Cutting method of labile functional groups from the compound

申请号 JP2003573008 申请日 2003-03-04 公开(公告)号 JP2006508325A 公开(公告)日 2006-03-09
申请人 ウォル,ドミニク; シュタイナー,ウルリッヒ; ユニヴァーシタット コンスタンツ; 发明人 ウォル,ドミニク; ウォルバート,ステファン; シュタイナー,ウルリッヒ;
摘要 本発明は、分子を、三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べてエネルギー的に高い化合物と 接触 させ、さらに電磁放射線に暴露する、電磁放射線の作用による分子からの不安定な官能基の切断方法を提供するものである。 さらに、本発明は、下記段階:a)固体 基板 上に配置されるヌクレオシドのおよび/またはヌクレオチドの保護されていない末端3'または5'のヒドロキシル基を、一般的な条件下で、光に不安定な保護基と反応させ、さらに、必要であれば、反応産物を精製する段階;b)段階a)で修飾されたヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む担体の表面に、三重項状態が光に不安定な保護基の三重項状態に比べてエネルギー的に高い化合物の溶液、懸濁液または分散液を塗布する段階;c)空間を選択するような方法で、段階b)で処理された担体の表面にUV/VIS範囲の電磁放射線を照射し、これと同時に反応性OH基を空間を選択して放出し、さらにこれを、5'または3'OH基を有し、さらに光に不安定な官能基を有するヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドと反応させる段階を有する、固体基板上に空間がアドレスされ、光で制御されたヌクレオチド合成によってDNAチップを調製する方法を提供する。 さらに、本発明は、不安定な官能基を有する分子を含む化学組成物、さらには三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べて高い化合物を提供し、DNAチップの調製を目的とする当該化学組成物の使用を記載する。
权利要求
  • 下記段階:
    a)三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは不安定な官能基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する適当な化合物を選択する段階;
    b)該化合物を該不安定な官能基を有する分子と接触させる段階;
    c)電磁放射線に暴露する段階、この際、段階b)及びc)の配列は任意である、
    を有する、電磁放射線の作用による分子からの不安定な官能基の切断方法。
  • 段階b)は、段階c)の前に行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  • 段階c)は、段階b)の前に行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  • 段階c)及び段階b)は、同時に行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  • 電磁放射線は、UV/VIS放射線の波長領域の放射線であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  • 不安定な基は、光に不安定であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  • 光に不安定な基は、電磁放射線波長で安定であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  • 化合物の一重項状態が不安定な官能基の一重項状態とエネルギー的に同じかそれより低いことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 化合物の三重項−一重項のエネルギーギャップが不安定な官能基の三重項−一重項のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  • 化合物の電磁放射線の最長波長吸収バンドの吸収が280nm超の波長で起こることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • 空間アドレス(spatially addressed)分子ライブラリーを調製することを目的とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法の使用。
  • 下記段階:
    a)固体基板上に位置するヌクレオシドのおよび/またはヌクレオチドのまたは核酸類似体の保護されていない末端3'または5'のヒドロキシル基または相当するペプチドの末端アミノ若しくはカルボキシル基を、一般的な条件下で、光に不安定な保護基と反応させる、または−OH基、置換された若しくは非置換のアミノまたはカルボキシル基を、光に不安定な保護基を有する構造単位と反応させ、さらに、必要であれば、反応産物を精製する段階、
    b)段階a)で修飾されたヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドおよび/または相当するように修飾されたペプチド若しくはタンパク質を含む担体の表面上に、三重項状態が光に不安定な保護基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは光に不安定な保護基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する化合物を塗布する段階、
    c)空間を選択するような方法で、段階b)で処理された担体の表面にUV/VIS範囲の電磁放射線を照射する段階、
    d)ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドと反応させる段階、この際、遊離している5'または3'OH基を、光に不安定な基および/またはアミノ基が若しくはカルボキシル基が光に不安定な基で保護される相当するペプチドを用いて保護する、
    e)必要であれば、段階b)〜d)を繰り返す段階を有する、固体基板上に生体分子の個々の構造単位から、空間がアドレスされ(spatially addressed)、光で制御された合成によって、生体分子を含む分子ライブラリーを調製する、特にDNAチップを調製する方法。
  • 化合物の一重項状態が光に不安定な保護基の一重項状態とエネルギー的に同じかそれより低いことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  • 化合物の三重項−一重項のエネルギーギャップが光に不安定な保護基の三重項−一重項のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  • 化合物の電磁放射線の最長波長吸収バンドの吸収が280nm超の波長で起こることを特徴とする、請求項12または14に記載の方法。
  • 不安定な官能基を有する分子、さらには三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは不安定な官能基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する化合物を含む、化学組成物。
  • 不安定な官能基は、光に不安定な基であることを特徴とする、請求項16に記載の化学組成物。
  • 化合物の一重項状態が光に不安定な基の一重項状態とエネルギー的に同じかそれより低いことを特徴とする、請求項17に記載の化学組成物。
  • 化合物の三重項−一重項のエネルギーギャップが光に不安定な基の三重項−一重項のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする、請求項18に記載の化学組成物。
  • 光に不安定な基が、NPPOC、MeNPOC、NPES−NPPS MeNPPOC、PhNPPOC、DMBOC及びこれらの置換された誘導体、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロアリール)エトキシカルボニルまたは−チオカルボニル化合物、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−ニトロベンジル−、2−ニトロベンジルオキシカルボニルまたは−チオカルボニル化合物、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロヘテロシクロアリール)エトキシカルボニル、または−チオカルボニル化合物、ならびに置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロヘテロシクロアルキル)エトキシカルボニル/チオカルボニル化合物、置換された及び非置換の2−ニトロ−N−メチルアニリンカルボニル−または−チオカルボニル誘導体からなる群より選択されることを特徴とする、請求項16または18に記載の化学組成物。
  • 化合物が、下記構造モチーフ:
    ただし、Yは、O、S、N、SeまたはTeであり、nは、1または2であり、Cは、芳香族、複素環式芳香族または縮合した芳香族若しくは複素環式芳香族システムの一部であり、nが2である場合には、芳香族、複素環式芳香族または縮合した芳香族若しくは複素環式芳香族システムは同一であってもまたは異なるものであってもよい、
    を有することを特徴とする、請求項16または19に記載の化学組成物。
  • DNAチップの製造を目的とした請求項16〜21のいずれか1項に記載の化学組成物の使用。
  • 請求項16〜21のいずれか1項に記載の化学組成物を含むキット。
  • 一の空間単位において、請求項1〜10および/または12〜15のいずれか1項に記載の方法を行なうことを目的とする試薬および/または添加剤および/または溶剤および/または操作指示書の一部またはすべてを含むキット。
  • オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、または核酸チップまたはペプチドチップを調製することを目的とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法および/または請求項23および/または24に記載のキットの使用。
  • 空間アドレス分子ライブラリーを調製することを目的とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法の使用。
  • 空間アドレス分子ライブラリーを調製することを目的とする請求項23および/または24に記載のキットの使用。
  • 说明书全文

