High throughput screening of ion channel

申请号 JP2013503835 申请日 2011-04-05 公开(公告)号 JP2013523150A 公开(公告)日 2013-06-17
申请人 モレキュラー デバイシズ,インコーポレーテッド; 发明人 オシプチュク,ユリ,ヴラディミロヴィッチ; ワッソン,ジェイムズ,リチャード; ヴァードンク,エドワード,ディ.;
摘要 なだらかな起伏を持つウェル設計を有するマルチウェルプレートは、イオンチャネルまたはイオン輸送体の多段ハイスループット並行アッセイを可能にする。 マルチウェルプレートのウェルは、 感知 電極と、試験化合物、洗浄液、任意選択でリガンドなどを送達するためのピペットとを同時に収容するサイズおよび形状の底部領域を有する。 そのようなマルチウェルプレートは、ピペットヘッドおよび電極板を有する計器と結合されてもよい。 そのような構成は、細胞とピペットにより提供される液体との液体 接触 を円滑に行わせる。 またそのような構成は、様々な試薬または刺激剤に対する試験細胞の連続暴露を可能にするための緩衝液または他の洗浄液によるウェルの洗浄も円滑に行わせる。 一般にこの設計は、対照実験と試験実験とが単一のウェル内で同じ(1つまたは複数の)細胞に対して行われることを可能にする。
权利要求
  • 複数のウェルを備えるマルチウェルプレートであって、前記マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルが、
    (a)ピペットチップを収容するサイズおよび形状の細胞キャビティと、
    (b)感知電極を収容するサイズおよび形状の電極ポケットとを備える底部を備え、前記細胞キャビティおよび前記電極ポケットが、前記ピペットチップおよび前記感知電極の同時収容を可能にするように配置されている、マルチウェルプレート。
  • 前記細胞キャビティが前記細胞キャビティの底部表面に少なくとも1つの細胞シール開口を備える、請求項1に記載のマルチウェルプレート。
  • 前記細胞キャビティが、前記ピペットチップから分注される液体のかなりの割合がピペットガイドから上方へ流出するのを防ぐために前記ピペットチップと嵌合するような形状およびサイズを有する前記ピペットガイドを備える、請求項1に記載のマルチウェルプレート。
  • 前記細胞キャビティと前記電極ポケットとの間の液体接続部をさらに備え、それによって、前記ピペットチップから分注される液体が最初は前記細胞キャビティ内へ流入し、次いで前記電極ポケットを通ってから前記ウェルの上部領域へ出る、請求項3に記載のマルチウェルプレート。
  • (a)複数の感知電極と、ピペッタヘッドから向けられたピペットチップを収容するサイズおよび位置の複数の関連するスルーホールとを備える電極板と、
    (b)それぞれが前記電極板の1つの電極および1つのスルーホールと整列するように配置された複数のウェルを備えるマルチウェルプレートであり、前記マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルが前記ウェルのピペットチップを収容するサイズおよび形状の細胞キャビティを備える、前記マルチウェルプレートとを備えるパッチクランプ装置。
  • 前記電極板が、前記感知電極と関連する感知および記録する電子機器との間の電気接続を提供するための複数の接点を備える、請求項5に記載のパッチクランプ装置。
  • 前記マルチウェルプレートの各ウェルが前記各ウェル内で膜のパッチをシールするための開口を備え、前記少なくとも1つのウェルが1つの感知電極を収容するサイズおよび形状の電極ポケットをさらに備え、前記細胞キャビティおよび前記電極ポケットが、前記ピペットチップおよび前記感知電極の同時収容を可能にするように配置されている、請求項5に記載のパッチクランプ装置。
  • 前記細胞キャビティが、前記少なくとも1つのウェルへ向けられたピペットチップと嵌合する形状およびサイズを有するピペットガイドを備える、請求項5に記載のパッチクランプ装置。
  • 少なくとも1つのウェルが、電極ポケットと、前記細胞キャビティと前記電極ポケットとの間の液体接続部とをさらに備え、それによって、前記ピペットチップから分注される液体が最初は前記細胞キャビティ内へ流入し、次いで前記電極ポケットを通ってから前記ウェルの上部領域へ出る、請求項5に記載のパッチクランプ装置。
  • パッチ・クランプ・アッセイを実行する方法であって、
    (a)ウェルの底部の開口にシールされた細胞を提供するステップと、
    (b)前記細胞を第1の溶液に暴露するステップと、
    (c)前記細胞が前記第1の溶液に暴露される間または暴露された後に、前記細胞からの第1の電気信号を測定するステップと、
    (d)前記ウェルに挿入されたピペットから前記ウェルの前記底部へ新鮮な溶液を送達するステップと、
    (e)前記ピペットを取り出さずに前記ウェル内で前記ピペットを引き上げ、前記ウェルの上部領域から前記ピペット内へ液体を吸い込むステップと、
    (f)前記ウェルから前記ピペット内へ吸い込まれた前記液体を除去するステップとを含む方法。
  • 前記(f)で前記液体を除去した後で前記細胞を第2の溶液に暴露するステップと、前記細胞が前記第2の溶液に暴露される間または暴露された後に、前記細胞からの第2の電気信号を測定するステップとをさらに含み、前記第1の電気信号が対照測定を提供し、前記第2の電気信号が試験測定を提供する、請求項10に記載の方法。
  • 前記(c)の第1の電気信号を測定する前記ステップが、前記ウェルへの前記第1の溶液の導入直後に行われる、請求項10に記載の方法。
  • 前記第1の電気信号を測定する前記ステップが、前記ウェル内の感知電極からの電流を検出するステップを含む、請求項10に記載の方法。
  • 前記ウェルが、ピペットチップおよび感知電極を同時に収容する開いた最上部と、ピペットチップを収容する細胞キャビティ、感知電極、および前記細胞キャビティとの液体接続部を有する電極ポケットを有する底部とを備え、それによって、前記(b)の間に前記第1の溶液が前記ピペットチップから分注され、最初は前記細胞キャビティ内へ流入し、次いで前記電極ポケットを通ってから前記ウェルの上部領域へ出る、請求項10に記載の方法。
  • 前記細胞キャビティが、前記少なくとも1つのウェル内へ向けられたピペットチップと嵌合するための形状およびサイズを有し、前記ウェル上方に配置された電極板内の対応するスルーホールと実質的に同軸のピペットガイドを備える、請求項10に記載の方法。
  • 前記(a)が、少なくとも1つのリガンド依存性イオンチャネルを含む前記細胞をシールするステップと、前記ウェルへリガンドを送達するステップとをさらに含み、
    前記(b)が、前記リガンド依存性イオンチャネルを前記リガンドに暴露した結果として生じる前記第1の電気信号を測定するステップをさらに含む請求項10に記載の方法。
  • 前記(e)と前記(f)との間に、膜の前記パッチに刺激剤を適用するステップと、前記刺激剤の適用後に、前記ウェルへ前記リガンドを送達し、前記リガンド依存性イオンチャネルを前記リガンドに暴露した結果として生じる電気信号を測定するステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  • 前記リガンド依存性イオンチャネルを再感作させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  • 前記刺激剤を適用する前記ステップが医薬活性化合物または生物材料を適用するステップを含む、請求項17に記載の方法。
  • 前記ウェルへ前記リガンドを送達した直後に前記電気信号を測定するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、イオンチャネルのハイスループットスクリーニングに関する。

    イオンチャネルは、あらゆる生体のあらゆる細胞内に存在する膜タンパク質である。 イオンチャネルは、細胞との間のイオンの流出入を制御し、よって、細胞機能において決定的に重要な役割を果たす。 当然ながら、イオンチャネルは、非常に重要な創薬標的群を構成している。 新薬を効率よく開発するために、研究者らは、イオンチャネルに対する化合物(薬物候補)の作用による化合物(薬物候補)のハイスループットスクリーニングを可能にする方法および装置を必要とする。 そのような薬物スクリーニングの方法および装置は、イオンチャネルの活性を測定するための機構およびイオンチャネルに化合物を適用するための機構を必要とする。

    イオンチャネルは、一般に、パッチクランプと呼ばれる技法を用いて研究される。 この技法は、個々の細胞からの電気信号(電流および/または電圧)を測定することを伴う。 細胞は、電気信号の大きさがイオンチャネルの状態、特に、イオンチャネルがどれだけの電流を通すかに直接関連するように装置内に配置される。 よって、この技法は、生体細胞、細胞膜および人工膜におけるイオンチャネル事象の直接的な電気測定を可能にする。

    パッチクランプの全細胞構成および穿孔パッチ構成は、薬物スクリーニングのためにイオンチャネル活性を測定する最善の方法を提供するものとして広く受け入れられている。 これらの方法では、イオンチャネルを流れるイオン電流が、高感度電流増幅器により、直接、高分解能で測定される。

    残念ながら、電流パッチクランプ計測には、イオンチャネル、特にリガンド依存性イオンチャネルの、特にハイスループットスクリーニングに関して様々な欠点がある。

    本明細書で開示するいくつかの実施形態は、イオンチャネルおよびイオン輸送体のハイスループット並行アッセイを可能にする計器、マルチウェルプレート、および関連するウェルの設計に関するものである。 マルチウェルプレートの各ウェルは、感知電極と、例えば、試験化合物、洗浄液、任意選択で(リガンド依存性イオン・チャネル・アッセイでの)リガンドなどを送達するためのピペットとを同時に収容するサイズおよび形状の底部領域を有する。 そのようなマルチウェルプレートは、様々な利点を提供するためにピペットヘッドおよび電極板を有する計器と結合されてもよい。 第1に、そのような配置は、リガンド依存性イオンチャネルのアッセイを円滑に行わせるための、ピペットによるリガンドの添加直後の電流測定を可能にする。 第2に、そのような配置は、単一のウェル(およびその関連する細胞)を、リガンド依存性イオンチャネルを含むイオンチャネルに対する対照実験と試験実験の両方に使用することができる比較的複雑なアッセイプロトコルを可能にする。 加えて、あるウェル設計は、細胞とピペットにより提供される液体との間の液体接触を円滑に行わせるなだらかな起伏を持つ特徴的構造も含む。 この設計は、様々な試薬または他の刺激剤に対する試験細胞の連続暴露を可能にするための、緩衝液または他の洗浄液を用いたウェルおよび細胞の洗浄を改善する。 一般にこの設計は、対照実験および試験実験が単一のウェル内で同じ(1つまたは複数の)細胞に対して行われることを可能にする。 これはリガンド依存性イオンチャネルについては特に有用である。

