A method of detecting changes in cell

申请号 JP2011540952 申请日 2009-12-14 公开(公告)号 JP2012511909A 公开(公告)日 2012-05-31
申请人 エス アール ユー バイオシステムズ,インコーポレイテッド; 发明人 カニンガム,ブライアン,ティー.; フェルナンデス,ラファエル; ラング,ランス; ワグナー,リック;
摘要 検出標識の使用なしに細胞における変化を検出するための方法が提供される。 一実施態様において、刺激に対する細胞の応答の検出は、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、およびその1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞をバイオセンサーに加える工程を含む。 その後、細胞における変化が、バイオセンサーへの刺激の導入前と後に、バイオセンサーによって検出される。
权利要求
  • (a)(i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程、または(ii)細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程、
    (b)細胞を刺激に曝す工程、ならびに(d)刺激に対する細胞の応答を検出する工程を含む、刺激に対する細胞の応答の検出方法。
  • 刺激が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項1に記載の方法。
  • (a)の細胞が無血清培地中である、請求項1に記載の方法。
  • 刺激に対する細胞の応答の検出が、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドが検出方法に含まれない方法と比較して増強される、請求項1に記載の方法。
  • (a)カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水で細胞を洗浄する工程、
    (b)カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水を細胞から除去する工程、
    (c)等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を細胞に加える工程、
    (d)等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を緩衝生理食塩水で中和する工程、
    (e)細胞を緩衝生理食塩水で洗浄する工程、
    (f)細胞をバイオセンサー表面に加えて、細胞をバイオセンサーの表面に付着させる工程を含む、アッセイのために細胞を調製する方法。
  • 細胞が接着モジュレーターの存在下でバイオセンサー表面に加えられる、請求項5に記載の方法。
  • バイオセンサー表面が、バイオセンサー表面に固定化された1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを有し、または細胞がバイオセンサー表面に加えられる前に、細胞が1つまたは複数の細胞外リガンドと混合される、請求項5に記載の方法。
  • 細胞外マトリックスリガンドへの、細胞の結合が検出される、請求項7に記載の方法。
  • (a)細胞を緩衝生理食塩水で洗浄する工程;
    (b)(i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程;または(ii)細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程;
    (c)細胞を刺激に曝す工程;ならびに(d)刺激に対する細胞の応答を検出する工程を含む刺激に対する細胞の応答の検出の方法。
  • 工程(a)の前に、
    (i)カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水で細胞を洗浄する工程;
    (ii)カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水を細胞から除去する工程;
    (iii)等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を細胞に加える工程;
    (iv)等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を緩衝生理食塩水で中和する工程が実行される、請求項9に記載の方法。
  • 細胞が接着モジュレーターの存在下でバイオセンサー表面に加えられる、請求項9に記載の方法。
  • 刺激が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項9に記載の方法。
  • (a)1つまたは複数の細胞外マトリックスタンパク質リガンドをマイクロタイタープレートのウェルの底に固定化する工程、ここでウェルの底が比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーを含み、かつウェルが、試験試薬をウェル内の1つの位置に送達することができるマイクロ流体チャネルを有する;
    (b)前記1つまたは複数の細胞外マトリックスタンパク質リガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞をウェルに加える工程;
    (c)マイクロ流体チャネルを用いて試験試薬をウェルに送達する工程、ここで試験試薬は被検走化性物質である;
    (d)ウェル内での細胞の運動を検出する工程、ここでウェル内の細胞の運動が検出されたならば、試験試薬が細胞の運動に影響している;
    を含む、試験試薬が細胞の運動に影響するかどうかを決定する方法。
  • 試験試薬が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項13に記載の方法。
  • (a)第1の細胞を第1の比色共鳴反射バイオセンサー表面または第1の回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加える工程であって、バイオセンサー表面が固定化細胞外マトリックスリガンドを含み、第1の細胞がその細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する工程、第1の細胞を第1のバイオセンサーの表面に付着させる工程、および第1の細胞についてピーク波長値またはシグナルを決定する工程;
    (b)第2の細胞を第2の比色共鳴反射バイオセンサー表面または第2の回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加える工程であって、第2のバイオセンサー表面が固定化細胞外マトリックスリガンドを含み、第2の細胞が前記細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する工程、試験化合物をバイオセンサー表面に加える工程、第2の細胞をバイオセンサーの表面に付着させる工程、および第2の細胞についてピーク波長値またはシグナルを決定する工程;ならびに(c)第1の細胞について得られたピーク波長値またはシグナルを、第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと比較する工程;ここで第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルが、第1の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと実質的に異なったならば、細胞外マトリックスリガンドへの細胞の特異的結合に試験化合物が影響しているを含む、細胞外マトリックスリガンドへの細胞の特異的結合に試験化合物が影響するかどうかを決定する方法。
  • 試験化合物が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項15に記載の方法。
  • (a)1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;
    (b)細胞をバイオセンサーに加える工程、ここで細胞が前記1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;
    (c)細胞を刺激に曝す工程;および(d)刺激に対する細胞の応答を、約2〜10マイクロメートルの分解能を有する検出装置を用いて検出する工程を含む、細胞変化をリアルタイムで分析する方法。
  • 刺激が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項17に記載の方法。
  • 細胞変化が、細胞増殖パターン、細胞死パターン、細胞運動、細胞サイズもしくは容積、または細胞接着における変化である、請求項17に記載の方法。
  • (a)1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;
    (b)無血清培地中のバイオセンサーに細胞を加える工程、ここで細胞が、前記1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;
    (c)無血清培地を洗い落とさずに、細胞を刺激に曝す工程;および(d)刺激に対する細胞の応答を検出する工程を含む、細胞応答における変化を検出する方法。
  • 刺激が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物である、請求項20に記載の方法。
  • 比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面であって、2つ以上の種類の細胞外マトリックスリガンド、およびオボアルブミンまたはウシ胎仔血清をバイオセンサーの表面に塗布し、バイオセンサーの表面を乾燥させることによってバイオセンサーが調製される、バイオセンサー表面。
  • (a)(i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程;または(ii)細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合する工程、ここで細胞が前記1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程;
    (b)細胞を試験化合物で処理する工程;
    (c)比色共鳴反射光の第1のPWVまたはシグナルを検出する工程、および試験化合物で処理されなかった対照細胞からの第2のPWVまたはシグナルと第1のPWVまたはシグナルを比較して、試験化合物が細胞の接着に影響するかどうかを決定する工程を含む、細胞の接着に影響する化合物を同定する方法。
  • 試験化合物が、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、またはホスホリパーゼCの活性を調節する化合物である、請求項23に記載の方法。
  • (b)の後に、接着モジュレーターが細胞に加えられ、対照細胞もまた、接着モジュレーターで処理される、請求項23に記載の方法。
  • (a)比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に細胞をアプライする工程、ここで改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている、
    (b)接着モジュレーターを細胞に加える工程、
    (c)細胞について比色共鳴反射光の第1のPWVまたはシグナルを検出する工程、および非改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている、比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加えられた対照細胞からの第2のPWVまたはシグナルと比較して、試験化合物が細胞の接着に影響するかどうかを決定する工程を含む、細胞の接着に影響する改変型細胞外マトリックス(ECM)リガンドを同定する方法。
  • (a)1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;
    (b)組換えタンパク質をコードする核酸分子でトランスフェクションされており、かつ前記1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞をバイオセンサーの表面に加える工程;
    (c)細胞についての第1のPWVまたはシグナルを決定する工程;
    (e)組換えタンパク質を発現しないトランスフェクションされた細胞と比較して、組換えタンパク質を発現するトランスフェクションされた細胞において異なる応答を引き起こすモジュレーターを加える工程;
    (e)細胞について第2のPWVまたはシグナルを決定する工程、
    (f)第1のピーク波長値またはシグナルを第2のピーク波長値またはシグナルと比較する工程、ここで第2のピーク波長値またはシグナルが第1ピーク波長値またはシグナルと実質的に異なったならば、トランスフェクションされた細胞が組換えタンパク質を発現しているを含む、トランスフェクションされた細胞が組換えタンパク質を産生するかどうかを決定する方法。
  • 说明书全文

    本出願は、2008年12月15日に出願された米国特許出願第12/335,393号の継続出願であり、それは全体として参照により本明細書に組みこまれる。

    本出願は、2008年12月15日に出願された、発明の名称が「Methods For Identifying Modulators of Ion Channels」である米国特許出願第12/335,433号を相互参照し、それは全体として参照により本明細書に組みこまれる。

    薬物発見の科学は、生物学的物質および試験化合物のヒト細胞および組織への効果を決定するための、より効率的なツールを必要としている。 しばしば、多くの生物学的プラットフォームは、いくつかは操作された細胞または標識を用いており、細胞に基づいた系におけるこれらの測定用に組織(organization)内に確立されている。 これらのプラットフォームは、一貫性のないデータセットを提供することが多い、多くの異なる読出しを必要とする。 それらは、しばしば、疾患過程に関与する特定の標的の過剰発現を含む操作された細胞を使用する。 そのような操作された系の正味の効果は、当初求められていたものの正反対であり、その結果(outocome)が天然または自然の応答から取り除かれる。 別の場合では、プラットフォームは、実験の結果をモニターするために標識を使用する。 標識における新しい化学的存在物の導入によってまた、決定するのが困難な方法における実験の結果にかなりの効果を生じさせることができる。 望まれることは、試験物質に対する自然の細胞反応を反映する、治療用物質候補の試験のために多くの異なる型の細胞と用いることができる単一のプラットフォームである。

    本発明の一実施態様により、刺激に対する細胞の応答の検出方法が提供される。 方法は、
    (i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程;または(ii)細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する、;および細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程を含む。 どちらの場合の細胞も無血清培地中にあり得る。
    細胞は刺激に曝され、刺激に対する細胞応答が検出される。 刺激は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。 刺激に対する細胞応答の検出は、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドが検出方法に含まれない方法と比較して、増強することができる。

    本発明の別の実施態様により、アッセイのために細胞を調製する方法が提供される。 方法は、以下の工程を含む:カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩で細胞を洗浄する工程;カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水を細胞から除去する工程;等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を細胞に加える工程;等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を緩衝生理食塩水で中和する工程;細胞を緩衝生理食塩水で洗浄する工程;ならびに細胞をバイオセンサー表面に加えて、細胞をバイオセンサーの表面に付着させる工程。 細胞は、接着モジュレーターの存在下でバイオセンサー表面に加えることができる。 バイオセンサー表面は、それに固定化された1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを有することができ、または細胞は、それらがバイオセンサー表面に加えられる前に、1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合される。 細胞の細胞外マトリックスリガンドへの結合を検出することができる。

    本発明のさらに別の実施態様により、刺激に対する細胞の応答の検出方法が提供される。 方法は、細胞を緩衝生理食塩水で洗浄する工程を含む。 その後:
    (i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程;または(ii)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと細胞を混合する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に細胞を比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程。
    細胞は刺激に曝され、刺激に対する細胞の応答が検出される。 方法の列挙された工程の前に、以下の工程を実施することができる:カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水で細胞を洗浄する工程;カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水を細胞から除去する工程;等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を細胞に加える工程;ならびに等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤を緩衝生理食塩水で中和する工程。 細胞は、接着モジュレーターの存在下でバイオセンサー表面に加えることができる。 刺激は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。

    本発明のさらになお別の実施態様により、試験試薬が細胞の運動に影響するかどうかを決定する方法が提供される。 方法は、1つまたは複数の細胞外マトリックスタンパク質リガンドをマイクロタイタープレートのウェルの底に固定化する工程を含み、ここでウェルの底が比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーを含み、かつウェルが、試験試薬をウェル内の1つの位置に送達することができるマイクロ流体チャネルを有する。 その1つまたは複数の細胞外マトリックスタンパク質リガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞が、ウェルに加えられる。 試験試薬は、マイクロ流体チャネルを用いてウェルに加えられ、ここで試験試薬は被験(suspected)走化性物質である。 ウェル内における細胞の運動が検出され、ウェル内の細胞の運動が検出されたならば、試験試薬は細胞の運動に影響している。 試験試薬は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。

    本発明のまださらに別の実施態様により、試験化合物が、細胞の細胞外マトリックスリガンドへの特異的結合に影響するかどうかを決定する方法が提供される。 方法は、第1の細胞を第1の比色共鳴反射バイオセンサー表面または第1の回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加える工程であって、バイオセンサー表面が固定化細胞外マトリックスリガンドを含み、第1の細胞がその細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する工程、第1の細胞を第1バイオセンサーの表面に付着させる工程、および第1の細胞についてピーク波長値またはシグナルを決定する工程を含む。 第2の細胞を、第2の比色共鳴反射バイオセンサー表面または第2の回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加え、第2のバイオセンサー表面が固定化細胞外マトリックスリガンドを含み、第2の細胞がその細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有し、試験化合物をバイオセンサー表面に加え、第2の細胞をバイオセンサーの表面に付着させ、第2の細胞についてピーク波長値またはシグナルを決定する。 第1の細胞について得られたピーク波長値またはシグナルを、第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと比較する;第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルが、第1の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと実質的に異なったならば、試験化合物は、細胞外マトリックスリガンドへの細胞の特異的結合に影響している。 試験化合物は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。

    本発明の別の実施態様により、細胞変化をリアルタイムで分析する方法が提供される。 方法は、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;細胞をバイオセンサーに加える工程、ここで細胞がその1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;細胞を刺激に曝す工程;および刺激に対する細胞の応答を、約2〜10マイクロメートルの分解能を有する検出装置を用いて検出する工程を含む。 刺激は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。 細胞変化は、細胞成長パターン、細胞死パターン、細胞運動、細胞サイズもしくは容積、または細胞接着における変化であり得る。

    本発明のさらになお別の実施態様により、細胞応答の変化を検出する方法が提供される。 方法は、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;無血清培地中のバイオセンサーに細胞を加える工程、ここで細胞が、その1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;無血清培地を洗い落とさずに、細胞を刺激に曝す工程;および刺激に対する細胞の応答を検出する工程を含む。 刺激は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、ホスホリパーゼC、受容体チロシンキナーゼ、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル、またはシグナル伝達経路の活性を調節する化合物であり得る。

