調節可能キメラ抗原受容体

申请号 JP2016559487 申请日 2014-12-19 公开(公告)号 JP2017502690A 公开(公告)日 2017-01-26
申请人 ノバルティス アーゲー; ノバルティス アーゲー; ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア; ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア; ジェニファー・ブログドンBROGDON, Jennifer; ジェニファー・ブログドンBROGDON, Jennifer; ボリス・エンヘルスENGELS, Boris; ボリス・エンヘルスENGELS, Boris; デイビッド・ジョナサン・グラスGLASS, David Jonathan; デイビッド・ジョナサン・グラスGLASS, David Jonathan; ブライアン・グランダGRANDA, Brian; ブライアン・グランダGRANDA, Brian; ジョン・へイストウェルHASTEWELL, John; ジョン・へイストウェルHASTEWELL, John; アンドレアス・レーヴLOEW, Andreas; アンドレアス・レーヴLOEW, Andreas; ジョアン・マニックMANNICK, Joan; ジョアン・マニックMANNICK, Joan; マイケル・ミローンMILONE, Michael; マイケル・ミローンMILONE, Michael; レオン・マーフィーMURPHY, Leon; レオン・マーフィーMURPHY, Leon; ウィリアム・ラジ・セラーズSELLERS, William Raj; ウィリアム・ラジ・セラーズSELLERS, William Raj; ソン・ホイジュエンSONG, Huijuan; ソン・ホイジュエンSONG, Huijuan; ブライアン・エドワード・バッシュVASH, Brian Edward; ブライアン・エドワード・バッシュVASH, Brian Edward; ヤン・ヴァイラーWEILER, Jan; ヤン・ヴァイラーWEILER, Jan; チーロン・ウーWU, Qilong; チーロン・ウーWU, Qilong; リー・ジョウZHOU, Li; リー・ジョウZHOU, Li; 发明人 ジェニファー・ブログドン; ボリス・エンヘルス; デイビッド・ジョナサン・グラス; ブライアン・グランダ; ジョン・へイストウェル; アンドレアス・レーヴ; ジョアン・マニック; マイケル・ミローン; レオン・マーフィー; ウィリアム・ラジ・セラーズ; ソン・ホイジュエン; ブライアン・エドワード・バッシュ; ヤン・ヴァイラー; チーロン・ウー; リー・ジョウ;
摘要 調節可能キメラ 抗原 受容体(RCAR)に関し、ここで、RCARの細胞内シグナル伝達または増殖が、免疫応答を提供するためにRCAR発現細胞で使用するために最適化されるように制御されている組成物および方法が提供される。例えば、RCARは、二量体化分子の存在により、細胞内シグナル伝達ドメインを細胞外認識成分、例えば、抗原結合ドメイン、阻害カウンターリガンド結合ドメインまたは共刺激ECDドメインと結合できる二量体化スイッチを含む。RCARを、所望の抗原標的に特異的であり、疾患の処置に使用する適切な抗原結合ドメインを含むように操作し得る。
权利要求

調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)であって、 a) 細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;および c) 膜貫通ドメイン を含み、ここで、 (i) 抗原結合メンバーは、1個を超える細胞内シグナル伝達ドメインを含み; (ii) 第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのイッチを含み、これはFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は1個以上の変異を含み; (iii) RCARは、4個の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、ここで、 (A)第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は表1に挙げたものから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインであるかまたは (B)第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は一次細胞内シグナル伝達ドメイン表1におけるリストから選択され、残り2個は、表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインであり; (iv) 抗原結合ドメインは膜通過ドメインまたは膜アンカリングドメインを含まず; (v) RCARは、さらに c) 第二抗原に結合する抗原結合ドメイン;および 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む補助的抗原結合メンバー を含み; (vi) RCARはさらに 表4からの阻害カウンターリガンド結合ドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む阻害カウンターリガンド結合メンバーを含み; (vii) RCARはさらに阻害CAR(iCAR)メンバーを含み、ここで、該iCARメンバーは 非標的細胞上の抗原を認識する抗原結合ドメイン(または他の細胞外ドメイン); 膜貫通ドメイン;および 表12に挙げられる阻害分子からのドメインを含み; (viii) RCARはさらに第二RCARまたは第二抗原結合メンバーを含み、ここで、RCARまたは抗原結合メンバーの一方の抗原結合ドメインは可変軽ドメインおよび可変重ドメインを含まず、他方はscFvではなく; (ix) 抗原結合メンバーは抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;第一細胞内スイッチドメイン;および一次シグナル伝達ドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメインを含み; (x) 第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞外二量体化スイッチを形成でき;または (xi) RCARは表3から選択される阻害分子の阻害剤を含む、 RCAR。抗原結合メンバーが表2から選択される複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない、請求項1に記載のRCAR。該複数が共刺激シグナル伝達ドメイン:CD28−41BBを含む、請求項2に記載のRCAR。該複数が共刺激シグナル伝達ドメイン:CD28−OX40を含む、請求項2に記載のRCAR。抗原結合ドメインが膜貫通ドメインを含まず、細胞内シグナル伝達ドメインが一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載のRCAR。該二量体化スイッチがホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチであり得る、請求項1〜5のいずれかに記載のRCAR。細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインが表1からの一次細胞内シグナル伝達ドメインである、請求項1〜6のいずれかに記載のRCAR。該一次細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ゼータドメインを含む、請求項7に記載のRCAR。細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインが共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項1に記載のRCAR。細胞内シグナル伝達ドメインが表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項9に記載のRCAR。該共刺激シグナル伝達ドメインが4−1BBドメインを含む、請求項10に記載のRCAR。第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1〜12のいずれかに記載のRCAR。該第二細胞内シグナル伝達ドメインが表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項13に記載のRCAR。第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方がFKBPベースのスイッチドメインを含み、他方がFRBベースのスイッチドメインを含む、請求項1〜13のいずれかに記載のRCAR。該スイッチドメインがRAD001により二量体化されている、請求項14に記載のRCAR。該スイッチドメインがFKBP結合フラグメントまたは次の i) E2032変異; ii) E2032I変異またはE2032L変異; iii) T2098変異; iv) T2098L変異; v) E2032およびT2098変異; vi) E2032IおよびT2098L変異; vii) またはE2032LおよびT2098L変異 いずれか一つを含むFRBの類似体を含む、請求項14または15に記載のRCAR。阻害分子の阻害剤を含み、ここで、該阻害剤が阻害核酸を含む、請求項1〜16のいずれかに記載のRCAR。抗原結合ドメインが癌細胞上の標的抗原に結合するが、二量体化分子が投与されるまでRCARX細胞を活性化しない、請求項1〜17のいずれかに記載のRCAR。a) 表4から選択される阻害細胞外ドメイン、 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む阻害細胞外ドメインメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー を含む、RCAR。該ヘテロ二量体化分子の存在下、阻害細胞外ドメインが標的細胞上のそのリガンドと結合し、シグナル活性化を再指示する、請求項19に記載のRCAR。a) CD27のもの以外の共刺激ECDドメイン; 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む共刺激ECDメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー を含む、RCAR。該共刺激ECDドメインが表5から選択される、請求項21に記載のRCAR。調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)であって、 a) 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン; 表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン; を含む細胞内シグナル伝達メンバーおよび b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 表1から選択される一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、抗原結合メンバーがスイッチドメインを含まず、または細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない、RCAR。RCARまたは請求項1〜23のいずれかに記載のRCARの成分をコードする核酸。RCARをコードし、 i) (a)および(b)をコードする配列が単一核酸分子上に配置されるか;または ii) (a)をコードする配列が第一核酸分子上に配置され、(b)をコードする配列が第二核酸分子に配置される、 請求項24に記載の核酸。さらに表3からの阻害分子の阻害剤をコードする配列を含み、ここで、該阻害剤が阻害核酸である、 請求項24または25に記載の核酸。a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、 第一スイッチドメインおよび 所望により、膜貫通ドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメインおよび 所望により、膜貫通ドメイン を含む抗原結合メンバー を含むRCARをコードする核酸であって、 i) 抗原結合メンバーをコードする配列(a)および細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列(b)が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーターが(a)、(b)および(c)に操作性に連結され、ここで、(c)が開裂可能ペプチドをコードし、成分(c)が(a)と(b)の間に配置されるか;または ii) 抗原結合メンバーをコードする配列(a)および細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列(b)が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーターが(a)、(b)および(c)に操作性に連結され、ここで、成分(c)がIRESをコードし、成分(c)が(a)と(b)の間に配置される、 核酸。請求項24〜27のいずれかに記載の核酸を含む、ベクター系。DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを含む、請求項28に記載のベクター系。請求項1〜23のいずれかに記載のRCAR、請求項24〜27のいずれかに記載の核酸または請求項28もしくは29に記載のベクター系を含む、細胞。ヒト細胞である、請求項30に記載の細胞。T細胞である、請求項30または31に記載の細胞。NK細胞である、請求項30または31に記載の細胞。請求項24〜27のいずれかに記載の核酸または請求項28もしくは29に記載のベクター系を細胞に導入することを含む、請求項30〜33のいずれかに記載の細胞を製造する方法。対象に請求項30〜33のいずれかに記載のRCARX細胞の有効量を投与するかまたは該細胞を含む対象を提供することを含む、対象を処置する方法。該RCARX細胞が自己T細胞である、請求項35に記載の方法。該RCARX細胞が同種T細胞である、請求項35に記載の方法。該RCARX細胞が自己NK細胞および同種NK細胞から選択される、請求項35に記載の方法。該対象がヒトである、請求項35〜38のいずれかに記載の方法。対象を癌について処置することを含む、請求項35〜39のいずれかに記載の方法。二量体化分子を対象に投与することを含む、請求項35〜40のいずれかに記載の方法。該RCARがFKBP−FRBベースのスイッチを含み、mTOR阻害剤を含む二量体化分子を投与することを含む、請求項35〜41のいずれかに記載の方法。低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤を投与することを含む、請求項42に記載の方法。対象を処置する方法であって、 (a)対象にRCARX細胞の有効量を提供するかまたはRCARX細胞を含む対象を提供し、ここで、該細胞はRCARを含み; (b) (i) RAD001を含む二量体化分子;または (ii) 低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤 を投与することを含み、 ここで、該RCARは、 A)細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; B)抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;および C)膜貫通ドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインはFKBP−FRBベースのスイッチを含む、方法。該アロステリックmTOR阻害剤がRAD001である、請求項43または44に記載の方法。細胞が自己T細胞である、請求項45に記載の方法。細胞が同種T細胞である、請求項45に記載の方法。細胞が自己NK細胞および同種NK細胞から選択される、請求項45に記載の方法。該対象がヒトである、請求項45〜48のいずれかに記載の方法。対象を癌について処置することを含む、請求項45〜49のいずれかに記載の方法。RAD001二量体化分子を対象に投与することを含む、請求項45〜50のいずれかに記載の方法。低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤を投与することを含む、請求項51に記載の方法。RCARX細胞を提供する方法であって、 免疫エフェクター細胞を受容エンティティに提供し;そして 該エンティティから、該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞由来のRCARX細胞を受け取ることを含み、ここで、該RCARXは請求項1〜23のいずれかに記載のRCARまたは該RCARをコードする核酸またはベクターを含む、方法。該エンティティがRCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入した、請求項53に記載の方法。さらに該RCARXを該ヒトに投与することを含む、請求項53または54に記載の方法。RCARX細胞を提供する方法であって、 ヒトからの免疫エフェクター細胞をエンティティから受け取り;請求項1〜23のいずれかに記載のRCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入し、RCARX細胞を形成し;そして、所望により、該RCARX細胞を該エンティティに提供する、方法。該エンティティが研究室、病院または病院提供者である、請求項53〜56のいずれかに記載の方法。医薬として使用するための、請求項24〜27のいずれかに記載の核酸。医薬として使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載のRCAR。医薬として使用するための、請求項28または29に記載のベクター系。医薬として使用するための、請求項30〜33のいずれかに記載のRCARX細胞。免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、請求項24〜27のいずれかに記載の核酸。該疾患が最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる、請求項62に記載の核酸。該疾患が癌である、請求項62に記載の核酸。免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、請求項1〜23に記載のRCAR。該疾患が最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる、請求項65に記載のRCAR。該疾患が癌である、請求項65に記載のRCAR。免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、請求項28または29に記載のベクター系。該疾患が最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる、請求項68に記載のベクター系。該疾患が癌である、請求項68に記載のベクター系。抗原結合ドメインが、表11に提供するメソテリンを標的とする抗原結合ドメインを含み、抗原結合ドメインが配列番号175〜19から選択される配列を含む、請求項1〜23のいずれかに記載のRCAR。

说明书全文

本出願は、米国出願番号61/919,588号(2013年12月20日出願)、米国出願番号61/953,818号(2014年3月15日出願)、国際出願番号PCT/CN2014/082615号(2014年7月21日出願)および国際出願番号PCT/CN2014/090494号(2014年11月6日出願)に基づく優先権を主張し、これらの出願の内容全体を引用により本明細書に包含させる。

発明の分野 本発明は、全般的に、調節可能なキメラ抗原受容体(RCAR)およびRCARを発現する細胞、例えば、標的細胞、例えば、癌を標的とする細胞、ならびにこれを製造し、不活化または死滅させるために、使用する方法に関する。

背景 自己T細胞、特にキメラ抗原受容体(CAR)を形質導入したT細胞を用いる養子細胞移入(ACT)療法は、血液癌パイロット治験で有望であることが示されている。

要約 本発明の態様は、免疫応答を提供するためのRCARX細胞の使用における、安全性および有効性の最適化に取り組む。本発明の態様は、部分的には、CAR分子が、“結合ドメイン”および“シグナル伝達ドメイン”の各々が2個の別々の“スイッチドメイン”に連結するように仕切られるとの発見に基づく。このような態様において、CARを介するシグナル伝達の活性化は、これらのスイッチドメインおよびゆえに結合ドメインとシグナル伝達ドメインが、二量体化分子によりまとめられる、すなわちCARを介するシグナル伝達のスイッチが“オン”されたときのみ生じる。本発明の態様は、とりわけ、RCARを含む細胞が介在する免疫エフェクター応答に対する外部的な、例えば、一過性制御を可能にするための、シグナルの活性化を“オン”にする二量体化スイッチの使用を含む。より詳細に後で述べるとおり、態様において、RCARは、二量体化分子の存在下、細胞内シグナル伝達ドメインを細胞外認識成分、例えば、抗原結合ドメイン、阻害カウンターリガンド結合ドメインまたは共刺激ECDドメインに連結できる、二量体化スイッチを含む。

第一の面において、本発明は、調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)、例えば、単離RCARに関し、本明細書で、該RCARは a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメイン;および 所望により、1個または複数個の共刺激シグナル伝達ドメイン を含む抗原結合メンバー: および c) 所望により、膜貫通ドメイン を含む。例えば、図2および5参照。 (特に断らない限り、RCARのメンバーまたは成分が本明細書に記載されているとき、順番は示したとおりであり得るが、他の順番も同様に包含される。換言すると、ある態様において、順番は本書に記載のとおりであるが、他の態様において、順番は異なり得る。)

ある態様において、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達メンバーまたは抗原結合メンバー上に配置できる。ある態様において、膜貫通ドメインは細胞内シグナル伝達メンバーおよび膜貫通ドメインまたは膜アンカー(膜アンカーおよび膜アンカリングドメインを本明細書では交換可能に使用する)を抗原結合メンバー上に配置できる。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞内または細胞外二量体化スイッチを形成できる。

ある態様において、二量体化スイッチはホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチであり得る。

本明細書に記載するとおり、RCARの態様は、例えば、上記のような、1個以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含むメンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーを含み得る。ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。このようなメンバーおよび細胞内シグナル伝達ドメインの態様は、この直ぐ後に記載されており、ここでは細胞内シグナル伝達ドメインモジュールと呼ぶこともある。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二細胞内シグナル伝達ドメインは 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン;4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、本発明は、RCAR、例えば、単離RCARに関し、本明細書で、該RCARは a) 抗原結合ドメイン、 第一膜貫通ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;ならびに b) 第二膜貫通ドメインまたは膜アンカー、 第二スイッチドメイン および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー を含む。 例えば、図54を参照のこと。

ある態様において、抗原結合メンバーは、所望により1個以上の本明細書に記載する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、さらに、1個以上の本明細書に記載する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞内または細胞外二量体化スイッチを形成できる。

ある態様において、二量体化スイッチはホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチであり得る。

ある態様において、第一および/または第二膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8(例えば、CD8アルファ、CD8ベータ)、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA−1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4−1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbpの膜貫通領域を含む。抗原結合メンバー上に配置された第一膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達メンバー上に配置された第二膜貫通ドメインは、例えば、同じ配列を有する同じ膜貫通ドメインであってよく、または、例えば、異なる配列を有する異なる膜貫通ドメインであってよい。

本明細書に記載するとおり、RCARは多様な二量体化スイッチのいずれか、例えば、本明細書で二量体化スイッチモジュールと呼ぶこともある、この直ぐあとに記載する二量体化スイッチを含み得る。

ある態様において、スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、抗原結合メンバー上に配置された膜貫通ドメインおよび二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化スイッチまたはホモ二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバー上に配置された膜貫通ドメインおよび二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化またはホモ二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、本明細書に記載するFKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチはFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体およびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または「修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチ」なる表題を付した後記段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての後記段落で記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのAP21967結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含み、 第二スイッチドメインは FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含み、 第二スイッチドメインは FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含み、 第二スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含み、 第二スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含む。

ある態様において、二量体化分子はラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化スイッチはGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、クーママイシンである。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3、結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するGAIスイッチドメインを含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 本明細書に記載するGID1の対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3、結合配列を含むGID1スイッチドメインおよび本明細書に記載するGAIの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないGAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、GA3−AMである。

ある態様において、二量体化分子は、GA3である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、ポリペプチド、例えば、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチドは、抗体分子である。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、構造5を含む。

ある態様において、二量体化分子は、3個以上のドメイン、例えば、スイッチドメインと結合するタンパク質タグ、例えば、ポリペプチド、例えば、該ドメインに親和性を有する抗体分子または非抗体スキャフォールドを含む。

ある態様において、二量体化分子は、非共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化分子は、共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインおよびスイッチドメイン、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドに親和性を有するポリペプチドを含む二量体化スイッチを含む。

ある態様において、RCARは、さらに、二次二量体化スイッチを含む。

ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。

本明細書に記載する二量体化スイッチの態様は、複数スイッチドメインを備えてよく、本明細書ではマルチスイッチということもある。マルチスイッチは、本明細書で複数スイッチドメインなる表題の段落に記載するとおり、複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のスイッチドメインを、第一メンバー、例えば、抗原結合メンバーおよび第二メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーと独立して含む。

ある態様において、第一メンバー、例えば、抗原結合メンバーは、複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含み、第二メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーは、複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含む。例えば、図55Aを参照のこと。ある態様において、第一メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。例えば、図55Bを参照のこと。

ある態様において、第一メンバーおよび第二メンバーは、複数のホモ二量体化スイッチドメイン、例えば、GyrBベースのスイッチドメインを含む。

本明細書に記載するとおり、RCARの態様は、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインを含むメンバー、例えば、抗原結合メンバーを含み得る。理論に縛られることを望まないが、このようなドメインの存在が、RCARのメンバーの二量体化スイッチ介在結合の非存在下で、顕著な活性化なく、細胞におけるメンバーの残留性を促進する。このようなメンバーの態様は、直ぐ後の段落に記載し、本明細書では残留性モジュールと呼ぶこともある。

ある態様において、RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび 例えば、第一スイッチドメインおよびFKBPスイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメイン、 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、4−1BBドメインおよび 第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメイン を含む、抗原結合メンバー を含む。 例えば、図26、42Aおよび44Aを参照のこと。

ある態様において、抗原結合メンバーは、例えば、表2から選択される、複数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、いくつかの態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、抗原結合メンバーは、41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される、複数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ共刺激シグナル伝達ドメインでも、異なる共刺激シグナル伝達ドメインでもよい。

ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞外から細胞内方向で、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。 41BB−CD27; CD27−41BB; 41BB−CD28; CD28−41BB; OX40−CD28; CD28−OX40; CD28−41BB;または 41BB−CD28。

ある態様において、抗原結合メンバーは、CD28−41BBを共刺激シグナル伝達ドメインとして含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、CD28−OX40を共刺激シグナル伝達ドメインとして含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、例えば、表2から選択される、複数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載する共刺激シグナル伝達ドメインの組み合わせを含み、細胞内結合ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、2個以上の共刺激シグナル伝達ドメインを有する抗原結合メンバーは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを含み、これはFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

このような態様において、RCARは、本明細書で複数スイッチドメインなる表題の段落に記載するとおり、第一メンバー、例えば、抗原結合メンバーおよび第二メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーと独立して、複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のスイッチドメインを含む、マルチスイッチを含む。ある態様において、第一メンバーは複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含む。ある態様において、第一メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。

抗原結合メンバーが複数の抗原結合ドメインを含む、RCARもここで提供される。ある態様において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2個、3個、4個または5個の抗原結合ドメイン、例えば、scFvsを含み、ここで、各抗原結合ドメインは標的抗原に結合する。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、異なる抗原に結合できる。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合できる。ある態様において、リンカーまたはヒンジ領域は、所望により2個の抗原結合ドメインの間または各抗原結合ドメインに配置される。

ある態様において、RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび FKBPスイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) (i) 抗原結合ドメイン、例えば、CD19を標的とする抗原結合ドメイン、例えば、本明細書に記載する抗CD19抗原結合ドメイン、 (ii) 膜貫通ドメイン、 (iii) (A)CD28共刺激シグナル伝達ドメインおよび4−1BB共刺激シグナル伝達ドメイン;または (B)CD28共刺激シグナル伝達ドメインおよびOX−40共刺激シグナル伝達ドメイン の1個および (iv) 1個以上の修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に本明細書に記載した変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含むFRBスイッチドメイン を含む抗原結合メンバー を含む。

ある態様において、抗原結合メンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 抗原結合ドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 抗原結合ドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、抗原結合メンバーの成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 抗原結合ドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 抗原結合ドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、第一二量体化スイッチおよび第二二量体化スイッチの一方は、FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含み、他方は、FRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列結合配列を含むスイッチドメインを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、 a) アミノ末端から開始して、次のものを含む細胞内シグナル伝達メンバー: CD3ゼータドメインおよび 第一スイッチドメイン;および b) アミノ末端から開始して、次のものを含む抗原結合メンバー: 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメイン、 4−1BBドメインおよび 第二スイッチドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、RCARは、補助的抗原結合メンバーを含む。このような態様は下記段落に記載し、ここでは補助的結合ドメインモジュールと呼ぶこともある。

ある態様において、RCARは、さらに c) 第二抗原に結合する抗原結合ドメイン;および 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む、補助的抗原結合メンバーを含む。

ある態様において、補助的抗原結合ドメインは、抗原結合メンバーまたは細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、補助的抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、該第二抗原は癌細胞表面抗原である。

ある態様において、RCARは、さらに d) 第三抗原に結合する抗原結合ドメイン;および 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む、第二補助的抗原結合メンバーを含む。

ある態様において、該第三抗原は、抗原結合メンバーの抗原結合ドメインにより認識される抗原と異なり、かつ補助的抗原結合メンバーの抗原結合ドメインにより認識される抗原と異なる。

ある態様において、RCARは、さらに、 ヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインと連結した膜貫通ドメインである第一標的に結合する抗原結合ドメイン、 ヘテロ二量体化スイッチの第二スイッチドメインと連結した細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一標的および膜貫通ドメインと異なる第二標的と結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、該ヘテロ二量体化スイッチは、細胞の内側に存在し、細胞の内側のヘテロ二量体化分子の存在下、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインが互いに相互作用して複合体を形成する。

ある態様において、RCARは、さらに、 例えば、第二抗原と結合する、抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内 シグナル伝達ドメイン を含む、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーを含む。 例えば、図9を参照のこと。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、さらに、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバースイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、CD3ゼータドメインおよび4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、 阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤と結合し、例えば、同じ細胞内に、 提供される。

ある態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とするshRNAと結合し、例えば、同じ細胞内に、 提供される。

ある態様において、shRNAはPD1を標的とする。

ある態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

ある態様において、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子、例えば、ヘテロ二量体化分子またはホモ二量体化分子を投与するまで、免疫エフェクター応答、例えば、T細胞活性化を促進しない。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3ゼータドメインおよび4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、さらに 阻害カウンターリガンド結合ドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカー を含む、阻害カウンターリガンド結合メンバーを含む。

ある態様において、阻害カウンターリガンド結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できるスイッチドメインを含む。

ある態様において、阻害カウンターリガンド結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、阻害カウンターリガンド結合ドメインは、表4から選択される。

ある態様において、RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメイン;および 膜貫通ドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞内である。

ある態様において、RCARは、 抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み、 ここで、抗原結合ドメインは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含む二量体化スイッチにより一次細胞内シグナル伝達ドメインから離され、 ここで、該第二スイッチドメインは、抗原結合ドメインに連結され、第一スイッチドメインは細胞内シグナル伝達ドメインに連結され、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、二量体化分子存在下で互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、RCARは、 抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み、 ここで、抗原結合ドメインは、細胞の内側に存在するヘテロ二量体化スイッチにより細胞内シグナル伝達ドメインから離され、 ここで、該ヘテロ二量体化スイッチは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含み、ここで、該第一スイッチドメインは膜貫通ドメインに連結され、第二スイッチドメインは細胞内シグナル伝達ドメインに連結され、 ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞の内側のヘテロ二量体化分子の存在下、互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、膜貫通ドメインは、第二スイッチドメインと抗原結合ドメインの間に配置される。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、膜貫通ドメインを含まない。

ある態様において、RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、 第一スイッチドメイン、 膜貫通ドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞外である。

ある態様において、RCARは、 抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達を含み、 ここで、抗原結合ドメインは、細胞の外側に存在する二量体化スイッチにより細胞内シグナル伝達ドメインと離され、 ここで、該二量体化スイッチは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含み、 ここで、該第二スイッチドメインは膜アンカーに繋がれた抗原結合ドメインと連結し、第一スイッチドメインは膜貫通ドメインと連結し、 ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞の外側の二量体化分子存在下で互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、RCARは、 抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達を含み、 ここで、抗原結合ドメインは細胞の外側に存在するホモ二量体化スイッチにより細胞内シグナル伝達ドメインから離され、 ここで、該ホモ二量体化スイッチは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含み、 ここで、該第二スイッチドメインは膜アンカーに繋がれた抗原結合ドメインと連結し、第一スイッチドメインは膜貫通ドメインと連結し、 ここで、細胞の外側のホモ二量体化分子の存在下、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、第二スイッチドメインは、抗原結合ドメインと膜アンカーまたは膜貫通ドメインの間に配置される。

ある態様において、抗原結合メンバーは、膜貫通ドメインを含まない。

ある態様において、第二スイッチドメインは膜アンカーに繋がれた抗原結合ドメインと連結し、第一スイッチドメインは膜貫通ドメインと連結する。

ある態様において、二量体化分子は、抗体分子、二重特異性抗体、単特異性抗体、非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンおよびペプチドから選択される。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインが異なり、ヘテロ二量体化分子が第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインと結合する二重特異性抗体分子である。

ある態様において、RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;および c) 所望により、膜貫通ドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインはFKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、二量体化スイッチは、例えば、上記スイッチドメインモジュールにおいて、本明細書に記載する第一および第二FKBP−FRBベースのスイッチドメインを含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、RCARは細胞外FKBP−FRBベースのスイッチを含み、例えば、RCARは a) 第一スイッチドメイン、 膜貫通ドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む(細胞の膜に配置されたとき、細胞外から細胞質の方向で)細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む(細胞の膜に配置されたとき、細胞外から細胞質の方向で)抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞外FKPB−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、二量体化スイッチは、例えば、上記スイッチドメインモジュールにおいて、本明細書に記載する第一および第二FKBP−FRBベースのスイッチドメインを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、RCARは細胞内FKBP−FRBベースのスイッチを含み、例えば、RCARは a) 第一スイッチドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む(例えば、アミノ末端からカルボキシ末端の方向で)細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む(細胞の膜に配置されたとき、細胞外から細胞質の方向で)抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞内FKPB−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、二量体化スイッチは、例えば、上記スイッチドメインモジュールにおいて、本明細書に記載する第一および第二FKBP−FRBベースのスイッチドメインを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、RCARは、 a) 第一スイッチドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む(例えば、アミノ末端からカルボキシ末端方向で)細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む(細胞の膜に配置されたとき、細胞外から細胞質の方向で)抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞内スイッチを形成する。

ある態様において、スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するFKBP−FRBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するFKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、 a) 第一スイッチドメイン、例えば、FKBPスイッチドメイン、 膜貫通ドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン を含む(細胞の膜に配置されたとき、細胞外から細胞質の方向で)細胞外シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン 第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む(細胞の膜に挿入されたとき、細胞外から細胞内の方向で)抗原結合メンバー を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞外スイッチを形成する。

ある態様において、スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するFKBP−FRBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するFKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様は、抗原結合メンバーがCAR細胞の表面に繋がれていないRCARを提供する。これにより、細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞が、普遍的RCARSなる表題の段落で本明細書に記載するように、抗原結合メンバーをコードする配列で細胞を形質転換することなく、好都合に1個以上の抗原結合ドメインと対形成することが可能となる。これらは、ここでは普遍的RCARと呼ぶことがある。

ある態様において、RCARは、 a) 膜貫通ドメイン、 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン、例えば、FKPBスイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、抗原結合メンバーは膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメインを含まず、所望により、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP/FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FKBPのFRB結合フラグメントを含む。

ある態様において、第二スイッチドメインは、FRBのFKBP結合フラグメントを含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

このような態様において、RCARは、ここで複数スイッチドメインなる表題の段落に記載するとおり、第一メンバー、例えば、抗原結合メンバーおよび第二メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーと独立して、複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のスイッチドメインを含む、マルチスイッチを含む。ある態様において、第一メンバーは複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含む。ある態様において、第一メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、例えば、表1からの一次シグナル伝達ドメインおよび例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、例えば、表1からの一次シグナル伝達ドメインおよび複数の、例えば、2個または3個の例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ共刺激シグナル伝達ドメインでも、異なる共刺激シグナル伝達ドメインでもよい。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3ゼータを含む。

ある態様において、RCARは、さらに c) 第二抗原結合ドメイン、例えば、抗原結合ドメインにより結合されるのと異なる抗原に結合する第二抗原結合ドメイン;および 第二スイッチドメイン を含む第二抗原結合メンバーを含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2個、3個、4個または5個の抗原結合ドメイン、例えば、scFvsを含み、ここで、各抗原結合ドメインは標的抗原に結合する。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、異なる抗原に結合できる。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合できる。ある態様において、リンカーまたはヒンジ領域は、所望により2個の抗原結合ドメインの間または各抗原結合ドメインに配置される。

第二の面において、本発明は、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、 第一スイッチドメインおよび 膜貫通ドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメインおよび 膜アンカーまたは第二膜貫通ドメイン を含む抗原結合メンバー を含む、RCAR、例えば、単離RCARに関する。 例えば、図6右パネルを参照のこと。

ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバースイッチと二量体化スイッチを形成するスイッチドメインを含まない。

ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、第一スイッチドメインの2個のコピーは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、RCARは、さらに 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含み、 ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインの二量体化は、細胞内シグナル伝達メンバーのクラスター化をもたらす。

ある態様において、スイッチドメインの二量体化は、細胞内シグナル伝達ドメインによるシグナル伝達の増加をもたらす。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において: 二量体化スイッチは細胞外ホモ二量体化スイッチであり、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において: 二量体化スイッチは細胞内ホモ二量体化スイッチであり、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、RCARは、 細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二スイッチドメインを含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含み、これは、第一スイッチドメインと一緒になって細胞外ヘテロ二量体化スイッチを形成し、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、RCARは、 細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二スイッチドメインを含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含み、これは、第一スイッチドメインと一緒になって、細胞内ヘテロ二量体化スイッチを形成し、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、RCARは、 細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二スイッチドメインを含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含み、これは、第一スイッチドメインと一緒になって、細胞外ホモ二量体化スイッチを形成し、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、RCARは、 細胞内シグナル伝達ドメインおよび第二スイッチドメインを含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含み、これは、第一スイッチドメインと一緒になって、細胞内ホモ二量体化スイッチを形成し、 抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化できるスイッチドメインを含まない。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二細胞内シグナル伝達ドメインは、 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子は、第一スイッチドメインに特異的に結合する第一部分、例えば、第一可変領域および第二スイッチドメインに特異的に結合する第二部分、例えば、第二可変領域を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化分子は、スイッチドメインに結合するポリペプチド、例えば、抗体分子である。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインに特異的に結合し、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、抗体分子、非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチン、分子スイッチおよびペプチドからなる群から選択される。

ある態様において、ホモ二量体化分子は、単特異性抗体分子である。

ある態様において、二量体化分子は、二重特異性抗体分子である。

ある態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原に結合するが、二量体化分子を投与するまで、T細胞の免疫エフェクター応答を促進しない。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのAP21967結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのAP21967結合配列を含むスイッチドメイン、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含み; 第二スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含み; 第二スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含み、 第二スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含み、 第二スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含む。

ある態様において、二量体化分子はラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、クーママイシンである。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3、結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するGAIスイッチドメインを含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列から10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3、結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびFRBの対応する配列から10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないGAIスイッチドメイン を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、GA3−AMである。

ある態様において、二量体化分子は、GA3である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、ポリペプチド、例えば、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチドは、抗体分子である。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインはハロタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、構造5を含む。

ある態様において、二量体化分子は、スイッチドメイン、例えば、ポリペプチドに結合する3個以上のドメイン、例えば、タンパク質タグ、例えば、該ドメインに親和性を有する抗体分子または非抗体スキャフォールドを含む。

ある態様において、二量体化分子は、非共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化分子は、共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインおよびスイッチドメイン、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドに親和性を有するポリペプチドを含む二量体化スイッチを含む。

ある態様において、RCARは、さらに、二次二量体化スイッチを含む。

ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。

ある態様において、RCARは、 第一膜貫通ドメインおよび第一細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第二膜貫通ドメインおよび第二細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 膜アンカーに繋がれた抗原結合ドメイン を含み、ここで、該第一および第二膜貫通ドメインは、細胞の外側に存在するヘテロ二量体化スイッチにより互いに分離され、 ここで、該ヘテロ二量体化スイッチは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含み、ここで、ヘテロ二量体化スイッチの該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞の内側または外側いずれかのヘテロ二量体化分子の存在下、互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、抗原結合メンバーは、 抗原結合ドメイン、 第二膜貫通ドメインおよび 共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、さらに、 例えば、第二抗原と結合する、抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内 シグナル伝達ドメイン を含むスイッチ非連動補助的抗原結合メンバーを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、さらに、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバースイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、スイッチ非連動補助的抗原結合メンバーは、CD3ゼータドメインおよび4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、 阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤 と結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とするshRNAと結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、shRNAはPD1を標的とする。

ある態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

ある態様において、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子、例えば、ヘテロ二量体化分子またはホモ二量体化分子を投与するまで、免疫エフェクター応答、例えば、T細胞活性化を促進しない。

本明細書に開示するRCARは、例えば、scFvベースの抗原結合ドメインの代わりに、阻害受容体の細胞外ドメイン、例えば、PD1を含み得る。理論に縛られることを望まないが、阻害細胞外ドメインとそのカウンターリガンドの結合は(これは通常免疫応答を下方制御する)、免疫応答を活性化すると考えられる。これは直ぐあとに記載する。

第三の面において、本発明は、 a) 阻害細胞外ドメイン、 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む阻害細胞外ドメインメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および所望により c) 抗原結合ドメインおよび 膜アンカリングドメインまたは膜貫通ドメイン を含む抗原結合メンバー を含む、RCAR、例えば、単離RCARに関する。 例えば、図10参照。

ある態様において: 抗原結合メンバーは細胞内シグナル伝達ドメインを含まず、阻害細胞外ドメインメンバー上のスイッチドメインまたは細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成するスイッチドメインを含まない。例えば、図10、最も右パネルを参照のこと。

ある態様において、抗原結合メンバーは、 抗原結合ドメイン、 第二膜貫通ドメインおよび 共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、阻害細胞外ドメインは、表4から選択される。

ある態様において、第一スイッチドメインは細胞内シグナル伝達ドメインに連結され、そして第二スイッチドメインは膜貫通ドメインに連結されている。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子の存在下、阻害細胞外ドメインは標的細胞上のそのリガンドと結合し、シグナル活性化を再指向する。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二細胞内シグナル伝達ドメインは、 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび残り2個は、例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、抗原結合メンバー上に配置された膜貫通ドメインおよび二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化スイッチまたはホモ二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、膜貫通ドメインは細胞内シグナル伝達メンバー上に配置され、二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化またはホモ二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのAP21967結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのAP21967結合配列を含むスイッチドメイン、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含み、 第二スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含み、 第二スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含む。

ある態様において、二量体化分子はラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメイン を含む。

ある態様において、二量体化分子は、クーママイシンである。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するGAIスイッチドメインを含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1の対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないGAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、GA3−AMである。

ある態様において、二量体化分子は、GA3である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、ポリペプチド、例えば、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチドは、抗体分子である。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するSNAPタグスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないSNAPタグスイッチドメイン を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインはハロタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、構造5を含む。

ある態様において、二量体化分子は、スイッチドメイン、例えば、ポリペプチドに結合する3個以上のドメイン、例えば、タンパク質タグ、例えば、該ドメインに親和性を有する抗体分子または非抗体スキャフォールドを含む。

ある態様において、二量体化分子は、非共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化分子は、共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインおよびスイッチドメイン、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドに親和性を有するポリペプチドを含む二量体化スイッチを含む。

ある態様において、RCARは、さらに、二次二量体化スイッチを含む。

ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。

本明細書に記載するとおり、RCARの態様は、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインを含む、メンバー、例えば、阻害細胞外ドメインメンバーを含み得る。理論に縛られることを望まないが、このようなドメインの存在は、RCARのメンバーの二量体化スイッチ介在結合の非存在下で、顕著な活性化なく、細胞におけるメンバーの残留性を促進すると考えられる。このようなメンバーの態様は、この直ぐ後の段落に記載する。

ある態様において、RCARは、 a) 阻害細胞外ドメイン、 膜貫通領域、 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、4−1BBドメインおよび スイッチドメイン を含む阻害細胞外ドメインメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および所望により c) 抗原結合ドメイン、 膜アンカリングドメインまたは膜貫通ドメインおよび 所望により、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、4−1BBドメイン を含む抗原結合メンバーを含む。 例えば、図11参照。

ある態様において、阻害細胞外ドメインメンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 阻害細胞外ドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 阻害細胞外ドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、阻害細胞外ドメインメンバーの成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 阻害細胞外ドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 阻害細胞外ドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、第一二量体化スイッチおよび第二二量体化スイッチの一方は、FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含み、他方は、FRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列結合配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、 a) アミノ末端から開始して、次のものを含む細胞内シグナル伝達メンバー: CD3ゼータドメインおよび 第一スイッチドメイン;および b) アミノ末端から開始して、次のものを含む阻害細胞外ドメインメンバー: 阻害細胞外ドメイン、 膜貫通ドメイン、 4−1BBドメインおよび 第二スイッチドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、RCARは、 阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤 と結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とするshRNAと結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、RCARは、PD1を標的とするshRNAを含む。

ある態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

ある態様において、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子、例えば、ヘテロ二量体化分子またはホモ二量体化分子を投与するまで、免疫エフェクター応答、例えば、T細胞活性化を促進しない。

ある態様において: 抗原結合メンバーは、 抗原結合ドメイン; 膜貫通ドメイン;および 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む。 例えば、図11を参照のこと。

ある態様において: 抗原結合メンバーは、阻害カウンターリガンド結合メンバー上のスイッチまたは細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチと二量体化スイッチを形成するスイッチドメインを含まない。

ある態様において、阻害カウンターリガンド結合ドメインは、表4から選択される。

上の態様に記載するとおり、抗原結合メンバーは細胞内シグナル伝達ドメインを含み、そのさらなる態様をすぐ下に記載する。

ある態様において、抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、抗原結合メンバーの第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、抗原結合メンバーの第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は表1におけるリストから選択され、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインまたは異なる、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインであってよい。

ある態様において、抗原結合メンバーのスイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノから開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、抗原結合メンバーのスイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において: 抗原結合メンバーは、 抗原結合ドメイン; スイッチドメイン;および 膜貫通ドメイン を含む。

ある態様において: 細胞内結合メンバースイッチドメインは、 阻害細胞外ドメインメンバースイッチおよび 抗原結合ドメインスイッチ の一方または両方とヘテロ二量体化スイッチを形成する。

上記のとおり、スイッチ型抗原結合メンバーは細胞内シグナル伝達ドメインを含み、そのさらなる態様をすぐ下に記載する。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーの一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーの第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーの第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は表1におけるリストから選択され、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四スイッチ型抗原結合メンバーの細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインまたは異なる、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインであり得る

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーのスイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチ型抗原結合メンバーのスイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

スイッチ型抗原結合ドメインの態様において、RCARは、阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤と結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

スイッチ型抗原結合ドメインの態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とするshRNAと結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

スイッチ型抗原結合ドメインの態様において、RCARは、PD1を標的とするshRNAをさらに含む。

スイッチ型抗原結合ドメインの態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

スイッチ型抗原結合ドメインの態様において、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子、例えば、ヘテロ二量体化分子またはホモ二量体化分子を投与するまで、免疫エフェクター応答、例えば、T細胞活性化を促進しない。

本明細書に開示するRCARは、例えば、scFvベースの抗原結合ドメインの代わりに、共刺激ECDドメインの細胞外ドメインを含み得る。理論に縛られることを望まないが、ECDとそのカウンターリガンドの結合が、RCARを介して免疫応答を活性化すると考えられる。これは直ぐ下に記載する。

第四の面において、本発明は、 a) 共刺激ECDドメイン; 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む共刺激ECDメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および所望により、 c) 抗原結合ドメイン; 膜貫通ドメイン;および スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー を含む、RCAR、例えば、単離RCARに関する。 例えば、図11を参照のこと。

ある態様において: 細胞内結合メンバースイッチドメインは、 共刺激ECDメンバースイッチおよび 抗原結合メンバースイッチ の一方または両方とヘテロ二量体化スイッチを形成する。

ある態様において、共刺激ECDドメインは表5から選択される。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一および第二細胞内シグナル伝達ドメインは、 4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメイン;または CD28ドメインおよび4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、第三細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第三細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二および第三細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ドメイン、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第四細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第四細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り2個は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの3個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残りは、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの各々は、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインまたは異なる、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインであり得る。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインおよび1個以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(isd)の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチ/isd; スイッチ/isd1/isd2; isd1/スイッチ/isd2; isd1/isd2/スイッチ; スイッチ/isd1/isd2/isd3; isd1/isd2/isd3/スイッチ; isd1/スイッチ/isd2/isd3;および isd1/isd2/スイッチ/isd3。

ある態様において、スイッチドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、スイッチドメインは、ホモ二量体化スイッチの成分である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、抗原結合メンバー上に配置された膜貫通ドメインおよび二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化スイッチまたはホモ二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、膜貫通ドメインは細胞内シグナル伝達メンバー上に配置され、二量体化スイッチ、例えば、ヘテロ二量体化またはホモ二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのAP21967結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのAP21967結合配列を含むスイッチドメイン、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含み、 第二スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含み、 第二スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含む。

ある態様において、二量体化分子はラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を不空。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメイン を含む。

ある態様において、二量体化分子は、クーママイシンである。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するGAIスイッチドメインを含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列から10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびFRBの対応する配列から10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないGAIスイッチドメイン を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、GA3−AMである。

ある態様において、二量体化分子は、GA3である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、ポリペプチド、例えば、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチドは、抗体分子である。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないSNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインはハロタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、構造5を含む。

ある態様において、二量体化分子は、3個以上のドメイン、例えば、スイッチドメインと結合するタンパク質タグ、例えば、ポリペプチド、例えば、該ドメインに親和性を有する抗体分子または非抗体スキャフォールドを含む。

ある態様において、二量体化分子は、非共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化分子は、共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインおよびスイッチドメイン、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドに親和性を有するポリペプチドを含む二量体化スイッチを含む。

ある態様において、RCARは、さらに、二次二量体化スイッチを含む。

ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。

ある態様において、抗原結合メンバーは、 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメイン、 スイッチドメインおよび 共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2からの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む。

ある態様において、RCARは、 a) 共刺激ECDドメイン; 膜貫通領域、 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、4−1BBドメインおよび スイッチドメイン を含む共刺激ECDメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および所望により、 c) 抗原結合ドメイン; 膜貫通ドメイン; スイッチドメインおよび 所望により、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む抗原結合メンバー を含む。

ある態様において、共刺激ECDメンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 共刺激ECDドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 共刺激ECDドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、アミノ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、共刺激ECDメンバー上の成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 共刺激ECDドメイン/膜貫通ドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン/スイッチドメイン;または 共刺激ECDドメイン/膜貫通ドメイン/スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、カルボキシ末端から開始して、次のとおりである。 スイッチドメイン/細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;または 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表1から選択される、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン/スイッチドメイン。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、第一二量体化スイッチおよび第二二量体化スイッチの一方は、FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインを含み、他方はFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列結合配列を含むスイッチドメインを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、本明細書に記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、 a) アミノ末端から開始して、次のものを含む細胞内シグナル伝達メンバー: CD3ゼータドメインおよび 第一スイッチドメイン;および b) アミノ末端から開始して、次のものを含む共刺激ECDドメインメンバー: 共刺激ECDドメイン、 膜貫通ドメイン、 4−1BBドメインおよび 第二スイッチドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを形成する。

ある態様において、RCARは、 阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤 と結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とするshRNAと結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、RCARは、さらに、PD1を標的とするshRNAを含む。

ある態様において、抗原結合ドメインは、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

ある態様において、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的抗原と結合するが、二量体化分子、例えば、ヘテロ二量体化分子またはホモ二量体化分子を投与するまで、免疫エフェクター応答、例えば、T細胞活性化を促進しない。

本発明はまた、増殖のスイッチングを可能とする配置を有するRCARを提供する。例えば、抗原との遭遇により、RCARは、構成一次シグナル、例えば、標的細胞死滅を示し、第二シグナル、例えば、増殖、生存およびサイトカイン分泌の制御を可能とする。

したがって、他の面において、本発明は、調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)、例えば、単離RCARに関し、ここで、該RCARは、 a) 所望により、膜貫通ドメインまたは膜係留ドメイン; 例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、抗原結合メンバーは、スイッチドメインを含まず、または細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない。

ある態様において、抗原結合メンバーは、共刺激シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、例えば、表2から選択される、第二共刺激シグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、2個以上の共刺激ドメインは、同じ、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインまたは異なる、例えば、表2のリストから選択される、共刺激シグナル伝達ドメインであり得るある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される複数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞外から細胞内の方向で、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。 41BB−CD27; CD27−41BB; 41BB−CD28; CD28−41BB; OX40−CD28; CD28−OX40; CD28−41BB;または 41BB−CD28。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−41BB。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−OX40。

ある態様において、1個または複数の共刺激シグナル伝達ドメインに加えて、細胞内シグナル伝達メンバーは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン、4−1BB共刺激シグナル伝達ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン、OX40共刺激シグナル伝達ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、膜貫通ドメインまたは膜係留ドメインを含まない。このような態様において、スイッチドメインは、細胞内である。このような態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは2個の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、該2個の共刺激ドメインは、4−1BB、OX40、CD27、CD28およびICOSから選択される。ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内方向で、次のとおりである。 第一共刺激シグナル伝達ドメイン/第二共刺激シグナル伝達ドメインおよび任意のシグナル伝達成分間に配置された、または、細胞外から細胞内方向で、全ての他のシグナル伝達成分の後ろに配置された、スイッチドメイン。例えば、図56Dを参照のこと。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、膜貫通ドメインを含む。このような態様において、スイッチドメインは、細胞内でも細胞外でもよい。このような態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは2個の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、該2個の共刺激ドメインは、4−1BB、OX40、CD27、CD28およびICOSから選択される。

スイッチドメインが細胞外である、ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内方向で、次のとおりである。 スイッチドメイン/膜貫通ドメイン/第一共刺激シグナル伝達ドメイン/第二共刺激シグナル伝達ドメイン。例えば、図56Cを参照のこと。

スイッチドメインが細胞内である、ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内方向で、次のとおりである。 膜貫通ドメイン/第一共刺激シグナル伝達ドメイン/第二共刺激シグナル伝達ドメインおよび細胞内に、任意のシグナル伝達成分の間に配置された、または、細胞外から細胞内で、全ての他のシグナル伝達成分の後ろに配置されたスイッチドメイン。例えば、図56Aを参照のこと。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、膜係留ドメインを含む。一つのこのような態様において、スイッチドメインは、細胞内である。このような態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは2個の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、該2個の共刺激ドメインは、4−1BB、OX40、CD27、CD28およびICOSから選択される。ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内方向で、次のとおりである。 膜係留ドメイン/第一共刺激シグナル伝達ドメイン/第二共刺激シグナル伝達ドメインおよび細胞外に任意のシグナル伝達成分の間に配置された、または、細胞外から細胞内で、全ての他のシグナル伝達成分の後ろに配置された、スイッチドメイン。例えば、図56B参照。

ある態様において、スイッチドメインは、細胞外であり、膜貫通ドメインまたは膜係留ドメインと共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、膜に最も近い共刺激シグナル伝達ドメインの間;第一刺激シグナル伝達ドメインと第二共刺激シグナル伝達ドメインの間;共刺激シグナル伝達ドメインと一次細胞内シグナル伝達ドメインの間;または、細胞外から細胞内で、全ての細胞内シグナル伝達ドメインの後ろに配置される。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内で、次のとおりである。 膜貫通ドメインまたは膜係留ドメイン/第一共刺激シグナル伝達ドメイン/所望により第二共刺激シグナル伝達ドメイン/および所望により一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび細胞外に、任意の成分の間に、または、細胞外から細胞内で、全ての他の成分の後ろに配置されたスイッチドメイン。

ある態様において、抗原結合メンバーの成分の順番は、細胞外から細胞内で、次のとおりである。 抗原結合ドメイン/膜貫通ドメイン/例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、ホモ二量体化スイッチからのスイッチドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーはヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインを含み、RCARは、ヘテロ二量体化スイッチの第二スイッチドメインを含む第二細胞内シグナル伝達メンバーを含む。ある態様において、第二細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバーと同じ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2個、3個、4個または5個の抗原結合ドメイン、例えば、scFvsを含み、ここで、各抗原結合ドメインは標的抗原に結合する。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、異なる抗原に結合できる。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合できる。ある態様において、リンカーまたはヒンジ領域は、所望により2個の抗原結合ドメインの間または各抗原結合ドメインに配置される。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内である。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞外である。

ある態様において、二量体化スイッチは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、FRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体およびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001との結合の親和性を増加させる1個以上の変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、細胞内シグナル伝達メンバーと独立して、複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のスイッチドメインを含む、マルチスイッチである。細胞内シグナル伝達メンバーが複数のヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含む態様において、RCARは、さらに、ヘテロ二量体化スイッチの複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含む、第二細胞内シグナル伝達メンバーを含む。細胞内シグナル伝達メンバーが第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む態様において、RCARは、さらに、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む、第二細胞内シグナル伝達メンバーを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのラパマイシン類似体結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのラパマイシン類似体結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 FKBPからのAP21967結合配列を含むスイッチドメインおよびFRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含むスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、 FRBからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FRBからのラパマイシン類似体結合配列;または FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列 を含み、 第二スイッチドメインは、 FKBPからのラパマイシンまたはラパマイシン類似体結合配列; FKBPからのラパマイシン類似体結合配列;または FKBPからのAP21967結合配列 を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含み、 第二スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、FRBからのAP21967結合配列、例えば、残基2098にリシンを含む配列を含み、 第二スイッチドメインは、FKBPからのAP21967結合配列を含む。

ある態様において、二量体化分子はラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインと10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GyrBの24KDaアミノ末端サブドメイン を含む。

ある態様において、二量体化分子は、クーママイシンである。

ある態様において、二量体化スイッチは、GAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 GID1と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するGAIスイッチドメインを含むスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 G1D1の対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3結合配列を含むGID1スイッチドメインおよびGAIの対応する配列と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないGAIスイッチドメイン を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、GAIスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、GID1スイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、GA3−AMである。

ある態様において、二量体化分子は、GA3である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、ポリペプチド、例えば、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。

ある態様において、二量体化分子、例えば、ポリペプチドは、抗体分子である。

ある態様において、二量体化スイッチは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有するSNAPタグスイッチドメイン を含む。

ある態様において、二量体化スイッチは、 配列番号14と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないハロタグスイッチドメインおよび配列番号15と10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個を超えるアミノ酸残基が異ならないSNAPタグスイッチドメイン を含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインはハロタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含む。

ある態様において: 第一スイッチドメインは、SNAPタグスイッチドメインを含み、 第二スイッチドメインは、ハロタグスイッチドメインを含む。

ある態様において、二量体化分子は、構造5を含む。

ある態様において、二量体化分子は、3個以上のドメイン、例えば、スイッチドメインと結合するタンパク質タグ、例えば、ポリペプチド、例えば、該ドメインに親和性を有する抗体分子または非抗体スキャフォールドを含む。

ある態様において、二量体化分子は、非共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化分子は、共有結合性二量体化分子である。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインおよびスイッチドメイン、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドに親和性を有するポリペプチドを含む二量体化スイッチを含む。

ある態様において、RCARは、さらに、二次二量体化スイッチを含む。

ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。

ある態様において、RCARと結合する、例えば、同じ細胞に提供される 阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤。

ある態様において、RCARは、阻害分子、例えば表3からの共阻害分子を標的とする核酸阻害剤、例えば、siRNA、shRNAまたはアンチセンス分子と結合する、例えば、同じ細胞に提供される。

ある態様において、shRNAはPD1を標的とする。

ある態様において、二量体化は、RCARX細胞、例えば、RCART細胞の増殖または残留性のレベルを増加させる。

ある態様において、RCARは、さらに、 例えば、表4から選択される、阻害カウンターリガンド結合ドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカー を含む阻害カウンターリガンド結合メンバー を含む。

第五の面において、本発明は、本明細書に記載するRCARをコードする核酸、例えば、単離核酸に関する。

ある態様において、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、単一核酸分子に存在する。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列は第一制御領域に操作可能に(operatively)連結し、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二制御領域に操作可能に連結する。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列は第一RNAとして転写され、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二RNAとして翻訳される。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列は第一核酸分子に存在し、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二核酸分子に存在する。

ある態様において、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、単一核酸分子に存在する。

ある態様において、核酸は、さらに、共阻害ドメインを標的とするshRNAをコードする配列を含む。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列、細胞内シグナル伝達メンバーおよび共阻害ドメインを標的とするshRNAをコードする配列は、単一核酸分子に存在する。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列は第一核酸分子に存在し、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二核酸分子に存在し、共阻害ドメインを標的とするshRNAをコードする配列は、第一および第二核酸分子の一方または両方に存在する。

ある態様において、抗原結合メンバーをコードする配列は第一核酸分子に存在し、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二核酸分子に存在し、共阻害ドメインを標的とするshRNAをコードする配列は第三核酸分子に存在する。

ある態様において、核酸は、表6、7、8、9、10または11のいずれかに記載のRCARをコードする。

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメイン;および 所望により、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン を含む抗原結合メンバー;および c) 膜貫通ドメイン を含む、RCARをコードし、ここで、 i) aおよびbをコードする配列は、単一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され;または ii) aをコードする配列は第一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され、bをコードする配列は、第二核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置される。

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメイン; を含む抗原結合メンバー; aまたはbにおける膜貫通ドメイン;および c) 第二抗原に結合する抗原結合ドメイン;および 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む補助的抗原結合メンバー を含むRCARをコードし、ここで、 i) a、bおよびcをコードする配列は単一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され; ii) aおよびbをコードする配列は第一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され、cをコードする配列は、第二核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され iii) aおよびcをコードする配列は第一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され、bをコードする配列は、第二核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され iv) bおよびcをコードする配列は第一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され、cをコードする配列は、第二核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され;または v) a、bおよびcの各々をコードする配列は3つの異なる核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターの各々に提供される。

ある態様において、核酸は、 第一膜貫通ドメインおよび第一細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインをコードする第一核酸分子および 第二膜貫通ドメインおよび第二細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインをコードする第二核酸分子および 膜アンカーに繋がれた抗原結合ドメインをコードする第三核酸分子 を含み、ここで、該第一および第二膜貫通ドメインは、細胞の外側に存在するヘテロ二量体化スイッチにより互いに分離され、 ここで、該ヘテロ二量体化スイッチは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含み、ここで、ヘテロ二量体化スイッチの該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞の内側または外側いずれかのヘテロ二量体化分子の存在下、互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、核酸は、 膜アンカーに連結した抗原結合ドメインをコードする第一核酸分子、 阻害細胞外ドメインおよびヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインに連結した膜貫通ドメインをコードする第二核酸分子;および 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインに連結したヘテロ二量体化スイッチの第二スイッチドメインをコードする第三核酸分子 を含み、ここで、該阻害細胞外ドメインはヘテロ二量体化スイッチにより細胞内シグナル伝達ドメインから離され、 ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞の内側または外側のヘテロ二量体化分子の存在下、互いに相互作用して、複合体を形成する。

ある態様において、核酸は、 ヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインと連結した膜貫通ドメインである第一標的に結合する抗原結合ドメインをコードする第一核酸分子、 ヘテロ二量体化スイッチの第二スイッチドメインと連結した細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインをコードする第二核酸分子および 第一標的および膜貫通ドメインと異なる第二標的と結合する抗原結合ドメインをコードする第三核酸分子 を含み、ここで、該ヘテロ二量体化スイッチは、細胞の内側に存在し、細胞の内側のヘテロ二量体化分子の存在下、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインが互いに相互作用して複合体を形成する

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合メンバー; c) 第二細胞内シグナル伝達メンバー を含むRCARをコードし、 ここで、 i) a、bおよびcをコードする配列は単一核酸分子上に提供され; ii) a、bおよびcの2個をコードする配列は第一核酸分子上に提供され、残りをコードする配列は第二核酸分子上に提供され;または iii) aをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、bをコードする配列は第二核酸分子上に提供され、cをコードする配列は第三核酸分子上に提供される。

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合メンバー; c) 第二細胞内シグナル伝達メンバー を含むRCARをコードし、 ここで、 aおよびbをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして cをコードする配列は第二核酸分子上に提供され; aおよびcをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして bをコードする配列は第二核酸分子上に提供され;または bおよびcをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして aをコードする配列は第二核酸分子上に提供される。

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合メンバー; c) 補助的抗原結合メンバー を含むRCARをコードし、 ここで、 i) a、bおよびcをコードする配列は単一核酸分子上に提供され; ii) a、bおよびcの2個をコードする配列は第一核酸分子上に提供され、残りをコードする配列は第二核酸分子上に提供され;または iii) aをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、bをコードする配列は第二核酸分子上に提供され、cをコードする配列は第三核酸分子上に提供される。

ある態様において、核酸は、 a) 細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合メンバー; c) 第二細胞内シグナル伝達メンバー を含むRCARをコードし、 ここで、 aおよびbをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして cをコードする配列は第二核酸分子上に提供され; aおよびcをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして bをコードする配列は第二核酸分子上に提供され;または bおよびcをコードする配列は第一核酸分子上に提供され、そして aをコードする配列は第二核酸分子上に提供される。

ある態様において、核酸は、抗原結合ドメインが第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含む二量体化スイッチにより細胞内シグナル伝達ドメインから離されているRCARをコードし、ここで、該第一スイッチドメインは、抗原結合ドメインに連結され、第二スイッチドメインは細胞内シグナル伝達ドメインに連結され、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、二量体化分子存在下で互いに相互作用して、複合体を形成する。

第六の面において、本発明は、本明細書に記載するRCARをコードする核酸を含む、ベクター系、例えば、1個以上のベクターを含むベクター系に関する。

ある態様において、RCARの成分の全ては単一ベクター上にコードされる。

ある態様において、RCARのある成分は第一ベクター上にコードされ、RCARの他の成分は、ベクター系の第二ベクター上にコードされる。

ある態様において、ベクター系は、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを含む。

ある態様において、ベクター系は、バイシストロニックまたはトリシストロニックレンチウイルスベクターを含む。

ある態様において、ベクター系は、バイシストロニックまたはトリシストロニックプロモーターを含む。

第七の面において、本発明は、本明細書に記載するベクター系を含む、細胞に関する。

ある態様において、細胞は、ヒト細胞である。

ある態様において、細胞は、T細胞である。

ある態様において、細胞は、NK細胞である。

第八の面において、本発明は、本明細書に記載するRCARX細胞の製造法であって、該細胞に本明細書に記載するベクター系を導入することを含む、方法に関する。

第九の面において、本発明は、哺乳動物を処置する方法、例えば、哺乳動物に抗腫瘍免疫を提供する方法であって、哺乳動物に本明細書に記載するRCARX細胞の有効量を投与することを含む、方法に関する。

ある態様において、RCARX細胞は、自己T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、同種T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、自己NK細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、同種NK細胞である。

ある態様において、哺乳動物は、ヒトである。

ある態様において、本方法は、EGFRvIIIの発現と関係する疾患を有する哺乳動物、例えば、ヒトの処置を含む。

ある態様において、EGFRvIII発現と関係する疾患は、増殖性疾患、癌、前癌状態またはEGFRvIIIの発現と関係する非癌関連適応症である。

ある態様において、増殖性疾患は、神経膠芽腫である。

ある態様において、増殖性疾患は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。

ある態様において、増殖性疾患はCLLであり、RCARの抗原結合ドメインはCD19を標的とする。

ある態様において、癌は、多形神経膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、膠肉腫、未分化乏突起神経膠腫、未分化上衣腫、脈絡叢癌、未分化神経節膠腫、松果体芽腫、髄上皮腫、上衣芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および非定型奇形様/ラブドイド腫瘍、非小細胞癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌および膀胱癌から選択される。

ある態様において、該ヒトにおいて該処置の副作用を評価することをさらに含む。

ある態様において、副作用は、急性呼吸促迫症候群、発熱性好中球減少症、低血圧、脳症、肝臓高トランスアミナーゼ血症、発作またはマクロファージ活性化症候群を含む。

ある態様において、本方法は、該ヒト、例えば、副作用を有するヒトを、抗サイトカイン剤、例えば、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、例えば、TNF−Ig融合、例えば、エタネルセプト、IL−6アンタゴニスト、例えば、IL−6受容体アンタゴニスト、例えば、抗IL6受容体抗体、例えば、トシリズマブまたはコルチコステロイドで処置することを含む。

ある態様において、本方法は、該ヒトに抗IL6受容体抗体を投与することを含む。

スイッチがFKBP−FRBベースのスイッチである、ある態様において、二量体化分子は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。

ある態様において、FKBP−FRBベースのスイッチFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の段落に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001についての段落で、ここで記載するアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与レジメまたは製剤のいずれも、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために投与できる。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、二量体化分子はRAD001である。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001を投与する。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、1日あたり、例えば、1日1回の送達で、徐放製剤中0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001を投与する。

ある態様において、スイッチはFKBP−FRBベースのスイッチであり、1週間あたり、例えば、1週間に1回の送達で、徐放製剤中0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのRAD001を投与する。

例えば、PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の最適化のための、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の使用は、本明細書に記載する(“低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤での補助的処置”なる表題の段落を参照)。ある態様において、その段落のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001投薬レジメまたは製剤を、FKBP/FRB二量体化スイッチを有する二量体化分子として使用できる。

ある態様において、本方法は、対象に、例えば、PD1陰性T細胞/PD1陽性T細胞比を最適化するために、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンを投与することを含む。

ある態様において、投与は、アロステリックmTOR阻害剤、触媒的mTOR阻害剤または両者を含む。

ある態様において、mTOR阻害剤を、対象の末梢血または対象から単離したT細胞の調製物におけるPD−1陽性T細胞の比率の減少、PD−1陰性T細胞の比率の増加またはPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞比の増加に十分な時間投与する。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤をRCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の投与前に(例えば、免疫エフェクター細胞の回収前または後)に、次の1つ以上が生じるのに十分な時間投与する。 i) PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; ii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; iii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; iv) ナイーブT細胞数の増加; v) 次のマーカーの、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の1個以上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; vi) 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または vii) 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)またはvii)は、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収前に、次の1個以上が生じる、例えば、回収細胞または操作した細胞(または非回収細胞または両者)で生じるのに十分な時間投与する。 i) PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; ii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; iii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; iv) ナイーブT細胞数の増加; v) 次のマーカーの、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の1個以上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; vi) 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または vii) 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)またはvii)は、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投薬の開始または完了後少なくとも5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日または60日に回収する。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収後、次の一つ以上が生じるのに十分な時間、投与する。 i) PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; ii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; iii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; iv) ナイーブT細胞数の増加; v) 次のマーカーの、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の1個以上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; vi) 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または vii) 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)またはvii)は、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の投与後、次の一つ以上が生じるのに十分な時間、投与する。 i) PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; ii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; iii) PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; iv) ナイーブT細胞数の増加; v) 次のマーカーの、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の1個以上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; vi) 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または vii) 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)またはvii)は、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

