Rapid and simple method for isolating a circular nucleic acids

申请号 JP2000550988 申请日 1999-05-27 公开(公告)号 JP2002516094A 公开(公告)日 2002-06-04
申请人 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング; 发明人 イェ カン; フィーリップ ザウアー;
摘要 (57)【要約】 環状核酸類以外の様々な種類の核酸類を含む混合物からの環状核酸類の分離及び/又は単離方法であって、混合物が、pHが8を超える(pH>8)アルカリ条件下において、少なくとも一種のカオトロピック物質が存在する主としてシリカ材から成る固体マトリックスによって処理される方法。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 環状核酸類以外の様々な種類の核酸類を含む混合物からの環状核酸類の分離及び/又は単離方法であって、前記混合物が、pHが8を超える(p
    H>8)アルカリ条件下において、少なくとも一種のカオトロピック物質が存在するシリカ材から本質的に成る固体マトリックスによって処理される方法。
  • 【請求項2】 環状核酸が二本鎖DNA、特にプラスミドである請求項1に記載の方法。
  • 【請求項3】 混合物が非環状核酸類及びRNA、一本鎖DNA、二本鎖直鎖D
    NA、若しくは開環二本鎖DNA、又はそれらの混合物のような少なくとも一つの他の種類の核酸類を含む請求項1及び/又は請求項2に記載の方法。
  • 【請求項4】 混合物が未精製バクテリア溶菌液のような生物由来のものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項5】 カオトロピック物質が、チオシアネート、尿素、グアニジニウム塩、過塩素酸塩、ハロゲン化物塩のようなカオトロピック塩であり、及び/又はカオトロピック物質がメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、若しくは前記カオトロピック物質の混合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項6】 シリカ材が、シリカ若しくはガラス繊維膜、粉末、ビーズ若しくはフリットのような粒状のガラス若しくはシリカ、及び/又はいくつかの膜層(
    多層膜)のストック(stucks)を含むシリカゲル膜である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項7】 シリカ材が、シリカ又はガラス繊維表面のようなシリカでできた表面を有する磁石に引き付けられるビーズである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項8】 得られた混合物のpHを特に8〜12に調節するために、アルカリ条件がオメガアミノ酸のような両性物質の水溶液を添加することによって調節される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項9】 384又は96ウェルのようなマルチウェルプレートにおいて行われる請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  • 【請求項10】 自動化された方法によって行われる請求項1〜9のいずれか1
    項に記載の方法。
  • 【請求項11】 以下の工程段階が行われる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 −細胞溶解 −直鎖DNAのシリカ材への結合を妨げるプラスミドDNAの選択的結合のために適当な条件の調節 −プラスミドDNAのシリカ表面への選択的吸着 −シリカ材の洗浄 −シリカ材からのプラスミドDNAの溶出
  • 【請求項12】 6〜9Mのチオシアン酸ナトリウム、0〜20容量%のエタノール又はイソプロパノールのようなC 1 〜C 4アルコール、25〜130mMの緩衝物質、好ましくはω−アミノ酸を含む水性緩衝液。
  • 【請求項13】 請求項12に記載の水性緩衝液及びシリカでできた表面を有する、又は有さないカラム、シリカでできた材料の懸濁液、再懸濁緩衝液、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液のような追加の緩衝液、取扱い説明書のような補助的な材料を含むキット。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 本発明は、様々な種類の核酸類を含む混合物からの環状核酸類の分離方法に関する。 更に、前記方法のための性緩衝液を開示する。

    【0002】 分子生物学における多くの技術は一般には純粋な核酸類を、特にプラスミドD
    NAを必要とする。

    【0003】 プラスミド類は、染色体DNA以外に特定の生物において見出される二本鎖閉環(circular closed)DNA分子である。 そのような生物の例としては、いくつかの酵母及び植物細胞並びに全ての種類のバクテリアが挙げられる。 染色体DN
    Aは細胞が生存するために必要な全ての情報を含むのに対して、自然発生プラスミドは、ある特定の周辺条件下において宿主細胞に対して利益をもたらす追加の遺伝的成分である。

    【0004】 プラスミド類は、染色体DNAから自発的に複製するという事実、及びそれらが−染色体DNA以外において−バクテリアから完全な(intact)状態で単離され得るという事実により、分子生物学における好ましい道具である。 それらは、市販の制限エンドヌクレアーゼによって特異的認識配列において加水分解され、外来(foreign)DNAのフラグメントと連結され、DNAポリメラーゼによって増殖され、そして適当な細胞に転移され得る。

    【0005】 それ故、プラスミドDNAの単離は、PCR反応、配列決定反応、クローニング反応、制限加水分解、形質転換及びトランスフェクション(transfection)のようなその後の分子生物学試験のためにしばしば前もって必要とされる(prerequis
    ite)。

    【0006】 バクテリア細胞からのプラスミドDNAの単離のためのいくつかの方法が知られている。 これらの方法全てに共通していることは、以下のスキームを行うことである: 1. 清澄化溶菌液(cleared lysate)の形成 2. 清澄化溶菌液からのプラスミドDNAの精製 清澄化溶菌液の形成のための段階は、様々な方法間でほぼ同一であり、特徴的な違いは清澄化溶菌液からのプラスミドDNAの精製の間にのみ生じる。

    【0007】 清澄化溶菌液の形成は、以下の段階を含む: −細胞溶解(cell lysis) −細胞成分の沈殿、次いで −清澄化溶菌液の形成のためのプラスミド含有溶液からの沈殿物の除去

