Method for producing 3-hydroxypropionic acid and other products

申请号 JP2013056264 申请日 2013-03-19 公开(公告)号 JP2013128494A 公开(公告)日 2013-07-04
申请人 Opx Biotechnologies Inc; オーピーエックス バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド; Regents Of The Univ Of Colorado A Body Corporate; ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイトTHE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate; 发明人 LYNCH MICHAEL D; GILL RYAN T; WARNECKE-LIPSCOMB TANYA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for producing 3-hydroxypropionic acid and other products.SOLUTION: This invention relates to metabolically engineered microorganism strains, such as bacterial strains, in which there is an increased utilization of malonyl-CoA for production of a chemical product, which includes 3- hydroxypropionic acid. In certain embodiments, the cell culture comprises an inhibitor of fatty acid synthase or the microorganism is genetically modified for reduced enzymatic activity in the organism's fatty acid synthase pathway. For example, the inhibitor of the fatty acid synthase may be selected from the group consisting of thiolactomycin, triclosan, cerulenin, thienodiazaborine, isoniazid, and analogs thereof.
权利要求
  • 本願明細書に記載された発明。
  • 说明书全文

    関連出願への相互参照 本願は、2009年9月27日に出願された米国仮特許出願第61/246,141号、2010年1月27日に出願された米国仮特許出願第61/298,844号、および2010年4月6日に出願された米国仮特許出願第61/321,480号の利益を主張する。 各出願の全体の内容は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。

    発明の分野 本発明は、化学物質3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)および3−HPから作製される生成物を含み得る化学生成物の生成のためにマロニル−CoAの利用が増加している、細菌株などの代謝改変された生物に関する。 代謝改変された微生物は、3−HPに対する耐性の増加を示すように適合され得る。 また、例えば3−HP寛容原性複合体として同定される複合体の1つ以上の遺伝子改変を含む微生物の場合のように、1つ以上の3−HP生合成経路を提供するように遺伝子改変を行うことができる。

    配列表 本出願は、EFS−WebによりASCIIフォーマットで提出され、本明細書にその全体が参照により組み込まれている配列表を含む。 2010年9月24日に創出された上記ASCIIコピーは、34246744. txtと命名され、2,228,808バイトのサイズである。

    発明の背景 石油炭化素の供給量が減少し、そのコストが極めて上昇していることがますます受け入れられるにつれ、化学物質および燃料を生成するための工業微生物系の開発および改良に対する関心が高まっている。 このような工業微生物系は、いくつかの化学物質を生成するための石油炭化水素の使用に完全または部分的に取って代わる可能性がある。

    このような手段により、抗生物質および抗マラリア医薬品から精密化学品、さらにはエタノールなどの燃料に及ぶ多数の化学物質が生成される。 微生物発酵の商業目的としては、標的化学生成物の価、生成速度および収率の増加が挙げられる。 発酵イベントにおける全体的な比生産性(specific productivity)が上昇すると、これは、生成速度および資本コストなどのその他の経済的要因に加えて、収率に正に影響し得る。

    このような生産のためのある候補化学物質は、3−ヒドロキシプロピオン酸(「3−HP」、CAS番号503−66−2)であり、これは、広範囲の工業製品および消費者向け製品において用いられるポリマーのいくつかの基本構成単位に変換され得る。 残念なことに、3−HPを微生物により合成して商業的に実行可能な力価を達成するための以前の努力から、用いた微生物が、決定された商業的に実行可能な力価よりもはるかに低い3−HPの濃度で阻害されるということが明らかにされた。

    いくつかの化学生成物の収率および/または生産性を改善することにより、微生物発酵の経済的側面を改善することに対する関心が強いにもかかわらず、商業的に実行可能な発酵方法を採用し、発酵微生物細胞において所望の標的化学生成物への正味の変換を増加させる必要性が依然として残っている。 より具体的には、いまだ解決されていない問題の中には、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)などの化学生成物の微生物生成経路における基質としてマロニル−CoAを有する、上記化学物質を生成するように適合された改変微生物において、例えば商業的に重要なレベルまで比生産性および容積生産性(volumetric productivity)をどのように改善するかということが挙げられる。

    発明の要旨 一実施形態によると、本発明は、アクリル酸ベースの消費者向け製品を製造するための方法であって、i)炭素源と微生物細胞培養物とを組み合わせて3−ヒドロキシプロピオン酸を生成する工程であって、a)上記細胞培養物が、脂肪酸合成酵素の阻害剤を含むか、または上記微生物が、その微生物(organism)の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減のために遺伝子改変されているか、またはb)上記微生物が、単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により、上記微生物のマロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の増加のために遺伝子改変されているか、またはc)上記3−ヒドロキシプロピオン酸が、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性で生成されるかまたは1リットル当たり1時間当たり0.50グラムより多い容積生産性で生成される工程と、ii)上記3−ヒドロキシプロピオン酸をアクリル酸に変換する工程と、iii)上記アクリル酸を消費者向け製品に加工する工程とを含む方法を対象とする。 様々な態様では、その炭素源は、約1.0×10 −14以上の炭素12に対する炭素14の比を有する。

    本発明による炭素源は、主にグルコース、スクロース、フラクトース、デキストロース、ラクトースまたはそれらの組み合わせであってよい。 代わりに、上記炭素源は、グリセロールである。

    ある特定の実施形態では、上記細胞培養物は、脂肪酸合成酵素の阻害剤を含むか、または上記微生物は、その微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減のために遺伝子改変されている。 例えば、上記脂肪酸合成酵素の阻害剤は、チオラクトマイシン、トリクロサン、セルレニン、チエノジアザボリン、イソニアジドおよびそれらの類似体からなる群から選択してよい。

    本発明の微生物は、単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により、上記微生物のマロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の増加のために遺伝子改変され得る。 様々な実施形態では、上記単機能性マロニル−CoA還元酵素は、NADPH非依存性である。

    様々な実施形態では、上記3−ヒドロキシプロピオン酸は、本発明に従って、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性で生成されるかまたは1リットル当たり1時間当たり0.05グラムより多い容積生産性で生成される。

    上記細胞培養物が遺伝子改変微生物を含む実施形態が、本発明に含まれる。 遺伝子改変微生物は、その微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減、その微生物のマロニル−CoA還元酵素経路における酵素活性の増加、3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加、その微生物のNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼ経路における酵素活性の増加、細胞内重炭酸塩レベルの増加、その微生物のアセチル−CoAカルボキシラーゼ経路における酵素活性の増加およびそれらの組み合わせから選択される形質について改変され得る。 例えば、上記遺伝子改変微生物は、その微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減について改変され得る。 代わりに、上記酵素活性の低減は、ベータ−ケトアシル−ACP還元酵素、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドラターゼ、エノイル−ACP還元酵素およびチオエステラーゼからなる群から選択される酵素における酵素活性の低減である。 様々な態様では、上記微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減は、脂肪酸合成酵素経路における酵素もしくはそのホモログをコードする配列に作動可能に連結した誘導性プロモーターをコードする異種核酸配列、または低減した活性を有する上記脂肪酸合成酵素経路における酵素もしくはそのホモログをコードする異種核酸配列の導入を介して生じる。 様々な態様では、上記脂肪酸合成酵素経路における酵素またはそのホモログは、温度感受性ベータ−ケトアシル−ACPまたは温度感受性エノイル−ACP還元酵素活性を有するポリペプチドである。 様々には、上記遺伝子改変微生物は、その微生物のマロニル−CoA還元酵素経路における酵素活性の増加について改変されている。

    ある特定の実施形態では、上記マロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の増加は、二機能性マロニル−CoA還元酵素の酵素活性または単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる。 上記異種核酸配列は、配列番号780〜789から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有する配列から選択してよい。

    様々な実施形態では、上記遺伝子改変微生物は、3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加について改変されている。 3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加は、3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)複合体の1つ以上の成分において生じ得」るか、または3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の上記増加は、3HPTGCの群Aおよび群Bのそれぞれの少なくとも1つの遺伝子改変を行うことに起因する。 上記1つ以上の成分は、CynS、CynT、AroG、SpeD、SpeE、SpeF、ThrA、Asd、CysM、IroK、IlvAおよびそれらのホモログから選択してよい。 様々な実施形態では、上記改変は、1つ以上の3HPTGCリプレッサー遺伝子の破壊である。 上記リプレッサー遺伝子は、tyrR、trpR、metJ、purR、lysR、nrdRおよびそれらのホモログから選択してよい。

    上記微生物のNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼ経路における酵素活性の増加は、配列番号776または778から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じ得る。 様々な実施形態では、上記細胞内重炭酸塩レベルの増加は、シアナーゼおよび/またはカルボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる。 異種核酸配列は、配列番号337から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有する配列から選択してよい。

    様々な実施形態では、上記微生物のアセチル−CoAカルボキシラーゼ経路における酵素活性の増加は、配列番号768〜775から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる。

    上記遺伝子改変細菌は、乳酸脱水素酵素、リン酸(phophate)アセチルトランスフェラーゼ、ピルビン酸酸化酵素またはピルビン酸−ギ酸リアーゼおよびそれらの組み合わせの活性を減少させるようにさらに改変され得る。

    本発明による方法は、第3級アミンの存在下で上記培養物から3−ヒドロキシプロピオン酸を抽出することにより、上記細胞培養物から3−ヒドロキシプロピオン酸を分離および/または精製する工程をさらに含み得る。 様々には、3−ヒドロキシプロピオン酸は、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性で生成されるかまたは1リットル当たり1時間当たり0.50グラムより多い容積生産性で生成される。

    本発明の方法は、おむつ、カーペット、塗料、接着剤およびアクリルガラスなどの消費者向け製品の製造を含み得る。 本発明は、本発明の方法に従って生成される、生物学的に生成された3−ヒドロキシプロピオン酸を含む。 このような3−ヒドロキシプロピオン酸は、モリブデンおよび/またはバナジウムベースの触媒を含む化学触媒を本質的に含まなくてよい。 本発明の方法に従って生成される3−ヒドロキシプロピオン酸は、約1.0×10 −14以上の炭素12に対する炭素14の比を有し得る。 様々な態様では、上記3−ヒドロキシプロピオン酸は、約10%未満の石油由来の炭素を含有する。 さらに、本発明による3−ヒドロキシプロピオン酸は、その生成方法に関連付けられる残留量の有機物質を含有し得る。 様々な実施形態では、上記3−ヒドロキシプロピオン酸は、その3−ヒドロキシプロピオン酸の1ppmから1,000ppmの間の量で残留量の有機物質を含有する。

    本発明の方法に従って生成される場合のアクリル酸およびアクリル酸から生成されるポリマーも、本発明に含まれる。 上記ポリマーから得られる商業製品および消費者向け製品を含む製品も包含される。 例えば、おむつ、カーペット、塗料、接着剤およびアクリルガラスが包含される。

    さらに、本発明は、請求項40に記載のアクリル酸のバイオ生産(bioproduction)のための系であって、バイオマスの糖化のためのタンクと、糖化の生成物を、必要に応じて前発酵タンクを介して発酵タンクに送るためのラインと、微生物細胞培養に適する発酵タンクと、その発酵タンクからの内容物を抽出容器および/または分離容器に吐出するためのラインと、細胞培養廃棄物から3−ヒドロキシプロピオン酸を取り出すのに適する抽出容器および/または分離容器と、3−ヒドロキシプロピオン酸を脱水容器に移送するためのラインと、3−ヒドロキシプロピオン酸からアクリル酸への変換に適する脱水容器とを含む系を包含する。 様々な実施形態では、上記系は、1つ以上の前発酵タンク、蒸留カラム、遠心分離容器、逆抽出カラム、混合容器またはそれらの組み合わせをさらに含む。 様々な実施形態では、上記系は、1年当たり少なくとも1トンのアクリル酸の最少生成能力を有する。

    0.05g/gDCW−hrより大きい、0.08g/gDCW−hr、0.1g/gDCW−hrより大きい、0.13g/gDCW−hrより大きい、0.15g/gDCW−hrより大きい、0.175g/gDCW−hrより大きい、0.2g/gDCW−hrより大きい、0.25g/gDCW−hrより大きい、0.3g/gDCW−hrより大きい、0.35g/gDCW−hrより大きい、0.4g/gDCW−hrより大きい、0.45g/gDCW−hrより大きいまたは0.5g/gDCW−hrより大きい速度から選択される比速度にて3−ヒドロキシプロピオネートを生成できる遺伝子改変微生物は、本発明の範囲内である。

    上記遺伝子改変微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性および酢酸キナーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含み得る。 様々には、上記微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびアセチルリン酸トランスフェラーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む。 さらに、上記微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性、酢酸キナーゼ活性およびアセチルリン酸トランスフェラーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含み得る。 様々な態様では、上記微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびピルビン酸ギ酸リアーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む。 様々な実施形態では、上記微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびピルビン酸酸化酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含む。 マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびメチルグリオキサール合成酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含む微生物も含まれる。 さらに、本発明による微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を増加させる遺伝子改変と、乳酸脱水素酵素活性およびメチルグリオキサール合成酵素活性を減少させる遺伝子改変とを含んでよく、および/または微生物は、マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、グアノシン3'−二リン酸5'−三リン酸合成酵素活性およびグアノシン3'−二リン酸5'−二リン酸合成酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含んでよい。 また、いくつかの微生物では、エノイル−CoA還元酵素は、エノイル−ACP還元酵素活性についてそのようにする代わりにまたはそれに加えて低減される。

    様々な実施形態では、NADH/NADPHトランスヒドロゲナーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われている。 例えば、トランスヒドロゲナーゼ活性は、可溶性であってよく、膜結合性であってよく、シアナーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われてよく、カルボニックアンヒドラーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われてよく、かつ/またはピルビン酸脱水素酵素活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われてよい。

    様々な実施形態では、グアノシン3'−二リン酸5'−三リン酸合成酵素活性およびグアノシン3'−二リン酸5'−二リン酸合成酵素活性を減少させるさらなる遺伝子改変が行われている。 通気環境におけるNADH/NAD+比を増加させる遺伝子改変が行われた場合も含まれる。 さらに、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を減少させ、3−ヒドロキシプロピオン酸還元酵素活性を減少させ、NAD+依存3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素活性を減少させ、NAD+依存3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素活性を減少させ、3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性を増加させ、3−HP寛容原性複合体における任意の酵素の活性を増加させ、ピルビン酸脱水素酵素活性を増加させ、シアナーゼ活性を増加させ、カルボニックアンヒドラーゼ活性を増加させ、アスパラギン酸キナーゼ活性を増加させ、トレオニンデヒドラターゼ活性を増加させ、2−デヒドロ−3−デオキシホスホヘプトン酸アルドラーゼ活性を増加させ、システイン合成酵素活性を増加させ、リボース−リン酸ジホスホキナーゼ活性を増加させ、リボヌクレオシド−二リン酸還元酵素活性を増加させ、L−システインデスルフヒドラーゼ活性を増加させ、リシンデカルボキシラーゼ活性を増加させ、ホモシステイントランスメチラーゼ活性を増加させ、ジヒドロ葉酸還元酵素活性を増加させ、N−アセチルグルタミルリン酸還元酵素活性を増加させ、アセチルグルタミン酸キナーゼ活性を増加させ、アルギニノコハク酸リアーゼ活性を増加させ、アセチルオルニチンデアセチラーゼ活性を増加させ、コリスミ酸ムターゼ活性を増加させ、プレフェン酸脱水酵素活性を増加させ、プレフェン酸脱水素酵素活性を増加させ、2−デヒドロ−3−デオキシホスホヘプトン酸アルドラーゼ活性を増加させ、かつ/またはD−3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素活性を増加させる遺伝子改変が行われてよい。

    様々な実施形態では、本発明は、水性培地中の炭素源と、請求項48〜92のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物とを含む培養系であって、上記遺伝子改変微生物が、0.05gDCW/Lより多い、0.1gDCW/L、1gDCW/Lより多い、5gDCW/Lより多い、10gDCW/Lより多い、15gDCW/Lより多いまたは20gDCW/Lより多いから選択される量で存在する、例えば上記水性培地の容量が5mLより多い、100mLより多い、0.5Lより多い、1Lより多い、2Lより多い、10Lより多い、250Lより多い、1000Lより多い、10,000Lより多い、50,000Lより多い、100,000Lより多いまたは200,000Lより多いから選択される場合、および上記水性培地の容量が、250Lより多く、鋼容器に含有されている場合などの培養系を含む。

    様々には、このような培養系のための炭素源は、デキストロース、スクロース、ペントース、ポリオール、ヘキソース、ヘキソースとペントースとの両方および、それらの組み合わせから選択され、上記水性培地のpHは、7.5未満であり、上記培養系は、例えばi)5mmol/L−hrより大きく、200mmol/L−hr未満の酸素、ii)5mmol/L−hrより大きく、100mmol/L−hr未満の酸素、iii)5mmol/L−hrより大きく、80mmol/L−hr未満の酸素、およびiv)5mmol/L−hrより大きく、50mmol/L−hr未満の酸素から選択される酸素移送速度で通気されている。

    様々な実施形態では、本発明は、請求項93〜99のいずれか一項に記載の培養系から得られる水性ブロスであって、i)5g/Lより多い、10g/Lより多い、15g/Lより多い、20g/Lより多い、25g/Lより多い、30g/Lより多い、35g/Lより多い、40g/Lより多い、50g/Lより多い、60g/Lより多い、70g/Lより多い、80g/Lより多い、90g/Lより多いまたは100g/Lより多い3−ヒドロキシプロピオネートから選択される濃度の3−ヒドロキシプロピオネート、およびii)30g/L未満、20g/L未満、10g/L未満、5g/L未満、1g/L未満または0.5g/L未満から選択される濃度の1,3−プロパンジオールを含む水性ブロスである。 いくつかの態様では、上記水性ブロスは、20gDCW/L未満のバイオマス、15gDCW/L未満のバイオマス、10gDCW/L未満のバイオマス、5gDCW/L未満のバイオマスまたは1gDCW/L未満のバイオマスから選択される量のバイオマスを含む。 代わりに、本発明による水性ブロスは、3−HP/スクシネート比(g3−HP/gスクシネート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きいものである。 様々な態様では、3−HP/フマレート比(g3−HP/gフマレート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/グリセロール比(g3−HP/gグリセロール)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/アセテート比(g3−HP/gアセテート)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/アラニン比(g3−HP/gアラニン)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/ベータ−アラニン比(g3−HP/gベータ−アラニン)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/グルタメート比(g3−HP/gグルタメート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/グルタミン比(g3−HP/gグルタミン)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド比(g3−HP/g3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−hydroxypropioaldehyde))が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きいか、または3−HP/1,3−プロパンジオール比(g3−HP/g1,3−プロパンジオール)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きく、かつ/または3−HP/ラクテート比(g3−HP/gラクテート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいもしくは200より大きい。
    本発明は、例えば以下の項目を提供する。
    (項目1)
    アクリル酸ベースの消費者向け製品を製造するための方法であって、
    i)炭素源と微生物細胞培養物とを組み合わせて3−ヒドロキシプロピオン酸を生成する工程であって、
    a)該細胞培養物が、脂肪酸合成酵素の阻害剤を含むか、もしくは該微生物が、該微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減のために遺伝子改変されているか、またはb)該微生物が、単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により、該微生物のマロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の増加のために遺伝子改変されているか、または
    c)該3−ヒドロキシプロピオン酸が、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性もしくは1リットル当たり1時間当たり0.50グラムより多い容積生産性で生成される
    工程と、
    ii)該3−ヒドロキシプロピオン酸をアクリル酸に変換する工程と、
    iii)該アクリル酸を消費者向け製品に加工する工程と
    を含む方法。
    (項目2)
    前記炭素源が、約1.0×10 −14 以上の炭素12に対する炭素14の比を有する、項目1に記載の方法。
    (項目3)
    前記炭素源が、主にグルコース、スクロース、フラクトース、デキストロース、ラクトースまたはそれらの組み合わせである、項目1に記載の方法。
    (項目4)
    前記炭素源が、50%未満のグリセロールである、項目1に記載の方法。
    (項目5)
    前記細胞培養物が、脂肪酸合成酵素の阻害剤を含むか、または前記微生物が、該微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減のために遺伝子改変されている、項目1に記載の方法。
    (項目6)
    脂肪酸合成酵素の前記阻害剤が、チオラクトマイシン、トリクロサン、セルレニン、チエノジアザボリン、イソニアジドおよびそれらの類似体からなる群から選択される、項目5に記載の方法。
    (項目7)
    前記微生物が、単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により、該微生物のマロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の増加のために遺伝子改変されている、項目1に記載の方法。
    (項目8)
    前記単機能性マロニル−CoA還元酵素が、NADPH非依存性である、項目7に記載の方法。
    (項目9)
    前記3−ヒドロキシプロピオン酸が、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性で生成されるかまたは1リットル当たり1時間当たり0.05グラムより多い容積生産性で生成される、項目1に記載の方法。
    (項目10)
    前記細胞培養物が、遺伝子改変微生物を含む、項目9に記載の方法。
    (項目11)
    前記遺伝子改変微生物が、該微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減、該微生物のマロニル−CoA還元酵素経路における酵素活性の増加、3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加、該微生物のNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼ経路における酵素活性の増加、細胞内重炭酸塩レベルの増加、該微生物のアセチル−CoAカルボキシラーゼ経路における酵素活性の増加およびそれらの組み合わせから選択される形質について改変されている、項目10に記載の方法。
    (項目12)
    前記遺伝子改変微生物が、該微生物の脂肪酸合成酵素経路における酵素活性の低減について改変されている、項目11に記載の方法。
    (項目13)
    前記酵素活性の低減が、ベータ−ケトアシル−ACP還元酵素、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドラターゼ、エノイル−ACP還元酵素およびチオエステラーゼからなる群から選択される酵素における酵素活性の低減である、項目12に記載の方法。
    (項目14)
    前記微生物の脂肪酸合成酵素経路における前記酵素活性の低減が、該脂肪酸合成酵素経路における酵素もしくはそのホモログをコードする配列に作動可能に連結した誘導性プロモーターをコードする異種核酸配列、または低減した活性を有する該脂肪酸合成酵素経路における酵素もしくはそのホモログをコードする異種核酸配列の導入により生じる、項目12に記載の方法。
    (項目15)
    前記脂肪酸合成酵素経路における前記酵素またはそのホモログが、温度感受性ベータ−ケトアシル−ACP還元酵素活性または温度感受性エノイル−ACP還元酵素活性を有するポリペプチドである、項目14に記載の方法。
    (項目16)
    前記遺伝子改変微生物が、該微生物のマロニル−CoA還元酵素経路における酵素活性の増加について改変されている、項目11に記載の方法。
    (項目17)
    前記マロニル−CoA還元酵素(mcr)経路における酵素活性の前記増加が、二機能性マロニル−CoA還元酵素の酵素活性または単機能性マロニル−CoA還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる、項目16に記載の方法。
    (項目18)
    前記異種核酸配列が、配列番号780〜789から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有する配列から選択される、項目17に記載の方法。
    (項目19)
    前記遺伝子改変微生物が、3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加について改変されている、項目11に記載の方法。
    (項目20)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の前記増加が、3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)複合体の1つ以上の成分において生じるか、または3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の前記増加が、3HPTGCの群Aおよび群Bのそれぞれの少なくとも1つの遺伝子改変を行うことに起因する、項目19に記載の方法。
    (項目21)
    前記1つ以上の成分が、CynS、CynT、AroG、SpeD、SpeE、SpeF、ThrA、Asd、CysM、IroK、IlvAおよびそれらのホモログから選択される、項目20に記載の方法。
    (項目22)
    前記改変が、1つ以上の3HPTGCリプレッサー遺伝子の破壊である、項目20に記載の方法。
    (項目23)
    前記リプレッサー遺伝子が、tyrR、trpR、metJ、purR、lysR、nrdRおよびそれらのホモログから選択される、項目22に記載の方法。
    (項目24)
    前記微生物のNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼ経路における酵素活性の前記増加が、配列番号776または778から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる、項目11に記載の方法。
    (項目25)
    細胞内重炭酸塩レベルの前記増加が、シアナーゼ活性および/またはカルボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる、項目11に記載の方法。
    (項目26)
    前記異種核酸配列が、配列番号337から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有する配列から選択される、項目25に記載の方法。
    (項目27)
    前記微生物のアセチル−CoAカルボキシラーゼ経路における酵素活性の前記増加が、配列番号768〜775から選択される配列と少なくとも70%の相同性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列の導入により生じる、項目11に記載の方法。
    (項目28)
    前記遺伝子改変細菌が、乳酸脱水素酵素、リン酸アセチルトランスフェラーゼ、ピルビン酸酸化酵素またはピルビン酸−ギ酸リアーゼおよびそれらの組み合わせの活性を減少させるようにさらに改変されている、項目11に記載の方法。
    (項目29)
    工程(i)の後に、第3級アミンの存在下で前記細胞培養物から3−ヒドロキシプロピオン酸を抽出することにより、該培養物から3−ヒドロキシプロピオン酸を分離および/または精製する工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
    (項目30)
    前記3−ヒドロキシプロピオン酸が、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり0.05グラムより多い比生産性で生成されるかまたは1リットル当たり1時間当たり0.50グラムより多い容積生産性で生成される、項目29に記載の方法。
    (項目31)
    前記消費者向け製品が、おむつ、カーペット、塗料、接着剤およびアクリルガラスからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
    (項目32)
    前記消費者向け製品が、おむつである、項目31に記載の方法。
    (項目33)
    項目1〜32のいずれか一項に従って生成される、生物学的に生成された3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目34)
    化学触媒を本質的に含まない、項目33に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目35)
    前記化学触媒が、モリブデンベースの触媒および/またはバナジウムベースの触媒である、項目34に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目36)
    約1.0×10 −14 以上の炭素12に対する炭素14の比を有する、項目33に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目37)
    約10%未満の石油由来の炭素を含有する、項目33に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目38)
    項目33に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸であって、その生成方法に関連付けられる残留量の有機物質を含有する、3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目39)
    前記3−ヒドロキシプロピオン酸の1ppmから1,000ppmの間の量で残留量の有機物質を含有する、項目38に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸。
    (項目40)
    項目33〜39の一項に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸から生成されるアクリル酸。
    (項目41)
    項目40に記載のアクリル酸を用いて生成されるポリマー。
    (項目42)
    項目40に記載のアクリル酸を用いて製造される消費者向け製品。
    (項目43)
    おむつ、カーペット、塗料、接着剤およびアクリルガラスから選択される、項目42に記載の消費者向け製品。
    (項目44)
    おむつである、項目43に記載の消費者向け製品。
    (項目45)
    項目40に記載のアクリル酸のバイオ生産のための系であって、
    バイオマスの糖化のためのタンクと、
    糖化の生成物を、必要に応じて前発酵タンクを介して発酵タンクに送るためのラインと、微生物細胞培養に適する発酵タンクと、
    該発酵タンクからの内容物を抽出容器および/または分離容器に吐出するためのラインと、
    細胞培養廃棄物から3−ヒドロキシプロピオン酸を取り出すのに適する抽出容器および/または分離容器と、
    3−ヒドロキシプロピオン酸を脱水容器に移送するためのラインと、
    3−ヒドロキシプロピオン酸からアクリル酸への変換に適する脱水容器と
    を含む系。
    (項目46)
    1つ以上の前発酵タンク、蒸留カラム、遠心分離容器、逆抽出カラム、混合容器またはそれらの組み合わせをさらに含む、項目45に記載の系。
    (項目47)
    1年当たり少なくとも1トンのアクリル酸の最少生成能力を有する、項目45に記載の系。
    (項目48)
    0.05g/gDCW−hrより大きい、0.08g/gDCW−hr、0.1g/gDCW−hrより大きい、0.13g/gDCW−hrより大きい、0.15g/gDCW−hrより大きい、0.175g/gDCW−hrより大きい、0.2g/gDCW−hrより大きい、0.25g/gDCW−hrより大きい、0.3g/gDCW−hrより大きい、0.35g/gDCW−hrより大きい、0.4g/gDCW−hrより大きい、0.45g/gDCW−hrより大きいまたは0.5g/gDCW−hrより大きい速度から選択される比速度にて3−ヒドロキシプロピオネートを生成できる、遺伝子改変微生物。
    (項目49)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性および酢酸キナーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目50)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびアセチルリン酸トランスフェラーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目51)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性、酢酸キナーゼ活性およびアセチルリン酸トランスフェラーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目52)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびピルビン酸ギ酸リアーゼ活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目53)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびピルビン酸酸化酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。 (項目54)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびメチルグリオキサール合成酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目55)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性、乳酸脱水素酵素活性およびメチルグリオキサール合成酵素活性を増加させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目56)
    マロニル−coA還元酵素活性およびアセチル−coAカルボキシラーゼ活性を増加させる遺伝子改変と、エノイル−ACP還元酵素活性、グアノシン3'−二リン酸5'−三リン酸合成酵素活性およびグアノシン3'−二リン酸5'−二リン酸合成酵素活性を低減させる遺伝子改変とを含む、項目48に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目57)
    NADH/NADPHトランスヒドロゲナーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われた、項目48〜56のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目58)
    前記トランスヒドロゲナーゼ活性が、可溶性である、項目57に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目59)
    前記トランスヒドロゲナーゼ活性が、膜結合性である、項目57に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目60)
    シアナーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われた、項目48〜59のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目61)
    カルボニックアンヒドラーゼ活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われた、項目48〜60のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目62)
    ピルビン酸脱水素酵素活性を増加させるさらなる遺伝子改変が行われた、項目48〜60のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目63)
    グアノシン3'−二リン酸5'−三リン酸合成酵素活性およびグアノシン3'−二リン酸5'−二リン酸合成酵素活性を減少させるさらなる遺伝子改変が行われた、項目48〜62のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目64)
    通気環境におけるNADH/NAD+比を増加させる遺伝子改変が行われた、項目48〜63のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目65)
    β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を減少させる遺伝子改変が行われた、項目48〜64のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目66)
    3−ヒドロキシプロピオン酸還元酵素活性を減少させる遺伝子改変が行われた、項目48〜65のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目67)
    NAD+依存3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素活性を減少させる遺伝子改変が行われた、項目48〜66のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目68)
    NAD+依存3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素活性を減少させる遺伝子改変が行われた、項目48〜67のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目69)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性を増加させる遺伝子改変が行われた、項目48〜68のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目70)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、3−HP寛容原性複合体における任意の酵素の活性を増加させる、項目48〜69のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目71)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、ピルビン酸脱水素酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目72)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、シアナーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目73)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、カルボニックアンヒドラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目74)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、アスパラギン酸キナーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目75)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、トレオニンデヒドラターゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目76)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、2−デヒドロ−3−デオキシホスホヘプトン酸アルドラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目77)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、システイン合成酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。 (項目78)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、リボース−リン酸ジホスホキナーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目79)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、リボヌクレオシド−二リン酸還元酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目80)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、L−システインデスルフヒドラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目81)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、リシンデカルボキシラーゼ活性を増加させるか、または3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、ホモシステイントランスメチラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目82)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、ジヒドロ葉酸還元酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目84)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、N−アセチルグルタミルリン酸還元酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目85)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、アセチルグルタミン酸キナーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目86)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、アルギニノコハク酸リアーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目87)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、アセチルオルニチンデアセチラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目88)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、コリスミ酸ムターゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。 (項目89)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、プレフェン酸脱水酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目90)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、プレフェン酸脱水素酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目91)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、2−デヒドロ−3−デオキシホスホヘプトン酸アルドラーゼ活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目92)
    3−ヒドロキシプロピオン酸に対する耐性の増加をもたらす遺伝子改変が、D−3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素活性を増加させる、項目69〜70のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物。
    (項目93)
    水性培地中の炭素源と、項目48〜92のいずれか一項に記載の遺伝子改変微生物とを含む培養系であって、該遺伝子改変微生物が、0.05gDCW/Lより多い量、0.1gDCW/L、1gDCW/Lより多い量、5gDCW/Lより多い量、10gDCW/Lより多い量、15gDCW/Lより多い量または20gDCW/Lより多い量、から選択される量で存在する培養系。
    (項目94)
    前記水性培地の容量が、5mLより多い容量、100mLより多い容量、0.5Lより多い、1Lより多い容量、2Lより多い容量、10Lより多い容量、250Lより多い容量、1000Lより多い容量、10,000Lより多い容量、50,000Lより多い容量、100,000Lより多い容量または200,000Lより多い容量、から選択される、項目93に記載の培養系。
    (項目95)
    前記水性培地の容量が、250Lより多く、鋼容器内に含有されている、項目93〜94のいずれか一項に記載の培養系。
    (項目96)
    前記炭素源が、デキストロース、スクロース、ペントース、ポリオール、ヘキソース、ヘキソースとペントースとの両方およびそれらの組み合わせから選択される、項目93〜95のいずれか一項に記載の培養系。
    (項目97)
    前記水性培地のpHが、7.5未満である、項目93〜96のいずれか一項に記載の培養系。
    (項目98)
    通気されている、項目93〜97のいずれか一項に記載の培養系。
    (項目99)
    i)5mmol/L−hrより大きく、200mmol/L−hr未満の酸素、
    ii)5mmol/L−hrより大きく、100mmol/L−hr未満の酸素、
    iii)5mmol/L−hrより大きく、80mmol/L−hr未満の酸素、およびiv)5mmol/L−hrより大きく、50mmol/L−hr未満の酸素
    から選択される酸素移送速度で通気されている、項目98に記載の培養系。
    (項目100)
    項目93〜99のいずれか一項に記載の培養系から得られる水性ブロスであって、
    i)5g/Lより多い、10g/Lより多い、15g/Lより多い、20g/Lより多い、25g/Lより多い、30g/Lより多い、35g/Lより多い、40g/Lより多い、50g/Lより多い、60g/Lより多い、70g/Lより多い、80g/Lより多い、90g/Lより多い、または100g/Lより多い濃度から選択される濃度の3−ヒドロキシプロピオネート、および
    ii)30g/L未満、20g/L未満、10g/L未満、5g/L未満、1g/L未満または0.5g/L未満から選択される濃度の1,3−プロパンジオール
    を含む水性ブロス。
    (項目101)
    20gDCW/L未満のバイオマス、15gDCW/L未満のバイオマス、10gDCW/L未満のバイオマス、5gDCW/L未満のバイオマスまたは1gDCW/L未満のバイオマスから選択される量のバイオマスを含む、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目102)
    3−HP/スクシネート比(g3−HP/gスクシネート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目103)
    3−HP/フマレート比(g3−HP/gフマレート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目104)
    3−HP/グリセロール比(g3−HP/gグリセロール)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目105)
    3−HP/アセテート比(g3−HP/gアセテート)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目106)
    3−HP/アラニン比(g3−HP/gアラニン)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目107)
    3−HP/ベータ−アラニン比(g3−HP/gベータ−アラニン)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目108)
    3−HP/グルタメート比(g3−HP/gグルタメート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目109)
    3−HP/グルタミン比(g3−HP/gグルタミン)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目110)
    3−HP/3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド比(g3−HP/g3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目111)
    3−HP/1,3−プロパンジオール比(g3−HP/g1,3−プロパンジオール)が、1.5より大きい、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。
    (項目112)
    3−HP/ラクテート比(g3−HP/gラクテート)が、3より大きい、10より大きい、30より大きい、60より大きい、100より大きい、150より大きいまたは200より大きい、項目100に記載の水性ブロス。

    本発明の新規な特徴を、特に本特許請求の範囲に示す。 本発明の原理が利用されている説明のための実施形態を示す以下の詳細な記載および以下のような添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られる。

    図1は、本発明の態様、より具体的には3−HP生成に関連する微生物の代謝経路を、ある特定の酵素工程にて示すE. coliの遺伝子名とともに示す図である(後者は例であり、限定することを意味しない)。

    図2Aは、本発明の態様に関連する微生物の代謝経路を、ある特定の酵素工程にて示すE. coliの遺伝子名とともに示す図である(後者は例であり、限定することを意味しない)。

    図2Bは、図2Aでより一般的に示した脂肪酸合成酵素系の代表的な酵素変換および例示的なE. coli遺伝子をより詳細に示す図である。

    図3は、カルボニックアンヒドラーゼポリペプチドを比較する、例示的な複数配列アラインメントを示す図である(カルボニックアンヒドラーゼポリペプチドのCLUSTAL 2.0.12複数配列アラインメント)。

    図4Aは、例示的な配列アラインメント:fabIts(JP1111(配列番号769))および野生型(BW25113(配列番号827))E. coli fabI遺伝子のDNA配列の比較であり、DNA変異:C722Tであることを示す図である。

    図4Bは、例示的な配列アラインメント:fabI

    ts (JP1111(配列番号770)および野生型(BW25113(配列番号828))E.coli fabI遺伝子のタンパク質配列の比較であり、アミノ酸−S241Fであることを示す図である。

    図5は、実施例11からのデータおよび結果を示す図である。

    図6は、実施例11からのデータおよび結果を示す図である。

    図7は、実施例11からのデータおよび結果を示す図である。

    図8は、本発明の態様、より具体的には3−HP生成と関連付けられる複数遺伝子改変を有する微生物の代謝経路を、ある特定の酵素工程において示されるE. coliの遺伝子名とともに示す図である(後者は例であり、限定することを意味しない)。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9A、シート1〜7は、E. coliにおける3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)を一緒に含む、経路の生成物および酵素を示す代謝経路の構成部分の多重シート図である。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9C、シート1〜7は、Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necator(以前のRalstonia eutropha)についての3HPTGCの多重シート図を示す。 シート1は、残りのシートの配置の全般的な模式図を示す。

    図10は、グリシン切断経路の図を示す。

    図11は、従来技術の参考文献からの、グルコースからピルベート、ピルベートからアセチル−CoA、アセチル−CoAからマロニル−CoA、マロニル−CoAから3−HPまでの公知の3−HP生成経路のまとめを示す図である。

    図12は、従来技術の参考文献からの、グルコースからホスホエノールピルベート(PEP)、ホスホエノールピルベートからオキサロアセテート(直接またはピルベートを介して)、オキサロアセテートからアスパルテート、アスパルテートからβ−アラニン、β−アラニンからマロネートセミアルデヒド、マロネートセミアルデヒドから3−HPまでの公知の3−HP生成経路のまとめを示す図である。

    図13は、従来技術の参考文献からの公知の3−HP生成経路のまとめを示す図である。

    図14AおよびBは、E. coliにおける天然の混合発酵経路の模式図を示す。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図15A〜Oは、3−HPに対する対照微生物応答のグラフのデータを示し、図15Pは、3HPTGCの1遺伝子改変との比較を示す図である。

    図16は、M. tuberculosis由来のkgd遺伝子によりコードされるアルファ−ケトグルタレートにより触媒される公知の化学反応を示す図である。

    図17は、新しい酵素機能である、kgd遺伝子の改変により達成されることとなる、マロネートセミアルデヒドへのオキサロアセテートの脱炭酸を示す図である。

    図18は、kgd変異体についての提案される選択アプローチを示す図である。

    図19は、図18に示す提案される選択アプローチに関連するスクリーニングプロトコールを示す図である。

    図20は、IroKペプチド配列に関する比較を示す図である。

    図21は、HPLCを用いて行った3−HPについての検量線を示す図である。

    図22は、GC/MSについて行った3−HPについての検量線を示す図である。

    図23は、3−HPについての酵素(enaymatic)アッセイの代表的な標準曲線を示す図である。

    図24A、BおよびCは、バイオマスを、おむつなどの最終製品に変換する全体のプロセスの模式図を示す図である。

    図25AおよびBは、バイオマスを、おむつなどの最終製品に変換する全体のプロセスの模式図を示す図である。

    表も本明細書で示し、本明細書の一部である。

    本発明は、様々な化学生成物の発酵による生成のために有用性を有する様々な生成方法および/または遺伝子改変微生物、容器内のこれらの微生物の集団を利用するこのような化学生成物を作製する方法、ならびにこれらの微生物および方法を採用する化学的生成のための系に関する。 このような微生物が、発酵イベントまたは発酵サイクルの間に化学生成物を生成する場合の比生産性の増加が、本発明の利点に含まれる。 本発明は、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)などの対象の化学生成物を、マロニル−CoAから脂肪酸アシル分子(これは、脂肪酸、例えば脂肪酸アシル−ACP分子にその後変換され得る)への変換を調整するための1つ以上の手段を用いて生成するための生成技術および/または遺伝子改変微生物を提供する(ここで、その生成経路は、マロニル−CoAを基質として用いる酵素変換工程を含む)。 マロニル−CoAから脂肪酸アシル−ACP分子などの脂肪酸アシル分子への変換を調整するための手段は、微生物バイオマスへの炭素フローを、化学生成物への炭素フローと釣り合わせるために効果的であり、そして驚くべきことに、比生産性の割合の上昇の達成を与える。

    本明細書で注目されるように、本発明の様々な態様は、マロニル−CoAから3−HPまでの代謝経路を含む微生物細胞を対象とし、マロニル−CoAから脂肪酸アシル分子(これは、脂肪酸にその後変換され得る)への変換を調整する手段も提供される。 よって、調整するための手段がこのような変換を減少させるように調整する場合、比率としてより大きい数のマロニル−CoA分子が、1)生成され、かつ/または2)マロニル−CoAから3−HPまでの代謝経路を介して変換される。 様々な実施形態では、例えば、1)例えばカルボニックアンヒドラーゼを増加させることにより細胞内重炭酸塩レベルを増加させ、2)アセチル−CoAカルボキシラーゼおよびNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼの酵素活性を増加させるために、追加の遺伝子改変が行われ得る。

    遺伝子改変微生物の集団による比生産性の予期せぬ増加が、その微生物がマロニル−CoAから選択された化学生成物までの微生物生成経路ならびに、その微生物の脂肪酸合成酵素系の選択された酵素(より具体的には、その脂肪酸伸長酵素)の酵素活性の低減をその中に有する方法および系において達成され得る。 様々な実施形態では、このような微生物集団を含むバイオリアクタ容器への特定の補充物質(supplement)も、上記方法および系をさらに改善するために用いてよい。

    さらに、ある化学生成物である3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)について、生成経路についての遺伝子改変が提供され、それについての遺伝子改変および/または培養系の改変を行って3−HPに対する微生物の耐性を増加させることができる寛容原性複合体が、記載される。 さらに、カルボニックアンヒドラーゼおよび/もしくはシアナーゼの発現ならびに/または酵素活性を増加させるための遺伝子改変は、3−HP生成と3−HP耐性との両方を有利に改善するための二機能性を提供し得る。

    様々な実施形態についてのその他の追加の遺伝子改変が、本明細書で開示される。
    定義 本明細書および本特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明らかに命じていない限り、複数の言及を含む。 つまり、例えば「発現ベクター」への言及は、単一の発現ベクターならびに同じ(例えば同じオペロン)であるかまたは異なっているかのいずれかの複数の発現ベクターを含み、「微生物」への言及は、単一の微生物ならびに複数の微生物を含む、などである。

    本明細書で用いる場合、E. coli株についての乾燥細胞重量(DCW)は、ベースラインDCWのOD 600の決定に基づいて、測定されたOD 600値の0.33倍として計算される。

    本明細書で用いる場合、「酵素活性が低減された」、「酵素活性を低減する」などは、微生物細胞の酵素または単離酵素が、その同じ種の比較可能な細胞またはその天然酵素で測定される活性よりも低いレベルの活性を示すことを示すことを意味する。 つまり、その酵素にとって公知の標準的な条件下で、示される基質(複数可)から示される生成物(複数可)への酵素変換は、天然(非改変)酵素による標準的な特定された条件下での同じ生化学的変換についての酵素活性よりも少なくとも10パーセント小さい、少なくとも20パーセント小さい、少なくとも30パーセント小さい、少なくとも40パーセント小さい、少なくとも50パーセント小さい、少なくとも60パーセント小さい、少なくとも70パーセント小さい、少なくとも80パーセント小さいまたは少なくとも90パーセント小さい。 この用語は、その酵素活性の消失も含み得る。 酵素の酵素活性が低減された細胞は、当該技術において公知の任意の方法を用いて同定できる。 例えば、酵素活性アッセイを用いて、酵素活性が低減された細胞を同定できる。 例えば、Enzyme Nomenclature、Academic Press, Inc. 、New York 2007年を参照されたい。

    用語「異種DNA」、「異種核酸配列」などは、本明細書で用いる場合、以下の少なくとも1つが当てはまる核酸配列のことをいう:(a)核酸の配列が、所定の宿主微生物にとって外来である(すなわち、天然で見出されない);(b)上記配列が、所定の宿主微生物で天然に見出されるが、異常な(例えば予期されるより多い)量で見出され得る、または(c)核酸の配列が、天然における互いの関係と同じ関係で見出されない2つ以上のサブ配列を含む。 例えば、(c)の場合に関して、組換え生成される異種核酸配列は、新しい機能的核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列を有する。

    用語「異種」は、用語「外因性」(後者の用語は、当該技術において一般的に用いられる)を含むことを意図する。 異種核酸配列の導入の前に上記宿主微生物のゲノムについていう場合、上記酵素をコードする核酸配列が異種である(異種核酸配列がそのゲノムに導入されるか否かにかかわらず)。

    本明細書で用いる場合、用語「遺伝子破壊」またはその文法的等価物(「酵素機能を破壊する」、「酵素機能の破壊」などを含む)は、コードされる遺伝子生成物を、そのように改変されていない微生物細胞におけるかまたは該微生物細胞からのポリペプチド活性と比較して低減されたポリペプチド活性を有するようにする微生物に対する遺伝子改変を意味することを意図する。 上記遺伝子改変は、例えば、遺伝子全体の欠失、転写もしくは翻訳に要求される調節配列の欠失またはその他の改変、切断型遺伝子生成物(例えば酵素)をもたらす遺伝子の構成部分の欠失あるいはコードされる遺伝子生成物の活性を低減する(検出可能でない活性レベルまでを含む)任意の様々な変異ストラテジーによるものであり得る。 破壊は、上記酵素をコードする核酸配列全体または一部の欠失を広く含むことができ、それらに限定されないが、その他の型の遺伝子改変、例えば停止コドンの導入、フレームシフト変異、上記遺伝子の構成部分の導入または除去および分解シグナルの導入、mRNA転写レベルおよび/または安定性に影響する遺伝子改変、ならびにその酵素をコードする遺伝子の上流のプロモーターまたはリプレッサーを変更することも含む。

    様々な状況では、遺伝子破壊は、DNA、そのDNAからコードされるmRNA、および対応するアミノ酸配列への任意の遺伝子改変であって、その結果としてポリペプチド活性の低減をもたらすことを意味すると理解される。 多くの異なる方法を用いて、ポリペプチド活性が低減された細胞を作製できる。 例えば、通常の変異誘発またはノックアウト技術を用いて、破壊された調節配列またはポリペプチドをコードする配列を有するように細胞を設計製作することができる。 例えばMethods in Yeast Genetics(1997年版)、Adamsら、Cold Spring Harbor Press(1998年)を参照されたい。 遺伝子破壊のある特に有用な方法は、完全な遺伝子欠失である。 なぜなら、これは、本発明の遺伝子改変微生物における遺伝子復帰の発生を低減または消失させるからである。 よって、その生成物が酵素である遺伝子の破壊は、そのことにより酵素機能を破壊する。 代わりに、アンチセンス技術を用いて、特定のポリペプチドの活性を低減できる。 例えば、細胞は、ポリペプチドが翻訳されることを妨げるアンチセンス分子をコードするcDNAを含有するように設計製作できる。 さらに、遺伝子サイレンシングを用いて、特定のポリペプチドの活性を低減できる。

    用語「アンチセンス分子」は、本明細書で用いる場合、内因性ポリペプチドのコード鎖に相当する配列を含有する任意の核酸分子または核酸類似体(例えばペプチド核酸)を包含する。 アンチセンス分子は、フランキング配列(例えば調節配列)も有し得る。 つまり、アンチセンス分子は、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。

    本明細書で用いる場合、リボザイムは、分子がRNAを切断することを条件として、限定することなく、ヘアピン、ハンマーヘッドまたは斧頭構造物を含む任意の一般的な構造を有し得る。

    用語「低減」またはこのような句で用いられる場合の「低減する」およびその文法上の等価物は、このような変換(複数可)の完全な消失を包含することを意図する。

    バイオ生産は、本明細書で用いる場合、好気、微好気または嫌気であり得る。

    本明細書で用いる場合、「十分に相同な」との文言は、タンパク質またはその構成部分がそれぞれの酵素反応および/またはその他の機能を達成できるような本出願で提供されるアミノ酸配列のアミノ酸配列(配列番号/配列表を含む)と比較した場合に、最小限の数の同一または等価なアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有する上記タンパク質またはその構成部分のことをいう。 特定のタンパク質またはその構成部分が十分に相同であるかは、当該技術において一般的に公知であるものなどの酵素活性のアッセイにより決定できる。

    配列同一性および相同性についての記載および方法は、例示的であることを意図し、これらの概念は、当該技術においてよく理解されていると認識される。 さらに、核酸配列を変化させてよく、それが酵素または所望の機能性を示すその他のポリペプチドをまだコードでき、このような変化が本発明の範囲内であることが認められる。

    さらに核酸配列について、「ハイブリダイゼーション」は、2つの1本鎖ポリヌクレオチドが、非共有結合的に結合して、安定な2本鎖ポリヌクレオチドを形成するプロセスのことをいう。 用語「ハイブリダイゼーション」は、3本鎖ハイブリダイゼーションのこともいうことがある。 得られる(通常は)2本鎖のポリヌクレオチドは、「ハイブリッド」または「2重鎖」である。 「ハイブリダイゼーション条件」は、典型的には、約1M未満、より一般的には約500mM未満および約200mM未満の塩濃度を含む。 ハイブリダイゼーション温度は、5℃ほどの低い温度であってもよいが、典型的には22℃より高く、より典型的には約30℃より高く、しばしば約37℃を超える。 ハイブリダイゼーションは、ストリンジェント条件、すなわちプローブがその標的配列にハイブリダイズする条件の下で通常行われる。 ストリンジェント条件は、配列依存的であり、異なる環境において異なる。 より長い断片は、特定のハイブリダイゼーションについてより高いハイブリダイゼーション温度を要求することがある。 塩基組成および相補鎖の長さ、有機溶媒の存在および塩基ミスマッチの程度を含む他の要因がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響し得るので、パラメータの組み合わせは、いずれの1つ単独の絶対的尺度よりも重要である。 一般的に、ストリンジェント条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列についてのT よりも約5℃低く選択される。 例示的なストリンジェント条件は、pH7.0〜8.3および少なくとも25℃の温度での少なくとも0.01Mから1M以下のNaイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を含む。 例えば、5×SSPEの条件(750mM NaCl、50mMリン酸Na、5mM EDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度は、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適する。 ストリンジェント条件について、例えばSambrookおよびRussellおよびAnderson「Nucleic Acid Hybridization」第1版、BIOS Scientific Publishers Limited(1999年)(ハイブリダイゼーションプロトコールについて本明細書に参照により組み込まれている)を参照されたい。 「・・に特異的にハイブリダイズする」または「特異的に・・にハイブリダイズする」または同様の表現は、ストリンジェント条件の下で1つ以上の特定のヌクレオチド配列に実質的にまたはそれだけに分子が結合する、2重鎖を形成するまたはハイブリダイズすることをいう(その配列が複合体混合物(complex mixture)(例えば全細胞の)DNAまたはRNAに存在する場合)。

    用語「同定された酵素機能性バリアント」は、酵素活性および対象の酵素の特異性を持つと決定されたが、このような対象の酵素とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。 このような同定された酵素機能性バリアントをコードすると決定された対応する「バリアント核酸配列」を構築できる。 遺伝子改変により3−HPに対する耐性を増加させて、微生物における3HPTGCの酵素変換工程の1つ以上にて酵素変換を増加させるような特定の目的のために、1つ以上の遺伝子改変を行って、1つ以上の同定された3HPTGC酵素機能性バリアント(複数可)をコードする1つ以上の異種核酸配列(複数可)を提供できる。 つまり、このような核酸配列のそれぞれは、厳密には3HPTGCの酵素の公知のポリペプチドではないがそれでもなおこのような酵素の酵素活性を示すポリペプチドをコードする。 このような核酸配列およびそれがコードするポリペプチドは、相同性または同一性の特定された限界内にはないことがあるが、細胞内においてそれを提供することにより、それでもなお所望の酵素活性および特異性を提供する。 このようなバリアント核酸配列および同定された酵素機能性バリアントを得ることができることは、計算学的、予測的およびハイスループットな方法における進歩を含む生物情報学ならびにタンパク質工学および設計における現在の技術水準における最近の進歩により支持される。 機能性バリアントは、より全般的には、酵素機能性バリアントおよびそれらをコードする核酸配列、ならびに元の(標的)配列の機能を示す非酵素ポリペプチドのバリアントを含む。

    「対象のセグメント」の句の使用は、対象の遺伝子および任意のその他の核酸配列セグメントの両方を含むことを意味する。 対象のセグメントを得るために用いられる方法の一例は、微生物の培養物を獲得することであり、ここで、その微生物のゲノムは、対象の遺伝子または核酸配列セグメントを含む。

    遺伝子生成物、すなわち酵素の遺伝子改変について本特許請求の範囲を含む本明細書で言及する場合、遺伝子改変は、述べられる遺伝子生成物、すなわち酵素を通常コードする遺伝子などの核酸配列またはその遺伝子を含む核酸配列のものであると理解される。

    いくつかの実施形態では、各切断型ポリペプチドは、各天然酵素をコードする核酸配列によりコードされるポリペプチドの全長の少なくとも約90%、より具体的には各天然酵素をコードする核酸配列によりコードされるポリペプチドの全長の少なくとも95%を有する。 ポリペプチドの参照アミノ酸配列と少なくとも例えば95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドに関して、本請求されるポリペプチドのアミノ酸配列が、本請求されるポリペプチド配列が上記ポリペプチドの参照アミノ酸の各々100アミノ酸当たり5アミノ酸までの変更を含むことができる以外は、参照配列と同一であることを意図する。 言い換えると、参照アミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、上記参照配列のアミノ酸残基の5%までが欠失もしくは別のアミノ酸で置換され得るか、または上記参照配列の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が、その参照配列に挿入することができる。 上記参照配列のこれらの変更は、上記参照アミノ酸配列のアミノ末端の位置もしくはカルボキシ末端の位置で生じることができるか、あるいは、これらの末端位置の間の任意の位置(上記参照配列の残基の間に個々別々に散在するかまたは上記参照配列内の1つ以上の隣接する基(group)に散在する)で生じることができる。 他の実施形態では、切断は、本明細書の他の場所で記載されるように、より実質的であり得る。

    種およびその他の系統発生的同定は、微生物学の分野における当業者に公知の分類に従う。

    本明細書で記載する方法および工程が、ある特定の順序で発生するある特定のイベントを示す場合、当業者は、ある特定の工程の順序を改変でき、このような改変が本発明の変形に従っていることを認識する。 さらに、ある特定の工程は、可能である場合は並行プロセスにおいて同時に行ってよく、逐次的に行ってもよい。

    本明細書で提供する予測的な実施例は、広く例示的で、いずれの様式でも限定しないことを意味する。 このことは、3−HPの分離および精製ならびに3−HPから下流化合物への変換に関係する実施例にも当てはまる。 なぜなら、本明細書に記載され本明細書に組み込まれている参考文献に開示されるものを含むこのような工程および変換への多数の可能なアプローチが存在するからである。

    略語の意味は、次の通りである:「C」は、その使用から明確なように摂氏または摂氏℃を意味し、DCWは、乾燥細胞重量を意味し、「s」は、秒(複数可)を意味し、「min」は、分(複数可)を意味し、「h」、「hr」または「hrs」は、時間(複数可)を意味し、「psi」は、1平方インチ当たりのポンドを意味し、「nm」は、ナノメートルを意味し、「d」は、日(複数可)を意味し、「μL」または「uL」または「ul」は、マイクロリットル(複数可)を意味し、「mL」は、ミリリットル(複数可)を意味し、「L」は、リットル(複数可)を意味し、「mm」は、ミリメートル(複数可)を意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mM」は、ミリモル濃度を意味し、「μM」または「uM」は、マイクロモル濃度を意味し、「M」は、モル濃度を意味し、「mmol」は、ミリモル(複数可)を意味し、「μmol」または「uMol」は、マイクロモル(複数可)を意味し、「g」は、グラム(複数可)を意味し、「μg」または「ug」は、マイクログラム(複数可)を意味し、「ng」は、ナノグラム(複数可)を意味し、「PCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応を意味し、「OD」は、光学濃度を意味し、「OD 600 」は、600nmの光子波長で測定された光学濃度を意味し、「kDa」は、キロダルトンを意味し、「g」は、重力定数を意味し、「bp」は、塩基対(複数可)を意味し、「kbp」は、キロ塩基対(複数可)を意味し、「%w/v」は、重量/容量パーセントを意味し、「%v/v」は、容量/容量パーセントを意味し、「IPTG」は、イソプロピル−μ−D−チオガラクトピラノシドを意味し、「RBS」は、リボソーム結合部位を意味し、「rpm」は、毎分回転数を意味し、「HPLC」は、高性能液体クロマトグラフィーを意味し、「GC」は、ガスクロマトグラフィーを意味する。 本明細書中で開示する場合、「3−HP」は、3−ヒドロキシプロピオン酸を意味し、「3HPTGC」は、3−HP寛容原性複合体を意味する。 また、10^5などは、10 などを意味すると理解される。

    I. 炭素源 3−HPについての生合成経路を有する組換え微生物とともに本発明において用いられるバイオ生産培地は、適切な炭素源または意図する代謝経路についての基質を含有しなければならない。 適切な基質は、それらに限定されないが、グルコースおよびフラクトースなどの単糖、ラクトースもしくはスクロースなどのオリゴ糖、デンプンもしくはセルロースなどの多糖またはそれらの混合物、ならびにチーズホエー透過物、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜および大麦麦芽などの再生可能な供給材料からの未精製混合物を含み得る。 さらに、炭素基質は、二酸化炭素、一酸化炭素またはメタノールなどの、重要な生化学的中間体への代謝変換が証明されている1炭素基質であってもよい。 1および2炭素基質に加えて、メチロトローフ(methylotrophic)微生物は、メチルアミン、グルコサミンおよび代謝活性のための様々なアミノ酸などのいくつかのその他の炭素含有化合物を利用することも公知である。

    上記の炭素基質およびそれらの混合物の全ては、本発明において炭素源として適切であることが企図されるが、炭素源として用いられる一般的な炭素基質は、グルコース、フラクトースおよびスクロースならびにこれらの糖のいずれかの混合物である。 その他の適切な基質は、キシロース、アラビノース、その他のセルロースベースのC−5糖、高フラクトースコーンシロップならびに商業的に入手可能な様々なその他の糖および糖混合物を含む。 スクロースは、サトウキビ、テンサイ、キャッサバ、バナナまたはその他の果物およびサトウモロコシなどの供給材料から得ることができる。 グルコースおよびデキストロースは、トウモロコシ、コムギ、ライムギ、オオムギおよびオート麦などの穀粒を含むデンプンベースの供給材料の糖化により得ることができる。 また、いくつかの実施形態では、上記炭素源の全てまたは構成部分は、グリセロールであってよい。 代わりに、グリセロールは、追加の炭素源として除外されることがある。

    1つの実施形態では、上記炭素源は、グルコース、フラクトース、スクロース、デキストロース、ラクトース、グリセロールおよびそれらの混合物から選択される。 様々には、上記炭素源におけるこれらの成分の量は、約50%より多い、約60%より多い、約70%より多い、約80%より多い、約90%より多いかもしくはそれより多く最大100%まで、または本質的に上記炭素源の100%であってよい。

    さらに、メチロトローフ微生物は、メチルアミン、グルコサミンおよび代謝活性のための様々なアミノ酸などのいくつかのその他の炭素含有化合物を利用することが公知である。 例えば、メチロトローフ酵母は、メチルアミンからの炭素を利用して、トレハロースまたはグリセロールを形成することが公知である(Bellionら、Microb. Growth C1 Compd.(Int. Symp.)第7版(1993年)、415〜32頁、編集者:Murrell, J. Collin;Kelly, Don P.出版社;Intercept, Andover, UK)。 同様に、Candidaの様々な種は、アラニンまたはオレイン酸を代謝する(Sulterら、Arch. Microbiol.153巻:485〜489頁(1990年))。 よって、本発明の実施形態で利用される炭素の供給源は、広い種類の炭素含有基質を包含し得ることが企図される。

    さらに、発酵性糖は、例えば米国特許出願公開第2007/0031918A1号(これは、本明細書に参照により組み込まれている)に記載されるように、前処理および糖化のプロセスにより、セルロース系バイオマスおよびリグノセルロース系バイオマスから得ることができる。 バイオマスとは、任意のセルロース系材料またはリグノセルロース系材料のことをいい、セルロースを含み、必要に応じてヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖および/または単糖をさらに含む材料を含む。 バイオマスは、タンパク質および/または脂質などの追加の成分も含んでよい。 バイオマスは、単一の供給源に由来してよいか、またはバイオマスは、1より多い供給源に由来する混合物を含むことができる。 例えば、バイオマスは、トウモロコシの穂軸とトウモロコシの茎と葉との混合物、または草と葉との混合物を含み得る。 バイオマスは、それらに限定されないが、バイオエネルギー作物、農業残渣、市中の固形廃棄物、工業的固形廃棄物、紙製造からのスラッジ、庭の廃棄物、木材および林業廃棄物を含む。 バイオマスの例は、それらに限定されないが、トウモロコシ穀粒、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの皮などの作物残渣、トウモロコシの茎と葉、草、コムギ、コムギわら、オオムギ、オオムギわら、干し草、米わら、スイッチグラス、廃棄紙、サトウキビバガス、モロコシ、ダイズ、穀粒の製粉から得られる成分、木、枝、根、葉、木材チップ、のこくず、灌木および低木、野菜、果物、花ならびに動物堆肥を含む。 このようなバイオマスのいずれも、バイオ生産方法または系において用いて、炭素源を提供できる。 セルロース系バイオマスを、糖を含むより役に立つ利用できる炭素分子の混合物に分解するための様々なアプローチは、濃酸または希酸(例えば<1%硫酸)の存在下で加熱すること;アンモニアで処理すること;イオン性の塩での処理;酵素による分解;およびこれらの組み合わせを含む。 これらの方法は、通常、機械的分離および粉砕の後であり、適切な分離プロセスが後に続く。

    様々な実施形態では、それらに限定されないが、スクロース、グルコース、キシロース、セルロースまたはヘミセルロースを含む広範囲の糖のいずれも、その中で限定培地(例えばそれらに限定されないが、M9最少培地、硫酸カリウム最少培地、酵母合成最少培地および多くのその他のものまたはこれらの変形物を含む最少塩培地)、3−HP生合成経路代替物の1つ以上を提供する微生物の接種材料および上記炭素源が組み合わされ得るリアクタ容器を含む工業的な系などにおいて微生物に与えられる。 上記炭素源は、細胞に入り、周知で一般的な代謝経路により異化され、ホスホエノールピルベート(PEP)を含む一般的な代謝中間体を産生する。 (Molecular Biology of the Cell、第3版、B. Albertsら、Garland Publishing、New York、1994年、42〜45頁、66〜74頁(糖の基本的な代謝異化経路の教示が参照により組み込まれている);Principles of Biochemistry、第3版、D. L. NelsonおよびM. M. Cox、Worth Publishers、New York、2000年、527〜658頁(主要な代謝経路の教示が参照により組み込まれている);ならびにBiochemistry、第4版、L. Stryer、W. H. Freeman and Co.、New York、1995年、463〜650頁(これもまた主要な代謝経路の教示が参照により組み込まれている)を参照されたい。)
    バイオベースの炭素は、限定することなくASTM D6866または様々なその他の技術を含む様々な方法に従って、石油ベースの炭素から区別できる。 例えば、炭素14と炭素12の比は、バイオベースの炭素源と石油ベースの供給源とでは異なり、バイオベースの炭素源においてより高い炭素14の比が見出される。 様々な実施形態では、上記炭素源は石油ベースでないか、または主に石油ベースでない。 様々な実施形態では、上記炭素源は、約50%より多く非石油ベースであり、約60%より多く非石油ベースであり、約70%より多く非石油ベースであり、約80%より多く非石油ベースであり、約90%より多くまたはそれより多く非石油ベースである。 様々な実施形態では、上記炭素源は、約1.0×10 −14以上の炭素12に対する炭素14の比を有する。

    様々な成分が、上記炭素源から除外され得る。 例えば、いくつかの実施形態では、アクリル酸、1,4−ブタンジオールおよび/またはグリセロールは、上記炭素源から除外されるかまたは本質的に除外される。 それ自体で、本発明のいくつかの実施形態による炭素源は、約50%未満のグリセロール、約40%未満のグリセロール、約30%未満のグリセロール、約20%未満のグリセロール、約10%未満のグリセロール、約5%未満のグリセロール、約1%未満のグリセロールまたはそれ未満であってよい。 例えば、上記炭素源は、グリセロールを本質的に含まなくてもよい。 グリセロールを本質的に含まないとは、残留量で存在し得るいずれのグリセロールも、標的化合物の生成に実質的に寄与しないことを意味する。