他の態様において、RCARを発現するように操作されたまたは操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を、性能を最適化する量のmTOR阻害剤と接触させることにより、エクスビボで処理する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の一つ以上が生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化は、例えば、未処置細胞と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、例えばp70 S6K阻害で測定した場合、mTOR阻害の少なくとも5%と関連するが、90%を超えることはない。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、例えばp70 S6K阻害で測定した場合、mTOR阻害の少なくとも10%と関連するが、40%を超えることはない。

ある態様において、投与は、例えば、週に1回、例えば、即時放出投与形で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001または週に1回の即時放出投与形で0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgのRAD001と生物学的に同等であるRAD001以外のmTOR阻害剤の投与を含む。

ある態様において、投与は、例えば、週に1回、例えば、徐放投与形で、0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001または週に1回の徐放投与形の0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのRAD001と生物学的に同等であるRAD001以外のmTOR阻害剤の投与を含む。

ある態様において、投与は、例えば、1日1回、例えば、即時放出投与形で、0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001または1日1回の即時放出投与形の0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgのRAD001と生物学的に同等であるRAD001以外のmTOR阻害剤の投与を含む。

ある態様において、投与は、例えば、1日1回、例えば、徐放投与形で、0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001または1日1回の徐放投与形の0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのRAD001と生物学的に同等であるRAD001以外のmTOR阻害剤の投与を含む。

他の低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、ならびに投薬レジメおよび製剤は、“低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤での補助的処置”なる表題の段落に提供する、

第十の面において、本発明は、RCARX細胞で処置されているヒトで該処置の副作用を評価する方法に関する。

ある態様において、該副作用は、急性呼吸促迫症候群、発熱性好中球減少症、低血圧、脳症、肝臓高トランスアミナーゼ血症、発作またはマクロファージ活性化症候群を含む。

ある態様において、方法は、該ヒト、例えば、副作用を有するヒトを、抗サイトカイン剤、例えば、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、例えば、TNF−Ig融合、例えば、エタネルセプト、IL−6アンタゴニスト、例えば、IL−6受容体アンタゴニスト、例えば、抗IL6受容体抗体、例えば、トシリズマブまたはコルチコステロイドで処置することをさらに含む。

ある態様において、本方法は、該ヒトに抗IL6受容体抗体を投与することを含む。

第十一の面において、本発明は、RCARX細胞を提供する方法であって、 ヒトからの免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞をレシピエント・エンティティ、例えば、研究室または病院に提供し;そして、該エンティティから、該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞由来のRCARX細胞を受け取る ことを含む、方法に関する。

ある態様において、該エンティティは、RCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入した。

ある態様において、本方法は、さらに、該RCARXを該ヒトに投与することを含む。

第十二の面において、本発明は、RCARX細胞を提供する方法であって、 エンティティ、例えば、医療提供者から、ヒトからの免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を受け取り;RCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入してRCARX細胞を形成し;そして、所望により、該RCARX細胞を該エンティティに提供する ことを含む、方法に関する。

第十三の面において、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載する核酸、本明細書に記載するRCAR、本明細書に記載するベクター系または本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載する核酸に関する。

他の面において、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載するベクター系に関する。

他の面において、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

第十四の面において、本発明は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸、本明細書に記載するRCAR、本明細書に記載するベクター系または本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための本明細書に記載する核酸に関し、該疾患は、増殖性疾患、癌、前癌状態またはEGFRvIIIの発現と関係する非癌関連適応症である。

他の面において、本発明は、最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関する。

他の面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関し、ここで、該疾患は癌である。

他の面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関し、ここで、該疾患は神経膠芽腫である。

他の面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関し、ここで、該疾患は、多形神経膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、膠肉腫、未分化乏突起神経膠腫、未分化上衣腫、脈絡叢癌、未分化神経節膠腫、松果体芽腫、髄上皮腫、上衣芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および非定型奇形様/ラブドイド腫瘍、非小細胞肺癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌または膀胱癌である。

他の面において、本発明は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関し、ここで、該疾患は、増殖性疾患、癌、前癌状態またはEGFRvIIIの発現と関係する非癌関連適応症である。

他の面において、本発明は、最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、癌の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、神経膠芽腫の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、多形神経膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、膠肉腫、未分化乏突起神経膠腫、未分化上衣腫、脈絡叢癌、未分化神経節膠腫、松果体芽腫、髄上皮腫、上衣芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および非定型奇形様/ラブドイド腫瘍、非小細胞肺癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌または膀胱癌の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関する。

他の面において、本発明は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関し、ここで、該疾患は、増殖性疾患、癌、前癌状態またはEGFRvIIIの発現と関係する非癌関連適応症である。

他の面において、本発明は、最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関する。

他の面において、本発明は、癌の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関する。

他の面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関し、ここで、該疾患は神経膠芽腫である。

他の面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関し、ここで、該疾患は、多形神経膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、膠肉腫、未分化乏突起神経膠腫、未分化上衣腫、脈絡叢癌、未分化神経節膠腫、松果体芽腫、髄上皮腫、上衣芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および非定型奇形様/ラブドイド腫瘍、非小細胞肺癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌または膀胱癌である。

他の面において、本発明は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、EGFRvIIIの望まない発現により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関し、ここで、該疾患は、増殖性疾患、癌、前癌状態またはEGFRvIIIの発現と関係する非癌関連適応症である。

他の面において、本発明は、最適以下の抗腫瘍免疫により特徴付けられる疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、癌の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、神経膠芽腫の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

他の面において、本発明は、多形神経膠芽腫(GBM)、未分化星状細胞腫、巨細胞神経膠芽腫、膠肉腫、未分化乏突起神経膠腫、未分化上衣腫、脈絡叢癌、未分化神経節膠腫、松果体芽腫、髄上皮腫、上衣芽腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および非定型奇形様/ラブドイド腫瘍、非小細胞肺癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌または膀胱癌の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARX細胞に関する。

ある面において、本発明は、調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)、例えば、単離RCARに関し、ここで、該RCARは、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;および c) 膜貫通ドメイン を含み、ここで、 (i) 該抗原結合メンバーは1個を超える細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、2個の共刺激ドメインを含み; (ii) 第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを含み、これはFRB結合フラグメントまたはFKBPの類似体を含むスイッチドメインおよびFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含むスイッチドメインを含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001との結合の親和性を増加させる1個以上の変異を含み; (iii) RCARは4個の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、例えば、 (A)第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの1個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインであり、残り3個は共刺激ドメイン、例えば、表2のリストから選択されるか、または (B)第一、第二、第三および第四細胞内シグナル伝達ドメインの2個は、例えば、表1のリストから選択される一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび残り2個は、共刺激ドメイン、例えば、表2のリストから選択され; (iv) 抗原結合ドメインは膜貫通ドメインまたは膜係留ドメインを含まず; (v) RCARは、さらに d) 第二抗原に結合する抗原結合ドメイン;および 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む補助的抗原結合メンバーを含み; (vi) RCARは、さらに 例えば、表4からの、阻害カウンターリガンド結合ドメインおよび 膜貫通ドメインまたは膜アンカー を含む阻害カウンターリガンド結合メンバー を含み; (vii) RCARは、さらに阻害CAR(iCAR)メンバーを含み、ここで、該iCARメンバーは、 非標的細胞、例えば、非癌細胞上の抗原を認識する抗原結合ドメイン(または他の細胞外ドメイン); 膜貫通ドメイン;および、 阻害分子からのドメイン、例えば、阻害分子、例えば、PD−1、CTLA4または表12に挙げたタンパク質からのからの細胞内ドメイン を含み; (viii) RCARはさらに第二RCARまたは第二抗原結合メンバーを含み、ここで、RCARまたは抗原結合メンバーの一方の抗原結合ドメインは可変軽ドメインおよび可変重ドメインを含まず、例えば、一方の抗原結合ドメインはscFvであり、他方のはscFvではなく、例えば、一方の抗原結合ドメインは単一VHドメインを含み; (ix) 抗原結合メンバーは、抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;第一細胞内スイッチドメイン;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインを含み; (x) 第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは細胞外二量体化スイッチを形成でき;または (xi) RCARは、阻害分子の阻害剤、例えば、表3の阻害分子の阻害剤を含む。

ある態様において、抗原結合メンバーは例えば、表2から選択される複数の共刺激ドメインを含み、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。ある態様において、複数の共刺激ドメインは、例えば、表2から選択される、同じ共刺激ドメインである。

ある態様において、複数は、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−41BB。

ある態様において、複数は、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−OX40。

ある態様において、抗原結合ドメインは膜貫通ドメインを含まず、細胞内シグナル伝達ドメインは一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、二量体化スイッチはホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチであり得る。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインを含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、4−1BBドメインを含む。

ある態様において、RCARは、第二細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、第二細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインである。

ある態様において、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方はFKBPベースのスイッチドメインを含み、他方はFRBベースのスイッチドメインを含む。

ある態様において、スイッチドメインはRAD001により二量体化する。

ある態様において、スイッチドメインは、FKBP結合フラグメントまたはE2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含むFRBの類似体を含む。

ある態様において、RCARは阻害分子の阻害剤を含み、ここで、該阻害剤は阻害核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAを含む。

ある態様において、抗原結合ドメインは癌細胞上の標的抗原、例えば、本明細書に記載する腫瘍抗原に結合するが、二量体化分子を投与するまで、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を活性化しない。

ある面において、本発明は、 a) 例えば、表4から選択される、阻害細胞外ドメイン、 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む阻害細胞外ドメインメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー を含む、RCAR、例えば、単離RCARに関する。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子の存在下、阻害細胞外ドメインは標的細胞上のそのリガンドと結合し、シグナル活性化を再指向する。

他の面において、本発明は、 a) CD27のもの以外の共刺激ECDドメイン; 膜貫通領域および スイッチドメイン を含む共刺激ECDメンバー; b) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー を含む、RCAR、例えば、単離RCARに関する。

ある態様において、共刺激ECDドメインは表5から選択される。

他の面において、本発明は、 a) 膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン; 例えば、表2から選択される、共刺激シグナル伝達ドメインおよび スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー;および b) 抗原結合ドメイン、 膜貫通ドメインおよび 例えば、表1から選択される、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、該抗原結合メンバーはスイッチドメインを含まず、または細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない、RCAR、例えば、単離RCAR、ここで、該RCARに関する。

ある面において、本発明は、RCARまたは本明細書に記載するRCARの成分をコードする核酸、例えば、単離核酸に関する。

ある態様において、核酸は本明細書に記載するRCARをコードし、ここで、 i) 抗原結合メンバーをコードする配列および細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は単一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され;または ii) 抗原結合メンバーをコードする配列は第一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置され、細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は第二核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に配置される。

ある態様において、核酸は、さらに、表3からの阻害分子の阻害剤、例えば、PD1をコードする配列を含み、例えば、ここで、該阻害剤は阻害核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAを含む。

ある面において、本発明は、 a) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、 第一スイッチドメインおよび 所望により、膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; b) 抗原結合ドメイン、 第二スイッチドメインおよび 所望により、膜貫通ドメイン を含む抗原結合メンバー を含み、ここで、 i) 抗原結合メンバーをコードする配列(a)および細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列(b)が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、本明細書に記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターが(a)、(b)および(c)に操作可能に連結され、ここで、(c)はペプチド、例えば、開裂可能ペプチド、例えば、P2AまたはF2A配列をコードし、成分(c)は(a)と(b)の間に配置される;または ii) 抗原結合メンバーをコードする配列(a)および細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列(b)が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、本明細書に記載するプロモーターが(a)、(b)および(c)に操作可能に連結され、ここで、成分(c)はIRES、例えば、EMCV IRESをコードし、成分(c)は(a)と(b)の間に配置される、 RCARをコードする単離核酸に関する。

ある面において、本発明は、本明細書に記載する核酸を含む、ベクター系、例えば、1個以上のベクターに関する。

ある態様において、ベクター系は、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを含む。

ある面において、本発明は、本明細書に記載するRCAR、本明細書に記載する核酸または本明細書に記載するベクター系を含む細胞に関する。

他の面において、本開示は、本明細書に記載する細胞を製造する方法であって、該細胞に本明細書に記載する核酸または本明細書に記載するベクター系を導入することを含む、方法に関する。

本明細書に記載する面のいずれかのある態様において、細胞は、ヒト細胞である。

本明細書に記載する面のいずれかのある態様において、細胞は、T細胞である。

本明細書に記載する面のいずれかのある態様において、細胞は、NK細胞である。

ある面において、本発明は、対象、例えば、哺乳動物を処置する方法、例えば、対象に抗腫瘍免疫を提供する方法であって、対象に本明細書に記載するRCARX細胞の有効量、例えば、前記の細胞を投与するかまたは該細胞を含む対象を提供することを含む、方法。

ある態様において、RCARX細胞は、自己T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、同種T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は自己NK細胞;および同種NK細胞から選択される。

ある態様において、対象は、ヒトである。

ある態様において、本方法は、対象を癌に対して処置することを含む。

ある態様において、本方法は、さらに、二量体化分子を対象に投与することを含む。

ある態様において、RCARはFKBP−FRBベースのスイッチを含み、方法は、さらに、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001を含む二量体化分子を投与することを含む。

ある態様において、本方法は、さらに、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を投与することを含む。

ある面において、本発明は、対象、例えば、哺乳動物を処置する方法、例えば、対象に抗腫瘍免疫を提供する方法であって、 (a) 対象にRCARX細胞、例えば、RCART細胞の有効量を投与するかまたはRCARX細胞、例えば、RCART細胞を含む対象を投与し、ここで、細胞はRCAR、RCARをコードする核酸またはRCARをコードする核酸を含み;および (b) (i) RAD001を含む二量体化分子;または (ii) 低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001 を投与することを含み、 ここで、該RCARは、 A) 細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび 第一スイッチドメイン を含む細胞内シグナル伝達メンバー; B) 抗原結合ドメインおよび 第二スイッチドメイン を含む抗原結合メンバー;および C) 膜貫通ドメイン を含み、ここで、該第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、FKBP−FRBベースのスイッチを含む、方法に関する。

ある態様において、細胞は、自己T細胞である。

ある態様において、細胞は、同種T細胞である。

ある態様において、細胞は自己NK細胞;および同種NK細胞から選択される。

ある態様において、対象は、ヒトである。

ある態様において、本方法は、対象を癌に対して処置することを含む。

ある態様において、本方法は、対象にRAD001二量体化分子を投与することをさらに含む。

ある態様において、本方法は、低い、免疫増強用量のアロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を投与することをさらに含む

ある面において、本発明は、RCARX細胞を提供する方法であって、 ヒトからの免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞をレシピエント・エンティティ、例えば、研究室または病院に提供し;そして 該エンティティから、該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞由来のRCARX細胞を受領し、ここで、該RCARXは、本明細書に記載するRCARまたは本明細書に記載するRCARをコードする核酸またはベクターを含む、方法に関する。

ある態様において、エンティティは、RCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入した。

ある態様において、本方法は、さらに、該RCARXを該ヒトに投与することを含む。

他の面において、本発明は、RCARX細胞を提供する方法であって、 エンティティ、例えば、医療提供者から、ヒトからの免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を受け取り;前記のRCARをコードする核酸を該免疫エフェクター細胞またはその娘細胞に挿入し、RCARX細胞を形成し;そして、所望により、該RCARX細胞を該エンティティに提供することを含む、方法に関する。

ある面において、本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載する核酸に関する。

ある面において、本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載するRCARに関する。

ある面において、本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載するベクター系に関する。

ある面において、本発明は、医薬として使用するための本明細書に記載するRCARX細胞、例えば、本明細書に記載する細胞、例えば、本明細書に記載するRCAR、本明細書に記載する核酸または本明細書に記載するベクター系を含む細胞に関する。

ある面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載する核酸に関し、ここで、該疾患は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする。

ある面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するRCARに関し、ここで、該疾患は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする。

ある面において、本発明は、疾患の処置に使用するための、本明細書に記載するベクター系に関し、ここで、該疾患は、免疫応答の増強が必要であることを特徴とする。

前記面のいずれかのある態様において、疾患は最適以下の抗腫瘍免疫を特徴とする。

前記面のいずれかのある態様において、疾患は癌である。

全ての引用文献、刊行物、特許明細書、特許などは、引用により本明細書に包含する。

図面の簡単な説明 図面をまず簡単に説明する。

図1は調節可能CAR(RCAR)と比較した、標準CARの構造を示す。

図2はラパマイシン類似体により誘発されるFKBP/FRBヘテロ二量体化をしたRCARを示す。抗原結合ドメインは、例えば、EGFRvIIIを標的とするscFvであり得る。スイッチAおよびスイッチBは、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーに対して異なる配向のFKBPおよびFRBスイッチドメインを示す

図3はクーママイシンにより誘発されるGyrB二量体化スイッチを有するRCARを示す。抗原結合ドメインは、例えば、EGFRvIIIを標的とするscFvであり得る。スイッチドメインは、GyrBサブユニットである。

図4はジベレリンにより誘発されるGAI/GID1二量体化スイッチを有するRCARを示す。抗原結合ドメインは、例えば、EGFRvIIIを標的とするscFvであり得る。スイッチAおよびスイッチBは、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーに対して異なる配向のGAIおよびG1D1スイッチドメインを示す

図5は小分子薬物により誘発される細胞外スイッチを有するRCARを示す。細胞外二量体化スイッチはFKBP/FRBスイッチ、GyrB/GyrBスイッチまたはGAI/G1D1スイッチであり得る。

図6は抗体分子、非抗体スキャフォールドまたはポリペプチドにより誘発される細胞外スイッチを有するRCARを示す。左側のRCAR系において、2個のヘテロ二量体化スイッチドメインは、二重特異性抗体により集められる。右側のRCAR系において、2個の細胞内シグナル伝達メンバーは単特異性抗体により集められて、CARシグナル伝達を開始できる。

図7は2個の異なる標的(標的Aおよび標的B)を標的化できる二重RCAR系を示す。

図8はRCARを発現するように操作できる免疫エフェクター細胞を提供する。

図9はスイッチドメインを含む抗原結合メンバーが標的する抗原(例えば、標的A)と異なる第二抗原(例えば、標的B)を標的とする、補助的抗原結合メンバーを含むRCARを記載する。補助的抗原結合メンバーはスイッチドメインを含まず、RCARの細胞内シグナル伝達メンバーと二量体化しない。

図10は阻害経路を再指向するRCARを示す。

図11はスイッチ切り替え可能な受容体が再指向されたスイッチ切り替え可能な共阻害受容体、例えば、表4に挙げたいずれか一つまたは共刺激受容体、例えば、表5に挙げたいずれか一つであり得る、コンテキスト依存性成分を有するRCARを示す。共阻害受容体または共刺激受容体と標的の最適対は、癌のタイプ、癌のステージ、ドナーのタイプなどにより得る。

図12Aおよび12Bは図2に示すRCAR RCARを発現する細胞構築物で見られるような活性化を示す。標準EGFRvIII CARTを、陽性対照として使用した。RCARをヘテロ二量体化分子非存在下(HDなし)または500nMヘテロ二量体化分子存在下(HD)インキュベートし、ここで、ヘテロ二量体化分子はAP21967であった(図12A)。用量−応答アッセイを、種々の濃度のヘテロ二量体化分子A/Cヘテロ二量化剤を使用して実施した(図12B)。試験したRCARは、EGFRvIII標的化scFvドメイン(各セットの左の棒)または対照としてのIgG1(各セットの右の棒)を含んだ。

図13はハロ/snapタグ二量体化スイッチを有するRCARを示す。抗原結合ドメインは、例えば、EGFRvIIIを標的とするscFvであり得る。スイッチAおよびスイッチBは、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーに対して異なる配向のハロタグおよびSnapタグスイッチドメインを示す。

図14Aおよび14Bは可溶性抗体による活性化および可溶性抗体+第二抗体(二次二量体化スイッチ)による活性化を示す。

図15は細胞外スイッチおよび多価二量体化分子を有するRCARを示す。

図16はRCARを発現するためのベクターを示す。

図17Aおよび17BPD1 CARおよびPD1 RCARの活性化を示す。図17Aは、IgG1−Fcによる対照処理と比較した、PD1 CARのNFAT誘導性プロモーター駆動ルシフェラーゼ活性からの結果を示す。図17Bは、IgG1−Fcによる対照処理と比較した、PD1−ECD−TM−FRBおよびFKBP−4−1BB−CD3ゼータを含むPD1 RCARのNFAT誘導性プロモーター駆動ルシフェラーゼ活性からの結果を示す。

図18はAP21967処理での用量応答を示す。各試験用量の左側の棒はPD1 RCARであり、各試験用量の右側の棒はPD1 CAR対照である。

図19は例えば、図5に示すような、FKBP−FRBベースの細胞外スイッチを有するRCARの活性を示す。

図20は例えば、図3に示すような、GyrB−GyrBベースの細胞内スイッチを有するRCARの活性を示す。

図21は例えば、図4に示すような、GAI−GID1ベースの細胞内スイッチを有するRCARの活性を示す。

図22は単一核酸ベクター上のRCAR成分の配置を示す。構築物143774および143775は、抗原結合メンバー(例えば、FKBPと連結したscFv)および細胞内結合メンバー(例えば、41BB/CD3ゼータと連結したFRB)の間に異なるIRES(例えば、IRES EV71またはIRES EMCV)を利用する。構築物143776および143777は、抗原結合メンバー(例えば、FKBPと連結したscFv)および細胞内結合メンバー(例えば、41BB/CD3ゼータと連結したFRB)の間に2個の異なるプロモーター(例えば、CMV minまたはEF1 min)を利用する。

図23は単一ベクターコード化RCARからのRCAR活性を示し、ここで、該単一ベクターの配置は図22に示す。

図24Aおよび24Bは記載したnM濃度の異なるヘテロ二量体化分子、RAD001(図24A)またはラパマイシン(図24B)によるCD19 RCARの活性化を示す。RCARは、図22に示すように、構築物143775によりコードされる。

図25Aおよび25B記載したnM濃度の異なるヘテロ二量体化分子、RAD001(図24A)またはラパマイシン(図24B)によるCD19 RCARの活性化を示す。RCARは、図22に示すように、構築物143775によりコードされる。

図26は抗原結合メンバー上に共刺激シグナル伝達ドメインを有する半RCAR構造を示す。共刺激シグナル伝達ドメインは、表2に挙げたまたは由来のいずれでもよい。

図27Aおよび27Bは、プラセボと比較した、インフルエンザワクチン株に対する価の増加を示すグラフである。図27Aにおいて、治療企図集団におけるRAD001投与コホートの各々について、ワクチン接種4週間後プラセボコホートの増加と比較して、3種のインフルエンザワクチン株(H1N1 A/California/07/2009、H3N2 A/Victoria/210/2009、B/Brisbane/60/2008)の各々に対するインフルエンザ幾何平均力価のベースラインを超える上昇が示される。太黒線は、本治験の主要評価項目を満たすための3種のインフルエンザワクチン株中2種で満たすべき基準である、プラセボに比した力価の1.2倍増加を示す。星印“*”は、プラセボに対するGMT力価が1を超え、少なくとも80%の事後確率を有することを示す。図27Bは、ベースラインインフルエンザ力価≦1:40を有する対象のサブセットでの図27Aと同じデータのグラフである。

図28はワクチン接種4週間後のRAD001濃度対各インフルエンザワクチン株に対する幾何平均力価の増加倍率の散布図を示す。RAD001濃度(投与1時間後)を、対象が4週間投与を受けた後に測定した。薬物動態測定を受けた全対象を解析対象集団に入れた。ベースラインと比較したワクチン接種4週間後の幾何平均力価の増加倍率をy軸に示す。

図29はプラセボと比較した、異種インフルエンザ株に対する力価の増加を示すグラフである。ワクチン接種4週間後、治療企図集団におけるRAD001投与コホートの各々について、プラセボコホートにおける増加に対して、インフルエンザワクチンに含まれない2種の異種インフルエンザ株(A/H1N1株A/New Jersey/8/76およびA/H3N2株A/Victoria/361/11)に対するインフルエンザ幾何平均力価のベースラインを超える上昇が示される。*はプラセボに対する力価が1を超え、少なくとも80%の事後確率を有することを示す。

図30Aおよび30Bはインフルエンザワクチン接種前後のIgGおよびIgMレベルのグラフである。抗A/H1N1/California/07/2009インフルエンザIgGおよびIgMのレベルを、インフルエンザワクチン接種前および4週間後に対象から得た血清で測定した。RAD001およびプラセボコホートで、抗H1N1インフルエンザIgGおよびIgMレベルのベースラインからワクチン接種4週間後の変化の有意差は検出されなかった(クラスカル・ウォリス順位和検定で全p値>0.05)。

図31A、31Bおよび31CはRAD001処置後のPD−1陽性CD4およびCD8の減少およびPD−1陰性CD4 T細胞の増加を示すグラフである。PD−1陽性CD4、CD8およびPD−1陰性CD4 T細胞のパーセントを、ベースライン、治験薬処置6週間後(6週目)および治験薬中止6週間後でかつインフルエンザワクチン接種4種間後(12週目)のPBMCサンプルのFACS解析により決定した。図31Aは、プラセボコホート(n=25)と比較して、0.5mg/日(n=25)、5mg/週(n=29)および20mg/週(n=30)の用量レベルでRAD001を投与されたコホートにおいて、12週目でPD−1陽性CD4 T細胞の有意な減少(−37.1〜−28.5%)があり、それぞれp=0.002(0.02)、p=0.003(q=0.03)およびp=0.01(q=0.05)であることを示す。図31Bは、プラセボコホート(n=25)と比較して、0.5mg/日(n=25)、5mg/週(n=29)および20mg/週(n=30)の用量レベルでRAD001(n=109)を投与されたコホートにおいて、12週目でPD−1陽性CD8 T細胞の有意な減少(−43.3〜−38.5%)があることを示し、それぞれ、p=0.01(0.05)、p=0.007(q=0.04)およびp=0.01(q=0.05)であることを示す。図31Cは、プラセボコホート(n=25)と比較して、0.5mg/日(n=25)、5mg/週(n=29)および20mg/週(n=30)の用量レベルでRAD001(n=109)を投与されたコホートで12週目にPD−1陰性CD4 T細胞の有意な増加(3.0〜4.9%)があり、それぞれp=0.0007(0.02)、p=0.03(q=0.07)およびp=0.03(q=0.08)であることを示す。

図32Aおよび32BはベースラインPD−1発現の差異で調節したRAD001処置後のPD−1陽性CD4およびCD8のパーセントの減少およびPD−1陰性CD4 T細胞の増加を示すグラフである。PD−1陽性CD4、CD8およびPD−1陰性CD4 T細胞のパーセントは、ベースライン、治験薬処置6週間後(6週目)および治験薬中止6週間後でかつインフルエンザワクチン接種4種間後(12週目)のPBMCサンプルのFACS解析により決定した。図32Aは、プラセボコホート(n=25)と比較して、プールしたRADコホート(n=84)において6週目でPD−1

+CD4 T細胞の30.2%の有意な減少があり、p=0.03(q=0.13)であることを示す。プラセボコホートと比較したプールしたRADにおける12週目のPD−1陽性CD4 T細胞減少は32.7%であり、p=0.05(q=0.19)である。図32Bは、プラセボコホート(n=25)と比較して、プールしたRAD001コホート(n=84)において6週目でPD−1陽性CD8 T細胞の37.4%の有意な減少があり、p=0.008(q=0.07)であることを示す。プラセボコホートと比較したプールしたRAD001における12週目のPD−1陽性CD8 T細胞減少は41.4%であり、p=0.066(q=0.21)である。図32Aおよび38Bは、図31A、31Bおよび31Cのデータを示すが、図31A、31Bおよび31Cの異なるRAD001用量群を、図32Aおよび38Bにおいて単一RAD001処置群にプールした。

図33はRAD001に応答した高齢対象における運動およびエネルギーの増加を示す。

図34Aおよび34Bは細胞におけるP70 S6K活性に対するRAD001の予測効果を示す。図40AはRAD001の毎週および連日の高用量で阻害したP70 S6キナーゼを示し、図40BはRAD001の毎週の低用量で阻害したP70 S6キナーゼを示す。

図35は、RAD001と結合したFRAPのグラフ表示である。点線領域は、RAD001と結合するポケットを示す。RAD001に近位のまたはRAD001との相互作用を媒介する残基を円で囲み、アミノ酸はFRAP上に配置する。

図36は、FRB変異体のライブラリーの産生に使用したNKKライブラリーのアミノ酸分布を示す。異なるアミノ酸をx軸に示し、ライブラリー中に表示されるパーセントをy軸に示す。

図37Aおよび37Bは、異なる変異体FRBライブラリーの各々に由来するタンパク質発現を示す。11種の異なる変異体FRBライブラリーをx軸に挙げる。図37Aにおいて、y軸は変異体FRBを示すウェルのパーセントを示す。図37Bにおいて、y軸は、各ライブラリーについて決定した平均タンパク質濃度を示す。

図38A、38B、38C、38Dおよび38Eは、FRB変異体:E2032L(図38A)、E2032I(図38B)、T2098L(図38C)、E2032L、T2098L(図38D)およびE2032I、T2098L(図38E)に対するEC

50競合結合アッセイの結合曲線を示す。

図39A、39Bおよび39Cは、FRB変異体:E2032L(図39A)、E2032I(図39B)およびT2098L(図39C)に対するEC

50指示結合アッセイの結合曲線を示す。

図40は、x軸に示すヒトPD1 shRNA配列による、24時間、48時間および72時間のヒトPD1ノックダウンを示す。ノックダウンは、残存するPD1転写物のパーセンテージにより表す(y軸)。ヒトPD1 shRNA配列は表19に提供する。

図41は、x軸に示すマウスPD1 shRNA配列による、24時間および48時間のマウスPD1ノックダウンを示す。ノックダウンは、残存するPD1転写物のパーセンテージにより表す(y軸)。マウスPD1 shRNA配列は表18に提供する。

図42Aおよび42Bは、図43で評価する細胞外スイッチを有する種々のRCAR構築物の略図である。細胞外スイッチを有する半RCARを図42Aに示し、FKBPおよびFRBスイッチドメインを二つの異なる配向で有する。細胞外スイッチを有する完全RCAR完全スイッチを図42Bに示し、FKBPおよびFRBスイッチドメインを二つの異なる配向で有する。

図43A、43B、43Cおよび43Dは、種々の濃度のRAD001を用いる、図42Aおよび42BのRCAR半スイッチ構築物の活性化を示す。図43Aおよび43Bは、両配向のスイッチドメインを有するRCAR半スイッチの活性化の結果を示す。図43Cおよび43Dは、両配向のスイッチドメインを有するRCAR完全スイッチの活性化の結果を示す。NFAT活性化をLuciferase One Glo(y軸)により検出される発光で表し、異なるRAD001濃度をx軸に挙げる。

図44Aおよび44Bは、細胞内スイッチを有する半RCAR構築物を示す。図44Aは、半RCAR構築物の略図を示す。図44Bは、RAD001の存在下または非存在下の異なる共刺激シグナル伝達ドメインでの半RCARの活性化を示す。

図45Aおよび45Bは、種々の濃度のRAD001を用いる、2個の半RCAR構築物の活性化を示す。CD28共刺激シグナル伝達ドメインでの半RCARの活性化を図45Aに示す。41BB共刺激シグナル伝達ドメインでの半RCARの活性化を図45Bに示す。NFAT活性化をLuciferase One Glo(y軸)により検出される発光で表し、異なるRAD001濃度をx軸に挙げる。

図46は、形質導入した一次T細胞上の半RCARの発現を示す。数字は半RCAR陽性T細胞のパーセンテージ(%)およびCAR陽性集団の平均蛍光強度(10

3 GeoMean)を示す。

図47は形質導入したT細胞を発現する半RCARの細胞毒性を示す。RCARTを、異なる濃度のRAD001存在下、ルシフェラーゼを発現するNalm6細胞と共培養した。

図48は、形質導入したT細胞を発現する半RCARの増殖を示す。RCARTを、異なる濃度のRAD001の存在下、Nalm6細胞と共培養した。RCAR陽性CD3陽性T細胞の数を共培養4日後に評価した。

図49は、形質導入したT細胞を発現するCARによる、IFNγの分泌を示す。CARTを、異なる濃度のRAD001の存在下、Nalm6細胞と共培養した。細胞培養上清のIFNγの濃度を、共培養20時間後に決定した。

図50は、共有結合性ハロ/snapタグスイッチを有するRCARの活性化を示す。NFAT活性化をLuciferase One Glo(y軸)により検出される発光で表し、異なるNVP−HAL421濃度をx軸に挙げる。

図51は、記載するNVP−HAL421濃度の存在下、共有結合性ハロ/snapタグスイッチを有するRCARの活性化を示す。NFAT活性化をLuciferase One Glo(y軸)により検出される発光で表し、異なるNVP−HAL421濃度をx軸に挙げる。

図52は、2個の共刺激シグナル伝達ドメインが抗原結合メンバー上に存在する、二重半RCAR構築物を示す。

図53は、抗原結合メンバーはスイッチドメインを含むが、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない、細胞外二量体化スイッチを含む普遍的CAR構築物を含む。

図54は、抗原結合ドメイン(scFv)、膜貫通ドメイン(Tm)および第一スイッチドメインを含む抗原結合メンバーおよび膜貫通ドメイン(Tm)、第二スイッチドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン(41BB)および一次細胞内シグナル伝達ドメイン(CD3ゼータ)を含む細胞内シグナル伝達メンバーを含むRCARの構造を示す。

図55Aおよび55Bは、マルチスイッチを含むRCARの2個の構造を示す。図55Aにおいて、抗原結合メンバーは複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPスイッチドメインを含み、一方細胞内シグナル伝達メンバーは複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメインを含む。括弧内のスイッチドメインは、マルチスイッチを構成する1個以上のさらなるスイッチドメインを表す。図55Bにおいて、抗原結合メンバーは第一スイッチドメイン、例えば、FKBPスイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメインを含み、細胞内結合メンバーは第二スイッチドメイン、例えば、FRBスイッチドメインおよび第一スイッチドメイン、例えば、FKBPスイッチドメインを含む。

図56A、56B、56Cおよび56Dは、増殖能を制御できるRCAR構築物の4つの配置を示す。RCARは、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)、膜貫通ドメインおよび一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ)を含む抗原結合メンバーを含む。2個の細胞内シグナル伝達メンバーは、いずれの少なくとも1個のスイッチドメイン、例えば、FKBPおよびFRBスイッチドメインおよび2個の共刺激ドメイン、例えば、2個の共刺激シグナル伝達ドメイン1または共刺激シグナル伝達ドメイン1と共刺激シグナル伝達ドメイン2を含み、ここで、害共刺激ドメイン1および2は4−1BB、OX40、CD27、CD28およびICOSから選択される。括弧内のスイッチドメインは、マルチスイッチを構成する1個以上のさらなるスイッチドメインを表す。図56Aにおいて、2個の細胞内シグナル伝達メンバーは、膜貫通ドメインおよび1個以上の細胞内スイッチドメインを含む。図56Bにおいて、2個の細胞内シグナル伝達メンバーは、膜アンカー、例えば、ミリストイル化および1個以上の細胞内スイッチドメインを含む。図56Cにおいて、2個の細胞内シグナル伝達メンバーは、1個以上の細胞外スイッチドメインおよび膜貫通ドメインを含む。図56Dにおいて、2個の細胞内シグナル伝達メンバーは1個以上の細胞内スイッチドメインを含み、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない。

図57は、mycタグ多量体二量体化分子を有する9E10scFv含有細胞内メンバーのNFAT活性化を示すグラフである。単mycタグ(モノmyc)、二量体mycタグ(ジmyc)、三量体mycタグ(トリmyc)、四量体mycタグ(テトラmyc)および対照(IgG1 Fc)を100nmおよび1μMで投与した。

詳細な記載 定義 他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に共通して理解されているのと同じ意味を有する。

ここで使用する単数表現は、冠詞の文法的目的語が1個または1個を超えること(すなわち、少なくとも1個)を意味する。例として、“成分”は1個の成分または1個を超える成分を意味する。

ここで使用する用語としての“約”は、量、期間などのような測定可能な値を記載するとき、特定値からの±20%またはいくつかの態様においては±10%またはいくつかの態様においては±5%またはいくつかの例においては±1%またはいくつかの態様においては±0.1%の変動を、このような変動が開示する方法の実施に適切である限り、包含することを意図する。

ここで使用する用語としての“自己”は、後に個体に再導入するのと同じ個体に由来する何らかの物質をいう。

ここで使用する用語としての“同種”は、物質を導入する個体と同じ種の異なる動物由来の何らかの物質をいう。一箇所以上の座位の遺伝子が同一でない場合、2以上の個体は互いに同種であるというべきである。いくつかの面において、同じ種の個体由来の同種物質は、抗原性に相互作用するには、遺伝的に十分に異なっている可能性がある。

ここで使用する用語としての“抗原結合ドメイン”は、標的抗原、概して標的細胞、例えば、癌細胞上の抗原に親和性を有する分子をいう。代表的抗原結合ドメインは、ポリペプチド、例えば、抗体分子(抗体およびその抗原結合フラグメント、例えば、免疫グロブリン、単一ドメイン抗体(sdAb、例えば、ナノボディおよびscFv))または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンなどを含む。ある態様において、抗原結合ドメインは単一ポリペプチドである。ある態様において、抗原結合ドメインは、1個、2個またはそれ以上の、ポリペプチドを含む。ある態様において、抗原結合ドメインは、標的抗原の認識および特異的結合に寄与するのに十分な抗体のフラグメントを含む。用語“抗体フラグメント”は、抗原のエピトープと(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間的分布により)特異的に相互作用する能力を保持する、抗体の少なくとも一つの部分をいう。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFvフラグメント、scFv抗体フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、線状抗体、sdAbのような単一ドメイン抗体、例えば、ナノボディ(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ類VHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2個のFabフラグメントを含む二価フラグメントのような抗体フラグメントから形成された多特異性抗体および単離CDRまたは抗体の他のエピトープ結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。抗原結合フラグメントはまた単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、細胞内抗体、二重特異性抗体、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびビス−scFvにも取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology 23:1126-1136, 2005参照)。抗原結合フラグメントはまたフィブロネクチンIII型(Fn3)のようなポリペプチドに基づくスキャフォールドに移植もできる(フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載する米国特許6,703,199号参照)。

ある態様において、抗原結合ドメインは“scFv”であり、これは、抗体のVL鎖およびVH鎖を含む融合タンパク質を含んでよく、ここで、VHおよびVLは、短可動性ポリペプチドリンカーを介して連結されている。scFvは単一鎖ポリペプチドとして発現されることが可能であり、それが由来する完全な抗体の特異性を保持する。さらに、VL可変鎖およびVH可変鎖は、例えば、ポリペプチドのN末端およびC末端について任意の順番で連結でき、scFvはVL−リンカー−VHを含んでよく、またはVH−リンカー−VLを含んでよい。ある態様において、抗原結合ドメインは、非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチン、アンキリン、ドメイン抗体、例えば、ナノボディ、リポカリン、小型モジュラー型免疫薬、マキシボディ、プロテインAまたはアフィリンを含む。非抗体スキャフォールドは、細胞上の標的抗原に結合する能力を有する。ある態様において、抗原結合ドメインは、細胞上に発現される天然に存在するタンパク質のポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、抗原結合ドメインは増殖因子またはホルモン受容体に結合する。理論に縛られることを望まないが、抗原結合ドメインは、標的細胞に対する特異性を提供するために作用し、ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインによるシグナル産生と、抗原結合を連結させることにより、免疫エフェクター機能を最適化する。

ここで使用する用語としての“抗原結合メンバー”は、抗原結合ドメインおよび所望により、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含む。抗原結合メンバーはまたスイッチドメインも含み得る。ある態様において、抗原結合メンバー上のスイッチドメインは、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できる。これら2個のスイッチドメインにより形成された二量体化スイッチは、抗原結合を細胞内シグナル産生とさせ、それにより細胞の免疫エフェクター機能を最適化する。ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインが由来する分子の天然細胞外ドメイン以外である、抗原結合ドメインを含む。ある態様において、抗原結合メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバー上の細胞内シグナル伝達ドメインが由来する分子の天然細胞外ドメインのリガンドではない抗原と結合する、抗原結合ドメインを含む。

ここで使用する用語としての“抗癌効果””は、例えば、腫瘍体積の減少、癌細胞数の減少、転移数の減少、平均余命の延長、癌細胞増殖の減少、癌細胞生存の減少または癌状態に付随する種々の生理学的症状の改善を含むが、これらに限定されない種々の手段により顕在化し得る、生物学的効果をいう。“抗癌効果”はまたそもそも癌の発生の予防におけるペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によっても顕在化され得る。用語“抗腫瘍効果”は、例えば、腫瘍体積の減少、癌細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少または腫瘍細胞生存の減少を含むが、これらに限定されない種々の手段により顕在化し得る、生物学的効果をいう。

ここで使用する用語としての“補助的抗原結合メンバー”は、RCARの他の抗原結合ドメインに結合される抗原以外、例えば、抗原結合メンバーの抗原結合ドメイン以外の抗原と結合する抗原結合ドメインを含む、分子をいう。ある態様において、これは膜貫通ドメインまたは膜アンカリングドメインを含む。

ここで使用する用語としての“癌”は、異常細胞の無制御の増殖により特徴づけられる疾患である。癌細胞は、局所的にまたは血流およびリンパ系を介して体の他の部分に拡散し得る。種々の癌の例は、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳の癌、リンパ腫、白血病、肺癌などを含むが、これらに限定されない。

ここで使用する用語としての“共刺激シグナル伝達ドメイン”は、標的細胞上のその同族カウンターリガンドとの結合により、免疫エフェクター応答を増強、例えば、増加させる、RCARX細胞の分子、例えば、内因性分子をいう。

ここで使用する用語としての“由来する”は第一分子と第二分子の間の関係を示す。一般に、第一分子と第二分子の構造類似性をいい、第二分子から由来する第一分子の方法または源の制限を含意または包含しない。例えば、CD3ゼータ分子由来の細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、必要な機能、すなわち、適切な条件下でシグナルを産生する能力を有するように、十分なCD3ゼータ構造を保持する。細胞内シグナル伝達ドメインを製造する特定の方法の制限を含意または包含せず、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインを提供するために、CD3ゼータ配列から開始し、望まない配列を削除するかまたは変異を付加し、細胞内シグナル伝達ドメインに到達しなければならないことを意味しない。

ここで使用する用語としての“二量体化分子”は、第一スイッチドメインと第二スイッチドメインの結合を促進する分子をいう。例えば、二量体化スイッチが細胞内に配置された態様において、二量体化分子は原形質膜を通過できる。例えば、二量体化スイッチが細胞外に配置された態様において、二量体化分子は原形質膜を通過する必要はない。ある態様において、二量体化分子は対象に自然に生じず、または顕著な二量体化をもたらす濃度で生じない。ある態様において、二量体化分子は小分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログである。ある態様において、二量体化分子はポリペプチドである。ある態様において、二量体化分子は抗体分子、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントである。ある態様において、ホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、小分子二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ存在下で互いに結合する。ある態様において、ホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、ポリペプチド二量体化分子の存在下で互いに結合する。ある態様において、ホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、多量体ペプチド二量体化分子存在下で互いに結合する。ある態様において、ホモ二量体化スイッチまたはヘテロ二量体化スイッチの第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、抗体分子二量体化分子存在下で互いに結合する。ある態様において、抗体分子は単特異性抗体分子を含む。ある態様において、抗体分子は二重特異性抗体分子である。

一般に、二量体化分子は、少なくとも2個のスイッチ分子の結合(そしてそれによりスイッチドメインに連結した細胞内ドメインの結合)を促進する。ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。例えば、二量体化分子は複数の、例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の結合ドメインを含んでよく、その各々はスイッチドメインと結合できる。

ここで使用する用語としての“dsRNA”は、標的遺伝子の発現の配列特異的阻害を仲介できる、少なくとも二本鎖構造の領域を有する核酸分子をいう。dsRNAは、短干渉RNA(siRNA)および短ヘアピンRNA(shRNA)を含む。ある態様において、shRNAは、siRNAと構造は類似するが、センスおよびアンチセンス配列の二本鎖領域を接続する部分、概して1個以上のRNAモノマーを含む。ある態様において、shRNAが、細胞内プロセシング(例えば、Dicerによる)後、2ヌクレオチド3’オーバーハングを有する19〜23ヌクレオチド二本鎖siRNAを生じる。

ここで使用する用語としての“内因性”は、生物、細胞、組織または系内に由来するまたは産生されるあらゆる物質、例えば、ポリペプチドをいう。

ここで使用する用語としての“外来性”は、生物、細胞、組織または系の外から導入されたまたは産生されたあらゆる物質、例えば、ポリペプチドまたは二量体化分子をいう。

ここで使用する用語としての“免疫エフェクター細胞”は、例えば、免疫エフェクター応答の促進において、免疫応答に関係する細胞をいう。免疫エフェクター細胞の例は、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞および骨髄由来貪食細胞をいう。

ここで使用する用語としての“免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答”は、標的細胞の免疫攻撃を増強または促進する、例えば、免疫エフェクター細胞の機能または応答をいう。例えば、免疫エフェクター機能または応答は、標的細胞の死滅を促進するまたは増殖または拡大を阻害するT細胞またはNK細胞の特性をいう。T細胞の場合、一次刺激および共刺激が免疫エフェクター機能または応答の例である。免疫エフェクター機能または応答はRCARにより促進でき、例えば、増殖、サイトカイン産生、細胞毒性またはCD25、CD69、CD107aのような細胞表面マーカーの上方制御により有効なRCARX細胞を生じ得る。

ここで使用する用語としての“阻害細胞外ドメイン”は、阻害分子の細胞外ドメインを含むポリペプチドをいう。通常、そのカウンターリガンドへの結合は、免疫エフェクター応答の産生に対する阻害効果を有する。二量体化スイッチにより、細胞内シグナル伝達ドメインに結合、例えば、融合またはしたとき、通常免疫エフェクター応答の産生を阻害する相互作用を、免疫エフェクター応答を促進するものに再指向する。

ここで使用する用語としての“阻害結合メンバー”は、阻害細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよびスイッチドメインを含むポリペプチドをいう。

ここで使用する用語としての“阻害分子”は、標的細胞上のその同族カウンターリガンドとの結合により、免疫エフェクター応答を最小化する、例えば、抑制または阻害する、RCARX細胞、例えば、RCART細胞上の分子、例えば、内因性分子をいう。阻害分子の例は、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1およびTGFRベータを含む。

ここで使用する用語としての“細胞内シグナル伝達ドメイン”は、分子の細胞内部分をいう。細胞内シグナル伝達ドメインは、RCARX細胞、例えば、RCART細胞の免疫エフェクター機能を増強するシグナルを産生する。例えば、RCART細胞における、免疫エフェクター機能の例は、サイトカインの分泌を含む、細胞溶解性活性およびヘルパー活性を含む。

ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。代表的一次細胞内シグナル伝達ドメインは、一次刺激または抗原依存性刺激を担う分子由来のものを含み得る。ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。代表的共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナルまたは抗原非依存性刺激を担う分子由来のものを含み得る。例えば、RCARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体の細胞質配列を含みえて、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは共受容体または共刺激分子からの細胞質配列を含み得る。

刺激方式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(“一次シグナル伝達ドメイン”とも呼ぶ)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明で特に有用な細胞質シグナル伝達配列を含むITAMの例は、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10およびDAP12由来のものを含むが、これらに限定されない。本発明の特定のRCARにおいて、本発明のRCARSの任意の1個以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えば、CD3−ゼータの一次シグナル伝達配列を含む。

共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分に由来し得る。共刺激分子は、次のタンパク質ファミリーにより表され得る:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)および活性化NK細胞受容体。このような分子の例は、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、ICAM−1、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CDS、CD7、CD287、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7−H3およびCD83と特異的に結合するリガンドなどを含む。このような共刺激分子のさらなる例は、CDS、ICAM−1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP−76およびPAG/Cbpを含む。

細胞内シグナル伝達ドメインは、由来する分子の全細胞内部分または全天然細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的フラグメントもしくは誘導体を含み得る。

ここで使用する用語としての“細胞内シグナル伝達メンバー”は、細胞内シグナル伝達ドメインおよびスイッチドメインを含むポリペプチドをいう。ある態様において、それは一次細胞内シグナルドメインおよび所望により、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。1個を超える細胞内シグナル伝達ドメインのある態様において、このようなドメインは、互いに無作為のまたは特定の順番で連結し得る。所望により、短オリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、2〜10アミノ酸長を、細胞内シグナル伝達ドメイン間に配置し得る。グリシン−セリンダブレットは、特に適当なリンカーを提供する。ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインおよび4−1BBのシグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、4−1BBの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号138からのシグナル伝達ドメインである。ある態様において、CD3−ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号139からのシグナル伝達ドメインである。

核酸またはポリペプチドについてここで使用する用語としての“単離された”は、少なくとも1個の共存化合物が除かれていることを意味する。天然に存在する核酸またはポリペプチドに関して、“単離された”は、天然において共存して生じる化合物が除かれていることを意味し、ある態様において、不純化合物はポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。合成により製造した核酸またはポリペプチドでは、“単離された”は、製造に使用した粗製物質または化合物、例えば、溶媒または出発物質が除かれていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在している核酸またはペプチドは“単離されて”いないが、その天然状態の共存物質の一部または全部が除かれている同じ核酸またはペプチドは“単離されて”いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に純粋な形態でも存在でき、また、例えば、宿主細胞のような非天然環境でも存在できる。

ここで使用する用語としての“膜アンカー”、“膜アンカリングドメイン”または“膜係留ドメイン”は、細胞外ドメインを原形質膜に係留するのに十分な部分またはポリペプチドをいう。非ポリペプチド部分の例は、グリコホスファチジルイノシトール(GPIアンカー)またはミリストイル基(ミリストイル化)を含む。

ここで使用する用語としての“核酸ベースの阻害剤”は、標的遺伝子、例えば、阻害分子の発現を阻害できる核酸分子をいう。これは短ヘアピンRNA(shRNA)および短干渉RNA(siRNA)を含む二本鎖RNA(dsRNA)、アンチセンスRNAおよびミクロRNA(miRNA)を含む。ある態様において、核酸ベースの阻害剤は標的mRNAに結合し、例えば、標的mRNAの開裂により、そこからのタンパク質の産生を阻害する。

ここで使用する用語としての“調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)”は、概して最も単純な態様においては2個の、ポリペプチドのセットをいい、これは、RCARX細胞にあるとき、RCARX細胞に、標的細胞、概して癌細胞に対する特異性、および、RCARX細胞の免疫エフェクター特性、例えば、細胞溶解性活性、サイトカイン分泌、細胞生存または増殖を最適化できる調節可能細胞内シグナル産生を提供する。RCARX細胞は、少なくとも一部、抗原結合ドメインにより結合される抗原を含む標的細胞への特異性を提供することを、抗原結合ドメインに依存する。ある態様において、RCARは、二量体化分子の存在により、細胞内シグナル伝達ドメインを細胞外認識成分と連結できる、二量体化スイッチを含む。細胞外認識成分は抗原結合ドメイン、阻害カウンターリガンド結合ドメインまたは共刺激ECDドメインであり得る。ある態様において、RCARは、二量体化分子の存在により、細胞内シグナル伝達ドメインを、RCARX細胞により発現されないが、外来性に提供される、細胞外認識成分と連結できる、二量体化スイッチを含む。

ここで使用する用語としての“RCARX細胞”は、RCARを含む細胞をいう。RCARを発現するように操作されたあらゆる細胞を、RCARX細胞として使用できる。ある態様において、RCARX細胞はT細胞であり、RCART細胞と呼ぶ。ある態様において、RCARX細胞はNK細胞であり、RCARN細胞と呼ぶ。

ある態様において、RCARX細胞は、患者に対して自己である。ある態様において、RCARXは、患者に対して同種である。ある態様において、患者は、1種を超えるRCARX細胞を受け、例えば、患者はRCART細胞およびRCARN細胞を受ける。

ここで使用する用語としての“特異的に結合する”は、サンプルに存在する結合パートナー(例えば、腫瘍抗原)タンパク質を認識し、これと結合する抗体またはリガンドをいうが、この抗体またはリガンドは、サンプル中の他の分子を実質的に認識せず、これと結合しない。

ここで使用する用語としての“スイッチドメイン”は、二量体化分子の存在下、他のスイッチドメインと結合する物質(entity)をいい、概してポリペプチドベースの物質をいう。この結合は、第一スイッチドメインに連結した、例えば、融合した第一の物質と、第二スイッチドメインに連結した、例えば、融合した第二の物質との機能的結合を生じる。第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、集合的に二量体化スイッチと呼ぶ。ある態様においてある態様において、第一スイッチドメインと第二スイッチドメインは、互いに同一であり、例えば、これらは、同一の一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、集合的にホモ二量体化スイッチと呼ぶ。ある態様において、第一スイッチドメインと第二スイッチドメインは互いに異なり、例えば、これらは、異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、集合的にヘテロ二量体化スイッチと呼ぶ。ある態様において、スイッチは、細胞内である。ある態様において、スイッチは、細胞外である。ある態様において、スイッチドメインはポリペプチドベースの物質であり、例えば、FKBP−FRBであり、二量体化分子は小分子、例えば、ラパログである。ある態様において、スイッチドメインはポリペプチドベースの物質、例えば、mycペプチドと結合するscFvであり、二量体化分子はポリペプチド、そのフラグメントまたはポリペプチドの多量体、例えば、mycリガンドまたは1個以上のmyc scFvsと結合するmycリガンドの多量体である。ある態様において、スイッチドメインはポリペプチドベースの物質、例えば、myc受容体であり、二量体化分子は抗体またはそのフラグメント、例えば、myc抗体である。

ここで使用する用語としての“膜貫通ドメイン”は、原形質膜を貫くポリペプチドである。ある態様において、それは、細胞外配列、例えば、スイッチドメイン、細胞外認識成分、例えば、抗原結合ドメイン、阻害カウンターリガンド結合ドメインまたは共刺激ECDドメインを、細胞内配列、例えば、スイッチドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインと連結する。本発明で特に有用な膜貫通ドメインは、少なくとも例えば、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8(例えば、CD8アルファ、CD8ベータ)、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の膜貫通領域を含み得る。ある態様において、膜貫通ドメインは、少なくとも、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA−1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4−1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbpの膜貫通領域を含み得る。

ここで交換可能に使用されている用語“処置”および“処置する”は、1種以上の治療剤(例えば、本発明のCARのような1種以上の治療剤)の投与によりもたらされる、増殖性障害の進行、重症度および/または期間の減少または改善または増殖性障害の症状の1つ以上(好ましくは、認識できる症状の1つ以上)の改善をいう。特定の態様において、用語“処置”および“処置する”は、必ずしも患者により認識できるものではない、腫瘍の増殖のような増殖性障害の測定可能な物理的パラメータの少なくとも1個の改善をいう。他の態様において、用語“処置”および“処置する”は、例えば、認識できる症状の安定化により、身体的に、例えば、物理的パラメータの安定化により、生理学的にまたはその両者により増殖性障害進行を阻止することをいう。他の態様において、用語“処置”および“処置する”は、腫瘍サイズまたは癌性細胞数の減少または安定化をいう。

ここで交換可能に使用されている用語“腫瘍抗原”または“癌関連抗原”は、完全にまたはフラグメントとして(例えば、MHC/ペプチド)癌細胞の表面上に発現され、癌細胞への薬物の優先的ターゲティングに有用である分子(概してタンパク質、炭化物または脂質)を交換可能にいう。ある態様において、腫瘍抗原は、正常細胞と癌細胞の両者により発現されるマーカー、例えば、細胞系譜マーカー、例えば、B細胞上のCD19である。ある態様において、腫瘍抗原は、正常細胞と比較して癌細胞で過発現している、例えば、正常細胞と比較して、1倍過発現、2倍過発現、3倍またはそれ以上過発現している、細胞表面分子である。ある態様において、腫瘍抗原は、癌細胞において適切に合成されない細胞表面分子、例えば、正常細胞で発現される分子と比較して欠失、付加または変異を含む分子である。ある態様において、腫瘍抗原は、完全にまたはフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として、癌細胞の細胞表面に排他的に合成され、正常細胞の表面に合成または発現されない。ある態様において、本発明のRCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含むRCARを含む。通常、内在性タンパク質由来ペプチドが主要組織適合抗原複合体(MHC)I型分子のポケットを満たし、CD8+ Tリンパ球上のT細胞受容体(TCR)により認識される。MHCI型複合体は、全有核細胞により構成的に発現される。癌において、ウイルス特異的および/または腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体は、免疫療法のための細胞表面標的の独特なクラスを表す。ヒト白血球抗原(HLA)−A1またはHLA−A2の状況でのウイルスまたは腫瘍抗原に由来するTCR様抗体ターゲティングペプチドが記載されている(例えば、Sastry et al., J Virol. 2011 85(5):1935-1942; Sergeeva et al., Blood, 2011 117(16):4262-4272; Verma et al., J Immunol 2010 184(4):2156-2165; Willemsen et al., Gene Ther 2001 8(21):1601-1608; Dao et al., Sci Transl Med 2013 5(176):176ra33; Tassev et al., Cancer Gene Ther 2012 19(2):84-100参照)。例えば、TCR様抗体は、ヒトcFvファージディスプレイライブラリーのようなライブラリーのスクリーニングにより同定できる。

ここで使用する用語としての“スイッチ非連動補助的抗原結合メンバー”は、RCARの他の抗原結合ドメインにより結合される抗原以外の抗原に結合する抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、ポリペプチドをいう。概して、RCARの他の成分上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できるスイッチドメインを含まない。

ここで使用する用語としての“単位用量形態”は、一投与に適する用量をいう。例として、単位用量形態は錠剤、カプセル剤または送達デバイス、例えば、シリンジまたは静脈内点滴バッグに分配された量の治療剤をいう。ある態様において、単位用量形態を一投与で投与する。ある態様において、1個を超える単位用量形態、例えば、2個の錠剤を同時に投与できる。

ここで使用する用語としての“異種”は、異なる種の動物由来の移植片をいう。

ここで使用する用語としての“生物学的同等”は、対照化合物(例えば、RAD001)の対照用量または対照量により生じる効果と同等の効果を生じるのに必要な対照化合物(例えば、RAD001)以外の薬剤の量である。ある態様において、効果は、例えば、インビボまたはインビトロアッセイにおいて評価される、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定される、例えば、P70 S6キナーゼ阻害により測定される、mTOR阻害のレベルまたはウェスタンブロットによるリン酸化S6レベルの測定値である。ある態様において、効果は、細胞選別により測定した、PD−1陽性/PD−1陰性T細胞比の変更である。ある態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照化合物の対照用量または対照量と同レベルのP70 S6キナーゼ阻害を達成する量または用量である。ある態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照化合物の対照用量または対照量と同レベルのPD−1陽性/PD−1陰性T細胞比の変更を達成する量または用量である。

用語“低い、免疫増強用量”は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンまたは触媒的mTOR阻害剤と組み合わせて使用するとき、例えば、P70 S6キナーゼ活性の阻害により測定して、mTOR活性を、完全にではないが、一部阻害する、mTOR阻害剤の用量である。例えば、P70 S6キナーゼの阻害により、mTOR活性を評価する方法をここに記載する。本用量は、完全な免疫抑制を生じるには不十分であるが、免疫応答の増強には十分である。ある態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、PD−1陽性T細胞数の減少および/またはPD−1陰性T細胞数の増加またはPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞比の増加を生じる。ある態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、ナイーブT細胞数増加を生じる。ある態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、次の1個以上を生じる。 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体における、次のマーカー、CD62L、CD127、CD27+およびBCL2の1個以上の発現の増加; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体における、KLRG1発現の減少;および 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の1個または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

抗原結合ドメイン ここに記載するCAR、例えば、ここに記載するRCARは、抗原結合メンバーの細胞外領域に抗原結合ドメインを含む。ここで使用する用語としての“抗原結合ドメイン”は、標的抗原、概して標的細胞、例えば、癌細胞上の抗原に親和性を有する分子をいう。代表的抗原結合ドメインは、ポリペプチド、例えば、抗体分子(抗体およびその抗原結合フラグメント、例えば、免疫グロブリン、単一ドメイン抗体(sdAb)およびscFvを含む)または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンなどを含む。ある態様において、抗原結合ドメインは単一ポリペプチドである。ある態様において、抗原結合ドメインは、1個、2個またはそれ以上の、ポリペプチドを含む。

抗原結合ドメインは、標的細胞の表面を規定するリガンドまたは受容体のタイプおよび数による。例えば、抗原結合ドメインを、特定の疾患状態と関係する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドまたは受容体を認識するように選択し得る。リガンドまたは受容体として作用し得る細胞表面マーカーの例は、特定の疾患状態と関係する細胞表面マーカー、例えば、ウイルス疾患、細菌疾患、寄生虫感染症、自己免疫性疾患および望まない細胞増殖と関係する障害、例えば、癌、例えば、ここに記載する癌の細胞表面マーカーを含む。

本開示の文脈の中で、“腫瘍抗原”または“増殖性障害抗原”または“増殖性障害と関係する抗原”は、特異的増殖性障害に共通する抗原をいう。ある面において、本発明の増殖性障害抗原は、原発性または転移黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌(例えば、NSCLCまたはSCLC)、肝臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、神経芽腫、子宮癌、子宮頸癌、腎臓癌、甲状腺癌、膀胱癌、腎臓癌、中皮腫および乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌などのような腺癌を含むが、これらに限定されない癌に由来する。ある態様において、癌は、B細胞急性リンパ系白血病(“BALL”)、T細胞急性リンパ系白血病(“TALL”)、急性リンパ系白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)を含むが、これらに限定されない1種以上の慢性白血病;B細胞前リンパ球性白血病、芽細胞性形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、汎発性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、小細胞−または大細胞−濾胞性リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成および骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、血漿芽細胞性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むが、これらに限定されないさらなる造血器癌または造血器状態である。

一つの態様において、腫瘍抗原は、哺乳動物の癌腫瘍由来の腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)により免疫学的に認識される1個以上の抗原性癌エピトープを含む。

腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞介在免疫応答を誘発する腫瘍細胞により産生される、タンパク質である。本発明の抗原結合ドメインの選択は、処置する特定のタイプの癌による。腫瘍抗原は当分野で周知であり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、EGFRvIII、IL−11Ra、IL−13Ra、EGFR、FAP、B7H3、Kit、CA−IX、CS−1、MUC1、BCMA、bcr−abl、HER2、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、ALK、CD19、CD123、サイクリンB1、レクチン反応性AFP、Fos関連抗原1、ADRB3、thyroグロブリン、EphA2、RAGE−1、RU1、RU2、SSX2、AKAP−4、LCK、OY−TES1、PAX5、SART3、CLL−1、フコシルGM1、GloboH、MN−CA IX、EPCAM、EVT6−AML、TGS5、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、ポリシアル酸、PLAC1、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、ルイスY、sLe、LY6K、mut hsp70−2、M−CSF、MYCN、RhoC、TRP−2、CYP1B1、BORIS、プロスターゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、PAX3、PAP、NY−ESO−1、LAGE−1a、LMP2、NCAM、p53、p53変異体、Ras変異体、gp100、プロステイン、OR51E2、PANX3、PSMA、PSCA、Her2/neu、hTERT、HMWMAA、HAVCR1、VEGFR2、PDGFR−ベータ、サバイビンおよびテロメラーゼ、レグマイン、HPV E6,E7、精子タンパク質17、SSEA−4、チロシナーゼ、TARP、WT1、前立腺−癌腫瘍抗原−1(PCTA−1)、ML−IAP、MAGE、MAGE−A1,MAD−CT−1、MAD−CT−2、MelanA/MART1、XAGE1、ELF2M、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、好中球エラスターゼ、肉腫転座切断点、NY−BR−1、エフリンB2、CD20、CD22、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD97、CD171、CD179a、アンドロゲン受容体、FAP、インスリン増殖因子(IGF)−I、IGF−II、IGF−I受容体、GD2、o−アセチル−GD2、GD3、GM3、GPRC5D、GPR20、CXORF61、葉酸受容体(FRa)、葉酸受容体ベータ、ROR1、Flt3、TAG72、TN Ag、Tie 2、TEM1、TEM7R、CLDN6、TSHR、UPK2およびメソテリンを含む。好ましい態様において、腫瘍抗原は、葉酸受容体(FRa)、メソテリン、EGFRvIII、IL−13Ra、CD123、CD19、CD33、BCMA、GD2、CLL−1、CA−IX、MUC1、HER2およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。

