Automatic sample handling equipment, systems, processes, and methods

申请号 JP2014529949 申请日 2012-09-10 公开(公告)号 JP2014526687A 公开(公告)日 2014-10-06
申请人 ジェン−プローブ・インコーポレーテッド; 发明人 ロルフ シルバート,; デイビッド オパルスキー,;
摘要 本発明は、 生物 学的試料を自動的に処理するための処理ステーション、生物学的試料操作又はアッセイ器具内の消耗品の自動リアルタイム在庫管理のためのシステム、生物学的試料を処理するための高処理量ランダムアクセス自動器具、試料を処理又は分析するための自動器具、並びに自動ムコイド検出及び除去のためのプロセスを提供する。 開示される器具を使用する方法、ムコイド検出プロセス、並びに試料を処理及び/又は分析するためのシステムも開示する。
权利要求
  • 生物学的試料を自動的に処理するための処理ステーションであって、
    (a)生物学的試料を混合することが可能な、中心軸を中心として回転する回転可能なプラットフォームと、
    (b)X−Y平面上で、前記回転可能なプラットフォーム上の空間的に異なる位置に配置された2つ以上の容器ホルダーであって、異なる形状の容器を保持するように構成されることにより2つ以上の異なる容器ホルダーが存在する、容器ホルダーと、
    (c)前記2つ以上の異なる容器のキャップ装着/キャップ除去を行うことが可能なキャップ装着/キャップ除去機構であって、前記2つ以上の異なる容器のそれぞれが異なる形状及び/又は異なる形状のキャップを有する、キャップ装着/キャップ脱着機構と、
    (d)容器又はその内容物に関する情報を取得することが可能なデータ走査機構であって、前記容器を、前記2つ以上の容器ホルダーの1つに配置された状態で走査することができるように構成された、データ走査機構と、
    (e)ムコイド検出機構と、
    を含む、処理ステーション。
  • 前記1つ以上のキャップ装着/キャップ除去機構の下に移動可能に配置されるように構成された液だれトレーを更に含む、請求項1に記載の処理ステーション。
  • 前記ムコイド検出機構が、マシンビジョン、逆容量性液面検出、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の処理ステーション。
  • 前記処理ステーションが、試料入力ラック、試料出力ラック、並びにインキュベーター、ピペットチップトレー、試薬容器、及び廃棄物容器を有する、試料処理器具内に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 器具在庫管理システムを更に含む、請求項4に記載の処理ステーション。
  • 前記器具在庫管理システムが、前記入力ラック、前記インキュベーター、及び/又は前記出力ラック内の試料容器及び反応容器の在庫を監視する、請求項5に記載の処理ステーション。
  • 前記器具在庫管理システムが、前記チップトレー内に配置されたピペットチップの数及び/又は前記固体廃棄物容器の容量を更に監視する、請求項6に記載の処理ステーション。
  • 前記器具在庫管理システムが、自動リアルタイム器具在庫管理システムである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記器具在庫管理システムが、(1)カメラ及び付随するイメージプロセッサー、並びに/又は(2)近接センサー及びバーコードリーダーを含む、請求項4〜8のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記カメラが少なくとも1つの器具消耗品と光通信可能な状態で静的に取り付けられる、請求項9に記載の処理ステーション。
  • 前記カメラが前記ロボットアーム上に取り付けられる、請求項9に記載の処理ステーション。
  • 2つ以上の容器ホルダーが、前記回転可能なプラットフォームの外周上に配置される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 各容器ホルダーが、他の各容器ホルダーの2次軸とは異なる個々の2次回転軸を中心として回転可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • ボルテックスが軌道混合を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記軌道混合が、前記回転可能なプラットフォームの前記中心軸を中心とした円形の回転を、前記2つ以上の容器ホルダーの、それらの2次軸を中心とした、前記回転可能なプラットフォームの回転とは逆方向の円形の回転とともに含む、請求項14に記載の処理ステーション。
  • 電力線通信システムを更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 3個の容器ホルダーを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記液だれトレーが、X−Y平面内で並進運動可能である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記液だれトレーのX−Y平面内での並進運動が、前記回転可能なプラットフォームの中心軸とは異なる3次軸を中心とした回転を含む、請求項18に記載の処理ステーション。
  • 前記液だれトレーが前記3次軸から外側に延びる、請求項19に記載の処理ステーション。
  • 前記延長部が、前記3次軸から外側に延びるアーム、柱材、プレート、パネル、又はブレードとして作用する、請求項20に記載の処理ステーション。
  • 前記液だれトレーが、X、Y、及び/又はZ平面内で並進運動可能である、請求項2及び請求項18〜21のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記異なる容器が、異なる幅、高さ、直径、及び/又はこれらの組み合わせを有する容器を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記データ走査機構が、バーコードスキャナーを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の処理ステーション。
  • 前記バーコードスキャナーを使用して試料容器又は反応容器上のバーコードの中心線及び/又は位置を決定する、請求項24に記載の処理ステーション。
  • 試料吸引装置からの自動ムコイドストランド検出及び除去のプロセスであって、
    (a)前記試料吸引装置を、閉じた底部と開いた上部とを有する、生物学的試料が入った容器に入れる工程と、
    (b)前記試料の少なくとも一部を吸引する工程と、
    (c)前記試料から前記試料吸引装置を引き抜く工程と、
    (d)前記試料から前記試料吸引装置が引き抜かれる間に、前記試料吸引装置の少なくとも一部を画像化し、前記画像化の結果を処理して前記試料吸引装置上にムコイドストランドが存在しているか否かを検出する工程と、
    を含み、
    ムコイドストランドが検出された場合、前記試料が前記容器中に分注され、工程(a)〜(d)が、ムコイドストランドが検出されなくなるまで繰り返される、プロセス。
  • 工程(d)においてムコイドストランドが検出された場合、繰り返される工程(b)が、最初の、又は前の工程(b)と比べて前記容器の異なる部分で行われる、請求項26に記載のプロセス。
  • 前記試料吸引装置がマシンビジョンで画像化される、請求項26又は27に記載のプロセス。
  • 前記画像処理がユーザーの手による入力なしで自動的に行われる、請求項26〜28のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 工程(c)が、前記試料吸引装置を前記容器内に残った流体から分離することを含む、請求項26〜29のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 前記容器が、工程(a)の前にボルテックスされる、請求項26〜30のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 前記試料吸引装置が、ピペッター上に動作可能に配置されたピペットチップを含む、請求項26〜31のいずれか一項に記載のプロセス。
  • ムコイドストランドが検出された場合、前記試料が前記容器中に分注された後でいずれかのプロセス工程が繰り返される前に前記試料がボルテックスされる、請求項26〜32のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 前記試料吸引装置が、容量性液面検出及び/又は逆容量性液面検出を行うことが可能なピペッター上に動作可能に配置される、請求項26〜33のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 前記画像化が、前記試料吸引装置の少なくとも前記チップの画像化を含む、請求項26〜34のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 工程(b)及び(c)が、前記試料吸引装置が前記容器の前記開いた上部の真上に位置した状態で行われる、請求項26〜35のいずれか一項に記載のプロセス。
  • 生物学的試料処理又はアッセイ器具内の消耗品の自動リアルタイム在庫管理のためのシステムであって、
    (a)それぞれが1つよりも多い消耗品の単位を含む1つ以上のタイプの消耗品と、
    (b)前記1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な画像収集装置と、
    (c)イメージプロセッサーと、
    を有し、
    前記画像収集装置が、前記1つ以上のタイプの消耗品の画像を撮影し、前記画像が自動的に処理されて前記1つ以上のタイプの消耗品の単位の数、位置、及び/又は有無が決定されるシステム。
  • 前記1つ以上のタイプの消耗品が、前記画像収集装置の位置と対向する位置から背面照射されることにより、前記画像収集装置が、得られる背面照射用照明と光通信可能となる、請求項37に記載のシステム。
  • 前記消耗品のタイプが、ピペットチップ、試料容器、反応容器、入力ラック、出力ラック、又は試薬である、請求項37に記載のシステム。
  • 前記画像収集装置が、前記1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な状態で静的に取り付けられる、請求項37に記載のシステム。
  • 前記画像収集装置が、前記1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な状態で移動可能に取り付けられる、請求項37に記載のシステム。
  • 前記画像収集装置がロボットアーム上に取り付けられる、請求項41に記載のシステム。
  • 前記イメージプロセッサーが前記画像撮影装置内に含まれる、請求項37に記載のシステム。
  • 2つ以上の画像撮影装置及びイメージプロセッサーを有する、請求項37に記載のシステム。
  • 前記2つ以上の画像撮影装置のそれぞれが、1つのタイプの消耗品と光通信可能である、請求項44に記載のシステム。
  • 前記2つ以上の画像撮影装置のそれぞれが、2つ以上のタイプの消耗品と光通信可能である、請求項44に記載のシステム。
  • 前記画像撮影装置が、廃棄物容器と光学通信可能な状態に配置され、前記画像収集装置が、前記廃棄物容器の画像を撮影し、前記画像が自動的に処理されて前記廃棄物容器の存在及び/又は残りの容量が決定される、請求項47に記載のシステム。
  • 前記画像撮影装置が、前記1つ以上のタイプの消耗品及び前記廃棄物容器の画像を1つの画像で撮影する、請求項46に記載のシステム。
  • 操作者通知プロトコルを更に含み、画像化及び画像処理において検出された前記1つ以上のタイプの消耗品の在庫について、操作者はリアルタイムで通知される、請求項37に記載のシステム。
  • 電力線送通信システムを更に含む、請求項37に記載のシステム。
  • 生物学的試料を処理するための高処理量ランダムアクセス自動器具であって、
    (a)試料処理ステーションと、
    (b)消耗品の自動リアルタイム在庫管理のためのシステムと、
    (c)1つ以上の試料入力ラックを保持するように構成された試料入力ベイと、
    (d)1つ以上の試料出力ラックを保持するように構成された試料出力ベイと、
    (e)電力線通信システムと、
    (f)廃棄物容器と、
    (g)消耗品在庫ベイと、
    (h)ピペッターが動作可能に配置されたロボットアームと、
    (i)前記器具内で容器を移動させるためのピックアンドプレース機構と、
    (j)ユーザーインターフェースと、
    を含む、器具。
  • 前記器具が、失敗した試料処理プロトコルを識別及び処理するための自動システムを含み、その結果、前記失敗した試料が、器具のユーザー及び/又は下流の自動分子器具に識別可能である、請求項51に記載の器具。
  • 失敗した試料を識別及び処理するための前記自動システムが、前記器具の全体的処理速度に影響しないように失敗した試料を処理する、請求項52に記載の器具。
  • 反応容器又は試料容器上にバーコードを印刷するのに使用されるプリンターモジュールを更に含む、請求項51〜53のいずれか一項に記載の器具。
  • 前記プリンターモジュールがバーコードリーダーとデータ通信可能であり、その結果、前記バーコードリーダーによって読み取られたバーコードを前記プリンターモジュールにより複製することができる、請求項54に記載の器具。
  • 試料を処理又は分析するための自動器具であって、
    (a)バーコードリーダーと、
    (b)前記バーコードリーダーとデータ通信可能なプリンターモジュールと、
    を含み、
    前記試料の処理又は分析が、前記試料の少なくとも一部を第1の容器から第2の容器に自動的に移動させることを含み、前記バーコードリーダーが、前記第1の容器上に存在するバーコードを走査し、前記バーコードに関連付けられた情報が前記バーコードリーダーと前記プリンターモジュールとの間で転送され、前記プリンターモジュールが前記第2の容器上にバーコードを印刷する、器具。
  • 前記第1の容器が試料容器を含み、前記第2の容器が反応容器を含む、請求項56に記載の器具。
  • 前記第2の容器上に印刷された前記バーコードが、前記第1の容器上に存在するものと同じバーコードである、請求項56に記載の器具。
  • 前記第2の容器上に印刷された前記バーコードが、前記第1の容器上に存在する前記バーコードとは異なるバーコードである、請求項56に記載の器具。
  • 前記第2の容器上に印刷された前記バーコードに関連付けられた情報が、前記第1の容器上に存在する前記バーコードに関連付けられた情報を含み、更なる情報を更に含む、請求項59に記載の器具。
  • 说明书全文

    (関連出願の相互参照)
    本出願は、参照により本明細書に援用する2011年9月9日出願の米国特許出願第61/532,765号に対する優先権を主張するものである。

    (発明の分野)
    本発明は、自動試料操作器具、システム、プロセス、及び方法に関する。

    臨床検査作業は、迅速かつ高い精度で行われる必要のある多くの反復作業を伴うことが多い。 より迅速かつ正確な検査結果を得ることが望まれているため、検査手順及びアッセイを自動化しようという最近の動向がある。 反復作業を検査技師の手から解放し、機械に行わせることで、人間工学的及び処理量上の利益を得ることができるが、複雑な生物学的手順を自動化する作業は困難を伴うものであった。 これらの難点の1つの原因は、生物学的材料がしばしば扱いが困難な材料であることである。 アッセイ及び試料処理手順の汚染、精度、及び完全性は、器具が熟練した検査技師の作業を行う場合に常に存在する問題である。 それにも関わらず、自動装置は、人的エラーを低減させ、試料の操作及びアッセイのより一貫した反復可能な一連の操作を与える可能性を有している。

