首页 / 国际专利分类库 / 化学;冶金 / 组合化学 / 组合化学;化合物库,如化学库、虚拟库 / 库本身,如阵列、混合物 / High-throughput assay for constant direction of combinatorial compound library and screening it

High-throughput assay for constant direction of combinatorial compound library and screening it

申请号 JP2000553388 申请日 1999-06-10 公开(公告)号 JP2002517474A 公开(公告)日 2002-06-18
申请人 グリコデザイン インコーポレイテッド; 发明人 アッタム・サハ; アレッサンドロ・ダッティ; ジェイムズ・デニス; ジェレミー・カーバー; フランソワ・ディ・トロッパー; ロター・ツィザー; ロブ・ドノバン;
摘要 (57)【要約】 選択された糖ヌクレオチド供与体から選択された受容体への糖の転移を炭 水 化物プロセッシング酵素によって抑制するためのヌクレオシドペプチド分子の予め決定された捕集を含む、コンビナトリアル・ライブラリが開示されている。 ここで、ヌクレオシドペプチド分子は、(a)ヌクレオシドモノマー、(b)アミド連鎖アミノ酸残渣1以上を含有するヌクレオシドモノマーまたはそのペプチド擬態物と共役したスペーサーモノマー、および(c)スペーサーモノマーと結びついたキャップモノマーを含有する。 ヌクレオシドペプチド分子はまた、ヌクレオシドモノマー、スペーサーモノマーまたはキャップモノマーのうち少なくとも1個の要素の同一性が互いに異なることを特徴とする。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 選択された糖ヌクレオチド供与体から選択された受容体への糖の転移を炭水化物プロセッシング酵素によって抑制するためのヌクレオシドペプチド分子の予め決定された捕集を含んで成るコンビナトリアル・ライブラリであって、ヌクレオシドペプチド分子が、 (a)ヌクレオシドモノマー、 (b)アミド連鎖アミノ酸残渣1以上を含有する、ヌクレオシドモノマーと共 役されたスペーサー分子またはその擬態物、および (c)スペーサーモノマーと結びついたキャップモノマー を含有し、かつ前記ヌクレオシドモノマー、スペーサーモノマーまたはキャップモノマーのうち少なくとも1個の要素の同一性が互いに異なることを特徴とするコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項2】 炭水化物プロセッシング酵素が、糖タンパク質、糖脂質またはグリコシルホスファチジル(glycosylphophfatidyl)イノシトールの生合成において必要とされる糖転移酵素である請求項1記載のコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項3】 炭化水素プロセッシング酵素が、N-アセチルグルコサミニル基転移酵素I,II、II、IVもしくはV、またはβ-1,3-ガラクトシル-O-グリコシル-糖タンパク質β1,6-N-アセチルグルコサミニル基転移酵素(コア2Glc
    NAc)である請求項2記載のコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項4】 ヌクレオシドモノマーが、ウリジル、2'-デオキシウリジルまたは5'-アミノ-5'デオキシ-2',3'-O-イソプロピリジンウリジルである請求項1〜3のいずれかに記載のコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項5】 キャップモノマーが、メチル(Me)、ホルミル(CHO)
    、エチル(Et)、アセチル(Ac)、t-ブチル(t-bu)、アニシル、トリフルオロアセチル(Tfa)、ベンゾイル(Bz)、4-メチルベンジル(Meb)
    、チオアニジル、チオクレジル、ベンジルオキシメチル、4-ニトロフェニル(P
    np)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、2-ニトロベンゾイル(NBz)、2-
    ニトロフェニルスルフェニル(Nps)、4-トルエンスルホニル(Tosyl、
    Tos)、ペンタフルオロフェニル(Pfp)、ジフェニルメチル(Dpm)、
    2-クロロベンジルオキシカルボニル(Cl−Z)、2,4,5-トリクロロフェニル、
    2-ブロモベンジルオキシカルボニル(Br−Z)、トリフェニルメチル(Tri
    tyl、Trt)、2,2,5,7,8-ペンタメチル-クロマン-6-スルホニル(Pmc)
    、t-ブチロキシカルボニル(Boc)、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)および9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)である請求項1〜4のいずれかに記載のコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項6】 スペーサーモノマーが、1個のアミド連鎖アミノ酸、アミド連鎖ジペプチドまたはアミド連鎖トリペプチド、あるいはそれらの擬態物である請求項1〜5のいずれかに記載のコンビナトリアル・ライブラリ。
  • 【請求項7】 ヌクレオシドモノマー、アミド連鎖アミノ酸残渣少なくとも1つを含有する、ヌクレオシドモノマーと共役したスペーサーモノマーまたはその擬態物、およびスペーサーモノマーに結びついたキャップモノマーを含むヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項8】 以下の式1: 【化1】 [式中、Xは、H、-COOH、-OSO 3 Hまたは(CH 2 ) q SO 3 Hであり(ここで、qは0または1である。)、Rは(Y) mを表し(ここで、Yはアミド連鎖アミノ酸残渣であり、mは1〜3である。)、およびZ'およびZは、同一または異なって、ヒドロキシルまたはアルコキシであるか、またはZ'およびZが合わせてアセトニド基を形成する。 ] で表され、および式中の遊離NH 2基がキャップモノマーでキャップされているヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項9】 Xが、H、-COOH、-OSO 3 Hまたは(CH 2 ) q SO 3 Hであり(ここで、qは0または1である。)、Z'およびZがいずれもヒドロキシルであるか、または合わせてアセトニド基を形成し、Rが、-NHCOR 1を表し
    [ここで、R 1は、以下の(a)または(b)を表す: (a) 【化2】 (前記式中、R 2はアルコキシである。) 、または (b)−CHR 34 {ここで、R 3は水素または-NH 2であり、およびR 4は 【化3】 (ここで、R 5はハロゲン、アルキルまたはアルコキシである)、 【化4】 、-CH 2 N(CH 3 )CH 2 CH 26または-N(CH 3 )CH 2 CH 26 (ここで、R 6は、ハロゲン、 【化5】 、-CH 2 N(C 25 )CH 2 CH(CH 3 )OHまたは-CH 2 NHCOCH(CH 3 ) 2である。 )であるか、あるいはR 4は、(CH 2 ) n8 (前記式中、nは0〜5であり、R 8はハロゲン、 【化6】 (ここで、R 9はアルコキシである。)、 【化7】 、-N(CH 3 )CH 2 CH 210 (ここでR 10はハロゲンである。)、-N(C 25 )
    CH 2 CH(CH 3 )OHまたは-NHCOCH(CH 3 ) 2である。 )] 、および遊離アミノ基がキャップモノマーで保護されている、請求項8の式1で表されるヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項10】 Xが-COOHであり、Rが-NHCOR 1を表し、ここで、R 1は、−CHR 34を表す{式中、R 3は水素であり、およびR 4は、(CH 2 ) n8であって、nは0〜5、好ましくは1〜4であり、R 8はハロゲン、 【化8】 (ここで、R 9はアルコキシ、ハロゲンまたはアルキルである。)、 【化9】 または-N(CH 3 )CH 2 CH 210 (ここで、R 10はハロゲンである。)、-N(C 25 )CH 2 CH(CH 3 )OHまたは-NHCOCH(CH 3 ) 2である。 }、請求項8
    の式1で表されるヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項11】 Xが-COOHであり、Rが、-NHCOR 1を表し、ここで、R 1は−CHR 34 {ここで、R 3は-NH 2を表し、およびR 4は、 【化10】 (ここでR 5はハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。) 【化11】 -CH 2 N(CH 3 )CH 2 CH 26 (ここで、R 6はハロゲンである。)、-CH 2 N(
    25 )CH 2 CH(CH 3 )OH、-CH 2 NHCOCH(CH 3 ) 2または 【化12】 である。 }を表す、請求項8の式1で表されるヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項12】 Xが-OSO 3 Hまたは(CH 2 ) q SO 3 Hであり、ここで、
    qは0または1であり、Rは-NHCOR 1 {ここで、R 1は-CHR 34を表し、
    3は-NH 2を表し、およびR 4は 【化13】 (ただしR 5は、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。) 、-CH 2 N (C 25 )CH 2 CH(CH 3 )OHまたは-CH 2 NHCOCH(CH 3 ) 2である。 }を表す、請求項8の式1で表されるヌクレオシドペプチド分子。
  • 【請求項13】 複素環式アミン塩基を有する選択された糖ヌクレオチド供与体から選択された受容体への糖の転移を炭水化物プロセッシング酵素によって抑制するためのヌクレオシドペプチド分子の予め決定された捕集を含む、コンビナトリアル・ライブラリの調製法であって、 (a)アミノ酸またはその擬態物1以上を、糖と共役した複素環式アミン塩基を含有するヌクレオシドモノマーユニットと共役することであって、塩基が、糖ヌクレオチド供与体の複素環式アミン塩基、または該塩基の変性形もしくは類似体に相当すること、および (b)遊離官能基またはアミン基をキャップモノマーユニットでキャップすることを含んで成る、コンビナトリアル・ライブラリの調製法。
  • 【請求項14】 薬理学的に活性な分子をスクリーニングするために、請求項1記載のコンビナトリアル・ライブラリを用いる方法。
  • 【請求項15】 (a)炭化水素プロセッシング酵素のための受容体を、キャリア上のポリマーおよびコーティングと結合すること、 (b)炭化水素プロセッシング酵素、検出できる物質でラベルされた糖ヌクレオチド供与体、および試験化合物を添加すること、 (c)検出できる物質によって発生される検出できる変化を測定すること、および (d)試験化合物の不存在下で対照と比較すること(ここで、試験化合物を含む検出できる物質の量の減少は、試験化合物が前記酵素に対して抑制活性を有することを示す) を含む、炭化水素プロセッシング酵素に対して抑制活性を有する化合物を同定するための固相バイオアッセイ。
  • 【請求項16】 (a)試験化合物を、L-PHAの存在下でN-連鎖オリゴサッカリドを発現する細胞と反応させて、アルカリホスファターゼ活性を測定すること、および (b)化合物の不存在下で対照と比較すること(ここで、アルカリホスファターゼ活性の増加は、前記化合物がN-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制することを示す) を含む、N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制する化合物の同定法。
  • 【請求項17】 請求項14〜16のいずれかに記載の方法で同定される化合物を含有する医薬組成物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 (技術分野) 本発明は、化合物の予め決定されたライブラリを記載しており、そのようなライブラリをマーキングするのに有用な化合物、およびこの化合物を含有する組成物に関する。

    【0002】 (背景技術) タンパク質と炭化物との相互作用は、受精、分子ターゲティング、細胞間認識や、ウィルス性、細菌性および真菌性病原を含む、広範な生体生物学的認識事象において必要とされいる。 糖タンパク質と糖脂質のオリゴサッカリド部位は、
    細胞−細胞間、細胞−リガンド間、細胞−細胞外基質間、および細胞−病原体間で認識を媒介する。

    【0003】 合成や輸送に必要とされる炭化水素プロセッシング酵素の抑制、およびオリゴサッカリドの開裂は、タンパク質とオリゴサッカリドとの間の相互作用を抑制しかつ認識減少を抑制する手段として使用できる。 特に、オリゴサッカリドの生体内での合成に関して、2つの酵素群を目標とすることができる。 ルロアール経路の酵素は、糖ヌクレオシドホスファターゼとして活性化された糖を、成長オリゴサッカリド鎖へ転移する。 ルロアール経路で必要とされるヌクレオシドホスファターゼ基礎単位としては、UDP-Glu、UDP-GlcUA、UDP-Glc
    NAc、UDP-Gal、UDP-GalNAc、UDP-Idua、GDP-Ma
    n、GDP-FucおよびCMP-NeuAcが挙げられる。 オリゴサッカリドの生体内での合成に関連する他の酵素群は、糖ヌクレオシドホスファターゼとしてではなく、糖ホスファターゼとして活性化された炭化水素ユニットを転移する非ルロアール経路酵素である。

    【0004】 糖転移酵素は、段階的な様式における、ヌクレオチドからタンパク質または脂質へ、または成長オリゴサッカリドの非還元末端への活性化された糖の添加を触媒作用する。 哺乳類の細胞によってコード化された糖転移酵素は200個を超えることと予測され、その多くは、発達上制御されて、糖鎖形成の組織特異パターンとなると考えられる[シャヒター・エイチ著、Curr.Opin.Struct.Biol.1:755〜
    765頁、1991年;およびポールソン・ジェイ・シーおよびコーリー・ケイ著、JB
    iol.Chem.264:17615〜17618頁、1989年]。 NDP-糖残渣はそれぞれ、別個の種類の糖転移酵素を必要とし、各糖転移酵素は新規なグリコシド連鎖の形成を触媒作用すると考えられる。 オリゴサッカリドは、N-グリコシドまたはO-グリコシド結合によってタンパク質と結合され得る。 N-連鎖において、N-アセチルグルコサミン残渣は、配列Asn-X-SerまたはAsn-X-Thr(ここでXはアミノ酸である)におけるAsnのアミド窒素へのβ-連鎖である。 O-連鎖において、二糖β-ガラクトシル-(1,3)-α-N-アセチルガラクロサミンは、セリンまたはスレオニンの水酸基とα結合される。

    【0005】 ゴルジ酵素であるβ(T1-6)N-アセチルグルコサミニル基転移酵素V(すなわち、GlcNAc-TV)およびコア2β(T1-6)N-アセチルグルコサミニル基転移酵素(すなわち、コア2GlcNAc-T)は、細胞表面糖タンパク質のGl
    cNAcβ(T1-6)分岐N-およびO-連鎖炭化水素側鎖の進展に応答し得る。 この側鎖は、ヒト腫瘍細胞の表面に見い出され、ガンの侵入および転移と関連している[デニスら著、サイエンス236:582頁、1987年;デメトリューら著、J.Cell Bi
    ol.130:383頁、1995年]。 GlcNAc-TVおよびコア2GlcNAc−Tは、ヒトガン腫では上方制御されることが分かっている[フェルナンデスら著、Can
    cer Res.51:718〜723頁、1991年;シモダイラ・ケイら著、キャンサー・リサーチ57:5201頁、1997年;ラス情報伝達経路の活性と関連する現象(デニスら著、
    サイエンス236:582〜585頁、1987年;デニスら著、オンコジーン4:853〜860
    ページ、1989年)]。 上皮細胞におけるGlcNAc−TVの過剰発現は、マウスでは形態学的な形質変異や腫瘍の形成をもたらすことが分かっている[デメトリューら著、J.Cell Biol.130;383〜392頁、1995年]。 そのため。 GlcNAc-
    TV、並びに受容体基質をGlcNAc−TVへ供給する酵素(すなわち、Gl
    cNAc−TI、α-マンノシダーゼII、およびO-連鎖経路のコア2GlcNA
    c−T)は、抗ガン医薬品にとって有用なターゲットである。

    【0006】 フコシル基転移酵素は、血球表面でのシアリルルイスX (sLex X抗原の発現を決定するのに必要とされる。 炎症過程では、白血球のセレクチン-sLex X媒介付着が、白血球活性化および経皮内移動のための鍵工程である。 sLex X
    の合成に応答し得るフコシル基転移酵素の抑制は、セレクチン−炭化水素複合物の形成を予防し、それによって炎症過程の第1工程を妨げる。 抑制剤は、喘息、
    間接リウマチ、炎症性腸疾患およびアテローム性動脈硬化のような慢性の炎症障害の治療に有用である。 これら障害は全て、不適当な炎症応答を伴いかつ抑制が望まれる状態である。