    様々な実施形態において、組立装置は、各ウェルの底部にある1つまたは複数の開口と、各ウェルの下方のプレナムと、各開口にシールされた複数のイオンチャネルを有する細胞と、各ウェル内で細胞のそばに位置する感知電極および細胞の上方にあるピペットと、最後に、感知電極と関連付けられた電子機器とを含む。

    ある実施形態では、本発明は、複数のウェルを有するマルチウェルプレートに関し、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルが、(a)ピペットチップを収容するサイズおよび形状の細胞キャビティ、ならびに(b)感知電極を収容するサイズおよび形状の電極ポケットを特徴とする底部を有する。 場合によっては、細胞キャビティおよび電極ポケットは、ピペットチップおよび感知電極の同時収容を可能にするように配置される。 さらに、ウェル底部は、電極ポケットと細胞キャビティとの間の液体接続部を提供してもよい。 典型的には、細胞キャビティは、細胞キャビティの底面に1つまたは複数の細胞シール開口を含む。

    様々な実施形態において、細胞キャビティはピペットガイドを備え、ピペットガイドはピペットチップと嵌合する形状およびサイズを有していてもよい。 例えば、ピペットガイドは、垂直方向にテーパ状になっていてもよい。 より具体的な事例では、ピペットガイドの形状およびサイズは、ピペットがガイドに挿入されるときに、ピペットチップから分注される液体のかなりの割合が、ピペットガイドから上方へ流出するのを防ぐ。 そのような設計において、ウェルが細胞キャビティと電極ポケットとの間の液体接続部を含むときに、ピペットチップから分注される液体は、最初は細胞キャビティ内へ流入し、次いで電極ポケットを通ってからウェルの上部領域へ出る。 (以下でより詳細に説明する)電極板を用いた実施形態では、ピペットガイドは、電極板内のスルーホールと実質的に同軸とすることができる。

    電極ポケットの寸法は、ウェルのサイズ、マルチウェルプレート内のウェルの数、電極のサイズ、細胞キャビティと電極との間の所望の液体的な結合などを含む様々な特定用途向けの特徴に依存し得る。 一具体的実施形態では、垂直方向の電極ポケットの高さは、約0.2mmから2mmの間である。 別の具体的実施形態では、電極ポケットと細胞キャビティとの中心間距離は、約1mmから5mmの間である。

    同様に、細胞キャビティの寸法も、電極ポケットについて挙げたものを含む特定用途向けの特徴、ならびに、ピペットチップのサイズおよび形状(ピペットテーパなど)や、ピペットヘッドと関連付けられる斜めのずれといったいくつかのピペット特有の特徴に依存し得る。 ある具体的実施形態では、垂直方向の細胞キャビティの高さは、約0.2mmから2mmの間である。 さらに、細胞キャビティの直径または幅は、約0.5mmから2mmの間とすることができる。 いくつかの具体的実施形態では、細胞キャビティは、ピペットチップが細胞キャビティと係合するときに、ピペットチップが、細胞キャビティの底部から約0.5mm以内になるようなサイズおよび形状を有する。

    本発明の別の態様は、(a)複数の感知電極と、ピペッタヘッドから向けられたピペットチップを収容するサイズおよび位置の複数の関連付けられたスルーホールとを備える電極板と、(b)それぞれが電極板の1つの電極および1つのスルーホールと整列するように配置された複数のウェルを備えるマルチウェルプレートとを特徴とし得るパッチクランプ装置に関するものである。 さらに、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルは、そのウェルのピペットチップを収容するサイズおよび形状の細胞キャビティを含む。 典型的には、マルチウェルプレートの各ウェルは、ウェル内で膜のパッチをシールするための開口も含む。 さらに電極板の感知電極は、典型的には、96個、384個、または1536個のウェルを有するSBS準拠プレートの1ウェルごとに1つの電極を提供するように配置される。 典型的には、電極板は、感知電極と、関連する感知および記録する電子機器との間の電気接続を提供するための複数の接点を含む。

    様々な実施形態において、マルチウェルプレートの少なくとも1つのウェルは、電極板の感知電極を収容するサイズおよび形状の電極ポケットを含む。 前述の第1の態様と同様に、細胞キャビティおよび電極ポケットは、ピペットチップと感知電極との同時収容を可能にするように配置され得る。 また、前述のように、細胞キャビティは、少なくとも1つウェル内に向けられたピペットチップと嵌合するような形状およびサイズを有するピペットガイドも含んでいてもよい。 よって、ある実施形態では、ピペットガイドは、電極板内の対応するスルーホールと実質的に同軸とすることができる。

    本発明の別の態様はパッチ・クランプ・アッセイを行う方法に関するものであり、この方法は、(a)ウェルの底部の開口にシールされた細胞を提供する動作と、(b)細胞を第1の溶液に暴露する動作と、(c)細胞が第1の溶液に暴露される間または暴露された後に、細胞からの第1の電気信号を測定する動作と、(d)ウェルに挿入されたピペットからウェルの底部へ新鮮な溶液を送達する動作と、(e)ピペットを取り出さずにウェル内でピペットを引き上げ、ウェルの上部領域からピペット内へ液体を吸い込む動作と、(f)ウェルからピペット内へ吸い込まれた液体を除去する動作とを特徴とする。 様々な実施形態において、この方法は、(f)で液体を除去した後で細胞を第2の溶液に暴露する動作と、細胞が第2の溶液に暴露される間または暴露された後に、細胞からの第2の電気信号を測定する動作とをさらに含む。 様々な実施形態において、第1の電気信号は対照測定を提供し、第2の電気信号は試験測定を提供する。 さらに別の実施形態では、(c)の第1の電気信号を測定する動作は、ウェルへの第1の溶液の導入直後に行われる。 加えて、第1の電気信号を測定する動作は、ウェル内の感知電極からの電流を検出する動作も伴っていてもよい。

    上記の方法実施形態は、前述のプレートおよび装置を用いて実施され得る。 例えば、この方法において使用されるウェルは、前述の細胞キャビティを定義する底部構造を有していてもよい。 さらに別の実施形態では、細胞キャビティのサイズおよび形状は、ピペットガイドに関連した特徴を含む前述の特徴のうちの1つまたは複数を含む。 また、方法実施形態は、任意選択で、前述の電極ポケットを有するウェルを用いてもよい。 本明細書に記載する方法を実施するときには、前述の寸法、液体的な結合構成および他の特徴を利用することができる。

    さらに別の態様では、本発明は、リガンド依存性イオンチャネルに対してパッチ・クランプ・アッセイを行う方法に関するものである。 かかる方法は、(a)少なくとも1つのリガンド依存性イオンチャネルを含む膜のパッチをアッセイウェル内の開口にシールする動作と、(b)ウェルにリガンドを送達し、リガンド依存性イオンチャネルをリガンドに暴露した結果として生じる電気信号を測定する動作と、(c)ウェル内に挿入されたピペットからウェルの底部へ新鮮な溶液を分注し、それによって膜のパッチを新鮮な溶液で浸す動作と、(d)ピペットをウェル内の異なる位置へ移動し、ウェルからリガンドを含む古い溶液を除去する動作と、(e)膜のパッチに刺激剤を適用する動作と、(f)刺激剤の適用後にウェルへリガンドを送達し、リガンド依存性イオンチャネルをリガンドに暴露した結果として生じる電気信号を測定する動作とを特徴とし得る。 マルチウェルプレート内の正常な動作に際して、この方法は、マルチウェルプレートの複数のウェル内の複数のパッチについて(a)の膜のパッチをシールする動作を繰り返す動作を伴うことになる。

    様々な実施形態において、(b)は、ウェルへリガンドを送達した直後に電気信号を測定する動作を伴う。 加えて、リガンド依存性イオンチャネルは、(c)および(d)が完了した後で、さらに別の動作を行う前に再感作させてもよい。 しばしば、(a)における刺激剤は、医薬活性化合物または生物材料を適用する動作を伴う。

    開示のLGICアッセイ法は、前述のプレートおよび装置を用いて実施され得る。 その他の方法実施形態と同様に、ウェルは、前述の細胞キャビティおよび/または電極ポケットを定義する底部構造を有していてもよい。 さらに、細胞キャビティ、電極ポケット、および/またはピペットガイドの(前述の寸法を含む)サイズおよび形状も前述のサイズおよび形状と同様とすることができる。