    【0008】 細胞溶解は、ドデシル硫酸ナトリウムが存在するアルカリ条件下において通常行われ、その結果未精製(crude)バクテリア溶菌液が得られる。 染色体DNA、
    蛋白質、細胞砕片(debris)等のような細胞成分の精製のために、混合物を弱酸性pH(4.8〜5.0)に調整する酢酸カリウム又はナトリウム緩衝液を未精製溶菌液へ添加する。 プラスミドDNAは、これらの条件下では沈殿しないので、
    上澄み中に残存する。 沈殿物は、清澄化溶菌液を形成するために、遠心分離(サムブロック J.(Sambrook J.)、フリッシュ E.F.(Fritsch EF)、及びマニアチス T(Maniatis T)、“分子クローニング、ラボラトリー・マニュアル”
    、pp.7.49−7.50、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Co
    ld Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー、NY マニアチス、ラボラトリー・マニュアル(Cold Spring Harbor, NY Maniatis, L
    aboratory Manual)、濾過(EP 0 616 638 B1)、又は沈殿物を特異的に結合させない磁石に引き付けられるビーズ(mgnetically attractable beads)を用いる磁気分離(米国特許第5,681,946号及び米国特許第5,523,231号)
    のいずれかによってプラスミド含有溶液から除去される。

    【0009】 M. A. マルコ(MAMarko)らは、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal
    ytical Biochemistry)、Vol.121、No.2、1982年4月19日、pp.382-387において、バクテリア細胞から高度に精製されたプラスミドDNAを得るための分取用(preparative)工程を開示している。 この方法は、多数の試料を迅速にスクリーニングするために適当な状態で部分的に精製されたプラスミドが得られる初期工程から適用される。 上記方法において、全ての検出可能なRNA、染色体D
    NA及び蛋白質は、酵素、フェノール抽出、透析又は平衡遠心分離を用いずに除去される。 6Mの過塩素酸ナトリウム存在下でのガラス粉末へのプラスミドDN
    Aの結合は、最終精製段階のために使用される。

    【0010】 WO 95/01359には、核酸類の混合物のためのクロマトグラフィー精製及び分離工程が開示されている。 分離及び精製されるべき核酸類は、高い塩濃度(イオン強度)及び/又は高いアルコール濃度を有する溶液から基材上へ吸着され、次いで塩濃度(イオン強度)の低い溶液を用いて基材の脱着が行われる。 この工程は、核酸類の混合物が、金属酸化物及び/又は混合金属酸化物、シリカゲル、主としてガラスから成る無機物、酸化アルミニウム、ゼオライト、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムから成る多孔性若しくは細孔を有さない(non-porous)無機(min
    eral)基材上に吸着されることを特徴とする。 核酸類の混合物は、塩濃度(イオン強度)が高く、かつ1〜50容量%の炭素数が1〜5個の長鎖脂肪族アルコール、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)、並びに/又は疎水性無機及び/若しくは有機高分子、並びに/又はトリクロロ酢酸(TCA)のような有機酸を含む水性吸着溶液から基材上に吸着される。 必要であれば、核酸類の混合物は、洗浄溶液によってその後洗浄され、塩濃度(イオン強度)が更に低い溶液によって溶出され、そしてこのようにして得られた核酸又は核酸フラクションが回収される。

    【0011】 カーターM. J. (Carter, MJ)及びミルトンI. D. (Milton, ID)は、“
    ”核酸類の研究(Nucleic Acids Research)、1993、Vol.21、No.4、1993
    年1月11日において、シリカ粒子上でのDNA精製のための安価かつ簡便な方法を開示している。 その方法は、非アルカリ条件下においてマトリックスへ結合される既に高度に精製された核酸フラクションに関する溶解工程である。

    【0012】 WO-A 97/29190には、大腸菌(E.coli)中で高度に精製されたプラスミドDNA
    を製造するための秤量可能な(scalable)方法が開示されている。 この方法は、急激な(exponential)成長においてプラスミド含有細胞を高バイオマスに成長させること、及び培養液のpHを注意深く調整したpH値に上昇させることにより細胞を溶解することを含む。 この方法では、染色体DNAは変性されるが、プラスミドDNAは可逆的に再生される。 この方法は、インビボ(in vivo)及びエクスビボ(ex vivo)遺伝子治療における使用のための薬剤グレードの(pharmaceutical g
    rade)DNAの製造のために開発されている。

    【0013】 清澄化溶菌液からのプラスミドDNAの精製方法は−それらの基本的な原理に従って−異なるグループに要約することができる。

    【0014】 それらの一つは、密度勾配遠心分離(density gradient centrifugation)を利用する。 この技術は、塩化セシウム濃度を勾配させ(in a caesium chloride gra
    dient)、それらのサイズによって残存ゲノムDNA、RNA、蛋白質等のような清澄化溶菌液の成分を分離する。 プラスミドDNAを含有するフラクションは、
    遠心分離チューブに吸い込まれ、透析によって塩類から更に精製され、そして最終的にエタノール沈殿によって濃縮される。

    【0015】 もう一つのグループの方法は、液−液抽出原理に基づく。 清澄化溶菌液は、フェノール又はフェノールとクロロホルムとの混合物又はフェノール、クロロホルム及びアルコールの混合物によって数回抽出される。 これら抽出段階の間、蛋白質、染色体DNA、及び他の残存する細胞不純物は、有機相へ移され、一方プラスミドDNAは水相に残る。 フェノールからの痕跡(traces)は、クロロホルム又はクロロホルムとアルコールとの混合物によって数回抽出された。 DNAは、最終的に精製され、そしてエタノール沈殿によって濃縮される。

    【0016】 他の方法は、アニオン交換クロマトグラフィーに基づく。 清澄化溶菌液は、適当な塩及びpH条件下でアニオン交換樹脂上に適用される。 結合条件は、プラスミドDNAがアニオン交換材には結合するが、RNA、蛋白質、残存ゲノムDN
    Aのような不純物とは結合しないように調整される。 媒体イオン強度を調整した塩条件下で不純物を洗い流した後、純粋なプラスミドDNAが高イオン強度塩条件下で溶出される。 塩を除去するため、かつプラスミドDNAを濃縮するためには最後のエタノール沈殿が必要である。

