Distillate fuel and / or lubricant base oil range of hydrocarbon Fischer - how to optimize Tropsch synthesis

申请号 JP2002514073 申请日 2001-07-13 公开(公告)号 JP2004519419A 公开(公告)日 2004-07-02
申请人 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド; 发明人 キビー、チャールズ、エル;
摘要 合成ガスを高分子量の生成物にフィッシャー−トロプシュ合成を用いて転化する方法及びこの合成における触媒システムを最適化する方法を開示する。 一つの態様では、この方法はコバルト/ルテニウム・フィッシャートロプシュ触媒を、オレフィン異性化触媒と組み合わせて用い、異性化触媒は生成したままのC
4+ オレフィン類中の二重結合を異性化する。 他の態様では、この方法は、コバルト/ルテニウム触媒であってもなくても良いが、フィッシャー−トロプシュ触媒を、C
4+ オレフィン類中の二重結合を異性化するに十分なだけ酸性で、しかし急速に炭化するほど強い酸性ではないオレフィン異性化触媒と組み合わせて使用する。 相対的に酸性の弱いゼオライトを使う利益はイソパラフィンの芳香族に対する比が、より酸性の強いゼオライトを用いるときに比べ増加することである。 また、相対的に酸性の弱いゼオライトはより酸性の強いゼオライトほど容易には炭化しない。 この方法は、コンビナトリアル・ケミストリーを用いて有利に最適化でき、種々の生成物流を与える触媒系の組み合わせ及び/又は反応条件のデータベースを作るのに有利に利用できる。 すなわち市場の状況が変わり、及び/又は製品に対する要求が変わるとき、所望の製品群を得るのに適した条件を、休止時間なし又はほとんどなしで特定することが可能である。
权利要求
  • 合成ガスを、コバルト/ルテニウム・フィッシャー−トロプシュ触媒を用いて、オレフィン異性化触媒の存在下に、適切な反応条件下で反応させて反応生成物を生成させることを含む、フィッシャー−トロプシュ合成を介して合成ガスをより高分子量の生成物に転化する方法。
  • フィッシャー−トロプシュ触媒が、アルミナ、シリカ又はチタニア上に担持されたコバルト及びルテニウムを含み、そのコバルトの量が5〜25重量%、ルテニウムの量が0.01〜0.50重量%であり、該触媒が0.1〜5重量%の塩基性酸化物を助触媒としている、請求項1記載の方法。
  • 塩基性酸化物が、カリウム、マグネシウム、チタン、ランタン及びトリウムの酸化物からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  • 反応が約200〜300℃の温度範囲で実施される、請求項1記載の方法。
  • 反応が約15〜450psiaの圧力範囲で実施される、請求項1記載の方法。
  • 合成ガスが、約300〜3000cc/g/hの線形空間時速(linear hourly space velocity)範囲で導入される、請求項1記載の方法。
  • 生成物が5〜95%のC 〜C 20イソパラフィン類を含む、請求項1記載の方法。
  • 生成物流がジェット燃料の範囲のイソパラフィン類を含む、請求項1記載の方法。
  • 生成物流がディーゼル燃料の範囲のイソパラフィン類を含む、請求項1記載の方法。
  • 生成物流が潤滑油ベースオイルの範囲のイソパラフィン類を含む、請求項1記載の方法。
  • 合成ガスを、フィッシャー−トロプシュ触媒を用いて、オレフィン異性化触媒の存在下に、適切な反応条件下で反応させて反応生成物を生成させることを含み、そのオレフィン異性化触媒が、芳香族/イソパラフィン比が約0〜2になるように選択される、フィッシャー−トロプシュ合成を介して合成ガスをより高分子量の生成物に転化する方法。
  • フィッシャー−トロプシュ触媒が、耐火物酸化物に担持されるか共沈されたCo、Fe若しくはRu又はそれらの混合物からなる群より選択され、その触媒が貴金属、貨幣鋳造用金属及び/又は塩基性酸化物を助触媒としている、請求項11記載の方法。
  • 塩基性酸化物がK O、MgO、TiO 、La またはThO からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
  • 反応が約200〜300℃の温度範囲で実施される、請求項11記載の方法。
  • 反応が約15〜450psiaの圧力範囲で実施される、請求項11記載の方法。
  • 合成ガスが、約300〜3000cc/g (FT)の線形空間時速範囲で送入される、請求項11記載の方法。
  • 生成物が5〜95%のC 〜C 20イソパラフィン類を含む、請求項11記載の方法。
  • 生成物流がジェット燃料の範囲のイソパラフィン類を含む、請求項11記載の方法。
  • 生成物流がディーゼル燃料の範囲のイソパラフィン類を含む、請求項11記載の方法。
  • 生成物流が潤滑油ベースオイルの範囲のイソパラフィン類を含む、請求項11記載の方法。
  • フィッシャー−トロプシュ合成を介する合成ガスのより高分子量の生成物への転化を最適化する方法であって、
    a) コバルト/ルテニウム・フィッシャー−トロプシュ触媒の第1ライブラリーを準備すること、
    b) オレフィン異性化触媒の第2ライブラリーを準備すること。
    c) 第1及び第2ライブラリーからの触媒の複数の組み合わせを用いて、合成ガスを、適当な反応条件下で反応させて複数の反応生成物を生成させること、
    を含む、上記方法。
  • 反応生成物を分析することをさらに含む、請求項21記載の方法。
  • 触媒の複数の組み合わせにおける触媒のアイデンティティに関する情報をデータベース中に蓄積することをさらに含む、請求項21記載の方法。
  • 反応生成物の分析に関する情報をデータベース中に蓄積することをさらに含む、請求項22記載の方法。
  • 触媒の組み合わせが論理的なアレイとして配列されている、請求項21記載の方法。
  • 異なる反応条件を用いてd)ステップを少なくとも一度繰り返す、請求項21記載の方法。
  • 変更される反応条件が、温度、圧力、合成ガス組成及び流速からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
  • 少なくとも触媒の一つがゼオライトである、請求項21記載の方法。
  • 少なくとも触媒の一つが中程度の細孔を有するゼオライトである、請求項28記載の方法。
  • 生成物流がジェット燃料範囲のイソパラフィン類を含む、請求項21記載の方法。
  • 生成物流がディーゼル燃料範囲のイソパラフィン類を含む、請求項21記載の方法。
  • 生成物流が潤滑油ベースオイル範囲のイソパラフィン類を含む、請求項21記載の方法。
  • 合成ガスの炭化水素類への転化を介して所望の生成物を生成するための適切な反応条件のセット及び触媒の組み合わせを迅速に求める方法であって、
    a) コバルト/ルテニウム・フィッシャー−トロプシュ触媒の第1ライブラリーを準備すること、
    b) オレフィン異性化触媒の第2ライブラリーを準備すること、
    c) 第1及び第2ライブラリーから論理的な方法で触媒の複数の組み合わせを準備すること、及び、
    d) 合成ガスを上記触媒と複数の反応条件下にて反応させて複数の反応生成物を生成させること、ここで、それぞれの反応条件のセットはすべて又は実質的にすべての触媒の組み合わせに適用される、
    e) その反応生成物に関する情報をデータベース中に蓄積すること、及び、
    f) 所望の生成物を製造するために適切な反応条件のセット及び触媒の組み合わせを特定すること、
    を含む、上記方法。
  • 所望の生成物を生成するために適切な反応条件のセット及び触媒を迅速に求める方法であって、
    a) フィッシャー−トロプシュ合成及びオレフィン異性化の双方において活性のあるコバルト/ルテニウム触媒のライブラリーを準備すること、
    b) 合成ガスを上記触媒と複数の反応条件下にて反応させて複数の反応生成物を生成させること、ここで、それぞれの反応条件のセットはすべて又は実質的にすべての触媒に適用される、
    c) その反応生成物に関する情報をデータベース中に蓄積すること、及び、
    d) 所望の生成物を製造するために適切な反応条件のセット及び触媒を特定すること、
    を含む、上記方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    (技術分野)
    本発明は一般に、コンビナトリアル・ケミストリーの分野に属するものであり、特にコンビナトリアル・ケミストリーの、主として留出燃料及び/又は潤滑油ベースオイルの範囲の炭化素を生成するためのフィッシャー−トロプシュ合成を最適化するための使用に関する。
    【0002】
    (背景技術)
    今日の燃料の最大部分は原油から誘導されている。 原油は供給が限られているし、原油から製造する燃料には窒素化合物及び硫黄化合物が含まれやすく、これらの化合物は酸性雨のような環境問題を引き起こすと考えられている。
    【0003】
    天然ガスは、窒素含有化合物及び硫黄含有化合物を含有はするが、天然ガスからは、メタンが割合に純粋な形で公知の技術を用いて容易に分離できる。 メタンから燃料組成物を製造できるプロセスが多数開発されてきた。 これらのプロセスの過半数は、最初にメタンを合成ガスに転化する工程を含んでいる。
    【0004】
    フィッシャー−トロプシュ化学は、この合成ガスを他の生成物も含めて燃焼可能な燃料を含む生成物流に転化するために典型的に利用される。 フィッシャー−トロプシュ化学につきまとう限界は、メタンからワックスに至る広範な製品群を生成してしまう傾向があるということである。 フィッシャー−トロプシュ触媒(Fe、Co及びRu)を用いる合成ガス転化により生成しうる生成物は、比較的一定した連鎖成長確率を持つ重合速度論により制御されて、可能な生成物の分布が定まる。 連鎖成長確率が大きいときには、ワックス生成の選択性が相対的に高く、重質の製品が生成する。 連鎖成長確率が小さいとメタンが高い選択性で生成する。