    II. 微生物 本明細書に記載され、請求される特徴は、本明細書で列挙する微生物またはこれもまた1つ以上の天然の、導入されたかまたは増強された3−HPバイオ生産経路を含む別の適切な微生物から選択される微生物にもたらすことができる。 つまり、いくつかの実施形態では、上記微生物は、内因性3−HP生成経路(これは、いくつかのこのような実施形態では、増強されていることがある)を含み、他の実施形態では、上記微生物は、内因性3−HP生成経路を含まない。

    これらの遺伝子改変微生物のいろいろの種類は、1人以上の本発明者(複数可)のおよび/または本特許出願の所有者に譲渡されたその他の特許出願に記載され得るように、遺伝子改変および/またはその他の系の変更を含んでよい。

    実施例は、ある特定の細菌および酵母微生物に対する具体的な改変および評価について記載する。 本発明の範囲は、このような種により限定することを意味しないが、広範囲の適切な微生物に全般的に当てはめることができる。 全般的に、本発明に用いられる微生物は、細菌、ラン藻類、糸状真菌および酵母から選択できる。

    いくつかの実施形態について、3−HP寛容原性バイオ生産について初期に選択された微生物宿主も、グルコースを含む糖を高率に利用する。 ほとんどの微生物は、炭水化物を利用できる。 しかし、ある特定の環境微生物は、高い効率で炭水化物を利用できず、よって、グルコースまたはその他の炭水化物が主な添加された炭素源であることを意図するこのような実施形態のための、適切な宿主でない。

    様々な種のゲノムが公知になっているので、本発明は、絶えず増加している範囲の適切な微生物に容易に用いることができる。 さらに、遺伝子配列決定が比較的低コストであることに鑑みて、対象の種の遺伝子配列を容易に決定して、本発明の態様の適用をより容易に実現できるようにすることができる(公知のゲノム配列を有する微生物に対して遺伝子改変を適用することの容易さに基づいて)。

    より具体的には、本明細書で記載する様々な基準に基づいて、本明細書で提供する耐性の態様を含む3−HPのバイオ生産に適する微生物宿主は、それらに限定されないが、任意のグラム陰性微生物、より具体的にはE. coliなどのEnterobacteriaceae科のメンバーまたはOligotropha carboxidovoransまたはPseudomononas sp. ;任意のグラム陽性微生物、例えばBacillus subtilis、Lactobaccilus sp. もしくはLactococcus sp. ;酵母、例えばSaccharomyces cerevisiae、Pichia pastorisもしくはPichia stipitis;およびその他の群または微生物種を一般的に含み得る。 より具体的には、3−HPのバイオ生産に適する微生物宿主は、それらに限定されないが、属であるClostridium、Zymomonas、Escherichia、Salmonella、Rhodococcus、Pseudomonas、Bacillus、Lactobacillus、Enterococcus、Alcaligenes、Klebsiella、Paenibacillus、Arthrobacter、Corynebacterium、Brevibacterium、Pichia、Candida、HansenulaおよびSaccharomycesのメンバーを一般的に含む。 特に対象となり得る宿主は、Oligotropha carboxidovorans(例えばOM5株)、Escherichia coli、Alcaligenes eutrophus(Cupriavidus necator)、Bacillus licheniformis、Paenibacillus macerans、Rhodococcus erythropolis、Pseudomonas putida、Lactobacillus
    plantarum、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarium、Enterococcus faecalis、Bacillus subtilisおよびSaccharomyces cerevisiaeを含む。

    より具体的には、3−HPのバイオ生産に適する微生物宿主は、それらに限定されないが、属であるClostridium、Zymomonas、Escherichia、Salmonella、Rhodococcus、Pseudomonas、Bacillus、Lactobacillus、Enterococcus、Alcaligenes、Klebsiella、Paenibacillus、Arthrobacter、Corynebacterium、Brevibacterium、Pichia、Candida、HansenulaおよびSaccharomycesのメンバーを一般的に含む。

    特に対象となり得る宿主は、Oligotropha carboxidovorans(例えばOM5 株)、Escherichia coli、Alcaligenes
    eutrophus(Cupriavidus necator)、Bacillus
    licheniformis、Paenibacillus macerans、Rhodococcus erythropolis、Pseudomonas putida、Lactobacillus plantarum、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarium、Enterococcus faecalis、Bacillus subtilisおよびSaccharomyces cerevisiaeを含む。 これらの種の任意の公知の株も、出発微生物として利用でき、任意の以下の種(それらの各株を含む)も同様に利用できる:Cupriavidus basilensis、Cupriavidus campinensis、Cupriavidus gilardi、Cupriavidus laharsis、Cupriavidus metallidurans、Cupriavidus oxalaticus、Cupriavidus pauculus、Cupriavidus pinatubonensis、Cupriavidus respiraculiおよびCupriavidus taiwanensis。

    いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、グラム陰性細菌である。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、属であるZymomonas、Escherichia、Pseudomonas、AlcaligenesおよびKlebsiellaから選択される。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、種であるEscherichia coli、Cupriavidus necator、Oligotropha
    carboxidovoransおよびPseudomonas putidaから選択される。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、E. coli株である。

    いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、グラム陽性細菌である。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、属であるClostridium、Salmonella、Rhodococcus、Bacillus、Lactobacillus、Enterococcus、Paenibacillus、Arthrobacter、CorynebacteriumおよびBrevibacteriumから選択される。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、種であるBacillus licheniformis、Paenibacillus macerans、Rhodococcus erythropolis、Lactobacillus plantarum、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarium、Enterococcus faecalisおよびBacillus subtilisから選択される。 特定の実施形態では、組換え微生物は、B. subtilis株である。

    いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、酵母である。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、属であるPichia、Candida、HansenulaおよびSaccharomycesから選択される。 特定の実施形態において、上記組換え微生物は、Saccharomyces cerevisiaeである。

    本開示に鑑みて、上記の微生物のいずれも、3−HP以外の化学生成物の生成に用いてよいことがさらに理解される。

    上記宿主を遺伝子改変できることは、任意の組換え微生物の生成のために必須である。 遺伝子移入技術の様式は、エレクトロポレーション、接合、形質導入または天然の形質転換によることがある。 広範囲の宿主接合性プラスミドおよび薬剤耐性マーカーを利用可能である。 クローニングベクターは、その宿主で機能できる抗生物質耐性マーカーの性質に基づいて、その宿主に合わせて作られる。

    III. 培地および培養条件 本明細書で開示する型の1つから選択されるような適当な炭素源に加えて、バイオ生産培地は、適切なミネラル、塩、補因子、緩衝剤ならびに培養物の増殖および3−HP生成または本発明の下で作製されるその他の生成物の生成のために必要な酵素経路の促進に適する当業者に公知のその他の成分を含有しなければならない。

    本発明の別の態様は、本発明の遺伝子改変微生物および必要に応じて補充物質を含む培地および培養条件に関係する。

    典型的には、細胞を、約25℃〜約40℃の範囲の温度にて、適当な培地中で、および好熱微生物については70℃までの温度で増殖させる。 本発明における適切な増殖培地は、Luria Bertani(LB)ブロス、M9最少培地、Sabouraudデキストロース(SD)ブロス、酵母培地(YM)ブロス、(Ymin)酵母合成最少培地およびM9最少培地などの本明細書で記載する最少培地などの通常の商業的に調製された培地である。 その他の限定増殖培地または合成増殖培地も用いてよく、特定の微生物の増殖のための適当な培地は、微生物学またはバイオ生産科学の当業者に公知である。 様々な実施形態では、様々な成分を含まないかまたは様々な成分の添加が低レベルである、例えば10、5、2もしくは1g/L未満の、それらに限定されないが酵母エキス、ペプトン、トリプトン、大豆粉、コーンスティープリカーもしくはカゼインを含む複合窒素源を含む最少培地を開発して用いてよい。 これらの最少培地は、ビオチン、ビタミンB12およびビタミンB12誘導体、チアミン、パントテナートならびにその他のビタミンを含むビタミン混合物が限定的に補充されていてもよい。 最少培地は、28、17または2.5mM未満のリン酸塩、25または4mM未満の硫酸塩および130または50mM未満の全窒素を含有する限定された単純無機栄養源を有してもよい。

    遺伝子改変微生物を用いる本発明の実施形態において用いられるバイオ生産培地は、意図する代謝経路に適する炭素基質を含有しなければならない。 本明細書中の上記のように、適切な炭素基質は、一酸化炭素、二酸化炭素および様々な単糖およびオリゴ糖を含む。

    バイオ生産に適するpH範囲は、pH3.0〜pH10.0の間であり、pH6.0〜pH8.0の間が、初期の条件について典型的なpH範囲である。 しかし、特定の実施形態についての実際の培養条件は、これらのpH範囲により限定されることを意味しない。

    バイオ生産は、かき混ぜを行うかもしくは行わない好気、微好気または嫌気条件下で行ってよい。

    バイオ生産培地中で生成される3−HPまたはその他の生成物(複数可)の量は、当該技術において公知のいくつかの方法、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)またはGC/質量分析(MS)を用いて一般に決定できる。 具体的な実施例についての具体的なHPLC法が、本明細書に記載される。

    IV. バイオ生産のリアクタおよび系 本発明による方法および/または組成物を利用する発酵系も、本発明の範囲内である。

    本明細書に記載されかつ/または言及されるいずれの組換え微生物も、上記微生物が商業的に実行可能な操作で炭素源を3−HPに変換する工業的なバイオ生産系に導入してよい。 そのバイオ生産系は、このような組換え微生物を、炭素源基質および組換え微生物の増殖に適するバイオ生産培地とともにバイオリアクタ容器に導入し、バイオ生産系を、適切な温度範囲(およびその反応が好気または微好気であるならば溶存酸素濃度範囲)内に適切な時間維持して、3−HPへの適切な分子の一部の所望の変換を得ることを含む。 工業的なバイオ生産系およびそれらの操作は、化学工学およびバイオプロセス工学の技術における当業者に周知である。

    バイオ生産は、かき混ぜを行うかもしくは行わない好気、微好気または嫌気条件下で行ってよい。 好気、微好気および嫌気条件を達成するための微生物の培養および集団の操作は、当該技術において公知であり、栄養培地およびそのような微生物集団を含む液体培養物の溶存酸素レベルは、所望の好気、微好気または嫌気条件を維持または確認するために監視してよい。 供給材料として合成ガスを用いる場合、好気、微好気または嫌気条件を利用してよい。 糖を用いる場合、嫌気、好気または微好気条件を様々な実施形態で実行できる。

    本明細書に記載されかつ/または言及されるいずれの組換え微生物も、その微生物が商業的に実行可能な操作で炭素源を3−HPに、および必要に応じて様々な実施形態で3−HPの1つ以上の下流化合物にも変換する工業的なバイオ生産系に導入してよい。 上記バイオ生産系は、このような組換え微生物を、炭素源基質および組換え微生物の増殖に適するバイオ生産培地とともにバイオリアクタ容器に導入し、そのバイオ生産系を、適切な温度範囲(および反応が好気または微好気であるならば溶存酸素濃度範囲)内に適切な時間維持して、基質分子の構成部分から3−HPへの所望の変換を得ることを含む。

    様々な実施形態では、、合成ガス成分または糖が、例えば、その中で限定培地(例えばそれらに限定されないがM9最少培地、硫酸カリウム最少培地、酵母合成最少培地および多くのその他のものまたはこれらの変形物を含む最少塩培地)、本明細書で教示する生合成経路(複数可)の実施形態を提供する微生物の接種材料および上記炭素源が組み合わされ得るリアクタ容器を含む工業的な系において微生物に与えられる。 上記炭素源は、細胞に入り、周知で一般的な代謝経路により異化され、ホスホエノールピルベート(PEP)を含む一般的な代謝中間体が産生される。 (Molecular Biology of
    the Cell、第3版、B. Albertsら、Garland Publishing、New York、1994年、42〜45頁、66〜74頁(糖の基本的な代謝異化経路の教示が参照により組み込まれている);Principles of Biochemistry、第3版、D. L. NelsonおよびM. M. Cox、Worth Publishers、New York、2000年、527〜658頁(主要な代謝経路の教示が参照により組み込まれている);ならびにBiochemistry、第4版、L. Stryer、W. H. Freeman and Co. 、New York、1995年、463〜650頁(これもまた主要な代謝経路の教示が参照により組み込まれている)を参照されたい。 )
    工業的バイオ生産の型についてさらに、本発明の様々な実施形態では、バッチ型の工業的バイオリアクタを採用してよい。 伝統的なバッチバイオリアクタ系は、その培地の組成が各バイオ生産イベントの開始時に確立され、そのバイオ生産イベントの終末で実質的に終了する期間の間に人工的な変更および追加に供されないことを意味する「閉鎖」であるとみなされる。 つまり、上記バイオ生産イベントの開始時に、上記培地には、所望の1つの微生物または複数の微生物が接種され、バイオ生産は、その系に何も添加しないで生じることが許容される。 典型的には、しかし、「バッチ」型のバイオ生産イベントは、炭素源の添加に関してバッチであり、pHおよび酸素濃度などの因子の制御に対してしばしば試みがなされる。 バッチ系において、その代謝産物およびその系のバイオマス組成は、バイオ生産イベントが停止するときまで常に変化する。 バッチ培養において、細胞は、静止誘導期から高増殖対数期および最後には増殖速度が減らされるかまたは休止する定常期まで穏やかである。 処理しなければ、定常期の細胞は最終的に死滅する。 対数期の細胞は、一般的に、所望の最終生成物または中間体の生成の大半を担う。

    標準的なバッチ系に対する変形は、流加培養系である。 流加培養バイオ生産プロセスも本発明において適切であり、基質を含む栄養分が、バイオ生産が進行するにつれて漸増量で加えられる以外は典型的なバッチ系を含む。 流加培養系は、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向にある場合およびその培地中に限定量の基質を有することが望まれる場合に有用である。 流加培養系における実際の栄養分濃度の測定は、異なる時間での試料分析によるなど直接測定することができるか、またはpH、溶存酸素およびCO などの廃ガスの分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定できる。 バッチおよび流加のアプローチは一般的であり、当該技術において周知であり、例は、Thomas D. Brock in Biotechnology: A Textbook of Industrial Microbiology、第2版(1989年)Sinauer Associates, Inc. 、Sunderland, Mass. 、Deshpande、Mukund V. 、Appl. Biochem. Biotechnol. 、36巻:227頁、(1992年)ならびにBiochemical Engineering Fundamentals、第2版、J. E. BaileyおよびD. F. Ollis、McGraw Hill、New York、1986年(バイオ生産についての一般的な教示について本明細書に参照により組み込まれている)において見出すことができる。

    本発明の実施形態ではバッチ様式または流加様式で行うことができるが、本発明は、連続バイオ生産法に適合可能であることが企図される。 連続バイオ生産は、バイオ生産限定培地がバイオリアクタに連続的に加えられ、等量の馴化培地が処理のために同時に除去される「開放」系であるとみなされる。 連続バイオ生産は、一般的に、細胞が主に対数期増殖にある制御された密度範囲内にその培養物を維持する。 2つの型の連続バイオリアクタ操作は、新鮮な培地が容器に供給され、等しい割合の容器内容物が同時に除去されるケモスタットを含む。 このアプローチの制約は、細胞が失われ、高い細胞密度が一般的に達成できないということである。 実際には、典型的に、流加培養プロセスを用いてさらにより高い細胞密度を得ることができる。 別の連続バイオリアクタは、上記容器から除去される流れを、生存細胞をその容器に戻して再利用する分離技術に供すること以外はケモスタットアプローチと同様である灌流培養を利用する。 この型の連続バイオリアクタ操作により、流加培養よりも著しく高い細胞密度が産生されることが示されており、連続的に操作することができる。 連続バイオ生産は、工業的操作のために特に有利である。 なぜなら、これは、排出、洗浄および次のバイオ生産イベントのための設備の準備に伴う停止時間がより短いからである。 さらに、これは、蒸留などの下流ユニット操作を連続的に操作するために、これらをバッチ形態で運転するよりも典型的にはより経済的である。

    連続バイオ生産により、細胞増殖または最終生成物濃度に影響する1つの因子または任意の数の因子の調整が可能になる。 例えば、1つの方法は、炭素源または窒素レベルなどの制限栄養分を固定の割合に維持し、全てのその他のパラメータを適度に維持することを可能にする。 別の系において、増殖に影響するいくつかの因子を連続的に変更し、培地の濁度により測定される細胞濃度を一定に保つことができる。 連続バイオ生産プロセスについての栄養分および増殖因子を調整する方法ならびに生成物形成速度を最大限にするための技術は、工業微生物学の技術において周知であり、様々な方法は、Brock(既出)に詳述されている。

    本発明の実施形態では、バッチプロセス、流加プロセスまたは連続プロセスを用いて実行できることおよび、任意の公知の様式のバイオ生産が適切であることが企図される。 細胞は、全細胞触媒として不活性足場に固定化して、3−HP生成のための適切なバイオ生産条件に供することができるか、または培養容器などの容器内の液体培地中で培養できることが企図される。 つまり、このようなプロセスおよびこれらのプロセスを用いるバイオ生産系において用いられる実施形態は、本発明の遺伝子改変微生物の集団、このような集団を該集団のための栄養分を含む培地中に含む培養系、および3−HPとその後に3−HPの下流生成物とを製造する方法を含む。

    本発明の実施形態は、バイオ生産系において3−HPを製造する方法を含み、この方法のいくつかは、このようなバイオ生産イベントの後に3−HPを得ることを含み得る。 例えば、3−HPを製造する方法は、適切な栄養分を含む培地を培養容器中に提供する工程と、上記培養容器に、微生物が合成ガスおよび/または糖分子から3−HPを生成するように本明細書に記載する遺伝子改変を含む遺伝子改変微生物の接種材料を提供する工程と、上記培養容器を、上記遺伝子改変微生物が3−HPを生成するのに適する条件下に維持する工程とを含み得る。

    3−HPの生成のための工業的バイオ生産系を含むバイオ生産の方法および系において、3−HPに対する耐性を(およびいくつかの実施形態では3−HPバイオ生産も)、1つ以上の改変を欠く対照微生物に対して少なくとも20パーセント増加させるのに効果的な1つ以上の態様を改変するように遺伝子操作された組換え微生物を生成して利用することは、本発明の範囲内である。

    様々な実施形態では、本発明は、本明細書で記載するようなアクリル酸のバイオ生産のための系であって、バイオマスの糖化のためのタンクと、糖化の生成物を、必要に応じて前発酵タンクを介して発酵タンクに送るためのラインと、微生物細胞培養に適する発酵タンクと、上記発酵タンクからの内容物を抽出容器および/または分離容器に吐出するためのラインと、細胞培養廃棄物から3−ヒドロキシプロピオン酸を取り出すのに適する抽出容器および/または分離容器と、3−ヒドロキシプロピオン酸を脱水容器に移送するためのラインと、3−ヒドロキシプロピオン酸からアクリル酸への変換に適する脱水容器とを含む系を対象とする。 様々な実施形態では、上記系は、1つ以上の前発酵タンク、蒸留カラム、遠心分離容器、逆抽出カラム、混合容器またはそれらの組み合わせを含む。

    以下の出版された情報源は、これらの関連する技術における当業者のレベルを示すため、ならびに必要により、糖供給源からの3−HPまたは本発明の下で生成されるその他の生成物(複数可)の工業的バイオ生産の方法およびこのような変換を達成するために本発明の任意の組換え微生物とともに用い得る工業的な系をどのようにして作製して使用するかを教示する開示を支持するためのそれらの各教示について、本明細書に参照により組み込まれている(Biochemical Engineering Fundamentals、第2版、J. E. BaileyおよびD. F. Ollis、McGraw Hill、New York、1986年、示された目的のために書物全体、および生物学的リアクタの設計について特に第9章、533〜657頁;Unit Operations of Chemical Engineering、第5版、W. L. McCabeら、McGraw Hill、New York 1993年、示された目的、特にプロセスおよび分離技術分析のために書物全体;Equilibrium Staged Separations、P. C. Wankat、Prentice Hall、Englewood Cliffs、NJ USA、1988年、分離技術の教示のために書物全体)。 一般的に、本開示に鑑みて、上記の方法および系のいずれも、3−HP以外の化学生成物の生成のために用い得ることがさらに認められる。

    V. 遺伝子改変、ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列 本発明の実施形態は、宿主微生物への発現ベクターの導入から起こり得、ここでその発現ベクターは、宿主微生物で通常見出されるかまたは見出されない酵素をコードする核酸配列を含有する。

    宿主細胞を遺伝子改変できることは、任意の遺伝子改変(組換え)微生物の生成について必須である。 遺伝子移入技術の様式は、エレクトロポレーション、接合、形質導入または天然の形質転換によることがある。 広範囲の宿主接合性プラスミドおよび薬剤耐性マーカーが利用可能である。 クローニングベクターは、その宿主で機能できる抗生物質耐性マーカーの性質に基づいて、宿主生物に合わせて作られる。 また、本明細書で開示するように、遺伝子改変(組換え)微生物は、そのゲノムDNAへの改変を含む、プラスミド導入による以外の改変を含んでよい。

    アミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸を、タンパク質の構造または機能に対して著しく影響することなく変化させ得ることが、当該技術において長く認識されている。 含まれるバリアントは、その示される酵素活性に著しく有害に影響しない限り、欠失、挿入、逆転、反復および型置換を構成できる。 どのアミノ酸変化が表現型でサイレントである可能性があるかに関する手引きは、なかでも、Bowie, J. U. ら、「Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions」、Science 247巻:1306〜1310頁(1990年)で見出すことができる。 この参考文献には、このような教示が参照により組み込まれているが、このような教示は、当業者に一般的に公知でもある。

    様々な実施形態では、本発明のポリヌクレオチド分子の発現により得られるポリペプチドは、3−HP耐性関連および生合成経路について本明細書で記載する遺伝子および/または核酸配列によりコードされる1つ以上のアミノ酸配列と少なくともおよそ50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有し得る。

    任意の特定のポリペプチドが、本明細書で記載する任意のポリペプチド(本明細書で記載する特定の核酸配列に対応し得る)の任意の参照アミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるかという実際的な問題として、このような特定のポリペプチド配列は、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Unix(登録商標)用バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、575
    Science Drive、Madison、Wis. 53711)などの公知のコンピュータプログラムを用いて従来通り決定できる。 Bestfitまたは任意のその他の配列アラインメントプログラムを用いて特定の配列が本発明による参照配列と例えば95%同一であるかを決定する場合、パラメータは、同一性のパーセンテージが参照アミノ酸配列の全長にわたって計算され、参照配列におけるアミノ酸残基の合計数の5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。

    例えば、具体的な実施形態では、参照配列(クエリ配列、すなわち本発明の配列)と対象配列との間の同一性(グローバル配列アラインメントともいう)は、Brutlagらのアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを用いて決定できる(Comp. App. Biosci. 6巻:237〜245頁(1990年))。 FASTDBアミノ酸アラインメントで用いられる、同一性が狭く解釈される特定の実施形態のための好ましいパラメータは、スコアリングスキーム=PAM(パーセント受容変異)0、k−タプル=2、ミスマッチペナルティ=1、結合ペナルティ=20、無作為化割付群長=0、カットオフスコア=1、ウィンドウサイズ=配列長、ギャップペナルティ=5、ギャップサイズペナルティ=0.05、ウィンドウサイズ=500または対象アミノ酸配列長(いずれか短い方)である。 この実施形態によると、上記対象配列が、内部欠失のためでなくN末端欠失またはC末端欠失のために上記クエリ配列より短いならば、結果に対して手動の修正を行って、FASTDBプログラムが、グローバルパーセント同一性を計算する場合に上記対象配列のN末端およびC末端の切断に相当しないという事実を考慮する。 上記クエリ配列に対してN末端およびC末端で切断された対象配列について、上記パーセント同一性は、上記対象配列のN末端およびC末端に対して外側のクエリ配列の残基(これらは、対応する対象残基と一致しない/整列されない)の数を、上記クエリ配列の全塩基のパーセントとして計算することにより修正される。 残基が一致する/整列されるかどうかの決定は、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。 このパーセンテージは、次いで、特定されたパラメータを用いてFASTDBプログラムにより計算されるパーセント同一性から減じて、最終パーセント同一性スコアに到達する。 この最終パーセント同一性スコアは、本実施形態の目的のために用いられるものである。 上記クエリ配列と一致しない/整列されない対象配列のN末端残基およびC末端残基だけが、上記パーセント同一性スコアを手動で調整する目的のために考慮される。 つまり、上記対象配列の最も遠いN末端残基およびC末端残基の外側のクエリ残基の位置だけが、この手動修正において考慮される。 例えば、90アミノ酸残基の対象配列を、100残基のクエリ配列と整列させて、パーセント同一性を決定する。 欠失は、上記対象配列のN末端で生じ、よって、FASTDBアラインメントは、N末端の最初の10残基の一致/アラインメントを示さない。 10の対形成していない残基は、配列の10%を占める(一致していないN末端残基およびC末端残基の数/クエリ配列の残基の総数)ので、10%を、FASTDBプログラムにより計算されるパーセント同一性スコアから減じる。 残りの90残基が完全に一致するならば、上記最終パーセント同一性は、90%である。 別の例において、90残基の対象配列を、100残基のクエリ配列と比較する。 今回、欠失は内部欠失であるので、上記クエリと一致しない/整列されない対象配列のN末端残基またはC末端残基は存在しない。 この場合、FASTDBにより計算されるパーセント同一性は、手動で修正されない。 ここでもまた、上記クエリ配列と一致しない/整列されない、FASTDBアラインメントにより表示されるように上記対象配列のN末端およびC末端の端の外側の残基の位置だけが手動で修正される。

    より全般的には、制御配列に適合できる条件下でE. coliなどの微生物においてコード配列の発現を誘導する1つ以上(数個)の制御配列に作動可能に連結した、酵素活性を有するポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを含む核酸構築物が、調製できる。 上記単離ポリヌクレオチドは、上記ポリペプチドの発現をもたらすように操作してよい。 上記ポリヌクレオチドの配列をベクターに挿入する前に操作することは、発現ベクターに依存して望まれるかまたは必要であることがある。 組換えDNA法を利用してポリヌクレオチド配列を改変するための技術は、当該技術においてよく確立されている。

    上記制御配列は、適当なプロモーター配列、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のための宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列であってよい。 そのプロモーター配列は、上記ポリペプチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。 上記プロモーターは、変異型、切断型およびハイブリッド型プロモーターを含む、選ばれた宿主細胞において転写活性を示す任意のヌクレオチド配列であってよく、その宿主細胞と同種または異種のいずれかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。 特にE. coli宿主細胞において上記核酸構築物の転写を誘導するための適切なプロモーターの例は、lacプロモーター(Gronenborn、1976年、MoI. Gen. Genet. 148巻:243〜250頁)、tacプロモーター(DeBoerら、1983年、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80巻:21〜25頁)、trcプロモーター(Brosiusら、1985年、J. Biol. Chem. 260巻:3539〜3541頁)、T7 RNAポリメラーゼプロモーター(StudierおよびMoffatt、1986年、J. MoI. Biol. 189巻:113〜130頁)、ファージプロモーターp (Elvinら、1990年、Gene 87巻:123〜126頁)、tetAプロモーター(Skerra、1994年、Gene 151巻:131〜135頁)、araBADプロモーター(Guzmanら、1995年、J. Bacteriol. 177巻:4121〜4130頁)およびrhaP BADプロモーター(Haldimannら、1998年、J. Bacteriol. 180巻:1277〜1286頁)である。 その他のプロモーターは、「Useful proteins from recombinant bacteria」、Scientific American、1980年、242巻:74〜94頁;ならびにSambrookおよびRussell、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、第3版、2001年(1〜3巻)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N. Y. に記載されている。

    上記制御配列は、適切な転写終結配列、宿主細胞により認識されて転写を終結する配列でもあり得る。 上記終結配列は、上記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3'末端に作動可能に連結している。 E. coli細胞において機能的な任意のターミネーターを、本発明において用いてよい。 宿主細胞の増殖に関してポ上記リペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することが望ましいこともある。 調節系の例は、調節化合物の存在を含む、化学的もしくは物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにするものである。 原核生物系における調節系は、lac、tacおよびtrpオペレーター系を含む。

    本発明の様々な実施形態について、酵素または各経路のいずれかで同定される酵素の酵素活性の調節と、よって最終的にはそれらの活性とを変化させることを対象とするものを含む、様々な遺伝子操作を含む遺伝子操作が記載され得る。 このような遺伝子改変は、選択されかつ/もしくは同定される培養条件下での酵素活性および/または選択性の変化をもたらす転写改変、翻訳改変および翻訳後改変、ならびに/あるいは3−HP生成に関連付けられる酵素のコピー数および/または変異体を増加させるような追加の核酸配列の提供を対象としてよい。 このような遺伝子改変を達成するための具体的な方法およびアプローチは、当業者に周知であり、それらに限定されないが、内因性遺伝要素の発現を増加させること、リプレッサー遺伝子の機能性を減少させること、異種遺伝要素を導入すること、3−HPを生成するための酵素変換工程を触媒するポリペプチドをコードする核酸配列のコピー数を増加させること、遺伝要素を変異させて、変異タンパク質が比酵素活性を増加するようにすること、過剰発現すること、過小発現すること、シャペロンを過剰発現すること、プロテアーゼをノックアウトすること、フィードバック阻害を変更もしくは改変すること、リプレッサーおよび/もしくは競合阻害剤に対し1つ以上の損なわれた結合位置を含む酵素バリアントを提供すること、リプレッサー遺伝子をノックアウトすること、mRNA安定性を改善するための進化、選択および/またはその他のアプローチ、ならびに効果的なレベルの改善を達成するための効果的なコピー数およびプロモーターを有するプラスミドの使用を含む。 ランダム変異誘発を実施して、これらのまたはその他の述べられたアプローチのいずれかになり得る遺伝子改変をもたらしてよい。 上記遺伝子改変は、さらに広くは、対象の核酸における1つ以上の核酸の付加(挿入を含む)、欠失(例えば変異による)および置換が含まれる。 様々な実施形態では、遺伝子改変は、酵素比活性および/または酵素の代謝回転数の改善をもたらす。 限定されることなく、変化は、以下の1つ以上により測定してよい:K ;K cat ;およびK アビディティ

    様々な実施形態では、より効率的に機能するために、微生物は、1つ以上の遺伝子欠失を含んでよい。 例えば、E. coliにおいて、乳酸脱水素酵素(ldhA)、リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)、ピルビン酸酸化酵素(poxB)およびピルビン酸−ギ酸リアーゼ(pflB)をコードする遺伝子は、破壊(欠失を含む)されてよい。 欠失を含むこのような遺伝子破壊は、限定することを意味せず、様々な実施形態において様々な組み合わせで実行してよい。 遺伝子欠失は、変異遺伝子欠失アプローチにより、かつ/またはこれらの酵素の1つ以上の発現が低減しているかまたは発現がない変異株から出発して、かつ/または当業者に公知のその他の方法により成し遂げることができる。 遺伝子欠失は、それらに限定されないが、Gene Bridges(Gene Bridges GmbH、Dresden、Germany、<<www.genebridges.com>>)により販売されるキットおよびその他の試薬を用いるRED/ET法を含むいくつかの公知の具体的な方法のいずれかにより実現してよい。

    より具体的には、後者の方法について、Red/ET組換えの使用は、当業者に公知であり、Stewartらに対して発行され、この方法についての教示について本明細書に参照することにより組み込まれている米国特許第6,355,412号および同第6,509,156号に記載されている。 このような方法についての材料およびキットは、Gene Bridges(Gene Bridges GmbH、Dresden、Germany、<<www.genebridges.com>>)から入手可能であり、その方法は、製造者の使用説明に従って進めることができる。 この方法は、λファージからのリコンビナーゼにより行われる相同組換えにより標的遺伝子を選択マーカーで置き換えることを含む。 λ−redリコンビナーゼを発現する宿主生物を、上記標的遺伝子と相同な末端領域(一般的に約50bp、代わりに約300bpまで)に隣接した選択マーカーをコードする直鎖状DNA生成物で形質転換する。 上記マーカーは、次いで、FLP−リコンビナーゼまたはCreなどの別のリコンビナーゼを保有するプラスミドベクターにより行われる別の組換え工程により除去できる。

    微生物染色体DNAの一部の標的化された欠失または外来遺伝物質の微生物染色体への付加は、望ましくない代謝生成物の生成を低減または消失するように宿主細胞の代謝を変更するために実施してよい。 このことは、この一般的な例において本明細書で記載するようなその他の遺伝子改変と組み合わせて用いてよい。 この詳細な記載において、複数の実施形態および本発明を実施し得る具体的な例示の実施形態の説明により示される添付の図面に対して言及する。 これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分詳細に記載され、様々な開示される実施形態に対する改変が、当業者により行われ得ることが理解される。

    さらに、3−HP生成について、このような遺伝子改変は、各3−HP生成経路内である特定の酵素変換工程を通じてより高い流動速度(flux rate)を達成するように選びかつ/または選択してよく、よって、基本的および/または主な様式で全般的な細胞代謝に影響してよい。

    アミノ酸「相同性」は、保存的置換、すなわちポリペプチド中の所定のアミノ酸を、同様の特徴をもつ別のアミノ酸で置換するものを含むことが認められる。 保存的置換として典型的に見られるものは、以下の置き換えである:Ala、Val、LeuおよびIleなどの脂肪族アミノ酸の、別の脂肪族アミノ酸での置き換え;Serの、Thrでの置き換えもしくはその逆;AspもしくはGluなどの酸性残基の、別の酸性残基での置き換え;AsnもしくはGlnなどのアミド基を有する残基の、アミド基を有する別の残基での置き換え;LysもしくはArgなどの塩基性残基から別の塩基性残基への交換;ならびにPheもしくはTyrなどの芳香族残基の、別の芳香族残基での置き換え。

    本明細書で示される全ての核酸配列およびアミノ酸配列について、これらの配列の保存的に改変されたバリアントが含まれ、これらが本発明の様々な実施形態において本発明の範囲内であることが認められる。 当業者の技能の範囲内に十分に含まれる保存改変バリアントおよびより広範囲に変化した配列を含み得る機能的に等価な核酸配列およびアミノ酸配列(機能性バリアント)ならびにこれらを含む微生物も、このような配列および/または微生物を含む方法ならびに系と同様に、本発明の様々な実施形態の範囲内である。 様々な実施形態では、十分に相同なタンパク質またはその構成部分をコードする核酸配列は、本発明の範囲内である。 より一般的には、本発明で採用される特定のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、遺伝子コードの縮重により変化し得るが、それでもなお本発明の範囲内になる。 以下の表は、アミノ酸のうちの類似性(保存的置換およびあまり保存的でない置換は、これらに基づくことがある)およびこの縮重を反映する様々なコドン重複性のまとめを示す。

    表1

    凡例:側基およびその他の関連する特性:A=酸性;B=塩基性;Ali=脂肪族;Ami=アミン;Aro=芳香族;N=非極性;PU=極性非荷電;NEG=負に荷電;POS=正に荷電。

    また、本明細書で述べる特定の核酸配列およびコードされる各アミノ酸配列のバリアントおよび構成部分は、このような核酸配列バリアントおよび/または構成部分が、限定することなく、ヌクレオチド番号1で始まってヌクレオチド番号15で終わる配列、ヌクレオチド番号2で始まってヌクレオチド番号16で終わる配列、ヌクレオチド番号3で始まってヌクレオチド番号17で終わる配列などを含む、本明細書で述べる核酸配列で示す任意の15ヌクレオチドの配列と同一の15ヌクレオチドの配列を含有する場合に、所望の機能性、例えば選択されたレベルでの酵素活性を示し得る。 本発明は、15ヌクレオチドを超える長さ(例えば16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上のヌクレオチド)であり、本明細書で述べる核酸配列に示す配列の任意の構成部分と同一であるヌクレオチド配列を含有する単離核酸も提供することが認められる。 例えば、本発明は、限定することなく、ヌクレオチド番号1で始まってヌクレオチド番号25で終わる配列、ヌクレオチド番号2で始まってヌクレオチド番号26で終わる配列、ヌクレオチド番号3で始まってヌクレオチド番号27で終わる配列などを含む、本明細書で述べる任意の1つ以上の(任意の群分けを含む)核酸配列に示す任意の25ヌクレオチドの配列と同一の25ヌクレオチドの配列を含有する単離核酸を提供する。 追加の例は、限定することなく、50以上のヌクレオチドの長さ(例えば100、150、200、250、300以上のヌクレオチド)であり、本明細書で開示する配列のいずれかの任意の構成部分と同一であるヌクレオチド配列を含有する単離核酸を含む。 このような単離核酸は、限定することなく、3−HP生成経路に関係するような考察および/または実施例のいずれか1つのセクションで示す核酸配列、脂肪酸合成酵素系または3−HP耐性の酵素をコードする核酸配列を含有する単離核酸を含み得る。 例えば、本発明は、単一挿入、単一欠失、単一置換、複数挿入、複数欠失、複数置換またはそれらの任意の組み合わせ(例えば単一欠失と複数挿入)を含有する本明細書で列挙する核酸配列を含有する単離核酸を提供する。 このような単離核酸分子は、本明細書で列挙する(すなわち配列表で)核酸配列と、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、97、98または99パーセントの配列同一性を共有し得る。

    追加の例は、限定することなく、50以上のアミノ酸残基の長さ(例えば100、150、200、250、300以上のアミノ酸残基)であり、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の任意の構成部分と同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含有する単離核酸を含む。

    さらに、本発明は、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の変形を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含有する単離核酸を提供する。 例えば、本発明は、単一挿入、単一欠失、単一置換、複数挿入、複数欠失、複数置換またはそれらの任意の組み合わせ(例えば単一欠失と複数挿入)を含有する本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含有する単離核酸を提供する。 このような単離核酸分子は、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列と、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、97、98または99パーセントの配列同一性を共有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含有し得る。

    保存的アミノ酸置換およびその他のアミノ酸置換についての基礎を与える特性の例は、表1に例示する。 よって、当業者は、所望の機能性を示すアミノ酸配列バリアントを得るために多数の置換を行うことができる。 BLASTP、CLUSTALPおよびその他のアラインメントツールおよび比較ツールを用いて、より少ない置換を行うことができる(選択されたレベルまで活性を変更すること(これは、複数置換を必要とし得る)を対象とするのでなければ)高度に保存された領域を評価できる。 活性部位またはその他の結合モチーフもしくは構造モチーフに関与しないことが認識されるかまたはそのように考えられている領域に、より多くの置換を行うことができる。 表1に従って、例えば、必要に応じてサイズ/分子量を考慮して、列挙された配列の1つの極性非荷電(PU)アミノ酸を極性非荷電アミノ酸に置換してよい(すなわちセリンをトレオニンに代えて置換する)。 どのアミノ酸変化が表現型サイレントである可能性があるかに関する手引きは、なかでも、Bowie, J. U. ら、「Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions」、Science 247巻:1306〜1310頁(1990年)で見出すことができる。 この参考文献には、このような教示が参照により組み込まれているが、このような教示は、当業者に一般的に公知でもある。 認識される保存アミノ酸置換は(各組のコロンの後に置換可能なアミノ酸が続く):ala:ser;arg:lys;asn:glnまたはhis;asp:glu;cys:ser;gln:asn;glu:asp;gly:pro;his:asnまたはgln;ile:leuまたはval;leu:ileまたはval;lys:argまたはglnまたはglu;met:leuまたはile;phe:metまたはleuまたはtyr;ser:thr;thr:ser;trp:tyr;tyr:trpまたはphe;val:ileまたはleuを含む。

    特定の種についてのコドンの好みおよびコドン使用の表を用いて、その特定の種のコドン使用の好みの利点を利用する単離核酸分子を設計製作することができることが注目される。 例えば、本明細書で提供する単離核酸は、特定の対象の生物により優先的に使用されるコドンを有するように設計できる。 多数のソフトウェアおよび配列決定サービスが、このような配列のコドン最適化のために利用可能である。

    本発明は、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の全体のアミノ酸配列を含有するポリペプチドを提供する。 さらに、本発明は、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の構成部分を含有するポリペプチドを提供する。 例えば、本発明は、限定することなく、アミノ酸残基番号1で始まってアミノ酸残基番号15で終わる配列、アミノ酸残基番号2で始まってアミノ酸残基番号16で終わる配列、アミノ酸残基番号3で始まってアミノ酸残基番号17で終わる配列などを含む、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の任意の15アミノ酸の配列と同一の15アミノ酸の配列を含有するポリペプチドを提供する。 本発明は、15アミノ酸残基を超える長さ(例えば16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上のアミノ酸残基)であり、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の任意の構成部分と同一であるアミノ酸配列を含有するポリペプチドも提供することが認められる。 例えば、本発明は、限定することなく、アミノ酸残基番号1で始まってアミノ酸残基番号25で終わる配列、アミノ酸残基番号2で始まってアミノ酸残基番号26で終わる配列、アミノ酸残基番号3で始まってアミノ酸残基番号27で終わる配列などを含む、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の任意の25アミノ酸の配列と同一の25アミノ酸の配列を含有するポリペプチドを提供する。 追加の例は、限定することなく、50以上のアミノ酸残基の長さ(例えば100、150、200、250、300以上のアミノ酸残基)であり、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列の任意の構成部分と同一であるアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含む。 さらに、上記のことから、15ヌクレオチドの配列は、5アミノ酸の配列を提供し、よって、それよりあとのより長いアミノ酸配列が、本明細書で提供する配列と同一性を有する上記のヌクレオチド配列の長さにより規定され得ることが認められる。

    さらに、本発明は、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列で示されるアミノ酸配列の変形を有するアミノ酸配列であるポリペプチドを提供する。 例えば、本発明は、単一挿入、単一欠失、単一置換、複数挿入、複数欠失、複数置換またはそれらの任意の組み合わせ(例えば単一欠失と複数挿入)を含有する本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列を含有するポリペプチドを提供する。 このようなポリペプチドは、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列と、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、97、98または99パーセントの配列同一性を共有するアミノ酸配列を含有できる。 特定のバリアントのアミノ酸配列は、任意の数の変形および変形の型の任意の組み合わせを含んでよい。

    本発明は、様々な実施形態では、本明細書で開示する任意のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の変形を有するアミノ酸配列を含む。 一例として、変形は、配列番号544に示すカルボニックアンヒドラーゼ(E.coli cynT)アミノ酸配列について例示される。 図3は、BLASTP比較において、低いE値に基づいて、比較的高い相同性を有した11の他の種のカルボニックアンヒドラーゼと整列させたE. coliカルボニックアンヒドラーゼのCLUSTAL複数配列アラインメントを示す。 配列番号544は、示される5番目の配列である。 複数の保存的置換およびあまり保存的でない置換が示され(すなわちそれぞれ「:」および「.」の称号により)、これらは、当業者による追加の改変を導き得る。 つまり、配列番号544に示す配列の変形の例は、限定することなく、図3に示す配列の任意の変形を含む。 このような変形は、図3に示され、つまり、配列番号544に示す配列の特定の位置でのアミノ酸残基(またはその欠如)と図3のその他の11のアミノ酸配列のいずれかの同じ整列された位置でのアミノ酸残基(またはその欠如)との比較は、配列番号544に示す配列についての特定の変化の列挙を提供する。 例えば、配列番号544の14位の「E」グルタミン酸は、図3に示すように「D」アスパラギン酸または「N」アスパラギンに置換できる。 配列番号544に示す配列は、任意の数の変形および変形の型の任意の組み合わせを含有できることが認められる。 図3に示すアミノ酸配列は、カルボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドであり得ることが注目される。

    本明細書で示すように、バリアントアミノ酸配列を有するポリペプチドは、酵素活性を保持できる。 このようなポリペプチドは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、部位特異的変異誘発または様々なPCR技術などの標準的な手順を用いて操作することにより生成できる。 本明細書で注目されるように、1つの型の改変は、1つ以上のアミノ酸残基を、同様の化学的および/または生化学的特性を有するアミノ酸残基の代わりに置換することを含む。 例えば、ポリペプチドは、1つ以上の保存的置換を含む、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示するアミノ酸配列に示すアミノ酸配列を有することができる。

    より実質的な変化は、あまり保存的でない置換を選択することにより、および/またはより重要であり得る配列の領域において、例えば、(a)置換の領域でのポリペプチド主鎖の構造、例えばシートもしくはヘリックス立体構造;(b)標的部位でのポリペプチドの電荷もしくは疎水性;または(c)側鎖の嵩高さを維持するそれらの効果においてより著しく異なる残基を選択することにより得ることができる。 一般的に、ポリペプチド機能における最大の変化を生成すると予期される置換は、(a)親水性残基、例えばセリンまたはトレオニンが、疎水性残基、例えばロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリンもしくはアラニンを置換する(またはそれにより置換される);(b)システインまたはプロリンが、任意のその他の残基を置換する(またはそれにより置換される);(c)正の電荷を持った側鎖を有する残基、例えばリシン、アルギニンもしくはヒスチジンが、負の電荷を持った残基、例えばグルタミン酸もしくはアスパラギン酸を置換する(またはそれにより置換される);または(d)嵩高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンが、側鎖を有さないもの、例えばグリシンを置換する(またはそれにより置換される)というものである。 これらのアミノ酸置換(またはその他の欠失もしくは付加)の効果は、酵素活性を有するポリペプチドについて、関連する天然ポリペプチドと同じ基質から関連する天然ポリペプチドと同じ生成物への変換をポリペプチドが触媒できることを分析することにより評価できる。 よって、5、10、20、30、40、50以下の保存的置換を有するポリペプチドが、本発明により提供される。

    ポリペプチドおよびポリペプチドをコードする核酸は、標準的なDNA変異誘発技術、例えばM13プライマー変異誘発により生成できる。 これらの技術の詳細は、SambrookおよびRussell、2001年で提供される。 核酸分子は、その分子が導入される特定の生物のコドン使用の偏りに合うようにコード領域に変化を含有できる。

    代わりに、上記コード領域は、核酸配列が実質的に変更されるが、それでもなお天然アミノ酸配列と同一または実質的に同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするような様式で、そのコード配列を変更するために、遺伝子コードの縮重を利用することにより変更できる。 例えば、アラニンは、オープンリーディングフレームにおいて、ヌクレオチドコドントリプレットGCTによりコードされる。 上記遺伝子コードの縮重のために、3つのその他のヌクレオチドコドントリプレット(GCA、GCCおよびGCG)もアラニンをコードする。 つまり、上記オープンリーディングフレームの核酸配列は、この位置にて、これらの3つのコドンのいずれかに、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列またはそのポリペプチドの特徴に影響することなく変更することができる。 上記遺伝子コードの縮重に基づいて、核酸バリアントを、本明細書で開示する核酸配列から、本明細書で記載する標準的な変異誘発技術を用いて、または核酸配列の合成により、導くことができる。 つまり、様々な実施形態について、本発明は、同じポリペプチドをコードするが、上記遺伝子コードの縮重によって核酸配列が変化している核酸分子を包含する。

    本発明は、少なくとも約12塩基の長さ(例えば少なくとも約13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、100、250、500、750、1000、1500、2000、3000、4000または5000塩基の長さ)であり、ハイブリダイゼーション条件下で、本明細書で列挙するかまたはそうでなければ開示する配列を有する核酸のセンス鎖またはアンチセンス鎖とハイブリダイズする単離核酸も提供する。 上記ハイブリダイゼーション条件は、中程度または高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件であり得る。 また、いくつかの実施形態では、上記微生物は、内因性3−HP生成経路(これは、いくつかのこのような実施形態では、増強されていることがある)を含み、他の実施形態では、上記微生物は、3−HP生成経路を含まないが、本明細書で記載する、3−HPの生成をもたらす経路を完了する1つの酵素活性または複数の酵素活性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の核酸配列を備える。 いくつかの実施形態では、本明細書で開示する特定の配列またはその保存的改変バリアントは、本明細書で列挙する1つ以上の種および種の群またはその他の分類学上の群から選択されるような、選択された微生物に提供される。

    VI. マロニル−CoAから脂肪酸合成から3−HPへの再指向 遺伝子改変微生物などの本発明の構成物(composition)は、マロニル−CoAが基質である化学生成物についての生成経路を含み、脂肪酸合成酵素系遺伝子の1つ以上によりコードされる酵素の活性を低減するための1つ以上の遺伝子改変も含み得る。 上記構成物は、本発明の方法および系において用いることができる。

    商業的な発酵の対象の多くの微生物におけるいくつかの化学生成物の微生物発酵に関して、マロニル−CoAは、通常の増殖条件下では脂肪酸およびリン脂質などのその誘導体(これらは、次いで、細胞膜でおよびその他の重要な細胞機能のために用いられる)に変換される代謝中間体である。 例えば、Escherichia coliでは、上記脂肪酸合成酵素系は、II型または解離脂肪酸合成酵素系である。 この系において、脂肪酸生成経路の酵素は、別々の遺伝子によりコードされ、多くの重要な代謝経路に共通して、上流の酵素を阻害する下流の生成物によることを含んで、良好に調節されている。

    様々な微生物では、脂肪酸合成系(すなわち経路または複合体)を介しての代謝中間体マロニル−CoAから脂肪酸への変換は、マロニル−CoAが唯一または主要に使用される。 代替の化学生成物への生成経路が微生物に存在する場合、マロニル−CoAから脂肪酸へのこのような変換を低減することにより、その代替の化学生成物(例えば3−HP)の生成についての計量(metric)が改善され得ることが分かっている。 例えば、多くの微生物細胞において、上記脂肪酸合成酵素系は、以下の酵素活性を有するポリペプチドを含む:マロニル−CoA−アシルキャリアタンパク質(ACP)トランスアシラーゼ;β−ケトアシル−ACP合成酵素;β−ケトアシル−ACP還元酵素;β−ヒドロキシアシル−ACPデヒドラターゼ;3−ヒドロキシアシル−(acp)デヒドラターゼ;およびエノイル−アシルキャリアタンパク質還元酵素(エノイル−ACP還元酵素)。 様々な実施形態では、これらのポリペプチドの温度感受性の形態をコードする核酸配列を、天然酵素の代わりに導入でき、このような遺伝子改変微生物が、(これらの温度に影響されやすいポリペプチドが、タンパク質構造における変更または完全変性のために部分的または完全に不活化される)上昇した温度で培養される場合、3−HPなどの生成物の増加が観察される。 他の実施形態では、他の型の遺伝子改変を行って、これらのポリペプチドの1つ以上の酵素活性を別の方法で調整(例えば低くする)してよい。 様々な実施形態では、このような遺伝子改変の結果は、マロニル−CoAから脂肪酸、全バイオマスへの変換の低減、および炭素源から3−HPなどの化学生成物への変換のより大きい割合が得られるように、マロニル−CoAの利用をシフトすることである。 様々な実施形態では、微生物により生成される化学生成物の比生産性が、予想外に高い。 また、マロニル−CoA生成を増加させるような追加の遺伝子改変を、ある特定の実施形態について行ってよい。

    ある酵素、エノイル(アシルキャリアタンパク質)還元酵素(EC番号1.3.1.9、エノイル−ACP還元酵素ともいう)は、マロニル−CoAからの脂肪酸生合成のために重要な酵素である。 Escherichia coliにおいて、この酵素、FabIは、遺伝子fabIによりコードされる(「Enoyl−Acyl Carrier Protein (fabI) Plays a Determinant Role in Completing Cycles of Fatty Acid Elongation in Escherichia coli」、Richard J. HeathおよびCharles O. Rock、J. Biol. Chem. 270巻:44号、26538〜26543頁(1995年)(fabIおよび脂肪酸合成酵素系のその論考について参照することにより組み込まれている)を参照されたい)。

    本発明は、エノイル−ACP還元酵素の酵素活性(これは、発酵イベントの間に調整されることがある)を有するポリペプチドをコードする核酸配列(ポリヌクレオチド)を備える微生物を利用してよい。 例えば、温度感受性エノイル−ACP還元酵素をコードする核酸配列を、天然エノイル−ACP還元酵素の代わりに提供することにより、培養温度の上昇で酵素活性が低減し、次いで、マロニル−CoAの利用を所望の化学生成物の生成へシフトさせることができる。 このような上昇した温度では、上記酵素は、その温度とがそうであるように、非許容性である(non−permissive)とみなされる。 このような配列の1つは、E. coliの変異体温度感受性fabI(fabI TS )(DNAについて配列番号769、タンパク質について配列番号770)である。

    E. coli以外の種におけるエノイル−ACP還元酵素についての核酸配列およびアミノ酸配列は、BLASTNおよびBLASTPなどの公知のゲノミクスデータベースにおいて相同性検索を行うことにより容易に得られることが認められる。 その他の種における相同体および機能的に等価な配列を得るためのアプローチは、本明細書に記載される。 よって、本発明は、商業的な対象の多くの微生物種について当業者により実施できることが認められる。

    それに限定されないが、天然エノイル−ACPまたはエノイル−coA還元酵素を、この酵素の誘導性プロモーターを含む核酸配列で置き換えて、初期の誘導の後に誘導がないようにして、エノイル−ACPまたはエノイル−coA還元酵素の酵素活性を、選択された細胞密度に到達した後に減少させることなどの当業者に公知の、温度感受性エノイル−ACP還元酵素以外のアプローチを採用してよい。

    いくつかの態様では、本発明の構成物、方法および系は、遺伝子改変微生物におけるマロニル−CoAの利用をシフトさせるが、これは、エノイル−アシルキャリアタンパク質還元酵素(エノイル−ACP還元酵素)もしくはエノイル−コエンザイムA還元酵素(エノイル−coA還元酵素)、β−ケトアシル−ACP合成酵素またはβ−ケトアシル−coA合成酵素マロニル−CoA−ACPなどの脂肪酸合成酵素系の少なくとも1つの酵素を含んでおり、さらに微生物細胞における重炭酸塩レベルを増加させるためにカルボニックアンヒドラーゼをコードする核酸配列の少なくとも1つの遺伝子改変および/またはその培養培地への重炭酸塩および/もしくは炭酸塩の補充を含んでよく、かつアセチル−CoAカルボキシラーゼおよびNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼの1つ以上の酵素活性を増加させるための1つ以上の遺伝子改変をさらに含んでよい。 より一般的には、炭酸塩および/または重炭酸塩の添加は、発酵ブロス中の重炭酸塩のレベルを増加させるために用いてよい。

    いくつかの態様では、本発明は、マロニル−CoAを3−HPに変換するために効果的な3−HP生成経路を提供するか、完了するかまたは増強する少なくとも1つの遺伝子改変を含み、上記微生物細胞における重炭酸塩レベルを増加させるためのカルボニックアンヒドラーゼの遺伝子改変および/またはその培養培地への重炭酸塩および/もしくは炭酸塩の補充をさらに含んでよく、かつアセチル−CoAカルボキシラーゼおよびNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼの1つ以上の酵素活性を増加させるための1つ以上の遺伝子改変をさらに含んでよい遺伝子改変微生物を含む。 関連付けられる方法および系は、このような遺伝子改変微生物を利用する。

    いくつかの態様では、本発明は、マロニル−CoAを3−HPに変換するのに効果的な3−HP生成経路を提供するか、完了するかまたは増強する少なくとも1つの遺伝子改変を含み、エノイル−アシルキャリアタンパク質還元酵素(エノイル−ACP還元酵素)もしくはエノイル−コエンザイムA還元酵素(エノイル−coA還元酵素)、β−ケトアシル−ACP合成酵素もしくはβ−ケトアシル−coA合成酵素、マロニル−CoA−ACPなどの脂肪酸合成酵素系の少なくとも1つの酵素の遺伝子改変をさらに含み、かつ上記微生物細胞における重炭酸塩レベルを増加させるためのカルボニックアンヒドラーゼの遺伝子改変および/またはその培養培地への重炭酸塩および/もしくは炭酸塩の補充をさらに含んでよく、かつアセチル−CoAカルボキシラーゼおよびNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼの1つ以上の酵素活性を増加させるための1つ以上の遺伝子改変をさらに含んでよい遺伝子改変微生物を含む。 関連付けられる方法および系は、このような遺伝子改変微生物を利用する。

    様々な実施形態では、本発明は、選択された細胞密度の遺伝子改変微生物集団を容器内に提供する工程であって、上記遺伝子改変微生物が、マロニル−CoAから化学生成物を生成するための生成経路を含む、提供する工程と、上記遺伝子改変微生物の脂肪酸合成酵素経路の少なくとも1つの酵素の酵素活性を低減させる工程とを含む、化学生成物を作製する方法を対象とする。

    様々な実施形態では、微生物宿主細胞においてエノイル−ACP還元酵素の酵素活性を低減することにより、上昇した比生産性および容積生産性での3−HPの生成がもたらされる。 さらに他の実施形態では、微生物宿主細胞においてエノイル−CoA還元酵素の酵素活性を低減することにより、上昇した比生産性および容積生産性での3−HPの生成がもたらされる。

    これらの酵素の酵素活性を低減するための遺伝子改変についての別のアプローチは、上記エノイル−ACP還元酵素遺伝子(例えばE.coliにおけるfabI)などの1つのこのような酵素を促進する誘導性プロモーターを提供することである。 このような例では、このプロモーターは、本明細書の方法の第1段階の間に誘導され(例えばイソプロピル−μ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて)、そのIPTGが消耗し、第2工程から除かれたかまたは希釈された後に、エノイル−ACP還元酵素の酵素活性の低減が開始し得る。 本明細書で記載し、かつ/または当業者に公知のような酵素発現および酵素活性を制御するその他のアプローチを用いてよい。

    エノイル−CoA還元酵素は、上記脂肪酸合成酵素系の重要な酵素とみなされるが、本明細書で列挙するようなこの系の酵素活性を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(核酸配列)の任意の組み合わせに対して遺伝子改変を行ってよい。 例えば、FabBである、β−ケトアシル−アシルキャリアタンパク質合成酵素Iは、増殖ならびに飽和および不飽和の両方の脂肪酸の生合成に必須であるE. coliにおける酵素である。 FabBの不活化は、脂肪酸伸長の阻害および細胞増殖の減退、ならびにマロニル−ACPのマロネート部分をアセチル−CoAに戻して再利用する無益回路の消失をもたらす。 FabFである、β−ケトアシル−アシルキャリアタンパク質合成酵素IIは、飽和脂肪酸の合成および細胞における膜流動性の制御に要求される。 両酵素は、セルレニンにより阻害される。

    FabFの過剰発現は、脂肪酸生合成の減退をもたらすと報告されている。 FabFは、FabDである、マロニル−CoA:ACPトランスアシラーゼとの会合についてFabBに勝ると提案されている。 FabBとFabDとの会合は、脂肪酸伸長を開始する縮合反応に要求される(Microbiological Reviews、1993年9月、522〜542頁、57巻、3号;K. Magnusonら、「Regulation of Fatty Acid Biosynthesis in Escherichia coli」、American Society for Microbiology;W. Zhaら、「Improving cellular malonyl−CoA level in Escherichia coli via metabolic engineering」、Metabolic Engineering 11巻(2009年)192〜198頁を参照されたい)。 このような脂肪酸合成酵素の酵素を低減するための遺伝子改変の代替は、培養系に、1つ以上のこのような酵素の適切な阻害剤を提供することである。 このアプローチは、独立して、または遺伝子改変アプローチと組み合わせて実行できる。 セルレニン、チオラクトマイシンおよびトリクロサン(この列挙は限定しない)などの阻害剤または1つ以上の上記脂肪酸合成酵素系遺伝子によりコードされる酵素の活性を低減することを対象とする遺伝子改変を、単一または組み合わせて採用してよい。

    特定の理論と結び付けられることなく、微生物におけるエノイル−ACP還元酵素(および/または上記脂肪酸合成酵素系のその他の酵素)の酵素活性を低減することにより、上記酵素の上流の代謝中間体であるマロニル−CoAの蓄積および/または短絡を導き、このようなマロニル−CoAは、次いで、化学生成物に変換されることがある(これに対して上記微生物細胞は、マロニル−CoAを利用する代謝経路を含む)と考えられている。 ある特定の本発明の構成物、方法および系では、エノイル−ACP還元酵素(またはより一般的には上記脂肪酸合成酵素系のもの)の酵素活性の低減は、遺伝子改変微生物の十分な細胞密度に到達した後に発生するようにされる。 この二相培養アプローチは、特定の生成速度を維持する細胞バイオマスにおける触媒の所望の量と、上記エノイル−ACP還元酵素活性(および/または脂肪酸合成酵素系のその他の酵素の活性)が低減された後に細胞塊に向けられる炭素をより少なくすることに部分的に起因し得る収率とを釣り合わせる。 このことは、マロニル−CoAの正味の利用のシフトをもたらし、よって、所望の化学生成物への炭素フラックスがより大きくなる。

    本発明の様々な実施形態では、上記比生産性が上昇し、これは、全体的に迅速で効率的な微生物発酵の方法および系をもたらす。 様々な実施形態では、上記容積生産性も実質的に上昇する。

    様々な実施形態では、遺伝子改変微生物は、マロニル−CoAから所望の化学生成物である3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)への変換を含む代謝経路を含む。 これは、商業的な3−HP生成の経済的な側面のために非常に有利であると考えられ、明確な経済的利点を有する進歩であると考えられる。 その他の化学生成物も、本明細書で開示する。

    比生産性および容積生産性の両方のパラメータの改善は、予想外であり、当該技術における進歩である。

    エノイル−ACP還元酵素活性および/または上記脂肪酸合成酵素系のその他の酵素の低減は、本明細書で論じるように、いくつかの様式で達成できる。

    マロニル−CoAから脂肪酸アシル−ACP分子または脂肪酸アシル−coA分子および脂肪酸分子への変換を「調整するための手段」とは、以下のいずれか1つを意味する:1)微生物細胞において、上記脂肪酸合成酵素系酵素の1つ(例えば本明細書で述べるもの)の活性を有する少なくとも1つのポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを提供することであって、このようにコードされる上記ポリペプチドが、低減された酵素活性を有する(例えば、酵素活性を低くするための変異および/またはプロモーター置換などにより)か、または低減された酵素活性を有するように調整され得る(例えば、温度感受性、誘導性プロモーターなどにより)こと、2)微生物細胞または集団を含む容器に、1つ以上の上記脂肪酸合成酵素系酵素(例えば本明細書で述べるもの)の酵素活性を阻害する阻害剤を、1つ以上のこれらの酵素の酵素活性を低減するために効果的な供与量で提供すること。 これらの手段は、互いに組み合わせて行ってよい。 調整する手段が、例えば温度感受性脂肪酸合成酵素系ポリペプチド(例えばエノイル−ACP還元酵素)を含む遺伝子改変微生物の集団を含む培養容器の温度を増加させることによるか、または阻害剤を加えることにより、発酵イベントの間の上記脂肪酸合成酵素系のより高い活性からより低い活性への変換を含む場合、このような脂肪酸合成酵素系の2つの様式、すなわち1つはその間により高い活性が存在する場合、2つ目は、その間により低い活性が存在する場合が想定される。 そのより低い活性の様式の間に、マロニル−CoAから選択された化学生成物へのより大きい利用へのシフトが進行し得る。

    注目した酵素活性(複数可)を低減するための調整が一旦働くと、そのように調整されたそれぞれの各酵素活性は、天然の非調整酵素活性(例えば細胞におけるまたは単離された)の活性と比較して、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80または少なくとも90パーセント低減され得る。 同様に、マロニル−CoAから脂肪酸アシル−ACP分子または脂肪酸アシル−coA分子への変換は、非調整細胞またはその他の系におけるそのような変換と比較して、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80または少なくとも90パーセント低減され得る。 同じように、マロニル−CoAから脂肪酸分子への変換は、非調整細胞またはその他の系におけるそのような変換と比較して、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80または少なくとも90パーセント低減され得る。 VII. マロニル−CoAから3−HPへの生成経路 様々な実施形態では、本発明の構成物、方法および系は、マロニル−CoAを対象の化学生成物へ変換する代謝生成経路を含むことに関与する。

    一例として、3−HPを、対象の化学生成物として選択する。

    3−HP生成経路のための具体的な配列にさらに関して、C. aurantiacusからのマロニル−CoA還元酵素(mcr)を、DNA2.0のサービスにより遺伝子合成し、コドン最適化した。 そのFASTA配列は、配列番号783に示す(gi|42561982|gb|AAS20429.1|マロニル−CoA還元酵素(Chloroflexus aurantiacus))。

    Mcrは、NCBIデータベースにおいてほとんど配列相同体を有さない。 Blast検索により、タンパク質全体を検索した場合に、8つの異なる配列が見出される。 よって、積み重ねた配列比較の開発は、限定された情報を産生すると予期される。 しかし、本発明の実施形態は、それでもなお、本明細書において配列番号784〜791として示され同定されるこれらの8つの配列のいずれかを含むことがあり、これらは、この酵素活性に関して二機能性であると予期されるが、二機能性であるとまだ確認されていない。 その他の実施形態は、配列番号784〜791のいずれかの変異されたおよびその他のバリアント形態、ならびに選択された微生物に導入されて、そこで3−HP生成をもたらすかまたは増加するものなどのポリヌクレオチド(保存的置換およびその他の置換を有するバリアント形態を含む)を含み得る。