    上記その他の特徴および利点を、関連付けられた図面を参照して以下でより詳細に説明する。

    複数のパッチクランプ実験を並行して実行するためのマルチウェル装置を示す概略図である。

    典型的なリガンド依存性イオンチャネルの反応プロフィールを示す図である。

    ハイスループット・パッチ・クレーム・アッセイを行うためのピペットヘッドおよびマルチウェル試験ステーションを含む計器を示す図である。

    プレナム、パッチプレート、電極板、およびピペットヘッドを含むマルチウェル・パッチ・クランプ領域を示す分解図である。

    ある実施形態によるパッチプレート401を示す上面図である。

    図4Bに示すパッチプレートと共に使用するのに適した電極板の実施形態を示す図である。

    パッチプレート内の単一のウェルの対断面を示す図である。

    ウェルの上部領域から溶液を吸い込むためにピペットがウェル内で中間の高さまで引き上げられている図5Aのウェルを示す図である。

    細胞キャビティおよび電極ポケットを有するウェルを示す上面図である。

    並行パッチクランプ工程を示すハイレベル流れ図である。

    電位依存性イオンチャネルを用いたアッセイの実施を示す流れ図である。

    リガンド依存性イオンチャネルを用いたアッセイの実施を示す流れ図である。

    ウェル洗浄工程の実施を示す流れ図である。

    イオンチャネルは、一般に、2つの部分、すなわち細孔(チャネル)と、細孔の伝導度を調節するスイッチとを含む。 イオンチャネルは、いったん開かれると、イオンが既存の電気化学的勾配の方向に流れるという点で受動的要素である。 イオン輸送体は、細胞膜を横切るイオンの輸送に関与するという点でイオンチャネルと類似するが、イオン輸送体の機能にはエネルギーが必要であり、確立された電気化学的勾配に抗して能動的に送り出すという点でイオンチャネルとは異なる。 便宜上、本明細書ではイオンチャネルという用語を使用してイオン輸送体とイオンチャネルの両方に言及する。

    イオンチャネルには、電位依存性イオンチャネル(VGIC)およびリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)という2つの主要な種類がある。 VGICは、細胞性膜内外の電圧を変更することにより活性化され、一方、LGICは、チャネルタンパク質に対する化合物(リガンド)の作用により活性化される。 LGICの研究は、パッチされた細胞の近傍における細胞外溶液の迅速な交換を必要とする。

    次に、イオンチャネルを研究するための操作構成として計器の一例を、計器の主要構成要素を参照して説明する。 これらの構成要素は、それぞれが開口にシールされた細胞を有する複数のウェル(すなわち2つ以上のウェル)と、液体を送達し、ウェルから除去するためのピペットと、ウェル内の電気信号を感知するための電極とを含む。 以下に示すより具体的な実施形態では、この計器を、ピペットヘッド、複数のウェルを含むパッチプレート、およびパッチプレートの各ウェルにおける独立の感知を可能にするように配置された複数の電極を有する別個の電極板に関して説明する。 本発明のパッチプレートおよび電極板は図面に提示する具体的構造だけに限定されない。 開示の実施形態のいくつかの関連する特徴が、どちらもそのパッチクランプ計測の記述についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6488829号明細書およびPCT公開国際出願PCT/US2005/032044号明細書に提示されている。

    図1Aに、複数の細胞に対する同時パッチクランプ実験を可能にするマルチウェル・パッチ・クランプ装置の様々な特徴を概略的な形で示す。 図示の装置では、ウェル7aが、隣接するウェル7bおよびウェル7cの部分図と共に示されている。 各ウェルは垂直構造部材19および底部平構造部材20によって境界を定められている。 底部水平部材20は、ウェル7a内の開口9aおよびウェル7c内の開口9cを含むいくつかの開口を含む。 パッチクランプ実験時には、細胞が、細胞内部へのイオン結合を可能にする個々の開口にシールされる。 図示の例では、細胞1aが開口9aにシールされており、細胞1cが開口9cにシールされている。 底部水平部材20の下方にはプレナム11があり、プレナム11は、パッチクランプ実験時に細胞内液体といった液体を保持するように設計されている。 プレナム11は、最上部が水平部材20によって、底部が、接地15に電気的に結合されている1つまたは複数の基準電極(基準電極13など)を含む平行水平部材32によって境界を定められている。

    細胞1aおよび細胞1cはそれぞれ、装置の個々のウェルにおいて刺激剤に対するその反応を評価される複数のイオンチャネル17を含む。 典型的なパッチ・クランプ・アッセイは、ウェル内に位置決めされた、プレナムに接する膜パッチを有する様々な細胞を流れる電流(より詳細は細胞内のイオンチャネルを流れる電流)と関連付けられる信号を感知することを伴う。

    ある実施形態では、パッチクランプ実験は穿孔パッチ実験である。 全細胞パッチクランプ実験のこの変形では、細胞開口にシールされた膜のパッチは、開口における細胞膜のパッチ内外の抵抗を低減するために穿孔され、または透過化される。 当然ながら、この透過化処理は、イオンチャネルの伝導率には影響を及ぼさず、開口における膜の脂質成分と関連付けられる抵抗を低減する。 膜パッチの電気的透過化処理は多くのやり方で誘導することができる。 ある実施形態では、電気的透過化処理は、パッチを穿孔物質と接触させることによって行われる。 これは、例えば、そのような物質をプレナム内の溶液に提供することによって行われてもよい。 適切な穿孔物質の例には、いくつかの親油性化合物や、アムホテリシンB、ナイスタチン、グラミシジンといった抗生物質が含まれる。 そのような化学薬品は、塩化物といった一価のイオンを透過できる細胞膜内の化学的細孔を形成することにより働く。 塩化物はよく使用されるAg/AgCl電極のための電流搬送イオンであるため、これらの化合物は、細胞内部への低抵抗の電気アクセスを生じさせる。

    ある実施形態では、細胞膜に穿孔し、同様の結果を生じさせるために相対的に高い電圧が印加される。 そのような場合には、開口内でシールされた膜が物理的に破れるのに十分な強さと持続期間の電圧パルスを印加することにより透過化処理が行われる。 これを一般に「ザッピング」という。

    本発明は穿孔パッチの実施形態だけに限定されないことを理解すべきである。 膜パッチを破裂させる全細胞といった別の種類のパッチ・クランプ・アッセイも用いられ得る。

    多くのアッセイにおいて、各刺激剤は、それがイオンチャネル17のイオン電流を通す能に及ぼす影響について評価される。 電流は、ウェル7a内の感知電極2aやウェル7b内の感知電極2bといった感知電極により感知される。 そのような電極は、典型的には、アッセイ溶液中の塩化物イオンの可逆的交換に応答して感知回路への電気接続を提供する銀/塩化銀電極である。 測定回路は基準電極13を経由して完了し、基準電極13は第2のAg/AgCl電極とすることができる。

    必ずしもそうとは限らないが典型的には、各感知電極は独自の関連する感知電子機器を有する。 しかし、場合によっては、(多くの場合複数のウェル内の)複数の電極が感知電子機器を共用する。 図示のように、感知電子機器は、参照番号21でまとめて指示する様々な要素を備えていてもよい。 これらの要素は、回路内を流れる電流を感知するように構成された高インピーダンス演算増幅器23と、データ記録システム25とを含み、データ記録システム25は、ウェルからの電気信号を記録し、任意選択で分析するために増幅器に結合されている。 開口9と細胞膜との間の高電気抵抗シールは、増幅器によって記録される電流が、開口の周囲を流れて直接ウェル溶液に流入するイオンによってではなく、細胞膜を通って流れるイオンによって決定されることを可能にする。 電圧制御装置27は、ウェル電極2と(1つまたは複数の)基準電極13との間に外部電圧を印加し、それによって細胞の膜内外電位差を制御するように設計され、または構成されている。

    図1Aに示すように、各ウェルは、ウェル7aに配置されたピペット3aやウェル7cに配置されたピペット3cなど、別個のピペットを含む。 パッチクランプ実験中いつでも、各ピペットは、アッセイの現段階に適する特定の液体を保持し得る。 ある段階では、ピペットはそれぞれのウェルへ液体を送達するのに使用され、アッセイの別の段階では、ピペットはそれぞれのウェルから液体を除去するのに使用される。 図1Aでは、各ピペット内の液体は、参照番号5、すなわち、ピペット3a内の5aおよびピペット3c内の5cで示されている。

    各ウェルの底部は、少なくとも一部は、ウェルのピペット部分をウェルの電極部分から分離するのに使用されるウェル7a内に示す部材31といった内部構造部材を含む。 以下でより十分に説明するように、そのような構造が、ウェルの異なる部分において別個のキャビティまたはポケットを定義するのに用いられてもよい。 個々のウェルにおけるピペットと関連する細胞と電極との間の良好な液体連通により、アッセイ中の任意の時点での所与のウェルにおけるピペットおよび電極の同時挿入が可能になる。 またこの設計は、リガンド依存性イオンチャネルの研究におけるデータの取得も容易にする。

    図1Bに、各ウェルが、例えばウェル7a内の開口9a、9a'、および9a”など、複数の開口を含むことを除いて図1Aに示す実施形態と同様の実施形態を示す。図示のように、各開口は、別個の細胞とのシールを形成するように位置決めされている。この設計を用いた実施形態を、「集団パッチクランプ」または「並行パッチクランプ」(PPC:parallel patch clamp)と呼ぶ。 というのは、この実施形態では、並列な複数の異なる細胞に対する単一の刺激剤の影響を同時に考察するからである。 そのような実施形態では、単一のウェルが複数の細胞をサポートし、それらの細胞の信号に対する寄与がまとめて感知される。 そのような設計は、そのうちのどの1つも標準と大きく異なる挙動を呈し得る複数の細胞の寄与を平均するために、改善されたデータを提供することができる。 細胞間のばらつきは多くの場合かなり大きく、個々の細胞は、しばしば、特定の刺激剤に対するその反応に際して大きなばらつきを呈する。 PPCアッセイ設計のさらなる詳細は、そのPPC技術の考察についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2005年9月9日に出願された、米国特許出願第11/222576号明細書に記載されている(PCT公開国際出願PCT/US2005/032044号明細書も参照されたい)。

    本発明は、細胞膜内のイオンチャネルの研究だけに限定されないことを理解すべきである。 より正確には、考察対象とする膜は、例えば、そのいずれかが1つまたは複数のイオンチャネルを含む、細胞、小胞、細胞器官、細胞膜断片、および合成膜という種のうちのいずれか1つまたは複数などの中からのものとすることができる。 ある実施形態では、膜状試料は、実質的に球形とすることができる。 隔壁の開口の外部にある膜状試料の部分は実質的に無傷とすることができる。

