Methods and compounds for analyzing nucleic acids by mass spectrometry

申请号 JP2000504286 申请日 1998-07-22 公开(公告)号 JP2001511359A 公开(公告)日 2001-08-14
申请人 ラピジーン,インコーポレイテッド; 发明人 ジョン シー. タボン,; ジェフリー ハウバート,; ネス, ジェフリー バン; ジョン ティー. マリガン,;
摘要 (57)【要約】 広範で多様な核酸反応のために具体的には設計されたタグおよびリンカーが開示され、これは、広範で多様な核酸反応のために適切であり、ここでは、サイズに基づいた核酸分子の分離が必要とされる。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 以下の式を有する化合物: T ms −L−X ここで、 T msは、質量分析により検出可能な有機基であり、該基は、炭素、少なくとも1個の水素およびフッ化物、ならびに酸素、窒素、硫黄、リンおよびヨウ素から選択される任意の原子を含有する; Lは、独特のT ms含有部分を化合物の残りから切断することを可能にする有機基であり、ここで、T ms含有部分は、化合物が質量分析に供された際に単一イオン化荷電状態を支持し、かつ三級アミン、四級アミンまたは有機酸である官能基を含む; Xは、ホスホルアミダイトおよびH−ホスホネートから選択される官能基である。
  • 【請求項2】 Xが、以下の構造を有するT−L−Xのようなホスホルアミダイト基である、請求項1に記載の化合物: 【化1】 ここで、Rは、アルキル基または、ハロゲンおよびシアノから選択された1つ以上の置換基を有する置換されたアルキル基であって、かつNR 2の2つのR基 は一緒に結合されてシクロアルキル基を形成し得る。
  • 【請求項3】 Xが、以下の構造を有するT−L−Xのようなホスホルアミダイト基であり、かつORはOCH 2 CH 2 CNであり、一方NR 2はN(イソ− プロピル) 2である、請求項2に記載の化合物: 【化2】
  • 【請求項4】 Xが、以下の構造を有するT−L−XのようなH−ホスホネート基を有する、請求項1に記載の化合物: 【化3】 ここで、Rは、C 1 〜C 6アルキル基である。
  • 【請求項5】 T msが、15〜10,000ダルトンの質量、および 【数1】 の分子式を有し、ここで、α、βおよびδの合計は、他の、該C、NおよびO原子の満たされない原子価を満たすのに十分である、請求項1〜4に記載の化合物。
  • 【請求項6】 T msおよびLが官能基を介して互いに結合され、該官能基が、アミド、エステル、エーテル、アミン、スルフィド、チオエステル、ジスルフィド、チオエーテル、ウレア、チオウレア、カルバメート、チオカルバメート、
    シッフ塩基、還元シッフ塩基、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ホスフェート、
    ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミド、スルホネート、スルホンアミドまたは炭素−炭素結合から選択される、請求項1〜4に記載の化合物。
  • 【請求項7】 Lが、 【数2】 、L acid 、L base 、L [O] 、L [R] 、L enz 、L elc 、 【数3】 、およびL ssから選択され、ここで、それぞれが、化学線、酸、塩基、酸化、還元、酵素、電気化学的、熱的、およびチオール交換により、T ms含有部分をその分子の残りから切断される、請求項1〜4に記載の化合物。
  • 【請求項8】 【数4】 が、式L 1 −L 2 −L 3を有し、ここで、L 2は、化学線を吸収してXからのT msの切断を促進する分子フラグメントであり、そしてL 1およびL 3は独立して、直接結合または有機部分であり、ここで、L 1はT msからL 2を分離し、L 3はL 2をX
    から分離し、そしてL 2が該化学線を吸収するとき、L 1もL 3も、結合が切断さ れない、請求項1〜4に記載の化合物。
  • 【請求項9】 −L 2 −L 3が以下の式を有する、請求項8に記載の化合物: 【化4】 ここで、a、b、c、dまたはeの位置の1個の炭素原子は、−L 3 −Xで置 換され、そして必要に応じて、b、c、dまたはeのうちの1つ以上の位置は、
    アルキル、アルコキシ、フッ化物、塩化物、ヒドロキシル、カルボキシレート、
    またはアミドで置換される;およびR 1は、水素またはヒドロカルビルである。
  • 【請求項10】 L 3が、直接結合、ヒドロカルビレン、−O−ヒドロカル ビレン、およびヒドロカルビレン−(O−ヒドロカルビレン) n −Hから選択さ れ、そしてnが、1〜10の範囲の整数である、請求項8に記載の化合物。
  • 【請求項11】 −L−Xが以下の式を有する、請求項1〜4に記載の化合物: 【化5】 ここで、b、c、dまたはeのうちの1つ以上の位置は、水素、アルキル、アルコキシ、フッ化物、塩化物、ヒドロキシル、カルボキシレートまたはアミドで置換される;R 1は、水素またはヒドロカルビルであり、そしてR 2は、「X」基において終端する。
  • 【請求項12】 T msが以下の式を有する、請求項1〜4に記載の化合物: T 2 −(J−T 3 −) n − T 2は、炭素と、水素、フッ化物、ヨウ化物、酸素、窒素、硫黄、およびリン のうちの1つ以上とから形成される有機部分であり、該部分は、15〜500ダルトンの質量を有する; T 3は、炭素と、水素、フッ化物、ヨウ化物、酸素、窒素、硫黄、およびリン のうちの1つ以上とから形成される有機部分であり、該部分は、50〜1000
    ダルトンの質量を有する; Jは、直接結合または官能基であり、該官能基は、アミド、エステル、アミン、スルフィド、エーテル、チオエステル、ジスルフィド、チオエーテル、ウレア、チオウレア、カルバメート、チオカルバメート、シッフ塩基、還元シッフ塩基、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミド、スルホネート、スルホンアミド、または炭素−炭素結合から選択される;そして nは、1〜50の範囲の整数であり、nが1より大きい場合、それぞれのT 3およびJは独立して選択される。
  • 【請求項13】 請求項12に記載の化合物であって、T 2が、ヒドロカル ビル、ヒドロカルビル−O−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−S−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−NH−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−アミド−ヒドロカルビレン、N−(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、N,N−ジ(
    ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、ヒドロカルビルアシル−ヒドロカルビレン、ヘテロシクリルヒドロカルビル(ここで、該ヘテロ原子(単数または複数)は、酸素、窒素、硫黄、およびリンから選択される)、置換ヘテロシクリルヒドロカルビル(ここで、該ヘテロ原子(単数または複数)は、酸素、窒素、硫黄、およびリンから選択され、そして該置換基は、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル−
    O−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−NH−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−S−ヒドロカルビレン、N−(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、N,
    N−ジ(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、およびヒドロカルビルアシル−ヒドロカルビレンから選択される)、ならびに上記のいずれかの誘導体(ここで、
    水素の1個以上が、等しい数のフッ化物で置換される)から選択される、化合物。
  • 【請求項14】 請求項12に記載の化合物であって、T 3が式−G(R 2
    −を有し、Gが1つのR 2置換基を有するC 1-6アルキレンであり、そしてR 2が 以下から選択される、化合物:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アリール置換アルケニルまたはアルキニル、シクロアルキル置換アルキル、シクロアルケニル置換シクロアルキル、ビアリール、アルコキシ、アルケノキシ、
    アルキノキシ、アラルコキシ、アリール置換アルケノキシまたはアルキノキシ、
    アルキルアミノ、アルケニルアミノまたはアルキニルアミノ、アリール置換アルキルアミノ、アリール置換アルケニルアミノまたはアルキニルアミノ、アリールオキシ、アリールアミノ、N−アルキルウレア置換アルキル、N−アリールウレア置換アルキル、アルキルカルボニルアミノ置換アルキル、アミノカルボニル置換アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アミノ、カルボキシアルキル置換アラルキル、オキソカルボシクリル縮合アリールおよびヘテロシクリルアルキル;シクロアルケニル、アリール置換アルキル、およびアラルキル、ヒドロキシ置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、アラルコキシ置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、アラルコキシ置換アルキル、
    アミノ置換アルキル、(アリール置換アルキルオキシカルボニルアミノ)置換アルキル、チオール置換アルキル、アルキルスルホニル置換アルキル、(ヒドロキシ置換アルキルチオ)置換アルキル、チオアルコキシ置換アルキル、ヒドロカルビルアシルアミノ置換アルキル、ヘテロシクリルアシルアミノ置換アルキル、ヒドロカルビル置換ヘテロシクリルアシルアミノ置換アルキル、アルキルスルホニルアミノ置換アルキル、アリールスルホニルアミノ置換アルキル、モルホリノアルキル、チオモルホリノアルキル、モルホリノカルボニル置換アルキル、チオモルホリノカルボニル置換アルキル、[N−(アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル)−またはN,N−[ジアルキル、ジアルケニル、ジアルキニルもしくは(アルキル、アルケニル)アミノ]カルボニル置換アルキル、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルキレンアミノカルボニル、ヘテロシクリルアミノカルボニル置換アルキル、ヘテロシクリルアルキレンアミノカルボニル置換アルキル、N,N−[ジアルキル]アルキレンアミノカルボニル、N,N−
    [ジアルキル]アルキレンアミノカルボニル置換アルキル、アルキル置換ヘテロシクリルカルボニル、アルキル置換ヘテロシクリルカルボニルアルキル、カルボキシル置換アルキル、ジアルキルアミノ置換アシルアミノアルキル、およびアミノ酸側鎖(アルギニン、アスパラギン、グルタミン、S−メチルシステイン、メチオニンおよび対応するそれらのスルホキシドおよびスルホン誘導体、グリシン、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、tert−ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、アラニン、オルニチン、ヒスチジン、グルタミン、バリン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、β−シアノアラニン、ならびにアロスレオニンから選択される);アライニル(alynyl)およびヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、アミド、モノ−またはジアルキルアミノカルボニル、モノ−またはジアリールアミノカルボニル、アルキルアリールアミノカルボニル、ジアリールアミノカルボニル、モノ−またはジアシルアミノカルボニル、芳香族または脂肪族アシル、アルキル(これは、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、モノ−またはジアルキルアミノ、モノ−またはジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ジアリールアミノ、モノ−またはジアシルアミノ、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアルケノキシ、チオアルキノキシ、チオアリールオキシ、およびヘテロシクリルから選択される置換基で任意に置換される)。
  • 【請求項15】 以下の式を有する、請求項12に記載の化合物: 【化6】 ここで、 Gは、(CH 21-6であり、ここで、1つのおよび唯一の該CH 2基上の水素 は−(CH 2c −アミド−T 4で置換される; T 2およびT 4は、式 【数5】 の有機部分であり、ここで、αおよびβの合計は、他の、該C、N、およびO原子の満たされない原子価を満たすのに十分である; アミドは、 【化7】 である; R 1は、水素またはC 1-10アルキルである; cは、0〜4の範囲の整数である; Xは、請求項1で定義される;および nは1〜50の範囲の整数であり、nが1より大きい場合、G、c、アミド、
    1およびT 4は独立して選択される。
  • 【請求項16】 以下の式を有する、請求項15に記載の化合物: 【化8】 ここで、T 5は、式 【数6】 の有機部分であり、ここで、αおよびβの合計は、他の、該C、N、およびO原子の満たされない原子価を満たすのに十分であり;そしてT 5は、三級もしくは 四級アミンまたは有機酸を含む;そしてmは0〜49の範囲の整数である。
  • 【請求項17】 以下の式を有する、請求項15に記載の化合物: 【化9】 ここで、T 5は、式 【数7】 の有機部分であり、ここで、αおよびβの合計は、他の、該C、N、およびO原子の満たされない原子価を満たすのに十分であり;そしてT 5は、三級もしくは 四級アミンまたは有機酸を含む;そしてmは0〜49の範囲の整数である。
  • 【請求項18】 −アミド−T 5が以下から選択される、請求項16および 17のいずれか1項に記載の化合物: 【化10】
  • 【請求項19】 −アミド−T 5が以下から選択される、請求項16および 17のいずれかに記載の化合物: 【化11】
  • 【請求項20】 T 2が、以下の有機酸の1つがアミン基と縮合した際にT 2 −C(=O)−N(R 1 )−を形成する構造を有する、請求項14〜16のいず れか1項に記載の化合物:ギ酸、酢酸、プロピオール酸(Propiolic acid)、プロピオン酸、フルオロ酢酸、2−ブチン酸、シクロプロパンカルボン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ジフルオロ酢酸、4−ペンチン酸、シクロブタンカルボン酸、3,3−ジメチルアクリル酸、吉草酸、N,N−ジメチルグリシン、N−ホルミル−Gly−OH、エトキシ酢酸、(メチルチオ)酢酸、ピロール−2−カルボン酸、3−フロ酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、トランス−
    3−ヘキセン酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサン酸、Ac−Gly−OH、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、安息香酸、ニコチン酸、2−ピラジンカルボン酸、
    1−メチル−2−ピロールカルボン酸、2−シクロペンテン−1−酢酸、シクロペンチル酢酸、(S)−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、N−メチル−L−プロリン、ヘプタン酸、Ac−b−Ala−OH、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、p−トルイル酸、6−メチルニコチン酸、5−メチル−2−ピラジンカルボン酸、2,5−ジメチルピロール−3−カルボン酸、4−フルオロ安息香酸、3,5−ジメチルイソキサゾール−
    4−カルボン酸、3−シクロペンチルプロピオン酸、オクタン酸、N,N−ジメチルスクシンアミド酸(N,N−Dimethylsuccinamic ac
    id)、フェニルプロピオール酸、ケイ皮酸、4−エチル安息香酸、p−アニス酸、1,2,5−トリメチルピロール−3−カルボン酸、3−フルオロ−4−メチル安息香酸、Ac−DL−プロパルギルグリシン、3−(トリフルオロメチル)酪酸、1−ピペリジンプロピオン酸、N−アセチルプロリン、3,5−ジフルオロ安息香酸、Ac−L−Val−OH、インドール−2−カルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、4−n−プロピル安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−エトキシ安息香酸、4−(メチルチオ)安息香酸、N−(2−フロイル)グリシン、2−(メチルチオ)ニコチン酸、3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸、Tfa−Gly−OH、2−ナフトエ酸(Napthoic acid)、キナルジン酸、Ac−L−Ile−O
    H、3−メチルインデン−2−カルボン酸、2−キノキサリンカルボン酸、1−
    メチルインドール−2−カルボン酸、2,3,6−トリフルオロ安息香酸、N−
    ホルミル−L−Met−OH、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]
    酢酸、4−n−ブチル安息香酸、N−ベンゾイルグリシン、5−フルオロインドール−2−カルボン酸、4−n−プロポキシ安息香酸、4−アセチル−3,5−
    ジメチル−2−ピロールカルボン酸、3,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシニコチン酸、シクロヘキサンペンタン酸、2−ナフチル酢酸、4−(1
    H−ピロール−1−イル)安息香酸、インドール−3−プロピオン酸、m−トリフルオロメチル安息香酸、5−メトキシインドール−2−カルボン酸、4−ペンチル安息香酸、Bz−b−Ala−OH、4−ジエチルアミノ安息香酸、4−n
    −ブトキシ安息香酸、3−メチル−5−CF3−イソオキサゾール−4−カルボン酸、(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸、4−ビフェニルカルボン酸、ピバロイル−Pro−OH、オクタノイル−Gly−OH、(2−ナフトキシ)酢酸、インドール−3−酪酸、4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、5−メトキシインドール−3−酢酸、4−(トリフルオロメトキシ)安息香酸、Ac−L
    −Phe−OH、4−ペンチルオキシ安息香酸、Z−Gly−OH、4−カルボキシ−N−(フル−2−イルメチル)ピロリジン−2−オン、3,4−ジエトキシ安息香酸、2,4−ジメチル−5−CO 2 Et−ピロール−3−カルボン酸、 N−(2−フルオロフェニル)スクシンアミド酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、N−フェニルアントラニル酸、3−フェノキシ安息香酸、ノナノイル−
    Gly−OH、2−フェノキシピリジン−3−カルボン酸、2,5−ジメチル−
    1−フェニルピロール−3−カルボン酸、トランス−4−(トリフルオロメチル)ケイ皮酸、(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)酢酸、4−
    (2−シクロヘキセニルオキシ)安息香酸、5−メトキシ−2−メチルインドール−3−酢酸、トランス−4−コチニンカルボン酸(trans−4−Coti
    ninecarboxylic acid)、Bz−5−アミノ吉草酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、N−(3−メトキシフェニル)スクシンアミド酸、Z−
    Sar−OH、4−(3,4−ジメトキシフェニル)酪酸、Ac−o−フルオロ−DL−Phe−OH、N−(4−フルオロフェニル)グルタルアミド酸、4'
    −エチル−4−ビフェニルカルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロアクリジンカルボン酸、3−フェノキシフェニル酢酸、N−(2,4−ジフルオロフェニル)スクシンアミド酸、N−デカノイル−Gly−OH、(+)−6−メトキシ−a−メチル−2−ナフタレン酢酸、3−(トリフルオロメトキシ)ケイ皮酸、
    N−ホルミル−DL−Trp−OH、(R)−(+)−a−メトキシ−a−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、Bz−DL−Leu−OH、4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ酢酸、4−へプチルオキシ安息香酸、2,3,4−トリメトキシケイ皮酸、2,6−ジメトキシベンゾイル−Gly−OH、3−(3
    ,4,5−トリメトキシフェニル)プロピオン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ酢酸、N−(2,4−ジフルオロフェニル)グルタルアミド酸、N−ウンデカノイル−Gly−OH、2−(4−フルオロベンゾイル)安息香酸、5−トリフルオロメトキシインドール−2−カルボン酸、N−(2,4−
    ジフルオロフェニル)ジグリコールアミド酸、Ac−L−Trp−OH、Tfa
    −L−フェニルグリシン−OH、3−ヨード安息香酸、3−(4−n−ペンチルベンゾイル)プロピオン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−オクチルオキシ安息香酸、Bz−L−Met−OH、3,4,5−トリエトキシ安息香酸、N−ラウロイル−Gly−OH、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、Ac−5−メチル−DL−Trp−OH、2−ヨードフェニル酢酸、3
    −ヨード−4−メチル安息香酸、3−(4−n−ヘキシルベンゾイル)プロピオン酸、N−ヘキサノイル−L−Phe−OH、4−ノニルオキシ安息香酸、4'
    −(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボン酸、Bz−L−Phe−O
    H、N−トリデカノイル−Gly−OH、3,5−ビス(トリフルオロメチル)
    フェニル酢酸、3−(4−n−へプチルベンゾイル)プロピオン酸、N−ヘプタノイル−L−Phe−OH(N−Hepytanoyl−L−Phe−OH)、
    4−デシルオキシ安息香酸、N−(α,α,α−トリフルオロ−m−トリル)アントラニル酸、ニフルム酸(Niflumic acid)、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)安息香酸、N−ミリストイル−Gly−OH
    、3−(4−n−オクチルベンゾイル)プロピオン酸、N−オクタノイル−L−
    Phe−OH、4−ウンデシルオキシ安息香酸、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロピオニル−Gly−OH、8−ヨードナフトエ酸、N−ペンタデカノイル−Gly−OH、4−ドデシルオキシ安息香酸、N−パルミトイル−
    Gly−OH、およびN−ステアロイル−Gly−OH。
  • 【請求項21】 核酸標的中の単一ヌクレオチド多型の存在を決定する方法であって、該方法が、以下の工程: (a)単一ヌクレオチド多型を含む核酸標的の配列を増幅する工程; (b)該標的の一本鎖形態を生成する工程; (c)相補的な増幅され選択された標的核酸分子に、タグ化核酸プローブをハイブリダイゼーションさせるために十分な時間および条件下で、該タグ化核酸プローブを、該増幅された標的核酸分子と合わせる工程であって、ここで、該タグは、特定の単一ヌクレオチド多型と相関し、そして分光測定または電位差測定により検出可能である; (d)ハイブリダイズしていないタグ化プローブを、ハイブリダイズしたタグ化プローブから、サイジング方法論により分離する工程; (e)該タグを該プローブから切断する工程;および (f)分光測定または電位差測定により該タグを検出し、そして該単一ヌクレオチド多型の存在を決定する工程、 を含む、方法。
  • 【請求項22】 核酸標的中の単一ヌクレオチド多型の存在を決定する方法であって、該方法が、以下の工程: (a)単一ヌクレオチド多型を含む核酸標的の配列を増幅する工程; (b)相補的な増幅され選択された標的核酸分子に、タグ化核酸プライマーをアニーリングさせるために十分な時間および条件下で、該タグ化核酸プライマーを、該増幅された標的核酸分子と合わせる工程であって、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーは、野生型配列または該単一ヌクレオチド多型に相補的な最も3'側の塩基を有し、ここで、該タグは、特定の単一ヌクレオチド多型と相関し、そして分光測定または電位差測定により検出可能である; (c)該プライマーを伸長する工程であって、ここで、該プライマーの最も3
    '側の塩基が該標的に相補的な場合に、該標的に相補的な鎖が合成される; (d)伸長していないタグ化プライマーを、伸長したタグ化プライマーから、
    サイジング方法論により分離する工程; (e)該タグを該プライマーまたは伸長したプライマーから切断する工程;および (f)分光測定または電位差測定により該タグを検出し、そしてそれによって該単一ヌクレオチド多型の存在を決定する工程、 を含む、方法。
  • 【請求項23】 核酸集団中の特定のmRNA分子の量を決定する方法であって、該方法が、以下の工程: (a)RNA集団をcDNA集団に変換する工程; (b)単一ヌクレオチド多型(すなわち、それ以外では該cDNA標的と同一である)を複数含む一本鎖核酸(内部標準)を添加する工程; (c)該cDNA標的の特定の配列を増幅する工程; (d)該内部標準を同時増幅する工程であって、ここで、該内部標準がcDN
    Aアンプリコンと同じ長さである; (e)該標的の一本鎖形態を生成する工程; (f)相補的な選択された標的cDNAおよび内部標準配列に、タグ化核酸プローブをハイブリダイゼーションさせるために十分な時間および条件下で、該タグ化核酸プローブのセットを、該増幅された標的cDNAおよび増幅された内部標準と合わせる工程であって、ここで、該タグは、特定のcDNA配列と相関しかつ第二のタグは、該内部標準と相関し、そして分光測定または電位差測定により検出可能である; (g)ハイブリダイズしていないタグ化プローブを、ハイブリダイズしたタグ化プローブから、サイジング方法論により分離する工程; (h)該タグを該プローブから切断する工程; (i)分光測定または電位差測定により該タグを検出する工程;および (j)cDNAに相関するタグ対内部標準に相関するタグの比を取り、そしてそれにより、該cDNAの量を決定し、それによって核酸集団中の特定のmRN
    Aの量を決定する工程、 を含む、方法。
  • 【請求項24】 核酸標的中の単一ヌクレオチド多型の量を決定する方法であって、該方法が、以下の工程: (a)単一ヌクレオチド多型を含む核酸標的の配列を増幅する工程; (b)該標的の一本鎖形態を生成する工程; (c)相補的な増幅され選択された標的核酸分子に、タグ化核酸プローブをハイブリダイゼーションさせるために十分な時間および条件下で、該タグ化核酸プローブを、該増幅された標的核酸分子と合わせる工程であって、ここで、該タグは、特定の単一ヌクレオチド多型と相関し、そして分光測定または電位差測定により検出可能である; (d)ハイブリダイズしていないタグ化プローブを、ハイブリダイズしたタグ化プローブから、サイジング方法論により分離する工程; (e)該タグを該プローブから切断する工程; (f)分光測定または電位差測定により該タグを検出する工程;および (j)野生型多型に相関するタグ対変異体多型に相関するタグの比を取り、そしてそれにより、該多型の量を決定する工程、 を含む、方法。
  • 【請求項25】 前記タグ化核酸が以下の構造を有する、請求項21〜24
    のいずれかに記載の方法: T ms −L−X ここで、 T msは、質量分析により検出可能な有機基であり、該基は、炭素、少なくとも1個の水素およびフッ化物、ならびに酸素、窒素、硫黄、リンおよびヨウ素から選択される任意の原子を含有する; Lは、独特のT ms含有部分をその化合物の残りから切断することを可能にする有機基であり、ここで、該T ms含有部分は、該化合物が質量分析に供された際に、単一イオン化荷電状態を支持し、三級アミン、四級アミンまたは有機酸である官能基を含む;そして Xは、核酸である。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 (技術分野) 本発明は、一般に、核酸分子を分析するための方法および組成物に関し、より詳細には広範な種々の核酸反応(ここで、サイズに基づく核酸分子の分離が要求される)に利用され得るタグに関する。

    【0002】 (発明の背景) 核酸分子の検出および分析は、生物学における最も重要な技術のうちの一つである。 このような技術は分子生物学の核心にあり、生物学のその他の部分においては、迅速に拡大する役割を演じている。

    【0003】 一般に、核酸反応の分析の一つの型は、長さに基づいた核酸分子の分離に関する。 例えば、広範に使用される技術の一つである、ポリメラーゼ連鎖反応(PC
    R)(米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号を参照のこと)は、サンプル中に存在する配列の同定、
    およびさらなる操作のためのDNA分子の合成の両方に広範に使用される技術となっている。

    【0004】 簡潔には、PCRにおいて、DNA配列は酵素反応によって増幅され、この反応は幾何的または線状の様式のいずれかで、新規なDNA鎖を合成する。 増幅された後、DNA配列は検出され、同定されるはずである。 非特異的増幅(そうでなければ、これは分析を混乱させる)、または純度の必要性のために、PCR反応産物は、一般に検出の前に分離を受ける。 産物のサイズ(すなわち長さ)に基づく分離は、最も有益な情報を与える。 核酸分子の最も高い分離能を与える方法は、電気泳動分離である。 この方法では、それぞれ個別のPCR反応が適切なゲルに適用され、そして電圧を受ける。 処理され得るサンプルの数は、ゲル中のウェルの数で制限される。 殆どのゲル装置において、約10個から64個のサンプルが、一つのゲル中で分離され得る。 したがって、多数のサンプルを処理することは労が要り、肉体的に厳しい。

    【0005】 電気泳動分離は、データを得るためにいくつかの検出システムと組み合わされなければならない。 核酸の検出システムは一般に、そして殆ど排他的にインターカレートする色素または放射性標識を利用しており、非放射性標識を利用することはあまりない。 インターカレートする色素(例えば、臭化エチジウム)は、簡単に使用される。 この色素は、電気泳動の間または電気泳動の後、ゲルマトリックス中に含まれ、このゲルは色素含有溶液中に浸漬される。 この色素は、いくつかの場合において、直接可視化できるが、より頻繁に、特に臭化エチジウムの場合、蛍光を発するように光(例えば、UV)によって励起される。 この明白な使用の簡単さにもかかわらず、このような色素は、いくらかの注目すべき不利を有する。 第一に、この色素は非感受性であり、産物を可視化するために多量の核酸分子がなければならない。 第二に、この色素は典型的に変異原性または発癌性である。

    【0006】 色素よりも感受性のある検出技術は、放射性(または非放射性)標識を使用する。 典型的には、放射標識されたヌクレオチドまたは放射標識されたプライマーのいずれかが、PCR反応に含まれる。 分離の後、放射標識はオートラジオグラフィーで「可視化」される。 より感受性ではあるが、この検出は相互障害(re
    ciprocity failure)および非線形性のような膜限界(fil
    m limitation)に苦しむ。 これらの限界は、リン光像分析によってその標識を検出することで克服できる。 しかし、放射標識には安全性が必要であり、これは、資源利用を増加し、専門装置および作業者の訓練を必要とする。 そのような理由のため、非放射性標識の使用は、評判が良くなっていった。 そのようなシステムでは、ヌクレオチドは標識(例えば、発蛍光団、ビオチンまたはジゴキシン)を含み、これは抗体または発色性の基質と反応性の酵素で標識された他の分子(例えば、リガンド対の他のメンバー)によって検出され得る。 これらのシステムは、上記の安全性の問題はないが、しばしば不安定な構成要素を使用し、そして非特異的反応を生じ得、これは高いバックグラウンド(すなわち、低い信号対ノイズ比)をもたらす。

    【0007】 本発明は新規な組成物および方法を提供し、これは広範な種々の核酸反応に利用され得、そしてさらには他の関連した利益を提供する。

    【0008】 (発明の要旨) 簡潔に述べると、本発明は、サイズに基づいた目的の分子(例えば核酸分子)
    の分離が必要とされる広範な種々のリガンド対反応に利用され得る組成物および方法を提供する。 本明細書中で開示する増幅され得る方法の代表的な例には、P
    CR、ディファレンシャルディスプレイ、RNAフィンガープリント法、PCR
    −SSCP、オリゴ連結(litation)アッセイ、ヌクレアーゼ消化法(
    例えば、エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼをベースとしたアッセイ)およびジデオキシフィンガープリント法を含む。 本明細書中に記載される方法は、広範なアレイの分野で利用され得、これには例えば、臨床または研究ベースの診断薬の開発、多型の決定、および遺伝子地図の開発が挙げられる。

    【0009】 本発明の一つの局面の範囲内では、次式の化合物が提供される: T ms −L−X ここで、 T msは、質量分析によって検出可能な有機基であり、これは炭素、少なくとも一つの素およびフッ化物、ならびに酸素、窒素、硫黄、リンおよびヨウ素から選択される任意の原子を含む; Lは、独特のT ms含有部分が、化合物の残部から切断されることを可能にする有機基であり、ここで、T ms含有部分は化合物が質量分析を受けるときに単一イオン化荷電状態を補助する官能基を含み、これは三級アミン、四級アミンまたは有機酸である;そして Xは、ホスホルアミダイトおよびH−ホスホネートから選択された官能基である。

    【0010】 別の局面において、本発明は、核酸標的中の単一ヌクレオチド多型性の存在を決定する方法を提供し、これは以下を含む: a)単一ヌクレオチド多型性を含む核酸標的の配列を増幅する工程; b)標的の一本鎖形態を産生する工程; c)タグ化核酸プローブを増幅した標的核酸分子と、このタグ化核酸プローブが相補的な増幅した選択された標的核酸分子とハイブリダイゼーションし得るのに充分な条件および時間のもとで合わせる工程であって、ここで上記タグは特定の単一ヌクレオチド多型と相関し、分光測定または電位差滴定で検出可能である; d)ハイブリダイズしていないタグ化プローブをハイブリダイズしたタグ化プローブからサイジング方法論によって分離する工程; e)上記タグを上記プローブから切断する工程;および f)上記タグを分光測定または電位差測定によって検出し、上記単一のヌクレオチド多型の存在を決定する工程。

    【0011】 別の局面において、本発明は、核酸標的中の単一ヌクレオチド多型の存在を決定する方法を提供し、これは以下を含む: a)単一ヌクレオチド多型を含む核酸標的の配列を増幅する工程; b)タグ化核酸プライマーを増幅した標的核酸分子と、このタグ化核酸プライマーが相補的な増幅した選択された標的核酸分子とアニーリングし得るのに充分な条件および時間のもとで合わせる工程であって、ここで、オリゴヌクレオチドプライマーは野生型配列または単一ヌクレオチド多型と相補的な最も3'側の塩基を有し、ここで、上記タグは特定の単一ヌクレオチド多型と相関があり、そして分光測定または電位差測定によって検出可能である; c)上記プライマーを伸長する工程であって、ここで、プライマーの最も3'
    側の塩基が標的に相補的である場合、標的に相補的な鎖が合成される; d)伸長していないタグ化プライマーを伸長したタグ化プライマーからサイジング方法論によって分離する工程; e)上記タグを上記プライマーまたは伸長したプライマーから切断する工程;
    および f)上記タグを分光測定または電位差測定によって検出し、上記単一ヌクレオチド多型の存在をそこから決定する工程。

    【0012】 別の局面において、本発明は、核酸集団中の特定のmRNA分子の量を決定する方法を提供し、これは以下を含む: a)RNA集団をcDNA集団に変換する工程; b)複数の単一ヌクレオチド多型(すなわちそれ以外では、上記cDNA標的と同一である)を含む一本鎖核酸(内部標準)を添加する工程; c)上記cDNA標的の特定の配列を増幅する工程; d)内部標準を同時増幅する(coamplify)工程であって、ここでこの内部標準はcDNAアンプリコンと同じ長さである; e)標的の一本鎖形態を産生する工程; f)タグ化核酸プローブのセットを増幅した標的cDNAおよび増幅した内部標準と、このタグ化核酸プローブが相補的な選択された標的cDNAおよび内部標準配列にハイブリダイズし得るのに充分な条件および時間のもとで合わせる工程であって、ここで、このタグは特定のcDNA配列と相関があり、そして第二のタグは内部標準と相関があり、分光測定または電位差測定によって検出可能である; g)ハイブリダイズしていないタグ化プローブをハイブリダイズしたタグ化プローブからサイジング方法論によって分離する工程; h)上記タグを上記プローブから切断する工程; i)上記タグを分光測定または電位差測定によって検出する工程;および j)cDNAに相関するタグと内部標準に相関するタグの比をとり、そこからこのcDNAの量を決定し、それにより核酸集団中の特定のmRNAの量を決定する工程。

    【0013】 別の局面において、本発明は、核酸標的中の単一ヌクレオチド多型の量を決定する方法を提供し、これは以下を含む: a)単一ヌクレオチド多型を含む核酸標的の配列を増幅する工程; b)標的の一本鎖形態を産生する工程; c)タグ化核酸プローブを増幅した標的核酸分子と、このタグ化核酸プローブが相補的な増幅された選択された標的核酸分子にハイブリダイズし得るのに充分な条件および時間のもとで合わせる工程であって、ここで、このタグは特定の単一ヌクレオチド多型と相関があり、分光測定または電位差測定によって検出可能である; d)ハイブリダイズしていないタグ化プローブをハイブリダイズしたタグ化プローブからサイジング方法論によって分離する工程; e)上記タグを上記プローブから切断する工程; f)上記タグを分光測定または電位差測定によって検出する工程;および j)野生型多型に相関するタグと変異体多型に相関するタグの比をとり、そこからこの多型の量を決定する工程。

    【0014】 上記の4つの方法において、タグ化核酸は、好ましくは構造T−L−Xを有し、ここで、Xは核酸であり、TおよびLは上記で定義したとおりである。

    【0015】 本発明の一つの局面の範囲内では、核酸分子の同一性を決定する方法が提供され、これは以下の工程を包含する:(a)一つまたはそれ以上の選択された標的核酸分子からタグ化核酸分子を産生する工程であって、ここで、タグは特定の核酸フラグメントと相関があり、非蛍光分光測定または電位差測定によって検出可能である;(b)タグ化フラグメントをサイズによって分離する工程;(c)タグをタグ化したフラグメントから切断する工程;および(d)非蛍光分光測定または電位差測定によってタグを検出し、そこから核酸分子の同一性を決定する工程。

    【0016】 本発明の関連した局面の範囲内では、選択した核酸分子を検出する方法が提供され、これは以下の工程を包含する:(a)タグ化核酸プローブを標的核酸分子と、タグ化核酸プローブが相補的な選択された標的核酸配列にハイブリダイズし得るのに充分な条件および時間のもとで合わせる工程であって、ここで、タグ化核酸プローブは、非蛍光分光測定または電位差測定によって検出可能である;(
    b)ハイブリダイズしたタグ化プローブ、ハイブリダイズしていないプローブもしくは標的分子、またはそのプローブ(標的ハイブリッド)のサイズを変更する工程;(c)タグ化プローブをサイズによって分離する工程;(d)タグをタグ化プローブから切断する工程;および(e)非蛍光分光測定または電位差測定によってタグを検出し、そこから選択された核酸分子を検出する工程。

    【0017】 さらなる局面において、選択された生物体を遺伝型決定するための方法が提供され、これは以下の工程を含む(a)選択された標的分子からタグ化核酸分子を生成する工程であって、ここで、タグは特定のフラグメントと相関し、そして非蛍光の分光測定または電位差測定によって検出され得る、(b)配列の長さによってタグ化分子を分離する工程、(c)タグ化分子からタグを切断する工程、および(d)非蛍光の分光測定または電位差測定によってタグを検出し、そしてそれから生物体の遺伝型を決定する工程。

    【0018】 別の局面において、選択された生物体を遺伝型決定するための方法が提供され、これは以下の工程を含む(a)タグ化分子の標的分子に対するハイブリダイゼーションを可能とする十分な時間および条件化で、タグ化核酸分子と選択された標的分子とを合わせる工程であって、ここで、タグは特定のフラグメントと相関し、そして非蛍光の分光測定または電位差測定によって検出され得る、(b)配列の長さによってタグ化分子を分離する工程、(c)タグ化フラグメントからタグを切断する工程、および(d)非蛍光の分光測定または電位差測定によってタグを検出し、そしてそれから生物体の遺伝型を決定する工程。

    【0019】 本発明の文脈において、「生物学的サンプル」には、生きている生物体(例えば哺乳類、魚、細菌、寄生虫、ウイルス、真菌など)または環境(例えば空気、
    水または固体サンプル)から得られるサンプルだけでなく、人工的にまたは合成的に生成され得る生物学的物質(例えばファージライブラリ、有機分子ライブラリ、ゲノムクローンのプール、cDNAクローン、RNAクローンなど)も含まれる。 生物学的なサンプルの代表的な例には、生物学的な流体(例えば血液、精液、脳脊髄液、尿)、生物学的な細胞(例えば、幹細胞、BまたはT細胞、肝細胞、線維芽細胞など)、および生物学的な組織が挙げられることが理解されるべきである。 最終的に、遺伝型決定され得る生物体の代表的な例は、実質的には任意の単細胞または多細胞生物体、例えば、温血動物、哺乳類または脊椎動物(例えば、ヒト、チンパンジー、マカク、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、
    ラット、およびマウスならびにこれらのいずれか由来の細胞)、細菌、寄生虫、
    ウイルス、真菌、および植物を含む。

    【0020】 上述の方法の種々の実施態様において、本発明の核酸プローブおよびまたは分子は、例えば連結、切断または伸長(例えばPCR)反応によって、生成され得る。 他の関連する局面において、核酸プローブまたは分子は、非−3'タグ化オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、5'−タグ化オリゴヌクレオチドプライマー)またはジデオキシヌクレオチドターミネーターによってタグ化され得る。

    【0021】 本発明の他の実施態様において、4、5、10、15、20、25、30、3
    5、40、45、50、60、70、80、90、100、200、250、3
    00、350、400、450または500を超える、異なりかつ独特のタグ化分子が、所定の同時の反応において利用され得る。 ここで、各タグは、選択される核酸分子もしくはフラグメント、またはプローブに独特であり、そして別々に同定され得る。

    【0022】 本発明のさらなる実施態様において、タグは、蛍光光度分析、質量分析法、赤外光度分析、紫外光度分析、または定電位電流測定(例えば、電量測定または電流測定検出器を利用する)によって、検出され得る。 適切な分光測定技術の代表的な例には、飛行時間質量分析法、四極子質量分析法、磁気セクター質量分析法および電気セクター質量分析法が挙げられる。 このような技術の特定の実施態様には、イオントラップ質量分析法、電子スプレーイオン化質量分析法、イオンスプレー質量分析法、液体イオン化質量分析法、大気圧イオン化質量分析法、電子イオン化質量分析法、高速原子衝撃イオン化質量分析法、MALDI質量分析法、光イオン化飛行時間質量分析法、レーザー液滴質量分析法、MALDI−TO
    F質量分析法、APCI質量分析法、ナノスプレー質量分析法、噴霧(nebu
    lised)スプレーイオン化質量分析法、化学イオン化質量分析法、共鳴イオン化質量分析法、第二イオン化質量分析法および熱スプレー質量分析法が挙げられる。

    【0023】 本発明のさらに別の実施態様において、標的分子、ハイブリダイズされたタグ化プローブ、ハイブリダイズされていないプローブもしくは標的分子、プローブ:標的ハイブリッド、またはタグ化核酸プローブもしくは分子は、分子のサイズ(実際の直線サイズまたは3次元サイズのどちらか)間で区別する方法を使用して他の分子から分離され得る。 このような方法の代表的な例には、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、ミクロチャンネル電気泳動、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、液体クロマトグラフィー、逆サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、パルスフィールド電気泳動、電界反転電気泳動、透析、および蛍光活性化液体液滴識別が挙げられる。 あるいは、標的分子、ハイブリダイズされたタグ化プローブ、ハイブリダイズされていないプローブもしくは標的分子、プローブ:標的ハイブリッド、またはタグ化核酸プローブもしくは分子は、固体支持体(例えば、中空繊維(Amicon Corporation
    , Danvers, Mass. )、ビーズ(Polysciences, Warrington, Pa.)、磁気ビーズ(Robbin Scient
    ific, Mountain View, Calif. )、プレート、皿およびフラスコ(Corning Glass Works, Corning, N.Y.)、メッシュ(Becton Dickinson, Mounta
    in View, Calif. )、スクリーンおよび固体繊維(Edelma
    nら、米国特許第3,843,324号を参照のこと;Kuroda etya
    l. 、米国特許第4,416,777号もまた参照のこと)、膜(Millip
    ore Corp. , Bedford, Mass. )、およびディップスティック)に結合され得る。 第一または第二の要素、または暴露される核酸が固体支持体に結合される場合、本発明の特定の実施態様において、本明細書中で開示された方法はさらに、非結合物質の固体支持体を洗浄する工程を含み得る。

    【0024】 他の実施態様において、タグ化核酸分子またはプローブは、化学的、酸化、還元、酸に不安定な、塩基に不安定な、酵素的、電気化学的、加熱および感光性の方法のような方法によって切断され得る。 さらなる実施態様において、分離する工程、切断する工程、および検出する工程は、連続的な様式で、例えば、自動化され得る単一の装置において行われ得る。

    【0025】 本発明の特定の実施態様において、ハイブリダイズされたタグ化プローブ、ハイブリダイズされていないプローブまたは標的分子のサイズ、あるいはプローブ:標的ハイブリッドは、ポリメラーゼ伸長、連結、エキソヌクレアーゼ消化、エンドヌクレアーゼ消化、制限酵素消化、部位特異的リコンビナーゼ消化、連結、
    ミスマッチ特異的ヌクレアーゼ消化、メチル化特異的ヌクレアーゼ消化、プローブの標的への共有結合性結合およびハイブリダイゼーションからなる群より選択される方法によって変化される。

    【0026】 本明細書中で記載される方法および組成物は、広範で多様な適用(例えば、P
    CRアンプリコン同定、RNAフィンガープリント法、ディファレンシャルディスプレイ、一本鎖構造多型検出、ジデオキシフィンガープリント法、制限マップおよび制限フラグメント長多型、DNAフィンガープリント法、遺伝型決定、変異検出、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、配列特異的増幅、診断のために、法医学的に、同定、発生生物学、生物学、分子医学、毒物学、動物繁殖を含む)において利用され得る。

    【0027】 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより明らかとなる。 さらに、種々の参考文献が以下に記載される。 これらは、特定の手順または組成物(例えば、プラスミドなど)をより詳細に記載し、そしてそれゆえそれら全体が参考として援用される。 タグ化生物分子、およびこれを使用し得るアッセイは、それぞれ1997年1月22日に出願された米国特許出願番号第08/786,835号;同第08/786,834号および同第08/787,521号、ならびにそれぞれ1997年7月22日に出願された出願番号第08/898,180号;同第08/898,564号;および同第08/898,501号である3つの米国一部継続特許出願;およびPCT
    国際公報第WO 97/27331号;同第WO 97/27325号;および第WO 97/27327号に記載される。 これらの6つの米国特許出願および3つのPCT国際公報は、それぞれその内容全体が、本明細書中で参照として全面的に援用される。

    【0028】 (発明の詳細な説明) 上記のように、本発明は、核酸分子を分析するための組成物および方法を提供し、ここでは、サイズに基づく核酸分子の分離が必要とされる。 本発明の方法は、核酸とフラグメント、タンパク質、ペプチドなどを含む、目的の分子の同時検出を可能とする。

    【0029】 本発明は、ゲノム測定のための新規なクラスのタグを提供し、このゲノム測定は、複雑なゲノムを分析するのに必要とされる測定のスケールに適合するアッセイプラットフォームを提供する。 この新規タグ化技術は、好ましくは質量分析タグから構成され、このタグは大気圧化学イオン化(ポジティブモード)を使用する標準四極子質量分析計検出器(MSD)を用いて検出される。 この技術プラットフォームは、ダイオードアレイ検出器と非常に類似の、公知の分子量質量分析器タグの検出のためのMSDを使用する。 このタグは、特定の質量調節部が付加される一次骨格を使用するコンビナトリアルケミストリーアプローチによって合成され得る。 タグは、オリゴヌクレオチドに可逆的に結合されるように設計され、PCR設定におけるプライマーとしてかまたはハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとしてのいずれかで使用され得る。 任意の数のアッセイ工程の完了時に、タグ/プローブまたはタグ/プライマーは、切断反応、好ましくは光切断に供され、そしてタグが質量分析で検出可能な場合、タグはAPCIによってイオン化されてそしてタグの質量同定が質量分析によって決定される。 タグは、配列の同一性およびサンプル同定のマッピングのために使用され得る。

    【0030】 簡潔に述べると、1つの局面において、本発明は、目的の分子、またはその前駆体が不安定結合(単数または複数)を介してタグに連結されている化合物を提供する。 従って、本発明の化合物は、一般式: T−L−X を有するとして概説され得る。 ここで、Tはタグ成分であり、Lは不安定な結合であるか、または不安定な結合を含むかのいずれかのリンカー成分であり、そしてXは目的の分子成分(MOI)か、またはこれを介してMOIがT−Lに結合し得る官能基成分(L h )のいずれかである。 従って、本発明の化合物は、より 詳細な一般式: T−L−MOI および T−L−L hにより表され得る。

    【0031】 以下に詳細に記載する理由により、T−L−MOI化合物の組は、不安定な結合(単数または複数)が破壊される条件にわざと供され、従って、化合物の残りからタグ部分を遊離し得る。 次いで、タグ部分は、1つ以上の分析技術により特徴付けられ、それによりタグ部分の構造に関する直接的情報、および(最も重要には)対応するMOIのアイデンティティに関する間接的情報を提供する。

    【0032】 本発明の代表的化合物の単純な例示的な例(ここでLは直接結合である)として、以下の構造(i)が参照される:

    【0033】

    【化12】

    【0034】 構造(i)において、Tはカルボニル基に結合した窒素含有多環式芳香族部分であり、XはMOI(そして詳細にはアミン基において終結する核酸フラグメント)であり、そしてLは、アミド基を形成する結合である。 アミド結合は、Tにおける結合に対して不安定である。 なぜなら、当該分野において理解されるように、アミド結合は、タグ成分中の結合を変化しないままの酸または塩基条件により化学的に切断(破壊)され得るからである。 従って、タグ部分(すなわち、Tを含む切断産物)は、以下に示すように遊離され得る:

    【0035】

    【化13】

    【0036】 しかし、リンカーLは、以下の例示的な例に示す直接結合だけ以外でもあり得、ここで以下に示す構造(ii)を有する本発明の別の代表的化合物が参照される:

    【0037】

    【化14】

    【0038】 o−ニトロベンジルアミン部分(構造(ii)中の四で囲んだ原子を参照のこと)を有する化合物は、光分解的に不安定であることは、このような化合物の特定波長の化学線照射への曝露は、ベンジルアミン結合(構造(ii)の太線で示した結合を参照のこと)の選択的切断を生じるという点で、周知である。 従って、構造(ii)は、構造(i)と同じT基およびMOI基を有するが、リンカー基は複数の原子および結合を含み、この中には特に不安定な結合が存在する。 従って、構造(ii)の光分解は、以下に示すように、化合物の残りからタグ部分(Tを含む部分)を遊離する。

    【0039】

    【化15】

    【0040】 従って、本発明は、適切な切断条件への曝露に際して、切断反応を受けそれにより化合物の残りからタグ部分を遊離する化合物を提供する。 本発明の化合物は、タグ部分、MOI(またはその前駆体、L h )、および2つの基を一緒に結合 する不安定結合(単数または複数)によって記載され得る。 あるいは、本発明の化合物は、それらが形成される成分によって記載され得る。 従って、この化合物は、以下のように、タグ反応体、リンカー反応体およびMOI反応体の反応産物として記載され得る。

    【0041】 タグ反応体は、化学ハンドル(T h )および可変成分(T vc )からなり、この タグ反応体は一般構造: T vc −T hを有するように理解される。 この命名法を例示するために、構造(ii)の化合物を調製するために用いられ得るタグ反応体を示す構造(iii)が参照され得る。 構造(iii)を有するタグ反応体は、以下に示すように、タグ可変成分およびタグハンドルを含む:

    【0042】

    【化16】

    【0043】 構造(iii)において、タグハンドル(−C(=O)−A)は、T−L部分を形成するためにタグ反応体とリンカー反応体との反応のための手段(aven
    ue)を単に提供する。 構造(iii)における基「A」は、カルボキシル基が化学的に活性な状態にあり、従って他のハンドルに結合し得ることを示す。 「A
    」は、例えば、種々の他の可能性の中でも、水酸基またはペンタフルオロフェノキシであり得る。 本発明は、以下により詳細に議論するタグ可変成分に結合され得る多数の可能なタグハンドルを提供する。 従って、タグ可変成分は、式T−L
    −Xにおける「T」の部分であり、そしてまたLを切断する反応から形成されるタグ部分の部分であり得る。

    【0044】 以下にまた詳細に議論するように、タグ可変成分は、本発明による化合物の組の調製において、個々のメンバーが分析技術により互いに区別され得るように組のメンバーが独特の可変成分を有することが所望されるので、タグ可変成分と命名される。 1つの例として、構造(iii)のタグ可変成分は、以下の組の1つのメンバーであり得る。 ここで、この組のメンバーは、そのUVまたは質量スペクトルにより区別され得る:

    【0045】

    【化17】

    【0046】 同様に、リンカー反応体は、リンカー不安定成分に隣接するその化学ハンドル(これらは少なくとも2つ必要であり、その各々はL hとして示され得る)によ って記載され得る。 ここでこのリンカー不安定成分は、必要な不安定部分(L 2 )および任意の不安定部分(L 1およびL 3 )からなり、ここでこの任意の不安定部分は、ハンドルL hからL 2を分離するのに効果的に役立ち、そしてこの必要な不安定部分は、リンカー不安定成分中で不安定結合を提供することに役立つ。 従って、リンカー反応体は、一般式: L h −L 1 −L 2 −L 3 −L hを有するものとして理解され得る。

    【0047】 リンカー反応体を説明するために使用した命名法は、構造(iv)を考慮して例示され得、これは再度構造(ii)の化合物から得られる:

    【0048】

    【化18】

    【0049】 構造(iv)が例示するように、原子は、1つより多くの機能的役割を果たし得る。 従って、構造(iv)において、ベンジル窒素は、リンカー反応体をタグ反応体にアミド形成反応を介して結合させ得る化学ハンドルとして機能する。 そして引き続いて、ベンジル炭素−窒素結合が光分解切断に特に感受性である点で、不安定部分L 2の構造の必要な部分としてもまた役立ち得る。 構造(iv)は また、リンカー反応体は、L 1基を有さないが、L 3基(この場合、メチレン基)
    を有し得ることを例示する。 同様に、リンカー反応体は、L 3基は有さないがL 1基を有し得るか、またはL 1基およびL 3基を有し得るか、あるいはL 1基および L 3基のいずれも有さないかもしれない。 構造(iv)において、カルボニル基 に隣接する基「P」の存在は、カルボニル基が反応から保護されていることを示す。 この構造が与えられたことによって、タグ反応体(iii)の活性化されたカルボキシル基は、リンカー反応体(iv)のアミン基と完全に反応して、アミド結合を形成し、そして式T−L−L hの化合物を与える。

    【0050】 MOI反応体は、目的の分子の適切に反応性の形態である。 目的の分子が核酸フラグメントである場合、適切なMOI反応体は、その5'水酸基を介してホスホジエステル基、次いでアミノ基で終結するアルキレン鎖に結合した核酸フラグメントである。 次いで、このアミノ基は、構造(iv)のカルボニル基と反応(
    もちろん、カルボニル基の脱保護の後、そして好ましくは引き続くカルボニル基のアミン基との反応への活性化の後)し得、それによりMOIをリンカーに結合し得る。

    【0051】 時系列で見た場合、本発明は、タグ反応体(化学タグハンドルおよびタグ可変成分を有する)、リンカー反応体(2つの化学的リンカーハンドル、必要な不安定部分および0〜2の任意の不安定部分を有する)、ならびにMOI反応体(目的の分子成分および目的の化学分子ハンドルを有する)を得て、T−L−MOI
    を形成するように理解される。 従って、T−L−MOIを形成するために、タグ反応体およびリンカー反応体が一緒に反応して最初にT−L−L hを提供し、次 いでMOI反応体はT−L−L hと反応してT−L−MOIを提供するか、また は(より好ましくない)、リンカー反応体およびMOI反応体が一緒に反応して最初にL h −L−MOIを提供し、次いでL h −L−MOIはタグ反応体と反応してT−L−MOIを提供するかのいずれかである。 便宜の目的のために、式T−
    L−MOIを有する化合物は、このような化合物を形成するために使用され得るタグ反応体、リンカー反応体およびMOI反応体によって記載される。 もちろん、式T−L−MOIの同じ化合物は、他の(代表的には、より面倒な)方法により調製され得、そしてこれは依然、本発明のT−L−MOI化合物の範囲内にある。

    【0052】 任意の事象において、本発明は、タグ部分が化合物の残りから遊離されるような切断条件に供されるべきT−L−MOI化合物を提供する。 タグ部分は、少なくともタグ可変成分を含み、そして代表的にはさらに、タグ反応体とリンカー反応体とを結合するために使用されたタグハンドルからのいくつかのまたは全ての原子、リンカーハンドルからのいくつかのまたは全ての原子、この基がT−L−
    MOIにおいて存在する場合任意の不安定部分L 1を含み、そしてL 2の精密な構造および切断化学の性質に依存して必要な不安定部分L 2のいくつかの部分をお そらくは含む。 便宜のために、タグ部分は、Tが代表的にはタグ部分の主要部分(質量において)を構成するので、T−含有部分として呼ばれ得る。

    【0053】 本発明の1つの局面へこの導入が与えられるので、種々の成分(T、L、およびX)が詳細に説明される。 この説明は、T、L、およびXの説明において本明細書中に以下で使用される以下の特定の用語の定義から始まる。

    【0054】 本明細書中に使用される場合、用語「核酸フラグメント」は、選択された標的核酸分子に相補的な(すなわち、その全部または部分に相補的な)分子を意味し、そして天然または合成由来あるいは組換え的に産生され得(天然に存在しない分子を含む)、そして適切な2本鎖または1本鎖形態であり得;そしてこれには、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)、プライマー、プローブ、核酸アナログ(例えば、PNA)、ポリメラーゼにより5'から3'末端の方向に伸張されるオリゴヌクレオチド、化学的または酵素的に切断される核酸、ジデオキシターミネーターによって終結させられるか、または5'または3'末端での重合を阻害する化合物により3'または5'末端でキャップされる核酸、およびこれらの組合せが挙げられる。 核酸フラグメントの選択された標的核酸分子への相補性は、一般的に、フラグメントの長さ全体にかけて少なくとも約70%
    の特異的な塩基対形成を示すことを意味する。 好ましくは、核酸フラグメントは、少なくとも約80%;そして最も好ましくは、約90%の特異的な塩基対形成を示す。 ミスマッチ割合(従って、特異的な塩基対形成の割合)を決定するためのアッセイは、当該分野において周知であり、そして完全に塩基対形成したコントロールに参照される場合のTmの関数としてのミスマッチ割合に基づく。

    【0055】 本明細書中で使用される用語「アルキル」は、単独または組み合わせて、1〜
    10、好ましくは1個〜6個そしてより好ましくは1個〜4個の炭素原子を含む飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルをいう。 このようなラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s
    ec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、デシルなどを含むが、これらに限定されない。 用語「アルキレン」は、1個〜10個、好ましくは1個〜6個そしてより好ましくは1個〜4個の炭素原子を含む飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素ジラジカルをいう。 このようなジラジカルの例は、メチレン、エチレン、(−CH 2 −CH 2 −)、プロピレンなどを含むが、これらに限定されない。

    【0056】 用語「アルケニル」は、単独または組み合わせて、2個〜10個、好ましくは2個〜6個そしてより好ましくは2個〜4個の炭素原子全体において、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルをいう。 このようなラジカルの例は、エテニル、E−およびZ−プロペニル、イソプロペニル、E−およびZ−ブテニル、E−およびZ−イソブテニル、E−およびZ−ペンテニル、デセニルなどを含むが、これらに限定されない。 用語「アルケニレン」は、2個〜10個、好ましくは2個〜6個そしてより好ましくは2個〜
    4個の炭素原子の全体において、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ジラジカルをいう。 このようなジラジカルの例は、
    メチリデン(=CH 2 )、エチリデン(−CH=CH−)、プロピリデン(−C H 2 −CH=CH−)などを含むが、これらに限定されない。

    【0057】 用語「アルキニル」は、単独または組み合わせて、2個〜10個、好ましくは2個〜6個そしてより好ましくは2個〜4個の炭素原子の全体において、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルをいう。 このようなラジカルの例は、エチニル(アセチレニル)、プロピニル(プロパルギル)、ブチニル、ヘキシニル、デシニルなどを含むが、これらに限定されない。 用語「アルキニレン」は、単独または組み合わせて、2個〜10個、好ましくは2個〜6個そしてより好ましくは2個〜4個の炭素原子の全体において、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素ジラジカルをいう。 このようなラジカルの例は、エチニレン(−C≡C−)、プロピニレン(−CH 2 −C≡C−)などを含むが、これらに限定されない。

    【0058】 用語「シクロアルキル」は、単独または組み合わせて、炭素原子の数が3個〜
    8個そしてより好ましくは3個〜6個の炭素原子の飽和環状配置をいう。 このようなシクロアルキルラジカルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。 用語「シクロアルキレン」は、シクロアルキルのジラジカル形態をいう。

    【0059】 用語「シクロアルケニル」は、単独または組み合わせて、4個〜8個、好ましくは5個または6個の炭素原子および1つ以上の二重結合を含む環状炭素環をいう。 このようなシクロアルケニルラジカルの例は、シクロペンテニル、シクロヘキシニル、シクロペンタジエニルなどを含むが、これらに限定されない。 用語「
    シクロアルケニレン」は、シクロアルケニルのジラジカル形態をいう。

    【0060】 用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、およびアントラセニルからなる群から選択される炭素環式(全体的に炭素および水素からなる)芳香族基;またはフリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル(oxazolyly)、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,
    3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,
    5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、
    イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2
    ,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、
    キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルからなる群から選択される複素環式芳香族基をいう。

    【0061】 本願において定義される「アリール」基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、
    アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、1,2−ジオキシエチレン、アルコキシ、アルケノキシまたはアルキノキシ、アルキルアミノ、
    アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、脂肪族アシルまたは芳香族アシル、アルコキシ−カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、N−アルキルグアニジノ、アラルキルアミノスルホニル;アラルコキシアルキル;N−アラルコキシウレア;N−ヒドルキシルウレア;N−アルケニルウレア;N,N−(アルキル、ヒドロキシル)ウレア;ヘテロシクリル;チオアリールオキシ−置換アリール;N,N−(アリール、アルキル)ヒドラジノ;Ar'−置換スルホニルヘテロシクリル;アラルキル−置換ヘテロシクリル;シクロアルキルおよびシクロアケニル置換−ヘテロシクリル;シクロアルキル−縮合アリール;アリールオキシ−置換アルキル;
    ヘテロシクリルアミノ;脂肪族アシルアミノカルボニルまたは芳香族アシルアミノカルボニル;脂肪族アシル−置換アルケニルまたは芳香族アシル−置換アルケニル;Ar'−置換アミノカルボニルオキシ;Ar',Ar'−ジ置換アリール;脂肪族アシル−置換アシルまたは芳香族アシル−置換アシル;シクロアルキルカルボニルアルキル;シクロアルキル−置換アミノ;アリールオキシカルボニルアルキル;ホスホロジアミジル酸またはエステル;からなる群から独立して選択される1個〜4個の置換基を、独立して含み得る。

    【0062】 「Ar'」は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、1,2
    −ジオキシメチレン、1,2−ジオキシエチレン、アルコキシ、アルケノキシ、
    アルキノキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノまたはアルキニルアミノ、アルキルカルボニルオキシ、脂肪族アシルまたは芳香族アシル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、N−アルキルウレアまたはN,N−ジアルキルウレアからなる群から選択される1個〜3
    個の置換基を有する上記に定義されるような炭素環式または複素環式アリール基である。

    【0063】 用語「アルコキシ」は、単独または組み合わせて、アルキルエーテルラジカルをいい、ここで、用語「アルキル」は上記のように定義される。 適切なアルキルエーテルラジカルの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどを含むが、これらに限定されない。

    【0064】 用語「アルケノキシ」は、単独または組み合わせて、式アルケニル−O−のラジカルをいい、ここで用語「アルケニル」は上記のように定義されるが、但し、
    このラジカルはエノールエーテルではない。 適切なアルケノキシラジカルの例は、アリルオキシ、E−3−メチル−2−プロペノキシおよびZ−3−メチル−2
    −プロペノキシなどを含むが、これらに限定されない。

    【0065】 用語「アルキニルオキシ」は、単独または組み合わせて、式アルキニル−O−
    のラジカルをいい、ここで用語「アルキニル」は上記のように定義されるが、但し、このラジカルはイノールエーテルではない。 適切なアルキノキシラジカルの例は、プロパルギルオキシ、2−ブチニルオキシなどを含むが、これらに限定されない。

    【0066】 用語「チオアルコキシ」は式アルキル−S−のチオエーテルラジカルをいい、
    ここでアルキルは上記のように定義される。

    【0067】 用語「アルキルアミノ」は、単独または組み合わせて、モノ−またはジ−アルキル−置換アミノラジカル(すなわち、式アルキル−NH−または(アルキル) 2 −N−のラジカル)をいい、ここで、用語「アルキル」は上記のように定義さ れる。 適切なアルキルアミノラジカルの例は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどを含むが、これらに限定されない。

    【0068】 用語「アルケニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アルケニル−NH
    −または(アルケニル) 2 N−のラジカルをいい、ここで用語「アルケニル」は 上記のように定義されるが、但し、このラジカルはエナミンではない。 このようなアルケニルアミノラジカルの例は、アリルアミノラジカルである。

    【0069】 用語「アルキニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アルキニル−NH
    −または(アルキニル) 2 N−のラジカルをいい、ここで用語「アルキニル」は 上記のように定義されるが、但し、このラジカルはイナミンではない。 このようなアルキニルアミノラジカルの例は、プロパルギルアミノラジカルである。

    【0070】 用語「アミド」は、−N(R 1 )−C(=O)−または−C(=O)−N(R 1 )−のいずれかをいい、ここでR 1は本明細書中で水素ならびに他の基を含むよ うに定義される。 用語「置換アミド」は、R 1が水素ではない状況をいい、一方 、用語「非置換アミド」はR 1が水素である状況をいう。

    【0071】 用語「アリールオキシ」は、単独または組み合わせて、式アリール−O−のラジカルをいい、ここでアリールは上記のように定義される。 アリールオキシラジカルの例は、フェノオキシ、ナフトキシ、ピリジルオキシなどを含むが、これらに限定されない。

    【0072】 用語「アリールアミノ」は、単独または組み合わせて、式アリール−NH−のラジカルをいい、ここでアリールは上記のように定義される。 アリールアミノラジカルの例は、フェニルアミノ(アニリド)、ナフチルアミノ、2−、3−、および4−ピリジルアミノなどを含むが、これらに限定されない。

    【0073】 用語「アリール縮合シクロアルキル」は、単独または組み合わせて、アリールラジカルと隣接する2原子を共有するシクロアルキルラジカルをいい、ここで用語「シクロアルキル」および「アリール」は、上記のように定義される。 アリール縮合シクロアルキルラジカルの例は、ベンゾ縮合シクロブチルラジカルである。

    【0074】 用語「アルキルカルボニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アルキル−CONHのラジカルをいい、ここで用語「アルキル」は上記のように定義される。

    【0075】 用語「アルコキシカルボニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アルキル−OCONH−のラジカルをいい、ここで用語「アルキル」は上記のように定義される。

    【0076】 用語「アルキルスルホニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アルキル−SO 2 NH−のラジカルをいい、ここで用語「アルキル」は上記のように定義 される。

    【0077】 用語「アリールスルホニルアミノ」は、単独または組み合わせて、式アリール−SO 2 NH−のラジカルをいい、ここで用語「アリール」は上記のように定義 される。

    【0078】 用語「N−アルキルウレア」は、単独または組み合わせて、式アルキル−NH
    −CO−NH−のラジカルをいい、ここで用語「アルキル」は上記のように定義される。

    【0079】 用語「N−アリールウレア」は、単独または組み合わせて、式アリール−NH
    −CO−NH−のラジカルをいい、ここで用語「アリール」は上記のように定義される。

    【0080】 用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。

    【0081】 用語「炭化水素ラジカル」は、独立した安定な分子であるために1つの水素原子のみを必要とする炭素および水素原子の配置をいう。 従って、炭化水素ラジカルは炭素原子上に1つの空の原子価部位を有し、これを通じて炭化水素ラジカルは他の原子(単数または複数)に結合され得る。 アルキル、アルケニル、シクロアルキルなどが、炭化水素ラジカルの例である。

    【0082】 用語「炭化水素ジラジカル」は、独立した安定な分子であるために2つの水素原子を必要とする炭素および水素原子の配置をいう。 従って、炭化水素ラジカルは1つまたは2つの炭素原子上に2つの空の原子価部位を有し、これを通じて炭化水素ラジカルは他の原子(単数または複数)に結合され得る。 アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが炭化水素ジラジカルの例である。

    【0083】 用語「ヒドロカルビル」は、単一の原子価部位を有し、これを通じて別の部分に結合される、全体が炭素および水素からなる任意の安定な配置をいう。 従って、これは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール(アリール環の中へのヘテロ原子の組み込みを含まない)、アリールアルキル、アルキルアリールなどとして公知のラジカルを含む。 炭化水素ラジカルは、ヒドロカルビルの別の名前である。

    【0084】 用語「ヒドロカルビレン」は、2つの原子価部位を有し、これを通じて他の部分に結合される、全体が炭素および水素からなる任意の安定な配置をいう。 従って、これは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アリーレン(アリーレン環の中へのヘテロ原子の組み込みを含まない)、アリールアルキレン、アルキルアリーレンなどを含む。 炭化水素ジラジカルは、ヒドロカルビレンの別の名前である。

    【0085】 用語「ヒドロカルビル−O−ヒドロカルビレン」は、酸素原子に結合したヒドロカルビル基をいい、ここで酸素原子は、同様にヒドロカルビレン基が他の部分に結合される2つの原子価部位の1つでヒドロカルビレン基に結合される。 用語「ヒドロカルビル−S−ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビル−NH−ヒドロカルビレン」および「ヒドロカルビル−アミド−ヒドロカルビレン」は、等価の意味を有し、ここで酸素はイオウ、−NH−、またはアミド基でそれぞれ置換されている。

    【0086】 用語N−(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレンは、ヒドロカルビレン基をいい、ここでその2つの原子価部位の1つは窒素原子に結合され、そしてこの窒素原子は同時に水素およびヒドロカルビル基に結合される。 用語N,N−ジ(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレンは、ヒドロカルビレン基をいい、ここでその2つの原子価部位の1つは窒素原子に結合され、そしてこの窒素原子は同時に2つのヒドロカルビル基に結合される。

    【0087】 用語「ヒドロカルビルアシル−ヒドロカルビレン」は、ヒドロカルビレン基の2つの原子価部位の1つにアシル(−C(=O)−)基を介して結合したヒドロカルビル基をいう。

