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Simultaneous method of identifying novel biological targets and drug discovery lead structure

申请号 JP2000539165 申请日 1998-12-18 公开(公告)号 JP2002508507A 公开(公告)日 2002-03-19
申请人 セプラコア インコーポレーテッド; 发明人 ガオ,ユン; ジョーンズ,スティーブン,ダブリュ.; ゼップ,チャールズ,エム.; ヘッフナー,ドナルド,エル.;
摘要 (57)【要約】 本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法は、 生物 学的サンプル間に存在する特定の分子的差異の同定を可能にするフィンガープリントとして機能する化合物の高度に多様化したライブラリーを包含する。 本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法により同定された特定の分子的差異は診断および治療薬開発の標的となり得る。 本発明の方法は診断法、薬物探索、ゲノム学およびタンパク質学において使用することができる。 本発明の方法を例示する図1は、表IIに記載した分子プローブとヒト血清サンプルとの相互作用を示すものである。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 分子成分の混合物を含むサンプルを特徴づける方法であって、 (a) 該サンプルと分子プローブのライブラリーとを、該分子プローブをその特異的結合パートナーに結合させる条件下で接触させること、 (b) 均一アッセイ系を用いて、該サンプル中の分子成分への該ライブラリーの個々のメンバーの結合を検出すること、 を含んでなり、該サンプルとの該ライブラリーのメンバーの結合パターンが該サンプルの分子フィンガープリントを提供する、上記方法。
  • 【請求項2】 前記分子プローブのライブラリーのメンバーが標識されている、請求項1記載の方法。
  • 【請求項3】 前記標識が蛍光体である、請求項2記載の方法。
  • 【請求項4】 前記ライブラリーのメンバーと前記サンプルの成分との結合が蛍光偏光により検出される、請求項3記載の方法。
  • 【請求項5】 前記分子プローブが光活性化可能な官能基に架橋されている、請求項2記載の方法。
  • 【請求項6】 前記官能基が活性化されて、プローブと前記サンプルの成分との間に化学結合が形成される、請求項5記載の方法。
  • 【請求項7】 前記プローブがシンチラントで標識されており、前記サンプルの成分が放射性同位体で標識されている、請求項2記載の方法。
  • 【請求項8】 プローブと生物学的サンプルの成分との相互作用が発光をもたらす、請求項7記載の方法。
  • 【請求項9】 前記ライブラリーのメンバーが生体分子である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項10】 前記ライブラリー中の生体分子が糖タンパク質、リポタンパク質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプトイド、アミノ酸、多糖類、オリゴ糖類、糖類、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、
    ヌクレオシド、DNAまたはその誘導体、RNAまたはその誘導体、脂質、糖脂質、リポ多糖類、有機分子または無機分子である、請求項9記載の分子。
  • 【請求項11】 前記ライブラリー中の生体分子が受容体、リガンド、抗体、抗原、エピトープ、増殖因子、サイトカイン、またはケモカインである、請求項10記載の分子。
  • 【請求項12】 前記サンプルが患者由来のサンプルまたは臨床サンプルである、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項13】 前記サンプルが体液、尿、リンパ液、全血、血清、血漿、
    赤血球、白血球、組織、細胞、細胞抽出物、in vitro転写または翻訳からの産物、ウイルス、微生物、または病原体の抽出物である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項14】 前記分子プローブのライブラリーを用いて作成された前記サンプルの分子フィンガープリントを、該分子プローブのライブラリーを用いて作成された陰性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較する、請求項13
    記載の方法。
  • 【請求項15】 陰性対照サンプルが正常な被験者に由来するものである、
    請求項14記載の方法。
  • 【請求項16】 前記分子プローブのライブラリーを用いて作成された前記サンプルの分子フィンガープリントを、該分子プローブのライブラリーを用いて作成された陽性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較する、請求項13
    記載の方法。
  • 【請求項17】 陽性対照サンプルが患者に由来するものである、請求項1
    6記載の方法。
  • 【請求項18】 前記サンプル中の分子成分が糖タンパク質、リポタンパク質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプトイド、またはアミノ酸である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項19】 前記サンプル中の分子成分がポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、DNAもしくはその誘導体、RNAもしくはその誘導体である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項20】 前記サンプル中の分子成分が多糖類、オリゴ糖類、または糖類である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項21】 前記サンプル中の分子成分が脂質、糖脂質、リポ多糖類、
    またはリポタンパク質である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項22】 前記サンプル中の分子成分が有機分子または無機分子である、請求項1または4記載の方法。
  • 【請求項23】 前記サンプル中の分子成分が受容体、リガンド、抗体、抗原、エピトープ、増殖因子、サイトカイン、またはケモカインである、請求項1
    または4記載の方法。
  • 【請求項24】 生物学的サンプルを特徴づけるためのアッセイ法であって、 (a) 生物学的サンプルに蛍光標識プローブのライブラリーを接触させること、 (b) 各蛍光標識プローブと生物学的サンプルとの結合相互作用を検出すること、 を含んでなる、上記アッセイ法。
  • 【請求項25】 生物学的サンプル類を識別する方法であって、 (a) 生物学的サンプル類に蛍光標識プローブの同一のライブラリーを接触させること、 (b) 各プローブと各生物学的サンプルとの結合相互作用を検出すること、 (c) 該生物学的サンプルを互いと区別する結合相互作用のパターンを同定すること、 を含んでなる、上記アッセイ法。
  • 【請求項26】 治療上および診断上重要な生物学的標的および創薬リード構造体を同定する方法であって、 (a) 2つの同一のプローブライブラリーに2つの生物学的サンプルを接触させること、ただし、第1の生物学的サンプルが対照サンプルであること、 (b) 各プローブと該生物学的サンプルの成分との結合相互作用を、均一アッセイ系を用いて検出すること、 (c) 第2の生物学的サンプルに特徴的なプローブ/生物学的成分結合相互作用を同定すること、その際、そのように同定された成分が生物学的標的となり、該生物学的成分に対して親和性を有するプローブが創薬用のリード構造体となること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項27】 分子成分の混合物を含むサンプルを特徴づけるアッセイ法であって、 (a) 特定の触媒により開裂可能な部位および該部位のそれぞれの側にマーカーを有するスカホールドに、分子プローブのライブラリーのメンバーを結合させて、分子プローブ/スカホールド構築物を作製すること、 (b) 該分子プローブ/スカホールド構築物を該サンプルと組み合わせること、
    その際、該サンプル中に存在する分子成分に対して親和性を有する分子プローブが該サンプル成分と結合して、該スカホールドの開裂可能な部位をブロックする複合体を形成すること、 (c) 特定の触媒を該混合物に添加して、結合したサンプル成分を含まないスカホールドを開裂させること、 (d) 該スカホールドからの未結合分子プローブの放出または該スカホールド上での該複合体の保持を検出すること、 を含んでなり、その際、該ライブラリーのメンバーと該サンプルとの結合パターンが該サンプルの分子フィンガープリントを提供する、上記アッセイ法。
  • 【請求項28】 前記スカホールドがDNA、ペプチド、ペプトイド、または 任意のポリマーからなる、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項29】 生物学的サンプル中に存在する受容体に対して親和性を有するリガンドが該受容体と結合し、スカホールド特異的剤の該スカホールドへの接近をブロックする、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項30】 スカホールド特異的結合剤が薬物、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖類、オリゴ糖類、多糖類、有機または無機分子である、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項31】 スカホールド特異的結合剤が、リガンドと受容体との相互作用が起こるスカホールドの領域には結合しない、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項32】 前記スカホールドは、結合タンパク質がスクリーニング配列に結合するときブロックされるマーカーを含み、該マーカーへの接近がスカホールド特異的結合剤の非存在およびリガンド/受容体相互作用の存在を示す、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項33】 前記リガンドが第1マーカーと同じ側の前記部位でスカホールドに結合し、前記アッセイが、該スカホールドを第1マーカーで固定化すること、および触媒の添加後に該混合物を洗浄して、開裂スカホールドの非固定化部分(かかる開裂部分は第2マーカーを含む)を除去することをさらに含み、無傷のスカホールドを第2マーカーの存在により同定する、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項34】 前記スカホールドが二本鎖DNAからなり、前記マーカーが ビオチン化ヌクレオチドである、請求項27記載のアッセイ法。
  • 【請求項35】 同じタイプの生物学的サンプル類を識別するアッセイ法であって、 (a) 開裂部位および該部位の両側にマーカーを有するスカホールドに、同一のプローブライブラリーのメンバーを結合させること、 (b) 生物学的サンプル類に、同一のプローブライブラリーおよび同一の特定の触媒を接触させること、 (c) 各プローブと各生物学的サンプルとの結合相互作用を検出すること、 (d) 該生物学的サンプルを互いと区別する結合相互作用のパターンを同定すること、 を含んでなる、上記アッセイ法。
  • 【請求項36】 対照の生物学的サンプルを用いること、および非対照の生物学的サンプルに特徴的なプローブ/生物学的成分結合相互作用を同定することをさらに含み、そのように同定された成分が生物学的標的となり、該生物学的成分に対して親和性を有するプローブが創薬用のリード構造体となる、請求項30
    記載のアッセイ法。
  • 【請求項37】 標識リガンドのライブラリーを合成する方法であって、 (a) 蛍光色素を固相支持体に開裂可能なリンケージを介して固定化することにより、第1の生成混合物を形成すること、 (b) 第1の生成混合物と、1種以上の化合物または化合物の混合物とを、第2
    の生成混合物を形成するのに十分な温度で、十分な時間にわたり反応させること、 (c) 該生成混合物を固相支持体から開裂させて標識リガンドのライブラリーを形成すること、ただし、該蛍光色素はハロゲン、チオール、アルコール、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ニトロ、アミン、アミド、シラン、ならびにそれらの保護および非保護の誘導体からなる群より独立に選択される反応性の部分を2個含むものであること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項38】 前記蛍光色素がローダミン誘導体、シアニン誘導体、フルオレセイン誘導体、トリプトファン誘導体、クマリン誘導体、ナフチル誘導体、
    ビピリジン誘導体、トリピリジン誘導体、または有機金属錯体である、請求項3
    7記載の方法。
  • 【請求項39】 前記固相支持体がリンカーを含み、該リンカーがハロゲン、チオール、アルコール、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ニトロ、アミン、アミド、シラン、またはそれらの保護もしくは非保護の誘導体である、請求項37記載の方法。
  • 【請求項40】 標識リガンドのライブラリーを合成する方法であって、 (a) 開裂可能なリンケージを介して化合物を固相支持体に固定化すること、 (b) 該固定化した化合物に蛍光色素を結合させること、 (c) 該分子−蛍光色素反応生成物を固相支持体から開裂させて蛍光標識リガンドのライブラリーを得ること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項41】 試験薬剤の毒性を特徴づける方法であって、 (a) 2つの同一のプローブライブラリーを2つの生物学的サンプルに接触させること、ただし、第1の生物学的サンプルが対照であり、第2の生物学的サンプルが試験薬剤に暴露されたものであること、 (b) 各プローブと該生物学的サンプルとの結合相互作用を検出すること、 (c) 第2の生物学的サンプルに特徴的なプローブ/サンプル結合相互作用を同定すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項42】 生物学的サンプル中の毒性物質の存在を確認する方法であって、 (a) 2つの同一のプローブライブラリーを2つの生物学的サンプルに接触させること、ただし、第1の生物学的サンプルが毒性物質に暴露されていた陽性対照であること、 (b) 各プローブと各生物学的サンプルとの結合相互作用を検出すること、 (c) 陽性対照サンプルに特徴的な、第2の生物学的サンプルにおけるプローブ/毒性物質結合相互作用を同定すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項43】 前記プローブと生物学的サンプルとの結合相互作用が均一アッセイ系を用いて検出される、請求項41または42記載の方法。
  • 【請求項44】 前記プローブのライブラリーが蛍光的にまたは化学発光的に標識されている、請求項43記載の方法。
  • 【請求項45】 サンプルのタンパク質成分を特徴づける方法であって、請求項1または26記載の方法を用いてサンプル中の糖タンパク質、リポタンパク質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプトイドまたはアミノ酸の分子フィンガープリントを作成することを含んでなる方法。
  • 【請求項46】 患者の疾病または症状を診断する方法であって、 (a) 請求項45記載の方法を用いて患者由来の生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを陽性または陰性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項47】 患者において薬物または治療の効能を予測する方法であって、 (a) 請求項45記載の方法を用いて患者由来の生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを、(i) 薬物もしくは治療に応答する患者、および薬物もしくは治療に応答しない患者、または(ii)薬物もしくは治療に有害反応を示す患者、の分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項48】 患者における治療の効能をモニターする方法であって、 (a) 請求項45記載の方法を用いて、治療前に、その後は定期的に患者から得られた生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを陽性または陰性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項49】 サンプルのヌクレオチド成分を特徴づける方法であって、
    請求項1または26記載の方法を用いてサンプル中のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、DNAもしくはその誘導体、またはRNAもしくはその誘導体の分子フィンガープリントを作成することを含んでなる方法。
  • 【請求項50】 患者の疾病または症状を診断する方法であって、 (a) 請求項49記載の方法を用いて患者由来の生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを陽性または陰性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項51】 患者において薬物または治療の効能を予測する方法であって、 (a) 請求項49記載の方法を用いて患者由来の生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを、(i) 薬物もしくは治療に応答する患者、および薬物もしくは治療に応答しない患者、または(ii)薬物もしくは治療に有害反応を示す患者、の分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項52】 患者における治療の効能をモニターする方法であって、 (a) 請求項49記載の方法を用いて、治療前に、その後は定期的に患者から得られた生物学的サンプルの分子フィンガープリントを作成すること、 (b) 該患者サンプルの分子フィンガープリントを陽性または陰性対照サンプルの分子フィンガープリントと比較すること、 を含んでなる、上記方法。
  • 【請求項53】 サンプルの分子成分を特徴づけるためのキットであって、 (a) 分子プローブのライブラリー、および (b) 均一相または液相においてサンプル中の分子成分への該ライブラリーのメンバーの結合を検出する手段、 を含んでなる、上記キット。
  • 【請求項54】 前記プローブのライブラリーが蛍光体で標識されており、
    前記検出手段が蛍光偏光装置である、請求項53記載のキット。
  • 【請求項55】 均一アッセイを行うのに適した、前記ライブラリーの各メンバー用の反応容器手段をさらに含む、請求項54記載のキット。
  • 【請求項56】 前記ライブラリーのメンバーを解離可能に結合させてあるスカホールドをさらに含む、請求項54記載のキット。
  • 【請求項57】 前記分子プローブのライブラリーが糖尿病、感染症、炎症性疾患、心臓病、新生物疾患、自己免疫疾患、および中枢神経系障害と関係のある分子成分と結合するように選択される、請求項54記載のキット。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 1. 発明の分野本発明は、治療上および診断上の双方において重要な新規な生物学的標的を発見および同定する方法、ならびにより特定して、新規な生物学的標的および創薬リード構造体を同時に発見および同定する方法に関する。

    【0002】 2. 発明の背景研究者らは最近、破局的な疾患を持つ患者の血漿内に循環する、特有の染色体物質の存在を発見した(Umovitzら、Chronic Disease Syndromes Symposium, Ame
    rican Society for Microbiology, May 1997)。 同様に最近、識別的発現技術を 用いて500を超えるRNA転写物が正常細胞と新生細胞を比べると有意に異なるレベルで発現することが示された(Zhang.L.ら、Gene expression profiles in norm
    al and cancer cells, Science. 276 1268-72, 1997)。 これらの発見は、正常細胞と異常細胞の間に、多数の分子差が存在することを示す。 実際、数百、または数千の潜在的な生物学的受容体が既存の技術で検出されずに存在していると仮定してもおかしくない。

    【0003】 現在まで使われてきた技術は、正常サンプルおよび異常サンプル間の個々の違いを同定することに基づく治療または診断のための標的に関する貴重な情報を提供し得る。 しかしながら、これらの技術は似通ったサンプル間に観察される差異のパターンを同定する情報を効果的に提供することができない。 似通ったサンプル間に観察される差異のパターンは、特定の疾患のサブタイプをより完全に定義する貴重な情報を提供でき、該サブタイプの分類だけでなく特定のサブタイプに対する適切な治療の決定をも支援し得る。 明らかに、新規な生物学的標的の発見において得られる多量の情報、および検出されないでいるこのような未知の数の標的とともに、それらを発見するための効率的かつ効果的な方法に対する圧倒的な要求がある。

    【0004】 長い間、人工のまたは天然起源のケミカルライブラリーは、タンパク質、酵素などの既知の生物学的受容体に対する親和性についてスクリーニングできると認識されてきた。 親和性スクリーニングは、既知の技術、例えば蛍光偏光法、シンチレーション近接アッセイ、固相酵素免疫検定法などで実施できる。 最近、別の分子と高い親和性で結合する分子なら事実上どんな分子も検出する能のある多孔性シリコンバイオセンサーも開示された。 該生物学的受容体が治療上重要な標的であるとき、ライブラリーのメンバーで該標的に対して高い親和性および特異性を示すものは、診断および/また薬剤の開発において価値を有する。 コンビナ トリアルケミストリーの進歩は、親和性スクリーニングに利用可能な受容体の数を莫大に増加させた。

    【0005】 シンチレーション近接アッセイ(SPA)は、例えば米国特許第4,568,649号に記載されたように、莫大なケミカルライブラリーを既知の受容体に対する親和性について調査するのに用いられる。 標準的なSPAアッセイにおいては、受容体をシン チラントロードビーズでタグ付けし、溶液中で放射能標識された受容体に対してスクリーニングする。 標識したリガンドが該受容体に対して親和性を有し結合する場合、その結果生じる放射能標識リガンドとビーズ内のシンチラントとの近接は、シンチラントおよび光放射の活性化につながる。 標識したリガンドが該受容体に対して親和性を少ししか持たないか全く持たない場合、放射能標識は放射性物質の崩壊によるエネルギー転移が起こる程にシンチラントの十分近くには蓄積されず、かすかな光の放出しか検出されないであろう。 SPAにとっての1つの障害はシステム内の、標識されたリガンドの非特異的な吸収により引き起こされる「
    ノイズ」またはバックグラウンド放射能の存在である。 このため、該ビーズを典型的には卵白、界面活性剤、粉ミルクのような遮断剤とともにインキュベートし、このような非特異的吸収の原因となる部位をブロックする。 SPAにおける別の 重大な問題は、放射性物質の使用が必要とされるため健康上の危険性が提起されること、このような物質は廃棄が難しく、使用に費用がかかることである。

    【0006】 SPAアッセイの改変が、受容体をシンチラントロードビーズに固定化して、次 にその受容体に対する基質を放射能標識したものを含む溶液に入れる競合型スクリーニング法において使用された。 続いてリガンドのサンプルを混合物に添加すると、固定化した受容体に対する基質とうまく競合するどんな化合物も光放射の量を減ずるだろう。 SPAのハイスループットスクリーニングにおける使用につい ては以下に記載されている;Wang, P., Target Idetification, 薬物発見におけるアッセイの開発およびハイスループットスクリーニング Assay Development a
    nd High Throughput Screening in Drug Discovery, in Sino-American Pharmac
    eutical Professionals Association(SAPA), The 5th Regional Symposium on D
    rug Discovery and Development, 1997, Kenilworth, NJ.。

    【0007】 蛍光偏光法は、特定の受容体に対して親和性を有する化合物を同定するためによく使用される別のアッセイ系である。 蛍光分子がリガンドに連結するオリゴマー末端の一方に結合する場合、受容体の該リガンドへの結合は蛍光分子の回転を厳しく制限する。 受容体が結合したまたは吸着した発蛍光団で標識したオリゴマーを含有する溶液に偏光を通すと、放出される光も偏光する。

    【0008】 別の親和性スクリーニング技術が、最近Lin, V. Motesharei, K., Dancil, K.
    , Sailor, M.およびGhadiri, M.らによって開示された(A porous silicon-base
    d optical interferometric biosensor, Science 278, 840-43 1997)。 本質に おいて、この技術は多孔質性の表面を作り出すために食刻したシリコンウェハーを使用することを含む。 光を多孔質物質にあてると、周囲の媒体の屈折率が変化するとその位置がシフトするような干渉縞が作られる。 周知の化学を用いて種々の分子認識エレメントを多孔質表面に結合させて、続いて標的分子源と反応させる。 多孔質表面に結合した調査中のエレメントが標的分子に結合すると、その結果生じる屈折率の変化が干渉縞をシフトさせる。 これは電荷対検出装置によって検出できる。 該バイオセンサーは小さな生体分子を認識するだけでなく微小濃度(例えばフェムトモル(femptomolar))のDNA配列も検出できる。 該センサーの 認識エレメントは実質的にどんな超分子相互作用に基づいてもよい。 該相互作用とは、例えば、ヌクレオチドハイブリダイゼーション、酵素-基質結合、レクチ ン-炭化物相互作用、抗原-抗体結合、ホスト-ゲスト錯体形成、などである。