    【0005】
    メタンは最終的に燃焼可能な液体燃料に転化するまで再循環することができる。 ワックスは、例えば、水素化分解及び/又は水素化精製の後オリゴマー化により燃焼可能な液体燃料を生成するよう処理できる。 しかし、燃焼可能な液体燃料が高い比率で得られ、再循環を要するメタン及び/又は加工を要するワックスの少ないフィッシャー−トロプシュ・プロセスによる生成物流を得る新たな方法があるならば有利であろう。
    【0006】
    従来のフィッシャー−トロプシュ合成は、比較的酸性のゼオライトのような酸性成分を触媒床に組み入れることにより修正されてきた。 C +アルファオレフィン類が生成する場合、これらのアルファオレフィン類はより置換基の多いオレフィン類に異性化し、及び/又は、芳香族化合物類を生成する。 このことは、C +の連鎖成長確率を抑制し、ワックスの生成を大幅に最少化する。 例えば、Changらに対する米国特許第4,086,262号には、フィッシャー−トロプシュ触媒と緊密に混合したZSM−5を用いてフィッシャー−トロプシュ合成を行うことが教示されている。 Changは高オクタン価ガソリン(すなわち、ガソリン範囲において分岐度の高い炭化水素)を得ることに重点を置いた。
    【0007】
    その後の大半の研究は触媒成分の改善に重点をおき、高オクタン価ガソリン範囲において分岐度の高い炭化水素を提供しつづけている。 これら触媒の代表的なものは鉄触媒で、これは、ゼオライトの活性がより高くなる傾向を示す高温では鉄触媒が働くからである。 ゼオライトとフィッシャー−トロプシュ触媒との緊密な混合物に加えて、ゼオライトに直接一酸化炭素水素化成分を配合したものもある(例えば、米国特許第4,294,725号参照)。
    【0008】
    「環境にやさしい」ディーゼル燃料、すなわち芳香族化合物、窒素化合物又は硫黄化合物を含有しない燃料を開発することに対する関心の高まりがある。 ディーゼル燃料範囲の直鎖状あるいは若干分岐のあるパラフィン類は、比較的高セタン価を有する傾向がある。 理想的には、このような燃料は、フィッシャー−トロプシュ触媒とゼオライトの最適な組み合わせが見出されれば、フィッシャー−トロプシュ反応器から直接得られるはずである。 しかし、今日に至るまで、ゼオライト及びフィッシャー−トロプシュ触媒の公知の組み合わせでは、主にガソリン範囲の分岐度の高いパラフィン類が得られている。
    【0009】
    合成ガスを、例えば留出燃料及び/又は潤滑油ベースストック・ベースオイル範囲の炭化水素のような高分子量生成物に転化するための新規な触媒組成物を提供することは利益があることであろう。 本発明はこのような組成物を提供するものである。
    【0010】
    (発明の概要)
    本発明は、合成ガスのフィッシャー−トロプシュ合成を介する炭化水素への、好ましくは留出燃料油及び/又は潤滑油ベースオイル範囲の炭化水素を生成する転化を最適化する方法を対象としている。 一つの態様では、この方法は、コバルト/ルテニウム・フィッシャー−トロプシュ触媒を、例えば比較的酸性のゼオライトのようなオレフィン異性化触媒と組み合わせて、生成したままのC +オレフィン類中の二重結合を異性化するために使用する。 本明細書に記載の複合触媒は、フィッシャー−トロプシュ合成を、ほぼC までにおいては比較的高い連鎖成長確率で、C を超えると比較的低い連鎖成長確率で行うことを可能とする。
    【0011】
    他の態様では、この方法は、コバルト/ルテニウム触媒であっても無くても良いフィッシャー−トロプシュ触媒を、C +オレフィン類中の二重結合を異性化するに十分なだけ酸性で、しかし急速に炭化するほど強い酸性ではない触媒と組み合わせて使用する。 好ましくは、この触媒は、シリカ/アルミナ比が3〜100のゼオライトである。 比較的酸性の小さいゼオライトを使用することによる追加の利点は、より酸性の強いゼオライトを用いたときに比べ、芳香族に対するイソパラフィンの比が増加する可能性があることである。
    【0012】
    これらの方法は、コンビナトリアル・ケミストリーを用いて有利に最適化することができ、その際、触媒系(及び、場合によっては触媒前処理条件及び/又は種々の生成物流を提供する反応条件)の組み合わせのデータベースが作製される。 市場の状況が変わり、及び/又は、製品に対する要求が変わるとき、所望の製品群を得るのに適した条件を、休止時間なし又はほとんどなしで特定することが可能である。
    【0013】
    この態様では、第1触媒系(フィッシャー−トロプシュ触媒)及び第2触媒系(オレフィン異性化触媒)に使用するのに適した触媒ライブラリーを準備する。 このライブラリーは、任意に、両方のタイプの活性、すなわち合成ガスをオレフィン類に転化できる活性とオレフィン類を異性化できる活性の両方を有する触媒を含むことができる。
    【0014】
    これらの触媒は好ましくは論理的に組み合わされる。 例えばA×Bアレイ(配列)において、縦列Aは第1触媒系からの一種以上の触媒を含み、横列Bは第2触媒系からの一種以上の触媒を含む。 このようにして、ライブラリー中の触媒の可能なすべての組み合わせを実質的に評価することができる。 この触媒の組み合わせは反応条件を変化させて評価できるが、それによって、a)生成物流及びそれぞれの生成物流を与えるための触媒と反応条件の組み合わせを含むデータベースのコンビナトリアル・ライブラリー、並びに/又は、b)所望の生成物流を得るための触媒と反応条件の最適な組み合わせを得ることができる。
    【0015】
    生成物は、エチレンのようなオレフィン類、正パラフィン類、イソパラフィン類、及びこれらの組み合わせを含むことができ、好ましくは、留出燃料油及び/又は潤滑油ベースストック範囲のイソパラフィン類を、さらに好ましくは、ジェット燃料又はディーゼル燃料範囲のイソパラフィン類を含む。
    【0016】
    (発明の詳細な説明)
    本発明は、合成ガスのフィッシャー−トロプシュ合成を介する炭化水素への、好ましくは留出燃料油及び/又は潤滑油ベースオイル範囲の炭化水素を生成する転化を最適化する方法を対象としている。 一つの態様では、この方法は、コバルト/ルテニウム・フィッシャー−トロプシュ触媒を、例えば比較的酸性のゼオライトのようなオレフィン異性化触媒と組み合わせて、生成したままのC +オレフィン類中の二重結合を異性化するために使用する。 本明細書に記載の複合触媒は、フィッシャー−トロプシュ合成を、ほぼC までにおいては比較的高い連鎖成長確率で、C を超えると比較的低い連鎖成長確率で行うことを可能とする。 他の態様では、この方法は、コバルト/ルテニウム触媒であっても無くても良いフィッシャー−トロプシュ触媒を、C +オレフィン類中の二重結合を異性化するに十分なだけ酸性で、しかし急速に炭化するほど強い酸性ではない触媒と組み合わせて使用する。 一般に、これらの触媒は、シリカ/アルミナ比が3〜100のゼオライトである。 比較的酸性の小さいゼオライトを使用することによる追加の利点は、より酸性の強いゼオライトを用いたときに比べ、芳香族に対するイソパラフィンの比が増加する可能性があることである。 この合成は、コンビナトリアル・ケミストリーを用いて最適化できる。
    【0017】
    I. フィッシャー−トロプシュ合成
    フィッシャー−トロプシュ合成は、オレフィン類やパラフィン類を含む高分子量の生成物への合成ガスの転化を含むのが典型的である。 一つの態様では、従来のフィッシャー−トロプシュ合成が、コバルト/ルテニウム触媒をオレフィン異性化触媒と組み合わせて使用することにより修正されている。
    【0018】
    コバルト/ルテニウム触媒を使用する1つの利点は、それらが容易に活性化して、比較可能に充填したコバルト触媒による場合に比べ50〜100%大きい金属分散を与える点である。 このことは、フィッシャー−トロプシュ活性の損失をより多く許容できるのだから、これらの触媒が異性化触媒で希釈される場合に特に重要であり得る。
    【0019】
    コバルト/ルテニウム触媒をオレフィン異性化触媒と組み合わせて使用する1つの利点は、C 〜C 連鎖の連鎖成長確率が比較的高いので、過半の生成物がC 4+範囲に入り、メタン生成が最小であるという点である。 同時に、比較的低いC 〜C 連鎖の連鎖成長確率によりワックス生成は最小になる。 得られる生成物流は、一定の低い連鎖成長確率(比較的多量のメタンを生成する傾向がある)で操作するか、あるいは一定の高い連鎖成長確率(比較的多量のワックスを生成する傾向がある)で操作するフィッシャー−トロプシュ触媒を使用して観察される場合に比べ、比較的高いC −C 20炭化水素収率を有する。 さらに、これらの液状炭化水素は十分な枝分かれを有し、その結果商業的に有用な流動点と粘度を示す。
    【0020】
    他の態様では、フィッシャー−トロプシュ/オレフィン異性化触媒の組み合わせが、オレフィンを異性化するには十分な酸性を有するが、触媒床を急速に炭化するほどには酸性でないオレフィン異性化触媒を用いることにより最適化される。 比較的酸性が低い場合、芳香族の生成が減り、枝分かれした炭化水素の収量が増える。 このことは、所望の燃料が低芳香族仕様を有する場合に有利である。
    フィッシャー−トロプシュ反応については以下に更に詳細に論ずる。
    【0021】
    合成ガス
    合成ガスは水素及び一酸化炭素を含有し、少量の二酸化炭素及び/又は水を含む場合がある、というのが典型的である。 鉄含有触媒を用いる場合、水素/一酸化炭素の比率は好ましくは約0.5〜1.0であり、好ましくは約0.5である。 コバルト含有触媒(例えばコバルト/ルテニウム触媒)を用いる場合は、水素/一酸化炭素の比率は好ましくは1より大きく、より好ましくは約1.0〜2.0であり、更に好ましくは約1.0〜1.5である。 1.0以下の水素/一酸化炭素の比率であると比較的大きい割合の酸化生成物の生成が起こるので、避けるべきである。