    本発明のまださらに別の実施態様により、比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面であって、バイオセンサーが、2つ以上の種類の細胞外マトリックスリガンド、およびオボアルブミンまたはウシ胎仔血清をバイオセンサーの表面に塗布し、バイオセンサーの表面を乾燥させることによって調製される、バイオセンサー表面が提供される。

    本発明のさらに別の実施態様により、細胞の接着に影響する化合物を同定する方法が提供される。 方法は、
    (i)1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面へ固定化する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞をバイオセンサーに加える工程;または(ii)細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合する工程、ここで細胞がその1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する;および細胞を1つもしくは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーもしくは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える工程を含む。
    細胞は、試験化合物で処理される。 比色共鳴反射光の第1のPWVまたはシグナルが検出され、試験化合物で処理されなかった対照細胞からの第2のPWVまたはシグナルと比較して、試験化合物が細胞の接着に影響するかどうかを決定する。 試験化合物は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、またはホスホリパーゼCの活性を調節する化合物であり得る。 アッセイ中、試験化合物の添加前、または添加中、または添加後、接着モジュレーターを細胞に加えることができ、対照細胞もまた接着モジュレーターで処理する。

    本発明の別の実施態様により、細胞の接着に影響する改変型細胞外マトリックス(ECM)リガンドを同定する方法が提供される。 方法は、比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に細胞をアプライする工程、ここで改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている;接着モジュレーターを細胞に加える工程;その細胞について比色共鳴反射光の第1のPWVまたはシグナルを検出する工程、および非改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている、第1のPWVまたはシグナルを比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加えられた対照細胞からの第2のPWVまたはシグナルと比較して、試験化合物が細胞の接着に影響するかどうかを決定する工程を含む。

    本発明のさらになお別の実施態様により、トランスフェクションされた細胞が組換えタンパク質を産生するかどうかを決定する方法が提供される。 方法は、以下の工程を含む:1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化する工程;組換えタンパク質をコードする核酸分子でトランスフェクションされており、かつその1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞を、バイオセンサーの表面に加える工程;細胞についての第1のPWVまたはシグナルを決定する工程;組換えタンパク質を発現しないトランスフェクションされた細胞と比較して、組換えタンパク質を発現するトランスフェクションされた細胞において異なる応答を引き起こすモジュレーターを加える工程;細胞についての第2のPWVまたはシグナルを決定する工程;第1ピーク波長値またはシグナルを第2ピーク波長値またはシグナルと比較する工程;ここで第2ピーク波長値またはシグナルが第1ピーク波長値またはシグナルと実質的に異なったならば、トランスフェクションされた細胞は組換えタンパク質を発現している。

    本発明は、刺激に対する細胞の応答をモニターする様式の1つとして細胞接着を提供する。 多くの主要な科学情報源は、大量の細胞事象および応答がいくつかの様式の細胞接着の1つと結びつけられることを報告している。 本発明は、刺激に対する自然の応答における細胞接着をモニターするためのバイオセンサーの実施の方法を記載する。

    本発明は、ハイスループット生体分子相互作用分析に最もよく用いられるマイクロタイタープレートに基づいた、またはマイクロアレイに基づいた基礎構造(infrastructure)と容易に適合できるフォーマットで、いかなる種類の標識もなしに高感度の細胞に基づいたアッセイを実施することができる商業的に実現可能なハイスループットな方法を提供する。

    細胞−タンパク質相互作用アッセイの概略図を示す図である。

    細胞−タンパク質相互作用アッセイからの結果を示す図である。

    本明細書において用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに他の指図を示さない限り、複数の指示対象を含む。

    バイオセンサー
    本発明のバイオセンサーは、比色共鳴反射バイオセンサーであり得る。 たとえば、Cunninghamら、「Colorimetric resonant reflection as a direct biochemical assay technique」、Sensors and Actuators B、81巻、316〜328ページ、2002年1月5日、米国特許公開第2004/0091397号、米国特許第7,094,595号、米国特許第7,264,973号を参照されたい。 比色共鳴バイオセンサーは表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサーではない。 SPRバイオセンサーは、銀、金、銅、アルミニウム、ナトリウム、およびインジウムなどの薄い金属層を有する。 金属は、適切な波長の光と共鳴する能がある伝導帯電子を有しなければならない。 光に曝されるSPRバイオセンサー表面は、純粋な金属でなければならない。 酸化物、硫化物、および他のフィルムは、SPRに干渉する。 比色共鳴バイオセンサーは、金属層を有さず、むしろ、それらは、硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素などの高屈折率材料の誘電性コーティングを有する。

    回折格子に基づいた導波路バイオセンサーは、たとえば、米国特許第5,738,825号に記載されている。 回折格子に基づいた導波路バイオセンサーは、導波路フィルム、および入射光照射野を導波路フィルムへ、インカップルして(incouple)回折光照射野を生じさせる回折格子を含む。 導波路フィルムの有効屈折率の変化が検出される。 回折格子に基づいた導波路バイオセンサーなどの、波が装置内でかなりの距離を移動しなければならない装置は、本発明の空間的分解能を欠く。

    比色共鳴反射バイオセンサーは、蛍光タグ、比色標識、またはいかなる他の種類の検出タグもしくは検出標識を用いることなしに、バイオセンサーの表面上で生化学的相互作用を測定することを可能にする。 バイオセンサー表面は、コリメート光および/または白色光で照射された場合、狭い波長帯域のみを反射する(「共鳴格子効果」)ように設計されている光学的構造を含む。 狭い波長帯域は、波長「ピーク」として記載される。 生物学的物質などの物質が、バイオセンサー表面に堆積し(deposit)、またはバイオセンサー表面から除去された場合、「ピーク波長値」(PWV)は変化する。 読出し機器は、コリメート光および/または白色光でバイオセンサー表面上の別個の位置を照射し、かつ反射光を収集するために用いられる。 収集された光は、PWVの決定のために波長分光計へ集められる。

    バイオセンサーは、その構造(バイオセンサー側を上)を底のないマイクロタイタープレートカートリッジの底へ接合することによってマイクロタイタープレートなどの標準的使い捨て実験部材(item)へ組み込むことができる。 一般的な実験室型カートリッジへのバイオセンサーの組込みは、ミキサー、インキュベーター、および液体分配装置などの既存のマイクロタイタープレート取り扱い装置との適合性にとって望ましい。 バイオセンサーはまた、たとえば、マイクロ流体装置、マクロ流体装置、またはマイクロアレイ装置へも組み込むことができる(たとえば、米国特許第7,033,819号、米国特許第7,033,821号参照)。 バイオセンサーは、1つまたは複数の細胞外試薬に曝されたときの細胞挙動変化またはこれらの変化の欠如をモニターするための当技術分野における周知の方法(例えばMethods of Molecular Biology、Jun−Lin Guan編、294巻、Humana Press、Totowa、New Jersey参照)と共に用いることができる。

    比色共鳴反射バイオセンサーは、サブ波長構造表面(SWS)を含み、薄膜コーティングの効果を模倣することができる非従来型の回折光学素子である。 (PengおよびMorris、「Resonant scattering from two−dimensional gratings」、J.Opt.Soc.Am.A、13巻、5号、993ページ、1996年5月;MagnussonおよびWang、「New principle for optical filters」、Appl.Phys.Lett.、61巻、9号、1022ページ、1992年8月;PengおよびMorris、「 Experimental demonstration of resonant anomalies in diffraction from two−dimensional gratings」、Optics Letters、21巻、8号、549ページ、1996年4月)。 SWS構造は、反射ゼロ次数および透過ゼロ次数以外の回折次数が伝播することがないように、格子周期が入射光の波長と比較して小さい、1次元、2次元、または3次元回折格子を含む。 横方向の導波モードの伝播は支持されない。 むしろ、導波モード共鳴効果は、任意の光子がバイオセンサー構造に入る点から約3ミクロンの非常に局在した領域にわたって生じる。

    比色共鳴反射バイオセンサーの反射光または透過光は、リガンド若しくは結合パートナーまたはその両方などの分子をバイオセンサー上部表面へ付加することによって調節することができる。 付加された分子は、その構造を通しての入射放射線の光学的経路長を増加させ、それによって、最大反射率または透過率が生じる波長を改変する。

    一実施態様において、比色共鳴反射バイオセンサーは、白色光および/またはコリメート光で照射された場合、単一波長または狭い波長帯域を反射する(「共鳴格子効果」)ように設計されている。 質量がバイオセンサーの表面上に堆積した場合、反射波長は、バイオセンサー上に示される光の光学経路の変化によってシフトする。

    検出系は、たとえば、垂直入射で、たとえば光ファイバープローブを通して、バイオセンサーの小さな点を照射する光源、および同じく垂直入射で、たとえば第2の光ファイバープローブを通して、反射光を収集する分光計からなる。 励起/検出系とバイオセンサー表面との間には物理的接触が存在しないため、特別なカップリングプリズムが必要とされず、バイオセンサーは、たとえば、マイクロタイタープレートを含む任意の一般的に用いられるアッセイプラットフォームへ容易に適合させることができる。 単一の分光計読み(reading)は、数ミリ秒で実行することができ、したがって、バイオセンサー表面上で並行して起こる多数の分子相互作用を迅速に測定すること、および反応速度をリアルタイムでモニターすることが可能である。

    比色共鳴反射バイオセンサーは、たとえば、高屈折率材料で構成される光回折格子、回折格子を支持する基板層、および任意で、基板層の反対側の回折格子の表面上に固定化された1つまたは複数の特異的結合物質またはリンカーを含む。 高屈折率材料は、基板層より高い屈折率を有する。 たとえば、米国特許第7,094,595号、米国特許第7,070,987号を参照されたい。 任意で、カバー層が回折格子表面を覆う。 光回折格子は、たとえば、硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化タンタル、窒化ケイ素、および二酸化ケイ素が挙げられる材料で構成され得る高屈折率誘電性膜でコーティングされる。 光学的特徴を有する回折格子の横断面(cross-sectional profile)は、任意の周期的に繰り返される機能、たとえば、「方形波」を含み得る。 光回折格子はまた、線(1次元)、正方形、円、楕円、三形、台形、正弦波、卵形、長方形、および六角形からなる群から選択される形の繰返しパターンを含むことができる。 本発明の比色共鳴反射バイオセンサーはまた、高屈折率材料でコーティングされている、たとえば、プラスチックまたはエポキシで構成される光回折格子を含むことができる。

    線形回折格子(すなわち、1次元回折格子)は、照射光偏光が格子周期に対して垂直に方向づけられている共鳴特性を有する。 比色共鳴反射バイオセンサーはまた、たとえば、2次元回折格子、たとえば、ホールまたは正方形の六角形アレイを含み得る。 他の形も同様に用いることができる。 線形回折格子は、六角形アレイ回折格子と同じピッチ(すなわち、高屈折率領域と低屈折率領域の間の距離)、周期、層厚み、および材料の性質を有する。 しかしながら、光は、光学的構造へ共鳴的にカップリングされるために回折格子線に対して垂直に偏光されなければならない。 したがって、線形回折格子に対して垂直に偏光軸と共に配向された偏光フィルターが、照射光源とバイオセンサー表面の間に挿入されなければならない。 照射光源のほんの一部だけが正しく偏光されるため、六角形回折格子と比較して、同量の共鳴反射光を収集するのに、より長い積分時間が必要とされる。

    光回折格子はまた、たとえば、より低い屈折率カバー層内に単一の一定の高さの高屈折率領域が埋め込まれている、「段付き」断面を含み得る。 高屈折率と低屈折率の交互領域は、バイオセンサーの上部表面に平行した光導波路を提供する。

    本発明の比色共鳴反射バイオセンサーは、基板層の反対側の光回折格子の表面上にカバー層をさらに含み得る。 カバー層が存在する場合、1つまたは複数の特異的結合物質が、回折格子の反対側のカバー層の表面上に固定化される。 好ましくは、カバー層は、回折格子を構成する材料より低い反射率を有する材料を含む。 カバー層は、たとえば、(スピンオンガラス(SOG)を含む)ガラス、エポキシ、またはプラスチックで構成され得る。

    たとえば、バイオセンサーの屈折率必要条件を満たす様々なポリマーを、カバー層に用いることができる。 SOGは、その好ましい屈折率、操作の容易さ、および豊富なガラス表面活性化技術を用いた特異的結合物質での活性化の即用性により用いることができる。 バイオセンサー表面の平面度が特定のシステム設定にとって問題とならない場合、SiN/ガラスの回折格子構造を、検出表面として直接用いることができ、その活性化は、ガラス表面上と同じ手段を用いて行うことができる。

    共鳴反射はまた、光回折格子上の平坦化カバー層なしに得ることができる。 たとえば、バイオセンサーは、高屈折率材料の構造化薄膜層でコーティングされた基板のみを含むことができる。 平坦化カバー層を用いることなしに、(空気または水などの)周囲媒質が回折格子を充たす。 したがって、特異的結合物質は、上部表面上だけよりむしろ、特異的結合物質に曝される光回折格子の全表面上でバイオセンサーに固定化される。

    一般的に、比色共鳴反射バイオセンサーは、あらゆる偏光角の光を含む白色光および/またはコリメート光で照射することができる。 バイオセンサー回折格子における繰返し特徴(repeating features)に関する偏光角の配向は、共鳴波長を決定する。 たとえば、1組の繰返しの線と空間からなる「線形回折格子」(すなわち、1次元回折格子)バイオセンサーは、別々の共鳴反射を生じることができる2つの可視偏光を有する。 線に対して垂直に偏光される光は、「s偏光」と呼ばれ、線に対して平行に偏光される光は、「p偏光」と呼ばれる。 入射光のs成分およびp成分の両方が、フィルターを通っていない照射ビーム中に同時に存在し、それぞれが、別々の共鳴シグナルを発生する。 バイオセンサーは、一般的に、1つの偏光のみ(s偏光)の性質を最適化するように設計することができ、最適化されない偏光は、偏光フィルターによって容易に除去される。