    【0017】 シリカ材を用いるプラスミドDNAの精製は、もう一つの基本的原理である。
    それは、カオトロピック物質の存在下でDNAがシリカ材に吸着するという事実を用いる。 清澄化溶菌液は、カオトロピック緩衝液と混合され、次いでシリカ材、シリカ膜又は非結合(loose)シリカ粒子のいずれかへ適用される。 洗浄段階によって塩類を除去した後、DNAは塩濃度の低い緩衝液又は水によって溶出される。

    【0018】 バクテリアからのプラスミドDNAの単離のための全ての既知の方法は、清澄化溶菌液の形成を含む。 細胞粒子の沈殿、遠心分離、濾過、及び沈殿物に特異的に結合しない磁石に引き付けられるビーズを用いる磁気分離の後のバクテリア溶菌液を清澄にするための全ての既知の方法は、多くの(considerable)欠点を示す。 遠心分離による溶菌液の清澄化は、対応するプラスミド単離プロトコルにおいて、通常殆どの場合において消費段階(consuming step)である。 しかし、濾過による溶菌液の清澄化は、一般に対応するプロトコルの主な出費要因である適当なフィルターの適用が必要である。

    【0019】 本発明の目的は、環状核酸類、特に、そのような核酸類を特に含む供給源(sou
    rces)から直接得られるプラスミドDNAの単離方法を提供することである。 特に、核酸類は、清澄化溶菌液の形成を必要としない未精製バクテリア溶菌液から単離される。

    【0020】 本発明によって、従来技術の障害を回避する環状核酸類以外の様々な種類の核酸類を含む混合物からの環状核酸類の分離方法が開示される。

    【0021】 本発明によって、環状核酸類を含む混合物が、少なくとも一つのカオトロピック物質が存在する主にシリカ材から成る固体マトリックスを含むpH>8のアルカリ条件下で処理される。 特に、アルカリpHは、少なくとも9又は約10であり得る。 上限pH値は、個々の環状核酸によって決められる。 それは、例えば存在するカオトロピック塩の量や種類のような様々な条件によって決まる。 本発明の技術的教示を考慮して各分離条件をどのように最適化するかは、当業者の技術の範囲内である(in the normal skill of an artisan)。

    【0022】 好ましくは、環状酢酸は二本鎖DNA、特にプラスミドである。 本発明の好ましい態様において、本方法もまた、混合物が非環状核酸類、及びRNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、若しくは開環二本鎖DNAのような少なくとも1つの他の種類の核酸類、又はさらにそれらの混合物をも含む場合に、環状核酸類の分離を可能にする。 多くの場合、生物由来の混合物は、前述の核酸類を含む。 それらは未精製バクテリア溶菌液中にしばしば存在する。

    【0023】 好ましくは、使用されるべきカオトロピック物質は、チオシアン酸塩、尿素、
    グアニジニウム塩、過塩素酸塩、ハロゲニド(halogenid)塩のようなカオトロピック塩である。 好ましくは、各カオトロピックアニオンのアルカリ塩類である。
    メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、又は混合物のようなアルコール類もまた、本発明によりカオトロピック物質として使用され得る。

    【0024】 好ましくは、シリカ材はシリカ若しくはガラス繊維膜、粉末、ビーズ若しくはフリット(frits)のような粒状のガラス又はシリカである。 それは、磁石に引き付けられる、例えばシリカ又はガラス繊維表面のようなシリカでできた(silicac
    eous)表面を有する磁石に引き付けられるビーズを使用するために有利であり得る。

    【0025】 アルカリ条件は、何らかの適当なアルカリ反応物質、好ましくはオメガアミノ酸のような両性物質の水溶液を分離及び/又は単離されるべき環状核酸類を含む混合物へ添加することによって調整される。 ω−アミノ酸類のような弱酸及び強塩基部(moiety)を有する両性物質を使用することが好ましい。 その後、混合物中のpHを8〜12、より好ましくは9〜11、特に約10に調整することができる。

    【0026】 本発明はまた、6〜9M、好ましくは7〜8.5Mのチオシアン酸ナトリウム、0〜20容量%、好ましくは0〜15容量%、更に好ましくは5〜15容量%
    のエタノール又はイソプロパノールのようなC 1 〜C 4アルコール、並びに、緩衝物質、特に25〜130mMのアミノ酸類、好ましくはグリシンのようなω−アミノ酸類を含む水性緩衝液に関する。 リシン、アルギニン、及びヒスチジンのような塩基性アミノ酸もまた、使用することができる。

    【0027】 以下の好ましい態様において、本発明をより詳細に説明する。 本発明は、細胞成分を沈殿させ、そして遠心分離又は濾過によって沈殿物を除去することによる清澄化溶菌液の調製を不要にする、未精製バクテリア溶菌液からのプラスミドDNAの分離及び/又は単離方法に関する。

    【0028】 また特に、本発明は、染色体DNA又は未精製溶菌液からの他の細胞不純物はシリカ材へ結合させず、プラスミドDNAをシリカ材へ選択的に結合させる新規緩衝成分を使用することを含む未精製バクテリア溶菌液からのプラスミド精製の方法を提供する。 直鎖染色体DNAフラグメント及び他の細胞不純物の存在下におけるシリカ材へのプラスミドDNAの選択的結合は、高濃度のカオトロピック物質が存在するアルカリ結合条件を調節することによって達成される。

    【0029】 本発明によって分離されるべき混合物は、以下の段階を含む方法によって得ることができる: −細胞溶解 −直鎖DNAのシリカ材への結合を妨げるプラスミドDNAの選択的結合のために適当な条件の調節 −プラスミドDNAのシリカ表面への選択的吸着 −シリカ材の洗浄 −シリカ材からのプラスミドDNAの溶出

    【0030】 好ましくは、本発明の方法は細胞成分の沈殿及び溶菌液の清澄化をすることなく未精製バクテリア溶菌液からプラスミドDNAを精製するために使用される。
    本願明細書において使用される場合のプラスミドという用語は、閉環DNA分子、バクテリア細胞において自発的に複製し得る一本鎖又は二本鎖DNAのいずれかを意味する;それが自然発生プラスミドであるか、遺伝学的に設計されたものであるかは問わない。

