Encoded combinatorial chemical library

申请号 JP2007280398 申请日 2007-10-29 公开(公告)号 JP2008136483A 公开(公告)日 2008-06-19
申请人 Scripps Res Inst:The; ザ スクリップス リサーチ インスティテュート; 发明人 LERNER RICHARD; JANDA KIM; BRENNER SYDNEY; NIELSEN JOHN;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an encoded chemical library composed of accumulation of chemical structures defining diversity of biological structures. SOLUTION: An encoded combinatorial chemical library composed of a plurality of bifunctional molecules having both a chemical polymer and an identifier oligonucleotide sequence defining the structure of the chemical polymer, is provided. Further, bifunctional molecules in the library and methods of using the library to identify chemical structures within the library that bind to biologically active molecules in preselected binding interactions, are also provided. COPYRIGHT: (C)2008,JPO&INPIT
权利要求
  • 式A−B−Cで表される二官能分子[式中、Aは、オリゴ糖、糖脂質、脂質、プロテオグリカン、糖ペプチド及びオリゴヌクレオチドからなる群より選ばれるポリマーであり、かつ、
    式:(X n )− … −(X 3 )−(X 2 )−(X 1
    (式中、X 1 、X 2 、X 3 、…X nは、それぞれ該ポリマーAを構成する単一化学単位であり、かつ、オリゴ糖のサブユニット、糖脂質のサブユニット、脂質のサブユニット、プロテオグリカンのサブユニット、糖ペプチドのサブユニット及びオリゴヌクレオチドのサブユニットからなる群より選ばれ、
    nは該ポリマーA中のXの位置を同定する番号であり、4〜50の整数である)で表される線状の化学単位を含み、
    BはA及びCに操作的に結合したリンカー分子であり、
    Cはアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドであり、該アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドCは、
    式:P1−(Z 1 )−(Z 2 )−(Z 3 )− … −(Z n )−P2
    (式中、P1及びP2は、該アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを増幅するために適合したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー結合部位を与えるヌクレオチド配列であり、P1及びP2は、それぞれPCR増幅二重らせんDNAフラグメントに存在する場合、制限エンドヌクレアーゼ部位を定義する配列を含む、
    ここで、Z 1 、Z 2 、Z 3 、…Z nは、それぞれ該アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドCを構成する単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列であり、
    nは該アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドC中のZの位置を同定する番号であり、4〜50の整数である)で表される]。
  • 請求項1記載の二官能分子を複数含むライブラリーであって、該二官能分子の数が、式V a (式中、Vはポリマーにおける異なる化学単位の数であり、aは、4〜50の整数である)によって表される事を特徴とするライブラリー。
  • 生物活性分子との前選択結合相互作用に関与する化学構造の同定方法において、該化学構造が請求項2記載の二官能分子のライブラリーに存在する方法であって、
    a)該二官能分子ライブラリーを生物活性分子と溶液中で結合条件下で結合反応複合体を形成するのに十分な時間混合し、
    b)段階(a)で形成した複合体を単離し、
    c)単離した複合体のアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定し、それにより前選択結合相互作用に関与する化学構造を同定する、
    段階を含む事を特徴とする方法。
  • 说明书全文

    説明
    技術分野
    本発明は、生物構造の多様性を定義する化学構造の集積を含むコードされた化学ライブラリーに関する。

    背景

    医薬及び農薬に適用する場合、広範囲な生物学的過程を効果的に調節することができる新規な分子を見出すことがますます求められている。 生物活性化学薬品を検索する標準的方法は、天然物質のコレクション、例えば発酵ブイヨンもしくは植物エキス又は合成分子のライブラリーを複雑度が簡単な結合反応から緻密な生理的標品までにわたる分析を用いてスクリーンすることである。 スクリーンはたいてい手がかりを与えるだけであり、更に経験的方法あるいは化学設計による改良が必要である。 時間がかかりかつ高価な方法であれば、標的分子の化学構造の詳細な知識に基づく合理的な方法であってもまったく置き換えられることにはならない。 即ち、"不合理な薬剤設計"と呼ばれる-大量の集団又は集積から正しい分子を選択する方法-には、集積の作成及び選択方法の双方に引き続き改良が必要とされている。

    最近、手がかりを発見する化合物ライブラリーを提供するためにペプチド又はヌクレオチドを用いるに当たりいくつかが開発された。 モノクローナル抗体で認識されたエピトープの決定を速める方法が最初に開発された。 いまでは例えば合成ペプチドの段階的検索の標準的連続方法は極めて精巧な方法を包含し、大量のペプチド配列が平行して合成されかつ蛍光又は他のリポーター基で標識された受容体分子を用いてスクリーンされる。 有効なペプチド配列は、配列中のアドレスから解読することができる。 例えば、Geysenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 81:3998-4002(1984); Maejiら, J. Immunol. Met. ,146: 83-90(1992);及びFodorら, Science , 251:767-775(1991)参照。

    別の研究において、Lamら, Nature,354:82-84(1991)には、各樹脂ビーズが約20モルのペプチドを含むように樹脂ビーズ上で合成されるペプチドの組合わせライブラリーが記載されている。 このビーズは標識受容体分子を用いてスクリーンされ、結合受容体を有するものが肉眼による検査で検索し、物理的に取り出し、ペプチドが直接配列分析により同定される。 理論上、この方法は他の化学物質と用いることができるが、配列決定に感受性のある方法が必要である。

    組合わせペプチドライブラリーにおける同定の課題を解決する別の方法が、Houghtenら, Nature, 354:84-86(1991)によって用いられている。 20種の天然アミノ酸のヘキサペプチドの場合、400種の別個のライブラリーが合成され、各々最初の2つのアミノ酸は一定であり残りの4位置はすべての可能な組合わせで占められる。 次いで活性ペプチドを用いてライブラリーを見出すために、結合又は他の活性の競合に基づく分析が用いられる。 次いで20種の新しいライブラリーが合成され、3番目の位置の有効なアミノ酸を決定するために分析され、活性ヘキサペプチドが定義されるまでこの方法でプロセスが反復される。 これは暗号辞書を検索するのに用いられる方法と似ており、一連のふるい又はバケツを用いて構築することによりペプチドが解読され、これにより検索が対数になる。

    最近極めて強な生物学的方法であって、各ファージが個々のペプチドを有しかつそれを特定するDNA配列を含むようにペプチドライブラリーがバクテリオファージの表面に存在する方法が記載された。 ライブラリーはすべての組合わせが生じるようにランダムオリゴヌクレオチドの集積を合成することにより作成され、次いでファージベクターに挿入される。 各々の配列が1つのファージでクローン化され、特定の標的に結合するものを見出すことにより適切なペプチドを選択することができる。 この方法で回収されたファージを増幅し、選択を繰り返すことができる。 ペプチド配列は、DNAの配列を決定することにより解読される。 例えば、Cwirlaら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 87:6378-6382(1990); Scottら, Science , 249:386-390(1990); 及びDevlinら, Science , 249:404-406(1990)参照。

    ライブラリーが合成オリゴヌクレオチド自体であって、活性オリゴヌクレオチド分子が受容体に結合することにより選択され、次いでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅される別の"遺伝的"方法が記載された。 PCRは連続的に強化することができ、次いでPCR産物から作成されたクローンのDNA配列を決定することにより活性分子の構造が解読される。 この集積はヌクレオチド及び天然ピリミジン及びプリン塩基又は特定のワトソン・クリック対を保存する修飾体に限定され、ポリメラーゼによりコピーされる。

    遺伝的方法の主な利点はDNA配列のクローン化及び増幅能力にあり、連続的選択により強化することができかつ活性分子の構造を解読する簡便な方法を与える。 しかしながら、遺伝的集積はヌクレオチド及び天然アミノ酸からなるペプチドに限定され、結合部位の全領域にある広範囲な化学集積が必要である。 反対に、化学的方法は無限の集積を与えることができるが連続的強化の能力がなく、選択された活性分子の構造を発見するに当たり困難がある。

    発明の要約
    本発明は、 コードされた組合わせ化学ライブラリーの構築により上記に纏められた化学的及び遺伝的方法の双方の利点を組合わせる方法であって、各化学配列が化学合成によりそれ自体構築された"遺伝的"垂れはしの付加により標識されて各化学構造を特定する"レトロ遺伝子"法を提供する方法を提供するものである。

    概略は、2つの交互の平行組合わせ合成が合成される化学構造に化学的に結合され、各場合においては、特定の化学単位の1種を構造に付加するとオリゴヌクレオチド配列が付加され、その化学単位を"コード"するように、即ち化学単位構造をアイデンティファイアーとして機能するように定義される。 プール及び分割後このプロセスを繰り返すことによりライブラリーがつくられる。

    そのようにして作製されたライブラリーから問題の前選択された生物学的分子に結合するか又は結合、活性化、化学的触媒等のような所望の活姓を有するライブラリー中の種類を同定することにより、活性分子が選択される。 その後、活性分子の同一性は遺伝的垂れはし、即ちアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列を読み取ることにより決定される。 1実施態様においては、レトロ遺伝子垂れはしの増殖コピーはポリメラーゼ連鎖反応により得ることができる。

    次いで適切な極性を有する増幅コピー鎖を用いてマッチング垂れはしによるハイブリッド形成によりサブセットのライブラリーを強化することができ、次いでこのプロセスがこのサブセットに繰り返される。 即ち、増幅することができるヌクレオチド配列への結合を利用する精製プロセスにより連続的強化が得られる。 最後に、PCR反応の生産物をクローン化及び配列決定することにより化学物質の構造が解読される。

    従って、本発明は化学多様性の強化源である二官能分子ライブラリーの使用による前選択結合又は触媒活性を有する化学構造を同定する新規な方法を提供するものである。 このライブラリーは前選択生物分子と相互作用する化学構造(構造モチーフ)を同定するために用いられる。

    即ち、1実施態様においては、本発明は式ABC(式中、Aは化学部分であり、BはA及びCに操作的に結合したリンカー分子であり、Cは化学部分Aの構造を同定するヌクレオチド配列を含むアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドである。)による二官能分子を企図するものである。

    もう1つの実施態様においては、本発明は複数種の二官能分子を含むライブラリーを企図するものであり、これにより化学多様性の集積が形成される。

    もう1つの実施態様は、結合又は触媒のような生物活性分子と前選択化学的又は生化学的相互作用に関与する化学構造の同定方法であって、その化学構造が本発明による二官能分子のライブラリーに存在する方法を企図するものである。 本方法は下記段階を含んでいる:
    a)二官能分子のライブラリーと生物学的に活性な分子とを溶液中で結合条件下結合反応複合体を形成するのに十分な時間混合し;
    b)段階(a)で形成された複合体を単離し;
    c)単離複合体中のポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を求め、それにより前選択結合相互作用に関与した化学構造を同定する。

    本発明は、また下記段階を含む本発明によるライブラリーの調製方法を企図するものである:
    a)末端A'で化学前駆体単位及び末端C'でヌクレオチド前駆体Z'との反応に適応する式A'-B-C'による末端A'及びC'を有するリンカーBを供給し;
    b)化学前駆体単位X'を該リンカーの末端A'に付加するとともに前駆体単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZ'を該リンカーの末端C'に付加して構造X n -BZ nを有する二官能分子を含む組成物を形成することにより合成を行い;
    c)組成物の1個以上のアリコートで段階(b)を繰り返して二官能分子を含む産物を含むアリコートを作製し;
    d)段階(c)で作製した部分を組合わせて二官能分子の混合物を形成し、それにより該ライブラリーを形成する。

    関連の実施態様においては、本発明は、(1)溶液に分散できる種類である固体支持体、(2)固体支持体に結合した第1結合単位、(3)第1結合単位に結合した第2結合単位及び(4)第2結合単位に結合した二官能単位を含むオリゴペプチド/オリゴヌクレオチド複合体を合成する二官能固体支持体であって、二官能単位がオリゴペプチド合成に使用できる第1脱離基及びオリゴヌクレオチド合成に使用できる第2脱離基を有し、第1脱離基がN-FMOC又はその官能等価基であり、第2脱離基が0-DMT又はその官能等価基であり、第2結合単位が濃アンモニア水にさらすことにより切断可能結合によって第1結合単位に結合され、固体支持体、第1結合単位、第2結合単位、切断可能結合、第1及び第2脱離基のみの二官能単位の各々がFMOC脱離基を用いるオリゴヌクレオチド合成プロトコールで用いられる条件及びO-DMT脱離基を用いるオリゴヌクレオチド合成プロトコールで用いられる条件に実質的に化学的に反応しない該支持体が記載される。

    更に、(1)水溶液に分散できる種類の固体支持体、(2)固体支持体に結合した第1結合単位、(3)第1結合単位に結合した第2結合単位、(4)第2結合単位に結合した二官能単位、(5)二官能単位に結合したオリゴヌクレオチド及び(6)二官能単位に結合したオリゴヌクレオチドを含むオリゴペプチド/オリゴヌクレオチドライブラリーの要素が企図される。

    図面の簡単な説明
    本開示の一部をなす図面において:
    図1は、本発明の二官能分子から誘導されたPCR増幅産物の制限エンドヌクレアーゼ切断(段階1)、引き続きその切断PCR産物へのビオチン添加(段階2)のスキームを示すものである。
    図2は、実施例9に記載される方法による二官能分子を有するライブラリーの作製方法を示すものである。
    図3は、本発明を実施するのに有効であり実施例3Bに記載される"bf-CPG"と称される制御細孔ガラス(CPG)支持体に基づく好ましい二官能リンカー-支持体分子の構造を示すものである。

    発明の詳細な説明
    A. コードされた組合わせ化学ライブラリー
    コードされた組合わせ化学ライブラリーは、各々が異なる化学構造を定義しかつヌクレオチド配列が対応する化学構造を定義するユニークなアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを含む複数の二官能分子種を含む組成物である。

    1. 二官能分子
    二官能分子は本発明のライブラリーの基本単位であり、ライブラリーの化学部分を形成する一連の化学ビルディングブロックから構成されたポリマー要素及び化学部分の構造を確認するコードを備えている。

    即ち、二官能分子は式ABC(式中、Aは化学部分であり、BはA及びCに操作的に結合したリンカー分子であり、Cは化学部分Aの構造を同定するヌクレオチド配列を含むアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドである。)で表すことができる。

    a. 化学ポリマー
    本発明の二官能分子の化学部分は、上記式ABCのAで表され、式(X n ) a (式中、XはポリマーAの単一化学単位であり、nはポリマーAのXの位置アイデンティファイアーである。)で表される線状の化学単位を含むポリマーである。 nが1の場合、Xはリンカー(B)に最も近い位置にあるように、nは1+i(iは0〜10の整数である。)値を有する。

    aで定義されるポリマーの長さは変動することができるが、本明細書で更に述べられる大きなアルファベットサイズがある場合には実施しやすいライブラリーサイズ限界が生じる。 典型的には、aは4〜50の整数である。