    【0007】 炭化水素プロセッシング経路における特定酵素の阻害は、免疫細胞のTh1サイトカイン(インターフェロンおよびインターロイキン-2)に対して高い感受性を導き、それによりTh1免疫応答を更に促進する。 インターフェロン-α自体は、抗ウィルス活性を有するが、肝炎のような慢性の感染症を排除する場合にはそれだけでは不十分であると考えられる。 そのために、酵素抑制剤を使用して、B型およびC型肝炎を含む、多数のウィルス性、細菌性、真菌性および寄生虫の感染症を治療する場合にTh1サイトカインの効果を高めることができる。

    【0008】 病原性において重要な役割を果たす細菌の特定の炭化水素構造物を合成する酵素の抑制剤を使用して宿主の免疫系に対して細菌の感受性を高め、そして細菌のヒト細胞および組織内への侵入を抑制することができる。 例えば、ヒト糖タンパク質および糖脂質に見受けられる炭化水素構造物と同様の、低分子量オリゴサッカリド(LOS)と呼ばれる特定の細菌性炭化水素構造物は、細菌を、宿主の免疫系によって認識されかつ明確にされることから保護している。 LOS構造物を合成する場合に応答し得る酵素の抑制剤は、淋菌のような細菌の能を低下させて、宿主中での免疫調査を避けることができる。

    【0009】 GlcNAc−転移酵素I〜V、ガラクロシル転移酵素、シアロ転移酵素、フコシル基転移酵素およびコア2GlcNAcを含む、構造的および配座的多様性を有する炭化水素プロセッシング酵素の小さな分子の抑制剤が必要であると考えられる。 「リード」医薬品化合物を同定する抑制剤をスクリーニングするための高スループットの方法も必要である。

    【0010】 (発明の要旨) 本発明は、コンビナトリアル・カミストリー・アプローチに役立つ。 コンビナトリアル・ケミストリーは、一般に、段階的な形態で、同一または非同一の基礎単位(通常、「モノマーユニット」または「化学基」ともいう)を互いに連鎖することを伴う。 このアプローチを用いることにより、本発明者らは、特定の糖ヌクレオチド供与体から特定の受容体へ糖を転移する炭化水素プロセッシング酵素の小分子の抑制剤のコンビナトリアル・ライブラリを開発した。 小分子の抑制剤は、構造的および配座的多様性を有する。 小分子抑制剤によって抑制され得る酵素は、真核生物性および原核生物性糖転移酵素を包含する。 分子は、リード医薬品化合物の同定が可能な高スループットの方法を用いてスクリーニングできる。

    【0011】 広範に記載されているように、本発明は、選択された糖ヌクレオチド供与体から選択された受容体への糖の転移を炭水化物プロセッシング酵素によって抑制するためのヌクレオシドペプチド分子の予め決定された捕集を含んで成るコンビナトリアル・ライブラリであって、ヌクレオシドペプチド分子が、(a)ヌクレオシドモノマー、(b)1以上のアミノ酸を含む、ヌクレオシドモノマーと共役したスペーサー分子、あるいは模倣ペプチドまたはペプチド類似体、および(c)スペーサーモノマーと結びついたキャップモノマーを含有し、かつ前記ヌクレオシドモノマー、スペーサーモノマーまたはキャップモノマーのうちの少なくとも1つの要素の同一性が互いに異なることを特徴とするコンビナトリアル・ライブラリに関する。

    【0012】 加えて、ヌクレオシドペプチド分子は、(a)ヌクレオシドモノマー、(b)1以上のアミノ酸を含むヌクレオシドモノマーあるいは模倣ペプチドまたはペプチド類似体、および(c)スペーサーモノマーと結びついたキャップモノマーを含むものとする。

    【0013】 本発明は、複素環式アミン塩基を有する選択された糖ヌクレオチド供与体から選択された受容体への糖の転移を炭水化物プロセッシング酵素によって抑制するためのヌクレオシドペプチド分子の予め決定された捕集を含む、コンビナトリアル・ライブラリの調製法であって、 (a)アミノ酸または模倣ペプチド1以上を、糖と共役した複素環式アミン 塩基を含有するヌクレオシドモノマーユニットと共役することであって、塩 基が、糖ヌクレオチド供与体の複素環式アミン塩基、または該塩基の変性形 もしくは類似体に相当すること、および (b)遊離官能基またはアミン基をキャップモノマーユニットでキャップする こと を含んで成る、コンビナトリアル・ライブラリの調製法にも関する。

    【0014】 本発明は、薬理学上活性な分子をスクリーニングするためにコンビナトリアル・ライブラリを用いる方法、およびこの方法によって同定される化合物を含有する医薬品組成物にも関する。

    【0015】 更に、本発明は、(a)炭化水素プロセッシング酵素のための受容体を、キャリア上のポリマーおよびコーティングと結合すること、(b)炭化水素プロセッシング酵素、検出できる物質でラベルされた糖ヌクレオチド供与体、および試験化合物を添加すること、および(c)検出できる物質によって発生される検出できる変化を測定することを含んで成る。

    【0016】 本発明は、(a)試験化合物を、白血球凝集化植物性血球凝集素(L-PHA)の存在下、N-連鎖オリゴサッカリドを発現する細胞と反応させて、アルカリホスファターゼ活性を測定すること、および(b)前記化合物の不存在下で対照と比較すること(ここで、アルカリホスファターゼ活性の増加は、前記化合物がN-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制することを示す)を含む、N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制する化合物を同定する方法も考えている。
    この方法は、ここで具体的に説明される炭化水素プロセッシング酵素を抑制する化合物やゴルジα-マンノシダーゼを含む、β1-4Gal-転移酵素の前にN-連鎖オリゴサッカリド経路における全工程を抑制する化合物を同定するのに使用できる。

    【0017】 本発明によって意図される、炭化水素プロセッシング酵素に対して抑制活性を有する化合物は、腫瘍成長および腫瘍の転移の治療および予防;手術後の腫瘍再発の予防;ウィルス感染のような他の抗増殖状態の処置;骨髄細胞増殖の刺激、
    HIV、または細菌および真菌を含む他のウィルス性もしくは感染性病原体に感染した患者のような免疫無防備状態の患者の治療;ナイセリア属、ヘモフィルス属、大腸菌、棹菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、クレブシエラ属、シュードモナス属、連鎖球菌、クラミジア属、ボレリア属、コクシエラ、ピロリ菌および放線菌類のような、炭化水素構造物をその表面上に有する細菌性病原体によって引き起こされた疾患の予防と治療;あるいは喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患およびアテローム性動脈硬化のような炎症障害の治療に有用であり得る。 本発明の化合物は、骨髄移植を経験する患者や、化学的または腫瘍誘発−免疫抑制患者の血液再生剤または化学保護剤として用いてもよい。

    【0018】 本発明の他の目的、特徴および長所は、以下の詳細な説明から明白となるであろう。 しかし、詳細な説明や具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、
    例示のためだけに挙げられていると解されるべきであり、そのため、本発明の精神および範囲内での種々の変化および改良は、詳細な説明により、当業者には自明となるであろう。

    【0019】 ここで、本発明を以下の図面と関連して説明する。

    【0020】 (発明の詳細な説明) ヌクレオシドペプチド分子ここで、「モノマーユニット」とは、他のモノマーユニットと共役または接合する前の分子をいう。 「モノマー」とは、ヌクレオシドペプチド分子を形成するために共役または接合した後の分子をいう。 予め決定されたヌクレオシドペプチド分子を形成するために本発明で使用されるモノマーユニットは、ヌクレオシドモノマーユニット、スペーサーモノマーユニットおよびキャップモノマーユニットを包含する。

    【0021】 ヌクレオシドモノマーユニットは、抑制目標とされる炭化水素プロセッシング酵素の種類に基づいて選択され、特に、糖がそこから受容体に転移される酵素の場合は、糖ヌクレオチド供与体である。 「糖ヌクレオチド供与体」とは、糖成分、複素環式アミン塩基、および炭水化物プロセッシング酵素によって受容体へ転移される選択された糖と共役されるホスファターゼユニットを有するヌクレオチドを含有する分子をいう。 「受容体」とは、選択された糖が炭水化物プロセッシング酵素によって転移される炭化水素構造物(例えば、糖タンパク質、糖脂質)
    の一部をいう。

    【0022】 本発明に従ってコンビナトリアル・ライブラリが調製され得る炭化水素プロセシング酵素は、糖タンパク質、糖脂質、グリコシルホスファチジルイノシトールおよび他の複合体・複合糖質の生合成において必要とされる真核生物転移酵素と、細菌およびウィルスの炭化水素構造物の合成に必要とされる原核生物性糖転移酵素(例えば、LOSやリポ多糖類の生合成に必要とされる酵素)とを包含する。 酵素の例としては、N-アセチルグルコサミニル基転移酵素のような糖転移酵素が挙げられ、N-アセチルグルコサミニル基転移酵素I〜Vおよびβ-1,3-ガラクトシル-O-グリコシル-糖タンパク質β1,6-N-アセチルグルコサミニル基転移酵素(コア2GlcNAc);フコシル基転移酵素;N-アセチルガラクトサミニル基転移酵素;ガラクトシル基転移酵素;マンノシル基転移酵素;およびグルクロノシル基転移酵素を包含し、好ましくはN-アセチルグルコサミニル転移酵素である。 表1には、真核生物性炭化水素プロセッシング酵素、並びにその糖ヌクレオチド供与体および受容体の例を提示する。 表2には、原核生物性炭化水素プロセッシング酵素のリストを提示する。

    【0023】 本発明の分子に使用されるヌクレオシドモノマーユニットは、糖とのβ-N-グリコシド系連鎖における複素環式アミン塩基から構成される。 一般に、糖は、リボースまたはデオキシリボースであり、複素環式アミン塩基は、選択された炭化水素プロセッシング酵素に関する糖ヌクレオチド供与体の複素環式アミン塩基に相当する。 例えば、N-アセチルグルコサミニル基転移酵素およびガラクトシル基転移酵素に関してはウラシルが、アシアロ基転移酵素に関してはシトシンが、
    そしてフコシル基転移酵素に関してはグアニンが選択され得る。

    【0024】 複素環式アミン塩基の構造上の類似体も使用してよい。 例えば、塩基がウラシルの場合、それは、電子供与性および電子求引性基(これらに限定されない)を含むアルキルまたはアリール基を含む基をC-5位に有していてもよい。 塩基中の水酸基も保護され得る。 糖は、変性されていても(例えば、2'および3'ヒドロキシル)、アシル化またはアルキル化、あるいはハロゲンのような他の基で置換されたアセトニドでブロックされていてもよい。

    【0025】 ヌクレオシドモノマーユニットの具体例として、(ガラクトシル基転移酵素およびGlcNAc転移酵素としては)ウリジン、2'-デオキシウリジン、および5
    '-アミノ-5'-デオキシ-2',3'-O-イソプロピリジンウリジン、(シアロ転移酵素としては)シチジン、2'-デオキシシチジン、5'-アミノ-5'-デオキシ-2',3'-O-
    イソプロピリジンシチジン、および(フコシル基転移酵素としては)グアノシン、2'-デオキシグアノシン、5'-アミノ-5'-デオキシ-2',3'-O-イソプロピリジングアノシンがそれぞれ挙げられる。

    【0026】 ヌクレオシドモノマーユニットは、カルボン酸またはその活性化エステル(例えば、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ペンタフルオロフェノールまたはN-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、無水カルボン酸(混成または対称)、アシルハライド、クロロホルメート、ハロゲン化物、ケトン、アルデヒド、塩化スルホニル、イソシアネートまたはイソチオシアネートのような好適な反応基を、アミンのような他の反応性官能基と共役して、アミド、カルバメート、アミノ、スルホンアミド、ウレアまたはイソウレアのような安定な結合、好ましくはアミド結合を形成することにより、スペーサーモノマーユニットと連鎖される。 各モノマーユニットは、同一または異なる反応基1以上を有していてよい。

    【0027】 本発明で使用するためのスペーサーモノマーユニットは、糖ヌクレオチド供与体中で、炭水化物プロセッシング酵素としてホスフェート/糖結合を模倣する官能基、あるいは他のメカニズムで酵素と相互作用する官能基であればどのような官能基を含んでいてもよい。 スペーサーモノマーユニットは、荷電中心を有していてよい。 本発明の分子中で使用できるスペーサーモノマーユニットの例は、アミノ酸1個以上、好ましくは1個のアミノ酸、ジペプチド、またはトリペプチド、あるいは模倣ペプチド/ペプチド類似体を包含する。

    【0028】 スペーサーモノマーユニット中で用いられるアミノ酸は、天然起源または合成アミノ酸であってよく、脂肪族または芳香族で有り得る。 スペーサーモノマーユニット中のアミノ酸は、L-アミノ酸、D-アミノ酸、α-アミノ酸、β-アミノ酸、またはアミノ酸の類似体を包含する(がこれらに限定されない)キラルまたはアキラルなアミノ酸であってよい。 更に、スペーサーモノマーユニット中の1以上のアミノ酸は、アミド、アルキル、アミン、ハロゲン、エーテル、複素環式基、または酸性基(例えば、-COOHまたは-SO 3 H)のような置換基で置換されていてもよい。 アミノ酸は、前述のような好適な保護基でキャップされていてよい。 アミノ酸またはペプチドは、アスパラギン酸またはグルタミン酸、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸モノベンジルエステルまたはt-ブチルエステルを含む酸性アミノ酸残渣を含んでいてもよい(例えば、前者の場合はα部位およびβ部位に、後者の場合はα部位およびγ部位に)。

    【0029】 スペーサーモノマーユニットに使用できるアミノ酸の例としては、L-アスパラギン酸-α-ベンジルエステル、L-グルタミン酸-γ-ベンジルエステル、D-アスパラギン酸-β-ベンジルエステル、L-アスパラギン酸-β-ベンジルエステル、L-グルタミン酸-α-ベンジルエステル、L-トリプトファン、6-アミノヘキサン酸、L-バリン、m-トシル-L-ヒスチジン、L-ロイシン、p-メトキシベンジル−L-システイン、サルコシン、L-イソロイシン、L-アスパラギン、ω-p-トシル-L-アルギニン、ω-ニトロ-L-アルギニン、N-ε-CBz-L-リジン、L-
    グルタミン、L-アラニン、O-ベンジル-L-トレオニン、O-ベンジル-L-チロシン、L-メチオニン、-ベンジル-L-セリン、L-プロリン、L-フェニルアラニン、β-アラニン、α-アミノイソブチル酸、ホモアルギニン、ホモプロリン、ホモセリン、ノルアルギニン、ノルロイシン、オルニチンおよびp-ニトロフェニルアラニンが挙げられる。