    したがって、試料処理が汚染のリスクなしに正確に完了させると同時に、アッセイに先立つ検査技師による生物学的試料の操作時間を最小とすることが当該技術分野では求められている。 本発明は、これら及びその他の要求に応えるものである。

    本明細書に記載されるか又は参照される参照文献のいずれも、特許請求される発明の従来技術であることを容認するものではない。

    本開示は、生物学的試料を自動的に処理するための処理ステーションであって、(a)生物学的試料を混合することが可能な、中心軸を中心として回転する回転可能なプラットフォームと、(b)X−Y平面上で、回転可能なプラットフォーム上の空間的に異なる位置に配置された2つ以上の容器ホルダーであって、異なる容器(異なる容器のそれぞれは異なるサイズ及び/又は形状を有する)を保持するように構成されることにより、2つ以上の異なる容器ホルダーが存在する、容器ホルダーと、(c)2つ以上の異なる容器のキャップ装着/キャップ除去を行うことが可能なキャップ装着/キャップ除去機構であって、2つ以上の異なる容器のそれぞれが異なる形状及び/又は異なる形状のキャップを有する、キャップ装着/キャップ除去機構と、(d)容器又はその内容物に関する情報を取得することが可能なデータ走査機構であって、容器を、2つ以上の容器ホルダーの1つに配置された状態で走査することができるように構成された、データ走査機構と、(e)ムコイド検出機構と、を含む、処理ステーションを提供する。

    一実施形態では、処理ステーションは、1つ以上のキャップ装着/キャップ除去機構の下に移動可能に配置されるように構成された液だれトレーを更に含む。 最も頻繁には、液だれトレーは、X−Y平面内で並進運動可能である。 この並進運動は、回転可能なプラットフォームの中心軸とは異なる3次軸を中心とした回転を含むことが多い。 頻繁には、前記液だれトレーは3次軸から外側に延び、延長部は、前記3次軸から外側に延びるアーム、柱材、プレート、パネル、又はブレードとして作用することが多い。 他の実施形態では、液だれトレーはX−、Y−、及び/又はZ−平面内で並進運動可能である。

    処理ステーションのムコイド検出は、マシンビジョン、逆容量性液面検出、又はこれらの組み合わせを含むことが多い。

    処理ステーションはまた、試料入ラック、試料出力ラック、並びにインキュベーター、ピペットチップトレー、試薬容器、ピペットチップ及び/又は液体廃棄物などの使用済み消耗品を入れるための廃棄物容器を含む試料処理器具内に配置されることが多い。

    処理ステーションは、器具在庫管理システムを有することが多い。 器具在庫管理システムは、入力ラック、インキュベーター、及び/又は出力ラック内の試料容器及び反応容器の在庫を監視することが多い。 器具在庫管理システムはまた、チップトレー内に配置されたピペットチップの数及び/又は固体廃棄物容器内の廃棄物のレベルを更に監視することが多い。 器具在庫管理システムは、自動リアルタイム器具在庫管理システムであることが多い。 器具在庫管理システムはまた、(1)カメラ及び付随するイメージプロセッサー、並びに/又は(2)近接センサー及びバーコードリーダーを有することがよくある。 カメラは、少なくとも1つの器具消耗品と光通信可能な状態で静的に取り付けられることが多いが、ロボットアーム上に取り付けられることが頻繁にあり、その結果、器具全体にわたって移動可能に配置することができる。

    2つ以上の容器ホルダー(例えば3個以上の容器ホルダー)は頻繁に、回転可能なプラットフォームの外周上に配置される。 各容器ホルダーは、他の各容器ホルダーの2次軸とは異なる個々の2次回転軸を中心として回転可能である。 更に、試料容器又は反応容器のボルテックスはしばしば軌道混合を含む。 軌道混合は、回転可能なプラットフォームの中心軸を中心とした円形の回転を、2つ以上の容器ホルダーの、それらの2次軸を中心とした、回転可能なプラットフォームの回転とは逆方向の円形の回転とともに含む。

    一実施形態では、処理ステーションは、電力線通信システムを含む。

    異なる形状の容器はしばしば、異なる幅、高さ、直径、及び/又はこれらの組み合わせを有する容器を含む。

    一群の実施形態では、データ走査機構は、バーコードスキャナーを含む。 バーコードスキャナーは、バーコード走査以外に、試料容器又は反応容器上のバーコードの中心線及び/又は位置を決定するためによく使用される。

    本明細書では、試料吸引装置からの自動ムコイドストランド検出及び除去のプロセスであって、(a)試料吸引装置を、閉じた底部と開いた上部とを有する、生物学的試料が入った容器に入れる工程と、(b)試料の少なくとも一部を吸引する工程と、(c)試料から試料吸引装置を引き抜く工程と、(d)試料から試料吸引装置が引き抜かれる間に、試料吸引装置の少なくとも一部を画像化し、画像化の結果を処理して試料吸引装置上にムコイドストランドが存在しているか否かを検出する工程と、を含み、ムコイドストランドが検出された場合、試料が容器中に分注され、工程(a)〜(d)が、ムコイドストランドが検出されなくなるまで繰り返されるプロセスも更に提供される。 頻繁に、工程(d)においてムコイドストランドが検出された場合、繰り返される工程(b)は、最初の、又は前の工程(b)と比べて容器の異なる部分で行われる。 また、工程(c)は、試料吸引装置を容器内に残った流体から分離することを含む。

    頻度の高い実施形態では、試料吸引装置はマシンビジョンで画像化され、画像処理はユーザーの手による入力なしで自動的に行われる。 画像化は、試料吸引装置の少なくともチップの画像化を含むことが多い。

    試料吸引装置は、ピペッター上に動作可能に配置されたピペットチップを有することが多い。 頻繁に、ピペッターは、容量性液面検出及び/又は逆容量性液面検出を行うことが可能である。

    最も頻度の高い実施形態では、容器は工程(a)の前にボルテックスされる。 ムコイドストランドが検出された場合、試料が前記容器中に分注された後でいずれかのプロセス工程が繰り返される前に試料はボルテックスされる。

    頻度の高い実施形態では、工程(b)及び(c)は、試料吸引装置が容器の開いた上部の真上に位置した状態で行われる。

    本明細書では、生物学的試料操作又はアッセイ器具内の消耗品の自動リアルタイム在庫管理のためのシステムであって、(a)それぞれが1つよりも多い消耗品の単位を含む1つ以上のタイプの消耗品と(b)1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な画像収集装置と(c)イメージプロセッサーと、を含み、画像収集装置が、1つ以上のタイプの消耗品の画像を撮影し、画像が自動的に処理されて1つ以上のタイプの消耗品の単位の数、位置、及び/又は有無が決定されるシステムも提供される。 頻度の高い一実施形態では、1つ以上のタイプの消耗品が画像収集装置の位置と対向する位置から背面照射されることにより、画像収集装置は、得られる背面照射用照明と光通信可能となる。

    一実施形態では、消耗品のタイプは、ピペットチップ、試料容器、反応容器、入力ラック、出力ラック、又は試薬である。

    頻度の高い一実施形態では、画像収集装置は、1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な状態で静的に取り付けられる。 画像収集装置はまた、前記1つ以上のタイプの消耗品と光通信可能な状態で移動可能に取り付けられることが多い。 このような実施形態では、画像収集装置はロボットアーム上に取り付けられることが多い。

    頻度の低い実施形態では、イメージプロセッサーは画像撮影装置内に含まれる。 他の実施形態では、画像処理は、例えばコンピューター又は演算機構などの、画像撮影装置の外部の装置において行われる。

    一実施形態では、本システムは、2つ以上の画像撮影装置及びイメージプロセッサーを有する。 これらの2つ以上の画像撮影装置のそれぞれは、少なくとも1つのタイプの消耗品と光通信可能であることが多い。 2つ以上の画像撮影装置のそれぞれは、2つ以上のタイプの消耗品と光通信可能であることが多い。 頻度の高い実施形態では、画像撮影装置は、廃棄物容器と光学通信可能な状態に配置され、画像収集装置が、廃棄物容器の画像を撮影し、画像が自動的に処理されて廃棄物容器の存在及び/又は残りの容量が決定される。 また画像撮影装置は頻繁に、1つ以上のタイプの消耗品及び廃棄物容器の画像を1つの画像で撮影する。

    特定の実施形態では、本システムは、操作者通知プロトコルを更に含み、画像化及び画像処理において検出された1つ以上のタイプの消耗品の在庫について、操作者はリアルタイムで通知される。

    また本システムは、電力線通信システムを含むことが多い。

    本明細書では、生物学的試料を処理するための高処理量ランダムアクセス自動器具であって、(a)試料処理ステーションと、(b)消耗品の自動リアルタイム在庫管理のためのシステムと、(c)1つ以上の試料入力ラックを保持するように構成された試料入力ベイと、(d)1つ以上の試料出力ラックを保持するように構成された試料出力ベイと、(e)電力線通信と、(f)廃棄物容器と、(g)消耗品在庫ベイと、(h)ピペッターが動作可能に配置されたロボットアームと、(i)器具内で容器を移動させるためのピックアンドプレース機構と、(j)ユーザーインターフェースと、を有する器具も更に提供される。

    頻度の高い一実施形態では、本器具は、失敗した試料処理を識別及び処理するための自動システムを有することにより、失敗した試料は、器具のユーザー及び/又は下流の自動分子器具に識別可能である。

    別の頻度の高い実施形態では、失敗した試料を識別及び処理するための自動システムは、器具の全体的処理速度に影響しないように、失敗した試料を処理する。

    頻度の高い一実施形態では、本器具は、反応容器又は試料容器上にバーコードを印刷するのに使用されるプリンターモジュールを更に有する。 プリンターモジュールは、バーコードリーダーとデータ通信可能であることが多く、その結果、バーコードリーダーによって読み取られたバーコードをプリンターモジュールにより複製することができる。

    本明細書では、試料を処理又は分析するための自動器具であって、(a)バーコードリーダーと、(b)バーコードリーダーとデータ通信可能なプリンターモジュールと、を含み、試料の処理又は分析が、試料の少なくとも一部を第1の容器から第2の容器に自動的に移動させることを含み、バーコードリーダーが、第1の容器上に存在するバーコードを走査し、バーコードに関連付けられた情報がバーコードリーダーとプリンターモジュールとの間で転送され、プリンターモジュールが第2の容器上にバーコードを印刷する器具も更に提供される。 第1の容器は試料容器を含むことが多く、第2の容器は反応容器を含む。 更に、第2の容器上に印刷されたバーコードは、第1の容器上に存在するものと同じバーコードであることが多い。

    別の頻度の高い実施形態では、第2の容器上に印刷されたバーコードは、第1の容器上に存在するバーコードとは異なるバーコードである。 頻繁に、第2の容器上に印刷されたバーコードに関連付けられた情報は、第1の容器上に存在するバーコードに関連付けられた情報を含み、更なる情報を更に含む。

    開示される器具を使用する方法、ムコイド検出プロセス、並びに試料を処理及び/又は分析するためのシステムもまた、本開示の頻度の高い実施形態である。

    本発明のこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、付属の請求項及び添付の図面を考慮した後に当業者にとって明らかとなろう。

    本開示の試料処理器具の一実施形態の描図を示す。

    本開示の試料処理器具の試料処理ステーションの一実施形態の斜視図を示す。

    本開示の試料処理器具の試料処理ステーションの一実施形態の別の斜視図を示す。

    回転コンベヤー、試料容器、及び反応容器の代表的な回転方向を示す、代表的な試料処理ステーションの平面図を示す。

    代表的なキャップ装着及びキャップ除去機構の斜視図を示す。

    代表的なキャップ装着及びキャップ除去機構の別の斜視図を示す。

    代表的な出力ラックの斜視図を示す。

    カバーを含む代表的な出力ラックの別の斜視図を示す。

    本開示の試料操作器具の別の実施形態の描図を示す。

    使用位置に配置された試料容器を掴むピックアンドプレース機構を含む、代表的な試料処理ステーションの斜視図を示す。

    LBC検体処理の代表的な1つのプロセスフローを示す。

    消耗品在庫管理システム要素の一実施形態の平面図を示す。

    本開示の代表的な電子コントローラーアーキテクチャの一実施形態を示すチャートを示す。

    本開示の試料操作器具の一実施形態の描図を示す。

    本開示の試料操作器具の別の実施形態の描図を示す。

    本開示の試料操作器具の別の実施形態の描図を示す。

    図16の試料操作器具の平面図を示す。

    プリンターモジュールの一実施形態の描図である。

    出力ラックに隣接した試料操作器具内のプリンターモジュールの代表的な1つの配置の描図である。

    別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての専門用語、表記法、及びその他の科学用語又は術語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有するものである。 本明細書において記載又は参照される技術及び手順の多くは、当業者に広く理解されているものであり、従来の技術を使用して一般的に利用されているものである。 必要に応じて、市販のキット及び試薬を使用する手順が、特に断らない限り、製造業者により規定されるプロトコル及び/又はパラメータにしたがって通常行われる。 本明細書において参照されるすべての特許、出願、出願公開及びその他の刊行物を、それらが引用される元となる各論点及び関連する論点に関して参照により援用する。 この項に記載される定義が、参照により本明細書に援用される特許、出願、出願公開、及びその他の刊行物に記載される定義と相反するか又は矛盾する場合には、この項に記載される定義が、参照により本明細書に援用される定義に優先するものとする。

    本明細書において使用するところの「a」又は「an」とは、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。

