New angiotensin receptor modulator and their applications

申请号 JP2000553004 申请日 1999-06-07 公开(公告)号 JP2002517420A 公开(公告)日 2002-06-18
申请人 アドバンスド メディスン インコーポレーテッド; 发明人 ジョン エイチ. グリフィン,; ジー. ロジャー トーマス,; ダニエル マルケス,;
摘要 (57)【要約】 本発明は、アンギオテンシン(AT)レセプタに結合してその活性を調節する新規な多結合化合物に関する。 本発明の化合物は、リンカーにより共有結合された2〜10個のATレセプタ配位子を含み、ここで、これらの配位子は、一価(すなわち、連結されていない)状態では、1種またはそれ以上の型のATレセプタに結合する。 これらの配位子を共に連結する様式は、そのように形成された多結合剤が、ATレセプタに結合するのに利用される同数の未連結配位子と比較して、高い 生物 学的効果および/または治療効果を示すようにされる。 本発明はまた、このような化合物を使用する方法およびそれらを調製する方法に関する。 本発明の化合物は、ATレセプタにより媒介される哺乳動物の疾患および状態を処置するのに、特に有用である。 従って、本発明はまた、薬学的に受容可能な賦形剤および有効量の本発明の化合物を含有する薬学的組成物に関する。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 式Iにより表わされる多結合化合物: (L) p (X) q I ここで、各Lは、各場合において、同一であっても異なっていても良い配位子であり、ここで、該配位子は、ロサルタン、E−3174、エプロサルタン、カンデサルタン、L−158,809、イルベサルタン、バルサルタン、タソサルタン、リピサルタン、テルメサルタン、ゾラサルタン、PD123,319、L
    −163,958、EXP−801、L−162,313およびPD123,1
    77からなる群から選択される;Xは、各場合において、同一であっても異なっていても良いリンカーである;pは、2〜10の整数である;そしてqは、1〜
    20の整数である;ここで、該配位子の各々は、アンギオテンシンレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する、 化合物。
  • 【請求項2】 pが、2であり、そしてqが、1である、請求項1に記載の多結合化合物。
  • 【請求項3】 薬学的に受容可能な賦形剤および治療有効量の請求項1または2に記載の1種またはそれ以上の多結合化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する、薬学的組成物。
  • 【請求項4】 生物組織でのアンギオテンシンレセプタの活性を調節する方法に使用するための組成物であって、ここで、該組成物は、請求項1または2に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有し、該方法がアンギオテンシンレセプタを有する組織を、該組織中のチャンネルの活性に変化を生じるのに充分な条件下にて、該組成物と接触させる工程を包含する、組成物。
  • 【請求項5】 請求項3に記載の薬学的組成物であって、該組成物が、アンギオテンシンレセプタの活性から生じる哺乳動物の疾患または状態を治療する方法に使用するための組成物である、組成物。
  • 【請求項6】 アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する方法であって、該方法は、以下を包含する: (a)配位子または配位子の混合物を同定する工程であって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する、工程; (b)リンカーのライブラリを同定する工程であって、ここで、該ライブラリ中の各リンカーは、該配位子の該反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する、工程; (c)該相補的官能基が反応して該リンカーと少なくとも2個の該配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した該配位子または配位子の混合物の少なくとも2化学量論当量と(b)で同定した該リンカーのライブラリとを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを調製する工程;および (d)上記(c)で調製した該ライブラリで生成される該多量体配位子化合物をアッセイして、多結合特性を持っている多量体配位子化合物を同定する工程。
  • 【請求項7】 アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する方法であって、該方法は、以下を包含する: (a)配位子のライブラリを同定する工程であって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する、工程; (b)リンカーまたはリンカーの混合物を同定する工程であって、ここで、各リンカーは、該配位子の該反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する、工程; (c)該相補的官能基が反応して該リンカーと少なくとも2個の該配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した該配位子のライブラリの少なくとも2化学量論当量と(b)で同定した該リンカーまたはリンカーの混合物とを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを調製する工程;および (d)上記(c)で調製した該ライブラリで生成される該多量体配位子化合物をアッセイして、多結合特性を持っている多量体配位子化合物を同定する工程。
  • 【請求項8】 アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する反復方法であって、該方法は、以下を包含する: (a)多量体化合物の第一コレクションまたは反復を調製する工程であって、
    該第一コレクションまたは反復は、レセプタを標的にする配位子または配位子混合物の少なくとも2化学量論当量をリンカーまたはリンカー混合物と接触させることにより、調製され、ここで、該配位子または配位子混合物は、少なくとも1
    個の反応性官能基を含有し、該リンカーまたはリンカー混合物は、該配位子の該反応性官能基の少なくとも1個に対する相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有し、ここで、該接触は、該相補的官能基が反応して該リンカーと少なくとも2個の該配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、行われる、工程; (b)該多量体化合物の第一コレクションまたは反復をアッセイして、いずれかが多結合特性を有するならば、どの多量体化合物が多結合特性を持っているかを評価する工程; (c)少なくとも1種の多量体化合物が多結合特性を持っていることが分かるまで、該工程(a)および(b)を繰り返す工程; (d)どの分子制約が、該工程(a)〜(c)で列挙した該第一反復で発見された該多量体化合物に対して、多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程; (e)多量体化合物の第二コレクションまたは反復を作製する工程であって、
    該第二コレクションまたは反復は、該第一コレクションで発見された該多量体化合物に多結合特性を与える特定の分子制約を作成する、工程; (f)どの分子制約が、該工程(e)で列挙した該第二コレクションまたは反復で発見された該多量体化合物に対して、高めた多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程;および (g)必要に応じて、工程(e)および(f)を繰り返して、該分子制約をさらに作成する工程。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 (関連出願の相互参照) 本願は、1998年6月8日に出願された米国特許出願第60/088,46
    6号および1998年7月15日に出願された米国特許出願第60/092,9
    38号に対して優先権を主張しており、その全体の内容は、本明細書中で参考として援用されている。

    【0002】 (背景) (発明の分野) 本発明は、アンギオテンシン(AT)レセプタに結合してその活性を調節する新規な多結合化合物に関する。 本発明の化合物は、リンカーにより共有結合された2〜10個のATレセプタ配位子を含み、ここで、これらの配位子は、一価(
    すなわち、連結されていない)状態では、1種またはそれ以上の型のATレセプタに結合する。 これらの配位子を共に連結する様式は、そのように形成された多結合剤が、ATレセプタに結合するのに供される同数の未連結配位子と比較して、高い生物学的効果および/または治療効果を示すようにされる。 本発明はまた、このような化合物を使用する方法およびそれらを調製する方法に関する。

    【0003】 本発明の化合物は、ATレセプタにより媒介される哺乳動物の疾患および状態を処置するのに、特に有用である。 従って、本発明はまた、薬学的に受容可能な賦形剤および有効量の本発明の化合物を含有する薬学的組成物に関する。

    【0004】 (参考文献) 以下の出版物は、上付き番号として、本願で引用されている:

    【0005】

    【数1】

    上記特許、特許出願および出版物の各々の開示内容は、各個々の出版物の内容が、具体的かつ個々に、その全体において参考として援用されているごとく、同じ範囲まで、その全体で本明細書中で参考として援用されている。

    【0006】 (当該技術分野の状況) レニン−アンギオテンシン系(RAS)は、血圧制御、腎機能、液量恒常性(
    fluid volume homeostasis)および電解質平衡で主要な役割を果たす酵素カスケードである。 図1は、この系を図解で描写している。
    アンギオテンシノーゲン(RASの親化合物)は、肝臓で生成され分泌される。
    循環するアンギオテンシノーゲンは、プロテアーゼレニンにより切断され、中間生成物であるデカペプチドアンギオテンシンIを放出し、これは、引き続いて、
    アンギオテンシン変換酵素(ACE)により、生物活性オクタペプチドアンギオテンシンIIへと処理される。

    【0007】 アンギオテンシンIIは、血圧、液量恒常性を制御する生物活性ペプチドである。 それはまた、下垂体ホルモン放出効果を有する。 これらの効果は、脳、心臓、血管壁、副腎、腎臓、肝臓および生殖器を含めた種々の標的器官に位置しているレセプタに結合してそれを活性化することにより、媒介される1 。 それは、腎臓からの塩およびの吸収を高めることを含む機構により、血圧に対して効果を発揮する。 アンギオテンシンIIのアミノ酸配列は、以下である:

    【0008】

    【化1】

    残基5にあるアミノ酸に依存して、2種の天然に存在する形態のアンギオテンシンIIが存在している。 ウシおよびヒツジでは、この位置には、バリンがあるのに対して、ヒト、ブタおよびウマでは、残基5には、イソロイシンがある。 これらの2種の形態のアンギオテンシンIIの間では、僅かな効の相違しかない。


    アンギオテンシンIIのペプチドアゴニストおよびアンタゴニストは、公知である

    45

    【0009】 アンギオテンシンIIレセプタの少なくとも2種の異なるサブタイプ(これらは、AT 1およびAT 2と命名されている)が識別されており、これらの両方は、
    細胞表面レセプタの7回膜貫通スーパーファミリー(seven transm
    embrane superfamily)のメンバーであり、また、G−タンパク質結合レセプタファミリーである2-5,23,24 。 AT 1レセプタは、359個のアミノ酸を有するが、アンギオテンシンIIの公知の作用の殆どの原因となり、
    これらには、血管収縮、ノルアドレナリン作動性伝達の増大、ナトリウム再吸収、アルドステロン放出および血管肥厚が挙げられる。 AT 2レセプタ(これは、
    363個のアミノ酸を有し、そしてAT 1レセプタとの相同性を32%しか有しない)の機能は、完全には分かっていないが、最近の研究により、抗増殖性効果、アポトーシス、組織再生、胎児発生およびニューロンの分化に関与していることが明らかとなっている68 。 AT 2レセプタは、心筋梗塞、血管傷害および心不全の後、上方制御(upregulated)される。 AT 1レセプタ(これは、大部分の組織内で、広範に発現される)ほどには広く分布していないものの、AT 2レセプタは、副腎、脳、卵巣および子宮で存在している。

    【0010】 AT 1レセプタは、複数の近接結合ドメインを持っており、これらは、N−末端および細胞外ループ(これは、ペプチド結合ならびに小分子アンタゴニストに対するインターヘリックス結合に関与している)を含む。 2個の欠乏変異体の共発現が本来の結合プロフィールを回復したので、AT 1レセプタが二量体であり得ることを示唆する証拠がある46 。 レセプタ親和性および活性に対するアンギオテンシンIIの共有結合二量体結合体の効果は、インビトロで研究されている47 。 これらの研究の結果により、ウサギ大動脈輪(ring)アッセイにおいて合成される特定の型の二量体について生物活性の上昇がないことが示された。

    【0011】 RASの遮断は、今では、高血圧、鬱血性心不全および腎臓病を含めた多数の疾患状態の治療に有効なアプローチとして、認められている。 過去15年では、
    これらの疾患の標準的な治療は、小分子ACE阻害剤でRASを遮断することから成っていた。 しかしながら、ACE阻害剤の使用は、それらの臨床的な成功にもかかわらず、それらの副作用(空咳(キニン代謝の妨害を原因とする)および血管性浮腫を含む)により、制限されている。 これは、RASの終末段階(すなわち、アンギオテンシンIIレセプタ)を遮断するさらに特定のアプローチに至っている。

    【0012】 臨床的な設定では、AT 1レセプタアンタゴニストおよびACE阻害剤の併用療法が探索されている。 軽いナトリウム欠乏がある健康で正常血圧のボランティアにおいて、ロサルタン−カプトプリル併用療法を使って、限定的な臨床研究が実行されている。 この組合せは、血圧低下において、著しい相加効果を有していた25,26 。 しかしながら、これは、AT 1アンタゴニスト配位子にACE阻害剤の咳プロフィールを導入するという効果があり得る。

    【0013】 AT 1レセプタと血圧制御との間で明らかな関連があることから、多数のAT 1選択的アンタゴニストが臨床用途のために開発されており、それらのうち、ビフェニルテトラゾールロサルタンは、原型である9-12,48 。 これらのサルタン(s
    artan)薬剤は、また、糖尿病または腎不全(renal deficie
    ncy)のある患者において、鬱血性心不全および進行性腎臓病に対する臨床効能について、評価されている。

    【0014】 表1で示すように、ATレセプタモジュレーターは、AT 1レセプタおよびA
    2レセプタの両方に活性を示し得るが、一部は、一方または他方に特異的に結合する。 これらの化合物は、その薬理学的な結合プロフィールの点から見ると、
    一般に、以下のように分類され得る:AT 1レセプタは、サルタン薬剤に対して高い親和性を有し、そしてPD123177に対して低い親和性を有する。 AT 2レセプタは、PD123177に対して高い親和性を有し、そしてロサルタンに対して低い親和性を有する。 アンギオテンシンIIがATレセプタサブタイプに対して選択性を示さないことを記しておくのは、重要である。 臨床使用でのいくつかのAT 1アンタゴニストの臨床用量は、それらの親和性、バイオアベイラビリティーおよび半減期と共に、表2で提示される。

    【0015】 1つの部類として、AT 1レセプタアンタゴニストは、空咳の副作用なしに高血圧を治療する際にACE阻害剤と同程度に有効であると思われる。 しかしながら、AT 1レセプタアンタゴニストである現在公知の薬剤は、多くの欠点があり、これには、作用開始の遅さ、高い血漿タンパク質結合、低〜中程度の経口バイオアベイラビリティー、眩暈、頭痛および疲労が挙げられる13-20,49 。 それに加えて、AT 1レセプタ遮断後のアンギオテンシンIIの高い循環レベルは、アンギオテンシンAT 2レセプタサブタイプおよび他の未遮断アンギオテンシン結合部位を同時に刺激する可能性がある結果のために、医師が懸念している21,22
    従って、さらに好ましい薬物動態プロフィール、さらに高いレセプタ特異性および少ない副作用を備えた新規化合物を発見することは、有利となるであろう。

    【0016】 (発明の要旨) 本発明は、新規な多結合化合物に関し、これは、哺乳動物組織内のアンギオテンシンレセプタに結合して、このようなレセプタにより媒介される疾患および状態を治療するのに、使用できる。

    【0017】 本発明はまた、多様な多量体化合物の大ライブラリを生成する一般的な合成方法に関し、これらの多量体化合物は、アンギオテンシンレセプタに対する多結合特性を有する候補である。 本発明により提供される多様な多量体化合物ライブラリは、リンカーを配位子と組み合わせて多量体化合物のライブラリを提供することにより、合成され、ここで、このリンカーおよび配位子は、それぞれ、共有結合を可能にする相補的な官能基を有する。 このリンカーのライブラリは、好ましくは、多様な特性(例えば、価数、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリおよび剛性、親水性または疎水性、両親媒性、酸性、塩基性および極性)を有するように、選択される。 この配位子のライブラリは、好ましくは、同じ配位子上の多様な結合点、そうでなければ同じ配位子の同じ部位に異なる官能基などを有するように、選択される。

    【0018】 本発明はまた、多様な多量体化合物のライブラリに関し、これらの多量体化合物は、多結合特性を有する候補である。 これらのライブラリは、上記方法によって調製され、どの分子制約がアンギオテンシンレセプタを標的にする配位子または配位子のクラスに対して多結合特性を与えるかの迅速かつ効率的な評価を可能にする。

    【0019】 従って、本発明は、その組成物局面の1局面では、多結合化合物およびその塩に関し、これは、同一であっても異なっていても良い2個〜10個の配位子を含有し、これらは、同一であっても異なっていても良いリンカーに共有結合され、
    該配位子の各々は、ATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する。

    【0020】 本発明の多結合化合物は、好ましくは、式Iにより表わされる: (L) p (X) q I ここで、各Lは、各場合において、同一であっても異なっていても良い配位子である;Xは、各場合において、同一であっても異なっていても良いリンカーである;pは、2〜10の整数である;そしてqは、1〜20の整数である;ここで、これらの配位子の各々は、ATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する。 好ましくは、qは、pより低い。

    【0021】 好ましくは、この多結合化合物を哺乳動物内のATレセプタに結合すると、このATレセプタにより媒介される疾患および状態を調節する。

    【0022】 本発明は、その組成物局面の他の局面では、薬学的に受容可能な賦形剤および治療有効量の1種またはそれ以上の多結合化合物(これは、同一であっても異なっていても良い2個〜10個の配位子を含有し、これらは、同一であっても異なっていても良いリンカーに共有結合され、この配位子の各々は、哺乳動物の疾患または状態を媒介する細胞のATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有し、それにより、この疾患または状態を調節する)またはその薬学的に受容可能な塩を含有する薬学的組成物に関する。

    【0023】 本発明は、その組成物局面のさらに他の局面では、薬学的に受容可能な賦形剤および治療有効量の1種またはそれ以上の式Iにより表わされる多結合化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含有する薬学的組成物に関する: (L) p (X) q I ここで、各Lは、各場合において、同一であっても異なっていても良い配位子である;Xは、各場合において、同一であっても異なっていても良いリンカーである;pは、2〜10の整数である;そしてqは、1〜20の整数である;ここで、この配位子の各々は、哺乳動物の疾患または状態を媒介する細胞のATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有し、それにより、この疾患または状態を調節する。 好ましくは、qは、pより小さい。