    【0022】
    合成ガス中の硫黄、窒素、ハロゲン、セレン、リン及びヒ素汚染物質の存在は望ましくない。 この理由で、硫黄その他の汚染物質をフィッシャー−トロプシュ化学を実施する前の原料から除くことが好ましい。 これらの汚染物質を除去する手段は、当業者によく知られている。 例えば、ZnO防護床が硫黄不純物を除くのに好まれる。 他の汚染物質を除去する手段は当業者によく知られている。
    【0023】
    触媒
    A. フィッシャー−トロプシュ触媒
    一般にフィッシャー−トロプシュ触媒は金属酸化物担体上のVIII族遷移金属を含有する。 また、この触媒は貴金属助触媒及び/又は結晶性モレキュラーシーブを含有してもよい。 或る種の触媒は、連鎖成長確率が比較的に低から中程度であり、反応生成物は比較的高い比率の低分子量(C 2−8 )オレフィン類と比較的低い比率の高分子量(C 30 +)ワックス類を含有することが知られている。 他の或る種の触媒は比較的高い連鎖成長確率を与えることが知られている。 このような触媒は当業者によく知られており、容易に入手及び/又は調製が可能である。
    【0024】
    低い連鎖成長確率で使用する触媒
    概して、アルファ価約0.600〜0.700で使用される触媒は、低い連鎖成長確率を有すると考えられている。 アルファ価約0.700〜0.800で使用される触媒は、中程度の連鎖成長確率を有すると考えられている。 約0.800を超えるアルファ価で使用される触媒は、高い連鎖成長確率を有する。 触媒は低い連鎖成長確率で使用し得るが、それは本明細書に記載した方法においては好ましくない。
    【0025】
    概して、低い連鎖成長確率で使用される触媒は低アルカリ性の鉄含有触媒である。 鉄自体を使用することができ、酸化鉄が生成したときには、水素で還元して鉄に戻すことができる。 しかし、生成物流中の鉄の微紛が存在するのは好ましくなく、酸化鉄(錆)は反応のための触媒表面積を減少させるので、他の鉄含有触媒が開発されてきた。 好適な鉄含有触媒の例としては、Fiatoらに対する米国特許第4,544,674号及びXuら、pp. 47−53、Chemtech(Jan. 1998)に記載されたものが挙げられる。
    【0026】
    この鉄含有触媒は、少なくとも約10〜約60重量パーセントの鉄を含有しているのが典型的である。 これらの触媒は担持されていなくてもよく、耐火物金属酸化物(SiO 、Al 等)、アルカリ(K、Na、Rb)及び/又はIB族金属(Cu、Ag)を助触媒としてもよい。
    【0027】
    共沈鉄系触媒(コバルトを含有するものを含む)を使用できる。 例えば、Stud. Surf. Sci. Catal. 7, Pt/A, p. 432(1981)に記載されているとおり、鉄−コバルト合金中のコバルトの量が多いときにはオレフィン生成物への選択性が高まることが知られている。
    【0028】
    共沈鉄−コバルト触媒及び/又は合金の例としては、以下の文献に記載のものが挙げられる。
    米国特許第2,850,515、2,686,195、2,662,090及び2,735,862;AICHE 1981 Summer Nat'l Meeting Preprint No. 408,”The Synthesis of Light Hydrocarbons from CO and H Mixtures over Selected Metal Catalysts”、ACS 173rd Symposium,Fuel Division, New Orleans, March 1977; J. Catalysis 1981, No. 72(1), pp. 37−50; Adv. Chem. Ser. 1981, 194, 573−88; Physics Reports (Section C of Physics Letters) 12 No. 5 (1974) pp. 335−374; UK特許出願2050859A; J. Catalysis 72, 95−110(1981); Gmelins Handbuch der Anorganische Chemie 8, Auflage (1959), pg. 59; Hydrocarbon Processing , May 1983, pp. 88−96; 及びChem. Ing. Tech. 49(1977) No. 6, pp. 463−469.
    【0029】
    大表面積金属酸化物の製造法は、例えば、フランス語の論文であるP. Courte及びB. Delmonによる”C.R. Acad. Sc. Paris”, p. 268 (28 May 1969)に記載されている。 大表面積金属酸化物は、対応するグリコール酸、乳酸、リンゴ酸又は酒石酸の金属塩の水溶液から乾燥状態まで蒸発させることにより調製される。 調製された酸化物の一つはCoFe であった。
    【0030】
    鉄/コバルト原子比で7:1〜35:1の低濃度コバルトの鉄−コバルトスピネルは、還元及び炭化によりフィッシャー−トロプシュ触媒に転化される(例えばFiatoらに対する米国特許第4,544,674号参照)。 これらの触媒は高い活性とC −C オレフィン類への高い選択性を示しメタン生成量は低い傾向があり、触媒ライブラリーにも含むことができる。
    【0031】
    上述のそれぞれの特許と刊行物の内容は、参照により本明細書の記載の一部とする。
    【0032】
    高い連鎖成長確率で使用される触媒
    概して、高い連鎖成長確率で使用される触媒は、アルカリを強な助触媒としたコバルト、ルテニウム又は鉄を含有する。 使用できる好適なコバルト触媒の一つが、次の関係を満足させるものとして、米国特許第4,579,986号に記載されている。
    (3+4R)>L/S>(0.3+0.4R)
    ここで、
    L=触媒中に存在する全コバルト量をmgCo/mL触媒で表示したものS=触媒の表面積をm /mL触媒で表示したもの、及びR=混練により触媒にデポジットしたコバルト量対触媒上に存在する全コバルト量の比【0033】
    他の好適な触媒としては、米国特許第4,077,995号、4,039,302号、4,151,190号、4,088,671号、4,042,614号及び4,171,320号記載のものが挙げられる。 米国特許第4,077,995号には、CoO、Al 及びZnOの硫黄化した混合物を含む触媒が開示されている。 米国特許第4,039,302号にはCo、Al、Zn及びMoの酸化物の混合物が開示されている。 米国特許第4,151,190号には、Mo、W、Re、Ru、Ni又はPtの金属酸化物又は硫化物に加えてアルカリ又はアルカリ土類金属が開示され、炭素上のMo−Kが好ましいとされている。
    【0034】
    コバルト/ルテニウム触媒
    一つの好ましい態様では、コバルト/ルテニウム触媒が用いられる。 これらの触媒は低温で活性化が容易なので非常に高い活性を有する。
    コバルト/ルテニウム触媒を含むフィッシャー−トロプシュ触媒は当業者によく知られている。 例えば、米国特許第4,088,671号には、コバルト触媒上に少量のルテニウムを含有させることが開示されている。 担持されているルテニウム触媒も、例えば米国特許第4,042,614号及び4,171,320に開示されている。 チタニア担持コバルト/ルテニウム触媒は、Jothimurugesan及びGanwal, Ind. and Eng. Chemistry Res. , 37(4): 1181−1188(1998)並びにBianchi等、Calalysis Lett. , 41(1−2): 79−82(1996)に記載されている。
    【0035】
    コバルト/ルテニウム触媒はまた、米国特許第5,756,419号及び米国特許第5,939,350号に記載されている。 米国特許第5,939,350号には、担持された、ルテニウムを助触媒とする、コバルト触媒の調製法が開示されている。 その方法は、多孔質の構造を有する担体を焼成する工程、担体と硝酸コバルトを含有する水溶液及び水溶性ルテニウム化合物を共含浸して触媒前駆体を作る工程、次いでこの前駆体を乾燥、焼成及び還元する工程を含む。
    【0036】
    米国特許第5,856,365号には、不活性担体、コバルト、ルテニウム及びスカンジウム又はイットリウムのいずれかを含むフィッシャー−トロプシュ触媒を調製する方法が開示されている。 この方法は、コバルト及び不活性担体を含有する第1触媒前駆体(A)を調製する工程を含む。 この前駆体は引き続いて焼成され、還元されて不動態化される。 次いでルテニウムを第1触媒担体(A)上にデポジットする。 得られた触媒は引き続いて焼成され、還元されて不動態化される。 次いでスカンジウム又はイットリウムを触媒前駆体(B)にデポジットし、その触媒は引き続いて焼成され、還元されて不動態化される。
    【0037】
    コバルト及びルテニウムをゼオライト触媒上にデポジットし、フィッシャー−トロプシュ活性及びオレフィン異性化活性を有する単一触媒を作ることもできる。 金属類をゼオライトにデポジットさせる方法は当業者にはよく知られており、例えば、米国特許第4,294,725号に記載されている。
    【0038】
    これらの参照文献に記載された触媒はいずれも使用できる。 それぞれの参照文献の内容は、参照により本明細書の記載の一部とする。
    【0039】
    触媒担体
    使用される触媒担体のタイプは、メタン生成に影響を与え得る。 メタン生成を最小化するために用いることのできる好適な担体又はマトリックスとしては、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化マグネシウム、アルカリ土類チタン酸塩、アルカリ金属チタン酸塩、希土類チタン酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。 上述の触媒類は、これらの担体のいずれか又はすべてを、担体重量対触媒重量の比率を変えて、含むことができる。
