ピリピロペンの製造法

申请号 JP2011551815 申请日 2011-01-19 公开(公告)号 JPWO2011093185A1 公开(公告)日 2013-06-06
申请人 Meiji Seikaファルマ株式会社; Meiji Seikaファルマ株式会社; 发明人 安西 弘行; 弘行 安西; 憲太朗 山本; 憲太朗 山本; 和彦 尾山; 和彦 尾山; 麻里子 土田; 麻里子 土田; 公彦 後藤; 公彦 後藤; 正明 三冨; 正明 三冨;
摘要 特定のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる 微 生物 を、ピリピロペンAの生合成に必要な中間化合物とともに培養する方法が提供される。本発明の方法により、ピリピロペンが製造できる。
权利要求
  • 下記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、ピリピロペンAの製造法:
    (I)下記の(a)〜(d)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (a)配列番号266のヌクレオチド配列、
    (b)配列番号266のヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (II)配列番号267〜275から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (III)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(i)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の3342番から5158番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の5382番から12777番までのヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (e) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の18506番から19296番までのヌクレオチド配列、
    (f) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の19779番から21389番までのヌクレオチド配列、
    (g) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (h) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (i) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  • プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項1に記載のピリピロペンAの製造法。
  • 下記(IV)〜(V)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項1に記載のピリピロペンAの製造法:
    (IV)配列番号269、270、および275からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (V)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(c)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、および
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  • プラスミドpPP2、pPP3、およびpPP9を含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項2に記載のピリピロペンAの製造法。
  • 請求項1の(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、ピリピロペンAの製造法。
  • プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項5に記載のピリピロペンAの製造法。
  • 下記(VI)および(VII)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項5に記載のピリピロペンAの製造法:
    (VI)配列番号269、270、274、および275からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (VII)下記の(1) 〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(d)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (d) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  • プラスミドpPP2、pPP3、pPP7、およびpPP9を含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、請求項6に記載のピリピロペンAの製造法。
  • 請求項1の(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法。
  • プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする、請求項9に記載の4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法。
  • 下記(VIII)および(IX)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする、請求項9に記載の4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法:
    (VIII)配列番号273のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (IX)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  • プラスミドpPP6を含む微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする、請求項11に記載の4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法。
  • 請求項1の(I)〜(III)に記載の少なくとも一種の単離されたポリヌクレオチド。
  • 下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)から選択される単離された、請求項13に記載のポリヌクレオチド:
    (a) 配列番号266のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
    (b) 配列番号269、270、273、274、および275から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (c) 配列番号269に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、水酸化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (d) 配列番号270に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、水酸化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (e) 配列番号273に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (f) 配列番号274に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および
    (g) 配列番号275に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (h) 下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)から選択されるヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド:
    (i) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (ii) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (iii) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (iv) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (v) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列。
  • 下記 (A)、(B)、および(C)から選択される単離された、請求項13または14に記載のポリヌクレオチド:
    (A) 配列番号275から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (B) 配列番号275に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (C) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。
  • 請求項14の(c)、(d)、(e)、(f)、および(g)に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が、それぞれ、配列番号269、270、273、274、および275に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同等性を有する、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
  • 請求項15の(B)に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号275に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同等性を有する、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
  • プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択される、組換えベクター。
  • プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる、形質転換体。
  • ピリピロペンAおよび/またはその製造中間体の製造のための、請求項18に記載の組換えベクターの使用。
  • ピリピロペンAおよび/またはその製造中間体の製造のための、請求項19に記載の形質転換体の使用。
  • 说明书全文

    関連出願の参照

    本特許出願は、2010年1月26日に出願された日本出願特願2010−14727号に基づく優先権の主張を伴うものであり、この日本出願の全開示内容は、引用することにより本願の開示の一部とされる。

    発明の背景

    技術分野
    本発明は、ピリピロペンの製造法に関し、さらに詳細にはピリピロペンA、E、O等の製造法に関する。

    背景技術
    ピリピロペンAは、特開平4−360895号公報(特許文献1)およびJournal of Antibiotics(1993),46(7),1168−9(非特許文献1)に開示されるように、ACAT(アシルCoA・コレステロールアシルトランスフェラーゼ)阻害活性を有し、コレステロール蓄積に起因する疾患の治療等への応用が期待されている。

    一方、ピリピロペンAの生産菌として、特開平4−360895号公報(特許文献1)には、アスペルギルス フミガタスFO-1289株、Applied and Environmental Microbiology(1995),61(12),4429−35. (非特許文献2)には、ユーペニシリウム レティキュロスポラムNRRL-3446株、WO2004/060065号公報(特許文献2)には、ペニシリウム グリセオフルバムF1959株、および公開技報2008-500997号(特許文献3)には、ペニシリウム コピロビウムPF1169株が開示されている。

    また、ピリピロペンAの生合成ルートとして、Journal of Organic Chemistry(1996), 61,882-886. (非特許文献3)およびChemical Review(2005), 105, 4559-4580. (非特許文献4)には、アスペルギルス フミガタスFO-1289株での推定生合成ルートが開示されており、アスペルギルス フミガタスFO-1289株においてポリケチド合成酵素およびプレニルトランスフェラーゼのそれぞれによって合成された部分構造が結合され、環化酵素によりピリピロペンAが合成されることが開示されている。

    特開平4−360895号公報

    WO2004/060065号公報

    公開技報2008-500997号

    Journal of Antibiotics(1993),46(7),1168−9 Applied and Environmental Microbiology(1995),61(12),4429−35. Journal of Organic Chemistry(1996), 61,882-886. Chemical Review(2005), 105, 4559-4580.

    本発明者らは、今般、特定のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる生物を、ピリピロペンAの生合成に必要な中間化合物とともに培養して、ピリピロペンA等を製造できることを見出した。 本発明は、かかる知見に基づくものである。

    従って、本発明の目的は、ピリピロペンAの製造法を提供することにある。

    そして、本発明の一つの態様によれば、下記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とする、ピリピロペンAの製造法が提供される:
    (I)下記の(a)〜(d)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (a)配列番号266のヌクレオチド配列、
    (b)配列番号266のヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (II)配列番号267〜275から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (III)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(i)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の3342番から5158番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の5382番から12777番までのヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (e) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の18506番から19296番までのヌクレオチド配列、
    (f) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の19779番から21389番までのヌクレオチド配列、
    (g) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (h) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (i) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    また、本発明の別の態様によれば、前記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    さらに、本発明の別の態様によれば、前記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オン(4-hydroxy-6-(pyridin-3-yl)-3-((2E,6E)-3,7,11-trimethyldodeca-2,6,10-trienyl)-2H-pyran-2-one)を単離することを特徴とする4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法が提供される。

    本発明の別の態様によれば、前記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種の単離されたポリヌクレオチドが提供される。

    また、本発明の別の態様によれば、pPP6(プラスミドpPP6で形質転換されたAspergillus oryzae (アスペルギルス・オリザエ)の受託番号:FERM BP−11218)、pPP7(プラスミドpPP7で形質転換されたAspergillus oryzaeの受託番号:FERM BP−11219)、およびpPP9(プラスミドpPP9で形質転換されたAspergillus oryzaeの受託番号:FERM BP−11220)からなる群より選択される組換えベクターが提供される。

    さらに、本発明の別の態様によれば、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる形質転換体が提供される。

    本発明の別の態様によれば、ピリピロペンAの製造のための前記組換えベクターの使用が提供される。

    本発明の別の態様によれば、ピリピロペンAの製造のための前記形質転換体の使用が提供される。

    本発明の製造方法によれば、ピリピロペンA、E、Oなどを遺伝子組換え技術により製造することができる。 従って、本発明の製造方法は、ピリピロペンA、E、Oなどの大量生産技術に多大な貢献をなすものである。

    は、PCR産物のアガロースゲルによる電気泳動パターンを示す。 電気泳動は、以下のプライマーを用いて増幅させたPCR産物を用いた。 M:分子量マーカー(100bp ラダー)、レーン1:配列番号1および2のプライマー、レーン2:配列番号239および240のプライマー、レーン3:配列番号237および238のプライマー、レーン4:配列番号241および242のプライマー、レーン5:配列番号247および248のプライマー、レーン6:配列番号251および252のプライマー、レーン7:配列番号245および246のプライマー、レーン8:配列番号243および244のプライマー、レーン9:配列番号249および250のプライマー、レーン10:配列番号235および236のプライマー、レーン11:配列番号233および234のプライマー、レーン12:配列番号227および228のプライマー、レーン13:配列番号229および23� �のプライマー、レーン14:配列番号231および232のプライマー。