    【0031】 本発明は、以下の段階を含む。 1. バクテリア細胞の溶解 2. 直鎖DNA及び全ての他の細胞成分の存在下におけるプラスミドDNAの選択的結合のための結合条件の調節 3. プラスミドDNAのシリカ材への結合 4. シリカ材の洗浄 5. プラスミドDNAの溶出

    【0032】 本発明の好ましい態様の一つにおいて、バクテリア細胞溶解は、伝統的なアルカリ溶解によって行われる。 バクテリア細胞が採取され、50mMのトリスCl
    、10mMのEDTA、pH8.0の300μg/mlのRNase Aを含む塩濃度の低い緩衝液中で再懸濁される(resuspended)。 RNase T2のような他の種類のRNaseを使用することもできるが、RNase Aは低価格で使用できるため商業的適用に最も適している。 バクテリア細胞は、強界面活性剤(s
    trong detergent)を含むアルカリ緩衝液添加後に溶解される。 この態様において最も有効な界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムであるが、ツイーン20(Twe
    en 20)、コレイン酸、デオキシコール酸(deoxycholic acid)、及びCHAPSのような他の界面活性剤は−より少量の場合に(to a lower amount of magnitude)
    −より強いアルカリ条件下でバクテリア細胞を溶解するのに適している。 プラスミド単離の目的のために最も有効な細胞溶解は、最終濃度が約100mMの水酸化ナトリウム及び約0.5%のドデシル硫酸ナトリウムを含む混合物中で行われる。

    【0033】 また、プラスミドDNAは、プロテアーゼK細胞消化(cell-digest)によって、または超音波溶解によって得られ得る“未精製溶菌液”から精製され得る。 本発明の方法は、アルカリ溶解によって行われる細胞の溶解に制限されない。

    【0034】 本発明の方法におけるプラスミドDNAの固定化は、少なくとも一つのカオトロピック物質の存在下におけるプラスミドDNAのシリカ材への選択的かつ特異的な結合によって行われる。 本願明細書において使用される場合のDNAのシリカ材への特異的結合という用語は、DNAが非特異的に付着されるだけでなく、
    シリカ材に吸着されることを意味する。 本願明細書において使用される場合のシリカ材という用語は、二酸化ケイ素の結晶及び/又はガラス粉末やゼオライトのような他の状態の二酸化ケイ素を意味するが、基材(basic solid)が膜、樹脂、
    非結合粒子、又は磁気ビーズであるか否かは問わない。 本願明細書において使用される場合のカオトロピック物質は、高分子の二次及び/又は三次及び/又は四次構造を、一次構造に影響を与えずに変えることができる全ての物質を意味する。 カオトロピック物質の例としては、イソチオシアン酸塩類、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、グアニジニウム塩類、尿素及び短鎖アルコール類が挙げられる。 カオトロピック物質は、一般に高分子の、特に核酸類の二次構造を変えることで知られている。 この変化は、二本鎖DNAの融点の低下によって測定することができる。 全て種類の核酸類、一本鎖DNA、二本鎖閉環DNA、二本鎖直鎖DNA及びRNAは、使用される(appropriated)カオトロピック条件下でシリカ上に固定化され得る。 シリカ材への核酸類の固定化のために最適なカオトロピック条件、例えばカオトロピック物質の種類及び濃度は、核酸類の種類によって異なる。 プラスミドDNAの典型的な結合条件は、4〜7のpHを示す2〜4
    Mの塩酸グアニジニウム又はチオシアン酸グアニジニウム溶液である。 特に最適な条件は、混合物の粘度、蛋白質及び他の物質の含有量に主として依存する。 しかし、一般には、この条件下では、環状二本鎖DNAが結合される場合、同程度の大きさの直鎖二本鎖DNAもまた結合される。

    【0035】 興味深いことに、カオトロピック性は水中でカオトロピック物質が溶解するときに調節するpH値に何らかの影響を示す。 カオトロピック効果を有するカオトロピック物質が使用される場合、pHシフトが起こることがある。 本発明によって核酸類の単離又は分離のために緩衝条件が選択される場合、操作中に使用されるであろうカオトロピック物質を溶解するときのpH調節を確認することが適切である。

    【0036】 プラスミド精製のための既知の方法は、カオトロピック塩類の存在下におけるプラスミドDNAのシリカ材への固定化を利用する。 この固定化段階はバクテリア清澄化溶菌液から行われる。 本願明細書において使用される場合のバクテリア清澄化溶菌液という用語は、細胞成分が沈殿及びその後の遠心分離又は濾過による沈殿の除去によって除去されるバクテリア細胞溶菌液を意味する。

    【0037】 本発明の好ましい態様によるプラスミド単離の工程において、シリカ材へのプラスミド結合は、未精製溶菌液から開始して行われる。 未精製バクテリア溶菌液という用語は、それぞれ、一般には分離段階によって、特に沈殿段階によっていずれの成分も本質的に除去されない溶解されたバクテリア細胞を意味する。 シリカ表面へのプラスミドDNAの結合のために普通に調節されたカオトロピック条件下において、存在する直鎖DNAフラグメント−例えば染色体DNAのせん断されたフラグメント−は、プラスミドDNAと共にシリカ材へ結合される。 従って、これらの方法は、不純物のないプラスミド精製物を得るために、ゲノムDN
    Aの沈殿及びその後の遠心分離又は濾過のいずれかによる除去を必要とする。