    CLUSTAL2.0.11複数配列アラインメントの構成部分は、以下の表に示すように、各配列番号783〜791を有するこれらの8つの配列を同定する。
    表2

    マロニル−CoAは、以下の1つ以上を含む微生物において3−HPに変換されることがある:


    Chloroflexus aurantiacusおよびその他の微生物種から得ることができるような二機能性マロニル−CoA還元酵素。 この関係における二機能性とは、上記マロニル−CoA還元酵素が、マロニル−CoAからマロネートセミアルデヒドへの変換と、マロネートセミアルデヒドから3−HPへの変換との両方を触媒することを意味する。

    3−HP脱水素酵素と組み合わせた単機能性マロニル−CoA還元酵素。 単機能性とは、上記マロニル−CoA還元酵素が、マロニル−CoAからマロネートセミアルデヒドへの変換を触媒することを意味する。

    上記のポリペプチドのいずれも、NADH依存性またはNADPH依存性であってよく、当該技術において公知の方法を用いて、特定の酵素をいずれかの形態に変換してよい。 より具体的には、WO2002/042418で注目されているように、「補因子としてNADPHを用いるポリペプチドを、補因子としてNADHを用いるポリペプチドに変換するために、他者により記載されるものなどの任意の方法を用いることができる(Eppinkら、J Mol. Biol.、292巻(1号):87〜96頁(1999年)、HallおよびTomsett、Microbiology、146巻(Pt6号):1399〜406頁(2000年)、ならびにDohrら、Proc. Natl. Acad. Sci.、98巻(1号):81〜86頁(2001年))。」
    限定されることなく、二機能性マロニル−CoA還元酵素は、Chloroflexus aurantiacusのマロニル−CoA還元酵素(例えばATCC29365から)およびその他の配列から選択してよい。 これもまた限定されることなく、単機能性マロニル−CoA還元酵素は、Sulfolobus tokodaiiのマロニル−CoA還元酵素(配列番号826)から選択してよい。 C. aurantiacusのマロニル−CoA還元酵素に関して、その配列および他の種の配列も、この酵素活性について二機能性であり得る。

    単機能性マロニル−CoA還元酵素を微生物細胞に提供する場合、マロネートセミアルデヒドを3−HPへ変換する3−HP脱水素酵素の酵素活性も提供してよい。 本実施例に示すように、単機能性マロニル−CoA還元酵素は、二機能性の単機能性マロニル−CoAの切断により得てよく、マロネートセミアルデヒドを3−HPへ変換する酵素を有する株において組み合わせてよい。

    別のマロニル−CoA還元酵素が、Metallosphaera sedulaにおいて公知であることも注目される(Msed_709、マロニル−CoA還元酵素/スクシニル−CoA還元酵素として同定)。

    上記の酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を提供することにより、遺伝子改変微生物は、本発明の実施形態に従ってマロニル−CoAを3−HPへ変換するための効果的な3−HP経路を含むことができる。

    アミノトランスフェラーゼ(例えば2010年1月28日に公開されたWO2010/011874を参照されたい)を含むものなどのその他の3−HP経路も、本発明の遺伝子改変微生物の実施形態において提供され得る。

    このセクションに組み込まれているが、本発明は、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)などの選択された化学生成物の生成について、増大した比生産性および容積生産性の計量を提供する。 様々な実施形態では、3−HPなどの化学生成物の生成は、増殖と関連しない。

    様々な実施形態では、3−HPの生成または代わりに本明細書で記載するようなその下流生成物の1つの生成は、例えば本明細書で開示する方法の1つを用いることにより、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40および少なくとも50g/リットルの力価に到達し得る。

    本明細書で開示する進歩を認めることによって認識され得るように(これらは選択された化学生成物の商業的発酵に関連するので)、本発明の実施形態は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも80、少なくとも100または少なくとも120グラムの3−HPなどの化学生成物を最終(例えば使った)発酵ブロス1リットル当たり生成するのに効果的で、このことを本明細書で開示する比生産性および/または容積生産性の割合とともに達成する微生物(および対応する方法)を得るように、他の遺伝子改変および/または方法もしくは系の調整と組み合わせてよい。

    いくつかの実施形態では、微生物による化学生成イベント(すなわち、微生物の培養集団を用いる発酵イベント)は、本明細書で記載するような遺伝子改変微生物を用いて進行し、ここで、上記比生産性は、乾燥重量基準の微生物細胞1グラム当たり1時間当たり生成される0.01から0.60グラムの間の3−HP(g3−HP/gDCW−hr)である。 様々な実施形態では、上記比生産性は、0.01より多い、0.05より多い、0.10より多い、0.15より多い、0.20より多い、0.25より多い、0.30より多い、0.35より多い、0.40より多い、0.45より多いまたは0.50gの3−HP/gDCW−hrより多い。 比生産性は、特定の微生物による化学生成イベントにおいて2、4、6、8、12または24時間の期間にわたって評価してよい。 より具体的には、3−HPまたはその他の化学生成物についての上記比生産性は、0.05から0.10、0.10から0.15、0.15から0.20、0.20から0.25、0.25から0.30、0.30から0.35、0.35から0.40、0.40から0.45または0.45から0.50gの3−HP/gDCW−hrの間、0.50から0.55または0.55から0.60gの3−HP/gDCW−hrの間である。 様々な実施形態は、このような生産性を実証する培養系を含む。

    また、本発明の様々な実施形態では、達成される上記容積生産性は、1リットル当たり1時間当たり0.25gの3−HP(またはその他の化学生成物)(g(化学生成物)/L−hr)であってよく、0.25gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、0.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、1.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、1.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、2.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、2.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、3.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、3.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、4.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、4.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、5.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、5.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、6.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、6.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、7.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、7.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、8.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、8.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、9.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、9.50gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよく、または10.0gの3−HP(またはその他の化学生成物)/L−hrより多くてよい。

    いくつかの実施形態では、24時間発酵(培養)期間にわたって測定される場合の比生産性は、微生物1グラムDCW(24時間期間の最後における最終DCWに基づく)当たり0.01、0.05、0.10、0.20、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0または12.0グラムより多い化学生成物であってよい。

    本発明の様々な態様および実施形態では、3−HP(しかしこれに限定されない)などの微生物の化学生成について発酵技術分野および商業的な経済的実行可能性を前進させる、微生物比生産性の実質的な増加がもたらされる。

    別の様式で言うと、様々な実施形態では、上記比生産性は、0.01g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.05g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.10g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.15g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.20g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.25g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.30g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.35g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.40g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.45g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.50g化学生成物/gDCW−hrを超え(少なくともこの量である)、0.60g化学生成物/gDCW−hrを超える(少なくともこの量である)。

    より一般的には、本明細書で記載する補充物と必要に応じて組み合わせた本明細書で記載する遺伝子改変物の様々な組み合わせに基づいて、3−HPおよび本明細書で記載するその他の化学生成物についての比生産性の値は、0.01g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.05g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.10g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.15g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.20g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.25g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.30g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.35g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.40g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.45g化学生成物/gDCW−hrを超えてよく、0.50gまたは0.60化学生成物/gDCW−hrを超えてよい。 このような比生産性は、特定の微生物による化学生成イベントにおいて2、4、6、8、12または24時間の期間にわたって評価してよい。

    本発明の実施形態により達成される改善は、本明細書で教示する特定の遺伝子改変の組み合わせを欠く(上記微生物集団を含む容器に加えられた、本明細書で教示する補充物質ありまたはなしの)適当な対照微生物と比較した、比生産性のパーセンテージ増加または容積生産性のパーセンテージ増加により決定してよい。 特定の実施形態およびその群について、このような比生産性および/または容積生産性の改善は、このような適当な対照微生物の各比生産性および/または容積生産性に対して少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400および少なくとも500パーセントである。

    本明細書および/または参照により組み込まれている引用参考文献の具体的な方法および教示は、本実施例に組み込まれ得る。 また、3−HPの生成または本明細書で記載するようなその下流生成物の1つの生成は、様々な実施形態では、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40および少なくとも50g/リットルの力価に到達し得る。

    上記計量は、任意の構成物、例えば遺伝子改変微生物、方法、例えば3−HPまたはその他の化学生成物を生成する方法、ならびに系、例えば本明細書で開示する遺伝子改変微生物および/もしくは方法を利用する発酵系のいずれにも用いることができる。

    本明細書で提供するストラテジーおよび方法を用い、上記経路および経路の構成部分に関し相互関係があることの発見に基づく繰り返しの改善は、さらにより大きい3−HP生成および耐性ならびに3−HPバイオ生産イベントの終結でのより上昇した3−HP力価を導き得ることが認められる。

    任意の数のストラテジーが、3−HP生成経路で用いるために適する適切な改変酵素の開発を導き得る。 マロニル−CoA還元酵素に関して、すぐ上の表の配列によりコードされるような酵素を利用または改変して、微生物株における適切なレベルの3−HP生成能力を達成してよい。

    VIII. 3−HPに対する耐性の増加 いくつかの相互に関係する代謝経路の全てまたは構成部分を含む複合体が同定されており、ここでは、その3−HP寛容原性複合体(「3HPTGC」)と命名されたこのような複合体の酵素の酵素活性を増加させる遺伝子改変が、3−HPへの曝露に対する微生物の耐性を増加させることが証明されている。 上記3HPTGCは、2010年1月28日に公開されたWO2010/011874に記載され、これは、3HPTGC、ならびに3HP生成に関する遺伝子改変と、3HPTGCおよびその中の群に基づく耐性との組み合わせに関するその教示について、本出願に組み込まれている。

    本明細書で記載し、詳述するように、本発明は、微生物ベースの工業的バイオ生産方法、系および構成物における所望の結果を達成するための、遺伝子改変を用いる変更、および/または培地の調整(例えば酵素変換生成物またはその他の特定の化学物質の添加)に広く関する。 耐性の態様について、本発明は、その活性の増加(それをコードする核酸配列のコピー数の増加に基づく)が3−HPに対する微生物の耐性の増加と相関する酵素を含むある特定の代謝経路の構成部分を含む3HPTPCの予期しなかった重要性の発見から生まれている。

    上記3HPTGCの変更に関する実際のデータおよび/または予測的な実施例が、本明細書で示される。 これらの実施例は、応用範囲の広さ(3−HP耐性の増加を証明する3HPTGCに関する多数のゲノム要素に基づく)および3−HPに対する耐性の増加を達成するためのいくつかの具体的なアプローチを証明することを意図する。 アプローチは、3−HP耐性における相加的なまたは相乗的な改善を達成するために組み合わせてよく、遺伝子的または非遺伝子的(例えば特定の化学物質を系に補充すること、または工業的な系への一般的な変更に関する)である変更を含んでよい。 さらに、具体的な生成ストラテジーが開示され、例示される。

    つまり、3−HP生成経路をもたらすこと、ならびにエノイル−ACP還元酵素をコードする遺伝子(後者の酵素の酵素活性を制御することを可能にする)を含みかつ/または制御する核酸配列を提供することに関する上記の遺伝子改変、ならびに/あるいは本明細書で記載する脂肪酸合成酵素系のその他の改変に加えて、様々な実施形態では、遺伝子改変微生物に1つ以上の遺伝子改変を行って、3−HP(またはその他の化学生成物)に対するその耐性を増加させてよい。

    よって、本発明のいくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、1つ以上の3−HP生成経路を提供するか、完了するかまたは増強するための少なくとも1つの遺伝子改変、エノイル−ACP還元酵素の酵素活性を提供するためのおよび/または所望の細胞密度にてそのような活性を低減するように制御できる脂肪酸合成酵素系のその他の改変を提供するための少なくとも1つの遺伝子改変、ならびに3−HPに対する上記遺伝子改変微生物の耐性を増加させるための3HPTGCもしくはその1つ、2つもしくは3つ以上の群の少なくとも1つの遺伝子改変を含み得る。

    よって、本発明の1つの態様は、3−ヒドロキシプロピオン酸(「3−HP」)生成を増加させるために効果的な少なくとも1つの遺伝子改変であって、3−HP生成レベルの増加が、野生型微生物における3−HP生成のレベルよりも大きい改変と、本明細書において3−HP寛容原性複合体(「3HPTGC」)と同定される代謝複合体の少なくとも1つの遺伝子改変とを含む遺伝子改変微生物に関する。 最少培地での培養などのある特定の条件下で、上記3HPTGC遺伝子改変(複数可)は、未改変微生物において観察される毒性作用を示さないで3−HPが相対的により高い濃度まで蓄積し得るような特定の培養条件下で、上記遺伝子改変微生物が3−HPを生成することを可能にする。 3−HP生成経路の少なくとも1つの遺伝子改変は、3−HP蓄積を改善することおよび/または野生型微生物で見出される3−HP生成経路に関し3−HP生成を改善することであってよいか、または3−HPがバイオ生産されるように3−HPを通常合成しない微生物における十分な酵素変換を提供することであってよい。 このような遺伝子改変微生物の作製の方法も記載され、それは本発明のこの態様の一部である。

    本発明の別の態様は、上記3HPTGCに関するコリスメート合成の構成部分、トレオニン/ホモシステイン合成の構成部分、ポリアミン合成の構成部分、リシン合成の構成部分およびヌクレオチド合成の構成部分の2つ以上からの少なくとも1つの遺伝子改変を含む遺伝子改変微生物に関する。 複数の組み合わせの限定しない実施例は、本発明のこの態様の利点を例示する。 追加の遺伝子改変は、上記3HPTGCの他の構成部分に属する。 3−HPをバイオ生産する能力は、適当な遺伝子改変によりいくつかの遺伝子改変微生物に付加できる。 3−HP耐性の増加を達成する微生物を提供するための遺伝子改変を同定する方法およびそのような方法により作製される微生物は、本発明のこの態様に関する。

    本発明の別の態様は、上記微生物についての上記3HPTGCの1つ以上の酵素変換工程にて酵素変換を増加させる、上記3HPTGCへの少なくとも1つの遺伝子改変を含む3−ヒドロキシプロピオン酸(「3−HP」)を生成できる遺伝子改変微生物であって、上記少なくとも1つの遺伝子改変により、その遺伝子改変を欠く対照微生物の3−HP耐性を上回って、3−HP耐性が増加した微生物に関する。 このような遺伝子改変微生物を作製する方法も記載され、それは本発明のこの態様の一部である。

    本発明の別の態様は、上記3HPTGCの特定の遺伝子改変(複数可)の様々なコアセットを含む遺伝子改変微生物に関する。 様々な実施形態では、この態様は、上記3HPTGCに関するコリスメート合成の構成部分、トレオニン/ホモシステイン合成の構成部分、ポリアミン合成の構成部分、リシン合成の構成部分およびヌクレオチド合成の構成部分の1つ以上または2つ以上からの少なくとも1つの遺伝子改変を追加で含んでよい。 このような遺伝子改変微生物を作製する方法も記載され、それは本発明のこの態様の一部である。

    さらに、本発明は、3−HPに対する微生物の耐性を改善するための使用方法を含み、それは3−HP生成能力(これが天然に存在するか、増強されているかかつ/または遺伝子改変により導入されているかにかかわらず)を有する微生物において使用される方法であり得る、。

    また、本発明の別の態様は、上記3HPTGCの基質(すなわち反応物)および/または生成物(最初の変換工程以外の全てについての基質も上記3HPTGCの生成物であることに留意して本明細書において集合的に「生成物」)である1つ以上の補充物質を、微生物の培養物に提供して、3−HPに対する該微生物の効果的な耐性を増加させることに関する。

    本発明の別の態様は、本明細書においてIroKと同定される短いポリペプチドをコードする遺伝要素を導入する遺伝子改変に関する。 この短いポリペプチドをコードする遺伝要素の導入は、微好気条件下でE. coliにおける3−HP耐性を改善することが証明されている。 この遺伝子改変は、本発明のその他の遺伝子改変および/または補充物質添加と組み合わせてよい。

    本発明の教示に従って3−HPを作製する方法および3−HPを作製する遺伝子改変微生物に関して、微生物に1つ以上の遺伝子改変を提供して、3−HPに対する耐性を増加させてよい。 つまり、配列番号001〜189がこのセクションに組み込まれ、配列番号190〜603が、E. coli 3HPTGCの核酸配列(遺伝子、DNA)およびコードされるアミノ酸配列(タンパク質)として示され、配列番号604〜766が、Saccharomyces cerevisiae 3HPTGCの核酸配列の配列として示される。

    さらに、カルボニックアンヒドラーゼ(例えばE.coliのcynT、DNAについて配列番号337およびタンパク質配列について配列番号544)の発現を増加させる特定の遺伝子改変は、3−HP生成と3−HP耐性との両方を有利に改善する二重機能様式で作用し得る。 このことは、特に、マロニル−CoA還元酵素が3−HP生成のために提供される場合にそうである。 図1は二機能性マロニル−CoA還元酵素を含むマロニル−CoAから3−HPへの生成経路と、本明細書で記載するその他の酵素変換および経路を示す。 カルボニックアンヒドラーゼは、それに限定することを意味するものではない。 例えば、E. coliにおいて、canおよびyadFと様々に称されるカルボニックアンヒドラーゼ2が公知であり、本発明の実施形態における遺伝子改変の使用は、このもしくはその他の遺伝子およびそれらがコードする酵素を用い得る。 canの配列は、配列番号767(EG12319 can「カルボニックアンヒドラーゼ2モノマー」(相補体(142670..142008))Escherichia coli K−12 substr.MG1655)および配列番号768(EG12319−MONOMERカルボニックアンヒドラーゼ2モノマー(補体(142670..142008))Escherichia coli K−12 substr.MG1655)として示される。

    3−HP耐性を増加させるための遺伝子改変を、上記3HPTGCの特定の各構成部分に沿って行われる遺伝子改変によりさらに分類してよいことが認められる。 例えば遺伝子改変は、上記3HPTGCの特定の構成部分に沿って酵素反応を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して行ってよく、よって、それぞれ、芳香族アミノ酸(tyrおよびphe)、トリプトファン(trp)、ユビキノン−8、メナキノン、エンテロバクチン、テトラヒドロフォレート(群Aシートの各酵素変換(およびその入力(input))を参照されたい)、1つ以上の極性非荷電アミノ酸(gly、ser、cys、ホモシステイン)、イソロイシン、メチオニン(群Bシートの各酵素変換(およびその入力)を参照されたい)、グルタミン、アルギニン、プトレシン、スペルミジン、アミノプロピルカダベリン(群Cシートの各酵素変換(およびその入力)を参照されたい)、カダベリン(群Dシートの各酵素変換(およびその入力)を参照されたい)、イノシン−5−ホスフェート、キサントシン−5−ホスフェート、アデニロ−スクシネート、オロチジン−5'−ホスフェートおよびそれらから得られるモノ−、ジ−およびトリ−ホスフェートヌクレオシド(すなわちアデノシン、グアノシン、シトシン、ウリジン)(群Eシートの各酵素変換(およびその入力)を参照されたい)、グルタメート、スクシネート、スクシネートセミアルデヒド、オキサロアセテートおよびアスパルテート(群Fシートの点線に沿って示す反応を含む各酵素変換を参照されたい)の生成を増加させて、そのことにより3−HP耐性が、このような遺伝子改変(複数可)の結果として増加すると予期される。 任意の構成部分または副構成部分(sub−portion)を、選択された微生物種における3−HP耐性を増加させるための遺伝子改変(複数可)のために選択してよい。

    示したように、様々な実施形態では、このセクションに記載されるような遺伝子改変の組み合わせが、上記脂肪酸合成酵素系の調整に属する本発明の態様と組み合わせて実施される。

    VIIIA. SCALES技術 2010年1月28日に公開されたWO2010/011874に記載されるように、遺伝情報を得るために、初期の3−HP関連適合度データが、SCALES技術を用いて、ゲノムライブラリー集団からのクローンの適合度の評価により得られた。 これらのクローンは、3−HP耐性の信頼できる試験であることが示されている、3−HP濃度の上昇を強制した選択的環境中で増殖した。

    より具体的には、3−HP耐性の増加と関連する遺伝要素を同定するための潜在的に有用なデータを得るために、5つの代表的なE. coli K12ゲノムライブラリーの最初の集団を、当業者に公知の方法により生成した。 その5つのライブラリーはそれぞれ、E. coli K12遺伝子材料の500、1000、2000、4000、8000塩基対(「bp」)の挿入物を含んでいた。 E. coli K12ゲノム全体を本質的に含むこれらのライブラリーのそれぞれで、MACH1(商標)−T1(登録商標)E. coli細胞をそれぞれ形質転換し、微好気条件に相当する対数期中期まで培養した(OD 600約0.2)。 バッチ移動時間(batch transfer time)は様々であり、栄養分不足の選択環境を避けるため(すなわち、培養物が定常期に入ることを避けるため)に必要に応じてバッチ移動時間を調整した。 代替のアプローチについて限定することを意味しないが、3−HPの存在下での選択を、8つの一続きの移動バッチ(serial transfer batch)に対して、60時間にわたる3−HPの漸減勾配で行った。 より具体的には、その3−HP濃度は、一続きのバッチ1および2について20gの3−HP/L、一続きのバッチ3および4について15gの3−HP/L、一続きのバッチ5および6について10gの3−HP/L、ならびに一続きのバッチ7および8について5gの3−HP/Lであった。 一続きのバッチ7および8について、その培養物が定常期に近づいたときに、栄養分不足を避けるために培養培地を置き換えた。

    試料を、選択における各バッチの間および各バッチの最終段階にて採取し、マイクロアレイ分析に供して、シグナル強度を同定した。 アレイの前のライブラリーの調製、細胞培養物の形質転換についての個別の標準的な実験方法、およびSCALES技術について用いたその他の標準的な実験方法ならびにデータ分析は、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、2001年(1〜3巻)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N. Y. (以下、SambrookおよびRussell、2001年)で教示される方法により確認されるように、当該技術において周知である。 個別の方法の態様も、本実施例およびSCALES技術の特許出願、2005年9月20日に出願された「Mixed−Library Parallel Gene Mapping Quantitation Microarray Technique for Genome Wide Identification of Trait Conferring Genes」との表題の米国特許出願公開第2006/0084098A1号(以下、「SCALES技術」)(これは、この技術のさらなる詳細を教示するために参照することにより本明細書に組み込まれている)においてより詳細に論じられている。

    マイクロアレイ技術も、当該技術において周知である(例えば<<www.affymetrix.com>>を参照されたい)。 3−HPへの異なる曝露期間にてどのクローンがより優勢であるかのデータを得るために、Affymetrix E. coliアンチセンス遺伝子チップアレイ(Affymetrix、Santa Clara、CA)を取り扱い、AffymetrixからのE. coli発現プロトコールに従って走査して、affymetrix. celファイルを生成した。 3−HPへの所定の曝露の後の強いマイクロアレイシグナルは、この遺伝子配列を含むプラスミドにより導入される遺伝子配列が3−HP耐性を与えることを示す。 これらのクローンは、当該技術において公知の多数のマイクロアレイ分析により同定できる。

    また、米国において出願しているとおり参照により組み込む目的のために、「A genomics approach to improve the analysis and design of strain selections」、T. E. Warneckeら、Metabolic Engineering 10巻(2008年)154〜165頁は、SCALE適合度データが3−HPに対する耐性の増加の代用と相関し、かつ代用として用いることができることを証明するそのさらなる具体的な教示について、本明細書に参照により組み込まれている。 この結論は、受信者動作特性曲線(receiver operator characteristic curve)(ROC)曲線の標準的な使用に基づく。 ROC分析は、診断検査と、疾患の実際の存在または非存在とについての相関を評価するために、医療診断分野において日常的に用いられている。 ROC分析において良好に挙動する、医療の応用において世界的に用いられている現在の診断検査は、疾患の非存在または存在を同定するために日常的に用いられている。 この分析は、3−HP耐性についての信頼できる試験として、適合度の値をもたらす異なる微生物増殖ベースの選択の感度および特異性を評価するために適合された。 特に、3−HPのレベルを漸減させる一続きのバッチ培養を用いる増殖ベースの選択は、3−HP耐性についての感度が高く特異性のある試験として同定された。 結果として、計量では0のカットオフより大きい適合度を有するこの選択におけるクローンは、3−HPに対する耐性を与えるクローンとして同定される。

    以下の表は、本明細書で3−HPに対する耐性を与えることが示される、適合度の値が上昇することが示された遺伝子(ライブラリーのベクターにより導入された)のいくつかを列挙する。

    表3:SCALES適合度データ

    VIIIB. SCALES技術の分析 2010年1月28日に公開されたWO2010/011874にも記載されるように、3−HP耐性SCALEsデータの分析は、様々な同定された経路およびその構成部分の間に相互関係があることの理解を導いている。 上記3HPTGCが、その全体で、適合度の値が上昇している遺伝子間に相互関係があることから推定されたことが注目される。 上記3HPTGCの全ての酵素が、上記SCALESデータにおいて、正の適合度の値を有することが示されたわけではない。 このことは、このSCALESデータを得るために用いた商業的なアレイにおけるある特定の欠陥に帰すると考えられる。 よって、SCALES遺伝要素データからそのようにして導かれなかったE. coli 3HPTGCのいくつかのメンバーは、上記3HPTGCを充足するように推定された。 しかし、上記3HPTGCにおける酵素のほとんどは、正の適合度の値を有し、本明細書で示す補充物質と遺伝子改変物のデータとの組み合わせの全体的な適合度のデータは、上記3HPTGCが3−HP耐性と関連付けられるという推定および全体的な重要性の妥当性を証明する。

    本明細書で記載するように、上記3HPTGCは、解糖経路、トリカルボン酸回路、グリオキシル酸経路およびペントースリン酸経路の構成部分を含む「上部区分」と、コリスミ酸スーパー経路、カルバモイルホスフェートからカルバメートへの経路、トレオニン/ホモシステインスーパー経路、ヌクレオチド合成経路およびポリアミン合成経路の全てまたは構成部分を含む「下部区分」とに分けられる。

    様々な実施形態では、微生物は、微生物の3−HP生合成活性を含む工業的な系におけるように、3−HPに対する耐性の上昇が達成できるように上記3HPTGCの1つ以上の酵素活性に影響するように遺伝子改変される。 また、遺伝子改変を行って、上記3−HP寛容原性複合体についての1つ以上の遺伝子改変を含む微生物において1つ以上の3−HP生合成経路を提供および/または改善し、こうして、3−HP生成の増加をもたらしてよい。 これらの後者の組換え微生物は、3−HP−syntha−寛容原性組換え微生物(「3HPSATG」組換え微生物)ということがある。

    E. coliについての3HPTGCは、図9A、シート1〜7に開示する(描かれた全体の3HPTGCを調べるためのこれらのシートの位置についての手引きは、図9Aのシート1に示す)。 図9、シート1〜7から観察できるように、上記3HPTGCは、以下のものの全てまたは様々な示された構成部分を含む:コリスミ酸スーパー経路、カルバモイル−ホスフェートからカルバメートへの経路、トレオニン/ホモシステインスーパー経路;ペントースリン酸経路の構成部分;ヌクレオチド合成経路;解糖/トリカルボン酸回路/グリオキシル酸バイパススーパー経路;およびポリアミン合成経路。 コリスミ酸経路およびトレオニン経路は、スーパー経路として同定されることが注目される。 なぜなら、これらは、それぞれ、いくつかのより小さい公知の経路を包含するからである。 しかし、上記3HPTGC全体はこれらおよびその他の経路またはその構成部分を含むが、コリスミ酸スーパー経路またはトレオニン/ホモシステインスーパー経路のいずれも通常伴わない。

    より具体的には、シート1〜7を含む図9Aは、群A〜Eにさらに細分される下部区分と、群Fとして単純に同定される上部区分とに細分される。 その下部区分の群は、以下のように同定される:コリスミ酸スーパー経路の示される主要な構成部分を含む群Aすなわち「コリスミ酸」(シート3);トレオニン/ホモシステイン経路の示される構成部分を含む群Bすなわち「トレオニン/ホモシステイン」(シート7);アルギニン合成工程とカルバモイル−ホスフェートからカルバメートへの経路も含むポリアミン経路の示される構成部分を含む群Cすなわち「ポリアミン合成」(シート5);リシン合成経路の示される構成部分を含む群Dすなわち「リシン合成」(シート6);ヌクレオチド合成経路の示される構成部分を含む群Eすなわち「ヌクレオチド合成」(シート4)。 群F(シート2)は、上記3HPTGCの上部区分を含み、解糖経路、トリカルボン酸回路およびグリオキシル酸バイパス経路と、ペントースリン酸経路の示される構成部分とを含む。

    特定の遺伝子が、図9A、シート1〜7における3HPTGCの酵素変換工程にて同定されることが注目される。 これらの遺伝子は、E. coli K12株、MG1655亜株についてである。 これらの核酸配列および対応するアミノ酸配列は、<<http://www. ncbi. nlm. nih. gov/sites/entrez>>および代わりに<<www. ecocyc. org>>で入手可能である。 当業者に公知なように、いくつかの遺伝子は、単一プロモーターの制御下のオペロン内の染色体上で見出され得るか、またはその他の相互関係があることに依拠して見出すことができる。 本明細書における核酸配列を、sucCDまたはcynTSなどの組み合わせとして言及する場合、このことから、その核酸配列が、それぞれ、sucCとsucDの両方、およびcynTとcynSの両方を含むことを意味する。 追加の制御およびその他の遺伝要素も、このような核酸配列に存在してよく、これは、遺伝子改変に付加される場合に集合的に「遺伝要素」ということがあり、そしてそれは単一遺伝子を付加する遺伝子改変を含むことを意図する。

    しかし、図9A、シート1〜7に示すのと同じ機能を有する酵素をコードする同様に機能する遺伝子は、異なる種および株において容易に見出され、このような遺伝子ならびにこのようなその他の種および株の3HPTGCは、本発明の実施において利用できる。 このことは、限定されることを意味しない以下の方法により達成できる。

    E. coliの3HPTGC内の遺伝子のセットについて、タンパク質配列をNCBIから得た。 S. cerevisiaeにおける同様に機能する遺伝子を同定するために、E. coli 3HPTGCで同定した遺伝子を用いて、<<www. biocyc. org>>での経路比較ツールを利用した。 B. subtilisについて、この注釈を付けたアプローチを部分的に用い、このアプローチにより得られなかった酵素または経路の構成部分は、相同性比較アプローチにより得た。 相同性アプローチについて、E. coliタンパク質およびBacillusタンパク質配列の選択されたセット(4096配列)を用いる局所blast(<<www.ncbi.nlm.nih.gov/Tools/>>)(blastp)比較を、異なる閾値を用いて行った(<<www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/lproks.cgi>>)。 相同性情報を用いて(E −10以下のE値を有する相同性一致)、残りの遺伝子および酵素を、Bacillus subtilisの3HPTGCについて同定した。

    また、後者の相同性アプローチをCupriavidus necatorについて用いたが、以下の表は、上記3HPTGCの酵素変換工程を触媒することが公知の酵素をコードするE. coli遺伝子との相同性が証明されているC. necatorの遺伝要素についての相同性の関係のいくつかの例を示す。 これは、E −10未満のE値を有する相同配列の基準に基づく。 この表は、比較により得られる多くの相同性(850を超える)のいくつかだけを示す。 C. necatorにおける相同配列の全てが、C. necatorについての3HPTGCの酵素変換工程に適する所望の酵素をコードすると予期されるわけではない。 しかし、所望の酵素反応物をコードすることが公知の遺伝要素の選択についての組み合わせの1つ以上により、最も適切な遺伝要素が、この種についての上記3HPTGCについて選択される。

    表4:C. necatorの遺伝要素についての相同性の関係

    図9B、シート1〜7は、Bacillus subtilisについての3HPTGCを、図9C、シート1〜7は、酵母Saccharomyces cerevisiaeについての3HPTGCを、図9D、シート1〜7は、Cupriavidus necatorについての3HPTGCを示す。 後者についての酵素名を、所望の3HPTGC酵素変換工程を触媒することが公知のE. coli酵素に対して比較した場合に、E

    −10未満のE値を有するという基準を満たす相同配列の量の記載とともに示す。

    上記のいずれかのアプローチ、および所定の微生物種の遺伝情報を得ることが現在存在することまたはそれが比較的容易で低費用であることに基づいて、上記のアプローチの一方または両方を採用して、選択された微生物種(そのゲノム配列が公知であるかまたは得られている)における関連する遺伝子および酵素を同定し、このような相同性が一致し、同定された遺伝子の選択された遺伝子改変の3−HP耐性における相対的な改善を評価し、そのことにより3−HPに対する耐性が改善された選択された組換え微生物を生成することができる。

    さらに、様々な微生物における代替経路が、上記3HPTGCの生成物を産出し、その生成または存在の増加は、3−HP耐性の増加をもたらすことが本明細書において証明されることが認められる。 例えば、酵母の種において、群D内の生成物であるリシンへの代替経路が存在する。 よって、その他の方法では関連する請求項(複数可)の範囲内に入るこのような微生物種について、このような代替経路の変更は本発明の範囲内である。 つまり、様々な実施形態では、本発明は、図9A〜Dに描く具体的な経路に限定されない。 つまり、図9A〜Dに示す生成物を産出する様々な経路およびその酵素は、本発明の範囲内であるとみなすことができる。

    2つ以上の遺伝子が特定の酵素変換工程について示される場合、これらは、単一の多酵素複合体の成分であるか、またはそれらを制御するかもしくは異なって誘導する異なる制御因子を有する代替酵素を表し得ることが注目される。 また、当業者に明確であるように、主要な反応物(すなわち基質)および生成物が、酵素変換工程について示される。 このことは、既に混み合っている図での詳述を最小限にする。 例えば、NAD(P)(H)およびADP/ATPなどの電子伝達体およびエネルギー移送分子は示されず、これら(および3HPTGCの図に示されないその他の小分子反応物)は、この用語が本明細書で用いられるようには3HPTGCの「生成物」とみなされない。 また、少なくとも2つの工程について(ジヒドロネオプテリンホスフェートから7,8−ジヒドロ−D−ネオプテリンおよび1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトイル−CoAから1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエート)、出願時にこの工程について酵素が同定されることが公知でないので、酵素は示さない。 よって、いくつかの実施形態では、上記3HPTGCは、これらの工程についての酵素、核酸配列などを除くと理解され、かつ/またはそのように考慮される。 また、本明細書で論じるように、本明細書で示す3HPTGCの酵素のいずれかまたはその関連する複合体もしくは構成部分の同定された酵素機能性バリアントをコードする核酸配列バリアント、ならびに本明細書で請求する構築物におけるそれらの使用、方法および系も本発明の範囲内に含まれる。

    表3に示すいくつかの適合度データは、3HPTGCの図に示さないが、それでもなお、3−HP耐性を改善するための遺伝子改変(複数可)および/または補充を支持するとみなされる。 例えば、gcvH、gcvPおよびgcvTについての相対的に上昇した適合度のスコアは、グリシン切断系と関連付けられた。 これらの酵素は、図10に描くグリシン/5,10−メチレン−テトラヒドロフォレート(「5,10mTHF」)変換経路に関与する。 図10に示す向きで、3つの酵素触媒反応は、グリシン(3HPTGC生成物、図9A、シート4を参照されたい)の脱炭酸、テトラヒドロフォレート(「THF」)からの5,10−メチレン−THFの生成およびNAD からのNADHの生成をもたらす。 この複合体の5,10−メチレン−THF生成物は、以下のものの一部である酵素触媒反応の反応物である:葉酸ポリグルタミル化;パントテン酸生合成;ホルミルTHF生合成;およびピリミジンデオキシリボヌクレオチドの新規生合成。 全体として、表3に示すが図9、シート1〜7に示さない酵素およびその酵素触媒工程に関する微生物における遺伝子改変は、本発明の一部であるとみなされ(その他の種についてのそれらの機能的等価物と同様に)、ここで、そのような遺伝子改変は、3−HP耐性の増加をもたらす。

    VIIIC. 3HPTCGの遺伝子改変および補充 本発明の様々な実施形態について、上記3HPTCGの任意の経路および経路の構成部分ならびに上記3−HPバイオ生産経路のいずれかに対する遺伝子改変は、各経路のいずれかで同定される酵素または酵素の酵素活性の調節ならびにそれによって最終的にはその活性を変化させることに関するものを含む、様々な遺伝子操作を含むように記載され得る。 このような遺伝子改変は、選択されたおよび/または同定された培養条件下での酵素活性および/または全体的な酵素変換速度の変化をもたらす転写改変、翻訳改変および翻訳後改変、ならびに/あるいは上記3HPTGCの酵素のコピー数および/または変異体を増加させるような追加の核酸配列(実施例のいくつかに示すような)を提供することを目的としてよい。

    このような遺伝子改変を達成するための具体的な方法およびアプローチは、当業者に周知であり、それらに限定されないが、内因性遺伝要素の発現を増加させること、リプレッサー遺伝子の機能性を減少させること、異種遺伝要素を導入すること、上記3HPTGCの酵素変換工程を触媒するポリペプチドをコードする核酸配列のコピー数を増加させること、遺伝要素を変異させて、比酵素活性を増加させるように変異タンパク質を供給すること、過剰発現すること、過少発現すること、シャペロンを過剰発現すること、プロテアーゼをノックアウトすること、フィードバック阻害を変更もしくは改変すること、リプレッサーおよび/もしくは競合阻害剤についての1つ以上の損なわれた結合部位を含む酵素バリアントを提供すること、リプレッサー遺伝子をノックアウトすること、mRNA安定性を改善するための進化、選択および/またはその他のアプローチを含む。 ランダム変異誘発を実施して、これらのまたはその他の述べられたアプローチのいずれかになり得る3HPTGCの遺伝子改変をもたらすことができる。 上記遺伝子改変は、さらに広くは、対象の核酸における1つ以上の核酸の付加(挿入を含む)、欠失(例えば変異による)および置換になる。 様々な実施形態では、遺伝子改変は、酵素比活性および/または酵素の代謝回転数の改善をもたらす。 限定されることなく、変化は、以下の1つ以上により測定してよい:K ;K cat ;およびK アビディティ

    このような遺伝子改変は、全体で、そのようにして改変された微生物の3−HP耐性を増加させるように、3HPTGCの少なくとも1つの酵素変換工程での酵素変換を増加させることを目的とする。 また、図9A〜Dに示す酵素変換工程は、例えば、図9A〜Dの特定の酵素変換工程における、その遺伝子名に対応する酵素名を検索し、次いで、その他の種おいて、同じ名称および機能を有する酵素を同定することにより、当業者によって容易に同定される酵素により触媒され得る。 後者は、各反応物(複数可)を、その酵素変換工程のための各生成物(複数可)に変換できる。 <<www. metacyc. org>>、<<www. ecocyc. org>>、<<www. biocyc. org>>および<<www. ncbi. gov>>などの公のデータベースサイトは、このような類似の酵素を同定するための関連するツールを有する。

    また、MIC分析は、様々な3−HP濃度に特定の時間置かれた場合の微生物の増殖の差を示すための終点として本明細書において頻繁に用いられるが、これは、本発明の態様に基づいて微生物の耐性の差、例えば改善を決定するための唯一の適切な計量とはみなされない。 限定することなく、その他の適切な測定アプローチは、増殖速度決定、誘導時間決定、特定の培養期間での培養物の光学濃度の変化、所定の期間における集団の倍加の数、および3−HP生成能力を含む微生物について、培養系における全体的な3−HP生成(ここでは、3−HPが、上記3HPTGCの1つ以上の酵素変換工程において酵素変換を増加させる遺伝子改変を欠く対照微生物に対して阻害的なレベルまで蓄積する)を含み得る。 このことは、生産性、収率または力価の増加をもたらし得る。

    3−HP耐性の増加を評価するために有用な計量により、3−HPに特定の期間曝露される一方で微生物または微生物培養物が増殖できることと関連付けることができる。 このことは、様々な定量的および/または定性的分析ならびに終点により、特に本明細書で開示して論じる3−HP耐性関連遺伝子改変(複数可)および/または補充を欠く適当な対照との比較により決定できる。 このような評価の期間は、それらに限定されないが、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間および96時間を超える期間であってよい。 3−HPの曝露濃度を変化させることについて、3−HP耐性の改善をより明確に同定するために評価してよい。 以下の段落では、本発明の教示を微生物および/または培養系に当てはめた場合に、その培養系において3−HPの存在下で上記微生物の増殖および/または生存能力の差を証明するために用いることができるアプローチの非限定的な例を示す。

    図15A〜Oは、異なる3−HP濃度に対する様々な対照微生物応答からのデータを示す。 これらの図におけるデータは、最大増殖速度(μ max )における変化、光学濃度(「OD」)における変化および所定の期間、ここでは24時間にわたる相対的倍加時間として様々に示す。

    増殖速度、誘導時間および最大増殖速度の決定は、比較計量を発展させるための分析を一般的に用いる。 図15A、15D、15G、15Jおよび15Mは、示される種について、示される好気または嫌気試験条件下で、24時間の試験期間にわたる最大増殖速度の変化を実証する。 増殖に対し毒性および/または阻害性であると考えられる対象の化学物質の濃度範囲についてこのデータを示す場合に、この表示は、本明細書において「トレラグラム」と呼ぶ。 ここでは、増殖トレラグラムを、様々な量の3−HPを含む増殖条件に供した微生物の比増殖速度を測定することにより作製する。

    さらに、図15Pは、対照微生物培養物の増殖トレラグラムを、cynTS(3HPTGCの群C中)の発現が増加するように遺伝子改変を行った微生物の増殖トレラグラムと比較する。 E. coliにおけるcynTS遺伝子改変についての曲線は、各3−HP濃度について24時間の評価期間にわたる3−HP濃度の増加とともに最大増殖速度の増加を示す。 このことは、定性的な視覚的に観察可能な差を提供する。 しかし、上記cynTS遺伝子改変についての曲線下の面積がより大きいことは、定量的な差も与え、このことは、3−HP耐性を改善することを意図する他の遺伝子改変との比較の目的のために用いることができる。 このような曲線の評価は、遺伝子改変物および/または補充物質ならびにそれらの組み合わせのより効果的な同定を導くことができる。

    図15B、15E、15H、15Kおよび15Nは、異なる3−HP濃度に対する対照微生物の応答を証明し、ここでは、その計量として、24時間での光学濃度(「OD」、600ナノメートルで測定される)が用いられる。 OD600は、微生物培養物における細胞密度の従来の尺度である。 好気条件下のE. coliについて、図15Bは、30g/L 3−HPから開始して24時間にて細胞密度の劇的な低減を証明する。 図15Dは、嫌気条件下のE. coliについて相対的により鋭くより早期の下降を示す。

    図15C、15F、15I、15Lおよび15Oは、異なる3−HP濃度に対する対照微生物の応答を証明し、ここでは、24時間の期間の間の細胞倍加の数が表示される。

    上記は、3−HP耐性の改善を評価するための様々な方法の非限定的な記載として意図されたものである。 一般的に、増殖および/または生存における証明可能な改善は、例えば3−HPに対する耐性の増加を評価する方法とみなされる。

    本発明の実施形態では、宿主微生物への発現ベクターの導入が生じ得、ここで、上記発現ベクターは、宿主微生物において通常見出されるかまたは通常見出されない酵素をコードする核酸配列を含有する。 その異種核酸配列の導入の前の上記宿主微生物のゲノムに関して、その酵素をコードする核酸配列は、異種である(該異種核酸配列がそのゲノムに導入されているか否かにかかわらず)。

    一般的に、本明細書で記載するアプローチの任意の1つ以上により、3−HPに対する組換え微生物の耐性を増加させるための1つ以上の遺伝子改変を提供することは、本発明の範囲内である。 つまり、各方法の結果の構成物、すなわち3−HPに対する耐性の増加を得ることに向けて言及される1つ以上、2つ以上、3つ以上などの遺伝子改変を含む遺伝子改変微生物は、上記の代替およびその実施形態のいずれかの範囲内である。

    また、選択された微生物を含む適切な培養容器内に、3HPTGCの中間物質または最終生成物(集合的に「生成物」)である1つ以上の補充物質を提供することは、本発明の範囲内である。 表5は、3HPTGCおよび/または3−HP生成経路に対する1つ以上の遺伝子改変を含む遺伝子改変微生物を含む培養容器に添加し得る補充物質の非限定的な列挙を示す。 例えば、限定されないが、リシン、メチオニンおよび重炭酸塩の1つ以上を提供してよい。 このような補充物質の添加は、本明細書で記載する選択された微生物の遺伝子改変物と組み合わせてよい。

    表5

    補充物質に関してさらに、ポリアミン合成に関係する群Cについて、本実施例の結果は、E. coliの3−HP耐性が、ポリアミンであるプトレシン、スペルミジンおよびカダベリンを培地に加えることにより増加したことを証明する。 対照および補充物質が加えられた培地におけるE. coli K12についての最小阻止濃度(MIC)は、以下の通りであった。 プトレシンを補充したM9最少培地において40g/L、スペルミジンを補充したM9最少培地において40g/L、カダベリンを補充したM9最少培地において30g/L。 M9最少培地に加えた重炭酸ナトリウムについての最小阻止濃度(MIC)は、30g/Lであった。 3−HPの100g/Lストック溶液におけるE. coli K12についての最小阻止濃度(MIC)は、20g/Lであった。

    さらに、重炭酸ナトリウムを補充した対照MICを超える増加を考慮して、カルボニックアンヒドラーゼの調節および/または遺伝子改変などの、対象の細胞に異種核酸配列を提供する(この核酸配列は、カルボニックアンヒドラーゼ活性を持つポリペプチドをコードする)ようなその他の変更は、3−HPに対する耐性を増加させるために価値があるとみなされる(例えば3HPTGCのその他の変更と組み合わせて)。 同様に、そして本明細書で示すその他のデータにより支持されるように、アルギニン、プトレシン、カダベリンおよびスペルミジンを導く3HPTGC経路の構成部分に沿う酵素(複数可)の遺伝子改変(複数可)によるような酵素活性の変更は、3−HPに対する耐性を増加させるために価値があるとみなされる(例えば上記3HPTGCのその他の変更と組み合わせて)。

    補充の結果の評価は、培養培地への直接補充の有用性の証明、および本明細書のいくつかの実施例において示すような遺伝子改変経路により3−HP耐性を改善することの証明を提供することが認識される。 3HPTGCの酵素変換工程の生成物の濃度を、例えば遺伝子改変により、補充および/または遺伝子改変(複数可)のいずれによるかにかかわらず増加することは、微生物および/またはそのような微生物が培養される培地における1つ以上の3HPTGC生成物の細胞内濃度を増加させるために効果的であり得ることが認識される。

    まとめると、適合度データならびに3HPTGCに属する遺伝子改変物および/または補充物質に関連付けられる実施例からその後得られたデータは、上記3HPTGCの経路に沿って酵素変換を増加させるためのこのような変更と、微生物細胞もしくは培養系における3−HP耐性の得られる機能的な増加との間の機能的関係の概念を支持する。 このことは、全体としておよびその規定された群の中および群の間で上記3HPTGCについて観察可能である。

    さらに、このセクションに組み込まれている表47、48、50、52、53および56は、非限定的な実施例である、補充物質添加、遺伝子改変、および補充物質添加と遺伝子改変との組み合わせを提供する。 追加の補充、遺伝子改変およびそれらの組み合わせは、これらの実施例および対象の微生物において3−HPに対する耐性の増加を達成することに向けられた遺伝子改変を同定する記載された方法を考慮して行ってよい。 具体的な組み合わせは、そこにある5つの群(それぞれ補充物質添加および/または遺伝子改変を包含する)の2つ以上、3つ以上または4つ以上を包含する組み合わせを含む上記3HPTGC下部区分のみを包含することができ、様々な実施形態におけるこれらのいずれも、上記3HPTGC上部区分に関係する1つ以上の遺伝子改変または補充物質添加を含む。 本実施例における主題は、既に存在していない限りはこの区分(section)に組み込まれる。

    これらの結果に基づいて、方法または構成物にかかわらず本発明の様々な実施形態では、遺伝子改変および/または上記3HPTGCの反応物の補充の結果として、上記3HPTGCに向かう変更(複数可)は、少なくとも1つの上記3HPTGC遺伝子改変を欠く対照微生物の3−HP耐性より少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセントまたは少なくとも50パーセント上回って3−HP耐性を増加させるために効果的であることが認識される。

    その実施例により認められるように、本発明の遺伝子改変微生物のいずれも、例えば3−HPの生成のために培養系に提供して利用してよい。 いくつかの実施形態では、1つ以上の補充物質(これらは、上記3HPTGC酵素変換工程の生成物である)を培養系に提供して、このような培養系における全体的な3−HP耐性をさらに増加させる。

    微生物または培養系のいずれかの3−HPに対する耐性の増加は、それらに限定されないが、本明細書で記載するものを含む、当業者に公知の任意の方法またはアプローチにより評価してよい。

    上記3HPTGC上部部分の遺伝子改変は、酵素変換工程のいずれも包含できる。 1つの非限定的な例は、トリカルボン酸回路に関する。 この回路の第1工程を触媒する酵素クエン酸合成酵素(E.C.2.3.3.1(以前の4.1.3.7))の存在および活性が、回路全体の速度を制御する(すなわち律速物質である)ことが公知である。 よって、コピー数および/もしくは比活性ならびに/またはその他の関連する特徴を増加させる(例えばフィードバック阻害物質もしくはその他の制御分子の影響を低くする)ような微生物の遺伝子改変は、シトラーゼ(citrase)合成酵素の改変を含んでよい。 クエン酸合成酵素についてのこのような変化を有効にするための方法は、上記3HPTGCのその他の酵素変換工程について本明細書で記載するアプローチを含む当該技術において公知であるような任意の数の実験室技術を利用してよい。 さらに、いくつかの一般的に公知の技術は、米国特許第6,110,714号および同第7,247,459号(ともにAjinomoto Co.,Inc.に譲渡されている)(これらはともに、クエン酸合成酵素活性を増幅させることに関するそれらのそれぞれの教示が参照により本明細書に組み込まれている(特に、米国特許第6,110,714号の第3欄(col.3)および第4欄ならびに実施例3および4と、米国特許第7,247,459号の第11欄および第12欄(特に実施例(1)および(2))))に記載されている。

    様々な実施形態では、上記3HPTGCにおける酵素変換を増加させ、よって3−HPに対する微生物の耐性を増加させることに関する、選択された遺伝子欠失を含むE. coli株が提供される。 例えば、上記示される3HPTGCの群における経路の抑制を伴う以下の遺伝子を欠失させてよい:群A−tyrR、trpR;群B−metJ;群C−purR;群D−lysR;群E−nrdR。 これらはE. coliについてであり、この種およびその他の種において等価なリプレッサー遺伝子を同定して遺伝子改変することは、当業者に公知であり、当業者が決定できる。

    核酸配列によって機能的酵素を正常にコードすることが、微生物細胞における機能的酵素の生成が低減または消失するように変更されている、遺伝子機能の破壊も有効にしてよい。 破壊は、広く遺伝子欠失を含んでよく、それらに限定されないが、遺伝子改変(例えば停止コドンの導入、フレームシフト変異、その遺伝子の構成部分の導入または除去、分解シグナルの導入)、mRNA転写レベルおよび/または安定性への影響、ならびにポリペプチドをコードする遺伝子の上流のプロモーターまたはリプレッサーの変更も含む。 いくつかの実施形態では、遺伝子破壊は、上記DNA、そのDNAによりコードされるmRNAおよび上記微生物細胞におけるコードされる遺伝子の酵素機能の少なくとも50パーセントの低減をもたらすアミノ酸配列への任意の遺伝子改変を意味すると理解される。

    さらに、本発明の完全な範囲および様々な実施形態について、上記の議論および実施例は、例示的であり限定しないことを意味することが認識される。 遺伝子操作は、例えばフィードバック阻害ならびにDNA転写制御機構およびRNA翻訳制御機構の変更を含む制御の他の一面の低減、mRNA安定性の改善、ならびに改善の効果的なレベルを達成するために効果的なコピー数およびプロモーターを有するプラスミドの使用により、全体的な酵素機能の所望の変更を達成するために行ってよい。 このような遺伝子改変は、上記3HPTGC内の特定の基本的な経路を通してより高い流動速度を達成するために選びかつ/または選択してよく、よって、基本的および/または主要な様式で全般的な細胞代謝に影響し得る。 よって、ある特定の代替において、遺伝子改変は、上記3HPTGCの他の構成部分に対してより選択的に行われる。

    さらに、かかわりあう工程の場所および特性、フィードバック阻害ならびにその他の因子および拘束の分析に基づいて、様々な実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変を行って、3HPTGCの以下の酵素の1つについての全体的な酵素変換を増加させる:2−デヒドロ−3−デオキシホスホヘプトン酸アルドラーゼ(例えばaroF、aroG、aroH);シアナーゼ(例えばcynS);カルボニックアンヒドラーゼ(例えばcynT);システイン合成酵素B(例えばcysM);トレオニンデアミナーゼ(例えばilvA);オルニチンデカルボキシラーゼ(例えばspeC、speF);アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(例えばspeD);およびスペルミジン合成酵素(例えばspeE)。 遺伝子改変は、これらの酵素をコードする核酸配列のコピー数を増加させることと、フィードバック阻害、調節因子による制御が低減または消失した、基質に対する親和性が増加した、およびその他の改変を有する改変核酸配列を提供することとを含み得る。 つまり、本発明の一態様は、これらの酵素の1つ以上を、3−HP耐性が増加するように流量(flux)を増加させ、かつ/または別の方法で上記3HPTGCを通しての反応のフローを改変するように1つ以上の3HPTGC酵素変換工程での酵素変換を増加させる様式で遺伝子改変することである。 aroHおよびシアナーゼ(カルボニックアンヒドラーゼとともに)のそれぞれに関する遺伝子改変に属する実施例に加えて、以下の実施例が提供される。 E. coliにおいて、第2のカルボニックアンヒドラーゼの酵素が公知であることが注目される。 これは、Canおよびyadfのように様々に同定される。

    本発明の様々な実施形態が、任意の1つ以上の指定された酵素変換工程、生成物添加および/または特定の酵素を除く、上記3HPTGCの遺伝子改変(本明細書で記載するように微生物において提供され得るように)および/またはその補充物質を含んでよいことも認識される。 例えば、本発明の実施形態は、微生物における上記3HPTGCの遺伝子改変を含み得るが、群Aもしくは群AとBのもの、または上記3HPTGCの規定される1つ以上のメンバーのもの(これは上記3HPTGCメンバーのいずれのサブセットでもあり得る)を除く。

    例えば、限定されることなく、改変3HPTGCは、アルギニンデカルボキシラーゼ(adiA、これは、リッチ培地中で低pHにて嫌気条件下で過剰の基質の存在下で誘導されることが公知である)の分解性の形態以外の本明細書で描かれるような上記3HPTGCの全てのメンバー、またはこのような分解性アルギニンデカルボキシラーゼおよびその他の選択された酵素工程を除くその他のサブセットを含み得る。 その他の改変3HPTGC複合体も、様々な実施形態で実施してよい。 adiAの知られている誘導に基づいて、アルギニンデカルボキシラーゼの分解性の形態の使用は、好気条件下で実施されるような3−HP耐性の改善のための上記3HPTGCの範囲内であるとみなされない。

    さらに、本発明の様々な非限定的態様は、それらに限定されないが、以下のものを含み得る:
    3−HP耐性関連経路または3−HP生合成経路のいずれかの酵素のいずれかと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む遺伝子改変(組換え)微生物であって、上記ポリペプチドが、各3−HP耐性関連経路酵素または3−HP生合成経路酵素の酵素反応を行うために効果的な酵素活性および特異性を有し、上記組換え微生物が、このような核酸配列を欠く適当な対照微生物よりも大きい3−HP耐性および/または3−HPバイオ生産を示す微生物。

    3−HP耐性関連経路または3−HP生合成経路のいずれかの酵素のいずれかと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む遺伝子改変(組換え)微生物であって、上記ポリペプチドが、各3−HP耐性関連経路酵素または3−HP生合成経路酵素の酵素反応を行うために効果的な酵素活性および特異性を有し、上記組換え微生物が、このような核酸配列を欠く適当な対照微生物よりも大きい3−HP耐性および/または3−HPバイオ生産を示す微生物。

    3−HP耐性関連経路または3−HP生合成経路のいずれかの酵素のいずれかと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む遺伝子改変(組換え)微生物であって、上記ポリペプチドが、各3−HP耐性関連経路酵素または3−HP生合成経路酵素の酵素反応を行うために効果的な酵素活性および特異性を有し、上記組換え微生物が、このような核酸配列を欠く適当な対照微生物よりも大きい3−HP耐性および/または3−HPバイオ生産を示す微生物。 いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリペプチドは、3−HPTGC経路および/または3−HP生合成経路の酵素の少なくとも1つと少なくとも99%または100%の配列同一性を有する。

    本発明の一態様では、先行する段落における同一性の値は、FASTDBソフトウェアプログラムについて上に記載したパラメータ、またはデフォルトパラメータを用いるバージョン2.2.2などのBLASTPもしくはBLASTNを用いて決定する。 さらに、本明細書で具体的に述べる全ての配列について、それらの保存的改変バリアントは、本発明に含まれることを意図することが理解される。 本開示に従って、様々な実施形態では、本発明は、3−HP耐性関連経路、または経路の構成部分(すなわち上記3HPTGCのもの)、または本明細書で開示するその他の酵素(例えば3−HP生成経路のもの)のいずれかの酵素のいずれかの同定された酵素機能性バリアントであるポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む遺伝子改変(例えば組換え)微生物であって、上記ポリペプチドが、各3−HP耐性関連酵素またはその他の酵素の酵素反応を行うために効果的な酵素活性および特異性を有し、上記組換え微生物が、このような核酸配列を欠く適当な対照微生物よりも大きい3−HP耐性またはその他の機能を示す微生物を企図する。 本発明の関連する方法も、同定された酵素機能性バリアントおよびそれらをコードする核酸配列を目的とすることを意図する。 実施形態は、その他の機能性バリアントも含み得る。

    いくつかの実施形態では、本発明は、3−ヒドロキシプロピオン酸(「3−HP」)生成を増加させるために効果的な少なくとも1つの遺伝子改変であって、3−HP生成の増加したレベルが、野生型微生物における3−HP生成のレベルより大きい遺伝子改変と、3−HP寛容原性複合体(「3HPTGC」)の少なくとも1つの遺伝子改変とを含む組換え微生物を企図する。 いくつかの実施形態では、上記野生型微生物は、3−HPを生成する。 いくつかの実施形態では、上記野生型微生物は、3−HPを生成しない。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、少なくとも1つのプラスミドなどの少なくとも1つのベクターを含み、上記少なくとも1つのベクターは、少なくとも1つの異種核酸分子を含む。

    本発明のいくつかの実施形態では、上記3HPTGCの上記少なくとも1つの遺伝子改変は、対照微生物の3−HP耐性を上回って上記組換え微生物の3−HP耐性を増加させるのに効果的であり、上記対照微生物は、上記少なくとも1つの3HPTGC遺伝子改変を欠く。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物の3−HP耐性は、対照微生物の3−HP耐性を上回って約5%、10%または20%増加する。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物の3−HP耐性は、対照微生物の3−HP耐性を上回って約30%、40%、50%、60%、80%または100%増加する。

    また、様々な実施形態では、上記3HPTGCの上記少なくとも1つの遺伝子改変は、上記3HPTGCの少なくとも1つの酵素の少なくとも1つの酵素変換を示す少なくとも1つのポリペプチドをコードし、上記組換え微生物は、上記3HPTGCの少なくとも1つの遺伝子改変を欠く対照微生物の3−HP耐性よりも少なくとも約5、10、20、30、40、50、60もしくは100パーセント以上大きい3−HP耐性の増加を示す。 このような耐性改善についての任意の評価は、最少培地における最小阻止濃度評価に基づいてよい。

    いくつかの実施形態では、上記微生物は、上記3HPTGCの第1群の遺伝子改変とは異なる第2群の少なくとも1つの酵素の少なくとも1つの酵素変換を示す少なくとも1つのポリペプチドをコードする少なくとも1つの追加の遺伝子改変をさらに含み、上記組換え微生物は、上記3HPTGCの上記遺伝子改変の全てを欠く対照微生物の3−HP耐性よりも少なくとも約5、10、20、30、40、50、60もしくは100パーセント以上大きい3−HP耐性の増加を示す。 様々な実施形態では、上記少なくとも1つの追加の遺伝子改変は、上記群A〜Fの2つ以上または3つ以上のそれぞれからの遺伝子改変をさらに含む。

    例えば、上記遺伝子改変は、群Aの少なくとも1つの遺伝子改変と群Bの少なくとも1つの遺伝子改変、群Aの少なくとも1つの遺伝子改変と群Cの少なくとも1つの遺伝子改変、群Aの少なくとも1つの遺伝子改変と群Dの少なくとも1つの遺伝子改変、群Aの少なくとも1つの遺伝子改変と群Eの少なくとも1つの遺伝子改変、群Bの少なくとも1つの遺伝子改変と群Cの少なくとも1つの遺伝子改変、群Bの少なくとも1つの遺伝子改変と群Dの少なくとも1つの遺伝子改変、群Bの少なくとも1つの遺伝子改変と群Eの少なくとも1つの遺伝子改変、群Cの少なくとも1つの遺伝子改変と群Dの少なくとも1つの遺伝子改変、群Cの少なくとも1つの遺伝子改変と群Eの少なくとも1つの遺伝子改変、または群Dの少なくとも1つの遺伝子改変と群Eの少なくとも1つの遺伝子改変を含み得る。 任意のこのような組み合わせは、群F遺伝子改変とともにさらに実施してよい。

    いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、tyrR、trpR、metJ、argR、purR、lysRおよびnrdRから選択される3HPTGCリプレッサー遺伝子の1つ以上の遺伝子破壊を含む。

    いくつかの実施形態では、上記3HPTGCの上記少なくとも1つの遺伝子改変は、配列番号129(Irokペプチド)の発現を増加させることを意味する。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、E. coli株である。 いくつかの実施形態では、上記組換え微生物は、Cupriavidus necator株である。

    いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの遺伝子改変は、3−HPTGC経路、3−HP生合成経路および/または配列番号129(Irok)の酵素の少なくとも1つと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する少なくとも1つのポリペプチドをコードする。

    本発明のいくつかの実施形態は、培養系を企図する。 いくつかの実施形態では、上記培養系は、本明細書で記載するような遺伝子改変微生物と培養培地とを含む。 このような遺伝子改変微生物は、上記3HPTGCの単一の遺伝子改変または本明細書で記載する組み合わせのいずれかを含んでよく、3−HP生成経路の1つ以上の遺伝子改変を追加で含んでよい。 いくつかの実施形態では、上記培養培地は、少なくとも約1g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/Lまたは少なくとも約20g/Lの3−HPを含む。 いくつかの実施形態では、上記培養培地は、本明細書で示される濃度など各濃度で3HPTGC補充物質を含む。

    いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子改変微生物を作製する方法であって、上記3−ヒドロキシプロピオン酸寛容原性複合体(「3HPTGC」)の酵素変換工程において、対照微生物(上記少なくとも1つの遺伝子改変を欠く)の酵素変換より以上に上記遺伝子改変微生物(3−HPを合成する)の酵素変換を増加させるための少なくとも1つの遺伝子改変を提供する工程を含む方法を企図する。 いくつかの実施形態では、対照微生物は、3−HPを合成する。 いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変は、上記対照微生物の3−HP耐性を上回って上記遺伝子改変微生物の3−HP耐性を増加させる。

    いくつかの実施形態では、上記遺伝子改変微生物の3−HP耐性は、上記対照微生物の3−HP耐性より少なくとも約5パーセント、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約100パーセント上回る。 いくつかの実施形態では、上記遺伝子改変微生物の3−HP耐性は、最少培地における最小阻止濃度評価に基づいて、上記対照微生物の3−HP耐性より約50〜約300パーセント上である。 いくつかの実施形態では、遺伝子改変微生物は、tyrR、trpR、metJ、argR、purR、lysRおよびnrdRから選択される3HPTGCリプレッサー遺伝子の1つ以上の遺伝子破壊をさらに含む。 いくつかの実施形態では、上記対照微生物は、3−HPを合成しない。 いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変を提供する工程は、少なくとも1つのベクターを提供する工程を含む。 いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つのベクターは、少なくとも1つのプラスミドを含む。 いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変を提供する工程は、少なくとも1つの核酸分子を提供する工程を含む。 いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの核酸分子は、異種である。 いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの核酸分子は、配列番号129(Irok)をコードする。

    いくつかの実施形態では、遺伝子改変は、表3におけるおよび/または本実施例で評価される適合度スコアが上昇したと同定された酵素変換工程にて酵素変換を増加させるように行われる。 このような反応を触媒する酵素は多数あり、シアナーゼおよびカルボニックアンヒドラーゼを含む。