    【0088】 用語「ヘテロシクリルヒドロカルビル」および「ヘテロシリル(hetero
    cylyl)」は、炭素原子と酸素、窒素、リン、およびイオウから選択された4つまでの原子(ヘテロ原子という)とを含む、安定な、原子の環状配置をいう。 この環状配置は、3個〜7個の原子の単環式環または8個〜11個の原子の二環式環の形態であり得る。 環は、飽和または不飽和(芳香族環を含む)であり得、そして必要に応じてベンゾ縮合され得る。 環中の窒素およびイオウ原子は、窒素の4級化形態を含む任意の酸化形態であり得る。 ヘテロシクリルヒドロカルビルは、任意の環外炭素またはヘテロ原子で結合し得、これにより安定な構造を作製する。 好ましいヘテロシクリルヒドロカルビルは、1個または2個の窒素ヘテロ原子を含む5〜7員の単環式ヘテロ環を含む。

    【0089】 置換ヘテロシクリルヒドロカルビルは、上記のように定義されるヘテロシクリルヒドロカルビルをいい、ここで少なくともその1つの環原子が環外に伸張する示された置換基に結合される。

    【0090】 ヒドロカルビルおよびヒドロカルビレン基を参照する場合、用語「1つ以上の水素が等しい数のフッ化物と置換されている上記のいずれかの誘導体」は、炭素、水素およびフッ化物原子(fluoride atom)を含み、それ以外の原子を含まない分子をいう。

    【0091】 用語「活性化エステル」は、容易に求核試薬(例えば、アミンおよびアルコールまたはチオール求核試薬)により置換可能な「脱離基」を含むエステルである。 このような脱離基は周知であり、限定はしないが、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ハロゲン(ハライド)、テトラフルオロフェノレートを含むアルコキシ、チオアルコキシなどを含む。 用語「保護化エステル」は、マスクされたか、またはそうでなければ非反応性のエステル基をいう。 例えば、Greene,「Protecting Groups In Organic Synthesis」を参照のこと。

    【0092】 上記の定義を考慮して、本願全体に使用される他の化学用語は当業者に容易に理解され得る。 用語は、単独またはそれらの任意の組合せで使用され得る。 好ましいおよびより好ましいラジカルの鎖長は、このような全ての組合わせに適用する。

    【0093】 A. (タグ化核酸フラグメントの作製) 上記のように、本発明の1つの局面は、各レーンで16タグより多くの使用を可能にする、DNA配列決定のための一般的なスキームを提供する;連続的な検出によってちょうど従来の蛍光ベースの配列決定のようにタグが検出され得、そして配列はサイズ分離が生じるごとに読み取られ得る。 このスキームは、タグ化分子のサイズ分離に基づく任意のDNA配列決定技術に適用し得る。 本発明における使用のために適切なタグおよびリンカー、ならびに核酸配列決定のための方法は、以下により詳細に議論される。

    【0094】 1. (タグ) 本明細書中に使用される「タグ」は、一般に「目的分子」を独特に同定するために使用される化学部分をいい、そしてより詳細にはタグ可変成分ならびに任意のタグ反応物、タグ成分およびタグ部分において、それに最も密接に結合し得るものをいう。 従って、タグ化分子は、切断の際に、本質的には単一の切断産物を生成し、この産物は、分析されるタグである。

    【0095】 本発明において有用なタグは、いくつかの性質を有する: 1)他の全てのタグから区別され得る。 他の化学部分からのこの区別は、タグ(特に、切断反応後)のクロマトグラフィーの挙動、その分光光度または電位差特性、またはこれらのいくつかの組合せに基づき得る。 タグが有用に区別される分光光度法は、質量分析法(MS)、赤外(IR)、紫外(UV)、および蛍光を含み、ここでMS、IR、およびUVが好ましく、そしてMSが最も好ましい分光光度法である。 定電位電流測定は、好ましい電位差法である。

    【0096】 2)タグは、10 -22 〜10 -6モルで存在する場合に検出され得る。

    【0097】 3)タグは、それを介してタグが独特に同定すると意図される、MOIに結合され得る化学的ハンドルを有する。 結合は、MOIに直接的に、または「リンカー」基を介して間接的に形成され得る。

    【0098】 4)タグは、それが供される全ての操作(MOIへの結合および切断、およびタグが結合される間のMOIの任意の操作を含む)に対して化学的に安定である。

    【0099】 5)タグは、タグが結合している間のMOIについて行われる操作に有意に干渉しない。 例えば、タグがオリゴヌクレオチドに結合されている場合、タグはオリゴヌクレオチドにおいて行われるいかなるハイブリダイゼーションまたは酵素反応(例えば、PCR配列決定反応)をも有意に干渉してはならない。 同様に、
    タグが抗体に結合される場合、抗体による抗原認識を有意に干渉してはならない。

    【0100】 特定の分光光度または電位差法により検出されることを意図されるタグ部分は、その方法による検出の感度および特異性を増強する特性を有するべきである。
    典型的には、タグ部分は、このような特性を有する。 なぜなら、特性は、典型的にタグ部分の主要部分を構成するタグ可変成分の中に設計されているからである。 以下の議論において、用語「タグ」の使用は、典型的にはタグ部分(すなわち、タグ可変成分を含む切断産物)をいうが、タグ可変成分それ自体をいうこともまた考慮され得る。 なぜなら、タグ可変成分は、典型的には独特に検出され得る特性を提供することを担うタグ部分の一部であるからである。 式T−L−Xの化合物において、「T」部分は、タグ可変成分を含む。 タグ可変成分が例えば、質量分析法により特徴付けされるように設計されている場合、T−L−Xの「T」
    部分はT msといわれ得る。 同様に、T−L−XからのTを含む切断産物は、T ms含有部分といわれ得る。 以下の分光光度法および電位差法は、T ms含有部分を特徴付けるために使用され得る。

    【0101】 (a.MSタグの特徴) タグが質量分析(すなわち、MS読み取り可能タグ、また本明細書中でMSタグ、または「T ms含有部分」といわれる)により分析され得る場合、タグの必須特性は、それがイオン化され得ることである。 従って、MS読み取り可能タグの設計において、そこにMSでのイオン化条件の下で正電荷または負電荷を有し得る化学官能性を取り込むことは、好ましい要素である。 この特性は、特にエレクトロスプレーイオン化において、イオン形成の改善された効率およびより大きい検出の全体的な感度を与える。 イオン化電荷を支持する化学官能基は、T msまたはLあるいは両方に由来し得る。 質量分析により検出される分析物の相対的な感度を増加し得る因子は、例えば、Sunner, J. ら、Anal. Che
    m. 60:1300−1307 (1988)に議論されている。

    【0102】 負電荷を有することを容易にするために好ましい官能基は、有機酸(例えば、
    フェノール性水酸基、カルボン酸、ホスホン酸塩、リン酸塩、テトラゾール、スルホニルウレア、パーフルオロアルコールおよびスルホン酸)である。

    【0103】 イオン化条件下で正電荷を有することを容易にするために好ましい官能基は、
    脂肪族または芳香族アミンである。 MSタグの増強された検出可能性を与えるアミン官能基の例は、四級アミン(すなわち、各々が炭素原子に対する4つの結合を有するアミン。Aebersold, 米国特許第5,240,859号を参照のこと)および三級アミン(すなわち各々が炭素原子に対する3つの結合を有するアミン。これは、ピリジンに存在するようなC=N−C基を含む。Hess
    ら、Anal. Biochem. 224:373, 1995; Bure
    sら、Anal. Biochem. 224:364, 1995を参照のこと)を含む。 障害された三級アミンが特に好ましい。 三級および四級アミンは、
    アルキルまたはアリールであり得る。 T ms含有部分は、少なくとも1つのイオン化可能種を有さなくてはならないが、1つより多くのイオン化可能種を有し得る。 好ましい電荷状態は、1つのタグ当たり1つのイオン化種である。 従って、各T ms含有部分(および各タグ可変成分)は、1つの障害されたアミンまたは有機酸基のみを含むことが好ましい。

    【0104】 T ms含有部分の一部を形成し得る適切なアミン含有ラジカルは、以下を含む:

    【0105】

    【化19】

    【0106】 質量分析によるタグの同定は、好ましくはその分子量対電荷比(m/z)に基づく。 MSタグの好ましい分子量範囲は約100〜2,000ダルトンであり、
    そして好ましくはT ms含有部分は少なくとも約250ダルトン、より好ましくは少なくとも約300ダルトン、そしてさらにより好ましくは少なくとも約350
    ダルトンの質量を有する。 一般に、約200〜250ダルトン未満の親イオンを有する部分を質量分析が区別することは困難であり(精密な装置に依存する)、
    従って好ましい本発明のT ms含有部分はこの範囲を超える質量を有する。

    【0107】 上記に説明したように、T ms含有部分は、タグ可変成分に存在するもの以外、
    そして実際はT ms自体に存在するもの以外の原子を含み得る。 従って、T ms自体の質量は、T ms含有部分が少なくとも約250ダルトンの質量を有する限り、約250ダルトンより少なくあり得る。 従って、T msの質量は、15(すなわち、
    メチルラジカル)〜約10,000ダルトンの範囲であり得、そして好ましくは100〜約5,000ダルトンの範囲、そしてより好ましくは約200〜約1,
    000ダルトンの範囲である。

    【0108】 これらのタグが有意な量で1つより多くの同位体を有する原子を取り込む場合、質量分析によりタグを区別することは比較的困難である。 従って、質量分析同定に意図される好ましいT基(T ms基)は、炭素、少なくとも1つの水素およびフッ化物、および酸素、窒素、イオウ、リンおよびヨウ素から選択される任意の原子を含む。 他の原子はT msに存在し得るが、その存在は質量スペクトルデータの分析を幾分より困難にし得る。 好ましくは、T ms基は、水素および/またはフッ化物に加えて、炭素、窒素および酸素原子のみを有する。

    【0109】 フッ化物は、T ms基において有することがなお好ましい任意の原子である。 水素と比較して、フッ化物はもちろんずっと重い。 従って、水素原子よりもむしろフッ化物原子の存在は、より高い質量のT ms基を導き、それによりT ms基は上記の説明のように所望される250ダルトンを超える質量に達し得、そしてこれを超え得る。 さらに、水素のフッ化物での置換は、T ms含有部分により高い揮発性を与え、そして分析物のより高い揮発性は、質量分析が検出方法として用いられる場合、感度を増強する。

    【0110】 T msの分子式は、

    【数8】

    の範疇にあり、ここでa、βおよびδの合計は、そうでなければ充たされないC


    、N、O、S、およびP原子の原子価を充たすのに十分である。 表示

    【数9】

    は、T

    msが少なくとも1つを含み、そして1個〜500個の任意の数の炭素原子、さらに必要に応じて100個ほどの窒素原子(「N

    0 −」は、T

    msが窒素原子 を1つも含む必要がないことを意味する)、および100個ほどの酸素原子、ならびに10個ほどのイオウ原子および10個ほどのリン原子をT

    msに含み得ることを意味する。 符合α、β、およびδは、T

    ms中の水素、フッ化物およびヨウ化物原子の数を表し、ここで、これらの数の任意の2つは0であり得、そしてこれらの数の合計はそうでなければ充たされないC、N、O、SおよびP原子の原子価の総計と等しい。 好ましくは、T

    msは、

    【数10】

    の範疇に入る分子式を有し、ここでαおよびβの合計はこの部分に存在する水素およびフッ化物原子の数にそれぞれ等しい。

    【0111】 (b.IRタグの特徴) 有機化学基のIR検出には、2つの主な形態:ラマン散乱IRおよび吸収IR
    が存在する。 ラマン散乱IRスペクトルと吸収IRスペクトルとは、相補的な分光学的方法である。 一般に、ラマン励起は結合分極率の変化に依存するが、IR
    吸収は結合双極子モーメントの変化に依存する。 弱いIR吸収線は強いラマン線となり、そしてその逆も成り立つ。 波数は、IRスペクトルの特徴的な単位である。 IRタグのための別々の適用を有する3つのスペクトル領域が存在する:1
    2500〜4000cm -1における近IR、4000〜600cm -1における中程度のIR、600〜30cm -1における遠IR。 本明細書中に記載される使用(ここで化合物は、MOI、プローブ、またはプライマーを同定するためのタグとして機能する)のために、中程度のスペクトル領域が好ましい。 例えば、カルボニル伸縮(1850〜1750cm -1 )は、カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミド、ならびに炭酸アルキルおよび炭酸アリール、カルバメート、ならびにケトンについて測定される。 N−H変角(1750〜160cm -1 )は、アミン、アンモニウムイオン、およびアミドを同定するために使用される。 1400〜1250cm -1において、R−OH変角ならびにアミド中のC−
    N伸縮が検出される。 芳香族置換パターンは、900〜690cm -1 (ArNH 2についてのC−H変角、N−H変角)において検出される。 飽和C−H、オレ フィン、芳香環、二重結合および三重結合、エステル、アセタール、ケタール、
    アンモニウム塩、N−O化合物(例えば、オキシム、ニトロ、N−オキシド、および硝酸塩)、アゾ、ヒドラゾン、キノン、カルボン酸、アミド、ならびにラクタムは全て、振動赤外相関データを有する(Pretschら, Spectr
    al Data for Structure Determination of Organic Compounds, Springer−Verla
    g, New York, 1989を参照のこと)。 好ましい化合物には、2
    230〜2210cm -1において非常に強いニトリル伸縮振動を示す芳香族ニトリルが含まれる。 他の有用なタイプの化合物は、2140〜2100cm -1の間に鋭い吸収バンドを引き起こす強い伸縮振動を有する芳香族アルキンである。 第3の化合物のタイプは、2160〜2120cm -1領域において強い吸収バンドを示す芳香族アジドである。 チオシアネートは、2275〜2263cm -1において強い吸収を有する代表的な化合物である。

    【0112】 (c.UVタグの特徴) 有機発色団のタイプおよびそれら各々のUV可視特性の編集が、Scott(
    Interpretation of the UV Spectra of Natural Products, Permagon Press, Ne
    w York, 1962)において与えられる。 発色団は、特定の光吸収を担う原子、または原子もしくは電子の群である。 共役系におけるπ→π *の極大に ついて、経験則が存在する(Pretschら, Spectral Data for Structure Determination of Orga
    nic Compounds, B65頁およびB70頁, Springer
    −Verlag, New York, 1989を参照のこと)。 好ましい化合物(共役系を有する)は、n→π *およびπ→π *遷移を有する。 そのような化合物は、以下によって例示される:アシッドバイオレット7、アクリジンオレンジ、アクリジンイエローG、ブリリアントブルーG、コンゴーレッド、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーンオキサレート、メタニルイエロー、メチレンブルー、メチルオレンジ、メチルバイオレットB、ナフトールグリーンB、オイルブルーN、オイルレッドO、4−フェニルアゾフェノール、サフラニンO(
    Safranie O)、ソルベントグリーン3、およびスダンオレンジG;これらの全てが市販されている(Aldrich, Milwaukee, WI
    )。 他の適切な化合物は、例えば、Jane,I. ら, J. Chrom. 323:191−225(1985)において列記されている。

    【0113】 (d.蛍光タグの特徴) 蛍光プローブは、最も直接的にはそれらの吸収および蛍光放出の波長および強度によって、同定されそして定量される。 放出スペクトル(蛍光およびりん光)
    は、吸収スペクトルよりも非常に感度が高く、そしてより特異的な測定を可能にする。 励起状態の寿命および蛍光の異方性のような他の光物理的特性は、より広く使用されていない。 最も一般的に有用な強度パラメータは、吸収についてのモル吸光係数(ε)および蛍光についての量子収量(QY)である。 εの値は単一の波長において明示され(通常、プローブの極大吸収)、一方QYは全蛍光スペクトルプロフィールにわたる全光子放出の測定である。 狭い最適バンド幅(<2
    0nm)が蛍光励起(吸収を介する)について通常使用され、一方蛍光検出バンド幅はずっとより可変的であり、最大感度についての完全スペクトルから最大解像度についての狭いバンド(約20nm)までの範囲にわたる。 プローブ分子あたりの蛍光強度は、εとQYとの積に比例する。 現在実用的に重要な、発蛍光団におけるこれらのパラメータの範囲は、εについて約10,000〜100,0
    00cm -1-1であり、そしてQYについて0.1〜1.0である。 蛍光タグとして機能し得る化合物は、以下の通りである:フルオロセイン、ローダミン、ラムダブルー470、ラムダグリーン、ラムダレッド664、ラムダレッド665
    、アクリジンオレンジ、およびヨウ化プロピジウム、これらはLambda F
    luorescence Co. (Pleasant Gap, PA)から市販されている。 蛍光化合物(例えば、ナイルレッド、テキサスレッド、liss
    amine TM 、BODIPY TM )は、Molecular Probes(Eu
    gene, OR)から入手可能である。

    【0114】 (e.電位差タグの特徴) 電気化学的検出(ECD)の原理は化合物の酸化および還元に基づいている。
    特定の印加された電位において、電子は供与されるかまたは受容されるかのいずれかであり、従って測定され得る電流を生じる。 特定の化合物が電位差に供された場合、分子は作用電極の表面において、電子の喪失(酸化)または獲得(還元)による分子転位を受ける。 そのような化合物は電子的であると言われ、そして電気化学的反応を受ける。 EC検出器は、その上にHPLC溶出液が流れる電極表面に電圧を与える。 カラムから溶出する電気的に活性な化合物は、電子を供与(酸化)するかまたは獲得(還元)するかのいずれかであり、即時に電流ピークを生じる。 重要なことに、生じる電流の量は、分析物(analyte)の濃度および与えられた電圧の両方に依存し、各化合物は、そこにおいて酸化または還元が始まる特定の電圧を有する。 現在最もポピュラーな電気化学的検出器は電流測定検出器であり、そこでは電位が一定に保たれており、そして電気化学的反応から生じる電流が次いで測定される。 この種類の分光分析は現在「定電位電流測定」と呼ばれている。 市販の電流測定器はESA, Inc. , Chelmf
    old, MAから入手できる。

    【0115】 検出の効率が100%である場合、特殊化された検出器は「電量的」であると言われる。 電量検出器は高感度であり、選択性および感度に関して多くの実用的な利点を有し、それによりこれらの種類の検出器はアレイにおいて有用となる。
    電量検出器において、分析物の所定の濃度についてのシグナル電流は、作用電極に対する印加された電位(電圧)の関数としてプロットされる。 得られるS字型グラフは電流−電圧曲線または流体力学的ボルタマグラム(HDV)と呼ばれる。 HDVは、活性電極に印加される電位の最良の選択を可能にし、これは観察されるシグナルを最大化することを可能にする。 ECDの主要な利点は、サブフェムトモルの範囲における検出の電流レベルを有する、その固有の感度である。

    【0116】 多数の化学物質および化合物が電気化学的に活性であり、それには多くの生化学物質、薬剤、および殺虫剤が含まれる。 クロマトグラフィー上で共溶出する化合物は、それらの半波位(最大シグナルの半分における電位)が30〜60mV
    でしか相違しない場合でさえも、効果的に解析され得る。

    【0117】 最近開発された電量センサーは、液体クロマトグラフィーに基づく分離における検出器として使用される場合、共溶出する化合物の選択性、同定、および解析を提供する。 従って、これらのアレイされた検出器は、検出器自身において達成される別の組の分離を加える。 現在の計器は16チャンネルを有し、これらは原則として、データが獲得され得る速度によってのみ制限される。 ECアレイ上で解析され得る化合物の数は、クロマトグラフィーによって制限される(すなわち、プレートの総数が制限される)。 しかし、クロマトグラフィー上で共溶出する2以上の化合物が半波位において30〜60mVの相違を有する場合、アレイは化合物を区別可能である。 電気化学的に活性である化合物の能力は、所有のEC
    活性基(すなわち、−OH、−O、−N、−S)に依存する。

    【0118】 電量検出器を使用して首尾良く検出されている化合物には、以下が含まれる:
    5−ヒドロキシトリプタミン、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル−グリコール、ホモゲンチジン酸、ドーパミン、メタネフリン、3−ヒドロキシキヌレニン(3−hydroxykynureninr)、アセトミノフェン、3−ヒドロキシトリプトホール(3−hydroxytryptophol)、5−ヒドロキシインドール酢酸、オクタンスルホン酸、フェノール、o−クレゾール、ピロガロール、2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、4,6−ジニトロクレゾール、3−メチル−2−ニトロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、4−クロロ−3−メチルフェノール、5−メチルフェノール、4−メチル−2−ニトロフェノール、2−ヒドロキシアニリン、4−ヒドロキシアニリン、1,2−フェニレンジアミン、ベンゾカテキン、ブツロン、クロルトルロン、ジウロン、イソプロツロン、リニュロン、メトブロムロン、メトキスロン、モノリニュロン、モニュロン、メチオニン、トリプトファン、チロシン、4−アミノ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシクマリン酸、
    7−メトキシクマリン、アピゲニン(apigenin)バイカレイン、カフェイン酸、カテキン、センタウレイン、クロロゲン酸、ダイドゼイン(daidz
    ein)、ダチスセチン、ジオスメチン、没食子酸エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、オイゲノール、オイパトリン(eupato
    rin)、フェルル酸、フィセチン、ガランギン(galangin)、没食子酸、ガルデニン(gardenin)、ゲニステイン、ゲンチジン酸、ヘスペリジン、イリゲニン、ケンフェロール(kaemferol)、ロイコヤニジン(
    leucoyanidin)、ルテオリン、マンゴスチン、モリン、ミリセチン、ナリンギン、ナリルチン(narirutin)、ペラルゴンジン(pela
    rgondin)、ペオニジン(peonidin)、フロレチン(phlor
    etin)、プラテンセイン、プロトカテキン酸(protocatechui
    c acid)、ラムネチン(rhamnetin)、ケルセチン、サクラネチン、スクテラレイン(scutellarein)、スコポレチン(scopo
    letin)、シリングアルデヒド、シリンジン酸(syringic aci
    d)、タンゲリチン(tangeritin)、トロキセルチン(troxer
    utin)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、バニリン酸、
    1,3−ジメチルテトラヒドロイソキノリン、6−ヒドロキシドーパミン、γ−
    サルソリノール、N−メチル−γ−サルソリノール、テトラヒドロイソキノリン、アミトリプチリン、アポモルヒネ、カプサイシン、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、ダウノルビシン、デシプラミン、ドキセピン、フルオキセチン、フルアゼパム、イミプラミン、イソプロテレノール、メトキサミン、モルヒネ、モルヒネ−3−グルクロニド、ノルトリプチリン、オキサゼパム、フェニレフリン、トリミプラミン、アスコルビン酸、N−アセチルセロトニン、3,4−ジヒドロキシベンジルアミン、3,4−ジヒドロキシマンデル酸(DOMA)、3
    ,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−DOPA)、3,4−ジヒドロキシフェニルグリコール(DH
    PG)、3−ヒドロキシアントラニル酸、2−ヒドロキシフェニル酢酸(2HP
    AC)、4−ヒドロキシ安息香酸(4HBAC)、5−ヒドロキシインドール−
    3−酢酸(5HIAA)、3−ヒドロキシキヌレニン、3−ヒドロキシマンデル酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルエチルアミン、4−ヒドロキシフェニル酢酸(4HPAC)、4−ヒドロキシフェニル乳酸(4HPLA)、5−ヒドロキシトリプトファン(5HTP)、5−ヒドロキシトリプトホール(5HT
    OL)、5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)、5−ヒドロキシトリプタミンスルフェート、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルグリコール(MHPG)
    、5−メトキシトリプタミン、5−メトキシトリプトファン、5−メトキシトリプトホール、3−メトキシチラミン(3MT)、3−メトキシチロシン(3−O
    M−DOPA)、5−メチルシステイン、3−メチルグアニン、ブホテニン、ドーパミン、ドーパミン−3−グルクロニド、ドーパミン−3−スルフェート、ドーパミン−4−スルフェート、エピネフリン、エピニン、葉酸、グルタチオン(
    還元型)、グアニン、グアノシン、ホモゲンチジン酸(HGA)、ホモバニリン酸(HVA)、ホモバニリルアルコール(HVOL)、ホモベラチン酸(hom
    overatic acid)、ホモバニリン酸スルフェート、ヒポキサンチン、インドール、インドール−3−酢酸、インドール−3−乳酸、キヌレニン、メラトニン、メタネフリン、N−メチルトリプタミン、N−メチルチラミン、N,
    N−ジメチルトリプタミン、N,N−ジメチルチラミン、ノルエピネフリン、ノルメタネフリン、オクトパミン、ピリドキサール、ピリドキサールリン酸、ピリドキサミン、シネフリン(synephrine)、トリプトホール、トリプタミン、チラミン、尿酸、バニリルマンデル酸(vma)、キサンチン、およびキサントシン。 他の適切な化合物は、例えば、Jane, I. ら, J. Ch
    rom. 323:191−225(1985)およびMusch, G. ら, J. Chrom. 348:97−110(1985)に記載される。 これらの化合物は、当該分野で公知の方法によって式T−L−Xの化合物中に取り込まれ得る。 例えば、カルボン酸基を有する化合物は、アミン、ヒドロキシルなどと反応し得、TとLとの間にアミド、エステル、および他の結合を形成する。

    【0119】 上記の特性に加え、そして意図される検出法に関係なく、タグはモジュール式化学構造を有することが好ましい。 このことは、コンビナトリアルケミストリーの技術を使用する多数の構造的に関連するタグの構築において助けとなる。 例えば、T ms基はいくつかの特性を有することが望ましい。 それはT ms含有部分が質量分析に供された場合に単一のイオン化電荷状態を維持する官能基(より単純には、「質量分析感度エンハンサー」基、すなわちMSSEと呼ばれる)を含むことが望ましい。 またそれは、T ms含有部分のファミリーにおける1つのメンバーとして機能し得ることが望ましく、ここでファミリーのメンバーは各々が異なる質量/電荷の比を有するが、質量分析器においてほぼ同一の感度を有する。 従って、ファミリーのメンバーは同一のMSSEを有することが望ましい。 化合物のファミリーの作製を可能にするために、モジュール式合成スキームを介してタグ反応部を生成することが好都合であると見出されており、その結果タグ成分自身はモジュールを含んでいると見なされる。

    【0120】 T ms基の構造への好ましいモジュール式アプローチにおいて、T msは以下の式を有する: T 2 −(J−T 3 −) n − ここで、T 2は、15〜500ダルトンの質量幅を有する、炭素および1個以上 の水素、フッ素、ヨウ素、酸素、窒素、硫黄、およびリンから形成される有機部分であり;T 3は、50〜1000ダルトンの質量幅を有する、炭素および1個 以上の水素、フッ素、ヨウ素、酸素、窒素、硫黄、およびリンから形成される有機部分であり;Jは、直接の結合であるか、または以下のような官能基である:
    アミド、エステル、アミン、スルフィド、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、チオエーテル、尿素、チオ尿素、カルバメート、チオカルバメート、Sch
    iff塩基、還元型Schiff塩基、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミド、スルホネート、スルホンアミド、または炭素−炭素結合;そしてnは1〜50の範囲の整数であり、
    これによって、nが1より大きい場合、各T 3およびJは独立して選択される。

    【0121】 モジュラー構造T 2 −(J−T 3 −) n −は、T−L−X化合物のファミリーへ の好都合な入口を提供し、ここでファミリーの各メンバーは異なるT基を有する。 例えば、TがT msであり、そして各ファミリーメンバーが望ましくは同一のM
    SSEを有する場合、T 3基の1つはMSSE構造を提供する。 T msの質量に関 してファミリーのメンバー間の変動性を提供するために、T 2基はファミリーメ ンバーの間で変動し得る。 例えば、1つのファミリーメンバーはT 2 =メチルを 有し得るが、別のものはT 2 =エチルを有し得、そして別のものはT 2 =プロピルを有し得る、などである。

    【0122】 質量に「著しい」飛躍または大きな飛躍を提供するために、T 3基はT−L− Xに有意の(例えば、百または数百の)質量単位を付加するように設計され得る。 そのようなT 3基は、分子量幅調節基(「WRA」)と言われ得る。 WRAは 、限界幅を超えて広がる質量を有するT 2の単一のセットと共に作用する場合、 非常に有用である。 単一のセットのT 2基は、単に1以上のWRA T 3基をT ms中に取り込むことにより、幅広い質量を有するT ms基を作製するために使用され得る。 従って、単純な例を使用すると、1セットのT 2基がT msについて250 〜340ダルトンの質量幅を与える場合、例示的な数である100ダルトンをT 3基として有する単一のWRAの付加は、同一のセットのT 2基を使用しながら、
    350〜440ダルトンの質量幅へのアクセスを提供する。 同様に、2つの10
    0ダルトンMWA基の付加(各々がT 3基として)は、450〜540ダルトン の質量幅へのアクセスを提供し、ここでこのWRA基の増加的な付加は継続され得、T ms基について非常に大きな質量幅へのアクセスを提供する。 式T 2 −(J −T 3 −) n −L−Xの好ましい化合物は、式R VMC −(R WRAw −R MSSE −L− Xを有し、ここで、VWCは「T 2 」基であり、そしてWRAおよびMSSE基 の各々は「T 3 」基である。 この構造は図12に図示されており、そしてT msの 調製への1つのモジュール式アプローチを表す。

    【0123】 式T 2 −(J−T 3 −) n −において、T 2およびT 3は、好ましくは以下から選 択される:ヒドロカルビル、ヒドロカルビル−O−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−S−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−NH−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−アミド−ヒドロカルビレン、N−(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、N,N−ジ(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、ヒドロカルビルアシル−ヒドロカルビレン、ヘテロシクリルヒドロカルビル(ここで、ヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、およびリンから選択される)、置換ヘテロシクリルヒドロカルビル(ここで、ヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄、およびリンから選択され、そして置換基は以下から選択される:ヒドロカルビル、ヒドロカルビル−O−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−NH−ヒドロカルビレン、ヒドロカルビル−S
    −ヒドロカルビレン、N−(ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、N,N−ジ(
    ヒドロカルビル)ヒドロカルビレン、およびヒドロカルビルアシル−ヒドロカルビレン)。 さらに、T 2および/またはT 3は、1個以上の水素がフッ素で置き換えられているような、以前に表記された任意の潜在的T 2 /T 3基の誘導体であり得る。

    【0124】 また、式T 2 −(J−T 3 −) n −に関して、好ましいT 3は式−G(R 2 )−を 有し、ここでGは単一のR 2置換基を有するC 1-6アルキレン鎖である。 従って、
    Gがエチレン(−CH 2 −CH 2 −)である場合、1個または2個のいずれかのエチレン炭素はR 2置換基を有し、そしてR 2は以下から選択される:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アリール置換アルケニルもしくはアルキニル、シクロアルキル置換アルキル、シクロアルケニル置換シクロアルキル、ビアリール、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アラルコキシ、アリール置換アルケノキシもしくはアルキノキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノもしくはアルキニルアミノ、アリール置換アルキルアミノ、アリール置換アルケニルアミノもしくはアルキニルアミノ、アリールオキシ、アリールアミノ、N−アルキル尿素置換アルキル、N−アリール尿素置換アルキル、アルキルカルボニルアミノ置換アルキル、アミノカルボニル置換アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル置換アルキル、ヘテロシクリル置換アミノ、カルボキシアルキル置換アラルキル、オキソカルボシクリル縮合アリール、およびヘテロシクリルアルキル;
    シクロアルケニル、アリール置換アルキルおよび、アラルキル、ヒドロキシ置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、アラルコキシ置換アルキル、アルコキシ置換アルキル、アラルコキシ置換アルキル、アミノ置換アルキル、(アリール置換アルキルオキシカルボニルアミノ)置換アルキル、チオール置換アルキル、アルキルスルホニル置換アルキル、(ヒドロキシ置換アルキルチオ)置換アルキル、
    チオアルコキシ置換アルキル、ヒドロカルビルアシルアミノ置換アルキル、ヘテロシクリルアシルアミノ置換アルキル、ヒドロカルビル置換ヘテロシクリルアシルアミノ置換アルキル、アルキルスルホニルアミノ置換アルキル、アリールスルホニルアミノ置換アルキル、モルホリノアルキル、チオモルホリノアルキル、モルホリノカルボニル置換アルキル、チオモルホリノカルボニル置換アルキル、[
    N−(アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル)− または N,N−[ジアルキル、ジアルケニル、ジアルキニル、もしくは(アルキル、アルケニル)−
    アミノ]カルボニル置換アルキル、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルキレンアミノカルボニル、ヘテロシクリルアミノカルボニル置換アルキル、ヘテロシクリルアルキレンアミノカルボニル置換アルキル、N,N−[ジアルキル]アルキレンアミノカルボニル、N,N−[ジアルキル]アルキレンアミノカルボニル置換アルキル、アルキル置換ヘテロシクリルカルボニル、アルキル置換ヘテロシクリルカルボニルアルキル、カルボキシル置換アルキル、ジルキルアミノ置換アシルアミノアルキル、および以下から選択されるアミノ酸側鎖:
    アルギニン、アルバラギン、グルタミン、S−メチルシステイン、メチオニン、
    ならびにそれらの対応するスルホキシドおよびスルホン誘導体、グリシン、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、tert−ロイシン、ノルロイシン、
    フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、アラニン、オルニチン、ヒスチジン、グルタミン、バリン、トレオニン、セリン、アスパラギン酸、
    β−シアノアラニン、およびアロトレオニン;アリニルおよびヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、アミド、モノまたはジアルキルアミノカルボニル、モノまたはジアリールアミノカルボニル、アルキルアリールアミノカルボニル、ジアリールアミノカルボニル、モノまたはジアシルアミノカルボニル、芳香族または脂肪族アシル、必要に応じて以下から選択される置換基によって置換されたアルキル:アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、モノまたはジアルキルアミノ、モノまたはジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ジアリールアミノ、モノまたはジアシルアミノ、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、チオアルコキシ、チオアルケノキシ、チオアルキノキシ、チオアリールオキシ、およびヘテロシクリル。

    【0125】 式T 2 −(J−T 3 −) n −L−Xの好ましい化合物は、以下の構造を有する:

    【0126】

    【化20】

    【0127】 ここでGは(CH 21-6であり、それによって、単一の「G」で表される1つのかつ唯一のCH 2基上の水素が−(CH 2C −アミド−T 4に置き換えられ;T 2およびT 4は、式C 1-250-90-9 HαFβの有機部分であり、それによって、 αおよびβの合計は、C、N、およびO原子の他の満たされていない結合価を満たすのに十分であり;アミドは以下の式であり:

    【0128】

    【化21】

    【0129】 R 1は水素またはC 1-10アルキルであり;cは0〜4の範囲の整数であり;そし てnは1〜50の範囲の整数であり、これによって、nが1より大きい場合、G
    、c、アミド、R 1 、およびT 4は独立して選択される。

    【0130】 さらに好ましい実施態様において、式T 2 −(J−T 3 −) n −L−Xの化合物 は以下の構造を有する:

    【0131】

    【化22】

    【0132】 ここでT 5は、式

    【数11】

    の有機部分であり、それによって、αおよびβの合計は、C、N、およびO原子の他の満たされていない結合価を満たすのに十分であり;そしてT

    5は三級また は第四級アミンまたは有機酸を含み;mは0〜49の範囲の整数であり、そしてT

    2 、T

    4 、R

    1 、L、およびXは以前に定義されている。

    【0133】 式T 2 −(J−T 3 −) n −L−Xを有する別の好ましい化合物は、以下の特定 の構造を有する:

    【0134】

    【化23】

    【0135】 ここでT 5は、式

    【数12】

    の有機部分であり、それによって、αおよびβの合計は、C、N、およびO原子の他の満たされていない結合価を満たすのに十分であり;そしてT

    5は三級また は第四級アミンまたは有機酸を含み;mは0〜49の範囲の整数であり、そしてT

    2 、T

    4 、c、R

    1 、「アミド」、L、およびXは以前に定義されている。

    【0136】 T 5基を有する上記の構造において、−アミド−T 5は、好ましくは以下の1つであり、これらは有機酸を「G」から伸びる遊離のアミノ基と反応させることにより好都合に調製され得る:

    【0137】

    【化24】

    【0138】 上記の化合物がT 5基を有し、そして「G」基が遊離のカルボキシル基(また はそれらの反応性等価体)を有する場合、以下が好ましい−アミド−T 5基であ り、これらは適切な有機アミンを「G」から伸びる遊離のカルボキシル基と反応させることにより好都合に調製され得る:

    【0139】

    【化25】

    【0140】 本発明の3つの好ましい実施態様において、T−L−MOIは以下の構造を有する:

    【0141】

    【化26】

    【0142】 あるいは以下の式を有する:

    【0143】

    【化27】

    【0144】 あるいは以下の式を有する:

    【0145】

    【化28】

    【0146】 ここでT 2およびT 4は、式

    【数13】

    の有機部分であり、それによって、α、β、およびδの合計は、C、N、O、S


    、およびP原子の他の満たされていない結合価を満たすのに十分であり;Gは(


    CH

    2

    1-6であり、ここで各Gで表されるCH

    2基上の1つのそして唯一の水素 は−(CH

    2

    C −アミド−T

    4に置き換えられており;アミドは以下の式であり :

    【0147】

    【化29】

    【0148】 R 1は水素またはC 1-10アルキルであり;cは0〜4の範囲の整数であり;「C 2 −C 10 」は2〜10の炭素原子を有するヒドロカルビレン基を表し、「ODN−
    3'−OH」は末端3'ヒドロキシル基を有する核酸フラグメント(すなわち、
    核酸フラグメントの3'末端以外において(C 1 −C 10 )に結合した核酸フラグ メント)を表し;そしてnは1〜50の範囲の整数であり、これによって、nが1より大きい場合、G、c、アミド、R 1 、およびT 4は独立して選択される。 好ましくは、単一の炭素原子に結合した3個のヘテロ原子は存在しない。

    【0149】 上記で示されたT 2 −C(=O)−N(R 1 )−基を含有する構造において、この基は式HN(R 1 )−のアミンを以下から選択される有機酸(これらは単に例 示的であって、潜在的な有機酸の余すところのないリストを構成していない)と反応させることにより形成され得る:ギ酸、酢酸、プロピオール酸、プロピオン酸、フルオロ酢酸、2−ブチン酸、シクロプロパンカルボン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ジフルオロ酢酸、4−ペンチン酸、シクロブタンカルボン酸、3,3−ジメチル酢酸、吉草酸、N,N−ジメチルグリシン、N−ホルミル−Gly−OH
    、エトキシ酢酸、(メトキシチオ)酢酸、ピロール−2−カルボン酸、3−フロイン酸、イソオキサゾール−5−カルボン酸、trans−3−ヘキセン酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサン酸、Ac−Gly−OH、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、安息香酸、ニコチン酸、2−ピラジンカルボン酸、1−メチル−2−ピロールカルボン酸、2−シクロペンテン−1−酢酸、シクロペンチル酢酸、(S
    )−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、N−メチル−L−プロリン、ヘプタン酸、Ac−b−Ala−OH、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、2−(
    2−メトキシエトキシ)酢酸、p−トルイン酸、6−メチルニコチン酸、5−メチル−2−ピラジンカルボン酸、2,5−ジメチルピロール−3−カルボン酸、
    4−フルオロ安息香酸、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−カルボン酸、
    3−シクロペンチルプロピオン酸、オクタン酸、N,N−ジメチルスクシンアミド酸(succinamic acid)、フェニルプロピオン酸、ケイヒ酸、
    4−エチル安息香酸、p−アニス酸、1,2,5−トリメトキシピロール−3−
    カルボン酸、3−フルオロ−4−メチル安息香酸、Ac−DL−プロパルギルグリシン、3−(トリフルオロメチル)酪酸、1−ピペリジンプロピオン酸、N−
    アセチルプロリン、3,5−ジフルオロ安息香酸、Ac−L−Val−OH、インドール−2−カルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、4−n−プロピル安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸、
    4−エトキシ安息香酸、4−(メチルチオ)安息香酸、N−(2−フロイル)グリシン、2−(メチルチオ)ニコチン酸、3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸、Tfa−Gly−OH、2−ナフトエ酸、キナルジン酸、Ac−L−Ile−
    OH、3−メチルリンデン−2−カルボン酸、2−キノキサリンカルボン酸、1
    −メチルインドール−2−カルボン酸、2,3,6−トリフルオロ安息香酸、N
    −ホルミル−L−Met−OH、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、4−n−ブチル安息香酸、N−ベンゾイルグリシン、5−フルオロインドール−2−カルボン酸、4−n−プロポキシ安息香酸、4−アセチル−3,5
    −ジメチル−2−ピロール安息香酸、3,5−ジメトキシ安息香酸、2,6−ジメトキシニコチン酸、シクロヘキサンペンタン酸、2−ナフチル酢酸、4−(1
    H−ピロール−1−イル)安息香酸、インドール−3−プロピオン酸、m−トリフルオロメチル安息香酸、5−メトキシインドール−2−カルボン酸、4−ペンチル安息香酸、Bz−b−Ala−OH、4−ジエチルアミノ安息香酸、4−n
    −ブトキシ安息香酸、3−メチル−5−CF3−イソオキサゾール−4−カルボン酸、(3,4−ジメトキシフェニル)酢酸、4−ビフェニルカルボン酸、ピバロール−Pro−OH、オクタノール−Gly−OH、(2−ナフトキシ)酢酸、インドール−3−酪酸、4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、5−メトキシインドール−3−酢酸、4−(トリフルオロメトキシ)安息香酸、Ac−L
    −Phe−OH、4−ペンチルオキシ安息香酸、Z−Gly−OH、4−カルボキシ−N−(フル−2−イルメチル)ピロリジン−2−オン、3,4−ジエトキシ安息香酸、2,4−ジメチル−5−CO 2 Et−ピロール−3−カルボン酸、 N−(2−フルオロフェニル)スクシナミン酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、N−フェニルアントラニル酸、3−フェノキシ安息香酸、ノナノイル−G
    ly−OH、2−フェノキシピリジン−3−カルボン酸、2,5−ジメチル−1
    −フェニルピロール−3−カルボン酸、trans−4−(トリフルオロメチル)ケイヒ酸、(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)酢酸、4−
    (2−シクロヘキセニルオキシ)安息香酸、5−メトキシ−2−メチルインドール−3−酢酸、trans−4−コチニンカルボン酸、Bz−5−アミノ吉草酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、N−(3−メトキシフェニル)スクシナミン酸、Z−Sar−OH、4−(3,4−ジメトキシフェニル)酪酸、Ac−o−フルオロ−DL−Phe−OH、N−(4−フルオロフェニル)グルタミン酸、4
    '−エチル−4−ビフェニルカルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロアクリジンカルボン酸、3−フェノキシフェニル酢酸、N−(2,4−ジフルオロフェニル)スクシナミン酸、N−デカノイル−Gly−OH、(+)−6−メトキシ−a−メチル−2−ナフタレン酢酸、3−(トリフルオロメトキシ)ケイヒ酸、
    N−ホルミル−DL−Trp−OH、(R)−(+)−a−メトキシ−a−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、Bz−DL−Leu−OH、4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ酢酸、4−ヘプチルオキシ安息香酸、2,3,4−トリメトキシケイヒ酸、2,6−ジメトキシベンゾイル−Gly−OH、3−(3
    ,4,5−トリメトキシフェニル)プロピオン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ酢酸、N−(2,4−ジフルオロフェニル)グルタミン酸(
    glutaramic acid)、N−ウンデカノイル−Gly−OH、2−
    (4−フルオロベンジル)安息香酸、5−トリフルオロメトキシインドール−2
    −カルボン酸、N−(2,4−ジフルオロフェニル)ジグルコラミン酸、Ac−
    L−Trp−OH、Tfa−L−フェニルグリシン−OH、3−ヨード安息香酸、3−(4−n−ペンチルベンゾイル)プロピオン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−オクチルオキシ安息香酸、Bz−L−Met−OH、3,
    4,5−トリエトキシ安息香酸、N−ラウロイル−Gly−OH、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、Ac−5−メチル−DL−Trp−OH、2
    −ヨードフェニル酢酸、3−ヨード−4−メチル安息香酸、3−(4−n−ヘキシルベンゾイル)プロピオン酸、N−ヘキサノイル−L−Phe−OH、4−ノニルオキシ安息香酸、4'−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボン酸、Bz−L−Phe−OH、N−トリデカノイル−Gly−OH、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、3−(4−n−ヘプチルベンゾイル)
    プロピオン酸、N−ヘプタノイル−L−Phe−OH、4−デシルオキシ安息香酸、N−(α,α,α−トリフルオロ−m−トリル)アントラニル酸、ニフルム酸(niflumic acid)、4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)安息香酸、N−ミリストイル−Gly−OH、3−(4−n−オクチルベンゾイル)プロピオン酸、N−オクタノイル−L−Phe−OH、4−ウンデシルオキシ安息香酸、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロピオニル−Gly−OH、8−ヨードナフトエ酸、N−ペンタデカノイル−Gly−O
    H、4−ドデシルオキシ安息香酸、N−パルミトイル−Gly−OH、およびN
    −ステアロイル−Gly−OH。 これらの有機酸は、以下の1社以上から入手可能である:Advanced Chem Tech, Louisville, KY;Bachem Bioscience Inc. , Torrance
    , CA;Calbiochem−Novabiochem Corp. , S
    an Diego, CA;Farchan Laboratories In
    c. , Gainesville FL;Lancaster Synthes
    is, Windham NH;およびMayBridge Chemical Company (c/o Ryan Scientific), Colu
    mbia, SC。 これらの企業からのカタログは、酸を同定するために上記で使用されている省略形を使用する。

    【0150】 (f.タグを調製するための手段としてのコンビナトリアルケミストリー) コンビナトリアルケミストリーは、大きな化学ライブラリの産生を導く一種の合成戦略である(例えば、PCT出願公表第WO 94/08051号を参照のこと)。 これらのコンビナトリアルライブラリは、目的の分子(MOI)の同定のためのタグとして使用され得る。 コンビナトリアルケミストリーは、種々の実在分子の巨大なアレイを生じるための、変化する構造の1組の異なる「構築ブロック」の、互いへの体系的かつ反復的な共有結合として定義され得る。 構築ブロックは、以下のような多くの天然に存在する形態および合成の形態をとり得る:
    求核体、求電子体、ジエン、アルキル化剤またはアシル化剤、ジアミン、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、脂質、有機モノマー、シントン、および上記形態の組合せ。 構築ブロックを結合するために使用される化学反応は、アルキル化、アシル化、酸化、還元、加水分解、置換、脱離、付加、環化、縮合などである。 このプロセスは化合物のライブラリを産生し得、それらはオリゴマーか、非オリゴマーか、またはそれらの組合せである。 オリゴマーである場合、化合物は、分枝であるか、分枝でないか、または環状であり得る。 組合せ方法によって調製され得るオリゴマー構造の例には、以下が含まれる:オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴサッカライド、ポリリピド、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリ(リン誘導体)(例えば、ホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミド、ホスファイト、ホスフィンアミドなど)、およびポリ(硫黄誘導体)(例えば、スルホン、スルホネート、スルファイト、スルホンアミド、スルフェンアミドなど)。

    【0151】 1つの共通のタイプのオリゴマーコンビナトリアルライブラリは、ペプチドコンビナトリアルライブラリである。 ペプチド化学および分子生物学における最近の技術革新により、数千万〜数億の異なるペプチド配列からなるライブラリの調製および使用が可能になっている。 そのようなライブラリは、3つの広いカテゴリーに分類され得る。 ライブラリの1つのカテゴリーは、可溶性の非支持体結合ペプチドライブラリの化学合成に関する(例えば、Houghtenら, Na
    ture 354:84, 1991)。 第2のカテゴリーは、プラスチックピン、樹脂ビーズ、または綿のような支持体上に提示される、支持体結合ペプチドライブラリの化学合成に関する(Geysenら, Mol. Immunol
    . 23:709, 1986;Lamら, Nature 354:82, 1991;EichlerおよびHoughten, Biochemistr
    y 32:11035, 1993)。 これら最初2つのカテゴリーにおいて、
    構築ブロックは、典型的にはL−アミノ酸、D−アミノ酸、非天然型アミノ酸、
    またはそれらのいくつかの混合物もしくは組合せである。 第3のカテゴリーは、
    糸状ファージ粒子またはプラスミドの表面上のペプチドまたはタンパク質を調製するために、分子生物学アプローチを使用する(ScottおよびCraig, Curr. Opinion Biotech. 5:40, 1994)。
    可溶性の非結合ペプチドライブラリは、タグとしての使用を含む、多くの適用に適切なようである。 ペプチドライブラリにおける化学的多様性の利用可能なレパートリーは、過メチル化のような工程によって拡張され得る(Ostreshら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 91:111
    38, 1994)。

    【0152】 ペプチドコンビナトリアルライブラリの多数の改変体が、ペプチド骨格が修飾される場合、および/またはアミド結合が模倣基に置換されている場合に可能である。 使用され得るアミド模倣基には、尿素、ウレタン、およびカルボニルメチレン基が含まれる。 側鎖がα炭素ではなく各アミノ酸のアミド窒素から生じるような骨格の再構築は、ペプトイドとして公知の化合物のライブラリを与える(S
    imonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89
    :9367, 1992)。

    【0153】 他の共通のタイプのオリゴマーコンビナトリアルケミストリーは、構築ブロックが天然に存在するかまたは非天然型のヌクレオチドまたは多糖誘導体のいくつかの形態である場合、オリゴヌクレオチドコンビナトリアルケミストリーである。 これには種々の有機基および無機基がリン酸結合を置換し得る場合、ならびに窒素または硫黄がエーテル結合中の酸素を置換する場合が含まれる(Schne
    iderら, Biochem. 34:9599, 1995;Freier
    ら, J. Med. Chem. 38:344, 1995;Frank, J. Biotechnology 41:259, 1995;Schne
    iderら, 公表PCT第WO 942052号;Eckerら, Nucl
    eic Acids Res. 21:1853, 1993)。

    【0154】 より最近は、非オリゴマーの小分子化合物の集合体の組合せ生成が記載されている(DeWittら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 90:690, 1993;Buninら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 91:4708, 1994)。 小分子ライブラリへの仕上げに適切な構造は、以下のような広い種類の有機分子を包含する:例えば、ヘテロ環状、芳香族、脂環式、脂肪族、ステロイド、抗生物質、酵素阻害剤、リガンド、ホルモン、薬剤、アルカロイド、オピオイド、テルペン、
    ポルフィリン、トキシン、触媒、ならびにそれらの組合せ。

    【0155】 (g.タグのコンビナトリアル合成のための特異的方法) 多様な組のアミン含有MSタグの調製および使用のための2つの方法を以下に概説する。 両方法において、コンビナトリアルケミストリーの技術を使用して多数のタグ化リンカーの同時並行合成を可能にするために、固相合成が使用される。 第1の方法において、オリゴヌクレオチドからのタグの最終的な切断は、カルボキシルアミドの遊離を生じる。 第2の方法において、タグの切断はカルボン酸を生成する。 これらの方法において使用された化学的成分および結合要素を、以下のように略記する:

    【0156】

    【表1】

    【0157】 方法1における工程の順序は以下の通りである:

    【0158】

    【表2】

    【0159】 方法2における工程の順序は以下の通りである:

    【0160】

    【表3】

    【0161】 (h.タグ合成のホスホルアミダイトおよび関連方法) 天然ポリマーの固相合成は、元来、同時にMerrifieldによって開発され(Merrifield、1963)、そしてペプチド化学に関して、および引き続き、Letsingerによるオリゴヌクレオチド合成に引き継がれた(LetsingerおよびMahadevan、1965)。 この概念は、以下の4つの基本的な局面を有する:I. オリゴヌクレオチドが合成されるが、固体支持体に共有結合される;II. 過剰に溶解性の保護されたヌクレオチドおよびカップリング剤は、完全に近い反応を行い得る;III. この反応は、単一の反応容器内で行われ、合成を毎分量の開始物質で合成させる固体支持体マニピュレーションのために機械的損失を低減させる;IV. 不均質反応は標準化され、
    そしてこれらの手順は容易に自動化される。

    【0162】 オリゴヌクレオチドを合成するための最も広く使用される方法は、ホスファイト−トリエステルアプローチである。 別の、合成の一般的でない方法は、H−ホスホネートアプローチである。

    【0163】 (オリゴヌクレオチド合成のためのホスファイト−トリエステルアプローチ) この手順の発展は、Letsinger(Letsingerら、1975)
    が対称的ホスファイト試薬であるメトキシホスホジクロリダイトを導入したとき、1975年に始まった。 カップリング時間は劇的に減少したが、この化合物は反応しすぎ、室温で取り扱うのが非常に困難であり、そして−10℃でさえホスファイトモノマーを貯蔵するのが不可能であるという、欠点を有する。 保護されたヌクレオシドとの反応により、大量の対称的3'−3'ダイマーが生じる(L
    etsingerら、1982)。

    【0164】 1981年において、新規のホスファイト化剤であるN,N−ジメチルアミノメトキシホスフィンの導入(BeaucageおよびCaruthers、19
    81)は、ホスファイト化の間の3'−3'ダイマーの形成の問題を解決しただけでなく、結果として、室温で酸素および周囲湿度に対して特定の範囲で安定であるデオキシリボヌクレオシドホスファイト誘導体を生成した。 最も有用である化合物は、N,N−ジイソプロピルアミンであることが立証され(Adamsら、1983、McBrideおよびCaruthers、1983)、これは、
    シリカゲルカラムで容易に精製され得、そして室温で乾燥粉末として安定である。

    【0165】 この方法によって使用される5'−保護基は、ジメトキシトリチル(DMT)
    である。 この基は、1分未満のジクロロメタン中のトリクロロ酢酸(1〜3%w
    /v)での処理によって完全に切断される。 一旦、保護基が除去されると、遊離の5'−ヒドロキシルが次のヌクレオシド形成(building)ブロックにカップリングするために利用可能である。

    【0166】 LetsingerのアプローチにおけるホスホジクロリダイトおよびCar
    uthers(Caruthersら、1980)の元来の研究におけるホスホモノクロリダイト/テトラゾールとは異なり、ホスホルアミダイトは成長鎖上で遊離の5'−ヒドロキシル官能基と直接反応し得ない。 それらはまず、弱酸(例えば、テトラゾール)での処理によって活性化されるべきである。 テトラゾールは2つの役割を果たすことが示されている(Bernerら、1990;Dah
    lら、1990):テトラゾールはホスホルアミダイト官能基のジアルキルアミノ基をプロトン化し;そして次に、求核試薬として作用し、非常に反応性のテトラゾロホスファン(tetrazolophospane)中間体を生成する。
    これらのデオキシヌクレオシド−ホスホルアミダイト試薬とのカップリング反応は、非常に速く(2分未満)、そしてほとんど定量的である。

    【0167】 このカップリング反応は限りある期間で定量的であり得ないので、低い割合の切断された配列が毎カップリング工程で生成される。 これらの反応の失敗は5'
    −ヒドロキシルを含む。 これらの失敗の配列がさらに反応し得る場合、生成物をこの配列混合物から単離することは困難である。 この問題は、残りの遊離の5'
    −ヒドロキシルのアセチル化によりキャップ化することによって、大きく克服される。 このキャップ化工程は、強アセチル化試薬であるN−アセチル−ジメチルアミノピリジニウムイオンにより達成され、このN−アセチル−ジメチルアミノピリジニウムイオンは等モル量の無水酢酸および4−ジメチルアミノピリジン(
    DMAP)の反応において形成する。 この反応は0.5分でほとんど定量的である。 DMAPの代わりにN−メチルイミダゾールを用いることで、オリゴヌクレオチドは改良された生物学的特性を有する(Ferranceら、1989)。

    【0168】 新しく形成されたホスファイトヌクレオチド内(internucleoti
    de)結合は不安定であり、そして酸および塩基の切断の両方に感受性である。
    従って、キャップ化後、3価ホスファイトトリエステルは安定な5価ホスフェートトリエステルに酸化される。 ヨウ素は、酸素ドナーとして水を用いる塩基性テトラヒドロフラン溶液中の穏やかな酸化剤として使用される。 この反応は極めて速く、30秒で定量的である。 酸化は、ヌクレオチド付加サイクルを完了させる。 鎖伸長は、成長鎖の5'−末端でジメトキシトリチル基を除去しそしてヌクレオチド付加の別のサイクルを繰り返すことを続ける。 支持体からの切断ならびに同時の塩基およびホスフェート脱保護の完了は、濃水酸化アンモニウムによる処理によって達成される。

    【0169】 (オリゴヌクレオチド合成のためのH−ホスホネート方法) ヌクレオシドH−ホスホネートの使用はまず、Toddおよび共同研究者によって報告された(Hallら、1957)。 その後、H−ホスホネート化学は1
    980年代まで調査されないままであった。 1985年および1986年において、このアプローチの再起はGareggら(1985、1986a、1986
    b)およびFroehlerら(1986aおよび1986b)によって導入された。

    【0170】 この方法において、活性モノマーは5'−DMT−塩基−保護ヌクレオシド3
    '−水素−ホスホネートである。 これらのモノマーにおいて、H−ホスホネート部分の存在はホスフェート保護を不要にさせる。

    【0171】 同じ塩基保護基はホスファイトトリエステルアプローチにおけるものとして使用される。 この保護のストラテジーは複素環でのヒドロキシルおよび環外アミンに関して同一であるので、脱保護 。

    【0172】 H−ホスホネート合成サイクル。 H−ホスホネート方法に従うオリゴヌクレオチド合成における鎖伸長の間の酸化工程は存在しない。 酸化は合成の最後に行われる。

    【0173】 H−ホスホネート合成におけるカップリングプロセスは、妨害された(hin
    dered)アシルクロリドによって活性化され、そして形成された無水物は遊離のオリゴヌクレオチド5'−ヒドロキシル末端と反応させるために使用され、
    ヌクレオチド内結合のH−ホスホネートアナログを形成する。 収率は約96〜9
    9%である。 ピバロイルクロリドおよび1−アダマンタンカルボニルクロリドは、最良の活性化剤であることが報告されている(Andrusら、1988)。
    しかし、縮合剤(condensing reagent)と開始物質との間のいくつかの副反応は縮合の間観察され、そして所望の化合物の収量を低減させる。 特に、ヌクレオシドの3'−H−ホスホネートの前活性化、引き続くOH−成分への付加(通常、ポリマー支持体上の合成において行われる)により、H−ホスホネートジエステルのより低い収率を得る。 他の副反応は、縮合の間、ヌクレオチドの複素環式塩基の修飾(グアニンおよびチミンのアシル化またはホスファチル化(phosphitylation))である。 ホスホルアミダイト化学のキャップ化試薬(無水酢酸/N−メチルイミダゾール)はH−ホスホネートアプローチに好ましくない。 アシルクロリドまたはPFPCによる活性化された、
    シアノエチル−H−ホスホネート(GaffneyおよびJones、1988
    )またはイソ−プロピル−H−ホスホネート(Andrusら、1988)が、
    使用され得る。

    【0174】 配列の完了後、すべてのH−ホスホネート結合は、ホスホジエステル結合に同時に酸化される。 ヨウ素を用いた酸化の代わりに、H−ホスホネート−デオキシリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、またはホスホトリエステルとしてDNAアナログに転換され得る(Froehler、198
    6c;Froehlerら、1988)。 この方法の利点は、増大されたモノマーの安定性、35S−標識化オリゴヌクレオチドの調製(Steinら、199
    0)、および得られる過剰の活性化ヌクレオシド(これは反応しなかった)の可能性(SeligerおよびRosch,1990)である。 H−ホスホネートはGlen Research(Herndon、VA)から市販されている。

    【0175】 本発明は、上記の標準化オリゴヌクレオチド合成に容易に組み込まれるタグを提供する。 本発明は、固相合成の間、核酸に付加するためのCMST−標識を提供する。 このCMST標識はCMSTのホスホルアミダイトである。

    【0176】 本発明に従う1つの方法は、固相合成の間、CMST−標識を核酸に付加する工程を包含する。 特に、CMSTのホスホルアミダイトは、支持体に結合されたオリゴデオキシヌクレオチドに縮合される。 固相ホスホルアミダイト化学のCM
    ST技術への適応は、精製を単純化し、そしてこの手順の自動化を容易にし、それによって処理能力を増大させる。 これは、タグ化された分子の容易な調製を可能にする。

    【0177】 上記のように、オリゴヌクレオチド合成のホスホルアミダイト方法は自動化されており、広く使用されている。 CMSTタグのホスホルアミダイトは、オリゴヌクレオチドをCMSTタグによってタグ化する簡便な方法を提供する。 本発明に従って、CMSTタグのホスホルアミダイトは、固体支持体に結合されたオリゴヌクレオチド鎖に縮合される。 この支持体は、核酸の固相合成に有用な任意の種類のものであり得る。 ポリヌクレオシドは、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドホスホジエステルであり得る。 また、ポリヌクレオシドアナログ(ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどを含むが、これらに限定されない)が使用され得る。

    【0178】 本発明に従うCMSTホスホルアミダイトは、一般構造T MS −L−XのCMS
    Tホスホルアミダイトであり、ここで、T MSは質量スペクトルによって検出され、Lは光化学的リンカーであり、そしてXは固体支持体上のポリヌクレオシドにカップリングし得る部分である。

    【0179】 オリゴヌクレオチドの自動化合成はホスホルアミダイト化学1を利用し、そし て種々のホスホルアミダイト試薬(例えば、ビオチン2 )は開発されてきており 、これはオリゴヌクレオチドを標識化するためにこの化学の利点を有する(図2
    4を参照のこと) 3 。 固体に支持されたオリゴヌクレオチドの塊(mass)を タグ化させるこの化学の適応は、精製を単純化し、そしてこの手順の自動化を促進し、それによって処理能力を増大させる。

    【0180】 すでに調製されたタグ酸から開始する提案されるスキームは、図25に示される。

    【0181】 2. (リンカー) 本明細書において使用される「リンカー」成分(またはL)は、「タグ」(またはT)を「目的の分子」(またはMOI)に共有結合性の化学的結合を介して連結するために使用される直接的な共有結合または有機的な化学基のいずれかを意味する。 さらに、直接的な結合それ自身、またはリンカー成分内の一つ以上の結合は、T−L−X化合物(これはMOI成分を含む)の残りからTが遊離される(言い換えれば、切断される)条件下で切断可能である。 T内に存在するタグ可変成分は、切断条件に対して安定であるべきである。 好ましくは、切断は、数分以内に、および好ましくは約15秒以下の内に迅速に達成され得る。

    【0182】 一般に、リンカーは、タグの大きなセットの各々をMOIの類似の大きなセットの各々に連結するために使用される。 代表的には、単一のタグ−リンカーの組合せは各MOIに結合される(種々のT−L−MOIを与えるために)が、いくつかの場合において、一つより多いタグ−リンカーの組合せは、各個々のMOI
    に結合され得る(種々の(T−L)n−MOIを与えるために)。 本発明の別の実施態様において、二つ以上のタグが、リンカー上の複数の独立的な部位を介して単一のリンカーに結合され、次いでこの複数のタグ−リンカーの組合せは、個々のMOIに結合される(種々の(T)n−L−MOIを与えるために)。

    【0183】 タグ化MOIのセットの種々の操作の後で、特定の化学的および/または物理的条件が、リンカー中の一つ以上の共有結合を切断するために使用され、これは、MOIからのタグの遊離を生じる。 切断可能な結合(単数または複数)は、タグ、リンカー、およびMOIが、共に連結される場合、形成される同一の結合のいくつかであってもよいし、そうでなくてもよい。 リンカーの設計は、大部分において、切断が達成され得る条件を決定する。 従って、リンカーは、それらも特に影響を受けやすい切断条件によって同定され得る。 リンカーが光不安定性(p
    hotolabile)である(すなわち、化学線放射への曝露によって切断される傾向がある)場合、リンカーは

    【数14】

    と命名され得る。 同様に、命名L

    acid 、L

    base 、L

    [O] 、L

    [R] 、L

    enz 、L

    elc

    【数15】

    、およびL

    SSが、酸、塩基、化学的酸化、化学的還元、酵素の触媒活性(より単純には「酵素」)、電気化学的酸化または還元、高温(「熱」)、およびチオール交換のそれぞれに特に影響を受けやすいリンカーに言及するために使用され得る。

    【0184】 リンカーの特定の型は、単一の型の切断条件に対して不安定であるが、一方リンカーの他の型はいくつかの型の切断条件に対して不安定である。 さらに、複数のタグ((T)n−L−MOI型構造を与える)を結合し得るリンカーにおいて、タグ結合部位の各々は、異なる切断条件に不安定に成り得る。 例えば、リンカーに結合される二つのタグを有するそのリンカーにおいて、タグの一方は塩基に対してのみ不安定に成り得、そして他方は、光分解に対してのみ不安定に成り得る。

    【0185】 本発明において有用なリンカーは、いくつかの属性を有する: 1)リンカーは化学的ハンドル(L h )を有し、それを介してリンカーはMO Iに結合され得る。

    【0186】 2)リンカーは、第二の別の化学的ハンドル(L h )を有し、それを介してタ グはリンカーに結合する。 もし複数のタグが単一のリンカーに結合されるならば((T)n−L−MOI型構造)、次いで別のハンドルが各タグについて存在する。

    【0187】 3)リンカーは、T含有部分が化合物の残り(これはMOIを含む)から遊離されるように切断を可能にする条件を例外として、供される全ての操作に対して安定である。 従って、リンカーは、タグのリンカーへの結合の間、リンカーのM
    OIへの結合の間、そしてタグおよびリンカー(T−L)がMOIに結合される間のMOIの任意の操作の間安定である。

    【0188】 4)リンカーは、T−LがMOIに結合される間、MOI上で行われる操作に有意に干渉しない。 例えば、T−Lがオリゴヌクレオチドに結合される場合、T
    −Lは、オリゴヌクレオチド上で行われるいかなるハイブリダイゼーションまたは酵素反応(例えばPCR)にも有意に干渉してはならない。 同様に、T−Lが抗体に結合される場合、それは抗体による抗原認識に有意に干渉してはならない。

    【0189】 5)タグの検出可能性に悪影響を与えない物理的または化学的プロセスを使用して、化合物の残りからのタグの切断は、高度に制御された様式で生じる。

    【0190】 任意の所定のリンカーについて、リンカーが広範な種々のMOIに結合可能で、そして広範な種々のタグが、リンカーに結合可能であることが望ましい。 このような柔軟性は、一旦調製されれば、いくつかの異なるセットのMOIを用いて使用されるT−L結合物のライブラリーを可能にするので、利点に富む。

    【0191】 上記に説明されたように、好ましいリンカーは以下の式を有する: L h −L 1 −L 2 −L 3 −L hここで、各L hは、リンカーをタグ反応物および目的の反応物の分子と連結する ために使用され得る反応性ハンドルである。 L 2はリンカーに不安定性を与える ので、L 2はリンカーの不可欠な部分である。 L 1およびL 3は、ハンドルL hからL 2を分離するのに効果的に役立つ任意の基である。

    【0192】 L 1 (これは、定義によって、L 3よりTに近い)は、必要とされる不安定部分L 2からTを分離するために役立つ。 この分離は、切断反応がT含有部分の構造 においてランダムな変化を生じ得る特定の反応性種(例えば、フリーラジカル)
    を生じる場合、有用であり得る。 切断部位が、T含有部分からさらに離れている場合、切断部位で形成された反応性種が、T含有部分の構造を破壊する減少した可能性がある。 さらに、L 1における原子は、代表的には、T含有部分に存在す る場合、これらL 1原子は、T含有部分に望ましい質を付与し得る。 例えば、T 含有部分が、T ms含有部分であり、そして妨害された(hindered)アミンがT ms含有部分の構造の部分として望ましく存在する(例えば、MSSEとして作用する)場合、妨害されたアミンはL 1不安定部分に存在し得る。

