System and method for performing high-throughput detection for the analyte in the sample

申请号 JP2013557931 申请日 2012-03-09 公开(公告)号 JP2014508941A 公开(公告)日 2014-04-10
申请人 マグアレイ,インコーポレイテッド; 发明人 ジェイ. オスターフェルド,セバスチャン; エックス. ワン,シャン;
摘要 【課題】ハイスループット検出システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、磁気検出器、磁界発生源、及び複数の 流体 リザーバを有するリザーバプレートを含む。 磁気検出器は、2以上の細長領域を有する支持体を含み、各細長領域が遠端部に磁気検出アレイを有する。 また、このハイスループット検出システムで用いる方法も提供する。
权利要求
  • ハイスループット検出システムにおいて、
    (a)2以上の細長領域を有し、各細長領域の遠端部に磁気検出アレイを有する支持体を備える磁気検出器と、
    (b)磁界発生源と、
    (c)複数の流体リザーバを有するリザーバプレートとを備え、
    前記システムが、前記流体リザーバの一連のセット内に前記磁気検出アレイを配置するように構成してある ことを特徴とするシステム。
  • 前記磁気検出器と動作可能な関係となるように前記リザーバプレートを移動させ、前記磁気検出器の前記細長領域にある前記遠端部がそれぞれの流体リザーバ内に配置されるように構成してある第1リザーバプレート駆動部 を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  • ハイスループット検出システムにおいて、
    (a)磁界発生源と、
    (b)複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを移動させ、2以上の磁気検出アレイを有する磁気検出器と動作可能な関係にするように構成してある第1リザーバプレート駆動部とを備え、
    前記システムは、前記2以上の磁気検出アレイが前記流体リザーバの一連のセット内に位置するように構成してある ことを特徴とするシステム。
  • 前記リザーバプレートと同一平面内にある少なくとも1つの軸に沿って、前記リザーバプレートを移動させるように構成してある第2リザーバプレート駆動部を更に備える ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のシステム。
  • 前記磁気検出アレイからリアルタイムの分析対象物特異的シグナルを取得するように構成してあるプロセッサを更に備える ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のシステム。
  • 磁気検出器において、
    2以上の細長領域を有し、各細長領域の遠端部に磁気検出アレイを有する支持体 を備えることを特徴とする磁気検出器。
  • 各磁気検出アレイが、表面に結合した分析対象物特異的プローブを有する1以上の磁気センサを備える ことを特徴とする請求項6に記載の磁気検出器。
  • 前記磁気検出アレイの少なくとも1つは、2以上の異なる磁気センサを備え、各磁気センサは、異なる分析対象物を特異的に検出するように構成してある ことを特徴とする請求項6又は7に記載の磁気検出器。
  • 前記磁気検出アレイの少なくとも2つは、異なるセットの分析対象物を特異的に検出するように構成してある ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の磁気検出器。
  • サンプル中に分析対象物が存在するかを判定する方法において、
    (a)流体リザーバのセット内に収容されたサンプルのセットに請求項6乃至9のいずれか一つに記載の磁気検出器を接触させてシグナルを生成するステップと、
    (b)前記分析対象物が各サンプル中に存在するかを、前記シグナルに基づいて判定するステップと を備えることを特徴とする方法。
  • 接触させる前記ステップは、前記サンプルを収容する前記流体リザーバのセット内に前記磁気検出アレイを位置させるステップを含む ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  • 判定する前記ステップは、磁気的にラベルされた前記サンプルが前記磁気検出アレイに接触した場合に前記検出アレイからリアルタイムの分析対象特異的シグナルを取得するステップを含む ことを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
  • 非結合状態である磁気的にラベル化された分析対象物は、前記磁気検出アレイから除去されない ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一つに記載の方法。
  • リザーバプレートにおいて、
    流体リザーバに対する2以上の行および流体リザーバに対する2以上の列を有する位置指定可能な流体リザーバのアレイを備え、
    各行にある複数の前記流体リザーバは同じ容量を有し、異なる列にある少なくとも2以上の流体リザーバは異なる容量を有する ことを特徴とするリザーバプレート。
  • キットであって、
    (a)2以上の細長領域を有し、各細長領域の遠端部に磁気検出アレイを有する支持体を備える磁気検出器と (b)磁気ラベルとを備えることを特徴とするキット。
  • 说明书全文

    ハイスループット検出は、例えば、臨床診断、新薬開発、生物学及び化学の関連分野における化学的実験に用いられる一手段である。 研究者はハイスループット検出により、多くの化学的、遺伝的、タンパク質的または薬理学的なテストを迅速に行うことができる。 研究者は例えば、あるハイスループット検出処理を使用することにより、特定の生体分子経路に作用する活性物質、抗体または遺伝子を迅速に同定することができる。 このような実験結果は、薬剤設計の出発点を提供するものであり、生体内における特定の生化学反応が有する相互作用または機能を理解するための出発点を提供するものでもある。

    米国特許出願第12/759,584号明細書

    米国特許出願第12/234,506号明細書

    米国特許出願第10/829,505号明細書

    ハイスループット検出システムを提供する。 このシステムは、磁気検出器、磁界発生源、及び、複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを備える。 磁気検出器は、2以上の細長領域を有する支持体を備えており、各細長領域は、遠端部に磁気検出アレイを備える。 また、このハイスループット検出システムで用いる方法も提供する。

    本開示内容に係る実施例は、ハイスループット検出システムを備える。 そのハイスループット検出システムは、(a)磁気検出器、(b)磁界発生源、及び、(c)複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを備えており、流体リザーバの連続セットに対して磁気検出アレイが適切に配置されるように構成してある。 磁気検出器は、2以上の細長領域を有する支持体を備えており、各細長領域は、遠端部に磁気検出アレイを備える。

    このシステムに関するいくつかの実施例では、各磁気検出アレイが1以上の磁気センサを備え、その磁気センサが表面に分析対象物特異的プローブを備えている。

    またいくつかの実施例では、磁気検出器が有する細長領域の遠端部それぞれが別々の流体リザーバ内に位置するように、リザーバプレートを移動して磁気検出器と動作させる第1リザーバプレート駆動部をシステムが備える。

    またいくつかの実施例では、リザーバプレートと同一面にある少なくとも一つの軸に沿ってリザーバプレートを移動させる第2リザーバプレート駆動部をシステムが備える。

    またいくつかの実施例では、磁気検出器を移動させて磁界発生源と動作させる磁気検出器アクチュエータをシステムが備える。

    またいくつかの実施例では、磁気検出アレイからリアルタイムの分析対象物特異的シグナルを取得するプロセッサをシステムが備える。

    また、このシステムに関するいくつかの実施例では、サンプル中の磁気的にラベリングされた分析対象物が分析対象物特異的プローブと結合したとき、又は磁気的ラベルが分析対象物/分析対象物特異的プローブ複合体に結合したときに、プロセッサが磁気検出アレイからリアルタイムの分析対象物特異的シグナルを取得する。

    本開示内容の実施例は、(a)磁界発生源および、(b)2以上の磁気検出アレイを有する磁気検出器と動作する位置に複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを移動させる第1リザーバプレート駆動部、を備えるハイスループット検出システムを含んでおり、このシステムは2以上の磁気検出アレイが流体リザーバの連続セット内に位置するように構成してある。

    またいくつかの実施例では、リザーバプレートと同一平面にある少なくとも一つの軸に沿ってリザーバプレートを移動させる第2リザーバプレート駆動部をこのシステムが備える。

    またいくつかの実施例では、磁界発生源と動作する状態となるように磁気検出器を移動させる磁気検出器アクチュエータをこのシステムが備える。

    またいくつかの実施例では、磁気検出アレイからリアルタイムで分析対象物特異的シグナルを取得するプロセッサをこのシステムが備える。

    本開示内容の実施例は、遠端部に磁気検出アレイを配置した細長領域を2以上有する支持体を備えた磁気検出器を含む。

    この検出器のいくつかの実施例では、表面に分析対象物特異的プローブが結合された磁気センサを各磁気検出アレイが1以上備える。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、細長領域の遠端部それぞれが別々の流体リザーバ内に収容されるように構成してある。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、磁気検出アレイの少なくとも一つが2以上の別個の磁気センサを備えており、それぞれの磁気センサが同じ分析対象物を特異的に検出するように構成してある。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、磁気検出アレイの少なくとも一つが2以上の別個の磁気センサを備えており、それぞれの磁気センサが異なる分析対象物を特異的に検出するように構成してある。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、少なくとも2つの磁気検出アレイが異なる分析対象物セットを特異的に検出するように構成してある。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、磁気検出アレイが1以上のスピンバルブセンサを備える。

    また、この検出器のいくつかの実施例では、磁気検出アレイが1以上の磁気トンネル接合センサを備える。

    本開示内容の実施例は、流体リザーバに対する2以上の行および2以上の列を有し流体リザーバの指定が可能なアレイを含むリザーバプレートを備え、各行における複数の流体リザーバの容量は同一であり、異なる列にある少なくとも2つの流体リザーバの容量は異なるようにしてある。

    このリザーバプレートのいくつかの実施例では、流体リザーバのアレイが24以上の流体リザーバを有する。

    また、このリザーバプレートのいくつかの実施例では、各流体リザーバの容量は1mL以下である。

    また、このリザーバプレートのいくつかの実施例では、リザーバプレートを移動軸に沿って移動させるリザーバプレート駆動部とリザーバプレートとが動作可能に接続してある。

    また、このリザーバプレートのいくつかの実施例では、リザーバプレートの軸長方向が移動の軸に対して平行となるように配置する配置ガイドを、リザーバプレートが備える。

    本開示内容の実施例は、サンプル中に分析対象物が存在するか否か判定する方法を含む。 この方法は、シグナルを生じさせるために流体リザーバセット内にあるサンプルセットに磁気検出器を接触させるステップ、及びそのシグナルに基づいて各サンプルに分析対象物が存在するか否か判定するステップを備える。 この磁気検出器は、遠端部に磁気検出アレイが配置してある細長領域を2以上有する支持体を備える。

    この方法のいくつかの実施例では、表面に分析対象物特異的プローブが結合してある磁気センサを、各磁気検出アレイが1以上備える。

    また、この方法のいくつかの実施例では、接触させるステップが、サンプルを含む流体リザーバセット内に磁気検出アレイを移動させるステップを含む。

    また、いくつかの実施例では、接触させるステップを行う前にサンプルに磁気的なラベリングを行うステップを、この方法が含む。

    また、この方法のいくつかの実施例では、判定するステップが、磁気的にラベルされたサンプルが磁気検出アレイに接触したときにリアルタイムで磁気検出アレイから分析対象物特異的シグナルを取得するステップを含む。

    また、いくつかの実施例では、サンプルを含む流体リザーバセット内に磁気検出アレイを移動させた後に磁気検出アレイと磁気ラベルとを接触させるステップを、この方法が含む。

    また、この方法のいくつかの実施例では、磁気検出アレイを磁気ラベルに接触させるステップが、磁気ラベルを含む流体リザーバ第2セット内に磁気検出アレイを移動させるステップを含む。

    また、この方法のいくつかの実施例では、非結合状態である磁気的にラベルされた分析対象物を磁気検出アレイから除去しない。

    本開示内容の実施例には、磁気検出器および磁気ラベルを備えるキットが含まれる。 磁気検出器は、遠端部に磁気検出アレイを配置した細長領域を2以上有する支持体を備える。

    このキットのいくつかの実施例では、磁気ラベルとして磁気ナノ粒子を用いる。

    また、いくつかの実施例では、複数の流体リザーバを有するリザーバプレートをこのキットが備える。

    本開示内容に係る実施例のハイスループットシステムを示す模式図である。

    図2Aは、本開示内容に係る実施例のリザーバプレートを模式的に示す斜視図である。 図2Bは、本開示内容に係る実施例のリザーバプレートを模式的に示す上面図である。

    本開示内容に係る実施例のハイスループット磁気バイオセンサシステムにおけるシグナルレベルの時間的変化を示すグラフである。

    ハイスループット検出システムを提供する。 このシステムは、磁気検出器、磁界発生源、及び複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを備える。 磁気検出器は、2以上の細長領域を有する支持体と、各細長領域の遠端部に配置された磁気検出アレイとを備える。 また、このハイスループット検出システムを使用する方法を提供する。

    本発明の内容を詳細に説明する前に、本発明は記載された特定の実施例に限定されるものではなく、当然適宜に変更が可能であることを述べておく。 また、本明細書に用いた技術用語は実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。 本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。

    数値範囲が示された場合には、文脈から明らかでない限りその下限単位の10分の1まで考慮し、その範囲の上限値および下限値の間にある各中間値が本発明に含まれることを理解すべきである。 また、指定された他の範囲またはその指定された他の範囲内にある中間値も本発明に含まれることを理解すべきである。 指定された範囲において特段に除外する限定があった場合には、このような小さい範囲の上限値および下限値が独立してその小さな範囲に含まれることもあり、そのような上限値および下限値もまた本発明に含まれる。 指定された範囲が上限値および下限値の一方または両方を含む場合、その一方または両方を除外した範囲も本発明に含まれる。

    本明細書に記載してある所定の範囲には数字と共に用語「約」が付してある。 本明細書におけるこの用語「約」は、「約」の後に記載した正にその数値自体だけでなく、「約」の後に記載した数値と近似する数値も示すことを文面上サポートするものである。 具体的に記載した数値とある数値とが近いか否かを判断するに際しては、本明細書の文脈を考慮し、記載されていない近似する数値も、具体的に記載された数値と実質的に同じ数値であるとして扱う。

    特に限定していない場合、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野における通常の知識を有する者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。 本明細書に記載した方法および製造物と同様または均等の方法および製造物も本発明の実施または試験に用いることができるが、本明細書では方法および製造物の代表例について言及する。

