Orthogonal ribosome evolved

申请号 JP2009538781 申请日 2007-11-28 公开(公告)号 JP5307020B2 公开(公告)日 2013-10-02
申请人 メディカル リサーチ カウンシル; 发明人 ジェイソン チン; カイハン ワン; ハインツ ノイマン;
摘要 There is provided a method for evolving an orthogonal rRNA molecule, comprising the steps of: providing one or more libraries of mutant orthogonal rRNA molecules and introducing the libraries into cells such that the orthogonal rRNA is incorporated into ribosomes to provide orthogonal ribosomes; providing one or more orthogonal mRNA molecules which (i) are not translated by natural ribosomes, and (ii) comprise one or more orthogonal mRNA codons; assaying the translation of the orthogonal mRNA and selecting the orthogonal rRNA molecules which translate the orthogonal mRNA, wherein the assay in step (c) requires translation of one or more orthogonal mRNA codons in the orthogonal mRNA; and orthogonal ribosomes incorporating such rRNA molecules.
权利要求
  • 天然のリボソームRNAと比較して直交性mRNAコドンのtRNA依存的読み取りの効率が強化されている、進化した直交性リボソームRNA (rRNA)であって、前記直交性mRNAコドンが拡張コドン又は終止コドンであり、前記rRNAが16S rRNAである直交性rRNAにおいて、
    前記16S rRNAが、530ループ内の位置529と535との間に変異導入されており、U531G変異及びU534A変異を含むことを特徴とする、直交性rRNA
  • 529−GGGAAAA−535配列を含む、請求項1に記載の直交性rRNA。
  • 終結因子1(RF−1)との機能的相互作用が低減している、請求項1 又は2に記載の進化した直交性rRNA。
  • 直交性rRNA分子を進化させる方法であって、
    (a)変異体直交性rRNA分子の1又は複数のライブラリーを用意し、直交性rRNAがリボソーム内に組み込まれて直交性リボソームが生じるように、細胞内に前記ライブラリーを導入するステップと、
    (b)(i)天然のリボソームによって翻訳されず、(ii) 拡張コドン又は終止コドンである 1又は複数の直交性mRNAコドンを含む、1又は複数の直交性mRNA分子を用意するステップと、
    (c)直交性mRNAの翻訳をアッセイし、前記直交性mRNAを翻訳する直交性rRNA分子を選択するステップとを含み、ステップ(c)のアッセイが直交性mRNA内の1又は複数の直交性mRNAコドンの翻訳を必要と し、前記直交性rRNA分子のライブラリーが、16S rRNA分子のライブラリーであり、前記直交性rRNA分子のライブラリーが、530ループ内の位置529と535との間に変異導入されており、U531G及びU534A変異を含むことを特徴とする、方法。
  • 直交性mRNAが選択マーカーをコードしている、請求項 に記載の方法。
  • 選択マーカーが細胞の生存を促進する、請求項 に記載の方法。
  • 1又は複数の直交性mRNA分子が1又は複数のアンバー終止コドンを含む、請求項 のいずれかに記載の方法。
  • (a)そのリーディングフレーム内に終止コドンを含むmRNA分子を用意するステップであって、前記終止コドンのリードスルーにより非天然アミノ酸の取込みが可能となるステップと、
    (b)前記終止コドンを天然のrRNAよりも効率的に読む、請求項1〜 のいずれかに記載の直交性rRN Aを用意するステップと、
    (c)サプレッサーtRNAを用いて、前記mRNA分子によってコードされているポリペプチドに非天然アミノ酸を取り込むステップとを含む、ポリペプチドに非天然アミノ酸を取り込む方法。
  • 終止コドンがUAGアンバー終止コドンである、請求項 に記載の方法。
  • 2つ以上のタンパク質翻訳機構を含む細胞であって、
    (a)第1の機構が、天然の遺伝暗号に従ってmRNAがリボソームによって翻訳される天然の翻訳機構であり、
    (b)第2の機構が、直交性コドンを含む直交性mRNAが直交性リボソームによって翻訳される人工の機構であり、
    前記直交性mRNA内の直交性コドンが 拡張コドン又は終止コドンであり
    (i)天然のリボソームによって翻訳されないか、又は(ii)天然のリボソームよりも直交性リボソームによる方が高い効率で翻訳されるか、又は(iii)直交性リボソーム及び天然のリボソームによって異なったポリペプチドに翻訳される直交性コドンであ り、前記直交性リボソームが請求項1〜3のいずれかに記載の直交性rRNAを含むことを特徴とする 、細胞。
  • 請求項1〜 のいずれかに記載の進化した直交性rRNAを組み込んでいる直交性リボソーム。
  • 说明书全文

    本発明は、直交性RNAの翻訳効率が強化されている直交性リボソームに関する。 詳細には、本発明は、クアドラプレットコドン及びアンバーコドンの翻訳効率が強化されている直交性リボソームを提供する。

    本発明者らは、最近、細胞性リボソームと平行して、しかしそれとは独立的に動作する直交性リボソーム−mRNA対を作製した(Rackham, O. & Chin, JW A network of orthogonal ribosome x mRNA pairs. Nat Chem Biol 1, 159-166 (2005))。 直交性mRNAは、内因性リボソームによる翻訳を指示しないが、直交性リボソームによって効率的に翻訳されるリボソーム結合部位を含有しており、直交性リボソームは、測定できるほど細胞性mRNAを翻訳しない。 以前の研究において、本発明者らは、システムレベルで翻訳調節を行う新規な方法を生み出すため(Rackham, O. & Chin, JW A network of orthogonal ribosome x mRNA pairs. Nat Chem Biol 1, 159-166 (2005)、Rackham, O. & Chin, JW Cellular logic with orthogonal ribosomes. J Am Chem Soc 127, 17584-17585 (2005))、及びリボソームの構造と機能との間の相関を理解するため(Rackham, O., Wang,. K. & Chin, JW Functional epitopes at the ribosome subunit interface. Nat Chem Biol 2, 254-258 (2006))の直交性リボソームの使用を探索した。

    遺伝コードがトリプレットであるという性質(Crick, FH, Barnett, L., Brenner, S. & Watts-Tobin, RJ General nature of the genetic code for proteins. Nature 192, 1227-1232 (1961))は、知られている全ての生物全体にわたって保存されている。 mRNAのトリプレット配列と、コードされているアミノ酸との間の対応に対する数少ない例外には、フレームシフト(+1、+2、−1、−2)、跳躍及び終止シグナルのリードスルーが含まれる(Atkins, JF et al. Overriding standard decoding: implications of recoding for ribosome function and enrichment of gene expression. Cold Spring Harb Symp Quant Biol 66, 217-232 (2001)、Gesteland, RF & Atkins, JF Recoding: dynamic reprogramming of translation. Annu Rev Biochem 65, 741-768 (1996))。 リーディングフレームの、プログラムされた変化の多くが、追加の翻訳因子を動員するか、又は翻訳機構と相互作用して、それをリーディングフレームの変化に備えて準備をさせる上流配列を、そのmRNA内に必要とするが、拡張されたアンチコドンループを有するtRNAは、上流シグナルに依存せずに、クアドラプレットコドンを生み出す+1フレームシフト突然変異を読むことができる(Riyasaty, S. & Atkins, JF External suppression of a frameshift mutant in salmonella. J Mol Biol 34, 541-557 (1968)、Riddle, DL & Carbon, J. Frameshift suppression: a nucleotide addition in the anticodon of a glycine transfer RNA. Nat New Biol 242, 230-234 (1973)、Atkins, JF, Weiss, RB, Thompson, S. & Gesteland, RF Towards a genetic dissection of the basis of triplet decoding, and its natural subversion: programmed reading frame shifts and hops. Annu Rev Genet 25, 201-228 (1991)、Anderson, JC, Magliery, TS & Schultz, PG Exploring the limits of codon and anticodon size. Chem Biol 9, 237-244 (2002)、Magliery, TJ, Anderson, JC & Schultz, PG Expanding the genetic code: selection of efficient suppressors of four-base codons and identification of "shifty" four-base codons with a library approach in Escherichia coli. J Mol Biol 307, 755-769 (2001)、Tuohy, TM, Thompson, S., Gesteland, RF & Atkins, JF Seven, eight and nine-membered anticodon loop mutants of tRNA(2Arg) which cause +1 frameshifting. Tolerance of DHU arm and other secondary mutations. J Mol Biol 228, 1042-1054 (1992))。 アミノ酸挿入シグナルとしてのクアドラプレットコドンの明らかな単純性及び独自性によって、インビトロ(Taira, H., Fukushima, M., Hohsaka, T. & Sisido, M. Four-base codon-mediated incorporation of non-natural amino acids into proteins in a eukaryotic cell-free translation system. J Biosci Bioeng 99, 473-476 (2005)、Sisido, M., Ninomiya, K., Ohtsuki, T. & Hohsaka, T. Four-base codon/anticodon strategy and non-enzymatic aminoacylation for protein engineering with non-natural amino acids. Methods 36, 270-278 (2005)、Taki, M., Matsushita, J. & Sisido, M. Expanding the genetic code in a mammalian cell line by the introduction of four-base codon/anticodon pairs. Chembiochem 7, 425-428 (2006)、Ohtsuki, T., Manabe, T. & Sisido, M. Multiple incorporation of non-natural amino acids into a single protein using tRNAs with non-standard structures. FEBS Lett 579, 6769-6774 (2005))及びインビボ(Taki, M., Matsushita, J. & Sisido, M. Expanding the genetic code in a mammalian cell line by the introduction of four-base codon/anticodon pairs. Chembiochem 7, 425-428 (2006)、Anderson, JC et al. An expanded genetic code with a functional quadruplet codon. Proc Natl Acad Sci USA 101, 7566-7571 (2004)、Rodriguez, EA, Lester, HA & Dougherty, DA In vivo incorporation of multiple unnatural amino acids through nonsense and frameshift suppression. Proc Natl Acad Sci USA 103, 8650-8655 (2006))の両方において、低効率ではあるが、非天然アミノ酸の取込みをコードする拡張アンチコドンtRNAの使用がもたらされた。

    クアドラプレット解読の作用機序、クアドラプレット解読の効率、及び天然の翻訳機構にアクセス可能なクアドラプレットコドン/アンチコドン対の範囲に関しては、35年超もの間調査されてきている(Riyasaty, S. & Atkins, JF External suppression of a frameshift mutant in salmonella. J Mol Biol 34, 541-557 (1968)、Riddle, DL & Carbon, J. Frameshift suppression: a nucleotide addition in the anticodon of a glycine transfer RNA. Nat New Biol 242, 230-234 (1973)、Atkins, JF, Weiss, RB, Thompson, S. & Gesteland, RF Towards a genetic dissection of the basis of triplet decoding, and its natural subversion: programmed reading frame shifts and hops. Annu Rev Genet 25, 201-228 (1991)、Curran, JF & Yarus, M. Reading frame selection and transfer RNA anticodon loop stacking. Science 238, 1545-1550 (1987)、Stahl, G., McCarty, GP & Farabaugh, PJ Ribosome structure: revisiting the connection between translational accuracy and unconventional decoding. Trends Biochem Sci 27, 178-183 (2002)、Roth, JR Frameshift suppression. Cell 24, 601-602 (1981)、Bossi, L. & Roth, JR Four-base codons ACCA, ACCU and ACCC are recognized by frameshift suppressor sufJ. Cell 25, 489-496 (1981))。 最近、Schultz及びその共同研究者らは、tRNAser2に由来する拡張アンチコドンtRNA変異体のライブラリーをクアドラプレットコドンのライブラリーと交差させることによって、天然の翻訳機構で動作するクアドラプレットコドン−アンチコドン対の範囲を探索した(Magliery, TJ, Anderson, JC & Schultz, PG Expanding the genetic code: selection of efficient suppressors of four-base codons and identification of "shifty" four-base codons with a library approach in Escherichia coli. J Mol Biol 307, 755-769 (2001))。 彼らは、UAGA、AGGA及びCCCUを含めた、それらの同族のクアドラプレットコドンをインビボで読むことができる一群の拡張アンチコドンtRNAを発見した。 拡張アンチコドンtRNAによるクアドラプレット解読のインビボ効率は乏しい(1%未満〜約20%)(Atkins, JF, Weiss, RB, Thompson, S. & Gesteland, RF Towards a genetic dissection of the basis of triplet decoding, and its natural subversion: programmed reading frame shifts and hops. Annu Rev Genet 25, 201-228 (1991))。 拡張アンチコドンtRNAでクアドラプレットコドンを解読する効率が、トリプレットコードを読むために進化してきた天然のリボソームによって制限されていることは明らかである。

    天然のリボソームを進化させ、操作することは、いくつかのレベルでの挑戦である。 第1に、リボソームは非常に大きく、2.5MDaであり、3つの大きなRNAと52のタンパク質を含有する。 これは、いままで操作又は進化が施されたほとんどの高分子より1桁大きい。 幸い、構造生物学、生化学及び変異誘発によって、リボソーム機能の分子基礎に関する洞察が得られ始めており(Ramakrishnan, V. Ribosome structure and the mechanism of translation. Cell 108, 557-572 (2002))、リボソーム機能を拡大させることを標的とした活動の分子基礎を提供している。 第2に、リボソームは必須であり、高度に保存されている。 リボソーム構成要素内の多くの変異は、それらがプロテオームの効率的且つ正確な合成を損なうので、ドミナントネガティブであるか、有害であるか、又は致死性である(Triman, KL, Peister, A. & Goel, RA Expanded versions of the 16S and 23S ribosomal RNA mutation databases (16SMDBexp and 23SMDBexp). Nucleic Acids Res 26, 280-284 (1998))。

    アンバー終止コドンに反応して、20種超の設計された非天然アミノ酸を部位特異的にインビボで取り込むことが可能となるように、原核生物及び真核生物の遺伝コードが拡張されている。 この合成遺伝コードの拡張は、アンバーコドンに反応した、非天然アミノ酸の部位特異的取込みを指示する、進化した直交性アミノアシル−tRNAシンテターゼ/tRNA CUA対を生物に与えることによって達成された。 直交性アミノアシル−tRNAシンテターゼは同族の直交性tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化するが、他の細胞性tRNAはアミノアシル化せず、直交性tRNAは直交性シンセターゼの基質であるが、内因性のいかなるアミノアシルtRNAシンテターゼによっても実質的にアミノアシル化されない。 メタノコッカス・ヤンナシイ(Methanococcus jannaschii)の直交性チロシル−tRNAシンテターゼ/tRNA CUA対の進化した変種を用いた、大腸菌(E. coli)における遺伝コードの拡張は、非天然アミノ酸含有タンパク質の収率を大きく増大させるが、これは、化学量論的に予めアミノアシル化されたサプレッサーtRNAの、細胞又はインビトロ翻訳反応物への添加に依存した方法とは対照的に、直交性tRNA CUAは、その同族のアミノアシルtRNAシンテターゼ酵素の触媒によって再アシル化され、したがって、アミノアシル化が翻訳効率を制限する必要がないためである。

    インビボでの遺伝コードの拡張は明らかに大きな進歩であるが、アンバー変異抑圧を介した、大腸菌における部位特異的な非天然アミノ酸の取込みの効率は、厳しく制限される。 すなわち、終結因子1(RF−1,Release factor-1)に媒介されたペプチド鎖終止は、tRNA CUA媒介のペプチド鎖伸長と競合し、したがって、単一のアンバー終止コドンを含有する遺伝子で開始されたポリペプチド合成の70〜80%がそのコドンで終止する。 これは、単一の内部アンバー終止コドンを含有する遺伝子から非天然アミノ酸を含有するタンパク質が合成される効率を明らかに制限する(20〜30%に)。 さらに、非天然アミノ酸の取込み効率は、遺伝子内のアンバー終止コドンが増加すると共に大幅に低下し、そのため、通常、2つのアンバーコドンを含有する遺伝子で開始されたタンパク質合成の1/10未満しか完成に至らない。

    タンパク質の複数の部位に存在する翻訳後修飾(例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化)に対応する、アミノ酸の翻訳取込みを含めた、非天然アミノ酸変異誘発の多くの可能な適用は、有用な量のタンパク質を作製するのに、それより効率的な取込み方法を必要とする。 さらに、タンパク質への、それらの天然な細胞状況での生物物理学プローブ及び化学的に正確な撹乱の導入は、以前には不可能であった方法で細胞機能を理解及び制御するという心躍る可能性を提供する。 しかし、これらの実験で産生される多量の末端欠失タンパク質は、研究下の系それ自体に実質的な撹乱を起こして、細胞内における、非天然アミノ酸を含有する完全長タンパク質の機能に関する有意義な結論を混乱させる可能性がある。