    本発明の様々な実施形態は、任意の種についての上記3HPTGCの酵素変換工程を触媒する酵素のアミノ酸配列を対象とし得ることも認められる。 より具体的には、図9A〜Dについての3HPTGCのアミノ酸配列は、一般的に用いられる生物情報データベースの1つ以上(例えば<<www.ncbi.gov>>;<<www.metacyc.org>>)から、その中の酵素変換工程についての各遺伝子を入力することにより容易に得ることができる。
    IX. 遺伝子改変の組み合わせ 米国仮特許出願第61/246,141号(参照により組み込まれ、これに対する優先権を主張する)に記載されるように、遺伝子改変の様々な組み合わせを、本発明の様々な実施形態で実行してよい。 これらは、以下の段落ならびに表6A、6Bおよび7に記載され、特に、その初めの段落は、上記組み合わせで用い得るマロニル(malonlyl)−CoA還元酵素(reductace)の様々な形態に関するものであることに留意する。

    本発明の様々な実施形態は、本明細書で提供するマロニル−CoA還元酵素の機能的等価物を発現するポリヌクレオチドを導入することによることを含む、マロニル−CoA還元酵素の酵素活性を導入または増加させるための少なくとも1つの遺伝子改変を含む遺伝子改変微生物を含む。 マロニル−CoA還元酵素の酵素活性の機能的等価物は、マロニル−CoAからマロネートセミアルデヒドへの変換、マロネートセミアルデヒドから3−HPへの変換、またはその両方のための酵素活性を増加できる。

    いくつかの実施形態では、上記マロニル−CoA還元酵素のアミノ酸配列は、配列番号783を含む。 他の実施形態では、上記マロニル−CoA還元酵素は、マロニル−CoA還元酵素の酵素活性を示す配列番号783〜791のいずれかのバリアントを含む。

    上記マロニル−CoA還元酵素のアミノ酸配列は、配列番号783〜791のいずれか1つと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。

    いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変は、配列番号783〜791のいずれかの1つ、または配列番号783〜791のいずれかの機能的構成部分を含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供することを含む。 様々な実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変は、配列番号783〜791のいずれかと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供することを含む。

    例示的な実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、選択された微生物種についてコドンが最適化されて、配列番号783〜791のいずれか1つをコードする。 様々な実施形態では、上記ポリヌクレオチドは、コドンが最適化されて、配列番号783〜791のいずれか1つと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする。 上記ポリヌクレオチドは、例えばE. coliについてコドンを最適化できる。

    いくつかの実施形態では、マロニル−CoA還元酵素遺伝子改変(複数可)をそのようにして持つ遺伝子改変微生物は、その遺伝子改変微生物において、表6Aのタンパク質機能(グルコース輸送体機能(例えばgalPによる)、ピルビン酸脱水素酵素E1p、ジヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼおよびピルビン酸脱水素酵素E3)から選択されるタンパク質機能を増やすための少なくとも1つの遺伝子改変を追加で含む。 ある特定の実施形態では、上記遺伝子改変微生物は、表6Aのタンパク質機能から選択される2つ、3つまたは4つのタンパク質機能を増やすための少なくとも1つの遺伝子改変を含む。

    いくつかの実施形態では、このような遺伝子改変微生物は、表6Bのタンパク質機能、乳酸脱水素酵素、ピルビン酸ギ酸リアーゼ、ピルビン酸酸化酵素、リン酸アセチルトランスフェラーゼ、(PTSの)ヒスチジルリン酸化可能タンパク質、(PTSの)ホスホリル転位タンパク質、および(PTSの)ポリペプチド鎖から選択されるタンパク質機能を減少させるための少なくとも1つの遺伝子改変を追加で含む。

    様々な実施形態では、このような遺伝子改変微生物は、表6Bのタンパク質機能から選択される2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのタンパク質機能の酵素活性を減少させるための少なくとも1つの遺伝子改変を含む。 また、様々な実施形態では、少なくとも1つまたは1より多い遺伝子改変を行って、表7のタンパク質機能を、その中のコメントに従って改変する。

    様々な実施形態では、表6Aの1つ以上のタンパク質機能の増加と、表6Aの1つ以上のタンパク質機能の低減との多くの可能な組み合わせが、少なくとも1つの遺伝子改変を含む上記遺伝子改変微生物において存在して、マロニル−CoA還元酵素タンパク質機能(例えば酵素活性)を提供または増加できることが認められる。 タンパク質機能は、独立して変化させることができ、本明細書の表6A、6Bおよび7におけるタンパク質機能の遺伝子改変の任意の組み合わせ(すなわち全ての要因の(full factorial))が、教示し提供する方法により、上記遺伝子改変微生物内で調整できる。

    いくつかの実施形態では、酵素活性を減少させるための少なくとも1つの遺伝子改変は、遺伝子破壊である。 いくつかの実施形態では、酵素活性を減少させるための少なくとも1つの遺伝子改変は、遺伝子欠失である。

    様々な実施形態では、所望の生成物として3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)を得るために、上記遺伝子改変微生物は、マロネートセミアルデヒドを3−HPへ変換するための効果的なタンパク質機能を含む。 マロネートセミアルデヒドを3−HPへ変換するための効果的なタンパク質機能は、上記微生物に本来備わっているものであり得るが、このことは必要ではない。

    いくつかの実施形態では、マロネートセミアルデヒドを3−HPへ変換するための効果的なタンパク質機能は、Pseudomonas aeruginosasからのmmsBの天然形態もしくは変異形態またはその機能的等価物である。 代わりにまたは追加で、このタンパク質機能は、ydfGの天然形態もしくは変異形態またはその機能的等価物であり得る。

    本発明のある特定の実施形態は、補因子NADPHの利用可能性を増加させる遺伝子改変をさらに含み、これは、所望され得る場合、NADPH/NADP+比を増加できる。 このような遺伝子改変の非限定的な例は、過剰発現されたpgi(変異形態でのE.C.5.3.1.9)、pntAB(E.C.1.6.1.2)、gapA(E.C.1.2.1.12):gapN(Streptococcus mutansからのE.C.1.2.1.9)置換/置き換え、およびsthA(E.C.1.6.1.2)などの可溶性トランスヒドロゲナーゼを破壊または改変すること、ならびに/またはzwf(E.C.1.1.1.49)、gnd(E.C.1.1.1.44)およびedd(E.C.4.2.1.12)の1つ以上の遺伝子改変である。 これらの遺伝子の配列は、www. metacyc. org. で入手可能である。 また、表6A、6Bおよび7に示すE. coli遺伝子名についての遺伝子およびコードされるタンパク質についての配列は、米国仮特許出願第61/246,141号(その全体がおよびそのような配列について本明細書に組み込まれている)に示され、www. ncbi. govおよびwww. metacyc. orgまたはwww. ecocyc. orgでも入手可能である。

    いくつかの実施形態では、上記遺伝子改変は、3−HPの微生物合成を、3−HPを生成するための上記少なくとも1つの遺伝子改変を欠く対照微生物の速度または力価を上回って増加させる。 いくつかの実施形態では、上記遺伝子改変は、3−HPへの酵素変換を、上記遺伝子改変を欠く対照微生物の酵素変換の少なくとも約5パーセント、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセントまたは少なくとも約50パーセント上回って効果的に増加させる。

    表6A

    表6B

    表7

    表7の教示に基づいて酵素機能を減少させること(descrasing)に関してさらに、以下の酵素機能のいずれか1つまたは組み合わせを、具体的な実施形態において、本明細書で記載する他の遺伝子改変と組み合わせて減少してよい:β−ケトアシル−ACP合成酵素I、3−オキソアシル−ACP−合成酵素I;マロニル−CoA−ACPトランスアシラーゼ;エノイルアシルキャリアタンパク質還元酵素;およびβ−ケトアシル−アシルキャリアタンパク質合成酵素III。

    よって、上記の様々なセクションに記載されるように、本発明のいくつかの構成物、方法および系は、3−HPなどの選択された化学生成物への生成経路と、低減された活性を示す脂肪酸合成酵素系の酵素をコードする改変ポリヌクレオチドとの両方を含んで、マロニル−CoAの利用を、このような改変を欠く比較可能な(対照)微生物と比較して上記生成経路に向けてシフトする遺伝子改変微生物を提供することを含む。 上記方法は、栄養培地が提供された容器内でこのような遺伝子改変微生物の集団を用いて化学生成物を生成する工程を含む。 アセチル−CoAカルボキシラーゼおよび/またはNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼなどの他の酵素に対する本明細書で記載する他の遺伝子改変は、いくつかのこのような実施形態に存在し得る。 これらの酵素活性を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの追加のコピーを提供することにより、3−HP生成を増加させることが示されている。 これらの各酵素活性を増加させるための他の手段は、当該技術において公知であり、本発明の様々な実施形態に用いてよい。 E. coliのこれらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列番号は、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(accABCD、配列番号771〜778);およびNADPH依存性トランスヒドロゲナーゼ(配列番号779〜782)(E.coliにおいてピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ、pntABとも呼ばれる)である。

    また、限定されることなく、化学生成物を作製するいくつかの多段階方法(multi−phase method)の実施形態における第1工程は、培養容器またはバイオリアクタ容器などの容器内に、当業者に公知の最少培地などの栄養培地と、細菌などのこのような微生物の集団、より具体的にはE. coliなどの科であるEnterobacteriaceaeのメンバーを提供するように遺伝子改変微生物の接種材料とを提供することにより例示でき、ここで、上記遺伝子改変微生物は、マロニル−CoA分子を3−HP分子へ変換する代謝経路を含む。 例えば、遺伝子改変は、酵素マロニル−CoA還元酵素をその二機能性形態の1つでコードする遺伝子をコードするか、または単機能性マロニル−CoA還元酵素とNADH依存性もしくはNADPH依存性3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素(例えばE.coliからのydfGもしくはmmsBまたはPseudomonas aeruginosaからのmmsB)とをコードする遺伝子をコードする少なくとも1つの核酸配列を提供することを含み得る。 いずれの場合でも、E. coli宿主細胞に提供する場合、これらの遺伝子改変は、マロニル−CoAを3−HPへ変換する代謝経路を完了する。 この接種材料は、細胞密度が、上記方法の次の工程を考慮する全体的な生産性の計量を満たす3−HPの生産レベルに到達するのに適する細胞密度まで増加するように容器内で培養される。 様々な代替の実施形態において、これらの遺伝子改変微生物の集団は、第1の準備容器(preparatory vessel)において第1細胞密度まで培養され、次いで、選択された細胞密度を提供するように、上記記載の容器(the noted vessel)に移すことができる。 多数の多容器培養ストラテジーが、当業者に公知である。 このようないずれの実施形態も、上記方法の第1の記載される工程に従って選択された細胞密度を提供する。

    また、限定されることなく、その後の工程は、2つのアプローチにより例示でき、これらも様々な実施形態で組み合わせて実施できる。 第1のアプローチは、そのエノイル−ACP還元酵素の酵素活性が制御され得るように上記遺伝子改変微生物に遺伝子改変を提供する。 一例として、遺伝子改変は、天然のエノイル−ACP還元酵素に代えて温度感受性変異体エノイル−ACP還元酵素(例えばE.coliにおけるfabI TS )へ置換するように行ってよい。 後者は、30℃より上の温度にて酵素活性の低減を示すが、30℃にて通常の酵素活性を示し得るので、培養温度を例えば34℃、35℃、36℃、37℃または42℃にまで上昇させることにより、エノイル−ACP還元酵素の酵素活性が低減する。 このような場合、30℃におけるよりも多くのマロニル−CoAが3−HPまたは別の化学生成物に変換され、ここでは、マロニル−CoAから脂肪酸への変換は、より効果が低いエノイル−ACP還元酵素によって妨害されない。

    第2のアプローチについて、エノイル−ACP還元酵素または上記脂肪酸合成酵素の別の酵素の阻害剤を加えて、マロニル−CoAから脂肪酸への変換を低減する。 例えば、阻害剤セルレニンを、上記脂肪酸合成酵素系の1つ以上の酵素を阻害する濃度で加える。 図2Aは、関連する経路を示し、3つの阻害剤チオラクトマイシン、トリクロサンおよびセルレニンを、それらが阻害する酵素の隣に示す。 丸で囲むE. coli遺伝子名は、温度感受性変異体が、その遺伝子によりコードされるポリペプチドについて入手可能であることを示す。 図2Bは、より全般的に図2Aに描いた脂肪酸合成酵素系の代表的な酵素変換および例示的なE. coli遺伝子のより詳細な図を示す。 微生物の脂肪酸合成酵素の酵素の阻害剤のこの列挙は、限定することを意味しない。 他の阻害剤(これらのいくつかは抗生物質として用いられる)は、当該技術において公知であり、それらに限定されないが、チエノジアザボリンなどのジアザボリン類およびイソニアジドを含む。

    本発明の3−HP耐性の態様は、3−HPを作製する任意の微生物で用いることができる(その微生物が天然に3−HPを作製するかまたは任意の方法により遺伝子改変されて3−HPを生成するかにかかわらず)。

    工業的なバイオ生産における3−HPの力価の上昇をもたらし得る本発明の3−HPの生成の増加の態様について、上記遺伝子改変は、1つ以上の核酸配列を微生物に導入することを含み、ここで、上記1つ以上の核酸配列は、1つ以上の生成経路の酵素(または生成経路の酵素の酵素活性)をコードし、かつそれを発現する。 様々な実施形態では、これらの改善を、それによって組み合わせて、3−HPの工業的バイオ生産の生成の効率および効力を増加させ、その結果としてそれについてのコストを低くする。

    いくつかの3−HP生成経路のいずれか1つ以上は、3−HP耐性を改善することを対象とする遺伝子改変との組み合わせにおけるなど、微生物において用いることができる。 様々な実施形態では、遺伝子改変を行って、このような3−HP生成経路の1つ以上の実行のための酵素活性を提供する。 いくつかの3−HP生成経路が当該技術において公知である。 例えば、米国特許第6,852,517号は、炭素源としてのグリセロールからの3−HP生成経路を教示し、この経路のその教示が参照により組み込まれている。 この参考文献は、Klebsiella pneumoniaeからのdhaB遺伝子と、アルデヒド脱水素酵素の遺伝子とを発現する遺伝子構築物を提供することを教示する。 これらは、グリセロールからの3−HPの生成を触媒できると述べられている。 しかし、いくつかの実施形態では、3−HPのバイオ生産のための炭素源は、上記炭素源の主要な構成部分としてグリセロールを除外することが認識される。

    WO2002/042418は、いくつかの3−HP生成経路を教示する。 このPCT公報には、そのような経路のその教示が参照により組み込まれている。 また、グルコースからピルベート、ピルベートからアセチル−CoA、アセチル−CoAからマロニル−CoA、マロニル−CoAから3−HPまでの3−HP生成経路をまとめたこの公報の図44は、本明細書で示す。 グルコースからホスホエノールピルベート(PEP)、ホスホエノールピルベートからオキサロアセテート(直接またはピルベートを介して)、オキサロアセテートからアスパルテート、アスパルテートからβ−アラニン、β−アラニンからマロネートセミアルデヒド、マロネートセミアルデヒドから3−HPまでの3−HP生成経路をまとめたこの公報の図55は、本明細書で示す。 様々な変換の代表的な酵素も、これらの図に示される。

    2008年8月21日に公開され、本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願公開第2008/0199926号からの図13は、本明細書で記載する3−HP生成経路およびその他の公知の天然の経路についてまとめている。 天然で多くを見出すことができないことがある特定の代謝経路を発展させることに関してより全般的に、Hatzimanikatisらは、このことを「Exploring the diversity of complex metabolic networks」、Bioinformatics 21巻(8号):1603〜1609頁(2005年)で論じている。 この論文には、代謝ネットワークの複雑さのその教示が参照により組み込まれている。

    上記図にまとめた3−HP生成経路についてさらに、StraussおよびFuchs(「Enzymes of a novel autotrophic CO fixation pathway in the phototrophic bacterium Chloroflexus aurantiacus, the 3−hydroxyproprionate cycle」、Eur. J. Bichem. 215巻、633〜643頁(1993年))は、3−HPを生成する天然の細菌経路を同定した。 当時、本著者らは、マロニル−CoAからマロネートセミアルデヒドへの変換は、NADP依存性アシル化マロネートセミアルデヒド脱水素酵素によるものであり、マロネートセミアルデヒドから3−HPへの変換は、3−ヒドロキシプロピオン酸脱水素酵素により触媒されると述べた。 しかし、それ以来、少なくともChloroflexus aurantiacusについて、単一の酵素が両方の工程を触媒し得ることが認められるようになった(M. Huglerら、「Malonyl−Coenzyme A Reductase from Chloroflexus aurantiacus, a
    Key Enzyme of the 3−Hydroxypropionate Cycle for Autotrophic CO Fixation」、J. Bacter、184巻(9号):2404〜2410頁(2002年))。

    よって、本発明の様々な実施形態の1つの生成経路は、マロニル−CoAからマロネートセミアルデヒド、マロネートセミアルデヒドから3−HPへの変換を達成するマロニル−CoA還元酵素の酵素活性を含む。 本明細書の実施例で示すように、この酵素(または酵素活性)をもたらすポリペプチドをコードする核酸配列を微生物に導入することは、3−HP生合成の増加をもたらすために効果的である。

    別の3−HP生成経路は、図14B(図14Aは天然の混合発酵経路を示す)に示され、この段落および次の段落で説明する。 これは、他の3−HP生成経路とともにまたは独立して用い得る3−HP生成経路である。 組換え微生物においてこの生合成経路を確立するためのある可能性のある1つの手段は、オキサロ酢酸アルファ−デカルボキシラーゼ(oad−2)酵素(またはそのような活性を有する各酵素もしくは関連する酵素)をコードする1つ以上の核酸配列を微生物に導入して発現させることである。 限定することを意味しない本実施例に例示するように、酵素進化技術を、構造的に同様の基質について所望の触媒の役割を有する酵素に用いて、進化した(例えば変異した)酵素(およびそれをコードする対応する核酸配列(複数可))を得て、これが、微生物において所望の速度および特異性にて所望の触媒反応を示す。

    つまり、本発明の様々な実施形態について、上記3HPTCGのいずれかの経路および上記3−HPバイオ生産経路のいずれかに対する遺伝子操作は、各経路のいずれかで同定される酵素または酵素の酵素活性の調節と、よってその酵素または酵素の酵素活性の最終の活性を変化させることを対象とするものを含む、様々な遺伝子操作を含むと記載できる。 そのような遺伝子改変は、選択されたおよび/または同定された培養条件下での酵素活性および/または選択性の変化をもたらす転写改変、翻訳改変および翻訳後改変を対象とすることができる。 つまり、様々な実施形態では、より効率的に機能するために、微生物は、1つ以上の遺伝子欠失を含んでよい。 例えば、E. coliにおける具体的な実施形態について図14Bにまとめるように、乳酸脱水素酵素(ldhA)、リン酸アセチルトランスフェラーゼ(pta)、ピルビン酸酸化酵素(poxB)およびピルビン酸−ギ酸リアーゼ(pflB)をコードする遺伝子を欠失させてよい。 このような遺伝子欠失は、具体的な実施形態について図14Bの下にまとめる(これは、限定することを意味しない)。 さらに、多機能性2−ケト−3−デオキシグルコン酸6−リン酸アルドラーゼおよび2−ケト−4−ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼおよびオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.coliにおいてeda)の酵素活性を低減するためのさらなる欠失またはその他の改変を様々な株に対して提供してよい。 さらに後者について、多機能性2−ケト−3−デオキシグルコン酸6−リン酸アルドラーゼおよび2−ケト−4−ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼおよびオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.coliにおいてeda)の酵素活性のこのような低減と組み合わせた様々な実施形態では、さらなる遺伝子改変を行って、グルコース輸送体(例えばE.coliにおいてgalP)を増加させ、かつ/または(PTSの)熱安定性ヒスチジルリン酸化可能タンパク質(E.coliにおいてptsH(HPr))、(PTSの)ホスホリル転位タンパク質(E.coliにおいてptsI)およびPTSのポリペプチド鎖(E.coliにおいてCrr)の1つ以上の活性を低減してよい。

    遺伝子欠失は、変異遺伝子欠失アプローチ、および/またはこれらの酵素の1つ以上が低減されたかまたはそれを発現しない変異体株から開始すること、および/または当業者に公知のその他の方法により達成してよい。

    本発明の態様は、選択された炭素源を3−HPなどの化学生成物へ変換することについての全体的な微生物の効率を改善するための複数の遺伝子改変を提供することにも関係する。 比生産性、容積生産性、力価および収率を、遺伝子改変のより基本的な組み合わせにわたって実質的に増加させるための、本実施例におけるような具体的な組み合わせが示される。

    さらに図9の遺伝子改変について、適当な追加の遺伝子改変は、生成の計量のさらなる改善をもたらし得る。 例えば、遺伝子改変株を図8に示す。 この株は、3−HP生成(例えば上の第VIIセクションに記載したような)、3−HP耐性(以下に記載するような)および本明細書で開示するような追加の遺伝子改変(上記脂肪酸合成酵素系に関係する特定の遺伝子改変、限定されないが、第VIセクションにおけるものを含む本明細書の他の場所でより一般的に開示するこのような改変を含む)についての遺伝子改変を含む。 この図では、酵素機能は、示される酵素変換および/またはこのような酵素機能を有するタンパク質をコードする代表的なE. coli遺伝子識別子(mcrが非E.coliマロニル−CoA還元酵素を示すこと以外は)により示され、欠失は、各遺伝子識別子の前に標準の「Δ」で示し、増加した酵素活性は、下線で示す(改変についての追加の標的は、図の埋め込まれた表に示す通りであることに留意する)。 括弧内の遺伝子は、これもまた各経路工程に沿って示す別の遺伝子によりコードされる酵素に代えての可能性のある置換物またはその酵素の補充物質である。 また、fabI TSの使用は、天然の非温度感受性遺伝子の置換を表す。 これは、限定することを意味しない。 他の場所に記載するように、脂肪酸アシル−ACPへの流量を制御して制限するためのいくつかのアプローチが存在する。

    図8の実施形態は、いくつかの遺伝子改変の組み合わせを示すが、本発明の様々な実施形態では、これらの酵素機能の遺伝子改変の他の組み合わせを提供して、化学生成物のバイオ生産についての速度、力価および収率の増加の所望のレベルを達成してよい。

    追加の遺伝子改変を、本発明の微生物株に提供してよい。 多くのこのような改変は、特定の表現型を与えるために提供してよい。

    一例として、多機能性2−ケト−3−デオキシグルコン酸6−リン酸アルドラーゼおよび2−ケト−4−ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼおよびオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.coliにおいてeda)の欠失は、様々な株で提供してよい。

    例えば、スクロースを利用する能力を提供してよく、このことは、3−HPまたはその他の化学生成物を生成するために利用できる供給材料の範囲を広げる。 本明細書で記載する株などのE. coliの一般的な実験室株および工業株は、単独炭素源としてスクロースを利用できない。 スクロースおよび糖蜜などのスクロース含有供給材料は豊富にあり、微生物発酵による生成のための供給材料として頻繁に用いられるので、スクロースの取り込みおよび使用を可能にする適当な遺伝子改変を、本明細書で提供するようなその他の特徴を有する株において付加してよい。 様々なスクロース取り込みおよび代謝系が、当該技術において公知である(例えば米国特許第6,960,455号)(そのような教示が参照により組み込まれている)。 これらおよびその他のアプローチは、本発明の株に提供してよい。 その実施例は、少なくとも2つのアプローチを提供する。

    また、セルロースバイオマスもしくはその生成物などのより複雑な炭素源の分解について、そのような炭素源の取り込みおよび/または利用についての機能性を付加するための遺伝子改変を提供してよい。 例えば、多数のセルラーゼおよびセルラーゼベースのセルロース分解系が研究され、特徴決定されている(例えばBeguin, PおよびAubert, J−P(1994年)FEMS Microbial. Rev.13巻:25〜58頁;Ohima, K.ら(1997年)Biotechnol. Genet.
    Eng. Rev. 14巻:365414頁を参照されたい(そのような教示について本明細書に参照することにより組み込まれている))。

    上記の遺伝子改変に加えて、様々な実施形態では、補因子NADPHのプールおよび利用可能性ならびに/またはその結果としてNADPH/NADP 比を増加させるための遺伝子改変も提供する。 例えば、E. coliについての様々な実施形態では、このことは、1つ以上の以下の遺伝子の活性を例えば遺伝子改変により増加することにより行ってよい:過剰発現されたpgi(変異形態で)、pntAB、gapA:gapN置換/置き換え、およびsthAなどの可溶性トランスヒドロゲナーゼを破壊もしくは改変すること、ならびに/またはzwf、gndおよびeddの1つ以上の遺伝子改変。

    任意のこのような遺伝子改変は、このような機能性を有さない種または所望のレベル未満のこのような機能性を有する種に提供してよい。

    より全般的に、そして遺伝子改変のために選択した微生物の特定の代謝経路に依存して、任意のサブ群の遺伝子改変を行って、アセテート、アセトイン、アセトン、アクリル酸、マレート、脂肪酸エチルエステル、イソプレノイド、グリセロール、エチレングリコール、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、エチルアセテート、ビニルアセテート、その他のアセテート、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ブチレート、イソブチレート、2−OH−イソブチレート(isobutryate)、3−OH−ブチレート、エタノール、イソプロパノール、D−ラクテート、L−ラクテート、ピルベート、イタコネート、レブリネート、グルカレート、グルタレート、カプロラクタム、アジピン酸、プロパノール、イソプロパノール、フーゼルアルコールおよび1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、フォルメート、フマル酸、プロピオン酸、コハク酸、吉草酸ならびにマレイン酸からなる群から選択される発酵生成物(複数可)の細胞による生成を低減させてよい。 遺伝子欠失は、本明細書に全般的に開示されるようにして行ってよく、その他のアプローチを用いて、選択された発酵生成物の細胞による生成の所望の減少を達成してよい。
    X. 化学生成物3−HPの分離および精製 3−HPが化学生成物である場合、その3−HPは、分離および精製の多くの方法が当技術分野で公知であり、以下の開示は、限定的なものではないことを考慮に入れて、以下の段落に記載のアプローチによって分離し、精製することができる。 浸透圧ショック、超音波処理、均質化、および/または凍結融解サイクルを繰り返した後の濾過および/または遠心分離、その他の方法の間では、pHの調整および熱処理などを使用して、インタクトな細胞から無細胞抽出物を生成することができる。 これらの方法の任意の1つ以上を使用して、抽出工程として3−HPを細胞から遊離させることもできる。

    さらに、3−HPを含むバイオ生産ブロスの一般的な処理に関しては、様々な方法を実施してバイオマスを取り出すこと、および/または培養ブロスおよびその成分から3−HPを分離することができる。 3−HPを分離および/または濃縮する方法としては、様々な形態の、遠心分離、濾過、抽出、エステル化などの化学変換、蒸留(いくつかの反応−蒸留条件下でアクリル酸への脱水などの化学変換をもたらすことができる)、結晶化、クロマトグラフィー、およびイオン交換が挙げられる。 さらに、必要に応じて、超音波処理、均質化、pHの調整または加熱などによって細胞破裂を行って、3−HPを細胞集団から遊離させることができる。 3−HPは、遠心分離、例えば溶媒抽出、反応抽出、水性二相抽出および溶媒二相抽出などの抽出を含めた液液分離、膜分離技術、蒸留、蒸発、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび結晶化の1つ以上の任意の組み合わせを含めた当技術分野で公知の方法によってさらに分離および/または精製することができる。 上記の方法はいずれも、例えば、バイオ生産イベントから徐々に、または定期的に取り出すことができるようなバイオ生産ブロス(すなわち、好気条件下、嫌気条件下、または微好気条件下のいずれでも行なわれる、発酵ブロス)の構成部分に、またはバイオ生産イベントが終了したブロスに適用することができる。 3−HPの、本明細書に記載されるものなどの下流の生成物への変換は、分離および精製の後に、または、例えば、必要に応じて同様に一部において分離手段としての蒸留、薄膜蒸発、またはワイプフィルム(wiped−film)蒸発を用いて進行させることができる。

    種々のこれらのアプローチのために、向流戦略、または逐次的なもしくは反復的な戦略、例えば多重パス抽出(multi−pass extraction)などを適用することができる。 例えば、3−HPを含む所与の水溶液を、アミンを含む非極性相を用いて繰り返し抽出して、複数反応抽出を実現することができる。

    培養イベント(発酵イベント)が完了段階にある場合、消費されたブロスは、分離タンクに移送され得るか、または培養容器内に残すことができ、いずれの場合においても、上記微生物を死滅させるために、最低でも1時間の間、温度を少なくとも60℃まで上昇させることができる。 (あるいは、上記微生物を死滅させるための他のアプローチを実施することができる。)消費されたブロスとは、最初の栄養培地、上記微生物の接種から増殖した細胞(およびおそらく、上記接種物の元々の細胞をいくらか含む)、3−HP、および必要に応じて、上記最初の栄養培地を提供した後になされた液体の添加、例えば追加の炭素の供給源などを提供するための定期的な添加を含む最終の液体容積を意味する。 上記消費されたブロスは、3−HP以外の有機酸、例えば、酢酸および/または乳酸などを含んでよいことに留意する。

    次いで、遠心分離工程を実施して、そのバイオマスの固形物(例えば、微生物細胞)を濾過して取り除くことができる。 これは、連続式遠心分離機またはバッチ式遠心分離機において実現することができ、固体の除去は、単一のパスで、または2回以上の一連の遠心分離後の累積で、少なくとも約80%、85%、90%、または95%であってよい。

    任意選択の工程は、その遠心分離された液体を、微細濾過もしくは限外濾過などの濾過器を通して仕上げをすることになるか、または、その工程は珪藻土などの濾過助剤を加えるフィルタープレスもしくは他の濾過デバイスを含んでよい。 これに対する、および上記遠心分離に対する代替的または補足的なアプローチは、上記細胞を綿状に固め、静置し、液体を抜き取る、または他の方法で除去する、綿状物によって細胞を除去することを含んでよい。 綿状物(flocculent)を発酵ブロスに加えることができ、その後、しばらくの間材料を静置し、次いで、これに限定されないが、遠心分離を含めた分離を適用することができる。

    そのような工程の後、さらなる処理のために、3−HPを含み、固体を実質的に含まない消費されたブロスを得る。 「固体を実質的に含まない」とは、その固体の98%超、99%超、または99.5%超が除去されたことを意味する。

    種々の実施形態では、この消費されたブロスは、Na、Cl、SO 、およびPO などの種々の塩のイオンを含む。 一部の実施形態では、これらのイオンを、この消費されたブロスをイオン交換カラムに通すこと、または他の方法で、上記消費されたブロスを適切なイオン交換材料に接触させることによって除去することができる。 本文書の本箇所および他の箇所において、「接触させること」は、明言された目的のために、当業者に公知の任意のやり方で、例えば、カラム中などで、関連する技術分野の当業者の十分にその能力の範囲内で決定される適切な条件下で接触させることを意味すると解釈される。 一例として、これらは、陰イオン交換材料および陽イオン交換材料に逐次的に(任意の順序で)接触させるか、または混合した陰イオン/陽イオン材料に接触させることを含んでよい。 この鉱物質除去工程では、上記3−HPを除去することなく、そのような無機のイオンの大部分が除去されるべきである。 これは、例えば、そのpHを低下させて3−HPおよび類似した有機酸を十分にプロトン化させ、それにより、これらの酸は陰イオン交換材料に結合しないが、一方、そのようなpHにおいて荷電したままのClおよびSO などの陰イオンを樹脂に結合させて溶液から除去することによって実現することができる。 同様に、正に荷電したイオンを、陽イオン交換材料と接触させることによって除去する。 そのようなイオンの除去は、溶液の伝導率の減少によって評価することができる。 そのようなイオン交換材料は、当業者に公知の方法によって再生させることができる。

    一部の実施形態では、上記消費されたブロス(例えば、先行する鉱物質除去工程後のものである必要はない)を、pH上昇に供し、その後、それをイオン交換カラムに通して、または他の方法で、このpHでイオンである有機酸が会合する、アミンなどのアニオン性基を含むイオン交換樹脂と接触させる。 このpH(6.5超、7.5超、8.5超、9.5超、10.5超、またはそれよりも高いpHであってよい)でアミンとそのように会合しない他の有機物を、この段階で、例えば、pHの高いすすぎ液で洗い流すことによって有機酸から分離することができる。 その後、それよりも低いpHおよび/または塩含有量の高いすすぎ液で溶出することにより、上記有機酸を取り出すことができる。 pHが漸減勾配であり、かつ/または塩含有量が漸増勾配のすすぎ液で溶出することにより、3−HPを他の有機酸からより明確に分離し、その後、さらなる処理を単純化することが可能になり得る。

    有機酸を陰イオン交換樹脂に保持するこの後半の工程は、上記鉱物質除去工程の前に実施しても後に実施してもよい。 しかし、以下の2つのアプローチが上記陰イオン交換樹脂工程の代替になる。

    第1の代替のアプローチは、ここで、および以下の段落において例証されているように反応抽出(液液抽出の形態)を含む。 上記鉱物質除去工程の前、または後の段階に存在してよい上記消費されたブロスを、ある量のAlamine336(登録商標)(Cognis Corp.、Cincinnati、OH USA)などの第3級アミンと、低pHで組み合わせる。 Alamine336または他の第3級アミンのための共溶媒を加えることができ、それらとしては、これらに限定されないが、アミンと組み合わせると分配係数を増加させる、ベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、ジイソブチルケトン、エタノール、#2燃料油、イソプロパノール、灯油、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール、およびn−デカノールが挙げられる。 相の分離が起こる期間、適切に混合した後、上記Alamine336または他の第3級アミンと会合した3−HPを含む非極性相を水相から分離する。

    上記3−HP/第3級アミンよりも低い沸点を有する共溶媒を使用する場合、蒸留工程を使用してその共溶媒を除去し、それによって3−HP−第3級アミン複合体を非極性相中に残すことができる。

    そのような蒸留工程があろうとなかろうと、取り去るまたは回収する工程を使用して、上記3−HPを上記第3級アミンから分離することができる。 無機塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、もしくは炭酸ナトリウムなど、または塩基、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化アンモニウムなどを上記3−HP/第3級アミンに加えてアミンプロトン化反応を逆転させ、水溶液(上記無機塩をもたらすためのビヒクルであってよい)を加えることによって第2の相をもたらす。 適切に混合した後、結果として2つの相が生じ、これにより、第3級アミンを再生し、再使用すること、および水溶液中に上記3−HPをもたらすことが可能になる。 あるいは、上記アミンから上記3−HPを回収するために塩または塩基を用いず熱水を使用することもできる。

    上記のアプローチでは、相を分離すること、および3−HPを水相に抽出することが、上記3−HPを濃縮するために役立ち得る。 それぞれの有機酸をクロマトグラフィーによって分離することも、そのような酸、例えば3−HPなどを濃縮するために役立ち得ることに留意する。 他の適切な同様のアプローチでは、第1級アミン、第2級アミンおよび第4級アミンを含んでよい非極性アミンを、第3級アミンの代わりに、および/または第3級アミンと組み合わせて使用することができる。

    第2の代替のアプローチは、結晶化である。 例えば、上記消費されたブロス(バイオマスの固形物を含まないものなど)を水酸化アンモニウムなどの強塩基と接触させ得、それにより3−HPのアンモニウム塩の形成をもたらす。 これを濃縮することができ、次いでアンモニウム−3−HP結晶を形成し、それを例えば濾過によって、水相から分離することができる。 回収したら、アンモニウム−3−HP結晶を、硫酸などの酸を用いて処理することができ、したがって硫酸アンモニウムが再生され、したがって、3−HPおよび硫酸アンモニウムが生じる。

    また、種々の水性二相抽出法を利用して、発酵ブロスまたは後で得られた溶液から所望の化学生成物を分離および/または濃縮することができる。 ポリマー、例えばデキストランおよびグリコールポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)を水溶液に添加することにより、2つの水相の形成をもたらすことができることが公知である。 そのような系では、所望の化学生成物を、1つの相に隔離し、細胞および他の化学物質を他の相に分配し、したがって有機溶媒を使用せずに分離することができる。 このアプローチは、いくつかの化学生成物について実証されているが、化学生成物をポリマー溶液から回収することに付随する難題および低い選択性が認識されている(抽出物を回収する方法に関するその教示の全てが参照により組み込まれる「Extractive Recovery of Products from Fermentation Broths」Joong Kyun Kimら、Biotechnol. Bioprocess Eng.、1999年(4巻)1〜11頁を参照されたい)。

    種々の置換ならびに上記の工程およびプロセスの組み合わせを行って、比較的精製された3−HP溶液を得ることができる。 また、2003年3月18日に発行され、そのような方法の開示に関して参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,534,679号に開示されている分離および精製の方法を、特定の処理スキームに基づいて考察することができる。 また、いくつかの培養イベントでは、上に開示されているアプローチの任意の組み合わせによるものを含め、液体容積の構成部分を定期的に取り出し、そのような構成部分(複数可)の処理を行って上記3−HPを回収することができる。

    言及した通り、溶媒抽出が別の代替である。 これは、アルコール、エステル、ケトン、および種々の有機溶媒を含めたいくつもの溶媒および/または溶媒の組み合わせのいずれをも使用することができる。 限定することなく、相を分離した後、蒸留工程または二次抽出を用いて、3−HPを有機相から分離することができる。

    以下の公開されたリソースは、これらの関連性のある技術分野における技術のレベルを示すために、および必要に応じて、3−HPの産業上のバイオ生産、および同様に本発明の組換え微生物のいずれかを用いてそのような変換を実現するために使用することができる産業上のシステムをどのように行い、使用するかの方法を教示している開示を支持するために、それらのそれぞれの教示に関して参照により本明細書に組み込まれている(Biochemical Engineering Fundamentals、第2版、J. E. BaileyおよびD. F. Ollis、McGraw Hill、New York、1986年、示されている目的に関して書籍全体、および特に生物反応器の設計に関して、第9章、533〜657頁;Unit Operations of Chemical Engineering、第5版、W. L. McCabeら、McGraw Hill、New York、1993年、示されている目的、および特にプロセスおよび分離技術の分析に関して書籍全体;Equilibrium Staged Separations、P. C. Wankat、Prentice Hall、Englewood Cliffs、NJ USA、1988年、分離技術の教示に関して書籍全体)。

    XI. 3−HPのアクリル酸および下流の生成物への変換 本明細書で考察した通り、本明細書に記載の種々の実施形態は、特定の化学生成物、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)の生成に関する。 この有機酸、3−HPは、産業上の用途を有する種々の他の生成物、例えば、これらに限定されないが、アクリル酸、アクリル酸のエステル、および、「下流の生成物」と称される3−HPから得られる他の化学物質に変換することができる。 いくつかのアプローチの下で、上記3−HPは、アクリル酸、アクリルアミド、および/または他の下流の化学生成物に変換することができ、ある場合には、その変換は分離工程および/または精製工程を伴う。 そのような下流の生成物への多くの変換が本明細書に記載されている。 本発明の方法は、3−HPの下流の生成物を生成するための工程を含む。

    3−HPは、C 構成単位として、商業的に重要な中間体、産業上の最終製品、および消費者向け製品への種々の化学変換における大きな潜在性をもたらす。 例えば、3−HPは、アクリル酸、アクリレート(例えば、アクリル酸塩およびアクリル酸エステル)、1,3−プロパンジオール、マロン酸、エチル−3−ヒドロキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、プロピオラクトン、アクリルアミド、またはアクリロニトリルに変換することができる。

    例えば、アクリル酸メチルは、3−HPから、脱水、およびメチル基を付加する(例えば、メタノールを使用して)エステル化によって作製することができ;アクリルアミドは、3−HPから、脱水反応およびアミド化反応によって作製することができ;アクリロニトリルは脱水反応およびニトリル部分の形成によって作製することができ;プロピオラクトン(propriolactone)は、3−HPから、環形成内部エステル化反応(水分子の脱離)によって作製することができ;エチル−3−HPは、3−HPから、エタノールを用いたエステル化によって作製することができ;マロン酸は、3−HPから、酸化反応によって作製することができ;1,3−プロパンジオールは、3−HPから、還元反応によって作製することができる。 また、3−HPを脱水することによって最初に変換されるアクリル酸は、適切な化合物を用いてエステル化して、これらに限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸ラウリルを含めたいくつもの商業的に重要なアクリル酸ベースのエステルを形成することができる。 あるいは、3HPをエステル化して、3HPのエステルを形成し、次いで脱水してアクリル酸エステルを形成することができる。

    さらに、3−HPをオリゴマー形成または重合させて、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)ホモポリマーを形成することができる、または1つ以上の他の単量体と共重合させて、種々の共重合体を形成することができる。 3−HPは単一の立体異性体しか有さないので、3−HPの重合は、鎖の成長中に単量体の立体特異性によって複雑になることがない。 これは、その重合中に考慮しなければならない2つの(D、L)立体異性体を有する(S)−2−ヒドロキシプロパン酸(乳酸としても公知である)とは対照的である。

    さらに記載されるように、3−HPは、(i)実質的に、そのプロトン化された形態である3−ヒドロキシプロピオン酸として;(ii)実質的に、その脱プロトン化された形態である3−ヒドロキシプロピオネートとして;または(iii)プロトン化された形態と脱プロトン化された形態の混合物として出発して、誘導体に変換することができる。 一般に、塩として存在する3−HPに対する酸として存在する3−HPの割合は、pH、溶液中の他のイオン種の存在、温度(酸の形態および塩の形態に関係する平衡定数を変化させる)に左右され、いくらかの程度で圧力に左右される。 多くの化学変換は、上記3−HPのいずれの形態からも行うことができ、一般には、全体的なプロセスの経済的側面から、下流での変換のための3−HPの形態が要求される。

    また、分離中の変換の例として、例えば本明細書において開示されている、アミンとしてAlamine336を使用する抽出工程におけるアミン塩の形態の3−HPは、上記3−HPのアミン塩を含む溶液を、酸化アルミニウムなどの脱水触媒と、温度を例えば170から180℃、または180から190℃、または190から200℃に上昇させて接触させ、回収した蒸気相を低温凝縮器に通すことによってアクリル酸に変換することができる。 3−HPの濃度、有機アミン、共溶媒(もしあれば)、温度、流速、脱水触媒、および凝縮器の温度を含めた動作条件を評価し、商業目的のために改善する。 3−HPのアクリル酸への変換は、単回の変換イベントにおいて少なくとも80パーセントを超える、または少なくとも90パーセントを超えることが予想される。 上記アミンは、必要に応じて、浄化した後に再使用することができる。 本明細書において提供される他の脱水触媒を評価することができる。 米国特許第7,186,856号に、たとえ本明細書における教示と異なる抽出塩分解(exytactive salt−splitting)変換の一部としてでも、この変換アプローチに関するデータが開示されていることに留意する。 しかし、米国特許第7,186,856号は、抽出塩分解を含めたその方法について参照により組み込まれ、抽出塩分解については、3−HPを微生物発酵ブロスから抽出することができる種々のやり方をさらに示すために参照により組み込まれる。

    さらに、本明細書において提供される通り作製し、必要に応じて、変換前に選択された純度に精製する、微生物宿主細胞によって合成する化学生成物が3−HPである実施形態に関して、本発明の方法は、3−HPから誘導される「下流の」化合物、例えば、重合した3−HP(ポリ3−HP)、アクリル酸、ポリアクリル酸(重合したアクリル酸、様々な形態での)、アクリル酸メチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、プロピオラクトン、3−HPエチル、マロン酸、および1,3−プロパンジオールを生成するためにも使用することができる。 そのような下流での変換のために、一般に酵素的アプローチ、触媒的アプローチ(触媒を使用する化学変換プロセス)、熱的アプローチ、およびそれらの組み合わせ(所望の圧力を加えて反応を加速するいくつかの場合を含む)に入る多数のアプローチを使用することができる。

    言及した通り、3−HPから生成することができる重要な産業上の化学生成物はアクリル酸である。 化学的に、3−HPの炭素−炭素単結合の1つは、炭素−炭素二重結合に変換され、水分子を排除する脱水反応を受けなければならない。 3−HPの脱水は、原理上は、液相または気相において行うことができる。 一部の実施形態では、上記脱水は、適切な均一系触媒または不均一系触媒の存在下で起こる。 酸触媒およびアルカリ触媒はどちらも適切な脱水触媒である。 脱水した後、アクリル酸を含有する相を得、適切な場合には、さらなる精製工程によって、例えば、蒸留方法、抽出方法、または結晶化方法、またはそれらの組み合わせによって、精製することができる。

    3−HPから脱水反応によってアクリル酸を作製することは、分離方式の一部であってよく、触媒として酸および/または金属イオンを含んでよい蒸留プロセスによるものを含めたいくつもの商業的な方法論によって実現することができる。 より広範に、2007年9月20日に公開され、現在放棄されている米国特許出願公開第2007/0219390A1号は、3−HPおよび他のβ−ヒドロキシカルボニル化合物の、アクリル酸および他の関連する下流の化合物への変換についてのその教示に関して本明細書に組み込まれる。 この公報には、多数の触媒が列挙され、変換の例が提供され、それは本明細書に詳細に組み込まれる。 同様に、3−HPを脱水してアクリル酸を生成するための種々の特定の方法の中には、米国特許第2,469,701号(Redmon)に記載の古い方法もある。 この参照文献では、減圧下、硫酸またはリン酸などの脱水触媒の存在下で、3−HPを130℃から190℃の間の温度に加熱することによってアクリル酸を調製するための方法が教示されている。 米国特許出願公開第2005/0222458A1号(Craciunら)も、3−HPまたはその誘導体を加熱することによってアクリル酸を調製するためのプロセスを提供する。 3−HPの蒸気相脱水は、シリカの充填ビーズ、アルミナ、またはチタニアなどの脱水触媒の存在下で起こる。 これらの特許公報は、3−HPをアクリル酸に変換することについてのそれらの方法に関して参照により組み込まれる。

    脱水触媒は、1つ以上の金属酸化物、例えば、Al 、SiO 、またはTiO などを含んでよい。 一部の実施形態では、上記脱水触媒は、高表面積のAl または高表面積のシリカであり、そのシリカは実質的にSiO である。 高表面積とは、本発明の目的に関しては、少なくとも約50m /g、75m /g、100m /g、またはそれより多い表面領域を意味する。 一部の実施形態では、上記脱水触媒は、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩を含んでよい。

    例えば、そのような組み込まれた参考文献による例証を含め、3−HPは、種々の特定の方法によって脱水してアクリル酸にすることができ、その方法のそれぞれは多くの場合1つ以上の脱水触媒を必要とする。 特に明白に価値のある1つの触媒は、チタンであり、例えば酸化チタンTiO(2)の形態である。 二酸化チタン触媒は、3−HPを含む水溶液を蒸留する脱水系において提供することができ、そこでは、3−HPを、例えば揮発で脱水し、アクリル酸に変換し、そのアクリル酸を蒸気相から凝縮させることによって回収する。

    1つの特定の方法として、3−HPの水溶液を、周囲大気圧において170℃から190℃の間の温度に維持した酸化チタン触媒を充填した反応器のカラムに通す。 反応器のカラムから出た蒸気を低温凝縮器に通し、そこでアクリル酸を回収する。 上記低温凝縮器は、流速および系の設計に基づいて効率的に凝縮させるために、30℃以下、2℃以下、または任意の適切な温度まで冷却することができる。 また、上記反応器のカラムの温度は、例えば周囲大気圧よりも低い圧力で運転する場合、もっと低くてもよい。 2007年9月20日に公開され、現在放棄されている米国特許出願公開第2007/0219390号の実施例1は、この方法のアプローチを使用する特異的なパラメータを提供することに留意する。 言及した通り、この公報は、この教示に関して、および、3−HPからアクリル酸への脱水反応において使用することができる触媒についてのその一覧表に関しても、参照により組み込まれる。

    さらに脱水触媒に関しては、以下の表に3−HP(またはそのエステル)からアクリル酸(またはアクリル酸エステル)への脱水反応において使用することができるいくつもの触媒が要約されている(化学的クラスを含めて)。 そのような触媒のいくつかは、固体の形態、液体の形態または気体の形態のいずれでも使用することができ、個々に、または任意の組み合わせで使用することができる。 この触媒の一覧表は、限定的なものではなく、列挙されていない多くの特定の触媒を特定の脱水反応のために使用することができる。 さらに限定することなく、触媒の選択は、特定の変換における溶液のpHおよび/または3−HPの形態に応じてよく、したがって、3−HPが酸性の形態である場合には酸触媒(acidic catalyst)を使用することができ、3−HPのアンモニウム塩をアクリル酸に変換する場合は塩基触媒(basic catalyst)を使用することができる。 また、いくつかの触媒は、イオン交換樹脂の形態であってよい。
    表8: 脱水触媒

    これらの触媒の1つを使用する別の特定の方法に関しては、濃硫酸および3−HPを含む水溶液は、別々に反応器に流し込み、100mm Hgの減圧下で150℃から165℃までに維持する。 その反応器からの流れは、アクリル酸を含む溶液である。 参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2009/0076297号の実施例1に開示されているこの方法の特定の実施形態では、95パーセントを超えるアクリル酸の収率が示されている。

    この種類の脱水反応の当技術分野における広範囲の可能性のある触媒および知見に基づいて、多数の他の特異的な脱水方法を商業生産について評価し、実行することができる。

    3−HPの脱水は、脱水触媒がなくても起こる場合がある。 例えば、その反応は、ガラス、セラミック、樹脂、磁器、プラスティック、金属粉または煉瓦粉の充填物(packing)などの名目上不活性な充填物の存在下で蒸気相において行うことができ、それでもなおアクリル酸が妥当な収率および純度で形成される。 上記触媒粒子は、その化学的性質が、一部の実施形態では、物質輸送が制限される、または動力学的に制限されるような大きさにすること、およびそのように形づくることができる。 上記触媒は、粉末、ペレット、顆粒、ビーズ、押出し物などの形態をとってよい。 必要に応じて触媒補強体(catalyst support)を使用する場合、使用する補強体は、例えば、ペレット、球体、一体型チャネルなどの任意の物理的形態を想定することができる。 上記補強体は、活性な金属種と共沈澱させることができる;または、上記補強体は、触媒金属種を用いて処理し、それから、そのまま使用することができる、または上述の形状に形成することができる;または、上記補強体は、上述の形状に形成し、それから触媒種で処理することができる。

    3−HPを脱水するための反応器は、多種多様なやり方で設計製作され動作させることができる。 上記反応器の動作は、連続式、半連続式、またはバッチであってよい。 実質的に連続的であり、定常状態にある動作が、動作および経済面での見通しから有利であることが理解される。 フローパターンは、実質的にプラグフロー、実質的によく混合された、またはこれらの両極端の間のフローパターンであってよい。 「反応器」は、実際に連続していてよい、または種々の配置のいくつかの反応器のネットワークであってよい。

    例えば、限定することなく、アクリル酸は、3−HPから、分離方式の一部であってよく、触媒として酸および/または金属イオンを含んでよい蒸留プロセスによるものを含めた、いくつもの商業的な方法論によって実現することができる脱水反応によって作製することができる。 より広範に、2007年9月20日に公開され、現在放棄されている米国特許出願公開第2007/0219390A1号は、3−HPおよび他のβ−ヒドロキシカルボニル化合物の、アクリル酸および他の関連する下流の化合物への変換についてのその教示に関して本明細書に組み込まれる。 この公報では、多数の触媒が列挙され、変換の例が提供され、それは本明細書に詳細に組み込まれる。

    例えば、そのような組み込まれた参考文献からの例証を含め、3−HPは、種々の特定の方法によって脱水してアクリル酸にすることができ、その方法のそれぞれは多くの場合1つ以上の脱水触媒を必要とする。 特に明白に価値のある1つの触媒はチタンであり、例えば酸化チタンTiO の形態である。 二酸化チタン触媒は、3−HPを含む水溶液を蒸留する脱水系において提供することができ、そこでは、その3−HPを、例えば揮発で脱水し、アクリル酸に変換し、そのアクリル酸を蒸気相から凝縮させることによって回収する。

    1つの特定の方法として、3−HPの水溶液を、周囲大気圧において170℃から190℃の間の温度に維持した酸化チタン触媒を充填した反応器のカラムに通す。 上記反応器のカラムから出た蒸気を低温凝縮器に通し、そこでアクリル酸を回収する。 上記低温凝縮器は、流速および系の設計に基づいて効率的に凝縮させるために、30℃以下、20℃以下、2℃以下、または任意の適切な温度まで冷却することができる。 また、上記反応器のカラムの温度は、例えば周囲大気圧よりも低い圧力で運転する場合、もっと低くてもよい。 2007年9月20日に公開され、現在放棄されている米国特許出願公開第2007/0219390号の実施例1は、この方法のアプローチを使用する特異的なパラメータを提供することに留意する。 言及した通り、この公報は、この教示に関して、および、3−HPからアクリル酸への脱水反応において使用することができる触媒についてのその一覧表に関しても、参照により組み込まれる。

    3−HPの脱水によって得られるアクリル酸の結晶化は、最終の分離/精製工程の1つとして使用することができる。 結晶化するための種々のアプローチは、当技術分野で公知であり、そこにはエステルの結晶化を含む。

    上で言及した通り、一部の実施形態では、3−HPの塩を、アクリル酸またはそのエステルもしくは塩に変換する。 例えば、米国特許第7,186,856号(Mengら)では、3−HPのアンモニウム塩からアクリル酸を作製するためのプロセスが教示されており、このプロセスは、3−HPのアンモニウム塩を、有機アミンまたは水と不混和性である溶媒の存在下で加熱して二相溶液を形成し、3−HPが二相溶液の水相から有機相に移行し、アンモニアおよびアンモニウムカチオンが水相に残る条件下で、上記3−HPの塩をそのそれぞれのイオン性構成物に分解する第1の工程を含む。 次いで、上記有機相を逆抽出して上記3−HPを分離し、その後、上記3−HPを含有する溶液を脱水触媒の存在下で加熱してアクリル酸を生成する第2の工程が続く。 米国特許第7,186,856号は、3−HPの塩からアクリル酸を生成するためのその方法に関して参照により組み込まれる。 この特許に開示されている特定のアプローチの種々の代替を、適切な抽出プロセスおよび変換プロセスについて開発することができる。

    アクリル酸メチルは、3−HPから、脱水、およびメチル基を付加する(例えばメタノールを使用して)エステル化によって作製することができ、アクリルアミドは、3−HPから、脱水反応およびアミド化反応によって作製することができ、アクリロニトリルは、脱水反応およびニトリル部分の形成によって作製することができ、プロピオラクトンは、3−HPから、環形成内部エステル化反応(水分子の脱離)によって作製することができ、エチル−3−HPは、3−HPから、エタノールを用いたエステル化によって作製することができ、マロン酸は、3−HPから、酸化反応によって作製することができ、1,3−プロパンジオールは、3−HPから、還元反応によって作製することができる。

    マロン酸は、本明細書において生成されるような3−HPの酸化から生成することができる。 米国特許第5,817,870号(Haasら)では、Ru、Rh、Pd、Os、IrまたはPtから選択される貴金属による3−HPの接触酸化が開示されている。 これらは、純粋な金属触媒または補強触媒であってよい。 上記接触酸化は、懸濁反応器において懸濁触媒を使用して、または固定層反応器において固定層触媒を使用して行うことができる。 上記触媒、好ましくは補強触媒が、固定層反応器に配置されている場合、後者は、トリクルベッド手順ならびに液相手順でも動作し得る。 そのトリクルベッド手順では、出発材料の3−HP、ならびにその酸化生成物を含む水相、pHを調整するための手段、および酸素または酸素を含有する気体は、並流または向流で送ることができる。 液相手順では、その液相およびその気相を、並流で都合よく処理する。

    十分に短い反応時間を実現するために、上記変換を、6以上、好ましくは少なくとも7、特に7.5から9の間のpHにおいて行う。 好ましい実施形態に従って、上記酸化反応の間、アルカリまたはアルカリ土類の水酸化物溶液などの塩基を加えることによって、pHを一定に、好ましくは7.5から9の間の範囲のpHに保つ。 上記酸化を、少なくとも10℃および最大で70℃の温度において、有効に行う。 酸素の流れは制限しない。 上記懸濁方法では、その液相およびその気相を、勢いよく撹拌することによって接触させることが重要である。 ほぼ定量的な収率でマロン酸を得ることができる。 米国特許第5,817,870号は、3−HPをマロン酸に酸化するためのその方法に関して参照により本明細書に組み込まれている。

    1,3−プロパンジオールは、本明細書において生成される3−HPに水素添加することで生成することができる。 米国特許出願公開第2005/0283029(Mengら)は、液相において、特定の触媒の存在下で、3−HP、またはその酸のエステルまたは混合物に水素添加して1,3−プロパンジオールを調製するためのその方法に関して参照により本明細書に組み込まれている。 可能性のある触媒としては、補強型または非補強型の、単独のルテニウム金属、またはルテニウムの化合物、またはモリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、ニオブ、バナジウムまたはクロムから選択される少なくとも1つ、または複数の追加の金属(複数可)と組み合わせたルテニウム金属、またはルテニウムの化合物が挙げられる。 上記ルテニウム金属もしくはその化合物、および/または上記追加の金属(複数可)もしくはその化合物を、補強型または非補強型の形態で利用することができる。 補強型形態で利用する場合、補強触媒を調製する方法は重要ではなく、その方法は、上記補強体の含浸または上記補強体への沈着などの任意の技法であってよい。 任意の適切な補強体を利用することができる。 使用することができる補強体としては、これらに限定されないが、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、炭素、カーボンブラック、グラファイト、ケイ酸塩、ゼオライト、アルミノケイ酸塩 ゼオライト、アルミノケイ酸塩粘土などが挙げられ得る。

    上記水素添加プロセスは、液相において行うことができる。 その液相としては、水、水素添加できない有機溶媒、例えば任意の脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、トルエン、デカリン、ジオキサン、ジグリム、n−ヘプタン、ヘキサン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど、ならびに水と有機溶媒(複数可)の混合物が挙げられる。 上記水素添加プロセスは、バッチで、半連続式で、または連続式で行うことができる。 上記水素添加プロセスは、任意の適切な装置において行うことができる。 例示的なそのような装置は、撹拌槽型反応器、トリクルベッド型反応器、高圧水素添加反応器などである。

    上記水素添加プロセスは、一般に約20℃から約250℃までの範囲、より詳細には約100℃から約200℃までの範囲の温度で行う。 さらに、上記水素添加プロセスは、一般に、約20psiから約4000psiまでの圧力範囲で行う。 上記水素添加プロセスにおいて利用する、水素を含有する気体は、必要に応じて、商業的に純粋な水素である。 水素を含有する気体は、窒素、ガス状炭化水素、または炭素の酸化物、および類似した物質が、上記水素を含有する気体中に存在する場合に使用可能である。 例えば、合成ガス(水素および一酸化炭素)由来の水素を使用することができ、そのような合成ガスは、潜在的に二酸化炭素、水、および種々の不純物をさらに含む。

    当技術分野で公知の通り、生物学的方法を使用して3−HPを1,3−プロパンジオールに変換することも可能である。 例えば、1,3−プロパンジオールは、3−HP−CoAまたは3−HPのいずれかから、酵素活性を有するポリペプチドを使用することによって創製することができる。 これらのポリペプチドは、in vitroまたはin vivoのいずれかで使用することができる。 3−HP−CoAを1,3−プロパンジオールに変換する場合、酸化還元酵素活性または還元酵素活性を有するポリペプチド(例えば、酵素の1.1.1.−クラスの酵素)を使用することができる。 あるいは、1,3−プロパンジオールを3−HPから創製する場合、アルデヒド(aldyhyde)脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.34クラスの酵素)とアルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.32クラスの酵素)の組み合わせを使用することができる。

    別の3−HPの下流の生成物であるアクリロニトリルは、アクリル酸から、これらに限定されないが、化学品製造工業において公知の生成の一段階法であるソハイオ(Sohio)アクリロニトリルプロセスを含めた種々の有機合成によって変換することができる。

    また、付加反応により、カルボニルヒドロキシル基にアルキル基またはアリール基を有するアクリル酸またはアクリレートの誘導体を得ることができる。 そのような付加は、例えば、アルカリ性条件下、必要に応じて塩基触媒の存在下で、水素、ハロゲン化水素、シアン化水素、またはマイケル付加によって化学的に触媒することができる。 アルコール、フェノール、硫化水素、およびチオールが塩基性条件下で付加することが公知である。 芳香族アミンまたは芳香族アミド、および芳香族炭化水素を酸性条件下で付加することができる。 これらおよび他の反応は、アクリル酸およびその誘導体の変換反応についてのその教示に関して参照により組み込まれるUlmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Acrylic Acid and Derivatives、WileyVCH Verlag GmbH、Wienham
    (2005年)に記載されている。

    本発明によって作製される3−HPから得られるアクリル酸は、一部の実施形態では、同様に下流の生成物であると考えられているポリマーを含めた種々の化学物質にさらに変換することができる。 アクリル酸エステルは、例えば、水が遊離する、アルコールを用いたエステル化縮合反応によって、アクリル酸から(または3−HPから直接)形成することができる。 この化学作用は、そのエステル化の教示に関して参照により組み込まれるMonomeric Acrylic Esters、E. H. Riddle、Reinhold、NY(1954年)に記載されている。 形成されるエステルの中には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸イソブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルがあり、これらおよび/または他のアクリル酸および/または他のアクリル酸エステルを、他の化合物と組み合わせることを含めて、種々の公知のアクリル酸ベースのポリマーを形成することができる。 アクリルアミドは、アクリロニトリルの水和による化学合成で生成されるが、本明細書の変換では、アミド化によってアクリル酸をアクリルアミドに変換することができる。

    本発明によって作製される3−HPから得られるアクリル酸は、一部の実施形態では、同様に下流の生成物であると考えられているポリマーを含めた種々の化学物質にさらに変換することができる。 アクリル酸エステルは、例えば、水が遊離する、アルコールを用いたエステル化縮合反応によって、アクリル酸から(または3−HPから直接)形成することができる。 この化学作用は、そのエステル化の教示に関して参照により組み込まれるMonomeric Acrylic Esters、E. H. Riddle、Reinhold、NY(1954年)に記載されている。 形成されるエステルの中には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸イソブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルがあり、これらおよび/または他のアクリル酸および/または他のアクリル酸エステルを、他の化合物と組み合わせることを含めて、種々の公知のアクリル酸ベースのポリマーを形成することができる。 アクリルアミドは、アクリロニトリルの水和による化学合成で生成されるが、本明細書の変換では、アミド化によってアクリル酸をアクリルアミドに変換することができる。

    アクリル酸の直接的なエステル化は、当業者に公知のエステル化の方法により、3−HPを脱水して得たアクリル酸を、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールまたはイソブタノールなどの1つ以上のアルコールと接触させ、少なくとも50℃、75℃、100℃、125℃、または150℃の温度まで加熱することによって行うことができる。 エステル化の間に形成される水は、例えば、適切な分離助剤を加えることによる共沸蒸留によって、または別の分離手段によってその反応混合物から除去することができる。 当技術分野で公知の通り、95%以上に至る変換を実現することができる。

    いくつかの適切なエステル化触媒は、Dow Chemical(Midland、Michigan US)などから市販されている。 例えば、Amberlyst(商標)131Wet Monodisperseゲル触媒は、水硬性(hydraulic)および反応性の特性を増強し、固定層反応器に適している。 Amberlyst(商標)39Wetは、特に撹拌反応器およびスラリーループ反応器に適したマクロ孔質触媒(macroreticular catalyst)である。 Amberlyst(商標)46は、マクロ多孔性触媒であり、生成するエーテル副産物が従来の触媒よりも少ない(RohmおよびHaasに対する米国特許第5,426,199号に記載されており、この特許は、エステル化触媒の組成および選択で考慮すべき事柄についてのその教示に関して参照により組み込まれる)。

    アクリル酸、および任意のそのエステルは、種々のポリマーにさらに変換することができる。 重合は、十分なエネルギーの熱、光、他の放射線のいずれか、およびアゾ化合物または過酸化物などの遊離基を生成する化合物よって進行して、アクリル酸またはアクリル酸エステルの所望のポリマーが生成し得る。 一例として、アクリル酸水溶液の温度を、重合が始まることが公知の温度に上昇させ(一部において、最初のアクリル酸の濃度に基づいて)、その反応が進行し、その反応の高い発熱性を考慮すると、このプロセスは、頻繁に熱除去を必要とする。 多くの他の重合の方法が当技術分野で公知である。 いくつかは、重合反応についてのその教示に関して参照により組み込まれるUlmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Polyacrylamides and Poly(Acrylic Acids)、WileyVCH Verlag GmbH、Wienham(2005年)に記載されている。

    例えば、アクリル酸の遊離基重合は、当業者に公知の重合方法によって行なわれ、水溶液または別の溶媒中のエマルションまたは懸濁液で行うことができる。 多くの場合、重合を補助するために開始剤、例えば、これに限定されないが、有機過酸化物を加える。 開始剤として使用することができる有機過酸化物のクラスの中には、ジアシル、ペルオキシジカーボネート、モノペルオキシカーボネート、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、ジアルキル、およびヒドロペルオキシドがある。 別のクラスの開始剤は、アゾ開始剤であり、これは、アクリレートの重合ならびに他の単量体との共重合のために使用することができる。 米国特許第5,470,928号;同第5,510,307号;同第6,709,919号;および同第7,678,869号では、有機過酸化物、アゾ化合物、および他の化学種を含めたいくつもの開始剤を使用する重合のための種々のアプローチが教示されており、これらの特許は、本明細書に記載のポリマーに適用可能なそのような教示に関して参照により組み込まれる。