    【0038】 本発明による方法によって、混合物中に存在する染色体DNAではなくプラスミドDNAのみがシリカ表面へ本質的に結合する方法において、細胞成分の沈殿及び結合混合物中でのカオトロピック条件を調節することによる沈殿の除去の段階を回避することが可能になる。 これは、結合緩衝液としてアルカリpHを示す高モルカオトロピック混合物によって達成される。 ある範囲内のpH(pH12
    . 0〜12.5)において、プラスミドDNAは依然として変性されないのに対し、染色体DNAは変性される(バーンボイムH.C.及びドリーJ.(Birnbo
    im HC & Doly J.)、(1979)、“組換えプラスミドDNAのスクリーニングのための迅速なアルカリ抽出工程(A rapid alkaline extraction procedure
    for screening recombinant plasmid DNA)”、核酸類の研究(Nucleic Acids Re
    s)、1513−1523)。 pHがこの範囲の下限より低いならば、プラスミドDNA及び直鎖染色体DNAフラグメントのいずれも変性されず、pHがこのp
    H範囲の上限より高いならば、両方のDNAが変性される。 本発明による工程は、この範囲のpHが、高モルカオトロピック物質の存在下でより低いpH値へ移動し、かつ0.5pH単位〜3を超えるpH単位まで広げられるという事実を利用する。 このpH範囲の広がり及び完全な(absolute)pH値は、使用されるカオトロピック塩の種類及びその濃度に依存する。 カオトロピック塩の濃度が高くなり、かつカオトロピック塩が強くなると、直鎖DNAの変性は引き起こすがプラスミドの変性は引き起こさないpH範囲が低くなりかつ幅広くなる傾向がある。 この態様におけるカオトロピック物質は、前述のカオトロピック物質である。

    【0039】 更に、本発明は、これらの条件下で−アルカリpHにおける高モルカオトロピック物質の存在下で−直鎖DNAフラグメント(例えばせん断された染色体DN
    A)ではなく、閉環二本鎖DNA(例えばプラスミド)がシリカ材へ特異的に結合するという効果を利用する。 この範囲のpHにおいて効果的な全ての種類のp
    H緩衝液によって正確なpHに調節することができる。 燐酸緩衝液、グリシン緩衝液、及びホウ酸/水酸化ナトリウム緩衝液が例示される。 グリシン緩衝液は緩衝能が高いので、この目的に特に適していると考えられる。

    【0040】 本発明による方法のもう一つの態様は、それがバクテリア細胞のアルカリ溶解後に存在する全細胞成分の可溶化に影響を及ぼすことである。 これは、多糖類、
    蛋白質、ペプチド等のような存在する高分子の殆どをほぐす(unfold)高濃度カオトロピック物質が存在することによって部分的に影響を受ける。 それは、強活性剤の存在によって更に影響を受ける。 この態様において最も効果的な界面活性剤は、バクテリア細胞溶解中も重要な役割を果たすドデシル硫酸ナトリウムである。 可溶化されなければならない細胞成分は不均一なので、2度目の界面活性剤添加をすることが適切である。 この目的に適しているのは、カチオン界面活性剤を除く全ての種類の界面活性剤である。 従って、コレイン酸及びデオキシコール酸のようなアニオン界面活性剤、ツイーン20のような非イオン界面活性剤、CH
    APSのような両性界面活性剤が良好に作用する。

    【0041】 要約すると、本発明による結合緩衝液は、 1. 細胞成分の沈殿を回避することにより 2. プラスミドDNAではなく蛋白質及び染色体DNAを変性することにより 3. 一般には直鎖DNAフラグメントではなくプラスミドDNAのシリカ材への結合を、特にせん断された染色体DNAのシリカ材への結合を可能にするカオトロピック条件の調節を行うことにより、並びに 4. 細胞成分を均一な混合物に可溶化することにより 直鎖DNAフラグメントを含む全ての細胞成分の存在下でのプラスミドDNAのシリカ材への選択的結合を可能にする。

    【0042】 DNAのような核酸の固定化は、高濃度塩存在下での核酸のシリカ材への吸着によって行われる。 このことは、約20年に渡り分子生物学の分野において周知である(フォゲルスタインB.及びジルスピーD.(Vogelstein B. & Gillespie
    D.)、(1979)、“アガロースからのDNAの分取及び分析精製(Preparat
    ive and analytical purification of DNA from agarose)”、Proc. Natl. Aca
    d. Sci. 76(2):615-619)。

    【0043】 磁気シリカ粒子、非結合シリカ粒子及びシリカ膜等の数種のシリカ材が本発明によって試験されている。

    【0044】 結合段階後にシリカ材の洗浄が行われることが好ましい。 一方では生物試料から生じる不純物が結合段階後にシリカ材に存在し、他方では結合中に適用されたカオトロピック物質がシリカ材へ部分的に付着される。 両者ともシリカ材から除去されるべきである。

    【0045】 これらの不純物の除去は、本発明による方法においてだけでなく、シリカ材を用いるDNA精製に好ましい全ての既知の方法において推奨できる。

    【0046】 結合段階後に生物試料からシリカ表面上に不純物が生じることは、主として2
    つの理由によるものである。

    【0047】 全てのシリカ材は、シリカ材の種類及び例えばDNA精製のために適用されるシリカ材の量に依存して一定の空隙(death volume)を本質的にもたらす。 好ましくは、空隙は約50μlを超えるべきではない。 5mlのバクテリア終夜培養液
    (bacterial overnight culture)から20μgまでのプラスミドDNAを精製するための市販のキットにおいて設けられるシリカ材の空隙は、2〜5μlの範囲である。 この文脈において、空隙は、シリカ材の湿っている量と乾燥している量との差を意味する。 各精製段階後の空隙は、この段階において適用された緩衝液で満たされている。 従って、結合段階後シリカ材の空隙は全細胞成分を含む結合混合物で満たされている。

    【0048】 本発明による方法において、これらの不純物はアルカリpHにおいて多量のカオトロピック物質を含む洗浄緩衝液を適用することによって本質的に除去される。 カオトロピック物質は、不純物を可溶化し、そしてそれらをシリカ膜から除去する。 アルカリpHは変性染色体DNAのシリカ材への結合を妨げるために好ましい。 適当なpHへの調節は、結合緩衝液として挙げたpH緩衝液によって達成される。