    【0193】 他の例において、L 1および/またはL 3は、単にリンカー成分中に存在し得る。 なぜならば、リンカーの商業的な供給業者は、そのようなL 1および/または L 3基を有する形態でリンカーを販売するように選択しているからである。 その ような例において、L 1および/またはL 3基は、それらを組み込む化合物に対して性能利点を何ら特に寄与し得ないが、L 1および/またはL 3基を有するリンカーを使用することに害はない(これらの基が、切断反応を阻害しない限り)。 従って、本発明は、L 1および/またはL 3基がリンカー成分中に存在することを可能にする。

    【0194】 L 1および/またはL 3基は、直接的な結合(この場合において、基は実際には存在しない)、ヒドロカルビレン基(例えば、アルキレン、アリーレン、シクロアルキレンなど)、−O−ヒドロカルビレン(例えば、−O−CH 2 −、O−C H 2 CH(CH 3 )−など)、またはヒドロカルビレン−(O−ヒドロカルビレン)w−(ここでwは、1〜約10の範囲にある整数である)(例えば、−CH 2 −O−Ar−、CH 2 −(O−CH 2 CH 24 −など)であり得る。

    【0195】 固相合成法の出現があったので、特定の反応条件に不安定なリンカーに関する多くの文献が、展開されてきた。 代表的な固相合成において、固体支持体は、反応性部位に不安定なリンカーを介して結合され、そして合成されるべき分子は、
    反応性部位で生成される。 分子が完全に合成された場合、固体支持体−リンカー−分子構築物は、固体支持体から分子を遊離する切断条件に供される。 この状況における使用のために、開発されてきた不安定なリンカー(またはこの状況において使用され得る)はまた、本発明におけるリンカー反応物として容易に使用され得る。

    【0196】 Lloyd−Williams, Pら、「Convergent Soli
    d−Phase Peptide Synthesis」、Tetrahedr
    on Report No. 347, 49(48):11065−1113
    3(1993)は、化学線放射(すなわち、光分解)ならびに酸、塩基、および他の切断条件に不安定なリンカーの広範な議論を提供する。 不安定なリンカーについての情報のさらなる供給源は容易に得ることができる。

    【0197】 上記のように、異なるリンカー設計は、異なる特定の物理的または化学的条件下で切断可能性(「不安定性」)を与える。 種々の設計のリンカーを切断するのに役立つ条件の例は、酸、塩基、酸化、還元、フッ素、チオール交換、光分解、
    および酵素的な条件を含む。

    【0198】 上に列挙したリンカーについての一般的な基準を満足する切断可能なリンカーの例は当業者に周知であり、そしてPierce(Rockford,IL)から入手可能なカタログにおいて見出されるリンカーを含む。 例は、以下を含む: ・エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、ヒドロキシルアミンによって切断可能である(37℃にて3〜6時間で1M)アミン反応性架橋試薬; ・ジスクシンイミジル酒石酸(DST)およびスルホ−DSTである(これは0.015M過ヨウ素酸ナトリウムによって切断可能であるアミン反応性架橋試薬; ・ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)およびスルホ−BSOCOES(これらは塩基(pH11.
    6)によって切断可能なアミン反応性架橋試薬である); ・1,4−ジ−[3'−(2'−ピリジルジチオ(プロピオンアミド))ブタン(DPDPB)(チオール交換または還元によって切断可能であるピリジルジチオール架橋剤); ・N−[4−(p−アジドサリチルアミド)−ブチル]−3'−(2'−ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)(チオール交換または還元によって切断可能であるピリジルジチオール架橋剤); ・ビス−[β−4−(アジドサリチルアミド)エチル]−ジスルフィド(チオール交換または還元によって切断可能である光反応性架橋剤); ・N−スクシンイミジル−(4−アジドフェニル)−1,3'ジチオプロピオネート(SADP)(チオール交換または還元によって切断可能である光反応性の架橋剤); ・スルホスクシンイミジル−2−(7−アジド−4−メチルクマリン−3−アセトアミド)エチル−1,3'−ジチオプロピオネート(SAED)(チオール交換または還元によって切断可能である光反応性架橋剤); ・スルホスクシンイミジル−2−(m−アジド−O−ニトロベンズアミド)−
    エチル−1,3'ジチオプロピオネート(SAND)(チオール交換または還元によって切断可能である光反応性架橋剤)。

    【0199】 タグを放出するために使用され得る切断可能なリンカーおよび切断条件の他の例は、以下である。 シリル結合基は、フッ化物によってかまたは酸条件下で切断され得る。 3−、4−、5−、または6−置換−2−ニトロベンジルオキシまたは2−、3−、5−、または6−置換−4−ニトロベンジルオキシ結合基は、光子源によって切断さ得る(光分解)。 3−、4−、5、または6−置換−2−アルコキシフェノキシまたは2−、3−、5−、または6−置換−4−アルコキシフェノキシ結合基は、Ce(NH 42 (NO 36 (酸化)によって切断され得る。 NCO 2 (ウレタン)リンカーは、水酸化物(塩基)、酸、またはLiAlH 4 (還元)によって切断され得る。 3−ペンテニル、2−ブテニル、または1−ブテニル結合基は、O 3 、O S4 /IO 4 -またはKMnO 4 (酸化)によって切断され得る。 2−[3−、4−、または5−置換フリル]オキシ結合基は、O 2 、B r 2 、MeOHまたは酸によって切断され得る。

    【0200】 他の不安定な結合基の切断のための条件は、以下を含む:t−アルキルオキシ結合基は酸によって切断され得る;メチル(ジアルキル)メトキシまたは4−置換−2−アルキル−1,3−ジオキサレン(dioxlane)−2−イル結合基は、H 3+によって切断され得る;2−シリルエトキシ結合基は、フッ化物または酸によって切断され得る;2−(X)−エトキシ(ここでX=ケト、エステルアミド(ester amide)、シアノ、NO 2 、スルフィド、スルホキ シド、スルホン)結合基は、アルカリ条件下で切断され得る;2−、3−、4−
    、5−、または6−置換−ベンジルオキシ結合基は、酸または還元条件により切断され得る;2−ブテニルオキシ結合基は、(Ph 3 P) 3 RhCl(H)によって切断され得る、3−、4−、5−、または6−置換−2−ブロモフェノキシ結合基は、Li、Mg、またはBuLiによって切断され得る;メチルチオメトキシ結合基はHg 2+によって切断され得る;2−(X)−エチルオキシ(ここでX
    =ハロゲン)結合基はZnまたはMgによって切断され得る;2−ヒドロキシエチルオキシ結合基は、酸化(例えば、Pb(OAc) 4を用いて)切断され得る 。

    【0201】 好ましいリンカーは、酸または光分解によって切断されるリンカーである。 固相ペプチド合成のために開発されてきたいくつかの酸不安定リンカーは、タグをMOIに架橋するに有用である。 これらのリンカーのいくつかは、Lloyd−
    Williamsら(Tetrahedron 49:11065−11133
    , 1993)による最新の総説によって記載される。 リンカーの一つの有用な型は、p−アルコキシベンジルアルコールに基づき、その内の二つ、4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸および4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)酪酸は、Advanced ChemTech(Louisvill
    e, KY)から入手可能である。 両方のリンカーが、ベンジルアルコールへのエステル結合を介してタグに結合され得、カルボン酸へのアミド結合を介してアミン含有MOIと結合され得る。 これらの分子によって結合されたタグは、多様な濃度のトリフルオロ酢酸を用いてMOIから遊離される。 これらの分子の切断は、タグ上のカルボン酸の遊離を生じる。 関連するリンカー(例えば、2,4−
    ジメトキシ−4'−(カルボキシメチルオキシ)−ベンズヒドリルアミン(Ad
    vanced ChemTechからFMOC保護形態で入手可能)を介して結合されたタグの酸切断は、遊離されたタグ上のカルボン酸アミドの遊離を生じる。

    【0202】 本願にとって有用な光不安定性リンカーはまた、固相ペプチド合成のために最も開発された部分であった(Lloyd−Williams総説を参照のこと)
    。 これらのリンカーは、通常、2−ニトロベンジルエステルまたは2−ニトロベンジルアミドに基づく。 文献において最近報告されている光不安定性リンカーの二つの例は、4−(4−(1−Fmoc−アミノ)エチル)−2−メトキシ−5
    −ニトロフェノキシ)ブタン酸(HolmesおよびJones、J. Org
    . Chem. 60:2318−2319, 1995)および3−(Fmo
    c−アミノ)−3−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸(Brownら、Mo
    lecular Diversity 1:4−12, 1995)である。 両リンカーは、MOI上でカルボン酸を介してアミンに結合され得る。 リンカーへのタグの結合は、タグ上のカルボン酸とリンカー上のアミンとの間でアミドを形成することによって作製される。 光不安定性リンカーの切断は、通常、強度で3
    50nm波長のUV光および当業者に公知の時間を用いて行われる。 リンカーの切断は、タグ上の一級アミドの遊離を生じる。 感光性リンカーの例は、ニトロフェニルグリシンエステル、exo−およびendo−2−ベンゾノルボルネリルクロライドおよびメタンスルホネート、および3−アミノ−3(2−ニトロフェニル)プロピオン酸を含む。 酵素的切断の例には、エステル結合を切断するエステラーゼ、ホスホジエステル結合を切断するヌクレアーゼ、ペプチド結合を切断するプロテアーゼなどが挙げられる。

    【0203】 好ましいリンカー成分は以下に示すようなオルト−ニトロベンジル構造を有する:

    【0204】

    【化30】

    【0205】 ここでa、b、c、d、またはe位の一つの炭素原子は、−L 3 −Xで置換され 、そしてL 1 (好ましくは直接的な結合である)は、上記構造中のN(R 1 )の左に存在する。 このようなリンカー成分は、「a」と標識された炭素とN(R 1 ) 間の結合の選択的な光誘導切断に感受性である。 R 1の同一性は、切断反応にと って代表的には重要ではないが、しかしR 1は、好ましくは、水素およびヒドロ カルビルより選択される。 本発明は、上記の構造において、−N(R 1 )−が、 −O−で置き換えられ得ることを提供する。 さらに上記構造において、b、c、
    d、またはe位の一つ以上が、必要に応じて、アルキル、アルコキシ、フッ素、
    クロライド、ヒドロキシル、カルボキシレート、またはアミドで置換され得、ここでこれらの置換基は、各存在で独立して選択される。

    【0206】 化学ハンドルL hを有するさらに好ましいリンカー成分は、以下の構造を有す る:

    【0207】

    【化31】

    【0208】 ここで、b、c、d、またはe位の一つ以上が、水素、アルキル、アルコキシ、
    フッ素、クロライド、ヒドロキシル、カルボキシレート、またはアミドで置換され、R 1は水素またはヒドロカルビルであり、そしてR 2は、−OHあるいは別の部分とのカップリングのためにカルボン酸を保護しているかまたは活性化する基である。 フルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボンは、別の部分とのカップリングへ向けてカルボン酸を活性化する好適な基である。

    【0209】 3. (目的の分子(MOI)) MOIの例には、核酸、または核酸アナログ(例えば、PNA)、核酸のフラグメント(すなわち、核酸フラグメント)、合成核酸またはフラグメント、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)、タンパク質、ペプチド、抗体、または抗体フラグメント、レセプター、レセプターリガンド、リガンド対のメンバー、サイトカイン、ホルモン、オリゴ糖、合成有機分子、薬物およびそれらの組合せが挙げられる。

    【0210】 好ましいMOIの例には、核酸フラグメントが挙げられる。 好ましい核酸フラグメントは、ベクターが、塩基配列決定に使用される場合、ベクターに存在する配列に相補的なプライマー配列である。 好ましくは、核酸フラグメントは、フラグメントの3'末端以外、そして最も好ましくはフラグメントの5'末端でタグに直接的または間接的に結合される。 核酸フラグメントは、購入され得るかまたは遺伝子データベースに基づいて調製され得る(例えば、Dibら、Natur
    e 380:152−154, 1996およびCEPH Genotype Database, http://www. cephb. fr)および商業的なメーカー(例えば、Promega, Madison, WI)) 本明細書中で使用されるMOIは、MOIをT−L−L h化合物へ結合するに 有用な官能基を含む誘導体を含む。 例えば、ホスホジエステルがまたアルキレンアミンに結合される場合、5'末端にホスホジエステルを有する核酸フラグメントは、MOIである。 このようなMOIは、例えば、米国特許第4,762,7
    79号(本明細書に参考として援用される)に記載される。 内部修飾を有する核酸フラグメントもまたMOIである。 核酸フラグメントの例示的な内部修飾は、
    塩基(例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル)が、反応性官能基を付加するように修飾された場合である。 このような内部修飾核酸フラグメントは、例えば、Glen Research, Herndon, VA
    から市販されている。 核酸フラグメントの別の例示的な内部修飾は、核酸フラグメントの糖とホスフェート基の間に挿入される修飾ホスホジエステルを合成するために、塩基のホスホルアミデートが使用される場合である。 塩基のホスホルアミデートは、このホスホルアミデート由来の部分を含む核酸フラグメントを別の部分(例えば、T−L−L h化合物)に結合させる反応性基を含む。 このような 塩基性ホスホルアミデートは例えば、Clonetech Laborator
    ies, Inc. , Palo Alto, CAから市販されている。

    【0211】 4. (化学ハンドル(L h )) 化学ハンドルは、安定でしかし第1の分子の部分として存在する反応性原子配列であり、ここでハンドルは、第2の分子の部分として存在する相補的な化学的ハンドルと、2つの分子間で共有結合を形成するために化学反応を受け得る。 例えば、これらの2つのハンドル間の反応が2つの分子を結合させる共有結合(特にエステル基)を形成するに際して、化学ハンドルは、水酸基であり得、そして相補的な化学ハンドルはカルボン酸基であり得る(またはその活性化誘導体(例えば、ヒドロフルオロアリールエステル))。

    【0212】 化学ハンドルは、タグをリンカーに結合し、そしてリンカーをMOIに結合するに適切な多くの共有結合反応に使用され得る。 このような反応に、アルキル化(例えば、エーテル、チオエーテルを形成する)、アシル化(例えば、エステル、アミド、カルバメート、ウレア、チオウレアを形成する)、ホスホリル化(例えば、ホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミドを形成する)、スルホニル化(例えば、スルホネート、スルホンアミドを形成する)、縮合(イミン、オキシム、ヒドラゾンを形成する)、シリル化、ジスルフィド形成、および光分解による反応性中間体(例えば、ニトレン、またはカルベン)の生成を含む。 一般に、タグをリンカーに結合するに適切なハンドルおよび結合形成反応はまた、リンカーをMOIに結合するに適切であり、そしてその逆も同様である。 いくつかの場合において、MOIは、先に修飾または誘導を受けて、リンカーを結合するに必要なハンドルを提供し得る。

    【0213】 リンカーをMOIに結合するに特に有用な結合の一つの型は、ジスルフィド結合である。 その形成は、リンカー上のチオール基(ハンドル)およびMOI上の別のチオール基の存在を必要とする。 従って、緩やかな酸化条件は、2つのチオールをジスルフィドとして結合するに十分である。 ジスルフィド形成はまた、過剰な適切なジスフィド交換試薬(例えば、ピリジルジスルフィド)を使用することによって誘導され得る。 ジスルフィド形成は、容易に可逆であるので、ジスルフィドは所望ならばタグを遊離するための切断可能な結合としてもまた使用され得る。 代表的には、これは、過剰の適切なチオール交換試薬(例えば、ジチオスレイトール)を使用して、同様の穏やかな条件下で達成される。

    【0214】 アミド結合の形成は、タグ(またはリンカーを有するタグ)をオリゴヌクレオチドに結合するために特に興味深い。 第一級脂肪族アミンハンドルは、ホスホルアミダイト(例えば、6−モノメトキシトリチルヘキシルシアノエチル−N,N
    −ジイソプロピルホスホルアミダイト(Glenn Research, St
    erling, VAから入手可能))を有する合成オリゴヌクレオチドに容易に導入され得る。 導入された第一級アミンと比較した場合、天然のヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびグアノシン)上で見出されるアミンは、実際に非反応性である。 反応性におけるこの相違は、アミドおよび導入された第一級アミン(ヌクレオチドアミンではなく)を有する関連する結合基(例えば、ウレア、チオウレア、スルホンアミド)を選択的に形成する能力の基礎を形成する。

    【0215】 Molecular Probes catalog(Eugene, OR
    )に収載されるように、アミン反応性官能基には、活性化カルボン酸エステル、
    イソシアネート、イソチオシアネート、スルホニルハライド、およびジクロロトリアゼンが部分的に挙げられる。 活性エステルは、形成されるアミド生成物は極めて安定であるので、アミン修飾に優れた試薬である。 さらに、これらの試薬は、脂肪族アミンと良好な反応性を有し、そしてオリゴヌクレオチドのヌクレオチドアミンとの低い反応性を有する。 活性エステルの例には、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、およびp−ニトロフェニルエステルが挙げられる。 活性エステルは、実際にはカルボン酸を含む任意の分子から作製され得るので、活性エステルは有用である。 活性エステルを作製する方法は、Bodansky(Princi
    ples of Peptide Chemistry (第2版), Spr
    inger Verlag, London, 1993)に収載される。

    【0216】 T−L−Xによって示される分子中の「X」基は、分子を生体分子(例えば、
    核酸分子)に結合させる化学ハンドルとして役立ち得る。 本発明の好ましい実施態様において、X基は、ホルホルアミダイト、ホスファイト−トリエステル、およびH−ホスホネートのうちの1つである。 Xがこれらの3つの置換基のうちの任意の1つである場合、T−L−X分子は、オリゴヌクレオチド合成のための、
    任意の周知のホスホルアミダイト(ホスファイト−トリエステルとしてもまた知られる)、ホスホジエステル、またはH−ホスホネート合成方法論によって合成されたオリゴヌクレオチドの末端に付加され得る。

    【0217】 例えば、Xがホスホルアミダイト基である場合、T−L−X分子は以下の構造:

    【0218】

    【化32】

    【0219】 を有し得る。

    【0220】 ここで、ホスホルアミダイトであるXを有する好ましいT−L−X分子は、以下の構造:

    【0221】

    【化33】

    【0222】 を有する。

    【0223】 上記ホスホルアミダイト含有T−L−X分子において、Rは代表的に、アルキル基(例えば、C1−C6アルキル基)、またはアルキル基の水素の位置に置換基を有するアルキル基(好ましい置換基は、シアノ(CN)基を含有する)である。 従って、ホスホルアミダイト中の「OR」は、OCH 2 CH 2 CNであり得、
    そしてNR 2はN(イソプロピル) 2であり得、これらはホスホルアミダイト化学を用いてオリゴヌクレオチドを調製するのに一般に使用される2つの基である。
    あるいは、NR 2は、例えば、モルホリン基であり得る。 1つの実施態様におい て、Rは、アルキル基、またはハロゲンおよびシアノから選択される1つ以上の置換基を有する置換アルキル基であり、そしてNR 2の2つのR基は一緒に結合 され得、シクロアルキル基を形成する。

    【0224】 T−L−X分子は、「X」としてホスホジエステル基を有し得、従って以下の構造:

    【0225】

    【化34】

    【0226】 を有する。

    【0227】 オリゴヌクレオチドを合成するためのホスホジエステルのアプローチは、ほとんどの研究室において、ホスファイト−トリエステル/ホスホルアミダイトのアプローチで主に置き換えられているので、本発明によれば、ホスホジエステル基を有するT−L−X分子はあまり好ましくはない。

    【0228】 オリゴヌクレオチドを合成することへの第3のアプローチは、H−ホスホネート化学の利点を有する。 本発明のT−L−X分子は、H−ホスホネート基である化学ハンドル/X基を有し得、従って以下の構造:

    【0229】

    【化35】

    【0230】 を有する。 上記H−ホスホネート基において、R 3は代表的に各アルキル基中に 1〜6個の炭素原子を有する3つのアルキル基を表す。 エチルは、オリゴヌクレオチド合成において使用されるH−ホスホネート試薬中の一般的なR基であり、
    それ故XがH−ホスホネート基である本発明のT−L−X分子中の好ましいR基である。

    【0231】 5. (リンカー結合) 代表的には、単一の型のリンカーが、特定のセットまたはファミリーのタグを特定のセットのまたはファミリーのMOIに結合するために使用される。 本発明の好ましい実施態様において、単一の一様な手順が全ての種々のT−L−MOI
    構造を作製するために付随され得る。 T−L−MOI構造のセットが大きい場合、これは特に利点に富む。 なぜならば、それによってセットをコンビナトリアルケミストリーの方法または他の平行プロセシング技術を使用して調製することが可能となるからである。 類似の方法において、単一の型のリンカーの使用は、単一の一様な手順を全ての種々のT−L−MOI構造を切断するために用いることを可能にする。 さらに、これは、大きなセットのT−L−MOI構造に対する利点に富む。 なぜならば、このセットは、平行、反復、および/または自動化様式で処理され得るからである。

    【0232】 しかし、本発明の他の実施態様では、リンカーの2つ以上の型が、異なるサブセットのタグを対応するサブセットのMOIに結合するために使用される。 この場合において、選択的な切断条件が、各リンカーを独立に、他のサブセットのM
    OI上に存在するリンカーを切断することなしに切断するために使用され得る。

    【0233】 多くの共有結合形成反応は、タグをリンカーに、そしてリンカーをMOIに結合するに適切である。 このような反応は、アルキル化(例えば、エーテル、チオエーテルを形成する)、アシル化(エステル、アミド、カルバメート、ウレア、
    チオウレアを形成する)、リン酸化(例えば、ホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミドを形成する)、スルホニル化(例えば、スルホネート、スルホンアミドを形成する)、縮合(例えば、イミン、オキシム、ヒドラゾンを形成する)、シリル化、ジスルフィド形成、および光分解による反応性中間体(例えば、ニトレンまたはカルベン)の生成を含む。 一般的に、タグをリンカーに結合するに適切なハンドルおよび結合形成反応はまた、リンカーをMOI
    に結合するに適切であり、逆も同様である。 いくつかの場合において、MOIは、先の改変または誘導を受け得、リンカーを結合するに必要なハンドルを提供する。

    【0234】 リンカーをMOIに結合するに特に有用な結合の一つの型は、ジスルフィド結合である。 その形成は、リンカー上のチオール基(「ハンドル」)およびMOI
    上の別のチオール基の存在を要求する。 次いで、穏やかな酸化条件が、二つのチオール基をジスルフィドとしてともに結合するに十分である。 ジスルフィド形成はまた、過剰の適切なジスルフィド交換試薬(例えば、ピリジルジスルフィド)
    を使用することによって誘導され得る。 ジスルフィド形成は、容易に可逆的であるので、ジスルフィドは所望ならばタグを遊離するための切断可能な結合としてもまた、使用され得る。 代表的には、これは、過剰の適切なチオール交換試薬(
    例えば、ジチオスレイトール)を使用して、同様に穏やかな条件下で達成される。

    【0235】 アミド結合の形成は、タグをオリゴヌクレオチドに結合するために特に興味深い。 一級脂肪族アミンハンドルは、ホスホルアミダイト(例えば、6−モノメトキシトリチルヘキシルシアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(Glenn Research, Sterling, VAから入手可能)を有する合成オリゴヌクレオチド上に容易に導入され得る。導入された一級アミンと比較した場合、天然のヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびグアノシン)上で見出されるアミンは、実際に非反応性である。反応性におけるこの相違は、アミドおよび導入した一級アミン(ヌクレオチドアミンではなく)を有する関連結合基(例えば、ウレア、チオウレア、スルホアミド)を選択的に形成する能力の基礎を形成する。

    【0236】 Molecular Probes catalog(Eugene, OR
    )に収載されるように、アミン反応性官能基の列挙には、活性化カルボン酸エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、スルホニルハライド、およびジクロロトリアゼンが部分的に挙げられる。 活性エステルは、形成されるアミド生成物が極めて安定であるので、アミン修飾に優れた試薬である。 さらに、これらの試薬は、脂肪族アミンとの良好な反応性を有し、そしてオリゴヌクレオチドのヌクレオチドアミンとの低い反応性を有する。 活性エステルの例には、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、およびp−ニトロフェニルエステルが挙げられる。 活性エステルは、実際にはカルボン酸を含む任意の分子から作製され得るので、活性エステルは有用である。 活性エステルを作製する方法は、Bodansky(Pr
    inciples of Peptide Chemistry (第2版), Springer Verlag, London, 1993)に収載される。

    【0237】 リンカーとして機能し得る多くの市販の架橋試薬が存在する(例えば、Pie
    rce Cross−linkers, Pierce Chemical C
    o. , Rockford, ILを参照のこと)。 これらの中に、ホモ二官能性イミドエステルおよびN−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルによって例示されるホモ二官能性アミン反応性架橋試薬がある。 連続的な反応を可能にする2つ以上の異なる反応性基を有するヘテロ二官能性架橋試薬もまた存在する。 イミドエステルは、アルカリ性PHでアミンと迅速に反応する。 NHS−
    エステルは、一級アミンまたは二級アミンと反応させた場合、安定な生成物を与える。 マレイミド、アルキルおよびアリールハライド、α−ハロアシルおよびピリジルジスルフィドは、チオール反応性である。 マレイミドは、6.5〜7.5
    のpHの範囲でチオール(スルフヒドリル)基に対して特異的である。 そしてアルカリ性pHは、アミン反応性になり得る。 チオエーテル結合は、生理学的条件下で安定である。 α−ハロアセチル架橋試薬は、ヨードアセチル基を含み、そしてスルフヒドリルに対して反応性である。 イミダゾールは、ヨードアセチル部分と反応し得るが、反応は非常に遅い。 ピリジルジスルフィドは、チオール基と反応して、ジスルフィド結合を形成し得る。 カルボジイミドは、カルボキシルとヒドラジドの一級アミンをカップリングさせ、これはアシル−ヒドラジン結合の形成を生じる。 アリールアジドは、UVまたは可視光に曝露されるまで化学的に不活性な光親和性試薬である。 このような化合物が、250nm〜460nmで光分解される場合、活性アリールニトレンが形成される。 反応性アリールニトレンは、比較的非特異的である。 グリオキサールは、アルギニンのグアニジル部分に対して反応性である。

    【0238】 本発明の一つの代表的な実施態様において、タグはまずリンカーに結合され、
    次いでタグとリンカーとの組合せは、MOIに結合され、構造T−L−MOIを生じる。 あるいは、同一の構造が、リンカーをMOIへまず結合させ、次いでリンカーとMOIとの組合せをタグに結合させることによって形成される。 例は、
    MOIがDNAプライマーまたはオリゴヌクレオチドである場合である。 この場合において、タグは、代表的には、まずリンカーに結合され、次いでT−Lが、
    DNAプライマーまたはオリゴヌクレオチドに結合される。 これは、次いで、例えば、配列決定反応において使用される。

    【0239】 タグが、MOIに可逆的に結合し得る一つの有用な形態(例えば、オリゴヌクレオチドまたはDNA配列決定プライマー)は、化学的に不安定なリンカーを介する。 リンカーについての一つの好ましい設計によって、リンカーを揮発性の有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA))に曝露した場合切断することが可能になる。 TFAは、特に、多くのMSイオン化の方法(これは電気スプレイを含む)に適合性である。

    【0240】 以下に詳細に記載されるように、本発明は、遺伝子型分類するための方法を提供する。 この遺伝子型分類するための方法に有用である組成物は、以下の式の複数の化合物を含む: T ms −L−MOI ここで、 T msは、質量分析によって検出可能な有機基である。 T msは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 この式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、
    四級アミン、および有機酸から選択される官能基を含む。 式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである。 この組成物において、少なくとも2つの化合物は同じT msを有するが、これらの分子のMOI基は同一でないヌクレオチド長を有する。

    【0241】 遺伝子型分類の方法において有用である別の組成物は、複数の以下の式の化合物を含む: T ms −L−MOI ここでT msは質量分析によって検出可能な有機基である。 T msは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、
    四級アミン、または有機酸から選択される官能基を含む。 式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである。 この組成物において、少なくとも2つの化合物は同じT msを有するが、これらの化合物はカラムクロマトグラフィーにより同一でない溶出時間を有する。

    【0242】 遺伝子型分類の方法において用いられ得る別の組成物は、複数の以下の式の化合物を含む: T ms −L−MOI ここでT msは質量分析によって検出可能な有機基である。 T msは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、
    四級アミン、または有機酸から選択される官能基を含む。 式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである。 この組成物において、同じMOIヌクレオチド長を有する2つの化合物ともがまた、同じT msを有するというわけではない。

    【0243】 上記組成物において、複数とは好ましくは2より大きいことであり、そして好ましくは4より大きいことである。 また、MOI中の酢酸フラグメントは、ベクターの部分に相補的な配列を有し、ここでこのフラグメントはポリヌクレオチド合成をプライミングし得る。 好ましくは、複数のメンバーのこのT ms基は、少なくとも2amuだけ異なり、そして少なくとも4amuだけ異なり得る。

    【0244】 本発明はまた、複数のセットの化合物を含む組成物を提供し、ここで化合物の各セットは以下の式を有する: T ms −L−MOI ここで、T msは、質量分析によって検出可能な有機基であり、これは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、四級アミン、および有機酸から選択される官能基を含む。 また、この式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである。 この組成物において、第1のセットの化合物内のメンバーは、同一のTms基を有するが、MOI中のヌクレオチドの異なるメンバーを有する同一でないMOI基を有し、そして第1のセット内に少なくとも10個のメンバーが存在し、ここでセット間において、このT ms基は少なくとも2amuだけ異なる。 複数とは好ましくは少なくとも3であり、そしてより好ましくは少なくとも5である。

    【0245】 本発明はまた、複数のセットの化合物を含む組成物を提供し、ここで化合物の各セットは以下の式を有する: T ms −L−MOI ここで、T msは、質量分析によって検出可能な有機基であり、これは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 この式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、
    化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、四級アミン、および有機酸から選択される官能基を含む。 この式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである。 この組成物において、セット内の化合物は、同じ溶出時間を有するが、同一でないT ms基を有する。

    【0246】 さらに、本発明は、遺伝子型分類のためのキットを提供する。 このキットは、
    複数の増幅プライマー対を含み、ここで少なくとも1つのプライマーは以下の式を有する: T ms −L−MOI ここで、T msは、質量分析によって検出可能な有機基であり、これは、炭素、水素およびフッ化物の少なくとも一つ、ならびに酸素、窒素、イオウ、リン、およびヨウ素より選択される任意の原子を含む。 この式において、Lは、T ms含有部分を化合物の残りから切断させる有機基であり、ここで、このT ms含有部分は、
    化合物が質量分析に供される場合、単一イオン化荷電状態を維持し、そして三級アミン、四級アミン、および有機酸から選択される官能基を含む。 この式において、MOIは、LがMOIの3'末端以外の位置でMOIに結合される核酸フラグメントである;そして各プライマー対は異なる遺伝子座で結合する。 このキットにおいて、複数とは好ましくは少なくとも3であり、そしてより好ましくは少なくとも5である。

    【0247】 上記のように、本発明は、核酸分子の配列を決定するための組成物および方法を提供する。 簡略には、このような方法は、一般的には(a)核酸分子の第1の末端から第2の末端までの選択された核酸分子(例えば、タグ化フラグメント)
    に相補的であるタグ化核酸フラグメントを生成する工程で、ここでタグは、特定のまたは選択されたヌクレオチドと相関性があり、そして任意の種々の方法によって検出され得る、工程と、(b)配列の長さによりタグ化フラグメントを分離する工程と、(c)タグ化フラグメントからタグを切断する工程と、(d)タグを検出する工程と、を含み、そしてそれによって核酸分子の配列を決定する。 この局面の各々は、以下でより詳細に議論される。

    【0248】 B. (診断方法) 1. (導入) 上記のように、本発明はまた広範な種々の方法を提供し、ここで上記タグおよび/またはリンカーは、所定の方法内で、特異性、感受性、または同時に分析され得るサンプル数を増強するために、従来の標識(例えば、放射活性または酵素的)に代わって利用され得る。 増強され得るこのような方法の代表例は、例えば、RNA増幅(Lizardiら、Bio/Technology 6:119
    7−1202、1988;Kramerら、Nature 339:401−4
    02、1989;Lomeliら、Clinical Chem. 35(9):
    1826−1831、1989; 米国特許第4,786,600号を参照のこと)およびLCRまたはポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を利用するDNA
    増幅(米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号を参照のこと)を含む。

    【0249】 CMST技術の基礎(platform)は、多数の適用において利用され得、ここで核酸測定は大きなスケールで行われる。 この技術の基礎は、分離またはサイズ決定の方法論とともに、またはこれを用いずに使用され得る。 サイズ決定をしないアッセイの例としては、単一ヌクレオチド多型(SNP)アッセイが挙げられ、ここでオリゴヌクレオチドは標的核酸中の塩基変化の存在または非存在を検出するために使用される。 あるいは、HPLCまたは分離システムは質量分析検出器(MSD)に付け足され得、ここで核酸フラグメントはサイズによってソートされ得、これにより質量分析タグは配列を同定するための保持時間で組み合わせられる。 核酸のHPLC(Huberら、1993、Anal.Bioc
    hem. 、212、351頁; Huberら、1993、Nuc. Acids Res. 、21、1061頁; Huberら、1993、Biotechn
    iques、16、898頁)または変性HPLC(DHPLC)は、1以上の塩基対の同定において異なるDNA二重鎖を分離することにおいて一般的に良好な方法であり、従って変異をスキャンするのに有用である。 イオン対形成(io
    n−pairing)試薬として100mMのトリエチルアンモニウムアセテートを用いて、一般的な方法が開発されてきており、ここでオリゴヌクレオチドは、HPLCによってアルキル化非多孔性2.3μMポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)で首尾良く分離され得る(Oefnerら、1994、Anal.Bi
    ochem. 、223、39頁)。 この技術はまた、50から200のヌクレオチドのサイズの範囲内の長さの4から8のみの塩基対が異なるPCR産物を分離させる。

    【0250】 DHPLCは、SNPに関する調査を著しく促進させた(OefnerおよびUnderhill、Am.J.Hum.Genetics、57、A266、
    1995)。 DHPLC技術の多数の適用は、進化の研究を容易にさせるためのヒトY染色体における多型性の同定(PNAS USA、93、196−200
    、1996)、および失調を引き起こす第19染色体での変異を引き起こす疾患の迅速な同定(Cell、87、543−552、1996)を含む。

    【0251】 多因子性の疾患に関して遺伝学的試験を考案するのは困難であるので、200
    より多い公知のヒト障害は単一の遺伝子における欠損(しばしば単一のアミノ酸残基の変化)によって引き起こされる(Olsen、Biotechnolog
    y:An industry comes of age、National Academic Press、1986)。

    【0252】 感度の高い変異検出技術は、変異スクリーニングのための驚くべき可能性を提供する。 効果的な遺伝子学的試験はまた、健康検査に関連して、気道または膀胱から剥離された細胞のオンコジーンの変異に関してスクリーニングし得る(Si
    dranskyら、Science 252:706、1991)。 また、未知の遺伝子が遺伝学的疾患を引き起こす場合、DNA配列改変をモニターするための方法は、遺伝子連鎖分析による疾患遺伝の研究に有用である。 いくつかの異なるアプローチは探求されてきているが、どれも、真に広範な適用に十分に効果的および安価の両方ではない(Cotton、RGH、(1997)、Mutat
    ion Detection、Oxford University Pres
    s、New York)。 単一のヌクレオチドに関する変異は、物理学的、化学的、または酵素的手段によってサンプル中で同定され得る。 一般に、変異検出するための方法は、スキャンニング技術(Fearon、1997、Scienc
    e、278、1043−1050頁)(これはこれまでに分かっていない変異を同定するのに好適である)、および公知の配列改変体を検出し、識別し、または定量するために設計された技術(Holtzmanら、1997、Scienc
    e、278、602−605)に分けられ得る。

    【0253】 変異検出するためのいくつかのスキャンニング技術は、ヘテロ二重鎖に関して開発されてきており、ここでミスマッチの存在は、この二重鎖が部分的に変性される場合、異常な挙動を誘導する。 この現象は変性および温度勾配ゲル電気泳動(それぞれ、DGGEおよびTGGE)方法において利用される。 単一のヌクレオチド部分でのミスマッチでさえ、二重鎖は部分的に変性され得、漸増的な変性グラジエントゲルにおいて電気泳動される場合、移動を遅滞させる(Orita
    、Genomics 5:874、1989; Keen、Trends Ge
    net. 7:5、1991、Myersら、Nature 313:495、1
    985; Abramsら、Genomics 7:463、1990; He
    ncoら、Nucl. Acids Res. 18:6733、1900)。 変異は検出され得るが、正確な位置または変異の周辺の配列に関する情報は得られない。

    【0254】 二重鎖中のミスマッチ塩基はまた、化学的修飾をうけやすい。 このような修飾は、ミスマッチの部位で切断に感受性である鎖を与え得るか、または引き続く伸長反応においてポリメラーゼを停止させ得る。 この化学的切断技術は、2kbまでの標的配列における変異を同定させ、そしてそれはミスマッチヌクレオチド(
    単数または複数)の適切な位置での情報を提供する(Cottonら、PNAS USA 85:4397、1988; Gangulyら、Nucl.Aci
    ds Res. 18:3933、1991)。

    【0255】 DNA鎖中の変異を検出するための別のストラテジーは、正常なヌクレオチドの1つを修飾されたヌクレオチドで置換し(合成の間)、生成物の分子量または他の物理学的パラメータを変えることによる。 野生型配列に関する、増加されたまたは減少された数のこの修飾されたヌクレオチドを有する鎖は、変化された電気泳動移動度を示す(Naylorら、Lancet 337:635、199
    1)。 また、この技術は、変異の存在を検出するが、その位置を提供しない。

    【0256】 すべての上記の技術は、DNAの限定されたセグメントにおける変異の存在を示し、そしてそれらのいくつかはこのセグメント内の適切な位置決定を可能にする。 しかし、配列分析はなお塩基変化の正確な位置を位置決めするために要求される。

    【0257】 多数の他の技術は、公知の配列の改変体または単一ヌクレオチド多型を分析するために開発されてきている。 自動化および経済性は、個体および一般集団をスクリーニングするために適用され得るこれらのタイプの分析に関して非常に重要な考慮因子である。 変異は、短いオリゴヌクレオチドプローブの標的配列へのハイブリダイゼーションにおけるそれらの不安定化効果によって同定され得る(W
    etmur、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 、26:
    227、1991を参照のこと)。 一般に、この技術、対立遺伝子−特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、標的配列の増幅および引き続く短いオリゴヌクレオチドプローブによるハイブリダイゼーションを含む。 オリゴヌクレオチド−連結アッセイは、標的配列を含むPCR産物を検出するための、EL
    ISAベースのアッセイを用いるPCRベースのスクリーニング(OLA、Ni
    ckersonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8
    923、1990)の延長である。 従って、ゲル電気泳動およびコロニーハイブリダイゼーションの両方は排除される。

    【0258】 上記のように、CMST技術はまた広範な種々の方法を提供し、ここで切断可能なタグおよび/またはリンカーは、所定の方法内で、特異性、感受性、または同時に分析され得るサンプル数を増強するために、従来の標識化の代わりに使用され得る(例えば、放射活性、蛍光、または酵素的)。 増強され得るこのような方法の代表例は、例えば、標準的な核酸ハイブリダイゼーション反応(Samb
    rookら、前出を参照のこと)、サイクリングプローブ法(Cycling Probe Technology)(CPT)のような診断的反応(米国特許第4,876,187号および同第5,011,769号を参照のこと)、またはオリゴヌクレオチド−連結アッセイ(Oligonucleotide−Li
    gation Assay)(OLA)(Burketら、Science 1
    96:180、1987)を含む。

    【0259】 ハイブリダイゼーションと組み合わせられるCMST技術は、法医学に適用され得る。 DNA分析は、父系性試験で要求されるような個体間の関連の推定(d
    eduction)を容易に可能にする。 遺伝学的分析は、骨髄移植(ここでは密接に関連したドナー細胞とレシピエント細胞との間の識別が必要である)において非常に有用であることを立証している。 2つのタイプのプローブは、現在、
    DNAフィンガープリンティングおよび遺伝子型分類に関して使用される。 多型性のミニサテライトDNAプローブは、各々異なる個体において変化可能な形態で存在する、複数のDNA配列を同定し、従って、複雑でそして個体間で非常に変化し得るパターンを生成する。 VNTRプローブは、ゲノム中の単一の配列を同定するが、これらの配列は、同定されたフラグメントのサイズによって識別されるようなヒト集団における30までの異なる形態で存在し得る(Bennet
    tおよびTodd、1996、Ann. Rev. Genetics、30、34
    3−70頁)。

    【0260】 腫瘍診断および病期分類(GoodfellowおよびWells、1995
    、J. Natl. Cancer Inst. 、87、1515−23頁)は、C
    MST技術の基礎の別の適用である。 オンコジーンおよびそれらのそれぞれの多型性の検出は、核酸診断の重要な分野である。 細胞のオンコジーンは、特定の修飾(例えば、点変異(膀胱悪性腫瘍および結腸直腸腫瘍のc−K−rasオンコジーンにおけるような)、プロモーター誘導、遺伝子増幅(神経芽腫の場合のN
    −mycオンコジーンにおけるような)、または染色体の再配列(慢性骨髄白血病の場合の第9染色体から第22染色体へのc−ablオンコジーンの転座におけるような))によって活性化され得る。 CMST技術はまた、移植分析、ゲノム診断に適用され得る(すべての新生児の4%は遺伝的欠陥を持って生まれる)
    。 3,500の遺伝性疾患は、単一の遺伝子の修飾のみによって引き起こされることが記載され、主な分子欠損は約400に関して知られているだけである。 切断可能なタグを有するDNAプローブの使用は、任意のタイプのサンプルまたは試料中の微生物の存在または非存在を検出するために使用され得る。

    【0261】 CMST技術の基礎は、異なるサイズ決定技術と組み合わせられ得る。 その種々の出現におけるキャピラリー電気泳動(CE)(遊離溶液(free sol
    ution)、等速電気泳動、等電点電気泳動、ポリアクリルアミドゲル、ミセルの電気運動的「クロマトグラフィー」)は、非常に少ないサンプル容量の複合体混合物の迅速な高分解分離のための方法として発展している。 固有の感度の高さとMSの選択性との組み合わせにおいて、CE−MSは生物分析のための効果的な技術である。 ここに記載される新規の適用において、これらの2つの方法の接点は、数オーダーの大きさまで配列決定する現行の方法を網羅する優れたDN
    A配列決定方法を導き得る。

    【0262】 CEおよびエレクトロスプレーイオン化(ESI)流速の間の対応、ならびにその両方が溶液中のイオン種によって(そして主に使用されるイオン種のために)促進されるという事実は、非常に魅力的な組み合わせのための基礎を提供する。 キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)およびESIに基づくクアドラポール(quadrapole)質量分析計を使用するキャピラリー等速電気泳動の両方の組み合わせが、記載されている(Olivaresら、Anal.Chem
    . 59:1230、1987; Smithら、Anal. Chem. 60:4
    36、1988; Looら、Anal. Chem. 179:404、1989
    ; Edmondsら、J. Chroma. 474:21、1989; Loo
    ら、J. Microcolumn Sep. 1:223、1989; Leeら、J. Chromatog. 458:313、1988; Smithら、J.
    Chromatog. 480:211、1989; Greseら、J. Am.
    Chem. Soc. 111:2835、1989)。

    【0263】 DNAフラグメントのための最も有力な分離法は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)であり、一般にスラブゲル形式である。 しかし、現在の技術の主な限界は、配列決定反応において生成されたDNAフラグメントのゲル電気泳動を実施するためには、相対的に長い時間が必要とされることである。 規模の増大(10倍)は、超薄ゲルを利用するキャピラリー電気泳動の使用によって達成され得る。 ポリアクリルアミドゲルにおいて、DNAフラグメントを長さの関数としてふるい分けそして移動させ、この方法は、現在、CEに適用されている。 現在、1メートル当たりの顕著なプレート数が、架橋したポリアクリルアミドを用いて、達成されている(10 -7プレート/1メートル、Cohenら、Pr
    oc. Natl. Acad. Sci. 、 USA 85:9660、 1
    988)。 記載されるようなこのようなCEカラムは、DNA配列決定のために使用され得る。 Smithら(Smithら、Nuc. Acids. Res
    . 18:4417、1990)は、増大するスループットと並行して多重キャピラリーの使用を示唆している。 同様に、MathiesおよびHuang(M
    athiesおよびHuang、 Nature 359:167, 1992
    )は、キャピラリー電気泳動を導入し、ここで、分離はキャピラリーの並行配列上で基づいて実施され、高スループット配列決定を証明した(Huangら、A
    nal. Chem. 64:967、 1992、 Huangら、Anal
    . Chem. 64:2149、1992)。 平行レーンを電気泳動する理由がないため、スラブゲルを使用する理由がない。 それ故に、電気泳動分離法のためにチューブゲル形式が使用され得る。 Grossman(Grossmanら、Genet. Anal. Tech. Appl. 9:9、1992)は、チューブゲル形式がスラブゲル形式の代わりに使用される場合、相当の利点が得られることを示している。 これは、より速い電気泳動時間(50%まで)を生じるスラブゲルに比べて、チューブ形式内のJoule熱をより多く散逸する能力および高分子量DNAフラグメント(1000ntより大きい)のはるかに高い分解能に起因する。 長い読み取りは、遺伝子配列決定において重要である。 それ故に、配列決定における切断可能なタグの使用は、使用者が、最高分解能をも所有する最も効率が良くそして感度の良いDNA分離法を使用することが可能であるという追加の利点を有する。

    【0264】 微小組立デバイスの使用を支持する基本概念は、レーンサイズを約100マイクロメートルに小型化することによって電気泳動における情報密度を増加することができることである。 エレクトロニクス産業は、サイズが1ミクロン未満の外形を有する回路を形成するために、慣用的に、微小組立を使用する。 キャピラリーアレイの電流密度は、キャピラリーチューブの外径に制限される。 チャンネルの微小組立は、より高密度のアレイを製造する。 微小組立はまた、ガラス繊維を用いた物理的組立を不可能とし、そして、チャンネルをチップ上の他のデバイスに直接連結する。 分離技術において、マイクロチップ上に少数のデバイスが構築されている。 ガスクロマトグラフ(Terryら、IEEE Trans. E
    lectron Device、 ED−26:1880、1979)および液体クロマトグラフ(Manzら、Sens. Actuators B1:24
    9、1990)は、シリコンチップ上に組み立てられるが、これらのデバイスは、広く使用されていない。 幾つかのグループが、微小組立デバイス上での蛍光色素およびアミノ酸の分離について報告している(Manzら、J.Chroma
    tography 593:253、1992、Effenhauserら、A
    nal. Chem. 65:2637、1993)。 最近、WoolleyおよびMathies(WoolleyおよびMathies、Proc. Na
    tl. Acad. Sci. 91:11348、1994)は、ガラス基板上において大多数の分離チャンネルを形成するために、写真平板および化学的エッチングが使用され得ることを示している。 このチャンネルは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)分離マトリックスで満たされる。

    【0265】 ハイボトロープ(hybotrope)は、アッセイおよび他の方法に有利に使用され、ここで、タグ化したオリゴヌクレオチドは、相補的または準相補的(
    すなわち、ほとんど、しかし正確にはタグ化したODNと同じ配列ではない)核酸フラグメントにハイブリダイズされる。 ハイボトロープは、例えば、米国特許出願第60/026,621号(1996年9月24日出願);同第08/71
    9,132号(1996年9月24日出願);同第08/933'924号(1
    997年9月23日出願);同第09/002,051号(1997年12月3
    1日出願);およびPCT国際公報第WO98/13527号に、より完全に記載され、これらの全てがその全体において本明細書中で援用される。

    【0266】 △−T mが、ハイボトロープの濃度の関数として変化しないという観察は、ポ リメラーゼ(例えば、ポリメラーゼ鎖反応、米国特許第4,683,195号;
    同第4,683,202号;および同第4,800,159号を参照のこと、サイクリングプローブ技術、NASBA)によるプライマー伸長に基づくDNA、
    RNAまたは核酸の増幅、ライゲーション(LCR、ライゲーション鎖反応)およびRNA増幅(Lizardiら、Bio/Technology 6:11
    97、1988;Kramerら、Nature 339:401、1989;
    Lomeliら、Clin. Chem. 35:1826、1989;米国特許第3,786,600号を参照のこと)における使用のための実質的な有用性を有する。 wt(野生型)およびmt(変異体)30マーオリゴヌクレオチド(
    オリゴヌクレオチド内において30個が連結したヌクレオチド)が0.5M L
    iTCA中での熱融解を基本として区別され得るという観察は、PCRのプライミング効率の実質的な改良の可能性を許容する。 その現在の配置において、PC
    R緩衝液は、特異なプライミングのためではなくむしろポリメラーゼのために最適化される。 すなわち、オリゴヌクレオチドを用いたプライミングの特異性の性能を超えたポリメラーゼの好ましい性能の技術の導入以来、条件が進化している。 従って、現在市販されているPCR緩衝液は、高レベルのストリンジェンシーを有する、PCRプライマーのハイブリダイゼーションを提供または支持しない。

    【0267】 市販されるPCR緩衝液は、野生型(wt)と変異体(mt)の形態の両方における24マーオリゴヌクレオチドの融解挙動に関して、試験される。 あるいは、プライミングは、ハイボトロープ溶液において実施され、そして鎖伸長は、ポリメラーゼを支持する分離緩衝液中にて実施される。 例えば、固相PCRが使用され得、ここで、この固相は2つの溶液を介して移動される。 プライミングは、
    LiTCAまたはTMATCAの幾つかの適切な濃度において生じ、次いで、ポリメラーゼ鎖反応は、ポリメラーゼを含む異なるPCR緩衝液中で起こる。 ハイボトロープをベースとするハイブリダイゼーション溶液中で、増幅の最初の数回のラウンドを行うこと、および標準PCR緩衝液上での残りのラウンドを行うこともまた、可能である(一般に、最初の数回のラウンドのみが特異性において重要である)。

    【0268】 非塩基性の修飾したオリゴヌクレオチドの使用はまた、PCRにおけるプライミングの特異性を増大する(米国特許出願第60/026,621号(1996
    年9月24日出願);同第08/719,132号(1996年9月24日出願);同第08/933,924号(1997年9月23日出願);同第09/0
    02,051号(1997年12月31日出願);およびPCT国際公報第WO
    98/13527号を参照のこと)。 オリゴヌクレオチドに取り込まれた1非塩基性置換は、HCTを2.5℃低下する。 24マーあたり3つの無塩基部位を含む2つのオリゴヌクレオチドプローブは、非置換の対照に比べて8℃のHCT低下を有する。 HCTのこの低下は、PCR反応におけるプライミングの特異性のレベルを劇的に増加する。 これは、PCRの最初の10サイクルの間、偽または誤プライミングの減少に起因する。 すなわち、非塩基性置換オリゴヌクレオチドのエンタルピーは、非置換プライマーに比べて増加し、従って、プライミングの特異性が増大する。 プライマーは、好ましくは、6〜36塩基の長さであり、そして1〜6個の非塩基性部位を含む。 この非塩基性部位は、好ましくは、4、5
    、6、7または8個のヌクレオチドによって分離され、そして、12〜24個までのヌクレオチドによって分離され得る。 この置換はまた、好ましくは、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長の特異性を保証するために、プライマーの3'
    末端においてクラスターが形成される。

    【0269】 さらに、PCRプライマーの非塩基性部位の組み合わせおよびハイボトロープ塩溶液の使用(プライマー二本鎖における高いエンタルピー値を促進する)は、
    プライマー二本鎖の△−HCTを有意に低下する。 上記のように、△−HCTが減少する場合、ストリンジェンシー因子が増加し、そしてポリメラーゼ鎖反応の高区別プライミングが起こり得る。 これらは、多重PCRにおいて必要な条件である。 用語「多重」は、PCR反応における一組より多くのプライマーを使用する能力および多重産物を発生する能力または一組のPCRプライマーあたりの1
    つより多くの標的核酸を使用する能力を意味する。 ハイボトロープテトラメチルアンモニウムトリクロロアセテートの使用は、特に有用である。 というのも、T mにおけるG+C含有量の依存性(安定性)が、無効になるからである。

    【0270】 記載されるハイボトロープ溶液は、PCRにおけるプライミングの特異性を増大するために使用される。 プライミング工程の特異性が改良され得るメカニズムに関して、幾つかの意見がある。 第一には、PCRプライマーのうちの1つが(
    共有結合で)結合する固体支持体の一貫した使用である。 この固体支持体は、多くの形態(例えば、ビーズ、メンブレンなど)をとり得る。 このプライミング工程は、ハイボトロープにおいて起こり得、次いで、この固体支持体は洗浄され得、そして、ポリメラーゼ鎖伸長を支持する溶液中に移行され得る。 次いで、この固体支持体はプライミング反応のためのネストロープ(nesstrope)に戻され、そしてこのサイクルが繰り返される。 2つの溶液の間の固体支持体のサイクリングのみが、標準化されたPCR緩衝液における従来の増幅サイクルが進行され得る時間の後に、制限された回数(1−15サイクル)で起こらなければならない。 あるいは、目的の標的核酸は、プライミング溶液とポリメラーゼ伸長反応溶液との間を、電場を使用して(すなわち、電気泳動)移動される。

    【0271】 ハイボトロープおよび/または非塩基性もしくは非ヌクレオシド性オリゴヌクレオチドプローブの使用は、核酸配列の増幅へのポリメラーゼの等温適用の特異性および効率を増大するために使用され得る。 核酸ポリメラーゼを使用するための等温条件の適用は、核酸配列決定、遺伝形質、突然変異検出、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、変異体検出などを含む。

    【0272】 ハイブリダイゼーション反応における特異性を向上するために使用される別の方法は、A、G、CまたはTヌクレオチドのいずれかを取り替えるために塩基アナログを使用する塩基ミスマッチを作成する。 研究は、そのミスマッチが正確な位置に配置される場合、塩基対ミスマッチを含む幾つかのプライマーが増大した特異性を有することを示した(Wenhamら、Clinical Chemi
    stry 37:241、1991;Newtonら、Nucleic Aci
    ds Research 17:2503、1989;Ishikawaら、h
    uman Immunology 42:315、1995を参照のこと)。 しかし、完全に適正なハイブリッドと導入された単一の塩基ミスマッチを有する同じハイブリッドとの間での融解温度の0.5℃のわずかな差は、同様に一般的である(Tibanyendaら、European Journal of B
    iochemistry 139:19、1984;Werntgesら、nu
    cleic Acids Research 14:3773、1986を参照のこと)。 完全に適正である二本鎖と単一のミスマッチを有する同じ二本鎖との間に観察されるものに比べ、1つの塩基がミスマッチである二本鎖と2つの塩基がミスマッチである二本鎖との間に、一層の良好な特異性が認められている(G
    uoら、Nature Biotechnology 15:331、1997
    を参照のこと)。 Guoらは、20マー二本鎖について、0と1つのミスマッチとの間に4℃の△T m 、そして、1つと2つの隣接するミスマッチとの間に13 ℃の△T mを見出した。 しかしながら、2つのミスマッチを有する場合でさえ、 しばしば、それにも関わらず二本鎖の不安定化が存在する。 この一貫してミスマッチを区別することのできない能力は、PCRにおける特異性の欠如を導く。

    【0273】 少なくとも1つのヌクレオチドアナログを使用する、1回ハイブリダイゼーションあたり1つより多くの塩基対ミスマッチの使用が、評価されてきている(G
    uoら、Nature Biotechnology 15:331、1997
    を参照)。 この場合、このアナログ化合物は、プリンまたはピリミジン塩基の3
    −ニトロピロール置換で構成される。 3−ニトロピロールは、全ての4つの塩基と最小限に水素結合する能力を有する(Nicholsら、Nature 36
    9:492、1994;Bergstormら、Journal of the American Chemical Society 117:1201、
    1995を参照のこと)。 人為的なミスマッチを導入することによって、そのミスマッチがオリゴをハイブリダイズする15マーの中心に位置する場合に生じる最大差と共に、二本鎖融解温度の大きな差は、約5℃〜15℃の範囲で起こる。
    2つのミスマッチ二本鎖を形成する塩基のミスマッチをすでに含む二本鎖に人為的なヌクレオチドが導入される場合、△Tmに有意な差が生じる。 不安定化の度合いは、塩基ミスマッチ(例えば、G/T)の種類と二つのミスマッチの間の分離に依存する。 実験的検討において、塩基アナログヌクレオチドは1〜7塩基から塩基ミスマッチ(15マーの中心に保持される)の3'側までの範囲であった。 3つの異なる塩基のミスマッチした15マーについての△Tmの差は、2℃の安定化(C/Tミスマッチの場合のみ、およびミスマッチが調製される場合)から、3または4塩基ミスマッチ分離にて一貫して生じる最大の不安定化を有する7℃のさらなる不安定化までの範囲であった(Guoら、Nature Bio
    technology 15:331、1997を参照のこと)。

    【0274】 二つの人為的ミスマッチが導入される場合、人為的塩基の近接度(proxi
    mity)が不安定化の程度に大きく影響を与える。 二つの人為的ミスマッチは、6bpの分離を用いて開始する21マー二本鎖の中央に位置される。 完全に適正な二本鎖と比較した場合、不安定性、または△Tmは、最小で12℃である。
    二つの人為的ミスマッチが10塩基対離れている場合、20℃を超える最大の差が生じる。 この差は螺旋の1回転に対応し、そして二本鎖の安定性を低下する二つの人為的塩基の間で幾つかの種類の相互作用が生じることを示す。

    【0275】 実験的には、利用されるPCRプライマーが、そのプライマーとDNAサンプルとの間に1つまたは二つの人為的ミスマッチを含む場合、そのPCRは、完全に適正なプライマーにおいて期待されるような結果を与える(Guoら、Nat
    ure Biotechnology 15:331、1997を参照のこと)
    。 しかし、プライマーが真の(true)および人為的なミスマッチの両方を含む場合、PCRは、いかなる測定可能な結果を生じなかった。 一方で、完全にミスマッチなおよび真のミスマッチを有するPCRは全て、測定可能な量のPCR
    産物を生成した。 この同じ研究は、ハイブリダイゼーションプローブ:完全なマッチ、真のミスマッチおよびアニールされた人為的ミスマッチを有するものを使用する場合、同様な結果を見出し、一方で、人為的および真のミスマッチを含むプローブは、見出さなかった。 これらの研究は、天然に存在するミスマッチが生じる場合のように、人為的塩基ミスマッチがハイブリダイゼーション反応に組み込まれる場合、より大きな特異性が形成され、それらは完全に適合したハイブリダイゼーション反応に比べ熱力学的に不安定であり、従って、アッセイまたはP
    CRにおいてあまり偽陽性を生じない傾向がある。 しかし、興味深いことに、人為的なミスマッチのみを含む二本鎖について上記した熱力学的安定性の差は、実験的状況においては、顕著ではない。

    【0276】 ハイブリダイゼーションの区別に影響を与えるさらなる方法は、ニックおよびおよびギャップを含むハイブリダイゼーション二本鎖の間の安定性の違いによるものである。 これらの反応において、二本鎖は、連続的に配列するかまたは数個の塩基対ギャップを不連続的に残す長鎖にハイブリダイズし、タンデムに積み重ねられた短いオリゴマーから形成される。 ニックを生じるハイブリダイゼーションを、スタッキングハイブリダイゼーションに供し、ここで、別のDNA鎖がニック部位を横切ってハイブリダイズする。 ギャップが不連続的オリゴマーにおいて存在する場合、スタッキングハイブリダイゼーションは起こらない。 このスタッキングは、減少した解離速度によって証明されるような差を増大する効果および不連続的な対に比べて大きい熱力学的安定性を有する(Laneら、Nucl
    eic Acids Res. 25:611、1997を参照のこと)。 熱力学的測定は、ハイブリダイゼーションスタックした二本鎖とギャップ化した二本鎖との間の標準自由エネルギー変化(△G)の差は、1.4〜2.4kcal/m
    olであることを示す。 それ故に、ハイブリダイゼーションの区別は、複数の短いプローブの使用を介して与えられ得る。

    【0277】 現在の使用における塩基模倣体のほとんどは、普遍的な塩基の追求の結果である。 多数の者が、ニトロアゾール塩基アナログを利用し、そして塩基対の区別の減少について証明した。 一連のニトロアゾール核酸塩基アナログは、より有効な普遍的塩基の開発のために、塩基対の電子構造および複素環式サイズの有意性にさらなる見識を得ようとする試みで、研究されてきている(Bergstrom
    ら、Nucleic Acids Res. 25:1935、1997を参照のこと)。 本研究において、3−ニトロピロール、4−ニトロピラゾール、4−
    ニトロイミダゾール、および5−ニトロインドールのデオキシリボ核酸の熱力学特性が測定された。 比較のために、ヒポキサンチンのデオキシリボ核酸およびピラゾール、ならびに非塩基性スペーサー、1,2−ジデオキシリボースについても熱力学的測定が行われた。 各々の4つの天然の塩基が塩基模倣体と反対側に配置される二本鎖を得るために、各々の修飾したヌクレオシドについて4つのオリゴヌクレオチドが合成された。 分析された塩基模倣体の全ては、5−ニトロインドールの場合の35−46℃から、分析される他のニトロアゾール塩基の場合の18−29℃までの範囲のT mを有する、天然の中性塩基対(A+T:T m =65
    . 7℃、C+G:T m =70.5℃)に比べかなり不安定であることが証明され た。 唯一の例外は、T mが40.9℃であるdGTPと対である4−ニトロイミ ダゾールである。 二本鎖融解における自由エネルギーの分析において、3−ニトロピロール塩基模倣体は、0.4kcal/molの全△Gを有する天然に存在する4つの塩基のいずれかと対になる場合、最小の区別を有することが見出された。 0.8kcal/molの△Gを有する5−ニトロインドールが、次に小さい区別を有する。 両方のこれらの値は、天然の塩基対のA+TとG+Cとの間に見出される1.1 kcal/molの△G未満である。 4−ニトロピラゾールは、C、G、およびT自由エネルギーよりも安定な△G(1 kcal/mol
    )を有するAとの対においてわずかな優先を示した。 最終的に、4−ニトロイミダゾールは、イミダゾールN3のデオキシグアノシンN1と水素結合する能力に起因して、Gとの対形成のための高い選択性(その高いT m値によって明らかに されるように)を示した。 しかし、上記の値は模倣体に最も隣接する塩基に依存することに留意すべきである。 さらなる研究は、最も近い隣接物を変化させ、そして3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドールは、全く区別しない塩基対形成のパートナーであることが見出された。

    【0278】 興味深いことに、利用される塩基模倣体が△Sと△Hとの間の補正が塩基の会合の様式に非依存的であることを意味するにも関わらず、エンタルピーおよびエントロピー変化は、お互いに追跡する(すなわち、大きなエンタルピー変化は大きなエントロピー変化に関連する)ことが見出された。 観察されたことは、小さなエンタルピーおよびエントロピー変化が非水素結合塩基模倣物内に見出されることであった。 エントロピー変化の低い値は、水素結合相互作用によって二本鎖内にロックされない塩基について可能な移動のより大きな自由度を反映する。 小さなエンタルピー変化は、塩基模倣物の反対側の塩基における水素結合相互作用の損失の結果として、水素結合相互作用の変化を反映する。 次いで、天然の塩基が、相対する水素結合パートナーなしにヘリックス内にスタックされたままである場合、新しいドナー/アクセプターパートナーを取り戻すことなく、水との水素結合相互作用を失った。

    【0279】 同様の研究が、カルボキサミドまたはニトロ置換複素環式塩基を有する非環式ヌクレオシドアナログの試験を含む(Aerschotら、Nucleic A
    cids Res. 23:4363、1995を参照のこと)。 非環式ヌクレオシドの利用は、構築物に、良好な塩基スタッキングを可能にし、および塩基模倣物が対応する塩基との最良の塩基対への配列を得ることを可能にするのに十分な融通性を与える。 試験される複素環式塩基は、4,5−イミダゾールジカルボキサミド、4−ニトロイミダゾール、および5−ニトロインダゾールを含む。 これらの複合体は、非環式ヒポキサンチン、1−(2(−デオキシ−(−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、および2(−デオキシイノシンに対して参照される。全ての新規の非環式複合体は、天然の塩基について観察される融解温度より低い融解温度7−20℃を有する。4つの天然の塩基のそれぞれに対して対形成される場合、5−ニトロインダゾールは2.2℃
    のみのT mの最小の広がりを有し、一方で、4−ニトロイミダゾールは、上で同 様に観察されるように他の3つの塩基と有意にも一致していないdGと共に8.
    0℃の広がりを有した。 参照化合物において、デオキシイノシンは5.6℃の△
    mを有し、5−ニトロインドールの△T mは1.0℃であり、1−(2−デオキシ−(−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロールは5.1℃の△T mを有し 、非環式ヒポキサンチンの△T mは4.8℃であった。しかし、7.0℃および 8.9℃の△T mをそれぞれ有する4−ニトロイミダゾールおよび非環式デオキ シイノシンを例外として、ほとんど排他的にアデノシンから構成されるオリゴ内に配置される場合、全ての塩基模倣体は、ほぼ同じ不安定化(△T m 4−5℃) を示した。

    【0280】 Aerschotおよび共同研究者らはまた、オリゴへの多重塩基模倣体の組み込みの影響について試験した(Aerschotら、Nucleic Aci
    ds Res. 23:4363、1995を参照のこと)。 概して、融解温度は低下するが、3つの塩基模倣体の組み込みの場合最も著しい。 しかし、ニトロインドールは、最小量の温度差を示した。

    【0281】 別の塩基模倣体、1−(2(−デオキシ−(−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド(ヌクレオシド1)は、優先的にdAおよびdCヌクレオシドを模倣する(Johnsonら、Nucleic Acids Res
    . 25:559、1997を参照のこと)。 dAとdCの両方を置換するための能力は、カルボキサミド/イミダゾール結合およびイミダゾールとフラノース環との間の結合の周りの回転から生じる。 イミダゾールがフラノースに対してアンチであり、そしてカルボキサミド基がイミダゾールに対してアンチである場合、酸素上の不対電子および1つのアミドNH水素は、アデノシンのNH 2および N−1を模倣する位置にある。 シン方向へのグリコシド結合の周りのイミダゾール回転は、チトシンのNH 2およびN−3の位置にほとんど適合する位置にアミ ド基を配置する。

    【0282】 ヌクレオチド1が任意の天然に存在するヌクレオシドで置換される場合、エンタルピーは1−C対形成におけるdG置換にて最大の増加と共に増加する(G/
    C対形成の場合、△H=74.7(kcal/mol)/△G=−16.5(k
    cal/mol)から△H=−45.5(kcal/mol)/△G=−5.8
    (kcal/mol)まで)。 dA置換の場合、最小のエンタルピー変化を生じる(A/T対形成の場合の△H=−72.9(kcal/mol)/△G=−1
    5.4(kcal/mol)から1−T対形成の場合の△H=−66.7(kc
    al/mol)/△G=−11.7(kcal/mol)まで)。 それに対応して、T mは、A−TおよびC−G組の場合、65.7℃および70.5℃からそ れぞれ、1−T対形成の場合は46.6℃まで、1−Gの場合は43.4℃まで、1−Aの場合27.6℃まで、そして1−Cの場合14.6℃まで顕著に減少する。