    【0030】 模倣ペプチドまたはペプチド類似体をスペーサーモノマユニットにおいて使用してもよい。 一般に、模倣ペプチドは、天然起源ペプチドのようなパラダイムと構造上は同じであるが、例えば、当該分野において既知の方法や以下の文献に記載の方法で、-CH 2 NH-、-CH 2 S-、-CH 2 CH 2 -、-CH=CH-(シス型およびトランス型)、-COCH 2 -、-CH(OH)CH 2 -、および-CH 2 SO-から成る群より選択される結合によって任意に置換された1以上のペプチド結合を有している(スパトラ・エイ・エフ著、ケミストリー・アンド・バイオケミストリー・オブ・アミノ・アシッズ・ペプタイズ・アンド・プロテインズ、ビ・ウェインスタイン編、マーセル・デッカー、ニューヨーク、267頁(1983年);スパトラ・エイ・エフ著、ヴェガ・データ(1983年3月)、第1巻、第1刷、ペプチド・バックボーン・モディフィケーションズ(概説):モーリー・トレンズ・ファーム・サイエンス(1980年)463〜468頁(概説);ガウト著(1994年)Angew.Ch
    em., Int.Ed.Engl.33、1699〜1720頁;ギアニス・アンド・コルター著(1993年)Angew.Chem., Int.Ed.Engl.32、1244〜1267頁;アhドソン・ディら著、(197
    9年)Int.J.Pept. Prot.Res.14、177〜185頁(--CH 2 NH--、--CH 2 CH 2 --
    );スパトラら著、(1986年)ライフ・サイエンス38:1243〜1249頁(--CH 2 -
    -S);ハン著(1982年)ジャーナル・オブ・ケミカル・サイエンス、パーキン・トランスファーI307〜314頁(-CH=CH-(シス型およびトランス型));
    アルモクィストら著、(1980年)ジャーナル・Med. Chem. 23:1392〜1398頁(-
    COCH 2 -);ジェニングス−ホワイトら著、(1982年)テトラヘドロン・レター23:2533頁(-COCH 2 -);シュゼルクら著、(1982年)欧州特許出願公開第45665CA:97:39405(1982年)(-CH(OH)CH 2 -);ホーラディら著、
    (1983年)テトラヘドロン・レター24:4401〜4404頁(-C(OH)CH 2 -)
    ;およびフラビー著(1982年)ライフ・サイエンス31:189〜199頁(-CH 2 -S-
    );各文献のない様を参照としてここに挿入する。 )。 模倣ペプチドまたはペプチド類似体は、n-末端が例えば-NXX 1基、--NXC(O)X基、--NXC(O)
    OX基、--NXS(O) 2 X基、--NXC(O)NHX基に誘導されるペプチド(ここで、XおよびX 1は、水素または低級アルキルであり、XおよびX 1がいずれも水素であれば、スクシンイミド基、ベンジルオキシカルボニル-NH--(CBZ-
    -NH--)基、フェニル環上に低級アルキル、低級アルコキシ、クロロおよびブロモから成る群より選択される1〜3個の置換基を有するベンジルオキシカルボニル-NH--基に誘導される。 )、C末端が--C(O)X 2に誘導されるペプチド(
    ここで、X 2は、低級アルコキシおよび--NX 34から成る群より選択され、X 3およびX 4は独立して、水素および低級アルキルから成る群より選択される。 )
    も包含する。

    【0031】 ヌクレオシドペプチド分子上の遊離官能基、特にスペーサーモノマー中の遊離アミン基は、ヌクレオシドモノマーユニットと共役するスペーサーモノマーユニットに使用される同一または異なる化学反応基を用いてキャップされてよい。 キャップモノマーユニットの例としては、ウレア、チオウレア、カルバメートおよびアミド残渣が挙げられ、それらは、芳香環、非芳香環、複素環式、炭素環式または融合環系の一部であってよい。 スワインソニンまたはカスタノスペルミンのような天然起源のアルカロイドの反応誘導体も、キャップモノマーとして使用できる。 キャップモノマーユニットを形成するために使用され得る市販の試薬の例としては、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルイソシアネート、4-トルエンスルホニルイソシアネート、塩化2-フルオニル、(R)-α-メチルベンジルイソシアネート、4-(トリフルオロメチルチオ)フェニルイソシアネート、2-メトキシカルボニル、フェニルイソシアネート、4-モルホリンカルボニルクロライド、1-イソチオシアナト-4-(トランス-4-オクチルシクロヘキシル)ベンゼン、3-(トリフルオロメチル)フェニルイソシアネート、1-アダマンタンカルボニルクロライド、4-クロロベンゼンスルホニルイソシアネート、キノキサイクロライド、2-チオフェンカルボニルクロライド、2-ナフチルイソシアネート、2-チオフェンアセチルクロライド、1-アダマンチルイソシアネート、3-シクロペンチルプロピオニルクロライド、ピロリジンカルボニルクロライド、4-トリフルオロメトキシ-ベンゾイルクロライド、3-メトキシベンゾイルクロライド、4-[4-イソチオシアナトフェニルアゾ]N,N-ジメチルアニリン、無水酢酸クロル、4-フルオロベンゾイルイソシアネート、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、6-メチルニコチン酸、3-ピジジル酢酸、トランス-3-(3-ピリジル)アクリル酸、(4-ピリジルチオ)
    酢酸、2-クロロニコチン酸、6-クロロニコチン酸、5,6-ジクロロニコチン酸、6-
    ヒドロキシピコリン酸、6-ヒドロキシニコチン酸、3-ヒドロキシピコリン酸、5-
    クロロ-6-ヒドロキシニコチン酸、4-ピリドキシン、シトラジニック酸、2-フロ酸、3-フロ酸、5-ブロモ-2-フロ酸、2-チオフェンカルボン酸、3-チオフェンカルボン酸、4-ニトロ-3-ピラゾールカルボン酸、5-ニトロ-3-ピラゾールカルボン酸、4-ヒドロキシ-7-フルオロメチル-3-キノリンカルボン酸、および4,8-ジヒドロキシキノリン-2-カルボン酸が挙げられる。 遊離NH2をキャップしてヌクレオシドペプチド分子の一部を形成するのに使用できるキャップモノマーの例としては、メチル(Me)、ホルミル(CHO)、エチル(Et)、アセチル(Ac
    )、t-ブチル(t-bu)、アニシル、トリフルオロアセチル(Tfa)、ベンゾイル(Bz)、4-メチルベンジル(Meb)、チオアニジル、チオクレジル、ベンジルオキシメチル、4-ニトロフェニル(Pnp)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、2-ニトロベンゾイル(NBz)、2-ニトロフェニルスルフェニル(Np
    s)、4-トルエンスルホニル(Tosyl、Tos)、ペンタフルオロフェニル(P
    fp)、ジフェニルメチル(Dpm)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(C
    l−Z)、2,4,5-トリクロロフェニル、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(B
    r−Z)、トリフェニルメチル(Trityl、Trt)、2,2,5,7,8-ペンタメチル-
    クロマン-6-スルホニル(Pmc)、t-ブチロキシカルボニル(Boc)、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)および9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられるが、これらに限定されない。

    【0032】 糖転移状態類似体(例えば、GlcNAc類似体)は、それと近接する糖−ホスフェート結合が対応する糖ヌクレオチド供与体内で開裂し得る空間内のある位置でヌクレオシドペプチド分子に共役され得る。

    【0033】 本発明のヌクレオチドペプチド分子の具体例は、以下の式I:

    【化14】

    [式中、Xは、H、-COOH、-OSO

    3 Hまたは(CH

    2 )

    q SO

    3 H(ここで、q


    は0または1である。 )または-OPO

    3 Hであり、Rは(Y)

    mを表し(ここで、Yは置換アミド基(例えば、アミド連鎖アミノ酸残渣)である。)、およびm


    は1〜3であり、Z'およびZは、同一または異なって、ヒドロキシルまたはアルコキシを表し、またはZ'およびZが合わせてアセトニド基を形成する。 ] で表され、上記式I中の遊離NH

    2基は、好ましくは前記キャップモノマーで、


    好ましくはFmocまたはBocでキャップされている。

    【0034】 本発明のヌクレオシドペプチド分子の具体例は、式Iで表される。 ここで、X
    は、H、-COOH、-OSO 3 Hまたは(CH 2 ) q SO 3 Hであり(ここで、qは0
    または1である。 )、Z'およびZはいずれもヒドロキシルであるか、または合わせてアセトニド基を形成し、Rは、-NHCOR 1 [ここで、R 1は、以下の(a)または(b)を表す: (a)

    【化15】

    (前記式中、R

    2はアルコキシである。) 、または (b)−CHR

    3

    4 {ここで、R

    3は水素または-NH

    2であり、およびR

    4

    【化16】

    (ここで、R

    5はハロゲン、アルキルまたはアルコキシである)、

    【化17】

    、-CH

    2 N(CH

    3 )CH

    2 CH

    2

    6または-N(CH

    3 )CH

    2 CH

    2

    6 (ここで、R

    6は、ハロゲンである。)、

    【化18】

    、-CH

    2 N(C

    2

    5 )CH

    2 CH(CH

    3 )OHまたは-CH

    2 NHCOCH(CH

    3 )

    2であるか、あるいはR

    4は、(CH

    2 )

    n

    8 (前記式中、nは0〜5であり、R

    8はハロゲン、

    【化19】

    (ここで、R

    9はアルコキシである。)、

    【化20】

    、-N(CH

    3 )CH

    2 CH

    2

    10 (ここでR

    10はハロゲンである。)、-N(C

    2

    5 )


    CH

    2 CH(CH

    3 )OHまたは-NHCOCH(CH

    3 )

    2である。 )] を表し、そして遊離アミノ基はキャップモノマーで保護されている。

    【0035】 式Iの化合物の一態様において、Xは-COOHであり、Rは、-NHCOR 1
    を表し、ここで、R 1は−CHR 34 {式中、R 3は水素であり、およびR 4は、(CH 2 ) n8であって、nは0〜5、
    好ましくは1〜4であり、R 8はハロゲン、

    【化21】

    (ここで、R

    9はアルコキシ、ハロゲンまたはアルキルである。)、

    【化22】

    または-N(CH

    3 )CH

    2 CH

    2

    10 (ただし、R

    10はハロゲンである。)、-N(C

    2

    5 )CH

    2 CH(CH

    3 )OHまたは-NHCOCH(CH

    3 )

    2である。 )。 } を表す。

    【0036】 本発明の別態様において、式Iの化合物が以下の通り規定される:式中、Xは
    -COOHであり、Rは-NHCOR 1を表し、R 1は−CHR 34を表す[ここで、R 3は-NH 2を表し、およびR 4は、

    【化23】

    (ここでR

    5はハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。)

    【化24】

    -CH

    2 N (CH

    3 )CH

    2 CH

    2

    6 (ここで、R

    6はハロゲンである。)、-CH

    2


    (C

    2

    5 )CH

    2 CH(CH

    3 )OH、-CH

    2 NHCOCH(CH

    3 )

    2または

    【化25】

    である。 ]。

    【0037】 本発明のもう一つの態様において、式Iの化合物は、以下の通り規定される:
    Xは-OSO 3 Hまたは(CH 2 ) q SO 3 Hであり、qは0または1であり、Rは-N
    HCOR 1を表し、ここで、R 1は-CHR 34を表す[式中、R 3は-NH 2を表し、およびR 4

    【化26】

    (ただしR

    5は、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。) 、-CH

    2 N(C

    2

    5 )CH

    2 CH(CH

    3 )OHまたは-CH

    2 NHCOCH(CH

    3 )

    2である。 ]。

    【0038】 特別な態様では、Xが-COOHであり、Rが-NHCOR 1を表し、ここで、
    1

    【化27】

    (ただしR

    5はアルコキシである。) を表す式Iのヌクレオシドペプチド分子が提供される。

    【0039】 ここで使用されるように、「アリル」という用語は、単独または組み合わせて、通常、炭素原子1〜10個、好ましくは1〜5個を含有する分岐または直鎖炭化水素基をいう。 一般には、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、tert-ブチルまたはペンチルを包含するがこれらに限定されない。 好ましくはメチルまたはエチルである。

    【0040】 「アルコキシ」という用語は、親分子部位に酸素を介して結合したアルキルをいう。 アルコキシ基の例としては、O-メチル(すなわち、メトキシ)、O-アリル(すなわち、アリルオキシ)、O-プロピル(すなわち、プロポキシ)、O-ブチル(すなわち、ブトキシ)等が挙げられ、好ましくはメトキシまたはアリルオキシである。

    【0041】 「ハロ」または「ハロゲン」いう用語は、単独または組み合わせて、元素族:
    フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の一員をいう。

    【0042】 ヌクレオシドペプチド分子の具体例を表3、4および5に示す。

    【0043】 本発明のヌクレオシドペプチド分子において、ヌクレオシドモノマーユニット、ス ペーサーモノマーユニットまたはキャップモノマーユニット中のキラル炭素原子の立体化学は、独立して、RまたはS接合、あるいはそれら2種の混合物であり得る。 例えば、スペーサーモノマーのアミノ酸は、L-またはD-接合中にあることがあり、それによってその立体構造のみが変わった、同じアミノ酸がもたらされる。 従って、本発明は、ジアステエレオ異性体の混合物としてのみならず、別個のジアステレオ異性体の形態でも本発明のヌクレオシドペプチド分子を包含し、本発明は、鏡像異性体の混合物としてのみならず、別個の鏡像異性体の形態でもヌクレオシドペプチド分子を包含する。 本発明のヌクレオシドペプチド分子の全ての光学異性体やそのラセミ体をここに包含し、ここに示されるヌクレオシドペプチド分子は、描写されるような化合物の考えられ得る全ての光学異性体を包含するものとする。

    【0044】 ジアステレオ異性体の形成は、合成中にLおよび/またはDアミノ酸を用いることにより、または塩基とのスペーサー付着または接合後にキラル中心をラセミ化することによって、ヌクレオシドモノマーユニットへのプレまたはポストスペーサー付着が行なわれてよい。

    【0045】 本発明のヌクレオシドペプチド分子は、医薬上許容できる塩として存在し得る。 「医薬上許容できる塩」とは、塩基と有機または無機酸、あるいは酸性基と塩基との標準的な酸−塩基反応によって形成される塩を包含する。 酸の例としては、塩化水素、硫酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、パルミチン酸、コール酸、パモイ酸(pamoic)、粘液酸、D-グルタミン酸、d-樟脳酸、グルタール酸、フタル酸、酒石酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、安息香酸、桂皮酸などの酸が挙げられる。 塩基の例としては、LiOH、NaOH、KO
    KおよびCa(CH 2 )が挙げられる。 スペーサーモノマーユニット中の塩基性アミノ酸(例えば、グリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リジンおよびアルギニン)は、プロトン化形態であってよい。

    【0046】 コンビナトリアル・ライブラリの調製モノマーユニットは、モノマーユニットまたは基礎単位と化学的に接合(すなわち、共役結合または共役)されて、本発明のコンビナトリアル・ライブラリが調製される。 接合後、モノマーユニットは、例えば、反応時に変化して、共役結合を形成する。 モノマーは、水分子を失ったり、ウレアもしくはカルバメート基の形成を行なうことがある。 モノマーユニットの自然や、モノマーを化学接合するのに使用できる化学反応の種類には無数の変異がある。 固相や液相化学も本発明のコンビナトリアル・ライブラリを合成するのに使用できる。