    【0024】 本発明は、その方法局面の1局面では、生物組織でのATレセプタの活性を調節する方法に関し、この方法は、この組織内のこのレセプタの活性に変化を生じるのに充分な条件下にて、ATレセプタを有する組織を、多結合化合物(またはそれらの薬学的に受容可能な塩)と接触させることを包含し、ここで、この多結合化合物は、同一であっても異なっていても良い2個〜10個の配位子を含有し、これらは、同一であっても異なっていても良いリンカーに共有結合され、この配位子の各々は、ATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する。

    【0025】 本発明は、その方法局面の他の局面では、ATレセプタの活性から生じる哺乳動物の疾患または状態を治療する方法に関し、この方法は、この哺乳動物に、薬学的に受容可能な賦形剤および1種またはそれ以上の多結合化合物(またはそれらの薬学的に受容可能な塩)を含有する薬学的組成物の治療有効量を投与することを包含し、この多結合化合物は、同一であっても異なっていても良い2個〜1
    0個の配位子を含有し、これらは、同一であっても異なっていても良いリンカーに共有結合され、この配位子の各々は、哺乳動物の疾患または状態を媒介する細胞のATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する。

    【0026】 本発明は、その方法局面のさらに他の局面では、ATレセプタの活性から生じる哺乳動物の疾患または状態を治療する方法に関し、この方法は、この哺乳動物に、薬学的に受容可能な賦形剤および1種またはそれ以上の式Iにより表わされる多結合化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する薬学的組成物の治療有効量を投与することを包含する: (L) p (X) q I ここで、各Lは、各場合において、同一であっても異なっていても良い配位子である;Xは、各場合において、同一であっても異なっていても良いリンカーである;pは、2〜10の整数である;そしてqは、1〜20の整数である;ここで、この配位子の各々は、哺乳動物の疾患または状態を媒介する細胞のATレセプタに結合できる配位子ドメインを含有する。 好ましくは、qは、pより小さい。

    【0027】 さらに他の局面では、本発明は、式Iの多結合試薬剤を調製する方法を提供する。 これは、p個の適切に官能基化された配位子とq個の相補的に官能基化されたリンカーとの間で共有結合形成が生じる条件下にて、この配位子とこのリンカーとを合わせることにより、達成できる。 あるいは、これらの化合物を調製するために、p個の適切に官能基化された配位子の一部をq個の相補的に官能基化されたリンカーと連結すること、次いで、引き続く工程にて、これらの配位子の合成を完結することが、実行され得る。 使用され得る他の方法は、p個の適切に官能基化された配位子をこのリンカーの一部と連結すること、次いで、引き続く工程にて、このリンカーの合成を完結することを包含する。

    【0028】 特許請求された化合物を調製するために、1個またはそれ以上の適切に官能基化された配位子を相補的に官能基化されたリンカーとカップリングすること、引き続いて、1個またはそれ以上の追加配位子をこのリンカーとカップリングすることが行われ得る。 上に記載のようにカップリングすること(ここで、適切に官能基化された異なるリンカーのカップリングは、同時に起こる)もまた、使用され得る。

    【0029】 本発明は、その方法局面の1局面では、アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する方法に関し、この方法は、以下を包含する: (a)配位子または配位子の混合物を同定することであって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する; (b)リンカーのライブラリを同定することであって、ここで、このライブラリ中の各リンカーは、この配位子の反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する; (c)この相補的官能基が反応してこのリンカーと少なくとも2個のこの配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した配位子または配位子の混合物の少なくとも2化学量論当量と(b)で同定したリンカーのライブラリとを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを作成すること;および (d)上記(c)で生成される多量体配位子化合物をアッセイして、多結合特性を持っている多量体配位子化合物を同定すること。

    【0030】 本発明は、その方法局面の他の局面では、アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する方法に関し、この方法は、以下を包含する: (a)配位子のライブラリを同定することであって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する; (b)リンカーまたはリンカーの混合物を同定することであって、ここで、各リンカーは、この配位子の反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する; (c)この相補的官能基が反応してこのリンカーと少なくとも2個のこの配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した配位子のライブラリの少なくとも2化学量論当量と(b)で同定したリンカーまたはリンカーの混合物とを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを調製すること;
    および (d)上記(c)で生成される多量体配位子化合物をアッセイして、多結合特性を持っている多量体配位子化合物を同定すること。

    【0031】 この多量体配位子化合物ライブラリの調製は、(a)で同定した配位子の2またはそれ以上の化学量論当量と(b)で同定したリンカーとの逐次または同時のいずれかの組合せにより、達成される。 異なる配位子の混合物を使用してヘテロ二量体または多量体化合物を確実に調製するとき、逐次添加が好ましい。 調製する多量体化合物の少なくとも一部がホモ多量体化合物であるとき、配位子の同時添加が起こる。

    【0032】 (d)で記載されたアッセイプロトコルは、上記(c)で生成される多量体配位子化合物ライブラリに対して行うことができるか、または好ましくは、このライブラリの各メンバーは、分取用液体クロマトグラフィー質量分光測定(LCM
    S)により、単離される。

    【0033】 本発明は、その組成物局面の1局面では、アンギオテンシンレセプタに対して多価性を有し得る多量体配位子化合物のライブラリに関し、このライブラリは、
    以下を包含する方法により、調製される: (a)配位子または配位子の混合物を同定することであって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する; (b)リンカーのライブラリを同定することであって、ここで、このライブラリ中の各リンカーは、この配位子の反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する;および (c)この相補的官能基が反応してこのリンカーと少なくとも2個のこの配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した配位子または配位子の混合物の少なくとも2化学量論当量と(b)で同定したリンカーのライブラリとを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを調製すること。

    【0034】 本発明は、その組成物局面の他の局面では、アンギオテンシンレセプタに対して多価性を有し得る多量体配位子化合物のライブラリに関し、このライブラリは、以下を包含する方法により、調製される: (a)配位子のライブラリを同定することであって、ここで、各配位子は、少なくとも1個の反応性官能基を含有する; (b)リンカーまたはリンカーの混合物を同定することであって、ここで、各リンカーは、この配位子の反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有する;および (c)この相補的官能基が反応してこのリンカーと少なくとも2個のこの配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、(a)で同定した配位子のライブラリの少なくとも2化学量論当量と(b)で同定したリンカーまたはリンカーの混合物とを合わせることにより、多量体配位子化合物ライブラリを調製すること。

    【0035】 好ましい実施態様では、本発明のこれらの方法またはライブラリ局面のいずれかで使用されるリンカーのライブラリは、可撓性リンカー、剛性リンカー、疎水性リンカー、親水性リンカー、異なるジオメトリのリンカー、酸性リンカー、塩基性リンカー、異なる分極のリンカーおよび両親媒性リンカーを含有する群から選択される。 例えば、1実施態様では、このリンカーライブラリ中のリンカーの各々は、異なる鎖長のリンカーおよび/または異なる相補的反応性基を有するリンカーを含有し得る。 このようなリンカーの長さは、好ましくは、約2Å〜10
    0Åの範囲であり得る。

    【0036】 他の好ましい実施態様では、このアンギオテンシンレセプタ配位子または配位子混合物は、この多量体配位子化合物のこの配位子がある範囲の配向を備えるために、この配位子上の異なる部位にて反応性官能基を有するように、選択される。 このような反応性官能基には、例として、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、アミン、ハロゲン化物、イソシアネート、ビニル不飽和、ケトン、アルデヒド、チオール、アルコール、アルデヒド、およびそれらの前駆体が挙げられる。 もちろん、この配位子上の反応性官能基は、このリンカーと配位子との間で共有結合が形成できるように、このリンカー上の反応性基の少なくとも1個と相補的であるように選択されることが分かる。

    【0037】 他の実施態様では、この多量体配位子化合物は、ホモマー性(homomer
    ic)(すなわち、これらの配位子の各々は、異なる位置で結合し得るものの、
    同一である)またはヘテロ二量体性(heterodimeric)(すなわち、これらの配位子の少なくとも1個は、他の配位子とは異なる)である。

    【0038】 本明細書中で記述したコンビナトリアルな方法に加えて、本発明は、どの分子制約が、レセプタを標的にするクラスの多量体化合物または配位子に対して、多結合特性を与えるかを合理的に評価する反復方法を提供する。 具体的には、この方法局面は、アンギオテンシンレセプタに対して多結合特性を有する多量体配位子化合物を同定する方法に関し、この方法は、以下を包含する: (a)多量体化合物の第一コレクションまたは反復を調製することであって、
    この第一コレクションまたは反復は、レセプタを標的にする配位子または配位子の混合物の少なくとも2化学量論当量をリンカーまたはリンカー混合物と接触させることにより、調製され、ここで、この配位子または配位子の混合物は、少なくとも1個の反応性官能基を含有し、このリンカーまたはリンカー混合物は、この配位子の反応性官能基の少なくとも1個に対して相補的な反応性を有する少なくとも2個の官能基を含有し、ここで、この接触は、この相補的官能基が反応してこのリンカーと少なくとも2個のこの配位子との間で共有結合を形成する条件下にて、行われる; (b)この多量体化合物の第一コレクションまたは反復をアッセイして、多結合特性を有するならば、どの多量体化合物が多結合特性を持っているかを評価すること; (c)少なくとも1個の多量体化合物が多結合特性を持っていることが分かるまで、該工程(a)および(b)を繰り返すこと; (d)どの分子制約が、上記工程(a)〜(c)で記載した第一反復で見出されるこの多量体化合物に対して、多結合特性を与えるかを評価すること; (e)多量体化合物の第二コレクションまたは反復を作製することであって、
    この第二コレクションまたは反復は、第一反復で発見された多量体化合物に多結合特性を与える特定の分子制約を作成する; (f)どの分子制約が、上記工程(e)で記載した第二コレクションまたは反復で発見された多量体化合物に対して、高めた多結合特性を与えるかを評価すること;および (g)必要に応じて、上記工程(e)および(f)を繰り返して、分子制約をさらに作成すること。

    【0039】 好ましくは、工程(e)および(f)は、少なくとも2回、さらに好ましくは、2〜50回、さらにより好ましくは、3〜50回、さらにより好ましくは、少なくとも5〜50回で繰り返される。

    【0040】 (発明の詳細な説明) 生体系は、一般に、生物活性配位子とそれらのレセプタとの間の分子相互作用により制御され、ここで、このレセプタは、分子またはその一部(すなわち、配位子ドメイン)を「認識して」、生物学的効果を生じる。 この相互作用の結果は、このレセプタの所望の生物学的効果を開始すること、あるいは、レセプタの正常な機能を阻害または変更(すなわち、調節)することのいずれかであり得る。
    従って、ATレセプタが関与するかまたはそれにより媒介される疾患または状態は、このようなレセプタと相互作用してアンギオテンシンレセプタ活性を開始、
    調節または阻止する薬理活性配位子で処置できる。

    【0041】 ATレセプタとATレセプタ結合配位子との相互作用は、「親和性」および「
    特異性」の点から見て、記述され得る。 任意の所定の配位子−ATレセプタ相互作用の「親和性」および「特異性」は、分子結合面の相補性および複合体化のエネルギー損失(すなわち、結合状態と遊離状態との間での自由エネルギーの正味の差)に依存している。 親和性は、複合体形成の平衡定数、オン/オフ速度定数の比、および/または複合体形成の自由エネルギーにより、定量化され得る。 特異性は、異なるレセプタに対する配位子の結合親和性の差に関係している。

    【0042】 このような配位子のATレセプタとの相互作用の正味の自由エネルギーは、エネルギー獲得(分子相補性によって獲得したエンタルピー、および疎水性効果によって獲得したエントロピー)とエネルギー損失(溶媒和の低下により喪失したエンタルピー、ならびに並進、回転および配座自由度の低下により喪失したエントロピー)との差である。

    【0043】 本発明の化合物は、2個〜10個のATレセプタ結合配位子を含有し、これらは、共に共有結合され、そして多結合剤として、作用できる。 理論によって束縛することを望まないが、これらの化合物の高い活性は、少なくとも部分的には、
    それらが多価様式でATレセプタ上の複数の配位子結合部位に結合する能力から生じると考えられ、これは、さらに好ましい正味の結合自由エネルギーを生じる。 多価相互作用は、高い生物学的効果および/または治療効果を与えることができることにより、個々の一価相互作用の寄せ集めとは異なる。 多価結合は、結合親和性および結合親和性差を増幅でき、その結果、親和性だけでなく高い結合特異性を生じる。

    【0044】 (定義) 本明細書中で以下のように使用される: 「アルキル」との用語は、他に指示がなければ、分枝したまたは分枝していない飽和炭化水素鎖のモノラジカル(monoradical)を意味し、これは、好ましくは、1個〜40個の炭素原子、好ましくは、1個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有する(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、n
    −ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、2−エチルドデシル、
    テトラデシルなど)。

    【0045】 「置換アルキル」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基を有する上で定義したようなアルキル基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、
    ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、
    シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。

    【0046】 「アルキレン」との用語は、分枝したまたは分枝していない飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味し、これは、好ましくは、1個〜40個の炭素原子、好ましくは、1個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有する。 この用語は、メチレン(−CH 2 −)、エチレン(−CH 2 CH 2 −)、プロピレン異性体(例えば、−CH 2 CH 2 CH 2 −および−CH(CH 3 )CH 2 −)
    などのような基により、例示される。

    【0047】 「置換アルキレン」との用語は、以下を意味する:(1)以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基を有する上で定義したアルキレン基:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、
    置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、チオヘテロシクロオキシ、ニトロ、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。 さらに、このような置換アルキレン基には、そのアルキレン基上の2個の置換基が融合して、このアルキレン基に融合した1個またはそれ以上のシクロアルキル基、置換シクロアルキル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、複素環式基またはヘテロアリール基を形成するものが挙げられる;(2)酸素、イオウおよびNR a −から独立して選択される1個〜20個の原子により割り込まれている上で定義したアルキレン基(ここで、R aは、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから選択される基;および(3)上で定義した1個〜5個の置換基を有しかつ上で定義した1個〜20個の原子により割り込まれている上で定義したアルキレン基。 置換アルキレンの例には、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH 2 )CH 2 −)、2−カルボキシプロピレン異性体(−C
    2 CH(CO 2 H)CH 2 −)、エトキシエチル(−CH 2 CH 2 O−CH 2 CH 2
    −)、エチルメチルアミノエチル(−CH 2 CH 2 N(CH 3 )CH 2 CH 2 −)、
    1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CH 2 CH 2 O−CH 2 CH 2 −OCH 2 CH 2 −OCH 2 CH 2 −)などがある。

    【0048】 「アルカリール(alkaryl)」または「アラルキル」との用語は、−アルキレン−アリールおよび−置換アルキレン−アリールを意味し、ここで、アルキレンおよびアリールは、本明細書中で定義したとおりである。 このようなアルカリールは、ベンジル、フェネチルなどにより、例示される。

    【0049】 「アルコキシ」との用語は、アルキル−O−基、アルケニル−O−基、シクロアルキル−O−基、シクロアルケニル−O−基およびアルキニル−O−基を意味し、ここで、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびアルキニルは、本明細書中で定義したとおりである。 好ましいアルコキシ基には、アルキル−O−があり、これには、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、第三級ブトキシ、第二級ブトキシ、
    n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。

    【0050】 「置換アルコキシ」との用語は、置換アルキル−O−基、置換アルケニル−O
    −基、置換シクロアルキル−O−基、置換シクロアルケニル−O−基および置換アルキニル−O−基を意味し、ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、本明細書中で定義したとおりである。

    【0051】 「アルキルアルコキシ」との用語は、−アルキレン−O−アルキル基、アルキレン−O−置換アルキル基、置換アルキレン−O−アルキル基および置換アルキレン−O−置換アルキル基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書中で定義したとおりである。 このような基の例には、メチレンメトキシ(−CH 2 OCH 3 )、エチレンメトキシ(−CH 2 CH 2 OCH 3 )、n−プロピレン−イソ−プロポキシ(−CH 2 CH 2 CH 2 OC
    H(CH 32 )、メチレン−t−ブトキシ(−CH 2 −O−C(CH 33 )などがある。

    【0052】 「アルキルチオアルコキシ」との用語は、−アルキレン−S−アルキル基、アルキレン−S−置換アルキル基、置換アルキレン−S−アルキル基および置換アルキレン−S−置換アルキル基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書中で定義したとおりである。 好ましいアルキルチオアルコキシ基には、アルキレン−S−アルキルがあり、これには、例として、メチレンチオメトキシ(−CH 2 SCH 3 )、エチレンチオメトキシ(−CH 2 CH 2 SCH 3 )、n−プロピレン−イソ−チオプロポキシ(−CH 2
    2 CH 2 SCH(CH 32 )、メチレン−t−チオブトキシ(−CH 2 SC(C
    33 )などが挙げられる。

    【0053】 「アルケニル」とは、分枝したまたは分枝していない不飽和炭化水素のモノラジカルを意味し、これは、好ましくは、2個〜40個の炭素原子、好ましくは、
    2個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有し、そして好ましくは、1個〜6個の二重結合を有する。 この用語は、さらに、ビニル、プロプ−2−エニル、ペント−3−エニル、ヘキサ−5−エニル、5−エチルドデク−3,6−ジエニルなどにより、例示される。