    【0009】 コンビナトリアルケミストリーによって、何十万もの化合物を含むライブラリーを作製することができる。 それらの多くは構造的に似通っているかもしれない。 ハイスループットスクリーニングプログラムがこれらの莫大なライブラリーを既知の標的に対する親和性についてスクリーニングできる一方で、規模は小さいが最大の化学的多様性を提供するライブラリーを完成させる新しい方法が開発されてきた(Matter. H.構造データベースからの最適な多様性化合物の選択(Sele
    cting Optimally Diverse Compounds from Structure Databese): 2次元および
    3次元の分子記述子の評価研究(A Validation Study of Two-Dimensional and T
    hree-Dimensional Molecular Descriptors), Journal of Medicinal Chemistry
    , 1997, 40:1219-1229)。

    【0010】 以前は、親和性フィンガープリント法を用いて、小さい分子の離散的ライブラリーが、定義されたタンパク質の区画に対する結合親和性について調査された。
    スクリーニングによって得られたフィンガープリントを用いて、個々のライブラリーメンバーの、他の目的とするタンパク質または受容体に対する親和性を予測する。 該フィンガープリントを目的とするタンパク質と反応することが知られている別の化合物から得られたフィンガープリントと比較して、該ライブラリー化合物が同様に反応するかどうか予測する。 例えば、大きなライブラリー内の全てのリガンドについて、特定の薬理学的活性(例えば、抗ヒスタミン活性または高コリン活性)に関連がある既知の受容体との相互作用を調査するよりは、その活性を有することが知られている別の化合物と似通ったフィンガープリントを有するリガンドのみを調査すべきであろう(Kauvar, LMら、親和性フィンガープリンティングによるタンパク質に結合するリガンドの予測、Chemistry and Biolog
    y, 1995, 2:107-118; Kauvar. LM, 親和性フィンガープリンティング、Pharma
    ceutical Manufacturing International. 1995 8:25-28; およびKauvar. LM, 農芸化学のイムノアッセイのニューフロンティアにおけるパターン認識による毒性化学物質の検出、D. Kurtz. L. StankerおよびJH Skerritt. Editors, 1995
    , AOAC: Washington DC, 305-312)。

    【0011】 現在まで使われてきた技術およびアッセイが、治療または診断ための既知の標的または受容体に関して価値がある一方で、それらは事実上とても特異的であるため限られた情報しか提供しない。 例えば、識別的発現は異なったレベルのmRNA
    発現の検出のみに焦点を定めており、配列の差異の存在を検出しない。 さらに、
    この方法は、発現レベルの変化をもたらさない翻訳後修飾のような、生物学的系における他の変化に関する情報はなにも提供しなし、またほとんどの場合、近接する細胞の異常細胞への応答に関する情報も提供しない。

    【0012】 従って、生物学的サンプル間における、特異的な差異および変化を広範に検出することができる検出方法が必要である。 このような方法は、生物学的標的ならびに診断および創薬リード構造体の同定を容易にする方法をも提供するはずである。

    【0013】 3. 発明の概要本発明のコンビナトリアルスクリーニングアッセイおよび検出法は、高度に多様化した化合物のライブラリーを利用して、複雑な混合物を審問および特性評価し、生物学的サンプル間に存在する特異的な分子上の差異を同定するものであり、診断および治療の発達のための標的として機能し得る。

    【0014】 本発明は、部分的に、出願人の設計した高感度で、迅速で、均一なアッセイ系に基づいている。 該アッセイ系は、分子プローブの複雑で高度に多様化したライブラリーを用いて、サンプルの評価、審問および特性評価を可能にする。 均一な形式でハイスループットアッセイを実施する能力が、スクリーニングの感度を上げる。 さらに、均一な形式の場合、相互作用してその生来のまたは活性なコンフォメーションを維持するような分子も許容する。 さらに、本発明の均一なアッセイ系は、反応生成物の検出のための分離ステップを要しない粗野な検出系を利用する。 好ましい実施形態では、蛍光偏光を利用して、サンプルおよびライブラリー成分間の相互作用を検出する。

    【0015】 別の実施形態においては、該アッセイは反応成分のひとつ(例えばライブラリーまたはサンプル成分のいずれか)が固相支持体から解離可能な状態で連結される、均一な形式で実施できる。 。 サンプルをライブラリーと接触させて得られた反応生成物が液相に解離し、蛍光偏光法のような粗野な検出系を用いて有利に検出できる。

    【0016】 本発明のアッセイは、診断上、薬物のスクリーニングおよび発見、標的による薬物の発見のために、ならびに疾患マーカーおよび薬物標的の同定のためのタンパク質学およびゲノム学の分野において利用できる。

    【0017】 別の実施形態においては、本発明の高感度のコンビナトリアルスクリーニングアッセイおよび検出方法は、複雑な生物学的混合物中に存在するが今まで検出されなかった受容体を検出するための発見ツールとして、リガンド/受容体相互作 用を利用する。 本発明のコンビナトリアルスクリーニングアッセイおよび検出方法は、生物学的サンプル中の多様化したリガンドの母集団と潜在的な数千の受容体との結合相互作用を評価し、そのサンプルに特有かまたはそのサンプルの特徴をなす結合相互作用を同定し、これは特定の病理(疾患、障害、および感染を含むがこれに限定されない)の啓示となり得る。 従って、本発明は新規な受容体を同定するだけでなく、同タイプの細胞ならびに/または組織の正常なものおよび 異常なものとの間に生ずる特異的な差異の特性評価も行う。 本発明のスクリーニングアッセイおよび検出法は既存の標的発見法よりもずっと多くの情報を提供する。 既存のものとしては、ゲノム学または識別的発現技術があるが、これらは遺伝子型の変化の検出のみを対照としていてDNAまたはmRNAの変化しか検出しない し、さらに、タンパク質学は非タンパク質リガンドを検出せず、そのため特定の配列によってコードされるタンパク質のみに関する。 対照的に、本発明の方法は、すべてのタイプのリガンド/受容体相互作用を検出する。 そのため、受容体は タンパク質、炭水化物、核酸、または結合相互作用をし得る形態を有するどんな分子でもよいことになる。

    【0018】 本発明の方法に従って、多様な分子ライブラリーの結合親和性を複雑な生物学的サンプルに存在する何千もの潜在的結合部位について評価し、そのサンプルに特有のフィンガープリントを与えるサンプルによって示される結合親和性のパターンを作製することができる。

    【0019】 本発明は、化学化合物の多様なライブラリーを使用して、例えば血清のような複雑な生物学的混合物の「フィンガープリンティング」法を提供する。 ライブラリーのメンバーと生物学的サンプル内の分子の間に生じる特異的な結合相互作用は、該サンプルに特有のフィンガープリントを提供する。 このようなフィンガープリンティングは、特定のサンプルに生じる新規な相互作用の同定を可能にし、
    サンプルが特定の病理を有する場合、該フィンガープリントは、正常なおよび異常な、または病んでいるおよび健全な、同タイプの細胞ならびに/または組織の 間に存在する特異的な表現型の違いの同定を可能にする。 さらに、一度新規な相互作用が同定されると、関連する分子を診断上のおよび/または薬剤の開発のた めのリード構造体、受容体または標的として使用し得る。

    【0020】 本発明のスクリーニングアッセイは、個々の新規な受容体の同定を包含するだけでなく、より一層重要なことには、特定の病理または病理のクラスを特徴づける結合相互作用のパターンを同定する。 このような結合親和性のパターンは、病理のサブタイプをより完全にかつ正確に、定義および分類するのに貴重な情報を提供する。 的確な診断というのは、疾患の検出だけでなく疾患の処置および治療にとって重要で、次にそれら全てが臨床上の予後を予測可能にする。

    【0021】 本発明の原理を利用して、多くの異なる個体由来のサンプルを集め、定義したライブラリーとの相互作用を調査し、得られた結果を用いて、同定した結合相互作用の全てを含むデータベースを作製し得る。 目的とする病理または疾患を示す個体から得たサンプルに関するデータを次に分析のために抜き出してもよく、データベースに残っている記録と比較して、病理および病状の前兆となる相互作用または相互作用のパターンを同定し得る。 このように同定した相互作用およびパターンを使用して、特定の病理または病状の特徴付けおよび分類をするだけでなく、診断上の調査の形式化、または治療もしくは薬剤の開発に利用することもできる。

    【0022】 4. 図面の簡単な説明 (図面の説明については下記参照) 5. 発明の詳細な説明本発明は、ある標的分子に高親和性で結合する化合物の、可能性を持つ創薬リード化合物としての使用ばかりでなく、情報分子としての使用にも関係する。

    【0023】 化学物質からなる多様性コンビナトリアル・ライブラリー中の1化合物がある特定の標的に強力に結合する頻度は比較的低い(おそらく0.0001%またはそれ以下)が、標的が多数あれば、この頻度は劇的に増大する。 例えば、1個の標的分子ではなく、1000個の可能な標的分子があれば、「ヒット」を獲得する確率は0.
    1%に増大する。 複雑な生物学的系には何千種もの異なる分子が含まれ、その多 くがある特定の疾病状態、例えば前立腺癌または乳癌の場合に変更され得る。 したがって、有機分子の多様性コンビナトリアル・ライブラリー中のメンバーと臨床サンプルの情報成分間での高親和性相互作用を獲得する確率は、1個の標的について「ヒット」を獲得する確率よりもずっと高い。 本発明にしたがって、これらの相互作用を検出して定量するならば、(評価する系のライブラリー成分の数および多様性に応じて)そのサンプルのかなり完全な実像が形成される。

    【0024】 本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法は、生物学的サンプル間に存在する特定の分子差の同定を可能にする、フィンガープリントとして機能する化合物の高度に多様化したライブラリーを包含する。 本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法によって同定される特定の分子差は、診断および治療法開発の標的となる可能性がある。 本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法の適用が成功するためには、少なくとも次の3つの成分が必要である:(1)多様性分子ライブラリー(プローブ(群));(2)臨床サンプルの材料(対照および試験サンプル);ならびに(3)ライブラリー中のメンバーとサンプルの成分との相互作用を検出するための高感度アッセイ。

    【0025】 したがって、本発明の1態様はある病態を特徴づけるための方法であって、その方法は(a)その病態に関係する生物学的サンプル中に存在する受容体もしくは標的、と(b)リガンドもしくはプローブのライブラリー、との間の結合相互作用のパターンの同定を含むものであり、この場合、その結合相互作用のパターンがその病態にとって特有のフィンガープリントを提供するものである。 本発明においては、「受容体」もしくは「標的」はリガンドもしくはプローブとの結合親和性または相互作用を示す生物学的分子である。 こうした受容体もしくは標的の例として、識別的に発現または改変され、そしてプローブもしくはリガンドと相互作用する能力がある、あらゆる生物学的活性分子が含まれ、限定するわけではないが、酵素などのタンパク質、脂質、DNA、RNAなどの核酸、炭水化物、抗原、抗体、その他である。 リガンドもしくはプローブの例としては、所定の生物学的サンプル中で、受容体もしくは標的と相互作用するかまたは結合して、そのリガンドもしくはプローブの存在を測定または指示するために使用することができる、天然もしくは合成のいずれかのあらゆる分子が含まれる。

    【0026】 特定の1実施形態において、本発明のコンビナトリアル・スクリーニングアッセイおよび検出方法を、ある病態の検出または特徴決定のために使用することができる。 この実施形態においては、同定または特徴決定する病態として、限定するわけではないが、形質転換された表現型、遺伝的欠損、悪性腫瘍、癌、腫瘍、
    遺伝的疾患、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染または寄生体の存在が含まれる。

    【0027】 脊椎動物、特にヒトは身体構造上複雑である。 正確な診断の開発を困難にし、
    そして実施のために時間を費やしてきたのは、この多大な複雑性によるものである。 例えば、血漿は何千ものタンパク質、炭水化物、脂質および核酸を含んでいる。 これらの成分の任意の1個または多数の変化または変更が特定の疾病状態または特定の治療の結果の高度な徴候となることがあるが、系の多大な複雑性のため、これらの変化の正確な検出および分析が妨げられる。 1態様において、本発明は、血漿もしくは血清、組織ホモジネート、脳脊髄液、尿、痰、または限定するわけではないが、液状形態で取得または調製することができる物質を含む、その他の任意の臨床的物質などの非常に複雑な生物学的系の迅速な分析を可能にする。

    【0028】 本発明の1実施形態は医学的診断である。 本発明が適用可能な診断の分野として、限定するわけではないが、各種の癌の早期検出;感染の検出および同定;治療薬の毒性副作用の検出;ならびにその他の疾病症状および病態が含まれる。 任意の特定の病態に関係して、1生物の複雑な生物学的系内で多数の生理学的変化が発生する。 いくつかの変化はその病態の直接の結果であり、またその他はその病態に対する身体の応答の結果である。 この変化のいずれでも、または全部が診断可能であるはずである。 残念ながら、大部分の疾病について、診断可能な変化は知られていなく、本発明以前には、これらの診断可能な変化を検出するための高感度で迅速な方法はなかった。 数例において、特定の病態に関係する新規な抗原(例えば、前立腺癌に関係するPSA抗原)を検出するために、抗体に基づく診 断が使用されるが、抗体に基づく診断は最初に抗原を同定することに依拠している。 しかも、抗体の製造は高価で、かつ時間を要する。 本発明において、化学物質からなる大きな多様性ライブラリーの、生物学的サンプル、例えば特定の病態にある個体からの血漿に対する結合相互作用を、正常な集団からのサンプルと比較し、その差異を分析する。 この差異は定性的でも定量的でもよく、例えばタンパク質、脂質、炭水化物もしくは核酸、酵素、抗原その他など、あらゆる分子への結合の結果によるものでよい。 この方法は検出することができる分子の型による偏りはない。 結合相互作用の結果として、試験中の病態を診断する単一または少数の結合相互作用が発見されることもあるが、あるいは特有のパターンが認識可能になることもある。 いずれにしろ、同定された特有の結合相互作用から、診療所または病床で実施することができる安価で迅速な蛍光偏光に基づくアッセイに組み立てることができる。

    【0029】 本発明の1応用は、各種の癌、例えば前立腺、子宮頚部および卵巣癌などの診断および治療である。 現在、前立腺癌の診断は抗体に基づくPSA抗原の検出に依
    拠している。 別のところからの最近の証拠では、ある種のサイトカインの濃度の上昇もこの疾病の診断になり得ることが示されている。 これら2つの指標はおそらく現実に存在する前立腺癌の最も早期の指標の中には入らないと思われ、本発明が別のまだ知られていない診断用指標の同定のための方法を提供する。 すなわち、本発明によって、例えば前立腺癌の個体および対照集団からの血漿サンプルを蛍光プローブのライブラリーでプローブすることによって、新規な診断用マーカーの発見を可能になる。 このスクリーニングアッセイを使用してなされた発見は、次に治療薬の開発に至ることにもなる。 このように、本発明は診断アッセイまたはキットで使用するためのプローブまたはマーカーの発見、ならびに医薬の探索におけるこれらのその後の使用を含む。

    【0030】 本発明はPapスミアサンプル中の診断用マーカーの検出のためにも有用である 。 本発明によって、個体から取得した正常および異常なPapスミアサンプルを標 識プローブのライブラリーでスクリーニングし、悪性腫瘍または感染症の診断となるそれらの結合相互作用を蛍光偏光に基づく診断に使用することができる。 さらに、悪性腫瘍または感染症に関係する生物学的分子の発見をその後の治療薬の開発に使用することができる。

    【0031】 本発明を卵巣癌のためのバイオマーカー(群)のスクリーニングに使用し、これを使用して卵巣癌のための診断キットを開発することができる。 最近、卵巣癌活性化因子(OCAF)が卵巣癌のバイオマーカーとして作用することが示唆された。 現在は、卵巣癌の検出のために、卵巣癌のバイオマーカーの1つであるCH125
    に関する血清アッセイが使用されている。 本発明にしたがって、臨床研究において、本発明に記載された蛍光偏光アッセイ、DNAオブストラクションアッセイお よびシンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用して卵巣癌のための既知のバ イオマーカー(OCAPおよびCA125)を研究し、また卵巣癌のための新規なバイオ マーカーを同定することができる。 これらのアッセイ系は、標識プローブまたは標識プローブライブラリーによる臨床サンプルのスクリーニングの簡単、迅速、
    高感度かつ正確な方法を提供する。

    【0032】 例えば、卵巣癌患者から取得した検体(血液、血清、血漿もしくはその他の体液)と蛍光化合物との相互作用に関する蛍光偏光数値をその他の型の婦人科系癌、非婦人科系癌および非癌患者からの臨床サンプルについて得られた蛍光偏光数値と比較することができる。 卵巣癌患者からの検体について他のサンプルに比較して変更された偏光数値は、ある薬剤が卵巣癌患者からの検体中に存在する成分(群)と識別的に結合することを意味する。 したがって、その薬剤は卵巣癌検体を非卵巣癌検体と識別するために有用なバイオマーカーとなり得る。 卵巣癌患者からの検体について、それ以外のサンプルと有意な差異がない蛍光偏光数値は、
    その薬剤が非卵巣癌検体から卵巣癌検体を識別するバイオマーカーとして有用ではないことを示唆することとなる。 別種の型の癌に対して識別的に結合することが同定された薬剤を単独でまたはその他の薬剤と組合せて使用して、別種の型の癌を検出および診断することができる。 さらに、同定された薬剤を使用して、癌の治療のための治療薬を開発することができる。

    【0033】 本発明は糖尿病の発病の早期の指標を同定するための方法をも提供する。 糖尿病の検出のための現行の方法は、疾病が完全に発症して多くの障害がすでに出た後にしか有用でない。 実際、診断は総体的な症状が存在しないとなされない。 換言すると、現行の診断操作は糖尿病が存在することを単に確認するだけである。
    本発明中に記載された方法は、糖尿病の早期の指標となる薬剤の同定方法を提供する。 例えば、糖尿病の1つの特徴である血中タンパク質のグリコシル化で特有の結合部位が形成され、この部位は、本発明に記載された方法を使用して、標識タグをつけた多様な分子ライブラリーからのプローブによって検出することができる。 糖尿病の発病の早期の指標であることが同定されたプローブを、本発明にしたがって、蛍光偏光に基づくアッセイにおいて使用することができる。 このアッセイを診療所または診断検査室における診断法として使用することができる。

    【0034】 本発明はさらに、感染性微生物、およびこれらに起因する疾病を同定および識別するための方法を提供する。 感染性微生物は宿主中に存在するとき、多種にわたる、大部分は特性決定されていないタンパク質、炭水化物およびその他の分子を産生する。 また、感染に応答して、宿主生物は特有のタンパク質、例えば特異的抗体、特異的受容体、ケモカインおよびサイトカインなどを産生する。 これらの特有な分子のすべてがプローブと結合する候補物質であり、したがって、感染症のための新規な診断用標的であることが示される。 本発明は感染性微生物および/またはそれに起因する疾病同士を区別する結合性候補物質を同定するための方法を提供する。 同定された結合性候補物質を次に感染症の診断のために使用し、医薬による治療法の開発に到ることもある。 実施例10にはメシチリン耐性Stap
    hylococcus aureusからStaphylococcus aureusを識別することが可能な、小さなプローブライブラリーからの特有なプローブの発見について記載されている。

    【0035】 本発明は感染性細菌ばかりでなく、その他の感染性因子、例えば真菌、寄生体、ウイルスなど、およびおそらくプリオンでも、その検出に適用可能である。 例えば、ノイラミニダーゼインヒビターはインフルエンザAおよびBウイルスを阻害するものとして、最近開発された。 これらの薬剤の効果的な利用のためには、そのインフルエンザウイルスの存在を同定するために、迅速な診断キットを入手し得る必要がある。 本発明は、ウイルスノイラミニダーゼまたはその他の何らかのウイルス成分に対して高結合力を持つ標識タグをつけた分子を発見するための方法を提供する。 次に、これらのプローブをインフルエンザウイルスの存在に関する迅速診断試験に組み込むことができる。

