ステビオール配糖体の組換え製造

申请号 JP2016552419 申请日 2014-10-03 公开(公告)号 JP2017500056A 公开(公告)日 2017-01-05
申请人 コナゲン インコーポレーテッド; コナゲン インコーポレーテッド; 发明人 マオ,グオホン; ユ,シャオダン;
摘要 ステビオール配糖体を合成するための1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性および1,2-13-O-グルコースグリコシル化活性を含むUDP-グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する組換えポリペプチドを提供する。そのような組換えポリペプチドを使用するステビオール配糖体組成物の製造方法も提供する。レバウジオシドZ1およびレバウジオシドZ2と称されるステビオール配糖体も開示する。【選択図】図1A
权利要求

配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチド。該アミノ酸配列が配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項1記載の組換えポリペプチド。該アミノ酸配列が配列番号6に対して少なくとも95%同一である、請求項1記載の組換えポリペプチド。該アミノ酸配列が配列番号6からなる、請求項1記載の組換えポリペプチド。請求項1記載の組換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸。該ヌクレオチド配列が配列番号7に対して少なくとも80%の同一性を有する、請求項5記載の単離された核酸。請求項5記載の単離された核酸を含むベクター。請求項7記載のベクターを含む宿主細胞。該宿主細胞が、細菌、酵母、糸状菌、ラン藻類および植物細胞からなる群から選択される、請求項8記載の宿主細胞。該宿主細胞が、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、メチロシヌス(Methylosinus)、メチロモナス(Methylomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドバクター(Rhodobacter)、シネコシスチス(Synechocystis)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、クライベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ムコール(Mucor)、ピチア(Pichia)、トルロプシス(Torulopsis)、アスペルギルス(Aspergillus)、アルトロボトリス(Arthrobotrys)、ブレビバクテリア(Brevibacteria)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アルスロバクター(Arthrobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、エシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella)、パンテア(Pantoea)、サルモネラ(Salmonella)コリネバクテリウム(Corynebacterium)、クロストリジウム(Clostridium)およびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される、請求項9記載の宿主細胞。該宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、エンバク、モロコシ、イネ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、パースニップ、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、草種(grass seed)作物、テンサイ、サトウキビ、豆、エンドウ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、飼料草、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana;シロイヌナズナ)、オリザ・サチバ(Oryza sativa;イネ)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare;オオムギ)、スイッチグラス(Panicum vigratum)、ブラキポジウム属種(Brachypodium spp)、アブラナ属種(Brassica spp.)およびクランベ・アビッシニカ(Crambe abyssinica)からなる群から選択される植物から単離された細胞である、請求項9記載の宿主細胞。配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質をインキュベートすることを含む、ステビオール配糖体組成物の製造方法。該基質および該組換えポリペプチドと共に組換えスクロースシンターゼをインキュベートすることを更に含む、請求項12記載の製造方法。該組換えスクロースシンターゼが、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項13記載の製造方法。該スクロースシンターゼ、該基質および該組換えポリペプチドと共に組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼをインキュベートすることを更に含む、請求項13記載の製造方法。該組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼが、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項15記載の製造方法。該基質が、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドEおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12記載の製造方法。請求項12記載の製造方法により製造されるステビオール配糖体組成物。レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドZおよびそれらの組合せから選択されるステビオール配糖体化合物を含む、請求項18記載のステビオール配糖体組成物。請求項18記載のステビオール配糖体組成物を含む甘味料。配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質をインキュベートすることを含む、レバウジオシドZの製造方法。該基質が、ルブソシド、ステビオシドおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21記載の製造方法。該基質および該組換えポリペプチドと共に組換えスクロースシンターゼをインキュベートすることを更に含む、請求項21記載の製造方法。該組換えスクロースシンターゼが、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23記載の製造方法。該スクロースシンターゼ、該基質および該組換えポリペプチドと共に組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼをインキュベートすることを更に含む、請求項23記載の製造方法。請求項21記載の製造方法により製造されるレバウジオシドZ化合物。該レバウジオシドZ化合物がレバウジオシドZ1(Reb Z1)とレバウジオシドZ2(Reb Z2)との混合物を含む、請求項26記載のレバウジオシドZ化合物。レバウジオシドEからレバウジオシドZを合成するための方法であって、 レバウジオシドE、スクロース、ウリジンジホスファート(UDP)およびウリジンジホスファート-グルコース(UDP-グルコース)からなる群から選択される基質ならびにHV1を含む反応混合物を調製し、 レバウジオシドZを産生するのに十分な時間にわたって該反応混合物をインキュベートすることを含み、ここで、グルコースがレバウジオシドEに共有結合してレバウジオシドZを産生し、グルコースがレバウジオシドEのC2'-13-O-グルコースに共有結合してレバウジオシドZ1を産生し、グルコースがレバウジオシドEのC2'-19-O-グルコースに共有結合してレバウジオシドZ2を産生する、方法。スクロースシンターゼを該反応混合物に加えることを更に含む、請求項28記載の方法。該スクロースシンターゼが、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ1、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ3およびビグナ・ラディアテ(Vigna radiate)スクロースシンターゼからなる群から選択される、請求項29記載の方法。該スクロースシンターゼがアラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)スクロースシンターゼ1である、請求項30記載の方法。レバウジオシドEからレバウジオシドDを合成するための方法であって、 レバウジオシドE、スクロース、ウリジンジホスファート(UDP)およびウリジンジホスファート-グルコース(UDP-グルコース)からなる群から選択される基質ならびにUGT76G1を含む反応混合物を調製し、 レバウジオシドDを産生するのに十分な時間にわたって該反応混合物をインキュベートすることを含み、ここで、グルコースがレバウジオシドEに共有結合してレバウジオシドDを産生する、方法。スクロースシンターゼを該反応混合物に加えることを更に含む、請求項32記載の方法。該スクロースシンターゼが、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ1、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ3およびビグナ・ラディアテ(Vigna radiate)スクロースシンターゼからなる群から選択される、請求項33記載の方法。該スクロースシンターゼがアラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)スクロースシンターゼ1である、請求項34記載の方法。構造: を含むレバウジオシドZ1化合物。構造: を含むレバウジオシドZ2化合物。化学構造: を有する化合物を含む甘味料。充填剤、増量剤および固化防止剤の少なくとも1つを更に含む、請求項38記載の甘味料。甘味量の、請求項38記載の甘味料を含む、消耗品。飲料、菓子類、ベーカリー製品、クッキーおよびチューインガムからなる群から選択される、請求項40記載の消耗品。化学構造: を有する化合物を含む甘味料。充填剤、増量剤および固化防止剤の少なくとも1つを更に含む、請求項42記載の甘味料。甘味量の、請求項42記載の甘味料を含む、消耗品。飲料、菓子類、ベーカリー製品、クッキーおよびチューインガムからなる群から選択される、請求項44記載の消耗品。

说明书全文

関連出願に対する相互参照 本出願は2013年11月1日付け出願の米国仮特許出願第61/898,571号(その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする)に基づく優先権を主張するものである。

配列表の援用 配列表の紙コピー、および46,751バイト(Microsoft WINDOWS(登録商標) Explorerにより測定された場合)のサイズの32559-17 ST25.txtと称されるファイルを含む配列のコンピューター読取可能形態が本出願において提供され、これらを参照により本明細書に組み入れることとする。この配列表は配列番号1〜12からなる。

本開示は全般的にはステビオール配糖体の生合成に関する。特に、本開示は、ステビオール配糖体、例えばレバウジオシドD、レバウジオシドEおよび新規レバウジオシド(レバウジオシドZ)の産生を触媒する組換えポリペプチドに関する。

ステビオール配糖体は、ステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)の葉から単離される天然物であり、高甘味度低カロリー甘味料として広く使用されている。天然に存在するステビオール配糖体は同じ基本構造(ステビオール)を有し、C13およびC19位の炭化物残基(例えば、グルコース、ラムノースおよびキシロース残基)の含量において異なる。公知構造を有するステビオール配糖体には、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドFおよびズルコシドAが含まれる。

乾燥重量ベースでは、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドCおよびズルコシドAが葉におけるステビオール配糖体の総重量のそれぞれ9.1、3.8、0.6および0.3%を占め、一方、その他のステビオール配糖体は遥かに少ない量で存在する。ステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)植物からの抽出物は商業的に入手可能であり、これは典型的にはステビオシドおよびレバウジオシドAを主要化合物として含有する。例えば、市販調製物中のレバウジオシドAの量は全ステビオール配糖体含量の約20%から90%以上まで変動することがあり、一方、レバウジオシドBの量は全ステビオール配糖体の約1〜2%となることがあり、レバウジオシドCの量は約7〜15%となることがあり、レバウジオシドDの量は約2%となることがある。

天然甘味料としては、ステビオール配糖体が有する甘味度および後味はステビオール配糖体によって異なる。ステビオール配糖体の甘味度はスクロースのものより有意に高い。例えば、ステビオシドはスクロースより100〜150倍甘く、より苦い後味を有し、一方、レバウジオシドAおよびEはスクロースより250〜450倍甘く、後味はステビオシドより遥かに良好である。したがって、いずれかのステビア抽出物の風味プロファイルは該抽出物中のステビオール配糖体の相対含量により著しく影響され、そしてこれは植物源、環境因子(例えば、土壌含量および気候)および抽出プロセスにより影響されうる。特に、抽出条件の変動はステビア抽出物におけるステビオール配糖体の不均一な組成を招く可能性があり、その結果、風味プロファイルは抽出産物のバッチによって変動しうる。ステビア抽出物の風味プロファイルは、抽出プロセス後に産物中に残存する植物由来混入物(例えば、色素、脂質、タンパク質、フェノール類および糖類)によっても影響されうる。これらの混入物は、典型的には、甘味料としてのステビア抽出物の使用に望ましくない異臭を有する。

ステビオール配糖体の大多数は、ステビオールの、幾つかのグリコシル化反応により形成され、該反応は、典型的には、糖部分の供与体としてウリジン5'-ジホスホグルコース(UDP-グルコース)を利用するUDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)により触媒される。植物においては、UGTは、グルコース残基をUDP-グルコースからステビオールへと転移させる非常に多様な酵素群である。ステビオシドはレバウジオシド化合物の生合成における中間体である。例えば、ステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3'のグリコシル化はレバウジオシドAを与え、ステビオシドの19-O-グルコースのC-2'のグリコシル化はレバウジオシドEを与える。レバウジオシドAの(19-O-グルコースにおける)またはレバウジオシドEの(C-13-O-グルコース)更なるグリコシル化はレバウジオシドDを産生する(図1A〜1C)。