    【0054】 「置換アルケニル」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基を有する上で定義したアルケニル基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、
    ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、複素環式、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロオキシ、チオヘテロシクロオキシ、ニトロ、−SO−アルキル、
    −SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2
    −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。

    【0055】 「アルケニレン」とは、不飽和炭化水素のジラジカルを意味し、これは、好ましくは、2個〜40個の炭素原子、好ましくは、2個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有し、そして好ましくは、1個〜6個の二重結合を有する。 この用語は、さらに、1,2−エテニル、1,3−プロプ−
    2−エニル、1,5−ペント−3−エニル、1,4−ヘキサ−5−エニル、5−
    エチル−1,12−ドデク−3,6−ジエニルなどのようなジラジカルにより、
    例示される。

    【0056】 「置換アルケニレン」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基を有する上で定義したアルケニレン基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、チオヘテロシクロオキシ、ニトロ、および−NR a
    b (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。 さらに、このような置換アルケニレン基には、そのアルケニレン基上の2個の置換基が融合して、このアルキレン基に融合した1個またはそれ以上のシクロアルキル基、置換シクロアルキル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、
    アリール基、複素環式基またはヘテロアリール基を形成するものが挙げられる。

    【0057】 「アルキニル」とは、不飽和炭化水素のモノラジカルを意味し、これは、好ましくは、2個〜40個の炭素原子、好ましくは、2個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有し、そして好ましくは、1個〜6個の三重結合を有する。 この用語は、さらに、アセチレニル、プロプ−2−イニル、
    ペント−3−イニル、ヘキサ−5−イニル、5−エチルドデク−3,6−ジイニルなどのようなラジカルにより、例示される。

    【0058】 「置換アルキニル」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基を有する上で定義したアルキニル基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、
    ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、チオアリールオキシ、
    ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、チオヘテロシクロオキシ、ニトロ、−SO−アルキル、
    −SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2
    −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、SO 2 −複素環式、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。

    【0059】 「アルキニレン」とは、不飽和炭化水素のジラジカルを意味し、これは、好ましくは、2個〜40個の炭素原子、好ましくは、2個〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有し、そして好ましくは、1個〜6個の三重結合を有する。 この用語は、さらに、1,3−プロプ−2−イニル、1,5
    −ペント−3−イニル、1,4−ヘキサ−5−イニル、5−エチル−1,12−
    ドデク−3,6−ジイニルなどのような基により、例示される。

    【0060】 「アシル」との用語は、−CHO基、アルキル−C(O)−基、置換アルキル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、置換シクロアルキル−C(O
    )−基、シクロアルケニル−C(O)−基、置換シクロアルケニル−C(O)−
    基、アリール−C(O)−基、ヘテロアリール−C(O)−基および複素環式−
    C(O)−基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、本明細書中で定義したとおりである。

    【0061】 「アシルアミノ」との用語は、−C(O)NRR基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式であるか、または両方のR基は、結合して、複素環式基(例えば、モルホリン)を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、本明細書中で定義したとおりである。

    【0062】 「アミノアシル」との用語は、−NRC(O)R基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、本明細書中で定義したとおりである。

    【0063】 「アミノアシルオキシ」との用語は、−NRC(O)OR基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、本明細書中で定義したとおりである。

    【0064】 「アシルオキシ」との用語は、アルキル−C(O)O−基、置換アルキル−C
    (O)O−基、シクロアルキル−C(O)O−基、置換シクロアルキル−C(O
    )O−基、アリール−C(O)O−基、ヘテロアリール−C(O)O−基および複素環式−C(O)O−基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、
    本明細書中で定義したとおりである。

    【0065】 「アリール」との用語は、単環(例えば、フェニル)または多重縮合(融合)
    環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6個〜20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を意味する。

    【0066】 このアリール置換基に対する定義により他に制約されていない限り、このようなアリール基は、必要に応じて、以下からなる群から選択される1個〜5個の置換基で置換できる:アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、
    アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、トリハロメチル、−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。 好ましいアリール置換基には、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチルおよびチオアルコキシが挙げられる。

    【0067】 「アリールオキシ」との用語は、アリール−O−基を意味し、ここで、このアリール基は、上で定義したとおりであり、これには、必要に応じて置換したアリール基(これもまた、上で定義されている)が含まれる。

    【0068】 「アリーレン」との用語は、上で定義したアリールまたは置換アリールから誘導されるジラジカルを意味し、そして1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレンなどにより、例示される。

    【0069】 「アミノ」との用語は、−NH 2基を意味する。

    【0070】 「置換アミノ」との用語は、−NRR基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択されるが、但し、Rの両方が水素になることはない。

    【0071】 「カルボキシアルキル」との用語は、「−C(O)O−アルキル」基、「−C
    (O)O−置換アルキル」基、「−C(O)O−シクロアルキル」基、「−C(
    O)O−置換シクロアルキル」基、「−C(O)O−アルケニル」基、「−C(
    O)O−置換アルケニル」基、「−C(O)O−アルキニル」基および「−C(
    O)O−置換アルキニル」基を意味し、ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニルは、本明細書中で定義したとおりである。

    【0072】 「シクロアルキル」との用語は、3個〜20個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味し、これは、単環または多重縮合環を有する。 このようなシクロアルキル基には、例として、単環構造(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど)、または多重環構造(例えば、アダマンタニルなど)が挙げられる。

    【0073】 「置換シクロアルキル」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜5
    個の置換基を有するシクロアルキル基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−
    SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−
    SO 2 −ヘテロアリール、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。

    【0074】 「シクロアルケニル」との用語は、4個〜20個の炭素原子の環状アルケニル基を意味し、これは、単環または縮合環および少なくとも1点の内部不飽和を有する。 適切なシクロアルケニル基の例には、例えば、シクロブト−2−エニル、
    シクロペント−3−エニル、シクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。

    【0075】 「置換シクロアルケニル」との用語は、以下からなる群から選択される1個〜
    5個の置換基を有するシクロアルケニル基を意味する:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、および−NR ab (ここで、
    aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、
    アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。

    【0076】 「ハロ」または「ハロゲン」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。

    【0077】 「ハロアルキル」とは、上で定義した1個〜4個のハロ基(これは、同一であっても異なっていても良い)により置換された上で定義したアルキル基(例えば、3−フルオロドデシル、12,12,12−トリフルオロドデシル、2−ブロモオクチル、3−ブロモ−6−クロロヘプチルなど)を意味する。

    【0078】 「ヘテロアリール」との用語は、少なくとも1個の環(もし、1個より多い環が存在するなら)内に1個〜15個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子(
    これは、酸素、窒素およびイオウから選択される)を有する芳香族基を意味する。

    【0079】 このヘテロアリール置換基に対する定義により他に制約されていない限り、このようなヘテロアリール基は、必要に応じて、以下からなる群から選択される1
    個〜5個の置換基で置換できる:アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、
    置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、
    −SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、トリハロメチル、モノ−およびジ−アルキルアミノ、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。 好ましいヘテロアリールには、ピリジル、ピロリルおよびフリルが挙げられる。

    【0080】 「ヘテロアリールオキシ」との用語は、ヘテロアリール−O−基を意味する。

    【0081】 「ヘテロアリーレン」との用語は、上で定義したヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから誘導されるジラジカル基を意味し、そして2,6−ピリジレン、2,4−ピリジレン、1,2−キノリニレン、1,8−キノリニレン、1,4
    −ベンゾフラニレン、2,5−ピリジニレン、1,3−モルホリニレン、2,5
    −インドレニルなどにより、例示される。

    【0082】 「複素環」または「複素環式」との用語は、その環内に1個〜40個の炭素原子および1個〜10個のヘテロ原子、好ましくは、1個〜4個のヘテロ原子(これは、窒素、イオウ、リンおよび/または酸素から選択される)がある単環または多重縮合環を有するモノラジカル飽和または不飽和基を意味する。

    【0083】 複素環式置換基に対する定義により他に制約されていない限り、このような複素環式基は、必要に応じて、以下からなる群から選択される1個〜5個、好ましくは、1個〜3個の置換基で置換できる:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、
    カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、
    複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリール、および−NR ab (ここで、R aおよびR bは、同一であっても異なっていても良く、水素、必要に応じて置換したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式から選択される)。 このような複素環式基は、単環または多重縮合環を有することができる。

    【0084】 窒素複素環およびヘテロアリールの例には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニルなど、ならびにN−アルコキシ−窒素含有複素環が挙げられるが、これらに限定されない。

    【0085】 好ましい種類の複素環式化合物には、「クラウン化合物」が挙げられ、これは、式[−(CH 2 −) m Y−]の1個またはそれ以上の繰り返し単位を有する特定の種類の複素環式化合物を意味し、ここで、mは、2に等しいかまたはそれより大きく、そしてYは、各別個の場合にて、O、N、SまたはPであり得る。 クラウン化合物の例には、例としてのみ、[−(CH 23 −NH−] 3 、[−((C
    22 −O) 4 −((CH 22 −NH) 2 ]などが挙げられる。 典型的には、このようなクラウン化合物は、4個〜10個のヘテロ原子および8個〜40個の炭素原子を有することができる。

    【0086】 「ヘテロシクロオキシ」との用語は、複素環式−O−基を意味する。

    【0087】 「チオヘテロシクロオキシ」との用語は、複素環式−S−基を意味する。

    【0088】 「ヘテロサイクレン」との用語は、本明細書中で定義した複素環から誘導されるジラジカル基を意味し、そして2,6−モルホリノ、2,5−モルホリノなどにより、例示される。

    【0089】 「オキシアシルアミノ」との用語は、−OC(O)NRR基を意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式は、本明細書中で定義したとおりである。

    【0090】 「チオール」との用語は、−SH基を意味する。

    【0091】 「チオアルコキシ」との用語は、−S−アルキル基を意味する。

    【0092】 「置換チオアルコキシ」との用語は、−S−置換アルキル基を意味する。

    【0093】 「チオアリールオキシ」との用語は、アリール−S−基を意味し、ここで、このアリール基は、上で定義したとおりであり、これには、必要に応じて置換されるアリール基(これもまた、上で定義されている)が含まれる。

    【0094】 「チオヘテロアリールオキシ」との用語は、ヘテロアリール−S−基を意味し、ここで、このヘテロアリール基は、上で定義したとおりであり、これには、必要に応じて置換されるアリール基(これもまた、上で定義されている)が含まれる。

    【0095】 1個またはそれ以上の置換基を含有する上記基のいずれかに関して、もちろん、このような基は、立体的に実行不可能なおよび/または合成的に可能性のない置換または置換パターンを含有しないことが分かる。 それに加えて、本発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学的な異性体を含む。

    【0096】 「O、SまたはNから選択される1個〜5個の原子により必要に応じて割り込まれるアルキル」とは、その炭素鎖がO、SまたはNにより割り込まれる上で定義したアルキルを意味する。 その範囲内には、エーテル、スルフィドおよびアミン(例えば、1−メトキシデシル、1−ペンチルオキシノナン、1−(2−イソプロポキシエトキシ)−4−メチルノナン、1−(2−エトキシエトキシ)ドデシル、2−(t−ブトキシ)ヘプチル、1−ペンチルスルファニルノナン、ノニルペンチルアミンなど)がある。

    【0097】 「ヘテロアリールアルキル」とは、上で定義したアルキルに連結された上で定義したヘテロアリール(例えば、ピリド−2−イルメチル、8−キノリニルプロピルなど)を意味する。

    【0098】 「任意の」または「必要に応じて」とは、引き続いて記述された事象または状況が起こっても起こらなくても良いこと、およびこの記述が、この事象または状況が起こる場合およびこの事象または状況が起こらない場合を含むことを意味する。 例えば、必要に応じて置換したアルキルとは、そのアルキルが、置換アルキルの定義で列挙された基により置換されても、置換されなくても良いことを意味する。

    【0099】 「薬学的に受容可能な塩」との用語は、本発明の多結合化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩であって、生物学的にまたはその他の点で所望されなくはない塩を意味する。 多くの場合では、本発明の多結合化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基あるいはそれらと同様な基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成できる。

    【0100】 薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製できる。
    無機塩基から誘導した塩には、例としてのみ、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。 有機塩基から誘導した塩には、以下のような第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンの塩が挙げられるが、これらに限定されない:アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)
    アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、ジ複素環式アミン、トリ複素環式アミン、混合したジ−およびトリアミン(この場合、このアミン上の置換基の少なくとも2個は、異なっており、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式などからなる群から選択される)。 その2個または3個の置換基がアミノ窒素と一緒になって複素環式基またはヘテロアリール基を形成するアミンもまた、含まれる。

    【0101】 適切なアミンの例には、例としてのみ、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン(tro
    methamine)、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ハイドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン(glucamines)
    、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。 また、本発明を実施する際に、他のカルボン酸誘導体(例えば、カルボン酸アミド(カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミドなどを含む))が有用であることが理解されるべきである。

    【0102】 薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。 塩を誘導する無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸硝酸、リン酸などが挙げられる。 塩を誘導する有機酸には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、
    シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。

    【0103】 「保護基」または「ブロッキング基」との用語は、これらの化合物の1個またはそれ以上の水酸基、チオール基、アミノ基またはカルボキシル基に結合したとき、これらの基で反応が起こるのを防止する任意の基を意味し、これらの保護基は、この水酸基、チオール基、アミノ基またはカルボキシル基を回復するために、通常の化学工程または酵素工程により、除去できる。 一般に、T. W. Gre
    ene & P. G. M. Wuts,Protective Groups i
    n Organic Synthesis(第2版,1991,John Wi
    ley and Sons,N. Y. )を参照のこと。

    【0104】 使用する特定の除去可能ブロッキング基は、重要ではないが、好ましい除去可能なヒドロキシルブロッキング基には、以下のような通常の置換基が挙げられる:アリル、ベンジル、アセチル、クロロアセチル、チオベンジル、ベンジリジン、フェナシル、t−ブチル−ジフェニルシリルおよび任意の他の基(これは、ヒドロキシル官能基上へと化学的に導入でき、後に、その生成物の性質と適合性の穏やかな条件にて、化学方法または酵素方法にいずれかにより、選択的に除去できる)。

    【0105】 好ましい除去可能アミノブロッキング基には、以下のような通常の置換基が挙げられ、これらは、その生成物の性質に適合性の通常の条件により、除去できる:t−ブトキシカルボニル(t−BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ
    )、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、アリルオキシカルボニル(
    ALOC)など。

    【0106】 好ましいカルボキシル保護基には、エステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)が挙げられ、これらは、その生成物の性質に適合性の穏やかな加水分解条件により、除去できる。

    【0107】 本明細書中で使用する「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」との用語は、
    それと関連して記述されている反応条件下で不活性な溶媒を意味する[これには、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「TH
    F」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム(「CHCl 3
    )、塩化メチレン(またはジクロロメタンまたは「CH 2 Cl 2 」)、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、第三級ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどが挙げられる]。 本発明の反応で使用される溶媒は、反対の記載がなければ、不活性溶媒である。

    【0108】 「アンギオテンシンレセプタ」または「ATレセプタ」との用語は、血管作用性オクタペプチドホルモンアンギオテンシンIIを結合するように機能する膜結合タンパク質を意味する。 この用語は、AT 1レセプタおよびAT 2レセプタの両方を含む。

    【0109】 本明細書中で使用する「配位子」とは、アンギオテンシンレセプタに対する結合パートナーである化合物であって、例えば、相補性により、それに結合される化合物を意味する。 アンギオテンシンレセプタの配位子結合部位により認識される配位子分子の特定領域は、「配位子ドメイン」と呼ばれる。 配位子は、それ自体によりレセプタに結合できるか、または結合のための1個またはそれ以上の非配位子成分(例えば、イオン、脂質分子、溶媒分子など)の存在を必要とするか、のいずれかであり得る。

    【0110】 本発明で有用な配位子は、以下のようなATレセプタモジュレーターを包含する:ロサルタン13,20 、E−3174 13,20 、エプロサルタン(Eprosart
    an) 17,18 、カンデサルタン(Candesartan) 13 、L−158,8
    09 45 、イルベサルタン(Irbesartan) 16,19 、バルサルタン(Va
    lsartan) 13,15 、タソサルタン(Tasosartan)、リピサルタン(Ripisartan)、テルメサルタン(Telmesartan) 13
    ゾラサルタン(Zolasartan)、PD123,319 45 、L−163,
    958、EXP−801、L−162,313およびPD123,177。 種々のアンギオテンシンレセプタ配位子の構造については、表3を参照せよ。 好ましい配位子には、非ペプチジルがあるが、ペプチド模倣物(peptidomim
    etic)は、使用され得る。