一つの態様において、腫瘍抗原は、悪性腫瘍と関係する1個以上の抗原性癌エピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃の標的抗原として役立ち得る多数のタンパク質を発現する。これらの分子は、黒色腫におけるMART−1、チロシナーゼおよびGP 100ならびに前立腺癌における前立腺酸ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)のような組織特異的抗原を含む。他の標的抗原は、癌遺伝子HER−2/Neu/ErbB−2のような形質転換関連分子を含む。標的抗原のさらに別の群は、癌胎児性抗原(CEA)のような癌胎児性抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に独特な真に腫瘍特異的免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20およびCD37のようなB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。

腫瘍抗原の非限定的例は、次のものを含む:分化抗原、例えばMART−1/MelanA(MART−I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2および腫瘍特異的多系列抗原、例えばMAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15;過発現胚性抗原、例えばCEA;過発現癌遺伝子および変異腫瘍サプレッサー遺伝子、例えばp53、Ras、HER−2/neu;染色体転座に由来する独特な腫瘍抗原;例えばBCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR;およびウイルス抗原、例えば、エプスタイン・バーウイルス抗原EBVAおよびヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原E6およびE7。他の大きな、タンパク質ベースの抗原は、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、RAGE、NY−ESO、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72、CA 19−9、CA 72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、ベータ−カテニン、CDK4、Mum−1、p 15、p 16、43−9F、5T4、791Tgp72、アルファ−フェトプロテイン、ベータ−HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15−3/CA 27.29/BCAA、CA 195、CA 242、CA−50、CAM43、CD68/P1、CO−029、FGF−5、G250、Ga733/EpCAM、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90/Mac−2結合タンパク質/シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLPおよびTPSを含む。

標的とする所望の抗原によって、本発明のRCARは、所望の抗原標的に特異的な適切な抗原結合ドメインを含むように操作できる。

ここに記載するRCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含むCARを含む。通常、内因性タンパク質由来のペプチドは、主要組織適合抗原(MHC)クラスI分子のポケットを満たし、CD8+ Tリンパ球上のT細胞受容体(TCR)により認識される。MHCクラスI複合体は、全有核細胞により構成的に発現される。癌において、ウイルス特異的および/または腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体は、免疫療法のための細胞表面標的の独特なクラスを代表する。ヒト白血球抗原(HLA)−A1またはHLA−A2の状況におけるウイルスまたは腫瘍抗原由来のTCR様抗体ターゲティングペプチドは記載されている(例えば、Sastry et al., J Virol. 2011 85(5):1935-1942; Sergeeva et al., Bood, 2011 117(16):4262-4272; Verma et al., J Immunol 2010 184(4):2156-2165; Willemsen et al., Gene Ther 2001 8(21) :1601-1608 ; Dao et al., Sci Transl Med 2013 5(176) :176ra33 ; Tassev et al., Cancer Gene Ther 2012 19(2):84-100参照)。例えば、TCR様抗体は、ヒトcFvファージディスプレイライブラリーのようなライブラリーからのスクリーニングにより同定できる。したがって、本発明は、細胞内に発現される上記腫瘍抗原のいずれか、例えば、p53、BCR−Abl、Ras、K−ras、NY−ESO−1およびc−metから選択される分子のMHC提示ペプチドに結合する、抗原結合ドメインを含む、CAR、例えば、ここに記載するRCARを提供する。

ここでまた提供されるのは、抗原結合メンバーが複数の抗原結合ドメインを含むRCARである。理論に縛られることを望まないが、2個以上の抗原結合ドメインを含む抗原結合メンバーは、2個以上の対応する抗原が遭遇したとき、活性化およびエフェクター機能の相加的または相乗的増強を生じ得ると考えられる。理論に縛られることを望まないが、2個以上の抗原結合ドメインを含む抗原結合メンバーは、正常細胞に対して癌細胞に対するエフェクター細胞の特異性を増加でき、抗原エスケープを相殺できまたは癌細胞および癌微小環境へのターゲティングを可能にできるとも考えられる。

この態様において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2個、3個、4個または5個の抗原結合ドメイン、例えば、scFvsを含むことができ、ここで、各抗原結合ドメインは標的抗原に結合する。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、異なる抗原に結合できる。ある態様において、抗原結合ドメインの2個以上は、同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合できる。ある態様において、複数の抗原結合ドメインは互いに連結し、例えば、第一抗原結合ドメインのC末端は第二抗原結合ドメインのN末端に連結する。ある態様において、第一抗原結合ドメインのC末端は、第二抗原結合ドメインのN末端に共有結合、例えば、ペプチド結合により結合する。抗原結合ドメインの順番は例えば、対応する標的抗原の相対的サイズにより、同時に標的抗原の結合を増加するために最適化できる。例えば、標的抗原が大きくなると、対応する抗原結合ドメインは、抗原結合メンバーの膜貫通ドメインの近くに配置され;標的抗原が小さくなると、対応する抗原結合ドメインは抗原結合メンバーの膜貫通ドメインから遠くに、例えば、より細胞外に配置される(例えば、Grada et al., 2013, Mol Ther, 2:e105参照)。

ある態様において、リンカーまたはヒンジ領域が、抗原結合ドメインの各々の間に配置され、例えば、リンカーまたはヒンジ領域は第一抗原結合ドメインのC末端と第二抗原結合ドメインのN末端の間に配置される。例として、2個の抗原結合ドメイン(例えば、ABD1およびABD2)を含む抗原結合メンバーを、次の配置で配置できる:[ABD1]−[リンカー/ヒンジ]−[ABD2]。さらなる抗原結合ドメインを同様の方法で付加でき、所望によりリンカーまたはヒンジ領域を抗原結合ドメインのC末端と次の抗原結合ドメインのN末端の間に配置させる。複数の抗原結合メンバーの連結に使用するのに適するリンカーまたはヒンジ領域は可動性であり、非開裂可能であり、同時に複数標的抗原との結合を促進するために、他の抗原結合ドメインと独立して、各抗原結合ドメインのほぼ自由な運動を可能にする。当分野で知られるあらゆる可動性リンカーまたはヒンジ領域を使用できる。リンカーの例は、グリシン残基およびセリン残基を含むペプチドリンカー、例えば、(GGGS)n(ここで、nは1以上の性の整数であり、例えば、n=1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)(配列番号__)を含む。ヒンジ領域の例は、配列番号136を含む。

抗体分子由来の抗原結合ドメイン 抗原結合ドメインは、抗体分子、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単一ドメイン抗体、例えば、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)および、例えば、ヒトまたはラクダ類起源の可変ドメイン(VHH)の1個以上に由来し得る。ある例において、RCARを最終的に使用するのと同じ種由来の抗原結合ドメインであることが有利であり、例えば、ヒトで使用するために、例えば、ここに記載する、CAR、例えば、RCARの抗原結合ドメインが、ヒトまたはヒト化抗原結合ドメインを含むことが有利であり得る。抗体は、当分野で知られる技術を使用して得ることができる。

ここで使用する用語“抗体”は、標的抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子をいう。抗体は、天然源由来または組み換え源の完全な免疫グロブリンであってよく、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であってよい。抗体は、概して免疫グロブリン分子の四量体である。ここに記載する抗体分子は、抗体の抗原結合部分が、例えば、ここに記載する、例えば、単一ドメイン抗体フラグメント(sdAb)、一本鎖抗体(scFv)およびヒト化またはヒト抗体を含む、隣接ポリペプチド鎖の一部として発現される、多様な形態で存在し得る。

用語“抗体フラグメント”は、完全な抗体の一部をいい、完全な抗体の抗原性決定可変領域をいう。抗体フラグメントの例は、一本鎖ドメイン抗体(sdAb)、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、線状抗体、scFv抗体、線状抗体、sdAbのような単一ドメイン抗体(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ類VHHドメインおよび抗体フラグメントから形成された多特異性抗体を含むが、これらに限定されない。

ここで使用する“抗体重鎖”は、天然に生じる高次構造で抗体分子に存在する2タイプのポリペプチド鎖の大きいほうをいう。

用語“抗体軽鎖”は、天然に生じる高次構造で抗体分子に存在する2タイプのポリペプチド鎖の小さいほうをいう。κおよびλ軽鎖は、2個の主要な抗体軽鎖アイソタイプをいう。

ここで使用する用語“合成抗体”は、例えば、ここに記載するバクテリオファージにより発現された抗体分子のような、組み換えDNAテクノロジーを使用して産生される抗体分子を意味する。本用語はまた抗体分子をコードするDNA分子の合成により産生された抗体分子であって、該DNA分子が抗体を特定する抗体タンパク質またはアミノ酸配列を発現し、ここで、該DNAまたはアミノ酸配列が、当分野で利用可能であり、周知の合成DNAまたはアミノ酸配列テクノロジーにより得られている、抗体分子も意味する。

ある態様において、抗原結合ドメインは、標的抗原の認識および特異的結合に寄与するのに十分な抗体のフラグメントを含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFvフラグメント、scFv抗体フラグメント、線状抗体、sdAbのような単一ドメイン抗体(VLまたはVHのいずれか)、ラクダ類VHHドメインおよび抗体フラグメントから形成された多特異性抗体を含むが、これらに限定されない。

ある態様において、抗原結合ドメインは“scFv”であり、これは、抗体のVL鎖およびVH鎖を含む融合タンパク質を含んでよく、ここで、VHおよびVLは、例えば、短可動性ポリペプチドリンカー、例えば、ここに記載するリンカーにより連結されている。scFvは単一鎖ポリペプチドとして発現されることが可能であり、該scFvはそれが由来する完全な抗体の特異性を保持する。さらに、VL可変鎖およびVH可変鎖は、例えば、ポリペプチドのN末端およびC末端に関していずれの順序で連結されてもよく、scFvはVL−リンカー−VHを含んでよく、またはVH−リンカー−VLを含んでよい。scFvは、当分野で知られる方法により製造できる(例えば、Bird et al., (1988) Science 242:423-426およびHuston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883参照)。

上におよび他の場所に記載するとおり、scFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用するVH鎖およびVL鎖の連結により産生できる。ある態様において、scFv分子は、最適化された長さおよび/またはアミノ酸組成のリンカー(例えば、Ser−Glyリンカー)を含み得る。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際、短ポリペプチドリンカー(例えば、5〜10アミノ酸)を用いたとき、鎖内折りたたみは阻止される。鎖間折りたたみも、2個の可変領域が一緒になって機能的エピトープ結合部位を形成することを必要とする。リンカー配向およびサイズの例について、例えば、例えば、Hollinger et al. 1993 Proc Natl Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-6448、米国特許出願公開2005/0100543号、2005/0175606号、2007/0014794号およびPCT公開WO2006/020258号を参照し、WO2007/024715号を引用により本明細書に包含させる。一つの態様において、scFvのペプチドリンカーは、可変重鎖および可変軽鎖領域を一緒に連結するために、単独でまたは組み合わせで使用するグリシンおよび/またはセリン残基のようなアミノ酸を含む。一つの態様において、可動性ポリペプチドリンカーはGly/Serリンカーであり、例えば、アミノ酸配列(Gly−Gly−Gly−Ser)n(ここで、nは1以上の整数である。例えば、n=1、n=2、n=3。n=4、n=5およびn=6、n=7、n=8、n=9およびn=10である)を含む。一つの態様において、可動性ポリペプチドリンカーは、(Gly4Ser)4または(Gly4Ser)3を含む。他の態様において、リンカーは、(Gly2Ser)、(GlySer)または(Gly3Ser)の複数反復を含む。

ある態様において、抗原結合ドメインは単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子である。SDAB分子は、相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である、分子を含む。例は、重鎖可変ドメイン、軽鎖を自然に欠く結合分子、従来の4鎖抗体由来の単一ドメイン、操作されたドメインおよび抗体由来のもの以外の単一ドメインスキャフォールドを含む(例えば、下により詳細に記載)を含むが、これらに限定されない。SDAB分子は現在または将来の単一ドメイン分子であり得る。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギおよびウシを含むが、これらに限定されないあらゆる種由来であり得る。この用語はまたラクダ科動物およびサメ以外の種からの天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。

一つの面において、SDAB分子は、例えば、サメの血清で発見された新規抗原受容体(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプ由来のもののような、魚に見られる免疫グロブリンの可変領域由来であり得る。NARの可変領域由来の単ドメイン分子(“IgNAR”)を製造する方法は、WO03/014161号およびStreltsov (2005) Protein Sci.14:2901-2909に記載されている。

他の面によって、SDAB分子は、軽鎖を欠く重鎖として知られる天然に存在する単ドメイン抗原結合分子である。このような単ドメイン分子は、例えば、WO9404678号およびHamers-Casterman, C. et al. (1993) Nature 363:446-448に開示されている。明瞭化のために、天然に軽鎖を欠く重鎖分子由来のこの可変ドメインは、4鎖免疫グロブリンの従来のVHと区別するために、ここでは、VHHまたはナノボディとして知られる。このようなVHH分子は、ラクダ科種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコに由来し得る。ラクダ科以外の種は、天然に軽鎖を欠く重鎖分子を産生する可能性があり、このようなVHHは本発明の範囲内である。

ラマ種(Lama paccos, Lama glamaおよびLama vicugna)のような新世界メンバーを含むラクダおよびヒトコブラクダ(Camelus bactrianusおよびCalelus dromaderius)ファミリーのメンバーから得られる抗体タンパク質は、サイズ、構造的複雑さおよびヒト対象に対する抗原性について特徴付けされている。自然に見られるこの哺乳動物のファミリー由来のある種のIgG抗は、本質的に軽鎖を欠き、それゆえに、他の動物からの抗体の、2個の重鎖および2個の軽鎖を有する典型的4鎖四次構造と構造的に区別される。PCT/EP93/02214参照(WO94/04678号は1994年3月3日公開)。

VHHとして同定される小単可変ドメインであるラクダ類抗体の領域は、標的に対する高親和性を有する小タンパク質を産生するための遺伝子操作により得ることができ、“ラクダ類ナノボディ”として知られる低分子量抗体由来タンパク質を生じる。米国特許5,759,808号(1998年6月2日発行)参照;またStijlemans et al., (2004) J Biol Chem 279:1256-1261; Dumoulin et al., (2003) Nature 424:783-788; Pleschberger et al., (2003) Bioconjugate Chem 14:440-448; Cortez-Retamozo et al., (2002) Int J Cancer 89:456-62; and Lauwereys et al., (1998) EMBO J 17:3512-3520も参照のこと。ラクダ類抗体および抗体フラグメントの操作したライブラリーは、例えば、Ablynx、Ghent, Belgium(例えば、US20060115470号;Domantis(US20070065440号、US20090148434号)から購入できる。他の非ヒト起源の抗体と同様、ラクダ類抗体のアミノ酸配列を組み換えにより変更して、ヒト配列をより模倣した配列を得ることができ、すなわち、ナノボディは“ヒト化”され得る。それゆえに、ラクダ類抗体のヒトに対して本質的に低い抗原性をさらに下げ得る。

ラクダ類ナノボディは、ヒトIgG分子の1/10の分子量を有し、タンパク質は、数ナノメートルしかない物理的径を有する。サイズが小さいことによる結果の一つは、ラクダ類ナノボディの、大型抗体タンパク質では機能的に不可視である抗原性部位に結合する能力であり、すなわち、ラクダ類ナノボディは、そうでなければ古典的免疫学的技術を使用しては隠れている抗原を検出するための試薬および可能性のある治療剤抗原として有用である。それゆえに、サイズが小さいことによる他の結果は、ラクダ類ナノボディが標的タンパク質の溝または狭い間隙の特異的部位との結合の結果阻害でき、それゆえに、古典的抗体よりも古典的低分子量薬物の機能をより近似して模倣する性能で役立ち得ることである。

低分子量および小型は、さらに、ラクダ類ナノボディを極めて熱安定性とし、厳しいpHおよびタンパク質消化に安定性とし、抗原性を乏しくする。他の結果は、ラクダ類ナノボディが、循環系から組織に容易に移動することであり、血液脳関門さえ通過し、神経組織を冒す障害を処置できることである。ナノボディは、さらに、血液脳関門を通過する薬物輸送を促進できる。米国特許出願20040161738号(2004年8月19日公開)参照。ヒトに対する低抗原性と合わさったこれらの特性は、大きな治療的可能性を示す。さらに、これらの分子は、大腸菌のような原核生物細胞で完全に発現でき、バクテリオファージを用いて融合タンパク質として発現され、機能的である。

抗原結合ドメインは、ラクダ類抗体またはナノボディまたは抗原結合そのフラグメントを含み得る。このような抗体は、その同族抗原に高親和性を有し得る。ここでのある態様において、ラクダ類抗体またはナノボディはラクダ類動物で自然に産生され、すなわち、抗原またはペプチドそのフラグメントでの免疫化後にラクダ類で産生される。あるいは、ラクダ類ナノボディは操作され、すなわち、例えば標的抗原でのパニング法を使用する、適切に変異誘発されたラクダ類ナノボディタンパク質をディスプレイするファージのライブラリーから選択される。操作したナノボディを、レシピエント対象内で45分〜2週間の半減期を有するように遺伝子操作することにより、さらにカスタマイズできる。特定の態様において、ラクダ類抗体またはナノボディを、例えばPCT/EP93/02214に記載のように、本発明のヒト抗体の重鎖または軽鎖のCDR配列をナノボディまたは単一ドメイン抗体フレームワーク配列にグラフティングすることにより得る。

抗原結合ドメインは、例えば、結合を重鎖可変領域のみに依存する単一ドメイン抗体、例えば、ナノボディを含み得る。ここで使用するのに適するナノボディは、US2010/0028341号、WO2009/030285号およびWO2010/007376号に記載の方法により製造できる。

ある態様において、SDAB分子は、1個以上の標的抗原に結合する、相補性可変ドメインまたは免疫グロブリン定常領域、例えば、Fc領域を欠く、1個以上の単一ドメイン分子(例えば、ナノボディ)を含む単一鎖融合ポリペプチドである。

SDAB分子は組み換え、組み換え、CDR移植、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化および/またはインビトロ産生(例えば、ファージディスプレイにより選択)され得る。

一つの態様において、抗原結合ドメイン部分はヒト抗体またはそのフラグメントを含む。

ある態様において、非ヒト抗体は、抗体の特異的配列または領域がヒトで天然に産生される抗体との類似性を増加するために修飾されている、ヒト化である。ある態様において、抗原結合ドメインはヒト化である。

非ヒト抗体は、多様な当分野で知られる技術、例えば、CDR移植(例えば、その各々を引用によりその全体を本発明に包含させる欧州特許EP239,400号;国際公開WO91/09967号;および米国特許5,225,539号、5,530,101号および5,585,089号参照)、ベニアリングまたはリサーフェシング(例えば、その各々を引用によりその全体を本発明に包含させる欧州特許EP592,106号およびEP519,596号;Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnicka et al., 1994, Protein Engineering, 7(6):805-814; and Roguska et al., 1994, PNAS, 91:969-973参照)、鎖シャフリング(例えば、引用によりその全体を本発明に包含させる米国特許5,565,332参照)および、例えば、その各々を引用によりその全体を本発明に包含させる米国特許出願公開US2005/0042664号、米国特許出願公開US2005/0048617号、米国特許6,407,213号、米国特許5,766,886号、国際公開WO9317105号、Tan et al., 2002, J. Immunol., 169:1119-25; Caldas et al., 2000, Protein Eng., 13(5):353-60; Morea et al., 2000, Methods, 20:267-79; Baca et al., 1997, J. Biol. Chem., 272:10678-84; Roguska et al., 1996, Protein Eng., 9(10):895-904; Couto et al., 1995, Cancer Res., 55 :5973s-5977; Couto et al., 1995, Cancer Res., 55(8):1717-22; Sandhu 1994 Gene, 150(2):409-10; and Pedersen et al., 1994, J. Mol. Biol., 235(3):959-73に開示の技術を使用してヒト化できる。しばしば、フレームワーク領域のフレームワーク残基を、CDRドナー抗体からの対応する残基で置換し、抗原結合を変更する、例えば、改善する。これらのフレームワーク置換は、当分野で周知の方法により、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定し、特定の位置の異常フレームワーク残基を同定するための配列比較するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングにより同定する(例えば、引用によりその全体を本発明に包含させるQueen et al.、米国特許5,585,089;およびRiechmann et al., 1988, Nature, 332:323参照)。好ましい態様において、ヒト化抗体分子は、ここに記載する配列、例えば、ここに記載する可変軽鎖および/または可変重鎖、例えば、表Xに記載するヒト化可変軽鎖および/または可変重鎖を含む。

ヒト化抗体は、非ヒトである源から導入された1個以上のアミノ酸残基を含む。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば“移入”残基と呼ばれ、これは、概して“移入”可変ドメインから取られる。それゆえに、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン分子からの1個以上のCDRおよびヒトからのフレームワーク領域を含む。抗体のヒト化は当分野で周知であり、本質的にWinterおよび共同研究者の方法に従い(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))、齧歯類CDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列に置換し、すなわち、CDR移植して実施できる(その内容を、引用によりその全体を本明細書に包含させるEP239,400号;PCT公開WO91/09967号;および米国特許4,816,567号;6,331,415号;5,225,539号;5,530,101号;5,585,089号;6,548,640号参照)。このようなヒト化キメラ抗体において、完全より実質的に少ないヒト可変ドメインが、非ヒト種の対応する配列で置換されている。実際には、ヒト化抗体は、概していくつかのCDR残基および恐らくいくつかのフレームワーク(FR)残基が、齧歯類抗体の類似部位の残基で置換されている、ヒト抗体である。抗体のヒト化は、その内容を引用により全体を本明細書に包含させる、ベニアリングまたはリサーフェシング(EP592,106号;EP519,596号;Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnicka et al., Protein Engineering, 7(6):805-814 (1994); and Roguska et al., PNAS, 91:969-973 (1994))または鎖シャフリング(米国特許5,565,332号)によっても達成できる。

ある態様において、本発明の抗体を、さらにここに開示するVHおよび/またはVL配列の1個以上を有する抗体を出発物質として使用して、修飾抗体を操作することにより製造でき、この修飾抗体は、出発抗体と比較して改変された特性を有し得る。多様な態様において、抗体は、可変領域の一方または両方(すなわち、VHおよび/またはVL)内、例えば1個以上のCDR領域内および/または1個以上のフレームワーク領域内の1個以上のアミノ酸の修飾により、操作する。

他の面において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(“TCR”)またはそのフラグメント、例えば、一本鎖TCR(scTCR)である。このようなTCRを製造する方法は、当分野で知られる。例えば、Willemsen RA et al, Gene Therapy 7: 1369-1377 (2000); Zhang T et al, Cancer Gene Ther 11: 487-496 (2004); Aggen et al, Gene Ther. 19(4):365-74 (2012)参照(引用文献は、その全体を本明細書に包含させる)。例えば、scTCRを、リンカー(例えば、可動性ペプチド)と連結したT細胞クローン由来のVα遺伝子およびVβ遺伝子を含むように操作する。この方法は、癌関連標的に極めて有用であり、これは、それ自体細胞内であるが、しかしながら、このような抗原(ペプチド)のフラグメントはMHCにより癌細胞表面に提示される。TCR配列は、天然に存在しても、天然に存在しない合成配列でもよい。

抗原結合ドメインは、表11の表を含み得る。

ある態様において、抗原結合ドメインは、抗CD19抗体またはそのフラグメント、例えば、scFvを含む。例えば、抗原結合ドメインは、表12に挙げる可変重鎖および可変軽鎖を含む。可変重鎖と可変軽鎖を連結するリンカー配列は、ここに記載する任意のリンカー配列であってよく、あるいは、

であってよい。

当分野で知られる任意のCD19 CAR由来のCD19抗原結合ドメインを、本発明に従い使用できる。例えば、LG−740;米国特許8,399,645号;米国特許7,446,190号;Xu et al., Leuk Lymphoma. 2013 54(2):255-260(2012); Cruz et al., Blood 122(17):2965-2973 (2013); Brentjens et al., Blood, 118(18):4817-4828 (2011); Kochenderfer et al., Blood 116(20):4099-102 (2010); Kochenderfer et al., Blood 122 (25):4129-39(2013); and 16th Annu Meet Am Soc Gen Cell Ther (ASGCT) (May 15-18, Salt Lake City) 2013, Abst 10に記載のCD19 CAR。

非抗体スキャフォールド ある態様において、抗原結合ドメインは、非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチン、アンキリン、ドメイン抗体、リポカリン、小型モジュラー型免疫薬、マキシボディ、プロテインAまたはアフィリンを含む。非抗体スキャフォールドは、細胞上の標的抗原と結合する能力を有する。ある態様において、抗原結合ドメインは、細胞上に発現される天然に存在するタンパク質のポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、抗原結合ドメインは非抗体スキャフォールドを含む。得られたポリペプチドが標的細胞上の標的抗原に特異的に結合する少なくとも1個の結合領域を含む限り、広範な非抗体スキャフォールドを使用できる。

非抗体スキャフォールドは、フィブロネクチン(Novartis, MA)、アンキリン(Molecular Partners AG, Zurich, Switzerland)、ドメイン抗体(Domantis, Ltd., Cambridge, MAおよびAblynx nv, Zwijnaarde, Belgium)、リポカリン(Pieris Proteolab AG, Freising, Germany)、小型モジュラー型免疫薬(Trubion Pharmaceuticals Inc., Seattle, WA)、マキシボディ(Avidia, Inc., Mountain View, CA)、プロテインA(Affibody AG, Sweden)およびアフィリン(ガンマ結晶またはユビキチン)(Scil Proteins GmbH, Halle, Germany)を含む。

フィブロネクチンスキャフォールドは、フィブロネクチンタイプIIIドメイン(例えば、フィブロネクチンタイプIIIの第十モジュール(10Fn3ドメイン))に基づき得る。フィブロネクチンタイプIIIドメインは、7個または8個のベータ鎖を有し、これは2個のベータシート間に分散され、これらのシート自体、タンパク質のコアを形成するように互いに対して包装され、さらにループを含み(CDRに類似)、これはベータ鎖を互いに連結し、溶媒暴露されている。ベータシートサンドイッチの各端に少なくとも3種のこのようなループが存在し、該端はベータ鎖の方向に垂直なタンパク質の境界である(US6,818,418号参照)。この構造のため、この非抗体スキャフォールドは、このような抗体の性質および親和性が似ている、抗原結合特性を模倣する。これらのスキャフォールドは、インビボの抗体親和性成熟過程に類する、インビトロのループ無作為化およびシャフリング戦略に使用できる。

アンキリンテクノロジーは、異なる標的への結合のために使用できる、可変領域を担持するためのスキャフォールドとしてのアンキリン由来反復モジュールを有するタンパク質の使用に基づく。アンキリン反復モジュールは、2個の逆平行α螺旋およびβターンからなる33アミノ酸ポリペプチドだる。可変領域の結合は、リボソームディスプレイを使用して、ほとんど最適化される。

アビマーは、HER3のような天然A−ドメイン含有タンパク質由来である。これらのドメインは、タンパク質−タンパク質相互作用のために天然で使用され、ヒトにおいて、250を超えるタンパク質が、構造上A−ドメインに基づく。アビマーは、アミノ酸リンカーにより連結された多数の異なる“A−ドメイン”モノマー(2〜10)からなる。アビマーは、例えば、米国特許出願公開20040175756号;20050053973号;20050048512号;および20060008844号に記載の方法を使用して、標的抗原に結合できるように製造できる。

アフィボディ親和性リガンドは、プロテインAのIgG結合ドメインの一つのスキャフォールドを基礎とする3螺旋束からなる、小さい、単純タンパク質である。プロテインAは、細菌スタフィロコッカス・アウレウスからの表面タンパク質である。このスキャフォールドドメインは58アミノ酸からなり、そのうち13個は、多数のリガンドバリアントを含むアフィボディライブラリーの製造のために無作為化される(例えば、US5,831,012号参照)。アフィボディ分子は抗体を模倣し、150kDaである抗体分子量と比較して、6kDaの分子量を有する。その小さいサイズにもかかわらず、アフィボディ分子の結合部位は抗体のものに類似する。

タンパク質エピトープ模倣物(PEM)は、タンパク質−タンパク質相互作用に関係する主要二次構造である、タンパク質のベータ−ヘアピン二次構造を模倣する中程度のサイズの、環状、ペプチド様分子(MW1〜2kDa)である。抗原結合ドメイン、例えば、scFv、単一ドメイン抗体またはラクダ類抗体を含むものは、ここに記載するあらゆる標的受容体/リガンド、例えば、PD1受容体、PD1−L1またはPD1−L2を指向できる。

不適合抗原結合ドメイン 各々抗原結合ドメイン(CMER)を含む複数のキメラ膜包埋受容体を有する細胞で、CMERの抗原結合ドメイン間の相互作用は、例えば、抗原結合ドメインがその同族抗原と結合する1個以上の能力を阻止するため、望ましくない可能性が発見されている。したがって、ここに開示されるのは、同じ細胞で発現したときこのような相互作用を最小化する抗原結合ドメインを含む、第一および第二の天然に存在しないCMERであり、ここで、該第一CMERはRCARである。ある態様において、複数のCMERは2個のRCARを含む。ある態様において、複数のCMERは1個のCARおよび1個の他のRCARを含む。

ある態様において、本願発明は第一および第二CMERを含み、ここで、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインは可変軽ドメインおよび可変重ドメインを含まず、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはscFvであり、他方はscFvではなく、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えば、ラクダ類、サメまたはヤツメウナギ単一VHドメインまたはヒトまたはマウス配列または非抗体スキャフォールド由来の単一VHドメインを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはナノボディを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはラクダ類VHHドメインを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。

ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方は単一VHドメイン、例えば、ラクダ類、サメまたはヤツメウナギ単一VHドメインまたはヒトまたはマウス配列由来の単一VHドメインを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方はナノボディを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方はラクダ類VHHドメインを含み、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。

ある態様において、細胞の表面に存在するとき、該第一CMERの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は該第二CMERの存在により実質的に減少せず、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第二CMER存在下の該第一CMERの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、該第二CMER非存在下の該第一CMERの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合の85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%であり、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。

ある態様において、細胞の表面に存在するとき、該第一CMERおよび該第二CMERの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインであるときより互いに弱く結合し、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。ある態様において、該第一CMERおよび該第二CMERの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインであるときより85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%弱く互いに結合し、ここで、該第一および第二CMERの一方はRCARである。

二量体化スイッチ 二量体化スイッチは、スイッチドメイン間の相互作用の形によって、非共有結合または共有結合であり得る。

非共有結合性二量体化スイッチ 非共有結合性二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の非共有結合性相互作用を促進する。非共有結合性二量体化スイッチの例は、ここに記載する、FKBP/FRAPベースの二量体化スイッチ、GyrB−GyrBベースの二量体化スイッチおよびジベレリンベースの二量体化スイッチを含む。

FKBP/FRBベースの二量体化スイッチ FKBP12(FKBPまたはFK506結合タンパク質)は、天然産物免疫抑制性剤であるラパマイシンの初期細胞内標的として働く、豊富な細胞質タンパク質である。ラパマイシンは、FKBPおよび大PI3KホモログFRAP(RAFT、mTOR)と結合し、そうして、これらの分子の二量体化に作用する。

ある態様において、FKBP/FRAPベースのスイッチは、ここでは、FKBP/FRBベースのスイッチとも呼ぶが、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパマイシン類似体を使用できる。FRBは、FKBP−ラパマイシン複合体の結合に十分なFRAPの93アミノ酸部分である(Chen, J., Zheng, X. F., Brown, E. J. & Schreiber, S. L. (1995) Identification of an 11-kDa FKBP12-rapamycin-binding domain within the 289-kDa FKBP12-rapamycin-associated protein and characterization of a critical serine residue. Proc Natl Acad Sci U S A 92: 4947-51)。

FKBPの配列は次のとおりである。

ある態様において、FKBPスイッチドメインは、FKBPのFRB結合フラグメント、例えば、配列番号1の下線部分を含むことができ、それは次のとおりである。

FRBの配列は次のとおりである。

ある態様において、1個のスイッチドメインは、配列番号1に開示するアミノ酸残基またはそのFRB結合フラグメントまたは類似体、例えば、配列番号141を含み、1個のスイッチドメインは、配列番号2に開示するアミノ酸残基またはそのFKPB結合フラグメントまたは類似体を含む。ある態様において、FKBPのFRB結合フラグメントは、FKBPの配列、配列番号1または配列番号141の30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85または90アミノ酸を含む。ある態様において、FKBPのFRB結合フラグメントは、FKBPの配列、配列番号1または配列番号141より少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40アミノ酸短い。ある態様において、FRBのFKBP結合フラグメントは、FRBの配列、配列番号2の30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85または90アミノ酸を含む。ある態様において、FRBのFKBP結合フラグメントは、FRBの配列、配列番号2より少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40アミノ酸短い。ある態様において、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の章に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含む。

ある態様において、1個のスイッチドメインは、配列番号1に開示するアミノ酸残基(または配列番号141)を含み、1個のスイッチドメインは、配列番号2に開示するアミノ酸残基を含む。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、配列番号1のFKBP配列(または配列番号141)と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、対応する配列番号1の配列(または配列番号141)と35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、1個のスイッチドメインはFRB(またはFRBおよびラパマイシンまたはラパマイシン類似体)と結合し、配列番号1のFKBP配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて、異ならない。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、配列番号2のFRB配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、対応する配列番号2の配列と35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて、異ならない。

ある態様において、他のスイッチドメインはFKBP(またはFKBPおよびラパマイシンまたはラパマイシン類似体)と結合し、配列番号2のFRB配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて、異ならない。例えば、図2参照。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスター、FKBP配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスターFKBPと、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、1個のスイッチドメインはFRB(またはFRBおよびラパマイシンまたはラパマイシン類似体)と結合し、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスターFKBPと少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するかまたは35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスターFRB配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001結合配列は、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスターFRB配列と、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、他のスイッチドメインはFKBP(またはFKBPおよびラパマイシンまたはラパマイシン類似体)と結合し、非ヒト、例えば、哺乳動物、例えば、齧歯類、例えば、マウス、ラットまたはハムスターFRBと少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するかまたは35、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ここで使用する用語としての“FKBP/FRAP、例えば、FKBP/FRBベースのスイッチ”は、ラパマイシンまたはラパマイシン類似体と結合し、配列番号1または配列番号141のFKBP配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するかまたは30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えては異ならない第一スイッチドメイン;およびラパマイシンまたはラパマイシン類似体と結合し、配列番号2のFRB配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するかまたは30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えては異ならない第二スイッチドメインを含む、二量体化スイッチをいう。例えば、図2参照。

ある態様において、FKBP/FRBベースのスイッチは、ラパマイシンの望ましくない特性を欠くヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシン類似体を使用でき、例えば、免疫抑制性活性を欠くかまたは低い。

修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチ ここでまた提供されるのは、FRBベースのスイッチドメインが、性能を最適化し、例えば、FKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインと二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001の複合体形成を変え、例えば、増強する、1個以上の変異を含む改善されたFKBP/FRB二量体化スイッチである。ある態様において、1個以上の変異を含むFRBベースのスイッチドメインを、ここでは、“変異体FRB”とも呼び、例えば、二量体化分子について野生型FRBベースのスイッチドメインの親和性と比較して、二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログに対する親和性の増強を含む。

理論に縛られることを望まないが、ここに記載する変異は、RCARの集合のために低濃度の二量体化分子の使用を可能にすると考えられる。FKBP/FRB二量体化スイッチを二量体化するある二量体化分子は免疫抑制性効果を示し、それゆえに、RCAR療法の有利な効果を阻止または軽減する。それゆえに、RCARを集合させるために低濃度の二量体化分子の使用をする能力は、RCAR発現細胞活性の治療域を広げ、例えば、免疫抑制を誘発せずに使用できる二量体化分子の用量範囲を増やし、それゆえにRCAR発現細胞の治療効果の増加に至る。これとは別にまたはこれに加えて、理論に縛られることを望まないが、ここに記載する変異は、内因性FRAP/mTORの結合および阻害の代わりに、二量体化分子の変異体FRBへの優先的結合を生じ得ると考えられる。内因性FRAP/mTOR阻害の阻止は、内因性FRAP/mTOR阻害と関連する有害作用、例えば、毒性または免疫抑制を減少または阻止する。

変異体FRBは、ここに使用するスクリーニング法を使用して同定できる。先ず、天然に折りたたまれた野生型FRBの二量体化分子結合ポケットに存在するまたは、二量体化分子との相互作用に、例えば、直接的または間接的に寄与する野生型FRBにおける領域またはアミノ酸残基を、構造データ、例えば、x線結晶構造またはコンピューターモデリング、例えば、二量体化分子またはその誘導体に結合する相同タンパク質の相同性または比較モデリングから決定できる。候補変異体FRBを、例えば、PCR部位特異的変異誘発による、標的領域または標的残基の変異により産生できる。ある態様において、1個以上の点変異を含む候補FRB変異体のライブラリーを、標的残基を、標的残基をコードするコドンの無作為化により全ての他の可能なアミノ酸に変異させる、飽和突然変異誘発アプローチを使用して産生できる。標的残基に対応する各コドンの無作為化は、全20アミノ酸を表すコドンライブラリー、例えば、NNKライブラリー(ここで、Nはbeアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)であってよく、Kはグアニン(G)またはチミン(T)であってよい)を使用して達成できる。表13は、代表的NNKライブラリーのコドン分布および対応するアミノ酸を示す。NNKライブラリー内の各コドンは標的残基位置に取り込まれ、それにより、標的残基位置が全ての他の可能なアミノ酸に変異している、各標的残基位置についての候補FRB変異体のライブラリーを産生する。候補FRB変異体のライブラリーを、次いで、スクリーニングして、ここに記載するFRB変異体を同定する。

種々のスクリーニングアッセイを使用して、各候補変異体FRBを評価して、FKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインと二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001の間の複合体の形成を増強する変異体FRBを同定する。直接結合アッセイにおいて、非標識候補変異体FRBを、溶液中、タグ付野生型FKBPと二量体化分子の存在下で、例えば、FRBの二量体化分子への結合およびFRBとFKBPの二量体化に適する条件下インキュベートする。タグ付FKBPを親和性精製により反応から除去でき、二量体化分子を結合し、タグ付FKBPと二量体化できる候補変異体FRBも除去される。タグ付野生型FKBPと二量体化しない遊離候補変異体FRBの量を、反応中のタンパク質濃度の決定により計算できる。直接結合親和性のEC50値を、続いて、当分野で知られる方法を使用して計算できる。

上記直接結合アッセイとは別にまたはこれに加えて、競合結合アッセイも変異体FRBの同定のために実施できる。このアッセイにおいて、非タグ付候補変異体FRBを、溶液中、:1)第一標識と連結した野生型FKBP、例えば、ビオチニル化野生型FKBP;2)第二t標識と連結した野生型FRB、例えば、FLAGタグ付野生型FRB;および3)二量体化分子と、FRBの二量体化分子への結合およびFRBとFKBPの二量体化に適する条件下インキュベートする。タグ付野生型FKBPおよびタグ付野生型FRBを親和性精製により反応から除去できる。野生型FRB存在下でタグ付野生型FKBPと二量体化しなかった遊離候補変異体FRBの量を、反応中のタンパク質濃度の決定により計算できる。競合結合親和性のEC50値を、続いて、当分野で知られる方法を使用して計算できる。

ある態様において、変異体FRBは、野生型FRBのアミノ酸配列、例えば、配列番号2を含むFRBに、1個以上の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の変異を含む。変異体FRBは、例えば、二量体化分子に対する野生型FRBの親和性と比較して、二量体化分子への親和性が増加している。ここでいう野生型または変異体FRBのアミノ酸位置ナンバリングは配列番号2から決定でき、配列番号2の最初のアミノ酸が2021位であり、配列番号2の最後のアミノ酸が2113位である。

ある態様において、変異体FRBは、2031位のロイシン(L2031)、2032位のグルタミン酸(E2032)、2035位のセリン(S2035)、2036位のアルギニン(R2036)、2039位のフェニルアラニン(F2039)、2040位のグリシン(G2040)、2098位のスレオニン(T2098)、2101位のトリプトファン(W2101)、2102位のアスパラギン酸(D2102)、2105位のチロシン(Y2105)および2108位のフェニルアラニン(F2108)から選択されるアミノ酸に1個以上の変異を有し、ここで、L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105および/またはF2108は、任意の他の天然に存在するアミノ酸に対する変異である。ある態様において、変異体FRBは、配列番号276〜286から選択されるアミノ酸配列を有し、ここでh、Xは任意の天然に存在するアミノ酸であり得る。RAD001に対する親和性が増加した代表的変異体FRBスイッチドメインのアミノ酸配列を、下の表14に示す。ここに記載するスクリーニングを実施して、変異体FRBを同定できる。

さらに実施例21に記載するように、スクリーニングを実施して、候補変異体FRBを評価できる。

ある態様において、変異体FRBは、例えば、L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105およびF2108から選択されるアミノ酸に1個以上の変異を含み、ここで、野生型アミノ酸は、任意の他の天然に存在するアミノ酸に対して変異する。ある態様において、変異体FRBは、E2032に変異を含み、E2032はフェニルアラニン(E2032F)、メチオニン(E2032M)、アルギニン(E2032R)、バリン(E2032V)、チロシン(E2032Y)、イソロイシン(E2032I)、例えば、配列番号287またはロイシン(E2032L)に変異され、例えば、配列番号288である。ある態様において、変異体FRBはT2098に変異を含み、ここで、T2098はフェニルアラニン(T2098F)またはロイシン(T2098L)に変異され、例えば、配列番号289である。ある態様において、変異体FRBはE2032およびT2098に変異を含み、ここで、E2032は任意のアミノ酸に変異され、T2098は任意のアミノ酸に変異され、例えば、配列番号290である。ある態様において、変異体FRBはE2032IおよびT2098L変異を含み、例えば、配列番号291である。ある態様において、変異体FRBは、E2032LおよびT2098L変異を含み、例えば、配列番号292である。代表的変異体FRBスイッチドメインのアミノ酸配列を下の表15に示す。

変異体FRBは、FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化のために、現在臨床の現場で使用されている用量より低いまたは対象における免疫抑制を誘発する用量より低いRAD001用量の使用を可能とする。ある態様において、例えば、ここに記載する変異体FRBを含む、修飾FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化を刺激するRAD001の用量は、癌の処置に現在使用される用量より低く、例えば、RAD001の用量は、1日あたり10mg未満、例えば、1日あたり10mg、9mg、8mg、7mg、6mg、5mg、4mg、3mg、2mg、1mg未満を含む。ある態様において、例えば、ここに記載する変異体FRBを含む、修飾FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化を刺激するRAD001の用量は、1日あたり1mg未満、例えば、1日あたり0.5mgを含む。ある態様において、例えば、ここに記載する変異体FRBを含む、修飾FKBP−FRBベースのスイッチの二量体化を刺激するRAD001の用量の量は、1週間あたり10mg未満、例えば、1週間あたり5mgを含む。修飾FKBP−FRBベースのスイッチで使用するのに適する二量体化分子のさらなる用量は、ここの“医薬組成物および処置”なる表題の章に記載する。

AP21967およびAP21967結合FRB ある態様において、二量体化分子は、野生型内因性FRAP、例えば、FRBと結合しないが、修飾FRBと結合する、ラパマイシン類似体、例えば、AP21967である。理論に縛られることを望まないが、内因性FRBへの結合の欠如は、免疫抑制性活性を減少させると考えられる。代表的修飾FRBは、一アミノ酸変化(T2098L)を含む。この変異の二量体化スイッチのFRB成分への取り込みは、AP21967を二量体化分子として使用することを可能とする。

ある態様において、1個のスイッチドメインは、ラパマイシン類似体、例えば、AP21967と結合するFKBPからの配列を含み、他のスイッチドメインは、ラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合と結合する、FRBからの配列を含む。

ある態様において、1個のスイッチドメインは配列番号1に開示するアミノ酸残基を含み、1個のスイッチドメインは、配列番号2に開示するアミノ酸残基を含む。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列は、配列番号1のFKBP配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列は、対応する配列番号1の配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列は、配列番号142のFRB配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列は、対応する配列番号142のFRB配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

構造1:AP21967

類似のスイッチが、上記のようにシグナル伝達ドメインの局在性および活性を制御するために使用されている(例えば、Graef, I. A., Holsinger, L. J., Diver, S., Schreiber, S. L. & Crabtree, G. R. (1997) Proximity and orientation underlie signaling by the non-receptor tyrosine kinase ZAP70. Embo J 16: 5618-28参照)。

FKBPからのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列またはFRBからのラパマイシン類似体、例えば、AP21967結合配列を含むスイッチドメインとして使用するための候補配列は、候補を、ここに記載するような系に導入することにより評価できる。

FKPB/FRBベースのスイッチのための二量体化分子 ラパマイシンおよびラパマイシン類似体(ラパログと呼ぶこともある)を、FKBP−FRBベースの二量体化スイッチにおける二量体化分子として使用できる。ある態様において、二量体化分子は、ラパマイシン(シロリムス)、RAD001(エベロリムス)、ゾタロリムス、テムシロリムス、AP−23573(リダフォロリムス)、バイオリムスおよびAP21967から選択される。

ラパマイシンは、式Aに示す構造を有する、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカスにより産生される既知マクロライド抗生物質である。

例えば、McAlpine, J.B., et al., J. Antibiotics (1991) 44:688; Schreiber, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc. (1991) 113:7433;米国特許3,929,992号参照。ラパマイシンについて多様な番号付けスキームが提唱されている。混乱を避けるために、特定のラパマイシン類似体をここで名づけるとき、式Aの番号付けスキームを使用したラパマイシンを参照して名づける。

多くのラパマイシン類似体を、FKBP/FRAPベースの二量体化スイッチにおけるヘテロ二量体化分子として使用できる。例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基がOR1(ここで、R1はヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキルまたはアミノアルキルである)で置換されているO−置換類似体であり、例えばその内容を引用して本明細書に包含させるUS5,665,772号およびWO94/09010号に記載された、エベロリムスとしても知られるRAD001である。他の適当なラパマイシン類似体は、26位または28位が置換されているものを含む。ラパマイシン類似体は、上記類似体のエピマーであってよく、特に、例えば、その内容を引用して本明細書に包含させるUS6,015,815、WO95/14023およびWO99/15530に記載のとおり、40位、28位または26位が置換され、所望によりさらに水素化されていてよい類似体のエピマー、例えばゾタロリムスとして知られるABT578またはその内容を引用して本明細書に包含させるUS7,091,213号、WO98/02441号およびWO01/14387号に記載のラパマイシン類似体、例えばリダフォロリムスとしても知られるAP23573を含む。

US5,665,772号からの本発明における使用に適するラパマイシン類似体の例は、40−O−ベンジル−ラパマイシン、40−O−(4’−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−O−[4’−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−O−アリル−ラパマイシン、40−O−[3’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル)−プロプ−2’−エン−1’−イル]−ラパマイシン、(2’E,4’S)−40−O−(4’,5’−ジヒドロキシペント−2’−エン−1’−イル)−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−(6−ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−[(3S)−2,2−ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−O−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロプ−1−イル]−ラパマイシン、40−O−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−モルホリノ)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−メチル−N’−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−O−デスメチル−39,40−O,O−エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−(N−メチル−イミダゾ−2’−イルカルベトキサミド)エチル)−ラパマイシン、40−O−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシンおよび40−O−[2−(4’,5’−ジカルボエトキシ−1’,2’,3’−トリアゾール−1’−イル)−エチル]−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、ラパマイシンのシクロヘキシル環におけるヒドロキシル基および/または28位のヒドロキシ基がヒドロキシエステル基で置換されている類似体を含み、例えば、USRE44,768号に見られるラパマイシン類似体、例えばテムシロリムスが知られる。

他のラパマイシン類似体は、16位のメトキシ基が他の置換基、好ましくは(所望によりヒドロキシ−置換)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジルまたはクロロベンジルで置換されているおよび/または39位のメトキシ基が、39番炭素と共に欠失しており、ラパマイシンのシクロヘキシル環が39位メトキシ基を欠くシクロペンチル環となるものを含み、例えば、引用によりその内容を本明細書に包含させるWO95/16691号およびWO96/41807号記載されている。ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化されるおよび/または32−カルボニルが還元されるように、類似体をさらに修飾できる。

WO95/16691からのラパマイシン類似体は、16−デメトキシ−16−(ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(プロパルギル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(4−ヒドロキシ−ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−オルト−メトキシベンジル−ラパマイシン、16−デメトキシ−40−O−(2−メトキシエチル)−16−ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ホルミル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ヒドロキシメチル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−カルボキシ−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(モルホリン−4−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−[N−メチル、N−(2−ピリジン−2−イル−エチル)]カルバモイル−42−ノル−ラパマイシンおよび39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(p−トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)−42−ノル−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

WO96/41807号からのラパマイシン類似体は、32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−メトキシ)エチル−ラパマイシンおよび32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

他の適当なラパマイシン類似体は、その内容を引用により本明細書に包含させるUS2005/0101624号に記載のバイオリムスである。

エベロリムス(Afinitor(登録商標))としても知られるRAD001は、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−12−{(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−11,36−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−2,3,10,14,20−ペンタオン(40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンとしても知られる)を有し、次の化学構造を有する。

GYRB−GYRBベースの二量体化スイッチ ストレプトマイセス属の産物であるクーママイシンは、細菌DNAギラーゼのBサブユニット、GyrBのアミノ末端24Kサブドメインを結合する。クーママイシンは、2個のGyrBサブユニットを結合する(例えば、 Rarrar et al., (1996) Activation of the Raf-1 kinase cascade by coumermycin induced dimerization, Nature 383: 178; Gilbert et al. (1994) The 24 kDa N-terminal sub-domain of the DNA gyrase B protein binds coumarin drugs, Molecular Microbiology 12: 365参照)。それゆえに、クーママイシンは、GyrBのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインを含むホモ二量体化スイッチにおける、二量体化分子として使用できる。

ある態様において、スイッチドメインは、GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含む。

ある態様において、スイッチドメインまたはそのスイッチドメインのクーママイシン結合配列は、Rarrar et al., (1996)のGyrB配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、スイッチドメインまたはそのクーママイシン結合配列は、Rarrar et al., (1996)の対応する配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。例えば、図3参照。

GyrBの24KDaアミノ末端サブドメインからのクーママイシン結合配列を含むスイッチドメインとして使用するための候補配列は、Rarrar et al., (1996)に記載のもののような系に候補を取り込むことにより評価できる。 構造2:クーママイシン

ジベレリンベースの二量体化スイッチ ジベレリンは、植物の増殖および発育を制御する植物ホルモンである。ジベレリンは、その受容体、ジベレリン不感受性矮性変異体1(GID1)と結合し、GID1における立体構造変化を誘発する。新規立体構造は、GID1を他のタンパク質、ジベレリン不感受性(GAI)と結合させる。ジベレリンまたはジベレリン類似体、例えば、GA3−AM/GA3を使用して、GID1からのGA3結合配列を含むスイッチドメイン(GIDIスイッチドメイン)およびGA3結合GID1と結合するのに十分なGAIからの配列を含むスイッチドメインを二量体化できる。GA3−AMは、標的細胞の原形質膜を通過できる。細胞に入ったら、GA3−AMはエステラーゼにより開裂して、GA3を産生する。Miyamoto et al. (2010) Rapid and orthogonal logic gating with a gibberellins-induced dimerization system, Nat. Chem. Biol. 8:465参照。

ある態様において、1個のスイッチドメイン(GAIスイッチドメイン)は、ジベレリン類似体、例えば、GA3と結合するのに十分なGAIの配列を含み、類似体、例えば、GA3と結合したらGID1と結合し、1個のスイッチドメイン(GID1スイッチドメイン)は、ジベレリン類似体、例えば、GA3と結合するGAIスイッチドメインと結合するのに十分なGID1の配列を含む。

ある態様において、GAIスイッチドメインまたはGAIの配列は、ジベレリン類似体、例えば、GA3と結合するのに十分な十分な配列を含み、類似体、例えば、GA3と結合したらGID1と結合し、Miyamoto et al. (2010)のGAI配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する;または対応するMiyamoto et al. (2010)の配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えては異ならない。例えば、図4参照。

ある態様において、GID1スイッチドメインまたはGID1の配列は、GAIスイッチドメインと結合するのに十分であり、Miyamoto et al. (2010)のGID1配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する;またはMiyamoto et al. (2010)の対応物と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えては異ならない。

GAIまたはGID1スイッチドメインとして使用するための候補配列は、Miyamoto et al. (2010)に記載のような系に候補を挿入することにより評価できる。 構造3:GA3−AMおよびGA3

タグ/結合剤スイッチ ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、ホモ二量体化スイッチ、例えば、細胞外ホモ二量体化スイッチは、タグ分子、例えば、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグを含むスイッチドメインを含む。適当な二量体化スイッチは、スイッチドメインに対する親和性を有するポリペプチド、例えば、抗体分子および非抗体スキャフォールドを含む。例えば、図6参照。

共有結合性二量体化スイッチ 共有結合性二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の共有結合性相互作用を促進する。ある態様において、二量体化スイッチは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含む、これは、二量体化分子との接触により、互いに共有結合的に連結する。ある態様において、共有結合性二量体化スイッチはホモ二量体化スイッチであり、ここで、該二量体化分子は、同じ構造を有する第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを共有結合的に連結する。共有結合性ホモ二量体化スイッチの態様において、連結分子は第一部分および第二部分を含み、その各々はスイッチドメインを結合でき、それによりスイッチドメインを共有結合的に連結する。第一部分および第二部分は同じ構造でも異なる構造でもよい。ある態様において、共有結合性二量体化スイッチはヘテロ二量体化スイッチであり、ここで、該二量体化分子は、互いに異なる構造を有する第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを共有結合的に結合する。共有結合性ヘテロ二量体化スイッチの態様において、連結分子は、第一スイッチドメインと共有結合的に結合するが、第二スイッチドメインとはしない第一部分および第二スイッチドメインと共有結合的に結合するが、第一スイッチドメインとはしない第二部分を含む。ある態様において、二量体化分子は、その溶解度または細胞透過性を変えるさらなる部分を含む。例えば、細胞内共有結合性ヘテロ二量体化スイッチの場合、二量体化分子は、二量体化分子の細胞透過性を最適化する部分を含み得る。

ハロタグ/SNAPタグスイッチは、共有結合性ヘテロ二量体化スイッチの例である。ある態様において、二量体化分子は、SNAPタグドメインと共有結合手的に反応する第一部分、例えば、O6−ベンジルグアニン部分、ハロタグドメインと反応する第二部分、例えば、クロロアルカン部分および二量体化分子を細胞透過性とする部分を含む。

共有結合性二量体化スイッチは、Erhart et al., 2013 Chem Biol 20(4): 549-557に記載されている。ここに記載するHaXS種は、ハロタグ/SNAPタグスイッチにおける二量体化分子として有用である。ある態様において、共有結合性二量体化分子は、オフ速度と関係する可能性のある動力学的限界および例えば、T細胞介在死滅のための必要なシグナルカスケードの活性化の必要条件としての細胞における非共有結合性二量体化分子の蓄積の必要性を最小化する。

ある態様において、ハロタグSNAPタグ二量体化は、ハロタグ部分、例えば、配列番号14またはその機能的誘導体またはフラグメントを含む第一スイッチドメインおよびSNAPタグ、例えば、配列番号15またはその機能的誘導体またはフラグメントを含む第二スイッチドメインを含む。ある態様において、二量体化分子は、細胞浸透性コアとともに、SNAPタグとハロタグを連結する官能基を有する。構造5は、この系で使用するのに適する二量体化分子を示す。例えば、図13参照。

ハロタグドメイン(配列番号14)

SNAPタグドメイン(配列番号15)

構造5;HaXS

ある態様において、1個のスイッチドメインは配列番号14に開示するアミノ酸残基を含み、1個のスイッチドメインは配列番号15に開示するアミノ酸残基を含む。

ある態様において、第一スイッチドメインは、配列番号14の配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、第一スイッチドメインは、対応する配列番号14の配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

ある態様において、第二スイッチドメインは、配列番号15の配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する。ある態様において、第二スイッチドメインは、対応する配列番号15の配列と、30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

スイッチドメインとして使用するための候補配列は、ここに記載するような系に候補を導入することにより評価できる。

複数スイッチドメイン ある態様において、ここに記載する二量体化スイッチは複数スイッチドメインを含み、ここでは、マルチスイッチと呼ぶことがある。マルチスイッチは、複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のスイッチドメインを、第一メンバー、例えば、抗原結合メンバーおよび第二メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーとは無関係に含む。所望により、例えば、ここに記載の、リンカー、スペーサーまたはヒンジ領域を、メンバー、例えば、抗原結合メンバーまたは細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインに配置する。

ある態様において、第一メンバーは複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含み得る。例えば、抗原結合メンバーは複数の第一スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは複数の第二スイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含む。例えば、図55A参照。

ある態様において、第一メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含み、第二メンバーは第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。例えば、抗原結合メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含む。例えば、図55B参照。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、FKBP/FRBベースの二量体化スイッチは、第一メンバーおよび第二メンバー上のスイッチドメインの非対称的な分布を含み、ここで、第一メンバー上のスイッチドメインの数は、第二メンバー上のスイッチドメインの数と等しくない。ある態様において、一方のメンバーは少なくともXスイッチドメインを含み、ここで、Xは多数性、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個であり、他のメンバーは少ないスイッチドメイン、例えば、最初に記載したメンバーより1個、2個、3個、4個または5個少ないスイッチドメインを含む。ある態様において、メンバーは、FKBP−FRBベースの二量体化スイッチについて2個のスイッチドメインを含み、他のメンバーは、FKBP/FRBベースの二量体化スイッチについて2個より少ないスイッチドメインを含む。例えば、図55A参照。

ある態様において、二量体化スイッチ、例えば、FKBP−FRBベースの二量体化スイッチは、スイッチドメインの対称的な分布を含み、ここで、一方のメンバー上のスイッチドメインの数は、他方のメンバー上のスイッチドメインの数と等しい。例えば、図55Aおよび55B参照。

ある態様において、第一メンバーおよび第二メンバーは、複数のホモ二量体化スイッチドメイン、例えば、ジベレリンベースのスイッチドメインを含む。例えば、抗原結合メンバーは、複数のホモ二量体化スイッチドメイン、例えば、GyrBベースのスイッチドメインを含むおよび細胞内シグナル伝達メンバーは、複数のホモ二量体化スイッチドメイン、例えば、GyrBベースのスイッチドメインを含む。

二次二量体化スイッチ ある態様において、RCARは、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを含む一次二量体化スイッチを含む。一次二量体化スイッチの二量体化分子は、第一スイッチドメインと第二スイッチドメインの結合を促進する。この二量体化スイッチは、一次二量体化スイッチと呼び得る。ある態様において、二次二量体化スイッチもまた存在する。二次二量体化スイッチにおいて、一次二量体化分子は二次スイッチドメインとして役立つ。二次二量体化分子は、2個以上の二次スイッチドメインの結合を促進する(その各々は一次二量体化分子を含む)。二量体化またはクラスター形成は二次スイッチにより誘発され、さらに細胞内ドメインのクラスター形成のレベルを増加させる −− このような態様において、m二次二量体化分子は、一次スイッチしか使用しないときに見られるより多いクラスター形成を生じる。一次二量体化分子は、一次スイッチドメイン、例えば、ホモ二量体化スイッチドメイン(およびそれに結合する細胞内シグナル伝達ドメイン)の結合(またはクラスター形成)を促進する。このような一次スイッチドメインは、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグのようなタグ分子を含み得る。このような態様において、一次二量体化分子は、スイッチドメインに配向する抗体または他の結合剤を含み得る。二次で、二次二量体化分子は、一次二量体化分子の結合またはクラスター形成を促進する。換言すると、二次スイッチは、一次二量体化分子および二次スイッチドメインの結合を生じる、一次二量体化分子に対する二量体化分子、例えば、抗体を含む、スイッチドメインを含む。第一および二次は、第一および二次二量体化分子への何らかの配列の付加を含意しない。ある態様において、二次二量体化分子の投与または一次二量体化分子との接触前に、一次二量体化分子を最初に投与するかまたはそのスイッチドメインと最初に接触させる。ある態様において、一次二量体化分子の投与またはそのスイッチドメインとの接触前に、二次二量体化分子を最初に投与するかまたはそのスイッチドメインと最初に接触させる。 例えば、図14参照。

三次およびより高次のスイッチドメインも使用できる。

二量体化分子 理論に縛られることを望まないが、ここでバイドメイン結合二量体化分子と呼ぶある態様において、二量体化分子は、第一スイッチドメインと結合するまたは相互作用する第一ドメイン結合部分および第二スイッチドメインと結合するまたは相互作用する第二ドメイン結合部分を含むと考えられる。理論に縛られることを望まないが、ここで高次構造依存性二量体化分子と呼ぶある態様において、二量体化分子はスイッチドメインの一つと結合または相互作用し、他のスイッチドメインと結合するようにそのスイッチドメインの高次構造を変える。また、理論に縛られることを望まないが、ある二量体化分子は、これらのまたは他の、機構の組み合わせにより作動すると考えられる。

スイッチドメイン間の結合は二量体化分子により促進される。二量体化分子の存在下、スイッチドメイン間の相互作用または結合は、第一スイッチドメインに結合、例えば、融合したポリペプチドと第二スイッチドメインに結合、例えば、融合したポリペプチドの間のシグナル伝達を促進する。非限定的レベルの二量体化分子存在下、シグナル伝達は、例えば、ここに記載する系で測定して、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍増加する。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、AP21967である。

ある態様において、二量体化分子は、小分子、例えば、ポリペプチド以外である。

ある態様において、二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有する、ポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、抗体分子または非抗体スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンまたはアドネクチンである。ある態様において、二量体化分子は、リンカー、例えば、GSリンカーにより互いに連結された少なくとも1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上のタンパク質ドメインを含む多量体ポリペプチド、例えば、ポリペプチドである。ある態様において、二量体化分子は、抗体またはそのフラグメントである。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は抗体、例えば、単特異性抗体またはそのフラグメントまたは二重特異性抗体またはそのフラグメントである。

ある態様において、二量体化スイッチは、ヘテロ二量体化スイッチであり、すなわち、互いに異なる第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを有し、二量体化分子はヘテロ二量体化分子である。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に結合する小分子である。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインに特異的親和性を有する量体ポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、複数スイッチドメインに特異的親和性を有する多量体ポリペプチドまたはそのフラグメントである、例えば、図15参照。ある態様において、ヘテロ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有する抗体またはそのフラグメントである。

ある態様において、二量体化スイッチは、ホモ二量体化スイッチであり、すなわち、互いに同じである第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインを有し、二量体化分子はホモ二量体化分子である。ある態様において、ホモ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に結合する小分子である。ある態様において、ホモ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、ホモ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインに特異的親和性を有する量体ポリペプチドまたはそのフラグメントである。ある態様において、ホモ二量体化分子は、複数スイッチドメインに特異的親和性を有する多量体ポリペプチドまたはそのフラグメントである、5.17参照。ある態様において、ホモ二量体化分子は、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインの一方または両方に特異的親和性を有する抗体またはそのフラグメントである。二量体化分子は、スイッチドメイン間の相互作用の形態によって、非共有結合でも、共有結合でもよい。

ある態様において、二量体化分子は、原形質膜をほとんど透過しない。ある態様において、二量体化分子は細胞への侵入を阻止する部分、例えば、荷電部分を含む。例えば、二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパマイシン類似体を、細胞への侵入を阻止するように修飾できる。このような二量体化分子を、細胞外スイッチを有するRCARと使用できる。それらがあまり細胞に侵入できないことは、二量体化を誘発する能力を損なわないが(スイッチが細胞外であるため)、毒性を減らし得る。細胞に容易に透過しないGA3を、外部GID1−GAIベースのスイッチとともに使用できる。ある態様において、修飾されている二量体化分子は、細胞内に非修飾二量体化分子の50%、40%、20%または10%程度しか蓄積されない。

多価二量体化分子 一般に、二量体化分子は、少なくとも2個のスイッチ分子の結合を促進する。ある態様において、スイッチドメインのこの結合は、スイッチドメインと連結した細胞内ドメインの結合を促進する。ある態様において、二量体化分子は2を超える結合価を有し、例えば、それは多価であり、2個を超えるスイッチドメインと結合し、それゆえにクラスター化または二量体化する。例えば、二量体化分子は、多数の、例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の結合ドメインを含み、その各々はスイッチドメインと結合できる。ある態様において、スイッチドメインは、二量体化分子に親和性を有する抗体分子、非抗体スキャフォールド、リガンドまたは他のポリペプチドである。代表的多価二量体化分子は、2個を超えるドメイン、例えば、各々c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグドメインを含む2個を超えるドメインを含む、分子を含む。多価二量体化分子は一次二量体化分子でも二次二量体化分子でもよい。例えば、図14参照。

