Particle purification of alloy used a magnetic field processing

申请号 JP2003553023 申请日 2002-12-10 公开(公告)号 JP2005513263A 公开(公告)日 2005-05-12
申请人 エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー; 发明人 クー,ジェイヨン; トーマン,ハンス; バンガル,ナラシムハ−ラオ,ブイ.; リング,シウン; ルートン,マイケル,ジョン;
摘要 強 磁性 から常磁性への相変換を起こす 合金 の粒径を精製する方法、およびそれによって製造される合金が開示される。 強磁場を時機に合わせて合金に当てることによって、相境界の 温度 を移動させ、低温度で相変換することができる。
权利要求
  • (a)合金を十分な強度の磁場に、前記合金を第1の相比率から第2の相比率へ転移させるために十分な時間にわたり当てる工程;
    (b)磁場を低下させて、前記合金を前記第2の相比率から前記第1相比率と同一でも異なっていてもよい第3の相比率へ転移させる工程;および 場合によっては前記工程(a)および(b)を繰り返す工程を含んでなる磁場誘導相変換を受ける合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は、鋼、鉄合金、コバルト合金およびニッケル合金よりなる群から選択され、
    前記工程(b)における磁場低下は、磁場をゼロTに減少させ、
    前記第3の相比率は、前記第1相比率と同一であることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は、少なくとも92重量%の鉄、コバルト、ニッケルまたはそれらの組み合わせを含有することを特徴とする請求項2に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記第1の相比率および前記第2の相比率は、隣接相境界領域にあることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記磁場の適用を、単独工程における変化として増加および減少させることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記磁場は、5T超の強度を有することを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 終了時に平均粒径10μm未満の等軸粒子が製造されることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は、前記方法中+/−50℃以下で温度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 固定された温度で実施されることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記第1相比率の温度は、A 〜(T +100)℃であることを特徴とする請求項3に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金を500℃以下に冷却する冷却工程(c)を更に含んでなることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 高温作業工程(c)を更に含んでなることを特徴とする請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 変形または冷却せずに少なくとも5Tの磁場適用後、少なくとも92重量%のFeを含んでなり、かつ5μm未満の平均等軸粒径を有することを特徴とする高強度低合金鋼。
  • 平均等軸粒径は、1μm未満であることを特徴とする請求項13に記載の高強度低合金鋼。
  • 前記合金は、少なくとも92重量%のFeを含んでなることを特徴とする高強度低合金鋼である請求項1に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 相境界によって分離された強磁性相および常磁性相を含んでなる合金の粒径を精製する方法であって、
    (a)前記強磁性相および常磁性相を第1の容量比で有する合金を、前記相境界の温度を上昇させるのに十分な強度の磁場に、前記磁場が、少なくとも15容量%の合金を常磁性相から強磁性相へ変換させるように、前記第1の容量比を第2の容量比に変化させるための十分な時間にわたり当てる工程;
    (b)磁場を低下させて、前記合金を前記第1の容量比と同一でも異なっていてもよい第3の容量比に転移させる工程;および 場合によっては前記工程(a)および(b)を繰り返す工程を含んでなる合金の粒径を精製する方法。
  • 下相境界および上相境界を有する混合相領域によって分離された強磁性相および常磁性相を含んでなる合金の粒径を精製する方法であって、
    (a)前記強磁性相および常磁性相を第1の容量比で有する合金を、前記相境界の温度を上昇させるのに十分な強度の磁場に、前記磁場が、少なくとも15容量%の合金を常磁性相から強磁性相へ変換させるように、前記第1の容量比を第2の容量比に変化させるための十分な時間にわたり当てる工程;
    (b)磁場を低下させて、前記合金を前記第1の容量比と同一でも異なっていてもよい第3の容量比に転移させる工程;および 場合によっては前記工程(a)および(b)を繰り返す工程を含んでなる合金の粒径を精製する方法。
  • 前記第3の容量比は、前記第1の容量比と同一であることを特徴とする請求項17に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は、鉄合金、ニッケル合金またはコバルト合金であることを特徴とする請求項17に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は、全量で8重量%未満の合金量を有する低合金鋼であることを特徴とする請求項19に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記低合金鋼は、API X80、ASTM A516グレード60、ASTM A516グレード70、AISIグレード1010、AISIグレード1018、AISIグレード1020、AISIグレード1040、AISIグレード4120、AISIグレード4130およびAISIグレード4140よりなる群から選択されることを特徴とする請求項20に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記合金は鋼であり、
    前記工程(a)において、前記磁場は少なくとも10Tであり、0.1〜1000秒にわたり適用され、
    前記工程(b)において、前記磁場を0.1〜1000秒にわたりゼロTに低下させ、
    温度は、A 〜(T +100)℃の間であることを特徴とする請求項21に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記工程(a)において、前記磁場は少なくとも20Tであり、1〜100秒の時間にわたり適用されることを特徴とする請求項22に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 前記磁場を2〜10回サイクルさせ、磁場サイクル間の時間は、前記工程(a)における時間と独立して0.1〜1000秒であることを特徴とする請求項23に記載の合金の粒径を精製する方法。
  • 粒径は、請求項1に記載の方法により精製されることを特徴とする合金。
  • 说明书全文