ステビア抽出物の味質を改良するための実用的アプローチは、ステビオシドの更なるグリコシル化によりレバウジオシド化合物の収率を増加させることである。1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を有するUGTはレバウジオシドDおよびEの産生のための重要な酵素である。

スクロースシンターゼ(SUS)は、スクロースの存在下、UDPからUDP-グルコースへの変換を触媒する。したがって、UDP-グルコース(例えば、UGTにより触媒されるもの)を利用するグリコシル化反応のために、SUSは、UDPからUDP-グルコースを再生して、そのような反応の効率を増加させるために使用されうる。

したがって、一貫した風味プロファイルを有し、既存の市販製品より弱い悪臭を有するステビオール配糖体が必要とされている。本明細書に記載されているとおり、本開示は、ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドDおよびレバウジオシドE)の製造に有用な組換えポリペプチドを提供する。本開示は、そのような組換えポリペプチドを使用するステビオール配糖体(レバウジオシドZ)組成物の製造方法をも提供する。

簡潔な説明 本技術は、全般的には、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する組換えポリペプチドに関する。特に、ステビオール配糖体に関する1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を有するポリペプチドを提供する。1つの態様においては、本技術は、配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドに関する。典型的な実施形態においては、本明細書に記載されている組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または更には100%の同一性を有する。

もう1つの態様においては、本技術は、本明細書に記載されている組換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸に関する。もう1つの態様においては、本技術は、本明細書に記載されている核酸を含むベクター、および本明細書に記載されているベクターを含む宿主細胞に関する。典型的な実施形態においては、本技術の宿主細胞は、細菌、酵母、糸状菌、ラン藻類および植物細胞からなる群から選択される。

もう1つの態様においては、本技術はまた、配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質(例えば、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドEまたはそれらの組合せ)をインキュベートすることを含む、ステビオール配糖体組成物の製造方法に関する。典型的な実施形態においては、本明細書に記載されている方法において使用される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または更には100%の同一性を有する。

もう1つの態様においては、本技術はまた、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質(例えば、ステビオシドおよびレバウジオシドE)をインキュベートすることを含む、ステビオール配糖体組成物の製造方法に関する。典型的な実施形態においては、本明細書に記載されている方法において使用される組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号11に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または更には100%の同一性を有する。

1つの実施形態においては、該方法は、組換えスクロースシンターゼ(例えば、配列番号9に記載されているAtSUS1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するもの)を、基質および組換えポリペプチド(本明細書に記載されているもの)と共にインキュベートすることを更に含む。もう1つの実施形態においては、該方法は、組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、配列番号11に記載されているUGT76G1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するもの)を組換えスクロースシンターゼ、基質および組換えポリペプチド(本明細書に記載されているもの)と共にインキュベートすることを更に含む。もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されている方法は、該組換えポリペプチドを発現する宿主細胞と共に基質をインキュベートすることを含む。

本技術はまた、本明細書に記載されている条件下のHPLC上での約6.68分の保持時間により特徴づけられる、レバウジオシドZと称される新規ステビオール配糖体に関する。本技術はまた、配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質をインキュベートすることを含む、本明細書に記載されているレバウジオシドZの製造方法に関する。本明細書中で用いる「レバウジオシドZ」または「Reb Z」なる語は化合物の混合物、特にレバウジオシドZ1(「Reb Z1」)とレバウジオシドZ2(「Reb Z2」)との混合物を意味する。

1つの実施形態においては、本開示は更に、レバウジオシドEからレバウジオシドZを合成するための方法に関する。該方法は、レバウジオシドE、スクロース、ウリジンジホスファート(UDP)およびウリジンジホスファート-グルコース(UDP-グルコース)からなる群から選択される基質、およびHV1、ならびにスクロースシンターゼを含む反応混合物を調製し、レバウジオシドZを産生するのに十分な時間にわたって該反応混合物をインキュベートすることを含み、ここで、グルコースがレバウジオシドEに共有結合してレバウジオシドZを産生し、グルコースがレバウジオシドEのC2'-13-O-グルコースに共有結合してレバウジオシドZ1を産生し、グルコースがレバウジオシドEのC2'-19-O-グルコースに共有結合してレバウジオシドZ2を産生する。

1つの実施形態においては、レバウジオシドZ化合物は、構造:

を有するレバウジオシドZ1(Reb Z1)である。

1つの実施形態においては、レバウジオシドZ化合物は、構造:

を有するレバウジオシドZ2(Reb Z2)である。

本明細書に記載されているとおり、本技術の組換えポリペプチドは、天然源において典型的には少ない存在量のステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドDおよびレバウジオシドE)を製造するための生合成方法を開発するのに有用である。したがって、本技術はまた、本明細書に記載されている生合成方法により製造されるステビオール配糖体組成物を提供する。そのような組成物は、レバウジオシドD、レバウジオシドE、新規レバウジオシド(本明細書においては「レバウジオシドZ」および「Reb Z」と称される)およびそれらの組合せからなる群から選択されるステビオール配糖体化合物を含みうる。更に、本明細書に記載されているステビオール配糖体組成物を含む甘味料も提供する。

1つの実施形態においては、本開示は、化学構造:

を有する化合物を含む甘味料に関する。

もう1つの実施形態においては、該甘味料は、化学構造:

を有する化合物を含む。

本開示は更に、飲料、菓子類、ベーカリー製品、クッキーおよびチューインガムのような消耗品における甘味料の使用に関する。

本明細書の以下の詳細な説明を考慮すれば、本開示はより深く理解され、前記のもの以外の特徴、態様および利点が明らかとなるであろう。そのような詳細な説明は後記の図面に言及している。

図1A〜1Cは、ステビオシドからのステビオール配糖体の生合成の経路を示すスキームを図示する。本明細書に記載されているとおり、組換えHV1ポリペプチド(「HV1」)は1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を含有し、この活性は、第2の糖部分をステビオシドの19-O-グルコースのC-2'へ転移させてレバウジオシドE(「Reb E」)を産生し、または同様にレバウジオシド(「Reb A」)からレバウジオシドD(「Reb D」)を産生する。図1A〜1Cはまた、組換えUGT76G1酵素(「UGT76G1」; 組換えHV1ポリペプチドとは異なる)が、糖部分をステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3'へ転移させてレバウジオシドAを産生し、または同様にレバウジオシドEからレバウジオシドDを産生する反応を触媒することを示す。

図1Aの続きである。

図1Aの続きである。

図2はUDP-グリコシルトランスフェラーゼ(「UGT」)およびスクロースシンターゼ(「SUS」)のカップリング反応系の典型的なスキームを示す。反応1は、レバウジオシドA(「Reb A」)をレバウジオシドD(「Reb D」)に変換するUGT触媒反応を示し、これはUDP-グルコースをグルコース供与体として利用し、UDPの産生をもたらす。反応2は、UDPをUDP-グルコースに変換するSUS触媒反応反応を示し、これはスクロースをグルコース供与体として利用する。反応2はまた、SUS触媒反応がUGT触媒反応と共役されうることを示す。

図3は、本明細書に記載されているとおりHV1-AtSUS1カップリング反応系において組換えHV1ポリペプチド(配列番号6)および組換えAtSUS1(配列番号9)により触媒される、レバウジオシドA(「Reb A」)からのレバウジオシドD(「Reb D」)のインビトロ産生を示す。図3Aはステビオシド(「Ste」)、レバウジオシドA(「Reb A」)およびレバウジオシドD(「Reb D」)の標準物を示す。6、9、12および24時間における結果がそれぞれ図3B〜Eに示されている。12および24時間における組換えAtSUS1の非存在下の反応(すなわち、非カップリング反応)からの結果がそれぞれ図3Fおよび3Gに示されている。

図4は、本明細書に記載されているとおりHV1-AtSUS1カップリング反応系において組換えHV1ポリペプチド(配列番号6)および組換えAtSUS1(配列番号9)により触媒される、ステビオシドからのレバウジオシドE(「Reb E」)のインビトロ産生を示す。図4Aはステビオシド(「Ste」)、レバウジオシドA(「Reb A」)およびレバウジオシドD(「Reb D」)の標準物を示す。20時間における結果が図4Bに示されており、これはレバウジオシドZ化合物(「Reb Z」)を含む。

図5は、組換えHV1ポリペプチド(配列番号6)、組換えUGT76G1(配列番号11)および組換えAtSUS1(配列番号9)の組合せにより触媒される、ステビオシドからのレバウジオシドD(「Reb D」)のインビトロ産生を示す。図5Aはステビオシド(「Ste」)、レバウジオシドA(「Reb A」)およびレバウジオシドD(「Reb D」)の標準物を示す。6、9、12および24時間における結果がそれぞれ図5B〜Eに示されている。

図6は精製組換えHV1ポリペプチドのSDS-PAGE分析を示す。

図7は精製組換えAtSUS1ポリペプチドのSDS-PAGE分析を示す。

図8は、本明細書に記載されているとおりHV1-AtSUS1カップリング反応系において組換えHV1ポリペプチド(配列番号6)および組換えAtSUS1(配列番号9)により触媒される、レバウジオシドE(「Reb E」)からのレバウジオシドZ(「Reb Z」)のインビトロ産生を示す。図8AはレバウジオシドE(「Reb E」)の標準物を示す。24時間における結果が図8Bに示されており、これはレバウジオシドZ化合物(「Reb Z」)を含む。

図9は精製組換えUGT76G1ポリペプチドのSDS-PAGE分析を示す。

図10:レバウジオシドZ(Reb Z1およびReb Z2)およびレバウジオシドEの構造。

図11:Reb Z1およびReb Z2の重要なTOCSYおよびHMBC相関。

図12は、組換えUGT76G1(配列番号11)により触媒される、レバウジオシドE(「Reb E」)からのレバウジオシドD(「Reb D」)のインビトロ産生を示す。図12A〜12BはレバウジオシドE(「Reb E」)、レバウジオシドD(「Reb D」)の標準物を示す。6時間における組換えAtSUS1の非存在下(図12C)(すなわち、非カップリング反応)および組換えAtSUS1の存在下(図12D)(すなわち、UGT-SUSカップリング反応)からの結果がそれぞれ示されている。

本開示は種々の修飾および代替形態が許容されるが、その特定の実施形態が図面に例示として示されており、本明細書中の後記に詳細に記載されている。しかし、特定の実施形態の記載は該開示を限定すると意図されるものではなく、添付の特許請求の範囲により定められる開示の精神および範囲に含まれる全ての修飾、均等物および代替物を含むと理解されるべきである。

