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蛋白質結晶化アレイ、蛋白質結晶化デバイス、及びそれを使用した蛋白質結晶化スクリーニング方法

申请号 JP2003554714 申请日 2002-12-11 公开(公告)号 JPWO2003053998A1 公开(公告)日 2005-04-28
申请人 三菱レイヨン株式会社; 发明人 田中 勲; 勲 田中; 信久 渡邉; 信久 渡邉; 竹内 浩史; 浩史 竹内; 秋田 隆; 隆 秋田; 永田 祐一郎; 祐一郎 永田; 隅 敏則; 敏則 隅; 千晴 西嶋; 千晴 西嶋;
摘要 本発明は、蛋白質含有試料から蛋白質の結晶を析出させる方法に関する。また本発明は、蛋白質の結晶化の条件をスクリーニングするための新規なマイクロアレイ及びデバイスに関する。更には、結晶化条件が高度に集積、保持されたマイクロアレイ又はデバイスを用いて極微量の試料で簡便かつ迅速に蛋白質結晶化条件をスクリーニングする方法に関する。
权利要求
  • 蛋白質を結晶化させるための方法において、以下のステップ:
    (a)蛋白質含有試料を、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライするステップ、及び(b)上記蛋白質と上記蛋白質結晶化剤とを接触させるステップ、
    を含むことを特徴とする蛋白質結晶化方法。
  • 蛋白質含有試料が、蛋白質、蛋白質可溶化剤及び/又は附加物を含むものである請求項1記載の蛋白質結晶化方法。
  • 蛋白質結晶化剤が沈殿剤及び/又はpH緩衝剤を含むものである請求項1記載の蛋白質結晶化方法。
  • 蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルが透明である請求項1記載の蛋白質結晶化方法。
  • マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化用マイクロアレイ。
  • 蛋白質結晶化剤が沈殿剤及び/又はpH緩衝剤を含むものである請求項5記載のマイクロアレイ。
  • 蛋白質結晶化剤がポリマーゲルを介して保持されるものである請求項5又は6記載のマイクロアレイ。
  • 蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルが透明である請求項7記載のマイクロアレイ。
  • 異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤が中空部に保持された複数の中空繊維を配列してなる請求項5記載のマイクロアレイ。
  • 蛋白質結晶化剤が、中空部に充填されているポリマーゲルを介して保持されるものである請求項9記載のマイクロアレイ。
  • 蛋白質結晶化剤が、沈殿剤及び/又はpH緩衝剤を含むものである請求項9又は10記載のマイクロアレイ。
  • 以下の(a)並びに(b)を備えることを特徴とする蛋白質結晶化用デバイス。
    (a)マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化剤保持部分を有する蛋白質結晶化用マイクロアレイ、並びに(b)上記(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分に対応する、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを有するプレート
  • (a)において、蛋白質結晶化剤がポリマーゲルを介して保持されるものである請求項12記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (a)において、蛋白質結晶化剤が、沈殿剤及び/又はpH緩衝剤を含むものである請求項12又は13記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (a)において、蛋白質結晶化用マイクロアレイが、異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤が中空部に保持された複数の中空繊維を配列してなるものである請求項12〜14のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (b)において、窪みの容量が1μL以下である請求項12〜15のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (b)において、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイと重ねた際に、該アレイの各蛋白質結晶化剤保持部分と対応して重なる部分が透明であることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (b)において、プレートが光透過性の材料から作製されたものである請求項12〜17のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • プレートが透明な樹脂又はガラスから作製されたものである、請求項18記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (b)において、プレートが、穿孔を規則的に施した板材を基板に接着した構造を有するものである請求項12〜19のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 基板が光透過性の材料から作製されたものである請求項20記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 基板がスライドガラスから作製されたものである請求項20又は21記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 板材が、金属、樹脂及びゴムからなる群より選択される材質のものである請求項20〜22のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • (a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイが支持体に固定されていることを特徴とする請求項12〜23のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 支持体が光透過性の材料から作製されたものである請求項24記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 支持体がスライドガラスから作製されたものである請求項24又は25記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 支持体が、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの固定位置を決めるためのマーキングを施したものである請求項24〜26のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 支持体と(b)のプレートとの間に、支持体に固定された(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイを格納可能な空隙を有するスペーサーを設置することを特徴とする請求項24〜27のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • スペーサーが、金属、樹脂及びゴムからなる群より選択される材質のものである請求項28記載の蛋白質結晶化用デバイス。
  • 請求項5〜11のいずれか1項に記載のマイクロアレイ又は請求項12〜29のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、蛋白質結晶化剤と蛋白質含有試料とをマイクロアレイ上及び/又はマイクロアレイ中で接触させて蛋白質を析出させる工程を含むことを特徴とする、蛋白質の結晶化の条件をスクリーニングする方法。
  • 蛋白質含有試料が、蛋白質、蛋白質可溶化剤及び/又は附加物を含むものである請求項30記載の方法。
  • 複数の温度条件下で行うことを特徴とする請求項30又は31記載の方法。
  • 蛋白質含有試料が一種類又は一濃度の蛋白質結晶化剤あたり1μL以下の溶液量である請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
