Method of manufacturing a plurality of building blocks of a material library

申请号 JP2002545826 申请日 2001-11-30 公开(公告)号 JP2004514553A 公开(公告)日 2004-05-20
申请人 ハーテーエー・アクチェンゲゼルシャフト・ザ・ハイ・スループット・イクスペリメンテイション・カンパニー; 发明人 クライン,イェンス; シュンク,シュテファン・アンドレアス; ニューサム,ジョン・マイケル;
摘要 本発明の方法により、多成分系の大きな材料ライブラリーを合成することができ、そのライブラリーでは、多成分系において2元系から多元系の全ての混合物を迅速で自由に合成される。 本発明の材料ライブラリーを本発明の性能特徴試験と組み合わせることにより、多数の新規材料のスクリーニングを著しく 加速 することができる。
权利要求
  • 一連の以下の工程を含む、材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する方法:
    (2) 種類T1の担体t 1m個(少なくとも1つのサブセットM 1mの一部である)の全て又は一部を、少なくとも1つの第1の物質(種類S 1s )と接触させる工程であって、担体が多孔質であることを特徴とし、そして該物質の少なくとも一部が担体のバルクの少なくとも一部に浸透することを特徴とする工程(s,t 、及びmは互いに独立で1以上の整数である);
    (3) サブセットM 1mの一部又は全体を結合し、その結果、種類T1の担体t 2n個を含有する1以上の第2のセットM 2mが生じる工程(n,m、及びt は1以上の整数でありn<mである)。
  • 以下の工程をさらに含む、請求項1記載の材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する方法:
    (1) 種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM を、k個の第1のサブセットM 1m (担体t 1m個を含有する)に分割する工程(t 及びmは互いに独立で1以上の整数であり、t ≧kであり、kは2以上の整数である)。
  • 以下の工程を含む請求項1又は2記載の方法:
    (0) 種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM を、少なくとも1つの物質ゼロ(種類S 0s )と接触させる方法(sは請求項1の意味である)。
  • 一連の以下の工程を含む、材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する方法:
    (I)少なくとも1つの第1の物質(種類S 1s )を、種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM と接触させ;
    (1)種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM を、k個の第1のサブセットM 1m (種類T1の担体t 1m個を含有する)に分割する(m及びt は互いに独立で1以上の整数であり、t ≧kであり、kは2以上の整数である);
    工程。
  • 一連の以下の工程を含む請求項4の方法:
    (2)−(3)−(I)−(1);
    (3)−(2)−(I)−(1);
    (2)−(I)−(3)−(1);
    (3)−(1)−(I)−(2)。
  • 担体t 個を含有する第1のセットM が、少なくとも2つの異なる担体(種類T1X、Xは1以上の整数)を含む、前記請求項の何れかの方法。
  • それぞれの工程(I)、(0)、(1)、(2)若しくは(3)、又は全体の工程、又は請求項1乃至5で定義される一連の工程の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、ビルディングブロック、及び/又は、種類T2Y(種類T1又はT1Xの担体と同じであるか又は異なり、Yは1以上の整数である)と同じ若しくは異なる担体を少なくとも1つのサブセットM 1mに加える、前記請求項の何れかの方法。
  • 請求項1乃至5で定義される工程の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、自由に選択しうる数のビルディングブロック及び/又は担体T1及び/又はT1X及び/又はT2Yを、少なくとも1つのサブセットM 1mから取り除くことができ及び/又は添加することができる、前記請求項の何れかの方法。
  • 工程(I)及び(0)乃至(3)の少なくとも1つの工程の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、及び/又は工程(I)及び(0)乃至(3)の少なくとも1つに代えて、少なくとも1つの担体に少なくとも1つの物理的及び/又は化学的及び/又は物理化学的処理が行われ;任意の個々の担体についてのそれぞれの処理が同じであっても異なってもよい;前記請求項の何れかの工程。
  • 一連の以下の工程を含む前記請求項の何れかの方法:
    (1') 担体のセット及び/又はサブセットの第1のサブグループを、少なくとも1つの第1のゼロ物質S 0s及び/又は少なくとも1つの第1の物質S 1sと接触させ(この工程は繰り返され、sは各々の回について同じであっても異なってもよい);
    (2') (1')により接触させたそれぞれのセット及び/又はサブセットを互いに混合し;
    (3') 担体のセット又はサブセットの第2のサブグループを、少なくとも1つの第2の物質S 2sと接触させる(S 2sはS 0s及び/又はS 1sと同じであるか又は異なる)(この工程は繰り返され、sは各々の回について同じであっても異なってもよい);工程。
  • 残りの担体を覆うために局所噴霧システム又はマスク若しくはダイヤフラムを用いた局所噴霧システムを用いて、第1及び/又は第2のサブグループの担体を少なくとも1つの物質と接触させる、請求項10記載の方法。
  • サブセットが同じサイズ又は異なるサイズである前記請求項の何れかの方法。
  • 溶液、懸濁液、分散液、乳液、融解物の添加、又は粉体コーティング法から選択される手順により物質を接触させることを特徴とする前記請求項の何れかの方法。
  • 少なくとも1つの接触工程の後に、少なくとも2つの物質が互いに、又は担体と、又は両者と、任意の可能な組み合わせで反応することを特徴とする前記請求項の何れかの方法。
  • 前記請求項の何れかに定義される一連の工程の順序が変更され、及び/又は繰り返される、前記請求項の何れかの方法であって;
    物質S 0s 、S 1s 、及び/又はS 2sは、前の工程の何れかで使用されたそれぞれの物質と同じであっても異なってもよく;及び/又はサブセットM 1m及び/又はM 2nは、前の工程の何れかで形成されたそれぞれのサブセットと同じであっても異なってもよく;及び/又は該物質と接触させ、及び/又は任意の(サブ)セットに加え若しくは取り除いた担体の数及び種類は、前の工程の何れかと同じであっても異なってもよい、上記の方法。
  • 何れかの工程で使用され、或いは、任意の(サブ)セットに添加され及び/又は回収された少なくとも1つの担体を、少なくとも1つの物理的若しくは化学的若しくは物理化学的処理又はそれらの任意の組み合わせにより変性させることができることを特徴とする、前記請求項の何れかの方法。
  • 一連の以下の工程を含む材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する方法:
    (2) 少なくとも1つの第1の物質S 1sを、k個の部分容積V 1mの全て又は一部に導入し(m及びsは1以上の整数であり、kは2以上の整数である);
    (3) 部分容積V 1mの一部、又は全てを結合し、その結果、複数の第2容積V 2nが生じる(nは整数であり、n<mである);工程。
  • 以下の追加工程を含む請求項17の方法:
    (1) 流体媒質FM の容積V を、k個の第1の部分容積V 1mに分割する工程(mは1以上の整数であり、kは2以上の整数である)。
  • 以下の工程(0)を含む請求項17又は18の方法:
    (0) 第1の容積V を少なくとも1つのゼロ物質S 0sと結合する工程(sは請求項17と同じ意味である)。
  • 一連の以下の工程を含む材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する方法:
    (I) 少なくとも1つの第1の物質S 1sを第1の容積V に導入し;
    (1) 第1の容積V をk個の第1の部分容積V 1mに分割する(mは1以上の整数であり、kは2以上の整数である)工程。
  • 一連の以下の工程を含む請求項17乃至20の何れかの方法:
    (2)−(3)−(I)−(1);
    (3)−(2)−(I)−(1);
    (2)−(I)−(3)−(1);
    (3)−(1)−(I)−(2)。
  • それぞれの工程(I)、(0)、(1)、(2)若しくは(3)、又は全体の工程、又は請求項17乃至20で定義される一連の工程の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、自由に選択しうる数の再分容積UV 1mを少なくとも1つの部分容積V 1mから取り除き及び/又は添加する、請求項17乃至21の何れかに記載の方法。
  • 工程(I)及び(0)乃至(3)の前に、及び/又は後、及び/又は間に、及び/又は工程(I)及び(0)乃至(3)の少なくとも1つに代えて、少なくとも1つの部分容積V 1m及び/又は再分容積UV 1mについて、少なくとも1つの物理的及び/又は化学的及び/又は物理化学的処理が行われ、個々の部分容積及び/又は再分容積のそれぞれの処理は同じであっても異なってもよい、請求項17乃至22の何れかに記載の方法。
  • 一連の以下の工程を含む請求項17乃至23の何れかの方法:
    (1') 少なくとも1つの第1のゼロ物質S 0s及び/又は少なくとも1つの第1の物質S 1sを、第1の部分容積V 1m及び/又は再分容積UV 1mに導入し;
    (2') (1')により得られたそれぞれの部分容積及び/又は再分容積を互いに入れ替え;
    (3') 少なくとも1つの第2物質S 2s (物質S 1s及び/又はS 0sと同じであるか又は異なる)を、容積又は部分容積の第2の再分容積に導入する;工程。
  • 部分容積V 1m及び/又は再分容積UV 1mに剤を添加することを特徴とし、その剤により、溶解した物質の少なくとも一部が固形で得られる、請求項17乃至24の何れかの方法。
  • 該剤が沈殿剤であることを特徴とする請求項25の方法。
  • 部分容積及び/又は再分容積が同じサイズであるか又は異なるサイズであることを特徴とする、請求項17乃至26の何れかの方法。
  • 少なくとも1つの接触工程の後、少なくとも2つの物質が任意の可能な組み合わせで互いに反応することを特徴とする、請求項17乃至27の何れかに記載の方法。
  • 請求項17乃至28の何れかに定義された一連の工程の順序が変えられ、及び/又は、類似の又は同等の方式で任意の所定の回数繰り返されることを特徴とする、請求項27乃至28の何れかに記載の方法。
  • 沈殿した物質に物理的及び/又は化学的及び/又は物理化学的処理を行うことを特徴とし、任意の個々の部分容積又は沈殿物又はその他の形成物についてのそれぞれの処理は同じであっても異なってもよい、請求項17乃至29の何れかの方法。
  • 前記請求項の何れかの方法により得られる材料ライブラリー。
  • 各々のビルディングブロックに個別化可能なコーディングが与えられることを特徴とする、材料ライブラリーの異なるビルディングブロックを同定するための前記請求項の何れかに記載の方法。
  • コーディングが実質的に化学的に不活性であることを特徴とする請求項32の方法。
  • コーディングが充分不活性であり、本発明の方法により定義される全ての工程又は処理を受けた後であっても所定のデバイスによって読み取り可能な状態が保持されることを特徴とする請求項33の方法。
  • コーディングが、RFA、UV/VIS分光、高エネルギー放射線の検出、NMR分光、ESR分光、メスバウアー分光、SIMS、光学的方法(蛍光分光、リン光分光)から選択される分析技術により読み取り可能であることを特徴とする、請求項31乃至34の何れかに記載の方法。
  • 前記請求項の何れかの材料ライブラリー中のビルディングブロックについて少なくとも1つの性能の特徴及び/又は特性を決定する方法であって、
    (a) 少なくとも1つのセンサーを用いて、少なくとも1つのビルディングブロックについて、少なくとも1つの第1の性能の特徴及び/又は特性を決定する工程を含む、上記の方法。
  • 以下の工程(b)をさらに含む請求項36の方法:
    (b) 少なくとも1つの更なるセンサーを用い、少なくとも1つのビルディングブロックについて、少なくとも1つのさらなる性能の特徴及び/又は特性を決定する工程。
  • 該さらなる性能の特徴及び/又は特性が、ビルディングブロックの選択された群についてのみ決定される、請求項36又は37の方法。
  • 該さらなる性能の特徴及び/又は特性の決定に至るビルディングブロックの選択が、第1の性能の特徴及び/又は特性の決定に依存することを特徴とする、請求項38の方法。
  • ビルディングブロックが、本発明のさらなる工程のためにデータ処理システムにより自動的に選択されることを特徴とする請求項36乃至39の何れかに記載の方法。
  • 工程(b)の前に、材料ライブラリーの少なくとも二つの互いに分離したビルディングブロックの存在下で、少なくとも1つの出発材料を導入し、少なくとも1つのビルディングブロック中で化学的及び/又は物理的及び/又は物理化学的工程を行い、出発材料がビルディングブロック中又は周囲を流通した後に排出ストリームが得られることを特徴とする、請求項36乃至40の何れかに記載の方法。
  • センサーが、赤外サーモグラフィー、質量分析と組み合わされた赤外サーモグラフィー、質量分析、GC、LC、HPLC、マイクロGC、拡散FTIR分光、ラマン分光、NIR分光、UV分光、UV/VIS分光、NMR分光、ESR分光、マイクロ波分光、GC−MS分光、赤外サーモグラフィー/ラマン分光、赤外サーモグラフィー/拡散FTIR分光、化学指示薬を用いた色検出/MS、化学指示薬を用いた色検出/GCMS、化学指示薬を用いた色検出/拡散FTIR分光、光音響分析、断層NMR及びESR法、電気化学又は化学センサーからなる群より選択される測定方法に基づくことを特徴とする、請求項36乃至41の何れかに記載の方法。
  • 前記請求項の何れかの方法を行うためのプロクラムコード手段を含有するコンピュータプログラム。
  • 請求項43のコンピュータプログラムを含有するデータキャリア。
  • 说明书全文