    本発明は、電磁放射線の作用による分子からの不安定な官能基の切断方法に、さらには固体基板上に空間がアドレスされ(spatially addressed)、光で制御されたヌクレオチド合成によってDNAチップを調製する方法に、さらには化学組成物に、さらにはDNAチップの調製における当該化学組成物の使用に関するものである。

    分子から容易に官能基を切断できることは、化学及び生物学の多くの分野において、例えば、ポリマー、天然物等の合成においてなど、より大きな化学単位の構築において、重要な役割を果たす。 このようなことを行なう際には、特に、望ましくない副反応によって2分子のそれぞれ意図された連結に影響を与えるあるいはこのような連結を妨害する反応基を、望ましい連結反応に参加するのを防止するために、化学的または物理的に切断可能な官能保護基によって選択的に一時的に「マスクする」または保護する。

    溶液中に提供される生体分子の、基板に固定化された、結合パートナーの大きなコンビナトリアルライブラリーの使用は、同じまたは異なる構造クラスの生体分子間の分子の認識を比較研究するのに非常に好ましい。

    当業者にとっては、「生体分子」ということばは、核酸及びそれらの誘導体、タンパク質、ペプチド及び炭化物のクラスの化合物を意味する。

    相互の分子の認識のこの原則は、特に、ヌクレオシド単位および/またはオリゴヌクレオチド単位からポリヌクレオチドを選択的に構築する際に適用される。 ここで、ポリヌクレオチドの選択的な構築は、DNAチップ上に高密度のポリヌクレオチドが配列されるDNAチップ(「高密度DNA−チップ」)を調製する際に非常に重要である。

    DNAチップ、即ち、ハイブリッド形成による分子の認識を目的とするスーパー−マルチプレックスプローブ(super-multiplex probe)として機能する固定化DNAまたは任意に選択されたオリゴヌクレオチドのガラスまたはポリマー基板上の分野のマイクロアレイ(SPA Fodor, Science 277 (1997) 393, DNA Sequencing Massively Parallel Genomics)は、例えば、医薬において及び薬剤の調査において長い間使用されてきた。

    当該分野において、DNAチップは、繰り返しになるが、遺伝子分析及び診断において重要な役割を果たす。 このようなDNAチップを調製する最も広範に普及している技術は、光に不安定な保護基、即ち、保護された官能基がさらなる反応に再度利用できるように、ほとんどの場合、特定波長のUV光の作用下で再度選択的に切断できるヌクレオシドまたはヌクレオチド単位の反応官能性に対する保護基を用いた、いわゆる、固体基板上で空間がアドレスされ(spatially addressed)、平行な、光で制御されたオリゴヌクレオチド合成である(例えば、SPA Fodor et al, Nature 364 (1993) 555, Multiplexed Biochemical Arrays with Biological chipsを参照)。