    【0047】 本発明のライブラリに含まれる化合物に使用される基礎単位またはモノマーは、「後方に」構築されることがある(すなわち、「成長鎖」に添加される最後の基礎単位が、ペプチドまたはポリペプチドの5-末端と類似していてよい)。 例えば、ウリジン-スペーサーキャップとして模式的に表されるライブラリでは、
    ウリジン基礎単位またはモノマーユニットは、隣接するスペーサーユニットと結局最後に化学接合され得る。 このスキームでは、キャップモノマーユニットは、
    一般にはウリジン-スペーサーキャップの放出までに固相マトリックスに付着した後、最後の化学接合反応が生じる。

    【0048】 本発明のコンビナトリアル・ライブラリにおいて化合物を調製するプロセスの例を以下に詳しく説明する。

    【0049】 ヌクレオシドモノマーユニット上の反応性基がアミンである、本発明のコンビナトリアル・ライブラリは、アセトニド、または化学的に活性な部位を一時的に保護するための他の好適な保護基を用いて調製することができる。 特に、ウリジン構造物系のライブラリは、5'-デオキシ-5'-アミノ-2',3'-O-イソプロピリジニルウリジンテンプレートを用いて製造することができる。 テンプレートは、2'
    -および3'-水酸基のアセトニド・ブロック化、メシル化、トシル化またはトリフレート化を用いた5'-ヒドロキシの活性化、その後のアジ化ナトリウムとの反応、および還元(例えば、図1〜4参照)により調製できる。 好適に保護されるアミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチドを含むスペーサーモノマーユニット(例えば、N-t-ブチロキシカルボニル(Boc)またはN-9フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)-保護されたもの)は、遊離塩基の形態のウリジンテンプレートと結合され得る(例えば、図5参照)。 その後、これは脱保護される(
    例えば、図6参照)。 ヌクレオシドペプチドモノマーユニットとスペーサーユニットの精製が通常の方法を用いて行なわれて、遊離アミン塩基が、例えば、カルボン酸、無水物、エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、酸クロライドまたはアルデヒドでキャップされ得る(例えば、図7)。

    【0050】 本発明は、本発明の方法で使用される中間体(例えば、複素環式アミン塩基中に保護されたヒドロキシを有するおよび/または2'もしくは3'ヒドロキシルにおいてブロック化できる、本発明のコンビナトリアル・ライブラリのヌクレオシドペプチド分子)も考慮している。

    【0051】 スペーサーモノマーユニットは、3段階の化学工程と2段階の精製工程から成る合成法を用いて、ヌクレオシドモノマーユニットと結合できる。 この合成法は自動化できる。 スペーサーモノマーユニットを付加するための反応スキームの例を図5および6に示す。 反応は、96穴式マイクロタイタープレートの深い穴(1
    または2mL)の中で行なうことができる。 第1工程は、Boc-保護されたアミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチドを遊離塩基形態のウリジンテンプレートと結合することである。 これは、その後、N-脱保護と過剰のTFAを用いたアセトニドの脱ブロック化に同時に付される。 TFA塩は、ポリフィルトロニクス(Polyfiltronics) TM単フィルタープレート(96穴式)を用いて、イオン交換スラリーにより中性化される。 遊離アミン基は、例えば、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボン酸、塩化スルホニルおよび塩化アシルでキャップされて、5つの生成物ライブラリが得られる。 必要に応じて、過剰のキャッピング剤を捕捉するアミノメチル樹脂で、または過剰の試薬や副生成物を保持するアルミナシリカもしくはフロリシル(Flirisil) TMでスラリー化することによって精製が行なわれる。 スラリー化は、ポリフィルトロニクスTMプレート内で行なうことができる。 遊離末端アミン基も、還元アミノ化条件下、アルデヒドでキャップされることがある。 ベンジルエステル保護された誘導体(例えば、スペーサーモノマーユニット内のアスパラギン酸およびグルタミン酸残渣)の場合、アンモニアホルメート、Pd-C(10%、湿潤)およびメタノールを用いたマニュアル転移水素化、加水分解(TFA、H 2 O)またはケン化(メタノール、KOH、H 2 O)
    を行なって、カルボキシレートを遊離し、所望によりキラルアミノ酸フラグメントをラセミ化することができる。

    【0052】 Fmoc法を用いてスペーサーモノマーユニットを付加する別の反応スキームを図7に示す。 反応は、所望により、96穴式マイクロタイタープレートの深い穴(1または2mL)の中で行なうことができる。 第1工程は、Fmoc保護されたアミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチドをウリジンモノマーテンプレートの遊離アミン基と結合することである。 これはその後、溶媒としてのDMF中のモルホリンによってFmoc脱保護に付される。 この方法は、イソプロピリデン保護基を外すことなく、遊離末端アミンを遊離する。 中性化工程は必要とされず、
    モルホリンは減圧下での蒸発によって容易に除去される。 次に末端アミンを、前述の通り、必要により、キャップする。 アセトニド保護基は、最終反応シーケンスにおいて、室温でのTFAを用いて処理した後、試薬と溶媒を減圧下で蒸発させることによって、全てのまたは選択されたキャップ化または非キャップ化ウリジンペプチドから除去できる(図8)。

    【0053】 アミン基がヌクレオシドモノマーユニットおよびスペーサーモノマーユニットと結合している本発明のコンビナトリアル・ライブラリは、エヌ・ピー・ダモダランら著、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ93、38
    12頁、1971年に記載の方法を用いて、式Iで表される化合物を形成することによって調製できる(式中、Rは-NHCOCHR 34を表し、ここでR 3はNH 2である。)。 この化合物の遊離アミノ形態は、N-メチルモルホリンの存在下、適当な温度においてDMF中のR 3の対応するエステルとの縮合に付される。 N-ヒドロキシスクシミジル、ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはペンタフルオロフェニルエステルのような他の反応性エステル、あるいは通常ペプチド合成に使用される別の反応性エステルも使用できる。 例えば、R 4が(CH 2 ) n8 (ここで、
    nは2であり、R 8はハロゲンである。 )式Iの化合物(表3中、化合物A)の合成は、1-フルオロ酪酸のメチルエステルを用いることにより達成できる。 同様に、表3中の化合物B、CおよびDは、対応する酸のエステル(通常の方法で合成できるもの)を用いて合成できる。 表3中の化合物E〜Jは、市販されている対応する酸の適当なエステルを用いて合成できる。 表3の化合物F〜Hにおいて、縮合前に、エステル化試薬中のアミノ基を好適な基でブロックする。

    【0054】 表4および5に示される、選択された化合物(Xはスルフェートである)のコンビナトリアル・ライブラリは、遊離アミンを用いたエステルの同様の縮合によって合成できる。

    【0055】 ウリジンのC-5が異なるアルキル基およびアリール基を有する、コンビナトリアル・ライブラリ中の予め決定された化合物は、UDP-C-5-酢酸水銀が得られるように、酢酸水銀と市販のUDPとの水銀塩処理によって調製され得る。 この処理では、カリウムテトラクロロパラデートの存在下、適当なアルケン化合物による、対応するC-5-アルケン誘導体を生成する。 選択的還元において、この化合物は、C-5-アルキル化合物を与える。 この種の誘導体は、ヘック反応として知られており、当該分野において既知の様々な方法で行なうことができる[リヤボフ(Ryabov)著、シンセシス(1985年)233〜252頁;およびヘック著、オーガニック・レアクション(1982年)27:345〜390頁]。

    【0056】 糖ヌクレオチド供与体によって転移される糖の転移状態の類似体を、本発明のヌクレオシドペプチド分子と結合してもよい。 例えば、GlcNAcカチオン類似体は、本発明のウリジンリボース分子と結合できる形態で発生および調製されることがある。

    【0057】 バイオアッセイ本発明のコンビナトリアル・ライブラリは、炭化水素プロセッシング酵素の推定上の抑制剤を含有する。 特定の炭化水素プロセッシング酵素に対して適当な選択性および活性を有する抑制剤は、通常のバイオアッセイや、ここに記載するバイオアッセイを用いて選択され得る。 バイオアッセイは、オートメーションやロボット工学を取り入れた高スループットのスクリーニングに適合でき、数千から数百万の化合物を比較的短い時間で試験することが可能である。 本発明のライブラリからの5408個の化合物の予備スクリーニングにより、化合物の2〜3%が通常のコア2GlcNAc−T、GlcNAc−TVおよびGlcNAc−TIアッセイにおいて抑制活性を有することが分かった。

    【0058】 「リード」化合物がスクリーニング法を用いて同定されると、通常の化学的手法を用いて初期リードを最適化することができる。 最適化された類似体/変異体は、初期リードを同定したのと同じスクリーニングアッセイで試験できる。

    【0059】 ここに記載する、本発明者らによって設計された方法は、1以上の活性成分を、長い逆重量積分法を必要とせずに、試験されたプール中で同定できる、簡易でかつ迅速に機能し得るアッセイを使用する。 このアッセイは、多数の試料の割り当て、混合、および試料の取り扱いを処理できるロボット工学装置において使用される。 そのため、本発明は、多段階の化学反応を様々な温度で行なった後、生理活性なリードの精製および特性を処理できる有用なロボット工学を作成する。
    選択手段は、親和性濃縮または親和性選択を発生させることができるコンビナトリアル・ライブラリ中の活性な化合物の同定を可能にし、選ばれたものは、その後、生理活性な化合物の質量分析同定に付してもよい。

    【0060】 本発明は、糖転移酵素またはグリコシダーゼを含む炭化水素プロセッシング酵素に対して抑制活性を有する本発明のコンビナトリアル・ライブラリ中の化合物を同定するための固相バイオアッセイも包含する。 この方法は、薬剤スクリーニングに特に有用である。 固相バイオアッセイは、炭化水素プロセシング酵素のための炭化水素受容体をキャリアまたは担体上のポリマーおよびコーティングと結合することを伴う。 炭化水素プロセッシング酵素、検出できる物質でラベルされた糖ヌクレオチド供与体、および試験化合物が添加され、そして検出できる物質によって発生される検出できる変化が測定される。

    【0061】 受容体が結合されてよいポリマーの例は、ポリアクリルアミドを包含する。 キャリアまたは担体は、例えば、ニトロセルロース、またはガラス、斑糲(れい)岩、あるいは磁鉄鉱であってよい。 担体材料は、球体(例えば、ビーズ)、円筒形(例えば、試験管もしくは穴の内面、またはロッドの外面)、または平面(例えば、シート、試験片)を含む、可能な外形を有していてよい。

    【0062】 検出可能な物質の例としては、放射線同位元素(例えば、 3 H、 14 C、 35 S、 1 25 I、 131 I)、蛍光ラベル(例えば、FITC、ローダミン、ランタノイド蛍燐光体)、ルミノールのような発光ラベル、酵素ラベル(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ)、および[マーキングされたアビジン(例えば、蛍光マーカーまたは光学的もしくは熱量測定法によって検出できる酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出され得る]ビオチン標識群が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の一態様において、検出できる物質は、放射能物質、より好ましくはトリチウムである。

    【0063】 この方法に用いられる炭化水素プロセシング酵素は、天然源からの通常の抽出法を用いて得ることができ、組換え酵素であっても、市販の源から得られてもよい。

    【0064】 本発明の態様において、前記バイオアッセイは、炭化水素受容体を、96穴プラスチック製プレートの表面のような、キャリア上のポリマー(例えば、ポリアクリルアミド)およびコーティングと結合することを必要とする。 糖転移酵素反応を、組換え酵素とトリチウム化糖ヌクレオチド供与体を用いて行なった後、洗浄し、シンチレーション計数用流体を添加して、β-カウンターによる放射能を測定する。 プラスチック製プレートの糖ポリマー構造およびコーティング、酵素および基質構造、並びに時間に関する線形は、UDP-GlcNAc:Galβ1
    −3GalNAC-Rβ1−6-N-アセチルグルコサミニル転移酵素(GlcN
    AcまたはGalNAc)(すなわち、コア2GlcNAc−T)、ポリラクトサミンとセレクチンリガンドシアリルイスXの発現のための律速反応を用いて最適化した。 ポリラクトサミン発現は、悪性の形質変換(イツコヴィッツ・エス・
    エイチら著、キャンサー・リサーチ、46、2627〜2632頁、1986年;キム・ワイ・
    エスら著、キャンサー・リサーチ46、5985〜5992頁、1986年)、リンパ球の発生(ペニントン・ジェイ・イーら著、J.Embryol.90、335〜361頁、1985年)および増殖活性(ヒギンス・イー・エイら著、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー266:6280〜6290頁、1991年)と関連していた。 ポリラクトサミン構造は、細胞−細胞および細胞−基層接着プロセスにおいて顕著な役割を果たすように示されていた(ツー・ビ・シーおよびレイン・アール・エイ著、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、260、4041〜4045頁、1985年;ラフェルテ・エスおよびデニス・ジェイ・ダブリュー著、キャンサー・リサーチ48、47
    43〜4748頁、1988年)。 更に、それらは哺乳類のれクチンのためのリガンドとして作用することがある(マークル・アール・ケイおよびクミングス・アール・ディ著、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、263、16143〜16149
    頁、1988年)。

    【0065】 微生物抽出物ライブラリ中のコア2GlcNAc−T抑制剤を検出するスクリーンにおいて、正の対照のためのCVは、+/−9.4%であり、またヒット確認のための完全な一致は、固相アッセイと標準的なアッセイとの間で観うけられた。

    【0066】 糖転移酵素アッセイは、ここに記載された酵素、好ましくはコア2GlcNA
    c−T、GlcNAc−TIおよびGlcNAc−TVを含む炭化水素プロセッシング酵素の変異体である抑制剤を同定するのに使用できる。

    【0067】 レクチン感度アッセイは、株化細胞の炭化水素パターンを研究するのに広く用いられている。 細胞表面でオリゴサッカリド構造に特異的に結合することにより、一般に、レクチンは、成長不利を引き起こす細胞障害の効果を発揮する。 L-
    PHAは、構造(Galβ1、4GlcNAcβ1,6)galβ1,4-GlcNAc
    β1,2Manαを保有することによって、β1,6-分岐した複合形オリゴサッカリドの検出のための妥当なプローブを表す、トリ-およびテトラ-アンテナリN-連鎖オリゴサッカリドを認識するレクチンである。 これらの構造は、腫瘍の進行および悪性細胞での発現と関連する(デニスら著、1986年)[例えば、マウス・リンパ網様の、高い転移性の腫瘍モデルMDAY-D2株化細胞(ヴァンダー・エスルトおよびデニス著、1991年)]。 MDAY-D2細胞の細胞表面N-連鎖炭化水素鎖の還元および/または切断は、L-PHA感度の低下レベルと直接関連し、結果としてはレクチンの存在中でさえも細胞増殖を高めることに直接関連している。 従って、そのような系は、1,6-分岐N-連鎖構造の生合成を阻害する手段を明らかにするのに活用することができる。 悪性の形質転換中に複合体N-オリゴサッカリドの機能し得る重要性を与えるために、N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシング経路の新規抑制剤である、コンビナトリアル・ライブラリ中の化合物を同定するための大規模なL-PHAアッセイが本発明者らによって開発されている。