    【0001】
    本発明は、請求項1、4、17、及び20の前提部分(プリアンブル)に記載された材料ライブラリーのビルディングブロックを製造する方法に関し、発明の方法により得られる材料ライブラリーに関し、請求項32のプリアンブルに記載された材料ライブラリー中の様々なビルディングブロックを同定する方法に関し、請求項36のプリアンブルに記載された材料ライブラリー中のビルディングブロック又は材料について性能の特徴及び/又は特性を決定する方法に関する。
    【0002】
    本発明はコンビナトリアルケミストリーの分野にあり、詳細には、材料ライブラリーの構成要素の性能の特徴をサーチするために該材料ライブラリーを製造し試験する分野にある。 この技術分野は、特許文献及び科学的刊行物の両者においてよく記載されている。
    【0003】
    数年の間に、コンビナトリアル合成は、薬化学の分野での活性化合物の研究において重要な方法に発展した。 物質を次々に合成する従来の手順に加え、所定の構造の多くの物質を同時に調製できる方法により重要性が増す。 コンビナトリアル合成は、1つの合成工程において1つの合成ビルディングブロックでのみ反応が行われるのではなく、並列に又は混合状態で(in parallel or in a mixture)多くのブロックで反応が行われることに特徴がある。 それぞれの工程で、わずか数個のビルディングブロックで数多くの製造物、つまり“材料ライブラリー”が形成されるよう、全ての可能な組み合わせが行われる。 そのような化合物ライブラリーの合成は、ペプチド化学及び生化学の領域でこれまでに知られていた。 これにより、ライブラリーは数個の個別の化合物から混合された(in mixtures)何千個もの物質に拡大した。 このように、二次元担体上で鎖状材料を空間的に分離して合成することは、生化学及びペプチド化学でごく普通に用いられる(G. Jung, A. G. BeckSickinger, Angewandte Chemie 1992,104, pp. 375−391)。 固相合成及びフォトリソグラフィーの組み合わせにより、空間的に分離した方式で、光照射により分解しうる光に不安定な保護基が適用できるのみでなく、アミノ酸又はリガンドを逐次的に連結することができる。 各々のペプチドの位置は、マスキング技術のストラテジーで確立しうる。
    【0004】
    さらに、コンビナトリアルペプチド化学では、“スプリットアンドプール”合成と呼ばれるものが広く用いられており、数多くの刊行物の対象となっている(F. Balkenhohl et al., Angew. Chemie 1996,108,2436−2488, G. Lowe, Chem. Soc. Rev. 1995,24,309−317, G. Jung. A. G. Beck−Sickinger, Angew. Chemie 1992,104, 375−391, M. C. Pirrung, Chem. Rev. 1997,97,473−488, US−A 5, 556,762)。 この合成技術の基礎はメリフィールド固相合成である。 この方法では、例えば、官能基化されたポリスチレンビーズが固相担体として用いられる。 第1の工程では、例えば、多数のポリスチレンビーズが3つのコンテナに分割(スプリット)され、アミノ酸A,B、及びCが3つのサブセットの各々に連結される。 そして3つのサブセットを再結合し(プール)、混合する。 最後にはトリペプチドの27の異なる順列が迅速かつ同時に合成できるよう、この操作を例えば2回よりも多く繰り返す。 20のタンパク新生(proteogenic)アミノ酸を用いて400(20 )の異なるジペプチド、8000(20 )の異なるトリペプチド、160,000(20 )の異なるテトラペプチド、32,000,000(20 )の異なるペンタペプチド等が合成しうるという事実から、そのような手順の目的が理解される。 それに加え、共有結合の逐次的な連結により合成がおき、反応の定量的な収率がはっきりしており、その結果として、所定の分子ユニットが所定の数のポリマービーズ上に合成できるという利点がある。
    【0005】
    さらに国際出願WO 91/04266及び米国特許特許第5,160,378号明細書は、コンビナトリアル合成のための化学的に修飾されたポリマーロッド端の使用を開示する。 ペプチド合成は、アンカー基を介して確定した方式でこれらのロッドの末端で起こり、その配置により、反応体で満たしたキャビティに浸漬することにより合成又は洗浄工程のための従来のマイクロタイタープレートを使用することができる。
    【0006】
    無機化学では、今日まで、コンビナトリアル技術は2次元の配列の分野で開示されたに過ぎない。
    【0007】
    米国特許第5,985,356号明細書は、不活性な基板上の2次元材料配列の被覆及び試験による材料合成を記載する。 スパッタ技術の使用及び微細加工されたマスクの使用により(そのμm範囲の寸法はリソグラフィー技術のみによって実現される)、複数のビルディングブロックを有する多くの材料生成物が、非常に小さいスペースに完全に自動化されて製造しうる。 マスクを逐次的に使用し回転させることにより、異なる成分を所定の領域に蒸着できる。 蒸着後の温度処理の結果、約100nmの厚さの層間で相互拡散することにより、材料系が形成される。 自動化システムを用いることにより、これらの材料配列を繰り替えし製造することができる;第2の処理工程の条件を変える場合、第2の処理パラメータが新たな相及び材料に与える影響も制御することができる(米国特許第6,004,617号)。 不利な点は、2次元担体へ限定されること、材料がμg範囲の少量であること、所定の担体材料への結合、個々の材料の位置が非常に小さい寸法であること、及び、材料のモルフォロジーの制御が欠如していることである。
    【0008】
    国際公開WO 00/17413は、個々の成分の懸濁液又は溶液を担体の所定領域へ逐次的に添加し、合わせてコンディショニング後の工程(post−conditioning step)を行い、その結果、直接に、空間的に分離された(spatially resolved)、2次元ライブラリーを製造できることを記載する。 担体材料は、物理的障壁(例えば、スポッティングプレートアレイ、又は任意の適切な担体上の凹み/又はボアホール)により複数の領域に分割される。 しかし、コンビナトリアルケミストリーのルートによりこの無機材料を製造するこれらの方法全てが、硬性(rigid)又は準硬性(semi−rigid)な2次元的に予め決められた表面上で合成が行われるという特徴を共有しており、そして、製造される材料の数が製造に関する作業工程、又は分注工程、又は蒸着工程の直接の関数であるという特徴を共有する。
    【0009】
    従って本発明の目的は、コンビナトリアルケミストリーで知られた技術を拡張し、材料を含む二次元基板に縛られない成分を有する多成分系(例えば触媒であり、実際に非担持のバルク相の物体として製造しうる)を製造する方法を提供することであった。 反応帯及び拡散帯又は濃度勾配又はそれらの任意の組み合わせを作り出し、それにより触媒の活性又は選択性を制御することができるのは、3次元の実施態様のみである。 基板上の均一な膜又は多層でこれが可能ではないことは明かである。 本発明の更なる目的は、そのような材料ライブラリーの材料を試験する方法を確立することであり、それにより、上記の方法及び装置と比較して、材料ライブラリーの合成及びキャラクタリゼーションを加速しそして最適化することが可能となり、多成分系の合成の迅速性及び処理能という点でさらに改良することが可能となり、それを用いることにより、10 より多くのビルディングブロックを有するライブラリーを非常に効率的な方式で製造することができる。
    【0010】
    これら及びその他の目的は、材料ライブラリーの複数のビルディングブロックを製造する本発明の方法により達成され、本発明の方法は一連の以下の工程を含む:
    (2) 少なくとも1つのサブセットM 1mの種類T1の担体t 1m個の全て又は一部を、少なくとも1つの第1の物質(種類S 1s )と接触させる工程であって、担体が多孔質であることを特徴とし、そして該物質の少なくとも一部が担体のバルクの少なくとも一部に浸透することを特徴とする工程(s,t 、及びmは互いに独立で1以上の整数である);
    (3) サブセットM 1mの一部又は全体を結合し、その結果、種類T1の担体t 2n個を含有する1以上の第2のセットM 2mが生じる工程(n及びt は1以上の整数でありn<m)である。
    【0011】
    好ましい実施態様では、その方法は以下の更なる工程(1)を含み、その工程(1)は、好ましくは工程(2)及び(3)の前に行われる:
    (1) 種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM を、k個の第1のサブセットM 1m (担体t 1m個を含有する)に分割する工程(t 及びmは互いに独立で1以上の整数であり、t ≧kであり、kは2以上の整数である)。