    この場合、前記、いわゆるフォトリソグラフィー技術は、当該DNAチップを調製するのに役立つ。 これを目的として、基板上に所望のオリゴヌクレオチド鎖を合成により構築することは、例えば、光に暴露すると、それぞれの次のヌクレオチドの連結部位を放出する、適当な不安定な保護基によって制御される。 これらの保護基は、従来、好ましくは、光に不安定であった。 これらの光に不安定な保護基に補助されて、コンビナトリアルストラテジーは、空間選択的に光に暴露することによって開発でき、当該ストラテジーによって、合成サイクルの数に対して指数関数的に数が増加するオリゴヌクレオチドの非常に密な、空間アドレス可能な(spatially addressable)マイクロアレイを得ることができる(「スプリット及びプール(split and pool)」)。 50(μm )未満の各エレメントの一般的に利用できる表面積では、10 個を超えるプローブ場(probe field)が理論的には1(cm )に配置される。 露光は、従来、デジタルプロジェクション技術(digital projection technology)に使用されるのと同様にして、マイクロミラーアレイ(micromirror array)に補助されて行なわれてきた(S. Singh-Gasson, et al, Nature Biotechn. 17 (1999) 974, Maskless Fabrication of Light Directed Oligonucleotide Microarrays using a Digital Micromirror Array)。 これは、暴露マスクの時間及びコストのかかる調製を節約し、これにより、当該フォトリソグラフィー技術を用いてより迅速にDNAチップを調製することができる。

    一般的に使用される光に不安定な保護基では、このように合成されるDNAチップの誤り率の点で満足できる結果が得られない(DJ Lockheart and EA Winseler, Nature 405 (2000) 827, Genomics, Gene expression and DNA arrays)。 保護基の切断が十分完全に行なわれない;さらに、望ましくない反応産物による副反応の妨害が生じて、DNAチップ上の多数のオリゴヌクレオチドが使用できない。

    フォトリソグラフィー合成の主要なポイントは、有機化学及び生物有機化学において多くの化学変異体に使用できる、光に不安定な保護基の使用にある(VNR Pillay, Photolithic Deprotection and Activation of Functional Groups; in: Organic Photochemistry, Vol.9 ed. A. Padwa (Marcel Dekker, New York and Basel, 1987), page 225 et seq.)。 最も一般的な保護基は、2−ニトロベンジル基に基づく光に不安定な保護基である(JET Correy and ER Trenton, Caged Nucleotides and Neurotransferters; in: Biological Applications of Photochemical Switches, in: Bioorganic Photochemistry Series, Vol.2 ed Harry Morrison (Wiley Interscience, 1993), page 243 et seq.)。

    DNAチップの調製にあたって、例えば3'末端から5'末端へのあるいは5'末端から3'末端へのオリゴヌクレオチドの構築において末端の5'−OH基を保護する場合には、2−ニトロベンジルタイプの保護基の中で好ましい保護基は、従来では、とりわけ、DNAチップの調製において長い間標準的な保護基であったMeNPOC(α−メチル−ニトロピペロニルオキシカルボニル)保護基であった(SPA Fodor, et al, Science 251 (1991), 767, Light Directed, Spatially Adressible Parallel Chemical Synthesis)。

    このようなタイプの保護基の欠点としては、照射時に、非常に反応性のある脱離基を表わす芳香族ニトロソケトンが形成することがある。 これによって、得られたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのヌクレオチド構造にしばしば誤りを生じさせる望ましくない反応が結果として起こる。

    近年ではまた、選択的なポリヌクレオチド合成において、保護基としてDMBOC基(3',5'−ジメトキシベンゾイニルオキシカルボニル)の使用がなされている(MC Pirrung et al, J. Org. Chem. 63 (1998), 241, Proofing of Photolithographic DNA synthesis with 3',5'-Dimethoxybenzoinyloxycarbonyl-protected Deoxynucleosidephosphoramidites)。 DMBOC保護基を切断すると、例えば、光反応の進行の指標として使用される強烈な蛍光を有するベンゾフラン誘導体が生成する。

    現在知られている光に不安定な保護基は双方とも、定量的に反応させるために、水銀ランプの365nmラインで一般的な照射強度下で数分間の照射時間を必要とする。

    さらに、2−(2−ニトロフェニル)−エトキシカルボニル化合物は、DNAチップの調製で知られているが、この際、保護基は、2−ニトロスチレン誘導体として切断される(ドイツ特許第44 44 996号及び第196 20 170号、ならびに米国特許第5,763,599号)。 また、これらの化合物は、一般的に幾分反応性の低い2−ニトロスチレンの切断による副反応を妨害するという点で前記化合物に比べて誤りは幾分生じにくい。

    したがって、不安定な基の切断が切断反応の反応時間の点でかなり減少され、切断反応をその収率面で最適化できる方法を見つけることが、本発明の目的である。 さらなる目的は、不安定な保護基の切断中の望ましくない副反応の危険性を抑制することである。

    本発明の上記目的は、本発明による、分子からの不安定な官能基の切断方法が、下記段階:
    a)三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは不安定な官能基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する適当な化合物を選択する段階;
    b)該化合物を該不安定な官能基を有する分子と接触させる段階;
    c)電磁放射線に暴露する段階、この際、段階b)及びc)の配列は任意である、
    を有するという点で達成される。

    本発明による方法によって、本発明による所定の化合物の三重項状態の励起が達成でき、さらに所定の化合物(「増感剤」とも称する)によってこのようにして吸収される電磁放射線を三重項−三重項遷移により不安定な官能基に転移することができ、不安定な官能基はさらに効率よくかつ迅速に切断されてもよい。