    【0036】 上記の考察は、臨床サンプルに識別的に結合する能力について、既知の薬剤を試験し、また新規な薬剤を同定するため、本発明に記載されたアッセイ系を使用することの、確実な利点を表明するものである。 同定された薬剤を単独で使用するか、または別の薬剤と併用して、病態もしくは疾病を検出および診断することができる。 本発明の方法を使用して同定した後、各種の病態もしくは疾病を迅速かつ安価に検出および診断するために使用することができる(例えば診断キット中に入れた)診断薬として、これらの薬剤を使用することができる。

    【0037】 本発明の別の態様は、プローブの2つの同一のライブラリーに2つの生物学的サンプルを接触させること、ただし第1の生物学的サンプルが対照であること;
    各プローブと生物学的サンプルの成分との結合相互作用を検出すること;そして第2の(非対照)生物学的サンプルに特徴的な結合相互作用を同定すること、を含む、治療上および診断上重要な生物学的標的および創薬リード構造体を同定するための方法である。 こうして同定されたリガンドまたは標的は生物学的標的であり、この生物学的成分に対して親和性を有するプローブは創薬用のリード構造体である。

    【0038】 好ましい1実施形態において、第2の生物学的サンプルは疾患がある個体からの血清、あるいは対照と同じタイプで疾患があるかその他の異常がある細胞もしくは組織を含む。 診断は典型的には検出し得る生物学的標的の存在に基づくので、したがってこの方法は、スクリーニングされる細胞または組織に関係する病態に応じた診断用具の開発が重要である。 さらに、新規な受容体または標的が発見される都度、その受容体に対して親和性を有する化合物も発見されるので、この方法はその病態の治療に使用する創薬リード構造体の出発点になる。

    【0039】 さらに別の実施形態において、医薬として可能な物質の毒物学的スクリーニングのために本発明の原理を使用することもできる。 本発明は、毒性化合物に対する生物学的応答を測定することによる、ある化合物の毒性の決定、ならびに個体中の毒性化合物の存在の決定、のための方法を含む。 多くの薬物およびその代謝産物は有害副作用を持つかまたは毒性である。 損傷が発生したことを単に確認するより、損傷を予測することができる、毒性のより早期の指標に対する強い需要がある。 現在は、臨床試験以前の、薬物の開発の早期段階では、出現する毒性または副作用の予測は困難である。 本発明の原理を利用することによって、現在可能なよりもずっと早い開発の段階で毒性の存在または非存在を予測することができる。 これらの早期の警告シグナルを検出するための最初の研究は、例えば肝臓細胞を利用する、細胞培養物の研究によって達成することができる。 この手法において、サンプルを既知の毒物で処理し、その後サンプルを取り出して、タグ付けした化合物の多様性ライブラリーでプローブすることができる。 処理した培養物中で発生するが対照では発生しない結合相互作用は細胞または組織の損傷の早期のマーカーとなり得る。 次に、これらのプローブを動物モデルシステムにおいて試験する。 こうして、本発明は、薬物またはその他の化学物質による差し迫った損傷を予測することができる早期マーカーの検出方法を提供する。

    【0040】 本発明のこの態様にしたがって、培養した細胞または組織を既知の毒性または非毒性化合物で処理し、その後その培養物から抽出物を調製し、標識化合物のライブラリーでプローブする。 標識化合物のライブラリーでのプローブは、この毒性または非毒性化合物に対する細胞または組織の応答を反映する「フィンガープリント」を提供する。 毒性に相関するフィンガープリントパターンの何らかの変化を分析し、場合によってはさらに分類する。 続いて、上記のようにしてフィンガープリントパターンが確定した培養細胞または組織を、毒性が未知の試験化合物で処理し、処理した培養物から抽出物を調製し、標識化合物のライブラリーでプローブする。 次に、生成した細胞もしくは組織の応答のフィンガープリントまたはプロフィルを、既知の毒性/非毒性化合物を使用してその細胞もしくは組織について作成した参照プロフィルと比較して、試験化合物の性質を予測する。

    【0041】 さらに別の実施形態において、発現したタンパク質の機能を特徴づけるために、本発明の原理を使用することができる。 ヒトゲノムプロジェクトを含むゲノム配列解読プロジェクトは遺伝子配列の大きなデータベースを作製しており、これをクローン化して、これらの遺伝子によってコードされるタンパク質を発現させることができる。 残念ながら、遺伝子の配列を知り、またはその配列からタンパク質を発現させても、生体細胞中でのそのタンパク質の機能、疾病におけるその役割、または発現したタンパク質と相互作用する別の分子は明らかにならないことが多い。

    【0042】 この情報を提供する上でのゲノム学の欠点が認識されて、いくつかの企業は「
    タンパク質学」手法を採用するようになった。 タンパク質学においては、荷電および質量にしたがってタンパク質を分離するために二次元(2-D)ポリアクリル アミドゲル電気泳動(PAGE)を使用する。 次に、生成したタンパク質パターンを比較し、患者集団を特有のパターンにしたがって層化することを試みる。 この手法は、遺伝子型(どんなものになるか)に対して表現型(どんなものであるか)
    を取り扱う点で有利である。 2-D電気泳動では非常に複雑なサンプル中の多数の タンパク質を検出または解析することができないことはよく知られている。 本発明の方法では、1個の標識プローブを小さな、中程度のまたは大きな標的に結合させても、1個の明確な識別し得るシグナルを与えるので、こうした問題はない。 さらに、本発明は三次元(3-D)であり、標的分子が非常に小さい(2000-3000
    ダルトン未満)場合以外は、結合現象は明確に識別し得るシグナルを与える。 また、本発明は標識プローブと2000-3000ダルトンより大きい生体分子との結合相 互作用を検出するように設計されるが、PAGEはタンパク質を検出するように設計されるものである。 最後に、2-Dゲルの操作および分析は時間がかかり、作業量 が多く、そして非常に高価である。 一方、本発明の方法は迅速で非常に安価である。 どの直接の比較においても、結果の予測のための本発明の方法がタンパク質学またはゲノム学のいずれよりも優れている。

    【0043】 本発明は発現したタンパク質の生物学的機能を解明するための手段を提供する。 発現したタンパク質をタグ付けした小さい有機分子のライブラリーでプローブしたとき、これらのタンパク質の結合部位に結合するプローブをいくつか発見することができる。 これらのプローブ自体がこれらの発現したタンパク質のインヒビターの可能性がある。 これらのプローブを細胞培養物またはその他の系に添加して、その生物学的影響を決定し、それによってこのタンパク質の活性を確定するために使用することができる。 あるいは、さらに強い結合力のインヒビターを探索するために、非標識分子との競合アッセイ用の人工基質として、タグ付けしたプローブを利用することができる。 次に、これらの非標識分子をモデル系で試験して、細胞の機能に対するこれらのアゴニストまたはアンタゴニストの影響を決定することができる。 本発明に記載された技術を使用し、この様式によって、
    以前には未知の、または特性決定されていなかった発現したタンパク質の機能を確定することができる。

    【0044】 現在、細菌からヒトまでの生物体の配列解読中のゲノムからの遺伝子をクローン化して、大量に発現させている。 本発明はこれらのタンパク質の機能を迅速に解明し、同時に新しい創薬リード物質を探索するための方法を提供する。 その上、本発明は、酵素的または構造的機能がまだ何もわかっていないタンパク質の精製または分析のために有用な、親和性リガンドまたはそのインヒビターになり得るものを探索するための方法を包含する。 こうしたタンパク質標的として、ゲノム学的手法によって同定されたものが含まれる。

    【0045】 本発明は、あらゆる目的での集団の層化のために利用することができる方法をも提供する。 例えば、この技術を使用して、臨床試験のための群を層化することができる。 さらに、本発明によって、病態の早期検出または各種の疾病の分布パターンの分析のための安価な大量スクリーニングが可能である。 情報性プローブが一度開発された後は、スクリーニングのコストは非常に低い。 スクリーニングには安価な蛍光偏光装置およびプローブ以外は必要でない。 プローブは製造するのに安価なだけでなく、1アッセイのために数ナノモルしか必要でない。

    【0046】 以下の好ましい実施形態の詳細な説明および特許請求の範囲から、本発明の多数のその他の態様、様相および利点は容易に明らかになるであろう。 しかし、本開示は本発明の原理の代表例とみなすべきものであり、ここに開示された態様によって本発明を限定する意図はないことを理解されたい。

    【0047】 5.1 プローブの多様性リガンドライブラリーおよびその検出本発明の1実施形態にしたがって、血液、血清、尿、脳脊髄液、羊水、唾液、
    粘液などの体液、組織サンプル、細胞、ウイルス、微生物などの生物学的サンプル、またはRNA、DNA、ペプチドおよびタンパク質を含む有機分子、ならびに小さな有機分子を一群の既知の試薬に曝露して、結合相互作用のパターンを反映する数値パネルを作成したとき、「フィンガープリント」が確立される。 本発明によれば、多様性リガンドライブラリーは既知の試薬またはプローブの群を含み、これらが受容体または標的と相互作用するかまたは結合して、与えられた生物学的サンプル中のこの受容体または標的の存在を測定または指示する。 本発明のリガンドまたはプローブとして、限定するわけではないが、天然もしくは合成のいずれかのあらゆる生物学的分子が含まれ、限定するわけではないが、DNAもしくはR
    NAを含む核酸、小さな有機分子、ペプチド、糖タンパク質、タンパク質、多糖類、糖類または無機分子が含まれる。

    【0048】 本発明にしたがって、リガンドまたはプローブのライブラリーを使用して識別的な結合パターンを作成し、生物学的サンプル同士を正確に識別することができる。 本発明の好ましい1実施形態において、多様性リガンドライブラリーとしては、生物学的サンプルに曝露されたときに結合相互作用のパターンを反映する数値パネルを生成する既知の分子を包括する。 サンプル同士を識別するため、例えば特定の株のウイルス、細菌、寄生体もしくは真菌などの特定の微生物を同定または識別するために本発明を使用する場合、リガンドの多様性ライブラリーにはその微生物の成分と特異的または非特異的に相互作用することが知られているリガンドまたはプローブのフィンガープリントを含ませるべきである。

    【0049】 本発明のさらに別の実施形態において、受容体または標的が未知の場合、部分的にランダムに選択した分子で構成されるリガンドまたはプローブのライブラリーに試験すべき生物学的サンプルを曝露し、これによって特有の結合相互作用を同定できるようにし、その後既知の方法でこれを同定することができる。 試験サンプル中にのみ、または試験サンプル中では異なる濃度で存在することがわかった受容体が、その試験サンプルに関係する特定の病態診断または治療のための可能な標的となり得る。 その上、その受容体に対して高親和性および特異性を有することがわかったリガンドが創薬のためのリード構造体を提供する。

    【0050】 生物学的サンプルを特徴あるリガンドの供給源と接触させたとき、サンプル内に存在する受容体の1つと親和性を有するリガンドがこの分子と結合してリガンド/受容体複合体を形成することになり、各種のアッセイ技術を使用してこれを同定することができる。 正常なまたは対照のサンプル中に発生するリガンド/受容体相互作用を、対照と同じタイプの異常な細胞もしくは組織で構成される第2
    のサンプル中で発生するものと比較して、これら2つの間の特異的な差異を同定することができる。 記載するアッセイ系で使用するプローブ/リガンドは、生物学的サンプルの1成分がプローブに結合したとき検出可能なシグナルを産生するように、標識するか、タグをつけるか、または複合体化することができる。 プローブ/リガンドは当分野で既知の標識で標識することができ、これらとして限定するわけではないが、放射性同位元素、蛍光分子、化学発光化合物、および生物発光化合物が含まれる。

    【0051】 シンチレーション近接アッセイにおける使用のためには、分子は好ましくは限定するわけではないが32 P、 35 S、 125 Iまたは131 Iを含む放射性同位元素で標識される。 この放射性同位元素はガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターによって検出することができる。

    【0052】 プローブ/リガンドはフルオレセイン(FL)、ローダミン、4-4-ジフルオロ-5
    ,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸(BOもしくはB
    ODIPY)、イソチオシアン酸塩、シアニンまたはその他の蛍光色素などの蛍光分 子で標識することもできる。 蛍光標識したプローブ/リガンドと生物学的サンプルの成分との相互作用を、分光蛍光計によって、または好ましくは混合物の蛍光偏光を分析することによって、検出することができる。

    【0053】 プローブと生物学的サンプルの成分との結合相互作用をELISA(固相酵素免疫 検定法)によって検出することもできる。 そのプローブはビオチン、ストレプトアビジンまたはジゴキシゲニンなどの分子で標識または複合体化することができる。 これらの分子で標識したプローブを、酵素と複合体化したこの標識に対して特異的な抗体を使用して、検出することができる。 あるいは、プローブをある抗体で標識することもできる。 この抗体は酵素と複合体化させてもさせなくてもよい。 酵素と複合体化していない抗体は酵素と複合体化させた第2の抗体によって検出することができる。 この酵素と複合体化した抗体を、例えば分光光度測定、
    蛍光測定または可視的手段によって検出することができる化学的部分を産生するような様相で、適切な基質と反応させる。 抗体を検出し得るように標識するために使用することができる酵素として、限定するわけではないが、以下のものが含まれる:リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、δ-5- ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン 酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、
    βガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース
    -6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステ ラーゼ。

    【0054】 本発明の方法では当業者に知られた任意の技術にしたがって合成したリガンドライブラリーを使用することもできる。 好ましくは、それらは通常の溶液相反応または固相合成技術を使用して実施される。 対象とする有機分子、一級もしくは二級アミン基、ヒドロキシル基、チオール基、アルデヒドもしくはケトン、またはカルボン酸を含む生物学的に活性な化合物などを溶液中で好適な蛍光分子(色素)で直接標識して、対応する蛍光標識リガンドを作成することができる。 これらの方法および色素は Haugland,RP Handbook of Fluorescent Probes and Re
    search Chemicals,6 th Ed.,1996、に記載されている。 本発明の好ましい1実 施 形態において、完全な標識を確実にするためにわずかに過剰の色素を使用し て、好適な極性有機溶媒または溶媒混合物、DMF、DMSO、THFなどの中で、液相合成を実施する。 生成した蛍光標識リガンドを有機合成において標準的な技術、酸または塩基を使用する液-液抽出、結晶化および(薄層もしくはカラム)クロマ トグラフィーなどによって精製する。 以下の実施例に記載するように、その他の精製方法、ポリマーに結合させたスカベンジャーを使用して液-固相抽出をして 未反 応の色素を除去した後、単純に濾過する、などを使用することもできる(O
    brecht,D.および Villalgordo,JM,Solid-Supported Combinatorial and Paral
    lel Synthesis of Small-Molecular-Weight Compound Libraries,Pergamon,1998
    ,Chapter 3、参照)。

    【0055】

    スキームI. 溶液相反応(生成物をスカベンジャー樹脂によって精製) 本発明の1実施形態において、本発明のライブラリーを通常の固相技術を使用して作成する。 例えば、Bodanszky、Principles of Peptide Synthesis(Springe


    r-Verlag:1984);Bodanszkyら、The Practice of Peptide Synthesis(Springer-


    Verlag:1984);Barany および Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis a


    nd Biology Vol.2,Chapter 1(Academic Press:1980);Athertonら、Bioorg.Chem


    .Vol.8(1979)を参照されたい。 これは固相合成法が旧来の合成方法よりもいくつかの利点を有するからである。 例えば、個々の反応を完全に推進するために、大過剰の試薬または出発物質を使用することができること、ならびに生成物が固相支持体に付着しているため、単純な濾過および洗浄によって、精製および単離することができること、である。 さらに、樹脂に結合した物質の部位が比較的隔離されているので、多くのタイプの副反応が防止される。

    【0056】 本発明のライブラリーの合成にとって特に好適であることがわかった固相合成法を以下に記載する。 蛍光標識リガンドの多様性ライブラリーを迅速にかつ効果的に形成することができる、この方法は2つの一般的なステップを含む、第1に、蛍光色素を固相支持体に共有結合によって結合させる。 第2ステップにおいて、これは必要に応じて何回でも反復してよいが、固定化された色素を化合物または化合物の混合物と反応させて、所望のリガンドの混合物を形成させる。 本発明は作成されたときの固相支持体に付着しているか、または別の固相支持体に付着させたライブラリーを使用するアッセイを包含する。 しかし、第3ステップにおいて、リガンドの混合物を支持体から開裂することが好ましい。 スキームIIに示す本発明の合成法の好ましい実施形態には、この第3の任意ステップが含まれている。

    【0057】

    スキームII スキームII中、<A>、<B>、<C>、<D>および<E>は、所望の生成物または式(b)-(g)で示す中間体の形成に好適な反応条件を表し、カギ括弧( すなわち[ ])は任意の並行もしくは連続反応、反応物、および/または生成物 を表す。

    【0058】 スキームIIによると、式(a)の色素分子が選択される: XDY 式(a) ここで、Dは蛍光部分であり、X及びYはハロゲン、アルコール、ニトロ、チオール、エーテル、エステル、カルボン酸、α−ハロカルボン酸誘導体、アミン、
    アミド、並びにそれらの保護及び非保護誘導体からなる群より独立に選択される官能基である。 式(a)の色素分子の例には:フルオレセイン誘導体、例えば、ジ クロロトリアジルアミノフルオロセイン(DTAF)、ジクロロスルホフルオレセイン
    (DCSF)、及びニトロフルオレセイン;トリプトファン誘導体;クマリン誘導体;
    ナフチル誘導体;ビピリジン(bpy)誘導体;トリピリジン誘導体;シアニン;ロ ーダミン並びに有機金属錯体、例えば、Ru(bpy) 3及びそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。 色素分子の選択は、例えば、サイズ、溶解度、固相反応条件下での分解に対する不感性、吸光及び発光波長、量子収量、
    並びに周囲の化学環境に対する量子収量および発光波長の感受性を含む幾つかの要因に依存する。 これらの要因の多く、並びにこれらの、及び他の適切な化合物の合成は文献から容易に決定される。 例えば、Haugland, RP, Handbook of Fl
    uorescent Probes and Research Chemicals (6th ed.; 1996) を参照のこと。

    【0059】 同様にスキームIIによると、式(b)の反応性基質が選択される: 樹脂-LE 式(b) ここで、樹脂は固相合成に適する任意の固相支持体を表し;Lはその固相支持体に結合されたリンカーであり;EはLに結合された脱離基である。 適切な固相支持体には、例えば、ポリスチレン−ジビニルベンゼン(PS-DVB)共重合体及びポリエチレングリコール-PEG-PS-DVB共重合体が含まれる。 Wang樹脂(ポリマー結合 4−ベンジルオキシベンジルアルコール)及び Rink 樹脂(適切なリンカーが結合したもの及び結合していないもの)が、Aldrich Chemical Co.、ミルウォーキー、WI;Novabiochem、サンディエゴ、CA;及び Advanced Chemteck、ルイスビ ル、KYから入手可能である。

    【0060】 リンカーLEは、その固相支持体への結合がスキームIIにおいて<E>で表さ れる反応条件下で容易に開裂するように選択される。 適切なリンカーは当業者に公知であり、これには、例えば、ハロゲン、チオール、アルコール、エーテル、
    エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ニトロ、アミン、アミド、シラン並びにそれらの保護及び非保護誘導体が含まれる。 このようなリンカーの固相支持体への結合は当業者に公知の方法によって達成することができる。 例えば、Bu
    nin, BA, The Combinatorial Index, Academic Press, 1998 を参照のこと。

    【0061】 上述の基準に加えて、リンカーLEは、反応条件<A>の下で式(a)の色素分子の蛍光部分Dと共有結合を形成して式(c)の固定化色素を生じるように選択され る: 樹脂-LDY 式(c) 適切な反応条件<A>(これは、樹脂、L、E及びXに依存する)は当業者に公知であるか、又は当業者が容易に決定することができる。 一般には、これらは、
    樹脂を膨潤させてXと反応させる溶媒の使用を含む。 適切な溶媒には、例えば、
    ジメチルホルムアミド(DMF)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、テトラヒドロフ ラン(THF)、CH 2 Cl 2 、及びそれらの混合液が含まれる。 また、反応条件<A>は 、その反応の間に生じる酸を中和するために塩基、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、又はN −メチルモルファリン(NMM)を含み得る。