    【0012】
    さらに好ましい側面では本発明の方法は更なる工程(0)を含み、その工程(0)では、工程(1)の前に種類T1の担体t 個の第1のセットM を少なくとも1つの物質ゼロ(種類S 0s )と接触させる(sは上記の意味を有する)。
    【0013】
    本発明の方法のさらに有利な実施態様は、一連の以下の工程(a sequence of the following steps)を含む:
    (I)少なくとも1つの第1の物質(種類S 1s )を、種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM と接触させ;
    (1) 種類T1の担体t 個を含有する第1のセットM を、k個の第1のサブセットM 1m (種類T1の担体t 1m個を含有する)に分割する(m及びt は互いに独立で1以上の整数であり、t ≧kであり、kは2以上の整数である);
    工程。
    【0014】
    好ましくは、本発明の方法において、担体t 個の第1のセットM が、少なくとも二つの異なる担体T1Xを含む(Xは2以上の整数である)。
    【0015】
    一連の以下の工程がさらに好ましい:
    (2)−(3)−(I)−(1);
    (3)−(2)−(I)−(1);
    (2)−(I)−(3)−(1);又は(3)−(1)−(I)−(2)。
    (工程(I)及び(0)乃至(3)の少なくとも1つの前に、及び/又は後に、及び/又は間に、及び/又は工程(I)及び(0)乃至(3)の少なくとも1つに代えて、担体T1、T1X及びT2Yの少なくとも1つについて、少なくとも1つの物理的及び/又は化学的及び/又は物理化学的処理を行い、個別の担体のそれぞれの処理は同じであっても異なってもよい。)
    そして有利なことには、材料ライブラリーの迅速で計画された効率的な合成を可能にする方法が提供され、一般に、本発明により製造された材料ライブラリーはこれまでの方法で製造されたライブラリーと比較して著しく大きく、10 から10 15の異なるビルディングブロックを容易に含有することができる。
    【0016】
    上記に定義した工程(I)及び(0)乃至(3)の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、及び/又は上記に定義した工程(I)及び(0)乃至(3)に代えて、担体に、1以上の処理工程で少なくとも1つの物理的及び/又は化学的及び/又は物理化学的処理を行うことが好ましい。 より好ましくは、単一の担体又は所定の数の担体のみがこの方式で処理される。 複数の担体又は担体全てがこの方式で処理される場合、担体のそれぞれの処理は同じであっても異なってもよい。
    【0017】
    担体は、本発明の方法とは独立に又は並列的に(in parallel)行われる他の手順からも生じうる。
    【0018】
    さらに本発明は、本明細書で論議されているタイプの方法にも関し、その方法では、それぞれの工程(I)、(0)、(1)、(2)若しくは(3)、又は、工程(I)及び(0)乃至(3)の工程全体、又は一連の工程の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、同じであるか又は異なる担体T2Y(担体T1又はT1Xと同じであるか又は異なり、Yは1以上の定数である)を少なくとも1つのサブセットM 1mに加える。
    【0019】
    その上、工程(I)、(0)、(1)、(2)、及び/又は(3)の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、自由に選択できる数の担体T1及び/又はT1X及び/又はT2Y担体及び/又はビルディングブロックを、少なくとも1つのサブセットM 1mから取り除き及び/又は添加することができる。
    【0020】
    本発明の方法により、ビルディングブロック、好ましくは3次元物体を、以下の群から選択される材料を含有するよう変えることができる:均一又は不均一触媒、ルミノフォア、熱電材料、圧電材料、半導体、電気光学材料(electooptical)、超伝導若しくは磁性物質又はそれらの物質の2以上の混合物、特に金属間化合物、酸化物、窒化物、炭化物、酸化物の混合物、複合酸化物、金属及び/又は非金属のイオン性又は共有化合物、合金、セラミックス、活性炭、有機金属化合物及び複合材料、誘電体、熱電材料、磁気抵抗及び磁気光学材料、有機化合物、ポリマー、酵素、酵素の混合物、活性医薬化合物、飼料及び飼料用サプリメント物質、食料及び食用サプリメント物質、化粧品、並びに2以上の酸化物の混合物。 材料は要望通りに、例えば化学量論の点で変えることができ、そしてビルディングブロック、又は、例えばそれぞれの使用に最も適した化学量論を見出すことができる。 また、適切な異なる元素組成により、複数のビルディングブロック(例えば触媒)について全ての変異体(variant)を試験することができ、それらは相当類似しているが、元素の点で、少なくとも1つの元素について異なる。
    【0021】
    好ましくは、本発明の方法の情況(context)で製造されるサブセット及び/又はセットは同じサイズであっても異なるサイズであってもよい。 これにより、異なる触媒の変異体及び材料を異なる量で簡単な方式で製造することができる。
    【0022】
    特に、無機触媒研究の分野ではこれまで現実的なコンビナトリアル合成法が満足に用いることができなかったため、ビルディングブロックが無機材料であることが好ましい。
    【0023】
    担体は多孔体であることが好ましい。 そのような多孔体は、IUPACの定義によるミクロポア、メソポア、マクロポア、又はそれらの2以上の組み合わせを有することができ、細孔分布はモノモーダルでも、バイモーダルでも、マルチモーダルであってもよい。 好ましくは、多孔体はマルチモーダルの細孔分布を有し、マクロポアの割合が高い、つまり50%より高いことが好ましい。 そのような物体といえる多孔体又は多孔材料として挙げられるのは:発泡セラミックス、金属フォーム、金属性又はセラミックモノリス、ヒドロゲル、ポリマー(特にPUフォーム)、ポリマービーズ(特にスーパーアブソーバー(アクリレートなど)、コンポジット、焼結ガラス又は焼結セラミックス)である。
    【0024】
    適切な製法により適切な細孔構造で提供される固体又は多孔体、例えば金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、コンポジットも使用することができる。 そのような製法は:穿孔法、切削法、浸食法、エッチング法、レーザーリソグラフィー法、又はスクリーン印刷法でありうる。
    【0025】
    適切な物体は、1から1000m /g、好ましくは2から800m /g、特に3から100m /gのBET比表面積を有する。
    【0026】
    それに加え、本発明の情況では、処理工程の間に使用される担体自身を製造することができ、例えば適切な前駆体(例えば粉体)から出発し、適切な製法(例えば分解、ゾルゲル法、沈殿、溶融、固化、噴霧、及びコーティング)により、製造することができる。 好ましくは、この処理工程が実際の製法の開始前、つまり、工程(I)、(0)、(1)又は(2)の前に行われる。
    【0027】
    更なる実施態様では、上記の工程の何れかの間に、又は上記の工程の何れかの前の予備処理中に、又は上記の工程の完了後に行われる仕上げ手順中に、担体を変性することができる。 本発明で使用される「変性する(alter)」という語は、担体が受ける任意の物理的又は化学的又は物理化学的変化(共有結合若しくはイオン結合、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる)に関し、上記何れかの工程の間に担体材料が接触する任意の又は全ての物質と担体材料との完全な又は部分的な反応、接触する任意の又は全ての物質と担体材料との完全な又は部分的な混合、並びに、担体材料の完全な又は部分的な除去が含まれるが、それらに限定されない。
    【0028】
    該物質は、溶解、懸濁、乳化、分散、又は溶融状態で、担体に加える(適用;apply)することができる。 例えば、含浸、噴霧、スポンジング(sponging)、又は浸漬により、各々の適切な溶媒を用いて該物質を接触させ、加えることができる。 該物質を加えるさらなる方法は、粉末コーティング法及びマイクロカプセル化物質を加える方法である。
    【0029】
    例えば溶液状態にある物質を不均一に加えることにより、担体のセット又はサブセットに自由度が生じうる。 この実施態様では、加えられる溶液の容積は担体の液体吸収能未満である。 その結果、有利なことに、全ての担体が溶液に均一に含浸されるわけではない。 そのため、加える工程(適用工程)各々において、それぞれの物質の勾配が生じる。
    【0030】