    は、図1と同様、PCR産物のアガロースゲルによる電気泳動パターンを示す。 電気泳動は、以下のプライマーを用いて増幅させたPCR産物を用いた。 M:分子量マーカー(100bp ラダー)、レーン1:配列番号253および254のプライマー、レーン2:配列番号257および258のプライマー、レーン3:配列番号259および260のプライマー、レーン4:配列番号255および256のプライマー、レーン5:配列番号261および262のプライマー。

    は、図1と同様、PCR産物のアガロースゲルによる電気泳動パターンを示す。 電気泳動は、以下のプライマーを用いて増幅させたPCR産物を用いた。 レーン1:分子量マーカー(100bp ラダー)、レーン2:配列番号264および265のプライマー(400bp増幅断片)。

    は、pUSAのプラスミドマップを表す。

    は、pPP2のプラスミドマップを表す。

    は、P450-2 cDNA増幅のスキームを表す。

    は、pPP3のプラスミドマップを表す。

    は、ピリピロペンEの重アセトニトリル中での

    H−NMRスペクトルを表す。

    は、プラスミドpPP2で形質転換された

    Aspergillus

    oryzaeの培養生成物の重アセトニトリル中での

    H−NMRスペクトルを表す。

    は、ピリピロペンOの重アセトニトリル中での

    H−NMRスペクトルを表す。

    は、プラスミドpPP3で形質転換された

    Aspergillus

    oryzaeの培養生成物の重アセトニトリル中での

    H−NMRスペクトルを表す。

    は、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9のプラスミドマップを表す。

    発明の具体的説明

    微生物の寄託
    プラスミドpCC1−PP1で形質転換された大腸菌(Escherichia coli EPI300 TM −T1 )は、2008年10月9日(原寄託日)付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11133(国内寄託FERM P−21704より移管)(寄託者が付した識別のための表示:Escherichia coli EPI300 TM −T1 /pCC1−PP1)として寄託されている。

    プラスミドpPP2で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年6月23日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11137(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP2-1)として寄託されている。

    プラスミドpPP3で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年7月3日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11141(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP3-2)として寄託されている。

    プラスミドpPP6で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年12月21日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11218(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP6)として寄託されている。

    プラスミドpPP7で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年12月21日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11219(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP7)として寄託されている。

    プラスミドpPP9で形質転換されたAspergillus oryzaeは、2009年12月21日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託 センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号がFERM BP−11220(寄託者が付した識別のための表示:Aspergillus oryzae PP9)として寄託されている。

    ピリピロペンの製造法
    本発明は、ピリピロペンAの生合成に関与する遺伝子を導入した微生物をピリピロペンAの生合成に必要な中間化合物とともに培養して二次代謝産物を得る、ピリピロペンの製造方法に関する。

    ピリピロペンAの生合成経路を示せば、例えば以下のスキーム1が挙げられる。

    スキーム1

    上記スキーム1の各生合成経路を以下に詳細に記載する。
    1. ニコチン酸をCoA ligase(CoAリガーゼ)と反応させ、さらにその生成物をLovB-like polyketide synthase(LovB様ポリケチド合成酵素)(PKS)と反応させることにより5−(3−ピリジル)−3,5−ジオキソペンタン酸が生成される。
    2.5−(3−ピリジル)−3,5−ジオキソペンタン酸をLovB-like polyketide synthase(PKS)と反応させることにより、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンが生成される。
    3.4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンと、farnesylpyrophosphate(ファルネシルピロリン酸)(FPP)とを、UbiA-like prenyltransferase (UbiA様プレニルトランスフェラーゼ)(UbiAPT)と反応させることにより、4-hydroxy-6-(pyridin-3-yl)-3-((2E,6E)-3,7,11-trimethyldodeca-2,6,10-trienyl)-2H-pyran-2-one(4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オン)が生成される。
    4.4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンをFAD-dependent monooxygenase(FAD依存性モノオキシゲナーゼ)(FMO)と反応させ、さらにその生成物をCyclase(シクラーゼ)(IMP: Integral membrane protein)と反応させることにより、デアセチルピリピロペンEが生成される。
    5. デアセチルピリピロペンEをAcetyltransferase(アセチルトランスフェラーゼ)(AT)と反応させることにより、ピリピロペンEが生成される。
    6. ピリピロペンEをCytochrome P450 monooxygenase(シトクロームP450モノオキシゲナーゼ)(1)(P450-1)と反応させることにより11位デアセチルピリピロペンOが生成される。
    7.11位デアセチルピリピロペンOをAcetyltransferase-2(AT-2)と反応させることにより、ピリピロペンOが生成される。
    8. ピリピロペンOをCytochrome P450 monooxygenase(2)(P450-2)と反応させることにより、7位デアセチルピリピロペンAが生成される。
    9.7位デアセチルピリピロペンAをAcetyltransferase-2(AT-2)と反応させることにより、ピリピロペンAが生成される。

    デアセチルピリピロペンEは、例えば下記参考例3に記載の方法により合成することができる。

    ピリピロペンEは、例えば特開平8-239385号公報に記載の方法により取得することができる。

    11位デアセチルピリピロペンOは、例えば下記参考例4に記載の方法により合成することができる。

    ピリピロペンOは、例えばJ. Antibiot. 1996, 49, 292. に記載の方法で取得することができる。

    7位デアセチルピリピロペンAは、例えば特開平8-259569号公報に記載の方法で合成することができる。

    4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンは、例えば、J. Org. Chem. 1983. 48. 3945. に記載の方法により合成することができる。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(IV)〜(V)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される:
    (IV)配列番号269、270、および275からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (V)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(c)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、および
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpPP2、pPP3、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP2、pPP3、およびpPP9を含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(VI)および(VII)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される:
    (VI)配列番号269、270、274、および275からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (VII)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(d)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (d) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpPP2、pPP3、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP2、pPP3、pPP7、およびpPP9を含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEおよびピリピロペンOを経由してピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法が提供される。 この場合、前記微生物は、farnesylpyrophosphate(FPP)をその体内で生合成できるものを用いることが好ましく、そのような微生物としてはアスペルギルス属に属する微生物が挙げられる。

    4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法が提供される。

    4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(VIII)および(IX)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法が提供される:
    (VIII)配列番号273のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (IX)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP6を含む微生物を、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロンとともに培養して、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンを単離することを特徴とする、4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オンの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEを単離することを特徴とするピリピロペンEの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEを単離することを特徴とするピリピロペンEの製造法が提供される。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(X)および(XI)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEを単離することを特徴とするピリピロペンEの製造法が提供される:
    (X)配列番号274のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XI)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    デアセチルピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP7を含む微生物を、デアセチルピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンEを単離することを特徴とするピリピロペンEの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、下記(XII)および(XIII)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法:
    (XII)配列番号269および275からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XIII)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(b)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列、
    (2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP2およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP2およびpPP9を含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、11位デアセチルピリピロペンOを単離することを特徴とする11位デアセチルピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、11位デアセチルピリピロペンOを単離することを特徴とする11位デアセチルピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、下記(XIV)および(XV)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、11位デアセチルピリピロペンOを単離することを特徴とする11位デアセチルピリピロペンOの製造法が提供される:
    (XIV)配列番号269のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XV)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    ピリピロペンEとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP2を含む微生物を、ピリピロペンEとともに培養して、11位デアセチルピリピロペンOを単離することを特徴とする11位デアセチルピリピロペンOの製造法が提供される。

    11位デアセチルピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、11位デアセチルピリピロペンOとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    11位デアセチルピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、11位デアセチルピリピロペンOとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    11位デアセチルピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(XIV)および(XV)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、11位デアセチルピリピロペンOとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される:
    (XIV)配列番号275のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XV)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    11位デアセチルピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法のより好ましい態様によれば、プラスミドpPP9を含む微生物を、11位デアセチルピリピロペンOとともに培養して、ピリピロペンOを単離することを特徴とするピリピロペンOの製造法が提供される。

    ピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンOとともに培養して、7位デアセチルピリピロペンAを単離することを特徴とする7位デアセチルピリピロペンAの製造法が提供される。

    ピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、ピリピロペンOとともに培養して、7位デアセチルピリピロペンAを単離することを特徴とする7位デアセチルピリピロペンAの製造法が提供される。

    ピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(XIV)および(XV)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、ピリピロペンOとともに培養して、7位デアセチルピリピロペンAを単離することを特徴とする7位デアセチルピリピロペンAの製造法が提供される:
    (XIV)配列番号270のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XV)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    ピリピロペンOとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpPP3を含む微生物を、ピリピロペンOとともに培養して、7位デアセチルピリピロペンAを単離することを特徴とする7位デアセチルピリピロペンAの製造法が提供される。

    7位デアセチルピリピロペンAとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、7位デアセチルピリピロペンAとともに培養して、ピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    7位デアセチルピリピロペンAとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpCC1−PP1、pPP2、pPP3、pPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上含む微生物を、7位デアセチルピリピロペンAとともに培養して、ピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    7位デアセチルピリピロペンAとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、下記(XVI)および(XVII)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入してなる微生物を、7位デアセチルピリピロペンAとともに培養して、ピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される:
    (XVI)配列番号275のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から選択される少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (XVII)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド:
    (1)配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    7位デアセチルピリピロペンAとともに培養する本発明の製造方法の好ましい態様によれば、プラスミドpPP9を含む微生物を、7位デアセチルピリピロペンAとともに培養して、ピリピロペンAを単離することを特徴とするピリピロペンAの製造法が提供される。

    ここで、本発明で用いられる微生物は、下記組換えベクターを用いてポリヌクレオチドを導入してもよいが、例えば、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、アグロバクテリウム法、リチウム法、または塩化カルシウム法等によってポリヌクレオチドを微生物に導入してもよい。

    本発明で用いられる微生物は、ポリヌクレオチドまたはそれを含んでなる組換えベクターを導入できる微生物であれば特に限定されないが、アスペルギルス属に属する微生物が好ましく、 Aspergillus oryzaeが特に好ましい。

    本発明において、微生物の培養は、例えば、好気的条件での固体培養法、振とう培養法、通気撹拌培養法、または深部好気培養法により行うことができるが、特に振とう培養法が好ましい。 微生物の培養に用いられる培地としては、慣用の成分、例えば炭素源としてはグルコース、シュクロース、飴、デキストリン、澱粉、グリセロール、糖蜜、動・植物油等が使用できる。 また、窒素源としては大豆粉、小麦胚芽、コーン・スティープ・リカー、綿実粕、肉エキス、ポリペプトン、マルトエキス、イーストエキス、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等が使用できる。 その他必要に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、リン酸(リン酸水素2カリウム等)、硫酸(硫酸マグネシウム等)、およびその他のイオンを生成することのできる無機塩類を添加することも有効である。 また、必要に応じてチアミン(チアミン塩酸塩等)等の各種ビタミン、グルタミン酸(グルタミン酸ナトリウム等)、アスパラギン(DL-アスパラギン等)等のアミノ酸、ヌクレオチド等の微量栄養素、抗生物質等の選抜薬剤を添加することもできる。
    さらに、菌の発育を助け、ピリピロペンAの生産を促進するような有機物および無機物を適当に添加することができる。

    培地のpHは、例えばpH 5.5〜pH 8程度である。 培養に適当な温度は、15℃〜40℃であるが、多くの場合22℃〜30℃付近で生育する。 4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オン、デアセチルピリピロペンE、ピリピロペンE、ピリピロペンO、およびピリピロペンAの生産は、培地および培養条件、または使用した宿主により異なるが、何れの培養法においても通常2日〜10日間でその蓄積が最高に達する。 培養中のピリピロペンAの量が最高になった時に培養を停止し、培養物から目的物質を単離、精製する。

    培養物から5−(3−ピリジル)−3,5−ジオキソペンタン酸、4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロン、デアセチルピリピロペンE、ピリピロペンE、ピリピロペンO、7位デアセチルピリピロペンA、およびピリピロペンA等を単離するためには、その性状を利用した通常の分離手段、例えば溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着または分配カラムクロマトグラフィー法、ゲル濾過法、透析法、沈殿法、結晶化法等を単独で、または適宜組み合わせて抽出精製することができるが、溶媒抽出法が特に好ましい。

    本発明において「実質的に同等なアミノ酸配列」とは、一つ若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入による改変を有するが、ポリペプチドの活性に影響を与えないアミノ酸配列を意味する。 アミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入によって改変されたアミノ酸配列は、改変等される前のアミノ酸配列に対して、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに一層好ましくは98%以上の配列同一性を有することが好ましい。 また、改変されるアミノ酸残基の数は、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに一層好ましくは1〜8個、最も好ましくは1〜4個である。

    そして、活性に影響を与えない改変の例としては、保存的置換が挙げられる。 「保存的置換」とは、ポリペプチドの活性を実質的に変化しないように、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに一層好ましくは1〜8個、最も好ましくは1〜4個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基によって置き換えることを意味する。 例えば、ある疎水性アミノ酸残基を別の疎水性アミノ酸残基によって置換する場合、ある極性アミノ酸残基を同じ電荷を有する別の極性アミノ酸残基によって置換する場合などが挙げられる。 このような置換を行うことができる機能的に類似したアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。 具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等が挙げられる。 極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等が挙げられる。 陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジン等が挙げられる。 また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。

    本発明において「厳密な条件」とは、ハイブリダイゼーション後のメンブレンの洗浄操作を、高温度低塩濃度溶液中で行うことを意味し、当業者であればその条件は適宜決定できるものであるが、例えば、2×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、0.5%SDS溶液中で、60℃、20分間の洗浄条件、または0.2×SSC濃度(1×SSC:15mMクエン酸3ナトリウム、150mM塩化ナトリウム)、0.1%SDS溶液中で60℃、15分間の洗浄条件を意味する。

    ハイブリダイゼーションは、公知の方法に従って行うことができる。 また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。

    本願明細書において、ヌクレオチド配列についての「同一性」(相同性という場合もある)とは、比較される配列間において、各々の配列を構成する塩基の一致の程度の意味で用いられる。 このとき、ギャップの存在およびアミノ酸の性質が考慮される。 本明細書において示した「同一性」の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。

    本願明細書において、ヌクレオチド配列についての「同一性」は90%以上であり、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

    本願明細書において、「ポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により、または天然に生じ得る程度の複数個のヌクレオチドの置換等により改変がなされたことを意味する。 ヌクレオチドの改変の個数は、1個または複数個(例えば、1個ないし数個あるいは1、2、3、または4個)である。

    「そ(れぞれ)のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列」とは、「そ(れぞれ)のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質」と同等な活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を意味する。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の3342番から5158番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、CoA ligase活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の5382番から12777番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、LovB-like polyketide synthase(PKS)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、Cytochrome P450 monooxygenase(1)(P450-1)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、Cytochrome P450 monooxygenase(2)(P450-2)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の18506番から19296番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、Cyclase(IMP: Integral membrane protein)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の19779番から21389番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、FAD-dependent monooxygenase(FMO)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、UbiA-like prenyltransferase(UbiAPT)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、Acetyltransferase(AT)活性を有することが好ましい。

    配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質は、Acetyltransferase-2(AT-2)活性を有することが好ましい。

    単離ポリヌクレオチドの取得
    本発明による単離ポリヌクレオチドの取得方法は、特に限定されないが、以下の方法によりペニシリウム コピロビウムPF1169株または糸状菌から単離することができる。 本発明による単離ポリヌクレオチドの取得方法は、具体的に、例えば下記の実施例9の方法等で得られる相同配列を元に、ピリピロペンAの生合成に関与する、ポリケチド合成酵素遺伝子、プレニルトランスフェラーゼ遺伝子、水酸化酵素遺伝子、アセチル化酵素遺伝子、またはアデニル酸合成酵素遺伝子等のいずれか一つまたはそれ以上の遺伝子を特異的に増幅することのできるプライマーを合成し、別途作成したペニシリウム コピロビウムPF1169株のフォスミドゲノムライブラリーに対してPCRを行い、さらにコロニーハイブリダイゼーションを行って、本発明において用いられる単離ポリヌクレオチドを取得する。