    単一のウェル内に感知電極とピペットとが同時に存在することにより、アッセイプロトコル、特に、リガンド依存性イオンチャネルに対する薬物の影響を測定するのに適したプロトコルについての様々な選択肢が提供されることを理解すべきである。 図2に、典型的なLGICの反応プロフィールを示す。 図には、リガンド濃度およびイオンチャネルを流れる過渡イオン電流が同じ時間軸(横軸)に沿って表されている。 リガンド依存性イオンチャネルは、典型的には、非常に短時間の内に、典型的には1秒未満以内にリガンドの適用に反応する。 非常に緩慢に作用するリガンド依存性イオンチャネルは、1〜2秒ほどで反応する。 反応が最大に達した(と電流の最大変化によって測定された)後で、チャネルは脱感作する。 イオンチャネルに対するリガンドの最大の影響と脱感作との間の期間も、典型的には非常に短く、数秒以下程度である。 したがって、リガンド依存性イオンチャネルの開閉と関連付けられる電流の変化を測定するためには、電極(感知電極)とリガンドの供給源との両方が同時にウェル内に存在すべきである。 中には緩慢に脱感作するまたは脱感作しないチャネルもあることに留意されたい。

    いくつかの以前の設計では、一度に感知電極とピペットの一方だけをウェルに含めることしかできなかった。 これらの設計では、電極とピペットを、同時に、所与のウェル内で一緒に溶液に接触させることができなかった。 LGICアッセイを実行する際に、そのようなシステムは、まず、(感知電極がウェル内に入っていない間に)リガンドをウェル内にピペットで分注し、ピペットが取り出された後にようやく、電極をウェル内に挿入する。 よって、そのようなシステムは、イオンチャネルの作用に関する決定的な初期情報を逃す可能性がある。

    本発明では、電極とピペットとは、別個に独立して、しかしながら同時に、ウェル内で溶液と接触する。 本明細書で論じる様々な実施形態において、ウェルは電極とピペットの両方を同時に、異なる位置において含むことができる。 ピペットは、典型的なLGICアッセイでは、リガンドの送達を含めて複数の機能を有する。 開示した設計では、感知電極は、継続して電流をモニタし、ピペットがウェルにリガンドを送達し、それがリガンド依存性イオンチャネルに直ちに影響を及ぼす間の電流出力を生成するための信号を提供することができる。

    図3は、ハイスループット・パッチ・クランプ・アッセイを行うための特定の装置の上面図である。 図示のように、様々なステーションを、マルチウェルプレートに試薬、細胞、洗浄液などを提供するために使用することができる。 図示の装置は、複数のピペット303が装着されたピペットヘッド313を含み、このピペットヘッドは、マルチウェル・パッチ・プレートおよび関連する電極板317が備わる試験領域315と、この試験領域をまたいで配置さられた他のステーションとの間を移動することができ、他の領域には、細胞容器319、洗浄液容器321、ピペット洗浄ステーション323、リガンド容器325、および試験化合物または薬物ステーション327が含まれる。 加えて、この装置は、例えば、各ウェルに送達するための新鮮な細胞外溶液などを含む緩衝液ステーション329も含んでいてもよい。 これら様々なステーションはすべて、その上をピペットヘッドが適切な動作論理の制御下で横方向と縦方向とに移動することができる、外枠またはテーブル取付け式プラットフォーム305上に設けられ、適切な動作論理は、適切にプログラムされたコンピュータおよび/またはハードコード論理によって提供され得る。

    具体的には、ピペットヘッドは、標準的なマルチチャネル・フルイディクス・ピペッタといった、使い捨ての、または使い捨てではないチップを備えるロボットのマルチチャネル・ピペッタ・ヘッドとすることができる(そのようなピペッタの一例が、米国カリフォルニア州サニーベールのモレキュラーデバイシズ社から入手可能なFLIPR(商標)計器において使用されるピペッタである)。 典型的には、使い捨てのプラスチックまたはガラス製ピペットが使用される。 フルイディクスヘッドは、XYZ(3軸)移動アクチュエータ上に取り付けられ得る。 アクチュエータは、フルイディクスヘッドを、各ピペットが各ウェル上方の開口部と整列し、これらの開口部を通って、試験領域に取り付けられたパッチプレートの各ウェルの内部に到達するように移動する。 好ましくは、フルイディクスヘッドは、各ウェルから液体を吸引することも、各ウェル内へ液体を分注することもできる。

    一般に、本明細書で説明するハイスループットの実施態様は、ロボット工学、データ処理および制御ソフトウェア、液体ハンドリング装置、ならびに検出器を用いる。 ハイスループットスクリーニングは、研究者が、イオンチャネルに対して何百、何千、または何百万もの生化学試験、遺伝子試験または薬理試験を迅速に実行することを可能にする。 高度なシステムが、高密度マルチウェルプレートへの並行した試薬および洗浄液の自動添加を可能にする。

    図4Aに、試験領域(図3の試験領域315など)の分解図を示す。 この分解図には、その上方にパッチプレート401を有するプレナム433と、パッチプレートの上方の電極板411と、最後に、電極板411の上方のピペットヘッド313とが示されている。 プレナム433は、接地に結合され、プレナム区画413の底面に取り付けられたAg/AgCl電極といった複数の円盤状の基準電極421を含むことに留意されたい。 次に、この試験領域の様々な構成要素を個別に、より詳細に説明する。

    図4Bは、ある実施形態によるパッチプレート401の上面図である。 図に示すパッチプレートは、配列として配置された384個の別個のウェル403を含む。 当然ながら、1536個の異なるウェルや96個の異なるウェルを備えるパッチプレートといった、異なる数のウェルを備えるプレートを使用することもできる。 多数のウェルを備えるパッチプレートを使用することにより、多くの細胞からの電流を、並行して同時に独立に測定することができ、それによって、細胞に接触させた化合物または他の刺激剤の迅速な特性決定が可能になる。 各細胞(または複数の細胞)が、当該の(1つまたは複数の)細胞をパッチプレートの別個のウェルに入れることにより、研究対照とされる細胞の残りの細胞から分離される。

    パッチプレートの外部寸法および形状は、ある実施形態では、標準的なロボット設備による取扱いを円滑に行わせるように、マルチウェルプレートのためのSBS(Society for Biomolecular Screening)標準に適合する。 図4Bに示すように、各ウェル403は、図示のウェルの左下領域にある細胞キャビティ405と、細胞キャビティの右側に配置された電極ポケット407とを含む。 ウェル405に適した設計のさらなる詳細を以下で説明する。

    ある実施形態では、パッチプレートは2つの部分から組み立てられる。 部分の一方は、ポリカーボネート、ポリスチレン、他の任意の適切な材料といった、不活性で、生体適合性を有し、電気絶縁性のプラスチックから射出成形される。 この部分は、ウェルの上壁および側壁を定義する。 またこの部分は、後述するように、ピペットおよび電極ポケットまたはキャビティも定義し得る。 一具体例では、各ウェルの底部は、1つまたは2つの相対的に大きな開口(例えば、直径約0.25〜5mm、または約1〜2mm、またはある具体例では約1.5mmなど)を含む。 これらの開口のうちの1つは、ピペットチップを収容するサイズおよび形状とすべきである。 2つの開口が用いられる場合には、第2の開口は、感知電極を収容するサイズおよび形状とすべきである。 ある実施形態では、電極直径は約0.5〜2mm(例えば、約1mmなど)である。

    パッチプレートの第2の部分は、ガラスやプラスチックフィルムといった電気絶縁性材料の薄膜であり、例えば、カプトン(Kapton)(ポリ(4,4'−オキシジフェニレンピロメリトイミド))フィルムといったポリイミドフィルムなどである。 他の適するポリマーには、ポリエチレンテレフタレート(PET、例えばデュポン社のマイラー(Mylar)(商標)など)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンが含まれる。 フィルムは、成形部分の底部に接合され、開口を覆う。 フィルムは、ウェルごとに1つまたは複数の多くのより小さい開口を含む。 一実施形態では、パッチプレートの各ウェルの底部は、単一のスルーホール開口を含み、開口の少なくとも1つの寸法(典型的には穴の直径)が細胞の寸法(例えば約1〜10マイクロメートルなど)より小さい。 典型的には、穴の最小直径は、おおよそ2マイクロメートルである。 別の実施形態では、パッチプレートの各ウェルが複数のスルーホール開口を含む(各ウェル内の開口の典型的な数は64である)。 これは、図1Bの実施形態で明らかにしたPPC構成である。

    場合によっては、パッチプレートは、各ウェルの底部にある開口がウェルとプレナム区画とを接続するように、プレナムに密閉して付着され、または別のやり方で取り付けられる。 密閉封止は、弾性ガスケットおよびパッチプレートをガスケットに押し付けるフレーム(金属フレームなど)によって提供され得る。 電極板を取り付けた後で、プレナムは細胞内緩衝液で満たされる。 各ウェルは細胞外緩衝液で満たされる。 前述のように、プレナムは、電気的ゼロ基準(電気接地)に接続された1つまたは複数の銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極をさらに含む。

    図4C〜図4Eに、図4Bに示したパッチプレート401と共に使用するのに適する電極板の実施形態を示す。 図4Cに示すように、電極板411は、プリント回路基板といった基板419と、電極の配列417と、関連付けられたピペットスルーホールの配列413とを含む。 対応するパッチプレート内の別個のウェルごとに、1つの関連付けられた電極417と1つの関連付けられたスルーホール413とがある。 よって、電極417およびスルーホール413は、パッチプレートのためのサイズおよび間隔を有する。 一具体的実施形態では、各電極が、384ウェル構成のSBS準拠プレートのウェルごとに1つの電極を提供するように間隔をおいて配置される。 別の実施形態では、各電極は、やはりSBSに準拠した96ウェルまたは1536ウェルのプレートのウェルごとに1つの電極を提供するように間隔をおいて配置される。