  • 請求項12〜29のいずれか1項に記載の蛋白質結晶化用デバイスにおいて、(a)のマイクロアレイにおける蛋白質結晶化剤を保持する蛋白質結晶化剤保持部分に、(b)の蛋白質含有試料を充填した窪みを重ね合わせることにより、該蛋白質結晶化剤と該蛋白質とを接触させて蛋白質を析出させる工程を含むことを特徴とする蛋白質結晶化条件のスクリーニング方法。
  • 说明书全文

    技術分野本発明は、蛋白質含有試料から蛋白質の結晶を析出させる方法に関する。 また本発明は、蛋白質の結晶化の条件をスクリーニングするための新規なマイクロアレイ及びデバイスに関する。 更には、結晶化条件が高度に集積されたマイクロアレイ又はデバイスを用いて極微量の試料で簡便かつ迅速に蛋白質結晶化条件をスクリーニングする方法に関する。
    背景技術近年、蛋白質の構造を網羅的に解析し、それに基づいて生命現象の仕組みを探索しようとするいわゆる構造ゲノム科学と呼ばれる動きが活発化している。 構造ゲノム科学においては、構造解析の過程を更に省化及びスピードアップする必要があり、そのためにはより微量の蛋白質試料を用いて、迅速かつ高効率に結晶化条件をスクリーニングする方法の開発が望まれている。
    蛋白質の立体構造解析を行うにはその良好な結晶が必要とされ、それを調製するための条件の探索には多量の試料と長時間を費やすことが現在の課題となっている。 すなわち、既存の方法は非常に煩雑な操作を必要として非効率的であるとともに多くの蛋白質試料が必要であった。
    この目的で結晶化スクリーニング試薬キットの開発が行われており、結晶化条件のスクリーニングに必要なスクリーニング試薬の調製時間に関する条件は改善されてきている。 例えば特開平9−89898号公報では、固体支持体に複数の種類の蛋白質沈殿剤を固定化してなる蛋白質結晶化条件スクリーニング用固定化試薬が提案されている。 しかしながら、これも含め従来の結晶化条件スクリーニングは、一条件あたり数マイクロリットルの溶液量で行われており、結晶化条件の探索時間は数時間〜数日に及ぶ。 このため更なる試料の微量化及び結晶化条件探索時間の短縮が望まれている。
    一方、上述のような背景から、蛋白質の結晶化方法として種々の手法が開発されている。 これらのうち主な手法としては、バッチ法、蒸気拡散法及び液−液拡散法(又は透析法)が挙げられる。
    「バッチ法」は、蛋白質溶液に沈澱剤溶液を少しずつ加え、わずかに濁ったところで不溶物を遠心分離して除去し、上清を小さな試験管等に入れて密封した後に静置する方法である。 この方法は、操作が簡便であるが、結晶が得られにくい、結晶の品質が良好ではない(微細な結晶が析出する)、結晶化条件を能動的に制御する必要がある、などの点で効率的に蛋白質の結晶を得ることができない。
    「蒸気拡散法」は、沈澱剤を含む蛋白質溶液の液滴を、より高濃度の沈澱剤を含む緩衝液(外液)の入った容器中に置き、密封後静置する方法である。 液滴の置き方によって、ハンギングドロップ法及びシッティングドロップ法があり、ハンギングドロップ法は、蛋白質溶液の小さな液滴をカバーグラス上に配置し、カバーグラスを溶液溜め(リザーバー)上で反転させ、密封する方法である。 一方、シッティングドロップ法は、リザーバー内部に適切な液滴台を設置し、蛋白質溶液の小滴を液滴台上に配置し、カバーグラス等でリザーバーを密封する方法である。 蒸気拡散法では、蛋白質溶液及び沈殿剤の濃度が時間と共に変化し、また使用する蛋白質量が少量でよいため、幅広い結晶化条件をスクリーニングするためには好適であるとされている。 この蒸気拡散法を利用した蛋白質の結晶化条件のスクリーニング方法が報告されている(WO00/60345号パンフレット参照)。
    このようなスクリーニング方法は、多数の条件についてより微少量で検討する場合には、ハイスループット用の高価な大型装置が必要である。
    「液−液拡散法」又は「透析法」は、蛋白質溶液を沈澱剤の入った緩衝液(外液)に対して、それぞれ両溶液の界面若しくはゲル(液−液拡散法)、又は半透膜(透析法)を境界として接触させ、蛋白質溶液中の沈殿剤濃度を徐序に上昇させる方法である。 これらの方法は、上記蒸気拡散法及びバッチ法の両者の利点を有し、良質な蛋白質結晶を得るために好適である。 しかし、これらの方法は比較的多量の蛋白質溶液を使用し、蛋白質溶液量を少量化することも困難である。 またこの操作は煩雑であり、時間がかかるため、簡便とはいえない。
    上述した方法以外にも、種々の手法が開発されている。 例えば、良好な品質の蛋白質結晶を得るために、回転(すなわち重力)を利用して蛋白質を結晶化する手法が報告されている(例えば、特開2002−316899号公報)。 しかしこの手法では、回転装置が必要であるため装置全体が大型のものとなり、また必要な蛋白質容量が約20μLであるため、蛋白質が少量しか得られない場合には適していない。 また例えば蒸気拡散法の改良法として、電位を利用して蛋白質を結晶化する装置が報告されている(例えば、特開2001−213699号公報及び特開2002−179500号公報)。 この装置は、固体の表面電位の違いを利用して蛋白質分子を固体上に吸着させて結晶を成長させるものであり、少量の蛋白質溶液を用いた場合でも結晶を成長させることができるが、結晶化対象の蛋白質の種類によってチップ(固体)を改変する必要がある。
    また、結晶化対象の蛋白質を含むゲルと沈殿剤を含むゲルとをサンドイッチ構造で備える容器において結晶化する方法が報告されている(特開平6−321700号公報)。 この手法においては、蛋白質を含むゲルと沈殿剤を含むゲルとを接触させ、それらを回転させることにより、両ゲル間を蛋白質及び沈殿剤が拡散し、それらが反応することによって蛋白質が結晶化する。 しかしこの手法では、1操作当たり、1種類の蛋白質と1種類の沈殿剤(濃度及び種類)との反応条件のみを検討できるにすぎず、効率的とはいえない。
    以上のような理由から、蛋白質の結晶をX線回折などに良好な状態で、簡便、高効率かつ経済的に得るための手法が望まれていた。
    発明の開示本発明は、良好な結晶を得るために簡便かつ高効率に蛋白質を結晶化する方法、並びに微量の試料を用いて蛋白質の結晶化の条件を短時間でスクリーニングすることが可能となるデバイス及びその方法を提供することを目的とする。
    上述した目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、複数の種類及び濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなるマイクロアレイを用いることによって、特定の蛋白質の結晶化条件を、微量の試料を使用し、簡便かつ迅速に決定できるという知見を得た。 また本発明者は、蛋白質結晶化剤を保持するゲルに蛋白質含有試料をアプライし、該結晶化剤と蛋白質とを接触させることによって、良好な結晶を成長させることができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
    すなわち、本発明は、蛋白質を結晶化させるための方法において、以下のステップを含むことを特徴とする蛋白質結晶化方法である。
    (a)蛋白質含有試料を、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライするステップ、及び(b)上記蛋白質と上記蛋白質結晶化剤とを接触させるステップ本蛋白質結晶化方法において、蛋白質含有試料は、結晶化対象の蛋白質の他、蛋白質可溶化剤及び/又は附加物を含んでいてもよい。 また蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルは透明であることが好ましい。
    また蛋白質結晶化剤としては、例えば、沈殿剤、pH緩衝剤及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。 ここで沈殿剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、2−メチル2,4−ペンタンジオール及び硫酸アンモニウムなどが挙げられ、pH緩衝剤としては、例えば酢酸ナトリウム三和物、リン酸カリウム、イミダゾール,クエン酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウムなどが挙げられる。
