Macromolecular array in polymeric brush and method for preparing it

申请号 JP2004165163 申请日 2004-06-02 公开(公告)号 JP2004323859A 公开(公告)日 2004-11-18
申请人 Affymetrix Inc; アフィメトリックス インコーポレイテッド; 发明人 MCGALL GLEN;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To give a good or improved performance under various assay conditions to a high-density macromolecular array. SOLUTION: This method is for preparing a polymeric brush substrate to use for a solid state synthesis of a polymer. This method comprises (a) a process for providing a substrate with which one or more free radical initiators are bonded by a covalent bond, wherein each of the free radical initiators has a radical-forming site at a distant position from the substrate, and (b) a process for forming a polymeric brush by bringing the covalent bonded substrate into contact with a monomer under a condition promoting free-radical polymerization from the radical-forming site of the initiator. COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 高分子アレイ合成を支持し得る基材であって、該基材は、フリーラジカル重合によって形成された重合体ブラシを含み、ここで、該重合体ブラシは、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシル基あるいはそれらの組合せを含む、基材。
  • 前記重合体ブラシの密度が、基材の表面積1cm 2あたり0.1〜1000ピコモルの個々の重合鎖である、請求項1に記載の基材。
  • 前記基材上の重合性ブラシに付着した高分子のアレイをさらに含む、請求項1に記載の基材。
  • 前記高分子がポリヌクレオチドを含む、請求項3に記載の基材。
  • 说明书全文

    本願は、米国仮特許出願60/151,862(1999年9月1日出願)および2000年8月31日に出願された米国特許出願(番号未定)に対する優先権の利益を主張する。

    本発明は、重合性ブラシ基材上で調製された高分子アレイおよびそのようなアレイを調製するための方法に関する。 本発明は、重合体化学、生化学、分子生物学、医学および医療診断学のようないくつかの科学分野にまたがる。

    密度の高分子アレイの合成は公知である。 このような高密度高分子アレイとしては、核酸アレイ、ペプチドアレイ、炭化物(糖)アレイが挙げられる。 例えば、米国特許第5,143,854号、同第5,384,261号、同第5,405,783号および同第5,424,186号を参照のこと。

    高分子アレイを調製する1つの方法は、光開裂保護基を用いた、写真平板技術を含む。 手短には、この方法は、光除去可能な基を、基材の表面に付着させる工程、その基材の選択された領域を光に曝露してその領域を活性化する工程、光除去可能な基を有するモノマーをその活性化された領域に付着させる工程、ならびに所望の長さおよび配列の高分子が合成されるまで、活性化および付着の工程を反復する工程を包含する。 米国特許第5,324,663号、同第5,384,261号、同第5,405,783号および同第5,412,087号を参照のこと。

    アレイ合成に適用可能なさらなる方法および技術は、米国特許第5,424,186号、同第5,445,934号、同第5,451,683号、同第5,482,867号、同第5,489,678号、同第5,491,074号、同第5,510,270号、同第5,527,681号、同第5,550,215号、同第5,571,639号、同第5,593,839号、同第5,599,695号、同第5,624,711号、同第5,631,734号、同第5,677,195号、同第5,744,101号、同第5,744,305号、同第5,753,788号、同第5,770,456号、同第5,831,070号および同第5,856,011号に記載されている。

    アレイ合成において使用される伝統的な基材は、平面の二次元表面または三次元の表面(例えば、多孔性マトリクスもしくは架橋重合体ゲル)からなる。 これらの基材は、一般に満足行くものであるが、アレイの密度が高くなるにつれ、アッセイ条件下におけるシグナル対ノイズ比が、密集に起因して減少し、これは、しばしば、性能の減少をもたらす。 この密集および性能の問題は、高密度高分子アレイについてより多くの適用が開発されるにつれ、一層重要になっている。 従って、アッセイ条件下でよいまたは改良された性能を有する高密度高分子アレイに対する必要性が存在する。

    本発明はこの必要性を満たす。

    本発明は、高分子の固相合成に用いるための重合性ブラシ基材を調製する方法を提供する。 この方法は、以下の工程:
    (a)1以上のフリーラジカルイニシエーターが共有結合している基材を提供する工程であって、ここで、各フリーラジカルイニシエーターが、該基材から遠位にラジカル生成部位を有する、工程;および (b)該共有結合した基材を、該イニシエーターのラジカル生成部位からのフリーラジカル重合を促進する条件下で、モノマーと接触させて、重合性ブラシを形成する工程、を包含する。

    好ましい実施態様において、上記工程(b)は、フリーラジカルリビング重合を包含する。 好ましくは、上記基材は、ガラスまたはシリカを含む。 1つの実施態様において上記モノマーはビニル基を含む。 1つの実施態様において、上記モノマーは少なくとも2つの異なるモノマーを含む。 1つの実施態様において、上記モノマーは、独立して以下の構造:

    を有し、ここで、


    1は、水素または低級アルキルであり;そして R

    2およびR

    3は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ポリアルキレンオキシド、または−Y−Zであり、ここで、Yは、直鎖状または分枝状の低級アルキル、アリール、アルキルアリールまたはポリアルキレンオキシドであり、そしてZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ヒドラジノ、スルフヒドリル、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。

    1つの実施態様において、上記支持体上に形成された上記重合性ブラシは、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、またはスルフヒドリル基あるいはそれらの組合せを含む。 1つの実施態様において、上記モノマーは酢酸ビニルを含む。

    1つの局面において、本発明は、固体基材の表面へ官能部位を固定するための方法を提供する。 この方法は、以下の工程:
    (a)1以上のフリーラジカルイニシエーターが共有結合する基材を提供する工程であって、ここで、各フリーラジカルイニシエーターは、この基材に対して遠位にラジカル生成部位を有する、工程;および (b)この基材を、連結モノマーおよび希釈モノマーの混合物と、このイニシエーターのラジカル生成部位からのフリーラジカル重合を促進する条件下で、接触させて、官能部位を含むブラシ重合体を生成する工程であって、ここで、この官能部位の密度は、官能化モノマー対希釈モノマーの比率によって決定される、工程、を包含する。 1つの実施態様において、上記連結モノマーは、ビニル基を含む。 1つの実施態様において、上記連結モノマーは少なくとも2つの異なる連結モノマーを含む。 1つの実施態様において、上記イニシエーターはアゾ型のイニシエーターである。 1つの実施態様において、上記官能部位は、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシルまたはスルフヒドリルからなる群より選択される。 1つの実施態様において、上記連結モノマー対希釈モノマーの比率は、約1:2から約1:200である。 1つの実施態様において、上記連結モノマー対希釈モノマーの比率は、約1:2から約1:2000である。 1つの実施態様において、上記モノマーは、独立して、以下の構造:

    を有し、ここで、


    1は、水素または低級アルキルであり;そして R

    2およびR

    3は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ポリアルキレンオキシド、または−Y−Zであり、ここで、Yは、直鎖状または分枝状の低級アルキル、アリール、アルキルアリールまたはポリアルキレンオキシドであり、そしてZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ヒドラジノ、スルフヒドリル、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。 1つの実施態様において、上記基材はガラスまたはシリカを含む。

    1つの局面において、本発明は、高分子アレイ合成を支持し得る基材であって、この基材は、フリーラジカル重合によって形成された重合体ブラシを含み、ここで、この重合体ブラシは、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシル基あるいはそれらの組合せを含む、基材を提供する。 1つの実施態様において、上記重合体ブラシの密度は、基材の表面積1cm 2あたり0.1〜1000ピコモルの個々の重合鎖である。 1つの実施態様において、本発明の基材は、上記基材上の重合性ブラシに付着した高分子のアレイをさらに含む。

    1つの実施態様において、上記高分子は、ポリヌクレオチドを含む。

    1つの実施態様において、高分子の固相合成に用いるための重合性ブラシ基材を調製する方法が提供される。 この方法は、以下の工程を包含する:
    (a)1以上のフリーラジカルイニシエーターが共有結合する基材を提供する工程であって、ここで、各フリーラジカルイニシエーターが、この基材から遠位にラジカル生成部位を有する、工程;および (b)この共有結合した基材を、このイニシエーターのラジカル生成部位からのフリーラジカル重合を促進する条件下で、モノマーと接触させて、重合性ブラシを形成する工程。

    上記の方法における重合は、フリーラジカル重合を用いて達成され得る。 上記の方法における基材は、いくつかの局面において、ガラスまたはシリカを含む。 1つの実施態様においてモノマーは、ビニル基を含む。 1つの実施態様において、モノマーは、例えば、少なくとも2つの異なるモノマーを含み得る。 例示的なモノマーは、酢酸ビニルである。

    1つの実施態様におけるモノマーは、以下の構造を有し得る:

    ここで、R

    1は、水素または低級アルキルであり;そして R

    2およびR

    3は、独立して、水素または−Y−Zであり、ここで、Yは、低級アルキルであり、そしてZは、ヒドロキシル、アミノ、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。

    別の実施態様において、R 2およびR 3は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ポリアルキレンオキシド、または−Y−Zであり、ここで、Yは、直鎖状または分枝状の低級アルキル、アリール、アルキルアリールまたはポリアルキレンオキシドであり、そしてZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ヒドラジノ、スルフヒドリル(sulfydryl)、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。

    その支持体上において形成された重合体は、例えば、ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシル基あるいはそれらの任意の組合せを有し得る。

    例えば、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシル基あるいはそれらの任意の組合せを有する共有結合したモノマーを含む、高分子アレイ合成を支持し得る重合性ブラシ基材が形成され得る。

    上記の方法の重合性ブラシ基材を用いるための方法もまた提供される。 この重合性ブラシ基材上で調製された高分子アレイのアッセイを実行するための方法もまた提供される。 このようなアッセイは、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションアッセイおよびペプチドのリガンド結合アッセイを含む。

    本発明はまた、重合性ブラシ基材および本明細書に開示されるように調製される高分子アレイを含む重合性ブラシ基材を提供する。

    固体基材の表面へ官能部位を固定するための方法が提供される。 この方法は、以下の工程を包含する:
    (a)1以上のフリーラジカルイニシエーターが共有結合している基材を提供する工程であって、ここで、各フリーラジカルイニシエーターは、その基材に対して遠位にラジカル生成部位を有する、工程;および (b)その基材を、連結モノマーおよび希釈モノマーの混合物と、そのイニシエーターのラジカル生成部位からのフリーラジカル重合を促進する条件下で、接触させる工程であって、ここで、その官能部位の密度は、官能モノマー対希釈モノマーの比率によって決定される、工程。