    本発明の好ましい態様によれば、単離されたポリヌクレオチドは、上記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種の単離されたポリヌクレオチドが提供される。 具体的には、下記(I)〜(III)に記載の少なくとも一種のポリヌクレオチドが提供される:
    (I)下記の(a)〜(d)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (a)配列番号266のヌクレオチド配列、
    (b)配列番号266のヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつ配列番号266のヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (II)配列番号267〜275から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド、
    (III)下記の(1)〜(4)に記載されたヌクレオチド配列から選択された少なくとも1個のヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド:
    (1)下記(a)−(i)に記載されたヌクレオチド配列:
    (a) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の3342番から5158番までのヌクレオチド配列、
    (b) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の5382番から12777番までのヌクレオチド配列、
    (c) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (d) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (e) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の18506番から19296番までのヌクレオチド配列、
    (f) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の19779番から21389番までのヌクレオチド配列、
    (g) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (h) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (i) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列(2)(1)において記載されたヌクレオチド配列の相補配列と厳密な条件下でハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (3)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1もしくは複数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入もしくは付加されたヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列、
    (4)(1)において記載されたヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと少なくとも90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であり、かつそれぞれのヌクレオチド配列がコードするタンパク質と実質的に同等なタンパク質をコードするヌクレオチド配列。

    本発明のより好ましい態様によれば、単離されたポリヌクレオチドは、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)から選択される単離されたポリヌクレオチドが提供される:
    (a) 配列番号266のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
    (b) 配列番号269、270、273、274、および275から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (c) 配列番号269に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、水酸化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (d) 配列番号270に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、水酸化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (e) 配列番号273に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、プレニルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (f) 配列番号274に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および
    (g) 配列番号275に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (h) 下記(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)から選択されるヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド:
    (i) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の13266番から15144番までのヌクレオチド配列、
    (ii) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の16220番から18018番までのヌクレオチド配列、
    (iii) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の21793番から22877番までのヌクレオチド配列、
    (iv) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の23205番から24773番までのヌクレオチド配列、および
    (v) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列。

    本発明のより好ましい態様によれば、ポリヌクレオチドは、下記 (A)、(B)、および(C)から選択される単離されたポリヌクレオチドが提供される:
    (A) 配列番号275から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (B) 配列番号275に記載のアミノ酸配列と実質的に同等なアミノ酸配列を有し、アセチル化酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (C) 配列番号266で示されるヌクレオチド配列の25824番から27178番までのヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド。

    本発明のさらに好ましい態様によれば、前記(c)、(d)、(e)、(f)、および(g)のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が、それぞれ、配列番号269、270、273、274、および275に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同等性を有するポリヌクレオチドが提供される。

    本発明のさらに好ましい態様によれば、前記(B)に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号275に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同等性を有するポリヌクレオチドが提供される。

    組換えベクター
    本発明による組換えベクターは、上記(I)〜(III)に記載のポリヌクレオチドのいずれか一種またはそれ以上を、例えば、[サンブルーク(Sambrook, J.)ら著,「モレキュラー・クローニング(Molecular cloning):ア・ラボラトリー・マニュアル(a laboratory manual)」,(米国),第2版,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),1989年]に記載の遺伝子組換え技術の常法に従って目的に応じて適当な形態に修飾し、ベクターに連結することによって作製することができる。

    本発明において使用される組換えベクターは、ウイルス、プラスミド、フォスミド、またはコスミドベクター等から適宜選択することができる。 例えば、宿主細胞が大腸菌の場合はλファージ系のバクテリオファージ、pBR、pUC系のプラスミド、枯草菌の場合はpUB系のプラスミド、酵母の場合はYEp、YRp、YCp、YIp系のプラスミドベクターが挙げられる。

    使用されるプラスミドの内の少なくとも一つは、形質転換体を選抜するための選択マーカーを含むのが好ましく、選択マーカーとしては薬剤耐性遺伝子、栄養要求性を相補する遺伝子を使用することができる。 その好ましい具体例としては、使用する宿主が細菌の場合は、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子などであり、酵母の場合はトリプトファン生合成遺伝子(TRP1)、ウラシル生合成遺伝子(URA3)、ロイシン生合成遺伝子(LEU2)などであり、カビの場合はハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、オーレオバシジン耐性遺伝子などであり、植物の場合にはカナマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子などが挙げられる。

    また、本発明において利用される発現ベクターとしてのDNA分子は、各遺伝子の発現に必要なDNA配列、例えばプロモーター、転写開始信号、リボソーム結合部位、翻訳停止シグナル、転写終結信号などの転写調節信号、翻訳調節信号を有しているのが好ましい。 プロモーターとしては、大腸菌においてはラクトースオペロン、トリプトファンオペロンなどのプロモーター、酵母ではアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子、酸性フォスファターゼ遺伝子、ガラクトース資化性遺伝子、グリセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子などのプロモーター、カビではα−アミラーゼ遺伝子、グルコアミラーゼ遺伝子、セロビオハイドロラーゼ遺伝子、グリセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、abp1遺伝子などのプロモーター、植物ではCaMV 35S RNAプロモーター、 CaMV 19S RNAプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子プロモーターが好ましく用いることができるものとして挙げられる。

    本発明による組換えベクターは、好ましくは、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択される組換えベクターである。

    また、本発明の好ましい態様によれば、ピリピロペンAの製造のための、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択される組換えベクターの使用が挙げられる。

    形質転換体
    本発明による単離されたポリヌクレオチドを導入する宿主は、用いるベクターの種類に応じて、放線菌、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植物細胞等の中から適宜選択されて良い。

    組換えベクターの宿主への導入方法としては、接合伝達、ファージによる形質導入、さらにカルシウムイオン法、リチウムイオン法、エレクトロポレーション法、PEG法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法といった形質転換の方法の中から、供試する宿主細胞に応じて用いれば良い。

    本発明において複数の遺伝子を宿主細胞に導入する場合には、各遺伝子は同一または別々のDNA分子に含まれていても良い。 さらに、宿主細胞が細菌である場合には、各遺伝子をポリシストロン性mRNAとして発現させるように設計し、一つのDNA分子とすることも可能である。

    本発明による形質転換体は、好ましくは、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる形質転換体である。

    本発明の好ましい態様によれば、ピリピロペンAの製造のための、プラスミドpPP6、pPP7、およびpPP9からなる群より選択されるベクターを一種またはそれ以上を含んでなる形質転換体の使用が挙げられる。

    以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    実施例1:ペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノムDNAの調製
    フラスコ(1L)に滅菌したNB培地 500mlを入れ、1/2CMMY寒天培地において、28℃で、4日間前培養していたペニシリウム コピロビウムPF1169株(公開技報2008-500997号(特許文献3))を上記の培地に加え、28℃で、4日間液体培養した。 ミラクロスで濾過により、菌体5gを得た。 この菌体よりゲノムDNA精製キット Genomic-tip 100/G(キアゲン株式会社製)を、添付のマニュアルに従い、30μgのゲノムDNAを取得した。

    実施例2:ポリケチド合成酵素(PKS)増幅用縮重プライマーとその増幅断片
    種々の糸状菌ポリケチド合成酵素に保存されているアミノ酸配列より増幅用縮重プライマーとして 下記プライマーをデザインし、合成した:
    LC1 : GAYCCIMGITTYTTYAAYATG(配列番号1)
    LC2c: GTICCIGTICCRTGCATYTC(配列番号2)
    (ただし、R=A/G、Y=C/T、M=A/C、I=イノシン)。
    この縮重プライマーを使用して、実施例1において調製したゲノムDNAと、ExTaqポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製)とを、添付のマニュアルに従い反応させ、約700bpの増幅断片を検出した(図1参照)。 そして、前記増幅断片を解析し、その内部500bpの配列を特定した(配列番号3)。

    実施例3:ゲノムDNAの大量シークエンスとアミノ酸配列相同性検索
    実施例1において得られたペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノムDNAを大量シークエンスと、アミノ酸配列の相同性検索とに供した。 具体的にはゲノムDNA 50μgの一部を前処理の後、Roche社454FLX DNAシークエンサーに供し、約250bp、10.3万本のフラグメント配列(総計49Mbの配列)を取得した。