    本発明は、構造合金における精製粒子構造の製造に関する。 前記精製粒子構造は、強度、靭性などの機械特性のステップ・アウトした組み合わせを有する優れた構造合金を設計する上で有用である。 本発明は、合金の相境界を移すための高強度磁場の適用を含み、これによって相変換を誘導する。 前記方法は、このような磁場の強度において、適用と、中断または低下を交互に行うことを含み、それに伴う相変換の迅速な進行および逆転により、合金の最初の粗製粒子構造を微細な等軸粒子へ漸次精製に導く。 等軸または等軸化された粒子または結晶は、3座標方向において概ね等しい寸法を有する。

    構造合金の強度の増加は、構造部材を運ぶ積荷、または加圧流体を含有させるために使用される容器に対し、より薄い壁構造の構築を可能にするものとして大変望ましい。 より薄い壁構造の構築は、材料、製作、輸送および組み立てコストの節約のために重要な経済的動機に導くことができる。 他の適用において、高強度構造材料は、科学技術、例えば、超深のドリリング用や炭化水素製造用の構造鋼構成要素を可能にする。 しかし、高強度構造材料または合金の潜在強度を、工学設計において十分に利用し得る前に、この材料が脆性破砕に抵抗する十分な靭性を有することが重要である。 構造合金の場合、合金の粒径を小さくすることにより、強度と靭性特性の双方を同時に強化できることは当業者に公知である。

    構造合金の粒径を精製するために過去において採用された多くのアプローチがある。 これらのアプローチの全ては、相の安定性を変更するための熱的手段または熱−機械的手段、および/または存在する相を不安定にすることによる、新鮮粒子の核化および成長の制御に基づいている。

    通常使用される1つのアプローチにおいては、例えば、温度または材料の化学的性質を変えて、現存する相境界を横切って、材料を一相領域から他の相領域に移動させる。 各々の相領域は、1つ以上の安定な相を有し得る。 しかしながら、これらの工程において、相境界および相の自由エネルギーは、基本的には変更されない。

    例えば、1つのアプローチにおいて、相境界を横切る熱的サイクルにより合金の相変換を誘導することにより、合金粒径の精製が達成される。 このような熱的サイクル処理は、極低温用途において用いられる数種のFe−MnおよびFe−Ni鋼における粒子精製で効果的に使用されている。 例えば、特許文献1は、極低温用途のための低Mn合金鋼における超微細粒子構造を製造する熱サイクル処理法を記載している。 熱サイクル処理の技術的および科学的基礎はまた、刊行物(非特許文献1)にも記載されている。 この熱サイクル法は、現存する相境界を用いている。 この相の境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    特許文献2は、混成材料における成分の1つについての異なる相領域間で温度をサイクルさせることを提案している。 これは、その成分における相変換を誘導し、粒子精製および超可塑性を提供する。 この方法は現存する相境界を使用する。 この相境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    高強度低合金鋼において広範囲に用いられる他の1つのアプローチにおいては、動的および/または静的再結晶を誘導し、最初の粗製オーステナイト粒子を漸次精製するのに十分な高温での、制御された多段階高温作業工程(熱間圧延など)により、オーステナイト粒子を精製する。 これは、加熱並びに機械的変形双方の同時適用を含むことから、このアプローチは「熱−機械的処理(TMT)(加工)」としても知られている。 TMT加工の多くの場合、再結晶およびその後の再結晶粒子の成長を更に制御するために、粒子成長抑制合金(Nb、またはNbやTiの混合物など)の添加によるミクロ合金形成が用いられる。 当業界において多数の特許および刊行物は、優れた構造特性を有し商業的に魅ある合金を設計するために、この技術の科学および実施の双方を記載している。 例えば、技術的刊行物として、非特許文献2は、TMT関連の機構および方法を提供している。 特許文献3の「優れた極低温靭性を有する超高強度オースエージ鋼(Ultra−High Strength Ausaged Steels with Excellent Cryogenic Temperature Toughness)」は、超微細オーステナイト粒子を製造するために特定のTMTの使用を記載している。