細胞内シグナル伝達ドメイン ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、二量体化スイッチが融合または結合している細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメインがカウンターリガンドに結合したとき、細胞内シグナルを産生する。細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。ある態様において、RCAR分子は、RCAR分子が、概して免疫細胞と関係しているポリペプチド由来のドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン、阻害ドメインなどを含むように、免疫細胞、例えば、T細胞での発現のために構築され得る。例えば、T細胞内で発現するためのRCARは41BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含み得る。この場合、41BBおよびCD3ゼータドメインの両者は、T細胞と関係するポリペプチド由来である。他の態様において、RCAR分子は、RCAR分子が、概して免疫細胞と関係しないポリペプチ由来であるドメインを含むように、免疫細胞、例えば、T細胞での発現のために構築され得る。例えば、T細胞内で発現するためのRCARは、NK細胞由来のKIRドメインを含み得る。あるいは、NK細胞内で発現するためのRCARは、T細胞由来の41BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含み得る(例えば、引用により本明細書に包含させるWO2013/033626号参照)。

一次細胞内シグナル伝達ドメイン ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、二量体化スイッチが融合または結合している細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメインが同族抗原と結合したとき、細胞内シグナルを生じる。これは一次刺激性分子由来であり、例えば、一次刺激性分子の細胞内配列を含む。これは、例えば、二量体化スイッチが融合または結合している抗原結合ドメインが同族抗原に結合したとき、細胞内シグナルの産生に十分な一次刺激性分子配列を含む。

一次刺激性分子は、同族リガンドと結合したとき、例えば、それが発現される細胞で、免疫エフェクター応答を媒介する分子である。概して、抗原を含む同族リガンドへの結合に依存的な細胞内シグナルを産生する。TCR/CD3複合体は、代表的一次刺激性分子を含み、複合体は、同族リガンド、例えば、ペプチドと共に負荷されたMHC分子への結合により、細胞内シグナルを産生する。概して、例えば、TCR/CD3一次刺激性分子の場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインによる細胞内シグナルの産生は、一次刺激性分子のそのリガンド、例えば、抗原への結合に依存する。

一次刺激は、TGF−βの下方制御および/または細胞骨格構造の再構築などのような、ある分子の発現を変更できる。刺激は、例えば、共刺激存在下、RCARX細胞、例えば、RCART細胞の免疫エフェクター機能の最適化、例えば、増加を生じ得る。刺激は、例えば、RCART細胞の状況において、T細胞応答、例えば、増殖、サイトカイン分泌、死滅、活性化、分化などを介在する。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、シグナル伝達モチーフ、例えば、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMを含む。一次細胞内シグナル伝達ドメインは、TCRゼータ(CD3ゼータ)、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79aおよびCD79bからの細胞質シグナル伝達配列を含むITAMを含み得る。

代表的一次細胞内シグナル伝達ドメインを表1に提供する。

一次細胞内シグナル伝達ドメインは、一次刺激性分子(例えば、CD3ゼータ − GenBank accno. BAG36664.1)の機能的フラグメントまたは類似体を含む。これは、二量体化スイッチが融合または結合している抗原結合ドメインが同族抗原に結合したとき、細胞内シグナルの産生に十分な細胞内領域全体または細胞内領域のフラグメントを含む。ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、天然に存在する一次刺激性分子、例えば、ヒトCD3ゼータ(GenBank Acc No. AAY57330.1)または他の哺乳動物、例えば、非ヒト種、例えば、齧歯類、サル、類人猿またはマウス細胞内一次刺激性分子と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%配列同一性を有する。ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号139と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%配列同一性を有する。ある態様において、一次刺激性分子は、例えば、配列番号139に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の変異を含み得る。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、天然に存在するヒト一次刺激性分子、例えば、ここに開示する天然に存在するヒト一次刺激性分子、例えば、配列番号139の対応する残基と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

共刺激シグナル伝達ドメイン ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、細胞外ドメイン、例えば、二量体化スイッチが融合または結合している抗原結合ドメインが同族リガンドと結合したとき、細胞内シグナルを生じる。これは共刺激分子由来である。これは、例えば、二量体化スイッチが融合または結合している細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメインが同族リガンドと結合したとき、細胞内シグナルを産生するのに十分な共刺激分子配列を含む。

共刺激分子は、免疫エフェクター応答を促進する、抗原受容体またはそのカウンターリガンド以外の細胞表面分子である。ある場合、これらは効率的なまたは増強された免疫応答に必要である。概して、共刺激分子は、ある態様において、抗原、例えば、RCARX細胞、例えば、RCART細胞の抗原結合ドメインにより認識される抗原以外である、同族リガンドへの結合に依存する、細胞内シグナルを産生する。概して一次刺激性分子および共刺激分子からの、シグナル伝達は免疫エフェクター応答に貢献し、ある場合両者は、免疫エフェクター応答の効率的なまたは増強された産生に必要である。

共刺激シグナル伝達ドメインは、共刺激分子(例えば、4−1BB)の機能的フラグメントまたは類似体を含む。これは、例えば、二量体化スイッチが融合または結合している抗原結合ドメインが同族抗原に結合したとき、細胞内シグナルの産生に十分な細胞内領域全体または細胞内領域のフラグメントを含み得る。ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、天然に存在する共刺激分子、例えば、ヒトまたは他の哺乳動物、例えば、非ヒト種、例えば、齧歯類、サル、類人猿またはマウス細胞内共刺激分子と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%配列同一性を有する。ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号138と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%配列同一性を有する。

代表的共刺激シグナル伝達ドメイン(細胞内シグナル伝達ドメイン)を表2に提供する。

ある態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、天然に存在するヒト一次刺激性分子、例えば、ここに開示する天然に存在するヒト共刺激分子の対応する残基と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

補助的抗原結合メンバー 補助的抗原結合メンバーは、RCARに含まれ得る。ある態様において、その包含は、例えば、さらなる、例えば、第二標的細胞抗原への結合による特異性の増加により、RCARX細胞の安全性および有効性を増加できる。ある態様において、抗原結合メンバーおよび補助的抗原結合メンバー両者の結合は、いずれか単独で見られるよりも大きな特異性を生じ得る。ある態様において、RCARは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の補助的抗原結合メンバーを含み、その全て異なる抗原と結合する。

ある態様において、補助的抗原結合ドメインは、抗原結合メンバーまたは細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化スイッチを形成できるスイッチドメインを含まない。ある態様において、補助的抗原結合ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。ある態様において、抗原結合ドメインは、メソテリン受容体に対し、補助的抗原結合ドメインは、葉酸受容体に対する。ある態様において、抗原結合ドメインは、葉酸受容体に対し、補助的抗原結合ドメインは、メソテリン受容体に対する。

阻害分子:阻害 一つの態様において、対象に、CAR発現細胞の活性または適応度を増強する薬剤を投与できる。例えば、一つの態様において、薬剤は、T細胞機能を調節または制御する、例えば、阻害する分子を阻害する薬剤であり得る。ある態様において、T細胞機能を調節または制御する分子は阻害分子である。阻害分子、例えば、PD1は、ある態様において、RCARX細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少できる。阻害分子の例を表3に提供する。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害による、T細胞機能を調節または制御する、例えば阻害する阻害分子の阻害は、RCARX細胞性能を最適化できる。ある態様において、例えばのような、薬剤、例えば、阻害核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAまたは例えば、阻害タンパク質または系、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、RCARX細胞における細胞機能を調節または制御する、例えば阻害する分子の発現を阻害できる。ある態様において、阻害剤はshRNAである。ある態様において、阻害分子は、RCARX細胞内で阻害される。これらの態様において、阻害分子の発現を阻害するdsRNA分子を、RCARの成分、例えば、成分の全てをコードする核酸と連結する。

例えば、shRN標的として有用な代表的阻害分子を表3に提供する。

ある態様において、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子を、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子が発現される、例えば、RCAR発現細胞内で発現されるように、プロモーター、例えば、H1−またはU6由来プロモーターに操作性に結合する。例えば、Tiscornia G., “Development of Lentiviral Vectors Expressing siRNA”, Chapter 3, in Gene Transfer: Delivery and Expression of DNA and RNA (eds. Friedmann and Rossi). Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USA, 2007; Brummelkamp TR, et al. (2002) Science 296: 550-553; Miyagishi M, et al. (2002) Nat. Biotechnol. 19: 497-500参照。ある態様において、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、RCARの成分、例えば、成分の全てをコードする核酸分子を含む同じベクター、例えば、レンチウイルスベクターに存在する。このような態様において、、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、ベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に、RCARのある成分、例えば、全成分をコードする核酸に対して5’または3’に位置する。T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、RCARのある成分、例えば、全成分をコードする核酸と同じまたは異なる方向で転写され得る。ある態様において、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、RCARの成分、例えば、成分の全てをコードする核酸分子を含むベクター以外のベクターに存在する。ある態様において、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、RCAR発現細胞で一過性に発現される。ある態様において、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、RCAR発現細胞のゲノムに安定に統合される。図16は、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子を伴う、RCARの成分、例えば成分の全てを含むベクターの例を記載する。

T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子がPD−1である、T細胞機能を調節するかまたは制御する、例えば、阻害する分子の発現の阻害に有用なdsRNA分子の例を実施例10および表18および19に提供する。

再指向スイッチ切り替え可能阻害受容体:阻害細胞外ドメイン 阻害受容体の細胞外ドメインは、免疫エフェクター応答を促進する細胞内シグナル伝達ドメインに例えば、二量体化スイッチにより結合させる。それゆえに、共阻害分子のカウンターリガンドとの結合は、免疫エフェクター応答の最適化に再指向される。

一つの態様において、例えば、プログラム死1(PD1)のような阻害分子、例えば、ここに記載する阻害分子の、細胞外ドメイン(ECD)を、ここに記載の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、41BB OX40、Cd28、CD27および/または例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達ドメインのような、共刺激シグナル伝達ドメインを含む、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインと融合できる。一つの態様において、阻害分子RCAR、例えば、PD1 RCARを単独で使用できる。一つの態様において、阻害分子CAR、例えば、阻害分子RCAR、例えば、PD1 RCAR、を他のCAR、例えば、CD19CAR(例えば、CD19RCAR)と組み合わせて使用できる。一つの態様において、PD1 RCAR(またはPD1 CAR)は、T細胞の残留性を改善する。阻害分子の例は、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3および/またはCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRベータを含む。一つの態様において、阻害分子RCARは、PD1、LAG3、CTLA4、CD160、BTLA、LAIR1、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3および/またはCEACAM−5)、2B4およびTIGITまたはこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの少なくとも細胞外ドメインの一部)のような、例えば、阻害分子の第一ポリペプチドおよびここに記載する細胞内シグナル伝達メンバー(例えば、共刺激ドメイン(例えば、ここに記載する例えば、41BB、CD27またはCD28を含む)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む)である第二ポリペプチドを含む。

一つの態様において、PD1 RCARは、細胞RCAR発現細胞の残留性を改善する。一つの態様において、PD1 RCARは、配列番号40において下線で示すPD1の細胞外ドメインを含む。一つの態様において、PD1 RCARは、配列番号40のアミノ酸配列を含む。

一つの態様において、PD1 RCARは、下に提供するアミノ酸配列を含む。

一つの態様において、PD1 RCAR、例えば、ここに記載するPD1 RCARは、下に示す核酸配列によりコードされるかまたは少なくともPD1の細胞外ドメインをコードする核酸配列を含む(下に下線で示す)。

代表的阻害細胞外ドメインを表4に提供する。

ある態様において、阻害細胞外ドメインは、天然に存在するヒト阻害分子、例えば、ここに開示する天然に存在するヒト一次刺激性分子の対応する残基と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

共刺激分子リガンド結合ドメイン 共刺激ECDドメインと呼ぶ、共刺激分子の細胞外リガンド結合ドメインは、免疫エフェクター応答を促進する細胞内シグナル伝達ドメインに、例えば、y二量体化スイッチにより結合される。それゆえに、共刺激分子のカウンターリガンドの結合は、免疫エフェクター応答の最適化を生じる。

代表的共刺激ECDドメインを表5に提供する。

ある態様において、共刺激ECDドメインは、天然に存在するヒト阻害分子、例えば、ここに開示する天然に存在するヒト共刺激分子の対応する残基と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

膜貫通ドメイン ある態様において、RCARは、抗原結合ドメイン、阻害カウンターリガンド結合ドメインまたは共刺激ECDドメインを含み得る、細胞外配列、例えば、細胞外認識成分に融合した膜貫通ドメインを含む。ある態様において、RCARは、細胞内配列、例えば一次細胞内シグナル伝達ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメインまたは二量体化スイッチと融合した膜貫通ドメインを含む。ある態様において、膜貫通ドメインは、RCARにおけるドメインの1個と天然で結合しているものである。ある態様において、膜貫通ドメインは、RCARにおけるドメインの1個と天然で結合していないものである。

ある態様において、膜貫通ドメインは、他の成分、例えば、他の膜貫通ドメインとの相互作用を最小化するものである。ある例において、膜貫通ドメインは、例えば、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのこのようなドメインの結合を最小化する。適当な例は、既知膜貫通ドメインのアミノ酸置換の選択または修飾によりもたらされ得る。ある態様において、膜貫通ドメインは、細胞表面上の他のRCARとのホモ二量体化を促進できる。

膜貫通ドメインは、天然に存在するまたは天然に存在しない合成配列を含み得る。天然に存在するとき、膜貫通ドメインはあらゆる膜結合または膜貫通タンパク質に由来し得る。ある態様において、膜貫通領域は、RCARが標的に結合しているときは、二量体化スイッチを経て、細胞内ドメインにシグナル伝達できる。

ここに記載する分子における使用に適する膜貫通領域は、例えば、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の任意の1個以上に由来し得る。ある態様において、膜貫通ドメイは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA−1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4−1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbpの少なくとも膜貫通領域を含む。ある態様において、膜貫通ドメインはCD8に由来する。ある態様において、膜貫通ドメインはCD28に由来する。一つの面において、膜貫通ドメインは、配列番号137として提供される配列由来の膜貫通ドメインである。

ある態様において、配列、例えば、ヒンジまたはスペーサー配列を、膜貫通ドメインと、それが融合する他の配列またはドメインの間に配置できる。ある態様において、例えば、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジを含むが、これに限定されない、多様なヒトヒンジ(別名“スペーサー”)を同様に用いることができる。所望により、2〜10アミノ酸長の短オリゴまたはポリペプチドリンカーが、RCARの膜貫通ドメインと他のドメイン、例えば、スイッチまたは細胞内シグナル伝達ドメインの間の結合を形成し得る。グリシン−セリンダブレットは、特に適当なリンカーを提供する。一つの面において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号136として提供されるアミノ酸配列である。一つの面において、ヒンジまたはスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。

ある態様において、膜貫通ドメインは天然に存在しない配列であってよく、この場合、優勢にロイシンおよびバリンのような疎水性残基を含み得る。ある態様において、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが膜貫通ドメインの各末端に見られる。

ドメイン配置 ある態様において、RCARは、多様な配置で配置できるドメインを含む。

ある態様において、一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインの両者は、抗原結合ドメインからスイッチにより分離される。

したがって、一つの態様において、RCAR配置は、第一キメラ構築物および第二キメラ構築物を含み、ここで、 (1)第一キメラ構築物、例えば、抗原結合メンバーは抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および第一細胞内スイッチドメイン、例えば、FRBを含み(この態様において、第一キメラ構築物は細胞内シグナル伝達ドメインを含まない); (2)第二キメラ構築物、例えば、細胞内シグナル伝達ドメイン(これは、この態様において、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない)は、第二細胞内スイッチドメイン、例えば、FKBP;およびシグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメインまたは二次シグナル伝達ドメインを含む。

ある態様において、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインの両者は第二キメラ構築物に存在する。ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、第二スイッチドメイン、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインである。ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、第二スイッチドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインおよび一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインである。ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン、第二スイッチドメインおよび一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインである。ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン、第二スイッチドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインである。

本態様は、第一キメラ構築物上のFRBおよび第二キメラ構築物上のFKBPをいうが、配置を逆にできる。

ある態様におけるドメインの順番は、N末端からC末端方向で示すが、特に細胞内キメラ構築物に関して、順番はC末端からN末端であり得る。

ある態様において、一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインの両方ではなく、一方は、スイッチにより抗原結合ドメインから離される。

したがって、他の態様において、RCAR配置は、 (1)抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;第一細胞内スイッチドメイン、例えば、FRB;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインを含む第一キメラ構築物、例えば、抗原結合メンバー;および (2)第二細胞内スイッチドメイン、例えば、FKBP;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインを含む第二キメラ構築物、例えば、細胞内シグナル伝達メンバー(これはこの態様において、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない) を含む。

ある態様において、第一キメラ構築物上の順番は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、第一細胞内スイッチドメイン、例えば、FRBおよび細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインである。

ある態様において、第一キメラ構築物上の順番は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインおよび第一細胞内スイッチドメイン、例えば、FRBである。

ある態様において、第一キメラ構築物は、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインの両方ではなく、一方を含む。

ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、第二細胞内スイッチドメイン、例えば、FKBPおよび一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインの両方ではなく一方である。

ある態様において、第二キメラ構築物上の順番は、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインの両方ではなく一方および第二細胞内スイッチドメイン、例えば、FKBP。

ある態様において: (1)第一キメラ構築物、例えば、抗原結合メンバーは、抗原結合ドメイン、例えば、scFv;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン;および第一スイッチドメインを含み; (2)第二キメラ構築物、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーは、第二スイッチドメイン;および一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン(そして、ある態様において、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない)を含む。

ある態様において: (1)第一キメラ構築物、例えば、抗原結合メンバーは、抗原結合ドメイン、例えば、scFv;膜貫通ドメイン;一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン;および第一スイッチドメインを含み; (2)第二キメラ構築物、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーは、第二スイッチドメイン;および共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメイン(そして、ある態様において、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない)を含む。

一つの態様において、RCAR配置は、第一キメラ構築物および第二キメラ構築物を含み、ここで、 (1)第一キメラ構築物、例えば、抗原結合メンバーは、抗原結合ドメイン;膜貫通ドメイン;第一細胞内シグナル伝達ドメインおよび第一細胞内スイッチドメイン、例えば、FRBを含み; (2)第二キメラ構築物、例えば、細胞内シグナル伝達メンバー(これはこの態様において、膜貫通ドメインまたは膜アンカーを含まない)は、第二細胞内スイッチドメイン、例えば、FKBP;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次または共刺激シグナル伝達ドメインを含む。

本態様は、第一キメラ構築物上のFRBおよび第二キメラ構築物上のFKBPをいうが、配置を逆にできる。

ある態様において、順番はN末端からC末端方向で示すが、特に細胞内キメラ構築物に関して、順番はC末端からN末端であり得る。

共刺激シグナル伝達ドメインを有するRCARメンバー、例えば、抗原結合ドメインまたは他の細胞外結合ドメイン 表面上にキメラ抗原受容体を発現するTリンパ球の残留性および拡張は、膜結合受容体に融合する多様な細胞内ドメインの包含が介在する。例えば、標的細胞、例えば、癌細胞上の標的リガンドと結合する細胞外ドメインを有するRCARの成分は、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、表2から選択される共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。

ある態様において、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBの、第二スイッチドメイン上のCD3ゼータからの第一スイッチドメイン上への配置は、インビボでRCAR活性を正に調節し、一方、二量体化スイッチ分子非存在下のCARの活性を制限する。

細胞上の標的リガンドと結合する細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメインを有するRCARメンバーは、例えば、表2から選択される、複数の、例えば、2個または3個の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。ある態様において、RCARメンバーは、41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。例として、メンバー、例えば、抗原結合メンバーは、細胞外から細胞内方向で、次のものを含む。 41BB−CD27; CD27−41BB; 41BB−CD28; CD28−41BB; OX40−CD28; CD28−OX40; CD28−41BB;または 41BB−CD28。

抗原結合メンバーは、例えば、表2から選択される、例えば、41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される、多数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインは、任意の順番で配置できるが、代表的配置は次のものを含む(細胞外から細胞内の方向で)。 41BB−CD27; CD27−41BB; 41BB−CD28; CD28−41BB; OX40−CD28; CD28−OX40; CD28−41BB;または 41BB−CD28。

ある態様において、抗原結合メンバーは、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−41BB。

ある態様において、抗原結合メンバーは、次の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:CD28−OX40。

ある態様において、抗原結合メンバーは、 (a)[抗原結合ドメイン]−[膜貫通ドメイン]−[第一共刺激シグナル伝達ドメイン]−[第二共刺激シグナル伝達ドメイン]を含み、 ここで、該第一および第二共刺激シグナル伝達ドメイン: (i)は各々表2から独立して選択され; (ii)は各々独立して41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択され; (iii)共刺激シグナル伝達ドメインの次のペアの一個を含み(細胞外から細胞内方向で): 41BB−CD27; CD27−41BB; 41BB−CD28; CD28−41BB; OX40−CD28; CD28−OX40; CD28−41BB;または 41BB−CD28 (iv)共刺激シグナル伝達ドメインの次のペアを含み:CD28−41BB;または (v)共刺激シグナル伝達ドメインの次のペアを含み:CD28−OX40;および (b)[スイッチドメイン]、 ここで、該スイッチドメインは: (i)膜貫通ドメインと第一共刺激シグナル伝達ドメインの間; (ii)第一共刺激シグナル伝達ドメインと第二共刺激シグナル伝達ドメインの間;または (iii)第二共刺激シグナル伝達ドメインの後 に配置され、 そして、所望により、スイッチドメインはFKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体を含み、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、1個以上のFKBPスイッチドメイン、FRBスイッチドメインおよび二量体化分子の間の複合体の形成を増強する変異または修飾FKBP/FRBベースの二量体化スイッチなる表題の章に記載する変異を含む。例えば、FKBP結合フラグメントまたはFRBの類似体は、E2032変異、例えば、E2032I変異またはE2032L変異;T2098変異、例えば、T2098L変異;またはE2032およびT2098変異、例えば、E2032IおよびT2098LまたはE2032LおよびT2098L変異を含み; そして、所望により、抗原結合メンバーは一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。

ある態様において、抗原結合メンバーは、例えば、表2から選択される、複数の、例えば、2個または3個の共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、ここに記載する共刺激シグナル伝達ドメインの組み合わせを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは、CD3ゼータドメインを含む。

下に提供するのは、次の構造を含む抗原結合メンバーを含む代表的RCARメンバーのアミノ酸配列である:[抗原結合ドメイン]−[膜貫通ドメイン]−[第一共刺激シグナル伝達ドメイン]−[第二共刺激シグナル伝達ドメイン]−[スイッチドメイン]。下記代表的RCARについて、抗原結合ドメインは、CD19 scFv(配列は下線)、第一共刺激シグナル伝達ドメイン(配列は斜体)、第二共刺激シグナル伝達ドメイン(配列は斜体および太字)およびスイッチドメイン(配列は下線および太字)。

下に提供するのは、スイッチドメイン(配列は太字および下線)および一次シグナル伝達ドメイン(配列は斜体)を含む細胞内シグナル伝達メンバーのアミノ酸配列である。

ICAR ここに開示するRCARは、阻害CAR(iCAR)メンバーを含み得る。iCARメンバーは、非標的細胞、例えば、非癌細胞上の抗原を認識する抗原結合ドメイン(または他の細胞外ドメイン);膜貫通ドメイン;および、阻害分子からのドメイン、例えば、阻害分子、例えば、PD−1、CTLA4または表12に挙げたタンパク質からのからの細胞内ドメインを含む。ある態様において、iCARメンバーは、例えば、PD−1、CTLA4または表12に挙げたタンパク質からの、第二阻害細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

iCARメンバーの抗原結合ドメイン(または他の細胞外ドメイン)とその標的抗原(またはカウンター−リガンド)の結合により、iCARは、iCARを含む細胞の活性化の阻止、例えば、可逆的阻止または最小化に貢献する。つまり、RCAR、例えばRCART、細胞への、iCARメンバーの包含は、非標的細胞、例えば、バイスタンダー細胞への損傷を制限し得る。理論に縛られることを望まないが、iCARメンバーは、その抗原(またはカウンター−リガンド)との結合により、サイトカイン分泌、細胞毒性および増殖の1個以上を制限すると考えられる。ある態様において、効果は一過性であり、続く標的細胞との結合により、RCAR細胞、例えば、RCART細胞は、活性化され、標的細胞を攻撃する。

iCARメンバーに対する標的抗原は、標的細胞への許容可能な高レベルの攻撃および非標的細胞への許容可能な低レベルの攻撃が達成されるように、標的細胞および非標的細胞上に発現プロファイルを有する抗原である。抗原の選択だけではなく、その抗原(またはカウンター−リガンド)へのiCAR親和性、その抗原へのCAR親和性、iCARの発現レベルまたはCARの発現レベルも、標的上/標的外応答比の最適化に使用できる。

ある態様において、抗原は腫瘍細胞に存在しないかまたは下方制御されている。ある態様において、抗原はHLA分子を含む。ある態様において、抗原は細胞表面腫瘍サプレッサー抗原を含む。ある態様において、抗原はPCML(またはリンパ腫、乳癌または前立腺癌で下方制御される他の抗原)、HYAL2、DCCまたはSMAR1を含む。

ある態様において、抗原は、タンパク質、炭水化物、脂質または細胞表面部分の翻訳後修飾、例えば、ムチン−タイプO−グリカン(コア3 O−グリカン)を含む。

ある態様において、抗原は、上皮性から間葉性への移行を受けている腫瘍細胞により下方制御される部分を含む。

ある態様において、抗原は、E−カドヘリンを含む。

ある態様において、阻害分子からのドメイン、例えば、PD−1またはCTLA4からの細胞内シグナル伝達ドメインは、融合する細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメインが同族抗原(またはカウンターリガンド)に結合したとき、細胞内シグナルを生じる。阻害細胞内シグナル伝達ドメインは阻害分子由来であり、例えば、それは阻害分子の細胞内配列を含む。それは、例えば、融合する抗原結合ドメインが同族抗原に結合したとき、細胞内シグナルの産生に十分な阻害分子配列を含む。

ある態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、シグナル伝達モチーフ、例えば、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITIMを含む。

阻害分子からのドメインは、阻害分子細胞内ドメインの機能的フラグメントまたは類似体を含む。それは、融合する抗原結合ドメインが同族抗原に結合したとき、細胞内シグナルの産生に十分な細胞内領域全体または細胞内領域のフラグメントを含む。ある態様において、阻害細胞内シグナル伝達ドメインは、天然に存在する阻害分子、例えば、表12からの分子の対応する残基と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%配列同一性を有するかまたは30、25、20、15、10、5、4、3、2または1アミノ酸残基を超えて異ならない。

細胞内シグナル伝達ドメインを提供できる代表的阻害分子を、表12に提供する。

それゆえに、一つの面において、ここに開示されるのは、iCARメンバーを含むRCARである。iCARメンバーは、 非標的細胞、例えば、非癌細胞上の抗原を認識する抗原結合ドメイン(または他の細胞外ドメイン); 膜貫通ドメイン;および 阻害分子、例えば、PD−1、CTLA4または表4に挙げるタンパク質からのドメイン を含む。

ある態様において、iCARメンバーは、例えば、PD−1、CTLA4または表12に挙げたタンパク質からの第二阻害細胞内シグナル伝達ドメインを含む。

他の面において、本発明は、iCARメンバーを含むRCARをコードする核酸、例えば、単離核酸に関する。

ある態様において、iCARメンバーおよびRCARの第二メンバーをコードする配列は、単一核酸分子に存在する。

ある態様において、iCARメンバーをコードする配列は第一制御領域に操作性に連結し、RCARの第二メンバーをコードする配列は第二制御領域に操作性に連結する。

ある態様において、iCARメンバーをコードする配列は第一RNAとして翻訳され、RCARの第二メンバーをコードする配列は第二RNAとして翻訳される。

他の面において、本発は、iCARメンバーを含むRCARをコードする核酸を含む、ベクター系、例えば、1個以上のベクターを含むベクター系に関する。

ある態様において、RCARの成分の全ては単一ベクター上にコードされる。

ある態様において、iCARメンバーは第一ベクター上にコードされ、RCARの他のメンバーは、ベクター系の第二ベクターにコードされる。

ある態様において、ベクター系は、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを含む。

ある態様において、ベクター系は、バイシストロニックまたはトリシストロニックレンチウイルスベクターを含む。

ある態様において、ベクター系は、バイシストロニックまたはトリシストロニックプロモーターを含む。

他の面において、本発明は、ここに記載するベクター系を含む、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に関する。

他の面において、本発明は、iCARメンバーを含むRCARを含む、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に関する。

iCARメンバー含有細胞をここに記載する方法において使用できる。それゆえに、他の面において、本発明は、哺乳動物を処置する方法、例えば、哺乳動物に抗腫瘍免疫を提供する方法であって、iCARメンバーを含むRCARX細胞の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法に関する。

ある態様において、RCARX細胞は、自己T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、同種T細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、自己NK細胞である。

ある態様において、RCARX細胞は、同種NK細胞である。

ある態様において、哺乳動物は、ヒトである。

他の面において、本発明は、iCARを含むRCARX細胞で処置されているヒトを、該処置の副作用について評価する方法を含む。

普遍的RCARS ある態様は、抗原結合メンバーがRCARX細胞、例えば、RCART細胞の表面に係留されていない、RCARに関する。概して、このようなRCARX細胞、例えば、RCART細胞は、外部または細胞外第一スイッチドメインを有する細胞内シグナル伝達ドメインが増加する。細胞を、抗原結合ドメインおよび第二スイッチドメインを含む(および膜貫通ドメインまたは膜係留ドメインを含まない)抗原結合メンバーで構築できる。これにより、RCARX細胞、例えば、RCART細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞が、抗原結合メンバーをコードする配列で細胞を形質転換することなく、1個以上の抗原結合ドメインと好都合に対形成することが可能となる。RCARX細胞、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーを含むが、抗原結合メンバーを含まないRCART細胞のアリコートを提供できる。必要に応じて、RCARX細胞、例えば、選択した抗原結合特性を有する、例えば、RCART細胞を、抗原結合メンバーの付加により提供できる。このようなRCARを、ここでは、普遍的RCARと呼ぶことがある。例えば、図53参照。例えば、細胞内結合ドメインを含むRCARX細胞、例えば、RCART細胞を、例えば、エクスビボで、普遍的RCARの抗原結合メンバーおよび所望により二量体化分子で構築できる。抗原結合メンバーを、例えば、異なる抗原と結合する、異なる抗原結合ドメインを含む、一連の抗原結合メンバーから選択できる。ある態様において、対象または対象腫瘍の遺伝子型または表現型、例えば、腫瘍攻撃性、腫瘍タイプ、疾患ステージ、先の処置などに基づき、抗原結合ドメインを選択する。ある態様において、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を対象から得て、普遍的RCART細胞をそこから製造できる。RCARX細胞の第一アリコートを第一抗原結合ドメインと組み合わせ得る。第二アリコートを第二抗原結合ドメインと組み合わせ得る。例えば、第一抗原結合ドメインを有する普遍的RCARXを初回の処置で使用でき、第二抗原結合ドメインを有する普遍的RCARXを2回目の処置として使用でき、例えば、初回の処置の開始後に投与する。ある態様において、1個を超える抗原結合ドメイン、例えば、2、3または4、抗原結合ドメインをRCARX細胞、例えば、RCART細胞と連結し、1個を超える抗原特異性を有するRCARを有する細胞を得る。

ある態様において、RCARXはナチュラルキラー細胞である。これらの細胞は対象から単離できる。ある態様において、細胞は、ナチュラルキラー細胞の安定な細胞株、例えば、Conkwestから入手可能な安定な同種NK−92細胞株である。これらの安定なNK−92細胞株は、Gong et al (April 1994), Leukemia Macmillan Press, Ltd, 8: 652-658に記載され、本明細書に引用により包含させるEP1007630に開示された方法を使用して、得て、遺伝子導入し、培養したNK−92細胞に由来した。NK−92細胞またはNK−92細胞株に類似する特性を有するNK細胞株からの細胞も使用できる。

RCARスクリーニング モジュラースクリーニング ここに記載する方法および組成物は、CAR成分、例えば、RCAR成分の便利なスクリーニングおよび試験を可能とする。例として、各々1個以上の成分が異なる複数のCAR、例えば、RCARの一団を有効性について評価できる。これは、予め選択したパラメータ、例えば、癌タイプ、癌ステージ、患者治療歴またはドナーについて最適化した、CAR、例えば、RCARの選択を可能とする。

例えば、ある態様において、一団の複数のRCARの各々は、細胞内シグナル伝達メンバー上に配置された異なる共刺激シグナル伝達ドメインを含む。この例において、複数のRCARは他の点では同一である。それゆえに、唯一の多様性は共刺激シグナル伝達ドメインで見られる。一団からのRCARの評価は、異なる共刺激シグナル伝達ドメインを有するRCARの特性の比較を可能とする。他の態様において、多様性を、他の成分、例えば、一次刺激ドメイン、膜貫通ドメイン、リンカー、スイッチドメインまたは抗原結合ドメインに導入できる。これは同時の評価および選択を可能とする。

それゆえに、スクリーニングおよび評価の“モジュラー”法は、ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン、膜貫通領域、スイッチドメインまたは細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメイン、共刺激細胞外ドメインまたは阻害細胞外ドメインの異なる変異体を有するCAR、例えば、RCARの比較を可能とする。ある態様において、例えば、表2から選択した、共刺激シグナル伝達ドメインを比較できる。ある態様において、例えば、表3から選択した、一次シグナル伝達ドメインを比較できる。

このような評価は、RCARメンバーの成分の異なる設置または配置、例えば、異なる順番の比較を可能とする。

ここに記載するとおり、RCARの一団を使用して、細胞内シグナル伝達ドメインが異なるメンバー上に存在する、細胞内シグナル伝達ドメインの異なる組み合わせを評価できる、例えば、図44Aおよび44B参照。下記のとおり、RCARにおける一箇所以上の位置への多様性の便利な挿入を可能とするベクターがここで提供される。

ある態様において、CAR、例えば、RCAは、各々異なる抗原結合ドメインを有する第一メンバーおよび第二メンバーを含む。多様性を一方または両方に導入できる。ある態様において、多様性は親和性の差である。ある態様において、同族抗原に対する親和性の観点での多様性を一方の抗原結合ドメインに導入する。ある態様において、同族抗原に対する親和性の観点での多様性を両方の抗原結合ドメインに導入する。これらの方法は、パラメータ、例えば、標的細胞に対する特異性または標的外結合または死滅の最小化を最適化する親和性の組み合わせの選択を可能とする。

図11は、左から、阻害細胞外ドメイン(ECD)または共刺激細胞外ドメインを含むメンバー、細胞内シグナル伝達メンバー、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーの他の分子の3メンバーを含む、RCARを記載する。抗原結合メンバーは標的細胞と結合し、二量体化分子存在下、細胞内シグナル伝達メンバーと結合し、RCAR細胞の活性化に貢献する。阻害細胞外ドメインメンバーは、標的細胞上の阻害リガンドと結合し、二量体化分子存在下、また細胞内シグナル伝達メンバーと結合し、RCAR細胞の活性化に貢献する。この系を使用して、多様な源、例えば、表4からの共阻害細胞外ドメインまたは多様な源、例えば、表5からの共刺激受容体ドメインをスクリーニングできる。ある態様は、共阻害細胞外ドメインまたは共阻害細胞外ドメインと抗原結合ドメインの組み合わせの最適化または選択を可能とする。共阻害細胞外ドメインまたは共阻害細胞外ドメインと抗原結合ドメインの組み合わせを、予め選択したパラメータ、例えば、癌タイプ、癌ステージ、患者治療歴またはドナーについて選択または最適化できる。

また、多様なRCARの一団の効率的スクリーニングを可能とするベクターも提供される。例として、ベクターは、RCARメンバーの成分および候補配列の挿入を可能とする部位をコードする配列位を含み得る。例えば、ベクターは、抗原結合メンバー、例えば、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびスイッチドメインの1個以上の成分および成分をコードする配列の挿入のための部位をコードする配列を含み得る。例として、ベクターは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび他の成分、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインの挿入のための部位をコードする配列を含み得る。異なる共刺激シグナル伝達ドメインを含む複数の配列を評価できる。ベクターは、さらに細胞内シグナル伝達メンバーをコードし得る。ある態様において、第二ベクターは細胞内シグナル伝達メンバーを提供する。各々変異体抗原結合ドメインメンバーの一つを有し、各々同じ細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞の集団を評価して、最適化抗原結合メンバーを同定する。

他の態様において、ベクターまたはベクターは、1個を超える成分、例えば、抗原結合メンバーの全てまたは一部をコードする配列における挿入部位および細胞内シグナル伝達メンバーの全てまたは一部をコードする配列の各々における挿入部位および挿入部位のために提供される。

評価は、例えば、ここに記載するアッセイまたはインビボモデルで実施例できる。

他の面において、ここに開示されるのは、CAR、例えば、RCARの多様な一団である。

ここで使用する用語としてのCAR、例えば、RCARの多様な一団は、複数のCAR、例えば、RCARを含む。多数のCAR、例えば、RCARの各々は、CARの成分が態様である(ここで使用する用語としてのCARまたはRCARの成分は、機能的または構造ドメイン、例えば、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、スペーサー、リンカー、共刺激シグナル伝達ドメインまたは一次刺激ドメインである)。例えば、複数のCAR、例えば、RCARの各々は、多様な成分(すなわち、複数の中の他のCARの対応する成分とCARまたはRCARにおける、例えば、構造または位置が異なる成分)を含むメンバーを有する。例として、多様な成分は、細胞外結合ドメイン、例えば、抗原結合ドメイン、共阻害細胞外ドメインまたは共刺激細胞外ドメインであり得る。ある態様において、CAR、例えば、RCARの多様な一団は、複数の成分、例えば、2成分に多様性を含む。ある態様において、多様性は、多様な成分における構造、例えば、アミノ酸配列の差異を含む。ある態様において、多様性は、CAR、例えば、RCARのメンバー上の成分の設置における差異を含む。

他の面において、ここに開示されるのは、集合的に、CAR、例えば、RCARの多様な一団をコードする複数の核酸配列である。

他の面において、ここに提供されるのは、複数の細胞、例えば、T細胞を含む一団またはその製造であり、ここで、複数における各細胞または細胞の製造は、CAR、例えば、RCARの多様な一団からの、異なるCAR、例えば、RCARを含む。

他の面において、ここに記載するのは、CAR、例えば、RCARを評価、選択または最適化する方法であって、 CAR、例えば、RCARの多様な一団を提供し; 例えば、活性化における有効性、残留性、ターゲティング特異性または細胞死滅における有効性について多用なパネルの各CARを評価し、 それによりCAR、例えば、RCARを評価、選択または最適化する ことを含む、方法である。

ある態様において、方法は、予め選択したパラメータ、例えば、癌タイプ、癌ステージまたは患者治療歴についてCAR、例えば、RCARを最適化する。

ある態様において、CAR、例えば、RCARは、 a)細胞外ドメイン、例えば、抗原結合ドメイン、共阻害細胞外ドメインまたは共刺激細胞外ドメイン; b)膜貫通ドメイン、例えば、抗原結合メンバー上の膜貫通ドメイン; c)スイッチドメイン、例えば、抗原結合メンバー上のスイッチドメイン; d)第二スイッチドメイン、例えば、細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメイン; e)例えば、細胞内シグナル伝達メンバー上に配置された共刺激シグナル伝達ドメイン; f)例えば、細胞内シグナル伝達メンバー上に配置された一次シグナル伝達ドメイン;および g)抗原結合メンバー上に配置された共刺激シグナル伝達ドメイン から選択される成分が多様である。

ある態様において、多様性は、成分の構造多様性を含む。

ある態様において、多様性は、成分の位置(例えば、CAR、例えば、RCARの他の成分に対する設置)を含む。

ある態様において、CAR、例えば、RCARは、複数の成分、例えば、2成分、例えば、a)〜g)から選択される成分が多様性である。

ある態様において、本方法は、複数の細胞、例えば、T細胞を含む一団またはその製造を提供し、ここで、複数の各細胞または細胞の製造は、複数のCAR、例えば、RCARを含むCARパネルからの異なるCAR、例えば、RCARを含み、各CARは異なる成分、例えば、異なる細胞外結合ドメイン、例えば、異なる共阻害細胞外ドメインまたは異なる共刺激細胞外ドメインを含むメンバーを有する。

有効性の評価 候補RCARを、ここに記載する成分および方法を使用して産生できる。このような候補RCARを、候補RCARを癌のマウスモデルに投与し、抗癌または抗腫瘍効果およびマウスの全体的生存をモニターおよび評価することにより、インビボで有効性を試験できる。

例として、抗ヒトCD19抗体を含む抗原結合ドメインを有するRCARの有効性を、癌のマウスモデル、例えば、CD19/ALLマウスモデルでアッセイできる。初代ヒト急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞を、免疫無防備状態マウス、例えば、NOD.Cg−Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSGまたはNOD scidガンマ)マウスに、例えば、静脈内にインプラントする。ALLの確立に十分な時間、例えば、2〜3週間後、候補RCAR発現細胞を投与できる。候補RCAR発現細胞での処置後、マウスを、例えば、毎週、疾患進行、腫瘍負荷、浸潤および/またはRCAR発現細胞の残留性について、当分野で知られる種々の方法を使用して分析する。例えば、血中のヒトALL細胞、例えば、ヒトCD19+細胞のパーセンテージは疾患負荷を示す。処置の血のマウスの全体的生存、例えば罹病率も評価できる。

ベクター 本発明はまた、RCARコード化配列を含むベクターを提供する。ウイルス、例えば、レンチウイルス由来のベクターは、導入遺伝子の長期の、安定な組込みおよび娘細胞におけるその伝播を可能にするため、長期遺伝子導入の達成に適するツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞のような非増殖性細胞に形質導入できる点で、レトロウイルス、例えば、マウス白血病ウイルス由来のベクターを超える利点を有する。それらは低免疫原性のさらなる利益を有する。

ある態様において、RCARコードする核酸の発現を、発現ベクターに取り込まれたプロモーターに操作性に連結した、RCARをコードする核酸ポリペプチドまたはその一部または成分により達成する。ベクターは、複製および真核生物への組込みに適し得る。典型的ベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列および所望の核酸配列の発現の制御に有用なプロモーターを含む。

ある態様において、ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターテクノロジーは当分野で知られ、例えば、Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, volumes 1-4, Cold Spring Harbor Press, NY)および他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載されている。ある態様において、ベクターとして有用であるウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびレンチウイルスである。ある態様において、ベクターはレンチウイルスベクターである。一般に、適当なベクターは、少なくとも1個の生物で機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位および1個以上の選択可能マーカーを含む(例えば、WO01/96584号;WO01/29058号;および米国特許6,326,193号)。

ある態様において、2個以上の遺伝子を発現するベクターにおいて、各遺伝子は、例えば、ビシストロニックプロモーターまたはトリシストロニックプロモーターの使用により、異なるプロモーター領域の制御下に発現される。同じベクターからの2個以上の遺伝子の発現は、複数プロモータープラスミド、例えば、ビシストロニックプロモーターまたはトリシストロニックプロモーターの使用により達成できる。複数プロモーター含有レンチウイルスベクターの例は文献から知られる。例えばベクターpLENTI−バイシストロニックは、逆方向のPKGプロモーターおよびミニCMVプロモーターを使用する2遺伝子の発現を駆動する(Applied Biological Material Inc., Richmond, BC, Canada)。同様に、トリシストロニックベクターpLENTI−トリシストロニックは、3遺伝子の発現を駆動する。この配置で、1個の遺伝はミニ−CMVプロモーターにより誘導でき、第二および第三遺伝子は、T2Aペプチド開裂部位で2遺伝子を分けるPGKプロモーターにより誘発できる。

他の態様において、ビシストロニックベクターまたはトリシストロニックベクターはまた、例えば2個以上のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳のための脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの成分のような、配列内リボソーム進入部位(IRES)を使用しても構築し得る。このようなベクターは、強ヒトプロモーター制御領域、例えばCMVまたはEF1アルファの制御下、ビシストロニックメッセージまたはトリシストロニックメッセージの転写を駆動するように設計する。IRESは、5’キャップ非依存的形式でRNA翻訳を開始できる、比較的短いDNA配列である。第一シストロンは、強哺乳動物プロモーターにより駆動されるキャップ依存的方式で翻訳されるが、その後のものは、ポリオウイルスの配列内リボソーム進入部位または翻訳増強のための脳心筋炎ウイルスのキャップ非依存的翻訳エンハンサーのような、ウイルス起源のシストロン間領域を利用する(N Chinnasamy et al. (2009), Production of Multicistronic HIV-1 Based Lentiviral Vectors; Methods Mol Biol 515: 1-14)。

さらなるプロモーター成分、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を制御する。概して、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターが、開始部位の下流に同様に機能的成分を含むことが示されている。プロモーター成分の間の間隙は、成分が互いに逆または移動したときに、プロモーター機能が保持されるように、しばしば可動性である。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、、プロモーター成分間の間隔は、活性が低下し始める前、50bp離れるまで増加していてよい。プロモーターによって、個々の成分が転写を活性化するのに協同的または非依存的に機能し得る。

プロモーターの他の例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに操作性に連結したあらゆるポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動できる強い構成的プロモーター配列である。しかしながら、他の構成的プロモーター配列は、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびに、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子−1αプロモーター(EFlα)、ヘモグロビンプロモーターおよびクレアチンキナーゼプロモーターのような、しかしこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されない。さらに、ある態様は、構成的プロモーターの使用に限定されない。ある態様は、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターの使用は、それが操作性に連結しているポリヌクレオチド配列の発現を、このような発現が望まれるときに、オンにし、発現が望まれないときに発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例は、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーターおよびテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。

RCARの多様な成分をコードする配列は、同じ核酸分子、例えば、同じプラスミドまたはベクター、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターに配置できる。例えば、(i)抗原結合メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列の両者を、同じ核酸、例えば、ベクター上に提示できる。対応するタンパク質の産生は、例えば、別のプロモーターの使用によりまたはバイシストロニック転写産物(これは、単一翻訳産物の開裂により2個のタンパク質の産生をもたらし得て、1個の転写産物からの翻訳中のリボソームスキップまたは1個の別々のタンパク質産物の翻訳による2個のタンパク質産生もたらし得る)の使用により達成できる。

したがって、ある態様において、(i)抗原結合メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターが、(i)、(ii)および(iii)ペプチド、例えば、開裂可能ペプチドをコードする配列、例えば、P2AまたはF2A配列に操作性に連結する。成分(iii)は(i)と(ii)の間に配置される。ある態様において、(i)、(ii)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(i)−(iii)−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は(ii)−(iii)−(i)である。

ある態様において、成分(iii)は、P2AまたはF2A配列またはその有効なフラグメントを含む。

P2AおよびF2Aのアミノ酸および核酸配列を下に提供する。 P2A:

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ii)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)抗原結合メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(i)、(ii)および(iii)IRES、例えば、EMCVまたはEV71 IRESをコードする配列に操作性に連結される。ある態様において、(iii)は(i)と(ii)の間に配置される。ある態様において、(i)、(ii)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(i)−(iii)−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は(ii)−(iii)−(i)である。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ii)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

他の態様において、(i)抗原結合メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は別の転写産物として転写され、単一核酸分子上に存在し、次のとおり構成される。 プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(i)に連結し、第二プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーターは、(ii)に操作性に連結できる。ある態様において、(i)および(ii)は別のmRNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(i)−第二プロモーター−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(ii)−第二プロモーター−(i)である。ある態様において、第一プロモーターは、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターである。ある態様において、第二プロモーターは、ここに記載するプロモーター、例えば、CMVまたはEF1アルファプロモーターである。ある態様において、第二プロモーターは最小プロモーターである。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ii)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

(i)阻害細胞外ドメインメンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列を、同じ核酸、例えば、ベクター上に提示できる。

したがって、ある態様において、(i)阻害細胞外ドメインメンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(i)、(ii)および(iii)ペプチド、例えば、開裂可能ペプチドをコードする配列、例えば、P2AまたはF2A配列に操作性に連結される。成分(iii)は(i)と(ii)の間に配置される。ある態様において、(i)、(ii)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(i)−(iii)−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は(ii)−(iii)−(i)である。

ある態様において、成分(iii)は、P2AまたはP3A配列またはその有効なフラグメントを含む。

ある態様において、(i)阻害細胞外メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(i)、(ii)および(iii)IRES、例えば、EMCVまたはEV71 IRESをコードする配列に操作性に連結する。ある態様において、(iii)は(i)と(ii)の間に配置される。ある態様において、(i)、(ii)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(i)−(iii)−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は(ii)−(iii)−(i)である。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ii)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

他の態様において、(i)阻害細胞外メンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は別の転写産物として転写され、単一核酸分子上に存在し、次のとおり構成される。 プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは(i)に操作性に連結し、第二プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーターは、(ii)に操作性に連結できる。ある態様において、(i)および(ii)は別のmRNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(i)−第二プロモーター−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(ii)−第二プロモーター−(i)である。ある態様において、第一プロモーターはここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターである。ある態様において、第二プロモーターはここに記載するプロモーター、例えば、CMVまたはEF1プロモーターである。ある態様において、第二プロモーターは最小プロモーターである。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(i)および(ii)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ii)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(i)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

(i)共刺激ECDメンバーをコードする配列および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列を、同じ核酸、例えば、ベクター上に提示できる。

したがって、ある態様において、(ia)共刺激ECDメンバーをコードする配列および(iai)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(i)、(ii)および(iii)ペプチド、例えば、開裂可能ペプチドをコードする配列、例えば、P2AまたはF2A配列に操作性に連結される。成分(iii)は(i)と(ii)の間に配置される。ある態様において、(i)、(ii)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(i)−(iii)−(ii)である。ある態様において、核酸上の順番は(ii)−(iii)−(i)である。

ある態様において、成分(iii)は、P2AまたはP3A配列またはその有効なフラグメントを含む。

ある態様において、(ib)共刺激ECDメンバーをコードする配列および(iib)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が単一核酸分子上に存在し、単一転写産物として転写され、次のとおり構築される: プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは、(ib)、(iib)および(iii)IRES、例えば、EMCVまたはEV71 IRESをコードする配列に操作性に連結する。ある態様において、(iii)は(ib)と(iib)の間に配置される。ある態様において、(ib)、(iib)および(iii)は単一RNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は(ib)−(iii)−(iib)である。ある態様において、核酸上の順番は(iib)−(iii)−(ib)である。

ある態様において、(ib)および(iib)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ib)および(iib)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(iib)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(ib)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

他の態様において、(ib)共刺激ECDメンバーをコードする配列および(iib)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は別の転写産物として転写され、単一核酸分子上に存在し、次のとおり構成される。 プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターは(ib)に操作性に連結し、第二プロモーター、例えば、ここに記載するプロモーターは、(iib)に操作性に連結できる。ある態様において、(ib)および(iib)は別のmRNAとして転写される。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(ib)−第二プロモーター−(iib)である。ある態様において、核酸上の順番は第一プロモーター−(iib)−第二プロモーター−(ib)である。ある態様において、第一プロモーターはここに記載するプロモーター、例えば、EF1アルファプロモーターである。ある態様において、第二プロモーターはここに記載するプロモーター、例えば、CMVまたはEF1プロモーターである。ある態様において、第二プロモーターは最小プロモーターである。

ある態様において、(ib)および(iib)は、細胞内スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(ib)および(iib)は、細胞外スイッチを有するRCARを形成する。

ある態様において、(iib)は、4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードする配列を含む。

ある態様において、(ib)は、共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4−1BBドメインをコードする配列を含む。

単一分子構築物の態様は、図22に記載のものを含む。

レンチウイルスベクター143774は、抗CD19 scFv/CD8 TM/FKBPスイッチドメイン、EV71 IRESおよびFRBスイッチドメイン/4−1BBドメイン/CD3ゼータスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーターを含む。

レンチウイルスベクター143775は、抗CD19 scFv/CD8 TM/FKBPスイッチドメイン、EMCV IRESおよびFRBスイッチドメイン/4−1BBドメイン/CD3ゼータスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーターを含む。

レンチウイルスベクター143776は、抗CD19 scFv/CD8 TM/FKBPスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーター;およびFRBスイッチドメイン/4−1BBドメイン/CD3ゼータスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したCMV最小プロモーターを含む。

レンチウイルスベクター143777は、抗CD19 scFv/CD8 TM/FKBPスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーター;およびFRBスイッチドメイン/4−1BBドメイン/CD3ゼータスイッチドメインをコードする配列に操作性に連結したEF1最小プロモーターを含む。

ある態様において、哺乳動物T細胞でRCAR導入遺伝子を発現できるプロモーターはEF1アルファプロモーター(EFlα)である。天然のEF1αプロモーターは、アミノアシルtRNAのリボソームへの酵素送達を担う、伸長因子−1複合体のアルファサブユニットの発現を駆動する。EF1αプロモーターは哺乳動物発現プラスミドで使用されており、レンチウイルスベクターからクローン化された導入遺伝子からのRCAR発現の駆動に有効であることが示されている。例えば、Milone et al., Mol. Ther. 17(8):1453-1464 (2009)参照。ある態様において、EF1αプロモーターは、配列番号140として提供する配列を含む。

RCARポリペプチドまたはその一部の発現を評価するために、細胞に導入するベクターはまた、ウイルスベクターによる遺伝子導入または感染が探索されている細胞の集団から、発現細胞を同定し、選択することを容易にするために、選択可能マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子または両者も含み得る。ある態様において、選択可能マーカーは、別のDNAの一部で運搬され、共遺伝子導入手順で使用され得る。有用な選択可能マーカーは、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子を含む。

レポーター遺伝子を、遺伝子導入された可能性のある細胞の同定および制御配列の機能性の評価のために使用する。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物または組織に存在せず、またはこれらにより発現されず、ある容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性により発現が顕在化するポリペプチドをコードする、遺伝子である。レポーター遺伝子の発現を、レシピエント細胞にDNAが導入された後適当な時にアッセイする。適当なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼまたは緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479:79-82)。適当な発現系は知られ、既知技術を使用して製造できるかまたは商業的に得られる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小5’フランキング領域を有する構築物を、プロモーターとして同定する。このようなプロモーター領域をレポーター遺伝子と連結し、プロモーター駆動転写を調節する薬剤の能力の評価に使用し得る。

細胞に遺伝子を導入し、発現させる方法は当分野で知られる。発現ベクターとの関連で、該ベクターは、当分野における任意の方法により宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母または昆虫細胞に容易に導入できる。例えば、発現ベクターを、物理的、化学的または生物学的手段により宿主細胞に導入できる。

ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクターおよび/または外来核酸を含む細胞を産生する方法は当分野で周知である。例えば、Sambrook et al., 2012, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, volumes 1-4, Cold Spring Harbor Press, NY参照。

ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法は、上記DNAおよびRNAベクターの使用を含む。宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する化学的手段は巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズならびに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系のようなコロイド分散系を含む。インビトロおよびインビボで送達媒体として使用される代表的コロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的化ナノ粒子または他の適当なサブミクロンサイズの送達系でのポリヌクレオチドの送達のような、最新式の核酸標的化送達の他の方法が利用可能である。

ある態様において、mRNAを、非ウイルス送達系で細胞または患者に導入でき、患者に直接注入する。非ウイルス送達系を利用する場合、代表的送達媒体はリポソームである。脂質製剤の使用が、核酸の宿主細胞への導入(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)のために企図される。ある態様において、核酸は脂質と結合し得る。脂質と結合する核酸を、リポソームの水性内部に封入し、リポソームの脂質二重層内に点在させ、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両者と結合した連結分子を介してリポソームに結合し、リポソーム内に捕捉され、リポソームと複合体化し、脂質を含む溶液内に分散し、脂質と混合し、脂質と合わせ、脂質における懸濁液として包含させ、ミセルに包含させまたは複合体化させまたは他に脂質と結合させることができる。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中の何らかの特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造で、ミセルとしてまたは“崩壊”構造で存在し得る。また、単に溶液中に分散し、恐らくサイズまたは形が均一ではない凝集体を形成していてよい。脂質は、天然に存在するまたは合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質は、細胞質で自然に生じる脂肪滴ならびに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコールおよびアルデヒドのような長鎖脂肪族炭化水素を有する化合物群およびそれらの誘導体を含む。

使用に適する脂質は業者から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(“DMPC”)はSigma, St. Louis, MOから得ることができ、リン酸ジセチル(“DCP”)はK & K Laboratories(Plainview, NY)から得ることができ、コレステロール(“Choi”)はCalbiochem-Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(“DMPG”)および他の脂質はAvanti Polar Lipids, Inc.(Birmingham, AL.)から得られ得る。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質の保存溶液は、約−20℃で保存できる。クロロホルムを、メタノールよりもはるかに容易に蒸発するため、唯一の溶媒として使用する。“リポソーム”は、封入された脂質二重層または凝集体の産生により形成される多様な単および多重膜脂質媒体を包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を有する小胞構造を有するとして特徴づけることができる。多重膜リポソームは、水性媒体により分離された複数脂質層を有する。リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されたとき、自然に形成される。脂質成分は、自己再編成を受け、その後閉構造を形成し、脂質二重層間に水を捕捉し、溶質を溶解する(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5:505-10)。しかしながら、溶液で通常の小胞構造と異なる構造を取る組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造または単に脂質分子の不均一性凝集体として存在することが想定され得る。また考慮されるのは、リポフェクタミン−核酸複合体である。

RCAR成分は、1個以上の核酸分子上にコードされ得る。代表的核酸分子は、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターなどを含む。ある態様において、成分は、単一核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターなどに提供され、または1個を超える核酸分子、例えば、ウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターなどに配置され得る。

下記表6〜11は、RCAR上の二量体化スイッチの代表的配置を提供する。

核酸ベースの阻害剤 二本鎖RNA(DSRNA) 標的遺伝子、例えば、阻害分子遺伝子の発現の減少に有用な核酸ベースの阻害剤は、shRNAのようなdsRNAを含む。理論に縛られることを望まないが、dsRNAはRNAi機構により作用すると考えられる。RNAiは、短干渉RNA(siRNA)が介在する動物における配列特異的転写後遺伝子サイレンシングの過程である。ここで使用するdsRNAはsiRNAおよびshRNAを含む。

dsRNAは化学的に合成しても、ベクターから発現させても、または酵素的に合成してもよい。dsRNAは非修飾であるかまたは、例えば、RNAとして投与されるdsRNAの場合、化学修飾されてもよい。酵素的に合成されたdsRNAは、インビボでのヌクレアーゼ分解に対する抵抗性増加および/または細胞取り込み改善を介するような、天然のdsRNA分子の種々の特性が改善されるように化学的修飾され得る。

dsRNAターゲティング核酸は、ここでは、siRNAまたはRNA分子の一方と呼ぶ、2個の別のRNA分子からなり、これは折りたたまれて、shRNAと呼ばれるヘアピン構造を形成する。ある態様において、標的遺伝子の発現阻害に適当なdsRNAは、アデノウイルスまたはレンチウイルスsiRNAライブラリーのようなsiRNAライブラリーのスクリーニングにより同定できる。dsRNA、例えば、shRNAは、RNAとしてまたはdsRNA、例えば、shRNAを提供するように転写されるDNAの形で細胞に提供できる。dsRNA遺伝子、例えば、shRNA遺伝子は、ベクター、例えば、レンチウイルスまたはアデノウイルスベクターのようなウイルスベクターから発現できる。dsRNA、例えば、shRNAは、ポリメラーゼIIIプロモーター、例えばU6またはH1プロモーターまたはポリメラーゼIIプロモーターにより発現できる。shRNAは、スタッファーまたはリンカーフラグメントで離され、RNA分子がそれ自体に折りたたまれて戻り、ヘアピンループを有するdsRNA分子を作るのを可能にする、一本鎖RNAおよびその相補体の配列をコードするDNA構築物から細胞で発現される。理論に縛られることを望まないが、shRNAをコードするDNA配列から発現されるshRNAは、DicerによりsiRNAに処理され、これは、RNAi経路に沿って、RISCから標的遺伝子のサイレン酢まで続く。

ある態様において、阻害剤は、約15〜約30塩基対長(例えば、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29塩基対長)である二本鎖領域を含む、dsRNA、例えば、shRNAである。ある態様において、阻害剤は、約15〜約30塩基対長(例えば、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29塩基対長)である二本鎖領域を含む、shRNAである。ある態様において、dsRNAは、約1〜約3(例えば、約1、2または3)ヌクレオチドの突出末端を含む。“突出”は、dsRNAの一つの鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて伸びているまたはその逆を意味する。dsRNAは、dsRNA分子の一端または両端に突出を有し得る。ある態様において、一本鎖突出は、アンチセンス鎖の3’末端に存在するか、あるいは、センス鎖の3‘末端に存在する。ある態様において、突出はTTまたはUUジヌクレオチド突出、例えば、TTまたはUUジヌクレオチド突出である。例えば、ある態様において、dsRNAは21−ヌクレオチドアンチセンス鎖、19塩基対二本鎖領域および3’末端ジヌクレオチドを含む。さらに他の態様において、dsRNAは、両端が平滑であるかあるいは一方の末端が平滑である、二本鎖核酸を含む。

ある態様において、shRNAは、細胞内プロセシング(例えば、Dicerによる)後、2ヌクレオチド3’オーバーハングを伴う19〜23ヌクレオチド二本鎖siRNAを生じる。

ある態様において、dsRNA、例えば、shRNAは、第一および第二配列を含み、各配列は約18〜約28ヌクレオチド長、例えば、約19〜約23ヌクレオチド長であり、ここで、dsRNAの該第一配列は、dsRNAがRNA干渉により標的の開裂を指示するために標的RNAに十分な相補性を有するヌクレオチド配列であり、dsRNAの第二配列は、第一鎖に相補性であるヌクレオチド配列を含む。

ある態様において、dsRNAは、二本鎖領域を形成する第一および第二配列を含み、ここで、二本鎖領域の各配列は約18〜約28ヌクレオチド長、例えば、約19〜約23ヌクレオチド長である。hsRNAの第一配列は、hsRNAがRNA干渉により標的の開裂を指示するために標的RNAに十分な相補性を有するヌクレオチド配列であり、hsRNAの第二鎖は、第一鎖に相補性であるヌクレオチド配列を含む。

ある態様において、dsRNA(例えば、shRNAの二本鎖領域の配列または鎖)は、標的遺伝子またはその一部のヌクレオチド配列と相補性であるヌクレオチド配列を有するアンチセンス配列および標的遺伝子またはその一部のヌクレオチド配列と実質的に類似するヌクレオチド配列を有するセンス配列を含む。ある態様において、アンチセンス配列およびセンス配列は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30)ヌクレオチドを含み、ここで、アンチセンス配列は、センス配列のヌクレオチドと相補性である約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30)ヌクレオチド含む。

ある態様において、dsRNAはRNAとして提供され(転写されてdsRNAを提供するDNAとしてではない)、1個以上の化学修飾を含む。このような化学修飾の非限定的例は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、“ユニバーサル塩基”ヌクレオチド、“非環式”ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチドおよび末端グリセリルおよび/または逆デオキシ脱塩基残基取り込みを含むが、これらに限定されない。このような化学修飾は、細胞におけるRNAi活性を保持し、同時に、これらの化合物の血清安定性を劇的に増加させることが示されている。さらに、1個以上のホスホロチオエート置換は十分に耐容性であり、修飾dsRNA構築物の血清安定性の相当な増加に寄与することが示されている。dsRNAは、分子に存在するヌクレオチドの総数のパーセンテージとして修飾ヌクレオチドを含み得る。つまり、dsRNAは、一般に約5%〜約100%修飾ヌクレオチド(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%修飾ヌクレオチド)を含む。

アンチセンス 適当な核酸ベースの阻害剤は、アンチセンス核酸を含む。理論に縛られないが、アンチセンス阻害は、概して少なくとも1個の鎖またはセグメントが開裂され、分解され、または他に操作不能であるように、オリゴヌクレオチド鎖またはセグメントの水素結合ベースのハイブリダイゼーションに基づく。

アンチセンス剤は、dsRNAで適すると上に記載した化学修飾を有し得る。

アンチセンス剤は、例えば、約8〜約80核酸塩基(すなわち、約8〜約80ヌクレオチド)、例えば、約8〜約50核酸塩基または約12〜約30核酸塩基を含み得る。アンチセンス化合物はリボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド(オリゴザイム)および標的核酸とハイブリダイズし、その発現を修飾する他の短触媒的RNAまたは触媒的オリゴヌクレオチドを含む。抗センス化合物は、標的遺伝子における配列と相補性である一続きの少なくとも8連続核酸塩基を含み得る。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸配列と100%相補性である必要はない。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的への結合が標的分子の正常機能を妨害し、有用性の喪失を引き起こすとき特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的結合が望まれる条件下、すなわち、インビボアッセイまたは治療的処置の場合生理学的条件下、またはインビトロアッセイの場合、アッセイを実施する条件下、オリゴヌクレオチドの非標的配列への非特異的結合を避けるのに十分な程度の相補性がある。