    本明細書において使用するところの「試料」又は「生物学的試料」とは、ヒトから得られる任意の組織又はポリヌクレオチド含有物質などの生物学的検体のことを指す。 本発明に基づく生物学的試料としては、末梢血、血漿、血清、骨髄、尿、胆汁、粘液、脳脊髄液、大便、エクソソーム、リンパ節、呼吸組織若しくは滲出物を含む生検組織、消化管組織、子宮頸部スワブ試料、精子又はその他の体液若しくは細胞液、組織、分泌物、又は物質が挙げられる。 頻繁に、生物学的試料は希釈されるか、又は希釈液、輸送媒体、保存液、若しくはその他の流体の入った容器に入れられている。 このように、本発明の生物学的試料は、希釈液、輸送媒体、及び/若しくは保存液、又は生物学的試料を保持することを目的としたその他の流体中に含まれる生物学的試料を包含することを意図したものである。

    本明細書において使用するところの「反応容器」とは、流体を保持するように構成された任意の容器、チューブ、試験管、バイアル瓶、又はその他の容器のことを指し、分子的、微生物学的、免疫学的、又はその他の診断生物学的アッセイにおいて使用することができる。 本発明の反応容器の好ましい1つの特徴は、変形、又は中に入れられた試料中に化学物質を滲出することなく加熱(例えば35℃〜90℃)インキュベーションに耐える能力である。 代表的な1つの反応容器として、APTIMA(登録商標)チューブ(Gen−Probe Incorporated、San Diego、CA)がある。

    本明細書で使用するところの「アッセイ器具」、「自動アッセイ器具」、及び「分子アッセイ器具」とは、生物学的試料を評価し、結果を出すことが可能な生物学的試料分析装置のことを指す。 全体的に、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、配列決定アッセイ、又はイムノアッセイを行うことが可能な任意の器具がこの定義に含まれる。 代表的な2つのアッセイ器具として、TIGRIS(登録商標)及びPANTHER(登録商標)器具がある(Gen−Probe Incorporated、San Diego、CA)。

    本明細書で使用するところの「マシンビジョン」とは、画像の解析においてコンピュータビジョンを使用してプロセス又は活動を制御するためのデータを抽出する技術の一分野のことを指す。 例えば、A. Hornberg、HANDBOOK OF MACHINE VISION(WILEY−VCH VERLAG GmbH & Co.KGaA,Weinheim 2006);C. Stegerら、MACHINE VISION ALGORITHMS AND APPLICATIONS(Wiley−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA、Weinheim 2008)を参照されたい。 マシンビジョンプロセスは、画像内の実際の物体を認識し、これらの物体に特性を与える、すなわちそれらがなにを意味するかを理解することを目的としている。

    本明細書で使用するところの「軌道混合」とは、スプーン、磁性粒子、又はこれに相当するものなどの混合器具を必要とすることなく、液体で充填されたリザーバ内に撹拌効果をもたらす運動のことを指す。 軌道混合の代表的な一実施形態では、リザーバに向心力及び/又は遠心力などの外力が作用されることにより、リザーバに入った液体に撹拌作用がもたらされる。 本発明の試料処理器具では、試料容器及び反応容器の軌道混合は、例えば1つ上の試料容器及び/又は反応容器が回転可能なプラットフォームの外周上に配置される試料処理ステーションにおいて行われる。 軌道混合が実現されると、これにより、回転可能なプラットフォームが中心軸を中心として一方向に回転し、試料容器及び/又は反応容器が、回転可能なプラットフォームとは反対の方向に、それぞれが回転可能なプラットフォームの中心軸及び他の各試料容器又は反応容器の軸とは異なる個々の軸を中心として、同時に回転する。

    本明細書において使用するところの「ロボットアーム」とは、ペイロード(例えば、ピペッター、ピックアンドプレース爪、カメラ、センサー、キャッパー/デキャッパーなど)をX、Y、及び/又はZ方向に並進運動させる電気機械的装置のことを指す。 頻度の高い一実施形態では、X、Y、及びZ方向への運動が可能なロボットアームが提供される。

    本明細書で使用するところの「ムコイド」とは、粘性コロイド又は粘性流体などの任意の粘性物質のことを指す。

    本明細書で使用するところの「電力線通信」、「電力線通信システム」又は「PLC」とは、器具全体にデータ信号を送信するために器具に電力線を使用することを指す。 例えば、POWER LINE COMMUNICATIONS:THEORY AND APPLICATIONS FOR NARROWBAND AND BROADBAND COMMUNICATIONS OVER POWER LINES(H.C.Ferreiraら編、John Wiley & Sons Ltd.2010)を参照されたい。 電力線通信システムは、例えば、変調された搬送波信号を配線システムに印加することによって作動する。

    特定の生物学的試料は、試料処理をいっさい行わずに分子アッセイに直接かけることができる。 しかしながら、液状化細胞診(LBC)の試料などの生物学的試料は、アッセイを行う前に処理を必要とすることが多い。 特に細胞試料、組織試料、大便試料、粘液試料、精子試料、脳脊髄液試料、血液試料、骨髄試料、血清試料、尿試料、胆汁試料、呼吸器試料、唾液試料、及びエクソソーム試料など、多くのその他の生物学的試料は、アッセイを行う前に処理を必要とすることが多い。 様々なタイプの試料のアッセイを可能とする一方で特定の試料処理を必要とする特定のアッセイが行われることがよくある。 特に、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)アッセイ、クラミジアアッセイ、淋病アッセイ、ヒトメタ炎ウイルスアッセイ、マイコプラズマ肺炎菌及びクラミドフィラ肺炎アッセイ、百日咳菌アッセイ、クロストリジウムディフィシレアッセイ、ヒトメタ肺炎ウイルスアッセイ、及びパラインフルエンザウイルスアッセイ、前立腺癌アッセイ、良性前立腺過形成アッセイは、様々なタイプの試料に行うことができるが、各試料タイプは、アッセイにかけることができるようになる前に特定の処理を必要とする場合がある。 また、行われるアッセイのタイプによって、アッセイを行う前に試料処理が必要か否か、及び/又はどのような試料処理が必要とされるかが決定され得ることが多い。 例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、及び配列決定アッセイなどの核酸アッセイは、アッセイを行う前に試料処理を必要とすることが多い。 配列決定アッセイ及びイムノアッセイなどのタンパク質アッセイも、アッセイを行う前に試料処理が必要となる場合がある。 LBC試料のアッセイ前処理は本発明の好ましい使用の1つであるが、本発明は、少なくとも上記に述べたタイプのアッセイに関して、上記の試料タイプのいずれかの正確かつ迅速な試料処理を行ううえで有用である。

    図1を参照すると、試料処理ステーション(107)が、1つ以上の入力ラック(103)、1つ以上の出力ラック(104)、ロボットアーム(112、407、408)、試料ピペッター(406)、1つ以上のインキュベーター(105)、及び埋め込み型コントローラーを含む自動器具に組み込まれている。 このような実施形態では、ロボットアーム(112、408)は、試料容器(102)及び反応容器(101)を入力ラック(103)、試料処理ステーション(107)、及び出力ラック(104)の間で移動させる。 これらの要素のそれぞれは、器具のハウジング内に組み込まれることが好ましい。 試料ピペッター(406)は、液面検出及び試薬分注を行いながら、検体を、液状化細胞診(LBC)検体容器のような試料容器(102)から、反応容器(101)(例えばGen−Probe Incorporated、San Diego、CAより入手可能なAPTIMA(登録商標)試料チューブ)に移す。 試料処理ステーション(107)は、試料容器(102)及び反応容器(101)を保持し、バーコードの読み取り(図2、204)、バーコードの位置決め、検体の混合、並びに試料容器及び反応容器のキャップ装着/キャップ除去を行うように構成されるのが好ましい。 1つ以上のインキュベーター(105)は器具に組み込まれることが多く、図に示される実施形態におけるように、時として1つ以上の試料出力ラック(104)を保持するように適合され、試料を反応容器内で直接インキュベートするために使用される。 頻繁に、SUPERPATH(登録商標)(Becton Dickinson、Inc.、Franklin Lakes、NJ)検体採取容器(210)中に採取された試料などのLBC試料は、分子アッセイなどの更なる処理に先立って試薬添加及び加熱インキュベーションを必要とすることが多い。 THINPREP(登録商標)(Hologic、Inc.、Bedford、MA)装置(211)中に採取された試料などの他のタイプのLBC試料は、インキュベーションを必要としない場合がよくある。 加熱インキュベーションが試料処理の一部として必要とされない場合には、器具内の1つ以上のインキュベーターが、出力ラックを保持するように構成されているならば、温度制御をオフにした状態で出力キューとして機能し得る。 本器具には、特定のタスクを器具の副次的要素又はモジュールに委託することにより、システム全体の活動を管理及び処理する埋め込み型コントローラーもしばしば組み込まれている。 代表的なシステム活動としては、採取及び反応容器のキャップ装着/キャップ除去、ボルテックス、採取及び反応容器のピックアンドプレース、ピペット動作、廃棄物リザーバのモニタリング、消耗品在庫のモニタリング、試料キューのモニタリング、運転ログの維持、プロセス制御の監視、システムアラームの監視などが挙げられる。

    本器具は内蔵型であることが多いが、器具ハウジングの外部で使用するための付属品を操作者の便宜及び試料の処理効率のために使用することができる。 このタイプの付属品としては、例えば、携帯型バーコードリーダー、無停電電源、及び、例えばシステム構成ファイルの更新、システムログの転送、試料情報の転送などに有用な、通信ポート(例えば、イーサネット(登録商標)、USB、eSATA、FIREWIRE(登録商標)、Wi−Fi、BLUETOOTH(登録商標)、THUNDERBOLT(登録商標)、RS−232、RS−485など)に適合した機器が挙げられる。

    器具は、ソフトウェアユーザーインターフェースを組み込んでもよい。 一実施形態では、ユーザーインターフェースは、操作者の入力、器具の制御、ステータスのモニタリング、及び試料追跡情報の表示に使用される一体型タッチスクリーンを組み込む。 USBポートなどのデータ入力手段は、例えば、システム構成ファイルの更新、試料追跡データ/運転ログのダウンロードを促進し、外部のマウス及びキーボードの接続のために組み込まれることが多い。

    本器具には、一般的に、ユーザーが試料入力領域、試料出力領域、及び消耗品領域にアクセスすることができるハードウェアユーザーインターフェースも組み込まれている。 例えば、一実施形態では、本器具は、器具の前面にこれらの領域にアクセスするための2つ以上のキャビネット又は引き出しを含む。 好ましい一実施形態では、本器具には、2つのドア及び2つの引き出しが組み込まれており、一方の引き出し(111)は、ピペットチップトレー(110)、試料処理試薬などの器具の消耗品を入れるように構成し、別の引き出し(109)は、廃棄物容器(108)を入れるように構成することができる。 図1では、消耗品引き出し(111)内にピペットチップトレー(110)のみが示されているが、試料処理試薬を入れるために更なる又は交換用の容器がこうした引き出しに含まれてもよい点は、当業者であれば理解されるところであろう。 更に、固体及び液体廃棄物容器(108)は1つの容器として示されているが、廃棄物容器(108)は、一方が固体廃棄物(例えば使用済みのピペットチップ)用、他方が液体廃棄物(例えば廃棄された試料)用の2つの独立した廃棄物貯蔵領域に好ましくは区画又は分割することができる点は、当業者であれば理解されるところであろう。 例えば、図9は、廃棄物容器引き出し(402)、液体廃棄物容器(403)、及び固体廃棄物容器(404)を含むこうした構成を示している。

    再び図1に戻ると、器具インキュベーター(105)内に滑動することができる1つ以上の出力ラック(104)を保持するようにキャビネットを構成することができる一実施形態が示されている。 これらの出力ラック(104)は、システムの出力キューとして機能する。 この実施形態では更に、別のキャビネットを、1つ以上の入力ラック(103)(本明細書では試料ラックとも呼ぶ)を保持するように構成することもできる。

    本器具は、異なる形状の採取容器(例えば210、211、まとめて102)に採取された試料を含む様々なタイプの試料を扱うように構成されているため、特に好ましい実施形態では、このキャビネットは複数のタイプの試料ラックを保持するように構成される。 例えば、一実施形態では、キャビネットはTHINPREP(登録商標)及び/又はSUREPATH(登録商標)試料容器(それぞれ211、210)を収容する試料ラック(103)を保持するように構成される。 関連する実施形態では、各試料ラック(103)は1つのタイプの検体を保持するように構成されており、そのため、2つのラックがある場合、一方のラックにはTHINPREP(登録商標)検体容器のみを入れ、他方のラックにはSUREPATH(登録商標)検体容器のみを入れることができる。 別の好ましい一実施形態では、各試料ラック(103)は、2つ以上の異なる形状の試料容器を保持するように構成され、例えば試料ラックは、THINPREP(登録商標)及びSUREPATH(登録商標)試料容器の両方を保持することができる。 この実施形態では、試料ラック(103)は、一方の側にSUREPATH(登録商標)試料容器(210)(対応する反応容器(101)を含む)を、反対側にTHINPREP(登録商標)試料容器(211)(対応する反応容器(101)を含む)を保持するように構成されることが多い。 使用時には、試料ラックは、SUREPATH(登録商標)試料容器を保持し、次いで逆さまにひっくり返すと、THINPREP(登録商標)試料容器を保持することができる。