    本明細書で引用した全ての刊行物および特許は、各刊行物または特許がそれぞれ具体的に引例として組み込まれるように、本明細書に引例として組み込んである。 また、本明細書に引例として組み込み、引用された刊行物の方法および/または製造物と関連付けて本発明の方法および/または製造物を開示および記載するようにしてある。 刊行物に対するすべての引用もまた、出願日前の開示内容を示すためのものであって、先発明権によって刊行物よりも日付が先にならないということを認めるようなものではない。 更に、引用した刊行物の公開日は実際の公開日と異なるかもしれないため、個別に確認する必要があるかもしれない。

    なお、本明細書および添付の請求の範囲に用いてあるが、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかに矛盾する場合を除き、複数の対象を対象物として含む。 更に請求の範囲は、所定の要素が除外されるように記載してもよい。 また、請求の範囲の要素引用との関連に対し、「単に」及び「のみ」等の限定的用語を使用することがあるが、この使用は先行詞として機能させる記載である。 また、「否定的」限定を使用することがあるが、この使用も先行詞として機能させる記載である。

    本発明の特徴は、明確化するために異なる複数の実施例に含まれる構成要素として記載してある場合もあるが、一つの実施例に組み込むようにしてもよい。 また反対に、簡略化するために一つの実施例に含まれる構成要素として記載してある場合もあるが、別々に又は適切な異なる組み合わせを用いて使用してもよい。 複数実施例の全ての組み合わせが本発明に含まれており、動作可能な処理、及び/又は装置/システム/キットを包含する全ての組み合わせが夫々明確に開示されるように本明細書に記載してある。 また、変更可能に記載してある複数実施例における全ての補助的組み合わせも本発明に含まれており、化学基に対する各および全ての補助的組み合わせが夫々明確に開示されるように本明細書に記載してある。

    本開示内容を読んだ当業者には明らかであるが、本明細書に記載および例示されたそれぞれの実施例は個別の構成要素および特徴を備えており、これらの構成要素および特徴は他の実施例の特徴から分離することもでき、他の実施例の特徴に組み合わせることもでき、そのように分離または組み合わせを行っても本発明の範囲から逸脱するものではない。 引用した方法は全て、記載した工程の順番を用いて、又は論理的に可能な他の順番を用いて実施することができる。

    以下のパラグラフでは、ハイスループット検出システムについてまず詳細に説明し、ハイスループット検出システムで用いる様々な代表的方法を開示すると共に、ハイスループット検出システムで用いる磁気検出器およびリザーバプレートを参照する。
    (ハイスループット検出システム)

    本開示内容に関する複数の態様は、ハイスループット検出システムを備える。 「ハイスループット」、「ハイスループット検出」及び「ハイスループットアッセイ」は、複数の反応(すなわち、アッセイ)が平行して実施されることを意味する。 いくつかの実施例におけるハイスループット方法には、実質的に同時に平行して複数の反応(すなわち、アッセイ)を実施する工程が含まれる。 また、いくつかの実施例においてこのシステムは、磁気検出器、磁界発生源およびリザーバプレートを備える(これらの構成要素については以下でそれぞれ詳細に述べる)。 磁気検出器は、2以上の細長領域と各細長領域の遠端部に配置した磁気検出アレイとを有する支持体を備える。 リザーバプレートは、複数の流体リザーバを備える。 ハイスループット検出システムは、一連の流体リザーバセット内に磁気検出アレイを配置するように構成してある。

    一連の流体リザーバセット内に磁気検出アレイを配置することにより、実質的に同時に平行して複数のアッセイを実施することができる。 したがって、所望の位置にハイスループット構成を提供することができる。 例えば、第1流体リザーバセットにある流体リザーバはそれぞれ、同じサンプルまたは異なるサンプルを個別に含むようにしてある。 このシステムは、例えば磁気検出器が有する細長領域の遠端部の位置を調整することにより、第1流体リザーバセット内に磁気検出アレイを配置するように構成してあり、磁気検出アレイが第1流体リザーバセット内に移動する。 このシステムは、1以上の分析対象物が各サンプルに存在するか否かを示すシグナルを各磁気検出アレイから取得するように構成することができる。 その後にこのシステムは、同じサンプルまたは異なるサンプルをそれぞれが個別に含む第2流体リザーバセット内に、磁気検出アレイを配置するように構成してある。 必要に応じ、第3、第4、第5等の流体リザーバセット内に磁気検出アレイを配置するように構成してもよい。

    流体リザーバ内に磁気検出アレイを配置するため、このシステムは1以上の構成を用いることができる。 ある実施例において磁気検出器およびリザーバプレートは、一つの構成要素を固定して他の構成要素を固定構成要素に対して相対的に移動するようにし、又は2つの構成要素を共に移動する等、互いに対して相対移動するようにしてある。 例えば、リザーバプレートに対して磁気検出器を移動することにより、磁気検出アレイが流体リザーバ内に配置されるようにこのシステムが構成してある。 他の実施例においてこのシステムは、磁気検出器に対してリザーバプレートを移動させることにより、磁気検出アレイを流体リザーバ内に配置するようにしてある。 また他の実施例においてこのシステムは、磁気検出器およびリザーバプレートを共に移動させ、磁気検出器およびリザーバプレートが互いに動作する関係となるように構成してある。

    例えば、リザーバプレートは実質的に平であり、リザーバプレートの上面に複数の流体リザーバが配置される。 磁気検出器は実質的に垂直に配置され、磁気検出器の細長領域は、リザーバプレートの流体リザーバの上方で垂直に配置される。 磁気検出器およびリザーバプレートの互いに対する所望の移動を実現するために、このシステムは1以上のアクチュエータを備える。 アクチュエータとは、所定の機構またはシステムの一部を移動させる装置のことをいう。 一般的にアクチュエータは、電流、水圧、空気圧などのエネルギー源によって動作するようにしてあり、そのようなエネルギーを動作の形態に変換するものである。 一例としてのアクチュエータは、以下に限定されるものではないが、モータ、空気圧式アクチュエータ、水圧式ピストン、圧電アクチュエータ、又は変換器などである。

    いくつかの実施例においてこのシステムは、リザーバプレートを移動させて磁気検出器と動作できる関係にする第1リザーバプレート駆動部を備える。 例えば、第1リザーバプレート駆動部はリザーバプレートを移動させ、磁気検出器が有する細長領域の遠端部それぞれが個別の流体リザーバ内に配置されるように構成してある。

    いくつかの実施例において第1リザーバプレート駆動部は、垂直軸に沿ってリザーバプレートを移動させるように構成してあり、リザーバプレートが磁気検出器に対して上下に移動する。

    いくつかの実施例においてこのシステムは、磁気検出器を移動させてリザーバプレートと動作する関係に導くように構成された磁気検出器アクチュエータを備える。 例えば磁気検出器アクチュエータは、磁気検出器を移動させて、磁気検出器が有する細長領域の遠端部それぞれが別個の流体リザーバ内に位置するように構成してある。 また、いくつかの実施例において磁気検出器アクチュエータは、垂直軸に沿って磁気検出器を移動させるように構成してあり、リザーバプレートに対して磁気検出器が上下に移動する。 また、いくつかの実施例において磁気検出器アクチュエータは、磁気検出器を移動させて磁気源と動作する関係に導くように構成してある。 例えば磁気検出器アクチュエータは、磁気検出器が有する磁気検出アレイを磁気源が発生した磁界の領域内に配置するように構成してある。 この磁気源が発生した磁界の領域において、最適なシグナルが検出できる。 また、所定の状況における磁気検出器アクチュエータは、磁気検出器が有する磁気検出アレイを磁気検出器に対して発生した磁界の領域内に配置するように構成してある。 この領域内では、磁界の方向は実質的に垂直である。

    また、いくつかの実施例におけるこのシステムは、1以上のアクチュエータを備える。 例えばこのシステムは、第2リザーバプレート駆動部を備える。 第2リザーバプレート駆動部は、リザーバプレートと同一面にある少なくとも一つの軸に沿ってリザーバプレートを移動させるように構成してある。 上述したように、リザーバプレートは実質的に水平方向に配置してある。 これらの実施例において第2リザーバプレート駆動部は、リザーバプレートと同一平面上にある少なくとも一つの水平軸内でリザーバプレートを移動させるように構成してある。 例えばリザーバプレートは、リザーバプレート上で磁気検出アレイが第1流体リザーバセットと共に配置されるような初期位置に配置される。 第2リザーバプレート駆動部は、リザーバプレートを水平に移動させるように構成してあり、磁気検出アレイとは離れた位置に第1流体リザーバセットが配置され、磁気検出アレイと並んで第2流体リザーバセットが配置されることになる。 これらの実施例においてこのシステムは、磁気検出アレイが一連の流体リザーバセット内に位置するように構成してある。

    いくつかの実施例におけるこのシステムは、磁界発生源を備える。 磁界発生源は、アッセイ検出領域(例えば、シグナルの取得中に磁気検出アレイが位置する領域)に直流電場または交流電場を生じさせるために十分な磁界を磁気検出器(例えば、磁気検出アレイ)に与えるように構成してある。 例えば磁界発生源は、1Oe以上、5Oe以上、10Oe以上、20Oe以上、30Oe以上、40Oe以上、50Oe以上、60Oe以上、70Oe以上、80Oe以上、90Oe以上、又は100Oe以上の磁界強度を有する磁界を発生するように構成してある。

    磁界発生源は、磁気検出器を使用するときに磁気検出アレイが位置することになる領域に磁界を発生するように、配置してある。 所定の状況における磁気発生源は、アッセイが行われるリザーバプレート上の流体リザーバセット近辺に、均一で制御可能な磁界を発生するように構成してある。 磁界発生源は、1以上の磁界発生部を含んでおり、例えば、2以上、3以上、又は4以上の磁界発生部を含んでいる。 いくつかの実施例におけるこのシステムは、リザーバプレートの両端に配置した2つの磁界発生源を備える。 所定の状況における磁界発生源は、例えば電磁石コイルである1以上の電磁石を備える。 電磁石コイルには、結線コイルが含まれる。 例えば磁界発生源は、ヘルムホルツコイル形状となるようにリザーバプレートの上下に配置した2つの電磁石を備える。

    このシステムに対する実施例には、更にコンピュータベースのシステムが含まれる。 このシステムは、上述したような結合相互作用を質的および/又は量的に評価するように構成してある。 「コンピュータベースのシステム」は、磁気センサからのシグナルを分析するために用いるハードウェア、ソフトウェアおよびデータ記憶構成要素を参照する。 コンピュータベースのシステムにおけるハードウェアには、中央演算処理装置 (CPU)、入部、出力部、及びデータ記憶構成要素が含まれる。 本発明のシステムで使用するに際し、コンピュータベースのシステムを適度に変更させてもよい。 データ記憶構成要素には、磁気検出アレイからのシグナルを記録する装置、又は、磁気検出アレイからのシグナルを記憶するアクセス可能なメモリ構成要素が含まれる。

    データを「記録」するため、コンピュータ読取可能媒体上のプログラミング又は他の情報は、その分野で公知の方法を用い、情報を記憶するための処理を参照して構成される。 記憶した情報へのアクセスに使用する方法に基づく場合、使い勝手の良いどのようなデータ記憶部構造を選択してもよい。 記憶に対しては、例えばワード処理テキストファイル、データベースフォーマット等、様々なデータ処理プログラム及びフォーマットを使用できる。

    いくつかの実施例におけるこのシステムは、活性化シグナル処理部を備える。 活性化シグナル処理部は、磁気検出器と動作可能に接続してある。 例えば、活性化シグナル処理部は電気的に磁気検出器へ接続してある。 活性化シグナル処理部は電気的に接続されており、磁気検出器との間で双方向通信をすることができる。 例えば活性化シグナル処理部は、電力、活性化シグナル等を磁気検出器の構成要素に、以下に限定しないが例えば磁気検出アレイに、供給できるように構成してある。 また活性化シグナル処理部は、活性化シグナル発生部を備えていてもよい。 活性化シグナル発生部は、電力、活性化シグナル等を分析対象物検出装置の構成要素に、限定しないが例えば磁気検出アレイに、供給できるように構成してある。 例えば活性化シグナル処理部は、例えば100mV〜50V範囲である1mVから100Vの範囲内の電圧を磁気検出アレイに供給するように構成してある。 この範囲は、500mVから10Vの範囲、例えば500mV〜5V範囲を含む。 所定の状況における活性化シグナル処理部は、磁気検出アレイに1Vの電圧を供給するように構成してある。

    また、活性化シグナル処理部は、磁気検出器からシグナルを受信するように構成してあり、例えば、磁気検出器の磁気検出アレイから受信するように構成してある。 磁気検出器の磁気検出アレイから受信したシグナルは、サンプル中における1以上の分析対象物の存在を検出するために使用される。 例えば活性化シグナル処理部は、磁気検出アレイから送られてくるシグナルの受信状況に応じて分析対象物の検出結果を出力するように構成されたプロセッサを備える。 したがって、活性化シグナル処理部のプロセッサは、磁気検出器からシグナルを受信し、所定のアルゴリズムに基づいてそのシグナルを処理し、1以上の分析対象物に対するサンプル中での存在に関連する結果を取得し、ユーザが読取可能または可聴な形式でその結果を出力する。

    「プロセッサ」は、それが必要とする機能を実行するハードウェア及び/又はソフトウェアの組み合わせを参照する。 例えば、明細書に記載のプロセッサは、プログラム可能なデジタルマイクロプロセッサであり、電子制御装置、汎用コンピュータ、サーバ又はパーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ又はポータブル)において利用可能である。 プロセッサがプログラム可能な状況において、遠隔位置からプロセッサに対して適切なプログラミングが伝えられる。 または、その適切なプログラミングがコンピュータプログラム製品(例えば、磁気式、光学式、又は固定素子式である携帯用または固定用のコンピュータ読取可能記録媒体)に予めセーブされる。 例えば、磁気媒体、光ディスク又は固定素子メモリ装置は、そのプログラミングを保持することができ、プロセッサと通信する適切なリーダにより読み取られ得る。