    化学部分(ポリマーA)は種々のポリマー構造であり、本発明のライブラリーで表されるべき化学多様性の種類の選択に左右される。 ポリマーAは、ポリマー形に結合及び伸長することができるモノマー化学単位である。 例えば、ポリマーAはポリペプチド、オリゴ糖、糖脂質、脂質、プロテオグリカン、糖ペプチド、スルホンアミド、核タンパク質、複合ペプチド(即ち、補欠分子族を有する)、遷移状態類縁体のような酵素基質を含有するポリマー、Ψ[COH 2 ]、Ψ[COS]、Ψ[COO]又はΨ[PO 2 NH]のようなアミド結合置換部分を有するポリペプチド類縁体ポリマー及び類似の生化学ポリマーとすることができる。 具体的には本明細書で記載されたポリペプチド系ライブラリーである。

    ライブラリーがペプチドポリマーを含む場合、化学単位Xは天然タンパク質の領域を形成するように選択されるか又は非天然ポリペプチドであるか、天然D-アミノ酸を含むか又は非天然アミノ酸もしくは天然及び非天然アミノ酸の混合物を含むことができる。 非天然混合物は、生物学的相互作用に関係する有効かつユニークな構造モチーフの同定を与える。

    非天然アミノ酸としては、修飾アミノ酸及びL-アミノ酸、D-アミノ酸び立体異性体及びアミド又はプソイドアミド結合を形成することができる他の化合物が挙げられる。

    本明細書に記載されるアミノ酸残基は、"L"異性体であることが好ましい。 "H"は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を意味する。 "OH"は、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基を意味する。 J. Biol. Chem., 243:3552-59(1969)及び37 CFR §1.822(b)(2)で採用された標準ポリペプチド命名法と一致したアミノ酸の略号を下記対応表に示す:

    対応表
    記号 アミノ酸
    1-文字 3-文字
    Y Tyr チロシン
    G Gly グリシン
    F Phe フェニルアラニン
    M Met メチオニン
    A Ala アラニン
    S Ser セリン
    I Ile イソロイシン
    L Leu ロイシン
    T Thr トレオニン
    V Val バリン
    P Pro プロリン
    K Lys リシン
    H His ヒスチジン
    Q Gln グルタミン
    E Glu グルタミン酸
    W Trp トリプトファン
    R Arg アルギニン
    D Asp アスパラギン酸
    N Asn アスパラギン
    C Cys システイン

    "アミノ酸残基"なる語は、対応表並びに修飾及び特異アミノ酸、例えば37 CFR§1.822(b)(4)に挙げられたものを包含するように広く定義され、参考として本明細書に引用される。

    従って、化学部分Aで定義されたポリマーは化学的多様性を高めるポリマーバックボーン修飾を含むことができる。 例としてポリペプチド系をつくるに当たり、次のバックボーン構造: -NHN(R)CO-、-NHB(R)CO-、-NHC(RR')CO-、-NHC(=CHR)CO-、-NHC 6 H 4 CO-、-NHCH 2 CHRCO-、-NHCHRCH 2 CO-及びラクタム構造のような種々の修飾が企図される。

    更に、-COCH 2 -、-COS-、-CONR、-COO-、-CSNH-、-CH 2 NH-、-CH 2 CH 2 -、-CH 2 S-、-CH 2 SO-、-CH 2 SO 2 、-CH(CH 3 )S-、-CH=CH-、-NHCO-、-NHCONH-、-CONHO-、-C(=CH 2 )CH 2 -、-PO 2 -NH-、-PO 2 -CH 2 -、-PO 2 -CH 2 N +及びSO 2 NH - -のようなアミド結合修飾が企図される。

    b. ポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド
    本発明の二官能分子内のアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドは、上記式ABCのCで表されかつ式(Z n ) a (式中、Zは位置nの化学単位Xを同定するオリゴヌクレオチドC内の単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列である。)で表された配列を有するオリゴヌクレオチドである。 nが1の場合、zはリンカー(B)に最も近い位置にあるように、nは1+i(iは0〜10の整数である。)値を有する。 aは前述のようにオリゴヌクレオチドの化学単位アイデンティファイアー数を意味する整数である。

    例えば、二官能分子は下記式で表される。
    X 4 X 3 X 2 X 1 -BZ 1 Z 2 Z 3 Z 4

    この例においては、オリゴヌクレオチドZ 1 、Z 2 、Z 3及びZ 4の配列は各々化学単位X 1 、X 2 、X 3及びX 4の構造を同定する。 即ち、アイデンティファイアー配列において位置nの化学単位Xと位置nの単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZとの間に対応がある。

    単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの長さは、ライブラリーの複雑度、独自に同定されるべき異種化学単位数並びにハイブリッド形成及びポリメラーゼ連鎖反応忠実度のようなオリゴヌクレオチドの一意性の要求に関する他の検討に基づいて変動させることができる。 典型的な長さは約2〜約10ヌクレオチドであるが、より長いものから単位アイデンティファイアーを除外することはなにもない。

    アデノシン(A)、グアノシン(G)、チミジン(T)及びシチジン(C)が単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドに介在するデオキシヌクレオチドの典型的選択を表す限りにおいては、A、G、T及びCは単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの配列を"はっきり説明する"ために用いられる代表的な"アルファベット"を形成する。 他のヌクレオチド又はヌクレオチド類縁体は、ワトソン・クリック対の形成能を有しかつPCR反応においてDNAポリメラーゼで複製される限り、上記4種のヌクレオチドの他にあるいは代わりに用いることができる。 しかしながら、ヌクレオチドA、G、T及びCが好ましい。

    アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのコード設計の場合、オリゴヌクレオチド配列の重要な部分が偶然にさもなければライブラリーの二官能分子の操作中に別の関係のない組合わせに生じないようにコード表示を選択することが必要である。

    例えば、Zがトリヌクレオチドであり、その配列がユニークな化学単位Xを定義するライブラリーを検討する。 本発明の方法は化学単位のアルファベットのすべての組合わせ及び順列を与えるので、2種類の異なった単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列がフレームシフトだけで異なり従ってフレームが明確でない限りハイブリッド形成又は配列決定で容易に区別できる密接に関連した配列を有することが可能である。

    単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの誤解読の他の原因が生じることがある。 例えば、DNAハイブリッド形成におけるミスマッチ、アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを増幅又は配列決定するプライマー伸長反応での転写エラー及び類似エラーが二官能分子の操作で生じる。

    本発明は、アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを読み取る際にエラーの可能性を減少する、例えば単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列間の類似性を低下させるように単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列のより長いヌクレオチドを使用する種々の手段を企図するものである。 典型的な長さは、化学単位のアルファベットのサイズに左右される。

    フレームシフト又は突然変異による解読エラーを取り除くのに有効な代表的な系は、遺伝コードに対する理論代替コードとして開発されたコードでありかつ無コンマ遺伝コードとして知られている。 Crickら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 43:416-421(1957)。

    化学単位がアミノ酸である場合、便利な単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列はトリプレットコドンを用いた周知の遺伝コード又は上記Crickらに記載されている無コンマコードの使用である。 本発明は、遺伝コードのトリプレットコドンと天然アミノ酸との間に与えられた翻訳によって限定される必要がなく、他の対応系を対応させることができる。

    典型的な及び例示の単位アイデンティファイアーヌクレオチドは、実施例において記載される無コンマコードに基づきかつ相補的ハイブリッド形成を確実にする長さを示すために化学単位当たり6ヌクレオチド(ヘキサヌクレオチド)の長さを有する。

    アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドは、効果的なハイブリッド形成の場合垂れはし(コード)領域に少なくとも15ヌクレオチドを有することが好ましい。 更に、ライブラリーの複雑度の検討、化学単位のアルファベットのサイズ及び化学部分のポリマーの長さがすべて本明細書で更に詳細に述べられるアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの長さに寄与している。

    好ましい実施例においては、アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドCは式P1-(Z n ) a -P2(P1及びP2はポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを増幅するために適応されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー結合部位を与えるヌクレオチド配列である。)で表されるヌクレオチド配列を有する。 PCRプライマー結合部位の要求は通常当該技術において周知であるが、ポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列を含むPCR増幅産物(PCR増幅二重らせんDNAフラグメント)を形成させるように設計される。

    アイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列(Z n ) aに隣接する2つのPCRプライマー結合部位、P1及びP2が存在すると、PCRを用いて二官能分子から誘導されたPCR増幅二重らせんDNAフラグメントを作製する手段をとなる。 この設計は、二官能分子内の化学部分の構造を決定するアイデンティファイアーコードの解読方法においてクローン化及び配列決定する目的に対して特定の二官能分子上に存在する垂れはし配列を増幅させるのに有効である。

    ヌクレオチドP1及びP2の一方又は双方がアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列からPCRプライマー結合部位を除去する手段を含むように設計される二官能分子であることが更に好ましい。 配列が次のハイブリッド形成反応に寄与しないように、フランキングPI及びP2配列の除去が好ましい。 PCR増幅産物からPCRプライマー結合部位を除去する好ましい手段は、PCR増幅二重らせんDNAフラグメント内の制限エンドヌクレアーゼ部位の形にある。

    制限エンドヌクレアーゼは当該技術において周知であり、二重らせんDNAの特定の長さを認識しかつ配列特異的方法でDNAを切断する酵素である。

    好ましくは制限エンドヌクレアーゼ部位は、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する二官能分子を処理する際に除去されるPl及びP2の量を最大にするためにPCRプライマー結合部位に相対する(Z n ) aに近く位置しなければならない。 更に好ましくはP1及びP2は各々得られたPCR増幅二重らせんDNAの制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するように適応し、制限エンドヌクレアーゼで切断される場合、2つの制限部位は非オーバーラップ付着末端を形成して次の操作を容易にする。

    切断した場合次の操作を容易にするビオチニル化ヌクレオチド(例えばビオチニルデオキシUTP)の取込みのような末端特異的修飾に適応したオーバーラップ末端を得る制限部位が特に好ましい。

    アイデンティファイアーオリゴヌクレオチド内の上記好ましい実施態様は、図1に示される特定の実施態様に纏められる。

    図1においては、実施例に記載されているアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドから誘導されるPCR増幅二重らせんDNAが示されている。 (Z n )配列はコード配列として括弧に示され、その二重らせんの相補鎖はアンチコード鎖として角括弧に示されている。 P1及びP2配列は、5'から角括弧まであるP1配列で区切られたStyI制限ユンドヌクレアーゼ部位及び3'から角括弧まであるP2配列で区切られたApaI制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて詳細に示されている。

    段階1は、PCR増幅2重らせんDNAを酵素StyI及びApaIで切断して付着末端を有する修飾アイデンティファイアー配列を形成することを示すものである。 段階2はStyI部位のアンチコード鎖を特異的にビオチニル化し、それによりビオチニル化UTPの取込みがBで示されている。

    図1において段階1後非オーバーラッピング付着末端が存在すると、制限消化PCR増幅フラグメントを適切なベクター、例えば配列決定ベクターに特異的及び方向性クローン化することができる。 更に、得られた突出部分がDNAポリメラーゼクレノウフラグメントを用いるdCTP及びビオチニルdUTP(BTP)による挿入反応の基質であることから、StyIはP1の中に設計された。 他の制限部位、ApaIは上記ビオチニル化の基質とならないように選択されたので、アンチコード鎖のみをビオチニル化することができる。

    ビオチニル化されると、二重らせんフラグメントは固定化アビジンに結合することができ、二重らせんを変性してアイデンティファイアーヌクレオチド配列を含むコード配列を遊離することができ、それにより更に本明細書に記載される関連のコーディング鎖の選択にハイブリッド形成試薬として有効な精製アンチコード鎖を得ることができる。

    c. リンカー分子
    本発明の二官能分子のリンカー分子は上記式ABCのBで表され、化学部分をアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドに操作的に結合する機能を行う分子とすることができる。

    リンカー分子は固体支持体に結合する手段を有し、それにより固体相における二官能分子の合成を容易にすることが好ましい。 更に、固体支持体に結合すると、本明細書に記載される二官能分子のライブラリーを用いるスクリーニング法を実施するに当たりある種特徴を与える。 支持体に結合する手段が可逆的である、即ちリンカーを固体支持体から分離することができるリンカー分子が特に好ましい。

    リンカー分子は構造及び長さを変動させ、少なくとも2つの特徴:(1)化学部分Aへの操作的結合及び(2)アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドへの操作的結合を与えることができる。 化学結合の種類はまちまちであるので、結合の種類が本発明の必須の特徴とみなされないようにA及びCへの操作的指定結合を行うために種々の化学が用いられる。 AとCの間の長さとしてのリンカーのサイズは広く変動させることができるが、本発明の目的のために指定した結合機能を与えるのに十分な長さを超える必要はない。 即ち、少なくとも1個から約20個の原子の鎖長が好ましい。

    固体支持体に結合する可逆的手段の好ましい付加手段を含む好ましいリンカー分子は、実施例3に記載されている。 即ち、二官能分子は合成後固体支持体から除去できる。 別の実施態様においては、二官能分子をその部分を遊離するために時間が経つにつれて徐々に切断される能力を有する。

    種々の化学又は酵素選択的切断機能性を、本発明に有効なリンカー一支持体分子に組込むことができる。 例えば、4-ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸部分は酸切断可能リンカーを与える。 2-[(tert-ブチルジフェニルシロキシ)メチル]安息香酸部分はフッ化物切断可能部分を与える。 2-ヒドロキシメチル安息香酸部分のリン酸塩は、アルカリ性ホスファターゼ処理を組合わせ、次いで緩和なアルカリ処理により切断可能な部位を与える。 即ち、上記で挙げたもの以外の選択的に切断可能なリンカーの取込みも本発明の一部とみなされる。

    化学合成用固体支持体は一般的には周知である。 オリゴヌクレオチド及びポリペプチド合成において用いられるGlen Research(Herndon,VA), Bachem Biosciences (Philadelphia, PA), Sigma Chemical Co.(St.Louis, MO), CPG Inc., (Fairfield, NJ)及びApplied Biosystems (Foster City, CA)のような多くの販売元から入手できる合成樹脂及び制御細孔ガラス(CPG)が特に好ましい。 実施例2に記載されるようにテフロン及びCPG支持体が最も好ましい。

    関連実施態様においては、本発明は化学部分としてポリペプチドを有する本発明の二官能分子(即ち、オリゴペプチド/オリゴヌクレオチド複合体)を作製するのに特に適した好ましい二官能固体支持体を記載するものである。

    オリゴペプチド/オリゴヌクレオチド複合体を合成する好ましい二官能固体支持体は、固体支持体、第1結合単位、第2結合単位及び二官能単位を含んでいる。 この文において"二官能単位"は、本発明の二官能分子と混同されるべきでなく、代わりに2つの(二)反応機能性を与える、1つがペプチドを結合しもう1つがオリゴヌクレオチドを結合する二官能固体支持体に存在するその化学部分を意味する。 具体的な二官能単位は、アミノヘキサノールリンカーに続くセリン分枝モノマーとして図3に示されている。

    本明細書で用いられる固体支持体は、上記のように水溶液中に分散できる種類のものである。 好ましい固体支持体は、ペプチド及びオリゴヌクレオチド合成に使用できる種類の制御細孔ガラス、例えばSigmaで販売されているアミノプロピル-CPGである。 固体支持体は第1結合単位にしっかりと結合される。 好ましい第1結合単位としては、アミド結合によってアミノプロピル-CPGに結合されたサルコシンリンカー及びサルコシンリンカーに結合されたサクシニルリンカーが挙げられる。 また、第2結合単位は第1結合単位に結合される。 好ましい第2結合単位はアミノヘキサノール基である。 第1及び第2結合単位のカップリングに好ましい結合はアルキルエステルである。 アルキルエステルは濃アンモニア水と反応すると容易に加水分解又は切断される。

