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Dispenser, dispenser array, method for manufacturing the dispenser, inspection apparatus, inspection method, and biochip

申请号 JP2002218980 申请日 2002-07-26 公开(公告)号 JP2004061253A 公开(公告)日 2004-02-26
申请人 Seiko Epson Corp; セイコーエプソン株式会社; 发明人 KOEDA SHUJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a dispenser for inspecting and manufacturing a biochip by speedily and accurately sticking various liquid samples. SOLUTION: The dispenser comprises a liquid discharging means (12) for discharging liquid and an identification information carrying means (200) for carrying identification information for identifying liquid so that it can be read. According to this configuration, it can be identified which liquid is discharged from the dispenser by recognizing the identification information. Especially, a microdispenser used for inspecting and manufacturing the biochip temporarily uses various macromolecular materials. By applying to the inspection and manufacture of the biochip, the liquid of each microdispenser can be identified and discharged, thus reliably and accurately discharging an appropriate liquid. COPYRIGHT: (C)2004,JPO
权利要求
  • 液体を吐出するための液体吐出手段と、
    前記液体を識別するための識別情報を読取可能に担持する識別情報担持手段と、を備えたことを特徴とするディスペンサ。
  • 請求項1に記載のディスペンサにおいて、
    前記液体吐出手段は、
    前記液体を貯留するタンクと、
    前記タンクに貯留されている前記液体を吐出するヘッドチップと、を備えるディスペンサ。
  • 請求項1または2に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、担持すべき前記識別情報を示す電磁波を送信可能な構成を備えるディスペンサ。
  • 請求項3に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、
    前記識別情報を格納する記憶部と、
    前記識別情報を送信するための送信部と、
    前記記憶部に格納されている前記識別情報を読み出し、前記送信部を介して送信する制御部と、を備えているディスペンサ。
  • 請求項3または請求項4に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、前記識別情報を更新可能に構成されているディスペンサ。
  • 請求項1または2に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、光の透過または反射に影響を与える構造を、担持すべき前記識別情報に対応させて配置させたディスペンサ。
  • 請求項6に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、前記構造としてバーコードまたは穴のいずれかを備えているディスペンサ。
  • 請求項1または2に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、電気の導通に影響を与える構造を、担持すべき前記識別情報に対応させて配置させたディスペンサ。
  • 請求項8に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、前記構造として外部から接触する識別情報認識用の電極対間を導通させ、または、非導通にする電極パターンを含むディスペンサ。
  • 請求項1または2に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、所定の立体構造を担持すべき前記識別情報に対応させて備えるディスペンサ。
  • 請求項10に記載のディスペンサにおいて、
    前記識別情報担持手段は、前記立体構造として、外部から挿入される識別情報認識用の鍵と契合するための鍵受け構造を備えているディスペンサ。
  • 請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のディスペンサを複数備え、
    各前記ディスペンサが貯留する前記液体を特定するための前記識別情報が、各前記ディスペンサに対応付けられて設けられているディスペンサアレイ。
  • 所定の領域に液体を識別するための識別情報を担持する識別情報担持手段を形成する工程と、
    前記液体に圧力を加えるための圧力室を含む液体流路を圧力室基板に形成する工程と、
    前記圧力室に圧力を印加するための印加手段を形成する工程と、を備えるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記識別情報担持手段を形成する工程は、担持すべき前記識別情報を示す電磁波を送信可能な構成を前記領域内に形成するものであるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記識別情報担持手段を形成する工程は、光の透過または反射に影響を与える構造を、担持すべき前記識別情報に対応させて前記領域内に形成するものであるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記識別情報担持手段を形成する工程は、電気の導通に影響を与える構造を、担持すべき前記識別情報に対応させて前記領域内に形成するものであるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記識別情報担持手段を形成する工程は、所定の立体構造を担持すべき前記識別情報に対応させて前記領域内に形成するものであるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13乃至17のいずれか一項に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記液体流路を形成する工程は、
    前記液体を吐出するためのノズルを含む微細流路を形成する工程と、
    前記圧力室およびリザーバを形成する工程と、を備えるディスペンサの製造方法。
  • 請求項13乃至18のいずれか一項に記載のディスペンサの製造方法において、
    前記印加手段を形成する工程は、
    前記圧力室基板に結合される電極収納基板の、前記圧力室に対応する位置に凹部を形成する工程と、
    前記凹部に電極を形成する工程と、
    前記電極収納基板と前記圧力室基板とを貼り合わせる工程と、を備えるディスペンサの製造方法。
  • 液体を吐出するディスペンサに対応して設けられた識別情報を認識する認識装置と、
    前記認識装置によって認識された前記識別情報に基づいて当該識別情報に対応付けられている前記ディスペンサを所定の吐出位置に移送する移送装置と、
    前記吐出位置に移送された前記ディスペンサから前記液体を吐出させる吐出制御装置と、を備えたことを特徴とする検査装置。
  • 請求項20に記載の検査装置において、
    前記識別情報を検出し、当該識別情報に対応する電気信号を出力するセンサと、
    前記センサを一の前記ディスペンサに対応する前記識別情報を検出可能な位置に駆動するセンサ駆動装置と、をさらに備える検査装置。
  • 請求項20に記載の検査装置において、
    前記認識装置は、前記ディスペンサの前記識別情報を示す電磁波を受信し当該電磁波の示す当該識別情報を再生可能に構成されている検査装置。
  • 請求項21に記載の検査装置において、
    前記センサとして、前記識別情報が担持されている識別情報担持手段から出力された電磁波を受信するアンテナを備える検査装置。
  • 請求項20に記載の検査装置において、
    前記認識装置は、受光した光を検出し当該光の示す当該識別情報を再生可能に構成されている検査装置。
  • 請求項21に記載の検査装置において、
    前記センサとして、前記識別情報が担持されている識別情報担持手段に向けて照射された光の反射光または透過光を受ける受光部を備える検査装置。
  • 請求項20に記載の検査装置において、
    前記認識装置は、電気の導通および非導通を検出し当該電気の導通または非導通に対応させて前記識別情報を認識する検査装置。
  • 請求項21に記載の検査装置において、
    前記センサとして、前記識別情報が担持されている識別情報担持手段の所定領域における電気の導通および非導通を検出するプローブを備える検査装置。
  • 請求項20に記載の検査装置において、
    前記認識装置は、所定の立体構造を検出し当該立体構造の示す当該識別情報を認識可能に構成されている検査装置。
  • 請求項21に記載の検査装置において、
    前記センサとして、前記識別情報に対応して形成されている鍵受け構造に所定の識別情報に対応している鍵が契合するか否かを検出可能に構成されており、