    また、粒径を精製するための他のアプローチもある。 これは、冷作業に次いで、激しく変形した粒子を再結晶するための高温アニールを含む。 この場合、相変換は含まれず、同一結晶構造の新たな粒子が核化し、冷作業からの激しく変形した不安定な粒子に取って代わる。 これは熱的に活性化された工程であるので、より高い温度により新粒子形成を促進される。 例えば、特許文献4は、低温で合金を鍛冶し、次いで再結晶が生じて保存された歪みエネルギーが放出される高温まで合金を加熱し、これによって微細で均一なミクロ構造を達成することを提案している。 この方法は相変換を伴わない。

    特許文献5は、可塑的に変形した物質を、低温相を不安定化させる高温まで加熱することを提案している。 これは、相変換誘導再結晶により微細ミクロ構造が生じる(恐らく、保存歪みエネルギーにより駆動される運動増加のため)。 この方法は、現存の相境界を使用する。 この相境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    特許文献6は、物質の化学的性質を変化させて、最初の相領域から異なる相領域に移動させ、これによって超可塑性を生じる相変換を誘導することを提案している。 この方法もやはり、現存する相境界を使用する。 この相境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    特許文献7は、物質をその最初のα状態からα+γデュアル相領域内の温度まで迅速に加熱し、これによって超可塑性を提供する不安定性を誘導することを提案している。 この方法は、現存する相境界を使用する。 この相境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    特許文献8は、溶融された合金を迅速に冷却し、特定の溶質で過飽和した固体を形成することを提案している。 引き続きこの合金を、より高い温度まで加熱し(恐らく、十分な拡散度で溶質原子を提供するために)、その温度で溶質を、金属間粒子の形態で沈殿させる。 この方法は、相変換を伴わない。

    特許文献9は、γ相からα+γデュアル相領域に冷却する際の熱間圧延鋼を提案している。 これは、γ→α相変換および歪み誘導γ再結晶を含む2つの同時工程のために、微細粒径を生じる。 この方法は、現存する相境界を使用する。 この相境界は変更されず、相の自由エネルギーも変化しない。

    米国特許第4,257,808号明細書

    米国特許第5,413,649号明細書

    米国特許第6,254,698号明細書

    米国特許第5,534,085号明細書

    米国特許第5,080,727号明細書

    米国特許第6,042,661号明細書

    米国特許第3,723,194号明細書

    米国特許第5,087,301号明細書

    米国特許第4,466,842号明細書

    エス・ジン(S.Jin)ら、「Fe−Ni−Ti極低温合金における熱サイクルによる粒子精製」(Metallurgical Transactions A)、6A巻、1975年、141〜149頁 エフ・ビー・ピッカリング(F.B.Pickering)により編集され、ニューヨーク所在のVCHにより1992年発行された「鋼の構造および性質(Constitution and Properties of Steels)」、7巻中のアール・ダブリュー・カーン(R.W.Cahn)らにより編集された「物質化学および科学技術(Materials Science and Technology)」シリーズ中、アイ・コザス(I.Kozasu)、「加工−熱的機械制御加工(Processing−Thernomechanical Controlled Processing)」、183〜217頁

    現在の粒子精製法における限界は、効率的かつ均一な粒子精製のための矛盾する要件、つまり、新たな粒子の核化速度が高いことと、粒子の成長を無くすことに関係している。 高核化速度は、高熱力学的駆動力により促進される。 このため、大きな温度変化ΔTが必要とされる。 粒子成長を避けるためには、この温度変化は即時的である必要がある。 しかし、商業的適用の典型となる大きな構成要素でこれを達成することは、実際には非常に困難である。 これらの構成要素に関して、商業的加熱または冷却工程の現在の技術状態でも、温度変化は漸次にしか行われない。 温度の漸次変化により、この温度変化の早期段階において新相に幾らかの新粒子の核化が生じる。 温度の継続的変化の際、主として、現存する核がかなり粗製のサイズへ成長することにより、合金または物質が新たな相へより転移し、これにより更なる核化が生じ易くなる。 従って、温度変化から生じる全駆動力を十分に利用して、核化を促進し、成長を止めるには、物質の迅速な加熱または冷却が必要とされる。 しかし、実際の実施における限定された加熱および冷却速度という限界により、現在の技術状態により達成可能な最小の粒径は、等軸形成された粒子に関して約10μmに限定される。 10μm未満、好ましくは5μm未満、更により好ましくは約1μm未満まで粒子を更に精製することにはかなりの技術的関心がある。 現技術の前記限定のない新規な材料加工の方法論が、10μm未満の粒径精製を生じさせるために必要である。