    例えば、本システムは磁気検出アレイに与えられる電流(例えば、センス電流)を調整できるように構成してある。 また本システムは、磁界発生源が発生した磁界を調整できるように構成されていてもよい。 センス電流及び磁界を調整することにより、シグナルノイズを容易に低減させることができ、信号対雑音比を容易に最大とすることができる。 センス電流および磁界の調整に関するその他の観点については、米国特許出願第12/759,584号明細書でより詳細に記載してある。 この米国特許出願第12/759,584号明細書のタイトルは、「サンプル中における分析対象物の存在を検出する方法および装置」であり、2010年4月13日に出願された。 この米国特許出願第12/759,584号明細書の開示内容は、参照を用いて本明細書に組み込んである。

    本システムの実施例には、以下の要素も含まれる:(a)以下に述べるように、本システムと1以上のユーザとの間で、例えばユーザコンピュータを介して、情報を送受信するように構成してある有線又は無線の通信モジュール、及び(b)磁気センサからのシグナルを質的及び/又は量的に分析する処理を含む1以上のタスクを実行するプロセッサ。 いくつかの実施例では、制御ロジック(例えば、プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)を記憶するコンピュータ使用可能媒体を含んだコンピュータプログラム製品が備えられている。 そのコンピュータのプロセッサが制御ロジックを実行した場合、本明細書に記載の機能をプロセッサが実行する。 他の実施例では、主としてハードウェア、例えばハードウェア装置、を用いていくつかの機能を実現する。 そのようなハードウェア装置を実現して本明細書に記載の機能を実行するに際し、従来の方法および技術を使用することができる。

    本システムは、磁気検出器および活性化シグナル処理部の他にも複数の追加要素を含む構成としてもよい。 例えば、モニタまたはスピーカ等のデータ出力装置;例えば、インタフェースポート、ボタン、スイッチまたはキーボード等のデータ入力装置;例えば、微少流体要素などの流体取扱要素;電源;電力増幅器;有線または無線の通信要素;等の追加要素を含む構成としてもよい。 また例えば、本システムには微少流体取扱要素などの流体取扱要素が含まれる。 いくつかの実施例では、微少流体取扱要素が流体をリザーバプレートの流体リザーバへ運ぶように構成してある。 所定の状況におけるその流体には、アッセイ組成物、サンプル、磁気ラベル、捕捉プローブ、試薬などのうちの1以上の要素が含まれる。 例えば微少流体取扱要素は、1mL以下、または、100μL以下、50μL以下、25μL以下、及び10μL以下を含む500μL以下である少量の流体を運ぶように構成してある。

    いくつかの実施例において、本システムは高感度分析対象物検出装置となる。 「高感度」とは、本システムがサンプル中の分析対象物を検出するように構成してあり、そのサンプル中にある分析対象物の濃度が低いことをいう。 所定の状況における本システムは、サンプル中にある分析対象物の存在を示す検出シグナルを生成するように構成してあり、その検出可能な分析対象物のサンプル中濃度は1μM以下であり、例えば、100nM以下、10nM以下、または1nM以下であり、100pM以下、10pM以下又は1pM以下を含み、また例えば、500fM以下、250fM以下、100fM以下、50fM以下、25fM以下、10fM以下、5fM以下、または1fM以下を含む。

    いくつかの実施例における本システムには、ディスプレイが含まれる。 そのディスプレイは、上述したように、活性化シグナル処理部から取得した分析対象物の検出結果を示す視覚表示を供給するように構成してある。 またディスプレイは、分析対象物の質的検出結果を表示するように構成してある。 例えば、この質的ディスプレイは、特定の分析対象物がサンプルに含まれているか否かをユーザに示すための質的内容を表示するように構成してある。 いくつかの実施例におけるこのディスプレイは、分析対象物の検出結果を表示するように構成してあり、その分析対象物の検出結果は量的結果であり、例えば、サンプル中にある分析対象物の濃度の量的な測定結果である。 例えば、本システムが分析対象物の量的な検出結果を出力するように構成してある実施例においては、分析対象物の量的な検出結果を表示するディスプレイをこのシステムが備える。

    本開示内容の実施例に係るシステムの一例が図1に記載してある。 磁気検出アレイ(13)は、垂直に配置された磁気検出器(15)が有する細長領域(11)の遠端部に設けてある。 磁気検出器(15)は、電子プリント回路基板(12)であり、磁気検出アレイ(13)から受信したシグナルを活性化シグナル処理部に与える。 磁気検出アレイ(13)の表面には、1以上の磁気センサが露出している。

    磁気検出器(15)は8個の細長領域を備え、各細長領域が磁気検出アレイ(13)を有しており、複数の磁気検出アレイを同時的に実行できるようにしてあり、1個の磁気検出アレイがある場合と比較してより大きく信頼性のある電気接触部(17)のセットも実現している。 本システムでは、磁気検出器(15)を適切な位置に配置するために任意の配置ガイド(18)が構成してある。 磁気検出器(15)には任意でプログラム可能メモリ(16)が含まれる。 このメモリは、磁気検出器の使用前および使用中に関連情報をプログラムすることができ、例えば各センサのキャリブレーションデータ、アッセイ前にどのようにしてバイオチップが表面機能性分子と共に準備されたかを示す記録、完了したアッセイ工程全ての記録、どのサンプルが測定されたか示す記録、測定結果についての記録等の関連情報をプログラムすることができる。

    磁気検出器を用いて測定を行うため、まず磁気検出器が電気シグナルソケット(19)に挿入される。 電気シグナルソケット(19)は、更なる処理のために、磁気検出アレイからのシグナルを受け付ける構成要素である。 シグナルソケット(19)及びそれに接続された磁気検出器(20)は、その後に位置を下げられ、リザーバプレート(21)上でサンプルを含む流体リザーバ(23)内に磁気検出器の細長領域が位置するように移動させる。 リザーバプレート上の他の流体リザーバ(22)には、アッセイプロトコル中にセンサが曝される他の試薬が収容される。

    いくつかの実施例における磁気センサ(14)は、スピンバルブセンサ又は磁気トンネル接合センサ等の磁気抵抗センサであり、直径がナノメータスケールからマイクロメータスケールの範囲にあり、サンプル中の分析対象物をラベル化するために用いる超常磁性の磁気ラベル又は反強磁性の磁気ラベルを検出する。 いくつかの実施例では、2つの磁界発生源(24)及び(25)(例えば、磁界発生結線コイル)がリザーバプレート(21)の上下にヘルムホルツコイル形状で配置してあり、一定の磁界であって電気的に制御可能な磁界をリザーバプレート(21)上の流体リザーバ(23)周りに発生する。

    いくつかの実施例におけるシグナルソケット(19)及びそれに取り付けられた磁気検出器(20)は、矢印(26)により示されたZ軸に沿って上下に移動させることができる。 いくつかの実施例におけるリザーバプレート(21)は、リザーバプレート駆動部へ動作可能に接続され、Z軸に沿って磁気検出器と接離する方向にリザーバプレートを移動させることができるように構成してある。 リザーバプレート(21)は、平面内にある少なくとも1つの軸に沿って、例えば、矢印(27)によって示されるX軸に沿った一方向またはZ軸に沿った一方向へ、移動させることができる。 この構成により、リザーバプレート(21)上にある流体リザーバの任意の行から次の行へと磁気検出器(20)を移動させることが可能となる。
    (磁気検出器)

    本開示内容のいくつかの態様は、上述した本システムで使用する磁気検出器も含む。 磁気検出器は2以上の細長領域を有する支持体を含む。 いくつかの実施例における各細長領域は、磁気検出アレイを遠端部に備える。

    いくつかの実施例における磁気検出器の支持体は、中央にある本体領域と2以上の細長領域とを含む。 2以上の細長領域は、支持体の本体から支持体の一端に沿って伸長する。 例えば、細長領域の基端部は、支持体と同じ材料部分に接続されており、又は支持体と同じ材料部分から形成されており、細長領域の遠端部は支持体の本体から離れるように伸びる。 これらの2以上の細長領域は、実質的に、互いが平行となるように配置してあり、略同一のサイズとなるようにしてあり、支持体の本体から一端へと延びる櫛形構造となるように配置してある。

    細長領域は、リザーバプレートにある各流体リザーバ内に収容されるように構成してある。 例えば、細長領域の各遠端部は個別の流体リザーバ内に収容され得るサイズになっている。 そのため細長領域は、リザーバプレートの流体リザーバの内径よりも小さいサイズ(例えば、幅および厚み)となっている。 例えば、リザーバプレートの流体リザーバが丸形の場合、細長領域の幅および厚みが流体リザーバの直径よりも小さくなるようにしてある。 流体リザーバが長方形である実施例では、細長領域の幅および厚みが流体リザーバの対応する幅および厚みよりも小さいサイズとなるようにしてある。 いくつかの実施例における細長領域は、厚みが10mm以下であり、例えば9mm以下であり、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下および1mm以下を含む。 いくつかの実施例における細長領域は、幅が25mm以下であり、例えば20mm以下であり、15mm以下、10mm以下および5mm以下を含む。 例えば細長領域は、細長領域の基端部の一部がリザーバプレートの上面上方で伸びているが、細長領域の遠端部を流体リザーバ内に位置させることができる十分な長さを有している。 そのため、磁気検出器が有する支持体の本体はリザーバプレートに接触しない。 例えば、細長領域は流体リザーバの深さよりも長さが長い。 いくつかの実施例における細長領域は、長さが5mm以上であり、例えば10mm以上であり、15mm以上、20mm以上、25mm以上および30mm以上を含む。

    いくつかの実施例における磁気検出器の支持体は、直方体となっており(もちろん他の形状でもよい)、長さが1cmから20cmまでの範囲、例えば1cmから10cmまでの範囲となっており、1cmから5cmまでの範囲を含む。 また幅が1cmから20cmまでの範囲、例えば、1cmから10cmの範囲となっており、1cmから5cmまでの範囲および1cmから3cmまでの範囲を含む。 更に、厚みが1mmから10mmの範囲、例えば1mmから5mmまでの範囲となっており、1mmから3mmまでの範囲を含む。

    いくつかの実施例における各細長領域は、遠端部に磁気検出アレイを備える。 例えば磁気検出器は、細長領域の遠端部に配置した磁気検出アレイを含む。 いくつかの実施例における磁気検出器は、磁気検出アレイを含まない1以上の細長領域を含む。 例えば、1以上の細長領域がコントロール又は参照センサとなるように構成してある。

    いくつかの実施例における磁気検出アレイは、細長領域の遠端部に配置してあり、リザーバプレートの流体リザーバ内に細長領域の遠端部が位置する場合に、磁気検出アレイが流体リザーバ内に位置するように構成してある。 各磁気検出アレイは、対応する流体リザーバ内にそのアレイ全体が実質的に位置するように構成してある。 例えば磁気検出アレイは、細長領域の遠端部の端に近い細長領域の遠端部に位置する。 例えば磁気検出アレイは、細長領域の遠端部の実質的な端またはその端から所定距離内、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、または1mm以下、に配置される。
    (磁気検出アレイ)

    磁気検出アレイは、例えば磁気センサの構成に対して、さまざまな異なる構成をとり得る。 いくつかの実施例における本磁気検出アレイは、バイオチップ(例えば、バイオセンサチップ)上に配置してある。 「バイオチップ」および「バイオセンサチップ」とは、支持体表面に2以上の別個の磁気センサが配置される支持体表面を有している磁気検出アレイを意味する。 いくつかの実施例における磁気検出器は、磁気センサのアレイを有する支持体表面を備える。

    その「アレイ」は、例えば空間的に指定が可能なアドレス可能領域が、2次元的に又は実質的に2次元的に(3次元的でもよい)配置してある。 アレイ上の特定位置(例えばアドレス)に複数のセンサが配置してある場合、アレイは「アドレス可能」であり、指定可能である。 アレイが有する複数の特徴(例えばセンサ)は、空間を介在させることにより分離してある。 支持体は、1個、2個、4個またはそれ以上のアレイを有しており、そのアレイは支持体の表面上に配置される。 使用目的により、いくつか又は全てのアレイが互いに同じものであっても異なるものであってもよい。 また、各アレイには複数の別個の磁気センサが含まれる。 一つのアレイには、1以上の磁気センサが含まれており、2以上、4以上、8以上、10以上、50以上、100以上、250以上、500以上、750以上、または1000以上の磁気センサが含まれる。 例えば、8×8のアレイに64個の磁気センサが配置される。 いくつかの実施例における磁気センサは、一つのアレイ内にある10cm 2未満の領域または5cm 2未満の領域に配置され、例えば、50mm 2未満、20mm 2未満、10mm 2未満またはそれら未満を含む1cm 2未満の領域に配置される。 例えば磁気センサは、10μm×10μmから200μm×200μmの範囲にあるサイズを有し、100μm×100μm以下、75μm×75μm以下、50μm×50μm以下の範囲を含む。

    いくつかの実施例における磁気センサの少なくとも一部または全ては、そのセンサの表面に安定して関連付けられた分析対象物特異的プローブ(例えば、表面捕捉リガンド)を有する。 例えば各磁気検出アレイは、磁気センサの表面に結合した分析対象特異的プローブを有する1以上の磁気センサを備える。 所定のアレイが2以上の磁気センサを含む場合、各センサは、同じまたは異なる分析対象物特異的プローブをそのセンサの表面に関連付けて備える。 例えば磁気検出アレイは、2以上の別個の磁気センサを備えており、各磁気センサは同じ分析対象物を特異的に検出するように構成してある。

    いくつかの実施例における異なった分析対象物特異的プローブは、各装置のセンサ表面に存在し、別個の分析対象物に特異的に結合する。 例えば磁気検出アレイは、2以上の別個の磁気センサを備え、各磁気センサは異なる分析対象物を特異的に検出するように構成してある。 他の実施例における磁気検出器は、分析対象物特異的プローブを有さない磁気センサを備えており、磁気センサの表面が直接的に分析対象物と結合するように構成してある。 例えば磁気センサは、磁気センサの表面上方に配置したブロック層を有する。 このブロック層は、分析対象物特異的プローブまたは分析対象物が磁気センサの表面(例えば、そのようにブロックされた磁気センサは、参照の対象またはコントロール電気シグナルの対象として機能する)に結合することを防止するように構成してある。