    この配列に対し、ポリケチド合成酵素およびプレニルトランスフェラーゼで既知である配列として、下記の五種の配列(ポリケチド合成酵素: Aspergillus(A.) fumigatus PKS 2146a.a.およびPenicillium(P.) griseofluvum 6-methylsalycilic acid synthase 1744a.a.、プレニルトランスフェラーゼ: Aspergillus (A.) fumigatus Prenyltransferase、 Aspergillus(A.) fumigatus Prenyltransferase(4-hydroxybezoate octaprenyltransferase)、およびPenicillium(P.) marneffei Prenyltransferase由来の配列)を選定し、相同配列検索ソフトblastxによる検索を実施した。 それぞれ89本、86本、2本、1本、および3本の相同配列を取得した(表1参照)。 さらに、 A. fumigatus PKS 2146a.a.およびP. griseofluvum 6-methylsalycilic acid synthase 1744a.a.の相同配列から、それぞれ19本、23本のコンティグ配列を取得した( A. fumigatus PKS 2146a.a.のコンティグ配列:配列番号179〜197、 P. griseofluvum 6-methylsalycilic acid synthase 1744a.a.のコンティグ配列:配列番号198〜220)(表2参照)。

    実施例4:ゲノムDNAからのPCR増幅
    実施例3において取得したblastxの検索結果より、ポリケチド合成酵素に対して、配列番号227〜252に示す13種のプライマー対を合成した。 同様に、プレニルトランスフェラーゼに対して、配列番号253〜262に示す5種のプライマー対を合成した。 これらのプライマーを用いて、ゲノムDNAに対するPCRを行ったところ、全プライマー対について期待される大きさの増幅断片を認めた(図1および図2参照)。

    実施例5:ファージゲノムライブラリーの作製
    ペニシリウム コピロビウムPF1169株のλファージゲノムライブラリーを、λBlueSTAR Xho I Half-site Arms Kit ( タカラバイオ株式会社製 Cat. No. 69242-3)を用いて、添付のマニュアルに従い、構築した。 すなわち、ゲノムDNAを、制限酵素Sau3A1を用いて部分分解し、約20kbのDNA断片0.5μgをキットに添付されたλBlueSTAR DNA0.5μgに連結した。 このライゲーション溶液をLambda INN Packaging kit(株式会社ニッポンジーン製)を用い、キットに添付のマニュアルに基づいてin vitroパッケージングを行い、1mlの溶液を取得した。 このパッケージングされたファージ溶液10μlを大腸菌ER1647株100μlに感染させ、プラーク形成培地において、37℃で、一晩培養後、約500クローンのプラークを得た。 このように感染により10〜20kbのペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノム DNA が導入されたファージ約50000クローンからなるゲノムライブラリーを作製した。

    実施例6:ファージライブラリーからのスクリーニング
    実施例5において調製したファージライブラリー10000クローンに対して、上記で調製したLC1−LC2cプライマー対により増幅させたPCR産物をプローブとして、プラークハイブリダイゼーションによる1次スクリーニングを行った。 プローブの標識と検出にはAlkPhos Direct Labelling and Detection System with CDP-Star(GEヘルスケア株式会社製 Cat. No. RPN3690)を用いた。 前記ハイブリダイゼーションは、添付のマニュアルに従い、実施した。

    1次スクリーニングにより、6クローンが候補として残った。 さらに、プラークハイブリダイゼーションによる2次スクリーニングの結果、4クローンを取得した。 これらの陽性クローンは大腸菌BM25.8株に感染させ、添付のマニュアルに従いファージをプラスミドに変換させ、目的領域を含む4種のプラスミドを取得した。

    実施例7:フォスミドゲノムライブラリーの作製
    ペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノムライブラリーは、CopyControl Fosmid Library Production Kit(EPICENTRE社製、Cat. No.CCFOS110)を、添付のマニュアルに従い、構築した。 すなわち、約40 kbのゲノムDNA0.25μgのDNA断片を末端の平滑化を行った後、フォスミドベクターpCCFOS(Epicentre社製)に組み込んだ。 このライゲーション溶液を同キット添付のMaxPlaxLambda Packaging Extractを用い、キットに添付のマニュアルに基づいて、in vitroパッケージングを行った。 このパッケージングされたウィルス溶液10μlを大腸菌EPI300 TM -T1 R株100μlに感染させ、クロラムフェニコール含有培地において、37℃で、一晩培養し選抜したところ、300クローンのコロニーを得た。 このように感染により40kbのペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノムDNA が導入されたフォスミド約30000クローンを取得した。 1wellあたり約50クローンとなるように96wellプレートに分注し、つまり、96のプール、約4800クローンからなるゲノムライブラリーを作製した。

    実施例8:フォスミドライブラリースクリーニング
    フォスミド添付のマニュアルに従い、実施例7において作成したライブラリーの96プールより各プラスミドDNAを調製した。 実施例2で合成したポリケチド合成酵素増幅用縮重プライマーを用いて、この96プールのプラスミドDNAサンプルに対して、PCRを行った。 その結果、約700bpのDNA断片が、9プールより増幅した。 さらにこのポジティブプールから、約300クローン以上のコロニーを含むシャーレを作製し、コロニーハイブリダイゼーションにより再スクリーニングした。 その結果、LC1-LC2cプライマー対を用いて、約4800クローンより9種のフォスミドを取得した。

    実施例9:ゲノムDNAの大量シークエンスとアミノ酸配列相同性検索
    実施例1において得られたペニシリウム コピロビウムPF1169株のゲノムDNAを大量シークエンスと、アミノ酸配列の相同性検索とに供した。 具体的にはゲノムDNA 50μgの一部を前処理の後、Roche社454FLX DNAシークエンサーに供し、平均コンティグ長19.621kb、1405本のフラグメント配列(総塩基長27.568160Mbの配列)を取得した。
    この配列に対し、ポリケチド合成酵素およびプレニルトランスフェラーゼで既知である配列として、下記の五種の配列(ポリケチド合成酵素: Penicillium(P.) griseofluvum 6-methylsalycilic acid synthase 1744a.a.(P22367) およびAspergillus(A.) fumigatus PKS 2146a.a.(Q4WZA8)、プレニルトランスフェラーゼ: Penicillium(P.) marneffei Prenyltransferase(Q0MRO8)、 Aspergillus (A.) fumigatus Prenyltransferase(Q4WBI5)、およびAspergillus(A.) fumigatus Prenyltransferase(4-hydroxybezoate octaprenyltransferase)(Q4WLD0)由来の配列)を選定し、相同配列検索ソフトblastxによる検索を実施した。 それぞれ22本(P22367)、21本(Q4WZA8)、2本(Q0MRO8)、3本(Q4WBI5)、および3本(Q4WLD0)の相同配列を取得した。

    実施例10:フォスミドライブラリースクリーニング及びクラスター遺伝子の配列解析
    フォスミドキット(EPICENTRE社製 CopyControl Fosmid Library Production Kit)に添付されているマニュアルに従い、実施例7において作成したライブラリーの96プールより各プラスミドDNAを調製した。 Roche社454FLX DNAシークエンサーにより決定された塩基配列に基づいてアミノ酸配列の相同性検索を行い、ポリケチド合成酵素とプレニルトランスフェラーゼが近接する領域を検索した。 得られた領域のプレニルトランスフェラーゼの塩基配列より400bpのDNA断片を増幅しうるプライマー対(No.27)を合成した。
    このプライマーを用いて、この48プールのプラスミドDNAサンプルに対して、PCRを行った。 その結果期待される約400bpのDNA断片(配列番号263)が、11プールより増幅した(図3参照)。 さらに、このポジティブプールのうち6プールから、約300クローン以上のコロニーを含むシャーレを作製し、コロニーハイブリダイゼーションにより再スクリーニングした。 その結果、27F + 27Rのプライマー対(27Fプライマー:配列番号264、27Rプライマー:配列番号265)を用いて、約4800クローンより4種のフォスミドを取得した。 この内の一つをpCC1-PP1と命名し、挿入断片の全配列を決定した(配列番号266)。
    得られたpCC1-PP1により大腸菌Escherichia coli EPI300 TM -T1 R株(フォスミドキットに付属)を形質転換することにより大腸菌Escherichia coli EPI300 TM -T1 R株/pCC1-PP1を得た。
    なお、前記配列番266の配列とCoA ligase、LovB-like polyketide synthase(PKS)、水酸化酵素であるCytochrome P450 monooxygenase、Cyclase(IMP: Integral membrane protein)、FAD-dependent monooxygenase(FMO)、UbiA-like prenyltransferase(UbiAPT)、アセチル化酵素であるAcetyltransferase(AT)、Acetyltransferase-2(AT-2)、およびCation transporting ATPase(上記酵素は、いずれもAspergillus fumigatus Af293株由来)との、相同性検索をそれぞれ行ったところ、いずれも70%以上の高い相同性を示した。
    配列番号266のヌクレオチド3342−5158は、CoA ligaseをコードし、その対応するポリペプチドは、配列番号267に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド5382−12777は、LovB-like polyketide synthase(PKS)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号268に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド13266−15144(以下、このポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質をCytochrome P450 monooxygenase(1)(P450-1)とする)および16220−18018(以下、このポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質をCytochrome P450 monooxygenase(2)(P450-2)とする)は、Cytochrome P450 monooxygenaseをコードし、対応するポリペプチドは、それぞれ、配列番号26� �、270に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド18506−19296は、Cyclaseをコードし、対応するポリペプチドは、配列番号271に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド19779−21389は、FAD-dependent monooxygenase(FMO)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号272に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド21793−22877は、UbiA-like prenyltransferase(UbiAPT)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号273に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド23205-24773は、Acetyltransferase(AT)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号274に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌク レオチド25824−27178は、Acetyltransferase-2(AT-2)をコードし、対応するポリペプチドは、配列番号275に記載したアミノ酸配列で示され、配列番号266のヌクレオチド27798−31855は、Cation transporting ATPaseをコードし、対応するポリペプチドは、配列番号276に記載したアミノ酸配列で示された。