    それに加え、例えば担体の一部のセットを覆い、それによりサブグループのみを該物質と接触させることにより、不均一に物質を加えることができる。 接触について、例えば局所噴霧システムが適切であり、好ましくはマスク又はダイアフラムを備え、残りの担体を覆う。
    【0031】
    このように、本発明は一連の以下の工程を含む方法に関する:
    (1') 担体のセット及び/又はサブセットの第1のサブグループを、少なくとも1つの第1のゼロ物質S 0s及び/又は少なくとも1つの第1の物質S 1sと接触させ(この工程は繰り返され、sは整数であり、各々の工程について同じであっても異なってもよい);
    (2') (1')により接触させたそれぞれのセット及び/又はサブセットを互いに混合し;
    (3') 担体のセット又はサブセットの第2のサブグループを、少なくとも1つの第2の物質S 2s (S 2sはS 0s及び/又はS 1sと同じであるか又は異なる)と接触させる(この工程は繰り返され、sは各々の工程について同じであっても異なってもよい);工程。
    【0032】
    上記の実施態様によると、担体の各々の世代において、この物質を有さない担体が存在する場合があり、1つの物質のみを有する担体が存在する場合もある。
    【0033】
    好ましくは、担体の容積、つまり担体の流体吸収能は、調節可能である。 これは、例えば不活性ガス、蒸気、又は液体(例えば蒸気)によるコンディショニングにより調製できる。 そのため、物質溶液について最大の担持量(maximum loading)(この担持量は前もって設定しうる)のみが可能となるよう、各々の担体の吸収能をぴったり調製することができる。
    【0034】
    物質の各々加えた後に担体が再分配される場合(ミックス−スプリット)には有利である。 本発明の方法に従いシーケンス(sequence)を繰り返すという情況では、全ての多元系、つまり二元系、三元系、四元系、より高次の系は、単一の迅速なコンビナトリアル合成で製造しうる。
    【0035】
    好ましくは、しばしば要望される通り、本発明の方法のシーケンスを繰り返し、及び/又は順番を変更し、非常に複雑な多元系も簡単な方式で入手可能である。 特に、更に好ましくは、物質を加える工程各々の後に乾燥工程といった処理工程が続く。 その結果、簡単な方式により、各々の加える工程において担体容積を100%使用することができる。
    【0036】
    シーケンス又は繰り返されるシーケンスの少なくとも1つの工程において、沈殿剤又は鉱化剤が添加され、この方式では担体上に又は担体中で共沈が行える。 適切な沈殿剤は:無機又は有機の塩基及び/又は酸でありうる。 適切な鉱化剤は、例えばハロゲン化物である。
    【0037】
    さらに好ましくは、各々の適用工程の前、その間、又はその後、或いは全ての適用工程が終わるより前に、適用された物質が互いに反応し、それによって異なる化学量論組成の複雑な多元系が可能となり、様々な化学的及び/又は物理的特性を生じる。
    【0038】
    更に好ましくは、担体が官能基化される。 そのような官能基化は、担体の物理化学的特徴を変化させる場合がある。 そのような特徴は、極性、酸性度、塩基度、立体特性、複合的な特徴(complexing characteristics)、電子的及びイオン的な特徴、及び細孔構造でありうる。 望まれる官能基化により(例えば、有機性接着促進剤(organic adhesion promoters)又は化合物を加え、物質の溶解度を改良することにより)、物理的特性の異なる多くの望まれる物質(例えば親水性及び疎水性物質、脂肪親和性及び脂肪非親和性物質)を加えることができる。 このための適切な方法は、当該技術で知られた全ての方法である。 この手段により、例えば物質を加えることにより、官能基化のため既に加えたさらなる物質を加えた物質によって溶出させることができ、加えた物質と反応させることもでき、その結果、簡単な方式で、より複雑な前駆体化合物を担体に加えることができる。
    【0039】
    本発明の更なる実施態様では、担体を物質と接触させる代わりに、物質の溶液、懸濁液、乳液、分散液、溶融物を用いることができ、その各々が担体内部(例えば空孔、管、例えばバイアルであり、該流体系を受容しそのまま含有するのに適している)に位置される。
    【0040】
    それに加え、本発明の目的は、一連の以下の工程を含む方法により達成される:
    (2) 少なくとも1つの第1の物質S 1sを、k個の部分容積V 1mの全て又は一部に導入し(m及びsは1以上の整数であり、kは2以上の整数である);
    (3) 部分容積V 1mの一部又は全てを結合し、その結果、複数の第2容積V 2nが生じる(nは整数であり、n<mである);工程。
    【0041】
    好ましくは、該方法は更なる工程(1)を含み、更に好ましくは工程(1)が工程(2)及び(3)の前に行われる:
    (1) 流体媒質FM の容積V を、k個の第1の部分容積V 1mに分割する工程(mは1以上の整数であり、kは2以上の整数である)。
    【0042】
    さらに好ましくは、本発明の方法は更なる工程(0)を含み、この工程(0)では、工程(1)の前に第1の容積V を少なくとも1つのゼロ物質S 02と接触させる(sは上記の意味である)。
    【0043】
    さらに有利な実施態様では、本発明の方法は一連の以下の工程を含む:
    (I) 少なくとも1つの第1の物質S 1sを第1の容積V に導入し;
    (0) 流体媒質である第1の容積V をk個の第1の部分容積V 1mに分割する(mは1以上の整数であり、kは2以上の整数である)工程;
    さらに好ましくは、一連の以下の工程を含む:
    (2)−(3)−(I)−(1);
    (3)−(2)−(I)−(1);
    (2)−(I)−(3)−(1);又は(3)−(1)−(I)−(2)。
    【0044】
    好ましくは、工程(I)及び(0)乃至(3)の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、自由に選択しうる数の再分容積UV 1mを、少なくとも1つの部分容積V 1mから取り出す。
    【0045】
    工程(I)及び(0)乃至(3)の前に、及び/又は後に、及び/又は間に、少なくとも1つの部分容積V 1m及び/又は再分容積UV 1mに少なくとも1つの物理的及び/又は化学的又は物理化学的処理を行い、個々の部分容積及び/又は再分容積のそれぞれの処理が同じであっても異なってもよいという場合には有利である。
    【0046】
    さらに好ましい実施態様では、本発明の方法は一連の以下の工程を含む:
    (1') 少なくとも1つの第1の物質ゼロS 0s及び/又は少なくとも1つの第1の物質S 1sを、第1の部分容積V 1m及び/又は再分容積UV 1mに導入し;
    (2') (1')により得られたそれぞれの部分容積及び/又は再分容積を互いに入れ替え;
    (3') 少なくとも1つの第2の物質S 2s (物質S 1s及び/又はS 0sと同じであるか又は異なる)を、容積又は部分容積の第2の再分容積に導入する;工程。
    【0047】
    このように、非常に簡単な方式で、上記のように異なる物質の流体系を要望に応じて混合することにより(とりわけ容易に行うことができる)、異なるビルディングブロックが得られ、本発明の方法の最後に又は個別の工程各々の後になって得ることができる。
    【0048】
    有利なことには、更なる実施態様では剤を部分容積V 1m又は再分容積UV 1mに添加することができ、それらは同じサイズであっても異なるサイズであっても良く、溶解した物質の少なくとも一部が剤により固形で得られ、特に好ましくはこれらの剤が沈殿剤又は担体である。
    【0049】
    上記の担体が使用される場合、多孔質ビーズ上での又は中での共沈の結果、望まれる多元材料系が形成される。 しかし、沈殿剤を添加することも好ましい。 このように、沈殿剤を添加することによって固形材料が共沈により調製されるよう、生成材料の誘発を避けることができる。
    【0050】
    しばしば望まれることには、上記工程のシーケンスを繰り返し及び又は順番を変えることが好ましい。 この手段により、非常に複雑な多元材料系をとりわけ簡単に得ることができる。 各々のシーケンスの終了の後、沈殿物質が単離されることが好ましい。 この手段により、非常に簡単な方式で本発明のシーケンスを繰り返す(しばしば望まれる通り行うことができる)という情況では、望まれる多元材料系を製法の工程各々で得ることができる。
    【0051】
    沈殿した物質に反応処理を施すことが好ましい。 その材料を得た後になおさらに修飾を行うことができるよう、この処理は例えば熱処理又は輻射(irradiation)処理でありうる。 さらに可能な反応処理法は:噴霧、噴霧乾燥、蒸発乾固、混練、及びその他の物理化学的処理、並びにそれらの組み合わせである。