    【0283】 PCR反応において使用される場合、ヌクレオシド1およびそのN−プロピル誘導体は、優先的にdATPアナログとして組み込まれる(Salaら、Nuc
    leic Acids Res. 24:3302、1996を参照のこと)。
    しかし、一旦DNA鋳型に挿入されると、それらの曖昧な水素結合ポテンシャルが、1増幅あたりの1塩基あたり3×10−2の周波数に任意の天然に存在する塩基の誤挿入を誘発する。 置換のほとんど(主にGから構成される)は、鋳型の一部である場合、カルボキサミド結合の周りの回転の結果であった。 置換の11
    −15%の間は、グリコシド結合の周りのイミダゾール部位の回転に起因した。
    DNA鋳型の部分として、N−プロピル誘導体は、そのプロピル部位にもかかわらず、1と同じ方法で挙動した。 本研究は、1がdATPとして優先的に挙動する一方で、PCR型の環境において、さらに全ての4つの天然に存在するヌクレオチドと同様に挙動する能力を有することを示す。 本研究および上記の研究から、広い範囲の二本鎖の安定性が、オリゴヌクレオチド内の塩基模倣体およびそれらの配置における改変を介して得られ得ることが明らかである。

    【0284】 本発明の1局面内において、核酸分子もしくはフラグメントの同一性を決定するための(または選択した核酸分子もしくはフラグメントの存在を検出するための)方法が提供され、この方法は、(a)1つまたはそれ以上の選択された標的核酸分子からタグ核酸分子を発生する工程(ここで、タグは、特定の核酸分子と相関性があり、そして非蛍光分光法または電位差測定によって検出可能である)
    、(b)タグ化分子をサイズで分離する工程、(c)タグ化分子からタグを切断する工程、および(d)非蛍光分光法または電位差測定によってタグを検出する工程、およびそれらから核酸分子の同一性を決定する工程、を包含する。

    【0285】 本発明の関連した局面内において、選択した核酸分子を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)相補的で選択した標的核酸配列へのタグ化核酸プローブのハイブリダイゼーションを可能にするために十分な条件下および時間で、タグ核酸プローブと標的核酸分子を組み合わせる工程(ここで、タグ化核酸プローブは、非蛍光分光法または電位差測定によって検出可能である)、(b)ハイブリダイズされたタグ化プローブ、ハイブリダイズされないプローブもしくは標的分子、またはそのプローブ:標的ハイブリッドのサイズを変化させる工程、
    (c)タグ化プローブをサイズによって分離する工程、(d)タグ化プローブからタグを切断する工程、ならびに(e)非蛍光分光法または電位差測定によってタグを検出する工程、および、それらから選択した核酸分子を検出する工程、を包含する。 これら、すなわち、他の関連した技術は以下でより詳細に議論される。

    【0286】 2. (PCR) PCRは、数億年の歳月の任意の起源(ウィルス、細菌、植物またはヒト)の所望のDNA配列を、ほんの数時間で増幅し得る。 PCRは、特に有益である。
    というのも、この反応は、高度に特異的で、容易に自動化され、そして微量のサンプルを増幅し得るからである。 これらの理由のために、PCRは、臨床医学、
    遺伝子病診断、法科学および進化生物学に重要な影響を及ぼす。

    【0287】 簡潔に述べると、PCRは、特定化されたポリメラーゼに基づくプロセスであり、これは、標的配列に隣接する4DNA塩基および2DNAフラグメント(プライマー、各々が約20塩基長)を含む混合物中の所定のDNA鎖に対して相補的な鎖を合成し得る。 この混合物は加熱されて、標的配列を含む二本鎖DNAの鎖に分離し、次いで冷却され、(1)そのプライマーが分離された鎖上のそれらの相補的な配列を見出しそして結合し、そして(2)ポリメラーゼが新しい相補鎖内でプライマーを伸長することを可能にする。 各々の新しい二本鎖が分離してさらなる合成のための2つの鋳型になるため、繰り返された加熱および冷却のサイクルは、標的DNAを指数関数的に増幅する。 約1時間内で、20PCRサイクルは、標的を100万倍増幅し得る。

    【0288】 本発明の1実施態様において、核酸分子の同一性を決定するための、または例えば、生物学的サンプル内の選択された核酸分子を、PCRの技術を利用して検出するための方法が提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、PCRの間、一連のタグ化核酸フラグメントまたは分子を生成させる工程、および得られるフラグメントをサイズによって分離する工程を包含する。 サイズ分離工程は、
    本明細書中で記載した技術のいずれか(例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCを含む)を利用して達成され得る。 次いで、このタグは、分離したフラグメントから切断され、そしてそれぞれの検出技術によって検出される。 各々の技術の例は、本明細書中に記載され、そして、例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流測定またはUV分光法を含む。

    【0289】 3. (RNAフィンガープリンティングおよびディファレンシャルディスプレイ) 鋳型がRNAである場合、フィンガープリンティングの第一工程は、逆転写である。 LiangおよびPardee(Science 257:967、19
    92)は、5'末端(例えば、オリゴ5'−(dT 11 )CA−3')にて二個の塩基の「アンカー」を用いた以外は、オリゴ(dT)に基づく逆転写のためのプライマーを使用した、RNAフィンガープリンティングプロトコルについて記載した最初の人である。 プライミングは、主にポリ(rA)テイルの5'末端にて、および、主に、12個のポリアデニル化RNAのうちの1個を接近させる選択性を用いて5'UpG−ポリ(rA)−3'を終わらす配列にて起こる。 逆転写および変性の後、任意のプライミングが、cDNAの得られる最初の鎖上で達成される。 現在、PCRは、プライマーを最良に適合し、そしてmRNAの3'末端およびポリアデニル化した不均一RNAから誘導される産物のフィンガープリントを発生するために使用され得る。 この手順は、「ディファレンシャルディスプレイ」と命名されている。

    【0290】 あるいは、任意のプライマーは、逆転写の第一工程、すなわち、プライマーの3'末端と適合する6−8塩基を有するRNAへの内部領域を選択する工程、にて使用され得る。 この後に、同じかまたは異なる任意のプライマーを有するcD
    NAの得られる第一鎖の任意のプライミングを行い、続いてPCRを行う。 この特定の手順は、RNA内の任意の箇所をサンプリングし、これはオープンリーディングフレームを含む(Welshら、Nuc.Acid.Res.20:49
    65、1992)。 さらに、ポリアデニル化されていないRNA(例えば、多くの細菌性RNA)上で、使用され得る。 任意にプライム化されたPCRによるR
    NAフィンガープリンティングのこの改変は、RAP−PCRと呼ばれている。

    【0291】 RNAの任意のプライム化したPCRフィンガープリンティングが、細胞、組織あるいは異なる実験的処置に供されるかまたは異なる発達的な歴史を有する他の生物学的材料から誘導されたサンプル上で実施される場合、サンプル間の遺伝子発現の違いが検出され得る。 各反応において、同数の有効なPCR倍加現象が発生し、そしてcDNA産物の初期濃度の任意の違いが最終フィンガープリンティング中における強度比として維持されることが仮定される。 ゲル上の単一レーン内のバンド強度(これらは適合とアバンダンスとの関数である)の間に有意な相関は存在しない。 しかし、レーン間の比は、各サンプリングしたRNAについて維持され、差次的に発現したRNAが検出され得る。 サンプル間の出発物質の比は、サイクル数がPCR反応を飽和するために十分である場合でさえ、維持される。 これは、飽和に到達するに必要とされる倍加(doubling)の数が、ほぼ完全に、フィンガープリントの主要部を構成する不変産物により制御されているからである。 これに関して、PCRフィンガープリンティングは、単一産物の従来のPCRとは異なり、サンプル間の出発物質の比は、産物が増幅の対数期にてサンプリングされない限り、維持されない。

    【0292】 本発明の1実施態様において、核酸分子の同一性を決定するための、またはR
    NAフィンガープリンティングの技術を用いて、選択する核酸分子(例えば、生物学的サンプル内の)を検出するための方法が提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、一般に、一連のタグ化した核酸フラグメントを生成する工程を含む。 次いで、PCRまたは同様の増幅スキームによって生成したフラグメントはサイズにより連続的に分離される。 例えば、このサイズ分離工程は、本明細書中で記載される技術のいずれかであり得、例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCを含む。 次いで、このタグは分離したフラグメントから切断され、次いで、このタグは、それぞれの検出技術によって検出される。 適切な技術の代表例として、質量分析法、赤外分光法、定電圧電流計またはUV分光法が挙げられる。 相対的な量の任意の与えられた核酸フラグメントは、重要ではないが、そのバンドのサイズは、コントロールサンプルを基準にした場合、情報となり得る。

    【0293】 4. (蛍光をベースにしたPCR一本鎖コンフォメーション多型(PCR−S
    SCP)) RFLPアプローチに加えて多数の方法が、塩基置換多型を分析する場合に有効である。 Oritaらは、変性したDNAのコンフォメーションの違いを基本とするこれらの多型を分析する方法を考案した。 簡潔に述べると、制限酵素消化またはPCRは、次いで変性されそして非変性ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動することによって解析される、相対的に小さいDNAフラグメントを生成するために使用される。 塩基置換から得られる1本鎖DNAフラグメント内のコンフォメーションの違いは、電気泳動易動度シフトによって検出される。 鎖内塩基対は、高度に配列特異的でそして電気泳動易動度において特有である一本鎖コンフォメーションを生成する。 しかし、従来のSSCPを使用する異なる研究における検出速度は、35%〜ほとんど100%の範囲であり、最高の検出速度は、
    最もしばしば幾つかの異なる条件を必要とする。 原則として、この方法はまた、
    短い挿入または欠損に基づく多型を分析するために使用され得る。 この方法は、
    DNA中の点変異および欠損を同定するための最も有力なツールの一つである(
    SSCP−PCR、Deanら、Cell 61:863、1990)。

    【0294】 本発明の1実施態様において、核酸分子の同一性を決定するための、またはP
    CR−SSPの技術を利用して、選択する核酸分子(例えば、生物学的サンプル)を検出するための方法が、提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、
    一般に、一連のタグ化核酸フラグメントを生成するための工程を含む。 次いで、
    PCRによって発生したフラグメントは、サイズによって分離される。 好ましくは、このサイズ分離工程は、非変性性であり、そして、この核酸フラグメントは、分離方法論の前に変性される。 このサイズ分離工程(例えば、ゲル電気泳動(
    例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくは、HPLC)が達成され得る。 次いで、このタグは、分離されてフラグメントから切断され、次いで、このタグは、それぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV分光法)によって検出される。

    【0295】 5. (ジデオキシフィンガープリンティング(ddF)) 遡及的なおよび見込みのある様式で試験される場合、ヒト第IX因子遺伝子における100%の単一塩基変化を検出した別の方法が記載されてきた(ddF、
    Sarkarら、Genomics 13:441、1992)。 全体において、ゲノムDNAが血友病Bを有する患者から分析される場合、84個の異なる配列変化のうち84が検出された。

    【0296】 簡潔に述べると、遺伝子分類または他の目的のためのタグの適用において、使用され得る一つの方法がジデオキシ−フィンガープリンティングである。 この方法は、Sanger配列決定反応におけるジデオキシターミネーターを利用する。 この方法の原理は以下の通りである:配列決定されるべき標的核酸が、標的核酸において変異されることが公知である塩基に相補的であるジデオキシ−ターミネーターを有する反応に配置される。 例えば、変異がA→G変化を生じる場合、
    その反応はCジデオキシ−ターミネーター反応において行われる。 PCRプライマーは、目的の標的配列を位置づけし、そして増幅するために使用される。 仮定上の標的配列がA→G変化を含む場合、配列の集団のサイズは、増幅された配列のジデオキシ−ターミネーターの組み込みに起因して変化される。 タグのこの特定の適用において、フラグメントは、変異の場合の予測可能なサイズを有するフラグメントが発生される。 このタグはPCRプライマーの5'末端に結合され、
    そして、サンプル型およびジデオキシ−ターミネーター型で「マップ」を提供する。 PCR増幅反応が起こり、得られるフラグメントが、例えばHPLCまたはPAGEによってサイズで分離される。 分離手順の終わりにて、DNAフラグメントが時間基準枠内で回収され、タグが切断され、そして変異の存在または非存在が与えられたジデオキシ−ターミネーターの組み込みによる完成前鎖ターミネーターに起因する鎖長によって決定される。

    【0297】 ddfが、ジデオキシ−ターミネーションセグメントの利得または損失およびまたはターミネーションセグメントもしくは産物の少なくとも一つの移動度のシフトを生じることをに留意することは重要である。 それ故に、この方法において、高いバックグラウンドの他の分子量フラグメントの1フラグメントの移動度のシフトについての探索が行われる。 一つの利点は、与えられた変異と関連したフラグメントの長さの先見である。

    【0298】 本発明の1実施態様において、核酸分子の同一性を決定するための、またはd
    dFの技術を利用して、選択する核酸分子(例えば、生物学的サンプルにおける)を検出するための、方法が提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、
    一般に、一連のタグ化された核酸フラグメントを発生する(後にサイズに基づく分離が続く)、工程を含む。 好ましくは、サイズ分離工程は、非変性的であり、
    そして、核酸フラグメントが分離方法論の前に変性される。 サイズ分離工程(例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLC)が達成され得る。 次いで、タグが分離されたフラグメントから切断され、次いで、このタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV分光法)によって検出される。

    【0299】 6. (制限マップおよびRFLP) 制限エンドヌクレアーゼは、短いDNA配列を認識し、そしてそれらの特定部位にてDNA分子を切断する。 幾つかの制限酵素(まれなカッター)は、DNA
    を非常に頻繁に切断し、少数の非常に大きいフラグメントを発生する(百万bp
    に対して数千)。 ほとんどの酵素は、DNAをより頻繁に切断し、従って、大多数の小さいフラグメントを発生する(数千bpに対して百未満)。 平均すると、
    4−塩基認識部位を有する制限酵素は、256塩基長の断片を生成し、6−塩基認識部位は、4000塩基長の断片を生成し、そして、8−塩基認識部位は、6
    4,000塩基長の断片を生成する。 数百の異なる制限酵素が特徴付けられるため、DNAは多くの小フラグメントに切断され得る。

    【0300】 広範な種類の技術が、DNA多型性の分析のために発展してきている。 最も広く使用された方法、すなわち、制限フラグメント長多型性(RFPL)アプローチは、制限酵素消化、ゲル電気泳動、メンブレンへのブロッティングおよびクローン化したDNAプローブへのハイブリダイゼーションを組み合わせる。 多型性は、ブロット上のタグ化されたフラグメントの長さの改変体として検出される。
    RFLPアプローチは、配列変化が制限酵素部位内で減少する場合、塩基置換を分析するために使用され得るか、または繰り返し単位を外側で切断する制限酵素を選択することによってミニサテライト/VNTRを分析するために使用され得る。 アガロースゲルは、通常、単一の繰り返し単位によって異なるミニサテライト/VNTR対立遺伝子を区別するために必要な解析を与えないが、多くのミニサテライト/VNTRは、高度に有益なマーカーがより一層得られ得るほど変化し得る。

    【0301】 本発明の1実施態様において、核酸分子の同一性を決定するための、または制限マッピングの技術またはRFLPを利用して、選択する核酸分子(例えば、生物学的サンプル内の)を検出するための方法が提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、一般に、一連のタグ化核酸フラグメント(発生したフラグメントが制限酵素で消化される)を発生する工程を含む。 このタグ化フラグメントは、消化された標的核酸でタグ化プローブのハイブリダイゼーション工程を行うことによって発生される。 ハイブリダイゼーション工程は、制限酵素消化の前または後に起こり得る。 次いで、得られる消化された核酸フラグメントは、サイズによって分離される。 このサイズ分離工程(例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLC)が、達成され得る。
    次いで、タグは、分離されたフラグメントから切断され、そして次いで、このタグをそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV分光法)によって検出される。

    【0302】 7. (DNAフィンガープリンティング) DNAフィンガープリンティングは、特定のDNAサンプル由来の1組のDN
    Aフラグメントの表示を含む。 種々のDNAフィンガープリンティング技術は、
    現在、有用である(Jeffreyら、Nature 314:67−73、1
    985;Zabeau および Vos、1992);「選択的制限フラグメント増幅:DNAフィンガープリンティングのための一般的方法」欧州特許出願第92402629.7号、;Vosら、「DNA FINGERPRINTIN
    G:DNAフィンガープリンティングの新技術」Nucl. Acids Res
    . 23:4407−4414、1996;Bates、S. R. E. 、Kno
    rr、D. A. 、Weller、J. W. 、およびZiegle, J. S. 、
    「自動分子マーカー補足のための機器および分析」14章、239−255頁、
    The Impact of Plant Molecular Geneti
    cs、B. W. S. Sobral編集、Birkhauser出版、1996。

    【0303】 従って、本発明の1実施態様は、核酸分子の同一性を決定するための、またはDNAフィンガープリンティングの技術を利用して、選択する核酸分子(例えば、生物学的サンプル内の)を検出するための方法が提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、一般に、一連のタグ化核酸フラグメントを発生する工程を含み、続いて、サイズによるフラグメントの分離を含む。 このサイズ分離工程(
    例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLC)が、達成され得る。 次いで、タグは、分離されたフラグメントから切断され、そして次いで、このタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV分光法)によって検出される。

    【0304】 簡潔に述べると、DNAフィンガープリンティングは、ゲノムDNAの完全な消化由来の制限フラグメントの選択的PCR増幅に基づく。 この技術は、以下の三工程を包含する:1)DNAフラグメントの制限およびその後のオリゴヌクレオチドアダプターのライゲーション、2)数組の制限フラグメントの選択的増幅、3)増幅されたフラグメントのゲル分析、を含む。 制限フラグメントのPCR
    増幅は、プライマーアニーリングのためのタグ部位としてアダプターおよび制限部位配列を使用することによって達成される。 この選択的増幅は、制限フラグメント内で伸長するプライマーの使用によって、達成され、それらのフラグメントのみを増幅し、ここでプライマー伸長剤は、制限部位の側面に位置するヌクレオチドと適合する。

    【0305】 それ故に、この方法は、ヌクレオチド配列の先行知識なしで種々の方法(すなわち、PAGE、HPLC、または他の種類の分光法)によって、視覚化され得る数組の制限フラグメントを生成する。 この方法はまた、大多数の制限フラグメントの同時増幅(co−amplification)を可能にする。 しかし、
    多数のフラグメントは、検出システムの分解能に依存する。 代表的には、50−
    100制限フラグメントが増幅され、そして変性するポリアクリルアミドゲル上で検出される。 本明細書中で記載される適用において、分離はHPLCによって実行される。

    【0306】 DNAフィンガープリンティング技術は、PCRを使用する数組のゲノム制限フラグメントの増幅に基づいている。 増幅反応のための鋳型DNAを発生させるために、DNAは、制限酵素および二本鎖アダプターで切断され、そして、DN
    Aフラグメントの末端にライゲーションされる。 ライゲートされたアダプターの配列および隣接する制限酵素(部位)は、PCRをベースとする増幅のためのプライマーのDNAフィンガープリンティングのための結合部位として役立つ。 選択的なヌクレオチドは、従って、制限部位の部分集合からDNA合成のみを初回刺激するPCRプライマーの3'末端にて含まれる。 制限酵素(ここで、制限部 位の側面に位置するヌクレオチドは、選択的ヌクレオチドを適合し得る)のみが、増幅される。

    【0307】 DNAフィンガープリンティングプロセスは、個々の生物において特徴的であり、かつ再現性のある異なるフラグメント長の「フィンガープリント」パターンを生成する。 これらのフィンガープリントは、同質遺伝子型に近い株を含み、より一層非常に密接に関連した生物体を区別するために使用され得る。 フラグメント長の違いは、制限部位もしくはプライマー伸長部位内の塩基の変化、またはD
    NAフラグメント本体における挿入もしくは欠失にさかのぼり得る。

    【0308】 標的ゲノムの配列知識の依存は、制限フラグメントにライゲートされる公知の配列のアダプターの使用によって排除される。 PCRプライマーは、アダプターおよび制限部位の公知の配列にとって特異的である。 遺伝フィンガープリンティングプロセスの工程は、以下に記載される。

    【0309】 1)制限およびライゲーション。 遺伝DNAの制限フラグメントは、二つの異なる制限酵素:レアカッター(6塩基認識酵素EcoRI)およびフリークエントカッター(4塩基認識酵素MseI)を使用することによって、発生される。
    3つの異なる種類のフラグメントが生成される:EcoRIを有するものは両末端にて切断し、MseIを有するものは両末端にて切断し、そして、EcoRI
    を有するものは一方の末端にて切断し、そしてMseIを有するものは他方の末端にて切断する。 次いで、二本鎖アダプターは、増幅のための鋳型DNAを発生する、DNAフラグメントの粘着性末端にライゲートされる。 このアダプターは、EcoRI部位またはMseI部位のいずれかにおいて特異的である。 制限およびライゲーションは、単純反応において起こる。 アダプターの制限されたDN
    Aへのライゲーションは、第二の制限が、ライゲーションが生じた後に起こることを防ぐために制限部位を変化する。

    【0310】 2)予備選択的増幅。 アダプターおよび制限部位の配列は、「予備選択的PC
    R増幅」のためのプライマー結合部位として役立つ。 この予備選択的プライマーは、それぞれ、制限部位由来の適合するヌクレオチド下流を有する制限フラグメントの部分集合を認識する「選択的」ヌクレオチドを有する。 予備選択的PCR
    の主な産物は、MseI切断およびEcoRI切断、そして適合する内部ヌクレオチドを有するそれらのフラグメントである。 この予備選択的増幅は、複雑なフラグメント混合物の16倍の削減を達成する。

    【0311】 3)CMSTラベル化プライマーを用いる選択的増幅。 複雑なPCR生成混合物は、さらに、削減され(256倍)、そしてフラグメントは、CMSTで標識化された選択的プライマーを使用する第二PCRを行うことによって、一組のC
    MSTで標識化される。 この増幅において、64の異なるプライマー対(8個のMseIおよび8個のEcoRIプライマーの全ての可能な組み合わせから得る)の中から選択することが可能である。 各々のこれらのプライマーは、3つの選択的ヌクレオチドを有する。 第一は、予備選択的増幅において使用されるものと同じであり;他は、4個のヌクレオチドの任意の16の可能な組み合わせであり得る。 全ての3つの位置にてヌクレオチドの適合を有するフラグメントの部分集合のみが、増幅におけるこの段階で増幅される。

    【0312】 8. (ゲノタイピングへの切断可能タグの適用と多型現象検出) (a.緒言) 幾つかの公知のヒトDNA多型現象は挿入、欠失または非繰り返し配列の他の再配列に基づくが、大部分は、多数のタンデムな繰り返しにおける単一の塩基置換または変化のいずれかに基づく。 塩基置換は、平均一回につき200−500
    bpで発生するヒトゲノムにおいて非常に豊富である。 タンデムな繰り返しのブロック内の長さの変化はまた、少なくとも数万の散在した多型部位(座とよぶ)
    ゲノムにおいて一般的である。 タンデムな繰り返し多型の繰り返し長は、(dA
    n (dT) n配列内の1bp〜α−サテライトDNA内の少なくとも170bp
    の範囲である。 タンデムな繰り返し多型は、数十塩基対の代表的な繰り返し長および数万の繰り返し単位を有するミニサテライト/変化し得る数のタンデムな繰り返し(VNTR)ならびに6bpまでの繰り返し長および約70bpの最大全長を有するミクロサテライトから構成される二つの主な群に分割され得る。 現在まで同定されたミクロサテライト多型のほとんどが、(dC−dA) nまたは( dG−dT) nジヌクレオチド繰り返し配列に基づいている。 ミクロサテライト 多型の分析は、繰り返しブロックを含むDNAの小さいフラグメントのポリメラーゼ鎖反応(PCR)による増幅、引き続く変性するポリアクリルアミドゲル上での増幅されたDNAの電気泳動を含む。 PCRプライマーは、繰り返しのブロックの側面に位置する特異な配列に対して相補的である。 アガロースゲルというよりむしろポリアクリルアミドゲルは、従来的にミクロサテライトのために使用される。 というのも、対立遺伝子がしばしば単純な繰り返しによってサイズのみにおいて異なるからである。

    【0313】 従って、本発明の1局面内において、選択した生物をゲノタイプするための方法が提供され、この方法は、(a)選択された標的分子からタグ化核酸分子を発生する工程(ここで、タグは、特定の核酸分子と相関性があり、そして非蛍光分光法または電位差測定によって検出可能である)、(b)タグ化分子を連続した長さで分離する工程、(c)タグ化分子からタグを切断する工程、ならびに(d
    )非蛍光分光法または電位差測定によってタグを検出する工程、およびそれから生物ゲノタイプを決定する工程、を包含する。

    【0314】 別の局面内において、選択した生物をゲノタイプするための方法が提供され、
    この方法は、(a)タグ化分子の標的分子へのハイブリダイゼーションを可能にするために十分な条件下および時間で、タグ化核酸分子と選択した標的分子を組み合わせる工程(ここで、タグは、特定のフラグメントと相関性があり、そして非蛍光分光法または電位差測定によって検出可能である)、(b)タグ化フラグメントを連続した長さで分離する工程、(c)タグ化分子からタグを切断する工程、ならびに(d)非蛍光分光法または電位差測定によってタグを検出する工程、および、それらから生物のゲノタイプを検出する工程、を包含する。

    【0315】 (b.切断可能タグのゲノタイピングへの適用) 制限フラグメント長多型(RFPL)を同定するためのPCR手段は、ゲル電気泳動と特異的PCRプライマーに関連したタグの検出とを組み合わせる。 一般に、1つのPCRプライマーは、1つの特異的タグを有する。 従って、このタグは、一組のPCRプライマーを表し、そして従って、予備決定されたDNAフラグメント長を表す。 多型現象は、ゲル中のラベル化したフラグメント長またはゲルからの溶出の変化として検出される。 ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、通常、単純な繰り返し単位によって異なるミニサテライト/VNTR対立遺伝子を区別するために必要な分解能を提供する。 ミニサテライト多型の分析は、繰り返しブロックを含むDNAの小フラグメントのポリメラーゼ鎖反応(PCR)による増幅、続いて、変性するポリアクリルアミドゲル上における増幅されたDNA
    の電気泳動またはHPLCによるDNAフラグメントの分離を含む。 増幅されたDNAは、プライマーの5'末端における切断可能タグを有するプライマーを使用して、ラベル化される。 このプライマーは、鎖伸長によって新しく合成された鎖内に挿入される。 このPCRプライマーは、繰り返しブロックの側面に位置する特異な配列に対して相補的である。 ミニサテライト/VNTR多型はまた、上記のミニサテライトの場合とほとんど同じように、増幅され得る。

    【0316】 多くの種類のDNA配列多型の説明は、ヒトゲノムの構造を理解するための重要な基礎を提供する(Botsteinら、Am. J.Human Gene
    tics 32:314頁、1980;Donis−Keller、Cell 51:319、1987;Weissenbachら、Nature 359:
    794)。 広範な構成リンケージマップの構築は、これらのDNA多型の使用によって促進され、そして、リンケージによる疾患遺伝子の局在化のための実践的方法を提供する。 ミクロサテライトジヌクレオチドマーカーは、変異体を含むことが示されているヒト遺伝子の同定および疾患を誘発する幾つかの例において非常に強力なツールであることが証明されている。 ゲノムジヌクレオチド繰り返しは、高度に多型であり(Weber、1990、Genomic Analys
    is、1巻、159−181頁、Cold Spring Laborator
    y Press、Cold Spring Harbor、NY;Weber およびWong、1993、Hum. Mol. Genetics、2、11
    23頁)、そして24個までの対立遺伝子を有し得る。 ミクロサテライトジヌクレオチド繰り返しは、PCRによって、ジヌクレオチド繰り返しの周囲の特異な領域に対して相補的なプライマーを使用して、増幅され得る。 増幅の後、いくつかの増幅された座は、サイズ分離工程の前に組み合わされる(多重化される(m
    ultiplexed))。 増幅されたミクロサテライトフラグメントをサイズ分離工程に適用するプロセス、ならびに次いで(およびサイズ従って対立遺伝子)を同定するプロセスは、ゲノタイピングとして公知である。 リンケージ分析のための全体のゲノム走査を行うために、高いレベルのマルチプレキシング(mu
    ltiplexing)を可能にする染色体特異マーカーが報告されている(D
    aviesら、1994、Nature、371、130頁)。

    【0317】 タグは、ミクロサテライトを用いてゲノタイピングにおいて大きな効果を与えるために使用され得る。 簡潔に述べると、PCRプライマーは、タグを運ぶために構築され、そして、ジ−、トリ−、またはテトラ−ヌクレオチド繰り返しを増幅するために注意深く選択されたPC反応に使用される。 この増幅産物は、次いで、HPLCまたはPAGEのような方法によってサイズに従って分離される。
    このDNAフラグメントは、次いで、一時の様式で回収され、タグはそれらのそれぞれのDNAフラグメントから切断され、そしてサイズ分離工程における内部基準の比較から長さが推論される。 対立遺伝子同定は、増幅された産物のサイズを参考にして行われる。

    【0318】 ゲノタイプするための切断可能タグ技術を用いて、単純な分離工程において複数のサンプルを組み合わせることが可能である。 これが達成され得る二つの一般方法がある。 高スループットスクリーニングのための第一の一般方法は、個体の大きな群における単一多型の検出である。 このシナリオにおいて、単一または一群のPCRプライマーが使用され、そして、各増幅が1反応あたり1種のDNA
    サンプルを用いて行われる。 分離工程において組み合わされ得るサンプルの数は、1検出技術につき発生され得る切断可能タグの数に比例する(すなわち、質量分析のタグの場合、400〜600)。 それ故に、個体の大きな群内の1〜数個の多型を同時に同定することが可能である。 第二の手段は、単一DNAサンプルにおいて多数の多型を同時に同定し得る(例えば、個体をゲノタイプする)複数組のPCRプライマーを使用することである。 この手段において、PCRプライマーは、長さの異なるPCR産物を発生する単純な増幅反応において組み合わされる。 各々のプライマー対または群は、特異なタグでコードされる各PCRフラグメントを含む特異的切断可能タグによってコードされる。 この反応は、単純な分離工程で行われる(以下を参照)。 分離工程において組み合わされ得るサンプルの数は、1検出技術につき発生され得る切断可能タグの数に比例する(すなわち、質量分析のタグの場合、400〜600)。

    【0319】 ゲノタイピングはまた、農業的サンプルに適用され得る。 例えば、Ampli
    fied Polymorphism Length Polymorphis
    m(AFLP)分析は、生殖質の農業経済学的に意味のあるグループ分けを許容する。 QTL効果の概要は、一貫して、多重の定量的な特性の重要な決定要素であるゲノムの幾つかの領域を明らかにし得る。 AFLPおよびQTL多型の組み合わせは、計画的な交配の予言的に有用であるはずである。 さらに、ゲノムの重要な領域における関連したおよび非関連した生殖質の遺伝体系に関する知識は、
    関連した生殖質における選択応答の基礎の系統的吟味を許容する。 それはまた、
    外来生殖質の系統的遺伝子移入を容易にするはずである。 結局、分子レベルでの生殖質の包括的な説明は、広範囲のQTL情報と組み合わされて、ブリーダーが同時に平均の性能を維持し、そして遺伝の多様性を達成することを可能にするはずである。

    【0320】 一旦、ツールが慣用的な特徴付けおよび遺伝学的資源の使用において有用であると、遺伝学的資源の保護においてより大きな機動力となる。

    【0321】 LanderおよびBotstein(Lander、E.S.、およびD.
    Botstein、「RFLPリンケージマップを用いた定量的特性の根底にあるメンデル因子のマッピング」Genetics 121:185−189、1
    987)は、粒子遺伝(particulate inheritance)のメンデル理論と多くの特性が連続的変化を示すという観察との一致を導く考えの展開を概説した。 分子マーカー技術の発展は、定量的特性の分析を開始するために十分に密なマップの発展を可能にする。 QTL検出のための主な機動力は、適用される繁殖状況において根底にある決定因子を操作することである。 Pate
    rsonら、「植物改良におけるDNAマーカー」Adv. Agron. 46:
    39−90、1991;およびDudley、J. W. 「分子マーカーデータを使用する遺伝的距離エスティメーターの比較」、Proc. Second Pl
    ant Breeding Symposium of the Crop S
    ci. Soc. Amer. およびAmer. Soc. Hort. 、Cor
    vallis、OR、Amer. Soc. Hort. Sci. Alexandr
    ia、VA、1994、各々が、繁殖のためのこれらの技術の潜在的適用の優れた概要を提供した。 例えば、定量的な特性とマップされたマーカーとの組み合わせが、分子マーカー補助選択(MMAS)、または繁殖する個体群の操作に関する決定を下すための、分子マーカー補助選択(MMAS)のための、または外来の生殖質中の消耗の遺伝子の発見のための基礎として、役に立ち得る(Tank
    sleyら、「進歩した戻し交配QTL分析:同時発見および非適応生殖質から精鋭繁殖株への有益なQTLの移動のための方法」Theor. Appl. Ge
    net. 92:191−203、1996)。 特性の範囲のためのQTL(例えば、収率、麦芽製造品質、耐寒性、および疾患耐性)は、多数のオオムギ生殖質源に位置される(Hayesら、「オオムギゲノムマッピングおよびその適用」
    P. P. Jauhar(編集)植物のゲノム分析方法、CRC Press、B
    oca Raton、USA、1996;ならびにHayes,P. M. ら、「
    多重疾患耐性遺伝子座および農学へのそれらの関連ならびに春季オオムギ個体における質遺伝子座」JOTL、1996によって論評される。 http://p
    robe. nalusda. gov:8000/otherdocs/jqtl
    /index. htmを参照のこと)。 これらの報告は、他の作物におけるそれらと同じように、主に記載されている。

    【0322】 これらのQTLの遺伝塩基は、大いなる理論的興味および有意な実用的な重要性を有するにもかかわらず、一般に知られていない。 QTLが、他の対立遺伝子の効果が単純なメンデルの様式で解釈され得る多型部位における対立遺伝子の結果であることが提唱されている。 これがその場合である場合、次いで、QTL対立遺伝子は、追加の方法で、挙動するはずであり、そして、一組の生殖質から別の生殖質へ移転可能であるはずである。 あるいは、複雑な表現型は複雑な経路の最終結果であり得る(Dawkins,R.「拡張した表現型」Oxford University Press、Oxford、UK、1982を参照のこと)。 もしそうである場合、QTLは、定量的表現型において最高に達する複雑な経路を乱す対立遺伝子の効果を表す。 このシナリオにおいて、定量的表現型を変化させることは容易であるが(すなわち、この経路における任意の地点における所望でない対立遺伝子の存在は、経路から脱線するのに十分である)、定量的表現型を達成することは困難である(すなわち、多重の多型部位における所望される対立遺伝子の宿主は、定量的表現型を達成するために必要とされる)。 これがその場合である場合、次いで、非関連生殖質へのQTL対立遺伝子の遺伝子移入は、非常に行き当たりばったりの提案である:基準マッピング個体群に関連しない生殖質は、多型部位において所望されない対立遺伝子を有し、ここで、好ましい対立遺伝子は、基準マッピング個体群に固定された。

    【0323】 制御の複雑性は、研究下の特徴とともに変化するようである。 究極的に、高度に相互作用的である工程である場合、最も複雑な表現型でさえ、最終的に一連の個々に縮小されるはずである。 相対的にわずかなQTLは、複雑な表現型(例えば、収率、麦芽製造品質の成分、および生物的および非生物的ストレスに対する定量的耐性)において検出される(Hayesら、「オオムギゲノムマッピングおよびその適用」P.P.Jauhar(編集)植物のゲノム分析方法:CRC Press、Boca Raton、USA、1996により総説される)。
    幾つかの場合、候補遺伝子が、QTL決定因子:収率の決定因子としての粉砕耐性(Hayesら、1993、上記)、および麦芽抽出物の決定因子としての加水分解酵素(発酵のための基質として有用な量の可溶炭水化物)として提案され得る(Hayes,P.M.1996m、上記を参照のこと)。 オオムギゲノムマッピング:世界の最古の作物の麦芽製造品質への新しい見識。 (例えば、MB
    AA33:223−225を参照)。

    【0324】 他の場合、今のところ、複雑な表現型の決定因子として候補の遺伝子は全く提案され得ない。 例は、縞さび病(stripe rust)に対する定量的成熟植物耐性であり、ここで、耐性QTLは、メンデル遺伝のパターンを示す耐性遺伝子の報告されたマップ位置と一致しない(Hayes,P.M.ら、「多重疾患耐性多型部位および農学へのそれらの関連ならびに春季オオムギ個体における質多型部位」JOTL、1996によって論評される。http://prob
    e. nalusda. gov:8000/otherdocs/jqtl/in
    dex. htmを参照のこと)。

    【0325】 DNAレベルの多型はまた、遺伝多様性の問題を探索するために使用され得る。 遺伝多様性は、家系分析(例えば、Eslick、R.F.ら、「水使用効率のための鍵としての遺伝子操作」Agric.Meteor.14:13−23
    、1974を参照のこと)から形態学的特性(Tolbert,D.M.ら、「
    世界のオオムギ収集の多様性分析」Crop Sci. 19:789−794、
    1979を参照のこと)まで、様々な種類の分子マーカー(Melchinge
    r,A. E. ら「欧州オオムギ生殖質間の関係:I.RFLPによって明らかにされた冬期品種と春期品種間の遺伝多様性」Crop Sci. 34:1191
    −1199、1994;Saghai−Maroof、M. A. ら「栽培されたオオムギにおけるRFLPおよび麦芽製造質品種の評価におけるそれらの適用」
    Hereditas 121:21−29、1994)までに及ぶツールを使用して、多数のオオムギ生殖質配列において測定されている。 分子マーカーは、豊富な、適応的に中性の基準点を提供する観点からみて、特に魅力的である。 分子多型の場合において、データを発生するために必要な時間および財源は、限界を有する。

    【0326】 リンケージマップ構築は、系統的なQTL分析における第一工程である。 マッピング中に使用されるように本明細書中に開示されるCMST技術プラットフォームのようなツールもまた、作用する生殖質プールの価値を低下することなく、
    飼育者に遺伝多様性を拡大させ得る際に有用であるはずである。 現在まで、QT
    L分析の結果を用いた多様性の特徴付けを統合するために十分に有用な情報はない。 このような統合戦略のための鍵は、迅速で、コスト効率が良く、そしてゲノムを介して豊富な多型を提供するマーカー技術である。 本発明は、この鍵を提供する。

    【0327】 (c.変異の酵素的検出およびタグの適用) この特定の適用または方法において、ヘテロ二本鎖における不適合は、与えられる核酸二本鎖における不適合な塩基対の酵素的切断によって検出される。 変異の存在について試験されるべきDNA配列は、特定の組のプライマーを使用してPCRによって増幅され、この増幅された産物は変性され、そして変性した基準フラグメントと混合され、ハイブリダイズ化され、そしてヘテロ二本鎖の形成を生じる。 次いで、不適合が存在する場合、次いで、ヘテロ二本鎖は、二本鎖を認識しそして切断する酵素と処理される。 このような酵素は、ヌクレアーゼS1、
    リョウトウヌクレアーゼ、「レゾルバーゼ」、T4エンドヌクレアーゼIVなどである。 実質的に、インビトロで不適合を認識する任意の酵素が使用され得、そして得られる不適合を切断する。 適切な酵素、DNA二本鎖を用いた処理は、サイズによって、例えば、HPLCまたはPAGEによって分離される。 DNAフラグメントは、一時的に収集される。 タグは、切断され、そして検出される。 変異の存在は、野生型基準フラグメントに対するフラグメントの易動度の変化によって検出される。

    【0328】 (d.オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)へのタグの適用) Landegrenら、(Landegenら、Science 241:4
    87、1988)によって本来記載されるようなオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイは、非常に大きくそして複雑なゲノムにおける配列(公知の)の同定のための有用な技術である。 OLA反応の原理は、リガーゼが、与えられたD
    NA標的上でお互いに隣接してハイブリダイズするので、共有結合で二個の診断オリゴヌクレオチドを結合するための能力に基づく。 プローブ結合部における配列が,完全に塩基対でない場合、このプローブは、リガーゼによっては結合されない。 耐熱性リガーゼが潜在的で単純な塩基対差(「上流」プローブの3'末端にて位置する場合)を区別する能力は、単純な塩基対解析のための機会を提供する(Barony,PNAS USA 88:189,1991)。 タグの適用において、このタグは、増幅された産物にライゲートされるプローブに結合され得る。 OLRを完了した後、このフラグメントは、サイズ、切断されたタグに基づいて分離され、そして質量分析によって検出される。

    【0329】 (e.配列特異的増幅) 変異のまたは正常なオリゴヌクレオチド配列のいずれかに対して相補的な3'
    末端を有するPCRプライマーは、1つまたはその他の対立遺伝子を選択的に増幅するために使用され得る(Newtonら、Nuc.Acids Res.、
    17、2503頁;ら、1989、Genomics、5、535頁;Okay
    amaら、1989、J. Lab. Clin. Med. 、114、105頁;S
    ommerら,1989,Mayo Clin. Proc. 、64、1361;
    Wuら、PNAS USA、86、2757頁)。 通常、PCR産物は、PAG
    Eによる増幅後に視覚化されるが、配列特異増幅の原理は固体相型式に適用され得る。

    【0330】 (f.幾つかの増幅に基づくアッセイへのタグの適用) ウィルスのゲノタイピング:タグの1適用は、タグ化したプローブとのハイブリダイゼーションによるウィルスのゲノタイピングまたは同定である。 例えば、
    F+RNA大腸菌ファージが、腸管ウィルス汚染のための指標としての有用な候補であり得る。 核酸ハイブリダイゼーション方法によるゲノタイピングは、確実で、迅速で、単純で、そして安価な、セロタイピングの代替である(Kafat
    osら、Nucleic Acids Res. 7:1541、1979)。 増幅技術および核酸ハイブリダーゼーション技術は、E. coliを含む種々の微生物を分類するために、首尾良く使用される(Feng, Mol.Cell Probes 7:151、1993)。 本発明を利用して検出され得るウィルスの代表的な実施例は、ロタウィルス(Sethabutrら、J.Med V
    irol. 37:192、1992)、C型肝炎ウィルスのような肝炎ウィルス(Stuyverら、J.Gen Virol.74:1093、1993)、
    ヘルペス単式ウィルス(Matsumotoら、J.Virol.Method
    s40:119、1992)を含む。

    【0331】 癌における変異分析の予後の適用:遺伝代替物は、種々の実験的哺乳動物およびヒト新生物において記載され、そして発ガンにおいて観察される形態学的代替物の配列のための形態学的基礎を表す(Vogelsteinら、NEJM 3
    19:525、1988)。 最近では、分子生物学技術の到来と共に、特定の染色体上での対立遺伝子の損失または腫瘍抑制遺伝子の変異ならびに幾つかのオンコジーンの変異(例えば、c−myc、c−jun、およびras癌遺伝子系統群)が、最も研究された実体(entitles)である。 以前の研究(Fin
    kelsteinら、Arch Surg. 128:526、1993)は、K
    −rasオンコジーンにおける特定の種類の点変異および結腸直腸ガンの診断における段階との間の関係を同定した。 この結果は、変異分析が、腫瘍病原力の重要な情報(転移のパターンと転移を含む)を提供し得たことを示唆した。 大腸の第III病期悪性腫瘍におけるTP53の前兆値およびK−ras−2変異分析は、さらに最近、証明されている(Pricoloら、Am.J.Surg.1
    71:41、1996)。 それ故に、腫瘍および前癌性細胞のゲノタイピング、
    ならびに特異変異検出が、ヒトの癌の処置においてますます重要となる。

    【0332】 9. (単一ヌクレオチド伸長アッセイ) ゲノムDNAにおける単一ヌクレオチドの検出のためのプライマー伸長技術は、最初にSokolovによって1989年に記載された(Nucleic A
    cids Res. 18(12):3671、1989)。 この論文にて、S
    okolovは、嚢胞性線維症遺伝子の公知の配列に相補的な30−マーおよび20−マーの単一ヌクレオチド伸長について記載した。 この方法は、t遺伝子内に、単純なヌクレオチド変化を正確に同定するための能力を有することが示された。 この方法は、単一ヌクレオチド伸長アッセイにおける標識化方法のための放射標識されたデオキシヌクレオチドの使用に基づいた。

    【0333】 後の出版は、血友病B(因子IX)および嚢胞性腺維症遺伝子のような遺伝病のための単一のヌクレオチド伸長アッセイの使用について記載した(例えば、K
    uppuswamyら、PNAS USA 88:1143−1147頁、19
    91を参照のこと)。 Kuppuswamyらは、単一のヌクレオチド伸長アッセイが遺伝病を検出するために使用され得ること、血友病B(因子IX)および嚢胞性腺維症遺伝子の検出への適用について示した。 再び、この方法は、公知の単一ヌクレオチド多型に隣接する配列にハイブリダイズされた単一ヌクレオチドプライマーに基づく。 次いで、プライミングされたゲノムDNAは、目的の部位から横切る部位が反応混合物中でα標識化された部位に対して相補的である場合、TaqポリメラーゼがP32で標識化したdNTPを添加する条件に供される。

    【0334】 最近、定量的範囲、可変性、および多重分析の観点で、単一ヌクレオチド伸長アッセイのパラメーターが詳細に記載されている。 従って、1996年に、Gr
    eenwoodおよびBurke(Greenwood,A.D.およびBur
    ke,D. T. (1996)Genome Research、6、336−3
    48頁)は、定量的範囲、可変性、および多重分析の観点で、単一ヌクレオチド伸長アッセイのパラメーターを詳細に記載した。 RNAは、二つの対立遺伝子間の単一塩基差を含む目的の配列のPCR増幅のための鋳型として役立った。 1塩基5'から多型までであり、そして1つの標識した塩基によって(または標識化した塩基を使用して)伸長するプライマーをアニーリングすることによって各対立遺伝子の存在、非存在、またはその相対的な量について、各PCR生成鋳型が分析された。 補正塩基が反応において有用である場合にのみ、プライマーの3'
    末端にて挿入が起こる。 次いで、伸長産物が分析された(PAGEによって従来的に)。 従って、この戦略は、プライマーをハイブリッド化した鋳型の3'末端上に正確に対のヌクレオチドのみを添加するためのDNAポリメラーゼのフィデリティーに基づく。 1つのみのジデオキシ−ターミネーターヌクレオチドが、1
    反応につき添加されるため、プライマーが全ての4種類のdNTPに伸長されるように分類することは、単純な問題である。

    【0335】 従って、本発明の1局面内において、核酸分子内の単一の選択された核酸の検出のための方法が提供され、この方法は、(a)標的核酸分子へのプライマーのハイブリダイゼーションを可能にするための条件下およびそのために十分な時間で、タグ化したプライマーと標的核酸分子を少なくとも2つの別々の反応でハイブリダイズする工程(ここで、各反応物は、ヌクレオチド鎖ターミネーター、およびアデノシン、シトシン、グアノシン、チミジンまたはウラシルに対して相補的であるヌクレオチド鎖ターミネーターを添加する酵素を含み、そして各反応は、異なるヌクレオチド鎖ターミネーターを含む)(b)タグ化プライマーをサイズで分離する工程、(c)タグ化プライマーからタグを切断する工程、および(
    d)非蛍光分光法または電位差測定によってタグを検出する工程、およびそれから核酸分子内の選択されたヌクレオチドの存在を決定する工程、を包含する。

    【0336】 本明細書中で述べられるように、広範な種々の分離方法が利用され得、これは、例えば、HPLCのような液体クロマトグラフィー手段を含む。 さらに、広範な種類の検出方法論が利用され得、例えば、質量分析、赤外分光法、紫外分光法、または定電圧電流計を含む。 また、幾つかの異なる酵素(例えば、ポリメラーゼ)は、本明細書にて提供されるタグのいずれかと同様に利用され得る。 特定の好ましい実施態様内にて、反応内で利用される各プライマーは、異なる特異のタグを有する。 この方法において、複数のサンプルは(または、多重部位)、選択されたヌクレオチドの存在を同時に探索し得る。

    【0337】 本明細書にて記載されるアッセイのような単純なヌクレオチドアッセイは、多型変異体を検出するために、または公知の配列内もしくは付近の特定のヌクレオチドが存在する場合の生物学的サンプルを取り出すために、利用され得る。 標的核酸分子は、DNA(例えば、ゲノムDNA)だけでなくRNAもまた含む。

    【0338】 一般に、この方法は、プライマーの3'末端が検出および同定されるべき変異体に隣接するような、標的DNA配列にプライマーをハイブリダイズする工程を含む。 この手順は、与えられるヌクレオチドのジデオキシヌクレオチドのみが反応混合物に添加されることを除いて、Sanger配列決定反応と同様である。
    各ジデオキシヌクレオチドは、特有のタグで標識化される。 4つの反応混合物のうち、一つのみが、プライマー配列上にジデオキシターミネーターを添加する。
    変異が存在する場合、それはジデオキシヌクレオチド上の特有のタグを介して検出され、そしてその同一性が確立される。 DNAプライマーを特有なタグでタグ化することによって、複数の変異が同時に確かめられ得る。 本発明の1局面内において、選択した生物学的サンプルからの単純なヌクレオチド変異を分析するための方法が提供され、この方法は、生物学的サンプルから核酸を曝露する工程およびこの曝露した核酸と1つまたはそれ以上の選択した核酸プローブ(これは、
    上記の核酸に上記プローブをハイブリダイズするために十分な条件下および時間、タグ化され得るかまたはされ得ない)とを組み合わせる工程を包含し、ここで、タグは、使用される場合、特定の核酸プローブと相関性があり、そして非蛍光分光法、または電位差測定によって検出され得る。 このDNAフラグメントは、
    4つの別々の反応において反応され、各々は、異なるタグ化したジデオキシターミネーターを含み、ここで、タグは、特定のジデオキシヌクレオチドと相関性があり、そして非蛍光分光法または電位差測定によって検出され得る。 DNAフラグメントは、サイズに従って分離され、例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCによって分離される。 このタグは、分離されたフラグメントから切断され、そしてそれぞれの検出技術(
    例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV/可視分光法)によって検出される。 検出されるタグは、調査下の特定のDNAフラグメントおよび変異ヌクレオチドの同一性に相関され得る。

    【0339】 10. (増幅したフラグメント長多型(AFLP)) AFLPは、種々の分野(植物および動物出血、医療診断、法医学分析および細菌分類、を含む)で、ある程度命名するために(to name a few
    )使用されるDNAフィンガープリンティングのための高感度な方法として設計された(Vosら、Nucleic Acids Res. 23:4407−
    4414、1995)。 AFLPの能力は、密接に関連した種、変異体または品種の間に存在する分子遺伝的変異に基づく。 DNA配列のこれらの変異は、特定のゲノタイプの「フィンガープリンティング」が慣用的に発生され得るような遺伝的フィンガープリンティング技術によって開発される。 これらの「フィンガープリント」は、単純に、DNA制限フラグメントの選択的PCR増幅によって視覚化されたRFLPである。 簡潔に述べると、遺伝的フィンガープリンティング技術は、以下の工程から構成される:ゲノムDNAは、二つの異なる制限酵素によって完全に消化される。 特異的な二本鎖オリゴヌクレオチドアダプター(約2
    5−30bp)は、制限されたDNAフラグメントにライゲートされる。 アダプターに類似であるが、3'末端における伸長を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、DNAフラグメントの部分集合を増幅するために使用される(予備増幅工程もまた、実行され得、ここで、伸長は1bp長のみである。3塩基対伸長を有するプライマーによる増幅が後に続く)これらの伸長は、1〜3塩基対の長さで変化し得るが、与えられたプライマーにおいて定義された長さである。 伸長の配列はまた、1プライマーから別のプライマー(しかし、与えられたプライマー内の単一で定義された配列のプライマー)に変化し得る。 AFLP−PCRのこの選択的性質は、オリゴヌクレオチドプライマー上の3'伸長に基づく。 これらの伸長が、アダプター配列に対して均一でないため、その伸長に対して相補的なDNAフラグメントのみがTaq DNAポリメラーゼの不能に起因して、幾つかの他のDNAポリメラーゼと異なり、合成される分子の3'末端において不適合が生じる場合にDNAを伸長するために、増幅される。 それ故に、完全なゲノムの1部分集合のみが、任意の反応において増幅される。 例えば、2塩基対(b
    p)伸長が使用される場合、256分子中の1つのみが増幅される。 実際に視覚化されるフラグメントの数をさらに限定するために(管理可能な数が観察されるように)、プライマーのうちの一つのみがラベル化される。 最終的には、増幅されたDNAは、ポリアクリルアミドゲル(配列決定型)上で分離され、オートラジオグラフまたは蛍光像が発生される。

    【0340】 本発明の1実施態様内において、核酸分子の同一性を決定するための、または遺伝フィンガープリンティングの技術を利用して、選択する核酸分子(例えば、
    生物学的サンプル内の)を検出するための方法が、提供される。 簡潔に述べると、このような方法は、一般に、二つの異なる制限酵素によって完全に消化する工程(例えば、ゲノムDNA)を含む。 特異な二本鎖オリゴヌクレオチドアダプター(約25−30bp)は、制限したDNAフラグメントにライゲーションされる。 1bp伸長を有するプライマーを利用する任意の予備増幅が、達成され得る。 次いで、PCR産物は希釈され、そして、そのアダプターに相同性のタグ化プライマーは、3'末端に伸長を有するが、使用され、DNAフラグメントの部分集合がPCRによって増幅される。 得られるPCR産物は、次いで、サイズで分離される。 このサイズ分離工程は、種々の方法(例えば、HPLCを含む)によって達成され得る。 次いで、このタグは、分離したフラグメントから切断され、
    そしてそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外分光法、定電圧電流計またはUV/可視分光法)によって検出される。

    【0341】 11. (遺伝子発現分析) 本明細書中に開示される本発明の1つは、単純な測定法で多数の遺伝子(1〜
    2000)の発現を測定するための高スループット方法である。 この方法はまた、1プロセスあたり百より多いサンプルを用いて並行して行われる能力を有する。 この方法は、ドラッグスクリーニング、発達生物学、分子医学研究などに適用され得る。 本発明の1局面内において、選択した生物学的サンプルから遺伝子発現のパターンを分析するための方法が提供され、この方法は、(a)生物学的サンプルから核酸を曝露する工程、(b)核酸にプローブをハイブリダイズために十分な条件下および時間で、この曝露した核酸と1つまたはそれ以上の選択したタグ化核酸プローブとを組み合わせる工程(ここで、タグは、使用される場合、
    特定の核酸プローブと相関性があり、そして非蛍光分光法、または電位差測定によって検出され得る)、(c)ハイブリダイズされていないプローブからハイブリダイズしたプローブを分離する工程、(d)タグ化したフラグメントからタグを切断する工程、および(e)非蛍光分光法、または電位差測定によってタグを検出する工程、ならびにそれらから生物学的サンプルの遺伝子発現のパターンを決定する工程を包含する。

    【0342】 本発明の特に好ましい実施態様内において、アッセイまたは方法が、以下に記載されるように提供される:標的源由来のRNAは、特定のハイブリダイゼーション工程を介して固体支持体に結合される(すなわち、つながれたオリゴ(dT
    )捕捉プローブによるポリ(A)mRNAの捕捉)。 次いで、この固体支持体は、洗浄され、そしてcDNAは標準法を使用して(すなわち、逆転写酵素)固体支持体上に合成される。 このRNA鎖は、次いで、加水分解を介して除去される。 この結果として、RNA(それよりcDNAが合成される)の多様性、アバンダンス、および複雑性を反映する固体支持体に共有結合で固定されたDNA集団が生じる。 この固体支持体は、次いで、目的の遺伝子配列に対して相補的である1〜数千のプローブを取り出した(ハイブリダイズした)。 各プローブ型は、切断可能な質量分析タグまたは他の種類の切断可能タグで標識される。 取り出し工程の後、過剰のまたはハイブリダイズしていないプローブは洗浄され、固体支持体が例えば、マイクロタイタープレートのウェル内に置かれ、そして質量分析タグが固体支持体から切断される。 この固体支持体は、サンプル容器のウェルから除去され、そしてウェルの内容物は質量分析器を用いて測定される。 特定の質量分析器タグの出現は、サンプル内のRNAの存在および特異的遺伝子が与えられた生物学的サンプル内に発現されるという証拠を示す。 この方法はまた、定量化され得る。

    【0343】 切断可能なタグを使用する遺伝子発現の迅速な測定のための組成物および方法は、詳細に以下のように記載され得る。 簡潔には、組織(肝臓、筋肉など)、初代または形質転換細胞株、単離または精製された細胞型あるいは遺伝子発現を測定することが有用である任意の他の生物学的材料の供給源が、RNAの供給源として有用であり得る。 好ましい方法においては、この生物学的供給源材料は、ヌクレアーゼおよびプロテアーゼを抑制するため、ならびに固体支持体への標的核酸のストリンジェントなハイブリダイゼーションを支持するためにカオトロープ(chaotrope)の存在下で溶解される。 組織、細胞および生物学的供給源は、1〜6モルのカオトロピック塩(chaotropic salt)(塩酸グアニジン、グアニジンチオシアネート、過塩素酸ナトリウムなど)中で効率よく溶解され得る。 この供給源生物学的サンプルが溶解された後、この溶液は固体支持体と混合されて溶解物中に存在する標的核酸の捕獲に影響を与える。 この方法の1つの組合せにおいて、RNAは繋がれた(tethered)オリゴ(
    dT)捕獲プローブを使用して捕獲される。 固体支持体には、ナイロンビーズ、
    ポリスチレンマイクロビーズ、ガラスビーズおよびオリゴヌクレオチドが共有結合され得るガラス表面または任意の他の型の固体支持体が挙げられ得る。 この固体支持体は、好ましくは、ポリエチレン(イミン)、アクリルアミド、アミン−
    デンドリマー(dendrimer)などのようなアミン−ポリマーでコートされる。 このポリマー上のアミンは共有結合的にオリゴヌクレオチドを固定するために使用される。 オリゴヌクレオチドは、好ましくは、5'−アミン(一般に、
    6個の炭素スペーサー−アーム(spacer−arm)および末端アミンを含むヘキシルアミン)を用いて合成される。 オリゴヌクレオチドは15〜50ヌクレオチド長であり得る。 オリゴヌクレオチドは、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性架橋剤(例えば、シアヌル酸塩化物)を用いて活性化される。 この活性化されたオリゴヌクレオチドは、排除クロマトグラフィーにより過剰の架橋剤(すなわち、シアヌル酸塩化物)から精製される。 この活性化されたオリゴヌクレオチドは、次いで、固体支持体と混合されて共有結合的付着に影響を与える。 オリゴヌクレオチドが共有結合的に付着した後、固体支持体の反応していないアミンは、キャップ化されて(すなわち、無水コハク酸を用いて)正電荷の固体支持体を除去する。 この固体支持体は同時に使用され得、そして優先的に、96ウェルまたは384ウェル形式で配置される。 この固体支持体はペグ(peg)、基部(
    stem)またはロッド(rod)に96ウェルまたは384ウェル配置で付着され得、この固体支持体は取り外し可能であるか、あるいは特定の配置に一体化されるかのいずれかである。 この固体支持体の個々の配置は、アッセイの機能に対して決定的に重要なものではなく、どちらかといえば、アッセイが自動化に適合される能力に影響を与える。 この固体支持体は、15分〜数時間の間、溶解物と混合されて固体支持体上の標的核酸の捕獲に影響を与える。 一般的に、標的核酸の「捕獲」とは、標的RNAと固体支持体上に固定化された捕獲プローブとの相補的な塩基対合を介するものである。 1つの組み合わせは、ほとんどの真核生物メッセンジャーRNA上に見出される3'ポリ(A)ストレッチを利用して、
    固体支持体上に繋がれたオリゴ(dT)へとハイブリダイズする。 別の組み合わせは、特定のオリゴヌクレオチドまたは長いプローブ(50塩基より多く)を利用して規定された配列を含むRNAを捕獲するためのものである。 別の可能性は、縮重プライマー(オリゴヌクレオチド)を使用するためのものであり、これは標的RNA集団中の多数の関連配列の捕獲に影響を与える。 RNA集団の配列の複雑度および使用される捕獲プローブの型によって、ハイブリダイゼーション時間を導く。 ハイブリダイゼーション温度は、使用されるカオトロープの型およびカオトロープの最終濃度によって指示される(一般的な指針については、Van
    NessおよびChen、Nuc. Acids Res. 1991を参照のこと)。 優先的に、この溶解物は連続的に固体支持体とともに攪拌されて標的RNA
    の拡散に影響を与える。 いったん標的拡散を捕獲する工程が達成されると、この溶解物は固体支持体から洗浄され、そして全てのカオトロープまたはハイブリダイゼーション溶液は除去される。 この固体支持体は、好ましくは、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤、緩衝液および塩を含む溶液を用いて洗浄される。 次の工程は捕獲されるRNAに相補的なDNAの合成である。 この工程において、繋がれた捕獲オリゴヌクレオチドは逆転写酵素のための伸長プライマーとして働く。 この反応は、一般に、25〜37℃で行われ、そして好ましくは、
    重合反応の間、攪拌される。 捕獲オリゴヌクレオチドは伸長プライマーとして働くので、cDNAは合成された後、固体支持体へと共有結合的に付着される。 次いで、RNAはcDNA/RNA二重鎖から加水分解される。 この工程は二重鎖を変性する熱の使用または化学的にRNAを加水分解する塩基(すなわち、0.
    1 N NaOH)の使用により影響され得る。 この工程での重要な(key)
    結果は、規定されたプローブとの引き続いてのハイブリダイゼーションに利用可能なcDNAを作製することである。 次いで、この固体支持体または固体支持体のセットはさらに洗浄されて、RNAまたはRNAフラグメントを除去する。 この点で、この固体支持体はcDNA分子のほぼ代表的な集団を含み、これは配列の存在度、複雑度および多様性という点でRNA集団を表す。 この次の工程は、
    選択されたプローブを固体支持体へとハイブリダイズさせて特異的なcDNA配列の存在または非存在および相対的存在度を同定することである。 プローブは、
    好ましくは、15〜50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。 このプローブの配列はアッセイの消費者により決定される。 例えば、消費者が、組織における炎症応答での遺伝子発現を研究することを意図した場合、プローブは多数のサイトカインmRNA、脂質を調節する酵素をコードするRNA、炎症応答に関連する細胞を調節する因子をコードするRNAなどに相補的であるように選択される。 いったん規定配列のセットが研究のために規定されると、各配列はオリゴヌクレオチドプローブへと作製され、そして各プローブは特異的な切断タグを割り当てられる。 次いで、このタグはそれぞれのオリゴヌクレオチドへと付着される。 このオリゴヌクレオチドは適切なハイブリダイゼーション条件下で固体支持体上のcDNAへとハイブリダイズされる。 ハイブリダイゼーション工程の完了後、この固体支持体は洗浄されて任意のハイブリダイズしていないプローブを除去する。 次いで、この固体支持体または支持体のアレイは加熱されてcDNAと固体支持体との間の共有結合を切断する。 次いで、タグ化cDNAフラグメントはゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCによってサイズに従い分離される。 次いで、このタグはDNAプローブ分子から切断され、そしてそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法(potentiostatic amperometr
    y)またはUV/可視分光法)により検出される。 存在する各タグが同定され、
    そして発現されたmRNAの存在(および存在度)または非存在が決定される。

    【0344】 代替的な手順は、適切なハイブリダイゼーション条件下においてタグ化したD
    NAプローブを繋がれたmRNA標的分子へと直接的にハイブリダイズさせる。
    ハイブリダイゼーション工程の完了後、この固体支持体は洗浄されてハイブリダイズしていない任意のプローブを除去する。 次いで、RNAはDNAプローブ/
    RNA二重鎖からから加水分解される。 この工程は、二重鎖を変性させる熱の使用または化学的にこのRNAを加水分解する塩基(例えば、0.1N NaOH
    )の使用により影響され得る。 この工程は遊離のmRNAおよびそれらに対応するDNAプローブを残し、これは、次いで、一般に、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCから成るサイズ分離工程を介して単離され得る。 このタグは、次いで、DNAプローブ分子から切断され、そしてそれぞれの検出技術により検出される(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)。 存在する各タグが同定され、そして発現されたmRNAの存在(および存在度)または非存在が決定される。

    【0345】 本発明の好ましい遺伝子発現アッセイは、PCR(または他の等しく有効な技術)と組み合わせてのタグ化されたオリゴヌクレオチド、λエクソヌクレアーゼ、限外ろ過および遺伝子発現についての定量的情報を提供する内部標準を利用する。 この好ましい遺伝子発現アッセイ、およびそれに準じた方法(submet
    hod)が次に記載される。

    【0346】 (a.内部標準方法の説明) PCRは、少量のDNAまたはRNA(RT−PCRによる)の検出について非常に感度の高い方法である。 しかし、正確かつ明確な標的の量は困難である。
    なぜならば、増幅された産物の量は常に鋳型の量に比例するわけではないからである。 これはPCRが「プラトー段階(plateau phase)」に達するためであり、この場合、特定のサイクル数の後、鋳型の量に関係無く、ほとんど同じ量の増幅された産物が得られる。 PCRの間に内部標準を使用することは、標的鋳型と同じプライマーセットを用いて、公知の量の内部標準鋳型を同時増幅することによって、この問題の克服を助ける。 両方の鋳型は同じセットのプライマーを使用するので、2つの増幅産物の量の間の比は、PCR増幅前の標的と内部標準鋳型との量の間の最初の比を反映する。 次いで、この標的鋳型の量は既知量の内部標準鋳型から算出され得る。

    【0347】 PCRアッセイに好ましい内部標準鋳型は、標的鋳型に対して理想的な効率で増幅する。 理想的なプライマー部位は、同時増幅を確実にするために内部標準鋳型中に構築される。 内部標準鋳型中のプライマー部位間の領域は、典型的には標的鋳型から変更されて(例えば、10〜20塩基対の欠失または付加)、この鋳型をゲル電気泳動または制限酵素によって区別可能にする。 しかし、この型の修飾は鋳型の増幅効率における差異を引き起こす。 典型的には、理想に近い増幅が見出されるまで、多数の内部標準鋳型が構築および試験される。

    【0348】 内部標準アッセイ形式は、CMSTタグおよびハイボトロープを使用して開発されてきた。 ハイボトロープは、例えば、米国特許出願番号第60/026,6
    21号(1996年9月24日出願);同第08/719,132号(1996
    年9月24日出願);同第08/933,924号(1997年9月23日出願);同第09/002,051号(1997年12月31日出願);および国際公開第WO98/13527号(これらの全ては本明細書中にその全体が援用される)。 基本的には、ハイボトロープとは、標準塩溶液(すなわち、0.165
    M NaCl)を参照した場合に核酸二重鎖のエンタルピーを20%以上増加させ得る任意の化学物質をいう。 化学物質は、溶液として、50%G+Cである1
    8bpオリゴヌクレオチド二重鎖が15℃以下のヘリカル−コイル転移(hel
    ical−coil−transition)(HCT)を有する場合に、ハイボトロープ様の特性を示す。 HCTとは、二重鎖の80%が一本鎖である温度と二重鎖の20%が一本鎖である温度との間の差である。 次いで、アニーリングのための温度が、ミスマッチした二重鎖と完全にマッチした二重鎖との間の検出可能な区別を可能にするハイブリダイゼーション反応が行われる温度である、区別温度であるように選択される。 温度の範囲は区別温度の基準を満たす。

    【0349】 ハイボトロープを使用して、非常に特異的なハイブリダイゼーションが行われ得るので、同じ長さであり、そして標的核酸と1塩基対のみ異なる、好ましい内部標準鋳型が使用され得る。 これは好ましい内部標準である。 なぜならば、演繹的に、これは標的核酸とともに同様に同時増幅する。 この型の標準および標的アンプリコン混合物の好ましい検出方法は、ハイボトロープ緩衝液を使用して、それら各々のアンプリコンに対するアンプリコン−特異的タグ化オリゴヌクレオチド(好ましくは、CMSTタグ化されている、すなわち、質量分析によって検出可能なタグを有する)の特異的なハイブリダイゼーションを得ることである。 アンプリコンの量を検出するために、各アンプリコン−特異的オリゴヌクレオチドは特有の質量タグを用いてタグ化される。 アンプリコン定量は、内部標準および標的アンプリコンと関連する質量スペクトルシグナル(mass spec s
    ignal)を測定することにより誘導される。 既知量の内部標準がサンプルに添加され、そして標的アンプリコンの量は以下の等式および次に記載されるλエクソヌクレアーゼおよび限外ろ過法に従って得たデータを使用して決定される:

    【数16】

    【0350】 (b.λエクソヌクレアーゼ法の説明) DNA二重鎖を用いるインキュベーションの際に、λエクソヌクレアーゼは5
    'リン酸化末端から一つの鎖を選択的に消化し、DNA配列決定に適切な一本鎖の鋳型を残す。 λエクソヌクアーゼは伝統的な生物学的方法の努力または非対称PCRを最適化する単調さを伴うことなく一本鎖配列決定用鋳型を調製する。 5
    '末端リン酸塩を含むプライマーの存在下でDNAを増幅することにより、当業者は5'リン酸化末端を有するDNA二重鎖を生成し得る。 その後、このPCR
    産物は、沈殿またはゲルろ過のいずれかによって精製されて残りのプライマーおよび他の反応成分を除去する。 次いで、DNA二重鎖のリン酸化された鎖は、λ
    エクソヌクレアーゼにより選択的に分解されて、配列決定に適切な一本鎖のリン酸化されていない鋳型を残す。 λエクソヌクレアーゼの熱不活化の後、濃縮された、一本鎖DNAが、従来技術を使用するハイブリダイゼーション反応に直接添加され得る。

    【0351】 (c.限外ろ過法の説明) 白血球細胞から回収されるゲノムDNAは、Rnase処理、プロテイナーゼK消化、ならびにフェノール:クロロホルム抽出、引き続いての酢酸ナトリウムおよびエタノールでの沈殿の標準的方法に従って精製され得る。 濃度は分光法により決定され、そして0.01μg/μlの作業希釈物が調製される。 このDN
    Aサンプルの50μlが96ウエル「母系(mother)」プレートに配置される。 増幅反応に使用される「娘系(daughter)」プレートは1.5μ
    lのDNAを母系プレートから、96ウエルプレートまたは192ウエルプレートのいずれかのウエルに同一の配置で8チャンネルピペットを使用して移すことにより調製される。 次いで、18μlの層の液体ワックス(MJ Resear
    ch)を添加し、そしてプレートは4℃で保存される。 この場合ワックスは固体化し、エバポレーションを防ぐ。

    【0352】 PCRをセットアップするために、娘系プレートを取り出し、そして氷上に配置してワックス固体を保持する。 これは、このプレートがサーマルサイクラー内に配置され、そして最初のサイクルの間に加熱されることによって反応が開始されるまで、鋳型DNAと他の反応成分との間に障壁を形成する。 PCRは、反応1回当たり全量10〜50μlで行われる。 主要混合物溶液は前もって大量に調製され、そしてマーカー特異的プライマーを除くPCRの成分全てを含むチューブへとアリコートされる。 この反応のほとんどはM13テイルプライマーを使用して行われる。 M13テイルプライマーは標準PCRプライマー対の改変である。 この改変とは、17ヌクレオチドの正方向プライマーの5'末端への付加である。 この17ヌクレオチド配列はM13配列決定プライマーに相補的であり、そして以下の配列を所有する:5'−(NH 2 −C 6 )−AGG GTT TTC CCA GTC ACG AC−3'。 この改変はPCR反応における第3のオリゴヌクレオチドプライマーの使用を可能にする。 この第3のプライマーは、典型的には、本明細書中に記載される方法に従ってタグ化される。

    【0353】 限外ろ過はタンパク質を濃縮および脱塩する伝統的な方法である;これはまた、核酸のエタノール沈殿に代わり、特に少量について、そして特に核酸が単独で沈殿されて溶媒を交換する場合は常に有効である。 リン酸塩または10mM E
    DTAを含むサンプルについて、限外ろ過は時間を節約する方法論として重要であり得る。 伝統的に、このようなサンプルは、エタノール沈殿の間の塩と核酸との共沈を避けるために予備透析を必要とした。 遠心分離用微量濃縮器(cent
    rifugal microconcentrator)は、単純な1工程で、
    オリゴヌクレオチドプローブまたは一本鎖(singlle−strand)アンプリコン(および核酸)を脱塩および濃縮する。

    【0354】 Microcon(登録商標)Microconcentratorは、50
    〜500μlのサンプルを濃縮するために理想的である。 遠心分離限外ろ過において、DNAは膜により保持される。 溶媒および塩は通過し、そして除去される。 Maicroconの第2の転倒スピン(inverted spin)は、
    プローブまたは目的の核酸の最大DNA回収を確実にする。 オリゴマーサンプルを濃縮する場合、高い塩濃度(これは一本鎖核酸のセルロースベース限外ろ過膜への結合を促進する)を避けることが重要である。

    【0355】 典型的な限外ろ過条件は以下の通りである:DNA溶液(500μl)はMi
    crocon−30濃縮器で10分間、12,000×gでスピンされる;50
    0μlのオリゴヌクレオチドのTE緩衝液溶液はMicrocon−3ユニットで45分間12,000×gでスピンされる。 保持物は、デバイスを転倒して、
    そして500〜1000×gで2分間、遠心分離することにより回収され得る。
    対照的に、ゲル電気泳動はゲルスライスからのフラグメントの分画、溶出および脱塩を必要とする。 また、これは可視化するためには十分な材料を必要とし、これはしばしば、cDNAの場合は特に、入手が困難である。 両方の方法(ゲル電気泳動および透析)は時間がかかり、そして多数のサンプル処理工程を含む。

    【0356】 典型的なハイブリダイゼーション反応において、プローブはDNAフラグメント濃度の50〜100倍モル過剰で添加される。 このために、過剰のハイブリダイズしていないプローブを除去することが必要である。 プローブ除去のための従来方法には、ゲルろ過クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動が挙げられる。 ゲルろ過は、複数の画分が回収され、分析され、プールされ、そして沈殿されることを必要とし、これは高処理能力のアッセイにはなじまない。 しかし、限外ろ過は過剰のプローブまたはPCRプライマーの迅速な除去についての有効な代替である。 Amicon's Centricon使い捨て濃縮器(disposa
    ble concentrartor)において、この反応混合物は限外ろ過膜を介してろ過されて緩衝液およびハイブリダイズしていないプローブまたは伸長していないプライマーの除去を生じる。 濃縮されたフラグメントは膜により保持される。 ろ過の推進力は1,000〜5,000×gでの固定角ローターでの遠心分離により提供される。 従来方法は、典型的に、サンプル処理について24時間および2〜3時間の操作時間を必要とする。 Centriconを用いて、典型的に、サンプルは精製するための時間が数時間未満となる。 サンプルの取り扱いは最小であり、そして多数のサンプルが同時に処理され得る。 参照については、Krowczynska,A. M. 「Efficient Purifica
    tion of PCR Products using Ultrafilt
    ration」BioTechniques 13(2):286−289,1
    992を参照のこと。

    【0357】 12. (ハイブリダイゼーション技術) 良好な遺伝子のクローニングおよび配列決定は、関連しないDNAまたはRN
    A分子の大量プールにおける遺伝子またはそのmRNAの検出を可能にすることにより、その構造および発現の研究を導く。 組織において特異的なタンパク質をコードするmRNAの量は遺伝子の活性についての重要なパラメーターであり、
    そして機能システムの活性に有意に関連し得る。 その調節は遺伝子内の配列(シス作用エレメント)と配列特異的DNA結合タンパク質(トランス作用因子)との間の相互作用に依存し、これは組織特異的に、またはホルモンおよびセカンドメッセンジャー系により活性化される。

    【0358】 いくつかの技術が特定の遺伝子、その調節配列、その特異的mRNAおよびその発現の調節の分析に利用可能である;これらにはサザンブロットまたはノザンブロット分析およびリボヌクレアーゼ(RNase)保護アッセイが挙げられる。

    【0359】 特定の遺伝子のヌクレオチド成分における改変は、非常に病態生理学的関連性のものであり得る。 非コード領域(5'、3'−隣接領域およびイントロン)に配置される場合、これらは遺伝子発現の調節に影響を与え得、異常な活性化または阻害を生じる。 遺伝子のコード領域(エキソン)に配置される場合、これらはタンパク質機能の改変または機能不全のタンパク質を生じる。 従って、遺伝子内の特定の配列は特定の疾患に対応し得、そしてこの疾患のマーカーとして有用であり得る。 それゆえ、医学分野における研究の1つの主なゴールは診断手段としてこれらの遺伝的改変を検出することであり、そして病態生理学的現象を理解するための重要な情報を得ることである。 特定の遺伝子内の改変に関する集団の分析のための基本的な方法は、サザンブロット技術を使用するDNA分析である。
    簡潔には、調製されたゲノムDNAは制限酵素(RE)で消化され、ゲノム上のREの特定の認識部位の存在によって決定される、異なる長さの多数のDNAフラグメントを生じる。 この制限部位の内側に変異を有する特定の遺伝子の対立遺伝子は、異なる数および長さのフラグメントに切断される。 これは制限フラグメント長多型(RFLP)と呼ばれ、そして多数の適応を有する重要な診断マーカーであり得る。 分析されるフラグメントはDNAフラグメントのプールから分離されねばならず、そして特異的なプローブを使用して他のDNA種から区別されねばならない。 それゆえ、DNAはアガロースゲルを使用する電気泳動的分割に供され、続いてナイロンまたはニトロセルロース膜への移動および固定に供される。 この固定された、一本鎖DNAは、検出されるDNAに相補的であるタグ化DNAへとハイブリダイズされる。 非特異的なハイブリダイゼーションを取り除いた後、目的のDNAフラグメントはプローブ特性に従い可視化され得る(オートラジオグラフィーまたは蛍光画像分析)。

    【0360】 本発明の方法の1つの実施態様の内では、例えば、生物学的サンプル中において、サザンブロッティングに類似の技術を使用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択(selecting)核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、一連のタグ化核酸フラグメントを生成する工程(ここで生成されたフラグメントは制限酵素を用いて消化される)
    を包含する。 タグ化フラグメントは、タグ化プローブと消化した標的核酸とのハイブリダイゼーション工程を実施することにより生成される。 このハイブリダイゼーション工程は制限ヌクレアーゼ消化の前または後に行われ得る。 次いで、生じた消化核酸フラグメントはサイズにより分離される。 このサイズ分離工程は、
    例えば、ゲル電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)または好ましくはHPLCにより達成され得る。 次いで、分離したフラグメントからタグが切断され、次いで、タグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0361】 特異的遺伝子転写物の存在および量ならびに生理学的パラメーターによるその調節は、ノザンブロット分析の手段およびRNase保護アッセイにより分析され得る。 これらの方法の原理的な基本は、細胞性RNA全てのプールの特異的プローブに対するハイブリダイゼーションである。 ノザンブロット技術において、
    組織の全RNAはHPLCまたはLC法を使用して分画され、検出されるRNA
    に対して相補的な、標識されたアンチセンスRNA(cRNA)にハイブリダイズされる。 ストリンジェントな洗浄条件を適応することにより、非特異的に結合した分子が排除される。 詳細には、結合した分子は、ひき続いて使用されるプローブの型に従って検出される(質量分析または電気化学的検出器を用いる)。 さらに、特異性は、検出したmRNAのサイズを目的のmRNAの推定の長さと比較することにより制御され得る。

    【0362】 本発明の方法の1つの実施態様の内では、例えば、生物学的サンプル中において、ノザンブロッティングに類似の技術を使用して、リボ核酸分子の同一性を決定するために、または選択したリボ核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、タグ化プローブと標的RNAとのハイブリダイゼーション工程を実施することにより、一連のタグ化RNA分子を生成する工程を包含する。 次いで、タグ化RNA分子は、サイズにより分離される。 このサイズ分離工程は、例えば、好ましくはHPLCにより達成され得る。 分離したR
    NA分子からタグが切断され、次いで、タグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0363】 mRNA種の検出のための最も特異的な方法は、RNase保護アッセイである。 簡潔には、組織または細胞培養物からの全RNAは完全な相同性のタグ化特異的cRNAにハイブリダイズされる。 特異性は引き続いてのRNase消化により達成される。 ハイブリダイズしていないRNA、一本鎖RNAおよびほんの少しのミスマッチを有する非特異的にハイブリダイズしたフラグメントは認識および切断される。 完全なホモロジーの二本鎖RNAは酵素に接近可能ではなくそして保護される。 プロテイナーゼK消化およびフェノール抽出によりRNase
    が除去された後、この特異的な保護されたフラグメントは分解産物から、通常はHPLCによって分離され得る。

    【0364】 本発明の方法の1つの実施態様の内では、例えば、生物学的サンプル中において、RNase保護アッセイの技術を使用して、リボ核酸分子の同一性を決定するために、または選択したリボ核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、組織または細胞培養物由来の全RNAが完全な相同性のタグ化特異的cDNAへとハイブリダイズされる工程、RNase消化、
    プロテイナーゼKでの処理およびフェノール抽出工程を包含する。 タグ化され、
    保護されたRNAフラグメントは、分解産物から単離される。 このサイズ分離工程は、例えば、LCまたはHPLCにより達成され得る。 このタグは分離したR
    NA分子から切断され、次いで、それぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0365】 13. (変異検出技術) 予防および処置において、疾患の検出は、ますます重要である。 多因子性疾患は、それについての遺伝子試験を考案するのが困難であると同時に、200より多くの公知のヒトの疾患が単独の遺伝子の欠損、しばしば、単独のアミノ酸残基の変化によって引き起こされる(Olsen、Biotechnology:A
    n industry comes of age,National Aca
    demic Press,1986)。 これらの変異の多くが変化したアミノ酸を生じ、これは疾患状態を引き起こす。

    【0366】 感度の高い変異検出技術は、変異スクリーニングの非常に高い可能性を提供する。 例えば、分析は受精卵の着床前でさえ行われ得る(Holding and Monk,Lancet 3:532,1989)。 また、有効な遺伝子試験は、健康診査と関連して、気道または膀胱から剥離した細胞における腫瘍形成変異についてのスクリーニングをも、ますます、可能にする(Sidransky
    ら、Science 252:706,1991)。 また、未知の遺伝子が遺伝病を引き起こす場合、DNA配列変異をモニターする方法は遺伝連鎖分析を介して疾患の遺伝を研究するために有用である。 しかし、個体遺伝子における変異を検出および診断することは、技術的および経済的苦労を有する。 いくつかの異なるアプローチが探求されたが、両方に有効なものおよび本当に大規模な適応に十分安価なものは無い。

    【0367】 単独のヌクレオチドに関連する変異は、サンプル中において物理的、化学的、
    または酵素的手段により同定され得る。 一般に、変異検出のための方法はスキャニング技術(これはこれまでに未知である変異を同定するために適切である)と、既知の配列改変体を検出、識別または定量するために設計された技術とに分けられる。 変異検出のためのいくつかのスキャニング技術が、野生型および変異配列由来の、ミスマッチ相補的DNA鎖のへテロ二重鎖において開発されてきており、これは特に変性した場合に異常な挙動を示す。 この現象は、変性および温度勾配ゲル電気泳動(それぞれ、DGGEおよびTGGE)法で開発される。 単独のヌクレオチド位置が部分的に変成し得る場合でさえ、漸増変性勾配ゲルで電気泳動した場合に、ミスマッチ二重鎖は遅延した移動度を生じる(Myersら、
    Nature 313:495,1985;Abradesら、Genomic
    s 7:463,1990;Hencoら、Nucl. Acids Res. 1
    8:6733,1990)。 変異は検出され得るが、変異の正確な位置に関する情報は得られない。 変異形態はさらに単離されて、かつDNA配列決定分析に供されねばならない。 あるいは、RNase Aは、RNAプローブと標的鎖とのヘテロ二重鎖を切断し得、ここで2本の鎖は正確には対合していない。 次いで、
    切断部位は変性プローブの電気泳動により決定され得る。 しかし、いくつかの変異が検出から逃れる。 なぜならば、全てのミスマッチがRNase Aによって効率的に切断されるわけではないからである。 二重鎖におけるミスマッチ塩基もまた、化学的修飾に感受性である。 このような修飾は、この鎖をミスマッチの位置での切断に感受性にするか、または引き続いての伸長反応でのポリメラーゼの停止を生じさせ得る。 化学的切断技術は、2kbまでの標的配列における変異の同定を可能にし、そしてこれはミスマッチヌクレオチドのおおよその位置に対する情報を提供する(Cottonら、PNAS USA 85:4397,19
    88;Gangulyら、Nucl. Acids Res. 18:3933,
    1991)。 しかし、この技術は労働集約的であり、そしてこの変異の正確な位置を同定し得ない。

    【0368】 DNA鎖における変異を検出するための代替的なストラテジーは、(合成の間に)1つの正常なヌクレオチドを修飾ヌクレオチドで置換して、生成物の分子量または他の物理的パラメーターを変更することによる。 野生型配列と比較して増加または減少した数のこの修飾ヌクレオチドを有する鎖は、変化した電気泳動的移動度を示す(Naylorら、Lancet337:635,1991)。 この技術は変異の存在を検出するが、その位置は提供しない。

    【0369】 2つの他のストラテジーが、ゲル移動度を変化させることによりDNAセグメントにおける変異を可視化する。 一本鎖高次構造多型技術(SSCP)において、変異は変性鎖が異なる二次構造を採用することを生じ、それによってネイティブゲル電気泳動の間の移動度に影響を与える。 ヘテロ二重鎖DNA分子(これは内部にミスマッチを含む)はまた、正確にマッチした分子から電気泳動によって分離され得る(Orita,Genomics 5:874,1989;Kee
    n,Trends Genet. 7:5,1991)。 上記の技術を用いる場合、変異の存在は決定され得るが、位置は決定され得ない。 その上、これらの技術の多くが単一の変異と複数の変異を区別しない。 上記の技術の全てがDNAの限定されたセグメントにおける変異の存在を示し、そしてこれらのいくつかがセグメント内のおよその位置を可能にする。 しかし、配列分析はさらにセグメントのコード可能性(potential)上での変異の効果を解明することを要求される。 配列分析は非常に強力であり、例えば、罹患家系の他の個体における同一の変異についてのスクリーニング、悪性疾患の場合での疾患進行のモニタリング、または自己移植のまえに骨髄に残留する悪性細胞検出することを可能にする。
    これらの利点にも関わらず、この手順は、非常に支出を伴うので、慣用的診断方法として適合されそうにない。

    【0370】 公知の配列の改変体を分析するために、多数の他の技術が開発されている。 自動化および効率的使用は、個体および一般集団をスクリーニングするための、適用され得るこれらの型の分析に対する非常に重要な考慮すべき問題である。 以下に議論するこれらの技術はいずれも、効率的使用と要求される特異性を伴う自動化とを併せ持たない。

    【0371】 変異は、標的配列に対する短いオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに対するその不安定化効果を介して同定され得る(Wetmur、Cr
    it. Rev. Mol. Biol. 26:227,1991)。 一般に、この技術(対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション)は、標的配列の増幅および引き続いての短いオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションに関する。 それゆえ、増幅された産物は、固定化オリゴヌクレオチドプローブのアレイへのそのハイブリダイゼーションパターンを決定することにより多数の可能な配列改変体についてスキャンされ得る。 しかし、ヌクレオチド配列の区別のための、多数の他のストラテジーを識別する条件を確立することは、
    全て、配列の相違を同定する酵素に依存する(Saiki、PNAS USA 86:6230,1989;Zhang、Nucl.Acids Res.19
    :3929,1991)。

    【0372】 例えば、制限酵素は約4〜8ヌクレオチドの配列を認識する。 平均G+C含量に基づいて、DNAセグメントにおける約半分のヌクレオチド位が100個の制限酵素のパネルを用いてモニターされ得る。 代替として、人工的な制限酵素認識配列が、部分的ミスマッチPCRプライマーを使用することによって変異部位の周囲に作製され得る。 この技術を用いて、変異体または野生型配列単独のいずれかが、増幅後、制限酵素により認識および切断され得る(Chenら、Anal
    . Biochem. 195:51,1991;Leviら、Cancer Re
    s。 51:3497,1991)。 別の方法は、3'の最後から2番目の位置で標的配列に対してミスマッチにされているオリゴヌクレオチドプライマーがPC
    Rにおけるプライマーとして働く能力の減少を示すという特徴を開発する。 しかし、いくつかの3'ミスマッチ(特にG−T)はその有用性を制限する他のものより阻害性ではない。 この技術を改善する試みにおいて、さらなるミスマッチがプライマーに3'末端から3番目の位置で組み込まれ得る。 このことによって、
    1つの対立遺伝子改変体とハイブリダイズするプライマーの3つの3'ヌクレオチドに2つのミスマッチの部位が生じ、そしてこのプライマーが他の対立遺伝子改変体にハイブリダイズする場合は3'末端からの3番目の位置に1つのミスマッチが生じる(Newtonら、Nucl.Acids Res.17:250
    3,1989)。 1bpのミスマッチの増幅を支持する増幅条件を規定することが必要である。

    【0373】 DNAポリメラーゼはまた、どのヌクレオチドが標的鎖の変異部位のすぐ上流のオリゴヌクレオチドプライマーへ付加されたか決定することにより、対立遺伝子配列改変体を識別するために使用されてきた。

    【0374】 ライゲーションアッセイが開発された。 この方法において、標的鎖上ですぐ近位にハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドプローブが、DNAリガーゼにより連結される。 ライゲーションは、2つのオリゴヌクレオチドプローブが接触する部位にミスマッチが存在する場合に阻害される。

    【0375】 14. (変異検出についてのアッセイ) 変異はゲノムDNAにおける単塩基対変異である。 本発明の状況において、このような変異のほとんどは問題の配列に相補的であるオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより容易に検出される。 ここに記載される系において、
    2つのオリゴヌクレオチドが変異を検出するために使用される。 1つのオリゴヌクレオチドは変異配列を所有する。 2つのオリゴヌクレオチドが野生型標的ゲノム配列上のプローブとして使用される場合、この野生型オリゴヌクレオチドは完全な塩基対合構造を形成し、そしてこの変異オリゴヌクレオチド配列は単塩基対ミスマッチを有して二重鎖を形成する。 上に議論されるように、野生型対ミスマッチ二重鎖のTmにおける6〜7℃の差異により、2つの型の二重鎖の容易な同定および識別を可能にする。 この識別に影響を与えるために、ハイブリダイゼーションは、ミスマッチ二重鎖のTmで、それぞれのハイボトロープ溶液中で行われる(例えば、米国特許第60/026,621号(1996年9月24日に出願);同第08/719,132号(1996年9月24日に出願);同第08
    /933,924号(1997年9月23日に出願);同第09/002,05
    1号(1997年12月31日出願);国際公開第WO98/13527号(これらの全ては、ハイボトロープ溶液の説明のために、本明細書中にその全体において援用される))。 次いで、ハイブリダイゼーションの程度がオリゴヌクレオチドプローブのセットについて測定される。 野生型プローブのミスマッチプローブにたいするハイブリダイゼーションの程度の比が測定される場合、10/1〜
    20/1を超えるまでの値が得られる。 これらの型の結果は、変異検出のための強力なアッセイの開発を可能にする。

    【0376】 例示的な目的のために、変異検出のための1つのアッセイ形式は、標的核酸(
    例えば、ゲノムDNA)および目的の領域にわたるオリゴヌクレオチドプローブを利用する。 このオリゴヌクレオチドプローブは24nt長より長いかまたは等しく(最大約36ntを有する)、かつこのオリゴヌクレオチドプローブの3'
    または5'末端で蛍光で標識される。 この標的核酸は組織培養細胞、組織,器官などの、それぞれのハイブリダイゼーション溶液中での溶解を介して得られる。
    次いで、この溶解液は標的核酸を変成する温度まで過熱される(標的核酸二重鎖のTmを15〜25℃超える)。 このオリゴヌクレオチドプローブは変性温度で添加され、そしてハイブリダイゼーションはミスマッチ二重鎖のTmで0.5〜
    24時間行われる。 次いでゲノムDNAがGF/C(GF/Bなど)ガラスファイバーフィルターを介する通過により回収される。 次いで、このフィルターは、
    任意のハイブリダイズしていないオリゴヌクレオチドプローブを除去するためにそれぞれのハイブリダイゼーション溶液を用いて洗浄される(これらの条件下ではRNA短いオリゴおよび核酸はガラスファイバーフィルターに結合しない)。
    このハイブリダイゼーションオリゴプローブは、熱的に標的DNAから溶出され得、そして(例えば、蛍光により)測定され得る。 非常に高いレベルの感度を必要とするアッセイのためには、このプローブは濃縮され、そして測定される。

    【0377】 他の非常に感度の高いハイブリダイゼーションプロトコールが使用され得る。
    本発明の方法は細胞、サンプルなどの中に存在すると疑われる変異を含む核酸(
    すなわち、標的核酸)についての容易なアッセイを可能にする。 この標的核酸はデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のヌクレオチド配列を含み、これらの存在は目的のものであり、そしてこの存在または非存在はハイブリダイゼーションアッセイ中について検出されるものである。 本発明のハイブリダイゼーション方法はまた、核酸(RNAおよび/またはDNA)の複合生物学的混合物へと適用される。 このような複合生物学的混合物には、広範な真核生物および原核生物細胞(プロトプラストを含む);および/またはポリヌクレオチド核酸を保有する他の生物学的物質が挙げられる。 それゆえ、この方法は組織培養細胞、動物細胞、動物組織、血液細胞(例えば、網状赤血球、リンパ球)、植物細胞,細菌、酵母、ウイルス、マイコプラズマ、原生動物、真菌などに適応可能である。 公知の供給源の核酸プローブ間の特異的ハイブリダイゼーションを検出することによって、標的核酸の特異的な存在が証明され得る。 核酸の複合集団における標的核酸を検出するための典型的なハイブリダイゼーションアッセイプロトコルが以下に記載される:標的核酸がサイズによってLCまたはHPLCで分離され、クローン化および単離され、プールに再分割され、または複合集団として残される。 本発明の方法の1つの実施態様内では、例えば、生物学的サンプル中において、一般的技術のハイブリダイゼーションアッセイを利用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、標的核酸がクローン化および単離され、プールに再分割され、または複合集団として残される工程を包含する。 この標的核酸はタグ化オリゴヌクレオチドプローブと上記の条件下でハイブリダイズされる。 この標的核酸はサイズに従ってLCまたはHPLCにより分離される。 このタグは分離したフラグメントから切断されて、次いで、このタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0378】 15. (ハイブリダイゼーションによる配列決定) DNA配列分析は、プライマーを標的DNAへとハイブリダイズさせ、そしてポリメラーゼを使用して鎖伸長を行うことにより、慣習的に行われる。 特異的な停止は、ジデオキシヌクレオチドの包含により制御される。 この型の分析におけるプライミングの特異性は、アニーリング緩衝液中へのハイボトロープの包含および/またはプライマー中への伸長不可能な(abasic)残基の取り込みおよび識別温度でのアニーリングにより増加され得る。

    【0379】 本発明の方法の1つの実施態様内では、例えば、生物学的サンプル中において、サンガー法を使用するハイブリダイゼーションによる配列決定の一般的技術を利用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、タグ化プライマーの標的DNAへのハイブリダイゼーションの工程、およびポリメラーゼを用いる鎖伸長を行う工程を包含する。 特異的な停止は、タグ化され得るジデオキシヌクレオチドの包含により制御される。 この標的核酸はサイズに従ってHPLCにより分離される。 このタグは分離したフラグメントから切断され、そしてそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。 他の配列決定分析方法は、標的の一揃いのランダムな短オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関する。 この配列はオーバーラップ(overlap)ハイブリダイゼーション分析により構築される。 この技術において、正確なハイブリダイゼーションは必須である。 ハイボトロープの使用または伸長不可能な残基および識別温度でのアニーリングは、ミスマッチハイブリダイゼーションを減少または排除するために、この技術のために有益である。 目標は、大きいアレイのオリゴヌクレオチドプローブまたは大きいアレイの核酸サンプルをプローブするための自動化ハイブリダイゼーション法を開発することである。 このような技術の適用には、遺伝子マッピング、クローン特徴づけ、遺伝医学および遺伝子発見、ハイブリダイゼーションによるDNA配列分析、ならびに最終的に、配列決定検証が挙げられる。 自動化または多重送信のために多数のパラメーターが制御されるべきである。 プローブが短い(すなわち、6〜50ヌクレオチド)場合、このそれぞれのプローブの安定性は類似するべきであり、標的核酸とのミスマッチの程度、温度、イオン強度、プローブ(または標的)のA+T含量ならびに他のパラメーターは類似するべきである。 通常、
    実験条件およびプローブ配列は、ミスマッチを含む任意の二重鎖にわたり、好ましい塩基対合プローブの形成が熱力学的に指示されるまで調整される。 ハイブリダイゼーションによる配列決定(SBH)のようなプローブの大きいスケールでの適応、および嚢胞性繊維症膜貫通タンパク質遺伝子座のような非常に多型の遺伝子座の試験は、よりストリンジェントなレベルの多重プローブの制御を必要とする。 本発明の方法の1つの実施態様内では、例えば、生物学的サンプル中において、一般的技術のハイブリダイゼーションによる配列決定を利用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、非常に注意深く制御された条件下での、一連のタグ化プライマーの、DNA標的または一連の標的DNAフラグメントへのハイブリダイゼーションの工程を行う工程を包含する。 この標的核酸はサイズに従ってHPLCにより分離される。 次いで、このタグは分離したフラグメントから切断され、そしてそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0380】 16. (オリゴヌクレオチド−ライゲーションアッセイ) オリゴヌクレオチド−ライゲーションアッセイは、PCRに基づくスクリーニングの延長であり、これはELISAに基づくアッセイ(OLA,Nicker
    sonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8923,
    1990)を使用して標的配列を含むPCR産物を検出する。 それゆえ、ゲル電気泳動およびコロニーハイブリダイゼーションの両方が排除される。 簡潔には、
    OLAは、以下の2つの隣接したオリゴヌクレオチドを使用する:「レポーター」プローブ(5'末端でタグ化)および5'−リン酸化/3'−ビオチン化「アンカー」プローブ。 この2つのオリゴヌクレオチド(これはPCRプライマーに対して内部の配列に相補的である)は標的DNAへとアニールし、そして完全な相補性が存在する場合、この2つのプローブはT4 DNAリガーゼによりライゲーションされる。 このビオチン化アンカープローブの固定化ストレプトアビジン上での捕獲および共有結合的に連結されたレポータープローブについての分析は、PCR産物間の標的配列の存在または非存在について試験する。 本発明の方法の1つの実施態様内では、例えば、生物学的サンプル中において、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの技術を利用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択核酸分子を検出するために提供される。 簡潔には、このような方法は、一般に、標的DNA上でPCRを実施、引き続いての5'タグ化レポーターDNAプローブおよび5'リン酸化/非ビオチン化プローブでのハイブリダイゼーション工程を包含する。 このサンプルはT4 DNAリガーゼと供にインキュベートされる。 ライゲーションされたプローブを有するDNA鎖は、ライゲーションされていないプローブを有するDNAから、例えば、好ましくはL
    CまたはHPLCによって分離され得る。 次いで、このタグは分離したフラグメントから切断され、次いで、このタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。 OLAにおける最近の進歩は複数のサンプルおよび複数の変異の同時分析を可能にした(Baronら、Nature Biotechnology 87:
    1279,1996)。 簡潔には、この方法は、 PCRを用いての、目的の変異を含む遺伝子フラグメントの増幅からなる。 次いで、このPCR産物は、対立遺伝子特異的プローブの3'末端は、共通のプローブの5'末端にすぐ隣接するように、共通および2つの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ(一方は変異を含むが、他方は含まない)を用いてハイブリダイズされる。 これは、各遺伝子座での、2つの対立遺伝子プローブと共通プローブとの間での競合ハイブリダイゼーションライゲーションプロセスをセットアップする。 次いで、この熱安定なDNAリガーゼは連結部位での単塩基ミスマッチ同士を識別し、それにより対立遺伝子特異的ライゲーション産物を生成する。 この共通プローブは4つの蛍光(fluorophore)の1つで標識され、そして対立遺伝子特異的なプローブは、各々、1つまたはそれ以上のペンタエチレノキド移動度修飾テイル(これは異なる対立遺伝子特異的プローブ間でのサイズ差異(sizing d
    ifference)を提供する)を用いて標識される。 次いで、このサンプルは、修飾テイルの長さに基づくゲル電気泳動により分離され、そして共通プローブでの蛍光タグにより検出される。 対立遺伝子特異的プローブおよび共通プローブに利用可能な4つの蛍光においてのサイズ差異での使用を介して、多数のサンプルが1つのレーンの電気泳動ゲル上で分析され得る。 本発明の方法の1つの実施態様内では、例えば、生物学的サンプル中において、同時複数サンプル検出のためのオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの技術を利用して、核酸分子の同一性を決定するために、または選択核酸分子を検出するために提供される。
    簡潔には、このような方法は、一般に、標的DNA上でPCRの実施、引き続いての共通プローブ(非タグ化)および本発明の明細書に従ってタグ化された2つの対立遺伝子特異的プローブでのハイブリダイゼーション工程を包含する。 このサンプルはDNAリガーゼ、および、例えば、好ましくは、LCまたはHPLC
    によって分離されたフラグメントと供にインキュベートされる。 このタグは分離したフラグメントから切断され、次いで、このタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測定、電量電流滴定法またはUV/可視分光法)により検出される。

    【0381】 17. (ディファレンシャルディスプレイ) (a.概要) 哺乳動物(例えば、ヒト)は、そのゲノム内に約100,000の異なる遺伝子を有し、その小さな画分(おそらく15%)が、任意の個体細胞内で発現される。 発現される遺伝子の選択は、任意の所定の細胞または組織の生化学的特徴を決定する。 正常な細胞増殖および分化のプロセス、ならびにガンのような疾患において生じる病理学的変化は、全て遺伝子発現における変化により駆動される。
    ディファレンシャルディスプレイ法は、個体細胞型において特異的に発現される遺伝子の同定を可能にする。

    【0382】 このディファレンシャルディスプレイ技術は、ポリ(A)テイルの5'境界および上流に結合する任意の配列のプライマーに結合するように設計されたプライマーを使用することにより、対応するcDNAの3'末端部分を増幅する。 各プライマー対を用いて増幅された集団は、サイズ分離方法(PAGE、HPLCなど)により可視化されて目的の2つの生物学的サンプル間のmRNAの直接比較を可能にする。 このディファレンシャルディスプレイ法は、哺乳動物細胞において発現された全ての遺伝子(約10,000〜15,000 mRNA種)を可視化する能力を有し、そして配列分析を可能にする。 これは、(1)親(par
    ent)中で増幅されたピークの総数、(2)親間の多型ピークの数、および(
    3)動物または植物中での交配の子孫における多型ピークの分離比、を比較することを可能にする。 ディファレンシャルディスプレイはまた、種々の刺激の後に、アップレギュレートおよびダウンレギュレートされた、既知または未知の遺伝子の同定のために使用される。 ディファレンシャルディスプレイPCRフラグメントは,cDNAクローニングのためのプローブとして使用され得る(cDNA
    またはゲノムライブラリー由来の未知の遺伝子の発見)。

    【0383】 簡潔には、ディファレンシャルディスプレイにおける工程は、以下のような物である:1)RNAが、目的の生物学的サンプルから単離される。 全RNA(細胞質RNAまたはmRNA)が使用され得る。 2)第1鎖のcDNAが、アンカーオリゴdT(オリゴTdN、ここでNは、A、CまたはGである)を使用して生成される。 3)オリゴTdNおよび任意の配列を有する短プライマーを用いてのcDNAの増幅。 目的の2つの細胞集団または2つのサンプルの完全なディファレンシャルディスプレイ分析のために、9つの異なるプライマーが必要とされる。 特異的mRNAについてのディファレンシャルディスプレイの検出限界は、
    全mRNA集団の0.001%未満である。

    【0384】 ここに開示される方法の単純性、感度および再現性の理由により、CMSTディファレンシャルディスプレイ法は伝統的なゲルに基づくシステムを超える重要な進歩である。 伝統的な方法による労働集約的な、冗長な時間がかるものとは対照的に、64×24 PCRを含む、2つの細胞型のCMSTに基づくディファレンシャルディスプレイ分析を用いて、実行は容易に完了され得る。 さらに、ディファレンシャルディスプレイゲルから単離されたバンドの配列不均一性は、この技術の高い失敗率に寄与する因子であることが見出された。 これは、ここに記載される、CMSTに基づくディファレンシャルディスプレイ方法論を使用して完全に避けられる。

    【0385】 (b.CMSTに基づくディファレンシャルディスプレイ実施例:) ディファレンシャルディスプレイのための開始物質は細胞の2つの異なる集団から単離されたRNAである。 一般的に、これらの細胞は類似の起源のものであり、そしてそれらの薬物での処理、それらが「正常」対「形質転換型」であること、または種々の導入された遺伝子のそれらの発現に関して異なる。

    【0386】 植物組織または動物材料(2〜3g)は、滅菌ペトリ皿で収集され、そしてみじん切りにされるかまたは切り刻まれる。 次いで、この材料は、液体窒素下で、
    予め冷却された乳棒および乳鉢中で微細な粉末へとひかれる。 1gの凍結した粉末は、RNA抽出緩衝液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、10
    0mM LiCl、10mM EDTA、1.0% LiDS)とフェノール(
    ベースボリューム:4ml)との熱(80℃)1:1混合物の8mlを含む、1
    2mlのポリプロピレンチューブへと移される(1g=約5ml粉末)。 このサンプルは、高速で少なくとも30秒間、混合(ボルテックス)される。 一定容量のクロロホルム(4ml)が添加されて、そして再び混合され、そして遠心分離機中で20分間、5000〜10,000×gで回転される。 この水層を新しい12mlチューブに移し、そしてRNAを沈殿させるために1/3用量の冷8M LiClが添加される(0℃で3時間)。 このRNAは0℃で20分間、遠心分離され、そして1mlのH 2 O中で再懸濁される。 残留するゲノムDNAを、 RNAサンプルをDNaseIで処理することにより除去する。 逆転写は、1×
    逆転写緩衝液(20μl反応容量当たり、10mM DTT、20μM dNT
    P、0.2μM 5'RSH−T11C(5'制限酵素部位を有する1塩基アンカープライマー)、200U MoMuLV逆転写酵素および1.5U RNA Guard)中の、500ngのDNAを含まないRNAを用いて、各RNA
    サンプルで行われる。

    【0387】 下流のプライマーを使用することはcDNAの細画分の数を3個へと減少させるが、プール中に存在するほとんどのcDNA種を示すために必要とされるPC
    R反応の数は減少させない。 これに反して、存在するようなcDNA種を同定する理論的可能性は減少する。 最もよい結果は、タイプDMO−VV(ここで、V
    はA、G、Cであり得るが、Tではない)の9つの異なるプライマーの組み合わせを使用して得られる。 末端3'位にTを有する、プライマーの不完全なハイブリダイゼーションは、ゲル上でのバンドのスメアを導く。 RNAの最適な濃度は、cDNA合成1回当たり200〜300ngである。

    【0388】 CMSTに基づくディファレンシャルディスプレイは、逆転写および増幅工程に使用されるプライマーの設定、および放射標識ヌクレオチドの選択を除いて、
    本質的に上記(LiangおよびPardee、Science 257:97
    1,1992)のように行われる。 9個の下流プライマーおよび24個の上流プライマーを使用する、目的の2つの生物学的サンプル由来のcDNAの完全なディファレンシャルディスプレイ分析は、9×24×2のCMSTに基づくディファレンシャルディスプレイ反応を生成する。 増幅産物は、HPLCにより分離され得、そして所望されるならば再増幅され得る。

    【0389】 65℃、5分間のRNAのインキュベーションに続いて、サンプルは氷上で冷却され、逆転写混合物へと添加され、そして37℃で60分間、続いて95℃で5分間、増幅される。 次いで、2連のcDNAサンプル増幅され、一連の任意ではあるが規定された配列:H−AP:AAGCTTCGACTGT,H−AP:
    AAGCTTTGGTCAG,H−AP4:AAGCTTCTCAACG,H−
    AP5:AAGCTTAGTAGGC、の13マーと組み合わせての同一の5'
    −プライマーを使用して増幅され得る。

    【0390】 増幅は、20μlの最終容量に合わせた、0.1×容量の逆転写反応物、1×
    PCR緩衝液(10×PCR緩衝液=100mM TRIS−HCl、15mM MgCl2、10mM KCl pH8.3)、2μM dNTP、0.2μ RS H−T11Cアンカープライマー、0.2μMの適切な任意のプライマー、1.5U Expand(商標)高ファイデリティーDNAポリメラーゼ、
    および水を含む反応混合物中で行われる。 cDNAの増幅は、以下の条件下で行われる:94℃(1分)続いて94℃(30秒)、40℃(2分)、72℃(3
    0秒)の40サイクル、そして72℃(5分間)で終了する。

    【0391】 各遺伝子についての増幅は、公知のイントロン/エキソン境界にわたる遺伝子特異的プライマーを用いて行われる(以下を参照のこと)。 全ての増幅は、10
    mM Tris HCl pH8.3、1mM NH4Cl、1.5M MgC
    l2、100mM KCl、0.125mM NTP、10ng/mlの逆転写オリゴヌクレオチドプライマーおよび0.75ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Gibco−BRL)を含む20μl容量中で行われる。 サイクルパラメーターは、94℃の5分間の予備加熱工程、続いて94℃の1分間の変性工程、55℃の2分間のアニーリング工程、および72℃の30秒〜1分間の伸長工程、ならびに72℃で10分間の最終伸長であった。 一般に、増幅サイクルは、
    全部で30〜45回である。

    【0392】 増幅産物は、0.04M Tris−酢酸塩、0.001M EDTA(1×
    TEA)緩衝液中で1%アガロースゲル電気泳動上でゲル精製され、そして臭化エチジウムを用いて染色される。 目的のバンドのすぐ前で溝が切り出され、そして50〜200μlの10%PEGを含む1×TAE緩衝液で充填される。 バンドが完全に溝に入るまで、電気泳動が続けられる。 次いで、この内容物が除去され、そしてフェノールを用いて抽出され、クロロホルム抽出され、そして0.1
    容量の7.5M酢酸アンモニウムおよび2.5容量の100%エタノール中で沈殿される。 サンプルは75%EtOHで洗浄され、そして周囲温度で簡単に乾燥される。 1×TBE中での1%アガロースゲルでの少量のアリコートの電気泳動(これは臭化エチジウム染色を伴う)そして既知の標準との比較により、収率の定量が行われる。

    【0393】 増幅反応からの産物がHPLCにより分析される。 HPLCは自動HPLC計測器(Rainen,Emeryville,CA.,またはHewlett Packaed,Palo Alto,CA)を使用して実施される。 HPLC
    への注入前に95℃で3分間変性される、精製されていないDNAフィンガープリンティング産物は、0.9ml/分の流速で1.8%/分の線形アセトニトリル(Acn,J.T.Baker,NJ)勾配を用いて溶出される。 開始点および終点は、増幅産物のサイズに従って調整される。 DNAフィンガープリンティング技術の間に生成された分子の良好な分解に必要とされる温度は50℃である。 次いで、HPLCからの溶出物はタグの検出のための質量分析へと向けられる(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)。

    【0394】 クロマトグラム(質量分析に基づく)の比較は、220bpおよび468bp
    でのバンドが刺激されたJurkat細胞では観察されるが、刺激されていないJurkat細胞では観察されないことを示す。

    【0395】 C. (核酸フラグメントの分離) 分析を必要とするサンプルはしばしば、複合体マトリックス中の多数の成分の混合物である。 未知の化合物を含むサンプルについては、成分は、それぞれ個々の成分が他の分析方法により同定され得るように互いに分離されなければならない。 混合物中の成分の分離特性は一定の条件下で一定であり、従って一旦決定されると、これらは各成分を同定および定量するために使用され得る。 このような手順は、クロマトグラフ的および電気泳動的な分析分離において代表的である。

    【0396】 1. (高速液体クロマトグラフィー(HPLC)) 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、溶液中に溶解された化合物を分離するためのクロマトグラフ的分離技術である。 HPLC機器は、移動相のリザーバー、ポンプ、インジェクター、分離カラム、および検出器からなる。 化合物は、サンプル混合物のアリコートをカラムに注入することにより分離される。 混合物中の異なる成分は、これらの移動液相と固定相との間の分配挙動の差異に起因して異なる速度でカラムを通過する。

    【0397】 最近、化学的に結合したアルキル鎖を有する非多孔性PS/DVB粒子でのI
    P−RO−HPLCは、一本鎖および二本鎖の両方の核酸の分析において類似の程度の分解能を提供するキャピラリー電気泳動に対して迅速な代案となることが示されている(Huberら、Anal.Biochem.212:351,1
    993;Huberら、1993,Nuc. Acids Res. 21:106
    1;Huberら、Biotechniques 16:898,1993)。
    二本鎖DNAを鎖長の関数として保持するとは限らない(AT塩基対は正に荷電した固定相と、GC塩基対よりも強力に相互作用するので)イオン交換クロマトグラフィーとは対照的に、IP−RP−HPLCは、厳密なサイズ依存性分離を可能にする。

    【0398】 100mMのトリエチルアンモニウムアセテートをイオン対試薬として使用する方法が開発され、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドが、高速液体クロマトグラフィー(Oefnerら、Anal.Biochem.223:39,19
    94)の方法により、アルキル化された非多孔性2.3μMポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)粒子上で首尾良く分離され得た。 記載された技術は、50〜2
    00ヌクレオチドのサイズの範囲内においてわずか4〜8塩基対の長さが異なるPCR産物の分離を可能にした。

    【0399】 2. (電気泳動) 電気泳動は、電場内でのイオン(または本明細書中で記載される場合のようなDNA)の移動度に基づく分離技術である。 負に荷電したDNAは正極に向かって移動し、そして正に荷電したイオンは負極に向かって移動する。 安全性の理由のために、一方の電極は通常は接地され、他方の電極は正または負にバイアスをかけられている。 荷電した種は、これらの総電荷、サイズ、および形に依存する、異なる移動速度を有し、従って、分離され得る。 電極装置は、高電圧電源、電極、緩衝液、および緩衝液のためのポリアクリルアミドゲルまたはキャピラリーチューブのような支持体からなる。 オープンキャピラリーチューブが、多くのタイプのサンプルのために使用され、そして他のゲル支持体が、通常は、生物学的サンプル(例えば、タンパク質混合物またはDNAフラグメント)のために使用される。

    【0400】 3. (キャピラリー電気泳動(CE)) その種々の出現(フリーソリューション(free solution)、等速電気泳動、等電点電気泳動、ポリアクリルアミドゲル、ミセル動電の「クロマトグラフィー」)におけるキャピラリー電気泳動(CE)は、非常にわずかなサンプル量である複雑な混合物の、迅速で高い分解能の分離のための方法として開発されている。 MSの本来の感度および選択性との併用において、CE−MSは、生体分析のための潜在的に強力な技術である。 本明細書中に開示される新規な適用において、これら2つの技術を調和させることは、配列決定法の現在の速度を数桁の規模で越える優れたDNA配列決定法に至る。

    【0401】 CEとエレクトロスプレーイオン化(ESI)との間の流速の対応および両方が溶液中でイオン種により促進される(そして主にイオン種のために使用される)という事実は、非常に魅力的な組み合わせについての基礎を提供する。 ESI
    に基づく、四重極(quadrapole)質量分析計を有するキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)およびキャピラリー等速電気泳動の両方の組み合わせが記載されている(Olivaresら、Anal.Chem.59:1230,
    1987;Smithら、Anal. Chem. 60:436,1988;Lo
    oら、Anal. Chem. 179:404,1989;Edmondsら、J
    . Chroma. 474:21,1989;Looら、J. Microcolu
    mn Sep. 1:223,1989;Leeら、J. Chromatog. 4
    58:313,1988;Smithら、J. Chromatog. 480:2
    11,1989;Greseら、J. Am. Chem. Soc. 111:283
    5,1989)。 小さなペプチドは、良好な(フェントモル)感度でCZE分析で容易に分析できる。

    【0402】 DNAフラグメントのための最も強力な分離方法は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)であり、一般にスラブゲルの型である。 しかし、現代の技術の主な限界は、配列決定反応により生成されたDNAフラグメントのゲル電気泳動を実施するために必要とされる比較的長い時間である。 増大した規模(10
    倍)が、超薄ゲルを利用するキャピラリー電気泳動の使用で達成され得る。 第一の近似値に対するフリーソリューションにおいて、全てのDNAは、塩基の追加が質量および電荷の代償を生じる移動度と同じ移動度で移動する。 ポリアクリルアミドゲルにおいて、DNAフラグメントはふるいにかけられ、そして長さの関数として移動し、そしてこのアプローチは、現在、CEに適用されている。 1メーターあたりの著しいプレート数が、現在、架橋ポリアクリルアミドで達成されている(1メーターあたり10 +7プレート、Cohenら、Proc.Natl
    . Acad. Sci. ,USA 85:9660,1988)。 記載されるようにこのようなCEカラムは、DNA配列決定のために使用され得る。 CEの方法は、原則として、標準的なシークエンサーにおけるスラブゲル電気泳動よりも2
    5倍早い。 例えば、1時間あたり約300塩基が解読され得る。 分離速度は、スラブゲル電気泳動において過剰の熱生成を伴わずにゲルに適用され得る電場の規模により制限される。 従って、CEのより大きな速度は、より高い電界強度の使用を介して達成され得る(CEにおいて300V/cm対スラブゲル電気泳動において10V/cm)。 キャピラリーの型はアンペア数を減らし、従って、電源および生じる熱生成を減少する。

    【0403】 Smithおよび他の者(Smithら、Nuc.Acids.Res.18
    :4417,1990)は、処理能力を増大するために複数のキャピラリーを平行に使用することを示唆している。 同様に、MathiesおよびHuang(
    MathiesおよびHuang、Nature 359:167,1992)
    は、分離がキャピラリーの平行のアレイ上で実施され、そして高い配列決定処理能力を示すキャピラリー電気泳動を導入した(Huangら、Anal.Che
    m. 64:967,1992,Huangら、Anal. Chem. 64:21
    49,1992)。 キャピラリー電気泳動の主な不利は、キャピラリー上にロードされ得る限定されたサンプル量である。 分離前に、キャピラリーの初めに大量のサンプルを濃縮することにより、負荷能力(loadability)が増大し、そして検出レベルが数桁の規模で低くなり得る。 CEにおける予備濃縮の最もポピュラーな方法は、サンプルの積層である。 サンプルの積層は、最近、総説されている(ChienおよびBurgi、Anal.Chem.64:489
    A,1992)。 サンプルの積層は、サンプル緩衝液とキャピラリー緩衝液との間のマトリックスの差異(pH、イオン強度)に依存し、その結果、サンプルのゾーンを横切る電場は、キャピラリー領域より大きくなる。 サンプルの積層において、低濃度緩衝液中の大量のサンプルは、キャピラリーカラムの上部での予備濃縮のために導入される。 キャピラリーは、同一成分であるが高濃度の緩衝液で充填される。 サンプルのイオンがキャピラリー緩衝液およびより低い電場に到達した場合、これらは濃縮ゾーンに積層される。 サンプルの積層は、1〜3桁の規模で検出性を増大する。

    【0404】 予備濃縮の別の方法が、分析物のフリーゾーンCE分離の前に等速電気泳動(
    ITP)に適用される。 ITPは、CEに代表的に関連する低いnL注入容量と対照的に、μl容量のサンプルをキャピラリーにロードさせる電気泳動的技術である。 この技術は、分析物よりもそれぞれ高い移動度および低い移動度の2つの緩衝液(リーディングおよびトレーリングの電解液)の間にサンプルを挿入することに依存する。 この技術は、本質的に、分析物が同じ速度で移動する純粋なゾーンに集中する濃縮技術である。 リーディングおよびトレーリングの電解液のいくつかの選択の必要性および分離プロセスの間のカチオン種またはアニオン種のみを分離する能力のために、この技術は、現在、上記の積層方法よりもポピュラーではない。

    【0405】 DNA配列決定プロセスの核心は、DNAまたはオリゴヌクレオチドフラグメントの非常に選択的な電気泳動的分離である。 これは、各フラグメントが解析され、そしてわずかなヌクレオチドが異なることから、著しい。 1000フラグメント(1000bp)までの分離が得られている。 切断可能(cleavabl
    e)なタグを用いる配列決定のさらなる利点は、以下のようである。 切断可能なタグが使用されて、DNAフラグメントがポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離される場合、スラブゲルの型を使用する必要性はない。 多数のサンプル(
    4〜2000)が併用されるので、現在の色素プライマーまたは色素ターミネーター方法(すなわち、ABI373シーケンサー)の場合のように、平行にサンプルを流す必要はない。 平行なレーンを流す理由がないので、スラブゲルを使用する理由がない。 従って、電気泳動的分離方法のためにチューブゲルの型が使用され得る。 Grossman(Grossmanら、Genet.Anal.T
    ech. Appl. 9:9,1992)は、スラブゲルの型の代わりにチューブゲルの型が使用される場合、かなりの利点が得られることを示している。 これは、スラブゲルと比較してチューブの型においてジュール熱を散逸するより優れた能力に起因し、この能力はより早い運転時間(50%まで)および高分子量のD
    NAフラグメント(1000ntを超える)のかなり高い分解能を生じる。 長い解読は、ゲノム配列決定において重要である。 従って、配列決定における切断可能なタグの使用は、ユーザーに最も高い分解能を有する最も効率的かつ敏感なD
    NA分離方法の使用を可能にするさらなる利点を有する。

    【0406】 4. (マイクロ作製デバイス(microfabricated devic
    e)) キャピラリー電気泳動(CE)は、DNA配列決定、法医学的分析、PCR産物分析、および制限フラグメントサイジングのための強力な方法である。 CEは、キャピラリーゲルにかなりより高い電場が適用され得るので、従来のスラブP
    AGEよりもかなり迅速である。 しかし、CEは、ただ1つのサンプルがゲルあたり処理される欠点を有する。 この方法は、CEのより迅速な分離時間と、並行して複数のサンプルを分析する能力とを組み合わせる。 マイクロ作製デバイスの使用の後ろにある基本的な概念は、レーンの寸法を約100μmに縮小化することにより、電気泳動における情報密度を増加させる能力である。 エレクトロニクス産業は、1ミクロン未満のサイズの特徴を有する回路を作製するようなマイクロ作製を日常的に使用する。 キャピラリーアレイの電流密度は、キャピラリーチューブの外径で制限される。 チャネルのマイクロ作製は、より密度の高いアレイを作製する。 マイクロ作製はまた、ガラスファイバーを用いて可能でない物理的組立を可能にし、そしてチャネルをチップ上で他のデバイスに直接的に連結する。 わずかなデバイスが、分離技術のためにマイクロチップ上で構築されている。
    ガスクロマトグラフ(Terryら、IEEE Trans.Electron Device,ED−26:1880,1979)および液体クロマトグラフ(Manzら、Sens.Actuators B1:249,1990)が、
    シリコンチップ上で作製されているが、これらのデバイスは広く使用されていない。 いくつかのグループが、マイクロ作製デバイスでの蛍光色素およびアミノ酸の分離を報告している(Manzら、J.Chromatography 59
    3:253,1992,Effenhauserら、Anal. Chem. 6
    5:2637,1993)。 最近、WoolleyおよびMathies(Wo
    olleyおよびMathies、Proc. Natl. Acad. Sci. 9
    1:11348,1994)は、ガラス基板上で多数の分離チャネルを作製するために使用され得るフォトリソグラフィーおよび化学的エッチングを示している。 このチャネルは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)分離マトリックスで充填される。 これは、DNA制限フラグメントが、わずか2分で分離され得たことを示した。

    【0407】 D. (タグの切断) 上記のように、異なるリンカーの設計は、異なる特定の物理的または化学的条件下で切断性(cleavability)(「不安定性」)を与える。 種々の設計のリンカーを切断するように作用する条件の例は、酸、塩基、酸化、還元、
    フッ化物、チオール交換、光分解、および酵素的条件を含む。

    【0408】 上記リンカーの一般基準を満足する切断性リンカーの例は、当該分野で周知であり、そしてPierce(Rockford,IL)から入手可能なカタログ中に見出される切断性リンカーを含む。 例は、以下を含む: ・エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、ヒドロキシルアミンにより切断可能であるアミン反応性架橋試薬(1M、37℃で3〜
    6時間); ・ジスクシンイミジルタルタレート(DST)およびスルホ−DST、これらは、0.015Mの過ヨウ素酸ナトリウムにより切断可能なアミン反応性架橋試薬である; ・ビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)およびスルホ−BSOCOES、これらは、塩基(pH 1
    1.6)により切断可能なアミン反応性架橋試薬である; ・1,4−ジ−{3'−(2'−ピリジルジチオ(プロピオンアミド))ブタン(DPDPB)、チオール交換または還元により切断可能であるピリジルジチオール架橋剤; ・N−[4−(p−アジドサリチルアミド)−ブチル]−3'−(2'−ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、チオール交換または還元により切断可能であるピリジルジチオール架橋剤; ・ビス−[β−4−(アジドサリチルアミド)エチル]−ジスルフィド、チオール交換または還元により切断可能である光反応性架橋剤; ・N−スクシンイミジル−(4−アジドフェニル)−1,3'ジチオプロピオネート(SADP)、チオール交換または還元により切断可能である光反応性架橋剤; ・スルホスクシンイミジル−2−(7−アジド−4−メチルクマリン−3−アセトアミド)エチル−1,3'−ジチオプロピオネート(SAED)、チオール交換または還元により切断可能である光反応性架橋剤; ・スルホスクシンイミジル−2−(m−アジド−o−ニトロベンズアミド)−
    エチル−1,3'ジチオプロピオネート(SAND)、チオール交換または還元により切断可能である光反応性架橋剤。

    【0409】 タグを放出するために使用され得る切断性リンカーおよび切断条件の他の例は、以下のようである。 シリル結合基は、フッ化物または酸性条件下により切断され得る。 3−,4−,5−,または6−置換−2−ニトロベンジルオキシまたは2−,3−,5−,または6−置換−4−ニトロベンジルオキシ結合基は、光子の供給(光分解)により切断され得る。 3−,4−,5−,または6−置換−2
    −アルコキシフェノキシまたは2−,3−,5−,または6−置換−4−アルコキシフェノキシ結合基は、Ce(NH 42 (NO 36 (酸化)により切断され得る。 NCO 2 (ウレタン)リンカーは、水酸化物(塩基)、酸、またはLiAl H 4 (還元)により切断され得る。 3−ペンテニル、2−ブテニル、または1− ブテニル結合基は、O 3 、OsO 4 /IO 4 - 、またはKMnO 4 (酸化)により切 断され得る。 2−[3−,4−,または5−置換−フリル]オキシ結合基は、O 2 、Br 2 、MeOH、または酸により切断され得る。

    【0410】 他の不安定な結合基の切断のための条件は、以下を含む:t−アルキルオキシ結合基は、酸により分解され得る;メチル(ジアルキル)メトキシまたは4−置換−2−アルキル−1,3,−ジオキシラン−2−イル結合基は、H 3+により分解され得る;2−シリルエトキシ結合基は、フッ化物または酸により分解され得る;2−(X)−エトキシ(ここで、X=ケト、エステルアミド、シアノ、N
    2 、スルフィド、スルホキシド、スルホン)結合基は、アルカリ条件下で切断 され得る;2−,3−,4−,5−,または6−置換−ベンジルオキシ結合基は、酸によるかまたは還元的条件下で切断され得る;2−ブテニルオキシ結合基は、(Ph 3 P) 3 RhCl(H)により切断され得、3−,4−,5−,または6
    −置換−2−ブロモフェノキシ結合基は、Li、Mg、またはBuLiにより切断され得る;メチルチオメトキシ結合基は、Hg 2+により切断され得る;2−(
    X)−エチルオキシ(ここで、X=ハロゲン)結合基は、ZnまたはMgにより切断され得る;2−ヒドロキシエチルオキシ結合基は、酸化(例えば、Pb(O
    Ac) 4 )により切断され得る。

    【0411】 好ましいリンカーは、酸または光分解により切断され得るリンカーである。 固相ペプチド合成のために開発されたいくつかの酸不安定なリンカーは、MOIにタグを結合するために有用である。 いくつかのこれらのリンカーは、Lloyd
    −Williamsら(Tetrahedron 49:11065−1113
    3,1993)により最近の総説に記載されている。 一つの有用なタイプのリンカーは、p−アルコキシベンジルアルコールであり、その2つである4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸および4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)酪酸がAdvanced ChemTech(Louisville
    ,KY)より市販されている。 両方のリンカーは、ベンジルアルコールへのエステル結合を介してタグに結合され得、そしてカルボン酸へのアミド結合を介してアミン含有MOIに結合され得る。 これらの分子により結合されたタグは、種々のトリフルオロ酢酸の濃度を用いてMOIから放出される。 これらのリンカーの切断は、タグ上でのカルボン酸の遊離を生じる。 関連するリンカー(例えば、2
    ,4−ジメトキシ−4'−(カルボキシメチルオキシ)−ベンズヒドリルアミン(Advanced ChemTechよりFMOC保護化形態で入手可能))
    を介して結合したタグの酸切断は、放出されたタグ上でのカルボン酸アミドの遊離を生じる。

    【0412】 この適用に有用な光不安定リンカーはまた、大多数が、固相ペプチド合成のために開発されている(Lloyd−Williamsの総説を参照のこと)。 これらのリンカーは、通常は、2−ニトロベンジルエステルまたは2−ニトロベンジルアミドに基づく。 文献に最近報告されている光不安定リンカーの2つの例は、4−(4−(1−Fmoc−アミノ)エチル)−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ)酪酸(HolmesおよびJones、J.Org.Chem.60
    :2318−2319,1995)および3−(Fmoc−アミノ)−3−(2
    −ニトロフェニル)プロピオン酸(Brownら、Molecular Div
    ersity 1:4−12,1995)である。 両方のリンカーは、カルボン酸を介してMOI上のアミンに結合され得る。 タグのリンカーへの結合は、タグ上のカルボン酸とリンカー上のアミンとの間にアミドを形成することにより作製される。 光不安定リンカーの切断は、通常は、当該分野で公知の強度および時間で350nm波長のUV光を用いて実施される。 光化学的切断のための装置の供給源の例は、Aura Industries Inc. (Staten Is
    land,NY)およびAgrenetics(Wilmington,MA)
    である。 リンカーの切断は、タグ上の1級アミドの遊離を生じる。 光切断性リンカーの例は、ニトロフェニルグリシンエステル、エキソ−およびエンド−2−ベンゾノルボルネイル(benzonorborneyl)クロライドおよびメタンスルホネート、ならびに3−アミノ−3(2−ニトロフェニル)プロピオン酸を含む。 酵素的切断の例は、エステル結合を切断するエステラーゼ、ホスホジエステル結合を切断するヌクレアーゼ、ペプチド結合を切断するプロテアーゼなどを含む。

    【0413】 使用されてタグ化分子の光切断が行われ得る適切なデバイスには、略語「PH
    RED」により公知のデバイス(これは増強された検出のための光化学的反応器(Photochemical Rector for Enhanced D
    etection)を意味し、そしてAura Industries,Sta
    ten Island,NYから入手可能である(254nmおよび366nm
    バルブの両方を用いて利用可能))ならびにLuxTubeアセンブリを有するPhotoBlaster System−1(Agrenetics,81 Salem Street Wilmington,MA USA 01887
    (366nmバルブを用いて利用可能であるが、366nm光により活性化されて、254nmを含む波長の範囲の放射(emmision)を生じる光触媒を含む管))が挙げられる。

    【0414】 E. (タグの検出) 検出方法は、代表的には、いくつかのタイプのスペクトル領域における吸収および発光に依存する。 原子または分子が光を吸収する場合、入射エネルギーは、
    量子化された構造をより高いエネルギーレベルへ励起する。 励起のタイプは、光の波長に依存する。 電子は、紫外光または可視光により、より高い軌道に活性化され、分子振動は、赤外光により励起され、そして回転は、マイクロ波により励起される。 吸収スペクトルは、波長の関数としての光の吸収である。 原子または分子のスペクトルは、そのエネルギーレベル構造に依存する。 吸収スペクトルは、化合物の同定に有用である。 比吸光分光光度的方法は、原子吸光分光法(AA
    )、赤外分光法(IR)、およびUV−vis分光法(uv−vis)が含まれる。

    【0415】 高エネルギーレベルに励起される原子または分子は、光線を放射することにより低いレベルに減衰し得る。 光の発光は、遷移が同一スピン間の場合は蛍光と呼ばれ、遷移が異なるスピン間で生じる場合はリン光と呼ばれる。 分析物の発光強度は、濃度(低濃度で)に直線的に比例し、そして発光種を定量するために有用である。 比発光分光光度的方法は、原子発光分析(AES)、原子蛍光分析(A
    FS)、分子レーザー誘起蛍光(LIF)、およびX線蛍光(XRF)を含む。

    【0416】 電磁波が物質を通過する場合、大部分の光線が元の方向で存続するが、少量が他の方向に散乱する。 入射光として同一の波長で散乱する光は、Rayleig
    h散乱と呼ばれる。 振動のために透明な固体中で散乱する光(フォノン)は、B
    rillouin散乱と呼ばれる。 Brillouin散乱は、代表的には、入射光から0.1〜1波数シフトする。 分子中の振動または不透明な固体中の光学的フォノンにより散乱する光は、ラマン散乱と呼ばれる。 ラマン散乱光は、入射光から4000波数と同じ量シフトする。 特定の散乱分光学的方法は、ラマン分光法を含む。

    【0417】 IR分光法は、サンプルによる中間赤外光(mid−infrared li
    ght)の吸収の波長および強度の測定である。 中間赤外光(2.5〜50μm
    、4000〜200cm -1 )は、分子振動をより高いエネルギーレベルに励起するのに十分にエネルギー性である。 IR吸収帯の波長は、化学結合の特定のタイプに特徴的であり、そしてIR分光法は、一般に、有機および有機金属分子の同定に最も有用である。

    【0418】 近赤外光吸収分光法(NIR)は、サンプルによる近赤外光の吸収の波長および強度の測定である。 近赤外光は、800nm〜2.5μm(12,500〜4
    000cm -1 )の範囲にわたり、そして分子振動の倍音および組み合わせをより高いエネルギーレベルに励起するのに十分にエネルギー性である。 NIR分光法は、代表的には、有機の官能基(特にO−H、N−H、およびC=O)の定量的測定のために使用される。 NIRの器械類の構成装置および設計は、uv−vi
    s吸収分光計と同様である。 光源は通常、タングステンランプであり、そして検出器は通常、PbS固体検出器(solid−state detector)
    である。 サンプルホルダーは、ガラスまたは石英であり得、そして代表的な溶媒は、CCl 4およびCS 2である。 NIR分光法の便利な器械類は、オンラインのモニタリングおよびプロセス制御に適している。

    【0419】 紫外および可視吸収分光法(uv−vis)は、サンプルによる近紫外および可視光の吸収の波長および強度の測定である。 真空UVの吸収は100〜200
    nm(10 5 〜50,000cm -1 )、石英UVの吸収は200〜350nm( 50,000〜28,570cm -1 )、および可視の吸収は350〜800nm
    (28,570〜12,500cm -1 )で起こり、そしてBeer−Lambe
    rt−Bouguetの法則により述べられる。 紫外および可視光は、外殻電子をより高いエネルギーレベルに促進するのに十分にエネルギー性である。 UV−
    vis分光法は通常、溶液中の分子および無機イオンまたは錯体に適用され得る。 uv−visスペクトルは、スペクトルの広範な特徴により限定される。 光源は、通常、UV測定については水素または重水素ランプであり、そして可視測定についてはタングステンランプである。 これらの連続する光源の波長は、波長分離器(例えば、プリズムまたは格子モノクロメーター)を用いて選択される。 スペクトルは波長分離器を走査することにより得られ、そして定量測定がスペクトルからまたは単一の波長で行われ得る。