詳細な説明 本技術は、ステビオール配糖体を合成するためのUDP-グリコシルトランスフェラーゼ活性、例えば1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性および1,2-13-O-グルコースグリコシル化活性を有する組換えポリペプチドを提供する。本技術の組換えポリペプチド(以下、「組換えHV1ポリペプチド」とも称されうる)はステビオール配糖体化合物の生合成に有用である。本開示においては、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、活性化供与分子(典型的にはUDP-グルコース)から受容分子へと糖残基を転移させる酵素を意味する。1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性は、ステビオシド、レバウジオシドAまたはレバウジオシドEの19-O-グルコース部分のC-2'に糖部分を転移させる酵素活性を意味する(図1A〜1Cおよび図10)。1,2-13-O-グルコースグリコシル化活性は、レバウジオシドEの13-O-グルコース部分のC-2'に糖部分を転移させる酵素活性を意味する(図10)。

本開示において使用されるUGT酵素の名称は、UGT命名法委員会(UGT Nomenclature Committee)(Mackenzieら, “The UDP glycosyltransferase gene super family: recommended nomenclature updated based on evolutionary divergence,” Pharmacogenetics, 1997, vol. 7, pp. 255-269)により採用されている命名系に合致しており、これはファミリー番号、サブファミリーを示す文字および個々の遺伝子の番号の組合せによりUGT遺伝子を分類している。例えば、「UGT76G1」なる名称は、UGTファミリー番号76(これは植物由来である)、サブファミリーGおよび遺伝子番号1に属する遺伝子によりコードされるUGT酵素を意味する。

植物には大きなUGT遺伝子ファミリーが存在する。しかし、これらのUGTの大多数の生物学的機能は依然として不明である。

定義 本明細書中で用いる単数形表現は、内容に明らかに矛盾していない限り、複数形対象物を含む。

「包含する」、「有する」などの語が本明細書または特許請求の範囲において使用されている場合、そのような語は「含む」なる語と同様に包括的であると意図される。なぜなら、「含む」は、特許請求の範囲において転換語として用いられている場合に解釈されるからである。

「典型的」なる語は、本明細書においては、「一例として、1つの場合に、または1つの例示として用いられること」を意味する。本明細書に「典型的」と記載されているいずれの実施形態も、他の実施形態より好ましい又は有利であるとは必ずしも解釈されない。

「相補的」なる語は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、互いにハイブリダイズしうるヌクレオチド塩基間の関係を意味するものとして非限定的に用いられる。例えば、DNAに関しては、アデノシンはチミジンに対して相補的であり、シトシンはグアニンに対して相補的である。したがって、本技術はまた、添付の配列表に記載されている完全配列およびそれらの実質的に類似した核酸配列に対して相補的である単離された核酸断片を含む。

「核酸」および「ヌクレオチド」なる語は当業者にとってのそれらのそれぞれの通常の及び一般的な意味を有し、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたは一本鎖もしくは二本鎖形態のそれらの重合体を意味するものとして非限定的に用いられる。特に限定されていない限り、該用語は、基準核酸に類似した結合特性を有し、天然ヌクレオチドに類似した様態で代謝される天然ヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を含む。特に示されていない限り、個々の核酸配列はまた、その保存的に修飾された変異体または縮重変異体(例えば、縮重コドン置換体)および相補的配列ならびに明示的に示されている配列を暗示的に含む。

「単離(された)」なる語は当業者にとってのそれらのそれぞれの通常の及び一般的な意味を有し、単離された核酸または単離されたポリペプチドの文脈で用いられる場合、その天然環境から離れて人間の手によって存在し従って天然の産物ではない核酸またはポリペプチドを意味するものとして非限定的に用いられる。単離された核酸またはポリペプチドは、精製された形態で存在することが可能であり、あるいは非天然環境中に、例えばトランスジェニック宿主細胞内に存在することが可能である。

本明細書中で用いる「インキュベート(する)」および「インキュベーション」なる語は、2以上の化学的または生物学的実体(例えば、化合物および酵素)を混合し、ステビオール配糖体組成物の産生に好ましい条件下、それらを相互作用させるプロセスを意味する。

「縮重変異体」なる語は、1以上の縮重コドン置換の点で基準核酸配列とは異なる残基配列を有する核酸配列を意味する。縮重コドン置換は、1以上の選択された(または全ての)コドンの第3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することにより達成されうる。核酸配列およびその縮重変異体の全ては同じアミノ酸またはポリペプチドを発現することになる。

「ポリペプチド」、「タンパク質」および「ペプチド」なる語は当業者にとってのそれらのそれぞれの通常の及び一般的な意味を有する。これらの3つの用語は互換的に用いられることもあり、そのサイズまたは機能には無関係に、アミノ酸またはアミノ酸類似体の重合体を意味するものとして非限定的に用いられる。「タンパク質」は比較的大きなポリペプチドに関してしばしば用いられ、「ペプチド」は小さなポリペプチドに関してしばしば用いられるが、当技術分野におけるこれらの用語の用法は重複し、変動する。本明細書中で用いる「ポリペプチド」なる語は、特に示されていない限り、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を意味する。「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」なる語は、ポリヌクレオチド産物に言及される場合、本明細書において互換的に用いられる。したがって、典型的なポリヌクレオチドには、ポリヌクレオチド産物、天然に存在するタンパク質、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片ならびに前記のものの他の均等物、変異体および類似体が含まれる。

「ポリペプチド断片」および「断片」なる語は、基準ポリペプチドに関して用いられる場合、当業者にとってのそれらの通常の及び一般的な意味を有し、基準ポリペプチド自体と比較してアミノ酸残基が欠失しているが、残りのアミノ酸配列は基準ポリペプチドにおける対応位置と通常は同一であるポリペプチドを意味するものとして非限定的に用いられる。そのような欠失は基準ポリペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端において、または両方において生じうる。

ポリペプチドまたはタンパク質の「機能的断片」なる語は、完全長ポリペプチドまたはタンパク質の一部であり完全長ポリペプチドまたはタンパク質と実質的に同じ生物活性を有し或いは実質的に同じ機能を果たす(例えば、同じ酵素反応を行う)ペプチド断片を意味する。

「変異体ポリペプチド」、「修飾アミノ酸」または「修飾ポリペプチド」なる語は互換的に用いられ、1以上のアミノ酸、例えば1以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加の点で基準ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を意味する。1つの態様においては、変異体は、基準ポリペプチドの能の一部または全部を保有する「機能的変異体」である。

「機能的変異体」なる語は更に、保存的置換変異体を含む。「保存的置換変異体」なる語は、1以上の保存的アミノ酸置換の点で基準ペプチドとは異なり基準ペプチドの活性の一部または全部を維持しているアミノ酸配列を有するペプチドを意味する。「保存的アミノ酸置換」は機能的に類似した残基でのアミノ酸残基の置換である。保存的置換の例には、1つの非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンがそれらにおける別のものと置換されること;1つの荷電または極性(親水性)残基がそれらにおける別のものと置換されること、例えばアルギニンとリジンとの間の置換、グルタミンとアスパラギンとの間の置換、トレオニンとセリンとの間の置換;1つの塩基性残基、例えばリジンまたはアルギニンがそれらにおける別のものと置換されること;あるいは1つの酸性残基、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸がそれらにおける別のものと置換されること;あるいは1つの芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンがそれらにおける別のものと置換されることが含まれる。そのような置換はタンパク質またはポリペプチドの見掛け分子量または等電点にほどんと又は全く影響を及ぼさないと予想される。「保存的置換変異体」には、化学的に誘導体化された残基で或る残基が置換されたペプチドも含まれ、ただし、生じたペプチドは本明細書に記載の基準ペプチドの活性の一部または全部を維持している。

本技術のポリペプチドに関する「変異体」なる語には更に、基準ポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%および更には100%同一であるアミノ酸配列を有する機能的に活性なポリペプチドが含まれる。

全ての文法的形態および綴りの変形における「ホモログ」なる語は、スーパーファミリーからのポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよび異なる種からの相同ポリヌクレオチドまたはタンパク質を含む、「共通の進化的起源」を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の関係を意味する(Reeckら, Cell 50:667, 1987)。そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、保存位置における特定のアミノ酸もしくはモチーフの存在または同一性の割合(%)の観点には無関係に、それらの配列類似性により反映されるとおり、配列相同性を有する。例えば、2つの相同ポリペプチドは、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%および更には100%同一であるアミノ酸配列を有しうる。

本技術の変異体ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性の割合(%)」は、配列をアライメントさせ、最大の配列同一性の割合を得るために必要に応じてギャップを導入した後、配列同一性の一部としていずれの保存的置換をも考慮することなく、基準ポリペプチド(例えば、配列番号6)のアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基の百分率と定義される。

アミノ酸配列同一性の割合(%)を決定する目的のアライメントは、当技術分野の技量の範囲内である種々の方法で、例えば、公に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成されうる。当業者は、比較されている配列の完全長にわたる最大アライメントを達成するのに必要ないずれかのアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適当なパラメータを決定することが可能である。例えば、アミノ酸配列同一性(%)は、配列比較プログラムNCBI-BLAST2を使用して決定されうる。NCBI-BLAST2配列比較プログラムはncbi.nlm.nih.govからダウンロードされうる。NCBI BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、この場合、それらの検索パラメータの全ては、例えばアンマスク(unmask)はい(yes), 標準=全部, 予想出現数(expected occurrences)10, 最小低複雑度長(minimum low complexity length)=15/5, マルチパスe-値(multi-pass e-value)=0.01, マルチパス定数(constant for multi-pass)=25, 最終ギャップ化アライメントのドロップオフ(dropoff for final gapped alignment)=25およびスコアリングマトリックス(scoring matrix)=BLOSUM62を含むデフォルト値に設定される。アミノ酸配列比較のためにNCBI-BLAST2が使用される状況においては、与えられたアミノ酸配列Bに対する与えられたアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性(%)(あるいはこれは、与えられたアミノ酸配列Bに対して或るアミノ酸配列同一性(%)を有する又は含む与えられたアミノ酸配列Aと称されうる)は以下のとおりに計算される:100×比率X/Y(ここで、Xは、配列アライメントプログラムNCBI-BLAST2により、そのプログラムのAとBとのアライメントにおいて同一マッチとしてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、YはBにおけるアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合には、Bに対するAのアミノ酸配列同一性(%)はAに対するBのアミノ酸配列同一性(%)と等しくならないと理解されるであろう。