    この知見は、増感剤の励起中に本発明による方法で生じるラジカルと一緒に運ばれると不安定である、ポリマー、より詳細には、核酸、ペプチド、炭水化物などのバイオポリマーの合成において、特に驚くべきことである。 励起状態の増感剤は、ラジカルである。 多くのポリマー、特にバイオポリマーがラジカルと反応するまたはラジカルと接触すると不安定になることは、当該分野において既知である。 特に核酸は、塩基の位置でのラジカル置換によりまたは小さい断片中の糖位置で核酸を切断することによってラジカルと反応するであろう。 核酸の切断によって、核酸の塩基のラジカル置換の反応生成物である遊離核酸塩基(アデニン、シトシン、グアニン及びチミン)が生じる。 核酸の切断によって、多様な異なる核酸断片が生じるので、所望のバイオポリマーは得られない。 (例えば、GH McGall et al, "New Insight into the Mechanism of Base Propenal Formation during Bleomycin-Mediated DNA Degradation", J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 4958-4967 及び PE Nielsen et al, "DNA Binding and Photocleavage by Uranyl(VI) (UO 2 2+ ) Salts", J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 4967-4975を参照)。

    同様の反応が、例えば、オリゴペプチド、タンパク質及び糖(炭水化物)などの他のバイオポリマーから知られている。

    したがって、本発明による方法は、形成中にあるいは後に破壊されている、上記ポリマー、特にバイオポリマーは、ラジカル増感剤を使用することによって本発明の方法に従って合成でき、これにより従来の長きにわたる不利益は解消されるという驚くべき知見を提供するものである。

    本明細書中で使用される、「非常に類似する三重項状態」ということばは、「非常に類似する」が、nが8、好ましくはnが4である、本発明による化合物の三重項状態の約2.5kJの値のオーダーを有する平均熱エネルギーRTのマルチプルn(multiple n)である三重項状態付近のエネルギー範囲を有することを意味する。

    光に不安定な基の公知の反応に加えて、三重項−三重項エネルギー移動による増感もまた使用されるので、段階b)〜c)の配列により、放射線エネルギーが特に良好に使用できる。

    接触は、当業者に基本的に既知の方法によって行なわれる。 双方の化合物、即ち、不安定な官能基を有する分子及び本発明による化合物(以降、「増感剤または増感剤化合物」とも称する)が、同じ段階で存在することが好ましい。

    官能保護基の及び相当する増感剤化合物の選択によって、電磁放射線に関する個々の吸収極大が決定される。 またこれによって、電磁波長スペクトルからの電磁放射線の相当する波長を故意に選択できる。

    しかしながら、増感剤化合物のみが当該電磁放射線によって、即ち、本発明による方法の段階c)〜b)の配列で、活性化される切断もまた好ましい。 次に、増感剤化合物は、三重項エネルギーを非常に効率よく官能保護基に移動する。 これによって、好ましく、分子は、官能保護基を有するように提供され、さらに、例えば、切断を始める所定の波長を有する電磁放射線によって切断される、このような反応にはどちらかといえば適さないような切断反応に供される。 これは、適当な増感剤化合物を選択し、さらに分子は切断せずに、次にエネルギーを、三重項−三重項遷移によって、増感分子に移動させる増感剤化合物を活性化させるのみである非臨界(uncritical)波長でこの増感剤化合物に照射することによって行なわれ、これにより官能基をそれにもかかわらず切断できる。 例えば、増感剤化合物を、レーザーまたはX線等の他の高エネルギー放射線、電子ビーム若しくはα若しくはγ線などの粒子線で予め照射することによって活性化してもよい。

    また、段階b)及びc)を同時に行なうこともまた、さらなる好ましい実施態様である。

    好ましくは、本発明による方法が、特にDNAチップの既知の調製方法に容易に使用できるように、不安定な基は光に不安定である。 電磁放射線は、好ましくは、UV/VIS放射線の波長範囲(210〜450nm)内である。 これにより、本発明による方法は公知の水銀燈を用いたDNAチップの調製に好ましく使用できる。

    特に好ましくは、化合物の一重項状態は、不安定な官能基の一重項状態とエネルギー的に同じかそれより低い。 これらの条件下では、波長、及びゆえに入射光のエネルギーは、特定範囲内で、即ち、電磁スペクトルのいわゆる「窓(window)」にシフトし、この際、特にDNAチップの調製において、予想される副反応は最小限にできる。

    特に好ましくは、化合物の三重項−一重項のエネルギーギャップが不安定な官能基の三重項−一重項のエネルギーギャップより小さい。 化合物は、最大可能値である1付近の高い三重項形成量子効率φ を依然として有することが好ましい。

    本発明の目的は、さらに、下記段階:
    a)光に不安定な保護基を用いて、当業者に知られている一般的な条件下で、固体基板上に配置されるヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドまたは核酸類似体の保護されていない末端3'または5'のヒドロキシル基または適当なペプチドの−COOH若しくはアミノ基を反応させる、または−OH、−COOH、−NHR基(この際、Rは、H、アルキル、アリール、アラルキルである)を光に不安定な保護基を有する単位と反応させ、さらに、必要であれば、反応産物を精製する段階、
    b)担体の表面に、三重項状態が光に不安定な保護基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは光に不安定な保護基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する化合物を塗布する段階、この際、該表面は、段階a)で修飾されたヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドまたは核酸類似体またはペプチドまたはペプチド擬似体を含むものである、
    c)空間を選択するような方法で、段階b)で処理された担体の表面にUV/VIS範囲の電磁放射線を照射する段階、
    d)ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドと反応させる段階、この際、遊離する5'または3'OH基を光に不安定な基を用いて、または相当する適当なペプチドを用いてまたは適当なアミノ酸を用いて保護する、
    e)必要であれば、段階b)〜d)を繰り返す段階を有する、固体基板上に、空間がアドレスされ(spatially addressed)、光で制御された合成によって、生体分子を含む分子ライブラリーを調製する、特にDNAチップ及びペプチドチップならびにそれらの類似及び擬似形態を調製する方法によって達成される。