    インビトロ翻訳反応での非天然アミノ酸の取込みは、RF−1の熱不活性化された変異体を含有するS30抽出物を用いることによって増大させることができる。 残念ながら、RF−1の高温感受性変異体は、インビボにおける全体的なアンバー変異抑圧の一時的増大を可能にするが、RF−1ノックアウトは致死であり、それゆえ、大腸菌における非天然アミノ酸の取込み効率を安定的且つ特異的に増大させるための実用的な選択肢ではない。 tRNA CUA遺伝子のコピー数の増加及び最小培地から富栄養培地への移行は、大腸菌内で非天然アミノ酸を取り込むタンパク質の収率にある程度の改善をもたらしたが、非天然アミノ酸の取込み効率(末端欠失タンパク質に対する完全長タンパク質の比率として定義する)は、依然として20〜30%でしかなかった。 tRNAコピー数をさらに増加させることを介して可能な追加的改善には、いくつかの理由から問題がある。 第1に、この戦略は、天然のアミノアシルtRNAシンテターゼが直交性tRNAをアミノアシル化する程度を増大させ、アンバーコドンに反応した天然アミノ酸の取込みをもたらす可能性がある。 第2に、tRNAコピー数の増加を得るために通常使用される、プラスミドにコードされたtRNA CUA遺伝子の繰り返しは、組換えに媒介された不活性化を起こす傾向がある。 第3に、この戦略は、細胞内の全てのアンバーコドンの抑圧を無差別的に増大させ、それゆえ、染色体遺伝子上の終止コドンのリードスルーを亢進する(44の必須遺伝子を含めた320の大腸菌遺伝子がUAGで終止する)。 したがって、この戦略は、細胞のタンパク質合成を妨げるであろうし、細胞生理を擾乱させる可能性もあるだろう。

    これらの不利な点があったのにもかかわらず、本発明者らは、天然のリボソームと比較して、強化された効率で直交性mRNAコドンを読む直交性リボソームの開発に成功した。

    Rackham, O. & Chin, JW A network of orthogonal ribosome x mRNA pairs. Nat Chem Biol 1, 159-166 (2005). Rackham, O. & Chin, JW Cellular logic with orthogonal ribosomes. J Am Chem Soc 127, 17584-17585 (2005) Rackham, O., Wang,. K. & Chin, JW Functional epitopes at the ribosome subunit interface. Nat Chem Biol 2, 254-258 (2006) Crick, FH, Barnett, L., Brenner, S. & Watts-Tobin, RJ General nature of the genetic code for proteins. Nature 192, 1227-1232 (1961) Atkins, JF et al. Overriding standard decoding: implications of recoding for ribosome function and enrichment of gene expression. Cold Spring Harb Symp Quant Biol 66, 217-232 (2001) Gesteland, RF & Atkins, JF Recoding: dynamic reprogramming of translation. Annu Rev Biochem 65, 741-768 (1996) Riyasaty, S. & Atkins, JF External suppression of a frameshift mutant in salmonella. J Mol Biol 34, 541-557 (1968) Riddle, DL & Carbon, J. Frameshift suppression: a nucleotide addition in the anticodon of a glycine transfer RNA. Nat New Biol 242, 230-234 (1973) Atkins, JF, Weiss, RB, Thompson, S. & Gesteland, RF Towards a genetic dissection of the basis of triplet decoding, and its natural subversion: programmed reading frame shifts and hops. Annu Rev Genet 25, 201-228 (1991) Anderson, JC, Magliery, TS & Schultz, PG Exploring the limits of codon and anticodon size. Chem Biol 9, 237-244 (2002) Magliery, TJ, Anderson, JC & Schultz, PG Expanding the genetic code: selection of efficient suppressors of four-base codons and identification of " shifty " four-base codons with a library approach in Escherichia coli. J Mol Biol 307, 755-769 (2001) Tuohy, TM, Thompson, S., Gesteland, RF & Atkins, JF Seven, eight and nine-membered anticodon loop mutants of tRNA(2Arg) which cause +1 frameshifting. Tolerance of DHU arm and other secondary mutations. J Mol Biol 228, 1042-1054 (1992) Taira, H., Fukushima, M., Hohsaka, T. & Sisido, M. Four-base codon-mediated incorporation of non-natural amino acids into proteins in a eukaryotic cell-free translation system. J Biosci Bioeng 99, 473-476 (2005) Sisido, M., Ninomiya, K., Ohtsuki, T. & Hohsaka, T. Four-base codon/anticodon strategy and non-enzymatic aminoacylation for protein engineering with non-natural amino acids. Methods 36, 270-278 (2005) Taki, M., Matsushita, J. & Sisido, M. Expanding the genetic code in a mammalian cell line by the introduction of four-base codon/anticodon pairs. Chembiochem 7, 425-428 (2006) Ohtsuki, T., Manabe, T. & Sisido, M. Multiple incorporation of non-natural amino acids into a single protein using tRNAs with non-standard structures. FEBS Lett 579, 6769-6774 (2005) Anderson, JC et al. An expanded genetic code with a functional quadruplet codon. Proc Natl Acad Sci USA101, 7566-7571 (2004) Rodriguez, EA, Lester, HA & Dougherty, DA In vivo incorporation of multiple unnatural amino acids through nonsense and frameshift suppression. Proc Natl Acad Sci USA103, 8650-8655 (2006) Curran, JF & Yarus, M. Reading frame selection and transfer RNA anticodon loop stacking. Science 238, 1545-1550 (1987) Stahl, G., McCarty, GP & Farabaugh, PJ Ribosome structure: revisiting the connection between translational accuracy and unconventional decoding. Trends Biochem Sci 27, 178-183 (2002) Roth, JR Frameshift suppression. Cell 24, 601-602 (1981) Bossi, L. & Roth, JR Four-base codons ACCA, ACCU and ACCC are recognized by frameshift suppressor sufJ. Cell 25, 489-496 (1981) Ramakrishnan, V. Ribosome structure and the mechanism of translation. Cell 108, 557-572 (2002) Triman, KL, Peister, A. & Goel, RA Expanded versions of the 16S and 23S ribosomal RNA mutation databases (16SMDBexp and 23SMDBexp). Nucleic Acids Res 26, 280-284 (1998)

    天然の細胞内にある先祖リボソーム(progenitor ribosome)とは異なり、直交性リボソームは、プロテオームを合成する原因とならず、したがって、直交性リボソームの機能をさらに分岐させることが可能である。 しかし、この可能性は従来技術では認識されていなかった。 本発明者らはついに、生細胞におけるリボソーム機能の合成的進化の初めての例を実証した。 本発明者らは、拡張アンチコドンループを有するtRNAを用いて、様々な拡張コドンをより効率的に解読するように直交性リボソームを進化させることができることを見出した。 進化した直交性リボソームであるribo−Xは、拡張アンチコドンtRNAを用いて、優先的にクアドラプレットコドンを読み、コドンとアンチコドンの相互作用の4番目の位置にあるワトソン−クリック塩基対への特異性を示すことができる。 ribo−Xは、アンバーサプレッサーtRNAによるアンバー変異抑圧も改善する。 最後に、ribo−Xの作用様式を説明し、リボソームの解読センターにある530ループをRF1との機能的相互作用に関係づけるモデルへの実験的支持を本発明者らは提供した。

    本発明の第1の態様では、したがって、直交性mRNAコドンのtRNA依存的読み取りの効率が強化されている、進化した直交性リボソームRNAを提供する。

    本発明のrRNA(リボソームRNA)は、それが直交性mRNA(O−mRNA,orthogonal mRNA)への特異性を示すのみでなく、既知の直交性リボソーム又は天然のリボソームと比較して、直交性mRNAコドンの翻訳効率が強化されている点で、従来技術の直交性rRNA(O−rRNA,orthogonal rRNA)分子とは異なっている。

    上述の通り、従来技術は、天然のリボソームによるクアドラプレットコドンの読み取りを実証していないが、そのような読み取り効率は、最大でも、トリプレットコドンが読まれる効率の20%である。 対照的に、本発明による進化したO−リボソームは、クアドラプレットコドンなどのO−コドンを、同じO−リボソームが天然のトリプレットコドンを解読できる場合より約10倍効率的に解読できる。 さらに、それらは、クアドラプレットコドンの解読において、進化していない天然のリボソーム又はO−リボソームより効率的である。

    本明細書で使用される場合、直交性RNAコドンは、天然の遺伝コードにおける20種の天然アミノ酸の1つをコードするものでないコドンである。 非天然アミノ酸は、天然のtRNAの代わりに、非天然アミノ酸を担持した修飾tRNAを用いて、タンパク質に取り込ませてきた。 しかし、以前にはこれは、天然のコドンを使用し、また、tRNAの修飾を介して両方がその特異性を変えて行った。 拡張コドンなどの直交性コドンをより効率的に解読するようにリボソームを進化させることによって、本発明者らは、異なるアプローチをとり、天然の遺伝コードに代わる人工代替物を開発した。 さらに、本発明者らは、直交性tRNAを用いて、ポリペプチド内にアミノ酸を取り込む効率を改善し、人工の遺伝コードを有するmRNAを用いて、天然及び/又は非天然アミノ酸を取り込んでいるタンパク質の生産効率を改善した。

    効率の増大は、例えば、抗生物質耐性遺伝子をコードしているO−mRNAによって耐性が与えられる抗生物質の相対濃度を比較することによって測定できる。 例えば、本発明による進化したO−リボソームは、直交性コドンを含むmRNAを翻訳する場合、トリプレットコドンのみを含むmRNAを翻訳する場合より10倍高い濃度のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与えることができる。

    直交性mRNAコドンは、拡張コドン又は終止コドンであることが好ましい。 直交性mRNAコドンは、クインタプレットコドン、クアドラプレットコドン又はアンバー終止コドンであると有利である。

    直交性mRNAは、1又は複数のアンバー終止コドン、好ましくは2つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは3つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは4つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは5つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは6つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは7つ以上のアンバー終止コドン、好ましくは10以上のアンバー終止コドン又はさらに多くのアンバー終止コドンを含むことが好ましい。 これらの実施形態の利点は、従来技術では複数のアンバー終止コドンによって翻訳効率の劇的な低減がもたらされるが、本発明によれば、これらのmRNAが大幅に増大した効率で翻訳されることである。 この利点は、所望のmRNA内に存在するアンバー終止コドンの数が多いほど、それに対応して大きくなる。

    本発明の直交性rRNAは、16S rRNAであることが好ましい。 16S rRNAは、リボソーム内でA部位を形成し、拡張アンチコドンtRNAがリボソームに結合する原因となる。

    本発明の直交性rRNAは、変異導入されている16S rRNAであることが好ましい。 16S rRNAの530ループは、コドン−アンチコドンヘリックスの近位にあり、上記変異導入されている16S rRNAは、位置529と535との間にある530ループ内に変異導入されていることが好ましい。

    直交性16S rRNAは、A531G変異及びU534A変異を含むことが好ましい。 この直交性16S rRNAは、本明細書でribo−Xと呼ばれるA531G変異及びU534A変異を含む変異体リボソームに組み込まれていると有利である。

    本発明の第2の態様によると、直交性rRNA分子を進化させる方法であって、
    (a)変異体直交性rRNA分子の1又は複数のライブラリーを用意し、直交性rRNAがリボソーム内に組み込まれて直交性リボソームが生じるように、細胞内にライブラリーを導入するステップと、
    (b)(i)天然のリボソームによって翻訳されず、(ii)1又は複数の直交性mRNAコドンを含む、1又は複数の直交性mRNA分子を用意するステップと、
    (c)直交性mRNAの翻訳をアッセイし、直交性mRNAを翻訳する直交性rRNA分子を選択するステップとを含み、ステップ(c)のアッセイが直交性mRNA中の1又は複数の直交性mRNAコドンの翻訳を必要とする方法が提供される。

    直交性rRNA分子のライブラリーは、16S rRNA分子のライブラリーであることが好ましく、上記16S rRNA分子は、位置529と535との間にある530ループ内に変異導入されていると有利である。

    直交性rRNA分子のライブラリーは、A531G変異及びU534A変異を含むことが好ましい。

    直交性mRNAは、選択マーカーをコードしていることが好ましく、このマーカーは、例えば、細胞の生存を促進するものでありうる。 選択マーカーの例には、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが含まれ、これは、細胞がクロラムフェニコールへの暴露に対して生存するのを可能にし、CATを発現する細胞は、それを発現しないか、より非効率的に発現する細胞のなかから選択可能である。

    本発明の直交性rRNAは、様々な翻訳系で有用である。 例えばそれは、非天然アミノ酸を細胞に取り込む系を改善するのに使用できる。 したがって、本発明は、
    (a)そのリーディングフレームに終止コドンを含むmRNA分子を用意するステップであって、上記終止コドンのリードスルーにより非天然アミノ酸の取込みが可能となるステップと、
    (b)上記終止コドンを天然のrRNAよりも効率的に読む、請求項1〜7のいずれかに記載の直交性rRNA分子を用意するステップと、
    (c)サプレッサーtRNAを用いて、上記mRNA分子によってコードされたポリペプチドに非天然アミノ酸を取り込むステップとを含む、ポリペプチドに非天然アミノ酸を取り込む方法を提供する。

    終止コドンは、UAGアンバー終止コドンであることが好ましく、直交性rRNA分子は、本発明の第1の態様に記載の直交性rRNA分子であると有利である。

    さらに別の態様では、2つ以上のタンパク質翻訳機構を含む細胞であって、
    (a)第1の機構が、天然の遺伝コードに従ってmRNAがリボソームによって翻訳される天然の翻訳機構であり、
    (b)第2の機構が、直交性コドンを含む直交性mRNAが直交性リボソームによって翻訳される人工の機構であり、
    上記直交性mRNA内の直交性コドンが、
    (i)天然のリボソームによって翻訳されないか、又は (ii)直交性リボソームよりも天然のリボソームによる方が低い効率で翻訳されるか、又は (iii)直交性リボソーム及び天然のリボソームによって異なったポリペプチドに翻訳される直交性コドンである、細胞を提供する。

    直交性コドンは、拡張コドンであることが好ましく、クアドラプレットコドンであることが有利である。

    別法では、直交性コドンが、アンバー終止コドンなどの終止コドンである。

    細胞内の直交性リボソームは、本発明の第1の態様に記載の直交性rRNAを組み込んだものが好ましい。

    リボソーム解読ライブラリーの設計を示す図である。 A. リボソーム(緑色)のA部位内でmRNA(紫色)に結合しているtRNAアンチコドンステムループ(黄色)の構造。 530ループはオレンジ色で示されている。 B. 530ループの2次構造。 四内の配列はシュードノットを形成し、Ψはプソイドウリジンであり、m7Gは7−メチルグアノシンである。 C. リボソーム解読ライブラリーの配列。 3次元構造図は、Pymol v0.99(http://www.pymol.org)及びPDB ID 1IBMを用いて作成した。 2D構造図は、http://www.rna.icmb.utexas.edu/からの改作である。

    クアドラプレットコドン解読が改善されているものを得るための直交性リボソームの選択を示す図である。 A. 選択の模式図。 直交性クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼmRNA(紫色)上のクアドラプレットコドンが、拡張アンチコドンtRNA(黄色)を用いた直交性リボソーム(緑色)によって解読されている。 取込みの忠実性は、タンパク質内の、セリンを必要とする部位で、セリンを挿入するtRNAとクアドラプレットコドンとを用いることによって確実になっている。 クアドラプレット解読が改善されているリボソームライブラリーメンバーを含有する細胞がクロラムフェニコール存在下で選択される。 B. 使用された、UAGA及びUCCUを解読するtRNAのアンチコドンステムループ配列。 C. O−catにおけるクアドラプレットコドン周辺の配列。 可変的なクアドラプレットコドン「Quad」は「nnnn」と表記されている。 O−フレームのUAGA配列は、クアドラプレット解読とトリプレット解読との間の競合を試験するために導入した変異を示す。

    クアドラプレットコドンのtRNA依存的解読が強化されているリボソームの選択及び特性分析を示す図である。 A. tRNAser2由来の同族tRNAを用いた、UAGA及びAGGAコドンを解読するリボソームの選択。 上端の配列軌跡は、選択前の16S rDNAを示し、下側の軌跡は、プール(クロラムフェニコールプレート上での選択で生存した全てのコロニーに由来する配列)の収束を示す。 B. 各選択から単離された個々のクローンの配列及びO−cat(xxxx103、xxxx146)/tRNAser2(yyyy)における、同族tRNAでUAGA又はAGGAコドンを解読するリボソームの強化。 C. ribo−Xによる、O−cat(UAGA103、UAGA146)遺伝子内のUAGAコドン解読の強化は、tRNAser2(UCUA)に依存している。

    tRNAser2に由来するいくつかの拡張アンチコドンtRNAを用いたクアドラプレットコドン解読へのribo−Xの影響を示す図である。 先祖O−リボソーム及びribo−Xに関して、ribo−Xによって与えられた強化の倍率と共に、O−cat(XXXX103、XXXX146)/tRNAser2(YYYY)によるクロラムフェニコール耐性をmg ml