この意味において、アミノ酸配列「類似性」を決定するための技術は当技術分野においてよく知られている。一般に、「類似性」は適当な部位における2以上のポリペプチドのアミノ酸とアミノ酸との厳密な比較を意味し、ここで、アミノ酸は同一である、あるいは類似化学的および/または物理的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する。したがって、いわゆる「類似性(%)」は、比較されるポリペプチド配列の間で決定されうる。核酸およびアミノ酸配列の同一性を決定するための技術も当技術分野でよく知られており、その遺伝子のmRNA(通常はcDNA中間体を経由する)のヌクレオチド配列を決定し、それにおいてコードされるアミノ酸配列を決定し、これを第2のアミノ酸配列と比較することを含む。一般に、「同一性」は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の、それぞれ、ヌクレオチドとヌクレオチドとの又はアミノ酸とアミノ酸との厳密な対応を意味する。2以上のポリヌクレオチド配列は、それらの「同一性(%)」を決定することにより比較可能であり、2以上のアミノ酸配列の場合も同様である。Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 (Genetics Computer Group, Madison, Wis.から入手可能)において入手可能なプログラム、例えばGAPプログラムは、それぞれ、2つのポリヌクレオチドの間の同一性ならびに2つのポリペプチド配列の間の同一性および類似性の両方を計算しうる。配列間の同一性または類似性を計算するための他のプログラムは当業者に公知である。

基準位置に「対応」するアミノ酸位置は、アミノ酸配列をアライメント(整列)することにより特定された、基準配列とアライメントする位置である。そのようなアライメントは、手動により、またはよく知られた配列アライメントプログラム、例えばClustalW2、Blast 2などを使用することにより行われうる。

特に示されていない限り、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の同一性(%)は、それらの2つの配列のうちの短いほうの全長にわたる同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの百分率を意味する。

「コード配列」は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を意味するものとして非限定的に用いられる。

「適当な調節配列」は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、付随コード配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性または翻訳に影響を及ぼす、コード配列の上流(5'非コード配列)、内部または下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を意味するものとして非限定的に用いられる。調節配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロンおよびポリアデニル化認識配列が含まれうる。

「プロモーター」は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、コード配列または機能的RNAの発現を制御しうるDNA配列を意味するものとして非限定的に用いられる。一般に、コード配列はプロモーター配列の3'側に位置する。プロモーターは、その全体において、天然遺伝子に由来することが可能であり、あるいは、天然で見出される異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されることが可能であり、あるいは更には、合成DNAセグメントを含むことが可能である。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞型における、または異なる発生段階における、または異なる環境条件に対して応答した、遺伝子の発現を導きうる、と当業者に理解される。ほとんどの細胞型およびほとんどの時点において遺伝子の発現をもたらすプロモーターは一般に「構成プロモーター」と称される。更に、ほとんどの場合、調節配列の厳密な境界は完全には定められていないため、種々の長さのDNA断片が同一プロモーター活性を有しうると認識されている。

「機能的に連結(された)」なる語は、一方のものの機能が他方のものにより影響されるような単一の核酸断片上の核酸配列の結合を意味する。例えば、プロモーターがコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが、コード配列の発現に影響を及ぼしうる場合(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にあること)である。コード配列は調節配列にセンスまたはアンチセンス配向で機能的に連結されうる。

本明細書中で用いる「発現」なる語は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、本技術の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を意味するものとして非限定的に用いられる。「過剰発現」は、正常または非形質転換生物における産生のレベルを超えるトランスジェニックまたは組換え生物における遺伝子産物の産生を意味する。

「形質転換」は当業者にとってのその通常の及び一般的な意味を有し、標的細胞内へのポリヌクレオチドの導入を意味するものとして非限定的に用いられる。導入されたポリヌクレオチドは標的細胞のゲノムまたは染色体DNA内に組込まれて遺伝的に安定な遺伝をもたらし、あるいはそれは宿主染色体から独立して複製されうる。形質転換核酸断片を含有する宿主生物は「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。

宿主細胞に関して本明細書中で用いる場合の「形質転換」、「トランスジェニック」および「組換え」なる語は当業者にとってのそれらのそれぞれの通常の及び一般的な意味を有し、異種核酸分子が導入された植物または微生物細胞のような宿主生物の細胞を意味するものとして非限定的に用いられる。該核酸分子は宿主細胞のゲノム内に安定に組込まれることが可能であり、あるいは該核酸分子は染色体外分子として存在することが可能である。そのような染色体外分子は自律複製性でありうる。形質転換細胞、組織または対象は形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック後代をも含むと理解される。

ポリヌクレオチドに関して本明細書中で用いる「組換え」、「異種」および「外因性」なる語は当業者にとってのそれらの通常の及び一般的な意味を有し、特定の宿主細胞に対して外来性である起源に由来する、あるいは同一起源由来の場合にはその元の形態から修飾されたポリヌクレオチド(例えば、DNA配列または遺伝子)を意味するものとして非限定的に用いられる。したがって、宿主細胞における異種遺伝子には、特定の宿主細胞に対して内因性であるが例えば部位特異的突然変異誘発または他の組換え技術により修飾された遺伝子が含まれる。この用語は、天然に存在するDNA配列の、天然に存在しない複数コピーをも含む。したがって、この用語は、該細胞に対して外来性または異種であるDNAセグメントを意味する、あるいは該細胞に対して同種(相同)であるが、該要素が通常は見出されない該宿主細胞内の位置または形態におけるDNAセグメントを意味する。

同様に、ポリペプチドまたはアミノ酸配列に関して本明細書中で用いる「組換え」、「異種」および「外因性」なる語は、特定の宿主細胞に対して外来性である起源に由来する、あるいは同一起源由来の場合にはその元の形態から修飾されたポリペプチドまたはアミノ酸配列を意味する。したがって、組換えDNAセグメントは宿主細胞内で発現されて組換えポリペプチドを発現しうる。

「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」なる語は当業者にとってのそれらのそれぞれの通常の及び一般的な意味を有し、通常は環状二本鎖DNA分子の形態である、細胞の主要代謝の一部ではない遺伝子をしばしば含有する染色体外要素を意味するものとして非限定的に用いられる。そのような要素は、選択された遺伝子産物のためのDNA配列およびプロモーター断片を適当な3'非翻訳配列と共に細胞内に導入しうる特有の構築物内に幾つかのヌクレオチド配列が連結され又は組込まれている自律複製性配列、ゲノム組込み性配列、ファージまたはヌクレオチド配列、線状または環状の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNA(任意の起源に由来するもの)でありうる。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有する特異的ベクターであって、特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を該外来遺伝子のほかに有する特異的ベクターを意味する。「発現カセット」は、外来遺伝子を含有する特異的ベクターであって、外来宿主におけるその遺伝子の発現の増強を可能にする要素を該外来遺伝子のほかに有する特異的ベクターを意味する。

本発明において用いられる標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当技術分野でよく知られており、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E. F.およびManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.; Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, N.Y., 1989 (以下「Maniatis」と称される); ならびにSilhavy, T. J., Bennan, M. L.およびEnquist, L. W. Experiments with Gene Fusions; Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, N.Y., 1984; ならびにAusubel, F. M.ら, In Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience出版, 1987に記載されている。

特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似した又は均等な任意の方法および材料が本開示の実施または試験において使用されうるが、好ましい材料および方法は後記に記載されている。

本開示は以下の非限定的な実施例を考慮して更に詳細に理解されるであろう。これらの実施例は本技術の好ましい実施形態を示しており、単なる例示として記載されていると理解されるべきである。前記の考察およびこれらの実施例から、当業者は本技術の本質的特徴を確認することが可能であり、その精神および範囲から逸脱することなく、本技術の種々の変更および修飾を施して、それを種々の用途および条件に適合させることが可能である。

組換えポリペプチド 1つの態様においては、本開示は、配列番号6に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する組換えポリペプチドに関する。適切には、該組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有する。より適切には、該組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有する。典型的な実施形態においては、該組換えポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6からなる。したがって、本明細書に記載されている組換えポリペプチドは、配列番号6の機能的断片、配列番号6の機能的変異体、および例えば配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有する他の相同ポリペプチドを含む。

もう1つの態様においては、本開示は、本明細書に記載されている組換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸に関する。例えば、単離された核酸は、配列番号6に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含みうる。適切には、単離された核酸は、配列番号6に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。より適切には、単離された核酸は、配列番号6に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。したがって、単離された核酸は、配列番号6の機能的断片、配列番号6の機能的変異体、および例えば配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有する他の相同ポリペプチドをコードする核酸を含む。

1つの実施形態においては、本開示は、配列番号7に記載されているヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する単離された核酸に関する。適切には、単離された核酸は、配列番号7に記載されているヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。より適切には、単離された核酸は、配列番号7に記載されている核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、そして更には100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。

もう1つの態様においては、本技術は、本明細書に記載されている核酸を含有するベクター、および本明細書に記載されているベクターを含有する宿主細胞に関する。幾つかの実施形態においては、本開示は、本技術の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関するものであり、ここで、該発現ベクターは、宿主細胞内にトランスフェクトされると、本明細書に記載されている少なくとも1つの組換えHV1ポリペプチドを発現しうる。1つの実施形態においては、該発現ベクターは、配列番号7に記載されているヌクレオチド配列またはその変異体を含む。

発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、望まれるタンパク質の発現のレベルなどのような要因に左右される。発現ベクターは宿主細胞内に導入され、それにより本技術の組換えポリペプチド(例えば、配列番号6のアミノ酸配列またはその変異体を有する組換えHV1ポリペプチド)を産生しうる。

原核生物におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合または非融合タンパク質の発現を導く構成または誘導プロモーターを含有するベクターを使用して、細菌宿主細胞において行われる。融合ベクターには、それにおいてコードされるタンパク質に、通常は、組換えタンパク質のアミノ末端に、幾つかのアミノ酸が付加されている。そのような融合ベクターは典型的には以下の3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増強する;2)組換えタンパク質の溶解度を増加させる;および3)アフィニティ精製においてリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助する。しばしば、融合タンパク質の精製の後で融合部分から組換えタンパク質が分離されることが可能となるように、融合部分と組換えタンパク質との接合部にタンパク質分解切断部位が導入される。そのようなベクターは本開示の範囲内である。

1つの実施形態においては、該発現ベクターは細菌細胞における組換えポリペプチドの発現のための遺伝要素を含む。細菌細胞における転写および翻訳のための要素には、プロモーター、タンパク質複合体のコード領域および転写ターミネーターが含まれうる。

1つの実施形態においては、本技術の発現ベクターには、細菌発現ベクター、例えば組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA、酵母発現ベクター、例えば組換え酵母発現ベクター、昆虫細胞における発現のためのベクター、例えば組換えウイルス発現ベクター、例えばバキュロウイルス、または植物細胞における発現のためのベクター、例えば組換えウイルス発現ベクター、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)、または組換えプラスミド発現ベクター、例えばTiプラスミドが含まれる。

1つの実施形態においては、該ベクターには細菌発現ベクターが含まれる。もう1つの実施形態においては、該発現ベクターには高コピー数発現ベクターが含まれ、あるいは該発現ベクターには低コピー数発現ベクター、例えば小型-F(Mini-F)プラスミドが含まれる。