理論に縛られないが、mRNAの妨害すべき機能は、例えば、RNAのタンパク質翻訳の部位への転位、RNAからのタンパク質翻訳、1個以上のmRNA種を生じるためのRNAのスプライシングおよびRNAにより従事され得る触媒的活性のような、全ての重要な機能を含む。特異的タンパク質のRNAへの結合は、RNAへのアンチセンスオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションによっても妨害し得る。

配列同一性 2個以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈での同一性パーセントは、同じである2個以上の配列をいう。2個の配列が、次の配列比較アルゴリズムの一つを使用して、比較ウィンドウまたは指定領域にわたり比較し、最大一致のために配列したとき、または手動アラインメントおよび目視検査により、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドを特定のパーセンテージ(すなわち、特定の領域、または、特定されていないとき、例えば、比較配列の短い方の、全配列をとおして60%同一性、所望により70%、71%。72%。73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一性)有するならば、2個の配列は“実質的に同一”である。所望により、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド(または10アミノ酸)長である領域にわたりまたはより好ましくは100〜500または1000またはそれ以上のヌクレオチド(または20、50、200またはそれ以上のアミノ酸)長である領域にわたり存在する。

配列比較のために、概して一つの配列が対照配列として作用し、それに対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および対照配列をコンピューターに入力し、必要であれば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用できまたは代替パラメータを指定できる。配列比較アルゴリズムは、その後、プログラムパラメータに基づき、対照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。比較のために配列をアラインメントする方法は当分野で知られる。比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith and Waterman, (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局地的相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch, (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman, (1988) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピューター制御履行(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または手動アラインメントおよび目視検査により(例えば、Brent et al., (2003) Current Protocols in Molecular Biology参照)、実施できる。

配列同一性パーセントおよび配列類似性の決定に適するアルゴリズムの二つの例はBLASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al., (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402;およびAltschul et al., (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから公的に利用可能である。

2個のアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Miller, (1988) Comput. Appl. Biosci. 4:11-17のアルゴリズムを使用して、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用しても決定できる。さらに、2個のアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comから利用可能)におけるGAPプログラムに取り込まれているNeedleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:444-453アルゴリズムを使用して、Blossom 62マトリクスまたはPAM250マトリクスおよびギャップ加重16、14、12、10、8、6または4および長さ加重1、2、3、4、5または6を使用しても決定できる。

ある態様において、本発明は、機能的に等価な分子を産生する抗原結合ドメイン(例えば、svFv)アミノ酸配列の修飾を企図する。例えば、RCARのscFvのVHまたはVLは、scFvの出発VHまたはVL配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一性を保持するように修飾できる。

ある態様において、核酸配列によりコードされるポリペプチド配列は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基での1個以上のアミノ酸残基の置き換え、すなわち、保存的置換により修飾する。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。

標的遺伝子、例えば、ここに記載する阻害分子遺伝子の発現を減少させるために有用な別法は、例えば、ここに記載するとおり、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を含む。

細胞の源 ある態様において、増殖および遺伝子修飾または他の修飾前に、細胞、例えば、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞の源を対象から得ることができる。用語“対象”は、免疫応答を誘発できる生存生物(例えば、哺乳動物)を含むことを意図する。対象の例はヒト、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびおよびそれらのトランスジェニック種を含む。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む、多数の源から得ることができる。

T細胞 ある態様において、細胞はT細胞である。当分野で入手可能なT細胞株を使用し得る。ある態様において、T細胞T細胞は、FicollTM分離のような当業者に知られる方法をいくらでも使用して、対象から採取した血液のユニットから得ることができる。ある態様において、個体の循環血からの細胞をアフェレシスにより得る。アフェレシス産物は、概してT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球および血小板を含む。ある態様において、アフェレシスにより採取した細胞を洗浄して血漿フラクションを除去し、細胞を次の処理工程のために適切な緩衝液または媒体に入れることができる。ある態様において、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄する。別の態様において、洗浄溶液はカルシウムを欠き、マグネシウムを欠いてよくまたは全てではないにしても多くの二価カチオンを欠いてよい。驚くべきことに、カルシウム非存在下の初期活性化工程は、シグナル活性化の増幅に至る。洗浄工程は、製造業者の指示に従う半自動化“フロースルー”遠心分離(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter CytoMateまたはHaemonetics Cell Saver 5)を使用するような当業者に知られる方法により達成し得る。洗浄後、細胞を、例えば、無Ca、無MgのPBS、PlasmaLyte Aまたは他の緩衝剤を含むもしくは含まない食塩水溶液のような、多様な生体適合性緩衝液に再懸濁し得る。あるいは、アフェレシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁し得る。

ある態様において、T細胞を、赤血球を溶解し、単球を、例えば、PERCOLLTM勾配を介する遠心分離または向流遠心水簸により枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離する。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+およびCD45RO+T細胞のようなT細胞の特定の亜集団を、陽性または陰性選択技術によりさらに単離できる。例えば、ある態様において、T細胞を、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tのような抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)結合ビーズと、所望のT細胞の陽性選択に十分な期間インキュベーションすることにより単離する。ある態様において、期間は約30分である。さらなる態様において、期間は30分〜36時間またはそれより長いおよびその間の全整数値である範囲である。さらなる態様において、期間は少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間である。さらに他の態様において、期間は10〜24時間である。ある態様において、インキュベーション期間は24時間である。白血病を有する患者からのT細胞の単離のために、24時間のような長いインキュベーション時間の使用が細胞収率を上げ得る。長いインキュベーション時間を、腫瘍組織からの腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)の単離または免疫無防備状態個体からの単離のような、他の細胞型と比較してT細胞が少ない、あらゆる状況においてT細胞を単離するために使用し得る。さらに、長いインキュベーション時間の使用は、CD8+ T細胞の捕獲効率を上げ得る。それゆえに、T細胞をCD3/CD28ビーズと結合させる時間を単純に短くまたは長くすることによりおよび/またはビーズ対T細胞比(ここにさらに記載する)を増加または減少することにより、T細胞の亜集団を、培養開始時または処理中の他の時点に優先的に選択または排除できる。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比を増加または減少することにより、T細胞の亜集団を、培養開始時にまたは他の所望の時点で優先的に選択または排除できる。当業者は、複数回の選択も使用できることを認識する。ある面において、選択手順を使用し、活性化および増殖過程において“未選択”細胞を使用することが望ましいことがある。“未選択”細胞もまたさらなる選択に付し得る。

陰性選択によるT細胞集団の富化は、陰性に選択した細胞に特有の表面マーカーを指向する抗体の組み合わせにより達成できる。一つの方法は、陰性に選択した細胞上に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫粘着またはフローサイトメトリーを介する細胞選別および/または選択である。例えば、陰性選択によりCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、概してCD14、CD20、CD11b、CD16、HLA−DRおよびCD8に対する抗体を含む。ある態様において、概してCD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+およびFoxP3+を発現する制御性T細胞を富化するまたは陽性に選択することが望ましいことがある。あるいは、ある態様において、T制御性細胞を、抗C25結合ビーズまたは他の類似選択法により枯渇させる。

陽性または陰性選択により所望の細胞集団を単離するために、細胞および表面(例えば、ビーズのような粒子)の濃度は変わり得る。ある態様において、細胞とビーズの最大の接触を確実にするために、ビーズと細胞を混ぜ合わせる体積を顕著に低下させる(例えば、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましいことがある。ある態様において、20億細胞/mlの濃度を使用する。ある態様において、10億細胞/mlを使用する。さらなる態様において、1億細胞/ml超を使用する。さらなる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞濃度を使用する。さらに別の態様において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億細胞/mlの細胞の濃度を使用する。さらなる態様において、1億2500万または1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。高濃度の使用は細胞収率、細胞活性化および細胞増殖の増加をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞のような興味ある標的抗原を弱く発現し得る細胞の、または多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)からの細胞の、より効率的な捕獲を可能とする。このような細胞の集団は治療価値を有し得て、得ることが望まれる。例えば、高い細胞濃度の使用は、通常CD28発現が弱いCD8+ T細胞のより効率的な選択を可能とする。

関連する態様において、細胞の低濃度を使用することが望ましいことがある。T細胞と表面(例えば、ビーズのような粒子)の混合物を顕著に希釈することにより、粒子と細胞の相互作用が最小化される。粒子に結合する所望の抗原を高量発現する細胞でこれを選択する。例えば、CD4+ T細胞は、高レベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+ T細胞よりも効率的に捕獲される。ある態様において、5×106/mlである。他の態様において、使用する濃度は約1×105/ml〜1×106/mlおよびその間の任意の整数値であり得る。他の態様において、細胞を、種々の長さの時間、種々の速度で、2〜10℃または室温で、回転子上でインキュベートし得る。

刺激用T細胞はまた洗浄工程後凍結し得る。理論に縛られることを望まないが、凍結と続く解凍工程は、細胞集団中の顆粒球をおよびある程度の単球を除去することにより、より均一な産物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程後、細胞を凍結溶液に懸濁し得る。多くの凍結溶液およびパラメータが当分野で知られ、この状況で有用であるが、一つの方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含むPBSまたは10%デキストラン40および5%デキストロースを含む、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSOを含む、または31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロースを含む、または20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSOを含む培養培地または例えば、HespanおよびPlasmaLyte Aを含む、他の適当な細胞凍結媒体の使用を含み、次いで細胞を、−80℃で1°/分の速度で凍結させ、液体窒素貯蔵タンクの気相に貯蔵する。制御凍結の他の方法ならびに即時に−20℃でのまたは液体窒素中の未制御凍結を使用できる。

ある態様において、凍結保存細胞をここに記載するとおり回答および洗浄して、ここに記載する方法を使用する活性化の前に1時間、室温で休息させる。

ある態様において、血液サンプルまたはアフェレシス産物の対象からの採取を、ここに記載した拡大させた細胞が必要となる前の時点で行う。つまり、拡大させる細胞の源を必要なあらゆる時点で採取し、T細胞のような所望の細胞を、例えば、T細胞療法のために、そのようなT細胞療法から利益を得るであろう様々な疾患または状態のためにその後使用するために、単離および凍結できる。ある態様において、血液サンプルまたはまたはアフェレシスを、一般に健常な対象から採る。ある態様において、血液サンプルまたはアフェレシスを、疾患を発症するリスクがあるが、疾患をまだ発症していない一般に健常な対象から採り、興味ある細胞をその後の使用のために単離し、凍結する。ある態様において、T細胞を増殖させ、凍結し、後に使用し得る。ある態様において、サンプルを、ここに記載する特定の疾患と診断された直ぐ後に、しかし処置前に患者から単離する。さらなる態様において、細胞を、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸およびFK506のような免疫抑制性剤、抗体または他のCAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228および照射のような他の免疫除去剤のような手段での処置を含むが、これらに限定されない、任意の数の適切な処置モダリティーの前に、対象からの血液サンプルまたはアフェレシスから単離する。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または増殖因子誘発シグナル伝達(ラパマイシン)に重要なp70S6キナーゼを阻害する(Liu et al., Cell 66:807-815, 1991; Henderson et al., Immun. 73:316-321, 1991; Bierer et al., Curr. Opin. Immun. 5:763-773, 1993)。さらなる態様において、細胞を患者から単離し、骨髄または幹細胞移植、フルダラビンのような化学療法剤、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミドまたはOKT3またはCAMPATHのような抗体を使用するT細胞除去療法と組み合わせた(例えば、前、同時または後)その後の使用のために凍結する。ある態様において細胞を前もって単離し、その後の、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンのようなB細胞除去療法後の処置のために凍結できる。

さらなる態様において、T細胞を、対象に機能的T細胞を残す処置後、患者から直接得る。これに関して、ある種の癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、処置の直ぐ後に、患者が通常処置から回復段階にある期間に、得られたT細胞の品質は、恐らくエクスビボで拡大する能力が最適であるかまたは改善していることが観察された。同様に、ここに記載する方法を使用したエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着およびインビボ増殖の強化に好ましい状態であり得る。それゆえに、本発明の状況において、T細胞、樹状細胞または造血液細胞系譜の他の細胞を含む血液細胞をこの回復期の間に採取することが意図される。さらに、ある態様において、可動化(例えば、GM−CSFでの可動化)および前処置レジメンを使用して、特に治療後定義された時間枠の間、対象における特定の細胞型の再増殖、再循環、再生および/または増殖に好都合である条件を作ることができる。

同種CAR ここに記載する態様において、免疫エフェクター細胞は同種免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞であり得る。例えば、細胞は、同種T細胞、例えば、機能的T細胞受容体(TCR)および/またはヒト白血球抗原(HLA)、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIの発現を欠く同種T細胞であり得る。

機能的TCRを欠くT細胞は、例えば、その表面に機能的TCRを何も発現しないように操作されるか、機能的TCRを含む1個以上のサブユニットを発現しないように操作されるかまたはその表面にごくわずかな機能的TCRしか産生しないように操作され得る。あるいは、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットの1個以上の変異型または切断型の発現により、実質的に障害されたTCRを発現できる。用語“実質的に障害されたTCR”は、このTCRが、宿主に有害免疫反応を誘発しないことを意味する。

ここに記載するT細胞は、例えば、その表面に機能的HLAを発現しないように操作できる。例えば、ここに記載するT細胞は、細胞表面発現HLA、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIが下方制御されるように操作される。

ある態様において、T細胞は、機能的TCRおよび機能的HLA、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIを欠き得る。

機能的TCRおよび/またはHLAの発現を欠く修飾T細胞は、TCRまたはHLAの1個以上のサブユニットのノックアウトまたはノックダウンを含む、あらゆる適当な手段により得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用する、TCRおよび/またはHLAのノックダウンを含み得る。ある態様において、同種細胞は、例えばここに記載するいずれかの方法により、阻害分子を発現しないまたは低レベルで発現する細胞である。例えば、細胞は、例えば、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を低下させ得る、阻害分子を発現しないまたは低レベルで発現する細胞である。阻害分子の例は、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRベータを含む。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害による阻害分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化できる。いくつかの態様において、例えば、ここに記載する、阻害核酸、例えば、阻害核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用できる。

TCRまたはHLAを阻害するためのsiRNAおよびshRNA ある態様において、TCR発現および/またはHLA発現を、T細胞におけるTCRおよび/またはHLAをコードする核酸を標的とするsiRNAまたはshRNAを使用して阻害できる。

T細胞におけるsiRNAおよびshRNAの発現は、例えば、レンチウイルス発現系のような、任意の慣用の発現系を使用して達成できる。

TCRの成分の発現を下方制御する代表的shRNAは、例えば、米国公開公報2012/0321667号に記載されている。HLAクラスIおよび/またはHLAクラスII遺伝子の発現を下方制御する代表的siRNAおよびshRNAは、例えば、米国公開公報2007/0036773号に記載されている。

TCRまたはHLAを阻害するためのCRISPR ここで使用する“CRISPR”または“TCRおよび/またはHLAに対するCRISPR”または“TCRおよび/またはHLAを阻害するためのCRISPR”は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートのセットまたはこのようなセットの反復を含む系をいう。ここで使用する“Cas”は、CRISPR関連タンパク質をいう。“CRISPR/Cas”系は、TCRおよび/またはHLA遺伝子の発現抑制または変異に使用できるCRISPRおよびCas由来の系である。

天然に存在するCRISPR/Cas系は、配列決定された真正細菌ゲノムの約40%および配列決定された古細菌の90%で見られる。Grissa et al. (2007) BMC Bioinformatics 8:172。この系は、プラスミドおよびファージのような外来性遺伝成分に対する抵抗性を付与し、獲得免疫の一形態を提供する、原核生物免疫系の一タイプである。Barrangou et al. (2007) Science 315:1709-1712; Marragini et al. (2008) Science 322:1843-1845。

CRISPR/Cas系は、マウスまたは霊長類のような真核生物における遺伝子編集(特異的遺伝子のサイレンシング、促進または変更)に使用するために修飾されている。Wiedenheft et al. (2012) Nature 482:331-8。これは、真核細胞に、特別に設計されたCRISPRおよび1個以上の適切なCasを含むプラスミドを導入することにより達成される。

CRISPR座位と呼ばれることもあるCRISPR配列は、交互の反復およびスペーサーを含む。天然に存在するCRISPRにおいて、スペーサーは、通常プラスミドまたはファージ配列のような細菌に外来性の配列を含み、TCRおよび/またはHLA CRISPR/Cas系において、スペーサーはTCRまたはHLA遺伝子配列に由来する。

CRISPR座位からのRNAは、構成的に発現され、Casタンパク質により小RNAに加工される。これらは、反復配列が隣接したスペーサーを含む。RNAは、他のCasタンパク質が、RNAまたはDNAレベルで外来性遺伝成分を発現抑制するよう導く。Horvath et al. (2010) Science 327:167-170; Makarova et al. (2006) Biology Direct 1:7。スペーサーは、それゆえに、siRNAと類似して、RNA分子の鋳型として働く。Pennisi (2013) Science 341:833-836。

これらが多くの異なるタイプの細菌で天然に存在するため、CRISPRの正確な配置ならびにCas遺伝子およびその産物の構造、機能および数は種毎にいくぶん異なる。Haft et al. (2005) PLoS Comput. Biol. 1: e60; Kunin et al. (2007) Genome Biol. 8: R61; Mojica et al. (2005) J. Mol. Evol. 60: 174-182; Bolotin et al. (2005) Microbiol. 151: 2551-2561; Pourcel et al. (2005) Microbiol. 151: 653-663;およびStern et al. (2010) Trends. Genet. 28: 335-340。例えば、Cse(Casサブタイプ、大腸菌)タンパク質(例えば、CasA)は機能的複合体であるCascadeを形成し、これは、CRISPR RNA転写物を、Cascadeを保持するスペーサー反復単位に加工する。Brouns et al. (2008) Science 321:960-964。他の原核生物において、Cas6はCRISPR転写物を処理する。大腸菌におけるCRISPRベースのファージ不活性化はCascadeおよびCas3を必要とするが、Cas1またはCas2はひつようとしない。パイロコッカス・フリオサスおよび他の原核生物におけるCmr(Cas RAMPモジュール)タンパク質は、小CRISPR RNAと機能的複合体を形成し、これは相補的標的RNAを認識し、切断する。より単純なCRISPR系はタンパク質Cas9に依存し、これは、二重らせんの各鎖それぞれに対する2個の活性切断部位を有するヌクレアーゼである。Cas9と修飾CRISPR座位RNAの組み合わせは、遺伝子編集のための系において使用できる。Pennisi (2013) Science 341:833-836。

CRISPR/Cas系は、それゆえに、TCRおよび/またはHLA遺伝子の編集(塩基対の付加または除去)または未成熟終止の導入に使用でき、こうしてTCRおよび/またはHLAの発現を減少させる。CRISPR/Cas系は、あるいはRNA干渉のように使用でき、可逆性様式でTCRおよび/またはHLA遺伝子を遮断する。哺乳動物細胞において、例えば、RNAは、Casタンパク質をTCRおよび/またはHLプロモーターに誘導し、RNAポリメラーゼを立体的に遮断できる。

当分野で知られるテクノロジー、例えば、米国公開公報20140068797号に記載のものを使用して、TCRおよび/またはHLAを阻害する人工CRISPR/Cas系を産生できる。

TCRおよび/またはHLAを阻害するためのTALEN “TALEN”または“HLAおよび/またはTCRに対するTALEN”または“HLAおよび/またはTCRを阻害するためのTALEN”は、HLA遺伝子および/またはTCR遺伝子の編集に使用できる人工ヌクレアーゼである転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼをいう。

TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインのDNA切断ドメインへの融合により人為的に産生される。転写アクティベーター様効果(TALE)は、HLA遺伝子またはTCR遺伝子の一部を含む任意の所望のDNA配列と結合するよう操作できる。操作したTALEとDNA切断ドメインを合わせることにより、HLAまたはTCR配列を含む、任意の所望のDNA配列に特異的な制限酵素が産生できる。次いで、これらを細胞に導入でき、ここで、それらをゲノム編集のために使用できる。Boch (2011) Nature Biotech. 29:135-6;およびBoch et al. (2009) Science 326:1509-12; Moscou et al. (2009) Science 326:3501。

TALEは、キサントモナス細菌により分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、反復した、12番目および13番目のアミノ酸以外、高度に保存された33〜34アミノ酸配列を含む。これらの2箇所は高度に可変であり、特定のヌクレオチド認識と強い相関を示す。こうして、これらを所望のDNA配列と結合するように操作できる。

TALENを産生するために、TALEタンパク質を、野生型または変異FokIエンドヌクレアーゼであるヌクレアーゼ(N)と融合させる。FokIの数個の変異がTALENにおけるその使用のために行われており、これらは、例えば、切断特異性または活性を改善する。Cermak et al. (2011) Nucl. Acids Res. 39: e82; Miller et al. (2011) Nature Biotech. 29: 143-8; Hockemeyer et al. (2011) Nature Biotech. 29: 731-734; Wood et al. (2011) Science 333: 307; Doyon et al. (2010) Nature Methods 8: 74-79; Szczepek et al. (2007) Nature Biotech. 25: 786-793;およびGuo et al. (2010) J. Mol. Biol. 200: 96。

FokIドメインは二量体として機能し、正確な配向および間隔を有する標的ゲノム内の部位のための独特のDNA結合ドメインを有する2個の構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokI切断ドメインの間のアミノ酸残基数および2個の個々のTALEN結合部位間の塩基数の両者が、高レベルの活性を達成するための重要なパラメータであると考えられる。Miller et al. (2011) Nature Biotech. 29:143-8。

HLAまたはTCR TALENは、二本鎖切断(DSB)を産生するために細胞内で使用できる。修復機構が、非相同末端連結により切断を不適切に修復するならば、切断部位に変異を導入できる。例えば、不適当な修復は、フレームシフト変異を導入し得る。あるいは、外来DNAを、TALENと共に細胞に導入でき、外来DNAの配列および染色体配列によって、この過程を、HLA遺伝子またはTCR遺伝子における欠損を矯正するかまたはwt HLA遺伝子またはTCR遺伝子へこのような欠損を導入し、そうしてHLAまたはTCRの発現を減少させるのに使用できる。

HLAまたはTCRにおける配列に特異的なTALENを、モジュラー成分を使用する多様なスキームを含む、当分野で知られる任意の方法を使用して構築できる。Zhang et al. (2011) Nature Biotech. 29:149-53; Geibler et al. (2011) PLoS ONE 6:e19509。

HLAおよび/またはTCRを阻害するための亜鉛フィンガーヌクレアーゼ “ZFN”または“亜鉛フィンガーヌクレアーゼ”または“HLAおよび/またはTCRに対するZFN”または“HLAおよび/またはTCRを阻害するためのZFN”は、HLA遺伝子および/またはTCR遺伝子の編集に使用できる人工ヌクレアーゼである亜鉛フィンガーヌクレアーゼである。

TALENと同様、ZFNは、DNA結合ドメインに融合したFokIヌクレアーゼドメイン(またはその誘導体)を含む。ZFNの場合、DNA結合ドメインは、1個以上の亜鉛フィンガーを含む。Carroll et al. (2011) Genetics Society of America 188: 773-782;およびKim et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 1156-1160。

亜鉛フィンガーは、1個以上の亜鉛イオンにより安定化された小タンパク質構造モチーフである。亜鉛フィンガーは、例えば、Cys2His2を含み、約3bp配列を認識できる。既知特異性の多様な亜鉛フィンガーを組み合わせて、約6bp、9bp、12bp、15bpまたは18bp配列を認識する多フィンガーポリペプチドを産生できる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッド系、細菌ワンハイブリッドおよびツーハイブリッド系および哺乳動物細胞を含む、特異的配列を認識する亜鉛フィンガー(およびこれらの組み合わせ)を産生する多様な選択およびモジュラー組立技術が入手可能である。

TALENと同様、ZFNは、DNAを切断するために二量体化しなければならない。それゆえに、非パリンドロームDNA部位を標的とするためにZFNの対が必要である。2個の個々のZFNは、適切な間隔のそれらのヌクレアーゼにより、DNAの逆鎖に結合するはずである。Bitinaite et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:10570-5。

またTALENと同様、ZFNはDNAに二本鎖切断を作ることができ、これは、不適切に修復されたらフレームシフト変異を作り、細胞におけるHLAおよび/またはTCRの発現および量を減少させる。ZFNはまたHLA遺伝子またはTCR遺伝子を変異するための相同組換えと共に使用できる。

HLAおよび/またはTCRの配列に特異的なZFNは、当分野で知られる任意の方法を使用して構築できる。Cathomen et al. (2008) Mol. Ther. 16:1200-7;およびGuo et al. (2010) J. Mol. Biol. 400:96.

NK細胞 ある態様において、細胞はナチュラルキラー細胞である。これらの細胞を患者から単離できる。ある態様において、細胞は、ナチュラルキラー細胞の安定な細胞株、例えば、Conkwestから入手可能な安定な同種NK−92細胞株である。これらの安定なNK−92細胞株は、Gong et al (April 1994), Leukemia Macmillan Press, Ltd, 8: 652-658に記載され、本明細書に引用により包含させるEP1007630に開示された方法を使用して、得て、遺伝子導入し、培養したNK−92細胞に由来した。NK−92細胞株と類似する特性を有するNK細胞株も使用できる。ある態様において、個体の循環血からのNK細胞をアフェレシスにより得る。ある態様において、NK細胞をRCARを発現するように操作し、これらの操作したRCARN細胞を、NK細胞を単離した患者以外の患者の処置に使用できる。それゆえに、これらのRCARN細胞は、有害作用なしに複数患者に投与できる点で、“普遍的”細胞である。すなわち、NK細胞を、ある患者から単離し、RCARを発現するように操作し、それにより産生したRCARN細胞およびこれらのRCARN細胞を同じまたは異なる患者に投与できるというべきである。NK細胞、例えば、NK−92細胞はキラー阻害受容体を発現せず、それゆえに回避している癌細胞により不活性化され得ない。NK細胞(例えば、非ホジキンリンパ腫を有する患者からの末梢血単核細胞由来のNK−92細胞株または類似のNK細胞株)の単離方法および使用方法は記載されている(Zhang et al (2013) Retargeting NK-92 for anti-melanoma activity by a TCR-like single domain antibody; Immunol Cell Biol. 91: 615-624; Tonn et al. (2013) Treatment of patients with advanced cancer with the natural killer cell-line NK-92, Cytotherapy, 15: 1563-1570参照)。

NK−92細胞株は、CD56、CD2、CD7、CD1 la、CD28、CD45およびCD54表面マーカーを発現することが判明した。さらにCD1、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD14、CD 16、CD19、CD20、CD23およびCD34マーカーを提示しない。培養におけるNK−92細胞の増殖は組み換えインターロイキン2(rIL−2)依存性であり、10IU/mLほどの低用量が増殖維持に十分である。類似の特性を有するNK細胞株も使用できる。

NK−92細胞は、ウシ胎児血清(例えば、12 5%で、Sigma Chemical Co.,St Louis, MO)およびウマ血清(例えば、12.5%、(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO)添加富化アルファ最小必須培地(MEM、Sigma Chemical Co. St Louis,MO)のような培養培地で容易に維持できる。先ず、10Mヒドロコルチゾンが必要であるが、その後の継代で、ヒドロコルチゾンを省き得る。さらに、組み換えヒトIL−2(500U/mL、Chiron,Emeryville,CA)のようなIL−2が長期増殖に必要である。懸濁培養をこの方式で半週毎に培地を交換して維持したとき、細胞は約24時間の倍加時間を示す。

インビトロでNK−92細胞は広範な悪性標的細胞に対する溶解性活性を示す。これらは、急性および慢性リンパ芽球性および骨髄性白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫のような循環標的細胞ならびに前立腺癌、神経芽腫および乳癌細胞株のような固形腫瘍からの細胞由来の細胞株を含む。

他の免疫エフェクター細胞 他の態様において、免疫エフェクター細胞、例えば、B細胞、肥満細胞をいくらでも単離し、RCARを発現するように操作し得る。骨髄球性由来貪食細胞、NKT細胞またはγδT細胞。代表的免疫エフェクター細胞を図8に挙げる。

T細胞の活性化および拡張 ある態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。T細胞、例えば、米国特許6,352,694号;6,534,055号;6,905,680号;6,692,964号;5,858,358号;6,887,466号;6,905,681号;7,144,575号;7,067,318号;7,172,869号;7,232,566号;7,175,843号;5,883,223号;6,905,874号;6,797,514号;6,867,041号;および米国出願公開公報20060121005号に記載の方法を使用して、一般に活性化および増殖できる。

ある態様において、T細胞を、T細胞の表面上の共刺激分子を刺激する、CD3/TCR複合体関連シグナルおよびリガンドを刺激する薬剤が結合した表面と接触させることにより、増殖させ得る。T細胞において、共刺激分子は、共刺激リガンドと結合し、T細胞における共刺激応答を仲介する、T細胞上の結合パートナー、すなわち、MHCクラスI分子、例えば、CD28である。特に、T細胞集団を、ここに記載するように、例えば、表面上に固定化された抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントまたは抗CD2抗体と接触させることによるまたはカルシウムイオノフォアと合わせたタンパク質キナーゼCアクティベーター(例えば、ブリオスタチン)と接触させることにより刺激し得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子(例えば、CD3)の刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドを使用する。T細胞の集団を、T細胞の刺激性増殖に適する条件下、抗CD3抗体および抗CD28抗体で増殖できる。CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用する。抗CD28抗体の例は9.3、B−T3、XR−CD28を含む(Diaclone, Besancon, France(Berg et al., Transplant Proc. 30(8):3975-3977, 1998; Haanen et al., J. Exp. Med. 190(9):13191328, 1999; Garland et al., J. Immunol Meth. 227(1-2):53-63, 1999)。

ある態様において、T細胞のための一次活性化シグナルおよび共刺激シグナルは、異なるプロトコールにより提供され得る。例えば、例えば、各シグナルを提供する薬剤は溶液中にあるかまたは表面に結合する。表面に結合するとき、これらの薬剤は、同じ表面(すなわち、“cis”形態)または別の表面(すなわち、“trans”形態)に結合し得る。あるいは、一方の薬剤が表面に結合し、他方の薬剤が溶液中にあってよい。ある態様において、共刺激シグナルを提供する薬剤が細胞表面に結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤が溶液中にあるかまたは表面に結合する。ある態様において、いずれの薬剤も溶液中にあり得る。一つの面において、薬剤は可溶性形態であってよく、そうしてFc受容体または抗体または薬剤に結合するであろう他の結合剤を発現する細胞のような表面と架橋する。これに関して、例えば、例えば、T細胞の活性化および増殖への使用が考慮される、人工抗原提示細胞(aAPC)について、米国特許出願公開20040101519号および20060034810号を参照。

ある態様において、2個の薬剤は、ビーズに、同じビーズに、すなわち、“cis”にまたは別のビーズに、すなわち、“trans”に固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する薬剤は抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントであり、共刺激シグナルを提供する薬剤は抗CD28抗体またはその抗原結合フラグメントであり、両薬剤が、当分子量で同じビーズに共固定化される。ある態様において、CD4+ T細胞増殖およびT細胞増殖のためのビーズに結合した各抗体の1:1比を使用する。ある態様において、ビーズに結合した抗CD3:CD28抗体の比は、1:1比の使用で見られる増殖と比較して、T細胞増殖の増加が見られるように使用する。ある態様において、1:1の比を使用して見られる増殖と比較して、約1〜約3倍の増加が観察される。ある態様において、ビーズに結合したCD3:CD28抗体の比は、100:1〜1:100およびその間の全整数値の範囲である。ある態様において、抗CD3抗体より多い抗CD28抗体が粒子に結合しており、すなわち、CD3:CD28の比は1未満である。ある態様において、ビーズに結合した抗CD28抗体対抗CD3抗体の比は2:1より大きい。ある態様において、ビーズに結合した1:100 CD3:CD28比の抗体を使用する。ある態様において、ビーズに結合した1:75 CD3:CD28比の抗体を使用する。さらなる態様において、ビーズに結合した1:50 CD3:CD28比の抗体を使用する。ある態様において、ビーズに結合した1:30 CD3:CD28比の抗体を使用する。ある態様において、ビーズに結合した1:10 CD3:CD28比の抗体を使用する。他の態様において、ビーズに結合した1:3 CD3:CD28比の抗体を使用する。さらに他の態様においてビーズに結合した3:1 CD3:CD28比の抗体を使用する。

1:500〜500:1およびその間の任意の整数値の粒子対細胞比を使用して、T細胞または他の標的細胞を刺激できる。当業者は容易に認識できるように、粒子対細胞の比は、標的細胞に対する粒子径に依存し得る。例えば、小型ビーズは数個の細胞しか結合できないが、大型ビーズは多数結合できる。ある態様において、粒子対細胞の比は、1:100〜100:1およびその間の任意の整数値の範囲であり、さらなる態様において該比は1:9〜9:1を含み、その間の任意の整数値もT細胞の刺激に使用できる。T細胞刺激をもたらす抗CD3および抗CD28結合粒子対T細胞の比は上記のとおり変わり得るが、しかしながらある好ましい値は1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1および15:1を含み、一つの好ましい比は、少なくとも1:1粒子対T細胞である。ある態様において、1:1以下の粒子対細胞の比を使用する。ある特定の態様において、好ましい粒子:細胞比は1:5である。さらなる態様において、粒子対細胞の比は、刺激の日により変わり得る。例えば、ある態様において、粒子対細胞の比は、一日目は1:1〜10:1であり、1:1〜1:10の最終比まで、さらなる粒子を、その後10日目まで連日または隔日に細胞に添加する(添加日の細胞数に基づく)。ある特定の態様において、粒子対細胞の比は、刺激一日目は1:1であり、刺激3日目および4日目に1:5に調節する。ある態様において、粒子を、刺激一日目の1:1から3日目および4日目1:5の最終比まで、連日または隔日で添加する。ある態様において、粒子対細胞の比は、刺激一日目に2:1であり、刺激3日目および4日目は1:10である。ある態様において、粒子を、一日目の1:1から刺激3日目および4日目の1:10の最終比まで、連日または隔日で添加する。多様な他の比が、本発明における使用に適当であり得ることを当業者は認識する。特に、比は、粒子径ならびに細胞のサイズおよびタイプに依存する。ある態様において、使用するための最も典型的な比は、一日目の1:1、2:1および3:1の付近である。

さらなる態様において、細胞、例えば、T細胞を薬剤被覆ビーズと組み合わせ、ビーズと細胞を続いて離し、その後細胞を培養する。別の態様において、培養前に、薬剤被覆ビーズおよび細胞を離さず、一緒に培養する。さらなる態様において、ビーズおよび細胞を、磁力のような力の適用によりまず濃縮し、細胞表面マーカーのライゲーションを増加させ、それにより細胞刺激を誘発する。

例として、細胞表面タンパク質を、抗CD3および抗CD28が結合した常磁性ビーズ(3×28ビーズ)をT細胞と接触させることにより、ライゲートさせ得る。ある態様において、細胞(例えば、104〜109T細胞)およびビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M−450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ、1:1比) を緩衝液中、例えばPBS(カルシウムおよびマグネシウムのような二価カチオンを含まない)中で合わせる。再び、当業者は、任意の細胞濃度を使用し得ることを認識する。例えば、標的細胞はサンプルに非常に稀であり、サンプルの0.01%しか含まれないかもしれないし、全サンプル(すなわち、100%)が興味ある標的細胞で構成されているかもしれない。ある態様において、細胞と粒子の最大接触を確実にするために、粒子および細胞を混ぜ合わせる体積を顕著に減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましいことがある。例えば、ある態様において、約20億細胞/mlの濃度を使用する。ある態様において、1億細胞/ml超を使用する。さらなる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞の濃度を使用する。さらに別の態様において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億細胞/mlの細胞の濃度を使用する。さらなる態様において、1億2500万または1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。高濃度の使用は、細胞収率、細胞活性化および細胞増殖の増加をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞のような興味ある標的抗原を弱く発現し得る細胞のより効率的な捕獲を可能とする。このような細胞の集団は治療価値を有し得て、ある態様において得ることが望まれる。例えば、高細胞濃度を使用して、通常CD28発現が弱いCD8+ T細胞のより効率的な選択を可能とする。

ある態様において、混合物を数時間(約3時間)〜約14日またはその間に入る任意の整数値の時間単位、培養し得る。ある態様において、混合物を21日培養し得る。ある態様において、ビーズおよびT細胞を、約8日共培養する。ある態様において、ビーズおよびT細胞を2〜3日一緒に培養する。T細胞の培養時間を60日以上にできるように、数サイクルの刺激も望まれ得る。T細胞培養に適する条件は、適切な媒体(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX−vivo 15(Lonza))を含み、これは、血清(例えば、ウシ胎児またはヒト血清)、インターロイキン−2(IL−2)、インスリン、IFN−γ、IL−4、IL−7、GM−CSF、IL−10、IL−12、IL−15、TGF−βおよびTNF−αまたは当業者に知られる細胞増殖のための任意の他の添加物を含む、増殖および生存能に必要な因子を含み得る。細胞増殖のための他の添加物は、界面活性剤、プラスマネートならびにN−アセチル−システインおよび2−メルカプトエタノールのような還元剤を含むが、これらに限定されない。培地は、RPMI 1640、AIM−V、DMEM、MEM、α−MEM、F−12、X−vivo 15およびX−Vivo 20、Optimizerを含み得て、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミン類が添加され、無血清であるか、または適切な量の血清(または血漿)または定義されたセットのホルモンおよび/またはT細胞の増殖および拡大に十分な量のサイトカインが添加されている。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは実験的培養にしか添加せず、対象に注入する細胞の培養には添加しない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件下、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5%CO2)に維持する。

様々な回数刺激に曝されたT細胞は異なる特徴を示し得る。例えば、典型的な血液またはアフェレシスした末梢血単核細胞産物は、細胞毒性またはサプレッサーT細胞集団(TC、CD8+)より大きなヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3およびCD28受容体刺激によるT細胞のエクスビボ増殖は、約8〜9日目の前までは主にTH細胞からなるT細胞の集団を生じるが、約8〜9日目の後、T細胞の集団は、大きくなり続けるTC細胞の集団を含む。したがって、処置の目的によって、主にTH細胞を含むT細胞集団を対象に注入することは有益であり得る。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されていたら、このサブセットをよりいっそう拡大することが有益であり得る。

さらに、CD4およびCD8マーカーに加えて、細胞増殖過程の経過中に他の表現型マーカーが顕著に、しかし大部分、再生可能に変わる。それゆえに、このような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物を仕立てる能力を可能とする。

適切なインビトロおよび動物モデルで、多様なアッセイを使用して、抗原刺激後T細胞を拡大させる能力、再刺激非存在下にT細胞増殖を持続する能力および抗癌活性のような、しかし、これらに限定されない、RCAR分子の活性を評価できる。RCAR、例えば、EGFRvIII RCARの効果を評価するためのアッセイを下にさらに詳述する。

一次T細胞におけるRCAR発現のウェスタンブロット分析を、CARについて公開された方法を使用してその存在の検出できる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)参照。極めて簡単にいうと、RCARを発現するT細胞(CD4+およびCD8+ T細胞の1:1混合物)を、10日を超えてインビトロで拡大させ、続いて溶解し、還元条件下のSDS−PAGEを行う。完全長TCR−ζ細胞質ドメインおよび内在性TCR−ζ鎖を含むRCARを、TCR−ζ鎖に対する抗体を使用するウェスタンブロッティングにより検出する。同じT細胞サブセットを、共有結合二量体形態の評価を可能とするために、非還元条件下のSDS−PAGE解析に使用する。

抗原刺激後のRCAR+ T細胞(すなわち、RCART細胞)のインビトロ増幅増殖を、フローサイトメトリーで測定できる。例えば、CD4+およびCD8+ T細胞の混合物をαCD3/αCD28 aAPCで刺激し、続いて解析するプロモーターの制御下にGFPを発現するレンチウイルスベクターを形質導入する。代表的プロモーターは、CMV IE遺伝子、EF−1α、ユビキチンCまたはホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。GFP蛍光を、CD4+および/またはCD8+ T細胞サブセットの培養6日目にフローサイトメトリーにより評価する。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009参照)。

あるいは、CD4+およびCD8+ T細胞の混合物を、0日目にαCD3/αCD28被覆磁気ビーズで刺激し、2Aリボソームスキッピング配列を使用して、RCARをeGFPと共に発現するバイシストロン性レンチウイルスベクターを使用して1日目にRCARで形質導入する。培養を、例えば、抗CD3および抗CD28抗体の存在下、RCAR構築物で再刺激し、洗浄する。外来IL−2を、100IU/mlで隔日に培養に添加する。GFP+ T細胞を、ビーズベースの計数を使用するフローサイトメトリーにより数え上げる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)参照。

再刺激非存在下の持続したRCAR+ T細胞増殖も測定できる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)参照。簡単にいうと、平均T細胞体積(fl)を、0日目にαCD3/αCD28被覆磁気ビーズで刺激し、記載するRCARを1日目に形質導入後、Coulter Multisizer III粒子カウンターを使用して培養8日目に測定する。

細胞増殖およびサイトカイン産生の評価は、先に、例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)に記載されている。簡単にいうと、RCAR増殖の評価を、洗浄したT細胞と、腫瘍抗原、例えば、EGFRvIIIまたはEGFR野生型(wt)を発現するU87MG、BHKまたはCHO細胞またはCD32およびCD137(KT32−BBL)のような標的細胞を、最終T細胞:標的細胞比が1:1となるように混合することにより、マイクロタイタープレートで実施する。抗CD3(クローンOKT3)および抗CD28(クローン9.3)モノクローナル抗体を、KT32−BBL細胞の培養に添加し、これらのシグナルがエクスビボでの長期CD8+ T細胞増殖を支持するため、T細胞増殖の陽性対照として役立たせる。製造業者が記載するとおりにCountBrightTM蛍光ビーズ(Invitrogen, Carlsbad, CA)およびフローサイトメトリーを使用して、T細胞を培養において数え上げる。RCAR+ T細胞を、eGFP−2A連結RCAR発現発現レンチウイルスベクターで操作したT細胞を使用して、GFP発現により同定する。GFPを発現しないRCAR+ T細胞について、RCAR+ T細胞をビオチニル化組み換えタンパク質、例えば、EGFRvIIIおよび二次アビジン−PEコンジュゲートにより検出する。T細胞上のCD4+およびCD8+発現も、特異的モノクローナル抗体(BD Biosciences)により同時に検出する。サイトカイン測定を、製造業者の指示に従い、ヒトTH1/TH2サイトカイン細胞数測定ビーズアレイキット(BD Biosciences, San Diego, CA)を使用して、再刺激24時間後に回収した上清で実施する。蛍光をFACScaliburフローサイトメーターを使用して評価し、製造業者の指示に従いデータを解析する。

標準51Cr放出アッセイにより、細胞毒性を評価できる。例えば、ilone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)参照。簡単にいうと、標的細胞(例えば、U87MG、BHKまたはCHO RCARを発現する細胞、例えば、EGFRvIIIまたはEGFR野生型(wt))に、51Cr(NaCrO4として、New England Nuclear, Boston, MA)を、37℃で2時間、頻繁に撹拌しながら充填し、完全RPMIで洗浄し、マイクロタイタープレートに播種する。エフェクターT細胞を、標的細胞と、ウェル中、完全RPMI中で、種々のエフェクター細胞:標的細胞(E:T)比で混合する。さらに培地のみ(自然放出、SR)またはtriton−X 100洗剤1%溶液(総放出、TR)を含むウェルも調製する。37℃で4時間インキュベーション後、各ウェルからの上清を回収する。次いで、ガンマ粒子カウンター(Packard Instrument Co., Waltham, MA)を使用して、遊離51Crを測定する。各条件を少なくとも3回実施し、溶解パーセンテージを式:溶解%=(ER−SR)/(TR−SR)(式中、ERは各実験条件で放出した平均51Crである)を使用して計算する。フローベースの細胞毒性アッセイのような代替細胞毒性アッセイも使用し得る。ここの実施例セクションに記載するものならびに当分野で知られるものを含む他のアッセイも、RCAR構築物の評価に使用できる。

標的発現疾患および障害の治療的適用 癌抗原発現細胞集団、例えば、EGFRvIII発現細胞集団における癌の増殖を阻止するまたは減少する方法をここに提供する。ある態様において、RCARを発現するように操作した免疫エフェクター細胞(すなわち、RCARX細胞、例えば、RCART細胞、RCARN細胞など)は、細胞および/または癌細胞の分量、数、量またはパーセンテージを、陰性対照と比較して、抗原発現細胞と関係する癌を有する対象において少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させる。ある態様において、対象は、ヒトである。

ここに開示する方法は、RCARを発現するように遺伝子修飾したT細胞および得られたCARX細胞(すなわち、RCARX細胞、例えば、RCART細胞、RCARN細胞など)を、それを必要とするレシピエントに注入する、一種の細胞療法を含む。注入したRCARX細胞は、レシピエントにおける腫瘍細胞を殺すかまたは阻害することができる。抗体療法と異なり、RCARX細胞、例えば、RCARTはインビボで複製でき、持続した腫瘍制御に至り得る長期残留性を生じる。多様な態様において、患者に投与したRCARX細胞、例えば、RCART細胞またはその子孫は、患者へのRCARX細胞、例えば、RCART細胞投与後、患者に少なくとも4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、2年、3年、4年または5年残留する。

何らかの特定の理論に縛られることを望まないが、RCARX細胞、例えば、RCART細胞により誘発される抗癌免疫応答は、能動性または受動性免疫応答であってよく、あるいは直接対間接免疫応答によるものであり得ると考えられる。ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞は、標的抗原を発現するヒト癌細胞に応答して特異的炎症誘発性サイトカイン分泌および強力な細胞溶解性活性を示し、可溶性RCAR阻害に提供し、バイスタンダー致死を仲介し、そして確立されたヒト腫瘍の退行を仲介する。ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞は、エクスビボ免疫化および/または哺乳動物におけるインビボ療法のための1種のワクチンであり得る。ある態様において、哺乳動物は、ヒトである。

ある態様において、エクスビボ免疫化に関し、哺乳動物に細胞を投与する前に、インビトロで次のi)細胞の増殖、ii)RCARをコードする核酸の細胞への導入またはiii)RCARX細胞の凍結保存の少なくとも1つが起こる。エクスビボ手順は当分野で周知であり、下により詳細に記載する。簡単にいうと、細胞を哺乳動物(例えば、ヒト)から単離し、ここに開示されるRCARを発現するベクターで遺伝的に修飾(すなわち、インビトロ形質導入または遺伝子導入)する。得られたRCARX細胞、例えば、RCART細胞を、哺乳動物レシピエントに投与して、治療効果を提供できる。哺乳動物レシピエントはヒトであってよく、RCARX細胞、例えば、RCART細胞に関して自己であり得る。あるいは、細胞は、レシピエントに関して同種、同系または異種であり得る。

造血幹細胞および前駆細胞のエクスビボ増殖手順は、本明細書に引用により包含させる米国特許5,199,942号に記載され、本発明の細胞に適用できる。他の適当な方法が当分野で知られ、それゆえにここに開示される方法、細胞のエクスビボ増殖の何らかの特定の方法に限定されない。簡単にいうと、T細胞のエクスビボ培養および増殖は、(1)哺乳動物からの末梢血収集物または骨髄外植体からのCD34+造血幹細胞および前駆細胞の回収;および(2)このような細胞のエクスビボでの増殖を含む。米国特許5,199,942号に記載されている細胞増殖因子に加えて、flt3−L、IL−1、IL−3およびc−kitリガンドのような他の因子を細胞の培養および増殖に使用できる。

エクスビボ免疫化の点で、細胞ベースのワクチンの使用に加えて、本発明はまた、患者における抗原に向けられた免疫応答を惹起するための、インビボ免疫化のための組成物および方法も提供する。

一般に、ここに記載のように活性化および増殖させた細胞を、免疫無防備状態である個体で生じる疾患の処置および予防に使用できる。特に、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を、腫瘍抗原の発現と関係する疾患、障害および状態の処置に使用できる。ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を、腫瘍抗原の発現と関係する疾患、障害および状態を発症するリスクのある患者の処置に使用する。それゆえに、本開示は、腫瘍抗原の発現と関係する疾患、障害および状態を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、RCARX修飾細胞、例えば、RCART細胞の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。

RCARX細胞、例えば、RCART細胞は単独でまたは希釈剤および/またはIL−2または他のサイトカインもしくは細胞集団のような他の成分と組み合わせて医薬組成物として投与し得る。。

再指示スイッチ切り替え可能な阻害剤受容体での処置のための適応症 一つの面において、本発明は、癌性腫瘍の増殖が阻止されるように、PD1 CARを使用するインビボでの対象の処置に関する。PD1 CARを単独で使用して、癌性腫瘍の増殖を阻止し得る。あるいは、PD1 CARを、他のCAR、免疫原剤、標準癌処置または他の抗体と組み合わせて使用し得る。

他の面において、対象を処置する、例えば、対象における過増殖性状態または障害(例えば、癌)、例えば、固形腫瘍、軟組織腫瘍または転移病変を減少または改善する方法を提供する。ここで使用する用語“癌”は、病理組織学的タイプまたは侵襲性と無関係に、癌性増殖または発癌性過程、転移組織または悪性に形質転換した細胞、組織または臓器の全タイプを含む。固形腫瘍の例は、肝臓、肺、乳房、リンパ系、消化器(例えば、結腸)、尿生殖器管(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、前立腺および咽頭を冒すもののような、種々の臓器系の悪性腫瘍、例えば、肉腫、腺癌および癌を含む。腺癌は、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎臓細胞癌、肝臓癌、肺非小細胞癌、小腸癌および食道癌のような、悪性腫瘍である。一つの態様において、癌は黒色腫、例えば、進行期黒色腫である。前記癌の転移病変も、本発明の方法および組成物を使用して処置または予防できる。処置できる他の癌の例は、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸の癌、膣の癌、外陰の癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む慢性または急性白血病、小児の固形腫瘍、リンパ性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または輸尿管の癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄の腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘発されるものを含む環境誘発癌および該癌の組み合わせを含む。転移癌、例えば、PD−L1を発現する転移癌(Iwai et al. (2005) Int. Immunol. 17:133-144)は、ここに記載する抗体分子を使用して有効であり得る。

増殖を阻害できる代表的癌は、概して免疫療法に応答性の癌を含む。処置のための癌の非限定的例は、黒色腫(例えば、転移悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば明細胞癌)、前立腺癌(例えばホルモン難治性前立腺腺癌)、乳癌、結腸癌および肺癌(例えば非小細胞性肺癌)を含む。さらに、難治性または再発性性腫瘍をここに記載する分子を使用して処置できる。一つの態様において、対象は、CAR発現細胞の投与と関係する副作用を軽減または改善する薬剤を投与され得る。CAR発現細胞の投与と関係する副作用は、CRSおよびマクロファージ活性化症候群(MAS)とも呼ぶ血球貪食性リンパ組織球症(HLH)である。CRSの症状は、高熱、悪心、一過性低血圧、低酸素症などを含む。CRSは、発熱、疲労、摂食障害、筋肉痛、関節痛(arthalgias)、悪心、嘔吐および頭痛のような臨床構成上の徴候および症状を含み得る。CRSは、発疹のような臨床的皮膚徴候および症状を含み得る。CRSは、悪心、嘔吐および下痢のような臨床的消化器徴候および症状を含み得る。CRSは、頻呼吸および低酸素血症のような臨床的呼吸器徴候および症状を含み得る。CRSは、頻脈、脈圧拡大、低血圧、心拍出量増加(早期)および潜在的心拍出量低下(後期)のような臨床的心血管徴候および症状を含み得る。CRSは、高d−二量体、出血を伴うまたは伴わない低フィブリノーゲン血症のような、臨床的凝固徴候および症状を含み得る。CRSは、高窒素血症のような臨床的腎臓徴候および症状を含み得る。CRSは、高トランスアミナーゼ血症および高ビリルビン血症のような臨床的肝臓徴候および症状を含み得る。CRSは、頭痛、精神状態変化、混乱、譫妄、換語困難または明らかな失語症、幻覚、振戦、測定障害(dymetria)、歩調変化および発作のような臨床的神経徴候および症状を含み得る。

したがって、ここに記載する方法は、ここに記載するCAR発現細胞を対象に投与し、さらにCAR発現細胞での処置の結果としての可溶性因子レベル上昇を管理する1個以上の薬剤を投与することを含む。一つの態様において、対象で上昇する可溶性因子は、IFN−γ、TNF−α、IL−2およびIL−6の1個以上である。ある態様において、対象で上昇する因子は、IL−1、GM−CSF、IL−10、IL−8、IL−5およびフラクタルカイン(fraktalkine)の1個以上である。それゆえに、この副作用を処置するために投与する薬剤は、これらの可溶性因子の1個以上を中和する薬剤である。一つの態様において、これらの可溶性形態の1個以上を中和する薬剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。このような薬剤の例は、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、TNF−α阻害剤およびIL−6阻害剤である。TNF−α阻害剤の例は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴールおよびゴリムマブのような抗TNF−α抗体分子である。TNF−α阻害剤の他の例は、エタネルセプト(entanercept)のような融合タンパク質である。小分子TNF−α阻害剤は、キサンチン誘導体(例えばペントキシフィリン)およびブプロピオンを含むが、これらに限定されない。IL−6阻害剤の例は、トシリズマブ(toc)、サリルマブ、エルシリモマブ、CNTO 328、ALD518/BMS-945429、CNTO 136、CPSI-2364、CDP6038、VX30、ARGX-109、FE301およびFM101のような抗IL−6抗体である。一つの態様において、抗IL−6抗体分子はトシリズマブである。IL−1Rベースの阻害剤の例はアナキンラである。

医薬組成物および処置 医薬組成物は、RCARX細胞、例えば、RCART細胞またはRCARN細胞を、1個以上の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または添加物とともに含み得る。このような組成物は、中性緩衝化食塩水、リン酸緩衝化食塩水などのような緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールのような炭水化物;タンパク質;グリシンのようなポリペプチドまたはアミノ酸;抗酸化剤;EDTAまたはグルタチオンのようなキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および防腐剤を含み得る。ある態様において、医薬組成物は静脈内投与用に製剤される。

医薬組成物は、処置(または予防)する疾患に適する方法で投与し得る。投与の量および頻度は患者の状態および患者の疾患のタイプおよび重症度のような因子により決定するが、適切な投与量は臨床試験により決定し得る。

“免疫学的有効量”、“抗癌有効量”、“癌阻止有効量”または“治療量”が示されるとき、投与すべき本発明の組成物の厳密な量は、年齢、体重、疾患状態、例えば、腫瘍サイズ、感染または転移の程度および患者(対象)の状態の個々の差異を考慮して、医師が決定できる。ある態様において、ここに記載するRCARX細胞、例えば、RCART細胞を含む医薬組成物は、範囲内の全整数値を含み、104〜109細胞/kg体重、ある例において105〜106細胞/kg体重の投与量で投与し得る。T細胞組成物はまた、これらの投与量で複数回投与し得る。

ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCARTを、治療レベルまで活性化および増殖し、免疫療法において通常知られる注入法を使用して投与できる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng. J. of Med. 319:1676,1988参照)。特定の患者のための最適投与量および処置レジメは、医薬の当業者により、患者を疾患の徴候についてモニタリングし、それに応じて処置を調節することにより決定できる。

ある態様において、1個以上のスイッチドメインを含むRCARを有するRCARX細胞は、二量体化分子、例えば、小分子ヘテロ二量体化分子、例えば、RAD001またはAP21967の存在下、免疫エフェクター応答を促進する細胞内シグナルを産生する。

二量体化分子の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸注または移植を含む、任意の好都合な方法で実施できる。ある態様において、二量体化分子を、患者に経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射によりまたは腹腔内に投与し得る。ある態様において、二量体化分子を経口で、例えば、錠剤の形で投与する。ある態様において、二量体化分子を皮内または皮下注射により投与する。ある態様において、二量体化分子をi.v.注射により投与する.