    二官能単位は、オリゴペプチド合成に使用できる第1脱離基及びオリゴヌクレオチド合成に使用できる第2脱離基を有する。 好ましい二官能単単位は、L-セリン残基である。 L-セリン残基としては、アミノ末端、カルボキシル末端及びヒドロキシル末端が挙げられる。 セリン残基は、そのカルボキシル末端で第2結合単位に結合される。 好ましい実施態様においては、セリン残基のカルボキシル末端がアミド結合によってアミノヘキサノールリンカーに結合される。 セリン残基は、そのアミノ末端で第1脱離基に、そのヒドロキシル末端で第2脱離基に結合される。 好ましい第1脱離基は、N-FMOC[N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル又はその官能等価基である。好ましい第2脱離基は、O-DMT(O-ジメトキシトリチル)又はその官能等価基である。

    固体支持体、第1結合単位、第2結合単位、その間の切断可能な結合及び該第1及び第2脱離基のみの二官能単位は、FMOC脱離基を用いた慣用のオリゴヌクレオチド合成プロトコールで用いられる条件下[Bodanszkyら, The practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag(1984)及びBodanszkyら, Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag(1984)]及びO-DMT脱離基及びホスホルアミダイトドナーを用いた慣用のオリゴヌクレオチド合成プロトコールで用いられる条件下で各々実質的に化学的非反応性である。

    別の実施態様においては、二官能固体支持体は第3結合単位も含まれる。 第3結合単位は二官能単位と第1脱離基との間にあり結合される。 この実施態様の好ましい方法においては、第3結合単位は感光性であり、即ち紫外線に露光することにより切断できる。 第3結合単位には、アミド結合によって二官能セリン残基のアミノ末端に結合した及びエステル結合によってFMOC遮断アミノ酸に結合した3-ニトロ-4-ブロモメチルベンゾエート基が含められる。

    2. ライブラリー

    本発明のライブラリーは、本発明による複数の種類の二官能分子を含む化学多様性の集積である。 ライブラリーにおける複数の種類は各々が異なった化学部分を有する化学多様性群を定義するものである。 即ち、ライブラリーはペプチド、脂質、オリゴ糖又は他の種類の前記化学ポリマー群を定義することができる。

    ライブラリーにおける異なる種類の数はライブラリーの複雑度を表し、化学部分のポリマーの長さ及び化学単位ポリマーをつくるために用いることができる化学単位アルファベットのサイズで定義される。 ライブラリーにおいて"複数の種類"なる句によって言及される異なる種類の数は、式V a 、即ちVのa乗(指数a)で定義される。 Vは、アルファベットサイズ、即ち化学部分に使用するのに有効な異なった化学単位Xの数を表す。 "a"はVに対する指数であり、ポリマーAを形成する化学単位Xの数、即ちポリマーAの長さを表す。

    例えば、ポリマーAが6個のアミノ酸の長さを有するペプチドでありかつ用いられるアミノ酸が20個の天然アミノ酸である二官能分子の場合、アルファベッ(V)は20でありポリマーの長さ(a)は6であり、ライブラリーサイズは20 6又は6400万である。 この具体的なライブラリーは、対応するユニークなアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドに操作的に結合した6400万の異なる六量体ポリペプチドを供給する。

    ライブラリーの複雑度はライブラリーの他の種類に相対して二官能分子の具体的な種類の量を決定することから、ライブラリーにおいて有効な最大複雑度に対して理論上限界がある。 もう1つの限界は、ライブラリーに存在する実際の支持体分子又はビーズの数によって定義されたライブラリーサイズである。 従って、ライブラリーがどのくらいの大きさ(複雑さ)でなればならないかを検討することは有効である。 このサイズの限界は、本発明のスクリーニング法の後ポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの存在を検出する感受性のレベルによって示される。 検出感受性は、分析されるべき受容体分子と二官能分子との間の結合又は触媒活性の閾値で示される。

    例えば結合閾値が10 -6 M(マイクロモル)である場合には、1ミリリットル(ml)容量において各々の種類少なくとも1ナノモルでなければならない。 この閾値において、10 4の複雑度を有するライブラリーは各々の種類10マイクロモルを含むことができる。 ライブラリー複雑度と結合閾値との間の逆数関係から、より複雑なライブラリーは結合閾値がより低い場合に可能である。

    ライブラリー内の個々の二官能分子の種類の相対量は約0.2〜約10当量に変動させることができ、1当量はライブラリー内の種類の平均量を示す。 各々の種類がほぼ等モル量でライブラリーに存在することが好ましい。

    好ましい実施態様においては、ライブラリーはライブラリーのすべての種類に所定のアルファベットと化学単位の前選択数がある一定のライブラリーの数学的組合わせに基づいて可能な化学多様性の完全な集積を含んでいる。 即ち完全な集積は、所定のアルファベットと化学長さを有する本発明のライブラリーに見出される可能な化学多様性すべての原因を与えるものである。

    ライブラリーは、二官能分子の各種類がPl又はP2PCRプライマー結合部位に対して同じヌクレオチド配列を含む二官能分子から構成されることが特に好ましい。 この設計によるライブラリーは、本発明の方法を実施する場合、ライブラリーに存在するアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド(コード配列)の種類を増幅するために単一PCRプライマー対を用いることができることから特に好ましい。

    関連の実施態様においては、本発明はライブラリー要素、即ち本発明の二官能分子を企図するものである。 好ましいライブラリー要素は、前記オリゴペプチド/オリゴヌクレオチド複合体である。

    即ち、1実施態様においてオリゴペプチド/オリゴヌクレオチド複合体のライブラリーの要素は、固体支持体、第1結合単位、第2結合単位、二官能単位、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチドを含んでいる。 固体支持体は水溶液に分散できる種類のものである。 第1結合単位は、固体支持体に結合される。 第2結合単位は、第1結合単位に結合される。 二官能単位は、第2結合単位に結合される。 オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチドは二官能単位に結合される。

    別の実施態様においては、ライブラリー要素は第1結合単位を第2結合単位に結合するための切断可能な結合を包含する。 切断可能な結合は濃アンモニア水にさらすことにより切断可能な種類のものである。

    別の実施態様においては、ライブラリー要素には二官能単位をオリゴペプチドに結合するための切断可能な結合を包含する。 切断可能な結合は、紫外線にさらすことにより切断可能な種類、例えばアミド結合によって二官能セリン残基のアミノ末端に結合した及びエステル結合によってFMOC遮断アミノ酸に結合した3-ニトロ-4-ブロモメチルベンゾエート基とすることができる。

    ライブラリー要素は、固体支持体及び第1及び/又は第2結合単位なしで作成することもできる。 この場合、ライブラリー要素は二官能単位、該二官能単位に結合したオリゴペプチド及び該二官能単位に結合したオリゴヌクレオチドを含んでいる。 これと別の実施態様には、二官能単位をオリゴペプチドに結合するための切断可能な結合を包含する。 切断可能な結合は、上記で示したように感光性、即ち紫外線にさらすことにより切断可能な種類のものである。

    B. ライブラリーの作製方法
    本発明のライブラリーを形成する複数の二官能分子の作製方法は、多数の異なる種類の効率のよい合成に関して種々の課題を解決するものである。

    本合成法においては、まず化学単位Xを付加し、次にオリゴヌクレオチド配列をリンカー分子に付加する連続段階には、化学単位Xを付加し、次に対応する化学単位を定義する(コードする)単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列Zを付加する交互の平行合成手順が必要である。 ライブラリーは、本明細書に記載される反応産物をプール及び分裂した後この交互の平行プロセスを反復することによりつくられる。

    コードされたライブラリーを作成する唯一の制約は、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド配列を加えることに比べて化学単位を加える2つの交互合成手順の間に適合しうる化学がなければならないことである。

    合成適合性の課題は、交互ポリマーが合成される適合しうる保護基の正しい選択及び1つの成長ポリマーを選択的に脱保護するとともに他の成長ポリマーはブロックされたままである方法の正しい選択、例えば一時的な保護基又は特定の脱保護化学によって除去できる保護基の使用によって解決される。 適合しうる適切な保護化学は本明細書に記載され、更に適切な化学はSynopsys, Inc.から入手できるしGreeneら,"Protective Groups in Organic Synthesis", 2nd Ed., John Wiley & Sons(1991)に記載されている化学保護記載データベースにも記載されている。

    複数の二官能分子を有するライブラリーの合成は、下記段階を含んでいる。
    (1)第1化学単位X 1を操作的に結合しかつ単位アイデンティファイアーヌクレオチドZ 1を定義する第1ヌクレオチド配列を操作的に結合しその配列が化学単位X 1の構造をコードする(定義する)適切な手段を有するリンカー分子を供給する。 リンカーは固体支持体に結合する手段を有することが好ましく、それだけで合成が固体相で進行する。

    即ち、供給されたリンカー分子は構造A'-B-C'を有し、A'は前駆体(X')の化学単位Xを操作的に結合する反応に適応させた末端を表し、C'は前駆体(Z')のヌクレオチド又はポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZを操作的に結合する反応に適応させた末端を表す。 末端A'及びC'は、一方の末端の操作的結合反応中他方の末端が反応から保護されるように各々の遮断基で保護される。

    (2)次いでリンカー分子を合成の第1サイクルに供して一方の末端のビルディングブロックを加える。 末端A'に最初に化学単位Xを付加するか又は末端C'に最初にアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZを付加するように決められる限り合成の順序は通常重要でない。 第1サイクルは、ビルディングブロックが付加されるべきリンカーの末端を脱保護し次いでビルディングブロックを末端に付加する段階を含んでいる。 典型的には、付加したビルディングブロックはその遊離末端、即ちその種類の次のビルディングブロックの付加に関与する末端に遮断基を含んでいる。 次いでリンカー分子を合成の第2サイクルに供してもう一方(第2)末端のビルディングブロックを付加する。 第2サイクルは、ビルディングブロックが付加されるリンカーの第2末端を脱保護し次いでビルディングブロックを末端に付加する段階を含んでいる。 また、付加したビルディングブロックは典型的にはその遊離末端で遮断される。

    アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZの末端C'への付加が行われ、完全な単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列Zを形成するヌクレオチドによるヌクレオチド又はZが前合成され、オリゴヌクレオチドZがブロックとして末端C'に付加される。 オリゴヌクレオチドの合成が当該技術において周知である限り、二官能分子を合成する際に操作の数を減少させることからオリゴヌクレオチドの前合成及びブロックの成長ヌクレオチドポリマーへの付加が好ましい。

    化学単位X又は単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドZは、適切な末端において成長ポリマーへの前駆体操作的結合を容易にする反応化学と適合しうる脱離基を含むことを示すために前駆体(X'又はZ')と呼ばれる。

    段階(2)から得られた産物は構造A'-X 1 -BZ 1 -C'を有する二官能分子であり、X 2及びZ 2を成長ポリマーに加えるために上記第1及び第2サイクルを反復しやすい。
    (3)二官能分子産物A'-X 1 -BZ 1 -C'が形成された後、産物のアリコートが作られ、各アリコートで段階(2)のサイクルが繰り返されるが、異なる種類のX(及びその対応するZ)を各々異なるアリコートに加えることを除く。 各アリコートの反応産物は、構造A'-X 2 -X 1 -BZ 1 -Z 2 -C'を有する。
    (4)各々が産物A'-X 2 -X 1 -BZ 1 -Z 2 -C'を含有するアリコートを合わせて(プールして)異なる二官能分子の混合物を形成し、混合物をアリコートに分けた。 各アリコートで再び段階(2)のサイクルが繰り返され、異なったX及びZビルディングブロックを各アリコートに加えて二官能分子産物A'-X 3 -X 2 -X 1 -BZ 1 -Z 2 -Z 3 -C'を形成する。

    一組の次のビルディングブロックのプール、分割及び付加方法が所望のポリマーの長さに基づいて位置n=4、5、6...等で繰り返すことができる。 サイクルが繰り返されポリマーの長さが成長するので、得られたライブラリーの複雑度も増大する。 各サイクルの場合、ポリマーの長さaが1つだけ増え、従ってライブラリー複雑度は式V aに従って指数的に増大する。 好ましい実施態様においては、サイクルは約1〜10回繰り返される。

    関連実施態様においては、段階(1)で得られたリンカーがまずアリコートに分けられ、段階(2)のサイクルが各アリコートで行われ、異なるX及び対応するZをリンカーに各々の異なるアリコートにおいて付加する。 次いでアリコートを前のようにプールし、段階(2)のサイクルを1以上のアリコートで繰り返すことができる。

    即ち、(i)リンカー又はプールをアリコートに分け、(ii)X及びZをリンカー基質に別々のアリコートで平行付加し、(iii)アリコートをプールする段階をサイクルして(繰り返して)化学単位及びその対応する単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを連続して付加し、各々がリンカーを介して対応するアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドに操作的に結合した異なる化学ポリマーを有する多数の二官能分子を含むライブラリーを形成することができる。

    好ましい実施態様においては、本発明のライブラリーを形成する方法はPCRプライマー結合部位P1及びP2をライブラリーの二官能分子の各々に付加する段階を包含する。

    この方法は上記と実質的同様であるが、X及びZを加える段階(2)のサイクルの前に段階(1)で得られたリンカー分子に一連のヌクレオチド又は前合成P1オリゴヌクレオチドを加えることを包含する。 ライブラリーのすべての部分が同じP1配列を含んでいることから、リンカーをアリコートに分けかつそのアリコートをX 1及びZ 1を加える段階(2)のサイクルに供する前にリンカー分子A'-B-C'のC'末端にP1を加える。 得られた産物は、式A'-B-P1-C'を有する。

    その後、前のように産物を分割しサイクルすると、産物A'-(X n ) a -B-P1-(Z n ) a -C'(aは長さ"a"のポリマーの存在を示す。)の標品を生じる。

    次に、産物A'-(X n ) a -B-P1-(Z n ) a -C'を含有するプール混合物に一連のヌクレオチド又は前合成オリゴヌクレオチドP2を末端C'で付加して産物A'-(X n ) a -B-P1-(Z n ) a -P2-C'を形成する。 即ちライブラリーのすべての部分が、ライブラリーの二官能分子の種類の存在に無関係に普遍的PCR反応を行うことができる共通配列P1及び共通配列P2を含んでいる。

    関連実施態様においては、本発明のライブラリーの作製方法は本明細書に記載されるようにbf-CPG固体支持体を使用する。

    1. ポリペプチドライブラリー
    好ましい1実施態様においては、本発明は、二官能分子がポリマーAのポリペプチドを有するライブラリー及びライブラリーの作製方法を企図する。