    【0040】
    概して、各触媒成分は、10〜110ミクロン、好ましくは20〜80ミクロン、より好ましくは25〜65ミクロンの粒径を有し、0.25〜0.9g/cc、好ましくは0.3〜0.75g/ccの密度を有する。 これらの成分は結合材を加えて結合し、例えば、ペレット化、押出し等により、より大きな触媒形状に成形できる。
    この触媒は、一以上の上記触媒担体上に一以上の上記触媒金属を含有するのが典型的である。
    【0041】
    助触媒及び貴金属類
    メタンの選択性は助触媒の選定によっても影響される。 アルカリ金属助触媒は鉄触媒のメタン選択性を減じることが知られている。 無機耐火物金属酸化物担体に担持された貴金属(例えばルテニウム)助触媒は、メタン生成の比較的低い、優れた炭化水素合成特性を示す。 貴金属が使用される場合には、白金とパラジウムが一般には好ましい。 しかし、ルテニウムは、白金又はパラジウムのどちらよりもはるかに強いフィッシャー−トロプシュ活性を示すので、白金又はパラジウムより好ましい。 したがって、アルカリ金属助触媒及び/又は貴金属は、触媒とともに含めることができる。
    【0042】
    マンガン塩
    オレフィン類はコバルト含有触媒上で容易に水素化される傾向があるので、C 生成物の全収率を最小化してしまいやすい。 マンガン及びマンガン塩が触媒中及び/又は担体中に存在すると、オレフィンの水素化の速度が減少する傾向があるので好ましいことがある。 使用可能な好適なマンガン含有材料の例としては、マンガン含有ゼオライト類、非担持及びアルミナ担持酸化マンガン触媒、モリブデン酸マンガンが挙げられる。 酸化マンガン含有触媒及び/又は担体としては、MnO、Al −MnO、SiO −MnO、MnO−炭素、IVB族−酸化マンガン、VB族−酸化マンガン、IA族(アルカリ金属)−酸化マンガン、IIA族(アルカリ土類金属)−酸化マンガン及び希土類−酸化マンガン並びにこれらの混合物が挙げられる。 好ましい担体は酸化マンガンである。 好適なマンガン含有触媒は、例えば米国特許第4,206,134号及び5,162,284号に記載されている。 これらの触媒をフィッシャー−トロプシュ化学に或る条件下に使用すると、Cu助触媒Co MnO は、Cu助触媒Co に比較して、生成物中のオレフィン含有量の増大を示した。 米国特許4,206,134号には、これと同様の効果も示すMnO担持Ru触媒を使用することが開示されている。 米国特許第4,624,968号には、フィッシャー−トロプシュ合成において鉄/マンガン/カリウム触媒を使用することが開示されている。
    【0043】
    コバルトとマンガンを含有するスピネル型の触媒、具体的には、式Co 3−x MnO を有する銅助触媒コバルト−マンガンスピネルであって、xが約0.5〜約1.2、好ましくは約0.7〜約1.0、最も好ましくは約1.0のものが生成された。 該スピネル中のコバルト対マンガンの比は約1.5:1〜約5:1である。 組成物中の銅助触媒の量は概して、乾燥組成物のコバルト及びマンガンの合計グラム原子に対して約0.1〜5グラム原子パーセントである。 銅助触媒コバルト−マンガン触媒は、銅助触媒でマンガンを含有しない類似物又はマンガンを含有するが銅を助触媒としない触媒に比べ著しく活性が大きく、またオレフィンの水素化を最小化する点でも良好である。 ルテニウム含有触媒は、触媒担体としての酸化マンガン、他のマンガン含有酸化物又は種々の酸化マンガンの混合物と共に使用できる。
    これらの触媒はいずれもすべて使用できる。 上記の特許及び論文のそれぞれの開示は参照によりその全体を本明細書の記載の一部とする。
    【0044】
    B. オレフィン異性化触媒
    アルファオレフィン類を内部二重結合のオレフィン類又はイソオレフィン類に異性化し、フィッシャー−トロプシュ触媒と共存できる触媒ならどれでも使用できる。 アルファオレフィン類の異性化には相対的に酸性のゼオライトを使用するのが典型的である。 好ましくは、触媒の組み合わせ(フィッシャー−トロプシュ触媒及びオレフィン異性化触媒)は、ディーゼル燃料又は潤滑油ベースストック範囲のパラフィン類及びイソパラフィン類を高収率で生成するのに十分な活性と選択性を有し、その使用条件下で容易には失活しない。 米国特許第5,107,047号、5,177,281号、5,237,121号、5,463,161号、5,523,511号、5,648,585号、5,849,975号、5,965,783号、及び6,054,415号に記載されており、これらの内容は参照により本明細書の記載の一部とする。
    【0045】
    ゼオライト類
    アルファオレフィン類の異性化に有用な触媒は、1種以上のゼオライト類及び/又は非ゼオライトのモレキュラーシーブを含むのが典型的である。 相対的に酸性のゼオライトは、相対的により酸性の弱いゼオライトに比べ、効率の良い傾向があるが、より多い芳香族を生成し、及び/又は一層容易に失活する傾向もある。
    【0046】
    ゼオライト類及び/又はモレキュラーシーブ類は、大きい及び/又は中程度の細孔径のものであることが好ましいが、小さな細孔径のゼオライト類も使用可能である。 これらの触媒の例は、これらのいずれもすべて使用可能であるが、例えば、米国特許第3,546,102号,第3,574,092号、第3,679,575号、第4,018,711号、第4,104,320号、第4,347,394号、第4,370,224号、第4,417,083号、第4,434,311号、第4,447,316号及び第5,559,068号に記載されている。 ゼオライト含有触媒、例えばモルデン沸石ゼオライト、ZSM型ゼオライト、ゼオライトL、フォージャサイトX及びY並びにゼオライトオメガは好ましいゼオライトである。 L型ゼオライトや、ECR−2(米国特許第4,552,731号に記載)及びECR−31(米国特許第5,624,657号(Vaughan)に記載)のようなL型ゼオライト型チャネル構造と大きさを有するゼオライトも好ましいゼオライトである。
    【0047】
    酸化物のモル比で表されたL型ゼオライトの組成は下式で表すこともできる。
    (0.9−1.3)M 2/n O:Al (5.2−6.9)SiO :yH
    【0048】
    上式でMはカチオンを表し、nはMの原子価を表し、yは0〜約9の任意の値でよい。 ゼオライトL、そのX線回折パターン、その特性及びその調製法は、例えば、米国特許第3,216,789号に詳細に記述されており、その内容は参照により本明細書の記載の一部とする。 実際の式は結晶構造を変えることなく変化し得る。 例えば、ケイ素とアルミニウムの比(Si/Al)は1.0〜3.5まで変わり得る。
    【0049】
    有用な大きい細孔のゼオライトの例としては、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−10、ZSM−12、ZSM−20、ゼオライトベータ、ゼオライトオメガ、ゼオライトL、ゼオライトX、ゼオライトY、REY、USY、RE−USY、モルデン沸石、LZ−210、LZ−210−M、LZ−210−T、LZ−210−A、SSZ−24、SSZ−26、SSZ−31、SSZ−33、SSZ−35、SSZ−37、SSZ−41、SSZ−42、SSZ−44及びMCM−58が挙げられ、これらのいずれもすべて使用できる。 ZSM−3は米国特許第3,415,736号に記載されている。 ZSM−4は英国出願第1,117,568号に記載されている。 ZSM−10は米国特許第3,692,470号に記載されている。 ZSM−12は米国特許第3,832,449号に記載されている。 ZSM−20は米国特許第3,972,983号に記載されている。 ゼオライトベータは米国特許Re. 28,341号(原米国特許第3,308,069号)に記載されている。 ゼオライトオメガは米国特許第4,241,036号に記載されている。 ゼオライトLは米国特許第3,216,789号に記載されている。 ゼオライトXは米国特許第2,882,244号に記載されている。 ゼオライトYは米国特許第3,130,007号に記載されている。 LZ−210、LZ−210M、LZ−210−T、LZ−210−A及びこれらの混合物は米国特許第4,534,853号に記載されている。 SSZ−24は米国特許第4,834,977号に記載されている。 SSZ−26は米国特許第4,910,006号に記載されている。 SSZ−31は米国特許第5,106,801号に記載されている。 SSZ−33は米国特許第4,963,337号に記載されている。 SSZ−35は米国特許第5,316,753号に記載されている。 SSZ−37は米国特許第5,254,514号に記載されている。 SSZ−41は米国特許第5,591,421号に記載されている。 SSZ−42はU. S. Serial No. 08/199,040に記載されている。 SSZ−44は米国特許第5,580,540号に記載されている。 MCM−58は米国特許第5,437,855号に記載されている。
    【0050】
    有用な中程度の細孔を有するゼオライトの例としては、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57、SUZ−4、SSZ−23、SSZ−25、SZ−28、SSZ−32及びSSZ−36が挙げられる。 ZSM−5は米国特許Re. 29,948号(原米国特許第3,702,886号)に記載されている。 ZSM−11は米国特許第3,709,979号に記載されている。 ZSM−22は米国特許第4,556,477号に記載されている。 ZSM−23は米国特許第4,076,842号に記載されている。 ZSM−35は米国特許第4,016,245号に記載されている。 ZSM−48は米国特許第4,585,747号に記載されている。 SUZ−4はEP出願第353,915号に記載されている。 SSZ−23は米国特許第4,859,422号に記載されている。 SSZ−25は米国特許第4,827,667号及び第5,202,014号に記載されている。 SSZ−28は米国特許第5,200,377号に記載されている。 SSZ−32は米国特許第5,053,373号に記載されている。 これらの特許及び特許出願の内容の全体は、すべて参照により本明細書の記載の一部とし、そこに記載されたすべての触媒のいずれも使用可能である。