    また本発明は、マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化用マイクロアレイである。
    本蛋白質結晶化用マイクロアレイにおいて、蛋白質結晶化剤はポリマーゲルを介して保持されていることが好ましい。 また蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルは透明であることが好ましい。
    さらには、本蛋白質結晶化用マイクロアレイは、異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤が中空部に保持された複数の中空繊維を配列してなるものであってよく、この場合、蛋白質結晶化剤は、中空部に充填されているポリマーゲルを介して保持されることができる。
    上記蛋白質結晶化剤としては、例えば、沈殿剤、pH緩衝剤及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。 ここで沈殿剤としては、例えば塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、硫酸アンモニウムなどが挙げられ、pH緩衝剤としては、例えば酢酸ナトリウム三水和物、リン酸カリウム、イミダゾール,クエン酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウムなどが挙げられる。
    さらに本発明は、以下の(a)及び(b)を備えることを特徴とする蛋白質結晶化用デバイスである。
    (a)マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化剤保持部分を有する蛋白質結晶化用マイクロアレイ、並びに(b)上記(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分に対応する、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを有するプレート上記(a)において、蛋白質結晶化剤はポリマーゲルを介して保持されることが好ましい。
    (a)において蛋白質結晶化剤としては、例えば、沈殿剤、pH緩衝剤及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。 また(a)において、蛋白質結晶化用マイクロアレイは、異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤が中空部に保持された複数の中空繊維を配列してなるものであってよく、この場合、蛋白質結晶化剤は、中空部に充填されているポリマーゲルを介して保持されることができる。
    また、(b)において、各窪みの容量は1μL以下であることが好ましい。 さらに(b)において、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイと重ねた際に、該アレイの各蛋白質結晶化剤保持部分と対応して重なる部分が透明であることが好ましい。 またプレートは、光透過性の材料、例えば透明な樹脂又はガラスから作製されたものであることが好ましい。
    上記(b)において、プレートは、複数の穿孔を規則的に施した板材を基板に接着した構造を有するものとすることができる。 ここで基板は、光透過性の材料、例えばスライドガラスから作製されたものであることが好ましい。 また板材は、金属、樹脂及びゴムからなる群より選択される材質のものであることが好ましい。
    上記(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイは、支持体に固定してもよい。 ここで支持体は、光透過性の材料、例えばスライドガラスから作製されたものであることが好ましい。 またこの支持体には、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの固定位置を決めるためのマーキングを施してもよい。
    さらに本蛋白質結晶化用デバイスにおいては、支持体と(b)のプレートとの間に、支持体に固定された(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイを格納可能な空隙を有するスペーサーを設置することも可能である。 ここでスペーサーは、金属、樹脂及びゴムからなる群より選択される材質のものとすることができる。
    またさらに本発明は、上記蛋白質結晶化用マイクロアレイ又は上記蛋白質結晶化用デバイスにおいて、蛋白質結晶化剤と蛋白質含有試料とをマイクロアレイ上及び/又はマイクロアレイ中で接触させて蛋白質を析出させる工程を含むことを特徴とする、蛋白質の結晶化の条件をスクリーニングする方法である。 ここで、蛋白質含有試料は、スクリーニング対象の蛋白質の他に、さらに蛋白質可溶化剤、還元剤などの蛋白質安定化剤を含んでいてもよい。
    また、上記スクリーニング方法は、複数の温度条件下にて行ってもよい。
    さらに、上記スクリーニング方法で用いる蛋白質含有試料は、一種類又は一濃度の蛋白質結晶化剤あたり1μL以下の溶液量であることが好ましい。
    本発明はまた、上記蛋白質結晶化用デバイスにおいて、(a)のマイクロアレイにおける蛋白質結晶化剤を保持する蛋白質結晶化剤保持部分に、(b)の蛋白質含有試料を充填した窪みを重ね合わせることにより、該蛋白質結晶化剤と該蛋白質とを接触させて蛋白質を析出させる工程を含むことを特徴とする蛋白質結晶化条件のスクリーニング方法である。
    本発明に関わる用語の定義は以下の通りである。
    本明細書中で使用される「蛋白質」という用語は、天然又は合成のペプチド、ポリペプチド、蛋白質及び蛋白質複合体を包含する。 これらの物質は、天然若しくは合成材料から抽出・単離、又は遺伝子工学的手法若しくは化学合成手法等により生成した後、通常の精製法、例えば溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどを組み合わせて用いることにより精製することができる。
    本明細書中で使用される「結晶化」という用語は、蛋白質溶液から結晶を成長又は析出させて結晶を得ることを指す。
    本明細書中で使用される「蛋白質含有試料」という用語は、結晶化対象の蛋白質、又は結晶化条件を特定しようとする対象の蛋白質を含む試料を指す。
    本明細書中で使用される「蛋白質結晶化剤」という用語は、蛋白質の溶解度を下げる働きをする化合物を意味し、沈殿剤、pH緩衝剤、その他附加物等が挙げられる。
    本明細書中で使用される「保持する」という用語は、蛋白質結晶化剤をポリマーゲル又はマイクロアレイに固定化することを意味する。
    本明細書中で使用される「ポリマー」という用語は、天然ポリマー(生体高分子など)及び合成ポリマーのいずれをも包含する。
    本明細書中で使用される「ポリマーゲル」という用語は、重合性モノマー若しくはその溶液を、重合反応によりポリマー化若しくはゲル化させたもの、あるいは、合成ポリマーや天然ポリマーの添加により溶液の流動性をなくしたものを意味する。
    本明細書中で使用される「アプライする」という用語は、蛋白質結晶化剤を保持する部分に蛋白質含有試料を滴下したり、シリンジなどで手動若しくは機械的に充満させたり、又はマイクロアレイを蛋白質含有試料中に浸漬することなどを指す。
    本明細書中で使用される「接触させる」という用語は、蛋白質含有試料と蛋白質結晶化剤とが反応可能な程度に接近することを指す。
    本明細書中で使用される「マイクロアレイ」という用語は、一般的に、微小な支持体上にて多数の反応を行うために、反応用物質が多数個整列配置された構成をとるものを指す。
    本明細書中で使用される「中空部」という用語は、例えば中空管状体又は中空繊維の内部の空洞を意味する。
    本明細書中で使用される「中空繊維」という用語は、繊維の内部が空洞で管状又はストロー状の状態の繊維を意味する。
    本明細書中で使用される「蛋白質結晶化剤保持部分」という用語は、蛋白質結晶化剤を保持する部分を指し、本発明においては、ポリマーゲル、又はマイクロアレイのアレイ部分などである。
    本明細書中で使用される「充填」という用語は、蛋白質含有試料を入れて満たすことを意味する。
    本明細書中で使用される「窪み」という用語は、周囲と比較して窪んでいる部分を意味し、穴、溝など種々の形状のものが包含される。
    本明細書中で使用される「光透過性の材料」という用語は、透明で光を透過することができる材質を意味する。