    化合物は、ナイフコーティング、アトマイジング、スプレー、滴下などの、一般的な方法によって塗布される。 この際、化合物は、純粋な状態で、溶液で、懸濁液としてまたは分散液として添加されてもよい。

    増感剤によって吸収された光は不安定な保護基への三重項エネルギーの移動により切断反応に非常に効果的な影響を与えるので、これによって、電磁放射線の全体的な吸収が向上する。 したがって、所定の放射線強度では、切断は増感剤の存在下ではより早く起こる。

    いうまでもなく、本方法は、ポリペプチドの合成に、さらには炭水化物等の他の分子や他のバイオポリマーの合成に関しても同様にして好ましい。

    さらに、本発明の他の目的は、不安定な官能基を有する分子、さらには三重項状態が不安定な官能基の三重項状態に比べてエネルギー的に高いまたは不安定な官能基の三重項状態とエネルギー的に非常に類似する化合物を含む化学組成物を提供することによって達成される。

    三重項状態の一方が他方の三重項状態より高いまたは非常に類似する、異なる三重項状態を有する2つの異なる化合物の組み合わせにより、一方の化合物からの不安定な官能基への三重項励起エネルギーの移動の損失がほとんどなく、不安定な官能基は、当該エネルギーを獲得して、さらにそれ自身が電磁放射線によって励起されることなく、より容易に切断される。

    利用できる波長のまたは放射線波の可能性をより容易に提供できるため、官能基は光に不安定な基であることが好ましい。 しかしながら、他の電磁放射線、例えば、赤外線、または波長がより長い若しくはより短い放射線を照射できるすべての他の基を使用してもよい。

    不安定な基、特に光に不安定な基は、好ましくは、NPPOC、MeNPOC、MeNPPOC、PhNPPOC、DMBOC、NPES、NPPS及びこれらの置換された誘導体、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロアリール)エトキシカルボニルまたは−チオカルボニル化合物、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−ニトロベンジル−、2−ニトロベンジルオキシカルボニル−またはチオカルボニル化合物、置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロヘテロシクロアリール)エトキシカルボニル、または−チオカルボニル化合物、ならびに置換された及び非置換の、縮合した及び縮合していない2−(ニトロヘテロシクロアルキル)エトキシカルボニル/チオカルボニル化合物、置換された及び非置換の2−ニトロ−N−メチルアニリンカルボニル−または−チオカルボニル誘導体からなる群より選択される。

    前記略称は、本明細書においては下記意味を有する:

    ヌクレオシド塩基であるグアニン、チミン、シトシン及びアデノシンは、それぞれの一般的な略称であるG、T、C及びAで表わされる。

    化合物は、好ましくは下記構造モチーフ(structural motive):

    ただし、Yは、O、S、N、SeまたはTeであり、nは、1または2であり、Cは、芳香族、複素環式芳香族または縮合した芳香族若しくは複素環式芳香族システムの一部であり、nが2である場合には、芳香族、複素環式芳香族または縮合した芳香族若しくは複素環式芳香族システムは同一であってもまたは異なるものであってもよい、
    を有する。

    特に、共役π−システムまたは共役二重結合の存在が好ましい。

    特に好ましくは、ベンゾフェノン、キサントン及び、例えば、チオキサンテン−9−オン(チオキサントン)、アルキルチオキサンテン−9−オン、例えば、イソプロピルチオキサンテン−9−オン、2−エチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロ−チオキサンテン−9−オン、1,4−ジメトキシチオキサンテン−9−オンなどのチオキサントン誘導体が使用される。

    本発明による構造モチーフによって、0.6マイクロ秒(μs)を超える、特に1マイクロ秒(μs)を超える長い三重項寿命を有する、三重項状態中に効率よくシステム間架橋できる。 さらに、化合物が、ほとんどの部分で、三重項状態で化学的に安定であるため、化合物が三重項状態で非常に反応性がないという効果がある。

    いうまでもなく、本発明による化合物は、単独でのみでなく、励起されたまたは励起されないダイマー、オリゴマー、マルチマー、会合体(associate)として、周期表の元素、好ましくは金属または半金属を有する化合物との複合体として使用されてもよい。 いうまでもなく、本発明の範囲を逸脱しない限り、本発明による2以上の異なる化合物を使用してもよい。

    使用される溶剤に対して、0.001〜5重量%、特に好ましくは0.005〜0.05重量%の本発明による化合物を含む溶液を使用することが好ましい。

    多くの場合では、本発明による化合物(増感剤)の量が5重量%を超えると、望ましくない化学反応が起こる。 一の反応としては、励起された増感剤と励起されていない増感剤分子間の反応がある。 増感剤は、励起状態のラジカルである。 特に縮合した芳香族システムを有する増感剤を使用する場合には、増感剤ラジカルは、励起していない増感剤分子と相互作用して、Hの引き抜きが、およびさらには二量化、オリゴマー化、重合などが起こる。