    前記認識装置は、前記センサにより前記鍵が契合したと認識された場合に、当該鍵受け構造に対応付けられたディスペンサが当該鍵に対応している識別情報を有しているものと判断する検査装置。
  • 液体を吐出するディスペンサに対応して設けられた識別情報を認識する工程と、
    認識された前記識別情報に基づいて当該識別情報に対応付けられている前記ディスペンサを所定の吐出位置に移送する工程と、
    前記吐出位置に移送された前記ディスペンサから前記液体を吐出させる工程と、を備えたことを特徴とする検査方法。
  • 請求項30に記載の検査方法によって製造されるバイオチップであって、
    前記識別情報によって識別される前記液体が高分子材料であり、
    識別された前記識別情報によって対応付けられている位置に前記高分子材料が付着しているプレートを備えたことを特徴とするバイオチップ。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、バイオチップ等の検査または製造技術に係り、特に、多種多様な検査または製造用の液体試料を用いる場合に好適なディスペンサに関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    近年、多種多様なDNAやRNA,タンパク質等の生体高分子を用い生体に近い情報処理をさせようという試みや、臨床診断や薬物治療のために、核酸やタンパク質の試験を簡素化する目的のために、バイオチップが利用されるようになっている。 このようなバイオチップとしては、例えば検査用のバイオセンサとして、プローブDNAを基板上に塗布された結合剤上に点滴(スポット)したバイオチップが利用されてきた。 タンパク質の性質を検査するためには、このプローブDNAと結合し、標識である蛍光物質を付けられたサンプルDNAを、スポットされたプローブDNAと結合させ、レーザ光などのより蛍光物質を検出する。
    【0003】
    例えば、特開2000−157272には、DNAプローブと結合剤とをプレート上に局所的に付着させ、結合剤が付着している位置にプローブを植え付けるように構成したバイオチップが開示されている。 この公報に開示されているように、従来、プレート上にDNAプローブ等の試料を付着させるためには、ピンや毛細管で試料を付着させていた。
    【0004】
    【発明が解決しようとする課題】
    しかしながら、バイオチップでは多種多様なタンパク質等によって、百以上、時には数百のスポットを形成する必要がある。 ピンや毛細管による従来の方法では、高速に、かつ、確実にこのような多数のスポットを形成することができなかった。
    【0005】
    また、バイオチップでは多数の異なる試料が同一基板上に配置されるため、試料の種類毎に位置を特定して試料を付着させなければならない。 このように見た目では区別できない多種多様な試料を正しく識別して付着させる必要もあった。
    【0006】
    【課題を解決するための手段】
    上記課題に鑑み、本発明は、多種多様な液体試料を、高速に、かつ、正確に付着させることのできるディスペンサを提供することを目的とする。
    【0007】
    本発明のディスペンサは、液体を吐出するための液体吐出手段と、液体を識別するための識別情報を読取可能に担持する識別情報担持手段と、を備えたことを特徴とする。
    【0008】
    この構成によれば、識別情報を認識することで当該ディスペンサから吐出される液体が何であるのかを識別することができる。 特にバイオチップの検査や製造に用いられるディスペンサアレイは一時に多種多様な高分子材料を用いることが多い。 ここに本発明を適用すれば、各々のディスペンサの液体を識別してから吐出させることができるようになり、確実に、かつ、正確に、正しい液体を吐出させることができるようになる。
    【0009】
    ここで本発明において「液体」には特に限定はなく、ディスペンサの目的に応じて種々に定められる。 例えばバイオチップの検査や製造に用いるディスペンサであれば、各種のDNAやRNA、タンパク質等の生体高分子を含む液体が考えられる。 またディスペンサを工業製品の製造装置に利用する場合には、金属や膜形成材料を含む工業用の材料液が考えられる。
    【0010】
    「液体吐出手段」の構造には限定はないが、例えば、液体吐出手段として、液体を貯留するタンクと、タンクに貯留されている液体を吐出するヘッドチップと、を備えるような構造が例示できる。
    ここで「タンク」は使い捨て用の密封されたタンクであっても取り替え可能なインクカートリッジであってもよい。
    液体を吐出する構造としては、静電駆動タイプ、ピエゾ駆動タイプ、熱駆動タイプ等のインクジェット式ヘッドが考えられる。 静電駆動タイプのヘッドは、圧室が設けられた圧力室基板の壁面をなす振動板に隣接させて電極を設けた構造をしており、圧力室基板と電極との間に所定電圧を印加する際に生ずる静電力を利用して圧力室の壁面をなす振動板を変形させて圧力室の体積を変化させ圧力室内部の液体を吐出させるものである。 ピエゾ駆動タイプのヘッドは、圧力室の壁面をなす振動板に圧電体素子を設けた構造をしており、圧電体素子に所定の電圧を加えることにより振動板を変形させて圧力室の体積を変化させ圧力室内部の液体を吐出させるものである。 熱駆動タイプのヘッドは、液体流路の所定箇所に熱印加手段を設けた構造をしており、熱印加手段に所定の電圧を加えることにより熱印加手段を発熱させ液体に気泡を生じさせてその圧力により液体を吐出させるものである。
    【0011】
    また「識別情報」とは、液体を特定するのに足りる情報であれば足り、例えば予め定められた符号、文字等の他、物理的・化学的・機械的特徴によって他のものと区別可能な情報総てを含む。 例えば、識別情報は、電磁波(光)における波長・振幅・位相等、光における反射率・透過率・屈折率等による固有の性質が個々のディスペンサに割り当てられているような場合を含む。
    【0012】
    「識別情報担持手段」は、液体吐出手段と対応していれば十分であり、担持手段が設けられる位置に特に限定はない。 すなわち、識別情報担持手段は、例えば液体吐出手段の周辺に一体的に設けることができる。 例えばヘッドチップに一体形成したり、タンクに設けたり、ディスペンサの筐体に設けることが考えられる。 さらに液体吐出手段から離間した位置に設けることもできる。 例えば、情報担持手段を特定の場所にインデックスのように形成し、それに対応するディスペンサの液体を識別するように構成してもよい。 さらにこの情報担持手段を吐出すべき対象、例えばバイオチップのプレート側にも設けておき、ディスペンサとプレートとの双方に設けられた情報担持手段の担持する識別情報が一致した場合にその位置に液体を吐出するような構成にすることもできる。
    【0013】
    また「識別情報担持手段」の構造に限定はなく、識別情報を少なくとも一定期間担持できるものであればよい。 例えば、識別情報担持手段は、担持すべき識別情報を示す電磁波を送信可能な構成を備えていてもよい。 このような構成によれば、送信部からの電磁波を受信して識別情報を認識できるので、非接触な状態での検出が可能になるからである。
    【0014】
    この場合、識別情報担持手段は、例えば、識別情報を格納する記憶部と、識別情報を送信するための送信部と、記憶部に格納されている識別情報を読み出し、送信部を介して送信する制御部と、により構成することができる。
    【0015】
    このとき識別情報担持手段は、識別情報を更新可能に構成されていることは好ましい。 識別情報が更新可能になっているので、液体を後に充填する場合にその液体に合わせて識別情報を更新したり液体を変更するたびに識別情報を更新したりすることができるからである。 識別情報を更新可能にする記憶部としては、例えば各種RAM、EPROM、EEPROM等が考えられる。
    【0016】
    また例えば、識別情報担持手段は、光の透過または反射に影響を与える構造を、担持すべき識別情報に対応させて配置させたものでもよい。 このような構成によれば、担持手段からの光が届く範囲で識別情報を確実に認識できる他、視覚的に識別番号を認識することも可能となるからである。 例えばこのような構造としてバーコードまたは穴のいずれかが考えられる。 ここで「穴」は貫通孔であっても凹部や溝のような非貫通孔であってもよい。
    【0017】
    また例えば、識別情報担持手段は、電気の導通に影響を与える構造を、担持すべき識別情報に対応させて配置させたものでもよい。 このような構成によれば、電気の導通の有無という比較的簡単な検出方法で識別情報を認識することができるからである。 例えばこのような構造として、外部から接触する識別情報認識用の電極対間を導通させ、または、非導通にする電極パターンを含むことが考えられる。
    【0018】
    また例えば、識別情報担持手段は、所定の立体構造を担持すべき識別情報に対応させて備えていてもよい。 このような立体構造に固有の形状を持たせれば、機械的な手段によって識別情報の認識が可能になる他、視覚的に識別番号を認識することも可能となる。 例えばこのような立体構造として、外部から挿入される識別情報認識用の鍵と契合するための鍵受け構造を備えることが考えられる。
    【0019】
    本発明は、さらに本発明に係るディスペンサを複数備え、各ディスペンサが貯留する液体を特定するための識別情報が、各ディスペンサに対応付けられて設けられているディスペンサアレイでもある。 このような構成によれば、多種多様の液体が各ディスペンサから吐出されるものであっても識別情報により個々のディスペンサから吐出される液体を確実に、正確に認識できるので、誤りがない。
    【0020】
    本発明に係るディスペンサの製造方法は、所定の領域に液体を識別するための識別情報を担持する識別情報担持手段を形成する工程と、液体に圧力を加えるための圧力室を含む液体流路を圧力室基板に形成する工程と、圧力室に圧力を印加するための印加手段を形成する工程と、を備える。
    【0021】
    ここで識別情報担持手段を形成する位置は上記説明と同様に限定はない。 この識別情報担持手段を形成する工程は、例えば、担持すべき識別情報を示す電磁波を送信可能な構成を領域内に形成したり、光の透過または反射に影響を与える構造を、担持すべき識別情報に対応させて領域内に形成したり、電気の導通に影響を与える構造を、担持すべき識別情報に対応させて領域内に形成しり、所定の立体構造を担持すべき識別情報に対応させて領域内に形成したり、することができる。
