後、飽和NaHCO TLCにより、少量のサンプルは、反応が終了したことを示した。 反応混合物は、減圧下で濃縮され、2.58gの黄色がかった油を産生した。 HのNMRは、生成物が、生成物とともに遊離トリフルオロ酢酸を含むことを示した。 蒸留によってこれを除去する試みは失敗し、従って、粗生成物(S)−メチル−2−((S)−2−アミノ−4−メチルペンタンアミド)−4−メチルペンタノエート2,2,2−トリフルオロ酢酸が、更に精製することなく使用された。

    ステップ(3):ステップ(2)のアミノトリフルオロ酢酸塩は、ジクロロメタン(150ml)に溶解された。 0℃で、DIPEAが加えられ、その後、HATU及びBoc−Leu−OHが加えられた。 混合物は、室温で2時間撹拌された。 TLCに従って、反応が終了した。 混合物は、飽和塩化アンモニウムによってクエンチされ、水層は、ジクロロメタン(8×50ml)によって抽出された。 結合有機層は、硫酸ナトリウムを通じて乾燥され、減圧下で濃縮された。 粗生成物は、溶離液としてヘプタン(4:6)中EtOAcを使用してシリカゲルを通じて精製された。 結果的に得られたトリペプチド(6S,9S,12S)−メチル−6,9−ジイソブチル−2,2−14−トリメチル−4,7,10−トリオキソ−3−オキサ−5,8,11−トリアザペンタデカン−12−カルボキシレートは、1.78g(3.77mmol;50%)の収量で得られた。

    ステップ(4):ステップ(3)のBoc保護されたトリペプチドは、DCM/TFA(44:11ml)に溶解され、1.5時間攪拌された。 ワークアップ後、飽和NaHCO TLCにより、少量のサンプルは、反応が終了したことを示した(生成物は、ヘプタン中50%EtOAcによりランしない)。 反応混合物は、減圧下で濃縮され、ジクロロメタンにより一旦ストリップされた。 ジエチルエーテル(20ml)が、トリチュレーションのために生成物に加えられ、5分後に、10mlのヘプタンが加えられ、固体が、40分後に濾過除去され、1,480gの白い粉末((S)−メチル−2−((S)−2−アミノ−4−メチルペンタンアミド)−4−メチルペンタンアミド)−4−メチルペンタノエート2,2,2−トリフルオロ酢酸)を産生した。

    ステップ(5):ステップ(4)のトリペプチド−TFA塩の混合物に対し、トルエンDIPEA(50ml、但しジクロロメタン)中N−メチル−ピペラジニル酢酸、EDC及びHOAtが加えられ、混合物が1時間撹拌され、攪拌中、黄色の固体がフラスコの下部に形成された。 混合物は、飽和重炭酸ナトリウム(70ml)によってクエンチされた。 二つの相は分離され、水相がジクロロメタン(4×50ml)によって抽出された。 結合有機層は、硫酸ナトリウムを通じて乾燥され、減圧下で濃縮され、0.203gの粗製物質を産生した。 粗製物質は、(LC−MS及び H NMRに従って)所望の生成物及び開始材料の両方を含んでいた。 粗製物質は、もう一度、ジクロロメタン(25ml)中EDC、HOAt及びDIPEAにより2時間処理された。 (上述したプロシージャと同様に)ワークアップ後、0.231gの粗製物質が得られた。 LC−MSに従って、反応が終了した。 ジクロロメタン中のMeOH中の5乃至10%の0.5M NH の勾配を有するシリカゲルを通じた精製は、結晶質の白い固体((S)−メチル−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセトアミド)ペンタンアミド)−ペンタンアミド)ペンタノエート)として、0.158gの生成物を与えた。

    ステップ(6):ステップ(5)の開始材料は、Tesser塩基(ジオキサン/MeOH/水性4N NaOH 15:4:1)に溶解され、混合物は、室温で撹拌された。 一晩の撹拌後、溶液は、濃縮され、粗生成物であるナトリウム(S)−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセトアミド)ペンタンアミド)ペンタンアミド)ペンタノエートを産生した。 この化合物は、更なる精製を用いずに、次のステップにおいて使用された。 Na解析が実施された。