    本発明は、強磁性相と常磁性相の間の相転移を可逆的に誘導するために、合金において磁場を適用することにより、粒径を精製する方法を含む。 他の磁場相は考慮されているが、あまり好ましくない。 この相変換は、温度変化の有無による磁場適用の変化によって誘導できる。 本発明は、基本的には自由エネルギーを低下させ、強磁性相の熱力学的安定性を高め、相境界を移動させることになる、という磁場の効果に基づいている。 本発明に関して、2相(例えば強磁性相と常磁性相)は、異なる化学的性質、および/または好ましくは異なる結晶構造を有しており、また一相から他相への転移は、化学的性質(例えば沈殿物)の変化および/または結晶構造の変化を必要とする。 所望の等軸形成された粒径を得るためには、磁場を適用し、終了させるか低下させるサイクルを1つ以上行う。 サイクル数は、好ましくは100未満、より好ましくは10未満、更により好ましくは5未満である。 サイクル間の時間は、好ましくは磁場が適用される時間と概ね同じであるが、10倍まで短くてもまたは長くてもよい。 磁場を増加または低下させる間のランピング時間は、最少にすることが好ましい。 ピーク磁場の5%←→95%のランプアップおよびランプダウン時間は、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、更により好ましくは1秒未満である。 磁場は、ステップアップおよび/またはステップダウン(好ましくは1工程において)、或いはランプアップおよび/またはランプダウンできる。 例えば、図4からわかるように、磁場は、単独または複数の工程において増加および/または低下できる。 異なる相の平衡比が変わるように、(磁場増加と共に)相境界温度を上げるか、または(磁場低下と共に)元に戻す。 比率は、例えば1つの相が100%:0%の比率を有する容量比により測定できる。 これゆえに、本発明は、(a)合金を十分な強度の磁場に、前記合金を最初の相比率(条件A)から新たな相比率(条件B)へ転移させるために十分な時間にわたり当てる工程;(b)磁場を低下させて、前記合金を前記条件Aと同一でも異なっていてもよい更なる別の相比率(条件C)へ転移させる工程;および場合によっては前記工程(a)および(b)を繰り返す工程を含んでなる強磁性から常磁性への転移を受ける合金の等軸化粒径を精製する方法に関する。 工程(b)における磁場低下は、磁場をゼロに減少させることおよび工程(a)の強度と異なる強度に変えることを含み得る。

    本発明は、磁気加工に選択された高温で、10μm未満、好ましくは約5μm未満、更により好ましくは約1μm未満の微細等軸化粒径を有する金属または合金を製造する。 好ましい実施形態において、合金は磁気加工後、粒子成長を最小にするために約500〜550℃未満に冷却(例えば、周囲空冷、流体媒体中での迅速クエンチ、媒体中での冷却促進によって)される。 他の実施形態において、前記微細等軸化粒子金属または合金は、更に粒径を減少させるため、従来法により次の加工に供することができる。 前記従来の加工としては、高温加工(例えば熱−機械的制御加工(TMCP)、熱間圧延、加熱曲げ、加熱鍛冶など)および高温から周囲温度またはその間のある温度までの冷却が挙げられる。 粒径および形状に加えて、本発明により製造された材料は、改善された粒子分布および粒子表面を有し得る。

    更に、本発明は、幅広く強磁性相から常磁性相転移を受ける金属または合金に関する。 本発明は、好ましくは、Fe、NiおよびCoの合金に適合し、これらの合金は単独でも複数種の組み合わせ(例えば、Fe−Ni−Co合金)でもよく、また炭素を含んでいても含んでいなくてもよい。 不純物または副合金形成は、従来の工学技術実施によって可能であり得る。 本発明を限定はしないが、前記不純物または副合金形成は、S、P、Si、O、N、Alなどを含み得る。 本発明は特に、炭素および高強度低合金(HSLA)鋼を含む低合金鋼に適合する。 本発明の目的のために、HSLA鋼は、全量で約8重量%未満の合金形成含量のFeベースの鋼である。