    1つの局面において、このイニシエーターは、アゾ型のイニシエーターである。 この官能部位は、例えば、アミノ、ヒドロキシルまたはカルボキシルである。 連結モノマー対希釈モノマーの比率は、例えば、約1:2〜約1:200であり;または、いくつかの局面において、約1:2〜1:2000または1:2000超であり得る。

    例えば、本方法のモノマーは、独立して、以下の構造:

    を有し、ここで、R

    1は、水素または低級アルキルであり;そして R

    2およびR

    3は、独立して、水素または−Y−Zであり、ここで、Yは、低級アルキルであり、そしてZは、ヒドロキシル、アミノ、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。

    別の実施態様において、R 2およびR 3は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ポリアルキレンオキシド、または−Y−Zであり、ここで、Yは、直鎖状または分枝状の低級アルキル、アリール、アルキルアリールまたはポリアルキレンオキシドであり、そしてZは、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ヒドラジノ、スルフヒドリル、またはC(O)−Rであり、ここで、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはアリールオキシである。

    1つの局面において、このモノマーは、遊離のヒドロキシル基を含まず、そして希釈モノマーである。 いくつかの局面において、この希釈モノマーは、重合の終結因子として機能する。

    1つの局面において、基材は、本明細書において開示した方法を用いて提供され、ここで、その重合体ブラシの密度は、基材表面積1cm 2あたり0.1〜1000ピコモルの個々の重合体鎖である。

    本発明によれば、高密度のアレイにおいても、アッセイ条件下におけるシグナル対ノイズ比が、減少せず、良好な性能を有するアレイが提供される。

    A. 一般的技術 本発明の実施は、特にその他であることが示されなければ、当該分野の技術内にある、有機化学、重合体技術、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を利用し得る。 このような従来技術は、重合体アレイ合成、ハイブリダイゼーション、連結、標識を用いるハイブリダイゼーションの検出を含む。 適切な技術の詳細な例示は、本明細書の以下の実施例への参照により有され得る。 しかし、勿論、その他の等価な従来手法もまた用いられ得る。 このような従来技術は、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series(第I〜IV巻)、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cells:A Laboratory Manual、PCR Primer:A Laboratory Manual、およびMolecular Cloning:A Laboratory Manual(すべてはCold Spring Harbor Laboratory Pressから)のような標準的な実験室マニュアル中に見出され得て、それらすべてはその全体が本明細書に参考として援用される。

    B. 定義 本明細書で用いられるとき、特定の用語は、以下で規定される意味を有し得る。

    明細書および請求の範囲で用いられるとき、単数形態(1つの、ある)(「a」、「an」および「the」)、は、文脈が明瞭にそうでないことを示さなければ、複数の参照を含む。 例えば、用語1つの「アレイ」は、文脈が明瞭にそうでないことを示さなければ、複数のアレイを含み得る。

    「アレイ」は、合成によるか、または生合成によるいずれかで調製され得る意図的に作製された分子のコレクションである。 アレイ中の分子は、互いに同一であるかまたは異なり得る。 このアレイは、種々のフォーマット、例えば、可溶性分子のライブラリー;樹脂ビーズ、シリカチップ、またはその他の固体支持体に繋がれた化合物のライブラリー、を取り得る。

    用語「分子」は、一般に、本明細書で記載のような高分子または重合体をいう。 しかし、高分子または重合体とは反対に、単一分子を含むアレイもまた、本発明の範囲内にある。

    「予め規定された領域」とは、選択された分子の形成に用いられるか用いられたか、または用いられることが意図される固体支持体上の局在化区域をいい、そしてその他に本明細書では、代わりに「選択された」領域と呼ばれる。 予め規定された領域は、任意の都合の良い形状、例えば、環状、矩形、楕円形、楔形などを有し得る。 簡潔さのため、本明細書では、「予め規定された領域」は、しばしば、単に「領域」と呼ばれる。 いくつかの実施態様では、予め規定された領域、すなわち、各々の別の分子がその上で合成される領域は、約1cm 2より小さいか、または1mm 2より少なく、そしてなおより好ましくは、0.5mm 2より少ない。 最も好ましい実施態様では、この領域は、約10,000μm 2より少ないか、または、より好ましくは、100μm 2より少ない面積を有する。 さらに、代表的には、この重合体の複数コピーが、任意の予め選択された領域内に合成される。 コピー数は、数千〜数百万であり得る。

    いくつかの局面では、予め規定された領域は、領域(すなわち、ビーズ、樹脂、ゲルなど)をウェル、トレイ、などに物理的に分離することにより達成され得る。

    「固体支持体」、「支持体」および「基材」とは、剛直または半剛直である表面(単数または複数)を有する材料または一群の材料をいう。 いくつかの局面では、固体支持体の少なくとも1つの表面は、実質的に平坦であるが、いくつかの局面では、それは、例えば、ウェル、一段高い領域、ピン、エッチングされたトレンチなどで、異なる分子について合成領域を物理的に分離することが所望され得る。 特定の局面では、固体支持体(単数または複数)は、ビーズ、樹脂、ゲル、ミクロスフェア、またはその他の幾何学的形態の形状をとり得る。

    「保護基」は、分子に結合し、そしてアクチベーターへの選択的曝露に際し空間的に除去され得る部分である。 保護基のいくつかの例は、文献中に公知である。 アクチベーターは、電磁放射線、イオンビーム、電場、磁場、電子ビーム、X線などを含む。

    「活性化基」とは、特定の官能基または反応部位に結合した場合、その部位を、第2の官能基または反応部位との共有結合形成に向けてより反応性にするような基をいう。 例えば、ヒドロキシル基の代わりに用いられ得る活性化基は、−O(CO)Cl;−OCH 2 Cl;−O(CO)OArを含み、ここで、Arは芳香族基、好ましくは、p−ニトロフェニル基;−O(CO)(ONHS);などである。 カルボキシル基に対して有用である活性化基は、単純エステル基および無水物を含む。 このエステル基は、アルキル、アリールおよびアルケニルエステルを、そして特に4−ニトロフェニル、N−ヒドロキシルスクシンイミドおよびペンタフルオロフェノールのような基を含む。 その他の活性化基は、当業者に公知である。

    「チャンネルブロック」は、その表面上に複数の溝または凹部領域を有する材料である。 この溝または凹部領域は、ストライプ、円、蛇行経路などを含むがこれらに制限されない種々の幾何学的形状をとり得る。 チャンネルブロックは、エッチングシリコンブロック、成形重合体またはプレシング重合体、などを含む、種々の方法で調製され得る。

    用語「感光性」および「光切断性」、「光開裂性」は、本出願全体を通じて交換可能に用いられる。

    用語「必要に応じて置換される」とは、規定されている基上の置換基の存在またはその欠如をいう。

    「重合性ブラシ」は、通常、基材の表面に結合している重合体の鎖を含む重合体膜をいう。 本発明の重合性ブラシは、重合体鎖上の1つ以上の位置において、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、チオール、アミド、シアネート、チオシアネート、イソシアネートおよびイソチオシアネート基、またはそれらの組み合わせのような官能基を含む官能化重合体膜である。 本発明の重合性ブラシは、その上に高分子を結合または段階的合成し得る。

    「フリーラジカルイニシエーター」または「イニシエーター」は、熱、光、またはその他の電磁照射のような特定条件下でフリーラジカルを提供し得る化合物であり、このフリーラジカルは、1つのモノマーから別のモノマーに移動し得、そしてそれ故、反応の連鎖を伝播し、それにより重合体が形成され得る。 アゾ型もしくはニトロオキシド型、または複数成分系を含むような、いくつかのフリーラジカルイニシエーターが当該分野で公知である。 複数成分系の1つの例は、アルキルまたはアリール金属および結合リガンドおよび安定なオキシフリーラジカルである。 米国特許第5,312,871号を参照のこと。

    「フリーラジカルリビング重合」は、連鎖開始および連鎖伝播が、有意な連鎖終止反応なしに生じるリビング重合プロセスとして規定される。 各イニシエーター分子は、すべての利用可能なモノマーが反応するまで、連続的に伝播する成長モノマー鎖を生成する。 フリーラジカルリビング重合は、連鎖開始、連鎖伝播および連鎖終止反応が同時に起こり、そしてイニシエーターが消費されるまで重合が続く従来のフリーラジカル重合とは異なる。 米国特許第5,677,388号を参照のこと。 フリーラジカルリビング重合は、分子量および分子量分布の制御を容易にする。 フリーラジカルリビング重合技術は、例えば、重合の間の成長鎖の可逆的末端キャッピングを含む。 1つの例は、原子移動ラジカル重合(ATRP)である。

    「ラジカル生成部位」は、フリーラジカルが、熱または電磁照射に応答して生成されるイニシエーター上の部位である。 例えば、アゾ型イニシエーターの場合には、図2に示されるように、ラジカル生成部位が、−N=N−部分の各側上の炭素原子上に存在する。

    「重合ターミネーター」は、重合体鎖がさらに重合することを妨げる化合物である。 これらの化合物はまた、「ターミネーター」、または「キャッピング剤」または「インヒビター」として知られる。 種々の重合ターミネーターが当該分野で公知である。 1つの局面では、遊離のヒドロキシル基を有さないモノマーが、重合ターミネーターとして作用し得る。

    用語「高分子アレイ合成を支持し得る」とは、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシルなどのような官能基で官能化される重合性ブラシをいう。 これらの官能基は、「付着点」として作用することにより高分子合成を可能にする。 本発明の目的には、末端点でのみ官能基を含むような重合性ブラシは、高分子アレイ合成を支持し得ない。

    用語「フリーラジカル重合を促進する条件」とは、フリーラジカル形成および伝播を可能にする、熱もしくは電磁照射、または溶媒、共溶媒、などの存在を含む、条件をいう。 このような条件は、当該分野で周知であり、そしてさらに以下に記載する。

    「高分子」または「重合体」は、共有結合した2つ以上のモノマーを含む。 これらのモノマーは、一度に結合されるものであり得るか、または「オリゴマー」として通常知られる複数モノマーの列中に存在し得る。 従って、例えば,1つのモノマーおよび5つのモノマーの列は、結合されて6つのモノマーの高分子または重合体を形成し得る。 同様に、50のモノマーの列は、100のモノマーの列と結合され、150のモノマーの高分子または重合体を形成し得る。

    所定の重合体または高分子中のモノマーは、互いに同一であるかまたは異なり得る。 モノマーは、分子量にかかわらず、小分子または大分子であり得る。 さらに、モノマーの各々は、合成後に修飾される保護されたメンバーであり得る。 高分子内のモノマーの特定の順序付けは、本明細書では、高分子の「配列」と称され得る。

    本明細書で用いられる「モノマー」とは、重合性ブラシの重合体を形成するために用いられるモノマー、および重合性ブラシ上の高分子を形成するために用いられるモノマーをいう。 しかし、モノマーの意味は、それが用いられる文脈から明瞭である。 重合性ブラシの重合体を形成するためのモノマーは、例えば、以下の一般構造を有する:

    ここで、R

    1は水素または低級アルキルであり;R

    2およびR

    3は独立に水素、または−Y−Zであり、ここでYは低級アルキルであり、およびZはヒドロキシル、アミノ、またはC(O)−Rであり、ここでRは水素、低級アルコキシまたはアリールオキシである。

    用語「アルキル」とは、直鎖、分岐または環状であり得るメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのような基をいう。

    用語「アルコキシ」とは、直鎖、分岐または環状であり得るメトキシ、エトキシ、プロポシキ、ブトキシなどのような基をいう。

    低級アルキルまたは低級アルコキシの文脈で用いられる用語「低級」とは、1〜6炭素を有する基をいう。

    用語「アリール」とは、アルキル基が結合する芳香族炭化水素環をいう。 用語「アリールオキシ」は、アルコキシ基が結合する芳香族炭化水素環をいう。 当業者は、これらの用語を容易に理解する。

    1つの局面で、モノマーは、そのモノマーが遊離のヒドロキシル基を含まない場合、「希釈」モノマーである。

    本発明の高分子を調製するためのモノマーは、当該分野で周知である。 例えば、その高分子がペプチドである場合、そのモノマーは、例えば、L−アミノ酸、D−アミノ酸、合成および/または天然のアミノ酸を含むが、これらに限定されない。 その高分子が核酸またはポリヌクレオチドである場合、そのモノマーは、任意のヌクレオチドを含む。 その高分子が多糖類である場合、そのモノマーは、任意のペントース、ヘキソース、ヘプトース、またはそれらの誘導体であり得る。

    本明細書中で使用される、「ポリヌクレオチド」は2以上のヌクレオチドの配列である。 本発明のポリヌクレオチドは、デオキシリボポリヌクレオチド(DNA)またはリボポリヌクレチド(RNA)の配列を含み、これらは、天然供給源から単離され得るか、組換え産生され得るか、または人工的に合成され得る。 本発明のポリヌクレオチドのさらなる例は、ポリアミドポリヌクレオチド(PNA)であり得る。 このポリヌクレオチドおよび核酸は、一本鎖または二本鎖として存在し得る。

    用語「核酸」は、デオキシヌクレオチドおよびそれらのアナログを含む。 これらのアナログは、天然に存在するヌクレオチドと共通のいくつかの構造的特徴を有するアナログ分子であり、そのため、ポリヌクレオチド配列に組込まれた場合、それらは溶液中で相補的ポリヌクレオチドとハイブリダイズし得る。 代表的に、これらのアナログは、塩基、リボースまたはホスホジエステル部分を、置換および/または改変することによって天然に存在するヌクレオチドから誘導される。 その変化は、ハイブリッド形成を安定化または不安定化するように、または所望に応じて相補的ポリヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションの特異性を増強するように、またはポリヌクレオチドの安定性を増強するように特別に作製され得る。

    アナログはまた、ポリヌクレオチド合成において慣用的に使用されるような、保護されたモノマーおよび/または改変されたモノマーを含む。 当業者に周知のように、ポリヌクレオチド合成は、塩基が保護された種々のヌクレオチド誘導体を使用し、ここで、プリンおよびピリミジン部分の1以上の窒素が、ジメトキシトリチル、ベンジル、tert−ブチル、イソブチルなどのような基によって保護される。

    例えば、構造基は、ポリヌクレオチド内への組み込みのために、ヌクレオシドのリボースまたは塩基に、必要に応じて付加される(例えば、リボース上の2'−O位でのメチル基、プロピル基またはアリル基、または2'−O基に対して置換するフルオロ基、またはリボヌクレオシド塩基上のブロモ基)。 2'−O−メチルオリゴリボヌクレオチド(2'−O−MeORN)は、それらの改変されない対応物より相補的ポリヌクレオチド(特に、RNA)に対してより高い親和性を有する。 2'−O−MeORNAホスホルアミダイトモノマーは、例えば、Chem Genes Corp. またはGlen Research,Inc. から市販されている。 あるいは、プリンまたはピリミジンの複素環の1以上のN原子がC原子によって置換されている、デアザプリンおよびデアザピリミジンもまた、使用され得る。

    ポリヌクレオチドのホスホジエステル結合、または「糖−リン酸骨格」もまた、例えば、メチルホスホネート、O−メチルホスホネートまたはホスホロチオネートで置換され得るか、または改変され得る。 本開示の目的のためのそのような改変された連結を含むポリヌクレオチドの別の例としては、「ペプチドポリヌクレオチド」が挙げられ、ここで、ポリアミド骨格は、ポリヌクレオチド塩基または改変されたポリヌクレオチド塩基に結合される。 ポリアミド骨格および天然に存在するヌクレオチドに見出される塩基を含むペプチドポリヌクレオチドは、例えば、Biosearch,Inc. (Bedford,MA)から市販される。 米国特許第5,773,571号および同第5,786,461号もまた参照のこと。

    改変された塩基を有するヌクレオチドもまた、本発明で使用され得る。 塩基改変のいくつかの例としては、2−アミノアデニン、5−メチルシトシン、5−(プロピン−1−イル)シトシン、5−(プロピン−1−イル)ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ブロモシトシン、ヒドロキシメチルシトシン、メチルウラシル、ヒドロキシメチルウラシル、およびジヒドロキシペンチルウラシルが挙げられ、これらは、相補的ポリヌクレオチドに対する結合親和性を改変するためにポリヌクレオチド内に組込まれ得る。

    ヌクレオシドの糖環上の、あるいは負に帯電したリン酸骨格との静電気的相互作用により、またはメジャーグルーブ(major groove;DNA構造上の深い方の溝)およびマイナーグルーブ(minor groove;DNA構造上の浅い方の溝)における相互作用を通して、二重鎖を安定化し得る、プリン環またはピリミジン環上の種々の位置に、基は連結され得る。 例えば、アデノシンヌクレオチドおよびグアノシンヌクレオチドは、N 2位でイミダゾリルプロピル基で置換され得、二重鎖の安定性を増加する。 汎用の塩基アナログ(例えば、3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドール)もまた、含まれ得る。 本発明での使用に適切な種々の改変されたポリヌクレオチドは、例えば、「Antisense Research and Application」、S. T. CrookeおよびB. LeBleu(編)(CRC Press,1993)ならびに「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」、ACS Symp. Ser. #580,Y. S. SanghviおよびP. D. Cook(編)ACS,Washington、D. C. 1994に記載される。

    目的の高分子がペプチドである場合、そのアミノ酸は、α−アミノ酸、β−アミノ酸またはω−アミノ酸を含む、任意のアミノ酸であり得る。 そのアミノ酸がα−アミノ酸である場合、L−光学異性体またはD−光学異性体のいずれかが、使用され得る。 さらに、非天然アミノ酸(例えば、β−アラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニン)もまた、本発明により意図される。 これらのアミノ酸は、当該分野で周知である。 例えば、Stryer,Biochemistry,最新版、アミノ酸およびタンパク質についての章(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。

    重合体の環状化および重合体反転の方法は、同時係属出願の、米国特許出願第08/351,058号(これは米国特許第5,242,974号のCIPである、米国特許出願第07/978,940号のCIPである)(本明細書中に参考として援用される)に記載される。

    用語「ハイブリダイゼーション」とは、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが、非共有結合的に結合して、安定な二本鎖ポリヌクレオチドを形成するプロセスをいい;三本鎖ハイブリダイゼーションもまた理論的に可能である。 (通常)生じる二本鎖ポリヌクレオチドは、「ハイブリッド」である。 安定なハイブリッドを形成するポリヌクレオチドの集団の割合を、本明細書中で「ハイブリダイゼーションの程度」という。

    ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイを行う方法は、当該分野でよく開発されている。 ハイブリダイゼーションアッセイの手順および条件は、その適用に依存して変化し、そして以下に示すものにおいて言及される方法を含む、一般的な公知の結合方法にしたがって選択される:Maniatisら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbor,N. Y. ,1989;BergerおよびKimmel、「Methods in Enzymology」、第152巻、「Guide to Molecular Cloning Techniques」、Academic Press,Inc. ,San Diego,CA. ,1987;YoungおよびDavis,Proc. Natl. Acad. Sci. ,U. S. A. ,80:1194(1983)(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)。

    2つの一本鎖ポリヌクレオチドがハイブリダイズする能は、それらの相補性の程度ならびにハイブリダイゼーション反応条件のストリンジェンシーのような因子に依存することが理解される。

    本明細書中で使用される、「ストリンジェンシー」とは、ポリヌクレオチドがハイブリダイズするその程度に影響を与えるハイブリダイゼーション反応の条件をいう。 ストリンジェント条件は、ポリヌクレオチド二重鎖がそれらのミスマッチの程度に基づいて区別されることが可能であるように選択され得る。 高いストリンジェンシーは、ミスマッチの塩基を含む二重鎖の形成についてのより低い可能性と相関する。 従って、ストリンジェンシーが高いほど、ミスマッチ二重鎖を形成し得る2つの一本鎖ポリヌクレオチドが、一本鎖のままである確率が高くなる。 逆に、ストリンジェンシーが低いほど、ミスマッチ二重鎖の形成の確率は増加する。

    1以上のミスマッチを含む二重鎖と比較して、完全に適合する(パーフェクトマッチの)二重鎖の選択を可能にする(あるいは高いミスマッチの程度を有する二重鎖と比較して、特定のミスマッチ二重鎖の選択を可能にする)適切なストリンジェンシーは、一般に、経験的に決定される。 ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの調整のための方法は、当業者に周知である。 例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989:Ausubelら、「Current Protocols In Molecular Biology」、John Wiley & Sons,1987、1988、1989、1990、1991、1992、1993、1994、1995、1996および定期的アップデート;ならびにHamesら、「Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach」、IRL Press,Ltd. ,1985を参照のこと。

    一般に、ストリンジェンシーを増加する条件(すなわち、より密接に適合した二重鎖の形成のために選択する)は、より高い温度、より低いイオン強度、および溶媒の存在または非存在を含み;より低いストリンジェンシーは、より低い温度、より高いイオン強度、およびより低い濃度またはより高い濃度の溶媒(例えば、より低い濃度のホルムアミドまたはジメチルスルホキシド)により支持される。 ハイブリダイゼーション反応の継続時間および反応物(すなわち、一本鎖ポリヌクレオチド)の濃度もまた、ストリンジェンシーに影響を与え、短い反応時間および低い反応物濃度は、高いストリンジェンシーを支持する。