    ステップ(7):0℃のジクロロメタン(5ml)中のステップ(6)の粗生成物の懸架に対して、NHS及びEDCが順に加えられ、混合物は、0℃で3時間撹拌された。 混合物は、濃縮され、粘着性の固体を産生した。 粘着性の固体は、ジクロロメタン(7ml)に再溶解された。 次に、ジエチルエーテル(7ml)が加えられ、溶液は、半分のボリュームになるまで蒸発された。 このジエチルエーテルの添加及びその後の部分蒸発が、二度繰り返され、その後、沈殿物(エチル(N,N−ジメチルアミノ)プロピル−カルバミド及び塩化ナトリウム)が濾過された。 濾液は、濃縮され、52mgの粘着性の油を産生した。 H NMRスペクトルをみると、フラクションが、特にエチルジイソプロピルカルバミドによって不純化される所望のコハク酸エステル((S)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−((S)−4−メチル−2−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセトアミド)−ペンタンアミド)ペンタンアミド)ペンタノエート)を含みうるようである。 濾過された沈殿物(33mg)は、おそらく、所望の生成物(2.65ppmで一重項、コハク酸エステルプロトン)を含む。

    ステップ(8):ステップ(6)の開始材料が、Tesser塩基(ジオキサン/MeOH/水性4N NaOH 15:4:1)に溶解され、混合物は室温で撹拌された。 反応は、LC−MS(酸性モード)によって監視された。 2時間の撹拌後、溶液は濃縮され、粗生成物を産生した。 この化合物は、更なる精製を用いずに、次のステップにおいて使用された。 収量は、決定されなかった。

    ステップ(9):室温のジオキサン(乾燥)及びジクロロメタン(2.0ml、乾燥)の1:1混合物中のステップ(8)の粗生成物の溶液に対して、NHS、DIPEA(26μl)及びEDC(18.9mg)が、順に加えられ、混合物は、室温で5時間撹拌された。 6−アミノカプロン酸及び2mlのジオキサン(乾燥)が加えられた。 混合物は、一晩撹拌された。 翌日、より多くのEDC(19mg)が、活性化スクシンイミドエステルを生成するために加えられた。 混合物は、再び、一晩撹拌された。 翌日、サンプルが、反応混合物から採取され、n−ブチルアミンが、サンプルに加えられ、結果として得られた混合物が、10分間撹拌された。 溶液は、減圧下で濃縮され、LC−MSによって解析された:粗生成物は、カプロン酸アダクトから期待されるブチルアミド(m/z=666.4の[M+H]+)、カプロン酸付加生成物(m/z=611.4の[M+H]+)、開始材料からのスクシンイミドエステル(m/z=553.4の[M+H]+)、及びその対応するメチルエステル(m/z=512.4の[M+H]+)を含んでいた。 反応混合物は、飽和炭酸水素ナトリウム(25ml)にてクエンチされ、水(5ml)が加えられた。 水性相が、ジクロロメタン(5×20ml)によって抽出され、結合有機層は、硫酸ナトリウムを通じて乾燥され、減圧下で濃縮された。 これは、41mgの固体を生じさせた。 固体は、LC−MS5によって解析され、それが化合物の混合物であることを示した。 サンプルが、ブチルアミン(上記参照)とのテスト反応を実施するために採取された。 このテスト反応からの生成物が、LC−MS5によって解析された。 生成物は、期待されるブチルアミドを含むが、その量は、第1のテスト反応における量よりも少ないようである。 混合物の複雑さ、及びその潜在的な不安定性とともに生成物の組成についての不確実さにより、この生成物を採用しないことが決定された。

    ステップ(10):ステップ(9)の生成物は、予備HPLCによって精製された。 これは、8mgの遊離酸を産生した。

    ステップ(11):DMF中のステップ(10)の開始材料の溶液に対して、EDC及びN−ヒドロキシサクシンアミド(NHS)が加えられ、混合物が、N 雰囲気下で一晩撹拌された。 翌日、より多くのNHS(4mg)が加えられ、混合物は、再び、5時間撹拌された。 テストサンプルが採取され、解析のために過剰のn−ブチルアミンと反応するようにされた。 このサンプルのLC−MSは、生成物が形成されたことを示した(m/z=667のブチルアミド)。 混合物は、減圧下で濃縮され、ジクロロメタン(20ml)に再溶解された。 この溶液は、飽和NaHCO (20ml)によってクエンチされた。 有機層は、飽和NaClによって洗浄され、硫酸ナトリウムを通じて乾燥された。 テストサンプルが、解析のために採取された:過剰のブチルアミンが加えられ、混合物は、15分間撹拌された。 溶液は、減圧下で濃縮され、LC−MSによって解析された。 この解析は、生成物が良い品質であることを示した。 溶液は濃縮され、7mgの所望の(Leu) 生成物を産生した。