    【0049】 基本的には、本発明の方法による洗浄緩衝液は、結合緩衝液と類似する方法において働く。 例えば、シリカ材へ特異的に結合したDNAは、カオトロピック緩衝液によってわずかに異なる特性を示すので、洗浄緩衝液は、結合混合物としてわずかに異なる組成を示さなければならない。 好ましくは、洗浄緩衝液は、最終濃度が5〜40容量%、好ましくは20〜40容量%の範囲のイソプロパノールやエタノールのような短鎖脂肪族アルコールを特に含有する。 短鎖アルコールはそれ自体がカオトロピック性であるので、適当な洗浄緩衝液中のカオトロピック塩類の濃度が対応する結合緩衝液の濃度よりもわずかに低いことも許容できる。
    典型的な濃度は−使用されるカオトロピック塩の種類に依存するが−4〜9、好ましくは4〜6モルの範囲内である。

    【0050】 また、中性又は適度の酸性(moderate acidic)洗浄緩衝液を使用することもできる。 中性又は酸性カオトロピック緩衝液は、pHを約4まで調節するために1
    0〜30%のエタノール又はイソプロパノール存在下で1.5〜3Mのカオトロピック塩を含有する。

    【0051】 生物試料から不純物を洗い流した後、カオトロピック塩類はシリカ材から除去されなければならない。 これは、アルコール又は水溶液を使用する1回以上の洗浄段階によって行われる。 典型的には、(好ましくは80%の)エタノールが使用されるが、他の短鎖アルコール類も同様の働きをする。

    【0052】 プラスミドDNAの溶出は、純水又は塩濃度の低い緩衝液のいずれかによって行われる。 顧客は、本発明の方法において使用される材料がキットの形態で提供される場合に本発明の方法を容易に行うことができる。 従って、6〜9M、好ましくは7〜8.5Mのチオシアン酸ナトリウム、0〜20容量%、0〜15容量%、より好ましくは5〜15容量%のエタノールやイソプロパノールのようなC 1 〜C 4アルコール類、25〜130mMの緩衝物質、特にアミノ酸類、好ましくはグリシンのようなω−アミノ酸類を含有する水性緩衝液を含むキットもまた、
    本発明の対象である。 本発明によるキットは、シリカでできた材料を含む、又は含まないカラム、懸濁状態のシリカでできた材料、更に緩衝液及び取扱い説明書のような補助的な材料を更に含むこともある。 更に、緩衝液は、好ましくは、例えば再懸濁緩衝液、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液等として本発明の方法において使用されるものである。 各キットにスピンカラムが組み込まれることもある。 このようなキットの構成は、特に、顧客によってその後行われるべきプロトコルに対応するものである。 典型的なプロトコルは以下の実施例において更に説明される。

    【0053】

    【実施例】 緩衝液組成再懸濁緩衝液(P1):50mM トリスCl、10m MEDTA、 pH 8.0; 300μg/ml RNase A 溶解緩衝液(P2): 100mM NaOH、0.1% SDS 結合緩衝液(PB): 7.6M NaSCN、10% EtOH(v/v)、 5% ツイーン20;60mM グリシン、 pH 9.6又は8.2 NaSCN、 10% エタノール(v/v)、5% ツイーン20、 60mM グリシン、pH 9.6 洗浄緩衝液(PW1):5.5M NaSCN、30% EtOH、100m M グリシン、pH9.6 又は 1.5M GuHCl、30%(v/v) イソプロパ ノール、150 酢酸カリウム、pH 5.1 洗浄緩衝液(PW2):80% EtOH、10mM トリスCl、pH 7.5
    溶出緩衝液(PE):10mM トリスCl、pH 8.5

    【0054】 シリカ材いくつかの膜層のストック(stucks)を含み得るキアゲン社(Qiagen GmbH
    )、ヒルデン(Hilden)、ドイツ製シリカゲル膜含有スピンカラム シリカ樹脂懸濁液:キアゲン社(Qiagen GmbH)、ヒルデン(Hilden)、ドイツ製の市販のQIAEX II ゲル抽出キット 磁気シリカビーズ、AGOWAmag(登録商標)、AGOWA、ドイツ

    【0055】 プロトコルAこのプロトコルは、1.5mlまでのバクテリア終夜培養液から10μgまでのプラスミドを単離するために適している。 この操作は、シリカゲル膜を含むスピンカラムを使用し、そして全段階は、特に言及しない限りは通常の卓上マイクロ遠心分離機(table-top microcentrifuge)において最高速度( 10,000
    ×g又は13,000rpm)で行われる。

    【0056】 有利なことには、本発明の方法は96個、384個、又はそれ以上のウェル(w
    ells)を有するマルチウェルプレートにおいて行うことができる。 このため、本発明の方法は、自動滴下装置、例えばキアゲン(登録商標)、ヒルデン(Hilden)、
    ドイツのバイオロボット(BioRobot)(登録商標)を用いて行うこともできる。 1.5.000×gにおいてマイクロ遠心分離機中のバクテリア終夜培養液を適当量採取する。 2.100μlの緩衝液P1中でペレット状(pelleted)バクテリア細胞を再懸濁する。 3.100μlの緩衝液P2を添加し、ボルテックスミキサーを用いて攪拌することによって(by vortexing)試料を混合し、そして室温において5分間インキュベートする。 4.500μlの緩衝液PBを添加し、そしてボルテックスミキサーを用いて強く攪拌し十分に混合する。 5. マイクロ遠心分離管中にスピンカラムを配置し、そしてスピンカラムへ試料を適用する。 6.1分間遠心分離し、そして静置させる(discard the flow-through)。 7. 洗浄するために500μlの緩衝液PW1をスピンカラムへ添加し、1分間遠心分離し、そして静置させる。 8. 洗浄するために750μlの緩衝液PW2をスピンカラムへ添加し、1分間遠心分離し、そして静置させる。 9. 更に1分間遠心分離し残留洗浄緩衝液を除去する。 10. スピンカラムを清潔なマイクロリアクション・チューブ(microreaction t
    ube)に移す。 DNAを溶出させるために、50μlの緩衝液を各スピンカラムの中央部へ添加し、1分間保持し、そして1分間遠心分離する。