    他の反応としては、特に、オリゴヌクレオチド及びDNA配列の合成中に、励起した増感剤と官能基を有する分子との反応があることがしばしばであり、これらを切断する場合がある。 したがって、低濃度がほとんどの場合において好ましい。 適当な濃度の正確な選択は、当業者自身に既知の数種の従来の実験を用いて当業者によって容易に決定される。

    本発明による化学組成物は、増感剤化合物の及び光に不安定な保護基の三重項状態間のエネルギーを容易に移動させることができ、これにより光化学切断反応が特に迅速にかつ完全に開始できるので、DNAチップを調製するのに好ましく使用される。

    本発明によると、「ヌクレオチド」ということばは、3'−5'及び5'−3'リン酸エステル結合双方を介して相互に連結する2〜10ヌクレオシドを有するポリヌクレオチドを意味する。 しかしながら、本発明によるヌクレオチドはまた10超のヌクレオシド単位から構成されるポリヌクレオチドをも包含する。

    本発明による方法は、DNA−及びRNAヌクレオチド合成に適さない。 いうまでもなく、PNA、LNAまたはDNA、RNA若しくは核酸類似体とのこれらのキメラ形態などの、核酸類似体からのポリヌクレオチドの合成もまた可能である。 さらに、ポリペプチドをこれにより調製してもよい。

    本発明による方法は、自動化された方法を行なうのに特に適している。 このような自動化方法としては、ヌクレオチドライブラリーを調製するための平行合成(parallel synthesis)が好ましい例示である。 この際、使用される化合物または不安定な保護基は、選択的または任意に選択されてもよい。

    さらなる実施態様においては、本発明は、一の空間単位(spatial unit)において本発明による方法を行なうための試薬および/または添加剤および/または溶剤および/または操作指示書の一部またはすべてを含むキットを包含するものである。 当該キットは、好ましくは遊離5'−ヒドロキシル官能基及び保護された3'−ヒドロキシル官能基、または遊離3'−ヒドロキシル官能基及び保護された5'−ヒドロキシル官能基を有する、少なくとも一以上の所定のヌクレオチドを含む。 さらなる実施態様においては、当該キットは、保護されたアミノ基及び遊離カルボキシル基、またはその逆を有する相当するペプチドおよび/またはアミノ酸誘導体を含む。

    別のさらなる実施態様においては、本発明は、オリゴヌクレオチドまたは核酸チップを調製することを目的とする、好ましくはオリゴヌクレオチドまたは核酸チップを自動的に製造することを目的とする本発明による方法および/または前記キットの使用を包含する。

    本発明のさらなる利点及び実施態様は、説明から及び添付図面から明らかである。

    上記態様、及び以下で説明される態様は、本発明の範囲を逸脱しない限り、各特定の実施態様でのみでなく、他の組み合わせまたは単独でも使用できると解される。

    本発明を、ここで、図面及び本発明を制限するものではない幾つかの実施例を参照しながら説明する。

    図1は、本発明による方法における切断反応の反応速度を示すものである。

    図2は、溶液中での5'−5PhNPPOC−Tの照射時の溶剤の影響を示すものである。

    図3は、溶液中での5'−NPPOC−Tの照射時の異なる増感剤の影響を示すものである。

    図4は、溶液中での5'−NPPOCTの照射時の増感剤の濃度の影響を示すものである。

    図1において、横座標は、分での照射時間(t /分)(縦座標)の関数としてプロットされた、HPLCで測定される際の、保護基と共に提供される化合物の相対的な濃度を示すものである。 グラフ1は、366nm及び4.98×10 −3 W/cm −2の強度での化合物T07(2−(5−ヨード−2−ニトロフェニル)プロピルチミジン−5'−イル−カーボネート)(0.096mM)の照射を表わす。 グラフ2は、アンモニア−飽和アセトニトリル中で増感剤としてのチオキサントン(0.113mM)の存在下で同波長及び6.39×10 −3 W/cm −2の強度での化合物T02(2−(2−クロロ−6−ニトロフェニル)エチルチミジン−5'−イル−カーボネート)(0.091mM)の照射を表わす。 実験2の場合では光度が25%高いだけであるが、反応速度は6倍高い。

    図2は、5'−5PhNPPOC−Tの照射を行なう際の溶剤の影響を示すものである。 グラフは、反応時間(秒)に対する初期出発化合物(抽出物)のパーセントを示すものである。 図2から分かるように、5'−5PhNPPOC−Tの保護基の切断速度は、50%水を含むジオキサン>DMSO>ジオキサン>5%水を含むメタノール>5%水を含むアセトニトリル>純粋なメタノールの順で減少する。 反応速度は、ジオキサンと50%水との混合物で最大値に達する。 その結果、強な極性溶剤が最良の結果を生じる。

    図3及び4は、化学的性質に関する(図3)およびその濃度に関する(図4)増感剤の影響を示すものである。

    図3は、時間に対する出発化合物のパーセントの減少の関数としての脱保護反応(保護基の切断)速度を示すものである。 図3から分かるように、チオキサンテン−9−オンのイソプロピル誘導体で、反応速度に関して最良の結果が得られる。 反応速度の順は下記のとおりである:
    イソプロピルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサンテン−9−オン、2−エチルチオキサンテン−9−オン、チオキサンテン−9−オン及び1,4−ジメトキシチオキサンテン−9−オンが一緒、さらには2−(トリフルオロメチル)チオキサンテン−9−オン。 トリフルオロメチル誘導体では、増感剤を存在させない照射時の反応より遅い反応が起こることは留意すべきである。