    【0052】
    本発明の方法のさらに好ましい実施態様では、再分された溶液を結合する1以上の工程の前に、上記の剤を加えることができる。 この手段により、合成における全ての考え得る材料の組み合わせを、各々の個別の工程の後に得ることができる。
    【0053】
    それに加え、本発明は、上記の方法で入手可能な材料ライブラリー自体にも関する。
    【0054】
    本発明の更なる目的は、ビルディングブロック各々に個別化可能なコーディングを付与することにより、材料ライブラリーの異なるビルディングブロックを同定する方法により達成される。 本発明は、元素組成及び元素分布の点で非常に多様な多成分系を迅速で自由に合成することに基づくため、少なくとも個々の世代が合成の間にラベルされることが重要である。
    【0055】
    コーディングは実質的に化学的に不活性であり、何れの製法工程(process step)でも損傷を受けないことが好ましい。 これは、例えば製法工程で不活性な1以上の元素について量を変えて添加することにより達成される。 試験の後にこの特定の元素を検出することにより、材料をはっきりと同定できる。 この“化学エンコーディング(chemical encoding)”において、成分が揮発しないことが重要である。 従って、例えばハロゲン、ヒ素、セレン、テルル、カドミウム、鉛、又は水銀が適切である場合は限られている。
    【0056】
    放射能又はγ線放射によるエンコーディングが特に適切で好ましく、このエンコーディングでは、対応する元素が各々の世代で材料系に導入される。 適切な検出器を用いて放射線を検出することにより、この世代での該ライブラリー成分を同定できる。 さらに好ましくは、ナノ材料(例えば、化学的に不活性なクラスター化合物、例えば、希土類酸化物、TiO 、ZrO であり、これらは例えば蛍光活性又はリン光活性を有する)によりエンコードされる。
    【0057】
    情報をデコードする物理化学的測定方法の例は、X線回折、蛍光X線、高エネルギー放射線の測定(例えば放射能)、光学特性の測定(例えば、吸収、蛍光、リン光特性)である。
    【0058】
    好ましくは、該方法は:
    RFA、UV/VIS分光、高エネルギー放射線の検出、NMR分光、ESR分光、メスバウアー分光、SIMS、光学的方法から選択される。
    【0059】
    それに加え、好ましくは、コーディングは担体の特徴に基づく。
    本発明の基礎となる目的は、本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックの物理化学的特徴を決定する方法により達成され、その方法は以下の工程を含む:
    (a) 少なくとも1つのセンサーを用いて、少なくとも1つのビルディングブロックについて、少なくとも1つの性能の特徴及び/又は特性を決定し;
    そして適切な場合には(b) 少なくとも1つの更なるセンサーを用い、少なくとも1つのビルディングブロックについて、少なくとも1つのさらなる性能の特徴及び/又は特性を決定する工程。
    【0060】
    好ましくは、第1のパラメータの測定が望ましい性能の特徴及び/又は特性の指標を既に与えた材料ライブラリーのビルディングブロックについてのみ、第2のパラメータが決定される。
    【0061】
    さらに好ましくは、さらなる測定のため、データ処理システムによって自動的にビルディングブロックが選択される。
    【0062】
    好ましくは、本発明により、固体状態で生じ不均一触媒として適切であるという可能性のあるビルディングブロック又は材料が調製され、適切な場合には、その性能の特徴について試験される。 このように、これらの材料は不均一触媒及び/又はその前駆体であり、さらに好ましくは無機不均一触媒及び/又はその前駆体であり、詳しくは固体触媒又は担持触媒及び/又はそれらの前駆体である。
    【0063】
    本方法の情況では、個々の材料は互いに同一であっても異なってもよい。
    初めに、必要ならば、例えば触媒の場合には、材料ライブラリーの一部を活性化できる。 これは、不活性ガス下若しくは反応ガス下での熱処理又は物理的及び/又は化学的処理によって行うことができる。 次に、ビルディングブロックは望ましい反応温度に送られ、流体である出発材料(個々の化合物であっても2以上の化合物の混合物であってもよい)を材料ライブラリーの部分(パーツ;parts)の1つ、複数、又は全てを通って流通させ、又はそれらに沿って流通させる。
    【0064】
    1以上の反応体からなる流体出発材料は一般に液体であるか、又は好ましくは気体である。 液相及び気相の混合物も同様に考えられる。 好ましくは、例えば酸化触媒の試験は、材料ライブラリの区画(section)それぞれ、複数、又は全てを、1以上の飽和、不飽和、又は多価不飽和有機出発材料と、並列的に又は逐次的に接触させることにより、行われる。 ここで挙げられる材料は、例えば炭化水素、アルコール、アルデヒドなど、及び酸素含有ガス(例えば空気、O 、N O、NO、NO 、O )及び/又は、例えば水素である。 さらに、不活性ガス(例えば、窒素又は希ガス)も存在しうる。 一般に、反応は20から1200℃、好ましくは50から800℃、特に80から600℃の温度で行われ、個々の部分、複数の部分、全ての部分についてそれぞれのガスストリームの分離除去(separate removal)(並列に又は逐次的に行われる)が適切なデバイスにより確保される。
    【0065】
    このように、本発明は、工程b)の前に出発材料を材料ライブラリーの少なくとも2つの部分(それぞれの部分の少なくとも1つの材料の存在の下で化学的及び/又は物理的反応を行うため、互いに分離されている)に導入し、区画を通過して流通させた後、排出ガスが得られる方法に関する。
    【0066】
    生成した排出ストリームは、材料ライブラリーの個々の区画又は複数の区画から収集された反応生成物の少なくとも1つを含み、好ましくは別々に、逐次的に分析され、或いは、廃ストリームの分析が、本発明の方法の後にそれぞれの部分において求められる場合には、好ましくは並列に分析される。
    【0067】
    複数の反応は、パージガスによるパージ工程によって各々が中断されるが、同じ温度又は異なる温度で逐次的に行い分析することもできる。 同じ反応を異なる温度で行うことができることは明かである。
    【0068】
    好ましくは、本方法の開始の際に、反応が起きたかどうかを確証するため、回収したライブラリー全体の排出ストリームが分析される。 この方式で、ビルディングブロックの群を非常に迅速に分析し、有用な特徴(例えば触媒特性)を有しているかどうかを確証できる。 材料ライブラリー中にビルディングブロックのそのような群が複数存在する場合には、ビルディングブロックの何れの群が触媒特性を有しているかを確証するため、この粗いスクリーニングを行った後に再度ビルディングブロックの個別の群を一緒に分析することができる。
    【0069】
    本発明により、例えば化学反応のため、詳細には例えば気相反応のため、特に詳細には分子状酸素による炭化水相の気相部分酸化のための不均一触媒(気相酸化)のためのハイスループット及びスクリーニングの目的で、不均一触媒の自動製造及び触媒試験が可能になる。
    【0070】
    研究に適した反応及び転換は、G. Ertl, H. Knotzinger, J. Waldkamp 編 :”Handbook of heterogeneous catalysis”, Wiley VCH, Weinheim, 1997に記載されている。 適切な反応の例は、この参考文献の4及び5巻1〜4号に主に列挙されている。
    【0071】
    それぞれ選択された区画の排出ストリームの排出ラインは、少なくとも1つの反応生成物及び/又は出発材料を含み、好ましくはそれぞれの区画から別々に得られる。 これは、それぞれの区画にガスタイトに連結されたデバイスにより達成される。 詳細には、挙げられるデバイスは:適切なフローガイドを用いたサンプルリムーバル、例えばバルブ回路及び可動キャピラリーシステム(吸引装置)である。 特に好ましい実施態様では、空間的に局在した(例えば点状の)熱源を有する吸引装置が用いられる。 これと、熱源が吸引装置と連結されるという事実とが相まって、試験される材料ライブラリーの部分を選択的に加熱することができ、この領域でのみ反応を開始することができる。 個々の区画、複数の区画、又は全ての区画の排出ストリームはここで分離して取り出され、バルブ回路により別々に分析されうる。
    【0072】
    機械的に可動な吸引装置、例えばコンピュータ制御された吸引装置は、取り出される排出ストリームの吸引ライン又は吸引キャピラリーを備え、その吸引ライン又は吸引キャピラリーは、それぞれの区画の出口上に、中に、及び/又は上方に本質的に自動的に位置決めされ、排出ガスを取り出す。 そのような装置の配置に関する詳細は、国際出願 WO 99/41005から得ることができる。