    この実施態様においては、アミノ酸及びオリゴヌクレオチドを成長ポリマーに連続して加えることに適合しうる化学は、カルボキシからアミノ末端の向きに、またアミノからカルボキシ末端の向きにアミノ酸ポリマーの合成を開発した。 化学は、3'から5'の向きに、また5'から3'の向きにオリゴヌクレオチドの合成も開発した。 更に、これらの合成の各々においてはアミノ酸側鎖(R基)がある種アミノ酸残基を保護し、合成又は脱保護段階の1つでR基が反応性末端となることが好ましい。

    各種の化学は、次に詳細に記載される。
    合成の場合、数種のアミノ酸の反応性側鎖を保護しなければならない。 下記表1は、保護基を含有することが好ましいR基を有する天然アミノ酸を示すものである。 任意の適合しうる保護(遮断)基が用いられ、特定の保護基に本発明が限定されるべきではない。 表1には好ましい保護基も示される。

    表1
    アミノ酸 保護基
    アルギニン N-MTr l ,N-PMC 7
    ヒスチジン Nπ-Bum 2 ,SEM 10 ,FMOC,DNP
    システイン S-Trt 3 ,Acm 11 ,St-ブチルトリプロファン N i -CHO,なしチロシン O-TBS 4
    アスパラギン酸 O-TSE 5 ,DMB 12
    グルタミン酸 O-TSE 5 ,DMB
    セリン O-TBS 4
    トレオニン O-TBS 4
    リシン N-Bz 6 ,TFA 8 ,TEOC 9
    アスパラギン なしグルタミン なしグリシン なしフェニルアラニン なしメチオニン なしアラニン なしイソロイシン なしロイシン なしバリン なしプロリン なし

    1 MTrはN 9 -4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニルである。
    2 Bumはtert-ブトキシメチルである。
    3 Trtはトリフェニルメチルである。
    4 TBSはtert-ブチル-ジメチルシリルエステルである。
    5 TSEはトリメチルシリルエチルエステルである。
    6 Bzはベンジルである。
    7 PMCはN G -2,2,5,7,8-ペンタメチルクロモン-6-スルホニルである。
    8 TFAはトリフルオロアセチルである。
    9 TEOCはβ-(トリメチルシリル)エトキシカルボニルである。
    10 SEMはβ-(トリメチルシリル)エトキシメチルである。
    11 Acmはアセトアミドメチルである。
    12 DMBはジメトキシベンジルである。

    保護前駆体として二官能分子に付加するのに適切な保護アミノ酸は、Bachem Biosciences Inc.(Philadelphia, PA)、Peninsula Labs(CA)及びNova Biochem(CA)のような多くの販売業者から入手することができる。 更に、保護アミノ酸の調製はとにかく実施例1に記載されている。

    a. ポリペプチド合成
    リンカー基質上のポリペプチドのカルボキシからアミノ末端の向きの合成の場合、必要に応じて便宜上保護及び脱保護することができる遊離アミノ末端が必要である。 好ましいアミノ末端保護基はフルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC)である。

    FMOC保護アミノ末端は、ポリペプチド合成に周知のジメチルホルムアミド(DMF)中20%(v/v)ピペリジン又はジクロロメタン(DCM)中1,8-ジアザトリシクロ[5,4,0]ウンデセ-7-エンを用いて脱保護される。 アミノ酸単位は、FMOC保護アミノ末端及びペンタフルオロフェニルエステル(Opfp)で保護されたカルボキシル末端を有する保護アミノ酸の形で又はBOP、HBTU、TBTU又は好ましくはpyBOPと共に用いて遊離酸を活性化することにより付加される。 BOPはベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(カストロ試薬)である。 HBTUは、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。 TBTUは、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートである。 pyBOPは、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス[ジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート]である。 付加反応には、ペプチド合成に周知であるように保護アミノ酸、ジメチルホルムアミド(DMF)及びヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)が必要である。 得られた産物はFMOC保護アミノ末端を有する付加アミノ酸残基を含み、その後前のように保護アミノ酸が脱保護付加される。

    リンカー基質上ポリペプチドのアミノからカルボキシ末端の向きの合成の場合、必要に応じて便宜上保護及び脱保護することができる遊離カルボキシ末端が必要である。 好ましいカルボキシ末端保護/活性化基は前記Opfpである。 リンカー上のカルボキシ末端は、遊離アミノ末端を有するリンカーとHOBT中スクシンアミド及びプロトン触媒とを反応させることにより作製される。 その後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及びエタノール中ペンタフルオロフェノールと反応させて遊離カルボキシ末端にOpfpエステルを形成することにより、末端を修飾することができる。 Opfpエステルは保護リンカー末端であり、前記のようにFMOC-、Opfp-保護アミノ酸による付加反応に有効であるが、アミノ酸は逆方向でリンカーに付加する。 得られた産物はOpfp保護末端を有する付加アミノ酸残基を含有し、その後保護アミノ酸による付加を繰り返すことができる。

    b. オリゴヌクレオチド合成
    オリゴヌクレオチドは、周知であるように種々の化学により合成することができる。 非常に良い再検討は"Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach", ed. MJ Gait,IRL Press, Oxford(1984)である。 好ましいオリゴヌクレオチド合成は、Applied Biosystems Inc.(ABI; FosterCity, CA)から入手できるような種々の自動DNA合成機械により行われる。 更にオリゴヌクレオチド合成及びDNA合成機械及び技術用の優れた文献には、Caruthers, Science , 230:281-285(1985);及びCaruthers, Acc. Chem. Res .,24:278-284(1991)がある。

    リンカー基質上オリゴヌクレオチドの3'から5'の向きの合成の場合、必要に応じて便宜上保護及び脱保護することができる遊離ヒドロキシ末端が必要である。 好ましいヒドロキシ末端保護基は、ジメトキシトリチルエーテル(DMT)である。 オリゴヌクレオチド合成に周知であるようにジクロロメタン(DCM)中3%ジクロロ酢酸で処理して遊離ヒドロキシ末端を形成することにより、DMT保護末端がまず脱保護される。

    遊離ヒドロキシ末端に3'から5'の向きに付加する前駆体としてのヌクレオチドには、ヌクレオチドの3'末端にジイソプロピルポスホルアミダイトを有するホスホルアミダイト部分が必要である。 更に、ホスホルアミダイトの酸素はシアノエチル基(CNE)で保護され、5'末端はDMTエーテルで保護される。

    5'DNT-、3'-CNE-保護ヌクレオシドホスホルアミダイトの遊離ヒドロキシルへの付加には、オリゴヌクレオチド合成に周知であるように、アセトニトリル中テトラゾールが必要であり、次いで(ヨウ素)酸化及び酢酸無水物による未反応ヒドロキシルのキャップ形成が行われる。 得られた産物は、DMT保護5'末端を有する付加ヌクレオチド残基を含有し、その後前記のように保護ヌクレオチドを脱保護及び付加することができる。

    リンカー上オリゴヌクレオチドの5'から3'の向きの合成の場合、前記のようにリンカー上に遊離ヒドロキシ末端が必要である。 しかしながら、付加されるべき保護ヌクレオチドはその5'及び3'末端に逆の保護化学を有し反対の向きの付加を容易にする。

    遊離3'ヒドロキシル及び5'DMTエーテルを有するヌクレオチドはまずイミダゾール中TBS-Clと反応させることにより3'ヒドロキシ末端で保護されて3'末端にTBSエステルを形成する。 次いで、DMT-保護5'末端が前記のようにDCM中DCAで脱保護されて遊離5'ヒドロキシ末端を形成する。 試薬(N,N-ジイソプロピルアミノ)(シアノエチル)ホスホンアミジッククロリドをテトラヒドロフラン(THF)中5'脱保護ヌクレオチドと反応させて5'末端にアミノジイソプロピル-、CNE-保護ホスホルアミダイト基を形成する。 その後、3'TBSエステルをDCM中テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)で除去してホスホルアミダイト-保護5'末端及び遊離3'ヒドロキシ末端を有するヌクレオチドを形成する。 塩基中DMT-C1との反応は、DMTエーテル保護基を3'ヒドロキシ末端に付加する。

    次いで3'DMT-、5'CNE-保護ホスホルアミダイト化ヌクレオチドの遊離ヒドロキシ末端を有するリンカー基質への付加は、オリゴヌクレオチド合成に周知であるように前記テトラゾール接触反応を用いて進行する。 得られた産物はDMT-保護3'末端を有する付加ヌクレオチド残基を含有し、その後保護ヌクレオチドを前記のようにDCM中DCAで脱保護及び付加することができる。

    上記は、ポリペプチド(X) aを両方の向きで有しかつポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド(Z) aを両方の向きで有する本二官能分子を合成することができることを示すものである。 具体的には、3'末端を介してリンカーに結合したオリゴヌクレオチドを有しかつカルボキシ末端を介してリンカーに結合したペプチドを有する二官能分子のライブラリーを形成する詳細に記載される合成である。

    好ましい1実施態様においては、付加後付加アミノ酸が遊離アミノ末端を有する、即ちポリマーがカルボキシからアミノ末端の向きに構築されるように、合成順序がリンカーのポリペプチドを配向させる。 この合成の具体的化学は実施例に記載されている。

    単一ヌクレオチドよりオリゴヌクレオチドの成長ポリマーアイデンティファイアーヌクレオチド配列への付加は別の実施態様であり、ライブラリーの急速かつ調節構築を与えることから好ましい。 前述の合成は単一ヌクレオチド塩基単位を含んでいるが、オリゴヌクレオチドが付加されるべき場合同様の保護基及び付加化学があてはまる。

    5'CNE保護及び3'DMT保護末端を有するか又は3'CNE保護及び5'DMT保護末端を有するオリゴヌクレオチドの合成は、一般に利用できかつ本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド合成法を用いて容易に調製することができる。

    二官能分子又は分子ライブラリーの合成後、末端及びアミノ酸側鎖の保護基が除去される。 末端が相対的に不安定であることから、機能性、特に側鎖機能性を保存するように脱保護順序が選ばれることが好ましい。

    ポリペプチドライブラリーの好ましい本実施態様においては、実施例2-3に記載されているテフロン支持体及び5'BCM3を用いる場合下記順序の脱保護が好ましい:
    1)テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)処理してTBS及びTMSエチルエーテルを除去する;
    2)MTr、Bum、PMC及びTrt基を除去するのに十分なトリフルオロ酢酸(TFA)で簡単に5分処理し、次いでトリエチルアミンで5分間中和する;
    3)アンモニア水処理してBz及びCNE基を除去する;及び
    4)過ヨウ素酸酸化を用いて固体支持体から二官能分子を切断する。

    また、下記順序の脱保護が光活性的に切断可能なリンカー部分のあり又はなしの実施例3に記載されているCPGリンカーについて用いられる:
    1)TBAF処理してTBS及びTMSエチルエーテルを除去する;及び
    2)アンモニア水処理してBz及びCNE基を除去する。

    示されるように、ライブラリーを合成した後及び保護基が除去された後、二官能分子が固体支持体から切断され、遊離した二官能分子を固体支持体から分離して複数の二官能分子を含む溶液を形成する。 また、固相中複数の二官能分子の形でライブラリーが維持される。

    実施例において天然アミノ酸が用いられるが、本発明はそのように限定されるべきでない。 可能なアミノ酸残基のアルファベットは、アミノ酸を定義する基礎化学、即ちカルボキシル及びアミノ末端を満足させる分子を包含するように拡大させることができる。 重合の際にアミド結合が形成される。 即ち、可能なアミノ酸には医薬的に活性な分子のようなL-アミノ酸、D-アミノ酸、天然アミノ酸、非天然アミノ酸及びその誘導体が含められる。

    更に、末端を慣用的なアミノ酸構造に結合するポリペプチドバックボーンを限定する根拠はない。 アミノ酸及びカルボン酸部分は、側鎖基が本明細書に記載されるように適切に保護される限り、側鎖置換基を有するバックボーン上にある。 チアゾール-アラニン又はプリン-アラニンのような特異複素環のようなヘテロ原子を有する本発明で用いることができる前に記載のないアミノ酸も開発される。

    慣用的及び特異アミノ酸の双方の構造を開発及び使用すると、本発明のライブラリーの化学部分の多様性が大きくなる。 そのようなライブラリーは、重要なコア化学構造の新規な組合わせの本発明のスクリーン方法により探索することができる。

    典型的なバックボーンは、(CH 2 ) n (nは1〜少なくとも6である。)のアルキル鎖とすることができる。 更に、アルファベットはα、β又はγアミノ酸のような種々のバックボーン構造を有するアミノ酸を含むことができる。 アルファベットは、バックボーン内の炭素原子数及びその配置を変動させることができるアミノ酸も含むことができる。

    c. 化学構造の同定方法
    本発明のライブラリーは、化学構造の同定を容易にする遺伝的垂れはしに各化学部分を結合するように化学多様性の集積を与える。

    本スクリーニング方法により、一度に1種合成するかあるいは予め相互作用を知ることを必要とせずに異種化学単位の組合わせ結合によってランダムに形成された構造の集積を抜き取るとにより、生物活性分子との相互作用又は化学触媒事象を結合する際に関与する最適化化学構造を同定することができる。

    従って、本発明はまた化学構造と生物活性分子との間に前選択結合又は触媒相互作用に関与する化学構造の同定方法を企図するものである。 同定されるべき化学構造は本発明のライブラリー部分の1種で表され、本方法は下記段階を含むものである:
    (1)本発明によるライブラリーを前選択生物活性分子と結合条件下(即ち、結合反応混合物)生物活性分子がライブラリーに存在する本発明の少なくとも1種の二官能分子と相互作用するのに十分な時間混合する。
    (2)次いで結合反応複合体をライブラリー混合物から単離して単離複合体を形成する。
    (3)単離結合反応複合体に存在するポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する。 ヌクレオチド配列は結合反応に関与する化学構造を定義するコードを示すので、配列が生物活性分子との結合反応に関与する化学構造を同定するを決定する。

    触媒が同定されるべき活性がある場合、反応体を同定して触媒事象の存在を示すことができ、ライブラリーの原因固体支持体が候補的触媒分子として選択される。

    前選択結合相互作用又は触媒反応を示す典型的な生物活性分子は、抗原に対する抗体、オリゴ糖に対するレクチン、リガンドに対するレセプター、基質に対する酵素及び分子相互作用の類似の媒体のようなもう1つの分子に選択的に結合及び/又は反応する種々の分子のいずれかとすることができ、プロテアーゼのような触媒分子とすることができる。 従って、前選択結合相互作用はライブラリー部分が結合されるべき生物活性分子の選択により定義される。 同様に、前選択触媒活性はライブラリー部分が触媒的に活性な物質を選択することにより定義される。 結合反応は具体例として述べられるが、その手順を触媒ポリマーを検出するために使用するのに容易に適応することができることは理解される。

    1. 結合反応混合物
    本発明のライブラリーと生物活性分子との混合物は、不均一又は均一混合物の形態とすることができる。 即ち、ライブラリー部分は液相に存在する生物活性分子と共に固相とすることができる。 また、生物活性分子は液相に存在するライブラリー部分と共に固相とすることができる。 また更に、ライブラリー部分と生物活性分子の双方が液相とすることもできる。