    図4は、溶液中での5'−NPPOCTを照射する際の反応速度への増感剤の濃度の影響を示すものである。

    濃度は、5'−NPPOCTに対する増感剤の当量で示す。 図3から分かるように、1当量の増感剤の存在下での反応速度は、10当量の増感剤の存在下での反応速度と同等であるが、増感剤の存在させない及び100当量の増感剤の存在下での反応と比較するとより大きい。 これは、かなり過剰の増感剤があると、切断(脱保護)反応の反応速度が非常に減少することを意味する。

    本発明による不安定な反応基、即ち、いわゆる「保護基」の選択を表1に示すが、これに限定されるものではない。 これらの化合物は当業者に既知の合成によって調製された。

    表1の化合物の一般的な名称は下記のとおりである:

    表2において、光によって誘導される切断反応の速度は、それらの半減期速度(half lifetime rate)t によって特徴付けられ、表1の幾つかの化合物の光化学量子収量Φが決定された:
    量子収量の比較から、量子収量は、塩素誘導体(T05)から臭素誘導体(T06)までは増加傾向にあるが、臭素誘導体(T06)からヨウ素誘導体(T07)まではさらには増加しないことが示される。 第一の考察としては、スピン軌道カップリング効果が考えられる。 当該スピン軌道カップリングは、元素の原子番号に従って増加し、分子内の三重項形成効率を高める。 これは、三重項状態は寿命がより長いので、光反応に好ましい効果を奏する。 ヨウ素誘導体(T07)までの変移では量子収量がさらに増加しない理由としては、ほとんど完全な三重項の形成が臭素誘導体(T06)ですでに達成されており、スピン軌道カップリングの増加によってさらに増加できないことがある。 にもかかわらず、ヨウ素化合物(T07)は光に対する感受性がより高く、これは半減期が臭素誘導体(T06)に比べてさらに短かくなることから明らかである。 この効果は、放射線の所定の波長での吸収係数εの増加による可能性がある。 全体的な光感受性は、光吸収能及びそれぞれの吸収光子が積を形成する効率の積によって決定される。 したがって、光化学量子収量Φ及び吸収係数εの積Φ×εは、光感受性の特徴のある値となる。 量子収量は1の値を超えて増加できないので、光感受性を向上する最も高い可能性は、光吸収能の増加にある。 同時に光に不安定な保護基の化学構造を変化させた場合に吸収係数を高める電子効果によっても、光反応性およびゆえに光化学的量子収量を下げる。 しかしながら、本発明によると、化合物によって吸収される光のエネルギーを光に不安定な保護基に移動できる化合物を用いることによって光反応性を減じることなく、有効な吸収係数を増加できる。 この場合、上述したように、三重項状態はより長い寿命を有し、これにより所望の切断反応により高い可能性で入ることができるため、三重項状態へのエネルギーの移動が好ましい。

    本発明による方法を実施するのに適する本発明による化合物は、下記特徴を有することを見出した。 ただし、本発明は下記特徴に制限されるものではない。

    本発明による化合物は、好ましくは、不安定な保護基自身より長い波長で吸収する、即ち、その一重項状態(S )は保護基の一重項状態(S )より低い。

    さらに、当該化合物は、最長の波長吸収バンドで可能な限り高い吸収係数を有する。

    当該化合物の三重項状態は、不安定な保護基の三重項状態を超えるものであり、最大でも後者にエネルギー的に類似する。 ゆえに、増感剤の一重項−三重項エネルギーギャップは、不安定な保護基のものより小さいことが好ましい。 不安定な保護基中のニトロフェニル発色団を用いると、このエネルギーギャップは、通常、約130kJ/molで起こり、これにより本発明による多数の増感剤が使用できる。

    化合物はさらに、増感作用効率の因子として直線的に入る、高い三重項形成量子収量Φ を有する。

    さらに、化合物は、非常に効果的なエネルギー移動を保証するために、可能な限り長い三重項の半減期を有する。 T の好ましいエネルギー状況での定量的な分子内エネルギー移動のためには、0.6μsを超える半減期で十分であり、1μsを超える半減期が特に好ましいことが見出された。

    不安定な官能基の切断時の本発明の前記方法の一による化学反応の量子収量Φは、本発明の特に好ましい実施態様に従うと、0.5を超える。

    本発明によるこのような化合物の例を、下記表3に列挙する:

    一重項及び三重項状態のエネルギー(E)は、kJ/molで示す。 吸収係数εは、各波長でのM −1 ×cm −1として示す。 nは、非極性溶剤を意味し、pは、極性溶剤を意味し、bは、ベンゼン様溶剤である。