    【0051】
    アルファオレフィン類の異性化には、酸性の触媒成分との相互作用が関与していると考えられている。 評価を行ったUSYゼオライトのうち(例1、詳細後述)、比較的高いシリカ/アルミナ比(SAR)を持つものは、比較的不活性であった。 比較的低いSARのものでは急速な失活が観察される。 中間のSARを有するUSYゼオライトは生成物の分布に大きな効果を示した。 高いSARのものの活性が低いのはその低い酸性度によるのであり、一方低いSARを持つUSYの高い失活速度はその非常に高い酸性度によるのであろう。 ある触媒群ではアルミニウム以外の金属、例えばマグネシウムの配合により酸性度を増し、酸性度はこのような触媒については専らSARによるというわけではない。 従って、触媒のブレンステッド酸性度がSARと同等又はそれ以上に重要であり得る。 SARは格子アルミニウム及び格子以外のアルミニウムを意味しているが、格子アルミニウムだけがブレンステッド酸性度を生ずる。 好適な範囲は50〜250μモル/gである。
    上述のすべての特許の全内容は、参照により全体として本明細書の記載の一部とし、そこに記載した適当なSARを有するすべてのゼオライトはどれも使用できる。
    【0052】
    担体
    上記の触媒及びこれらの組み合わせはいずれも、錠剤化、ペレット化,活性触媒物質を担体に担持するというような、従来からあるいずれの方法でも成形できる。 担体は、好ましくは不活性で、シリカ、アルミナ、アランダム、クレー、アルミナ−シリカ、炭化ケイ素、ゼオライト等を包含できる。 触媒は、所望の転化を促進するのに効果的な十分な量、固体粒子に含めることができる。
    【0053】
    一つの面では、この固体粒子は、触媒的に有効な量の触媒および少なくとも1種類のマトリックスを含むが、このマトリックスは、固体粒子に所望の性質、すなわち所望の触媒の希釈、機械的強度等の性質を賦与するような結合材、充填材、及びこれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。 充填材及び結合材としては、例えば、金属酸化物類、クレー類、シリカ類、アルミナ類、シリカ−アルミナ類、シリカ−マグネシア類、シリカ−ジルコニア類、シリカ−トリア類、シリカ−ベリリア類、シリカ−チタニア類、シリカ−アルミナ−トリア類、シリカ−アルミナ−ジルコニア類、アルミノリン酸塩、これらの混合物等のような合成及び天然産の物質が挙げられる。 マトリックス(例えば結合材及び/又は充填材)が触媒組成物に含有される場合には、触媒は、触媒組成物全体に対して、典型的には約1〜99重量%、より典型的には約5〜約90重量%を占める。
    【0054】
    触媒及びマトリックス材料を含む固体粒子の調製は従来から行われており、当業者によく知られているので、ここで詳細に論じる必要はない。
    【0055】
    フィッシャー−トロプシュ及びオレフィン異性化触媒を含有する複合触媒
    好ましい態様では、複合触媒が、低い(好ましくは、炭素原子数に基づいて約10%未満)のメタン収率及びワックス収率で、フィッシャー−トロプシュ合成を最適化するために用いられる。 適切な一酸化炭素転化を達成し、また、適切なオレフィン異性化を達成する任意の適当な比率で、コバルト/ルテニウム成分及びオレフィン異性化成分を混合することができる。 フィッシャー−トロプシュ触媒対オレフィン異性化触媒の比率は、好ましくは、重量基準で約1/2〜10/1である。
    【0056】
    操作条件
    フィッシャー−トロプシュ型の反応を実施する条件の例は当業者にはよく知られている。 好適な条件は例えば米国特許第4,704,487号、第4,507,517号、第4,599,474号、第4,704,493号、第4,709,108号、第4,734,537号、第4,814,533号、第4,814,534号及び第4,814,538号に記載されており、これらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書の記載の一部とする。
    【0057】
    鉄含有触媒を用いるフィッシャー−トロプシュ反応は、概して約270℃〜280℃の温度、約1〜20ATMの圧力で、スラリー反応器又は流動床反応器で実施される。 反応器中の典型的なガス線速度範囲は、約2〜40cm/秒、好ましくは約6〜10cm/秒である。
    【0058】
    コバルト含有触媒を用いるフィッシャー−トロプシュ反応は、固定床反応器又はスラリー反応器のいずれかで実施されるのが典型的であり、スラリー反応器が好ましい。 固定床反応器の操作温度は約200℃〜225℃で、スラリー反応器の操作温度は約225℃〜250℃であり、240℃付近の温度が好ましい。 反応器中の典型的なガス線速度範囲は約2〜40cm/秒、好ましくは約6〜10cm/秒である。 圧力は好ましくは約1〜30ATMで、20〜30ATMが特に好ましい。 約30ATMを上回ると、カルボニル化合物が生成する可能性があり、したがって30ATMを大きく上回る圧力は好ましくない。 さらに、圧力が増大すると反応速度は増加する傾向があるが、流体力学上の問題から約30ATM付近で横ばいになる傾向がある。
    【0059】
    典型的な触媒空間速度は、それぞれの反応条件セットについて、約100〜10,000cc/g/h,好ましくは約300〜3,000cc/g/hである。
    【0060】
    上述のように、条件のどちらのセットに対してもスラリー反応器が好ましいとすることができる。 バブルカラムスラリー反応器が特に好ましいとすることができる。 バブルカラムスラリー反応器に関する詳細は、例えば、Y. T. Shah等“バブルカラム反応器の設計パラメータ評価”(Design Parameters Estimation for Bubble Column Reactors),AlChE Journal,28 No. 3 pp. 353−379(May 1982); Ramachandran等バブルカラムスラリー反応器、3相触媒反応器 (Bubble Column Slurry Reactor,Three−Phase Catalytic Reactors),Chapter 10,pp. 308−332 Gordon and Broch Science Publishers(1983); Deckwer等“スラリー相でのフィッシャー−トロプシュ合成のモデル化”(Modeling the Fischer−Tropsch Synthesis in the Slurry Phase), Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev. v21, No. 2, pp. 231−241(1982); Koelbel等、“液相中でのフィッシャー−トロプシュ合成”(The Fischer−Tropsch Synthesis in the Liquid Phase), Catal. Rev. −Sci. Eng. , v. 21(n), pp. 225−274(1980); 及び米国特許第5,348,982号に見出すことができる。 これらのそれぞれの内容は参照により全体として本明細書の一部とする。
    【0061】
    触媒金属は触媒中で酸化物の形で存在するであろうから、触媒はスラリー液体に接触するに先だって水素で還元してもよい。 出発時のスラリー液体は、典型的には、触媒粒子を懸濁させておくのに十分な粘性を有し(典型的には100℃で4〜100センチストークスの間の粘度)、操作中の蒸発を避けるために揮発性が十分低い(典型的には最初の沸点範囲が約330℃〜550℃)重質炭化水素である。 このスラリー液体は好ましくは本質的に硫黄、リン又は塩素化合物のような汚染物質がないものである。 最初は、スラリー液体として合成オレフィンオリゴマーのような合成炭化水素液体を用いることが望ましいであろう。
    【0062】
    このスラリーの典型的な触媒濃度は、金属に担体を加えた触媒全重量に基づき約2〜40パーセント触媒である。
    【0063】
    本明細書に記載するステージはフィッシャー−トロプシュ反応という用語で記述されているが、これらのステージは、任意に、水素(又は水)及び一酸化炭素(又は炭酸ガス)が炭化水素(例えばパラフィン類、エーテル類等)に転化される文字通りのフィッシャー−トロプシュ法に種々の変更を加えて実施することができる。 すなわち、フィッシャー−トロプシュ型生成物又はプロセスという用語は、フィッシャー−トロプシュ法及び生成物並びに種々の変更及びその生成物を指すことを意図するものである。 例えば、この用語はコルベル−エンゲルハルト法(Kolbel−Engelhardt process)を指すことを意図するものである。 営利目的の運転においては、CO 生成物を合成ガス発生装置に戻し、メタン(及び若干の空気)と結合して追加の合成ガスを生成させることができる。
    【0064】
    フィッシャー−トロプシュ反応の生成物は、一般に、気体状の反応生成物と液状の反応生成物を含んでいる。 気体状の反応生成物は、約650゜F未満の沸点の炭化水素類(例えばテールガスから中間留分まで)を含む。 液状の反応生成物(コンデンセート留分)は、約650゜Fを上回る沸点の炭化水素類(例えば減圧軽油から重質パラフィン類)を含む。
    【0065】