    本発明の実施形態は、炭素および低合金鋼に対する適用を用いて以下に記載されるが、本発明が磁気相転移、好ましくは強磁性←→常磁性相転移を示す任意の合金に対して幅広い適用性を有することは当業者にとって明らかである。 本明細書に記載された本発明により製造される、精製等軸化粒径を有する本発明の合金は、構造体成分および加工装置(圧力容器など)を製作するのに用いることができる。 これらの構造体および装置は、オイルおよびガス探査、オイルおよびガス生産、精製加工および化学的加工などの用途を有する。 本明細書中で製造される精製粒子合金は、構造成分を製作できる、より強力かつより頑丈な材料を提供する。 有益な点として、高温で10μm未満の等軸化粒径を有する合金を製造できる。 前記合金は、高温加工(例えば、TMCPおよび圧延、曲げ、鍛冶などの他の加熱変形)および周囲温度またはその中間の他の温度への冷却などの従来法により更に加工できる。

    先行技術のアプローチにおいて、相比率を変える(例えば、現存する相境界を横切って、炭素鋼の単相γ領域と、2相フェライト(α)+γ領域の間の相比率を変える)ための反復熱サイクルにより、ある一定のγ相対α相比率が発生し、また1つの熱サイクルで逆戻りして、100%γ相を形成する。 この正および逆相変換は、不安定相を消費する安定相の核化と成長により生じる。 これらの反復は、図1の略図に描写された粒子精製を生じる。 各時間に核化段階があり、典型的には、それで形成される核が2つ以上あり、それらが、予め存在する粒子をより小さな単位または粒子に解体する。 相境界領域を横切る反復熱サイクルの際に、元の粗製粒子構造は、図1の略図に示されるように微細粒子に解体される。 現在の技術状態では、現存する業務用加熱処理施設で、熱サイクルが達成できる迅速性の限界のため、等軸化粒径精製が約10μm(加工温度で)に限定される。 これは主として、加熱−冷却サイクルに必要な時間、およびこの時間中の、続いて起こる、新鮮な核化に対しての現存する粒子の成長により限定される。

    本発明において、2つの異なる相領域間の相転移は、好ましくはキュリー温度(T )を約100℃超える温度またはそれ以下で達成される。 外部磁場の不在下で、強磁性物質はキュリー温度超で常磁性となる。 相図で示された鋼のα+γ相領域において、同一相領域内だが、異なる体積分率または構成相の相比率で移動することもまた可能である。 磁場適用中、温度は一定でもよく、特定の範囲内で変えてもよい。 従って、磁場適用中の温度は、A からT プラス100℃に等しい温度までの任意の温度に固定してもよく、この範囲内で変えてもよい。 鋼のA は、α+γ相領域と、αまたはα+Fe C相領域の間の境界温度である。 鋼のA は、α+γ相領域とγ相領域の間の境界温度である。 より好ましくは、磁場適用の最大温度は、T プラス50℃以下である。 合金に適用される磁場強度は(合金にもよるが)2T超、好ましくは5T超、より好ましくは10T超、更により好ましくは20T超、最も好ましくは50T超である。 磁場は、強磁性相のギブスの自由エネルギーに影響を与えることにより、金属の相境界を移動させると考えられている。 相境界移動の結果、安定化相の新たな結晶化核が形成され、これが現存する粒子を解体してより小さな等軸形成粒子とし、粒径精製を起こさせる。 本発明は、磁場誘導核化および新たな粒子の成長に基づいている。 これは、により誘導されることが好ましい。 鋼に関しては、αは体心立方(BCC)結晶構造(またはいくらか歪んだBCC)を有する相であり、そのキュリー温度未満では強磁性であるが、そのキュリー温度超では常磁性となる相である。 炭素鋼に関する典型的なキュリー温度は約770℃である。 また鋼に関し、γは面心立方(FCC)結晶構造を有し、常磁性である別の相である。 これら2つの相は異なる密度を有する。

    本発明は、図2および図3に示されたFe−C鋼の相図(略図)を参照することにより更に容易に理解される。 本発明において、磁場に当てる合金は最初、初期の相境界領域がA からT +100℃以内であるという条件で、任意の相境界領域内にあり得る。 本発明においては、磁場誘導相境界移動により、初期の粗製粒子構造から微細結晶/粒子への解体を最大にするために有利な相変換が達成される。 本発明の一実施形態は、一定温度で磁場を適用または変化させることを伴う。 本発明の他の実施形態において、一定の磁場を適用し、または磁場を変えながら温度を変えることができる。 例えば、鋼合金を冷却しながら磁場を適用できる。