    したがって、さらに、架橋剤などのコモノマーが重合の間に存在することが可能性である。 ある特定の実施形態では、本明細書において生成される、3−HPを脱水して得たアクリル酸の遊離基重合を、少なくとも部分的に中和された形態で、かつ架橋剤の存在下で実施する。 この重合により、ヒドロゲルをもたらし、次にそれを、公知の技法によって細かく砕き、すりつぶし、適切な場合には、表面修飾することができる。

    ポリアクリル酸の重要な商業用途は、高吸収性ポリマー用である。 ここで、Modern Superabsorbent Polymer Technology、BuchholzおよびGraham(編集者)、Wiley−VCH、1997年が、高吸収性ポリマーの成分、製造、性質および使用に関するその教示に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる。 高吸収性ポリマーは、第一に、おむつ、成人失禁用製品、女性の衛生用品、および類似した消費者向け製品用の水および水溶液の吸収剤として使用される。 そのような消費者向け製品では、布、綿、紙の詰め物、およびセルロース繊維などの伝統的な吸収材料を高吸収性材料で置き換えることができる。 高吸収性ポリマーは、わずかな機械的圧力下で、液体をその高吸収性ポリマーの重量の25倍に至るまで吸収し、保持する。 膨張したゲルは、その液体を固体、ゴム状態で保持し、液体が漏出するのを防ぐ。 高吸収性ポリマー粒子を表面修飾して、より高度に架橋結合した殻を持つ殻構造を生成することができる。 この技法により、吸収のバランス、負荷時の吸収、およびゲルブロッキングに対する抵抗性が改善される。 高吸収性ポリマーは、農業、園芸、および医薬を含めた、消費者向け製品以外の分野における用途を有することが認識される。

    高吸収性ポリマーは、アクリル酸(例えば、本明細書において提供される3−HPから誘導されるアクリル酸など)および架橋剤から、溶液重合または懸濁重合によって調製される。 典型的な方法としては、米国特許第5,145,906号;同第5,350,799号;同第5,342,899号;同第4,857,610号;同第4,985,518号;同第4,708、997号;同第5,180,798号;同第4,666,983号;同第4,734,478号;および同第5,331,059号が挙げられ、そのそれぞれが、高吸収性ポリマーに関するそれらの教示に関して参照により組み込まれる。

    消費者向け製品の中で、おむつ、女性の衛生用品、および成人失禁用製品は、それ自身が、本発明に従って作製した3−HPから変換されたアクリル酸から実質的に作製される高吸収性ポリマーを用いて作製される。

    おむつ、および他の個人の衛生用品は、本出願の教示によってバイオ生産される3−HPから作製されるアクリル酸から作製される高吸収性ポリマーを組み入れて生成することができる。 以下に、そのような高吸収性ポリマーを組み入れる、おむつを作製するための一般的な手引きを提供する。 上記高吸収性ポリマーを、まず、真空形成することができる吸収パッドに調製し、それに他の材料、例えば繊維状材料(例えば、木材パルプ)などを加える。 次に、その吸収パッドを、織物、一般に不織布(例えば、ナイロンプラスティック、ポリエステルプラスティック、ポリエチレンプラスティック、およびポリプロピレンプラスティックの1つ以上から作製される)のシート(複数可)を用いて組み立てて、おむつを形成する。

    より詳細には、1つの非限定的なプロセスにおいて、コンベヤーベルトの上部の複数の加圧ノズルにより高吸収性ポリマー粒子(例えば、約400ミクロンサイズまたはそれより大きな)、繊維状材料、および/またはこれらの組み合わせを、上記コンベヤーベルトの指定の空間/間隔に吹き付ける。 上記コンベヤーベルトには穴が形成されていて、下からの真空下におかれていることから、吹き付けられた材料は上記ベルト表面に向かって引かれ、平らなパッドが形成される。 種々の実施形態では、繊維状材料をまず上記ベルト上に付け、次に繊維状材料および上記高吸収性ポリマー粒子の混合物を付け、次に繊維状材料を付け、したがって上記高吸収性ポリマーは上記パッドの中間に濃縮される。 レべリングローラをベルト進路(belt path)の端に向けて使用して厚さが均一なパッドを得ることができる。 その後、各パッドを、例えばそれを上記おむつ用に適切な形状に切り取るために、さらに加工することができる、または上記パッドは、複数のおむつ用に十分な長い巻物の形態であってよい。 その後、上記パッドを、例えばコンベヤーベルト上で織物の上のシートと下のシート(一方は一般に液体透過性であり、他方は液体不透過性である)の間に挟み、これらを、例えば接着剤による接着、加熱または超音波溶着によって付け合わせ、おむつのサイズにした単位に切り分ける(前にそのように切っていない場合)。 人にフィットするおよび身に着け易いように、弾性要素、テープのストリップなどの追加の特徴をもたらすことができる。

    上記繊維状材料とポリマー粒子の比が、性能特性に影響を及ぼすことが公知である。 一部の実施形態では、この比は、75:25から90:10の間である(おむつの製造についてのその教示に関して参照により組み込まれる米国特許第4,685,915号を参照されたい)。 他の使い捨ての吸収性物品を、例えば、成人の失禁、女性の衛生(生理用ナプキン)、タンポン用に、同様の様式で構築することができる(例えば、生理用ナプキンの製造についてのそれらの教示に関して参照により組み込まれる、米国特許第5,009,653号、同第5,558,656号、および同第5,827,255号を参照されたい)。

    低分子量のポリアクリル酸は、化粧品および医薬調製物を含めた種々の適用のための水処理、凝集剤、および増粘剤としての用途を有する。 これらの適用について、上記ポリマーは、特定の適用に応じて、架橋結合していなくてよい、または軽く架橋結合していてよい。 その分子量は、一般には約200g/molから約1,000,000g/molまでである。 これらの低分子量のポリアクリル酸ポリマーの調製は、米国特許第3,904,685号;同第4,301,266号;同第2,798,053号;および同第5,093,472号に記載されており、そのそれぞれが、これらのポリマーを生成する方法についてのその教示に関して参照により組み込まれる。

    アクリル酸は、少し挙げると、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸、およびメタクリルアミドから選択される1つ以上の他の単量体と共重合させることができる。 上記単量体の相対的な反応性が、微細構造、したがって上記ポリマーの物理特性に影響を及ぼす。 コモノマーを3−HPから得て、または他の方法で提供して、共重合体を生成することができる。 Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Polyacrylamides and Poly(Acrylic Acids)、WileyVCH Verlag GmbH、Wienham(2005年)、は、ポリマーおよび共重合体の加工についてのその教示に関して参照により本明細書に組み込まれている。

    アクリル酸は、原理上、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリルエステル、マレイン酸、無水マレイン酸、塩化ビニル、アクリルアミド、イタコン酸などを含めた遊離基によって重合可能な単量体のほとんど全てと共重合し得る。 最終用途の適用によって、一般には、性質に影響を及ぼす共重合体の組成が規定される。 アクリル酸は、いくつもの任意選択の置換も有してよく、そのような置換をした後に、重合反応、または共重合反応のための単量体として使用することができる。 一般的な法則として、アクリル酸(またはその共重合単量体の1つ)は、重合プロセスに干渉しない任意の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、ビニル、アリル、ヒドロキシ、エポキシ、アミド、エーテル、エステル、ケトン、マレイミド、スクシンイミド、スルホキシド、グリシジルおよびシリルなどで置換することができる(さらに考察するために上で参照により組み込まれる米国特許第7,678,869号を参照されたい)。 以下の段落に、共重合の適用のいくつかの非限定的な例を提供する。

    アクリル酸およびそのエステルのポリマーおよび共重合体を含む塗料は、産業上のおよび消費者向け製品として広く使用されている。 そのような塗料を作製するための技術の態様は、そのような塗料の製造についてのその教示に関して参照により組み込まれる米国特許第3,687,885号および同第3,891,591号に見出すことができる。 一般に、アクリル酸およびそのエステルは、それらの間で形成することができる、または他の単量体、例えばアミド、メタクリレート、アクリロニトリル、ビニル、スチレンおよびブタジエンとホモポリマーまたは共重合体を形成することができる。 塗料工業において「ビヒクル」(または「結合剤」)と称されるホモポリマーおよび/または共重合体の所望の混合物を、水溶液に加え、十分に撹拌してマイクロメートル未満のサイズのポリマー粒子を含む水性分散物を形成する。 上記塗料は、これらの「ビヒクル」粒子がその水および任意の他の溶媒が蒸発するにしたがって合体することによって硬化する。 上記水性分散物への他の添加剤は、条件、適用、意図された表面などに応じて、色素、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム)、溶媒(例えば、アセトン、ベンゾール、アルコールなど、しかし、これらは、ある特定の非VOC塗料においては見出されない)、増粘剤、および追加の添加剤などを含んでよい。 多くの塗料では、上記ビヒクル構成部分の重量百分率は、約9パーセントから約26パーセントまでにわたってよいが、他の塗料については、上記重量百分率は、この範囲を越えて変化し得る。

    アクリルベースのポリマーは、塗料に加えて、多くのコーティングのために使用される。 例えば、製紙用塗布剤ラテックスのために、0.1〜5.0%のアクリル酸を、スチレンおよびブタジエンと一緒に使用して、紙への結合を増強し、レオロジー、凍結融解の安定性およびせん断安定性を改変する。 この関係において、米国特許第3,875,101号および同第3,872,037号は、そのようなラテックスについてのそれらの教示に関して参照により組み込まれる。 アクリル酸ベースのポリマーは、多くのインク、特にUV硬化性印刷用インクにおいても使用される。 水処理のために、アクリルアミドおよび/またはアクリル酸ヒドロキシエチルを一般にアクリル酸と共重合させて低分子量の線状ポリマーを生成する。 この関係において、米国特許第4,431,547号および同第4,029,577号は、そのようなポリマーについてのそれらの教示に関して参照により組み込まれる。 アクリル酸の、マレイン酸またはイタコン酸との共重合体も、水処理の適用のために生成され、その教示に関して参照により組み込まれる米国特許第5,135,677号に記載されている。 アクリル酸ナトリウム(氷アクリル酸のナトリウム塩)を、アクリルアミド(アミド化の化学作用によってアクリル酸から得ることができる)と共重合させて、水処理において凝集剤として使用されるアニオン性共重合体を作製することができる。

    増粘剤のために、これらのコモノマーについての記載に関して参照により組み込まれる米国特許第4,268,641号および同第3,915,921号に記載などの種々のコモノマーを使用することができる。 米国特許第5,135,677号には、アクリル酸と一緒に使用して水溶性ポリマーを生成することができるいくつものコモノマーが記載されており、この特許はそのような記載に関して参照により組み込まれる。

    同様に言及した通り、下流の生成物へのいくつかの変換は酵素的に行うことができる。 例えば、3−HPは、3−HP−CoAに変換することができ、次にそれを、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有する酵素(EC2.3.1.−)を用いて、重合した3−HPに変換することができる。 また、1,3−プロパンジオールは、酸化還元酵素活性または還元酵素活性を有するポリペプチド(例えば、酵素のEC1.1.1.−クラスの酵素)を使用して作製することができる。 あるいは、3−HPから1,3−プロパンジオールを創製する場合、(1)アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.34クラスの酵素)および(2)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.32クラスの酵素)の組み合わせを使用することができる。 リパーゼ活性を有するポリペプチドを使用して、エステルを形成することができる。 これらのような酵素的な反応は、in vitroで、例えば無細胞抽出物を使用して、またはin vivoで行うことができる。

    したがって、本発明の種々の実施形態、例えば、化学物質を作製する方法は、これらに限定されないが、本明細書に記載の化学物質、および組み込まれた参考文献に記載の化学物質を含めた(後者はこれを認める権限の範囲(jurisdiction)に関して)、微生物によって生成された3−HPの任意のそのような言及した下流の生成物に変換する工程を含む。 例えば、一実施形態では、本明細書における教示によって3−HP分子を作製し、その3−HP分子を重合した3−HP(ポリ3−HP)またはアクリル酸にさらに変換し、次に、アクリル酸などから、上記3−HP分子由来の、ポリアクリル酸(重合したアクリル酸、様々な形態で)、アクリル酸メチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、プロピオラクトン、3−HPエチル、マロン酸、1,3−プロパンジオール、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアルキル付加またはアリール付加が行われる、かつ/またはハロゲン、芳香族アミンまたは芳香族アミド、および芳香族炭化水素が付加される、アクリル酸またはアクリル酸エステルのいずれか1つを生成する。

    同様に言及した通り、下流の生成物へのいくつかの変換を酵素的に行うことができる。 例えば、3−HPは、3−HP−CoAに変換することができ、次にそれを、ポリヒドロキシ酸シンターゼ活性を有する酵素(EC2.3.1.−)を用いて、重合した3−HPに変換することができる。 また、1,3−プロパンジオールは、酸化還元酵素活性または還元酵素活性を有するポリペプチド(例えば、酵素のEC1.1.1.−クラスの酵素)を使用して作製することができる。 あるいは、3−HPから1,3−プロパンジオールを創製する場合、(1)アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.34クラスの酵素)および(2)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(例えば、1.1.1.32クラスの酵素)の組み合わせを使用することができる。 リパーゼ活性を有するポリペプチドを使用して、エステルを形成することができる。 これらのような酵素的な反応は、in vitroで、例えば無細胞抽出物を使用して、またはin vivoで行うことができる。

    したがって、本発明の種々の実施形態、例えば、化学物質を作製する方法は、これらに限定されないが、本明細書に記載の化学物質、および組み込まれた参考文献に記載の化学物質を含めた(後者はこれを認める権限の範囲に関して)、微生物によって生成された3−HPの任意のそのような言及した下流の生成物に変換する工程を含む。 例えば、一実施形態では、本明細書における教示によって3−HP分子を作製し、上記3−HP分子を重合した3−HP(ポリ3−HP)またはアクリル酸にさらに変換し、次に、アクリル酸などから、3−HP分子由来のポリアクリル酸(重合したアクリル酸、様々な形態で)、アクリル酸メチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、プロピオラクトン、3−HPエチル、マロン酸、1,3−プロパンジオール、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアルキル付加またはアリール付加が行われる、かつ/またはハロゲン、芳香族アミンまたは芳香族アミド、および芳香族炭化水素が付加される、アクリル酸またはアクリル酸エステルのいずれか1つを生成する。

    アクリレートまたはアクリルアミドなどの下流の化合物を形成する反応は、適切な安定化剤またはポリマーが形成される可能性を低減させる阻害剤の使用と併せて行うことができる。 例えば、米国特許出願公開第2007/0219390A1号を参照されたい。 安定化剤および/または阻害剤としては、これらに限定されないが、例えば、フェノール化合物(例えば、ジメトキシフェノール(DMP)またはジ−tert−ブチルフェノールなどのアルキル化されたフェノール化合物)、キノン(例えば、t−ブチルヒドロキノンまたはヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ))、および/または金属銅または金属銅塩(例えば、硫酸銅、塩化銅、または酢酸銅)が挙げられる。 阻害剤および/または安定剤は、当業者に公知の通り、個々に、または組み合わせて使用することができる。 また、種々の実施形態では、上記1つ以上の下流の化合物が約100パーセントに至るモル濃度収率、または約70パーセントから約90パーセントまでにわたるモル濃度収率、または約80パーセントから約100パーセントまでにわたるモル濃度収率、または約90パーセントから約100パーセントまでにわたるモル濃度収率で回収される。 そのような収率は、単一パス(バッチもしくは連続式)または特定のプロセスにおける反復的な分離工程および精製工程の結果であってよい。

    アクリル酸および他の下流の生成物は、おむつ、織物、カーペット、塗料、接着剤、およびアクリルガラスを含めた消費財の製造など、製造における一次産品として有用である。

    XII. 3−HP以外の化学生成物の生成 3−HPに関する開示は、限定的なものではなく、他の化学生成物を、そのような化学生成物の生成経路を含む微生物宿主細胞において本発明を使用することによってマロニルCoAから生成することができることが理解される。 本明細書に開示されている種々の教示および遺伝子改変の組み合わせを、適切に、3−HPを作製する微生物、方法および系に適用することができる。

    種々の実施形態では、マロニルCoAから、上記選択された化学生成物、例えば本明細書に詳細に記載されている3−HPへの代謝経路、およびマロニルCoAの脂肪酸アシルACP分子(その後は、脂肪酸に変換することができる)への変換を調節するための手段を含む微生物細胞も提供される。 それから、この調節するための手段により、そのような変換が減少するように調節される場合、比例して、より多数のマロニルCoA分子が1)生成され、かつ/または2)マロニルCoAから選択された化学生成物まで代謝経路を介して変換される。

    マロニルCoAから3−HPへの代謝経路は、本明細書に開示されており、限定的なものであることを意味しない。 3−HPへの他の経路は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載の耐性遺伝子改変の任意の組み合わせとの組み合わせを含めて、3−HPを生成するために利用することができる。 本明細書における例に示されているように、3HPTGCに関連するそのような遺伝子改変を加えることにより、有毒なレベルを下回る3−HPレベルで比生産性が予想外に増加する。 3−HPを生成する任意の生成経路を、3−HPTGCの遺伝子改変と組み合わせて、本明細書に開示されている比生産性および/または容積生産性の計量を実現することができる。

    3−HP以外の化学生成物についての他の代謝経路に関しては、マロニルCoAから生成される化学生成物についての種々の代謝経路が特定の生物体に存在することが公知であり(例えば、<<www.metacyc.org>>を参照されたい)、遺伝子組換え技法を使用して、選択された微生物細胞に、それぞれの代謝経路に沿って変換を触媒する種々のポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを提供することができる。 遺伝子組換えの特定の方法が本明細書に開示されており、一般的な参考文献に教示されているそのような方法も、当業者に公知であり、本明細書においても言及され、したがって、遺伝子工学の当業者は、そのような微生物細胞を、これらの教示に基づいて合理的に構築することができる。 あるいは、そのような代謝経路を含む野生型の微生物細胞を、本発明において、例えば本明細書において開示され、特許請求されている遺伝子改変および/または方法および系に使用するための出発細胞として利用することができる。

    XIII. 開示されている実施形態は非限定的である 本明細書には本発明の種々の実施形態が示され、記載されているが、そのような実施形態は、単に例として提供されていることが強調される。 本明細書の本発明から逸脱することなく、その種々の実施形態において多数の変形、変更および置換を行うことができる。 具体的には、いかなる理由であれ、本明細書において一覧表、表に述べられている、またはその他の方法で本明細書に提示されている化合物、核酸配列、機能性酵素、代謝経路の酵素もしくは中間体を含めた特定のタンパク質を含めたポリペプチド、エレメント、または他の組成物、または濃度の群分け、または他の群分け(例えば、図に示されている代謝経路の酵素)のいずれについても、別段の明記のない限り、そのような群分けのそれぞれは、種々のサブセットの実施形態の基礎を提供し、それを規定する働きをするものとし、それらの最も広範な範囲内の上記サブセットの実施形態はそれぞれの述べられた群分けの1つ以上のメンバー(またはサブセット)を除いてそのような群分けのあらゆるサブセットを含む。 さらに、任意の範囲が本明細書に記載されている場合、別段の明記のない限り、その範囲は、その中の全ての値およびその中の全ての部分範囲を包含する。

    同様に、かつ、より一般的には、本明細書における開示、議論、実施例および実施形態に従って、従来の分子生物学、細胞生物学、微生物学、および組換えDNA技法を当技術分野の技術の範囲内で使用することができる。 そのような技法は、文献において十分に説明されている。 (例えば、SambrookおよびRussell、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」第3版、2001年(1〜3巻)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;Animal Cell Culture、R. I. Freshney編、1986年を参照されたい)。 これらの公開されたリソースは、その中に見出される標準の実験室的方法についてのそれらのそれぞれの教示に関して、参照により本明細書に組み込まれている。 最低でも、本明細書において上記参照が引用される場合に示され得る特定の教示および/または他の目的がそのように組み込まれる。 特定の教示および/または他の目的が示されていない場合は、上記公開されたリソースは、上記参考文献の表題、要約、および/または概要の1つ以上によって示される教示(複数可)に関して詳細に組み込まれる。 そのような詳細に同定された教示および/または他の目的がそのように関連しない可能性がある場合は、上記公開されたリソースは、本発明が属する技術分野の現状をより完全に記載するため、および/または、そのような教示を、当業者には一般に公知であるとおり、適用可能なものとして提供するために組み込まれる。 しかし、本明細書において公開されたリソースを引用することは、そのようなものが本発明の先行技術であると承認するものと解釈されるべきではないことが特に明示される。 また、組み込まれた公開されたリソースの1つ以上が本出願と異なる、または矛盾するイベント、これらに限定されないが、定義された用語、用語の使用、記載されている技法をなど含めたイベントにおいては、本出願が支配する。 本実施例における主題は、既に存在していない限りはこのセクションに組み込まれる。

    本明細書における実施例は、遺伝子改変および補充物質の追加の組み合わせのいくつかの例を提供するが、それに限定するものではない。 以下の実施例は、実際の実施例および予測的な実施例の両方を含む。

    別段の指定のない限り、温度は摂氏温度の単位であり、圧力は、海抜およそ5,340フィート(1,628メートル)における気圧またはそれに近い気圧である。 外部の分析施設および合成施設において行われた研究は、海抜およそ5,340フィート(1,628メートル)における気圧またはそれに近い気圧で行われていないことに留意する。 実施例11Aおよび11Cは、示されている高さにない契約研究室において行われた。 全ての試薬は、別段の指定のない限り、商業的に入手される。 種および他の系統学的な同定は、微生物学の当業者に公知の分類に従う。

    本明細書において、主要な供給者の名称および所在都市が提供される。 さらに、Qiagenの製品に関しては、本明細書に記載の通り、ゲノムDNAを調製するための方法においてDNeasy(登録商標)Blood and Tissue Kit、カタログ番号69506を使用し;プラスミドDNAを精製するためにQIAprep(登録商標)Spin(「ミニプレップ」)、カタログ番号27106を使用し、ゲル抽出するためにQIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit、カタログ番号28706を使用する。

    (実施例1)
    マロニルCoA還元酵素(mcr)を発現するプラスミドの構築 Chloroflexus aurantiacus由来のマロニルCoA還元酵素遺伝子のヌクレオチド配列を、商業的なDNA遺伝子合成の提供者であるDNA2.0(Menlo Park、CA USA)のサービスに従いE. coliに対してコドン最適化した。 この遺伝子配列(配列番号803)には開始コドンの前にEcoRI制限酵素認識部位を組み入れ、その後ろにHindIII制限酵素認識部位を続けた。 さらに、リボソーム結合部位を上記開始コドンの前に置いた。 この遺伝子構築物はDNA2.0によって合成され、pJ206ベクターの骨格(配列番号804)中に提供される。 合成されたmcr遺伝子を含有するプラスミドDNA pJ206を、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たEcoRI酵素およびHindIII酵素を製造者の指示に従って用いて酵素による制限消化に供した。 その消化混合物を、アガロースゲル電気泳動によって分離し、適切なDNA断片を共通の方法セクションに記載の通り回収した。 pKK223−aroHを担持するE. coliクローニング株を、BoulderにあるUniversity of ColoradoのRyan T. Gill教授の研究室からの寄贈品として得た。 上記プラスミドを担持するこの株の培養物を増殖させ、プラスミドDNAを上記共通の方法セクションに記載の通り調製した。 プラスミドDNAを、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得た制限エンドヌクレアーゼの、EcoRIおよびHindIIIを製造者の指示に従って用いて消化した。 この消化は、aroH読み枠をpKK223骨格から分離するのに役立った。 その消化混合物を、アガロースゲル電気泳動によって分離し、pKK223プラスミドの骨格に対応するDNA片を含有するアガロースゲルの薄片を上記共通の方法セクションに記載の通り回収した。

    製造者の指示に従って、mcr遺伝子に対応する精製されたDNA断片とpK223ベクターの骨格をライゲーションし、そのライゲーション産物を形質転換し、電気穿孔した。 生じた、pKK223−mcrと称されるベクターの配列を、商業的な提供者によって実施される慣用の配列決定によって確認した(配列番号003)。 pKK223−mcrは、アンピシリンに対する抵抗性を付与し、E. coli宿主においてIPTGによって誘導可能なP tacプロモーターの制御下にあるC. aurantiacusのmcr遺伝子を含有する。

    pKK223において、P tacに加えて他のプロモーターの制御下でmcr遺伝子を発現させるために、合成のmcr遺伝子を他のプラスミドに移入した。 プラスミドpTrc−P trc −mcrは、pTrcHisA(Invitrogen、Carlsbad、CA;カタログ番号V360−20)に基づき、mcrの発現をIPTG誘導性のP trcプロモーターによって誘導する。 誘導因子非依存性P talAプロモーターは、E. coli talA遺伝子の上流の配列に基づく。 このプロモーターのヌクレオチド配列を、配列番号805として列挙されている合成のmcr遺伝子の開始コドンATGのすぐに上流に置いた。

    talA :mcr構築物を、PCRによってpSC−Bベクター(Stratagene Corporation,La Jolla、CA、USA)に組み入れ、それをE. coliストックにおいて成長させ、そのプラスミドDNAを本明細書の他の箇所に記載の方法に従って精製した。 pSC−B−P talA :mcrのP talA :mcr領域をプラスミドベクターpSMART−HCamp(Lucigen Corporation、Middleton、WI、カタログ番号40041−2、GenBank AF399742)に、ベクタープライマーM13FおよびM13Rを使用したPCRによって移入した。 PCRによって産生した断片を、製造者のプロトコールに従ってpSMART−HCampにクローニングし、mcrを発現するためにIPTGを用いた誘導を必要としないプラスミドであるpSMART(HC)Amp−P talA −mcr(配列番号806)をもたらした。

    (実施例2)
    トランスヒドロゲナーゼ(pntAB)を発現するプラスミドの構築 tpiA遺伝子(P tpiA )から得られた、誘導因子非依存性E. coliプロモーターとピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ遺伝子であるpntAB(配列番号779および配列番号781)の融合物を、ゲノムE. coli K12のDNA由来のtpiAプロモーター領域およびpntAB領域をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することによって創製した。 pntAB遺伝子について、その領域を、pntAのタンパク質配列に対するイニシエーターMetを組み入れるNcoI部位を含有するpntABフォワードプライマーGGGAACCATGGCAATTGGCATACCAAG(配列番号807、本明細書に開示されている全てのプライマーは人工的な配列であることに留意する)およびpntABリバースプライマーGGGTTACAGAGCTTTCAGGATTGCATCC(配列番号808)を使用して増幅した。 同様に、上記P tpiA領域を、フォワードプライマーGGGAACGGCGGGGAAAAACAAACGTT(配列番号809)およびNcoI制限酵素認識部位を含有するリバースプライマーGGTCCATGGTAATTCTCCACGCTTATAAGC(配列番号810)を使用して増幅した。 ポリメラーゼ連鎖反応の生成物を、Qiagen Corporation(Valencia、CA、USA)からのPCR精製キットを製造者の説明書を用いて使用して精製した。 精製した後、その生成物を、酵素NcoIを用いた酵素による制限消化に供した。 制限酵素は、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得、製造者の指示に従って使用した。 その消化混合物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲル電気泳動によって分離し、UV透過照明の下で視覚化した。 増幅したpntAB遺伝子産物およびP tpiA産物に対応するDNA断片を含有するアガロースゲルの薄片をゲルから切り出し、Qiagenからのゲル抽出キットを製造者の指示に従って使用してDNAを回収した。 その回収された生成物をT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs、Ipswich、MA USA)と、製造者の指示に従ってライゲーションした。

    上記ライゲーション反応の結果、いくつかの異なる生成物がもたらされ得るので、pntAB遺伝子とライゲーションしたP tpiA断片に対応する所望の生成物をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅し、2回目のゲル精製によって単離した。 このポリメラーゼ連鎖反応について、フォワードプライマーはGGGAACGGCGGGGAAAAACAAACGTT(配列番号809)であり、リバースプライマーはGGGTTACAGAGCTTTCAGGATTGCATCC(配列番号808)であり、鋳型としてそのライゲーション混合物を使用した。 上記消化混合物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲル電気泳動によって分離し、UV透過照明の下で視覚化した。 増幅したP tpiA −pntAB融合物に対応するDNA片を含有するアガロースゲルの薄片をゲルから切り取り、Qiagenからの標準のゲル抽出プロトコールおよび成分を製造者の指示に従って用いてDNAを回収した。 この抽出されたDNAを、Stratagene Corporation(La Jolla、CA、USA)から得たBlunt PCR Cloningキットを製造者の説明書を用いて使用し、pSC−Bベクターに挿入した。 コロニーを、コロニーポリメラーゼ連鎖反応によってスクリーニングした。 正確なサイズの挿入物を表しているコロニー由来のプラスミドDNAを培養し、Qiagenからの標準のミニプレップのプロトコールおよび成分を製造者の指示に従って使用してミニプレップした。 単離されたプラスミドを、制限消化によって検査し、配列決定によって確認した。 この手順で生成した、配列決定され検証された単離されたプラスミドを、pSC−B−P tpiA :pntABと名付けた。

    pSC−B−P tpiA :pntABのP tpiA :pntAB領域を、広宿主域の複製開始点およびクロラムフェニコール選択マーカーを提供するpBT−3ベクター(配列番号811)に移入した。 この構築物を実現するために、pBT−3ベクター由来の断片を、フォワードプライマーAACGAATTCAAGCTTGATATC(配列番号812)、およびリバースプライマーGAATTCGTTGACGAATTCTCT(配列番号813)を使用し、鋳型としてpBT−3を使用してポリメラーゼ鎖を増幅させることによって生成した。 その増幅生成物を、DpnIを用いた処理に供して、メチル化された鋳型DNAを制限し、その混合物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲル電気泳動によって分離し、UV透過照明の下で視覚化した。 増幅したpBT−3ベクター生成物に対応するDNA断片を含有するアガロースゲルの薄片をゲルから切り取り、Qiagenからの標準のゲル抽出プロトコールおよび成分を製造者の指示に従って用いてDNAを回収した。 pSC−B−P tpiA :pntAB中のP tpiA :pntAB挿入物を、フォワードプライマーGGAAACAGCTATGACCATGATTAC(配列番号814)およびリバースプライマーTTGTAAAACGACGGCCAGTGAGCGCG(配列番号815)を用いたポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅した。 両方のプライマーは5'リン酸化した。

    PCR生成物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲル電気泳動によって分離し、UV透過照明の下で視覚化した。 増幅したP tpiA :pntAB挿入物に対応するDNA断片を含有するアガロースゲルの薄片をゲルから切除し、Qiagenからの標準のゲル抽出プロトコールおよび成分を製造者の指示に従って用いてDNAを回収した。 この挿入DNAを、New England BioLabs(Bedford、MA、USA)から得たT4 DNAリガーゼを製造者の指示に従って用いて本明細書に記載の通り調製したpBT−3ベクターにライゲーションした。 ライゲーション混合物を、Lucigen Corpから得たE. coli 10G細胞に、製造者の指示に従って形質転換した。 コロニーを、コロニーポリメラーゼ連鎖反応によってスクリーニングした。 正確なサイズの挿入物を表しているコロニー由来のプラスミドDNAを培養し、Qiagenからの標準のミニプレップのプロトコールおよび成分を製造者の指示に従って使用して精製した。 単離されたプラスミドを、制限消化によって検査し、配列決定によって確認した。 この手順で生成した、配列決定され検証された単離されたプラスミドをpBT−3−P tpiA :pntAB(配列番号816)と名付けた。

    (実施例3)
    アセチル−CoAカルボキシラーゼ(accABCD)を発現するプラスミドの構築 E. coli由来のアセチル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ複合体の成分を発現することができる2つのオペロンを保有するプラスミド、を商業的なDNA遺伝子合成の提供者であるDNA2.0(Menlo Park、CA USA)が構築した。 この構築物には、E. coli tpiA遺伝子から得られた誘導因子非依存性プロモーターの制御下にあるaccA遺伝子およびaccD遺伝子のDNA配列、ならびにE. coli rpiA遺伝子から得られた誘導因子非依存性プロモーターの制御下にあるaccB遺伝子およびaccC遺伝子のDNA配列を組み入れた。 リボソーム結合配列を各コード配列に先行させた。 設計されたオペロンをpJ251ベクターの骨格中に提供し、pJ251:26385(配列番号817)と名付けた。

    そのpJ251:26385プラスミドのtpiAプロモーターをよりよい発現をもたらすように変化させた。 この改変は、そのpJ251:26385プラスミドを、フォワードプライマーGCGGGGCAGGAGGAAAAACATG(配列番号818)およびリバースプライマーGCTTATAAGCGAATAAAGGAAGATGGCCGCCCCGCAGGGCAG(配列番号819)を用いて増幅することによって組み入れた。 これらのプライマーのそれぞれは、5'リン酸化修飾を伴って合成した。 生じたPCR生成物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲル電気泳動によって分離し、適切なDNA断片を回収した。 回収された生成物を、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たT4 DNAリガーゼを製造者の指示に従って用いて自己ライゲーションさせ、DpnIで消化した。 正確なサイズの挿入物を表しているコロニー由来のプラスミドDNAを培養し、Qiagenからの標準のミニプレップのプロトコールおよび成分を製造者の指示に従って使用して精製した。 単離されたプラスミドを、制限消化によって検査し、配列決定によって確認した。 この手順で生成した、配列決定され検証された単離されたプラスミドを、pJ251(26385)−P tpiA :accAD−P rpiA :accBC(配列番号820)と名付けた。

    (実施例4)
    3−HP寛容原性複合体に関連する遺伝子を発現するプラスミドの構築 上記3HPTGCの酵素活性を示すポリペプチドを発現する遺伝子を含むプラスミドのためのプラスミド構築の例が、2010年1月28日に公開されたWO2010/011874から組み込まれる。 3−HP耐性を増加させるために、特定の実施形態において多くの単一の上記3HPTGCの遺伝子改変または上記3HPTGCの遺伝子改変の組み合わせが提供され得るが、ごくわずかのみが本実施例において提供される。 これは、限定的であることを示すものではない。

    (実施例5)
    3−ヒドロキシプロピオン酸を生成する特定の株の構築 以下の表に示されているそれぞれの組み合わせに従って、本明細書に記載のプラスミドをそれぞれの基本株に導入した。 全てのプラスミドを、標準の方法を使用して、電気穿孔によって同時に導入した。 形質転換された細胞を、抗生物質を補充した適切な培地で増殖させ、選択培地におけるそれらの適切な増殖に基づいてコロニーを選択した。 mcr発現プラスミドpKK223−mcrを、E. coli DF40(Hfr、garB10、fhuA22、ompF627、fadL701、relA1、pitA10、spoT1、rrnB−2、pgi−2、mcrB1、creC527)またはE. coli JP1111(Hfr、galE45(GalS)、LAM−、fabI392(ts、温度感受性)、relA1、spoT1、thi−1)に、上記共通の方法セクションに記載の通り形質転換した。 当技術分野で公知の通り、上記DF40株およびJP1111株は、Yale Coli Genetic Stock Collection(New
    Haven、CT USA)を含めた供給源から入手可能である、一般に入手可能なE. coli株である。 これらのmcr形質転換体から、上記共通の方法セクションに記載の通り形質転換に対して適格な細胞を電気穿孔によって調製し、追加のプラスミドで形質転換することによって、複数の適合性のプラスミドを保有する株を構築した。 その後、適切に組み合わせた抗生物質を含有する培地で形質転換体を選択した。

    表9. 株名および特性

    (実施例6)


    3−ヒドロキシプロピオン酸の生成 KX3_0001による3−HPの生成を、流加(富栄養)またはAM2(最小塩)培地において100mL規模で実証した。 培養を標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって冷凍ストックを100μg/mLのアンピシリンを加えたLB培地50mLに入れて開始し、37℃で一晩、225rpmで回転させながら静止期になるまで増殖させた。 この培養物5mlを、100mlの、40g/Lのグルコース、100μg/mLのアンピシリン、1mMのIPTGを加えた流加培地またはAM2培地に、3連の250mlのバッフルフラスコ中に移し、37℃、225rpmでインキュベートした。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD

    600 、光路長1cm)を測定するために、指定の時点で試料(2ml)を取り出し、12,000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクション中の「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD

    600を決定するためのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD

    600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、24時間の時点の平均データから比生産性を算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。 流加培地におけるKX3

    _ 001株による3−HPの生成が、以下の表に示されている。 これらの条件下で、24時間後の比生産性は、DCW1g当たり0.0041gの3−HPである。

    表10. 流加培地におけるKX3 _ 0001による3−HPの生成

    (実施例7)


    脂肪酸の合成を阻害することによってマロニルCoA前駆体プールを増加させることの、3−HPの生成に対する影響 本明細書に記載の通り、ある特定の化学物質が、上記脂肪酸合成酵素系の種々の酵素を阻害することが公知であり、そのいくつかは、膜の維持および増殖、および微生物の増殖における脂肪酸の合成の役割を考慮して、抗生物質として使用される。 これらの阻害剤には、KASI β−ケトアシル−ACPシンターゼを阻害するセルレニンがある(例えば、E.coliにおけるfabB)。 選択された化学生成物、ここでは3−HPへの生成経路(ここでは、マロニルCoAがその経路における基質である)を含む微生物におけるマロニルCoAの利用を調節し、シフトさせるアプローチをさらに評価するために、培養中のセルレニンの添加について評価した。

    マロニルCoAの下流の経路は脂肪酸の生合成および3HPの生成に限られている(マロニルCoAを経由する後者への経路が細胞に存在する、または細胞においてもたらされる場合)。 この実験は、3HPの生成株におけるマロニルCoAプールの使用を制御し、さらに3HPの生成の速度を改善する方法を決定するように設計する。 脂肪酸の生合成を阻害し、マロニルCoAプールを調節することによって、この経路を通るフラックスが3HPの生成に向かってシフトすることが仮定される。 現在通用している3HPの生成経路における、マロニルCoAを通る、可能性のある炭素の流れの図が図9に示されている。 脂肪酸の伸長を妨害し、かつマロン酸部分をアセチルCoAプールに戻して再捕捉する無益回路を破壊する代表的な阻害剤が選択されている。

    流加培地における、10μg/mlのセルレニンの存在下でのKX3_0001株による生成が表11に示されている。 マロニルCoA前駆体の内部のプールは、上記阻害剤の存在下で増加し、したがって3−HPの生成の増加をもたらすことが提唱されている。 セルレニンがない場合の結果と比較することによって認めることができるように(表5)、どの時点においても実質的に多くの3−HPが生成され、24時間の時点の比生産性はDCW1g当たり0.128gの3−HPであり、セルレニンがない場合の結果と比較して31倍増加する。

    表11.10μg/mlのセルレニンが存在する流加培地におけるKX3_0001による3−HPの生成

    (実施例8)


    温度感受性脂肪酸合成変異体を使用してマロニルCoA前駆体プールを増加させることの、3−HPの生成に対する影響 内部のマロニルCoAプールを増加させるための代替のアプローチは、化学阻害剤ではなく遺伝子突然変異を使用することである。 脂肪酸を合成する機能をコードする遺伝子における不活化突然変異は、通常致死的であり、したがって入手できないが、温度感受性変異体などの条件付の変異体については記載されている(de Mendoza、D.、およびCronan、J. E.、Jr.(1983年)Trends Biochem.


    Sci. 、8巻、49〜52頁)。 例えば、JP1111株のエノイルACP還元酵素をコードするfabI遺伝子における温度感受性突然変異(遺伝子型fabI392(ts))は30℃などの温度低減時に比較的正常な活性を有し、温度を上昇させて、例えば、37℃から42℃まで上昇させて培養した場合におそらく変性および不活化によって非許容になり、自身のエノイルACP還元酵素として、この温度感受性変異体のみを含む微生物は、実質的により少ない脂肪酸およびリン脂質を生成する。 これにより、増殖が減少する、または増殖が起こらない。 しかし、マロニルCoAからの、例えば3−HPへの生成経路も含む遺伝子改変された微生物においてそのような変異体がもたらされる場合、培養温度を上昇させることを伴う有効な培養方法により、3−HPの比生産性の増加がもたらされ得ることが仮定された。

    流加培地中、30℃の一定の温度におけるJX3_0077株による3−HPの生成、および培養物を30℃から42℃までの温度シフトに供したJX3_0077株による3−HPの生成が表12に示されている。 上記温度シフトは、上記エノイルACP還元酵素を不活化し、したがって、今度は内部のマロニルCoAプールを増加させる脂肪酸の蓄積を排除するように設計する。 どの時点においても実質的により多い3−HPが生成し、上記温度をシフトさせた培養物による24時間の時点の比生産性はDCW1g当たり1.15gの3−HPであり、30℃で一定に維持した培養物によるDCW1g当たり0.011gの3−HPの比生産性に対して100倍を超える増加である。 上記エノイルACP還元酵素が温度の上昇によって不活化される上記培養物によるこの生産性の増加は、マロニルCoAの利用がシフトすることにより、3−HPの生成が増加するという見解を支持する。

    表12. 流加培地におけるJX3_0077による3−HPの生成

    表13に、mcr遺伝子を保有するプラスミドに加えて、トランスヒドロゲナーゼ遺伝子を過剰発現するプラスミドを保有するJX3_0087株による3−HPの生成を示す。 30℃の一定温度で維持した培養物では、24時間にDCW1g当たり0.085gの3−HPの比生産性が達成された。 これは、過剰発現したトランスヒドロゲナーゼ遺伝子を保有しないJX3_0077の比生産性よりも著しく高い(表7)。 JX3_0087の温度をシフトさせた培養物の比生産性はDCW1g当たり1.68gの3−HPであり、30℃で一定に維持した、上記エノイルACP還元酵素が不活化されなかった培養物の比生産性に対して20倍増加した。

    表13. 流加培地におけるJX3_0087による3−HPの生成

    表14に、mcr遺伝子を保有するプラスミドに加えて、アセチル−CoAカルボキシラーゼ複合体をコードする遺伝子を過剰発現するプラスミドを保有するJX3_0097株による3−HPの生成を示す。 30℃の一定温度で維持した培養物では、24時間にDCW1g当たり0.0068gの3−HPの比生産性が達成された。 この比生産性は、アセチル−CoAカルボキシラーゼが過剰発現していないJX3_0077株によって達成された比生産性と同様である。 JX3_0097の温度をシフトさせた培養物の比生産性は、DCW1g当たり0.29gの3−HPであり、30℃で一定に維持した、上記エノイルACP還元酵素が不活化されていない培養物の比生産性に対して42倍増加した。


    表14. 流加培地におけるJX3_0097による3−HPの生成

    富栄養培地である流加培地は、脂肪酸前駆体としての働きをする成分を含有してよく、したがってマロニルCoAの要求が低減し得る。 したがって、最少培地であるAM2におけるJP1111から得られる株による3−HPの生成を検証した。 表15に示されているように、AM2培地において、JX3_0077によって3−HPが生成された。 30℃で一定に維持した培養物により、24時間にDCW1g当たり0.024gの3−HPの比生産性が得られ、これは流加培地において得られた値のおよそ2倍であった。 上記温度をシフトさせた培養物により、24時間に渡ってDCW1g当たり1.04gの3−HPの比生産性が達成され、30℃で一定に維持した培養物の比生産性と比較して44倍増加し、これにより、本発明者らが想定した通り、上記エノイルACP還元酵素の条件付の不活化によって内部のマロニルCoAプールが増加し、したがって3−HPの生成が増加することが今一度示されている。

    表15. AM2培地におけるJX3_0077による3−HPの生成

    AM2培地における、mcr遺伝子を保有するプラスミドに加えて、トランスヒドロゲナーゼ遺伝子を過剰発現するプラスミドを保有したJX3_0087株による3−HPの生成が示されている。 30℃の一定温度で維持したJX3_0087培養物では、24時間にDCW1g当たり0.018gの3−HPの比生産性が達成された。 流加培地において得られた結果と対照的に、この値は、AM2において、上記過剰発現したトランスヒドロゲナーゼ遺伝子を保有しないJX3_0077株を用いて得られた比生産性よりも高くない(表15)。 JX3_0087の温度をシフトさせた培養物の比生産性は、DCW1g当たり0.50gの3−HPであり、30℃で一定に維持した、上記エノイルACP還元酵素が不活化されていない培養物の比生産性に対して27倍増加した。

    表16. AM2におけるJX3_0087による3−HPの生成

    表17に、AM2培地における、mcr遺伝子を保有するプラスミドに加えて、アセチル−CoAカルボキシラーゼ複合体をコードする遺伝子を過剰発現するプラスミドを保有するJX3_0097株による3−HPの生成を示す。 30℃の一定温度で維持した培養物では、24時間にDCW1g当たり0.021gの3−HPの比生産性が達成された。 この比生産性は、アセチル−CoAカルボキシラーゼが過剰発現していないJX3_0077株によって達成された比生産性と同様である。 JX3_0097の温度をシフトさせた培養物の比生産性は、24時間にDCW1g当たり0.94gの3−HPであり、30℃で一定に維持した、上記エノイルACP還元酵素が不活化されていない培養物の比生産性に対して45倍増加した。

    表17. AM2におけるJX3_0097.0による3−HPの生成

    同じ生物体内で、mcr(マロニルCoA還元酵素)、pntAB(トランスヒドロゲナーゼ)、およびaccABCD(アセチル−CoAカルボキシラーゼ複合体)を発現するプラスミドを組み合わせることの効果を、JX3_0098株を構築することによって試験した。 上の表に、AM2培地におけるこの株による3−HPの生成を示す。 30℃で一定に維持した培養物において、24時間にDCW1g当たり0.54gの3−HPの比生産性が得られ、これは、mcrを単独で保有する株、またはmcrと、pntABもしくはaccABCDの両方ではなくいずれかを一緒に保有する株に対して20倍を超える増加を表している。 温度をシフトさせてエノイルACP還元酵素を不活化することにより、24時間にDCW1g当たり2.01gの3−HPの比生産性がもたらされ、さらに3.8倍増加した。 したがって、pntABの過剰発現とaccABCDの過剰発現の組み合わせに加えて温度感受性fabI

    ts対立遺伝子によるエノイルACP還元酵素の不活化により、mcr担持細胞による3−HPの比生産性がおよそ500倍増加する(24時間に比生産性がDCW1g当たり2.01gの3−HP対DCW1g当たり0.0041gの3−HP)。

    表18. AM2培地におけるJX3_0098.0による3−HPの生成

    (実施例9)


    fabI

    ts変異体の配列 JP1111株が保有するfabI

    ts対立遺伝子における的確な配列の変化の性質を再確認した。 この変化を確認することにより、温度感受性が異なる代替の株および野生型とfabI392温度感受性対立遺伝子の中間の安定性を持つ変異体を産生するための標的変異誘発が可能になり、30℃よりも高い一定温度で増殖させ、その一方で内部のマロニルCoAプールの増加の利益をもたらすことが可能になる。 野生型(BW25113)E. coliおよびJP1111突然変異E. coliの染色体のこのセグメントのDNA配列を確認するために、これらの株から染色体DNAを調製した。 これらのDNAを、以下のプライマーを用いたPCR反応の鋳型として使用した:

    上記PCRのためのサーモサイクラー条件は:95℃で10分;以下を30サイクル、95℃で10秒;47℃から58℃に上昇させて、30秒;72℃で1分;その後、72℃で5分間の最終のインキュベーションであった。 そのPCR生成物を、上記共通の方法セクションに記載の通り、アガロースゲルで分離し、適切なサイズの断片を回収し、プライマーを使用して配列決定した:

    fabI392から得たDNA配列(配列番号769)と野生型株から得たDNA配列を比較することにより、野生型遺伝子の722位のCがTになっている対立遺伝子間の単一の差が示され(図4A参照)、これによりコドン241のSerがPheに変化しているタンパク質がもたらされ(図4B参照)。 これらの変化は、Bergler、H. 、Hogenauer、G. 、およびTurnowsky、F. 、J. Gen. Microbiol. 138巻:2093〜2100頁(1992年)によって見出された変化と同一である。

    上記コドン241での影響を受けた残基を同定することにより、このコドンにおける標的変異誘発、例えばTrp、Tyr、His、Ile、またはSerまたはPhe以外の他のアミノ酸などのアミノ酸残基への標的変異誘発が示され、それによりJP1111において最初に単離されたfabI392と性質が異なるfabI対立遺伝子がもたらされ得る。 コドン241の近くのコドンにおける標的変異誘発により、特性が変化した所望のfabI変異体を得ることも意図することができる。

    (実施例10)
    3−HP寛容原性複合体由来の遺伝子が過剰発現することの、3−HPの生成に対する影響 mcrを発現するプラスミド(pTrc−P trc −mcrまたはpSMART(HC)Amp−P talA −mcr)を、単独で、または、上記3−HP寛容原性複合体由来の代表的な遺伝子を保有する適合性のプラスミド(pJ61−aroG、pJ61−thrA、pACYC177−cynTS、pJ61−cynTS)と一緒に保有する一連の株を構築した。 表19ではその株およびそれらの特性がカテゴリー化されている。

    表19. 寛容原性複合体遺伝子を担持するプラスミドを保有する株の株名および特性

    上記3−HP寛容原性複合体(3HPTGC)由来の遺伝子を保有するプラスミドを持たない、およびそれを持つ、pTrc−P

    trc −mcrを保有する株による3−HPの生成が表20に示されている。 培養物を30℃で一定に維持したこと、および株を24時間後のそれらの比生産性に基づいて評価したこと以外は、実施例6と同様に3−HPの生成を行った。 表20に示されているように、JX3_0077株とIPTG誘導性プラスミドの性質のみが異なるJX3_0118株の比生産性は、JX3_0077のDCW1g当たり0.011gの3−HPと比較して24時間にDCW1g当たり0.19gの3−HPであった。 この、30℃で一定に維持した培養物による比生産性が17倍増加したことは、安定性およびpTrc−P

    trc −mcrによるmcrの発現が増加したことに起因し得る。

    上記3−HP寛容原性複合体由来の遺伝子が発現することにより、3−HPの生産性がさらに増加する。 24時間に比生産性は、JX3_0110においてaroGが発現することにより、2.3倍増加し、JX3_0111においてthrAが発現することにより、2.2倍増加し、JX3_0112においてcynTSが発現することにより、10.6倍増加した。

    表20

    同様の結果が、pSMART(HC)Amp−P

    talA −mcrによって発現されるmcrおよび上記3−HP寛容原性複合体由来の遺伝子を保有する追加のプラスミドを保有する株において得られた。 培養物を30℃で一定に維持したこと、および株をそれらの24時間後の比生産性に基づいて評価したこと以外は、実施例6と同様に3−HPの生成を行った。 上記mcr発現プラスミドを単独で保有する株(JX3_0104)、または空の対照ベクターと一緒に保有する株(JX3_0119)は、それぞれ、24時間にDCW1g当たり0.062gの3−HPまたは0.068gの3−HPの比生産性を有した。 24時間に比生産性は、JX3_0119株と比較して、JX3_0114においてaroGが発現することにより2.4倍増加し、JX3_0115においてthrAが発現することにより2.6倍増加し、JX3_0116またはJX3_0117においてcynTSが発現することにより2.1倍増加した。 したがって、上記3−HP寛容原性複合体由来の代表的な遺伝子が過剰発現することにより、これらの遺伝子の耐性の効果が最初に同定された際のものをはるかに下回る排出される3−HPのレベルにおいてさえも、3−HPの比生産性が著しく増加した。 これは、予想外の有益な結果である。

    表21. pSMART(HC)Amp−P talA −mcrおよび3−HP寛容原性複合体由来の遺伝子を担持するプラスミドを保有する株による3−HPの生成

    (実施例11)


    温度感受性脂肪酸合成変異体を使用してマロニルcoA前駆体プールを増加させることの、1Lの発酵3−HPの容量生成に対する影響 4つの1L流加発酵実験を、JX3_0098株を使用して行った。 簡単に述べると、種培養を開始し、LB培地(ルリアブロス(Luria Broth))中で一晩増殖させ、それを使用して1LのNew Brunswick発酵容器4つに接種した。 その第1の容器は30℃で限定AM2培地(defined AM2 medium)を含有し、OD

    600 nmが2において、2mMでIPTG誘導を加え、グルコースが1g/Lから2g/Lの間に枯渇したら、追加のグルコース供給を開始した。 標的のOD10において1時間にわたって温度を37℃にシフトさせた。 グルコースが1g/Lを超える濃度で蓄積し始めるまで、>3g/L/時間の高いグルコース供給速度を維持し、その時点で供給速度を変化させて残留グルコースを1g/Lから10g/Lの間に維持した。 その第2の容器は30℃で限定AM2培地を含有し、OD

    600 nmが2において、2mMでIPTG誘導を加え、グルコースが0g/Lまで枯渇したら追加のグルコース供給を開始した。 標的のOD10において1時間にわたって温度を37℃にシフトさせた。 上記グルコース供給速度を3g/L/時間以下に維持した。 その第3の容器は30℃で富栄養培地を含有し、OD

    600 nmが2において、2mMでIPTG誘導を加え、グルコースが1〜2g/Lまで枯渇したら追加のグルコース供給を開始した。 標的のOD10において1時間にわたって温度を37℃にシフトさせた。 グルコースが1g/Lを超える濃度で蓄積し始めるまで、>3g/L/時間の高いグルコース供給速度を維持し、その時点で供給速度を変化させて残留グルコースを1g/Lから10g/Lの間に維持した。 その第4の容器は30℃で富栄養培地を含有し、OD

    600 nmが2において、2mMでIPTG誘導を加え、グルコースが0g/Lまで枯渇したら追加のグルコース供給を開始した。 標的のOD10において1時間にわたって温度を37℃にシフトさせた。 上記グルコース供給速度を3g/L/時間以下に維持した。

    図5に増殖プロファイルが示されており、矢印は温度シフトの開始を示している。 全ての発酵容器を、50%v/vの水酸化アンモニウム(Fisher Scientific)を制御添加することによってpH=7.4に維持した。 全ての容器を、濾過された空気を散布して通気することによって溶存酸素が少なくとも20%になるように維持した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HP濃度についてHPLC分析するために試料を取得した(共通の方法を参照されたい)。 最大の容積生産性は、2.99g/L/時間に到達した。 さらに、この図により、これらの4つの容器における、3〜4時間の平均バイオマス濃度と3〜4時間の平均容積生産性速度との間の相関が実証されている。

    (実施例11A)
    250リットルの発酵における3−HPの生成 容量250リットルのステンレス鋼の発酵槽における2つの流加発酵の例を、その遺伝子型が本明細書の他の箇所に記載されているBX3_0240株を使用して行った。 2段階の播種プロセスを使用して250Lの発酵槽用に種菌を産生した。 その第1段階では、この株のグリセロールストック1mlを振とうフラスコ中、100mlのTB培地(Terrific Broth)に播種し、OD 600が3から4の間になるまで30℃でインキュベートした。 その第2段階では、その振とうフラスコ培養物85mlを、TB培地8Lを含有する14LのNew Brunswick発酵槽に無菌的に移し、OD 600が5から6の間になるまで30℃において、500rpmで撹拌して増殖させた。 その14Lの発酵槽からの培養物を使用して、限定FM5培地(共通の方法セクションを参照されたい)を含有する250L容量のバイオリアクターに、30℃で無菌的に接種し、接種後の容積を155Lにした。

    上記第1の発酵では、IPTGを、OD 600 20において最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらした。 上記発酵槽内の残留グルコースが10〜15g/Lになったら、グルコース供給(700g/Lのグルコース溶液からなる)を開始した。 その供給速度を調整して、発酵の最後の約6時間まで残留グルコースを10g/Lから15g/Lの間に維持し、3−HPの回収を容易にするために、その時点で上記供給速度を低減させて回収時の残留グルコースが<1g/Lになるようにした。 誘導の3時間後、1時間にわたって上記温度を37℃にシフトさせた。 その温度シフトを開始した時点で、溶存酸素(DO)の設定ポイントを、20%の空気飽和からDOが2〜4%のの空気飽和の間に維持されたポイントに変更した。 接種の48時間後に発酵ブロスを回収した。 最終ブロスの体積は、169.5リットルであった。

    上記第2の発酵を、以下の違い以外は、上記の第1の発酵の例と同様に実行した:IPTGを用いた誘導をOD 600 15においてもたらし、残留グルコース(上記グルコース供給を始めた後)は3〜30g/Lの範囲にわたり、最終残留グルコース濃度が25g/Lになるように、接種の38.5時間後に発酵ブロスを回収した。 最終ブロスの体積は167リットルであった。

    無水アンモニアガスを制御添加することによって、各発酵ブロスのpHをおよそ7.4に維持した。 溶存酸素を、滅菌濾過した空気を散布して通気することによって所望のレベルに維持した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HP濃度についてHPLC分析するために試料を取得した。 上記第1の発酵では、最大バイオマス濃度は1L当たりの乾燥細胞重量が12.0gであり、回収時のバイオマス濃度は1L当たりの乾燥細胞重量が11.4gであり、この発酵における最大の3−HPの力価は20.7g/Lであった。 上記第2の発酵では、上記最大バイオマス濃度は1L当たりの乾燥細胞重量が10.2gであり、回収時のバイオマス濃度は1L当たりの乾燥細胞重量が9.5gであった。 この発酵における最大の3−HPの力価は20.7g/Lであった。

    (実施例11B)
    1Lの発酵における、3−HPの生成に対する増殖培地の影響 8つの1L流加発酵実験を、BX3_0240株を使用して行った。 種培養を、振とうフラスコ中400mlのTB培地(Terrific Broth)に接種した株のグリセロールストック1mlから開始し、OD 600が5から6の間になるまで30℃でインキュベートした。 振とうフラスコ培養物を使用して1L容量のバイオリアクターのそれぞれに無菌的に接種して、接種後の各容器における体積を653mlにした。

    発酵槽1および2は、限定FM3培地を含有した。 発酵槽3〜5は、限定FM4培地を含有した。 発酵槽6〜8は、限定FM5培地を含有した。 培地の組成は全て上記共通の方法セクションに列挙されている。 各発酵槽内の最初の温度は30℃であった。

    IPTGを、OD 600値15〜16において最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらした。 発酵槽内の残留グルコースが約10g/Lになったら、グルコース供給(FM3培地およびFM5培地については500g/Lのグルコース溶液からなり、FM4については500g/Lのグルコースに加えて75mMのMgSO からなった)を開始した。 上記供給速度を調整して残留グルコースを>3g/Lに維持した(発酵槽8は例外であり、上記残留グルコースは、その供給速度を増加させる前に一時的に0.1g/Lに到達した)。 誘導の3時間後、1時間にわたって上記温度を37℃にシフトさせた。 その温度シフトを開始した時点で、溶存酸素(DO)の設定ポイントを20%の空気飽和から1%の空気飽和に変更した。 接種した48時間後に発酵を停止させた。

    各発酵槽のブロスのpHを、pH滴定剤を制御添加することによっておよそ7.4のpHに維持した。 FM3培地用のpH滴定剤は5MのNaOHであり、FM4およびFM5用のpH滴定剤は濃水酸化アンモニウムと水の50:50混合物であった。 溶存酸素を、滅菌濾過した空気を散布することによって所望のレベルに維持した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HP濃度についてHPLC分析するために試料を取得した。 各発酵槽における最大バイオマス濃度および回収時のバイオマス濃度ならびに最大の3−HPの力価が以下の表22に要約されている。

    表22

    (実施例11C)


    1Lの発酵における、バッチリン酸塩濃度の3−HPの生成に対する影響。

    4つの1L流加発酵実験を、BX3_0240株を使用して行った。 種培養を、振とうフラスコ中、400mlのTB培地(Terrific Broth)に接種した株のグリセロールストック1mlから開始し、OD 600が5から7の間になるまで、30℃でインキュベートした。 その振とうフラスコ培養物を使用して、1L容量のバイオリアクターのそれぞれに無菌的に接種し、接種後の各容器における体積を653mlにした。

    全ての発酵槽が限定FM5増殖培地を含有したが、それぞれにおいて、リン酸二水素カリウムおよびリン酸二カリウムの最初の濃度が異なった。 各発酵槽におけるバッチ培地中のリン酸塩濃度が表23に要約されている。 そのFM5培地の組成は上記共通の方法セクションに列挙されている。

    表23

    各発酵槽内の最初の温度は、30℃であった。 IPTGを、OD

    600値が以下の値である場合に最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらした:発酵槽1、15.3;発酵槽2、16.0;発酵槽3、18.1;発酵槽4、18.4。 上記発酵槽内の残留グルコースが約10g/Lになったら、グルコース供給(FM3培地およびFM5培地については500g/Lのグルコース溶液からなり、FM4については、500g/Lのグルコースに加えて75mMのMgSO

    からなった)を開始した。 その供給速度を調整して、残留グルコースを>6.5g/Lに維持した。 誘導の3時間後、温度を、1時間にわたって37℃にシフトさせた. 上記温度シフトを開始した時点で、溶存酸素(DO)の設定ポイントを20%の空気飽和から1%の空気飽和に変更した。 接種した48時間後に発酵を停止させた。

    各発酵槽のブロスのpHを、濃水酸化アンモニウムと水の50:50混合物を制御添加することによって7.4に維持した。 滅菌濾過した空気を散布することによって溶存酸素を所望のレベルで維持した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HPの濃度についてHPLC分析するために、試料を取得した。 各発酵槽における最大バイオマス濃度および回収時のバイオマス濃度ならびに最大の3−HPの力価が以下の表24に要約されている。

    表24

    (実施例11D)


    1Lの発酵における3−HPの生成 2つの1L流加発酵実験を、BX3_0240株を使用して行った。 種培養を、振とうフラスコ中、100mLのTB培地(Terrific Broth)に接種した株のグリセロールストック1mlから開始し、OD

    600が5から6の間になるまで30℃でインキュベートした。 その振とうフラスコ培養物を使用して1L容量のバイオリアクターのそれぞれに無菌的に接種し(5%体積/体積)、接種後の各容器における体積を800mLにした。 本実験で使用した発酵槽はDas Gip流加プロ並行発酵システム(pro


    parallel fermentation system)(DASGIP AG、Julich、Germany、SR0700ODLSモデル)であった。 この発酵システムは、溶存酸素(%DO)、pH、温度、撹拌、および供給をリアルタイムにモニターし制御することを含んだ。 発酵槽1および2は、クエン酸を2.0g/Lで加え、MgSO

    を0.40g/Lで加えたこと以外は上記共通の方法セクションに示されているように作製した限定FM5培地を含有した。 各発酵槽内の最初の温度は、30℃であった。 IPTGを、OD

    600値17〜19において最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらし、これは、接種の14.5時間後に対応した。 上記発酵槽内の残留グルコースが約1g/Lになったら、グルコース供給(500g/Lのグルコース溶液からなる)を開始した。 その供給速度を調整して、残留グルコースを>3g/Lに維持した。 誘導の3時間後、温度を、1時間にわたって37℃にシフトさせた。 その温度シフトを開始した時点で、気流および撹拌をそれぞれ1.08vvmおよび1000rpmに設定することによって、OTRを40mmol/L−hrに設定した。 2バールに圧縮した空気を空気の供給として使用した。 各発酵槽のブロスのpHを、pH滴定剤を制御添加することによっておよそ7.4に維持した。 IPTG誘導の2時間後、上記pH滴定剤を50%のNH

    (OH)から7.4MのNaOHに変更した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HPの濃度についてHPLC分析するために、試料を取得した。 各発酵槽における最大バイオマス濃度および回収時のバイオマス濃度ならびに最大の3−HPの力価が以下の表25に要約されている。

    表25

    以下の表26に、示した時間において、発酵ブロスにおいて得られた代謝生成物の濃度の概要を、時間を単位として提供する。

    表26(続き)

    (実施例11E)


    1Lの発酵における3−HPの生成 4つの1L流加発酵実験を、BX3_0240株を使用して行った。 種培養を、振とうフラスコ中、100mLのTB培地(Terrific Broth)に接種した株のグリセロールストック1mlから開始し、OD

    600が5から6の間になるまで30℃でインキュベートした。 上記振とうフラスコ培養物を使用して1L容量のバイオリアクターのそれぞれに無菌的に接種し(5%体積/体積)、接種後の各容器における体積を800mlにした。 本実験で使用した発酵槽はDas Gip流加プロ並行発酵システム(DASGIP AG、Julich、Germany、SR0700ODLSモデル)であった。 この発酵システムは、溶存酸素(%DO)、pH、温度、撹拌、および供給をリアルタイムにモニターし制御することを含んだ。 全ての発酵槽が、クエン酸を2.0g/Lで加え、MgSO

    を0.40g/Lで加えたこと以外は上記共通の方法セクションに示されているように作製した限定FM5培地を含有した。 各発酵槽内の最初の温度は、30℃であった。 IPTGを、OD