    スルーホール413は、パッチプレート401のウェルごとに別個のピペットのアクセスを可能にするように配置される。 さらに、図示の例では、各スルーホール413は、各ウェルに1つのピペットチップと1つの電極417とが同じ場所に位置するように各電極417に対して位置決めされている。

    場合によっては、基板419は、その上に電極の配列が、はんだ付けなどで取り付けられたプリント回路基板(PCB:printed circuit board)である。 一具体的実施形態では、各電極が、例えば、直径がおおよそ1mmの、銀または銀でメッキされた(鋼といった)他の何らかの金属でできた円筒形などとして形成される。 各電極は、電極の最近位部分(底部)を除いて電気絶縁性被覆(テフロン(Teflon)(商標)など)で覆われ、最近位部分は、被覆工程の間遮蔽することにより被覆されないままである。 各電極の最上部は基板にはんだ付けされており、底部は、テフロン部分で被覆されておらず(おおよそ1mmの長さであり)、塩化銀で被覆されている。 前述のように、基板は、ピペット開口部413の配列をさらに含み、各穴は各電極から指定の距離(約2mmなど)のところにある。 本発明と共に使用するのに適したいくつかの電極板実施形態の例が、先に参照により組み込まれた、米国特許出願第11/222576号明細書(PCT公開国際出願PCT/US2005/032044号明細書も参照)にさらに記載されている。

    図4Dに示す実施形態では、電極板411は外部領域451を有するより大きな構造の一部であり、外部領域451は、電極配列によって占められる領域を超えた、個々の電極を外枠内のモニタリングおよび制御回路と接続するための金メッキパッドといった電気接続453を含むフレームとすることができる。 図4Dは、スルーホール413および電極417が示された電極板およびフレーム構造の底面図である。 場合によっては、各電気接続453は、ばね付きポゴピン電気コネクタといったピンまたはスプリングである。 そうした場合、装置に装着されると、ばね付きポゴピンコネクタは、試験領域に隣接したプラットフォーム上の接点と接続し、(装置の外枠に取り付けられた)増幅器および/または電圧制御回路と電極板の感知電極との間の電気接続を提供する。 他の実施形態では、ポゴピンコネクタが計器の外枠上に設けられ、接合パッドが電極板上に設けられる。 電極板上の接点の構造にかかわらず、各接点453は基板上のトレース線(不図示)によってその個々の感知電極に接続される。

    図示の実施形態では、組立品の外側領域451は、金属フレームといったフレームの基礎部分であり、この部分は結果的に得られる組立品に剛性を与える。 加えて、フレームは、計器への電極板の締め付けを容易にする機構も含んでいてもよい。 図4Eに、フレーム463を含む(上から見た)そのようなフレームおよび電極板の組立品461を示す。 フレーム463は、電極板の手作業による装着および取り外しを容易にするためのハンドル465をさらに含む。

    電極板はフレームと一緒に、各電極がパッチプレートと係合するように計器に取り付けられる(例えば締め付けられる)。 例えば、フレームおよび電極板の組立品が試験面の接合面上に配置されると、プレートの各電極はパッチプレートの対応するウェル内に挿入され、ウェル内の液体と電極(典型的には1つのウェルにつき1つの電極)との間の電気接続を提供する。 フレーム下側の外側領域にある接点の配列も同時に整列し、外枠の対応する接点と電気的に接続する。 これらの対応する接点は、接合する構成要素(例えば、試験領域をまたいで配置されたプラットフォームまたは外枠の領域など)上に設けられてもよい。

    前述のように、計器は、電流感知増幅器、好ましくは、パッチプレートのウェルごとに1つの増幅器をさらに含む。 計器接点は、電極板が計器上に装着されると、電極板の各電極が各ウェル内の液体を各増幅器入力と接続するように各電流増幅器の入力に接続される。

    図5Aに、パッチプレート401内の単一のウェル501の対角断面を示す。 図5Aには、関連付けられた電極417がウェル501内に配置された電極板も示されている。 加えて、図5Aには、電極板411内のスルーホール413を通ってウェル501内へ延在するピペット503も示されている。 ウェル501は、開口部または最上部513と底部515とを含む。 ウェルの底部515に近接して、細胞キャビティ509と電極ポケット511とを含むなだらかな起伏を持つ領域がある。 図示の実施形態では、細胞キャビティ509はウェル501の底まで延在しているが、電極ポケット511は底までは達していない。 細胞キャビティ509と電極ポケット511とは、それぞれの底部付近で相互に液体的に結合している。

    細胞キャビティ509は、その底部として、ウェルの底部シートまたは膜515を有する。 細胞キャビティ509内には、底部膜515を貫通して、調査対照の細胞がアッセイ時にそこにシールされる開口510がある。 並行パッチクランプ設計においては、細胞キャビティ509の底部に複数の開口510があることになる。

    図示のように、細胞キャビティ509は、比較的平坦で実質的に水平な領域521によって定義される中間の高さの棚のところでウェル501の上部分へ開いている。 領域521の直下では、細胞キャビティ509が、図示の実施形態では、ピペットチップ505を開口510に近接した位置へと向け、または位置決めするように設計された、概して円錐形または漏斗形のピペット捕捉機構であるピペットガイド519により定義されている。 細胞キャビティに進入するピペットのチップを位置決めすることにより、ピペットガイドは、開口510上でのピペットチップと細胞との間の一貫した直接の液体連通が確実に生じるようにする。 典型的には、ピペットガイド519は、電極板基板内の対応する開口部(ピペットスルーホール)と実質的に同軸である。

    前述のように、計器は、使い捨てプラスチックピペットといった複数のピペットを備えるロボット・ピペッタ・ヘッドを含んでいてもよい。 フルイディクスヘッドは各ピペットを電極板内の開口部と整列させ、各ピペットを、これらの開口部を通して、パッチプレートの各ウェルの内部へ到達させる。 ピペットは、フルイディクスロボットによりウェル内へ挿入されると、ピペットガイドにより捕捉され、ピペットガイドはピペットのチップを位置合わせする。 マルチチャネル液体ピペッタは、普通、少なくともピペットチップの寸法が不正確であるために、特に、使い捨てプラスチックピペットでは、ピペットのチップのある一定の位置誤差(斜めのずれ)を示す。 ピペットガイドがない場合、この斜めのずれは、ピペットのチップオリフィスと異なるウェル内の細胞との距離のばらつきをもたらし、液体交換の望ましくないばらつきを生じる。 ピペットガイドは、ウェル内でピペットのチップを中心に位置決めし、このばらつきを低減する。

    前述のように、ウェル501の底部はウェルの上部領域への2つの開口部を含み、一方はピペットガイドとして働き、他方は(図5Aの右側の)電極のためのポケットとして働く。 細胞キャビティおよび電極ポケットは、パッチされた(1つまたは複数の)細胞が位置するウェルの底における液体交換を助長する。 ある実施形態では、ピペットガイド519は、ピペットチップ505と密封状態(または実質的に密封の状態)を形成する。 これはピペットから送達される液体のための明確に定義された流路を提供する。 具体的には、液体がピペットチップからウェル内へ分注されると、液体は細胞キャビティ509を流れ、よって各細胞に直接接触する。 次いで液体は電極ポケット511内へ流れ、上方のウェル内へ出る。

    この設計は、パッチクランプ実験のある段階から次の段階へ移行するときの、ウェル内の使用済みの、または古い液体の交換を円滑に行わせる。 例えば、この設計は、アッセイの対照段階と試験段階との間の移行時の、リガンドを含む溶液と新鮮なリガンドを含まない細胞外緩衝液または洗浄液との交換を可能にする。 一般に、ピペットガイドを通って細胞キャビティに入る液体は、(1つまたは複数の)細胞を取り囲む液体と入れ替わる。 細胞キャビティ内でピペットから液体を送達する工程は、古い液体と、おそらくは新しい液体のいくらかの過剰分とを洗い流し、流された液体は電極ポケットを流れ、次いでウェルの最上部に入る。 よって、ピペットガイド、細胞キャビティおよび電極ポケットは、ウェル内で貫流流路を作り出す。 液体をこの流路に流すことにより、1つまたは複数の細胞の近傍における効率的で迅速な液体交換が生じる。 ある実施形態では、サイズおよび形状の細胞キャビティ、電極ポケット、ならびに細胞キャビティと電極ポケットとの間の液体接続部がマイクロ液体流路を定義する。

    様々な実施形態において、フルイディクスヘッドは、液体をウェル内へ分注し、かつ/または(例えば、ピペットがウェル501内で引き上げられるときに真空を作り出すことなどにより)パッチプレートのウェルから液体を吸引することができる。 図5Aと同様に、図5Bには、ウェル501が電極板電極417およびピペット503と共に示されている。 しかし、この図では、ピペット503がウェル501内で中間の高さまで引き上げられている。 ピペット503を引き上げるのと同時に、またはその直後に、ウェル501の上部領域からいくらかの液体を吸引し、または別の方法で吸い込み、それによってアッセイにおける考察対象の1つまたは複数の細胞のさらなる洗浄を可能にするための機構が始動される。 ある実施形態では、この機構は、各ピペットと関連付けられた1組の可動シリンジプランジャといった従来の液体吸引機構である。 ピペットチップは、それがウェルの最上部から液体を吸い込む位置、すなわち、過剰な、または「汚れた」液体が溜まっている位置まで持ち上げられ、底部細胞キャビティ内に「清浄な」液体を残すことに留意されたい。 この持ち上げ/吸引工程は、先行するウェルへの洗浄液または新しい試薬溶液の送達と組み合わされると、使用済み溶液を新鮮な溶液と交換する特に有効で効率のよい方法を提供する。