    あらゆる偏光角が同じ共鳴反射スペクトルを発生するように偏光依存を除去するために、1組の同心円状の環からなる別のバイオセンサー構造を用いることができる。 この構造において、各同心円状環の内径と外径の差は、格子周期の約2分の1に等しい。 それぞれの連続する環は、前の環の内径より約1格子周期分大きい内径を有する。 同心円状環パターンは、アレイスポットまたはマイクロタイタープレートウェルなどの単一のセンサー位置を覆うように拡張する。 それぞれ別個のマイクロアレイスポットまたはマイクロタイタープレートウェルは、それの内に中心のある別々の同心円状環パターンを有する。 そのような構造の全ての偏光方向は、同じ横断面を有する。 同心円構造は、偏光非依存を保つために正確に中心に照射されなければならない。 同心円構造の格子周期は、共鳴反射光の波長より短い。 格子周期は、約0.01ミクロン〜約1ミクロンである。 格子深さは約0.01〜約1ミクロンである。

    別の実施態様において、ホールまたはポストのアレイが、照射ビームがグリッドの任意の特定の位置に集中することを必要とせずに、上記の同心円構造に極めて近似するように配置される。 そのようなアレイパターンは、等角度の3つの方向から表面上に入射する3つのレーザービームの光学干渉によって、自動的に生じる。 このパターンにおいて、ホール(またはポスト)は、密にパックされた六角形のアレイの角に集中している。 ホールまたはポストはまた、各六角形の中心にも存在する。 そのようなホールまたはポストの六角形グリッドは、同じ横断面を「見る」3つの偏光方向を有する。 したがって、六角形グリッド構造は、任意の偏光角の光を用いて等価の共鳴反射スペクトルを提供する。 よって、望ましくない反射シグナル成分を除去するのに偏光フィルターを必要としない。 ホールまたはポストの周期は約0.01ミクロン〜約1ミクロンであり得、深さまたは高さは、約0.01ミクロン〜約1ミクロンであり得る。

    検出系は、比色共鳴反射バイオセンサー、比色共鳴反射バイオセンサーへ光を向ける光源、およびバイオセンサーから反射された光を検出する検出器を含み得る。 一実施態様において、決定された閾値を超える陽性結果のみが検出を引き起こすようにフィルターを適用することによって、読出し計測手段を単純化することが可能である。

    本発明の比色共鳴反射バイオセンサーのそれぞれの別個の位置における共鳴波長のシフトを測定することによって、どの別個の位置が、たとえば、それらの上に堆積した生物学的物質を有するかを決定することが可能である。 シフトの程度を利用して、たとえば、試験試料における結合パートナーの量、および1つまたは複数の特異的結合物質と試験試料の結合パートナーとの間の化学的親和性を決定することができる。

    比色共鳴反射バイオセンサーは、2回照射することができる。 1回目の測定は、たとえばバイオセンサー上に生物学的物質がない状態で、バイオセンサーの1つまたは複数の異なる位置の反射スペクトルを決定する。 2回目の測定は、たとえば1つまたは複数の細胞をバイオセンサーにアプライした後、反射スペクトルを決定する。 これらの2つの測定間のピーク波長の差は、バイオセンサー上の細胞の存在または量の測定値である。 この照射方法は、ピーク共鳴波長のわずかな変化を有する領域を生じ得るバイオセンサーの表面の小さな不完全性について調節することができる。 この方法はまた、バイオセンサー上の細胞物質の変動する濃度または密度について調節することもできる。

    バイオセンサーの表面
    バイオセンサー上への1つまたは複数のリガンドの固定化は、リガンドがいかなるリンス手順によっても洗い流されないように、かつリガンドの試験試料中の結合パートナーへの結合がバイオセンサー表面によって妨げられないように実施される。 1つまたは複数のリガンドは、物理的吸着によって(すなわち、化学的リンカーを用いないで)、または化学的結合によって(すなわち、化学的リンカーを用いて)、加えて電気化学的結合、静電的結合、疎水性結合、および親水性結合によって、バイオセンサー表面に付着することができる。 化学的結合は、バイオセンサー表面上でリガンドのより強い付着を生じ、表面に結合した分子の規定された配向および立体構造を提供することができる。

    リガンドはまた、核酸、ペプチド、タンパク質溶液、ペプチド溶液、コンビナトリアルケミカルライブラリー由来の化合物を含む溶液、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体(scFv)、F(ab)断片、F(ab') 断片、Fv断片、有機小分子、ウイルス、ポリマー、または生体試料などの特異的結合物質を介してバイオセンサー表面に特異的に結合することができ、その特異的結合物質がバイオセンサーの表面に固定化されている。

    さらに、リガンドは、バイオセンサー表面上の1つまたは複数の別個の位置のアレイに配置することができ、前記表面は、マルチウェルプレートの1つまたは複数のウェル内に存在し、マルチウェルプレートまたはマイクロアレイの1つまたは複数の表面を含む。 リガンドのアレイは、表面が1つまたは複数の別個の位置を含み、それぞれが異なるリガンドを有するように、マイクロウェルプレート内のバイオセンサー表面上に1つまたは複数のリガンドを含む。 たとえば、アレイは、1個、10個、100個、1,000個、10,000個、または100,000個、またはそれ以上の別個の位置を含み得る。 このように、マルチウェルプレートまたはマイクロアレイの各ウェルは、マルチウェルプレートの他のウェルから分離した1つまたは複数の別個の位置のアレイをその内に有し得、それによって、複数の異なる試料を1つのマルチウェルプレート上で処理することが可能になる。 任意の1つのウェル内のアレイ(複数可)は、同じマイクロタイタープレートの任意の他のマイクロタイターウェルに見出されるアレイ(複数可)と同じ、または異なり得る。

    リガンドのバイオセンサー表面への固定化はまた、たとえば、以下の機能的リンカーへの結合を介して影響を受け得る:ニッケル基、アミン基、アルデヒド基、酸基、アルカン基、アルケン基、アルキン基、芳香族基、アルコール基、エーテル基、ケトン基、エステル基、アミド基、アミノ酸基、ニトロ基、ニトリル基、糖質基(carbohydrate group)、チオール基、有機リン酸基、脂質基、リン脂質基、またはステロイド基。 さらに、リガンドは、物理的吸着、化学的結合、電気化学的結合、静電気的結合、疎水性結合または親水性結合、および免疫捕獲(immunocapture)方法によってバイオセンサーの表面に固定化することができる。

    本発明の一実施態様において、バイオセンサーは、たとえば、ニッケル基、アミン基、アルデヒド基、酸基、アルカン基、アルケン基、アルキン基、芳香族基、アルコール基、エーテル基、ケトン基、エステル基、アミド基、アミノ酸基、ニトロ基、ニトリル基、糖質基、チオール基、有機リン酸基、脂質基、リン脂質基、またはステロイド基などのリンカーでコーティングすることができる。 たとえば、アミン表面は、いくつかの種類のリンカー分子を付着するために用いることができ、一方、アルデヒド表面は、追加のリンカーなしにタンパク質を直接、結合するために用いることができる。 ニッケル表面は、組み込まれたヒスチジン(「his」)タグを有する分子を結合するために用いることができる。 ニッケル活性化表面を用いた「hisタグ付き」分子の検出は、当技術分野においてよく知られている(Whitesides、Anal.Chem.68、490、(1996))。

    リンカー、リガンド、および特異的結合物質は、各ウェルが、それに固定化された同じリンカー、リガンド、および/または特異的結合物質を有するように、バイオセンサーの表面に固定化することができる。 あるいは、各ウェルが、リンカー、リガンド、および/または特異的結合物質の異なる組合せを含むことができる。

    リガンドは、バイオセンサーの表面に固定化されたリンカーまたは特異的結合物質へ、特異的または非特異的に結合することができる。 あるいは、バイオセンサーの表面は、リンカーまたは特異的結合物質を有し得ず、リガンドは、バイオセンサー表面に非特異的に結合することができる。

    1つまたは複数の特異的結合物質またはリンカーのバイオセンサー上への固定化は、特異的結合物質またはリンカーが、リンス手順によって洗い流されないように、かつ試験試料中のリガンドへの結合がバイオセンサー表面によって妨げられないように、実施される。 様々な型のマイクロアレイおよびバイオセンサーで用いる、たとえばガラスへの特異的結合物質の共有結合のために、いくつかの異なる種類の表面化学ストラテジーが実行されている。 これらの同じ方法が、本発明のバイオセンサーに容易に適応させることができる。 1つまたは複数の特異的結合物質を結合するための正しい官能基を含むようにするバイオセンサーの表面調製は、バイオセンサー製造プロセスの不可欠な部分である。

    1つまたは複数の特異的リガンドは、物理的吸着(すなわち、化学的リンカーを用いないで)によって、または化学的結合(すなわち、化学的リンカーを用いて)、加えて電気化学的結合、静電的結合、疎水性結合、および親水性結合によって、バイオセンサー表面に付着することができる。 化学的結合は、バイオセンサー表面上にリガンドのより強い付着を生じ、表面結合した分子の規定された配向および立体構造を提供することができる。

    リガンドのプラスチック、エポキシ、または高屈折率材料への固定化は、本質的にはガラスへの固定化について記載されているように、実施することができる。 しかしながら、酸洗浄工程は、そのような処理が、特異的結合物質が固定化されている材料を損傷する場合、除外することができる。

    リガンド
    リガンドは、別の分子に結合する分子である。 リガンドと特異的結合物質は、類似用語である。 リガンドは、たとえば、核酸、ペプチド、細胞外マトリックスリガンド(表1参照)、タンパク質溶液、ペプチド溶液、一本鎖または二本鎖DNA溶液、RNA溶液、RNA−DNAハイブリッド溶液、コンビナトリアルケミカルライブラリー由来の化合物を含む溶液、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体(scFv)、F(ab)断片、F(ab') 断片、Fv断片、有機小分子、細胞、ウイルス、細菌、ポリマー、または生体試料であり得る。 生体試料は、たとえば、血液、血漿、血清、消化管分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、糞便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊髄液、腹水、洗浄液、精液、リンパ液、涙、または前立腺液であり得る。 ポリマーは、ハイドロゲル、デキストラン、ポリリジン(ポリ−l−リジンおよびポリ−d−リジンを含む)、ポリ−phe−リジン、およびポリ−glu−リジンを含むポリアミノ酸およびそれらの誘導体からなる分子あたり複数の活性部位を有する長鎖分子の群から選択される。 本発明の一実施態様において、リガンドは細胞外マトリックスタンパク質リガンドである。

    好ましくは、1つまたは複数のリガンドが、バイオセンサー上の1つまたは複数の別個の位置のアレイに配置される。 リガンドのアレイは、表面が多数の別個の位置を含み、それぞれが異なるリガンドまたは異なる量のリガンドを有するように、本発明のバイオセンサーの表面上に1つまたは複数のリガンドを含む。 たとえば、アレイは、1個、10個、100個、1,000個、10,000個、または100,000個の別個の位置を含むことができる。 そのようなバイオセンサー表面は、1つまたは複数のリガンドが典型的には、x−y座標において規則的なグリッドパターンで配列されるため、アレイと呼ばれる。 しかしながら、本発明のアレイは、任意の型の規則的または不規則的パターンで1つまたは複数のリガンドを含むことができる。 たとえば、別個の位置は、1つまたは複数のリガンドのスポットのアレイを規定することができる。 アレイスポットは、直径が約50〜約500ミクロンであり得る。 アレイスポットはまた、直径が約150〜約200ミクロンであり得る。 1つまたは複数のリガンドは、それらの特異的受容体に結合することができる。

    本発明のバイオセンサー上のアレイは、1つまたは複数のリガンドの微小滴を、たとえば回折格子表面またはカバー層表面上の位置のx−yグリッド上へ置くことによって、作製することができる。 バイオセンサーが、1つまたは複数の結合パートナーを含む試験試料、たとえば、リガンドについての受容体を有する細胞に曝された場合、結合パートナーは、選択的に(preferentially)、結合パートナーに対して高親和性を有するリガンドを含むマイクロアレイ上の別個の位置に引きつけられるであろう。 別個の位置の一部は、それらの表面上へ結合パートナーを集め、一方、他の位置は集めないであろう。

    リガンドは、本発明のバイオセンサーの表面に加えられる結合パートナーに、特異的に結合する。 リガンドは、その結合パートナーに特異的に結合するが、バイオセンサーの表面に加えられた他の結合パートナーを実質的に結合しない。 たとえば、リガンドが抗体であり、その結合パートナーが特定の抗原である場合、抗体は特定の抗原を特異的に結合するが、他の抗原を実質的に結合しない。 結合パートナーは、たとえば、核酸、ペプチド、タンパク質溶液、ペプチド溶液、細胞外マトリックスタンパク質受容体、インテグリン(表1参照)、一本鎖または二本鎖DNA溶液、RNA溶液、RNA−DNAハイブリッド溶液、コンビナトリアルケミカルライブラリー由来の化合物を含む溶液、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体(scFv)、F(ab)断片、F(ab') 断片、Fv断片、有機小分子、細胞、ウイルス、細菌、ポリマー、または生体試料であり得る。 生体試料は、たとえば、血液、血漿、血清、消化管分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、糞便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊髄液、腹水、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液であり得る。 本発明の一実施態様において、結合パートナーは、バイオセンサー上に固定化されたリガンドを結合することができる受容体であり、受容体は細胞の表面上にある。

    マイクロタイタープレートは、生化学アッセイに用いられる最も一般的なフォーマットであるが、マイクロアレイは、貴重な試薬の容量を最小限にしながら、1度に測定することができる生化学的相互作用の数を最大限にするための手段としてますます多く見られる。 本発明のバイオセンサー上へのマイクロアレイスポッターでのリガンドのアプライによって、10,000リガンド/インチのリガンド密度を得ることができる。 照射ビームの焦点を合わせて単一のマイクロアレイ位置を調べることによって、バイオセンサーは、標識を含まないマイクロアレイ読出しシステムとして用いることができる。