    本明細書中で使用される「穿孔」という用語は、穴を空けること、及び空けられた穴を意味する。
    本明細書中で使用される「規則的に」という用語は、一定の大きさの枠の中に含まれる繊維の本数又は穿孔の数が一定となるように順序よく配列させることをいう。
    本明細書中で使用される「板材」という用語は、プレートを作製するために、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを形成することができる材質及び形状の部材を意味する。
    本明細書中で使用される「基板」という用語は、プレートを作製するために、板材を接着する対象となる部材を意味する。
    本明細書中で使用される「接着」という用語は、部材と部材とが接触して離れないようにすることを意味する。
    本明細書中で使用される「支持体」という用語は、本蛋白質結晶化用マイクロアレイを固定する対象となる部材を意味する。
    本明細書中で使用される「固定」という用語は、ある位置に定置させることを意味する。
    本明細書中で使用される「マーキング」という用語は、識別可能な印(標識)を付すことを意味する。
    本明細書中で使用される「格納可能」という用語は、ある部材を他の部材の中又は間に入れることができることを意味する。
    本明細書中で使用される「空隙」という用語は、部材における開口部又は穴を意味する。
    本明細書中で使用される「スペーサー」という用語は、部材と部材との間の間隔をあけるために使用する部材を意味する。
    本明細書中で使用される「スクリーニング」という用語は、蛋白質が結晶化する条件を選択する工程を意味し、多数の条件の中から適切な条件を絞り込む工程である。
    以下、本発明を詳細に説明する。 本願は、2001年12月11日に出願された日本国特許出願第2001−376972号、及び2002年8月6日に出願された日本国特許出願第2002−229173号の優先権を主張するものであり、上記特許出願の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
    本発明は、蛋白質結晶化方法に係るものであり、該方法は、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルに蛋白質含有試料をアプライし、ゲル中での拡散現象を利用して蛋白質と蛋白質結晶化剤とを接触させることを特徴とする。 蛋白質の結晶化には、種々の相互作用が複雑に影響を及ぼしている。 本発明は、このような種々の相互作用が徐々にゆっくりと変更するために、ゲルにおける拡散現象を利用して蛋白質と蛋白質結晶化剤とをゆっくりと接触させ、それらの間の相互作用及びその他の相互作用を徐々に変更した状態を作り出す。 その結果、本蛋白質結晶化方法により、良好な品質の蛋白質結晶を簡便かつ高効率に析出することができる。
    また本発明は、蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化用マイクロアレイ又は蛋白質結晶化用デバイスを利用して蛋白質の結晶化の条件をスクリーニングする方法に係るものである。 蛋白質の結晶化は、当該蛋白質の純度及び濃度、沈殿剤の種類及び濃度、緩衝剤又は塩の種類及び濃度、pH、温度などのパラメータにより影響を受けるものであり、特定の蛋白質の結晶化条件はこれらの組み合わせにより決定されるものである。 本発明は、これらのパラメータが高度に集積されたマイクロアレイを利用することにより、微量の蛋白質試料を用いて、多数想定される結晶化条件の中から最適な条件を簡便かつ迅速に決定するものである。
    1. 蛋白質結晶化方法本蛋白質結晶化方法は、蛋白質含有試料を蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライし、ゲルにおいて該蛋白質と該蛋白質結晶化剤とを接触させることを特徴とするものである。 具体的には、本蛋白質結晶化方法は、(a)蛋白質含有試料を蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライするステップ、及び(b)該蛋白質と該蛋白質結晶化剤とを接触させるステップ、を含む。
    ステップ(a):ポリマーゲルへのアプライ本蛋白質結晶化方法のステップ(a)では、蛋白質含有試料を、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライする。 ここで、蛋白質含有試料は、結晶化対象の蛋白質の他、さらに、蛋白質の溶解を助ける蛋白質可溶化剤、還元剤等の安定化剤などを含有してもよい。 蛋白質可溶化剤としては、例えば膜蛋白質を溶解させる界面活性剤などを例示することができる。 またここで、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルは、以下のように調製することができる。
    本発明に用いることができるポリマーゲルの種類は特に制限されないが、例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等の単量体の一種類又は二種類以上と、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等との多官能性単量体を、例えば水性媒体中で共重合したゲルを用いることができる。 その他本発明に用いることのできるポリマーゲルとして、例えばアガロース、アルギン酸、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のゲル、又はこれらを架橋したゲルを用いることができる。
    任意の容器(例えばマイクロアレイ)にゲルを充填するには、ゲル構成成分であるアクリルアミド等の単量体、多官能性単量体及び開始剤を含む液を該容器に注入し、重合、ゲル化させればよい。 ゲル化は多官能性単量体の存在下に共重合させる方法の他、多官能性単量体の非存在下に共重合させたのち架橋剤を用いて行ってもよい。 またアガロースゲルの場合には温度降下によってゲル化を行ってもよい。
    蛋白質結晶化剤をポリマーゲルに保持させるための方法は、特に制限されるものではない。 ここで「保持」とは、蛋白質結晶化剤をポリマーゲルに固定化することを意味する。 例えば、蛋白質結晶化剤と上記重合性モノマーを混合して予め適当な容器に導入しておき、その後、重合過程を経てポリマーゲルを形成させて蛋白質結晶化剤を固定化することができる。 ポリマーゲルに保持させる蛋白質結晶化剤は、結晶化対象の蛋白質の種類及び濃度などにより異なるが、当業者であれば適切な蛋白質結晶化剤を選択し、適宜その濃度及び量を設定して、ポリマーゲルに保持させることができる。
    あるいは、蛋白質結晶化剤を多孔性粒子などに含浸させ、その粒子をポリマーゲルに包括させることも可能である。
    蛋白質結晶化剤としては、例えばGrid Screen TM 、Crystal Screen TM I & II、Wizard TM I & II等の市販されているものと同様の条件を使用することができる。
    ここで、結晶化の様子が顕微鏡等で経時的に観察可能とするために、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルは、透明であることが好ましい。 「透明」とは、必ずしも光の透過率が100%であることを意味せず、結晶化の様子が観察できる程度に透明であればよい。
    例えば、NaClをゲル中に保持させる場合には、該ゲルは、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸ジメチルアミノメチルクロライド塩から作製されることが好ましい。 その他、蛋白質結晶化剤の種類に応じて上述したモノマー等を適宜選択することにより、透明な蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルを得ることができる。
    上述のように調製された蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルに、蛋白質含有試料をアプライする。 蛋白質含有試料のアプライは、任意の手法により行うことができ、例えば、蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルに蛋白質含有試料を滴下したり、シリンジなどで手動若しくは機械的に充満させたり、又はポリマーゲルを蛋白質含有試料中に浸漬することなどにより蛋白質含有試料をアプライする。 アプライする蛋白質含有試料の量は、蛋白質の結晶化条件などを考慮して設定する。
