金属部材残留応を局部的に調整する方法及びシステム

申请号 JP2015552971 申请日 2013-03-11 公开(公告)号 JP2016505856A 公开(公告)日 2016-02-25
申请人 北京理工大学; 发明人 春広 徐; 春広 徐; 文涛 宋; 文涛 宋; 勤学 潘; 勤学 潘; 定国 肖; 定国 肖; 浪 徐; 浪 徐; 驍 李; 驍 李; 海洋 劉; 海洋 劉;
摘要 本件発明は、単一又は複数の超音波変換器を残留応 力 調整目標領域又は当該領域の付近に配置し、前記超音波変換器を固定し、超音波を発生させて、超音波の周 波数 や振幅や位相やエネルギーなどのパラメータを調節して、前記領域における残留応力の大きさと方向とを調節制御する残留応力調整方法及び残留応力調整システムを提供する。当該方法及びシステムによれば、金属部材局部残留応力を除去、抑制および再建することができ、構造が簡単、操作が容易、効率が高い、コストが低い、汚染が少ないという長所を有する。【選択図】図2
权利要求

残留応調整方法であって、 単一又は複数の超音波変換器を残留応力調整目標領域又は当該領域の付近に配置し、 前記超音波変換器を固定し、 超音波を発生させて、 前記領域における残留応力を除去することを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 部材の調整目標領域における残留応力値を測定し、測定した応力値に基づいて、超音波変換器の励振周波数とパワーを設定し、調整処理を行う第1工程と、 処理を所定時間行った後に、調整目標領域における残留応力値を測定する第2工程と、 現在の応力値を調整目標値と比較して、調整目標を達成した場合に調整処理を停止し、達成していない場合に、第2工程を繰り返す第3工程とを備えることを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 前記超音波変換器により発生される超音波場の周波数が20KHz〜600KHzであることを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 前記超音波変換器により発生される超音波場のパワーが40W〜1000Wであることを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 前記超音波変換器により発生される超音波場の作用時間は10分〜10時間であることを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 固体カプラント又は液体カプラントを介して、ねじ締め付けと磁力吸着により前記超音波変換器を挟持して固定することを特徴とする残留応力調整方法。請求項1に記載の残留応力調整方法であって、 単一の超音波変換器の電流は0.1〜1Aとし、処理温度は常温とすることを特徴とする残留応力調整方法。順次に電気的に接続されている、制御装置(12)と、超音波信号励振コントローラ(10)と、超音波増幅器(8)と、超音波変換器(1)とを備える残留応力調整システムであって、 前記超音波信号励振コントローラ(10)は、制御装置(12)から制御指令を受け取り、超音波増幅器(8)に対して調整制御信号を発信し、 前記超音波増幅器(8)は、前記調整制御信号に応じて前記超音波変換器(1)を駆動して、部材の残留応力を調整するための超音波束を発生することを特徴とする残留応力調整システム。請求項8に記載の残留応力調整システムであって、 順次に電気的に接続されている、残留応力フィードバックコントローラ(23)と、超音波信号処理モジュール(24)と、残留応力測定変換器(25)とをさらに備え、 前記残留応力測定変換器(25)は、部材の残留応力を測定し、測定結果信号を超音波信号処理モジュール(24)に発信し、 前記超音波信号処理モジュール(24)は、検出された残留応力情報を残留応力フィードバックコントローラ(23)に発信し、 前記残留応力フィードバックコントローラ(23)は、超音波信号励振コントローラ(10)としての超音波信号励振コントローラ(22)と電気的に接続されており、残留応力フィードバック制御システムを構成していることを特徴とする残留応力調整システム。請求項8に記載の残留応力調整システムであって、 超音波変換器(1)と部材とを連結固定させるクリップ装置をさらに備え、 前記超音波変換器(1)と部材との接触部にカプラントが塗布されていることを特徴とする残留応力調整システム。請求項8に記載の残留応力調整システムであって、 前記残留応力測定変換器(25)は、一回発信すると一回受信という型であり、臨界屈折縦波を励起し、戻る臨界屈折縦波を受け取ることによって、調整目標領域の残留応力に関する超音波信号を取得し、当該超音波信号が超音波信号処理モジュール(24)に入力され、超音波信号処理モジュール(24)が調整目標領域の残留応力を算出することを特徴とする残留応力調整システム。請求項8に記載の残留応力調整システムであって、 前記超音波焦点集中変換器は、軸線が底面と傾斜度を呈するガイドヘッドを備えることを特徴とする残留応力調整システム。請求項12に記載の残留応力調整システムであって、 前記超音波焦点集中変換器のガイドヘッドには直角状溝が形成されていることを特徴とする残留応力調整システム。