    【0022】
    また、液体流路を形成する工程は、例えば、液体を吐出するためのノズルを含む微細流路を形成する工程と、圧力室およびリザーバを形成する工程と、を備えることができる。 このような製法は、ノズルプレートを必要としないヘッド構造を製造するのに適する。
    【0023】
    また、印加手段を形成する工程は、例えば、圧力室基板に結合される電極収納基板の、圧力室に対応する位置に凹部を形成する工程と、凹部に電極を形成する工程と、電極収納基板と圧力室基板とを貼り合わせる工程と、を備えることができる。 このような製法は、静電駆動タイプのヘッドの製造方法の例である。
    【0024】
    本発明に係る検査装置は、液体を吐出するディスペンサに対応して設けられた識別情報を認識する認識装置と、認識装置によって認識された識別情報に基づいて当該識別情報に対応付けられているディスペンサを所定の吐出位置に移送する移送装置と、吐出位置に移送されたディスペンサから液体を吐出させる吐出制御装置と、を備える。
    【0025】
    このような構成によれば、認識装置が識別情報を認識することによってディスペンサから吐出される液体を特定できるので、その特定される液体を吐出させるべき適正な位置に移送して液体の吐出が行える。 したがって、ディスペンサごとの液体を確実に、かつ、正確に、対応する位置に吐出することができる。 特に多種多様な液体を吐出可能に構成されたディスペンサアレイに本発明を適用すれば、短時間に、目的とする液体を適正な位置に次々と吐出させていくことができる。
    【0026】
    なお、本発明における「検査装置」は、吐出する液体をバイオチップ製造用の材料を含むことにより、そのまま製造装置として捉えることもできる。
    【0027】
    さらに本発明に係る検査装置は、識別情報を検出し、当該識別情報に対応する電気信号を出力するセンサと、センサを一のディスペンサに対応する識別情報を検出可能な位置に駆動するセンサ駆動装置と、を備えていることが好ましい。 このような構成によれば、センサが任意のディスペンサの検出可能位置に移動されるので、多種多様な液体を吐出可能に構成されたディスペンサアレイにおいて、人手を介することなく、正しい検出位置にセンサを移動させることができる。
    【0028】
    ここで「認識装置」の構成には限定はなく、識別情報の態様に応じて種々に変更して用いることができる。 例えば認識装置は、ディスペンサの識別情報を示す電磁波を受信し当該電磁波の示す当該識別情報を再生可能に構成することができる。 この場合、センサとして、識別情報が担持されている識別情報担持手段から出力された電磁波を受信するアンテナを備えることになる。
    【0029】
    また例えば、認識装置は、受光した光を検出し当該光の示す当該識別情報を再生可能に構成することができる。 この場合、センサとして、識別情報が担持されている識別情報担持手段に向けて照射された光の反射光または透過光を受ける受光部を備えることになる。
    【0030】
    また例えば、認識装置は、電気の導通および非導通を検出し当該電気の導通または非導通に対応させて識別情報を認識するように構成することができる。 この場合、センサとして、識別情報が担持されている識別情報担持手段の所定領域における電気の導通および非導通を検出する電極対(プローブ)を備えることになる。
    【0031】
    また例えば、認識装置は、所定の立体構造を検出し当該立体構造の示す当該識別情報を認識可能に構成することができる。 この場合、センサとして、識別情報に対応して形成されている鍵受け構造に所定の識別情報に対応している鍵が契合するか否かを検出可能に構成することができる。 そして認識装置は、センサにより鍵が契合したと認識された場合に、当該鍵受け構造に対応付けられたディスペンサが当該鍵に対応している識別情報を有しているものと判断することになる。
    【0032】
    本発明に係る検査方法は、液体を吐出するディスペンサに対応して設けられた識別情報を認識する工程と、認識された識別情報に基づいて当該識別情報に対応付けられているディスペンサを所定の吐出位置に移送する工程と、吐出位置に移送されたディスペンサから液体を吐出させる工程と、を備える。
    【0033】
    このような工程によれば、まずディスペンサに対応付けられた識別情報に従ってディスペンサが移送され、その位置で液体を吐出することになるので、確実に、かつ、正しく、所定の液体を適正な位置に吐出させることができる。
    【0034】
    なお、本発明における「検査方法」は、吐出する液体をバイオチップ製造用の材料を含むことにより、そのまま製造方法として捉えることもできる。
    【0035】
    また、このような認識方法、吐出位置に移送する方法、液体の吐出方法については、種々の公知技術を変形して利用することが可能である。 例えば上述したような認識装置における認識方法や液体吐出手段に用いられる吐出方法を適用可能である。 移送する方法については、ディスペンサと吐出対象となる箇所との相対位置を変化させれば充分であり、ディスペンサのみを移動させる場合、吐出対象物のみを移送させる場合、ディスペンサおよび吐出対象物の双方を移送する場合が含まれる。
    【0036】
    本発明に係るバイオチップは、本発明に係る検査方法によって製造されるものであり、識別情報によって識別される液体が高分子材料であり、識別された識別情報によって対応付けられている位置に高分子材料が付着しているプレートを備えている。 本発明に係る検査方法によって、高速に、確実に、かつ、正確に、高分子材料を定められた箇所に付着させていくことが可能になるので、一つあたりの製造単価が低いバイオチップを提供可能である。
    【0037】
    なお、本発明における「バイオチップ」には、それが検査用のバイオセンサであっても集積回路等の製造対象となるバイオチップであってもよく、その構成に特に限定はなく、高分子材料を所定の位置に付着させて製造したり検査したりするための吐出対象物を含む。 例えば、検査対象としては、DNA鎖のハイブリダイゼーションによる電気特性の変化によりDNA鎖を特定したり、抗原を受容体とすることで抗原抗体反応を検出したり、酵素を受容体とすることで酵素基質反応を検出するようなバイオチップが例示できる。 つまり、受容体の種類によって、酵素センサ、免疫センサ、生物センサ、オルガネラセンサ、組織センサ、レセプタセンサ等のバイオセンサが該当する。
    【0038】
    また、製造対象としては、生体分子の自己組織化を利用して生体分子にプログラム等をすることによって、シリコンデバイスとは異なる動作原理を有するように構成したバイオ分子デバイス、既存の電子デバイスと生体分子をナノスケールで複合化したインテグレーションデバイス等もここにいうバイオチップに含まれる。
    【0039】
    すなわち、本願発明によれば、任意の生体分子を確実に識別して所定の位置に付着させることができるので、あらゆる用途のバイオチップやバイオデバイスを本発明によって提供することができるのである。
    【0040】
    【発明の実施の形態】
    次に、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
    <第1の実施の形態>
    本発明の第1の実施の形態は、吐出すべき液体を特定する識別情報を、電磁波として送信可能な構成を備えるディスペンサ、そのアレイ、その製造方法、およびそれを用いた検査方法および装置に関する。
    (ディスペンサおよびディスペンサの製造方法)
    図1および図2に、本第1の実施の形態におけるディスペンサ(カートリッジ)およびディスペンサアレイの構造を説明する斜視図を示す。 本第1の実施の形態に係るディスペンサ10aは、識別情報を、特に電磁波として送信可能に構成されているディスペンサに関する。
    【0041】
    図1に示すように、ディスペンサアレイ1aは、複数のディスペンサ10aを配置して構成されている。 図1では、5列×5行のマトリクス構造に、計25個のディスペンサ10aを配置した例を示している。 各々のディスペンサ10aは、互いに異なる生体高分子を含む液体を吐出可能に構成されている。 ディスペンサアレイ1aにおける行数および列数並びにディスペンサ10aの総数は、利用したい液体の種類数および吐出量に応じて適宜定められる。 特に多量に利用したい液体に対しては、複数のディスペンサが同一種類の液体を吐出可能なように構成してもよい。 各ディスペンサ10aは、図示しないが、隣接するディスペンサ10aとの相対的な位置決めをするための構造(係合部材等)を備えており、ディスペンサ間のピッチが正確になるよう構成されている。 例えばディスペンサアレイ1aは、図示しないが、ディスペンサの収納容器にそれぞれが配置されてアレイ構造をなしている。
    【0042】
    図2に示すように、個々のディスペンサ10aは、蓋11、ヘッドチップ12、タンク13、およびケース14を備える。 蓋11は、開口部112を有する吐出口111を備えている。 ヘッドチップ12は、静電駆動タイプのヘッド構造を備えた、タンク13内の液体を吐出する積層基板構造体であり、本発明の識別情報を担持する識別情報担持手段200aが設けられている。 タンク13は、中空部131に吐出させるべき液体を貯留可能に構成されている。 ケース14は、ヘッドチップ12およびタンク13を収納し、蓋11と接着されるようになっている。
    【0043】
    蓋11およびケース14としては、成型し易く適度の強度を備え、液体に対する耐食性のある材料、例えば、各種合成樹脂や各種ガラス材が利用可能である。 例えばポリ塩化ビニル(PVC)により成型されて構成されている。 特に、この蓋11やケース14の材料は、識別情報を読み取る場合にその情報に影響を与えないような材料であることを要する。 例えば本第1の実施の形態のように、電磁波を識別情報の伝達媒体とする場合には、電磁波に影響を与えないように、構成材料として金属成分を含まないようなものを選択する必要がある。 また、構成材料として透明度の高いものを採用すると、外部から異物の存在が視認できるようになるため好ましい。 特に後述する第2および第3の実施の形態のように、光を識別情報の伝達媒体とする場合には、光透過性に影響を与えないように、構成材料として透明度の高いものを選択する必要がある。