    さらに、マイクロアレイ実施態様とマイクロタイタープレート実施態様の両方は、1つまたは複数のリガンドがバイオセンサー表面上の1つまたは複数の別個の位置のアレイに配置されるように組み合わせることができ、前記表面は、マイクロタイタープレートの1つまたは複数のウェル内に存在し、かつマイクロタイタープレートの1つまたは複数の表面、好ましくは底表面を含む。 リガンドのアレイは、表面が1つまたは複数の別個の位置を含み、それぞれが異なるリガンドまたは異なる量のリガンドを有するように、マイクロタイタープレートウェル内のセンサー表面上に1つまたは複数のリガンドを含む。 たとえば、アレイは、1個、10個、100個、1,000個、10,000個、または100,000個の別個の位置を含むことができる。 このように、マイクロタイタープレート実施態様の各ウェルは、それの内に、マイクロタイタープレート実施態様の他のウェルから分離した1つまたは複数の別個の位置のアレイを有することができ、それによって、分離したウェルごとに1つまたは複数の試料という、複数の異なる試料を本発明の1つのマイクロタイタープレート上で処理することが可能になる。 任意の1つのウェル内のアレイ(複数可)は、同じマイクロタイタープレートの任意の他のマイクロタイターウェル中に見出されるアレイ(複数可)と同じ、または異なり得る。

    液体含有容器
    本発明の回折格子は、内部表面、たとえば、液体含有容器の底表面を含むことができる。 液体含有容器は、たとえば、マイクロタイタープレートウェル、試験管、ペトリ皿、またはマイクロ流体チャネルであり得る。 本発明の一実施形態は、任意の型のマイクロタイタープレートへ組み込まれているバイオセンサーである。 たとえば、バイオセンサーは、各反応「スポット」が別個の試験試料に曝され得るように、反応容器の壁をバイオセンサー表面の上に構築することによって、マイクロタイタープレートの底表面へ組み込むことができる。 したがって、各個々のマイクロタイタープレートウェルは、別々の反応容器として機能することができる。 それゆえに、別々の化学反応を、反応液体が混合されることなく、隣接したウェル内で起こすことができ、化学的に別個の試験溶液を個々のウェルにアプライすることができる。

    本発明のバイオセンサーまたは回折格子を底のないマイクロタイタープレートの底表面に取り付けるためのいくつかの方法を用いることができ、たとえば、接着性付着、超音波溶接、およびレーザー溶接が挙げられる。

    医薬品のハイスループットスクリーニング研究所、分子生物学研究所、および診断アッセイ研究所のための最も一般的なアッセイフォーマットは、マイクロタイタープレートである。 プレートは、グリッドに配置された約2個、6個、8個、24個、48個、96個、384個、1536個、3456個、9600個、またはそれ以上の個々の反応容器を含むことができる、標準サイズのプラスチックカートリッジである。 これらのプレートの標準機械的構造により、液体分配、ロボットプレート操作、および検出系は、この一般的なフォーマットで作動するように設計される。 本発明のバイオセンサーは、標準マイクロタイタープレートの底表面へ組み込むことができる。 バイオセンサー表面は大きい領域に組み立てることができること、および読出し系はバイオセンサー表面と物理的に接触しないことから、任意数の個々のバイオセンサー領域を規定することができ、これは照射光学系の焦点分解能、およびバイオセンサー表面を横断して照射/検出プローブを走査するx−yステージによってのみ限定される。

    バイオセンサーを用いる方法
    本発明のバイオセンサーを用いて、1つまたはいくつかのリガンド/結合パートナー相互作用を並行して研究することができる。 1つまたは複数のリガンドのそれらのそれぞれの結合パートナーへの結合を、標識の使用なしに、表面上に固定化された1つまたは複数のリガンドを有するバイオセンサーへ1つまたは複数の結合パートナーをアプライすることによって、検出することができる。 本発明の一実施態様において、1つまたは複数のリガンドは、1つまたは複数の細胞外マトリックスタンパク質リガンドであり、その1つまたは複数の結合パートナーは細胞上の受容体であって、その受容体(たとえば、インテグリン)は、細胞外マトリックスタンパク質リガンドに特異的である。 バイオセンサーは光で照射され、光の反射波長の最大値、または透過波長の最小値が、バイオセンサーから検出される。 回折格子に基づいた導波路バイオセンサーからシグナルが検出され、比色共鳴反射バイオセンサーと同様の方法で互いに、または対照と比較される。 本明細書に記載された全てのアッセイまたは方法は、比色共鳴反射バイオセンサーおよび回折格子に基づいた導波路バイオセンサーで実施することができる。 1つまたは複数のリガンドがそれらのそれぞれの結合パートナーに結合しているならば、光の反射波長は、1つまたは複数のリガンドがそれらのそれぞれの結合パートナーに結合していない状況と比較して、シフトする。 1つまたは複数のリガンドを含む1つまたは複数の別個の位置のアレイでバイオセンサーがコーティングされている場合、光の反射波長の最大値または透過波長の最小値が、バイオセンサーの各別個の位置から検出される。

    本発明の一実施形態において、様々なリガンド、たとえば、ECMリガンドは、本発明のバイオセンサー上にアレイフォーマットで固定化することができる。 その後、バイオセンサーを、ECMリガンド受容体、たとえば、インテグリンまたは接着斑タンパク質を有する細胞などの結合パートナーを含む興味のある試験試料と接触させる。 リガンドに特異的に結合する細胞のみがバイオセンサー上に固定化される。 いったん結合したならば、細胞は、結合していない細胞と違って、刺激に対して応答する。 酵素または蛍光標識の使用は必要とされない。 ハイスループット応用のため、バイオセンサーは、複数のアレイの1つに配置することができ、特異的結合物質のアレイを含むいくつかのバイオセンサーが1つのアレイに配置される。 そのような複数のアレイの1つは、たとえば、一度に多数のアッセイを実行するためにマイクロタイタープレートへ浸漬することができる。 別の実施態様において、バイオセンサーは、生化学的物質のインビボ検出のためにファイバープローブの先端に存在することができる。 あるいは、細胞をECMリガンドと混合し、または細胞とECMの混合物として得られ、その後、バイオセンサー表面に加えることができる。

    本発明の一実施態様により、細胞成長パターン、細胞死パターンの変化、細胞運動の変化、細胞サイズもしくは容積の変化、または細胞接着の変化などの細胞変化の直接的検出が可能になり、それは、それらが、比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーを用いてリアルタイムに、かつ放射測定標識、比色測定標識、または蛍光標識を組み込む必要性なしに、または(必要に応じて標識を用いることができるが)それらからの干渉なしに、起こるからである。 細胞が撹乱された場合、細胞挙動および形態の変化を検出することができる。 その後、細胞変化は、BIND Scanner(商標)(すなわち、比色共鳴反射バイオセンサーシステム)などの高速、高分解能機器、およびデータを定量化するための対応するアルゴリズムを用いてリアルタイムに検出することができる。 たとえば、米国特許第6,951,715号および米国特許公開第2004/0151626号を参照されたい。 この方法、装置、およびコンピュータ分析を組み合わせることによって、細胞挙動を、リアルタイムに(すなわち、細胞が刺激に対して応答している瞬間、および細胞が刺激に対して応答している間中、好都合かつ便利に、細胞反応を観察し、定量化する)、標識を含まない様式で、好都合にモニターすることができる。

    SRU Biosystems,Inc. BIND(商標)technology(Woburn、MA)などの比色共鳴反射バイオセンサーは、ナノスケール生物学的システムからの質量付加に関しての表面への変化を測定する能力を有する。 比色共鳴反射バイオセンサーが用いられてきた適用および方法は、機器の分解能が向上しているため、変化している。 以前には、比色共鳴反射バイオセンサー表面に付着した細胞の量の測定が主要な目的であった。 しかしながら、細胞のかなり低い分解能の画像を見るとはいえ、細胞が、占有されたピクセルの数、シグナル/ピクセルの強度、各ピクセルのPWVの変化などに関して異なるシグナルを示したことは注目された。 これらのデータの変動性を低下させようと試みながら、変動性が、個々の細胞、および刺激に対するそれらの異なる形態学的応答の内にあることが明らかになった。 これらの細胞事象をさらに調査するために、BIND Scanner(商標)(すなわち、比色共鳴反射バイオセンサーシステム)のより高分解能バージョンが構築された。 走査器は、以前に用いられた走査器より高い分解能レンズを有する。 レンズは、約2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、2〜50、2〜100、2〜200、または2〜300マイクロメートルの分解能を有する。 さらに、より良い分解能においてリアルタイムで細胞変化を分析するための方法が開発された。

    本発明の別の実施態様により、細胞遊走および走化性を検出する方法が提供される。 特に、細胞は、比色共鳴反射光バイオセンサーの一端において、ウェル内またはアレイフォーマット中で生育することができる。 細胞を含むバイオセンサーの端は、任意で、走化性物質が置かれている反対側の端から、半透膜またはマイクロ流体チャネルの使用を介して、隔離することができる。 その後、画像分光計、または代替として、バイオセンサーの複数の位置から読み取るために移動することができる光ファイバープローブで構成される検出系を用いて、細胞の位置を検出し、次に、細胞遊走速度の算出を可能にすることができる。

    本発明のさらなる実施形態により、細胞成長パターンの変化を検出する方法が提供される。 簡単に述べると、細胞は、比色共鳴反射光バイオセンサー上で生育することができる;PWVが検出される;試験試薬が細胞にアプライされる;PWVが検出される;および最初のPWVと後のPWVを比較することができ、後のPWVに対する最初のPWVとの差は、細胞増殖パターンの変化を示す。 PWVの差は細胞増殖パターンの変化と相関する。

    細胞成長パターンの変化は、細胞形態、細胞接着、細胞遊走、細胞増殖、および細胞死からなる群から選択することができる。 1つの型の原核細胞もしくは真核細胞、または2つ以上の型の真核細胞もしくは原核細胞がバイオセンサー上で生育することができる。 バイオセンサーは、マイクロタイターウェル、マイクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿、およびマイクロ流体チャネルからなる群から選択される容器の内部表面を含むことができる。

    本発明のバイオセンサーはまた、光の反射波長のシフトを測定することによって、アレイを規定する1つまたは複数の別個の位置に結合している試料由来の結合パートナーの量を検出および定量化する能力がある。 たとえば、1つまたは複数の別個の位置における波長シフトは、他の別個の位置における陽性対照および陰性対照と比較して、結合している特異的結合物質の量を決定することができる。 重要なことには、多数のそのような1つまたは複数の別個の位置は、バイオセンサー表面上に配置することができ、バイオセンサーは、約2個、6個、8個、24個、48個、96個、384個、1536個、3456個、9600個、またはそれ以上のウェルのマイクロタイタープレートなどの容器の内部表面を含むことができる。 例として、96個のバイオセンサーが保持固定具(holding fixture)に付着しており、各バイオセンサーが約100個の別個の位置を含む場合、約9600個の生化学的アッセイを同時に実行することができる。

    検出系
    検出系は、バイオセンサー、バイオセンサーへ光を向ける光源、およびバイオセンサーから反射された光を検出する検出器を含むことができる。 一実施態様において、決められた閾値を超える陽性結果のみが検出を引き起こすようにフィルターの適用によって読出し計測手段を単純化することが可能である。

    光源は、比色共鳴反射バイオセンサーをその上部表面、すなわち、1つまたは複数の特異的結合物質が固定化されている表面から、またはその底表面から照射することができる。 本発明のバイオセンサーのそれぞれの別個の位置における共鳴波長のシフトを測定することによって、どの別個の位置が、それらに結合した結合パートナーを有するかを決定することが可能である。 シフトの程度を利用して、試験試料中の結合パートナーの量、および1つまたは複数の特異的結合物質と試験試料の結合パートナーとの間の化学的親和性を決定することができる。

    バイオセンサーは2回、照射することができる。 1回目の測定は、1つまたは複数の特異的結合物質がバイオセンサー上に固定化されている、バイオセンサーアレイの1つまたは複数の別個の位置の反射スペクトルを決定する。 2回目の測定は、1つまたは複数の結合パートナーがバイオセンサーにアプライされた後で、反射スペクトルを決定する。 これらの2つの測定間のピーク波長の差は、バイオセンサー、またはバイオセンサーの1つもしくは複数の別個の位置に特異的に結合している結合パートナーの量の測定値である。 この照射方法は、ピーク共鳴波長のわずかな変動を有する領域を結果として生じ得る、バイオセンサーの表面における小さな不均一性について調節することができる。 この方法はまた、バイオセンサー上に固定化された特異的結合物質の変動する濃度または分子量についても調節することができる。

    バイオセンサー表面を照射する、および反射光を収集するための検出系の1つの型は、たとえば、光源に接続している6つの照射光ファイバー、および分光計に接続した単一の収集光ファイバーを含むプローブである。 ファイバーの数は重要ではなく、任意の数の照射ファイバーまたは収集ファイバーが可能である。 ファイバーは、収集ファイバーが束の中央にあって、6つの照射ファイバーによって囲まれるように、束になるように配置される。 ファイバー束の先端は、照射の焦点をバイオセンサーの表面上へ合わせるコリメーティングレンズに接続する。

    このプローブ配置において、照射ファイバーおよび収集ファイバーは、並んでいる。 したがって、コリメーティングレンズが光の焦点をバイオセンサー表面上に合わせるように正しく調整された場合、6つの明確に規定された照射の円領域および中央の暗領域が観察される。 バイオセンサーは光を散乱せず、むしろ、コリメートビームを反射するため、収集ファイバーに入射する光はなく、共鳴シグナルは観察されない。 6つの照射領域が中央領域に重なるまでコリメーティングレンズの焦点をぼかすことによってのみ、光が収集ファイバーへ反射される。 焦点をぼかされ、わずかにコリメートされない光のみがシグナルを生じることができるため、バイオセンサーは、単一の入射角で照射されず、様々な入射角で照射される。 様々な入射角は、結果として、共鳴波長の混合を生じる。 したがって、他に可能でない限り、より広い共鳴ピークが測定される。

    それゆえに、照射ファイバープローブおよび収集ファイバープローブが同じ光学経路を空間的に共有することが、望ましい。 いくつかの方法を用いて、照射光学経路および収集光学経路を同一場所に配置することができる。 たとえば、光をバイオセンサーに向ける光源に第1の端で接続している単一の照射ファイバー、およびバイオセンサーから反射された光を検出する検出器に第1の端で接続している単一の収集ファイバーは、それぞれ、照射器および収集器の両方として働くことができる第3のファイバープローブに、それらの第2の端で接続することができる。 第3のファイバープローブは、直角(normal angle)の入射角でバイオセンサーに向けられ、逆伝播する照射光シグナルおよび反射光シグナルを支持する。