    実施例11:Aspergillus Oryzaeの形質転換による遺伝子の機能解析
    以下で用いるピリピロペンEは、特開平8−239385号公報、WO94/09147号公報、または米国特許5597835号公報に記載される方法に準じた微生物培養法によるか、Tetrahedron Letters, vol. 37, No.36, 6461-6464, 1996に記載される全合成の方法によって製造することができた。 また、以下で用いるピリピロペンOは、J. Antibiotics 49, 292-298, 1996またはWO94/09147号公報に記載される方法に準じた微生物培養法によって製造することができた。

    (1)糸状菌導入用発現ベクターの作製
    pUSA(図4)とpHSG399(タカラバイオ社)をそれぞれKpnI切断し、連結することにより、pUSA-HSGを取得した。 このプラスミドをSmaI、KpnIの順で切断し、ゲル精製することで、KpnIの粘着末端とSmaIの平滑末端を有す線状ベクターDNAを取得した。

    (2)pPP2のプラスミドの作製
    Fosmid pCC1-PP1を鋳型として、プライマー対P450-1 with Kpn F(配列番号277)/P450-1 with Swa R(配列番号278)を用いて前記P450-1のポリヌクレオチドを増幅し、精製したDNA断片をpCR-Blunt(Invitorogen社 Cat.No.K2700-20)にクローン化した。
    得られたプラスミドをKpnIとSwaIで切断し、前記P450-1断片を上述したベクターpUSA-HSGにライゲーションし、図5に示すpPP2のプラスミドを取得した。

    (3)pPP3のプラスミドの作製
    Fosmid pCC1-PP1を鋳型としてとして、図6に示す流れに従い、まず、プライマー対F1(配列番号279)/R1(配列番号280)、F2(配列番号281)/R2(配列番号282)、F3(配列番号283)/R3(配列番号284)、F4(配列番号285)/R4(配列番号286)、F5(配列番号287)/R5(配列番号288)、およびF6(配列番号289)/R6(配列番号290)を用い、エキソンのみを増幅し、六つの断片を取得した。 次にこれらの断片を鋳型としてF1/R2、F3/R4、およびF5/R6のプライマー対により増幅し、より長い断片を取得した。 さらに、F1/R4およびF1/R6のプライマー対により増幅を繰り返すことによって前記P450-2のポリヌクレオチドのイントロンを含まないcDNAを作製した。 このcDNA断片をpCR-Blunt(Invitorogen社 Cat.No.K2700-20)に導入し、得られたプラスミドを鋳型として、プライマー対infusion F of P450-2-cDNA(配列番号291)/infusion R of P450-2-cDNA(配列番号292)により増幅した。 キットのマニュアルに基づいて、In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(Clontech社)を用い、図7に示すpPP3のプラスミドを取得した。

    (4)pPP6、pPP7、およびpPP9の各プラスミドの作製
    上記実施例11(1)で取得した糸状菌形質転換用ベクターpUSA-HSGを使って、以下のpPP6、pPP7、およびpPP9の各プラスミドを取得した。
    1)プラスミドpPP6の作製(UbiA PT)
    Fosmid pCC1-PP1を鋳型として、UbiA PT F with Kpn(配列番号293)とUbiA PT R with Swa(配列番号294)を用いて前記UbiA PTのポリヌクレオチドを各々増幅し、精製したDNA断片をPCR断片用ベクターpCR-Blunt(Invitorogen社Cat.No.K2700-20)にクローン化した。 得られたプラスミドをKpnIとSwaIとで切断し、各断片を精製した後、前記糸状菌ベクターpUSA-HSGのKpnIとSmaIにライゲーションし、図12に示すpPP6のプラスミドを取得した。

    2)pPP7のプラスミドの作製(AT)
    Fosmid pCC1-PP1を鋳型として、プライマー対AT F with Swa (配列番号295)とAT R with Kpn(配列番号296)を用いてATのポリヌクレオチドを各々増幅し、精製した断片をPCR断片用ベクターpCR-Blunt(Invitorogen社Cat.No.K2700-20)にクローン化した。 得られたプラスミドをKpnIとSwaIで切断し、各断片を前記糸状菌ベクターpUSA-HSGのKpnIとSmaIにライゲーションし、図12に示すpPP7のプラスミドを取得した。

    3)pPP9のプラスミドの作製(AT-2)
    Fosmid pCC1-PP1を鋳型として、プライマー対infusion F of Toxin(配列番号297)とinfusion R of Toxin(配列番号298)を用いてToxin断片を増幅、In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit(Clontech社製 Cat.No.639619)をキットのマニュアルに基づいて前記糸状菌ベクターpUSA-HSGのKpnIと、SmaIとの間に挿入し、図12に示すpPP9のプラスミドを取得した。

    (5)Aspergillus Oryzae(A. oryzae)の形質転換体の取得
    CD-Met(L-Methionine 40μg/ml含有)寒天培地でA. oryzae (HL-1105株)を30℃で1週間培養した。 このシャーレから分生子(>10 8 )を回収し、500ml のフラスコに100mlのYPD液体培地に接種した。 20時間培養(30℃、180rpm)後、毬藻状の菌体を取得した。 菌体を3G-1 グラスフィルターで集め、0.8M NaClで洗浄し、よく脱水し、TF溶液I(プロトプラスト化溶液)で懸濁後、30℃、60rpmで2時間振盪した。 なお、30分間ごとに顕微鏡で観察し、プロトプラストの存在を確認した。 その後、培養液を濾過し、遠心(2000rpm、5分間)によりプロトプラストを回収後、TF溶液IIで洗浄した。 洗浄後、0.8容量のTF溶液IIおよび0.2容量のTF溶液IIIを加え混和して、プロトプラスト懸濁液を取得した。

    この懸濁液200μlにプラスミドDNA(pPP2あるいはpPP3)10μgを加え、氷上で30分間静置し、TF溶液III(1mL)を加え穏やかに混和した。 その後、室温で15分間静置して、前記プロトプラストにプラスミドDNAを導入した。 これにTF溶液II(8mL)を加え、遠心(2000rpmで5分間)し、1〜2ml残してプロトプラストを回収した。 再生培地(下層)に回収したプロトプラスト液を滴下し、再生培地(上層)を流し込み、シャーレを廻して混和後、30℃で4〜5日培養した。 出てきたクローンを再生培地(下層)に単離し、植え継ぎ純化することにより形質転換体( Aspergillus oryzae PP2-1およびAspergillus oryzae PP3-2)を取得した。

    上記実施例11の(5)に記載される方法に準じて各プラスミドDNA(pPP6、pPP7、およびpPP9)を導入した形質転換体( Aspergillus oryzae PP6、 Aspergillus oryzae PP7、およびAspergillus oryzae PP9)を取得した。