    この開示を通して、本発明の種々の局面は、1つの範囲形式において示される。 範囲形式における記載は、単に簡便および簡潔のためであり、本発明の範囲についての不動の限定として解釈されるべきでないことが理解されるべきである。 従って、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲ならびにこの範囲内の個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。 例えば、1〜6のような範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などのような部分範囲、ならびに範囲内の個々の数(例えば、1、2、3、4、5、および6)を具体的に開示したとみなされるべきである。 このことは、範囲の広さに関係なく適用される。

    (C.重合性ブラシ上の高分子アレイ)
    (I.重合性ブラシ)
    (a)一般的背景)
    重合性ブラシは、当該分野で公知である。 例えば、PruckerおよびRuhe、Macromolecules,31:592−601(1998);HuangおよびWirth,Analytical Chemistry,69:4577−4580(1997);ならびにHussemanら、Macromolecules,32:1424−1431(1999)を参照のこと。

    重合性ブラシを調製する1つの伝統的方法は、「グラフティング(grafting)」として公知である。 代表的に、この方法を使用してブロック共重合体を調製し、ここで、この方法は、表面に強力に吸着される、その重合体の一方のブロックを吸着する工程を含み、対して、他方のブロックはブラシ層を形成する。 この吸着ベースのグラフティングのいくつかの欠点は、そのブラシの脱離およびそのブロック共重合体構造のための官能基の選択の制限を含む。 グラフティングの別の方法は、重合体鎖とその基材との間の共有結合の形成を含む。 共有結合は、官能化重合体とその基材上の反応性表面基との縮合により達成され得る。 そのような1つの方法論において、イニシエーター(例えば、モノクロロシリル官能化アゾイニシエーター)は、基材表面に共有結合的に付着され得る。 鎖伸長は、イオン性条件下または伝統的なフリーラジカル重合条件下で達成され得る。 これらの方法は、高いグラフト密度および高い分子量を有する共有結合的に付着された重合体ブラシを生成することが示される。 Husseman、前出を参照のこと。

    しかし、重合技術に影響を及ぼす1つの主要な問題は、比較的高い分子量での狭い多分散性(すなわち、分子量の分散)を維持し得ないことである。 さらに、その重合体上に所望の官能基を有する所望の重合性構造を獲得することが問題である。 これに対して、「リビング重合」方法が開発された。

    用語「リビング重合」とは、伸長する重合体鎖が、さらなる重合を促進し得る1以上の活性部位を含む、重合プロセスである。 米国特許第5,708,102号を参照のこと。 リビング重合を得るための1つの一般的ストラテジーは、重合を促進する活性中心を可逆的にキャップする化学物質種を有することである。 陰イオンにより開始されるイオン性重合(陰イオン性重合)または陽イオンにより開始されるイオン性重合(陽イオン性重合)において、それぞれ、対の陽イオンまたは陰イオンが、キャップ剤として機能する。 そのイオンが共に結合される場合、重合は停止するが、イオン性フラグメントへの可逆的な解離が、さらなるイオン性重合を促進する部位の制御された供給源を提供する。 イオン性リビング重合は、異なるアルケンモノマーの連続的な付加によってブロック共重合体を形成する際に広く利用される。

    活発なイオン性重合と対照的に、活発なフリーラジカル重合は、モノマーの重合を促進するアルキルラジカル(R・)に断片化し得る重合イニシエーター(R−X)を利用する。 このプロセスは、図1A〜Cに示されるように例証され得る。 熱照射および電磁照射が用いられ、モノマーの重合を開始するラジカルを生成し得る。 熱が用いられる場合、最初のラジカルは、100℃より高い温度で自発的に生成され得るか、または少量のフリーラジカルイニシエーターの添加により100℃未満の温度で生成され得る。 例えば、Hawker、Macromolecules,30:373〜82(1997)を参照のこと。

    所望される段階で、重合は、重合ターミネーターにより終結される。 このようなターミネーターは、当該分野で公知である。 Gresztaら、Macromolecules,27:638(1994)を参照のこと。 重合を終結するための一つのアプローチは、増加するラジカルを、可逆的に、スカベンジするラジカルと反応させて共有結合性の種を形成することである。 別のアプローチは、増加するラジカルを、可逆的に、共有結合性の種と反応させて持続性のラジカル生成する工程を含む。 なお別のアプローチは、増加するラジカルを、同じ型のラジカルを再生成する変性性トランスファー反応に参加させる工程を含む。 米国特許第4,581,429号;Hawker,J. Am. Chem. Soc. ,116;11185(1994);およびGeorgesら、Macromolecules,26:2987(1993)を参照のこと。

    活発なフリーラジカル方法は、ブラシ形成においてブロック共重合体の使用を可能にし、そして分子量、重合性密度、分枝などのような重合性構造特性のより良好な制御を可能にする。 さらに、活発なフリーラジカル重合方法は、重合体鎖が変化され得るように、異なるモノマーの存在下で鎖の伸長を可能にする。

    種々の型のイニシエーター、フリーラジカル生成の方法、モノマーおよびフリーラジカルキャップ形成剤は、従来技術において記載されている。 例えば、米国特許第5,677,388号、同第5,728,747号、同第5,708,102号、同第5,807,937号および同第5,852,129号を参照のこと。 ベンゾイルペルオキシドクロムイニシエーターもまた、用いられ得る。 Leeら,J. Chem. Soc. Trans. Faraday Soc. I,74:1726(1978)を参照のこと。 イニシエーターのさらなる型としては、α−ハロエステル、アルコキシアミンおよびハロベンジル型イニシエーターが挙げられる。 この全ては本発明において用いられ得る。 Husseman、前出、およびHawker、前出を参照のこと。

    種々の効果的量(例えば、リアクタントの総重量に基づいて、約1〜約10重量%)で選択された光イニシエーターの例としては、ベンゾイン、ジスルフィド、アラルキルケトン、オキシミノケトン、ペルオキシケトン、アシルホスフィンオキシド、ジアミノケトン(例えば、Micher'sケトン)、3−ケトクマリン(courmarins)など、そして好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。

    モノマーとしては、N−カルボキシ無水物(ペプチドを調製するため)、スチレン、およびビニル化合物が挙げられる。 イニシエーターの例としては、アゾ−型、窒素酸化物型などが挙げられる。 ターミネーターの例は、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)として公知の安定なフリーラジカル剤である。 米国特許第5,728,747号を参照のこと。

    より最近では、両端でヒドロキシル端化されたアクリル(またはメタクリル)重合体を生成するための方法が報告されている。 米国特許第5,852,129号を参照のこと。 この方法は、イニシエーターとして、有機のハロゲンまたはハロゲン化されたスルホニル化合物を、そして触媒として、周期表の8,9,10および11族に属する元素から選択される金属を中央に有する金属錯体を用いて、アクリル(またはメタクリル)モノマーを重合することによる、アクリル(またはメタクリル)重合体の調製を含む。 このアクリル(またはメタクリル)重合体は、一般式−CH 2 −C(R 1 )(CO 22 )(X)の末端構造を含む。 この末端ハロゲンは、重合可能なアルケニル基およびヒドロキシル基と反応することによりヒドロキシル含有置換基に転換される。 '129特許はまた、例えば、上記のスキームにおけるイニシエーターとしてヒドロキシル含有ハロゲン化物を用いて、アクリル(またはメタクリル)モノマーを重合することにより、それぞれの末端でのヒドロキル基を導入するための方法を記載する。

    b)本発明の重合性ブラシ 重合性ブラシを作製する一般的な方法論は公知であるが、ブラシ上に複数の官能基を有する重合性ブラシを作製するための方法、および高分子アレイの調製におけるこのような多官能化重合性ブラシの使用は、探索され続けている。

    高分子アレイの調製のための任意の支持体は、開始部位の最適間隔、有機性溶剤および水性溶液の両方による表面の湿潤性を与えなければならず、そして表面へのリガンドの非特異的結合を最小化しなければならない。 固体支持体上の合成開始部位の間隔は、アレイの合成に影響するだけでなく、固定された高分子とそのリガンドとの間の結合事象にも影響し得る。 この合成は、光分解性反応(光指向性合成において)、溶媒接触性および表面静電効果の間のフリーラジカル形成のような現象を通して影響され得る。

    支持体または基材表面の水和性はまた、カップリング反応の収率および引き続く結合事象に直接の影響を有するようである。 認識のためのペプチドまたは他のリガンドの提示は、ペプチドまたはリガンドの疎水性/親水性だけでなく、付着される表面の物理化学的特徴の関数でもあることが予期される。 従って、親水性のペプチド配列は、周囲の水性環境に完全に伸長することが予期され、これにより、認識のためのそれらの利用能およびレセプターによる結合を最大化する。 対照的に、中程度に疎水性の基材表面の存在下での疎水性配列は、表面上で崩壊し得、そしてレセプターに提示される利用可能なリガンドのプールから効果的に除去され得る。

    上記の考察に関して、本発明は、官能性部位の密度、湿潤性および空隙率の制御を可能にする重合性ブラシを提供する。 本明細書および付随する実施例の開示からより明白になるように、本発明は、個々の重合体鎖を含む新規な重合性ブラシ組成物を提供する。 ここで個々の重合体鎖としては、例えば2,3,4、またはそれ以上の複数官能基(例えばヒドロキシル基)が挙げられる。 例えば、図1A〜Cおよび6を参照のこと。 本発明はまた、ガラスまたはシリカのような基材上でこのような重合性ブラシを形成するための方法を提供する。

    重合性ブラシ支持体は、合成のためおよび生物学的アッセイのために最適な特性を提供するように仕立てられ得る。 例えば、重合性ブラシ中の官能基(アミノ基またはヒドロキシル基)の最終濃度は、重合体形成において用いられる非官能化モノマーおよび官能化モノマーの相対量を変えることにより制御され得る。 さらに、重合体膜の空隙率および溶解度は、その組成物におけるモノマーおよび架橋剤の濃度を変化することにより制御され得る。 従って、高度の架橋は、小さい孔サイズを有する固い不溶性の重合体を与え、一方、全体的にみて架橋剤を省略することは、付着部位から基材の表面から離れて伸長する可溶性直鎖状重合体鎖(官能基を有する)を生じる。

    ガラスまたはシリカのような基材上の重合性ブラシは、目的のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび多糖類のような高分子のアレイまたは他の高分子を合成するために有用である。 この重合性ブラシは、高分子アレイ合成のための開始位置として働く反応基で官能化された多孔性の3次元マトリックスを提供する。 これらのアレイは、ハイブリダイゼーションを基礎とする核酸配列分析またはリガンド−ペプチド相互作用もしくはリガンド酵素相互作用のような、高分子を含有するアッセイのために用いられ得る。