    −1で示す。 2コドンコンストラクトでは、活性が、正確に測定するには低すぎたので、UAGG、UAGC、UAGU及びUAGコドンに関するデータは、O−catの位置103に単一の選別用コドンを有するレポーターに関するものである。

    UAGAクアドラプレットコドンの解読におけるribo−Xの効率を示す図である。 O−cat又はO−cat(UAGA103、UAGA146)のいずれかから産生したクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼによる、クロラムフェニコール(Cm,chloramphenicol)の、アセチル化クロラムフェニコール(AcCm,acetylated chloramphenicol)へのアセチル化を示す薄層クロマトグラフィー(TLC,thin-layer chromatography)。

    ribo−Xの特異性を示す図である。 A. O−cat(UAGN103、UAGN146)/tRNAser2(UCUA)及びribo−Xを含有する細胞のクロラムフェニコール耐性。 B. 図6のパネルAに示したコンストラクトを用い、図5にある通りに標識したTLC。

    天然のリボソーム及び直交性リボソームの解読特性の分枝を示す図である。 天然のリボソーム(灰色)及び先祖直交性リボソーム(緑色)はそれぞれ、wt mRNA(黒色)及び直交性mRNA(紫色)を解読する。 RF−1(青色)は、両方のリボソームのA部位でUAGコドンに向けて効率的に競合する(暗灰色の矢印)ので、非天然アミノ酸で一意的にアミノアシル化されるアンバーサプレッサーtRNA(黄色)は、両方のリボソームで、等しく、低効率で解読される(明灰色の矢印)。 直交性リボソームの合成的進化は、変異体(オレンジ色の班)直交性リボソームが、直交性mRNAのコンテクスト内にあるアンバーサプレッサーtRNAをより効率的に解読する進化したシナリオをもたらす。 直交性リボソームは天然のmRNAを読まず、天然のリボソームは改変されていないので、天然のmRNAの解読は影響を受けない。 表面構造図は、Pymol v0.99 (www.pymol.org)及びPDB ID 2864及び1J1Uを用いて作成されている。

    リボソーム解読ライブラリーの設計を示す図である。 A. リボソーム(緑色)のA部位内でmRNA(紫色)に結合したtRNAアンチコドンステムループ(黄色)の構造。 530ループはオレンジ色で示されている。 B. リボソームのA部位に結合したRF−1(青色)の構造モデル。 C. 530ループの2次構造。 四角内の配列はシュードノットを形成し、Ψはプソイドウリジンであり、m

    Gは7−メチルグアノシンである。 D. リボソーム解読ライブラリーの配列。 3次元構造図はPymol v0.99(www.pymol.org)並びにPDB ID 1IIBM及び2B64を用いて作成した。 2D構造図は、http://www.rna.icmb.utexas.edu/からの改作である。

    ribo−Xの選択及び表現型特性分析を示す図である。 A. tRNA

    ser2に由来する同族tRNAを用いた、UAGAコドン及びUAGコドンを解読するリボソームの選択。 上端の配列軌跡は、選択前の16S rDNAを示し、下側の軌跡は、プール(クロラムフェニコールプレート上での選択で生存した全てのコロニーに由来する配列)の収束を示す。 B. クロラムフェニコール存在下での生存によって測定された、O−cat(UAGA103、UAGA146)遺伝子内のUAGAコドンの解読における、ribo−X、tRNA

    ser2 (UCUA)依存的な強化。 C. Bと同じ、但しCAT活性を直接的に測定している。 薄層クロマトグラフィー(TLC)は、O−cat又はO−cat(UAGA103、UAGA146)のいずれかから産生されたCATによる、クロラムフェニコール(Cm)の、アセチル化クロラムフェニコール(AcCm)へのアセチル化を示す。

    ribo−Xの翻訳忠実性は天然のリボソームのものに匹敵することを示す図である。 A. O−gst−malEからの翻訳はribo−X又はO−リボソームに依存している。 B. エレクトロスプレーイオン化質量分析によって判断すると、ribo−Xは、野生型リボソームによって合成されたものと同じ組成のタンパク質を合成する。 ribo−X、先祖O−リボソーム又は野生型リボソームによって合成されたMBPのエレクトロスプレーイオン化スペクトルが示されている。 各リボソームを用いて、GST−MBPタンパク質を合成し、これをグルタチオンセファロース上で精製し、リンカー内の一部位(補足図3)で、トロンビン切断を行った。 この結果得られた断片対は、同一なエレクトロスプレーイオン化スペクトルを有する(検出値:O−リボソーム 44984Da、ribo−X44984Da、wtリボソーム 44984Da、予測値 44981Da)。 C.

    35 S−システインの中間の取込みによって測定された翻訳エラー頻度は、ribo−Xと天然のリボソームとで区別不能である。 GST−MBPを

    35 S−システインの存在下で各リボソームによって合成し、グルタチオンセファロース上で精製し、トロンビンで消化した。 左のパネルは、トロンビン消化産物のクーマシー染色を示す。 アノテーションのないバンドは、主としてトロンビン調製物から生じる。 右のパネルは、Stormホスホイメージャーを用いて画像化した、同様なゲル内のタンパク質の

    35 S標識を示す。

    35 Sゲルのクーマシー染色は補足図6に示されている。 レーン1〜3は、pSC101*-ribo-X及びpO-gst-malE、pSC101*-O-ribosome及びpO-gst-malE、並びにpSCl01*-BD及びpgst-malE.を含有している細胞から得られた精製タンパク質のトロンビン切断反応を示す。 レーン4は、gst−malE遺伝子融合体をもたない細胞を他の試料と同様に処理した陰性対照である。 サイズマーカーは、事前着色スタンダード(Bio-Rad社製161-0305)である。 D. 二重ルシフェラーゼアッセイによって測定されたribo−Xの翻訳忠実性は、天然のリボソームのものに匹敵している。 この系では、C末端ホタルルシフェラーゼが、必須リジン残基をコードするコドンK529(AAA)で変異導入されている。 変異遺伝子の発現から生じるホタルルシフェラーゼ活性を野生型ホタルルシフェラーゼと比較し、発現のいかなる可変性も、同時翻訳されるN末端ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼの活性を用いて正規化することによって、この変異体コドンがtRNA

    Lys (UUU)によって誤読される程度を決定する。 以前の研究は、この系で測定されたホタルルシフェラーゼ活性が、コードされた変異を含有している、より豊富なタンパク質から生じる低い活性ではなく、主として、変異体コドンに反応してリジンを誤取込みした少量のタンパク質の合成の結果生じることを実証している(Prescott, CD & Kornau, HC Mutations in E.coli 16s rRNA that enhance and decrease the activity of a suppressor tRNA. Nucleic Acids Res 20, 1567-1571 (1992))。 ribo−Xの忠実性を検査する実験では、pSC101*-ribo-X、並びにpO-DLR及びそのコドン529変種を含有する細胞からの溶解物をアッセイした。 対照実験は、pSC101*-0-リボソーム、並びpO-DLR及びそのコドン529変種、又はpwt-DLR及びその変種を含有する細胞からの溶解物を用いた。 直交性リボソーム又はribo−Xの存在下及び非存在下におけるpO-DLRに関するアッセイは、pO-DLRでの翻訳の98%超がribo−X又は直交性リボソームから生じることを示している(補足図4)。 これは、pO-DLRで測定した忠実性がribo−Xの活性を反映していることを確認するものである。

    A. 単一及び二重のUAGコドンに反応して、ribo−XがBpaRS/tRNA

    CUA依存的な非天然アミノ酸の取込み効率を強化することを示す図である。 同一条件下でグルタチオンセファロースから精製された等容積のタンパク質が各レーンに添加されている。 ribo−Xは、pSC101*-ribo-X由来のrRNAから産生されている。 Bpaはp−ベンゾイル−L−フェニルアラニンである。 BpaRSは、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニル−tRNAシンテターゼである。 BpaRS/tRNA

    CUAは、6コピーのMjtRNA

    CUAを含有するpSUPBpa(Rackham, O. & Chin, JW Cellular logic with orthogonal ribosomes. J Am Chem Soc 127, 17584-17585 (2005))から産生されており、これまでに報告されているもののなかで最も効率的な非天然アミノ酸取込みベクターである。 (UAG)

    は、O−gst(UAG)

    malE又はgst(UAG)

    malE内のgstとmalEとの間の終止コドンの数(n)を表す。 レーン10は別のゲルからのものである。 マーカーは図9に記載の通りである。 B. ribo−XによってO−gst(UAG)

    malEから発現されたタンパク質の質量が、2つのBpaの取込みに予測されている通りであることを示す図である。 精製された完全長タンパク質をトロンビンで切断して、正確な質量測定に適用可能なMBP断片を産生した。 検出された質量(45191)は、MBPへの2つのBpaの取込みに予測されている質量(45191.6)と同じである。 45216Daの小さなピークはNa

    付加物である。 C&D. ribo−Xによって合成され、2つのBpaを取り込んでいるGST−MBPから得られたキモトリプシン消化ペプチドのMS/MS断片化を示す図である。 スペクトルは、両方の予測部位でのBpa取込みを確認するものである。 各断片イオンの断片化部位がスペクトルの上に図示されている。 BはBpaを指す。

    補足表1を示す図である。

    図13は、補足表2を示す図である。

    図13は、補足表2を示す図である。

    補足図1は、使用したtRNAのアンチコドンステムループを示す図である。

    補足図2は、catレポーター遺伝子内のUAGA及びUAG選別用コドンのコンテクストを示す図である。

    補足図3は、gst−malE発現コンストラクトのリンカー領域を示す図である。 gst(UAG)

    malEコンストラクト内で変異しているコドンが示されている。 GST−MBPのトロンビン切断部位が示されている。

    補足図4、O−DLR由来のウミシイタケルシフェラーゼ(O−R−luc)活性のリボソーム依存性を示す図である。 O−リボソーム又はribo−Xは40〜45倍の活性化をもたらす。 これは、O−リボソームの存在下で、ルシフェラーゼ融合体の97%超がO−リボソームによって産生されていることを示す。 エラーバーは標準誤差を示す。

    補足図5は、ribo−X媒介の非天然アミノ酸取込み効率の強化が、最小培地中で頑強であることを示す図である。 実験は、発現に最小培地を用いたことを除いて、図11Aに関して記載した通りに行った。 先祖リボソームの効率をribo−Xと比較した際にも、同様な結果が観察された。 分子量マーカーは、図10に記載の通りである。

    補足図6は、GST−MBPへの35Sの誤取込みを示す図である。 図10で35Sデータを取得したクマシーゲル及び対応する35S画像が並置して示されている。 バンドの整列が境界ボックスによって示されている。 レーンは、図10c内のものと同じに並べられている。

    定義 「直交性」という用語が本明細書で使用される場合、それは、他の核酸と協働する能が天然の内因性核酸とは異なる核酸、例えばrRNA又はmRNAを指す。 直交性mRNA、rRNA及びtRNAは、効率的に協働する適合群(同族群)となる。 例えば、直交性rRNAは、リボソームの一部である場合、天然の内因性mRNAではなく、適合している同族直交性mRNAを効率的に翻訳する。 単純にするために、直交性rRNAを含むリボソームを本明細書では「直交性リボソーム」と呼び、直交性リボソームは、同族の直交性mRNAを効率的に翻訳する。

    直交性コドン又は直交性mRNAコドンは、同族の直交性リボソームによってのみ翻訳されるか、又は同族の直交性リボソームによって、天然の内因性リボソームによるよりも効率的に翻訳されるか、又は異なって翻訳される、直交性mRNA内のコドンである。 直交性は、Oと短縮表記される(O−mRNAのOのように)。

    したがって、一例として、直交性リボソーム(O−リボソーム)・直交性mRNA(O−mRNA)対は、内因性リボソームによる翻訳を指示しないリボソーム結合部位を含有するmRNAと、直交性mRNAを効率的且つ特異的に翻訳するが、細胞性mRNAを認めうるほどに翻訳しない直交性リボソームとで構成される。

    本明細書で例えば「進化した直交性リボソーム」という表現に適用される場合、「進化した」は、多様化及び選択を介した分子の機能の発展を指す。 例えば、本明細書に記載の手順に従って、所望の位置で多様化されたrRNA分子のライブラリーを選択にかけることができる。 この選択過程によって、進化したrRNAが得られる。

    本明細書で使用される場合、O−mRNA O−リボソーム対に関するコンテクストで使用される場合、「mRNA」という用語は、天然の野生型リボソームによってではなく、同族のO−リボソームによって効率的に翻訳される直交性コドンを含むmRNAを指す。 加えて、それは、野生型リボソームではなく、O−リボソームによる翻訳の開始を効率的に媒介する変異体リボソーム結合部位(とりわけ、AUG開始コドンから、AUG開始コドンに対して−13上流までの配列)を含みうる。 mRNAの残りの部分は様々でありえ、それによって、上記リボソーム結合部位の下流に任意のタンパク質のコード配列を配置することによって、内因性リボソームによってではなく、直交性リボソームによって効率的に翻訳されるmRNAがもたらされる。

    本明細書で使用される場合、「rRNA」という用語は、O−mRNA O−リボソーム対に関するコンテクストで使用される場合、上記rRNAが直交性rRNAであり、それを含有するリボソームが直交性リボソームであるように、すなわち、それが同族の直交性mRNAのみを効率的に翻訳するように変異導入されたrRNAを指す。 野生型リボソームのrRNAの1次、2次及び3次構造は、極めてよく知られており、様々な保存構造の機能も同様である(ステム−ループ、ヘアピン、ヒンジなど)。 O−rRNAは、通常、16S rRNA内に、翻訳過程中のtRNA結合の原因となる変異を含んでいる。 それは、スモールrRNAサブユニットの3'領域にも、翻訳の開始及びmRNAのリボソーム結合部位との相互作用の原因となる変異を含みうる。

    細胞内における「O−rRNA」の発現は、この用語が本明細書で使用される場合、上記細胞に対して非毒性である。 毒性は、細胞死によって、又はその代わりに、「O−mRNA」を発現しない細胞に対する、増殖速度の80%以上の低減によって判定される。 O−rRNAの発現は、好ましくは、O−rRNAをもたない同様な細胞の増殖に対して50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満の増殖の低減を有し、さらにより好ましくは、増殖を全く減速させない。

    本明細書で使用される場合、「より効率的に翻訳する」及び「より効率的に翻訳を媒介する」という用語は、所与のO−mRNAが同族のO−リボソームによって、少なくとも25%、より効率的に、好ましくは、同じ細胞又は細胞型で野生型のリボソーム又は非同族のO−リボソームによってO−mRNAが翻訳される効率の少なくとも2倍、3倍、4倍若しくは8倍、又はそれ以上に効率的に翻訳されることを意味する。 ひとつの評価基準として、例えば、少なくとも1つの直交性コドンを用いた、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードするO−mRNAの、天然のリボソーム又は非同族の直交性リボソームによる翻訳に対して、翻訳効率を評価できる。

    本明細書で使用される場合、「に対応する」という用語は、ヌクレオチド配列に関して使用される場合、1分子内、例えば16S rRNA内の所与の配列が、別の分子、例えば別の種の16S rRNAにおける同じ位置にあることを意味する。 「同じ位置にある」とは、Tatusova及びMaddenによって記載され(1999, "Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol. Lett. 174:247-250)、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI,the US National Center for Biotechnology Information)から入手できるBLAST配列アラインメントアルゴリズム「BLAST 2 Sequences」を用いてアラインメントした際に、「対応する」配列が相互にアラインメントされることを意味する。 いかなる疑義も回避するため、BLASTバージョン2.2.11(NCBIウェブサイトで利用可能、又は代わりに上記サイトからダウンロード可能)を以下のデフォルトパラメータ、すなわち、プログラム、blastn;一致による得点、1;不一致によるペナルティー、−2;ギャップ開始ペナルティー及びギャップ伸長ペナルティー、それぞれ5及び2;ギャップ×ドロップオフ、50;期待値10.0;ワードサイズ11;フィルター有りを用いて使用した。

    本明細書で使用される場合、「選択マーカー」という用語は、対応する選択剤の添加によって、集団内における、その遺伝子配列をコード及び発現する細胞の選択を可能にする遺伝子配列を指す。

    本明細書で使用される場合、「リボソーム結合部位でmRNAと相互作用する配列を含む領域」は、翻訳開始中のmRNAと物理的に、例えば塩基対合又は他の相互作用によって相互作用する、16S rRNAの3'末端近傍のヌクレオチドを含む配列領域を指す。 上記「領域」は、リボソーム結合部位でmRNA内のヌクレオチドと塩基対合又は他の方法で物理的に相互作用するヌクレオチド、及びそのようなヌクレオチドの5'側又は3'側にある5ヌクレオチド以内のヌクレオチドを含有している。 シャイン−ダルガノヘリックスの副溝の近傍で、リボソームとmRNAとの間に形成されるバルジを形成する、大腸菌16S rRNAのヌクレオチド722及び723に対応する塩基も、この「領域」内に含有されている。