    【0068】 「N-連鎖オリゴサッカリドプロセシング」または「N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシング経路」という用語は、N-連鎖オリゴサッカリドによる糖タンパク質の生体内合成における生合成経路をいう。 N-連鎖オリゴサッカリドは、タンパク質部位のコンセンサス配列Asn-X-Ser/Thr中のAsnの側鎖中のアミドNと結合する(ここで、Xは、アミノ酸であり得る)。 本発明の方法は、特に、複合体形N-連鎖オリゴサッカリド、特に腫瘍の成長や転移に関連するβ1,6-分岐複合形オリフォサッカリドを抑制する化合物を同定するのに適用できる。 N−連鎖オリゴサッカリドプロセッシングは、前駆体分子の合成、オリゴサッカリル転移酵素による前駆体のAsnへの転移を伴った後、膜結合したグルコシダーゼと内質の細網α1,2-マンノシダーゼによる更なる処理、および粗い内質の細網からゴルジスタックへの転移が続く。 ゴルジスタックでは、糖タンパク質の最終目的に依存して更なるプロセスが生じ、そのプロセスがリソソーム酵素または非リソソーム酵素を必要とすることがある。 複合形およびハイブリッド形のオリゴサッカリド鎖は、別の非リソソームプロセッシング経路により合成され、
    残渣は、ゴルジマンノシダーゼI(α1,2-特異性)酵素とN-アセチルグルコサミニル転移酵素I、IIおよびIIIを含む酵素によって付加される(N-連鎖プロセッシング経路の説明は、http://www.uni.mainz.de/~frosc000/STRU22.htmlに観うけられる)。

    【0069】 本発明のL-PHA法を用いて、β1,4-Gal転移酵素の前に、N-連鎖オリゴサッカリド経路における全工程を抑制する化合物(例えば、前述の、炭化水素プロセッシング酵素を抑制する化合物や、ゴルジα-マンノシダーゼ)を同定することができる。

    【0070】 本発明の態様において、完全にオートメーション化された酵素法は、アルカリホスファターゼ活性の速度に基づくと考えられる。 この方法は、細胞数とアルカリホスファターゼ活性のレベルが厳密に相関しているという観察に基づいている。 この方法は、比色定量分析アッセイを用いて、L-PHA処理後に転移形成された細胞の細胞増殖をモニターする。 反応混合物は、独自の媒体中で成長する細胞に直接添加される。 すなわち、この方法は、培養媒体の除去または細胞ペレット化および洗浄を行なわずに、単一工程で行なうことができ、完全な自動化手順を可能とする。 このアッセイ法は、再現性も高く(CV=4%)、安価であることから、大規模の実験を行なう場合に金銭的価値のあるツールを表している。 この反応は、広い時間インターバル(5〜180分)において、時間に関して線形であり、p-ニトロフェニルホスフェート基質に関する酵素のKm値が比較的低い(
    0.81mM)。 反応速度を調整して、自動化およびタイミング目的のためにプロトコルを試料数に合わせるために、インキュベーション時間と基質濃度を変化することができる。 ロボット台の使用は、多数の試料(例えば、36枚の96穴プレート)の同時処理も可能にする。

    【0071】 そのため、自動化法は、N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制する化合物の能力を試験するのに提供され、(a)N−連鎖オリゴサッカリド(好ましくは、β1,6-分岐された複合形オリゴサッカリド)を発現する細胞を含む化合物を、L-PHAの存在下でインキュベートして、アルカリホスファターゼ活性を測定すること、および(b)化合物の不存在下で対照と比較すること(ここで、より高いアルカリホスファターゼ活性は、化合物がN−連鎖オリゴサッカリドプロセッシングを抑制する能力を有することを表す)を含んで成る。 この方法は、β
    1,4-Gal-転移酵素の前に、N−連鎖オリゴサッカリド経路における全工程を抑制する化合物(例えば、炭化水素プロセッシング酵素を抑制する前記化合物、
    特にN-アセチルゴリコサミニル転移酵素I、IIおよびVを含むN-アセチルゴリコサミニル転移酵素)を同定するのに使用してもよい。 この方法を使用して、ゴルジα-マンノシダーゼを抑制する化合物を同定してもよい。

    【0072】 本発明の自動化法は、一般に、TGF-β、IL-1γ、TNFαおよびIFN
    のような細胞成長抑制剤の拮抗薬を同定するのに使用できる。 従って、本発明は、(a)試験化合物を、N−連鎖オリゴサッカリドを発現する細胞と、細胞成長抑制剤の存在下で反応させること;(b)アルカリホスファターゼ活性を測定すること;および(c)試験化合物の不存在下で対照と比較すること(ここで、アルカリホスファターゼ活性の増加は、化合物が細胞成長抑制剤を遮断する能力を有することを示している)を含む方法を広く包含する。

    【0073】 本発明の方法で使用できる細胞としては、MDAY-D2、L1210、メラノーマ腫瘍細胞およびヒト腫瘍細胞(例えば、SW480、LS174T、HT-29、Wi
    Dr、T2、MDA-231、MCF7、BT-20、Hs578T、K562、Hs578T、
    SK-BR-3、CY6T、MDA-468、H23、H157、H358、H1334、H1155、
    H28、H460、Hmosol、H187、H510A、N417、H146、H1092、H82が挙げられる(レスティフォ・エヌ・ピーら著、J.Exper.Med.177:265〜272頁、1
    993年)。 株化細胞は、造骨株化細胞のような、構造性または誘導可能な酵素を含有していてよい。

    【0074】 細胞増殖は、アルカリホスファターゼ活性を測定することによって測定される。 アルカリホスファターゼは、通常の方法を用いて(例えば、基質としてp-ニトロフェニルホスフェートを用い、そして約405nmでの吸収を測定することにより)測定できる。

    【0075】 この方法を行なう条件は、使用される化合物や細胞の性質に関して選択されよう。 例えば、細胞がMDAY-D2腫瘍細胞であれば、約1〜6×10 3個、好ましくは5×10 3個の細胞の濃度が用いられてよい。 MDAY-D2細胞は一般に、約
    10〜30時間、好ましくは16〜20時間培養した後、L-PHAを約50〜150μg/m
    L、好ましくは100μg/mLの濃度で添加される。 アルカリホスファターゼアッセイ混合物は、緩衝液(例えば、ジエタノールアミン緩衝液)と、p-ニトロフェニルホスフェートを初期濃度約1.5〜4mM、好ましくは2〜3mM、より好ましくは2.5mMで含有していてよい。

    【0076】 抑制剤の有用性特定の炭化水素プロセッシング酵素に対して適度な選択性と活性を有する小分子の抑制剤は、本発明のコンビナトリアル・ライブラリから、高いスループットのスクリーニング・バイオアッセイを用いて選択できる。 選択された小分子の抑制剤は、価値ある薬理学的特性を有しているであろう。 特に、抑制剤は、腫瘍成長の処置および予防並びに腫瘍の転移に有用であろう。 抑制剤の抗転移効果は、
    コロニー形成アッセイを用いて表すことができる。 例えば、抑制剤で処置されたメラノーマ細胞をマウスに注射し、マウスの肺をコロニー形成するメラノーマ細胞の能力は、死後に、肺における腫瘍小結節を計数することにより評価できる。 経口または静脈注射により投与された抑制剤によるマウスの腫瘍成長の抑制は、腫瘍体積を測定することによって評価できる。

    【0077】 小分子の抑制剤は、手術後に腫瘍の再発を予防する場合、特定の適用を有することがある(すなわち、免疫不活性剤治療)。

    【0078】 小分子抑制剤は、特に、種々の形態の異常増殖(例えば、無白血病、患者の固体組織のリンパ腫、メラノーマ、腺腫、肉腫および癌腫)に特に有用であり得る。 特に、小分子の抑制剤は、悪性のメラノーマ、膵臓癌、子宮頚癌、腎臓の癌(
    転移性腎細胞癌腫)、切除不能の頭および首の癌のような胃、肺、直腸、乳房、
    腸、胃、肝臓、甲状腺、頭および首の癌、リンパ管炎癌腫、頸、乳房、唾液腺、
    脚、舌、唇、胆管、骨盤、縦隔、尿道、気管支原性、膀胱、食堂および大腸の癌、非小細胞の肺癌、並びに後天性免疫不全症候群(AIDS)を含むHIV管腺患者に関連する癌の一形態であるカポジ肉腫の治療に使用できる。 この抑制剤は、細菌およびウィルス感染、特にAIDSのような他の非増殖性条件でも使用できる。

    【0079】 本発明の小分子の抑制剤は、免疫無防備状態の対象を治療するのに使用できる。 例えば、これは、HIV、あるいは他のウィルスまたは他の感染病原体(細菌、真菌および寄生虫を含む)に感染した対象、骨髄移植を受けようとする対象、
    および化学的または腫瘍誘導された免疫抑制に付された対象に使用できる。

    【0080】 小分子の抑制剤は、血液回復剤として、特に骨髄細胞増殖を刺激するのに、特に以下の化学療法または放射線治療に使用できる。 本発明の抑制剤の骨髄増殖活性は、マウスに抑制剤を注射して、マウスを屠殺し、骨髄細胞を取り出して、直接骨髄細胞を計数することにより、およびメチルセルロースアッセイにおいてクローン原性前駆細胞を測定することにより、抑制剤の骨髄増殖を刺激する能力を測定することによって決定できる。 抑制剤は、化学的保護剤として、特に粘液上皮を保護して化学療法を行なうためにも使用できる。

    【0081】 本発明の小分子の抑制剤は、特に、レトロウィルス、インフルエンザウィルス、サイトメガロウィルスおよびヘルペスウィルスのようなウィルスを覆う膜における抗ウィルス製剤としても使用できる。 小分子の抑制剤は、細菌、真菌および寄生虫感染を治療するのにも使用できる。 例えば、小分子の抑制剤は、以下の原因によって引き起こされる感染を予防または治療するために使用できる:髄膜炎菌および淋菌のようなナイセリア属、クラミジア肺炎、クラミジアオウム病、トラコーマ病原体のようなクラミジア属、大腸菌、インフルエンザ菌のようなヘモフィルス属、エロシニア・エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌のようなサルモネラ属、赤痢菌フレクスネリ(flexneri)のような赤痢菌属、アガラクティアエ(a
    galactiae)連鎖球菌、肺炎連鎖球菌のような連鎖球菌属、枯草菌のような棹菌、
    カタル性ブランハメラ属、ボレリア属ブルグドルファー(burugdorfer)、緑膿菌、コクシエラ。 ブルネッチ(burnetti)、カンピロバクター・ハイオイレイのようなカンピロバクター、および肺炎棹菌のようなクレブシエラ属。

    【0082】 小分子の抑制剤は、関節リウマチ、喘息、炎症性腸疾患およびアテローム性動脈硬化のような炎症性疾患の治療にも使用できる。

    【0083】 小分子の抑制剤は、インターロイキン-2およびポリ-ICのような抗がん効果を増大するため、ナチュラルキラーやマクロファージ殺腫瘍活性を増大するため、サイトカイン合成および分泌を誘導するため、LAKおよびHLA分類I特異性抗原の発現を高めるため、タンパク質キナーゼを活性化するため、造血性前駆細胞増殖を含む骨髄細胞増殖を刺激するため、および移植効率とコロニー形成ユニット活性を高めるため、化学療法および放射線療法に対する保護を与えるため(例えば、化学的保護剤および放射線防護剤)、および特に、癌や後天性免疫不全症候群(AIDS)を含むヒト疾患の治療に通常使用される化学薬剤と組み合わせて使用されるときに骨髄細胞性の回復を促進するためにも使用できる。 例えば、小分子の抑制剤は、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミドおよびメトトレキセートを含む抗癌剤と組み合わせて、並びにイソニアジドまたはNSAIDと組み合わせて、化学的保護剤として使用できる。

    【0084】 ここで使用される「親」とは、ここに記載されているような特定の疾患状態または条件に悩まされる哺乳類のような温血動物をいう。 この用語の意味の範疇の動物の例は、犬、猫、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ヒツジおよびヒトである。

    【0085】 小分子の抑制剤は、いつもの方法を用いて医薬品組成物中に変換できる。 医薬品組成物は、抑制剤を単独で、または他の活性物質と共に含有する。 そのような医薬品組成物は、経口、局所、直腸、非経口的、局所、吸入または脳内用途のためであり得る。 従って、これは、固体または半固体、例えば、丸薬、錠剤、クリーム、ゼラチンカプセル、坐薬、ソフトゼラチンカプセル、リポソーム(例えば、米国特許第5,376,452号参照)、ゲル、膜およびチューブ入りの形態である。

    【0086】 非経口的におよび脳内用途には、筋肉内または皮下投与用形態、あるいは注入または静脈内もしくは脳内注射用形態が使用でき、そのため、抑制剤の溶液または抑制剤の粉末として調製して、上記用途に好適な、医薬上容認できる賦形剤または希釈剤1以上と、生理的流体と適合できるモル浸透圧濃度で混合され得る。
    局所用途には、局所用途のためのクリームもしくは軟膏の形態、またはスプレー形態の調剤が考慮されるべきである。 吸入用途には、スプレー形態の調剤が考慮されるべきである。

    【0087】 医薬品組成物は、患者に投与できる医薬上容認できる組成物の調製においてそれ自体既知の方法で、かつ活性物質の有効量が医薬上容認できるビヒクルとの混合物に化合されるように調製できる。 好適なビヒクルは、例えば、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシーズ(レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシーズ、マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、
    ペンシルバニア州、米国1985年)に記載されている。 これを基礎とする医薬組成物としては、医薬上容認できるビヒクルまたは希釈剤1以上と会合し、そして好適なpHでかつ生理流体と等浸透圧の緩衝液中に含有される抑制剤が挙げられるが、非独占的ではない。

    【0088】 抑制剤は、治療剤として、単独で、または他の治療薬もしくは他の治療形態(
    例えば、化学療法または放射線療法)と共に指示され得る。 抑制剤は、マクロファージ、癌や免疫抑制疾患の治療においてT細胞およびNK細胞の活性を高めるのに使用できる。 しかし例えば、抑制剤は、抗増殖剤、抗菌剤、免疫賦活薬または抗炎症剤と組み合わせて使用できる。 特に、抑制剤は、インターロイキン-2、
    インターロイキン-12およびインターフェロン-γを含むTh1サイトカインのような抗ウィルスおよび/または抗増殖製剤、AZTおよび3TCのようなヌクレオシド類似体と組み合わせて使用できる。 本発明の化合物は、他の治療剤または治療と同時に、別個にまたはその後、投与されてよい。

    【0089】 小分子の抑制剤を含有する組成物は、予防的および/または治療上の処置のために投与できる。 治療用途では、組成物を、上記疾患または状態で既に病んでいる患者に、疾患の症状やその合併症を治すかまたは少なくとも楽にするのに十分な量で投与する。 これを達成するのに適した量は、「治療上の有効量」と定義される。 この用途での有効な量は、疾患の重症度、患者の体重および一般的な状態、投与経路の性質、処方の性質、および投与される時間またはインターバルに依存するであろう。