    【0057】 プロトコルBこのプロトコルは、1.5mlまでのバクテリア終夜培養液から10μgまでのプラスミドを単離するために適している。 この操作は、QIAEX IIシリカ粒子を使用し、そして全段階はマイクロ遠心分離管において行われる。 遠心分離段階は、特に言及しない限りは通常の卓上マイクロ遠心分離機(table-top mic
    rocentrifuge)において最高速度( 10,000×g又は13,000rpm
    )で行われる。

    【0058】 1.5.000×gにおいてマイクロ遠心分離機中の適当量のバクテリア終夜培養液を採取する。 2.100μlの緩衝液P1中でペレット状(pelleted)バクテリア細胞を再懸濁する。 3.100μlの緩衝液P2を添加し、ボルテックスミキサーを用いて攪拌することによって試料を混合し、そして室温において5分間インキュベートする。 4.500μlの緩衝液PBを添加する。 5. QIAEX IIをボルテックスミキサーを用いて30秒間攪拌することにより再懸濁する。 試料に25μlのQIAEX IIを添加し、そしてボルテックスミキサーを用いて強く攪拌することによって十分に混合する。 6. 室温で5分間インキュベートし、その後10,000×gを超える回転速度で30秒間遠心分離し、そしてピペットを用いて上澄みを除去する。 7.750μlの緩衝液PW1を用いてペレットを洗浄し、そのペレットをボルテックスミキサーを用いて攪拌することによって再懸濁し、そして30秒間遠心分離する。 上澄みの痕跡を全て除去する。 8.750μlの緩衝液PW2を用いてペレットを2回洗浄し、試料を30秒間再懸濁する。 上澄みの痕跡を全て除去する。 9. ペレットを室温で20分間空気乾燥する。 10. 溶出するために、60μlの緩衝液PEを添加し、そしてペレットをボルテックスミキサーを用いて攪拌することによって再懸濁する。 室温で5分間インキュベートする。 11.30秒間遠心分離する。 ピペットを用いて上澄みを注意深く清潔な管へ移す。 12. 任意:段階10及び11を繰り返し、そして溶出液と混合する。

    【0059】 プロトコルCこのプロトコルは、96個のバクテリア終夜培養液から10μgまでのプラスミドDNAを並行して単離するために適している。 この操作は、磁気シリカ粒子を用い、そして全段階は96個のウェルを有するマイクロタイター・プレート・
    フォーマット(96-well microtiter plate format)において行われる。 繰り返しピペッティング(pipetting)することが必要な段階において、貯蔵容器又はマルチチャンネル・ピペット(multichannel pipet)によって、液体を極めて容易に取扱うことができる。

    【0060】 1.5.000×gにおいてマイクロ遠心分離機中の適当量のバクテリア終夜培養液を採取する。 2.100μlの緩衝液P1中でペレット状バクテリア細胞を再懸濁し、96個のウェルを有する円形ウェル・ブロック(96-well round-well block)のウェルへ試料を移す。 3.100μlの緩衝液P2を各ウェルへ添加する。 ブロックをボルテックスミキサーを用いて攪拌することによって十分に混合し、そして室温で5分間インキュベートする。 4. プラスチックビーカー中で50mlの緩衝液PBと2mlの磁気シリカ懸濁液を混合する。 円形ウェル・ブロックの各ウェルへこの懸濁液を520μl添加する。 5. 接着テープを用いてブロックを密閉し、そしてそのブロックを強く攪拌することによって十分に混合する。 室温において攪拌機上で5分間インキュベートする。 6. ブロックを磁気分離機内へ配置し、テープを取り除き、そして1分間静置させる。 上澄みを除去する。 7. 磁気分離機からブロックを除去する。 750μlの緩衝液PW1を各ウェルへ添加する。 接着テープを用いてブロックを密閉し、そしてそのブロックを強く攪拌することによって十分に混合する。 8. 磁気分離機内へブロックを配置し、テープを取り除き、そして1分間静置させる。 上澄みを除去する。 9. 磁気分離機からブロックを除去する。 750μlの緩衝液PW2を各ウェルへ添加する。 接着テープを用いてブロックを密閉し、そしてそのブロックを強く攪拌することによって十分に混合する。 10. 磁気分離機内へブロックを配置し、テープを取り除き、そして1分間静置させる。 上澄みを除去する。 11. 段階9、10を繰り返すが、各上澄みは600μlのみ除去する。 12. 磁気分離機からブロックを除去し、残存上澄み中の磁気粒子をボルテックスミキサーを用いて攪拌することにより再懸濁する。 96個のウェルを有するマイクロタイター・プレートのウェルへ試料を移す。 マイクロタイター・プレートを磁気分離機内へ配置し、1分間静置させ、そして残存する上澄みを除去する。 13. マイクロタイター・プレートを室温で20分間空気乾燥する。 14. DNAを溶出するために、各ウェルへ60μlの緩衝液PEを添加し、ペレットを再懸濁し、そしてマイクロプレートを攪拌機上で5分間インキュベートする。 15. マイクロプレートを磁気分離機内へ配置し、そして1分間静置させる。 9
    6個のウェルを有する清潔なマイクロタイター・プレート内へ上澄みを移す。 16. 任意:段階14及び15を繰り返し、そして溶出液を混合する。

    【0061】 実施例1 直鎖DNA存在下における環状プラスミドDNAのシリカ材への特異的結合 この実施例は、二本鎖直鎖DNA存在下において二本鎖閉環DNAをシリカ材へ選択的に結合させるための本発明による結合緩衝液の特性を示す。

    【0062】 500ngのpUC19プラスミドDNAは、制限エンドヌクレアーゼHin
    d III及びEco RIを含むラムダファージDNAの酵素加水分解によって生成された150bp〜20kbの範囲内の二本鎖直鎖DNAフラグメントを合計1μg用いて固定された(spiked)。 このDNA混合物は、わずかに変更したプロトコルA及びプロトコルCに従って精製された。 それらは、DNA混合物を1
    00μlの緩衝液P1へ添加し、かつバクテリア細胞の添加を行わないという変更を加えて上記の緩衝液を用いて行われた。 更に、2つのプロトコルそれぞれによる精製は、一方は、pHを7.0に調節した4Mのチオシアン酸カリウム、3
    0%のイソプロパノール、及び10mMのトリスClから成り(緩衝液C2)、
    他方はpHを7.0に調節した8.8Mのチオシアン酸ナトリウム、10%のE
    tOH、10mMのトリスClから成る(緩衝液C3)、2種類の変更した結合緩衝液を用いて行われた。