    【0062】 式(c)の固定化色素は、(スキームIIにおいて式(g)で表される)ライブラリーのリガンドがその上に形成される土台として役立つ。 しかしながら、反応性部分Yが保護されている場合、さらに反応させる前にそれを脱保護しなければならない。 この脱保護部分Y'を形成するための任意の脱保護反応はスキームIIにおいて<B>で表される反応条件下で行う。 これらの条件(保護基に応じて変化する)は当業者に公知である。 Greene, TW and Wuts, PGM, Protective Groups in Organic Chemistry (2nd ed.; 1991) を参照のこと。

    【0063】 固定化色素は、次に、反応条件<C>の下で式E 1 R 1 G 1の化合物と反応させて式
    (d)の化合物を得る: 樹脂-LDR 1 -G 1式(d) ここで、E 1及びG 1は同じであっても異なっていてもよく、E 1は脱離基又は保護基であり、G 1はR 1の終端であるか、又は脱離基もしくは保護基であり、R 1は適切な触媒及び/又は脱保護条件下で蛍光部分DへのR 1の付加を可能にする少なくとも1つの保護もしくは非保護反応性部分を含む任意の化学断片を表す。 適切な反応性部分にはハロゲン、チオール、アルコール、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ニトロ、アミン、アミド、シラン、及びそれらの保護及び非保護誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。 適切な反応条件<C>には固相コンビナトリアルケミストリー用に開発されているものが含まれる。 例えば、Brown, R., Contemporary Organic Synthesis, 216 (1997);Fel
    der, ER, and Poppinger, D., Adv. Drug Res., 30:111 (1997);Balkenhohl,
    F., et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 35:2288 (1996);Hermkens, PHH
    ., et al., Tetrahedron 52:4527 (1996);Hermkens, PHH, et al., Tetrahe
    dron 53:5643 (1997);Thompson, LA, et al., Chem. Rev. 96:555 (1996);及び Chem. Rev. 97(2) (1997) を参照のこと。 例示的な付加反応には、一級アミ ンをアルデヒドと反応させてイミンを形成するものが含まれ、次にイミンは、例えばβ−ラクタム、ピロリジン、チオゾリジノン、及びアミドを含む様々な異なる部分と反応させることができる。 同様に酸基も順応性があり、例えば、アルデヒド、アミン及びイソニトリルと共に Ugi 多成分縮合条件下で使用して小さい アミド又は複素環化合物のいずれかを形成することができる。

    【0064】 スキームIIによって示されるように、式(c)の固定化色素分子は、各々異なる 化合物であるが、一般式E 1 R 1 G 1を有する化合物の混合物、すなわち、E 1 R 1 G 1 +(E 1 R 1 G 1 )'+(E 1 R 1 G 1 )”+・・・+(E 1 R 1 G 1 ) i (ここで、iは混合物中の化合物の数であり、好ましくは約50以下の整数である)と反応させることもできる。そのような場合、式(d)の化合物の混合物が生じ、その各々は異なるR 1 G 1断片を有する;すな わち、樹脂-LDR 1 G 1 +樹脂-LD-(R 1 G 1 )'+樹脂-LD-(R 1 G 1 )”+・・・+樹脂-LD-(R 1 G 1 ) i 。 しかしながら、式(c)の化合物を式E 1 R 1 G 1の1種類の化合物とのみ反応させ ることが好ましい。

    【0065】 多くの薬理学的に活性の化合物はアミン及びカルボン酸のような反応性部分を含むため、本発明はそのような化合物が式E 1 R 1 G 1によって包含されることを意図しており、そのような場合、さらなる反応が望ましいことも望ましくないこともあり得る。 しかしながら、式(d)の化合物(1種以上)のR 1断片が反応性部分で ある場合、n-1回の後続の付加反応をスキームIIにおいて<D>で集合的に言及 された反応条件下で行うことができ、ここでnは蛍光部分Dに結合された反応性部分の数を表し、好ましくは約100以下の整数である。

    【0066】 上と同様に、これら後続の付加反応の各々では式E k R k G kの単一の化合物又は化合物の混合物の両者を用いることができ、ここでkは2からn-1までの整数であ り、R kは固定化蛍光部分Dに(既にDに結合しているk-1個の部分を介して)結 合するk番目の部分であり、E k及びG kは同じであるか、もしくは異なり、E kは脱離基もしくは保護基であり、G kはR kの終端であるか、又は脱離基もしくは保護基であり、R kは固定化化合物(1種以上)へのR kの付加を可能にする少なくとも1
    つの反応性部分を含む任意の化学断片を表す。 適切な反応条件<C>には、固定化蛍光化合物へのR kの付加を促進する触媒、脱保護剤等の使用が含まれる。

    【0067】 上述の反応の完了により式(f)の固定化化合物: 樹脂-LDR n式(f) 又は式(f)の固定化化合物の混合物;すなわち、樹脂-LD-(R 1 R 2 R 3・・・R n )+樹脂-L
    -D-(R 1 R 2 R 3・・・R n )'+樹脂-LD-(R 1 R 2 R 3・・・R n )”+・・・+樹脂-LD-(R 1 R 2 R 3・・・R n ) m (ここで、mは、iが最大数の化合物を有するE k R k G k混合物中の化合物の数に等しいときに約i*nの最大値を有する)のいずれかが形成される。単純にするため、リガンドの終端(例えば、R n )は更なる付加反応を受けることがないことからG nを式(f)から省略する。

    【0068】 スキームIIの最終工程において、色素−リガンド化合物を反応条件<E>の下で固相支持体から開裂して式(g)の化合物のライブラリーを得る: PDR n式(g) ここで、式(g)が、スキームIIに示される反応によって生じる全ての可能性のあ る化合物及び化合物の混合物を包含することは理解されるであろう。 適切な開裂条件<E>は当業者に公知であり、樹脂とLとの間の結合に依存する。 開裂は酸性もしくは塩基性条件下で達成することができ、又は光誘導することができる。
    多くの適切な開裂方法が文献に報告されている。 例えば、式(f)の改質樹脂を塩 化メチレン中のトリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによって達成される開裂 反応の幾つかをスキームIIIに示す:

    スキームIII ここで、(j)は Wang 樹脂誘導体;(k)は Wang カルバメート樹脂誘導体;(l) は Wang アミノ酸樹脂誘導体;(m)は Rink 樹脂誘導体;(n)は Rink アミノ酸樹脂誘導体;及び(o)はトリチルもしくはクロロトリチルアミン(すなわち、X=NH )もしくはアルコール(すなわち、X=O)樹脂誘導体であり;L

    1は固相反応条件 下で安定な任意の側鎖又はスペーサーを表す。 適切な側鎖の例には置換及び非置換アルキル、アリール及びアラルキル基が含まれるが、これらに限定されるものではない。

    【0069】 開裂後、好ましくは溶媒を除去して蛍光ライブラリーを単離する。 次に、そのライブラリーを、本発明のアッセイで使用するのに適する溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。

    【0070】 スキームIIの方法の特定の実施形態をスキームIV〜VIIIに示す。 明確にするため、これらのスキームには混合物の反応及び形成を示していない。 しかしながら、示される個々の反応の各々が多くの平行反応の可能性を表すことは理解されるであろう。

    【0071】 スキームIIの一般的なアプローチの特定の単純化した実施形態をスキームIVに示す。

    【0072】

    スキームIV ここで、L

    1は、示される反応条件下で結合反応を立体的に妨害することがないか、又は他の方法で阻害することのない任意の部分であり;Pは固相支持体から開裂された後のL

    1の端部を表し;R

    1及びR

    2は同じであるか異なり、かつ好ましい構造及び反応性を有するライブラリーをもたらすのに望ましい任意の基であり得る。 適切な基の例には置換もしくは非置換アルキル、アリール及びアラルキルが含まれるが、これらに限定されるものではない。

    【0073】 スキームIVによると、ジアミノカルバメート Wang 樹脂又はアミノ酸 Rink 樹脂又はジアミノ/アミノアルコールトリチル/クロロトリチル樹脂を用い、DTAF
    を固相支持体に固定化してモノクロロトリアジルアミノフルオレセイン樹脂を得る。 この反応は好ましくは周囲温度で行う。 DTAFを、約0.5〜約3当量の塩基、 例えば、DIPEA、トリエチルアミン、DMAP又はNMMと共に適切な溶媒、例えば、DM
    F、NMP、THF、塩化メチレン、又はそれらの混合液に溶解する。 例えばDMF又はNM
    P中、周囲温度で、トリアジン環の残りの塩素を過剰の対称性ジアミン(好まし くは約2〜約6当量)で置換すると、さらなる合成のための新たな反応基が生じる。 このプロセスを所望の回数、望まれる数の異なる反応物質を用いて繰り返した後、得られた蛍光化合物又は化合物の混合物を反応性支持体から開裂する。

    【0074】 スキームIIの一般的なアプローチの別の実施形態をスキームVに示す:

    スキームV ここで、DCSFは、樹脂に結合される二級アルキルアミン、好ましくは環状二級アミンで塩素原子を置換することによって固相支持体に結合させる。 それにより、L

    1は環状ジアミンの一部を形成する。 適切な環状ジアミンには、例えば、ピペラジン、ホモピペラジン、4,4'-トリメチレンジピペリジン、並びにそれらの誘導体及び異性体が含まれる。 示されるように、HNR

    1 NHを適切な反応基を有する任意の化合物で置換することができるものの、R

    1も環状ジアミンの一部を形成する。 R

    2及びR

    3は本発明のライブラリーの蛍光リガンド中に組み込むのに適する任意の部分を表し、これには、例えば、天然アミノ酸の側鎖;置換及び非置換アルキル、アリール及びアラルキル等が含まれる。

    【0075】 スキームIVに示されるように、標準アミド形成条件(すなわち、PyBrOP/DMAP/
    DMF)下で蛍光化合物の遊離アミノ基をFmocアミノ酸と反応させることによってN
    -Fmoc保護アミノ酸を蛍光樹脂に結合させる。 DMF中でピペリジンによりFmoc基を除去した後、そのアミノ酸によってもたらされる新アミノ基を、例えば、酸塩化物、クロロホルメート又はイソシアネートで誘導体化して様々な蛍光標識化合物を得ることができる。 適切なイソシアニド化合物の非限定的な例をスキームVIに示す:

    スキームVI 当業者には容易に明らかであるように、反応性部分、例えば、アミノ酸、酸塩化物、クロロホルメート、及びイソシアネートを含む多くの他の部分(すなわち、R

    4 、R

    5 、・・・、R

    n )を用いてDCSFに結合したリガンドを形成することができる。 同様に、反応条件が適切に変更されるのであれば、スキームIVのR

    2及びR

    3基が結合する化学断片を、色素分子に結合した鎖の成長を可能にする他のもので置換することができる。

    【0076】 スキームIIの一般的なアプローチの最終の実施形態をスキームVIIに示す:

    スキームVII ここで、DTAFは Rink アミノ酸樹脂に結合させ、その後続いて、上述の方法によって誘導体化する。 L

    1 、R

    1及びR

    2は上と同様に定義される。

    【0077】 上記方法に加えて、蛍光標識リガンドライブラリーも一般的な固相合成技術によって作製される(Obrecht, D. and Villalgordo, JM, Solid-Supported Com
    binatorial and Parallel Synthesis of Small-Molecular-Weight Compound Lib
    raries, Pergamon, 1998;及び Bunin, BA, The Combinatorial Index, Acade
    mic Press, 1998)。 本発明の好ましい実施形態においては、所望の化合物を、 文献に記載される方法に従って固相支持体上で合成する。 固相支持体から開裂する前に、固相支持体上の化合物を適切な色素で処理して樹脂上に蛍光標識リガンドを得る。 次に、これらのリガンドを樹脂から開裂して蛍光標識リガンドを得る。

    【0078】 1つのアプローチにおいては、固相に支持された反応性ブロックを異なる反応性ブロックと段階的に反応させることによって直線的な方式でこれらのリガンドを合成する。 次に、最終工程において開裂に先立って色素を付加し、スキームVI
    IIに示される標識リガンドを得る。 このスキームにおいては、蛍光標識N−ヒドロキシキナゾリノンが好ましい。 キナゾリノンは最も一般的な生物活性窒素含有複素環の1つである(Sinha, S. and Srivastava, M. in Progress in Drug Res
    earch, 1994, vol.43, 143-238 を参照)。 これらは、ヒト及び動物において広 範な生物学的及び薬理学的活性を示す。 これらは抗痙攣薬、抗菌薬及び抗糖尿病薬として用いられている。 したがって、蛍光標識キナゾリンは診断用途及び薬物探索に有用である。

    【0079】

    スキームVIII 別のアプローチにおいては、Ugi 縮合(Tempest, PA, et al. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1996, vol.35, 640-642)のような多成分縮合反応を用いて集 中的な方法でこれらのリガンドを調製する。 このアプローチを用いて、アミン成分を Rink アミン樹脂として固相支持体に固定化し、MeOH/DCM(1:2 v/v)の混合 液で膨潤したこの樹脂にアルデヒド、Fmoc保護アミノ酸、及びイソシアニドを過剰に添加する(スキームIX)。 異なるアルデヒド、酸及びイソシアニドを組み合わせて用いることにより、多数のリガンドを合成することができる。

    【0080】

    スキームIX

    5.2 生物学的サンプル本発明は、広範囲の起源から得られる複雑な生物学的混合物またはサンプルを「フィンガープリントする」方法を提供する。 本発明の方法は、正常または異常の、健康または疾患の、形質転換していないまたは形質転換した、未感染または感染した細胞および/または組織間に存在する特定の表現型の差異を同定するために利用することができる。 本発明の方法はまた、微生物、ウイルス、細菌、真菌または寄生体の種の間を同定または識別するために応用することもできる。

    【0081】 本発明の方法は、全てのタイプのリガンド/受容体相互作用を検出し、その場合、受容体はタンパク質、炭水化物、核酸、またはプローブもしくはリガンドと相互作用する能力のある形状をもつ任意の分子であることができる。 本明細書に使われる「生物学的受容体」、「受容体」、「生物学的標的」、「標的」および「生物学的サンプルの成分」は、任意の生物学的分子、結合表面、結合部位またはその他を含むことを意図し、例えば、試験サンプル、例えば疾患のさもなくば異常な細胞および/または組織中で、識別的に発現され、または識別して改変されたものである。 これらの受容体の任意の1つは、診断および/または潜在的治療薬の開発のための標的となることができる。

    【0082】 したがって、本発明の1つの態様は、病理の特徴を決定する方法であり、該方法は、病理に関連して生物学的サンプル中に存在する受容体または標的、とリガンドまたはプローブのライブラリーとの間の結合相互作用のパターンのを同定することを含み、その結合相互作用のパターンが病理に特有のフィンガープリントを与えることを含んでなる。

    【0083】 本発明によれば、「受容体」または「標的」は、試験サンプル中のプローブまたはリガンドのライブラリー(試験サンプルと対照サンプルの間で異なっても異なっていなくてもよい)と結合親和性または相互作用を示す生物学的分子である。 このような受容体または標的の例は、限定されるものでないが、酵素を含むタンパク質、抗原、抗体、脂質、DNAおよびRNAを含む核酸、レクチンを含む炭水化物、細胞表面タンパク質または受容体、などを含む。

    【0084】 本法で利用される生物学的サンプルは、限定されるものでないが、血漿、血清、尿、脳脊髄液、羊水、唾液、粘液のような体液、組織サンプル、細胞抽出物、
    in vitro転写および翻訳系由来の産物(例えば、Kingらに交付された米国特許第
    5,654,150号の方法により得られる)およびその他のような生物学的物質を含む 、生物学的分子の供給源である任意のサンプルであることができる。 さらに、細菌、酵母、真菌、ウイルス、原生動物などのような病原体生物を含有するそれら由来の抽出物または液体を使うこともできる。 これらの例において、病原体中のタンパク質または他の受容体に対して高親和性および特異性を示すリガンドは、
    新しい標的であり得、病原体に対する抑制効果を試験することができる。

    【0085】 本発明の方法によってスクリーニングすることができる生物学的サンプルは、
    広範囲の起源から得ることができる。 例として説明すると、限定するものではないが、生物学的サンプルまたは混合物は、患者から得ることができ、体液、血液、血清、口腔、直腸または腸粘液を含む粘液、尿、糞便、などを含む。 さらに、
    生物学的サンプルは、組織サンプル、生検組織、骨髄細胞、リンパ球、免疫細胞、口腔、直腸または腸粘液ライニングから得た粘膜細胞を含む細胞サンプル、などを含むことができる。 さらに他の実施形態では、生物学的サンプルまたは混合物は、細胞溶解物またはその部分、レクチンを含む炭水化物;糖タンパク質を含むタンパク質、細胞表面受容体、ペプチド;DNAまたはRNAを含む核酸などを含むことができる。 さらに他の実施形態では、生物学的サンプルは、ウイルス、細菌、微生物もしくは寄生体、またはそのような生物学的サンプルを含有する液、 えば 、微生物内容物の試験水供給物であってもよいし、またはそれらに由来するものでもよい。

    【0086】 本発明の生物学的サンプルは、ウイルス、細菌または他の微生物に感染した疾患、障害または病理を負った個体から得ることができる。 さらに他の実施形態では、生物学的サンプルは、組織、培地中の細胞、細胞抽出物などを毒素もしく病原剤に曝すことによって、または培地中の細胞のゲノムを、所与の病理または障害に関連することが知られる変異またはタンパク質またはペプチドをコードするように遺伝子操作することによって作製することができる。

    【0087】 臨床サンプルの起源としての生物学的物質の収集物は、病院または国立研究施設から得ることができる。

    【0088】 5.3 リガンド/受容体相互作用検出のためのアッセイ臨床物質は、しばしば、所与の病理に対して限られた供給量しか利用できないことを認識すれば、本発明の第3の要素である高感度アッセイ系(sensitive as
    say system)は、僅かマイクロリットルのサンプル中に起こる結合相互作用を検出する能力がなければならないし、さらに、最適親和性より弱い結合相互作用を検出する能力がなければならない。 本発明のアッセイ系は、サンプル中に存在する受容体に対するリガンドの非特異的結合を排除しまたは著しく減少させる。

    【0089】 したがって、本発明のアッセイのある態様は、プローブまたはリガンドと受容体、標的または活性部位との間の相互作用を検出するための手段を提供することにある。 このような実施形態の1つでは、生物学的サンプル中に存在する受容体または標的の検出のために均一アッセイを利用する。 該アッセイは、生物学的サンプルを、マイクロタイターディッシュまたは他のウエルタイプのデバイス中の多様なプローブのライブラリーと接触させ、プローブライブラリーの個々のメンバーと該系内の成分との結合を検出することを含んでなる。 プローブライブラリーのメンバーとサンプルとの結合パターンは、該サンプルの分子フィンガープリントを与える。 好ましい実施形態では、ライブラリーのメンバーとサンプルのある成分との結合は、蛍光偏光により検出する。

    【0090】 他の実施形態では、生物学的サンプル中に存在する受容体または標的を検出するためのアッセイは、ライブラリーのプローブおよびリガンドを、特異的触媒により開裂可能な部位を有する構造に結合させることを含み、該構造またはスカホールドの開裂により、プローブと受容体の間の相互作用を検出するためのシグナルまたは手段が提供される。 さらに特定的には、リガンドまたはプローブのライブラリーのメンバーを、特異的触媒により開裂可能な部位および該部位の両側にマーカーを有するスカホールドに結合させて、リガンド/スカホールド構築物を与える。 ;該リガンド/スカホールド構築物を生物学的サンプルと接触させると、サンプル中に存在する受容体に親和性を有するリガンドは受容体と結合し、そしてスカホールドの開裂可能な部位をブロックする。 リガンド/スカホールド構築物が特異的触媒と接触すると、結合している受容体を含まないスカホールドは開裂されるので、無傷のスカホールドが同定される。

    【0091】 本発明のアッセイの好ましい実施形態は、さらに、ビオチンのようなマーカーを該スカホールドの開裂可能な部位と同じ側に結合させ、そしてジゴキシゲニンのような第2のマーカーを該スカホールドの反対側に結合させることを含んでなる。 スカホールドを表面に固定し、触媒の添加後、混合物を洗浄して開裂スカホールドの第2マーカーを含む部分を除去し、無傷のスカホールドを第2マーカーの存在により同定する。