    結合条件は、生物活性分子の既知の自然結合機能と適合しうる条件である。 適合しうる条件は生物活性分子の生物活性を維持するバッファー、pH及び温度条件であり、それにより前選択結合相互作用に関与する分子の能力を維持する。 典型的には、条件としては通常問題の生物活性分子と結合されるpH及びイオン強度を有する生理的水溶液がある。

    例えば、結合相互作用が抗体分子を結合することができるライブラリーの一部を同定する場合、好ましい結合条件は免疫原又は既知の免疫反応抗原と免疫反応する抗体に適した条件である。 レセプター分子の場合、結合条件はレセプター-リガンド相互作用の測定と適合しうるものである。

    混合物が結合反応複合体を形成するのに十分な時間は、典型的には相互作用と適合しうる条件下生物活性分子が通常の結合パートナーと相互作用するのに要した時間である。 その分子に基づいて時間を変動させることができるが、混合時間は典型的に少なくとも数分、通常数時間より長くないが、より長い混合時間を用いて結合反応複合体が形成することを除外することはなにもない。

    結合反応複合体は、生物活性分子と本発明の二官能分子との間の相互作用の安定な産物である。 この産物は、複合体が著しく解離されることになることなく複合体がライブラリーの残りの部分から単離することができる十分な時間にわたって相互作用が維持される点で安定な産物を意味する。

    2. 二官能分子の結合反応混合物からの単離
    結合反応複合体は複合体に選択的な分離手段により結合反応混合物から単離され、それにより生物活性分子に結合したその種類の二官能分子を単離する。 生物活性分子の状態により、種々の分離手段がある。

    例えば、生物活性分子は固相試薬として、少なくとも固体支持体に付着した混合物で得ることができるので、液相から容易に分離することができ、それにより大部分の種類の二官能分子を除去することができる。 固相の結合反応混合物からの分離には、固相から結合親和性の低い二官能分子をすすぐために固体支持体の洗浄が任意に伴われる。

    また、均一液状結合反応混合液の場合、生物活性分子に特異的な二次結合手段を使用して分子を結合するとともに結合反応混合液からその分離を得ることができる。

    例えば、生物活性分子に免疫特異的な固定化抗体は結合反応複合体が形成された後結合反応混合液に対して固相付着抗体として得ることができる。 固定化抗体は、結合反応混合液に存在する生物活陛分子と免疫反応して抗体一生物活性分子免疫反応複合体を形成する。 その後、固相を結合反応混合液から分離することにより免疫反応複合体、従って任意の結合反応複合体が混合液から分離されて単離二官能分子を形成する。

    また、結合手段を生物活性分子に操作的に結合して結合反応混合物からの検索を容易にする。 具体的な結合手段は次の高親和対:ビオチン-アビジン、プロテイン-Fcレセプター、フェリチン-磁気ビーズ等の1種である。 即ち、生物活性分子をビオチン、プロテインA、フェリチン及び類似の結合手段に操作的に結合(複合)し、固相中対応する結合パートナー、例えば固相アビジン、固相Fcレセプター、固相磁気ビーズ等を使用することにより結合反応複合体が単離される。

    タンパク質性分子を操作的に結合するために固体支持体を使用することは、一般的に当該技術において周知である。 有効な固体支持体基質は当該技術において周知であり、Pharmacia Fine Chemicals(Piscataway, NJ)製の商品名SEPHADEXのような架橋デキストラン;直径約1ミクロンから約5ミリメートルのアガロース、ボロシリケート、ポリスチレン又はラテックスビーズ、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミド、ニトロセルロース又はナイロン系ウェブ、例えばシート、ストリップ、パドル、プレートマイクロタイタープレートウェル及び類似の不溶性基質が挙げられる。

    3. アイデンティファイアー配列の決定
    単離した二官能分子に存在するアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定して触媒反応の前選択結合相互作用に関与する化学部分の種類を同定する。

    慣用のDNA配列決定法はこの決定に容易に利用できかつ有効であるが、単離した二官能分子の量及び質には配列決定反応の前に追加の操作が必要である。

    量が少ない場合には、アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドに存在するプライマーP1及びP2に対するPCRプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの量を増加させることが好ましい。

    更に、単離した二官能分子の質は、複数種の二官能分子が同様の生物活性分子結合能によって同時単離されるようなものである。 1種以上の二官能分子が単離される場合、単離した異なる種類をアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの配列決定する前に分離しなければならない。

    即ち1実施態様においては、単離二官能分子の異なるアイデンティファイァーオリゴヌクレオチドはDNA配列決定法により配列を決定する前に別個の配列決定用ベクターにクローン化される。 これは、典型的には本明細書で記載されるPCRにより異なるアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドのすべてを増幅し、次いで図1に示されているように増幅産物のユニークな制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて増幅フラグメントを配列決定用ベクターに方向的にクローン化することにより行われる。 その増幅フラグメントのクローン化及び配列決定は、当該技術において既知の多くの分子生物学的方法によって行うことができる通常の手順である。

    また、単離した二官能分子の集団から誘導されたPCR増幅産物をハイブリッド形成プロープとして用いて単離した二官能分子の質を選択的に強化することができる。 例えば、図1に示されるようにビオチニル化で修飾されるハイブリッド形成プローブを用いて、ハイブリッド形成によりライブラリー部分を単離して上記ハイブリッド形成プローブに対してハイブリッド形成する配列を有する二官能分子のみ含有する強化ライブラリーを形成することができる。 異なった結合条件、例えばより高い厳密な結合条件下第2スクリーン反応において、生物活性分子と最も強く結合する二官能分子の種類を単離することができる。

    即ち、化学多様性をスクリーンする強化ライブラリーを形成するためにライブラリーを操作することができる。

    4. ポリメラーゼ連鎖反応
    本発明の方法の一部として単離した複合体中のアイデンティファイァーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用は好ましい実施態様である。

    本発明において使用する場合、アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドはmRNA及び/又はゲノムDNAのセンス鎖のようなポリヌクレオチドコーディング鎖を含んでいる。 分析されるべき遺伝物質は二本鎖DNAの形である場合には、まず典型的には溶融により一本鎖に変性される。 対の各部分が前選択ヌクレオチド配列を有するPCRプライマー対で試料を処理(接触)することにより、核酸をPCR反応に供する。 PCRプライマー対は、長さが少なくとも約10ヌクレオチドであることが好ましく、長さが少なくとも約20ヌクレオチドであることが更に好ましいアイデンティファイアーヌクレオチドのヌクレオチド配列上のPCRプライマー結合部位に対してハイブリッド形成することによりプライマー伸長反応を開始することができる。 PCRプライマー対の第1プライマーは、核酸の非コーディンング又はアンチセンス鎖、即ちコーディング鎖に相補的な鎖に対してハイブリッド形成することから、本明細書ではしばしば"アンチセンスプライマー"と呼ばれる。 PCRプライマー対の第2プライマーは、核酸のコーディング又はセンス鎖に対してハイブリッド形成することから、"センスプライマー"と呼ばれる。

    PCR反応は、PCRプライマー対、好ましくはその所定量と試料の核酸、好ましくはその所定量とをPCRバッファー中で混合してPCR反応混合液を形成することにより行われる。 混合液をPCR反応産物の形成に十分な典型的には予め決定された多数のサイクルに熱循環し、それにより単離された複合体中のアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを分析されるべき試料を強化する。

    PCRは、典型的には熱循環、即ち低限が約30度摂氏(30℃)から約55℃までであり上限が約90〜約100℃である温度範囲内でPCR反応混合液の温度を繰り返し上昇及び降下することにより行われる。 上昇及び降下は連続的であるが、ポリヌクレオチド合成、変性及びハイブリッド形成を容易にする各温度における相対温度の安定性の時間によって相的である。

    複数の第1プライマー及び/又は複数の第2プライマーを各増幅において用いることができ、例えば第1プライマーの1種を多数の異なる第2プライマーと対になっていくつかの異なるプライマー対を形成することができる。 また、個々の第1及び第2プライマー対を用いることができる。 いずれの場合にも第1及び第2プライマーの同種又は異種組合わせを用いた増幅の増幅産物は突然変異を分析するために混合することができる。

    PCR反応は、任意の適切な方法を用いて行われる。 通常、緩衝化した水溶液、即ちPCRバッファー、好ましくはpH7-9、最も好ましくは約8で起こる。 好ましくはプライマーのモル過剰量が鋳型鎖を含むバッファーに混合される。 プロセスの効率を改良するためには多量のモル過剰量が好ましい。

    PCRバッファーは、デオキシリボヌクレオチドトリホスフェート(ポリヌクレオチド合成基質)dATP、dCTP、dGTP及びdTTP並びに典型的には熱安定性のポリメラーゼをすべてプライマー伸長(ポリヌクレオチド合成)反応に十分な量で含有する。 得られた溶液(PCR混合液)を約90-100℃まで約1〜10分間、好ましくは1〜4分間加熱する。 この加熱時間の後、この溶液をプライマーハイブリッド形成に好ましい54℃まで冷却する。 合成反応は、室温からポリメラーゼ(誘導剤)がもはや効率よく機能しない温度まで生じる。 即ち、例えばDNAポリメラーゼが誘導剤として用いられる場合には、温度は通常約40℃より高くない。 熱循環は、PCR産物の所望量が作製されるまで繰り返される。 具体的なPCRバッファーは次のものを含んでいる:バッファー100ミクロリットル(μl)当たり50mM KC1; pH8.3の10mMトリス-HCl; 1.5mM MgCl 2 ; 0.001%(wt/vol)ゼラチン、200μM dATP; 200μM dTTP; 200μM dCTP; 200μM dGTP;及び2.5単位サーマスアグアチカス( Thermus aguaticus )(Tag)DNAポリメラーゼ1(米国特許第4,889,818号)。

    誘導剤は、酵素のようなプライマー伸長産物の合成を行うために機能する任意の化合物又は系である。 この目的のために適切な酵素としては、例えばE.コリ DNAポリメラーゼI、 E.コリ DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、T4DNAポリメラーゼ、他の有効なDNAポリメラーゼ、逆転写酵素及び各核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物を形成する適切な方法においてヌクレオチドの組合わせを容易にする熱安定酵素のような他の酵素が挙げられる。 通常、合成は各プライマーの3'端で開始し、鋳型鎖に沿って5'の方向に合成が終結するまで進行し、異なる長さの分子を作製する。 しかしながら、上記と同じプロセスを用いて5'端で合成を開始し上記の方向に進行する誘導剤がある。

    誘導剤はまた、酵素のようなRNAプライマー伸長産物の合成を行うために機能する任意の化合物又は系である。 好ましい実施態様においては、誘導剤はDNA依存性RNAポリメラーゼ、例えばT7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ又はSP6RNAポリメラーゼである。 これらのポリメラーゼは相補的RNAポリヌクレオチドを作製する。 RNAポリメラーゼの高代謝回転速度が、Chamberlinら, The Enzymes , ed. P. Boyer, pp. 87-108, Academic Press, NewYork(1982)に記載されているように出発ポリヌクレオチドを増幅する。 転写に基づく増幅系は、Gingerasら, PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications , pp.245-252, Innisら, eds, Academic Press, Inc., SanDiego, CA(1990)に記載されている。

    誘導剤がDNA依存性RNAポリメラーゼであり、従ってリボヌクレオチドトリホスフェートを取込む場合には、ATP、CTP、GTP及びUTPの十分な量がプライマー伸長反応混合液に混合され、得られた溶液は上記のように処理される。

    新たに合成された鎖及びその相補的核酸鎖はプロセスの次の段階で用いることができる二本鎖分子を形成する。

    PCR増幅法は、米国特許第4,683,192号、同第4,683,202号、同第4,800,159号及び同第4,965,188号並びにPCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification , H.Erlich, ed., Stockton Press, NewYork(1989);及びPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications , Innisら, eds., Academic Press, SanDiego, California(1990)のような少なくともいくつかのテキストに詳細に記載されている。

    プライマー伸長によって合成されるべきプライマー、プローブ及び核酸フラグメント又はセグメントに関して、本明細書で用いられる"ポリヌクレオチド"なる語は、2個以上、好ましくは3個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む分子として定義される。 その正確なサイズは多くの要因に左右され、また最後の使用条件に左右される。

    本明細書で用いられる"プライマー"なる語は、核酸制限消化物から精製されたか合成的に作製されたポリヌクレオチドを意味し、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下、即ちヌクレオチドとDNAポリメラーゼ、逆転写酵素等の重合用剤の存在下及び適切な温度とpHに置かれた場合に核酸合成の開始点として作用することできる。 プライマーは最大効率の場合一本鎖が好ましいが、二本鎖の形でもよい。 二本鎖の場合には、プライマーは伸長産物を調製するために用いる前にそれを相補鎖から分離するようにまず処理される。 プライマーはポリデオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。 プライマーは、重合用剤の存在下に伸長産物の合成を開始するのに十分に長くなければならない。 プライマーの正確な長さは、温度及びプライマー源のような多くの要因に左右される。 例えば、標的配列の複雑度により、ポリヌクレオチドプライマーは典型的には15〜25個以上のヌクレオチドを含むがそれより少ないヌクレオチドを含むこともできる。 短いプライマー分子には通常鋳型と十分に安定なハイブリッドを形成するために低い温度が必要である。

    本明細書で用いられるプライマーは、合成又は増幅されるべき各特定配列の種々の鎖に"実質的に"相補的であるように選択される。 これは、プライマーが各々の鋳型鎖とランダムにでなくハイブリッド形成するのに十分に相補的でなければならないことを意味する。 従って、プライマー配列は鋳型の正確な配列を反映してもしなくてもよい。 例えば、非相補的ヌクレオチドフラグメントはプライマーの5'端に結合することができ、プライマー配列の残りは鎖に実質的に相補的である。 そのような非相補的フラグメントは典型的にはエンドヌクレアーゼ制限部位をコードする。 また、プライマー配列が非ランダムにハイブリッド形成するために合成又は増幅されるべき鎖の配列と十分な相補性を有し、それによりポリヌクレオチド合成条件下に伸長産物を形成するのであれば、非相補的塩基又は長い配列をプライマーに散在させることができる。

    本発明のプライマーは、DNA依存性RNAポリメラーゼプロモーター配列又はその補体を含むこともできる。 例えば、Kriegら, Nucl. Acids Res. , 12: 7057-70(1984); Studierら, J. Mol. Biol. , 189: 113-130(1986); 及びMolecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition , Maniatisら, eds., Cold Spring Harbor, NY(1989)参照。

    DNA依存性RNAポリメラーゼプロモーターを含むプライマーを用いる場合、プライマーは増幅されるべきポリヌクレオチド鎖に対してハイブリッド形成され、DNA依存性RNAポリメラーゼプロモーターの第2ポリヌクレオチド鎖はE.コリ DNAポリメラーゼI又はE.コリ DNAポリメラーゼのクレノウフラグメントのような誘導剤を用いて終わる。 出発ポリヌクレオチドは、RNAポリヌクレオチドとDNAポリヌクレオチドの作製を交互にすることにより増幅される。