    本明細書で使用される場合、「多様化された」という用語は、ライブラリー内の個々のメンバーによって、所与の部位における配列が異なることを意味する。 多様性を導入する方法は、当業者によく知られており、所与の部位にランダムな多様性を導入することも、完全にはランダムでない多様性を導入することもできる。 「完全にランダム」とは、所与のヌクレオチドが、G、A、T又はCのいずれでも(又は、RNAでは、G、A、U及びCのうちのいずれでも)ありうることを意味する。 「完全にはランダムでない」とは、所与の部位を、G、A、T(RNAではU)又はCの全てではないが、複数の異なったヌクレオチドが占めうること、例えば、所与の部位で、多様性によって、U若しくはCではなく、G若しくはAのいずれかが可能となる場合、又はCではなく、G、A若しくはUのいずれかが可能となる場合を意味する。

    本明細書で使用される場合、「リボソーム結合部位」という用語は、翻訳の開始時にリボソームが結合する、mRNAの領域を指す。 本明細書における定義では、原核細胞mRNAの「リボソーム結合部位」は、シャイン−ダルガノコンセンサス配列と、AUG開始コドンに対して−13から+1までのヌクレオチドとを含有している。

    本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸」は、タンパク質中に天然で存在する20種のアミノ酸以外のアミノ酸を指す。 非限定的な例には、p−アセチル−L−フェニルアラニン、p−ヨード−L−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、p−プロパルギルオキシフェニルアラニン、p−プロパルギル−フェニルアラニン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;トレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ホウ酸、ボロン酸、リン酸、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト、又はアミノ置換アミノ酸、又はこれらの組合せ;光励起性架橋物質を有するアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸;金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージドアミノ酸及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学的に切断可能なアミノ酸又は光切断可能なアミノ酸;延長された側鎖を有するアミノ酸;毒性基を含有するアミノ酸;糖置換アミノ酸;炭素連結された糖を含有するアミノ酸;酸化還元活性なアミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸;α,α二置換アミノ酸;β−アミノ酸;プロリン又はヒスチジン以外の環状アミノ酸、及びフェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン以外の芳香族アミノ酸が含まれる。

    本発明者らによる同時係属の国際特許出願PCT/GB2006/002637号パンフレットにおいて、本発明者らは、O−mRNA内のリボソーム結合部位がO−リボソームに特異的に結合する直交性リボソーム/mRNA対の産生について記載している。

    簡潔には、細菌のリボソームは、タンパク質へのmRNAの翻訳に原因となるrRNA及びタンパク質の2.5MDa複合体である(The Ribosome, Vol. LXVI. (ColdSpring HarborLaboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; 2001)。mRNAと、リボソームの30Sサブユニットとの相互作用は、翻訳における早期の事象であり(Laursen, BS, Sorensen, HP, Mortensen, KK & Sperling-Petersen, HU, Microbial Mal Biol Rev 69, 101-123 (2005))、最初のコドン(Wikstrom, PM, Lind, LK, Berg, DE & Bjork, GR, J Mol Biol 224, 949-966 (1992))、リボソーム結合配列(シャイン−ダルガノ(SD,Shine-Dalgarno)配列を含める(Shine, J. & Delgarno, L., Biochem J 141, 609-615 (1974)、Steitz, JA & Jakes, K., Proc Natl Acad Sci USA 72, 4734-4738 (1975)、Yusupova, GZ, Yusupov, MM, Cate, JH & Noller, HF, Cell 106, 233-241 (2001)))、及びこれらの配列間の間隔(Chen, H., Bjerknes, M., Kumar, R. & Jay, E., Nucleic Acids Res 22, 4953-4957 (1994))を含めた、遺伝子の発現を制御する、mRNAのいくつかの特徴が知られている。特定の場合には、mRNA構造(Gottesman, S. et al. in The Ribosome, Vol. LXVI (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York; 2001)、Looman, AC, Bodlaender, J., de Gruyter, M., Vogelaar, A. & van Knippenberg, PH, Nucleic Acids Res 14, 5481-5497 (1986)、Liebhaber, SA, Cash, F. & Eshleman, SS, J Mo1 Biol 226, 609-621 (1992))、又は代謝産物の結合(Winkler, W., Nahvi, A. & Breaker, RR, Nature 419, 952-956 (2002))が翻訳の開始に影響を与え、まれな場合では、mRNAは、SD配列なしで、翻訳されうるが、これらの配列の翻訳は効率が悪く(Laursen, BS, Sorensen, HP, Mortensen, KK & Sperling-Petersen, HU, Microbiol Mol Biol Rev 69, 101-123 (2005))代替の開始経路を介して動作する(Laursen, BS, Sorensen, HP, Mortensen, KK & Sperling Petersen, HU Initiation of protein synthesis in bacteria. Microbial Mol Biol Rev 69, 101-123 (2005))。 細菌遺伝子の圧倒的多数では、mRNAのSD領域が翻訳効率の主要決定因子である。 古典的なSD配列であるGGAGGは、アンチシャイン−ダルガノ(ASD,Anti Shine Delgarno)として知られているCCUCCという配列を含有する、16S rRNAの3'末端領域とのRNA−RNA塩基対合を介して相互作用する。 大腸菌では、約4122の翻訳開始点があり(Shultzaberger, RK, Bucheimer, RE, Rudd, KE & Schneider, TD, J Mol Biol 313, 215-228 (2001))、これらは、SD様配列とAUG開始コドンとの間の間隔、SD様配列とリボソームとの間の相補性の度合い、及び16S rRNAの3'末端における、mRNAが相互作用する配列の正確な領域が相違している。 したがって、このリボソームは、ただの古典的なシャイン−ダルガノ(SD)配列よりは複雑なセットの配列からの翻訳を推進させる。 明快にするために、16S rRNAの3'末端に結合すると考えられているmRNA配列をSD配列と呼び、GGAGG(配列番号1)という特定の配列を古典的なSD配列と呼ぶ。

    SD配列内の変異は、しばしば急速な細胞溶解及び細胞死をもたらす(Lee, K., Holland-Staley, CA. & Cunningham, PR, RNA 2, 1270-1285 (1996)、Wood, TK & Peretti, SW, Biotechnol. Bioeng. 38, 891-906 (1991))。 そのような変異体リボソームは、細胞性の翻訳を誤調節するものであって、直交性ではない。 ASD領域内での変異に対する、細胞が生存するかどうかの感受性は、ASD内の単一の変化でさえ、プロテオーム合成の破局的且つ全体的な誤調節を介して、細胞死へと導きうるという観察によって強調される(Jacob, WF, Santer, M. & Dahlberg, AE, Proc Natl Acad Sci USA 84, 4757-4761 (1987))。 rRNAにおける他の変異は、機能的なリボソームのプロセシング又は構築における機能不全をもたらしうる。

    国際特許出願PCT/GB2006/02637号パンフレットは、野生型のリボソーム及びmRNAに関して、複製された大腸菌リボソームmRNA対の分子特異性を、複数の直交性リボソーム直交性mRNA対を産生するのに適合させる方法を記載している。 これらの対では、リボソームが直交性mRNAのみを効率的に翻訳し、直交性mRNAは、細胞性リボソームの効率的な基質ではない。 そこに記載されている、内因性mRNAを翻訳しない直交性リボソームは、細胞遺伝子発現を妨げずに、所望の同族mRNAの特異的な翻訳を可能にする。 これらの直交性対の相互作用のネットワークが予測及び決定され、転写後にブール論理で細胞をプログラムするのに直交性リボソームmRNA対を使用できることが示されている。

    国際特許出願PCT/GB2006/02637号パンフレットは、直交性翻訳機構の進化に関する正及び負の選択を行うための機構を記載している。 この選択方法は、複数の直交性リボソームmRNA対(O−リボソーム O−mRNA)を進化させるのに適用される。 同族及び非同族の、O−リボソームとO−mRNAとの相互作用のネットワークに関する、成功した予測も記載されている。

    本発明者らは、ここに、リボソームの分子解読特性を拡張する、新規の、さらに改変された直交性リボソームと、そのようなO−リボソームを産生する方法とを提供する。 詳細には、本発明者らは、拡張アンチコドンループを有するtRNAを用いて、より効率的に1セットのクアドラプレットコドンを解読する直交性リボソームを進化させる。 さらに、本発明者らは、本発明者らが観測した強化の機構的説明を提供し、アンバーサプレッサーtRNAでアンバーコドンを解読するのにも、上記の進化した直交性リボソームが実質的にさらに効率的であることを実証する。

    本発明者らは、合成の遺伝コード拡張の効率を強化する進化した直交性リボソームを開示する。 本発明者らは、直交性リボソームと直交性mRNAとで構成された細胞モジュールを提供する。 これらの対は、大腸菌(Escherichia coli)における天然のリボソーム−mRNA対と、独立的ではあるが平行して機能する。 直交性リボソームはプロテオームを合成せず、天然のリボソームとは異なったtRNA解読ルールを用いて動作するように分枝させることができる。 ここで、本発明者らは、生細胞内の直交性mRNAのコンテクスト内に配置されたアンバーコドンなど、コドンの効率的で高忠実度な解読のための直交性リボソーム(ribo−X)の進化を実証する。 本発明者らは、ribo−X、直交性mRNA及び直交性アミノアシルtRNAシンテターゼ/tRNA対を組み合わせて、大腸菌における部位特異的な非天然アミノ酸取込みの効率を実質的に増大させる。 これは、複数の部位で非天然アミノ酸を取り込むタンパク質の効率的な合成を有利に可能にし、且つ/又は、例えば、タンパク質機能をインビボで探索するために非天然アミノ酸の取込みを用いた実験における、末端欠失タンパク質の機能及び/若しくは表現型への影響を最小にする。

    直交性コドン 初めて、本発明者らは、直交性mRNAコドンを翻訳できる進化したリボソームを記述する。 これは、このリボソームが、普遍的な遺伝コードではなく直交性遺伝コードであるコードに従ってmRNA情報を解釈することを意味する。 これは、コードの相違によってクロストークが排除されている細胞内に存在する2つの別々の遺伝系を有する可能性、又はどのコードがそれを翻訳するのに用いられているかに従って異なったポリペプチドをコードするmRNA分子の可能性を含めた多くの可能性を導入するものである。

    直交性遺伝コードをそれから構築できる直交性コドンは、普遍的なトリプレットコード以外のコードである。 以下の表1に普遍的遺伝コードを示す。

    このコードにおけるある種の変異は天然に存在している。 例えば、ミトコンドリアは、UGAを、鎖終止コドンとして用いるのではなく、トリプトファン(Trp)をコードするのに用いる。 加えて、
    ・ほとんどの動物ミトコンドリアは、AUAをイソロイシンではなくメチオニンに用いており、
    ・全ての脊椎動物のミトコンドリアは、AGA及びAGGを鎖終止コドンとして用いており、
    酵母ミトコンドリアは、CUで始まる全てのコドンをロイシンではなく、トレオニンに割り当てる(ロイシンは、細胞質ゾルのmRNA内と同じように、依然としてUUA及びUUGによってコードされている)。
    植物ミトコンドリアは普遍的コードを用いており、これは、被子植物がミトコンドリア遺伝子を極めて容易にそれらの核に移行させるのを可能にしてきた。

    核内遺伝子では、普遍的コードへの違反ははるかにまれである。 少数の単細胞真核生物は(それらの3つの終止コドンのうち)1つ又は2つの終止コドンを代わりにアミノ酸に用いていることが見出されている。

    大多数のタンパク質は、たとえ、これらのうちの一部は後に、例えばリン酸化によって化学的に改変されうるとしても、上記に示した20種のアミノ酸から構築されている。

    しかし、標準的な20種の1つではないアミノ酸が伸長中のポリペプチドにtRNAによって挿入される2つの場合が天然で見出されている。
    ・セレノシステイン。 このアミノ酸はUGAによってコードされている。 UGAは依然として鎖終止コドンとして使用されるが、翻訳機構は、いつUGAコドンを終止コドンではなくセレノシステインに使用するべきか判別できる。 このコドン使用法は、ある種の古細菌、真正細菌、及び動物で見出されている(ヒトは、セレニウムを含有する25種の異なったタンパク質を合成する)。
    ・ピロリシン。 古細菌の一員で見出された1遺伝子において、UAGによってこのアミノ酸がコードされている。 翻訳機構がUAGに遭遇した場合に、ピロリシンを有するtRNAを挿入するべきか、又は翻訳を停止するべきかを、それがいかにして知るかはまだ知られていない。

    本発明の目的では、上記の全てを普遍的遺伝コードの一部であると考える。

    本発明は、自然界で以前に知られていたものではなく、直交性mRNA/rRNA対のコンテクストで開発及び使用される新規なコードを可能にする。

    直交性リボソームの選択 直交性リボソーム直交性mRNA対又は直交性分子の他の対を同定するための選択アプローチは、O−mRNA内の直交性コドンの翻訳に関する選択を必要とする。 この選択は、O−mRNAを発現する細胞が、それを発現しないもの、又はより低い効率で発現するもののなかから選択されるような、正の選択が有利である。

    多数の様々な正の選択剤が使用できる。 最も一般的な選択戦略は、抗生物質存在下での条件的な生存を用いたものである。 これらの正の選択のうち、抗生物質であるクロラムフェニコールと組み合わせたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が最も有用なものの1つであると判明している。 当技術分野で知られている他のもの、とりわけ、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン又はストレプトマイシン耐性なども使用できる。

    O−mRNA/O−rRNA対は、同族の直交性リボソームが翻訳できる直交性転写産物、例えばCATを宿主細胞内で産生するのに使用し、それによって、上記転写産物によってコードされているポリペプチドの発現の極めて高感度な制御を可能にすることができる。 したがって、それらの対は、例えば、直交性mRNAが所望のポリペプチドをコードするそのような対をコードする核酸を細胞に導入することによって、所望のポリペプチドを産生するのに用いることができる。 直交性リボソームによる直交性mRNAの翻訳は、所望のポリペプチドの産生をもたらす。 直交性mRNA直交性リボソーム対をコードする細胞の中で産生されるポリペプチドは非天然アミノ酸を含有できると企図されている。

    ここに記載する方法は、O−mRNAがO−rRNAによって翻訳される直交性コドンを含む種における、直交性mRNA直交性rRNA対の選択に適用できる。 したがって、これらの方法は、この作用機序が保存されている原核生物種及び真核生物種全体にわたって広範に適用できる。 16S rRNAの配列は多くの細菌種が知られており、それ自体、細菌種相互の進化上の関係を定義する進化系統樹を作成するのに使用されてきた(例えば、Ludwig & Schleifer, 1994, FEMS Microbial. Rev. 15: 155-73で概説されている;Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Volumes 1 and 2, Springer, George M. Garrity, ed.も参照)。 リボソームデータベースプロジェクトII(Cole JR, Chai B, Farris RJ, Wang Q, Kulam SA, McGarrell DM, Garrity GM, Tiedje JM, Nucleic Acids Res, (2005) 33(Database Issue):D294-D296. doi: 10.1093/nar/gki038)は、リリース9.28(05年6月17日)で、オンライン分析ツールと共に、155708の、アラインメント及びアノテーションされた16S rRNA配列を提供している。

    進化系統樹は、例えばClustalW配列アラインメントアルゴリズムで16S rRNA配列及び近隣結合法を用いて構築される。 1つの種でそのセットを相互に対して直交性にする所与のセットの変異(16S rRNA及びmRNA内のコドンにおける)が別の種で同様な効果を有する見込みを、進化系統樹を用いて見積もることができる。 したがって、例えば、腸内細菌科の一員(例えば大腸菌)でmRNA/16S rRNA対を相互に対して直交性にする変異は、進化系統樹上の異なった科の一員より、同じ科(例えばサルモネラ属(Salmonella))の別の一員で直交性mRNA/直交性リボソーム対をもたらす可能性がより高いであろう。

    複数の細菌種が極めて近縁である一部の場合では、1つの種で直交性分子をもたらす16S rRNA変異及びmRNA変異に対応する変異を、近縁の種に導入して、その近縁種で直交性mRNA直交性rRNA対を生成することが可能でありうる。 複数の細菌種が極めて近縁である場合(例えば大腸菌とサルモネラ属諸種)でも、1つの種から近縁種に直接的に直交性16S rRNA及び直交性mRNAを導入して、機能的な直交性mRNA直交性リボソーム対をその近縁種で得ることが可能でありうる。

    別法では、直交性mRNA直交性リボソーム対の同定が望まれている種が、1セットの対が既に選択されている種と近縁でない場合(例えば、それらが同じ系統学的な科に属さない場合)、本明細書に記載の選択法を用いて、所望の種で直交性mRNA直交性リボソーム対を生成することができる。 簡潔には、変異導入された直交性16S rRNA分子のライブラリーを調製することができる。 その後、そのライブラリーを選択された種に導入することができる。 本明細書に記載の通り、1又は複数の直交性コドンを用いて、選択されたポリペプチドをコードする配列を含む1又は複数のO−mRNA配列を生成することができる(この細菌種は選択剤の活性に感受性でなければならないが、これは当業者によって容易に判定されることである)。 その後、O−mRNAと対をなす直交性リボソームを同定するために、上記O−rRNAライブラリーを含む細胞に上記O−mRNAライブラリーを導入し、それに続いて、正の選択マーカーを発現する細胞を得るための正の選択を行うことができる。