    【0092】 アッセイに使われるスカホールドは、DNA、RNA、ペプチド、ペプトイド、オリゴ糖またはブロックコポリマーを含む任意の疎水性もしくは親水性、合成もしくは天然ポリマーを含んでもよい。 好ましい実施形態では、スカホールドは、第1
    のオリゴヌクレオチド、それに結合したリガンドを有する第2の相補性オリゴヌクレオチド;および1つの制限酵素切断部位からなる構築物である2本鎖DNAで ある。 この実施形態では、特異的触媒は、制限酵素切断部位に特異的な制限酵素である。 第1のマーカーは、例えば、ビオチンであることができ、その場合、リガンド構造物をストレプトアビジンまたはアビジンでコーティングした表面に固定することができる。 ジゴキシゲニンは好ましい第2マーカーであり、その場合、抗ジゴキシゲニンペルオキシダーゼを用いて無傷スカホールドの存在を示す。

    【0093】 生物学的サンプル中の受容体の存在を検出するための他のアッセイは、リガンドライブラリーのメンバーをスカホールドに結合し、該スカホールドをスカホールド特異的結合薬剤および生物学的サンプルと接触させ、そしてリガンドと生物学的サンプルに存在する受容体の間の相互作用を検出することからなる。 このアッセイで使われるスカホールドは、DNA、RNA、ペプチド、ペプトイド、オリゴ糖またはブロックコポリマーを含む任意の疎水性もしくは親水性、合成または天然ポリマーを含んでなることができる。 好ましい実施形態では、スカホールド特異的結合薬剤は、リガンドと受容体との間の相互作用が起こるスカホールドの領域に結合しない。 スカホールド特的結合薬剤は、薬物、ペプチド、糖タンパク質、
    タンパク質、多糖、糖、または無機分子であってもよい。 他の実施形態では、スカホールドはスカホールド特異的薬剤がスカホールドに結合するとブロックされるマーカーを含み、該マーカーへ接近できることは、スカホールド特異的結合薬剤の非存在およびリガンド/受容体相互作用の存在を示す。 好ましい実施形態では、スカホールドは、2本鎖DNAを含んでなり、マーカーは、受容体/リガンド 相互作用が起こるとストレプトアビジンまたはアビジンにより検出されるビオチン化ヌクレオチドである。

    【0094】 さらに他の実施形態では、本発明の原理は、潜在的な医薬品の毒性学的スクリーニングに使用し得る。 現在、医薬開発の早期に、臨床試験前に起こる毒性、または副作用を予測することは困難である。 本発明の原理を利用することによって、毒性の有無を、現在可能であるよりも開発の遥かに早い段階で予測し得る。

    【0095】 本発明のこの態様によれば、培養細胞または組織を既知の毒性または非毒性化合物で処理し、その後、培養物から抽出物を調製し、そして標識化合物のライブラリーを用いてプローブする。 この標識化合物のライブラリーによるプロービングは、細胞または組織の、毒性または非毒性化合物に対する応答を反映する「フィンガープリント」パターンを与える。 毒性物性に関係するフィンガープリントパターンの何らかの変化が示され、恐らくは統計解析または人工知能ルーチン(
    ニューラルネットワーク)による分析によってさらに分類される。 続いて、以上のようにフィンガープリントパターンが設定された培養細胞または組織を、未知の毒性を有する試験化合物で処理し、処理した培養物から抽出物を調製し、標識化合物のライブラリーを用いてプローブする。 その後、該細胞または組織の応答で得たフィンガープリントまたはプロフィールを、既知の毒性/非毒性化合物を用いて該細胞または組織に対して作製した参照プロフィールと比較して、試験化合物の性質を予測する。

    【0096】 本発明によって、第5.3.1節から第5.3.3節は、生物学的サンプルに対するプローブの結合親和性の差を検出して、結合親和性のフィンガープリントまたはパターンを作製するために使うことができるアッセイを記載する。

    【0097】 本発明を用いて得られる結果は、2つのサンプル集団(例えば、正常および罹患)を識別するために役立ち、2つのカテゴリーに適合すると期待することができる。 第1のカテゴリーでは、1または2のプローブで集団を識別することができ、プローブ応答は2群間で容易に識別可能(「光る小石(shining pebbles) 」)であろう。 第2のカテゴリーでは、2つのサンプル集団との結合の微妙な差は、該サンプル集団との結合の差が小さい、より多数のプローブを使うことによって識別することができる。 未知サンプル中で信頼性ある識別化を統計解析する力を与えるために、これらのプローブの組合わせ(診断クラスター(diagnostic
    cluster))が必要であろう。 プローブ数が大きいほど、個々の相違による変動によって全結合パターンが著しい影響を受けないので、より有用な解析システムをもたらすと期待される。 1または2のプローブしか使えない系では、プローブ中の個々の相違が診断を一層困難にする。

    【0098】 多数のサンプルに対する多数のプローブ結合の解析には、精巧な計算機アルゴリズムの使用が必要である。 2つのタイプのデータ解析を実施することができる。 第1の解析タイプは、どのプローブが2つのサンプル集団のメンバーの識別に有用であるかを決定することに焦点を合わせる。 この解析タイプ用のアルゴリズムは、統計解析分野(判別機能分析(discriminate function analysis))から、または人工知能分野(スーパーバイズド逆伝播ニューラルネットワーク(supe
    rvised back propagation neural network))からの利用が可能である。 実施可能な第2の解析タイプは、プローブの結果に基づいてプローブ結合データを分類し、その後、それぞれのプローブに基づくカテゴリーの歴史(例えば、医療上の)に何らかの類似性があるかを問うことを含む。 これらの解析タイプのためのアルゴリズムは、統計解析(主成分分析(principal component analysis))におよび人工知能(アンスーパーバイズド、Kohonenニューラルネットワーク(unsuper
    vised, Kohonen neural network))に存在する。 以上の機能をもつデータ解析 プログラムまたはパッケージは市販されている。 例えば、市販プログラムSPSS(S
    PSS, Inc., Chicago, Illinois)およびSAS(SAS Institute, Inc., Cary, NC)
    は判別機能分析および主成分分析を提供する。 Neuroshell 2(Word Systems Gro
    up, Inc., Frederick, MD)またはStuttgartニューラルネットワーク・シミュレーション(The University of Stuttgart, Stuttgart, Germany)のような複数 のパッケージは、逆伝播およびKohonenニューラルネットワークを提供する。

    【0099】 5.3.1 蛍光偏光アッセイ本発明では、蛍光偏光を利用して、生物学的サンプル中に存在する受容体とリガンドの間の結合相互作用を同定することができる。

    【0100】 蛍光偏光アッセイは、蛍光標識化合物の非標識生体分子との結合を測定するように設計されている。 蛍光偏光に基づくアッセイは、分子量ほぼ10,000までの蛍光標識化合物の生体分子との相互作用を検出するのに利用することができる。 使用可能な蛍光標識化合物のタイプは、限定されるものでないが、小有機分子、ペプチド、小タンパク質、核酸、脂質および多糖を含む。 蛍光分子は、平面偏光により励起されると、励起と発光の期間中に回転しないときのみ、固定平面で光を放射するであろう。 放射光の偏光解消の程度は、分子の回転量に依存し、それは分子のサイズに依存するであろう。 励起時と蛍光放射時の間に、小さい分子は大きい分子より多く回転する。 このアッセイの最適条件は、標識化合物が、結合相手の非標識分子より遥かに小さいときである。 未結合の小さい蛍光標識化合物は、急速に回転し、放射光は偏光解消する。 生体分子と蛍光標識化合物の間の相互作用は、蛍光標識化合物の有効サイズを増加し、したがって、該化合物の回転を減少し、放射光は偏光したままとなる。 放射された偏光の強度は、可動の偏光フィルターを検出器の前面に挿入して測定することができる。 強度は、90°ずらした平面で測定し、多くの場合、平行および垂直の強度を測定する。 ある測定器では、励起フィルターが可動で、発光フィルターが固定される。 ある特定の他の測定器では、平行および垂直強度を同時に光ファイバーを介して測定する。 Pan Ve
    ra、BMG Lab Technologies、およびLJL Biosystemsの3社は市場調査グレードの蛍光偏光装置を、またAbottは臨床研究計装を提供している。 蛍光偏光値は、次 式により決定される: 偏光=(垂直強度−平行強度)/(垂直強度+平行強度) 蛍光偏光値はしばしば、1000で割って、ミリ偏光単位(mP)で表現される。

    【0101】 このようなアッセイの1つの形では、フルオレセインのような蛍光分子を、「
    プロペラ効果(propeller effect)」が起こるのに十分な長さのオリゴマーに結合させる。 その後、短いリンカーを蛍光分子に結合させ、蛍光分子と反対のオリゴマーの末端は、蛍光偏光に使うのに適したマイクロタイターディッシュまたは他のウエル型デバイスの壁に結合させる。 その後、短いリンカーの自由末端を、
    スクリーニングするリガンドを用いて誘導体化する。 各ウエル中に結合したリガンドの正体はよく知られている。 その後、受容体の供給源を各ウエルに添加し、
    インキュベートする。 その後、偏光を使って、蛍光分子を励起し、放射偏光の偏光度を測定する。 リガンドと結合する受容体は、蛍光分子の自由回転を低下させ、偏光の増加が検出されるであろう。 他方、もしリガンドに結合する受容体がないと、蛍光分子は自由に回転したまま残って、放射光は少なく、偏光していないであろう。 リガンドに対する任意の結合受容体の親和性の近似を得るには、抽出物をウエルから除去して、新しいバッファーを添加し、そして各ウエルから放射される光の偏光を測定する。 低い親和性をもつ受容体は、結合した受容体から解離し、放射光の偏光は低下するであろう。 このプロセスを繰り返すと、最高親和性のリガンド/受容体結合相互作用が同定されるであろう。

    【0102】 5.3.2 シンチレーション近接アッセイ(SPA)典型的にはSPAアッセイでは、受容体を、シンチラントロードビーズと結合さ せ、スクリーニングは、溶液中のリガンドに対して、直接または競合的に実施する。 しかし、この手順を逆にして、リガンドをビーズに結合させ、受容体を液中におくことも可能である。 この変形は、特にコンビナトリアルケミストリーに適合することができる、というのは、多くの合成スキームにおいて、ライブラリー合成はビーズ上で行われ、続いてSPAアッセイで必要なときにビーズをシンチラ ントで飽和させることができるからである。 さらに、1以上のリガンドを1つのビーズ上で合成することができる。 このような系では、シンチラントをロードしかつリガンドでコートしたビーズを、放射能標識した反応体を含有する液相中に浸漬する。 もし標識した反応体がタグ付きリガンドに対して親和性を有し、両者が結合すると、生じた放射能標識反応体とビーズのシンチラントの近接がシンチラントを活性化して光を放射する。 もし標識した反応体が少ししかまたは全く親和性がなければ、放射能標識はエネルギー転移に続く放射性物質の崩壊が起こる程にシンチラントの十分近くには蓄積されないであろう。 SPAは洗浄工程を必要 としないので、比較的低い親和性のリガンド/受容体結合相互作用の検出が可能である。

    【0103】 5.3.3 DNA制限酵素切断部位妨害アッセイこのシステムの原理は、単一の制限酵素切断部位およびリガンド-レポーター 系を含むように合成されたDNA構築物についての制限酵素活性の存在または非存 在に基づく。 該構築物を生物学的混合物と接触させると、リガンド/受容体相互作用は制限酵素による制限酵素切断部位への接近をブロックし、該部位での構築物の加水分解を妨げるであろう。 無傷で残る構築物を単離し、リガンド/受容体相互作用を同定することができる。

    【0104】 DNA制限酵素切断部位アッセイ系の説明を本明細書に記載する。 ビオチンを5' 末端に、ジゴキシゲニンを3'末端に含有する1本鎖DNAオリゴヌクレオチドを、 相補性オリゴヌクレオチドにアニーリングして、アニーリングした2本鎖オリゴヌクレオチドに単独の制限エンドヌクレアーゼ開裂部位を中央に含有させた。 該相補性オリゴヌクレオチドを末端アミノ基をもつリンカーを含有するように改変した。 この場合、5'末端から5番目のAおよび6番目のTの間のアミノ基の位置は、2本鎖オリゴヌクレオチドに対する制限酵素活性を妨害しない。

    【0105】 得られた構築物(ここで、配列:

    (配列番号

    ) は制限酵素切断部位である)を以下に示す: (配列番号

    ) 該アミノ基を、多様な化学ライブラリーのリガンドで誘導体化して、以下に示す構築物を作った: (配列番号

    ) アミノ基の誘導体化は、まだCPGビーズに結合しているとき、1本鎖オリゴマ ーの合成時に行うことができ、その後、アルカリ開裂を使ってオリゴマーをビーズから遊離させ、その後、相補性ビオチン‐ジゴキシゲニンオリゴマーにアニーリングすることができる。 リガンドを結合する代わりの方法として、誘導体化塩基を相補性オリゴヌクレオチドの合成時に組込むことができる。

    【0106】 当業界で公知の方法によって、制限酵素切断部位に特異的な制限酵素とともにインキュベートすると、誘導体化構築物は、制限酵素切断部位で加水分解して以下に示す2つの部分を与える:

    (配列番号

    および

    ) 加水分解混合物をストレプトアビジンまたはアビジンをコートした表面と反応させると、ビオチン標識部分は固定され、ジゴキシゲニン標識部分は洗浄により排除されるであろう。 固定化混合物の抗ジゴキシゲニンペルオキシダーゼ抗体との反応は、制限酵素による加水分解とその後の洗浄によって混合物からジゴキシゲニン標識部分が排除されるので、陰性の結果を与えるであろう。

    【0107】 サンプル内の潜在的受容体を検出するためのプローブとして機能する無傷のリガンド誘導体化構築物を臨床サンプルと混合すると、該リガンドは以下に示すような高い親和性を有する受容体を捕獲するであろう:

    (配列番号

    ) インキュベーションの後、該反応混合物を適当なバッファーを用いて希釈し、


    制限酵素で処理し、その後、ストレプトアビジンコーティング表面とともにインキュベートしてビオチン分子を固定する。 構築物上のリガンドに高い親和性をもつ生物学的分子が存在する場合、該分子は制限酵素切断部位への酵素の接近をブロックし、DNAスカホールドの加水分解を妨げ、それによって無傷の2本鎖オリ ゴヌクレオチドの固定化をもたらすであろう。 代わりに、生物学的分子が構築物のリガンドと結合しなければ、制限酵素はブロックされず、上に示したようにDN


    Aスカホールドの加水分解が可能になり、そしてジゴキシゲニン標識部分を含ま ない末端開裂型構築物の固定化をもたらすであろう。 ジゴキシゲニンペルオキシダーゼ抗体を用いる標準の固相酵素免疫検定法(ELISA)を使ってストレプトア ビジン表面のジゴキシゲニンの存在を検出することができる。 陽性アッセイは、


    制限酵素がブロックされたことを示し、これは分子がリンカーと結合した徴候である。 したがって、この手法を使い、制限酵素の制限酵素切断部位への接近をブロックするのに十分な親和性およびサイズを有する、任意の受容体間と任意のリガンドとの相互作用を検出することができる。

    【0108】 以上記載したアッセイの改変では、以下に示したように、或る「ギャップ」(
    或る塩基の欠失)を2本鎖配列の一方の鎖に挿入し、或るリガンドを該ギャップの次に結合させる:

    (配列番号

    ) ヤエナリヌクレアーゼ(mung bean nuclease)またはヌクレアーゼS1のようなエンドヌクレアーゼによるこの構築物の処理は、ギャップ領域における該構築物の加水分解をもたらすであろう。 加水分解混合物の固定アビジンまたはストレプトアビジンとの反応および続いての洗浄は、構築物のジゴキシゲニン含有部分を除去するであろう。 以上記載したように、この構築物を、ヌクレアーゼ添加前に、リガンドに対する高い親和性を有する受容体とともにインキュベートすると、


    ギャップ領域における構築物の加水分解を妨げ、ジゴキシゲニンの存在に対するアッセイ中に強い陽性応答が得られるであろう。

    【0109】 DNA制限酵素切断部位アッセイのさらなる変形では、DNAスカホールドを、特定の酵素もしくは他の機構により開裂可能な結合で、該開裂を結合部位近くのリガンド/受容体相互作用の生成によりブロックすることができるような結合を、中央に有する、ペプチドまたはペプトイドまたは任意のポリマーからなる主鎖(bac
    kbone)により置き換えることができる。 例えば、標準のペプチド合成技術によりフェニルアラニン残基および近接したリガンドを含有する鎖が挿入された市販ポリ(グリシン)またはポリ(アラニン)主鎖を利用することができる。 その後、
    キモトリプシンA(EC 3.4.21.1)のような酵素を、上に記載したヌクレアーゼと類似のやり方に使うことができる。 さらに、該アッセイは、構築物のビオチンと反対側の部分の合成に放射性塩基またはリガンドを使いかつシンチラント添加ビーズにストレプトアビジンを結合させて、SPAアッセイに改変することができる 。

    【0110】 本明細書に記載の任意のアッセイは本発明における使用に適しているが、このシステムは、以下の複数の利点を与える、アッセイをSPAフォーマットに適合さ せるために放射能標識ヌクレオチドを制限酵素切断部位の下流に置いてもよいが、本システムは放射性を必要としない;本システムは、PCR手法を検出系に使う ことによって超感受性(単一の無傷DNA主鎖の存在を検出する)にすることがで きる;本システムは、全アッセイをストレプトアビジンコーティングマイクロタイターディッシュで実施することができる;および本システムは、制限酵素切断部位を変えない限り、ヌクレオチド類似体を使ってDNA主鎖をサンプル中のヌク レアーゼ活性に対して保護することができる。

    【0111】 本発明において、特定の反応基を含有する膜(例えば、ポール社(Pall Corpo
    ration, East Hills, NY)が市販)を、96ウエルドットブロット装置のようなウエルデバイス中に置くことができる。 その後、ライブラリー合成に加えられた特定官能基を膜上の特定反応基とデバイス中で結合させて、化合物ライブラリーを該デバイス中で合成することができる。 例えば、もし合成されるライブラリー化合物がアミノ基を含有すれば、該膜は活性カルボン酸基を含有し、両基はアミド結合により結合するであろう。 膜上の余剰基は、滴当なブロッキング剤でブロックするであろう。 その後、リガンド結合膜は、予め、例えばビオチンまたは放射能で誘導体化しておいた生物学的サンプルと反応させることができる。 その後、
    適当なアッセイを使ってリガンド/受容体相互作用を検出することができる。

    【0112】 5.3.4 平衡摂動アッセイ上記のDNA制限酵素切断部位アッセイは、平衡摂動アッセイと特徴付けること ができ、好ましい手法は、リガンド/分子相互作用のDNA結合タンパク質とその コグネイト(cognate)配列の平衡に与える影響をモニターすることである。 例 えば、ウイルスDNA結合タンパク質UL9を、そのコグネイトUL9配列下流に配置さ れた選定したDNA試験配列と結合する化合物のスクリーニングに使うことができ る。 該アッセイは、結合タンパク質の平衡を乱して結合タンパク質がコグネイト配列と結合しないようにする試験配列の能力に基づく。 該アッセイは、本明細書に参照により組み入れられる米国特許第5,306,619号に記載されている。

    【0113】 本発明の原理によって、UL9認識部位の下流に位置する試験配列は、米国特許 第5,306,619号におけるDNA結合タンパク質の標的としてよりむしろ、リガンドライブラリー用の主鎖としての役割を果たすことができる。 スカホールド構築物を、特定ヌクレオチド塩基が例えば、ビオチンのようなマーカーでタグされたUL9 コグネイト配列;および、ジゴキシゲニンを末端に有するリガンドで誘導体化したオリゴヌクレオチドを含んでなるように、形成することができる。 コグネイト配列にビオチンが存在するとUL9のコグネイト配列との結合を妨害しないこと、 そして一旦、UL9がビオチン化配列と結合すると、ビオチン分子は例えばアビジ ンまたはストレプトアビジン上への固定からブロックされることが知られている。 UL9を、該構築物と反応させ、平衡がUL9とビオチン化配列の間で確立するまでインキュベートすることができる。 その後、生物学的サンプルを反応混合物中に導入すると、スカホールド試験配列上のリガンドと親和性を有するサンプル中に存在する任意の受容体がリガンドと結合し、結合タンパク質とビオチン化配列の間の平衡を乱し、アビジンまたはストレプトアビジンとの結合に利用可能なフリービオチンの量に変化をもたらすことができる。