    図2および図3は、本発明の適用を例示する。 本明細書中に教示された相境界移動は、水平実線A とT +100℃(T はキュリー温度である)の間の温度範囲で達成できる。 より好ましくは、これは、それぞれ図2に示されるA の上にあり、図3に示される傾斜実線A に近接する2つの温度領域で達成できる。 A に近いより低温の領域において、磁場の不在下、A より高い温度からA まで冷却する際に、鋼は2相α+γ領域からα+Fe C相領域への転移を受ける。 A に近いより高温の領域において、磁場の不在下、A より高い温度から温度A まで冷却する際に、鋼は、単相γから2相α+γへの相転移を受ける。 対応する逆相変換はそれぞれ、温度A および温度A まで加熱する際に生じる。 冷却は経済的に好ましい工程であるが、同様の加熱スキームでも、逆方向ではあるが、相転移を誘導することができる。 図2および図3において、点線は、本発明による磁場の適用に伴う温度A およびA の移動位置を図式的に示している。 図2−aにおいて、0.4重量%炭素および約740℃における実線円は、何らの磁場も適用する前の、鋼の初期状態を表している。 磁場適用時に、A 相境界は水平実線から水平点線へ上方に移動している。 磁場をかけた結果、ここで一定温度に保持された鋼は、α+γ領域の代わりにα+Fe C領域内にある。 磁場を消すことにより、鋼はα+γ領域に戻る。 この工程は必要なだけ複数回繰り返すことができる。 図2−bは、初期には温度A 近くの温度(実線円により示される)で行われる、Fe−C鋼に対する磁場の適用および中断の反復による、初期の粒径の精製を図式的に示している。 図3−aにおいて、0.4重量%炭素および約830℃における実線円は、何らの磁場も適用する前の、鋼の初期状態を表している。 磁場適用時、A 相境界は傾斜実線から曲点線へ上方に移動している。 磁場をかけた結果、一定温度に保持された鋼は、ここでγ領域の代わりにα+γ領域内にある。 磁場を消すことにより、鋼はγ領域に戻る。 この工程は必要なだけ複数回繰り返すことができる。 図3−bにおける図式は、初期には温度A 近くの温度(実線円により示される)で行われる、Fe−C鋼に対する磁場の適用および中断の反復による、初期の粒径の精製を表している。

    出願人らは、磁場の適用による2つの異なる相比率間の移動が粒径精製を可能にすると考えている。 これゆえに、例えば、作用を受ける合金は100%γ相内にあってよく、磁場適用の結果、ある一定のα:γ相比率に移動でき、適用磁場の中断または減少時に元に戻ることができる(例えば図3を参照)。 同様に合金は、α+γ相内から出発し、磁場適用の結果として、主としてαからなる(いくらかFe Cを含む)相に移動し、次いでまた戻ることができる(例えば図2を参照)。 必要なことの全ては、α相およびγ相の異なる比率(例えば体積分率)を有する相図内の2点間で合金をサイクルすることである。 隣接相境界間の移動は必要でなく、これは以下の2つの技術のいずれかまたは双方によっても達成できる。 第一に、好適な合金化学(例えば、炭素などの合金形成の添加)を用いて、A とA の間の温度間隙を狭めることができる。 例えば、図2でわかるように、0.7重量%炭素を用いると間隙はわずか20℃となる。 第二に、潜在的には、非常に高い磁場を用いると、2相境界を横切る移動が可能である。 例えば、図3でわかるように、主たる鋼相は、γからα+Fe Cへ移動でき、次いでγまたはα+γへ戻りうる。 しかし、鋼合金は最初、磁場の適用前にα+γ相領域またはγ相領域内に存在しなければならない。 より高い温度でより迅速な相転換速度論を利用するために、合金は、磁場適用前にγ相領域内にあることが好ましい。

    鋼内のγ相を犠牲にしてα相を形成する場合、鋼は寸法変化(この例では、γ相の面心立方(FCC)結晶構造の原子がより高密度に詰められた状態と比較して、α相の体心立方(BCC)構造の原子がより低密度に詰められた状態にあることによる拡張)を起こす。 このように、寸法変化をモニターして、他相を犠牲にして成長する相を理解することができる。 図4は、764℃の一定温度で、磁場を段階的に適用し、19Tの最大場強度までランプするときの、炭素含量約0.18重量%のAISI 1018炭素鋼に関する測定された寸法変化の実験データを表している。 鋼が平衡になっているこの温度で、磁場の不在下では、鋼は2相のα+γ相領域内にある。 磁場がかけられると、鋼標本は拡張し、これがγ相を犠牲にしてα相が成長することを示すことがわかる。 α相の量は、試験される最大磁場まで増加し続ける。 磁場の中断により、相変化を逆転できることがわかる。 一定温度において、磁場の適用または中断により相安定性に影響を与えることができることが、実験により確認される。 磁場の存在下、強磁性α相の熱力学的安定性が増加して、常磁性相γを犠牲にしたその核化および成長が導かれる。 磁場の適用および中断を多数回反復し、磁場が適用され、次いで中断される度に、またはサイクルする度に漸次粒子精製を得ることができる。