当業者は発現ベクターの製造に利用可能な分子生物学技術を認識するであろう。前記の本技術の発現ベクター内に取り込まれうるポリヌクレオチドは、通常の技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により製造されうる。

DNAを相補的粘着末端を介してベクターに機能的に連結するための幾つかの分子生物学技術が開発されている。1つの実施形態においては、ベクターDNA内に挿入される核酸分子に相補的ホモ重合体断片が付加されうる。ついで該ベクターおよび核酸分子は相補的ホモ重合体尾部の間で水素結合により結合して組換えDNA分子を形成する。

もう1つの実施形態においては、1以上の制限部位を含有する合成リンカーを使用して、本技術のポリヌクレオチドを発現ベクターに機能的に連結する。1つの実施形態においては、該ポリヌクレオチドは制限エンドヌクレアーゼ消化により作製される。1つの実施形態においては、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼまたは大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI(それらの3'-5'-エキソヌクレアーゼ活性で突出3'-一本鎖末端を除去し、凹んだ3'末端をそれらのポリメラーゼ活性で埋める酵素)で核酸分子を処理し、それにより平滑末端DNAセグメントを得る。ついで該平滑末端セグメントを、平滑末端DNA分子の連結を触媒しうる酵素、例えばバクテリオファージT4 DNAリガーゼの存在下、大モル過剰のリンカー分子と共にインキュベートする。したがって、該反応の産物は、その末端に重合性リンカー配列を含有するポリヌクレオチドである。ついでこれらのポリヌクレオチドを適当な制限酵素で切断し、該ポリヌクレオチドの末端に適合する末端を産生する酵素で切断された発現ベクターに連結する。

あるいは、連結非依存的クローニング(LIC)部位を有するベクターが使用されうる。ついで、必要なPCR増幅ポリヌクレオチドが、制限消化または連結を伴うことなく、LICベクター内にクローニングされうる(Aslanidisおよびde Jong, Nucl. Acid. Res. 18, 6069-6074, (1990), Haunら, Biotechniques 13, 515-518 (1992)(本明細書に合致する場合にこれを参照により本明細書に組み入れることとする))。

1つの実施形態においては、選択されたプラスミド内への挿入のために、関心のあるポリヌクレオチドを単離および/または修飾するためには、PCRを用いることが好適である。核酸分子の必要なコード領域を単離し、制限エンドヌクレアーゼまたはLIC部位を付加し、所望のリーディングフレーム内にコード領域を配置するために、配列のPCR調製における使用のための適当なプライマーが設計されうる。

1つの実施形態においては、本技術の発現ベクター内への取り込みのためのポリヌクレオチドは、適当なオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCRの使用により調製される。コード領域が増幅され、一方、プライマー自体は増幅配列産物内に取り込まれる。1つの実施形態においては、増幅プライマーは制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有し、これは、増幅配列産物が適当なベクター内にクローニングされることを可能にする。

1つの実施形態においては、配列番号7のポリヌクレオチドまたはその変異体をPCRにより得、当技術分野でよく知られた技術に従い制限エンドヌクレアーゼ消化および連結を用いて発現ベクター内に導入する。

本開示は更に、本明細書に記載されている発現ベクターを含む宿主細胞に関する。本技術の適当な宿主には、典型的には、微生物宿主または植物宿主が含まれる。例えば、本技術の宿主細胞は、細菌、真菌、糸状菌、ラン藻類および植物細胞からなる群から選択される。

該微生物宿主には、ポリヌクレオチド(例えば、配列番号7)を発現して、本明細書に記載されている組換えHV1ポリペプチドを産生しうる任意の生物が含まれうる。本技術において有用な微生物には、例えば、細菌、例えば腸内細菌(例えばエシェリキア(Escherichia)およびサルモネラ(Salmonella)、ならびにバシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、アクチノマイセテス(Actinomycetes)、例えばストレプトマイセス(Streptomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、メタノトロフ(Methanotroph)、例えばメチロシヌス(Methylosinus)、メチロモナス(Methylomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)およびシュードモナ(Pseudomona);シアノバクテリア(Cyanobacteria)、例えばロドバクテランド(Rhodobacterand)シネコシスチス(Synechocystis);酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、クライベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ムコール(Mucor)、ピチア(Pichia)およびトルロプシス(Torulopsis);ならびに糸状菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)およびアルトロボトリス(Arthrobotrys)、ならびに藻類、ならびにエシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella)、パンテア(Pantoea)、サルモネラ(Salmonella)コリネバクテリウム(Corynebacterium)クロストリジウム(Clostridium)およびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)が含まれる。好ましくは、該微生物宿主は、細菌(例えば、エシェリキア(Escherichia))または酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces))が含まれる。該発現ベクターはこれら及び他の微生物宿主内に取り込まれて、商業的に有用な大量のステビオール配糖体を産生しうる。

1つの実施形態においては、該組換えポリペプチドは、植物細胞である宿主細胞において発現されうる。本明細書中で用いる「植物細胞」なる語は、単子葉植物または双子葉植物に由来し、未分化組織、例えばカルス、分化組織、例えば胚、単子葉植物の一部、単子葉植物または種子を構成する任意の細胞を意味すると理解される。「植物」なる語は、単子葉植物および双子葉植物を含む、光合成が可能な任意の分化多細胞生物を意味すると理解される。幾つかの実施形態においては、植物細胞はアラビドプシス(Arabidopsis)植物細胞、タバコ植物細胞、ダイズ植物細胞、ペチュニア植物細胞、または他の油料種子作物からの細胞、例えば限定的なものではないがキャノーラ植物細胞、ナタネ植物細胞、ヤシ植物細胞、ヒマワリ植物細胞、ワタ細胞、トウモロコシ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、アマ植物細胞およびゴマ植物細胞でありうる。

有用な植物宿主には、本技術の組換えポリペプチドの産生を支持する任意の植物が含まれうる。宿主として使用される適当な緑色植物には、限定的なものではないが、ダイズ、ナタネ(セイヨウアブラナ(Brassica napus)、ハクサイ(B. campestris))、ヒマワリ(Helianthus annus)、ワタ(Gossypium hirsutum)、トウモロコシ、タバコ(Nicotiana tabacum)、アルファルファ(Medicago sativa)、コムギ(Triticum sp)、オオムギ(Hordeum vulgare)、エンバク(Avena sativa)、モロコシ(Sorghum bicolor)、イネ(Oryza sativa)、アラビドプシス(Arabidopsis)、アブラナ科植物(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、パースニップなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、草種(grass seed)作物、テンサイ、サトウキビ、豆、エンドウ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹および飼料草が含まれる。藻類種には、限定的なものではないが、商業的に重要な宿主、例えばスピルリナ(Spirulina)、ヘモタコックス(Haemotacoccus)およびデュナリエラ(Dunaliella)が含まれる。本技術の方法のための適当な植物には、バイオ燃料、バイオマスおよびバイオエネルギー作物も含まれる。典型的な植物には、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana;シロイヌナズナ)、オリザ・サチバ(Oryza sativa;イネ)、ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare;オオムギ)、スイッチグラス(Panicum vigratum)、ブラキポジウム属種(Brachypodium spp)、アブラナ属種(Brassica spp.)およびクランベ・アビッシニカ(Crambe abyssinica)が含まれる。

幾つかの実施形態においては、本開示は、本明細書に開示されているベクターの1以上で形質転換されたトランスジェニック宿主細胞または宿主を含む。

あるいは、該宿主細胞は、単細胞生物、微生物、多細胞生物、植物、真菌、細菌、藻類、栽培作物、非栽培作物などを含む、生合成製造に適したものでありうる。

該発現ベクターは通常の形質転換またはトランスフェクション技術により植物または微生物宿主細胞内に導入されうる。本技術の発現ベクターでの適当な細胞の形質転換は当技術分野で公知の方法により達成され、典型的には、ベクターおよび細胞のタイプの両方に左右される。適当な技術には、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、ケモポレーション(chemoporation)またはエレクトロポレーションが含まれる。

成功裏に形質転換された細胞、すなわち、該発現ベクターを含有する細胞は、当技術分野でよく知られた技術により特定されうる。例えば、本明細書に記載されているポリペプチドを製造するために、本技術の発現ベクターでトランスフェクトされた細胞を培養することが可能である。当技術分野でよく知られた技術により発現ベクターDNAの存在に関して細胞を検査することが可能である。

宿主細胞は、既に記載されている発現ベクターの単一コピー、または該発現ベクターの複数コピーを含有しうる。

幾つかの実施形態においては、形質転換細胞は動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、藻類細胞、真菌細胞または酵母細胞である。幾つかの実施形態においては、該細胞は、キャノーラ植物細胞、ナタネ植物細胞、ヤシ植物細胞、ヒマワリ植物細胞、ワタ細胞、トウモロコシ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、アマ植物細胞、ゴマ植物細胞、ダイズ植物細胞およびペチュニア植物細胞からなる群から選択される植物細胞である。

微生物宿主細胞発現系、および外来タンパク質の高レベルの発現を導く調節配列を含有する発現ベクターは、当業者によく知られている。これらはいずれも、微生物宿主細胞における本技術の組換えポリペプチドの発現のためのベクターを構築するために使用可能であろう。ついで、本技術の組換えポリペプチドの高レベルの発現を可能にするために、これらのベクターは形質転換により適当な微生物内に導入可能であろう。

適当な微生物宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは当技術分野でよく知られている。典型的には、該ベクターまたはカセットは、関連ポリヌクレオチドの転写および翻訳を導く配列、選択マーカーならびに自律複製または染色体組込みを可能にする配列を含有する。適当なベクターは、転写開始制御配列を含有するポリヌクレオチドの5'側の領域、および転写終結を制御するDNA断片の3'の領域を含む。両方の制御領域は形質転換宿主細胞に相同な遺伝子に由来することが好ましい。尤も、そのような制御領域は、宿主として選択された特定の種に固有の遺伝子に由来する必要はないと理解されるべきである。

所望の微生物宿主細胞における組換えポリペプチドの発現を導くのに有用である開始制御領域またはプロモーターは数多くあり、当業者によく知られている。これらの遺伝子を駆動しうる実質的に全てのプロモーターが本技術に適しており、それらには、限定的なものではないが、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用);AOX1(ピチア(Pichia)における発現に有用);ならびにlac、trp、IPL、IPR、T7、tacおよびtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用)が含まれる。