    商業的には、650゜F未満の生成物、すなわち、ほぼC 〜C 20の正パラフィン類及び高沸点の炭化水素類は、例えば、高圧及び/又は低温の気液分離機又は低圧分離機若しくは複数の分離機の組み合わせを用いてテールガス留分とコンデンセート留分に分離されるのが典型的である。 約650゜Fを超える沸点の留分(コンデンセート留分)は、粒状触媒紛を除いた後、約650゜F〜1200゜Fの範囲の沸点のワックス留分と1以上の約1200゜Fを超える留分とに分離されるのが典型的である。 ワックス留分は、主としてC 20 〜C 50の直鎖パラフィン類と相対的に少量の、より高沸点の分岐パラフィン類とを含有している。 このような分離は分別蒸留で達成されるのが典型的である。 しかし、触媒の組合せのコンビナトリアル・ライブラリーを評価する場合には、分離はガスクロマトグラフィーで実施することが好ましい。 各成分の量を求めることができ、反応条件のセットそれぞれの有効性に関する情報が蓄積できる。
    【0066】
    生成物
    いずれのフィッシャー−トロプシュ合成においても、メタン及び/又はワックス及び重質の生成物がある程度生成することについては変わりがない。 メタンの生成は望ましくないので、メタンがどれだけ生成するかを決定することは、ここに記載するコンビナトリアル・ケミストリーの目的としては、興味あることかもしれない。 しかし、商業規模にスケールアップするときには、反応中に生成するメタンをすべて回収し、合成ガスに転化し、リサイクルしてもよい。 主要な生成物は、エチレンのようなオレフィン類、正及びイソパラフィン類及びこれらの組み合わせを含有することができ、好ましくは、留出燃料油及び/又は潤滑油ベースストック範囲のイソパラフィン類を、より好ましくはジェット燃料又はディーゼル燃料範囲のイソパラフィン類を含有することができる。
    【0067】
    枝分かれは、多くの最終用途において、特にオクタン価を向上させたり、及び/又は流動点を降下させたりすることが望まれるときには有利である。 異性化の程度は、好ましくは正パラフィン1モル当たりイソパラフィン1モル超、より好ましくは3モル超である。 ディーゼル燃料組成物として用いられるときは、生成物はセタン価が少なくとも60であることが好ましい。
    【0068】
    商業的には、高分子量の生成物は、例えばワックスであるが、分離して直接使用することもできるし、所望によって、反応させ、分子量のより低い生成物を生成させることもできる。 例えば、高分子量の生成物を水素化分解してより低分子量の生成物とし、液体燃料の収率を上げることができる。 水素化分解は、通常フリーな水素の存在下で実施される触媒反応であり、比較的大きな炭化水素分子の分解が、その操作の主な目的である。 水素化分解操作を行うのに用いられる触媒は当該技術分野ではよく知られており、ここで詳細に記述する必要はない。 例えば、水素化精製、水素化分解及びそれぞれのプロセスで使用される典型的な触媒の一般的な説明については、米国特許第4,347,121号及び第4,810,357号を参照されたい。 水素化分解による生成物は、潤滑油、ディーゼル燃料等とするために、蒸留及び/又は触媒異性化に供することができる。
    【0069】
    コンビナトリアル・ケミストリー
    この方法は、フィッシャー−トロプシュ反応を実行するのに有用な触媒系の組み合わせを特定するために、コンビナトリアル・アプローチを用いて最適化できる。 触媒の組み合わせは、第1触媒系(フィッシャー−トロプシュ触媒)及び第2触媒系(オレフィン異性化触媒)を含む。 この組み合わせは、例えばアレイのように、論理的に配置することができる。 異なる種類のフィッシャー−トロプシュ触媒(例えば、低い連鎖成長確率を有する触媒と高い連鎖成長確率を有する触媒)が用いられる場合、これらをサブアレイに配置し、アレイ全体で全部の触媒を包含するようにすることができる。 これらのアレイは、合成及び/又は評価を手早く行えるように並べることができる。 それにより、試験によって得られる情報内容を最大化でき、そのデータの迅速評価を容易にすることができる。
    【0070】
    反応は、気体試薬、固相触媒並びに比較的高い温度及び圧力を伴う複数の反応を同時に又は実質的に同時に実施できる容器中で行うのが好ましい。
    【0071】
    所望の生成物を得るために最適な全体としての触媒の組み合わせは、フィッシャー−トロプシュ合成に最適な触媒とオレフィン異性化に最適な触媒とを含むものとは限らない。 これは両反応が、最適化のために、全く異なる反応条件を必要とする場合があるからである。 全体としての最適な組み合わせはフィッシャー−トロプシュ合成にとって最適なものであってもよく、それが一連の条件、次いでフィッシャー−トロプシュ触媒とともに使用するのに必要な条件下で働くように最適化されたオレフィン異性化成分を決定する。 例えば、フィッシャー−トロプシュ合成での最適条件は或る第1温度領域における温度を含むかもしれないが、最適なオレフィン異性化触媒は異なる温度範囲で最もよく作用するかもしれない。 これらの「最適」オレフィン異性化触媒を第1温度領域で作用させると非効率であるかもしれない。 したがって、触媒の組み合わせが、フィッシャー−トロプシュ触媒に必要とされる使用条件(十分な活性と相対的に低いメタン収率)下においてフィッシャー−トロプシュ合成及びオレフィン異性化という両方の段階にとって最適な組み合わせを含むことが好ましい。 或いは、最適オレフィン異性下条件において満足に作用する最適フィッシャー−トロプシュ触媒を決定することもできる。 どちらの方法でも、少なくとも単一の反応器中で組み合わせて単一セットの反応条件を用いる場合には、両方の触媒成分を一緒に試験することが重要である。 しかし、最適な触媒の組み合わせをスクリーニングするための手本を個々の触媒の探索に求めることができる。
    【0072】
    特定の化学反応に対するライブラリーを評価する際に発生する反応生成物の特性は、測定して特定の触媒の組み合わせと関連付けることができる。 触媒の数多くの組み合わせをスクリーニングすることにより、最適な組み合わせの決定は、有用な触媒の組み合わせを選定する「合理的な」基礎というよりも、データ収集法で決まる。 最適な組み合わせは、得られた生成物流を、特定のアレイ又はサブアレイにある触媒の組み合わせと直接関連づけることにより迅速に決定できる。
    【0073】
    アレイ
    触媒のライブラリーはここで述べる装置及び方法を用いて調製及び評価をすることができる。 第1及び第2触媒系を好ましくはアレイの形で(好ましくは反応容器中で)配置する。 触媒は、そうする必要はないが、反応容器の中で直接混合することができる。 或いは、それらを前もって混合しておくことができる。 それより好ましくない態様では、第1タイプ(フィッシャー−トロプシュ又はオレフィン異性化触媒)の単一の触媒を複数の第2タイプの触媒とともに評価し、次いで後続の第1タイプの触媒を複数の第2タイプの触媒とともに評価し、この過程を望むだけ繰り返す。 触媒ライブラリーの調製及び/又は触媒類の反応容器への仕込みは自動化するのが好ましい。
    【0074】
    好ましくは、このプロセスには、第1触媒系及び第2触媒系を含むマトリックスを生成することも含まれる。 この合成は、温度及び圧力要件を扱うことができ、かつ、複数の触媒の組み合わせ(好ましくは5種の触媒の組み合わせを一時に、より好ましくは20種を超える触媒の組み合わせを一時に、より好ましくは50種を超える触媒の組み合わせを一時に)を扱える装置中において実施され、次いで種々の反応からの生成物流が評価される。 比較的高温及び高圧で反応を実施するのに有用な反応容器は当業者によく知られている。
    【0075】
    各反応容器中又は反応容器中のそれぞれの場所における触媒系のアイデンティティは、コンピュータ化した装置に蓄積でき、又はバーコードその他の同様な認識手段を介して特定できる。 反応生成物は、例えばガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィーと質量分析の組み合わせ(GC/MS)、赤外線熱放射もしくは赤外線化学種分析、又はUVスペクトル分析を用いて直ちに同定できる。 クロマトグラフィー装置の汚染を避けるため、生成物流の代表サンプルをカラムに入れる前に、例えばインラインフィルター又はインライン固相抽出(SPE)カラムを用いて濾過することは望ましいかもしれない。
    【0076】
    化学反応を行うに適した反応器
    コンビナトリアル・ケミストリーを実行するのに適した反応容器は、触媒系の組み合わせを複数保持でき、約200mg〜約100g、好ましくは約1mg〜約10gの触媒の組み合わせを含むことができ、合成ガスを、留出燃料及び/又は潤滑油ベースオイル範囲の炭化水素を含有する生成物流に転化するのに必要な反応条件(例えば昇圧、昇温条件)を取り扱える、任意の適当な容器である。
    【0077】
    高温、高圧下において気相反応物及び固体触媒を用いる同時複数反応を行うのに用いることのできる任意の反応容器を使用することができる。 このような反応容器は当業者によく知られている。 好適な装置の例としては、例えば、Bierらに対する米国特許第5,980,839号、Laugharn,Jr. らに対する米国特許第6,036,923号、Weinbergらに対する米国特許第6,030,917号、Brennanらに対する米国特許第6,001,311号に記載されたものが挙げられる。 これら特許の各々の内容は参照により本明細書の記載の一部とする。
    【0078】
    反応容器には、多重サンプル容器が収納でき、それぞれ、コンビナトリアル又は逐次の操作を行うために並列又は直列に収納されている。 反応器は、個別の反応キャビティを複数含む反応域を含むことができる。 各キャビティには試薬、溶剤、ガスを供給あるいは抜出すためのポートを付けることができ、及び/又はキャビティへの真空サクションを付けることができる。 反応キャビティが混合域に対して開いているように、反応域に隣接して混合域を配置することができる。 容器は、反応の圧力及び温度要件によって種々の材料で作ることができ、材料の例としては、或る種のプラスチックス、ガラス及びステンレススチールのような或る種の金属を挙げることができる。
    【0079】