    【0090】 予防用途では、小分子の抑制剤を含有する組成物を、特定の疾患にかかり易いか、またはそうではないが危険な状態である患者に投与する。 そような量は、「
    予防上の有効量」と定義される。 この使用において、正確な量は、患者の健康状態や体重、投与形態の性質、処方の性質、および投与される時間またはインターバルに依存する。

    【0091】 主要な量が、治療または予防の処置のために投与される場合、1日の経過に亙って数回の投与に分けることが望ましいと考えられよう。

    【0092】 以下の実施例は、本発明を説明するものである。 実施例1 GnT-V抑制剤のコンビナトリアル合成以降に、5'-デオキシ-5'-アミノ-2',3'-O-イソプロピリジニルウリジンと、5
    '-デオキシ-5'-アミノ-2',3'-O-イソプロピリジニルウリジンのペプチド分岐誘導体の合成を説明する。 本発明は、中間体、2',3'-O-イソプロピリデン-5-O-
    メタンスルホニルウリジンおよび5-デオキシ-5-アジド-2,3-O-イソプロピリデニルウリジン誘導体を包含する。

    【0093】 I. 5'-デオキシ-5'-アミノ-2',3'-O-イソプロピリデニルウリジンの合成
    A. 2,3-O-イソプロピリデニルウリジンの調製(図1)ウリジン(65.0g、266.2ミリモル)、樟脳スルホン酸(1.0g、4.3ミリモル)
    、2,2-ジメトキシプロパン(98.0mL、798.5ミリモル)およびアセトン(無水、1000mL)を室温において24時間激しく攪拌した。 反応は、TLC(メタノール:トリクロロエタン=7:93溶媒系)でモニターした。 出発物質が消費されたときに、トリエチルアミン(1.12mL、8.6ミリモル)を添加し、混合物を更に1時間攪拌した。 アセトンを減圧下(40℃未満)で蒸発させて、白色粉末を得た(77.0g)。 これは精製せずに次の工程に使用した。

    【0094】 B. 2,3-O-イソプロピリデン-5-O-メタンスルホニルウリジンの調製(図2)粗2,3-O-イソプロピリデニルウリジン(77.0g:工程Aで得られたもの)をDMF中に溶解した。 トリエチルアミン(74.2mL)を添加して、混合物を0℃
    に冷却した。 次に、メタンスルホニルクロライド(31.2mL)を30〜60分かけて滴下すると同時に、迅速な攪拌を続けた。 更に室温で1時間攪拌した後、DMF
    を蒸発させた。 残渣は、酢酸エチル(2.0L)に溶解し、水で3回洗浄した(3
    ×250mL)。 有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾過ケークを酢酸エチルでリンスして、溶媒を蒸発させた。 淡黄色残渣(濃厚なシロップ)は、
    精製せずに、次の工程において直接使用した。 反応はTLC(酢酸エチル:ヘキサン=7:3)でモニターした。

    【0095】 C. 5-アジド-5-デオキシ-2,3-O-イソプロピリデニルウリジンの調製(図3)粗メシレート(上記工程Bから得られたもの)をDMF(400mL、試薬級)
    に溶解し、60℃においてアジ化ナトリウム(34.6g、532ミリモル)と共に、
    メシレートの完全消費がTLC(TLC7:3、酢酸エチル:ヘキサン)で観察されるまで、12時間攪拌した。 混合物をセライト社製ベッドを通して濾過した。
    濾液を乾固するまで蒸発させた。 残渣を酢酸エチル(2.0L)に溶解して、水で3
    回洗浄した(3×250mL)。 有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、減圧下、30℃で蒸発させた。 固体残渣を酢酸エチル/へキサン(1:1)から再結晶させて、所望のアジドウリジン65.0gを白色結晶固体として生成した(融点118℃
    )。

    【数1】

    【0096】 D. 5-アミノ-5-デオキシ-2,3-O-イソプロピリデニルウリジンの調製(図4)アジド5.0gをエタノール(150〜200mL)に溶解した。 この溶液に、Pd(O
    H) 2とNaHCO 3を添加した。 反応フラスコを脱気して、H 2ガスを充満した。
    これを3回繰り返して、混合物を室温においてH 2下で3〜6時間攪拌した。 混合物をセライト社製ベッドを通して濾過し、蒸発させた。 残渣をキャッピングおよびペプチド共役反応において使用した。

    【数2】

    【0097】 II. 共役手順(図5)遊離アミン(図5)をジクロロメタン(250mL)およびWSC.HCl[1-エチル-3-(3'-ジエンチルアミノプロピル)カルボジイミド]中に溶解した。 この透明な溶液に、N-t-ブトキシカルボニル保護されたアミノ酸(1.0当量)を添加し、アルゴン下で1〜3時間攪拌した。 反応は、TLC(メタノール:鳥黒ロメタン=7:93)でモニターした。 反応が完了した後、更なるジクロロメタンを添加して、溶液を水で洗浄し(数種のアミノ酸様グルタミンでは、ω-ニトロアルギニン、アスパラギン水洗浄は不可能である。なぜならば、誘導体が水不溶であるためである。)、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。 残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して(溶離剤 ジクロロメタン中、2〜5%メタノール)、白色固体を得た。 収率は、75〜85%で変化する。 )この手順は、25.0
    gスケールで行なった。 同様の方法で、遊離アミン(1当量)、N-FMOC-保護されたアミノ酸(1.1当量)およびDMF中HBTU(1.1当量)を反応させて、N-FMOC保護されたウリジンモノペプチドを得た。

    【0098】 III. N-Boc脱保護(図6)ウリジンペプチド(図6)を、室温で12時間、TFA/CHCL3/H2O(
    3:4:1)で分けて処理した。 過剰の試薬と溶媒を減圧下で蒸発させた。 残渣をメタノールに溶解し、中性となるまでOH -樹脂で処理し、濾過し、乾固するまで蒸発させた。

    【0099】 IV. キャッピング(図8)完全に脱保護されたウリジンモノペプチドおよびジペプチド誘導体を、室温においてDMF中、キャッピング剤(塩化アシル、イソシアネートおよびチオイソシアネート、1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.5当量)で別々に処理した。 これらの溶液を、アミノエチル化ポリスチレン樹脂で48時間処理して、過剰のキャッピング試薬を消滅させた。 混合物を濾過し、蒸発させて、DMS
    O中に溶解した。 N-t-BocおよびN-FMOC脱保護されたジペプチド(1当量)も種々のカルボン酸キャップ(1.05〜1.2当量)を用い、DMF中、HBTU(1.05〜1.
    2当量)の存在下でキャップした。 溶媒を減圧下で蒸発させた(60℃以下の温度)。 残渣8/8/1(MeCN/MeOH/H 2 O)中に溶解し、その後、ポリトロニクス・フィルター・プレートを用いた96穴式において、塩基性アルミナのパッドを通して個別に濾過した。 溶媒を再度減圧下で蒸発させ(40℃以下)、残渣を貯蔵および試験用にDMSOで希釈した。 完全に脱保護されたモノペプチドとジペプチド誘導体もその後、HOBTを使用してまたは使用せずに、カルボジイミド共役を介して、あるいはHBTU関連プロトコルにより、DMF中のエチルジイソプロピルアミンを含む様々なカルボン酸(1.1当量)で別々にキャップした。

    【0100】 実施例2

    【0101】 固相糖転移酵素アッセイを、薬剤スクリーニングのために展開した。 糖転移酵素は、糖ヌクレオチドで供与された単糖類と特定のオリゴサッカリド受容体間でグリコシド結合の形成を触媒作用する。 固相アッセイは、コア2GlcNAc−
    Tに関し記載したが、他の糖転移酵素にも適応できる。 アッセイは、ポリマー被覆プラスチックプレートに結合した1価のオリゴサッカリド受容体を利用し、それによって、生成物のクロマトグラフ分離の必要を排除する。

    【0102】 材料および方法化学薬品:粘度平均分子量M v 42.1kDaのポリ[N-(アクリロイルオキシ)スクシンイミド](pNAS)(図9中、1)を、マメンら(マメンら著、J.Med.C
    hem.38、4179〜4190頁1995年)に従って調製した。 二糖Galβ1-3GalNA
    cα-O(CH 2 ) 3 S(CH 2 ) 2 NH 2 (2)(コア2GlcNAc−T受容体)および[
    GlcNAc(β1-2)]Man(β1-6)Glc(β-O(CH 2 ) 3 S(CH 2 ) 2 NH 2 )を、ロイおよびトロッパー(アール・ロイおよびエフ・ディ・トロッパー著、ァージャル・オブ・ケミカル・ソサイエティ・コミュニケーションズ1058(1988年)
    :グリココンジュゲート・ジャーナル5:203頁(1988年))が記載した手順に従って対応するアリルグルコシドから調製した。 Galβ1-3GalNAcα-p
    NpとGlcNAcα-ポリマーUDP-6-[ 3 H]-N-アセチルグルコサミン(16.
    0Ci/ミリモル)をトロント・リサーチ・ケミカルズ(カナダ、トロント)から仕入れると同時に、ラベルされていないUDP-6-[ 3 H]-N-アセチルグルコサミンをシグマ・ケミカルズから入手した。

    【0103】 グリコポリマー合成:ポリ[N-(アクリロイルオキシ)スクシンイミド](1)を最初、室温においてDMSO中、アミン末端T-抗原二糖(2)で処理して(16時間)
    、N-置換アクリルアミド残渣1個毎に糖残渣1個を含有するコアポリマーが得られた。 次いで、活性エステル含有ポリマーを、過剰の1級アミン(アンモニア、メチルアミン、エチルアミンまたはプロピルアミン)により室温で3時間処理して、同じコモノマー比を有するがコポリマー主鎖の脂肪親和性が異なる4つの異なるコポリマーを得た。 その後、糖ポリマーを、溶離剤として水を用いたバイオゲル(BioGel)P-10においてサイズ排除クロマトグラフィによって精製した。
    二者択一的には、二糖(2)をメタクリロイルクロライドで処理し、得られるモノマーをメタクリルアミドと共重合して、コポリマー(8)を得ると同時に、アクリルアミドと(2)のアリル前駆体との直接共重合によってコポリマー(10)も得られた。 同じ方法を用いて、GlcNAc−TVに関するコポリマー受容体(11〜14)
    も、同じコアpNAS(1)と、アクリルアミド:糖のモル比10:1とを用いて調製した(図10)。

    【0104】 組換えコア2GlcNAc−T:コア2GlcNAc−T cDNAの切断型(
    N-末端から37個のアミノ酸を欠いたもの)をPCRにより調製した。 切断型c
    DNAは、選択されたタンパク質Aをキメラタンパク質として発現させるために、pPROTAベクターに構造内でクローニングした(サンチェ-ロペス(Sanche
    z-Lopez)ら著、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー263、11892〜
    11899頁、1988年)。 発現ベクターは、リンSナンカルシウム法を用い、pSV2
    neoと一緒にモル比10:1でCHO細胞に同時形質移入させた。 細胞を、G41
    8 800μg/mLの存在下で培養し、残りの細胞クローンを選択して、培養媒体中でコア2GlcNAc−T活性を試験した。 代表的なクローン614C2は、コア2GlcNAc−T活性の安定な発現を表し、そして酵素製造のために選択された。 細胞を、5%ウシ胎児血清およびG418(0.2mg/mL)を含有するME
    M媒体中でルーチン的に増殖させた。 IgG-セファロース・ファスト・フロー(
    FastFlow) TMビーズ(ファーマシア・バイオテック社製)を、培養媒体1mLあたり、50%ビーズスラリー5μL、2M トリス・HCl(pH8.0)2.5μLおよび10%トゥイーン(Tween)-20 5μLの割合で添加した。 ロッキング・プラットフォーム上で4℃において20時間インキュベートした後、ビーズを延伸分離によって捕集し、10容積のTST緩衝液(50mMトリス・HCl(pH8.0)Na
    Cl150mL、0.05%トゥイーン-20)と2容積の5mM NH 4 Ac(pH5.0)
    で洗浄した。 組換えProtA-コア2GlcNAc−T酵素を、0.5M酢酸(pH3.
    4)1容積で希釈し、0.5M MES(pH7.5、カルバイオケム社製)3容積中に再懸濁させた。 酵素活性1μUは、反応生成物1ピコモル/分を形成するタンパク質の量で定義される。

    【0105】 固相コア2GlcNAc−Tアッセイ:コア2受容体糖ポリマー(3)の貯蔵溶液は、受容体を水に1.25mg/mLの濃度で再懸濁した後、溶液を60℃におい1時間インキュベートすることによって調製した。 インキュベート中、この溶液は、
    ポリマーが巻き戻されないように15分間隔で穏やかに混合して、完全に溶解させた。 激しい攪拌がポリマー主鎖の切断を生じさせるとがあるため、糖ポリマー溶液には渦を発生させなかった。 アジ化ナトリウム(0.05%)を防腐剤として添加し、糖ポリマーの貯蔵溶液を室温で貯蔵した。 固相アッセイでは、どの場合も、
    ワラック(Wallac)製96穴プリンテッド・リジッド・サンプル・プレート(1450-5
    11:ワラック、フィンランド)を用いた。 受容体でコーティングするためのプレートを調製するために、穴をメタノール100μLで2回洗浄した後、水200μLで3回リンスした。 プレートを室温で乾燥させた後、33.3μg/mL糖ポリマー溶液 60μLを添加することによって穴を受容体でコーティングし、室温で一晩インキュベートした。 インキュベート後、非結合の糖ポリマーを、水200μLで3
    回洗浄することによって除去し、穴に残った液体は、プレートを37℃(または室温)で約1時間インキュベートすることによって蒸発させた。 乾燥した被覆プレートは、すぐに使用するか、またはシールして後日使用するために貯蔵した。

    【0106】 HTSコア2GlcNAc−Tアッセイは、96穴プレートにおける1反応当たり、試験化合物20μL、90mM MES(pH6.7)、10mM EDTA(シグマ製)、0.0075mM UDP-GlcNAc(シグマ製)およびUDP-[ 3 H]G
    lcNAc 0.1μCiから成る3xアッセイ緩衝液20μL、並びに組換えコア2GlcNAc−T(1μL当たり8〜10μU含有) 20μLから構成した。 ピペットでの吸い取り操作を最小にするために、酵素と3x緩衝液をルーチン的に混合して、その酵素−緩衝液混合物40μLを穴に添加した後、試験化合物を添加した。 プレートを25℃で60分間インキュベートした後、各穴に水175μLを添加し、内容物を吸引し、水190μLで4回洗浄することによって反応を停止した。
    放射性信号は、オプティフェイズ(OptiPhase)・スーパーミックス・シンチレーション反応混液100μLを各穴に添加し、混合するために2時間以上インキュベートした後、マイクロ・ベータ(MicroBeta)プレート計数器(フィンランド、ワラック)を用いて測定した。 HTS内の各プレートは、試験抽出物よりもむしろ添加されたビヒクルを含有する4対照を有しており、バックグランドは酵素の脱落(1プレート当たり4穴)によって決定した。 バックグランドを各プレートにおいて減じて、HTS結果を、プレート上での対照反応の割合(%)で表した。
    HTSアッセイは、ベックマン集積ロボットプラットフォーム(Beckman)において、バイオメック(Biomek)200ピペットステーションとザイマーク(Zymark)回転ロボットアームを用いて行なった。 パンラボ(PanLabs、ワシントン州シアトル)
    が、96穴プレート中の30,000個の細菌と真菌抽出物の回収の代役をした。 乾燥した抽出物は、DMSO中に再懸濁させ、コア2GlcNAc−T HTSにおいて0.15%DMSOで水中に溶離させた。