    600値15〜19において最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらし、これは接種の15.75時間後という時間に対応した。 上記発酵槽内の残留グルコースが約3g/Lになったら、グルコース供給(500g/Lのグルコース溶液からなる)を開始した。 その供給速度を調整して、残留グルコースを>3g/Lに維持した。 誘導の3時間後、1時間にわたって温度を37℃にシフトさせた。 各発酵槽のブロスのpHを、pH滴定剤である50%のNH4(OH)を制御添加することによっておよそ7.4に維持した。 温度シフトを開始した時点で、撹拌および気流を表27に従って変化させることによって、OTRを各発酵槽に対して変更した。 2バールに圧縮した空気を空気の供給として使用した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HP濃度についてHPLC分析するために試料を取得した。 各発酵槽における最大バイオマス濃度および回収時のバイオマス濃度ならびに最大の3−HPの力価が以下の表27に要約されている。

    表27

    (実施例11F)


    1.8Lの発酵における3−HPの生成 1.8Lの流加発酵実験を、BX3_0240株を使用して行った。 種培養を、振とうフラスコ中、105mlのTB培地(Terrific Broth)に接種した株のグリセロールストック1mlから開始し、OD

    600が5から7の間になるまで30℃でインキュベートした。 その振とうフラスコ培養物90mlを使用して、バッチ培地中のリン酸塩の濃度が、0.33g/LのK2HPO4および0.17g/LのKH2PO4であった以外はFM5増殖培地である培地1.71Lに無菌的に接種した。 上記FM5培地の組成中の他の構成要素は上記共通の方法セクションに列挙されている通りである。 発酵槽内の最初の温度は30℃であった。 IPTGを、OD

    600値が15.46である場合に最終濃度が2mMになるように加えることによって、誘導をもたらした。 上記発酵槽内の残留グルコースが約10g/Lになったら、グルコース供給(500g/Lのグルコース溶液からなる)を開始した。 その供給速度を調整して、残留グルコースを>6.5g/Lに維持した。 誘導の3時間後、温度を1時間にわたって37℃にシフトさせた。 上記温度シフトを開始した時点で、溶存酸素(DO)設定点を、20%の空気飽和から1%の空気飽和に変更した。 各発酵槽のブロスのpHを、濃水酸化アンモニウムと水の50:50混合物を制御添加することによって7.4に維持した。 溶存酸素を、滅菌濾過した空気を散布することによって所望のレベルに維持した。 光学濃度を測定するため、ならびに3−HP濃度についてHPLC分析するために試料を取得した。 最大の最終バイオマス濃度は、9.84g/Lであり、最大の3−HPの力価は48.4g/Lであり、グルコースからの最終収率は、グルコース1g当たり0.53gの3−HPであった。

    (実施例12)
    3−HPの生成をさらに評価するための株の構築 以下の表28に示されているそれぞれの組み合わせに従って、本明細書に記載のプラスミド(例えば、実施例1を参照されたい)をそれぞれの株に導入した。 全てのプラスミドを、標準の方法を使用して、電気穿孔によって同時に導入した。 形質転換された細胞を、抗生物質を補充した適切な培地で増殖させ、選択培地におけるそれらの適切な増殖に基づいてコロニーを選択した。 表28に要約されている通り、mcr発現プラスミドである、pTrc−ptrc−mcrまたはpACYC(kan)−ptalA−mcrを、上記共通の方法セクションに記載の通りGene Bridges技術を使用して導入した追加の染色体の修飾を含むE. coliのBW25113(F−、Δ(araD−araB)567、ΔlacZ4787(::rrnB−3)、lamba−、rph−1、Δ(rhaD−rhaB)568、hsdR514)から得られた2つの株へと形質転換した。 BX_0590株は、ldhA遺伝子、pflB遺伝子、mgsA遺伝子、およびpoxB遺伝子の追加の欠失を含む。 BX_0591株は、BX_0590株の追加の欠失およびack_pta遺伝子の追加の欠失を含む。 その後に、形質転換体を、適切に組み合わせた抗生物質を含有する培地において選択した。

    表28

    (実施例12A)


    評価用の追加の株の構築 パート1:遺伝子欠失 本明細書の他の箇所に記載のとおりのRed/ET組換えを使用する相同組換え方法を、E. coli株において遺伝子欠失させるために使用した。 この方法は当業者に公知であり、Stewartらに発行され、この方法のその教示に関して参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,355,412号および同第6,509,156号に記載されている。 そのような方法のための材料およびキットは、Gene Bridges(Gene Bridges GmbH、Heidelberg(以前はDresden)、Germany、<<www.genebridges.com>>)から入手可能であり、この方法は、製造者の指示に従って進められた。 この方法により、λファージ由来のリコンビナーゼによって成される相同組換えを介して標的遺伝子が選択マーカーで置き換えられる。 λ−redリコンビナーゼを発現する宿主生物体を、標的遺伝子またはプロモーターの配列と相同な末端領域(一般に約50bp、あるいは最大約300bp)が隣接する選択マーカーをコードする直鎖DNA産物で形質転換する。 その後、そのマーカーは、FLP−リコンビナーゼ、またはCreなどの別のリコンビナーゼを保有するプラスミドベクターによって成される別の組換え工程によって除去される。

    特定の欠失を保有するKeio株を、以下に明記されている通りのプライマーを用いるPCRを使用して増幅することにより特異的な欠失を構築した。 そのKeio集団を、Open Biosystems(Huntsville、AL USA 35806)から得た。 個々のクローンは、Yale Genetic Stock Center(New Haven、CT USA 06520)から購入することができる。 これらの株は、それぞれ、欠失した遺伝子の代わりにカナマイシンマーカーを含有する。 所望の欠失、例えばackA−ptaがKeio株にない場合、上に記載の組換え方法によって、カナマイシン抵抗性マーカーを使用して欠失を構築して欠失した配列を置き換え、その後欠失を有するカナマイシン抵抗性クローンを選択した。 PCR生成物を上記の組換え方法を使用して標的の株に導入した。 欠失の組み合わせを逐次的に生成して、この実施例の以下のパートに記載のとおりの株を得た。

    表29

    表31に、このパートの方法に従って欠失を含む遺伝子型を有する株を示す。

    パート2:fabI突然変異を有するBW_595株およびBW_651株の構築 細胞が非許容温度(37℃)で増殖する場合、E. coliのJP1111株におけるfabI ts突然変異(Ser241→Phe)により、マロニルCoA濃度が著しく増加し、したがって、この温度でより多くの3−HPが生成する。 しかし、JP1111は、NTG変異誘発の生成物であり、したがって未知の変異を有する可能性があり、ストリンジェンシー調節因子であるrelAおよびspoTに突然変異を保有し、Hfr因子が存在することによってコンジュゲーション傾向が増強されているので、JP1111は試験的な規模および商業的な規模に移行するための理想的な株ではない。 したがって上記fabI ts突然変異を、追加の突然変異、ΔldhA、ΔpflB、ΔmgsA、ΔpoxB、Δpta−ackを保有する、よく特徴付けられたBW23115から開発された株であるBX_591株に移動した。 これらの突然変異は、上のパート1に記載の遺伝子欠失方法を逐次的に適用することによって起こった。

    600bpの上流DNA配列および下流DNA配列を有するfabI ts遺伝子をJP1111のゲノムDNAから、以下のプライマーを使用したPCRによって単離した:

    次いで、FRT::kan::FRTカセットを上記fabI

    tsの下流のSmaI部位に挿入してプラスミドpSMART(HC)amp_fabI

    ts _FRT::kan::FRTを生成した。 このプラスミドを鋳型DNAとして使用し、以下のプライマー:

    の間の領域を、KOD HS DNAポリメラーゼ(Novagen)を使用してPCRにおいて増幅した。 その反応物をDpnIで処理してプラスミド鋳型を断片化し、その増幅断片を、DNA Clean and Concentratorキット(Zymo Research、Orange、CA)を使用してゲル精製し、回収した。 BX_591株をpSIM5(Datta、S.,ら、Gene、379巻:109〜115頁、2006年)で形質転換し、このプラスミドに保有されるラムダred遺伝子の発現を、42℃で15分間インキュベートすることによって誘導した。

    エレクトロコンピテント細胞を、標準の方法によって作製した。 これらの細胞を、fabI ts _FRT::kan::FRTカセットを担持する増幅断片で形質転換し、30℃で35μg/mlのカナマイシンを含有するLBプレート上で形質転換体のコロニーを単離した。 個々のコロニーを再画線によって精製し、液体培地中、30℃でおよび42℃で増殖させることによって温度感受性について試験した。 野生型の親株と比較して、fabI ts対立遺伝子を担持する株は42℃における増殖は不十分であったが、30℃では匹敵する増殖を示した。 FRT::kan::FRTマーカーが正確に挿入されたことを、コロニーPCRによって検証し、fabI ts kan 株をBX_594と名付けた。

    プラスミドにおいてkan マーカーを使用することを可能にするために、fabI tsに近接する染色体に組み入れられたマーカーを、ゼオシンに対する抵抗性をコードするDNA断片と交換した。 そのzeoR遺伝子を、プラスミドpJ402(DNA2.0、Menlo Park、CA)から、以下のプライマーを使用して、PCRによって増幅した:

    その反応物を、上記の通りDpnIで処理し、ゲル精製した。 BX_594株をpKD46で形質転換し(DatsenkoおよびWanner、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96巻:6640〜6645頁、2000年)、このプラスミドに保有されるラムダred遺伝子を、L−アラビノースを2時間にわたって1mMになるように添加することによって誘導した。 エレクトロコンピテント細胞を、標準の方法によって作製した(例えば、SambrookおよびRussell、2001年)。 これらの細胞を、zeoR断片で形質転換し、形質転換体を、NaClを伴わず、25μg/mLのゼオシンを伴って調合したLBプレート上で選択した。 プレートを、アルミ箔に包むことによって暗所に保ち、30℃でインキュベートした。 この方法によって単離したゼオシン抵抗性カナマイシン感受性株をBX_595と名付けた。 上記fabI

    ts対立遺伝子が保持されていることを、上記の通り増殖させることによって確認した。

    BX_651株を、fabI ts −zeoRカセットをBX_595から、代謝に関わる遺伝子の突然変異を保有しないBW25113株に移動させることによって構築した。 このカセットを保有するDNA断片を、BX_595の染色体DNA、およびプライマーFW043(上記を参照されたい)および

    を使用してPCRによって得た。

    そのPCR生成物を、DNA Clean and Concentratorキット(Zymo Research、Orange、CA)を使用して精製し、濃縮した。 BW25113株を、pRedD/ET(Gene Bridges GmBH、Heidelberg、Germany)で形質転換し、このプラスミドに保有されるラムダred遺伝子を、L−アラビノースを2時間にわたって5mMになるように添加することによって誘導した。 エレクトロコンピテント細胞を標準の方法によって作製し、fabI ts −zeoR DNA断片で形質転換した。 形質転換体を、上記の通りゼオシン上に播き、上記の通り30℃および42℃で増殖させることによって温度感受性対立遺伝子を担持するクローンを検証した。

    パート3:染色体中の選択された遺伝子に対するプロモーターの置き換え 本明細書の他の箇所に記載の相同組換え方法を使用して、種々の遺伝子のプロモーターを置き換えた。 言及した通り、Red/ET組換えの使用は当業者に公知であり、Stewartらに発行され、この方法についてのその教示に関して参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,355,412号および同第6,509,156号に記載されている。 そのような方法のための材料およびキットは、Gene Bridges(Gene Bridges GmbH、Heidelberg、Germany、<<www.genebridges.com>>)から入手可能であり、この方法は、製造者の指示に従って進めることができる。 この方法は、標的遺伝子(または、この場合、プロモーター領域)を、λファージ由来のリコンビナーゼによって成される相同組換えを介して選択マーカーにより置き換えることを含む。 λ−redリコンビナーゼを発現する宿主生物体を、上記標的遺伝子またはプロモーターの配列と相同な末端領域(一般に約50bp、あるいは最大約300bp)が隣接する選択マーカーをコードする直鎖DNA産物で形質転換する。 次いで、そのマーカーを、FLP−リコンビナーゼ、またはCreなどの別のリコンビナーゼを保有するプラスミドベクターによって成される別の組換え工程によって除去することができる。 この方法を製造者の指示に従って使用した。 それぞれ、示されている対象遺伝子に対するネイティブなプロモーターを所望の交換プロモーターで置き換えるための組換えを実現するための末端配列を含む鋳型配列、および抗生物質マーカー配列は、外部の製造者(Integrated DNA Technologies、Coralville、IA)が合成した。 これらの配列は、これらの遺伝子の前のネイティブなプロモーターをT5プロモーターで置き換えるように設計する。 そのT5−aceEFカセット(配列番号863)は、loxP部位が隣接するゼオシン抵抗性カセットも含む。 T5−pntABカセット(配列番号864)、T5−udhAカセット(配列番号865)およびT5−cynTS(配列番号866)カセットは、それぞれ、loxP部位が隣接するブラスチシジン抵抗性カセットを含む。 また、T5−cynTS(配列番号866)は、Lambertら、AEM 73巻(4号)1126〜1135頁と一致する修飾されたloxP部位を含む。

    各カセットは、まず、プライマーCAGTCCAGTTACGCTGGAGTC(配列番号861)、およびACTGACCATTTAAATCATACCTGACC(配列番号862)を使用してPCR生成物を産生するためのPCR増幅の鋳型として使用される。 このPCR生成物を、電気穿孔(本明細書の他の箇所に記載のものなどの標準の方法を使用して)および上記のGene BridgesのRed/ET組換え方法に従ったゲノムへの組換えのために使用する。 形質転換した後、陽性の組換え体を、抗生物質のゼオシンまたはブラスチシジンを含有する培地で選択する。 抵抗性マーカーを取り除くことは、標準の方法に従ってCre−リコンビナーゼを発現させることによって実現される。 表31に、置き換えられたプロモーターを含む遺伝子型を有する株を示す。 これらは、影響を受けた遺伝子(複数可)の前に「T5」を付けて示されている。

    パート4:プラスミドの構築 以下の表に、下記の株において使用したプラスミドの構築が要約されている。 そのプラスミドを作製するために、対象のそれぞれの遺伝子または遺伝子領域を、その遺伝子を保有する適切な供給源をPCR増幅し制限酵素(RE)消化すること、または直接制限酵素消化することのいずれかによって単離した。 次いで、その単離した遺伝子を所望のベクターにライゲーションし、E. coli 10G(Lucigen、Middleton、WI)コンピテント細胞へと形質転換し、制限酵素マッピングによってスクリーニングし、標準の分子生物学の手順を使用したDNA配列決定によって確認した(例えば、SambrookおよびRussell、2001年)。

    これらのプラスミドの中には、単機能性マロニルCoA還元酵素活性を含むものもあることに留意する。 具体的には、C. aurantiacus由来のマロニルCoA還元酵素の切断構成部分を、それぞれ、pTRC−ptrc−mcr−amp由来のコドン最適化されたマロニルCoA還元酵素のアミノ酸残基366および1220、ならびに496および1220をコードするヌクレオチド塩基に近接するPCRプライマーを使用することによって構築した。 また、Erythrobacter種由来のマロニルCoA還元酵素を別のプラスミドに組み入れた。 他のプラスミドに関しては、これらを株に組み入れ、下記の通り評価した。

    表30

    *A: Invitrogen, Carlsbad, CA; *B: New


    England Biolabs, Ipswich, MA; * C: DNA 2.0, Menlo Park, CA。

    パート5:pACYC−cat−accABCD−P T5 −udhAのクローニング pACYC−cat−accABCD−udhAにおけるudhAの発現を誘導するP talプロモーターを、より強力なT5プロモーターと置き換えた。 BX_00635株由来のゲノムP T5 −udhA構築物を、プライマーAS1170(udhAの300bp上流)を使用して増幅した。 udhAの配列については配列番号886を参照されたい。 上で得られたP T5 −udhAのPCR断片をPmeIおよびNdeI(New England BioLabs、Ipswich、MA)で消化した。 ベクターpACYC−cat−accABCD−P tal −udhAを同様にSwaIおよびNdeI(New England BioLabs)で消化した。 2つの消化されたDNA断片をライゲーションし、形質転換してpACYC−cat−accABCD−P T5 −udhA(配列番号887)を創製した。 プラスミド消化物を使用して、正確な配列を確認した。 このプラスミドを、表31に示されている株に組み入れる。

    パート6:株の構築 上記の方法によって作製した構築物を使用して、表31に示されている、遺伝子型をもたらす株を生成し、示されている株名を与えた。 これは、限定されるものではなく、他の株を、これらの方法を使用し、耐性について異なる遺伝子および遺伝子領域、および/または3−HPの生成および脂肪酸合成酵素系を調節するための改変をもたらすことを含めた、本出願で提供される教示に従って作製することができる。 後者に付け加えて、そのような株は、染色体を修飾すること、および/または非染色体性の導入、例えばプラスミドを導入することによって生成することができる。

    後者に関しては、以下の表38に示されているそれぞれの組み合わせに従って、上記のプラスミドをそれぞれの株に導入した。 全てのプラスミドを、標準の方法を使用して、電気穿孔によって同時に導入した。 形質転換された細胞を、抗生物質を補充した適切な培地で増殖させ、選択培地におけるそれらの適切な増殖に基づいてコロニーを選択した。

    表31

    (実施例12B)


    対照E. coli細胞と比較して3−HPの生成を増加させるための、マロニルCoA還元酵素(Mcr)を他の遺伝子改変と組み合わせて含む遺伝子改変されたE. coli宿主細胞の調製(予測的)


    遺伝子改変を行って、Pseudomonas auruginos由来のものなどのmmsBを含むベクターを導入し、それをさらにE. coliに対してコドン最適化する。 galPおよびネイティブなppcまたは突然変異ppcを含むベクターも、当業者に公知の方法によって導入し(例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、2001年(1〜3巻)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、「SambrookおよびRussell、2001年」を参照されたい)、突然変異は、XL1−Red変異誘発株を使用した方法によって、適切な材料を使用し、製造者の指示に従って行い(Stratagene QuikChange Mutagenesis Kit、Stratagene、La Jolla、CA USA)、標準のプロトコールの下で選択またはスクリーニングすることができることがさらに認識される。

    同様に、E. coli遺伝子の酵素活性を所望の通り低減させる、または排除するために遺伝子改変を行う。 これらの遺伝子改変は、Gene Bridges(Gene Bridges GmbH、Dresden、Germany、www.genebridges.com)から供給されるキットを製造者の指示に従って用いてRED/ET相同組換え方法を使用することによって実現される。

    また、一部の実施形態では、NADPHの細胞プールを増加させるために遺伝子改変を行う。 本明細書では遺伝子改変のためのいくつかの標的の非限定的な例が提供される。 これらは、pgi(突然変異型で)、過剰発現したpntAB、gapA:gapNの置換/交換、ならびにsthAなどの可溶性トランスヒドロゲナーゼの破壊または修飾、ならびにzwf、gnd、およびeddの1つ以上の遺伝子改変である。

    任意のそのような設計製作された実施形態のそのように遺伝子改変した微生物を評価し、それが、上記遺伝子改変を欠く対照E. coliと比較して高い3−HPの生産性を示すことが見出された。 生産性は、同様の培養条件下で容積生産性(1時間当たりの3−HPのグラム)などの標準の計量によって測定する。

    (実施例12C)
    選択されたポリヌクレオチドの突然変異発生(予測的)
    選択された遺伝子配列、例えば配列番号783〜791のいずれかをコードする核酸配列を、エラー誘発PCR部位特異的変異誘発法を使用することによって、ネイティブなポリヌクレオチドまたは以前進化させた、かつ/またはコドン最適化したポリヌクレオチドの変異体ライブラリーを構築することから始める突然変異発生プロトコールに供する。

    選択された遺伝子(これは、本明細書に開示されている任意のもの、例えば、アミノトランスフェラーゼまたはmmsBであってよい)の酵素活性を示すポリヌクレオチドを、E. coliに適した発現系にクローニングする。 この配列は、コドン最適化することができる。 コドン最適化したポリヌクレオチドのクローニングおよびその適切な発現は、商業的な供給者から供給される遺伝子合成によって、標準の技法を使用して実現される。 その遺伝子を、8アミノ酸のC末端タグを用いて合成し、親和性に基づくタンパク質精製を可能にする。 標準の方法論を使用して遺伝子を得たら、その遺伝子を標準の技法を使用して発現系にクローニングする。

    上記のポリヌクレオチドを含有するプラスミドを、標準の方法によって突然変異させ、変異体の大きなライブラリー(>10 )をもたらす。 その変異体の配列をこれらのプラスミドから切り出し、発現ベクターに再度クローニングし、後でスクリーニングするための10 個を超えるクローンの最終ライブラリーを作製する。 これらの数により、上記ライブラリーが、配列がコードするあらゆるアミノ酸において突然変異を含有する確率が99%を超えることが確実になる。 突然変異ライブラリーを創製する方法のそれぞれが、E. coliの変異誘発株への形質転換、エラープローンPCR、さらに、より多くの部位特異的な変異誘発(muagenesis)を含めた、それ独特の偏りを有することが認められている。

    一部の実施形態では、様々な方法を考察することができ、いくつかを平行して探究することが可能である。 そのような方法の1つは、正確なDNA複製に必要である特定の修復機構が欠損しており、プラスミドにおいて、野生型の突然変異率の5,000倍の率で突然変異を生じ、適切な材料を使用し、製造者の指示に従って使用することができるXL1−Red変異誘発株の使用である(Stratagene QuikChange Mutagenesis Kit、Stratagene、La Jolla、CA USAを参照されたい)。 この技法または当業者に公知の他の技法を使用することができ、そこで、そのような変異体の集団を、例えば、ライブラリーにおいて、例えばスクリーニングまたは選択方法によって評価して、適切なまたは好都合な突然変異を有するクローンを同定することができる。

    変異体ライブラリーの構築が上手くいくと、このライブラリーを活性の増加、例えばマロニルCoA還元酵素活性の増加についてスクリーニングすることが可能になる。 スクリーニングプロセスを設計して、10 個を超える変異体のライブラリー全体をスクリーニングする。 これは、特定の酵素反応に適したスクリーニング方法によって行う。

    (実施例13)
    実施例12の株を使用した3−HPの生成の評価 BX3_0194による3−HPの生成が、100mL規模のSM3(最少塩)培地において実証された。 標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって冷凍ストックを100μg/mLのアンピシリンを加えたLB培地50mL中に入れて培養を開始し、37℃で一晩、225rpmで回転させながら静止期まで増殖させた。 この培養物5mlを、3連の250mlのバッフルフラスコ中、40g/Lのグルコース、100μg/mLのアンピシリンおよび1mMのIPTGを加えたSM3培地100mlに移し、37℃、225rpmでインキュベートした。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD 600 、光路長1cm)を測定するために、指定の時点で試料(2ml)を抜き取り、12,000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクションにおける「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD 600を決定するためのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD 600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、24時間の時点で平均したデータから比生産性を算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。 これらの条件下で、およそ1.0g DCWに対応するOD 600まで増殖する培養物において24時間後に3−HPは生成されない。 SM3培地における、BX3_0194株による3−HPの生成が表32に示されている。

    表32. SM3培地におけるBX3_0194による3−HPの生成

    SM3培地における、10μg/mlのセルレニンの存在下でのBX3_0194株による生成が、表33に示されている。 セルレニンの存在下で、脂肪酸合成酵素系の阻害物質、マロニルCoA前駆体の内部のプールが増加し、したがって3−HPの生成が増加することが提唱されている。 セルレニンがない場合の結果と比較することによって認めることができるように(表32)、どの時点においても実質的に多い3−HPが生成する。 これらの条件下で、24時間後の比生産性は、DCW1g当たり1.3gの3−HPである。

    表33.10μg/mlのセルレニンが存在するSM3培地におけるBX3_0194による3−HPの生成

    BX3_0195による3−HPの生成が、100mL規模のSM3(最少塩)培地において実証された。 標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって冷凍ストックを100μg/mlのアンピシリンを加えたLB培地50mL中に入れて培養を開始し、37℃で一晩、225rpmで回転させながら静止期まで増殖させた。 この培養物5mlを、3連の250mlのバッフルフラスコ中、40g/Lのグルコース、100μg/mlのアンピシリンおよび1mMのIPTGを加えたSM3培地100mlに移し、37℃、225rpmでインキュベートした。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD

    600 、光路長1cm)を測定するために、指定の時点で試料(2ml)を抜き取り、12,000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクションにおける「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD

    600を決定するためのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD

    600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、24時間の時点で平均したデータから比生産性を算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。 これらの条件下で、およそ1.65g DCWに対応するOD

    600まで増殖している培養物において24時間後に3−HPは生成しない。 SM3培地におけるBX3_0195株による3−HPの生成が表34に示されている。

    表34. SM3培地におけるBX3_0195による3−HPの生成

    SM3培地における、10μg/mLのセルレニンの存在下でのBX3_0195株による生成が表35に示されている。 セルレニンの存在下で、脂肪酸合成酵素系の阻害物質、マロニルCoA前駆体の内部のプールが増加し、したがって3−HPの生成が増加することが提唱されている。 セルレニンがない場合の結果と比較することによって認めることができるように(表34)、どの時点においても実質的に多い3−HPが生成する。 これらの条件下で、24時間後の比生産性は、DCW1g当たり0.54gの3−HPである。

    表35.10μg/mlのセルレニンが存在するSM3培地におけるBX3_0195による3−HPの生成

    BX3_0206による3−HPの生成が、100mL規模のSM3(最少塩)培地において実証された。 標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって、冷凍ストックを、35μg/mLのカナマイシンを加えたLB培地50mL中に入れて培養を開始し、37℃で一晩、225rpmで回転させながら静止期まで増殖させた。 この培養物5mlを、3連の250mlのバッフルフラスコ中、40g/Lのグルコースおよび35μg/mlのカナマイシンを加えたSM3培地100mlに移し、37℃、225rpmでインキュベートした。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD

    600 、光路長1cm)を測定するために、指定の時点で試料(2ml)を抜き取り、12,000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクションにおける「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD

    600を決定するためのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD

    600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、24時間の時点で平均したデータから比生産性を算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。 これらの条件下で、24時間後の比生産性は、DCW1g当たり0.05gの3HPである。 SM3培地におけるBX3_0206株による3−HPの生成が表36に示されている。

    表36. SM3培地におけるBX3_0206による3−HPの生成

    SM3培地における、10μg/mlのセルレニンの存在下でのBX3_0206株による生成が表37に示されている。 セルレニンの存在下で、脂肪酸合成酵素系の阻害物質マロニルCoA前駆体の内部のプールが増加し、したがって3−HPの生成が増加することが提唱されている。 セルレニンがない場合の結果と比較することによって認めることができるように(表36)、24時間後に、実質的に多い3−HPが生成する。 これらの条件下で、24時間後の比生産性は、DCW1g当たり0.20gの3HPであり、これはセルレニンがない場合の結果と比較しておよそ40倍増加している。

    表37.10μg/mLのセルレニンが存在するSM3培地におけるBX3_0195による3−HPの生成

    (実施例13A)


    3−HPの生成についての株の評価 以下の表に列挙されている生体触媒(株)における3−HPの生成が、100mL規模のSM3(最少塩)培地において実証された。 使用したSM3は、上記共通の方法セクションの下に記載されているが、200mMのMOPSを補充した。 培養は、標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって、抗生物質を含有するLBプレートの、示されている通り適切な抗生物質を加えたTB培地50mL中から開始し、30℃で一晩、250rpmで回転させながら静止期まで増殖させた。 この培養物5mlを、3連の250mlのバッフルフラスコ中、30g/Lのグルコース、抗生物質および1mMのIPTG(「誘導」の欄において「あり」と特定されている)を加えたSM3培地100mlに移し、30℃、250rpmでインキュベートした。 フラスコを、4時間後に37℃、250rpmにシフトさせた。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD

    600 、光路長1cm)を測定するために、24時間の時点で試料(2ml)を抜き取り、14000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクションにおける「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 3−HPの力価および標準偏差は、g/Lとして表されている。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD

    600を決定するごとのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD

    600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、生成物対細胞比を24時間にわたって平均したデータから算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。 比生産性を、生成の20時間にわたって得られた細胞/生成物比から算出し、1時間当たり、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。

    表38

    (実施例13B)


    炭酸塩の添加を用いたBX3_240株の評価 E. coli BX3_240(上記の方法によって作製した)における3−HPの生成を、炭酸ナトリウムを添加した100mL規模のSM3(最少塩)培地において評価した。 使用したSM3は、上記共通の方法セクションの下に記載されており、それには処理剤として10mM、20mMおよび50mMのNa

    CO

    を添加した。 培養は、標準作業方法(SambrookおよびRussell、2001年)によって、抗生物質を含有するLBプレートの、適切な抗生物質kanおよびcatを加えたTB培地50mL中から開始し、30℃で一晩、250rpmで回転させながら静止期まで増殖させた。 この培養物5mlを、3連の250mlのバッフルフラスコ中、30g/Lのグルコース、抗生物質、示されている炭酸ナトリウム、0.1%の酵母抽出物および1mMのIPTGを加えたSM3培地100mlに移し、30℃、250rpmでインキュベートした。 フラスコを、4時間後に37℃、250rpmにシフトさせた。 これらの培養物による細胞の増殖および3−HPの生成をモニターするために、600nmにおける光学濃度(OD

    600 、光路長1cm)を測定するために、24時間、48時間および60時間の時点で試料(2ml)を抜き取り、14000rpmで5分間遠心分離することによってペレットにし、上記共通の方法セクションにおける「3−HPの生成についての培養物の分析」の下で記載されている通り、3−HPの生成を分析するために上清を回収した。 3−HPの力価および標準偏差は、g/Lで表されている。 乾燥細胞重量(DCW)を、OD

    600を決定するごとのベースラインのDCWに基づいて、測定されたOD

    600値の0.33倍として算出する。 全てのデータは、3連の培養物の平均である。 比較する目的で、生成物対細胞比を60時間にわたって平均したデータから算出し、DCW1g当たりの、生成された3−HPのgとして表す。

    3−HPの力価は、9時間、11時間、15時間、19時間、24時間、48時間および60時間の時点で、それぞれ0.32(+/−0.03)g/L、0.87(+/−0.10)g/L、2.24(+/−0.03)g/L、4.15(+/−0.27)g/L、6.24(+/−0.51)g/L、7.50(+/−0.55)g/Lおよび8.03(+/−0.14)g/Lであった。 バイオマス濃度は、9時間、11時間、15時間、19時間、24時間、48時間および60時間の時点で、それぞれ0.54(+/−0.02)、0.79(+/−0.03)、1.03(+/−0.06)、1.18(+/−0.04)、1.20(+/−0.12)、1.74(+/−0.30)および1.84(+/−0.22)であった。 最大の生成物対細胞比は、DCW1g当たり4.6gの3−HPであった。

    (実施例14)
    宿主細胞に対する遺伝子改変の一般的な例(予測的かつ非特異的)。

    上記の特定の実施例に加えて、この実施例は、選択された微生物に対象の核酸配列を導入するための遺伝子改変の非限定的なアプローチについて記載するものである。 この一般的な実施例の範囲内で代替物および変形物が提供される。 この実施例の方法を行って、選択された微生物種において所望の遺伝子改変の組み合わせ、例えば、本明細書の複数のセクションに記載の遺伝子改変の組み合わせおよび、例えば他の細菌種および他の微生物種におけるそれらの機能的等価物を実現する。

    対象の遺伝子または他の核酸配列のセグメントを、特定の種(本明細書に記載のE.coliなど)において同定し、その遺伝子またはセグメントを含む核酸配列を得る。

    対象のセグメントの末端の核酸配列、または対象のセグメントの末端に近接する核酸配列に基づいて、5'核酸プライマーおよび3'核酸プライマーを調製する。 各プライマーを、そのような末端または近接する領域とハイブリダイズする十分なオーバーラップ区画を有するように設計する。 そのようなプライマーは、その後にベクターを組み入れるため、またはゲノムを挿入するために使用することができるトランスポザーゼ挿入の制限消化のための酵素認識部位を含んでよい。 これらの部位は、一般にはハイブリダイズしているオーバーラップ区画の外側にあるように設計する。 プライマー配列を注文に応じて調製する多数の契約サービスが公知である(例えば、Integrated DNA Technologies、Coralville、IA USA)。

    プライマーを設計し調製したら、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行って、所望の対象のセグメントを特に増幅する。 この方法により、微生物のゲノムから分離した対象の領域の複数のコピーがもたらされる。 上記微生物のDNA、プライマーおよび好熱性ポリメラーゼを、緩衝溶液でカリウムおよび二価カチオン(例えば、MgまたはMn)と、および十分な分量のデオキシヌクレオシド三リン酸分子と混ぜ合わせる。 この混合物を、温度を増加および減少させる標準のレジメンに曝露させる。 しかし、温度、成分、濃度およびサイクルの回数は、コピーされる配列の長さ、アニーリングの温度近似および公知の、または常套的な実験によって当業者に容易に習得される他の因子に応じて、反応に応じて変化させてよい。

    代替の実施形態では、対象のセグメントは、微生物または他のDNAの天然の供給源から得るのではなく、例えば、商業的なベンダーによって合成されてよく、PCRによって調製されてよい。

    次いで、例えばアガロースゲル上で電気泳動によって核酸配列を精製し、分離する。 必要に応じて、上記領域が精製されたら、それを、標準のDNA配列決定の方法論によって検証することができ、ベクターに導入することができる。 通常当業者に公知のマーカーを含むいくつものベクターのいずれも使用することができ、そのような導入のために標準の方法論を常套的に使用する。 一般に使用されるベクター系は、pSMART(Lucigen、Middleton、WI)、pET E. coli EXPRESSION SYSTEM(Stratagene、La Jolla、CA)、pSC−B StrataClone Vector(Stratagene、La Jolla、CA)、pRANGER−BTBベクター(Lucigen、Middleton、WI)およびTOPOベクター(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)である。 同様に、次いで上記ベクターをいくつもの宿主細胞のいずれかに導入する。 一般に使用される宿主細胞は、E. cloni 10G(Lucigen、Middleton、WI)、E. cloni 10GF'(Lucigen、Middleton、WI)、StrataClone コンピテント細胞(Stratagene、La Jolla、CA)、E. coli BL21、E. coli BW25113およびE. coli K12 MG1655である。 これらのベクターのいくつかは、プロモーター、例えば対象の配列を挿入する領域に近接する(例えば、複数のクローニング部位内)誘導性プロモーターを保有するが、他のベクター、例えばpSMARTベクター(Lucigen、Middleton、WI)は、プロモーターを伴わず、脱リン酸化された平滑断端を伴って提供される。 そのようなプラスミドを含む細胞を培養することにより、プラスミドを複製すること、したがって対象のセグメントを複製することが可能になり、これは、多くの場合、対象のセグメントの発現に対応する。

    種々のベクター系は、選択マーカー、例えば、限定条件下で増殖または生存するために必要であるタンパク質をコードする遺伝子を発現できる選択マーカーを含む。 骨格ベクター配列に含有される一般的な選択マーカーとしては、抗生物質抵抗性に必要な1つ以上のタンパク質をコードする遺伝子、ならびに栄養要求性欠損を補完するため、または特定の培地において存在しない、または入手できない重要な栄養分を供給するために必要な遺伝子が挙げられる。 ベクターは、対象の宿主細胞に適した複製系も含む。

    次いで、対象のセグメントを含有するプラスミドを常套的な方法によって単離することができ、それは、対象の他の微生物宿主細胞に導入するために利用可能である。 導入の種々の方法は、当技術分野で公知であり、ベクターを導入すること、またはゲノムを組み込むことを含んでよい。 種々の代替の実施形態では、そのようなプラスミド以外の手段によって対象のDNAセグメントを対象の宿主細胞に導入する場合、対象のDNAセグメントを他のプラスミドDNAから分離することができる。

    一般的な予測的な実施例の工程はプラスミドの使用を伴うが、その代わりに当技術分野で公知の他のベクターを使用することができる。 これらとしては、コスミド、ウイルス(例えば、バクテリオファージ、動物ウイルス、植物ウイルス)および人工染色体(例えば、酵母の人工染色体(YAC)および細菌の人工染色体(BAC))が挙げられる。

    対象のセグメントを導入する宿主細胞を、特定の酵素工程に関する性能および/または対象の化合物の耐性またはバイオ生産について評価することができる。 性能がよい遺伝子改変された宿主細胞の選択を行うことができ、全体的な性能、耐性、または対象の化学物質の生成もしくは蓄積について選択する。

    この手順は、単一の遺伝子(または他の対象の核酸配列のセグメント)、または複数の遺伝子(別々のプロモーターまたは単一のプロモーターの制御下で)についての核酸配列を組み入れることができ、発現ベクターにおいて所望の異種性の核酸配列を創製するためにその手順を繰り返すことができ、次いで、例えば、本明細書に開示されている任意の代謝経路について、酵素変換工程の機能性に対する所望の相補体を有するように選択された微生物にその発現ベクターを供給することに留意する。 しかし、多くのアプローチは、対象の配列の全部または一部を転写し、次いで転写されたmRNAを翻訳することによって発現させて、酵素などのポリペプチドを得ることに依拠するが、対象のある特定の配列は、そのような発現以外の手段によって効果を発揮し得ることに留意する。

    これらのアプローチのために使用する特定の実験室的方法は、当技術分野で周知であり、当業者に公知の種々の参考文献、例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、2001年(1〜3巻)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N. Y. (以下、SambrookおよびRussell、2001年)において認めることができる。

    上記の代わりとして、上記宿主細胞のゲノムの核酸配列の欠失などの他の遺伝子改変を実施することもできる。 これを実現するための1つの非限定的な方法は、Red/ET組換えを使用することによるものであり、これは当業者に公知であり、また、Stewartらに発行され、この方法についてのその教示に関して参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,355,412号および同第6,509,156号に記載されている。 そのような方法のための材料およびキットは、Gene Bridges(Gene
    Bridges GmbH、Dresden、Germany、<<www. genebridges. com>>)から入手可能であり、この方法は、製造者の指示に従って進めることができる。 ゲノムDNAの標的欠失を実施して、宿主細胞の代謝を、望ましくない代謝産物の生成を低減させる、または排除するように変化させることができる。 これは、本明細書において、この一般的な実施例に記載のような他の遺伝子改変と組み合わせて使用することができる。

    (実施例14A)
    3−HPおよび他の生成物を生成するためのフィードストックとしてのスクロースの利用(部分的に予測的)
    E. coliの一般的な研究室および工業用の株、例えば本明細書に記載の株は、スクロースを唯一の炭素供給源として利用することができないが、この性質は、病原性のE. coli株を含めたいくつもの野生株に見出される。 スクロースおよび糖蜜などのスクロースを含有するフィードストックは豊富であり、多くの場合、有機酸、アミノ酸、ビタミンおよび他の生成物を微生物発酵によって生成するためのフィードストックとして使用される。 したがって、スクロースを利用することができる3−HP−生成株の別の誘導体により、3−HPを生成するために利用することができるフィードストックの範囲が拡大するはずである。

    種々のスクロースの取り込みおよび代謝系が当技術分野で公知であり(例えば、米国特許第6,960,455号)、そのような教示に関して参照により組み込まれる。 本発明者らは、非ホスホトランスフェラーゼ系を介してスクロースを利用する能力を付与するcsc遺伝子を有するE. coli株の構築について記載するが、ここで上記csc遺伝子は、スクロース加水分解酵素をコードするcscA、スクロース透過酵素をコードするcscB、フルクトキナーゼをコードするcscK、リプレッサーをコードするcscRを構成する。 これらの遺伝子の配列は、NCBIデータベースにおいて受託番号X81461AF473544として注釈されている。 E. coli遺伝子において極めて豊富であるコドンを利用して効率的に発現させることを可能にするために、cscB、cscKおよびcscAを含有するオペロンを設計し、商業的な合成DNAの提供者(DNA2.0、Menlo Park、CA)のサービスを使用して合成した。 上記遺伝子のアミノ酸配列は、それぞれ、cscB−配列番号888;cscA−配列番号889;csck−配列番号890として記載されている。 上記合成オペロンは、adhE遺伝子の即5'(上流)の60塩基対のE. coliゲノムの領域、上記csc遺伝子の発現を誘導するためのコンセンサス強力プロモーター、リボソーム結合部位を含有するがプロモーターを含有しない短い遺伝子間の領域を伴う、cscB、cscKおよびcscAのコード領域、ならびに上記adhE遺伝子の即3'(下流)の60bpからなる。 上記adhE遺伝子に隣接している配列と相同なセグメントを使用して、上記cscオペロン遺伝子をE. coli染色体に標的挿入するが、それにはadhEの欠失が伴う。 全体の合成構築物のヌクレオチド配列は、配列番号891として示されている。 上記合成cscオペロンを、プラスミドp15Aに由来する複製開始点およびアンピシリンに対する抵抗性を付与する遺伝子を提供するプラスミドpJ214(DNA2.0、Menlo Park、CA)に構築する。 このプラスミドをpSUCRと称する。 適切な宿主細胞、例えばE. coliのBX_595株を、pSUCRおよびプラスミドpTrc_kan_mcrまたは他の適切なプラスミドで同時に形質転換し、形質転換された株を、アンピシリンおよびカナマイシンを含有するLB培地プレート上で選択する。 両方のプラスミドを保有する形質転換体を増殖させ、SM3培地中のグルコースが等濃度のスクロースと交換されている以外は実施例13に記載の通り、振とうフラスコにおいて3−HPの生成について評価する。

    E. coliがスクロースを利用することを可能にする機能を付与する遺伝子は、ホスホエノールピルビン酸依存性の炭水化物取り込みホスホトランスフェラーゼ系(PTS)の遺伝子を保有する、天然の分離株pUR400(Cowan、P.J.、ら J. Bacteriol.、173巻:7464〜7470頁、1991年)から得ることもできる。 これらの遺伝子は、PTS輸送複合体の酵素II成分をコードするscrA、スクロース6−リン酸加水分解酵素をコードするscrB、フルクトキナーゼをコードするscrK、ポーリンをコードするscrYからなる。 これらの遺伝子は、上記の通り単離または合成し、プラスミドに組み入れ、プラスミドpTrc_kan_mcrまたは他の適切なプラスミドと同時に、適切な宿主細胞、例えばE. coliのBX_595株に形質転換し、形質転換された株を、適切な抗生物質を含有するLB培地プレートで選択することができる。 両方のプラスミドを保有する形質転換体を増殖させ、SM3培地中のグルコースが等濃度のスクロースと交換されている以外は実施例13に記載の通り、振とうフラスコにおいて3−HPの生成について評価する。

    (実施例14B)
    追加の株の構築および評価(予測的)
    本明細書に記載の種々の遺伝エレメント(付加、欠失および修飾)の組み合わせを含むように生成された他の株を3−HPの生成について評価し、商業規模の生成を含めた3−HPの生成のために使用する。 以下の表にいくつものこれらの株を例示している。

    さらに、多機能性2−ケト−3−デオキシグルコン酸6−リン酸アルドラーゼおよび2−ケト−4−ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼおよびオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.coliにおけるeda)の酵素活性を低減させるためのさらなる欠失または他の修飾を、種々の株にもたらすことができる。 後者に付け加えて、種々の実施形態では、そのような多機能性2−ケト−3−デオキシグルコン酸6−リン酸アルドラーゼおよび2−ケト−4−ヒドロキシグルタル酸アルドラーゼおよびオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.coliにおけるeda)の酵素活性の低減と組み合わせて、さらなる遺伝子改変を行って、グルコーストランスポーター(例えばE.coliにおけるgalP)を増加させることおよび/または熱安定性の、ヒスチジルリン酸化能タンパク質(histidyl phosphorylatable protein)(PTSの)(E.coliにおけるptsH(HPr))、ホスホリル転移タンパク質(PTSの)(E.coliにおけるptsI)およびPTSのポリペプチド鎖(E.coliにおけるCrr)の1つ以上の活性を減少させることができる。

    これらの株を、フラスコ、または発酵槽のいずれかにおいて、上記の方法を使用して評価する。 また、導入されたプラスミドを含む株を所定の程度に評価した後、プラスミド中の遺伝エレメントを、例えば本明細書に記載の方法ならびに当業者に公知の他の方法によって微生物ゲノムに導入することができることに留意する。
    表39

    (実施例15)


    3−HPの生成の予測的な実施例 上記のとおり、3−HPの生成経路および他の遺伝子改変物を保有する遺伝子改変された微生物の種菌を培養容器に提供し、その培養容器には、栄養分を所望のバイオプロセスの培養期間に十分な濃度で含む液体培地も提供する。

    最終ブロス(微生物細胞、大部分が「消費された」培地および3−HPを含み、後者は、種々の実施形態では、1グラム/リットル、2グラム/リットル、5グラム/リットル、10グラム/リットル、30グラム/リットル、50グラム/リットル、75グラム/リットルまたは100グラム/リットルを超える濃度を含む)を回収し、分離工程および精製工程に供して3−HPを比較的精製された状態で得る。 分離工程および精製工程は、種々の方法論を組み合わせたいくつものアプローチのいずれかによって進行し得、その種々の方法論には遠心分離、濃度、濾過、減圧蒸発、液/液相分離(例えばトリC8〜10アルキルアミンであるCAS#68814−95−9、Alamine(登録商標)336(Cognis、Cincinnati、OHまたはHenkel Corp.)などの第3級アミンとポリアミン−3−HP複合体を形成した後の分離を含めて)、メンブレン、蒸留および/または本明細書に組み込まれるこの特許出願において列挙されている他の方法論が含まれ得る。 標準の分離工程および精製工程の原理および詳細は当技術分野で公知である、例えば、そのような教示に関して本明細書に組み込まれる「Bioseparations Science and Engineering」、Roger G. Harrisonら、Oxford University Press(2003年)およびMembrane Separations in the Recovery of Biofuels and Biochemicals−An Update
    Review、Stephen A. Leeper、99〜194頁、Separation and Purification Technology、Norman N. LiおよびJoseph M. Calo編、Marcel Dekker(1992年)において。 特定の方法論の組み合わせは、本明細書に記載のものから選択し、一部においては、最終ブロスにおける3−HPおよび他の成分の濃度に基づく。

    (実施例16)
    3−HPの、特定の下流の化学物質への変換の予測的な実施例 例えば、実施例13からの3−HPを、環形成内部エステル化反応(水分子の脱離)によってプロピオラクトンの任意の1つ以上に、エタノールを用いたエステル化によってエチル−3−HPに、酸化反応によってマロン酸に、および還元反応によって1,3−プロパンジオールに変換する。

    これらの変換は、例えば、当業者に公知の有機合成反応によって進行する。 3−HPのこれらの変換はいずれも、制御条件下で化学合成反応によって進行して、副産物の形成は許容できるくらい低く、高変換率および高収率が実現され得る。

    (実施例17)
    3−HPからのバイオアクリル酸の生成の予測的な実施例 3−HPを、例えば実施例15に記載されている通り上記微生物のバイオ生産イベントから、比較的純粋な状態で得る。 上記3−HPを、例えば真空下、触媒の存在下で加熱することにより、脱水反応によってアクリル酸に変換する。 より詳細には、酸または塩としての3−HPの水溶液を、上のXIセクションからこの実施例に組み込まれた表8から選択される触媒を含む回転フラスコに加える。

    回転および真空下で、温度を100℃から190℃の間まで上昇させ、蒸気を凝縮器で回収する。 アクリル酸を凝縮物として回収し、例えば本明細書に記載の分析手順によって定量化する。 温度、温度の変化の速度、上記微生物のバイオ生産イベントから得られた3−HP溶液の純度、減圧(および圧力の変化の速度)、ならびに1種以上種の触媒の種類および濃度などのパラメータの種々の組み合わせを、いくつかの生成シナリオでは望ましくないアクリル酸の重合を含み得る、望ましくない副反応を伴わない高変換率という目的をもって評価する。

    (実施例18)
    3−HPからのバイオアクリル酸の生成の代替の予測的な実施例 3−HPを、例えば実施例15に記載されている通り上記微生物のバイオ生産イベントから、比較的純粋な状態で得る。 上記3−HPを、例えば真空下、触媒の存在下で、しかし、3−HPからアクリル酸が形成された後のアクリル酸の制御重合に好都合な条件下で加熱することにより、脱水反応によってアクリル酸に変換する。 温度、反応中に産生する熱の除去を含めた温度の変化の速度、上記微生物のバイオ生産イベントから得られた3−HP溶液の純度、減圧(および圧力の変化の速度)、ならびに1種以上種の触媒の種類および濃度および/または光への曝露などのパラメータの種々の組み合わせを、望ましくない副反応を伴わない高変換率という目的をもって評価する。 そのように形成されたアクリル酸は、上記の開示された方法などの当技術分野で公知の方法によって分離し、精製することができる。

    (実施例19)
    アクリル酸の、下流の生成物への変換の予測的な実施例 実施例17のアクリル酸を、本明細書に記載のとおりの下流の生成物の1つ(つ以上)にさらに変換する。 例えば、その変換方法は、アクリル酸メチルを生成するメタノールを用いたエステル化、または他のアクリル酸エステルのための、他のアルコールを用いた他のエステル化、アクリルアミドを生成するアミド化、アクリロニトリルを生成するニトリル部分の付加である。 本明細書に記載のとおりの置換された下流の化合物を得るために、他の付加を所望の通り行う。

    (実施例20)
    アクリル酸のポリアクリル酸への変換の予測的な実施例 実施例17のアクリル酸を、アクリル酸を水溶液中で加熱し、その溶液を光に曝露させることによって重合反応を開始し、その後、重合の熱を除去することによって温度および反応速度を制御することにより、ポリアクリル酸にさらに変換する。

    本明細書の特定の方法および教示および/または参照により組み込まれる引用された参考文献を、上記の実施例に組み込むことができる。 また、本明細書に記載されるなどの3−HP、またはその下流の生成物の1つの生成は、種々の実施形態では、力価が少なくとも1g/リットル、少なくとも2g/リットル、少なくとも5g/リットル、少なくとも10g/リットル、少なくとも20g/リットル、少なくとも30g/リットル、少なくとも40g/リットルおよび少なくとも50g/リットルに到達し得る。

    (実施例21)
    発酵ブロスからの3−HPの分離および反応抽出 発酵実験の終わりにあたって10リットル発酵槽から得た発酵ブロスを、微生物を死滅させる工程として1時間にわたって60℃まで加熱し、次いで、3−HP(サブセクションIIIa、上記共通の方法セクションに記載の方法によって生成した)をおよそ1リットル当たり100グラムに調整し、pHを、硫酸アンモニウムを用いておよそ7.0に調整した。 1Mの塩化カルシウムを綿状物として加えて最終濃度を約8.2g/Lに到達させた。 その後、pHを、硫酸を使用しておよそpH2.0に調整した。 その後この修飾された発酵ブロスの体積をおよそ3,200gで5分間にわたって遠心分離して澄んだブロスおよびペレットを得、ペレットを廃棄した。

    次いで、澄んだブロスの構成部分を、種々の共溶媒を含む第3級アミン非極性相と混合することによって反応抽出(reactive extraction)に供した。 混合した後、水相および非極性のアミン相を分離させ、非極性のアミン相を水相から取り出し、それをHPLCによる3−HP濃度についての分析に供した(上記共通の方法セクションの方法を参照されたい)。 アミンには、上記のAlamine336およびトリペンチルアミンが含まれた。 表40に、それぞれ、その構成部分中の最初の3−HPとラフィネート(抽出後の水相)中の3−HPとの間の差に基づいて算出した、それぞれの非極性のアミン相溶液への単一パス抽出効率の概要を提供する。

    表40

    Alamine336を用いて、実質的に多いエマルションが形成され、相分離がトリペンチルアミン処理と比較して遅くなったことが留意された。 それにもかかわらず、これらの第3級アミンは両方とも、3−HPが水相から非極性相(すなわち、共溶媒を伴う第3級アミン)に抽出されることを実証した。 本実施例で使用した共溶媒は、限定的なものではない;他の共溶媒、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールを考察することができる。 また、共溶媒としてトリペンチルアミンを用いてヘキサンを試験したが、そのデータは、この試料がそのHPLC分析においてピークシフトが生じたので、有効であるとみなされなかったことに留意する。

    さらに、本出願の他の箇所に記載され、当技術分野で一般に公知の通り、3−HPを発酵ブロスから分離、抽出および精製するための他のアプローチがある。 したがって、この実施例は、限定的なものではない。

    上記3−HPを非極性相である第3級アミン溶液から、逆抽出によって回収する例が実施例22に提供される。

    (実施例22)
    酸触媒を用いた3−HPのアクリル酸への脱水 1リットル当たり約350グラムの3−HP(サブセクションIIIa、上記共通の方法セクションに記載の方法によって生成した)を含む水溶液およそ15mLを、フラスコ内で濃硫酸およそ15mLと混ぜ合わせた。 そのフラスコをロータリーエバポレーター装置(Rotovapor Model R−210、BUCHI Labortechnik AG、Switzerland)に取り付け、加熱浴中(BUCCHI、Model B−491)、減圧下で(10〜20mbar)80℃まで加熱し、冷却剤として冷水を用いて動作する凝縮装置の下で凝縮物を回収した。 およそ5時間後に上記凝縮物を回収し、その体積を測定し、一定分量をHPLC分析にかけた(共通の方法セクションを参照されたい)。 上記フラスコ内の反応混合物の一定分量も、HPLC分析にかけた。 HPLC分析により、上記凝縮物中1リットル当たりおよそ24グラムのアクリル酸が得られ、一方1リットル当たりおよそ4.5グラムが上記フラスコの反応混合物に残ったことが示された。 したがって、これらの条件下で3−HPがアクリル酸を形成することが示された。 この実施例は、限定的なものではない。

    (実施例23)
    アクリル酸のポリアクリル酸への変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、アクリル酸を水溶液中で加熱し、その溶液を光に曝露させることによって遊離基重合反応を開始し、その後、その重合の熱を除去することによって温度および反応速度を制御することにより、ポリアクリル酸にさらに変換する。

    アクリル酸が約50wt%の濃度で水に溶解するバッチ重合を利用する。 単量体溶液を、その溶液中に窒素を通気させることによって脱酸素する。 有機過酸化物などの遊離基開始剤を必要に応じて加え(光源による開始を補助するため)、温度を約60℃にして重合を始める。

    上記ポリマーの分子質量および分子質量分布を測定する。 必要に応じて、密度、粘度、融解温度およびガラス転移温度を含めたポリマーの他の性質を決定する。 本明細書の特定の方法および教示および/または参照により組み込まれる引用された参考文献を、上記の実施例に組み込むことができる。 また、本明細書に記載されるなどの3−HP、またはその下流の生成物の1つの生成は、種々の実施形態では、力価が少なくとも1g/リットル、少なくとも2g/リットル、少なくとも5g/リットル、少なくとも10g/リットル、少なくとも20g/リットル、少なくとも30g/リットル、少なくとも40g/リットルおよび少なくとも50g/リットルに到達し得る。

    (実施例24)
    アクリル酸の、ポリアクリル酸への塊状重合の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、塊状重合によってポリアクリル酸にさらに変換する。 アクリル酸単量体、単量体可溶性開始剤および中和用塩基を重合反応器内で混ぜ合わせる。 重合を開始し、温度を制御して所望の変換レベルを実現する。 開始剤は、当技術分野で周知であり、上記の様々な有機過酸化物および他の化合物を含む。 上記アクリル酸またはポリアクリル酸は、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて少なくとも部分的に中和する。

    上記ポリマーの分子質量および分子質量分布を測定する。 必要に応じて、密度、粘度、融解温度およびガラス転移温度を含めたポリマーの他の性質を決定する。

    生成したポリアクリル酸は、おむつ、成人失禁用製品、女性の衛生用品および同様の消費者向け製品用の水および水溶液の吸収剤としての高吸収性ポリマーとして使用するため、ならびに農業、園芸および他の分野における可能性のある用途のためのものである。

    (実施例25)
    高吸収性ポリマーの生成の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、溶液重合によって高吸収性ポリアクリル酸にさらに変換する。 アクリル酸単量体の水溶液(約25〜30wt%で)、開始剤、中和用塩基、抗酸化剤、架橋剤(トリメチロールプロパントリアクリレートなど)および必要に応じて、他の添加剤を重合反応器内で混ぜ合わせ、重合を開始する。 中和するために使用することができる塩基としては、これらに限らないが、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。

    上記反応器の内容物を60分間脱酸素する。 上記重合反応の温度を最初の所望のレベルまで上昇させる。 次いで、上記反応器を、実現されるべき所望の単量体の変換のために必要な期間にわたって所望の保持温度で維持する。 生じた反応生成物は高粘度ゲルの形態で存在する。 次いで、高粘度のゲル様反応生成物を薄膜または線維(strand)に加工し、乾燥し、すりつぶして粒子にし、それを種々の粒子サイズの画分にスクリーニングまたは分類する。 そのポリマーを乾燥させ、最終粒子サイズにすりつぶした後、それを、残留アクリル酸および他の化学物質、抽出可能な遠心分離能、せん断弾性係数および負荷時の吸収について分析する。 分子質量、分子質量分布、密度、粘度、融解温度およびガラス転移温度を含めたポリマーの他の性質を測定することができる。 そのポリマー粒子の表面に架橋コモノマーを加えることによって表面処理を実施することができる。

    生成したポリアクリル酸は、おむつ、成人失禁用製品、女性の衛生用品および同様の消費者向け製品用の水および水溶液の吸収剤としての高吸収性ポリマーとして使用するため、ならびに農業、園芸および他の分野における可能性のある用途のためのものである。

    (実施例26)
    高吸収性ポリマーの生成の代替の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、懸濁重合によって高吸収性ポリアクリル酸にさらに変換する。 水、アクリル酸単量体および中和用塩基を含む水相を、不活性な疎水性の液体を含む油相と混ぜ合わせ、必要に応じて、懸濁化剤をさらに提供する。 上記水相および上記油相を、微細な単量体の液滴が形成される条件下で(約75℃の温度を含めて)接触させる。 重合を開始し、重合したポリアクリル酸の微小粒子を、遠心分離機を使用してその懸濁液から回収する。

    次いで、上記ポリアクリル酸を乾燥させ、すりつぶして粒子にし、それを種々の粒子サイズの画分にスクリーニングまたは分類する。 そのポリマーを乾燥させ、最終粒子サイズにすりつぶした後、それを、残留アクリル酸および他の化学物質、抽出可能な遠心分離能、せん断弾性係数および負荷時の吸収について分析する。 分子質量、分子質量分布、密度、粘度、融解温度およびガラス転移温度を含めたポリマーの他の性質を測定することができる。

    生成したポリアクリル酸は、おむつ、成人失禁用製品、女性の衛生用品および同様の消費者向け製品用の水および水溶液の吸収剤としての高吸収性ポリマーとして使用するため、ならびに農業、園芸および他の分野における可能性のある用途のためのものである。

    (実施例27)
    アクリル酸の、アクリル酸メチルへの変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、直接的な、触媒エステル化によってアクリル酸メチルに変換する。 アクリル酸を、メタノールと接触させ、その混合物をエステル化触媒の存在下で約50℃まで加熱する。 エステル化の間に形成される水を蒸留によってその反応混合物から除去する。 エステル化反応の進行を、上記混合物中のアクリル酸および/またはメタノールの濃度を測定することによってモニターする。

    他の単量体と反応性であり、アクリル共重合体に強度および耐久性を与えるアクリル酸メチルは、革、紙、敷き物(floor covering)および織物用のコーティングに有用な単量体である。 アクリル酸メチルを含有する樹脂は、エラストマー、接着剤、増粘剤、両性界面活性剤、繊維およびプラスティックとして製剤化することができる。 アクリル酸メチルは、水処理材料の作製および化学合成において使用される単量体の生成においても使用される。

    (実施例28)
    アクリル酸の、アクリル酸エチルへの変換の予測的な実施例 例えば、実施例19で提供されるアクリル酸を、直接的な、触媒エステル化によってアクリル酸エチルに変換する。 アクリル酸をエタノールと接触させ、その混合物をエステル化触媒の存在下で約75℃まで加熱する。 エステル化の間に形成される水を蒸留によってその反応混合物から除去する。 エステル化反応の進行を、上記混合物中のアクリル酸および/またはエタノールの濃度を測定することによってモニターする。

    アクリル酸エチルは、織物、接着剤および密封材において使用するためのホモポリマーおよび共重合体の生成において使用される。 アクリル酸エチルは、共重合体、例えばアクリル酸およびその塩、エステル、アミド、メタクリレート、アクリロニトリル、マレアート、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、ブタジエンおよび不飽和ポリエステルの生成においても使用される。 さらに、アクリル酸エチルは化学合成において使用される。

    (実施例29)
    アクリル酸の、アクリル酸ブチルへの変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を直接的な、触媒エステル化によってアクリル酸ブチルに変換する。 アクリル酸を1−ブタノールと接触させ、その混合物をエステル化触媒の存在下で約100℃まで加熱する。 エステル化の間に形成される水を蒸留によってその反応混合物から除去する。 エステル化反応の進行を、上記混合物中のアクリル酸および/またはエタノールの濃度を測定することによってモニターする。

    アクリル酸ブチルは、水性の工業用および建築用の塗料、エナメル、接着剤、充填材(caulk)および密封材および織物仕上げ剤において使用するためのホモポリマーおよび共重合体の生成に使用され、ホモポリマーおよび共重合体はメタクリレート、アクリロニトリル、マレアート、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、ブタジエンまたは不飽和ポリエステルと一緒に利用される。

    (実施例30)
    アクリル酸の、エチルヘキシルアクリレートへの変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を直接的な、触媒エステル化によってエチルヘキシルアクリレートに変換する。 アクリル酸を2−エチル−1−ヘキサノールと接触させ、その混合物をエステル化触媒の存在下で約120℃まで加熱する。 エステル化の間に形成される水を蒸留によってその反応混合物から除去する。 エステル化反応の進行を、上記混合物中のアクリル酸および/またはエタノールの濃度を測定することによってモニターする。

    エチルヘキシルアクリレートは、充填材、被覆剤および圧感接着剤、塗料、革仕上げ剤および織物用および製紙用塗布剤のためのホモポリマーおよび共重合体の生成において使用される。

    (実施例31)
    アクリル酸の、消費者向け製品を含めた最終製品への変換の予測的な実施例 実施例24〜27で提供されるような1つ以上のアクリレートを、接着剤、表面被覆剤、水性被覆剤、塗料、インク、革仕上げ剤、製紙用塗布剤、フィルム被覆剤(film coatings)、可塑剤、または凝集剤の前駆体の1つ以上にさらに変換する。 そのような最終製品への変換には、当技術分野で公知の方法を使用する。

    (実施例32)
    アクリルベースの塗料の製造の予測的な実施例 アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリルまたは本明細書の他の箇所に記載されるとおり微生物によって生成された3−HPから変換したアクリル酸から得られる他の共重合体の1つ以上を含む少なくとも1つの粒子の水不溶性の共重合体を含む水性分散物を、そのような成分を十分に撹拌しながら一緒に混合して上記共重合体の安定な分散物を形成することによって得る。 上記共重合体の有する平均分子量は少なくとも50,000であり、0.5〜3.0ミクロンにわたる直径を有する共重合体粒子を伴い、水性分散物中の他の成分は、色素、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム)、溶媒(例えば、アセトン、ベンゾール、アルコールなど、ただし、これらは、ある特定の非VOC塗料においては見出されない)、増粘剤および条件、適用、意図された表面などに応じた追加の添加剤を含んでよい。

    そのようなアクリルベースの塗料の変形物では、上記アクリルベースのポリマーに加えて、共重合体を加えることができる。 そのような他の共重合体としては、これらに限定されないが、酢酸ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびスチレンを挙げることができる。

    (実施例33)
    3−HPの1,3−プロパンジオールへの変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を1,3−プロパンジオールに変換する。 3−HPを、液相において非補強(unsupported)ルテニウム触媒の存在下で水素化させて、1,3−プロパンジオールを調製する。 上記液相は水およびシクロヘキサンを含む。 撹拌槽反応器において、約150℃の温度および約1000psiの圧力で水素添加を連続的に行う。 水素添加の進行を、上記反応器内の3−HPおよび/または水素の濃度を測定することによってモニターする。

    (実施例34)
    3−HPのマロン酸への変換の予測的な実施例 例えば実施例22で提供されるアクリル酸を、Rhを含む補強触媒による3−HPの接触酸化によってマロン酸に変換する。 上記接触酸化は、トリクルベッド手順で動作する固定層反応器において行う。 トリクルベッド手順では3−HP出発材料、ならびにその酸化生成物を含む水相およびpHを調整するための手段および酸素または酸素を含有する気体を、向流で送ることができる。 十分に短い反応時間を実現するために、その変換を、pH約8において行う。 酸化を、約40℃の温度において行う。 マロン酸はほぼ定量的な収率で得られる。

    (実施例35)
    3HPTGCにおける遺伝因子のコピーの増加は、3−HPに対する耐性を付与する SCALEs技法を使用する、3−HP曝露と関係するライブラリークローンの適合度についてのSCALEs評価からのデータは、多くの遺伝子および酵素についての3−HP耐性に関する関係について明らかな証拠を与える。 このデータからおよび上記3HPTGCの他の構成部分からの適合度データを考慮して、上記3HPTGCの遺伝子もしくは酵素のいずれかの適切な改変および/またはそのような酵素の酵素活性を提供する核酸配列の提供(必ずしも酵素全体をコードするものではない)が、3−HP耐性の増加に至る酵素活性の改変をもたらし得るという大まかな見解が得られ得る。

