タンパク質結合性リガンドとしてのトリアジン

申请号 JP2008515296 申请日 2006-06-08 公开(公告)号 JP5614930B2 公开(公告)日 2014-10-29
申请人 プロメティック バイオサイエンシズ,リミテッド; プロメティック バイオサイエンシズ,リミテッド; 发明人 ベットリー,ジェイソン,リチャード; ペアソン,ジェイムズ,クリストファー; タットン,ヘレン,ローズマリー; ビーコム,ベン,マーティン;
摘要
权利要求
  • 一般式(I)
    [式中、
    記号Xのそれぞれが窒素原子を表す;
    Q 1は-NR 1 R 3を表す;
    Q 2は-NR 2 R 4を表す;
    ここで、
    R 1およびR 2は同一であっても異なっていてもよく、独立して、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、ヘプチル、1,4-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルよりなる群から選ばれるアルキル基を表す;
    R 3およびR 4は共にメチルを表す;
    Aはスペーサーの連結を介して結合されてもよい担体マトリックスを表す]
    アフィニティー物質
  • 次の構造を有する、請求項1に記載の アフィニティー物質
  • 担体マトリックスが、所望により活性化されうる多糖、アガロース、セルロース、キチン、デキストラン、メタクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、スチレンジビニルベンゼンまたはポリビニルアルコールの形態である、前記請求項のいずれか1項に記載の アフィニティー物質
  • 一般式(XI)
    (式中、Q 1および記号Xは請求項1において定義されているとおりである)の化合物をアミン含有担体マトリックスと反応させて、一般式(XII)
    (式中、Q 1およびAは請求項1において定義されているとおりである)の アフィニティー物質を形成させ、ついで一般式(XII)の アフィニティー物質を式HQ 2 (式中、Q 2 は請求項1において定義されているとおりである)の化合物と反応させることを含んでなる、請求項1に記載の一般式(I)の アフィニティー物質の製造方法。
  • ペプチドおよびタンパク質の分離、単離、精製、特定(identification)、定量または発見のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の アフィニティー物質の使用。
  • タンパク質性物質の分離、精製または発見のための方法であって、該物質を含有するサンプルを請求項1に記載の一般式(I)の アフィニティー物質と接触させることを含んでなる方法。
  • 说明书全文

    本発明は新規化合物およびタンパク質結合性リガンドとしてのその用途に関する。

    多数のタンパク質の特徴は表面の接近可能な疎性ポケットまたはパッチの存在である。 これらの疎水性領域は、タンパク質を異なる疎水性の他のタンパク質および溶質から分離するための手段として利用されうる。 疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、疎水性基でコーティングされたクロマトグラフィー担体粒子を使用してタンパク質を結合させ精製するための確立された方法である。 周囲の溶媒の極性を例えば水構成塩(water structuring salt)の添加により調節することにより、タンパク質を疎水性相互作用によりクロマトグラフィーマトリックスの疎水性表面に結合させることが可能である。 疎水的に結合したタンパク質の溶出は、水構成塩の除去および/または極性を低下させる溶媒の添加により達成される。 HICに使用される疎水性基は、しばしば、エーテルまたはアミノ結合により担体マトリックスに直接的に結合した直鎖状アルキルまたはフェニル基を含む。 HICマトリックスは、典型的には、種々の極性の一般化疎水性表面をもたらすために、疎水性基の高い表面濃度を有する。 これらのマトリックスは、表面-表面結合相互作用の一般的性質により、タンパク質結合に関して比較的低い選択性を示す傾向にある。 これは比較的低い度合の精製をもたらし、これは、しばしば、所望の純度レベルを得るためには追加的な精製工程の実施を必要とする。 疎水性基の特定の配置および配向を伴って疎水性基が構成リガンド構造体内に固定された疎水性リガンドを開発することができれば、そのようなリガンドはタンパク質上の特異的疎水性部位と相互作用し、したがって、結合タンパク質およびその上に存在する疎水性部位の性質に関して向上した選択性を示すと予想されうるであろう。