    本明細書に記載の方法は、病原細菌に加えて、工業用及び農業用に重要な細菌を含めた広範な細菌における翻訳又は他の過程を方向付けるのに有用な分子の同定に適用できる。 病原細菌は当業者によく知られており、16S rRNA配列のみではなく、多数のmRNAコード配列も含めた配列情報は、GenBankなどの公共データベースで利用可能である。 一般的であるが、非限定的な例には、例えば、サルモネラ属諸種、クロストリジウム属(Clostridium)諸種、例えばボツリヌス菌(Clostridium botulinum)及びウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)諸種、例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);カンピロバクター属(Campylobacter)諸種、例えばカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エルシニア属(Yersinia)諸種、例えばペスト菌(Yersinia pestis)、エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)及び仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、リステリア属(Listeria)諸種、例えばリステリア菌(Listeria monocytogenes)、ビブリオ属諸種、例えばコレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)及びビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、セレウス菌(Bacillus cereus)、エロモナス属(Aeromonas)諸種、例えばエロモナス腸炎原因菌(Aeromonas hydrophila)、赤痢菌属(Shigella)諸種、ストレプトコッカス属(Streptococcus)諸種、例えば化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、大便レンサ球菌(Streptococcus faecalis)、フェシウム菌(Streptococcus faecium)、炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・デュランス(Streptococcus durans)及びストレプトコッカス・アヴィウム(Streptococcus avium)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、クレブシエラ属(Klebsiella)諸種、エンテロバクター属(Enterobacter)諸種、プロテウス属(Proteus)諸種、シトロバクター属(Citrobacter)諸種、好気菌属(Aerobacter)諸種、プロビデンシア属(Providencia)諸種、ナイセリア属(Neisseria)諸種、例えば淋菌(Neisseria gonorrhea)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、ヘモフィルス属(Haemophilus)諸種、例えばインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター属(Helicobacter)諸種、例えばピロリ菌(Helicobacter pylori)、ボルデテラ属(Bordetella)諸種、例えば百日咳菌(Bordetella pertussis)、セラチア属(Serratia)諸種、並びに大腸菌の病原種、例えば腸内毒素原性大腸菌(ETEC,Enterotoxigenic E. coli)、腸病原性大腸菌(EPEC,enteropathogenic E. coli)及び腸管出血性大腸菌O157:H7(EHEC,enterohemorrhagic E. coli)が含まれる。

    終結因子1/アンバーコドン 末端欠失タンパク質に比した完全長タンパク質合成の効率を最大にするには、染色体アンバー終止コドンの解読を変化しないままであろう状態で、所望の遺伝子の発現への、終結因子1(RF−1)媒介鎖終止の影響を最小にするのが有利であろう。 本発明者らは、この挑戦に取り組むために、最近記載された直交性リボソームmRNA対を用いることを考えた(実施例及び図7参照)。

    天然のリボソームとは異なり、直交性リボソームはプロテオームを合成する原因とはならず、それゆえ、天然のリボソームでは致死又はドミナントネガティブ効果を引き起こす高度に保存されたrRNAでの変異に対して寛容性がある。 したがって、本発明によれば、RF−1結合の低減及びtRNA依存的なアンバー変異抑圧の増大に向けて、直交性リボソームが有利なことに進化している可能性がある。 さらに、直交性リボソームと関連したアンバー変異抑圧の増大は、直交性mRNA内のアンバーコドンを作動させる利点があり、その一方で染色体終止コドンの抑圧を増大させないことも有利である。

    本発明者らは、生細胞内の直交性mRNAのコンテクスト内に配置されたアンバー終止コドンの、効率的且つ高忠実度なサプレッサーtRNA依存的解読のための、直交性リボソーム(ribo−X)の合成的進化を開示する。 ribo−Xは、大腸菌における部位特異的な非天然アミノ酸の取込み効率を有利に有意に増大させるように、直交性mRNA及び直交性アミノアシル−tRNAシンテターゼ/tRNA CUA対と好ましくは組み合わせることができる。 この効率の増大は、複数の部位で非天然アミノ酸を組み込むタンパク質を合成することを可能にし、インビボでの末端欠失タンパク質の機能及び表現型への影響を最小限にする。 これは、例えば非天然アミノ酸を取り込むタンパク質の製造で、明らかな産業適用及び有用性を有する。

    ribo−Xは、配列及び構造が異なるサプレッサーtRNAによってアンバー終止コドンの抑圧を増大させるので、RF−1とのribo−Xの機能的相互作用を低減することによって、ribo−Xが動作し、上記mRNA上のUAGコドンの存在下で、サプレッサーtRNAがより効率的に競合してA部位に結合するのを可能にすると、本発明者らは提唱する。 ここで開示した戦略の変形及び最適化は、翻訳忠実性を維持しながら、アンバー変異抑圧の一層の増大を生じうる。 この点で、解読センターの異なった立体配座がtRNA及びRF−1によって認識されると生化学的証拠が示唆していること(Youngman et al Cold Spring Harb Symp Quant Biol 71, 545-549 (2006))、及びtRNA解読の忠実性を低減させずに、RF−1媒介の終止が減少する、変異の組合せを本発明者らが選択できたことの両方が勇気付けている。 これらの観察は、驚いたことに、tRNA解読及びRF−1結合の忠実性に関する分子決定因子は、緊密に共役している必要がなく、したがって、直交性系内のさらに別の独立的な調節が本発明によって可能になることを示している。

    直交性リボソームのアンバー変異抑圧効率の改善によって、いまや、本明細書で実証するように、同一細胞内の細胞性mRNAと、直交性mRNAとで同じ挿入シグナルが異なった効率で読まれるように、直交性リボソームの解読特性を細胞リボソームのものから分枝させることが可能である。 専門化した翻訳構成要素の局在化を用いた、概念的には同様であるが、機構的には異なった戦略が、UGAコドンのサブセットに反応してセレノシステインの取込みを指示するのに本来用いられている。 したがって、本発明は、合成の真核生物遺伝コード拡張の効率を増強させるための同様な戦略での適用を見出しうる。 いかなるmRNA上のコドンの意味も、そのmRNAを解読する翻訳機構によって設定されるので、直交性mRNA上に完全に新規な遺伝コードを書くため、及び既存の遺伝コードの「凍結事故」を元に戻すために、本発明者らのアプローチを用いることが可能でありうる。 例えば、独立且つ平行なコード(直交性遺伝コード)を書くのに、細胞性リボソームには貧弱な基質であるが、進化した直交性リボソームによって効率的に解読されるtRNAを用いることが可能でありうる。 直交性遺伝コードは、その細胞の情報蓄積及び遺伝的コード化容量をさらに拡張する生物学的な「仮想オペレーティングシステム」の基礎を形成しうる。

    細菌の形質転換 本明細書に記載の方法は、細菌への外来性又は外因性核酸の導入に依存している。 外因性核酸を用いた形質転換の方法、及び、とりわけ、外因性核酸を取り込む能力を細胞に与える方法は、当技術分野でよく知られている。 例えば、大腸菌などのグラム陰性菌は、塩化カルシウム又は塩化ルビジウムなどの多価陽イオン薬剤での処理によって、形質転換能が与えられる。 グラム陽性菌は、ペプチドグリカン層を除去し、それによってプロトプラストを形成させるために、分解酵素と共にインキュベートすることができる。 プロトプラストをDNA及びポリエチレングリコールと共にインキュベートすれば、細胞融合と、それに伴うDNAの取込みとを得る。 これらの例の両方において、DNAが直鎖上であれば、それはヌクレアーゼに感受性となる傾向があり、それゆえ、形質転換は、共有結合閉環状DNAを使用した場合に最も効率的である。 別法では、形質転換を改善するために、ヌクレアーゼ欠失細胞(RecBC 株)を用いることができる。

    細菌細胞に核酸を導入するには、エレクトロポレーションもよく知られている。 例えば大腸菌などのグラム陰性菌のエレクトロポレーションを行う方法はよく知られているが、とりわけエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)などのグラム陽性菌のエレクトロポレーションに関してもよく知られており、例えば、Dunny et al., 1991, Appl. Environ. Microbiol. 57: 1194-1201に記載されている。
    [実施例]

    直交性リボソームの進化 クアドラプレット解読を強化するためのリボソーム解読センターライブラリーの設計 クアドラプレット解読の詳細な作用機序は、議論の余地があり(Stahl, G., McCarty, GP & Farabaugh, PJ Ribosome structure: revisiting the connection between translational accuracy and unconventional decoding. Trends Biochem Sci 27, 178-183 (2002)、Hansen, TM, Baranov, PV, Ivanov, IP, Gesteland, RF & Atkins, JF Maintenance of the correct open reading frame by the ribosome. EMBO Rep 4, 499-504 (2003))、異なったtRNA/コドン対で相違したものでありうるが、解読の早期且つ必須なステップが、クアドラプレットコドンに反応した、リボソームのA部位への拡張アンチコドンtRNAの結合であることは明らかである。 A部位は、A、P及びE部位で構成されるtRNAトランスロケーション回廊(tRNA translocation corridor)への入り口であり(Schuwirth, BS et al. Structures of the bacterial ribosome at 3.5 A resolution. Science 310, 827-834 (2005)、Korostelev, A., Trakhanov, S., Laurberg, M. & Noller, HF Crystal structure of a 70S ribosome-tRNA complex reveals functional interactions and rearrangements. Cell 126, 1065-1077 (2006)、Selmer, M. et al. Structure of the 70S ribosome complexed with mRNA and tRNA. Science 313, 1935-1942 (2006))、延長tRNAのための、コドン−アンチコドン校正の主要部位であるので(Ogle, JM, Carter, AP & Ramakrishnan, V. Insights into the decoding mechanism from recent ribosome structures. Trends Biochern Sci 28, 259-266 (2003))、本発明者らは、A部位を形成する16S rRNAにおける複数の変異の組合せが、より効率的に拡張アンチコドンループtRNAと共に機能する変種A部位を生じうるであろうと推論した。

    A部位ライブラリーを設計するために、本発明者らは、リボソームのA部位に結合した正常なtRNAアンチコドンステムループの構造を検査した(Korostelev, A., Trakhanov, S., Laurberg, M. & Noller, HF Crystal structure of a 70S ribosome-tRNA complex reveals functional interactions and rearrangements. Cell 126, 1065-1077 (2006)、Selmer, M. et al. Structure of the 70S ribosome complexed with mRNA and tRNA. Science 313, 1935-1942 (2006)、Carter, AP et al. Functional insights from the structure of the 30S ribosomal subunit and its interactions with antibiotics. Nature 407, 340.348 (2000))。 これらの構造は、16S rRNA内の530ループが、コドン−アンチコドンヘリックスに近位であり、且つ密接に関連していることを示している(図1)。 したがって、本発明者らは、530ループ内の529〜535の7つのヌクレオチドを、ヌクレオチドの全組合せへとランダム化して、N7ライブラリーを作製した(図1)。 さらに、本発明者らは、延長tRNAアンチコドンは追加の1ヌクレオチドを含有するので、16S rRNA内の530ループ配列が短い方が、拡張アンチコドンを収容するための、より大きなスペースを提供しうるであろうが、一方で、530ループ配列が長い方が、拡張アンチコドンに適応するための、より大きな柔軟性をrRNAに与えうるであろうと推論した。 したがって、本発明者らは、4つの追加のライブラリーを作製した(N5、N6、N8及びN9(図1))。 作製した全てのライブラリーは、ポアソンサンプリング統計によって、99%超完全であると判定された。

    クアドラプレット解読が強化されている直交性リボソームの選択 より効率的にクアドラプレットコドンを読むリボソームを得るための選択系を作製するために、選別用クアドラプレットコドンを含有する直交性リボソーム活性のレポーターを本発明者らは必要とした。 本発明者らは、直交性リボソーム結合部位の下流にあるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat,chloramphenicol acetyl transferase)遺伝子内の2箇所の部位(Ser103及びSer146、取込みの忠実性を保障する、必須であり、且つ保存されている触媒セリン残基(Murray, IA & Shaw, WV O-Acetyltransferases for chlorarnphenicol and other natural products. Antimicrob Agents Chemother 41, 1-6 (1997)))にクアドラプレットコドン(UAGA又はAGGAのいずれか)を導入した(図2)。 本発明者らは、この結果得られたレポーターを、Maglieryら(Magliery, TJ, Anderson, JC & Schultz, PG Expanding the genetic code: selection of efficient suppressors of four-base codons and identification of "shifty" four-base codons with a library approach in Escherichia coli. J Mol Biol 307, 755-769 (2001))によって以前に選択された、tRNA ser2に由来する、詳細に特徴付けられているUCUAアンチコドンtRNA又はUCCUアンチコドンtRNAと組み合わせた(図2)。 O−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)及びO−リボソームを含有する細胞は、25mg ml −1というクロラムフェニコールに関するIC 50を有し、O−cat(AGGA103、AGGA146)/tRNA ser2 (UCCU)を含有する細胞は、80mg ml −1というクロラムフェニコールに関するIC 50を有していた。 比較のため、野生型O−catは、同族のO−リボソームの存在下で、500mg ml −1のクロラムフェニコールまで、増殖を支持する。

    より効率的にUAGAコドンを解読する変異体リボソームを選択するために、本発明者らは、各直交性リボソームライブラリー(N5〜N9)をO−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)と組合せ、それらの細胞が、O−リボソームが増殖を支持しないクロラムフェニコール濃度で増殖するかどうか調べた(図2)。 N5、N6、N8及びN9ライブラリーでは、挿入又は欠失を含有するクローンには生存したクローンがなく、これは、530ループは、いかなる組成でも、より長い配列、又はより短い配列を許容しないことを示唆しているが、N7ライブラリーからのクローンは、50mg ml −1のクロラムフェニコール存在下で生存した。 本発明者らは、生存したN7ライブラリーメンバーをコードする10種のプラスミドを単離し、配列決定した。 UAGA解読選択では、配列決定された全てのクローンが同一であり、A531G変異及びU534A変異を含有していた(図3)。 次に、本発明者らは、AGGAレポーター及び同族tRNAを用いた選択を反復した。 この選択では、本発明者らは、このライブラリーも、解読UAGAに関して選択された配列に類似した配列に、そして場合によっては同一の配列に収束することを見出した(図3)。 本発明者らは、両方の選択から得られたリボソームをAGGAレポーター又はUAGAレポーターと組合せ、予測通り、UAGA選択されたリボソームはUAGAを最も効率的に解読することを見出した。 本発明者らは、UAGA選択されたリボソームが、AGGA解読のための最も効率的なリボソームの1つであることも見出した。 したがって、本発明者らは、本発明者らがribo−Xと呼ぶA531G、U534A変異体リボソームをより詳細に特徴付けることに決定した。

    ribo−Xの分析 ribo−XはUAGAクアドラプレットコドンのtRNA依存的読み取りを強化する ribo−XがtRNA依存的な様式でクアドラプレットコドンを読むかどうか調査するために、本発明者らは、ribo−XとO−cat(UAGA103、UAGA146)とで同時形質転換を行い、クロラムフェニコール耐性を測定した。 本発明者らは、拡張アンチコドンtRNAの非存在下では、ribo−Xが+1フレームシフトに有意に寄与しないと見出している(Cm耐性<1mg ml −1 )(図3)。

    ribo−XがUAGAコドンのtRNA ser2 (UCUA)依存的解読を強化する程度を測定するために、本発明者らは、O−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)と、ribo−X又は先祖O−リボソームのいずれかとで形質転換された細胞のクロラムフェニコール耐性を比較した。 本発明者らは、ribo−X含有細胞が、先祖O−リボソームを含有する細胞(25mg ml −1 )より5倍高いクロラムフェニコール濃度(125mg ml −1 )で生存することを見出している(図3)。 クアドラプレット解読の強化は、インビトロのCATアッセイ(Datta, K. & Majumdar, MK A method for assay of chloramphenicol acetyltransferase from crude cell extract. Microbiologica 8, 73-77 (1985))によってさらに確認した(図5)。 これは、耐性がクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性と比例することも確認する(図示していない)。 クアドラプレットコドンに対するribo−Xの活性の強化がトリプレット解読を犠牲にしているかどうかを確かめるために、本発明者らは、O−cat含有細胞について、ribo−Xによって与えられたクロラムフェニコール耐性を、先祖O−リボソームによって与えられたものと比較した。 本発明者らは活性の相違を見出さない。 両方のリボソームとも、500mg ml −1まで増殖を支持し、ribo−Xが、トリプレットコドンの読み取りに効率的であることを示している。

    ribo−Xは第4塩基相互作用への特異性を示し、トリプレットコドンより優先的にクアドラプレットコドンを拡張アンチコドンtRNAで解読する 本発明者らは、O−cat(UAGN103、UAGN146)/tRNA ser2 (UCUA)存在下でのribo−Xのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性を測定することによって、コドンとアンチコドンの相互作用の4番目の位置におけるワトソン−クリック塩基対合へのribo−Xの特異性を調査した。 本発明者らは、ribo−Xは、4番目の位置のいかなる他の塩基対に比べても10倍超の選択性を同族A:U対に示すことを見出しており(図6)、これは、天然のリボソームに関する以前の報告と一致している(Moore, B., Nelson, CC, Persson, BC, Gesteland, RF & Atkins, JF Decoding of tandem quadruplets by adjacent tRNAs with eight-base anticodon loops. Nucleic Acids Res 28, 3615-3624 (2000))。