ある態様において、二量体化分子をRCARX細胞後に投与する、例えば、RCART細胞は、患者に注入されている。一つの態様において、二量体化分子を、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を患者に注入した1日後に投与する。一つの態様において、二量体化分子を、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を患者に注入した、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21,22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日または30日後に投与する。ある態様において、二量体化分子を、RCARX細胞の投与後、例えば、1時間目または後、2時間目または後、3時間目または後、4時間目または後、5時間目または後、6時間目または後、7時間目または後、8時間目または後、9時間目または後、10時間目または後、11時間目または後、12時間目または後、16時間目または後、17時間目または後、18時間目または後、19時間目または後、20時間目または後、21時間目または後、22時間または23時間目または後またはRCARX細胞投与後1日目または後、2日目または後、3日目または後、4日目または後、5日目または後、6日目または後、7日目または後または8日日目または後に投与する。一つの態様において、二量体化分子を、RCARX細胞、例えば、RCART細胞が患者に注入された後、例えば、患者のために合わせた投薬スケジュールに基づき1回を超えて投与し、例えば、週に2回、毎週、毎月、6月毎、毎年基本の二量体化分子の投与に基づき1回を超えて投与する。ある態様において、二量体化分子の投与は連日、隔日、週に2回または毎週であるが、ある態様において、毎週、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgを超えない。ある態様において、二量体化分子を連続的に、例えばポンプ、例えば、装着可能ポンプの使用により投与する。ある態様において、連続的投与は、少なくとも4時間、12時間、24時間、2日、3日、4日または5日続く。ある態様において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、24時間期間で約0.5mgを超えない用量で投与する。

ある態様において、二量体化分子を、RCARX細胞の投与と同じとき、例えば、同じ日に投与する。

ある態様において、二量体化分子投与後、癌の減少についての患者をモニターする。癌が再出現したならば、二量体化分子をそのとき投与できる。ある態様において、対象は、例えば、毎週または毎月の間隔でまたは必要であるとの決定により、さらなるまたは続く、例えば、第二、第三または第四、RCART細胞注入を受ける。ある態様において、続く投与は、二量体化分子の投与を伴うか、それに先立つ。ある態様において、RCARXまたは二量体化分子の続く投与は、例えば、腫瘍負荷がなくなるまで、さらなる利益が認知されなくなるまでまたは予め選択した基準に合うまで続ける。ある態様において、ここに開示する方法は、細胞療法の投与を含み、ここで、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子修飾されている。CAR T細胞を、それを必要とするレシピエントに注入する。注入した細胞はレシピエント内の腫瘍細胞を殺すことが可能であるが、二量体化分子の存在下のみである。さらに、二量体化分子の存在下、RCART細胞は、標的抗原との結合によりインビボで増殖および複製し、これにより持続した腫瘍制御がもたらされる。腫瘍細胞死滅の間のサイトカイン放出を血清で測定できる。この増幅およびサイトカイン産生を、通常の採血と続くCAR発現および血清サイトカインレベルの分析により患者で測定できる。この方法はまた機能的RCART細胞集団を維持するために、二量体化分子の投与戦略を修飾する方法を当業者に知らせる。二量体化分子の投与を、腫瘍負荷が減少している限り続けることが企図される。

二量体化分子の投与量は、使用する二量体化分子のタイプおよび個々の二量体化分子のPK特性による。

ここでまた提供されるのは、約0.005〜1.5mg、約0.005〜1.5mg、約0.01〜1mg、約0.01〜0.7mg、約0.01〜0.5mgまたは約0.1〜0.5mg濃度のFKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を含む組成物である。さらなる面において、本発明は、0.005〜1.5mg、0.005〜1.5mg、0.01〜1mg、0.01〜0.7mg、0.01〜0.5mgまたは0.1〜0.5mgの濃度でFKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を含む組成物を提供する。より具体的に、一つの面において、本発明は、約0.005mg、0.006mg、0.007mg、0.008mg、0.009mg、0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mgまたは1.0mgの用量でFKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を含む組成物を提供する。一つの面において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001は、0.5mg以下の用量である。さらに別の面において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001約0.5mgの用量である。さらなる面において、本発明は、0.005mg、0.006mg、0.007mg、0.008mg、0.009mg、0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mgまたは1.0mgの用量でFKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を含む組成物を提供する。一つの面において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001は、0.5mg以下の用量である。さらに別の面において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001は0.5mgの用量である。さらなる面において、本発明は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量で、RAD001ではないラパマイシンまたはラパマイシン類似体を含む組成物に関する。さらなる面において、本発明は、NFAT活性化、腫瘍細胞死滅またはサイトカイン産生で測定して、標的結合後RCART活性化を促進するのに十分な量で、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を含む組成物に関する。ある態様において、FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001の用量は免疫抑制性ではない。ある態様において、ここに提供する用量は、mTOR活性の一部のまたは最小限の阻害しか生じないように設計する。

また本発明の範囲内であるのは、ここに記載する1日投与量のいずれかの25%、50%、100%、150%または200%を含む、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001の単位投与形態である。

A FKBP−FRBヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、治療効果を生じる用量で投与できる。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約0.005〜1.5mg連日、約0.01〜1mg連日、約0.01〜0.7mg連日、約0.01〜0.5mg連日または約0.1〜0.5mg連日の用量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、の用量で投与する0.005〜1.5mg連日、0.005〜1.5mg連日、0.01〜1mg連日、0.01〜0.7mg連日、0.01〜0.5mg連日または0.1〜0.5mg連日。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約0.005mg連日、0.006mg連日、0.007mg連日、0.008mg連日、0.009mg連日、0.01mg連日、0.02mg連日、0.03mg連日、0.04mg連日、0.05mg連日、0.06mg連日、0.07mg連日、0.08mg連日、0.09mg連日、0.1mg連日、0.2mg連日、0.3mg連日、0.4mg連日、0.5mg連日、0.6mg連日、0.7mg連日、0.8mg連日、0.9mg連日または1.0mg連日の用量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、0.5mg連日または0.5mg未満連日の用量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約0.1〜20mg毎週、約0.5〜15mg毎週、約1〜10mg毎週または約3〜7mg毎週の用量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、0.1〜20mg毎週、0.5〜15mg毎週、1〜10mg毎週または3〜7mg毎週の用量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約24時間で0.7mgを超えない;24時間で0.5mgを超えないの用量で投与する。ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、0.5mg以下連日の用量で投与できる。ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、0.5mg連日の用量で投与できる。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約0.1mg毎週、0.2mg毎週、0.3mg毎週、0.4mg毎週、0.5mg毎週、0.6mg毎週、0.7mg毎週、0.8mg毎週、0.9mg毎週、1mg毎週、2mg毎週、3mg毎週、4mg毎週、5mg毎週、6mg毎週、7mg毎週,8mg毎週,9mg毎週、10mg毎週、11mg毎週、12mg毎週、13mg毎週、14mg毎週、15mg毎週、16mg毎週、17mg毎週、18mg毎週、19mg毎週または20mg毎週の用量で投与する。

ある態様において、本発明は、RCARの活性化の観点で、RAD001について特定した量または用量と生物学的に同等である量で、RAD001以外のFKBP−FRBヘテロ二量体化分子を利用できる。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約30pM〜4nM;50pM〜2nM;100pM〜1.5nM;200pM〜1nM;300pM〜500pM;50pM〜2nM;100pM〜1.5nM;200pM〜1nM;または300pM〜500pMの投与量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、150pM、200pM、250pM、300pM、350pM、400pM、450pM、500pM、550pM、600pM、650pM、700pM、750pM、800pM、850pM、900pM、950pM、1nM、1.5nM、2nM、2.5nM、3nM、3.5nMまたは4nMの投与量で投与する。

ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、目標トラフレベルを提供する投与量で対象に投与する。ここで使用する用語“トラフレベル”は、次の投与直前の血漿中の薬物濃度または2回の投与の間の最少薬物濃度をいう。ある態様において、トラフレベルは、臓器移植片および癌患者において使用される投薬レジメンに付随するトラフレベルより有意に低い。ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、免疫抑制または抗癌効果を生じるトラフレベルの1/2、1/4、1/10または1/20未満のトラフレベルを生じるように投与する。ある態様において、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、免疫抑制または抗癌適応症への使用についてFDAにより承認された添付文書に提供されるトラフレベルの1/2、1/4、1/10または1/20未満のトラフレベルを生じるように投与する。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、選択した範囲内のトラフレベルを提供するのに十分な量で投与する。ある態様において、範囲は0.1〜4.9ng/ml;2.4〜4.9ng/ml;約0.1〜2.4ng/ml;約0.1〜1.5ng/mlから選択する。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、約0.1ng/ml;0.2ng/ml;0.3ng/ml;0.4ng/ml;0.5ng/ml;0.6ng/ml;0.7ng/ml;0.8ng/ml;0.9ng/ml;1.0ng/ml;1.1ng/ml;1.2ng/ml;1.3ng/ml;1.4ng/ml;および1.5ng/mlのトラフレベルを提供するのに十分な量で投与する。

ある態様において、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001を、5ng/ml。2.5ng/ml;2ng/ml;1.9ng/ml;1.8ng/ml;1.7ng/ml;1.6ng/ml;1.5ng/ml;1.4ng/ml;1.3ng/ml、1.2ng/ml;1.1ng/ml;1.0ng/ml;0.9ng/ml;0.8ng/ml;0.7ng/ml;0.6ng/ml;0.5ng/ml;0.4ng/ml;0.3ng/ml;0.2ng/ml;または0.1ng/ml未満のトラフレベルを提供するのに十分な量で投与する。

ここに記載するあらゆる1日投与量を含む、ヘテロ二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、AP21967またはRAD001の単位投与形態も本発明の範囲内である。

ある態様において、RCAR細胞、例えば、RCART細胞を、体から除去後、しかし、対象への導入前に、二量体化分子で処理する。

ある態様において、RCAR細胞、例えば、RCART細胞を、RCARのエクスビボ産生後かつ対象への導入前に二量体化分子で処理する。

ある態様において、RCARは、GyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、ここに記載するGyrB−GyrBベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、ここに記載するGyrB−GyrBベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、GAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、ここに記載するGAI−GID1ベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、ここに記載するGAI−GID1ベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARは、ハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、ここに記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチ、例えば、二量体化スイッチモジュールにおける、例えば、ここに記載するハロタグ/SNAPタグベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を、次のものから選択される濃度で二量体化分子と接触させる: 2,000〜0.01nM;2,000〜100nM;1000〜0.01nM;500〜0.01nM;100〜0.01nM;100〜0.05nM;100〜0.5nM;100〜1nM100〜10nM;25〜0.01nM;20〜0.01nM;10〜0.01nM;10〜0.1nM;または10〜1.0nM。

ある態様において、RCARは、FKBP−FRAPベースのスイッチ、例えば、ここに記載するFKBP−FRAPベースのスイッチを、例えば、二量体化スイッチモジュールに、例えば、ここに記載するFKBP−FRAPベースのスイッチを含む。

ある態様において、RCARX、例えば、RCARTはFKBP−FRAP二量体化スイッチであり、二量体化分子はラパマイシンまたはラパマイシン類似体、例えば、ここに開示するラパマイシン類似体、例えば、RAD001またはAP21967であり、RCARX細胞を、次のものから選択される濃度で二量体化分子と接触させる: 2,000〜0.01nM;2,000〜100nM;1000〜0.01nM;500〜0.01nM;100〜0.01nM;100〜0.05nM;100〜0.5nM;100〜1nM100〜10nM;25〜0.01nM;20〜0.01nM;10〜0.01nM;10〜0.1nM;または10〜1.0nM。

さらなる態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸およびFK506のような免疫抑制性剤、抗体またはCAMPATH、抗CD3抗体または他の抗体療法、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド類、FR901228、サイトカインおよび照射のような他の免疫除去剤と組み合わせて、処置レジメンで使用し得る。カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または増殖因子誘発シグナル伝達(ラパマイシン)に重要なp70S6キナーゼを阻害する薬物(Liu et al.,Cell 66:807-815,1991;Henderson et al.,Immun. 73:316-321,1991;Bierer et al.,Curr. Opin. Immun. 5:763-773,1993)も使用できる。

さらなる態様において、細胞組成物を、骨髄移植、フルダラビンのような化学療法剤、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミドまたはOKT3またはCAMPATHのような抗体を死羽陽するT細胞除去療法と組み合わせて(例えば、前、同時または後) 患者に投与する。ある態様において、細胞組成物を、例えば、リツキサンのようなCD20と反応する薬剤のようなB細胞除去療法後に投与する。例えば、ある態様において、対象は、高用量化学療法剤での標準処置と続く末梢血幹細胞移植を受ける。ある態様において、移植後、対象は、ここに記載する増殖免疫細胞を注入される。ある態様において、RCARX細胞、例えば、RCART細胞を移植後に投与するとき、RCARX細胞、例えば、RCART細胞の製造に使用する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を、移植後に対象から得る。ある態様において、RCARX、例えば、RCART細胞の製造に使用する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞は、ドナー起源であり、例えば、対象にインプラントされたドナー細胞由来である。

さらなる態様において、増殖した細胞を手術の前または後に投与する。ある態様において、RCARX、例えば、RCART細胞を、腫瘍を減量させる手術後に対象に投与する。

特定の代表的態様において、対象を白血球除去に付してよく、ここで、白血球を回収し、エクスビボで富化しまたは枯渇させて、興味のある細胞、例えば、T細胞を選択および/または単離する。これらのT細胞単離物を当分野で知られる方法により増殖し、ここに開示するRCAR構築物の1個以上が導入され、それによりRCART細胞が産生されるように処理し得る。これを必要とする対象は、その後、高用量化学療法剤での標準処置と、続く末梢血幹細胞移植に付し得る。ある態様において、移植の後にまたは同時に、対象は、ここに開示する増殖されたRCART細胞の注入を受ける。さらなる態様において、増殖した細胞を手術の前または後に投与する。

低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤での補助的処置 ここで使用する用語“mTOR阻害剤”は、細胞におけるmTORキナーゼを阻害する化合物またはリガンドまたはその薬学的に許容される塩をいう。ある態様において、mTOR阻害剤はアロステリック阻害剤である。ある態様において、mTOR阻害剤は触媒的阻害剤である。

低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)を発現するように操作したここに記載するRCAR細胞、例えば、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の投与と組み合わせ得る。

低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与は、対象における免疫エフェクター細胞の性能を最適化できる。mTOR阻害剤の投与のタイミングおよび投与量によって、回収T細胞、非回収T細胞または両者の性能を最適化できる。

理論に縛られることを望まないが、低い、免疫増強用量(例えば、免疫系を完全に抑制するには不十分であるが、免疫機能の改善には十分である用量)での処置は、PD−1陽性T細胞の減少またはPD−1陰性細胞の増加を伴うと考えられる。PD−1陰性T細胞ではなく、PD−1陽性T細胞を、PD−1リガンド、例えば、PD−L1またはPD−L2を発現する細胞との結合により消耗させ得る。これに加えてまたはこれとは別に、また理論に縛られることを望まないが、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤はナイーブT細胞数を、例えば、少なくとも一過性に、例えば、非処置対象と比較して増加できると考えられる。これとは別にまたはこれに加えて、また理論に縛られることを望まないが、十分な時間後または十分な投薬量のmTOR阻害剤は、次の一つ以上を生じると考えられる: 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;および 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

記憶T細胞前駆体は、分化プログラムの初期にある記憶T細胞である。例えば、記憶T細胞は、次のCD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少および/またはBCL2増加の特徴の1個以上を有する。

ある態様において低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001または触媒的阻害剤の投与を、RCARを発現するように操作したここに記載するRCAR細胞、例えば、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の投与前(例えば、RCARを発現するように操作した免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収前または後であるが、RCAR細胞の投与前)に投与する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の1個以上が生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与は、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の性能を増強できる。ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収前に投与する。

一つの態様において、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投薬の開始または完了後少なくとも5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日または60日に回収する。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を、RCARを発現するように操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収を開始するかなり前に、性能が増強されるように開始するかまたは完了する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の1個以上が、回収細胞または操作した細胞(または非回収細胞または両者)で生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001または触媒的阻害剤を、RCARを発現するように操作した免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の回収後に開始する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の1個以上が生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

ある態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001または触媒的阻害剤を、RCARを発現するように操作した免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の投与後に開始する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の1個以上が生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

他の態様において、RCARを発現するように操作されたまたは操作する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞を、性能を最適化する量のmTOR阻害剤と接触させることにより、エクスビボで処理する。理論に縛られることを望まないが、ある態様において、次の1個以上が生じると考えられる。 PD−1陽性免疫エフェクター細胞数の減少; PD−1陰性免疫エフェクター細胞数の増加; PD−1陰性免疫エフェクター細胞/PD−1陽性免疫エフェクター細胞の比の増加; ナイーブT細胞数の増加; 次のマーカーの1個以上の、例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上の発現の増加:CD62L、CD127、CD27+およびBCL2; 例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体上のKLRG1の発現減少;または 記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の任意の1個または組み換えを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27+増加、KLRG1減少およびBCL2増加; ここで、上記変化は、例えば、未処置細胞と比較して、例えば、少なくとも一過性に生じる。

用語“生物学的に同等”は、対照化合物(例えば、RAD001)の対照用量または対照量により生じる効果と同等の効果を生じるのに必要な対照化合物(例えば、RAD001)以外の薬剤の量である。ある態様において、効果は、例えば、インビボまたはインビトロアッセイにおいて評価される、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定される、例えば、P70 S6キナーゼ阻害により測定される、mTOR阻害のレベルまたはウェスタンブロットによるリン酸化S6レベルの測定値である。ある態様において、効果は、細胞選別により測定した、PD−1陽性/PD−1陰性T細胞比の変更である。ある態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照化合物の対照用量または対照量と同レベルのP70 S6キナーゼ阻害を達成する量または用量である。ある態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照化合物の対照用量または対照量と同レベルのPD−1陽性/PD−1陰性T細胞比またはナイーブT細胞のレベルの変更を達成する量または用量である。

用語“免疫老化”は、とりわけ、例えば、癌、ワクチン接種、感染性病原体に対する免疫応答の障害にいたる、免疫機能の低下をいう。感染に対する宿主能および、特にワクチン接種による長期免疫記憶発生の両方が関与する。この免疫欠損は遍在性であり、経時的時間ではなく、寿命に対する関数として、短命種および長命種の両者で見られる。これは、高齢者における罹病率および死亡率の頻度増加の主要な寄与因子と考えられる。免疫老化は無作為な劣化的現象ではなく、むしろ、進化的パターンを逆になぞるように見え、免疫老化に影響するパラメータの大部分は、遺伝子制御下にあるように見える。免疫老化はまたウイルスおよび細菌のような多様な抗原に対する不可避の連続的攻撃の結果として予想できることもある。免疫老化は、例えば、高齢集団において、多くの病理学的に顕著な健康問題にいたる多因子的状態である。造血幹細胞枯渇、貪食細胞およびNK細胞の総数減少および液性免疫の低下のような年齢依存的生物学的変化が、免疫老化の発生に貢献する。一つの面において、免疫老化は、免疫細胞におけるテロメア長の測定により個体において測定できる(例えば、US5741677号参照)。免疫老化はまた65歳以上の対象における、ナイーブCD4および/またはCD8 T細胞、T細胞レパートリーまたはワクチン接種に対する応答の正常より低い数を個体で考証することによっても決定できる。

用語“免疫応答障害”は、対象が、とりわけ、例えば、癌、ワクチン接種、病原体感染に対する、適切な免疫応答を有しない状態をいう。ある態様において、免疫応答障害を有する対象は、予防的ワクチン接種後に保護的抗体力価レベルが得られないまたは対象に治療ワクチン接種後、疾患負荷が減少しないと予測される。対象はまた対象が免疫機能低下を有することが知られる集団のメンバーであるまたは高齢、化学療法剤を受けている対象、無脾症対象、免疫無防備状態対象またはHIV/AIDSを有する対象のような、免疫機能の低下の病歴を有するならば、免疫応答障害を有し得る。ここに記載する方法は、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の、例えば、RAD001のような、アロステリックmTOR阻害剤投与による免疫応答障害の処置を可能にする。

用語“低い、免疫増強用量”は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンまたは触媒的mTOR阻害剤と組み合わせて使用するとき、例えば、P70 S6キナーゼ活性の阻害により測定して、mTOR活性を、完全にではないが、一部阻害する、mTOR阻害剤の用量である。例えば、P70 S6キナーゼの阻害によりmTOR活性を評価する方法を、ここに記載する。本用量は、完全な免疫抑制を生じるには不十分であるが、免疫応答の増強には十分である。ある態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、PD−1陽性T細胞数の減少および/またはPD−1陰性T細胞数の増加またはPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞比の増加またはナイーブT細胞数増加を生じる。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、少なくとも5%であるが、90%を超えない、少なくとも10%であるが、90%を超えない、少なくとも15%であるが、90%を超えない90%、少なくとも20%であるが、90%を超えない、少なくとも30%であるが、90%を超えない、少なくとも40%であるが、90%を超えない、少なくとも50%であるが、90%を超えない、少なくとも60%であるが、90%を超えないまたは少なくとも70%であるが、90%を超えない、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、少なくとも5%であるが、80%を超えない、少なくとも10%であるが、80%を超えない、少なくとも15%であるが、80%を超えない、少なくとも20%であるが、80%を超えない、少なくとも30%であるが、80%を超えない、少なくとも40%であるが、80%を超えない、少なくとも50%であるが、80%を超えないまたは少なくとも60%であるが、80%を超えないmTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、少なくとも5%であるが、70%を超えない、少なくとも10%であるが、70%を超えない、少なくとも15%であるが、70%を超えない、少なくとも20%であるが、70%を超えない、少なくとも30%であるが、70%を超えない、少なくとも40%であるが、70%を超えないまたは少なくとも50%であるが、70%を超えないmTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、少なくとも5%であるが、60%を超えない、少なくとも10%であるが、60%を超えない、少なくとも15%であるが、60%を超えない、少なくとも20%であるが、60%を超えない、少なくとも30%であるが、60%を超えないまたは少なくとも40%であるが、60%を超えないmTOR阻害剤の用量は、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、少なくとも5%であるが、50%を超えない、少なくとも10%であるが、50%を超えない、少なくとも15%であるが、50%を超えない、少なくとも20%であるが、50%を超えない、少なくとも30%であるが、50%を超えないまたは少なくとも40%であるが、50%を超えないmTOR阻害剤の用量は、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、少なくとも5%であるが、40%を超えない、少なくとも10%であるが、40%を超えない、少なくとも15%であるが、40%を超えない、少なくとも20%であるが、40%を超えない、少なくとも30%であるが、40%を超えないまたは少なくとも35%であるが、40%を超えないmTOR阻害剤の用量は、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、少なくとも5%であるが、30%を超えない、少なくとも10%であるが、30%を超えない、少なくとも15%であるが、30%を超えない、少なくとも20%であるが、30%を超えないまたは少なくとも25%であるが、30%を超えないmTOR阻害剤の用量は、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%であるが、20%を超えない、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%であるが、30%を超えない、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%の%であるが、35%を超えない、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%であるが、40%を超えないまたは少なくとも1%、2%、3%、4%または5%であるが、45%を超えないmTOR阻害剤の用量は、mTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ある態様において、mTOR阻害剤の用量は、少なくとも1%、2%、3%、4%または5%であるが、90%を超えないmTOR阻害と関係するまたはそれを提供する。

ここに記載するとおり、mTOR阻害の程度は、P70 S6阻害の程度として表すことができ、例えば、mTOR阻害の程度は、P70 S6活性のレベルの低下により、例えば、P70 S6基質のリン酸化の減少により決定できる。mTOR阻害のレベルは、ここに記載する方法で、例えばBoulayアッセイにより評価できる。

mTOR阻害剤 アロステリックmTOR阻害剤は、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、例えば、ラパマイシン誘導体、ラパマイシン類似体(ラパログとも呼ぶ)およびmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物を含む、ラパマイシンに構造的および機能的類似性を有する化合物であるラパマイシン関連化合物を含む。

ラパマイシンは、式Aに示す構造を有する、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカスにより産生される既知マクロライド抗生物質である。

例えば、McAlpine, J.B., et al., J. Antibiotics (1991) 44: 688; Schreiber, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc. (1991) 113: 7433;米国特許3,929,992号参照。ラパマイシンについて多様な番号付けスキームが提唱されている。混乱を避けるために、特定のラパマイシン類似体をここで名づけるとき、式Aの番号付けスキームを使用したラパマイシンを参照して名づける。

本発明において有用なラパマイシン類似体は、例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環におけるヒドロキシル基がOR1(ここで、R1はヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキルまたはアミノアルキルである)で置換されているO置換類似体であり、例えばその内容を引用して本明細書に包含させるUS5,665,772号およびWO94/09010号に記載された、エベロリムスとしても知られるRAD001である。他の適当なラパマイシン類似体は、26位または28位が置換されているものを含む。ラパマイシン類似体は、上記類似体のエピマーであってよく、特に、例えば、その内容を引用して本明細書に包含させるUS6,015,815号、WO95/14023号およびWO99/15530号に記載のとおり、40位、28位または26位が置換され、所望によりさらに水素化されていてよい類似体のエピマー、例えばゾタロリムスとして知られるABT578またはその内容を引用して本明細書に包含させるUS7,091,213号、WO98/02441号およびWO01/14387号に記載のラパマイシン類似体、例えばリダフォロリムスとしても知られるAP23573を含む。

US5,665,772号の本発明における使用に適当なラパマイシン類似体の例は、40−O−ベンジル−ラパマイシン、40−O−(4’−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−O−[4’−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−O−アリル−ラパマイシン、40−O−[3’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル)−プロプ−2’−エン−1’−イル]−ラパマイシン、(2’E,4’S)−40−O−(4’,5’−ジヒドロキシペント−2’−エン−1’−イル)−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−(6−ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−[(3S)−2,2−ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−O−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロプ−1−イル]−ラパマイシン、40−O−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−モルホリノ)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−メチル−N’−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−O−デスメチル−39,40−O,O−エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−(N−メチル−イミダゾ−2’−イルカルベトキサミド)エチル)−ラパマイシン、40−O−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシンおよび40−O−[2−(4’,5’−ジカルボエトキシ−1’,2’,3’−トリアゾール−1’−イル)−エチル]−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、ラパマイシンのシクロヘキシル環におけるヒドロキシル基および/または28位のヒドロキシ基がヒドロキシエステル基で置換されている類似体を含み、例えば、USRE44,768号に見られるラパマイシン類似体、例えばテムシロリムスが知られる。

本発明において有用な他のラパマイシン類似体は、16位のメトキシ基が他の置換基、好ましくは(所望によりヒドロキシ置換)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジルまたはクロロベンジルで置換されているおよび/または39位のメトキシ基が、39番炭素と共に欠失しており、ラパマイシンのシクロヘキシル環が39位メトキシ基を欠くシクロペンチル環となるものを含み、例えば、引用によりその内容を本明細書に包含させるWO95/16691号およびWO96/41807号に記載されている。ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化されるおよび/または32−カルボニルが還元されるように、類似体をさらに修飾できる。

WO95/16691号からのラパマイシン類似体は、16−デメトキシ−16−(ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(プロパルギル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(4−ヒドロキシ−ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−オルト−メトキシベンジル−ラパマイシン、16−デメトキシ−40−O−(2−メトキシエチル)−16−ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ホルミル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ヒドロキシメチル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−カルボキシ−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(モルホリン−4−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−[N−メチル、N−(2−ピリジン−2−イル−エチル)]カルバモイル−42−ノル−ラパマイシンおよび39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(p−トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)−42−ノル−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

WO96/41807号からのラパマイシン類似体は、32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−メトキシ)エチル−ラパマイシンおよび32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。

他の適当なラパマイシン類似体は、引用によりその内容を本明細書に包含させる、US2005/0101624号に記載されたウミロリムスである。

哺乳動物細胞において、ラパマイシン(mTOR)キナーゼの標的は、mTORC1複合体またはmTORC2複合体として記載される多タンパク質複合体として存在し、これは、栄養素およびエネルギーの利用性を感知し、増殖因子からの入力を統合し、シグナル伝達を強調する。mTORC1複合体は、ラパマイシンのようなアロステリックmTOR阻害剤に感受性であり、mTOR、GβLおよびmTORの制御関連タンパク質(rapator)からなり、ペプチジルプロリルイソメラーゼFKBP12タンパク質(FK506結合タンパク質1A、12kDa)と結合する。対照的に、mTORC2複合体はmTOR、GβLおよびmTORのラパマイシン非感受性コンパニオンタンパク質(rictor)からなり、インビトロでFKBP12タンパク質と結合しない。

mTORC1複合体は、タンパク質翻訳制御に関与することが示されており、増殖および拡張制御のための増殖因子および栄養素感受性装置として機能する。mTORC1は、、リボソームタンパク質P70 S6をその後リン酸化するP70 S6キナーゼおよびeIF4E制御キャップ依存的翻訳の制御に重要な役割を有する真核翻訳開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)である2個の重要な下流基質を介してタンパク質翻訳を制御する。mTORC1複合体は、細胞のエネルギーおよび栄養素恒常性に応答して細胞増殖を制御し、mTORC1の下方制御は、広範なヒト癌に共通する。mTORC2の機能は、Aktリン酸化およびアクチン細胞骨格動力学調節により細胞生存の制御に関与する。

mTORC1複合体は、大部分、FKBP12との細胞内複合体形成およびmTORのFKBP12−ラパマイシン結合(FRB)ドメインへの結合を含む、ラパマイシンの作用機序により、ラパマイシンおよび誘導体のようなアロステリックmTOR阻害剤に感受性である。これは、mTORC1における立体構造変化を生じ、これは足場タンパク質raptorとの相互作用を改変および弱化し、続いてP70 S6K1のような基質がmTORに接近し、リン酸化されるのを妨害する。RAD001のようなラパマイシンおよびラパログは、良性および悪性増殖障害の両者と関係するmTORの高活性化の阻害により、臨床的関連性を獲得している。

エベロリムス(Afinitor(登録商標))としても知られるRAD001は化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−12−{(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−11,36−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−2,3,10,14,20−ペタオンを有し、次の化学構造を有する。

エベロリムスは、進行性腎臓癌の処置についてFDAで承認された薬物であり、腫瘍学において数種の他のフェーズIII臨床治験で試験されている。前臨床試験は、エベロリムスが、おそらくラパマイシン感受性mTORC1機能の抑制により、インビトロおよびインビボで広範な腫瘍細胞株の増殖を阻害できることを示している。エベロリムスは、ラパマイシン誘導体として、mTORC1機能の一部、すなわちP70 S6キナーゼ(P70 S6K)および下流P70 S6K基質P70 S6の阻害に極めて強力である、アロステリックmTOR阻害剤である。エベロリムス(および他のラパマイシン類似体)のようなアロステリックmTOR阻害剤は、mTORC2経路またはその結果としてのAktシグナル伝達活性化の阻害にはほとんどまたは全く効果を有しない。アロステリックmTOR阻害剤のさらなる例は、シロリムス(ラパマイシン、AY-22989)、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(テムシロリムスまたはCCI-779とも呼ばれる)およびリダフォロリムス(AP-23573/MK-8669)を含む。アロステリックmTORの他の例は、ゾタロリムス(ABT578)およびウミロリムスを含む。

これとは別にまたはこれに加えて、触媒的、ATP競合的mTOR阻害剤が、mTORキナーゼドメインを直接標的とし、mTORC1およびmTORC2の両者を標的とすることが知られている。これらはまた、4EBP1−T37/46リン酸化およびキャップ依存性翻訳のようなラパマイシン耐性mTORC1アウトプットを調節するため、ラパマイシンのようなアロステリックmTOR阻害剤よりも完全なmTORC1阻害剤でもある。

BEZ235は触媒的mTOR阻害剤であり、化学名2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルを有し、次の化学構造を有する。

BEZ235は、その一トシル酸塩形態でも使用し得る。BEZ235の合成はWO2006/122806号に記載されている。

触媒的mTOR阻害剤として、BEZ235は、ラパマイシン感受性(P70 S6Kリン酸化と続くP70 S6のリン酸化)およびラパマイシン非感受性(4EBP1のリン酸化)機能の両者を含む、mTORC1複合体の完全な機能を阻止できる。BEZ235は使用する薬物濃度により異なる効果を有し、それにより、mTOR阻害は低濃度(100nmol/L未満)で、デュアルPI3K/mTOR阻害は比較的高濃度(約500nmol/L)で優勢である、Serra et al.,2008。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤はCCG168(別名AZD−8055、Chresta, C.M., et al., Cancer Res, 2010, 70(1), 288-298)であり、これは、化学名{5−[2,4−bis−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリド[2,3d]ピリミジン−7−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノールを有し、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤は3−[2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−N−メチルベンズアミド(WO09104019)であり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤は3−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(WO10051043およびWO2013023184)であり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤はN−(3−(N−(3−((3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン−2−イル)スルファモイル)フェニル)−3−メトキシ−4−メチルベンズアミド(WO07044729およびWO12006552)であり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤はPKI−587(Venkatesan,A.M.,J. Med. Chem.,2010,53,2636-2645)であり、これは、化学名1−[4−[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−カルボニル]フェニル]−3−[4−(4,6−ジモルホリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素であり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤はGSK−2126458(ACS Med. Chem. Lett.,2010,1,39-43)であり、これは、化学名2,4−ジフルオロ−N−{2−メトキシ−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドであり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤は5−(9−イソプロピル−8−メチル−2−モルホリノ−9H−プリン−6−イル)ピリミジン−2−アミン(WO10114484)であり、次の化学構造を有する。

文献に記載されている他の触媒的mTOR阻害剤は(E)−N−(8−(6−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−1−(6−(2−シアノプロパン−2−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2(3H)−イリデン)シアナミド(WO12007926)であり、次の化学構造を有する。

触媒的mTOR阻害剤のさらなる例は、8−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン(WO2006/122806号)およびKu-0063794(Garcia-Martinez JM, et al., Biochem J., 2009, 421(1), 29-42)を含む。Ku-0063794は、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の特異的阻害剤である。WYE-354は、触媒的mTOR阻害剤の他の例である(Yu K, et al. (2009). Biochemical, Cellular, and In vivo Activity of Novel ATP-Competitive and Selective Inhibitors of the Mammalian Target of Rapamycin. Cancer Res. 69(15): 6232-6240)。

本発明に有用なmTOR阻害剤はまた前記のいずれかのプロドラッグ、誘導体、薬学的に許容される塩または類似体を含む。

RAD001のようなmTOR阻害剤は、ここに記載する特定の投与量に基づき、当分野で十分確立された方法を利用して送達用に製剤し得る。特に、US特許6,004,973号(引用により本明細書に包含させる)は、ここに記載のmTOR阻害剤に有用な製剤の例を提供する。

下流阻害剤 ここに記載する多くの方法が、例えば、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞のレベルを増加させるために、PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞のレベルを低下させるために、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞比を増加させるためにまたはナイーブT細胞のレベルを増加させるために、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の使用に頼る。これらの方法のいずれも、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の代わりに、経路における下流要素、例えば、P70 S6KまたはmTORC1の阻害剤の投与を用いても実施できる。P70 S6Kの阻害剤の例は、PF−4708671またはLY2584702トシレートを含む。mTORC1の阻害剤の例は、mTORC1活性を特異的に阻害するが、mTORC2活性を阻害しない、mTORのアロステリック阻害剤、例えば、mTOR阻害剤である。ある態様において、下流阻害剤を、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞のレベルを増加させるために、PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞のレベルを低下させるために、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞比を増加させるためにまたはナイーブT細胞のレベルを増加させるために有効な用量で投与する。

mTOR阻害の評価 mTORはキナーゼP70 S6(P70 S6KまたはS6Kとしても既知)をリン酸化し、それによりP70 S6Kを活性化し、その基質をリン酸化させる。mTOR阻害の程度は、P70 S6K阻害の程度により表すことができ、例えば、mTOR阻害の程度は、例えば、P70 S6K基質のリン酸化の減少による、P70 S6K活性レベルの減少により決定できる。阻害剤の非存在下、例えば、阻害剤投与前と、阻害剤存在下または阻害剤投与後のP70 S6K活性(P70 S6Kが基質をリン酸化する能力)を評価することにより、mTOR阻害のレベルを決定できる。P70 S6K阻害レベルは、mTOR阻害のレベルを示す。それゆえに、P70 S6Kが40%阻害されたら、P70 S6K活性で測定して、mTOR活性は40%阻害される。ここでいう阻害の程度またはレベルは、投与間隔の間の阻害の平均レベルである。例えば、阻害剤を週に1回与えるとき、阻害のレベルは、そのその間隔の間の、すなわち1週間の阻害の平均レベルを示す。

引用により本明細書に包含させるBoulay et al., Cancer Res, 2004, 64:252-61は、mTOR阻害のレベルの評価に使用できるアッセイを教示する(ここではBoulayアッセイと称す)。ある態様において、アッセイは、mTOR阻害剤、例えば、RAD001の投与前後の生物学的サンプルからのP70 S6キナーゼ活性の測定に頼る。サンプルを、mTOR阻害剤での処置後、予め選択した時間、例えば、処置の24時間、48時間および72時間後に採り得る。例えば、皮膚または末梢血単核細胞(PBMC)からの生物学的サンプルを使用できる。総タンパク質抽出物をサンプルから調製する。P70 S6キナーゼを特異的に認識する抗体を使用した免疫沈降により、タンパク質抽出物からP70 S6キナーゼを単離する。単離したP70 S6キナーゼの活性を、インビトロキナーゼアッセイで測定する。単離したキナーゼを40Sリボソームサブユニット基質(P70 S6Kの内在性基質である)およびガンマ−32Pと、該基質のリン酸化を可能とする条件下でインキュベートできる。次いで、反応混合物をSDS−PAGEゲルで分割し、32PシグナルをPhosphorImagerを使用して解析する。40Sリボソームサブユニットのサイズに対応する32Pシグナルが、リン酸化された基質およびP70 S6Kの活性を示す。キナーゼ活性の増加または減少を、リン酸化基質の32Pシグナルの面積および強度を定量し(例えば、ImageQuant, Molecular Dynamicsを使用)、任意単位値を定量化シグナルに割り当て、投与後の値と投与前の値または対照値を比較することにより、計算できる。例えば、キナーゼ活性阻害パーセントを次の式で計算できる:1−(投与後に得た値/投与前に得た値)×100。上記のとおり、阻害の程度またはレベルは、ここでは、投与の合間の阻害の平均レベルをいう。

キナーゼ活性、例えば、P70 S6キナーゼ活性を評価する方法もまた、引用により本明細書に包含させるUS7,727,950号に提供されている。

mTOR阻害のレベルはまた、PD1陰性細胞対PD1陽性T細胞の比の変化によっても評価できる。末梢血からのT細胞を、当分野で知られる方法によりPD1陰性または陽性と同定できる。

低用量mTOR阻害剤 ここに記載する方法は、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、RAD001のようなラパログを含むアロステリックmTOR阻害剤の複数用量を使用する。対照的に、mTOR経路を完全にまたはほぼ完全に阻害するレベルの阻害剤は免疫抑制性であり、例えば、臓器移植片拒絶の予防に使用される。さらに、mTORを完全に阻害する高用量のラパログも腫瘍細胞増殖を阻止し、多様な癌の処置に使用されている(例えば、Antineoplastic effects of mammalian target of rapamycine inhibitors. Salvadori M. World J Transplant. 2012 Oct 24;2(5):74-83; Current and Future Treatment Strategies for Patients with Advanced Hepatocellular Carcinoma: Role of mTOR Inhibition. Finn RS. Liver Cancer. 2012 Nov;1(3-4):247-256; Emerging Signaling Pathways in Hepatocellular Carcinoma. Moeini A, Cornella H, Villanueva A. Liver Cancer. 2012 Sep;1(2):83-93; Targeted cancer therapy - Are the days of systemic chemotherapy numbered? Joo WD, Visintin I, Mor G. Maturitas. 2013 Sep 20.; Role of natural and adaptive immunity in renal cell carcinoma response to VEGFR-TKIs and mTOR inhibitor. Santoni M, Berardi R, Amantini C, Burattini L, Santini D, Santoni G, Cascinu S. Int J Cancer. 2013 Oct 2参照)。

本発明は、少なくとも一部、現在臨床の現場で使用されるよりはるかに低用量のmTOR阻害剤が、対象における免疫応答の増加に優れた効果を有し、PD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞比を増加させるという驚くべき発見に基づく。mTOR活性を一部しか阻害しない低用量のmTOR阻害剤が、ヒト対象における免疫応答を効率的に改善し、PD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞比を増加できることは、驚きであった。

したがって、一つの面において、本発明は、約0.005〜1.5mg、約0.005〜1.5mg、約0.01〜1mg、約0.01〜0.7mg、約0.01〜0.5mgまたは約0.1〜0.5mgの濃度でmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を含む、例えば、単位用量形態として提供される、組成物を提供する。さらなる面において、本発明は、0.005〜1.5mg、0.005〜1.5mg、0.01〜1mg、0.01〜0.7mg、0.01〜0.5mgまたは0.1〜0.5mgの濃度でmTOR阻害剤、例えば、RAD001を含む、組成物を提供する。より具体的に、一つの面において、本発明は、約0.005mg、0.006mg、0.007mg、0.008mg、0.009mg、0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mgまたは1.0mgの用量でmTOR阻害剤、例えば、RAD001を含む、組成物を提供する。一つの面において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001、は、0.5mg以下の用量である。さらに別の面において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001は、約0.5mgの用量である。さらなる面において、本発明は、0.005mg、0.006mg、0.007mg、0.008mg、0.009mg、0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mgまたは1.0mgの用量でmTOR阻害剤、例えば、RAD001を含む、組成物を提供する。一つの面において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001、は、0.5mg以下の用量である。さらに別の面において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001は、0.5mgの用量である。

さらなる面において、本発明は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を含む組成物に関する。

さらなる面において、本発明は、P70 S6キナーゼを80%未満阻害するのに十分な量のmTOR阻害剤を含む、組成物に関する。さらなる面において、ここに記載する組成物は、P70 S6キナーゼを38%未満阻害するのに十分な量のmTOR阻害剤を含む。

ある態様において、本発明は、選択した投与レジメン、例えば、1日1回または週に1回で投与したとき、完全なまたは顕著な免疫抑制には結びつかないが、免疫応答の増強に結びつくmTOR阻害のレベルと関係する、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパログ、ラパマイシンまたはRAD001または触媒的mTOR阻害剤の組成物または投薬形態に関する。

さらなる面において、本発明は、対象にmTOR阻害剤を投与する過程を含む、免疫応答を増強する、例えば、免疫老化を処置する方法を提供する。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、約0.005〜1.5mg連日、約0.01〜1mg連日、約0.01〜0.7mg連日、約0.01〜0.5mg連日または約0.1〜0.5mg連日の用量で投与できる。さらなる面において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001を、約0.1〜20mg毎週、約0.5〜15mg毎週、約1〜10mg毎週または約3〜7mg毎週の用量で投与できる。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001を、0.005〜1.5mg連日、0.01〜1mg連日、0.01〜0.7mg連日、0.01〜0.5mg連日または0.1〜0.5mg連日の用量で投与できる。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001を、約0.1〜20mg毎週、0.5〜15mg毎週、1〜10mg毎週、3〜7mg毎週または5mg毎週の用量で投与できる。

さらなる面において、本発明は、RAD001についてここに記載する特定の量または用量と生物学的同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を投与することを含む、免疫応答を増強する、例えば、免疫老化を処置する方法に関する。

ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、約0.005mg連日、0.006mg連日、0.007mg連日、0.008mg連日、0.009mg連日、0.01mg連日、0.02mg連日、0.03mg連日、0.04mg連日、0.05mg連日、0.06mg連日、0.07mg連日、0.08mg連日、0.09mg連日、0.1mg連日、0.2mg連日、0.3mg連日、0.4mg連日、0.5mg連日、0.6mg連日、0.7mg連日、0.8mg連日、0.9mg連日または1.0mg連日の用量で投与できる。ある態様において、RAD001を、24時間で約0.7mgを超えない用量で投与できる。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、を、24時間で約0.5mgを超えない用量で投与できる。ある態様において、RAD001を連日0.5mgまたはそれ未満の用量で投与できる。ある態様において、RAD001を0.5mg連日の用量で投与できる。

さらなる面において、本発明は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を利用できる。

ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、0.1mg毎週、0.2mg毎週、0.3mg毎週、0.4mg毎週、0.5mg毎週、0.6mg毎週、0.7mg毎週、0.8mg毎週、0.9mg毎週、1mg毎週、2mg毎週、3mg毎週、4mg毎週、5mg毎週、6mg毎週、7mg毎週、8mg毎週、9mg毎週、10mg毎週、11mg毎週、12mg毎週、13mg毎週、14mg毎週、15mg毎週、16mg毎週、17mg毎週、18mg毎週、19mg毎週または20mg毎週の用量で投与できる。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、毎週5mgまたはそれ未満の用量で投与する。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001を、毎週5mgの用量で投与する。

ある態様において、本発明は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を利用できる

mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパログ、ラパマイシンまたはRAD001または触媒的mTOR阻害剤は、徐放製剤で投与できる。ここに記載する組成物または単位投与形態のいずれも徐放製剤で提供できる。ある態様において、徐放製剤は、即時放出製剤より低いバイオアベイラビリティを有する。例えば、いくつかの態様において、即時放出製剤に類する治療効果を達成するために、徐放製剤は、即時放出製剤に提供される約2〜約5倍、約2.5〜約3.5倍または約3倍量の阻害剤を有する。

ある態様において、単位投薬形態あたり0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mgまたは約5mgを有する、概して週1回投与に使用される、例えば、RAD001の、即時放出形態が提供される。週1回投与のために、これらの即時放出製剤は、それぞれ、0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mgまたは約15mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する徐放形態に対応する。ある態様において、両方の形態を週1回投与する。

ある態様において、単位投薬形態あたり0.005〜1.5mg、0.01〜1.5mg、0.1〜1.5mg、0.2〜1.5mg、0.3〜1.5mg、0.4〜1.5mg、0.5〜1.5mg、0.6〜1.5mg、0.7〜1.5mg、0.8〜1.5mg、1.0〜1.5mg、0.3〜0.6mgまたは約0.5mgを有する、概して1日1回投与に使用される、例えば、RAD001の、即時放出形態が提供される。1日1回投与のために、これらの即時放出形態は、それぞれ、0.015〜4.5mg、0.03〜4.5mg、0.3〜4.5mg、0.6〜4.5mg、0.9〜4.5mg、1.2〜4.5mg、1.5〜4.5mg、1.8〜4.5mg、2.1〜4.5mg、2.4〜4.5mg、3.0〜4.5mg、0.9〜1.8mgまたは約1.5mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する、徐放形態に対応する。週1回投与のために、これらの即時放出形態は、それぞれ、0.1〜30mg、0.2〜30mg、2〜30mg、4〜30mg、6〜30mg、8〜30mg、10〜30mg、1.2〜30mg、14〜30mg、16〜30mg、20〜30mg、6〜12mgまたは約10mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する徐放形態に対応する。

ある態様において、単位投薬形態あたり0.01〜1.0mgを有する、概して1日1回投与に使用される、例えば、RAD001の、即時放出形態が提供される。1日1回投与のために、これらの即時放出形態は、それぞれ、0.03〜3mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する、徐放形態に対応する。週1回投与のために、これらの即時放出形態は、それぞれ、0.2〜20mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する、徐放形態に対応する。

ある態様において、単位投薬形態あたり0.5〜5.0mgを有する、概して週1回投与に使用される、例えば、RAD001の、即時放出形態が提供される。週1回投与のために、これらの即時放出形態は、それぞれ、1.5〜15mgのmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を有する、徐放形態に対応する。

上記のとおり、mTOR経路の一つの標的はP70 S6キナーゼである。それゆえに、ここに記載する方法および組成物に有用なmTOR阻害剤の用量は、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定して、mTOR阻害剤非存在下におけるP70 S6キナーゼ活性と比較して、P70 S6キナーゼ活性の80%を超えない阻害を達成するのに十分である。さらなる面において、本発明は、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定して、mTOR阻害剤の非存在下におけるP70 S6キナーゼ活性と比較して、38%を超えないP70 S6キナーゼ活性の阻害を達成するのに十分なmTOR阻害剤の量を提供する。一つの面において、本発明の方法および組成物において有用なmTOR阻害剤の用量は、例えば、ヒト対象に投与したとき、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定して、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%または10%またはそれ未満のP70 S6キナーゼ活性阻害を達成するのに十分である。

一つの面において、本発明の方法および組成物において有用なmTOR阻害剤の用量は、例えば、ヒト対象に投与したとき、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイにより測定して、P70 S6キナーゼ活性の90±5%(すなわち、85〜95%)、89±5%、88±5%、87±5%、86±5%、85±5%、84±5%、83±5%、82±5%、81±5%、80±5%、79±5%、78±5%、77±5%、76±5%、75±5%、74±5%、73±5%、72±5%、71±5%、70±5%、69±5%、68±5%、67±5%、66±5%、65±5%、64±5%、63±5%、62±5%、61±5%、60±5%、59±5%、58±5%、57±5%、56±5%、55±5%、54±5%、54±5%、53±5%、52±5%、51±5%、50±5%、49±5%、48±5%、47±5%、46±5%、45±5%、44±5%、43±5%、42±5%、41±5%、40±5%、39±5%、38±5%、37±5%、36±5%、35±5%、34±5%、33±5%、32±5%、31±5%、30±5%、29±5%、28±5%、27±5%、26±5%、25±5%、24±5%、23±5%、22±5%、21±5%、20±5%、19±5%、18±5%、17±5%、16±5%、15±5%、14±5%、13±5%、12±5%、11±5%または10±5%阻害を達成するのに十分である。

対象におけるP70 S6キナーゼ活性は、例えば、米国特許7,727,950号に記載する方法による、ホスホP70 S6Kレベルおよび/またはホスホP70 S6レベルの免疫ブロット解析またはインビトロキナーゼ活性アッセイのような、当分野で知られる方法を使用して測定し得る。

さらなる面において、本発明は、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001のようなmTOR阻害剤を含む、組成物に関する。このような組成物におけるmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の用量は、約30pM〜4nMの範囲であり得る。一つの面において、mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001の用量は、約50pM〜2nM、約100pM〜1.5nM、約200pM〜1nMまたは約300pM〜500pMの範囲である。一つの面において、RAD001の用量は、50pM〜2nM、100pM〜1.5nM、200pM〜1nMまたは300pM〜500pMの範囲である。さらなる面において、RAD001の用量は約30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、150pM、200pM、250pM、300pM、350pM、400pM、450pM、500pM、550pM、600pM、650pM、700pM、750pM、800pM、850pM、900pM、950pM、1nM、1.5nM、2nM、2.5nM、3nM、3.5nMまたは4nMである。

さらなる面において、本発明は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を利用できる

本発明は、さらにmTOR阻害剤の対象への投与を含む方法に関する。このような方法は、約30pM〜4nMの範囲のmTOR阻害剤RAD001の用量を使用し得る。さらなる面において、RAD001の用量は約50pM〜2nM、約100pM〜1.5nM、約200pM〜1nMまたは約300pM〜500pMの範囲であり得る。一つの面において、RAD001の用量は50pM〜2nM、100pM〜1.5nM、200pM〜1nMまたは300pM〜500pMの範囲である。さらなる面において、RAD001の用量は約30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、150pM、200pM、250pM、300pM、350pM、400pM、450pM、500pM、550pM、600pM、650pM、700pM、750pM、800pM、850pM、900pM、950pM、1nM、1.5nM、2nM、2.5nM、3nM、3.5nMまたは4nMである。

さらなる面において、本発明の方法は、RAD001について明記した特定の量または用量と生物学的に同等である量でRAD001以外のmTOR阻害剤を利用できる

mTOR阻害剤の用量と関連してここで使用する用語“約”は、mTOR阻害剤の用量の最大±10%ばらつきをいうが、記載した用量の周辺のばらつきを含まなくてよい。

ある態様において、本発明は、対象に、目標トラフレベル内の投与量で、mTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を投与することを含む、方法を提供する。ある態様において、トラフレベルは、臓器移植および癌患者で使用される投与レジメンに関係するトラフレベルより顕著に低い。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンを、免疫抑制または抗癌効果を生じるトラフレベルの1/2、1/4、1/10または1/20未満であるトラフレベルを生じるように投与する。ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンを、免疫抑制または抗癌適応症における使用についてFDAが承認した添付文書に従い提供されるトラフレベルの1/2、1/4、1/10または1/20未満であるトラフレベルを生じるように投与する。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象に、mTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、0.1〜10ng/ml、0.1〜0.5ng/ml、0.1〜3ng/ml、0.1〜2ng/mlまたは0.1〜1ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象にmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、0.2〜10ng/ml、0.2〜5ng/ml、0.2〜3ng/ml、0.2〜2ng/mlまたは0.2〜1ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象にmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、0.3〜10ng/ml、0.3〜5ng/ml、0.3〜3ng/ml、0.3〜2ng/mlまたは0.3〜1ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象にmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、0.4〜10ng/ml、0.4〜5ng/ml、0.4〜3ng/ml、0.4〜2ng/mlまたは0.4〜1ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象にmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、0.5〜10ng/ml、0.5〜5ng/ml、0.5〜3ng/ml、0.5〜2ng/mlまたは0.5〜1ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ある態様において、ここに開示する方法は、対象にmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001を、1〜10ng/ml、1〜5ng/ml、1〜3ng/mlまたは1〜2ng/mlの目標トラフレベルを提供する投与量で投与することを含む。

ここで使用する用語“トラフレベル”は、次の投与直前の血漿中の薬物濃度または2回の投与の間の最少薬物濃度をいう。

ある態様において、目標トラフレベルのRAD001は約0.1〜4.9ng/mlの範囲である。ある態様において、目標トラフレベルは3ng/ml以下、例えば、0.3ng/ml以下〜3ng/ml。ある態様において、目標トラフレベルは3ng/ml以下、例えば、0.3ng/ml以下〜1ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは約2.4〜4.9ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは約0.1〜2.4ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは約0.1〜1.5ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.1〜4.9ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは2.4〜4.9ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.1〜2.4ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.1〜1.5ng/mlの範囲である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.1ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.2ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.3ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.4ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.5ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.6ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.7ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.8ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは0.9ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.0ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.1ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.2ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.3ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.4ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは1.5ng/mlである。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは5ng/ml未満である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは2.5ng/ml未満である。ある態様において、RAD001の目標トラフレベルは2ng/ml、1.9ng/ml、1.8ng/ml、1.7ng/ml、1.6ng/ml、1.5ng/ml、1.4ng/ml、1.3ng/ml、1.2ng/ml、1.1ng/ml、1.0ng/ml、0.9ng/ml、0.8ng/ml、0.7ng/ml、0.6ng/ml、0.5ng/ml、0.4ng/ml、0.3ng/ml、0.2ng/mlまたは0.1ng/ml未満である。

さらなる面において、本発明は、RAD001の特定した目標トラフレベルと生物学的同等である目標トラフレベルと関係する量で、RAD001以外のmTOR阻害剤を使用できる。ある態様において、RAD001以外のmTOR阻害剤の目標トラフレベルは、ここに記載するRAD001のトラフレベルと同じレベルのmTOR阻害(例えば、ここに記載する方法で測定して、例えば、P70 S6の阻害)を示すレベルである。

医薬組成物:mTOR阻害剤 一つの面において、本発明は、ここに記載するCAR細胞と組み合わせて使用するために製剤された、mTOR阻害剤、例えば、ここに記載するmTOR阻害剤を含む医薬組成物に関する。

ある態様において、mTOR阻害剤は、例えば、ここに記載する、さらなる薬剤と組み合わせて投与するために製剤される。

一般に、本発明の化合物は、単独でまたは1種以上の治療剤と組み合わせて、当分野で知られる通常のかつ許容される方法のいずれかにより、上記の治療有効量で投与される。

医薬製剤は、慣用の溶解および混合法を使用して製造できる。例えば、原体物質(例えば、mTOR阻害剤または該化合物の安定化形態(例えば、シクロデキストリン誘導体または他の既知複合化薬物との複合体))を、ここに記載する添加物の1種以上の存在下、適当な溶媒に溶解させる。mTOR阻害剤は、概して薬物の投与量を容易に制御可能とし、患者に洗練され、取り扱いが容易な製品を与えるような、医薬投与形態に製剤される。

本発明の化合物は、医薬組成物として、任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば、錠剤またはカプセル剤の形で、例えば、経口でまたは、例えば、注射溶液剤または懸濁液剤の形で、非経腸的に、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形で、局所的にまたは経鼻または坐薬形態で投与できる。ここに記載するようにmTOR阻害剤を他の薬剤と組み合わせて(同時にまたは別々に)投与するとき、一つの面において、両方の成分を同じ経路で(例えば、非経腸的に)投与する。あるいは、他の薬剤を、mTOR阻害剤と異なる経路で投与し得る。例えば、mTOR阻害剤を経口で投与してよく、他の薬剤を非経腸的に投与してよい。遊離形態または薬学的に許容される塩形態のmTOR阻害剤を、少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤とともに含む医薬組成物は、混合法、造粒法またはコーティング法による通常の方法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分とともにa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびまたはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤を含む錠剤またはゼラチンカプセル剤であり得る。経口製剤はまた活性成分を20〜60%Eudragit EPO、ヒドロキシプロピルセルロースEF、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはKollidon VA64および5%までのpluronic F68、Cremophor ELまたはGelucire 44/14とともに含み得る。注射可能組成物は、水性等張溶液剤または懸濁液剤であり、坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。組成物は滅菌してよくおよび/または防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩類および/または緩衝液のようなアジュバントを含んでよい。さらに、他の治療的に価値ある物質も含み得る。経皮適用に適当な製剤は、本発明の化合物の有効量を担体とともに含む。担体は、宿主の皮膚の通過を助けるために吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により化合物を宿主皮膚に制御されかつ予定された速度で長期間にわたり送達するための速度制御バリアおよび該デバイスを皮膚に固定するための手段を含む、バンデージの形であり得る。マトリクス経皮製剤も使用し得る。さらなる面において、ここに記載するmTOR阻害剤を、マイクロニードルパッチにより投与し得る。マイクロニードルベースの薬物送達は当分野で周知であり(例えば、米国特許8,162,901号参照)、当業者は、これらの技術および方法を、ここに記載するmTOR阻害剤の投与に応用できる。例えば、皮膚および眼への局所適用のための適当な製剤は、好ましくは当分野で周知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。このような製剤は可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝液および防腐剤を含み得る。

ここで使用する用語“医薬組み合わせ剤”は、1個を超える活性成分の混合または組み合わせに由来する産物を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせの両者を含む。用語“固定された組み合わせ”は、複数活性成分、例えばmTOR阻害剤と他の薬剤が、両者とも患者に、同時に一個の物または投与量として投与されることを意味する。用語“固定されていない組み合わせ”は、複数活性成分、例えばmTOR阻害剤と他の薬剤を、別々の物として、同時に、一緒にまたは別々に具体的時間制限なく患者に投与し、ここで、このような投与が、患者の体内で2化合物の治療的有効レベルを提供することを意味する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。

徐放 ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤または触媒的mTOR阻害剤は、製品安定性要求を満たすおよび/または平均血漿ピーク濃度減少、薬物吸収の程度および血漿ピーク濃度の患者間および患者内ばらつき減少、Cmax/Cmin比減少および/または食効減少のような即時放出(IR)錠剤より都合よい薬物動態特性を有する、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を含む経口固体投与形態の形の医薬製剤として提供できる。提供された医薬製剤は、より厳密な用量調節を可能にするおよび/または有害事象の頻度を減少させ、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001での患者のより安全な処置を提供することができる。

ある態様において、本発明は、多粒子系であり、機能的層およびコーティングを有し得る、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な持続放出製剤を提供する。

ここで使用する用語“持続放出、多粒子製剤”は、長時間にわたり、例えば少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間にわたり、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の放出を可能とする製剤である。持続放出製剤は、活性成分を摂取後長時間にわたり利用可能とするような方法で製剤された、例えば、ここに記載する、特別の添加物からなるマトリクスおよびコーティングを含み得る。

用語“持続放出”は用語“徐放”(SR)または“持効性放出”と交換可能に使用する。用語“持続放出”は、錠剤およびカプセル剤についての欧州薬局方(第7版)モノグラフおよびUSPの医薬投与形態についての一般的な章<1151>の定義に従う、活性薬物物質を、経口投与直後ではなく、長時間にわたり放出する医薬製剤をいう。ここで使用する用語“即時放出”(IR)は、Guidance for Industry: “Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms” (FDA CDER, 1997)の定義に従い、60分以内に活性薬物物質の85%を放出する医薬製剤である。ある態様において、用語“即時放出”は、例えば、ここに記載する溶解アッセイで測定して、エベロリムスの錠剤からの30分以内の放出を意味する。

ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な持続放出製剤は、ここに記載する溶解アッセイのような当分野で知られるアッセイを使用してインビトロ放出プロファイルにより特徴づけできる。37℃でドデシル硫酸ナトリウム0.2%を含む900mLリン酸緩衝液pH6.8で魅した溶解容器で、それぞれUSP試験モノグラフ711および欧州薬局方試験モノグラフ2.9.3.に従い、USPに従い、パドル法で、75rpmで溶解を行う。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な持続放出製剤は、インビトロ放出アッセイで、次の放出明細に従いmTOR阻害剤を放出する。 0.5時間:<45%または<40、例えば、<30% 1時間:20〜80%、例えば、30〜60% 2時間:>50%または>70%、例えば、>75% 3時間:>60%または>65%、例えば、>85%、例えば、>90%。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な持続放出製剤は、インビトロ溶解アッセイで、45分、60分、75分、90分、105分または120分より速くmTOR阻害剤の50%を放出しない。

一つの態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な徐放性製剤は、コーティングと組み合わせて、速く溶解または崩壊する担体マトリクス内にmTOR阻害剤を含み、ここで、コーティングの少なくとも1個は徐放性コーティングである。他の態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の安定な徐放性製剤は、所望によりさらなるコーティングと組み合わせ得る、持続放出特性を備えた非崩壊担体マトリクス中にmTOR阻害剤を含む。

ある態様において、担体マトリクスはマトリクス形成剤、概してマトリクス形成ポリマーを含み、充填剤、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、リン酸カルシウムまたは微結晶性セルロースおよび崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスポビドン、抗酸化剤、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルオール、アスコルビルパルミテート、トコフェロール、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネートおよび滑沢剤および流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはフマル酸ステアリルナトリウムのような処理改良剤のようなさらなる添加物を含み得る。用語“マトリクス形成剤”は、概して、例えば、機械的または結合安定性のような物理的安定性を提供する、薬学的不活性物質に関する。

速く溶解または崩壊する担体マトリクスに使用するための適当なマトリクス形成ポリマーは当分野で知られ、例えばセルロースまたはデンプン、例えば微結晶性セルロース(“MCC”)、例えばAvicel PH 101(FMC BioPolymer)、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(“HPMC”)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン(“PVP”)、GP 812のようなカラゲナンまたはそれらの組み合わせを含む。

持続放出特性を備えた非崩壊担体マトリクスのための適当なマトリクス形成添加物は当分野で知られ、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(または“CMCナトリウム”)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテートまたはポリアクリレート、例えば、アミノメタクリレートコポリマー(Eudragit RS/RL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(“HPMC”)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン(“PVP”)、例えば、GP 812のようなカラゲナン、モノステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネートまたはそれらの組み合わせを含む。

一つの態様において、徐放性コーティングは、水不溶性、非崩壊ポリマーから形成される層であり、この層により薬物の浸透による遊離を制御する。

徐放性コーティングはまた1個以上の多孔形成剤、可塑剤ならびに滑沢剤および固化防止剤のような処理改良剤を含み得る。拡散制御放出を可能にする適当な徐放性コーティング形成ポリマーは当分野で知られ、例えばエチルセルロースおよびセルロースアセテートまたはポリアクリレート、例えば、アミノメタクリレートコポリマー(Eudragit RS/RL)、ポリビニルアセテートまたはそれらの組み合わせを含む。特定の態様において、徐放性コーティング形成ポリマーはエチルセルロースまたはセルロースアセテートまたはポリアクリレート、例えば、アミノメタクリレートコポリマータイプA(Eudragit RS)またはアミノメタクリレートコポリマータイプB(Eudragit RL)またはそれらの組み合わせである。さらに、徐放性コーティングはトリアセチン、トリエチルシトレート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、ポリエチレングリコール3000、4000または6000、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートまたはジエチルフタレートのような可塑剤および/またはSyloid 244 FP、タルク、モノステアリン酸グリセリルまたは二酸化チタンのような固化防止剤を含み得る。ある態様において、可塑剤の量は、徐放性ポリマーの量に対して5〜40%、好ましくは10〜25%である。

ある態様において、徐放性コーティングは、水不溶性コーティング形成ポリマーおよび孔形成剤を含む孔形成系である。用語“孔形成剤”は、孔の導入またはコーティングの透過性増加可能とし、活性成分の拡散制御放出を可能とする、易溶解性添加物である。適当な孔形成剤は当分野で知られ、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC(例えば、KlucelTM EF、EXF,LF)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、例えば、MethocelTM E3/E5、Pharmacoat 603TM)、ポリエチレングリコール(例えば、Macrogol 1500、3500、4000、6000)、ポロクサマー188(Pluronic F68TM)またはポビドン(PVP、例えば、Kollidon K25/K30)、糖類、例えば、デキストロース、マンノース、フルクトースのような単糖、スクロースまたはグルコジフルクトースのような二糖またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは孔形成剤はヒドロキシプロピルセルロース(HPC (KlucelTM EF、EXF,LF)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、MethocelTM E3/E5、Pharmacoat 603TM)、ポリエチレングリコール(Macrogol 1500、3500、4000、6000)、ポロクサマー188(Pluronic F68TM)またはポビドン(PVP、Kollidon K25/K30)またはそれらの組み合わせである。ある態様において、コーティングに含まれる孔形成剤の適当な量は、コーティング形成ポリマーの量に対して、例えば100:20〜100:50または100:20〜100:100のコーティングポリマー対孔形成剤の比、好ましくは比100:35〜100:45、特に比100:35〜100:50に等しい。ある態様において、包含されるコーティング形成ポリマーの適当な量は、医薬製剤の総重量の例えば、4重量%〜15重量%、5重量%〜15重量%、好ましくは5重量%〜12重量%、より好ましくは6重量%〜12重量%のポリマー重量増加のパーセンテージに等しい。

他の態様において、非崩壊徐放性担体マトリクスは、ポリマーの水和により活性成分の拡散制御放出を可能にする、マトリクス形成ポリマーを含む。持続した担体マトリクスは、さらに結合剤およびまたは充填剤のような添加物ならびに滑沢剤および流動促進剤などのような処理改良剤を含み得る。

以下の代表的マトリクス形成ポリマーを拡散制御放出用に使用し得る:アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸(または“カルボマー”)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(または“CMCナトリウム”)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテートまたはポリアクリレート、例えば、アミノメタクリレートコポリマー(Eudragit RS/RL)、異なる粘性グレード(すなわち、平均ポリマー鎖長)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(“HPMC”)およびそれらの組み合わせ、例えば、MethocelTM CRグレード、ヒドロキシプロピルセルロース、例えばKlucelTM HF/MF、ポリオキシエチレン、例えば、PolyoxTMまたはポリビニルピロリドン(“PVP”)、例えば、PVP K60、K90、ViscarinTM GP-209/GP-379のようなカラゲナンまたはそれらの組み合わせ。マトリクス形成ポリマーの組み合わせは、必要に応じた、活性成分の溶解速度の調節を可能とする。

ある態様において、非崩壊徐放性マトリクスは、制御された浸食により活性成分の放出を可能とする添加物で形成される。浸食制御マトリクスは、親油性マトリクス形成剤およびまたさらに充填剤、崩壊剤および滑沢剤および流動促進剤のような処理改良剤のような添加物を含み得る。このマトリクスタイプに関連する代表的親油性マトリクス形成添加物は、モノステアリン酸グリセリル、例えば、Cutina GMS、ベヘン酸グリセリル、例えば、Compritol 888 ATO、ステアリルアルコール、ステアリン酸、固い脂肪(hart fat)、例えば,GelucireTMまたはビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、例えば、Speziol TPGSまたはそれらの組み合わせのような親油性添加物を含む。

代表的適当な結合剤、充填剤またはさらなる添加物は、マンニトール、アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、トリエチルシトレート、Aerosil、例えば、BHTのような抗酸化剤、乾燥剤および例えば、クロスポビドンまたはデンプングリコール酸ナトリウム、デンプンまたはクロスカルメロースのような崩壊剤を含むが、これらに限定されない。

ある態様において、安定な徐放性製剤は、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を、速く溶解/崩壊するマトリクスに、例えば、ここに記載する固体分散の形で、機能的層またはコーティングとともに含み、機能的層またはコーティングの少なくとも1個は、活性成分の徐放性を可能とする放出制御行動を有する。他の態様において、安定な徐放性製剤は、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を徐放性マトリクス内に含み、これは、所望により、さらに保護的または徐放性層またはコーティングのような機能的層またはコーティングを含み得る。ある態様において、コーティング、例えば、徐放性コーティングは、10〜100μm、例えば、10〜50μmの範囲の厚さを有する(共焦点RAMANスペクトロスコピーで評価)。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、多粒子送達系の形である。ある態様において、多粒子薬物送達系は、複数の、小さく分かれた用量単位からなる経口投与形態である。このような系において、カプセル剤、錠剤、サシェ剤またはスティックパック剤のような薬物物質の投与形態は、概して直径0.05〜2.00mmの数十から数百または最大数千の球形粒子からなる、複数のサブユニットを含み得る。1.5〜3mmサイズの製剤、例えば、ミニ錠剤は他の代替である。投与形態は、胃で急速に崩壊して、多粒子を遊離するように設計し得る。特定の理論に縛られることを望まないが、多粒が胃腸管腔で拡散し、胃から徐々に空にされて、薬物物質を制御された方式で遊離すると考えられる。

一つの態様において、例えば、多粒子送達系の形の、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、例えば、粒子のコアに溶解または分散された(例えば、ビーズ、ペレット、顆粒またはミニ錠剤)または粒子の不活性コアを囲む層に、mTOR阻害剤を活性成分として含む。活性成分は、好ましくは親水性または親油性マトリクス形成添加物を含む徐放性マトリクスに例えば包埋できまたは速く崩壊および/または溶解するマトリクスに機能的層およびトップコーティングと組み合わせて包埋され、ここで、機能的層またはトップコーティングの少なくとも1個は、活性成分の拡散制御持続放出を可能とするコーティング形成ポリマーを含む。所望により、活性成分の安定性を改善するための保護層は、医薬品の安定性を確実にするために活性物質含有マトリクスを機能的層またはトップコーティングから分離する。

他の態様において、例えば、多粒子送達系の形の、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、活性成分としてのmTOR阻害剤および不溶性ポリマーおよび孔形成剤としての可溶性成分および所望によりさらに機能的層を含む外側のコーティング層を含む。本発明の目的で、用語“外側の層”は、粒子の外側に位置する層であり、さらなる層でコーティングされてよくまたはトップコーティングであってよい。用語“外側の層”、“コーティング層”または“トップコート”は、該用語を使用する文脈によって、交換可能に使用し得る。

一つの態様において、粒子は、活性成分の持続放出を可能とする1個〜数個のトップコートを含む。トップコートは、概して多粒子の各々を別々に含む、放出制御行動を備えた最終層である。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、所望により不溶性ポリマー層への孔形成によりまたはあるいは単に不溶性ポリマーの水和により透過性であるコーティング層を介した薬物の拡散により遊離素制御するまたは孔形成剤および不溶性ポリマーの水和の組み合わせにより遊離を制御する、外側の層またはトップコーティングを含む。ポリマーは、pHと無関係に不溶性であり、所望により水可溶性孔形成剤を含む。放出速度は、孔形成剤が溶解した後の孔の形成程度に影響される。不溶性コーティングポリマーは、エチルセルロースおよびセルロースアセテートのようなセルロースエーテルまたはポリアクリレート、例えば、アミノメタクリレートコポリマー(Eudragit RS/RL)であり得る。適当な孔形成剤は、水可溶性セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC(KlucelTM EF,EXF,LF)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、MethocelTM E3/E5、Pharmacoat 603TM)、ポリエチレングリコール(Macrogol 1500、3500、4000、6000)、ポロクサマー188(Pluronic F68TM)またはポビドン(PVP、Kollidon K12、K25、K30)を含む。例えば、水可溶性孔形成剤を、2:1〜1:10、例えば1:1〜1:5、1:3または1:5の比で不溶性ポリマーと混合してよい。ある態様において、孔形成剤対不溶性ポリマー比は、HPC、例えば、KlucelTM EF、EXF、LFまたはHMPC 3cP、例えば、MethocelTM E3のもの、1:1〜1:4、例えば、約1:1、1:1.2、1:1.5または1:2の比である。代表的不溶性ポリマーは、孔形成剤と組み合わせたエチルセルロース(EC、Aqualon EC N10TM)を含むが、これに限定されない。ある態様において、孔形成剤を用いずに、不溶性ポリマーアミノメタクリレートコポリマータイプA(Eudragit RS)とアミノメタクリレートコポリマータイプB(Eudragit RL)の組み合わせは、1:2〜9:1、好ましくは1:1〜4:1の比であり得る。

徐放トップコートは、活性物質の大部分の小腸への遊離を達成し、胃液から活性物質を保護し、活性物質の口腔、食道および胃への暴露を最小にし得る。

一つの態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、薬物物質含有マトリクス、例えば、速く崩壊および/または溶解するマトリクス層を含むかまたは、例えば、1個以上の成分を含むことができ、活性成分が分散または溶解しているビーズ、ペレットまたは顆粒のような開始コア上の、徐放性マトリクス層に含む。例えば、非晶質または結晶mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を、マトリクス内に重量で1:100〜100:1、例えば、重量で1:50〜5:1;または1:50〜1:1または1:5〜2:3または重量で1:10〜1:5(マトリクス形成剤に対して)で分散または溶解できる。