    トリアジン化合物から誘導された化合物はタンパク質のアフィニティー精製に有用であることが公知である。 例えば、置換アルキルアミンおよびアリールアミンでの塩化シアヌルの置換から誘導されたリガンド構造体がWO 97/10887、WO 2000/067900およびWO 2004/035199に記載されている。 WO 97/10887は、2つの置換アリールアミン化合物または置換アリールアミン化合物および置換アルキルアミン化合物での塩化シアヌルの置換によりリガンドが得られうることを教示している。 WO 2000/067900は、種々のカチオン基で誘導体化されたトリアジン環を含むリガンド化合物を記載している。 WO 2004/035199は、抗体フラグメントの精製のための、アミノフェニルおよびカルボキシ-、ヒドロキシ-またはアミド-プロピル基で置換された塩化シアヌルの使用を記載している。

    先行技術において記載されている構造体とは異なり、本発明者らは、直鎖状、分枝状または環状アルキル基で誘導体化された、いずれの追加的な親水性または荷電基をも含有しないトリアジンおよび関連化合物が、疎水性ポケットまたは表面を有するタンパク質の精製に特に有用であることを見出した。 さらに、これらの新規リガンド構造体は、担体マトリックスに直接結合したフェニルまたはアルキル鎖と比較して顕著な利点をもたらす。

    したがって、本発明の第1の態様においては、一般式(I)

    [式中、


    記号Xのうちの一方は窒素原子を表し、記号Xのうちのもう一方は窒素原子を表すか又は塩素原子もしくはシアノ基を含有する炭素を表す;


    Q

    1は-NR

    1 R

    3 、-OR

    1または-SR

    1を表す;


    Q

    2は-NR

    2 R

    4 、-OR

    2または-SR

    2を表す;


    ここで、


    R

    1 、R

    2 、R

    3およびR

    4は同一であっても異なっていてもよく、独立して、


    (i)水素;あるいは (ii)OH、ハロゲン、-NR

    5 R

    6 (ここで、R

    5およびR

    6は、独立して、水素またはC

    1-8アルキルを表す)およびアリールよりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよい、OまたはSが介在していてもよいC

    1-12アルキル基である;あるいは (iii)OH、ハロゲン、-NH

    2およびアリールよりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよいC

    4-12シクロアルキル基、あるいは (iv)C

    1-8アルキル、C

    1-8アルコキシ、C

    1-8アシルオキシ、C

    1-8アシルアミノ、-OH、-NH

    2 、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイルおよび-SO

    3 R

    7 (ここで、R

    7は水素またはC

    1-8アルキルを表す)よりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよいアリール基を表す;


    ただし、


    (a)R

    1 、R

    2 、R

    3およびR

    4のうちの少なくとも1つはアルキル基-C

    n H

    2n+1 (ここで、nは7以上である)を含む;


    (b)R

    1 、R

    2 、R

    3およびR

    4のうちの少なくとも2つは、独立して、アルキル基-C

    n H

    2n+1またはシクロアルキル基-C

    n H

    2n-1 (ここで、nは4以上である)を含む;あるいは (c)R

    1 、R

    2 、R

    3およびR

    4のうちの少なくとも3つは、独立して、-NR

    5 R

    6またはアリールにより置換されたC

    1-12アルキル基を含む;


    Aは担体マトリックスへの結合点を表し、該結合は、該マトリックスと式(I)の化合物との間に介在するスペーサーの連結を介したものであってもよい]


    の化合物を提供する。

    本発明の好ましい化合物は、記号Xのそれぞれが窒素原子を表す式(I)の化合物、すなわち、トリアジン化合物である。

    本発明の好ましい化合物は、Q 1が-NR 1 R 3を表し、Q 2が-NR 2 R 4を表す式(I)の化合物である。

    本発明の好ましい化合物グループの1つにおいては、R 1およびR 2のそれぞれは同一であっても異なっていてもよく、OH、ハロゲン、-NR 5 R 6およびアリールよりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよい、OまたはSが介在していてもよいC 1-12アルキル基である。