    別の検出方法は、(光源に接続している)単一の照射ファイバーを(検出器に接続している)収集ファイバーに対して90度の角度で配置することを可能にするビームスプリッターの使用を含む。 光は、照射ファイバープローブを通して、ビームスプリッターへ向けられ、そのビームスプリッターは光をバイオセンサーへ向ける。 反射光は、ビームスプリッターに向けて戻され、そのビームスプリッターは光を収集ファイバープローブへ向ける。 ビームスプリッターは、照射光および反射光が、ビームスプリッターとバイオセンサーの間の共通の光学経路を共有するのを可能にし、それによって、完全にコリメートされた光をその焦点をぼかすことなく用いることができる。

    角度走査
    本発明の検出系は、バイオセンサー表面のコリメートされた白色光照射、および反射ビームの共鳴ピークの光学分光測定に基づいている。 バイオセンサーの表面上の分子結合は、ピーク波長値のシフトによって示され、一方、波長の増加は、分子吸収の増加に対応している。

    理論モデリングおよび実験データに示されているように、共鳴ピーク波長は、検出光ビームの入射角に強く依存する。 共鳴ピーク波長の角度依存のため、入射白色光は、よくコリメートされる必要がある。 光ビームの角分散は、共鳴ピークを広げ、バイオセンサー検出感度を低下させる。 加えて、分光計測からのシグナルの質は、光源の出力および検出器の感度に依存する。 高いシグナルノイズ比を得るために、各検出位置について過度に長い積分時間が必要とされ得、よって、バイオセンサープレートを読み出しするための全時間を長くする。 チューナブルレーザー源は、回折格子共鳴の検出に用いることができるが、高価である。

    本発明の一実施態様において、バイオセンサーの照射のためにレーザービームを、および反射ビーム出力の測定のために光検出器を用いることによってこれら不利な点に取り組む。 走査ミラー装置を、レーザービームの入射角を変化させるために用いることができ、光学系を、入射レーザービームのコリメーションを維持するために用いる。 たとえば、「Optical Scanning」(Gerald F.Marchall編、Marcel Dekker(1991)を参照されたい。いかなる型のレーザー走査も用いることができる。たとえば、1秒あたり約2ライン〜約1,000ラインの速度で走査線を発生することができる走査装置が、本発明に有用である。本発明の一実施態様において、走査装置は、1秒あたり約50ラインから約300ラインまで走査する。

    一実施態様において、反射光ビームは、レーザー走査光学系の一部を通過し、単一の光検出器によって測定される。 レーザー源は、たとえば、780nm、785nm、810nm、または830nmの波長を有するダイオードレーザーであり得る。 これらのようなレーザーダイオードは、150mWまでの出力レベルで容易に利用でき、それらの波長はSiフォトダイオードの高感度に対応する。 このように、検出器は、フォトダイオードバイオセンサーに基づくことができる。 光源は、光を走査装置に供給し、その走査装置は光を光学系へ向ける。 光学系は光をバイオセンサーへ向ける。 光は、バイオセンサーから光学系へ反射され、その後、その光学系は光を光シグナル検出器へ向ける。 一実施態様において、走査ミラーがその角度位置を変化させるにつれて、表面上のレーザービームの入射角は、ミラー角度変位の名目2倍、変化する。 走査ミラー装置は、線形検流計であり得、それは、約2Hzから最高約120Hzまでの周波数および約10度〜約20度の機械的走査角で作動する。 この例において、単一の走査は、約10ミリ秒内で完了することができる。 共鳴検流計または多角形走査器もまた用いることができる。 角度走査のための単純な光学系は、1対のレンズからなり得、それらのレンズの間に共通の焦点を有する。 光学系は、レーザーコリメーションおよび反射光ビームの収集のために最適化された性能を実現するように設計することができる。

    角度分解能は、検流計仕様および反射光サンプリング周波数に依存する。 30秒(arcsec)の検流計分解能と仮定すれば、バイオセンサー角度走査についての機械的な対応する分解能は60秒、すなわち、0.017度である。 加えて、100キロサンプル/秒のサンプリングレートと仮定すれば、10ミリ秒内で20度走査である。 結果として、定量化工程は、1000サンプルについて20度、すなわち、1サンプルあたり0.02度である。 この例において、PengおよびMorris(Experimental demonstration of resonant anomalies in diffraction from two−dimensional gratings、Optics Lett.、21:549(1996))によって示されているように、0.2度の共鳴ピーク幅が、10データ点によって網羅され、それらのデータ点のそれぞれが検出系の分解能に対応する。

    そのような検出系の利点には以下が挙げられる:レーザービームによる入射光の優れたコリメーション、レーザーダイオードの高ビーム出力による高シグナルノイズ比、分光計の代わりとしての単一要素光検出器による低コスト、および角度走査による共鳴ピークの高分解能。

    細胞接着および細胞応答アッセイ
    インテグリンは、細胞外マトリックス(ECM)と相互作用し、細胞内シグナルを媒介する細胞表面受容体である。 インテグリンは、細胞骨格、細胞運動性、細胞周期の制御、細胞のインテグリン親和性(cellular of integrin affinity)の制御、細胞のウイルスへの付着、細胞の他の細胞またはECMへの付着に関与している。 インテグリンはまた、シグナル伝達、細胞が1種のシグナルまたは刺激を別のものへ細胞内および細胞間で変換するプロセスにも関与する。 インテグリンは、情報をECMから細胞へ、および情報を細胞から他の細胞へ(たとえば、他の細胞上のインテグリンを介して)またはECMへ伝達することができる。 インテグリンおよびそれらのECMリガンドのリストは、表1に示されているように、Takadaら、Genome Biology 8:215(2007)に見出すことができる。

    ECMと相互作用する他の細胞表面受容体には、接着斑タンパク質が挙げられる。 接着斑タンパク質。 接着斑タンパク質は、細胞の細胞骨格をECMに接続する大きな複合体を形成する。 接着斑タンパク質には、たとえば、タリン、α−アクチニン、フィラミン、ビンキュリン、接着斑キナーゼ、パキシリン(paxilin)、パルビン、アクトパキシン、ネキシリン、フィンブリン、G−アクチン、ビメンチン、シンテニン、および多数の他のものが挙げられる。

    さらに他の細胞表面受容体には、表面抗原分類(CD)分子を含む、ECMと相互作用することができるものを挙げることができるが、それらに限定されない。 CD分子は、様々な様式で働き、細胞についての受容体またはリガンドとして働くことが多い。 ECMと相互作用する他の細胞表面受容体には、カドヘリン、アドヘリン、およびセレクチンが挙げられる。

    ECMは、細胞に支持および足場を提供すること、お互いからの組織の分離、および細胞内情報伝達の制御を含む多くの機能を有する。 ECMは、線維性タンパク質およびグリコサミノグリカンで構成される。 グリコサミノグリカンは、通常、ECMタンパク質に結合してプロテオグリカン(たとえば、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ケラチン硫酸プロテオグリカンが挙げられる)を形成する糖質ポリマーである。 プロテオグリカンとして見出されないグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸である。 ECMタンパク質として、たとえば、(線維性、線維付随性(facit)、短鎖、基底膜、および他の型のコラーゲンを含む)コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、およびラミニンが挙げられる(ECMタンパク質の追加の例について表1参照)。 本明細書で有用なECMリガンドには、ECMタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、およびヒアルロン酸が挙げられる。

    「特異的に結合する(binds)」、「特異的に結合する(bind)」、または「に特異的な」とは、細胞表面受容体、たとえば、インテグリンまたは接着斑タンパク質などが同族の細胞外マトリックスリガンドに、他の非特異的分子に対してより大きい親和性で結合することを意味する。 非特異的分子は、細胞受容体には実質的に結合しない。 たとえば、インテグリンα4/β1は、ECMリガンドフィブロネクチンを特異的に結合するが、非特異的ECMリガンドのコラーゲンまたはラミニンを特異的には結合しない。 本発明の一実施態様において、細胞外マトリックスリガンドが表面、たとえば、バイオセンサー表面に固定化されている場合、細胞表面受容体の細胞外マトリックスリガンドへの特異的結合は、細胞を細胞外マトリックスリガンドに、およびそれによって、表面に固定化し、それにより、細胞が通常の細胞アッセイ洗浄手順によって表面から洗い流されない。

    本発明の一実施態様により、細胞表面受容体のそれらの同族ECMリガンドについての特異的認識を測定するための比色共鳴反射バイオセンサーテクノロジー、または、たとえば、回折格子に基づいた導波路バイオセンサーテクノロジーを含む他のバイオセンサーテクノロジーの使用が提供され、ここでECMリガンドはバイオセンサー表面に固定化されている。 インテグリンなどの細胞表面受容体の、バイオセンサーに固定化されているECMリガンドへの結合を通して、細胞をバイオセンサー表面に特異的に固定化することによって、細胞のバイオセンサーへの結合および刺激に対する細胞の応答が、バイオセンサー表面に非特異的に固定化されている細胞と比較して、劇的に変化する。 すなわち、刺激に対する細胞の応答の検出は、細胞がECMリガンド結合を介してバイオセンサーに固定化される場合、大いに増強または増大される。 本発明の一実施態様において、細胞は無血清培地中にある。 無血清培地は、約10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、またはそれ未満の血清を含む。 無血清培地は、約0%の血清、または約0%〜約1%の血清を含むことができる。 本発明の一実施態様において、1つまたは複数の型のECMリガンドがバイオセンサー表面に固定化されているバイオセンサー表面に、細胞が加えられる。 本発明の別の実施態様において、細胞は、1つまたは複数の型のECMリガンドと組み合わされ、その後、バイオセンサーの表面に加えられる。

    本発明の一実施態様において、ECMリガンドが精製される。 精製されたECMリガンドは、細胞物質、他の型のECMリガンド、化学的前駆体、ECMリガンドの調製に用いられる化学物質、またはそれらの組合せを実質的に含まないECMリガンド調製物である。 他の型のECMリガンド、細胞物質、培地、化学的前駆体、ECMリガンドの調製に用いられる化学物質等を実質的に含まないECMリガンド調製物は、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満、またはそれ未満の他のECMリガンド、培地、化学的前駆体、および/または調製に用いられる他の化学物質を有する。 したがって、精製されたECMリガンドは、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上純粋である。 精製されたECMリガンドは、70%未満純粋であるECMリガンドの非精製、または半精製の調製物または混合物、たとえば、ウシ胎仔血清を含まない。 本発明の一実施態様において、ECMリガンドは精製されず、ECMタンパク質および非ECMタンパク質の混合物を含む。 非精製ECMリガンド調製物の例として、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、およびオボアルブミンが挙げられる。

    たとえば、フィブロネクチンリガンドに結合し、コラーゲンまたはラミニンリガンドには結合しないことが知られている、α4/β1インテグリン受容体を発現する細胞は、コラーゲンまたはラミニン表面上で観察されるPWVシフトより約8〜10倍大きい、フィブロネクチンコーティング化ウェル上でのPWVシフトを生じる。 コラーゲンまたはラミニンが固定化されているバイオセンサー表面上でのα4/β1インテグリン受容体を発現する細胞についてのPWVシフトは、BSAコーティング化対照ウェル上で観察されるバックグラウンド細胞付着シグナルに似ている。

    本発明の一実施態様において、細胞のECMリガンドへの結合の検出は、ECMリガンドが、細胞の表面上に存在する細胞表面受容体、たとえばインテグリンまたは接着斑タンパク質に特異的である場合、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、またはそれ以上(または2倍から20倍の間の任意の範囲)、増加する。 本発明の別の実施態様において、刺激に対する細胞応答の検出は、細胞表面受容体、たとえば、インテグリンに特異的であるECMリガンドによって細胞がバイオセンサー表面に固定化されている場合、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約20倍、またはそれ以上(または2倍から20倍の間の任意の範囲)、増加する。

    具体的な例において、バイオセンサー表面に固定化されたECMリガンドへの細胞の細胞受容体関与の欠如は、結果として、細胞が、バイオセンサーと物理的に接触し、バイオセンサー上へ非特異的に接着することを生じ得る。 しかしながら、特異的細胞受容体/ECMリガンド結合の欠如によって、結合もしくは刺激応答が検出されず、または実質的に低下した結合もしくは刺激(たとえば、PWVのシフト)が検出される。 細胞表面受容体の活性化に導く条件を最適化することによって、本発明は、インテグリンなどの細胞表面受容体のそれらのECMリガンドへの増加したレベルでの結合に関与することができる。 細胞の接着シグナル伝達について異なるECMを異なる緩衝液条件(たとえば、pH、塩、細胞栄養分)を用いて試験することによって、最適化を行うことができる。 試験器具内の細胞密度が試験され、細胞の健康は、接着能力の保有について評価される。 これらの方法は、細胞健康および培養維持の分野の当業者によく知られている。 この最適化によって、GPCR、サイトカイン、またはケモカインなどの異なる刺激に対する細胞応答のシグナルの増加が生じる。

    バイオセンサー上での生細胞のECMリガンドへの特異的結合、および刺激に対する細胞の応答は、本発明の方法によって検出することができる。 本発明のアッセイは、たとえば1つまたは複数のECMリガンドをバイオセンサーの表面、たとえばTiO コーティング化ポリスチレンであり得る表面上に固定化する工程であって、バイオセンサーが1つまたは複数のマイクロプレートウェルの底表面として存在する工程を含むことができる。 TiO でコーティングされていないバイオセンサーの表面のいかなる部分も、たとえば、オボアルブミンまたはウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングすることができる。 本発明の一実施態様において、オボアルブミンまたはBSAと共に1つまたは複数のECMリガンドの組合せをバイオセンサーに加え、保存のために乾燥させる。 その後、バイオセンサーを、しばらく経ってアッセイに用いるために再び湿らせることができる。 たとえば、フィブロネクチン、ラミニン、およびコラーゲンをオボアルブミンと組み合わせて、バイオセンサーに塗布し、保存のために乾燥させることができる。 あるいは、α4/β1インテグリンを結合するRGD(Arg−Gly−Asp)タンパク質などの様々なインテグリンを結合することが知られているポリペプチドの組合せを、バイオセンサーの表面上にオボアルブミンまたはFBSと共に固定化し、その後の使用のために乾燥させることができる。 様々なインテグリンを結合することが知られた他のポリペプチドには、α11/β1インテグリンを結合するコラーゲンに見出されるGFOGERタンパク質、およびコラーゲンに見出されるDGEAタンパク質が挙げられる。