ある態様において、薬物物質含有マトリクスは、出発コアの表面上に重層される。層は、均一な、規則的サイズおよび形の粒子上に流動床法で、マトリクス成分および薬物物質の分散または溶液を噴霧することにより構築し得る。あるいは、マトリクス成分の粉末混合物を、回転ディスクプロセッサを使用して重層できる。出発コアは、平均粒子径0.1〜2.5mmを有する。単結晶、例えば、スクロースまたは流動床造粒、回転造粒、押し出し、球形化または圧密過程により製造される顆粒状凝集体である。ある態様において、ミニ錠剤を出発コアとして使用できる。特に態様、出発コアは球形であり、スクロースおよびデンプン(Sugar Spheres、SugletsTM、ノンパレイユ)、マンニトール(例えばMCellsTM)、ラクトース(例えば、噴霧乾燥ラクトース)または微結晶性セルロース(例えば、CelletsTM)のような不活性物質からなる。

他の態様において、薬物物質含有マトリクスは、粒子のコアに取り込まれる。マトリクス形成添加物、充填剤および処理を改良するための他の成分を薬物物質と混合する。得られた粉末混合物を、湿式押し出しまたは融解押し出しとその後の混合物の球形化を使用して粒子として、またはミニ錠剤への圧密化により製剤する。形成したマトリクスは、速く崩壊/溶解するマトリクスまたは親水性または親油性マトリクス形成添加物で構築された持続放出特性を備えた非崩壊マトリクスである。

ある態様において、薬物物質またはその固体分散を含む親水性、非崩壊マトリクスからなる多粒子を、活性成分、増量剤、例えば、ラクトースを、親水性、異なる粘性のヒドロゲル形成ポリマー、流動促進剤および滑沢剤と混合することにより製造する。ある態様において、親水性、ヒドロゲル形成ポリマーは、例えば、2重量%水溶液で20mPas未満の低粘性グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、Methocel E5と2重量%水溶液で100mPasを超える高粘性のヒドロキシプロピルメチルセルロースグレード、例えば、Methocel K100の組み合わせであり得る。粉末混合物を次いで打錠機で圧縮して、ミニ錠剤を得る。あるいは、粉末混合物を有機溶媒、例えば、エタノールで湿らせ、押し出し、多粒子を得るために球形化する。

他の態様において、薬物物質またはその固体分散を含む親油性、非崩壊マトリクスからなる多粒子を、活性成分、親油性、融解可能、マトリクス形成添加物および充填剤の混合により製造できる。混合物を、押し出し機での融解および混合により製造する。得られた伸張した鎖を粒子に切断し、所望により球形化する。使用する親油性添加物は、例えばビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(Vit E TPGS、例えば、BASFからのKolliphor TPGS Pharma)単独またはモノステアリン酸グリセロール(GMS、例えば、BASFからのKolliwax GMS)と9:1〜1:9比の混合物である。

ある態様において、徐放性ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、患者に使用可能な速放性錠剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001速放性錠剤(Final Market Imageまたは“FMI”錠剤)と比較して、24名の健常対象における一回投与後、ピーク濃度(Cmax)対投与24時間後濃度(C24h)比を減少させる。ある態様において、Cmax/C24h比は、例えば、薬物動態モデルシミュレーションで測定して減少する。Cmax/Cmin比減少の利点は、FMI製剤に対するmTOR阻害剤のバイオアベイラビリティに基づく適切な用量で、mTOR阻害剤の濃度を、薬物の治療範囲の低い側(十分な有効性)に維持し、同時に薬物の治療範囲の高い側(毒性の濃度領域)から離すことである。それゆえに、ある態様において、徐放性ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の製剤は、その有効性に影響することなく、mTOR阻害剤の安全性プロファイルを改善できる。ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の徐放性製剤を投与されている患者におけるCmax/C24h(ゆえにCmax/Cmin)比は<5または<4、例えば3.5±1または3±0.5である。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001は、機能的層またはトップコートから離れた層に含まれ、製剤からの持続放出特性を制御する。このような層は、mTOR阻害剤を分散または溶解するのに適するあらゆる物質から製造され得る。ある態様において、mTOR阻害剤を含む層は親水性担体マトリクスからなる。担体マトリクスは活性成分を包埋し、分解から保護し得る。適当なマトリクス形成剤は、親水性ポリマー、例えばHPMCタイプ2910またはタイプ2280、HPC、HEC、MEC、MHEC、ポビドンを含むが、これらに限定されず、これは、水に溶解できるかまたは急速に分散できる。一つの態様において、マトリクス層は、その各々を全内容を引用により本明細書に包含させる、例えばWO97/03654号またはWO03/028705号に記載の、固体分散の形である。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001のための速く溶解/崩壊する担体マトリクスは、固体分散の形である。ある態様において、固体分散は担体、例えば、水可溶性ポリマーを含み、例えば次のポリマーの1個または混合物を使用し得る。 − ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えば、Dow ChemicalsのMethocelTM Eまたは信越のPharmacoatTMとして入手可能なヒプロメロースタイプ2910。良好な結果が、低い見かけの粘性、例えば、20℃で2重量%水溶液で測定して100cps以下、例えば50cps以下、好ましくは20cps以下のHPMC、例えばHPMC 3cpsを使用して、得られ得る; − ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、例えば、PVP K25、K30またはPVP K12。PVPは、例えば、BASF社からKollidon(登録商標)としてまたはISP社からPlasdone(登録商標)として商業的に入手可能である。平均分子量約8,000〜約50,000ダルトンを有するPVP、例えば、PVP K30が好ましい; − ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、例えば、Klucel EF/LF/JFまたはその誘導体。HPC誘導体の例は、水性媒体、例えば、水中で低動的粘性、例えば、5%水溶液中、25℃で測定して約400cps以下を有するものを含む。好ましいHPC誘導体は、約200,000ダルトン以下、例えば、80,000〜140,000ダルトンの平均分子量を有する。商業的に入手可能なHPCは、Hercules Aqualon社からのKlucel(登録商標)LF、Klucel(登録商標)EFおよびKlucel(登録商標)JF;および日本曹達株式会社から入手可能なNisso(登録商標)HPC−Lを含む; − ポリエチレングリコール(PEG)。例は、1000〜9000ダルトン、例えば約1800〜7000の平均分子量を有するPEG、例えばPEG 2000、PEG 4000またはPEG 6000を含む(Handbook of Pharmaceutical Excipients, p. 355-361); − 例えば、Gattefosse社から、Gelucire(登録商標)、例えば、Gelucire(登録商標)44/14、53/10、50/13、42/12または35/10として入手可能な飽和ポリグリコール化グリセリド;または − シクロデキストリン、例えばb−シクロデキストリンまたはa−シクロデキストリン。適当なb−シクロデキストリンの例は、メチル−b−シクロデキストリン;ジメチル−b−シクロデキストリン;ヒドロキシプロピル−b−シクロデキストリン;グリコシル−b−シクロデキストリン;マルトシル−b−シクロデキストリン;スルホ−b−シクロデキストリン;b−シクロデキストリンのスルホ−アルキルエーテル、例えばスルホ−C14−アルキルエーテルを含むが、これらに限定されない。a−シクロデキストリンの例は、グルコシル−a−シクロデキストリンおよびマルトシル−a−シクロデキストリンを含むが、これらに限定されない。

一つの態様において、mTOR阻害剤−含有層は、抗酸化剤を、薬物物質の量に対して1:1000〜1:1比で含む。抗酸化剤はまた他の機能的層に、例えば、0.1〜10%、好ましくは0.1〜1%の濃度で使用し得る。適当な抗酸化剤は、ブチルヒドロキシルトルオール、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビルパルミテート、トコフェロール、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネートを含むが、これらに限定されない。特定の態様において、抗酸化剤はブチルヒドロキシルトルオールである。

一つの態様において、保護層は、活性物質を含む層を、例えば、トップコーティングのような他の機能的層から離し、医薬品の安定性を増強する。薬物物質は、トップコーティングとの直接接触の排除により安定化される。保護層はまた層を通して移動できるトップコーティングにおける何らかの成分、例えば、ポリマー副産物または可塑剤が、活性剤と直接接触することを阻止する拡散バリアとしても作用する。マトリクス形成剤(例えば、上記マトリクス形成剤)としても使用するポリマー以外に、適用したポリマーの量に対して、例えば、10〜100%、例えば、20〜50%の、高含量の、タルクおよび/または二酸化チタンのような無機色素または固化防止剤はバリア機能に寄与する。保護層厚さは、最適化された薬物製品安定性を得るために調節できる。

他の態様において、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001は、徐放性担体マトリクスに直接包埋される。

ある態様において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を含む製剤は、製剤に閉じ込められた水湿気と結合でき、内部乾燥剤として作用する、強度に吸湿性の添加物を含む。例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムまたはデンプンのような吸着剤を使用できる。例えば、ある態様において、クロスポビドンを錠剤崩壊剤として、例えば、2%〜25%クロスポビドンで使用する。吸着剤、例えば、クロスポビドンは、湿式および融解押し出しで使用する粉末混合物の一部、ミニ錠剤に圧縮する粉末混合物の一部、多粒子を打錠する粉末混合物の一部および/またはサシェ剤またはカプセル剤充填工程で多粒子に直接添加されることが可能である。

一つの面において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001は、計5%未満、例えば、計3%未満または計2.5%未満の低水湿気含量の粒子(例えば、0.1〜0.5mm)、ビーズ、ペレット(例えば、0.2〜2mm)またはミニ錠剤(例えば、1.5〜3mm)で存在する。

ある態様において、医薬組成物、例えば、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001の多粒子送達系を、例えば、カプセル剤(例えば、HPMCまたはHart Gelatineカプセル)のような医薬品としてまたは小袋またはスティックパックに包装してまたは崩壊により粒子を放出する錠剤として製剤できる。

ある態様において、小袋、スティックパック、ブリスターまたはボトルのような一次放送は、貯蔵寿命保存中および/または使用時間中医薬品の水湿気含量を減らすかまたは安定化する水収着成分、例えば、シリカゲルを含み得る。

提供される製剤は、複数ペレット、顆粒またはミニ錠剤を含みおよび/または遊離し得る。

ある態様において、提供される製剤、例えば、多粒子製剤は、マトリクス形成添加物と薬物物質の混合物を、熱または湿潤液体の助けを借りて、押し出し、球状化しまたは薬物含有混合物のミニ錠剤を圧密化しまたは薬物含有マトリクス層を流動床または回転造粒工程でコア上に重層することにより製造できる。

ある態様において、活性物質含有層は、親水性成分および活性物質が分散または溶解した、有機溶媒のスプレー分散をコア物質に噴霧し、同時に、溶媒を加熱、乾燥空気の助けを借りて除去することにより製造できる。この方法で、コアを囲むマトリクス層が形成され、例えば、形成された層は、例えば、HPMC、HPC、HECのようなポリマー中の活性剤の固体分散である。

一つの面において、提供される医薬製剤は、次のとおり、製造し得る。親水性ポリマーがコロイド状に分散している有機フィード混合物およびここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001を分散または溶解し、これが修飾放出コートでコートされ得るような方法で、溶媒の除去により固体分散の均一な、平滑層として沈殿する。ある態様において、得られた薬物含有多粒子を、さらなる機能的層およびトップコーティングでコーティングし得る。有機溶媒およびそれらの混合物に溶解、分散および懸濁されたコーティングポリマー、滑沢剤、粘着防止剤、孔形成剤および可塑剤を含む噴霧分散を、薬物含有多粒子に噴霧する。処理中、多粒子は、制御された運動または流動化を連続して維持し、一方乾燥、加熱処理ガスを、多粒子表面上の溶媒の蒸発のために製品に適用し、ここで、フィルム層が規定温度で形成される。フィルム層厚さは、噴霧するコーティング分散の量により制御できる。最終乾燥を、重層および被覆多粒子における残存溶媒含量を最小化するために適用する。

他の面において、ここに開示するmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001は、徐放性製剤の一部の高薬物充填部分として製剤し得る。ある態様において、製剤はさらに界面活性剤を含む。用語“界面活性剤”は、“湿潤剤”または“洗剤”と交換可能に使用でき、例えば、非イオン性、イオン性、アニオン性または両性界面活性剤をいう。適当な界面活性剤/湿潤剤の例は、例えば、Pluronicまたはポロクサマー(例えばポロクサマー188(Pluronic F68)の商品名の下に知られるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリオキシエチレン、Tweenの商品名の下に知られるタイプのモノおよびトリラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステルを含むソルビタン脂肪酸エステル、Myrjの商品名の下に知られるタイプのポリオキシエチレンステアリン酸エステルを含むポリオキシエチレン脂肪酸エステル、Brijの商品名の下に知られるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のようなナトリウムアルキルスルフェートおよびスルホネートおよびナトリウムアルキルアリールスルホネート、水可溶性トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステル(TPGS)、ポリグリセロール脂肪酸エステル、アルキレンポリオールエーテルまたはエステル、ポリエチレングリコールグリセリル脂肪酸エステル、ステロールおよびその誘導体、エステル交換、ポリオキシエチル化カプリル−カプリン酸グリセリド、糖脂肪酸エステル、PEGステロールエーテル、リン脂質、脂肪酸の塩、脂肪酸スルフェートおよびスルホネート、脂肪酸の塩、脂肪酸スルフェートおよびスルホネート、中鎖または長鎖アルキル、例えば、C6−C18、アンモニウム塩、胆汁酸またはその塩;例えばコール酸、グリコール酸または塩、例えば、コール酸ナトリウムおよび飽和C10−C22脂肪酸のポリオキシエチレンモノエステルを含むが、これらに限定されない。特定の態様において、界面活性剤はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーまたはブロックコポリマーまたは水可溶性トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステル、例えば、水可溶性トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステル、例えば、ビタミンEポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS)である。他の態様において、本医薬製剤中の界面活性剤はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、例えば、ポロクサマー188だる。さらに他の態様において、医薬製剤は界面活性剤アルキル硫酸ナトリウム、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。

界面活性剤または湿潤剤は、製剤中に、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001に対して、重量で10:1〜1:200、例えば、重量で1:1〜1:100、重量で1:2〜1:8、重量で1:4〜1:6の比で存在し得る。

ある態様において、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはRAD001は、高薬物負荷含有第一層であり、界面活性剤は第二層であり、ここで、該第二層は第一層の下にあり、所望によりさらなる徐放性コーティングを伴う。このような態様のいくつかにおいて、界面活性剤はポロクサマー188およびTPGSではない。ある態様において、第二層の界面活性剤または湿潤剤は、活性成分含有層を、製剤を覆うコーティングと離す、保護層を形成できる。製剤を覆うコーティンは徐放性コーティングであり得る。

患者に投与する上記処置剤の投与量は、処置する状態の厳密な性質および処置するレシピエントにより変わる。ヒト投与のための投与量のスケーリングは、当分野で認められた習慣に従い実施できる。ある態様において、CAMPATHについての用量は、例えば、一般に成人患者で1mg〜約100mgの範囲であり、通常1〜30日の期間連日投与する。好ましい1日用量は1日あたり1〜10mgであるが、いくつかの例においては1日あたり最大40mgの高用量を使用し得る(米国特許6,120,766号に記載)。

本発明を、次の実験的実施例を参照してさらに詳細に記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とするものであり、特に断らない限り限定的と解釈してはならない。それゆえに、本発明は、次の実施例に限定されると決して解釈してはならず、むしろ、ここに記載する教示の結果として明らかとなるありとあらゆる多様性を包含すると解釈すべきである。

さらに記載しなくても、当業者は、先の記載および下の説明的実施例を使用して、本発明の化合物を製造および利用し、請求する方法を実施できると考える。次の作業実施例は、本発明の種々の面を具体的に示し、残りの開示をいかなる方法でも限定すると解釈してはならない。

実施例1:ラパログスイッチを使用する調節可能CAR この実施例は、抗原結合メンバー(“結合事象”)と細胞内シグナル伝達メンバー(“シグナル伝達事象”)の分離に基づく、調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)の態様の根底にある重要な一般的概念を説明する。二量体化分子、例えば、小分子の存在下、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーのスイッチドメインは、結合し、今結合したRCAR分子におけるシグナル伝達の引き金を引く。例として、scFvのような細胞外抗原結合ドメインを、膜貫通ドメインおよび二量体化スイッチ(例えば、ヘテロ二量体化スイッチ)の第一スイッチドメイン(例えば、FKBPまたはFRBからのスイッチドメイン)と融合させる。細胞内シグナル伝達ドメインは、ヘテロ二量体化スイッチの第二スイッチドメイン(例えば、FRBまたはFKBP)および1個以上の4−1BBおよびCD3ゼータのような細胞内シグナル伝達ドメインを含む。二量体化およびシグナル伝達カスケードの開始は、細胞外結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインと連結する小分子ヘテロ二量化剤(スイッチドメインが同じではないため“ヘテロ二量体化分子”)の付加により達成された。本実施例において、二量体化を含む小分子は、ラパマイシンまたはその類似体(“ラパログ”と呼ばれる)であり得る。ラパマイシンまたはラパログは、FKBPおよびmTORのFRBドメインと高親和性で結合し、それにより複合体形成を誘発するヘテロ二量化剤として作用することにより、機能する(Choi, J., et al(1996) Structure of the FKBP12-rapamycin complex interacting with the binding domain of human FRAP Science 273: 239-42)。

次の実施例は、二量体化スイッチが細胞の内側または外側であり得ることを説明する。

説明のみを目的として、“139”と呼ばれるEGFRvIII scFvフラグメントを、RCARを産生するための細胞外抗原結合ドメインとして使用した。このscFvは、EGFRvIIIに対するヒト抗体由来である(Morgan et al., 2012 Hum Gene Ther 23(10): 1043-53)。RCARを産生するために、構築物の対を産生し、標的免疫エフェクター細胞で共発現させた。ヘテロ二量体化スイッチの多様なスイッチドメインを、RCAR構築物の異なるドメインと連結できる。

“スイッチ1”は構築物の対を含む。第一構築物は、抗原結合ドメイン(139 scFv)が、ヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−FRB(配列番号3)が続くリーダー配列の139 scFvに融合することにより構築するように設計した。第二構築物は、第二スイッチドメイン−FKBPを第二リンカーおよびシグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータ(配列番号4)に融合することにより設計した。

“スイッチ2”は構築物の対を含む。第一構築物は、抗原結合ドメインが、リーダー配列が、139 scFvと続くヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−FKBPに融合することにより構築するように設計した(配列番号5)。対応する細胞内シグナル伝達構築物は、第二スイッチドメイン−FRBが第二リンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号6)。

139 scFvに対するEGFRvIII CAR配列を、4−1BBおよびCD3ゼータに対するシグナル伝達ドメインでクローン化した。非調節可能CAR構築物(139scFv−BBZ、配列番号7)を、レンチウイルス産生のためにpELNSベクターから発現させ、続く実験で対照として使用する。

EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−FRB(配列番号3)

FKBP−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号4)

EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−FKBP(配列番号5)

FRB−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号6)

139scFv−BBz(対照)(配列番号7)

構造1:AP21967

材料および方法 EGFRvIII CAR構築物の表面発現およびFACSによる染色 Jurkat E6細胞を、Amaxa Cell Line Nucleofector Kit V(Lonza, Colgne AG, Germany)およびプログラムX−001を使用して、種々のEGFRvIII CAR構築物または139 CAR対照ベクターと電気穿孔した。遺伝子導入1日後、0.5×106細胞を、0.2ml FACS緩衝液(5%FBS含有DPBS緩衝液)中、V字型96ウェルプレート(Greiner Bio-One, Germany)の各ウェルに入れ、10分、室温でインキュベートした。細胞を遠沈し、100nMのEGFRvIII−Fcを含む0.2mlのFACS緩衝液に再懸濁し、4℃で60分インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、1μlのPE抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)を含む0.2mlのFACS緩衝液中、30分、4℃で暗所でインキュベートした。0.2mlのFACS緩衝液で2回洗浄後、細胞を、LSRII(BD Biosciences,San Jose,CA)装置で、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して分析した。免疫蛍光染色を、生存細胞の相対的対数蛍光として分析し、PE陽性細胞のパーセンテージを測定した。

CAR機能の初期特徴づけのためのJurkatレポーター細胞株の産生 一次T細胞形質導入および活性化の代わりとして、Jurkat−NFATレポーター細胞株を使用して、CAR構築物の機能的活性を評価できる。Jurkat T細胞株(E6−1)を、NFAT−ルシフェラーゼレポーター構築物で遺伝子導入し、安定な、NFAT−LUCレポーター(JNL)を有するクローン細胞株Jurket細胞を、PMAおよびイオノマイシン刺激後のNFATレポーターの強い誘導に基づくさらなる特徴づけのために選択した。

Jurkatレポーター細胞株の遺伝子導入およびスイッチ1またはスイッチ2によるNFATの活性化 NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地中、0.5×106/mlの密度まで増殖した。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。1時間後、A/Z化合物を500nMの最終濃度で適用した。細胞を、5%CO2の37℃インキュベーターで、一夜18時間インキュベートした。組織培養プレートを5μg/mlのEGFRvIII−FcまたはIgG1−Fcで2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。A/Z化合物含有または不含遺伝子導入細胞を再懸濁し、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定する。

NFAT活性化に対するラパログの用量応答 RCAR構築物が、抗原結合ドメインの標的抗原結合後にラパログ依存性シグナル活性化を示す能力を、NFAT−LUCレポーター(JNL)レポーターを伴うJurket細胞で測定した。具体的に、JNLを、0.5μg/mlのピューロマイシン含有Jurket細胞増殖培地中、0.5×106/mlの密度に増殖した。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。1時間後、多様な濃度のラパログ化合物を細胞に添加した。細胞を、5%CO2の37℃インキュベーターで、一夜18時間インキュベートした。組織培養プレートを5μg/mlのEGFRvIII−FcまたはIgG1−Fcで2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。遺伝子導入細胞を、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、さらに18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定する。

結果 ラパログ制御CAR−EGFRvIIIの標的介在活性を試験するためのJurkatレポーターアッセイ 集合的に、これらの実験は、RCARの種々の成分を別々に操作し、二量体化分子の存在下で合わせて、RCARにおけるシグナル伝達を伝達できることを示す。scFvの表面発現をフローサイトメトリーで評価し、全構築物の約〜50%であることが示された(データは示していない)。JNL−RCAR−EGFRvIII細胞を次いでラパログ(ヘテロ二量体化分子)を用いてまたは用いずに刺激して、RCAR構築物が細胞の表面に発現されたことを示した。JNL親細胞および対照CARを発現するJNL細胞をさらなる対照として包含させた。図12Aは、ヘテロ二量体化分子存在下の抗原結合ドメイン、例えば、scFvを発現するRCARおよび細胞内シグナル伝達ドメインを発現するRCARの間のシグナル伝達事象を調査するために設計した試験の結果を示す。データは、対照RCARに等しいラパログでの刺激後の顕著な標的制御活性化を示す。さらに、ラパログ非存在下で顕著な標的上活性化は観察されず、スイッチドメインの小分子制御ヘテロ二量体化(FKBPおよびFRB)が介在するスイッチを示す。最後に、対照標的(IgG1−Fcのみ)(白棒)に対する活性化は観察されなかった。これらのデータは、ラパログのみの存在下のEGFRvIII標的に対するRCAR構築物の特異性および対照標的に対するまたはラパログ非存在下の交差反応性の欠如を示す。これらのデータは、RCAR構築物がヘテロ二量体化スイッチで制御できることを示した最初である。

用量応答を決定するために、ラパログ(“A/Cヘテロ二量化剤”AP21967)を、多様な濃度で、EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−FKBP(配列番号5、構築物66)およびFRB−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号6、構築物67)と共遺伝子導入した遺伝子導入細胞に適用し、NFAT活性化を測定した。EGFRvIII 139scFv−BBz(配列番号7)を対照として使用した。

図12Bに示すように、NFATの活性化倍率は、500nMから20nMほどの低用量まで相対的に一定のままであった。驚くべきことに、0.8nM濃度のラパログでさえ、標的が介在するNFATの2〜3倍の誘導があった。活性化倍率の低下は、二量体化4−1BB−CD3ゼータの程度の減少によるものである可能性があり、発現は、多様な濃度のラパログ処置をとおして比較的同等であった。この結果は、ラパログがRCARに使用したヘテロ二量体化スイッチの状況で、FKRPおよびFBPの二量体化を強力に媒介することを示した。スイッチが、FKBPが細胞内シグナル伝達ドメインでFRBが139 scFv抗原結合ドメインであるように逆にしたとき、類似の結果が見られることが期待される。図12Aのように、対照標的IgG1−Fcに対する活性化は見られなかった(各対の2番目の棒)。

実施例2:クーママイシンスイッチを使用する調節可能CAR 次の実施例は、RCAR構築物を達成するためのクーママイシン制御二量体化(Farrar, M. A. et al, 1996, nature. 383,: 178-181)の使用を説明する。この実施例において、スイッチは、リーダー配列を、139 scFvと続くヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−GyrBに融合させることにより設計する(配列番号8)。第二構築物は、第二スイッチドメインGyrBを、第二リンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号9)。スイッチドメインが同じであるため、この二量体化スイッチは“ホモ二量体化スイッチ”という。T細胞のシグナル活性化は、小分子クーママイシン(構造2)の添加により制御される。

構造2;クーママイシン

EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−gyrB(配列番号8)

GyrB−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号9)

材料および方法 クーママイシンスイッチを使用する調節可能CARのためのDNAの合成 クーママイシンはいくつかの業者から商業的に入手可能である。139 scFvの配列を、4−1BBおよびCD3ゼータに対するシグナル伝達ドメインとともにクローン化した。非調節可能CAR構築物である139scFv−BBZ(配列番号7)を対照として使用できる。クーママイシンRCARについて、139 scFvを、膜貫通ドメインと続くGyrBスイッチドメインをC末端(配列番号8)およびGyrBをリンカーおよびシグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより製造した活性化構築物(配列番号9)とクローン化した。Jurkatアッセイを、最終工程が遺伝子導入細胞を18時間、種々の濃度のクーママイシンとインキュベートすることを含む以外、本質的に実施例1に記載するとおり実施した。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定した。

図20Aおよび20Bは、2個の異なる比の抗原結合メンバー:細胞内シグナル伝達メンバー(5:1および1:5)でのシグナルへのクーママイシンの添加の効果を示す。クーママイシンの添加は、両方の比で、1mMおよび10mMの両方でシグナルの有意な増加をもたらした。

実施例3:ジベレリンスイッチを使用する調節可能CAR 次の実施例は、RCAR構築物を活性化するためのジベレリン介在ヘテロ二量体化の使用を説明する(Takafumi M et al,2012. Nat Chem Biol.;8(5):465-470)。RCARを産生するために、構築物の対を産生し、標的細胞で共発現させた。スイッチドメインの多様なヘテロ二量体化ドメインを、RCAR構築物の異なるドメインに連結できる。

“スイッチ1”は構築物の対を含む。第一構築物は、リーダー配列を、139 scFvと続くヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−GAIに融合することにより設計した(配列番号10)。対応する第二構築物は、第二スイッチドメイン−GID1を、第二リンカーおよびシグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号11)。

“スイッチ2”は構築物の対を含む。第一構築物は、リーダー配列を、scFvと続くヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−GID1に融合することにより設計した(配列番号12)。対応する第二構築物は、第二スイッチドメイン−GAIを、第二リンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号13)。

ヘテロ二量体化スイッチの誘導は、ジベレリン酸アセトキシメチルエステル(構造3、Toronto Research Chemicals,Inc.から商業的に入手可能)の添加により達成する。 構造3:ジベレリン酸アセトキシメチルエステル

EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−GAI(配列番号10)

GID1−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号11)

EGFRvIII クローン139−CD8アルファTM−GID1(配列番号12)

GAI−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号13)

材料および方法 クーママイシンスイッチを使用する調節可能CARのためのDNAの合成 ジベレリン酸アセトキシメチルエステルはToronto Research Chemicals,Inc.から商業的に入手可能である。139 scFvの配列を、4−1BBおよびCD3ゼータに対するシグナル伝達ドメインとクローン化した。非調節可能CAR構築物、139scFv−BBZ、配列番号7を対照として使用できる。ジベレリンRCARについて、

“スイッチ1”は構築物の対を含む。第一構築物において、139 scFvを、GAI−スイッチドメインをC末端でクローン化し(配列番号10)、対応する第二構築物を、GID1−スイッチドメインをリンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号11)。

“スイッチ2”は構築物の対を含む。第一構築物において、139 scFvをGID1−スイッチドメインとC末端でクローン化し(配列番号12)、対応する第二構築物を、GAI−スイッチドメインをリンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号13)。

Jurkatアッセイを、最終工程が遺伝子導入細胞を18時間、種々の濃度のジベレリン酸アセトキシメチルエステルまたはジベレリン酸とインキュベートすることを含む以外、実施例1に記載するとおり実施した。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定した。

図21Aは、NFAT発現に対するDMSA、ジベレリン酸アセトキシメチルエステルおよびジベレリン酸の効果を示す。 図21Bは、ジベレリン酸アセトキシメチルエステルの増加している用量に対するNFAT発現の応答を示す。

実施例4:内部共有結合スイッチ ヘテロ二量体化の代替としての特異的共有結合性架橋剤の使用が最近記載されいているが(Erhart et al.,2013 Chem Biol 20(4):549-557)、RCARの状況においてではない。ある態様において、HaXSと呼ぶこれらの薬剤は、オフ速度に関する可能性のある動力学的限界およびT細胞介在死滅のための必要なシグナルカスケードの活性化のための必要条件としての細胞における非共有結合分子の蓄積の必要性を克服し得る。HaXSは、ハロタグ(例えば、配列番号14参照)とSNAPタグ(例えば、配列番号15参照)を細胞浸透性コアと共に連結するための官能基を含む。調節可能RCARの状況におけるHaXS分子の評価を、モデル系としてEGFRvIII RCAR(139 scFv)を使用して実施した。例えば、図13参照。

材料および方法 HaXSの合成および調節可能CARのためのDNA 代表的HaXS(構造5)は、Erhart et. Al supraに記載のように化学的に合成される。139 scFvの配列を、細胞内4−1BBおよびCD3ゼータに対するシグナル伝達ドメインと共にクローン化する。非調節可能CAR構築物である139scFv−BBZ(配列番号7)を対照として使用する。HaXs RCARについて、スイッチドメインの多様なヘテロ二量体化ドメインを、RCAR構築物の異なるドメインに連結できる。

“スイッチ1”は構築物の対を含む。第一構築物において、139 scFVを、SNAPタグとC末端にクローン化し(配列番号16)、対応する第二構築物を、ハロタグのリンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータへの融合により設計した(配列番号17)。“スイッチ2”は構築物の対を含む。第一構築物において、139 scFVを、SNAPタグとC末端でクローン化し(配列番号18)、対応する第二構築物を、ハロタグを、リンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計する(配列番号19)。Jurkatアッセイを、最終工程が遺伝子導入細胞を18時間、種々の濃度のHaXSとインキュベートすることを含む以外、実施例1に記載するとおり実施する。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加する。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定する。

ハロタグ(配列番号14)

SNAPタグ(配列番号15)

139scFV−CD8アルファTM−SNAP(配列番号16)

ハロ−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号17)

139scFV−CD8アルファTM−ハロ(配列番号18)

SNAP−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号19)

構造5;HaXS

実施例5:ペプチドベースの二量体化スイッチ−Mycタグ ある態様において、T細胞介在細胞死は、細胞内空間での外部結合事象のシグナル伝達活性化カスケードへの連結を必要とする、例えば、図6参照。外部的にディスプレイされたスイッチドメイン(例えば、c−mycペプチドタグ)および標的細胞結合受容体/scFvを伴う可溶性リガンド(例えば、抗myc抗体)を経るこれらの細胞内シグナル伝達ドメインの共局在性およびクラスター形成は、所望のシグナル伝達応答の誘発を可能とする。細胞外スイッチドメインは、適切な二量体化分子と相互作用する、c−mycペプチドタグ、flagペプチドタグ、HAペプチドタグまたはV5ペプチドタグのようなあらゆるタグ分子であり得る。これらの場合、二量体化分子は架橋剤として働き、スイッチドメインにより含まれるペプチドタグ分子に対する抗体を含み得る。細胞外ドメインはまたEGFRvIII抗原に対するscFv(例えば、139)のような癌抗原に対するscFvsでもあり得る。この場合、架橋剤は、EGFRvIII−Fc分子のような抗原自体であり得る。抗タグ抗体のように単一架橋剤として作用するスイッチドメインがクラスターを形成し、シグナルを活性化するのに不十分であるとき、さらに架橋剤を使用できる。これは、抗タグ抗体に対する抗体またはさらにEGFRvIII−Fcを架橋するためのFcに対する抗体であり得る。具体的に、この例において、スイッチは外部ホモ二量体化スイッチであり、第一スイッチドメインおよび第二スイッチドメインは、細胞内膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結するmycタグペプチドである。抗原結合ドメイン、例えば、139 scFvはスイッチドメインを有さず、標的癌細胞と結合するためでだけに働く。この例において、シグナル伝達は、架橋ウサギポリクローナルmyc抗体(すなわち、ホモ二量体化分子)の添加により開始し、これは、外部第一および第二mycペプチドスイッチドメインの各々に結合して、クラスター化させる。外部ホモ二量体化スイッチのこのクラスター形成は、細胞内シグナル伝達ドメインをクラスター化させ、シグナル伝達を活性化させる − 図14A参照。細胞内シグナル伝達事象のさらなる増強が、さらなる架橋抗体の添加による外部共クラスター形成の増加により達成される。この例において、さらなるクラスター形成は、図14Bに示すように、ウサギポリクローナルmyc抗体に対する抗ウサギ抗体の添加により達成される。

方法および材料 細胞表面上にディスプレイされたflagまたはc−mycペプチドタグを有するRCARは、対応する配列のリンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータへの融合により設計された(それぞれ配列番号20および21)。非調節可能CAR構築物である139scFv−BBZ(配列番号7)を対照として使用する。NFAT−LUCレポーターを有するJurket細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシン含有Jurket細胞増殖培地中、0.5×106/mlの密度に増殖した。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を、100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。細胞を、5%CO2の37℃インキュベーターで、一夜インキュベートした。mycタグに対するウサギポリクローナル抗体を、細胞外ドメインとしてmycタグを有するRCAR構築物で遺伝子導入した細胞に添加した。ポリクローナル抗体の濃度は100nMであった。1.5時間後、100nMの抗ウサギ抗体を、クラスター形成を増強するために添加した。細胞混合物を、37℃で18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定した。

同様に、細胞外ドメインとしてFlagペプチドタグを有する構築物を、レポーター細胞の遺伝子導入に使用した。Flagペプチドタグに対するウサギポリクローナル抗体を100nMで使用し、さらなるクラスター形成を促進するために、ウサギポリクローナル抗体に対する抗体を100nMで使用した。さらに、細胞外ドメインとしてscFv 139を有する構築物を、レポーター細胞の遺伝子導入に使用し、EGFRvIII−Fcを100nMで使用し、1.5時間後抗Fc抗体を使用した。

flagタグCAR(配列番号20)

mycタグCAR(配列番号21)

図14Aに示すとおり、細胞外ドメインとしてc−mycペプチドタグを有するRCARは、他の抗体と比較して、ウサギポリクローナル抗myc抗体とインキュベートしたとき高いNFAT活性を示した。これは、活性化がクラスターを形成する、細胞表面上のc−mycペプチドタグの架橋に特異的に起因したことを示す。図14Aに示すように、抗ウサギ抗体の添加により活性化はさらに増強された。

Flagタグのみを有するRCARは、両架橋剤、すなわち、ウサギポリクローナル抗Flag抗体および抗ウサギ抗体の両者を添加したとき活性化された。同様に、細胞外ドメインとして139 scFvを有するRCARは、EGRFvIII−Fcおよび抗Fc抗体を添加したとき活性化を示した。図14参照。

実施例6:活性化シグナル伝達ドメインのペプチドベースの多量体化 ある態様において、T細胞介在細胞死は、細胞内空間における外部結合事象のシグナル伝達活性化カスケードへの連結を必要とする。外部的にディスプレイされた分子、スイッチドメインおよび標的細胞結合受容体/scFvと組み合わせて多量体化可溶性リガンドを含む二量体化分子を経るこれらの細胞内シグナル伝達ドメインの共局在性およびクラスター形成を所望の応答の誘発に使用できる。例えば、図15参照。調節可能CARの状況でのこの原則の例を、c−mycペプチドタグの多様な多量体(二量体化分子として)にディスプレイされたさらなるscFv(スイッチドメインとして)を有するモデル系としてEGFRvIII RCAR(139sFv)を使用して実施できる。

材料および方法 調節可能RCARのためのc−mycペプチド多量体およびDNAの合成 c−mycペプチドの単量体、二量体、三量体および四量体(配列番号22〜25)を、標準固相ペプチド合成により合成し、多量体二量体化スイッチとして使用する。c−mycペプチド単量体の各々をGSリンカーにより連結する。139 scFvの配列を、細胞内4−1BBおよびCD3ゼータに対するシグナル伝達ドメインとクローン化する。非調節可能CAR構築物である139scFv−BBZ(配列番号7)を対照として使用する。c−myc調節可能CARについて、139 scFvをCD8アルファ膜貫通ドメインとクローン化し(配列番号26)、対応する細胞内シグナル伝達構築物を9E10抗myc scFvをリンカーおよび細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(9e10 scFv−BBZ、配列番号27)。

c−myc単量体ペプチド(配列番号22)

c−myc二量体ペプチド(配列番号23)

c−myc三量体ペプチド(配列番号24)

c−myc四量体ペプチド(配列番号25)

139scFV−CD8アルファTM(配列番号26)

9E10scFv−BBz(配列番号27)

NFAT活性化アッセイ NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で0.5×106/mlの密度まで増殖させた。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地をエレクトロポレーションの直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移し、2時間インキュベートした。溶液中のmycタグについて、細胞を96ウェルに分配し、単量体、二量体、三量体または四量体mycタグまたはIgG1 Fcを100nMで適用した。細胞を18時間インキュベートした。あるいは、組織培養プレートを100nMの種々のmycタグまたはIgG1 Fcで2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。遺伝子導入細胞を、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をEnvisionプレートリーダーを使用して測定する。

結果 図57に示すように、NFAT活性化は、mycタグの多量体の数に依存する。遺伝子導入細胞に高次多量体、例えば、三量体または四量体mycタグを使用したとき、高いNFAT活性化が観察された。溶液中100nMのポリmycタグは、100nM mycタグを有する被覆プレートからの活性化と比較して、NFAT活性化の増加を生じた。これらの結果は、mycタグの多量体を細胞外スイッチRCAR上のスイッチとして使用できることを示す。

実施例7:再指示阻害RCAR 免疫系の一般的原則は、T細胞がその微小環境を感知し、感知したシグナルによって、活性化または阻害されるかのいずれかである。この細かく調整されたバランスは、CD28およびICOSのような数個の活性化受容体および数個の不活性化受容体、例えばCTLA4、PD−1およびBTLAにより伝達される(Riley et al.,2005,Blood 105:13-21)。PD−1のためのリガンドはPDL1およびPDL2である。PD−1リガンドはしばしば腫瘍微小環境内で発現され、PDL1またはPDL2によるT細胞上のPD−1(プログラム細胞死1)は、T細胞不活性化に至り得る。腫瘍微小環境におけるこのT細胞不活性化に打ち勝つための処置選択肢の限定は、それゆえに有益であり得る。ここに開示する方法は、養子T細胞療法を使用して阻害シグナルを再指示し、それにより、例えばPD1受容体の活性化により誘発される、陰性制御シグナルを、結合したときにT細胞活性を増強する陽性シグナルにする。ここに概説する一般的概念は、先に述べた調節可能スイッチRCARに基づく。しかしながら、この態様において、RCARは、PD1のような阻害受容体の細胞外ドメインを含む癌ターゲティング部分を含む。さらに、RCARは、特定の癌細胞に対してホーミング誘導剤として使用される膜に係留された標準CARまたはscFvをディスプレイしてもしなくてもよい。例えば、図9に示すRCAR参照。この実施例において、スイッチは、リーダー配列の、PD1の細胞外ドメインと続くヒンジ領域、膜貫通領域、リンカーおよび第一細胞内スイッチドメイン−FKBPへの友語うにより設計された(配列番号28)。第二構築物は、第二スイッチドメインFRBの、第二リンカーおよび内部シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータへの融合により設計された(配列番号6)。T細胞の活性化は、二量体化分子、例えば、ラパログのみの存在下、PD1リガンドPDL1またはPDL2の結合により制御される。標準CARまたはターゲティングscFvの共発現も、キメラT細胞の特異性を増強するためにRCARに包含させてよい。

材料および方法 阻害RCAR再指示のためのDNAの合成 ヒトPD1受容体の細胞外ドメインの配列を、FRB−ドメインとC末端でクローン化し(配列番号28)、対応する活性化構築物をFKBP−ドメインをリンカーおよび活性化ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータへの融合により設計する(配列番号6)。他の態様において、ヒトPD1受容体の細胞外ドメインをFRBPドメインとC末端でクローン化し(配列番号29)、対応する活性化構築物をFRB−ドメインをリンカーおよび活性化ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計した(配列番号4)。Jurkatアッセイを実施例1に記載のとおり実施する。再指示阻害CARの刺激は、細胞外リガンドPD1LまたはPD2Lの添加またはPD1LまたはPD2Lを発現する細胞の共インキュベーションにより達成できる。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加する。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定する。

ヒトPD1スイッチCART FRB(配列番号29)

ヒトPD1スイッチCART FKBP(配列番号28)

再指示阻害RCARの活性化アッセイ NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で0.5×106/mlの密度まで増殖させた。各遺伝子導入について、3×106細胞を100gで10分遠沈した。Fourμg DNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。2時間後、多様な濃度のラパログ化合物を細胞に添加した。細胞を、標的でコートした組織培養プレートウェルに適用した。組織培養プレートを5μg/mlのPDL1−FcまたはIgG1−Fcまたは任意の標的で2時間、37℃で被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で30分ブロックした。遺伝子導入細胞を、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、さらに16時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をEnvisionプレートリーダーを使用して測定する。

PD1 CAR構築物はPD1−ECD−TM−41BB−CD3ゼータを含む。この構築物は、構築物を遺伝子導入された細胞、例えば、PD1 CARを遺伝子導入されたCART細胞の残留性を改善し得る。

PD1 RCAR(スイッチ切り替え可能なPD1 CAR)構築物はFRB−FKBPヘテロ二量体化スイッチおよびラパログヘテロ二量体化分子AP21967を使用する。具体的に、PD1 RCARは、PD1−ECD−TM−FRB構築物;およびFKBP−41BB−CD3ゼータ構築物を含み、これらはJurkat細胞に共遺伝子導入された。これらの構築物は、構築物を遺伝子導入された細胞、例えば、PD1 RCARを遺伝子導入されたRCART細胞の残留性を改善し得る。

図17Aに示すように、PD1 CARは、IgG1−Fcによる対照処理と比較して、有意なPD1誘発NFATの活性化誘導性プロモーター駆動ルシフェラーゼ活性を示した。これは、PDL−1とのPD1相互作用が、Jurket細胞表面上のPD1をクラスター形成させ、NFAT経路の強い活性化を誘発するのに十分であることを示す。このPD1 CARをPD1 RCAR実験のために対照として使用した。図17Bにおいて、Jurketレポーター細胞を、PD1−ECD−TM−FRBおよびFKBP−4−1BB−CD3ゼータを含むPD1 RCARにより共遺伝子導入し、500nM AP21967ヘテロ二量体化分子とインキュベートしたとき、PDL−1標的によるシグナル伝達の顕著な誘発があり、これは、AP21967ヘテロ二量体化分子が、ある構築物からのPD1と他の構築物の4−1BB−CD3ゼータの二量体化を誘発し、これが、NFATシグナル伝達の活性化を生じることを示す。RCARにおけるAP21967ヘテロ二量体化分子の効果をさらに試験するために、種々の濃度のAP21967ヘテロ二量体化分子を細胞に添加した。図18に示すように、AP21967処置と用量応答があった。左側の各棒はPD1 RCARであり、各棒は異なる濃度のAP21967でのPD1 CAR対照である。AP21967は、NFATシグナル伝達の活性化を生じるヘテロ二量体化スイッチの二量体化の誘発に、nM以下の濃度でさえ強力であった。

実施例8:PD1を含む共クラスター受容体によるスイッチ切り替え可能なCART活性化 癌細胞は、癌抗原を異常に発現するだけではなく、エフェクターT細胞による免疫攻撃からのエスケープをもたらすPD1リガンドも発現できる。PD1は、リガンドとの結合により、TCRとミクロクラスターを形成し、T細胞活性化を直接阻害する。共刺激剤または共阻害剤によるクラスターの形成が、デジタル事象に類似する免疫応答の増強または阻害に生来使用され、すなわち、“オン”または“オフ”である。換言すると、免疫応答は、複数因子が整列したときオンとなる。これは、“実”シグナルと、有害であり得る“ノイズ”を区別する。図10参照。

共刺激剤/共阻害剤クラスターの現象を、CART療法のために使用して、ターゲティング/死滅特異性を確実にできる。これを、RCAR細胞活性のための二量体化スイッチとして小分子(ラパログ)と組み合わせ得る。ある態様において、これは、治療窓を広げ、毒性副作用を減らす。

T細胞による癌細胞の認識および結合は、死滅特異性を確立するための重要な初期段階を表す。低親和性scFvにより認識される癌細胞特異的抗原およびPD1によるPDL1/2による癌細胞の共ターゲティングは、低親和性相互作用を介して達成できる:PD1と癌細胞からのPDL1またはPDL2およびscFvと癌細胞上の癌抗原の低親和性相互作用。この二重結合事象はアビディティー効果を介して増幅され、scFvおよびPD1のミクロ−クラスター形成によりさらに増幅される。これらの認識および結合事象は、RCART制御癌細胞死滅の第一段階である標的細胞とRCART細胞の免疫シナプス形成を可能にする。ラパログ添加は、4−1BB/CD3ゼータを二量体化/クラスター化し、これはさらに癌細胞死滅のためにRCART細胞を活性化する。

実験法 マウスまたはヒトPD1 ECDを膜貫通ドメインと続くFKBPスイッチドメインと融合する。メソテリンのような腫瘍抗原の一つに対する低親和性scFvを、膜貫通ドメインと続くFKBPスイッチドメインと融合する。FRBスイッチドメインを、細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBおよびCD3ゼータと融合する。例えば、図10に示すRCAR参照。NFAT駆動ルシフェラーゼレポーターを有するJurket T細胞を、3構築物、PD1−TM−FKBP、scFv−TM−FKPBおよびFRB−4−1BB−CD3ゼータと共遺伝子導入する。遺伝子導入、Amaxa nucleofactorを用いて、2μg DNA/構築物で遺伝子導入あたり3×106 Jurket細胞で行う。細胞を、共遺伝子導入後、1日インキュベーションのために、37℃で8%CO2でインキュベートする。Jurket細胞を、5μg/mlのヒトメソテリンおよび5μg/mlのマウスPD−L1またはPD−L2で被覆したウェルに適用する。37℃で1日のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を、PromegaからのOne-Glo試薬により測定する

さらに、共遺伝子導入細胞を、メソテリンおよびPDL1またはPDL2の両者を発現する癌細胞ならびに正常細胞と、エフェクターCART細胞:標的細胞の1:0.3比で混合する。1日のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を測定する。 PDL1またはPDL2の過発現を示す標的癌細胞を試験する。

実施例9:小分子制御CAR活性化−細胞外スイッチ T細胞介在細胞死は、細胞内空間における外部結合事象とシグナル伝達活性化カスケードの連結を必要とする。ある態様において、RCARは細胞外二量体化スイッチ、例えば、小分子ヘテロ二量体化分子により活性化された細胞外ヘテロ二量体化スイッチを含む。例えば、図5に記載するRCAR参照。次の実施例は、このような“細胞外小分子”スイッチの設計を説明する。

この実施例において、スイッチを、リーダー配列を、139 scFvと続くリンカーおよび第一スイッチドメイン−FKBP、ヒンジ領域および膜貫通領域に融合させることにより設計する(配列番号31)。第二構築物を、リーダー配列をFRBスイッチドメイン、膜貫通領域および細胞内シグナル伝達ドメイン4−1BBと続くCD3ゼータに融合することにより設計する(配列番号32)。

あるいは次の設計を有する構築物の対(139−FRB−TM(配列番号30)、FKBP−TM−41BB−CD3ゼータ(配列番号33)も使用し得る。 構築物の対のT細胞の共遺伝子導入は、小分子ラパログ(構造1)の添加により制御される調節可能な細胞外活性化スイッチを生じる。

EGFRvIII クローン139−FRB−CD8アルファTM(配列番号30)

EGFRvIII クローン139−FKBP−CD8アルファTM(配列番号31)

FRB−ヒンジ−CD8アルファTM−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号32)

FKBP−ヒンジ−CD8アルファTM−4−1BB−CD3ゼータ(配列番号33)

細胞外スイッチ遺伝子導入および活性化を、本質的に実施例1において細胞内スイッチについて記載したとおりに行った。

図19は、ヘテロ二量体化分子の存在下、抗原結合ドメイン、例えば、scFvを発現するRCARと細胞内シグナル伝達ドメインを発現するRCARの間のシグナル伝達事象を調べるために設計した試験の結果であり、ここで、該ヘテロ二量体化スイッチドメインは外部である。データは、250nMのラパログでの刺激による顕著な標的制御活性化を示す。さらに、ラパログ非存在下で顕著な標的上活性化は観察されず、小分子制御ヘテロスイッチドメイン(FKBPおよびFRB)の二量体化が介在する外部スイッチを示す。最後に、対照標的(IgG1−Fcのみ)に対する活性化は観察されなかった。これらのデータは、ラパログのみの存在下のEGFRvIII標的に対する外部的スイッチ型RCAR構築物の特異性および対照標的またはラパログ非存在下の交差反応性の欠如を示す。

細胞外スイッチを含むさらなるRCAR構築物およびその機能的分析を実施例22に記載する。

実施例10:shRNAを使用するマウスおよびヒトプログラム細胞死1(PDCD1)遺伝子のターゲティング 実施例1〜9に記載するRCAR構築物に加えて、RCARをコードする核酸へのshRNAの操作によりさらなる制御が提供できる。U6およびH1のような一般的に使用されるプロモーターを、RCARレンチウイルス構築物の下流に配置し得る。PDCD1、TIM3またはT細胞活性の他の陰性レギュレーターは、適当なshRNA構築物の発現により減弱させ得る。RCARおよびshRNAの共発現のために調節可能CARとshRNAをコードする構築物の種々の配置を示す遺伝子マップを図16に提供する。

2個のスイッチドメイン含有メンバー(RCARaおよびRCARb)、例えば、抗原結合メンバーおよび細胞内シグナル伝達メンバーは、EF1アルファプロモーターおよびEMCVのような適当なIRES成分の組み合わせにより制御される。図16に示すように、EF1アルファプロモーターは第一RCARメンバー、例えば、RCARaの上流に位置し、これにIRES成分および最後に第二RCARメンバー、例えば、RCARbが続く。ある態様において、shRNAはU6プロモーターにより制御される。ある態様において、shRNAおよびRCARコード化成分は単一ベクター上に存在する。図16A〜16Dは、例えば、U6制御shRNAがEF1アルファ制御RCARコード化成分の上流または下流である、単一ベクター上の多様な配置を示す。図16Aおよび16Bに示す代表的構築物において、転写は、同じ方向でU6およびEF1アルファプロモーターを介して生じる。図16Cおよび16Dに記載する代表的構築物において、転写は、異なる方向でU6およびEF1アルファプロモーターを介して生じる。他の態様において、shRNA(および対応するU6プロモーター)は第一ベクター上であり、RCAR(および対応するEF1アルファプロモーター)は第二ベクター上である(図16E)。癌細胞を特異的にターゲティングするT細胞におけるPD1のような阻害受容体の構成的減弱は、腫瘍微小環境におけるPD1経路介在免疫抑制に打ち勝つはずである。

配列選択のためのコンピューター解析 shRNA設計を、マウスおよびヒト遺伝子プログラム細胞死1(PDCD1)遺伝子をターゲティングするshRNAの同定のために実施した。使用した設計は、それぞれ、NCBI RefSeqコレクションからのNM_008798.2(マウス)およびNM_005018.2転写物であった。全ての可能な19量体の効力および特異性を各配列から予測した。効力予測のために、BioPredスコア>0.8およびDharmaconスコア>4を含む19量体配列を選択した。特異性について、4ヌクレオチドより長い反復を欠くおよび複数(>10)の既知ヒトmiRNAとマッチするシード領域を含まない19量体配列を選択した。さらに、19量体配列は、BLASTアルゴリズムを使用してそれぞれヒトおよびマウストランスクリプトーム(ヒト、マウスNCBI Refseqセット内のNM_およびXM_レコードのセットとして定義)に対して検索したとき、アンチセンス鎖またはセンス鎖(ガイド鎖の5’末端から続く1または2連続位置を含む)がNCBI Refseqにおける何らかの他のmRNA転写物と共通する>15連続ヌクレオチドを有するとき、廃棄した。さらに、自然免疫ならびに細胞毒性応答を誘発する可能性が報告されているモチーフを含む配列を廃棄した。

最終工程において、許容される19量体配列を予測される効力スコアによりソートし、上位12配列を、shRNA合成のためにその対応する21量体配列で選択した。

下記表18に、DNA配列を表す配列番号34〜81と共にPDCD1(PD1)RNAi剤(マウスPDCD1遺伝子配列NM_008798.2におけるその位置由来)の名称を提供する。センス(S)配列およびアンチセンス(AS)配列の両者を19量体として提供し、21量体配列が本表にある。位置(PoS、例えば、176)がマウスPDCD1遺伝子配列NM_008798.2の位置番号に由来することも注意する。配列番号は、12のグループで示し、これは、“センス19”配列番号34〜45;“センス21”配列番号46〜57;“アセンス21”配列番号58〜69;“アセンス19”配列番号70〜81に対応する。

下記表19は、DNA配列を表す配列番号82〜129と共にPDCD1(PD1)RNAi剤(ヒトPDCD1遺伝子配列におけるその位置由来)の名称を提供する。センス(S)配列およびアンチセンス(AS)配列両者を19量体および21量体配列として提示する。配列番号は、12のグループで示し、これは、“センス19”配列番号82〜93;“センス21”配列番号94〜105;“アセンス21”配列番号106〜117;“アセンス19”配列番号118〜129に対応する。

shRNA介在PD1ノックダウンの検証 ヒトおよびマウスPD1をターゲティングするshRNA配列を、インビトロノックダウンアッセイにより検証した。表20に挙げたヒト21量体shRNA配列(配列番号106〜117)および表19に挙げたマウス21量体shRNA配列(配列番号46〜57)を次の設計スキームに従い合成した。

(配列番号325)

一個の5’Gを、上記標的センス配列と該標的センス配列はxにより指定し(表19または20に提供)、その後配列TTCAAGAGAのヘアピンループ(配列番号326)、対応する標的抗センス配列(yにより指定)および3’ポリTターミネーター配列(上記下線)に添加した。クローニングを促進するために、各構築物をまた5’BamHI部位および3’EcoRI部位と隣接させた。最後に、合成した構築物を、組み換えDNA技術を使用してpLVX−shRNA2(Clontech)にサブクローン化した。

ヒトPD1ノックダウンアッセイを下記のとおり実施した。200万Jurkat JNL細胞を、Lonza's SE Cell Line 4D KitおよびパルスコードCL−116を製造業者の推奨に従い使用して、1〜2μg shRNAプラスミドDNA(原液濃度に依存)でヌクレオフェクトした。細胞を直ぐに無抗生物質増殖培地に再懸濁し、1×106/mLの密度まで播種した。ヌクレオフェクトしたJurkat JNL細胞を、37℃、5%CO2で、24時間、48時間または72時間インキュベートした。各時点の最後に、製造業者の推奨に従い、QIAGEN's FastLane Cell Multiplex kitを使用して細胞溶解を実施した。マルチプレックスqPCRを、hPDCD1 TaqmanプローブであるHs01550088_m1およびhGAPDH Taqmanプローブである4326317Eを使用して希釈細胞ライセートで実施した。残存転写物パーセントを、PBSヌクレオフェクション対照に対するデルタデルタCt法を使用して決定した。エラーバーは、技術的および生物学的反復の標準偏差である。

図40に示すとおり、全ての試験したヒトPD1 shRNA構築物は、例えば、ヌクレオフェクション24時間後、100%より少ないPD1転写物が残存していることにより示されるように、PD1発現をノックダウンした。shRNAターゲティング位置1867、1868、1869、1870および2079は、正常発現レベルの75%未満までPD1発現を減少し、shRNターゲティング位置2079が、24時間、48時間および72時間の試験した全3時点で最も頑強なノックダウンを有することが示された。

マウスPD1ノックダウンアッセイを下記のとおり実施した。20万EL4細胞を、製造業者の指示に従い、Lonza's SF Cell Line 4D KitおよびパルスコードCM−120−AAを使用して、0.5〜1μg shRNAプラスミドDNA(原液濃度に依存)でヌクレオフェクトした。細胞を直ぐに無抗生物質増殖培地に再懸濁し、2.5×106/mLの密度まで播種した。ヌクレオフェクトしたEL4細胞を、37℃、5%CO2で、24時間または48時間インキュベートした。各時点の最後に、細胞溶解を、製造業者の指示に従いQIAGEN's FastLane Cell Multiplex kitを使用して実施した。マルチプレックスqPCRを、mPDCD1 TaqmanプローブであるMm01285676_m1およびmβ−アクチンTaqmanプローブである4352341Eを使用して、希釈した細胞ライセートで実施した。残存転写物パーセントを、PBSヌクレオフェクション対照に対するデルタデルタCt法を使用して決定した。エラーバーは、技術的および生物学的反復の標準偏差である。

図41に示すように、試験した種々のshRNA構築物は、多様なレベルのPD1ノックダウンを示した。shRNA構築物ターゲティング位置584(mmPD1_584)および1097(mmPD1_1097)は、全構築物の最も頑強なPD1ノックダウンを示した。

実施例11:T細胞における調節可能CAR構築物の分析 調節性CARテクノロジーの実現可能性を評価するために、調節可能CARを、EF1アルファプロモーターの制御下の種々の配置でCD3ゼータ鎖および4−1BB共刺激分子と共にレンチウイルスCAR発現ベクターにクローン化した。抗原結合ドメイン、例えば、ここに記載するscFvをコードする配列を、下記のリーダー配列とヒンジ配列の間に挿入できる。

RCAR成分−核酸配列 リーダー(核酸配列);(配列番号130)

・ ヒンジ(核酸配列);(配列番号131)

・膜貫通(核酸配列);(配列番号132)

・4−1BB細胞内ドメイン(核酸配列);(配列番号133)

・CD3ゼータ(核酸配列);(配列番号134)

RCAR成分−アミノ酸配列 ・ リーダー(アミノ酸配列)(配列番号135)

・ ヒンジ(アミノ酸配列)(配列番号136)

・膜貫通(アミノ酸配列)(配列番号137)

・4−1BB細胞内ドメイン(アミノ酸配列)(配列番号138)

・CD3ゼータドメイン(アミノ酸配列)(配列番号139)

EF1アルファプロモーター(配列番号140)

最適構築物を、EGFRvIII+およびEGFR野生型標的に対する応答におけるエフェクターT細胞応答調節可能RCAR形質導入T細胞の量および質に基づき選択する。エフェクターT細胞応答は、細胞拡張、増殖、倍加、サイトカイン産生および標的細胞死滅または細胞溶解性活性(脱顆粒)を含む。

調節可能CAR T細胞の産生 RCARレンチウイルストランスファーベクターを使用して、VSVg偽型レンチウイルス粒子に包装されたゲノム物質に導入する。レンチウイルストランスファーベクターDNAを、リポフェクタミン試薬と組み合わせたVSVg、gag/polおよびrevの3個のパッケージング成分と混合し、これらをLenti−X 293T細胞に一緒に遺伝子導入する。24時間および48時間後、培地を回収し、濾過し、超遠心分離法により濃縮する。得られたウイルス調製物を−80℃で保存する。形質導入ユニットの数を、SupT1細胞におけるタイトレーションにより決定する。

例えば、再指示EGFRvIII特異的RCART細胞を、CD3x28ビーズと24時間結合させ、形質導入したT細胞の所望のパーセンテージを得るために適切な数の形質導入ユニットを添加することにより新鮮T細胞を活性化することにより産生する。これらの修飾T細胞を、休止し、サイズが減少し始めるまで増殖させ(約300fl)、その時点で、その後の解析のために凍結保存する。細胞数およびサイズをCoulter multisizer IIIを使用して測定する。凍結保存前に、形質導入された(細胞表面にEGFRvIII特異的CARを発現する)細胞のパーセンテージおよびその発現の相対的蛍光強度を、LSRIIでのフローサイトメトリー分析により決定する。ヒストグラムプロットから、CARの相対的発現レベルを、形質導入されたパーセンテージとそれらの相対的蛍光強度の比較により試験できる。

EGFRvIII再指示、調節可能CAR T細胞の細胞溶解性活性、増殖能力およびサイトカイン分泌の評価 EGFRvIII特異的RCAR T細胞の殺し、増殖し、サイトカインを分泌する機能的能力を評価するために、細胞を解凍し、一夜回復させる。RCAR構築物に加えて、標準第二世代EGFRvIII−クローン139−BBz CARを比較目的で使用し、SS1−BBz(メソテリン特異的)を、バックグラウンドCAR/T細胞効果のために非ターゲティング発現CARとして使用する。このフローベースの細胞毒性アッセイについて、標的細胞をCSFEで染色して、その存在を定量する。標的細胞をまたEGFRvIII発現について染色して、類似の標的抗原レベルを確認する。EGFRvIII CAR T細胞の細胞溶解性活性を、エフェクター:標的細胞比10:1、3:1、1:1、0.3:1および0:1のタイトレーションで測定し、ここで、エフェクターは、抗EGFRvIIIキメラ受容体を発現するT細胞と規定された。アッセイを、適切な数のT細胞と一定数の標的細胞の混合により開始した。二量体化分子の用量タイトレーションも培養に追加し、ラパログまたは抗Myc抗体について0〜1000nM濃度であった。4時間または16時間後、各混合物の全体積を除去し、各ウェルを洗浄した。T細胞をCD3について染色し、全細胞を生存/死マーカー7AADで染色した。最終洗浄後、ペレット化細胞を、予定した数のカウントビーズと共に特定体積で再懸濁した。細胞染色データをLSRIIフローサイトメトリーにより集め、結果を定量するためにビーズを使用するFlowJoソフトウェアで分析する。

RCAR−EGFRvIII T細胞の細胞増殖およびサイトカイン産生を測定するために、細胞を解凍し、一夜回復させる。RCAR構築物に加えて、標準第二世代EGFRvIII−クローン139−BBz CARを比較目的で使用し、SS1−BBz(メソテリン特異的)を、バックグラウンドCAR/T細胞効果のための非ターゲティング発現CARとして使用する。T細胞はU87、神経膠芽腫、EGFRvIIIを発現するまたは発現しない星状細胞腫細胞株を指向する。さらに、CD3x28ビーズを使用して、T細胞が第二ラウンドの内因性免疫学的シグナルに応答する能力を評価する。二量体化分子の用量タイトレーションも培養に追加し、ラパログまたは抗Myc抗体について0〜1000nM濃度である。増殖を評価するために、T細胞をCSFEで染色する。増殖は、CSFE染色の希釈であり、現在2個の娘細胞にある親標識の分離を反映する。アッセイは、エフェクター:標的比1:1および1:0でのみ試験し、ここで、エフェクターを、共通するパーセンテージで抗EGFRvIIIキメラ受容体を発現するように標準化した総T細胞(CD4および8)と規定した。アッセイを2回行い、細胞混合24時間後、上清をサイトカイン産生のために除去する。5日後、T細胞を、Live/Dead Violet(Invitrogen)で生存/死について染色し、次いで、CAR発現について染色し、CD4またはCD8細胞のいずれかに表現型決定する。最終洗浄後、ペレット化細胞を、予定した数のBDカウントビーズと共に特定体積で再懸濁する。細胞染色データをLSRIIフローサイトメトリーにより集め、結果を定量するためにビーズを使用するFlowJoソフトウェアで分析する。総細胞数を、まだ計数していないビーズのフラクションで乗じた特定の数のビーズに対して計数された細胞の数として決定する。