終結制御領域はまた、微生物宿主に固有の種々の遺伝子に由来するものでありうる。終結部位は、所望により、本明細書に記載されている微生物宿主に含まれうる。

植物細胞においては、本技術の発現ベクターは、所望の組織において所望の発生段階で本技術の組換えポリペプチドの発現を導きうるプロモーターに機能的に連結されたコード領域を含みうる。便宜上、発現されるポリヌクレオチドは、同じポリヌクレオチドに由来するプロモーター配列および翻訳リーダー配列を含みうる。転写終結シグナルをコードする3'非コード配列も存在すべきである。該発現ベクターは、ポリヌクレオチドの発現を促進するために、1以上のイントロンをも含みうる。

植物宿主細胞の場合、コード領域の発現を導きうる任意のプロモーターと任意のターミネーターとの任意の組合せが本技術のベクター配列において使用されうる。プロモーターおよびターミネーターの幾つかの適当な例には、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)およびカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)遺伝子からのものが含まれる。使用されうる効率的な植物プロモーターのタイプの1つは高レベル植物プロモーターである。本技術の発現ベクターに機能的に連結されたそのようなプロモーターは、該ベクターの発現を促進しうるはずである。本技術において使用されうる高レベル植物プロモーターには、例えばダイズ由来のリブロース-1,5-ビスホスファートカルボキシラーゼの小サブユニット(ss)のプロモーター(Berry-Loweら, J. Molecular and App. Gen., 1:483 498 (1982)(本発明と合致する場合には、その全体を参照により本明細書に組み入れることとする))、およびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターが含まれる。これらの2つのプロモーターは植物細胞において光誘導性であることが公知である(例えば、Genetic Engineering of Plants, an Agricultural Perspective, A. Cashmore, Plenum, N.Y. (1983), pp. 29 38; Coruzzi, G.ら, The Journal of Biological Chemistry, 258:1399 (1983)ならびにDunsmuir, P.ら, Journal of Molecular and Applied Genetics, 2:285 (1983)(本発明と合致する場合には、それらのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい)。

プラスミドベクターの選択は、宿主植物を形質転換するために使用される方法に左右される。当業者は、キメラポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を成功裏に形質転換し、選択し増殖させるためにプラスミドベクター上に存在しなければならない遺伝要素を熟知している。また、異なる独立した形質転換事象は、異なるレベルおよびパターンの発現をもたらし(Jonesら, EMBO J. 4:2411 2418 (1985); De Almeidaら, Mol. Gen. Genetics 218:78 86 (1989)(本発明と合致する場合には、それらのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする))、したがって、所望の発現レベルおよびパターンを示す系統を得るためには、複数の事象がスクリーニングされる必要がある、と当業者は認識するであろう。そのようなスクリーニングはDNAブロットのサザン分析、mRNA発現のノーザン分析、タンパク質発現のウエスタン分析または表現型分析により達成されうる。

植物細胞内への本技術の発現ベクターの導入は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)Riもしくはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)Tiプラスミド内への関心核酸配列の挿入、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションまたは直接沈殿を含む、当業者に公知の種々の方法により行われうる。一例として挙げると、幾つかの実施形態においては、関心のあるポリヌクレオチドの一過性発現がアグロ浸潤法により行われうる。この場合、関心のあるポリヌクレオチドを含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の懸濁液を培養内で培養し、ついで、葉の下面に対してシリンジの先端を配置し、一方、穏やかな逆圧を該葉の逆面に加えることにより、植物内に注入することが可能である。ついで該アグロバクテリウム溶液を気孔を経由して葉の内側の気腔内に注入する。アグロバクテリウムは、一旦葉の内部に入ると、関心のある遺伝子を、後に該遺伝子が一過性発現される植物細胞の部分へと形質転換する。

もう1つの例としては、関心のあるプラスミドの形質転換はパーティクルガン射撃技術(すなわち、微粒子銃)により行われうる。この場合、植物胚の懸濁液を液体培養内で培養し、ついで、それに、金粒子に結合したプラスミドまたはポリヌクレオチドを射撃することが可能であり、ここで、関心のあるプラスミドまたは核酸に結合した金粒子は、植物組織、例えば胚組織の膜を経由して推進されうる。ついで、射撃後、形質転換胚を、適当な抗生物質を使用して選択して、新たなクローン増殖形質転換胚形成懸濁培養を得ることが可能である。

宿主細胞は未修飾細胞もしくは細胞系または遺伝的に修飾された細胞系でありうる。幾つかの実施形態においては、宿主細胞は、所望の条件(例えば、より低い温度)下の成長を可能にするために修飾された細胞系である。

本明細書に記載されている組換えポリペプチドをコードする核酸を得、該核酸を発現ベクター内に組込み、該ベクターを宿主細胞内に導入するために、標準的な組換えDNA法、例えば、Sambrookら(編), Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor, (2001); およびAusubel, F. M.ら(編) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1995)に記載されているものが用いられうる。ポリペプチドをコードする核酸は、該核酸が転写および翻訳制御配列(例えば、プロモーター配列、転写終結配列など)に機能的に連結されるように、発現ベクター内に挿入されうる。該発現ベクターおよび発現制御配列は、一般に、使用される発現宿主細胞に対して和合性となるように選択される。

本明細書に記載されている宿主におけるポリペプチドの発現はコドン最適化により更に改善されうる。例えば、それほど一般的ではないコドンを、より一般的なコドンで修飾することは、mRNAの半減期に影響を及ぼし、あるいは、メッセージの翻訳を妨げる二次構造を導入することにより、その構造を改変しうる。コード領域の全部または一部が最適化されうる。幾つかの場合には、発現の所望のモジュレーションは、実質的に遺伝子全体を最適化することにより達成される。他の場合には、所望のモジュレーションは遺伝子の配列の(全部ではないが)一部を最適化することにより達成されるであろう。

いずれかのコード配列のコドン使用頻度は、所望の特性、例えば、特定の細胞型における高レベルの発現を達成するために調節されうる。そのような最適化のための出発点は、100%の一般的コドンを有するコード配列、または一般的コドンと非一般的コドンとの混合物を含有するコード配列でありうる。

コドン使用頻度において異なる2以上の候補配列を作製し、試験して、それらが所望の特性を有するかどうかを決定することが可能である。調節要素、例えばサイレンサーまたはエンハンサーの存在に関して検索するために、およびコドン使用頻度における改変によりそのような調節要素に変換されうるコード配列の領域の存在に関して検索するために、コンピュータを使用することにより、候補配列を評価することが可能である。追加的基準には、特定のヌクレオチド、例えばA、C、GまたはUの富化、特定のアミノ酸のコドンの偏り、あるいは特定のmRNAの二次または三次構造の存在または非存在が含まれうる。候補配列に対する調節は幾つかのそのような基準に基づいて行われうる。

ある実施形態においては、コドン最適化核酸配列は、コドンが最適化されていない核酸配列により発現されるレベルの約110%、約150%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、約450%または約500%であるレベルで、そのタンパク質を発現しうる。

本技術の組換えポリペプチドをコードする核酸に加えて、本技術の発現ベクターは更に、宿主細胞において該タンパク質の発現を制御する調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、または核酸の転写もしくは翻訳を制御する他の発現制御要素を含有しうる。そのような調節配列は当技術分野で公知である。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどのような要因に左右されうる、と当業者により理解されるであろう。また、本技術の組換え発現ベクターは追加的配列、例えば、宿主細胞における該ベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択マーカー遺伝子を含有しうる。

ステビオール配糖体の生合成 本明細書に記載されているとおり、本技術の組換えポリペプチドはUDP-グリコシルトランスフェラーゼ活性、例えば、より詳細には、1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を有し、天然源において典型的には低い存在量で存在するステビオール配糖体、例えばレバウジオシドDおよびレバウジオシドEを製造するための生合成方法の開発に有用である。本技術の組換えポリペプチドはUDP-グリコシルトランスフェラーゼ活性を有し、新規ステビオール配糖体、例えばレバウジオシドZ1およびレバウジオシドZ2を製造するための生合成方法の開発に有用である。

したがって、1つの態様においては、本技術はまた、配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質をインキュベートすることを含む、ステビオール配糖体組成物の製造方法に関する。

該基質は、1以上のUDP-グリコシルトランスフェラーゼにより触媒される反応においてステビオール化合物に変換されうる任意の天然または合成化合物でありうる。例えば、該基質は天然ステビア抽出物、ステビオール、ステビオール-13-O-グルコシド、ステビオール-19-O-グルコシド、ステビオール-1,2-ビオシド、ルブソシド、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドGまたはレバウジオシドEでありうる。該基質は純粋な化合物または種々の化合物の混合物でありうる。好ましくは、該基質には、ルブソシド、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドEおよびそれらの組合せからなる群から選択される化合物が含まれる。

本明細書に記載されている方法はまた、本明細書に記載されている組換えペプチドを、ステビオールグリコシド化合物の全生合成の効率を改善する又は結果を改変するために1以上の追加的酵素と共に機能させるカップリング反応系を提供する。例えば、該追加的酵素は、グリコシル化反応から産生されたUDPを(例えばスクロースをグルコース残基の供与体として使用して)UDP-グルコースに再び変換することにより、グリコシル化反応に必要なUDP-グルコースを再生することが可能であり、それにより該グリコシル化反応の効率を改善しうる。もう1つの例においては、本技術の組換えポリペプチドは中間体ステビオールグリコシド産物(例えば、レバウジオシドE)を産生可能であり、これは更に、もう1つのUDP-グリコシルトランスフェラーゼ、例えばUGT76G1により触媒される反応において、もう1つのステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドD)に変換される。もう1つの例においては、本技術の組換えポリペプチドは中間体ステビオールグリコシド産物(例えば、レバウジオシドE)を産生可能であり、これは更に、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ、例えばHV1により触媒される反応において、もう1つのステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドZ1およびレバウジオシドZ2)に変換される。

したがって、1つの実施形態においては、本技術の方法は更に、本明細書に記載されている組換えポリペプチドおよび基質と共に組換えスクロースシンターゼ(SUS)をインキュベートすることを含む。該組換えスクロースシンターゼは、スクロースをグルコース源として用いて、UDPをUDP-グルコースに変換する。適当なスクロースシンターゼには、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)およびビグナ・ラディアテ(Vigna radiate)SUS遺伝子に由来するもの、またはアラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)およびビグナ・ラディアテ(Vigna radiate)SUS1配列によりコードされるスクロースシンターゼの機能的ホモログをコードするいずれかの遺伝子に由来するもの、またはそれらの機能的ホモログが含まれる。適当なスクロースシンターゼは、例えば、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ1;アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ3;およびビグナ・ラディアテ(Vigna radiate)スクロースシンターゼでありうる。特に好適なスクロースシンターゼは、例えば、アラビドプシス(Arabidopsis)スクロースシンターゼ1でありうる。例えば、組換えSUSは、配列番号9に記載されているAtSUS1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または更には100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、本技術の組換えSUSは、配列番号9に記載されているAtSUS1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。