    上記TF 溶液I(プロトプラスト化溶液)は下記組成を用いて調製した。

    上記組成を調製後(pH5.5)、ろ過滅菌を行った。

    上記TF溶液IIは下記組成を用いて調製した。

    更に水を加えて全量を200mlとした。


    上記組成を調製後、オートクレーブ滅菌を行った。

    上記TF溶液III は下記組成を用いて調製した。

    更に水を加えて全量を10mlとした。


    上記組成を調製後、ろ過滅菌を行った。

    上記再生培地は下記組成を用いて調製した。

    更に水を加えて全量を1Lとした。


    上記組成を調製後(pH 5.5)、オートクレーブ滅菌を行った。

    また、上記で用いたTrace elements solutionは下記組成を用いて調製した。

    更に水を加えて全量を1Lとした。


    上記組成を調製後、オートクレーブ滅菌を行った。

    (6)P450-1の機能解析および添加培養試験
    1% (w/v)マルトースを含むYPD培地(1% (w/v) 酵母エキス(Yeast Extract)、2% (w/v) ペプトン、2% (w/v) デキストロース(Dextrose))に、1/100容のピリピロペンEの2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地Aとした。 ツァペックドックス寒天培地に培養したAspergillus oryzae PP2-1の菌叢より分生子を採取し、滅菌水に懸濁した。
    この分生子懸濁液を10 4 spore/mLに調製し、この調製した分生子懸濁液のうち100 μLを10 mLの培地Aに添加し、25℃で96時間振盪培養した。 この培養液に10 mLのアセトンを添加し、よく混合した後、遠心濃縮器を用いてアセトンを留去した。 これに10 mLの酢酸エチルを添加し、よく混合した後、酢酸エチル層のみを分取した。 遠心濃縮器を用いて酢酸エチルを留去して得られた乾固物を1000 μLのメタノールに溶解した。 これをサンプルとして用い、LC-MS(ウォーターズ社、Micromass ZQ、2996PDA、2695 Separation module、Column:Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50 mm、5 μm))、およびLC-NMR (Burker Daltonik社製 Avance500)により分析した。

    上記LC-MS測定の結果、得られた化合物はピリピロペンEよりも16分子量増加した単一の化合物Aであることを確認した。 また、LC-NMR測定の結果、この化合物AはピリピロペンEの11位水酸化体であることを確認した。 前記Cytochrome P450 monooxygenase(1)はピリピロペンEを基質とし、ピリピロペンEの11位を水酸化する酵素活性を有することを確認した。

    前記化合物Aの物理化学的性状を下に示す。
    1. マススペクトラム:ES-MS 468M/Z(M+H) +
    2. 分子式:C 27 H 33 NO 6
    3. HPLC:カラムWaters XTerra Column C18 (5 μm、4.6mm×50mm)、40℃、移動相20%アセトニトリル水から10分間で100% アセトニトリル(リニアグラジエント)、流速0.8ml/分、検出:UV323nmで保持時間 6.696分
    4. 1 H -NMRスペクトル (CD 3 CN, 2H:3.134、3.157 H-11)
    ピリピロペンEおよび上記4に記載の1 H -NMRスペクトルのチャートは、それぞれ、図8および図9に示される通りであった。

    (7)P450-2の機能解析および添加培養試験
    1% (w/v)マルトースを含むYPD培地(1% (w/v) 酵母エキス、2%(w/v) ペプトン、2%(w/v) デキストロース)に1/100容のピリピロペンEの2mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地A、同じく1/100容のピリピロペンOの2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地Bとした。 ツァペックドックス寒天培地に培養したAspergillus oryzae PP3-2の菌叢より分生子を採取し、滅菌水に懸濁した。 この分生子懸濁液を10 4 spore/mLに調製し、このうち500μLを50 mLの培地Aまたは培地Bに添加し、25℃で96時間振盪培養した。 この培養液に50 mLのアセトンを添加し、よく混合した後、遠心濃縮器を用いてアセトンを留去した。 これに50 mLの酢酸エチルを添加し、よく混合した後、酢酸エチル層のみを分取した。 遠心濃縮器を用いて酢酸エチルを留去して得られた乾固物を1500μLのメタノールに溶解した。 これをサンプルとし、LC-MS(ウォーターズ社製 Micromass ZQ、2996PDA、2695 Separation module、Column:Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50mm、5μm))およびLC-MNR(Burker Daltonik社製 Avance500)で分析した。 LC-MS測定の結果、培地Aから得られたサンプルから、ピリピロペンEより32分子量の増加した化合物Bを検出した。 また、培地Bから得られたサンプルから、ピリピロペンOより32分子量の増加した化合物Cを検出した。 さらに、LC-NMR測定の結果、化合物CはピリピロペンOの7位および13位水酸化体であることが確認された。 前記Cytochrome P450 monooxygenase(2)は、ピリピロペンEまたはピリピロペンOのそれぞれ7位および13位を水酸化する酵素活性を有することが確認された。

    化合物Bの物理化学的性状を下に示す。
    1. マススペクトラム:ES-MS 484M/Z(M+H) +
    2. 分子式:C 27 H 33 NO 7
    3. HPLC:カラムWaters XTerra Column C18 (5 μm、4.6mm×50mm)、40℃、移動相20%アセトニトリル水から10分間で100% アセトニトリル(リニアグラジエント)、流速0.8ml/分、検出:UV323nmで保持時間 5.614 分

    化合物Cの物理化学的性状を下に示す。
    1. マススペクトラム:ES-MS 542M/Z(M+H) +
    2. 分子式:C 29 H 35 NO 9
    3. HPLC:カラムWaters XTerra Column C18 (5 μm、4.6mm×50mm)、40℃、移動相20%アセトニトリル水から10分間で100% アセトニトリル(リニアグラジエント)、流速0.8ml/分、検出:UV323nmで保持時間 5.165 分
    4. 1 H -NMRスペクトル (CD 3 CN, 1H 4.858 H-13)、(CD 3 CN, 1H 3.65 H-7)
    ピリピロペンOおよび上記化合物Cの1 H -NMRスペクトルのチャートは、それぞれ、図10および図11に示される通りであった。

    (8)Prenyltransferaseの機能解析および添加培養試験
    1% (w/v)マルトースを含むYPD培地(1% (w/v) 酵母エキス、2% (w/v) ペプトン、2% (w/v) デキストロース)に1/100容の化合物D(4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロン、以下同じ)(参考例1参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地Cとした。 ツァペックドックス寒天培地に培養したAspergillus oryzae PP6の菌叢より分生子を採取し、滅菌水に懸濁した。 この分生子懸濁液を10 4 spore/mLに調整し、このうち200 μLを20 mLの培地Cに添加し、25°Cで96時間振盪培養した。 この培養液に20 mLのアセトンを添加し、よく混合した後、遠心濃縮器を用いてアセトンを留去した。 これに20 mLの酢酸エチルを添加し、よく混合した後、酢酸エチル層のみを分取した。 遠心濃縮器を用いて酢酸エチルを留去して得られた乾固物を1,000 μLのメタノールに溶解した。 これをサンプルとし、LC-MS (ウォーターズ社製 Micromass ZQ、2996PDA、2695 Separation module、Column; Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50 mm、5 μm))で分析した。

    LC-MS測定の結果、化合物Dにファルネシル基が付加した化合物F(4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オン、以下同じ)を検出し、参考例2に記載の化合物FとLC-MS上での保持時間、分子イオンピーク、UV吸収の一致を確認した。
    このことから、Prenyltransferaseは化合物Dにファルネシル基を付加するプレニルトランスフェラーゼ活性を有することが確認された。

    (9)Acetyltransferase-1の機能解析および添加培養試験
    1% (w/v)マルトースを含むYPD培地(1% (w/v) 酵母エキス、2% (w/v) ペプトン、2% (w/v) デキストロース)に1/100容のデアセチルピリピロペンE(参考例3参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地D、1/100容の11位デアセチルピリピロペンO(参考例4参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地E、7位デアセチルピリピロペンA(参考例5参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地Fとした。 ツァペックドックス寒天培地に培養したAspergillus oryzae PP7の菌叢より分生子を採取し、滅菌水に懸濁した。 この分生子懸濁液を10 4 spore/mLに調整し、このうち200 μLを20 mLの培地D、培地E、または培地Fに添加し、25°Cで96時間振盪培養した。 この培養液に20 mLのアセトンを添加し、よく混合した後、遠心濃縮器を用いてアセトンを留去した。 これに20 mLの酢酸エチルを添加し、よく混合した後、酢酸エチル層のみを分取した。 遠心濃縮器を用いて酢酸エチルを留去して得られた乾固物を1,000 μLのメタノールに溶解した。 これをサンプルとし、LC-MS (ウォーターズ社製 Micromass ZQ、2996PDA、2695 Separation module、Column; Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50 mm、5 μm))で分析した。