    【0111】 公知の非ペプチドAT 1レセプタアンタゴニストの全ては、以下で記述するファルマコフォア(pharmacophore)に容易に適合する。 具体的には、提案されたモデルは、これらの非ペプチドアンタゴニストと内因性ペプチドアゴニストとの間で有意な重なりが存在することを立証している。 この重なりは、
    アンタゴニスト結合部位と、この内因性ペプチドアゴニストのC末端の結合部位との間で、起こると提案されている。 このモデルは、非ペプチドアンタゴニストのプロピルイミダゾールおよびビアリールテトラゾールモチーフと、Ile 5
    His 6 −Pro 7 −Phe 8の側鎖およびアンギオテンシンIIペプチドのN末端の末端カルボキシレートとの間の重なりを立証している27-29,35 。 例示した非ペプチドアンタゴニストは、一般に、酸性基(例えば、カルボキシレート、スルホンアミドまたは等配電子テトラゾール)を備えたビアリールを含有する。 エプロサルタンは、このモチーフを含有しない例外である。 それらはまた、その分子の頂部にて、複素環式の骨格を含有する。 この複素環式の骨格は、一般に、親油性アルキル基(例えば、ロサルタンのプロピル基)および水素結合アクセプタ(
    例えば、カルボキサミド、カルボキシアルデヒド、カルボキシレートまたはヒドロキシメチル)で置換される。 このイミダゾールのC2位置では、最適には、3
    個〜4個の炭素原子長で、直線状アルキルまたはアルケニル基が好ましい。 このイミダゾールのC4位置では、大きな置換基を許容する。 文献において、この領域に著しい立体的な嵩張りおよび極性官能性を導入する多数の有効な類似物が存在する。 このイミダゾールのC5位置では、種々の置換基が受け入れられる。 一般的な傾向としては、水素結合アクセプタ(例えば、カルボキサミド、カルボキシアルデヒド、カルボキシレートまたはヒドロキシメチル)が好ましいと思われる。

    【0112】 上で述べたように、このアンギオテンシンレセプタは、内因性ペプチド配位子(アゴニスト)結合部位および異なる(または部分的に重なり合った)小分子アンタゴニスト(または潜在的なアゴニスト)結合部位を有すると思われる。 従って、小分子アンタゴニスト(例えば、ロサルタン)の一部または全部に連結されるAT 1内因性配位子(または好ましくは、そのペプチド擬態物)の断片を含有する多価結合化合物は、特に有用であり得る。

    【0113】 現在公知の多くのアンギオテンシンレセプタ配位子が本発明の多結合化合物の調製で使用できると予想されるものの、その配位子構造のうち、分子認識および結合活性に必須ではない部分(すなわち、配位子ドメインではない部分)は、その結合相互作用に影響を与えることなく、実質的に変えられ得、無関係の構造と交換され得、また、ある場合には、完全に省略され得ることが理解されるべきである。 従って、モノマーとして最低限の活性しか示さないかまたは有用な活性を欠いている配位子が、多価性により与えられた生物学的利点のために、多結合化合物として非常に活性であり得るという点で、「配位子」との用語は、アンギオテンシンレセプタ結合化合物として有用であることが公知の化合物(例えば、公知の薬剤)に限定されるとは解釈されないことが理解されるべきである。 本明細書中で定義した配位子に対する主要な要件には、それが、上で定義したように、
    配位子ドメイン(これは、アンギオテンシンレセプタ上の認識部位に結合するのに利用できる)を有することがある。

    【0114】 本発明の目的のために、「配位子」との用語は、ラセミ配位子ならびにこれらの配位子の個々の立体異性体(純粋なエナンチオマーおよびそれらの非ラセミ混合物を含む)を含むと解釈される。 記述され特許請求された本発明の範囲は、これらの配位子のラセミ形態ならびに個々のエナンチオマーおよびそれらの非ラセミ混合物を包含する。

    【0115】 本明細書中で使用する「配位子結合部位」との用語は、アンギオテンシンレセプタ上の部位であって、配位子ドメインを認識して配位子に対する結合パートナーを提供する部位を意味する。 この配位子結合部位は、単量体構造および多量体構造により、定義され得る。 この相互作用は、独特の生物学的効果(例えば、アゴニズム、アンタゴニズム、調節)を生じ得るか、または進行中の生物学的事象などを維持し得る。

    【0116】 アンギオテンシンレセプタのうち生物学的多価結合相互作用に関与している配位子結合部位は、種々の程度まで、それらの分子内および分子間会合により制約されることが認識できるはずである。 例えば、アンギオテンシンレセプタ配位子結合部位は、単一構造で共有結合され得、1個またはそれ以上の多量体構造で非共有結合的に会合され得、膜または生体高分子マトリックスに包埋され得るなどして、従って、同じ部位がモノマーとして溶液中に存在している場合よりも小さい並進および回転自由度を有し得る。

    【0117】 「アゴニズム」および「アンタゴニズム」との用語は、当該技術分野で周知である。 本明細書中で使用する「アゴニスト」との用語は、アンギオテンシンレセプタに結合したときその活性を刺激する配位子を意味する。 「アンタゴニスト」
    との用語は、アンギオテンシンレセプタに結合したときその活性を阻害する配位子を意味する。 レセプタの遮断または活性化は、そのレセプタの占有性よりもむしろ、このレセプタに結合している配位子のアロステリック効果から生じ得る。
    これらのアロステリック効果は、タンパク質の立体配座(これは、アンギオテンシン結合部位に影響を与える)の変化を生じ得る。

    【0118】 「調節効果」との用語は、ある配位子がレセプタとの結合によってアゴニストまたはアンタゴニストの生物学的活性を変える能力を意味するように解釈される。

    【0119】 「多結合剤」または「多結合化合物」とは、本明細書中では、1個またはそれ以上のリンカー(これらは、同一であっても異なっていても良い)に共有結合された本明細書中で定義した2個〜10個の配位子(これらは、同一であっても異なっていても良い)を有する化合物であって、以下で定義するように、多価性であり得る化合物を意味する。

    【0120】 多結合化合物は、アンギオテンシンレセプタ上の配位子結合部位と結合するのに利用できる同数の未連結配位子と比較して、改良された生物学的効果および/
    または治療効果をもたらす。 改良された「生物学的効果および/または治療効果」の例には、配位子−レセプタ結合相互作用の上昇(例えば、親和性の上昇、標的での機能的な変化を誘発する能力の上昇、反応速度の向上)、標的に対する選択性の上昇、効力の上昇、効能の上昇、毒性の低下、治療指数の上昇、作用持続時間の改良、バイオアベイラビリティーの改良、薬物動態の改良、活性スペクトルの改良などが挙げられる。 本発明の多結合化合物は、上記効果の少なくとも1
    つ(好ましくは、1つより多く)を示す。

    【0121】 本明細書中で使用する「一価性」とは、1個の配位子と、本明細書中で定義した1個の配位子結合部位との間の単結合相互作用を意味する。 1種の配位子(または複数種の配位子)の複数コピーを有する化合物は、その化合物の1個の配位子だけが配位子結合部位と相互作用するとき、一価性を示すことに注目すべきである。 一価相互作用の例は、以下で示す。

    【0122】

    【化2】

    本明細書中で使用する「多価性」とは、2個〜10個の連結した配位子(これらは、同一であっても異なっていても良い)および2個またはそれ以上の対応する配位子結合部位(これらは、同一であっても異なっていても良い)の同時に起こる結合を意味する。 三価結合の一例は、例示の目的のために、以下で示す。

    【0123】

    【化3】

    リンカーに結合された配位子の複数コピーを含有する化合物の全てが必ず多価性の現象(すなわち、この多結合剤の生物学的効果および/または治療効果は、


    これらの配位子結合部位に結合するのに利用できる同数の未連結配位子の効果よりも大きいこと)を示すわけではないことが理解されるべきである。 多価性が生じるためには、共に連結される配位子の配位子ドメインは、所望の配位子配向結果をもたらして多結合相互作用を生じるために、特定の様式で、そのリンカーにより、それらの同系の配位子結合部位に提示されなければならない。

    【0124】 「ライブラリ」との用語は、少なくとも3個、好ましくは、10 2 〜10 9個、
    さらに好ましくは、10 2 〜10 4個の多量体化合物を意味する。 好ましくは、これらの化合物は、その合成を容易にできる単一の溶液または反応混合物中にて、
    多数の化合物として調製される。 1実施態様では、この多量体化合物のライブラリは、多結合特性について、直接的にアッセイできる。 他の実施態様では、この多量体化合物のライブラリの各メンバーは、まず、単離され、そして必要に応じて、特徴付けられる。 このメンバーは、次いで、多結合特性について、アッセイされる。

    【0125】 「コレクション」との用語は、逐次的または同時(例えば、組み合わせて)のいずれかで調製される一組の多量体化合物を意味する。 このコレクションは、少なくとも2個のメンバー、好ましくは、2個〜10 9個のメンバー、さらに好ましくは、10個〜10 4個のメンバーを含む。

    【0126】 「多量体化合物」との用語は、少なくとも1個のリンカーを介して共有結合された2個〜10個の配位子を含有する化合物(その化合物は、多結合特性(これは、本明細書中で定義されている)を有しても有しなくても良い)を意味する。

    【0127】 「擬似ハライド」との用語は、ハロゲンと類似の様式にて置換反応で反応する官能基を意味する。 このような官能基には、例として、メシル基、トシル基、アジド基およびシアノ基が挙げられる。

    【0128】 「リンカー」との用語は、適切な場合には、記号Xにより確認されるが、多価性であり得る化合物を提供する様式で、(上で定義した)2個〜10個の配位子を共有結合する基を意味する。 このリンカーは、それに配位子の複数コピー(これらは、同一であっても異なっていても良い)の結合を可能にする配位子配向要素(ligand−orienting entity)である。

    【0129】 「リンカー」との用語は、この配位子の一部ではないと考えられる全てのもの、例えば、補助基(例えば、可溶化基、親油性基)、薬力学または薬物動態を変える基、この多結合化合物の拡散能を改変する基、この配位子をこのリンカーに結合するスペーサ、(例えば、このリンカーに、全体としてまたはその一部に、
    可撓性または剛性を与えることにより)このリンカーの配位子配向機能を助ける基などを含む。 「リンカー」との用語は、しかしながら、固体不活性支持体(例えば、ビーズ、ガラス粒子、ロッドなど)を含まないが、本発明の多結合化合物は、もし望ましいなら、例えば、分離工程および精製工程での使用または類似の用途のために、固体支持体に結合できることが理解されるべきである。

    【0130】 本発明において、先に述べたように高られた多結合化合物の活性が実現される程度は、この配位子を結合するリンカーが配位子結合部位のそのアレイに対してそれらを示す効率に依存している。 これらの配位子を配位子結合部位との多価相互作用のために提示すること以外に、このリンカーは、これらの相互作用をリンカーにより規定される範囲内で起こるように空間的に制約する。

    【0131】 本発明で使用するリンカーは、アンギオテンシンレセプタの任意の所望の配位子結合部位(このような部位が、細胞膜内、細胞膜の表面上、細胞外または細胞内、またはその任意の中間位置のいずれに位置していようと)への配位子の多価結合を可能にするように、選択される。 好ましいリンカー長は、隣接配位子結合部位間の距離、およびこのリンカーのジオメトリ、可撓性および組成に依存して、変わる。 このリンカーの長さは、好ましくは、約2Å〜約100Åの範囲、さらに好ましくは、約2Å〜約50Åの範囲、さらにより好ましくは、約5Å〜約20Åの範囲である。

    【0132】 これらの配位子は、通常の化学方法を用いて、このリンカーに共有結合される。 このような連結を生じる反応の化学は、当該技術分野で周知であり、これには、このリンカーおよび配位子上で存在している反応性官能基の使用が関与している。 好ましくは、このリンカー上の反応性官能基は、この配位子上でカップリングに利用できる官能基に関連して、またはこの目的のために配位子に導入できる官能基に関連して、選択される。 このような反応性官能基はまた、当該技術分野で周知である。 例えば、適切な周知の活性化剤の存在下にて、このリンカーまたは配位子のいずれかのカルボン酸と配位子またはリンカーの第一級アミンまたは第二級アミンとの間での反応は、この配位子をリンカーに共有結合するアミド結合を形成する;このリンカーまたは配位子のいずれかのアミン基と配位子またはリンカーのスルホニルハライドとの間での反応は、この配位子をリンカーに共有結合するスルホンアミド結合を形成する;そしてこのリンカーまたは配位子のいずれかのアルコール基またはフェノール基と配位子またはリンカーのハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールとの間での反応は、この配位子をリンカーに共有結合するエーテル結合を形成する。 以下の表は、多数の反応性官能基およびそれらの間の反応で形成されて得られる結合を例示している。 官能基がない場合、それらは、J. March,Advanced Organic Chem.
    ,第4版(Wiley−Interscience,N.Y.,1992)のような標準的な有機化学教本で記述されている適切な化学により、作り出すことができる。

    【0133】

    【表1】

    このリンカーは、配位子ドメイン−配位子結合部位相互作用を保持する位置、


    具体的には、この配位子の配位子ドメインがそれ自体を配向させ配位子結合部位に結合できる位置で、この配位子に結合される。 このような位置、および連結用の合成プロトコルは、当該技術分野で周知である。 リンカーとの用語は、この配位子の一部とは考えられない全てのものを含む。

    【0134】 この配位子ドメインが示す相対的な配向は、この配位子のリンカーへの特定の結合点、およびその骨格のジオメトリの両方に依存している。 配位子上のどこで許容できる置換を行え得るかの決定は、典型的には、この配位子および/または同種のものの構造−活性関係の事前の知識ならびに/あるいは配位子−レセプタ複合体についての情報(例えば、X線結晶学、NMRなど)に基づいている。 結合のためのこのような位置および合成プロトコルは、当該技術分野で周知であり、そして当業者により決定できる(例えば、「作成方法」、実施例1〜3および図5〜10を参照)。 このリンカーまたはその重要な部分(例えば、リンカーの2個〜10個の原子)への配位子の結合に続いて、このリンカー−配位子結合体は、関連したアッセイシステムにて、活性の保持について試験され得る(代表的なアッセイについては、以下の「有用性および試験」を参照)。

    【0135】 現在では、この多結合化合物は、二価化合物(ここで、2個の配位子が共有結合されている)または三価化合物(ここで、3個の配位子が共有結合されている)であるのが好ましい。 リンカーの設計は、「作成方法」の項目で、さらに論述する。

    【0136】 本明細書中で使用する「効力(potency)」とは、配位子が所望の生物学的効果または治療効果を達成できる最小濃度を意味する。 配位子の効力は、典型的には、そのレセプタに対するその親和性に比例している。 ある場合には、この効力は、非線形的に、その親和性と相関し得る。 2種の薬剤(例えば、多結合剤およびその非連結配位子の凝集物)の効力を比較する際に、各々の用量応答曲線は、同じ試験条件(例えば、インビトロまたはインビボアッセイ、適切な動物モデル(例えば、ヒトの患者))にて、決定される。 この多結合剤が、(例えば、重量基準、モル基準または配位子基準で)、この非結合配位子凝集物よりも低い濃度で、同等の生物学的効果または治療効果を生じるとの発見は、効力の上昇を示している。

    【0137】 「選択性」または「特異性」とは、異なるレセプタに対する配位子の結合選好性の尺度である。 その標的レセプタに関する他のレセプタと比較した配位子の選択性は、それぞれのK d値(すなわち、各配位子−レセプタ複合体の解離定数)
    の比により、またはK dよりも低い値で生物学的効果が認められる場合には、それぞれのEC 50またはIC 50 (すなわち、2個の別個のレセプタと相互作用する配位子に対する最大応答の50%を生じる濃度)の比により、示される。

    【0138】 「処置」との用語は、哺乳動物(特に、ヒト)における疾患または状態の任意の治療を意味し、これらは、以下が含まれる: (i)この状態にかかりやすくあり得るがこの状態を罹っているとは診断されていない被験体において、その疾患または状態が発生するのを予防することであって、従って、この処置は、疾患状態の予防的な処置となる; (ii)この疾患または状態を阻害すること(すなわち、その進行を阻止すること); (iii)この疾患または状態を軽減すること(すなわち、この疾患または状態の後退を引き起こすこと);または (iv)内在する疾患または状態に取り組むことなしに、この疾患または状態から生じる症状を軽減すること(例えば、狭心症の症状または虚血疾患の他の状態を軽減するが、内在する病因(例えば、アテローム性動脈硬化症または高血圧症)は軽減しない)。

    【0139】 「多結合アンギオテンシンレセプタ配位子で処置することにより調節される疾患または状態」との語句は、一般にアンギオテンシンレセプタに対する配位子で有効に処置される当該技術分野で一般に認められる全ての疾患状態および/または状態、および本発明の特定の多結合化合物(すなわち、式Iの化合物)により有効に治療されることが分かっている疾患状態および/または状態を含む。 このような疾患状態には、例としてのみ、高血圧症、鬱血性心不全、腎不全、糖尿病性神経障害などが挙げられる。

    【0140】 「治療有効量」との用語は、上で定義した処置が必要な哺乳動物に投与するとき、このような処置を達成するのに充分な多結合化合物の量を意味する。 この治療有効量は、処置される被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与様式などに依存して変わり、これは、当業者により、容易に決定できる。

    【0141】 「薬学的に受容可能な賦形剤」との用語は、その意図した機能の能力を促進するために、多結合化合物と共に投与できるビヒクルおよびキャリアを含むと解釈される。 薬学的に活性な物質に対してこのような媒体を使用することは、当該技術分野で周知である。 このようなビヒクルおよびキャリアの例には、溶液、溶媒、分散媒体、遅延剤、乳濁液などが挙げられる。 この多結合化合物と共に使用するのに適切な任意の他の通常のキャリアもまた、本発明の範囲内に入る。