    【0114】 このアッセイ方の変形では、該化合物の結合の前に、第2のDNA配列以外の試 験配列をスクリーニング配列を用いて合成することができる。 リガンドの結合が可能である任意のスカホールドを使うことができる。 あるいは、リガンドは、追加のリンカーまたはスカホールドを必要とせず、スクリーニング配列に直接、共有結合することができる。

    【0115】 6. 実施例本明細書に記載した本発明をさらに完全に理解できるように、以下の実施例を説明する。 これらの実施例は説明の目的のみであり、どのような形でも本発明を限定すると解釈してはならない。

    【0116】 実施例1:シンチレーション近接アッセイはリガンドと受容体との間の相互作用 を検出するための高感度の方法である以下の実施例は、シンチレーション近接アッセイ(SPA)の感度を実証する。 この実施例は、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)含浸p-アミノフェニル-β-D-
    チオガラクトシドアガロースビーズとβ-ガラクトシダーゼとの間の相互作用を 、SPAを使って評価する。

    【0117】 β-ガラクトシダーゼ発現ベクターを用いて形質転換した大腸菌を、37℃で、H 2 35 SO 4 (0.1 mCi/mL培地)を補給したまたは補給しないM9CA培地中で増殖した。
    β-ガラクトシダーゼ発現は、大腸菌培養物を1 mM IPTGで3時間処理して誘導し た。 続いて、大腸菌を遠心分離によりペレット化し、溶解バッファー中に再懸濁し、凍結-融解を5サイクル行って溶解した。 細菌破片を遠心分離により除去し、
    β-ガラクトシダーゼを硫酸アンモニウム沈降を使って上清から単離し、その後 、アフィニティクロマトグラフィーによって80%精製を得た。

    【0118】 無標識のまたは標識したβ-ガラクトシダーゼと2,5-ジフェニルオキサゾール (PPO)含浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズ(米国 特許第4,568,649号のBertoglio-Matte法により調製した)の間の相互作用を評価した。 PPO含浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズを、 一夜、PBS(8.1 mmNa 2 HPO 4 , 1.5mM KH 2 PO 4 , 137mM NaCl, 2.7mM KCl, 0.5mM MgC
    l 2 , 0.9mM CaCl 2 )中の10%粉末ミルクの溶液中でインキュベートして、非特異的結合に関わる部位をブロックした。 代わりに、ビーズを、アルブミン、界面活性剤、または対照溶液からの抽出物のような薬剤でブロックすることができる。 続いて、PPO含浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズの20 μLを、 35 S-β-ガラクトシダーゼ(シンチレーションカクテル中で計数すると、
    2.1 X 10 5 cpm)の200μLならびにPBSの200μLまたは1mg/mL無標識β-ガラクト シダーゼの200μLのいずれかと混合した。 他の実験では、 35 S -標識した大腸菌 (E.coli)抽出物またはH 2 35 SO 4の等しいcpm(6.5l〜7.7 X 10 3 cpm)を、PPO含 浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズの20μLと混合し た。 該溶液を10分間混合し、その後、0.2%カゼインを含むPBSの1mLを含有するシンチレーションバイアルへ移した。 ビーズとβ-ガラクトシダーゼまたはH 2 35 SO 4との間の相互作用を、Beckman LS 6500シンチレーションカウンターを使って放 射能を評価して分析した。

    【0119】 35 S-β-ガラクトシダーゼおよびPPO含浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズを含有するサンプルでは、487 +/- 52カウント/分(cpm ;n=3)を検出した。 対照的に、標識したおよび無標識の両方のβ-ガラクトシダーゼおよびPPO含浸p-アミノフェニル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズ では、341 +/- 16 cpm(n=3)を検出した。 これらの結果は、無標識のβ-ガラクトシダーゼがビーズに結合した標識β-ガラクトシダーゼと競合的に置き換わり 得ることを実証する。 さらに、これらの結果は、SPAは、mM相互作用を検出する ために使用可能であることを示す。 遊離したアミノフェニルチオガラクトシドは、わずかに1.9 mMのKiを有することを確認した。 さらに、この結果は、SPAは、 お互いに親和性の低い受容体とリガンドの間の相互作用を検出するために使用可能であることを示す。 この実施例では、β-ガラクトシダーゼに対するビーズ親 和性は、PPOを使うことによってほぼ2.3倍減少していた。

    【0120】 35 S-標識大腸菌抽出物の6.5〜7.7 X 10 3 cpmおよびPPO含浸p-アミノフェニル-
    β-D-チオガラクトシドアガロースビーズを含有するサンプルでは、約3000 cpm を検出した。 対照的に、H 2 35 SO 4の7.7 X 10 3 cpmおよびPPO含浸p-アミノフェニ ル-β-D-チオガラクトシドアガロースビーズを含有するサンプルでは、約670 cp
    mを検出した。 この結果は、ビーズとH 2 35 SO 4の間の相互作用によるバックグラウンドが非常に低いことを示す。 したがって、 35 S-標識大腸菌抽出物を含有するサンプルで検出されたシグナルは、主にビーズと標識大腸菌タンパク質の間の相互作用による。 ビーズと35 S-標識大腸菌抽出物の間の相互作用に対して検出された高いcpmは、精製工程がないと、バックグラウンド放射能がSPAビーズへの特異的β-ガラクトシダーゼの吸着をマスクすることを示唆する。

    【0121】 この実施例は、シンチレーション近接アッセイ(SPA)は、リガンドと受容体の間のmMレベルでの相互作用を検出するための高感度のアッセイであることを実証する。 さらに、該SPAは、お互いに親和性の低い受容体とリガンドの間の相互作 用を検出するのに有用である。

    【0122】 実施例2:DNA妨害アッセイは、受容体とリガンドの間の相互作用を評価するた めの高感度の方法である。 以下の実施例は、受容体とリガンドとの間の相互作用を評価するためのDNA妨 害アッセイの感度を実証する。

    【0123】 以下に示す2つのオリゴマーは、クローンテック(Clontech, Palo Alto, CA) によって合成された: (配列番号 )I 5'BTT-TTT-TTT-TTT-TAT-ATA-GGA-TCC-TAT-ATA-TTT-TTT-TTT-TTT-TTD-3' (B=ビオチン,D=ジゴキシゲニン); (配列番号 )II 5'AAA-AA-AAA-AAA-AAT-ATA-TAG-GAT-CCA-AAT-TAA-AAA-AAA-AAA-A-3'; 該オリゴマーは、アニーリングする際に中央に位置する制限酵素切断部位が形成されるように設計した。 該オリゴマーをII:Iの比を10:1にして、アニーリングバッファー(10 mM Tris HCl[pH 7.8] 0.1 M NaClおよび1.0 mM EDTA)中で65
    ℃、1時間、その後、57℃、3時間でインキュベートし、続いて、-20℃で貯蔵し てアニーリングした。 アニーリングしたオリゴマーの32.8 pmolの重複サンプル をアニーリングバッファーに連続希釈し、それぞれの重複希釈物の1つを一夜、
    制限酵素の40ユニットで、37℃で、指示書(New England BioLabs, Beverly, MA
    )に従って加水分解した。 残った希釈物は、インキュベーション混合物から制限酵素を省いたことを除いて同じく処理した。 一夜のインキュベーションの後、サンプルをストレプトアビジンをコートしたマイクロタイターディッシュに添加し、HRP誘導体化D抗ジゴキシゲニン抗体およびABTS基質を使って、指示書(Boehri
    nger Manheim GmbH, Manheim, GER)のとおりアッセイした。 その後、サンプル の吸収を405 nmで読み取った。

    【0124】 酵素処理したサンプルは、バックグラウンド(インキュベーション混合物中にオリゴマーなし)上に吸収を示さなかったが、未処理サンプルは、3 pmolの低いオリゴマー濃度で明らかに検出可能な吸収を示した。 したがって、この系は、本質的にバックグラウンドなしで、基質のpmolレベルの検出が可能である。

    【0125】 実施例3:制限酵素のDNAスカホールドを開裂する能力は、他の薬剤のスカホー ルドとの分子相互作用により影響されるこの実施例は、制限酵素切断部位から離れた所の分子相互作用(リガンド/受容体相互作用)が酵素活性に影響を与えることを説明する。

    【0126】 DNAオリゴマーを96ウエルマイクロタイタープレートのウエルの壁に固定する ために、1末端をビオチンでかつ他末端をジゴキシゲニンで標識し、中央に位置する制限酵素切断部位を有するアニーリングしたDNAの65.6 pmolサンプルを、ストレプトアビジンをコートしたウエルに添加した。 DNAなしの対照ウエルも設け た(表1、レーン1)。 その後、4つのウエルを、コンジュゲートバッファー(
    Boehringer Mannheim)中で、抗ジゴキシゲニンペルオキシダーゼ(anti-dig-PO
    D)抗体で処理した。 3つのウエルを、抗体なしでコンジュゲートバッファーで 処理した。 1時間のインキュベーションの後、ウェルを洗浄し、ウェルの3つを 制限酵素の120ユニットで37℃で1時間処理した(表1、レーン3,5、および7
    )。 他のウエルは、同じ溶液で制限酵素なしで処理した。 その後、ウエルを再び洗浄し、無傷(未加水分解)オリゴマーについて、標準ELISAによりアッセイし た。 サンプル中の完全な、アニーリングしたDNAを、VmaxによりmOD/mmで示した 。

    【0127】 この実験の結果を、以下の表1にまとめた。 DNAの非存在では、反応のバック グラウンドVmax値は0.89であった。 制限酵素の非存在および前処理なし(表1、
    レーン2)では、完全で、未加水分解のアニーリングしたDNAのVmax値は30.96であった。 対照的に、前処理なし、固定化DNAを制限酵素で処理したときは、Vmax 値は2.52であった(表1、レーン3)。 Vmax値の低下は、制限酵素が固定したオリゴマーを加水分解したことを示す。

    【0128】 固定したオリゴマーのant-dig-PODによる前処理は、無傷オリゴマーに対する アッセイに影響を与えず(表1、レーン4、6、および8)、そのためそれぞれ
    34.96、45.33および53.71の値が得られた。 しかし、anti-dig-PODによる前処理 は、制限酵素活性に影響を与る(表1、レーン5および7)。 なぜなら、オリゴマーを制限酵素の添加前に前処理するとオリゴマーの加水分解が減縮するからである。 前処理したサンプルは後に制限酵素にかけられ(表1,レーン5および7)
    、それぞれ15.17および14.64のVmax値を有したが、前処理せずしかし制限酵素にかけられたオリゴマーは、わずか2.52のVmaxを有した。 したがって、制限酵素添加前のオリゴマーのanti-dig-PODによる前処理は、制限酵素の活性を17倍低下させ、anti-dig-PODとジゴキシゲニン標識DNAとオリゴマーの間の相互作用は、制 限酵素のオリゴマーを開裂する能力に影響を与えることを示す。 これらの結果は、オリゴマーと相互作用する薬剤の反応混合物への添加は、制限酵素のオリゴマーを開裂する能力に影響を与えることを実証する。

    【0129】

    【表1】

    この実施例は、DNA主鎖と結合するリガンドと相互作用する「受容体」は、DNA


    主鎖の制限酵素切断に強い影響を与えうることを実証する。

    【0130】 実施例4〜8は、蛍光偏光アッセイの感度および生物学的サンプルの様々なプローブに対する識別的結合パターンを実証する。 これらの実施例で使われる分子プローブを表IIに挙げる。

    【0131】 実施例4:蛍光偏光アッセイはプローブと生物学的サンプルの間の相互作用を検 出するための感度をもつ方法である次の実施例は、様々なプローブの、生物学的サンプルの成分と結合する能力が該サンプル中の成分の濃度によって異なることを実証する。 さらに、この実施例は、プローブの、生物学的サンプルの成分との示差的結合を実証する。

    【0132】 プールしたヒト血清(Sigma Lot #116H4661)のPBS(pH=7.4)中の一連の希釈物を、サンプル中の全タンパク質濃度が65.6mg/mL、13.1mg/mL、2.6mg/mL、0.52
    mg/mL、および0.1mg/mLとなるように調製した。 その後、PBSの150μLおよびプローブ#5(表II)を1.0 X 10 -3 mg/mLの濃度で含有するDMSO溶液の1.0μLを、96ウエルマイクロタイタープレートのウエルA1-A6に添加した。 続いて、全タンパク 質65.6mg/mL、13.1mg/mL、2.6mg/mL、0.52mg/mL、および0.1mg/mLを含有するヒ ト血清溶液の10μLサンプルを、ウエルA1、A2、A3、A4およびA5にそれぞれ添加 した。 ウエルA6には、ヒト血清溶液を添加しなかった。 ウエルB1-B6を、上記の ように調製し、ウエルA1-A6で試験するサンプルの重複とした。

    【0133】 上記と同様に、PBSの150μLおよびプローブ#18(表II)を1.0 X 10 -3 mg/mLの濃度で含有するDMSO溶液の1.0μLを、ウエルC1-C6に添加した。 その後、全タン パク質の65.6mg/mL、13.1mg/mL、2.6mg/mL、0.52mg/mL、および0.1mg/mLを含有 するヒト血清溶液の10μLサンプルを、ウエルC1、C2、C3、C4およびC5にそれぞ れ添加した。 ウエルC6には、ヒト血清溶液を添加しなかった。 ウエルD1-D6を、 上記のように調製し、ウエルC1-C6で試験するサンプルの重複とした。

    【0134】 プローブ#20-24(表II)を上記と同様に処理した。 その後、96ウエルマイクロタイタープレートをFluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムで読み取り、得た偏光(mP)データを重複ランについて平均し、全タンパク質に対してプロットした。 図1に示した結果は、様々なプローブのヒト血清成分との結合がかなり変動することを示す。 さらに、ヒト血清中に存在する成分の濃度は、mP値(プローブ結合の尺度)に影響を与える。

    【0135】 実施例5:プローブ#25のプールしたヒト血清に対するおよびストレプトアビジ ン-HRPコンジュゲートに対する用量応答この実施例は、プローブを使って生物学的サンプル間を識別することが可能であることを実証する。 さらに、この実施例は、プローブの生物学的サンプルの成分に結合する能力は、成分の濃度によって変化することを実証する。 血清タンパク質の存在下で、プローブとの強い結合相互作用を観察できるかどうかを確認するために、プローブ#25(表II)の、プールしたヒト血清に対するおよびストレ プトアビジン-HRPコンジュゲートに対する用量応答を調べた。 プールしたヒト血清(Sigma Lot #116H4661)のPBS(pH=7.4)中の一連の希釈物を、サンプル中の全タンパク質の濃度が65.6mg/mL、13.1mg/mL、2.6mg/mL、0.52mg/mL、および0.1
    mg/mLとなるように調製した。 その後、PBSの150μLおよびプローブ#25を1.0 X 1
    0 -3 mg/mLの濃度で含有するDMSO溶液の1.0μLを、96ウエルマイクロタイタープ レートのウエルA1-A6に添加した。 続いて、全タンパク質の65.6mg/mL、13.1mg/m
    L、2.6mg/mL、0.52mg/mL、および0.1mg/mLを含有するヒト血清溶液の10μLサン プルを、ウエルA1、A2、A3、A4およびA5にそれぞれ添加した。 ウエルA6には、ヒト血清溶液を添加しなかった。 ウエルB1-B6およびC1-C6を、上記のように調製し、ウエルA1-A6で試験するサンプルの重複とした。

    【0136】 ストレプトアビジン-HRPコンジュゲート(Sigma 59420)のPBS(pH=7.4)中の一連の希釈物を、サンプル中の全タンパク質の濃度が1.0mg/mL、0.1mg/mL、0.01
    mg/mL、0.001mg/mL、0.0001mg/mL、および0.00001mg/mLとなるように調製した。
    その後、PBSの150μLおよびプローブ#25を1.0 X 10 -3 mg/mLの濃度で含有するDM
    SO溶液の1.0μLを、別の96ウエルマイクロタイタープレートのウエルA1-A7に添 加した。 続いて、全タンパク質の1.0mg/mL、0.1mg/mL、0.01mg/mL、0.001mg/mL 、0.0001mg/mL、および0.00001mg/mLを含有するヒト血清溶液の10μLサンプルを、ウエルA1-A6にそれぞれ添加した。 ウエルA7には、ヒト血清溶液を添加しなか った。 ウエルB1-B7を、上記のように調製し、ウエルA1-A7で試験したサンプルの重複とした。 両方の96ウエルマイクロタイタープレート中のサンプルの蛍光偏光を、Fluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムで決定しまたは測定した。 得た偏光(mP)データを重複ランについて平均し、全タンパク質の対数に対してプロットした。

    【0137】 図2に示すデータは、プローブ#25の血清タンパク質との結合が非常に弱く、 実験の条件のもとでは、プローブとの結合が観察されるまでに約100μgの血清タンパク質が必要であることを説明する。 対照的に、プローブ#25のストレプトア ビジン-HRPコンジュゲートとの結合は、ストレプトアビジン-HRPコンジュゲートの1.0μgの存在下で完全であった。 したがって、プローブ#25は、ストレプトア ビジン-HRPコンジュゲートに対して、ヒト血清に対してよりも高い親和性を有する。

    【0138】 実施例6:プールしたヒトおよびウシ血清中のプローブ#25を使うストレプトア ビジン-HRPコンジュゲートの検出以下の実験は、混合した生物学的サンプル中のプローブに対して高い親和性をもつ成分を、低濃度で検出できることを実証する。

    【0139】 強く結合しているタンパク質(ストレプトアビジン-HRPコンジュゲート)の小量を、血清タンパク質の存在下で検出できるかどうかを確認するため、プールしたヒト血清にストレプトアビジン-HRPコンジュゲートを添加し、プローブ#25( 表II)に対する応答を調べた。 先ず、PBSの150μLおよびプローブ#25を1.0 X 10 -3 mg/mLの濃度で含有するDMSO溶液の10μLを、96ウエルマイクロタイタープレ ートのウエルA1-A3に添加した。 その後、13.1mg/mLの全タンパク質濃度のヒト血清溶液の10μLサンプル(Sigmaプール血清Lot# 116H4661を1:5でPBS中に希釈して得た)を3つのウエル全てに添加した。 したがって、各ウエル中のヒト血清の全量は131μgであった。 3つのウエルは、プローブ#25に対する血清タンパク質1
    31μgの結合についての三重の測定となる。

    【0140】 次に、PBSの150μLおよびプローブ#25を1.0 X 10 -3 mg/mLの濃度で含有するDM
    SO溶液の1.0μLを、96ウエルマイクロタイタープレートのウエルB1-B3に添加し た。 その後、全タンパク質の13.1mg/mLを含有するヒト血清溶液の10μLサンプル(Sigmaプール血清Lot# 116H4661を1:5でPBS中に希釈して得た)および全タン パク質の0.1mg/mLを含有するストレプトアビジン−HRPコンジュゲート溶液の10 μLサンプルをウエルB1-B3に添加した。 各ウエル中のヒト血清タンパク質の全量は131μgであり、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲートタンパク質の全量は1
    .0μgであった。 ウエルB1、B2、およびB3は、血清タンパク質131μgの存在下で のプローブ#25のストレプトアビジン−HRPコンジュゲートタンパク質1.0μgに対する結合の三重の測定となる。

    【0141】 マイクロタイタープレート中のサンプルに対する蛍光偏光を、Fluorolite FPM
    -2蛍光偏光マイクロタイターシステムで読み取った。 得た偏光(mP)データの3
    測定値を平均し、棒グラフを作って、血清タンパク質単独と比較してストレプトアビジン−HRPコンジュゲートおよび血清タンパク質の存在下で起こった偏光(m
    P)の変化を示した。 図3に示す結果は、血清タンパク質131μgが存在すると、 プローブ#25とストレプトアビジン−HRPコンジュゲートタンパク質1.0μgとの結合は容易に検出されることを説明する。 これらの結果は、蛍光偏光アッセイは、
    プローブとμg/mL濃度で存在するサンプル成分との間の結合を検出する感度をもつ方法であることを示す。