    上述したように、いくつかの実施例における磁気検出器は、磁気検出アレイがそれぞれに配置してある2以上の細長領域を含む。 それに伴い、磁気検出器が2以上の磁気検出アレイを含む。 上述したように、各磁気検出アレイが1以上の磁気センサを含み、各磁気センサは同じ又は異なる分析対象物を検出するように構成してある。 したがって、磁気検出器にある各磁気検出アレイは、同一セットまたは異なるセットの分析対象物を検出するように構成してある。 例えば磁気検出器は、2以上の別個の磁気検出アレイを備え、各磁気検出アレイが同一セットの分析対象物を特異的に検出するように構成してある。 また他の状況では、磁気検出器が2以上の別個の磁気センサを備え、各磁気センサは異なるセットの分析対象物を特異的に検出するように構成してある。

    いくつかの実施例では、一つのアレイ中での磁気センサ間に、分析対象特異的プローブが存在しない領域が存在することがある。 又は、分析対象物と直接的に結合する機能を示さない領域が存在することがある。 そのようなセンサ内領域が存在する場合、その領域は様々なサイズまたは構造とすることができる。 例えばこれらのセンサ内領域は、異なるセンサ間における流体の動きを抑制または防止するように構成してある。 例えばセンサ内領域が、疎水性材料および/又は、壁のような流体バリアで覆われるようにしてある。

    電気的通信要素、例えば導電性リードが設けてあり、電気的に磁気センサを本システムの構成要素、例えばプロセッサ、ディスプレイ等に接続するようにしてある。 また所定の磁気検出器は、磁気検出アレイの他に様々な他の要素を備え得る。 磁気検出器の他の要素として、もちろん以下に限定されることはないが、シグナル処理要素、電源、流体取扱要素、有線または無線通信要素等を含むことがある。

    いくつかの実施例における磁気検出器は、最小限のサンプル量から検出可能なシグナルを生成するように構成してある。 例えば磁気検出器は、10mL以下、5mL以下、3mL以下又は1mL以下のサンプル量から検出可能なシグナルを生成するように構成してあり、例えば500μL以下であって100μL以下、50μL以下、25μL以下、又は10μL以下のサンプル量から検出可能なシグナルを生成するように構成してある。 そのため、ある状況におけるリザーバプレートの流体リザーバは、検出可能なシグナルを生成するために必要な最低量のサンプルを受け付けるように構成してある。 例えば液体リザーバは、10mL以下、5mL以下、3mL以下又は1mL以下のサンプル量を受け付けるように構成してあり、例えば100μL以下、50μL以下、25μL以下、又は10μL以下を含む500μL以下のサンプル量を受け付けるように構成してある。

    いくつかの実施例における磁気検出器は、サンプル中における分析対象物の存在を検出するために、システムに接続されるように構成してある。 したがっていくつかの実施例では、磁気検出器が磁界発生源を含まない。 磁界発生源は、サンプル中における分析対象物の存在を検出するシステムに含まれており、磁気検出器には含まれていない。 したがってアッセイプロトコルは、サンプル中における分析対象物の存在を検出するシステムに磁気検出器を動作可能に接続する工程を含む。 いくつかの実施例における磁気検出器は、上述したように、システムの活性化シグナル処理部へ動作可能に接続される。 磁気検出器は、磁気検出器をシステム、例えばシステムの活性化シグナル処理部に電気的に接続するように構成した1以上の電気接触部を含む。 電気接触部は、磁気検出器の端に沿って配置されており、例えば、細長部が位置する磁気検出器の端とは反対側の端に沿って配置されている。

    いくつかの実施例における磁気検出器は、プログラム可能なメモリを備える。 所定の状況におけるプログラム可能メモリは、情報を記憶するように構成してある。 その情報には、以下に限定するものではないが、キャリブレーションデータ(例えば、各磁気センサおよび/又は各磁気検出アレイのキャリブレーションデータ)、磁気センサがアッセイ前に表面機能分子を用いてどのように準備されたかを示す記録、完了したアッセイのステップに関する記録、どのサンプルが測定されたかを示す記録、測定結果の記録、等の情報が含まれる。 例えばまた、プログラム可能メモリに換えて、又はプログラム可能メモリと共に、バーコードが使用される。 バーコードを含む磁気検出器の実施例では、磁気検出器に関連付けた情報が、磁気検出器と別個の情報システム、例えばシステムの活性化シグナル処理部に記憶され、及びこの情報システムから読み出される。
    (磁気センサ)

    上述したように各磁気検出アレイは、1以上の磁気センサを含む。 所定の状況の磁気センサは、磁気センサと磁気ラベルとの直接的な物理的接触を必要とすることなく、近傍にある磁気ラベルの存在を検出するように構成してある。 また、いくつかの実施例における磁気センサは、サンプル中の分析対象物の存在を検出するように構成してある。 例えば、磁気ラベルが直接的に又は間接的に分析対象物に結合し、その結合物が直接的に又は間接的に磁気センサに結合する。 結合した磁気ラベルが磁気センサの検出範囲内に位置する場合、磁気センサは結合した磁気ラベルの存在を示すシグナルを供給し、分析対象物の存在が示されるようになる。

    例えば磁気センサは、磁気センサ表面から1nm〜200nmの検出範囲を有する。 また例えば、磁気センサ表面から5nm〜100nmを含む5nm〜150nmの検出範囲、又は5nm〜25nmを含む5nm〜50nmの検出範囲を有する。 「検出範囲」とは、磁気ラベルの存在により磁気センサに検出可能シグナルが磁気センサの表面で誘導されるが、その磁気センサの表面からの距離を意味する。 所定の状況における磁気ラベルは、磁気センサの表面付近であって、磁気センサの検出範囲内に位置する場合に、磁気検出器に検出可能シグナルを誘導する。 例えば磁気ラベルは、磁気センサの表面から磁気ラベルまでの距離が磁気センサの検出範囲よりも遠い場合、磁気センサ内に検出可能シグナル又は無視できないシグナルを誘導しない。 例えば、磁気センサと磁気ラベルとの距離をrとした場合、磁気ラベルの磁束は1/r 3に比例する。 したがって、近傍(例えば、磁気センサの検出範囲内)に位置する磁気ラベルのみが磁気センサ内に検出可能シグナルを誘導することになる。

    いくつかの実施例における磁気センサは、表面が分析対象物と直接的に結合するように構成してある。 例えば磁気センサの表面は、分析対象物と磁気センサとが共有結合するように、又は非共有結合するように構成してある。 以下のものに限定するものではないが、磁気センサの表面は、非特異的吸着、静電相互作用(例えば、イオン間相互作用)による結合、疎水性相互作用、水素結合相互作用などにより結合するように構成してある。

    例えば磁気センサの表面は、分析対象物と特異的に結合する分析対象物特異的プローブ(例えば、表面捕捉リガンド)を含む。 分析対象物特異的プローブは、磁気センサの表面に結合する。 例えば、物理吸着を介して帯電抗体をセンサ表面へ非特異的に結合させるために、ポリエチレンイミン(PEI)等のカチオンポリマーの使用が可能である。 また、共有結合に基づき分析対象物特異的プローブを磁気センサの表面に結合させるために、遊離アミノ基または遊離チオール基を分析対象特異的プローブに対して用い、共有結合性の化学物質を使用してもよい。 例えば、共有結合に基づき分析対象物特異的プローブを磁気センサの表面に結合させるために、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とのカップリングシステムを使用することができる。

    分析対象物特異的プローブは、特異的結合対の一つを含む。 例えば、以下に限定するものではないが、適切な特異的結合対には、レセプター/リガンドの対の一方のメンバー、レセプターのリガンド結合部、抗体/抗原の対の一方のメンバー、抗体の抗原結合断片、ハプテン、レクチン/炭水化物の対の一方のメンバー、酵素/基質の対の一方のメンバー、ビオチン/アビジンの対の一方のメンバー、ビオチン/ストレプトアビジンの対の一方のメンバー、ジゴキシン/抗ジゴキシンの対の一方のメンバーなどが含まれる。 いくつかの実施例における磁気センサの表面は、分析対象物と特異的に結合する抗体を有する。 したがって、分析対象物を含むアッセイ組成物に磁気センサを接触させることにより、磁気センサの表面に結合してある分析対象物特異的プローブ(例えば抗体)と分析対象物とが結合するようになる。

    本方法で用いる磁気センサは変更可能であり、磁気センサ表面付近に磁気ラベルが存在する場合に検出可能シグナルを供給する様々なタイプのセンサを用いることができる。 例えば、以下に限定するものではないが、磁気センサとしてスピンバルブ検出器等の巨大磁気抵抗(GMR)センサ、磁気トンネル接合(MTJ)検出器等が使用できる。

    いくつかの実施例における磁気センサは、磁気センサ表面付近にある磁気ラベルに応答して電気的シグナルを生成するように構成してある。 以下に限定するものではないが、磁気センサには、巨大磁気抵抗(GMR)センサを含む巨大磁気抵抗センサ装置が含まれる。 例えば磁気センサは、部分的な磁界の変化により誘導される磁気センサ内の抵抗の変化を検出するように構成してある。 所定の状況では、上述したように、磁気センサの近傍に存在する磁気ラベル(例えば、磁気ナノ粒子ラベル)の結合により、磁気センサ内の抵抗に検出可能な変化が生じる。 例えば、外部から与えられた磁界が存在する場合、磁気センサ近傍の磁気ラベルは磁気を帯びる。 磁気を帯びた磁気ラベルの部分的磁界は、下にある磁気センサの抵抗に検出可能な変更を誘導する。 したがって、磁気センサの抵抗変化を検出することにより、磁気ラベルの存在が検出可能となる。 いくつかの実施例における磁気センサは、1Ohm以下の抵抗変化を検出するように構成してある。 また例えば、100mOhm以下、50mOhm以下、25mOhm以下、10mOhm以下、5mOhm以下、1mOhmを含んだ500mOhm以下の抵抗変化を検出するように構成してある。

    所定の状況におけるGMRセンサは、多層薄膜構造を有する。 GMRセンサは、強磁性材料の層と非磁化材料の層とを交互に含む。 以下に限定するものではないが、この強磁性材料には、パーマロイ(NiFe)、鉄コバルト(FeCo)、ニッケル鉄コバルト(NiFeCo)、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケルコバルト(NiCoO)、酸化鉄(Fe 23 )等が含まれる。 例えば、非磁化材料は導電性の非磁化材料であり、以下に限定するものではないが、銅、金、銀などの非磁化材料である。 いくつかの実施例における強磁性層は、厚みが1nmから50nmの範囲内であり、例えば5nmから25nmの範囲内であり、5nmから10nmの範囲を含む。 例えば非磁化層は、厚みが1nmから50nmの範囲内であり、例えば1nmから25nmの範囲内であり、1nmから10nmの範囲を含む。

    所定の状況におけるGMRセンサは、以下に限定するものではないが、スピンバルブ検出器および磁気トンネル接合(MTJ)検出器を含む。 これらの検出器についてはそれぞれ以下で詳細に述べる。
    (スピンバルブ検出器)

    例えば、磁気センサはスピンバルブ検出器である。 所定の状況におけるスピンバルブ検出器は、多層構造をしており、第1強磁性層、第1強磁性層の上に配置された非磁化層、非磁化層の上に配置された第2強磁性層を含む。 第1強磁性層は、その磁化ベクトルが所定の方向に固定されるように構成してある。 所定の状況にある第1強磁性層は、「ピン層」と呼ばれる。 第2強磁性層は、与えられた磁界に基づいてその磁化ベクトルが自由に回転するように構成してある。 所定の状況にある第2強磁性層は、「フリー層」と呼ばれる。

    例えば、スピンバルブ検出器の電気抵抗は、ピン層の磁化ベクトル方向に対するフリー層の相対的な磁化ベクトル方向に依存する。 この2つの磁化ベクトルが平行である場合、スピンバルブ検出器の電気抵抗は最も小さい。 この2つの磁化ベクトルが逆平行である場合、スピンバルブ検出器の電気抵抗は最も大きい。 この抵抗の相対的な変化は、磁気抵抗(MR)比と呼ばれる。 いくつかの実施例におけるスピンバルブ検出器は、MR比が1%から20%の範囲内であり、例えば3%から15%の範囲内であり、5%から12%の範囲を含む。 所定の状況におけるスピンバルブ検出器は、小さな磁界内、例えば100Oe内におけるMR比が10%以上である。 スピンバルブ検出器の表面付近に存在する磁気ラベルによって生じるスピンバルブ検出器の抵抗変化は、上述したように検出される。

    いくつかの実施例において、磁気ラベルによるスピンバルブ検出器からのシグナルは、磁気ラベルとスピンバルブ検出器のフリー層との距離に依存する。 例えば、磁気ラベルからの電圧シグナルは、磁気ラベルの中心からフリー層の中間平面までの距離が増加するにつれて減少する。 そのため、例えば、スピンバルブ検出器のフリー層はスピンバルブ検出器の表面に配置してある。 スピンバルブ検出器の表面にフリー層を配置することにより、フリー層と結合した磁気ラベルとの距離が最小となり、磁気ラベルの検出が容易になる。

    いくつかの実施例におけるスピンバルブ検出器は、1以上の表面に保護層を含む。 例えば、保護層の厚みは60nm以下であり、例えば50nm以下であり、40nm以下、30nm以下、20nm以下、及び10nm以下を含む。 また例えば、保護層は1nmから10nmの範囲にある厚みを有し、その厚みは例えば1nmから5nmの範囲内であり、1nmから3nmの範囲内を含む。 いくつかの実施例における保護層は、金、タンタル、SiO 2 、Si 34 、それらの組み合わせ等を含む。
    (磁気トンネル接合検出器)