说明书全文

本件発明は、使用中の金属部材の局部残留応を元の位置(in-situ)から除去、抑制又は再建することを可能とする、金属部材残留応力を局部的に調整する方法及びシステムに関するものである。本件発明は、航空、船舶、工作機械、炭鉱用機械、鋳造、鍛造、溶接、金型、原子力発電、風力発電などの技術分野に広く適用される。

残留応力は、金属加工を行う際に応力場(stress field)、歪場(strain field)、温度場、組織の不均一を原因として、変形の後に残留する応力である。残留応力は、部材の動作の信頼性に大きく影響し、特に、部材の寿命、サイズの安定性、耐食性に大きく影響し、かつ、応力集中となって部材に微小な裂け目を形成し、部材が破壊する恐れがある。そこで、部材の残留応力を除去し、調整する必要がある。ところが、残留応力は極めて多く存在しており、残留応力に対する予測は極めて困難になっている。いままで、実際の必要性を満たすことができる残留応力調整方法と残留応力調整システムは存在していない。

従来は、自然時効(自然放置)や熱処理などの方法で残留応力を低減させ、又は除去している。しかし、自然時効の方法では、処理の時間が長く、効率が低く、必要とする場所が大きく、調整・制御しにくいという欠点がある。熱処理の方法では、周期が長く、消耗するエネルギーが多く、コストが高く、部材が酸化されやすく、汚染が大きく、大型の部材と加熱されると損傷を受けやすい部材とを処理しにくいという欠点がある。

振動時効技術は、機械的な方法で残留応力を除去するものである。部材を振動させ、振動応力と部材内部の残留応力との和が降伏強度を超えた場合に、部材の内部にミクロ的及びマクロ的な塑性変形が発生して、残留応力を低減させ、均一化する。しかし、当該方法は以下の欠点がある。すなわち、(1)約77%の部材が、高い剛性や高い固有振動数のために、振動を発生させることができず、そのため、当該方法の適用範囲が狭い。(2)多次元の残留応力を除去できず、その除去効果は熱時効の方法と同じ程度に達することができない。(3)当該方法の操作は複雑であり、振動時効の方法のための機器で部材を処理する際に、励振点、支持点、振動検出点などを調整することが面倒である。(4)当該方法による騒音は大きく、部材が固有振動数で振動する際に、生じる騒音はかなり大きくなり、処理する場所の環境を劣化させる。また、当該方法は、使用中の部材の応力除去に適用しにくい。

爆発方法と静的作用力方法は、機械的な方法で残留応力を除去する他の方法として知られている。その原理は、部材に加えられた荷重と部材内部の残留応力とが結合して部材の内部に塑性変形を発生させて、残留応力を除去する。その欠点としては、爆発方法が、強力な衝撃を付加されても破壊が発生しない部材に対する応力除去処理のみに適用され、静的作用力方法は、部材の静的作用力を受ける能力に特別な要求がある。

パルス電流処理方法は、部材における残留応力の一部ひいてはすべてを除去できる新たな方法である。しかし、当該方法は単一の電流を使用し、電流のパルスピーク値が大きくなり、作用する時間が短くなるという欠点を有している。