    プライマーは、RNA依存性RNAポリメラーゼの鋳型配列又は複製開始部位を含むこともできる。 典型的なRNA依存性RNAポリメラーゼには、Lizardiら, Biotechnology , 6: 1197-1202(1988)に記載されているQBレプリカーゼがキある。 RNA依存性ポリメラーゼ、鋳型配列又は複製開始部位を含む少数の鋳型RNA鎖から多数のRNA鎖を作製する。 これらのポリメラーゼは、典型的にはKramerら, J. Mol. Biol. , 89:719-736(1974)に記載されているように鋳型鎖を100万倍増幅する。

    ポリヌクレオチドプライマーは、例えばホスホトリエステル又はホスホジエステル法のような適切な方法を用いて調製することができる。 Narangら, Meth. Enzymol. , 68:90,(1979):米国特許第4,356,270号、同第4,458,066号、同第4,416,988号、同第4,293,652号:及びBrownら, Meth. Enzymol. , 68:109,(1979)参照。

    単離複合体のアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの核酸試料がPCR増幅によって強化されるべきである場合には、2つのプライマー、即ちPCRプライマー対を増幅されるべき核酸の各コーディング鎖に用いなければならない。 第1プライマーは非コーディング(アンチセンス又はマイナス又は相補)鎖の一部になり、プラス又はコーディング鎖上のヌクレオチド配列に対してハイブリッド形成する。 第2プライマーは、コーディング(センス又はプラス)鎖の一部になり、マイナス又は非コーディング鎖上のヌクレオチド配列に対してハイブリッド形成する。 第1及び第2プライマーの一方又は双方は、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼ認識部位を定義するヌクレオチド配列を含むことができる。 この部位は増幅されるポリマーアイデンティファイアーオリゴヌクレオチドの異型である。

    1実施態様においては、本発明はプライマーの3'末端に位置する開始領域を有するプライマーを形成する1組のポリヌクレオチドを利用する。 開始領域は、典型的には3'端(3'末端)15〜30ヌクレオチド塩基である。 各プライマーの3'末端開始部分は、核酸の合成を触媒する、即ちプライマー伸長反応をその3'末端から開始するプライマーとして作用することができる。 プライマーの一方又は双方は、更に5'末端(5'端)非開始部分、即ち好ましい鋳型に対するハイブリッド形成に関与しない領域を含むことができる。

    5. 核酸配列分析
    核酸配列分析は、ヌクレオチド配列を決定する周知の手順であり、本発明のアイデンティファイアーオリゴヌクレオチド又はPCR増幅産物のヌクレオチド配列を決定するために本方法に適用される。 核酸配列分析は、(a)プローブ鎖及びその相補的標的のハイブリッド形成又は変性に基づく物理化学的手法及び(b)エンドヌクレアーゼ、リガーゼ及びポリメラーゼとの酵素反応の組合わせによって行われる。

    核酸ハイブリッド形成を用いる分析において、本発明の方法のDNA二重らせんの存在の検出は種々の手段により行われる。

    DNA二重らせんの存在を検出する1方法においては、DNA二重らせんでハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドには検出できる二重らせんを与える標識又は指示基を包含する。 典型的には、そのような標識としては放射性原子、化学的修飾ヌクレオチド塩基等が挙げられる。

    オリゴヌクレオチドを標識、即ち指示手段又は基に操作的に結合し、標識鋳型における特定のヌクレオチド配列の存在を検出するために使用することができる。

    オリゴヌクレオチドプローブ(標識オリゴヌクレオチド)の一部に操作的に結合した又は存在した放射性元素は、DNA二重らせんの検出を容易にする有効な手段となる。 典型的な放射性元素は、β線放射を生じるものである。 β線を放射する元素、例えば3 H、 14 C、 32 P及び35 Sはβ線放射発生放射性元素標識の種類を表す。 放射性ポリヌクレオチドプローブは、DNAキナーゼを用いる放射性標識ヌクレオチドの核酸への酵素取込みにより典型的に調製される。

    別の放射性標識オリゴヌクレオチドは、金属錯体形成剤、ビオチン含有基、蛍光化合物等を含むように化学的に修飾されるオリゴヌクレオチドである。

    有効な金属錯体形成剤はランタニド及び芳香族βジケトンによって形成されたランタニドキレートであり、該ランタニドは蛍光ランタニド複合体を形成されるようにEDTA類縁体のようなキレート形成化合物を介して核酸又はオリゴヌクレオチドに結合される。 米国特許第4,374,120号、同第4,569,790号及び公開欧州特許出願第Ol39675号及び国際出願第87/02708号参照。

    ポリヌクレオチドを標識するビオチン又はアクリジンエステル標識オリゴヌクレオチド及びその使用が記載されている。 米国特許第4,707,404号、公開欧州特許出願第0212951号及び欧州特許第0087636号参照。 有効な蛍光マーカー化合物としては、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、NBD等が挙げられる。

    DNA二重らせんに存在する標識オリゴヌクレオチドは二重らせん自体を標識し、従って分析されるべき試料に存在する他の核酸より区別できる。 二重らせんの標識の存在、それにより二重らせんの存在の検出は、典型的にはDNA二重らせんに対してハイブリッド形成されない標識オリゴヌクレオチドプローブからDNA二重らせんを分離することを含んでいる。

    非ハイブリッド形成標識オリゴヌクレオチドプローブのような一本鎖オリゴヌクレオチドをDNA二重らせんから分離する技術は周知であり、典型的には二本鎖核酸から1本鎖をそれらの化学的性質に基づいて分離することを含んでいる。 更にたいてい分離技術は、非ハイブリッドプロープを不溶性基質に結合するDNA二重らせんから典型的には洗浄により分離する不均一ハイブリッド形成方式の使用を含んでいる。 具体的にはサザンブロット法であり、基質はニトロセルロースシートであり標識は32 Pである。 Southern, J. Mol. Biol. , 98:503(1975)。

    オリゴヌクレオチドは、また典型的には5'末端で又はその近傍で固体基質、即ち前記不溶性水性固体支持体に結合されることが有利である。

    "結合"ヌクレオチドを5'又は3'端のオリゴヌクレオチド部分に加え、その部分を固体支持体に操作的に結合するために結合オリゴヌクレオチドを使用することも可能である。

    ヌクレオチドハイブリッド形成分析においては、鋳型上の所定の配列に対して相補性を有するオリゴヌクレオチドが鋳型に存在する相補的核酸配列に対してハイブリッド形成するのに十分な時間のハイブリッド形成条件下企図された方法でハイブリッド形成反応混合液を維持してハイブリッド形成産物、即ちオリゴヌクレオチド及び標的核酸を含有する複合体を形成する。

    維持時間に関して用いられる"ハイブリッド形成条件"なる語及びその文法上の相当語は、混合液中反応体と付随試薬の濃度の関係において、ハイブリッド形成反応混合液を1種以上のオリゴヌクレオチドが標的配列とアニールするのに十分な時間、温度及びpH条件に供して核酸二重らせんを形成することを示すものである。 ハイブリッド形成を行うために必要とされるそのような時間、温度及びpH条件は、当該技術において周知のように、ハイブリッド形成されるべきオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドと標的との間の相補性の程度、オリゴヌクレオチドのグアニン及びシトシン含量、所望のハイブリッド形成の厳密性及びハイブリッド形成速度論に影響するハイブリッド形成反応混合液中の塩又は追加試薬の存在に左右される。 一定のハイブリッド形成反応混合液のハイブリッド形成条件を最適化する方法は、当該技術において周知である。

    典型的なハイブリッド形成条件は、pH値4〜9に緩衝化した溶液の使用を包含し、4〜37℃、好ましくは約12〜約30℃、更に好ましくは約22℃の温度で0.5秒〜24時間、好ましくは2分(min)〜1時間行われる。 具体的には実施例4に記載される条件である。

    ハイブリッド形成は、周知のように均一又は不均一方式で行うことができる。 均一ハイブリッド形成反応は、溶液中で完全に生じ、ハイブリッド形成(標的)されるべきオリゴヌクレオチドと核酸配列の双方が溶液中可溶形態で存在する。 不均一反応は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドプローブ又は標的核酸が結合される反応媒体に不溶な基質の使用を含んでいる。

    標的配列を含む核酸が二本鎖(ds)形態である場合、ハイブリッド形成反応しを行う前に加熱又はアルカリ処理のようにまずdsDNAを変性することが好ましい。 dsDNAの変性は、ハイブリッド形成されるべきオリゴヌクレオチドと混合する前に行われるか又はdsDNAとオリゴヌクレオチドとの混合した後に行うことができる。

    ハイブリッド形成反応混合物に存在するオリゴヌクレオチドの有効量は通常周知であり、典型的にはハイブリッド形成されるべきオリゴヌクレオチドと鋳型との間のモル比率によって表される。 好ましい比率は、標的配列とオリゴヌクレオチドの等モル量を含むハイブリッド形成反応混合物である。 周知のように、等モル濃度からの偏差は、低効率であるがハイブリッド反応産物を生じる。 即ち、1成分が他の成分に相対して100倍モル過剰ほどにあることができる比率であるが、50倍モル未満、好ましくは10倍未満、更に好ましくは2倍過剰量が本発明を実施するに当たり好ましい。

    実施例
    下記実施例は、本発明を具体的に説明するものであるが、限定するものではない。

    1. 保護アミノ酸の調製
    二官能分子の合成には、保護アミノ酸が必要である。 アミノ酸のアミノ末端はフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)で保護され、カルボキシ末端はぺンタフルオロフェニルエステル(Opfp)で保護される。 アミノ酸リシン、システイン、チロシン、セリン、トレオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、アスパラギン酸及びグルタミン酸には、その側鎖(R基)保護の追加が必要である。

    ほとんどのFMOC及びOpfp保護アミノ酸は市販されており、Bachem Biosciences, Inc. (Philadelphia, PA)から入手した。 本明細書で用いられるその構造に対する用語は、グリシン(Gly)の場合次の例: FMOC-Gly-Opfpで示され、FMOC及びOpfpはアミノ及びカルボキシ末端保護基である。 側鎖保護の場合、次の保護アミノ酸はBachemから入手できる:アルギニンの側鎖アミノ末端に置換基N 9 -4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニルアルギニン(MTr)を有するFMOC-Arg(MTr)-Opfp;ヒスチジン内の複素環反応性窒素に置換基Nπ- tert-ブトキシメチルヒスチジン(Bum)を有するFMOC-His(Bum)-Opfp;システインの側鎖イオウに置換基S-トリフェニルメチルシステインを有するFMOC-Cys(Trt)-Opfp;トリプトファンの複素環基のアミノ基にホルミル基を有するFMOC-Trp(N-For)-Opfp;及びリシン側鎖の遊離アミノ基にベンジル基を有するFMOC-Lys(N-Bz)-Opfp;括弧内の構造は反応性側鎖の保護基を示す。

    チロシンの側鎖ヒドロキシにtert-ブチルジメチルシリル(TBS)エステルを有するFMOC-Tyr(OTBS)-Opfpは、過剰量のギ酸とFMOC-Tyr(tert-ブチル)-Opfp(Bachem)と反応させて保護ヒドロキシ基からtert-ブチル基を除去してFMOC-Tyr-Opfpを形成することにより調製される。 その後、1当量のFMOC-Tyr-Opfpを1.2当量のTBSI-C1及び1.5当量のイミダゾールとDCM中不活性雰囲気下室温で12時間反応させてFMOC-Tyr(OTBS)-Opfpを形成する。

    FMOC-Ser(OTBS)-Opfpは、同様に反応にFMOC-Ser(tert-ブチル)-Opfp(Bachem)を用いて調製される。 FMOC-Thr(OTBS)-Opfpもまた、FMOC-Thr(tert-ブチル)-Opfp(Bachem)を用いてこの方法で調製される。

    アスパラギン酸の側鎖カルボキシル基にトリメチルシリルエチルエステル(TMSE)を有するFMOC-Asp(TMSE)-Opfpは、まず1当量のFMOC-Asp-O-tertブチル(Bachem)と1.5当量の2-トリメチルシリルエタノール及び1.5当量のジシクロカルボジイミド(DCC)とを酢酸エチル中不活性雰囲気下室温で12時間反応させてFMOC-Asp(OTMSE)-O-tert-ブチルを形成することにより調製される。 その後、TMSEエステルを過剰量のギ酸と室温で14時間反応させてtert-ブチル部分を加水分解するとともにFMOC-Asp(OTMSE)-COOHの形の遊離カルボキシル末端を形成する。 ギ酸を蒸発し、1当量の残りのアミノ酸を1.1当量のペンタフルオロフェノール(pfp;Bachem)及び1.1当量のDCCと不活性雰囲気下室温12時間混合して産物FMOC-Asp(TMSE)-Opfpを形成する。 この産物は、ヘキサン中10%(v/v)酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより未反応pfp、DCC及び前駆体アミノ酸から単離される。

    グルタミン酸の側鎖カルボキシル基にTMSEエステルを有するFMOC-Glu(TMSE)-Opfpは、アスパラギン酸前駆体の代わりにFMOC-Glu-0-tert-ブチル(Bachem)を用いる以外はFMOC-、TMSE及びpfp保護アスパラギン酸を調製する上記のように調製してFMOC-Glu(TMSE)-Opfpを形成する。

    2. 固体支持体の調製
    a. テフロン支持体
    N6-(5'-O-ジメトキシトリチル-2', 3'-ジアセチル1-アデニルイル)-テフロン支持体を示す固体支持体をGlen Research(Herndon, VA)から入手した。 固体支持体は、プリン塩基の6-アミノ基による固体支持体結合、リボース環の5'位にジメトキシトリチルエーテル(DMT)及びリボース環の2'及び3'位に酢酸エステルを有する修飾アデニンヌクレオシドを有するテフロン樹脂である。 この固体支持体をジクロロメタン中5容量の3%(v/v)ジクロロ酢酸(DCM中3%DCA)と混合し、不活性雰囲気下室温で10分間維持し、ジメトキシトリチル(DMT)保護基を除去して遊離5'ヒドロキシルを形成した。 得られた脱保護固体支持体をDCMで3回洗浄して過剰の反応しないDCAを除去した。 脱保護洗浄テフロン固体支持体はリンカーにカップリングすることができる。

    3. リンカーの固体支持体へのカップリング
    a. テフロン支持体
    1当量の脱保護洗浄固体支持体(実施例2で調製した)を20当量の(1-ジメトキシトリチルオキシ-3-フルオレニルメトキシカルボニルアミノプロパン-2イル)-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイトを示し5'分枝修飾因子C3(又は5'BMC3;Glen Researchから入手)と呼ばれるリンカー及び20当量のテトラゾール(アセトニトリル中0.45M, Glen Research)と混合し、不活性雰囲気下室温で0.5〜1時間攪拌しながらかきまぜた。 次いで混合液を過剰量のアセトニトリルで洗浄して反応しない試薬を除去した。 洗浄固相物質が残り、2当量のテトラヒドロフラン/水、9:1中ヨウ素(Glen Researchから入手)と不活性雰囲気下で混合し、室温で10分間維持して酸化固体支持体結合リンカーを形成した。