    図5Cは、図4Bのパッチプレート全体について図示したのと同様の視点から取ったウェル501の上面図である。 図5Cに示すように、ウェル501はウェル501の左下領域に細胞キャビティ509を開口510と共に含み、また、細胞キャビティ上方右側に電極ポケット511も含む。 また、前述のように細胞キャビティ509と電極ポケット511とは液体連通している。 言い換えると、電極ポケットと細胞キャビティとは、上から見ると、接しており、または重なり合っている。 電極ポケット511と細胞キャビティ509との中心間距離は、線561で図示されている。 ある実施形態では、この距離は、約1mmから4mmの間であり、より具体的には、約1.5mmから3mmの間であり、典型的には約2mmである。 細胞キャビティと電極ポケットとの間の液体接続部の断面積は、例えば、約0.1〜10mm2とすることができ、より具体的には、約1〜2mm2とすることができる。

    ある具体的実施形態では、ウェルは開いた上部領域を有し、ということはすなわち、ウェルの上部領域は、チャンバ、バッフルその他の内部構造を含まない。 しかし、ウェルの下方領域は、ある特徴的構造、典型的には少なくとも1つの細胞キャビティを含むようになだらかな起伏を持つ。 また多くの場合、ウェルのなだらかな起伏を持つ下方領域は、電極ポケットと、電極ポケットと細胞キャビティとの間の液体接続部も含むことになり、この接続部は、ポケットおよびキャビティの底部に近接して設けられる。 本明細書で提示する各図には、(上方から見たときに)ウェルの外壁によって定義される形状が概して正方形になるように描かれているが、これは必ずしもそうでなくてもよい。 ある実施形態では、この形状は概して長方形、円形、楕円形などである。

    一般に、電極ポケットは、感知電極を収容するサイズおよび形状であり、感知電極を収容するのに必要な体積を比較的少量しか上回らない体積を有する。 ある実施形態では、ポケットは概して円筒形の形状であるが、ポケットの形状は、多角形でも、楕円形でも、卵形でもよい。 この形状は感知電極の形状とおおむね一致するものになる。 様々な実施形態において、(垂直方向の)ポケットの高さは、最大でも約5mm、典型的には約1mmから3mmの間とすることができる。 場合によっては、ポケットの最大幅または直径は、約0.25mmから5mmの間、多くの場合、約1mmから3mmの間とすることができる。

    前述のように、細胞キャビティはピペットガイドを経由してウェルの上部分へと開いていてもよい。 ピペットガイドがある場合にはピペットガイドを含む細胞キャビティの全体の垂直方向の深さは、典型的には、少なくとも約2mmであり、具体的実施形態では、約0.5mmから5mmの間である。 典型的な例では、細胞キャビティの最大直径または幅は、約0.5mmから5mmの間、より具体的には約1mmから2mmの間になる。 細胞キャビティの形状は、例えば、円形、正方形、長方形、楕円形、三角形、または他の多角形形状とすることができる。 ある実施形態では、細胞キャビティの幅または直径は、図5Cに矢印563で示すものである。 ピペットガイドを除いて、細胞キャビティの形状および寸法は、その垂直方向の範囲に沿っては大きく変化しない。

    ピペットガイドが用いられるかどうかにかかわらず、細胞キャビティは、ピペットチップがキャビティと係合するときに、チップがキャビティの底部において(1つまたは複数の)開口から約0.5mm以内に来るように構築され得る。 この構造は、ピペットからの洗浄液または緩衝液での細胞の洗浄を容易にする。 場合によっては、細胞キャビティが占める垂直方向の距離は、ウェルの全高の約10%から50%の間である。 さらに、細胞キャビティが占める体積は、ウェルの全体積の約0.5%から5%の間とすることができる。 具体例では、細胞キャビティの全体積は、約500ナノリットルから2000ナノリットルの間である。

    ピペットガイドは、それが存在するときには、一般に、ピペットチップと嵌合するような形状およびサイズを有する。 すなわち、ガイドは、ピペットが最終的な降下位置にあるときにピペットチップとその外周において係合するためのサイズおよび形状である。 したがって、ピペットガイドは、一般に、円錐形や錐体形といったテーパを有するものになる。 しかし、ある実施形態では、ピペットガイドは、テーパのつかない円柱形や長方形といった先細りでない形状を有していてもよい。

    機能的には、ピペットガイドは、その形状およびサイズによって、正常動作時に、ピペットチップから分注される液体のかなりの割合が、ピペットガイドから上方へ流出するのを防ぐことができる。 ウェルが細胞キャビティと電極ポケットとの間の液体接続部も有するときに、ピペットガイド内に位置決めされたピペットチップから分注される液体は、最初は細胞キャビティ内へ流入し、次いで電極ポケットを通ってからウェルの上部領域へ出る。 ある実施形態では、ピペットガイドの長さは約0.1mmから5mmの間であり、より具体的な実施形態では、約1mmから2mmの間である。 ピペットガイドの下方部分の直径または幅は、ある設計では、約0.1mmから3mmの間とすることができる。 より具体的には、この直径または幅は、約0.5mmから2mmの間とすることができる。

    本発明のある実施形態によれば、マルチウェルシステムを使用してパッチクランプ実験を並行して行うための様々な方法およびプロトコルが提供される。 これらのプロトコルのあるものは、リガンド依存性イオンチャネルと電位依存性イオンチャネルとに異なる手順を用いる。 ある手順は、単一のウェル内で、当該ウェルに含まれる同じ細胞または細胞集団に対して対照実験と試験実験の両方を行うことを可能にする。 図6A〜図6Dを参照していくつかの非限定的手順を説明する。 これらの方法を、前述のパッチプレートまたは他の装置を参照して説明する場合もある。 しかし、これらの方法によって表される発明は、特に言及しない限り、前述の特定の装置だけに限定されるものではないことを理解すべきである。

    状況として、図6Aに、前述の装置または本明細書で具体的に提示されない他の装置のいずれかを使用して実施されるはずの工程の全体のハイレベルな記述を示す。 図6Aに記載されるように、工程は動作603から開始し、そこでシステムは、前述のパッチプレートといったマルチウェルプレートの様々なウェル内に緩衝液を導入する。 緩衝液は、例えば細胞外緩衝液などとすることができる。 緩衝液の導入は、例えば、図3に示すピペットヘッド313といったピペットヘッドを緩衝液容器へ移動し、緩衝液をピペット内の各ピペットへ吸い込み、パッチプレート上で緩衝液ヘッドを移動し、個々のピペットがパッチプレートの各ウェルに入るようにピペットヘッドを降下させ、最後に、個々のピペットからパッチプレートの様々なウェル内へ緩衝液を送達することによって行われ得る。 電極板またはピペットスルーホールを有する類似のテンプレートを用いた実施形態では、ピペットヘッドを降下させるステップは、ピペットを、スルーホールを通してウェル内へ向ける。 ウェル内に入ると、ピペットは、図5Aに示すようにピペットガイドと接触し得る。

    緩衝液が個々のウェルに加えられた後で、工程は動作605に進み、そこで、パッチプレートの各ウェルの底部にある開口の縁部で留まっている可能性のある空気を取り除くために、個々のウェルの下方にあるプレナムに吸引力が加えられる。 動作605は任意選択であり、装置設計によって不要となり得る。 次の手順で、パッチプレートの下方のプレナムはそれ自体の緩衝液で満たされる。 動作607を参照されたい。 プレナムは、通常は、緩衝液がパッチプレートの底面に接触するように緩衝液で完全に満たされることに留意されたい。

    プレナムに提供される緩衝液は、例えば細胞内緩衝液などとすることができ、細胞内緩衝液は、通常は動作603で各ウェル内へ導入されるはずの種類の細胞外緩衝液と対比されるべきである。 必ずしもそうとは限らないが、一般には、細胞外緩衝液は、細胞が生体内で存在する細胞外環境を再現するように選択された組成物を有する。 細胞内緩衝液は、細胞内部で見られる組成物を再現するように選択された組成物を有する。 例えば、細胞外緩衝液は、ナトリウムイオン、塩化物イオン、およびカルシウムイオンを含んでいてもよい。 細胞内緩衝液は同様の組成物を有していてもよいが、相対的に高い濃度のカリウムイオンと、相対的に低い濃度のナトリウムイオンおよびカルシウムイオンとを含む。

    プレナムが緩衝液で完全に満たされた後で、工程は次に、個々のウェルへの細胞の送達を伴う。 この動作は動作609に示されており、例えば、ピペットヘッドによる細胞容器から個々のウェルへの自動送達によって行われてもよい。

    細胞がパッチプレートの個々のウェルへ送達された後で、細胞はそれぞれのウェルの底部の開口に対してシールされる。 これは、ウェルとプレナムとの間に圧力差を設けることによって行われ得る。 この動作は流れ図のブロック611に示されている。 次の手順で、各開口内の細胞膜のパッチは、適切な機構により穿孔される。 ある実施形態では、この穿孔は、相対的に高い電圧で細胞を「ザッピング」することによって行われる。 別の実施形態では、前述のように、穿孔は、プレナムに穿孔性化合物を導入することによって行われる。 穿孔性化合物は、開口内の膜のパッチへある程度の穿孔を導入する。 典型的な穿孔性化合物は、アンホテリシンといったある特定の抗生物質を含む親油性化合物である。 穿孔が終わると、装置はパッチ・クランプ・アッセイを実行する用意ができる。 装置を用いて行われる様々なアッセイおよび装置の構成の詳細が、図6Bおよび図6Cの流れ図に示されている。 図6Aでは、これらのアッセイがブロック61で全体として表されている。 アッセイが完了した後で、工程は、任意選択で、どちらもアッセイで使用される特定の細胞または化合物で汚染される可能性があるピペットおよび/またはパッチプレートを処分することを含んでいてもよい。 ブロック617を参照されたい。 あるいは、ピペットは、洗浄され、再利用されてもよく、ピペットが高価であるときにはその方が好ましい場合もある。