    【0107】 溶液相コア2GlcNAc−Tアッセイ コア2GlcNAc−T溶液相アッセイ混合物は、先の研究(ユーセフィ(You
    sefi)ら著、ジャーナル・オブ・バイオオジカル・ケミストリー266:1772〜1783
    頁、1991年);ウィリアムズら著、ジャーナル・オブ・バイオオジカル・ケミストリー255:11253〜11261頁、1980年)で用いたのと同じであったが、ベックマン製ロボット・プラットフォーム上で自動化するために適合させた。 HTSアッセイでは、試験抽出物10μL、3xアッセイ緩衝液[90mM MES(pH6.7)
    、10mM EDTA、受容体としての3mM Galβ1-3GAlNAcα−
    pNp、3mM UDP-GlcNAc(シグマ製)およびUDP-[ 3 H]Glc
    NAc 0.1μCi(16Ci/ミリモル;トロント・リサーチ・ケミカルズ製]10
    μL、および組換えコア2GlcNAc−T酵素(活性4〜5μU) 10μLをタイタープレートの穴に添加した。 合計容積30μL中での反応を、37℃において1〜2時間インキュベートし、200μLの冷水を加えることによって停止した。
    プレートは、即座に加工するか、または-20℃で貯蔵した。 生成物を回収するために、アッセイ混合物をC18パック・ピペット・チップ(BCBS96C18バイオチップスTM 、ナショナル・サイエンティフィック社製)を通して吸引し、充填をその後、水200μLで3回洗浄した。 結合生成物は、C18充填を100%エタノール
    100μLで3回洗浄することによって、β-シンチレーション計数用プレート(ワラック96穴プリンテッド・リジッド・サンプル・プレート:1450-511)に溶離した。 次いで、溶離物を室温で一晩乾燥させて、エタノールを除去し、計数用流体を添加した後、放射性信号をβ-シンチレーション計数器でカウントした。 反応生成物は、2時間までのインキュベーションでは直線的に増大することが分かった。 C18充填チップは、プロセス工程後、エタノール200μLで1回および水100
    μLで3回洗浄することによって洗浄して再生した。

    【0108】 結果 固相糖転移酵素アッセイにおける糖ポリマー: 二糖受容体Galβ1−3GalNAC-R(ここで、Rはオクチルメチルまたはp-ニトロフェニルである)は、UDP-6-[ 3 H]GlcNAcが糖ヌクレオチド供与体である溶液コア2GlcNAc−Tアッセイにおいてルーチン的に使用されている。 生成物Galβ1−3([ 3 H]GlcNAcβ1-6)GalNACα
    -Rは、C 18固相担体で捕獲され、エタノールで希釈されて、β-計数器で測定される(ユーセフィら著、ジャーナル・オブ・バイオオジカル・ケミストリー266
    :1772〜1783頁、1991年)。 この手順は、小型化および自動化されているが、高スループット(HTS)のELISA型アッセイに比べての比較的遅いままである。 Galβ1−3GalNACα基を有する糖ポリマーを化学合成によって調製し、固相糖転移酵素アッセイのための条件を確立するために組換えProt-A-コアGlcNAc−Tと反応させた。 固相糖転移酵素アッセイにおいて用いられる水溶性糖ポリマー受容体(図9中の3〜8、10、および11〜14)は、アクリルアミド主鎖モノマー10個毎に1個の二糖Galβ1−3GalNACα-O(CH 2 ) 3
    S(CH 2 ) 2 (2)または三糖[GlcNAc(β1-2)]Man(β1-6)Glc(β-O(
    CH 2 ) 3 S(CH 2 ) 2 )残渣を含有する置換ポリアクリルアミド主鎖から構成される多価基質である。 コアポリマーの粘度平均分子量M vは、水性アンモニウム単独で処理することによって、化合物1から派生したポリアクリルアミドを基準とし、42.1kDaであるように決定された。 糖:アクリルアミド比1〜10は、高電場1 H-NMR分光法を用いて決定し、酵素結合レクチンアッセイにおける(EL
    LA)類似糖ポリマーを用いた先の最適化実験を基準とした(ロイ著、トレンズ・イン・グリコサイエンス・アンド・グリコテク8:79〜99頁、1996年)。 コポリマー主鎖は、種々のアルキルアミンで変性して、その脂肪親和性を向上させ、
    それによってポリスチレン製マイクロタイタープレートの表面におけるその吸着特性を高めた。

    【0109】 コポリマー6および14(最も脂肪親和性の高いN-プロピルアクリルアミド主鎖を有する)は、N-エチル(5、13)またはアクリルアミド(3、11)コポリマーよりも約8倍感受性が高かったが、N-メチル置換基を有するコポリマー4および
    12は、最も有効性の小さなコーティング受容体であった。 より短いアリルスペーサを含むコポリマー10は、酵素活性部位におけるGalNAc残渣の寄りつき難さのために、酵素的グリコシル化に恐らく不適当であることが分かった。 同様に、コポリマー7(コ-ビオチン)または8(コ-メタクリルアミド)は、低いコーティング特性または低い酵素的グリコシル化をもたらした。 ビオチン含有コポリマー7は、最初、ストレプトアビジン/アビジンプレコーティングによる捕獲後にコーティング基質として供給するために設計された。 糖ポリマー6(最も脂肪親和性の高いN-プロピルアクリルアミド主鎖を有する)は、N-エチル(5)またはアクリルアミド(3)糖ポリマーよりも約8倍有効であったが、糖ポリマー4(N-
    メチル置換基を有する)は、最も有効性の低いコーティング受容体であった。

    【0110】 プラスチック製の穴を糖ポリマーでコーティングすること 固相アッセイの展開初期に、異なるバッチのプラスチックプレートで様々な結果が観られた。 前洗浄の回数を、コア2GlcNAc−T反応の一貫性を高める能力に対して試験した。 有機溶媒を用いてプラスチックプレートを前洗浄することは、信号を2〜4倍高めて、別のロットのプレート間での変異性を無くした。
    非イオン性洗浄剤で洗浄することは、反応効率を低下させた。 この結果に基づいて、96穴プラスチックプレートは、ルーチン的に、メタノールで2回洗浄した後、水で2回洗浄して、糖ポリマー3でコーティングする前に乾燥して貯蔵した。
    プラスチックプレートの洗浄は、ロボットアームの付いたベックマン2000ワークステーションで行なった。 糖ポリマーによる穴のコーティングに関する時間および温度依存性を決定して、そして20℃における2μg/mLでの夜通しコーティングを、最適化されるように決定した。 糖ポリマー3は、回収されたポリマー溶液を用いて、その後穴をコーティングする際、過剰に存在し、第1コーティングに観とめられる80〜90%の反応生成物を生成するように決定された。 しかし、糖ポリマー溶液は、ルーチン的には1回のみ使用した。

    【0111】 コア2GlcNAc−T固相アッセイの特色 初期実験では、96穴プレートを、穴1個当たり糖ポリマー受容体3 2μgの溶液でコーティングし、60分かけて酵素を添加するために、反応生成物を比較して観察した。 しかし、溶液アッセイにおけるUDP-GlcNAc、およびProt-
    Aコア2GlcNAc−Tを用いた受容体に関するK mはそれぞれ、1.75mMおよび146μMと決定した。 対照して、固相糖転移酵素反応条件は、プラスチックプレートに結合する糖ポリマー3の量を制限するので、K m濃度以下の基質穴を用いる。 そのため、糖-ヌクレオチド濃度は、放射性生成物の検出を最適化するように調整されるので、K m濃度以下でもある。 基質が60分反応中に使い尽くされないことを確立するために、UDP-GlcNAcの時間経過と滴定を37℃で行なった。 より高濃度のUDP-GlcNAcでは、反応は5分以内に完了した。
    しかし、UDP-GlcNAc−TV 2.5μMおよび酵素活性200μUを用いると、コア2GlcNAc−T反応生成物は、30〜60分間では時間に依存して増加した。 形成された生成物の最大量は穴1個当たり6〜10ピコモルであり、反応中でUDP-GlcNAc−TV 2.5μMを使用した場合、これは、糖-ヌクレオチド供与体の約4%利用を表していた。 HTSプロトコルを簡易化するために、
    この条件(UDP-GlcNAc−TV 2.5μMと酵素200μU)をその後更に室温(およそ20℃)で試験した。 この条件下では、生成物の増加が約60分間、時間に対して一次であることが分かったため、HYSアッセイを室温でルーチン的に行なった。

    【0112】 GlcNAc−TVのためたの糖ポリマー受容体は、組換え酵素を用いて作成され、試験された(図10)。 コア2GlcNAc−Tにおいて観られたのと同様に、最も脂肪親和性の高いN-プロピルアクリルアミド主鎖を有する糖ポリマー14は、N-エチル(13)またはアクリルアミド(11)糖ポリマーより有効であった。 糖ポリマー12(N-メチル置換リンカー)は、最も有効性の小さなコーティング受容体であった。 糖ポリマー14を用いたGlcNAc−TV反応生成物は、時間と酵素に依存して増加した。

    【0113】 微生物抽出物のコア2GlcNAc−T高スループットスクリーン(HTS) 30,000個の抽出物の微生物ライブラリを、一次スクリーンとしてのコア2Gl
    cNAc−T固相アッセイを用いたHTSに付した(すなわち、糖ポリマー3)
    。 通常作動させた1,600回のアッセイからの正規化結果を図11に示す。 ノイズに対して信号は20倍であり、正の対照のCVは±9.4%アッセイであった。 合計一次スクリーンデータから選択された48ヒットの一連の抽出物(すなわち、50%
    未満抑制)を、88個の他の不活性抽出物を含むプレートに配置し、固相および液相コア2GlcNAc−Tアッセイの両方を用いて、5点希釈系列で再度試験した。 溶液アッセイで同定されたヒットの94.4%(17/18)は、固相アッセイにおいてもヒットした。 固相アッセイでは更に、良好な3ヒットと決定的でない滴定曲線を有する8ヒットが観察された。 コア2GlcNAc−T HTSで同定された活性な抽出物は、細胞培養や弛緩の動物モデルにおおける更なる試験において活性分子を同定するために分別できる。

    【0114】 考察 固相糖転移酵素アッセイを、組換えコア2GlcNAc−Tと共に用いるために最適化した。 アッセイはまた、GlcNAc−TVおよびGlcNAc−TI
    に関する糖ポリマー受容体と共に試験し、他の糖転移酵素にも受け入れられることが分かった。 固相コア2GlcNAc−Tアッセイは、微生物中SY通物のライブラリのHTSにおいて使用し、活性抽出物が、固相アッセイと従来の溶液アッセイにおいて高度の一致を有することが認められた。 固相アッセイ法は、溶液アッセイに比べてスループットを5〜6倍高め、1日につき7,500個の速度であった。 溶液アッセイでは、30,000個の微生物抽出物はのコア2GlcNAc−T H
    TSは1.5%の頻度でヒットが得られた。 ライブラリの三分の一は、固相アッセイを用いてもスクリーニングされて、溶液アッセイで予め見つけられた結果と高度に一致していた。

    【0115】 実施例3 高スループットL-PHAアッセイ材料および方法 化学薬品:L-PHA、トリトンX-100およびp-ニトロフェニルホスフェートは、
    シグマ社から入手し、ジエタノールアミンはフィッシャー社から仕入れた。 細胞:DBA-2菌株リンパ球腫瘍MDAY-D2の出所および特性は、既に開示されている(カーベル・アール・エス、フロリアン・アム、マン・エム・エス、
    デニル・ジェイおよびマッケンジー・アイ・エフ著(1980年)J.Nat.Cancer Ins
    t.64、1221〜1230頁)。 細胞は、2%の熱不活性化ウシ胎児血清(ギブコ(Gibco
    )BRL製)を含有するα修飾イーグル媒体中、37℃においてO 2 95%/CO 2
    %の湿潤雰囲気で培養した。

    【0116】 アルカリホスファターゼアッセイ: 決定は、96穴プレートを用いて行なった。 各穴には、2%ウシ胎児血清に補充された培養媒体125μL中に保有される様々な数のMDAY-D2細胞を含ませた。 アルカリホスファターゼ反応は、アッセイ混合物(1Mジエタノールアミン緩衝液(pH9.8)、2mM MgCl 2 、1%トリトンX-100、および2.5mMp-
    ニトロフェニルホスフェート)75μLで開始し、37℃で90分までインキュベートした。 反応は、3.5M NaOH80μLで停止した。 15分〜30分の色の展開後、
    色素生産製生成物p-ニトロフェノールの吸収を、マルチウェル走査型光度計(サーモマックス・マルチプレート・リーダー、モレキュラー・デヴァイシーズ(Mol
    ecular Devices)製)を用いて405nMで測定した。 バックグランド値は、細胞不存在下、培養媒体単独で行なったアッセイを通して決定し、ルーチン的に減じた。 405nMでの吸収とp-ニトロフェノールの濃度との間の直線性は、0〜2.5の範囲であった(ε=17.23mM -1 cm -1 )。

    【0117】 L-PHAアッセイ経由のスクリーニング: 手順は、9個の96穴プレートを同時に処理できるロボットワークステーション(バイオメック2000、ベックマン製)を用いることにより、完全に自動化された。 決定は、平底96穴プレート(プレート1個につき、試料88個+対照8個)内で行なった。 各穴(第1欄〜11欄)には、化合物(2.5%DMSO中)10μLを入れ、第12欄には、水中2.5%DMSO 10μLを加えた。 96穴全てに、2%ウシ胎児血清に補充された、培養媒体90μL中5×10 3個のMDAY-D2細胞を入れた。 37℃で16〜20時間インキュベートした後、L-PHA25μL(培養媒体中100
    μg/mL)を最初の11欄と第12欄の穴4個(正の対照)に加えた。 残りの穴4
    個には、2%ウシ胎児血清に補充された培養媒体25μLを入れた(負の対照)。
    アッセイプレートを30〜36時間37℃に保持し、インキュベーション時間として1
    時間を用いる前述のプロトコルに従ってアルカリホスファターゼ活性を測定した。 細胞密度は、アッセイの全経過に亙って準集密的であった。 増殖率は、以下の式で計算される割合(%)で表された。 正規化信号=(試料のA 405 −正の対照の平均A 405 )/(負の対象の平均A 405
    正の対照の平均A 405