    いくつかの実施例においては、磁気トンネル接合(MTJ)検出器が磁気センサとなる。 例えば、MTJ検出器は多層構造を有しており、第1強磁性層、その第1強磁性層の上に配置した絶縁層、およびその絶縁層の上に配置した第2強磁性層を含む。 絶縁層は薄い絶縁トンネルバリアであり、アルミナ、MgO等が含まれる。 例えば、第1強磁性層と第2強磁性層との間の電子トンネル効果は、2つの強磁性層による相対的な磁化状態に依存する。 例えばいくつかの実施例では、第1強磁性層および第2強磁性層の磁化ベクトルが平行である場合にトンネル電流が大きく、第1強磁性層および第2強磁性層の磁化ベクトルが逆平行である場合にトンネル電流が小さい。

    例えば、MTJ検出器のMR比は1%から300%の範囲であり、例えば10%から250%の範囲であり、25%から200%の範囲を含む。 MTJ検出器の表面付近にある磁気ラベルの存在によって生じるMTJ検出器の抵抗変化は、上述したように検出される。

    いくつかの実施例における第2強磁性層(例えば、MTJ検出器の表面に位置する層)は、2以上の層を含む。 例えばその第2強磁性層は、第1層とその第1層上に配置した第2層とを含む。 例えば、その第1層は薄い金属層(例えば、金層)である。 薄い金属層の厚みは60nm以下であり、例えば50nm以下であり、40nm以下、30nm以下、20nm以下または10nm以下を含む。 第2層には、例えば銅、アルミニウム、パラジウム、パラジウム合金、酸化パラジウム、プラチナ、プラチナ合金、酸化プラチナ、ルテニウム、ルテニウム合金、酸化ルテニウム、銀、銀合金、酸化銀、スズ、スズ合金、酸化スズ、チタン、チタン合金、酸化チタン、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、それらの組み合わせ等である導電性金属が含まれる。

    例えばMTJ検出器は、関連する磁気ラベルとフリー層の上面との距離が1nmから200nmの範囲内となるように構成してある。 また例えば、5nmから100nmの範囲を含む5nmから150nmの範囲内になるようにして構成してある。 また例えば、5nmから25nmの範囲を含む5nmから50nmの範囲内になるようにして構成してある。

    スピンバルブ検出器について上述したように、例えばMTJ検出器は、1以上の表面に保護層を有する。 例えば、その保護層の厚みは60nm以下であり、例えば50nm以下であり、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下を含む。 また例えば、その保護層の厚みは1nmから10nmの範囲内であり、例えば1nmから5nmの範囲内であり、1nmから3nmの範囲内を含む。 例えばその保護層には、金、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウム、SiO 2 、Si 34 、それらの組み合わせ等が含まれる。

    スピンバルブ検出器(スピンバルブフィルム検出器とも言われる)及び磁気トンネル接合(MTJ)検出器は、2008年9月19日に出願した米国特許出願第12/234,506号明細書に詳細に記載してある。 その米国出願の発明の名称は「磁気センサを用いた分析対象物の検出」であり、その出願全体を参照することによりその開示内容は本明細書に組み込まれている。 検出器については更に、2004年4月22日に出願した米国特許出願第10/829,505号明細書に記載してある。 その米国出願の発明の名称は「生体分子の検出における磁気ナノ粒子、磁気検出アレイ、及びこれらの使用方法」であり、その出願全体を参照することによりその開示内容は本明細書に組み込まれている。
    (リザーバプレート)

    本開示内容におけるいくつかの態様はまた、リザーバプレートを含む。 リザーバプレートは、流体リザーバを指定可能なアレイを含む。 その流体リザーバのアレイは、流体リザーバの行を2以上および流体リザーバの列を2以上有する。 流体リザーバとして様々な構成を用いることができ、磁気検出アレイに接触した状態でサンプルを保持するように流体リザーバが構成してある。 したがって流体リザーバは、以下に限定するものではないが、円筒形のウェル構造、正方形状のウェル構造、長方形状のウェル構造、丸底ウェル構造などの構造を有する。 例えば流体リザーバは、一の流体リザーバを他の近傍の流体リザーバから分離する壁を有する。 その壁は、リザーバプレートの表面に対して実質的に垂直である。 例えば、各流体リザーバの壁は、その流体リザーバにより定められた空間の容量以下のサンプルを受け付けるための空間量を規定する。

    いくつかの実施例における流体リザーバは、各行の容量が同じである。 例えば流体リザーバは、各行の形状およびサイズが略同じであり、各行における容量が実質的に同一となっている。 いくつかの実施例では、流体リザーバの各行が同じ容量を有することにより、2以上の磁気検出アレイを同時的に、同じ容量を有する流体リザーバセット(例えば1行)内に位置することが可能となる。 例えば、流体リザーバのこのような配置により、各磁気検出アレイに対して同じアッセイ工程を実施することが容易になり、所定行の流体リザーバにある各流体リザーバ内に磁気検出器が配置される。

    例えば流体リザーバは、各行の容量が同じであり、リザーバプレート上の全ての流体リザーバの容量が同じである。 他の実施例では、異なる列にある少なくとも2個の流体リザーバが異なる容量を有する。 例えば、流体リザーバの第1行が第1容量を有しており、流体リザーバの第2行が第1容量とは異なる第2容量を有する。 したがって、異なる列にある2つの流体リザーバは、異なる容量を有する。 これらの実施例では、流体リザーバの第1行が第2行と異なる容量を有することにより、磁気検出アレイ上で異なるアッセイ工程を実施することが容易となり、流体リザーバの第1行および第2行内に連続的に磁気検出器が位置するようになる。

    いくつかの実施例では、リザーバプレート上にある流体リザーバのアレイが6以上または24以上の流体リザーバが含まれる。 例えば、36以上の流体リザーバが含まれ、48以上、96以上、384以上、または1536以上の流体リザーバが含まれ得る。 例えば、流体リザーバの容量は、10mL以下、5mL以下、3mL以下、または1mL以下であり、例えば500μL以下であり、例えば50μL以下、25μL以下、又は10μL以下である100μL以下を含む。

    いくつかの実施例におけるリザーバプレートは、リザーバプレートを移動軸に沿って移動させるように構成してあるリザーバプレート駆動部へ動作可能に接続してある。 上述したように本システムは、リザーバプレートを磁気検出器と動作可能な状態に移動(例えば、磁気検出器へ向かう又は離れる垂直方向)させるように構成してある第1リザーバプレート駆動部を含む。 例えば、磁気検出器を実質的に固定しながらリザーバプレートを磁気検出器から接離する方向に移動させることにより、取得したシグナルにおける信号対雑音比を容易に増加(例えば、ノイズレベルを減少)することができる。 いくつかの実施例における本システムは、リザーバプレートと同一平面にある少なくとも一の軸に沿ってリザーバプレートを移動させるように構成された第2リザーバプレート駆動部を有する。 またそのリザーバプレートは、リザーバプレートの移動軸に平行となるようにリザーバプレートの軸を配置する配置ガイドを含む。 上述したように、第1及び第2リザーバプレート駆動部によって、リザーバプレートは3次元のいずれの方向にも移動可能となる。 そのため配置ガイドは、3次元に含まれる1次元の軸とリザーバプレートの軸とが平行になるように配置する。 例えば配置ガイドは、リザーバプレートの垂直軸が移動の垂直軸と平行(例えば、磁気検出器へ向かう又は離れる垂直方向)になるように配置する。 例えば配置ガイドは、リザーバプレートの水平軸と移動の水平軸とを平行に配置するように構成してある。 また例えば配置ガイドは、リザーバプレートの軸長方向と磁気検出器に対する法線軸とを平行に配置するように構成してある。 また例えば配置ガイドは、リザーバプレートの横軸方向と磁気検出器に対して平行な軸とを平行に配置するように構成してある。

    図2Aおよび図2Bは、本開示内容に係る実施例のリザーバプレートを模式的に示す図である。 図2Aは、本開示内容に係る実施例のリザーバプレート(200)を模式的に示す斜視図である。 図2Aに示してあるように、第1行にある流体リザーバ(202)は、各流体リザーバの容量が実質的に同一(例えば、第1容量)となるように構成してある。 第2行にある流体リザーバ(204)は、各流体リザーバの容量が実質的に同一(例えば、第2容量)となるように構成してある。 図2Aで示すように、第2容量は第1容量よりも小さい。 第3行にある流体リザーバ(206)は、各流体リザーバの容量が実質的に同一(例えば、第3容量)となるように構成してある。 図2Aで示すように、第3容量は実質的に第2容量と同一である。 第4行にある流体リザーバ(208)は、各流体リザーバの容量が実質的に同一(例えば、第4容量)となるように構成してある。 図2Aで示すように、第4容量は第1及び第2容量よりも大きい。 つまりリザーバプレート(200)は、複数行の流体リザーバを有しており、それぞれの行における各流体リザーバは同じ容量を有する。 また、ある行の流体リザーバと異なる行の流体リザーバとは、同じ又は異なる容量を有する。

    図2Bは、本開示内容に係る実施例のリザーバプレートを上方から示す模式図である。
    (方法)

    本開示内容におけるいくつかの態様はまた、サンプル中に分析対象物が存在するか否かを判定する方法を含む。 この方法は、流体リザーバセット内にあるサンプルセットに磁気検出器を接触させ、シグナルを生成する工程を含む。 またこの方法は、そのシグナルに基づいて、各サンプル内に分析対象物が存在するか否か判定する工程を含む。

    いくつかの実施例においてこの方法は、流体リザーバセットに含まれるアッセイ流体セットに磁気検出器の磁気検出アレイを連続的に接触させる工程を含む。 またこの方法は、第1流体リザーバセット内にある第1アッセイ流体セットに磁気検出アレイを接触させる工程を含む。 またこの方法は、その後に、第2流体リザーバセット内にある第2アッセイ流体セットに磁気検出アレイを接触させる工程を含む。 またこの方法は、その後に、第3流体リザーバセット内にある第3アッセイ流体セットに磁気検出アレイを接触させる工程を含む。 必要であれば、別の流体リザーバセット内にある別のアッセイ流体セットに磁気検出アレイを接触させてもよい。

    一連の流体リザーバセット内にある一連のアッセイ流体セットに磁気検出アレイを接触させるため、この方法は一連の流体リザーバセット内に磁気検出アレイを位置させる工程を含む。 例えば、この方法はリザーバプレートの位置を調整する工程を含み、第1流体リザーバセット(例えば、第1行)が磁気検出器の細長領域にある磁気検出アレイと共に配置されるようになる。 またこの方法は、その後にリザーバプレートを移動させる(例えば、磁気検出器へ向かう垂直方向)工程を含み、磁気検出アレイが第1流体リザーバセット内に位置することになる。 また例えば、この方法は、磁気検出器を移動させる(例えば、リザーバプレートへ向かう垂直方向)工程を含み、磁気検出アレイが第1流体リザーバセット内に位置するようになる。 所望の時間経過後、リザーバプレート及び磁気検出器の一方又は両方を移動(例えば、互いに離れる垂直方向)させることにより、磁気検出アレイは第1流体リザーバセット内から移動し、磁気検出アレイが第1流体リザーバセット内に位置しないことになる。 またこの方法は、次に、リザーバプレートの位置を調整し、第2流体リザーバセット(例えば、第2行)が磁気検出器の細長領域にある磁気検出アレイと共に配置される。 例えばこの方法は、リザーバプレートを水平方向に移動させる工程を含み、第2流体リザーバセットが磁気検出アレイと共に配置される。 またこの方法は、次に、上述した処理と同様の処理を用い、第2流体リザーバ内にある磁気検出アレイの位置を調整する工程を含む。

    上述したように、流体リザーバセットは互いに(例えば、流体リザーバの各行毎に)同じまたは異なるアッセイ流体を含み、平行グループのアッセイが同時に実行される。 例えば、第1流体リザーバセットはサンプルを含んでおり、そのサンプル中における1以上の特異的な分析対象物の存在が分析される。 第2流体リザーバセットは、分析対象物に対して特異的に結合する捕捉プローブを含む。 第3流体リザーバセットは、磁気ラベルを含む。 そしてこのアッセイ方法は、磁気検出アレイを連続的に第1、第2および第3流体リザーバセットに接触させる工程を含み、アッセイ成分全て(例えば分析対象物、捕捉プローブ及び磁気ラベル)が磁気検出アレイと接触するようにしてある。 上述したように、このように構成することにより、分析対象物特異的プローブが検出器の表面に結合するようになる。 流体リザーバセット内にあるアッセイ流体の配列及び組成は、上述したようなものでもよく、また、必要に応じて変更してもよい。 例えば、第2流体リザーバセットが捕捉プローブではなく磁気ラベルを含むようにしてもよく、第3流体リザーバセットが捕捉プローブではなく磁気ラベルを含むようにしてもよく、又は、2流体リザーバセットが磁気ラベル及び捕捉プローブを含むようにしてもよい。 アッセイ流体の配列及び組成に関する他の変形例については、以下で詳細に述べる。

    この方法についての実施例は、分析対象物がサンプル中に存在するか否かの判定に関連しており、例えば、サンプル中に1以上の分析対象物が存在するか不在であるかの判定に関連している。 この方法に対するいくつかの実施例では、サンプル中における1以上の分析対象物の存在が、質的に又は量的に判定される。 質的な判定には、サンプル内における分析対象物の存在に対して単純にyes/noの結果をユーザに提供する判定が含まれる。 量的な判定には、以下の2つの判定量的判定が含まれる。 つまり、サンプル中にある分析対象物の量に基づいて、ロー、ミディアム、ハイ等の大雑把なスケール結果をユーザに提供する判定と、分析対象物の濃度に対する正確な測定結果である詳細なスケール結果をユーザに提供する判定とが含まれる。

    いくつかの実施例におけるこの方法には、サンプル内の分析対象物に関するユニプレックス分析が含まれる。 「ユニプレックス分析」とは、サンプルを分析し、サンプル中に存在する1つの分析対象物の存在を検出することをいう。 例えば、分析対象物と非分析対象物である他の分子とを含んだ混合物がサンプルに含まれている。 例えばこの方法は、そのサンプルに対するユニプレックス分析を含んでおり、サンプル混合物中における分析対象物の存在を判定する。