電磁結合処理方法は、パルス電流とパルス磁力で磁性金属材料を処理するものであるが、残留応力除去効果に影響し得る要因が多く、操作が複雑であり、使用中の部材の応力を元の位置から除去することを実現しにくいという欠点がある。

超音波衝撃で溶接残留応力を除去する方法は、超音波装置で超音波周波数の振動を部材上の溶接部に伝達させて、溶接部の表面から一定の深度の塑性変形層を形成するものである。当該方法は、超音波衝撃を行うことで、使用中の部材の残留応力を均一化するが、衝撃損傷や割れ目や微妙な割れ目を生じ、これらの割れ目が部材の安全性と信頼性に大きく影響するという欠点がある。

上記問題に鑑み、本件発明の目的は、使用中の金属部材の局部残留応力を元の位置(in-situ)から除去、抑制、再建することを可能とする、残留応力調整方法及び残留応力調整システムを提供することにある。

上記目的を達成するために、本件発明の残留応力調整方法では、単一又は複数の超音波変換器を残留応力調整目標領域又は当該領域の付近に配置し、前記超音波変換器を固定し、超音波を発生させて、前記領域における残留応力を除去する。

上記調整方法によれば、操作が容易である、効率が高い、コストが低い、汚染が少ないという技術的効果がある。

また、上記目的を達成するために、本件発明の残留応力調整システムは、順次に電気的に接続されている、制御装置と、超音波信号励振コントローラと、超音波増幅器と、超音波変換器とを備え、前記超音波信号励振コントローラは、制御装置から制御指令を受け取り、超音波増幅器に対して調整制御信号を発信し、前記超音波増幅器は前記調整制御信号に応じて前記超音波変換器を駆動して、部材の残留応力を調整するための超音波束を発生する。

本件発明は、設計が合理的である、構造が簡単である、実用性がよいという技術的効果がある。また、操作が容易であり、小型化されており、軽量化されており、携帯に便利である。

単一の超音波変換器の音場モデルとその座標系を示している。

複数の超音波変換器が超音波の焦点を合わせるように配置された音場モデルとその座標系を示している。

高エネルギー超音波場で超音波の焦点を合わせて処理することを説明する図面である。

残留応力高エネルギー超音波場調整システムの概略図である。

本件発明における残留応力フィードバック制御システムの概略図である。

単一の超音波変換器が動作する際に使用するクリップ装置の概略図である。

超音波変換器のガイドヘッドの側面図である。

超音波変換器のガイドヘッドの正面図である。

本件発明は高エネルギー超音波場で残留応力を調整するものである。高エネルギー超音波場による残留応力の調整では、使用中の弾性を有する固体の機械部材を高エネルギー超音波場に置いて、印加される高パワー超音波で残留応力に対して局部的且つ定量的な調整を行い、それと同時に、音弾性原理に基づいて部材のマクロ的な残留応力を測定して、残留応力測定フィードバック制御システムを構成し、部材の局部残留応力に対する超音波測定とフィードバック制御を実現することができる。

次に、図面を参照して本件発明の実施形態を詳細に説明する。

図1aは単一の超音波変換器の音場モデルとその座標系を示している。図1bは複数の超音波変換器が超音波の焦点を合わせるように配置された音場モデルとその座標系を示している。図1a、図1bでは、Pは音場における任意の点であり、当該点Pと音源との距離はrであり、当該点Pと音源とが呈する度はθであり、φは変換器の表面における定位点の角度である。

まず、残留応力を高エネルギー超音波場で調整する方法について説明する。

残留応力を高エネルギー超音波場で調整する方法の原理として、残留応力の除去経過は、実際に部材に残留している弾性ひずみがミクロ的な又は局部的な塑性変形を通じて除去されることであり、転位(ディスロケーション)の移動と関連する。残留応力を除去するために、転位原子に十分な動力を具備させて、転位原子が抵抗力を克服して、結晶体の内部から移出して、結晶格子のひずみを低減させて、残留応力を除去する。