    上記3HPTGCにおける遺伝子によって付与される3−HP耐性を測定するために使用する方法を、以下のように概説する。

    細菌、プラスミド、およびライブラリー構築 野生型Escherichia coli K12(ATCC#29425)を、ゲノムDNAの調製のために使用した。 精製ゲノムDNAについての6つの試料は、37℃で、異なるそれぞれの時間−10、20、30、40、50、および60分間、2つの平滑カッターAluIおよびRsaI(Invitrogen、Carlsbad、CA USA)を用いて消化し、次いで、15分間、70℃で熱不活化した。 制限消化物を混合し、断片化されたDNAは、アガロースゲル電気泳動を使用し、サイズに基づいて分離した。 0.5、1、2、4、および8kbを超えるサイズのそれぞれのDNA断片をゲルから切り取り、製造者の指示に従って、ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した。 ゲノムライブラリーは、製造者の指示に従って、pSMART−LCKANベクター(Lucigen、Middleton、WI USA)との、それぞれの精製断片化DNAのライゲーションによって構築した。 次いで、それぞれのライゲーション産物は、E. Cloni 10G Supreme Electrocompetent Cells(Lucigen)に電気穿孔し、LB+カナマイシン上にまいた。 コロニーは、採取し、プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen HiSpeed Plasmid Midi Kitを使用して抽出した。 それぞれのライブラリーの精製プラスミドDNAは、電気穿孔によって、Escherichia coli株Mach1−T1(登録商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA USA)に導入した。 それぞれのライブラリー−0.5、1.0、2.0、4.0、および>8.0kbのゲノムDNAに相当するこれらの培養物は、組み合わせ、所望の密度まで、およそ0.50のOD 600まで37℃でインキュベートした。 この組み合わせたライブラリー培養混合物を、選択に使用した(本明細書におけるセクションを参照されたい、また、Lynch,
    M. 、Warencke, TE、Gill, RT、SCALEs: multiscale analysis of library enrichment. Nature Methods、2007年、4巻(87〜93頁);Warnecke, T. E. 、Lynch, M. D. 、Karimpour−Fard, A. 、Sandoval, N. 、Gill, R. T. 、A genomics approach to improve the analysis and design of strain selections. Metabolic Engineering、2008年 10巻(154〜156頁)もまた参照されたい)。 pSMART−LCKAN空ベクターを含有するMach1−T1(登録商標)は、全ての対照実験に使用した。 増殖曲線は、MOPS最少培地において作製した(Neidhardt, F.、Culture medium for enterobacteria. J Bacteriol、1974年、119巻:736〜747頁を参照されたい)。 抗生物質濃度は、20ugカナマイシン/mLとした。

    3−HPの調製 3−HPは、TCI America(Portland、OR)から得た。 かなりのアクリル酸および2−オキシジプロピオン酸混在物が、HPLC分析を介して観察された。 試料は、続いて、ジエチルエーテル抽出によって処理し、アクリル酸および2−オキシジプロピオン酸混入物の一部を除去した。 次いで、試料は、7.0の最終pHまで、10M NaOHを用いて中和した。 かなりの不溶物が、およそ35g/Lを超過した濃度において中性pHで観察された。 中和した試料は、4℃で、30分間、4000rpmで遠心分離した。 その可溶性3−HP画分は、このように遠心分離した不溶物から単離し、作業用の原液の濃度および純度の最終の定量化のためにHPLCによってさらに分析した。 作業用の原液は、本実施例において選択およびMIC評価のために使用した。

    選択 本明細書において述べられるように、5つの代表的なゲノムライブラリーを、0.5、1、2、4、および8kbの確定された挿入物サイズを有するE. coli K12ゲノムDNAから生成し、それぞれのライブラリーを、MACH1(商標)−T1(登録商標)E. coliに形質転換し、培養し、次いで、混合した。 その混合物は、2本の15mLねじ蓋付き試験管に等分し、最終濃度は、10M NaOHを用いてpH7に中和した20g/L 3−HP(TCI America)とした。 その選択培養物の細胞密度は、それらが0.3〜0.4の最終OD 600に接近するとおりにモニターした。 その元の選択培養物は、反復バッチ選択戦略の一部として、15mL MOPS最少培地+カナマイシン+3−HPの別のラウンドに接種するために続いて使用した。 全体として、選択は、60時間にわたる3−HPの減少勾配のため、8つの一続きの移動バッチに対して実行した。 特に、上記3−HPの濃度は、一続きのバッチ1および2については20g 3−HP/Lとし、一続きのバッチ3および4については15g 3−HP/Lとし、一続きのバッチ5および6については10g 3−HP/Lとし、一続きのバッチ7および8については5g 3−HP/Lとした。 一続きのバッチ7および8については、その培養培地を、栄養分の不足を回避するために、その培養物が静止期に接近する場合に、交換した(本明細書において参照によって組み込まれるWarnecke, T.E.、Lynch, M.D.、Karimpour−Fard, A.、Sandoval, N.、Gill, R.T.、A genomics approach to improve the analysis and design of strain selections. Metabolic Engineering、2008年 10巻(154〜156頁)もまた参照されたい)。 バッチ移動時間は、栄養不足の選択環境を回避するために必要に応じて調節した。 試料は、それぞれのバッチの最終段階(culmination)で採取した。 3−HPを含有する反復バッチ培養物は、モニターし、60時間の期間にわたって接種し、3−HPの存在下で増殖の増加を示すクローンの濃度を増強させた。 試料は、それぞれのバッチで、選択プレート(カナマイシンを有するLB)上に、1mLの選択した集団をまくことによって選択した。 プラスミドDNAは、それぞれの試料から抽出し、以前の研究(Lynch, M.、Warencke, TE、Gill, RT、SCALEs: multiscale analysis of library enrichment. Nature Methods、2007年、4巻(87〜93頁)を参照されたい)および製造者の指示に従って、Affymetrix E. coli Antisense GeneChip(登録商標)アレイ(Affymetrix、Santa Clara、CA)にハイブリダイズさせた。

    データ分析 データ分析は、本明細書においておよびLynch, M. 、Warencke, TE、Gill, RT、SCALEs: multiscale analysis of library enrichment. Nature Methods、2007年、4巻(87〜93頁))においてもまた記載されるように、SCALEsに適切なソフトウェアを利用することによって完成させた。 特異的なゲノムエレメント由来の適合度寄与は、先に記載されるように、上記選択した集団の画分としてのそれぞれの領域の富化物から計算した(Lynch, M.、Warencke, TE、Gill, RT、SCALEs: multiscale analysis of library enrichment. Nature Methods、2007年、4巻(87〜93頁))。 手短かに言えば、上記選択においてそれぞれのバッチの最終段階で採取した試料由来のプラスミドDNAは、上記に従って、Affymetrix E. coli Antisense GeneChip(登録商標)アレイにハイブリダイズさせ、これから得られたデータは、さらに分析した。 それぞれのアレイについて、個々のプローブセットに対応するシグナル値は、Affymetrixデータファイルから抽出し、類似する親和性値に基づいてプローブセットに分配した(Naef, F.およびMagnasco, M. O.、2003年、Solving the riddle of the
    bright mismatches: labeling and effective binding in oligonucelotide arrays. Phys. Rev. E68、011906)。 それぞれのプローブのバックグラウンドシグナルは、従来のAffymetrixアルゴリズム(MAS 5.0)に従って減算した。 非特異的なノイズは、完全マッチシグナルと完全マッチシグナルに対するミスマッチシグナルとの差異についてのロバスト回帰の切片として決定した。 次いで、プローブシグナルは、最も近い25のプローブシグナルについてtukey bi−weightとしてゲノム位置にマッピングし、1000bpウィンドウ長の中間フィルターを適用することによってノイズを除去した。 プローブの間のギャップは、線形補間によって埋めた。 この連続的なシグナルは、N−sieveベースの分析を使用して、分解し、Lynchら(2007年)によって詳細に記載されるように500bpの最小規模で再構築した。 シグナルは、ライブラリーベクター骨格上にあり、かつチップに追加された全プラスミド濃度に対応するシグナルに相当するプライマーの全抑制因子(repressor of primer)(ROP)シグナルによってさらに標準化した。

    上記分析は、マイクロアレイシグナルを対応するライブラリークローンに分解し、ある期間にわたって特異的な領域の相対的な富化度を計算した。 このように、ゲノム全域にわたる適合度(ln(X /X i0 ))は、3−HPの存在下における選択についての領域特異的な富化パターンに基づいて測定した。 次いで、遺伝因子およびそれらの対応する適合度は、それらのEcoCyc分類(ecocyc.org)に基づいて代謝経路によって分けた。 この適合度マトリックスは、経路適合度(W)および上記選択した集団において見出された富化の度数の両方を計算するために使用した。

    経路重複性は、経路適合度の最初の順位序列づけ、その後に続く第1の順位において同定された主要な経路への複数の経路と関連する遺伝因子についての特異的な割り当ておよび第2の経路由来の遺伝子特異的適合度値の続く除去によって同定した。

    同様に、所与の遺伝因子における遺伝子は、以下のように、遺伝因子における近隣の遺伝子とは無関係に適合度を割り当てた:任意の遺伝子の適合度は、その遺伝子を含有した全てのクローンの適合度の合計として計算した。 これには、遺伝子適合度の最初の順位序列づけが続き、その後に、複数の遺伝子と関連する遺伝因子について、最も高い順位を有する遺伝因子において同定された優性遺伝子への特異的な割り当てが続き、その後に遺伝因子における非優性遺伝子由来の適合度値の除去が続いた。

    データは、従来のシグナル検出理論に従って、受信者動作特性(「ROC」)の構築によってさらに分析した(T. Fawcett、「An introduction to ROC analysis」、Pattern Recog. Let. (2006年)27:861〜874頁)。 データは、分析の標準的な方法を使用し、上記に従って、それぞれの遺伝因子についての適合度値および20g/L 3−HPの存在下で測定した比増殖速度を使用して、4つの標準的なクラス−真陽性、偽陽性、真陰性、および偽陰性に従って分類し、0.1、1.0、10、および20の適合度についてのカットオフ値は、真陽性率および偽陽性率の範囲を最適化する目的で選んだ。 クローンの遺伝因子に相当するデータポイントは、報告された適合度がカットオフ値よりも大きく、別々に測定した増殖速度が、陰性対照と比較した場合に著しく増加した場合、真陽性を示した。 偽陽性は、カットオフ値よりも大きな報告された適合度を有したが、増殖速度は、陰性対照よりも著しく大きくなかった。 クローンは、対応する適合度がカットオフ値未満であり、それが、増殖速度の著しい低減、つまり、陰性対照よりも著しく大きくない増殖速度をもたらした場合のみ、真陰性と指定し、偽陰性は、適合度スコアの低減を有するが、増殖速度の増加、つまり、陰性対照よりも著しく大きい増殖速度を実証するクローンを指す。

    ROC曲線は、偽陽性率(1−特異性)に対する真陽性率(感度)をプロットすることによって構築する(T. E. Warneckeら Met. Engineering 10巻(2008年):154〜165頁を参照されたい)。 したがって、適合度の増加により同定されたクローン(およびそれらのそれぞれの遺伝因子)は、対照を超えて、3−HPに対する耐性を付与することが確信をもって述べられてもよい。

    結果 図9A、シート1〜7は、E. coliについて上記3HPTGCにおいて同定された遺伝子を図面で示す。 さらに、表3は、上記3HPTGCにおける遺伝子のいくつかについて本明細書において計算したとおりの累積適合度値を示す。

    3−HP寛容原性複合体はまた、グラム陽性細菌Bacillus subtilisについて、酵母Saccharomyces cerevisiaeについて、および細菌Cupriavidus necatorについても発展させた。 これらは、図9B〜D、シート1〜7においてそれぞれ表す。

    (実施例36)
    3HPTGC産物の追加、第1部 本実施例および上記3HPTGCの概念化に基づいて、上記3HPTGCの律速酵素変換産物(つまり酵素変換工程の産物(複数可))を加えることによって、微生物の3−HP耐性を増加させることが可能である。 本実施例は、E. coliにおいて3−HP耐性を増加させるためのいくつかのそのような産物の追加を実証する。

    細菌、プラスミド、および培地 野生型Escherichia coli K12(ATCC#29425)を、ゲノムDNAの調製のために使用した。 Mach1−T1(登録商標)は、Invitrogen(Carlsbad、CA USA)から得た。

    3−HPの調製 3−HPは、TCI America(Portland、OR)から得た。 かなりのアクリル酸および2−オキシジプロピオン酸混在物が、HPLC分析を介して観察された。 試料は、続いて、ジエチルエーテル抽出によって処理し、アクリル酸および2−オキシジプロピオン酸混入物の一部を除去した。 次いで、試料は、7.0の最終pHまで、10M NaOHを用いて中和した。 かなりの3−HPの重合が、およそ35g/Lを超過した濃度において中性pHで観察された。 中和した試料は、4℃で、30分間、4000rpmで遠心分離した。 その可溶性3−HP画分は、固体ポリマー産物から単離し、作業用の原液の濃度および純度の最終の定量化のためにHPLCによってさらに分析した。 上記作業用の原液は、本実施例において選択、増殖速度、およびMIC評価のために使用した。
    最小発育阻止濃度 市販で得た3−HP(TCI America、Portland、OR USA、本明細書における3−HPの調製を参照されたい)を使用する最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて微好気的に(microaerobically)決定した。 株の一晩培養物を5mlのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で増殖させた。 MOPS最少培地を上部に充填し、かつ覆った15mlコニカルチューブに接種するために1v/v%を使用した。 細胞が中間指数期(mid exponential phase)に達した後、その培養物は、0.200のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:20にさらに希釈し、10ulの一定分量を、それぞれのウェルに接種するために使用した(1ウェル当たり約10 細胞)。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜70g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件ならびに2.4mMチロシン(Sigma)、3.3mMフェニルアラニン(Sigma)、1mMトリプトファン(Sigma)、0.2mM p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド(MP Biomedicals)、0.2mM p−アミノ安息香酸(MP Biomedicals)、0.2mM 2,3−ジヒドロキシ安息香酸(MP
    Biomedicals)、0.4mMシキミ酸(Sigma)、2mM塩酸ピリドキシン(Sigma)、35uMホモセリン(Acros)、45uMホモシステインチオラクトン塩酸塩(MP Biomedicals)、0.5mMオキソブタノエート(Fluka)、5mMトレオニン(Sigma)であることが特定される最適な補充濃度で補充したそれぞれの培地における増殖を測定した。 最小発育阻止3−HP濃度(つまり、目に見える増殖がない最低の濃度)および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間(その期間を延長した場合に、データは、結果において実質的な変化を示さなかったが、24〜25時間)後に記録した。

    結果 E. coli Mach1−T1(登録商標)の3−HP耐性は、培地に補充物質を加えることによって増加した。 本明細書において記載される補充により、以下のMICの増加がもたらされた:40%(チロシン)、33%(フェニルアラニン)、33%(トリプトファン)、33%(p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド)、7%(p−アミノ安息香酸)、33%(2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−didyroxybenzoic
    acid))、0%(塩酸ピリドキシン)、33%(ホモセリン)、60%(ホモシステインチオラクトン塩酸塩)、7%(オキソブタノエート)、および3%(トレオニン)。

    (実施例37)
    3HPTGC産物の追加、第2部(3−HPの新しい供給源の使用)
    本実施例および上記3HPTGCの概念化に基づいて、上記3HPTGCの律速酵素変換産物(これらのうちの少なくともいくつかは、代わりに「中間体」と呼ばれてもよい)を加えることによって、微生物の3−HP耐性を増加させることが可能である。 本実施例は、E. coliにおいて3−HP耐性を増加させるためのプトレシン、スペルミジン、カダベリン、および重炭酸ナトリウムの追加を実証する。 この文脈において使用される「律速」の概念は、克服された場合に対象の微生物または系による3−HP耐性の増加を実証し得る仮定される制限を指す。 非排他的なアプローチとして、そのような仮定される制限は、特定の酵素変換産物または他の化合物の追加に際しての3−HPに対する耐性の増加の実証によるように、実験的に確認されてもよい。

    細菌、プラスミド、および培地 野生型Escherichia coli K12(ATCC#29425)を、ゲノムDNAの調製のために使用した。 M9最少培地およびEZリッチ培地は、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載する。
    3−HPの調製 3−HPは、上記共通の方法セクションのサブセクションIIIにおいて記載されるようにベータプロピオラクトンから得た。

    最小発育阻止濃度 E. coliについての3−HPの最小発育阻止濃度(MIC)(本明細書における3−HPの調製を参照されたい)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて好気的に決定した。 株の一晩培養物を、振盪インキュベーターにおいて37℃で5mlのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で増殖させた。 1v/v%を、10mLのM9最少培地に接種するために使用した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、0.200のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:20にさらに希釈し、10ulの一定分量を、それぞれのウェルに接種するために使用した(1ウェル当たり約10 細胞)。 そのプレートを配置し、プトレシン(0.1g/L、MP Biomedicals、Santa
    Ana、CA USA)、カダベリン(0.1g/L、MP Biomedicals)、またはスペルミジン(0.1g/L、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USA)、または重炭酸ナトリウム(20mM、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA USA)(括弧中の値は、培地中の最終濃度を示す)を補充したM9最少培地中で、多様な株の増殖、または10g/Lの増分で3−HP濃度を0〜100g/Lに増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 最小発育阻止3−HP濃度(つまり、目に見える増殖がない最低の濃度)および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間(その期間を延長した場合に、データ(示さず)は、結果において実質的な変化を示さなかったが、24〜25時間)後に記録した。 MIC終点は、目に見える増殖がなかった化合物の最低の濃度とする。

    結果 E. coliの3−HP耐性は、培地にポリアミンのプトレシン、スペルミジン、およびカダベリンを加えることによって増加した。 対照および補充培地におけるE. coli
    K12についての最小発育阻止濃度(MIC)は、以下の通りであった:プトレシンを補充したM9最少培地において40g/L、スペルミジンを補充したM9最少培地において40g/L、カダベリン(cadavarine)を補充したM9最少培地において30g/L。 M9最少培地に加えた重炭酸ナトリウムについての最小発育阻止濃度(MIC)は、30g/Lであった。 100g/L原液の3−HPにおけるE. coli K12についての最小発育阻止濃度(MIC)は、20g/Lであった。

    重炭酸ナトリウムを補充することにより対照のMICを上回る増加を示したことを考慮して、対象の細胞に、カルボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸配列を提供するなどの、カルボニックアンヒドラーゼ(現在、図9A1〜7に示していないが、HCO に直接関係する)の調節および/または遺伝子改変などの他の改変は、3−HPに対する耐性を増加させるのに有効であると考えられる(上記3HPTGCの他の改変と組み合わせてなどのように)。 同様に、また、本明細書において提供される他のデータによって支持されるように、アルギニン、プトレシン、カダベリン、およびスペルミジンに至る上記3HPTGC経路の構成部分に沿った酵素(複数可)の遺伝子改変(複数可)によるなどの酵素活性の改変は、3−HPに対する耐性を増加させるのに有効であると考えられる(上記3HPTGCの他の改変と組み合わせてなどのように)。

    (実施例38)
    3−HP耐性の増加のためのaroHの遺伝子改変 コピーの増加のときに3−HPに対する耐性を付与する遺伝因子としてのtyrA−aroFオペロンの同定に基づいて、この酵素活性をさらに検査した。 野生型aroF遺伝子は、漸増濃度の最終産物チロシンおよびフェニルアラニンによって阻害される。 しかしながら、この固有のフィードバック阻害制御を回避するために、上記aroH遺伝子のフィードバック抵抗性変異体を得て、以下のように細胞に導入した。

    クローン構築 PCRは、上流aroFpプロモーターおよびrho非依存性転写ターミネーターを含むように設計したプライマーを用いて、aroF−tyrA領域に対応するE. coli
    K12ゲノムDNAを増幅させるために使用した。 pSMART−カナマイシンベクターとの精製した断片化DNAのライゲーションは、製造者の指示に従って、CloneSMARTキット(Lucigen、Middleton、WI USA)を用いて実行した。 次いで、そのライゲーション産物は、ケミカルコンピテント(chemically
    competent)Mach1−T1(登録商標)E. coli細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA USA)に形質転換し、LB+カナマイシン上にまき、24時間37℃でインキュベートした。 陽性形質転換体の挿入を確認するために、プラスミドは、Qiagen(Valencia、CA)からのQiaprep Spin
    MiniPrep Kitを使用して、クローンから単離し、配列決定した(Macrogen、South Korea)。

    野生型aroH遺伝子(CB202)および単一のアミノ酸変化(G149D)を介してトリプトファンフィードバック阻害に対する抵抗性を示す変異体バージョン(CB447)を含有するプラスミドは、Rayら(Ray, J.M.、C. Yanofsky、およびR. Baurele、Mutational analysis of the catalytic and feedback sites of the tryptophan−sensitive 3−deoxy−D−arabino−heptulosante−7−phosphate synthase of Escherichia coli. J Bacteriol、1988年、170巻(12号):5500〜6頁)から得た。 これらのプラスミドは、ptacプロモーターおよびrrNBT1転写ターミネーターを含有するpKK223−3骨格ベクターを用いて構築した。 aroH挿入DNAは、上記プロモーターおよびターミネーターの両方を含むように設計したプライマーを用いて従来のPCR法に従って増幅した。 精製PCR産物は、pBT−1プラスミドとライゲーションし、エレクトロコンピテント(electrocompetent)Mach1−T1(登録商標)に形質転換した(Lynch, M.D.およびR.T. Gill、A series of broad host range vectors for stable genomic library construction. Biotechnology and Bioengineering、2006年、94巻(1号):151〜158頁)。 結果として生じるプラスミド配列は、(配列番号001)に示す。 最適な誘発レベルは、最小発育阻止濃度アッセイによって0.001mM IPTGであると決定した。

    MIC比較 MIC評価は、実施例35で記載するように行った。 aroH変異体を含むMach1−T1(登録商標)細胞培養物は、対照細胞培養物と、両方ともMOPS最少培地中で比較した。

    結果 MICにおける増加倍数によって測定されるように、上記aroH変異体を含む細胞は、対照のMICよりも1.4倍大きなMICを示した。 これは、40パーセントの改善に相当する。 したがって、本実施例は、3−HP耐性における上記3HPTGCの重要性についての知識に基づく、選択した細胞での3−HP耐性を増加させることについての、多くの可能な遺伝子改変アプローチのうちの1つを実証する。

    (実施例39)
    3−HP耐性の増加のためのシアナーゼ導入による遺伝子改変 E. coli K12由来のcynTS遺伝子を含有するプラスミドクローンは、実施例35において記載される選択物から得た。 pSMART−LC−Kan−cynTSと呼ばれるこのプラスミドは、標準的な方法に従って単離し、精製した。 (プラスミドの配列決定により最終配列(配列番号002)を明らかにした)。 精製プラスミドは、標準的な技術によってE. coli K12に再形質転換し、MICは、実施例37において記載されるように測定した。
    cynTS遺伝子を含有するプラスミドによる3−HP耐性の改善 M9最少培地中のE. coli K12およびE. coli K12+pSMART−LC−Kan−cynTSについての3−HPの最小発育阻止濃度(MIC)は、それぞれ、30g/Lおよび50g/Lであった。 したがって、3−HP耐性における増加を示すMICにおける60パーセントを超える改善が、E. coli宿主細胞において上記3HPTGCのたった1つの遺伝子改変を含んだ本実施例において観察された。 したがって、本実施例もまた、3−HP耐性における上記3HPTGCの重要性についての知識およびその知識の適切な使用に基づく、選択した細胞での3−HP耐性を増加させることについての、多くの可能な遺伝子改変アプローチのうちの1つを実証する。

    (実施例40)
    オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性を含むタンパク質配列をコードする核酸配列の開発(部分的に予測)
    広い基質範囲を有するいくつかの2−ケト酸デカルボキシラーゼは、先に特徴付けられた(Pohl, M.、Sprenger, G.A.、Muller, M.、A new perspective on thiamine catalysis. Current Opinion in Biotechnology、15巻(4号)、335〜342頁(2004年))。 特定に興味深いのは、精製され、特徴付けられたM. tuberculosis由来の酵素、アルファケトグルタル酸デカルボキシラーゼである(Tian, J.、Bryk, R. Itoh, M.、Suematsu, M.、およびCarl Nathan, C. Variant tricarboxylic acid cycle in Mycobacterium tuberculosis: Identification of alpha−ketoglutarate decarboxylase. PNAS. 2005年7月26日 102巻(30号):10670〜10677頁;;Stephanopoulos, G.、Challenges in engineering microbes for biofuels production. Science、2007年、315巻(5813号):801〜804頁)。 この酵素によって実行した反応を、図16Bに表す(図16Aは、天然のkgd遺伝子によってコードされる酵素による主な公知の化学反応を示す)。 上記天然のkgd遺伝子は、技術的困難または宿主株に対する毒性作用を伴わないで、先に、クローニングされ、E. coliから発現され、精製されている(Tian, J.、Bryk, R. Itoh, M.、Suematsu, M.、and Carl Nathan, C. Variant tricarboxylic acid cycle in Mycobacterium tuberculosis: Identification of alpha−ketoglutarate decarboxylase. PNAS. 2005年7月26日、102巻(30号):10670〜10677頁;Stephanopoulos, G.、Challenges
    in engineering microbes for biofuels production. Science,2007年、315巻(5813号):801〜804頁)。 この酵素もまた、アルファケトグルタル酸デヒドロゲナーゼと関連しそうもないので、選択した。 さらに興味深いのは、この酵素活性をアッセイするために好都合な比色法が開発されているということである。 本明細書に提供するとおり、図16Bに表す測定可能な酵素機能である、マロネートセミアルデヒドへのオキサロアセテートの脱炭酸を有するように上記kgd酵素を進化させる。 これを達成するための技術的な研究は、主として、所望のオキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性を有するアルファケトグルタル酸デカルボキシラーゼの変異体に対する従来の選択およびスクリーニングに依存する。

    第1の工程として、変異体ライブラリーは、選択またはスクリーニングに使用するkgd遺伝子から構築する。 M. tuberculosis由来のアルファケトグルタル酸デカルボキシラーゼについてのタンパク質配列は、商業的DNA遺伝子合成供給者であるDNA 2.0(Menlo Park、CA USA)からのサービスに従って、E. coli用にコドン最適化した。 核酸配列は、親和性ベースのタンパク質精製を可能にするために8つのアミノ酸N末端タグを用いて合成した。 この遺伝子配列は、遺伝子開始コドンとオーバーラップするNcoI制限酵素認識部位を組み込み、HindIII制限酵素認識部位を後続させた。 さらに、シャインダルガルノ配列(つまりリボソーム結合部位)を開始コドンの前に配置し、EcoRI制限酵素認識部位をその前においた。 この遺伝子構築物は、DNA 2.0によって合成され、pJ206ベクター骨格中に提供された。

    E. coliにおけるアルファケトグルタル酸デカルボキシラーゼの発現のためのpKK223−kgdと呼ばれる環状プラスミドベースのクローニングベクターは、以下のように構築した。 上記遺伝子合成されたkgd遺伝子を含有するプラスミドDNA pJ206は、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得た酵素EcoRIおよびHindIIIを用いる酵素制限消化にかけた。 消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 kgd遺伝子に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagenからの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。 pKK223−aroHを持つE. coliクローニング株は、University of Colorado at BoulderのRyan
    T. Gill教授の研究室からの寄贈品として得た。 上記プラスミドを持つこの株の培養物は、標準的な方法によって増殖させ、プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの市販のミニプレップカラムによって調製した。 プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得た制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびHindIIIを用いて消化した。 この消化は、pKK223骨格からaroHリーディングフレームを分離する役目をした。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 pKK223プラスミドの骨格に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    上記kgd遺伝子に対応する精製DNAの片およびpKK223ベクター骨格を、ライゲーションし、そのライゲーション産物は、製造者の指示に従って電気穿孔を介して形質転換した。 pKK223−kgd(配列番号004)と呼ばれる、結果として生じるベクターの配列は、Macrogen(Rockville、MD USA)によって提供される商業サービスによって実行した慣用の配列決定によって確認した。 pKK223−kgdは、ベータラクタマーゼに対する抵抗性を付与し、IPTGによってE. coli宿主において誘導性のptacプロモーターの制御下にあるM. tuberculosisのkgd遺伝子を含有する。

    プラスミドpKK223−kgdは、増殖させ、精製DNAは、標準的な方法によって調製した。 プラスミドは、製造者の指示に従って、XL1−Redケミカルコンピテント細胞(Stratagene、LaJolla、CA)に導入し、LB+100マイクログラム/mLアンピシリン上にまき、>24時間、37℃でインキュベートした。 元の形質転換容量の1/1000を有する希釈培養物を、三連のLB+100マイクログラム/mLアンピシリン上でプレート培養した。 1000を超えるコロニーが得られ、形質転換当たりおよそ10 突然変異細胞に相当した。 コロニーは、プレートから穏やかに掻き集めてTB培地中に採取した。 その培養物は、ボルテックスによって直ちに再懸濁し、1mL冷凍保存培養物に等分し、15%(v/v)の最終グリセロール濃度とした(SambrookおよびRussell、2001年)。 上記培養物の残りは、3000rpmでの15分間の遠心分離によってペレットにした。 プラスミドDNAは、HiSpeed Plasmid Midi Kit(Qiagen、Valencia、CA)を使用して、製造者の指示に従って抽出した。 それぞれの変異体ライブラリーからの精製プラスミドDNAは、電気穿孔によって、E. coli 10GF'(Lucigen、Middleton、WI USA)に導入した。 形質転換効率および適切な形質転換体数(>10^6)を決定するために、この形質転換の1/1000容量を三連のLB+カナマイシン上でプレート培養した。

    本明細書において記載される選択ベースのアプローチは、オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性を有するkgd変異体の迅速な同定を可能にする。 E. coliの入手可能な株、株AB354は、選択のための宿主として使用する(Bunch, P. K.、F. Mat−Jan、N. Lee、およびD. P. Clark. 1997年、The ldhA gene encoding the fermentative lactate dehydrogenase of Escherichia coli. Microbiology 143巻:187〜195頁)。 この栄養要求性E. coli株は、アスパラギン酸デカルボキシラーゼをコードするpanDにおいて突然変異を有する。 この反応の産物、ベータアラニンは、パントテン酸の合成における必須の中間体、補酵素Aに対する前駆体である。 補酵素A合成における遮断により、このE. coli株が、補充なしの最少培地で増殖できないようになる(Cronoan, J.E.、Little, K.J.、Jackowski, S.;Genetic and Biochemical Analyses of Pantothenate Biosynthesis in Escherichia coli and Salmonella typhimurium. J. of Bacteriology、149巻(3号)、916〜922頁(1982年);Cronan, J.E.、Beta−Alanine Synthesis in Escherichia coli J. of Bacteriology、141巻(3号)、1291〜1297頁(1980年))。 R. norvegicus由来のgabTの発現は、E. coliにベータアラニンアミノトランスフェラーゼ活性を付与する(Tunnicliff, G.;Ngo, T.T.;Rojo−Ortega, J.M.;Barbeau, A.;The inhibition by substrate analogues of
    gamma−aminobutyrate aminotransferase from mitochondria of different subcellular
    fractions of rat brain Can. J. Biochem.
    55巻、479〜484頁(1977年))。 この酵素は、ベータアラニンを生成するための基質としてマロネートセミアルデヒドを利用することができる。 オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性を有する突然変異kgd遺伝子に加えてgabTを発現するE. coli AB354の株(E.coli AB354+gabT)は、代謝産物ベータアラニンを生成することができ、最少培地で増殖する能力が回復している。 その選択の予測される結果を、図18に表す。

    上記kgd遺伝子に類似して、コドンおよび発現最適化R. norvegicus gabT遺伝子は、遺伝子合成を介して商業的供給者DNA 2.0(Menlo Park、CA USA)から得られる。 それを、続いて、発現プラスミドの中にクローニングする。

    kgd遺伝子の変異体ライブラリーは、gabT遺伝子を発現するE. coli株AB354に導入する。 次いで、この集団を最少培地プレート上で増殖させる。 所望のオキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性を発現する個々の変異体が、これらの条件下でコロニーを形成する能力の回復を示すことが予測される。 これらのクローンを単離し、それらが続いて発現する突然変異タンパク質を、オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性について選択する。

    オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性についての変異体kgdライブラリーの構築選択の成功と共に、これらの変異体が所望の酵素活性を有することを確認することが必要である。 したがって、オキサロ酢酸アルファデカルボキシラーゼ活性について陽性の変異体を、アルファデカルボキシラーゼ活性について確認する。 これを達成するために、比色定量スクリーニングアプローチを、現在の標準的な方法から採用する。 このアプローチを図19に示す。 このアプローチは、変異体酵素の発現および精製ならびにその精製酵素、その補因子(チアミンピロリン酸)、および適切な基質との反応を必要とする。 タンパク質の発現および精製は、標準的な方法を用いて実行する。

    (実施例41)
    E. coli DF40+pKK223+MCRを使用する3−HPの1リットル規模のバイオ生産 実施例1に従って生成したE. coli株DF40+pKK223+MCRを使用して、およそ1リットルの作業用容量のバッチ培養を、3−HPの微生物のバイオ生産を評価するために行った。

    E. coli DF40+pKK223+MCRは、示される場合、200μg/mLアンピシリンを加えたLB培地からなる50mLバッフルフラスコの中に、標準的な手段(SambrookおよびRussell、2001年)によって冷凍保存物から接種し、225rpmで振盪させながら37℃で一晩、静止期まで増殖させた。 午前中に、この培養物を、示される場合、5%(w/v)グルコースおよび200μg/mLアンピシリンおよび1mM IPTGを加えたM9最少培地を含む1Lバイオリアクター容器に接種するために(5%v/v)使用した。 上記バイオリアクター容器は、適切なように、10M NaOHまたは1M HClの追加によって、pH6.75に維持した。 5L/分の速度での空気の連続的なスパージングによっておよび100〜1000rpmの間の上記バイオリアクター容器の撹拌速度の連続的な調整によって、そのバイオリアクター容器の溶存酸素含有率を、80%の飽和度に維持した。 これらのバイオ生産の評価は、少なくとも三連で行った。 これらの培養物の増殖をモニターするために、細胞数に相関する光学濃度測定(600nmにおける、1cm光路長での吸収度)を、最初の12時間、接種のときおよび接種後2時間毎に行なった。 バイオ生産イベントの2日目に、光学濃度および他の測定のための試料を3時間毎に収集した。 収集したそれぞれの試料について、細胞を遠心分離によってペレットにし、その上清を、上記共通の方法セクションにおける「3−HP生成についての培養物についての分析」によって記載されるように3−HP生成についての分析のために収集した。 この1リットルのバイオ生産容量における3−HPについての予備的な最終力価は、HPLC分析に基づいて0.7g/L 3−HPであると計算された。 このHPLC分析によって3−HPと区別できないマロネートセミアルデヒドもしくは恐らく別のアルデヒドまたは恐らく、マロネートセミアルデヒドもしくは他のアルデヒドの分解産物の同時の生成がありそうなことが認められる。

    (実施例42)
    耐性およびバイオ生産経路(予測の実施例)
    3−HP耐性の増加をもたらし、かつ3−HPバイオ生産をもたらすために核酸配列を作製し、組み込むことに関し、上記共通の方法セクションにおいて提供されるものを含む、当業者に公知の方法を使用して、また、本明細書における他の実施例からの特定の方法をも使用して、非改変微生物において見出されるレベルを超えて3−HP耐性および3−HP生成の両方を増加させる異種核酸配列を、選択した微生物に提供するために遺伝子改変を作製する。 選択した微生物の中に組み合わせ、微生物において発現された場合に、3HPTGCの1つ以上の性質(aspect)を改変することによって、3−HPに対する耐性を増加させる酵素(複数可)または他のポリペプチド(複数可)をコードする1つ以上の核酸配列を含むプラスミドまたは他のベクターまたはDNA配列(直接的な組み込みのための)を構築する。 そのまたは異なるプラスミドまたは他のベクターまたはDNA配列(直接的な組み込みのための)は、選択した微生物において発現される場合に、3−HPのバイオ生産をもたらす(または増加させる)酵素(複数可)または他のポリペプチド(複数可)をコードする1つ以上の核酸配列を含むように構築する。

    プラスミドの場合には、そのプラスミド(複数可)を、形質転換を促進するのに適切な条件下で、選択した微生物と接触させ、形質転換微生物を、選択し、同定する。 他のベクターまたはDNA配列(複数可)の場合には、これらは、当業者に周知の方法によって、上記選択した微生物に導入する。 形質転換組換え微生物についての選択は、当業者に周知の方法に従って同様に行われてもよい。

    第1の特定の結果として生ずる組換え微生物は、対照の非耐性改変微生物と比較して、増強された3−HP耐性およびバイオ生産能力を含み、3−HP耐性は、非耐性改変対照の耐性よりも少なくとも20パーセント大きく、3−HPバイオ生産は、非耐性改変対照の3−HPバイオ生産よりも少なくとも20パーセント大きい。 3−HP耐性は、上記共通の方法セクションにおいて提供されるMICプロトコールに基づいて24時間の最小発育阻止濃度(MIC)評価によって評価する。 3−HPバイオ生産は、誘導期後少なくとも24時間続くバッチ培養の比較に基づき、最終3−HP力価は、上記共通の方法セクションにおいて提供されるHPLC方法を使用して決定する。

    (実施例43)
    耐性改善の比較のための適切な計量の実証 増殖速度データは、細胞培養物において、一連の3−HP濃度にわたって、好気性および嫌気性の指定する条件下で以下の種について決定した。 これは、対照と処理微生物の間の差異を評価するために使用されてもよい方法を実証する。 これらのまたは他の方法は、本発明の様々な実施形態についての耐性の差異を実証するために使用されてもよい。

    添付の図、図15A〜Oに示されるように、上記データは、多くの方法において評価され、提供されてもよい:「トレラグラム(toleragram)」(異なる3−HP濃度での増殖速度を示す);評価期間にわたる光学濃度における変化;および評価期間にわたる細胞倍化の数。

    これらは、MIC評価の使用に加えて、微生物および培養系の耐性を含む、耐性における変化の評価に対する非限定的な方法およびアプローチを示すために提供される。

    下記方法は、述べられる図中のデータを生成するために使用した。

    好気性でのE. coli
    野生型E. coli BW25113の一晩培養物を、5mL標準LB培地中で三連で増殖させた。 100uLの一晩培養物を使用して、47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、および0.4%グルコースを含有するM9最少培地+3HPからなる三連で5mL試料に接種し、そこでは3HP濃度を0〜50g/Lの範囲とした。 開始OD 600は、0.02〜0.08の範囲とした。 培養物は、約24時間37℃でインキュベートし、OD 600は、最初の8時間、1〜2時間毎に記録し、最終のOD 600は、約24時間の時点で記録した。 最大比増殖速度(μ max )は、評価期間のODデータとの指数傾向線(exponential trend line)の最適なフィットを決定することによって計算した。 およそ24時間にわたるOD 600における特定の変化(Δ 24hr OD 600 )は、t=24時間およびt=0の光学濃度における差異、Δ 24hr OD 600 =(OD t=24 )−(OD t=0 )として計算した。 特定の、倍化の数(N )は、式2 =(OD t=24 )/(OD t=0 )におけるNについて解くことによって計算した。

    嫌気性でのE. coli
    野生型E. coli BW25113の一晩培養物を、5mL標準LB培地中で三連で増殖させた。 100uLの一晩培養物を使用して、47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、および0.4%グルコースを含有するM9最少培地+3HPからなる三連の5mL試料に接種し、そこでは3HP濃度を0〜50g/Lの範囲とした。 開始OD 600は、0.02〜0.08の範囲とした。 培養物は、10秒間CO を散布し、密閉し、約24時間37℃でインキュベートした。 OD 600は、最初の8時間の間、1〜2時間毎に記録し、最終のOD 600は、約24時間の時点で記録した。 それぞれのデータポイントについて、上記試料を開き、サンプリングし、CO を再散布し、もう一度密閉した。 最大比増殖速度(μ max )は、評価期間のODデータとの指数傾向線の最適なフィットを決定することによって計算した。 およそ24時間にわたるOD 600における特定の変化(Δ 24hr OD 600 )は、t=24時間およびt=0の光学濃度における差異、Δ 24hr OD 600 =(OD t=24 )−(OD t=0 )として計算した。 特定の、倍化の数(N )は、式2 =(OD t=24 )/(OD t=0 )におけるNについて解くことによって計算した。

    好気性でのBacillus subtilis
    野生型B. Subtilisの一晩培養物を、5mL標準LB培地中で三連で増殖させた。 100uLの一晩培養物を使用して、47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、0.4%グルコース、および10mMグルタメートを含有するM9最少培地+3HP+グルタメート補充の三連の5mL試料に接種し、そこでは3HP濃度を0〜50g/Lの範囲とした。 開始OD 600は、0.02〜0.08の範囲とした。 培養物は、約24時間37℃でインキュベートし、OD 600は、最初の8時間、1〜2時間毎に記録し、最終のOD 600は、約24時間の時点で記録した。 最大比増殖速度(μ max )は、評価期間のODデータとの指数傾向線の最適なフィットを決定することによって計算した。 およそ24時間にわたるOD 600における特定の変化(Δ 24hr OD 600 )は、t=24時間およびt=0の光学濃度における差異、Δ 24hr OD 600 =(OD t=24 )−(OD t=0 )として計算した。 特定の、倍化の数(N )は、式2 =(OD t=24 )/(OD t=0 )におけるNについて解くことによって計算した。

    好気性でのS. cerevisiae
    S. cerevisiaeの一晩培養物は、10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン、および2%グルコースを含有する5mL標準YPD培地中で三連で増殖させた。 100uLの一晩培養物を使用して、37.8mM(NH SO 、8.1uM H BO 、0.25uM CuSO 、0.6uM KI、1.25uM FeCl 、2.65uM MnSO 、1uM Na MoO 、2.5uM ZnSO 、6.25mM KH PO 、0.86mM K HPO 、4.15mM MgSO 、1.71mM NaCl、0.90mM CaCl 、および2%グルコースを含有するSD最少培地(ビタミンなし)+3HPからなる三連の5mL試料に接種し、そこでは3HP濃度を0〜50g/Lの範囲とした。 開始OD 600は、0.03〜0.08の範囲とした。 培養物は、10秒間CO を散布し、密閉し、約24時間30℃でインキュベートした。 OD 600は、最初の8〜12時間、1〜2時間毎に記録し、最終のOD 600は、約24時間の時点で記録した。 最大比増殖速度(μ max )は、評価期間のODデータとの指数傾向線の最適なフィットを決定することによって計算した。 およそ24時間にわたるOD 600における特定の変化(Δ 24hr OD 600 )は、t=24時間およびt=0の光学濃度における差異、Δ 24hr OD 600 =(OD t=24 )−(OD t=0 )として計算した。 特定の、倍化の数(N )は、式2 =(OD t=24 )/(OD t=0 )におけるNについて解くことによって計算した。

    嫌気性でのS. cerevisiae
    S. cerevisiaeの一晩培養物は、10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン、および2%グルコースを含有する5mL標準YPD培地中で三連で増殖させた。 100uLの一晩培養物を使用して、37.8mM(NH SO 、8.1uM H BO 、0.25uM CuSO 、0.6uM KI、1.25uM FeCl 、2.65uM MnSO 、1uM Na MoO 、2.5uM ZnSO 、6.25mM KH PO 、0.86mM K HPO 、4.15mM MgSO 、1.71mM NaCl、0.90mM CaCl 、および2%グルコースを含有するSD最少培地(ビタミンなし)+3HPからなる三連の5mL試料に接種し、そこでは3HP濃度を0〜50g/Lの範囲とした。 開始OD 600は、0.03〜0.08の範囲とした。 培養物は、10秒間CO を散布し、密閉し、約24時間30℃でインキュベートした。 OD 600は、最初の8〜12時間、1〜2時間毎に記録し、最終のOD 600は、約24時間の時点で記録した。 それぞれのデータポイントについて、上記試料を開き、サンプリングし、CO を再散布し、もう一度密閉した。 最大比増殖速度(μ max )は、評価期間のODデータとの指数傾向線の最適なフィットを決定することによって計算した。 およそ24時間にわたるOD 600における特定の変化(Δ 24hr OD 600 )は、t=24時間およびt=0の光学濃度における差異、Δ 24hr OD 600 =(OD t=24 )−(OD t=0 )として計算した。 特定の、倍化の数(N )は、式2 =(OD t=24 )/(OD t=0 )におけるNについて解くことによって計算した。

    (実施例44)
    3−HPに対する微生物耐性を増加させることができるとして同定される、遺伝子の導入による遺伝子改変 1つからいくつかの遺伝子を含有する遺伝因子は、3−HP耐性にとって重要なものとして、SCALES 3−HP耐性データによって同定した。 生物に対してより大きな耐性を与えるのに適切なこれらのエレメントの最適な組み合わせを開発するために、いくつかのこれらの遺伝因子は、異なる複製開始点および選択マーカーを含有する、一連の適合性のプラスミドにクローニングした。 そのため、これらの適合性のプラスミドの組み合わせは、3−HP耐性に対する組み合わせの影響を評価するために細胞系に形質転換することができる。 上記異なる複製開始点および選択マーカーを含有する親プラスミドベクターは、以下の表中に同定され、これは、個々のそのような親プラスミドベクターについて配列番号(配列番号005〜012および183〜186)を提供する。 これらのプラスミドは、本明細書において記載されるプラスミドを構築するために使用し、挿入物なしのこれらのプラスミドもまた、耐性MIC試験のための対照細胞系を構築するために使用した。

    表41

    方法A:プラスミドの設計および遺伝子合成による寛容原性遺伝因子の構築 多くの同定した遺伝因子を含む単一のプラスミドは、複数の他のプラスミドを容易に構築することができる方法において構築した(これらのうちのいくつかは記載されるように構築した)。 構成的E. coliプロモーター、リボソーム結合部位、およびこれらの遺伝因子のオープンリーディングフレームを含むオペロンを、単一のプラスミド中に組み合わせ、これは、商業的DNA遺伝子合成供給者であるDNA2.0(Menlo Park、CA USA)からの遺伝子合成サービスによって生成した。 タンパク質を生成するためのオープンリーディングフレームのそれぞれは、DNA2.0のサービスに従ってコドン最適化した。 さらに、制限酵素認識部位は、一連の制限消化およびセルフライゲーションを通してこれらのタンパク質の全ての組み合わせを発現することができるプラスミドを創製するためにそれぞれのオペロンおよび遺伝子の間に組み込んだ。 この構築物の他の特徴は、最後のオペロンの後のrrnBターミネーター配列および株へのこれらのエレメントの将来のゲノムの組み込みのために、EPICENTRE(Madison、Wisconsin)から得たEZ::TN(商標)トランスポゾン系による使用のための、コード領域のそれぞれの末端に隣接するAfeI制限酵素認識部位を含有するモザイク末端を含む。 この構築プラスミドは、pJ61ベクター骨格中に提供した。 pJ61:25135と呼ばれる、結果として生じるベクターの配列は、配列番号012として提供する。

    本明細書において記載される方法によって、上記3HPTGCの酵素変換工程を触媒する酵素をコードする様々な核酸配列を、pJ61:25135プラスミドに導入した。 以下の表中に示されるように、上記pJ61:25135プラスミドは、PmlIおよびSfoIの制限酵素認識部位の間に位置する改変Ptrcプロモーター下で発現されるCynSおよびCynT、SfoIおよびSmaI制限酵素認識部位の間に位置するPtpiAプロモーター下で発現されるAroG(配列番号013)、SmaIおよびZraI制限酵素認識部位の間に位置する改変Ptrcプロモーター下で発現されるSpeD、SpeE、およびSpeF(配列番号014)、ZraIおよびHpaI制限酵素認識部位の間に位置するPtalAプロモーター下で発現されるThrA(配列番号015)、HpaIおよびPmeI制限酵素認識部位の間に位置するPrpiAプロモーター下で発現されるAsd(配列番号016)、PmeIおよびScaI制限酵素認識部位の間に位置するPpgkプロモーター下で発現されるCysM(配列番号017)、ScaIおよびNaeI制限酵素認識部位の間に位置するPtpiAプロモーター下で発現されるIroK、ならびにNaeIおよびEcoICRI制限酵素認識部位の間に位置するPtalAプロモーター下で発現されるIlvA(配列番号018)についての遺伝子最適化配列を含有するように様々に改変した。 これらの制限酵素認識部位のそれぞれは、上記pJ61:25135プラスミド内で独特(unique)である。

    表42:E. coli耐性プラスミド構築

    5'リン酸化 これらの単一のオペロンのそれぞれを含有するプラスミドのセットを生成するために、一連の制限およびセルフライゲーションを実行する。 そのため、いかなるオペロンも、それに隣接する制限酵素認識部位の間のDNA配列ならびに上記プラスミドのタンパク質コード領域全体に隣接するEcoICRI部位およびPmlI部位の除去によって単離することができる。 例えば、PtpiAプロモーター下で発現され、SfoIおよびSmaIの制限酵素認識部位の間に位置するAroGポリペプチドを含むオペロンを含むプラスミドは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たPmlIおよびSfoIを用いて上記pJ61:25135プラスミドを最初に消化することによって生成した。 次いで、結果として生じるDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たT4DNAリガーゼを用いてセルフライゲーションし、E. coli K12に形質転換した。 このE. coli K12形質転換由来の個々のコロニーは、液体培養において増殖させ、個々のコロニー由来のプラスミドは、製造者の指示に従って、Qiagen Miniprepキット(Valencia、CA USA)を使用して単離した。 その単離したプラスミドは、AfeIを用いる制限消化によってスクリーニングし、的確なプラスミドは、制限およびセルフライゲーションの次のラウンドを実行した。 第2のラウンドにおいて、これらのプラスミドは、製造者の指示に従って、それぞれ、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)およびPromega Corporation(Madison、Wisconsin)から得たSmaIおよびEcoICRIを用いて制限にかけた。 次いで、結果として生じるDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たT4DNAリガーゼを用いてセルフライゲーションし、E. coli K12に形質転換した。 このE. coli K12形質転換由来の個々のコロニーは、液体培養において増殖させ、個々のコロニー由来のプラスミドは、製造者の指示に従って、Qiagen Miniprepキット(Valencia、CA USA)を使用して単離した。 その単離したプラスミドは、AfeIを用いる制限消化によってスクリーニングし、配列決定によって検証した。

    上記に列挙する対応する制限酵素認識部位を使用する類似する方法において、以下のプラスミドを創製した:NaeIおよびEcoICRI制限酵素認識部位の間に位置するPtalAプロモーター下で発現されるpJ61−IlvA;PmeIおよびScaI制限酵素認識部位の間に位置するPpgkプロモーター下で発現されるpJ61−CysM;HpaIおよびPmeI制限酵素認識部位の間に位置するPrpiAプロモーター下で発現されるpJ61−Asd;ZraIおよびHpaI制限酵素認識部位の間に位置するPtalAプロモーター下で発現されるpJ61−ThrA;SmaIおよびZraI制限酵素認識部位の間に位置するPtrcプロモーター下で発現されるpJ61−SpeDEF;SfoIおよびSmaI制限酵素認識部位の間に位置するPtpiAプロモーター下で発現されるpJ61−AroG;ならびにPmlIおよびSfoI制限酵素認識部位の間に位置するPtrcプロモーター下で発現されるpJ61−CynTS。 同様に、これらのオペロンのいかなる組み合わせも、類似する制限およびセルフライゲーション機構を介して得ることができる。

    配列を検証したこれらのプラスミドは、3−HPに対する耐性について試験されるとおりBW25113 E. coli細胞に形質転換した。 さらに、これらのプラスミドは、AfeIを用いて制限することができ、モザイク末端と共に個々のオペロンを含有する精製片は、製造者の説明書を使用して、EPICENTRE(Madison、Wisconsin)から得たEZ::TN(商標)トランスポゾン系を使用して、細胞系のゲノムに組み込むことができる。 同様に、これらのオペロンは、発現のさらなる制御を提供するまたは様々な株または微生物における増殖のために、任意の様々なプラスミドに移動することができる。

    方法B:他の研究所から得た、同定されたエレメントを含有するプラスミド 上記3HPTGCのマップの開発の後、文献調査により、いくつかの同定された遺伝子について以前の研究を同定した。 上記3HPTGCにおいて同定されたエレメントについての野生型遺伝子または突然変異遺伝子のいずれかを含有するプラスミドについて、これらの報告書を作製した研究室に依頼した。 そのように得た遺伝子およびそれらがコードするタンパク質は、配列番号によって同定される。

    野生型aroH遺伝子およびaroH変異体を含有するプラスミドは、University of VirginiaのBauerle研究室からの寄贈品として提供された。 これらの変異体は、Ray JM、Yanofsky C、Bauerle R. 、J
    Bacteriol. 1988年12月;170巻(12号):5500〜6頁 Mutational analysis of the catalytic and feedback sites of the tryptophan−sensitive 3−deoxy−D−arabino−heptulosonate−7−phosphate synthase of Escherichia coliにおいて記載された。 上記野生型遺伝子を含有するpKK223プラスミドと共に、149位でのグリシンからシステインへの突然変異、149位でのグリシンからアスパラギン酸への突然変異、および18位でのプロリンからロイシンへの突然変異をコードする突然変異遺伝子を含有する3つのさらなるpKK223プラスミドを提供した。

    突然変異metE遺伝子を含有するプラスミドは、University of MichiganのMatthews研究室からの寄贈品として提供された。 この変異体は、Hondorp ER、Matthews RG. J Bacteriol. 2009年5月;191巻(10号):3407〜10頁. Epub 2009年3月13日.
    Oxidation of cysteine 645 of cobalamin−independent methionine synthase causes a
    methionine limitation in Escherichia coliにおいて記載された。 このpKK233プラスミドは、645位でシステインからアラニンへの突然変異をコードするmetE遺伝子を持つ。

    これらの遺伝子についてのコードタンパク質についての配列は、配列番号022〜026として提供される。

    方法C:pSMART−LC−Kanベクターにおける耐性プラスミドの構築 3−HP耐性に対するそれらの影響について評価したいくつかの遺伝因子を、Lucigen Corporation(Middleton WI、USA)から得たpSMART−LC−kanベクター(配列番号027)において構築した。 このベクターは、低コピー複製起点およびカナマイシン選択を提供する。 これらのプラスミドは全て、類似する方法において創製し、その導入遺伝因子およびそれらがコードするタンパク質は、その中の方法Cセクション下の表42中の配列番号によって同定される。 方法C下の表42中のそれぞれの列は、クローニングされたプラスミド内に含有されるタンパク質、あらゆるポリメラーゼ連鎖反応において使用されるプライマー、および新しいプラスミドを創製するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応産物の配列についてのそれぞれの配列情報を含有する。

    それぞれの場合において、同一の手順を、最終のプラスミドを創製するために使用した。 列挙したプライマーは、製造者の説明書を使用し、Invitrogen Corporation(Carlsbad、CA USA)からのpfx DNAポリメラーゼおよび鋳型としてのゲノムE. coli K12 DNAを使用して、正確な挿入物を増幅させるために使用した。 5'末端または増幅DNA産物は、製造者の説明書を使用して、New England Biolabs(Ipswich、MA USA)のT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 その抽出したリン酸化DNAは、次いで、pSMART−LC−Kanベクターに平滑末端ライゲーションし、製造者の説明書を使用して、10G E. coli細胞に形質転換した。 形質転換細胞は、リッチ培地において回収し、次いで、適切な選択のためにカナマイシンを含有するLB寒天プレートでプレート培養した。 コロニー増殖の後に、単一のコロニーをLB培地で増殖させ、プラスミドDNAは、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たミニプレップキットを使用して抽出した。 単離プラスミドDNAは、制限消化によってチェックし、配列決定し、他の実験における使用の前に検証した。

    方法D:pSMART−HC−Ampベクターにおける耐性プラスミドの構築 3−HP耐性に対するそれらの影響について評価したいくつかの遺伝因子を、Lucigen Corporation(Middleton WI、USA)から得たpSMART−HC−Ampベクターにおいて構築した。 このベクターは、高コピー複製起点およびアンピシリン選択を提供する。 これらのプラスミドは全て、類似する方法において創製し、表42中の方法Dとして同定される。 表42中のそれぞれの列は、クローニングされたプラスミド内に含有されるタンパク質、あらゆるポリメラーゼ連鎖反応において使用されるプライマー、および新しいプラスミドを創製するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応産物の配列についての配列情報を含有する。

    それぞれの場合において、同一の手順を、最終のプラスミドを創製するために使用した。 列挙したプライマーは、製造者の説明書を使用し、EMD Chemical Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKOD DNAポリメラーゼおよび鋳型としての、表42の方法Bを用いて創製した個々の対応する遺伝子または遺伝因子についてのpKK223プラスミドを使用して、正確な挿入物を増幅させるために使用した。 増幅DNA産物の5'末端は、製造者の説明書を使用して、New England Biolabs(Ipswich、MA USA)のT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 抽出したリン酸化DNAは、次いで、pSMART−HC−AMPベクターに平滑末端ライゲーションし、製造者の説明書を使用して、10G E. coli細胞に形質転換した。 形質転換細胞は、リッチ培地において回収し、次いで、適切な選択のためにアンピシリンを含有するLB寒天プレートでプレート培養した。 コロニー増殖の後に、単一のコロニーをLB培地で増殖させ、プラスミドDNAは、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たミニプレップキットを使用して抽出した。 単離プラスミドDNAは、制限消化によってチェックし、配列決定し、他の実験における使用の前に検証した。

    方法E:pSMART−HC−Ampベクターにおけるさらなる耐性プラスミドの構築 3−HP耐性に対するそれらの影響について評価したいくつかの遺伝因子を、Lucigen Corporation(Middleton WI、USA)から得たpSMART−HC−AMPベクターにおいて構築した。 このベクターは、高コピー複製起点およびアンピシリン選択を提供する。 これらのプラスミドは全て、類似する方法において創製し、表42中の方法Eとして同定される。 表42中のそれぞれの列は、クローニングされたプラスミド内に含有されるタンパク質、あらゆるポリメラーゼ連鎖反応において使用されるプライマー、および新しいプラスミドを創製するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応産物の配列についての配列情報を含有する。

    それぞれの場合において、同一の手順を、最終のプラスミドを創製するために使用した。 列挙したプライマーは、製造者の説明書を使用し、EMD Chemical Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKOD DNAポリメラーゼおよび鋳型としてのゲノムE. coli K12 DNAを使用して、正確な挿入物を増幅させるために使用した。 上記プライマーの5'末端が既にリン酸化されていたので、他の処理は増幅産物に必要とされなかった。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 抽出したリン酸化DNAは、次いで、pSMART−HC−Ampベクターに平滑末端ライゲーションし、製造者の説明書を使用して、10G E. coli細胞に形質転換した。 形質転換細胞は、リッチ培地において回収し、次いで、適切な選択のためにアンピシリンを含有するLB寒天プレートでプレート培養した。 コロニー増殖の後に、単一のコロニーをLB培地で増殖させ、プラスミドDNAは、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たミニプレップキットを使用して抽出した。 単離プラスミドDNAは、制限消化によってチェックし、配列決定し、他の実験における使用の前に検証した。

    方法F:pACYC177(Kanのみ)ベクターにおける耐性プラスミドの構築 3−HP耐性に対するそれらの影響について評価したいくつかの遺伝因子を、pACYC177(Kanのみ)ベクターにおいて構築した。 この骨格は、EMD Chemical Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKODポリメラーゼを使用し、プライマーCPM0075(5'−CGCGGTATCATTGCAGCAC−3')(配列番号123)およびプライマーCPM0018(5'−GCATCGGCTCTTCCGCGTCAAGTCAGCGTAA−3')(配列番号124)を使用して、pACYC177プラスミドの一部を増幅させることによって創製した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 このDNAは、pACYC177(Kanのみ)と命名し、本明細書において創製した産物へのライゲーションのために保存した。 このpACYC177(Kanのみ)骨格DNAは、低コピー複製起点およびカナマイシン選択を提供する。 これらのプラスミドは全て、類似する方法において創製し、表42の方法Fとして同定される。 表42のそれぞれの列は、クローニングされたプラスミド内に含有されるタンパク質、あらゆるポリメラーゼ連鎖反応において使用されるプライマー、および新しいプラスミドを創製するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応産物の配列についての配列情報を含有する。

    それぞれの場合において、同一の手順を、最終のプラスミドを創製するために使用した。 列挙したプライマーは、鋳型としての表42の方法Bを用いて創製したそれぞれの対応する遺伝子(もしくは遺伝因子)についてのpKK223プラスミドまたはゲノムE. coli DNAのずれかと共に、製造者の説明書を使用し、EMD Chemical Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKOD DNAポリメラーゼを使用して、正確な挿入物を増幅させるために使用した。 5'末端または増幅DNA産物は、製造者の説明書を使用して、New England Biolabs(Ipswich、MA USA)のT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 抽出したリン酸化DNAは、次いで、本明細書において記載されるpACYC177(Kanのみ)骨格DNAに平滑末端ライゲーションし、製造者の説明書を使用して、10G E. coli細胞に形質転換した。 形質転換細胞は、リッチ培地において回収し、次いで、適切な選択のためにカナマイシンを含有するLB寒天プレートでプレート培養した。 コロニー増殖の後に、単一のコロニーをLB培地で増殖させ、プラスミドDNAは、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たミニプレップキットを使用して抽出した。 単離プラスミドDNAは、制限消化によってチェックし、配列決定し、他の実験における使用の前に検証した。

    方法G:pBT−3ベクターにおける耐性プラスミドの構築 3−HP耐性に対するそれらの影響について評価したいくつかの遺伝因子を、pBT−3ベクターにおいて構築した。 この骨格は、EMD Chemical Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKODポリメラーゼを使用し、プライマーPBT−FOR(5'−AACGAATTCAAGCTTGATATC−3')(配列番号125)およびプライマーPBT−REV(5'−GAATTCGTTGACGAATTCTCTAG−3')(配列番号126)を使用して、pBT−3プラスミドの一部を増幅させることによって創製した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 このDNAは、pBT−3骨格と命名し、本明細書において創製した産物へのライゲーションのために保存した。 このpBT−3骨格DNAは、低コピー複製起点およびクロラムフェニコール選択を提供する。 これらのプラスミドは全て、類似する方法において創製し、表42の方法Gとして同定される。 表42のそれぞれの列は、クローニングされたプラスミド内に含有されるタンパク質、あらゆるポリメラーゼ連鎖反応において使用されるプライマー、および新しいプラスミドを創製するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応産物の配列についての配列情報を含有する。

    それぞれの場合において、同一の手順を、最終のプラスミドを創製するために使用した。 列挙したプライマーは、鋳型としての表42の方法Bを用いて創製したそれぞれの対応する遺伝子(もしくは遺伝因子)についてのpKK223プラスミドまたはゲノムE. coli DNAのいずれかと共に、製造者の説明書を使用し、EMD Chemical
    Corporation(Gibbstown、NJ USA)からのKOD DNAポリメラーゼを使用して、正確な挿入物を増幅させるために使用した。 5'末端または増幅DNA産物は、製造者の説明書を使用して、New England Biolabs(Ipswich、MA USA)のT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化した。 この反応の結果として生じる産物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、予測されるサイズのバンドは、ゲルからそれを切り離し、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)によって提供されるゲル抽出キットを使用して、DNAをゲル抽出することによって単離した。 抽出したリン酸化DNAは、次いで、本明細書において記載されるpBT−3骨格DNAに平滑末端ライゲーションし、製造者の説明書を使用して、10G E. coli細胞に形質転換した。 形質転換細胞は、リッチ培地において回収し、次いで、適切な選択のためにクロラムフェニコールを含有するLB寒天プレートでプレート培養した。 コロニー増殖の後に、単一のコロニーをLB培地で増殖させ、プラスミドDNAは、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たミニプレップキットを使用して抽出した。 単離プラスミドDNAは、制限消化によってチェックし、配列決定し、他の実験における使用の前に検証した。

    (実施例45)
    3−HP耐性に関係する新規なペプチドの評価 3−HP耐性を増加させるIroKと呼ばれる新規な21アミノ酸ペプチドを発見した。
    方法:IroK発現研究 EcorIおよびHindIII制限酵素認識部位が隣接するIroKポリペプチド領域全体ならびにRBSを含むプライマーは、発現研究(Operon、Huntsville、AL)から得た:

    IroKペプチド領域および突然変異開始部位(ATGからTTG)を有するRBSを含むプライマーは、翻訳の分析のために使用した:

    2つのオリゴヌクレオチドは、1:1の比で加え、サーマルサイクラーにおいて標準的な方法に従ってアニーリングした。 pKK223−3発現ベクター(配列番号008、Pharmacia、Piscataway、NJ.)との、アニールしたプライマー産物のライゲーションは、T4リガーゼ(Invitrogen、Carlsbad、CA.)を用いて実行し、一晩25℃でインキュベートした。 次いで、ライゲーション産物は、コンピテントMACH1(商標)−T1(登録商標)に電気穿孔し、LB+アンピシリン(ampicillan)上にまき、24時間37℃でインキュベートした。 プラスミドは、単離し、精製ならびに続く制限消化および配列決定によって確認した(Macrogen、Rockville、MD)。 次いで、MICを決定し、それは1mM IPTG誘導に対応した。