    例2−(Leu) 標識化試薬を使用したペプチドの標識化。
    パイロット試験において、図6Aに示される(Leu) 化合物が、ウシ血清アルブミン(BSA)を標識化するための標識化試薬として使用された。 図6Aは、リポータイオン及び同重体標識成分のバランス基の両方を含むとともに、反応基としてNHS−エステルを含む(Leu) 化合物を概略的に示す。 タンデム質量分析(MS/MS)のフラグメンテーション部位が、矢印によって示されている。

    標識化のために、50gのウシ血清アルブミンが還元され(5mMのTCEP、56℃で15分間インキュベーション)、アルキル化された(10mMのヨードアセトアミド、暗所室温で30分間インキュベーション);MC標識のバッチ(400mg)が、80mlのエタノールに溶解され(3mlが、標識の別個の質量分析のために採取された、図6B参照)、その後、還元されアルキル化されたBSAに加えられた。 この混合物は、室温で2時間インキュベートされた。

    標識化の後、反応混合物のバッファは、5K MWCO(分子量カットオフ)限外濾過フィルタを使用して、100mmの重炭酸アンモニウム、pH8に交換された。 トリプシンが1:25の比率で加えられ、この混合物は、37℃で一晩インキュベートされた。

    ペプチド識別のために、消化されたBSAペプチドが、逆相液体クロマトグラフィ−エレクトロスプレーイオントラップ質量分析を使用して、分別(すなわちソート)された(LC−MS;図6C、上図参照)。 象徴的なLC−MSピークが、MSを使用して、更に解析された(図6C、中央図)。 標識化されたペプチドに対応する象徴的なMSピークは、その後、MS/MS解析(図6C、下図)を受けた。 結果として得られたMS/MSスペクトルは、mgf−ファイル(Mascot Generic Format)に変換され、mgf−ファイルは、マスコットソフトウェアを使用してスイスプロットデータベースに対して検索された。 メチオニン酸化及びシステインカルバミドメチル化に続いて、リシンMC−L3が、可能な修飾として考慮された。 最後に、解析されたペプチドのアミノ酸配列(一文字表記)は、CCTKPESERであると決定された(図6D参照)。 別の試験(データは図示せず)において、アミノ酸配列CASIQKFGERを有する第2のBSAペプチドが、(Leu) 標識化試薬を使用して、成功裏に識別されることができた。

    例3−前立腺ガンのバイオマーカ識別。
    前立腺ガン(PCa)は、ヨーロッパの男性の最も一般的な悪性腫瘍である。 2002年、約225,000人の男性が、新たにPCaと診断され、約83,000人の男性が、この疾患で死亡した。 PCaは、超音波ガイドされる経直腸生検によって得られる前立腺組織の組織学的検査によって診断される。 生検のための指標は、主に、増大された血清前立腺特異抗原(PSA)及び/又は異常デジタル直腸検査である。 PSAは、標準診断及び予後のPCaマーカである。 PCaの認識は、PSAテストの使用を普及させ、診断時のより低い腫瘍ステージ及びグレードにつながっている。

    しかしながら、PSAの使用は、ある欠点に関連付けられる。 まず、PSAの増加は、良性及び悪性の前立腺疾患を反映することができ、すなわち、PSAは、癌に特有のものではなく、70−80%の陰性の生検レートをもたらす。 従って、多数の患者が、前立腺の生検を不必要に受けている。 このような増大される検出は、臨床的に重要でない腫瘍の診断及び潜在的な過剰治療につながる。 更に、臨床的にローカライズされた疾患を有する患者の問題もあり、かかる患者は、やがて症候性の癌につながる検知されない微小転移巣を有する。 今日では、これらの患者は、治療可能でない。 最後に、根治的治療によって治癒されない多くのPCa患者は、結局、ホルモン非依存性及び治療耐性をあらわす。 アンドロゲン非依存性の早期の認識は、腫瘍進行の初期ステージでの二次的治療による体系的治療のための指標になりうる。 しかしながら、現在、初期ステージでの治療に対する耐性を予測することは可能でない。