    最大粒子精製効率を得るために、少なくとも15容量%、より好ましくは30容量%、更により好ましくは50容量%の鋼が、磁場適用の各サイクルで変換を受けていることが好ましい。 粒子精製を最大にするために、磁気サイクル(磁場強度のオン−オフでも変化でもよい)を適用できる。

    本発明の特有の態様は、好適な合金化学設計と、特定の磁場強度の適用を結合することである。 これは、Fe−C相図である図5に図解されている。 例えば、0.4重量%炭素(C)を有する鋼化学を用いるとして、温度が約A (約730℃)のとき、磁場の適用で達成された20℃のシフトは、相の容量分布に50%を超える変化をもたらす。 この例において、鋼は最初、磁場の不在下、750℃付近で2相のα+γ相領域内にある。 十分な強度の磁場が適用され、相境界内で20℃上方へ移動すると、約55容量%のγ相がα相(或いは、いくらかはFe Cかもしれない)で置換される。 一方、低炭素含量(0.2重量%Cなど)を有する鋼化学を用いる場合、同じ磁場誘導20℃境界移動では、α相と置き換わるγ相が28容量%しかない、という結果となる。 従って、粒子精製効率は、0.2重量%Cの鋼よりも0.4重量%Cの鋼においてはるかにより効果的となる。 所定の磁場強度に関する相変化量は、合金化学の関数である。 これは合金化学が磁化に関連することによる。 当業界に公知の一般鋼化学の考察内で、磁場適用または中断により、相境界において得られる移動に関して相変換量を最大にするために、合金化学が選択されることは、本発明において好ましい。

    磁場サイクルの適用にとって最少時間は、金属が異なる相に十分変換するのにかかる時間に依存する。 最大時間は経済性と、望ましくない粒子成長の最少化により限定される。 理想的には、磁場は、熱力学的平衡によって全て所望の相変換が完了するのに十分な時間適用されるが、新たに形成される粒子の成長が開始される前まで、と十分に短い時間としうる。 実施に際しては、変換完了および粒子成長というこれら2つの要件の間に折衷案がある。

    例えば、0.43C−1.6Mnの化学を有するマンガン鋼においては、A (約750℃)でγ相(条件A)を100容量%有する。 50T磁場は、A 相境界において約50℃上方移動を与え、熱力学的平衡で25容量%γに対し75容量%α(条件B)の相比率となると推定される。 熱力学的平衡に達するには長時間要する。 条件Aから条件Bへの転移を約5%完了するには約5秒かかる。 条件Aから条件Bへの転移を約50%完了するには約40秒かかる。 この段階では、工程の約40秒までを核化が支配する。 条件Aから条件Bへの転移を約80%完了するには約2000秒かかる。 この後の段階は、新たに形成された粒子の成長により支配される。 この50T磁場の適用にとって好ましい時間(即ち、条件Aから条件Bへの転移の約50%を完了させるために)は、少なくとも約40秒であって、約150秒未満(過剰の成長を避けるために)である。

    好ましい時間は、合金化学、合金温度、相境界移動量(磁場強度に関連)に依存する。 一般に、過剰の粒子成長を最少にしながら変換を最大にするための十分な時間にわたり磁場を適用することが好ましい。 上記の変数に依存して、磁場を適用するための好ましい適用時間は、約0.1秒から約3000秒、より好ましくは約0.1秒から約1000秒間、更により好ましくは約1秒から約100秒である。 一実施形態において、磁場はオン時間に概ね等しいオフ時間でサイクルされる。 他の実施状態では、オフ時間はオン時間と異なっている。 本明細書中の例は、例示目的のためであり、排他的または限定的であることを意味していない。