    【0044】
    タンク3は、図示しないが、液体を充填するための充填口およびヘッドチップ12への液体の供給口以外を密封するパッキンを備えて密封可能になっている。 当該密封手段の充填口は、中空部131へ液体を充填した後に封止されている。 このように液体の充填口を封止した構造をしているので、生体分子を含む液体を利用する場合の、他の溶液との混ざり合いを避け、ディスペンサを使い捨て構造にすることができる。 タンク3の素材は、充填する液体に対する耐食性および液体に適度な圧力を加えてヘッドチップ12に供給するための弾力性を備える材料、例えばブチルゴムで構成されている。 ここで、ヘッドチップ12に液体を安定して供給するためには、液体を大気圧よりも小さな圧力(負圧)で格納しなければならない。 この点、ブチルゴムでタンクを構成すれば、気体や蒸気の透過性が低いので、タンク内外へ気体や水蒸気が侵入したり液体が流出したりすることを防ぎつつ、圧力条件を満足させることができる。 また、タンク3は、構成材料に含まれる添加剤等、液体の組成に影響を与える可能性のあるものが除去されて構成されている。 タンク3の液体容量は、例えば約1mlとする。
    【0045】
    図3に本第1の実施の形態に係るヘッドチップ12の分解斜視図、図4に当該斜視図のA−A切断面における断面図を示す。
    【0046】
    ヘッドチップ12は、圧力室基板210を電極収納基板220および上部基板230により狭持して構成されている。
    【0047】
    圧力室基板210は、液体を吐出させるための流路構造が形成され、さらに本発明に係る識別情報担持手段200aを備えている。 一つの流路構造は、ノズル211、ノズル溝212、圧力室213、供給溝214およびリザーバ215を備えている。 当該圧力室基板210は、図4に示すように、シリコン基板本体216の表面に酸化膜217が形成されている。 流路構造間のピッチは、吐出される液滴に混合が生じない程度、例えば0.5mmとする。
    【0048】
    なお、本実施の形態では、流路構造が3系統あるものとして図示してあるが、一つのヘッドチップに設ける流路構造の数は、圧力室基板の面積と仕様に応じて適宜増減して構成すればよい。
    【0049】
    圧力室基板210の材料としては、一定の剛性、液体に対する耐食性、微細加工の容易性等を備えるもの、例えばシリコン基板を利用する。 特に本第1の実施の形態では、識別情報担持手段として、半導体回路を用いるため、半導体製造プロセスを適用できるシリコンにより圧力室基板210を構成しておくことは好ましい。
    【0050】
    電極収納基板220は、静電駆動タイプのヘッド構造において電圧を印加するための電極222を収納するための基板であり、圧力室基板210に貼り合わせられた場合に各圧力室213に対応することになる位置に凹部221が形成されている。 各凹部221には電極222が形成されており、さらに配線223が各電極222から別個に配線されている。 当該配線は、図4に示すように、圧力室単位で、当該圧力室に対応する電極222と共通電位となる圧力室基板210との間に個別に外部から電圧を印加することが可能になっている。 この電圧は検査装置から吐出駆動信号として、所定のパルス信号の形式で印加される。 当該電極収納基板220は、一定の剛性、微細加工の容易性、価格、視認性等を考慮して選択され、例えばシリコン、各種ガラス材(ホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス等)等を用いることが可能である。
    【0051】
    上部基板230は、一定の剛性、液体に対する腐食性、価格、視認性等を考慮して選択され、例えば各種ガラス材(ホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス等)を用いることが可能である。
    【0052】
    なお、上記ヘッドチップ12は、圧力室基板210をシリコン基板で構成したため、同様の製造工程において製造可能な識別情報担持手段200aもこの圧力室基板上に形成してあるが、電極収納基板220や上部基板230に識別情報担持手段200aを形成することもできる。 ヘッドチップ12の詳細な製造方法については後述する。
    【0053】
    なお、本第1の実施の形態におけるディスペンサアレイの構造については、例えば、本願出願人の関連文献(”A LOW POWER,SMALL, ELECTROSTATICALLY−DRIVENCOMMERCIAL INKJET HEAD,” S. Kamisuki et at., 1998 IEEE, p63−68)にも詳しく開示されているので参照されたい。
    【0054】
    図5および図6を参照して、本第1の実施の形態に係る識別情報担持手段200aの構成について説明する。 図5はヘッドチップ12の平面図、図6は識別情報担持手段200aである識別情報送信回路の電気的なブロック図を示す。
    【0055】
    本第1の実施の形態における識別情報担持手段200aは、制御部201、記憶部202、アンテナ203、および電源部204等を備えて構成されている。 アンテナ203を除くブロックは、一つの集積回路として当該識別情報担持手段の形成領域内に形成されている。
    【0056】
    記憶部202は、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブルROM)としての構成を備えている。 各メモリセルにはメモリ機能を有する薄膜トランジスタTを備えている。 その容量は、識別情報等を格納するに足りる容量があればよい。 この記憶部202には、ディスペンサの製造時に予め所定のEEPROM書き込み装置によって所定の識別情報が所定の記憶領域に書き込まれる。 制御部201は、記憶部202から識別情報を読み取って当該識別情報を所定の周波数で変調して高周波信号として出力可能に構成されている。 この変調周波数は例えばアンテナ203の共振周波数になっている。 アンテナ203は、電磁タグとしてコイル状に形成された金属パターンにより構成されており、容量手段と共振回路を構成している。 電源部204は、外部から供給された電磁波を整流して所定時間、例えば数分程度当該回路を駆動できるだけの電力を蓄積可能に構成されている。 したがって、この識別情報送信回路は、アンテナ203の近傍に電磁波が放出された場合に直流電源が供給され、動作するようになっている。
    【0057】
    上記構成において、電源用の電磁波が外部から供給されて回路の動作が開始すると、制御部201は動作を始め、定期的に記憶部202から識別情報を読み出し、読み取った識別情報に応じたパルスを生成し、アンテナ203の共振周波数で規定される搬送波で変調して電磁波として出力する。 この識別情報は電源が供給されている限り、繰り返し出力される。
    【0058】
    なお、上記記憶部202は製造時にプログラムするように構成されていたが、ROMに代えて不揮発性RAMのような記憶手段を用いることにより、外部からの識別情報書き換え用の電波に従って、随時識別情報を更新可能に構成していてもよい。 識別情報を更新可能にする場合、例えば、記憶部202を書き込み可能なメモリで構成し、制御部201にマイクロコンピュータを含ませ、アンテナ203から受信された高周波信号を変調して新しい識別情報を認識可能に構成する。
    【0059】
    また識別情報担持手段に識別情報に対応させてオンオフ可能なビットスイッチを設けることで、随時識別情報を更新可能に構成してもよい。 このビットスイッチは、手動のマイクロスイッチによっても特開2002−104626に記載されているようなインクジェット方式によりビットに対応したドットを印刷可能な構成にしてもよい。
    【0060】
    次に、本実施の形態におけるディスペンサの製造方法を説明する。
    【0061】
    図7乃至図11は、各製造工程における圧力室基板210等を示すものであり、(a)は平面図、(b)は平面図中のB−B切断面における断面図、(c)は平面図中のC−C切断面における断面図である。
    【0062】
    まず、図7に示すように、識別情報担持手段200aに相当する半導体装置を製造する。 シリコンウェハ等のシリコン単結晶基板(例えば(100)面方位)上において、各ヘッドチップ12形成領域内の識別情報担持手段の形成領域に対し、図5や図6に示す回路および配置の半導体装置を実現するためのパターンを形成していく。 半導体装置の製造方法としては、フォトリソグラフィ法、インクジェット法等の公知の技術を適用することが可能である。
    【0063】
    図8に、記憶部202のメモリセルを構成する薄膜トランジスタTを例にとって、当該半導体装置の製造方法を説明する。 当該薄膜トランジスタTはEEPROMの例として一般的なMNOS( etal itride xide ilicon)構造を示してある。 もちろん半永久的に情報を担持可能な他のメモリ構造も採用可能である。
    【0064】
    まず、ST1に示すように、基板210にn型不純物を拡散し、またはn型のウェルを形成してから、その表面上にSiO を堆積させて酸化膜301を形成する。 酸化膜の形成方法としては、公知の方法、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、スパッタリング法等の気相堆積法が挙げられる。 例えば、PECVD法を利用することにより厚さ1μmの酸化層301を形成する。 次いで公知の方法、例えばフォトリソグラフィ法で薄膜トランジスタのドレイン領域およびソース領域となる部分の絶縁膜301に開口部を設ける。
    【0065】