    各キャビネット又は引き出しの一部として、ユーザーに器具内のラック、消耗品、又は廃棄物容器の現在の状態に関する視覚的フィードバックを提供することができるインジケーターライトなどの更なる要素が必要に応じて含まれてもよい。 例えば、インジケーターライトは、特定のラックに処理が行われているか否か、したがってアクセスできないことをユーザーに表示することができる。 その逆に、このライトは、別の試料ラックのための場所を空けるために処理の終わったラックを取り出すことが安全である場合にユーザーに表示することもできる。 同様のインジケーターライトを、試料出力ラック及び消耗品引き出しに含めることもできる。 一実施形態では、インジケーターライトは、介入中に視覚的補助を与えるよう、引き出しが開かれている場合にユーザーに見える。

    代表的な入力ラックは、試料容器及び反応容器の両方を保持するように構成される。 この試料ラックは、試料容器及び反応容器の複数のペアを、それらが1:1の比で交互に組み込まれるように保持するように構成されるのが好ましい。 この実施形態では、試料処理を開始するために、器具の消耗品レベルを確認した後、ユーザーによって求められる最初の動作は、ラックに試料チューブ及び反応容器のペアを装填し、このラックを試料処理が行われるように器具に挿入することである。

    図7及び8を参照すると、複数の反応容器を保持するように構成された代表的な出力ラック(104)が示されている。 本器具は、反応容器を入力ラック(103)から出力ラック(104)へと自動的にプロセスし、ここでユーザーは出力ラックをアッセイにかけるために取り出すことができる。 好ましい一実施形態では、出力ラックは、分子アッセイを行うことが可能な自動器具において動作可能であるように構成される。 このような実施形態では、ユーザーは、反応容器中の処理済みの試料を収容したラックを取り出し、ラックにカバーを取り付けるといった何らかの更なる必要な活動を行うか又は行わずにかかわらず、ラックを自動分子アッセイ器具に入れて所望のアッセイを行う。 それほど好ましくはない実施形態では、試料出力ラック内の反応容器は、自動分子アッセイ器具において動作可能であるように構成されたラックに手で移される。

    例えば、出力ラック(104)自体は、特定の実施形態では試験管又はAPTIMA(登録商標)輸送チューブのようなチューブ状容器を含み得る複数の容器を受容及び保持するように適合される。 代表的な出力ラックは、米国特許出願公開第2010−0288061号に述べられている。 出力ラック(104)内の隣接する仕切り壁の各ペア間の隙間は、個々の容器を受容するための試料容器ポケット(302)、又は容器受容領域を画定している。 一実施形態では、バーコード(301)のようなポケット識別記号が各ポケット(302)に隣接した仕切り壁(110)に設けられる。 記号には、英数字識別子、例えば「A」、「B」、「C」などが含まれてもよく、各ポケット(302)を固有に識別する。 「空のポケット」を示すバーコード(303)のような機械可読ラベルを、各ポケット(302)内の、ポケット302の内側に設けることによって、各ポケット(302)を固有に識別し、ポケット302内に容器がない場合に表示することができる。

    特定の実施形態では、出力ラックは、96ウェルプレートのようなマイクロタイタートレーを含む。 こうした実施形態では、試料を、試料チューブからマイクロタイタートレー又は出力ラックに直接導入することができる。 しかしながら、頻繁に、インキュベーションが必要な場合には、中間チューブをインキュベーションに使用することにより、試料を試料チューブから中間チューブに移してから、インキュベーション後に中間チューブからマイクロタイタートレーに再び移すことができる。

    頻度の高い一実施形態では、試料容器と反応容器の両方に一致するバーコードを付けることにより、検体を器具内で追跡する。 例えば、内蔵バーコードスキャナー(204)は、各チューブが試料処理ステーションに置かれた時点でチューブのバーコードを読み取る。 このようなバーコードリーダーは、例えば、試料容器又は反応容器上に配置されたラベルの1つ以上の縁の位置を識別し、ラベル上の識別された縁の間の、又は特定の縁から所定の距離に配置されたバーコードの位置を推測することにより、試料容器又は反応容器上のバーコードの位置を特定することが可能であることが多い。 すべてのシステムプロセス制御、チューブのバーコード、時間/日付スタンプ、ユーザー情報、及びシステムステータスは、試料容器又は反応容器のバーコードを介して問い合わせ可能な内蔵追跡システム内に保存されることが多い。 ユーザーは、しばしば、器具のタッチスクリーンの使用により、又は必要に応じて用いられる携帯型バーコードスキャナーの使用によって、バーコードに関連付けられた識別子を手で入力して問い合わせを行うことができる。 全体的システムステータス、試薬及び補給品在庫、処理済み検体の記録、及び保守を監視するように、システムソフトウェアを適合することができる。 別の実施形態では、無線自動識別(RFID)の使用により、試料をシステム内で追跡する。 このような実施形態では、試料関連、アッセイ関連、試薬関連、システムステータス関連、ユーザー関連、時間/日付スタンプ関連、及び/又は器具関連の情報をRFIDタグに書き込むか又は再書き込みし、試料処理及びそれ以降を追跡及び/又は更新することができる。

    一実施形態では、器具には、器具内のモジュール(例えば試料処理ステーション)間で試料容器及び反応容器を移動させるためにX、Y、及びZ平面内で並進運動可能なロボットアーム(112、408)が組み込まれる。 好ましい一実施形態では、ロボットアーム(112、408)には、試料及び試薬を反応容器中に分注するためのエア作動式ピペッターシステムが組み込まれる。

    一実施形態では、ピペッターシステムは、一体型エアピペッター(406)及びチューブグリッパー(405)を含むXYZZロボットシステム(106)の一部として設けられる。 最も一般的には、ピペッター及びチューブグリッパーは、同じロボットアーム(405)上に組み込まれるが、それぞれは独立して動作可能なZ軸を有する。 このシステムは、ピペッター及びチューブグリッパーに共通のXY軸及び2つの独立したZ軸を有してピペッター及びチューブグリッパーを動作させることが多い。 またこのシステムは、ベルト駆動されるX、Y軸、及びギア駆動されるZ軸を含むデカルト座標系を含むことが多い。 このシステムのモーターは、回転式エンコーダー、ホーム及びリミットセンサーを有していることが多い。 頻度の高い一実施形態では、ロボットアームは、器具デッキ上の任意の点に約2秒以内に移動することができる。

    考えられるピペッターヘッド(406)の1つの例は、CV 0.75%で10〜1000μlの量を分注することが可能な完全一体型のOEMモジュール(Tecan Group Ltd.、Mannedorf、Switzerland)である。 このような実施形態では、ピペッターヘッドは、ロボットアームのZ軸上に取り付けられる。 好ましい一実施形態では、ピペッターは、Tecan製使い捨てチップ(例えば、10μl、50μl、200μl、1000μl、フィルター付き、又はなし)と適合し、チューブ、バルブ、又はシリンジを必要としないエア作動式ピペッターである。 ピペッターヘッドは、高度な内蔵ポンプ診断、自己診断、及びエラー報告機能を含んでいることが多い。 更に、好ましいピペッターは、一体型圧力センサー(pLLD)を有する設定可能な液面検出機能を有し、外部の容量性液面検出ハードウェア(cLLD)と適合性を有し、プロセスのモニタリングのために1つ以上の圧力センサーからのリアルタイムのストリーミングデータを提供することができ、DiTi存在検出センサー及びDiTi放出機構を有する。

    チューブグリッパーモジュール(405)はしばしば、システム内における試料容器及び反応容器のピックアンドプレース機能を担う。 一実施形態では、チューブグリッパーモジュール(405)はロボットアーム上の2次Z軸に取り付けられる。 関連する一実施形態では、グリッパー機構は、時計回り/反時計回りに回転される際にグリッパーを開閉するカムディスクを含む。 この実施形態では、カムディスクは、必要に応じて、小型の高トルクDCギアモーター又はステッパーモーターにより駆動される。 様々な更なるグリッパー機構も考えられ、当該技術分野において知られている。

    図9に示されるもののような別の好ましい実施形態では、器具は、それぞれが専用のピペッターヘッド(406)又はチューブグリッパー(405)を有する2つ以上のロボットアーム(407、408)を含む。

    一実施形態では、試料は、試料容器(102)から反応容器に連続的に移される。 例えば、ある試料のアリコートが1つの試料容器(102)から取り出され、反応容器(101)に移される。 この後、別の異なる試料が異なる試料容器(102)から取り出され、別の異なる反応容器(101)に移される。 試料処理ステーションにおいて試料を移動及び処理するための代表的なプロセスについては、以下に詳細に述べる。

    試薬添加及び加熱インキュベーションを試料処理の一部として必要とする試料に関し、一実施形態では、内蔵インキュベーター(105)によって、出力ラックが器具から取り出される前に最終処理工程として出力ラックを加熱することが可能である。 この実施形態では、各出力ラック(104)には一般的に、1つのタイプの試料、すなわち加熱インキュベーションを必要とするもの、又は必要としないものが入れられる。 この実施形態におけるインキュベーターモジュール(105)は、試料のインキュベーション及びシステムの出力キューとしての少なくとも2つの機能を有している。 各インキュベーターモジュール(105)は、それぞれが出力ラックを収容することが可能な1、2、又は複数のスロットを含むように構成することができる。 代表的な一実施形態では、インキュベーターは、加熱にはKaptonヒーターホイルを用い、冷却には受動的対流を用いる。 インキュベーターの構成とは関係なく、強制空気対流、ペルティエ素子による加熱、抵抗加熱、加熱された気体又は液体の循環など、他の様々なインキュベーターの形態も本発明における使用が同様に考えられる。 特に頻度の高い一実施形態では、インキュベーター内に置かれた試料は、設定温度の±2℃で安定状態に維持される。 好ましい一実施形態では、インキュベーターは、発泡断熱材などの断熱材料によって包囲される。

    試料が出力ラック内でインキュベートされる場合、試料は一般的に、出力ラック上の位置の最大数又はそれよりも少ない数に相当するバッチでインキュベートされる。 例えば、15個又はそれよりも少ない数の試料を1つのラック内で一度にインキュベートすることができる。 無論、実際の使用では、出力ラック内の試料の数は、ラック内の利用可能なスロットの数及び処理しようとする試料の数に応じて、15よりも多いか又は少ない数の試料でもよい点は、当業者であれば認識されるところであろう。

    本器具の別の側面は、本器具が、行われる特定のアッセイを確立した製造者により確立されたプロトコルにしたがった自動試料処理を提供するための一定レベルの同調性を可能とする点である。 これらのプロトコルは、最も一般的には、規制ガイドライン及び権限にしたがったものである。 更なる側面では、本器具は、試料採取容器の製造者により確立されたプロトコルにしたがった自動試料処理を可能とする。 例えばLBC検体を、例えばTHINPREP(登録商標)又はSUREPATH(登録商標)のプロトコルにしたがって器具上で自動的に処理することができる。 頻度の高い一実施形態では、試料ラックはタグ付けされ(RFIDタグ、機械的フラッグ、固有の機械可読識別子、マシンビジョン、バーコードリーダー、又は別の手段などにより)、その結果、器具は試料ラック内に存在する試料のタイプを認識し、そのタイプの試料に特異的な試料処理プロトコルを自動的に行う。 他の任意の又は他の各ラックに対するプロトコルとは異なる処理プロトコルを必要とする試料をそれぞれが収容した複数の異なる試料ラックが存在する場合、器具は、処理量と次の結果までの時間とのバランスを取る一群の規則にしたがって試料を自動的に処理する。 例えば、THINPREP(登録商標)容器中の試料を収容した試料ラックを、SUREPATH(登録商標)容器中の試料を収容したラックと一緒に処理するために器具に装填することができる。 図11は、本開示の器具においてTHINPREP(登録商標)及びSUREPATH(登録商標)の検体の組み合わせを調製するための代表的な処理フローを示している。

    本発明の試料処理器具の特に好ましい実施形態が、図14〜17に示されている。 これらの実施形態では、インキュベートを必要とする反応容器(101)の加熱インキュベーション用に専用のインキュベーター(504)が設けられる。 実際の使用では、反応容器(101)は、試料処理ステーション(107)での処理の完了後にピックアンドプレース機構(405、507)によりインキュベーター(504)内に置かれる。 インキュベーションが完了した後、反応容器(101)はピックアンドプレース機構(405、507)によって出力ラック(104)内に置かれる。 所望の処理量に応じて、出力ラック(104)の数は、例えば4個(図14)〜8個(図15〜17)の出力ラックの間で異なり得る。 しかしながら、使用される出力ラック(104)の数及び/又は出力ラック(104)の使用に割り当てられるスペースは、ラック4個よりも少ないか、又はラック8個よりも多くともよい点は、当業者であれば認識されるところであろう。 これらの実施形態では、出力ラック(104)は、インキュベートされた反応容器(101)及びインキュベートされていない反応容器(101)でランダムに実装されてよい。 これらの実施形態における出力ラック(104)内の試料のタイプの構成は、本発明の実施形態をインキュベートする出力ラック(104)において用いられるような試料のバッチ化を必要とすることなく、任意の特定の時間に検査機関によって処理される試料のタイプ及び数によって決まることが多い。