    従って、そのアプリケーションが診断特定性の増加をもたらし、害が無い腫瘍と侵襲性腫瘍との間の差別化を可能にし、初期疾患ステージでのアンドロゲン非依存性に対する進行の識別を可能にする、PCaマーカのニーズがある。

    血清及び尿は、良性及び悪性の細胞の分解生成物及びそれらの分泌生成物を含む。 これらの体液中のバイオマーカの判定は、組織マーカの使用を通じて、特定の利点をもつ。 血清及び尿へのPCa関連のタンパク質及び/又はペプチドのリリースは、腫瘍代謝を不完全に反映するが、これらの体液は、容易に得られることができる。 対照的に、前立腺組織サンプリングは、侵襲性のプロシージャ(すなわち経直腸的に超音波ガイドされる生検)を必要とする。

    例4−潜在的に治療可能な腫瘍の識別。
    血清前立腺特異抗原(PSA)テスト及びその後の経直腸的に超音波ガイドされるニードル生検は、根治的介入から利益を得ることができる男性(50乃至70歳)の前立腺ガンの検出を可能にする。 前立腺ガンは、スクリーニング努力の強さ(例えば、実施されるPSAテストの数は、PSAカットオフ値のレベル、得られる生検の数及び頻度)に依存して、2%(Frankel, S.他,(2003) Lancet 361, 1122-28)乃至40%(Thompson, IM他, (2003) New Engl. J. Med. 349, 215-24)の率で検出されることができる。 PSAは前立腺ガンに特有のものではないので、多数の偽陽性結果が発生する(癌は、高いPSAレベルをもつ、生検を受ける男性の約70%には見つからない)。 シンプルなPSA血液検査は安全であり、許容できるが、生検は、不快であり、痛みを伴うことがあり、出血及び感染症のリスクをもつ。 更に、「正常な」PSAテストがあって前立腺ガンをのちに発症する偽陰性の人の予測不可能な数がある:検出可能な腫瘍の36.5%が、ヨーロッパのランダム化スクリーニングトライアル(ERSPC)において、4ng/ml以下のPSAレベルを有する男性に識別された(Schroder, FH他, (2000) J. Urology 163, 806-812)。

    前立腺ガンのための改善された診断テストが必要とされることが明らかである。 PSAは、生検を「トリガ」し、分かっている癌をもつ人を監視するために有用なツールであったが、スクリーニングには効果的でない。 PSAレベルに関係なく、男性が数回生検採取された前立腺ガン防止トライアルにおいて、前立腺ガンの出現は、以下の通りであった(上述のThompson、IM他,(2004)参照):0.5のPSAレベルを有する人の6.6%、0.6乃至1.0のPSAレベルを有する人の10.1%、1.1乃至2.0のPSAレベルを有する人の17.0%、2.1乃至3.0のPSAレベルを有する人の23.9%、3.1乃至4.0のPSAレベルを有する人の26.9%。

    ローカライズされた前立腺ガンと診断された患者の中でも、更なる不確実さがある。 腫瘍進行の見込み及びスピードは、今日では、予測するのが不可能である。 高いグリーソングレードを有する腫瘍は、低いグレードを有する腫瘍よりも進行する見込みが大きい。 しかしながら、診断から15年内に死亡するリスクは、8−10の最も高いスコアを有する腫瘍に苦しむ患者の60−80%から、2−4のスコアを有する腫瘍に苦しむ患者の4−7%まで幅があり、最も一般的にスクリーン検出される6のスコアを有する腫瘍に苦しむ患者の場合は18−30%である(Albertsen, PC他, (1998) JAMA 280, 975-80)。

    従って、今日のスクリーニング技法は、腫瘍が見つけられることを可能にするが、痛みのない病変及び致命的な病変を区別することは今日では不可能であるので、取るに足らない疾患の多数の過剰治療の可能性がある。

    例5−バイオマーカ発見のための患者サンプルの並列スクリーニング。

    異なるサンプル間の臨床的に関連するタンパク質発現差を決定するために、図2に示される実験設計が、本発明に従って使用される。

    実験設計は、個々の「軽い」及び「重い」同位体標識成分の間の質量分析(MS)のレベルに現れる任意の発現差が、健常ドナー又は良性疾患患者からのサンプルと、疾患の局所的な又は進行したステージにある攻撃的な癌の患者からのサンプルとの間の潜在的に重要な差別的なフィーチャを反映するように選択される。 同重体標識成分を用いてタンデムMS/MSによって得られるMS信号の更なる解析は、調査された群の間のタンパク質発現の差に関するより詳しい答えをもたらす。