    【0142】 (作成方法) (リンカー) このリンカーは、これらの配位子の複数コピーと共有結合するとき、生体適合性で実質的に非免疫原性の多結合化合物を生じる。 この多結合アンギオテンシンレセプタ化合物の生物学的活性は、このリンカーのジオメトリ、組成、サイズ、
    長さ、可撓性または剛性、アニオン性電荷またはカチオン性電荷の存在または不在、相対的な疎水性/親水性、および類似の特性に非常に敏感である。 従って、
    このリンカーは、好ましくは、この化合物の生物学的活性を最大にするように、
    選択される。 このリンカーは、生物学的に「中性」であり得る(すなわち、それ自体は、この多結合化合物に対するいずれの付加的な生物学的活性にも寄与しない)か、またはこの化合物の生物学的活性をさらに高めるように選択され得る。
    一般に、このリンカーは、多価性を許容するように、そのレセプタに結合する2
    個またはそれ以上の配位子を配向させる任意の有機分子構造物から選択され得る。 この点で、このリンカーは、所望の配位子配向結果をもたらして多結合化合物を生成するために、この配位子が配置される「骨格」と見なすことができる。

    【0143】 例えば、配位子の異なる配向は、単環式基または多環式基(例えば、アリール基および/またはヘテロアリール基)を使用することにより、あるいは1個またはそれ以上の炭素−炭素多重結合を組み入れた構造(アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基またはアルキニレン基)を使用することにより、この骨格(
    リンカー)のジオメトリを変えることによって、達成できる。 本発明の多結合化合物で使用される骨格(リンカー)の最適なジオメトリおよび組成は、それらが目指すレセプタの特性に基づいている。 例えば、強力にカップリングされた結合を実現するのに強固な(rigid)環状基(例えば、アリール、ヘテロアリール)または強固でない環状基(例えば、シクロアルキルまたはクラウン基)が必要であり得るとき、立体配座のエントロピーを低くするために、このような基を使用するのが好ましい。

    【0144】 このリンカーの異なる疎水性/親水性の特徴ならびに荷電部分の存在または不在は、当業者により、容易に制御できる。 例えば、ヘキサメチレンジアミン(H 2 N(CH 26 NH 2 )または関連ポリアミンから誘導したリンカーの疎水性の性質は、そのアルキレン基をポリ(オキシアルキレン)基(例えば、市販の「Je
    ffamines」(界面活性剤類)で見出されるもの)で置き換えることにより、実質的にさらに親水性に改変できる。

    【0145】 これらの配位子の好ましい配向を与えるために、種々の骨格が設計できる。 配位子ドメインの提示に適切な骨格のジオメトリの同定は、活性を高めた多結合剤の作製における重要な第一段階である。 反復方法によって好ましい骨格の同定を助けるために、系統的な空間探索法が使用できる。 図2は、配位子ドメインに最適な骨格表示配向を決定する有用なストラテジーを図示しており、これは、本発明の二価化合物を調製するのに、使用できる。 ここで記述したものは、分子設計の当業者に公知の種々の代替方法で代用できる。

    【0146】 図2で示すように、これらの配位子(これは、中塗り円で示されている)は、
    中心コア構造(例えば、フェニルジアセチレン(パネルA)またはシクロヘキサンジカルボン酸(パネルB))に結合されている。 これらの配位子は、可変長(
    mおよびn)の結合部分だけ、このコアから間隔を置いて配置されている。 もし、この配位子が複数の結合部位を有するなら(以下の考察を参照)、この結合部位上での配位子の配向もまた、変わり得る。 これらの中心コア構造の周りでの表示ベクトルの位置が変わり、それにより、化合物のコレクションを生じる。 記述したように生じたコレクションの個々の化合物の各々をアッセイすることにより、所望の高い活性(例えば、効力、選択性)を有する化合物のサブセットとなる。 Ensemble Molecular Dynamicsのような方法を用いてこのサブセットを分析すると、望ましい特性を与える骨格配向が示唆される。

    【0147】 この方法では、同じ中心コア構造の複数コピーまたは異なる型の表示コアの組合せを使用する必要があり得る。 これらの配位子の最適な骨格表示配向を決定するために、ここで示したもの以外のコア構造が使用できることに注目すべきである。 上記方法は、三価化合物およびそれより高い次数の価数の化合物に拡張できる。

    【0148】 多種多様なリンカーが市販されている(Chem Sources USAおよびChem Sources International;the ACD
    電子データベース;およびChemical Abstracts)。 本発明で使用するのに適切なリンカーの多くは、この範疇に入る。 他のものは、当該技術分野で公知の方法により、以下で記述のように、容易に合成できる。 リンカーの例には、脂肪族部分、芳香族部分、ステロイド性部分、ペプチドなどが挙げられる。 具体的な例には、ペプチドまたはポリアミド、炭化水素、芳香族、複素環、
    エーテル、脂質、カチオン性基またはアニオン性基、またはそれらの組合せがある。

    【0149】 例は、以下および図3で示しているが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更を行い得、また、均等のもので代用し得ることが理解されるべきである。 例えば、このリンカーの特性は、例えば(水、脂肪、脂質、
    生物学的流体中などでの)この多結合化合物の溶解性、疎水性、親水性、リンカーの可撓性、抗原性、安定性などを変えるために、リンカーに補助基(anci
    llary groups)を付加または挿入することにより、改変できる。 例えば、このリンカーに1個またはそれ以上のポリ(エチレングリコール)(PE
    G)基を導入すると、この多結合化合物の親水性および水溶性が高まり、分子量および分子サイズの両方が大きくなり、非PEG化リンカーの性質に依存して、
    インビボ保持時間が長くなり得る。 さらに、PEGは、抗原性を小さくし得、このリンカーの全体的な剛性を潜在的に高める。

    【0150】 このリンカー(従って、得られる多結合化合物)の水溶性/親水性を高める補助基は、本発明を実施する際に、有用である。 それゆえ、本発明の多結合化合物の水溶性および/または親水性を高めるために、補助基(例えば、エチレングリコール、アルコール、ポリオール(例えば、グリセリン、グリセロールプロポキシレート、糖類(単糖類、オリゴ糖類を含む)などの小繰り返し単位)、カルボキシレート(例えば、グルタミン酸、アクリル酸などの小繰り返し単位)、アミン(例えば、テトラエチレンペンタミン)など)を使用することは、本発明の範囲内である。 好ましい実施態様では、水溶性および/または親水性を改良するために使用される補助基は、ポリエーテルである。 特に好ましい実施態様では、この補助基は、少数の繰り返しエチレンオキシド(−CH 2 CH 2 O−)単位を含有する。

    【0151】 式Iの化合物の親油性および/または疎水性を高めるために、このリンカーの構造内に親油性補助基を組み込むこともまた、本発明の範囲内である。 本発明のリンカーと共に有用な親油性基には、低級アルキル基、芳香族基および多環式芳香族基が挙げられるが、これらに限定されない。 これらの芳香族基は、他の基で置換されているかまたは置換されていないか、いずれかであり得るが、少なくとも、このリンカーとの共有結合を可能にする基で置換されている。 本明細書中で使用する「芳香族基」との用語は、芳香族炭化水素および複素環式芳香族物の両方を含む。 本発明のリンカーと共に有用な他の親油性基には、水性媒体中でミセルを形成してもよいし、形成しなくても良い脂肪酸誘導体、およびこの多結合化合物と生体膜との間での相互作用を調節する他の特定の親油性基が挙げられる。

    【0152】 また、式Iの化合物を小胞(例えば、リポソーム)またはミセルに組み込む補助基を使用することも、本発明の範囲内である。 「脂質」との用語は、二分子層またはミセルを形成できる任意の脂肪酸誘導体であって、この脂質物質の親水性部分がその水相に向かって配向しつつ、疎水性部分が二分子層に向かって配向するようなものを意味する。 親水性は、ホスファト(phosphato)、カルボン酸、スルファト(sulfato)、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、および当該技術分野で周知の他の類似の基の存在に由来する。 疎水性は、以下の基を含めることにより、与えることができるが、これらに限定されない:20個までの炭素原子を有する長鎖飽和および不飽和脂肪族炭化水素基、ならびに1個またはそれ以上のアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基および/または複素環式基により、置換される基。 好ましい脂質には、ホスホグリセリドおよびスフィンゴ脂質があり、その代表例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、
    ホスファチジン酸、パルミトイルエオイル(palmitoyleoyl)ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジル−エタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンおよびジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられる。 リンを欠いている他の化合物(例えば、スフィンゴ脂質およびグリコスフィンゴ脂質ファミリー)もまた、脂質と呼ばれる群に入る。
    さらに、上記両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含めた他の脂質と混合され得る。

    【0153】 このリンカーの可撓性は、嵩張ったおよび/または堅い補助基を含めることにより、操作できる。 嵩張ったまたは堅い基が存在すると、このリンカー中にある結合、またはリンカーと補助基との間の結合、またはリンカーと官能基との間の結合の周りでの自由な回転が妨げられ得る。 堅い基には、例えば、環および/またはπ結合の存在により立体配座の自由度が制約されている基(例えば、アリール基、ヘテロアリール基および複素環式基)を挙げることができる。 剛性を与えることができる他の基には、ポリペプチド基(例えば、オリゴ−またはポリプロリン鎖)が挙げられる。

    【0154】 剛性はまた、静電的にも与えることができる。 それゆえ、もし、これらの補助基が、正または負のいずれかで荷電されているなら、同じように荷電した補助基は、このリンカーを、強制的に、同じ電荷間に最大距離を与える立体配置にする。 これらの同じに荷電した基を互いに近づけるエネルギー損失は、これらの基の間の距離の平方とは反比例の関係にあり、このリンカーを、同じに荷電した補助基間で分離を維持する立体配置で保持する傾向にある。 さらに、反対の電荷を持つ補助基は、それらと反対に荷電した対応物に引きつけられる傾向にあり、潜在的に分子間イオン結合および分子内イオン結合の両方になり得る。 この非共有結合性機構は、このリンカーを、反対に荷電した基の間での結合を可能にする立体配座で保持する傾向にある。 荷電した補助基、あるいは、潜在的に電荷を持つ保護された基(これは、このリンカーの添加に続いて、脱保護(pH変化、酸化
    還元、または当業者に公知の他の機構)により、暴露される)の添加は、本発明の範囲内である。

    【0155】 嵩張った基には、例えば、大きな原子、イオン(例えば、ヨウ素、イオウ、金属イオンなど)、または大きな原子を含有する基、多環式基(芳香族基、非芳香族基を含む)、および1個またはそれ以上の炭素−炭素多重結合を組み込んだ構造(すなわち、アルケンおよびアルキン)を挙げることができる。 嵩張った基には、また、分枝種または直鎖種であるオリゴマーおよびポリマーを挙げることができる。 分枝した種は、直鎖種よりも、単位分子量ゲインあたり、この構造の剛性を高めると予想される。

    【0156】 好ましい実施態様では、剛性(エントロピー制御)は、脂環式基(例えば、シクロアルキル)、芳香族基および複素環式基の存在により、与えられる。 他の好ましい実施態様では、これは、1個またはそれ以上の6員環を含む。 さらに好ましい実施態様では、この環は、アリール基(例えば、フェニルまたはナフチル)
    、または大環状環(例えば、クラウン化合物)である。

    【0157】 上のことを考えると、適切な配向、エントロピーおよび物理化学的特性を与えるリンカー基の適切な選択は、全く、当該技術分野の範囲内であることが明らかである。

    【0158】 本明細書中で記述した多結合化合物の抗原性をなくすかまたは低くすることもまた、本発明の範囲内である。 ある場合には、多結合化合物の抗原性は、例えば、ポリ(エチレングリコール)のような基を使用することにより、なくすかまたは低くされ得る。

    【0159】 (式Iの化合物) 上で説明したように、本明細書中で記述した多結合化合物は、リンカーに共有結合された2個〜10個の配位子を含有し、このリンカーは、アンギオテンシンレセプタの配位子結合部位に多価結合できる様式で、配位子を連結する。 このリンカーは、リンカーにより規定される範囲内で起こすためにこれらの相互作用を空間的に制約する。 この因子および他の因子は、単結合様式で使用される同数の配位子と比較して、この多結合化合物の生物学的効果および/または治療効果を高める。

    【0160】 本発明の化合物は、好ましくは、実験式(L) p (X) qにより表わされ、ここで、L、X、pおよびqは、上で定義したとおりである。 これは、多価性の目的を達成するために、これらの配位子が共に連結できる数個の様式を含むと解釈され、さらに詳細な説明は、以下で示す。

    【0161】 先に述べたように、このリンカーは、配位子が結合される骨格と見なされ得る。 それゆえ、これらの配位子は、この骨格上の任意の適切な位置(例えば、直鎖の終端またはその任意の中間位置)で結合できることが分かるはずである。

    【0162】 最も簡単で最も好ましい多結合化合物は、L−X−Lとして表わすことができる二価化合物であり、ここで、Lは、配位子であり、同一であっても異なっていても良く、そしてXは、リンカーである。 三価化合物もまた、直線状の様式で、
    すなわち、繰り返し単位L−X−L−X−Lの配列として表わすことができ、ここで、Lは、配位子であり、Xと同様に、各場合にて、同一であっても異なっていても良い。 しかしながら、三価化合物はまた、中心コアに結合した3個の配位子を含有でき、それゆえ、(L) 3 Xとして表わすことができ、ここで、リンカーXは、例えば、アリール基またはシクロアルキル基を含有できる。 四価化合物は、直線状アレイ: L−X−L−X−L−X−L、 または分枝状アレイ:

    【0163】

    【化4】

    すなわち、ブタンの異性体(n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル)に類似した分枝構造物で、表わすことができる。 あるいは、それは、上で記述したようなアリール誘導体またはシクロアルキル誘導体であってそのコアリンカーに結合した4個の配位子を有するものとして、表わすことができる。

    【0164】 同じ要件は、5個〜10個の配位子を含有する本発明のさらに高次の多結合化合物に当てはまる。 しかしながら、アリール基、シクロアルキル基または複素環式基またはクラウン化合物のような中心リンカーに結合した多結合剤については、このリンカー上には、存在している配位子の数に適応する充分な結合部位がなければならないという自明の制約が存在する;例えば、ベンゼン環は、6個より多い配位子を収容できないのに対して、多環リンカー(例えば、ビフェニル)は、それより多い数の配位子を収容できる。

    【0165】 式(L) p (X) qはまた、式(−L−X−) nの環状化合物を表わすとも解釈され、ここで、nは、2〜10である。

    【0166】 上記変数の全ては、式(L) p (X) qにより定義される本発明の範囲内に入ると解釈される。 本発明の二価およびそれより高次の価数の化合物の例は、図4A
    〜4Dで示されている。

    【0167】 前述のことを考えると、好ましいリンカーは、次式により表わされ得る: −X'−Z−(Y'−Z) m −Y”−Z−X'− ここで、mは、0〜20の整数である;X'は、各個々の場合にて、−O−、−
    S−、−S(O)−、−S(O) 2 −、−NR−、−N + RR'−、−C(O)−
    、−C(O)O−、−C(O)NH−、−C(S)、−C(S)O−、−C(S
    )NH−または共有結合であり、ここで、RおよびR'は、各個々の場合にて、
    R'およびR”について以下で定義するとおりである;Zは、各個々の場合にて、アルキレン、置換アルキレン、アルキルアルコキシ、シクロアルキレン、置換シクロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、シクロアルケニレン、置換シクロアルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロサイクレン、置換ヘテロサイクレン、クラウン化合物または共有結合から選択される;Y'およびY”は、各個々の場合にて、以下からなる群から選択される:

    【0168】

    【化5】

    −S−S−または共有結合;ここで、nは、0、1または2である;そしてR'


    およびR”は、各個々の場合にて、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式から選択される。

    【0169】 さらに、このリンカー部分は、必要に応じて、その中の任意の原子において、
    1個またはそれ以上のアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または複素環式基により、置換できる。

    【0170】 上で示したように、最も簡単(かつ好ましい)構造物は、L−X−Lとして表わすことができる二価化合物であり、ここで、Lは、各場合にて同一であっても異なっていても良いアンギオテンシンレセプタ配位子であり、そしてXは、リンカーである。 従って、二価配位子の調製の例は、式Iの多結合化合物が得られる様式の説明として、以下で示す。

    【0171】 以下の反応スキームは、アンギオテンシンレセプタモジュレーターのビフェニルテトラゾール誘導体類(例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、タソサルタンおよびリピサルタン)を連結するための好ましい連結方法を説明する。 これらの方法は、同様に、選択したリンカーに適合性の基(例えば、エプロサルタン、テルミサルタン(telmisartan)またはペプチドレセプタアンタゴニスト(例えば、サララシン(Sar 1 、Ala 8
    アンギオテンシンII)))を含むかまたはそれで官能基化できる任意のアンギオテンシンレセプタ配位子にも適用されると解釈される。

    【0172】 先に述べたように、このリンカーは、配位子ドメインの異なる配向を達成し、
    それによって多価性を促進するために、その配位子分子上の異なる位置で結合できる。 例えば、ロサルタンのようなビフェニルテトラゾール誘導体を連結するのに利用できる可能性がある位置は、図5Aおよび5Bで表示されている。 これらの位置を使用する代表的なマルチバロマーは、図5Cおよび5Dで示されている。