パワー超音波源からの距離がxである箇所が高エネルギー超音波から受けるエネルギーは以下の通りである。

この式(1)から分かるように、部材4の内部のある箇所が高エネルギー超音波場から受けるエネルギーEが、転位による束縛エネルギーより大きくなる場合に、金属部材内部の残留応力が除去される。これは、高エネルギー超音波で残留応力を調整可能であることを理論的に証明しているが、調整の効率と効果は、材料の特性や、励振周波数や、結合方式や、制御する位置などの要因と関連する。

式(1)から分かるように、部材4の内部のある箇所が高エネルギー超音波場から受けるエネルギーは、材料の密度ρ0、材料の定容比熱cv、定圧比熱cpなどの固有特性と比例し、部材の内部における超音波の速度と反比例し、超音波の音圧振幅A、周波数fの平方と比例する。部材内部の残留応力を調整する際に、その部材の密度ρ0、材料の定容比熱cv、定圧比熱cpなどの固有特性は変化しないので、残留応力の大きい部材4に対する応力調整効果を向上するために、パワーの大きい超音波変換器1を用いて大きな音圧振幅Aを提供し、周波数fの大きい超音波場を発生することが好ましい。

図2は高エネルギー超音波場で超音波の焦点を合わせて処理することを説明する図面である。図2では、複数の超音波変換器1を用いて部材4の応力領域に超音波の焦点を合わせる。常温では、一定の周波数とパワーを有する超音波で、許容される発熱温度で調整を連続して行う。図2の超音波変換器1は傾斜面を有する傾斜柱状を呈し、残留応力集中領域3に超音波の焦点を合わせる。超音波変換器の形状については、特別な限定がなく、柱状(図5)、ラッパ状(図3)、中部にフランジを有する柱状などが挙げられる。以下の説明と図面において、特別な説明がない限り、超音波変換器1の形状は任意であり、明細書と図面に示されているものに限定されない。明細書と図面に示されているものは説明をするための例に過ぎない。

超音波変換器1は、ハウジングと、結合層と、圧電セラミック円盤状変換器と、内張りと、ケーブルと、シンバル配列受信器とを具備する。前記内張りの一部は、ガイドヘッドを構成する(ガイド部、図6a、図6bを参照)。

図5は、柱状超音波変換器1(ラッパ状とする場合でも同じである)が動作する際に使用するクリップ装置の概略図である。溶接部材の残留応力集中領域に対して応力調整を行う場合に、調整しようとする溶接部に二つの強磁気吸着ベース19が吸着し、当該強磁気吸着ベース19の上端に支持レバー15が固定され、中間レバー14とねじレバー16を調節して超音波変換器1を溶接部21(残留応力集中領域)に配置し、圧盤17により部材4と超音波変換器1との固定接触状態を維持し、その後、超音波変換器1に電源を接続し、高エネルギー超音波励振システムをONさせる。当該装置に制御回路基板が設けられており、制御装置により複数の超音波変換器1を同時に制御することができる。補助クリップ装置は所定のクリップ力を提供して、部材と超音波変換器1との固定接触状態を維持する。クリップ固定面(接触面)にカプラント13が塗布されて、超音波エネルギーの損失を低減させるとともに、応力調整の際の温度を低くすることができる。

図5に示すように、調整対象である溶接部に二つの強磁気吸着ベース19が吸着し、当該強磁気吸着ベース19の上端に支持レバー15が固定され、固定中間レバー14とねじレバー16を調節して超音波変換器1を溶接部21(残留応力集中領域)に配置し、圧盤17により超音波変換器1に一定の力をあらかじめ施しておき、溶接体の表面に位置固定し、クリップ固定面(接触面)にカプラント13が塗布されて、超音波エネルギーの損失を低減させるとともに応力調整際の温度を低くすることができる。