    【0142】 実施例7:ストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを伴なうおよび伴なわない 両方の場合の、プローブ#1-25による血清「フィンガープリント」の構築次の実験は、強く結合する成分の小量の存在が、生物学的サンプルのフィンガープリントを変化させうることを実証する。

    【0143】 最初に、PBSの150μLおよびプローブ1-12のプローブ濃度がそれぞれ1 X 10 -3
    mg/mLのDMSO溶液の1.0μLを、96ウエルマイクロタイタープレートのウエルA1-A1
    2に添加した。 これによって、それぞれプローブ#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7、#
    8、#9、#10、#11、および#12(表II)の1 X 10 -3 mg/mL溶液の1.0μL、ならびに
    PBSの150μLを含有するウエルA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11 、およびA12を得た。 ウエルB1-B12を同様な方法で処理して、プローブ1-12に対 する重複を作った。

    【0144】 次に、PBSの150μlおよびプローブ13-24のプローブ濃度がそれぞれ1 X 10 -3 m
    g/mLのDMSO溶液の1.0μLを、96ウエルマイクロタイタープレートのウエルC1-C12
    に添加した。 これによって、それぞれプローブ#13、#14、#15、#16、#17、#18、
    #19、#20、#21、#22、#23、および#24(表II)の1 X 10 -3 mg/mL溶液の1.0μL、
    ならびにPBSの150μLを含有するウエルC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C
    10、C11、およびC12を得た。 ウエルD1-D12を同様な方法で処理して、プローブC1
    3-C24に対する重複とした。 その後、PBSの150μLにプローブ#25の1 X 10 -3 mg/m
    LDMSO溶液の1.0μLを加えて、ウエルE1およびE2に添加した。 E1およびE2は、プ ローブ#25の重複とした。 続いて、プールしたヒト血清(Sigma Lot #116H4661)
    の1:10希釈物の10μLを、96ウエルプレート中のウエルA1-A12、B1-B12、C1-C12 、D1-D12、およびE1-E2に添加した。 10μL血清アリコート中の全タンパク質含量は、65.6μgであった。

    【0145】 その後、96ウエルプレートの各ウエルの蛍光偏光を、Fluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムで読み取り、得た偏光(mP)値を棒グラフにプロットして、血清サンプルの「フィンガープリント」を示した。 結果を図4に示す。

    【0146】 次に、各ウエルに全タンパク質0.1mg/mLを含有するストレプトアビジン−HRP コンジュゲート溶液10μLを添加した。 各ウエルに添加した全ストレプトアビジ ン−HRPコンジュゲートタンパク質は、1.0μgであった。 その後、プレートをFlu
    orolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムで読み取り、得た偏光(mP) 値を図5に示す棒グラフにプロットした。 この図は、ストレプトアビジン−HRP コンジュゲートを添加した血清サンプルの「フィンガープリント」を表す。 この結果は、血清サンプル中のストレプトアビジン−HRPコンジュゲートタンパク質 の小量の存在の検出が可能であり、それが血清について観察されるフィンガープリントを変えることを示す。 これらの結果は、蛍光偏光アッセイを、生物学的サンプルの正常成分と異常成分との間を差別化することができるプローブのスクリーニングに使うことの可能性を示唆する。

    【0147】 実施例8-9は、蛍光偏光アッセイを使い、複雑な混合物をお互いに識別するプ ローブを求めて、プローブのブライブラリーをスクリーニングできることを実証する。

    【0148】 実施例8:ヒトおよびウシ血清と示差的に結合するプローブの同定表IIに記載した4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロポン酸(BO)標識した化合物1-19(Molecular Probes, Eugene, OR) とウシ胎児血清またはヒト血清との間の相互作用を、蛍光偏光により定量した。
    サンプル中のタンパク質の量がプローブとの結合に影響を与えるので、この実験で用いたヒトおよびウシ胎児血清中のタンパク質の全量を定量した。 ヒト血清サンプル(Sigma Lot #116H4661)は全タンパク質65.6mg/mLを含有し、ウシ胎児血清(Sigma Lot #96H4615)は全タンパク質47.3mg/mLを含有していた。 全タンパ ク質濃度の影響を最小化するため、実験は、ウシ胎児血清の10μLおよびヒト血 清の47.3/65.6 X 10μL = 7.2μLを使って実施した。

    【0149】 96ウエルマイクロタイタープレートのA1-A10、B1-B10、C1-C9、D1-D9、E1-E10
    、F1-F10、G1-G9、およびH1-H9に、PBSの150μLを添加した。 A1-A10、B1-B10、C
    1-C9、D1-D9、E1-E10、F1-F10に、化合物濃度がそれぞれ1 X 10 -3 mg/mLの化合 物1-10のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液1.0μLを添加した。 このようにして、ウエルA1、B1、E1およびF1は、それぞれPBSの150μLに加えて化合物#1の1 X 1
    0 -3 mg/mL DMSO溶液の1.0μLを含有した。 同様に、ウエルA2、B2、E2およびF2は、PBSの150μLに加えて化合物#2の1 X 10 -3 mg/mL DMSO溶液の1.0μLを含有し、
    そして、ウエル3-10も同様であった。 ウエルC1-C9、D1-D9、G1-G9およびH1-H9に、化合物#11-19の化合物濃度がそれぞれ1 X 10 -3 mg/mLのDMSO溶液の1.0μLを添加した。 このようにして、ウエルC1、D1、G1およびH1は、それぞれPBSの150μL に加えて化合物#12の1 X 10 -3 mg/mL DMSO溶液の1.0μLを含有し、そして、ウエル13-19も同様であった。 その後、該プレートを、Fluorolite FPM-2蛍光偏光マ イクロタイターシステムにより485nm励起フィルターおよび530nm発光フィルターを用いて読み取った。 得られた偏光(mP)および強度データはブランクの読みを表す。

    【0150】 次に、PBSおよび上記のプローブを含有したウエルA1-A10、B1-B10、C1-C9、D1
    -D9に、ヒト血清(Sigma Lot #116H4661)の7.2μLを添加した。 したがって、ヒト血清中における、系列A1-A10およびB1-B10は化合物1-10の重複であり、系列C1
    -C9およびD1-D9は化合物11-19の重複であった。 同様に、PBSおよび上記のプローブを含有したウエルE1-E10、F1-F10、G1-G19、およびH1-H9に、ウシ胎児血清(S
    igma Lot #96H4615)の10μLを添加した。 したがって、ウシ胎児血清中における、系列E1-E10およびF1-F10は化合物1-10の重複であり、系列G1-G9およびH1-H9は化合物11-19の重複であった。 その後、該プレートを、Fluorolite FPM-2蛍光偏 光マイクロタイターシステムにより上記のように読み取った。 得た偏光(mP)および強度データを図6に記した。 各プローブに対するmP値を棒グラフとしてプロットした。 各プローブについて、最初の2本の棒は、ヒト血清重複物に対する値を表し、次の2本の棒はウシ胎児血清重複物に対する値を表す。 このmPデータは、タグ発光からの偏光の程度を表す。 高い読みは、タグ付き化合物が巨大分子に結合したことを示し、低い読みは、タグ付き化合物が低い程度で弱く結合したことを示す。 見ればわかるように、化合物#2および#18は、ヒト血清中では、ウシ 胎児血清中よりも強い程度で巨大分子と結合した。

    【0151】 実施例9:様々な哺乳動物種由来の生物学的サンプルと示差的に結合するプロー ブの同定以下の実施例は、生物学的サンプルを、プローブライブラリーでスクリーニングするときに作製される示差的結合パターンに基づいて、種を種から、および罹患を非罹患から識別するなど、お互いから識別することができることを実証する。

    【0152】 表3に示したサンプルのそれぞれの1μLを、蛍光タグを付した分子と96ウエルマイクロタイタープレート中で組合わせ、蛍光偏光を、Fluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムを使って測定した。 次の蛍光標識したプローブを蛍光偏光アッセイに用いた:最終濃度約0.18 nMのBODIPY標識したmyo-イノシトー ル-1-ホスフェート(プローブ18;分子プローブ)、最終濃度10.5 nMのフルオレセイン標識したフェニトイン(プローブ70;Sigma)、最終濃度0.096 μg/mlの フルオレセイン標識したプローブ129(Sepracor)、最終濃度0.078 μg/mlのフ ルオレセイン標識したプローブ135(Sepracor)、および最終濃度0.09 μg/mlのフルオレセイン標識したプローブ147(Sepracor)。 各プローブと血漿または細 胞抽出物との間の相互作用についての蛍光偏光値を測定した。

    【0153】

    【表2】

    蛍光偏光値に基づいて、BODIPY標識myo-イノシトール-1-ホスフェート(プロ ーブ18)は様々な種由来のサンプルに対する示差的結合を示した(図7)。 例えば、プローブ18を用いると、プールしたヒト血漿に対する蛍光偏光値は、プールした仔ウシ血清またはプールしたウシ胎児血清に対する蛍光偏光値よりもほとんど3倍高かった。 しかし、同じ種由来のサンプルに対する蛍光偏光値の間では、 差はほとんど観察されなかった。 例えば、プローブ18を用いると、プールしたWK


    Yラット血漿とプールしたSHRラット血漿に対する蛍光偏光値の有意差は検出されなかった。 これらの結果は、myo-イノシトール-1-ホスフェートのようなプロー ブが異種由来のサンプルについての情報を得るために使うことができることを示す。

    【0154】 フルオレセイン化フェニトイン(プローブ70)に対する蛍光偏光値は、これも様々な種由来の血漿を差別化する有用なプローブであることを示す(図8)。 例えば、プローブ70を用いてプールしたヒト血漿に対して得た蛍光偏光値は、他のサンプルと比較して遥かに高かった。 さらに、蛍光偏光値の有意差はまた、プールした仔ウシ血清とプールしたウシ胎児血清の間にも検出された。 これらの結果は、フルオレセイン化フェニトインのようなプローブは、異種由来のサンプルのみでなく同種の異なる成長段階由来のサンプルを識別するためにも有用であることを示唆する。

    【0155】 同様な構造をもつプローブも、異種由来のサンプルを識別するのに有用でありうる。 固相化学により合成しかつフルオレセイン主鎖上に構築した、構造の類似するプローブ147、129、および135(図9A、10A、および11A)は、表3に記載し た6種の霊長類由来の血液サンプルの分類のための十分な情報を提供する。 プローブ147および129は、霊長類(ヒトおよび非ヒト)の血漿でインキュベーション後に、非霊長類の血漿でのそれより高い偏光値を示した(図9Bおよび10B)。 し かし、プローブ129は、サル由来の血漿でインキュベートすると、ヒト由来の血 漿でのそれより高い偏光シグナルを示した(図10B)。 プローブ135で観察された蛍光偏光値は、アフリカミドリザルの血漿サンプルでインキュベートしたときに、他のサルまたはヒト由来の血漿サンプルでのそれより高かった(図11B)。 し たがって、霊長類血漿サンプルに対するプローブ129、135、および147の示差的 結合パターンを編集して、サンプルをお互いに正確に識別するために、該情報を使うことができる。

    【0156】 実施例10:Staphylococcus aureusをメシチリン耐性Staphylococcus aureusか ら識別するプローブの同定次の実験は、Staphylococcus aureus(S. aureus)、メシチリン耐性Staphylo
    coccus aureus(MRSA)、および大腸菌(E.coli)を識別するために使うことができるプローブを同定するために実施した。

    【0157】 Staphylococcus aureus(SA)、メシチリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA
    )、および大腸菌(E.coli)をブレインハートインフュージョン培地(BHI, Difc
    o)の25mlまたは35ml容積中に接種した。 該培養物を、OD 600nm値がE. coliは0
    .344、SAは0.411、MRSAは0.367になるまで、37℃振とう器中でインキュベートした。 以上の培養物のOD 600nm値の差は、表に示した。 この時点で、96ウエル黒 色、蛍光偏光マイクロタイターディッシュ内で、培養物の5μlサンプルを、リン酸緩衝化食塩水(PBS)+0.1%ウシγグロブリンBGGの100μl中に希釈した。 続いて、最終濃度約10nMをもつライブラリー由来の希釈した蛍光標識プローブの5μl
    を細胞懸濁液に添加し、該プレートを、37℃で30分間または指示した培養期間、
    インキュベートした。 インキュベーション後、蛍光偏光の量を各サンプルに対してFluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムを使って測定した。 蛍光偏光の重複測定を各プローブに対して実施した。

    【0158】 蛍光偏光アッセイで使った蛍光標識プローブは、外部提供者から購入するかまたはセプラコール社(Sepracor)で合成した。 表4は、プローブ名、用いた蛍光標識、プローブの供給源、およびプローブ番号を記載する。

    【0159】

    【表3】

    蛍光偏光値に基づいて、4つのプローブ(11A、10B、6D、および10E)は、BHI


    培地(無接種)または大腸菌(E.coli)サンプルと比較して、Staphylococcus株 と示差的結合を示した(表5)。 蛍光偏光アッセイを、プローブ10B、10E、および6Dを使って繰り返し、MRSAからSAを識別するために使うことができるかどうかを調べた。 プローブ10Bおよび10Eは、メシチリン耐性Staphylococcus aureus(M


    RSA)と比較して、Staphylococcus aureus(SA)と示差的結合を示さなかった。 プローブ10B、または10Eを用いると、SA、MRSA、大腸菌(E.coli)、および無接 種BHI培地サンプルに対する蛍光偏光値に有意差は得られなかった(表6)。 し たがって、プローブ10Bおよび10Eは、SAをMRSA、大腸菌(E.coli)、および無接 種BHI培地から差別化するのに有用でない。

    【0160】

    【表4】

    【表5】

    プローブ6Dを用いる蛍光偏光アッセイからの結果は、このプローブが、SAをMR


    SA、E. coli、および無接種BHI培地から差別化するのに有用であることを示す(


    表7;図12)。 Staphylococcus aureus(SA)は、メシチリン耐性Staphylococcu


    s aureus(MRSA)、無接種BHI培地、および大腸菌(E.coli)と比較して、より高い蛍光偏光値を示した。 この蛍光偏光値の差は、細菌サンプルを5時間より長くインキュベートした培養物から得たときのみ検出された(表7、図12)。 SAサンプルは、培養物インキュベーション時間が7.5時間または24時間のときのみ、MRS


    Aサンプルと比較して、より高い蛍光偏光値を示した。 無接種BHI培地で得た蛍光偏光値は、培養物インキュベーション時間が7.5時間または24時間のときのみ、S


    AおよびMRSAに対して得た蛍光偏光より低かった。 対照的に、大腸菌(E.coli)サンプルは、常に最低の蛍光偏光値を示した。 したがって、細菌サンプルの成分と結合するプローブ6Dの能力は、細菌培養のインキュベーション時間が増加するとともに変化した。

    【0161】 プローブ6Dで得られる蛍光偏光のレベルは、SAサンプルに対して経時的に増加するが、他のサンプルに対しては減少する。 例えば、大腸菌(E.coli)に対する 蛍光偏光値は、1時間インキュベートした培養物から得たサンプルに対する211.8
    +/- 8.8 mPから、24時間インキュベートした培養物から得たサンプルに対する1
    73.4 +/- 3.1 mPへ減少した(表7)。 対照的に、SAの蛍光偏光値は、1時間インキュベートした培養物から得たサンプルに対する223.3 +/- 5.1 mPから、24時間インキュベートした培養物から得たサンプルに対する279.0 +/- 3.3 mPへ増加した(表7)。 これらの結果は、プローブ6DがSAの未知成分と選好的に結合し、培養物インキュベーション時間を増加すると、この成分の発現が増加することを示唆する。 さらに、この結果は、プローブ6DがSAをMRSAから識別するために使用可能であることを示す。

    【0162】 この実施例は、このアッセイシステムが、細菌株を差別化するプローブのスクリーニングに有用であることを実証する。 この実施例では、80個の蛍光標識プローブの小ライブラリー由来の1つのプローブ(6D)が、上記の実験で使った3種 の細菌株を識別するために有用であることを見出した。

    【0163】

    【表6】

    実施例11:Staphylococcus aureusと他の細菌株とを区別するためのプローブ6

    Dの能力プローブ6DをStaphylococcus aureus (SA)と他の細菌株とを区別するために使用できるかどうかを決定するために、以下の実験を実施した。

    【0164】 5種の異なる細菌株と共に、35 ml容量の脳心臓混合(Brain Heart Infusion) 培地(BHI、Difco)に、12個の培養物を接種した。 各培養物の素性は、実験者にとって不明であったが、培養物のうち、4つはStaphylococcus aureus (SA)を含み、2つはメチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA)を含み、2つはキノリン耐性Staphylococcus aureus (QRSA)を含み、および2つはバンコマイシン耐性Enterococcus faecium (VREF)を含むことが判っていた。 培養物を37℃振盪器 で一晩インキュベートした。 次の日、7つの5μlのサンプルを12個の培養物のそれぞれから採取し、96穴ブラックの蛍光偏光マイクロタイターディッシュ中の10
    0μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)+0.1% BGGに希釈した。 続いて、5μlの約10 n
    Mプローブ6Dフルオレセインタグ付きSep0119288を、細胞懸濁液に加え、プレー トを37℃で30分間または指示されたインキュベーション期間、インキュベートした。 インキュベーション期間後、Fluorolite FPM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムを用いて、各サンプルについて蛍光偏光量を測定した。 12個の未同定の培養物の各々から得た7つのサンプルについて読み取った偏光の高値および低値を除き、残りの5つの値を平均して標準偏差を求めた。

    【0165】 細菌細胞を含有する細菌培養物のサンプルについて測定した蛍光偏光値を表8
    に示した。 12個の培養物についての蛍光偏光アッセイの結果を、それらの蛍光偏光値に基づいてグループ化した。 それらのグループ化を図13に示した。 各グループは1種の細菌株に一致した(表9)。 SA培養物は最も高い蛍光偏光値を示し、E.coli培養物は最も低い蛍光偏光値を示した(図13)。 従って、この単一の蛍光プローブを用いて、12個の未知の培養物を、5つの株に正確にグループ化することができ、研究で用いた他の微生物からSAを区別することができた。

    【0166】

    【表7】

    【表8】

    本実施例は、本発明が細菌株間を区別する方法を提供することを実証するものである。 さらに、本実施例は、本発明の技術を用いて感染性微生物を検出および診断することができることを示している。

    【0167】 実施例12:リガンドライブラリーの合成 手順1:蛍光標識アミンの液相合成 DMFまたはDMSOに溶解したジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、周辺温 度で第1および第2アミンをFITC(1.2当量)で個々に処理した(アミン塩を用 いた場合、1当量のトリエチルアミンを加えてアミンを遊離させた)。 約24時間後、2当量のアミン捕捉樹脂(トリス−(2−アミノエチル)−アミンポリスチレン
    HL樹脂)を反応混合物に加えた。 24〜48時間後、混合物を濾過して樹脂を除去し、精製された蛍光標識されたリガンドを含む濾液をさらに所望のスクリーニング濃度までDMSOで希釈した。 表10は、以下のスキームIの液相合成により蛍光標 識されたアミンを列挙したものである。

    【0168】

    【表9】

    手順2:カルバミン酸アミンワン(Wang)樹脂の合成無水THF(180 ml)中に溶解したワン樹脂(25 g、20 mmol、0.8 mmol/g 負荷)お よびカルボニルジイミダゾール(CDI)(20 g、120 mmol)を室温で2日間振盪する 。 混合物を濾過し、樹脂をDMF、THFおよびCH

    2 Cl

    2で完全に洗浄し、乾燥して、イミダゾールカルボニルワン樹脂(27 g)を得る。

    【0169】 次いで、イミダゾールカルボニルワン樹脂(5 g、4 mmol、0.8 mmol/g負荷)を 、ピペラジン(1.7 g、20 mmol)、ホモピペラジン(2.0 g、20 mmol)または4,4' −トリメチレンジピペリジン(4.2 g、20 mmol)を用いて、THF/DMF(1:1、40 ml) 中の分離反応管中で、室温で17時間処理する。 次いで、樹脂をDMF、THFおよびCH 2 Cl 2で完全に洗浄し、減圧下で乾燥して、対応するカルバミン酸アミンワン樹脂をそれぞれ得る。

    【0170】 手順3:カルバミン酸アミンリンカーを介するワン樹脂上のDTAFの合成 DMF中に溶解したカルバミン酸アミンワン樹脂(1.0当量)およびDTAF塩酸塩(2.5
    当量)を、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.0当量)の存在下で、室温で12 〜17時間振盪する。 樹脂を濾過してDMF、THFおよび、次いでCH 2 Cl 2で完全に洗浄し、減圧下で乾燥して、ワン樹脂上にモノクロロトリアジルフルオレセインを得る。