    次に、ST2に示すように、ドナーまたはアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース領域302およびドレイン領域303を形成する。 すなわち、チャンネル領域および素子間に形成されている酸化膜301をマスクとして、p型不純物、例えばボロン等をドーピングし、p型のソース領域302およびドレイン領域303を形成する。 例えば、当該MNOSトランジスタを作製するためには、不純物元素としてリン(P)を所定の濃度、例えば1×10 16 cm −2の濃度でソース/ドレイン領域に打ち込む。 その後、適当なエネルギーの印加、例えばXeClエキシマレーザを照射エネルギー密度200から400mJ/cm 程度で照射するか、250℃から450℃程度の温度で熱処理することにより、不純物元素の活性化を行う。
    【0066】
    次に、ST3に示すように、一旦酸化膜301を除去してから再度基板210表面に一面にSiO による絶縁膜304を形成する。 当該絶縁膜の形成も上記したような公知技術を用いる。 この絶縁膜304は、トンネル現象を起こして窒化珪素膜305に電荷を注入させるために極めて薄く形成する。 例えば、PECVD法を利用することにより厚さ10〜20Åの絶縁膜304を形成する。
    【0067】
    次いで、ST4に示すように、絶縁膜304上に窒化珪素膜305を形成する。 窒化珪素膜の形成は、上記酸化膜301の形成方法を適用できる。 例えば、PECVD法により、厚さ1μmの絶縁層304を形成する。
    【0068】
    次いで、ST5に示すように、窒化珪素膜305上にゲート電極用の金属膜306を形成する。 例えばタンタルまたはアルミニウムの金属薄膜をスパッタリング法により形成する。
    【0069】
    次に、ST6に示すように、チャネル領域上のゲート電極パターンを残して絶縁膜304、窒化珪素膜305および金属膜306からなる層構造をドライエッチング等により除去する。 さらに、素子分離層として、SiO 等の酸化膜307を公知の方法により形成してパターニングする。 例えばPECVD法により約500nmの酸化膜307を形成する。 そして、図示しない層間絶縁膜を形成しソース領域302およびドレイン領域303に対しコンタクトホールを設けてから配線用の金属層を形成し、配線パターンを形成する。
    【0070】
    このようなMNOS構造の薄膜トランジスタTは、ソース領域302が接地電位に接続され、ドレイン領域303が電源電位に接続された状態で、ゲート電極306に所定電圧以上のプログラミング電圧を加えると、酸化膜304がトンネル現象を起こし、窒化珪素膜305に電荷が注入される。 窒化珪素膜305に電荷が注入されるとしきい値電圧が変化しメモリ作用を持たすことができる。 逆に、一旦電荷が注入された薄膜トランジスタのゲート電極に逆極性の所定電圧を加えると、窒化珪素膜305に蓄積された電荷を解放することになり、メモリが消去される。
    【0071】
    同様に、類似の半導体製造工程を制御部201や電源部204にも適用し、所定の手順で動作する半導体回路を形成する。 アンテナ203については、金属薄膜で導電性のコイルパターンを形成し、併せてコンデンサの回路要素を形成し、スルーホールを形成して制御部201と電気的に接続する。
    【0072】
    以上の工程で識別情報担持手段200aを形成可能であるが、このような半導体層費の形成方法は、公知の技術を適用して種々に適応可能である。
    【0073】
    引き続き、図9に示すように、流路パターンを形成するために、まず酸化膜217を形成する。 例えば、比較的低温で良質な膜が得られるTEOS(珪酸エチル(Tetraethylorthosilicate; Si(OC ))をCVD法等で形成してから、フォトリソグラフィ法を適用して流路パターンの部分が開口した酸化膜217を形成する。
    【0074】
    次に、図10に示すように、エッチングを行って圧力室を含む流路構造を形成する。 例えば、有機の強アルカリであるTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液を用いてシリコン単結晶の異方性を利用して、立体的にエッチングしていく。 すなわち、(100)面方位のシリコン単結晶基板では、(111)面のエッチング速度が最も小さいため、この面がエッチングの過程で平滑面として残留する。 この(111)面は(100)面に対して約55°の度をなすため、異方性エッチングによって、基板面とエッチングされる壁面とがこの角度をなすようにエッチングされていく。 エッチングを実施する時間を管理することにより、圧力室213底面の振動板部分の厚みが所定の厚み、例えば13±3μm程度になるようにエッチングする。
    【0075】
    次に、一旦酸化膜217を剥離してから、図11に示すように、再度シリコン基板の両面に酸化膜218を形成する。 例えば、TEOSをCVD法等で厚み0.05〜0.2μm程度付着させ酸化膜218を圧力室基板210の両面に形成する。 この酸化膜218は、圧力室基板210の流路側においては、親和性を制御する役目を有する。 すなわち、吐出すべき液体はタンパク質や塩基を含む水溶液であるところ、シリコン基板が疎水性であるため、そのまま液体を流したのでは流路全体に適正に液体が充填されない。 そこで本実施形態のように親水性の酸化膜を流路の表面にも形成しておけば、流路構造が親水性に変化するためこのような問題が生じないのである。 一方、電極収納基板220側に形成される酸化膜218は、絶縁膜としての役割をさせるために設けてある。
    【0076】
    なお、上記工程では、先に識別情報担持手段200aを形成してから流路構造を形成したが、識別情報担持手段の形成と流路構造の形成とでは、シリコンのエッチング等、共通する処理が存在する。 このため、両方の工程を並行して実施してもよい。 両工程を並行して行なうことによって、例えば半導体製造プロセスと流路形成のための酸化膜形成プロセスを統合することによって、製造時間を短縮し、製造工程全体を簡素化することができる。
    【0077】
    また、図11に示すように、圧力室基板210の形成と並行して、電極収納基板220の形成も行う。
    【0078】
    まず電極収納基板220に凹部221を圧力室213の位置に対応させて形成する。 電極収納基板は、異物確認や動作確認が容易に行えるように、光透過性の高い材料で形成することが好ましい。 例えば、電極収納基板として、所定のガラス基板、例えばパイレックスガラスを用い、このガラス基板に所定の深さ、例えば0.3μm程度の深さで凹部221を形成する。 凹部221の深さは、振動板を変形させるために適当な静電力を印加可能な程度に定められる。 次に、凹部221の内部に電極222を形成する。 電極収納基板を比較的透明な材料で形成した場合には、電極もITO(Indium Tin Oxide:インジウム酸化第1錫)等の透明電極材料で形成することが好ましい。 電極222の形成は、フォトリソグラフィ法により一面に形成してから不要な箇所を除去する方法の他に、インクジェット法により透明電極材料を凹部221内に充填し乾燥させて形成してもよい。 次に、ヘッドセット12の外部から電極222へ駆動信号を供給するための配線223を形成する。 配線223の形成のために、金属膜を形成してフォトリソグラフィ法等でパターニングする。 または電極222の形成時に同時に配線223をパターニングしてもよい。
    【0079】
    次に、圧力室基板210を、電極収納基板220および上部基板230で挟み込む接合をする。 上部基板230は、異物確認や動作確認が容易に行えるように、光透過性の高い材料で形成することが好ましい。 例えば、上部基板として、所定のガラス基板、例えばパイレックスガラスで厚みが0.1〜1mm程度のものを用いる。 基板同士の接合方法としては、各種接着剤を用いて接合することもできるが、陽極接合を行うことは好ましい。 陽極接合によれば、接着剤を用いていないために耐久性が高くなり、かつ、生体分子を含む液体に接着剤の成分が影響を与えたり与えられたりする可能性が少なくなるからである。 陽極接合を行う場合、まずこれら3枚の基板を位置合わせしながら重ねて、これを所定の温度、例えば300℃で加熱しながら圧力室基板210を陽極とし電極収納基板220および上部基板230を陰極として、所定の電圧、例えば500Vの直流電圧を所定時間、例えば5分間印加する。 ここで、圧力室基板210には、識別情報担持手段200aという集積回路が形成されているため、陽極接合による強電界で破壊されないように、当該集積回路を構成する制御部201や記憶部202の各素子を短絡する等の安全策を採ることが好ましい。 同様に、アンテナ203についても過剰な電位が生じないように、端子を接地する等の安全策を採ることが好ましい。 陽極接合を行った後には、ヘッドチップの各部を封止する等、異物が内部に入り込まないような処理をする。 以上の処理を行ってから、ウェハの切断を行って、各ヘッドチップ12に分離する。
    【0080】
    なお、本実施の形態では、静電駆動タイプのヘッド構造を例にとって説明したが、ピエゾ駆動タイプや熱駆動タイプのヘッド構造を備えていてもよい。
    【0081】
    以上の工程によって、図3および図4に示すようなヘッドチップ12を製造することができる。 このヘッドチップ12を、図2に示すように、タンク13にパッキンで接続し、蓋11およびケース14で封入すれば、ディスペンサ10が完成する。
    図1に示すように、このディスペンサ10を、図示しない収納容器等を用いて所定数、所定のピッチで配置して固定すれば、ディスペンサアレイ1を構成することができる。
    【0082】
    (検査装置および検査方法)
    次に、当該ディスペンサアレイを備えて、バイオチップ等の検査・製造をするための検査装置について説明する。 本第1の実施の形態における検査装置は、ディスペンサ10から出力される識別情報を示す電磁波を受信し当該電磁波の示す当該識別情報を認識可能に構成されている。
    【0083】
    図12に示すように、本検査装置30aは、センサ31a、認識装置32、記憶部33、駆動装置34、移送装置35、および発振回路36を備えて構成されている。
    【0084】