    本発明に従って精製できる典型的な合金としては、限定はしないが、鉄、ニッケル、コバルトの合金が挙げられ、これらは単独でもよく、複数種の組み合わせでもよい。 1つの好ましい実施形態において、前記合金は、少なくとも92重量%の鉄、ニッケル、コバルトまたはそれらの組み合わせを含む。 これらの合金においてこれは、8重量%以下の他の成分が存在する。 最も好ましくは、鉄合金は、科学技術的に幾つかの最も重要な合金系を代表するものとして利用される。 好ましい材料の幾つかの例としては、限定はしないが、API X80、ASTM A516グレード60または70、およびAISIグレード1010、1018、1020、1040、4120、4130、または4140などの高強度低合金鋼が挙げられる。 しかしながら、当業者にとって明白であろうが、本発明は強磁性鋼、合金鋼、高強度低合金鋼、ニッケル合金およびコバルト合金に限定されない。 本発明は、強磁性から常磁性転移などの磁気転移を受ける合金に幅広く適用可能である。

    キュリー温度と同様、相境界の温度は、合金化学により修飾できる。 合金化学は、上記に示されるように、最小の相境界移動で相比率変化を最大にするように設計することが好ましい。 例えば、ニッケルまたはコバルトの鋼への添加はそのキュリー温度を変えることができるが、炭素の添加はこれを変えない。 例えば、ニッケル、炭素および/または窒素の添加は温度A を下げることができる。 この開示により、本発明に従って磁気的手法を設計するために、任意の所定の合金に関する相領域境界を示す相図を構築することができる。 例えばこれは、サーモ・カルク(THERMO−CALC)ソフトウェア(スウェーデン国ストックホルム所在のサーモ・カルク社(Thermo−Calc AB))を用いて達成できる。

    適用される磁場は、相境界を好ましくは少なくとも約10℃、より好ましくは少なくとも約20℃、更により好ましくは少なくとも約50℃移動させるのに十分な強度である。 鋼において、1T磁場はおおよそ、A およびA 相境界の1℃の移動を生じる。 磁場は、予想される相変換パーセントを完了させるのに十分な時間適用できる。 少なくとも約15容量%、より好ましくは少なくとも約30容量%、更により好ましくは少なくとも約50容量%の変換を達成することが好ましい。 磁場が適用される最大時間は、その合金にとって粒子成長を誘導するのに必要な時間よりも短い時間である。 これゆえに、磁場強度は少なくとも約2T(ある一定の合金に関して)、好ましくは少なくとも10T、より好ましくは少なくとも約20T、更により好ましくは少なくとも約50Tである。 磁場サイクル数が増すと(各サイクルを、予想された相変換パーセントを達成するのに十分な時間適用する場合)、一般に、更に精製される。 合金がその最初の相比率(および寸法)に実質的に戻るためにかかる時間、磁場を中断することが好ましいが、それより短いまたはより長い中断時間も可能である。 本発明の工程中の合金の精製は、図4に示されるものと同様の寸法変化によりモニターできる。 これゆえに、磁場を適用および中断すべき時間を、工程(a)および(b)の各サイクルまたは反復中に決定できる。 磁場強度を単純に減少する場合、磁場強度を再度増加する前の時間は、合金が相(および寸法)平衡に達するのに必要な時間であることが好ましい。 しかしながら、実施に際してはこの時間はより短くできる。 ただし、最大の利益は、合金の少なくとも約15容量%、より好ましくは少なくとも約30容量%、更により好ましくは少なくとも約50容量%が相変換を受けるときに認められる。

    高温でのオーステナイトまたはガンマ(γ)相の粒子構造を精製するための、先行技術におけるアプローチを示すFe−C相図である。

    高温でのオーステナイトまたはガンマ(γ)相の粒子構造を精製するための、先行技術におけるアプローチを示す略図である。

    一例としてFe−C合金(炭素鋼)を用いる本発明を示す図である。

    一例としてFe−C合金(炭素鋼)を用いる本発明を示す図である。

    一例としてFe−C合金(炭素鋼)を用いる本発明を示す図である。

    一例としてFe−C合金(炭素鋼)を用いる本発明を示す図である。

    一定温度764℃でAISI 1018炭素鋼を用いた、本発明による実験結果の例を示す図である。 磁場の適用と除去が、磁場に対する鋼の暴露時間に対してプロットされている。 磁場は、次第に最大19テスラ(T)までランプされる。 円形データポイントは、参照ポイントとして磁場なし、764℃での棒鋼の寸法を用いて、実験的に測定された線型%拡大データポイントである。

    Fe−C相図、および本発明を実施して粒子精製効果を最大にするための好ましい合金組成物の範囲の例を示す図である。

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