    前述のように、いくつかの動作は、ピペットヘッドの自動移動によって行われ得る。 よって、ある実施形態によれば、図6Aに示す工程の動作603、609、615、および617は、自動移動またはピペットによって行われる。 一具体的実施形態では、動作603は、ステーション329と試験領域315との間でのピペットヘッド313の移動を伴う。 図4Aを参照されたい。 同様に、動作609はステーション319とステーション315との間の移動を伴い、動作617はステーション323とステーション315との間の移動を伴う。 動作615は、以下でより詳細に説明するが、試験領域315と、緩衝液ステーション329、化合物ステーション325、化合物ステーション327、および洗浄ステーション321のうちの2つ以上との間の移動を伴い得る。

    図6Bは、アッセイ615が電位依存性イオンチャネルを用いるときの、図6Aのアッセイ615の実施を示す流れ図である。 図示のように、図6Bの工程は動作621から開始し、そこで計器制御システムは、電位依存性イオンチャネルを活性化するために、感知電極と基準電極との間に第1の電圧を印加する。 この実験は、試験化合物または調査対象の他の刺激剤を添加せずに行われる。 目的とするのは、考察対象の電位依存性イオンチャネルの動作についての対照読取値を得ることである。 動作621で計器が第1の電圧を印加すると、システムは、動作623に示すように、並行して感知電極へ流れる電流を測定する。 この電流は、アッセイのための対照読取値の測定値を提供する。 次に動作624で、印加電圧が任意選択で除去される。 その後、試験化合物または調査対象の他の刺激剤がパッチプレートの個々のウェルに添加される。 ブロック625を参照されたい。 この動作は、ピペットヘッドを使用した自動送達によって行われてもよい。 多くのアッセイでは、パッチプレートの異なるウェルには異なる化合物が添加されることになる。

    動作625で添加される化合物は、それらの化合物の影響がアッセイにおいて各細胞に確実に及ぼされるように、ある期間にわたって培養させてもよい。 そのような培養期間が設けられるかどうかにかかわらず、また、培養期間が設けられる場合には、どれほどの長さにわたって培養期間が設けられるかにかかわらず、工程は、電位依存性イオンチャネルの開口部を再度始動するために、引き続き電極間に電圧を再度印加する。 ブロック627を参照されたい。 この電圧は、動作621で印加された電圧と同じでもよいが、そうでなくてもよい。 電圧が電極に印加された後で、装置と関連付けられた回路は、感知電極へ流れる電流を再度測定する。 今度は、電流値は試験値を提供し、試験値は、個々のウェル内の細胞について対照値と比較することができる。 この時点で、動作615(図6A)が完了し、工程は、前述のパッチプレートおよびピペットの任意選択の処分へ進む。

    図6Cに、アッセイ615の別の実施態様、すなわち、リガンド依存性イオンチャネルが分析される実施態様を示す。 図6Cに示すように、アッセイは、装置内の電極間に第1の電圧を印加する動作641から開始する。 このステップは任意選択としてもよい。 というのは、大部分のリガンド依存性イオンチャネルは、電圧によってではなく、リガンドによって活性化されるからである。 電圧が印加される場合、その電圧は、図6Bに示す工程などの工程において電位依存性イオンチャネルを活性化するために印加されるはずの値とは異なる値のものとすることができる。 任意選択ステップ641が完了した後で、工程は、パッチプレートの個々のウェルへの必要なリガンドの添加へ進む。 ブロック643を参照されたい。 この動作は、前述の自動化ピペットヘッドを用いて行われてもよい。 パッチプレート内の各ウェルには、各ウェルが同じリガンド依存性イオンチャネルを有する細胞を用いるため、同じリガンドが添加されることに留意されたい。 リガンドがウェルに添加された直後に、装置は、ウェルごとの対照測定を提供するために感知電極へ流れる電流を測定する。 これは図6Cのブロック645に示されている。 電流を即座に測定することが重要である理由は、図2の考察で示したように、リガンド依存性イオンチャネルは、リガンドが引き続き存在していてさえも、リガンドに対してすぐに脱感作され、「オフになる」からである。 単一のウェル内でピペットチップと電極の両方を用いる前述の種類の装置は、この電流の即座の測定を可能にすることに留意されたい。

    動作645で対照測定を行った後で、工程は動作647に進み、そこで、パッチプレートの個々のウェルが緩衝液または他の洗浄液を使用して洗浄される。 この工程ステップは、ピペットによる洗浄液の自動送達によって行われてもよい。 洗浄工程の一具体例が図6Dに示されている。 洗浄が完了した後で、工程は、リガンドの次の導入がイオンチャネルの活性化を再度始動するように、細胞が再感作するための定められた期間にわたって待機することを伴ってもよい。 あるリガンド依存性イオンチャネルでは、これには数分の待機が必要である。 この待機中に、または待機後に、計器はパッチプレートの個々のウェルに試験化合物または他の刺激剤を添加する。 この場合もやはり、化合物または他の刺激剤は、ピペットからの自動送達により添加されてもよい。 ブロック651を参照されたい。 典型的には、パッチプレートの異なるウェルには異なる刺激剤が添加される。 任意選択で、細胞は、試験測定を行う前にある期間にわたって化合物または他の刺激剤と共に培養される。

    細胞が試験測定可能な状態になると、工程は動作653に進み、そこで、パッチプレート内の各ウェルにリガンドが添加される。 前述の場合と同様に、リガンドは様々なピペットからの自動送達によって提供されてもよい。 また、前述の場合と同様に、リガンドが多くのまたはすべてのウェルに送達された後で、工程は引き続き、感知電極へ流れる電流を即座に測定する。 動作655を参照されたい。 この電流測定は、動作645で得られた対照データと比較するための試験データを提供する。 試験データが得られ、必要な場合には適切に処理された後で、流れ図6Aの動作615が完了し、全体工程が前述のように続行される。

    明らかなように、薬物スクリーニング、特にLGICに対する効果についてのスクリーニングは、多くの場合、化合物の添加および洗浄の反復サイクルを必要とする。 ある実施形態によれば、洗浄は図6Dに示すように行われる。 最初に、ピペットが緩衝液で満たされ(動作661)、次いで、ウェルに導入され、細胞キャビティ内に位置決めされる。 動作663を参照されたい。 次いで溶液が底部キャビティ内へ分注され、キャビティ内の古い液体を洗浄液と交換する(動作665)。 余分な溶液は電極ポケット上方のウェル内へ溢れ出る。 ピペットは、それが含む緩衝液の全部または大部分をウェル内へ分注し得る。 ピペットがその中身を空にした後で、フルイディクスヘッドは、ピペットのチップが、ピペットガイドから抜け出し、ウェルにおいて、ガイドの上方(図5B参照)の、ウェル内の液体の最高液面より下方に位置決めされるように、数ミリメートル(約2〜10mmなど)持ち上げられる。 動作667を参照されたい。 この時点で、液体ヘッドの動作は反転され、ピペットはウェルの最上部から液体を吸引し、パッチされた(1つまたは複数の)細胞を含む底部キャビティに清浄な緩衝液を残す。 言い換えると、ピペットの位置は、ピペットが、ウェルの上部領域からピペット内へ液体を吸い込むことを可能にする。 典型的には、ピペットチップは、緩衝液または他の溶液を分注した後約0〜10秒以内に細胞キャビティから引き上げられる。 待機する必要が全くない場合もあることに留意されたい。

    吸引された液体は、古い液体と洗浄液の混合液である。 次いでこのピペットからの液体が廃棄され、ピペットが任意選択で洗浄/交換され、洗浄のサイクル(洗浄液を、ピペットガイドを通して細胞キャビティ内へ分注し、その後にピペットを持ち上げ、ピペットガイド上方のウェルから混合液を吸引する)が、必要な洗浄の度合いを達成するのに十分な回数だけ繰り返される。

    以上の本発明の具体的実施形態の記述は、例示と説明のために提示したものである。 これらの記述は、網羅的であることも、本発明を開示通りの形態だけに限定することも意図しておらず、明らかに、上記教示に鑑みれば多くの改変および変形が可能である。 各実施形態は、本発明の原理および本発明の実際の適用を最もよく説明し、それによって、当業者が、本発明と、企図される特定の用途に適する様々な改変を伴う様々な実施形態を最適に利用することを可能にするために選択され、説明されたものである。 本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物により定義されるものである。

    複数のパッチクランプ実験を並行して実行するためのマルチウェル装置を示す概略図である。

    典型的なリガンド依存性イオンチャネルの反応プロフィールを示す図である。

    ハイスループット・パッチ・

    クランプ・アッセイを行うためのピペットヘッドおよびマルチウェル試験ステーションを含む計器を示す図である。

    プレナム、パッチプレート、電極板、およびピペットヘッドを含むマルチウェル・パッチ・クランプ領域を示す分解図である。

    ある実施形態によるパッチプレート401を示す上面図である。

    図4Bに示すパッチプレートと共に使用するのに適した電極板の実施形態を示す図である。

    パッチプレート内の単一のウェルの対角断面を示す図である。

    ウェルの上部領域から溶液を吸い込むためにピペットがウェル内で中間の高さまで引き上げられている図5Aのウェルを示す図である。

    細胞キャビティおよび電極ポケットを有するウェルを示す上面図である。

    並行パッチクランプ工程を示すハイレベル流れ図である。

    電位依存性イオンチャネルを用いたアッセイの実施を示す流れ図である。

    リガンド依存性イオンチャネルを用いたアッセイの実施を示す流れ図である。

    ウェル洗浄工程の実施を示す流れ図である。

    具体的には、ピペットヘッドは、標準的なマルチチャネル・フルイディクス・ピペッタといった、使い捨ての、または使い捨てではないチップを備えるロボットのマルチチャネル・ピペッタ・ヘッドとすることができる(そのようなピペッタの一例が、米国カリフォルニア州サニーベールのモレキュラーデバイシズ,エルエルシー社から入手可能なFLIPR (登録商標)計器において使用されるピペッタである)。 典型的には、使い捨てのプラスチックまたはガラス製ピペットが使用される。 フルイディクスヘッドは、XYZ(3軸)移動アクチュエータ上に取り付けられ得る。 アクチュエータは、フルイディクスヘッドを、各ピペットが各ウェル上方の開口部と整列し、これらの開口部を通って、試験領域に取り付けられたパッチプレートの各ウェルの内部に到達するように移動する。 好ましくは、フルイディクスヘッドは、各ウェルから液体を吸引することも、各ウェル内へ液体を分注することもできる。