    もう1つの好ましい化合物グループにおいては、R 1およびR 2のそれぞれは同一であっても異なっていてもよく、C 7-12アルキル基を表す。

    本発明のもう1つの好ましい化合物グループは、R 1およびR 2のうちの少なくとも1つが、C 1-8アルキル、C 1-8アルコキシ、C 1-8アシルオキシ、C 1-8アシルアミノ、-OH、-NH 2 、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイルおよび-SO 3 R 7 (ここで、R 7は水素またはC 1-8アルキルを表す)よりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよいアリール基を表すものである。 そのような化合物の特に好ましいサブグループは、R 1およびR 2のうちの少なくとも1つが、C 6-12アルキルまたはC 6-12アルコキシにより置換されたアリール基を表すものである。 該アリール基は、好ましくは、フェニル、ナフチル、1-フェニルピラゾール、インダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールおよびベンゾイミダゾールよりなる群から選ばれ、最も好ましくはフェニルである。

    本発明のもう1つの好ましい化合物グループにおいては、R 1 、R 2 、R 3およびR 4の全てはC 1-12アルキルを表す。

    他の好ましい化合物サブグループは、R 3およびR 4が共に水素を表すもの、およびR 3およびR 4が共にメチルを表すものである。

    もう1つの好ましい式(I)の化合物グループは、R 1およびR 2が共にC 4-6アルキルを表し、R 3およびR 4が、独立して、水素を表すか、または、OH、ハロゲンおよび-NR 5 R 6よりなる群から選ばれる1以上の置換基により置換されていてもよい、OまたはSが介在していてもよいC 1-12アルキル基を表す化合物である。

    本明細書における式-C n H 2n+1のアルキル基に対する言及は直鎖状アルキル基および分枝状アルキル基の両方を含むと理解されるであろう。 同様に、式C n H 2n-1のシクロアルキル基に対する言及は、例えばシクロヘキル基の場合のように炭素原子の全てが環内に配置されている基、そしてまた、例えばシクロプロピルエチル基の場合のように炭素原子の一部のみが環を形成している基をも含む。

    少なくとも4個の炭素原子のアルキル基の具体例には、ブチル、イソブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、ヘプチル、1,4-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルが含まれるが、これらに限定されるものではない。

    少なくとも7個の炭素原子のアルキル基の具体例には、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルが含まれるが、これらに限定されるものではない。

    少なくとも4個の炭素原子のシクロアルキル基の具体例には、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびノルボルナンが含まれる。

    本発明は、
    (a)R 1 、R 2 、R 3およびR 4のうちの少なくとも1つがアルキル基-C n H 2n+1 (ここで、nは7以上である)を含む、
    (b)R 1 、R 2 、R 3およびR 4のうちの少なくとも2つが、独立して、アルキル基-C n H 2n+1またはシクロアルキル基-C n H 2n-1 (ここで、nは4以上である)を含む、あるいは (c)R 1 、R 2 、R 3およびR 4のうちの少なくとも3つが、独立して、-NR 5 R 6またはアリールにより置換されたC 1-12アルキル基を含む化合物に限定される。

    しかし、言及されているアルキルまたはシクロアルキル基は、それぞれのR 1 、R 2 、R 3およびR 4基の全体または一部分のみを構成しうることに注意することが重要である。 したがって、R 1 、R 2 、R 3およびR 4は該アルキルまたはシクロアルキル基を表しうる。 あるいはR 1 、R 2 、R 3およびR 4は、そのような基を含む部分を表しうる。