    合成反応のスケールは、好ましくは約200mgを超える範囲にあり、より好ましくは1g〜100gの範囲にあるが、特定の用途に必要な化合物の量により修正することができる。 反応容器によっては、小さい反応スケールで得られる生成物を商業的スケールで得られる生成物と関係付けることは困難になる可能性があるが、これはスケールアップによる、熱伝導速度の予測される相違のためである。 この反応は概して比較的高温及び/又は高圧の条件下において実施される。 反応に次いで、例えばGC、GC/MS、HPLC等のような種々の手段を用いて生成物を特徴付けることができる。
    【0080】
    適切な触媒を反応容器内の適切な場所に添加するために、ロボットアームやマルチ−ピペット装置を使用できる。 適当な場合、化学反応は温度、圧力、流速等の条件を変更して実施することができる。 高温と高圧が要求されるときは高温と高圧を扱える装置、特にコンビナトリアル・ケミストリー用装置が使用される。
    【0081】
    一つの態様では、反応はコンピュータ制御により実施される。 それぞれの触媒のアイデンティティは、コンピュータの「メモリーマップ」又は化学反応に関するデータを反応容器中の触媒の組み合わせと関係付ける他の手段で蓄積することができる。 或いは、この化学反応は手動で実施でき、情報は例えばコンピュータに蓄積できる。
    当業者は、関心のあるライブラリーを生成及び/又は評価するための好適な反応と反応条件のセットを容易に決めることができる。
    【0082】
    分析化学
    反応の生成物は、例えばHPLC、GC、GC/MS及び/又は他の分析手段を用いて高速処理方式で分析することができる。 生成物は、オクタン価及び/又はセタン価、異性化の程度、オレフィン濃度等を含む種々の性質について評価することができる。
    【0083】
    反応容器の個々の場所からサンプルを取り出すことができ、得られた化合物を分析できる装置ならどれでも使用できる。 好ましくは、装置は、分析用又は分取用のHPLC、GC又はGC/MSのようなクロマトグラフィー装置であるが、生じる化学反応によっては他の装置も考慮の余地はある。 生成物流にはUV活性のある化合物は含まれそうもないので、カラムから溶出する成分を検知するには、分析機器にはELSD検出器又はUV吸収に依存しない他の検出器を備えることが好ましい。 分析技術は、複数の同時分析が取り扱えるように構成するか、さもなければ複数の試料を取り扱えるよう最適化されていることが好ましい。 化学反応が起こった後、複数の反応容器の内容物(又はその代表試料)は、分析装置へ個々に移送することができる。 当業者は、例えば試薬の組成、温度、圧力、流速等のような種々のプロセス条件を変化させることによって、容易に反応を最適化できる。
    【0084】
    特に、イソパラフィンの濃度をライブラリーを用いて評価するときには、GC及びMSの組み合わせが用いられる。 異性体同士は同じMSピークを持ちがちだが、カラムからは異なる時間で溶出するので、この技術により生成物流を高速で定量することができる。
    【0085】
    製品流の代表試料のGCを実施したとき、既知のGCデータからオクタン価又はセタン価を求めるための条件は当業者にはよく知られている。 これらの技術は、所望の性質を有する生成物を調製するために有用な触媒の組み合わせのライブラリーを評価するには特に有用であろう。
    【0086】
    データベース
    触媒の組み合わせ、反応条件及び生成物流に関するデータはリレーショナルデータベースに蓄積できる。 このデータベースは、所望の生成物流のための最適な触媒の組み合わせを見出すために用いることができ、特に所望の生成物流が市場の要因により変化するときに有用である可能性がある。 生成物に対する要求が変わったとき、触媒の組み合わせ及び/又は反応条件を所望の生成物を調製するために選定できる。
    【0087】
    装置は、触媒のアイデンティティ及び得られる生成物流に関する情報を蓄積できるコンピュータシステムを含むことが好ましい。 特に複数の異なる反応条件が用いられる場合はそうである。 コンピュータにはデータを管理するソフトウエアが備えられる。 リレーショナルデータベースソフトウエアは、イオン性液体のアイデンティティ、反応条件(例えば試薬の組成、温度及び圧力)及びそれぞれの生成物流の分析データを関連づけるために使うことができる。 例えば、Oracle、Tripos、MDL、Oxford Molecular(”Chemical Design”)、IDBS(”Activity Base”)及び他のソフトウエア業者のもののような、市販の多数のリレーショナルデータベースソフトウエアプログラムが入手可能である。
    【0088】
    リレーショナルデータベースソフトウエアは、本明細書に述べたようなプロセスで得られるデータを管理するには、好ましい型のソフトウエアである。 しかし、反応容器中の触媒の「メモリーマップ」が作り出せて、この情報を化学反応から得られる情報と関係付けることのできるソフトウエアならば、どれでも使用することができる。 この型のソフトウエアは当業者にはよく知られている。
    【0089】
    コンビナトリアル・ケミストリーによる最適化
    本方法には下記のステップが含まれている:
    a) 複数の触媒の組み合わせの論理的なアレイを一つ以上の反応容器に準備すること。 ここでアレイには、第1触媒系(フィッシャー−トロプシュ触媒、一つの態様ではコバルト/ルテニウム触媒)からの一つ以上の触媒及び第2触媒系(オレフィン異性化触媒)からの一つ以上の触媒が含まれる。
    b) 合成ガスを、反応容器(群)に、合成ガスが生成物流(好ましくは留出燃料及び/又は潤滑油ベースオイルの範囲の炭化水素を含有する)に転化する条件下で導入すること。
    c) 生成物流の内容物を分析すること。 及びe) 任意であるが、触媒のアイデンティティ及び/又は生成物流の内容物に関する情報をリレーショナルデータベースに蓄積すること。
    触媒の組み合わせ(又は複合物)を単一の反応器で評価することが好ましいが、複数の触媒を別々の反応器で評価することも可能である。
    【0090】
    触媒の組み合わせを効率よく比較するためには、反応条件(合成ガスの組成、温度及び圧力)は、全ライブラリーを評価する際、合理的な範囲で一定に保つべきである。 しかし、次の段階では、追加のデータを得るために、反応条件は変えることができる。 したがって、さらに追加の情報を得るために、反応条件を変化させて(例えば、合成ガスの組成、温度及び/又は圧力の変更)、a〜eのステップを一回以上繰り返すことができる。
    【0091】
    ここに述べた装置及び手順は、所与の所望の生成物流を生成するための所望の触媒活性の迅速な決定と最適化のために用いることができる。 触媒系の一つのアレイを選別することができ、所望の生成物流を与える最適の候補群を特定することができる。 この手順は、好きなだけ繰り返して、関心のある触媒系に関する情報を得ることができ、その選択は、試験に用いられるアレイの迅速モジュラー合成により加速することができる。
    【0092】
    所望の生成物流が得られそうな触媒の組み合わせは、任意に(例えば、先行最適化ステップにおいて)スケールアップして追加のデータを得、プロセスを微調整することができる。 例えば、いったん理想的な触媒の組み合わせが先行発生ステップで特定されたならば、反応条件(合成ガス組成、温度及び圧力)は先行最適化ステップで最適化することができる。
    【0093】
    ここに述べた装置及び手順は、セタン価及び/又はオクタン価、異性化の程度、オレフィン濃度等を含む種々の性質についての合成結果の論理的かつ迅速な解析のために使用できる。 任意の所与のアレイの中の一連の場所を試験することにより、或る合成戦略の効果を求めることができる。 したがって、所望の生成物流が得られる種々の触媒の組み合わせの一般的な有用性を求めることができる。 ここに述べた装置及び手順により、触媒の組み合わせのライブラリー全体の解析を完全に制御できる。
    【0094】
    本発明は、下記の非制限的な例を参照することにより、一層よく理解されるであろう。
    【0095】
    (例1)
    Co/Ru 及びオレフィン異性化触媒を用いる合成ガス転化
    一連の複合触媒をフィッシャー−トロプシュ合成モデルで評価した。 触媒のフィッシャー−トロプシュ成分は流動アルミナ触媒担持コバルト/ルテニウムであった。 この触媒は単独及びこの触媒とシリカ、アルミナ、ピラードクレー、並びに種々の異なったゼオライト及びゼオフォスフェートとを組み合わせて(重量比50/50)評価した。
    試験条件は、生成物の分布が、6時間〜8時間持続する短時間の実験で決定できるように選んだ。 これらの条件は最適フィッシャー−トロプシュ条件で生成すると思われるものより軽質の生成物に有利である。 しかし、これらの条件を用いて得られる結果と、商業的に得られる結果とを、合理的に関係付けることができる。 生成物はガスクロマトグラフィーを用いてオンストリームで分析した。
    【0096】
    純粋なCo/Ru触媒及びシリカのような不活性酸化物の50/50複合物は、205ECにおける、水素/一酸化炭素比約1.5、送入流速750cc/g/hで、5〜6時間の運転の間、約10%のメタン、6〜8%のエタン及びプロパン、50〜55%のC 4−11並びに25〜35%のC 12+を生成した。 C 5−11連鎖の連鎖成長確率は、これらの条件下において約0.83であった。 より活性の大きい複合触媒では、同じ条件下でC 4−11の選択性は83%と高く、C 12+の選択性は1%と低かった。 C 5−10連鎖の連鎖成長確率は、酸性成分の存在下では約0.60まで低下したが、C 1−3化学種の連鎖成長確率(従って選択性)は、Co/Ru触媒そのものについての連鎖成長確率とほぼ同じであった。
    【0097】
    オレフィン異性化触媒、触媒のブレンステッド酸性度及び生成物(C 1−3 、C 4−11及びC 12+留分)の重量パーセントを示す表は下記のとおりである。
    【0098】