    拡張アンチコドンtRNAを供給した際に、ribo−Xが、トリプレットコドンより優先的にクアドラプレットコドンを解読するかどうか調査するために、本発明者らは、コドン103がUAGであり、且つコドン104がAで始まる(O−フレームUAGA、図2)O−cat遺伝子によって与えられるクロラムフェニコール耐性を、位置103にインフレームのUAGAクアドラプレットコドンを含有するO−cat遺伝子によって与えられるものと比較した。 本発明者らは、ribo−X及びtRNA ser2 (UCUA)が、トリプレットコドンレポーターでは最大20mg ml −1まで、クアドラプレットコドンレポーターでは最大400mg ml −1までのクロラムフェニコールに対する耐性を与えることを見出している。 これらのデータは、ribo−Xによるクアドラプレットコドンでの終止の5%未満がトリプレット解読から生じたものであること、及び拡張アンチコドンtRNAの存在下では、ribo−Xは、トリプレット解読よりクアドラプレットを約10倍好むことを示唆している。

    ribo−Xは、クアドラプレットコドンを解読する効率の増大を示す ribo−XによるUAGA及びAGGAのクアドラプレット解読の強化が他の拡張アンチコドンに移植可能である程度を探索することを開始するために、本発明者らは、まず、tRNAのアンチコドンをGCUA、CCUA又はACUAに改変し、O−cat遺伝子の位置103のコドンを、それらのワトソン−クリック相補体(UAGC、UAGG、UAGU)に改変した。 ribo−Xは、先祖O−リボソームと比べて、最大8倍までの、クアドラプレットコドン解読の効率の増大を示す(図4)。 加えて、本発明者らは、同族の拡張アンチコドンtRNAの存在下で、ribo−Xが、CCCUレポーターでの翻訳効率を2.5倍強化することを見出している。

    ribo−Xは終結因子との機能的相互作用を低減することによってアンバー解読及びUAGN解読を増強する。
    UAGNコドンでの解読の強化は、概して、AGGA及びCCCUコドンで観測されたものより大きく、このことによって、本発明者らは、ribo−Xが、終結因子1(RF1)との機能的相互作用を低減することにより部分的にUAGNコドン解読を強化するのかどうか問うようにうながされた。 リボソームは、リボソームのA部位におけるアンバーコドンに反応してRF1に結合し、ペプチド鎖終止を引き起こす(Janzen, DM & Geballe, AP Modulation of translation termination mechanisms by cis- and trans-acting factors. Cold Spring Harb Symp Quant Biol 66, 459-467 (2001))。 したがって、RF1媒介の終止は、リボソームのA部位におけるアンバーコドンに反応したアンバーサプレッサーtRNA媒介のペプチド鎖伸長と競合すると考えられている。 RF1と機能的に相互作用しないが、なおタンパク質合成を行い、NCUA tRNAと共に機能できるリボソームは、進化していないリボソームより、UAGNコドンの解読が効率的であろう。 UAGNコドンへのribo−Xの活性の強化が、部分的に、RF1との機能的相互作用の低減によるとしたら、ribo−Xは、アンバーサプレッサーtRNAによるアンバー終止コドン(UAG)解読が、より効率的なはずである。 実際、本発明者らは、本発明者らがアンチコドンをUCUAからCUAに収縮させると、その結果得られるサプレッサーtRNAは、O−catの位置103にあるアンバーコドンの、ribo−Xによる解読が、先祖O−リボソームによるものより8倍効率的になることを見出している(図4)。 これは、ribo−XがUAGNコドンへの効率を増強する主要機構が、終結因子との機能的相互作用を低減することによるものであることを示唆し、リボソームに結合したRF1の5.9ÅX線構造(Petry, S. et al. Crystalstructures of the ribosome in complex with release factors RF1 and RF2 bound to a cognate stop codon. Cell 123, 1255-1266 (2005))によって予測されてはいないが、整合性を有する、リボソームの530ループとRF1との間の機能的相互作用が存在することの証明を提供する。 必須であるRF1タンパク質の高温感受性変異体、又は細胞生存能を犠牲にして、全てのmRNA全体にわたる抑制の一時的増大を可能にする細胞性リボソーム内の変異体(Moore, B., Nelson, CC, Persson, BC, Gesteland, RF & Atkins, JF Decoding of tandem quadruplets by adjacent tRNAs with eight-base anticodon loops. Nucleic Acids Res 28, 3615-3624 (2000)、Zhang, S., Ryden-Arlin, M., Kirsebom, LA & Isaksson, LA Genetic implication for an interaction between release factor one and ribosomal protein L7/L12 in vivo. J Mol Biol 242, 614-618 (1994)、Prescott, CD & Kornau, HC Mutations in E.coli 16s rRNA that enhance and decrease the activity of a suppressor tRNA. Nucleic Acids Res 20, 1567-1571 (1992))、又は同族tRNAの非存在下でアンバーコドンの誤読を引き起こすrRNA内の変異体(Arkov, AL, Freistroffer, DV, Ehrenberg, M. & Murgola, EJ Mutations in RNAs of both ribosomal subunits cause defects in translation termination. Embo J17, 1507-1514 (1998))とは対照的に、ribo−Xの影響は、それが解読する直交性mRNAの集団に局限されている。 ribo−Xは、天然の細胞性mRNA内のアンバーコドンのリードスルーを増大させずに、標的遺伝子内のtRNA依存的なアンバー変異抑圧を増強し、それゆえ、天然のトランスクリプトームの解読を混乱させない。

    ribo−Xは拡張アンチコドンtRNA内の32−38対に最適化されている 本発明者らはUAGN及びUAG解読への強い影響を観察しているが、本発明者らは、より穏やかではあるが、クアドラプレットコドンであるAGGAコドン及びCCCUコドンの、同族拡張アンチコドンtRNAによる解読効率の改善も見ている(図4)。 これらの場合では、終結因子はA部位結合に関してtRNAと競合しないと考えられており、これは、RF1との機能的相互作用の低減によって、ribo−Xの全ての特性を説明できるわけではないことを示唆している。 したがって、本発明者らは、ribo−Xが認識するのに最適化されうる、tRNA構造内の特徴を探索した。

    この研究で使用された拡張アンチコドンtRNAは、アンチコドンループの位置32にプリンを有し、位置32及び38に系統学的に珍しい組合せのヌクレオチドを有する(Sprinzl, M., Horn, C., Brown, M., Ioudovitch, A. & Steinberg, S. Compilation of tRNA sequences and sequences of tRNA genes, Nucleic Acids Res 26, 148-153 (1998))。 Uhlenbeck及びその共同研究者らは、トリプレット解読に関するコンテクストで、32−38対のアイデンティティーの自然変異が、リボソームA部位へのtRNAの親和性に影響を与えうることを示している(Olejniczak, M., Dale, T., Fahlman, RP & Uhlenbeck, OC Idiosyncratic tuning of tRNAs to achieve uniform ribosome binding. Nat Struct Mol Biol 12, 788-793 (2005))。 ribo−XのA部位は、天然のtRNAへの最適に近い親和性を維持しながら、位置32及び38に例外的なヌクレオチドを有する拡張アンチコドンtRNAへの最適化された親和性を有するものでありうる。 この観点と整合して、本発明者らは、tRNA ser2に見出されるように、AGGA tRNA内の32−38対をA32C38からC32A38に変換することによって、先祖O−リボソーム及びribo−Xによって等しく貧弱に読まれる拡張アンチコドンtRNAが産生されることを見出している(図4)。

    本発明者らは、生細胞における、リボソーム機能の合成的進化の初めての例を実証した。 本発明者らは、拡張アンチコドンループを有するtRNAを用いて、様々な拡張コドンを、より効率的に解読するように、直交性リボソームを進化させうることを示した。 進化した直交性リボソームであるribo−Xは、拡張アンチコドンtRNAでクアドラプレットコドンを優先的に読み、コドンとアンチコドンの相互作用の4番目の位置のワトソン−クリック塩基対への特異性を示すことができる。 ribo−Xは、アンバーサプレッサーtRNAによるアンバー変異抑圧も改善する。 最後に、本発明者らは、ribo−Xの作用様式を説明し、且つリボソーム解読センター内の530ループをRF1との機能的相互作用に関係づけるモデルへの実験的な支持を提供した。

    ribo−Xが、アンバーコドンを含有する直交性mRNAから完全長タンパク質が合成される効率を改善できるという観察は、技術的な重要性を有する。 タンパク質に非天然アミノ酸を導入する現在の方法のほとんど全てがインビボでのアンバー変異抑圧に依存しており、終結因子媒介のペプチド鎖終止の結果として、末端欠失タンパク質を大きな割合で産生している(Link, AJ, Mock, ML & Tirrell, DA Non-canonical amino acids in protein engineering. Curr Opin Biotechnol 14, 603-609 (2003)、Chin, JW et al. An expanded eukaryotic genetic code. Science 301, 964-967 (2003)、Nowak, MW et al. Nicotinic receptor binding site probed with unnatural amino acid incorporation in intact cells. Science 268, 439-442 (1995)、Xie, J. & Schultz, PG A chemical toolkit for proteins-an expanded genetic code. Nat Rev Mol Cell Biol 7, 775-782 (2006))。 終結因子媒介のタンパク質末端欠失は、タンパク質収率を低下させ、細胞機能を精査するために非天然アミノ酸を用いたインビボ研究(England, PM, Zhang, Y., Dougherty, DA & Lester, HA Backbone mutations in transmembrane domains of a ligand-gated ion channel: implications for the mechanism of gating. Cell 96, 89-98 (1999)、Mori, H. & Ito, K. Different modes of SecY-SecA interactions revealed by site-directed in vivo photo-cross-linking. Proc Natl Acad Sci USA (2006))では、末端欠失タンパク質は、まさに研究下の系を混乱させる、機能及び表現型への予期しない影響を有しうる。 ribo−Xは、非天然アミノ酸を用いたインビボ研究を容易にするはずであり、アンバーコドンに反応した非天然アミノ酸の取込みを利用する発現系の総タンパク収率の改善も可能にしうる。 重要なことに、UAGコドンへのribo−Xの主要な作用様式は、終結因子結合を低減することなので、それは、大腸菌における非天然アミノ酸の取込みに使用される広範囲なアンバーサプレッサーtRNAに対して、UAG解読の強化をもたらすであろう。

    直交性リボソームのクアドラプレット解読を改善することによって、本発明者らは、同じ挿入シグナルが、同一細胞内における細胞性mRNAと、直交性mRNAとで異なった効率で読まれるように、直交性リボソームの解読特性を細胞性リボソームのものから分枝させた。 いかなるmRNA上のコドンの意味も、そのmRNAを解読する翻訳機構によって設定されるので、既存の遺伝コードの「凍結事故」(Crick, FH Codon--anticodon pairing: the wobble hypothesis. J Mol Biol 19, 548-555 (1966))を迂回させるのに、本発明者らのアプローチの拡張を用い、細胞性リボソームには貧弱な基質であるが、進化した直交性リボソームによって効率的に解読されるtRNAを用いて、直交性mRNA上にクアドラプレットコード又は他の遺伝コードを書くことが可能でありうる。 そのような平行且つ独立的なコード(直交性遺伝コード)は、細胞の情報蓄積容量を拡大するであろうし、インビトロでの計算(Adleman, LM Molecular computation of solutions to combinatorial problems. Science 266, 1021-1024 (1994)、Benenson, Y. et al. Programmable and autonomous computing machine made of biomolecules. Nature 414, 430-434 (2001))を生細胞に拡張するのに使用できるであろう。 さらに、直交性コードは、非天然重合体の生合成をコードしたり、合成の遺伝回路の成分をコードするための、天然の生物学的存在によって不可読であり、それゆえ機能的に伝達されない形態にある分離された遺伝コードを作製したりするのに使用できるであろう。

    効率が強化されている進化した直交性リボソーム リボソーム解読センターライブラリーの設計 リボソームのA部位は、A、P及びE部位で構成されるtRNAトランスロケーション回廊への入り口である(Schuwirth, BS et al. Structures of the bacterial ribosome at 3.5 A resolution. Science 310,827-834 (2005)、Korostelev, A., Trakhanov, S., Laurberg, M. & Noller, HF Crystal structure of a 70S ribosome-tRNA complex reveals functional interactions and rearrangements. Cell 126, 1065-1077 (2006)、Selmer, M. et al. Structure of the 70S ribosome complexed with mRNA and tRNA. Science 313, 1935-1942 (2006))。 リボソームA部位のアンバーコドンに反応して、RF−1は、A部位に結合し、アンバーサプレッサーtRNAの解読と競合することができる。 本発明者らは、リボソームのA部位を形成する16S rRNAにおける変異の組合せによって、アンバーサプレッサーtRNAがA部位結合に関して、より効果的にRF−1と競合するのを可能にし、それゆえ、ポリペプチド鎖終止よりも、アンバー変異抑圧及び伸長を促進する変種A部位が生じうると推論した。

    A部位ライブラリー(図8)を設計するために、本発明者らは、リボソームのA部位に結合したtRNA又はRF−1の構造を検査した(Korostelev, A., Trakhanov, S., Laurberg, M. & Noller, HF Crystal structure of a 70S ribosome-tRNA complex reveals functional interactions and rearrangements. Cell 126, 1065-1077 (2006)、Selmer, M. et al. Structure of the 70S ribosome complexed with mRNA and tRNA. Science 313, 1935-1942 (2006)、Carter, AP et al. Functional insights from the structure of the 30S ribosomal subunit and its interactions with antibiotics. Nature 407, 340-348 (2000)、Petry, S. et al. Crystalstructures of the ribosome in complex with release factors RFI and RF2 bound to a cognate stop codon. Cell 123, 1255-1266 (2005))。 これらの構造は、16S rRNA内の530ループが両方の基質に近位であることを示している(図8)。 530ループ内の変異の組合せは、tRNA結合を維持するが、UAGコドンの存在下ではRF−1との機能的相互作用を低減しうると本発明者らは推論する。 したがって、本発明者らは、530ループ内の7つのヌクレオチド(529〜535)を、ヌクレオチドの全組合せへとランダム化して、N7ライブラリーを作製した。 さらに、本発明者らは、標本抽出される機能空間を拡張するために、より長いか、又はより短い530ループ配列ライブラリー(N5、N6、N8及びN9(図8))を作製した。 全てのライブラリーが99%超完全であった(補足表1)。

    直交性リボソームにおける進化した解読の選択 より効率的にアンバーコドンを読む直交性リボソームを得るための選択系を作製するために、選別用コドンを含有する直交性リボソーム活性のレポーターを本発明者らは必要とした。 UAGA含有レポーターと、セリルtRNA合成酵素によってアミノアシル化される(Magliery, TJ, Anderson, JC & Schultz, PG Expanding the genetic code: selection of efficient suppressors of four-base codons and identification of "shifty" four-base codons with a library approach in Escherichia coli. J Mol Biol 307, 755-769 (2001))tRNA ser2 (UCUA)(補足図1)を用いた研究は、リボソーム活性が改善されているものに関する、より大きいダイナミックレンジにわたる選択を可能にするので、本発明者らは、当初、単純なUAG抑圧遺伝子ではなく、それらを用いた研究をすることに決定した。 O−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)及びO−リボソームを含有する細胞は、25μg ml −1というクロラムフェニコールに関するIC 50を有していた。 比較のために、UAGAコドンをもたないO−catレポーターは、O−リボソームの存在下で、500μg ml −1のクロラムフェニコールでの増殖を支持する。