また、図6aと図6bは、傾斜面を有する傾斜柱状の超音波変換器1のガイドヘッド(ガイド部、図2)を示している。当該ガイドヘッドは、超音波束の入射角度を調整することによって、部材4の内部における超音波の焦点を合わせることを実現するために設けられている。Snellの法則に基づいて、超音波変換器を設計して高エネルギー超音波束の入射角度を制御して、部材内部の局部における定量的な焦点合わせを実現する。クリップを容易に行うために、ガイドヘッドの円周側面に切り欠き部20が形成されており、クリップ装置のクリップを補助することができる。また、クリップ固定面(接触面)にカプラント13が一層に塗布されて、超音波エネルギーの損失を低減させるとともに応力調整の際の温度を低くすることができる。

次に、残留応力を高エネルギー超音波場で調整するシステムについて説明する。

図3は残留応力高エネルギー超音波場調整システムの概略図である。当該システムは、携帯型制御装置12と、超音波信号励振コントローラ10と、高パワー超音波増幅器8と、超音波変換器1と、補助装置とを具備する。図3に示された超音波変換器1は、ラッパ状のものを使用する。

図3は高エネルギー超音波場処理システムを示している。携帯型制御装置12は、調整制御プログラムに従って制御指令を出し、超音波信号励振コントローラ10は、制御指令信号11を受信した後に高パワー超音波増幅器8に対して調整制御信号9を発信し、高パワー超音波増幅器8は、調整制御信号に従って超音波変換器1を駆動して高エネルギー超音波束を発生させ、高エネルギー超音波束のエネルギーは設定された要求に応じて残留応力集中領域3に到達し、残留応力に対する調節を行う。電源通電時間、出力パワー、出力周波数、補助装置のクリップ力を調節することができる。動作中、高エネルギー超音波は、媒体となる部材において伝播して媒体の粒子を振動又は蠕動させ、媒体における応力又は音圧を連続的に又は非連続的に変化させて、晶粒又は結晶格子同士の間に蠕動などの動作を発生させる。部材内部における超音波の波動によるエネルギーにより、結晶格子同士の間の束縛力を破壊、低減又は再建して、残留応力場を調整することができる。

残留応力高エネルギー超音波場調整システムは、図4に示される残留応力超音波測定・フィードバック制御システムに構成されることができる。

図4に示すように、残留応力超音波測定・フィードバック制御システムは、順次に電気的に接続されている、超音波変換器1と、超音波増幅器8と、超音波信号励振コントローラ22と、残留応力フィードバックコントローラ23と、超音波信号処理モジュール24と、残留応力測定変換器25とを具備し、それらの部材の接続関係は図4の通りである。超音波変換器1は、カプラント13を介して部材4に固定接続される。

ある部材4に対して残留応力調整処理をする際に、まず、超音波信号励振コントローラ22は、制御プログラムに従って複数の超音波増幅器8を制御して駆動信号を発生させ、駆動信号7に従って複数の超音波変換器1が周波数と位相の異なる複数の高エネルギー超音波束を発生し、複数の高エネルギー超音波束のエネルギーの焦点を合わせて残留応力を調節する。また、残留応力測定変換器25は、部材4の残留応力を測定し、超音波信号を超音波信号処理モジュール24に伝送し、超音波信号処理モジュール24は検出した残留応力情報を残留応力フィードバックコントローラ23に伝送し、残留応力フィードバックコントローラ23は超音波信号励振コントローラ22と接続されて、残留応力フィードバック制御システムを構成する。

次に、弾性固体の残留応力場を元の位置から超音波で制御する方法について詳細に説明する。

まず、一つ又は複数の超音波変換器1を残留応力を調整しようとする領域又はその付近に配置する。その配置方式は、現場の実際の条件と超音波変換器1の数量に応じて決定される。超音波変換器1と部材4はクリップ装置を通じて結合され、その接触面にカプラント13が塗布されて、超音波エネルギーの損失を低減させるとともに応力調整の際の温度を低くすることができる。その後、変換器の電極を超音波励振コントローラの電極と接続して、超音波変換器は超音波励振コントローラと接続される。超音波変換器の電源をONさせて、超音波を発生させ、残留応力集中領域に焦点を集中させる。単一の変換器の電流範囲は0.1〜1Aであり、処理温度は常温であり、所定時間に連続的に処理を行う。