    これらのブラシの主な利点の1つは、そのブラシが、単一官能性のシラン誘導体化ガラス表面の現在の生成により提供されるよりも、基材の単位面積あたり、より多数の合成部位を提供し、一方で部位間の類似のまたはより大きい間隔を維持することである。 固定された高分子に対する「標的」分子の結合程度は、実質的に上昇し、これは検出を増強し、そして重合体支持体の中の結合部位の多重性は、さらなる動力学的増強を提供し得る。

    重合体鎖の側方表面密度は、例えば、基材の表面積あたりで、0.1〜1000pmoles/cm 2 (または例えば、1〜100)であり得る。 重合体鎖の付着部位の側方表面密度(ここで個々の重合体鎖は、複数の付着部位を有する)は、例えば、基材の表面積あたり、0.1〜1,000,000pmoles/cm 2 (例えば、1〜1,000)であり得る。

    この重合体ブラシは、核酸のアレイを形成するために用いられ得る。 表面に固定される核酸のアレイは、例えば、米国特許第5,744,305号に詳細に記載される。 基材上で、核酸(例えば異なる配列を有する)は、表面の所定の領域にそれぞれ固定される。 例えば、10,50,60,100,10 3 ,10 4 ,10 5 ,10 6 ,10 7 ,または10 8の異なるモノマー配列が、基材上に提供され得る。 特定の配列の核酸が、基材の所定の領域に提供される。 この領域は、例えば、約1cm 2 〜10 -10 cm 2の表面積を有する。 いくつかの実施態様において、この領域は、約10 -1 、10 -2 、10 -3 、10 -4 、10 -5 、10 -6 、10 -7 、10 -8 、10 -9 、または10 -10 cm 2未満の面積を有する。 例えば、1つの実施態様では、少なくとも第1の表面を有する平面の非多孔性支持体、および約400個の異なる核酸/cm 2を超える密度で、第1の表面に付着される複数の異なる核酸が提供される。 ここで異なる核酸のそれぞれは、異なる所定の領域における固体支持体の表面に付着され、異なる決定できる配列を有し、そして、例えば、少なくとも4ヌクレオチド長である。 核酸は、例えば、約4〜20ヌクレオチド長であり得る。 異なる核酸の数は、例えば、1000以上であり得る。

    この重合体ブラシはまた、高い空隙率を有する多孔性シリカ基材、例えば支持領域を含む主に無機多孔性基材および支持領域と接触する多孔性領域の上に提供され得る。 ここで多孔性領域は、PCT/US00/09206(その開示は本明細書において援用される)に記載されるように、1〜500nmの孔径を有する孔を含み、この多孔性領域は、例えば10〜90%の空隙率および0.01〜20μmの多孔性表面厚を有する。

    (c)重合性ブラシを形成するための方法)
    1つの局面において、ガラスまたはシリカ基材上にアミノ官能化重合体またはヒドロキシ官能化重合体の共有結合的に固定された重合体ブラシを調製するための方法が提供される。 この重合体膜は、図1A〜Cおよび6に示されるように、表面重合スキームを通じて共有結合的に基材に「移植(grafted)」される。 イニシエーターが提供され、そしてイニシエーターの一方の端が基材表面に共有結合的に結合される。 一方、イニシエーターはラジカル生成部位を基材から離れて有し、重合に参加する。 フリーラジカル重合を促進する適切な条件下で、モノマーが基材に接触される。 この重合体鎖は、所望の長さに延長され、そして重合は、所望の場合、終結され得る。

    1つの局面では、ガラス基材は、4,4'アゾビス(ペンタンアミドプロピルトリエトキシラン)(AIBN−APS)(I)のようなアゾ型イニシエーターで事前にシラン処理される。 図2を参照のこと。 結合イニシエーターでシラン処理された基材は、図4に示される。 本実施例では、(例えば、加熱による)活性化の際、N 2は押し出され、2つの炭素ラジカルが残る。
    −アルキル−(Me)(CN)C−NN−C(Me)(CN)−アルキル→
    2[−アルキル−(Me)(CN)C・]+N 2
    次いで、高分子合成のための開始点として機能し得る適切に官能化モノマーおよび「不活性」希釈剤(すなわちキャッピング剤)として機能し得るモノマーの混合物は炭素ラジカルと反応され、そして重合が開始する。 図6を参照のこと。 このような官能化モノマーおよび希釈モノマーの混合物を使用して、基材上の高分子合成開始部位の平均間隔が変えられる。 この方法は、官能部位の密度だけでなく、他の表面特性(例えば、表面の湿潤性および高分子の非特異的結合)の効果的な制御を提供する。

    AIBN−APSは、当該分野で公知の方法により容易に調製され得る。 1つの例示的な方法の調製が図2に示される。 アゾ型イニシエーターの別の例(II)およびその合成が図3に示される。 ChangおよびFrank,Langmuir,12:5824−29(1996);ChangおよびFrank,Langmuir,14:326−334(1998);PruckerおよびRuhe,前出;特願平01−234479;ならびに特願平03−99702をまた参照のこと。

    アゾ型イニシエーターは、例えばPruckerおよびRuhe,Macromol. ,31:592−601(1998)に記載される。 本発明はアゾ型イニシエーターに限定されないと理解するべきである。 事実、イニシエーターが一端で基材に共有結合され得、一方で、それが、重合を開始するため遠位にラジカル生成部位を備える限り、任意の公知のイニシエーターが使用され得る。

    表面開始部位には、(X) a (Y) b Si−(Z)−Qのようなシラン化合物(ここで、b=3−a;Xは、Cl、OMeまたはOEtであり;Yは、C1〜4アルキルであり;ZはC2〜C20アルキル、アルキルアリールまたはポリオキシアルキリデンであり;そしてQは、ラジカル形成前駆体基である)が挙げられる。 希釈剤シランが使用される場合、Qは、Hまたはアルキルである。

    他のイニシエーターには、ニトロキシル(Hussemanら、Macromol.,32:1421−31(1999))、ハロ(HuangおよびWirth,Anal.Chem.,69:4577−80(1997))およびチオカルバメート(Kobayashiら,J.Appl.Poly.Sci.,49:447−423(1999))が挙げられる。 イニシエーター部分の例は以下が挙げられる:
    −C(CN)(R 1 )−N=N−C(CN)(R 2 )R 3
    −CR 1 (R 2 )−S−C(=S)−N(R 32
    −CR 1 (R 2 )−O−N(R 3 )R 4 ;および −C(R 1 )(R 2 )X;
    ここで、R 1-4は独立してアルキルであり、そしてXはI、ClまたはBrである。

    これらのモノマーは、フリーラジカル重合を受け得るものである。 1つの局面では、このモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、これは、重合されてヒドロキシ官能化ビニル重合体ネットワークを提供する。 所望の官能基を提供する種々のモノマーが使用され得る。 これらの基準に適ういくつかのモノマーは、下に示した一般構造により表され得る:

    ここで、R

    1は、水素または低級アルキルであり;R

    2およびR

    3は独立して、水素または−Y−Zであり、ここで、Yは低級アルキルであり、そしてZはヒドロキシル、アミノまたはC(O)−Rであり、ここで、Rは、水素、低級アルコキシまたはアリールオキシである。

    本発明の方法に使用され得るビニルモノマーのいくつかの特定の例は、図5に示される。 本明細書中に開示される特定のモノマーは、適切な官能化モノマーを選択することにより、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル基のような官能基を提供すると同時に、チオール、シアノ、イソシアネート、チオシアネートまたはイソチオシアネートのようなさらなる官能基を提供する重合性ブラシを調製し得ることが理解される。 このような適切なモノマーの選択は、当業者の範囲内である。

    得られる膜は、高分子アレイに関する種々の条件に対して優れた安定性を示す。 このような条件は、合成およびアッセイ条件を含む。

    上記のように、重合性ブラシおよびシラン層は、適切な官能基間隔、改善された湿潤性、および高分子の最小化された非特異的結合のような最適な特性を提供するため適合され得る。 例えば、重合性ブラシの厚さは、重合体の鎖長および表面イニシエーターの数を変化させることにより制御され得る。 このブラシ上の官能基(例えば、アミンまたはヒドロキシル)の最終的な密度は、非官能化モノマーおよび官能化モノマーの相対的な量を変化させることにより簡単に制御され得る。

    さらに、このブラシ上の隣接する膜の間の間隔は、希釈モノマーを含む重合体を分散させることにより制御され得る。 従って、ブラシ上の重合性膜および官能部位の密度を減少することが、可能であり、そしていくつかの場合には望まれ得る。 本明細書で使用される官能部位とは、分子の重合体への結合を可能とする官能基を含有する重合体ブラシ上の結合部位のことをいう。 イニシエーター部位の表面密度はまた、非官能性シラン(例えば、Xがハロゲンまたはアルコキシであるアルキル−SiX 3 )でイニシエーターシラン試薬を希釈することにより変化され得る。 重合性ブラシの多孔度および溶解度は、組成物中のビニルモノマー、架橋剤および表面イニシエーターの濃度を変化させることにより制御され得る。

    フリーラジカル重合は典型的には、十分な長さの時間のあいだ実施され、その結果、所望の変換が達成される。 必要とされる時間の長さは、重合の温度に依存し得る。 いくつかの局面では、温度を下げれば下げる程、所望の変換を達成するために必要となる時間が長くなる。 典型的には、重合は、約1〜約20時間、好ましくは、約1.5〜約10時間、より好ましくは、約2〜約8時間、そして最も好ましくは、約2.5〜約6時間、実施される。

    本発明のプロセスにより生成される重合体は、種々の分子量を有し得る。 いくつかの局面では、この分子量は、使用されるイニシエーターの量に依存し得る。 これは、使用されるイニシエーターの量が、どのくらいの数の鎖を開始させるかを決定し得るからである。

    重合反応は、種々の媒体中(例えば、懸濁液、エマルジョン、バルク(すなわちニートまたは無溶媒)あるいは水溶液または非水性溶液中)で実施され得る。 使用される場合、適切な溶媒には、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、または重合に使用される特定のモノマーで比較的小さな鎖移動定数を有する他の溶媒が挙げられる。重合は、約−80℃〜約80℃の範囲の温度で実施され得る。好ましい反応温度は、約25℃〜約70℃の範囲であり得る。任意の公知のクラスの重合イニシエーターは、もし、それが選択された溶媒またはモノマー混合物中への必要な溶解度を有し、そして重合温度で適切な半減期を有するならば、適切である。いくつかの局面では、イニシエーターは、重合プロセスのために必要とされる総時間に比較して短い半減期を有する。本発明のプロセスは好ましくは、バッチプロセスとして実施されるが、必要であれば、任意の標準的な重合プロセス、例えば、セミバッチ、飢餓供給(starved feed)または連続プロセスで実施され得る。