    R 5 、R 6およびR 7が表しうる具体的な基には、直鎖状および分枝状C 1-4アルキル基、例えばメチル、エチルおよびイソプロピルが含まれる。

    本発明の具体的な好ましい化合物としては、以下の構造式(iii)〜(x)で表される化合物が挙げられる。

    一般式(I)の化合物を点Aを介して担体マトリックスに結合させうる手段は当業者に容易に理解されるであろう。 適当な連結には、アミノ、エーテルまたはチオエーテルが含まれる。 さらに、担体マトリックスとして機能しうる物質の性質も当業者に容易に理解されるであろう。 担体マトリックスの具体例には、多糖、アガロース、セルロース、キチン、デキストラン、メタクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、スチレンジビニルベンゼン、ポリビニルアルコール、ガラス、シリカ、酸化金属、アルミナおよびジルコニアが含まれるが、これらに限定されるものではない。 疑義を避けるために説明すると、担体マトリックスとしては、それが、接触溶液中でリガンドを溶質から分離する簡便な手段を提供する限り、可溶性であるか不溶性であるか、多孔性であるか無孔性であるかにかかわらず、任意の物質が使用されうる。 担体マトリックスのための好ましい物質には、所望により活性化されうる多糖、アガロース、セルロース、キチン、デキストラン、メタクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、スチレンジビニルベンゼンまたはポリビニルアルコールが含まれる。

    本発明のリガンドをスペーサー基により担体マトリックスに結合させることも可能である。 そのようなスペーサー基は、使用される場合には、一般式
    -TLV
    (式中、Tはアミノ基または-NHR 8 -、エーテル基またはチオエーテル基であり、Lは、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい直鎖状または分枝状アルキル基であり、Vはアミノ基または-NHR 9 -、エーテル基またはチオエーテル基であり、ここで、R 8およびR 9はそれぞれ、独立して、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状アルキル基を表す)のスペーサーを含みうる。 スペーサー基Lは、例えばエーテルまたはヒドロキシル基で置換されていてもよい。

    一般式(I)の化合物を製造しうる1つの方法は、一般式(II)

    (式中、Q

    1 、Q

    2および記号Xは、一般式(I)の化合物に関して前記で定義されているとおりである)の化合物をアミン含有担体マトリックスと反応させることによるものである。 そのような方法は、一般式(II)の化合物と同様、本発明のもう1つの態様に相当する。

    一般式(I)の化合物を製造しうるもう1つの方法は、一般式(XI)

    (式中、Q

    1および記号Xは、一般式(I)の化合物に関して前記で定義されているとおりである)の化合物をアミン含有担体マトリックスと反応させて一般式(XII)


    (式中、Q

    1およびAは、一般式(I)の化合物に関して前記で定義されているとおりである)の化合物を形成させ、ついで一般式(XII)の化合物を式HQ

    2の化合物と反応させることを含む。 そのような方法は、一般式(XI)の化合物と同様、本発明のもう1つの態様を構成する。

    本発明のリガンド構造体はタンパク質の単離、精製、定量、特徴づけ又は発見のために使用されうる。 好ましくは、本発明の物質は、カラムクロマトグラフィーを行うことにより使用され、その場合、該物質は、サンプルおよび洗浄溶液が通過する吸着層を形成するためにクロマトグラフィーカラム内に充填される。 結合のための条件としては、リガンド上の疎水性基へのタンパク質の吸着を促進するものが選択される。 タンパク質の吸着は、バッファー塩および金属イオン塩、特に水構成塩(water structuring salt)、例えば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム(これらに限定されるものではない)の添加により促進されうる。 結合タンパク質の溶出は、pHまたはイオン強度を調節することにより達成されうる。 特に、結合タンパク質の溶出は、バッファー塩および金属塩の除去ならびに/または極性を低下させる溶媒、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびヘキサンジオール(これらに限定されるものではない)により促進されうる。 あるいは、タンパク質の脱着を促進するために、カラム洗浄バッファーにカオトロピック剤(尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウムおよびヨウ化カリウムが含まれるが、これらに限定されるものではない)を加えることが可能である。 所望の用途のための本発明の最も適当な物質の選択は、リガンド構造体のライブラリーをスクリーニングすることにより行われうる。 この方法は、本発明の物質をマイクロクロマトグラフィーカラム内に充填することにより、あるいはタンパク質-リガンド相互作用の検出のための生物分析装置と組合せて使用される「スライド」または「チップ」の表面上でリガンドのアレイを形成させることにより簡便に行われうる。 そのようなアプローチは、多数の異なるリガンド構造体の同時スクリーニングおよび選択されたタンパク質標的に関する結合相互作用の評価を可能にする。 そのようなスクリーニング技術は、カラムクロマトグラフィーのための結合および溶出条件の選択および最適化を含むリガンドの使用の最適化にも用いられうる。