    ステップ(b):蛋白質と蛋白質結晶化剤との接触上述のように、蛋白質含有試料を蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルにアプライした後、蛋白質と蛋白質結晶化剤とが接触し、反応する。 本蛋白質結晶化方法においては、蛋白質結晶化剤がゲル中から蛋白質含有試料の部分に、又は蛋白質含有試料が蛋白質結晶化剤を保持するゲル中に、ゆっくりと移行し、結晶化反応も少しずつ起こる。 これにより、結晶化のメカニズムである、蛋白質と周囲環境(蛋白質結晶化剤の存在、pH)との相互作用が徐々に変更するため、良質な結晶が析出することになる。
    蛋白質含有試料をアプライした後は、蛋白質が析出するのに十分な時間にわたって、適切な温度条件下にて、ポリマーゲルを密閉状態又は大気中に静置する。
    蛋白質が析出するのに十分な時間とは、特定の蛋白質、濃度、結晶化条件などにより異なるが、約1時間〜10日である。 また適切な温度条件もまた特定の蛋白質、濃度、結晶化条件などにより異なるが、約4℃〜30℃である。
    そして蛋白質が析出するのに十分な時間が経過した後、蛋白質の結晶析出状況を、例えば光学顕微鏡、X線回折装置などにより観察する。 本蛋白質結晶化方法においては、ポリマーゲルにおける蛋白質の結晶化をモニタリングするための公知のシステムを組み合わせて用いることができる。 例えば、結晶析出の様子を、顕微鏡に搭載したCCDカメラにより撮影記録し、画像処理することによって、結晶化の成否を高速に判断することが可能である。
    以上のように、本蛋白質結晶化方法は、蛋白質含有試料と蛋白質結晶化剤とを、ゲル中の拡散を利用して徐々に接触・反応させて、蛋白質を結晶化させる。 従って、本発明では、単に蛋白質含有試料をアプライする操作のみでX線解析などに適した良好な品質の蛋白質結晶を得ることができる。 また本蛋白質結晶化方法は、後述するように、例えばマイクロアレイにおいて蛋白質結晶化剤を保持するポリマーゲルを調製し、アレイ上で蛋白質を結晶化させることもできる。 この場合には、使用する蛋白質及び蛋白質結晶化剤の量を低減させることができ、また少量の使用であっても良好な結晶が高効率で得られる。 さらに、操作が簡便であるため、蛋白質結晶化条件のスクリーニングにも適している。
    2. 蛋白質結晶化用マイクロアレイ本蛋白質結晶化用マイクロアレイは、マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持することを特徴とする。
    本発明に用いるマイクロアレイは、一般的な、反応用物質が多数個整列配置された構成をとるものであれば、その材質、形状などが特定のものに限定されるものではない。 マイクロアレイに使用する材料の例としては、ガラス、樹脂又はポリマーゲルなどが挙げられ、またそれらの材料を組み合わせて作製した複合体を使用することも可能である。 本発明のマイクロアレイには、蛋白質析出の確認を容易に行うため、光透過性が高い材料を用いることが好ましい。
    本発明のマイクロアレイにおいて、アレイの形状は、蛋白質含有試料をアプライする際に当該試料が蛋白質結晶化剤を保持する部分(以下、「蛋白質結晶化剤保持部分」という)に容易かつ均一に配分されること、結晶析出の観察を妨げることなくこれを迅速かつ効率よく行えること等の条件を満たす限りにおいて、特に制限を受けるものではない。 例として、極端な凹凸のない平滑な形状のもの、蛋白質含有試料を蛋白質結晶化剤保持部分に配分するための溝を形成させたもの、蛋白質結晶化剤保持部分として円形、四形などの液溜を形成させたもの、あるいはこれらを複合的に用いたものなどが挙げられる。
    マイクロアレイに保持される複数の異なる種類及び異なる濃度の蛋白質結晶化剤の混合を防ぐ目的で、溶剤透過性をもたない材料を使用した仕切り用の補助部材を、マイクロアレイと一体化して使用することにより蛋白質結晶化剤保持部分を作製することも可能である。 そのような補助部材としては、例えば板状の樹脂をマトリックス状に成型したものや、ポリエチレンなどで作製した非孔質の中空繊維を用いることができる。
    蛋白質結晶化剤保持部分は、マイクロアレイ1cm あたり10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。
    また本発明に用いるマイクロアレイは、結晶析出の観察を妨げない任意の形状をとることが可能であり、円形、正方形、長方形などの任意の形をとることが可能である。 その厚みについては、結晶化の効率の向上や、結晶析出の観察の容易化及び迅速化を考慮して任意に選択することができるが、例えばマイクロアレイの厚みは、0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mmとすることができる。
    次に、本発明に使用されるマイクロアレイの一例として、複数の中空管状体を配列してなるマイクロアレイについて詳細に説明する。
    複数の中空管状体を配列してなるマイクロアレイの一例は、図1に示すように、中空部11を有する複数の中空繊維12を備えた中空繊維配列体薄片10の形をとる。 本発明で使用する中空繊維は、非多孔質であることが好ましく、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリレート系モノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリレート系モノマーの単独重合体若しくはこれらの共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ノボルネン/エチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート又はガラス等から形成されるものが挙げられる。
    図1に示すような中空繊維配列体の薄片を得るべく繊維を所定の間隔をもって平行に配列させる。 また単位面積あたりの蛋白質結晶化剤保持部分の数を多くするために、中空繊維の外径が、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。 また本発明のマイクロアレイにおいて、中空部に蛋白質結晶化剤を保持させる観点からは、中空繊維の内径は、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。
    中空繊維の内壁表面は、無処理の状態でそのまま用いてもよいが、必要に応じて、プラズマ処理やγ線、電子線などの放射線処理を施したものであってもよい。 さらに、中空繊維は、必要に応じて反応性官能基を導入したものであってもよい。
    上記の通り調製された中空繊維は、本発明の複数の中空繊維を配列してなるマイクロアレイを構成する基本単位とすることができる。 そして、これらの中空繊維を集束した後に接着して、繊維配列体(三次元配列体)となすことができる。
    上記の三次元配列体を、ミクロトームなどの切片作製用の装置を用いて、繊維軸と交差する方向、好ましくは繊維軸に対して垂直方向に切断することにより、中空繊維配列体断面を有する薄片(図1)を得ることができる。 薄片の厚みに関しては、通常100〜5000μm、好ましくは500〜3000μmである。
    この際、中空繊維を規則的に配列し、樹脂接着剤等で接着することにより、例えば、縦横に中空繊維が整然と規則的に配列した中空繊維配列体を得ることができる。 中空繊維配列体の形状は特に限定されるものではないが、通常は、繊維を規則的に配列させることにより正方形、長方形、円形、螺旋形等に形成される。
    「規則的に」とは、一定の大きさの枠の中に含まれる繊維の本数が一定となるように順序よく配列させることをいう。 例えば、直径1mmの繊維を束にして断面が縦10mm、横10mmの正方形となるように配列させようとする場合は、その正方形の枠内(1cm )における1辺に含まれる繊維の数を10本とし、この10本の繊維を1列に束ねて1層のシートとした後、このシートが10層になるように重ねる。 その結果、縦に10本、横に10本、合計100本の繊維を配列させることができる。 但し、繊維を規則的に配列させる手法は、上記のようにシートを重層するものに限定されるものではない。