    次いで1当量の酸化固体支持体結合リンカーを20当量のアセトニトリル/酢酸無水物、88:12(キャップ形成試薬;Glen Research)と室温で10分間混合して固体支持体上に存在する反応しない遊離ヒドロキシルにキャップを形成しかつキャップテフロン固体維持体結合リンカーを形成した。

    b. 制御細孔ガラス(CPG)支持体
    本発明で用いられる制御細孔ガラス(PCG)及びリンカーが特に好ましい。 具体的なCPG支持体の完全な構造は図3に示されており、(1)リンカーをCPG支持体に結合するサルコシンリンカー部分、(2)固体支持体からポリペプチド-リンカー-オリゴヌクレオチド複合体(ABC)を遊離するアンモニア水で切断できるスクシニルアミノヘキサノールリンカー及び(3)固体支持体からオリゴヌクレオチドを遊離する光不安定切断部位を有するセリン分枝モノマーを包含する。 合成は下記のように段階的に行われる。

    N-Fmoc-アミドヘキサン-1-オール(1)をまず調製してアミノヘキサノールリンカー部分を形成した。 それを目的として、6-アミノ-1-ヘキサノール(0.75g、6.4ミリモル)を飽和水性Na 2 CO 3 (10ml)に溶解し、氷で冷却した。 THF(25ml、新たに蒸留)中9-フルオレニルメチルクロロホーメート(Fmoc-Cl、1.83g、7.1ミリモル)を激しく攪拌しながら徐々に加えた。 この溶液を10%(w/v)クエン酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出し、セライト545でろ過した後、相を分離した。 有機相を乾燥(Na 2 SO 4 )で乾燥し、ろ過し、蒸発して粗生成物(2.15g)を得た。 酢酸エチル/ヘキサン(100ml、8/2、v/v)で再結晶して純粋な生成物を得てアルコール1を生成した。 アルコール1の収量は1.6gであった。

    N-Fmoc-アミドヘキサン-1-イルスクシネート(2)を調製してスクシニルアミノヘキサノールリンカー部分を形成した。 アルコール1(758mg、2.2ミリモル)を無水ピリジンに(5ml)に溶解し、減圧下で蒸発乾固した。 蒸発した油状物を無水ピリジン(3ml)に再び溶解し、コハク酸無水物(229mg、2.3ミリモル)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、370μl、278mg、0.1ミリモル)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、370μl、278mg、2.2ミリモル)を不活性雰囲気(Ar)下攪拌しながら加えた。 この反応混合液を一晩攪拌し、蒸発乾固し、ジクロロメタン(100ml)に再び溶解し、希釈水性塩酸(1M、50m1)で抽出した。 有機相を乾燥(Na 2 SO 4 )し、ろ過し、蒸発して粗生成物を化合物2を示す油状物として得、これを2-プロパノールで再結晶することができた。 化合物2の収量は735mg(白色結晶として)であり、融点(Mp.)67-68℃(補正なし);及び質量分析(MS)(EI、m/le)440(C 25 H 29 O 6 +Hの計算値440)を有した。

    O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-N-Fmoc-L-セリン(3)を調製してFMOC及び0-DMT末端を含むセリン分枝リンカー部分を形成した。 Fmoc-L-セリン(4.04g、12.2ミリモル)を無水ピリジン(10ml)に溶解し、減圧下で蒸発乾固した。 この工程を2回繰り返した。 蒸発した油状物を無水ピリジン(12ml)に再び溶解し、4,4'-ジメトキシトリチルクロリド (4.20g、12.4ミリモル)を不活性雰囲気(Ar)下室温で攪拌しながら加えた。 反応混合液を一晩攪拌し、蒸発乾固し、クロロホルム(4×25ml)に再び溶解し、飽和水性NaHCO 3 (50ml)で抽出した。 水相をクロロホルム(25ml)で1回逆抽出し、合わせた有機相をNa 2 SO 4で乾燥し、ろ過し、蒸発して粗生成物を茶色がかった油状物として得た。 油状物をクロロホルム/酢酸エチルに溶解し、ヘキサンと1回摩砕し、次いで移動相としてCHCl 3 /MeOH/DIPEA、94/5/1を用匠シリカゲルカラムクロマトグラフィー(150mlシリカ)で精製した。 画分をtlcで分析し、適切な画分をプールし、蒸発して化合物3を示す白色泡状物を得た。 化合物3の収量は4.29gであり、MS(EI、m/e)は630(C 39 H 35 NO 7 +Hの計算値630)であった。

    制御細孔ガラス(CPG)を上記の調製リンカーに結合するために活性化した。 それを目的として、CPG(Sigma G5019、アミノプロピル-CPG、4.97g)をジクロロメタン中トリクロロ酢酸(3%、20ml)に懸濁し、シェーカーで4時間攪拌した。 CPGをろ過で単離し、ジクロロメタン(20ml)で3回、クロロボルム中DIPEA(10%、20ml)で3回及びジエチルエーテルで3回洗浄して活性化CPGを形成した。 活性化CPGを減圧下で乾燥した。

    次いで図3に示されている要素をすべて含む二官能CPG[bf-CPG, CPG-Sar-suc-aho-Ser(O-DMT)(N-Fmoc)]を調製した。

    i.活性化CPG(2.Og、ローディング83μモル/g)をフィルター漏斗(25ml)に入れた。 Fmoc-Sar(313.5mg、ミリモル)をDMF (2.8ml)に溶解し、DMF(2.8ml)中pyBOP(525.9mg、ミリモル)と混合し、合わせた活牲化アミノ酸混合液をCPGに加えた。 DIPEA(1ml)を反応混合液に加え、CPGを室温で1時間振盤した。 クロロホルム(5ml)を加え、振盪をもう3時間続けた。 Sar機能性CPGをろ過で回収し、DMF(2×)、ジクロロメタン(2×)、ジエチルエーテル(2×)で洗浄し、減圧下で乾燥した。 最大ローディングを得るために、この工程を繰り返してローディング77μモル/gを有するCPG-Sarを得た。 残存する最終遊離アミノ基に酢酸無水物/DMAPでキャップ形成し、次いで減圧下で多く洗浄及び乾燥してSar機能性CPGを形成した。

    ii.Sar機能性CPG(2.0g)をDMF(2/8、2×5分)中ピペリジンで処理し、化合物2(450mg)、pyBOP(575mg)及びDIPEA(1000μl)をDMF(2×2.8ml)中で反応させた。 得られたSar-suc-aho-Fmoc機能性CPGをろ過で回収し、DMF(2×)、ジクロロメタン(2×)、ジエチルエーテル(2x)で洗浄し、減圧下で乾燥した。

    iii.Sar-suc-aho-Fmoc機能性CPGをDMF(2/8、2×10分)中ピペリジンで処理し、化合物3(764mg)、pyBOP(536mg)及びDIPEA(1000μl)とDMF(2x2.8ml)と反応させて二官能CPG支持体又は"bf-CPG"を形成した。 ローディングは、302nmのFmoc/ピペリジン付加物吸収から判断して61.7μモル/gであることが決定された。

    更に実施態様においては、上記bf-CPGは複合体からポリペプチドを除去するための光不安定切断部位を付加することにより更に機能化される。

    それを目的として、3-ニトロ-4-ブロモメチル安息香酸をα-ブロモ-p-トルイル酸(4-ブロモメチル安息香酸; Aldrich Chemical Company, Milwaulkee, WI製)を用いてRichら, J. Am. Chem. Soc., 97: 1575-1579(1975)に記載されているように調製する。 3-ニトロ-4-ブロモメチル安息香酸部分をまずDMF中ピペリジンで処理(2/8、2×5分)してN末端官能を脱保護することにより上記bf-CPG支持体に付加し、次いで十分に洗浄し、pyBOPで活性化される3-ニトロ-4-ブロモメチル安息香酸と反応させて図3に示される構造を有する光切断できるbf-CPGを形成する。 カップリング反応の完了はFMOC脱保護及びカップリング反応の各々の後、ポジティブ及びネガティブカイゼル試験によりモニターされる。

    アミノ酸残基モノマーの光切断できるbf-CPG(O-NB-bf-CPGとも呼ばれる)へのカップリングは、上記Richら及びBaranyら, J. Am. Chem. Soc. , 107: 4936-4942(1985)に記載されているエステル化手順により行われる。

    得られたbf-CPGリンカー/支持体分子は下記の本発明の関係において新規でかつ有効な特徴を有する。

    (1)リンカー/支持体分子はFmocペプチド合成条件に安定でありかつ切断の際固体CPG支持体を含まないペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を遊離するサルコシン/スクシニル部分のアンモニア水感受性切断部位を有し、それにより化学ライブラリーの可溶相形態を作製するとができる。 可溶相化学ライブラリーは、PCR反応における使用及び溶液相結合相互作用においてペプチド相互作用を測定するのに特に適している。

    (2)L-セリン分枝モノマーがあるので、ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体は異性体的に純粋である。

    (3)光不安定リンカー/支持体分子(0-NB-bf-CPG)は、約350nmの光に感受性でありかつ切断の際可溶性ペプチドを遊離する図3に矢印で示された光感受性(hv)切断部位を有する。 切断は、上記Baranyらに記載されているようなレイオネットRPR原子炉を用いて照射時間及び強度により調節することができる。

    4. ヌクレオチドの固体支持体へのカップリング
    a. DMTの脱保護
    実施例3で調製したキャップ形成テフロン固体支持体結合リンカーを3%DCAとDCM中不活性雰囲気下室温で10分間混合してDMT保護基をリンカーから除去し遊離ヒドロキシル基を形成した。 次いで脱保護リンカー/支持体をDCIMで3回洗浄した。 脱保護リンカー/支持体は、ヌクレオチドを付加することができる。

    b. ヌクレオチドのテフロン支持体への付加
    1当量の脱保護リンカー/支持体を約20当量の所望のブロックヌクレオチドホスホルアミダイト及び20当量のテトラゾール(アセトニトリル中0.45M)と混合して結合ヌクレオチド/リンカー/支持体(結合ヌクレオチド複合体)を形成した。 次いで結合ヌクレオチド複合体を過剰量のアセトニトリルで洗浄して反応しない試薬を除去した。 ブロックヌクレオチドホスホルアミダイトすべてをGlen Researchから入手し、DMT保護ブロック5'ヒドロキシル、シアノエチトルエステル(CNE)及び3'ホスホルアミダイトのジイソプロピルアミン基を含む。 更に、アデニン及びシトシン誘導体は塩基の遊離窒素上にベンゾイル基を含有し、グアノシン誘導体はプリン塩基の2-アミノ基上にイソブチル基を含む。

    次いで1当量の結合ヌクレオチド複合体を上記実施例3のように酸化のためにテトラヒドロフラン/水、9:1中2当量のヨウ素と混合して結合ヌクレオチド複合体を酸化した。

    その後、1当量の酸化ヌクレオチド複合体を上記実施例3のように20当量のキャップ形成試薬と混合して反応しない遊離ヒドロキシルにキャップ形成しキャップ固相結合ヌクレオチド複合体を形成した。

    c. ヌクレオチドの二官能CPGへのカップリング
    ヌクレオチド残基を二官能CPG支持体へ付加するカップリング化学の証明として、bf-CPG上のオリゴデオキシリボヌクレオチドを合成及び結合した。 それを目的として、オリゴヌクレオチドを1μモル規模の標準合成サイクル並びに市販の試薬及びホスホルアミダイトを用いてABI394DNAシンセサイザーにより合成した。 使用した固体支持体は、ABIシンセサイザー用市販の中空合成カラムに入れたbf-CPG(20mg、1μモル)とした。 反復収率は、脱トリチル化を集めアセトニトリル中p-トルエンスルホン酸1水和物(0.1M)に希釈し498nmの吸収を測定することから判断した98.9%を算出した。

    オリゴヌクレオチドを濃アンモニア水によって支持体から遊離した(24時間を超えて振盪する)。 オリゴヌクレオチドを市販のOPCカートリッジを用いて単離し、HPLC及びPAGEを分析した( 32 Pg-ATP及びT4キナーゼで放射能標識した)。

    5. アミノ酸の固体支持体へのカップリング
    a. ヌクレオチド複合体の脱保護
    1当量のキャップテフロン固相結合ヌクレオチド複合体を1当量の1,8,ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ-7-エン(DBU; Aldrich Chemical Co.製, Milwaukee, WI)とDCM中不活性雰囲気下室温で10分間混合してヌクレオチド複合体のリンカーからフルオロメトキシカルボニル(FMOC)保護基を除去(脱保護)した。 次いで脱保護ヌクレオチド複合体を過剰量のDCMで洗浄して反応しないDBUを除去し遊離アミノ基を有する脱保護ヌクレオチドを形成した。

    b. アミノ酸の付加
    1当量の実施例5Aの脱保護ヌクレオチドをジメチルホルムアミド(DMF)中20当量の保護アミノ酸と20当量の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と不活性雰囲気下室温で0.5〜1時間混合した。 この反応条件は、アミノ酸のカルボキシ末端をそのペンタフルオロフェニルを介してヌクレオチド複合体の遊離アミノ基に結合してヌクレオチド/アミノ酸複合体(複合体)を形成する。 次いでこの複合体を過剰量のDCMで洗浄して反応しないHOBt及び前駆体アミノ酸を除去した。 保護アミノ酸は、アミノ及びカルボキシ末端にFMOC及びOpfp、場合によっては、上記側鎖上の保護基を有する実施例1で記載されたものの1種である。

    c. アミノ酸の二官能CPGへのカップリング
    アミノ酸残基を二官能CPG支持体へ付加するカップリング化学の証明として、ペプチド、H-HPQFVS-ahoを合成し、そのペプチドをbf-CPGに結合した。 それを目的として、bf-CPG(428mg、26μモル)を 装置の攪拌装置に接続したフィルター漏斗に入れた。 使用した試薬は、0-pfpエステル(Val及びHis[Fmoc]の場合)あるいはpyBOPで活性化した遊離酸(Phe、Gln及びProの場合)として市販のFmocアミノ酸誘導体とした。 カップリングは、慣用の 化学を用いる自動ペプチドシンセサイザー で行った。 Fmoc脱保護及びカップリング段階の各々の後、カップリング反応の成功をポジティブ及びネガティブカイゼル試験によりモニターした。

    ペプチドを脱保護し、i.DMF中ピペリジン(2/8、2x5分)ii.濃アンモニア水(24時間振盪)で処理することによりbf-CPGの一部から遊離した。 逆相HPLCによりペプチドを1本の主ピークとして分析した。 MS(イオンスプレー、m/e)813(C 39 H 60 N 10 O 9 +Hの計算値813)。

    6. 複合体の延長
    複合体は、ヌクレオチドとアミノ酸付加の交互サイクルにより長くすることができる。 複合体が所望のアミノ酸ポリマーとオリゴヌクレオチドポリマーをもつまで、次の交互サイクルが繰り返される。

    a. ヌクレオチドの付加
    付加ヌクレオチドを結合するために、末端ヌクレオチド上の5'-OHをテフロンリンカー/支持体の脱保護の前記実施例4Aに記載されるプロトコールに従ってDCAで脱保護する。 その後、保護ヌクレオチドが実施例4Bのように付加される。

    b. アミノ酸の付加
    付加アミノ酸を結合するために、複合体に付加した最後のアミノ酸のアミノ-FMOC末端を前記実施例5AのようにDBUで脱保護する。 その後、保護アミノ酸が実施例5Bに記載されるように付加される。