    より効率的にUAGAコドンを解読する変異体リボソームを選択するために、本発明者らは、各直交性リボソームライブラリーをO−cat(UAGA103、UAGAl46)/tRNA ser2 (UCUA)と組合せ(この場合、UAGAコドンを含有するcatが直交性リボソーム結合部位から翻訳される、補足図2)、それらの細胞が、O−リボソームが増殖を支持しないクロラムフェニコール濃度で増殖するかどうか調べた。 N5、N6、N8及びN9ライブラリーでは、挿入又は欠失を含有するクローンには生存したクローンがなく、これは、530ループは、いかなる組成でも、より長い配列、又はより短い配列を許容しないことを示唆している。 しかし、N7ライブラリー由来のクローンは、100μg ml −1クロラムフェニコール存在下で生存した。 N7選択から配列決定された10クローン全てが同一であり、16S rRNA内にU531G変異及びU534A変異を含有していた(図9)。 U531G変異は、2つの配列決定された脊椎動物ミトコンドリアrRNAのみで存在しており、一方、U534A変異は、0.2%の細菌rRNAで存在している。 配列された天然リボソームには、この組合せの変異を含有しているものはない(Cannon, JJ et at. The comparative RNA web (CRW) site: an online database of comparative sequence and structure information for ribosomal, intron, and other RNAs. BMC Bioinformatics 3, 2 (2002))。 UAG解読に関してさらに効率的なリボソームがライブラリー内に存在していたが、UAGA選択で捕捉されなかったという公式な可能性は残っていたので、本発明者らは、UAGコドンと、tRNA ser2由来のアンバーサプレッサーを含有しているレポーターを用いた選択を繰り返した(補足図1)。 本発明者らは、同一の配列が一意的に選択されることを見出した。 したがって、本発明者らは、本発明者らがribo−Xと呼ぶU531G、U534A変異体リボソームをより詳細に特徴付けることに決定した。

    ribo−XはtRNA依存的なUAGA解読を強化する ribo−XがUAGAコドンのtRNA ser2 (UCUA)依存的解読を強化する程度を測定するために、本発明者らは、O−cat(UAGA103,UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)と、ribo−X又は先祖O−リボソームのいずれかを含有する細胞のクロラムフェニコール耐性を比較した(図9)。 ribo−X含有細胞は、先祖O−リボソームを含有する細胞より5倍高いクロラムフェニコール濃度を生存する。 tRNA ser2 (UCUA)依存的なクアドラプレット解読は、インビトロのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイによってさらに確認された(Datta, K. & Majumdar, MK A method for assay of chloramphenicol acetyltransferase from crude cell extract. Microbiologica 8, 73-77 (1985))(図9)。 同様なribo−X媒介の強化が、tRNA ser2 (CUA)及び同族のO−catレポーターを用いて観察された。 ribo−X及びO−cat、並びに先祖O−リボソーム及びO−catによって細胞に与えられるクロラムフェニコール耐性は同一であり(500μg ml −1 )、これは、ribo−Xがセンスコドンの翻訳に効率的且つ高進行効率であることを示している。

    ribo−X及び天然のリボソームは匹敵した忠実性を有する ribo−Xが天然のリボソームに匹敵する忠実性でタンパク質を合成することを実証するために、本発明者らは、野生型リボソーム、先祖直交性リボソーム及びribo−Xによって合成されたタンパク質の質量分析スペクトル及びアミノ酸誤取込み頻度を比較した。

    ribo−X又は先祖O−リボソームの存在下におけるO−gst−malE(直交性リボソーム結合部位によって誘導されるグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)と、マルトース結合タンパク質(MBP)とをコードする遺伝子間の遺伝子融合体)の発現によって、野生型リボソームによってgst−malE融合から産生されるGST−MBPの収率に匹敵する、精製収率30〜40 mg l −1のGST−MBPが産生された。 予測通り、直交性リボソームの非存在下では、O−gst−malEから、GST−MBPを精製することができない(図10a)。 タンパク質融合体内のGSTとMBPとの間の部位でGST−MBPをトロンビン切断することによって(補足図3)、エレクトロスプレーイオン化質量分析による質量測定に適用できる2種のタンパク質が産生された。 各リボソームから産生されたタンパク質は、同一の質量を有していた(図10b)。 ribo−Xの翻訳忠実性を先祖リボソームのものと明確に比較するために、本発明者らは、システインコドンを全く含有していないMBPへの35 S−システイン誤取込みの頻度を測定した(Rice, JB, Libby, RT & Reeve, JN Mistranslation of the mRNA encoding bacteriophage T7 0.3 protein. J Biol Chem 259, 6505-6510 (1984))(図10c)。 ribo−Xによって翻訳された1コドンあたりのエラー頻度は1×10 −3未満であった。 先祖直交性リボソーム及び野生型リボソームを用いた対照実験は、本発明者らがそれらのエラー頻度に同じ限界を設定することを可能にした。 この限界は、1コドンあたり4×10 −3エラーという、 35 S−システイン誤取込みで測定されたアミノ酸誤取込み頻度に関する以前の測定(Rice, JB, Libby, RT & Reeve, JN Mistranslation of the mRNA encoding bacteriophage T7 0.3 protein. J Biol Chem 259, 6505-6510 (1984))に十分に匹敵する。 コドンとアンチコドンの相互作用における特定の撹乱に関してribo−Xの翻訳忠実性をさらに精査するために、本発明者らは、ほぼ同族なコドン及び非同族なコドンを解読する際の天然のリボソーム及び誤りがちなリボソームの忠実性を測定するのに以前に用いられた(Kramer, EB & Farabaugh, PJ, The frequency of translational misreading errors in E. coli is largely determined by tRNA competition. Rna 13, 87-96 (2007))二重ルシフェラーゼレポーターシステム(DLR,dual luciferase reporter system)を利用した。 本発明者らは、直交性リボソーム結合部位を有するDLR(O−DLR)を作製し、その翻訳が、同族の直交性リボソームの存在に依存していることを実証した(補足図4)。 本発明者らは、ribo−X又は先祖直交性リボソームを用いて、コドンとアンチコドンの相互作用の各位置でK529(AAA)が変異導入されているO−DLR変種を翻訳し(図10d)、翻訳誤読の尺度として、この結果得られたルシフェラーゼ活性を比較した。 本発明者らは、試験された4通りのコドンとアンチコドンの相互作用の全てにわたって、ribo−Xの忠実性が、少なくとも、先祖直交性リボソーム及び天然のリボソームに関して測定したのと同程度に良いことを見出している。 全体的に見て、質量分析スペクトル、 35 S誤取込みアッセイ、及び二重ルシフェラーゼアッセイは、ribo−Xが、天然のリボソームのものに匹敵した翻訳忠実性を有することを実証している。

    非天然アミノ酸取込み効率の増大 ribo−Xによる部位特異的な非天然アミノ酸取込み効率の実質的な増大を実証するために、本発明者らは、光架橋性アミノ酸であるp−ベンゾイル−L−フェニルアラニン(Bpa)(Kauer, JC, Erickson-Viitanen, S., Wolfe, HR, Jr. & DeGrado, WF p-Benzoyl L-phenylalanine, a new photoreactive amino acid. Photolabeling of calmodulin with a synthetic calmodulin-binding peptide. J Biol Chem 261, 10695-10700 (1986))を用いて研究することを選択した。 このアミノ酸は、大腸菌、酵母及び哺乳動物細胞の遺伝コードに付加され、インビトロ及びインビボにおけるタンパク質間相互作用のトポロジーをマッピングするのに広く使用されてきた(Chin, JW et al. An expanded eukaryotic genetic code. Science 301, 964-967 (2003)、Chin, JW & Schultz, PG In vivo photocrosslinking with unnatural amino Acid mutagenesis. Chembiochem 3, 1135-1137 (2002)、Chin, JW, Martin, AB, King, DS, Wang, L. & Schultz, PG Addition of a photocrosslinking amino acid to the genetic code of Escherichia coli. Proc Natl Acad Sci US A 99, 11020-11024 (2002)、Hino, N. et al. Protein photo-cross-linking in mammalian cells by site-specific incorporation of a photoreactive amino acid. Nat Methods 2, 201-206 (2005)、Schlieker, C. et al. Substrate recognition by the AAA + chaperone ClpB. Nat Struct Mol Biol 11, 607-615 (2004)、Weibezahn, J. et al. Thermotolerance requires refolding of aggregated proteins by substrate translocation through the central pore of ClpB. Cell 119, 653-665 (2004))。

    本発明者らは、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニル−tRNAシンテターゼ/tRNA CUA (BpaRS/tRNA CUA )対(Chin, JW, Martin, AB, King, DS, Wang, L. & Schultz, PG Addition of a photocrosslinking amino acid to the genetic code of Escherichia coll. Proc Natl Acad Sci US A 99, 11020-11024 (2002))(MjTyrRS/tRNA CUA対から進化した)、Bpa及び野生型リボソームの存在下で、gst(UAG)malEを発現させた(図11a)。 予測通り、これは、Bpaを組み込んでいる、GST−MBPを低効率(24%)で産生した。 しかし、本発明者らが、BpaRS/tRNA CUA対、Bpa及びribo−Xを用いて、O−gst(UAG)malE由来のBpaを含有するGST−MBPを合成した際には、効率が62%まで増大した。 予測通り、以前に報告されたBpaRSの特異性に基づいて、完全長タンパク質の合成はBpa依存性である(Chin, JW, Martin, AB, King, DS, Wang, L. & Schultz, PG Addition of a photocrosslinking amino acid to the genetic code of Escherichia coll. Proc Natl Acad Sci US A 99, 11020-11024 (2002))。 以前の記載の通りに(Ryu, Y. & Schultz, PG Efficient incorporation of unnatural amino acids into proteins in Escherichia coli. Nat Methods 3, 263-265 (2006))、LB(Luria Bertani)培地中で行った本発明者らの実験では、本発明者らは、BpaRS及びtRNA CUAに依存しているが、アミノ酸には依存していない完全長タンパク質合成は少量しか見ていない(図11a、レーン2及び6及び10を比較のこと)。 この効果は、過剰発現されるタンパク質の総収率も約5倍低い最小培地中では最小化されている(補足図5)。 Bpaの存在下では、富栄養培地で観察された非同族アミノアシル−tRNAシンテターゼによるtRNA CUAへの天然アミノ酸のアミノアシル化が競合に負け、Bpaの取込みが定量的となる(Ryu, Y. & Schultz, PG Efficient incorporation of unnatural amino acids into proteins in Escherichia coli. Nat Methods 3, 263-265 (2006))(図11b、c、d)。 MjTyrRSはいかなる大腸菌tRNAもチロシンでアミノアシル化しないという観察(Steer, BA & Schimmel, P. Major anticodon-binding region missing from an archaebacterial tRNA synthetase. J Biol Chem 274, 35601-35606 (1999))から予測された通り、競合する内因性アミノアシルtRNAシンテターゼ酵素がない場合でさえ、pSupBpaからのBpaRSの発現はセンスコドンに反応した検出可能なレベルの非天然アミノ酸取込み(内因性tRNAの誤アシル化を介したもの)をもたらさないことを質量分析は示している。 機能的なアミノアシル−tRNAシンテターゼ/tRNA CUA対の非存在下では、ribo−Xがアンバーコドンで翻訳を終止させ、完全長GST−MBP融合体は精製されない(図11a、レーン10)。 同様に、ribo−Xは、UAA又はUGAコドンのリードスルーも測定可能に強化しない。

    ribo−Xに媒介された効率の強化は、2つのアンバー終止コドンを含有する遺伝子では、さらに劇的であった(図11a)。 野生型リボソームは、gst(UAG) malEから1%未満の効率で、2つのBpaを含有するGST−MBPを産生したが、ribo−Xは、O−gst(UAG) malEから、少なくとも20倍高い効率(22%)で、2つのBpaを含有するGST−MBPを産生した。 単一のUAGの効率から2つの部位への外挿は、ribo−X及び野生型リボソームの効率をそれぞれ38%及び6%と予測している。 各リボソームの観察された効率に対する予測された効率の比率の比較は、UAG抑圧の効率を低下させるコンテクスト効果(Bossi, L. Context effects: translation of UAG colon by suppressor tRNA is affected by the sequence following UAG in the message. J Mo1 Biol 164, 73-87 (1983))に対して、ribo−Xが野生型リボソームより頑強でありうることを示唆している。 BpaRS/tRNA CUA対及びBpaの存在下における、ribo−Xによって産生されたMBPのエレクトロスプレーイオン化質量分析は、2つのBpaの取込みを確認し、天然アミノ酸の取込みに対応するピークは検出されなかった。 (図11b)。 Bpa取込みの部位は、関連するキモトリプシン消化ペプチドのMS/MS断片化シリーズの分析によってさらに確認した(図11c及び11d)。 本発明者らは、1つのアンバーコドン及び2つのアンバーコドンに関する、ribo−X媒介の効率の改善が、最小培地で保存されていることを観察している(補足図5)。 これは、ribo−Xによって媒介される効果が様々な発現条件下で頑強であることを実証している。 全体的に見て、タンパク質発現データ及び質量分析データは、ribo−X、BpaRS/tRNA CUA 、及び複数のUAGコドンを含有する直交性mRNAのモジュール式の組合せによって、GST−MBPの複数の部位における、高い忠実性及び効率を有する、Bpaの部位特異的取込みが可能となることを明確に実証している。

    実施例3の材料及び方法:
    リボソームライブラリー及びレポーターの構築 16S rDNAライブラリーは、以前に記載されているO−rDNAを含有するpRSFベクター(pRSF-O-rDNA)(Rackham, O. & Chin, JW Cellular logic with orthogonal ribosomes. J Am Chem Soc 127, 17584-17585 (2005))における、酵素的インバースPCR(Rackham, O. & Chin, JW A network of orthogonal ribosome ・mRNA pairs. Nat Chem Biol 1, 159-166 (2005))によって構築した。 UAGAレポータープラスミドを作製するために、本発明者らは、直交性リボソーム結合部位の下流にある、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子内の2箇所の部位(取込みの忠実性を確実にする、必須であり、且つ保存されている触媒セリン残基、Ser103及びSer146(Murray, IA & Shaw, WV O-Acetyltransferases for chloramphenicol and other natural products. Antimicrob Agents Chemother 41, 1-6 (1997))、補足図2)に、アンバー由来のUAGAコドンを導入し、O−cat(UAGA103、UAGA146)を産生した。 このコンストラクトは、単独のcat遺伝子でcat−upp融合体を置換することによってp21(Rackham, O. & Chin, JW A network of orthogonal ribosome・mRNA pairs. Nat Chem Biol 1, 159-166 (2005).)から得られたO−catレポーターに、複数ラウンドのQuik Change(登録商標)変異誘発(Stratagene社製)を施して生成させた。 5'合成lppプロモーター及び3'rrnC転写ターミネータを含有するカセットを介して、tRNA遺伝子を、ユニークなBst Z17I制限部位でO−cat(UAGA103、UAGA146)プラスミドに導入し、ベクターO−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA(UCUA)を生成させた。 拡張アンチコドンの配列は5'から3'方向に書かれている。 UAGコドンレポーター及びCUAアンチコドンtRNAは、UAGA又はUCUAコンストラクトからのQuik Change(登録商標)変異誘発によって得た。 全ての最終プラスミドをDNA配列決定によって確認した。 ベクター構築に用いたオリゴヌクレオチドの完全な記述には、補足表2を参照のこと。

    進化したO−リボソームの選択 UAGA解読が改善されているO−リボソームを選択するために、エレクトロポレーションによって、O−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA(UCUA)を含有しているGeneHog大腸菌(Invitrogen社製)を各pRSF-O-rDNAライブラリーで形質転換させた。 形質転換細胞を、2%グルコースを含有するSOB培地中で1時間回復させ、200mlのLB−GKT(2%グルコース、25μg ml −1カナマイシン、及び12.5μg ml −1テトラサイクリンを含有するLB培地)に播種するのに用いた。 終夜培養(37℃、250r.p.m.、16時間)の後、2mLの細胞を遠心法(3000g)によってペレットにし、等容積のLB−KT(12.5μg ml −1カナマイシン及び6.25μg ml −1テトラサイクリンを含有するLB培地)で3回洗浄した。 再懸濁したペレットを、18mlのLB−KTに播種するのに用い、この結果得られた培養物をインキュベートした(37℃、250r.p.m.の振盪、90分間)。 O−rRNAをコードしたプラスミドの発現を誘導するために、2mlの培養物を18mlのLB−IKT(1.1mMイソプロピル−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)、12.5μg ml −1カナマイシン、及び6.25μg ml −1テトラサイクリンを含有するLB培地)に添加し、4時間インキュベートした(37℃、250r.p.m.)。 50μg ml −1クロラムフェニコールを補ったLB−IKT寒天(1mM IPTG、12.5μg ml −1カナマイシン、及び6.25μg ml −1テトラサイクリンを含有するLB寒天)上にアリコート(250μl、600nmの光学濃度(OD 600 )=1.5)をプレーティングし、インキュベートした(37℃、40時間)。

    進化したO−リボソームの特性分析 O−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)レポータープラスミド由来の、選択されたpRSF-O-rDNAプラスミドを分離するために、選択されたクローンからの総プラスミドDNAを精製し、Not I制限エンドヌクレアーゼで消化し、それでDH10B大腸菌を形質転換させた。 個々の形質転換体を、カナマイシン寒天及びテトラサイクリン寒天にレプリカプレーティングし、レポーターからのpRSF-O-rDNAのプラスミド分離を制限消化及びアガロースゲル分析によって確認した。