    したがって、本発明のもう1つの態様においては、前記の一般式(I)の関連化合物(該化合物は共通の担体マトリックスに点Aを介して結合している)のライブラリーを提供する。

    本発明の他の態様においては、
    (i)ペプチドおよびタンパク質の分離、単離、精製、特徴づけ、特定(identification)、定量または発見のための、前記の一般式(I)の化合物の使用、ならびに(ii)タンパク質性物質の分離、精製または発見のための方法であって、該物質を含有するサンプルを前記の一般式(I)の化合物と接触させることを含む方法を提供する。

    本発明が有用であるタンパク質の特定のタイプの1つは、インターロイキン18結合タンパク質(すなわち、IL-18BP)として公知のものである。

    つぎに、以下の実施例により、専ら例示として、本発明を更に詳しく説明することとする。

    アフィニティーリガンド吸着剤の固相合成
    1.1 アガロースビーズのエポキシ-活性化
    水洗されたビーズ化(beaded)アガロース(6%架橋;100mm)(Purabead 6XL)1kgを640mLの水および80mLの10M NaOHでスラリー化した。 エピクロロヒドリン72mLを加え、該混合物を40℃で3時間攪拌した。 該エポキシ活性化アガロースを10リットルの水で洗浄し、重下で流出させた。

    1.2 アガロースビーズのアミノ化
    前記1.1において調製した該エポキシ活性化アガロースビーズを800mLの水中でスラリー化し、これに200mLのアンモニア溶液(比重0.88)を加え、該混合物を40℃で16時間攪拌し、ついで該アミノ化アガロースを10リットルの水で洗浄した。

    1.3 アミノ化アガロースのトリアジン活性化
    前記1.2において調製したアミノ化アガロースを1リットルの1M リン酸カリウムバッファー(pH7.0)と混合し、重力下で流出させた。 該アミノ化アガロースを0.5リットルの0.5M リン酸カリウムバッファー(pH7.0)および0.5リットルのアセトンと激しく混合し、該混合物を0〜5℃に冷却した。 250mLのアセトン中の25gの塩化シアヌル酸の新たに調製した溶液を加え、該混合物を0〜5℃で1時間攪拌した。 該混合物を漏斗に移し、該トリアジン活性化アガロースを5リットルの50% v/v アセトン、5リットルの水、5リットルの50% v/v アセトンおよび10リットルの水で順次洗浄した。 該ジクロロトリアジン活性化アガロースビーズを、リガンドライブラリーの構築に使用する前に重力下で流出させた。

    1.4 トリアジン活性化アガロースとアミン置換基との反応
    前記1.3において調製したジクロロトリアジン活性化アガロースを30gの複数の部分に分割し、5℃に冷却した。 カップリングさせる第1のアミンの溶液を、3mmolのアミン(表1の第2欄に示されているとおり)を30mLの50% v/v DMFに溶解することにより調製し、10M NaOHでpH 9〜10に調節し、5℃に冷却した。 該アミン溶液を該ジクロロトリアジン活性化アガロース部分に加え、5℃で1時間混合した。 完了したら、該モノ置換中間体を150mLの50% v/v DMF、ついで300mLの水で洗浄し、重力下で流出させた。 カップリングさせる第2のアミンの溶液を、6mmolのアミン(表1の第3欄に示されているとおり)を30mLの50% v/v DMFに溶解することにより調製し、10M NaOHでpH 9〜10に調節し。 該アミン溶液を該モノ置換中間体に加え、60℃で24時間混合した。 完了したら、終わったアフィニティー吸着剤を150mLの50% DMF、150mLの水、150mLの0.1M 塩酸、150mLの30% イソプロパノール/0.2M 水酸化ナトリウム、300mLの水で順次洗浄し、最後に保存のために20% エタノール中に移した。 第1および第2のアミンの反応は、反応上清を採取し該カップリング反応の経過中に遊離した塩化物イオンの存在に関してアッセイすることによりモニターした。 この方法は、表1の第1欄に示すとおりの本発明のアフィニティー物質を与えた。