    本発明において束にする繊維の本数は、10本以上、好ましくは100本以上であり、目的に応じて適宜設定することができる。
    上述したような複数の中空繊維を配列してなるマイクロアレイの詳細に関しては、WO00/53736号公報を参照されたい。
    上記のようにして作製される中空繊維配列体の薄片は、複数の蛋白質結晶化剤保持部分を有し、かつ保持される蛋白質結晶化剤が混合しないものであり、本発明の蛋白質結晶化用マイクロアレイとして好ましいものである。
    本発明の蛋白質結晶化用マイクロアレイは、直接又はゲルなどを介して蛋白質結晶化剤を保持する。 ここで「蛋白質結晶化剤」とは、上述したように蛋白質の溶解度を下げる働きをする化合物を意味し、沈殿剤、pH緩衝剤、その他附加物等が挙げられる。
    沈殿剤としては、塩(例えば、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等)、分子量400〜20000のポリエチレングリコール、有機溶剤(例えば、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ジオキサン等)などを単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
    pH緩衝剤としては、酢酸ナトリウム三水和物、リン酸カリウム、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウムなどを単独で又は複数成分を混合したものなどを用いることができる。
    附加物としては、1価の塩、2価の塩、グリセロール、界面活性剤などを用いることができる。
    さらには、蛋白質結晶化剤としては、公知文献に基づくものや使用者の発案により作製したものなどを使用してもよい。
    本発明において、蛋白質結晶化剤を複数用いる場合、その数は、異なるパラメータ、すなわち蛋白質結晶化剤の濃度と種類との組み合わせによって任意に決定する。
    本発明は、その異なるパラメータにより設定される多数の蛋白質結晶化剤を、マイクロアレイという同一実験系に適用することにより、設定された多数の蛋白質結晶化条件の中から適切なものを容易かつ迅速にスクリーニングすることを可能とする。
    本発明のマイクロアレイには、蛋白質結晶化剤保持部分(例えば中空繊維の中空部)が10個以上配列されているため、濃度及び種類の数を10通り以上、約1000通りまで組み合わせることができ、それにより、蛋白質の結晶化の条件を網羅的にスクリーニングすることが可能である。
    本発明のマイクロアレイに保持させる蛋白質結晶化剤の濃度は、蛋白質結晶化剤の種類にもよるが、例えば、沈殿剤ポリエチレングリコールの場合には、5〜50体積%、好ましくは10〜35体積%であり、pH緩衝剤の場合には、0.05〜0.5mol/L、好ましくは0.1〜0.2mol/Lである。 本発明では、複数の濃度の蛋白質結晶化剤をマイクロアレイ上に保持させることを目的としているため、蛋白質結晶化剤は、上記範囲内の濃度を多段階で用いることが好ましい。 すなわち、例えば沈殿剤として塩化ナトリウムを用いる場合には、同一マイクロアレイ上に、例えば0.5〜4.0mol/Lの範囲で、5段階、10段階、20段階のように希釈列を作製する。 保持させる蛋白質結晶化剤の濃度は、当該蛋白質結晶化剤の種類などを考慮して、当業者であれば、その濃度範囲と濃度段階又はそれらの組み合わせを任意に決定することができる。
    マイクロアレイ上に保持させる蛋白質結晶化剤の量は、特に限定されず、任意に決定することができる。
    上述したような複数の種類及び濃度の蛋白質結晶化剤をマイクロアレイに保持させる。 ここで「保持」とは、蛋白質結晶化剤をマイクロアレイに固定化することを意味する。
    蛋白質結晶化剤をマイクロアレイ中の蛋白質結晶化剤保持部分、すなわち溝等の液溜又は中空繊維の中空部等、に保持させるための方法は、特に制限されるものではない。 例えば、蛋白質結晶化剤をそのままマイクロアレイの蛋白質結晶化剤保持部分に保持させてもよいし、あるいはポリマーゲルなどを介して保持させてもよく、さらに、多孔性粒子などに含浸させた蛋白質結晶化剤をポリマーゲルに包括させることも可能である。 更には、蛋白質結晶化剤と重合性モノマーを混合して予めマイクロアレイの蛋白質結晶化剤保持部分に導入しておき、その後、重合過程を経てポリマーゲルを形成させて固定化する方法も採用できる。
    本発明に用いることができるゲルの種類は特に制限されないが、例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等の単量体の一種類又は二種類以上と、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等との多官能性単量体を、例えば水性媒体中で共重合したゲルを用いることができる。 その他本発明に用いることのできるゲルとして、例えばアガロース、アルギン酸、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のゲル、又はこれらを架橋したゲルを用いることができる。
    マイクロアレイの蛋白質結晶化剤保持部分にゲルを充填するには、ゲル構成成分であるアクリルアミド等の単量体、多官能性単量体及び開始剤を含む液を、マイクロアレイの蛋白質結晶化剤保持部分に注入し、重合、ゲル化させればよい。 ゲル化は多官能性単量体の存在下に共重合させる方法の他、多官能性単量体の非存在下に共重合させたのち架橋剤を用いて行ってもよい。 またアガロースゲルの場合には温度降下によってゲル化を行ってもよい。
    上述のようにして、本発明の蛋白質結晶化用マイクロアレイを得ることができる。 作製したマイクロアレイは、外気との接触を防ぐ密閉性のよい容器に保存しておくことが好ましい。 保存用容器の材質の例としては、気体や水の透過率の小さな高分子材料、あるいはガラスや金属が挙げられる。 低温で保存することが好ましく、特に長期にわたる保存の場合には凍結保存することも可能である。
    3. 蛋白質結晶化用デバイス本蛋白質結晶化用デバイスは、(a)マイクロアレイ表面1cm あたり、少なくとも10以上の異なる種類及び/又は異なる濃度の蛋白質結晶化剤を保持してなる蛋白質結晶化剤保持部分を有する蛋白質結晶化用マイクロアレイ、並びに(b)上記(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分に対応する、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを有するプレート、を備えることを特徴とするものである。
    このようなデバイスの形態にすることにより、必要蛋白質試料の微量化、結晶化実験手順の簡素化、高集積による実験必要空間の少量化を達成することができる。 さらには、蛋白質含有試料の定量、顕微鏡による結晶化状態の観察を容易にすることができる。
    (a)蛋白質結晶化用マイクロアレイ本蛋白質結晶化用デバイスにおいて、(a)の部材としては、上記「2.蛋白質結晶化用マイクロアレイ」の項に記載した蛋白質結晶化用マイクロアレイを使用することができる。
    また(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイは、平板などの支持体に固定されていてもよい。 使用可能な支持体は、マイクロアレイを固定可能な形状及び材質のものであれば特に限定されない。 例えば、支持体の材質としては、ガラス、樹脂、金属などを例示することができ、これらの中から任意のものを選択し、単独で又は2種類以上のものを組み合わせて使用することができる。 蛋白質結晶化用マイクロアレイを固定する支持体は、特に光透過性の材料(例えばスライドガラス)から作製されることが好ましい。 光透過性の材料を採用することで、生成した結晶をデバイスの状態のまま迅速・簡便に顕微鏡で確認でき、結晶成長過程を経時的に顕微鏡観察できる。
    また、上記支持体には、蛋白質結晶化用マイクロアレイの固定位置を決めるためのマーキングを施すことが好ましい。 マーキング方法は、蛋白質結晶化用マイクロアレイを正確に固定できることが可能であれば特に限定されないが、該マイクロアレイの周囲に沿う外形を有する枠型を、支持体に接着して形成する方法が好適である。 この場合、マーキングのための枠型の材質は、特に限定されないが、ステンレスが好適である。