高エネルギー超音波の焦点の集中のキーポイントは焦点集中の制御方式にあり、本件発明は超音波変換器1と超音波焦点集中レンズとからなる超音波焦点集中システムを用いる、有効かつ実用的な焦点集中方式である。材料内部の局部の残留応力に対する制御効果を向上させるために、複数の超音波変換器1により同時に超音波を出し、超音波の焦点を集中させて、集中箇所に高エネルギー波動を生じる。その原理は図1bの通りである。このような高エネルギー超音波焦点集中方法は、単一の超音波変換器1の場合に生ずるパワー不足の問題を解決することができ、自動制御技術を通じて、複数の超音波変換器1を同じ座標系において制御し、残留応力調整対象となる目標領域に超音波の焦点を集中させる。

高エネルギー超音波束の入射角度、周波数、位相などの励振パラメータを制御することによって、部材4の内部における異なる深度の箇所に相対的に高いエネルギーを有する超音波焦点集中領域を形成して、深度の異なる部材の表面、準表面、内部における残留応力を調節、制御することができる。上記回折理論を用いて音波透過可能レンズの高エネルギー音場の分布を示して、正確な結果を効果的に得ることができる。

高エネルギー超音波焦点集中処理を所定時間行った後、残留応力測定システムにより残留応力を即時に測定する。この測定は、対応するコンピュータ制御システムと、それと結合するテーブル、クリップなどの装置を設けることが必要である。即時に得られた残留応力測定結果を制御システムにフィードバックして、制御システムは応力制御結果に応じて処理時間を制御して、局部残留応力を精確かつ定量的に調整・制御することができる。

残留応力高エネルギー超音波場処理システムを用いて中国規格の45#鋼板などの金属部材に対して高エネルギー超音波場で残留応力除去処理を行う実験をした。所定パワーと周波数を有する複数の超音波焦点集中変換器で45#鋼の部材4に対して高エネルギー超音波場の処理を所定時間行った。超音波変換器1の配置方式は図2の通りである。実験を行う前に、部材における8つの測定領域に対して超音波残留応力測定システムで応力測定し、実験を行った後に、応力を再度測定した。実験は変換器のパワーと周波数と作用時間を影響因子とした。

その結果、残留応力集中領域3の残留応力の変化は大きく、残留応力集中領域3から離れた箇所では残留応力の変化は大きくない。この結果から、高エネルギー超音波の励振方法、焦点集中を調整し、制御することによって、弾性固体部材4の局部の残留応力を変化させ、制御して、有害な残留応力を除去、抑制し、有益な残留応力を強化する目的を達成することができる。45#鋼板は所定時間に超音波で応力除去処理を行われた後に、その応力値が全体的に改良された。圧縮応力を適当に付加して、鋼板の表面と全体の強度を向上させて、溶接領域の表面の耐食性と耐摩性を向上させた。超音波で残留応力場に対して調整、制御する技術は広く適用されるべきである。

次に、具体的な工程について詳細に説明する。

(1)部材4の調整目標領域の残留応力を測定する。残留応力が大きい部材の場合には、励振周波数とパワーの大きい超音波変換器1を使用する必要がある。残留応力が小さい部材の場合には、励振周波数とパワーの小さい超音波変換器1を使用することができる。

(2)高エネルギー超音波場で所定時間処理した後に、調整目標領域の残留応力を測定する。

(3)現在の応力値と目標値とを比較して、目標を達成した場合に、調整処理を停止し、達成していない場合に、工程(2)を繰り返す。

(実施例1) 45#鋼製の部材に局部的に焼き入れをして残留応力を発生させ、残留応力集中箇所に4つの超音波変換器1を配置して、超音波変換器の電源をONさせ、4つの超音波変換器1が同時に超音波を発生し、かつ発生した超音波の焦点を集中させて、集中箇所に高いエネルギーを発生し、残留応力集中領域に対して残留応力調整処理をした。単一の変換器について、その電流は0.1〜1A、パワーと周波数は以下の3つの組み合わせとした。すなわち、60W/28KHz、60W/20KHz、40W/28KHzであり、作用時間(処理時間)はそれぞれ10分、20分、40分、80分である。