    実際の使用においては、図14〜17の実施形態では、恒温インキュベーター(504)が用いられることが多いため、反応容器(101)がインキュベーター(504)内に置かれるとインキュベーションが直ちに開始される。 このような実施形態では、各反応容器ホルダー(505)は、特定の所定温度まで加熱され、反応容器(101)が存在するか否かによらず、その温度に維持される。 あるいは、インキュベーターにサイクリング機能をもたせることにより、反応容器(101)が反応容器ホルダー(505)内に置かれた時点又はその後で、インキュベーターが所定の温度に速やかに加熱するようにすることもできる。 別の好ましい実施形態では、インキュベーターは、インキュベーターの一部分を個々に加熱することができる一方でインキュベーター(504)の他の部分は加熱されないままとなるように、間仕切りされる。 この間仕切りは、各反応容器ホルダー(505)が個々に温度制御されるように個々の反応容器ホルダー(505)を含んでもよく、あるいは、間仕切りは、2つ以上の反応容器ホルダー(505)、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、又はそれよりも多い反応容器ホルダー(505)が1つのユニットとして温度制御されるように、反応容器ホルダー(505)のブロックを含むこともできる。 いずれの場合にも、操作者が介入することなく、時間効率の高い方法で最適な試料処理が確実に行われるように、システムコントローラーにより各反応容器(101)のインキュベーションのタイミングを監視する。

    図14〜17に示される実施形態では、インキュベーター(504)内に130個の反応容器ホルダーが示されているが、インキュベーター(504)内の反応容器ホルダー(505)の数は、所望の処理量及び必要なインキュベーション時間に応じて広い範囲、例えば130個よりも多いか又は少ない数で異なり得る。 例えば、2時間の代表的なインキュベーション時間、及び1分間の個々の試料の処理時間の場合、好ましい実施形態には少なくとも約120個の反応容器ホルダー(505)が組み込まれる。 この例では、反応容器(101)を120分間にわたって1分毎にインキュベーター(504)に導入することができるため、120個の反応容器ホルダー(505)の最後のものが充填されるのとほぼ同時に、最初に導入された反応容器(101)がインキュベーションを完了し、インキュベーター(504)から出力ラックに取り出すことができる。 これにより、処理量を最大としながらも、インキュベーター(504)によって占有されるスペースを最小とする一方で、新たな反応容器(101)をインキュベーター(504)に導入するための空いた場所が常に残ることになる。 実際の使用においては、このような実施形態は、最初のインキュベーションが完了した時点でピックアンドプレース機構が他の作業に使用されているか、出力ラック(104)内に利用可能なスペースがないか、又はシステム全体が使用されている場合に備えて、インキュベーター内に更なる反応容器ホルダー(505)を有することが多い。 インキュベーション時間が2時間未満である場合、反応容器ホルダー(505)の数をこれに応じて減らすことで処理量を最大とすることができる。 これに応じて、試料処理時間が1分未満に短縮される場合には、試料処理ステーション(107)において最初の試料処理が完了した任意の時点で反応容器(101)をインキュベーター(504)内に置くことができるように、インキュベーター(504)内に更なる反応容器ホルダー(505)を設けることが好ましいことが多い。

    図14〜17には、ピペットチップトレー(110)及び試薬容器(503)を含む消耗品領域に加えて、固体廃棄物容器(108)及び液体廃棄物容器(502)の代替的な構成も示されている。

    図14及び15には、ピペッター(406)及びピックアンドプレース機構(405)の両方を含む1つのロボットアーム(112)が示されているが、例えば図16及び17に示されるように例えば2つ以上の複数のロボットアームも考えられる。 図16及び17に示されるように、第2のロボットアーム(506)にはピックアンドプレース機構(507)が設けられているのに対して、第1のロボットアームにはピペッター(406)が設けられている。 関連する代替的な一実施形態では、第1のロボットアーム(112)がピペッター(406)及びピックアンドプレース機構(405)の両方を含み、第2のロボットアーム(506)はピックアンドプレース機構(507)を含む。 第2のロボットアーム(506)は頻繁に、器具により求められるすべてのピックアンドプレース作業の機能を果たす。 あるいは、第2のロボットアーム(506)は、コントローラーにより、反応容器(101)及び試料容器(102、210、211)を、例えば入力ラック(103)と試料処理ステーション(107)との間で移動させること、試料処理ステーション(107)から入力ラック(103)への試料容器(102、210、211)の移動、処理ステーション(107)からインキュベーター(504)若しくは出力ラック(104)への反応容器(101)の移動、及び/又はインキュベーター(504)から出力ラック(104)への反応容器(101)の移動をプログラムされる。 複数のロボットアームの使用により、例えば、試料処理ステーション(107)における処理が中断されないようにしながら処理量を最大とすることにより、複数の利点がもたらされる。

    プロセス制御 試料処理の精度及び完了を確実にすることは、処理が手動で行われるか自動で行われるかにかかわらず、あらゆる生物学的試料の処理プロセスの重要な側面である。 しかしながら、自動処理では、ユーザーの見えないところで処理が行われることが多いため、特定の処理が行われたか否か、又は正確に行われたか否かを判定することは益々困難となっている。 更に、LBC試料などの生物学的試料は、他の理由の中でもとりわけ、ムコイド、微粒子の高頻度の発生、試料間の汚染のリスク、及びハケ、ブラシ、スパチュラなどの検体採取器具の存在のために自動による扱いがしばしば困難な材料である。 ムコイドは時として試料の吸引後にピペットチップの先端から垂れ下がる場合があり、試料の吸引及び分注精度を妨げ得る。 ムコイドの高い粘度が、吸引された真の試料体積の誤った表示を与える場合も時としてある。 更に、ロボット操作されるピペットチップの先端において垂れ下がったムコイドは、ピペットが廃棄物容器又は他の位置に移動する途中で試料容器、反応容器、及び/又は試薬の上方を曲がりくねって通過する際に重大な汚染のリスクをもたらす。 微粒子もまた、ピペットチップの開口部を詰まらせ、吸引された試料の真の体積の誤った表示を与えるか、又は吸引を完全に妨げる可能性があることから、試料の吸引及び分注精度の妨げとなる。

    したがって、本システムは、様々なプロセス制御に各試料処理プロトコルを有利に与えることにより、不適切に処理された試料がユーザーに提供される確率を最小限に抑えるものである。 例えば、プロセスの各工程において、本明細書に述べるような、エンコーダー、電気機械式フラグ、液面検出、バーコード読み取り、温度センサー、マシンビジョン、光学センサー、逆cLLD、及び圧力式体積確認を使用することで、検体チューブ及び試料チューブ、並びに試薬及び検体自体が、処理プロトコルの各工程を支障なく完了するようにするものである。

    試料処理プロトコルが失敗し、試料が回収されない場合、こうした失敗に対処するための様々な考えられる選択肢がある。 一実施形態では、試料処理が失敗した場合、反応容器がピペッターにより液抜きされ、出力ラック内に置かれる。 その後、試料が試料アッセイ器具で処理される際、空の反応容器は液面検出の失敗又は分注の失敗を起こす。 反応容器は対応する試料採取容器と同じ患者識別情報、例えばバーコード情報を含んでいるため、試料処理の失敗は自動的に検査機関情報システム(LIS)に報告される。 あるいは、試料処理が失敗した場合、反応容器は出力ラック内に置かれるが、容器のバーコードが読み取りできないように回転される。 ユーザーがバーコードが見えないことに気がつくか、又は試料が試料アッセイ器具で処理される際に、出力ラック(104)の特定のスロット内の反応容器に関する識別情報が読み取れないために試料アッセイ器具はそのスロットが空であると判定する。 ユーザーが、反応容器が実際には存在し、反応容器に特定の試料採取容器が関連付けられていることを識別するために、この空の表示が、ユーザーに処理の失敗をLISに報告するキューを与えることになる。 試料処理の失敗に対処するための第3の選択肢は、反応容器を入力ラックに戻すことであり、これにより、必要に応じて出力ラック(104)内に空のスロットが残ることになる。 第2の選択肢と同様、ユーザーはこの後、入力ラック(103)内の反応容器(101)を識別するか、かつ/又は、ユーザー若しくはアッセイ器具が、出力ラック内に反応容器(101)が存在しないことを識別し、試料処理の失敗をLISに報告する。 別の選択肢としては、試料操作器具上のプリンターが、失敗した試料のチューブに付けられたバーコードを黒く塗りつぶすことで、試料が下流の器具で誤って処理されないようにすることができる。

    試料操作プロセスを自動化する際に生じる別の問題は、試料の識別精度を確保することである。 例えば、試料が調製される際、試料は試料採取容器(102、210、211)と反応容器(101)との間で移動される。 したがって、試料が適正なプロトコルにしたがって処理され、その試料とドナー患者との相関関係が維持されるように、反応容器(101)内の試料が試料容器(102、210、211)内の試料と関連付けられるようにすることが重要である。 これらの問題を解決するため、本器具は、試料が試料容器(102、210、211)から反応容器(101)に受け渡される際に試料を追跡することを含め、各試料の識別情報を処理の全体を通じて有利に追跡する。 本明細書において提供される、この情報を追跡する代表的な1つの方法は、一致するバーコードを試料容器(102、210、211)及び反応容器(101)の両方に利用することである。 このプロセスにより、試料−結果の確実な識別情報追跡が維持される。 この追跡プロセスを使用することにより、チューブのバーコードを一致させ、反応容器(101)を試料アッセイ器具に常に直接受け渡すことでLISインターフェースの必要がなくなるという、従来の試料処理器具と比較した場合の利点がもたらされる。 更に、このプロセスによれば、一般的に下流のアッセイ器具がLISに接続されることから、必要とされる器具のソフトウェア及び追跡プロセスが大幅に簡素化される。

    LBC試料を処理するために必要とされる検査ワークフローでは、LBC試料容器(102、210、211)及び反応容器(101)の両方が、患者識別情報を含む同じバーコードを有することが求められる。 これにより、ハイブリダイゼーションアッセイ、増幅アッセイ、配列決定アッセイ、及び/又はイムノアッセイを行うことが可能な器具などの試料アッセイ器具が、検査機関のLISと通信を行うことが可能となる。 一部の検査機関はこうした能力を有していないか、又は検査機関のプロセスフローは複製バーコードの印刷を許可しない。 本発明は、幾つかの代替的な方法でこれらの問題に対処するものである。 例えば、検査機関がこうした能力を有する場合は、検査機関は患者識別情報を含むバーコードを印刷し、これを試料容器(102、210、211)に貼付することができる。 一方、反応容器(101)は、例えばチューブ製造者によって与えられる予め印刷された固有の通し番号をチューブ上に含んでいる。 次いで、試料操作器具が試料容器(102、210、211)のバーコード及び反応容器(101)のバーコードを読み取り、2つの容器間の関連性を与える。 次いで、この関連性情報がネットワーク接続(例えば、LAN、イーサネット(登録商標)、WiFi、Bluetooth(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)、RS232、USB、RF、IR、FIREWIRE(登録商標)、THUNDERBOLT(登録商標)、eSATA、又はその他)を介して試料アッセイ器具に転送される。 試料アッセイ器具が、この関連性を有する患者識別情報を有する反応容器に出会うと、器具は関連付けされた試料容器(102、210、211)のバーコードに対して患者データを問い合わせ/報告し、これがLISにロードされる。

    あるいは、関連性情報が、USBドライブ又はこれに相当するものなどの携帯記憶装置上のファイルに保存される点を除いて、上記と同様のシナリオも生じ得る。 次いで、携帯記憶装置は、例えばアッセイ器具に手で差し込まれ、情報が器具に転送される。 あるいは、関連性情報は時として、例えば出力ラック上に配置されたRFIDタグに保存される。 このような実施形態では、RFIDタグは、器具内に置かれた際にアッセイ器具に情報を送信する。

    あるいは、検査機関は、患者識別情報を含む1つのバーコードを印刷し、これを試料容器(102、210、211)に貼付する。 一方、反応容器は、ラベル、ブランクラベル、又は異なるラベルのいずれも含まない。 次いで、試料操作器具が試料容器(102、210、211)のバーコードを読み取り、試料容器(102、210、211)上に含まれるものと同じバーコードを印刷し(バーコードのプレフィックス、サフィックス、又はこれに相当するものの形態の任意の更なるメタデータと共に)、これを反応容器(101)に貼付する。 関連する好ましい一実施形態では、試料処理器具は試料容器(102、210、211)のバーコードを読み取り、例えば、印刷、押印、焼き付け、熱転写、又は別の方法により、同じバーコードを(バーコードのプレフィックス、サフィックス、又はこれに相当するものの形態の任意の更なるメタデータと共に)反応容器上に直接付与する。 また、異なるバーコードを、対応する試料の処理に関連した更なるメタデータ(例えば、時間、体積、タイプ、試薬、誤差など)を含む反応容器上に印刷することもよく行われる。 バーコードは、最も一般的には、器具内に配置されたプリンターモジュール(図18及び19に示される)の使用により器具内において作られる。 &実際の使用においては、試料容器が、処理を行うために入力ラックから試料処理ステーションに移動されるのと同時に、対応する反応容器が入力ラックからプリンターモジュールに移動される。 反応容器は、最も一般的には、ブランクラベル、又はラベル上のブランク領域を有しており、プリンターモジュールによりここにバーコードが印刷されるか又は貼付される。 実際の使用においては、プリンターモジュールは、バーコードを印刷する位置を識別するためにチューブの向きを自動的に決定する。 この向きの決定は、ラベルの縁、又はラベルに含まれる他の標示を基準として行われることが多い。 バーコード印刷の手段としては、例えばインクジェット、直接感熱、熱転写、インパクト、レーザーアブレーション、レーザー色素変化などの任意の公知の印刷方法が挙げられる。 他の理由の中でもとりわけ、余分な消耗品の必要性、汚染のリスクをなくすためにプリンターモジュールにおいては熱転写印刷を使用することが一般的に好ましい。 反応容器上にバーコードが印刷されるか、又は他の何らかの方法により自動的に適用された後、反応容器は処理を行うために試料処理ステーションに移動される。