    いくつかの実施例では、サンプル中に含まれる2以上の分析対象物を分析するマルチプレックス分析が含まれる。 「マルチプレックス分析」とは、互いに異なる2以上の別個の分析対象物の存在を判定することをいう。 例えば、それらの分析対象物は、分子構造、配列等が異なっており、その違いが検出可能となっている。 例えば、分析対象物の数は2より大きく、例えば4以上、6以上、8以上から20以上までであり、また例えば、50以上であり、100以上、又は1000以上を含む。 いくつかの実施例におけるこの方法は、2から1000の異なる分析対象物を分析するマルチプレックス分析を含んでおり、例えば4から500の分析対象物を分析し、4から200、4から100、4から50または4から20の分析対象物を分析するマルチプレックス分析を含む。 いくつかの実施例では、実質的に同時に、様々な複数のマルチプレックスアッセイが平行して実行される。 例えば、流体リザーバプレート上にある各流体リザーバセットが、上述したように、2以上の互いに異なる分析対象物を有し、その流体リザーバセット内の各流体リザーバに対して、マルチプレックスアッセイが実行される。

    例えばこの方法は、サンプル内にある1以上の分析対象物の存在を判定するウォッシュフリー方法である。 「ウォッシュフリー」とは、試薬および/又はサンプルが検出器の表面に接触しても洗浄ステップが必要ないことをいう。 つまり、これらの実施例でアッセイが行われる間、非結合試薬(例えば、非結合磁気ラベル)または非結合サンプルを検出器表面から除去するステップが実行されない。 したがって、この方法で1以上の試薬および/またはサンプルが検出器の表面に連続的に接触する場合もあるが、流体とサンプル表面とを接触させるアッセイの実行中に、非結合の試薬またはサンプルを検出器の表面から除去する必要はない。 例えば、いくつかの実施例では、検出器の表面がサンプルに接触した後に洗浄工程を実行しない。 また例えばこの方法は、検出器が磁気ラベルと接触した後での洗浄工程を含まない。 また例えば、検出器表面が捕捉プローブと接触した後、洗浄工程を実行しない。

    洗浄工程が実行されるいくつかの実施例では、その洗浄工程により、磁気センサから得られるシグナルが実質的に変化することはない。 所定の状況においては、非結合磁気ラベルがここで記載した様な検出可能シグナルを実質的に有するということがないため、洗浄工程により磁気センサからの信号に実質的な変化が生じることはない。 例えば、洗浄工程が実行された場合、洗浄工程により25%以下のシグナル変化が生じることがある。 また例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下のシグナル変化が生じることがある。 いくつかの実施例では、洗浄工程が実行されることにより、検出器からのシグナルについて25%以下の減少が生じることがある。 また例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下の減少が生じることがある。

    この方法についてのいくつかの態様は、磁気検出器からリアルタイムでシグナルを取得する工程も含む。 つまり、この方法の実施例は、磁気検出アレイからリアルタイムのシグナルを取得する工程を含む。 「リアルタイム」とは、シグナルが生成されたとき又はシグナルが生成された直後に、そのシグナルが観察されることをいう。 例えばリアルタイムシグナルは、動作開始時から取得され、所定の期間継続して取得される。 したがっていくつかの実施例は、対象となる結合相互作用(例えば、分析対象物と磁気センサとの結合)の発生に関連するシグナルのリアルタイム変化を観察する工程を含む。 リアルタイムシグナルは、所定の期間に亘って取得される2以上のデータポイントを含む。 いくつかの実施例における取得されたシグナルは、所定の期間に亘って継続的に取得された一連のデータポイントセット(例えば、トレース形式)である。 分析の期間は変更可能であり、例えば、0.5分から60分の範囲内である。 また例えば、1分から30分の範囲内であり、5分から15分の範囲内を含む。 例えば、リアルタイムシグナルの誘導時期からこの所定期間が始まり、検出器のレベルが最大または飽和状態(例えば、検出器にある分析対象物との結合部位全てが結合した状態)に達するまで続く。 シグナルにおけるデータポイントの数は変更可能であり、例えば、リアルタイムシグナルの時間経過上で連続的に伸長することになるデータを供給するために十分な数とする。 「連続的」とは、毎分1データポイント以上の繰り返し率で繰り返しデータポイントが取得されることをいう。 例えば、繰り返し率は毎分2データポイント以上であり、毎分5データポイント以上、毎分10データポイント以上、毎分30データポイント以上、毎分60データポイント以上(例えば、毎秒1データポイント以上)、毎秒2データポイント以上、毎秒5データポイント以上、毎秒10データポイント以上、毎秒20データポイント以上、毎秒50データポイント以上、毎秒75データポイント以上、又は毎秒100データポイント以上を含む。

    いくつかの実施例におけるリアルタイムシグナルは、リアルタイムの分析対象物特異的シグナルである。 リアルタイム分析対象物特異的シグナルは、上述したように、特異的な分析対象物からのみ取得されるリアルタイムのシグナルである。 これらの実施例においては、結合していない分析対象物および結合していない磁気ラベルが検出可能シグナルを生じることはない。 すなわち、取得されたリアルタイムシグナルは、磁気的にラベル化された特異的な分析対象物が磁気センサに結合することによってのみ生じるものであり、非結合磁気ラベル又はその他の試薬(例えば、検出器に対して特異的に結合していない分析対象物)からは実質的にシグナルが取得されない。

    いくつかの実施例におけるシグナルは、アッセイ装置が湿潤状態である場合に観察される。 「湿潤」または「湿潤状態」とは、アッセイ成分(例えば、アッセイ成分にはサンプル、磁気ラベル、捕捉プローブが含まれる)が磁気センサの表面に接触している状態をいう。 そのため、結合していない非分析対象物、結合していない余剰の磁気ラベル又は結合していない余剰の捕捉プローブを除去するための洗浄工程は、実施する必要が無い。 いくつかの実施例では、磁気ラベルおよび磁気センサを使用することにより、上述したように、磁気ラベルによって磁気センサに生じるシグナルが磁気ラベルと磁気センサ表面との間の距離増加に伴い減少するため、「湿潤」検出が容易になる。 例えば上述したように、磁気ラベルによって生じた磁界が磁気ラベルと磁気センサ表面との間の距離増加に伴い減少するため、磁気ラベル及び磁気センサを使用することにより「湿潤」検出が容易となる。 例えば、表面結合分析対象物に結合した磁気ラベルの磁界の強度は、溶液中に分散し結合していない磁気ラベルから生じる磁界を有意に超えるものである。 例えば上述したように、リアルタイムの分析対象物特異的シグナルは、磁気センサに結合した対象であって磁気的にラベル化された特異的な分析対象物からのみ取得することができ、溶液中に分散し結合していない(例えば、検出器に対する特異的な結合を行っていない)磁気ラベルからは実質的にシグナルが取得されない。 溶液中に分散した非結合磁気ラベルは、磁気センサ表面からの距離がより大きく、ブラウン運動をしており、磁気センサの抵抗に検出可能な変化を誘導する能力が低減される。
    (アッセイプロトコル)

    アッセイにおけるそれぞれの構成要素と共に、典型的なアッセイプロトコルを以下に述べる。 いくつかの実施例においてこの方法は、サンプルを含むアッセイ成分に磁気検出アレイを接触させる工程を含む。 磁気検出アレイは、その後、磁気ラベル及び磁気ラベルと結合するように構成してある捕捉プローブと接触する。 検出器からシグナルが取得され、そのサンプル中における分析対象物の存在を検出する。 これらの工程についてはそれぞれ、この後より詳細に述べる。
    (サンプル)

    上述したように、本方法でアッセイされるアッセイ成分にはサンプルが含まれる。 本方法でアッセイされるサンプルは、変更可能であり、単素サンプル及び複素サンプルが含まれる。 単素サンプルは分析対象物を含んでおり、1以上の非分析対象物を含む又は含まない場合がある。 その場合の非分析対象物の数は、例えば10以下、又は5以下等である。 単素サンプルとして、初期の生体サンプル、又は例えばその初期サンプルから潜在的な干渉を起こす物質を除去する処理を行った他のサンプルが含まれる。 「複素サンプル」とは、分析対象物を含むサンプル又は含まないサンプルを言うが、非分析対象である多種のタンパク質、他の分子等も含んでいるサンプルを言う。 例えば、本方法を用いてアッセイされた複素サンプルは、分子構造が互いに異なる(すなわち別個の)分子を10以上含んでいる。 また例えば、20以上含んでおり、100以上、例えば10 3以上、10 4以上(例えば、15000、20000又は25000以上)を含む場合もある。

    いくつかの実施例における分析対象のサンプルは、生体サンプルであり、以下に限定するものではないが例えば、尿サンプル、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、唾液サンプル、汗サンプル、便サンプル、口腔内擦過物サンプル、髄液サンプル、細胞溶解液サンプル等である。 このようなサンプルは、生体サンプルである。 又は、人間、動物、植物、菌類、酵母、バクテリア、培養細胞、培養ウィルス、又はそれらの組み合わせ等から、従来法を用いてDNA、RNA、タンパク質、ペプチドを取り除いて得られた生体サンプルから抽出されたサンプルである。 また例えば、分析対象のサンプルは水サンプル、食物サンプル又は土壌サンプルである。

    上述したように、本方法を用いてアッセイされるサンプルは、1以上の分析対象物を含む場合がある。 検出可能な分析対象物の例として、以下に限定されるものではないが、2本鎖又は1本鎖DNA、2本鎖又は1本鎖RNA、DNA―RNAハイブリッド、DNAアプタマー、RNAアプタマー等の核酸分子、抗体、二重特異性抗体、Fabフラグメント、DNA結合タンパク、RNA結合タンパク、リン酸化タンパク(リン酸化プロテオミクス)、ペプチドアプタマー、エピトープ等の修飾又は非修飾タンパクおよびペプチド、インヒビター、アクチベーター、リガンド等の低分子、オリゴ又は多糖類、それらの組み合わせなどが含まれる。
    (磁気ラベル)

    本方法を用いてアッセイされるアッセイ成分は、磁気ラベルを含む。 磁気ラベルは、磁気センサ等の検出器の近傍に磁気ラベルが位置する場合に、その検出器によって検出可能となるように化合物をラベリングするものである。 検出実行中における磁気ラベルと検出器表面との距離は、特異的磁気ラベルと検出器表面との性質に依存して変化し得る。 例えばこの距離は、検出器表面から1nm−200nmの範囲にあり、例えば5nm−150nmの範囲にあり、5nm−100nmの範囲を含む。 いくつかの実施例における磁気ラベルは、分析対象物に特異的に結合するように構成されており、検出可能なラベルとなっている。 「特異的に結合する」、「特異的な結合」等の表現は、第1結合分子または第1結合部分(例えば、ターゲット特異的結合部分)が、溶液又は反応混合液中の他の分子または部分と比較して第2結合分子または第2結合部分(例えば、ターゲット分子)へ優先的に直接結合できることを表している。 いくつかの実施例では、第1結合分子または第1結合部分と第2結合分子または第2結合部分との親和性が、互いに特異的に結合して結合複合体を形成した場合に、K D解離定数として10 -6 M以下、10 -7 M以下、10 -8 M以下、10 -9 M以下、10 -10 M以下、10 -11 M以下、10 -12 M以下、10 -13 M以下、10 -14 M以下、または10 -15 M以下の値を有することになる。

    磁気ラベルが分析対象物に結合することにより、分析対象物、つまり結合した磁気ラベルが磁気センサ等の検出器の近くに位置する場合、その検出器によって分析対象物を検出することができるようになる。 例えば、磁気ラベルは分析対象物に直接的に結合するように構成してある。 また、磁気ラベルが分析対象物に間接的に結合するように構成してある場合もある。 例えば、磁気ラベルは特異的に捕捉プローブに結合するように構成してあり、その捕捉プローブは分析対象物に特異的に結合するように構成してある。 したがって、磁気ラベル及び分析対象物が捕捉プローブに結合することにより、磁気ラベルと分析対象物とが間接的に結合されることになり、例えば、ラベル化された分析対象物が生成される。 例えば、捕捉プローブに対する磁気ラベル及び分析対象物の結合は、同時的に生じる。

    いくつかの実施例における磁気ラベルは、結合対の一方のメンバーとともに機能する。 「結合対」又は「特異的結合対」とは、互いに特異的に結合して結合複合体を形成する2つの相補的な結合分子または結合部分を言う。 例えば、磁気ラベルは結合対の第1メンバーと共に機能し、分析対象物は結合対の第2メンバーと共に機能する。 したがって、結合対の第1メンバーと第2メンバーとが接触することにより、磁気ラベルと分析対象物との結合複合体が形成される。 また例えば、磁気ラベルが結合対の第1メンバーと共に機能し、捕捉プローブが結合対の第2メンバーと共に機能する。 したがって、結合対の第1メンバーと第2メンバーとが接触することにより、磁気ラベルと捕捉プローブとの結合複合体が形成される。 上述したように、所定の状況における捕捉プローブは、分析対象物と特異的に結合するように構成してある。 そのため、磁気ラベルと捕捉プローブとの間で形成された結合複合体を介して、磁気ラベルが間接的に分析対象物に結合することになる。 以下に限定するものではないが、適切な特異的結合対として、レセプター/リガンド対のメンバー、レセプターのリガンド結合タンパク、抗体/抗原対のメンバー、抗体の抗原結合断片、ハプテン、レクチン/炭水化物対のメンバー、酵素/基質対のメンバー、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシン/アンチジゴキシンなどが含まれる。

    いくつかの実施例では、磁気ラベルがストレプトアビジンと共に機能し、捕捉プローブがビオチンと共に機能する。 つまり、ストレプトアビジンとビオチンとの間で生じる特異的な結合相互作用を介し、磁気ラベルが捕捉プローブへ特異的に結合する。 他のタイプの結合相互作用も用いることができる。 例えば、磁気ラベルがビオチンと共に機能するようにし、捕捉プローブがストレプトアビジンと共に機能するようにしてもよい。 また、上述したように、他の特異的結合対の相補的メンバーと共に磁気ラベル及び捕捉プローブが機能するようにしてもよい。