    (b)プレート本蛋白質結晶化用デバイスにおいて、(b)の部材は、上記(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分に対応する、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを有するプレートである。 このプレートを模式的に表したものを図2に示す。 図2においては、プレート20に蛋白質含有試料を充填可能な窪み21が形成されている。 しかしこの図に示されるプレートの形態は一例であり、この形態に限定されるものではない。
    本発明において使用可能なプレートは、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイと重ね合わせることができる形状及び材質のものであれば特に限定されるものではなく、マイクロアレイの形状(例えば凹凸のない平滑な形状のもの)を考慮して任意のものを選択又は設計することができる。 プレートの材質としては、ガラス、樹脂、金属などを例示することができ、これらの中から任意のものを選択し、単独で又は2種類以上のものを組み合わせて使用することができる。 プレートは、蛋白質の結晶化状態を観察するために、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイと重ねた際に、アレイの各蛋白質結晶化剤保持部分と対応して重なる部分が透明(光透過性)であることが好ましい。 従って、プレートは、特に光透過性の材料(例えば透明な樹脂又はガラス)から作製されることが好ましい。
    (b)のプレート上には、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを形成する。 プレートは、(a)の蛋白質結晶化用マイクロアレイの蛋白質結晶化剤保持部分と対応するように、プレート1cm あたり少なくとも10以上の窪みを有するものとする。 窪みの形成方法は特に限定されないが、例えば、任意の板材に1cm あたり少なくとも10以上の穿孔を規則的に施し、この板材を基板に接着することにより窪みを形成させる。 板材は、限定するものではないが、例えば金属、樹脂、ゴムなどの材質のものとすることができ、特にステンレス製であることが好ましい。 板材に穿孔を施す手法としては、射出成型、ドリリング、レーザー加工、光造形、エッチング等の手法が採用できる。 板材を接着する基板は、この基板部分がアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分と対応して重なる部分となるため、透明(光透過性)であることが好ましい。 従って、基板は、光透過性の材料(例えばスライドガラス)から作製されることが好ましい。
    形成する窪みの形状は、マイクロアレイの各蛋白質結晶化剤保持部分に対応して重なるように配置され、かつ蛋白質含有試料が充填可能であれば特に限定されない。 例えば窪みの形成の容易さから、窪みの形状は格子状であることが好ましい。 また、窪みの容量は、蛋白質含有試料を充填させるのに十分な容量であれば特に限定されない。 本発明の目的の1つである蛋白質量の低減を考慮した場合には、窪みの容量は1μL以下であることが好ましく、より好ましくは100nL以下、さらに好ましくは50nL以下である。
    本蛋白質結晶化用デバイスにおいては、上記(a)の蛋白質結晶化用デバイスと(b)のプレートとを重ね合わせて使用する。 図3に、本蛋白質結晶化用デバイスにおける、蛋白質結晶化用マイクロアレイとプレートの配置を模式的に示す。 図3において、蛋白質結晶化用マイクロアレイ31は、マーキング34により固定位置が決められた支持体33に固定される。 本蛋白質結晶化デバイスにおいては、支持体33とプレート32との間に、支持体33に固定された蛋白質結晶化用マイクロアレイ31を格納可能な空隙を有するスペーサー35を設置することが好ましい。 スペーサー35は、支持体33に固定されたマイクロアレイ31を定位置に固定するための助材であり、これによりプレート32の各窪み部が、マイクロアレイ31の各中空部に対応して設置可能となる。
    このスペーサーの形状及び材質は、本蛋白質結晶化用デバイスのその他の構成要素(例えば、蛋白質結晶化用マイクロアレイ、プレート又は支持体)と組み合わせて使用するのに適当なものであれば特に限定されず、例えば材質としては金属、樹脂及びゴムを好適に使用することができる。 スペーサー35は、その空隙の形成の容易さ、強度、耐塩性などの観点から、ステンレス製であることが好ましい。
    空隙の大きさは、蛋白質結晶化用マイクロアレイ31が格納できる大きさであれば特に限定されないが、蛋白質結晶化用マイクロアレイ31が隙間なく格納できる大きさであることが特に好ましい。 また、スペーサーの厚みは、支持体33に固定された蛋白質結晶化用マイクロアレイ31とプレート32とが隙間なく接触できる厚みであることが好ましい。
    本蛋白質結晶化用デバイスは、種々の蛋白質結晶化条件が1枚のアレイ上に集積された蛋白質結晶化用マイクロアレイと、蛋白質含有試料を充填可能な窪みを有するプレートとの組合せである。 従って、蛋白質含有試料をプレート上に充填し、蛋白質結晶化用マイクロアレイと重ね合わせることによって、アレイ上の蛋白質結晶化剤保持部分と蛋白質含有試料が充填された窪みとが対応して重なり合い、蛋白質と蛋白質結晶化剤とが接触して反応することになる。 ここで、蛋白質含有試料の窪みへの充填手法は、公知の手法、例えば単に蛋白質含有試料を窪み中に流し入れるなどの手法としうる。 また蛋白質結晶化用マイクロアレイとプレートとを重ね合わせる順序(上下)は特に限定されない。
    本蛋白質結晶化用デバイスにおいては、プレートを使用することによって各蛋白質結晶化剤保持部位の区画が明確化され、蛋白質含有試料をアレイにアプライする際に、アレイ間における試料又はその他の物質の移動又は混合(汚染)を防止することができる。
    4. 結晶化条件スクリーニング本発明の蛋白質結晶化条件スクリーニング方法は、上記本蛋白質結晶化用マイクロアレイ又は本蛋白質結晶化用デバイスにおいて、蛋白質結晶化剤と蛋白質含有試料とをマイクロアレイ上及び/又はマイクロアレイ中で接触させて蛋白質を析出させる工程を含むことを特徴とする。
    本発明において、蛋白質含有試料とは、結晶化条件を特定しようとする対象の蛋白質を含む試料である。 蛋白質としては、天然又は合成のペプチド、ポリペプチド、蛋白質及び蛋白質複合体が挙げられる。 これらの物質は、天然若しくは合成材料から抽出・単離、又は遺伝子工学的手法若しくは化学合成手法等により生成した後、通常の精製法、例えば溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどを組み合わせて用いることにより、スクリーニング対象の蛋白質を精製しておくことが好ましい。
    蛋白質含有試料中の蛋白質濃度及び純度もまた蛋白質結晶化条件の一要因となるため、数段階の濃度及び純度の蛋白質含有試料を調製して蛋白質結晶化剤と反応させてもよい。 例えば、蛋白質濃度は、5〜30mg/mlの範囲内で数段階に変更することが好ましい。 また蛋白質結晶化剤と反応させる蛋白質含有試料の量は、アレイの大きさによって適宜変更しうる。
    蛋白質含有試料は、スクリーニング対象の蛋白質の他、さらに、蛋白質の溶解を助ける蛋白質可溶化剤、還元剤等の安定化剤などを含有してもよい。 蛋白質可溶化剤としては、例えば膜蛋白質を溶解させる界面活性剤などを例示することができる。
    本発明の蛋白質結晶化条件スクリーニング方法では、上記蛋白質含有試料を、上記マイクロアレイ又は上記デバイスにおいて蛋白質結晶化剤と接触させて蛋白質を析出させる工程が含まれる。 ここで「接触させる」とは、蛋白質結晶化剤保持部分に蛋白質含有試料を滴下したり、シリンジなどで手動若しくは機械的に充満させたり、又はマイクロアレイを蛋白質含有試料中に浸漬することなどを指す。
    マイクロアレイ又はデバイスにおいて蛋白質結晶化剤と蛋白質含有試料とを反応させた後は、マイクロアレイ又はデバイスを蛋白質が析出するのに十分な時間にわたって、ある温度条件下にて、密閉状態又は大気中に静置する。
    蛋白質が析出するのに十分な時間とは、特定の蛋白質、濃度、結晶化条件などにより異なるが、約1時間〜10日であり、およそ30日以上経過しても結晶が析出しない場合には、その結晶化条件は適切ではないものとみなす。
    また温度条件は、蛋白質結晶化条件の一要因であるため、温度条件を変更してスクリーニング方法を実施してもよい。 温度条件は、例えば、4℃、15℃、18℃又は22℃などのように、いくつかの段階に設定することが好ましい。