    別の代替的な実施形態では、試料容器(102、210、211)は複製バーコード、又は複数のバーコードを含み、試料処理器具がこれらのバーコードの1つを剥がし、これを反応容器上に直接貼付する。 これにより、自動アッセイ器具は、試料容器(102、210、211)のバーコード(すなわち患者ID)に対してLISに直接問い合わせするか、又はLISに報告することができる。

    一実施形態では、試料は自動試料操作器具で1つずつ処理される。 例えば、インキュベーションが必要でない場合には、次の試料の処理は、前の試料の処理が完了するまで開始されない。 このような実施形態では、ロボットアームのピックアンドプレース機構が、入力ラック(103)から試料容器(102、210、211)及び反応容器(101)を取り出す。 容器は両方とも、試料処理ステーション(107)に移動され、そこで例えばバーコードがバーコードリーダー(204)によって読み取られ(215)、ペアであることが確認される。 好ましい一実施形態では、試料容器の処理は、反応容器が到着する前に試料処理ステーションにおいて開始する。 このような実施形態では、反応容器は、試料処理ステーションに到着する前に反応容器上にバーコードを印刷するためにピックアンドプレース機構によってプリンターモジュール(図18及び19)に提示されることが多い。 反応容器上に印刷又は他の何らかの方法により適用されたバーコードは、対応する試料容器と同じであっても異なるバーコードであってもよい。 その特定の試料の処理に関連する更なるメタデータをコード化する異なるバーコードが組み込まれることが多い。

    処理が完了した時点で、反応容器(101)は出力ラック(104)に移動され、試料容器(102、210、211)は入力ラック(103)に戻される。 すべてのプロセス制御、システムステータス、及びユーザーステータスは、ログ記録され、試料バーコードに関連付けられ、持続的記憶装置に保存される。 任意の時点において、試料処理のログに、例えばバーコード、RFIDにより特定の試料について問い合わせするか、又は試料処理のログを例えばUSBドライブ若しくはこれに相当するものを介してファイルにエクスポートすることができる。

    多くの診断器具においては、在庫管理及びモニタリングは、複雑でかろうじて正確であり、時間のかかる一群の仮定、規則、及びフィードバック機構によって対処される。 本発明の自動試料処理器具は、マシンビジョンによる内蔵在庫の高速、正確、リアルタイムの制御及びモニタリングのための新しい概念を実現する。 実際の使用においては、在庫品目のそれぞれは、任意の内蔵消耗品、試料、チューブ、及び廃棄物の体積、容量、又は在庫を決定するための画像処理アルゴリズムを実行する一群のカメラに見えるようになっている。 例えば、一実施形態では、1つ以上のカメラが器具フレーム上に静的に取り付けられて、連続したリアルタイムフィードバックを与える。 これに加えるか、又はこれに代えて、図16及び17に示されるように、1つ以上のカメラ(508)が、ロボットアーム(112、506)上に取り付けられて、器具の複数の領域に視覚的フィードバックを与える。 図16及び17は、ロボットアーム(112)上の1つのカメラ(508)を示しているが、第2のロボットアーム(506)上に別のカメラを配置することもできる。 特殊な照明技術が与えられることにより、ロバストで高速かつ正確な視覚的フィードバックを実現している。 例えば、試料処理器具でよく使用されるマシンビジョン在庫管理の幾つかの特定の領域としては、以下のものがある。
    1. ピペットチップ及び廃棄物容器の在庫:デッキを見下ろす器具の上方にカメラが取り付けられる(例えば図17)。 カメラは、ピペットチップトレー及び廃棄物容器と光通信可能であり、これらを画像化する。 カメラは例えば、内蔵画像処理能力を有するか、又は画像処理を行うためのコンピューター又は演算装置に接続され、画像を処理し、チップトレー及び廃棄物容器内のすべてのチップの完全な在庫を提供する。 一実施形態では、チップトレー及び廃棄物容器の下の背面照明が設けられることにより、複雑さが低減され、信頼性及び画像処理アルゴリズムの速度が向上する(図12を参照)。 一実施形態では、チップトレー及び/又は廃棄物容器は、画像化を高めるために半透明の材料で作られる。
    2. LBC検体チューブの在庫:デッキを見下ろす器具の上方にカメラが取り付けられる(例えば図17)。 カメラは、処理される試料容器(102、210、211)を収容した試料入力ベイと光通信可能であり、これを画像化する。 カメラは例えば、内蔵画像処理能力を有し、画像を処理し、器具上に存在するすべての反応容器(101)及び試料容器(102、210、211)の完全な在庫を提供する。 関連する一実施形態では、カメラを使用して、例えば試料容器(102、210、211)若しくは試料ラック(103)上のマーキングを識別するか、又は試料容器(102、210、211)若しくは試料ラック(103)上に含まれるバーコードを可視化することにより、試料容器(102、210、211)のタイプ及び/又は入力ラック(103)に収容された試料のタイプを判定する。
    3.1つのカメラによる在庫管理:あるいは、1つ以上のカメラ(508)が器具のロボットアーム(112、506)に取り付けられている。 カメラ(508)は、ロボットアーム(112、506)のルーチン動作の間、又は特別な指示により、器具デッキを動き回り、上記の(1)及び(2)の場合と同様、すべての器具消耗品の完全な在庫を提供する。

    上記に述べたように、患者から採取した検体の一般的な問題の1つは、ムコイドの存在である。 ピペットチップは頻繁に、詰まるか、又は試料若しくは検体チューブからムコイドストランドを吸い込む。 詰まりは圧力式フィードバックにより通常は検出可能であるが、ムコイドストランドは検出可能ではない場合がある。 ムコイドが適切に除去されないと、汚染が生じ得る。 せん断機構が効果的である場合もあるが、ムコイドの除去を保証するものではない。 好ましい一実施形態では、本自動試料処理器具には、検体吸引の直後で、かつピペットチップが検体チューブから離れる前にすべてのピペットチップを視覚的に検査するためのマシンビジョンシステムが組み込まれている。 このビジョンシステムは、ムコイドストランドが存在するか否かに関して器具コントローラーに通知する内蔵画像処理アルゴリズムを有するカメラを含んでいることが多い。

    第2層の検出として、ピペッターは必要に応じて、米国特許第7,479,391号に述べられるような逆容量性液面検出(cLLD)を行う。 逆cLLDは、ピペットチップの静電容量の変化を検出する。 ピペットチップが検体液から取り出されると、cLLDが静電容量の段階変化を報告する。 この段階変化は、検体の液面において生じる(液面は吸引の前に正確に検出される)。 段階変化が遅れるか又は段階変化がない場合には、ムコイドが存在している可能性がある。

    ムコイドストランドがいずれか又は両方のプロセスによって検出された場合、ピペッターは試料を試料容器(102、210、211)内に完全に吐き戻し、吸引を再び試みる。 ピペッターは必要に応じて、ムコイドを避けるために、試料チューブ内におけるその位置を新たな吸引位置に変えることができる。 複数回の再試行後にムコイドストランドが依然として検出される場合、検体チューブは必要に応じてボルテックスされ、吸引プロセスが繰り返される。 このプロセスは、試料容器(102、210、211)を離れるムコイドストランドがまったくないために、従来のせん断機構と比較して汚染に対する顕著な保護をもたらすという利点を有する。 更に、この方法は、保守をほとんど又はまったく必要としないため、日常の器具洗浄の必要性が低減される。

    頻度の高い一実施形態では、自動試料処理器具は、正確かつ完全な試料処理を確実に行うために以下のプロセス制御のうちの1つ以上を含む。
    1. 処理ステーションにおいてチューブを読み取るためにバーコードリーダーを使用した確実な試料識別。
    2. 残っている調製物の数及びタイプを識別することが可能な、すべての消耗品、固体廃棄物容器、入力ラック、出力ラック、及びインキュベーター在庫の消耗品在庫管理(例えばカメラによる)。
    3. 液面検知及び/又はLLDにより確認及び追跡された試薬体積。
    4. LLD又は分注を数えることによる廃棄物容器中の液体体積の追跡。
    5. ピペッターチップの保持及び放出の検出。
    6. 液面検知及び/又はRVDによる圧力分注体積確認による試料供給の確認。
    7. 液面検知及び/又はRVDによる圧力ディスペンサー体積確認による試薬供給の確認。
    8. センサー及び/又はエンコーダーを使用した機械的運動の検知による混合の確認。
    9. すべての温度感受性モジュールの熱モニタリング。
    10. 適正なロボット動作を保証するためのエンコーダーフィードバック。
    11. マシンビジョンによるムコイド検出。
    12. 異なるタイプの試料(例えば入力ラック)を検出するためのセンサー。
    13. 器具内の反応容器の確実なID確認及びバーコード印刷。

    別の頻度の高い実施形態では、自動試料処理器具は、汚染のリスクを最小限に抑えるために以下のプロセス制御のうちの1つ以上を含む。
    1. フィルター付き使い捨てピペットチップ。
    2. 洗浄可能な検体入力ラック。
    3. 洗浄可能な出力ラック。
    4. 洗浄可能な消耗品ラック。
    5. 使い捨て廃棄物容器及び廃棄物容器カバー。
    6. 洗浄可能な液だれトレー。
    7. 検体のムコイド除去軌道。
    8. チップラック、試料ラック、及び処理ステーションの間のバリア。
    9. エアロゾルが器具のより清浄な側からそれほど清浄でない側に移動するように制御された空気流。
    10. 容易に洗浄可能な表面及び軌道。
    11. 操作者にはねかかることから保護するための器具カバー。
    12. 試料吸引及びムコイド検出のマシンビジョン及び逆cLLDによる確認。

    本器具は、試薬の添加及び加熱インキュベーションを必要とするものもあれば、インキュベーションを必要としないものもある、複数のタイプの試料を同時に処理することが可能であるため、適正な熱管理を確実に行うことが重要である。 これに関して、一実施形態では、自動試料処理器具は、以下の項目のうちの1つ以上を含むことが多い。
    1.4つ以上の出力ラックに対して使用される4つ以上のインキュベーター。 あるいは1つのインキュベーターが提供されて、インキュベートされるすべての反応容器に対して使用される。
    2. 精密なインキュベーター温度制御及び重複性をもたらす複数の温度センサー。
    3. 制御された空気流。
    4. インキュベートしない反応容器を収容する器具の他の部分、試料容器、及び試薬への熱伝導を防止する断熱されたインキュベーター。

    処理量 本発明は、複数の異なるタイプの試料を同時に処理することが可能な自動高処理量ランダムアクセス試料操作器具を提供する。 上記に述べたように、器具は、次の結果までの時間と処理量とのバランスを取る一群の規則にしたがって試料を自動的に処理し、これは、異なるルーチン及び試薬を必要とする異なるタイプの試料を器具が処理している場合に特に関連する。 例えば、一実施形態では、本器具は、最大で約540個のインキュベーションを必要としない試料、又は最大で約360個の試薬添加及び加熱インキュベーションを必要とする試料を、1回の8時間のシフトで処理するように設計される。 この時間には、器具のセットアップ、稼働準備、試料操作、洗浄、及び器具の電源停止が含まれる。 この考察の目的では、「稼働」とは、開始から終了までに最大で約60個のLCB検体の処理として定義される。 1回の稼働において、機械上の利用可能な入力及び出力スロットの数に応じて、これよりも多いか又は少ない試料を処理し得ることは、当業者であれば認識されるところであろう。 例えば、1回の稼働は、開始から終了までに最大で約96個のLCB検体の処理を指す場合もある。 一実施形態では、1回の稼働は、利用可能な入力スロットの所定の部分又はすべてを占有するか、又は利用可能な出力スロットの所定の部分又はすべてを占有する一群の試料を処理することを指す。

    インキュベーションを必要としない試料処理プロトコル(すなわちTHINPREP(登録商標)試料の処理)とは、器具で実行される最小数の工程を有するLBC調製プロトコルであることが多い。 頻繁に好ましい一実施形態では、このプロトコルは、1検体当たり約1分間の処理時間を要し、したがって8時間のシフトで最大で9回の稼働(例えば540個の試料)を処理することが可能である。 この実施形態では、最初の結果までの時間は、1つの検体について約1分間、又は15スロットを有する完全な出力ラックを調製するためには約15分間である。

    別の実施形態では、このプロトコルは、1検体当たり約30秒間の処理時間を要し、したがって8時間のシフトで最大で18回の稼働(例えば1080個の試料)を処理することが可能である。 この実施形態では、最初の結果までの時間は、1つの検体について約30秒間、又は15スロットを有する完全な出力ラックを調製するためには約7.5分間である。