    例えば、磁気ラベルは結合対の一方のメンバーと安定的に関連している。 「安定的に関連している」とは、使用状況、例えばアッセイ状況で、磁気ラベルと結合対のメンバーとが互いの相対的な位置関係を維持していることを言う。 すなわち、磁気ラベルと結合対のメンバーとが非共有結合又は共有結合で互いに安定的に関連していることを言う。 非共有結合の例として、静電的に結合(例えば、イオン−イオン対の相互作用)する非特異的吸着、疎水性相互作用、水素結合相互作用等が含まれる。 共有結合の例として、結合対のメンバーと磁気ラベル表面の官能基との間で形成される共有結合が含まれる。

    ある実施例では、磁気ラベルがコロイド状である。 「コロイド」又は「コロイド状」とは、一つの物質が他の物質に分散している混合物のことをいう。 コロイドには、分散相と連続相との2相が含まれる。 例えば、コロイド状の磁気ラベルは、溶液中に分散されており、溶液中で沈降または沈殿を生じない。 溶液中で分散するコロイド状の磁気ラベルを用いることにより、バックグラウンドシグナル及び磁気センサと磁気ラベルとの非特異的相互作用を容易に最小化することができる。 例えば本方法は、サンプルと磁気ラベルとを含むアッセイ成分に磁気センサを接触させる工程を含んでおり、サンプル中の分析対象物が磁気センサ表面に結合する。 コロイド状の磁気ラベルが溶液中に分散するため、磁気センサに検出可能シグナルを誘導するほど磁気センサの近傍に複数の磁気ラベルが位置することはない。 そのため、バックグラウンドシグナルの最小化が容易になる。 例えば、表面結合分析対象物へ磁気ラベルが特異的に結合することにより、磁気ラベルが磁気センサ付近に位置することになり、検出可能シグナルが磁気センサに誘導される。

    様々な方法に用いることができる(例えば、本明細書に記載してあるように)磁気ラベルは変更可能であり、この磁気ラベルとして、磁気ラベルが磁気センサ表面付近に位置する場合に検出可能シグナルを磁気センサに誘導する様々なタイプのラベルが含まれる。 例えば磁気ラベルとして、以下に限定されるものではないが、磁気性のラベル、光学性のラベル(例えば、表面増強ラマン散乱(SERS)ラベル)、蛍光性のラベルなどが含まれる。 このようなタイプの磁気ラベルそれぞれについては、以下で詳細に述べる。

    磁気ラベルは、磁気センサと十分に関連した場合に磁気センサによって検出されて磁気センサにシグナルを出力させるラベル化部分である。 例えば、磁気センサ表面近傍に磁気ラベルが存在することにより、磁気センサに検出可能な変化が生じる。 以下に限定するものではないが、例えば、抵抗の変化、伝導性の変化、インダクタンスの変化、インピーダンスの変化等が生じる。 所定の状況では、磁気センサの表面付近に磁気ラベルが存在することにより、磁気センサの抵抗に検出可能な変化が生じる。 対象となる磁気ラベルの中心と磁気センサの表面との距離が200nm以下の場合、例えば、100nm以下を含む150nm以下の場合、対象の磁気ラベルが磁気センサと十分に関連することになる。

    例えば磁気ラベルは、常磁性材料、超常磁性材料、強磁性材料、強磁性材料、反強磁性材料、それらの組み合わせ等から選択した1以上の材料を含む。 例えば、磁気ラベルは超常磁性材料を含む。 いくつかの実施例における磁気ラベルは、外部からの磁界が無い場合には非磁化となるように構成してある。 「非磁化」とは、磁気ラベルの磁化強度がゼロである状態又は一定期間の平均がゼロである状態を言う。 例えば磁気ラベルは、時間経過に伴う磁化状態の無作為反転により、非磁化状態となる。 非磁気ラベルは通常、外部からの磁界が無い場合には塊となることがなく、また磁界が少し生じている場合であっても熱エネルギーが依然として優性であれば塊となることがないため、外部からの磁界がなく非磁化状態となっている磁気ラベルを用いることで、溶液中の磁気ラベルを容易に分散させることができる。 いくつかの実施例における磁気ラベルは、超常磁性材料又は反強磁性合成材料を含む。 例えば磁気ラベルは、反強磁性的に接続された2層以上の強磁性体を含む。

    いくつかの実施例における磁気ラベルは、高磁気モーメントの磁気ラベルである。 磁気ラベルの磁気モーメントとは、外部からの磁界がある場合に配向性を測定した測定結果である。 「高モーメント」とは、磁気ラベルが外部の磁界に対して高い配向性を示すことをいう。 高磁気モーメントを有する磁気ラベルは、外部の磁界に対する磁気ラベルの磁化状態を容易に誘導することができるため、磁気センサ表面付近にある磁気ラベルの存在を検出し易くする。

    いくつかの実施例における磁気ラベルとして、以下に限定するものではないが、Co、Co合金、フェライト、窒化コバルト、酸化コバルト、Co−Pd、Co−Pt、鉄、酸化鉄、鉄合金、Fe−Au、Fe−Cr、Fe−N、Fe 34 、Fe−Pd、Fe−Pt、Fe−Zr−Nb−B、Mn−N、Nd−Fe−B、Nd− Fe−B−Nb−Cu、Ni、Ni合金、それらの組み合わせ等が含まれる。 高モーメントの磁気ラベルの例として、以下に限定されるものではないが、Coナノ結晶粒、Feナノ結晶粒又はCoFeナノ結晶粒が含まれており、この高モーメントの磁気ラベルは、室温で超常磁性を示し、合成された反強磁性の磁気ナノ粒子となる。

    いくつかの実施例では、磁気ラベルの表面が変更される。 例えば磁気ラベルは、上述したように、結合対の一方のメンバーと磁気ラベルとが安定して関連し易くするように構成された層によって覆われる。 例えば磁気ラベルは、金の層、修飾されたポリ−L−リジンガラスの層、デキストランの層等によって覆われる。 いくつかの実施例における磁気ラベルには、デキストランポリマー内に埋め込まれた1以上の酸化鉄芯材が含まれる。 また、磁気ラベルの表面は、1以上の界面活性剤で修正されていてもよい。 例えば、磁気ラベルの水溶性が界面活性剤により増加しやすくなる。 いくつかの実施例では、磁気ラベルの表面が保護層を用いて修正されている。 この保護層は、アッセイ状況にある磁気ラベルの化学的安定性を容易なものにする。 例えば磁気ラベルは、金、酸化鉄、ポリマー(ポリメタクリル酸メチルのフィルム)等の層によって覆われる。

    いくつかの実施例における磁気ラベルは、球状となっている。 また他の実施例における磁気ラベルは、ディスク状、ロッド状、コイル状または繊維状となっている。 例えば磁気ラベルのサイズは、対象となる結合相互作用を干渉しない大きさである。 例えば、磁気ラベルは分析対象物および捕捉プローブと同様の大きさであり、捕捉プローブが分析対象に結合することを磁気ラベルは干渉しない。 例えば、磁気ラベルは磁気ナノ粒子である。 いくつかの実施例では、磁気ラベルの平均直径が5nmから250nmの範囲内であり、例えば、5nmから150nmの範囲内であり、10nmから100nmの範囲を含み、例えば25nmから75nmの範囲内である。 また例えば、本方法では、平均直径が5nm、10nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、70nm、80nm、90nm、又は100nmの磁気ラベルが使用され、又は、これらの値から選択したいずれか2つの値の間の範囲にある平均直径を有する磁気ラベルが使用される。 また例えば、平均直径が50nmである磁気ラベルが使用される。

    磁気ラベル及びそれらと生体分子との結合体については、2008年9月19日に出願した米国特許出願第12/234,506号明細書で更に述べてある。 この米国出願の発明の名称は「磁気センサを用いた分析対象物の検出」であり、その出願全体を参照することによりその開示内容は本明細書に組み込まれている。
    (アッセイ成分の生産)

    例えば本方法は、連続的に磁気検出アレイをサンプル及び磁気ラベルに接触させることによりアッセイ成分を生成する工程を含む。 例えばこの方法は、磁気検出アレイを最初にサンプルに接触させ、その後に磁気ラベルに接触させる工程を含む。 また例えばこの方法は、磁気検出アレイを最初に磁気ラベルに接触させ、その後にサンプルに接触させる工程を含む。

    他の実施例におけるこの方法は、サンプルと磁気ラベルとを組み合わせてアッセイ成分を生成する工程、及びその後に磁気検出アレイをそのアッセイ成分に接触させる工程を含む。 例えば、最初にサンプルと磁気ラベルとを流体リザーバセット内で組み合わせ、各流体リザーバがアッセイ成分を含む状態となる流体リザーバセットを生成する工程を本方法が含む。 その後、上述したように、磁気センサがアッセイ成分に接触できる。 次にこの方法は、以下で詳細に述べるが、磁気センサを捕捉プローブに接触させる工程を含むこともある。
    (捕捉プローブ)

    捕捉プローブは、ターゲット(例えば、分析対象物)となるタンパク質配列又は核酸配列に特異的に結合する分子である。 以下に限定されるものではないが、分析対象物の性質により、捕捉プローブとして(a)核酸を検出するために用いるターゲットDNA配列又はRNA配列のユニーク領域に対して相補的な1本鎖DNA、(b)タンパク質およびペプチドを検出するために用いるペプチド分析対象物のエピトープに対する抗体、(c)特異的結合対のメンバー等の認識分子が使用され得る。

    例えば、以下に限定するものではないが、適切な特異的結合対として、レセプター/リガンド対のメンバー、レセプターのリガンド結合タンパク、抗体/抗原対のメンバー、抗体の抗原結合断片、ヘプタン、レクチン/炭水化物対のメンバー、酵素/基質対のメンバー、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ジゴキシン/アンチジゴキシンなどが含まれる。

    いくつかの実施例では、捕捉プローブとして抗体が含まれる。 捕捉プローブである抗体は、分析対象物に特異的に結合する。 例えば、捕捉プローブは修飾抗体である。 修飾抗体は、分析対象物に特異的に結合するように構成してあり、特異的結合対の1以上のメンバーが含まれる。 特異的結合対の1以上のメンバーは、特異的結合対の相補的メンバーに特異的に結合するように構成できる。 例えば、上述したように、特異的結合対の相補的メンバーが磁気ラベルに結合する。 例えば、捕捉プローブは分析対象物に特異的に結合する抗体である。 また、その捕捉プローブはビオチンを含むように修正できる。 上述したように、いくつかの実施例における磁気ラベルは、ストレプトアビジンを含むように修正できる。 そのため、その捕捉プローブが分析対象物に特異的に結合するように(例えば、抗体―抗原相互作用を介して)構成してある。 また、その磁気ラベルに特異的に結合するように(例えば、ストレプトアビジン―ビオチン相互作用を介して)構成してある。 例えば捕捉プローブは、分析対象物と磁気ラベルとを結合するように構成してある。 つまり、捕捉プローブに対する分析対象物の特異的な結合が、磁気ラベルに対する捕捉プローブの特異的な結合能力を有意に干渉しないように、捕捉プローブが構成してある。 同様に、捕捉プローブに対する磁気ラベルの特異的結合が、分析対象物に対する捕捉プローブの特異的な結合能力を有意に干渉しないように、捕捉プローブが構成してある。

    いくつかの実施例における捕捉プローブは、分析対象物と特異的に結合する。 例えば、捕捉プローブが同定されて、分析対象物の存在が検出される。 捕捉プローブは、本明細書に記載したいずれの方法でも同定され得る。 例えば、上述したように、分析対象物は直接的に又は間接的に磁気センサに結合する。 捕捉プローブは、分析対象物に接触し、特異的に結合する。 上述したように、捕捉プローブは磁気ラベル及び分析対象物に結合するように構成してある。 例えば、捕捉プローブが表面結合分析対象物および磁気ラベルに同時的に結合することにより、磁気ラベルが磁気センサの検出範囲内に位置することになり、検出可能シグナルが磁気センサに誘導される。

    所定の状況では、分析の対象でない部分に捕捉プローブが非特異的に結合することにより生じる偽陽性シグナルが最小限に抑えられる。 例えば、対象ではない他の部分に対する捕捉プローブの非特異的結合は、磁気センサの表面と結合するものではなく溶液中にとどまるが、捕捉プローブに結合した磁気ラベルが磁気センサの検出範囲内に位置することが無いため、磁気センサに検出可能シグナル又は無視できないシグナルを誘導することが無い。

    上述したように、磁気ラベルはコロイド状であり、アッセイ成分溶液内に分散している。 例えば、捕捉プローブが磁気センサ表面に向かって分散する反応速度および捕捉プローブが分析対象物に結合する反応速度は、磁気ラベルが磁気センサ表面に向かって分散する反応速度よりも速い。 分析対象物に結合する捕捉プローブの反応速度が磁気センサ表面に向かって分散する磁気ラベルの反応速度よりも速いことにより、磁気センサの検出範囲における非特異的な磁気ラベルの存在で偽陽性シグナルが生じる事態を、最小限に抑え易くなる。

    いくつかの実施例では、磁気検出アレイがアッセイ成分に接触した後、磁気検出アレイが捕捉プローブに接触する。 したがって本方法は、サンプル及び磁気ラベルを含んだアッセイ成分(例えば、リザーバプレート上の第1流体リザーバセット)を最初に生産する工程を含む。 磁気検出アレイはその後、アッセイ成分と接触する。 次に磁気検出アレイは、捕捉プローブと接触する。 上述したように、アッセイ成分の各組成物は、リザーバプレート上にある一連の流体リザーバセット(例えば、行)内に含まれることになる。

    他の方法も用いることができる。 例えば、最初に磁気検出アレイが捕捉プローブに接触する工程と、その次に、サンプル及び磁気ラベルを含んだアッセイ成分に磁気検出アレイが接触する工程とを含む方法を用いることもできる。 上述した両方法において磁気ラベルは、磁気検出アレイが捕捉プローブに接触する前からアッセイ組成の中に存在する。 他の実施例では、リザーバプレート上の別個の流体リザーバセット内にサンプルと磁気ラベルとが収容される。 磁気検出アレイはその後、所望の対応する流体リザーバセットに磁気検出アレイを順次配置することにより、連続的にサンプル、磁気ラベル及び捕捉プローブに対して所望の順序で接触する。