    センサ31aは、識別情報を含む電磁波を検出し、当該識別情報に対応する電気信号を出力するコイル311を備えている。 認識装置32はコイル311で受信された高周波信号を復調して識別情報を認識可能に構成されている。 記憶部33は、各ディスペンサ10aの位置に対応させて認識された識別情報を格納可能に構成されている。 この記憶部33に格納された情報にしたがって、バイオチップに対する生体分子を含む液体の吐出が行われる。 駆動装置34は、ディスペンサアレイ1a中のいずれかのディスペンサ10aからの電磁波を受信可能な位置にまでセンサ31aを駆動するように構成されている。 移送装置35は、認識装置32によって認識された識別情報に基づいて当該識別情報に対応付けられているディスペンサ10aを所定の吐出位置に移送することが可能に構成されている。 発振回路36は、移送装置35によりディスペンサ10aが該当する位置に移送された後に、所定の周波数、例えば30kHzの周波数を有する駆動パルスをヘッドチップ12中の各電極222および圧力室基板210間に出力可能に構成されている。
    【0085】
    図13に、本第1の実施の形態に係る当該ディスペンサアレイ1aから識別情報を読み取るためのセンサ31aの駆動の様子を示す。
    【0086】
    本第1の実施の形態によれば、識別情報を示す電磁波は、各識別情報担持手段の近傍において検出可能になっているので、センサとディスペンサとの位置関係を正確に調整することなく、センサ31aをディスペンサ10aの近傍に設けさえすれば、識別情報を読み取ることが可能になっている。 すなわち、駆動装置34によってセンサ31aが所定のディスペンサ10aに近づくと、コイル311から出力されている電磁波がこのディスペンサ10aの識別情報担持手段200aのアンテナ203において受信され、電源装置204が回路動作に必要な電源を当該識別情報担持手段に供給する。 この識別情報担持手段200aでは、制御部201が記憶部202に格納されている識別情報を定期的に読み出し、アンテナ203から高周波信号として出力するようになる。 センサ31aのコイル311はこの高周波信号を受信して認識装置32に電気信号として出力する。 認識装置32は、図14に示すように、この電気信号に含まれている識別情報を、必要な場合には記憶部33に格納する等してから、当該識別情報に対応するように割り当てられている吐出対象位置を特定し、この吐出対象位置に移送装置35によりディスペンサ10aを移送する。 発信回路36は、この吐出位置に移送されたディスペンサ10aのヘッドチップに対し吐出駆動信号を出力する。 当該ヘッドチップ12からはこの吐出駆動信号に基づいた液体が吐出される。
    【0087】
    なお、識別情報とその識別情報の意味する液体の種類やその液体を吐出すべき位置の情報については、予め記憶部33等に記憶させておくことができる。
    【0088】
    当該検査装置30aで実施される検査方法のさらに詳しい動作を、図15のフローチャートに基づいて説明する。
    【0089】
    当該検査装置30aは、まずセンサ31aをディスペンサアレイ1aのいずれか一つのディスペンサ10aに移動させる(S01)。 そしてセンサ31a内のコイル311によって受信される識別情報を認識する(S02)。 さらに検査装置はこの識別情報が吐出対象となる液体に対応付けられた識別番号であるか否かを判断する(S03)。 この識別情報の特定する液体が吐出対象でなかった場合(S03:NO)、検査装置は次のディスペンサ10aにセンサ31aを駆動し、同様に識別情報を受信する(S02〜S03)。 認識された識別情報で特定される液体が吐出対象となっていた場合(S03:YES)、図14に示すように、検査装置は当該識別番号で特定される液体を吐出すべきプレート40上の該当するウェル41上に当該ディスペンサ10aを移送させ(S05)、発振回路306経由で吐出駆動信号をヘッドチップ12の圧力室基板210と電極222との間に出力する。 電圧が加えられた圧力室213ではその底部の振動板がこの電圧に伴う静電力によって撓み、この撓みによって生ずる圧力室213内の体積変化を起因としてノズル211から液体を吐出させる(S06)。
    【0090】
    一回の吐出処理が終了した後、吐出された液滴を他のウェル41にも吐出させるように登録されていたら(S07:YES)、当該ウェル41の位置にディスペンサ10aを移送し(S05)、吐出処理を続行する(S06)。
    【0091】
    一方、当該識別情報で特定される液体の吐出が終了した場合であって、他の生体高分子等を含む液体を吐出させる必要がある場合(S07:YES),再び当該他のディスペンサ10aの近傍にセンサ31aを搬送して識別番号の認識、当該識別番号により特定される液体が吐出すべきものである場合の吐出処理等を行わせる(S02〜S07)。
    【0092】
    以上の処理により、一のディスペンサアレイ1aを構成している複数のディスペンサ10aについて、プレート40上の適切なウェル41内への吐出が終了する。
    【0093】
    以上、本第1の実施の形態によれば、識別情報を認識することで当該ディスペンサから吐出される液体が何であるのかを識別することができる。 このため、多種多様な高分子材料を用いるバイオチップ等について、ディスペンサから吐出される液体を識別してから吐出させることができるようになり、確実に、かつ、正確に液体を吐出させることができるようになる。
    【0094】
    特に本第1の実施の形態によれば、識別情報担持手段は、担持すべき識別情報を示す電磁波を送信可能な構成を備えているので、識別情報を読み取るために正確な位置合わせを行わなくても、すなわちセンサ等をディスペンサの近傍に移動させるだけの非接触な状態でも、識別情報の検出が可能となり識別情報の取得が簡単になる。 例えばディスペンサアレイがディスペンサ間にセンサ等を介在させることができないような構造を備えていても、当該識別情報担持手段によれば識別情報の取得が可能となる。
    【0095】
    また本第1の実施の形態によれば、識別情報担持手段は記憶部に識別情報を格納しそれを読取可能に構成されているので、比較的複雑な識別情報にも対応することが可能である。 つまり識別情報として、液体の種類を特定する以外に、液体の組成、溶媒や溶質の組成、液量、保存や使用条件、製造者の特定情報(名称や住所、連絡番号)、製造番号、担当者、製造年月日時等の関連情報を記憶させることが可能である。
    【0096】
    さらに本第1の実施の形態によれば、識別情報担持手段において識別情報を更新可能に構成すれば、新しい吐出用の液体が充填されるたびに、その液体に対応した識別情報に変更できるため、ディスペンサの再利用が可能であり好ましい。 すなわち、ディスペンサに液体を再充填するたびに識別情報の更新が可能である。
    【0097】
    本第1の実施の形態におけるディスペンサアレイによれば、多種多様の液体が各ディスペンサから吐出されるものであっても識別情報により個々のディスペンサから吐出される液体を確実にかつ正確に認識できるので、誤りがなくなる。
    【0098】
    本第1の実施の形態に係る検査装置によれば、認識装置が識別情報を認識することによってディスペンサから吐出される液体を特定できるので、その特定される液体を吐出させるべき適正な位置に移送して液体の吐出が行える。 したがって、ディスペンサごとの液体を確実に、かつ、正確に、対応する位置に吐出することができる。 特に多種多様な液体を吐出可能に構成されたディスペンサアレイに本発明を適用すれば、短時間に、目的とする液体を適正な位置に次々と吐出させていくことができる。
    【0099】
    また本第1の実施の形態に係る検査装置によれば、センサが任意のディスペンサの検出可能位置に移動されるので、多種多様な液体を吐出可能に構成されたディスペンサアレイにおいて、人手を介することなく、正しい検出位置にセンサを移動させることができる。
    【0100】
    また本第1の実施の形態に係る検査装置により液体が付着されるバイオチップは、本発明に係る検査方法によって、高速に、確実に、かつ、正確に、高分子材料を定められた箇所に付着させていくことが可能になるので、一つあたりの製造単価が低いバイオチップを提供可能となる。
    【0101】
    <第2の実施の形態>
    本発明の第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態における識別情報担持手段における電磁波を出力する構成に代わり、光の反射に影響を与える構造を備えたディスペンサに関する。
    図16に、本第2の実施の形態に係るディスペンサ10bのヘッドチップにおける圧力室基板210の平面図を示す。 識別情報担持手段以外の構成については前記第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
    【0102】
    図16に示すように、本実施の形態における識別情報担持手段200bは、識別情報を所定の規格にしたがってコード化したもので、文字情報を黒線の幅と間隔で規定した、いわゆるバーコードといわれるものである。
    【0103】
    ここで「バーコード」とは、アルファベット、数字、記号などを一定のアルゴリズムに従って一次元の白黒のパターン(実際には幅を持つ二次元)のパターンに置き換え、コンピュータにデジタルで入力出来るようにした自動認識の手段をいう。 バーコードのコード体系には、バイナリレベルのものとマルチレベルのものとが存在する。 バイナリレベルのコードとは、バーの幅が細(Narrow)バーと太(Wide)バーの2種類で構成されているものをいい、CODE−39, CODABAR, 各種2 of 5 等の細かいコード体系が存在している。 マルチレベルのコードとは、黒・白バーの幅が幾種類もあるものをいい、EAN, CODE−93, CODE−128 等のコード体系が存在している。 これらのコード体系ではバーコードのスタートとストップとを示すパターンが決められ、その間を任意のコードに対応するパターンで埋めることができるようになっている。 本実施の形態におけるバーコード205は、このようなコード体系に基づいてパターンを定めてもよいし、独自に定めた体系に基づくパターンであってもよい。 またバーコード205には誤読を防ぐためのパリティが付加されていてもよい。
    【0104】
    バーコード205は、圧力室基板210の識別情報担持手段の形成領域に形成される。 バーコード205としては、バーコードリーダ31bで読み取った場合に、コードを読み取ることができるように形成されている必要がある。 すなわち、光の反射率が、基板表面とバーコード205の線上とでなるべく大きく異なるように形成されていることが好ましい。