    本発明の重合反応は、いくつかの局面では、反応混合物が、モノマー変換を通じて、均一な単一相であり続けることを確実にするのに役立つ溶媒または共溶媒が補充され得る。 その溶媒媒体が、全ての重合反応が完了するまで、反応物または重合体生成物の沈殿または相分離を避ける溶媒系を可能とするのに効果的である限り、任意の溶媒または共溶媒が選択され得る。

    例示的な溶媒または共溶媒には、重合体生成物と適合性の脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン、N−アルキルピロリジノン、N−アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸およびそれらの塩、エステル、有機スルフィド、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ヒドロキシエーテル誘導体(例えば、ブチルCARBITOL TMまたはCELLOSOLVE TM )、アミノアルコール、ケトンなど、それらの誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。 水と、水溶性有機液体または水と混和可能な有機液体との混合物が、反応媒体として選択される場合、水対共溶媒の重量比は典型的には、約100:0〜約10:90、好ましくは、約97:3〜約25:75の範囲である。

    触媒量のプロトン酸(これはまた、カチオン性重合を開始させない)の添加により、モノマーの重合反応速度は加速され得、そして反応時間は減少され得る。 このプロトン酸は、有機酸(例えば、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、ショウノウスルホン酸)および酸官能基を含有するニトロキシド(例えば、3−カルボキシ−プロキシル)からなる群から選択され得る。 適切な量は、当該分野の技術常識を用いて容易に決定され得る。

    本発明の重合プロセスは、さらなるモノマーまたは種々の量のイニシエーターおよび停止剤と共にモノマーを、遅れて添加および順次添加することにより、多数の回数、同一の反応容器の中で繰返され得る。

    本発明のプロセスは、広範な種々の重合体を形成するため選択され得る。 さらに、本発明のプロセスは、2つ以上の異なる重合性モノマーの混合物を重合して、それらから共重合体を形成するために選択され得る。

    必要に応じて、公知の添加剤が、これらの重合反応で選択され得、これらの添加剤は、得られる生成物の性能向上を提供し得る。 このような添加剤には、着色剤、潤滑剤、離型剤または移動剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤などが挙げられ得る。

    (II.重合性ブラシ基材上の高分子アレイの調製方法)
    a)概要 本発明の重合性ブラシ基材上に調製され得る高分子の例には、線状および環状ヌクレオチドの両方を含む核酸およびポリヌクレオチド、ペプチド、多糖類、リン脂質、公知薬物が任意の上記のものに共有結合したヘテロ高分子、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテート、または本発明の開示の検討により明らかである他の高分子が挙げられる。 このような高分子は、異なる(すなわち、同一でない)モノマーが、基材の異なる所定の領域で使用される場合、「多様」である。

    任意の多官能化重合性ブラシ基材が、本発明の高分子アレイを調製するため使用され得ることが理解されるべきである。 従って、高分子アレイを調製する目的のために意図されるこれらの重合性ブラシ基材は、上記のポリヒドロキシ官能化重合性ブラシ基材またはポリアミノアクリレート重合性ブラシ基材に限定されない。

    上記の高分子アレイは、多数の当該分野で公知の方法(これには、光指向性方法、フローチャンネルおよびスポット法、ピンベース法およびビーズベース法が挙げられる)を使用して上記の重合性ブラシ基材上に調製され得る。

    b)光指向的方法 「光指向的」方法(これは、VLSIPS TM方法として公知の方法のファミリー中の一技術である)が、米国特許第5,143,854号に記載され、これは参考として援用される。 この'854特許において議論される光指向的方法は、基材または固体支持体の予め規定された領域を活性化する工程、次いで、基材を、予め選択されたモノマー溶液(光不安定性保護基で保護されたモノマーを含む)と接触させる工程を包含する。 この予め規定された領域は、光供給源で活性化され得、これは代表的には、マスクを通じて示される(集積回路製造において使用される写真平板技術の様式に多い)。 この基材の他の領域は不活性なままである。 なぜならば、それらの領域は、マスクにより照射をブロックされ、そして化学的に保護されたままであるからである。 従って、光のパターンは、基材のどの領域が所定のモノマーと反応するかを規定する。 反復して、別々のセットの予め規定された領域を活性化し、そして別々のモノマー溶液をこの基材と接触させることによって、重合体の多様なアレイをこの基材上に作製する。 当然、未反応のモノマー溶液をこの基材から洗浄する工程のような他の工程を、必要な場合に使用し得る。

    上記の写真平板技術を使用して、この光不安定性保護基を、予め選択された1つの領域において除去し得、そして化学的に除去可能な保護基を有するモノマーを付着させる。 標準的な、化学的に除去可能な保護基とは、市販の化学的に除去可能な保護基、および代表的な化学条件下で除去可能であると公知である化学的に除去可能な保護基を含む。 このような保護基の例としては、FMOC、DMT、BOC、t−ブチルエステルおよびt−ブチルエーテルが挙げられる。 適切な保護基のさらなる開示として、同時係属中の米国仮出願第60/146,574号(1999年7月30日出願)、および同時係属中の出願第08/630,148号(1996年4月10日出願)もまた参照のこと。

    このような保護されたモノマーの付着後に、これらの保護基を除去する。 この除去の条件は、当該分野で公知である。 例えば、Greeneら、Protective Groups In Organic Chemistry、第2版、John Wiley&Sons、New York、N. Y. 、1991(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。 先に化学的に除去可能な保護基で保護された反応性官能基を、次に例えば、以下の式の誘導体を使用して、光不安定性保護基で再保護する:
    R−O−C(O)−X
    ここで、Rとは、光で切断可能な部分(例えば、o−ニトロベンジル、ピレニルメチル、Ddz、種々のベンゾイン基、ブロモニトロインドール)であり、そしてXとは、適切な脱離基(例えば、Cl、F、ペンタフルオロフェノキシ、p−ニトロフェノキシ、N−スクシンイミジルオキシ、アダマンタンカルボキシ、またはテトラゾリル)である。

    このような試薬での表面の官能基の再保護を、代表的に、非求核塩基(例えば、2,6−ルチジン、ピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)を含む有機溶媒中で実行する。 いくつかの実施態様において、求核触媒(例えば、N−メチルイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン)もまた、再保護工程の速度および効率のさらなる増強を提供するために含まれる。 これらの光不安定性保護基の付加後、VLSIPS TMサイクルを、写真平板脱保護を使用して続け、その後、さらなるモノマーのカップリング、保護基の置換などを、所望の高分子アレイを完成するまで行い得る。

    1つの局面において、この作製される高分子はポリヌクレオチドである。 標準的ホスホルアミダイト化学方法、またはH−ホスホネート方法、あるいは当業者に公知の他のカップリング方法を、モノマーカップリングモノマーのために使用し得る。 さらに、照射される光不安定性保護基(MeNPOC)を、別の光不安定性保護基(例えば、NVOCまたは上記に参照されたような同時係属中の出願に記載される光不安定性保護基)で置換し得る。 一旦、これらの化学的に除去可能な保護基を除去すると、光不安定性保護基を、これらの保護基の混合無水物を使用して付加し得る。

    別の局面において、この高分子はペプチドである。 ペプチド合成のために、化学的に除去可能な保護基を有する市販のアミノ酸(例えば、FMOC−アミノ酸)を使用し得る。 保護基の交換後、カップリング工程を、BOP/HOBtの活性化方法およびカップリング方法を使用して実行し得る。 当業者は、他のカップリング方法ならびに化学的に除去可能な保護基を有する他のアミノ酸モノマーを本発明において使用し得ることを理解する。

    なお別の局面において、全ての予め選択された領域を第1のモノマーで誘導体化する。 これらのモノマー各々は、化学的に除去可能な保護基を有する。 この第1のモノマーを、予め選択された領域各々に付加した後、この保護基を、固体支持体全体を洗浄する形態での化学的脱保護を使用して、1つの工程で全て除去する。 あるいは、気相脱保護も使用し得る。 米国特許第5,599,695号および同第5,831,070号を参照のこと。 次いで、増大する高分子各々の光不安定性保護基での再保護を、固体支持体全体をもう1度洗浄する形態で実行する。 この再保護の後、高分子合成の写真平板技術を、化学的に除去可能な保護基を有するモノマーを使用して続け得る。

    c)フローチャンネル法またはスポット法 単一基材上でのアレイ合成に適用可能なさらなる方法が、米国特許第5,677,195号および同第5,384,261号に記載されており、本明細書中で参考として援用される。 これらの出願中に開示される方法において、試薬は、(1)予め規定された領域上に規定されるチャンネル内を流動するか、または(2)予め規定された領域上に「スポットする」かのいずれかによって、基材へと送達される。 しかし、他のアプローチ、ならびにスポッティングと流動の組合せを、使用し得る。 各々の場合において、このモノマー溶液を種々の反応部位へと送達する場合に、この基材の特定の活性化領域を、機械的に他の領域から分離する。

    本発明に適用される代表的な「フローチャンネル」法を、一般に以下のように記載し得る。 基材の表面上に適切な試薬が流動するフローチャンネルまたは適切な試薬を配置するフローチャンネルを形成することにより、種々の高分子を、その基材または固体支持体の選択領域に合成する。 例えば、モノマー「A」を、選択領域の第1の基においてこの基材に結合すべきであると仮定する。 必要ならば、全てまたは一部の選択領域中の全てまたは一部のこの基材の表面を、例えば、適切な試薬を全てまたはいくつかのチャンネルに流動させることによってか、または適切な試薬で基材全体を洗浄することにより、結合について活性化する。 この基材の表面上にチャンネルブロックを配置した後、モノマーAを有する試薬を全てまたはいくつかのチャンネルに流すか、またはモノマーAを有する試薬を全てまたはいくつかのチャンネルに配置する。 これらのチャンネルは、第1の選択領域への流体接触を提供し、それによりこの第1の選択領域中で、直接にかまたは間接的に(スペーサーを介して)、この基材上にモノマーAを結合させる。

    その後、モノマーBを、第2の選択領域にカップリングさせる。 この第2の選択領域のいくつかは、第1の選択領域間に含まれ得る。 この第2の選択領域は、この基材の表面上のチャンネルブロックの移動、回転、または置換を通じて、選択されたバルブの開閉を通じて、あるいは化学物質層もしくはフォトレジスト層の堆積を通じて、第2のフローチャンネルに流体接触する。 必要ならば、少なくとも第2の領域を活性化するための工程を実施する。 その後、モノマーBを、第2のフローチャンネルに流動させるか、または第2のフローチャンネル中に配置し、モノマーBを第2の選択位置に結合させる。 この特定の実施例において、この処理段階で得られた、基材に結合した配列は、例えば、A、B、およびABである。 このプロセスを反復して、基材上の既知の位置に、所望の長さの配列の広大なアレイを形成する。