    【0171】 手順4:アミンリンカーを介するトリチル樹脂またはクロロトリチル樹脂上のDT AFの合成 DMF(ml)中に溶解したアミノトリチル樹脂またはアミノ2−クロロトリチル樹脂
    (Novabiochem)(0.12 mmol、1.0当量)およびDTAF(0.3 mmol、2.5当量)を、DIPEA(
    0.48 mmol、4.0当量)の存在下で、室温で24〜40時間振盪する。 樹脂をDMF、THF および、次いでDCMで洗浄し、減圧下で乾燥して、トリチル樹脂上のモノクロロ トリアジルフルオレセインを得る。

    【0172】 手順5:リンク(Rink)樹脂上のDTAFの合成リンクアミド樹脂(1 g、0.8 mmol、0.8 mmol/g負荷)を、DMF(5 ml)中に溶解したピペリジンの30%溶液で2時間処理し、得られるリンクアミン樹脂をDMF、次にD
    CMで洗浄して乾燥する。 次いで、リンクアミン樹脂(0.8 mmol)を、5 mlのDMF 中に溶解したDTAF(2.5当量、2 mmol)およびDIPEA(4.0当量、3.2 mmol)と共に24時 間振盪する。 樹脂をDMF/THF、次いでDCMで洗浄し、減圧下で乾燥して、リンク樹脂上にモノクロロトリアジルフルオレセインを得る。

    【0173】 同様に、リンク樹脂上のFmoc−アミノ酸(標準的なペプチド合成条件、例えば、DIC/DMAP/DCM下で、リンクアミン樹脂およびFmoc−アミノ酸から調製したもの)を、ピペリジン/DMFで処理してFmoc基を除去する。 次いで、DMF 中に溶解し た2.5当量のDTAFおよび4.0当量のDIPEAで、室温で24時間、アミノ酸リンク樹脂 を処理する。 洗浄および乾燥後、リンク樹脂上にモノクロロトリアジルフルオレセインを得る。

    【0174】 手順6:蛍光リンカーとジアミンとの反応ワン樹脂またはトリチル樹脂などの固相支持体上のモノクロロトリアジルフルオレセインを、DMF 中に溶解した4.0当量の対称ジアミンで、室温で24〜40時間 処理する。 次いで、樹脂をDMF/MeOH、次にDCMで洗浄し、減圧下で乾燥して、固 相支持体上にアミノフルオレセインを得る。

    【0175】 手順7:蛍光標識された尿素化合物のライブラリーの調製 3種のアミノ酸リンク樹脂(すなわち、スキームIのL 1がCH 3 、イソブチル、ベンジルである)(各々500 mg、0.4 mmol、0.8 mmol/g負荷)を、上記手順5に記載したとおりに、DTAF(2.5当量)で分離管中でそれぞれ処理して、樹脂上に3種の異なるモノクロロフルオレセイン誘導体を得る。 次いで、これらの樹脂(各々250 m
    g、0.2 mmol)を、ピペラジン(各々4.0当量)および4,4'−トリメチレンジピペリジン(各々4.0当量)で手順6のように個々に処理して、6種のアミノフルオレセイン標識された樹脂を得る。 次いで、6種のアミノフルオレセイン標識された樹脂(
    各々25 mg、0.02 mmol)を、THF 中に溶解した10種のイソシアネート(各々3.0当 量)に同様の方法で個々に反応させ、樹脂上に60個の蛍光標識された尿素化合物 を得る。 次に、樹脂を30% TFA/DCMで開裂させた後、減圧下で乾燥して、60個の 個々に標識された蛍光尿素化合物(HPLC/MS分析により確認する)を得て、生物 学的スクリーニングのために1 mlのDMSOに溶解する。

    【0176】 手順8:アミンリンカーを介するワン樹脂またはトリチル樹脂へのDCSFの結合 50 mlの無水DMF中に溶解したカルバミン酸アミンワン樹脂(4 mmol、0.8 mmol/
    g)とDCSF(2.0当量、8 mmol)とを、DIPEA(2.0当量、8 mmol)の存在下で、室温で2
    〜3日間振盪する。 次いで、樹脂をDMF、MeOH、次にDCMで洗浄し、乾燥して、ワ ン樹脂上にモノクロロスルホフルオレセインを得る。

    【0177】 同様の方法で、ピペラジントリチル樹脂を、DMF 中に溶解したDIPEAの存在下 で、DCSFで処理して、トリチル樹脂上にモノクロロスルホフルオレセインを得る。

    【0178】 手順9:モノクロロスルホフルオレセインと環状ジアミンとの反応手順8から得るワン樹脂上のフルオレセイン(1.33 mmol、1.0当量)を、10 ml のDMF中で、ピペラジン(4.0 mmol、3.0当量)などの環状ジアミンで24時間処理する。 次いで、樹脂をDMF/MeOH、次にDCMで洗浄し、減圧下で乾燥して、ワン樹脂 上にアミノスルホフルオレセインを得る。

    【0179】 手順10:スルホフルオレセインで標識されたライブラリーの調製異なるジアミンリンカー(例えば、ピペラジン、ホモピペラジンおよび4,4' −トリメチレンジピペリジンの組み合わせ)を含有するアミノスルホフルオレセインワン樹脂を、DMF/DCM中に溶解したジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(10 当量)およびDMAP(5.0当量)などのカップリング試薬の存在下で、室温で24〜48時間、同様な方法で、異なる有機酸(10当量)で処理する。 アミンを完全にアシル化した後(次に、少量の樹脂を開裂させることによるHPLCを行う)、樹脂をDMF/
    MeOH、次にDCMで洗浄し、減圧下で乾燥する。 次いで、30% TFA/DCMを用いて樹脂から切断した後、減圧下で乾燥することにより、所望の蛍光標識された化合物を得る。

    【0180】 手順11:蛍光標識されたキナゾリノンの合成ステップ1では、O−ヒドロキシルアミン(参照:Floyd, CDら、Tetrahedro
    n Lett. 1996, vol. 37, 8045)を結合したワン樹脂(2.0 g、1.6 mmol、0.8 mm
    ol/g負荷)を、DMAP(0.8 mmol、0.5当量)の存在下で、65〜70℃で26時間振盪し ながら、25 mlのDMF中に溶解したイサト酸無水物(6.4 mmol、4.0当量)で処理す る。 次いで、得られる樹脂混合物を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで完全に洗浄し、乾燥して、樹脂上にN-ヒドロキシアミドを得る。

    【0181】 ステップ2では、ジメチルアセトアミド(DMAC)溶媒(0.6 ml)中に溶解したFmoc
    保護α−アミノ酸(0.2 mmol、5.0当量)、カップリング試薬PyBrOP(ブロモ− トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、0.2 mmol、5.0当 量)およびDMAP(0.2 mmol、5.0当量)からなる市販の第1のグループで、60〜65 ℃で20〜24時間振盪しながら、N-ヒドロキシアミド樹脂(0.04 ml、50 mg、0.8
    mmol/g負荷)を処理する。 樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで完全に洗浄し、
    乾燥して、樹脂上にキナゾリノンを得る。 次いで、DMF(0.6 ml)中の30%ピペリジンに樹脂を懸濁し、アミン基からFmoc保護基を除去し、次の反応ブロックの結合のための濾過および洗浄の後、遊離アミノキナゾリノン樹脂を得る。

    【0182】 ステップ3では、DMF(0.6 ml)中に溶解したFmoc保護α−アミノ酸(0.2 mmol 、5.0当量)、カップリング試薬DIC(ジイソプロピルカルボジイミド、0.2 mmol
    、5.0当量)、HOBt(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.2 mmol、5.0当量)およびDMAP(0.04 mmol、1.0当量)からなる第2のグループで、室温で20〜24時間、
    樹脂上のアミノキナゾリノン(50 mg、0.04 mmol)を処理する。 次いで、樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで完全に洗浄し、乾燥する。 次いで、DMF(0.6 ml )中に溶解した30%ピペリジンに樹脂を懸濁し、アミン基からFmoc保護基を除去 し、色素の付着のための濾過および洗浄の後、遊離アミノ樹脂を得る。

    【0183】 ステップ4では、DMF(0.6 ml)中に溶解したDTAF・HCl色素(ジクロロトリアジ ルアミノフルオレセインモノ塩酸塩、0.08 mmol、2.0当量)およびDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン、0.16 mmol、4.0当量)で、室温で20〜24時間振盪しながら、アミン樹脂(0.04 mmol)を処理する。 次いで、樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで完全に洗浄し、乾燥して、樹脂上に蛍光標識されたキナゾリノンを得る 。

    【0184】 ステップ5では、DCM(1.0 ml)中に溶解した30%トリフルオロ酢酸(TFA)で、室 温で1〜2時間振盪しながら、蛍光標識された樹脂(0.04 mmol)を処理する。 この 混合物を濾過し、樹脂を0.5 mlのDCMですすぐ。 合わせた濾液を集め、減圧下で 蒸発させて乾燥させ、所望の蛍光標識されたキナゾリノンリガンドを得て、スクリーニングのためにDMSOに溶解する。

    【0185】 異なるイサト酸無水物およびFmoc保護されたアミノ酸を用いて、同様の方法で上記反応を実施することにより、上記の蛍光標識されたキナゾリノンリガンドのライブラリーを作製する。

    【0186】 手順12:固相上のUGI−カップリングを用いたリガンドの合成リンクアミン樹脂(1.0当量)(市販のリンクアミン樹脂を、DMF 中に溶解した2
    5%ピペリジンで処理することにより調製したもの)を、MeOH/DCM(1:2、v/v)中で膨張させる。 アルデヒド(10当量)およびFmoc保護されたアミノ酸(10当量)を加える。 混合物を、室温で1〜2時間振盪する。 その後、イソシアニド(10当量)を加える。 混合物を、室温で20〜24時間振盪する。 次いで、樹脂を濾過し、DMF、M
    eOHおよびDCMで完全に洗浄し、乾燥する。 次いで、DMF 中に溶解した25%ピペリ ジンで樹脂を処理し、遊離アミン基を含有する樹脂を得る。 次いで、DMF 中に溶解した2.0〜3.0当量のDTAFおよび4〜6当量のDIPEAで樹脂を処理し、通常のよう に濾過および洗浄した後、樹脂上に蛍光標識されたリガンドを得る。 その後、TF
    A/DCMを用いて樹脂から開裂させて、乾燥させた後、所望の蛍光標識されたリガ ンドを得る。

    【0187】 実施例13:ヒト血液の血清サンプルを区別し同定するための蛍光偏光の利用以下の実施例は、2つ以上のヒト血液の血清サンプルを区別しおよび/または同定するための本発明の利用を例示するものである。 例えば、プローブのライブラリーを用いてサンプルをスクリーニングする場合に生じる他と異なる結合パターンに基づいて、正常血清と異常血清とを互いに区別することができる。 さらに、適当なプローブの溶液で本発明を利用して、正常血清、さもなければ非糖尿病性の血清から、糖尿病性の血清を区別することができる。 下記の議論は、一般的な手順を例示するものであり、ヒト血清サンプル間の区別に用いられる。

    【0188】 3種の異なるライブラリーのプレート(XN1192-54、XN1043-58、GY1175-96およ びプレート1)から得たフルオレセイン標識されたプローブを、Western States P
    lasma Company (Fallbrook, CA)から購入した血清サンプルに結合させる。 該血 清サンプルは、3人の糖尿病患者(参照実験により糖尿病であることが確認され た)からプールした糖尿病性の血清および健常人からプールした血清(ロット番号HS300; SeraCare, Oceanside, California)からなるものであった。

    【0189】 まず、2.5μlの各フルオレセイン標識されたプローブ(1〜10 nM)を、95μlの 緩衝液(PBS + 0.03%ドデシル硫酸リチウム)および5μlの血清に、96穴プレート 中で結合させた。 次いで、混合物を37℃で30分間、インキュベートした。 指示されたように、20,000xgで3.5時間、血清サンプルを遠心分離し、5μlの下層、す なわち淡黄色の血清の層を、プローブ結合についてアッセイした。 Fluorolite F
    PM-2蛍光偏光マイクロタイターシステムを用いて、各サンプルの各プローブについて蛍光偏光を測定した。 各サンプルを用いて、各プローブを3重に試験し、得られた蛍光偏光値(MP)を平均した。

    【0190】 80個のフルオレセイン標識されたプローブを用いた1次スクリーニングにおいて、プローブは、2つの血清サンプルについて得られた蛍光偏光値に有意差を示した。 これらのプローブを同条件下で再度3重にスクリーニングした。 表11に列挙したおよび表12に示したプローブは、正常なプールした血清(ロット番号
    HS300)および糖尿病性の血清について得られた蛍光偏光値に有意差を示した( 図14)。 表11に列挙した12個のプローブのうちの10個について得られた蛍光偏光値は、正常血清(ロット番号HS300)よりも糖尿病性の血清についての方が 高かった。 この結果は、プローブ58A2、58A3、58A6、58B6、58B7、58B11、58H8 、96G3、54G3およびP1B4が、糖尿病性の血清中に存在する何らかの成分に優先的に結合していることを示している。

    【0191】

    【表10】

    正常(ロット番号HS300)および糖尿病性の血清サンプルについて得られた蛍 光偏光値における差の一つの可能な理由は、糖尿病性の血清における脂質含有量が正常血清におけるよりも高いということである。 糖尿病性の血清の脂質含有量が、得られた蛍光偏光値に影響しているかどうかを決定するため、遠心分離により血清サンプルから脂質を枯渇させ、表11に列挙したものと同じプローブを用いて蛍光偏光を測定した。 該プローブを用いて得られた蛍光偏光値は、表12に列挙されており、かつ図15に図示されている。 プローブ58A2、58A3、58A6、58


    B6、58B7、58B11、58H8、96G3、54G3およびP1B4を用いた糖尿病性の血清および 正常血清(ロット番号HS300)についての蛍光偏光値間の差の大小は、血清から 脂質を枯渇させた場合、より大きくなるようである。 偏光値は、脂質を枯渇させていない糖尿病性の血清よりも枯渇させた糖尿病性の血清についての方が高い。


    これらの結果は、糖尿病性の血清の脂質含有量が、正常血清(ロット番号HS300 )に比べて糖尿病性の血清がプローブ58A2、58A3、58A6、58B6、58B7、58B11、5


    8H8、96G3、54G3およびP1B4に優先的に結合する理由を説明しないということを 示している。 さらに、これらの結果は、糖尿病性の血清中に存在する脂質成分が、糖尿病性の血清中に存在する別の成分に対する、プローブ58A2、58A3、58A6、


    58B6、58B7、58B11、58H8、96G3、54G3およびP1B4の結合親和性を減少させるこ とを示唆している。

    【0192】

    【表11】

    プローブ54C6および54E8の場合、脂質を枯渇させた糖尿病性の血清と脂質を枯渇させた正常血清(ロット番号HS300)との間の蛍光偏光値の差は、脂質を含有 する血清間で観察される差と比べて、あまり変わらない。 しかし、血清から脂質成分を除去することの効果は、プローブ54G3およびP1B4を用いた正常(ロット番号HS300)および糖尿病性の血清について得られる蛍光偏光値の差に劇的に影響 する。 脂質の存在下では、糖尿病性の血清についての蛍光偏光値は、正常血清(


    ロット番号HS300)よりもこれらの2つのプローブについての方が有意に高い。 しかし、脂質を枯渇させた血清においては、プローブ54G3およびP1B4を用いた正常(ロット番号HS300)および糖尿病性の血清についての蛍光偏光値は、ほぼ同 一である。 これらの結果は、プローブ54G3およびP1B4が、糖尿病性の血清中では脂質可溶性のリガンドに結合していることを示唆している。 プローブ結合に対する脂質の枯渇の効果は、該プローブが、最低限で3つ以上の異なる標的に結合していることを示唆している。

    【0193】 要するに、上記の結果は、本発明に記載された蛍光偏光に基づくアッセイを用いて、ヒト血清サンプルを互いに区別することができるということを実証する。
    さらに、本実施例で使用された方法を用いて、正常および糖尿病性の血清を区別するプローブを同定することができる。

    【0194】

    【表12】

    【表13】

    本発明は、記載された特定の実施形態により範囲を限定されるものではなく、


    該実施形態は、本発明の個々の態様の単なる例示として意図されるにすぎない。


    事実、上述の記載および添付する図面から、本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な変更が、当業者にとって明らかとなるであろう。 添付された請求項の範囲には、そのような変更が含まれることを意図する。

    【0195】 本明細書に記載した全ての引用文献は、全ての目的のために、参照によりその全体を本明細書に組み入れられる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 実施例4〜7で蓄積したデータを、それぞれグラフで示す。

    【図2】 実施例4〜7で蓄積したデータを、それぞれグラフで示す。

    【図3】 実施例4〜7で蓄積したデータを、それぞれグラフで示す。

    【図4】 実施例4〜7で蓄積したデータを、それぞれグラフで示す。

    【図5】 実施例4〜7で蓄積したデータを、それぞれグラフで示す。

    【図6】 プローブのヒトおよびウシ血清に対する識別的結合。 グラフは種々のプローブを用いてヒトおよびウシ血清について得られた蛍光偏光値を示す。

    【図7】 プローブ18の表7に挙げた生物学的サンプルへの識別的結合。 プローブ18を用 いた各サンプルについての蛍光偏光値をグラフに示す。

    【図8】 プローブ70の表7に挙げた生物学的サンプルへの識別的結合。 プローブ70を用 いた各サンプルについての蛍光偏光値をグラフに示す。

    【図9】 プローブ147の構造および識別的結合パターン。 (A)プローブ147の構造を示す 。 (B)グラフはプローブ147を用いて表7に挙げた各サンプルについて得られた蛍 光偏光値を示す。

    【図10】 プローブ129の構造および識別的結合パターン。 (A)プローブ129の構造を示す 。 (B)グラフはプローブ129を用いて表7に挙げた各サンプルについて得られた蛍 光偏光値を示す。

    【図11】 プローブ135の構造および識別的結合パターン。 (A)プローブ135の構造を示す 。 (B)グラフはプローブ135を用いて表7に挙げた各サンプルについて得られた蛍 光偏光値を示す。

    【図12】 プローブD6の識別的結合。 蛍光標識プローブ6Dを用いた、Staphylococcus
    auureus(SA)、メチシリン耐性Staphylococcus auureus(MRSA)、E.coli、およ び非接種ブレインハートインフュージョン培地(BHI)の培養サンプルの蛍光偏光値を測定した。 グラフは、種々の培養物インキュベーション期間の後の各細菌株および非接種BHI培地について得られた蛍光偏光値を示す。

    【図13】 プローブ6Dを用いて得られた蛍光偏光値に基づいた細菌培養物の分類。 12の 未知の培養物についての蛍光偏光アッセイの結果をその蛍光偏光値に基づいてグループ化した。

    【図14】 プローブの正常(ロット番号 HS300)および糖尿病性のヒト血清に対する識別的結合。 グラフは、種々のプローブを用いて正常および糖尿病性のヒト血清について得られた蛍光偏光値を示す。

    【図15】 プローブの脂質を枯渇させた糖尿病性および正常(ロット番号 HS300)ヒト血清への識別的結合。 グラフは、種々のプローブを用いて脂質枯渇性の正常および糖尿病性の血清について得られた蛍光偏光値を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/76 G01N 21/76 33/53 33/53 M 33/566 33/566 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ガオ,ユン アメリカ合衆国 01772 マサチューセッ ツ州,サウスボロー,デイビス ロード 7 (72)発明者 ジョーンズ,スティーブン,ダブリュ. アメリカ合衆国 01752 マサチューセッ ツ州,マルボロ,ブロードミードウ ロー ド 169エー−8 Fターム(参考) 2G054 AA07 AA08 AA10 AB02 AB05 AB07 CA20 CA21 CA22 CA23 CA25 CE02 EA03 EB05 FA28 GA04 GB02 2G059 AA01 AA05 AA06 BB13 CC16 DD17 EE05 EE07 FF08 FF13 GG04 JJ02 JJ17 JJ19 KK01 4B024 AA11 CA01 HA14 4B063 QA01 QA07 QA18 QA19 QQ06 QR55 QS39 QX02

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