    別の臨床的な問題が対処される場合、実験設計は、相応に調整されなければならない。 例えば、目標が、前立腺ガンのステージングのためにマーカを識別することである場合、実験ストラテジの設計は、以下の通りでありうる:
    −サンプル群1:良性ドナー又は上皮内癌(PIN)
    −サンプル群2:局所的なPCa疾患−サンプル群3:局所進行したPCa疾患−サンプル群4:侵襲性のホルモン抵抗性PCa疾患

    本発明に規定される標識化試薬を使用して解析されるべきサンプルのタンパク分子を個別に標識化した後、サンプルは混合され、標識化されたタンパク分子は、標識に含まれる同位体標識試薬/親和性タグを介して親和性精製によって分離される。

    分離された標識化されたタンパク分子は、質量分析法によって更に解析される。

    ある実施形態において、本発明は以下に関連する:
    1. タンパク分子を標識化するための標識化試薬であって、
    (a)同重体標識成分と、
    (b)同位体標識成分と、
    (c)タンパク分子と反応することができる反応基と、
    を含み、前記同位体標識成分は親和性タグでもある、標識化試薬。

    2. 前記同位体標識成分/親和性タグが、前記同重体標識成分と前記反応基との間に配される構造を有する、上記1に記載の標識化試薬。

    3. 前記同重体標識成分が、前記同位体標識成分/親和性タグと前記反応基との間に配される構造を有する、上記1に記載の標識化試薬。

    4. 前記親和性タグは、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(His) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、(Leu) タグ、c−mycタグ、HAタグ、FLAGタグ、VSV−Gタグ、HSVタグ、V5タグ、ビオチン及びその誘導体、炭水化物及びグリカンを含むグループから選択される、上記1乃至3のいずれか1に記載の標識化試薬。

    5. 前記反応基は、アミノ反応基、スルフヒドリル反応基及びカルボキシル反応基を含むグループから選択される、上記1乃至4のいずれか1に記載の標識化試薬。

    6. 上記1乃至5のいずれか1に記載の標識化試薬を含むキットであって、組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含み、整数nは、n≧2であり、それぞれ異なって標識化される同重体標識成分の数を表し、整数mは、m≧2であり、それぞれ異なって標識化される同位体標識成分/親和性タグの数を表す、キット。

    7. 整数nが、n≧4であり、整数mは、m≧2である、上記6に記載のキット。

    8.1又は複数のサンプル中の1又は複数のタンパク分子の解析方法であって、
    (a)組み合わせによる複数のn・m標識化試薬を含む、上記6又は7に記載のキットを準備するステップと、
    (b)前記1又は複数のサンプルの各々を、前記n・m標識化試薬の異なるものと個別に接触させることによって、前記1又は複数のサンプルに含まれるタンパク分子の少なくとも1のサブセットを標識化するステップと、
    (c)前記1又は複数のサンプルを混合するステップと、
    (d)前記標識に含まれる前記親和性タグを介して親和性精製によって、前記標識化されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分離するステップと、
    (e)前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを解析するステップと、を含む方法。

    9. 前記方法は、M・Nサンプルによって実施され、整数Mは、サンプル群の数を表し、整数Nは、各サンプル群の個別のメンバの数を表し、N=n及びM=mである、上記8に記載の方法。

    10. 前記ステップ(b)を実施する前に、前記タンパク分子をペプチドに開裂するステップを含む、上記8又は9に記載の方法。

    11. 前記ステップ(e)を実施する前に、前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットを分別するステップを含む、上記8乃至10のいずれか1に記載の方法。

    12. 前記分離されたタンパク分子の少なくとも1のサブセットの解析は、質量分析によって実施される、上記8乃至11のいずれか1に記載の方法。

    13. 前記1又は複数のサンプルの各々について前記ステップ(e)で得られた解析の結果を比較するステップを更に含む、上記8乃至12のいずれか1に記載の方法。

    14. 前記方法は、高スループットフォーマットで実施される、上記8乃至13のいずれか1に記載の方法。

    15. タンパク質発現プロファイリングを実施するための又はプロテオーム解析を実施するための上記1乃至5のいずれか1に記載の標識化試薬及び/又は上記6又は7に記載のキットの使用。

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