    【0105】
    このバーコードの形成方法は、各種印刷法、薄膜の形成、ラベルの貼り付け、凹部の形成等が考えられる。 印刷法を利用すれば、いわゆる書類や製品上にバーコードを印刷するように黒色染料や顔料を基板表面に付着させていけばよい。 印刷後には染料や顔料が喪失しないように公知の技術によるコーティングを行うことが好ましい。 また、インクジェット印刷法によりバーコードパターンを印字していくことも可能である。 薄膜の形成を利用する場合、例えば、基板に比べ光反射率の低い材料、例えばクロム等の金属膜を形成してから、バーコードパターンに成形する。 ラベルの貼り付けを利用する場合、予めバーコード205をラベルに印刷しておき、接着剤によって基板表面に貼り付けるようにする。 凹部の形成は、基板表面に流路構造の形成と並行させてバーコード形状にエッチングして凹部を形成するものである。 この凹部の形成によりバーコード部分の反射が周辺部と異なるようになりバーコードとして機能するようになる。 また凹部を形成後にこの凹部に反射率の低い材料、黒色染料や顔料などを充填してもよい。
    【0106】
    なお、バーコード205は、圧力室基板210以外の上部基板230や電極収納基板220に形成されていてもよい。
    【0107】
    上記のような本実施の形態に係る識別情報担持手段200bを備えるディスペンサ10bは、前記第1の実施の形態と同様にしてディスペンサアレイ1bに集積され検査装置30bの一部をなす。 本実施の形態における検査装置は、図12に示す前記第1の実施の形態における検査装置30aにおいて、センサ31aに代えてバーコードリーダ31bを備えている。 このバーコードリーダ31bは、前記第1の実施の形態に係る検査方法と同様に移送され、各ディスペンサ10bのバーコード205を読み取ることが可能になっている。 特に本実施の形態では、バーコードを確実に読み取らせるために、バーコードリーダ31bは各ディスペンサ10bのバーコード205が確実に読みとれる位置にまで搬送される必要がある。
    【0108】
    以上、本第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、担持手段からの光が届く範囲で識別情報を確実に認識できる他、視覚的に識別番号を認識することも可能となる。
    【0109】
    また、本第2の実施の形態によれば、識別情報担持手段がバーコードを備え、検査装置が光の反射を利用して識別情報を読み取るので、非接触状態で識別情報を認識することができる。 特にバーコードは、ラベルを貼ったり印刷したりするだけで識別情報を付与できるため、製造工程を簡単にすることができる。
    【0110】
    また、本第2の実施の形態によれば、バーコードの読取装置が普及しているため、既存の読取装置を本発明の認識装置の一部として利用することができ、簡便である。
    【0111】
    <第3の実施の形態>
    本発明の第3の実施の形態は、前記第1の実施の形態における識別情報担持手段における電磁波を出力する構成に代わり、光の透過に影響を与える構造を備えたディスペンサに関する。
    図17に、本第3の実施の形態に係るディスペンサ10cのヘッドチップにおける圧力室基板210の平面図を示す。 識別情報担持手段以外の構成については前記第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
    【0112】
    図17に示すように、本実施の形態における識別情報担持手段200cは、識別情報を圧力室基板210に設けた孔206により担持させる。 この孔が開口しているか否かによる識別情報のコード化は、任意に設定することができる。 図17では、総ての孔206が開口している場合を示している。 図17(b)および(c)の断面図は、酸化膜等を形成していない状態を示している。
    【0113】
    例えば、識別すべきディスペンサ10cの総数が少ない場合には、当該孔が所定の位置に開口しているか否かのみで識別することが可能である。 図17における206−01の位置に孔が開口していれば当該ディスペンサの液体は識別番号「01」に対応すると判断できる。 図17では7行×3列の計21種類の液体を識別できることになる。
    【0114】
    識別すべきディスペンサ10cの総数が孔の個数よりも多い場合、孔の並びをコード化することで多数の液体を識別可能である。 例えば、孔の並びを2進数であるとしてコード化すれば、2 21 =2097152種類の液体を識別可能である。
    【0115】
    なお、孔206は、貫通孔ではなくある程度の深さを有する凹部であってもよい。 凹部を利用する場合には、前記第2の実施の形態のように反射光の変化を利用して穴の有無を検出可能なセンサを設ける必要がある。
    【0116】
    各孔206の形成は、公知の方法、例えばドライエッチングで、所定の位置に識別情報に対応させて孔を形成していくことになる。 流路構造の形成と並行して孔を形成すれば、製造工程を共有化して製造を簡単にすることができる。 凹部を穴構造とする場合には、凹部を形成後にこの凹部に反射率の低い材料、黒色染料や顔料などを充填してもよい。
    【0117】
    なお、当該孔206は、圧力室基板210以外の上部基板230や電極収納基板220に形成されていてもよい。
    【0118】
    図18に、上記のような本実施の形態に係る識別情報担持手段200cを備えるディスペンサ10cは、前記第1の実施の形態と同様にしてディスペンサアレイ1cに集積され、検査装置30cの一部をなす。
    【0119】
    図18に示すように、本第3の実施の形態における検査装置30cは、前記第1の実施の形態における検査装置30aにおいて、センサ31aに代えて、発光部312と受光部313とを有するセンサ31cを備えている。 当該センサ31cは、例えばコの字型をしており、ディスペンサ10cをコの字の内部に挿入し、発光部312から受光部313までの光の経路が識別情報担持手段200cの形成面に垂直に交差するように配置されることが好ましい。 このため本実施の形態におけるディスペンサアレイ1cはディスペンサ10cの間に間隙を有し、センサ31cが障害なく差し込めることが可能に構成することが好ましい。
    【0120】
    このセンサ31cは、前記第1の実施の形態に係る検査方法と同様に移送され、各ディスペンサ10cの孔206の有無を検出することが可能になっている。 特に本実施の形態では、孔の有無を確実に読み取らせるために、図19に示す如く、センサ31cは各ディスペンサ10cの孔206の有無が確実に検知できる位置にまで搬送される必要がある。
    【0121】
    以上、本第3の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、担持手段に光を透過させることができる範囲で識別情報を確実に認識できる他、視覚的に識別情報を認識することも可能となる。
    【0122】
    また、本第3の実施の形態によれば、識別情報担持手段が孔を備え、検査装置が光の反射を利用して識別情報を読み取るので、非接触状態で識別情報を認識することができる。
    【0123】
    <第4の実施の形態>
    本発明の第4の実施の形態は、前記第1の実施の形態における識別情報担持手段における電磁波を出力する構成に代わり電気の導通に影響を与える構造を備えている。
    図20に、本第4の実施の形態に係るディスペンサ10dのヘッドチップにおける圧力室基板210の平面図を示す。 識別情報担持手段以外の構成については前記第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
    【0124】
    図20に示すように、本実施の形態における識別情報担持手段200dは、識別情報を導通の有無によって検出可能にする構成によって担持させる。 例えば本実施の形態では、端子対の間で電気的に繋がっていたり切断していたりする電極パターン207を設ける。 そして、外部からこの端子対に電極対(プローブ)を接触させた場合に、その電極対間に電流が流れるか否かにより識別情報を認識させるように構成されている。 導通しているか否かによる識別情報のコード化は、任意に設定することができる。 例えば電極パターンの導通・非導通を2進数に対応させ2のべき乗で識別番号を表すようにコード体系を設定することができる。 例えば、図20には、3つの電極パターン207が存在するので、総計2 =8種類の液体を識別可能になっている。 図20では、特に電極パターン207−1および207−2が導通し207−3が非導通になる電極パターンが示されている。
    【0125】
    各電極パターン207の形成は、公知の方法、例えばフォトリソグラフィ法を適用可能である。 すなわち、電極膜を形成してから識別情報に応じて導通パターンまたは非導通パターンを形成するのである。 流路構造の形成と並行して電極パターン207を形成すれば、製造工程を共有化して製造を簡単にすることができる。
    【0126】
    なお、当該電極パターン207は、圧力室基板210以外の上部基板230や電極収納基板220に形成されていてもよい。
    【0127】
    図21に、上記のような本実施の形態に係る識別情報担持手段200dを備えるディスペンサ10dは、前記第1の実施の形態と同様にしてディスペンサアレイ1dに集積され、検査装置30dの一部をなす。
    【0128】
    図21に示すように、本第4の実施の形態における検査装置30dは、前記第1の実施の形態における検査装置30aにおいて、センサ31aに代えて、プローブである電極対31d−1〜31d−3を有するセンサ31dを備えている。 識別情報担持手段200dの端子対にはセンサ31dを電気的に接触させる必要があるため、例えば図22に示すように、ディスペンサ10dのケース14には、センサ31dを挿入して識別情報担持手段200dの端子対に接触させるための開口141を設けておくことが好ましい。 このため本実施の形態におけるディスペンサアレイ1dはディスペンサ10dの間に十分間隙を有し、センサ31dをディスペンサ10d内に差し込めるような配置に構成することが好ましい。 ただし、圧力室基板210のノズル側に端子対を形成すれば、ディスペンサの吐出側からセンサ31dを挿入することができる。