    【0073】
    測定方法の選択は原則として自由であるが、この場合、多くの区画を分析しなければならないため、比較的迅速で簡単な測定法であるべきである。 この第1の測定の目的は、さらに分析しなければならない部分を好ましく予備選択することである。
    【0074】
    詳細には、挙げられるセンサーは:赤外サーモグラフィー、質量分析と組み合わされた赤外サーモグラフィー、質量分析、GC、LC、HPLC、マイクロGC、拡散FTIR分光、マイクロ波分光、ラマン分光、NIR分光、UV分光、UV/VIS分光、NMR分光、ESR分光、マイクロ波分光、GC−MS分光、赤外サーモグラフィー/ラマン分光、赤外サーモグラフィー/拡散FTIR分光、化学指示薬を用いた色検出/MS、化学指示薬を用いた色検出/GCMS、化学指示薬を用いた色検出/拡散FTIR分光、光音響分析、電気化学又は化学センサー、及び断層NMR及びESR法である。 特に好ましくは、質量分析及びそれに連結した測定方法、並びに断層NMR及びESR法であり、場合により特定のプローブ分子が用いられる。
    【0075】
    さらに好ましくは、赤外線カメラを用いて簡単に実施できる赤外サーモグラフィーが用いられる。 この場合、個々の部分の温度の進展は記録された赤外画像から引き出され、好ましくはデジタル画像処理が用いられる。 その部分が少数である場合、適切ならば、個々の部分各々に温度センサー(例えば高温測定素子又は熱電対)が割り当てられる。 それぞれの間隔での温度測定の結果は全てデータ処理システムに送ることができ、好ましくはそのシステムが本発明の方法を制御する。 この方法のさらに詳細な内容は国際公開WO 99/34206及びドイツ連邦共和国特許出願DE−A−100 12847.5から得られ、この点に関する内容は本出願の情況において参照して完全に取り込む。
    【0076】
    干渉効果を実質的に除去するため、試験される区画を含有する部分は、制御された雰囲気を有する断熱ハウジング中に位置されることが好ましい。 赤外線カメラが使用される場合には、カメラは好ましくはハウジングの外側に位置されるべきであり、ビルディングブロックの観察は、例えばサファイア、硫化亜鉛、二フッ化バリウム、塩化ナトリウムなどでできた赤外線透過ウィンドウにより可能となる。 第1のパラメータの測定結果に基づき、データ処理システム又はコンピュータを用いて、少なくとも1つの更なる性能の特徴が測定される区画が選ばれる。 この場合、異なる選択基準が考えられる。 第1に、第1のパラメータが所定の限界値よりも優れた区画を選択することができ、第2に、その代わりに、担体の区画又は材料全てについて上位にある所定の割合を第2のパラメータ測定に選択できる。 該最小の要求及び選択される区画の量は、第1に、試験される材料のそれぞれの特質の要求(quality requirements)に依存し、第2に、担体材料を試験するのに利用できる時間に依存する。
    【0077】
    第1の測定値の最小の要求に関して限界値が存在する場合、この要求は全ての部分について一定である必要はなく、例えば、材料ライブラリーの個々の部分であるそれぞれのビルディングブロックについて、その他の特徴の関数として事前に設定してもよい。
    【0078】
    該少なくとも1つの更なるパラメータ(性能の特徴及び/又は特性)は、選択された区画の排出ストリームで測定されることが好ましい。 試験されるビルディングブロックの更なる特徴の指標を与える更なるパラメータ測定に適切であれば、原則として、更なるセンサーに制限はない。
    【0079】
    原則として、更なるセンサーとしては、第1のセンサーとして前述の方法を用いることができ、その場合、第1及び更なるセンサーは互いに同じであっても異なってもよく、好ましくは互いに異なる。 好ましくは、この更なるセンサーは、質量分析、ガスクロマトグラフィー、GCMS分析、ラマン分光、赤外分光、UV−VIS分光、NMR分光、蛍光分光、ESR分光、断層NMR及び断層ESR、並びにメスバウアー分光からなる群より選択される分光学的手法に基づく。
    【0080】
    これらの好ましい技術に基づき、それぞれの区画又はビルディングブロックの排出ストリームについてより正確な情報が得られる。 これらの分光学的手法を用いることにより、追求している生成物の濃度、又は並列的に生じる生成物の濃度、及び出発材料の残存濃度が決定され、それらから、例えば触媒ビルディングブロックについて選択性の情報が得られる。
    【0081】
    質量分析については、好ましくは四重極質量分析計が用いられるが、TOF質量分析計も考えられる。 試験される区画の排出ストリームは、質量分析計又はその他のセンサーに、好ましくは配管系を経て導かれる。 使用できる更なる質量分析の配列は、MS−MSカップリングである。
    【0082】
    好ましくは、材料ライブラリーの適切な部分が特に簡単で迅速に同定できるよう、分析はデータ処理システムで制御される。 そのような上記の測定方法の場合、大きな領域から小さな領域の特定した選択が可能であるため、単一の区画の1つの要素を特に分析することが有利であることに可能である。
    【0083】
    それに加え、本発明は、本発明の方法を行うためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムに関し、該コンピュータプログラムを含むデータキャリアに関する。 本発明の情況で使用される語句を、ここで説明する。
    【0084】
    接触(contacting) 本発明の情況では、接触とは、物質を少なくとも1つの多孔質担体と直接接触させ、以下の工程の少なくとも1つに至ることを意味する:物質の多孔体への拡散又はキャピラリー作用;担体の少なくとも一部と物質との反応;多孔体内での輸送(物質輸送が含まれる);担体若しくは物質又はそれら両方の物理的な変性(例えば、細孔構造の膨張や変性)。
    【0085】
    ビルディングブロック(building block) 材料ライブラリーの一員の単位であり、1以上の成分又は材料からなりうる。
    【0086】
    ビルディングブロック組成(building block composition) 本発明で用いられる「ビルディングブロック組成物」という語は、材料毎に異なりうる試験条件の下での材料の化学量論及び元素組成、並びに、ビルディングブロック内での物質の空間分布を含む。 従って、本発明によれば、材料ライブラリー(元素組成という点では異なるが、材料を構成する元素の量論組成は個々の材料間で異なり、その材料で構成される)を製造し試験することが可能である;それに加え、元素組成という点でそれぞれ異なる材料で材料ライブラリーを作成することができる;言うまでもなく、個々の材料がその化学量論及び元素組成において異なりうる;それに加え、元素組成及び化学量論組成という点では同じであるが、処理工程の結果として物理的又は化学的又は物理化学的特徴の異なるビルディングブロックで材料ライブラリーを作成することが可能である。 本明細書で使用される「元素」という語は、この場合、周期律表の元素に関する。
    【0087】
    処理工程(treatment step): 本発明で用いられるビルディングブロック、材料、物質、又は担体の少なくとも一部の物理的又は化学的又は物理化学的処理。 この場合、上記の処理を全ての担体に均一に加えるような方式で、担体のセットを処理することもできる。 従って、例えば、担体のセットの一部に化学的処理を施し、担体のセットの別の部分に物理的処理を施し、そして、それぞれの場合に他の部分は他の処理に遭う(”seeing”)ことがないようにするということが可能である。 それに加え、担体のセットにわたってそれぞれの処理に傾斜をつけることができ、例えば、管状キルンにおいて、一方の末端では例えば500℃とし、もう一方の末端では例えば1000℃にし、一方の末端から他方の末端に連続的に又は階段状に温度を変化させる加熱処理を行うことができる。 物理的処理の例は、温度、圧力、又は光を伴う処理があり、化学的処理の例は、反応性ガス(例えば、水素、アンモニア、塩化水素)、反応溶液(例えば、沈殿剤、鉱化剤、付着促進剤、バインダー、疎水化剤)との接触があり、物理化学的処理の例には、例えば水蒸気との接触、又は、光の同時照射を伴う反応性ガスでの処理がある。
    【0088】
    担体の特徴(characteristics of the support bodies):担体の特徴は、例えば:形状、密度、気孔率、表面特性、可塑性、化学組成、サイズ、モルフォロジー。
    【0089】
    特性(property): 「特性」という語句は、材料ライブラリー内の個々の材料の物理的、化学的、又は物理化学的状態を指す;ここで挙げられる例は:酸化状態、結晶性などである。
    【0090】
    導入(introduction): この語は、容量のある(in volumes)(化学)物質のフィードの任意の形式を指し、例えば注入、噴霧等である。