    選択された16S rDNAクローンのUAGA解読活性を定量化するために、選択されたpRSF-O-rDNAプラスミドを、O−cat(UAGA103、UAGA146)又はO−cat(UAGA103、UAGA146)/tRNA ser2 (UCUA)と共に同時形質転換に用いた。 細胞を回復させ(SOB、2%グルコース、1時間)、10mLのLB−GKTに播種するのに用い、これをインキュベートした(16時間、37℃、250r.p.m.)。 この結果得られた培養物1mlを、9mlのLB−KTに播種するのに用い、これをインキュベートした(90分、37℃、250r.p.m.)。 LB−KT培養物1mlを、9mlのLB−IKT培地に播種するのに用い、これをインキュベートした(37℃、250r.p.m.、4時間)。 個々のクローンを96ウェルブロックに移し、0〜250μg ml −1の濃度のクロラムフェニコールを含有しているLB−IKT寒天プレート上に96ウェル用のピンツールを用いて整列させた。 プレートをインキュベートさせた(37℃、16時間)。 本発明者らは、他のtRNAコドン対についても同様な実験を行った。

    インビトロCATアッセイ用の可溶性細胞溶解物を抽出するために、誘導されたLB−IKT培養物各1mlを3000gの遠心法によってペレットにした。 細胞ペレットを500μlの洗浄用緩衝液(40mM Tris−HCl、150mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5)で3回、500μlの溶解用緩衝液(250mM Tris−HCl、pH7.8)で1回洗浄した。 200μlの溶解用緩衝液中の細胞を、ドライアイス/エタノール中での瞬間冷凍及びそれに続く50℃ウォーターバス内での急速解凍5サイクルによって溶解させた。 細胞破片を遠心法(12000g、5分)によって溶解物から除去し、上側150μlの上清を20℃で凍結させた。 溶解物中のCAT活性をアッセイするために、10μlの可溶性細胞抽出物を2.5μlのFAST CAT Green(デオキシ)基質(Invitrogen社製)と混合し、プレインキュベートした(37℃、5分)。 2.5μlの9mMアセチル−CoA(Sigma社製)を添加し、反応物をインキュベートした(37℃、1時間)。 氷冷酢酸エチルの添加(200μl、ボルテックス20秒間)によって反応を停止させた。 相及び有機相を遠心法(12000g、10分)によって分離し、上側100μlの酢酸エチル層を収集した。 収集された溶液1μlを、クロロホルム:メタノール(85:15v/v)中の薄層クロマトグラフィー用シリカゲルTLCプレート(Merck社製)上にスポット添加した。 空間的に分離された基質及び産物の蛍光を、ホスファーイメジャー(Storm 860、Amersham Biosciences社製)を用いて、それぞれ450nm及び520nmの励起波長及び発光波長で可視化及び定量化した。

    GST−MBPタンパク質発現ベクターの構築 gstはpGEX-2T(GE Healthcare社製)から、プライマーGAACTCGAGACAATTTTCATATCCCTCCGCAAATGTCCCCTATACTAGGTTATTGGAAAATTAAG及びGAAGAGGTACCCGTCACGATGAATTCCCGGGGATCCACGCGGAACを用いて増幅し、Xho I及びKpn Iで消化した。 maEは、pMAL(NEB)から、PCRプライマーGAAGGGTACCTCAAAATCGAAGAAGGTAAACTGGTAATC及びCCAAAGCTTAGCTTGCCTGCAGGTCGACTCで増幅し、Hind III及びKpn Iで消化した。 pO-gst-malEは、pGFPmut3.1(Promega社製)から、ベクター内(ベクターマップはhttp://www.clontech.com/images/pt/dis_vectors/PT3209-5.pdfで入手可能)のA 191192193をCTCGAG(Xho I部位)で置換することによって作製した。 これは、lacオペレータに変異導入し、下流遺伝子の発現を構成的に活性なものにする。 GfpをHind III部位と新たに導入されたXho I部位との間から切り出し、同じ部位を用いて、3断片連結によってgst−malE融合体を導入した。 ベクターp gst-malEは、酵素的インバースPCRプライマーであるGTAGGTCTCGGATCCCCGGGTACCTAGAATTAAAGAGGAGAAATTAAGCATGTCCCCTATACTAGGTTATTG及びGTAGGTCTCGGATCCTCTAGAGTCGACCTGCAGGAATGCAAGCTTGGCGTAACTCGAGCCGCTCACAATTCCACACを用いて、直交性リボソーム結合部位を単一の野生型リボソーム結合部位に変えることによって作製した。 gstと、malE(pgst(UAG)malE及びpO-gst(UAG)malE)との間に単一のアンバーコドンを含有するベクターを作製するために、プライマーGAATTCATCGTGACGGGTAGCTCAAAATCGAAGAAGGTAAACTGGTAATCTG及びCTTCGATTTTGAGCTACCCGTCACGATGAATTCCCGGGGATCCACGCGGAACを用いたQuik Change変異誘発(Stratagene社製)によって、gstとmalEとの間のリンカー内のTyrコドンであるTACをTAGに変えた。 二重UAG変異体には、本発明者らはさらに、プライマーCTCAAAATCTAGGAAGGTAAACTGGTAATCTGGATTAACGGCGATAAAG及びCAGTTTACCTTCCTAGATTTTGAGCTACCCGTCACGATGを用いて、QuikChangeによって、malE内の4番目のコドンをGAAからTAGに変異させて、ベクターpgst(UAG) 2 malE及びpO-gst(UAG) 2 malEを作製した。

    タンパク質発現用のP1P2リボソームの構築 プラスミドpZS*24-MCS1(Lutz, R. & Bujard, H. Independent and tight regulation of transcriptional units in Escherichia coli via the LacR/O, the TetR/O and AraC/I1-I2 regulatory elements. Nucleic Acids Res 25, 1203-1210 (1997))のカナマイシン耐性遺伝子及びSC101*オリジンを、以下のプライマー、すなわちKanSC101fw、ACT GGA TCC TGC TAG AGG CAT CAA ATA AAA C及びKanSC101rv、AGT ACC GGT TAG ACG TCG GAA TTG CCA GCを用いて増幅した。 この結果得られたPCR産物はBam HI及びAge Iで消化した。 PIP2プロモーター及びrrnCターミネータを含めたrrnBオペロンを、NgoM IV及びBam HIを用いた消化によってプラスミドpTrc P1P2 rrnBから切り出し、増幅されたSC101*断片及びP1P2rrnB断片を連結させて、プラスミドpSC101*-BDを作製した。 このプラスミドのXho I/Xba I断片をpTrcRSF-O-rRNA又はpTrcRSF-ribo-Xからの対応する断片で置換して、それぞれpSC101*-O-ribosome及びpSC101* ribo-Xを産生させた。

    GST−MBP融合体の発現及び精製 プラスミドの適切な組合せを含有する大腸菌を、50mlの終夜培養物からペレットにし(3000g、10分間)、1mlの溶解用緩衝液(1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche社製)、1mM PMSF、及び1mg ml −1リゾチーム(Sigma社製)を補ったリン酸緩衝食塩水(PBS))中に再懸濁し、インキュベートした(15分、37℃、1000r.p.m.)。 細胞を氷上で冷やし、その後、超音波処理(30秒間、30W)によって溶解させた。 溶解物を遠心法(6分、25000g、2℃)によって清澄化した。 溶解物からのGST含有タンパク質(875μg、400μl)をバッチで50μlのグルタチオンセファロースビーズ(GE Healthcare社製)に結合させた(1時間、4℃)。 ビーズを1mlのPBSで3回洗浄し、その後、60μlの1×SDSゲル添加緩衝液中で10分間、80℃で加熱することによって溶離を行った。 全ての試料を4〜20%のTris-グリシンゲル(Invitrogen社製)で分析した。

    GST−MBP及びGSTのバンドの密度は、NIH image 1.63を用いて、クーマシー染色されたゲルから定量化した。 本発明者らは、バックグランド修正値を対応するタンパク質の分子質量(GST−MBPは71kDa、そしてGSTは27kDa)で割り、これらの値を用いて、GST−MBPの量を総タンパク質量で割ることによってアンバーコドン抑圧のパーセントを計算した。

    35 S−システイン誤取込み
    pO-gst-malE及びpSC101 *-O-ribosome、pO-gstmalE及びpSC101*-ribo-X、又はpgst-malE のいずれかを含有するGeneHog大腸菌をLB培地(最終濃度3nMの35 S−システイン(1000Ci mmol −1 )、750μMメチオニン、25μg ml −1アンピシリン、及び12.5μg ml −1カナマイシンで補った)中において0.1のOD 600に再懸濁し、細胞をインキュベートした(3.5時間、37℃、250r.p.m.)。 この結果得られた培養物10mLをペレットにし(5000g、5分間)、2回洗浄し(洗浄1回あたりの1mL PBS)、1%Triton-Xを含有するPBS1mLに再懸濁し、氷上で上下にピペッティングすることによって溶解させた。 清澄化された細胞抽出物を100μlのグルタチオンセファロースビーズに結合させ(1時間、4℃)ビーズをペレットにし(5000g、10秒間)、1mLのPBSで2回洗浄した。 ビーズを10mLのポリプロピレンカラム(Biorad社製)に添加し、洗浄(30mLのPBS;10mLの0.5M NaCl、0.5×PBS;30mLのPBS)した後、10mMのグルタチオンを補った1mLのPBSで溶離を行った。 精製されたGST−MBPを12.5単位のトロンビンで消化し、GST断片及びMBP断片を産生させた。 反応物をSDS−PAGEゲルに添加し、GST、MBP及びトロンビンを分離し、GelCode(登録商標)blue(Invitrogen社製)で染色した。 GST及びMBPタンパク質バンド中の35 S活性を、Stormホスホイメージャー(Molecular Dynamics社製)及びImageQuant(商標)(GE Healthcare社製)を用いて、デンシトメトリーによって、そして切り出したバンドのシンチレーション計測によって定量化した。 検査したリボソームそれぞれのコドンあたりのエラー頻度を、以下の通りに測定した。 GSTは4つのシステインコドンを含有しており、したがって、GSTから生じる1秒あたりの計測数(cps,counts per second)を4で割ると、A、すなわちシステインの定量的な取込みあたりのcpsを得る。 MBPはシステインコドンを含有していないが、非システインコドンでの誤取込みがB cpsを与える。 GST及びMBPは等モル量で存在するので、(A/B)×410は、1残基のシステインが誤取込みされるために翻訳されるアミノ酸の数Cを与える。 ここで、410は、MBPを含有するトロンビン切断断片中のアミノ酸の数である。 20種のアミノ酸全ての誤取込みの頻度がシステインのものと同じであると仮定すると、誤取込み1回あたりに翻訳されるコドンの数はC/20であり、(C/20) −1によって1コドンあたりのエラー頻度が得られる。

    二重ルシフェラーゼアッセイ
    pO-DLRは、直交性リボソーム結合部位に、5'側のウミシイタケルシフェラーゼ(R−luc)と、3'側のホタルルシフェラーゼ(F−luc)との間の遺伝子融合体を含有している。 pO-DLRを作製するために、プライマーGAACTCGAGGGCGCGGCTTTCATATCCCTCCGCAAATGGCCTCCAAGGTGTACGACCCCGAGCAACGCAAACGCATG及びGCTAGATCTCCTAGGGGCCCCCGTCGAGATTTGCTCGTTCTTCAGCACGCGCTCCACGAAGCTCを用いて、プラスミドpGL4.70[bRluc](Promega社製)からPCRによってR−lucオープンリーディングフレームを増幅した。 このPCR産物をXho I及びBgl IIで消化した。 F−luc ORFは、プライマー対AGGAGATCTAGCGCTGGATCCCCCGGGGAGCTCATCGAAGATGCCAAAAACATTAAGAAGGGCCCAG及びGACAAGCTTACACGGCGATCTTGCCGCCCTTCTTGで増幅し、Bgl II及びHind IIIで消化した。 pO-gst-malEからXho I及びHid III消化によって、gst−malE遺伝子融合体を切り出し、消化されたF−luc PCR産物及び消化されたR−luc PCR産物と、放出されたベクターバックボーンとの三重連結によってpO-DLRを作製した。 Pwt-DLRは、同様な戦略によって、但し、R−luc ORFを増幅するのに、プライマー対GAACTCGAGTACCTAGATATAAAGAGGAGAAATTAAGCATGGCCTCCAAGGTGTACGACCCCGAGCAACGCAAACGCATG及びGCTAGATCTCCTAGGGGCCCCCGTCGAGATTTGCTCGTTCTTCAGCACGCGCTCCACGAAGCTCを用いて作製した。 コドン529変種は、Quik Change(登録商標)変異誘発(Stratagene社製)によって作製した。

    pO-DLR及びそのK529コドン変種は、pSC101*-O-ribosome又はpSC101* ribo-Xを有するGeneHog大腸菌内に導入して形質転換を行った。 pwt-DLR及びそのK529コドン変種は、pSC101 *-BDを有するGeneHog細胞内に導入して形質転換を行った。 アンピシリン(100μg ml −1 )及びカナマイシン(50μg ml −1 )を補った2mLのLB中で、個々のコロニーをインキュベートし(37℃、250r.p.m.、20時間)、ペレットにし(5000g、5分間)、200μLの(1mg ml −1リゾチーム、10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA)中に再懸濁した。 細胞を氷上で20分間インキュベートし、ドライアイス上で凍結させ、氷上で解凍させた。 二重ルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega社製)を用いて、この抽出物の10μl試料をホタルルシフェラーゼ(F−luc)及びウミシイタケルシフェラーゼ(R−luc)の活性に関してアッセイした。 Orionマイクロプレートルミノメーター(Berthold Detection Systems社製)を用いて、リボソームレポーターの各組合せを、4つの独立した培養からアッセイし、以前の記載の通りにデータを分析した。 報告している誤差は標準偏差である。

    質量分析 22μlの40mM (NH )HCO 中の25μM GST−2BPA−MBP(2箇所のアンバーコドンに反応してBpaが組み込まれているGST−MBP)をアルキル化し、キモトリプシンで終夜、消化した。 N末端Bpa取込み用の断片シリーズを得るためには、5μlの10倍希釈キモトリプシン消化ペプチド混合物を脱塩し、Poros R3吸着剤(Perseptive Biosystems社製)で満たしたGELoader(登録商標)チップを使用することによって濃縮した。 結合したペプチドを1μlの40%アセトニトリル/4%ギ酸でナノスプレー毛細管の中に直接溶出し、その後、API QSTAR(登録商標)パルサーiハイブリッド四重極飛行時間型質量分析器(MDS Sciex社製)内に導入した。 陽イオンモードでプロダクトイオンスキャンを行い、ペプチドのMSサーベイスキャンを測定した。 衝突セル内に窒素を入れた衝突誘起解離法(CID)で、選択されたイオン(m/z=668.4 4+ )を断片化し、生成された断片イオンのスペクトルを飛行時間型質量分析器で記録した。 C末端Bpa取込み用の断片シリーズを得るためには、キモトリプシン消化物から得られたペプチドを逆相C18カラム(内径150×0.075mm、流速0.25ml min −1 )上でナノスケール液体クロマトグラフィー(LC Packings社製(オランダ国Amsterdam所在))によって分離した。 溶出物をQ-STARハイブリッドタンデム質量分析器(LC−MS/MS)に直接導入し、m/z=469.7 4+を有するペプチドを断片化した。

    エレクトロスプレーイオン化(ESI)を有するLCT(商標)飛行時間型質量分析器(Micromass社製)でタンパク質相質量を決定した。 タンパク質を10mM重炭酸アンモニウムpH7.5に再緩衝化し、50%メタノール、1%ギ酸に1:100に希釈した。 Harvard Model 22注入ポンプ(Harvard Apparatus社製)を用いて、試料を10ml min −1でESI源に注入し、ウマ心臓ミオグロビンを用いて陽イオンモードで較正を行った。 60〜80のスキャンが得られ、質量スペクトルを得るために加えられた。 分子質量は、MassLynx(商標)バージョン4.1(Micromass社製)を用いて、多価タンパク質質量分析のデコンボリューションを行うことによって得た。 野生型タンパク質の理論分子質量は、Protpram(//us.expasy.org/tools/protpram.html)を用いて計算し、非天然アミノ酸含有タンパク質の理論質量は手作業で調整した。

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    本明細書に引用された全ての特許、特許出願及び出版物をそれらの全体において、参照により本明細書に組み込む。 本発明を、その好ましい実施形態を特に参照して示し、記述したが、添付した特許請求の範囲に包含されている本発明の範囲を逸脱することなく、形態及び詳細の様々な改変をそこに加えられることは当業者には理解されよう。

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