    この基材を活性化させた後、モノマーAを、いくつかのチャンネルを通じて流し得、モノマーBを他のチャンネルを通じて流し得、モノマーCをさらに他のチャンネルを通じて流し得える、など。 このような様式で、このチャンネルブロックを移動しなければならない前にか、あるいはこの基材を洗浄および/または再活性化しなければならない前に、多くの反応領域または全ての反応領域をモノマーと反応させる。 多くの利用可能な反応領域または全ての利用可能な反応領域を同時に利用することによって、洗浄工程および活性化工程の数を最小にし得る。

    当業者は、チャンネルを形成する代替的方法、またはさもなければこの基材の表面の一部を保護する代替的方法が存在することを認識する。 例えば、いくつかの実施態様に従って、保護コーティング(例えば、親水性コーティングまたは疎水性コーティング(その溶媒の性質に依存する))を、保護すべき基材の部分にわたって利用する。 これは、時々、他の領域における反応体溶液によるぬれを容易にする物質と組合せて利用される。 この様式で、流動する溶液がその指定された流動経路の外側を通るのをさらに防ぐ。

    本発明の化合物およびライブラリーを調製する「スポッティング」法を、このフローチャンネル法とほとんど同じ様式で実行し得る。 例えば、モノマーAを、適切に活性化された反応領域の第1の基に送達し、そしてこれとカップリングさせ得る。 その後、モノマーBを、活性化された反応領域の第2の基に送達し、そしてこれと反応させ得る。 上記のフローチャンネルの実施態様とは異なり、反応体を、選択領域に比較的少量の反応体を(流すよりむしろ)直接堆積させることによって送達する。 いくつかの工程において、当然、この基材表面全体を溶液で噴霧し得るか、またはさもなければ溶液でコーティングし得る。 好ましい実施態様において、ディスペンサーが領域から領域へと移動し、停止するごとに、必要な多さだけのモノマーを堆積させる。 代表的なディスペンサーは、このモノマー溶液を基材へと送達するマイクロピペットおよびこの基材に関するマイクロピペットの位置を制御するためのロボット化システム、あるいはインクジェットプリンターを備える。 他の実施態様において、このディスペンサーは、一連のチューブ、マニホルド、ピペットのアレイなどを備え、その結果、種々の試薬を、反応領域に同時に送達し得る。

    d)ピンベースの方法 高分子アレイの調製のためのピンベースの方法が、米国特許第5,288,514号に詳細に記載される。 この方法は、複数のピンまたは他の伸長部分を有する基材を利用する。 このピンを、トレー中の個々の試薬容器中にそれぞれ同時に挿入する。 一般的な実施態様において、96ピン/容器のアレイを利用する。

    各トレイを、個々のピン上での特定の化学反応においてカップリングさせるための特定の試薬で満たす。 従って、このトレーは、しばしば別々の試薬を含む。 本明細書中で開示される化学作用は確立され、比較的類似した反応条件のセットを利用して各々の反応を実施し得るので、複数の化学的カップリング工程を同時に行うことが可能になる。 このプロセスの第1の工程において、本発明は、これらの化学的カップリング工程が行われる基材の使用を提供する。 この基材は、必要に応じて、活性部位を有するスペーサーを備えて提供される。 例えば、ポリヌクレオチドの特定の場合において、このスペーサーを、合成に関連する有機環境ならびに結合研究に関連する水性環境において使用し得る広範な分子から選択し得る。

    適切なスペーサーの例は、ポリエチレングリコール、ジカルボン酸、ポリアミンおよびアルキレンであり、これらは例えば、メトキシ基およびエトキシ基で置換される。 あるいは、このスペーサーは、遠位末端上に活性部位を有する。 この活性部位を、必要に応じて、最初に保護基で保護する。 広範な有用な保護基の中には、FMOC、BOC、t−ブチルエステル、t−ブチルエーテルなどがある。 種々の例示的な保護基が、例えば、Athertonら、Solid Phase Peptide Synthesis、IRL Press(1989)に記載されており、本明細書中で参考として援用される。 いくつかの局面において、このスペーサーは、例えば、酸または塩基に対する曝露によって切断可能な機能を提供し得る。

    (e:ビーズに基づく方法)
    ビーズに基づく合成のための一般的なアプローチは、米国特許第5,384,261号に記載される。 ビーズ上での、ポリヌクレオチドのような分子の合成のために、多数のビーズを容器中の適切なキャリア(例えば、水)に懸濁する。 このビーズを、必要に応じて、活性部位を有するスペーサー分子とともに提供する。 この活性部位を、必要に応じて、保護基によって保護する。

    この合成の第1工程において、このビーズを、カップリングするために、複数の容器に分配する。 この説明を簡潔にするために、容器の数を3つに限定し、そしてモノマーをA、B、C、D、E、およびFと表示する。 次いで、この保護基を取り除き、そして合成される分子の第1の部分を、3つの容器の各々に添加する(すなわち、Aを容器1に添加し、Bを容器2に添加し、そしてCを容器3に添加する)。

    その後、種々のビーズを適切に洗浄して過剰の試薬を除き、そして1つの容器中で再び混合する。 再度、最初に多数のビーズが利用されたため、この容器中に、その表面上に合成されるモノマーの特定の第1の部分を各々有する、不規則に分散された多数のビーズが同様に存在することが理解される。

    その後、種々のビーズを、カップリングするために、別の群の3つの容器に再び分配する。 第1の容器中のビーズを脱保護し、そして第2のモノマー(D)に曝露し、一方、第2および第3の容器中のビーズを、それぞれ分子部分EおよびFに曝露する。 従って、分子AD、BD、およびCDが第1の容器中に存在し、一方、AE、BE、およびCEが第2の容器中に存在し、そして分子AF、BF、およびCFが第3の容器に存在する。 しかし、各々のビーズは、その表面上に単一の型の分子のみを有する。 従って、第1の部分A、B、C、ならびに第2の部分D、E、およびFから形成される可能性のある分子の全てが形成される。

    次いで、このビーズを1つの容器中に再び合わせ、そして重合体分子の合成を完了するようなさらなる工程を実施する。 好ましい実施態様において、このビーズを、同定タグ(これは、各々のビーズ上に存在する特定の二本鎖オリゴヌクレオチドまたはプローブに対して独特である)を用いてタグ化する。 合成ライブラリーにおける使用のための同定タグの完全な説明は、米国特許第5,639、603号に提供される。

    (適用)
    固体支持体上の多様な分子の合成のための方法の出現により、このようなアレイについて多くの診断上の適用が生み出された。 これらの多くの診断上の適用は、逐次(stepwise)様式で構成ブロックから合成される、多数の連結された生体高分子(例えば、ペプチドおよびポリヌクレオチド)もしくは他の小さなリガンド分子を有する固体支持体またはチップを、この連結された重合体または小さなリガンド分子のうちの1つ以上に特異的に結合する任意の種を同定するために、試料と接触させる工程を包含する。

    標的核酸の完全配列を提供するため、および特定のポリヌクレオチド配列を含む核酸の存在を検出するために使用され得るポリヌクレオチドプローブのアレイを作製するための方法が、記載されている。 米国特許第5,556,752号は、単分子の二本鎖ポリヌクレオチド(これは、タンパク質/DNA結合の相互作用(例えば、p53タンパク質および多くの癌状態に寄与する遺伝子に関連する相互作用)を含む診断上の適用において使用され得る)のアレイを作製する方法を記載する。 二本鎖ポリヌクレオチドのアレイはまた、特定の結合親和性を有する新しい薬物についてスクリーニングするために使用され得る。 より近年、広範囲の一般適用性を有する完全なn−マーアレイプローブが、記載されている。 米国仮特許出願第60/100,393号(1998年9月15日出願);および米国特許出願第09/394、230号(1999年9月13日出願)を参照のこと。

    本発明の方法および組成物は、生物学的重合体および低分子のアレイの固相合成のための上記のプロセス、ならびに上記のアッセイ方法のいずれかにおいて適用を見出すことが、当業者に明らかである。

    以下の実施例は、単に例示の目的のために提供され、そして本発明を限定することも規定することも意図しない。

    (実施例1:重合性ブラシの調製)
    ソーダライムガラスまたはシリコン(100)基材を、ピラニア溶液(30%の過酸化水素および70%の硫酸)で、90℃にて30分間清浄し、大量の脱イオン水で洗浄し、そしてN 2流で乾燥する。 次いで、この清浄した基材を、アゾビス(ペンタンアミドプロピルトリエトキシシラン)(AIBN−APSとして公知である)でシラン化(silanize)する。 アゾビスの構造および調製を図2に示す。 特願平1−234479;および特願平3−99702を参照のこと。 この方法は、ガラス基材またはシリカ基材を、トルエン中の1%AIBN−APS溶液に数時間浸漬することからなる。 反応後、この基材を新鮮なトルエンで洗浄し、そしてN 2流で乾燥する。 シリカ上でのシラン化(silanation)の反応の進行を、楕円偏光法による膜厚測定によってモニターし得る。

    AIBN−APS−シラン化基材を、ラジカル重合に供する。 この基材を、脱気したDMF中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の25〜50%溶液に、種々の反応時間および温度で浸漬する。 70℃の反応温度において、表面のAIBN分子は2つのラジカルに解離して、ヒドロキシル−官能化メタクリレート重合体を形成する重合を開始する。 次いで、この基材をDMFおよび水で徹底的に洗浄し、そして徹底的に乾燥した。 シリコン上に得られたフィルムの厚さを、楕円偏光解析またはAFM(原子間力顕微鏡)によってモニターする。 例えば、5〜30nmの範囲の厚さのpHEMAフィルムは、24時間の重合後に得られる。

    重合性ブラシを調製するためのさらなる詳細は、当該分野で公知である。 例えば、米国特許第5,852,129号、同第5,728,747号、同第5,807,937号、同第5,708,102号および同第5,677,388号を参照のこと。 ChangおよびFrank、Langmuir、12:5824〜29(1996);ChangおよびFrank、Langmuir、14:326〜334(1998);PruckerおよびRuhe、前出;特願平1−234479;ならびに特願平3−99702もまた参照のこと。

    (実施例2:重合性ブラシ上のポリヌクレオチドアレイの調製)
    ガラス基材上の、5nm厚のpHEMAフィルムを使用した。 フルオレセイン分子を、例えばPCT/US00/09206に記載されるような標準的な手順によって表面に連結する。 代表的なコントロールのシラン化基材である、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランでシラン化した平坦なソーダライムガラスと、pHEMAを修飾したガラスとを比較した。