インビボでの調節可能CARTの評価 次の実験を、調節可能CARTの機能がインビボで調節され得るかに取り組むために設計した。実験を、腫瘍モデルの状況におけるインビボ送達および二量体化分子の機能を試験するために設計する。測定するパラメータは、CART増殖、末梢血サンプルのFACSにより測定した末梢におけるCART細胞の活性化状態および腫瘍細胞死滅を含むが、これらに限定されない。3個の異なるインビボ実験が、RCARおよび二量体化分子の有用性に取り組むために企図される。これらの実験は、1)二量体化分子を伴うRCARの基本的機能、2)再指示スイッチ切り替え可能な阻害RCARを伴うPD−1依存性腫瘍モデルおよび3)RCARおよびPD−1に対するshRNAの共発現を伴うPD−1依存性腫瘍モデルの評価を含む。

免疫不全NOD/scid/γcnull(NSG)マウスは、ヒト腫瘍細胞株または一次腫瘍およびヒトT細胞を移植するのに適当な異種移植モデルである。生着後、ヒトT細胞は、注入したヒトT細胞の用量に依存して、NSGマウスに約2ヶ月または致命的異種GVHD(xGVHD)を発症するまで維持できる。二量体化分子の投与を、分子の薬物動態特性ならびに予め決定された最適化された投与量および処置レジメンに基づき、任意の好都合な方法で実施できる。

実施例12:二量体化分子を有する基本的RCARのインビボ分析 二量体化分子によりインビボでRCART機能がオンになることを評価するために、スイッチ1またはスイッチ2のいずれかとヒトCD19特異的scFvを発現するヒトT細胞(FMC63)を、ヒトCD19を発現するNALM6−ルシフェラーゼ(NALM6−Luc)腫瘍細胞株を使用する、ALL腫瘍モデルで試験する。FMC63 scFvは、前臨床モデルにおいて完全腫瘍退縮を仲介する第二世代CAR構築物(CD19−41BB−ゼータ)の一部として広く確認されている(Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009))。簡単にいうと、レンチウイルス構築物を、FMC63 scFvを使用してスイッチ1またはスイッチ2と産生し、これらの構築物を、一次ヒトT細胞に形質導入する。T細胞をエクスビボで10〜12日増殖させ、先に記載した方法で凍結保存する。NSGマウスに静脈内接種によりNALM6−Luc腫瘍細胞株を移植し、5〜8日腫瘍負荷を確立させる。腫瘍負荷を、ルシフェラーゼ活性についての標準造影により測定できる。マウスを、次の群を含む処置群に無作為化する。1)偽/PBS、2)非形質導入T細胞、3)CART19(第二世代完全CAR)、4)CD19−スイッチ1、5)CD19−スイッチ1+ラパログまたはRAD001および6)ラパログまたはRAD001単独。処置群は、PBS(群1および6)または5×106 CART細胞/マウスを、腫瘍移植5〜8日後に投与される。T細胞注入予定時間後、例えば1〜3日後、マウスにラパログまたはRAD001を投与する。投与量および用量は、それ自体では腫瘍細胞増殖を阻害しない二量体化分子の用量に基づく。試験期間をとおして、マウスを腫瘍負荷について隔日にまたは、腫瘍増殖の影響を正確に評価するために必要に応じて頻繁に造影する。種々の間隔で、血液サンプルを、免疫表現型検査分析および末梢T細胞計数のために採集する。

ラパログまたはRAD001の用量依存的効果を、異なる用量のラパログまたはRAD001および/または別の投薬レジメンを受ける処置群を用いるさらなる実験でさらに評価できる。経時的な腫瘍退縮ならびに腫瘍退縮の程度を、いずれも造影分析に基づき定量できる。

実施例13:shRNAでチェックポイント阻害剤をターゲティングしながらの基本的RCARのインビボ分析 再指示スイッチ切り替え可能な阻害RCARを評価するために、RCARを発現するヒトT細胞を、PD−L1を発現するメソテリン異種移植腫瘍モデルで評価する。スイッチ1とヒトメソテリン特異的scFv(SS1)を、PD−1に対するshRNAと共発現するT細胞を産生する。SS1 scFv前臨床モデルにおいて完全腫瘍退縮を仲介する第二世代CAR構築物の一部として広く確認されている(Carpenito et al,PNAS,106:3360-3365,2009)。簡単にいうと、メソテリンおよびPD−L1を発現する腫瘍細胞をNSGマウスの側腹部に注射する。これらの腫瘍細胞は、M108のような一次腫瘍またはOvCAR8のような腫瘍細胞株由来である。OvCAR8について、細胞株を、PD−L1を、内因性レベルの該タンパク質を発現しないならば、発現するように操作してよい。腫瘍が確立され、腫瘍負荷が約200〜300mm3になったら、マウスを次の処置群に無作為化する。1)偽/PBS、2)非形質導入T細胞、3)SS1−BBz(第二世代完全CAR)、4)メソ−スイッチ1+ラパログ、5)メソ−スイッチ1とPD−1 shRNAおよびラパログおよび6)ラパログ単独。処置群は、PBS(群1および6)または5×105 CART細胞/マウスを投与される。T細胞注入後予定時間後、例えば1〜3日後、マウスにラパログを投与する。試験期間をとおして、腫瘍体積をカリパスで測定する。種々の間隔で、血液サンプルを、免疫表現型検査分析および末梢T細胞計数のために採集する。RCART細胞上のPD−1発現レベルを測定して、shRNAによる標的ノックダウンレベルを評価する。

ラパログの用量依存的効果を、異なる用量のラパログおよび/または別の投薬レジメンを受ける処置群を用いるさらなる実験でさらに評価できる。経時的な腫瘍退縮ならびに腫瘍退縮の程度をいずれも腫瘍体積に基づき定量できる。

実施例14:単ベクター構築物の発現 RCARの2成分をコードするレンチウイルスベクターを構築した。 構築物143775は、CD19 scFVベースの抗原結合メンバーであるIRESをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーターおよび4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバーを含む単一核酸ベクターである。これは、2個の産物が別々に転写される単一転写物を発現する。

構築物143776は、CD19 scFVベースの抗原結合メンバーをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーターおよび4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列に操作性に連結したCMV最小プロモーターを含む単一核酸ベクターである。

構築物143777は、CD19 scFVベースの抗原結合メンバーをコードする配列に操作性に連結したEF1アルファプロモーターおよび4−1BBドメインおよびCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列に操作性に連結したCMV最小プロモーターを含む単一核酸ベクターである。

構築物およびウイルス粒子を、本質的に実施例11に記載のように製造し、試験した。ウイルス粒子をJNL細胞に導入し、標的がCD19(EGFRviiiではない)である以外、実施例1に本質的に記載したように、活性を評価した。

図23は、RCART構築物が単ベクター構築物から発現して、RCARTを活性化する能力を示す。二量体化分子はRAD001であった。グラフは、NFATの制御下のレポータープロモーターの発現により測定して、単一ベクターによりコードされたRCARの成分が発現され、二量体化分子に応答して細胞を活性化することを示す。

実施例15:二量体化分子用量応答 構築物143775を細胞に導入し、二量体化分子の濃度の活性化に対する影響を、本質的に実施例14に記載のように評価した。

図24Aは、活性化に対するnM用量のRAD001の効果を示す。図24Bは、活性化に対するnM用量のラパマイシンの効果を示す。

図25Aは、活性化に対するnM以下の用量のRAD001の効果を示す。図25Bは、活性化に対するnM以下の用量のラパマイシンの効果を示す。データは、RAD001およびラパマイシンの両者が、広い濃度範囲で有効であることを示す。

実施例16:抗原結合ドメインまたは他の細胞外結合ドメインを有する最適化されたメンバー 構築 抗ヒトEGFRvIII 139 scFvのアミノ酸配列をコードするDNAを、CD8ヒンジおよび膜貫通ドメインと続く4−1BBのためのエンドドメインおよび第一細胞内スイッチドメインFKBPと共にクローン化する。第二スイッチドメインFRBおよびCD3ゼータを有する細胞内シグナル伝達メンバーに対応するDNAも合成する。さらに、FRBドメインおよびFKBPドメインが互いに逆であるDNAを合成する。4−1BBを表2に示す共刺激エンドドメインに置き換えたさらなるスイッチをまたクローン化する。

CAR機能の初期特徴づけのためのJurkatレポーター細胞株の産生 一次T細胞形質導入および活性化の代替として、Jurkat−NFATレポーター細胞株を使用して、CAR構築物の機能的活性を評価できる。Jurkat T細胞株(E6−1)を、NFAT−ルシフェラーゼレポーター構築物で遺伝子導入し、安定な、クローン細胞株(JNL)を、PMAおよびイオノマイシン刺激後のNFATレポーターの強い誘導に基づき、さらなる特徴付けのために選択する。

NFAT−LUCレポーターでのJurkat細胞の遺伝子導入および精製タンパク質を使用する機能的アッセイ NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で5×105細胞/mLの密度まで増殖させる。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を、100gで10分遠心する。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用する。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlを各DNA構築物と共にチューブに添加する。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移す。エレクトロポレーションを、X−001設定下、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して行う。500μL 増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、その後、6ウェルプレートの1ウェル中のさらなる2ml 増殖培地に移す。細胞を、5%CO2の37℃インキュベーターで、24時間インキュベートする。組織培養プレートを5μg/mlのEGFRvIII−Fcまたは5μg/mlのIgG1−Fcで2時間被覆し、DPBS中の5%血清で1時間ブロックする。遺伝子導入細胞を、100μl/ウェルで標的プレートに添加し、さらに18時間、種々の濃度の適当なラパログ存在下でインキュベートする。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加する。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をルミノメーターを使用して測定する。 構築物が残留性を改善する程度をここに記載する方法により評価できる。

実施例17:高齢者における免疫老化に対するmTOR阻害の効果 加齢と最も明確に結びついている経路の一つは、mTOR経路である。mTOR阻害剤ラパマイシンがマウスで寿命を延長し、高齢マウスで多様な加齢関連状態を改善することが示されている(Harrison, DE et al. (2009) Nature 460:392-395; Wilkinson JE et al. (2012) Aging Cell 11:675-682;およびFlynn, JM et al. (2013) Aging Cell 12:851-862)。それゆえに、これらの知見は、mTOR阻害剤がヒトにおける加齢および加齢関連状態に有益な効果を有し得ることを示す。

短い臨床試験時間枠で試験できる年齢関連表現型は免疫老化である。免疫老化は、感染に対する感受性の増加およびインフルエンザワクチン接種を含むワクチン接種に対する応答の減少に至る、高齢者で生じる免疫機能の減少である。年齢による免疫機能の減少は、造血幹細胞(HSC)がナイーブリンパ球を産生する能力の減少および抗原刺激に対する応答が不完全な疲弊したPD−1陽性リンパ球数の増加を含む、免疫欠損の蓄積による(Boraschi, D et al. (2013) Sci. Transl. Med.5:185ps8; Lages, CS et al. (2010) Aging Cell 9:785-798;およびShimatani, K et al., (2009) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106:15807-15812)。高齢マウスでの試験は、mTOR阻害剤ラパマイシンでの6週間の処置がHSC機能を若返らせ、ナイーブリンパ球産生増加、インフルエンザワクチン接種に対する応答改善および寿命延長に至ることを示した(Chen, C et al. (2009) Sci. Signal. 2:ra75)。

ヒト加齢関連表現型に対するmTOR阻害の効果をおよびmTOR阻害剤RAD001が免疫老化を軽減するかを評価するために、RAD001またはプラセボを投与された高齢志願者におけるインフルエンザワクチンに対する応答を評価した。ここに示す知見は、RAD001が、十分耐容性である用量で高齢志願者のインフルエンザワクチンに対する応答を増強したことを示唆する。RAD001はまた年齢とともに蓄積されるプログラム死(PD)−1陽性CD4およびCD8 Tリンパ球のパーセンテージも減少させた。これらの結果は、mTOR阻害が高齢志願者における免疫老化に有益な効果を有することを示す。 ここに記載するとおり、ラパマイシン類似体であるmTOR阻害剤RAD001での6週間処置は、高齢ヒト志願者におけるインフルエンザワクチン接種に対する応答を改善した。

方法 治験集団 不安定な基礎疾患のない65歳以上の高齢志願者が、ニュージーランドおよびオーストラリアの9箇所で参加した。スクリーニング時の除外基準はヘモグロビン<9.0g/dL、白血球数<3,500/mm3、好中球数<2,000/mm3または血小板数<125,000/mm3、未管理の糖尿病、不安定虚血性心疾患、臨床的に顕著な基礎肺疾患、免疫不全の病歴または免疫抑制性治療歴、凝固障害の病歴または長期抗凝固を必要とする 医学的状態、概算糸球体濾過速度<30ml/分、重度の未管理高コレステロール血症(>350mg/dL、9.1mmol/L)または高トリグリセリド血症(>500mg/dL、5.6mmol/L)の存在を含んだ。

処置アーム間のベースライン個体群統計学は類似した(表8)。218名の参加対象中、211名が治験を終了した。7名は治験を中止した。5名は有害事象(AE)が原因であり、1名は同意の上中止し、1名はプロトコール違反の結果、治験を去った。

*肥満度指数は、身長(m)の二乗で除した体重(kg)である

治験設計および遂行 2011年12月から2012年4月まで、218名の高齢志願者が、無作為化、観察者盲検化、プラセボ対照試験に参加した。対象を、各処置アームにおけるRAD001対プラセボ比5:2で、検証された自動化無作為化系を使用して処置アームに無作為化した。処置アームは RAD001 0.5mg連日またはプラセボ RAD001 5mg毎週またはプラセボ RAD001 20mg毎週またはプラセボ であった。

RAD001 0.5mg連日および20mg毎週コホートにおけるプラセボがこれらのコホートにおけるRAD001錠剤とわずかに異なったため、本治験は観察者盲検であった。対象を評価する治験職員は治験薬物を見ておらず、それゆえに完全に盲検式であった。全コホートの処置期間は6週間であり、その間、対象は2週間毎に診療所での安全性評価を受けた。対象が4週間投与された後、RAD001定常レベルを投与前および投与1時間後に測定した。6週間コースの治験薬完了後、対象はRAD001が誘発した可能性のある免疫抑制から回復するために2週間休薬させ、その後株H1N1 A/California/07/2009、H3N2 A/Victoria/210/2009、B/Brisbane/60/2008を含む2012年季節性インフルエンザワクチンを接種した(Agrippal(登録商標), Novartis Vaccines and Diagnostics, Siena, Italy)。インフルエンザワクチン接種4週間後、対象から血清を採取し、インフルエンザ力価を測定した。3種のインフルエンザワクチン株ならびに2種の異種株(A/H1N1株A/New Jersy/8/76およびA/H3N2株A/Victoria/361/11)に対する抗体力価を、標準血球凝集阻害アッセイにより測定した(Kendal, AP et al. (1982) Concepts and procedures for laboratory-based influenza surveillance. Atlanta: Centers for Disease Control and Prevention B17-B35)。

A/H1N1/California/07/2009特異的IgGおよびIgMレベルを、先に記載のとおりインフルエンザワクチン接種前および4週間後に測定した(Spensieri, F. et al. (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110:14330-14335)。結果を蛍光強度として表した。

全ての対象にインフォームド・コンセント書類を渡した。治験は、Good Clinical Practiceの原則に従い、適切な倫理委員会および規制統御句に承認された。

安全性 有害事象評価ならびに血液学的および生化学的安全性評価のための採血は、来院日に実施した。有害事象情報は、対象が治験薬を受けている6週間の間、家で記載した日記からも集めた。全有害事象データを、インフォームド・コンセント時から最後の来院日から30日後まで集めた。事象は治験医により軽度、中程度または重度と分類された。

統計解析 幾何平均力価比の一次解析を、無情報事前分布を用いる正規ベイズ回帰モデルを使用して行った。このモデルを、対数尺度で各抗体力価に適合させた。各モデルの主要評価項目は84日目測定値であった。63日目測定値をアウトカムベクターに包含させた。モデルを、先のステートメントと混ぜたSAS 9.2 procを使用してフィットさせた。マトリクス共分散構造は、非構造化(選択肢タイプ=UN)として考慮した。平らである事前分布を使用した。抗体陽転率の二次解析のために、ロジスティック回帰を使用した。

治療企図集団は、少なくとも1回の完全用量の治験薬を投与され、有効性データに影響する重大なプロトコール逸脱がない全対象と定義された。治験に参加した218名の対象中199名治験が治療企図集団であった。

免疫表現型検査 末梢血単核細胞を、ベースライン、6週間の治験薬処置後および対象が6週間治験薬物から離れており、インフルエンザワクチン接種した4週間後である治験の最後の3時点に採血した全血から単離した。76個のPBMCサブセットを、先に記載されたように、Human Immune Monitoring Center at Stanford University, CA, USAで8色免疫表現型検査パネルを使用したフローサイトメトリーにより解析した(Maecker, HT et al. (2012) Nat Rev Immunol. 12:191-200)。76個のPBMCサブセットを、8色凍結乾燥免疫表現型検査パネルを使用するフローサイトメトリーにより解析した(BD Lyoplate、BD Biosciences, San Diego, CA)。生存能>80%および2×106細胞を超える収量のPBMCサンプルを解析に入れた。

ベースラインから治験薬処置6週目までおよびベースラインから治験の最後(12週目)までの免疫表現型の相対的変化を、各RAD001投薬コホートで計算した。スチューデントT検定を行い、ベースラインから2回の採血時点までの免疫表現型の相対的変化が、それぞれ、プラセボ効果について調整した後、各投与群内で0とは有意に異なるかを試験した。処置効果解析における欠損値補完は行わなかった。それゆえに、患者がベースラインで表現型データ欠損があるとき、この患者は、この表現型の解析を行わなかった。患者の6週目または12週目の表現型データが欠損しているとき、この患者は、影響する時点でのこの表現型の解析に貢献しなかった。

3投薬群下の76表現型の608試験を行い、プラセボ効果に対する処置効果を比較した。層別化偽発見率(FDR)管理方法論を、今なお相当に優れた検出力を提供する複数の試験と関係する偽陽性の発生を制御するために実施した。細胞型群を層別因子として取り、各層内のFDR(q値)計算をそれぞれ行った。全帰無仮説は、対応するq値≦0.1の0.05有意水準で棄却された。0.05有意水準および対応するq<0.1で棄却される複数試験調節戦略は、結果の10%未満が偽であることを確実にした。

第二の解析において、免疫表現型は、全3個のRAD001投薬群を合わせたプールした処置群とプラセボ群で変化する。どの免疫表現型変化が処置群とプラセボ群を区別するかを決定するために、各測定した表現型の患者内細胞数比を、ベースラインと治験薬処置6週目およびベースラインと治験終了時(12週目)で計算した。比を対数変換し、プールした処置およびプラセボ群の間の差異を検出するために、各時点の共分散の解析により分析した。76個の表現型の152試験を実施して、プラセボ効果に対するプールした処置効果を比較した。層別化偽発見率(FDR)管理方法論を、今なお相当に優れた検出力を提供する複数の試験と関係する偽陽性の発生を制御するために実施した(Benjamini, Y. et al. (1995) J. Roy. Statist. 57:289-300;およびSun, L. et al. (2006) Genet. Epidemiol. 30:519-530)。細胞型群を層別因子として取り、FDR(q値)計算を、それぞれ各層内で実施した。0.05有意水準およびq値20%未満での全帰無仮説は棄却された。これは、0.05未満のP値および各観察された有意な結果が複数試験によるものである20%未満の確率のみを棄却すると解釈できる。

結果 一般に、RAD001は、特に0.5mg連日および5mg毎週投与レジメンで良好な耐容性であった。治験中に死亡例はなかった。3名の対象は、RAD001と無関係であると評価された4つの重篤な有害事象(SAE)を経験した。4つのSAEは、先に6週間5mg毎週RAD001の6週のコースを完了していた正常血小板数の対象の左眼の網膜出血とその後の失明;プラセボ処置対象における重度の背部痛およびプラセボ処置対象における重度の胃腸炎であった。あらゆる処置群における発生率>2%の処置関連有害事象(AE)のリストを表21に提供する。最も一般的なRAD001関連AEは、大部分の症例で、軽度であった口腔内潰瘍であった。全体的に、RAD001を投与された対象と、プラセボ処置対照の重度のAE発生率は類似した。1個の重度のAEのみがRAD001と関連すると評価され、20mg毎週RAD001処置対象の口腔内潰瘍であった。

RAD001が高齢志願者における免疫機能を改善する能力を、2012年の季節性インフルエンザワクチンに対する血清学的応答を測定することにより評価した。3種のインフルエンザワクチン株の各々に対するベースラインおよびインフルエンザワクチン接種4週間後の血球凝集阻害(HI)幾何平均力価(GMT)を表10に示す。一次解析変数は、HI GMT比(ワクチン接種4週間後/ベースライン)であった。治験を、少なくとも3種のインフルエンザワクチン株中2種において、1)プラセボに対して相対的に≧1.2倍GMT;および2)80%以上が、1を超えるプラセボ補正GMT比である事後確率の存在を証明できるように強化した。このエンドポイントは、MF−59ワクチンアジュバントにより誘発されるインフルエンザGMT比の1.2倍増加がインフルエンザ疾病の減少と関連するために、選択した(Iob, A et al. (2005) Epidemiol Infect 133:687-693)。

4週目はインフルエンザワクチン接種4週間後を示す Nはコホートあたりの対象数である GMTは幾何平均力価である GMT比は、ワクチン接種4週目のGMT/ベースラインのGMTである CV%は、変動係数を示す

治療企図(ITT)集団において、高用量(20mg毎週)コホートではなく、低い、免疫増強用量RAD001(0.5mg連日または5mg毎週)コホートが、治験の主要評価項目に合った(図27A)。これは、低用量でRAD001の異なる免疫調節機構が存在し、高用量で、mTOR阻害の既知免疫抑制性効果が発揮されるようになる可能性を示す。さらに、本結果は、低い、免疫増強用量RAD001処置後の高齢者における免疫機能の改善傾向を示唆する。

サブグループ解析において、低ベースラインインフルエンザ力価(≦1:40)のサブセットの対象は、ITT集団より高い力価のRAD001関連増加を経験した(図27B)。これらのデータは、RAD001が、ベースラインで予防的(>1:40)力価を有さず、それゆえにインフルエンザ疾病の最高のリスクにある対象のインフルエンザワクチン応答の増強に特に有効であることを示す。

RAD001濃度対各インフルエンザワクチン株に対する力価増加の散布図は、逆暴露/応答相関を示す(図28)。S6キナーゼ(S6K)のmTOR介在リン酸化に基づくモデリングおよびシミュレーションは、20mg毎週投与レジメンがmTOR介在S6K活性をほぼ完全に阻止し、5mg毎週投与レジメンはS6K活性を50%を超えて阻止し、0.5mg連日投与レジメンは、S6Kリン酸化を投与の合間に約38%まで阻止することを予測する(Tanaka, C et al. (2008) J. Clin. Oncol 26:1596-1602)。それゆえに、低い、免疫増強用量RAD001での、部分的mTOR阻害、例えば、mTOR介在S6Kリン酸化阻害は、高齢者の免疫応答の増強における高用量RAD001でのほぼ完全なmTOR阻害よりも有効ではないにしても、有効であり得る。

インフルエンザワクチン接種4週間後の抗体陽転率も評価した。抗体陽転は、ワクチン接種前力価陰性(すなわち、HI力価<1:10)から、ワクチン接種後HI力価≧1:40への変化または非陰性(≧1:10)ワクチン接種前HI力価からの少なくとも4倍増加として定義された。治療企図集団、H3N2およびB株への抗体陽転率は、プラセボコホートと比較してRAD001で増加したが、該増加は統計的有意性には合わなかった(表11)。ベースラインインフルエンザ力価≦1:40の対象の亜集団において、RAD001処置はまたH3N2およびB株に対する抗体陽転率を増加させ、これらの結果は、0.5mg連日投薬コホートでB株に対して統計額的有意性に達した。これらのデータは、さらにRAD001が、高齢者におけるインフルエンザワクチン接種に対する血清学的応答を増強させたことを示す。

* RAD001とプラセボの間の抗体陽転のオッズ比は、有意に1より異なる(固定効果として処理したロジスティック回帰により得た両側p値<0.05)

現在の季節性インフルエンザワクチンは、しばしば、以前に広まったウイルスのバリアントとして存在するインフルエンザ株の継続する出現に対して適切な保護を提供しない。しかしながら、mTOR阻害剤ラパマイシンの存在下でインフルエンザに対してワクチン接種したマウスは、プラセボと比較して、インフルエンザに対する広い血清学的応答を発達させた。広い血清学的応答は、ワクチンに含まれないインフルエンザの異種株での感染に対する保護を提供する、複数のサブタイプのインフルエンザにより発現される保存的エピトープに対する抗体を含んだ(Keating, R et al. (2013) Nat Immunology 14:2166-2178)。RAD001が高齢志願者におけるインフルエンザに対する血清学的応答を広幅化するかについて、インフルエンザワクチン(A/H1N1株A/New Jersey/8/76およびA/H3N2株A/Victoria/361/11)に含まれないインフルエンザの2種の異種株に対するHI力価を測定した。異種株に対するHI GMT比の増加は、プラセボコホートと比較してRAD001で高かった(図29)。さらに、異種株に対する抗体陽転率は、プラセボコホートと比較してRAD001で高かった。5mgおよび20mg毎週RAD001投薬コホートにおける抗体陽転率の増加は、H3N2異種株に対して統計的有意であった(表24)。プールしたRAD001コホートについてのH3N2抗体陽転率は39%であり、それに対しプラセボコホートは20%であった(p=0.007)。ここに示した結果は、mTOR阻害がインフルエンザワクチン接種に対する高齢志願者の血清学的応答を広幅化し、季節性インフルエンザワクチンに含まれないインフルエンザの異種株に対する抗体力価を高めることを示唆する。

ラパマイシンで処置したマウスにおけるインフルエンザの異種株に対する血清学的応答の広幅化は、B細胞におけるクラススイッチングの阻止および抗インフルエンザIgMレベルの増加と関係している(Keating, R. et al. (2013) Nat Immunol 14:2166-2178)。しかしながら、クラススイッチングの阻止は、ワクチン接種後抗インフルエンザIgMおよびIgGレベルがRAD001コホートとプラセボ処置コホート間で差がなかったため、RAD001で処置したヒトにおける広幅化された血清学的応答とは関係しない可能性がある(図30)。

* RAD001とプラセボの間の抗体陽転のオッズ比は、有意に1より異なる(固定効果として処理したロジスティック回帰により得た両側p値<0.05)

RAD001が高齢志願者における免疫機能を増強する機構に取り組むため、免疫表現型検査を、ベースライン、治験薬処置6週間後およびインフルエンザワクチン接種4週間後(治験薬中止6週間後)に対象から得たPBMCサンプルで実施した。大部分のPBMCサブセットのパーセンテージはRAD001コホートとプラセボの間で差がなかったが、PD−1陽性CD4およびCD8細胞のパーセンテージは、プラセボコホートと比較してRAD001で低かった(図37)。PD−1陽性CD4およびCD8細胞は年齢とともに蓄積し、PD−1がT細胞受容体誘発T細胞増殖、サイトカイン産生および細胞溶解性機能を阻止するため、抗原刺激に対する不完全な応答を有する(Lages, CS et al. (2010) Aging Cell 9:785-798)。プラセボコホートにおいてPD−1陽性T細胞のパーセンテージの経時的増加があった。12週目(ワクチン接種4週間後)で、インフルエンザウイルスがPD−1陽性T細胞を増加させることが示されているため、この増加はインフルエンザワクチン接種によるものであり得る(Erikson, JJ et al. (2012) JCI 122:2967-2982)。しかしながら、全RAD001コホートでCD4 PD−1陽性T細胞のパーセンテージは6週目および12週目でベースラインから下がった(図31A)。CD8 PD−1陽性細胞のパーセンテージも、2つの低用量RAD001コホートで6週目および12週目の両者でベースラインから下がった(図31B)。PD−1陰性CD4 T細胞のパーセンテージを評価し、プラセボコホートと比較してRAD001コホートで増加した(図31C)。

RAD001コホートからの結果をプールし、ベースラインPD−1発現の差異について調整したより厳密な統計解析下、プラセボコホート(n=25)と比較して、プールしたRADコホート(n=84)で、6週目にPD−1陽性CD4 T細胞の30.2%の統計的に有意な減少があり、p=0.03(q=0.13)であった(図32A)。プラセボコホートと比較した、プールしたRADにおける12週目のPD−1陽性CD4 T細胞の減少は32.7%であり、p=0.05(q=0.19)である。図32Bは、プラセボコホート(n=25)と比較して、プールしたRAD001コホート(n=84)における6週目のPD−1陽性CD8 T細胞の統計的に有意な37.4%の減少を示し、p=0.008(q=0.07)である。プラセボコホートと比較した、プールしたRAD001の12週目のPD−1陽性CD8 T細胞減少は41.4%であり、p=0.066(q=0.21)である。それゆえに、図31および32の結果は、合わせて、PD−1陽性CD4およびCD8 T細胞のパーセンテージのRAD001関連減少が、免疫機能の増強に貢献している可能性を示唆する。

結論 結論として、ここに提供したデータは、mTOR阻害剤RAD001が、インフルエンザワクチン接種に対する応答で評価して、ヒト高齢者の免疫学的機能における年齢関連減少を軽減し、この改善が許容されるリスク対効果バランスで得られることを示す。高齢マウスでの試験において、mTOR阻害剤ラパマイシンでの6週間処置はインフルエンザワクチン接種に対する応答を増加しただけでなく、寿命も延長し、免疫老化の改善は、加齢関連表現型に対するより広範な効果のマーカーであり得ることを示唆する。

RAD001投薬をワクチン接種2週間前に中断したため、RAD001の免疫増強効果は、薬物処置中止後も残留する適切な細胞集団における変化により介在され得る。ここに示した結果は、RAD001が、プラセボと比較して疲弊したPD−1陽性CD4およびCD8 T細胞のパーセンテージを減少させたことを示す。PD−1発現はTCRシグナル伝達により誘発され、慢性ウイルス感染を含む永続性抗原刺激の設定で高いままである。理論に縛られることを望まないが、RAD001が高齢志願者における慢性免疫活性化を減少し、それによりPD−1発現を減少させた可能性がある。RAD001はまたイムノフィリンシクロスポリンAについて報告されているように、PD−1発現を直接的にも阻害し得る(Oestreich, KJ et al. (2008) J Immunol. 181:4832-4839)。PD−1陽性T細胞のパーセンテージのRAD001誘発減少は、T細胞応答の品質を改善させる可能性がある。これは、mTOR阻害が、マウスおよび霊長類におけるワクチン接種に対する記憶CD8 T細胞応答の品質を改善したことを示す試験と先の一致する(Araki, K et al. (2009) Nature 460:108-112)。高齢マウスにおいて、mTOR阻害はまた造血幹細胞の数を増加させ、ナイーブリンパ球の産生増加に至ることも示されている(Chen, C et al. (2009) Sci Signal 2:ra75)。本実施例においてRAD001対プラセボコホートでナイーブリンパ球のパーセンテージに有意な差は検出されなかったが、この可能性がある機構をさらに調査し得る。

RAD001がインフルエンザの異種株に対する血清学的応答を広幅化する機構をさらに調査し得る。ラパマイシンも、インフルエンザワクチン接種後B細胞におけるクラススイッチングを阻止することが示されている。その結果、抗インフルエンザ抗体の独特のレパートリーが産生され、それがインフルエンザワクチンに含まれないインフルエンザウイルスサブタイプでの致死的感染に対する株間保護を促進した(Keating, R et al. (2013) Nat Immunol. 14:2166-2178)。ここに記載した結果は、RAD001がインフルエンザワクチン接種2週間前にRAD001を中止した高齢対象におけるB細胞クラススイッチングを改変したことを示さなかった。基礎機構をさらに解明する必要があるが、ここに記載する異種インフルエンザ株に対する血清学的応答の増加は、インフルエンザの季節性ワクチンと地域社会で広まっている株があまり適合していない年のインフルエンザ疾病に対する保護の増強に寄与し得る。

インフルエンザ抗体力価に対するRAD001の効果は、高齢者のインフルエンザワクチン接種に対する応答の増加について承認されているMF59ワクチンアジュバントの効果と同等であった(Podda, A (2001) Vaccine 19:2673-2680)。それゆえに、インフルエンザワクチン接種に対する抗体応答のRAD001駆動増強は、高齢者におけるMF59アジュバント添加インフルエンザワクチンで証明される臨床的利益に翻訳され得る(Iob, A et al. (2005) Epidemiol Infect. 133:687-693)。しかしながら、RAD001はまた臓器移植患者の免疫応答の抑制にも使用される。これらの外見上逆説的な結果は、mTOR阻害剤の免疫調節効果が用量および/または抗原依存性であり得る可能性を惹起する(Ferrer, IR et al. (2010) J Immunol. 185:2004-2008)。逆RAD001暴露/ワクチン接種応答相関の傾向がここで見られた。完全なmTOR阻害は通常のシクロフィリン−ラパマイシン機構を介して免疫機能を抑制するが、部分的mTOR阻害は、少なくとも高齢者において、異なる加齢関連表現型阻害により免疫機能を増強する可能性がある。興味深いことに、mTOR活性は、高齢動物モデルにおける造血幹細胞を含む多様な組織で増加する(Chen C. et al. (2009) Sci Signal 2:ra75 and Barns, M. et al. (2014) Int J Biochem Cell Biol. 53:174-185)。それゆえに、mTOR活性の、若い組織で見られるレベルへの下落が、mTOR活性のより完全な抑制とは逆に、老化減少適応症に臨床的利益があり得る。

加齢関連適応症の処置におけるRAD001のようなmTOR阻害剤の安全性プロファイルは懸念されている。腫瘍学または臓器移植適応症で使用される用量でのRAD001の毒性は、多くの加齢関連適応症では許容されないであろう口内炎、下痢、悪心、血球減少、高脂血症および高血糖を含む。しかしながら、これらのAEは、血中のRAD001のトラフレベルに関係する。それゆえに、本治験で使用したRAD001投与レジメンは、トラフレベルを最少化するように選択した。0.5mg連日、5mg毎週および20mg毎週投薬コホートの平均RAD001トラフレベルは、それぞれ0.9ng/ml、0.3ng/ml(定量下限)未満および0.7ng/mlであった。これらのトラフレベルは、臓器移植および癌患者で使用される投与レジメンと関係するトラフレベルより顕著に低い。さらに、6週間の限られた処置コースが有害事象のリスクを減らした。これらの結果は、この治験で使用された投与レジメンが、高齢者のある状態については許容されるリスク対効果を有し得ることを示唆する。それにもかかわらず、ここに記載した試験の対象の相当数が、0.5mg連日ほど低い投薬でも口腔内潰瘍を発症した。それゆえに、低い、免疫増強用量RAD001の安全性プロファイルはさらなる治験を必要とする。現在利用可能なラパログよりも問題のない安全性プロファイルを有するmTOR阻害剤は、将来加齢関連状態における良好な治療選択肢を提供し得る。

実施例18:高齢者対象におけるワクチンに対する免疫応答の増強 免疫機能は高齢者で低下し、感染発生率増加およびワクチン接種に対する応答減少に至る。mTOR阻害がヒトにおいて抗加齢効果を有するかの決定の第一段階として、無作為化プラセボ対照治験を実施し、mTOR阻害剤RAD001が、高齢志願者におけるワクチン接種に対する応答により評価された免疫機能の加齢関連低下を反転させるかを決定した。全例で、適切な患者同意を得て、治験は国の保健機関により承認された。

RAD001の次の3投与レジメンを治験で使用した: 20mg毎週(トラフレベル:0.7ng/ml) 5mg毎週(トラフレベルは検出限界以下であった) 0.5mg連日(トラフレベル:0.9ng/ml)

移植および腫瘍適応症で承認されているRAD001の用量より低いトラフレベルのために、これらの投与レジメンを選択した。トラフレベルは、体内の薬物の最低レベルである。10mg連日腫瘍学投与レジメンに付随するRAD001のトラフレベルは約20ng/mlである。0.75〜1.5mg bid移植投与レジメンに付随するトラフレベルは約3ng/mlである。対照的に、我々の免疫化治験で使用した投与レジメンに付随するトラフレベルは3〜20倍低かった。

RAD001関連AEがトラフレベルと関係するため、3投与レジメンは正常志願者に対する適切な安全性を有することが予測された。さらに、3用量は、一定範囲のmTOR阻害を与えることが予想された。P70 S6キナーゼ(P70 S6K)は、mTORによりリン酸化される下流標的である。P70 S6Kリン酸化のレベルは、mTOR活性の指標として働く。RAD001の前臨床試験および臨床試験で得たP70 S6Kリン酸化データのモデリングおよびシミュレーションに基づき、20mg毎週が丸一週間mTOR活性をほぼ完全に阻害すると予測され、一方5mg毎週および0.5mg連日はmTOR活性を一部阻害すると予測された。

65歳以上の高齢志願者を、3つのRAD001処置群(50対象/アーム)またはプラセボ(20対象/アーム)の一つに無作為化した。対象を治験薬物で6週間処置し、2週間休薬し、インフルエンザワクチン接種(Aggrippal, Novartis)および肺炎球菌ワクチン接種(Pneumovax 23, Merck)をした。インフルエンザワクチン接種に対する応答を、ワクチン接種4週間後、インフルエンザワクチンの3インフルエンザ株(H1N1、H3N2およびBインフルエンザサブタイプ)に対する血球凝集阻害アッセイによる幾何平均力価(GMTs)の測定により評価した。治験の主要評価項目は(1)安全性および耐容性および(2)ワクチン接種4週間後、プラセボと比較した、インフルエンザワクチン株の2/3のインフルエンザ力価の1.2倍増加であった。このエンドポイントは、インフルエンザ力価の1.2倍増加が、ワクチン接種後のインフルエンザ疾病の減少と関連し、それゆえに臨床的に適切であるために、選択した。5mg毎週および0.5mg 1日用量は十分耐容性であり、20mg毎週用量と異なり、GMT主要評価項目を満たした(図27A)。高齢志願者においてプラセボと比較して、RAD001がインフルエンザワクチン接種に対する応答を改善しただけでなく、肺炎球菌ワクチン接種に対する応答も改善した。肺炎球菌ワクチンは、23種の肺炎球菌血清型からの抗原を含む。血清型の7種に対する抗体力価を我々の対象で測定した。6/7血清型に対する抗体力価が、プラセボと比較して全3つのRADコホートで増加した。

合わせたインフルエンザおよび肺炎球菌力価データは、部分的(80〜100%未満)mTOR阻害が、完全なmTOR阻害よりも免疫機能における加齢関連低下の反転により有効であることを示す。

実施例19:低用量mTOR阻害はエネルギーおよび運動を増やす 前臨床モデルにおいて、ラパログであるラパマイシンでのmTOR阻害は、老齢マウスにおける自発的身体活動性を増加させる(Wilkinson et al. Rapamycin slows aging in mice. (2012) Aging Cell; 11:675-82)。興味深いことに、実施例18に記載した0.5mg連日投薬コホートの対象も、投与1年後のアンケートで、プラセボと比較してエネルギーおよび運動能の増加を報告した(図33)。これらのデータは、ラパログでの部分的mTOR阻害が、単なる免疫機能を超えて加齢関連罹病率に対する効果を有し得ることを示唆する。

実施例20:RAD001でのP70 S6キナーゼ阻害 モデリングおよびシミュレーションを実施し、mTOR活性を部分的に阻害すると予測されるRAD001の連日および毎週用量範囲を予測した。上記のとおり、P70 S6KはmTORによりリン酸化され、P70 S6Kのノックアウトが寿命を増加するため加齢とより密接に結びついたmTORの下流標的である。それゆえにモデリングを、P70 S6K活性を一部阻害するRAD001の用量で行った。≧0.1mgおよび<20mgの範囲の毎週投薬がP70 S6K活性の部分的阻害を達成すると予測される(図34)。

連日投薬について、30pM〜4nMの濃度のRAD001が細胞株におけるP70 S6K活性を部分的に阻害する(表25)。これらの血清濃度は、≧0.005mg〜<1.5mg連日のRAD001の用量で達成されると予測される。

結論 P70 S6Kを部分的にしか阻害しない用量のmTOR阻害剤を用いる、加齢関連罹患を処置するまたは一般に免疫応答を増強する方法。加齢適応症における低用量のRAD001での部分的mTOR阻害の有効性は予想外の発見である。≧0.1mg〜<20mg毎週および≧0.005mg〜<1.5mg連日のRAD001用量範囲が部分的mTOR阻害を達成し、それゆえに加齢関連罹患または免疫応答の増強に有効性を有することが期待される。

実施例21:産生および特徴づけ of変異体FKBP/FRB二量体化スイッチ この実施例において、スイッチドメイン、例えば、FRBまたはFKBPと二量体化分子の結合に関与する残基の変異を実施して、FKBP、FRBと二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001の複合体形成を増強する変異を同定した。候補変異体FKBPおよびFRBスイッチドメインのライブラリーを、ここに記載するとおり産生し、スクリーニングした。変異体FKBPまたはFRBは、免疫抑制の仲介に使用する濃度より低い循環濃度の二量体化分子、例えば、RAD001の使用を可能にする。

FKBP、FRBとラパマイシンの界面は明確に規定され、FRB/ラパマイシンおよびFRB/FKBP界面の検査を可能とする。三元FKBP/FRB/ラパマイシン複合体の2.2Åx線構造において、FRB残基Leu2031、Glu2032、Ser2035、Arg2036、Phe2039、Gly2040、Thr2098、Trp2101、Tyr2015およびPhe2108は、ラパマイシンと38の直接接触があり、FRB残基Arg2042およびAsp2102は、該化合物と水介在接触がある(Liang et al.,1999,J. Acta Cryst. D55:736-744)。図35は、Molecular Operating Environment(MOE)を使用して産生したRCSBコード2FAPである三元複合体のx線構造において決定したFKBPおよびFRBとのラパマイシン相互作用を示す(Clark et al., 2007, J. Chem. Inf. Model. 47(5):1933-1944)。FRB分子は、構造における鎖Bである。

変異のためにFRB残基は、L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105およびF2108を含んだ。各点変異体ライブラリーを、NNKライブラリー(ここで、Nはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)であってよく、Kはグアニン(G)またはチミン(T)であってよい)を使用し、所望の位置でコドンを無作為化することにより産生した。表13はNNKライブラリーのコドン分布および対応するアミノ酸を示す。図36は、NNKライブラリーにおけるコドンから産生されたアミノ酸の分布を示し、低い3.1%〜から高い9.4%の範囲である。各点変異体ライブラリーを、N末端ヒスチジンタグとpNAT43ベクターにクローン化した。配列番号301〜311は、各点変異体ライブラリーのアミノ酸組成を示し、ここで、XはNNKライブラリーの位置を示す。各ライブラリーのDNAを、Acellaケミカルコンピテント大腸菌に形質転換し、50μg/mL硫酸カナマイシン含有100mm LB寒天プレートに播種し、一夜、37℃でインキュベートした。各ライブラリープレートからの94コロニーをCostar 2mLピラミッド形底96ウェルプレートに75μg/mL硫酸カナマイシンを含む1mLのZYP−5052自己誘導培地と共に移した。プレートを、40時間、800rpmで、30℃でミクロプレートインキュベーター中インキュベートした。

候補FRBクローンを次のとおり単離した。まず、細胞を溶解した。細胞を、2,000×gで、4℃で30分遠心することによりペレット化した。上清を廃棄し、細胞ペレットを−80℃で保存した。細胞ペレット含有96ウェルプレートを、−80℃での貯蔵から出し、室温で1時間解凍した。0.5mLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、5mM EDTA、0.25%(v/v) Triton X−100、2.5mg/mL リゾチームを各ウェルに添加した。ペレットを、180μLを60回ピペッティングすることにより再懸濁した。サンプルを室温で0.1〜1時間インキュベートした。0.5mLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、20mM CaCl2、20mMmgCl2、0.5mg/mL DNase Iを各ウェルに添加した。サンプルを、180μLを10回ピペッティングすることにより混合した。プレートを、30分、室温でインキュベートした。溶解した細胞を、2,000×gで、4℃で30分の遠心によりペレット化した。上清を、逆さにし、軽打することにより各プレートから廃棄した。プレートを、一夜、−80℃で保存した。

次に、保存ライセートを、次のとおり変異体FRBを単離するために親和性精製した。翌朝、プレートを、−80℃の保存から出し、室温で1時間解凍した。0.7mLの50mM HEPES、500mM NaCl、5mM TCEP、5%(v/v) Triton X−100、pH7.5を各ウェルに添加した。ペレットを、180μLを50回ピペッティングすることにより再懸濁し、続いて室温で1時間インキュベーションした。プレートを、30分、2,000×gで、4℃で遠心し、各ウェルの上清を廃棄した。0.5mLの50mM HEPES pH7.5、1mM TCEP、60%エタノールを各ウェルに添加した。ペレットを、180μLを50回ピペッティングすることにより再懸濁し、続いて室温で1時間インキュベーションした。プレートを、30分、2,000×gで、4℃で遠心し、各ウェルの上清を廃棄した。0.5mLの50mM HEPES pH7.5、500mM NaCl、1mM TCEP、8M 尿素を各ウェルに添加した。ペレットを、180μLを50回ピペッティングすることにより再懸濁し、一夜、室温でインキュベートした。翌朝、サンプルを20μm 焼結96ウェルプレートに移した。サンプルをプレートを通して、新しい2mL Costar 96ウェルプレートに、5分、1,500×gで、4℃で遠心することにより濾過して入れた。50mM HEPES pH7.5、500mM NaCl、1mM TCEP、8M 尿素中のNi Sepharose 6 Fast Flow樹脂の25%スラリーを調製した。100μLのスラリー、25μLの樹脂を各ウェルに添加した。樹脂を、サンプルと、1時間、室温でインキュベートした。樹脂を20μm 焼結96ウェルプレートに移し、カラムフロースルーを減圧により除去した。500μLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、4M 尿素を各ウェルに添加し、5分インキュベートし、減圧により除去した。500μLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、2M 尿素を各ウェルに添加し、5分インキュベートし、減圧により除去した。500μLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、1M 尿素を各ウェルに添加し、5分インキュベートし、減圧により除去した。500μLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、25mM イミダゾールを各ウェルに添加し、5分インキュベートし、減圧により除去した。200μLの50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM TCEP、500mM イミダゾールを各々に添加し、5分インキュベートした。結合タンパク質を、新しい300μL BD Falcon 96ウェルプレートへの、2分、500×gで、4℃の遠心により評価した。各ウェルのタンパク質濃度(mg/mL)を、BradfordアッセイでBSAを標準として用いて測定した。タンパク質濃度を、野生型FRBの分子量を使用してμMに変換した。点変異体ライブラリーは、47%であったFRB D2102以外、少なくとも50%のウェルで発現した。図37Aは各ライブラリーの発現レベルを示し、図37Bは発現ウェルの平均濃度を示す。

各ライブラリーについてタンパク質を発現する各ウェルの阻害を、ブランク測定値としてプロテインAを含まない、周知のものを使用することにより計算した。各ライブラリープレートについて、ブランクウェルに対する平均を計算した。ブランクウェルについての平均より大きな値の発現ウェルを0%阻害と定義した。ブランクウェルについての平均以下の値のウェルの阻害パーセントを計算し、−1を乗じたブランクウェルの平均をウェル値から減算し、ブランクウェルの平均で除し、100を乗ずることにより計算した。ウェル値が0であるとき、100%阻害であり、ウェル値がブランクウェルの平均と等しいとき、0%阻害であった。75%以上の阻害のウェルを再配置のために選択した。表26は、各ライブラリーについて選択したウェルの数および野生型FRBであると予測されるウェルの数を示す。1034ウェル中320、31.3%を選択した。選択したウェルを、記載のように増殖させ、精製し、分析した。選択したウェルの各々のDNAを配列決定して、個々の変異を同定した。変異体の各々のタンパク質濃度をBradfordアッセイにより評価した。各変異体の活性を、野生型FRBがエベロリムス、例えば、RAD001と結合する能力と、複数アッセイ形式で比較した。

競合アッセイについて、興味のあるFRB変異を、野生型FRBと比較してランク付けする。興味のある非標識FRBタンパク質(配列番号313〜317)および非標識野生型FRB(配列番号312)を、発現によって0.9〜4μMの出発最終濃度から1:3連続希釈し、96ウェル1/2表面平底プレート(PerkinElmer)中、60nM(最終)エベロリムスの存在下、30nM(最終)野生型Flag−FRB(配列番号318)および30nM(最終)ビオチニル化野生型FKBP(配列番号24)の溶液に添加した。全希釈を、1xAlphaLISA Immunoassay緩衝液(PerkinElmer)で行った。プレートを1時間、室温で穏やかに撹拌しながらインキュベートした。抗Flagアクセプタービーズ(PerkinElmer)を10μg/ml最終濃度で添加し、1時間、室温で穏やかに撹拌しながらインキュベートした。ストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer)を40μg/mlの最終濃度で添加し、プレートを遮光し、30分、室温で穏やかに撹拌しながらインキュベーとした。。プレートを、 Alpha Moduleを備えたPerkinElmer EnVision Multiplate readerで、680nmの励起および570nm吸収フィルターを使用して読んだ。競合アッセイからの各FRB配列のEC50を、同じプレートで分析したWT FRBと比較して表27に示す。単一点変異E2032L(配列番号314)およびE2032I(配列番号313)は野生型より2倍良好であり(図38Aおよび38B);T2098L(配列番号315)は3倍改善された(図38C)。両部位に変異が取り込まれたFRBタンパク質(配列番号316および317)は、5倍の相対的改善を示した(図38Dおよび38E)。

FRB変異も別のアッセイ形式でランク付けした。簡単にいうと、単および二重変異を含むFRBタンパク質(配列番号319〜323)を、先に記載のように大腸菌におけるFLAGタグ付き構築物のように産生した。30nM(最終)のビオチニル化FKBP(配列番号324)および各FLAG FRBタンパク質を、96ウェル1/2表面平底プレート(PerkinElmer)中、600nMの出発最終濃度から1:3連続希釈したエベロリムスの存在下合わせ、1時間、室温でインキュベートした。全希釈物を1xAlphaLISA Immunoassay緩衝液(PerkinElmer)で製造した。抗Flagアクセプタービーズ(PerkinElmer)を10μg/ml最終濃度で添加し、1時間、室温でインキュベートした。ストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer)を40μg/mlの最終濃度で添加し、プレートを遮光し、30分、室温でインキュベートした。プレートをlpha Moduleを備えたPerkinElmer EnVision Multiplate readerで、680nmの励起および570nm吸収フィルターを使用して読んだ。このアッセイからの各FRB配列のEC50を表28に示す。単点変異E2032I(配列番号319)およびE2032L(配列番号320)は、野生型より約1.5〜2倍良好であり(図39Aおよび39B);T2098L(配列番号321)は3倍改善した(図39C)。二重変異を取り込んだFlagタグ付FRBタンパク質(配列番号322および323)は、本アッセイで制限された動的範囲を示し、それゆえに評価できなかった。

実施例22:細胞外スイッチでのRCARの活性化 この実施例において、細胞外スイッチでのRCARの活性化を、二量体化分子RAD001の存在下評価した。4種のRCARを試験した。2個の半スイッチ構築物、例えば、両配向の二量体化スイッチ(図42A)および例えば、両配向の二量体化スイッチを有する、2個の完全スイッチ構築物(図42B)であって、ここで、二量体化スイッチは、図42Aおよび42Bに示すように細胞外FKBP/FRB二量体化である。半スイッチ構築物において、抗原結合メンバーはscFVドメイン、細胞外スイッチドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン4−1BBを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞外スイッチドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内一次シグナル伝達ドメイン、CD3ゼータ(図42A)を含む。完全スイッチ構築物において、抗原結合メンバーはscFvドメイン、細胞外スイッチドメインおよび膜貫通ドメインを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは細胞外スイッチドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、4−1BBおよび細胞内一次シグナル伝達ドメイン、CD3ゼータを含む(図42B)。

材料および方法 RCAR構築物をJurkatレポーター細胞株で発現させた。NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で0.5×106/mlの密度まで増殖させた。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。RCAR構築物あたり2μgのDNAを遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。

1時間後、RAD001化合物を多様な濃度で適用した:0nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、5nMおよび50nM。組織培養プレートを5μg/mlの抗抗CD19抗体またはアイソタイプ対照で2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。RAD001含有または不含遺伝子導入細胞を再懸濁し、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をEnvisionプレートリーダーを使用して測定した。

結果 図43Aおよび43Bに示すように、RAD001の濃度の増加は、検出された発光により示されるように、両方の細胞外半スイッチのNFAT活性の増加と相関した。用量依存的応答が両方のRCAR半スイッチ構築物で得られた。半スイッチ2について、NFAT活性は1nM RAD001用量でピークであり、NFAT活性は高RAD001投与量で減少した(5nMおよび50nM)。観察される活性化の減少は、高投与量のRAD001による一般的免疫抑制によるものであり得る。半スイッチ1について、高投与量のRAD001、例えば、5nMおよび50nMで活性阻害は観察されなかった。

図43Cおよび43Dに示すように、RAD001の濃度の増加は、検出された発光により示されるように、両方の細胞外完全スイッチのNFAT活性の増加とも相関した。RCAR完全スイッチの活性化パターンはRCAR半スイッチ2のものと類似し(図42B)、ここで、NFAT活性は1nM RAD001用量でピークであり、高RAD001投与量、例えば、5nMおよび50nMで減少した。

これらのデータは、RAD001が、RCAR半スイッチおよび完全スイッチ構築物に存在する細胞外FKBP/FRBスイッチドメインの二量体化および標的依存的NFAT活性化を誘発することを示す。

実施例23:RCAR半スイッチの活性化 この実施例において、RCAR半スイッチの活性化を、二量体化分子RAD001の存在下評価した。2個のRCAR構築物を試験し、ここで、二量体化スイッチは細胞内FKBP/FRB二量体化スイッチであり、スイッチドメインは、抗原結合メンバーおよび細胞内メンバーに対して両方の配向に位置する。例えば、抗原結合メンバーはscFVドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内スイッチドメインおよび細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含み、細胞内シグナル伝達メンバーは細胞外スイッチドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータを含む(図44A)。

材料および方法 NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で0.5×106/mlの密度まで増殖させた。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地を電気穿孔直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。

1時間後、RAD001化合物を50nMで送達し、その時点で異なる共刺激シグナル伝達ドメイン(図44)または0nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、3nMおよび10nM(図45)の多様な濃度でRCARを試験した。組織培養プレートを5μg/mlの抗抗CD19抗体またはアイソタイプ対照で2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。RAD001を含むまたは含まない遺伝子導入細胞を再懸濁し、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をEnvisionプレートリーダーを使用して測定する。

結果 5個の異なるRCAR半スイッチ構築物を、CD27、CD28、ICOS、OX40および4−1BBの種々の共刺激シグナル伝達ドメインを用いて産生し、RAD001とインキュベーション後のNFAT活性化を評価した。図44Bに示すように、共刺激ドメインとしてCD27、CD28、ICOS、OX40および41BBを、一次シグナル伝達ドメインとしてのCD3ゼータと共に含むRCARは、全て、RAD001添加後に、標的依存的NFAT活性を活性化できた。CD28−CD3ゼータおよびOX40−CD3ゼータ二量体を有するRCARは、他の共刺激シグナル伝達ドメイン−CD3ゼータ二量体(例えば、4−1BB−CD3ゼータ、ICOS−CD3ゼータおよびOX40−CD3ゼータ)と比較して、最も頑強な活性化を有することが示された。

CD28または4−1BB共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかを含む2個のRCAR半スイッチも、RAD001の用量増加に応答するNFAT活性について評価した。図45Aおよび45Bに示すように、両方の半スイッチは、一般に用量依存的NFAT活性を示し、ここで、RAD001濃度増加は発光またはNFAT活性増加と相関した。両方の半スイッチについて、NFAT活性は1nM RAD001濃度でピークであり、NFAT活性は高RAD001濃度(例えば、3nMおよび10nM)で減少した。

これらの結果は、RAD001が、種々の異なる共刺激シグナル伝達ドメインを有するRCAR半スイッチの二量体化および標的依存的NFAT活性化を誘発することを示す。

実施例24:半スイッチ構築物の分析 半スイッチテクノロジーの実現可能性を評価するために、レンチウイルスを全半スイッチ構築物について産生し、T細胞を形質導入した。試験した構築物は、EMCV IRESを使用して1ベクターから共発現される、2遺伝子からなる。遺伝子は2個のタンパク質をコードし、これは、a)CD8ヒンジおよび膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメインおよびFKBPヘテロ二量体化ドメインに融合した抗CD19 scFvおよびb)CD3z細胞質ドメインに融合したFRBヘテロ二量体化であった。試験した共刺激シグナル伝達ドメインは41BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40であった。半スイッチを、41BB完全スイッチCARおよび非調節可能41BB CARと比較した。全てのCAR形質導入T細胞(CART)を、エフェクターT細胞応答、すなわち標的細胞死滅および標的細胞誘発増殖およびサイトカイン産生について試験した。

材料および方法 CAR形質導入T細胞(CART)の産生 CARレンチウイルストランスファーベクターを使用して、VSVg偽型レンチウイルス粒子に包装されたゲノム物質に導入する。レンチウイルストランスファーベクターDNAを、リポフェクタミン試薬と組み合わせたVSVg、gag/polおよびrevの3個のパッケージング成分と混合し、これらをレンチ−X 293T細胞に遺伝子導入する。24時間後およびさらに24時間後培地を交換し、培地を回収し、濾過し、−80℃で保存する。CARTを、健常ドナー血液の陰性磁性選択により得られた新鮮または凍結ナイーブT細胞の形質導入により産生する。T細胞を、抗CD3/抗CD28ビーズと24時間インキュベーションすることにより活性化し、その後1mLのウイルス上清または濃縮ウイルス(moi=10)を培養に添加する。これらの修飾T細胞を約10日増殖させる。形質導入(細胞表面上にCARを発現)細胞のパーセンテージおよびCAR発現レベル(相対的光強度、Geo Mean)を、7〜9日にフローサイトメトリー分析で決定する。遅い増殖速度と、約300flに近づくT細胞サイズの組み合わせにより、T細胞の状態が、その後の解析のために凍結保存すべきであると決定する。

CARTの細胞溶解性活性、増殖およびサイトカイン分泌分析 CARTの機能性を評価するために、T細胞を解凍し、計数し、Cellometerにより生存能を評価する。各培養におけるCAR陽性細胞数を、非形質導入T細胞に対して標準化する。調節可能CARTの導入を、50nMから開始するRAD001のタイトレーションにより試験した。全ての共培養実験で使用した標的細胞株は、CD19を発現し、ルシフェラーゼを発現するように形質導入したNalm−6、ヒト前B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株である。ルシフェラーゼを発現するヒト神経膠芽腫株U87MGは陰性対照として役立つ。

CARTの細胞溶解性活性を、エフェクター:標的比4:1で測定し、ここで、エフェクターは全T細胞と定義され、それぞれ陽性または陰性癌株を標的とする。共培養20時間後、培養を溶解し、ルシフェラーゼの基質(BrightGlo)を添加して、生存標的細胞を定量する。プレートをルミノメーター(EnVisionで読み、特異的溶解(%)をlum(サンプル)/lum(max)*100として計算する。

CARTによるサイトカイン産生を測定するために、T細胞を標的細胞と1:1比で培養する。さらに、PMA/イオノマイシンを使用して、CART集団の最大分泌の評価に使用し、およびCAR T細胞単独は基底活性の読み取りを提供する。アッセイを24時間実施し、その時点で培地をヒトサイトカイン検出用CBAキットを使用するサイトカイン分析のために除去し、IFNγ、IL2およびTNFαの量を測定した。

CARTの増殖を測定するために、T細胞を標的細胞と1:1比で培養する。アッセイを4日行い、その時点で細胞をCD3、CD4、CD8およびCAR発現について染色する。T細胞数を、対象としてカウントビーズを使用するフローサイトメトリーにより評価する。

結果 この実験に使用した体部分のCARが極めて類似した表面発現を示し、標準huCART19、41BB完全スイッチならびにOX40、CD27、CD28およびICOS半スイッチは十分に発現し、CAR+集団パーセントおよび細胞あたりのCAR分子数(GeoMean)に関して同等である。41BB半スイッチのみが、細胞あたり基準では発現が低かったが、CAR陽性細胞の集団は、他のCARTと類似する(図46)。

これらのCARが、種々の濃度のRAD001の存在下、CD19陽性標的細胞(Nalm6−Luc)を殺す能力を、20時間アッセイで試験した。ほぼ100%死滅が、非誘導性huCART19で見られ、非形質導入T細胞(UTD)はバックグラウンド死滅を示した(図47)。41BB完全スイッチCARTは、RAD濃度が増加するに連れて死滅の誘導を示し、0.4nM RAD001で最高であり、高濃度で死滅は減少する。CD28、CD27およびOX40半スイッチCARTは死滅の増加を示し、最高濃度のRAD001で最大である。これらの半スイッチで見られる最大死滅は、完全スイッチで水落得るより高かった。41BBおよびICOS半スイッチCARTは、それぞれ、中程度および低レベルの非誘導性死滅を示した。

CART細胞の増殖能を4日共培養アッセイで試験した。CAR陽性CD3陽性T細胞数を、Nalm6と種々に形質導入したT細胞の培養後評価した(図48)。huCART19細胞は、0.016nM未満のRAD001と培養したとき、劇的に増加し、高濃度の該化合物では少ない程度に増加した。半スイッチ41BB、OX40およびCD27は同等に、低いレベルで増殖し、0.016nM RAD001で最大を示した。ICOSおよびCD28半スイッチおよび41BB完全スイッチは検出可能な増殖を示さなかった。

調節可能CARTがサイトカインを産生する能力を類似のアッセイで試験し、ここで、CART細胞を、Nalm6細胞と1:1で20時間共培養した。上清を回収し、IFNγ濃度を測定した。また、我々は、高RAD001レベルでhuCART19による最強の機能および阻害を見た(図49)。スイッチCARTの中で、唯一CD28半スイッチが、分泌型IFNの明確な増加を示した。最高誘導は、RAD001の最高レベルで見られた。

実施例25:ハロ/snapタグによる共有結合性二量体化スイッチ この実施例において、共有結合性二量体化スイッチによるRCARの活性化を、二量体化分子NVP−HAL421の添加後評価した。共有結合性二量体化スイッチを有するRCAR構築物の例は図13に示す。

材料および方法 NFAT−LUCレポーターを有するJurkat細胞(JNL)を、0.5μg/mlのピューロマイシンを含むJurkat細胞増殖培地で0.5×106/mlの密度まで増殖させた。各遺伝子導入について、2.5×106細胞を100gで10分遠沈した。2μgのDNA/構築物を遺伝子導入あたり使用した。Amaxa Nucleofector solution VおよびサプリメントIを混合し、100μlをDNA構築物とともにチューブに入れた。混合物を細胞に添加し、エレクトロポレーションキュベットに移した。エレクトロポレーションを、Amaxa Nucleofector II Deviceを使用して設定X−001下に実施した。0.5mlの増殖培地をエレクトロポレーションの直後に添加し、混合物を、2ml 増殖培地中、6ウェルプレートの1ウェルに移した。

1時間後、NVP−HAL421を多様な濃度、例えば、0nM、50nM、500nMおよび5μM;または0nM、0.06nM、0.2nM、0.6nM、2nM、6nM、20nMおよび60nMで適用した。組織培養プレートを5μg/mlのEGFRVIII−FcまたはIgG1 Fc対照で2時間被覆し、ブロッキング緩衝液(5%血清含有DPBS)で1時間ブロックした。遺伝子導入細胞を再懸濁し、標的プレートに100μl/ウェルで添加し、18時間インキュベートした。Luciferase One Glo試薬100μlをウェルあたり添加した。サンプルを5分、37℃でインキュベートし、発光をEnvisionプレートリーダーを使用して測定する。

結果 スイッチドメインとしてハロタグおよびsnapタグを有するRCARの概念を図13に記載する。JNL細胞を、ハロタグおよびsnapタグスイッチドメインを含むRCAR構築物と共遺伝子導入した。50nMでのNVP−HAL421添加は、図50に示すように、ハロタグとsnapタグスイッチドメインの共有結合結合を生じ、これは、次に、NFAT活性化をもたらす。NFAT活性のレベルは50nMのNVP−HAL421でピークであり、NFAT活性化は、50nMでの活性と比較して、高濃度のNVP−HAL421(500nMおよび5μM)で減少しが。この標的特異的活性化の減少は、化合物の毒性によるものであろう。

二回目のアッセイを実施して、0nM〜60nMの種々の投与量のNVP−HAL421についてNFAT活性を評価した。図51に示すように、NFAT活性は、二量体化分子NVP−HAL421の投与量が増加するに連れて増加し、最高レベルのNFAT活性は、試験した最高投与量、60nMで観察された。

均等物 ここに引用した各および全ての特許、特許出願および刊行物の開示は、その全体を引用により本明細書に包含させる。本発明を特定の面を引用して開示しているが、本発明の他の面およびバリエーションが、他の当業者により、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく考案され得る。添付する特許請求の範囲は、全てのこのような面および同等のバリエーションを含むと解釈されることを意図する。

QQ群二维码
意见反馈