    【0420】 質量分析計は、イオン化された原子または分子の質量対電荷比(m/z)の差異を使用して、それらをお互いに分離する。 それ故、質量分析は、原子または分子の定量のために、そしてまた、分子についての化学的および構造的情報を決定するために有用である。 分子は、化合物を同定するための構造的情報を提供する特有の断片化パターンを有する。 質量分析計の一般的な操作は、以下のようである。 気相イオンが作製され、イオンがその質量対電荷比に基づいて空間または時間で分離され、そして各質量対電荷比のイオンの量が測定される。 質量分析計のイオン分離力は、分解能により述べられ、これはR=m/Δmとして定義される。 ここで、mはイオン質量であり、そしてΔmは質量スペクトルにおける2つの分離可能なピークの間の質量の差異である。 例えば、1000の分解能を有する質量分析計は、m/zが100.1のイオンからm/zが100.0のイオンを分離し得る。

    【0421】 一般に、質量分析計(MS)は、イオン源、質量選択的な分析器、およびイオン検出からなる。 磁気セクター型、四重極型、および飛行時間型の設計もまた、
    イオンを供給源領域から質量分析器に移すために、イオン光学の抽出および加速を必要とする。 いくつかの質量分析器の設計(磁気セクター型MS、四重極型M
    S、または飛行時間型MS)の詳細は、以下で議論される。 磁気セクター型MS
    のための一重集束型(focusing)分析器は、180、90、または60
    °の粒子ビーム経路を利用する。 粒子に影響を与える種々の力は、異なる質量電荷比を有するイオンを分離する。 二重集束型分析計では、静電気的分析器は、動力学的エネルギーの差異を有する粒子を分離するためにこのタイプの装置に加えられる。

    【0422】 四重極型MSのための四重極型質量フィルターは、平行に配列された4つの金属ロッドからなる。 印加電圧は,4つのロッドの間の中心である飛行経路を進み下りてくるイオンの軌道に影響を与える。 所定のDCおよびAC電圧のために、
    特定の質量対電荷比のイオンのみが四重極型フィルターを通過し、そして全ての他のイオンはそれらの元の経路の外へ投げられる。 質量スペクトルは、ロッド上の電圧が変化する際の四重極型フィルターを通過するイオンをモニターすることにより得られる。

    【0423】 飛行時間型質量分析計は、異なる質量のイオンを分離するために、「ドリフト領域」を通過する移動時間の差異を使用する。 これは、イオンがパルスで生成されるべきそして/またはパルスで抽出されるべきであるように、パルスモードで稼働する。 パルスされた電場は、qVの動力学的エネルギー(ここで、qはイオン電荷であり、そしてVは、印加電圧である)で、全てのイオンを場のない(f
    ield−free)ドリフト領域へ向けて加速する。 イオンの動力学的エネルギーは0.5mV 2であるので、より軽いイオンはより重いイオンよりもより高 い速度を有し、そしてより早くドリフト領域の末端の検出器に到達する。 イオン検出器の出力は、時間の関数としてオシロスコープ上に示されて質量スペクトルを作成する。

    【0424】 イオン形成プロセスは、質量分析の開始点である。 化学イオン化は、分析分子(タグ)と反応する試薬イオンを使用して、プロトンまたはヒドリド移動によりイオンを形成する方法である。 試薬イオンは、大過剰のメタン(タグに対して)
    を電子衝撃(EI)イオン源へ導入することにより生成される。 電子衝突は、メタンとさらに反応してCH 5 -およびC 25 +を形成するようなCH 4 -およびCH 3 +を生成する。 タグをイオン化するような別の方法は、プラズマおよびグロー放 電である。 プラズマは、効率的に原子を励起しそしてイオン化する、熱く部分的にイオン化したガスである。 グロー放電は、2つの電極間で維持された低圧のプラズマである。 電子衝撃イオン化は、タングステンフィラメントから通常生成される電子ビームを使用して、気相の原子または分子をイオン化する。 ビームからの電子は、電子を分析物の原子または分子から打ち落として、イオンを生成する。 エレクトロスプレーイオン化は、非常に細い針および一組のスキマー(ski
    mmer)を使用する。 サンプル溶液は、原料チャンバにスプレーされ、液滴を形成する。 液滴は、キャピラリーを抜け出る場合に電荷を有し、そして溶媒が気化するにつれて液滴は高い電荷を有する分析物分子を残して消失する。 ESIは、気化またはイオン化が困難な大きな生物学的分子のために特に有用である。 高速原子衝撃(FAB)は、脱離およびイオン化を引き起こす固体サンプルに衝突する中性原子(代表的には、XeまたはAr)の高エネルギービームを使用する。 これは、気相になることが困難な大きな生物学的分子のために使用される。 F
    ABは、ほとんど断片化を生じず、そして通常は、大きな分子イオンピークを示し、分子量決定に有用である。 原子ビームは、電荷交換セルを介したイオン源からのイオンを加速することにより生成される。 イオンは、中性原子との衝突において電子を捕捉して、高エネルギーの原子のビームを形成する。 レーザーイオン化(LIMS)は、レーザーパルスが、サンプルの表面から物質を除去しそしていくつかのサンプル成分をイオン化するマイクロプラズマを生成する方法である。 マトリックス補助(matrix−assisted)レーザー脱離イオン化(MALDI)は、大きな生物学的分子(例えば、タンパク質またはDNAフラグメント)を気化し、そしてイオン化するLIMS方法である。 生物学的分子は、固体マトリックス(例えば、ニコチン酸)に分散される。 UVレーザーパルスは、それらが質量分析計へ抽出され得るように、いくつかの大きな分子をイオン化形態で気相に運ぶマトリックスを除去する。 プラズマ脱離イオン化(PD)は、反対方向に移動する2つの分裂フラグメントを生成する252 Cfの崩壊を利用 する。 一方のフラグメントは、サンプルに衝突して1〜10の分析物イオンをたたき出す。 他方のフラグメントは、検出器に衝突し、そしてデータ取得の開始を引き起こす。 このイオン化方法は、大きな生物学的分子に特に有用である。 共鳴イオン化(RIMS)は、1つ以上のレーザービームが気相原子または分子の遷移に対して共鳴するように調和されて、これのイオン化電位を越えて段階的な様式でこれを促進してイオンを生成する方法である。 二次イオン化(SIMS)は、イオンビーム(例えば、 3 He +16+ 、または40 Ar + )を使用し、これはサンプルの表面上に焦点を合わせられ、そして物質を気相に飛ばす。 スパーク源は、電流を2つの電極を横切ってパルスすることにより固体サンプルにおける分析物をイオン化する方法である。

    【0425】 タグは、これが付着する分子からの切断の前、その間、その後に荷電され得る。 イオン化方法はイオン「脱離」に基づき、固体または液体表面からのイオンの直接的な形成または発光は、不揮発性および熱に不安定な化合物への適用を増大することを可能にする。 これらの方法は、イオン化前の中性分子の気化の必要性を排除し、そして一般に分子種の熱分解を最小化する。 これらの方法は、電界脱離(Becky、Principles of Field Ionizati
    on and Field Desorption Mass Spectro
    metry,Pergamon,Oxford,1977)、プラズマ脱離(S
    undqvistおよびMacfarlane、Mass Spectrom.
    Rev. 4:421,1985)、レーザー脱離(KarasおよびHille
    nkamp、Anal. Chem. 60:2299,1988;Karasら、
    Angew. Chem. 101:805,1989)、高速粒子衝撃(例えば、
    高速原子衝撃、FAB、および二次イオン質量分析、SIMS、Barberら、Anal. Chem. 54:645A,1982)、ならびに熱スプレー(T
    S)イオン化(Vestal、Mass Spectrom.Rev.2:44
    7,1983)を含む。 熱スプレーは、液体クロマトグラフィーとのオンラインの組み合わせについて広範に適用される。 連続流通(continuous f
    low)FAB法(Caprioliら、Anal.Chem.58:2949
    ,1986)はまた、顕著な可能性が示されている。 イオン化/質量分析法の組み合わせのより完全なリストは、イオントラップ質量分析法、エレクトロスプレーイオン化質量分析法、イオンスプレー質量分析法、液体イオン化質量分析法、
    大気圧イオン化質量分析法、電子イオン化質量分析法、準安定原子衝撃イオン化質量分析法、高速原子衝撃イオン化質量分析法、MALDI質量分析法、光イオン化飛行時間型質量分析法、レーザー液滴質量分析法、MALDI−TOF質量分析法、APCI質量分析法、ナノスプレー質量分析法、噴霧スプレーイオン化質量分析法、化学イオン化質量分析法、共鳴イオン化質量分析法、二次イオン化質量分析法、熱スプレー質量分析法である。

    【0426】 不揮発性の生物学的化合物を分析できるイオン化方法は、適用性の重複する範囲を有する。 イオン化効率は、マトリックス成分および化合物のタイプに非常に依存する。 現在利用可能な結果は、TSについて上限の分子量は約8000ダルトンであることを示す(JonesおよびKrolik、Rapid Comm
    . Mass Spectrom. 1:67,1987)。 TSは、主に四重極型質量分析計と共に実行される(感度は、代表的には、より高い質量対電荷比(
    m/z)で非部分的に(disporportionately)影響される)
    。 飛行時間型(TOF)質量分析計は市販され、そしてm/z範囲が検出器の能力によってのみ限定されるという利点を有する。 最近、2つのさらなるイオン化方法が導入されている。 これら2つの方法は、現在、マトリックス補助レーザー脱離(MALDI、KarasおよびHillenkamp、Anal.Che
    m. 60:2299,1988;Karasら、Angew. Chem. 101
    :805,1989)およびエレクトロスプレーイオン化(ESI)である。 両方の方法論は、非常に高いイオン化効率を有する(すなわち、非常に高い[生成された分子イオン]/[消費された分子])。 技術の最終的な可能性を規定する感度は、サンプルのサイズ、イオンの量、流速、検出効率、および実際のイオン化効率に依存する。

    【0427】 エレクトロスプレーMSは、1960年代に最初に提示されたアイデアに基づく(Doleら、J.Chem.Phys.49:2240,1968)。 エレクトロスプレーイオン化(ESI)は質量分析法による分析のための荷電した分子を生成する一つの手段である。 簡単に述べると、エレクトロスプレーイオン化は、強い静電場に液体を噴霧することにより、高度に荷電した液滴を生成する。
    大気圧の乾燥バスのガス中で一般に形成される高度に荷電した液滴は、電荷の反発が凝集力を超えるまで、中性の溶媒のエバポレーションにより縮小し、「クーロン爆発(coulombic explosion)」に至る。 イオン化の正確な機構は議論の余地があり、そしていくつかのグループが仮説を出している(
    Bladesら、Anal. Chem. 63:2109−14,1991;Ke
    barleら、Anal. Chem. 65:A972−86,1993;Fen
    n、J. Am. Soc. Mass. Spectrom. 4:524−35,19
    93)。 イオン形成の最終的なプロセスに関わらず、ESIは、穏やかな条件化で溶液から荷電した分子を生成する。

    【0428】 少量の有機分子での有用な質量スペクトルデータを得る能力は、イオンの効率的な生成に依存する。 ESIのイオン化の効率は、分子に関する正電荷の程度に関連する。 イオン化の実験的な改良は、通常、酸性条件を使用することに関している。 イオン化を改良する別の方法は、可能な場合に、四級アミンを使用する方法である(Aebersoldら、Protein Science 1:49
    4−503,1992;Smithら、Anal. Chem. 60:436−4
    1,1988を参照のこと)。

    【0429】 エレクトロスプレーイオン化は、以下により詳細に記載される。 エレクトロスプレーイオン生成は、2つの工程を必要とする:大気圧付近での高度に荷電した液滴の分散、次いで蒸発を導く条件である。 分析物分子の溶液は、高い電位に保たれた針に通される。 針の末端では、溶液は分散して、分析物分子を含む高度に荷電した液滴の小さなミストになる。 小さな液滴は速やかに蒸発し、そして電界脱離または残りの蒸発のプロセスによりプロトン化されたタンパク質分子が気相へと放出される。 エレクトロスプレーは、一般に、キャピラリチューブからの液体のわずかな流れ(一般に1〜10μL/分)への高電場の適用により、生成される。 3〜6kVの電位差は、代表的に、0.2〜2cm離れて配置されたキャピラリーと対電極との間に適用される(ここで、脱溶媒和の程度に依存するイオン、荷電したクラスター、およびさらに荷電した液滴は、小口を介してMSによりサンプリングされ得る)。 電場は、キャピラリーの末端で液体表面での電荷の蓄積を生じる。 従って、液体の流速、抵抗率、および表面張力は、液滴の生成において重要なファクターである。 高電場は、液体表面の破壊および高度に荷電した液滴の形成を生じる。 正にまたは負に荷電した液滴は、キャピラリーのバイアスに依存して生成され得る。 負のイオン形態は、電気的な放電を阻止する酸素のような電子捕捉剤の存在を必要とする。

    【0430】 広範囲の液体は、真空中へ静電的にまたは噴霧剤の助けをかりてスプレーされ得る。 噴霧のための電場のみの使用は、液体の電導率および誘電率の範囲に対するいくつかの実際的な制限の原因となる。 10 -4 M未満の水性電解質溶液に対応する、10 -5オーム未満の溶液電導率は、有用な液体の流速での安定なエレクトロスプレーのために、室温で必要である。 ESI−MSに最も有用であると見出された形態において、適切な液体の流速は、液体の微細なミストとしての分散を生じる。 キャピラリーからの短い距離は、液滴の直径をしばしば全く均一にし、
    そして1μmのオーダーにする。 全てのエレクトロスプレーのイオン電流がより高い液体の流速のためにほんのわずかに増加することが、特に重要である。 加熱はエレクトロスプレーを操作するために有用であるという証拠が存在する。 例えば、わずかな加熱は、水溶液が容易にエレクトロスプレー化されることを可能にし、これはおそらく、粘性および表面張力の減少のためである。 熱補助(the
    rmally−assisted)およびガス噴霧補助(gas−nebuli
    zation−assisted)エレクトロスプレーは両方とも、より高い液体の流速を使用することを可能にするが、液滴の荷電の程度を減少する。 分子イオンの形成は、最初の液滴群の蒸発をもたらす条件を必要とする。 これは、乾燥ガスの中程度の温度(60℃未満)での流れにより、インターフェースを介した輸送の間の加熱により、および(特に、イオン捕獲方法の場合に)比較的低圧でのエネルギー性の衝突により、高圧で達成され得る。

    【0431】 ESIの基礎にある詳細なプロセスは不明のままであるが、ESIにより生成される非常に小さな液滴は、溶液中で正味の電荷を有するほとんどの任意の種が残りの溶媒の蒸発の後に気相に移ることを可能にするようである。 次いで、質量分析検出は、脱溶媒和の後に扱いやすいm/z範囲(四重極型装置については、
    4000ダルトン未満)を有し、そして十分な効率で生成されて伝導される、イオンを必要とする。 広範囲の溶質は、ESI−MSで分析可能であることが既に見出されており、そして分子量に対するイオン化効率の実質的な相関関係の欠如は、高度に識別力がなくそして広範に適用可能なイオン化プロセスを示唆する。

    【0432】 エレクトロスプレーのイオン「源」は、大気圧付近で機能する。 エレクトロスプレー「源」は、代表的に、対電極に対して水溶液に電気的にバイアスをかけるための方法を組み入れている金属またはガラスのキャピラリーである。 溶液(代表的には、分析物およびしばしば酢酸のような他の添加物を含む水−エタノール混合物)は、キャピラリーの末端へと流れる。 本質的に任意の溶媒系に適合し得るESI源は、記載されている(Smithら、Anal.Chem.62:8
    85,1990)。 ESIについての代表的な流速は、1〜10μL/分である。 ESI−MSインターフェースの主な必要条件は、イオンをサンプリングし、
    そして可能な限り効率的にイオンを高圧領域からMSへ運ぶことである。

    【0433】 ESIの効率は、非常に高く、極度に敏感な測定の原理を提供する。 これは、
    本明細書中に記載される本発明に有用である。 電流装置の性能は、1価に荷電した種について約2×10 -12 Aまたは約10 7カウント/秒である検出器において総イオン電流を提供し得る。 装置の性能に基づいて、1価に荷電した種の10 -1 0 Mまたは約10 -18モル/秒ほどの低い濃度は、分析物が完全にイオン化される場合に、検出可能なイオン電流(約10カウント/秒)を示す。 例えば、低いアトモルの検出限界が、キャピラリーゾーン電気泳動を有するESIインターフェースを使用して4級アンモニウムイオンについて得られている(Smithら、
    Anal. Chem. 59:1230,1988)。 1000の分子量の化合物については、電荷の平均数は1であり、荷電状態のおよその数は1であり、ピーク幅(m/z)は1であり、そして最大強度(イオン/秒)は1×10 12である。

    【0434】 非常にわずかなサンプルが、ESI質量スペクトルを得ることにおいて、実際に消費される(Smithら、Anal.Chem.60:1948,1988
    )。 実質的なゲインもまた、セクター装置を有するアレイ検出器の使用により得られ得、これは、スペクトルの一部分の同時検出を可能にする。 現在では、ES
    Iにより形成された全てのイオンのわずか約10 -5しか検出されないので、装置の性能を制限するファクターへの注意は、改良された感度についての原理を提供し得る。 本発明が、イオン化および検出の方法論における改良について意図しそして適合することは、当業者には、明らかである。

    【0435】 インターフェースは、好ましくは、分離器械類(例えば、ゲル)と検出器(例えば、質量分析計)との間に配置される。 インターフェースは、好ましくは、以下の特性を有する:(1)わずかな(discreet)時間間隔でDNAフラグメントを回収する能力、(2)DNAフラグメントの濃縮、(3)電気泳動の緩衝液および環境からのDNAフラグメントの取り出し、(4)タグのDNAフラグメントからの切断、(5)タグのDNAフラグメントからの分離、(6)D
    NAフラグメントの処分、(7)タグの揮発性溶液中への配置、(8)タグの気化およびイオン化、(9)タグを質量分析計へ誘導するエレクトロスプレーデバイスへのタグの配置または移動。

    【0436】 インターフェースはまた、DNAフラグメントがゲルの底面から溶出するとD
    NAフラグメントを「回収する」能力を有する。 ゲルは、スラブゲル、管状のゲル、キャピラリー等からなり得る。 DNAフラグメントは、いくつかの方法により回収され得る。 第一の方法は、DNAフラグメントが電極上でまたはその近辺で回収される電場の使用である。 第二の方法は、DNAフラグメントが、液流をゲルの底面を通して流すことにより回収される方法である。 両方法の局面は組み合わせられ、ここで、流れに回収されたDNAフラグメントは、後に、電場の使用により濃縮され得る。 最終結果は、DNAフラグメントが分離方法が実施された環境から取り出されることである。 つまり、DNAフラグメントは、電場の使用により一方の溶液タイプからもう一方の溶液タイプへと「ドラッグ(drag
    )」され得る。

    【0437】 一旦、DNAフラグメントが適切な溶液(エレクトロスプレーおよび質量分析に適合する)中にあれば、タグはDNAフラグメントから切断され得る。 次いで、DNAフラグメント(またはその残存物)が、電場の適用によりタグから分離され得る(好ましくは、タグは、DNAタグのDNAフラグメントの反対の電荷である)。 次いで、タグは、電場または流れる液体の使用により、エレクトロスプレーデバイスに導かれる。

    【0438】 好ましくは、検出デバイスは、質量分析計である。 なぜなら、質量分析計はイオン化種の質量対電荷比(m/e)の差異を使用して分子を特異的に同定するので、この検出技術は小分子の定量のために有用であり、そしてまた、分子の周りの化学的および構造的情報を決定するために有用である。 いくつかの分子は特有の断片化パターンを有し、これは情報を提供して構造的成分の同定し得る。 しかしながら、本明細書中に記載される使用について、MSDは本質的に、公知の分子量のタグの検出、測定および定量のために「アレイ−検出器」として使用される。 従って、質量分析は、科学者がUV/VIS分光計中のダイオード−アレイ検出器を一般的に使用するのと等しく利用され、公知の吸光係数で小分子を測定し得る。 本明細書で記載される本願において、タグを使用して、特定の核酸配列の存在または非存在を同定し、そしてサンプル同定をマッピングする。

    【0439】 四重極型質量検出器は、4本の平行金属ロッドから構成される。 2本の対向するロッドは、(U+Vcos(wt))の印加された電圧を有し、そして他の2
    本のロッドは、−(U+Vcos(wt))の電圧を有し、ここでUは直流電圧であり、そしてVcos(wt)は交流電圧である。 印加された電位は、4本のロッド間の中央の飛行経路を縦断(traveling down)するイオンの軌道に影響を与える。 所定の直流および交流電圧について、特定の質量対電荷比のイオンのみが四重極型フィルターを通過し、そして他の全てのイオンはそれらの元来の経路から放出される。 質量スペクトルは、ロッドの電圧が変化されるので四重極型フィルターを通過するイオンをモニターすることによって得られる。 質量分析計のイオン分離力は、質量スペクトルの2つの分解ピーク間の質量の差異である分解能によって記載される。 すなわち、1000の分解能を有する質量分析計は、100.1のm/eを有するイオンから100.0のm/eを有するイオンを分解し得る。 質量分析計の一般的な操作は、第1に気相イオンを生成し、第2にそれらの質量対電荷比に基づいて空間または時間でイオンを分離し、
    そして第3に各質量対電荷比のイオンの量を測定することである。

    【0440】 質量分析計は、それが数百のタグの同時測定を許容するような、ゲノムにおける適用についての分光計と理想的に適合する。 ゲノム適用(配列決定、マッピング、遺伝子型分類)において使用されるタグの現在の数は、約4であり、これは蛍光タグの重複発光スペクトルから得られ、このスペクトルは、300nmと7
    00nmとの間に位置され得る。 対照的に、現在の四重極型装置(例えば、Mi
    cromass MS、Hewlett Packard LC/MSD 11
    00、PE Sciex API 165 LC/MS、またはFinniga
    n Navigator)を備えて、約400タグは50〜3000aumのスペクトルに位置され得る。 MS装置は少なくとも0.1amuの分解能を有する。 本発明者らが記載した新規な測定システム(すなわち、タグ化生体分子)は、
    ほとんど改変していないほとんど全て市販の質量分析計とHPLCシステムとを組み合わせて使用され得る。 理想的には、ソフトウェアパッケージは、分子生物学的、遺伝子的またはゲノム適用を合成するために「ドライバー」ソフトウェアに添付される。 適切なソフトウェア(softward)パッケージは、例えば1997年7月22日に出願された米国暫定特許第60/053,429号に記載される。

    【0441】 大気圧化学イオン化(APCI)は種々のタグの型に適用され得、そして一般的に分子イオンの存在比を増大させるために使用される(APCI期間中分子はまれに付加体を形成する)。 APCIの使用可能な分子量の範囲は50〜300
    0amu(一般的に)である。 低分解能での質量測定の精度は、0.1amuであり、そして高分解能モードにおいて5ppmである。 APCIはイオン化剤(
    reagent ion)を使用して、分析物分子を反応し、プロトンまたはハイブリッド転移のいずれかによってイオンを形成する。 現在、APCIによって形成される全てのイオン約10 -4 〜10 -5のみが検出される。 この重要なパラメーター(これは装置の性能を制限する)は、改良された感度のための基礎を提供し得る。 このイオン化技術は、HPLCまたはキャピラリー電気泳動とのインターフェイスとして使用するために適切である継続の方法である。

    【0442】 CMST技術のために使用され得るイオン化の代替形態がある。 エレクトロスプレーイオン化(ESI)は溶液中のサンプルからの直接分子イオンの生成を可能にする。 エレクトロスプレーイオン化は単一の四重極型装置を備えて適合される1つの方法である。 非常に少量のサンプルはESI質量スペクトルを得るのに消費される(Smithら、Anal.Chem.60:1948、1988)
    が、MS真空システムへのイオン導入の全体の効率は比較的非効率のままである。 ESIはまた、変性剤および界面活性剤の影響を受け、これはイオン化工程に不利に影響する。 それはまた、小分子量および大きな分子量の生体高分子(ペプチド、タンパク質、炭水化物、およびDNAフラグメント)、および脂質について使用され得る。 パルス状であるMALDIと異なり、ESIは連続的イオン化法である。 イオン化法としてESIを用いて、複数の電荷のイオンが通常生成される(分子はさらに付加体を形成する傾向がある)。

    【0443】 代替のイオン化法は、マトリックス補助レーザー脱離(MALDI)であり、
    これは本明細書で記載されたタグの分子量を決定するために使用され得る(ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドおよび他の生物学的起源の化合物、ならびにまた測定され得る小さな合成ポリマーの化合物)。 必要なサンプルの量は、
    非常に少ない(pmoleまたはそれ未満)。 分析は、m/z 300,000
    の分子量までの線形モード(高質量、低分解能)(まれな場合において)または10,000の分子量までの反射モード(より低質量、より高分解能)において使用され得る。

    【0444】 APCIおよびESIは、一般にMALDIに対する補足と考えられるべきである。 MALDIは定量できないイオン化法であることの深刻な不都合を有する。 エレクトロスプレーイオン化はHP四重極型、Finnigan LCQ、F
    innigan TSQ 7000(Medicine)、PE/Sciex 装置、およびMicromass装置に導入されている。 APCIおよびESI
    の両方は、任意の型の分離方法論において、タグのリアルタイム測定を行い得るMALDI(すなわち、HPLCおよび電気泳動)にわたって利点を有する。

    【0445】 蛍光タグは、それらの吸収および蛍光発光の波長および強度により最も直接的に同定され、そして定量され得る。

    【0446】 連続する範囲の励起および発光波長(L EX ,L S1 ,L S2 )を提供する従来の分光蛍光光度計は非常に順応性があるが、より特殊化された装置(例えば、フローサイトメーターおよびレーザー走査顕微鏡)は単一の固定された波長で励起可能なプローブを必要とする。 最新の装置においては、これは、通常、アルゴンレーザーの488nm線である。

    【0447】 1プローブ分子あたりの蛍光強度は、生成物のeおよびQYに比例する。 現在実用上重要である発蛍光団間のこれらのパラメーターの範囲は、εについては約10,000〜100,000cm -1-1およびQYについては0.1〜1.0
    である。 吸収が高強度の照明により飽和へとされる場合、励起された発蛍光団の不可逆的な破壊(光退色)が蛍光検出能を制限するファクターとなる。 光退色の実際的な影響は、問題となる蛍光検出技術に依存する。

    【0448】 デバイス(インターフェース)は、分離および検出工程の間に配置されて、サイズ分離およびタグ検出の連続する操作(リアルタイムで)を可能にし得ることは当業者に明らかである。 これは、分離の方法論および器械類と検出の方法論および器械類とを一体にし、単一のデバイスを形成する。 例えば、インターフェースは、分離技術と質量分析法または定電位電流測定による検出との間に配置される。

    【0449】 インターフェースの機能は、主に、(例えば、質量分析の)タグの分析物からの放出である。 インターフェースについてのいくつかの代表的な実行が存在する。 インターフェースの設計は、切断性リンカーの選択に依存する。 光(ligh
    t)または光(photo)切断性リンカーの場合、エネルギーまたは光子源が必要とされる。 酸不安定リンカー、塩基不安定リンカー、またはジスルフィドリンカーの場合、試薬の添加がインターフェース内で必要とされる。 熱不安定リンカーの場合、エネルギー熱源が必要とされる。 酵素の添加が、酵素感受性リンカー(例えば、特異的なプロテアーゼとペプチドリンカー、ヌクレアーゼとDNA
    もしくはRNAリンカー、グリコシラーゼ、HRP、またはホスファターゼ)と切断後に不安定である(例えば、化学発光基質に類似する)リンカーについて必要とされる。 インターフェースの他の特性は、最小のバンドの広がり、DNAの質量分析計への注入前のタグからの分離を含む。 分離技術は、電気泳動的方法および技術、アフィニティー技術、サイズ保持(透析)、濾過などに基づく方法を含む。

    【0450】 タグ(または、核酸−リンカー−タグ構築物)を濃縮し、電気泳動的にこれを捕捉し、次いでこれを、選択されたイオン化方法の特定のタイプに適合する代替(alternate)試薬の流れに放出することがまた可能である。 インターフェースはまた、マイクロビーズ上のタグ(または、核酸−リンカー−タグ構築物)を捕獲し、ビーズ(単数または複数)をチャンバに射出し、次いでレーザー脱離/気化を前もって形成し得る。 流れにおいて代替緩衝液中へ抽出することもまた可能である(例えば、キャピラリー電気泳動緩衝液から透過性膜を越えて疎水性緩衝液へ)。 いくつかの使用において、タグをインターフェースのさらなる機能を含む質量分析計へ断続的に送達することもまた望ましい。 インターフェースの別の機能は、各カラムについての時間帯を交代しながら、タグを複数のカラムから質量分析計へと送達することである。 タグを、時間で分離して単一のカラムから複数のMS検出器へと送達すること、数ミリ秒間にタグの各セットを回収すること、次いで質量分析計に送達することもまた可能である。

    【0451】 以下は、本発明において使用され得る分離および検出技術についての代表的な売手のリストである。 Hoefer Scientific Instrume
    nts(San Francisco,ca)は、配列決定アプリケーションについて電気泳動装置(Two Step(登録商標),Poker Face(
    登録商標) II)を製造する。 Pharmacia Biotech(Pis
    cataway,NJ)は、DNA分離および配列決定のための電気泳動装置(
    PCR−SSCP分析のためのPhastSystem、DNA配列決定のためのMacroPhor System)を製造する。 Perkin Elmer
    /Applied Biosystems Division(ABI,Fos
    ter City,CA)は、蛍光染料に基づく半自動シーケンサー(ABI3
    73およびABI377)を製造する。 Analytical Spectra
    l Devices(Boulder,CO)は、UV分光器を製造する。 Hi
    tachi Instruments(Tokyo,Japan)は、原子吸光分光器、蛍光分光器、LCおよびGC質量分析器、NMR分光器、およびUV−
    VIS分光器を製造する。 PerSeptive Biosystems(Fr
    amingham,MA)は、質量分析器(Voyager(登録商標) El
    ite)を生産する。 Bruker Instruments Inc. (Ma
    nning Park,MA)は、FTIR分光器(Vector22)、FT
    −ラマン分光器、飛行時間型質量分析器(Reflex II(登録商標))、
    イオン捕捉質量分析器(Esquire(登録商標))、およびMALDI質量分析器を製造する。 Analytical Technology Inc. (
    ATI,Boston,MA)は、キャピラリーゲル電気泳動ユニット、UV検出器、およびダイオードアレイ検出器を作製する。 Teledyne Elec
    tronic Technologies(Mountain View,CA
    )は、イオン捕捉質量分析器(3DQ Discovery(登録商標)および3DQ Apogee(登録商標))を製造する。 Perkin Elmer/
    Applied Biosystems Division(Foster C
    ity,CA)は、エレクトロスプレーに適合するSciex質量分析器(三重の四重極型LC/MS/MS、API 100/300)を製造する。 Hewl
    ett−Packard(Santa Clara,CA)は、質量選択的検出器(HP 5972A)、MALDI−TOF質量分析器(HP G2025A
    )、ダイオードアレイ検出器、CEユニット、HPLCユニット(HP 109
    0)、ならびにUV分光器を生産する。 Finnigan Corporati
    on(San Jose,CA)は、質量分析器(磁気セクター(MAT 95 S(登録商標))、四重極型分光器(MAT 95 SQ(登録商標))、および4つの他の関連する質量分析器)を作製する。 Rainin(Emeryv
    ille,CA)は、HPLC装置を作製する。

    【0452】 本明細書中に記載される方法および組成物は、特定のサンプルタイプおよびヌクレオチド同一性に対するマップとして作用する切断されるタグの使用を可能にする。 各配列決定法の始めに、特定の(選択された)プライマーは、特定の独特のタグに割り当てられる。 タグは、サンプルタイプ、ジデオキシターミネータータイプ(Sanger配列決定反応の場合)、または好ましくは両方のいずれかをマップする。 特に、タグは、プライマータイプをマップし、次にはベクタータイプをマップし、次にはサンプルの同一性をマップする。 タグはまた、タグ化プライマーが配置されるジデオキシヌクレオチド反応を参照してジデオキシターミネータータイプ(ddTTP,ddCTP,ddGTP,ddATP)をマップし得る。 次いで、配列決定反応が実施され、そして得られるフラグメントはちょうどよい時にサイズにより連続的に分離される。

    【0453】 タグは、時間枠内にフラグメントから切断され、そして測定され、そして時間枠内で記録される。 配列は、タグマップを時間枠と比較することにより構築される。 つまり、全てのタグの同一性が、サイジング(sizing)工程の後にちょうどよい時に記録され、そして時間枠内で互いに関連する。 サイジング工程は、1つのヌクレオチドの増加により核酸フラグメントを分離し、それ故、関連するタグの同一性は、一つのヌクレオチドの増加により分離される。 ジデオキシターミネーターまたはヌクレオチドマップおよびサンプルタイプの予知により、配列は、直線的様式で容易に推定される。

    【0454】 本発明の遺伝子学的フィンガープリンティングシステムは、一般に、サンプル導入デバイス、目的のタグ化サンプルを分離するためのデバイス、フラクションコレクターに対してサンプルの変化量をなくすための分割デバイス、目的のサンプルからタグを切断するためのデバイス、タグを検出するためのデバイス、および収集したデータを分析しそしてそれをディファレンシャルディスプレイモードにディスプレイして分析するためのソフトウェアプログラムから構成される。 本開示を有する場合、この一般的な記述が、列挙した構成物の各々について多くの変化を有し得ることが当業者に明らかである。 図15に最良にみられるように、
    代表的な本発明の遺伝子学的フィンガープリンティングシステム10は、サンプル導入デバイス12、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりサンプルを分離する分離デバイス14、分割デバイス13、フラクションコレクター15
    、目的のサンプルからタグを切断するための光切断(photocleavag
    e)デバイス16、電気化学検出器の手段によりタグを検出する検出デバイス1
    8、および検出デバイスからの結果を分析するデータ分析ソフトウェアプログラムを有するデータ処置デバイス20から構成される。 各構成物は以下にさらに詳細に議論される。

    【0455】 サンプル導入デバイス12は、遺伝子学的フィンガープリンティング手順において産生されるPCR産物の測定されるアリコート22を自動的に取り出し、そしてそれを分離デバイス14(一般的にHPLC)に従来のチューブ24を通して送達する。 代表的な実施態様におけるサンプル導入デバイス12は、マイクロタイタープレートを収容し得る温度制御オートサンプラー26から構成される。
    オートサンプラー26は温度を制御して、産生される核酸サンプルの完全性を維持し、そしてサンプルの25μlまたはそれ以下を注入し得る。 サンプル導入デバイス12のこの型の製造元は、例えば、Gilson(Middleton,
    WI)である。

    【0456】 サンプル導入デバイスは従来のチューブ24により分離デバイス14に直列に作動可能に連結される。 分離デバイス14に受容される測定されるアリコート2
    2におけるPCR産物は、高速液体クロマトグラフィーにより時間的に分離されて、分離されたDNAフラグメントを提供する。 高速液体クロマトグラフィーは、無勾配、二成分、または四成分ポンプ(単数または複数)27を有し得、そして複数の製造元(例えば、Hewlett Packard(Palo Alt
    o,CA)HP 1100または1090シリーズ、Beckman Inst
    ruments Inc. (800−742−2345)、Bioanalyt
    ical Systems,Inc. (800−845−4246)、ESA,
    Inc. (508)250−700)、Perkin−Elmer Corp.
    (800−762−4000),Varian Instruments(80
    0−926−3000)、Waters Corp. (800−254−475
    2))から購入され得る。

    【0457】 分離デバイス14は、オリゴヌクレオチドの分離に使用するために適切な分析用HPLCカラム28を含む。 カラム28は分析用HPLC、例えば、2〜12
    の範囲のpH内、3000psiまでの圧力、10〜70℃の範囲の温度で操作し得るように改変された非多孔性ポリスチレンジビニルベンゼン(2.2μm粒子サイズ)固体支持体である。 温度制御デバイス(例えば、カラムオーブン)(
    示さず)は、カラムの温度を制御するために使用され得る。 このような温度制御デバイスは、当該分野に公知であり、そして例えばRainin Instru
    ments(Varian Instrument、Palo Alto,CA
    の関連会社)から入手され得る。 適切なカラム28は、DNAsep(登録商標)の商品名で入手可能であり、そしてSerasep(San Jose、CA
    )から入手可能である。 他の適切な分析用HPLCカラムは、他の製造元(例えば、Hewlett Packard(Palo Alto,CA)),Bec
    kman Industries(Brea,CA)、Waters Corp
    . (Milford,MA)、およびSupelco(Bellefonte,
    PA)から入手可能である。

    【0458】 例示された実施態様において分離デバイス14はサンプル分割器13を組み込み、そしてサンプル分割器はサンプルの流れる流れ(flowing stre
    am)に連結される。 サンプル分割器13は、さらなる分析または貯蔵のいずれかのためにフラクションコレクター15に従来の様式でサンプルの変化し得る量を転用するために適用される。 フラクションコレクター15は、少量で適用させ得なければならず、低温度に温度制御し、そしてサンプリング時間を調節する。
    インライン分割器の製造元には、Upchurch(Oak Harbor,W
    A)が挙げられる。

    【0459】 フラクションコレクター15は、流れ分割器(stream−splitte
    r)ライン29を介してHPLC/LCデバイスに取りつけられる。 フラクションコレクター15は、チューブ、マイクロタイタープレートのウェル、または容器への目的の特定のピーク、DNA、RNAおよび核酸フラグメントまたは分子の収集を可能にする。 さらに、フラクションコレクター15はHPLCまたはL
    Cによって分離された核酸フラグメントのセットの全てまたは部分を収集し得る。 フラクションコレクターの製造元には、Gilson(Middleton、
    WI)、およびIsco(Licoln、NE)が挙げられる。 この技術においてフラクションコレクター15の使用は、ゲルベースシステムにわたってかなり重要な利点を提供する。 例えば、それはHPLCまたはLC法によって回収される核酸フラグメントの直接クローン化を可能にする。 さらに、それはPCRによるHPLCまたはLC法により回収される核酸フラグメントの増幅を可能にする。 これらの2つの方法は、配列レベルにおいて目的の核酸フラグメントの迅速な同定を可能にする。 両方の方法は、ゲルベースシステムと組み合わせて使用される場合、時間がかかり、そして非効率的である。

    【0460】 例示された実施態様において、フラクションコレクター15は遺伝子学的フィンガープリンティングシステム10の個々の構成物である。 代替の実施態様(示さず)において、フラクションコレクター15は、サンプル導入デバイス12に組み込まれる。 従って、流れ分割器ライン32はサンプル分割器13からサンプル導入デバイス12へ戻る転送されたサンプルを方向付ける。

    【0461】 分離されたDNAフラグメント(例えば、配列決定反応産物)の流れは、切断デバイス16に対してサンプル分割器13の下流の分離デバイス14から従来のチューブ30を通って流れる。 DNAフラグメントの各々は、特有の切断可能(
    例えば、光切断可能)タグで標識される。 分離されたDNAフラグメントの流れる流れは、切断デバイス16を通るかまたは通過し、ここでタグは検出(例えば、質量分析によってまたは電気化学的検出器を用いて)のために除去される。 例示的実施態様において、切断デバイス16は、サンプルの流れる流れが選択された光エネルギーおよび波長に曝されるような光切断ユニットである。 1つの実施態様において、サンプルは、光切断ユニット16に入れられ、そして選択された期間の間選択された光源に曝される。 代替の実施態様において、サンプルの流れる流れは経路に沿って光源に隣接して運ばれ、これは光エネルギーに十分な曝露を提供して、分離されたDNAフラグメントからタグを切断する。

    【0462】 光切断ユニットはSupelco(Bellefonte、PA)から入手可能である。 光切断することは、水銀/キセノンアークランプを用いて複数の波長で行われ得る。 波長の精度は、10nmのバンド幅で約2nmである。 照射領域は、円であり、代表的には10〜100平方センチメートルの面積である。 代替の実施態様において、他の切断デバイス(これは、酸、塩基、酸化、還元、フッ化物、チオール交換、光分解または酵素的条件で切断する)を使用して、分離したDNAフラグメントからタグを除去し得る。

    【0463】 切断デバイス16が分離したDNAフラグメントからタグを切断した後、タグは各タグの検出のための検出デバイス18に従来のチューブ32を通して流れる。 タグの検出はPCR工程において産生するDNAの各種類の標識に使用されるタグの各々の間の電気化学的電位の差異に基づき得る。 電気化学的検出器18は電量測定的または電流測定的原理のいずれかにおいて操作され得る。 好ましい電気化学的検出器18は電量検出器であり、これは貫流(flow−throug
    h)または多孔性カーボングラファイト電流検出器からなり、ここでカラムエランドは100%の検出効率を得る電極を通過する。 各成分を完全に検出するために、異なる電位(一般的に60mVの増分で)で保持される16個の電量検出器のそれぞれのアレイが利用される。 この型の検出器の製造元の例は、ESA(B
    edford、MA)およびBioanalytical Systems I
    nc. (800−845−4246)である。

    【0464】 図16に例示的に示される代替の実施態様において、サンプル導入デバイス1
    2、分離デバイス14、および切断デバイス16は、サンプルの流れを維持するために上記で議論されたように連続的に接続される。 切断デバイス16は検出デバイス18(これは質量分析計40すなわちPCR工程において産生されるDN
    Aの各種類を標識するのに使用されるタグの各々の間の分子量の差に基づいてタグを検出するようなものである)に接続される。 質量の差に基づく最良の検出器は、質量分析計である。 この使用について、質量分析計40は、代表的には、エレクトロスプレーまたは化学イオン化のいずれかを用いる大気圧イオン化(AP
    I)インターフェイス、四重極型質量分析器、および少なくとも50〜2600
    m/zの範囲の質量を有する。 適切な質量分析計の製造元の例は以下である:H
    ewlett Packard(Palo Alto,CA)HP 1100 LC/MSD、Hitachi Instruments(San Jose、
    CA)、M−1200H LC/MS、Perkin−Elmer Corpo
    ration、Applied Biosystems Division(F
    oster City、CA)API 100 LC/MSまたはAPI 30
    0 LC/MS/MS、Finnigan Corporation(San Jose、CA)LCQ、MAT95S、Bruker Analytical Systems、Inc. (Billerica、MA)APEX、BioA
    PEX、ならびにESQUIREおよびMicromass(U.K.)。

    【0465】 検出デバイス18は、データプロセッサおよび分析器20に電気的に接続され、検出デバイスからデータを受け取る。 データプロセッサおよび分析器20は検出されたタグを同定するソフトウェアプログラムを含む。 代替の実施態様においてデータプロセッサおよび分析器230は、注入デバイス12、分離デバイス1
    4、フラクションコレクター15、および/または切断デバイス16に作動的に接続されて、遺伝子学的フィンガープリンティングシステム10の異なる成分を制御する。

    【0466】 ソフトウェアパッケージは、特定のプライマーに対する所定のタグの電気化学的サイン、および保持時間をマッピングする。 次いで、核酸フラグメントプロフィールを生成するソフトウェアは、比較(長さ対長さ、フラグメント対フラグメント)され、そして結果はユーザーに報告される。 このソフトウェアは、核酸プロフィールにおける類似性および差異の両方を強調表示する。 このソフトウェアはまた、フラクションコレクター15によって特定の核酸フラグメントの収集を方向付け得る。

    【0467】 ソフトウェアパッケージは特定のプライマーに対する所定のタグのm/zサイン、および保持時間をマッピングする。 次いで、核酸プロフィールを生成するソフトウェアは、比較(長さ対長さ、フラグメント対フラグメント)され、そしてユーザーに報告される。 ソフトウェアは、核酸フラグメントプロフィールにおける類似性および差異の両方を強調表示する。 このソフトウェアはまた、フラクションコレクターによって特定の核酸フラグメントの収集を方向付け得る。

    【0468】 本発明に従うシステム18は、システムの複数の構成物を作動的に相互接続することによって提供される。 従って、1つ以上のシステム構成物(例えば、研究室において操作されるサンプル導入デバイス12および検出デバイス18)は、
    本発明のDNA配列決定システム10で研究室を配備するために、システムの他の構成物(例えば、分離デバイス14、切断デバイス16、およびデータプロセッサおよび分析器20)と組み合わされ得る。

    【0469】 本発明の別の実施態様は、ディファレンシャルディスプレイシステムを提供し、これは、一般に、サンプル導入デバイス、目的のタグ化されたサンプルを分離するデバイス、フラクションコレクターに変化量のサンプルを転用するための分割デバイス、目的のサンプルからタグを切断するユニット、タグを検出するためのデバイスおよび収集したデータを分析するためのソフトウェアプログラムからなり、そしてディファレンシャルディスプレイモードでそれを表示する。 一般的説明は各々の列挙した構成物について多くの変化を有し得ることが、本開示を占有する当業者に明らかである。 本発明の例示的実施態様のディファレンシャルディスプレイシステムは図15に示される同様の構成物からなり、サンプル導入デバイス12、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってサンプルを分離するための分離デバイス14、分割デバイス13、フラクションコレクター15
    、目的のサンプルからタグを切断するための光切断デバイス16、電気化学によってタグを検出するための検出デバイス18、ならびにソフトウェアプログラムを備えるデータプロセッサおよび分析器20を含む。 各構成物をさらに詳細に以下で議論する。

    【0470】 ディファレンシャルディスプレイシステムにおいて、サンプル導入器12は、
    ディファレンシャルディスプレイ手順において生成されるPCR産物の測定されるアリコート22を自動的に取り出し、そしてそれを分離デバイス14(一般的にはHPLC)に従来のチューブ24を通して送達する。 例示的な実施態様のこのサンプル導入デバイス12は、温度制御オートサンプラー26を含み、これはマイクロタイタープレートを収容し得る。 このオートサンプラー26は生成される核酸サンプルの完全性を維持するために温度を制御しなければならず、そして25μlまたはそれより少ないサンプルを注入し得る。 この型の製品の製造元は、例えばGilson(Middleton、WI)により代表される。

    【0471】 サンプル導入デバイスは、従来のチューブ24により分離デバイスに直列に操作的に連結される。 この分離デバイス14に受け入れられる測定アリコート22
    におけるPCR産物は、時間的に高速液体クロマトグラフィーによって分離されて、分離されたDNAフラグメントを提供する。 高速液体クロマトグラフィーは、無勾配、二成分、または四成分ポンプ(単数または複数)27を有し得、そして複数の製造元(例えば、Hewlett Packard(Palo Alt
    o,CA)HP 1100または1090シリーズ、Analytical T
    echnology Inc. (Madison、WI)、Perkin El
    mer、Watersなど)から購入され得る。 分離デバイス14は、オリゴヌクレオチドの分離に使用するために適切な分析用HPLCカラム28を含む。 カラム28は分析用HPLC、例えば、2〜12の範囲のpH内、3000psi
    までの圧力、10〜70℃の範囲の温度で操作し得るように改変された非多孔性ポリスチレンジビニルベンゼン(2.2μm粒子サイズ)固体支持体である。 温度制御デバイス(例えば、カラムオーブン)(示さず)は、カラムの温度を制御するために使用され得る。 このような温度制御デバイスは、当該分野に公知であり、そして例えばRainin Instruments(Varian In
    strument、Palo Alto,CAの関連会社)から入手され得る。
    適切なカラム28は、DNAsep(登録商標)の商品名で入手可能であり、そしてSerasep(San Jose、CA)から入手可能である。 他の適切な分析用HPLCカラムは、他の製造元(Hewlett Packard(P
    alo Alto,CA)(Beckman Industries(Brea
    ,CA)、Waters Corp. (Milford,MA)、およびSup
    elco(Bellefonte,PA)から入手可能である。

    【0472】 例示した実施態様において、フラクションコレクター15はディファレンシャルディスプレイシステム10の個々の構成物であり、これはシステムの他の構成物に結合される。 代替の実施態様において、フラクションコレクター15はサンプル導入デバイス12に組み込まれる。 従って、流れ分割器ライン32は、サンプル分割器13からサンプル導入デバイス12へ戻る転送されるサンプルを方向付ける。

    【0473】 例示の実施態様において分離デバイス14は、サンプル分割器13を組み込み、これはサンプルの流れる流れに接続される。 サンプル分割器13は、さらなる分析または貯蔵のいずれかのためにフラクションコレクター15に従来の様式でサンプルの変化量を転用するために適用される。 フラクションコレクター15は、少量で適用させ得なければならず、低温度に温度制御し、そしてサンプリング時間を調節する。 インライン分割器の製造元には、Upchurch(Oak Harbor,WA)が挙げられる。

    【0474】 分離されたDNAフラグメントの流れは、切断デバイス16へとサンプル分割器13の下流の分離デバイス14から従来のチューブ30を通って流れる。 PC
    R産物の各々は、特有の切断可能(例えば、光切断可能)タグで標識される。 分離されたDNAフラグメントの流れる流れは、切断デバイス16を通るかまたは通過し、ここでこのタグは電気化学的検出器を用いる検出のために除去される。
    例示的実施態様において、切断デバイス16は、サンプルの流れる流れが選択された光エネルギーに曝されるような光切断ユニットである。 1つの実施態様において、サンプルは、光切断ユニット16に入り、そして選択された期間の間選択された光源に曝される。 代替の実施態様において、サンプルの流れる流れは適切なチューブ部分または経路に沿って光源に隣接するようなものに運ばれ、これは光源に十分な曝露を提供して、分離したDNAフラグメントからタグを切断する。

    【0475】 光切断ユニットはSupelco(Bellefonte、PA)から入手可能である。 光切断することは、水銀/キセノンアークランプを用いて複数の波長で行われ得る。 波長の精度は、10nmのバンド幅で約2nmである。 照射領域は、円であり、代表的には10〜100平方センチメートルの面積である。 代替の実施態様において、他の切断デバイス(これは、酸、塩基、酸化、還元、フッ化物、チオール交換、光分解または酵素的条件で切断する)を使用して、分離したDNAフラグメントからタグを除去し得る。

    【0476】 切断デバイス16が分離したDNAフラグメントからタグを切断した後、タグは各タグの検出のための検出デバイス18に従来のチューブ32を通して流れる。 タグの検出はPCR工程において産生するDNAの各種類の標識に使用されるタグの各々の間の電気化学的電位の差に基づく。 電気化学的検出器18は電量測定的または電流測定的原理のいずれかにおいて操作され得る。 好ましい電気化学的検出器18は電量検出器であり、これは貫流または多孔性カーボングラファイト電流検出器からなり、ここでカラムエランドは100%の検出効率を得る電極を通過する。 各成分を完全に検出するために、異なる電位(一般的に60mVの増分で)で保持される16個の電量検出器のそれぞれのアレイが利用される。 この型の検出器の製造元の例は、ESA(Bedford、MA)およびBioa
    nalytical Systems Inc. (800−845−4246)
    である。

    【0477】 図16に例示的に示される代替の実施態様のディファレンシャルディスプレイシステムにおいて、サンプル導入デバイス12、分離デバイス14、および切断デバイス16は、サンプルの流れを維持するために上記で議論されたように連続的に接続される。 切断デバイス16は検出デバイス18に接続され、これは質量分析計40すなわちPCR工程において産生されるDNAの各種類を標識するのに使用されるタグの各々の間の分子量の差に基づいてタグを検出する。 質量の差に基づく最良の検出器は、質量分析計40である。 この使用について、質量分析計は、代表的には、エレクトロスプレーまたは化学イオン化にいずれかを用いる大気圧イオン化(API)インターフェイス、四重極型質量分析器、および少なくとも50〜2600m/zの範囲の質量を有する。 適切な質量分析計の製造元の例は以下である:Hewlett Packard(Palo Alto、C
    A)HP 1100LC/MSD、Hitachi Instruments(
    San Jose、CA)、M−1200H LC/MS、JEOL USA,
    Inc. (Peabody、MA)、Perkin−Elmer Corpor
    ation、Applied Biosystems Division(Fo
    ster City、CA)API 100 LC/MSまたはAPI 300 LC/MS/MS、Finnigan Corporation(San J
    ose、CA)LCQ、MAT95S、MAT95SQ、MAT900S、MA
    T900SQ、およびSSQ7000、Bruker Analytical Systems、Inc. (Billerica、MA)APEX、BioAP
    EX、ならびにESQUIRE。

    【0478】 検出デバイス18は、データプロセッサおよび分析器20に電気的に接続され、検出デバイスからデータを受け取る。 データプロセッサおよび分析器20は検出されたタグおよびそのDNA配列内の位置を同定するソフトウェアを含む。 代替の実施態様においてデータプロセッサおよび分析器20は、注入デバイス12
    、分離デバイス14、フラクションコレクター15、および/または切断デバイス16に作動的に接続されて、ディファレンシャルディスプレイシステムの異なる構成物を制御する。

    【0479】 ソフトウェアパッケージは、特定のプライマーに対する所定のタグのサイン、
    および保持時間をマッピングする。 次いで、核酸プロフィールを生成するソフトウェアは、比較(長さ対長さ、フラグメント対フラグメント)され、そして結果はユーザーに報告される。 このソフトウェアは、核酸フラグメントプロフィールにおける類似性および差異の両方を強調表示する。 このソフトウェアはまた、フラクションコレクター15によって特定の核酸フラグメントの収集を方向付け得る。

    【0480】 ソフトウェアパッケージは特定のプライマーに対する所定のタグのm/zサイン、および保持時間をマッピングする。 次いで、核酸プロフィールを生成するソフトウェアは、比較(長さ対長さ、フラグメント対フラグメント)され、そしてユーザーに報告される。 ソフトウェアは、核酸フラグメントプロフィールにおける類似性および差異の両方を強調表示する。 このソフトウェアはまた、フラクションコレクターによって特定の核酸フラグメントの収集を方向付け得る。

    【0481】 ディファレンシャルディスプレイシステムは、システムの複数の構成物を作動的に相互接続することによって提供される。 従って、1つ以上のシステム構成物(例えば、研究室において操作されるサンプル導入デバイス12および検出デバイス18)は、システムの他の構成物(例えば、分離デバイス14、切断デバイス16、およびデータプロセッサおよび分析器20)と、本発明に従うシステムを用いて研究室に配備するために組み合わされ得る。

    【0482】 本発明の単一ヌクレオチド伸長アッセイ(single nucleotid
    e extension assay)、オリゴ−ライゲーションアッセイ(o
    ligo−ligation assay)またはオリゴヌクレオチド−プローブベースアッセイ(oligonucleotide−probe based assay)システムは、一般に、サンプル導入デバイス、目的のタグされたサンプルを分離するためのデバイス、目的のサンプルからタグを切断するためのデバイス、タグを検出するためのデバイス、および収集されたデータを分析するためのソフトウェアプログラムからなる。 一般的説明は各々の列挙した構成物について多くの変化を有し得ることが、本開示を占有する場合当業者に明らかである。 図17に最良に示されるように、(図#が必要)好ましい単一ヌクレオチド伸長アッセイ、オリゴ−ライゲーションアッセイまたはオリゴヌクレオチド−プローブベースアッセイシステム200はサンプル導入デバイス212、分離デバイス214(これは高速液体クロマトグラフィーでサンプルを分離する)、目的のサンプルからタグを切断するための切断デバイス216、質量分析によるタグの検出デバイス218、ならびにデータプロセッサおよび分析器220(これはソフトウェアプログラムを含む)からなる。 各構成物は以下により詳細に記載される。

    【0483】 サンプル導入デバイス212は、種々の方法(PCR、連結、消化、ヌクレアーゼなど)によって産生される核酸フラグメントの測定されるアリコート222
    を自動的に取り出し、そしてそれを分離デバイス214(一般的にHPLC)に従来のチューブ24を通して送達する。 例示的な実施態様のサンプル導入デバイス212は、マイクロタイタープレートを収容し得る温度制御オートサンプラー226から構成される。 オートサンプラー226は温度を制御して、産生される核酸サンプルの完全性を維持しなければならず、そしてサンプルの25μlまたはそれ未満を注入し得る。 この製品の製造元は、例えば、Gilson(Mid
    dleton,WI)に代表される。

    【0484】 サンプル導入デバイスは従来のチューブ224により分離デバイスに直列に作動的に連結される。 分離デバイス214に受容される測定されるアリコート22
    2における核酸産物(これはPCR、連結反応、消化、ヌクレア−ゼなどにより産生され得る)は、高速液体クロマトグラフィーにより時間的に分離される。 高速液体クロマトグラフィーは、無勾配、二成分、または四成分ポンプ227を有し得、そして複数の製造元(例えば、Hewlett Packard(Pal
    o Alto,CA)HP 1100または1090シリーズ、Beckman Instruments Inc. (800−742−2345)、Bioa
    nalytical Syatems,Inc. (800−845−4246)
    、ESA,Inc. (508)250−700)、Perkin−Elmer Corp. (800−762−4000),Varian Instrumen
    ts(800−926−3000)、Waters Corp. (800−25
    4−4752))から購入され得る。

    【0485】 分離デバイス214は、核酸フラグメントの分離に使用するために適切な分析用HPLCカラム228を含む。 カラム228は分析用HPLC、例えば、2〜
    12の範囲のpH内、3000psiまでの圧力、および10〜70℃の範囲の温度で操作し得る非多孔性ポリスチレンジビニルベンゼン(2.2μm粒子サイズ)固体支持体である。 温度制御デバイス(例えば、カラムオーブン)(示さず)は、カラムの温度を制御するために使用され得る。 このような温度制御デバイスは、当該分野に公知であり、そして例えばRainin Instrumen
    ts(Varian Instrument、Palo Alto,CAの関連会社)から入手され得る。 適切なカラム228は、DNAsep(登録商標)の商品名で入手可能であり、そしてSerasep(San Jose、CA)から入手可能である。 広範な種々のHPLCカラム228は、単一塩基対分解能が必ずしも必要でないため、この特定の技術ユニットのために使用され得る。 他の適切な分析用HPLCカラムは、他の製造元(Hewlett Packard
    (Palo Alto,CA)、Beckman Instruments、I
    nc(Brea,CA))、およびWaters Corp. (Milford
    ,MA)から入手可能である。

    【0486】 分離されたDNAフラグメント(例えば、配列決定反応産物)の流れは、分離デバイス214から切断デバイス216にチューブ230を通って流れる。 DN
    Aフラグメントの各々は、特有の切断可能(例えば、光切断可能)タグで標識される。 分離されたDNAフラグメントの流れる流れは、切断デバイス216を通過し、ここでタグは、質量分析によるまたは電気化学的検出器を用いる検出のために除去される。 光切断ユニットはSupelco(Bellefonte、P
    A)から入手可能である。 光切断することは、水銀/キセノンアークランプを用いて複数の波長で行われ得る。 波長の精度は、10nmのバンド幅で約2nmである。 照射領域は、円であり、代表的には10〜100平方センチメートルの面積である。 代替の実施態様において、他の切断デバイス(これは、酸、塩基、酸化、還元、フッ化物、チオール交換、光分解または酵素的条件で切断する)を使用して、分離したDNAフラグメントからタグを除去し得る。

    【0487】 切断デバイス216が分離したDNAフラグメントからタグを切断した後、タグは各タグの検出のための検出デバイス218に従来のチューブ232を通して流れる。 タグの検出は種々のアッセイ工程において産生するDNAの各種類の標識に使用されるタグの各々の間の分子量の差に基づき得る。 質量の差に基づく最良の検出器は、質量分析計である。 この使用について、質量分析計は、代表的には、エレクトロスプレーまたは化学イオン化のいずれかを用いる大気圧イオン化(API)インターフェース、四重極型質量分析器、および少なくとも50〜2
    600m/zの範囲の質量を有する。 適切な質量分析計の製造元の例は以下である:Hewlett Packard(Palo Alto,CA)HP 11
    00LC/MSD、Hitachi Instruments(San Jos
    e、CA)、M−1200H LC/MS、Perkin Elmer Cor
    poration、Applied Biosystems Division
    (Foster City、CA)API 100 LC/MSまたはAPI 300 LC/MS/MS、Finnigan Corporation(Sa
    n Jose、CA)LCQ、Bruker Analytical Syst
    ems,Inc. (Billerica、MA)ESQUIREおよびMicr
    omers(U.K.)。

    【0488】 図18に模式的に示した代替の実施態様において、サンプル導入デバイス21
    2、分離デバイス214、および切断デバイス216はサンプルの流れを維持するために上記に議論されたように連続的に接続される。 切断デバイス216は検出デバイス218に接続され、これは配列決定反応工程において産生されるDN
    Aの各種類を標識するために使用されるタグの各々の間の電気化学的電位差に基づいてタグを検出する電気化学的検出器240である。 例示の実施態様の電気化学的検出器240は、電量測定的または電流測定的原理のいずれかにおいて操作され得る。 好ましい電気化学的検出器240は電量検出器であり、これは貫流または多孔性カーボングラファイト電流検出器からなり、ここでカラム溶離物は1
    00%の検出効率を得る電極を通過する。 各成分を完全に検出するために、異なる電位(一般的に60mVの増分で)で保持される16個の電量検出器のそれぞれのアレイが利用される。 この型の検出器の製造元の例は、ESA(Bedfo
    rd、MA)およびBioanalytical Systems Inc. (
    800−845−4246)である。 電気化学的検出器のさらなる製造元は、以下に見出される他の製造元のリストに見出され得る。

    【0489】 電気化学検出器240は、上記記載のソフトウェアパッケージとともにデータプロセッサおよび分析器220に電気的に接続される。 このソフトウェアパッケージは所定のタグの検出される特性(例えば、質量または電気化学的サイン)を特定のサンプルIDにマッピングする。 このソフトウェアは、目的の核酸フラグメントを同定し得、そしてID情報をそれぞれデータベースにロードし得る。

    【0490】 本明細書中に記載されるDNA分析システムは、伝統的なゲルベースシステムをこえる多数の利点を有する。 原理的利点の1つは、これらのシステムが完全に自動化され得ることである。 HPLCに基づく分離システムを利用することにより、サンプルは、ゲルベースシステムが手動でロードすることを必要とするHP
    LCへ自動的に注入され得る。 設定時間(清浄なゲルを形成させる必要がない、
    ゲルを注ぐ必要がない)および分析時間(HPLC分析についてより短い時間(
    5分〜1時間)に対して大きなゲルについて4時間より長い)に見出される有意な時間倹約もまた存在する。 さらに、サンプル処理能力の利点が存在する。 本発明において記載されるタグを利用することによって、多くのサンプルは、1つのバッチ(潜在的に384サンプル/レーン)で分析され得、ゲルベース分析は4
    つの利用可能な発蛍光団または1つのサンプル/レーンに制限される。 使用されるゲルは、本質的にはこわれやすく、そして容易に破壊され得るかまたはゲル全体またはいくつかのレーンを使用不可能にする気泡または他の傷を含み得る。 H
    PLCカラムは、でこぼこしており、そしてパックされる前に購入した場合、一貫性(ほぼ均一な分離経路)を形成するパッキング欠陥はない。 HPLCシステムはまた、より質の高い保証に役に立ち、内部標準がHPLCカラムの再現性のために利用され得る。 ゲルの質はゲル間ならびに標準の使用をほとんど不可能にするゲル内の両方で矛盾する。 最後に、質量分析および電気化学的検出器の両方はゲルベースシステムに利用される検出器より高感度になり、より少ないサンプルの検出および分析のより低い限界を可能にし、これは非PCRベース分析に対して有用である。

    【0491】 (アレイベースアッセイにおけるタグ化プローブ) 共有結合したオリゴヌクレオチドを有するアレイは、ハイブリダイゼーションによるDNA配列分析(Southernら、Genomics 13:100
    8,1992;Drmanacら、Science 260:1649、199
    3)を実施するため、発現プロフィールを決定するため、変異についてスクリーニングするためなどに使用されている。 一般に、これらのアッセイのための検出は蛍光または放射能標識を使用する。 蛍光標識はそれらの吸着ならびに蛍光発光波長および強度によって最も直接同定および定量され得る。 蛍光光源を使用する顕微鏡/カメラ設定は、蛍光標識を検出するための従来の手段である。 放射性標識は標準オートラジオグラフィー、蛍光画像分析またはCCD検出器により画像化され得る。 このような標識について、単一時間で検出され得る異なる反応の数は、制限される。 例えば、4つの蛍光分子の使用(例えば、DNA配列分析において一般に使用される)は、ある時間での4つのサンプルに対する分析を制限する。 基本的には、この制限のために、各反応はこれらの検出器方法を使用する場合、個々に評価されねばならない。

    【0492】 検出のより有利な方法は、少なくとも1つのアレイおよび生成物の同時検出においてサンプル反応の貯蔵を可能にする。 各反応において異なる分子量または他の物理的特性を有するタグ(例えば、本明細書中に記載されるもの)を用いることにより、反応生成物の全体の設定を共に収集し、そして分析し得る。

    【0493】 上記のように、本明細書中に記載される方法は、種々の目的のために適用し得る。 例えば、オリゴヌクレオチドのアレイを使用して、作成するアレイの質について、核酸分子の定量または定性分析について、変異を検出することについて、
    発現プロフィールを決定することについて、毒物学的試験についてなどを制御し得る。

    【0494】 (1.プローブ定量または分類) この実施態様において、オリゴヌクレオチドは、アレイにおけるエレメントあたりで固定され、ここでエレメントにおける各オリゴヌクレオチドは異なる配列であるかまたは関連する配列である。 好ましくは、各エレメントは配列の公知のまたは関連するセットを有する。 このようなアレイに対する標識されたプローブのハイブリダイゼーションは、プローブの特徴付けおよびプローブ集団に含まれる配列の定量化を可能にする。

    【0495】 以下に議論される特定の適用に使用され得る生成したアッセイフォーマットはサンドイッチアッセイフォーマットである。 このフォーマットにおいて、公知の配列の複数のオリゴヌクレオチドは、固体基質上に固定される。 固定されたオリゴヌクレオチドは、核酸(例えば、RNA、rRNA、PCR産物、フラグメント化DNA)を捕獲するために使用され、次いでシグナルプローブは捕獲された標的核酸の異なる部分にハイブリダイズされる。

    【0496】 別の生成されたアッセイフォーマットは二次検出システムである。 このフォーマットにおいて、アレイを使用して、標識された核酸を同定または定量し、これは主要結合アッセイに使用されている。 例えば、アッセイが標識された核酸を生じない場合、核酸の同定はアレイ上のハイブリダイゼーションによって決定され得る。 これらのアッセイフォーマットは、切断可能質量分析タグを組み合わせた場合、特に有用である。

    【0497】 (2.変異検出) 単一ヌクレオチドが関連する変異は、スキャニング技術(これは以前にわかっていない変異を同定するのに適切である)によって、または公知の配列変異体を、検出、識別、または定量するために設計された技術により、サンプル中で同定され得る。 変異検出のためのいくつかのスキャニング技術は、野生型および変異配列に由来するミスマッチな相補的DNA鎖のヘテロ二重鎖は、異常な遊走性挙動を示すという観察に基づいて開発されている。

    【0498】 本明細書中に記載される方法は、変異スクリーニングについて使用され得る。
    DNA鎖における変異を検出するための1つのストラテジーは、試験配列の標的配列に対するハイブリダイゼーションによってであり、この標的配列は野生型または変異配列である。 ミスマッチな配列は標的配列に対する短いオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションにおいて不安定化効果を有する(Wet
    mur、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 、26:22
    7、1991参照のこと)。 試験核酸供給源は、ゲノムDNA、RNA、cDN
    Aまたは任意のこれらの核酸の増幅であり得る。 好ましくは、試験配列の増幅は、最初に行われ、続いてアレイ上に固定される短いオリゴヌクレオチドプローブを用いてハイブリダイゼーションによって行われる。 増幅された産物は、固定されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイに対するそのハイブリダイゼーションパターンを決定することによって多くの可能な配列変異体についてスキャンされ得る。