    【0173】 ある種のアンギオテンシンレセプタ配位子は、キラルであり、立体選択性を示し得る。 最も活性の高いエナンチオマーは、本発明の多結合化合物にて、配位子として好ましく使用される。 エナンチオマーのキラル分割は、ジアステレオマー誘導体または塩が形成される周知の手順に続いて、クロマトグラフィー法または分別晶出による通常の分離により、達成される(例えば、Bossertら、A
    ngew. Chem. Int. Ed. ,20,762〜769(1981)および米国特許第5,571,827号およびそれらの中で引用された参考文献を参照)。 単一の立体異性体はまた、立体選択的合成により、得られる。

    【0174】 これらの配位子は、通常の化学方法を用いて、このリンカーに共有結合される。 このような連結を生じる反応の化学は、当該技術分野で周知であり、これには、このリンカーおよび配位子上で存在している反応性官能基のカップリングを含む。 ある場合には、この配位子のうち連結反応に関与していない部分を保護する必要があり得る。 この目的のための保護基は、当該技術分野で周知であり、一般に、これらの反応スキームでは、PGおよびPG'の記号で示されている。

    【0175】 好ましくは、このリンカー上の反応性官能基は、この配位子上でカップリングに利用できる官能基、またはこの目的のために配位子上へと導入できる官能基に関連して、選択される。 ある実施態様では、このリンカーは、配位子前駆体にカップリングされ、配位子合成は、それに引き続いた工程を実行して完結される。
    官能基がない場合、それらは、J. March,Advanced Organ
    ic Chem. ,第4版. (Wiley−Interscience,N.Y
    . ,1992)のような標準的な有機化学教本で記述されている適切な化学反応により、作り出すことができる。 リンカーにより配位子を連結するための化学反応の例は、図6で示されており、ここで、R 1およびR 2は、配位子および/または連結基を表わす。 当業者は、本明細書中で例示した反応を合成的に等価なカップリング反応で代用できることを理解する。

    【0176】 これらの配位子または配位子前駆体が結合するリンカーは、この配位子上の官能基の反応性と相補的な反応性を備えた2個またはそれ以上の官能基を有する「
    コア」分子を含有する。 図3は、このリンカーのサイズ、形状、長さ、配向、剛性、酸性度/塩基性度、疎水性/親水性、水素結合特性、および連結する配位子数を変えるのに有用な多様な「コア」を図示している。 この図の描写は、本発明を例示するにすぎないと解釈され、図示した構造に本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。 これらの図およびそれに続く反応スキームでは、黒丸は、一般的に、コア分子を表わすのに使用されている。 この黒丸は、反応後には、上で定義したようなリンカーに相当する。

    【0177】 式Iの好ましい化合物は、二価である。 従って、簡潔にする目的のために、以下の図および反応スキームは、二価アンギオテンシンレセプタモジュレーターの合成を例示する。 しかしながら、同じ方法は、さらに高い次数の多結合化合物(
    すなわち、pが3〜10である本発明の化合物)を生成するのに使用できることに注目すべきである。

    【0178】 標準的なアミドカップリング条件下で実行される反応は、ヒンダード塩基(例えば、TEA、DIPEA)および標準的なアミドカップリング試薬(例えば、
    DPPA、PyBOP、HATU、DCC)の存在下で、不活性極性溶媒(例えば、DMF、DMA)中にて、行われる。

    【0179】 ここでは、ロサルタンおよび構造上類似した分子で例示されるような二価BP
    T化合物を調製するいくつかの方法は、図6A〜6Cで示した反応スキームで説明されており、そして実施例1〜3で詳細に記述されている。

    【0180】 官能基は、マルチバロマー形成に利用され得る薬剤(ファルマコフォリック(
    pharmacophoric)構築ブロック)内の基である。 例えば、ロサルタンのテトラゾールNHまたは第一級ヒドロキシルが使用され得る。 同様に、マルチバロマー作製を容易にするために、官能基が導入され得る。 例えば、このような官能基は、ロサルタンのビアリール官能性のアリール環に導入され得るか、
    またはそのイミダゾールのClは、マルチバロマーの作製に使用できる官能基で置き換えられ得る。 図7の構造は、使用され得るロサルタンのマルチバロマーの異なる価数を例示している。 テトラゾール連結二量体、三量体および四量体が例示されている。 これらは、全て、その配位子内の同じ結合点を使用するホモバロマーである。

    【0181】 図8は、本発明のロサルタンマルチバロマーで使用され得る骨格コアのグループ分けを提示している。 この骨格コアは、これらのマルチバロマーの空間的、物理化学的および薬理学的なプロフィールを支配するのに、重要な役割を果たし得る。 さらに高次の価数のマルチバロマー、異なる結合点、異なるファルマコフォアおよびマルチバロマー内での代替的な相対的ファルマコフォア配向へと拡張するのに、類似のアプローチが使用できる。

    【0182】 図9は、このマルチバロマー内での結合要素の可能な異なる配向に関し、そしてマルチバロマー内での1個またはそれ以上のファルマコフォリック構築ブロックに対する異なる結合点の使用を例示している。 図10は、AT 1アンタゴニストとして使用され得るヘテロバロマーを図示している。 提示した組合せは、ロサルタンおよびバルサルタンに焦点を当てているが、他の配位子は、使用され得る。 図9と同様に、さらに高次の価数のマルチバロマー、異なる結合点、異なる配位子およびマルチバロマー内での代替的な相対的配位子配向へと拡張するのに、
    類似のアプローチが使用できる。 また、異なる物理的および薬理学的なプロフィールを備えた骨格コアは、使用できる。

    【0183】 上で述べた式Iの化合物を調製するためのストラテジーは、この配位子をホモ二官能性(homobifunctional)コアに直接カップリングすることを包含する。 二価およびさらに高い次数の多結合化合物の両方を調製するための他のストラテジー(これは、全ての配位子と共に使用できる)は、中心コアにカップリングする前に、「スペーサ」を導入することである。 このようなスペーサは、それ自体、可能なコア化合物と同じセットから選択できる。 この連結ストラテジーなら、上記のように調製した出発物質を使用する。

    【0184】 さらに高い次数の価数(すなわち、p>2)の式Iの化合物は、上記ストラテジーを単に拡張することにより、調製できる。 化合物は、複数の官能基を持つ中心コアに配位子をカップリングすることにより、調製される。 その反応条件は、
    二価化合物の調製について上で記述したものと同じであるが、配位子および試薬のモル量において、適切な調整がなされる。

    【0185】 配位子はまた、側鎖スペーサを備えたポリペプチドコアにカップリングされ得る。 固相ペプチド合成は、多種多様なペプチドコア分子を生成するのに使用できる。 このコア分子上の配位子結合部位間の距離、カップリングに利用できる結合部位の数、およびコア分子の化学的特性を変えるために、当業者に周知の方法(
    コンビナトリアルな方法を含む)が使用される。 このコア分子上の官能基を選択的に保護するためには、直交(orthogonal)保護基が使用され、それにより、この多結合化合物のリンカーへ、補助基を挿入でき、そして/または「
    ヘテロバロマー(heterovalomers)」(すなわち、同一でない配位子を有する多結合化合物)の調製が可能となる。

    【0186】 上記合成ストラテジーの全ては、スペーサに結合されているかまたは結合されていない配位子を中心コア上の官能基的に等価な部分に対称的に連結する工程を使用する。 式Iの化合物はまた、非対称的な線形アプローチ(asymmetr
    ic linear approach)を用いて、合成できる。 このストラテジーは、2個またはそれ以上の配位子を異なる接続点で連結するとき、またはヘテロバロマーを調製するとき、好ましい。

    【0187】 (化合物の単離および精製) 本明細書中で記述した化合物および中間体の単離および精製は、もし望ましいなら、任意の適切な分離または精製(例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層(thick−layer)クロマトグラフィー、分取用低速または高速液体クロマトグラフィーまたはこれらの操作に組合せ)により、行なうことができる。 キャラクタリゼーションは、好ましくは、NMRおよび質量分光法による。

    【0188】 (有用性および試験) 本発明の多結合化合物は、心臓、腎臓および脳を含めた種々の組織内のアンギオテンシンレセプタを調節するのに使用できる。 これらは、典型的には、アンギオテンシンレセプタが関与しているかまたはそれにより媒介される哺乳動物の疾患および状態(例えば、高血圧症、鬱血性心不全、腎不全、糖尿病性神経障害など)を処置するのに使用される。

    【0189】 本発明の多結合化合物は、周知の信頼できるアッセイで試験され、それらの活性は、対応する未連結(すなわち、一価)配位子のものと比較される。

    【0190】 (アンギオテンシンレセプタに対する結合親和性) この結合親和性は、放射性配位子競合阻害アッセイにより、決定される。 本発明の化合物が、単離した副腎膜標本またはヒト子宮またはラット血管平滑筋細胞(培養物中)の高親和性および低親和性結合部位に結合する際の[ 3 H]ロサルタンまたは類似の放射性配位子と競合する能力は、インビトロで測定される11,2 3,24,34 。 この結合親和性は、競合曲線から計算されるが、一価配位子および/
    または一価リンカー−配位子結合体のものと比較される。

    【0191】 (インビトロ機能) 機能活性は、本発明の化合物がラットまたはヒト血管平滑筋細胞からのアンギオテンシンII誘発45 Ca 2+流出を阻害する能力により、測定される30,50

    【0192】 (エキソビボ機能) エキソビボ機能活性は、ウサギ大動脈で決定され、そして用量依存性の様式でアンギオテンシンIIに対する機能収縮性応答を拮抗してアンギオテンシンII
    アンタゴニストにpA 2値を与える能力により、測定される30,50

    【0193】 (抗高血圧効果) 本発明の化合物の抗高血圧効果は、レニン依存性高血圧の動物モデル(腎動脈を結紮した意識のある高血圧ラット9または自然発症した高血圧のラット37を含む)にて、インビボで決定され得る35,36 。 平均動脈圧の低下が測定される。 ロサルタンのようなアンタゴニストは、このモデルでは、アンギオテンシンIIに対する昇圧応答を防止するので、意識のある正常血圧のラットの血圧に対するアンギオテンシンIIの効果がないこともまた、測定され得る31

    【0194】 (鬱血性心不全に対する効果) 鬱血性心不全に対する本発明の化合物の効果は、ブタにて、インビボで決定され得る38,39 (この場合、心不全は、一連の心筋梗塞に続いて、急速な心室ペーシング(pacing)により、誘発される40 )。 心拍出量、全身血管抵抗、血管抵抗、神経ホルモン系活性および心筋血流分配に対するこれらの化合物の効果は、静止状態および運動中の両方で、測定される。

    【0195】 (腎不全に対する効果) 腎不全に対する本発明の化合物の効果は、腎質量を減らした41かまたはネフロン数を低くした42かいずれかのラットにて、あるいは、MWF/Ztmラット43にて、インビボで決定され得る。 尿タンパク質排泄、尿重量オスモル濃度(ur
    ine osmolality)、全身血圧および腎形態の変化がモニターされる。

    【0196】 (糖尿病性神経障害に対する効果) 糖尿病性神経障害に対する本発明の化合物の効果は、ストレプトゾトシンで糖尿病にしたラットまたは糖尿病のSDラットのいずれかを使用して、インビボで決定され得る。 処置した動物および処置していない動物において、神経機能、毛細管密度および血流の変化が測定される44

    【0197】 (コンビナトリアルライブラリ) 上記方法は、それ自体、アンギオテンシンレセプタに対する多結合特性を持つ多量体化合物を同定するためのコンビナトリアルなアプローチに役立つ。

    【0198】 具体的には、標的上の結合部位の関連したアレイに関する多結合化合物の個々の配位子の正しい並置(juxtaposition)のような因子は、多結合化合物とその標的との相互作用を最適化する際に、また、多価性による生物学的な利点を最大にするために、重要である。 1つのアプローチには、特定の標的に対して関連性がある多結合パラメータに及ぶ特性を備えた候補多結合化合物のライブラリを同定することがある。 これらのパラメータには、以下が挙げられる:
    (1)配位子の同一性、(2)配位子の配向、(3)この構造物の価数、(4)
    リンカーの長さ、(5)リンカーのジオメトリ、(6)リンカーの物理的特性、
    および(7)リンカーの化学的官能基。

    【0199】 多結合特性を持っている可能性のある多量体化合物(すなわち、候補多結合化合物)であって複数のこのような変数を含むライブラリが作成され、これらのライブラリは、次いで、選択した配位子および望ましい多結合パラメータに対応する通常のアッセイによって、評価される。 これらの変数の各々に関連した要件は、以下で示す: (配位子の選択) 単一配位子または配位子セットは、ライブラリが特定の生物学的標的に対して向けられる候補多結合化合物のライブラリへの組み込みについて、選択される。
    選択する配位子に対する唯一の要件は、それらが、選択した標的と相互作用できるということである。 それゆえ、配位子は、公知薬剤、公知薬剤の改変型、公知薬剤または公知薬剤の改変型の基質の下部構造(これらは、この標的と相互作用する能力がある)、または他の化合物であり得る。 配位子は、好ましくは、既知の有利な特性(これは、多結合形態に持ち越されるかまたはそこで増強されるように、考案され得る)に基づいて、選択される。 好ましい特性には、ヒトの患者において立証された安全性および効能、適切なPK/ADMEプロフィール、合成の容易さ、および望ましい物理的特性(例えば、溶解性、LogPなど)が挙げられる。 しかしながら、先のリストのうちの望ましくない特性を示す配位子でも、多結合化合物形成工程を通じてさらに好ましい特性が得られ得ることを記すことは、重要である;すなわち、このような基準に基づいて、必ずしも、配位子を除外すべきではない。 例えば、ヒトの患者に有効である程には特定の標的で充分に効力がない配位子は、多結合形態で提示されるとき、非常に効力があって有効となり得る。 機構とは無関係の毒性副作用があるために、効力があって有効ではあるが有用性がない配位子は、多結合化合物としては、高い治療指数(毒性に対する高い効力)を有し得る。 短いインビボ半減期を示す化合物は、多結合化合物としては、長い半減期を有し得る。 配位子の有用性を限定する配位子の物理的特性(例えば、低い溶解性、疎水性、親水性が原因の乏しいバイオアベイラビリティー)は、多結合形態では、合理的に調節され得、所望の有用性に合わせた物理的特性を備える化合物が得られ得る。

    【0200】 (配向:配位子結合点および連結化学反応の選択) 各配位子上で、この配位子をリンカーに結合する数個の点が選択される。 この配位子/リンカー上で選択した結合点は、相補的な反応性官能基を含有するように、官能基化される。 これにより、複数の相対的配向で配位子をそれらのレセプタに提示する効果を精査すること(重要な多結合設計パラメータ)が可能となる。 結合点を選択する唯一の要件には、これらの点の少なくとも1個に結合することが配位子の活性を妨げないということがある。 このような結合点は、構造上の情報(それが入手できるとき)により、確認できる。 例えば、その標的に結合したプロテアーゼ阻害剤の共結晶構造を検査すると、リンカー結合がその酵素−インヒビター相互作用を妨げない1個またはそれ以上の部位を同定できる。 あるいは、核磁気共鳴によって配位子/標的結合を評価すると、配位子/標的結合には必須ではない部位が同定できる。 例えば、Fesikら、米国特許第5,891
    ,643号を参照せよ。 このような構造上の情報が入手できないとき、配位子に対する構造−活性関係(SAR)の利用により、実質的な構造上の変化が可能である位置および可能でない位置が示唆される。 構造上の情報およびSAR情報の両方がないとき、ライブラリは、単に、この配位子を複数の異なる配向で提示できる複数の結合点で、選択できる。 このライブラリの引き続いた評価により、どの点が結合に適切であるかが示される。

    【0201】 この単量体配位子の活性を妨げる結合位置もまた、このような化合物が固有の活性を妨げない様式で結合された少なくとも1個の配位子を持っているという条件で、このライブラリ中の候補多結合化合物に含めるのが有利であり得ることを強調しておくのは、重要である。 この選択は、例えば、単一標的分子に関連したヘテロ二価相互作用に由来する。 例えば、その標的レセプタに結合したレセプタアンタゴニスト配位子を考慮し、次いで、このアンタゴニスト結合部位(これは、このレセプタのうち正式のアンタゴニスト結合部位の一部ではない要素および/またはレセプタを取り囲むマトリックスの要素(例えば、膜)を含む)に近接した部位にて第二配位子を同じレセプタ分子と相互作用させるリンカーを用いて、同じ配位子の第二コピーをそれに結合することにより、この配位子を改変することを考慮してみる。 この時、この第二配位子分子とレセプタ/マトリックスとの相互作用に最も好ましい配向は、この正式なアンタゴニスト結合部位にて、この配位子の活性を妨げる位置で、それをこのリンカーと結合することにより、達成され得る。 このことを考慮する他の方法には、多結合構造に関連した個々の配位子のSARが、しばしば、多量体形態での同じ配位子のSARとは異なることがある。