    τは、三重項状態の半減期をμsで示すものである。

    本発明によるさらなる化合物としては、以下に制限されないが、N−メチルアクリドン、2-エチルチオキサントン、2−アニリノ−ナフトール、ナフタレン−[1,2−c][1,2,5]−チアジアゾール、ベンゾ−[b]−フルオレン、5,7−ジメトキシ−3−チオニル−クマリン、1,2−シクロヘプタンジオン、3−アセチル−6−ブロモ−クマリン、2−ブロモ−9−アクリジノン、4,4'−ジベンジルビフェニル、2,6−ジチオカフェイン、1,4−ジブロモナフタレン、ジベンゾ−[fg,op]−ナフタレン、10−フェニル−9−アクリジノン、2−メチル−5−ニトロ−イミダゾール−1−エタノール、1−(2−ナフトイル)−アジリジン、9−(2−ナフトイル)−カルバゾール、4,6'−ジアミノ−2−フェニル−ベンゾオキサゾール、p−チオフェニル、3−アセチル−フェナントレン、ジナフト−[1,2−b:2',1'−]−チオフェン、(E)−ピペリレン、β−メチル−(E)−スチレン、2−フェニル−ベンゾチアゾール、キノキサリン、9,9'−ビフェナントリル、ナフト−[1,2−c][1,2,5]−オキサビアゾール(naphto-[1,2-c][1,2,5]-oxabiazole)、ファノチアジン、2−エトキシ−ナフタレン、9−フェニル−9−スチバフルオレン、9,10−アントラキノン、4,4'−ジクロロジフェニルが挙げられる。

    さらなる化合物は、例えば、SL Murov, I. Carmichael and GL Hug, Handbook of PhotoChemistry, Marcel Dekker, Inc., New York 1993による本から明らかであり、これは、参考によって本明細書中に十分引用される。

    実験条件:
    前記でおよび以降で使用される、「当業者に既知の公知の条件」ということばは、例えば、US−5,763,599に及びDE 4,444,956に記載される。

    UV−VIS−吸収測定は、UV Winlabソフトウェア下で操作してUV-VIS spectrometer Lambda 18(Perkin-Elmer)を用いて行ない、蛍光測定は、FL Winlabソフトウェア下で操作してルミネセンス分光計(luminescence spectrometer)LS 50(Perkin-Elmer)を用いて行なった。

    放射線装置は、高圧水銀ランプ(200W)、熱フィルター(光路長:5cm、0.3M CuSO 水溶液で満たす)、集光レンズ(collecting lens)、電子制御シャッター、366nm干渉フィルター(Schott)及び露光セル用の温度制御セルホルダー(Hellma QS, 1cm)から構成される。

    HPLC試験は、Merck-Hitachi装置を用いて行なわれた。 当該装置は、L−7100ポンプ、L−7200オートサンプラー、L−7450A UV−ダイオードアレイ検出器及びL−7000 インターフェイスから構成される。 カラムとしては、Merck LiChrospher 100 RP-18(5μm)を使用した。 コントロールは、CompaqコンピューターでHSMマネージャーを用いて行なった。

    実施例
    実施例1:
    本発明による方法による溶液における分子からの不安定な官能基の切断反応
    チミジン誘導体T02(表2)(0.091mM)及びチオキサントン(0.113mM)の溶液3mlを、ピペットでキュベットに入れ、溶液にアンモニアガスを通すことによって、アンモニアを約15分間流した。 この溶液に、様々な時間、366nmの波長の光を照射した。 吸収スペクトルを、それぞれ、照射前後に測定した。

    次に、この溶液に、約15分間、窒素(アセトニトリルで飽和)を流した。 窒素を流す際に、吸収スペクトルを再度測定し、最後に、溶液をHPLCで成分に分離した。 これらの成分の特性をUV−ダイオードアレイ検出器を用いて明らかにした。

    実施例2:
    本発明による方法を用いたDNAチップの調製
    Nimblegen Systems, Madison, USAのMAS 2.0または3.0でDNAチップ合成の標準的な試験条件で、脱保護反応を行なった。 調製されるDNAチップの設計は、品質管理試験で一般的に使用されるのと同様の標準的なアレイを示した。

    一般的な密度は、数万から数十万オリゴマー/(cm) であり、多くの場合18〜25マーで存在した。 個々の合成スポットのサイズまたは表面積は、35μm×35μmであった。 このスポットは、1平方に配置される4個のマイクロミラーのイメージ(1:1)(Texas Instrument Digital Light Processor)(各ミラーは、16μm×16μmのエッジ長を有する)から構成され、各ミラーは1μm間隔であった。

    使用溶剤、即ち、DMSOに対して、0.01重量%のチオキサントンを増感剤として使用した。 これによって、約0.2〜0.6W/cm の有効ランプ力(lamp power)で7.5W/cm から、増感剤分子を用いずに、3W/cm の値まで保護基を完全に切断するまで、光量が減少した。 ランプ力は、MAS−タイプとは無関係であり、各々の場合で照射中に測定される。

    MAS−タイプ 2.0: 1,000ワット Hgランプ MAS−タイプ 3.0: 200ワット Hgランプ

    上記から、チオキサントンを増感剤として添加することによって、低いランプ力でも切断反応の速度をかなり上昇することができることが明らかである。

    本発明による方法における切断反応の切断速度を示す。

    溶液中での5'−5PhNPPOC−Tの照射時の溶剤の影響を示す。

    溶液中での5'−NPPOC−Tの照射時の異なる増感剤の影響を示す。

    溶液中での5'−NPPOCTの照射時の増感剤の濃度の影響を示す。

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