    【0129】
    このセンサ31dは、前記第1の実施の形態に係る検査方法と同様に移送され、各ディスペンサ10dにおいて各電極対における導通の有無を検出することが可能になっている。
    【0130】
    以上、本第4の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、担持手段に電気的に電極対を接触させることができる範囲で識別情報を確実に認識できる他、視覚的に識別情報を認識することも可能となる。
    【0131】
    また、本第4の実施の形態によれば、電気の導通の有無という比較的簡単な検出方法で識別情報を認識することができる。
    【0132】
    <第5の実施の形態>
    本発明の第5の実施の形態は、前記第1の実施の形態における識別情報担持手段における電磁波を出力する構成に代わり、所定の立体構造を担持すべき識別情報に対応させて備えている。
    図23に、本第5の実施の形態に係るディスペンサ10eのヘッドチップにおける圧力室基板210の平面図を示す。 識別情報担持手段以外の構成については前記第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
    【0133】
    図23に示すように、本実施の形態における識別情報担持手段200eは、鍵受け構造208に識別情報を担持させる。 そして、外部から挿入される識別情報認識用の鍵31eと契合するか否かにより識別情報を認識させるように構成されている。 鍵受け構造208は、任意に設定可能であり、フォトリソグラフィ法によれば微細な基板加工が可能であるため、識別可能な数は膨大である。
    【0134】
    各鍵受け構造208の形成は、公知の方法、例えばフォトリソグラフィ法を適用可能である。 すなわち、鍵受け構造に合わせてレジストを形成し、エッチングすることによって立体構造を基板上にまたは基板の端部に形成可能である。 流路構造の形成と並行して鍵受け構造208を形成すれば、製造工程を共有化して製造を簡単にすることができる。
    【0135】
    なお、当該鍵受け構造208は、圧力室基板210以外の上部基板230や電極収納基板220に形成されていてもよい。
    【0136】
    本第5の実施の形態に係る識別情報担持手段200eを備えるディスペンサ10eは、図21に示す前記第4の実施の形態と同様にしてディスペンサアレイ1eに集積され、検査装置30eの一部をなす。
    【0137】
    本第5の実施の形態における検査装置30eは、図21に示す前記第4の実施の形態における検査装置30dにおいて、センサ31dに代えて、鍵31eを備えている。 この鍵31eは、鍵受け構造208とマッチングしたことを検出し認識装置32に出力可能になっている。 当該実施の形態においても、識別情報担持手段200eの鍵受け構造208に鍵31eを差し込めるようにする必要があるため、前記第4の実施の形態と同様に、例えば図22に示すように、ディスペンサ10eのケース14には、開口141を設けておくことが好ましい。 このため本実施の形態におけるディスペンサアレイ1eはディスペンサ10eの間に十分間隙を有し、鍵31eをディスペンサ10e内に差し込めるような配置に構成することが好ましい。 ただし、圧力室基板210のノズル側に鍵受け構造208を形成すれば、ディスペンサの吐出側から鍵31eを挿入することができる。
    【0138】
    この鍵31eは、前記第4の実施の形態に係る検査方法と同様に移送され、各ディスペンサ10eにおいて鍵嵌合の有無を検出することが可能になっている。
    【0139】
    なお、鍵31eの構造を、識別させたい液体の種類に応じて変更可能に構成すれば、複数種類のディスペンサを識別可能となる。 例えば、鍵構造の爪や溝の長さや幅、位置を変更可能に構成したり、複数の鍵を選択的に用いたりすれば、複数種類のディスペンサの識別が可能である。
    【0140】
    なお、本発明において立体的構造は、いわゆる鍵という一般概念に対応する構造を有する必要はなく、何らかの立体的構造の特徴によって個々のディスペンサを識別するものであれば充分である。
    【0141】
    以上、本第5の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、担持手段に物理的に鍵を接触させることができる範囲で識別情報を確実に認識できる他、視覚的に識別情報を認識することも可能となる。
    【0142】
    また、本第5の実施の形態によれば、鍵の挿入という立体的構造の適合の有無で識別情報の識別が可能になるため、認識装置における処理を簡単にすることができる。
    【0143】
    <その他の変形例>
    本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、種々に変更して適用することが可能である。
    例えば、光学的な反射または透過を利用した識別情報担持手段を、ヘッドチップ以外の場所、例えば蓋やケースに設けるようにしてもよい。 例えば、図24(a)はディスペンサ10fのケース14に、第2の実施の形態で説明したバーコード15を付与した場合を示している。 ラベルに印刷したバーコード15をケース14に貼るだけでもよい。 このようにディスペンサの筐体表面にバーコードを適用すれば、例えば図14(b)に示すように、バーコードリーダ31fをバーコード15に簡単に接近させることができる。 例えば接触させスライドさせながらコードを読み取る接触型のバーコードリーダを利用することもできる。
    【0144】
    同様に、前記第4の実施の形態のような電気的な導通の有無を示す電極パターンで識別情報を担持させる識別情報担持手段をディスペンサの筐体表面に設けることもできる。 例えば、ラベルに導電性のインクで電極パターンを形成し、所定の位置に貼り付けて構成する。 このように構成によれば、ディスペンサの筐体に開口を設けることなく筐体表面に電極対を接触させるだけで、識別情報を認識出来る。
    【0145】
    同様に、前記第5の実施の形態のような立体構造による識別情報担持手段をディスペンサの筐体表面に形成してもよい。 例えば、樹脂成型の過程で点字のように凹凸形状を設けたり凹凸を形成したラベルを貼り付けたりすることで識別情報を認識できる。
    【0146】
    【発明の効果】
    本発明によれば、液体吐出手段に関連させて液体を特定するための識別情報担持手段を備えたので、この識別情報担持手段から識別情報を認識しながら検査等を行うことによって、多種多様な液体の試料を、高速に、かつ、正確に付着させることができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】第1の実施の形態に係るディスペンサアレイおよびディスペンサの斜視図。
    【図2】第1の実施の形態に係るディスペンサの分解斜視図。
    【図3】第1の実施の形態に係るヘッドチップの分解斜視図。
    【図4】第1の実施の形態に係るヘッドチップの断面図であり、図3のA−A切断面における断面図。
    【図5】第1の実施の形態に係る識別情報担持手段の平面図。
    【図6】第1の実施の形態に係る識別情報担持手段のブロック図。
    【図7】第1の実施の形態に係る識別情報担持手段形成工程の説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B切断面における断面図、(c)はC−C切断面における断面図。
    【図8】第1の実施の形態に係る識別情報担持手段形成工程におけるEEPROMの半導体製造工程の製造工程断面図。
    【図9】第1の実施の形態に係る酸化膜形成工程の説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B切断面における断面図、(c)はC−C切断面における断面図。
    【図10】第1の実施の形態に係る流路形成工程の説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B切断面における断面図、(c)はC−C切断面における断面図。
    【図11】第1の実施の形態に係る酸化膜形成および電極収納基板形成工程の説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B切断面における断面図、(c)はC−C切断面における断面図。
    【図12】第1の実施の形態に係る検査装置30aのブロック図。
    【図13】第1の実施の形態に係る検査方法の説明図。
    【図14】第1の実施の形態に係る検査方法における搬送および吐出工程の説明図。
    【図15】第1の実施の形態に係る検査方法のフローチャート。
    【図16】第2の実施の形態に係る識別情報担持手段の平面図。
    【図17】第3の実施の形態に係る識別情報担持手段の説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B切断面における断面図、(c)はC−C切断面における断面図。
    【図18】第3の実施の形態に係る検査装置30cのブロック図。
    【図19】第3の実施の形態に係る検査方法の説明図。
    【図20】第4の実施の形態に係る識別情報担持手段の平面図。
    【図21】第4の実施の形態に係る検査装置30dのブロック図。
    【図22】第4の実施の形態に係る検査方法の説明図。
    【図23】第5の実施の形態に係る識別情報担持手段の平面図。
    【図24】実施の形態の変形例の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は検査方法の説明図。
    【符号の説明】
    1a〜1e…ディスペンサアレイ10a〜10…ディスペンサ12…ヘッドチップ13…タンク200a〜200e…識別情報担持手段210…圧力室基板220…電極収納基板230…上部基板

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