    最小発育阻止濃度(MIC)


    最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて微好気的に決定した。 株の一晩培養物を5mLのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で増殖させた。 1%(v/v)接種材料を、MOPS最少培地の15ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、0.200のOD

    600まで希釈した。 上記細胞は、1:20にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用した(1ウェル当たり約10

    細胞)。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜70g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間後に記録した。


    結果 21アミノ酸(MKPALRDFIAIVQERLASVTA、配列番号129)から構成されるペプチドであるIroKの効果を調査するために、天然の予測されるRBSと共に、それをコードする配列を、誘導性発現ベクター(pKK223−3)に組み込んだ。 図20は、3−HPに対する耐性を増強するのに十分な、短い87bp配列の発現の増加を示す(MICにおける>2倍の増加)。 さらに、MICが、乳酸、アクリル酸、および酢酸を含む、類似する分子の性質を有する他のいくつかの有機酸については変わらなかったので、耐性機構は、3−HPによる増殖阻害に対して特異的のようである。 付与される耐性のモードを分析するために、ほとんど同一の配列を、翻訳開始部位において単一の突然変異(ATGからTTGに)を有する同じベクターに組み込むと、野生型E. coliに等価なMICの減少がもたらされた(図20)。 この結果は、耐性の機構が、DNAまたはRNAの段階に対して発揮される(mapped)というよりはむしろ、翻訳されたポリペプチドの発現に対して特異的であるということを意味する。

    IroKペプチドをコードする核酸配列またはその適切なバリアントは、3−HP耐性をさらに増加させるために3HPTGCの1つ以上の遺伝子改変を含んでいてもよい微生物に提供されてよく、そしてまた、3−HP生成能力をも有していてもよい微生物に提供されてもよい。

    (実施例46)
    E. coli DF40における3−HP生成のためのマロニル−CoA還元酵素の遺伝子改変/導入 Chloroflexus aurantiacus由来のマロニル−coA還元酵素遺伝子についてのヌクレオチド配列は、商業的DNA遺伝子合成供給者であるDNA 2.0(Menlo Park、CA USA)からのサービスに従って、E. coli用にコドン最適化した。 この遺伝子配列は、開始コドンの前にEcoRI制限酵素認識部位を組み込み、HindIII制限酵素認識部位が後続した。 さらに、シャインダルガルノ(Shine Delgarno)配列(つまりリボソーム結合部位)を開始コドンの前に配置し、EcoRI制限酵素認識部位をその前においた。 この遺伝子構築物は、DNA
    2.0によって合成され、pJ206ベクター骨格中に提供された。 合成mcr遺伝子を含有するプラスミドDNA pJ206は、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得た酵素EcoRIおよびHindIIIを用いる酵素制限消化にかけた。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 mcr遺伝子に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。 pKK223−aroHを持つE. coliクローニング株は、University of Colorado at BoulderのRyan T. Gill教授の研究室からの寄贈品として得た。 プラスミドを持つこの株の培養物は、標準的な方法によって増殖させ、プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの市販のミニプレップカラムによって調製した。 プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得た制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびHindIIIを用いて消化した。 この消化は、pKK223骨格からaroHリーディングフレームを分離する役目をした。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 pKK223プラスミドの骨格に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagenからの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    mcr遺伝子に対応する精製DNAの片およびpK223ベクター骨格を、ライゲーションし、そのライゲーション産物は、製造者の指示に従って形質転換し、電気穿孔した。 pKK223−mcr(配列番号189)と呼ばれる、結果として生じるベクターの配列は、Macrogen(USA)によって提供される商業サービスによって実行した慣用の配列決定によって確認した。 pKK223−mcrは、ベータラクタマーゼに対する抵抗性を付与し、IPTGによってE. coli宿主において誘導性のPtacプロモーターの制御下にmcr遺伝子を含有する。

    発現クローンpKK223−mcrおよびpKK223対照は、標準的な方法を介して、E. coli K12およびE. coli DF40の両方に形質転換した。 (SambrookおよびRussell、2001年)。

    (実施例47)
    E. coli遺伝子欠失株の構築 以下の株は、Keioコレクションから得た:JW1650(△purR)、JW2807(△lysR)、JW1316(△tyrR)、JW4356(△trpR)、JW3909(△metJ)、JW0403(△nrdR)。 Keioコレクションは、Open Biosystems(Huntsville、AL USA 35806)から得た。 個々のクローンは、Yale Genetic Stock Center(New Haven、CT USA 06520)から購入してもよい。 これらの株は、それぞれ、欠失遺伝子の代わりにカナマイシンマーカーを含有する。 Keioコレクションおよびカナマイシンカセットの除去(curing)に関するより多くの情報については、Baba, Tら(2006年)、Construction of Escherichia coli K12 in−frame, single−gene knockout mutants: the Keio collection. Molecular Systems Biology doi:10.1038/msb4100050およびDatsenko KAおよびBL Wanner(2000年)、One−step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K−12 using PCR products. PNAS 97巻、6640〜6645頁を参照されたい。 これらの株は、標準的な方法によってエレクトロコンピテント(electrocompetent)にした。 次いで、それぞれの株は、Dr. Ryan Gill(University of Colorado、Boulder、CO USA)からの寄贈品であったプラスミドpCP20を用いて標準的な電気穿孔法を介して形質転換した。 形質転換は、20μg/mLクロラムフェニコールおよび100μg/mLアンピシリンを含有するLuria Broth寒天プレートにまき、摂氏30度で36時間インキュベートした。 クローンは、これらの形質転換(these transformation)から単離し、いかなる抗生物質をも欠く10mLのM9培地で一晩増殖させた。 コロニーは、いかなる抗生物質をも欠くLuria Broth寒天プレートに画線することによってこれらの培養物から単離した。 コロニーは、抗生物質の、カナマイシン(20μg/mL)、クロラムフェニコール(20μg/mL)、およびアンピシリン(100μg/mL)を含有するLuriaブロス寒天プレート上での増殖がないことを確認することによって、カナマイシンマーカーならびにプラスミドpCP20を失ったことを確認した。 単離したクローンは、カナマイシンカセットを失ったことをコロニーPCRによって確認した。 PCRは、Lucigen(カタログ#30033)(Middleton、WI USA)から得たEconoTaq PLUS GREEN 2X master PCR mixを使用して実行した。 PCRは、以下のサイクルを用いて、96ウェル勾配ROBOサイクラー(Stratagene、La Jolla、CA USA 92037)を使用して実行した:1)摂氏95度で10分、2)以下のサイクルを30回、a)摂氏95度で1分、b)摂氏52度で1分、b)摂氏72度で2分、続いて3)摂氏72度で10分間の1サイクル。 クローンのそれぞれについてカナマイシンカセットの除去を確認するためのPCRについて使用したプライマーを、以下の表に示す。 プライマーは、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA USA)から購入した。 BX_00341.0、BX_00342.0、BX_00345.0、BX_00346.0、BX_00348.0、およびBX_00349.0と呼ばれる結果として生じる欠落株(cured strain)は、それぞれ、JW1316(△tyrR)、JW4356(△trpR)、JW3909(△mctJ)、JW1650(△purR)、JW2807(△lysR)、およびJW0403(△nrdR)に対応する。

    表43

    (実施例48)


    E. coli株の構築 表44および45におけるそれぞれの組み合わせに従って、プラスミドは、それぞれのベースの株に導入した。 全てのプラスミドは、標準的な方法を使用して電気穿孔を介して同時に導入した。 形質転換細胞は、抗生物質を補充した適切な培地で増殖させ、コロニーは、選択培地でのそれらの適切な増殖に基づいて選択した。

    表44:好気条件下でのE. coli遺伝子改変結果

    表45:嫌気条件下でのE. coli遺伝子改変結果

    (実施例49)


    野生型E. coliに対する3HPTGC関連補充物質の評価 3HP耐性に対する補充の効果は、上記共通の方法セクションにおいて記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 試験した補充物質を、表46に列挙する。 上記MIC評価の結果は、好気条件については表47および嫌気条件については表48に提供する。 単一および複数の補充物質の追加を含むこのデータは、24時間のMIC評価に基づいて、これらの培養系における3−HP耐性における改善を実証する。

    表46:補充物質

    表47:好気条件下でのE. coli補充物質の結果

    表48:嫌気条件下でのE. coli補充物質の結果

    (実施例50)


    3HPTGC関連遺伝子改変E. coliの評価 実施例50は、24時間の期間にわたる、増殖速度に基づくトレラグラムを使用する、対照との、3HPTCの1つの遺伝子改変の直接的な比較を提供する。

    3HP耐性に対する遺伝子改変の効果は、上記共通の方法セクションにおいて記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 E. coliにおいて試験した遺伝子改変およびそのMIC結果は、好気条件については表44および嫌気条件については表45に列挙する。 単一および複数の遺伝子改変を含むこのデータは、24時間のMIC評価に基づいて、これらの培養系における3−HP耐性における改善を実証する。

    (実施例51)
    CynTS遺伝子改変とのトレラグラム比較 24時間の期間のトレラグラム評価は、対照(野生型)E. coli(株BW25113)を、cynTSを導入するための遺伝子改変を含む遺伝子改変E. coli(株BW25113)と比較するために行った。

    結果は、これもまた示されたさらなる条件下で試験した対照株を示す図中に提供する。

    曲線下面積に基づいて、cynTS処理は、対照に対して、様々な高い3−HP濃度で、3−HPに対してより大きな耐性を示すことが実証される。

    (実施例52)
    Bacillus subtilisへの耐性片の遺伝子改変/導入 Bacillus subtilisへの3−HP生成耐性片の創製のために、E. coli寛容原性複合体由来のいくつかの遺伝子を、BacillusシャトルベクターのpWH1520(配列番号010)(Boca Scientific(Boca Raton、FL USA)から得た)にクローニングした。 このシャトルベクターは、誘導性Pxylキシロース誘導性プロモーターならびにE. coliにおける増殖のためのアンピシリン抵抗性カセットおよびBacillus subtilisにおける増殖のためのテトラサイクリン抵抗性カセットを持つ。 これらの遺伝子についてのクローニング戦略を、表49に示す。

    表49:B. subtilis耐性プラスミド構築

    方法A


    表49においてクローニング方法Aを指定したB. subtilisにおいて試験するためにクローニングした耐性遺伝子は、類似する方法において創製した。 ここで記載されるクローニング方法は、遺伝子をキシロース誘導性プロモーター下に配置する。 それぞれの遺伝子は、上記表のそれぞれの列において列挙したそれらの対応するプライマーAおよびプライマーBを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。 それぞれのセットのプライマーAは、遺伝子の出発点およびSpeI制限酵素認識部位に対して相同性を有する。 プライマーBは、遺伝子の終止コドンから下流の領域およびBamHI制限酵素認識部位に対して相同性を有する。 ポリメラーゼ連鎖反応産物は、製造者の指示に従って、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たPCR精製キットを使用して精製した。 次に、その精製産物は、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たSpeIおよびBamHIを用いて消化した。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 消化し、精製した耐性遺伝子に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    このpWH1520シャトルベクターDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なミニプレップDNA精製キットを使用して単離した。 結果として生じるDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たSpeIおよびSphIを用いて制限消化した。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 消化されたpWH1520骨格産物に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    消化し、精製した耐性遺伝子およびpWH1520 DNA産物の両方は、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たT4リガーゼを使用して一緒にライゲーションした。 次いで、そのライゲーション混合物は、製造者の指示に従って、Lucigen Corporation(Middleton WI、USA)から得たケミカルコンピテント10G E. coli細胞に形質転換し、選択のためにアンピシリンを増やしたLBプレートでプレート培養した。 いくつかの結果として生じるコロニーは、培養し、それらのDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なミニプレップDNA精製キットを使用して単離した。 回収したDNAは、制限消化によってチェックし、続いてアガロースゲル電気泳動を行なった。 正確なバンディングパターンを示すDNA試料は、DNA配列決定によってさらに検証した。

    (実施例53)
    Bacillus subtilisにおける3−HP生成のためのマロニル−CoA還元酵素の遺伝子改変/導入 Bacillus Subtilisにおける3−HP生成経路の創製のために、商業的DNA遺伝子合成供給者であるDNA2.0(Menlo Park、CA USA)からの遺伝子合成サービスによって構築したChloroflexus aurantiacus由来のマロニル−coA還元酵素遺伝子についてのコドン最適化ヌクレオチド配列を、Bacillus Subtilisシャトルベクターに加えた。 このシャトルベクター、pHT08(配列番号011)は、Boca Scientific(Boca
    Raton、FL USA)から得たものであり、誘導性Pgrac IPTG誘導性プロモーターを持つ。

    このmcr遺伝子配列は、mcr遺伝子の開始部位およびBamHI制限酵素認識部位に対して相同性を有するプライマー1(5'GGAAGGATCCATGTCCGGTACGGGTCG−3')(配列番号148)ならびにmcr遺伝子の終止コドンおよび平滑ライゲーションクローニングのためのリン酸化5'末端を含有するプライマー2(5'−Phos−GGGATTAGACGGTAATCGCACGACCG−3')(配列番号149)を用いるポリメラーゼ連鎖反応増幅によってpHT08シャトルベクターへの挿入のために調製した。 そのポリメラーゼ連鎖反応産物は、製造者の指示に従って、Qiagen Corporation(Valencia、CA USA)から得たPCR精製キットを使用して精製した。 次に、その精製産物は、製造者の指示に従って、New
    England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たBamHIを用いて消化した。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 mcr遺伝子に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA
    USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    このpHT08シャトルベクターDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なミニプレップDNA精製キットを使用して単離した。 結果として生じるDNAは、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たBamHIおよびSmaIを用いて制限消化した。 その消化混合物は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、上記共通の方法セクションのサブセクションIIにおいて記載されるようにUV透過照明下で視覚化した。 消化pHT08骨格産物に対応するDNA片を含有するアガロースゲル切片は、ゲルから切り出し、DNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なゲル抽出プロトコールおよび成分を用いて回収した。

    消化し、精製したmcrおよびpHT08産物の両方は、製造者の指示に従って、New England BioLabs(Ipswich、MA USA)から得たT4リガーゼを使用して一緒にライゲーションした。 次いで、そのライゲーション混合物は、製造者の指示に従って、Lucigen Corporation(Middleton WI、USA)から得たケミカルコンピテント10G E. coli細胞に形質転換し、選択のためにアンピシリンを増やしたLBプレートでプレート培養した。 いくつかの結果として生じるコロニーは、培養し、それらのDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA USA)からの標準的なミニプレップDNA精製キットを使用して単離した。 回収したDNAは、制限消化によってチェックし、続いてアガロースゲル電気泳動を行なった。 正確なバンディングパターンを示すDNA試料は、DNA配列決定によってさらに検証した。 配列を検証したDNAは、pHT08−mcrと命名し、次いで、Boca Scientific(Boca Raton、FL USA)から得た説明書を使用して、ケミカルコンピテントBacillus subtilis細胞に形質転換した。 pHT08−mcrプラスミドを持つBacillus subtilis細胞は、クロラムフェニコールを増やしたLBプレート上で選択した。

    pHT08−mcrを持つBacillus subtilis細胞は、225rpmで振盪させながら、摂氏37度でインキュベートして、20ug/mLクロラムフェニコールを補充した5mlのLB培地で一晩増殖させた。 これらの培養物は、1.47g/Lグルタメート、0.021g/Lトリプトファン、20ug/mLクロラムフェニコール、および1mM IPTGを補充した75mLのM9最少培地に1%v/vで接種するために使用した。 次いで、これらの培養物は、摂氏37度でインキュベートして、25rpmにおいた250mLバッフルErlenmeyerフラスコ中で18時間、増殖させた。 18時間後に、細胞は、ペレットにし、上清は、3−HPについてGCMS検出にかけた(共通の方法セクションIIIbにおいて記載される)。 微量の3−HPを、クオリファイアイオンを用いて検出した。

    (実施例54)
    Bacillus subtilis株の構築 pWH1520における耐性遺伝因子のためのプラスミドおよび生成プラスミド、pHT08−mcrを2つのBacillus subtilis株に形質転換した。 そのBacillus subtilis亜種subtilis 168株は、University of Colorado at BoulderのRyan T. Gill教授の研究室からの寄贈品として得た。 形質転換は、Boca Scientific(Boca Raton、FL USA)によるpHT08シャトルベクターについての指示と共に提供されるAnagnostopoulos and Spizizen(Requirements for transformation in Bacillus subtilis. J. Bacteriol. 81巻:741〜746頁(1961年))から開発された改変プロトコールを使用して実行した。

    (実施例55)
    野生型B. subtilisに対する3HPTGC関連補充物質の評価 3HP耐性に対する補充の効果は、上記共通の方法セクションにおいて記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 試験した補充物質を、補充物質の表中に列挙する。 嫌気条件下でのMIC評価の結果は、表50に提供する。
    表50:B. subtilisの補充物質および好気条件下での遺伝子改変結果

    M9+glu+trpは、M9最少+グルタメート(1.47g/L)およびトリプトファン(0.021g/L)を意味する。


    ** 34時間後にOD600が減少し、0の読み取り値をもたらす対照BSX_0003.0と比較して、遺伝子改変株は、24時間後の増殖において陽性の変化を有した。

    (実施例56)
    3HPTGC関連補充物質なしおよびありの3HPTGC関連遺伝子改変B. subtilisの評価 B. subtilisにおける補充および/または3HP耐性に対する遺伝子改変の効果は、上記共通の方法セクションにおいて記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 試験した補充物質を、補充物質の表中に列挙する。 B. subtilisについての試験した遺伝子改変および好気条件下でのMIC結果を、表50に提供する。 単一の遺伝子改変ならびに単一および複数の補充物質の追加を含むこのデータは、ODにおける変化に基づいて、この培養系での3−HP耐性における改善を実証する。

    (実施例57)
    3HP生成のための酵母の好気経路(予測)
    ACC1に対して相同性の5'の200bp、選択のためのHis3遺伝子、Adh1酵母プロモーター、MCRのクローニングためのBamHI部位およびSpeI部位、cyc1ターミネーター、酵母由来のTef1プロモーター、ならびに酵母ACC1オープンリーディングフレームに対して相同性の最初の200bpを含有する以下の構築物(配列番号150)は、遺伝子合成(DNA 2.0)を使用して構築する。 MCRオープンリーディングフレーム(配列番号151)を、BamHI部位およびSpeI部位にクローニングし、これにより、adh1プロモーターによる構成的転写を可能にする。 上記構築物へのMCRのクローニングに続いて、遺伝因子(配列番号152)は、制限消化によってプラスミドから単離し、関連する酵母株に形質転換する。 その遺伝因子は、酵母ACC1の天然のプロモーターをノックアウトし、それを、adh1プロモーターから発現されるMCRと交換し、Tef1プロモーターは、それから、酵母ACC1発現を駆動する。 組込みは、ヒスチジンの非存在下における増殖によって選択する。 陽性のコロニーは、PCRによって確認する。 MCRの発現およびACC1の発現の増加は、RT−PCRによって確認する。

    酵母においてMCRを発現するために利用することができる代替アプローチは、プラスミドからのMCRの発現である。 ADH1プロモーター(配列番号4)の制御下にMCRを含有する遺伝因子は、MCR(配列番号154)を含有するプラスミドを作製する標準的な分子生物学技術を使用して、pRS421(配列番号153)などの酵母ベクターにクローニングすることができる。 次いで、プラスミドベースのMCRは、異なる酵母株に形質転換することができる。

    本開示に基づいて、酵母細胞における、マロニル−CoA還元酵素活性をコードする配列を含む核酸構築物の導入に加えて、いくつかの実施形態では、さらなる遺伝子改変は、エノイル−CoA還元酵素活性および/または他の脂肪酸合成酵素活性を減少させるためになされることに注目されたい。

    (実施例58)
    3HPに対する耐性の増加のための、Saccharomyces cerevisiae遺伝因子のクローニング 酵母遺伝子は、〈〈biocyc. org〉〉を使用して相同性および経路の比較によって同定し、それは図9D、シート1〜7において概説した。 遺伝因子は、表51におけるプライマーを使用して、PCRによって増幅した。 酵母遺伝因子は、天然のプロモーターおよび3'非翻訳領域の、PCR産物配列表51を含有するように増幅した。 PCR産物は、ゲル電気泳動および、製造者の指示に従って、Qiagenゲル抽出(Valencia、CA USA、カタログ番号28706)を使用した、ゲル精製によって単離した。 ゲル精製酵母遺伝因子は、次いで、製造者の指示に従って、pYes2.1−topoベクター(配列番号183、Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)にクローニングした。 コロニーは、PCRによってスクリーニングし、次いで、Genewizによって配列決定した。
    表51:酵母耐性プライマー

    (実施例59)


    E. coli/酵母シャトルベクターpRS423およびpRS425への酵母遺伝因子のサブクローニング 遺伝因子は、制限酵素PvuIIおよびXbaIを用いる制限消化によってpYes2.1から切り取った。 酵母遺伝因子を含有する制限断片は、ゲル電気泳動および、製造者の指示に従って、Qiagenゲル抽出(Valencia、CA USA、カタログ番号28706)を使用した、ゲル精製によって単離した。 骨格ベクターpRS423およびpRS425は、SmaIおよびSpeI制限酵素を用いて消化し、ゲル精製した。 酵母遺伝因子は、pRS423およびpRS425(配列番号184および185)にライゲーションした。 プラスミドは全て、PCR分析および配列決定を使用してチェックした。

    (実施例60)
    酵母株の構築 酵母株は、標準的な酵母形質転換を使用して構築し、栄養要求性マーカーの補完によって選択した。 株は全て、S288Cバックグラウンドとする。 一般的な酵母形質転換方法については、Gietz, R. D. およびR. A. Woods. (2002年)「Transformation of Yeast by the Liac/SS Carrier DNA/PEG Method.」 Methods in Enzymology 350巻:87〜96頁を参照されたい。

    (実施例61)
    酵母における3HP耐性に対する補充物質および/または遺伝子改変の評価 補充および/または3HP耐性に対する遺伝子改変の効果は、本実施例において記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 試験した補充物質は、好気および嫌気条件について表52および53においてそれぞれ列挙する。 酵母において試験した遺伝子改変は、好気および嫌気条件について表54および55においてそれぞれ列挙する。 MIC評価の結果は、表52〜55において提供する。 単一および複数の補充物質の追加ならびに遺伝子改変を含むこのデータは、本明細書において記載されるMIC評価に基づいて、これらの培養系における3−HP耐性における改善を実証する。
    酵母の好気最小発育阻止濃度評価のための方法 最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて好気的に決定した。 そのプレートを配置し、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(ビタミンなしの合成最少グルコース培地(SD)標準培地に相当する):20g/Lデキストロース、5g/L硫酸アンモニウム、850mg/Lリン酸一カリウム、150mg/Lリン酸二カリウム、500mg/L硫酸マグネシウム、100mg/L塩化ナトリウム、100mg/L塩化カルシウム、500μg/Lホウ酸、40μg/L硫酸銅、100μg/Lヨウ化カリウム、200μg/L塩化第二鉄、400μg/L硫酸マンガン、200μg/Lモリブデン酸ナトリウム、および400μg/L硫酸亜鉛。 培地の補充物質は、指定される場合、補充物質の表において報告されるレベルに従って加えた。 株の一晩培養物は、ビタミンを有する5mL SD培地中で三連で増殖させた(Methods in Enzymology 350巻、17頁(2002年))。 1%(v/v)接種材料を、ビタミンなしのSD最少培地の5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、0.200のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:5にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定するために並べた。 プレートは、30℃で72時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、72時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。
    酵母の嫌気最小発育阻止濃度評価のための方法 最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて嫌気的に決定した。 プレートは、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(ビタミンなしの合成最少グルコース培地(SD)標準培地に相当する):20g/Lデキストロース、5g/L硫酸アンモニウム、850mg/Lリン酸一カリウム、150mg/Lリン酸二カリウム、500mg/L硫酸マグネシウム、100mg/L塩化ナトリウム、100mg/L塩化カルシウム、500ug/Lホウ酸、40ug/L硫酸銅、100ug/Lヨウ化カリウム、200ug/L塩化第二鉄、400ug/L硫酸マンガン、200ug/Lモリブデン酸ナトリウム、および400ug/L硫酸亜鉛。 株の一晩培養物は、ビタミンを有する5mL SD培地中で三連で増殖させた(Methods in Enzymology 350巻、17頁(2002年))。 1%(v/v)接種材料を、ビタミンなしのSD最少培地の5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、0.200のOD 600まで希釈した。 その細胞は、1:5にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 プレートは、30℃で72時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、72時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。 プレートは、嫌気条件用のガス発生器を含有するバイオバッグ嫌気チャンバー内に密閉し、30℃で72時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、72時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。

    表52:好気条件下での酵母補充物質の結果

    表53:嫌気条件下での酵母補充物質の結果

    表54:好気条件下での酵母遺伝子改変結果

    表55:嫌気条件下での酵母遺伝子改変結果

    表56:好気条件下でのC. necator補充物質の結果

    (実施例62)


    Cupriavidus necatorにおける3HPTGC関連補充物質の評価 C. necatorにおける3HP耐性に対する補充の効果は、上記共通の方法セクションにおいて記載される方法を使用して、MIC評価によって決定した。 試験した補充物質を、補充物質の表中に列挙する。

    C. necatorについての好気条件下でのMIC結果を、表56に提供する。 単一および複数の補充物質の追加を含むこのデータは、MIC評価に基づいて、これらの培養系における3−HP耐性における改善を実証する。

    (実施例63)
    3−HP生成遺伝子改変(複数可)と組み合わせた3HPTGC耐性指向性遺伝子改変(複数可)のさらなる例 3−HPを生成するための使用に適切な所望の遺伝子改変微生物を得るために耐性および3−HP生成遺伝子改変を組み合わせることの一般的な例を提供する実施例42に加え、また、実施例43に従う実施例を考慮し、また、本明細書におけるさらなる開示および当業者に公知の方法を考慮して(例えば、遺伝子改変のその方法について本実施例に組み込まれるSambrookおよびRussell、2001年)、本実施例は、3−HPに対する耐性増加をもたらすための3HPTGCの1つ以上の遺伝子改変(本明細書において議論されるものなどの任意の計量によって評価されてもよい)および3−HP生成を増加させるための1つ以上の遺伝子改変(本明細書において開示されるものなどの3−HP生成経路など)を含むように遺伝子改変された微生物種を提供する。

    そのように遺伝子改変された微生物は、培養系の酸素含量および培地の栄養分組成を含む変動条件下での、3−HPに対する耐性およびその生成の両方について評価されてもよい。

    本実施例の様々な態様では、遺伝子改変の複数のセットを作製し、3−HP耐性および3−HP生成の増加についての所望の特質および/または計量を含む、1つ以上の遺伝子改変微生物を同定するために比較する。

    (実施例64)
    3HPTGC遺伝子改変と組み合わせたIrok配列をコードする遺伝子改変の導入 実施例45は、21アミノ酸から構成されるペプチドであるIrokおよびそれをコードするプラスミドをE. coli株に導入し、微好気条件下で評価した場合のその3−HP耐性改善効果を記載する。 3HPTGCに関する本明細書における開示および当業者に公知の方法(例えば、遺伝子改変のその方法について本実施例に組み込まれるSambrookおよびRussell、2001年)を考慮して、微生物種は、総体として3−HPに対する耐性増加をもたらすために、IroKペプチド配列をコードする核酸配列および3HPTGCの1つ以上の遺伝子改変を含むように遺伝子改変する。 3−HP耐性におけるそのような増加は、本明細書において議論されるものなどの任意の計量によって評価されてもよい。

    したがって、結果に基づいて、群A〜Eの2つ以上の提示を含む様々な遺伝子改変の組み合わせは、3−HPに対する所望の高い耐性を達成するために、微生物において評価され、使用されてもよい。 上記の表は、これらの群からの組み合わせを含む特定の遺伝子改変の組み合わせの結果を示す。 また、さらなる遺伝子改変は、群Fから提供されてもよい。 本明細書において別記されるように、任意のそのような組み合わせは、1つ以上の:組換え微生物による3−HPの合成および蓄積をもたらし、かつ/または増大させるための3−HPバイオ生産経路ならびに3−HPバイオ生産に、より多くの代謝資源(例えば炭素およびエネルギー)を向けるための欠失または他の改変ならびに脂肪酸合成酵素系へのフラックスを調整することに関する他の遺伝子改変を含んでいてもよい他の遺伝子改変と組み合わせられてもよい。

    下記は、他の微生物種における本発明の実施に関する非限定的な一般的な予測の実施例である。

    (一般的な予測の実施例65)Rhodococcus erythropolisにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 pRhBR17およびpDA71を含むが、これらに限定されない一連のE. coli−Rhodococcusシャトルベクターは、R. erythropolisにおける発現のために利用可能である(Kostichkaら、Appl. Microbiol. Biotechnol. 62巻:61〜68頁(2003年))。 さらに、一連のプロモーターは、R. erythropolisにおける異種遺伝子発現のために利用可能である(例えばNakashimaら、Appl. Environ. Microbiol. 70巻:5557〜5568頁(2004年)およびTaoら、Appl. Microbiol. Biotechnol. 2005年、DOI 10.1007/s00253−005−0064を参照されたい)。 R. erythropolisにおける染色体遺伝子の標的遺伝子破壊は、Taoら、前掲、およびBransら(Appl. Environ. Microbiol. 66巻:2029〜2036頁(2000年))によって記載される方法を使用して生成されてもよい。 これらの公開される手段は、それぞれの示される教示および組成について参照によって組み込まれる。

    本明細書において記載される、3−HP耐性の増加をもたらすのに必要とされる核酸配列は、必要に応じて3−HP生合成経路を提供するおよび/または改善するための核酸配列と共に、pDA71またはpRhBR71に最初にクローニングし、E. coliに形質転換する。 次いで、上記ベクターは、Kostichkaら、前掲によって記載されるように、電気穿孔によってR. erythropolisに形質転換される。 上記組換え体は、グルコースを含有する合成培地で増殖させ、3−HPに対する耐性および/またはそのバイオ生産は、当技術分野において公知のまたは本明細書において記載される方法を使用して追跡する。

    (一般的な予測の実施例66)B. licheniformisにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 B. subtilisにおいて複製するほとんどのプラスミドおよびシャトルベクターは、プロトプラスト形質転換または電気穿孔のいずれかによってB. licheniformisを形質転換するために使用する。 3−HP耐性の改善のためにおよび/または3−HP生合成のために必要とされる核酸配列は、様々な供給源から単離し、適切なようにコドン最適化し、プラスミドpBE20またはpBE60誘導体にクローニングする(Nagarajanら、Gene 114巻:121〜126頁(1992年))。 B. licheniformisを形質転換するための方法は、当技術分野において公知である(例えばFlemingら Appl. Environ. Microbiol.,61巻(11号):3775〜3780頁(1995年)を参照されたい)。 これらの公開される手段は、それらのそれぞれの示される教示および組成について参照によって組み込まれる。

    B. subtilisにおける発現のために構築したプラスミドは、次いで3−HP耐性の改善および必要に応じて3−HPバイオ生産を実証する組換え微生物を生成するためにB. licheniformisに形質転換する。

    (一般的な予測の実施例67)Paenibacillus maceransにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 プラスミドは、B. subtilisにおける発現のために本明細書において記載されるように構築し、プロトプラスト形質転換によって、Paenibacillus maceransを形質転換し、3−HP耐性の改善および必要に応じて3−HPバイオ生産を実証する組換え微生物を生成するために使用する。

    (一般的な予測の実施例68)Alcaligenes(Ralstonia)eutrophus(現在Cupriavidus necatorと呼ばれる)における3−HP耐性および/またはバイオ生産の発現 Alcaligenes eutrophusにおける遺伝子発現および突然変異の作製のための方法は、当技術分野において公知である(例えばTaghaviら、Appl. Environ. Microbiol.、60巻(10号):3585〜3591頁(1994年)を参照されたい)。 この公開される手段は、その示される教示および組成について参照によって組み込まれる。 3−HP耐性を改善することが同定された核酸配列および/または3−HP生合成のための核酸配列はいずれも、様々な供給源から単離し、適切なようにコドン最適化し、本明細書において記載される広範囲の宿主領域のベクターのいずれかにクローニングし、3−HP耐性の改善および必要に応じて3−HPバイオ生産を実証する組換え微生物を生成するために電気穿孔する。 Alcaligenesにおけるポリ(ハイドロキシブチレート)経路は、詳細に記載されており、Alcaligenes eutrophusゲノムを改変するための様々な遺伝学的技術は、公知であり、それらのツールは、3−HP寛容原性または必要に応じて3−HP−gena−寛容原性組換え微生物を設計製作するために適用することができる。

    一般的な予測の実施例69:Pseudomonas putidaにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 Pseudomonas putidaにおける遺伝子発現のための方法は、当技術分野において公知である(例えば、これらの教示が参照により本明細書において組み込まれるBen−Bassatら、米国特許第6,586,229号を参照されたい)。 3−HP耐性を改善することが同定された核酸配列および/または3−HP生合成のための核酸配列はいずれも、様々な供給源から単離し、適切なようにコドン最適化し、本明細書において記載される広範囲の宿主領域のベクターのいずれかにクローニングし、3−HP耐性の改善および必要に応じて3−HP生合成による生成を実証する組換え微生物を生成するために電気穿孔する。 例えば、これらの核酸配列は、pUCP18に挿入し、このライゲーションしたDNAは、3−HP耐性の増加を示し、また必要に応じて、導入した核酸配列の少なくとも一部分から構成される3−HP生合成経路をも含む組換えP. putida微生物を生成するために、エレクトロコンピテントPseudomonas putida KT2440細胞に電気穿孔する。

    (一般的な予測の実施例70)Lactobacillus plantarumにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 Lactobacillus属は、Lactobacillalesのファミリーに属し、Bacillus subtilisおよびStreptococcusの形質転換において使用される多くのプラスミドおよびベクターは、Lactobacillusのために使用される。 適切なベクターの非限定的な例は、pAMβ1およびその誘導体(Renaultら、Gene 183巻:175〜182頁(1996年);およびO'Sullivanら、Gene 137巻:227〜231頁(1993年));pMBB1およびpHW800、pMBB1の誘導体(Wyckoffら Appl. Environ. Microbiol 62巻:1481〜1486頁(1996年));pMG1、接合性プラスミド(Tanimotoら、J. Bacteriol. 184巻:5800〜5804頁(2002年));pNZ9520(Kleerebezemら、Appl. Environ. Microbiol. 63巻:4581〜4584頁(1997年));pAM401(Fujimotoら、Appl. Environ. Microbiol. 67巻:1262〜1267頁(2001年));ならびにpAT392(Arthurら、Antimicrob. Agents Chemother. 38巻:1899〜1903頁(1994年))を含む。 Lactobacillus plantarum由来のいくつかのプラスミドもまた、報告されている(例えばvan Kranenburg R、Golic N、Bongers R、Leer R J、de Vos W M、Siezen R J、Kleerebezem M. Appl. Environ. Microbiol. 2005年3月;71巻(3号):1223〜1230頁)。

    (一般的な予測の実施例71)Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarium、およびEnterococcus faecalisにおける3−HP耐性および/またはバイオ生産の改善 Enterococcus属は、Lactobacillalesのファミリーに属し、Lactobacillus、Bacillus subtilisおよびStreptococcusの形質転換において使用される多くのプラスミドおよびベクターは、Enterococcusのために使用される。 適切なベクターの非限定的な例は、pAMβ1およびその誘導体(Renaultら、Gene 183巻:175〜182頁(1996年);およびO'Sullivanら、Gene 137巻:227〜231頁(1993年));pMBB1およびpHW800、pMBB1の誘導体(Wyckoffら Appl. Environ. Microbiol. 62巻:1481〜1486頁(1996年));pMG1、接合性プラスミド(Tanimotoら、J. Bacteriol. 184巻:5800〜5804頁(2002年));pNZ9520(Kleerebezemら、Appl. Environ. Microbiol. 63巻:4581〜4584頁(1997年));pAM401(Fujimotoら、Appl. Environ. Microbiol. 67巻:1262〜1267頁(2001年));ならびにpAT392(Arthurら、Antimicrob. Agents Chemother. 38巻:1899〜1903頁(1994年))を含む。 Lactococcus由来のnisA遺伝子を使用するE. faecalisのための発現ベクターもまた、使用されてもよい(Eichenbaumら、Appl.
    Environ. Microbiol. 64巻:2763〜2769頁(1998年)。 さらに、E. faecium染色体における遺伝子交換のためのベクターが、使用される(Nallaapareddyら、Appl. Environ. Microbiol. 72巻:334〜345頁(2006年))。

    一般的な予測の実施例65〜71のそれぞれについては、以下の3−HPバイオ生産比較が、それに組み込まれてもよい:共通の方法セクションのサブセクションIIIにおいて記載される3−HPについての分析方法を使用して、3−HPは、それぞれの組換え微生物を用いて行われるそれぞれのバイオ生産イベントの終わりに当たって測定可能な量で得られる(各それぞれの一般的な予測の実施例に参照によって組み込まれるバイオ生産イベントのタイプを参照されたい)。 その測定可能な量は、それぞれの一般的な予測の実施例においてそのように提供される機能的な3−HP経路を欠く適切なそれぞれの対照微生物を使用して対照バイオ生産イベントにおいて生成される3−HPの量よりも実質的に大きい。 耐性改善はまた、上記共通の方法セクションにおいて提供されるMICプロトコールの使用によるなど、任意の認識された比較測定技術によって評価されてもよい。

    共通の方法セクション このセクションにおける方法は全て、参照される場合、実施例への組み込みのために提供される。

    サブセクションI. 微生物種および株、培養物、ならびに増殖培地 必要に応じて利用されてもよい細菌の種は、以下の通りである。

    Acinetobacter calcoaceticus(DSMZ#1139)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 その再懸濁したA. calcoaceticus培養物の段階希釈物は、BHI中に作製し、飽和するまで250rpmで37℃で48時間好気的に増殖させる。

    Bacillus subtilisは、Gill研究所(University of Colorado at Boulder)からの寄贈品であり、活発に増殖している培養物として得られる。 その活発に増殖しているB. subtilis培養物の段階希釈物は、Luria Broth(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)中に作製し、飽和するまで250rpmで37℃で24時間好気的に増殖させる。

    Chlorobium limicola(DSMZ#245)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、Pfennig培地IおよびII(#28および29)を使用してDSMZ説明書によって記載されるように、再懸濁させる。 C. limicolaは、一定のボルテックス下で25℃で増殖させる。

    Citrobacter braakii(DSMZ#30040)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 その再懸濁したC. braakii培養物の段階希釈物は、BHI中に作製し、飽和するまで250rpmで30℃で48時間好気的に増殖させる。

    Clostridium acetobutylicum(DSMZ#792)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、DSMZ説明書によって記載されるように、Clostridium acetobutylicum培地(#411)に再懸濁させる。 C. acetobutylicumは、飽和するまで、250rpmで37℃で嫌気的に増殖させる。

    Clostridium aminobutyricum(DSMZ#2634)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、DSMZ説明書によって記載されるように、Clostridium aminobutyricum培地(#286)に再懸濁させる。 C. aminobutyricumは、飽和するまで、250rpmで37℃で嫌気的に増殖させる。

    Clostridium kluyveri(DSMZ#555)は、活発に増殖している培養物として、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany) から得られる。 C. kluyveri培養物の段階希釈物は、DSMZ説明書によって記載されるようにClostridium kluyveri培地(#286)中に作製する。 C. kluyveriは、飽和するまで、250rpmで37℃で嫌気的に増殖させる。

    Cupriavidus metallidurans(DMSZ#2839)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 その再懸濁したC. metallidurans培養物の段階希釈物は、BHI中に作製し、飽和するまで250rpmで30℃で48時間好気的に増殖させる。

    Cupriavidus necator(DSMZ#428)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 その再懸濁したC. necator培養物の段階希釈物は、BHI中に作製し、飽和するまで250rpmで30℃で48時間好気的に増殖させる。 他のところで述べられるように、この種についての以前の名称は、Alcaligenes eutrophusおよびRalstonia eutrophusである。

    Desulfovibrio fructosovorans(DSMZ#3604)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、DSMZ説明書によって記載されるように、Desulfovibrio fructosovorans培地(#63)に再懸濁させる。 D. fructosovoransは、飽和するまで、250rpmで37℃で嫌気的に増殖させる。

    Escherichia coli Crooks(DSMZ#1576)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 その再懸濁したE. coli Crooks培養物の段階希釈物は、BHI中に作製し、飽和するまで250rpmで37℃で48時間好気的に増殖させる。

    Escherichia coli K12は、Gill研究所(University of Colorado at Boulder)からの寄贈品であり、活発に増殖している培養物として得られる。 その活発に増殖しているE. coli K12培養物の段階希釈物は、Luria Broth(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)中に作製し、飽和するまで250rpmで37℃で24時間好気的に増殖させる。

    Halobacterium salinarum(DSMZ#1576)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、DSMZ説明書によって記載されるように、Halobacterium培地(#97)に再懸濁させる。 H. salinarumは、飽和するまで、250rpmで37℃で好気的に増殖させる。

    Lactobacillus delbrueckii(#4335)は、活発に増殖している培養物としてWYEAST USA(Odell、OR、USA)から得られる。 その活発に増殖しているL. delbrueckii培養物の段階希釈物は、ブレインハートインフュージョン(BHI)培地(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)中に作製し、飽和するまで250rpmで30℃で24時間好気的に増殖させる。

    Metallosphaera sedula(DSMZ#5348)は、活発に増殖している培養物として、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 M. sedula培養物の段階希釈物は、DSMZ説明書によって記載されるようにMetallosphaera培地(#485)中に作製する。 M. sedulaは、飽和するまで、250rpmで65℃で好気的に増殖させる。

    Propionibacterium freudenreichii亜種shermanii(DSMZ#4902)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、DSMZ説明書によって記載されるように、PYG培地(#104)に再懸濁させる。 P. freudenreichii亜種shermaniiは、飽和するまで、250rpmで30℃で嫌気的に増殖させる。

    Pseudomonas putidaは、Gill研究所(University of Colorado at Boulder)からの寄贈品であり、活発に増殖している培養物として得られる。 その活発に増殖しているP. putida培養物の段階希釈物は、Luria Broth(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)中に作製し、飽和するまで250rpmで37℃で24時間好気的に増殖させる。

    Streptococcus mutans(DSMZ#6178)は、真空乾燥培養物としてGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig、Germany)から得られる。 次いで、培養物は、Luria Broth(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に再懸濁させる。 S. mutansは、飽和するまで、250rpmで37℃で好気的に増殖させる。

    以下の非限定的な株もまた、本実施例において出発株として使用されてもよい:DF40 Hfr(PO2A)、garB10、fhuA22、ompF627(T2R)、fadL701(T2R)、relA1、pitA10、spoT1、rrnB−2、pgi−2、mcrB1、creC510、BW25113 F−、Δ(araD−araB)567、ΔlacZ4787(::rrnB−3)、&lambda 、rph−1、Δ(rhaD−rhaB)568、hsdR514、JP111 Hfr(PO1)、galE45(GalS)、&lambda 、fabI392(ts)、relA1、spoT1、thi−1。 これらの株は、認識される遺伝子改変を有し、Yale Coli Genetic Stock Collection(New Haven、CT USA)などの公的な培養物供給源から入手可能である。 これらの株から開発された株は、本実施例において記載される。

    細菌増殖培養培地および関連する材料および条件は、以下の通りである。

    流加培地は、10gトリプトン、5g酵母抽出物、1.5g NaCl、2g Na HPO .7H O、1g KH PO 、および示されるグルコースを含有した(1リットル当たり)。

    AM2培地は、2.87g K HPO 、1.50g KH PO 、3.13g (NH SO 、0.15g KCl、1.5mM MgSO 、0.1M K MOPS pH 7.2、30gグルコース、およびMartinezら Biotechnol Lett 29:397〜404頁(2007年)において記載されるように調製される1ml微量ミネラルストックを含有した(1リットル当たり)。

    最初のバッチ培地について発酵槽において使用したAM2培地(実施例11について)

    発酵槽において使用されるAM2培地についての微量金属原液

    AM2容器についてのグルコース供給におけるグルコースの濃度:200g/Lグルコース 発酵槽の最初のバッチ培地において使用したリッチ培地(実施例11について)

    リッチ培地についてのさらなるグルコース供給のための栄養処方

    E. coliについてのSM3最少培地(最終リン酸塩濃度=27.5mM;最終N濃度=47.4mM NH

    )。

    1リットル当たりの成分:700mL DI水、100mL 10×SM3塩、2ml
    1M MgSO 、1ml 1000×微量ミネラルストック、60mL 500g/Lグルコース、100mL 0.1M MOPS(pH7.4)、0.1mLの1M CaCl 、1000mLまでのDI水を用いる適量、および0.2μmフィルター滅菌。

    原液の調製:
    10×SM3塩(1L)の作製:800mL DI水、28.7g K HPO 、15g KH PO 、31.3g (NH SO 、1.5g KCl、0.5g クエン酸(無水)、および1000mLまでのDI水を用いる適量。

    1000×微量ミネラルストック(1L)の作製:室温で50ml分を保存する。

    0.12M HCl中1リットル当たり(10mlの濃HClを1リットルの水に希釈する):2.4g FeCL .6H O、0.17g CoCl .6H O、0.15g CuCl .2H O、0.3g ZnCl 、0.3g NaMoO .2H O(モリブデン酸、二ナトリウム塩、二水和物)、0.07g H BO 、および0.5g MnCl .4H O。

    1M MOPSの作製:209.3g MOPS、700mlの水に溶解。 70ml分を取り、50%KOHを用いて所望のpHに調整し、100mL最終容量に調整し、0.2μmフィルター滅菌。

    1M MgSO の作製:120.37gを1000mL水に溶解。

    500g/L(50%)グルコース原液の作製:900mL DI水、500gグルコース、および1000mlまでの適量。

    さらなる増殖培地の処方を以下のように概説する:

    FM10:微量金属原液処方:

    1L M9最少培地の作製:


    M9最少培地は、5×M9塩、1M MgSO

    、20%グルコース、1M CaCl

    、および滅菌脱イオン水を組み合わせることによって作製した。 その5×M9塩は、1Lの最終容量まで、脱イオン水に以下の塩を溶解することによって作製する:64g Na

    HPO

    ・7H

    O、15g KH

    PO

    、2.5g NaCl、5.0g NH

    Cl。 その塩溶液は、200mL一定分量に分け、液体サイクルで15psiで15分間、オートクレーブ滅菌することによって殺菌した。 MgSO

    の1M溶液および1M CaCl

    は、別々に作製し、次いで、オートクレーブ滅菌によって殺菌した。 グルコースは、それを0.22μmフィルターに通過させることによって濾過滅菌した。 その成分は全て、1LのM9を作製するために以下のように組み合わせる:750mL滅菌水、200mL 5×M9塩、1M MgS0

    の2mL、20mL 20%グルコース、0.1mL CaCl

    、1Lの最終容量まで適量。

    EZリッチ培地の作製:
    培地成分は全て、TEKnova(Hollister CA USA)から得、以下の容量で組み合わせた。 100mL 10×MOPS混合物、10mL 0.132M K HPO 、100mL 10×ACGU、200mL 5×補充物質EZ、10mL 20%グルコース、580mL滅菌水。

    サブセクションII:ゲル調製、DNA分離、抽出、ライゲーション、および形質転換方法:
    TAE中1%アガロースを作製するために、分子生物学グレードのアガロース(RPI
    Corp、Mt. Prospect、IL、USA)を1×TAEに加える。 50×TAEを得るため、900ml蒸留H Oに以下を加え:242gトリス塩基(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)、57.1ml氷酢酸(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USA)、18.6g EDTA(Fisher Scientific、Pittsburgh、PA USA)、さらなる蒸留水を用いて1Lに容量を調整する。 1×TAEを得るために、980mLの蒸留水に20mLの50×TAEを加える。 次いで、沸騰が生じるまで、そのアガロースTAE溶液を加熱し、アガロースを完全に溶解する。 50℃までその溶液を冷却させた後、10mg/mL臭化エチジウム(Acros Organics、Morris Plains、NJ、USA)を100mLの1%アガロース溶液当たり5ulの濃度で加える。 一旦、臭化エチジウムを添加したら、その溶液を短時間混合し、試料分析あたり、適切な数のコームを有するゲル成型トレイ(Idea Scientific Co.、Minneapolis、MN、USA)に注ぐ。 次いで、DNA試料は、5×TAEローディングバッファーと適宜混合する。 5×TAEローディングバッファーは、5×TAE(本明細書において記載される50×TAEから希釈)、20%グリセロール(Acros Organics、Morris Plains、NJ、USA)、0.125%ブロモフェノールブルー(Alfa Aesar、Ward Hill、MA、USA)からなり、蒸留水を用いて50mLに容量を調整する。 次いで、ロードしたゲルは、25〜30分間、125ボルトの定電圧で、1×TAEを満たしたゲル装置(Idea Scientific
    Co. 、Minneapolis、MN、USA)中で泳動する。 この時点では、ゲルは、電圧を有するゲルボックスから取り出し、UVトランスイルミネーター(FOTODYNE Inc.、Hartland、WI、USA)下で視覚化する。

    次いで、ゲル抽出を通して単離したDNAは、製造者の指示(Qiagen(Valencia CA USA))に従って、QIAquickゲル抽出キットを使用して抽出する。 類似する方法は、当業者に公知である。

    次いで、このように抽出したDNAは、製造者の指示に従って、pSMART(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)、StrataClone(Stratagene、La Jolla、CA、USA)、またはpCR2.1−TOPO TA(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)にライゲーションされてもよい。 これらの方法は、上記共通の方法の次のサブセクションに記載される。

    ライゲーション方法:
    pSMARTベクターへのライゲーションについて:
    ゲル抽出したDNAは、製造者の指示に従って、PCRTerminator(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)を使用して平滑化する。 次いで、500ngのDNAを、2.5uL 4×CloneSmartベクタープレミックスに加え、1ul CloneSmart DNAリガーゼ(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)および蒸留水を加え、10ulの総容量にする。 次いで、その反応物を、30分間、室温に置き、次いで、15分間、70℃で熱不活化し、次いで、氷上に置く。 E. cloni 10Gケミカルコンピテント細胞(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)を氷上で20分間解凍する。 40ulのケミカルコンピテント細胞を、微量遠心管の中に置き、1ulの熱不活化CloneSmartライゲーションをその管に加える。 全反応物を、ピペットチップを用いて短時間撹拌する。 その連結反応物(ligation)および細胞は、30分間、氷上でインキュベートし、次いで、その細胞は、42℃で45秒間、熱ショックを与え、次いで、2分間、氷上に戻す。 960ulの室温の回収培地(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)を微量遠心管の中に置く。 37℃で1時間250rpmで管を振盪させる。 使用するpSMARTベクターに依存して適切な抗生物質を加えたLuria Brothプレート(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に100ulの形質転換細胞をまく。 37℃で一晩、プレートをインキュベートする。

    StrataCloneへのライゲーションについて:
    ゲル抽出したDNAは、製造者の指示に従って、PCRTerminator(Lucigen Corp、Middleton、WI、USA)を使用して平滑化する。 次いで、2ulのDNAを、3ul StrataClone Blunt Cloningバッファーおよび1ul StrataClone Bluntベクターミックスamp/kan(Stratagene、La Jolla、CA、USA)に加え、合計6ulにする。 その反応物は、上下に穏やかにピペッティングすることによって混合し、30分間、室温でその反応物をインキュベートし、次いで氷上に置く。 20分間、氷上でStrataCloneのケミカルコンピテント細胞(Stratagene、La Jolla、CA、USA)からなる試験管を解凍する。 ケミカルコンピテント細胞の上記試験管に1ulのクローニング反応物を加え、ピペットチップを用いて穏やかに混合し、20分間、氷上でインキュベートする。 45秒間、42℃でその形質転換物に熱ショックを与え、次いで、2分間、氷上に置く。 250ulの予熱したLuria Broth(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)を加え、2時間、37℃で250rpmで振盪する。 適切な抗生物質を加えたLuria Brothプレート(RPI
    Corp、Mt. Prospect、IL、USA)に100ulの形質転換混合物をまく。 37℃で一晩、プレートをインキュベートする。

    pCR2.1−TOPO TAへのライゲーションについて:
    1ul TOPOベクター、1ul塩溶液(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)、および3ulゲル抽出DNAを微量遠心管に加える。 30分間、室温でその管をインキュベートし、次いで、氷上にその反応物を置く。 反応あたり、TOP10F'ケミカルコンピテント細胞(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)の1本の試験管を解凍する。 その解凍したTOP10F'細胞に1ulの反応混合物を加え、ピペットチップを用いて細胞を穏やかにかき混ぜることによって混合し、20分間、氷上でインキュベートする。 45秒間、42℃でその形質転換物に熱ショックを与え、次いで、2分間、氷上に置く。 250ulの予熱したSOC培地(Invitrogen Corp、Carlsbad、CA、USA)を加え、1時間、37℃で250rpmで振盪する。 適切な抗生物質を加えたLuria Brothプレート(RPI Corp、Mt.Prospect、IL、USA)に100ulのその形質転換混合物をまく。 37℃で一晩、プレートをインキュベートする。

    一般的な形質転換および関連する培養方法:
    ケミカルコンピテント形質転換プロトコールは、製造者の指示またはMolecular Cloning(SambrookおよびRussell、2001年)に含有される文献に従って実行する。 一般に、プラスミドDNAまたはライゲーション産物は、ケミカルコンピテント細胞を有する溶液中で5〜30分間氷上で冷却する。 ケミカルコンピテント細胞は、バイオテクノロジーの分野において広く使用される産物であり、本サブセクションにおいて示されるものなどの複数のベンダーから入手可能である。 冷却期間後、細胞には、一般に、振盪させずに42℃で30秒間熱ショックを与え、再度冷却し、S. O. C. などの250マイクロリットルのリッチ培地と組み合わせる。 次いで、細胞は、1時間250rpmで振盪させながら、37℃でインキュベートする。 最後に、その細胞は、適切な抗生物質を含有する培地でプレート培養することによって形質転換の成功についてスクリーニングする。

    その代わりに、選択した細胞は、当業者に公知のものなどの電気穿孔法によって形質転換されてもよい。

    プラスミド形質転換のためのE. coli宿主株の選択は、プラスミド安定性、プラスミド適合性、プラスミドスクリーニング法、およびタンパク質発現などの因子を考慮することによって決定する。 株のバックグラウンドは、本明細書において記載されるとおりプラスミドDNAを単に精製し、任意の一般に使用されるクローニング株(例えばDH5α、Top10F'、E.cloni 10Gなど)などの、実験的な必要性によって決定されるなどの、所望のまたは別の方法で適切なE. coli宿主株にプラスミドを形質転換することによって、変更することができる。

    プラスミドDNAは、製造者の指示に従って、Qiagen(Valencia、CA
    USA)からの市販のミニプレップキットを使用して調製した。

    サブセクションIIIa. 3−HPの調製 3−HP原液は以下のように調製した。 β−プロピオラクトン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USA)のバイアルを換気フード下で開き、ボトル内容物の全てを、25mLガラスピペットを続いて使用して、新しい容器に移した。 そのバイアルは、50mLのHPLCグレード水を用いてすすぎ、このすすぎ液を新しい容器に注いだ。 さらに2回すすぎ、それをその新しい容器に加えた。 5mL β−プロピオラクトン当たり50mL水の比に達するように、さらなるHPLCグレード水を、その新しい容器に加えた。 その新しい容器は、しっかりとキャップし、72時間、室温で換気フード中に置いた。 72時間後、その内容物は、遠心分離管に移し、4,000rpmで10分間、遠心分離した。 次いで、その溶液は、微粒子を除去するために濾過し、必要に応じて、室温でロータリーエバポレーターの使用によって濃縮した。 濃度についてのアッセイを行い、必要に応じて、標準的な濃度原液を作製するために希釈した。

    サブセクションIIIb. 3−HP検出のためのHPLC、GC/MS、および他の分析方法(3−HP生成についての培養物の分析)
    3−HPのHPLC分析について、Watersクロマトグラフィーシステム(Milford、MA)は、以下からなった:600S制御装置、616ポンプ、717プラスオートサンプラー、486調整可能UV検出器、および整列移動相脱気装置。 さらに、Eppendorf外部カラムヒーターを使用し、データは、標準的なデスクトップコンピューターに連結したSRI(Torrance、CA)のアナログ−デジタル変換器を使用して、収集した。 データは、SRI Peak Simpleソフトウェアを使用して分析する。 Coregel 64Hイオン排除カラム(Transgenomic,Inc.、San Jose、CA)を使用する。 そのカラム樹脂は、スルホン化ポリスチレンジビニルベンゼンであり、粒子サイズは10μmであり、カラム寸法は300×7.8mmである。 その移動相は、0.02Nの濃度まで脱イオン(18MΩcm)水を用いて希釈し、0.2μmナイロンフィルターで真空濾過した硫酸(Fisher Scientific、Pittsburgh、PA USA)からなった。 上記移動相の流速は、0.6mL/分とする。 UV検出器は、210nmの波長で作動させ、そのカラムは、60℃まで加熱する。 本明細書において記載されるものと同じ設備および方法は、関連する予測の実施例についての3−HP分析について使用される。 3−HP標準物質(TCI America、Portland、OR)と共にこのHPLC方法を使用する代表的な検量線を図13に提供する。

    以下方法を、3−HPのGC−MS分析のために使用する。 酢酸エチルを用いる発酵培地の一回の抽出後に、可溶性モノマー3−HPを、GC−MSを使用して定量化する。 一旦、上記3−HPが酢酸エチル中に抽出されたら、その3−HP上の活性な水素は、GC分析用の揮発性の化合物を作製するために、N,O−ビス−(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを使用してトリメチルシリル基と交換する。 公知の3−HP濃度の標準曲線は、実行の初めに作成し、公知の量のケトへキサン酸(1g/L)は、さらなる内部標準としてのトロパ酸と共に、定量のための内部標準として作用するように、標準物質および試料の両方に加える。 次いで、個々の試料の3−HP内容物は、3−HPイオン(219)に対するケトへキサン酸イオン(m/z=247)の比を検査することによってアッセイし、上記標準曲線と比較する。 3−HPは、実行の初めに3HP標準曲線を使用して定量化し、データは、HP Chemstationを使用して分析する。 上記GC−MSシステムは、Hewlett Packard モデル5890 GCおよびHewlett Packard モデル5972 MSからなる。 そのカラムは、Supelco SPB−1(60m×0.32mm×0.25μmフィルム厚)とする。 キャピラリー被覆剤は、非極性メチルシリコーンとする。 そのキャリヤーガスは、1mL/分の流速のヘリウムとする。 誘導体化される(derivatized)3−HPは、2つの類似する温度型(temperature regime)のどちらかを使用して、酢酸エチル抽出物中の他の成分から分離される。 第1の温度勾配型では、カラム温度は、1分間の40℃から開始し、次いで、235℃まで10℃/分の速度で上昇し、次いで、300℃まで50℃/分の速度で上昇する。 試料をより迅速に処理することが実証された第2の温度型では、カラム温度は、70℃から開始して1分間保持され、235℃までの10℃/分の増加が後続し、300℃までの50℃/分の増加が後続する。 代表的な検量線を図22に提供する。

    3−HPの検出のためのバイオアッセイもまた、様々な実施例において使用した。 3−HP濃度のこの決定は、ydfG遺伝子(YDFGタンパク質)によってコードされるE. coli 3−HPデヒドロゲナーゼの活性に基づいて実行した。 200μlの反応は、96ウェルマイクロタイタープレート中で実行し、100mMトリス−HCl、pH 8.8、2.5mM MgCl 、2.625mM NADP 、3μg精製YDFG、および20μl培養上清を含有した。 培養上清は、細胞を取り出すために微量遠心管中での遠心分離(14,000rpm、5分)によって調製した。 3−HP(0.025〜2g/lを含有)の標準曲線は、培養上清中の3−HPの量を定量するために、並列反応において使用した。 未接種培地は、試薬ブランクとして使用した。 必要な場合、上記標準曲線内の3−HP濃度を有する溶液を得るために、培養上清を培地中で希釈した。

    反応物は、1時間、37℃でインキュベートし、1.43mMニトロブルーテトラゾリウム、0.143フェナジンメトサルフェート、および2.4%ウシ血清アルブミンを含有する20μlの発色剤をそれぞれの反応物に加えた。 さらなる時間、37℃で発色を進ませ、580nmの吸収度を測定した。 上記培養上清中の3−HP濃度の量は、同じマイクロタイタープレートで生成された標準曲線から得られた値と比較することによって定量する。 酵素アッセイを用いて得られた結果は、検証し、上に記載される分析方法の1つによって得られるものと一致した。 図23は代表的な標準曲線を提供する。

    サブセクションIV. 最小発育阻止濃度評価(MIC)プロトコール MIC評価については、その最終結果は、HPLCによる原液の分析によって決定された化学薬剤濃度において表現される(つまり、サブセクションIIIbを参照されたい)。

    好気でのE. coli
    最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて好気的に決定した。 プレートは、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(標準的なM9培地に相当する):47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、および0.4%グルコース。 培地の補充物質は、指定される場合、補充物質の表において報告されるレベルに従って加えた。 株の一晩培養物を5mLのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で三連で増殖させた。 1%(v/v)接種材料を、M9最少培地の5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、約0.200(つまり0.195〜0.205)のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:50にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 プレートは、37℃で24時間インキュベートした。 上記最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。

    嫌気でのE. coli
    最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて嫌気的に決定した。 プレートは、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(標準的なM9培地に相当する):47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、および0.4%グルコース。 培地の補充物質は、指定される場合、補充物質の表において報告されるレベルに従って加えた。 株の一晩培養物を5mLのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で三連で増殖させた。 1%(v/v)接種材料を、M9最少培地の5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、約0.200(つまり0.195〜0.205)のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:50にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 プレートは、嫌気条件用のガス発生器を含有するバイオバッグ嫌気チャンバー内に密閉し、37℃で24時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。

    好気でのB. subtilis
    最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて好気的に決定した。 プレートは、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(標準的なM9培地+補充グルタメートに相当する):47.7mM Na HPO 、22mM KH PO 、8.6mM NaCl、18.7mM NH Cl、2mM MgSO 、0.1mM CaCl 、10mMグルタメート、および0.4%グルコース。 培地の補充物質は、指定される場合、補充物質の表において報告されるレベルに従って加えた。 株の一晩培養物を5mLのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で三連で増殖させた。 1%(v/v)接種材料を、M9最少培地+グルタメートの5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、約0.200(つまり0.195〜0.205)のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:50にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 プレートは、37℃で24時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。

    好気でのC. necator(R.eutropha)
    最小発育阻止濃度(MIC)は、96ウェルプレートフォーマットにおいて好気的に決定した。 プレートは、それぞれの個々のウェルが、接種後に100uLの最終容量にした場合に、以下の成分レベルを有するようにセットアップした(FGN培地に相当する):21.5mM K HPO 、8.5mM KH PO 、18mM NH Cl、12mM NaCl、7.3uM ZnCl、0.15uM MnCl 、4.85uM H BO 、0.21uM CoCl 、0.41uM CuCl 、0.50uM NiCl 、0.12uM Na MoO 、0.19uM CrCl 、0.06mM CaCl 、0.5mM MgSO 、0.06mM FeSO 、0.2%グリセロール、0.2%フルクトース。 培地の補充物質は、指定される場合、補充物質の表において報告されるレベルに従って加えた。 株の一晩培養物を5mLのLB(適切な場合、抗生物質を有する)中で三連で増殖させた。 1%(v/v)接種材料を、FGN培地の5ml培養物に導入した。 細胞が中間指数期に達した後、その培養物は、約0.200(つまり0.195〜0.205)のOD 600まで希釈した。 上記細胞は、1:50にさらに希釈し、10μLの一定分量を、96ウェルプレートのそれぞれのウェルに接種するために使用し(1ウェル当たり約10 細胞)、100uLの総容量にした。 そのプレートを配置し、多様な株の増殖、または5g/Lの増分で0〜60g/Lに3−HP濃度を増加させた場合の多様な増殖条件における増殖を測定した。 プレートは、30℃で24時間インキュベートした。 最小発育阻止3−HP濃度および目に見える細胞増殖(OD約0.1)に対応する最大の3−HP濃度を、24時間後に記録した。 MIC>60g/Lである場合については、評価は、広範囲の3−HP濃度(5g/Lの増分で0〜100g/L)を有するプレートにおいて実行した。

    本明細書において記載される実施形態、変形物、配列、および図は、本発明の有用性および多用途性の指標を提供するはずである。 本明細書において記載される特徴および利点の全てを提供するとは限らない他の実施形態もまた、本発明の精神および範囲から逸脱することなく利用されてもよい。 そのような改変物および変形物は、本発明の範囲内にあると考えられる。

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