    【0099】


    特定の理論に束縛されることは欲しないが、酸性成分は、アルファオレフィン中間体をイソオレフィン類及び/又は内部2重結合オレフィン類に転化することにより、フィッシャー−トロプシュ生成物の分布を変えると考えられている。 アルファオレフィン類、とりわけ低分子量(C

    2−6 )のアルファオレフィン類は、新しい連鎖を開始することにより、炭化水素連鎖成長に関与する。 これにより、C

    2+連鎖成長確率は、低分子量アルファオレフィンが新しい連鎖の開始に関与しない場合に比べて高くなる。 活性サイトの立体障害により、内部2重結合オレフィン類及びイソパラフィン類はフィッシャー−トロプシュ合成に入り込む可能性はずっと小さくなり、したがって、C

    4+連鎖の連鎖成長確率は低くなる。 C

    2−3連鎖は一個のオレフィン異性体しか有さないので、これらに対する効果はない。


    【0100】


    ここに記載した複合触媒は、ほぼC

    までは相対的に高い連鎖成長確率で、C

    を超えると相対的に低い連鎖成長確率でフィッシャー−トロプシュ合成を行うことを可能とする。 したがって、この反応は、相対的に低いメタン及びワックスの生成を示し、C

    5−20範囲の炭化水素を主として含有する生成物流を生成する。


    【0101】


    USYゼオライトの酸性度が低すぎる(例えばSARが約70を超える)場合は、ほとんどオレフィン異性化は観察されなかった。 しかし、USY類が非常に酸性(例えばSARが約5未満)の場合は、急速な失活が観察された。 したがって、中間の酸性度を有する触媒を使用することを好ましいとすることができる。 図1に示すように、SARが約30〜60のとき、最適な合成ガス転化が得られた。 SARが90以上又は12以下の場合は、最適には程遠い合成ガス転化が得られた。


    【0102】


    当業者は、ルーチン以下の実験を用いて、本明細書に記載した発明の具体的な態様に対する均等物を認識し、あるいは確認できるであろう。 以下の特許請求の範囲により、そのような均等物を内包することが意図される。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】


    図1は、例1に記載した、フィッシャー−トロプシュ/ゼオライト複合触媒を用いた合成ガスの転化率(C

    4−11選択性)対ゼオライト触媒(μモル/g)のブレンステッド酸性度を示すグラフである。 黒い菱形は非常に高いゼオライトの効果を示す。 灰色の四は高いゼオライトの効果を示す。 灰色の三角は中程度のゼオライトの効果を示す。 灰色の円は低いゼオライトの効果を示す。 灰色の菱形は無視し得るゼオライトの効果を示し、線の貫通した灰色の四角はゼオライトの効果がないことを示す。

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