本技術の組換えスクロースシンターゼは、関心のあるアミノ酸配列(例えば、配列番号9に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するもの)をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を前記宿主細胞において発現させることにより得られうる。例えば、配列番号10に記載されているヌクレオチド配列を含むベクターを通常の形質転換技術により微生物宿主(例えば、大腸菌(E.coli))内に導入して、組換えスクロースシンターゼを産生させることが可能である。

もう1つの実施形態においては、本技術の方法は、組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼを組換えスクロースシンターゼ、基質および組換えポリペプチド(本明細書に記載されているもの)と共にインキュベートすることを更に含む。該組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼは、本技術の組換えポリペプチドにより触媒されるものとは異なるグリコシル化反応を触媒しうる。例えば、組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼは、ステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3'に糖部分を転移させてレバウジオシドAを産生する(または同様にレバウジオシドEからレバウジオシドDを産生する)反応を触媒することが可能であり、一方、本技術の組換えポリペプチドはステビオシドの19-O-グルコースのC-2'に第2の糖部分を転移させてレバウジオシドEを産生させる(または同様にレバウジオシドAからレバウジオシドDを産生させる)。

適当なUDP-グリコシルトランスフェラーゼには、ステビオール配糖体化合物の生合成において1以上の反応を触媒しうるものとして当技術分野で公知の任意のUGT、例えばUGT85C2、UGT74G1、UGT76G1またはその機能的ホモログが含まれる。例えば、本明細書に記載されているUDP-グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号11に記載されているUGT76G1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または更には100%の同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。好ましくは、UDP-グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号11に記載されているUGT76G1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。

該組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼは、関心のあるアミノ酸配列(例えば、配列番号11に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するもの)をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を前記宿主細胞において発現させることにより得られうる。例えば、配列番号12に記載されているヌクレオチド配列を含むベクターを通常の形質転換技術により微生物宿主(例えば、大腸菌(E.coli))内に導入して、本技術の組換えUDP-グリコシルトランスフェラーゼを産生させることが可能である。

ステビオール配糖体化合物のインビトロおよびインビボ製造の両方が本技術により包含される。

例えば、該インキュベーションは、基質を本技術の組換えポリペプチドと相互作用させるインビトロ法でありうる。好ましくは、インビトロ法においては、該組換えポリペプチドを、該基質と共にインキュベートする前に精製する。通常のポリペプチド精製技術、例えば遠心分離、細胞溶解およびクロマトグラフィーは本技術の方法に含まれる。例えば、本技術の組換えポリペプチドをコードする核酸は、発現された組換えポリペプチドがアフィニティカラムクロマトグラフィーにより精製されうるようにヒスチジンタグと共に発現ベクター内にクローニングされうる。

本技術のインビトロ法は、本技術の1以上の組換えポリペプチドを使用するステビオール配糖体産生に適した任意の緩衝系を含む。典型的には、該緩衝系は水溶液、例えば、約6.0〜約8.0のpHを有するTrisバッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、リン酸バッファーである。より適切には、該pHは約6.5〜約7.5である。より一層適切には、該pHは約7.0〜約7.5である。

典型的には、本技術のインビトロ法においては、該基質は約0.2mg/mL〜約5mg/mL、好ましくは約0.5mg/mL〜約2mg/mL、より好ましくは約0.7mg/mL〜約1.5mg/mLの濃度で該バッファー中に存在する。

典型的には、本技術のインビトロ法においては、該バッファー中に約0.2mM〜約5mM、好ましくは約0.5mM〜約2mM、より好ましくは約0.7mM〜約1.5mMの濃度のUDP-グルコースが含まれる。1つの実施形態においては、組換えスクロースシンターゼが該反応に含まれる場合、スクロースも約100mM〜約500mM、好ましくは約200mM〜約400mM、より好ましくは約250mM〜約350mMの濃度で該バッファー中に含まれる。

典型的には、本技術のインビトロ法においては、乾燥重量に基づく基質に対する組換えポリペプチドの重量比は約1:100〜約1:5、好ましくは約1:50〜約1:10、より好ましくは約1:25〜約1:15である。

典型的には、該インビトロ法の反応温度は約20℃〜約40℃、適切には25℃〜約37℃、より適切には28℃〜約32℃である。

本開示はまた、本明細書に記載されている生合成方法により製造されるステビオール配糖体組成物を提供する。本明細書に記載されている方法を用いて製造されたステビオール配糖体組成物の厳密な性質、例えば最終産物における分子種のタイプおよびそれらの百分率含量は、使用される基質、インキュベーション条件、および反応系に含まれる酵素活性に左右される。例えば、ステビオサイドを基質として使用する場合、製造されるステビオール配糖体組成物はレバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドZ1およびレバウジオシドZ2ならびにそれらの組合せを含みうる。

本技術は、天然ステビア抽出物中の主要ステビオール配糖体種(すなわち、ステビオシドおよびレバウジオシドA)を、天然抽出物中では低い存在量で存在するレバウジオシドDおよびレバウジオシドEに変換するための方法を提供する。したがって、本技術はまた、配列番号6に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えポリペプチドと共に基質(例えば、天然ステビア抽出物)をインキュベートすることを含む、1以上の特定のステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドDおよびレバウジオシドE)の含量を富化する方法を提供する。例えば、天然ステビア抽出物を基質として使用する場合、製造されるステビオール配糖体組成物は、天然ステビア抽出物中では低い存在量で存在するレバウジオシドDおよびレバウジオシドEが富化したものとなりうる。

本明細書に記載されている方法により製造されたステビオール配糖体組成物を更に精製し、所望の香料または甘味料組成物を得るために他のステビオール配糖体、香料または甘味料と混合することが可能である、と当業者は認識するであろう。例えば、本明細書に記載されているとおりに製造された、レバウジオシドDが富化された組成物を、レバウジオシドAを主要ステビオール配糖体として含有する天然ステビア抽出物と混合し、あるいは他の合成または天然ステビオール配糖体製品と混合して、所望の甘味料組成物を製造することが可能である。あるいは、本明細書に記載されているステビオール配糖体組成物から得られた実質的に精製されたステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドD)を他の甘味料、例えばスクロース、マルトデキストリン、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウムおよびサッカリンと組合せることが可能である。他の甘味料に対するステビオール配糖体の量は、当技術分野で公知のとおりに所望の風味が得られるように調節されうる。本明細書に記載されているステビオール配糖体組成物(レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドZ1、レバウジオシドZ2またはそれらの組合せ)は食品(飲料、ソフトドリンク、アイスクリーム、乳製品、菓子類、穀類、チューインガム、焼き菓子など)、栄養補助食品、医療栄養および医薬品中に加えられうる。 (実施例) 実施例1:候補UGT遺伝子の選択 系統発生的およびタンパク質BLAST分析を用いて、1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性のUGT91サブファミリーに属する7つの候補遺伝子を特定した。

実施例2:候補UGT遺伝子の酵素活性スクリーニング 全候補UGT遺伝子の完全長DNA断片を商業的に合成した。該cDNAのほとんど全てを大腸菌(E.coli)にとって好ましいものに変化させた(Genscript, NJ)。合成されたDNAを細菌発現ベクターpETite N-His SUMO Kanベクター(Lucigen)内にクローニングした。

各発現構築物を大腸菌(E.coli)BL21(DE3)内に形質転換し、ついでこれを、0.8〜1.0のOD600に達するまで、50μg/mL カナマイシンを含有するLB培地内で37℃で増殖させた。1mM イソプロピル β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によりタンパク質発現を誘導し、該培養を16℃で22時間にわたり更に成長させた。細胞を遠心分離(3,000×g; 10分間; 4℃)により回収した。細胞ペレットを集め、直ちに使用するか、または-80℃で貯蔵した。

該細胞ペレットを典型的には細胞溶解バッファー(50 mM リン酸カリウムバッファー, pH 7.2, 25ug/ml リゾチーム, 5ug/ml DNアーゼI, 20 mM イミダゾール, 500 mM NaCl, 10% グリセロールおよび0.4% Triton X-100)中に再懸濁させた。該細胞を4℃での超音波処理により破壊し、細胞残渣を遠心分離(18,000×g; 30分間)により清澄化した。上清を平衡化(平衡化バッファー: 50 mMリン酸カリウムバッファー, pH 7.2, 20 mMイミダゾール, 500 mM NaCl, 10% グリセロール)Ni-NTA(Qiagen)アフィニティカラムにローディングした。タンパク質サンプルのローディング後、該カラムを平衡化バッファーで洗浄して未結合混入タンパク質を除去した。Hisタグ付きUGT組換えポリペプチドを、250mM イミダゾールを含有する平衡化バッファーにより溶出した。

精製された候補UGT組換えポリペプチドを、ステビオシドまたはReb Aを基質として使用することにより、1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性に関してアッセイした(図1A〜1C)。典型的には、該組換えポリペプチド(10μg)を200μlのインビトロ反応系において試験した。該反応系は50mM リン酸カリウムバッファー, pH 7.2、3mM MgCl2、1mg/ml ステビオシドまたはレバウジオシドA、1mM UDP-グルコースを含有する。該反応は30℃で行い、200μLの1-ブタノールの添加により停止させた。該サンプルを200μLの1-ブタノールで3回抽出した。プール化画分を乾燥させ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のために70μLの80% メタノールに溶解した。95% ステビオシドを含有するステビア抽出物(Blue California, CA)をステビオシド基質として使用した。レバウジオシドA(純度99%)もBlue Californiaにより供給された。

該UGT触媒グリコシル化反応を、スクロースシンターゼ(例えば、配列番号9のAtSUS1)により触媒されるUDP-グルコース再生反応と共役させた。この方法においては、スクロースおよびUDPからUDP-グルコースが産生され(図2)、その結果、追加的なUDP-グルコースの添加が省略されうる。AtSUS1配列(Bieniawskaら, Plant J. 2007, 49: 810-828)を合成し、細菌発現ベクター内に挿入した。組換えAtSUS1タンパク質を発現させ、アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。精製した組換えAtSUS 1ポリペプチドをSDS-PAGE(分子量:106.3 kD、図7)で分析した。

したがって、組換えUGTポリペプチドの活性をAtSUS1共役の非存在下(50mMリン酸カリウムバッファー, pH7.2、3mM MgCl2、1mg/ml ステビオシドまたはレバウジオシドA、1mM UDP)またはAtSUS共役の存在下(50mMリン酸カリウムバッファー, pH7.2、3mM MgCl2、1mg/ml ステビオシドまたはレバウジオシドA、1mM UDPおよび285mM スクロース)で試験した。典型的には、10μgのAtSUS1を200μlのインビトロ反応に使用した。該インビトロ反応を30℃でインキュベートし、1-ブトナールを使用する抽出により停止させた。