    【0118】 結果均一なスクリーニングアッセイにおいて、結果は洗浄または転移ターゲットタンパク質または細胞、反応物、およびアッセイプレートからの試験化合物を用いずに決定される。 均一なアッセイ様式は、アッセイを行なう時間を節約して、より少ない手技によって低い誤差が観察される。 これは、大きなスクリーンにおける推定上のヒットに関する、より少ない続行アッセイに表される。 細胞成長と可変性を内在性アルカリホスファターゼ活性を用いて測定する、均一な細胞系アッセイが展開されている。 成長の対数期に組織培養中で保持されたMDAY-D2腫瘍細胞は、細胞10 4個当たり40〜80ナノモル/時の範囲のアルカリホスファターゼを表す。 アルカリホスファターゼ測度は、少なくとも90分間は時間に対して線形であり、細胞数と正比例し、1500個の細胞の検出が可能であった。 アルカリホスファターゼ活性の累積によって算出されるMDAY-D2倍加時間は〜14時間であり、細胞数をカウントすることによって測定されたものと同じであった。 アルカリホスファターゼアッセイは、再現性と感度の点で市販のケミルミネッセンス測定法に匹敵する。

    【0119】 MDAY-D2全細胞アッセイで測定されるアルカリホスファターゼの見掛けKmは、0.86mMであったが、ウシ胎児血清中に含まれる溶解性酵素によって表される値は、0.21mMであった。 2%ウシ胎児血清を含む培養媒体に含まれるバックグランド活性は、1時間インキュベーションした後、A 405 0.2をもたらし、標準アッセイ条件による信号の約10%を表していた。

    【0120】 スワインソニンは、α-マンノシダーゼIIを阻害し、複合型N-オリゴサッカリド生合成の抑制剤として作用してL-PHAレクチンの毒性に対する抵抗力をもたらす。 スワインソニンは、IC 50値0.0528+/−0.0087μM(n=8)でL-
    PHA毒性からMDAY-D2を保護した。 IC 50値0.2μMは、細胞成長の測度として、チミジン取り込みを用いて以前に報告されていた(デニルら著、1993年、バイオケミカル・ファーマコロジー、46、1459〜1466頁)。

    【0121】 アルカリホスファターゼ細胞アッセイを、微生物抽出ライブラリの高スループットスクリーニングに適用した。 信号/ノイズ比(すなわち、L-PHA処理された細胞/対照MDAY-D2細胞の成長)は5であり、そして負および正の対照試料の両方の変異度はそれぞれ、4.2%および2.4%であった。 試験した30,000
    個のうちの20個の微生物抽出物が、L-PHAの存在下、平均の3xSDよりも大きな度合いで細胞変異を高めた。 これらの結果は、図12の正規分布の右側に当たった。 再試験すると、20個の抽出物のうち4個が、更なる分画に関するヒットとして確認された。 成長を抑制された抽出物の数は、L-PHAの存在下で観察されたものよりも少ない(すなわち、正規分布の左側)。 これは、一般に毒性のある化合物を恐らく含有しているが、重要ではない。

    【0122】 考察 MDAY-D2細胞の増殖速度を、アルカリホスファターゼ活性のアッセイを用いてモニターした。 この作業に関する動機は、L-PHAアッセイを介した高スループットのスクリーニングに利用される、簡単で再現性がありかつコスト効率のよい手順を確立することであった。 アルカリホスファターゼ活性の比色定量決定は、リンホカイン依存性B細胞増殖を測定するのに適している事が分かっている(N.ハシモトおよびツプラー・アール・エイチ(Zubler RH)著(1986年)、J.Immuno.Methods90、97〜103頁)。 ここに記載のプロトコルの長所は、培養媒体の除去または細胞のペレットによる分配や洗浄を行なわずに単一工程で行なうことができ、それによって完全自動化手順を可能にすることである。 さらに、ロボット・プラットホームの使用は、36個の96穴プレートの同時処理を可能にした。 この方法は、特に他の市販のアッセイキットと比較すると、非常にコスト効率が良い。

    【0123】 アルカリホスファターゼ法の感度と精度は、幾つかの観察に依存している[i)
    MDAY-D2細胞は比較的高レベルの酵素を発現するが、ウシ胎児血清(2%
    )に含まれるバックグランド活性が低いこと、ii)A 405の読みが反応生成物の濃度に比例していることが分かったこと、iii)反応が、1.5時間までの比較的広いインターバルまででは、時間に対し線形であること、およびiv)MDAY-D2
    細胞(未処理のものとL-PHA処理されたものの両者)の数が比較的広い範囲内で酵素活性と相関関係があったこと(すなわち、細胞1×10 3 〜2.5×10 5
    個)]。 このアッセイは、1mM基質(最終濃度)を用いて行なわれた。 これは、血清酵素のK m (すなわち、0.21mM)の4倍強であって、細胞の酵素の濃度と同じであった(すなわち、0.86mM)。 このK m値が4倍異なると、信号/バックグランド比は、1mM以上に基質濃度を高めることによって増幅され得る。

    【0124】 このアッセイは、幾つかの特徴によって信頼性が与えられた。 例えば、N-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングの既知の抑制剤であるスワインソニンを、L
    -PHA/アルカリホスファターゼアッセイと共に使用すると、薬剤のIC 50値が、細胞成長を測定するためにチミジン組み込みを用いる以前に報告されたものと比べて良好であった。 加えて、細胞増殖測定の結果が、別の単一工程(市販されているケミルミネッセンス測定用キット)を用いて得られたものとも一致した。 最後に、抽出物ライブラリ(30,000試料)のスクリーニング中、アルカリホスファターゼ活性の対照測定(n=3200)が明らかに低い変異度を示した。

    【0125】 本発明は、好ましい実施例であると現在考えられるものを参照してここに記載したが、本発明は開示された実施例に限定されるものとは解されるべきではない。 それとは反対に、本発明は、添付したクレームの精神および範囲に含まれる種々の改良や同等の配列を包含するものである。

    【0126】 文献、特許および特許出願はいずれも、個々の文献、特許および特許出願がその全部において参照として挿入されていると具体的にかつ別個に示されているのと同程度に、その全部が参照としてここに挿入される。

    【0127】 表 1

    【表1】

    【表2】

    【0128】

    【表3】

    【表4】

    【0129】 表 2 3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソン酸(KDO)転移酵素 肺炎クラミジアKDO転移酵素 gb:z31593 オウム病クラミジアKDO転移酵素 gb:x80061 オウム病クラミジアgseA転移酵素 gb:x69476 トリコーマ(trichomatis)病原体KDO転移酵素 gb:m64618 トラコーマ病原体gseA転移酵素gb:z22653 gb:z22654 gb:z
    22655 gb:z22656 gb:z22659 大腸菌kdtA gb:m60670 gb:m86305 gb:u00039 SW:p2
    3282(kdta_ecoli) インフルエンザ菌kdtA gb:l45293 gb:u32748 SW:p44806
    (kdta_haein)

    【0130】 O-抗原Gal-2-フコシル基転移酵素 エルシニア・エンテロコリチカ菌フコシル基転移酵素遺伝子 gb:u18
    674 gb:u25113 gb:u45859

    【0131】 cld(鎖長決定)(推定ウンデカプレニル-P-GlcNAc転移酵素) 大腸菌cld1 gb:z17241 sw:q05032(cld1_ecoli) 大腸菌cld2 gb:m89934 sw:p35272(cld2_ecoli) ネズミチフス菌cld gb:z17278 sw:q04866(cld_salty) シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)cld gb:x71970 sw:
    p37792(cld_shifl)

    【0132】 cpsDガラクトシル基転移酵素 アガラクチア連鎖球菌cpsD遺伝子 gb:l09116

    【0133】 lgtAガラクトシル基転移酵素 レグミノサルム(leguminosarum)根粒菌 オーラウェイ(Allaway)ら著(19
    96年)未発刊 gb:x94963

    【0134】 murG N-アセチルグルコサミニル基転移酵素 枯草菌murG遺伝子 gb:s56399 gb:x64259

    【0135】 mraY ホスホ-N-アセチルムラモイルペンタペプチド合成酵素EC2.7.8.13 枯草菌mraY遺伝子 bg:z15056 sw:q03521(mray_bacsu) 大腸菌mraY遺伝子 bg:x51584 gb:x55034 gb:d10483 s
    w:p15876(mray_ecoli)

    【0136】 mtfA、mtfB、mtfC マンノシル基転移酵素 大腸菌mtfA、mtfBおよびmtfC遺伝子 gb:d13231 gb:d43637 ノイS2,8-シアリル基転移酵素 大腸菌ノイS遺伝子 gb:x60598

    【0137】 nodC N-アセチルグルコサミニル転移酵素 アゾトリゾビウム・コーリノダン(Azotorhizobium caulinodans) gb:
    l18897 sw:q07740(nodc_azoca) ブラディリゾビウム・エルカニ(Bradyrhizobium elkani) gb:u04609

    【0138】 rfaB 1,6-ガラクトシル基転移酵素 大腸菌rfaB遺伝子gb:m80599 gb:u00039 sw:p27127(rfab_ecol
    i) ネズミチフス菌rfaB遺伝子 gb:s56361 sw:q06994(rfab_salty

    【0139】 rfaC ヘプツロシル基(heptulosyl)転移酵素1 大腸菌rfaC遺伝子 gb:u00039 sw:p24173(rfac_ecoli)

    【0140】 rfaG 糖転移酵素 大腸菌rfaG遺伝子 sw:p25740(rfag_ecoli)

    【0141】 rfaI 1,3-ガラクトシル基転移酵素EC2.4.1.44 大腸菌rfaI遺伝子 gb:m80599 gb:u00039 sw:p27128(rf
    ai_ecoli) ネズミチフス菌rfaI遺伝子 gb:x53847 sw:p19816(rfai_salt
    y)

    【0142】 表 2(続き) rfaJ 1,2-糖転移酵素EC2.4.1.58 大腸菌rfaJ遺伝子 sw:p27129(rfaj_ecoli) ネズミチフス菌rfaJ遺伝子 sw:p19817(rfaj_salty)

    【0143】 rfaK 1,2-N-アセチルグルコサミニル転移酵素EC2.4.1.56 大腸菌rfaI遺伝子 gb:u00039 sw:p27242(rfai_ecoli)

    【0144】 rfbF 糖転移酵素 カンピロバクター・ヒヨイレイ(hyoilei)rfbF遺伝子 gb:x91081 肺炎棹菌rfbF遺伝子 gb:l31762 gb:l41518

    【0145】 rfbN ラムノシル(rhamnosil)基転移酵素 ネズミチフス菌rfbN遺伝子 gb:x56793

    【0146】 rfbP 糖転移酵素 エルシニア・エンテロコリチカ菌rfbP遺伝子 gb:u18674 gb:u2
    5113 gb:u45859 腸炎菌rfbP遺伝子 gb:x61917

    【0147】 efbQ ラムノシル基転移酵素 腸炎菌rfbQ遺伝子 gb:x61917

    【0148】 rfbU マンノシル基転移酵素 ネズミチフス菌rfbU遺伝子 gb:x56793 sw:p26402(efbu_salty

    【0149】 efbW 第二マンノシル基転移酵素 腸炎菌rfbW遺伝子 gb:x61917

    【0150】 rfbZ 第一マンノシル基転移酵素 腸炎菌rfbZ遺伝子 gb:x61917

    【0151】 rfe ウンデカプレニル-P-GlcNAc転移酵素 大腸菌rfe遺伝子 gb:s75640 gb:m87049 gb:m76129 sw
    :p24235(rfe_ecoli) 放線菌レプロスム(Mycobacterium leprosum)rfe遺伝子 gb:u15186
    sw:p45830(rfe_mycle)

    【0152】 rffM 考えられ得るN-アセチル-D-マンノサミンウロン酸転移酵素 大腸菌rffM遺伝子 gb:m87049 sw:p27836(rftm_ecoli) ネズミチフス菌rffM遺伝子 gb:m95047 sw:p37457(rffm_salty

    【0153】 rffT 考えられ得る4-フコシル基転移酵素 大腸菌rffT遺伝子 gb:m87049 sw:p27835(rftt_ecoli) ネズミチフス菌rffT遺伝子 gb:m95047 sw:p37458(rfft_salty

    【0154】 RhlAB ラムノシル基転移酵素 緑膿菌rhlAB遺伝子 gb:l28170

    【0155】 糖転移酵素 淋菌の遺伝子座 ゴッシュリッヒ(Gotschlich)への米国特許第5,703,367号

    【0156】 表 3

    【化28】

    【表5】

    【0157】 表 4

    【化29】

    【表6】

    【0158】 表 5

    【化30】

    (ただし、qは0または1である。)

    【表7】

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 ウリジンから2,3-イソプロピリジンウリジンを調製する方法を表す模式的な図である。

    【図2】 2,3-O-イソプロピリジンウリジンから2,3-O-イソプロピリデン
    -5-O-メタンスルホニルウリジンを調製する方法を表す模式的な図である。

    【図3】 2,3-O-イソプロピリデン-5-O-メタンスルホニルウリジンから5
    -デオキシ-5-アジド-2,3-O-イソプロピリデニルウリジンを調製する方法を表す模式的な図である。

    【図4】 親アジドから5-デオキシ-5-アミド-2,3-O-イソプロピリデニルウリジンを調製する方法を表す模式的な図である。

    【図5】 N-Boc保護スペーサーモノマーユニットをヌクレオシドモノマーユニットと共役する方法を表す模式的な図である。

    【図6】 N-Boc保護スペーサーモノマーユニットをヌクレオシドモノマーユニットへ脱保護する方法を表す模式的な図である。

    【図7】 Fmoc-保護スペーサーモノマーユニットをヌクレオシドモノマーユニットへの繰り返し共役する方法を表す模式的な図である。

    【図8】 ヌクレオシドモノマーユニットと共役されるスペーサーモノマーユニットをキャップする模式的な図である。

    【図9】 固相コア2GlcNAc−Tアッセイにおける糖ポリマーの合成を表す模式的な図である。

    【図10】 固相GlcNAc−TVアッセイにおける糖ポリマーを表す模式的な図である。

    【図11】 対照に対する割合(%)で表される1600アッセイにおける標準化コア2GlcNAc−Tアッセイ結果の分布を表すグラフである。

    【図12】 MDAY-D2細胞内でN-連鎖オリゴサッカリドプロセッシングについて抑制効果を有する微生物抽出物を検出するための高スループットスクリーンの結果を表すグラフである。

    【符号の説明】

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07H 19/16 C12Q 1/48 Z C12Q 1/48 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 フランソワ・ディ・トロッパー カナダ、エム3ビー・2ブイ7、オンタリ オ、ノース・ヨーク、ザ・ドンウェイ・ウ エスト225番、スウィート302 (72)発明者 アッタム・サハ カナダ、エム9エヌ・2アール4、オンタ リオ、ノース・ヨーク、ジェイン・ストリ ート1555番、502 (72)発明者 ロター・ツィザー カナダ、エム5ビー・2エイチ5、オンタ リオ、トロント、カールトン・ストリート 20番、アパートメント・ナンバー1434 (72)発明者 アレッサンドロ・ダッティ カナダ、エム5エス・3エイ6、オンタリ オ、トロント、ベイ・ストリート・ナンバ ー2017、1001番 (72)発明者 ロブ・ドノバン カナダ、エム2アール・3ブイ4、オンタ リオ、ウィローデイル、フィンチ・アベニ ュー・ウエスト623番、アパートメント・ ナンバー1005

    QQ群二维码
    意见反馈