    【0499】 本明細書中に記載されるような標識は、一般的に、標識されたヌクレオチドを使用することによってかまたは標識されたプライマーを使用することによって最終増幅産物に取り込まれる。 増幅産物は、変性され、そしてアレイにハイブリダイズされる。 結合していない産物は、洗浄され、そしてアレイに結合した標識は、本明細書中の方法の1つによって検出される。 例えば、切断可能質量分析タグが使用される場合、複数の産物は同時に検出され得る。

    【0500】 (3.発現プロフィール/ディファレンシャルディスプレイ) 哺乳動物(例えば、ヒト)は、それらのゲノム中に約100,000個の異なる遺伝子を有し、このおそらく15%の少ない画分のみが、任意の個々の細胞において発現される。 ディファレンシャルディスプレイ技術は、個々の細胞型についての遺伝子特異性の同定を可能にする。 簡潔には、ディファレンシャルディスプレイにおいて、mRNAの3'末端部分は増幅されそして基本のサイズにおいて同定される。 逆転写についてのポリ(A)テイルの5'境界に結合し、続いて上流の任意の配列プライマーを用いてcDNAを増幅するように設計されたプライマーを使用して、mRNAサブ集団が得られる。

    【0501】 本明細書中で開示されるように、多数の遺伝子(例えば、1〜2000)の発現を測定するための高処理能力方法が提供される。 本発明の1つの実施態様内で、方法は選択された生物学的サンプル由来の遺伝子発現のパターンを分析するために提供され、これは以下の工程を包含する:(a)1つ以上のタグ化されたプライマーを用いる生物学的サンプル由来のcDNAを増幅する工程であって、ここでタグは特定の核酸プローブと相関性があり、そして非蛍光スペクトロメトリーまたは電位差測定によって検出可能である、(b)本明細書中に記載されるようなオリゴヌクレオチドのアレイに対して増幅したフラグメントをハイブリダイズする工程、(c)非ハイブリダイズ物質を洗い流す工程、ならびに(d)非蛍光スペクトロメトリー、または電位差測定によってタグを検出する工程、およびそれらから生物学的サンプルの遺伝子発現のパターンを決定する工程。 固体基質上でのタグベースディファレンシャルディスプレイ(特に切断可能質量分析タグを用いる)は、差動的に発現した遺伝子の特徴付けを可能にする。

    【0502】 (4.単一ヌクレオチド伸長アッセイ) プライマー伸長技術は、核酸鋳型における単一のヌクレオチド変化の検出のために使用され得る(Sokolov、Nucleic Acid Res.、1
    8:3671、1989)。 この技術は一般的に任意の単一塩基変異の検出に適用され得る(Kuppuswamyら、Proc.Natl.Acad.Sci
    . USA、88:1143−1147、1991)。 簡潔には、この方法は初めに、公知の単一ヌクレオチド多形に隣接する配列に対してプライマーをハイブリダイズする。 次いで、このプライムされたDNAは、鋳型中の次の塩基が反応混合物において標識されたヌクレオチドに相補的である場合、DNAポリメラーゼが標識されたdNTP(代表的にはddNTP)を付加する条件に供される。 改変において、cDNAは2つの対立遺伝子間の単一塩基の差異を含む、目的の配列について最初に増幅される。 次いで、各増幅された産物は、存在、非存在、または各対立遺伝子の相対量について、多形に対して1塩基5'側であるプライマーをアニールすることによって、および1つの標識した塩基(一般的には、ジデオキシヌクレオチド)により伸長することによって、分析される。 正確な塩基が反応において適用される場合のみ、プライマーの3'末端で塩基を取り込む。 次いで、伸長産物は、オリゴヌクレオチドのアレイへのハイブリダイズによって分析され、その結果、非伸長産物はハイブリダイズしない。

    【0503】 簡潔には、本発明において、各ジデオキシヌクレオチドは特有のタグで標識される。 4つの反応混合物の1つのみがプライマー配列においてジデオキシ−ターミネーターを付加する。 変異が存在する場合、それはアレイへのハイブリダイズ後ジデオキシヌクレオチド上の特有のタグによって検出される。 複数の変異は、
    同様に特有のタグでDNAプライマーをタグすることによって同時に決定され得る。 従って、DNAフラグメントは、異なるタグ化されたジデオキシターミネーターを含むそれぞれ4つの別個の反応で反応され、ここでタグは特定のジデオキシヌクレオチドと相関性があり、そして非蛍光スペクトロメトリーまたは電位差測定により検出され得る。 DNAフラグメントはアレイに対してハイブリダイズされ、そしてハイブリダイズしていない物質は、洗い流される。 タグは、ハイブリダイズされたフラグメントから切断され、そしてそれぞれの検出技術によって検出される(例えば、質量分析、赤外線分光測光法、電位電流測定またはUV/
    可視分光光度法)。 検出されるタグは、研究における特定のDNAフラグメントならびに変異ヌクレオチドの同一性に相関され得る。

    【0504】 (5.オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ) オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegenら、Science 241:487、1988)は、非常に大きいおよび複合体ゲノムにおける公知の配列の同定について使用される。 OLAの原理は、それらは所定のDNA標的上で互いに隣接してハイブリダイズするのでリガーゼの2つの診断上のオリゴヌクレオチドを共有結合する能力に基づく。 プローブ接合部での配列が完全に塩基対形成されない場合、プローブはリガーゼによって結合されない。 タグを使用する場合、それらは、プローブに結合し、このプローブは増幅された産物に連結される。 OLAの完了後、フラグメントは相補的な配列のアレイにハイブリダイズされ、タグは切断され、そして質量分析によって検出される。

    【0505】 本発明の方法の1つの実施態様内には、例えば、生物学的サンプルを、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの技術を利用して、核酸分子の同一性を決定するため、または選択した核酸分子を検出するために、提供される。 簡潔には、一般的には、このような方法は、標的DNA上で増幅を行う工程、続いて5'
    タグ化されたレポーターDNAプローブおよび5'リン酸化プローブとハイブリダイゼーションする工程を含む。 サンプルは、T4 DNA リガーゼとともにインキュベートされる。 連結されたプローブを有するDNA鎖は、アレイへのハイブリダイゼーションによりアレイ上に捕獲され、ここで連結していない産物はハイブリダイズしない。 タグは、分離されたフラグメントから切断され、次いでタグはそれぞれの検出技術(例えば、質量分析、赤外線分光測光法、電位電流測定またはUV/可視分光光度法)によって検出される。

    【0506】 (6.他のアッセイ) 本明細書中に記載の方法はまた、ウイルスまたは微生物の遺伝子型分類または同定に使用され得る。 例えば、F+RNA大腸菌ファージは、腸のウイルス汚染のための指標として有用な候補であり得る。 核酸増幅およびハイブリダイゼーション法による遺伝子型分類(genotyping)は、確実で、迅速で、単純で、そして安価であり、血清型分類(serotyping)(Kafatos
    ら、Nucleic Acids Res. 7:1541、1979)に代わるものである。 増幅技術および核酸ハイブリダイゼーション技術は、種々の微生物(E.coli(Feng、Mol.Cell Probes 7:151、
    1993)、)ロタウイルス(Sethabutrら、J.Med Virol
    . 37:192、1992)、C型肝炎ウイルス(Stuyverら、J.Ge
    n Virol. 74:1093、1993)、および単純疱疹ウイルス(Ma
    tsumotoら、J. Virol. Methods 40:119、1992
    )を含む)を分類するために首尾よく使用されている。

    【0507】 遺伝子改変は種々の実験的哺乳動物およびヒト新生物(neoplasm)において記載されており、そして発癌において観測される形態学的改変の配列について形態学的基礎を提示する(Vogelsteinら、NEJM 319:5
    25、1988)。 分子生物学的技術の出現で近年、特定の染色体における対立遺伝子の欠損または腫瘍サプレッサー遺伝子の変異ならびにいくつかのオンコジーン(例えば、c−myc、c−jun、およびrasファミリー)における変異が最も研究される存在である。 以前の研究(Finkelsteinら、Ar
    ch Surg. 128:526、1993)は、K−rasオンコジーンにおける点変異の特異的な型および結腸癌の診断における状態の間の相関関係を同定する。 結果は、変異分析は、腫瘍の病原力(転移のパターンおよび速度を含む)
    の重要な情報を提供し得ることを示唆した。 大腸の第III期癌(carcon
    oma)におけるTP53およびK−ras−2変異性分析の診断値がさらに最近示された(Pricoloら、Am.J.Surg.171:41,1996
    )。 従って、腫瘍および癌性前の細胞の遺伝子型分類、および特異的な変異検出はヒトにおける癌の処置にますます重要になっていることが明らかである。

    【0508】 (アレイベースアッセイにおけるタグ化されたプローブ) 本明細書中に記載されるようなタグ化された生体分子は、生体分子の(タグ化されていない)アレイを検索するために使用される。 生体分子の好ましいアレイは、1つの表面を含む固体基板を包含し、この表面はポリ(エチレンイミン)(
    PEI)の層で少なくとも部分的に被覆される。 このPEI層は、連続した第2
    領域に隣接しそしてそれに取り囲まれた複数の別個の第1領域を含む。 第1領域は、生体分子およびPEIの存在によって定義されるが、第2領域はPEIの存在および生体分子の実質的な非存在によって定義される。 好ましくは、この基板は、ガラス板またはシリコンウェハである。 しかし、この基板は、例えば、上記のような、水晶、金、ナイロン−6,6、ナイロンまたはポリスチレン、ならびにそれらの複合体であり得る。

    【0509】 好ましくは、PEI被覆には、100〜100,000の範囲の分子量を有するPEIが含まれる。 PEI被覆は、例えば、シリル化PEIを用いて基板に直接結合され得まれる。 あるいは、二官能基性結合剤の反応生成物は、基板表面およびPEI被覆間に堆積され得、ここでこの反応生成物はこの表面とPEI被覆の両方に共有結合され、そして表面へのPEI被覆を確実にする。 二官能性結合剤は、第1および第2反応性官能基を含み、ここで第1反応性官能基は、例えばトリ(O−C 1 −C 5アルキル)シランであり、第2反応性官能基は、例えばエポキシド、イソシアネート、イソチオシアネートおよび無水物基である。 好ましい二官能性結合剤には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン;3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピルコハク酸無水物および3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシランが挙げられる。

    【0510】 本発明のアレイは第1の生体分子含有領域を含み、ここで各領域は約1,00
    0平方ミクロン〜約100,000平方ミクロンの範囲内の面積である。 好ましい実施態様において、第1領域は約5,000平方ミクロン〜約25,000平方ミクロンの範囲である面積を有する。

    【0511】 第1領域は好ましくは、実質的に円形であり、ここで円は約10ミクロン〜2
    00ミクロンの平均直径を有する。 円形であろうとなかろうと、第1領域の境界は、好ましくは、少なくとも約25ミクロンの平均距離で互い(第2領域によって)から分離されるが、約1cm以下で(および好ましくは約1,000ミクロンを越えないで)互いに分離される。 好ましいアレイにおいて、隣接する第1領域の境界は、約25ミクロン〜100ミクロンの平均距離で分離され、ここでこの距離は、好ましくは、アレイにわたって一定であり、そして第1領域は好ましくは、本明細書中に添付される図に示されるような繰り返しの幾何学パターンで配置される。 好ましい繰り返し幾何学パターンにおいて、全ての隣り合った第1
    領域はほぼ同じ距離(約25ミクロン〜約100ミクロン)で分離される。

    【0512】 好ましいアレイにおいて、基板上に10〜50個の第1領域が存在する。 別の実施態様において、基板上に50〜400個の第1領域が存在する。 さらに別の好ましい実施態様において、基板上に400〜800個の第1領域が存在する。

    【0513】 第1領域に位置される生体分子は、好ましくは核酸ポリマーである。 好ましい核酸ポリマーは、約15〜約50ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである。 生体分子は約50〜約1,000ヌクレオチドを有する増幅反応生成物であり得る。

    【0514】 各第1領域において、生体分子は好ましくは、第1領域の2,000平方ミクロンあたり10 5 〜10 9生体分子の範囲の平均濃度で存在する。 さらに好ましくは、生体分子の平均濃度は、2,000平方ミクロンあたり10 7 〜10 9の範囲である。 第2領域において、生体分子は好ましくは、上記第2領域の2,000
    平方ミクロンあたり10 3生体分子未満の平均濃度で存在し、そしてより好まし くは2,000平方ミクロンあたり10 2生体分子未満の平均濃度で存在する。 最も好ましくは、第2領域はいかなる生体分子も含まない。

    【0515】 基板にPEIの層を接着するのに使用されるこの化学は、かなりの部分において、この基板の化学的性質に依存する。 先行技術は、固体支持体にPEIを接着し得る適切な化学の多数の例を提供する。 例えば、基板がナイロン−6,6である場合、PEI被覆は、Van Ness,Jら、Nucleic Acids Res. 19:3345−3350、1991およびPCT国際出願WO94
    /00600(これらの両方は参考として本明細書中で援用される)に記載される方法によって適用され得る。 この固体支持体がガラスまたはシリコンである場合、PEIの層を適用する適切な方法は、例えば、Wasserman、B. P
    . Biotecnology and Bioengineering XXI
    I:271−287、1980;およびD'Souza,S. F. Biotec
    hnology Letters 8:643−648、1986に見出される。

    【0516】 好ましくは、PEI被覆は、固体基板に共有結合される。 この固体基板がガラスまたはシリコンである場合、PEI被覆は、シリル化化学を用いて基板に共有結合され得る。 例えば、反応性シロキシ末端基を有するPEIは、Gelest
    ,Inc. (Tullytown,PA)から市販される。 このような反応性P
    EIはガラススライドまたはシリコンウェハと接着され得、そして緩やかな撹拌後、このPEIは基板に接着される。 あるいは、二官能性シリル化剤が、使用され得る。 このプロセスによれば、ガラスまたはシリコン基板は、二官能性シリル化剤で処理されて、反応性表面を有する基板を提供する。 次いで、PEIは、反応性表面と接触され、そして二官能性試剤によって表面に共有結合する。

    【0517】 アレイフォーマットに位置される生体分子は、いわゆる「整列溶液(arre
    ying solution)」中にもともと存在する。 PEI被覆基板上の別個の領域に生体分子を配置するために、整列溶液は好ましくは、組成物の全容量を基準にして約35容量%〜約80容量%の濃度の濃厚剤、好ましくは0.00
    1μg/mL〜10μg/mLの範囲の濃度でオリゴヌクレオチドである生体分子および水を含む。

    【0518】 濃厚剤の濃度はグリセロールのような液体濃厚剤に対して35%V/V〜80
    %V/Vである。 組成物中の好ましい濃厚剤の濃度は、ある範囲において、整列が行われる温度に依存する。 整列温度が小さくなるにつれ、必要とされる濃厚剤のより小さい濃度が使用される。 温度および液体濃厚剤濃度の制御の組み合わせはアレイがほとんどの型の固体支持体で作成されることを可能にする(例えば、
    ガラス、ウェハ、ナイロン6/6、ナイロン膜など)。

    【0519】 濃厚剤の存在は、種々の他の物質の低い濃度が同時に存在することを可能にし、生体分子と組み合わせて存在するさらなる利点を有する。 例えば、0.001
    %V/V〜1%V/Vの界面活性剤は整列溶液中に存在し得る。 これはPCR緩衝液がTween−20またはNP−40を少量含むので有用であり、そしてサンプル核酸を直接PCRバイアルからアンプリコンの前精製なしに整列することは頻繁に望ましい。 濃厚剤の使用は、塩(例えば、NaCl、KCl、またはM
    gCl 2 )、緩衝剤(例えば、トリス)、および/またはキレート剤(例えば、 EDTA)の存在が整列溶液中にもまた存在することを可能にする。 濃厚剤の使用はまた、架橋剤および/または有機溶媒の使用が整列溶液中に存在することを可能にするさらなる利点を有する。 商業的に得られるように架橋剤は、通常DM
    SO、DMF、NMP、メタノール、エタノールなどのような有機溶媒に溶解される。 通常使用される有機溶媒は、濃厚剤が使用される場合、0.05%〜20
    %(V/V)のレベルで本発明の整列溶液に使用され得る。

    【0520】 一般に、濃厚剤は整列溶媒に増加した粘度を与える。 適切な粘度が整列溶液で達成される場合、最初の液滴は、例えば100回目の液滴の堆積と実質的に同じサイズである。 不都合な粘度が整列溶液に使用される場合、最初の液滴は、堆積される後の液滴より顕著により大きい。 所望される粘度は、純粋な水と純粋なグリセリンの濃度の間である。

    【0521】 アレイにおける生体分子は、核酸ポリマーまたはそのアナログ(例えば、PN
    A、ホスホロチオエートおよびメチルホスホネート)であり得る。 酢酸は、リボ核酸およびデオキシリボ核酸の両方を意味する。 生体分子は、非天然および/また合成塩基を含み得る。 生体分子は一本鎖または二本鎖の酢酸ポリマーであり得る。

    【0522】 好ましい生体分子は核酸ポリマーであり、これにはオリゴヌクレオチド(約1
    00ヌクレオチド塩基まで)およびポリヌクレオチド(約100塩基を越える)
    が挙げられる。 好ましい核酸ポリマーは、15〜50ヌクレオチド塩基から形成される。 別の好ましい核酸ポリマーは50〜1,000ヌクレオチド塩基を有する。 この核酸ポリマーは、PCR産物、PCRプライマー、または核酸二重鎖であり得、わずかな例を挙げる。 しかし、必須の任意の核酸のタイプは、以下に記載のように、核酸が一級アミンを含む場合、PEI被覆された表面に共有結合され得る。 整列溶液中の代表的な核酸ポリマーの濃度は、0.001〜10μg/
    mL、好ましくは0.01〜1μg/mL、およびさらに好ましくは0.05〜
    0.5μg/mLである。

    【0523】 好ましい核酸ポリマーは、「アミン修飾」であり、これらは核酸ポリマーの5
    '末端で一級アミンを、好ましくは一級アミンと核酸ポリマーの核酸部分との間に配置された1つ以上のメチレン基(−CH 2 −)基を有して、を含むように修 飾される。 6つがメチレン基の好ましい数である。 アミン修飾核酸ポリマーは、
    それらは5'アミン基により固体支持体に共有結合され得るので、好ましい。 P
    CR産物は、5'−ヘキシルアミン修飾PCRプライマーを使用して整列され得る。 核酸二重鎖は、アミノアリル−dUTP(Sigma、St.Louis、
    MO)を使用するニックトランスレーションによりアミンの導入後、整列され得る。 アミンはアミノアリル−dUTPを有する末端転移酵素のようなポリメラーゼによって、またはリガーゼによって核酸上へ短アミン含有核酸ポリマーのライゲーションによって、核酸へ導入され得る。

    【0524】 好ましくは、核酸ポリマーはPEI被覆と接触される前に活性化される。 これは、アミン官能化核酸ポリマーをトリクロロトリアジンのような多官能性アミン活性化学物質と組み合わせることによって簡便に達成され得る。 核酸ポリマーが5'−アミン基を含む場合、5'−アミンは、トリクロロトリアジン(また、塩化シアヌルとして公知である)と反応され得る(Van Nessら、Nucl
    eic Acids Res. 19(2):3345−3350、1991)
    。 好ましくは、過剰の塩化シアヌルを核酸ポリマー溶液に添加し、ここで整列溶液中の核酸ポリマーにおけるアミンの数を越える10〜1000倍モル過剰の塩化シアヌルが好ましい。 このように、多数のアミン末端核酸ポリマーは、1個の分子のトリクロロトリアジンと反応し、その結果この核酸ポリマーはジクロロトリアジンで終止するようになる。

    【0525】 好ましくは、整列溶液は、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、またはトリス HClのような通常の緩衝剤を用いて緩衝される。 整列溶液についての好ましいpH範囲は、7〜9であり、好ましい緩衝液は新しく調製されたpH8.3〜pH8.5のホウ酸ナトリウムである。 代表的な整列溶液を調製するために、ヘキシルアミン修飾核酸ポリマーは、0.2Mのホウ酸ナトリウム(50μlの総量について、0.1μg/mLで、pH8.3)中に入れられる。 次いで、15mg/mLの塩化シアヌル溶液10μlを添加し、そしてこの反応系を、一定の撹拌をしながら25℃で1時間進行させる。 グリセロール(
    Gibco Brl(登録商標)、Grand Island、NY)は、56
    %の最終濃度まで添加される。

    【0526】 生体分子整列溶液は、微小作成(microfabrication)において一般に使用される任意の数の技術によってPEI被覆に適用され得る。 例えば、この溶液は、インクジェット印刷ヘッドに配置され得、そしてこのようなヘッドから被覆上へ射出され得る。

    【0527】 PEI被覆上へ生体分子溶液を送達するための好ましいアプローチは、修飾されたスプリングプローブを利用する。 スプリングプローブは、Everett Charles(Pomona、CA)、Interconnect Devi
    ces Inc. (Kansas City、Kansas)およびTest Connections Inc. 、(Upland、CA)を含むいくつかのメーカーから入手可能である。 本発明による液体堆積デバイスとして良好に機能するための上記のような市販のスプリングプローブのために、約1/1000から5/1000インチの金属物質はプローブの先端から取り外されなければならない。 このプロセスは、スプリングプローブの長軸に垂直である平坦な表面を生じなければならない。 この先端の底部から約1/1000から5/1000インチの物質の取り外しは好ましく、そして非常に微細に粉砕した湿った石を容易に達成し得る。 市販のおよび上記のように平面の先端を提供するために変更され得る特定のスプリングプローブには、Ostby Barton(Everett Charles(Pomona、CA)の事業部)によって製造されるXP5
    4 プローブ;Everrett Charles(Pomona、CA)によって製造されるSPA25PプローブおよびTest Connections Inc. 、(Upland、CA)からの43−Pを細長くしたスプリングプローブが挙げられる。

    【0528】 上記のような整列溶液を整列プロセスに直接使用し得る。 すなわち、活性化された核酸ポリマーはプリンティング工程の前に未反応の塩化シアヌルから精製して除去する必要がない。 代表的には固体支持体に活性化された核酸を結合する反応は、1〜20時間、20〜50℃で進行される。 好ましくは、反応時間は、2
    5℃で1時間である。

    【0529】 本明細書中に記載されるようなアレイは、ハイブリダイゼーションアッセイ(
    例えば、CMSTで標識されたプローブを使用して)行う際に特に有用である。
    しかし、このようなアッセイを行うために、固体支持体上のアミンはハイブリダイゼーション工程を行う前にキャップされなければならない。 このことは、0.
    1〜2.0M無水コハク酸で固体支持体を反応させることにより達成され得る。
    好ましい反応条件は、70%m−ピロール中の1.0M無水コハク酸および0.
    1Mホウ酸ナトリウムである。 この反応は代表的に、15分〜4時間でおこり、
    好ましい反応時間は25℃で30分である。 残っている無水コハク酸は3×水の洗浄で除去される。

    【0530】 次いで、固体支持体を0.1〜10.0Mホウ酸ナトリウム(pH7〜9)中の0.1〜5Mグリシンを含む溶液とともにインキュベートする。 この工程は、
    任意のジクロロトリアジン(これは、モノクロロトリアジンへ転換することによりPEI表面に共有結合され得る)を「キャップする」。 好ましい条件は、0.
    1Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)中の0.2Mグリシンである。 次いで、固体支持体は、界面活性剤含有溶液で洗浄されて未結合物質(例えば、微量のNM
    P)を除去し得る。 好ましくは、固体支持体は、0.01M NaCl、0.0
    5M EDTAおよび01M Tris(pH8.0)中5分間95℃まで加熱される。 この加熱工程は、非共有結合核酸ポリマー(例えば、PCR産物)を除去する。 二本鎖核酸が整列する場合において、この工程はまた二本鎖から一本鎖形態に転換する(変性)影響がある。

    【0531】 アレイはプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド、核酸フラグメント、PCR
    産物など)によって検索され得、これは、例えば、本明細書中に記載されるようなCMSTタグ、放射異性体、発蛍光団またはビオチンでタグされ得る。 ビオチン化した核酸についての方法は、当該分野で公知であり、そしてPierce(
    Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook、P
    ierce Chemical Company、1992、Rockford Illinois)により適切に記載される。 プローブは、一般に、標準ハイブリダイゼーション溶液において0.1ng/mL〜10/μg/mLで使用され、これはGuSCN、GuHCl、ホルムアミドなどを含む(Van Nes
    s and Chen、Nucleic Acids Res. 、19:514
    3−5151、1991参照のこと)。

    【0532】 ハイブリダイゼーション事象(すなわち、ビオチンの存在)を検出するために、固体支持体を、ステレプトアビジン/西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体とともにインキュベートする。 このような酵素結合体は、例えば、Vector L
    aboratories(Burlingham、CA)から市販される。 ストレプトアビジンはビオチン分子に対して高い親和性で結合し、西洋ワサビペルオキシダーゼをハイブリダイズしたプローブに近接させる。 未結合のストレプトアビジン/西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体は、単なる洗浄工程で洗浄除去される。 西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素の存在は、次いで、過酸化物および適切な緩衝液の存在下で沈殿する基質を用いて検出される。

    【0533】 ウェハのような反射表面上に堆積した青色酵素産物は、比色基質について期待されるものと比較して数倍低いレベルの検出(LLD)を有する。 さらに、LL
    Dは異なる色の酵素産物について大きく異なる。 例えば、50μM直径スポットあたりの4−メトキシナフトール(methoxynapthol)(これは沈殿した青色産物を生成する)についてのLLDは、約1000分子であるが、赤色の沈殿した基質は、50μM直径スポット当たり約1000倍より高い1,0
    00,000分子でLLDを与える。 LLDは、可視光源およびCCDカメラ(
    Princeton Instruments、Princeton、NJ)を備える顕微鏡(例えば、Zeissから市販されるAxiotech顕微鏡)で表面を検索することによって決定される。 およそ10,000μM×10,00
    0μMの画像は、一度にスキャンされ得る。

    【0534】 青色比色検出スキームを使用するために、この表面は、酵素反応の後に非常に洗浄されなければならず、そしてウェハまたはスライドは乾燥状態でスキャンされなければならない。 さらに、酵素反応は、参照スポットが飽和する前に停止されなければならない。 西洋ワサビペルオキシダーゼについて、これは約2〜5分である。

    【0535】 アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)について化学発光基質、あるいはHRPまたはアルカリホスファターゼについて蛍光基質を使用することも可能である。 例には、Perkin Elmerから入手可能なアルカリホスファターゼについてのジオキセタン基質またはJBL Sci
    entific(San Luis Obispo、CA)からのAttoph
    os HRP基質が挙げられる。

    【0536】 以下の実施例は、制限の目的ではなく例証の目的により提供される。

    【0537】 他で述べない限り、実施例において使用されるような化学物質は、Aldri
    ch Chemical Company,Milwaukee,WIから入手され得る。 以下の略語は、示される意味を有して、本明細書中で使用される: ANP=3−(Fmoc−アミノ)−3−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸 NBA=4−(Fmoc−アミノメチル)−3−ニトロ安息香酸 HATU=O−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N',N'− テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート DIEA=ジイソプロピルエチルアミン MCT=モノクロロトリアジン NMM=4−メチルモルホリン NMP=N−メチルピロリドン ACT357=Advanced ChemTech,Inc. ,Louisv ille,KYからのACT357ペプチド合成装置 ACT=Advanced ChemTech,Inc. ,Louisvill e,KY NovaBiochem=CalBiochem−NovaBiochem I nternational,San Diego,CA TFA=トリフルオロ酢酸 Tfa=トリフルオロアセチル iNIP=N−メチルイソニペコ酸 Tfp=テトラフルオロフェニル DIAEA=2−(ジイソプロピルアミノ)エチルアミン MCT=モノクロロトリアゼン 5'−AH−ODN=5'−アミノヘキシル−末端化オリゴデオキシヌクレオチ ド

    【0538】

    【実施例】

    (実施例1) 切断可能なMW同定因子配列決定における使用のための酸不安定性リンカーの調製

    【0539】 A. (カルボキシルアミド末端を有する遊離タグのための化学的に切断可能な質量分析タグのペンタフルオロフェニルエステルの合成) 図1は反応図を示す。

    【0540】 (工程A) TentaGel S AC樹脂(化合物II;ACTより入手可能;1eq.)を、ACT357ペプチド合成装置(ACT)の回収コンテナ中でDMFに懸濁する。 DMF中の化合物I(3eq.)、HATU(3eq.
    )、およびDIEA(7.5 eq.)を添加し、そして回収コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂をNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 樹脂へのIのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物IIIを得る。

    【0541】 (工程B) 樹脂(化合物III)を、DMF中の25%ピペリジンと混合し、そして5分間振盪する。 樹脂を濾過し、次いでDMF中の25%ピペリジンと混合し、そして10分間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、Me
    OH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄し、そしてそれに工程Cに直接用いる。

    【0542】 (工程C) 工程Bからの脱保護樹脂をDMFに懸濁し、そしてそれに、DM
    F中の側鎖にアミン官能基を含むFMOC保護アミノ酸(化合物IV(例えば、
    α−N−FMOC−3−(3−ピリジル)−アラニン)Synthetech, Albany, ORより入手可能;3eq. )、HATU(3eq.)、およびDIEA(7.5 eq.)を添加する。 コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂をNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2
    ×)で洗浄する。 樹脂へのIVのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物Vを得る。

    【0543】 (工程D) 樹脂(化合物V)を工程Bに記載のようにピペリジンで処理し、
    FMOC基を除去する。 次いで、脱保護樹脂を、ACT357によって、回収コンテナから16の反応コンテナへ均等に分配する。

    【0544】 (工程E) 工程Dからの脱保護樹脂の16のアリコートをDMF中に懸濁する。 各反応コンテナに、DMF中の適切なカルボン酸VI 1-16 (R 1-16 CO 2 H ;3eq.)、HATU(3eq.)、およびDIEA(7.5 eq.)を添加する。 コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂のアリコートをNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 樹脂のアリコートへのVI 1-16のカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物VII 1-16を得る。

    【0545】 (工程F) 樹脂(化合物VII 1-16 )のアリコートを、CH 2 Cl 2 (3×)
    で洗浄する。 各反応コンテナに、CH 2 Cl 2中の1%TFAを添加し、そしてコンテナを30分間振盪する。 溶媒を、反応コンテナから個々のチューブに濾過する。 樹脂のアリコートをCH 2 Cl 2 (2×)およびMeOH(2×)で洗浄し、
    そして濾液を個々のチューブと合わせる。 個々のチューブを真空下でエバポレートし、化合物VIII 1-16を得る。

    【0546】 (工程G) 各遊離カルボン酸VIII 1-16を、DMFに溶解する。 各溶液にピリジン(1.05 eq.)を加え、続いてペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート(1.1 eq.)を加える。 混合物を、室温で45分間撹拌する。 溶液をEtOAcで希釈し、1M aq. のクエン酸(3×)および5% aq. のNaHCO 3 (3×)で洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥し、濾過し、そして 真空下で蒸発させ、化合物IX 1-16を得る。

    【0547】 A. (カルボキシル酸末端を有する遊離タグのための化学的に切断可能な質量分析タグのペンタフルオロフェニルエステルの合成) 図2は反応図を示す。

    【0548】 (工程A) 4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ酪酸(化合物I;1eq.
    )を、CHCl 3中のDIEA(2.1 eq.)およびアリルブロマイド(2 .1 eq.)と合わせ、そして2時間加熱還流する。 混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl(2×)、炭酸緩衝液(pH9.5)(2×)、および塩水(1×)で洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥し、そして真空で蒸発させ、化合物Iのアリルエステルを得る。

    【0549】 (工程B) 工程Aからの化合物Iのアリルエステル(1.75 eq.)を、CH 2 Cl 2中で、側鎖にアミン官能基を含むFMOC保護アミノ酸(化合物I
    I(例えば、α−N−FMOC−3−(3−ピリジル)−アラニン)Synth
    etech, Albany, ORより入手可能;1eq. )、N−メチルモルホリン(2.5 eq.)およびHATU(1.1 eq.)と合わせ、そして室温で4時間撹拌する。 混合物をCH 2 Cl 2で希釈し、1M aq. のクエン酸(2×)、水(1×)、および5% aq. のNaHCO 3 (2×)で洗浄し 、Na 2 SO 4で乾燥し、そして真空下で蒸発させる。 化合物IIIをフラッシュクロマトグラフィー(CH 2 Cl 2 −−>EtOAc)によって単離する。

    【0550】 (工程C) 化合物IIIを、CH 2 Cl 2に溶解し、Pd(PPh 34 (0.
    07 eq. )およびN−メチルアニリン(2eq.)を添加し、そして混合物を室温で4時間撹拌する。 混合物をCH 2 Cl 2で希釈し、1M aq. のクエン酸(2×)および水(1×)で洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥し、そして真空下で蒸発させる。 化合物IVをフラッシュクロマトグラフィー(CH 2 Cl 2 −−>Et
    OAc+HOAc)によって単離する。

    【0551】 (工程D) TentaGel S AC樹脂(化合物V;1eq.)を、A
    CT357ペプチド合成装置(Advanced ChemTech Inc.
    (ACT),Louisville, KY)の回収コンテナ中でDMFに懸濁する。 DMF中の化合物IV(3eq.)、HATU(3eq.)、およびDI
    EA(7.5 eq.)を添加し、そして回収コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂をNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2
    ×)で洗浄する。 樹脂へのIVのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物VIを得る。

    【0552】 (工程E) 樹脂(化合物VI)を、DMF中の25%ピペリジンと混合し、
    そして5分間振盪する。 樹脂を濾過し、次いでDMF中の25%ピペリジンと混合し、そして10分間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂をNMP(2×)、
    MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 次いで、脱保護樹脂を、
    ACT357によって、回収コンテナから16の反応コンテナへ均等に分配する。

    【0553】 (工程F) 工程Eからの脱保護樹脂の16のアリコートを、DMFに懸濁する。 各反応コンテナに、DMF中の適切なカルボン酸VII 1-16 (R 1-16 CO 2 H;3eq.)、HATU(3eq.)、およびDIEA(7.5 eq.)を添加する。 コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、そして樹脂のアリコートをNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 樹脂のアリコートへのVII 1-16のカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物V
    III 1-16を得る。

    【0554】 (工程G) 樹脂(化合物VIII 1-16 )のアリコートを、CH 2 Cl 2 (3×
    )で洗浄する。 各反応コンテナに、CH 2 Cl 2中の1%TFAを添加し、そしてコンテナを30分間振盪する。 溶媒を、反応コンテナから個々のチューブに濾過する。 樹脂のアリコートをCH 2 Cl 2 (2×)およびMeOH(2×)で洗浄し、そして濾液を個々のチューブに合わせた。 個々のチューブを真空下でエバポレートし、化合物IX 1-16を得る。

    【0555】 (工程H) 各遊離カルボン酸IX 1-16を、DMFに溶解する。 各溶液にピリジン(1.05 eq.)を加え、続いてペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート(1.1 eq.)を加える。 混合物を、室温で45分間撹拌する。
    溶液をEtOAcで希釈し、1M aq. のクエン酸(3×)および5% aq
    . のNaHCO 3 (3×)で洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥し、濾過し、そして真空 下で蒸発させ、化合物X 1-16を得る。

    【0556】 (実施例2) T−L−Xの光分解性切断の実証 実施例11で調製されたT−L−X化合物を、室温で7分間、近紫外光で照射した。 発光ピーク350nmを有するRayonett蛍光UVランプ(Sou
    thern New England Ultraviolet Co. , M
    iddletown, CT)を、UV光供給源として用いる。 ランプを、試料を有するペトリ皿から15cm離して置く。 SDSゲル電気泳動は、結合の>8
    5%がこれらの条件下で切断されることを示す。

    【0557】 (実施例3) 蛍光標識化プライマーの調製および発蛍光団の切断の実証 (オリゴヌクレオチドの合成および精製) オリゴヌクレオチド(ODN)を、製造業者より供給される標準ホスホルアミダイト化学、またはH−ホスホネート化学(Glenn Research S
    terling, VA)を用いて自動DNA合成装置で調製する。 適切にブロックされたdA、dG、dC、およびTホスホルアミダイトは、これらの形態で市販され、そして合成ヌクレオシドは、適切な形態に容易に変換され得る。 オリゴヌクレオチドを、製造業者より供給される標準ホスホルアミダイト、またはH
    −ホスホネート化学を用いて調製する。 オリゴヌクレオチドを、標準方法を適応することによって精製する。 5'トリチル基を有するオリゴヌクレオチドを、1
    2μm、300#Rainin(Emeryville, CA)Dynama
    x C−8 4.2×250mm逆相カラムを用いて、0.1N Et 3 NH +
    Ac - (pH7.0)中の15%〜55%MeCNの勾配で20分間、HPLC でクロマトグラフする。 脱トリチル化を行う場合、オリゴヌクレオチドを、ゲル排除クロマトグラフィーによってさらに精製する。 オリゴヌクレオチドの質の分析的チェックを、アルカリpHでPRPカラム(Alltech, Deerf
    ield, IL)、およびPAGEで行う。

    【0558】 2,4,6−トリクロロトリアジン誘導オリゴヌクレオチドの調製:5'末端アミン連結オリゴヌクレオチドの10〜1000μgを、19℃〜25℃で30
    〜120分間、アルカリ(好ましくはpH8.3〜8.5)緩衝液において10
    %n−メチルピロリドン中の過剰の再結晶化塩化シアヌル酸と反応させる。 最終反応条件は、0.15Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)、2mg/mlの再結晶化塩化シアヌル酸、および500μg/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドからなる。 未反応の塩化シアヌル酸を、G−50 Sephadex(Phar
    macia, Piscataway, NJ)カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去する。

    【0559】 次いで、活性化した精製オリゴヌクレオチドを、0.15Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)中の100倍モル過剰のシスタミンと室温で1時間反応させる。
    未反応のシスタミンを、G−50 Sephadexカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去する。 次いで、得られたODNを、アミン反応性蛍光色素と反応させる。 得られたODN調製物を、3つの部分に分け、そして各部分を(a)20倍モル過剰のTexas Redスルホニルクロライド(Mol
    ecular Probes, Eugene, OR)、(b)20倍モル過剰のLissamineスルホニルクロライド(Molecular Prob
    es, Eugene, OR)(c)20倍モル過剰のフルオレセインイソチオシアネートのいずれかと反応させる。 最終反応条件は、室温で1時間の0.1
    5Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)からなる。 未反応の蛍光色素を、G−50 Sephadexカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去する。

    【0560】 オリゴヌクレオチドから蛍光色素を切断するために、ODNを、1×10 -5モル濃度に調整し、次いで希釈物を、TE(TEは、0.01M Tris(pH
    7.0)、5mM EDTAである)中で作製する(12,3倍希釈)。 100
    μl容量のODNに対して、25μlの0.01Mジチオスレイトール(DTT
    )を添加する。 コントロールの同一のセットに対しては、DTTを加えない。 混合物を、室温で15分間インキュベートする。 蛍光を、黒マイクロタイタープレートにおいて測定する。 溶液をインキュベーションチューブ(150μl)から取り出し、そして黒マイクロタイタープレート(Dynatek Labora
    tories, Chantilly, VA)に入れる。 次いで、プレートを、フルオレセインについては495nmの励起波長および520nmのモニター発光、Texas Redについては591nmの励起波長および612nmのモニター発光、およびリサミン(lissamine)については570nmの励起波長および590nmのモニター発光で、Fluoroskan II蛍光光度計(Flow Laboratories, McLean, VA)を用いて直接読みとり、表1に結果を記載する。

    【0561】

    【表4】

    【0562】 データは、蛍光色素をODNから切断した場合、相対的な蛍光が約200倍増加することを示す。

    【0563】 (実施例4) タグ化M13配列プライマーの調製およびタグの切断の実証 2,4,6−トリクロロトリアジン誘導オリゴヌクレオチドの調製:1000
    μgの5'末端アミン連結オリゴヌクレオチド(5'ヘキシルアミン−TGTA
    AAACGACGGCCAGT−3')(配列番号1)を、19℃〜25℃で3
    0〜120分間、アルカリ(好ましくはpH8.3〜8.5)緩衝液において1
    0%n−メチルピロリドン中の過剰の再結晶化塩化シアヌル酸と反応させる。 最終反応条件は、0.15Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)、2mg/mlの再結晶化塩化シアヌル酸、および500μg/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドからなる。 未反応の塩化シアヌル酸を、G−50 Sephadexカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去する。

    【0564】 次いで、活性化した精製オリゴヌクレオチドを、0.15Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)中の100倍モル過剰のシスタミンと室温で1時間反応させる。
    未反応のシスタミンを、G−50 Sephadexカラムで、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去する。 次いで、得られたODNを、種々のアミドと反応させる。 得られたODN調製物を、12の部分に分割し、そして各部分を、
    (1)4−メトキシ安息香酸、(2)4−フルオロ安息香酸、(3)トルイル酸、(4)安息香酸、(5)インドール−3−酢酸、(6)2,6−ジフルオロ安息香酸、(7)ニコチン酸N−オキシド、(8)2−ニトロ安息香酸、(9)5
    −アセチルサリチル酸、(10)4−エトキシ安息香酸、(11)桂皮酸、(1
    2)3−アミノニコチン酸のいずれかのペンタフルオロフェニルエステル(25
    モル過剰)と反応させる。 0.2Mホウ酸ナトリウム(pH8.3)中で、37
    ℃で2時間反応させる。 得られたODNを、G−50 Sephadexで、ゲル排除クロマトグラフィーによって精製する。

    【0565】 オリゴヌクレオチドからタグを切断するために、ODNを、1×10 -5モル濃度に調整し、次いで希釈物を、50%EtOH(V/V)を含むTE(TEは、
    0.01M Tris(pH7.0)5mM EDTAである)中で希釈する(
    12,3倍希釈)。 100μl容量のODNに対して、25μlの0.01Mジチオスレイトール(DTT)を添加する。 コントロールの同一のセットに対しては、DTTを加えない。 インキュベーションは、室温で30分間である。 次いで、NaClを0.1Mまで加え、そして2容量のEtOHを添加し、ODNを沈殿させる。 ODNを、14,000×G、4℃で15分間の遠心分離によって溶液から除去する。 上清を保存し、完全に乾燥する。 次いで、ペレットを、25μ
    lのMeOHに溶解する。 次いで、ペレットを、タグの存在について質量分析によって試験する。

    【0566】 この研究に用いた質量分析計は、外部イオン供給源フーリエ変換質量分析計(
    FTMS)である。 MALDI分析のために調製した試料を、直接プローブの先端部に沈積し、そしてイオン供給源に挿入する。 試料をレーザーパルスで照射する場合、イオンを供給源から抽出し、そして超伝導磁石の口径内に位置するFT
    MS分析装置のセルに焦点を合わせ、かつ輸送する長四重極イオンガイドに通過させる。

    【0567】 スペクトルは、以下の情報をもたらす。 以下の分子量での25〜100相対強度単位の強度において変化するピーク:(1)4−メトキシ安息香酸誘導体を示す212.1amu、(2)4−フルオロ安息香酸誘導体を示す200.1、(
    3)トルイル酸誘導体を示す196.1amu、(4)安息香酸誘導体を示す1
    82.1amu、(5)インドール−3−酢酸誘導体を示す235.2amu、
    (6)2,6−ジフルオロ安息香酸誘導体を示す218.1amu、(7)ニコチン酸N−オキシド誘導体を示す199.1amu、(8)2−ニトロベンズアミドを示す227.1amu、(9)5−アセチルサリチル酸誘導体を示す17
    9.18amu、(10)4−エトキシ安息香酸誘導体を示す226.1amu
    、(11)桂皮酸誘導体を示す209.1amu、(12)3−アミノニコチン酸誘導体を示す198.1amu。

    【0568】 結果は、MW同定因子がプライマーから切断され、そして質量分析によって検出され得ることを示す。

    【0569】 (実施例5) 式R 1-36 −LYS(ε−INIP)−ANP−TFPを有する化合物のセットの調製 図3は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hは活性化エステル(特に、テトラフルオロフェニルエステル)であり、L 2は、L hおよびL 2を連結するメチレン基であるL 3を有するο−ニトロベンジル アミン基であり、Tはモジュラー構造を有する。 ここでリジンのカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合されてアミド結合を形成し、そして可 変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中に記載のT 2に対応し、そして本 明細書中に一覧した特定のカルボン酸のいずれかを介して導入され得る)は、リジンのα−アミノ基を介して結合される一方、質量分析感度エンハンサー基(N
    −メチルイソニペコ酸を介して導入される)は、リジンのε−アミノ基を介して結合される。

    【0570】 図3について言及する: (工程A) NovaSyn HMP樹脂(NovaBiochemより入手可能;1eq.)を、ACT357の回収コンテナ中のDMFに懸濁する。 DM
    F中の化合物I(ACTより入手可能なANP;3eq.)、HATU(3eq
    . )およびNMM(7.5eq.)を添加し、そして回収コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF
    (2×)で洗浄する。 樹脂へのIのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物IIを得る。

    【0571】 (工程B) 樹脂(化合物II)を、DMF中の25%ピペリジンと混合し、
    5分間振盪する。 樹脂を濾過し、次いでDMF中の25%ピペリジンと混合し、
    そして10分間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、MeOH(2
    ×)、およびDMF(2×)で洗浄し、そして工程Cに直接用いる。

    【0572】 (工程C) 工程Bからの脱保護樹脂をDMF中に懸濁し、それに、DMF中の、側鎖に保護アミン官能基を含むFMOC保護アミノ酸(Fmoc−Lysi
    ne(Aloc)−OH、PerSeptive Biosystemsより入手可能;3eq. )、HATU(3eq.)、およびNMM(7.5eq.)を添加する。 コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、
    MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 Fmoc−Lys(Al
    oc)−OHの樹脂へのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物IVを得る。

    【0573】 (工程D) 樹脂(化合物IV)を、CH 2 Cl 2 (2×)で洗浄し、次いで、
    CH 2 Cl 2中の(PPh 34 Pd(0)(0.3eq.)およびPhSiH 3 ( 10eq.)の溶液に懸濁する。 混合物を1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をCH 2 Cl 2 (2×)で洗浄する。 パラジウム工程を反復する。 溶媒を除去し、
    樹脂をCH 2 Cl 2 (2×)、DMF中のN,N−ジイソピロピルエチルアンモニウムジエチルジチオカルバメート(2×)、およびDMF(2×)で洗浄し、化合物Vを得る。

    【0574】 (工程E) 工程Dからの脱保護樹脂を、工程Cに記載のようにN−メチルイソニペコ酸とカップリングさせ、化合物VIを得る。

    【0575】 (工程F) Fmoc保護樹脂VIを、ACT357によって、回収コンテナから36反応コンテナに等しく分配し、化合物VI 1-36を得る。

    【0576】 (工程G) 樹脂(化合物VI 1-36 )を工程Bに記載のようにピペリジンで処理し、FMOC基を除去する。

    【0577】 (工程H) 工程Gからの脱保護樹脂の36アリコートを、DMF中に懸濁する。 各反応コンテナに、DMF中の適切なカルボン酸(R 1-36 CO 2 H;3eq .)、HATU(3eq.)、およびNMM(7.5eq.)を添加する。 コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂のアリコートをNMP(2×)、M
    eOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 樹脂のアリコートへのR 1- 36 CO 2 Hのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物VIII 1-36を得る 。

    【0578】 (工程I) 樹脂(化合物VIII 1-36 )のアリコートをCH 2 Cl 2 (3×)
    で洗浄する。 各反応コンテナに、90:5:5 TFA:H20:CH 2 Cl 2を添加し、コンテナを120分間振盪する。 溶媒を反応コンテナから個々のチューブに濾過する。 樹脂のアリコートをCH 2 Cl 2 (2×)およびMeOH(2×)
    で洗浄し濾液を個々のチューブに合わせる。 個々のチューブを真空下でエバポレートし、化合物IX 1-36を得る。

    【0579】 (工程J) 各々の遊離カルボン酸IX 1-36を、DMF中に溶解させる。 各溶液に、ピリジン(1.05eq.)を添加し、続いて、テトラフルオロフェニルトリフルオロアセテート(1.1eq.)を添加する。 混合物を、室温で45分間撹拌する。 溶液をEtOAcで希釈し、5%aq. のNaHCO 3 (3×)で 洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で蒸発させ、化合物X 1- 36を得る。

    【0580】 (実施例6) 式R 1-36 −LYS(ε−INIP)−NBA−TFPを有する化合物のセットの調製 図4は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hは活性化エステル(特に、テトラフルオロフェニルエステル)であり、L 2は、L hとL 2との間で直接結合されるL 3を有するο−ニトロベンジルアミン基 であり(L hはL 2基の芳香環に直接結合する)、Tはモジュラー構造を有する。
    ここでリジンのカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合されて アミド結合を形成し、そして可変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中で定義されるT 2に対応し、そして本明細書中に一覧した特定のカルボン酸のいず れかを介して導入され得る)は、リジンのαアミノ基を介して結合される一方、
    質量分析エンハンサー基(N−メチルイソニペコ酸を介して導入される)は、リジンのε−アミノ基を介して結合される。

    【0581】 図4について言及する: (工程A) NovaSyn HMP樹脂を、実施例5の工程Aに記載の手順に従って、化合物I(Brownら、Molecular Diversity
    ,1,4(1995)の手順に従って調製されたNBA)とカップリングさせ、
    化合物IIを得る。

    【0582】 (工程B〜J) 樹脂(化合物II)を、実施例5の工程B〜Jに記載のように処理し、化合物X 1-36を得る。

    【0583】 (実施例7) 式INIP−LYS(ε−R 1-36 )−ANP−TFPを有する化合物のセットの調製 図5は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hは活性化エステル(特に、テトラフルオロフェニルエステル)であり、L 2は、L hおよびL 2を連結するメチレン基であるL 3を有するο−ニトロベンジル アミン基であり、Tはモジュラー構造を有する。 ここでリジンのカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合されてアミド結合を形成し、そして可 変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中に記載のT 2に対応し、そして本 明細書中に一覧した特定のカルボン酸のいずれかを介して導入され得る)は、リジンのε−アミノ基を介して結合される一方、質量分析感度エンハンサー基(N
    −メチルイソニペコ酸を介して導入される)は、リジンのα−アミノ基を介して結合される。

    【0584】 図5について言及する: (工程A〜C) 実施例5と同じ。

    【0585】 (工程D) 樹脂(化合物IV)を、実施例5の工程Bに記載のようにピリジンで処理し、FMOC基を除去する。

    【0586】 (工程E) 工程Dの樹脂上の脱保護αアミンを、実施例5の工程Cに記載のようにN−メチルイソニペコ酸とカップリングさせ、化合物Vを得る。

    【0587】 (工程F) 実施例5と同じ。

    【0588】 (工程G) 樹脂(化合物VI 1-36 )を、実施例5の工程Dに記載のようにパラジウムで処理し、Aloc基を除去する。

    【0589】 (工程H〜J) 化合物X 1-36を、実施例5と同様の様式で調製する。

    【0590】 (実施例8) 式R 1-36 −GLU(γ−DIAEA)−ANP−TFPを有する化合物のセットの調製 図6は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hは活性化エステル(特に、テトラフルオロフェニルエステル)であり、L 2は、L hおよびL 2を連結するメチレン基であるL 3を有するο−ニトロベンジル アミン基であり、Tはモジュラー構造を有する。 ここでグルタミン酸のαカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合されてアミド結合を形成し、 そして可変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中で定義されるT 2に対応 し、そして本明細書中に一覧した特定のカルボン酸のいずれかを介して導入され得る)は、グルタミン酸のα−アミノ基を介して結合される一方、質量分析感度エンハンサー基(2−(ジイソプロピルアミノ)エチルアミンを介して導入される)は、グルタミン酸のγ−カルボン酸を介して結合される。

    【0591】 図6について言及する: (工程A〜B) 実施例5と同じ。

    【0592】 (工程C) 脱保護樹脂(化合物III)を、実施例5の工程Cに記載のカップリング方法を用いて、Fmoc−Glu−(OAl)−OHにカップリングさせ、化合物IVを得る。

    【0593】 (工程D) 樹脂(化合物IV)上のアリルエステルを、CH 2 Cl 2 (2×)
    で洗浄し、CH 2 Cl 2中の(PPh 34 Pd(0)(0.3eq.)およびN−
    メチルアニリン(3eq.)の溶液と混合する。 混合物を1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をCH 2 Cl 2 (2×)で洗浄する。 パラジウム工程を反復する。
    溶媒を除去し、樹脂をCH 2 Cl 2 (2×)、DMF(2×)中のN,N−ジイソピロピルエチルアンモニウムジエチルジチオカルバメート、およびDMF(2×
    )で洗浄し、化合物Vを得る。

    【0594】 (工程E) 工程Dからの脱保護樹脂を、DMF中に懸濁し、HATU(3e
    q. )およびNMM(7.5eq.)を混合することによって活性化する。 コンテナを15分間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(1×)で洗浄する。 樹脂を、2−(ジイソプロピルアミノ)エチルアミン(3eq.)およびNMM(
    7.5eq. )と混合する。 コンテナを1時間振盪する。 樹脂への2−(ジイソプロピルアミノ)エチルアミンのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物VIを得る。

    【0595】 (工程F〜J) 実施例5と同じ。

    【0596】 (実施例9) 式R 1-36 −LYS(ε−INIP)−ANP−LYS(ε−NH 2 )−NH 2を有する化合物のセットの調製 図7は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hはアミン(特に、リジン誘導部分のε−アミノ基)であり、L 2は、L hお よびL 2を連結するカルボキサミド置換アルキレンアミノアシルアルキレン基で あるL 3を有するο−ニトロベンジルアミン基であり、Tはモジュラー構造を有 する。 ここでリジンのカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合 されてアミド結合を形成し、そして可変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中で定義されるT 2に対応し、そして本明細書中に一覧した特定のカルボン酸 のいずれかを介して導入され得る)は、リジンのαアミノ基を介して結合される一方、質量分析感度エンハンサー基(N−メチルイソニペコ酸を介して誘導される)は、リジンのε−アミノ基を介して結合される。

    【0597】 図7について言及する: (工程A) Fmoc−Lys(Boc)−SRAM樹脂(ACTより入手可能:化合物I)を、DMF中の25%ピペリジンと混合し、そして5分間振盪する。 樹脂を濾過し、次いでDMF中の25%ピペリジンと混合し、そして10分間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、MeOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄し、そして工程Bに直接用いる。

    【0598】 (工程B) DMF中の樹脂(化合物II)、ANP(ACTより入手可能;
    3eq. )、HATU(3eq.)およびNMM(7.5eq.)を添加し、そして回収コンテナを1時間振盪する。 溶媒を除去し、樹脂をNMP(2×)、M
    eOH(2×)、およびDMF(2×)で洗浄する。 Iの樹脂へのカップリングおよび洗浄工程を反復し、化合物IIIを得る。

    【0599】 (工程C〜J) 樹脂(化合物III)を、実施例5の工程B〜Iのように処理し、化合物X 1-36を得る。

    【0600】 (実施例10) 式R 1-36 −LYS(ε−TFA)−LYS(ε−IINIP)−ANP−TFP
    を有する化合物のセットの調製 図8は、36のT−L−X化合物(X=L h )のセットの平行合成を例示する 。 L hは活性化エステル(特に、テトラフルオロフェニルエステル)であり、L 2は、L hおよびL 2を連結するメチレン基であるL 3を有するο−ニトロベンジル アミン基であり、Tはモジュラー構造を有する。 ここで第1のリジンのカルボン酸基は、L 2ベンジルアミン基の窒素原子に結合されてアミド結合を形成し、質 量分析感度エンハンサー基(N−メチルイソニペコ酸を介して誘導される)は、
    第1のリジンのε−アミノ基を介して結合され、第2のリジン分子は第1のリジンのα−アミノ基を介して第1のリジンに結合され、分子量調整基(トリフルオロアセチル構造を有する)は、第2のリジンのε−アミノ基を介して結合され、
    そして可変重量成分R 1-36 (これらのR基は本明細書中で定義されるT 2に対応 し、そして本明細書中に一覧した特定のカルボン酸のいずれかを介して誘導され得る)は、第2のリジンのαアミノ基を介して結合される。

    【0601】 図8について言及する: (工程A〜E) これらの工程は、実施例5の工程A〜Eと同一である。

    【0602】 (工程F) 樹脂(化合物VI)を、実施例5の工程Bに記載のピペリジンで処理し、FMOC基を除去する。

    【0603】 (工程G) 脱保護樹脂(化合物VII)を、実施例5の工程Cに記載のカップリング方法を用いて、Fmoc−Lys(Tfa)−OHにカップリングし、
    化合物VIIIを得る。

    【0604】 (工程H〜K) 樹脂(化合物VIII)を、実施例5の工程F〜Jに記載のように処理し、化合物XI 1-36を得る。

    【0605】 (実施例11) 式R 1-36 −LYS(ε−INIP)−ANP−5'−AH−ODNを有する化合物のセットの調製 図9は、実施例5のエステル由来の36のT−L−X化合物(X=MOI、ここでMOIは核酸フラグメントである、ODN)のセットの平行合成を例示する(同じ手順が、他のT−L−X化合物で用いられ得る、ここでXは活性化エステルである)。 MOIを、T−Lに、MOIの5'末端を介して、ホスホジエステル−アルキレンアミン基により結合する。

    【0606】 図9について言及する: (工程A) 化合物XII 1-36を、Van Nessら、Nucleic A
    cids Res. , 19, 3345 (1991)の改変したビオチン化手順に従って調製する。 200mMホウ酸ナトリウム(pH8.3、250mL
    )中に5'−アミノヘキシルオリゴヌクレオチド(化合物XI 1-36 、1mg)の1つを有する溶液に、テトラフルオロフェニルエステル(実施例Aからの化合物XII 1-36 、250mLのNMP中に100倍モル過剰)の1つを添加する。 反応物を、周囲温度で一晩インキュベートする。 未反応および加水分解したテトラフルオロフェニルエステルを、SephadexG−50クロマトグラフィーによって化合物XII 1-36から除去する。

    【0607】 (実施例12) 式R 1-36 −LYS(ε−INIP)−ANP−LYS(ε−(MCT−5'−A
    H−ODN))−NH 2を有する化合物のセットの調製 図10は、実施例11のアミン由来の36のT−L−X化合物(X=MOI、
    ここで、MOIは核酸フラグメントである、ODN)のセットの平行合成を例示する(同じ手順が、他のT−L−X化合物で用いられ得、Xはアミンである)。
    MOIを、T−Lに、MOIの5'末端を介して、ホスホジエステル−アルキレンアミン基により結合する。

    【0608】 図10について言及する: (工程A) 5'−[6−(4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2
    −イルアミノ)ヘキシル]オリゴヌクレオチドXII 1-36を、Van Ness
    ら、Nucleic Acids Res. , 19, 3345 (1991
    )に記載のように調製する。

    【0609】 (工程B) 100mMホウ酸ナトリウム(pH8.3)中の1mg/mlの濃度の5'−[6−(4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)ヘキシル]オリゴヌクレオチド(化合物XII 1-36 )の1つを有する溶液を、R 1-36 −Lys(e−iNIP)−ANP−Lys(e−NH 2 )−NH 2
    実施例11からの化合物X 1-36 )より選択される、100倍モル過剰の1級アミンに添加した。 溶液を室温で1晩混合する。 未反応のアミンを、洗浄溶液としてH 2 O(3×)を用いて、3000MWカットオフ膜(Amicon, Bev erly, MA)を通す限外濾過によって除去する。 化合物XIII 1-36を、
    100mLの容量に減少させることによって単離する。

    【0610】 (実施例13) 質量分析による複数のタグの同時検出の実証 本実施例は、質量分析による複数の化合物(タグ)を同時に検出する能力を記載する。 この特定の実施例において、31の化合物をマトリクスと混合し、沈積し、そして固体支持体上で乾燥させ、次いで、レーザーで脱離させる。 次いで、
    得られたイオンを、質量分析装置に導入した。

    【0611】 以下の化合物(Aldrich, Milwaukee, WIより購入した)を、等モルベースでともに混合し、0.002Mベース(化合物当たり)の最終濃度とする:ベンズアミド(121.14)、ニコチンアミド(122.13
    )、ピラジンアミド(123.12)、3−アミノ−4−ピラゾールカルボン酸(127.10)、2−チオフェンカルボキサミド(127.17)、4−アミノベンズアミド(135.15)、トルミド(135.17)、6−メチルニコチンアミド(136.15)、3−アミノニコチンアミド(137.14)、ニコチンアミドN−オキシド(138.12)、3−ヒドロピコリンアミド(13
    8.13)、4−フルオロベンズアミド(139.13)、桂皮酸アミド(14
    7.18)、4−メトキシベンズアミド(151.17)、2,6−ジフルオロベンズアミド(157.12)、4−アミノ−5−イミダゾール−カルボキシアミド(162.58)、3,4−ピリジン−ジカルボキシアミド(165.16
    )、4−エトキシベンズアミド(165.19)、2,3−ピラジンジカルボキサミド(166.14)、2−ニトロベンズアミド(166.14)、3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸(170.4)、インドール−3−アセトアミド(
    174.2)、5−アセチルサリチルアミド(179.18)、3,5−ジメトキシベンズアミド(181.19)、1−ナフタレンアセトアミド(185.2
    3)、8−クロロ−3,5−ジアミノ−2−ピラジンカルボキシアミド(187
    . 59)、4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(189.00)、5−アミノ−5−フェニル−4−ピラゾール−カルボキサミド(202.22)、1−メチル−2−ベンジル−マロナメート(207.33)、4−アミノ−2,3,5
    ,6−テトラフルオロベンズアミド(208.11)、2,3−ナフタレンジカルボン酸(212.22)。 化合物を、上記の濃度でDMSO中に入れる。 次いで、1μlの材料をα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸マトリクス(1:10,
    000希釈後)と混合し、そして固体ステンレス鋼支持体に沈積させる。

    【0612】 次いで、材料を、Protein TOF Mass Spectromet
    er(Bruker, Manning Park, MA)を用いて、レーザーによって脱離させ、得られるイオンを、操作の直線および反射モードの両方で測定する。 以下のm/z値を得る(図11): 121.1−−−−> ベンズアミド(121.14) 121.1−−−−> ニコチンアミド(122.13) 123.1−−−−> ピラジンアミド(123.12) 124.1 125.2 127.3−−−−> 3−アミノ−4−ピラゾールカルボン酸(127.10 ) 127.2−−−−> 2−チオフェンカルボキサミド(127.17) 135.1−−−−> 4−アミノベンズアミド(135.15) 135.1−−−−> トルミド(135.17) 136.2−−−−> 6−メチルニコチンアミド(136.15) 137.1−−−−> 3−アミノニコチンアミド(137.14) 138,2−−−−> ニコチンアミドN−オキシド(138.12) 138.2−−−−> 3−ヒドロピコリンアミド(138.13) 139.2−−−−> 4−フルオロベンズアミド(139.13) 140.2 147.3−−−−> 桂皮酸アミド(147.18) 148.2 149.2 4−メトキシベンズアミド(151.17) 152.2 2,6−ジフルオロベンズアミド(157.12) 158.3 4−アミノ−5−イミダゾール−カルボキシアミド(1 62.58) 163.3 165.2−−−−> 3,4−ピリジン−ジカルボキシアミド(165.16 ) 165.2−−−−> 4−エトキシベンズアミド(165.19) 166.2−−−−> 2,3−ピラジンジカルボキサアミド(166.14) 166.2−−−−> 2−ニトロベンズアミド(166.14) 3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸(170.4) 171.1 172.2 173.4 インドール−3−アセトアミド(174.2) 178.3 179.3−−−−> 5−アセチルサリチルアミド(179.18) 181.2−−−−> 3,5−ジメトキシベンズアミド(181.19) 182.2−−−−> 1−ネフタレンアセトアミド(185.23) 186.2 8−クロロ−3,5−ジアミノ−2−ピラジンカルボキ シアミド(187.59) 188.2 189.2−−−−> 4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(189.00 ) 190.2 191.2 192.3 5−アミノ−5−フェニル−4−ピラゾール−カルボキ サアミド(202.22) 203.2 203.4 1−メチル−2−ベンジル−マロナメート(malon amate)(207.33) 4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンズア ミド(208.11) 212.2−−−−> 2,3−ナフタレンジカルボン酸(212.22) 219.3 221.2 228.2 234.2 237.4 241.4 データは、31個の化合物の22個が予想される質量のスペクトルを示し、3
    1個の化合物の9個が予想される質量を超えるn+H質量(1原子質量単位、a
    mu)のスペクトルを示したことを示した。 後者の現象はおそらく、化合物内のアミンのプロトン化による。 従って、31個の化合物の31個が、MALDI Mass Spectroscopyによって検出される。 より重要なことに、
    実施例は、複数のタグが分光学的方法によって同時に検出され得ることを実証する。

    【0613】 α−シアノマトリクス単独(図11)は、146.2、164.1、172.
    1、173.1、189.1、190.1、191.1、192.1、212.
    1、224.1、228.0、234.3のピークを示す。 化合物をさらに精製しなかったので、スペクトルの他の同定された質量は、購入した化合物の夾雑物による。

    【0614】 (実施例14) ミクロサテライトマーカー:PCR増幅 ミクロサテライトマーカーを、以下の標準的PCR条件を用いて増幅する。 手短に言うと、PCR反応を、40ngのゲノムDNA、50pmolの各プライマー、0.125mMのdNTPおよび1ユニットのTaqポリメラーゼを含有する総容量50μlで行う。 1×増幅緩衝液は、10mM トリス塩基(pH9
    )、50mM KCl、1.5mM MgCl 2 、0.1% Triton X −100、および0.01% ゼラチンを含有する。 反応を「熱開始」手順(T
    aqポリメラーゼを96℃で5分間の第1変性工程の後のみで添加する)を用いて行う。 増幅を35サイクル行う:変性(94℃、40秒)およびアニーリング(55℃、30秒)。 伸長工程(72℃、2分間)により、最終アニーリング後に本プロセスは終了する。 得られる増幅生成物は短く(90〜350塩基対長)
    、55℃から94℃まで温度を上昇させる時間間隔(1℃/秒の増加率で得られる)は十分長いので、DNA伸長完了は、72℃での1工程なしで達成され得る。

    【0615】 (実施例15) DNAフラグメントの分離 (装置) DNAフラグメントの分離は、数個の標準的構成装置から組み立てられたHP
    LCシステムを使用して行われ得る。 これらの構成装置は、最低、2個の高圧ポンプ(高圧グラジエントミキサーを通して溶媒をポンプする)、インジェクター、HPLCカラム、および検出器を包含する。 このインジェクターは、典型的には80と100との間のサンプルを、このサンプル成分の安定性を維持するために、周囲温度またはそれ未満で、保存し得る、自動化されたプログラム可能なオートサンプラーである。 オートインジェクターはまた、完全に無人の再現性様式で、μLサイズ注入し得る。 このHPLCカラムは、定義された温度を±0.1
    ℃に維持し得るカラム加熱構成装置に含まれる。 以下の実施例で使用されるカラムを、SeraSep(San Jose,CA)から、製品名DNASepで購入した。 このカラムは、2.2μm非孔質のC18アルキル化ポリスチレンジビニルベンゼンコポリマー粒子を有する55×4.6mmカラムである。 充填物質は、2〜12のpH範囲内で安定であり、70℃程度の温度に耐える。 分析物の検出を、単一または複数波長のUV検出器またはダイオードアレイ検出器を使用して行った。