    別のヌクレオチド及びアミノ酸を付加する上記段階1及び2のサイクルは、複合体が所望の長さ及び構造のポリマーを有するまで繰り返すことができる。

    c. ポリペプチド-オリゴヌクレオチドCPG複合体の構築
    二官能CPG支持体上にペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を調製するカップリング化学の証明として、bf-CPG上にオリゴデオキシリボヌクレオチドを合成及び結合した。 それを目的として、オリゴヌクレオチド(配列番号 :TCT CTC TCT AAA CTC GGG TCT CTC 1 ;及び配列番号 :AGC TAC TTC CCA AGG ATC ACC ACA CTA GCG GGG CCC TAT TCT TAG 2 )を1μモル規模の標準合成サイクル及び市販の試薬及びホスホルアミダイトを用いるABI394DNAシンセサイザーにより標準合成化学に従って合成した。 固体支持体は、ABIシンセサイザーの市販の中空合成カラムに入れた上記実施例 で作製したFmoc-(Fmoc)HPQFVS(DMT)-aho-CPG(20mg、1μモル)とした。 反復収量は、脱トリチル化を集め、アセトニトリル中p-トルエンスルホン酸1水和物で希釈し、498nmの吸収を測定することから測定した各々97.9%(24量体)及び98.3%(45量体)を算出した。

    上記45量体オリゴヌクレオチドは、PCRプライマーの部位を示す2つの隣接15量体領域及び無コンマコドンFのCTA、HのATC、PのACC、QのACA及びVのGCGを(任意に)用いるペプチドのコード配列である中間15量体を有する。

    ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体は、濃アンモニア水(24時間を超える振盪)により支持体から遊離した。 ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を市販のOPCカートリッジを用いて単離し、HPLC及びPAGE( 32 Pg-ATP及びT4キナーゼで放射能標識した)により分析した。

    1 24量体試験配列
    2 45量体配列。 2つの隣接15量体はPCRプライマーであり、中間15量体は無コンマコドンFのCTA、HのATC、PのACC、QのACA及びVのGCGを (任意に)用いるペプチドのコード配列である。

    d. bf-CPG支持体上ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体ライブラリーの合成
    実施例3Bに記載される二官能(bf)CPG支持体を用いて、ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体ライブラリーを下記段階に記載されるように構築する:

    段階1.固体支持体、bf-CPGをABI394DNAシンセサイザー(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)に使用する市販の中空合成カラムに入れる。 3'オリゴヌクレオチドプライマー配列(配列番号 )を合成し、次いで標準合成サイクル及び市販の試薬及びホスホルアミダイトを用いる製造業者の標準手順に従ってbf-CPGに化学的に結合する。

    段階2.段階2後の支持体は、合成されるべきポリペプチドのライブラリー位置1に付加されるべき異なるモノマーアミノ酸数を表す多数のアリコートに分けられる。 各Fmocアミノ酸残基モノマー(1)は、モノマー上の保護と一致したプロトコールに従って結合される。 典型的なプロトコールにおいては、bf-CPGを攪拌装置に接続したフィルター漏斗に入れる。 使用される試薬は、O-pfpエステルあるいはpyBOPで活性化された遊離酸として市販のFmocアミノ酸誘導体である。 機能性bf-CPGをDMF中ピペリジン(2/8、2x5分)で処理し、上記のように活性化したモノマーと反応させる。 カップリング反応の成功は、Fmoc脱保護及びカップリング各段階後ポジティブ及びネガティブカイゼル試験でモニターする。 同様に、脱保護Fmoc/ピペリジン複合体の302nmにおける吸収は、カップリング反応がうまく進行する指標として作用する。 モノマー(1)-機能性bf-CPGをろ過により回収し、DMF(2x)、ジクロロメタン(2×)、ジエチルエーテル(2x)で洗浄し、減圧下で乾燥してモノマー(1)-複合bf-CPGを形成する。

    段階3.適切なモノマー(1)の単位アイデンティファイアーであるオリゴヌクレオチドは、異なるモノマー(1)-機能性bf-CPGの各々をDNAシンセサイザー用市販の別々の中空合成カラムに入れることによりモノマー(1)-機能性bf-CPGの各々に結合される。 モノマー(1)-機能性bf-CPGl上に存在するモノマー(1)の種類に対応するオリゴヌクレオチドコード配列[例えば、オリゴ(1)を示す無コンマトリヌクレオチド単位]を標準合成サイクル並びに市販の試薬及びホスホルアミダイトを用いる前記DNAシンセサイザーによる3逐次合成サイクルによってモノマー(1)-機能性bf-CPGに化学的に結合してモノマー(1)、オリゴ(1)-bf-CPG複合体を形成する。

    段階4.異なるモノマー(1)-機能性bf-CPGをプールし、混合し、ライブラリーの位置2に付加されるべき異種アミノ酸残基モノマーの数を示す多数のアリコートに分けられる。 モノマー(2)は、モノマー(1)の段階2に記載されるようにCPGに結合される。

    段階5.適切なモノマー(2)の単位アイデンティファイアーであるオリゴヌクレオチド配列は、異なるモノマー(1)-機能性bf-CPGの各々をDNAシンセサイザー用市販の別々の中空合成カラムに入れることによりモノマー(1)-機能性bf-CPGの各々に結合される。

    これらの段階、段階4-5は、適切な数のモノマー及び対応する単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドが取込まれるまで繰り返される。

    段階6.合わせた固体支持体をDNAシンセサイザー用市販の中空合成カラムに入れる。 5'オリゴヌクレオチドプライマー配列は、上記のように標準合成サイクル並びに市販の試薬及びボスホルアミダイトを用いてモノマー(n)-モノマー(1)-機能性bf-CPGに化学的に結合される。 最後のDMT基は、精製段階で親和性垂れはしとして用いられるべきオリゴヌクレオチド-ペプチド複合体に結合されたままである。

    段階7.組合わせペプチド-オリゴヌクレオチドライブラリーを脱保護し、まずTBAFで適切な時間、次に濃アンモニア水(24時間を超えて振盪)で処理することにより支持体から遊離する。 ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を単1離し、市販のOPCカートリッジを用いて精製した。

    7. 保護基の除去
    1種以上の二官能分子の完全な合成後、保護基を末端ヌクレオチド、末端アミノ酸及び保護アミノ酸の側鎖から除去する。

    a. ヌクレオチド保護基の除去
    オリゴヌクレオチドポリマーの最後のヌクレオチドの5'-OH上のDMT保護基を、上記実施例4Aのプロトコールに従ってDCAで除去する。

    b. アミノ酸保護基の除去
    アミノ酸ポリマーの最後のアミノ酸のアミノ末端上のFMOC保護基を、上記実施例5Aに記載されるようにDBUで除去する。

    c. アミノ酸側鎖保護基の除去
    アミノ酸側鎖保護基を除去する条件は下記のように具体的な保護基に基づく:

    i. TBS及びTSEエステル基の除去
    1単位の複合体を約20当量のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)とDCM中で混合し、不活性雰囲気下室温で一晩維持してチロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン及びトレオニンの側鎖を保護するTBS又はTMSEエーテルを除去する。

    ii. Bz基の除去
    複合体を過剰量のアンモニア水で混合し、不活性雰囲気下60℃で一晩維持してリシンの側鎖アミノ基を保護するベンジル(Bz)基を除去する。

    iii. MTr、Bum及びTpm基の除去
    複合体を20〜50%TFAと混合し、不活性雰囲気下室温で約5分間維持してアルギニン、ヒスチジン又はシステインを各々保護するMTr、Bum又はTpm基を除去する。 その後、複合体をトリエタノールアミン及びCHCl 2で中和する。

    iv. ホルミル基の除去
    複合体をpH12の水性バッファーと混合し、不活性雰囲気下室温で約5分間維持してトリプトファンの反応性2-アミノ基を保護するホルミル基を除去する。

    8. 複合体の固体支持体からの切断
    a. テフロン支持体の切断
    保護基をテフロン支持体上の複合体から除去した後、複合体をアセトニトリル/水(1:4 V/V)中100mM過ヨウ素酸ナトリウム、100mMリン酸ナトリウムバッファー、pH7.2の切断溶液と混合することにより二官能分子を固体支持体から除去する。 混合液は、遮光して室温で攪拌しながら維持される。 4時間攪拌した後、液相を除去し、固体支持体を過剰量の水及びメタノールで洗浄する。 次いで洗浄液を除去し、1uモルの固体支持体を50ulのn-プロピルアミン、100ulのアセトニトリル及び400ulの水と混合し、55℃で3時間維持する。 その後、液相を回収し、減圧下で蒸発乾固し、乾燥生成物をアセトニトリル/水に溶解する。 溶解した生成物をEM LiChrospher 100RP-18m 50umカラム(4x25)HPLCカラムによる逆相HPLCを用いて精製する。 移動相Aは95% 0.1TEAAバッファー(pH7.0)及び5%アセトニトリルであり、移動相Bは5%TEAAバッファー(pH7.0)及び95%アセトニトリルである。 勾配は、流速1ml/分で100%A5分間、100%A〜50%50分間である。 均一画分を集めて純粋な二官能分子溶液を得る。
    この溶液を精製物質のバッファーを変える必要がある場合、この溶液を透析する。

    b. bf-CPG支持体の切断
    bf-CPG支持体に結合したペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を2つの異なる位置で切断することができる。

    図3に示されるように、アンモニア水反応はサルコシン-スクシニルリンカー部分を切断し、それによりペプチド-オリゴヌクレオチド複合体を固体支持体から遊離し、液相複合体を形成する。

    図3に示されるように、約350nmの光による照射はセリン分枝モノマー部分に存在する光反応性部位を切断し、それによりポリペプチドを固体支持体から遊離する。

    双方の場合ともに、固体支持体は遊離した可溶性物質からろ過により容易に分離されて切断反応に基づき単離可溶性複合体又はポリペプチドを形成する。

    9. 二官能分子のライブラリーの調製
    実施例1-8の合成手順を用いて、二官能分子の作製方法が詳述される。 分子のライブラリーを形成するために、操作を更に必要とする。 まず、分割し、異なる単位を各アリコートに加え、そのアリコートをプールして実質的にライブラリーをつくる。 第2に、場合によってはPCRプライマー結合部位と単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドをヌクレオチドでヌクレオチドを付加するより前合成したブロックとして付加することができる。

    a. 保護オリゴヌクレオチドの合成
    この手順を用いて、表2に示されるヌクレオチド配列を有するが、オリゴヌクレオチドの5'末端にDMTを有するとともにオリゴヌクレオチド3'末端にCNEエステル及びアミノジイソプロピルホスホルアミデートを有するPCRプライマー結合部位オリゴヌクレオチドP1及びP2を合成した。 同様に、1単位当たり6ヌクレオチドを有しかつ上記ブロック末端を有するグリシン(Gly)及びメチオニン(Met)の単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチドを合成した。 単位アイデンティファイアーオリゴヌクレオチド配列を表2に示す。

    表2
    呼称 オリゴヌクレオチド配列
    P1 5'-GGGCCCTATTCTTAG-3'
    P2 5'-AGCTACTTCCCAAGG-3'
    Z gly 5'-CTCATG-3'
    Z met 5'-ACGGTA-3'

    b. ライブラリーの合成
    化学単位がアミノ酸であり、アルファベットサイズがグリシン及びメチオニンから構成される2であり、単位アイデンティファイアーヌクレオチド配列が長さ6ヌクレオチドであり、化学ポリマーの長さが3アミノ酸である始原型ライブラリーの合成を記載する。 プロセスのスキームを図2に示す。

    実施例2で調製された固体支持体を実施例3に記載されるリンカーに結合する。 便宜上、固体支持体結合リンカー分子はLINKと呼ばれる。 その後、保護オリゴヌクレオチドP1が実施例4の単一保護ヌクレオチドに記載されるLINKに結合されて構造Pl-LINKを形成する。

    段階1において、P1-LINKは2アリコートに分けられる。 第1アリコートは実施例5に記載されるアミノ酸残基グリシンの連続カップリング、次いで実施例4に記載される保護オリゴヌクレオチドZ glyのカップリングに供して構造CTCATG-P1-LINK-glyを形成する。 第2アリコートを同様にアミノ酸メチオニン及びオリゴヌクレオチドZ metを付加するために結合して構造ACGGTA-P1-LINK-metを形成する。 次いで2つのアリコートをプールして2種の二官能分子の混合物を形成する。

    段階2において、段階1のプールを2アリコートに分ける。 第1アリコートを前のように連続カップリングに供し、グリシン及びオリゴヌクレオチドZ glyを付加して下記構造を形成する:
    CTCATGCTCATG-Pl-LINK-gly.gly及び
    CTCATGACGGTA-P1-LINK-met.gly。
    第2アリコートを前のように連続カップリングに供し、メチオニン及びオリゴヌクレオチドZ metを付加して下記構造を形成する:
    ACGGTACTCATG-Pl-LINK-gly.met及び
    ACGGTAACGGTA-Pl-LINK-met.met。
    次いで2つのアリコートをプールして4種の二官能分子の混合物を形成する。

    段階3において、段階2のプールを2アリコートに分ける。 第1アリコートを前のように連続カップリングに供し、グリシン及びオリゴヌクレオチドZ glyを付加する。 その後、保護オリゴヌクレオチドP2を実施例4の単一保護ヌクレオチドに記載されるプール中の成長二官能分子に結合して下記構造を形成する:
    P2CTCATGCTCATGCTCATGP1-LINK-gly.gly.gly、
    P2CTCATGCTCATGACGGTAP1-LINK-met.gly.gly、
    P2CTCATGACGGTACTCATGP1-LINK-gly.met.gly及び
    P2CTCATGACGGTAACGGTAPl-LINK-met.met.gly。
    第2アリコートを前のように連続カップリングに供し、メチオニン及びオリゴヌクレオチドZ metを付加する。 その後、保護オリゴヌクレオチドP2を実施例4の単一保護ヌクレオチドに記載されるプール中の成長二官能分子に結合して下記構造を形成する:
    P2ACGGTACTCATGCTCATGP1-LINK-gly.gly.met、
    P2ACGGTACTCATGACGGTAP1-LINK-met.gly.met、
    P2ACGGTAACGGTACTCATGP1-LINK-gly.met.met、及び
    P2ACGGTAACGGTAACGGTAP1-LINK-met.met.met。
    次いで2つのアリコートをプールして8種の二官能分子の混合液を形成する。

    得られた8種の二官能分子のプールは、本発明の方法に従って作製した小さなライブラリーを表す。 アルファベットサイズを増やすことにより1段階当たりのアリコート数が増加される。

    特定の実施態様及び実施例を含む前記明細書は、本発明を具体的に説明するものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。 本発明の真意及び範囲を逸脱することなく他の多くの変更及び修正を行うことができる。

    図1は、本発明の二官能分子から誘導されたPCR増幅産物の制限エンドヌクレアーゼ切断(段階1)、引き続きその切断PCR産物へのビオチン添加(段階2)のスキームを示すものである。

    図2は、実施例9に記載される方法による二官能分子を有するライブラリーの作製方法を示すものである。

    図3は、本発明を実施するのに有効であり実施例3Bに記載される"bf-CPG"と称される制御細孔ガラス(CPG)支持体に基づく好ましい二官能リンカー-支持体分子の構造を示すものである。

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