    上述したように、例えば本方法は、サンプル中に1以上の分析対象物が存在するか否かを判定する洗浄フリー方法である。 そのためいくつかの実施例では、アッセイ成分に磁気検出アレイを接触させる工程に、磁気検出アレイがアッセイ成分の各要素と接触する前または接触した後に洗浄する工程が含まれていない。 したがって、磁気センサがアッセイ組成物と接触する前後に、洗浄工程が実施されることが無い。
    (サンプル中に分析対象物が存在するか否か判定するためのシグナル取得工程)

    本方法の実施例は、サンプル中における分析対象物の存在を検出するために磁気センサからシグナルを取得する工程も含む。 上述したように、磁気ラベルは直接的に又は間接的に分析対象物に結合し、その後に直接的または間接的に磁気センサに結合する。 結合した磁気ラベルが磁気センサの検出範囲内に位置する場合、磁気センサは、結合した磁気ラベルの存在を示すシグナル、つまり分析対象物の存在を示すシグナルを供給する。

    磁気センサは、磁気センサ表面付近に存在する磁気ラベルに応じて電気的シグナルを生成するように構成してある。 例えば、部分的な磁界に変化が生じることにより、磁気センサの抵抗に変化が生じる。 例えば、磁気センサ近傍で磁気ラベル(例えば、磁気ラベル)が結合することにより、磁気センサの部分的な磁界に検出可能な変化が生じる。 例えば、分析対象物に結合した磁気ラベルによって生じる磁界は、サンプル中に分散する非結合状態の磁気ラベルにより生じる磁界よりも大きい。 磁気センサの部分的な磁界の変化は、磁気センサにおける抵抗の変化として検出される。 いくつかの実施例において、非結合状態の磁気ラベルは、磁気センサ内に検出可能シグナルを生じることがない。
    (使用)

    本システム及び方法は、サンプル中にある1以上の分析対象物の存否および/または量を判定する工程が望まれるさまざまな適用形態に用いられるものである。 また本システム及び方法は、複数サンプルに対するハイスループットスクリーニングが望まれる適用形態にも用いられるものである。 いくつかの実施例における本方法は、複数のサンプル中にある生体マーカセット、例えば2以上の異なるタンパク生体マーカを検出するようにしてある。 例えば、あるグループの血清サンプル内にある2以上の疾患生体マーカを即座に検出するために本方法が使用される。 例えば、被験者の疾患状態を診断するために、被験者の疾患状態を継続的に管理または治療するため等に、方法が使用される。

    いくつかの実施例における本システム及び方法は、生体マーカを検出するために用いられるものである。 例えば、本システム及び方法は、特定の生体マーカの存否を検出するために用いられる。 また、血液、血漿、血清、その他の体液、又は以下に限定されるものではないが例えば唾液、尿、髄液、涙液、汗、胃腸液、羊水、粘膜液、胸水、皮脂、呼気などに含まれる特定生体マーカの濃度増減を検出するために用いられる。

    生体マーカの存否または生体マーカ濃度の有意な変化は、疾患リスクを診断するために用いられ得る。 また、個人に疾患が生じているか否かを診断するために、又は個人の疾患に対する治療法調整を行うために用いられる。 例えば、特定の生体マーカの存在または生体マーカのパネルは、個人に対して行われる投薬治療方法の選択または投薬量の選択に影響を及ぼす。 薬剤治療の効果を評価するに際し、生体マーカは、生存率または非可逆罹病率のような一般的なエンドポイントの代用物として使用できる。 ある処理により、健康改善に直結するような生体マーカの変化が見られた場合、その生体マーカは、特定の治療または特定の投与量に対する臨床的効果を評価するための代用エンドポイントとなり得る。 したがって、個人に対して検出された特定の生体マーカ又は生体マーカのパネル調査に基づく個人毎の診断および治療が、本方法およびシステムにより容易に実現される。 更に、本方法およびシステムにおけるピコモル及び/又はフェムトモル単位の感度により、疾患に関連する生体マーカを早期に検出することが可能となる。 一つの磁気検出器を用いて複数の生体マーカを検出する能力を備えるため、ここで開示したアッセイシステムおよび方法は、多重分子診断における複数サンプルのハイスループットスクリーニングに使用できる。

    いくつかの実施例において、本システム及び方法は疾患検知または疾患状況観察のために用いる生体マーカを検出するために使用される。 例えば、その疾患とは細胞増殖性疾患であり、以下に限定するものではないが例えば、癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫などである。 つまり本システム及び方法は、例えば癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫、癌腫などである細胞増殖性疾患等の疾患を検出するために使用される。 またいくつかの実施例において、本システム及び方法は感染性疾患検知または感染性疾患状況観察のために用いる生体マーカを検出するために使用される。 例えば、その生体マーカは分子生体マーカであり、以下に限定されるものではないが例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、低分子などである。 同様に、本方法、システム、及びキットは、循環器系疾患、中枢神経系疾患、腎不全、糖尿病、自己免疫疾患、その他多くの疾患を検出するために使用できる。

    いくつかの実施例において本方法、システム、及びキットは、食物安全性および/または環境安全性の評価を目的とし、複数のサンプル中に含まれる1以上の分析対象物の存否および/または量を検出するために使用することができる。 例えば本システム及び方法は、水、土壌、又は食物に潜在的に含まれ得る分析対象物が複数のサンプル中に存在するか判定するために使用することができる。 例えば、細菌、ウィルス、菌類などの潜在的な生物兵器因子を含む感染症因子を検出するために使用することができる。
    (コンピュータ関連の実施例)

    コンピュータ関連の実施例についても複数提供する。 具体的には、上述したデータ分析方法がコンピュータを用いて実行される。 したがって、対象となる結合相互作用の質的および/または量的な判定を実現するために、上述した方法を用いて生成したデータを分析するコンピュータベースのシステムを提供する。

    いくつかの実施例において、この方法は暗号化されて「プログラミング」の形式でコンピュータ読取可能媒体に記録される。 本明細書で用いられる「コンピュータ読取可能媒体」とは、指示および/またはデータをコンピュータに供給して実行および/または処理させる記録装置または送信媒体を言う。 記録媒体の例として、フレキシブルディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM、ハードディスクドライブ、ROM又は集積回路、光磁気ディスク、固体メモリ装置、PCMCIAカードのようなコンピュータ読取可能カード等が含まれ、コンピュータに内在する装置であっても外部に取り付けられる装置であってもよい。 情報を収めたファイルはコンピュータ読取可能媒体に「記録」され、コンピュータが後日にアクセス可能および読み出し可能となるように、「記録」手段が情報を記憶する。 媒体の例として、以下に限定するものではないが、プログラミングが物理的構造と関連し、例えばその物理的構造に記録される物理的媒体のような非一過性媒体が含まれる。 非一過性媒体としては、無線プロトコルを介して移動中の電気シグナルを含めない。

    コンピュータ読取可能媒体に対して、「永久メモリ」とは永久的に持続型であるメモリを言う。 永久メモリは、コンピュータ又はプロセッサへの電力供給停止によって削除されることが無い。 コンピュータハードドライブ、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM及びフレキシブルディスクは、全て永久メモリの一例である。 ランダムアクセスメモリ(RAM)は、非永久メモリの一例である。 永久メモリ内にあるファイルは、編集可能であり、書き換え可能であってもよい。
    (キット)

    また、上述した方法に関する1以上の実施例に用いるキットを提供する。 本キットは変更可能であり、様々な装置および試薬が含まれる。 試薬および装置として、磁気検出器またはその構成要素(例えば磁気検出アレイ)、磁気ラベル、捕捉プローブ、分析対象物特異的プローブ、バッファなどについて本明細書で言及した内容が含まれる。 試薬、磁気ラベル、捕捉プローブなどは、それぞれ異なる容器内に用意され、必要に応じて試薬、磁気ラベル、捕捉プローブなどを個別に使用することができる。 また例えば、1以上の試薬、磁気ラベル、捕捉プローブなどが同じ容器内に用意され、1以上の試薬、磁気ラベル、捕捉プローブなどが事前に混合された混合物としてユーザに供給される。

    いくつかの実施例におけるキットは、上述したような磁気検出器と磁気ラベルとを含む。 例えば、上述したように、磁気ラベルは磁気ナノ粒子であってもよい。 また、いくつかの実施例におけるキットは、上述した様に、複数の流体リザーバを有するリザーバプレートを含む。

    例えば本キットは、少なくとも、本方法(例えば、上述したような方法)で用いる試薬を含む。 また、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能媒体を含み、コンピュータプログラムがコンピュータにロードされた場合にコンピュータは、磁気センサから取得したリアルタイムシグナルに基づき、対象となる結合相互作用の質的および/または量的な判定を行う。 また、コンピュータプログラムを取得するための取得先アドレスを有する物理的基体を含む。

    上述した構成要素の他に、本キットは更に本方法を実施するための使用説明書を含む。 本キットに関するこれらの使用説明書は、さまざまな形式とすることができ、1以上の形式が本キットに存在することもある。 これらの使用説明書の一形式は、適切な媒体または素材の上に情報を印刷したプリント物である。 例えば、情報が印刷された1枚または複数枚の用紙であり、本キットのパッケージ内に同封される場合、または添付文書内に記載される場合等がある。 その他にも、コンピュータ読取可能媒体とすることができる。 例えば、ディスケット、CD、DVD等、情報を記録した媒体とすることができる。 その他にも、離れた場所にある情報にインターネットを介してアクセスするためのウェブアドレスとすることができる。 本キットに対しては、便利な様々な手段を用いることができる。

    上で提供した開示内容から明らかなように、本開示内容は、広範囲の用途を有する。 そのため、説明の便宜上いくつかの例を以下に述べるが、それらの例は本発明を限定するものではない。 当業者であれば、変更または修正することができるが、実質的に同じ結果となる様々な非決定的なパラメータを認識し得る。 したがって以下の例は、本発明をどのようにして実現および使用するかについての完全な開示および記載を当業者に提供するために記載されたものであり、発明の権利範囲を限定させるものではなく、以下で述べた実験が実行される実験の全てというわけではない。 使用した数値(例えば、量、温度など)に対する正確性を保証するために様々な努力が行われたが、実験上の誤差および偏差が含まれ得ることを考慮すべきである。 特段の記載が無い場合、それぞれの部分は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧程度である。

    (実施例)
    本開示内容に係る実施例のハイスループット磁気センサシステムをテストするために、実験が行われた。 磁気検出アレイは、表面の化学的性質として2種類有するように準備した。 1つは磁気ナノ粒子を吸着する性質(例えば、ポジティブセンサ)であり、もう1つは磁気ナノ粒子を吸着しない性質(例えば、コントロールセンサ)である。 各アレイにある検出器の半分がポジティブセンサである。

    磁気検出器は、磁界発生源(例えば、磁気コイル)内にある磁気的活性領域に固定した。 複数の流体リザーバを有するリザーバプレートは、磁気検出アレイと関連して動作可能状態となるように持ち上げられ、その動作可能状態から解除するために下ろされた。 また、流体リザーバの一の行から他の行に向かって移動された。

    典型的な実験では、溶液中に存在する分析対象物の濃度を測定した結果がポジティブセンサにおける増加シグナルレベルとなる。 この例においては、サンプル溶液中の磁気ナノ粒子濃度を測定した結果が増加シグナルレベルとなる。

    図3は、所定の期間(分)において、磁気検出器の磁気検出アレイから取得したシグナルレベルのグラフを示す。 このグラフは、磁気検出アレイにあるポジティブセンサとコントロールセンサとから得られたシグナルレベルを示す。 磁気ナノ粒子溶液を収容する流体リザーバに磁気検出アレイが組み合わされたとき、図3のグラフにある領域Aに示すように、ポジティブセンサのシグナルレベルが増加した。 これは、磁気ナノ粒子がポジティブセンサに吸着したためであった。 領域Bでは、脱イオン水を収容する流体リザーバに磁気検出アレイが組み合わされたときに、シグナルが部分的に減少した。 これは、センサアレイから磁気ナノ粒子が除去されたためであった。 領域Cに示すように、磁気検出アレイが流体リザーバから取り出されて乾燥されたとき、シグナルレベルが安定した。

    上述した発明は、明確に理解できるようにするために、例示および具体例をあげてある程度詳細に説明されたが、本発明の教示内容を考慮した当業者であれば、添付の請求項が示す概念または範囲から離れない変更および修正を本発明に行ってもよいことは自明である。

    つまり、上記の内容は本発明の原則を例示しているにすぎない。 当業者であれば、本明細書に明記していないが、本発明の原則を実現して本発明の概念および範囲に含まれるような様々な異なる配置例を創作することができる。 更に、本明細書に記載した全ての例および条件用語は、主として、本発明の原則および発明者が当分野に対して貢献した概念を読み手が理解できるように補助するものであって、具体的に記載した例および条件に限定するものではない。 更に、具体的な例とともに本発明の原則、概念および実施例についてここで記載した全ての表現は、それらに対して構造的および機能的に均等なものをも含むことになる。 また、そのような均等物には、現在において均等なものだけでなく、将来において均等な物をも含むことになる。 したがって本発明の範囲は、本明細書に示され記載された実施例に限定されることがない。 むしろ、本発明の範囲および概念は、添付した請求項によって実現されるものである。
    (政府援助)

    本発明は、アメリカ国立がん研究所からグラント番号N44CM−2009−00011の政府援助を受けて行われた。 そのためアメリカ政府は、本発明に関する特定の権利を有する。
    (関連出願)

    米国特許法第119条(e)に従い、本願は、2011年3月9日に出願した米国仮特許出願第61/450655号の出願日に対する優先権を主張する。 その仮出願の開示内容は参照として本願に含まれている。

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