    【0616】 (方法) DNAフラグメント分離についての本実施例に適用される方法は、イオン対クロマトグラフィー(溶液中のイオンが対にされるかまたは中和され得、逆相カラムにおいてイオン対として分離され得るクロマトグラフィーの一方式)を使用する。 対イオンの親油性性質および濃度は、分析物の保持の程度を決定する。 DN
    A分子の場合、親油性カチオン性緩衝液成分が、DNA骨格のアニオン性リン酸基と対になる。 これらの緩衝液成分はまた、固定相のアルキル基と相互作用する。 次いで、対になったDNAは、移動相がアセトニトリル濃度を増加させることによって次第に有機性にされるに伴って、サイズに従い溶出する。 様々なアミン塩の適合性の評価を、プラスミドまたは市販のDNAラダーの酵素消化を使用して評価した。 これらのDNAを溶出するのに必要なアセトニトリルの範囲およびこれらのカラム構成要素の温度は、評価される各緩衝液とともに変化した。

    【0617】 (緩衝液) これらのイオン対性能について評価した緩衝液を、ストック溶液から調製した。 イオン対試薬の濃度をこのグラジエントにわたって同一に維持するために、このイオン対試薬を、水移動相およびアセトニトリル移動相の両方に添加した。 このカラムを、任意の分離を試みる前に、50μl/分の流速で、およそ18時間、新しい移動相で平衡化した。 一旦移動相を評価したら、それを取り除き、そしてこのカラムを、50%アセトニトリル中0.1%ギ酸(800mL)を流し、
    次いで、新しい移動相を用いて平衡化する前に、50%アセトニトリル中0.1
    %酢酸(800mL)を流して、洗浄した。

    【0618】 A. (トリフルオロ酢酸nn−ジメチルオクチルアンモニウム) 1Mトリフルオロ酢酸ジメチルオクチルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で、1.5当量のトリフルオロ酢酸を混合し、そしてゆっくりと1
    当量のnn−ジメチルオクチルアミンを添加することによって調製した。 このストック溶液のpHは7である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、作業濃度まで希釈した。

    【0619】 B. (酢酸nn−ジメチルヘプチルアンモニウム) 1M酢酸ジメチルヘプチルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量のnn−ジメチルヘプチルアミンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のpHは、6.6
    である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、
    作業濃度まで希釈した。

    【0620】 C. (酢酸nn−ジメチルヘキシルアンモニウム) 1M酢酸ジメチルヘキシルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量のnn−ジメチルヘキシルアミンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のpHは、6.5
    である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、
    作業濃度まで希釈した。

    【0621】 D. (酢酸nn−ジメチルブチルアンモニウム) 1M酢酸ジメチルブチルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量のnn−ジメチルブチルアミンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のpHは、6.9である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、作業濃度まで希釈した。

    【0622】 E. (酢酸nn−ジメチルイソプロピルアンモニウム) 1M酢酸ジメチルイソプロピルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量のnn−ジメチルイソプロピルアミンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のpHは、6.9である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、作業濃度まで希釈した。

    【0623】 F. (酢酸nn−ジメチルシクロヘキシルアンモニウム) 1M酢酸ジメチルシクロヘキシルアンモニウムのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量のnn−ジメチルシクロヘキシルアミンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のp
    Hは、6.5である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、作業濃度まで希釈した。

    【0624】 G. (酢酸メチルピペリジン) 1M酢酸メチルピペリジンのストック溶液を、適切な容量の水中で、1当量の氷酢酸を混合し、ゆっくりと1当量の1−メチルピペリジンを添加することによって調製した。 この溶液のpHは7である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリルを用いて、作業濃度まで希釈した。

    【0625】 H. (酢酸メチルピロリジン) 1M酢酸ピペリジンのストック溶液を、適切な容量の水中で1当量の氷酢酸を混合し、そしてゆっくりと1当量の1−メチルピロリジンを添加することによって、調製した。 このストック溶液のpHは、7である。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリル中で、作業濃度まで希釈した。

    【0626】 I. (酢酸トリエチルアンモニウム) 2M酢酸トリエチルアンモニウムのストック溶液(pH7.0)を、Glen
    n Research Sterling,Virginiaから購入した。 このストック溶液を、適切な容量の水またはアセトニトリル中で、作業濃度まで希釈した。

    【0627】 (実施例16) DNAフィンガープリント DNAフィンガープリントアダプターを、以下:コア配列および酵素特異的配列、を含ませて調製する。 これらのEcoR1アダプターの構造は、5'−CT
    CGTAGACTGCGTACC(配列番号 )であり、これらのMseIアダプターの構造は、5''−GACGATGAGTCCTGAGである。

    【0628】 希少切断酵素についてのアダプターは、付着末端を使用した以外は、このEc
    oRIと同一であった。 ALPHプライマーは以下の3つの部分からなる:コア配列、酵素特異的配列、および選択的伸長配列。 これらのEcoRIおよびMs
    eIプライマーは、以下のように記載される:EcoRI:5'−gactgc
    gtaaa−aattc−NNN(配列番号 );MseI:5'−gatga
    gtcctgag−taa−NNN(配列番号 )。

    【0629】 ゲノムDNAを、10mM トリス−酢酸(pH7.5)、10mM MgA
    ce、50mM 酢酸K、5mM DTT、50ng/μl BSA、5mM DTTを含む40μl容量中、5ユニットのEcoRIおよび5ユニットのMs
    eIと共に、37℃で1時間、インキュベートした。 次いで、10mM トリス−酢酸(pH7.5)、10mM MgAce、50mM 酢酸K、5mM D
    TT、50ng/μl BSA中、5pMol EcoRIアダプター、50p
    Mol MseIアダプター、1ユニットのT4リガーゼ、1mM ATPを含有する10μlの溶液を添加し、このインキュベーションを37℃で3時間継続した。 アダプターを、等モル量の両鎖を添加することによって調製した:アダプターはリン酸化されていなかった。 連結反応後、この反応混合物を、10mM トリスHCl、0.1mM EDTA(pH8.0)を用いて500μlまで希釈し、そして−20℃で保存した。

    【0630】 遺伝子フィンガープリント反応:増幅反応を、酵素の組合せEcoRI/Ms
    eIについてのDNA鋳型を用いて記載する。 他の酵素の組合せを用いたゲノムフィンガープリントは、適切なプライマーを用いて行った。 この増幅反応は、一般的に、2つのオリゴヌクレオチド(1つはEcoRI末端(pends)に対応し、1つはMseI末端に対応する)を用いた。 2つのプライマーのうちの1
    つを、CMSTタグ、好ましくはEcoRIプライマーを用いて標識した。 これらのPCRを、5ngの標識化EcoRIプライマー、30ngのMseIプライマー、5μlの鋳型DNA、0.4ユニットのTaqポリメラーゼ、10mM
    のトリス−HCl(pH8.3)、1.5mMのMgCl 2 、50mMのKCl 、0.2mMのdATP、dGTP、dCTP、dTTPを用いて行った。 これらのPCR反応は、増幅に使用したDNAフィンガープリンティングプライマーの選択的増幅伸長の性質に依存して異なった。 2または3の選択的ヌクレオチドを有するプライマーを用いたDNAフィンガープリンティング反応を、以下のサイクルプロフィールで36サイクル行った:94℃で30秒のDNA変性工程、
    55℃で30秒のアニーリング工程、次いで72℃で1分間の伸長工程。 その第1工程におけるアニーリング温度は65℃で、この次の12サイクルの間、各サイクル工程について0.7℃ずつ引き続いて減少させ、その残りの23サイクルの間は56℃で継続した。 全ての増幅を、MJサーモサイクラー(Watert
    own MA)において行った。

    【0631】 これらの複雑なゲノム(例えば、ヒト)のDNAフィンガープリンティングは、2つの増幅工程を包含する。 これらのプレ増幅を、30ngの両方のDNAフィンガープリンティングプライマーを使用し、これらのプライマーをCMSTで標識しなかったこと以外は、上記のような単一選択的ヌクレオチドを有する2つのDNAフィンガープリンティングを用いて行い、このプレ増幅工程後、これらの反応混合物を、10mM トリス−HCl、0.1mM EDTA(pH8.
    0)を用いて10倍に希釈し、その第2増幅反応の鋳型として使用した。 その第2増幅反応を、それらのより長い選択的伸長を有するプライマーを用いたDNA
    フィンガープリント反応について、上記したように行った。

    【0632】 これらの増幅反応からの産物を、HPLCにより分析した。 HPLCを、自動HPLC装置(Rainin,Emeryville,CA.またはHewle
    tt Packard,Palo Alto,CA)を使用して行った。 HPL
    Cへの注入前に95で3分間変性させた未精製DNAフィンガープリント産物を、流速0.9ml/分で、1.8%/分の線形アセトニトリル(ACN,J.T
    . Baker,NJ)勾配を用いて、溶出した。 その開始点および終点を、その増幅産物のサイズに従って調節した。 このDNAフィンガープリント技術の間に産生される分子の首尾良い分離に必要な温度は、50℃であった。 次いで、このHPLCからの溶出物を、タグ検出のために、質量分析計(Hewlett P
    ackard,Palo Alto,CA)に直接入れた。

    【0633】 以下のフラグメントが、示した順序で溶出した(位置した数は、切断部位が発生したλゲノム内の位置である):

    【0634】

    【表5】

    【0635】 この平均フラグメント長は、約160ntであった。 切断の観察された部位は、
    MSEI/RcoRI消化マップから予測されたものと広範に(>95%)適合性であった。

    【0636】 (実施例17) 単一ヌクレオチド伸長アッセイ RNA調製:単離された総RNAを、Promega(WI)のRNA単離キットを使用して、Jurkat細胞(対数増殖の1×10 9細胞で始める)から 調製した。 RNAを2つのアリコートで保存した:1)ジエチルピロカーボネート処理ddH2O中のストックアリコートは−20℃で保存した、および2)1
    00%H2O中の懸濁液としての長期保存。

    【0637】 逆転写:総RNAのポリ(dT)で開始した逆転写を、この反応(単数または複数)を1μgの投入総RNAを使用してスケールした以外は、Ausubel
    ら(Ausubelら、Current Protocols in Mole
    cular Biology,1991,Greene Publishing Associates/Wiley−Interscience,NY,NY
    . )に記載されるように行った。 20〜50ユニットの逆転写酵素(Prome
    ga)を、10%グリセロール、10mM KPO4(pH7.4)、0.2% Triton X−100、および2mM DTT中に10倍希釈し、その反応系への添加前に30分間氷上に置いた。 GADPHおよび下記するような他のコントロール遺伝子についての遺伝子特異的逆転写を、20μlの反応系中の、
    10mM トリス−HCl(pH8.3)、50mM KCl、M MgCL2
    、1mM dNTP、2U/μl RNAsin(Gibco−BRL)、0.
    1μMオリゴマー、および0.125U/μlのM−MLV逆転写酵素(Gib
    co−BRL)において逆転写した1μgの総JurkatRNAを使用して行った。 反応系を42℃で15分間インキュベートし、95℃で5分間熱インキュベートし、そして、PCR増幅についての調製物中、(10mM トリスHCl
    (pH8.3)、1mM NH4Cl、1.5M MgCl2、100mM K
    Cl)、0.125mM NTP、10ng/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドプライマー、および0.75ユニットのTAQポリメラーゼ(Gibco−
    BRL)のマスター混合物を用いて、100μlまで希釈した。

    【0638】 PCR:各遺伝子についてのPCRを、公知のイントロン/エキソン境界(b
    oundry)にわたる遺伝子特異的プライマーを用いて行った(以下を参照のこと)。 全てのPCRは、10mM トリスHCl(pH8.3)、1mM N
    H4Cl、1.5M MgCl2、100mM KCl)、0.125mM N
    TP、10ng/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドプライマー、および0.
    75ユニットのTAQポリメラーゼ(Gibco−BRL)を含有する20μl
    容量中で行った。 サイクリングパラメーターは、5分間94℃のプレ加熱工程、
    続いて1分間94℃の変性工程、2分間55℃のアニーリング工程、および30
    秒〜1分間の72℃の伸長工程、ならびに72℃10分間の最終伸長であった。
    増幅は一般的に、全部で30〜45であった。

    【0639】 鋳型の精製:PCR産物を、ZhenおよびSwank(ZhenおよびSw
    ank、BioTechniques,14(6):894−898,1993
    )により記載されるようにゲル精製した。 PCR産物を、0.04M トリス酢酸、0.001M EDTA(1×TEA)緩衝液で泳動する1%アガロースゲルで分離し、UV光源で可視化しつつ臭化エチジウムで染色した。 溝を、目的のバンドのちょうど前でカットし、1×TEA緩衝液中10%PEGの50〜20
    0μlで満たした。 電気泳動をバンドが完全にこの溝に入るまで継続した。 次いで、この内容物を取り除き、フェノールで抽出し、クロロホルム抽出し、次いで0.1容量の7.5M酢酸アンモニウムおよび2.5容量の100%EtOHで沈殿させた。 サンプルを75%EtOHで洗浄し、周囲温度で少しの間乾燥した。 収量の定量は、臭化エチジウムで染色した1×TBE緩衝液中の1%アガロースゲル上の小アリコートの電気泳動および公知の標準物との比較により行った。

    【0640】 各SNuPE反応を、約100ngの増幅したDNAフラグメント、1μMのSNuPEプライマー、2ユニットのTagポリメラーゼ、および1μlの適切なdNTPを含む50μl容量中で行った。 全てのdNTPは、このタイプのアッセイでは標識されない。 使用した緩衝液は、50mM KCl、5mM Mg
    Cl2および0.001%(wt/vol)ゼラチンを含む、10mM トリス−HCl(pH8.3)であった。 これらのサンプルを、95℃で2分の変性期間、60℃で2分のアニーリング期間、および72℃で2分間のプライマー伸長からなる1サイクルに供した。 各ファミリーについてのSNUPEプライマーの配列を、以下に記載する。

    【0641】 プライマー伸長:単一ヌクレオチドプライマー伸長を、1mM Mg++、0
    . 1μMプライマー、および0.05μMの各dNTPタイプを各反応タイプにおいて使用した以外は、Singer−Samら(Singer−Samら、P
    CR Methods and Applications 1:160−16
    3,1992)に記載されるように行った。 上記の各プライマー伸長後、5分の1容量の充填染料(80%ホルムアミド、0.1%ブロモフェノールブルー、0
    . 1%キシレンシアノール、2mM EDTA)を添加し、そのサンプル全体を15%変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。 ゲルを、10%グリセロール、10%メタノール、10%氷酢酸中で、一定振盪しながら固定し、続いて洗浄工程を10%グリセロールを用いて行った。 次いで、これらのゲルを55℃で3〜5時間乾燥した。

    【0642】 この実験において記載したプライマーは、Rychlik(Rychlik、
    BioTechniques 18:84−90,1995)により記載される。 プライマーは合成され得るか、またはMidland Certified Reagent Company(Midland Texas)からゲル濾過等級プライマーとして入手され得る。 これらの増幅は、TAQ DNAポリメラーゼベース(10mM トリス−HCl(pH8.3)、1.5mM MgCl
    2、50mM KCl)またはPfu DNAポリメラーゼベース(20mM トリス−HCl(ph8.3),2.0mM MgCl2、10mM KCl、
    10mM (NH4)2SO4、0.1% Triton X−100、0.1
    mg/mlウシ血清アルブミン)のいずれかである。 これらの反応中の総ヌクレオチド三リン酸(NTP)濃度は0.8mMであり、そのプライマー濃度は20
    0nMであり(特に明記しない限り)、その鋳型量は、20μl反応当たり0.
    25ngのバクテリオファージλDNAである。 サイクリングパラメーターは、
    5分間94℃のプレ加熱工程、続いて、1分間94℃の変性工程、2分間55℃
    のアニーリング工程、および30秒〜1分間の72℃の伸長工程、ならびに10
    分間72℃の最終伸長であった。 増幅は一般的に、全部で30〜45であった。

    【0643】 このバクテリオファージλゲノム(GenBank Accession #
    J02459)の2つの領域を、増幅のためのプライム部位として選択した。 この5'−プライマーは安定なGCリッチ3'末端を有し、この3'プライマーは381bp産物が生じるように選択される。 この5'順方向プライマーはH17
    :5'−GAACGAAAACCCCCCGC(配列番号 )である。 この3'
    −逆方向プライマーはRP17:5'−GATCGCCCCCAAAACACA
    TA(配列番号 )である。

    【0644】 次いで、増幅産物を、31245位における多型の存在について試験した。 以下のプライマーを4つの単一ヌクレオチド伸長アッセイで使用した;SNE17
    :5'−GAACGAAAACCCCCCGC(配列番号 )。 次いで、この4
    つの単一ヌクレオチド伸長アッセイを上記のように行った。 次いで、この反応系の全てをプールし、このプールした物質の5μlをさらに精製することなくHP
    LCカラム(SeraSep,San Jose,CA)に注入した。

    【0645】 HPLCを自動HPLC装置(Rainin,Emeryville,CA.
    またはHewlett Packard,Palo Alto,CA)を使用して行った。 HPLCへの注入前に95で3分間変性した未精製SNEA産物を、
    0.9ml/分の流速で、1.8%/分の線形アセトニトリル(ACN,J.T
    . Baker,NJ)グラジエントで溶出した。 この開始点および終点をSNE
    A産物のサイズに従って調節した。 このSNEA分子の首尾良い分離に必要な温度は、50℃であった。 次いで、このHPLCからの溶出物を、タグ検出のために、質量分析計(Hewlett Packard,Palo Alto,CA
    )に直接入れた。 この結果を表2に記載する。

    【0646】

    【表6】

    【0647】 それ故この結果は、その質量分析計タグ(CMST)タグが、SNE17プライマーが1塩基(ddCTP)によって伸長され、従ってこの多型が31245
    位でありこの場合「G」あったことを示す、4.6分の保持時間で検出されたことを示す。 SNE17−487、SNE17−496、およびSNE17−55
    5タグ化プライマーは伸長されず、これらのこのHPLCにおける保持時間はそれぞれ2.5分であった。

    【0648】 (実施例18) 本実施例(18)では、全ての反応をホイルでカバーしたフラスコ中で行った。 本実施例で記載される反応の順序A→Fを、図19Aおよび19Bに示す。 本実施例において記載される化合物番号は、図19Aおよび19Bにおける同一番号の化合物を示す。

    【0649】 A. ANPリンカー(化合物1、11.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(22.4mmol)のCHCl 3 (60ml)溶液に、アリルブロ ミド(22.4mmol)を添加した。 この反応混合物を3時間還流し、室温で18時間攪拌し、CHCl 3 (200ml)で希釈し、1.0M HCl(2× 150ml)およびH 2 O(2×150ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾 燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートして化合物2を黄色固体として得た。

    【0650】 CH 2 Cl 2 (70ml)中の化合物2の混合物に、トリス(2−アミノエチル)アミン(50ml)を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。 この反応系をCH 2 Cl 2 (150ml)で希釈し、pH6.0のリン酸緩衝液(2
    ×150ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒をエ バポレートした。 この残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc
    )に供し、1.63g(58%)の化合物3を得た:

    【0651】

    【表7】

    【0652】 B. Boc−5−アミノペンタン酸(1.09mmol)およびNMM(3.
    27mmol)の乾燥DMF(6ml)溶液に、HATU(1.14mmol)
    を添加し、この反応混合物を室温で0.5時間攪拌した。 化合物3(1.20m
    mol)の乾燥DMF(1ml)溶液を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。 この反応系をEtOAc(50ml)で希釈し、1.0M HCl
    (2×50ml)およびD. I. H 2 O(2×50ml)で洗浄した。 この有機 抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、エバポレートして乾燥した。 この残渣をカラム クロマトグラフィーに供し、420mg(91%)の化合物4を得た:

    【0653】

    【表8】

    【0654】 C. 化合物4(0.9mmol)のHCl・1,4−ジオキサン(20mmo
    l)溶液を室温で2時間攪拌した。 この反応混合物を濃縮し、MeOHおよびトルエンに溶解し、再び濃縮し(5×5ml)、398mg(定量的)の化合物5
    を得た:

    【0655】

    【表9】

    【0656】 D. 化合物21(0.48mmol、実施例20に従って調製した)およびN
    MM(1.44mmol)の乾燥DMF(3ml)溶液に、HATU(0.50
    mmol)を添加し、この反応混合物を室温で0.5時間攪拌した。 化合物5(
    0.51mmol)の乾燥DMF(3ml)溶液を添加し、この反応系を室温で18時間攪拌した。 この反応混合物をEtOAc(75ml)で希釈し、5%N
    2 CO 3 (3×50ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し 、溶媒をエバポレートして281mg(78%)の化合物6を得た:

    【0657】

    【表10】

    【0658】 E. THF(4ml)中化合物6(0.36mmol)の混合物に、1M N
    aOH(1mmol)を添加し、この反応系を室温で2時間攪拌した。 この反応混合物を1.0M HCl(1ml)を用いてpH7.0まで酸性化し、溶媒をエバポレートして化合物7(定量的)を得た:

    【0659】

    【表11】

    【0660】 F. 化合物7(0.04mmol)およびNMM(0.12mmol)の乾燥DMF(0.4ml)溶液に、HATU(0.044mmol)を添加し、この反応系を室温で0.5時間攪拌した。 アリルアミン(0.12mmol)を添加し、この反応混合物を室温で5時間攪拌した。 この反応混合物をEtOAc(1
    5ml)で希釈し、5%Na 2 CO 3 (3×10ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートして15mg(49%)の化合 物8を得た:

    【0661】

    【表12】

    【0662】 (実施例19) 本実施例19で記載される反応の順序A→Gを、図20Aおよび20Bに示す。 本実施例で記載する化合物番号は、図20Aおよび20Bにおける同一番号の化合物を示す。

    【0663】 A. Fmoc−Lys(Boc)−OH(化合物9、33.8mmol)のC
    HCl 3 (200ml)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(67.5mmo l)およびアリルブロミド(67.5mmol)を添加した。 この反応混合物を6時間還流し、室温で16時間攪拌し、CHCl 3で希釈し、1.0M HCl (2×150ml)、飽和NaHCO 3 (1×150ml)およびD. I. H 2
    (2×150ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒 をエバポレートして化合物10を得た。

    【0664】 化合物10のCHCl 3 (90ml)溶液に、ピロリジン(10当量)を添加 し、この反応系を室温で2.5時間攪拌した。 この反応混合物をCHCl 3 (1 50ml)で希釈し、飽和NaHCO 3 (3×250ml)で洗浄した。 この有 機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートした。 この残渣をカラム クロマトグラフィー(EtOAc/MeOH)に供し、6.52g(67%)の化合物11を得た:

    【0665】

    【表13】

    【0666】 B. N−メチルイソニペコ酸(1.60mmol)およびN−メチルモルホリン(4.80mmol)の乾燥DMF(5ml)溶液に、HATU(1.67m
    mol)を添加した。 0.5時間後、化合物11(1.75mmol)の乾燥D
    MF(2ml)溶液を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。 この反応混合物をCH 2 CL 2 (60ml)で希釈し、飽和Na 2 CO 3 (3×40ml
    )で洗浄した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートし た。 この残渣をカラムクロマトグラフィー(CH 2 Cl 2 /MeOH/トリエチルアミン)に供し、580mg(88%)の化合物12を得た:

    【0667】

    【表14】

    【0668】 C. HCl・1,4−ジオキサン(20mmol)中化合物12(1.39m
    mol)の混合物を室温で4時間攪拌した。 この反応混合物を濃縮し、MeOH
    で溶解し、トルエンを用いて同時エバポレートし(5×5ml)、527mg(
    定量的)の化合物13を得た:

    【0669】

    【表15】

    【0670】 D. 4−エトキシ安息香酸(1当量)の乾燥DMF溶液に、NMM(3当量)
    およびHATU(1.05当量)を添加する。 0.5時間後、化合物13の乾燥DMF溶液を添加する。 この反応が完了し基礎的後処理をした後、化合物14を単離し、精製する。

    【0671】 E. 化合物14のTHF溶液に、1N NaOHを添加し、この反応混合物を室温で攪拌する。 この反応が完了し酸性化した後、化合物15を単離する。

    【0672】 F. 化合物15(1当量)の乾燥DMF溶液に、NMM(3当量)およびHA
    TU(1.05当量)を添加する。 0.5時間後、化合物21(ANP−アリルエステル、実施例20に従って調製した)の乾燥DMF溶液を添加する。 この反応が完了し基礎的後処理をした後、表題化合物16を単離し、精製する。

    【0673】 G. 化合物16のTHF溶液に、1N NaOHを添加し、この反応混合物を室温で攪拌する。 この反応が完了し酸性化した後、化合物17を単離する。

    【0674】 (実施例20) 本実施例20において記載される反応AからDの順序を、図21に例示する。
    本実施例ならびに実施例18および19において記載される化合物番号は、図2
    1における同一番号の化合物を示す。

    【0675】 A. 4−エトキシ安息香酸(7.82mmol)およびN−メチルモルホリン(20.4mmol)のCH 2 Cl 2 (10ml)溶液に、HATU(7.14m
    mol)を添加した。 0.25時間後、化合物11(6.8mmol)のCH 2 Cl 2 (6ml)溶液を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。 こ の反応系をCH 2 Cl 2 (150ml)で希釈し、1.0M HCl(3×50m
    l)および飽和NaHCO 3 (3×50ml)で洗浄した。 この有機抽出物を乾 燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートした。 この残渣をカラムクロマトグラ フィー(CH 2 Cl 2 /MeOH)に供して2.42g(82%)の化合物18を得た:

    【0676】

    【表16】

    【0677】 B. HCl・1,4−ジオキサン(14.3mmol)中化合物18(5.5
    mmol)の混合物を、室温で1時間攪拌した。 この反応混合物を濃縮し、Me
    OHに溶解し、トルエンで共沸し、再び濃縮し(5×5ml)、定量的収量の化合物19を得た。

    【0678】 C. N−メチルイソニペコ酸(6.21mmol)の乾燥DMF(15mL)
    溶液に、NMM(21.6mmol)およびHATU(5.67mmol)を添加した。 0.5時間後、化合物19(5.4mmol)の乾燥DMF(10ml
    )溶液を添加し、この反応系を室温で18時間攪拌した。 この反応混合物を1N NaOH(20ml)を用いてpH12にし、CHCl 3で抽出(2×200 ml)した。 この有機抽出物を乾燥(MgSO 4 )し、溶媒をエバポレートして 2.2g(89%)の化合物20を得た:

    【0679】

    【表17】

    【0680】 D. 化合物20(4.4mmol)のTHF(10ml)溶液に、1N Na
    OH(4.4mmol)を添加し、この反応混合物を室温で1時間攪拌した。 この反応系を濃縮し、THF/トルエン(2×5ml)に溶解し、濃縮し、CH 2 Cl 2 /トルエン(1×5ml)に溶解し、再び濃縮して、定量的収量の化合物 21を得た:

    【0681】

    【表18】

    【0682】 (実施例21) CMST(切断可能な質量分析検出可能タグ)の合成は、図22に記載されるコンビナトリアルアプローチに基づき得る。 この一般的アプローチは、質量分析計の開発ならびにイオン化技術の変更および改良と適合性があるように設計される。 中心骨格をまず、本方法において用いられるであろうイオン化タイプとの適合性について試験する。 この骨格は、付加体形成のための、断片化、熱変性、または二量体化に感受性(succeptable)でないことが重要である。 現在のAPCI/四極質量分析計を用いて、約400タグが、約4AMUの最小スペーシングを強要する同位体混入を考慮して、このスペクトルを補充する。

    【0683】 これらのCMSTは、タグがコンビナトリアルケミストリーアプローチを用いて作製され得るようなモジュラー様式で設計した。 5つの「モジュール」(機能的に別の原子群)が、完全にタグ化されたオリゴヌクレオチドには存在する。 第1のモジュールはオリゴヌクレオチド(ODN)であり、これは、任意の長さおよび配列であり得、リンカー(これは好ましくは光切断可能リンカーである)に結合するための5'−ヘキシルアミンを有する。 このODNは、ハイブリダイゼーションのためのプローブ、または伸長、連結、もしくは酵素ベースのアッセイにおけるプライマーのいずれかとして働き得る。 第2のモジュールは、リンカー(好ましくは、光不安定性リンカー)であり、これはタグをこのオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーに結合する。 ここで詳細に記載されるアプローチでは、この光不安定性リンカーは、o−ニトロベンジルアミノ酸誘導体(要約については、インターネットアドレスhttp://www.5z.comを有する、Lebl M.ら「Dynamic database of refe
    rences in molecular diversity」を参照のこと)。 第3のモジュールは、イオン化エンハンサーである。 このモジュールは、C
    MSTが合成される骨格であり、一般には、使用されるイオン化方法のタイプ(
    すなわち、APCI(ポジティブまたはネガティブモード)、エレクトロスプレー、MALDIなど)に特異的である官能基(functionally)を提供する。 第4のモジュールは、質量が200〜500amuの大きな増加で変化し得る総重量調節物である。 このモジュールは、可変性重量調節物の再使用を可能にする。 第5のモジュールは、可変性重量調節物であり、これはまた可変性質量ユニット(VMU)と呼ばれる。 可変性重量調節物は、タグ骨格に付加される化学的サイドアームである。 これらの可変性重量調節物は、CMSTの重量を細かく調整する。 これらのタグの重量は、同位体混入によるスペクトルの重なりを避けるために、少なくとも4amu毎の間隔を空けられる。 同様のVMUサイドアームが、異なるタイプのイオン化骨格とともに、繰り返し使用され得る。 要約すれば、このイオン化モジュールおよび可変性質量調節物は、MSDに予測可能な性質を与えるように設計され、光不安定性リンカーの光切断は速く(下記される)、CMST/オリゴヌクレオチド結合体は、PCRおよびHPLCならびにアッセイ形式において見出される他の操作と適合性である。

    【0684】 上記タグの詳細な合成経路は、以下および図22において記載される。 CMS
    Tへの合成経路は、光感受性ANPリンカー(3−アミノ−3−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸)(1)のエステル化で始まり、これは、エチルエステルヒドロクロリド(2)を収率84%で生じる。 このプロセスにおいて重要な工程は、(2)の酵素的変換であり、これは、単一の異性体としてのエチルエステルを提供する。 このエチルエステルヒドロクロリドを塩基性化して遊離アミンにし、濃縮した後、そのオイル状残渣をpH7のリン酸緩衝液に入れ、2N HCl
    で中性pHに調節した。 アミノPSエステラーゼ酵素を、リン酸緩衝液スラリーとして添加した。 この反応が完了した後、基本的な後処理によりその加水分解されたANP副生成物(4)を除去し、その単一異性体エチルエステル(3、>9
    9%(誤差は別として))を回収した(利用可能な物質の92%)。

    【0685】 EDACおよびHOBTを用いた(3)とa−BOC−e−alloc−リジン(5)とのカップリングにより、保護されたANPリジン(6)を91%の収率で得た。 BOCのTFAでの除去により、アミノ−e−alloc−リジンA
    NPエステル(7)を白色固体として得た。 メチルイソニペコ酸ヒドロクロリドを、EDACおよびトリエチルアミンを用いて7にカップリングして、粗all
    oc保護された核構造(8)を得、これをジエチルアミン、トリフェニルホスフィン、および酢酸パラジウムを用いて50℃で脱保護した。 得られた核構造(9
    )を反応混合物から再結晶して、濾過により収率95%で黄色固体として回収した。

    【0686】 様々なカルボン酸(可変性質量ユニット(VMU)と名付けた)を、HATU
    およびN−メチルモルホリンを用いて、(9)にカップリングした。 VMUの1
    セットを、同位体混入を避けるために、同質量タグおよび4a. m. u. スペースを提供するように設計した。 以下を、標的質量で特定のVMUを選択することにおいて、排除基準として使用した:1)その合成の順序に適合しない官能基(
    例えば、エステル);2)複数の同位体を有する元素(例えば、Cl、Br、S
    );3)光処理の比較(compeing)を生じ得る官能基(ヨウ化物、アシルフェノンおよびアリールフェノン);4)ラセミ酸;ならびに5)売り手からの入手可能性。

    【0687】 カラムクロマトグラフィーにより精製した後、CMSTエチルエステル(10
    )を不定の収率で回収した。 (10)のNaOHを用いた塩基性加水分解により、定量的収率でCMST酸(11)を得た。 最終工程である活性化エステルの形成を、トリフルオロ酢酸テトラフルオロフェノールおよびHunnich塩基を用いて達成し、不定の収量でCMST TFPエステル(12)を得た。

    【0688】 3'ヒドロキシルはポリメラーゼ連鎖反応において伸長し得るかまたはほかの酵素的改変に利用可能であるので、オリゴヌクレオチドの5'末端に上記タグを(一般に)結合することが、都合がよい。 また、本明細書中で記載されるようなプローブとして直接使用される場合、このタグは、好ましくは、これらのオリゴヌクレオチドプローブの5'末端に結合される。 Lukhtanovら,「Ol
    igodeoxyribonucleotides with conjuga
    ted dihydropyrroloindole oligopeptid
    es:preparation and hybridization pro
    perties」,Bioconjug Chem 6(4):418−26,
    1995年7月〜8月により記載されるガイドラインに従って、CMSTおよびオリゴヌクレオチドからタグ化オリゴヌクレオチドを調製し得る。

    【0689】 (実施例22) PHRED光切断ユニットを、HPLCと質量分析計との間、またはオートインジェクターとMSDとの間に配置する。 「PHRED」は、強化された検出のための光化学リアクターを意味し、Aura Industries,Stat
    en Island,NYから入手可能である(254nmおよび366nmバルブの両方で利用可能であり、この254nmバルブを使用した)。 インラインデバイスを、好ましくは、分離装置(例えば、HPLCまたはゲル)と検出器との間に配置する。 インターフェースは、好ましくは、以下の特性を有する:慎重な時間間隔でDNAフラグメントを回収する能力、DNAフラグメントを濃縮する能力、DNAフラグメントを電気泳動緩衝液および環境から取り出す能力、D
    NAフラグメントからMW同定物を切断する能力、DNAフラグメントからMW
    同定物を分離する能力、DNAフラグメントを配列する能力、タグを揮発性溶液中に配置する能力、タグを揮発しそしてイオン化する(タグを質量分析計に導入する)能力。

    【0690】 光切断デバイスの適切な構成は、300cm長、8W、UV殺菌ランプ(G8
    T50)(366nM付近の発光を有する)であり、この条件下に、0.01インチIDのテフゼル(tefzel)チューブの80lコイルを配置する。 80
    0−l/分の流速が一般的に適切である。 APCI/MSと適合性があり、低濃度のアセトニトリルおよび緩衝液(例えば、トリス−HCl)を含む、溶液組成物が好ましい。 この構成の場合、イオン化工程の前に、タグからDNAを分離する必要はない。 光不安定性リンカーは、これらの条件下で、非常に迅速に切断する。 APCIチャンバにおける熱源は、この光不安定性リンカーの切断に寄与する。

    【0691】 UV源下の上記テフゼルチューブコイルの長さを変化させること、および流速を一定に維持することによって、UV源下の滞在時間は、0.75秒から6秒まで変化した。 タグの応答因子(「フローインジェクション分析」(FIA)における流れに注入されたタグ1モル当たり生成された累積イオン電流)を、単一オリゴヌクレオチド配列(20マー、配列決定プライマーに向かってM13)に全てつながれた6タグのプールについて決定した。 この応答因子は、イオン化、真空チャンバへのイオンの導入、次いで引き続くMSDによる検出の効率の積算である。 プールされた各タグを、1μl当たり100fmolの濃度で表した。 希釈液は、HPLC等級の水中の1μg/mlの濃度のtRNA(Boehrin
    ger Mannheim)であった。 表3では、この応答因子および最も長い曝露(6秒)に対して観察されたシグナルの割合を、1タグ基準当たりで示す。
    この結果は、タグが、つながれたオリゴヌクレオチドから、迅速に切断される(
    2秒未満)ことを示す。 1.9〜6秒の時間枠では、6つの別々にタグ化されたODNを有する観察された応答因子においてほとんど減少は無かった。 試験した最も短い曝露時間(0.75秒)では、観察された応答因子において25%までの減少があった。

    【0692】

    【表19】

    【0693】 光切断ユニットにおけるランプの場合、6つのタグの応答因子においておよそ40%の減少があった(データ示さず)。 光不安定性リンカーは熱不安定性であり、タグは明らかに、揮発化温度が450℃であるAPCイオン化工程間に切断される。

    【0694】 (実施例23) 集団的なタグの性質および相対安定性 タグを、娘イオンに断片化または付加体を形成しない単一親イオンを提供するように設計した。 このタグの応答を、単一オリゴヌクレオチド配列(20、M1
    3配列)に全てつながれた43タグのプールについて決定した。 このプール中の各タグは、1μl当たり100fmolの濃度で存在した(この濃度を、希釈因子をオリゴ/タグストック(これは260nMで分光学的に測定された)に提供することによって決定した)。 260nMでの吸収に寄与するタグについての補正は、使用しなかった。 希釈液は、HPCL等級の水中の1μg/mlの濃度のtRNA(Boehringer Mannheim)であった。 このプールを4℃で暗所で保存した。 CMSTタグ化オリゴヌクレオチドは、通常の実験室光条件下で、目に見える分解が起こることなしに、取り扱われ得る。

    【0695】 分析の前に、55μlのアリコートを、上記ストック溶液から取り出し、20
    0μlポリプロピレンオートサンプラーバイアル中に配置し、圧着して閉じた。
    このプールからのそれぞれ5μlの5つの注入および上記希釈液からのそれぞれ5μlの3つの注入を、HPLC HP1100 ALSにより行った。 APC
    I−MSチャンバパラメータは、以下のとおりであった:噴霧器圧については2
    0PSI;気化器温度は450℃であった;乾燥ガス流は3L/分であった;乾燥ガス温度は350℃であった;コロナ電流は4μAであった;断片化器電圧は125V;ゲインは1にセットした;そしてピーク幅は0.07分であった。 流速は0.8ml/分であり、光切断ユニットの「デッドスペース」は80μl(
    0.01インチID テフゼル)であった。 この光切断ユニットのランプは、3
    66nMで操作した。 各タグを、TICからのSIMイオンの抽出から定量した。 ピークを以下のパラメーター下で積算した:2500のスロープ感度、800
    の最小ピーク面積、100の最小ピーク高、0.15のピーク幅、ショルダー設定「オフ」。 各タグに対するピーク面積を、1実験内の5つ全ての注入について記録し、その平均面積を、標準偏差および変動係数に従って計算した。 平均面積、標準偏差、およびCVをまた、1日、2日間の期間にわたって、および3日の期間、について計算した。 1日以内での変動係数は、異なるタグ間で、2.0%
    と9.9%との間で変動した。 3日間の期間にわたっての変動係数は、異なるタグ間で、4.0%と9.8%との間で変動した。 従って、これらのタグは、表4
    a、4bおよび4cに示されるように、保存およびプールに関して安定である。

    【0696】

    【表20】

    【0697】 (検出の感度および下限) 電流質量が生成した4極は、蛍光に基づく配列決定に匹敵する感度を有する。
    この感度は、CMST質量の検出のより低いレベルの点で表され得る。 本発明者らは、この検出の下限を、このアッセイシステムのバックグラウンドを超える3
    標準偏差として定義している。 43の結合体のプールの検出下限を、30イオンSIMモードについて決定した。

    【0698】 10のセットで、2倍希釈物をtRNA/水希釈液で調製して、1注入(5〜
    10μl)当たり、500、250、125、62.5、31.2、15.6、
    7.8、3.9、1.9および0.9fmolの物質を得た。 このデータを、上記条件下で、30イオンSIMモードで得た。 各タグについてのLLDを表5に示す。

    【0699】

    【表21】

    【0700】

    【0701】 タグのこの特定のセットについてのLLDは、オリゴヌクレオチドからの光切断工程後、1注入当たりおよそ4〜30fmolである:(30× 10〜15
    モル@500MW−−−>5× 10〜11g−−−>タグ50pg、100× 10〜15モル(330×400nt×2=3× 10−8g=30ngの4
    00nt二本鎖PCR産物において))。 従って、300ngの二本鎖PCR産物を含む平均25μlのPCR反応を仮定して、その産物の約10分の1を、この測定のバックグラウンドを統計的に超えるシグナルを生成するために使用した。 比較の手段については、ABI377配列決定器において、およそ1レーン当たり100〜200ngのDNAを使用した。

    【0702】 このタグ化システムの検出下限は、単回注入において達成され得る多重化のレベルに影響を与える。 今日まで、本発明者らは、10μgまでのPCR産物が1
    注入当たり使用される場合、その測定プロセスを用いたいずれの問題も記述しなかった。 この数の意味は、10,000/30または約300反応が本発明のタグ化システムを用いて多重化され得るということである。 従って、HP−MSD
    1100の場合、多重化のレベルは、4極MSのスベクトルに配置され得るタグとほぼ同じである。

    【0703】 (タグ干渉) 本発明のCMSTの多重化の大きな数の応答(イオン化の程度、断片化または分解、付加体形成の程度などを反映する測定可能なイオン電流である応答)の点では、ほとんどまたは全く干渉は無い。 タグの多重化は、個々のタグの応答に影響せず、それ故、多重化は、イオン化または総イオン電流に影響しない。

    【0704】 (注入容量の関数としての応答因子) 上記したように、43の結合体のプールを測定して、応答因子を、注入容量の関数として決定した。 1注入当たり50fmolおよび1注入当たり500fm
    olを、5、10、20、50および100μl容量で測定した。 そのAPCI
    −MSパラメーターは、タグ安定性実験において使用したものと同一であった。
    表4に示される値は、測定した各容量についての5個の複製注入の平均である。
    5μlと10μl容量との間においてRFの減少はなかった。 20μl注入容量では、RFは、5μl容量の90〜97%であった。 50μl容量を測定した場合、RFは、5μl容量の54%〜75%であった。 100μl注入容量を用いて、検出可能なシグナルはなかった。

    【0705】 (実施例24) P4502D6多型検出 本明細書中で記載されるCMST技術の基本骨格は、デブリソキン4−ヒドロキシラーゼの代謝の原因であるCYP2D6多型を測定するために使用され得る。 この特定のP450シトクロームは、30を超える薬物および生体異物化合物の代謝において重要である。 CYP2D6(P450−2D6)は、現在処方されている薬物のおよそ25%の代謝の原因であると推定される。 CYP2D6はまた、デブリソキン/スパルテインヒドロキシラーゼとして公知である。 Sac
    he,Am. J. Human Genetics,60:284−295,19
    97は、10%までのコーカサス人が、両方の対立遺伝子における不活化変異または遺伝子の完全な欠損のいずれかにより、代謝が低いことを推定していた。 代謝が低いのに加えて、CYP2D6活性の広い範囲も存在する。 研究のために選択した変異には、C188T、G212A、delT1795、G1846T/
    A、G1934A、delA2637、C2938T、およびG4268Cが挙げられる。 RFLPSを、以前記載されたようにゲル電気泳動によって、検出した(Goughら,Nature 347:773−776,1990を参照のこと)。 RFLPに使用されるプライマーは、Sachseら,Am. J. Hu
    m. Genet. 60:284−295,1997により使用されるものに対応する。 配列決定に使用されるプライマーは、Meyerら,Pharmacog
    enetics 5:373−384,1995により使用されるものに対応する。

    【0706】 CMSTベースのアッセイの原理は、固相(例えば、磁性粒子)に、増幅されたCYP2D6エキソンの1本鎖を固定化し、オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズし、ハイブリダイズしていない物質を洗い流し、ハイブリダイズされたプローブを溶出し、次いで、(タグをプローブから切断した後に)質量分析法によりその質量分析タグを検出することであった。

    【0707】 増幅条件は以下のとおりである。 2D6遺伝子側方のプライマー(Sachs
    eら,Am. J. Hum. Genet. 60:284−295,1997)を使用して、4,681b. p. のゲノムDNAフラグメント(関連した遺伝子配列の全てを含む)を増幅した。 このPCR反応は、1×Expand HF緩衝液、1.5mM MgCl2、200μM dNTP、0.5μMのプライマーP100およびP200、0.5%ホルムアミド、100ng gDNA、および1.1U Expand TM High Fidelity酵素ミックス(Bo
    ehringer Mannheim)から構成された。 熱サイクル条件は、以下のようであった:94℃3分;94℃30秒、62℃30秒、および68℃4
    分の10サイクル;94℃30秒、62℃30秒、および68℃4分+20秒/
    サイクルの20サイクル;68℃10分。 産物を、臭化エチジウムで染色した1
    . 0%アガロースゲルで可視化した。

    【0708】 このアッセイフォーマットは、以下のように記載される。 ストレプトアビジン磁性粒子(Promega Magnesphere、80pmolビオチン/
    100μg粒子の結合能)を、低塩洗浄および結合緩衝液(LSWBB、100
    mM NaCl、1mM EDTA、10mM トリス、pH7.5)を用いて洗浄し、次いで、高塩洗浄および結合緩衝液(HSWBB、2M NaCl、1
    mM EDTA、および10mM トリス pH7.5)に、2000μg/m
    lの濃度で再懸濁した。 ビオチニル化PCR産物を、ストレプトアビジン粒子と、21℃で2時間、一定で回転混合しながら、インキュベートした。 この粒子を200μlのHSWBBで2回洗浄し、200μlのLSWBBで1回洗浄した。 次いで、結合したPCRアンプリコンを、50μlの0.1N NaOHを用いて21℃で10分間処理することによって、変性させた。 次いで、この粒子を、50μlの0.1N NaOHで1回洗浄し、200μlのLSWBBで3回洗浄した。 次いで、この粒子が結合したアンプリコンを異なる質量タグを有する野生型(wt)プローブと変異(mt)プローブとの等モル混合物でハイブリダイズした。 それぞれのプローブの50pmolを、200μlの2m GuSC
    N、5mM EDTAおよび10mM トリス pH7.5に配置し、50μl
    のこのハイブリダイゼーション溶液に上記粒子を配置した。 ハイブリダイゼーションは、一定で回転混合しながら、21℃で1時間であった。 この粒子をLSW
    BBで5回洗浄し、その管を2度目の洗浄後に交換した。 このハイブリダイズしたプローブを、20μlの0.1N NaOHを用いたこの粒子の処理および引き続く9μlの0.1N NaOHの洗浄により、粒子から溶出した。 次いで、
    この溶液を3μlの1M酢酸で中和した。 次いで、5μlのこの溶液を質量分析計(HP1100シリーズLC/MS(減圧脱気装置、二成分ポンプ、オートサンプラーおよびダイオードアレイ検出器を備える))に注入した。 この質量分析器を、APCI源オプションとともに使用した。 HP LC/MSD Chem
    stationソフトウェアを、システム制御、データ獲得、およびデータ解析のために、Windows NT workstationバージョン4.0オペレーティングシステムのHP vectra XAにインストールして使用した。 MSへの流れは、流速800μl/分の超純水中50%のアセトニトリルからなる。 光化学的切断デバイスは、254nm低圧水銀ランプ、UV透過反応器コイルおよびランプホルダー(Aura Industries)から構成された。

    【0709】 代表的な結果を、表6に示す。

    【0710】

    【表22】

    【0711】 (実施例25) CMSTタグ化ODNを用いての遺伝子発現モニタリング A549ヒト細胞株から全RNA(1〜2μg)を、Superscript II逆転写酵素およびオリゴdT−プライマーを使用して、最終容量22μl
    において、製造業者の説明書(Life Technologies;Gait
    hersburg,MD)に従って、転写した。 イントロン(intro)−エキソン境界にわたる領域をコードするアポトーシス関連ヒトDAD−1遺伝子の75bp領域を、以下のTaqポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した;95℃(5分)の初期変性、続いて、25〜60サイクル(45℃で15秒のアニーリングおよび95℃で5秒の変性)。 このPCR反応(20〜200μl
    )は以下を含んだ:0.5μM DAD−1逆方向プライマー(5'−ビオチン−CCA GGA AAT TCA AAG AGT GA−3')、0.01
    25μMまたは0.5μM DAD−1リン酸化順方向プライマー(5'−TT
    G GCT GAA TCA TTC TCA TT−3')、7×10 2 〜1 . 2×10 7分子の内部標準(5'−CC AGG AAA TTC AAA GAG TGA ACA TTC TTT TTG TGT CG−3')、1
    μl A549 cDNAまたは8×10 4 〜×10 11分子のWT模倣物(5' −CCA GGA AAT TCA AAG AGT GAA CAT TCT TTT AGT CTC CTA CTC CTC AAT TAA GTA AAT GAG AAT GAT TCA GCC AA−3')、0.8U Taqポリメラーゼ、0.2mM dATP、0.2mM dCTP、0.2
    mM dGTP、0.2mM dTTP、1.5mM MgCl 2 、50mM Kcl、および10mM トリス−HCl pH8.3。

    【0712】 増幅産物(50μl)を、非対称増幅条件(上記)によるか、または2.5U λエキソヌクレアーゼ(Boehringher Mannheim;Ind
    ianapolis,IN)を用いて、15分間(37℃)、18mMトリス−
    HCl pH9.5、1.8mM MgCl 2 、28mM Kcl中で消化する ことによってのいずれかで、一本鎖にした。 消化したアンプリコンまたは非対称PCR反応を、5分間70℃に配置し、短時間冷却(室温)し、そして、2.1
    Mグアニジンイソチオシアネート、50mMトリス−HCl pH7.5、0.
    1%サルコシル、1μg/ml tRNA、5μg/ml WT 394プローブ(5'−394 MW CMST タグ−TTG AGG AGT AGG AGA CTA AAA−3')、5μg/ml IS 390プローブ(5'
    −390 MW CMST タグ−TTGACGACTACGACACAAAA
    A−3')に調節した。

    【0713】 286μg/ml Avidin−DN(Vector;Burlingam
    e,CA)および0.7μg/ml tRNAの7μlを含有するハイブリダイゼーション反応を、10分(RT)インキュベートし、30K MWCOスピンフィルター(Millipore Corp.;Bedford,MA)に移した。 このスピンフィルターを5〜10分(RT)インキュベートし、遠心分離(
    4,000×g、10分)した。 このスピンフィルターを、400μlの冷HP
    LC等級dH 2 Oで2回洗浄し、遠心分離(4,000×g、10分)した。 2 5μlの1μg/ml tRNAを、このスピンフィルターに添加し、保持されたハイブリッドを溶出した。 25μlの保持液(retentate)を、50
    %アセトニトリル中で、光分解ユニットを介して、HP質量分析計(APCIポジティブモード)に、注入した。 単一イオン測定を、390および394の分子量を有するタグについて行い、その結果を、ピーク面積として表した。 390/
    394のタグシグナルの比は、内部標準またはA549 DAD−1 cDNA
    もしくはWT模倣物のいずれかから生成したアンプリコンの量と比例した。 A5
    49全RNA中の未知数のRNA分子またはWT模倣物の数の計算を、入力した内部標準分子の数対390/394タグシグナルの比のlog/logプロットで示される標準曲線から、行い得た。 未知であったのは、y=0の場合のxの値である。 あるいは、比が0.3と3との間である場合、この未知=390/39
    4の比×入力内部標準分子の数である。

    【0714】 結果を図23に示す。

    【0715】 (実施例26) 単一ヌクレオチド伸長アッセイ RNA調製:総RNAを、Jurkat細胞から、(指数増殖期の1×10 9細胞から開始して)、Promega(WI)のRNA単離キットを使用して、
    単離し、調製した。 RNAを2つのアリコートで保存した:(1)ジエチルピロカルボン酸処理ddH 2 O中のストックアリコートは、−20℃で保存した、お よび(2)100%H 2 O中の懸濁物としての長期保存。

    【0716】 逆転写:総RNAのポリ(dT)で開始した逆転写を、この反応(単数または複数)を1μgの投入総RNAを使用してスケールした以外は、Ausubel
    ら(Ausubelら、Current Protocols in Mole
    cular Biology,1991,Greene Publishing Associates/Wiley−Interscience,NY,NY
    . )に記載されるように行った。 20〜50ユニットの逆転写酵素(Prome
    ga)を、10%グリセロール、10mM KPO4(pH7.4)、0.2% Triton X−100、および2mM DTT中に10倍希釈し、その反応への添加前に30分間氷上に置いた。 GADPHおよび図および表に記載する他のコントロール遺伝子についての遺伝子特異的逆転写を、20μlの反応系中の、10mM トリス−HCl(pH8.3)、50mM KCl、M MgC
    L2、1mM dNTP、2U/μl RNAsin(Gibco−BRL)、
    0.1μMオリゴマー、および0.125U/μlのM−MLV逆転写酵素(G
    ibco−BRL)において逆転写した1μgの総JurkatRNAを使用して行った。 反応系を42℃で15分間インキュベートし、95℃で5分間熱インキュベートし、そして、PCR増幅についての調製物中、(10mM トリスH
    Cl(pH8.3)、1mM NH 4 Cl、1.5M MgCl 2 、100mM KCl)の主混合物、0.125mM NTP、10ng/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドプライマー、および0.75ユニットのTAQポリメラーゼ(
    Gibco−BRL)を用いて、100μlまで希釈した。

    【0717】 PCR:各遺伝子についてのPCRを、公知のイントロン/エキソン境界(b
    oundry)にわたる遺伝子特異的プライマーを用いて行った(以下の表を参照のこと)。 全てのPCRは、10mM トリスHCl(pH8.3)、1mM NH 4 Cl、1.5M MgCl 2 、100mM KCl)、0.125mM NTP、10ng/mlのそれぞれのオリゴヌクレオチドプライマー、および0
    . 75ユニットのTAQポリメラーゼ(Gibco−BRL)を含有する20μ
    l容量中で行った。 サイクリングパラメーターは、5分間94℃のプレ加熱工程、続いて1分間94℃の変性工程、2分間55℃のアニーリング工程、および3
    0秒〜1分間の72℃の伸長工程、ならびに72℃10分間の最終伸長であった。 増幅は一般的に、全部で30〜45であった。

    【0718】 鋳型の精製:PCR産物を、ZhenおよびSwank(ZhenおよびSw
    ank、1993,BioTechniques,14(6):894−898
    頁)により記載されるようにゲル精製した。 PCR産物を、0.04M トリス酢酸、0.001M EDTA(1×TEA)緩衝液で泳動する1%アガロースゲルで分離し、UV光源で可視化しつつ臭化エチジウムで染色した。 溝を、目的のバンドのちょうど前でカットし、1×TAE緩衝液中10%PEGの50〜2
    00μlで満たした。 電気泳動をバンドが完全にこの溝に入るまで継続した。 次いで、この内容物を取り除き、フェノールで抽出し、クロロホルム抽出し、次いで0.1容量の7.5M酢酸アンモニウムおよび2.5容量の100%EtOH
    において沈殿させた。 サンプルを75%EtOHで洗浄し、周囲温度で少しの間乾燥する。 収量の定量は、臭化エチジウムで染色した1×TBE緩衝液中の1%
    アガロースゲル上の小アリコートの電気泳動および公知の標準物との比較により行った。

    【0719】 各SNuPE反応を、約100ngの増幅したDNAフラグメント、1μMのSNuPEプライマー、2ユニットのTagポリメラーゼ、および1μlの適切なdNTPを含む50μl容量中で行った。 全てのdNTPは、このタイプのアッセイでは標識されていない。 使用した緩衝液は、50mM KCl、5mM MgCl 2および0.001%(wt/vol)ゼラチンを含む、10mM ト リス−HCl(pH8.3)であった。 これらのサンプルを、95℃で2分の変性期間、60℃で2分のアニーリング期間、および72℃で2分間のプライマー伸長からなる1サイクルに供した。 各ファミリーについてのSNUPEプライマーの配列を、以下に記載する。

    【0720】 プライマー伸長:単一ヌクレオチドプライマー伸長を、1mM Mg++、0
    . 1μMプライマー、および0.05μMの各dNTPタイプを各反応タイプにおいて使用した以外は、Singer−Samら(Singer−Samら、1
    992,PCR Methods and Applications,1,p
    160−163)に記載されるように行った。 上記の各プライマー伸長後、5分の1容量の充填染料(80%ホルムアミド、0.1%ブロモフェノールブルー、
    0.1%キシレンシアノール、2mM EDTA)を添加し、そのサンプル全体を15%変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。 ゲルを、10%グリセロール、10%メタノール、10%氷酢酸中で、一定振盪しながら固定し、続いて洗浄工程を10%グリセロールを用いて行った。 次いで、これらのゲルを55℃
    で3〜5時間乾燥した。

    【0721】 この実験において記載したプライマーは、Rychlik(Rychlik、
    (1995),BioTechniques,18,p84−90)により記載される。 プライマーは合成され得るか、またはMidland Certifi
    ed Reagent Company(Midland Texas)からゲル濾過等級プライマーとして入手され得る。 これらの増幅は、TAQ DNAポリメラーゼベース(10mM トリス−HCl(pH8.3)、1.5mM M
    gCl 2 、50mM KCl)またはPfu DNAポリメラーゼベース(20 mM トリス−HCl(pH8.3),2.0mM MgCl 2 、10mM K Cl、10mM (NH 42 SO 4 、0.1% Triton X−100、0 .1mg/mlウシ血清アルブミン)のいずれかである。 これらの反応中の総ヌクレオチド三リン酸(NTP)濃度は0.8mMであり、そのプライマー濃度は200nMであり(特に明記しない限り)、その鋳型量は、20μl反応当たり0.25ngのバクテリオファージλDNAである。 サイクリングパラメーターは、5分間94℃のプレ加熱工程、続いて、1分間94℃の変性工程、2分間5
    5℃のアニーリング工程、および30秒〜1分間の72℃の伸長工程、ならびに10分間72℃の最終伸長であった。 増幅は一般的に、全部で30〜45であった。

    【0722】 このバクテリオファージλゲノム(GenBank Accession #
    J02459)の2つの領域を、増幅のためのプライム部位として選択した。 この5'−プライマーは安定なGCリッチ3'末端を有し、この3'プライマーは381bp産物が生じるように選択される。 この5'順方向プライマーはH17
    :5'−GAACGAAAACCCCCCGCである。 この3'−逆方向プライマーはRP17:5'−GATCGCCCCCAAAACACATAである。

    【0723】 次いで、増幅産物を、31245位における多型の存在について試験した。 以下のプライマーを4つの単一ヌクレオチド伸長アッセイで使用した;SNE17
    :5'−GAACGAAAACCCCCCGC。 次いで、この4つの単一ヌクレオチド伸長アッセイを上記のように行った。 次いで、この反応の全てをプールし、このプールした物質の5μlをさらに精製することなくHPLCカラム(Se
    raSep,San Jose,CA)に注入した。

    【0724】 HPLCを自動HPLC装置(Rainin,Emeryville,CAまたはHewlett Packard,Palo Alto,CA)を使用して行った。 HPLCへの注入前に95で3分間変性した未精製SNEA産物を、0
    . 9ml/分の流速で、1.8%/分の線形アセトニトリル(ACN,J.T.
    Baker,NJ)グラジエントで溶出した。 この開始点および終点をSNEA
    産物のサイズに従って調節した。 このSNEA分子の首尾良い分離に必要な温度は、50℃であった。 次いで、このHPLCからの溶出物を、タグ検出のために、質量分析計(Hewlett Packard,Palo Alto,CA)
    に直接入れた。 この結果を表7に記載する。

    【0725】

    【表23】

    【0726】 表7の結果は、その質量分析計タグ(CMST)が、SNE17プライマーが1塩基(ddCTP)によって伸長され、従って31245位の多型がこの場合「G」あったことを示す、4.6分の保持時間で検出されたことを示す。 SNE
    17−487、SNE17−496、およびSNE17−555タグ化プライマーは伸長されず、これらのこのHPLCにおける保持時間はそれぞれ2.5分であった。

    【0727】 (実施例27) タグ化分子合成のためのホスホルアミダイト化学 (アミノヘキシル末端化(tailed)タグの調製) 図26に示すように、純粋なアミノヘキシル末端化タグ(8)の調製を、TF
    P方法論を用いて行った。 TFPエステルを、タグ166(9)のリチウム塩と、過剰のTFP−TFAおよびHunigs塩基とを、DMF中で反応させることによって調製した。 後処理後、ジクロロメタン溶液TFPエステルを、6−アミノヘキサノールで処理した。 (8)の沈殿がすぐに形成され、これを濾過によって単離した。

    【0728】 (タグホスホルアミダイトの調製) アミノヘキシル末端化タグ(5)とクロロホスホルアミダイトとの反応により、所望のホスホルアミダイト(17)を得た。 ホスホネートは、質量分析により検出されなかった。

    【0729】

    【化36】

    【0730】 過剰のホスフィチル化剤(phosphytilating agent)を、重水素化メタノールでクエンチし(H3−メタノールが通常は使用される1が 、この場合には重水素化メタノールの使用がクエンチ生成物の起源の明白な同定を可能にする)、(18)を得る。 この物質は、引き続く水性後処理に耐え、それ自体がホスホルアミダイトであるので、これは、後続反応において干渉する可能性を有する。

    【0731】 (ホスホルアミダイトとポリマー支持チミジンとの反応) チミジンを、プラスチックカートリッジ内に含入された制御されたポアガラスビーズに結合する。 使用したカートリッジは、1000nM(1×10 -6 mol
    )の支持チミジンを含有する。 この塩基の5'ヒドロキシルを、ジメトキシトリチルエーテルとして保護し、これは、ホスホルアミダイトとの反応の前に、ジクロロメタン中で3%トリクロロ酢酸を用いて除去される(図27)。 ホスホルアミダイトとの反応後、その中間体ホスファイトトリエステル(19)を、より安定なホスホトリエステル(20)に酸化する。 そのシアノエチル保護基の同時除去およびこの固体支持体からの切断をアンモニアを用いて行って、タグ化されたチミジン(21)を得る。

    【0732】 このホスホルアミダイト調製からの粗物質をこの手順で使用し、支持体から切断した物質を質量分析法によって分析した。 帰属に従ってポジティブモードで観察された主なイオンを、表8に示す。

    【0733】

    【表24】

    【0734】 使用した条件下では、そのリン酸エステル結合は断片化する傾向にあるようである。 ネガティブモードでの分析は、化合物(22)に対応する338amuのピークを示し、これは、その粗製物の主な混入物であるクエンチ産物(18)(
    図28)の反応から生じる。

    【0735】 タグ−ホスホルアミダイト(17)は、シリカゲルクロマトグラフィー(10
    %メタノール/89%ジクロロメタン/1%トリエチルアミン)によって、非極性混入物(18)から分離され得、115mgの(17)が得られた。 この物質は、上記反応サイクルを使用して、(21)を生じ、これは、その切断産物(5
    )として、質量分析において検出される(この粗製物のHPLC分析は、(5)
    が存在しないことを示したので、その質量分析における711amuのピークは、この装置における所望の生成物(21)の切断により生じたに違いない)。 イソ体(Iso present)はチミジンと反応しなかった。 このことは、この反応が完全(cmpletion)には行われなかったことを示す。 また、この物質をUV切断フローシステムを通過させて、その光切断産物(23)を質量分析法で検出した。

    【0736】

    【化37】

    【0737】 従って、質量分析タグホスホルアミダイトを調製すること、およびそれを精製しポリマー結合基質と反応させて、これを続いて酸化し、脱保護し、その支持体から切断して、タグ化塩基を得ることが可能である。

    【0738】

    【表25】

    【0739】 参考文献

    【0740】

    【表26】

    【0741】 上記のことから、本発明の特定の実施態様が例示の目的で本明細書中で記載されてきたが、様々な改変が本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることは、理解される。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、化学的切断可能質量分析タグのペンタフルオロフェニルエステルの合成についての、カルボキシルアミド末端を有するタグを遊離させるフローチャートを示す。

    【図2】 図2は、化学的切断可能質量分析タグのペンタフルオロフェニルエステルの合成についての、カルボキシル酸末端を有するタグを遊離させるフローチャートを示す。

    【図3】 図3は、36の光化学的切断可能質量分析タグの組のテトラフルオロフェニルエステルの合成についてのフローチャートを示す。

    【図4】 図4は、36の光化学的切断可能質量分析タグの組のテトラフルオロフェニルエステルの合成についてのフローチャートを示す。

    【図5】 図5は、36の光化学的切断可能質量分析タグの組のテトラフルオロフェニルエステルの合成についてのフローチャートを示す。

    【図6】 図6は、36の光化学的切断可能質量分析タグの組のテトラフルオロフェニルエステルの合成についてのフローチャートを示す。

    【図7】 図7は、36のアミン末端化光化学的切断可能質量分析タグの組の合成についてのフローチャートを示す。

    【図8】 図8は、36の光化学的切断可能質量分析タグの組のテトラフルオロフェニルエステルの合成についてのフローチャートを示す。

    【図9】 図9は、光化学的切断可能質量分析タグ酸の36のテトラフルオロフェニルエステルの対応する組から作製された36の光化学的切断可能質量分析タグ化オリゴヌクレオチドの合成を示す。

    【図10】 図10は、36のアミン末端化光化学的切断可能質量分析タグの対応する組から作製された36の光化学的切断可能質量分析タグ化オリゴヌクレオチドの合成を示す。

    【図11】 図11は、質量分析による複数タグの同時検出を示す。

    【図12】 図12は、α−シアノマトリックス単独の質量スペクトル図を示す。

    【図13】 図13は、モジュラー化して構成されたタグ化核酸フラグメントを示す。

    【図14A】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14B】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14C】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14D】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14E】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14F】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14G】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14H】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図14I】 図14A〜Iは、種々の異なった緩衝溶液を使用するHPLCによる、DNA
    フラグメントの分離を示す。

    【図15】 図15は、本発明の例示的実施態様に従った、遺伝子フィンガープリント法およびディファレンシャルディスプレイシステムの略図である。

    【図16】 図16は、本発明の例示的実施態様に従った、遺伝子フィンガープリント法およびディファレンシャルディスプレイシステムの略図である。

    【図17】 図17は、本発明の例示的実施態様に従った、アッセイシステムの略図である。

    【図18】 図18は、本発明の例示的実施態様に従った、アッセイシステムの略図である。

    【図19A】 図19Aは、本発明の切断可能タグの調製を示す。

    【図19B】 図19Bは、本発明の切断可能タグの調製を示す。

    【図20A】 図20Aは、本発明の切断可能タグの調製を示す。

    【図20B】 図20Bは、本発明の切断可能タグの調製を示す。

    【図21】 図21は、本発明の切断可能タグの調製において有用な中間体化合物の調製を示す。

    【図22A】 図22Aは、本発明に従う光切断可能質量分析法検出可能タグの調製のための合成方法論を示す。

    【図22B】 図22Bは、本発明に従う光切断可能質量分析法検出可能タグの調製のための合成方法論を示す。

    【図22C】 図22Cは、本発明に従う光切断可能質量分析法検出可能タグの調製のための合成方法論を示す。

    【図23】 図23は、CMST−タグ化ODNを用いて遺伝子発現をモニターしたアッセイの結果を示す。

    【図24】 図24は、本明細書中の実施例でより完全に記載したホスホルアミダイト化学を示す。

    【図25】 図25は、本明細書中の実施例でより完全に記載したホスホルアミダイト化学を示す。

    【図26】 図26は、本明細書中の実施例でより完全に記載したホスホルアミダイト化学を示す。

    【図27】 図27は、本明細書中の実施例でより完全に記載したホスホルアミダイト化学を示す。

    【図28】 図28は、本明細書中の実施例でより完全に記載したホスホルアミダイト化学を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 69/08 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 C12N 15/00 A (31)優先権主張番号 08/898,501 (32)優先日 平成9年7月22日(1997.7.22) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ハウバート, ジェフリー アメリカ合衆国 ワシントン 98005, ベレビュー, ノースイースト 30ティー エイチ ストリート 12740 (72)発明者 マリガン, ジョン ティー. アメリカ合衆国, ワシントン 98105, シアトル, 17ティーエイチ アベニュ ー ノースイースト 5823

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