    【0202】 前述の考察は、異なる結合点(その1個は、この単量体配位子の結合/活性を妨げ得る)を介して単一リンカーに結合された同じ配位子の2個のコピーを持つ二量体化合物の二価相互作用に焦点を当てた。 二価の利点はまた、共通の標的または異なる標的に結合する2個の異なる配位子を持つヘテロ二量体構造物を用いても、達成され得ることが理解されるべきである。 例えば、5HT 4レセプタアンタゴニストおよび膀胱選択性ムスカリン性M 3アンタゴニストは、それらの各個のレセプタ部位に対する単量体配位子の結合親和性を妨げない結合点を介して、リンカーと結合され得る。 この二量体化合物は、5HT 4配位子とM 3レセプタのうち正式なM 3アンタゴニスト結合部位に近接した要素との間の好ましい相互作用、およびM 3配位子と5HT 4レセプタのうち正式な5HT 4アンタゴニスト結合部位に近接した要素との間の好ましい相互作用があるために、両方のレセプタに対して高い親和性を達成し得る。 それゆえ、この二量体化合物は、過敏性膀胱のさらに効力がありかつ選択的なアンタゴニストであり、切迫尿失禁に対する優れた療法であり得る。

    【0203】 一旦、この配位子結合点が選択されると、これらの結合点で可能な化学結合型を同定する。 最も好ましい化学結合型には、容易でかつ一般的に形成され、典型的な化学的条件および生理学的条件下にて安定かつ本質的に無毒な配位子(または保護形態の配位子)の全体的な構造に適合性であって、多数の利用可能なリンカーに適合性であるものがある。 アミド結合、エーテル、アミン、カーバメート、尿素およびスルホンアミドは、好ましい結合のほんの数例である。

    【0204】 (リンカー:価数、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリ、剛性、物理的特性および化学的官能基の選択により全体に関連する多結合パラメータ) 候補多結合化合物のライブラリを作成するのに使用されるリンカーのライブラリでは、このリンカーのライブラリで使用されるリンカーの選択は、以下の因子を考慮する: (価数) 大抵の場合、このリンカーのライブラリは、二価リンカーを用いて開始される。 配位子と、その結合部位に対する2個の配位子の正しい並置とを選択することにより、このような分子は、生物学的な利点を与えるのに非常に充分な標的結合親和性および特異性を示すことが可能になる。 さらに、二価リンカーまたは構造物もまた、典型的には、小分子の所望の体内分布特性を保持する適度のサイズである。

    【0205】 (リンカーの長さ) リンカーは一定の範囲の長さで選択され、所定の二価の相互作用に好ましい距離を含む一定の範囲のリガンド間の距離の広がりを可能にする。 ある場合には、
    好ましい距離は、標的(典型的には、酵素および可溶性レセプタ標的)の高精度の構造上の情報から、ある程度正確に概算できる。 高精度の構造上の情報が利用できない他の場合(例えば、7TM G−タンパク質結合レセプタ)には、隣接レセプタ上または同じレセプタ上の異なる位置のいずれかにある結合部位間の最大距離を概算するために、簡単なモデルを利用できる。 2個の結合部位が同じ標的(または複数のサブユニット標的に対する標的サブユニット)上で存在している状況では、好ましいリンカー距離は、2〜20Åであり、さらに好ましいリンカー距離は、3〜12Åである。 2個の結合部位が別個の(例えば、タンパク質)標的部位上に存在している状況では、好ましいリンカー距離は、20〜100
    Åであり、さらに好ましい距離は、30〜70Åである。

    【0206】 (リンカーのジオメトリおよび剛性) 配位子結合部位、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリおよびリンカーの剛性の組合せは、候補多結合化合物の配位子が三次元で表示されてその結合部位に提示され得る実行可能な方法を決定する。 リンカーのジオメトリおよび剛性は、
    名目上、化学的な組成および結合パターンにより決定されるが、これらは、制御され得、多結合アレイでの別のスパニング機能(spanning funct
    ion)として、系統的に変えられる。 例えば、リンカーのジオメトリは、2個の配位子をベンゼン環のオルト位、メタ位およびパラ位に結合することにより、
    またはシクロヘキサンコアの周りの1,1−位対1,2−位対1,3−位対1,
    4−位で、シスまたはトランス配置にて、またはエチレン不飽和の点でのシスまたはトランス配置で結合することにより、変えられる。 リンカーの剛性は、このリンカーに対して可能な異なる立体配座状態の数および相対エネルギーを制御することにより、変えられる。 例えば、1,8−オクチルリンカーで結合した2個の配位子を持つ二価化合物は、2個の配位子がビフェニルリンカーの4,4'−
    位に結合した化合物よりも、ずっと多い自由度を有し、従って、より堅くない。

    【0207】 (リンカーの物理的特性) リンカーの物理的特性は、名目上、リンカーの化学構造および結合パターンにより決定され、リンカーの物理的特性は、それを含む候補多結合化合物の全体的な物理的特性に影響を与える。 リンカー組成の範囲は、典型的には、その候補多結合化合物中の一定範囲の物理的特性(疎水性、親水性、両親媒性、極性、酸性および塩基性)を与えるように、選択される。 リンカーの物理的特性の特定の選択は、それらが結合する配位子の物理的特性に関連して行われ、好ましくは、その目標は、有利なPK/ADME特性を備えた分子を生成することである。 例えば、リンカーは、親水性過ぎて、または疎水性過ぎてインビボで容易に吸収されることができない、および/または分布されることができないものは避けるように選択され得る。

    【0208】 (リンカーの化学的官能基) リンカーの化学的官能基は、リンカーを配位子に結合させるために選択された化学的性質と適合性であり、そしてこのパラメータの最初の試験にまたがるに十分な物理的性質の範囲を与えるにように選択される。

    【0209】 (コンビナトリアル合成) 上で概説した方法によってn個の配位子(nは、選択した各配位子に対する異なる結合点の数の合計により、決定される)およびm個のリンカーのセットを選択すると、(n!)m個の候補二価多結合化合物のライブラリが作成され、これは、特定の標的に対する関連した多結合設計パラメータに及ぶ。 例えば、全ての可能な組合せで結合された2個の配位子(1個は、2個の結合点(A1、A2)
    を有し、そして1個は、3個の結合点(B1、B2、B3)を有する)から作成したアレイは、少なくとも15個の可能な多結合化合物の組合せを与える。

    【0210】

    【数2】

    これらの組合せの各々を10個の異なるリンカーにより結合するとき、150個の候補多結合化合物のライブラリが得られる。

    【0211】 このライブラリの組合せの性質を考えれば、共通の化学的性質は、好ましくは、これらの配位子上の反応性官能基をこれらのリンカー上の相補的な反応性官能基と結合するのに、使用される。 従って、このライブラリは、それ自体、有効な並行合成法に役立つ。 このコンビナトリアルライブラリは、当該技術分野で周知の固相化学を使用でき、ここで、その配位子および/またはリンカーは、固体支持体に結合される。 あるいは、好ましくは、このコンビナトリアルライブラリは、溶液相で調製される。 合成後、候補多結合化合物は、必要に応じて、例えば、
    クロマトグラフィー法(例えば、HPLC)により、活性についてアッセイする前に、精製される。

    【0212】 (生化学的方法、分析方法、薬理学的方法およびコンピューターを使用する方法によるアレイの分析) どの化合物が多結合特性を持っているかを決定するために、このライブラリ中の候補多結合化合物の特性および活性を特徴付けるのに、種々の方法が使用される。 種々の溶媒条件下での溶解度およびlogD/clogD値のような物理的定数が決定できる。 NMR分光法およびコンピューターを使用する方法の組合せは、流体媒体中での候補多結合化合物の低エネルギー立体配座を決定するのに、
    使用される。 このライブラリのメンバーが所望の標的および他の標的に結合する能力は、種々の標準方法により決定され、これには、レセプタおよびイオンチャンネル標的に対する放射性配位子置換アッセイ、および多くの酵素標的に対する動力学的阻害分析が挙げられる。 インビトロ有効性(例えば、レセプタアゴニストおよびアンタゴニストに対する)、イオンチャンネル遮断薬、および抗菌活性もまた、決定できる。 薬理学的なデータ(経口吸収、反転腸浸透(everte
    d gut penetration)、他の薬力学的パラメータを含む)および有効性のデータは、適切な方法で、決定できる。 このようにして、多結合設計パラメータに重要な構造−活性関係が得られ、これは、次に、将来の研究に向けて使用される。

    【0213】 このライブラリのメンバーのうち、本明細書中で定義したような多結合特性を示すものは、通常の方法により、容易に決定できる。 まず、多結合特性を示すメンバーは、(インビトロおよびインビボの両方で)、通常のアッセイを含めた上記の通常の方法により、同定される。

    【0214】 第二に、多結合特性を示す化合物の構造を同定することは、当該技術分野で認められた手順によって、達成できる。 例えば、このライブラリの各メンバーは、
    コード化または適切な情報でタグ化でき、後の時点で、関連したメンバーの構造を決定できるようになる。 例えば、Dowerら、国際特許出願公開第WO93
    /06121号;Brennerら、Proc. Natl. Acad. Sci.
    ,USA,89:5181(1992);Gallopら、米国特許第5,84
    6,839号を参照のこと;これらの各々は、全体として本明細書中で参考として援用されている。 あるいは、関連した多価化合物の構造はまた、当該技術分野で公知の方法(例えば、Hindsgaulら、カナダ特許出願第2,240,
    325号(これは、1998年7月11日に公開された)により記述された方法)により、候補多価化合物の可溶性でタグ化されていないライブラリから、決定できる。 このような方法は、フロンタルアフィニティークロマトグラフィーを質量分光法と組み合わせて、候補多結合化合物の構造およびレセプタとの相対的結合親和性の両方を決定する。

    【0215】 二量体候補多結合化合物について上で示した方法は、もちろん、三量体候補化合物およびそのさらに高次の類似物に拡張できる。

    【0216】 (追加アレイの追跡合成および分析) 最初のライブラリの分析によって得られた情報に基づいて、この方法の任意の要素には、特定の相対的な配位子配向、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリなどにより規定された1個またはそれ以上の有望な多結合「リード」化合物を確認することがある。 次いで、これらのリードの周りで、追加ライブラリが作成でき、活性関係に対して、構造に関する情報をさらに提供する。 これらのアレイは、典型的には、標的での標的親和性および/または活性(アンタゴニズム、部分アゴニズムなど)をさらに最適化するために、および/または物理的特性を変えるために、リンカー構造のさらに集中した変化を持つ。 古典的な医薬品化学、生化学および薬理学のアプローチと共に多結合設計の新規な原理を使用する反復再設計/分析により、その標的に対して、および治療剤としての生物学的な利点を示す最適な多結合化合物を調製し同定できる。

    【0217】 この手順をさらに精巧にするために、適切な二価リンカーには、例としてのみ、以下から誘導したものが挙げられる:ジカルボン酸、ジスルホニルハライド、
    ジアルデヒド、ジケトン、ジハロゲン化物、ジイソシアネート、ジアミン、ジオール、ならびにカルボン酸、スルホニルハライド、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化物、イソシアネート、アミンおよびジオールの混合物。 各場合では、このカルボン酸、スルホニルハライド、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化物、イソシアネート、アミンおよびジオールの官能基は、この配位子上の相補的な官能基と反応されて、共有結合を形成する。 このような相補的な官能基は、以下の表で例示されるように、当該技術分野で周知である:

    【0218】

    【表2】

    代表的なリンカーには、以下で示すようにX−1〜X−418として同定された以下のリンカーが挙げられる:

    【0219】

    【表3】

    本発明で使用するための代表的な配位子には、例として、サルタン配位子(例えば、ロサルタン化合物およびバルサルタン化合物)が挙げられ、これらは、L


    −1と命名されている。

    【0220】 本発明による配位子(L)とリンカー(X)との組合せには、例としてのみ、
    ホモ−およびヘテロ二量体が挙げられ、ここで、第一配位子は、L−1から選択され、そして第二配位子およびリンカーは、以下から選択される:

    【0221】

    【数3】

    (薬学的処方物) 式Iの化合物は、薬物として使用するとき、通常、薬学的組成物の形態で投与される。 本発明は、従って、以下を含有する薬学的組成物を提供する:活性成分として上記式Iの1種またはそれ以上の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩、および1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な賦形剤、キャリア、希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤および補助剤。 これらの化合物は、単独で、または他の治療剤(例えば、他の血圧降下剤、利尿薬など)と組み合わせて、投与され得る。 このような組成物は、薬学技術分野で周知の様式で、調製される(例えば、R


    emington's Pharm. Sci. ,Mack Publishin


    g Co. ,Philadelphia,PA,第17版(1985)およびM


    odern Pharm,Marcel Dekker,Inc. ,第3版(G


    . S. Banker & C. T. Rhodes編)を参照)。

    【0222】 式Iの化合物は、類似の有用性を有する受容された薬剤投与様式のいずれか(
    例えば、経口、非経口、直腸、舌下、鼻腔内または経皮経路)により、投与され得る。 最も適切な経路は、処置する状態の性質および重症度に依存する。 経口投与は、本発明の化合物に好ましい経路である。 本発明の組成物を製造する際に、
    その活性成分は、通常、賦形剤により希釈されるか、またはカプセル、袋(sa
    chet)、紙または他の容器の形状であり得るようなキャリア内に封入される。 この賦形剤は、希釈剤として供されるとき、固形状物質、半固形状物質または液状物質であり得、これは、この活性成分に対して、ビヒクル、キャリアまたは媒体として作用する。 それゆえ、これらの組成物は、錠剤、丸薬、散剤、舐剤、
    サシェ剤(sachet)、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、
    シロップ、エアロゾル(固形状媒体としてまたは液状媒体中で)、軟膏(これは、例えば、10重量%までの活性化合物を含有する)、軟質および硬質ゼラチンカプセル、座薬、滅菌注射可能溶液、および滅菌包装散剤の形状であり得る。 この活性剤の薬学的に受容可能な塩は、合成有機化学の当業者に公知の標準的な手順(これは、例えば、J.Marchにより、Advanced Organi
    c Chem. Reactions,Mechanisms and Stru
    cture,第4版(N.Y.:Wiley−Interscience,19
    92)で記述されている)を使用して、調製され得る。

    【0223】 適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、
    アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。 これらの処方物は、さらに、以下を含有できる:潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油);湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;防腐剤(例えば、メチルおよびプロピルヒドロキシ−ベンゾエート);甘味料;および矯臭剤。

    【0224】 本発明の組成物は、当該技術分野で公知の手順を使用して患者に投与した後、
    その活性成分の迅速放出、持続放出または遅延放出を与えるように、処方できる。 経口投与用の制御放出薬剤送達システムには、浸透ポンプ(osmotic
    pump)システムおよび溶解システム(これは、高分子被覆レザバまたは薬剤−高分子マトリックス処方物を含有する)が挙げられる。 制御放出システムの例は、米国特許第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902
    ,514号;および第5,616,345号で示されている。 本発明の方法で使用するのに好ましい他の処方物は、経皮送達装置(「パッチ」)を使用する。 このような経皮パッチは、制御した量で本発明の化合物を連続注入または非連続注入するのに、使用され得る。 薬剤を送達するための経皮パッチの構造および使用は、当該技術分野で周知である。 例えば、米国特許第5,023,252号;第4,992,445号および第5,001,139号を参照せよ。 このようなパッチは、薬剤の連続的、断続的(palsatile)または応需型(on d
    emand)の送達のために、構成され得る。

    【0225】 これらの組成物は、好ましくは、単位投薬形態で、処方される。 「単位投薬形態」との用語は、ヒト被験体および他の哺乳動物に対して単一投薬量として適切な物理的に別個の単位を意味し、各単位は、適切な薬学的賦形剤(例えば、錠剤、カプセル、アンプル)と共同して、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。 この活性化合物は、広い投薬量範囲にわたって有効であり、そして一般に、薬学的に有効な量で、投与される。 好ましくは、経口投与には、各投薬単位は、1〜1000mgの式Iの化合物を含有し、また、非経口投与には、好ましくは、0.1〜600mgの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含有する。 しかしながら、実際に投与される化合物の量は、
    関連した状況(これには、処置される状態、選択した投与経路、投与する実際の化合物およびその相対的な活性、個々の患者の年齢、体重および応答性、患者の症状の重症度などが挙げられる)を考慮して、医師により決定されることが分かる。

    【0226】 錠剤のような固形組成物を調製するためには、その主要な活性成分は、薬学的賦形剤と混合されて、固形状の予備薬学的組成物(これは、本発明の化合物の均一混合物を含有する)を形成する。 これらの予備薬学的組成物を均一と呼ぶとき、この活性成分は、この組成物が同等に有効な単位投薬形態(例えば、錠剤、丸薬およびカプセル)に容易に細分され得るように、この組成物全体にわたって一様に分散されていることを意味する。

    【0227】 本発明の錠剤または丸薬は、被覆されるか、またはそうでなければ、配合されて、作用延長という利点を与える投薬形態を与える。 例えば、この錠剤または丸薬は、内部投薬成分および外部投薬成分を含有でき、後者は、前者の上を覆った外被の形状である。 これらの2種の成分は、腸溶性層(これは、胃内での崩壊に抵抗して、その内部成分を無傷のまま十二指腸に通すかまたは放出を遅延するために、供される)により、分離できる。 このような腸溶性層または被覆には、種々の材料が使用でき、このような材料には、多数の高分子酸、および高分子酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。

    【0228】 本発明の新規組成物が経口または注射による投与のために組み込まれ得る液体形態には、水溶液、適切に風味を添えたシロップ、水性または油性懸濁液、および食用油(例えば、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、やし油または落花生油
    で風味を添えた乳濁液ならびにエリキシル剤および類似の薬学的ビヒクルが挙げられる。