    検体処理時間は、必要とされる処理のタイプ及び準備される試料のタイプによって決まることが多い。 全体的な試料処理プロトコルは、一定範囲の時間で変化してよく、例えば、1つの試料の処理は30秒間〜2.5時間(インキュベーションが必要な場合)の範囲で変化してよい。 頻繁に好ましい一実施形態では、試料処理時間は、30秒間〜2分間の範囲であり得る。 別の好ましい一実施形態では、試料処理時間は、約1〜約2分間の範囲であり得る。 インキュベーションが必要な場合、試料処理時間は、約1時間〜約2.5時間の範囲であることが多い。

    一実施形態では、THINPREP(登録商標)試料の処理のフローは、同時に行われるプロセス制御とは関係なく、以下のようなものである。
    a. 入力ラックから試料容器(211)を摘み、処理ステーション(107)の回転コンベヤー(209)上の対応する容器ホルスター(それぞれ206、208)内に置く。
    b. 試料バーコードを読み取る。
    c. 軌道混合する(図4の矢印を参照)。
    d. 必要に応じて、対応する反応容器(101)を入力ラックから摘み、バーコード印刷を行うためにプリンターモジュール(図18及び19)内に置く。
    e. 対応する反応容器(101)をプリンターモジュール(図18及び19)から摘み、処理ステーション(107)の回転コンベヤー(209)上の反応容器ホルスター(208)内に置く。
    f. キャップ装着/キャップ除去機構(201)を保持するエレベーター(203)の下に試料容器(211)を回転させ、ここでチャック(205)がキャップ(212)を掴む(更に図5及び6を参照)。
    g. Thinprep容器(211)のキャップを外す。
    h. エレベーター(203)がキャップ/チャック(212/205)を上方に動かすと、回転コンベヤー(209)がキャップにぶつからずに回転することが可能となり、液だれトレー(202)がキャップ/チャック(212/205)の下に旋回する。
    i. 試料容器(211)を使用位置(すなわち、図2で容器(211)が示される位置)に回転させる。
    j. 試料を試料容器(211)から吸引する。
    k. ピペッター(406)を液体廃棄物容器(502)の上方に移動させる。
    l. 試料容器(211)を、キャップ装着/キャップ除去機構(201)及びチャック(205)の下に回転させる。
    m. 液だれトレー(202)をチャック(212/205)の進路から外れるように動かす。
    n. エレベーター(203)が、キャップ/チャック(212/205)を保持するキャップ装着/キャップ除去機構(201)を試料容器(211)上に下方に動かし、液だれトレー(202)が引き抜かれる。
    o. 試料容器(211)に再びキャップを装着する。
    p. 回転コンベヤー(209)の回転が可能となるようにエレベーター(203)を上方に動かす。
    q. 反応容器がキャップ装着/キャップ除去機構(201)の下に回転される。
    r. エレベーター(203)が下げられ、そこでチャック(205)が反応容器のキャップ(216)を掴んで外す。
    s. エレベーター(203)がキャップ/チャック(216/205)を上方に動かし、液だれトレー(202)がキャップ/チャック(216/205)の下に旋回する。
    t. 液だれトレー(202)をキャップ(216/205)の下に動かす。
    u. 反応容器(101)が使用位置に回転される。
    v. 試料が反応容器(101)内に分注される。
    w. 反応容器(101)がキャップ装着/キャップ除去機構(201)及びチャック(205)の下に回転される。
    x. 反応容器(101)に再びキャップを装着するためにエレベーター(203)がキャップ/チャック(216/205)を反応容器(101)上に下方に動かすと、液だれトレー(202)が引き抜かれる。
    y. 反応容器(101)に再びキャップが装着される。
    z. 試料容器(211)が入力ラック(103)に移動される。
    aa. 反応容器が出力ラック(104)に移動される。

    一実施形態では、SUREPATH(登録商標)試料の処理のフローは、同時に行われるプロセス制御とは関係なく、以下のようなものである。
    a. 入力ラックから試料容器(210)を摘み、処理ステーション(107)の回転コンベヤー(209)上の対応する容器ホルスター(それぞれ207、208)内に置く。
    b. 試料バーコードを読み取る。
    c. 混合する(図4の矢印を参照)。
    d. 必要に応じて、対応する反応容器(101)を入力ラックから摘み、バーコード印刷を行うためにプリンターモジュール(図18及び19)内に置く。
    e. 対応する反応容器(101)をプリンターモジュール(図18及び19)から摘み、処理ステーション(107)の回転コンベヤー(209)上の反応容器ホルスター(208)内に置く。
    f. キャップ装着/キャップ除去機構(201)を保持するエレベーター(203)の下に試料容器(210)を回転させ、ここでチャック(205)がキャップ(213)を掴む(更に図5及び6を参照)。
    g. 試料容器(210)のキャップを外す。
    h. エレベーター(203)がキャップ/チャック(213/205)を上方に動かすと、回転コンベヤー(209)がキャップ(213)にぶつからずに回転することが可能となり、液だれトレー(202)がキャップ/チャック(213/205)の下に旋回する。
    i. 試料容器(210)を使用位置(すなわち、図2で容器(211)が示される位置)に回転させる。
    j. ピペッター(406)が、所定量の試料処理試薬(例えばGen−Probe Incorporated、San Diego、CAより入手可能なFASTEXPRESS(登録商標)試薬)を吸引する。
    k. 工程(g)と同じピペットチップを使用するか、又は新しいピペットチップを選択して、試料容器(210)から試料を吸引する。
    l. ピペッター(406)を液体廃棄物容器(502)の上方に移動させる。
    m. 試料容器(210)を、キャップ装着/キャップ除去機構(201)及びチャック(205)の下に回転させる。
    n. エレベーター(203)が、キャップ/チャック(213/205)を保持するキャップ装着/キャップ除去機構(201)を試料容器(210)上に下方に動かし、液だれトレー(202)が引き抜かれる。
    o. 試料容器(210)に再びキャップを装着する。
    p. 回転コンベヤー(209)の回転が可能となるようにエレベーター(203)を上方に動かす。
    q. 反応容器(101)がキャップ装着/キャップ除去機構(201)の下に回転される。
    r. エレベーター(203)が下げられ、そこでチャック(205)が反応容器のキャップ(216)を掴んで外す。
    s. エレベーター(203)がキャップ/チャック(216/205)を上方に動かし、液だれトレー(202)がキャップ/チャック(216/205)の下に旋回する。
    t. 反応容器(101)が使用位置に回転される。
    u. 試料が反応容器(101)内に分注される。
    v. 反応容器がキャップ装着/キャップ除去機構(201)及びチャック(205)の下に回転される。
    w. 容器に再びキャップを装着するためにエレベーター(203)がキャップ/チャック(216/205)を反応容器(101)上に下方に動かすと、液だれトレー(202)が引き抜かれる。
    x. 反応容器(101)に再びキャップが装着される。
    y. 試料容器(210)が入力ラック(103)に移動される。
    z. 必要に応じて反応容器(101)が混合される。
    aa. 反応容器(101)がインキュベーションを行うために出力ラック/インキュベーター(104/105)又は専用インキュベーター(504)に移動される。
    bb. 反応容器(101)が専用インキュベーター(504)内に配置される場合、インキュベーション後に反応容器(101)は出力ラック(104)に移動される。

    上記のプロセスの1つ以上が同時に行われ得る点は、当業者であれば認識されるところであろう。 上記の自動プロトコルはあくまで例としてのみ与えられるものであり、工程の数、各工程の内容、及び特定の順序又は同時に行われるプロセスの数は、本発明の対象に影響することなく変更又は改変することが可能である。

    各試料を処理するのに要する処理時間が、所定の時間に調製できる試料の数に直接影響する点は、当業者であれば認識されるところであろう。 処理時間の操作は処理精度に悪影響を及ぼしかねず、汚染のリスクを高め得るものであるが、試料処理間の休止時間が最小限に留められる限り、様々な試料処理時間が考えられる。

    試薬添加及び/又はインキュベーション工程を組み込む試料処理プロトコル(例えばSUREPATH(登録商標)試料の処理)は、試薬を用いない、又はインキュベーションを行わないプロトコルよりも若干複雑である。 SUREPATH(登録商標)試料の処理の場合では、試料を完全に調製するために試薬添加工程及びインキュベーション工程が必要とされる。 頻度の高い一実施形態におけるSUREPATH(登録商標)試料の律速段階は、インキュベーションを必要とする試料のインキュベーション時間である。 例えば、65℃で2時間の試料のインキュベーションは、器具の全体的処理量に影響する。 インキュベーション時間を短縮し(例えば約1時間にまで)、任意の時点でインキュベートされる試料の数を増やし、かつ/又は出力ラック内のスロットの数を少なくすることにより、器具の停止時間を最小限に抑えることができ、インキュベーションを必要とする試料を含む試料のバッチにおける処理量を最大化することができる。

    試料のインキュベーション時間は、一定の時間にわたり異なり得る。 例えば、LBC試料の場合では、インキュベーション時間は約15分間、約30分間、約45分間、約60分間、約75分間、約90分間、約105分間、又は約120分間とすることができる。 インキュベーション温度も時として同様に異なる。 例えば、インキュベーション温度は、37℃若しくは約37℃、65℃若しくは約65℃、又は約37℃〜約65℃とすることができる。 時として、インキュベーション時間は、90℃若しくは約90℃、又は約37℃〜90℃であり得る。 頻度の低い実施形態では、インキュベーション温度は、65℃より高いか又は低い。 出力ラック内でのインキュベーションを必要とする頻度の低い一実施形態では、器具は、一般的にインキュベーションプロセスが開始される前に例えば15個の試料で出力ラックを完全に実装させる。 このような実施形態では、処理時間は、インキュベーション工程の前に試料1つ当たり約1分30秒、又は約1分間、又はおよそ1分間未満である。

    約120のインキュベーションスロットを有する専用インキュベーター内で(試料出力ラック内ではなく)反応容器のインキュベーションを行う、しばしば好ましい実施形態では、反応容器がインキュベーター内に配置された時点でインキュベーションを開始することが可能であり、出力ラックが完全に実装されるまで待つ必要がないために、高い処理速度を維持することができる。 例えば試料処理器具は、専用インキュベーターに入れられた各反応容器のインキュベーション時間を監視するように構成することができる。 同様に、このような実施形態では、出力ラックのスペースを使用することなく、任意の特定の時点で多数の試料をインキュベートすることができるため、インキュベーションを必要とする試料を同時に処理しながらインキュベートされない試料の入力ラックへの連続した流れを可能とする。 インキュベートされた試料の任意の特定のバッチ(例えば15個の試料で埋まった出力ラック)の処理時間は、専用インキュベーターの使用によって短縮されることは往々にしてないが、出力ラックの使用の柔軟性が最大となることから処理量の利点が実現される。 例えば、任意の特定の出力ラックに、インキュベートされた反応容器及びインキュベートされていない反応容器を含む試料を実装させることができる。 例えば15のスロットを有する出力ラックを含むような実施形態では、これらのスロットは、最大で15個のインキュベートされた反応容器及び最大で15個のインキュベートされていない反応容器で埋めることができる。 こうした状況では、出力ラックを埋めるために、15個の反応容器のインキュベートの完了を待つ必要はなく、むしろ、ラックに、任意の数のインキュベーションを完了した反応容器を実装させると同時に、出力ラック内の残りのスロットはインキュベートされていない反応容器で埋めることができる。 したがって、頻繁に好ましい一実施形態では、試料処理器具は、器具の起動時間及び停止時間を除いた8時間の稼働日の全体において、試料がインキュベーションを必要とするか否かとは無関係に毎分1つの試料を処理することが可能である。

    異なるインキュベーション時間、試料出力ラック内のスロットの数、及び/又は出力ラックの部分的充填が可能であることは、試料のバッチを含む1つ以上の試料の完了までの時間に相応に影響する点は、当業者であれば理解されるところであろう。 例えば、インキュベーション時間が2時間から短縮される場合、同様の処理量を維持しつつインキュベーションスロットの数を減らすことができる。 特に断らない限り、本発明は、特定のインキュベーション時間、試料入力ラック内の試料の量、試料入力ラックのスロットの数、出力ラック内のスロットの数、出力ラックのスロットの数、インキュベーターの数、ロボットアームの数、ピックアンドプレース機構の数、又は試料処理ステーションの数に限定されない。

    一実施形態では、本器具は、インキュベータースロットの数を120より多く、又は少なく変更できるようにモジュール式である。 更に、試料処理器具には、更なる試料入力又は出力スロット、例えば、4、5、6、7、8、又はそれ以上の入力又は出力スロットを設けてもよく、これにより、システムの処理量を増大させる一方でユーザーによるウォークアウェイ時間を延ばすことが可能となる。

    一実施形態では、本器具は、むだ時間を最小としつつ、インキュベーションを必要とする試料及び必要としない試料を収容した試料ラックの任意の組み合わせをいつでも処理するように設計される。 この特徴は、1〜8個の検体(入力ラック内に保持される検体の代表的な数)のバッチで、器具に対するユーザーのランダムアクセスを可能とするものである。 器具のソフトウェアにより、システム内の試料に必要とされるインキュベーション時間を考慮し、1群の規定された規則に基づいて次の結果までの時間と処理量とのバランスが取られる。 好ましい一実施形態では、試料処理の規則は以下のようなものである:(1)現在の出力ラックの装填を完了する、(2)インキュベーションを必要とするすべての試料をインキュベーションまで処理する、及び(3)インキュベーションを必要としないすべての試料を処理する。 このような実施形態ではよく、出力ラックが実装されつつある間にいくつの試料がインキュベーションを完了したかに応じて、出力ラックは、インキュベートされた試料及びインキュベートされていない試料により実装されることができる。 例えば、一実施形態では、試料がインキュベーションを完了すると、この試料は、出力ラック内の次の利用可能なスロットに、それが空であるか部分的に充填された出力ラックであるかにかかわららず、直ちに移動される。 インキュベーションの完了と出力ラックへの移動との間の時間の長さは、例えばこうした移動を行う器具のピックアンドプレース機構が利用できるかどうかにより制限され得る点は、当業者であれば理解されるところであろう。