    【0091】
    流体(fluid): 流体とは、流動性がexp(−ΔE/RT)の式に比例する媒質として定義され、ΔEは、媒質を流動させるために打ち勝たなければならないエネルギーである。 これらには、例えば、液体、気体、ワックス、分散液、脂肪、懸濁液、溶融物、微粉などが含まれる。 媒質が液体状態で存在する場合、これは多相液体系も意味する。
    【0092】
    コーディング(Coding): 本発明の情況において、コーディングとは、測定可能な担体の物理的又は化学的特徴を意味する。 そのような特徴の例として挙げられるのは:形状、密度、気孔度、塑性、弾性、化学的特徴、組成、濃度、光学的及び電子的特徴である。
    【0093】
    材料(material): 好ましくは非気体物質(例えば、固体、酸化物、塩、ゾル、ゲル、ロウ状の物質又は物質混合物、分散液、乳液、懸濁液、及び固体)。 これらは、分子状又は非分子状の化合物、組成物、処方物(formulation)、混合物でありうるが、ここで「非分子状」という語は連続的に最適化又は変更できる物質を定義し、構造の表示を離散的な状態にある変形物によって(例えば、置換パターンを変動させることによって)のみ変更できる「分子状」物質と対照的である。
    【0094】
    材料ライブラリー(Library of materials): これは、少なくとも2つ(つまり複数)、好ましくは少なくとも1,000、さらに好ましくは少なくとも100,000、詳細には少なくとも10,000,000、さらに好ましくは少なくとも1,000,000,000個の物質又は化合物、化合物の混合物、処方物(本発明の情況では「ビルディングブロック」と呼ばれる)を備えた配列を表す。
    【0095】
    セット(set): 「セット」という語は、担体の組成を定義する。
    性能の特徴(performance characteristic):この語は、材料ライブラリー中の材料の測定可能な特徴(例えば、触媒活性又は触媒選択性)を指し、その特徴は適切なセンサーを用いて決定できる。 これらの例は、本明細書記載中に与えられる。
    【0096】
    物質(substance): 化学的又は生物学的存在、材料、成分、前駆体、又はそれら2以上の混合物。
    【0097】
    サブセット(subset): 「サブセット」とは、他のサブセットから空間的に分離しており担体のセットを分割することにより得られる担体の集合であり、サブセット中の担体の数は、セット中の担体の数より常に小さい。
    【0098】
    部分容量(partial volume): 「部分容量」とは、流体の容量を分割することによって得られる流体の量であり、その量は該流体の量よりも少ない。
    【0099】
    担体(support body): 原則として、この語は、細孔又はボアホール又はチャンネルを有する3次元デバイス又は物体を含む。 担体は、少なくとも1つの添加された物質の少なくとも一部と直ぐにそして完全に接触するのに適切でなければならない。 担体という語は、材料ライブラリーに添加される真っ新の担体、及び、本発明の材料ライブラリー製造方法中の任意の工程(接触、コンディショニング、処理、又は任意のその他の工程でありうる)の間の任意の担体を含む。 3次元デバイス又は3次元物体であれば、担体の外形には制限がない。 このように、担体は、球形又は中空の球形、楕円体、平行6面体、立方体、円柱、柱、4面体の形状を有しうる。 従って、「担体」という語は、流体を受容する3次元デバイスを明示的に含む。
    【0100】
    サブグループ(subgroup): 「サブグループ」とは、他のサブグループから空間的に分離しておらず、担体のセット及び/又はサブセットの分割により得られる担体の集合であり、サブグループ中の担体の数は、セット中の担体の数より常に少ない。
    【0101】
    再分容量(subdivided volume): 「再分容量」とは、部分容量の流体の量より少ない流体の量であり、部分容量から取り出し又は添加することができる量である。
    【0102】
    混合(mixing): 本発明の情況で、「混合」とは、少なくとも2つの溶液の混合に加え、容器内で担体の位置を任意に変更できること(局所的な入れ替え)を意味する。
    【0103】
    交換(interchange): 本発明の情況で、「交換」とは、担体の空間的な入れ替えを意味する。
    【0104】
    容量(volume): 「容量」という語は、流体媒体の全体を意味する。
    本発明の更なる利点及び側面は本明細書の記載、例示的な実施態様、及び添付の図面から生じる。
    【0105】
    明らかに、上記の特徴及び以下に記載される特徴は、各々の場合における特定の組み合わせにおいてのみ用いることができるのではなく、他の組み合わせ、又は単独でも、本発明の情況から離れることなく用いることができる。
    【0106】
    本発明は例示的な実施態様に基づき図中に概説され、図面を参照して以下に詳細に記載される。
    【0107】
    図1は、一連の工程(0)、(1)、(2)、(3)、(1)、(2)を有する本発明の方法を一例として概略的に示す。 容器100には、第1の物質101の溶液が位置されており、そこにt 個のセットM1(例えば、酸化アルミニウムの多孔質担体T1、好ましくはビーズ)が導入される。 セットM1を接触させた後、セットM1を2つの第1のサブセットM 11及びM 12に分割し、それらをコンテナ103及び104に分配し、物質S 11及びS 12の溶液と接触させる。
    【0108】
    物質S 11及びS 12と接触させた後、2つの第1のサブセットM 11及びM 12を結合してコンテナ107に新たなセットM を形成し、適切ならば、図1には示してない更なる物質と接触させる。 また言うまでもなく、物質S 11及びS 12とさらに接触させることもでき、セットM 11及びM 12から材料を取り出すこともできる。
    【0109】
    セットM2を第2のサブセットM 21 ,M 22 ,M 23 ,及びM 24に分割し、それらを容器109,110,111、及び112で物質S 21 ,S 22 ,S 23 ,及びS 24の溶液に接触させる。 次いでサブセットM 21乃至M 24を単離し、対応する物質に接触させた単離担体に反応処理(例えば、乾燥処理又は輻射処理(irradiation treatment))を施す。
    【0110】
    図9は、請求項16による本発明の方法の更なる実施態様を示す。 容器200内の容量V (物質S を溶解した)を2つの部分容積V 11及びV 12へ、2つの容器201及び202へ移す。 そして、第2の物質S 11及びS 12の溶液を2つの部分容積V 11及びV 12へ加えた。 これらの部分容積を結合し、容器203中の新たな容積V を形成した。 さらに、容器204から207の部分容積V 21からV 24に分割した。 さらに物質S 21からS 24を添加した。 物質S 21からS 24を添加した後、剤Mを添加した。 図9に示すように、これらは例えば酸化アルミニウムの多孔質担体ビーズ208,209,210及び211でありうる。 これらを、生成した多成分系により容器204から207中に形成される多成分溶液それぞれで含浸させた。 これらの担体ビーズ208から211を単離し、熱処理(例えば、80℃15時間)を行い、触媒の特徴について試験した。
    【0111】
    図10は、請求項16の本発明の方法のさらなる実施態様を示す。 図9と同様に、容器300中の物質S が溶解した容積V を、第1工程で2つの容器301及び302中の部分容積V 11及びV 12に分割した。 物質S 11及び/又はS 12を部分容積V 11及びV 12に固体状態で又は溶液状態で加える。 更なる工程では、部分容積V 11及びV 12を結合して、容器303中の第2の新たな容積V2を形成する。 結合した後、容積V を、容器304から307中の更なる部分容積V 21からV 24に分割する。 S 21からS 24の物質又は溶液を部分容積V 12からV 24に添加する。 添加が終了した後、剤Mを容器304から307の溶液に添加する。
    【0112】
    図9と対照的に、この場合には、コンテナ304から307中の溶液混合物を担体なしで固体の形態で沈殿できるよう、剤Mが沈殿剤又はコンディショニング剤(conditioning reagent)とする。 このように、4つの異なる多成分系308から311が沈殿によって得られる。 沈殿させた物質に、更に物理化学的な二次処理を施すことができる。 これら多成分系308から311には、触媒の特徴について適切な試験を行うことができる。
    【0113】
    以下の実施例を参照し、このことをより詳細に記載する。
    実施例
    実施例1
    実施例1では、以下の物質の水性含浸溶液が使用された:
    【0114】
    【表1】