    細胞を、表面へ加え、任意である期間インキュベートしてもよい。 細胞は、任意で、接着モジュレーターの存在下でバイオセンサーに加えることができる。 接着モジュレーターは、細胞のバイオセンサー表面に接着する能力を増加または減少させることができ、たとえば、1つまたは複数の抗体、金属、インテグリン、ECMリガンド、有機小分子、タンパク質、または細胞受容体タンパク質であり得る。 結合細胞の非結合細胞からの識別が目によって行われる場合には、表面に結合しない細胞を洗い流すことができる。 結合細胞の非結合細胞からの識別がバイオセンサーを用いて行われる場合には、非結合細胞の表面からの洗浄は必要ではない。 結合細胞は、比色、発光、蛍光、または他の手段によって検出することができる。 結合細胞は細胞数または細胞質量によって定量化することができる。

    任意の型のバイオセンサーを本発明の方法に用いることができる。 比色共鳴反射バイオセンサーが用いられる場合、細胞受容体−ECMリガンド相互作用(たとえば、細胞表面受容体のバイオセンサーの表面上のECMリガンドへの特異的結合)はECMコーティング化バイオセンサーの固有吸光度のピーク波長(PWV)のシフトを促進し、アッセイは、非結合細胞を洗い流すこと、またはリガンド結合した細胞(すなわち、バイオセンサー表面に結合した細胞)をリガンド結合していない細胞(すなわち、バイオセンサー表面に結合していない細胞)から識別するためにいかなる型の標識の付加にも依存しない。 アッセイは、マイクロプレートフォーマット、たとえば、約96個、約384個、約1536個、約3456個、約9600個、またはそれ以上のウェルを有するマイクロプレート内で実施され、ウルトラハイスループットスクリーニング(uHTS)様式で細胞接着を改変する小分子または生物製剤のラージスケールスクリーニングキャンペーンを実施する機会を提供する。 uHTS様式は、約50,000個より多い、約75,000個より多い、約100,000個より多い化合物、またはそれ以上を迅速にスクリーニングすることを指し、典型的には、1536ウェルプレートのフォーマット、または非常に多数の条件または有機小分子などの試験試薬の経済的な試験を可能にする他の方法であり得る。

    たとえば、受容体チロシンキナーゼ、GPCR、一過性受容器電位チャネル、ホスホリパーゼC、シグナル伝達経路(たとえば、P13キナーゼ)、サイトカイン、β−アレスチン経路応答、細胞骨格再編成、エピジェネティックシグナル(たとえば、エピジェネティックモジュレーター(たとえばヒストンデアセチラーゼ)の変化が、シグナル伝達の変化、および細胞のECM相互作用、核受容体、転写因子、代謝酵素の下流変化を引き起こすことができる)、およびイオンチャネル応答を通して作用する、様々な細胞外刺激によって促進される生細胞シグナル伝達事象を測定する能力は、細胞とバイオセンサーの間でのECM界面カップリング(すなわち、細胞表面受容体(たとえばインテグリン)を有する細胞の、バイオセンサーの表面に固定化されたECMリガンドへの固定化)の存在に依存することができる。 すなわち、バイオセンサー表面に固定化されているECMリガンドへの特異的結合を介してバイオセンサーに特異的に固定化される細胞の非存在下において、刺激に対するこれらの細胞応答は、検出されず、または弱くのみ検出されるであろう。 細胞を刺激することができる化合物には、たとえば、ホルモン、成長因子、分化因子、モルフォゲン、サイトカイン、ケモカイン、インスリン、EGF、ATP、UTP、カルバモイルコリン(carbanoylcoline)、アセチルコリン、エピネフリン、ムスカリン、モル浸透圧濃度変化を引き起こす化合物、膜脱分極を引き起こす化合物、小分子試験化合物、ウイルス、抗体、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体(scFv)、F(ab)断片、F(ab') 断片、Fv断片、有機小分子(有機小分子は100ダルトン(D)より大きく、かつ約2,500ダルトン(D)未満の分子量を有し得る;一実施態様において、小分子は、2000D未満、または1500D未満、または1000D未満、または500D未満である)、細胞、細菌、および生体試料、たとえば、血液、血漿、血清、消化管分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、糞便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊髄液、腹水、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液が挙げられる。

    細胞表面受容体、たとえばインテグリン受容体などを有する細胞の存在を、細胞表面受容体がECMリガンドに特異的に結合している場合のみ検出するバイオセンサーの能力により、細胞アッセイを均一のフォーマットで行うことが可能になる。 すなわち、アッセイ表面への細胞添加後すぐに、リガンド付加されていない(すなわち、結合していない)細胞を洗浄する必要なしに、結合した細胞の検出、たとえば比色共鳴反射率検出が続く。

    本発明は、長い洗浄依存性の伝統的プロトコールを回避した再構築された系で細胞外刺激に対する細胞応答を測定する均一なアッセイを提供する。 現在、FLIPR(Fluorescent Imaging Plate Reader)などのハイスループットスクリーニングキャンペーンに用いられる典型的な細胞に基づいたアッセイは、長い洗浄依存性工程を必要とする。 たとえば、伝統的アッセイは以下の工程を含んだ:
    1)完全培地における一晩の細胞プレーティング2)飢餓緩衝液(starvation buffer)での細胞洗浄3)2〜4時間の飢餓4)様々なリガンドでの細胞刺激。

    本発明の均一なアッセイは、(ハンクス緩衝生理食塩水などの)カルシウムおよびマグネシウムを実質的に欠く緩衝生理食塩水で細胞を洗浄する工程を含むことができる。 カルシウムおよびマグネシウムを実質的に欠く、または欠く緩衝生理食塩水は、約1%未満、約0.5%未満、約0.01%未満、約0.001%未満、またはそれ未満のカルシウムおよびマグネシウムを含む。 緩衝生理食塩水は、細胞から除去され、等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤が細胞に加えられる。 等張性エチレンジアミン四酢酸キレート化剤は、カルシウムおよびマグネシウムを欠く緩衝生理食塩水で中和される。 前の工程は任意で実施される。 細胞は、カルシウムおよびマグネシウムを任意で欠いている、緩衝生理食塩水で洗浄される。 バイオセンサーは、表面に固定化された1つまたは複数のECMリガンドを有し、ECMリガンドは、細胞の1つまたは複数の細胞表面受容体に特異的である。 細胞を、バイオセンサー表面に加え、バイオセンサーの表面に付着させる。 任意で、細胞を、接着モジュレーターの存在下または非存在下でバイオセンサー表面に加えることができる。 任意で、バイオセンサー表面は、それに固定化された1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを有することができる。 任意で、細胞を、それらをバイオセンサー表面に加える前に、1つまたは複数の細胞外リガンドと混合し、または混合物として得る。 細胞は、その1つまたは複数のECMリガンドに特異的な細胞表面受容体を有することができる。

    細胞が細胞表面受容体、たとえばインテグリンなどを通して(かつ非特異的相互作用を通してではなく)特異的に接着した場合のシグナル応答の増大は、細胞応答を測定する他の標識を含まない系、または標識依存系と比較して重要な利点である。

    本発明の方法は、個々の成分が、特定の細胞機能を促進するために必要とされる、または発見される可能性があるため、それらを戻すことによって複雑な生物学的応答を再構築するのに用いることができる。 すなわち、精製されたECMリガンドをバイオセンサー上に固定化し、その後、インテグリン受容体などの細胞表面受容体を有する細胞をバイオセンサー上に蒔く。 実行可能な(viable)ECMリガンドの細胞表面受容体への相互作用が確立される場合、細胞接着に影響を及ぼす細胞外刺激に対する細胞応答が、正シフトか負シフトかのいずれかを示す(細胞表面受容体および関連接着斑部位のさらなる関与(正シフト)または離脱を反映する可能性が高い)。 ここから、任意の他のECMリガンドまたは刺激の所与の細胞応答への寄与は、試験中の精製されたECMリガンドまたは刺激の添加によって容易に評価することができる。

    バイオセンサー、たとえば比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサー上で特定の細胞表面受容体/細胞外マトリックス相互作用を一意的にモニターする能力によって、たくさんの固有の生物学的過程を研究することが可能になる。 たとえば、インテグリンは、細胞遊走および走化性に直接関係している。 したがって、組み込まれたマイクロフルイディクスを有する、特別に設計されたマイクロプレートを用いて、通常のウェルが周囲のウェルへ走化性材料の勾配を送達する系を作製することができる。 周囲のウェルに加えられた、特異的な細胞表面受容体/ECMリガンド結合を通して接着した細胞は、周囲のウェルに入る勾配に応答してのサイトカインおよび遊走性質の活性化についてモニターすることができる。 走化性物質に引かれる細胞は、マイクロ流体チャネルの侵入点の周りに集積し、正のPWVシグナルを生じるが(ウェルのその位置でモニターされる)、その物質から反発する細胞は、PWVシグナルの低下を示すであろう。 そのような系は、走化性を起こすことが知られている任意の細胞型に用いることができ、その細胞型として、接着細胞に加えて、血小板、好中球、単球などの浮遊細胞が挙げられる。

    適用可能である別の系は、リガンド依存性イオンチャネルを含むイオンチャネルに関する。 インテグリンはイオンチャネルを制御することができ、高分子複合体を形成する。 さらに、リガンド依存性イオンチャネルは、フィードバックし、インテグリン活性化および/または発現を調節することができる。 したがって、インテグリン相互作用を一意的にモニターする能力は、リガンド依存性イオンチャネルで観察される効果に関わることができる。

    たとえば、細胞を、特異的なECMリガンド(細胞はそれに対する相補的インテグリンまたは他のタンパク質を含む)を通してバイオセンサー表面に固定化し、静止状態のシグナルをとることができる。 細胞培地のイオンの条件を改変すること、または他のイオンチャネル刺激の添加によって、モル浸透圧濃度またはイオンチャネル活性(電位開口型およびリガンド開口型の両方)を変化させたことの結果として細胞容積の変化が生じる。 たとえば、高浸透圧は、細胞容積の増加を引き起こすが、低浸透圧はより小さい細胞容積を生じる。 イオンチャネルの開口および閉口は、細胞膜を横断するイオン流をもたらし、これもまた細胞容積変化を生じることが報告されている。 この容積測定の細胞変化は、細胞が細胞表面受容体を介して最適化ECMリガンド上に繋ぎ止められたとき、バイオセンサーによって測定することができる。

    さらに、インテグリンとGPCR(内因性および過剰発現の両方)または受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達との間に関連がある。 実際、受容体のインテグリンファミリーは、RTKに関連づけられる細胞分裂シグナル伝達経路を制御する上で重要な役割を果たしている。 GPCRは、それらのシグナル伝達経路を介して、最終的には、RTKによって共有される同じ経路に収束する。 実際、GPCRシグナル伝達障害が白血球の不完全な接着を生じる、遺伝的欠損が記載されている(Blood(101)4437〜4445(2003))。 したがって、インテグリンと細胞外マトリックスタンパク質との特異的相互作用の変化をモニターする能力を、GPCRおよびRTKの応答をモニターするために用いることができる。

    たとえば、炎症中、サイトカインおよびケモカインは、血流から動きの速い単球および他の循環細胞の、炎症組織を囲む血管壁(内皮細胞)上への誘引を統合する(orchestrate)、よく組織化された多受容体系に関与する。 この過程は、最初、循環細胞をセレクチン媒介性低親和細胞接着を通して減速させ、最終的には、細胞を炎症組織を囲む内皮へインテグリンを介して付着させることによって引き起こされる。 多くの異なる型のGPCRを介して作用するケモカインは、インテグリン受容体の開口へと導く、インサイドアウトシグナル伝達を促進し、そのインテグリン受容体は通常、閉口した立体構造で存在している(これにより、たいていの血液細胞が非粘着性)。 それらのインテグリンの開口によって、単球が、血管細胞接着分子(VCAM)のようないくつかのインテグリンリガンドと接触し、血管細胞接着分子の発現は炎症内皮において一過性にアップレギュレートされる。 付着後、単球は、インテグリン受容体をVCAMから離脱させ、血管壁を通過して、最初の場所で炎症プロセスを引き起こす微生物因子を攻撃する。

    別の実施態様において、成長因子は、細胞外マトリックスを結合し、細胞増殖、分化、および活性化を制御する。 成長因子がGPCRまたはRTKを介して作用するメカニズムのかなりの部分は、有糸分裂中の細胞形態変化、または転移中の細胞遊走および浸潤を促進し、インテグリンの関与のレベルの制御を含む。 異なる型のECMリガンドをバイオセンサーに固定化し、潜在的成長因子をバイオセンサーの表面に加える。 異なるコーティング間で特定のPWVシフト差を観察することができる。 あるいは、ECMリガンドを表面に固定化しているバイオセンサーに細胞を加える。 細胞は、細胞表面受容体を介してECMリガンドに特異的に結合する。 細胞を、異なる成長因子で処理し、細胞の応答を、たとえば、PWVシフトの検出によって、検出する。

    本発明の一実施態様により、試験化合物が細胞の細胞外マトリックスリガンドへの特異的結合に影響するかどうかを決定する方法が提供される。 方法は、第1の細胞集団を、マイクロタイタープレートウェルなどの第1の比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加える工程を含む。 バイオセンサー表面は、固定化された細胞外マトリックスリガンドを含み、第1の細胞集団がその細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する。 第1の細胞を第1のバイオセンサーの表面に付着させ、第1の細胞についてのピーク波長値またはシグナルを決定する。

    第2の細胞集団を、第2のマイクロタイタープレートウェルなどの第2の比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサー表面に加える。 第2のバイオセンサー表面は、固定化された細胞外マトリックスリガンドを含む。 第2の細胞集団は、その細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する。 試験化合物を第2のバイオセンサー表面に加え、第2の細胞を第2のバイオセンサーの表面に付着させる。 第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルを決定する。 第1の細胞について得られたピーク波長値またはシグナルを、第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと比較する。 第2の細胞についてのピーク波長値またはシグナルが、第1の細胞についてのピーク波長値またはシグナルと実質的に異なるならば、その試験化合物は、細胞の細胞外マトリックスリガンドへの特異的結合に影響している。