(実施例2) 実施例1との相違点は以下の通りである。処理材料は中国規格のH62銅製であり、単一の超音波変換器1について、その電流は0.1〜1Aであり、パワーと周波数は以下の3つの組み合わせとした。すなわち、60W/28KHz、60W/20KHz、40W/28KHzである。作用時間(処理時間)はそれぞれ40分、80分、160分である。

(実施例3) 実施例1との相違点は以下の通りである。処理材料は中国規格の6061アルミニウム合金製であり、単一の超音波変換器1について、その電流は0.1〜1Aであり、パワーと周波数は60W/28KHzであり、作用時間(処理時間)はそれぞれ30分、60分である。

上記実験の結果として、高エネルギー超音波処理の前、実験目標領域の応力の平均値は239MPaであり、高エネルギー超音波処理の後、測定領域の残留応力の平均値は125MPaとなり、その低減程度は47.8%となり、局部の応力値が408MPaから162MPaに低減し、その低減値は246MPaとなった。

上記実験から、周波数が20KHz〜600KHzとなる場合に良好か効果がある。また、超音波変換器の発生する超音波場のパワーは40W〜1000Wとすることが好ましい。超音波変換器の発生する超音波場の作用時間は10分〜10時間とすることが好ましい。

部材局部残留応力に対して、焦点を集中させる高エネルギー超音波で定量的に調整する方法を用いれば、以下の技術的効果がある。

(1)原理は進歩的なものであり、その処理結果は優れる。すなわち、本件発明は、残留応力が発生する根源に注目し、高パワー超音波を応力調整目標領域に導入して、元の転位構造を変化させ、転位を不安定な高エネルギー位置から安定な低エネルギー位置に移動させる。元の転位構造を変化させ、新たな低エネルギー組織、低弾性エネルギー構造を形成し、残留応力の分布を変化させ、応力のレベルを低減し、部材の残留応力を除去して、部材のサイズを安定させる目的を達成することができる。

(2)消費エネルギーは低くなり、処理速度は速くなった。即ち、本件発明は、調整・制御システムにより高エネルギー超音波束の入射角度や周波数や位相などの励振パラメータを調整して、残留応力調整目標部位に高エネルギー焦点集中領域を速めに形成し、当該領域における転位によるスリップと塑性ひずみを変化させて、残留応力を調整することができる。

(3)使用する機器は簡単なもので、操作は簡単となり、コストは安くなった。本件発明を実施するための最小限のハードウエア構造は高パワー超音波発生器と集中超音波変換器と補助クリップ装置とを具備すればよい。

(4)汚染はない。超音波は人体に安全であり、高エネルギー超音波で処理する際に生じる騒音は小さくなり、安全であり、且つ信頼性がよく、ほとんど汚染がない。

(5)処理可能な材料は多種となる。本件発明は金属や非金属(例えば、ガラス)のようなすべての弾性固体部材に対する応力除去処理に適用される。

上記実施例の構造は本件発明を限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。このような変更は本件発明の技術範囲内に属するものである。

1:超音波変換器、3:残留応力集中領域、4:部材、7:駆動信号、8:高パワー超音波増幅器、9:調整制御信号、10:超音波信号励振コントローラ、11:指令信号、12:携帯型制御装置、13:カプラント、14:固定中間レバー、15:支持レバー、16:ねじレバー、17:圧盤、19:磁気吸着ベース、21:溶接部、22:超音波信号励振コントローラ、23:残留応力フィードバックコントローラ、24:超音波信号処理モジュール、25:残留応力測定変換器

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