    【0063】 アルカリ緩衝液を使用する場合、溶出液は直鎖DNAの痕跡を含まない純粋なプラスミドDNAを含む。 アルカリpHではなく中性pHとした変更した結合緩衝液を使用する場合には、直鎖DNAフラグメント及びプラスミドDNAから成る混合物が得られた。

    【0064】 この実験は、結合混合物中のカオトロピック塩とアルカリpHとの組み合わせのみが、直鎖DNAではなく環状プラスミドの選択的結合を可能にすることを明確に示す。

    【0065】 実施例2 プラスミドDNAの選択的結合を可能にするpH範囲の決定 この実施例は、プラスミドDNAとせん断されたゲノムDNAとの混合物からのプラスミドDNAの選択的結合が可能であるpH範囲を決定する。 ゲノムDN
    Aは、QIAamp組織キット(キアゲン)(分子クローニング(1))等の膜のようなシリカ膜を用いて大腸菌から調製された。 2μgのゲノムDNAは、2
    μgのpUC19プラスミドDNAと混合され、そして変更された結合緩衝液を用いて(100μlの緩衝液P1にDNA混合物を添加し、かつバクテリア細胞の適用を行わないという変更を加えた)プロトコルCに従って精製された。 結合混合物中のpHが11.1〜12.4の間になるように調製した結合緩衝液は、
    4Mのチオシアン酸カリウム、0.6Mの塩化ナトリウム、0.1Mのグリシン及び30%のエタノールから成る。

    【0066】 pH値11.1において、そのpHではプラスミドとゲノムDNAとの分離が不十分であることを示す少量のゲノムDNAの痕跡が予備精製された(copurifi
    ed)。 11.25〜12.0のpH範囲内で、プラスミドDNAがゲノムDNA
    の不純物なしに選択的に精製される。 pHが12.0を超えると、プラスミドもゲノムDNAも得られなかった。

    【0067】 同じ実験が、8.8Mのチオシアン酸ナトリウムから成るよりカオトロピックな結合緩衝液を用いて行われた。 この場合は、9.2〜11.1のpH範囲内で、プラスミドとゲノムDNAとの完全な分離を達成することができた。

    【0068】 実施例3 シリカ材へ結合した直鎖DNAとプラスミドDNAとの混合物からの直鎖DNA
    の特異的除去 この実施例は、一度シリカ材へ結合した直鎖DNAをアルカリpHにおいてカオトロピック緩衝液を用いて選択的に洗い流すことができることを示す。 プラスミドDNA1μg及び実施例1に記載されたように生成された150bp〜20
    kbの範囲内の大きさを有する二本鎖直鎖DNAフラグメント合計2μgから成る二種類の混合物は、プロトコルA(段階1〜5、DNA混合物を100μlの緩衝液P1に添加し、かつバクテリア細胞の添加を行わないという変更を加えた)に従って、4Mのイソチオシアン酸カリウム及び30%のエタノールから成る変更された結合緩衝液によって、2つのQIAampスピンカラム(キアゲン)
    のシリカ膜へ結合された。 変更された結合緩衝液は、プラスミド及びゲノムDN
    Aの両者をシリカ膜へ結合させることがわかった(実施例2参照)。

    【0069】 プロトコルAの残りの段階(段階6〜9)は、1つのスピンカラムに対して洗浄緩衝液W1(5.5MのNaSCN、30%のEtOH、100mMのグリシン、pH9.6)を用いることにより、かつ(5Mの塩酸グアニジン、30%のイソプロパノール及び10mMのトリスClを含有するpHを7.0に調節した)変更された洗浄緩衝液PWCを用いることにより行われた。

    【0070】 アルカリpHに調節されたカオトロピック洗浄緩衝液(洗浄緩衝液PW1)を使用した場合、直鎖DNAから不純物なく取り出されたプラスミドDNAが得られた。 しかし、中性pHに調節された比較のカオトロピックな洗浄緩衝液(緩衝液PWC)を使用した場合はプラスミドDNAと直鎖DNAとの混合物が精製された。

    【0071】 この実験によって、アルカリpHを示すカオトロピック緩衝液が、閉環DNA
    の結合による影響を受けずに、閉環DNAと直鎖DNAとの混合物から直鎖DN
    Aを選択的に除去することができることが示される。

    【0072】 実施例4 シリカ膜を用いる大腸菌からのプラスミドDNAの単離 この実施例は、本発明によるシリカ膜を用いる標準のプラスミド単離操作を説明する。 プラスミド類を含有する数種の大腸菌株の終夜培養液1.5mlを、プロトコルAに従って精製した。 各試料から2〜5μgの純粋なプラスミドDNAが得られた。

    【0073】 実施例5 非結合(loose)シリカ樹脂を用いる大腸菌からのプラスミドDNAの単離 この実施例は、本発明による非結合シリカ粒子を用いる標準のプラスミド単離操作を説明する。 プラスミド類を含有する数種の大腸菌株の終夜培養液1.5mlを、プロトコルBに従って精製した。 QIAEX II粒子をシリカ粒子として用いた。 各試料から2〜5μgの純粋なプラスミドDNAが得られた。

    【0074】 実施例6 磁気シリカ粒子を用いる大腸菌からのプラスミドDNAの単離 プラスミド類を含有する数種の大腸菌株の終夜培養液1.5mlを、プロトコルCに従って精製した。 キアゲン製磁気ビーズがこの実験において用いられた。
    各試料から2〜5μgの純粋なプラスミドDNAが得られた。

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