    上記に述べたように、本器具は、処理される試料のタイプにかかわららず処理量を最大化するように設計される。 本明細書において検討される実施形態及び実施例は、あくまで説明のために与えられるものに過ぎない。 上記に述べたように、入力及び出力スロットの数(インキュベーターの数を含む)は、全体的処理量に影響するように減らすか又は増やすことが可能であり、その制限要因には、インキュベーション時間及び試料処理ステーション内での処理時間が含まれる。 したがって、一実施形態では、本器具は、1つ以上の試料処理ステーションを、必要に応じて、これに対応して数が増えた入力スロット及びインキュベータースロット、並びにピペッター及び/又はピックアンドプレース機構を含むロボットアームと共に組み込む。 この構成は、上記に述べた例と比べて処理量を増やすと考えられるが、ベンチトップの設置面積が大きくなるという代償をともなう。

    処理量の増加に対する別の制限要因は、器具の全体の設置面積である。 検査室のスペースは、非常に限られていることが多いため、より小型のベンチトップ型の器具しか設置することができない。 本発明は、完全自動の試料処理ソリューションをコンパクトなパッケージ内に与えることにより、この要求を満たすものである。 このため、本発明の目的の1つは、複数のタイプの試料を自動試料処理することが可能なコンパクトな器具を提供することにある。 例えば、好ましい一実施形態では、器具はベンチトップ型器具である。

    容量 消耗品及び液体/固体廃棄物の容量は、検体の処理が停止され、消耗品が再装填され、廃棄物が除去される前に本器具が行うことが可能な試験の最大数をしばしば規定する。 一実施形態では、消耗品及び廃棄物容器は、最大で96の試料を処理するようなサイズとされる。 別の実施形態では、消耗品及び廃棄物容器は、最大で192の試料を処理するようなサイズとされる。 更なる一実施形態では、消耗品及び廃棄物容器は、試料の数、及び、最大で約540の試料を処理する場合のように、器具の完全シフトの使用で生成される液体及び固体廃棄物の体積に対応するサイズとされる。

    廃棄物容器は、試料処理が失敗した場合に使用されることが多く、失敗した試料は廃棄物容器内に捨てられる。 更に、一実施形態では、廃棄物容器は試料処理プロセスの一部として用いられ、試料容器(102、210、211)から外されたキャップ及び試料又は試薬を含んだピペットチップの液だれ受けとして機能する。 一実施形態では、液だれ受けは、試料処理ステーションの回転コンベヤー(209)が試料の吸引又は分注を行うための使用位置(図2に示される)へと回転するのに要する時間の間、使用することができる。 別の実施形態では、液だれ受け又は液だれトレー(202)は、試料処理ステーション(107)の構成要素として含まれる。 頻度の低い一実施形態では、液だれ受け又は液だれトレーは、液体廃棄物容器と流体連通した部分と、(a)試料容器から外されたキャップ、又は(b)試料又は試薬を含んだピペットチップの下に配置することが可能な別の部分とを含む。 いずれの場合も、液体廃棄物容器(502)は、1回の運転シフト、又は1日の運転において生成されるすべての液体廃棄物を保持する容量を有するように構成されることが多い。

    一実施形態では、入力ラック(103)は、8個の反応容器(101)に加えて、最大で約8個のLBC試料容器(102、210、211)を保持するようなサイズとされる。 この実施形態では、器具は、合計64個のLBC試料に対して最大で8個の入力ラック(103)を保持するように設計される。 更なる試薬又はインキュベーションを必要としない540個の試料を処理するためには、8個の試料入力ラック(103)は、例えば9回装填される。 更なる試薬又はインキュベーションを必要とする試料が処理される場合では、入力ラック(103)は、例えば360個のLBC検体を処理するために6回装填される。

    代表的な一実施形態では、出力引き出しは、合計120個の反応容器に対してそれぞれが15個の反応容器を保持することが可能な少なくとも4個、又は最大で約8個の出力ラック(104)が入るようなサイズとされる。 本器具は、出力ラック(104)が器具で使用されている間、そのトップカバー(304)、そうでない場合には出力ラックの一部が外されていることが必要であるように構成することができ、これにより、反応容器(101)をラックに装填することが可能となる。 この例では、1回のシフトにおいて、540個の試料を処理では、36個の出力ラック(104)が外され、360個の試料の処理では、24個の出力ラック(104)が外される。

    一実施形態では、本器具は、消耗品及び廃棄物に割り当てられた1つ以上の引き出し又はキャビネットを有する。 ピペットチップトレー(110)(例えば、2つ以上の、96のピペットチップのトレイ)が、更なる試薬を必要とする試料に必要とされる1つ以上の試薬ボトル(503)と共に、消耗品引き出し又はキャビネットに装填される。 頻繁に、バーコードリーダー(図に示されていない)が消耗品引き出し又はキャビネットと光学通信可能な状態で組み込まれることにより、引き出しが閉じられるか又は消耗品がキャビネットに入れられる際に、消耗品の1つ以上がスキャンされて、例えば、ロット番号、使用期限、総量、残存量、試薬の種類などの消耗品に関する様々な情報が判定される。 しかしながら、往々にして、消耗品はキャビネット又は引き出しを閉じる前にスキャンされる。 このような実施形態では、例えば試薬ボトルなどの特定の消耗品は、必要な又は所望の情報をコード化したバーコードを有する。

    一実施形態では、試薬ボトル(503)は、更なる試薬を必要とする少なくとも96個の試料(例えばSUREPATH(登録商標)試料)、又は少なくとも約120個の試料、又は少なくとも約190個の試料、又は最大で約360個の試料を処理するのに充分な容積を一般的に有する。 更なる試薬ボトル、又はより大きい試薬ボトルが、上記に代えて組み込まれてもよい。 例えば、一実施形態では、試薬ボトル(503)は一般的に、1回のシフト又は複数回のシフトで試料の少なくともすべてを処理するのに充分な容積を有する。 消耗品引き出し又はキャビネットは、運転中にユーザーが誤って開くことができないようにロックされることが多い。

    器具の準備及び装填 代表的な一実施形態では、器具を稼働させるために準備するうえでの第1の工程は、消耗品引き出しを使えるようにすることである。 一実施形態では、本器具は、試薬、ピペットチップの補充、廃棄物容器を空にすること、反応容器を出力ラックに移動させること、入力ラックの交換、及び/又は出力ラックの交換が必要となる前に、器具が処理することが可能な残りの試料の数を表示する。 処理される残りの試料の数が、行われる準備の所望の数よりも少ない場合、消耗品引き出しへのアクセスが頻繁になされ、引き出しが装填され/空にされる。 これにより、器具は、マシンビジョンの使用により、例えばどのピペットチップが使用されたか、何個のチップが残っているかを追跡することができる。 例えば、図12を参照されたい。 一実施形態では、試薬ボトル(503)は、残りの試薬で行うことが可能な残りの準備の数を決定するために液面センサにより監視される。 好ましい一実施形態では、ピペッターの液面検出機能を利用して試薬ボトル(503)内に残っている試薬の量を監視する。 固体廃棄物に関しては、廃棄物容器引き出しが開かれるたびに廃棄物容器(108)の中身を空けることができる。

    この実施形態における次の工程は、一致するバーコードラベルを試料容器(102、210、211)及び反応容器(101)に貼付し、これらの容器を適切な試料入力ラック内に装填することである。 すべての入力ラック(103)が装填された時点で、これらを器具内に挿入する。 代表的な一実施形態では、器具内の入力ラック(103)の完全な在庫を得るために、マシンビジョンを使用して、実装された各ラック内における試料容器又は反応容器の位置を検出する。

    この実施形態の別の工程では、出力ラック(104)が器具内に装填される。 出力ラック(104)は(ある場合)そのトップカバー(304)が外されており、やはり空でなければならない。 代表的な一実施形態では、マシンビジョンを使用して出力ラック(104)が空か否かをチェック又は確認する。 新たに挿入された出力ラック(104)が空でない場合には、システムはユーザーに通知する。

    この実施形態の別の工程では、マシンビジョンを使用してインキュベーター(504)の在庫を追跡する。 したがって、本器具において使用されるように、マシンビジョンは、インキュベーター(504)、入力ラック(103)、出力ラック(104)、固体廃棄物容器(108)、及びチップトレー(110)を含む器具の在庫を任意の時点において正確に判断することができる。

    器具の流体管理 本器具の好ましい一実施形態には、制御された流体管理を確実に行うための様々な手段及び装置が組み込まれている。 例えば、一実施形態では、本器具は、容量性及び圧力式流体検出(LLD)、並びに圧力式吸引/分注確認(RDV)を使用するピペッター(406)を備えた単一のピペッターアーム(112)を有する。 この実施形態では、精密ドライシリンジポンプを使用して、例えば25〜1000μLの体積を正確に吸引及び分注する。 シリンジポンプは、モーターが止まったり又は故障していないことを確認するための回転式エンコーダーを含んでいることが多い。 ポンプには、シリンジとピペットチップとの間にて、分注及び/又は吸引が行われる際に圧力波形を記録する圧力トランスデューサーが組み込まれている。 この曲線の特性を用いて分注/吸引プロセスの確認(RDV)を行う。 シリンジポンプには、ステンレス鋼接合部を介して、静電容量の変化を測定するために用いられる振動電流を伝導する導電性のピペットチップが取り付けられることが多い。 このピペットチップが流体に触れると静電容量が変化し、これを液面検出(LLD)回路によって検出することができる。 例えば、本明細書にそれぞれ参照により援用する米国特許第4,977,786号、同第5,083,470号、及び同第7,479,391号を参照されたい。

    試薬ボトル内の流体面はLLDを用いてしばしば検出され、既知のボトル形状に基づいて体積が計算される。 試薬ボトルは、システム内の他のボトルと混じり合わないように鍵が付けられていることが多い。

    頻度の高い一実施形態では、失敗した反応容器から廃棄液が取り出され、ピペッターを用いて液体廃棄物リザーバに入れられる。 こうした状況では、標的反応容器の液面を検出することで除去する液体の量が決められる。 液体廃棄物は、反応容器から吸引され、液体廃棄物容器内に分注される。 液体廃棄物の液面はLLDによっても測定され、保守管理が必要な場合にユーザーに通知される。

    電子回路の設計 一実施形態では、本器具の電子回路設計には、マスターPCコントローラーとシステムモジュールとの間で電力及び通信を分配するコントローラーエリアネットワーク(CANbus)が含まれる。 CANbus及びすべてのシステム周辺機器は、例えば図13に示されるようなイーサネット(登録商標)及びUSBインターフェースを介してマスターPCコントローラーにインターフェースする。

    別の好ましい実施形態では、本器具の電子回路設計は、器具内の電力線上を通信信号が伝送されることを可能とする電力線通信(PLC)に頼っている。 例えば、POWER LINE COMMUNICATIONS:THEORY AND APPLICATIONS FOR NARROWBAND AND BROADBAND COMMUNICATIONS OVER POWER LINES(H.C.Ferreiraら編、John Wiley & Sons Ltd.2010)を参照されたい。 PLCは、高速のデータ転送、及び特にCANbusプロトコル、TCP/IPなどの各種のプロトコルの使用を可能とするなど、CANbusと比較して一定の利点を与える。 更に、PLCは、器具の部品間に延びる導線/ケーブルの数を減らすことにより高い信頼性を与えると同時にシステムの複雑さを軽減する。 PLCは、潜在的な導線/ケーブルのピンチポイントの数が減り、導線/ケーブル及び存在する場合にはそれに付随する導管によって占有される面積が小さくなるため、動く部品において特に有利である。

    頻度の高い一実施形態では、PCは、必要最低限のものだけを装備したOSを動作させる。 すべての緊急を要する活動はモジュールコントローラーレベルで扱われ、各モジュールはその特定のタスクを実行させる役割を担ったそれ自体のコントローラーを有する。 コマンドは、例えばCANbusネットワークを介してモジュールに送信される。 各モジュールコントローラーは、それ自体の特定のコマンド及びパラメータのセットを含む。 コントローラーは、いつでもマスターコントローラーにモジュールステータスを知らせることが可能である。

    本明細書に参照したすべての文書を、本明細書において参照によりここに援用する。 しかしながら、いずれの文書も、特許請求される対象に対して従来技術であることを容認するものではない。

    以上、本発明を、現時点において最も実用的かつ好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明してきたが、本発明は開示される実施形態に限定されるものではなく、むしろその逆に、付属のクレームの趣旨及び範囲内に含まれる様々な改変及び同等の構成を網羅しようとするものである点が理解されるべきである。

    更に、付属のクレームのうち、米国特許法第112条第6パラグラフの下で認められる「特定の機能を行うための手段(means for performing a specified function)」形式の文言を含まないものは、米国特許法第112条第6パラグラフの下、本明細書に記載される構造、材料、又は機能、及びそれらの均等物に限定されるものとして解釈されることを意図するものではない。

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