    【0229】 吸入またはガス注入用の組成物には、薬学的に受容可能な水性溶媒または有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が挙げられる。
    この液状または固形状組成物は、上記のような適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含有し得る。 好ましくは、これらの組成物は、局所効果または全身効果のために、経口または鼻内呼吸経路により、投与される。 好ましい薬学的に受容可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスを使用することにより、噴霧され得る。 噴霧した溶液は、噴霧装置から直接的に吸入され得るか、または噴霧装置は、フェースマスクテント、または間欠性陽圧呼吸器に装着され得る。 溶液、懸濁液または粉末組成物は、好ましくは、この処方物を適切な様式で送達する装置から、好ましくは経口的または鼻内的に投与され得る。

    【0230】 以下の処方物実施例は、本発明の代表的な薬学的組成物を例示する。

    【0231】 (処方実施例1) 以下の成分を含有する硬質ゼラチンカプセルを調製する: 量 成分 (mg/カプセル) 活性成分 30.0 デンプン 305.0 ステアリン酸マグネシウム 5.0 上記成分を混合し、340mgの量で、硬質ゼラチンカプセルに充填する。

    【0232】 (処方実施例2) 以下の成分を用いて、錠剤処方物を調製する: 量 成分 (mg/錠剤) 活性成分 25.0 微結晶セルロース 200.0 コロイド状二酸化ケイ素 10.0 ステアリン酸 5.0 これらの成分を混合し、圧縮して、錠剤(各々は、240mgの重さである)
    を形成する。

    【0233】 (処方実施例3) 以下の成分を含有する乾燥粉末吸入器処方物を調製する: 成分 重量% 活性成分 5 ラクトース 95 この活性成分をこのラクトースと混合して、この混合物を乾燥粉末吸入器に添加する。

    【0234】 (処方実施例4) 以下のようにして、錠剤(各々は、活性成分30mgを含有する)を調製する: 量 成分 (mg/錠剤) 活性成分 30.0 デンプン 45.0 微結晶セルロース 35.0 ポリビニルピロリドン(滅菌水中の10%溶液として) 4.0 カルボキシメチルデンプンナトリウム 4.5 ステアリン酸マグネシウム 0.5 タルク 1.0 全量 120.0 この活性成分、デンプンおよびセルロースを、No. 20メッシュU. S. ふるいに通し、充分に混合する。 得られた粉末に、ポリビニルピロリドンの溶液を混合し、これを、次いで、16メッシュU. S. ふるいに通す。 そのように生成した顆粒を、50℃〜60℃で乾燥し、そして16メッシュU. S. ふるいに通す。 次いで、これらの顆粒に、No. 30メッシュU. S. ふるいに予め通したカルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを添加し、混合後、錠剤機で圧縮して、錠剤(各々は、120mgの重さである)を得る。

    【0235】 (処方実施例5) 以下のようにして、カプセル(各々は、40mgの医薬を含有する)を製造する: 量 成分 (mg/カプセル) 活性成分 40.0 デンプン 109.0 ステアリン酸マグネシウム 1.0 全量 150.0 この活性成分、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、No. 2
    0メッシュU. S. ふるいに通し、そして150mgの量で、硬質ゼラチンに充填する。

    【0236】 (処方実施例6) 以下のようにして、座薬(各々は、25mgの活性成分を含有する)を製造する: 成分 量 活性成分 25.0mg 飽和脂肪酸グリセリド 2,000.0mg この活性成分を、No. 60メッシュU. S. ふるいに通し、そして必要な最小の熱を用いて予め溶融した飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。 この混合物を、
    次いで、2.0gの見かけ容量の座薬鋳型に注ぎ、そして冷却させる。

    【0237】 (処方実施例7) 以下のようにして、懸濁液(各々は、5.0mLの用量あたり、50mgの薬剤を含有する)を製造する: 成分 量 活性成分 50.0mg キサンタンガム 4.0mg カルボキシメチルセルロースナトリウム(11%) 微結晶セルロース(89%) 50.0mg スクロース 1.75g 安息香酸ナトリウム 10.0mg 香料および着色料 任意の量 純水 5.0ml この活性成分、スクロースおよびキサンタンガムを混合し、No. 10メッシュU. S. ふるいに通し、次いで、この微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの予め製造した水溶液と混合する。 この安息香酸ナトリウム、香料および着色料を、この水の一部で希釈し、そして攪拌しながら添加する。 次いで、必要な容量を生じるのに充分な水を添加する。

    【0238】 (処方実施例8) 量 成分 (mg/カプセル) 活性成分 15.0mg デンプン 407.0mg ステアリン酸マグネシウム 3.0mg 全量 425.0mg この活性成分、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、No. 2
    0メッシュU. S. ふるいに通し、そして425.0mgの量で、硬質ゼラチンカプセルに充填する。

    【0239】 (処方実施例9) 以下のようにして、皮下処方物を調製し得る: 成分 量 活性成分 5.0mg トウモロコシ油 1.0mL しばしば、直接的または間接的のいずれかで、この薬学的組成物を脳に導入するのが望ましいかまたは必要である。 直接的な方法は、通常、薬剤送達カテーテルをホストの脳室系に配置して血液−脳関門をバイパスすることを包含する。 生物学的因子を身体の特定の解剖学的領域に運搬するのに使用するこのような送達システムの1つは、米国特許第5,011,472号で記述されており、その内容は、本明細書中で参考として援用される。

    【0240】 間接的な方法(これは、一般に、好ましい)は、通常、この組成物を処方して、親水性薬剤を脂質溶解性薬剤に転化することにより、薬剤ラテンティエーション(latentiation)を与えることを含む。 ラテンティエーションは、一般に、この薬剤上に存在している水酸基、カルボニル基、スルフェート基および第一級アミン基を遮断して、この薬剤をさらに脂質溶解性にし、そして血液−脳関門を横切る輸送を受けやすくすることにより、達成される。 あるいは、親水性薬剤の送達は、血液−脳関門を一時的に開くことができる高浸透圧性溶液の動脈内注入により、高められ得る。

    【0241】 (合成実施例) (実施例1(図6A)) ヒドロキシ連結したロサルタン二量体マルチバロマーの合成 A. 2を得るためのイミダゾール1のアルキル化 Greenlee,W. J. ,Biorg. Med. Chem. Lett. ,
    1993,3(4),557〜660のようにして、TBS保護イミダゾール1
    を調製する。 イミダゾール1(604mgs、2mmol)をDMF(10ml
    s、約0.2M)に溶解し、次いで、NaH(48mgs、2mmol)で処理し、この反応物を、室温で、30分間攪拌する。 次いで、DMF(5mls)溶液として、臭化ビアリール(300mgs、1mmol)を添加し、この反応物を、さらに60分間攪拌する。 この反応物を真空中で濃縮する。 この粗反応混合物を、酢酸エチル(25mls)と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を乾燥し(MgSO 4 )、濾過し、そして真空中で濃縮する。 フラッシュクロマトグラフィーにより、所望物質2を得る。

    【0242】 B. アルコール3を得るためのTBSエーテル2の脱保護 シリルエーテル2(1.02g、2mmol)をTHF(10mls、約0.
    2M)に溶解し、THF(3mls、3mmol)中の1M TBAFを添加し、この反応物を、室温で、2時間攪拌させる。 この反応物を真空中で濃縮し、そして酢酸エチル(25mls)と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を乾燥し(MgSO 4 )、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望物質3を得る。

    【0243】 C. マルチバロマー4を得るための3の第一級ヒドロキシルを介した二量化 第一級アルコール3をDMF(10mls、約0.2M)に溶解し、そして0
    ℃まで冷却し、NaH(48mgs、2mmol)を添加して、この反応物を、
    この温度で、30分間攪拌する。 二臭化物(260mgs、1mmol)をDM
    F(10mls)に溶解し、そしてシリンジポンプを経由して、60分間にわたって、このアルコキシド溶液に添加する。 この反応物を真空中で濃縮し、そして酢酸エチル(25mls)と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を乾燥し(MgSO 4 )、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望のマルチバロマー4を得る。

    【0244】 D. ロサルタンマルチバロマー5への二量体テトラゾール4の脱保護 この二量体保護テトラゾール(1.17g、1mmol)をメタノール(5m
    ls、約0.2M)に溶解し、そしてメタノール中の1M HCl(3mls、
    3mmol)で処理して、この反応物を、室温で、60分間攪拌する。 この時間の後、この反応物を真空中で濃縮する。 この反応物を、酢酸エチル(25mls
    )と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を分離し、乾燥し(MgS
    4 )、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、ロサルタンマルチバロマー5を得る。

    【0245】 (実施例2(図6B)) 第一級ヒドロキシルを介して連結された二量体ロサルタンマルチバロマー(これは、ヒドロキシル連結マルチバロマーまたはテトラゾール連結マルチバロマーのいずれかを調製するのに、使用され得る)の合成 A. イミダゾール1のアルキル化 イミダゾール1(276mgs、2mmol)を、0℃で、ナトリウムメトキシド(2mmol)のメタノール(10mls)攪拌溶液(2mmol、メタノールに溶解したナトリウム46mgs)に添加する。 この溶媒を真空中で除去し、このように形成されたイミダゾールのナトリウム塩をDMF(10mls)に溶解する。 臭化ビアリール(542mgs、2mmol)を添加し、この反応物を、室温で、12時間攪拌する。 次いで、この溶媒を真空中で除去し、この反応物を、酢酸エチル(25mls)と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を合わせ、MgSO 4で乾燥し、この中の溶媒を真空中で除去する。 この粗反応混合物のフラッシュクロマトグラフィーにより、アルキル化イミダゾール2
    を得る。

    【0246】 B. 二量体3を得るためのアルコール2のアルキル化 水素化ナトリウム(48mgs、2mmol)をDMF(10mls)に溶解し、攪拌しながら、アルコール2(760mgs、2mmol)を添加する。 この反応物を、室温で、攪拌させる。 DMF中の二臭化ベンジル(benzyli
    c dibromide)(261mgs、1mmol)を、シリンジポンプを経由して、2時間にわたって滴下する。 この反応物を、室温で、さらに2時間攪拌させる。 この反応物をNH 4 Cl水溶液で処理し、そして酢酸エチル(25m
    ls)と水(25mls)との間で分配する。 その有機層を分離し、MgSO 4
    で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、純粋な二量体3を得る。

    【0247】 C. 二量体テトラゾール4への二量体ニトリル3の転化 二量体3(430mgs、1mmol)をキシレン(20mls)に溶解し、
    トリメチルスタンニルアジド(615mg、3mmol)を添加し、この反応物を、キシレン(20mls)中にて、24時間にわたって、還流状態まで加熱する。 この溶媒を真空中で除去し、この粗反応混合物を、メタノール(20mls
    )中の2N NaOHで処理して、そのN−スタンニル基を除去する。 この溶媒を真空中で除去し、この反応物を水に溶解し、その溶液を中和する(pH=7)
    。 この生成物を酢酸エチルで抽出する(25mls×3)。 その有機層をMgS
    4で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の二量体テトラゾール4を得る。

    【0248】 (実施例3(図6C)) 第一級ヒドロキシルの存在下にて、テトラゾールの選択的アルキル化を使用して、テトラゾール官能基のN3を介して連結されたロサルタン二量体マルチバロマーの合成 A. テトラゾール2へのニトリル1の転化 上記のように調製したビアリールニトリル1(380mgs、2mmol)をキシレン(10mls)に溶解し、そしてトリメチルスタンニルアジド(820
    mgs、4mmol)を添加する。 この反応物を、還流状態で、24時間加熱する。 この反応物を冷却し、この溶媒を真空中で除去する。 この粗反応混合物を、
    メタノール(20mls)中の1N NaOHで処理して、そのN−スタンニル結合を加水分解する。 このメタノールを真空中で除去し、この粗反応混合物を水に溶解し、そして1M HClで中和する。 この生成物は、酢酸エチル(3×2
    5mls)を用いて、その水相から抽出する。 その有機層をMgSO 4で乾燥し、この乾燥剤を濾過し、この溶媒を真空中で濾過する。 この粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望のテトラゾール2を得る。

    【0249】 B. 二量体3へのテトラゾール2の転化 テトラゾール2(844mgs、2mmol)をDMF(5mls)に溶解し、そしてNaH(48mgs、2mmol)で処理し、この反応物を、室温で、
    20分間攪拌する。 シリンジポンプを経由して、1時間にわたって、このテトラゾール溶液に、DMF(10mls)中の二臭化物アルキル化剤(260mgs
    、1mmol)を添加する。 この反応物を、室温で、さらに1時間攪拌する。 この反応物を真空中で濃縮し、そして酢酸エチル(25mls)と水(25mls
    )との間で分配する。 その有機層を分離し、乾燥し(MgSO 4 )、濾過し、そして真空中で濃縮する。 この粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の二量体3を得る。

    【0250】 本発明は、その具体的な実施態様を参照して記述されているものの、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得、その等価物で代用し得ることは、当業者に理解されるべきである。 それに加えて、特定の状況、物質の組成、方法、方法工程を、本発明の目的の精神および範囲に適合させるために、多くの改変がなされ得る。 このような改変の全ては、添付の請求の範囲の範囲内であると解釈される。

    【0251】 本願で引用した全ての出版物、特許出願および特許の内容は、各個々の出版物、特許出願または特許の内容が、具体的かつ個々に、その全体で本明細書中で参考として援用されているごとく、同じ範囲まで、その全体で本明細書中で参考として援用されている。

    【0252】

    【表4】

    【0253】

    【表5】

    【0254】

    【表6】

    【0255】

    【表7】

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、レニン−アンギオテンシン系(RAS)を図解で描写している。

    【図2A】 図2Aは、二価化合物にて配位子(中塗り円)を提示するために、そのリンカーのジオメトリを最適化する方法を図示している: A. フェニルジアセチレンコア構造。

    【図2B】 図2Bは、二価化合物にて配位子(中塗り円)を提示するために、そのリンカーのジオメトリを最適化する方法を図示している: B. シクロヘキサンジカルボン酸コア構造。

    【図3A】 図3Aは、代表的なリンカー「コア」構造を示す。

    【図3B】 図3Bは、代表的なリンカー「コア」構造を示す。

    【図4A】 図4Aは、異なる形式でリンカーに結合した(A)2個の配位子を含有する多結合化合物の例を図示している。

    【図4B】 図4Bは、異なる形式でリンカーに結合した(B)3個の配位子を含有する多結合化合物の例を図示している。

    【図4C】 図4Cは、異なる形式でリンカーに結合した(C)4個の配位子を含有する多結合化合物の例を図示している。

    【図4D】 図4Dは、異なる形式でリンカーに結合した(D)4個より多い配位子を含有する多結合化合物の例を図示している。

    【図5A】 図5Aは、配位子ロサルタンを図示しており、これは、多結合化合物を調製する際に、使用され得る。 改変できる可能性がある位置は、矢印で示されている(
    A)。

    【図5B】 図5Bは、配位子ロサルタンを図示しており、これは、多結合化合物を調製する際に、使用され得る。 図5Aに示された部位の例は、(B)に記載される。

    【図5C】 図5Cは、配位子ロサルタンを図示しており、これは、多結合化合物を調製する際に、使用され得る。 分子内の官能基を使用するマルチバロマーおよび結合点を導入することにより作成されたマルチバロマーが示されている(C)。

    【図6A】 図6Aは、本発明の多結合化合物を調製するのに好都合な方法を図示ている。

    【図6B】 図6Bは、本発明の多結合化合物を調製するのに好都合な方法を図示ている。

    【図6C】 図6Cは、本発明の多結合化合物を調製するのに好都合な方法を図示ている。

    【図7】 図7は、テトラゾール連結マルチバロマーを使用して例示されるように、異なる価数のマルチバロマー(二量体、三量体および四量体)を図示している。

    【図8】 図8は、ロサルタンマルチバロマーのための異なる骨格構築ブロックを図示している。

    【図9】 図9は、ロサルタンマルチバロマーのための異なる相対的結合性を図示している。

    【図10】 図10は、ロサルタンおよびバルサルタンの代表的なヘテロバロマーを図示している。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/506 A61K 31/506 31/519 31/519 A61P 9/10 101 A61P 9/10 101 43/00 116 43/00 116 C07D 235/18 C07D 235/18 249/12 505 249/12 505 257/04 257/04 C 471/04 107 471/04 107Z 118 118Z 487/04 137 487/04 137 146 146 // C07K 7/14 ZNA C07K 7/14 ZNA 16/28 16/28 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 トーマス, ジー. ロジャー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94010, バーリンゲーム, パーク アベニュー 812 (72)発明者 グリフィン, ジョン エイチ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94027, アザートン, ウォルナット アベニュ ー 56 Fターム(参考) 4C050 AA01 BB06 BB08 CC07 EE03 EE04 FF02 GG03 HH04 4C063 AA01 BB03 BB06 CC47 CC92 DD25 EE01 4C065 AA04 BB06 BB11 CC01 DD03 EE02 HH01 HH02 JJ04 KK02 PP06 PP09 4C086 AA01 BC39 BC62 CB05 CB09 GA03 GA07 ZA42 ZA81 ZC02 4H045 AA10 BA14 CA40 DA51 DA57 EA22 EA28 FA30

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