    そして蛋白質が析出するのに十分な時間が経過した後、蛋白質の結晶析出状況を、例えば光学顕微鏡、X線回折装置などにより観察する。
    本発明のマイクロアレイ又はデバイスを用いて蛋白質結晶化条件をスクリーニングするにあたっては、マイクロアレイ又はデバイス中での蛋白質の結晶化をモニタリングするための公知のシステムを組み合わせて用いることができる。 すなわち、マイクロアレイ又はデバイス中の多数の結晶化条件における結晶析出の様子を、例えば顕微鏡に搭載したCCDカメラにより撮影記録し、画像処理することによって、結晶化の成否を高速に判断することが可能である。
    蛋白質の結晶が確認された場合は、確認された条件をその蛋白質の結晶化条件として決定する。 あるいは、より詳細な蛋白質結晶化条件に絞り込むために、さらに蛋白質結晶化条件を狭い範囲で設定した第2段階のスクリーニング方法を実施してもよい。
    このようにして蛋白質結晶化条件がスクリーニングされたときは、その結晶化条件を用いて、上述した本蛋白質結晶化方法、又は当技術分野で通常採用される蛋白質結晶化方法、例えばハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、透析法、バッチ法などにより、元の蛋白質試料から蛋白質を析出させる。
    本発明の蛋白質結晶化用マイクロアレイ又は蛋白質結晶化用デバイスは、複数の蛋白質結晶化条件が集積化されたものであり、本発明のマイクロアレイ又はデバイスを用いると、微量の蛋白質を用いて複数の蛋白質結晶化条件の中から適切な条件を1度にスクリーニングすることができ、蛋白質結晶化条件を容易かつ迅速に決定するために有用である。
    発明を実施するための最良の形態以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
    〔実施例1〕中空繊維配列体の作製直径0.32mmの孔を有し、孔の中心間距離が0.42mmの多孔板であって、縦横各10列に合計100個配列された厚さ0.1mmの多孔板2枚を重ね、これらの多孔板の各孔に、ポリエチレン製中空繊維(外径約300μm、内径約160μm、長さ約50cm)(三菱レイヨン社製)100本を通過させた。 2枚の多孔板の間隔を30cmとし、糸を張った状態で中空繊維の一方の端部から10cmの位置と40cmの位置の2ヶ所を固定した。
    次に、樹脂原料を2枚の多孔板の間に流し込んだ。 樹脂としては、ポリウレタン樹脂接着剤(日本ポリウレタン工業(株)ニッポラン4276、コロネート4403)を使用したが、この接着剤の総重量に対し、2.5質量%のカーボンブラックを添加したものを使用した。 室温で1週間静置して樹脂を硬化させた。 次いで多孔板を取り除き、中空繊維配列体を得た。
    〔実施例2〕中空繊維配列体への高分子ゲルの導入固定化以下の組成からなる混合溶液を調製した。
    アクリルアミド 3.7質量部メチレンビスアクリルアミド 0.3質量部2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩 0.1質量部この混合溶液と実施例1で得られた中空繊維配列体をデシケータ中に入れ、中空繊維配列体の非配列端部(自由端部)をこの混合溶液中に浸漬した状態で、デシケータ内を減圧状態にして中空繊維の中空部に混合液を導入した。 次いでこの中空繊維配列体を内部が水蒸気で飽和された密閉ガラス容器に移し、80℃で4時間かけて重合反応を行った。 このようにしてゲル状物が中空部に固定された中空繊維配列体を得た。 その結果、アクリルアミドゲルを内部に保持する中空繊維配列体を得た。
    〔実施例3〕ゲル含有中空繊維配列体薄片の作製実施例2で得られたアクリルアミドゲル含有中空繊維配列体を、繊維軸に直角方向にミクロトームを用いて約2mmの厚さに切り出すことにより、縦横各々10、計100のゲル含有中空繊維が規則的に正方に配列された配列体薄片を得た(図1)。 図1は、実施例1、2及び3を通じて作製したゲル含有中空繊維配列体薄片を示すものであって、中空繊維12の中空部11には実施例2で作製したゲルが充填されている。
    〔実施例4〕ゲル含有中空繊維配列体薄片を利用した結晶化条件スクリーニング例と、ゲルにおける蛋白質結晶化実施例3で得られたゲル含有中空繊維配列体薄片のマイクロアレイを凍結乾燥させた。 このマイクロアレイの中空繊維の一つを選択し、蛋白質結晶化剤として2mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を1μL滴下した(スポットA)。 次いで同一マイクロアレイ上の別の中空繊維にそれぞれ同様の手順で、下記に示す結晶化剤を滴下し(スポットB、C、D、E、F、G、H、I、J)、数分間静置し、これらの溶液がゲルを浸潤することにより蛋白質結晶化剤を保持した。
    <結晶化剤>
    スポットA:2.0mol/L塩化ナトリウム水溶液スポットB:0.5mol/L塩化ナトリウム水溶液スポットC:10体積%ポリエチレングリコール(分子量400)水溶液スポットD:20体積%ポリエチレングリコール(分子量400)水溶液スポットE:10体積%ポリエチレングリコール(分子量6000)水溶液スポットF:20体積%ポリエチレングリコール(分子量6000)水溶液スポットG:20体積%2−メチル2,4−ペンタンジオール水溶液スポットH:40体積%2−メチル2,4−ペンタンジオール水溶液スポットI:0.5mol/L硫酸アンモニウム水溶液スポットJ:1.5mol/L硫酸アンモニウム水溶液多糖類を分解する酵素であるリゾチーム(シグマアルドリッチ社製)の水溶液(80m� ��/ml)10μLを、20μLオートピペットを用いてマイクロアレイ上に供し、マイクロアレイ上に均一に分散させて20℃、3時間静置した。 光学顕微鏡で観察した結果、ポリエチレングリコール水溶液を浸潤させたスポットBではリゾチームの結晶は認められず、塩化ナトリウム水溶液(2mol/L)を浸潤させたスポットAではX線構造解析に最も適した柱状結晶が認められた。 (図4)。
    次いで、上記の結果を踏まえて、2mol/Lの塩化ナトリウムを沈殿剤として用い、リゾチーム含有試料溶液からハンギングドロップ蒸気拡散法により、0.3×0.3×0.5mm程度のリゾチーム結晶を得た。
    以上の結果より、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、2−メチル2,4−ペンタンジオール及び硫酸アンモニウムを用いてスクリーニングを行った結果、2mol/Lの濃度の塩化ナトリウムが蛋白質の結晶化に適した条件であることがわかった。
    また、図4に示すように、本発明に従って蛋白質結晶化剤を保持するゲルにおいて蛋白質を結晶化させることによって、X線構造解析に最も適した柱状結晶が得られたため、本発明の蛋白質結晶化法は、蛋白質の結晶化及びそのスクリーニングのための簡便かつ有用な方法であることがわかった。
    産業上の利用可能性本発明によれば、蛋白質含有試料から蛋白質の結晶を析出させる方法、並びに蛋白質の結晶を析出させるための条件をスクリーニングするための新規なマイクロアレイ及びデバイスが提供される。 本蛋白質結晶化方法により、良質の結晶を簡便かつ高効率に得ることができる。 また結晶化条件が高度に集積されたマイクロアレイ又はデバイスを用いることにより、極微量の試料であっても簡便かつ迅速に蛋白質結晶化条件をスクリーニングすることができる。
    【図面の簡単な説明】
    図1は、本発明に係る蛋白質結晶化用マイクロアレイの一例であるゲル含有中空繊維配列体薄片を模式的に示す斜視図を示す。
    図2は、蛋白質結晶化用デバイスにおける、蛋白質結晶化用マイクロアレイに重ねるプレートを模式的に示す斜視図を示す。
    図3は、蛋白質結晶化用デバイスにおける、蛋白質結晶化用マイクロアレイとプレートの配置を模式的に示す斜視図を示す。
    図4は、ゲル含有中空繊維配列体薄片上で、塩化ナトリウムを結晶化剤として使用してリゾチームを結晶化させた状態を示す顕微鏡写真を示す。
    符号の説明10 中空繊維配列体薄片11 中空部12 中空繊維20 プレート21 窪み31 蛋白質結晶化用マイクロアレイ32 プレート33 支持体34 マーキング35 スペーサー

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