    【0115】


    第1の工程(第1世代)では、磁性皿中で表面に均等に分布させた1gのγ−酸化アルミニウムビーズ(CONDEA社より入手、直径0.5mm)に向けて、500μlのBi溶液をピペットで分取した。 良く混合した後、そのセットを半分にわけ、2つの新たな磁性皿に移した;ビーズの第1の半分をコバルト溶液と接触させ(=第2世代 Bi−Co)、第2の半分を銅溶液と接触させた(=第2世代 Bi−Cu)。 第2世代の2つのセットを新たな皿で結合し、混合し、マグネシウム溶液と接触させた(=第3世代 Bi−Co−Cu−Mg;表2には示していない)。 混合した担体ビーズセットを再び半分にわけ、2つの皿に分割した;第1の半分をバナジウム前駆体溶液と接触させ(=第4世代 Bi−Co−Cu−Mg−V)、第2の半分を鉄溶液と接触させた(=Bi−Co−Cu−Mg−Fe)。 両方のセットを再結合し、良く混合し、最後の工程で金溶液と接触させた(=最終世代 Bi−Co−Cu−Mg−Fe−V−Au)。


    【0116】


    最後に、乾燥工程を行った:最終世代を12時間80℃で乾燥庫で処理した。 結果をモニターするため、各々の世代の一部のビーズを取り出し、蛍光X線分析(μ−EDX)を行った。 この結果を以下の表2にまとめた。 全てのデータ(重量%(WT%)で表される)は、対応する安定な金属酸化物に基づく。 マグネシウムは軽元素であるため使用した蛍光X線分析で検出できないので、第3世代(Bi−Co−Cu−Mg)は記載しなかった。


    【0117】


    最終的に7成分系が酸化アルミニウム担体上に生じる。 表2に示すように、それぞれの合成工程で、多くのビーズを取り出し12時間で80℃において乾燥した。 表2は、全ての2元〜7元系が簡単な方式で得られることを示している。 統計的に考えると、各々のビーズは異なる組成を有する。 液体を適用する方式のため、それぞれの合成工程の後に、未反応ビーズのセットも存在し、望まれる7元系に加えて2成分系や3成分系なども並列に製造することができる。 詳細には、これらのサブグループを、製造シーケンス中での対応する点でビーズセットを取り出すことにより製造することができる。


    【0118】


    結果を以下の表2に示す。


    表2


    実施例1からの第1、第2、第4世代及び最終世代のランダムに選択された担体ビーズについてのμ−EDX(μ蛍光X線分析(マイクロ−EDX))の結果。


    【0119】


    【表2】


    【0120】


    【0121】


    【0122】


    【0123】


    【0124】


    【0125】


    【0126】


    【0127】


    【0128】


    実施例2


    第1の工程で、出発セットである3.5gの多孔質γ−酸化アルミニウム(ビーズ直径0.5mm、Condea社より入手)を7つの均等なセット(各々0.5g)に分割し、7つの皿に分配した(スプリット)。 皿中のセットにF'、G'、H'、J'、K'、L'、及びM'という名称を付けた。


    【0129】


    使用された含浸溶液は以下の金属の硝酸塩の水性溶液であった:Zn、Fe、Ni、Cu、Co、Mg、及びCa。 それぞれの溶液の濃度は、全ての溶液についてそれぞれの金属に基づき2.5mol/Lであった。


    【0130】


    それぞれの場合について、セットF'、G'、H'、J'、K'、L'及びM'へ向けて200μLの金属塩溶液をピペットで取った。


    【0131】


    【表3】


    【0132】


    セットF'、G'、H'、J'、K'、L'、及びM'を80℃で2時間乾燥し、結合してセット1を形成した(混合)。 セット1を7つの均等なセットF''、G''、H''、J''、K''、L''及びM''に分割した(スプリット)。


    【0133】


    それぞれの場合について、セットF''、G''、H''、J''、K''、L''、及びM''へ向けて200μlのさらなる金属塩溶液をピペットで取った。


    【0134】


    【表4】


    【0135】


    セットF''、G''、H''、J''、K''、L''、及びM''を80℃で2時間乾燥し、結合してセット2を形成した(混合)。 セット2を7つの均等なセットF、G、H、J、K、L,及びMに分割した(スプリット)。


    【0136】


    それぞれの場合について、セットF、G、H、J、K、L、及びMへ向けて200μlのさらなる金属塩溶液をピペットで取った。


    【0137】


    【表5】


    【0138】


    セットF、G、H、J、K、L、及びMを80℃で2時間乾燥し、酸化アルミニウムビーズ上にスピネル型の化合物を製造するため、1000℃で5時間焼成した。


    【0139】


    セットF、G、H、J、K、L、及びMから個々のビーズを選択し、拡散反射UV−VIS分光分析を行った。 以下の図は、それぞれのセットからの多くのビーズについて得たスペクトルを示す。 一例として、セットFからのビーズのスペクトルを図2から図8に示す。 この場合、複合酸化物型(例えば、スピネル、ペロブスカイト、エルパソライト(elpasolite)等(着色顔料として使用することができる))の化合物が得られた。


    【0140】


    実施例3


    水性含浸溶液は、実施例1で使用したものと同一であった(表1参照)。


    【0141】


    第1の工程(第1世代)では、磁性皿中で表面に均等に分布させた1gのγ−酸化アルミニウムビーズ(CONDEA社より入手、直径0.5mm)に向けて、500μlのBi溶液をピペットで分取した。 良く混合した後、そのセットを半分にわけ、2つの新たな磁性皿に移した;ビーズの第1の半分をコバルト溶液と接触させ(=第2世代 Bi−Co)、第2の半分を銅溶液と接触させた(=第2世代 Bi−Cu)。 第2世代の2つのセットを実施例1のように新たな皿で結合せずに、マグネシウム溶液と接触させた(=第3世代 Bi−Co−Mg及びBi−Cu−Mg)。 「プール」工程を省いたため、この実施例は「直接分割」ケースと呼ばれる。 混合した担体ビーズセットを再び半分にわけ、二つの皿に分割した;半分にした一方をバナジウム前駆体溶液(=第4世代 Bi−Co−Cu−Mg−V)と接触させ、第2の半分を鉄溶液と接触させた(=第4世代 Bi−Co−Cu−Mg−Fe)。 両方のセットを再結合し、よく混合し、最後の工程で金溶液と接触させた(=最終世代 Bi−Co−Cu−Mg−Fe−V−Au)。


    【0142】


    最後に、乾燥工程を行った:最終世代を12時間80℃で乾燥庫で処理した。 結果をモニターするため、各々の世代の一部のビーズを取り出し、蛍光X線分析(μ−EDX)を行った。 この結果を以下の表2にまとめた。 全てのデータ(重量%(WT%)で表される)は、対応する安定な金属酸化物に基づく。 マグネシウムは軽元素であるため使用した蛍光X線分析で検出できないので、第3世代(Bi−Co−Cu−Mg)は記載しなかった。


    【0143】


    最終的に7成分系が酸化アルミニウム担体上に生じる。 表2に示すように、それぞれの合成工程で、多くのビーズを取り出し12時間で80℃において乾燥した。 表2は、全ての2元〜7元系が簡単な方式で得られることを示している。 統計的に考えると、各々のビーズは異なる組成を有する。 液体を適用する方式のため、それぞれの合成工程の後、未反応ビーズのセットも存在し、望まれる7元系に加えて2成分系や3成分系なども並列に製造することができる。 詳細には、これらのサブグループを、製造シーケンス中での対応する点でビーズセットを取り出すことにより製造することができる。


    【0144】


    図2から図8は、セットFからの選択された個々のビーズについてUV−VIS分光測定の代表的な結果を示す。 スペクトルからわかるように、検討した7つのビーズ各々は、そのビーズ上に存在する異なる組成のスピネル型化合物を有する。 同じ結果、つまり、他のセット(例えば、セットG、H、J,K、L、又はM)の個々のビーズについて、異なるビーズに異なる組成が見出される。 全てのスペクトルで、x軸はナノメートルでの波長を表し、y軸はKubelka−Munk単位でのF(R)を表す。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】図1は、請求項1の本発明の方法を概略的に示す。


    【図2】図2は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図3】図3は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図4】図4は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図5】図5は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図6】図6は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図7】図7は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図8】図8は、請求項1の方法により製造された本発明の材料ライブラリーのビルディングブロックで行われた分析結果を示す。


    【図9】図9は、請求項16の方法の概略的な表現を示す。


    【図10】図10は、請求項16の方法の更なる実施態様を示す。

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