    図4Aに、試験領域(図3の試験領域315など)の分解図を示す。 この分解図には、その上方にパッチプレート401を有し、プレナムリザーバ433を備えるプレナム423と、パッチプレートの上方の電極板411と、最後に、電極板411の上方のピペットヘッド313とが示されている。 プレナム423は、接地に結合され、プレナム区画413の底面に取り付けられたAg/AgCl電極といった複数の円盤状の基準電極421を含むことに留意されたい。 次に、この試験領域の様々な構成要素を個別に、より詳細に説明する。

    パッチプレートの外部寸法および形状は、ある実施形態では、標準的なロボット設備による取扱いを円滑に行わせるように、マルチウェルプレートのためのSBS(Society for Biomolecular Screening)標準に適合する。 図4Bに示すように、各ウェル403は、図示のウェルの左下領域にある細胞キャビティ405と、細胞キャビティの右側に配置された電極ポケット407とを含む。 ウェル403に適した設計のさらなる詳細を以下で説明する。

    パッチプレートの第2の部分は、ガラスやプラスチックフィルムといった電気絶縁性材料の薄膜であり、例えば、カプトン( Kapton(登録商標) )(ポリ(4,4'−オキシジフェニレンピロメリトイミド))フィルムといったポリイミドフィルムなどである。 他の適するポリマーには、ポリエチレンテレフタレート(PET、例えばデュポン社のマイラー(Mylar)(商標)など)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンが含まれる。 フィルムは、成形部分の底部に接合され、開口を覆う。 フィルムは、ウェルごとに1つまたは複数の多くのより小さい開口を含む。 一実施形態では、パッチプレートの各ウェルの底部は、単一のスルーホール開口を含み、開口の少なくとも1つの寸法(典型的には穴の直径)が細胞の寸法(例えば約1〜10マイクロメートルなど)より小さい。 典型的には、穴の最小直径は、おおよそ2マイクロメートルである。 別の実施形態では、パッチプレートの各ウェルが複数のスルーホール開口を含む(各ウェル内の開口の典型的な数は64である)。 これは、図1Bの実施形態で明らかにしたPPC構成である。

    図4C〜図4Eに、図4Bに示したパッチプレート401と共に使用するのに適する電極板の実施形態を示す。 図4Cに示すように、電極板411は、プリント回路基板といった基板419と、 電極415のチップを有する電極の配列417と、関連付けられたピペットスルーホールの配列413とを含む。 対応するパッチプレート内の別個のウェルごとに、1つの関連付けられた電極417と電極415の1つの関連付けられたチップと接触する 1つの関連付けられたスルーホール413とがある。 よって、電極417およびスルーホール413は、パッチプレートのためのサイズおよび間隔を有する。 一具体的実施形態では、各電極が、384ウェル構成のSBS準拠プレートのウェルごとに1つの電極を提供するように間隔をおいて配置される。 別の実施形態では、各電極は、やはりSBSに準拠した96ウェルまたは1536ウェルのプレートのウェルごとに1つの電極を提供するように間隔をおいて配置される。

    図示のように、 部材31は細胞キャビティ509の頂部を形成し、細胞キャビティ509は、比較的平坦で実質的に水平な領域521によって定義される中間の高さの棚のところでスルーホール514においてウェル501の上部分へ開いている。 領域521の直下では、細胞キャビティ509が、図示の実施形態では、ピペットチップ505を開口510に近接した位置へと向け、または位置決めするように設計された、概して円錐形または漏斗形のピペット捕捉機構であるピペットガイド519により定義されている。 細胞キャビティのスルーホール514に進入するピペットのチップを位置決めすることにより、ピペットガイドは、開口510上でのピペットチップと細胞との間の一貫した直接の液体連通が確実に生じるようにする。 典型的には、ピペットガイド519は、電極板基板内の対応する開口部(ピペットスルーホール)と実質的に同軸である。

    この設計は、パッチクランプ実験のある段階から次の段階へ移行するときの、ウェル内の使用済みの、または古い液体の交換を円滑に行わせる。 例えば、この設計は、アッセイの対照段階と試験段階との間の移行時の、リガンドを含む溶液と新鮮なリガンドを含まない細胞外緩衝液または洗浄液との交換を可能にする。 一般に、ピペットガイドを通って細胞キャビティに入る液体は、(1つまたは複数の)細胞を取り囲む液体と入れ替わる。 細胞キャビティ内でピペットから液体を送達する工程は、古い液体と、おそらくは新しい液体のいくらかの過剰分とを洗い流し、流された液体は電極ポケットを流れ、次いでウェルの最上部に入る。 よって、ピペットガイド、細胞キャビティおよび電極ポケットは、ウェル内で貫流流路を作り出す。 液体をこの流路に流すことにより、1つまたは複数の細胞の近傍における効率的で迅速な液体交換が生じる。 ある実施形態では、 細胞キャビティのサイズおよび形状 、電極ポケット、ならびに細胞キャビティと電極ポケットとの間の液体接続部がマイクロ液体流路を定義する。

    細胞がパッチプレートの個々のウェルへ送達された後で、細胞はそれぞれのウェルの底部の開口に対してシールされる。 これは、ウェルとプレナムとの間に圧力差を設けることによって行われ得る。 この動作は流れ図のブロック611に示されている。 次の手順で、各開口内の細胞膜のパッチは、適切な機構により穿孔される。 ある実施形態では、この穿孔は、相対的に高い電圧で細胞を「ザッピング」することによって行われる。 別の実施形態では、前述のように、穿孔は、プレナムに穿孔性化合物を導入することによって行われる。 この動作はブロック613の流れ図に示されている。 穿孔性化合物は、開口内の膜のパッチへある程度の穿孔を導入する。 典型的な穿孔性化合物は、アンホテリシンといったある特定の抗生物質を含む親油性化合物である。 穿孔が終わると、装置はパッチ・クランプ・アッセイを実行する用意ができる。 装置を用いて行われる様々なアッセイおよび装置の構成の詳細が、図6Bおよび図6Cの流れ図に示されている。 図6Aでは、これらのアッセイがブロック61で全体として表されている。 アッセイが完了した後で、工程は、任意選択で、どちらもアッセイで使用される特定の細胞または化合物で汚染される可能性があるピペットおよび/またはパッチプレートを処分することを含んでいてもよい。 ブロック617を参照されたい。 あるいは、ピペットは、洗浄され、再利用されてもよく、ピペットが高価であるときにはその方が好ましい場合もある。

    前述のように、いくつかの動作は、ピペットヘッドの自動移動によって行われ得る。 よって、ある実施形態によれば、図6Aに示す工程の動作603、609、615、および617は、 ピペットの自動移動によって行われる。 一具体的実施形態では、動作603は、ステーション329と試験領域315との間でのピペットヘッド313の移動を伴う。 図4Aを参照されたい。 同様に、動作609はステーション319とステーション315との間の移動を伴い、動作617はステーション323とステーション315との間の移動を伴う。 動作615は、以下でより詳細に説明するが、試験領域315と、緩衝液ステーション329、化合物ステーション325、化合物ステーション327、および洗浄ステーション321のうちの2つ以上との間の移動を伴い得る。

    動作625で添加される化合物は、それらの化合物の影響がアッセイにおいて各細胞に確実に及ぼされるように、ある期間にわたって培養させてもよい。 そのような培養期間が設けられるかどうかにかかわらず、また、培養期間が設けられる場合には、どれほどの長さにわたって培養期間が設けられるかにかかわらず、工程は、電位依存性イオンチャネルの開口部を再度始動するために、引き続き電極間に電圧を再度印加する。 ブロック627を参照されたい。 この電圧は、動作621で印加された電圧と同じでもよいが、そうでなくてもよい。 電圧が電極に印加された後で、装置と関連付けられた回路は、感知電極へ流れる電流を再度測定する。 ブロック629を参照されたい。 今度は、電流値は試験値を提供し、試験値は、個々のウェル内の細胞について対照値と比較することができる。 この時点で、動作615(図6A)が完了し、工程は、前述のパッチプレートおよびピペットの任意選択の処分へ進む。

    動作645で対照測定を行った後で、工程は動作647に進み、そこで、パッチプレートの個々のウェルが緩衝液または他の洗浄液を使用して洗浄される。 この工程ステップは、ピペットによる洗浄液の自動送達によって行われてもよい。 洗浄工程の一具体例が図6Dに示されている。 洗浄が完了した後で、工程は、リガンドの次の導入がイオンチャネルの活性化を再度始動するように、細胞が再感作するための定められた期間にわたって待機することを伴ってもよい。 あるリガンド依存性イオンチャネルでは、これには動作649に従って数分の待機が必要である。 この待機中に、または待機後に、計器はパッチプレートの個々のウェルに試験化合物または他の刺激剤を添加する。 この場合もやはり、化合物または他の刺激剤は、ピペットからの自動送達により添加されてもよい。 ブロック651を参照されたい。 典型的には、パッチプレートの異なるウェルには異なる刺激剤が添加される。 任意選択で、細胞は、試験測定を行う前にある期間にわたって化合物または他の刺激剤と共に培養される。

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