    本発明の別の実施態様により、細胞の接着に影響する化合物を同定する方法が提供される。 1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドを比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化し、細胞は、その1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有している。 細胞をバイオセンサーに加える。 あるいは、細胞を1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドと混合し、または細胞とECMの混合物として得、細胞は、その1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有している。 その後、細胞を、1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドと共に比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加える。 細胞を試験化合物で処理する。 比色共鳴反射率光の第1のPWVまたはシグナルを検出し、試験化合物で処理されなかった対照細胞からの第2PWVまたはシグナルと比較して、試験化合物が細胞の接着に影響しているかどうかを決定する。 試験化合物は、Gタンパク質共役型受容体、イオンチャネル、P13キナーゼ、一過性受容器電位チャネル、またはホスホリパーゼCの活性を調節する化合物であり得る。 任意で、細胞を試験化合物で処理した後、細胞の接着に影響することが知られている作用物質を試験細胞および対照細胞に加えることができる。 調節するとは、タンパク質または化合物の活性が変化する、たとえば、抑制され、または増加することを意味する。

    本発明の別の実施態様により、細胞の接着に影響する改変型ECMリガンドを同定する方法が提供される。 フィブロネクチンおよびコラーゲンのようなECMリガンドは大きなタンパク質性物質である。 細胞インテグリンは、より大きなタンパク質コンテクストの必要性または厳しい条件なしに、ECMリガンドの特定のアミノ酸配列に結合する。 したがって、改変型ECMリガンドは、非常に短いペプチド(たとえば、RGDモチーフを含むポリペプチド)のみであり得、またはIgGのFc領域などの別のタンパク質に融合することができる。 改変型ECMリガンドは、細胞上の特定のインテグリンまたは接着タンパク質を結合することが知られているわずかに改変されたアミノ酸配列であり得る。 改変された配列の目的は、それを治療適用により扱いやすくする、特異性を変化させずに細胞結合の強度を低下させる、特異性をより良く/より密接にする、整形外科用品、ステント、または身体的インプラントなどの他の材料の付着へ細胞を適応させる、選択的細胞型の付着のために整形外科用品、ステント、または他の身体的インプラントを改変することであり得る。

    改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に、細胞をアプライする。 細胞の接着に影響することが知られている作用物質を細胞に加える。 その細胞についての比色共鳴反射光の第1のPWVまたはシグナルを検出し、非改変型ECMリガンドがバイオセンサーの表面に固定化されている比色共鳴反射光バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に加えられた対照細胞からの第2のPWVまたはシグナルと比較して、試験化合物が細胞の接着に影響するかどうかを決定する。

    本発明の別の実施態様により、トランスフェクションされた細胞が組換えタンパク質を産生するかどうかを決定する方法が提供される。 細胞が、タンパク質をコードする核酸でトランスフェクションされる場合、細胞は、細胞がそのタンパク質を実際に発現するかどうかを決定するために試験されなければならない。 細胞の表面に発現するタンパク質と相互作用することが知られた1つまたは複数の型の細胞外マトリックスリガンドまたは同族タンパク質を、比色共鳴反射バイオセンサーまたは回折格子に基づいた導波路バイオセンサーの表面に固定化することができる。 組換えタンパク質をコードする核酸分子でトランスフェクションされており、かつその1つまたは複数の細胞外マトリックスリガンドに特異的な細胞表面受容体を有する細胞を、バイオセンサーの表面に加える。 あるいは、トランスフェクションされた細胞を、1つまたは複数の種類の細胞外マトリックスリガンドと混合し、またはそれらとの混合物として得、その後、バイオセンサーの表面に加えることができる。 第1のPWVまたはシグナルを決定する。 組換えタンパク質を発現しないトランスフェクションされた細胞と比較して、組換えタンパク質を発現するトランスフェクションされた細胞における異なる応答を引き起こすモジュレーターを、バイオセンサーに加える。 たとえば、特定のGタンパク質共役型受容体(GPCR)または受容体チロシンキナーゼ(RTK)を過剰発現するようにトランスフェクションされた細胞を、バイオセンサーを用いて、GPCRまたはRTK、それぞれへの既知のリガンドに対する特異的応答について試験することができる。 さらに、いずれのトランスフェクションされた細胞系も、トランスフェクションされていない「親の」細胞系に関する既知のリガンド(複数可)を用いての応答と比較することができる。 第2のPWVまたはシグナルをその細胞について決定する。 第1のピーク波長値またはシグナルを、第2のピーク波長値またはシグナルと比較する。 第2のピーク波長値またはシグナルが第1ピーク波長値またはシグナルと実質的に異なるならば、トランスフェクションされた細胞は組換えタンパク質を発現している。 第2のPWVまたはシグナルの決定前に、追加の工程を実施することができる。 たとえば、選択培地(たとえば、抗生物質を含む培地)および第2のPWVまたはシグナルを決定することができる。 本発明の一実施態様において、PWVを、高分解能走査器(走査器は約1ミクロン〜約300ミクロンの分解能を有する)を用いて決定する。

    本明細書のどこかで言及された全ての特許、特許出願、および他の科学的または技術的文書は、全体として参照により組み込まれる。 本明細書で例示的に記載された本発明は、適切には、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、限定(複数可)の非存在下で実施することができる。 したがって、たとえば、本明細書でのどの場合においても、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれも、それらの通常の意味を保持しながら、他の2つの用語のいずれとでも置き換えることができる。 用いられている用語および表現は、説明の用語として用いられ、限定の用語として用いられるのではなく、そのような用語および表現の使用において、示された、および記載された特徴またはそれらの部分のいかなる等価物も排除するという意図はなく、様々な改変が主張された本発明の範囲内で可能であることが認識される。 このように、本発明が実施態様によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の任意の特徴、改変、およびバリエーションが、当業者によって用いられる可能性があること、ならびにそのような改変およびバリエーションが説明および添付された特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内にあるとみなされることは理解されるべきである。

    加えて、本発明の特徴または態様が、マーカッシュ群または代替物の他のグループ化によって記載される場合、本発明はまた、マーカッシュ群または他の群のメンバーの任意の個々のメンバーまたはサブグループによっても記載されることは認識されるであろう。

    細胞−タンパク質相互作用および他の細胞相互作用を研究するための現行の技術は、それらが放射性同位元素または蛍光標識工程、洗浄工程、ブロッキング工程、および検出工程を含む多くの工程を含み得るため、時間がかかり、かつ大きな労力を要する。 たとえば、表2を参照されたい。 細胞−タンパク質相互作用および他の細胞相互作用を研究するための現行の技術はまた、大量の高価な試薬を用い得る。 本発明は、通常の方法より速く、かつ通常の方法より少ない試薬の使用を必要とする細胞相互作用を決定するための組成物および方法を提供する。

    本方法および組成物は、タンパク質を含む特定の結合物質に対する細胞特異性、細胞遊走、細胞走化性、特異的結合物質−細胞の相互作用、細胞−細胞外マトリックスの相互作用、および細胞−細胞の相互作用を同定するための、標識を含まない、単純で、ハイスループットなアッセイを提供する。

    本発明の一実施態様において、方法および組成物は、細胞アッセイにおいて著しく試薬の使用量を低減することができる。 試薬使用量は、マイクロタイタープレートホールウェルアッセイと比較して少なくとも100分の1まで、低減することができる。 より重要なことには、本発明の単純な画像細胞アッセイが、現行の時間がかかって、大きな労力を要する細胞遊走アッセイおよび細胞走化性アッセイに、より高い精度および再現性を以て、取って代わることができる。

    比色共鳴反射光バイオセンサーテクノロジーは、バイオセンサー表面と相互作用する生体分子および生体細胞による光学的性質の変化に非常に感度が高い。 この特徴は、生体分子と、細胞表面受容体または細胞表面マーカーなどの細胞表面上に結合した生体分子との間の相互作用を含む、生体分子間の相互作用を調査するなどの生物学的適用においてこれらのバイオセンサーについて大きな利点を提供する。 比色共鳴反射光バイオセンサーテクノロジーは生物的相互作用を直接検出するため、蛍光標識、放射性同位元素標識、または酵素および生物学的モチーフなどの生物学的タグが必要とされない。 比色共鳴反射光バイオセンサー細胞付着アッセイは、分子と細胞表面上のそのカウンターパートとの間の相互作用を直接検出する新規な方法を提供する。 比色共鳴反射光バイオセンサー細胞付着アッセイの原理は、固定化された標的分子と細胞表面上のそのカウンターパートとの間の親和結合が、細胞がバイオセンサー表面と相互作用するように導き、この相互作用を検出することができる、というものである。

    本発明の一実施態様は、比色共鳴反射光バイオセンサーを含む容器を提供し、比色共鳴反射光バイオセンサーは容器の内部表面を構成する。 たとえば、比色共鳴反射光バイオセンサーは、容器の底表面を構成することができる。 2つ以上の特異的結合物質などの1つまたは複数の特異的結合物質は、比色共鳴反射光バイオセンサーを含む容器の内部表面上の2つ以上の別個の位置に固定化される。 2つ以上の別個の位置に異なる量の1つの特異的結合物質があってもよい。 たとえば、容器は、マイクロタイターウェル、試験管、ペトリ皿、またはマイクロ流体チャネルを含むことができる。 本発明の一実施態様により、1つまたは複数のマイクロタイターウェルを含むマイクロタイタープレートが提供され、1つまたは複数のマイクロタイターウェルの底表面は比色共鳴反射光バイオセンサーを含む。 1つまたは複数の特異的結合物質は、各マイクロタイターウェルの底表面上の2つ以上の別個の位置に固定化することができる。

    本発明は、1つまたは複数の型の細胞の、1つまたは複数の特異的結合物質への結合を検出する方法を提供する。 本発明の一実施態様において、1つまたは複数の型の細胞を容器の内部表面にアプライする。 任意の型の細胞を用いることができ、たとえば、原核細胞、真核細胞、人工細胞、細胞膜、または人工細胞膜が挙げられる。 細胞は、たとえば、培養中の接着細胞として、または培養中の浮遊細胞として生育することができる。 容器の内部表面は、比色共鳴反射光バイオセンサーを含み、2つ以上の特異的結合物質が、比色共鳴反射光バイオセンサーを含む容器の内部表面上の2つ以上の別個の位置に固定化されている。 容器は光で照射され、それぞれの別個の位置についての1つまたは複数のピーク波長値(PWV)が検出される。 ピーク波長値(PWV)は、バイオセンサーに結合している結合物質および/または細胞の相対的測定値である。 1つまたは複数の細胞が特異的結合物質に結合しているならば、PWVは、1つまたは複数の細胞が結合している別個の位置においてシフトする。 PWVは、たとえば、結合した特異的結合物質を有しないバイオセンサーの部分、または結合した特異的結合物質のみを有するバイオセンサーの部分、または所与のベースラインPWVと比較して、シフトする。

    1つまたは複数の特異的結合物質は、たとえば、比色共鳴反射光バイオセンサーを含む容器の内部表面上の別個の位置のアレイに配置することができる。 別個の位置は、直径が約50〜500ミクロンのマイクロアレイスポットを規定することができる。 1つまたは複数の特異的結合物質は、容器の内部表面上にランダムに配置することができる。 1つまたは複数の特異的結合物質は、たとえば、物理的吸着、化学的結合、電気化学的結合、静電気的結合、疎水性結合、および親水性結合などの方法によって、比色共鳴反射光バイオセンサーを含む容器の内部表面上に固定化することができる。

    本発明の別の実施態様により、1つまたは複数の細胞の特異的結合物質への結合を検出する方法が提供される。 方法は、2つ以上の特異的結合物質などの1つまたは複数の特異的結合物質を、容器の内部表面上の2つ以上の別個の位置に固定化する工程であって、容器の内部表面が比色共鳴反射光バイオセンサーを含む工程、および容器を光で照射する工程を含む。 それぞれの別個の位置についての1つまたは複数のピーク波長値が決定される。 1つまたは複数の細胞を容器の内部表面にアプライする。 容器は光で照射され、それぞれの別個の位置について、1つまたは複数のピーク波長値が検出される。 ピーク波長を比較する。 1つまたは複数の細胞が特異的結合物質に結合しているならば、PWVは、特異的結合物質が結合している別個の位置でシフトする。

    実施例において、線形回折格子比色共鳴反射光バイオセンサーを内部表面として含むマイクロタイターウェルは、バイオセンサーの表面上に固定化された1μlの抗ヒトCD3および1μlの抗マウスCD3モノクローナル抗体を有した。 図1および図2を参照されたい。 マイクロタイターウェルを走査し、抗体コーティングを分析した。 図2を参照されたい。 ジャーカット細胞(1×10 )のバイオセンサー表面との20分間のインキュベーション後、マイクロタイターウェルを走査し、細胞接着パターンを、図2に示されているように、観察した。

    このアッセイにより、ジャーカット細胞が、96マイクロプレートバイオセンサーからのウェルの内側をahCD3でコーティングされている別個の位置と相互作用すること、および抗マウスCD3モノクローナル抗体でコーティングされている別個の位置からは検出可能なシグナルが観察されなかったことが明らかに示された。

    これらの細胞付着アッセイは、たとえば、細胞接着、遊走、走化性、および浸潤に関与している分子を同定するために用いることができる。 このアッセイはまた、たとえば、細胞接着、遊走、走化性、および細胞浸潤を制御する細胞表面分子を同定するために用いることができる。 さらに、これらのアッセイは、細胞−細胞相互作用、細胞−マトリックス相互作用、および細胞−分子相互作用を研究するための新規なツールを提供することができる。 競合細胞付着アッセイは、細胞相互作用に関与する分子を特異的に標的にする化合物を同定するための薬学的薬物スクリーニングについての新規なツールを提供することができる。

    洗浄を含まないCBAプロトコールの開発:CHO細胞およびHEK細胞を飢餓培地へ直接、プレーティングすること バイオセンサーテクノロジーを用いる細胞に基づいたアッセイについての最初の確立されたプロトコールは、細胞洗浄および細胞飢餓と呼ばれる2つの重要な工程に主に頼っている。