    タンパク質結合のためのアフィニティーリガンドのスクリーニング
    実施例1に記載の本発明の物質をマイクロ-カラム(0.25mL)に充填し、3mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液(pH 7.0)を流すことにより該カラムを平衡化した。 該平衡化カラムのそれぞれに、0.5mg/mL インターロイキン18結合タンパク質(IL-18BP)を含有する0.5mLのCHO細胞培養培地を25℃で10分間にわたってローディングした。 完了したら、そのローディングされたカラムのそれぞれを平衡バッファー(PBS, pH 7.0)の3×0.5mLアリコートで洗浄し、結合タンパク質を、pH 7.0の50% エチレングリコールおよび0.5M NaClを含有するPBSの2×0.5mLアリコートで溶出した。 使用後、該カラムを、30% v/v プロパン-2-オールおよび0.2M NaOHを含む1mLの溶液およびそれに続く2.0mLの水でクリーニングすることにより再生させた。 該カラム流出液のサンプルをローディング中に採取し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、IL-18BP特異的モノクローナル抗体を使用する酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて溶出を分析し、全タンパク質をブラッドフォードタンパク質アッセイにより分析した。 SDS PAGEおよび全タンパク質アッセイの結果は、スクリーニングされた全てのリガンドがIL-18BPに結合し、有意なレベルの精製をもたらすことを示した。 すべての場合において、SDS-PAGEは、溶出画分がIL-18BPを含有することを示した。

    2,4-ジクロロ-6-[N-メチルヘキシルアミノ]-トリアジンの合成
    塩化シアヌル酸(5.0g)をアセトン(35mL)に溶解し、-2℃に冷却した。 N-メチルヘキシルアミン(3.12g)をアセトン(20mL)に溶解し、温度を2℃未満に維持しながら該冷却溶液に滴下した。 冷却しながら温度を0℃未満に維持しつつ、水(20mL)中の10M 水酸化ナトリウム(2.71mL)を滴下した。 酢酸エチル中への抽出により該生成物を黄色油(6.78g, 95%)として単離した。 HPLCによれば純度は >95%であった。

    化合物IIIの合成
    4.1 エポキシアガロースの調製
    Purabead 6HF(1200g沈降ゲル)をRO水(800mL)中で攪拌し、10M 水酸化ナトリウム(108mL)を加えた。 エピクロロヒドリン(154mL)を加え、該混合物を20℃で17時間攪拌した。 更にエピクロロヒドリン(38.5mL)および10M 水酸化ナトリウム(27mL)を加え、該混合物を更に2時間攪拌した。 該エポキシ活性化Purabeadを濾過し、水(12×1リットルアリコート)で洗浄した。

    4.2 アミノ化
    前記4.1において調製したエポキシ活性化Purabeadに、水(960mL)および比重0.88のアンモニア水溶液(240mL)を加え、該混合物を40℃に加温し、17時間攪拌した。 該アミノ化Purabeadを濾過し、水(13×1.2リットルアリコート)で洗浄した。