    (蛍光体プライム(Fluoreprime)染色アッセイ)
    シリカ基板上の合成、密度および均一性の定量的な研究を、McGallら:J. Am. Chem. Soc. 、119:5081〜5090(1997)に記載されるような表面蛍光に基づく方法を使用して実施した。 表面の蛍光「染色」を、記載されるように実施したが、アセトニトリル中に50mM DMT−T−CEPを含む溶液において、0.5mMのフルオレセイン濃度を使用することを除く。 このフルオレセインホスホルアミダイトを、標準的な手順を用いて、遊離のヒドロキシル基にカップリングする。 次いで、基材をエチレンジアミン/エタノールの1:1溶液中で、最短で1時間脱保護化し、脱イオン水でリンスし、そして乾燥窒素で吹き付け乾燥する。 次いで、基材を、共焦点顕微鏡を使用して走査する。 得られたシグナルは、この表面上の利用可能なヒドロキシル基の数の関数である。 この場合において、同様に処理された他の型のガラスと比較した場合の相対値は、この表面の相対密度および相対能力を示す。 この技術はまた、この表面の質および均一性に関するこの表面の視覚的な画像を提供する。 この技術は、ヒドロキシル基に限定されず、この表面上の目的の重合体の支持体について、検出のために適切に官能化された分子を使用することによって、他の目的の基を測定するために改変され得る。

    pHEMAフィルムは、蛍光染色分析によって明示されるように、ずっと高いヒドロキシル含有量/基材の単位面積を有した。 図7に示されるように、pHEMA修飾ガラス上のフルオレセイン染色ストライプからの平均蛍光強度は、BISシラン初期には、コントロールよりも少なくとも60倍強かったが、6×SSPE緩衝液中25℃で40時間の後には、300倍よりも高い比に増加する。 この増加は、主に、水性リン酸緩衝液中での「ビス」シラン結合相の公知の加水分解のために、コントロール基材の蛍光強度が損失することが原因である。 従って、pHEMAフィルムは、シラン化された層よりも加水分解的分解に対してより安定であるようである。

    (HPLC定量アッセイ)
    HPLC定量アッセイを、実質的に米国特許第5,843,655号に記載されるように行う。 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析を、520nmの蛍光検出を用いて、Beckman System Goldイオン交換カラムで行う。 溶出を、1mL/分の流速で、20mM Tris pH8中の0.4M NaClO 4の直線勾配で、または他の適切な緩衝液システムで行う。 HPLC定量アッセイを、重合体を生成するために利用可能な部位密度(site density)および、成長鎖に対するモノマーの連続的付加のそれぞれのカップリング効率を測定するために使用する。

    この技術において、切断可能なスルホンリンカー(5'−ホスフェート−ON試薬、ChemGenes Corporation)、スペーサー分子(Glen Researchの「C3」、3炭素スペーサーホスホルアミダイト、)、および発蛍光団(BioGenexの5−カルボキシフルオレセイン−CX CEDホスホルアミダイト)が、表面に付着された。 スペーサー分子の目的は、意図した合成部位に付着された蛍光分子と、化学結合なしで表面に残る蛍光分子との間の区別のためである。 合成はまた、伝統的な酸に基づいてポリヌクレオチド化学(トリチル化学)を使用して表面上で行った。 同様な化学が、ポリヌクレオチド、ペプチド、オリゴ糖、ペプチド核酸、および他の重合体の合成について適用され得る。 ペプチド核酸に関する記述は、1992年11月26日に公開されたPCT公開WO92/20702に見られ得る。

    合成後、表面は、リンカーを切断して3'−C 3 − フルオレセイン−5'を遊離するために、必要な公知の溶液量の試薬で処理され、これは、典型的には、溶液(体積で1:1のエチレンジアミン/水)中、一晩かけて切断される。 得られた溶液を、希釈し、内部標準と同時に注入し、HPLCで分析する。 内部標準は、ABI合成器で別に調製された3'−C 3 −C 3 −フルオレセイン−5'鎖である。 濃度を、Varian Cary 3E分光光度計(Varian)でUV−Visスペクトルによって測定する。 HPLCのピーク面積の積分は、総計の部位密度およびカップリングのきれいさ(cleanliness)を決定するために使用され得る。

    コントロールシラン化基材は、110pmole/cm 2のヒドロキシル基密度を有するが、pHEMA修飾ガラスは、11,800のヒドロキシル基密度を有した。 従って、pHEMA修飾ガラスは、1単位面積につき107倍多いヒドロキシル基を含む。

    (実施例3:ポリヌクレオチドの重合性ブラシアレイについてのハイブリダイゼーションアッセイ)
    ポリヌクレオチド重合性ブラシアレイは、実施例1に記載されたように作製されたpHEMAコーティングガラス基材に付着されたポリヌクレオチドを含んでいた。

    ハイブリダイゼーション可能な完全長プローブ(典型的には、20量体のプローブ)は、5'−光不安定MeNPOC保護基を備えるヌクレオシドホスホルアミダイトを使用して、特許5,405,783に記載されるように、Affymetrix合成器を用いて合成された。 使用される配列は、3'末端が表面に付着された、(3')−AGG TCT TCT GGT CTC CTT TA(5')のような20量体プローブであった。 光不安定でない保護基は、最小限4時間の1:1エチレンジアミン/エタノール(v/v)中での合成後に除去された。

    ハイブリダイゼーションアッセイを、さらなる処理なしにガラススライド上で行った。 各スライドを、穏やかに攪拌しながら、ハイブリダイゼーション緩衝液中の約10〜15mlの10〜50nM標的オリゴヌクレオチド中に置いた。 使用した2つのハイブリダイゼーション緩衝液は、6×SSPEである。 標的の配列は、(5')発蛍光団−TCC AGA AGA CCA GAG GAA ATのようなプローブ配列の正確な相補体である。

    表面蛍光のパターンおよび強度を、特別に構成された走査型レーザー共焦点蛍光顕微鏡で画像化した。 必要な場合、フォトン増倍管のゲインを、検出器の範囲内にシグナルを維持するために調整した。

    ポリヌクレオチド重合性ブラシアレイは、種々の温度でコントロールオリゴヌクレオチド(6×SSPE中10nM)と1時間〜数時間ハイブリダイズされた。 標準的なハイブリダイゼーションプロトコルを、例えば、PCT/US00/09206に記載されるように使用した。 当該分野で公知の任意の等価なハイブリダイゼーションプロトコルがまた使用され得る。

    ハイブリダイゼーションの特徴に関して、pHEMA膜上での合成はまた、プローブのずっとより高い表面濃度を与え、これは、実質的により高いハイブリダイゼーションシグナルとなる。 図8は、40時間で発現するハイブリダイゼーションシグナル比を示す。 強度比は、初期には、コントロールよりも約5倍より強く、40時間のハイブリダイゼーション後には約9倍高くまで増加する。 ハイブリダイゼーションシグナルは、時間とともに膜上で増加し続けるが、シラン化された基材は、1時間の時点ですでに飽和する。 明らかに、pHEMA膜が、よりずっと高い表面ヒドロキシル含有量および標的分子結合能力を有するが、結合の動力学は、幾分より緩慢であり得る。 これは、完全にヒドロキシル化された重合体「ブラシ」上でプローブが込み合い、プローブが実質的に接近不可能に至ることから予期される結果である。

    より大きいプローブ間隔が溶液中での標的分子への接近可能性を改善するので、ヒドロキシル濃度がより低いほど、より最適であるようである。 膜中のプローブ濃度の希釈は、重合を官能性モノマーと非官能性モノマーとの混合物を用いて行い、鎖に沿ってさらに離れた間隔で官能基を有する共重合体を形成することによって達成され得る。 このような「希釈」官能化重合性ブラシ基材は、匹敵するシグナルまたはそれを超えるシグナルを提供しながら、最適のプローブ密度(伝統的な基材で得られ得る密度に依然として匹敵するかまたはそれより大きい)を提供すると考えられる。

    約40時間のハイブリダイゼーションの後に、温度を、45℃に上昇させた。 これによって、コントロール基材とpHEMA修飾基材との両方について、シグナルの急速な減少となった。 これは、二重鎖が温度の上昇とともに不安定化するので、表面プローブから結合した標的分子が解離することが原因である。 しかし、pHEMAサンプル対コントロール基材のシグナル比の観測可能な減少がなく、このことは、オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション親和性が両方の基質上で等価であることを示唆する。

    別の実験において、実施例1のように作製された基材上のハイブリダイゼーションで、SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、EDTA)緩衝液中でのハイブリダイゼーションは、1時間25℃で、コントロールより2.3倍高かった。 45℃で16時間後に、強度は、標準よりも135倍高く増加した。

    本明細書中で言及された全ての刊行物、特許、および特許出願は、その全てが本明細書中で参考として援用される。

    上記記述は、例示であって、制限的ではない。 本発明の多くの変化は、この開示を吟味することによって当業者に明らかとなる。 単なる例示として、種々の基材、重合体、イニシエーター、合成開始部位、および他の物質が、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。

    (発明の要旨)
    重合性ブラシ基材およびそれらの調製のための方法が提供される。 そのような重合性ブラシ基材における高分子アレイを調製するための方法もまた提供される。 重合性ブラシ基材を用いると、官能部位の密度の制御ならびにその基材の湿潤性および多孔性の制御が可能になる。 これらの重合性ブラシは、ペプチド、ポリヌクレオチドまたは有機低分子のアレイの固相合成において有用である。

    図1A、1Bおよび1Cは、フリーラジカル方法を通じた重合体ブラシ形成の模式図を示す。 図1Aは、熱で生成した表面ラジカル(I)が、ビニルモノマー(M)の重合を開始し、表面に係留した重合鎖をもたらすことを示す。 図1Bは、表面上でのフリーラジカル重合を示す。 ここで、イニシエーターは、表面に共有結合し、そしてモノマーの存在下で熱または光によって活性化される。 図1Cは、重合体ブラシ基材上のヒドロキシル基の三次元分布を模式的に示す。

    図2は、シランカップリング剤Iの構造およびその合成のための合成スキームを示す。

    図3は、シランカップリング剤IIの構造およびその合成の合成スキームを示す。

    図4は、そのイニシエーターがアゾ型である表面結合イニシエーターの例を示す。

    図5は、本発明の例示的なモノマーをいくつか示す。

    図6は、モノマーIVを用いてヒドロキシル化された重合体ブラシ表面を作製するためのフリーラジカル重合を示す。

    図7は、重合性ブラシ対平坦な二次元基材におけるヒドロキシル官能基の密度の比較を示す。

    図8は、重合性ブラシ対平坦な二次元基材におけるハイブリダイゼーションからのシグナル強度の比較を示す。

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