ついで、四元(quaternary)ポンプ、温度制御カラムコンパートメント、オートサンプラーおよびUV吸収検出器を含むDionex UPLCアルティメット(ultimate)3000システム(Sunnyvale, CA)を使用して、HPLC分析を行った。ガードカラムを有するPhenomenex Luna NH2をステビオール配糖体の特徴づけのために使用した。水中のアセトニトリルをHPLC分析における定組成溶離のために使用した。レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドZ産物をNMR分析により同定した。

配列番号7によりコードされる組換えポリペプチド(配列番号6)は1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を示し、追加的な分析に付された。該遺伝子はハルデルム・ブルガレ亜種ブルガレ(Hordeum vulgare subsp. vulgare)(本明細書においては「HV1」と略称される)から誘導された。該精製組換えHV1ポリペプチドをSDS-PAGEにより分析した(図6)。図6に示されているとおり、該組換えHV1タンパク質(分子量:61.4kD)をアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。他の候補遺伝子(表1)によりコードされるポリペプチドは、それらが該組換えHV1ポリペプチドに対して約62〜74%の配列同一性を共有するにもかかわらず、本明細書に記載されているアッセイにおいて、検出可能な活性を何ら示さなかった。

本明細書に記載されているとおり、HV1の組換えポリペプチドは、AtSUS1の存在下または非存在下の全ての反応条件において、糖部分をレバウジオシドAに転移させて、レバウジオシドDを産生した。UGT-SUS共役反応系においては、組換えHV1ポリペプチドによりレバウジオシドAはレバウジオシドDに完全に変換された(図3B〜E)。しかし、AtSUS1との共役の非存在下では、組換えHV1ポリペプチドのみにより、24時間後、部分的なレバウジオシドAがレバウジオシドDに変換されたに過ぎなかった(図3F〜G)。したがって、該組換えHV1ポリペプチドは1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を示して、レバウジオシドAからレバウジオシドDを産生し、AtSUS1はUGT-SUS共役系における変換効率を増加させた。

また、AtSUS1(配列番号9)と共役した組換えHV1ポリペプチドはインビトロでステビオシドをレバウジオシドEに変換した(図4)。レバウジオシドDおよびEとは異なる、6.68分のHPLC保持時間を有する予想外の化合物(「Reb Z」)(図4を参照されたい)が産生された。この化合物は新規ステビオール配糖体に相当し、「レバウジオシドZ」(「Reb Z」)と称される。Reb EからReb Zへの変換を確認するために、前記実施例において用いたものに類似した条件下のUGT-SUS共役反応系(200μL)において、Reb E基質(0.5mg/ml)を組換えHV1ポリペプチド(20μg)およびAtSUS1(20μg)と共にインキュベートした。図8に示されているとおり、Reb Zは組換えHV1ポリペプチドとAtSUS1との組合せにより産生された。これらの結果は、HV1がグルコース部分をReb Eに転移させてReb Zを形成しうることを示した。

実施例3:組換えHV1ポリペプチドを使用するステビオール配糖体の生合成 図1A〜1Cに示されているとおり、レバウジオシドDはレバウジオシドEのC-13-O-グルコースのC-3'のグリコシル化によっても形成されうる。したがって、レバウジオシドDは、グリコシル化反応が生じる順序に応じて、異なる生合成経路(例えば、レバウジオシドA経由およびレバウジオシドE経由)により産生されうる。例えば、まず、ステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3'におけるグリコシル化が生じて中間体レバウジオシドAが産生され、ついでレバウジオシドAの19-O-グルコースのC-2'におけるグリコシル化が生じてレバウジオシドDが産生される。これまでに、糖残基をステビオシドのC-13-O-グルコースのC-3'に転移させてレバウジオシドAを形成する酵素として、ステビアからのUGT76G1(配列番号11)が特定されている。

コドン最適化UGT76G1 cDNAを細菌発現ベクター内に挿入し、組換えUGT76G1タンパク質を発現させ、アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。精製された組換えUGT76G1ポリペプチドをSDS-PAGEにより分析した(分子量:65.4kD、図9)。前記実施例において用いたものに類似した条件下、AtSUS1の存在下または非存在下、レバウジオシドE基質を組換えUGT76G1と共にインキュベートした。該産物をHPLCにより分析した。図12に示されているとおり、組換えUGT76G1によりレバウジオシドDが産生された。該反応における組換えAtSUSの添加はUGT-SUS共役系における変換効率を増加させた。したがって、組換えUGT76G1ポリペプチドは1,3-13-O-グルコースグリコシル化活性を示して、Reb EからReb Dを産生した。

したがって、UGT76G1と組合せて、ステビオール配糖体の生合成(例えば、レバウジオシドDの産生)のための組換えHV1ポリペプチドの触媒活性を更に確認した。前記実施例において用いたものに類似した条件下のUGT-SUS共役反応系(200μL)において、ステビオシド基質を組換えHV1ポリペプチド(10μg)、UGT76G1(10μg)およびAtSUS1(10μg)と共にインキュベートした。該産物をHPLCにより分析した。図5に示されているとおり、組換えHV1ポリペプチド、UGT76G1およびAtSUS1の組合せによりレバウジオシドDが産生された。したがって、少なくとも1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性を示した該組換えHV1ポリペプチドは、ステビオール配糖体の複雑な多工程生合成のために、他のUGT酵素(例えば、UGT76G1)と組合せて使用されうる。

実施例4:Reb Zの構造のNMR分析 レバウジオシドZ(Reb Z)の特徴づけに用いる物質を、レバウジオシドEの酵素変換を用いて産生させ、HPLCにより精製した。

LTQオービタル・ディスカバリー(Orbitrap Discovery)HRMS装置(その分解能は30kに設定した;正イオンエレクトロスプレーモードにおいてm/z 150から1500までデータをスキャンした)を使用して、HRMSデータを得た。ニードル(needle)電圧を4kVに設定し、その他のソース条件は以下のとおりであった:シースガス = 25、auxガス = 0、スイープガス = 5(全てのガス流は任意単位)、キャピラリー電圧 = 30V、キャピラリー温度 = 300℃、およびチューブレンズ電圧 = 75.該サンプルを2:2:1のアセトニトリル:メタノール:水(注入溶離液と同じ)で希釈し、50マイクロリットルを注入した。

標準的なパルスシーケンスを用いるBruker Avance DRX 500 MHzまたはVarian INOVA 600 MHz装置でNMRスペクトルを得た。1D(1Hおよび13C)および2D(COSY、TOCSY、HMQCおよびHMBC)NMRスペクトルをC5D5Nにおいて得た。

Reb Z1とReb Z2との混合物として示されている化合物Reb Zを図10に示す。化合物Reb Zの分子式は、m/z 1151.4713の[M+ Na]+に対応する付加イオンを示すその正の高分解能(HR)質量スペクトルに基づいて、C50H80O28と推定されている。この組成は13C NMRスペクトルデータにより裏付けられた。Reb Zの1H NMRスペクトルデータは60:40〜70:30の比の2つの化合物(Reb Z1およびReb Z2)の混合物の存在を示した。したがって、Reb Zの1Hおよび13C NMRスペクトルデータは、その構造において存在する各プロトンおよび炭素に関するピークのセットを示した。5% H2SO4でのReb Zの酸加水分解はD-グルコースを与え、これはTLCによる真正サンプルとの直接比較により同定された。Reb Zの酵素加水分解はアグリコンを与え、これは標準化合物との1H NMRおよび同時TLCの比較によりステビオールと同定された。化合物Reb Zの1Hおよび13C NMR値はTOCSY、HMQCおよびHMBCデータに基づいて帰属された。グルコース部分の、5つのアノマープロトンに関して観察された大きな結合定数は、ステビオール配糖体に関して報告されているとおり、それらのβ-配向を示唆した。

表2. レバウジオシドZ(「Reb Z」)およびレバウジオシドEa〜cに関する1Hおよび13C NMRスペクトルデータ (化学シフトおよび結合定数)

a 帰属は、TOCSY, HMQCおよびHMBCの相関に基づいてなされた。b 化学シフト値はδ (ppm)単位で示されている; c 結合定数はHz単位で示されている。

Reb ZのNMRスペクトルデータおよび加水分解実験ならびにレバウジオシドEとのReb Zの1Hおよび13C NMR値の厳密な比較からの結果に基づいて、該酵素変化により産生された2つの化合物の混合物は13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ] ent-カウラ-16-エン-19-酸-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル エステル(Reb Z1)または13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ] ent-カウラ-16-エン-19-酸-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル) エステル(Reb Z2)と示唆された。

化合物Reb Zの酸加水分解。MeOH(10ml)中の化合物Reb Z(5mg)の溶液に3mlの5% H2SO4を加え、該混合物を24時間還流した。ついで該反応混合物を飽和炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチル(EtOAc)(2×25ml)で中和して、糖を含有する水性画分およびアグリコン部分を含有するEtOAc画分を得た。水相を濃縮し、TLC系EtOAc/n-ブタノール/水(2:7:1)およびCH2Cl2/MeOH/水(10:6:1)を用いて標準糖と比較した。該糖はD-グルコースと同定された。

化合物Reb Zの酵素加水分解。化合物Reb Z(1mg)を10mlの0.1M 酢酸ナトリウムバッファー(pH 4.5)に溶解し、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からの粗ペクチナーゼ(50μL, Sigma-Aldrich, P2736)を加えた。該混合物を50℃で96時間撹拌した。該反応中に生成物が沈殿し、これを濾過し、ついで結晶化した。1の加水分解から得られた生じた生成物は標準化合物とのその同時TLCの比較および1H NMRスペクトルデータによりステビオールと同定された(図11)。

酵素法を用いるレバウジオシドEの生物変換により、Reb Zと称される2つの化合物の混合物が産生され、詳細な1Dおよび2D NMRならびに高分解能質量スペクトルデータおよび加水分解研究に基づいて、それらの構造は13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ] ent-カウラ-16-エン-19-酸-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル エステル(Reb Z1)または13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ] ent-カウラ-16-エン-19-酸-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル) エステル(Reb Z2)として特徴づけられた。

したがって、該組換えHV1ポリペプチドの1,2-19-O-グルコースグリコシル化活性が、それが第2の糖部分をステビオシドの19-O-グルコースのC-2'に転移させてレバウジオシドEを産生しうることにより確認された。該HV1組換えポリペプチドは、第3のグルコースをレバウジオシドEの13-O-グルコースのC-2'または19-O-グルコースのC-2'に転移させてReb Z1またはReb Z2を産生させる活性をも有する。

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