    細胞収集工程が、現在、ラージスケールの培養物のトリプシン処理によって行われるので、これらの工程はアッセイ時間を低減するのに重要である。 細胞収集工程は、現在、ラージスケールの培養物のトリプシン処理によって行われる。 細胞単層のトリプシン処理は、効果的かつ再現性があり、たいていの細胞系に容易に適応することができる。 特に、トリプシン媒介型細胞収集工程は、添加(supplemented)組織培地を、二価陽イオンを含まない緩衝液(ハンクス緩衝生理食塩水、HBSS)中で組織培養フラスコから洗い流し、続いて、EDTAの存在下で細胞接合部のトリプシン処理を行う2段階プロセスである。 Ca++の非存在は、細胞−細胞(細胞型に依存して、接着結合、ギャップ結合、および密着結合)接触を媒介するタンパク質−タンパク質相互作用事象、ならびにインテグリンおよび他のEMC受容体によって媒介される細胞−基質(細胞外、ECM)相互作用を弱め、および/または破壊する。 全ての他の膜貫通受容体と共にこれらの膜貫通成分のタンパク質溶解は、細胞外刺激に応答することができない均一な細胞懸濁液を生じる。

    異なる動物源(ウシ、ウマ、および仔ウシまたは胎仔のいずれか、など)由来の必須の血清補体を追加した各細胞系のための適切な細胞培地での一晩の細胞プレーティングによって、細胞が、モル浸透圧濃度平衡の、pH調節された、アミノ酸リッチ、ビタミンリッチ、糖リッチ、および成長因子リッチな培地中で生育することが保証される。 これにより、バイオセンサープレート上にプレーティングされた細胞の完全回復、続いてトリプシン処理による収集が可能になる。

    細胞が膜貫通タンパク質の完全補体(full complement)を再確立し、細胞−細胞および細胞−基質相互作用を回復しているが、成長因子リッチな培地の存在は、ホルモン、サイトカイン、成長因子、およびPI−3キナーゼ/Akt経路、Rasスーパーファミリーの低分子量Gタンパク質/MAP/Erk/JNKキナーゼ経路などの経路を通してシグナルを発生する任意の細胞外刺激に対する成長因子受容体(RTKおよびGPCR)応答または細胞応答によって促進される細胞刺激をマスクし得る。 他方、アミノ酸の存在は、mTor/Akt/S6キナーゼ経路の活性化を引き起こし、これらのAGCキナーゼを通してのシグナル伝達を鈍らせる。

    したがって、述べたように、添加培地の除去は、所与の標的または経路がバイオセンサーテクノロジーを通して扱いやすいかどうかを確立するための実現可能性研究を広げる重要な工程である。

    化合物および/またはリガンド試験の前にマイクロタイターバイオセンサープレートを洗浄する必要性に関していくつかの問題が生じる。 精密な細胞ウォッシャーまたは自動液体処理方法(ALH)の欠如によって、プレートの各ウェルにおいて容量可変が生じ、それが、次には、試験される化合物の希釈可変を生じ、正確な直接的ウェル間の比較を実行することを不可能にさせる。 しかしながら、ALHシステムを用いる正確なプレート洗浄は、結果として、プレートあたり12〜25分かかり得る長時間のプロトコールとなる。 細胞洗浄および細胞飢餓のボトルネック工程を克服するために、本発明者らは、代替プロトコール:a)トリプシンを用いる細胞収集工程を回避すること、およびb)まだトリプシン収集に依存するが、細胞が浮遊状態で維持されながら、正常に接着細胞が回復するのを可能にすることを研究した。 これらの選択肢によって、本発明者らが栄養低下または枯渇の培地および成長因子低下または枯渇の培地中に細胞をプレーティングすることが可能になった。 すなわち、細胞を、飢餓緩衝液中に直接、プレーティングすることができる。

    Versene収集されたCHO細胞およびHEK細胞を、以下のような血清コーティングあり、またはなしの飢餓培地にプレーティングした。 約80%コンフルエントな細胞単層をCa++およびMg++を欠くHBSSで穏やかに洗浄した。 細胞を2〜3分間、HBSS中に置いておいた後、緩衝液を吸引し、細胞を37℃で約10分間、等張性Versene溶液(Gibco)で処理した。 細胞を、さらに2分間、軽くたたくことによってフラスコから離した。 Verseneを、10mMのHepes、5mMのグルコース、2mMのCa++およびMg++、ならびに1%のペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質(SM)を含む10容積のHBSS中にそれを希釈することによって中和し、細胞を遠心沈殿させ、SMで1回洗浄し、その後、25μlのSMを含む384個のセンサー上にプレーティングした。 細胞を遠心沈殿し、様々な時間の間、付着させた。

    陽性刺激対照は、(1)インスリンおよびATPまたは(2)UTPを含み、それらは、それぞれ、内因的に発現したRTK型およびGPCR型の受容体を刺激する。 これらの刺激は、洗浄および飢餓後、完全培地中に一晩プレーティングされた細胞において、100pmから300pmまでの範囲である強いPWVシフトを生じる。 ポリ−D−リジン(PDL)プレコーティングも血清プレコーティングもないバイオセンサープレート上の添加HBSS中にプレーティングされたVersene収集された細胞は、<20pMのシフトを有する対照ウェル(刺激なし)と全て区別できなかった。 PDLプレコーティングありで、血清プレコーティングなしのセンサープレート上の添加HBSS中にプレーティングされたVersene収集された細胞の刺激応答は、<20pMのシフトを有する対照ウェル(刺激なし)と区別できなかった。 増加した血清濃度でコーティングされた(PDLプレコーティングなし)のTiO バイオセンサープレートセンサー上の添加HBSS中にプレーティングされたVersene収集された細胞の、刺激に対する細胞応答は、反応速度、シフトの大きさ、およびEC50値に関して、完全培地中での一晩プレーティングされた細胞と事実上区別できないPVWシフト応答を生じた。

    トリプシン収集されたCHO細胞およびHEK細胞を、様々な血清コーティング濃度を有する飢餓培地中にプレーティングした。 約80%コンフルエントな細胞単層をHBSSで穏やかに洗浄し、その後、2〜5分間、トリプシン処理した。 トリプシン処理を完全培地で停止させ、細胞を遠心沈殿し、完全培地中に再懸濁し、その後、50mlのFalconチューブ内の完全培地中(約100K細胞/ml)、室温で(37℃でのインキュベーションも行うことができる)「回復」させた。

    7時間後、細胞を遠心沈殿し、10mMのHepes、5mMのグルコース、2mMのCa++およびMg++、ならびに1%のPen/Strep(SM)を含むHBSSで2回洗浄し、その後、25μlのSMを含む384個のセンサー上にプレーティングした。 細胞を遠心沈殿し、一晩、付着させた。

    この様式でプレーティングされた細胞は、完全培地中にプレーティングされた細胞と区別できないように見え、強い応答を示した。 刺激についてのPWVシフト応答の速度、PWVシフトの大きさまたは振幅、およびEC50用量は、ATP(25uM)、UTP(100uM)、EGF(50nM)、インスリン(1.5uM)、プロスタグランジン(100pM)、およびムスカリン(10uM)に対して試験された。 応答は、科学文献に報告された一般的な一晩プレーティング条件に見られる応答の約60%〜120%の範囲であった。

    細胞洗浄の工程を回避し、ワークフローを改善することに加えて、洗浄を含まないプロトコールは、より重要なことには、1536ウェル以上のプレートを用いるHTSフォーマットのバイオセンサーの使用を可能にするだろう。 可動範囲(working volume)の半分にECMリガンド(複数可)コーティングを加え、続いて、残りの半分に細胞を加え、続いて、化合物を添加することは、1536ウェルプレートの使用を洗浄を含まない3工程追加のプロトコールへと単純化する。

    他のアプローチは、本明細書に記載されたプロトコールでは付着してシグナルを与えることができない細胞についての代替物を提供することができた。 他の賢明な完全培地中の低血清(0.25%)における細胞プレーティングにより、感受性細胞または新たに解凍された細胞を助ける可能性がある(そのままの液体N ストックをプレーティングして、アッセイすること)。 完全培地の希釈が、細胞を飢餓状態にし、リン酸化シグナル伝達経路を低下させるのに十分であることが判明し得る。 本発明の方法により、感受性初代細胞の性能を増強するのに飢餓緩衝液培地における有効量の血清の含有が必要でなくなる。

    様々な濃度のフィブロネクチンおよびコラーゲンで比色共鳴反射バイオセンサーをコーティングすることによって、飢餓緩衝液中への直接的細胞プレーティングが、以下の細胞型について実行可能であることが確認されている:とりわけ、CHO−K1、HEK−293、THP−1(内在性受容体)、ならびに組換え細胞mP−M4、mP−M5、mP−ET、およびCHO−M3。

    細胞型および表面コーティングに依存して、「洗浄なし」の短時間プレーティングプロトコールを用いる細胞応答は、約10〜300pmのシフト、または約100〜200pmシフト、または約>150pmシフトを与える。

    比色共鳴反射バイオセンサーのコラーゲンコーティングおよび保存:mP−M4細胞を用いた性能評価 細胞外マトリックス(ECM)タンパク質コラーゲン(COLL)での比色共鳴反射バイオセンサーのコーティング、および得られたコーティング化バイオセンサーの保存についての条件を評価した。 他の初代細胞でもよいが、とりわけ、筋肉細胞、肝細胞、脊髄神経節、胚性肺細胞、シュワン細胞の付着を媒介する培養基質としてコラーゲンIが同定されている。 コラーゲンは、14 Chem−1細胞に特異的なECMリガンドである。 これらの細胞は、ムスカリン性GPCR M4を過剰発現し、新たに堆積したコラーゲンコーティング化比色共鳴反射バイオセンサー上にプレーティングされた場合、用量依存的にカルバコールに応答する。

    3つの異なる比色共鳴反射384ウェルバイオセンサープレートを、2連で異なる濃度のコラーゲンでコーティングした。 プレートを乾燥した状態で保存し、またはグリセロール中に保存し、または新たに作製した。 新たに作製したコラーゲンプレートを、作製して乾燥させたプレート、および作製して60%グリセロール溶液中に保存したプレートと比較する。

    裸の比色共鳴反射TiO 384ウェルバイオセンサープレートを2分間、血漿処理した。 ECMタンパク質は、Sigma−Aldrichから購入した。 コラーゲンは、濾過滅菌された、0.1M酢酸中1mg/mlのタンパク質の、試験される細胞培養物である、仔ウシ皮膚溶液由来であった。 フィブロネクチンは、試験されるヒト血漿細胞培養物由来であった。

    プレートを1×PBSで15分間、水和させ、Biotekプレートウォッシャーを用いて1×PBSで洗浄した。 ECMコーティング溶液(25ml/ウェル)をウェルに加えた。 ECMコーティング溶液、PDLコーティング溶液、およびFBSコーティング溶液を、1×PBS中に滅菌状態に調製する。 コラーゲンはいくつかの濃度(0.62、1.25、2.5、5.0、10.0、20.0ug/ml)で、PDLは2mg/mlで、FBSは2%で用いた。 コラーゲンをプレート上に37℃で2時間、コーティングし、その後、プレートウォッシャーを用いて1×PBSで洗浄した。 バイオセンサーを、PBS中0.2%BSAで、室温で30分間、ブロッキングし、その後、プレートウォッシャーを用いて1×HBBSで洗浄した。 25mlの飢餓緩衝液(2mMのCa++およびMg++、5mMのグルコース[最終10mM]、10mMのHepes、ペニシリンおよびストレプトマイシン1%v/v、ならびに0.01%のBSAを添加したHBSS)をプレートに加え、PWVをウェルについて決定した。 これは、飢餓緩衝液ベースラインである。

    細胞単層を組織培養(TC)フラスコ内で一晩、生育させ、洗浄した。 細胞を、トリプシン処理によって37℃で約5〜6分間、剥離した。 mP−M4およびmP−M5の付着は、特に、ポリスチレンTCフラスコに対して強固だった。 トリプシンを完全培地で中和し、細胞を遠心沈殿させた。 細胞を完全培地(80〜90%の培養密度でフラスコあたり約25ml)中に再懸濁し、TCインキュベーター内で3〜4時間、インキュベートした。 細胞を遠心沈殿させ、飢餓緩衝液中に再懸濁した。 その後、プレーティングのために細胞の読取りを行った。

    飢餓緩衝液中の細胞懸濁液(25ml)(約40,000細胞)を384バイオセンサープレートのウェルに加えた。 細胞プレートを、細胞付着を助けるために遠心機で回転させた(2分間)。 細胞を、37℃で3時間のインキュベーション中、バイオセンサープレートに再付着させた。 PWVをウェルについて決定した。 これは細胞付着の読取りである。 25μlのカルバコール溶液(細胞刺激)をバイオセンサープレートのウェルに加えた。 M1〜M5のムスカリン性受容体を発現する細胞のカルバコールでの処理は、結果として、500pmから2000pmまでの範囲で正のPWVシフトを生じる。 細胞は、GPCR受容体を介してカルバコールに結合し、バイオセンサーは、PWVのシフトによってGPCR結合事象に対する細胞応答を検出することができる。

    乾燥保存のための1つおよびグリセロール保存のための1つである、2つのプレートを細胞アッセイの2日前にコーティングした。 第3のプレートを、細胞アッセイの日に「新鮮に」作製した。 10mMから始まり11の濃度を網羅するカルバコールの連続希釈溶液(1/3)+緩衝液対照を含み、各濃度が重複した(duplicate)カラムのセットとしてロードされた、単一の深いウェルの化合物プレートを作製した。

    コラーゲンでコーティングされたバイオセンサーは、PDLコーティングおよびFBSコーティング表面と比較してより低いEC50濃度を有する、mP−M4細胞のより優れた性能を生じる表面を提供する。 細胞シフトは、新鮮なコラーゲンプレートおよびグリセロール保存コラーゲンプレートと比較して、乾燥沈着したコラーゲン上で著しく高いが、より弱いEC50応答を示す。 グリセロール保存コラーゲンコーティング化プレートは、新たに作製されたコラーゲンプレートと類似した結果を有する。 これらの実験により、Mp−M4細胞に関して、新たに作製されたPDL表面については、乾燥沈着させているものについての10分の1のEC50濃度が観察されたことが示される。 −20℃におけるグリセロール保存プレートは、新たに作製されたプレートと同じ性能を示す。

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