    4.3 2,4-ジクロロ-6-[N-メチルヘキシルアミノ]-トリアジンとアミノ化Purabeadとの反応
    前記4.2において調製したアミノ化Purabeadを1.2リットルのDMF中でスラリー化し、重力下で流出させた。 DMF(900mL)を加え、ついで、295mLのDMFおよび13.2mLのジイソプロピルエチルアミンに溶解した20.66gの2,4-ジクロロ-6-[N-メチルヘキシルアミノ]-トリアジン(実施例3に記載されているとおりに調製したもの)の溶液を加えた。 該混合物を20℃で2時間攪拌し、ついで該生成物を濾過し、75% v/v 水性DMF(2×1.2リットル)、50% v/v 水性DMF(2×1.2リットル)および水(10×1L)で順次洗浄した。

    4.4 N-メチルヘキシルアミンとの反応
    前記工程4.3からの生成物を1145mLのDMFでスラリー化した。 N-メチルヘキシルアミン26.1mLを加え、該混合物を60℃に加温し、17時間攪拌した。 この後、得られた化合物(III)を濾取し、50% v/v 水性DMF(4×1.2リットル)および水(10×1.2リットル)で洗浄した後、20% 水性エタノール保存液中で保存した。

    本発明の化合物を使用するIL-18BPの精製
    実施例1に記載されているとおりに製造したアフィニティー吸着剤(10mLカラム床体積; 13cmカラム床高)のカラムを、細胞培養培地からのIL-18結合タンパク質の精製に関して試験した。 5カラム体積のPBSバッファー(pH 7.0)を3mL/分の流速で流すことにより充填カラムを平衡化した。 体積80mLの清澄化組換えIL-18BPフィードストック(Serono Laboratories, Switzerland; 15.5mg)を各カラム上に1.5mL/分の流速でローディングし、ついで該カラムを5カラム体積のPBSバッファー(pH 7.0)で同じ流速で洗浄した。 0.5M NaClおよび50% v/v エチレングリコールを含有するPBSバッファー(pH 7.0)を3.0mL/分の流速で流すことにより結合タンパク質を溶出した。 溶出後、0.2M NaOHを含有する30% v/v イソプロパノールで該カラムをクリーニングした。 ロード画分、未結合画分および溶出画分をSDS-PAGE、ウエスタンブロット法、全タンパク質分析および逆相HPLCにより分析した。 精製結果を表2に示す。

    リボヌクレアーゼAの結合
    実施例4に従い調製し水洗した吸着剤(50mg)を清潔なチューブ内に量り取り、それに、リン酸緩衝食塩水(pH 7.0)中の5mg/mL リボヌクレアーゼA溶液を含む0.95mlの溶液を加えた。

    該チューブにキャップをし、反転により室温で1時間混合し、ついで遠心分離して該吸着剤を沈降させた。 該水洗吸着剤の代わりに0.05mlのリン酸緩衝食塩水(pH 7.0)を使用して、対照サンプルを同様に調製した。 該上清を注意深く該サンプルから取り出して清潔なチューブ内に入れ、280nmにおけるそのUV吸光度を測定した。

    該サンプル吸光度の結果を該対照サンプルのものから差し引くことにより、吸着剤1mL当たり結合タンパク質15.5mgのリボヌクレアーゼA結合能が算出された。

    ポリクローナルヒトIgGの結合および溶出
    実施例4に従い調製し水洗した吸着剤をクロマトグラフィーカラム内の1mLの体積に充填し、12mLのリン酸緩衝食塩水(pH 7.4)で平衡化した。 これに、リン酸緩衝食塩水(pH 7.4)中の2mLの5mg/ml ヒトポリクローナルIgG溶液をアプライした。

    ついで該カラムを5mLの平衡化バッファーで洗浄した。 50% エチレングリコールおよび0.5M 塩化ナトリウムを含有する4mLのリン酸緩衝食塩水(pH 7.4)で結合Igを溶出し、この画分に回収された結合タンパク質の量をブラッドフォード全タンパク質アッセイにより測定した。 吸着剤1mL当たりヒトポリクローナルIgG 8.5mgの結合能が測定された。

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