    LC-MS測定の結果、培地DからデアセチルピリピロペンEよりも42分子量増加した単一化合物を検出し、ピリピロペンE(参考例6参照)と保持時間、分子イオンピーク、UV吸収が一致することを確認した。 一方、培地Eおよび培地Fからは新たに生成した化合物を検出しなかった。 このことから、Acetyltransferase-1はデアセチルピリピロペンEの1位を特異的にアセチル化するアセチル化酵素活性を有することが確認された。

    (10)Acetyltransferase-2の機能解析および添加培養試験
    1% (w/v)マルトースを含むYPD培地(1% (w/v) 酵母エキス、2% (w/v) ペプトン、2% (w/v) デキストロース)に1/100容のデアセチルピリピロペンE(参考例3参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地D、1/100容の11位デアセチルピリピロペンO(参考例4参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地E、7位デアセチルピリピロペンA(参考例5参照)の2 mg/mLジメチルスルホキシド溶液を添加した培地を培地Fとした。 ツァペックドックス寒天培地に培養したAspergillus oryzae PP9の菌叢より分生子を採取し、滅菌水に懸濁した。 この分生子懸濁液を10 4 spore/mLに調整し、このうち200 μLを20 mLの培地D、培地Eまたは培地Fに添加し、25°Cで96時間振盪培養した。 この培養液に20 mLのアセトンを添加し、よく混合した後、遠心濃縮器を用いてアセトンを留去した。 これに20 mLの酢酸エチルを添加し、よく混合した後、酢酸エチル層のみを分取した。 遠心濃縮器を用いて酢酸エチルを留去して得られた乾固物を1,000 μLのメタノールに溶解した。 これをサンプルとし、LC-MS (ウォーターズ社製 Micromass ZQ、2996PDA、2695 Separation module、Column; Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50 mm、5 μm))で分析した。

    LC-MS測定の結果、培地Eから11位デアセチルピリピロペンOよりも42分子量増加した単一化合物を検出し、ピリピロペンO(参考例7参照)と保持時間、分子イオンピーク、UV吸収が一致することを確認した。 また、培地Fから7位デアセチルピリピロペンAよりも42分子量増加した単一化合物を検出し、ピリピロペンA(参考例8参照)と保持時間、分子イオンピーク、UV吸収が一致することを確認した。 一方、培地Dからは新たに生成した化合物を検出しなかった。 このことから、Acetyltransferase-2は11位デアセチルピリピロペンOの11位および7位デアセチルピリピロペンAの7位を特異的にアセチル化するアセチル化酵素活性を有することが確認された。

    参考例1:化合物D(4−オキソ−6−(3−ピリジル)−α−ピロン)の合成
    前記化合物Dは、J. Org. Chem. 1983. 48. 3945. に記載の方法で取得した。

    参考例2:化合物F(4−ヒドロキシ−6−(ピリジン−3−イル)−3−((2E,6E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエニル)−2H−ピラン−2−オン)の取得および構造解析
    公開技法2008-500997号(特許文献3)に記載の方法で取得したピリピロペン類を含有する培養ブロスを酢酸ブチルで抽出した後、セライトを用いて濾過した。 濾過時に用いたセライト(2.5 g)を取り出し、メタノール(30mL)を加えた。 室温で23時間撹拌後、不溶物を濾過で取り除き、減圧下でメタノールを留去することで化合物F(191 mg)を得た。
    ESI-MS;m/z 394 (M+H) +
    1 H-NMR (DMSO) δ(ppm) 1.48 (3H, s), 1.51 (3H, s), 1.55 (3H, s), 1.69 (3H, s), 1.85 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.91-1.95 (4H, m), 2.01 (2H, dt, J = 6.9, 6.9 Hz), 3.03 (2H, d, J = 7.1 Hz), 4.98 (1H, t, J = 7.0 Hz), 5.02 (1H, t, J = 6.9 Hz), 5.13 (1H, t, J = 7.0 Hz), 6.75 (1H, s), 7.54 (1H, dd, J = 4.8, 8.2 Hz), 8.09 (1H, ddd, J = 1.4, 1.9, 8.2 Hz), 8.66 (1H, dd, J = 1.4, 4.8 Hz), 8.91 (1H, d, J = 1.9 Hz)

    参考例3:デアセチルピリピロペンEの合成および構造解析
    ピリピロペンE(29 mg)をメタノール-水(19:1、1 mL)に溶解して、炭酸カリウム(53 mg)を加えた。 44時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、クロロホルム-メタノール(10:1)の混合溶媒を加えた。 濾過により不溶物を取り除き、減圧下で溶媒を留去することで、粗生成物を得た。 粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5mm、クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製して、デアセチルピリピロペンE(18 mg)を得た。
    ESI-MS;m/z 410 (M+H) +
    1 H-NMR (CDCL 3 ) δ(ppm) 0.82 (3H, s), 0.92 (3H, s), 1.00-1.03 (1H, m), 1.04 (3H, s), 1.12 (1H, dt, J = 4.0, 13.2 Hz), 1.27 (3H, s), 1.41-1.53 (2H, m), 1.59-1.75 (3H, m), 1.80-1.84 (2H, m), 2.15 (1H, dt, J = 3.2, 12.4 Hz), 2.18-2.29 (1H, m), 2.54 (1H, dd, J = 3.2, 17.6 Hz), 3.25 (1H, dd, J = 4.4, 11.2 Hz), 6.43 (1H, s), 7.39 (1H, dd, J = 4.8, 8.0 Hz), 8.11 (1H, d, J = 8.0 Hz), 8.65 (1H, d, J = 4.8 Hz), 8.99 (1H, d, J = 1.6 Hz)

    参考例4:11位デアセチルピリピロペンOの合成および構造解析
    ピリピロペンO(30 mg)をメタノール-水(19:1、2 mL)に溶解して、炭酸カリウム(20 mg)を加えた。 22時間撹拌した後、酢酸(0.1 ml)を加え、減圧下で溶媒を留去した。 酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。 酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、1位、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(30 mg)を得た。
    1位、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(23 mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.4mL)に溶解してトリエチルアミン(8 mg)、無水酢酸(7 mg)を加えた。 室温で23時間撹拌した後、水を加えて、酢酸エチルで抽出した。 酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、1位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(28 mg)を得た。
    1位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(28 mg)をトルエンに溶解して、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(20 mg)を加えた。 70℃で20時間撹拌した後、放冷し、酢酸エチルと水を加え、酢酸エチルで抽出した。 酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去することで、11位デアセチルピリピロペンOの粗生成物(20 mg)を得た。
    これをメタノールで溶解後サンプルとし、HPLC(SHIMADZU製LC−6AD,SPD-M20A PDA,CBM-20A, Column; Waters XTerra C18 (Φ4.5 x 50 mm、5 μm)で移動相30% アセトニトリル水から25分で55%アセトニトリル水(リニアグラジエント)、流速1.0ml/分、保持時間18分から 19分を繰り返し分取し11位デアセチルピリピロペンO(4.0mg)を得た。
    ESI-MS;m/z 468 (M+H) +
    1 H-NMR (CDCl 3 ) δ(ppm); 0.68 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.21-2.21 (10H, m), 1.25 (3H, s), 2.05 (3H,s), 2.20 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.50 (1H, dd, J = 4.63, 17.3 Hz), 2.94 (1H, d, J = 12.5 Hz), 3.33 (1H, d, J = 12.5 Hz), 4.87 (1H, dd, J = 4.6, 12.2 Hz), 6.48 (1H, s), 7.57 (1H, dd, J = 5.1, 8.1 Hz), 8.29(1H, d, J = 8.3 Hz), 8.68 (1H, d, J = 4.6 Hz), 9.04 (1H, s)

    参考例5:7位デアセチルピリピロペンAの合成
    7位デアセチルピリピロペンAは、特開平8-259569号公報に記載の方法で合成された。

    参考例6:ピリピロペンEの取得
    ピリピロペンEは、特開平8-239385号公報に記載の方法で取得した。

    参考例7:ピリピロペンOの取得
    ピリピロペンO は、J. Antibiot. 1996, 49, 292に記載の方法で取得した。

    参考例8:ピリピロペンAの合成
    ピリピロペンAは、WO94/09147号公報に記載の方法で取得した。

    FERM BP−11133
    FERM BP−11137
    FERM BP−11141
    FERM BP−11218
    FERM BP−11219
    FERM BP−11220

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